「日本の決済ビジネスには3つのチャンス」 PayPalが今後の戦略を説明

PayPalジャパン・カントリー・マネージャーのエレナ・ワイズ氏

親会社であるeBayからスピンオフし、7月20日に独立企業として再びNASDAQに上場し、親会社を超える500億ドルという時価総額を付けたPayPal(2002年のeBayによる買収は15億ドルだったので、その33倍にもなるわけだ)。同社は今後の日本展開について説明すべく、7月21日に東京・赤坂で発表会を開催した。

「お金そのものが変わろうとしている。その最大の理由はデジタルウォレットが台頭してきたことだ」――イベントに登壇したPayPal東京支社 ジャパン・カントリー・マネージャーのエレナ・ワイズ氏はこのように切り出した。

17年以上にわたって決済サービスを提供してきたPayPalから見ても、金融システムはDisruption(創造的破壊)を起こしうる状況にあるのだそう。「物理的なお金はすべてデジタル化しつつある。それによってモバイルでお金を払うだけでなく、支払いを受け取ったり、クレジットを利用したり、将来的には財布を持ち歩く必要すらなくなるだろう」(ワイズ氏)。

このモバイルの成長を裏付けする数字としてワイズ氏が提示するのがPayPalの決済全体に対するモバイル決済の比率の増加だ。2014年度には決済全体の2割だったモバイル決済は、2015年度第1四半期時点で3割まで向上している。

そんなお金の「デジタル化」する世界では、企業はデータ分析の機能やサイバーセキュリティが求められていくという。また同時に各国政府の規制を知り、法令を遵守することも求められる。ワイズ氏はPayPalがこういった課題を解決し、金融システムのDisruptionを起こせるユニークな状況にあると語る。

アクティブユーザー1.69億人、取扱高2350億円の決済基盤に

PayPalは現在203の国と地域でサービスを展開。直近のアクティブユーザーは16900万人で、2014年度の新規アクティブユーザーは1900万人。取扱高は2350億ドル(28兆円)で前年比28%の成長。収益は80億ドル(1兆円)で同じく19%の成長となっている。取引件数は40億件で、こちらも前年比27%の成長だ。

またPayPalの強みとして、17年以上のサービス運営実績や不正利用の検知、トラブル時の消費者・店舗への全額保証、8000人24時間体制のサポート体制、法令遵守での運営体制などを挙げる。「決済ビジネスは簡単なモノではない。この実績と経験が競合と差別化のユニークな点だ」(ワイズ氏)

では再上場したペイパルはどこに向かうのか。ワイズ氏は「世界をリードするオープンデジタル決済プラットフォーム」を目指すと語る。v.zeroと呼ぶSDKでビットコインをはじめとした仮想通貨でも決済に対応するほか、ここ数年で刷新したユーザーインターフェースも日本で導入を進めている。「お金そのものをもっと自由に扱えるようにする。我々は自身をDisruptし続ける、また(他社に)Disruptされかねないという危機感を持ってビジネスを進めている」(ワイズ氏)

日本の決済ビジネスに3つのチャンス

続けてワイズ氏は、日本の決済市場について、3つのチャンスがあると説明した。

まず1つ目は中小企業やスタートアップの台頭だ。創業期から中小企業のネット決済の手段として利用されているPayPal。導入の手軽さや不正検知、決済から現金化まで最短3日という特徴は中小企業にとっても価値のあるものになっているという。また今後増えるであろうモバイルでの越境ECなど、より役立てる機会があるとした。

2つ目のチャンスはモバイルによる次世代のコマースだ。すでに世界の人口より多い72億台という端末が流通し、PayPalの決済でもモバイルの割合は上がるばかり。そんな状況で生まれるスタートアップは、モバイルアプリでサービスを提供するところが中心。PayPalではクレジットカードをカメラで撮影して読み取るSDKなども用意。ユーザーに対してたがるな決済手段を容易に提供できるとする。またヤマダ電機やネスカフェなどに対しては、オムニチャネル化に向けたモバイル決済の実験なども行っている。「オンライン、リアルにかかわらず、今後モバイル決済は『選択肢の1つ』ではなく『マストなもの』になる」(ワイズ氏)

3点目がインバウンド需要への対応だ。ワイズ氏によると、1~5月の訪日観光客は前年比45%、年間2500万人にも届く勢いだという。またこれにあわせて訪日観光客の国内支出も前年比43%増という状況だと説明。「ホテルや旅行代理店などにたいして、強い決済サービスが提供できることは多い」とした。またTokyo Otaku Mode(TOM)をはじめとした”クールジャパン”関連のECでもPayPalの導入が進んでいると説明。TOMでは、導入から数カ月後にはPayPalでの決済が全決済の半数を占めるようになったという。

再上場の影響「日本にはない」

ここからは質疑応答の内容などを少し紹介する。まず再上場による日本市場への影響については、「eBayのプラットフォームがないため、大きな影響がない。影響があるとすれば、日本や他の国において『eBayの関連会社』ということで(競合のため)付き合えない会社があったが、そこでのビジネスチャンスが生まれる」(ワイズ氏)という。

また日本市場におけるにおけるPayPalの立ち位置については、「個別の市場の数字については公開を控えている。言えるのはアクティブユーザーは国内、越境を含めて100万人以上。マーチャントも10万単位かそれ以上。決して少なくない数字」(ワイズ氏)とのことだった。

発表会後、日本と米国など海外の決済市場との違いについて聞いたのだけれども、「CtoCサービスでの利用は日本が多い」という点が特徴的なんだそう。一方で「越境コマース」への対応が弱いという課題もあるとした。「そこに関してはPayPalは強みを持っているので、サービスを提供していきたい」(ワイズ氏)

ワンモアとCCCグループが資本業務提携、映画制作やマーケティングでクラウドファンディングを活用

左からT-MEDIAホールディングス取締役COOの根本浩史氏、ワンモア代表取締役の沼田健彦氏

左からT-MEDIAホールディングス取締役COOの根本浩史氏、ワンモア代表取締役の沼田健彦氏

左からT-MEDIAホールディングス取締役COOの根本浩史氏、ワンモア代表取締役の沼田健彦氏

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループのインターネット事業を統括するT-MEDIAホールディングス。同社が2015年1月に開催したスタートアップ向けの協業・支援プログラム「T-VENTURE PROGRAM(TVP)」。その成果が着々と出ているようだ。T-MEDIAホールディングスは7月21日、TVPで優秀賞を受賞したワンモアとの資本業務提携を実施したことを明らかにした。

ワンモアはクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」を手がけるほか、クラウドファンディングのシステムをASP形式で提供するスタートアップ。2011年の創業。IMJインベストメントパートナーズ(当時はIMJ FENOX)などが出資する。

当初は企業と共同でクラウドファンディングサイトを立ち上げてきたが、2013年4月以降は企業と展開してきたクラウドファンディングサイトをモール化している。これまで約230のプロジェクトを達成。これまでの流通金額は2億5000万円程度だという。

ワンモアはT-MEDIA ホールディングスの持分法適用会社に

資本提携の内容は非公開だが、ワンモアは今回の提携で合計1億5000万円程度の資金を調達したと見られる。T-MEDIAホールディングスがワンモア株式の約3割を取得。持分法適用会社とする。ワンモア代表取締役の沼田健彦氏以外の株主はこのタイミングで株式を売却している。

業務提携についてはまず、GREEN FUNDINGのサービス名称を「GREEN FUNDING by T-SITE」にリニューアル。T-MEDIAホールディングスが運営するポータルサイトの「T-SITE」をはじめとした各種サービスとの連携のほか、代官山T-SITE、湘南T-SITEやTSUTAYA直営店舗での商品販売イベントの実施など、「リアル店舗を活用することなど、付加価値的なところを含めたマーケソリューションを提供する」(沼田氏)としている。またCCCグループおよび取引先の出版社やレコード会社などに対してクラウドファンディングの提案を進める。

また、最大5000万円の制作費を支援するするクリエイター支援プログラム「TSUTAYA CREATOR’S PROGRAM」においても、クラウドファンディングを実施することが決まっている。11月12日に開催する最終審査で選出される優秀3作品について、T会員をはじめとした映画ファンから制作資金支援を募るという。

今回の資本業務提携にあわせて、T-MEDIAホールディングス取締役COOの根本浩史氏がワンモアの社外取締役に就任する。「デジタルによってコンテンツは作り方、内容ともにどんどん変わっていると実感している。YouTuberが500万PVを集め、一方でプロのコンテンツは米国を中心に『ネット配信ファースト』になってきた。インフラとテクノロジーによってコンテンツの内容も作り方も変化しているならば、 資金調達のやり方も改めて考えてもいい。 そういう仕組みを一緒に作っていきたい」(根本氏)

今後はTポイント連携も視野に

また今後はシステム面での連携を強化。Tポイントを使ったクラウドファンディングの仕組みを導入することも視野に入れる。また今回の発表では「マーケティングツールとしてのクラウドファンディングの利用」に関する話が中心ではあったが、将来的にはCCCグループとして、例えばプライベートブランドだったり、オリジナルの商品を小ロットで生産するためのプラットフォームとして活用する…なんてこともあるかも知れない。

なお今回の資本業務提携のきっかけになったTVPは今後も年1回ペースで開催の予定。直近にも第2回のプログラムについて発表するとしている。

「品質重視」の医療情報サイトを運営するメディカルノート、ジャフコから2.5億円の資金調達

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医療情報サイト「メディカルノート」を運営するメディカルノートは7月20日、ジャフコを引受先とした2億5000万円の第三者割当増資を実施した。今後は人材を強化し、サービス開発およびコンテンツ制作大成を強化していく。

メディカルノートは病気の症状やその対策、治療法をはじめとした医療情報を掲載するサイト。記事は医師による寄稿のほか、医学生やライターによる取材記事が中心。それぞれの記事に対して、その分野に明るい医師がチェックを行うことで、信頼性の高い情報を提供するのが特徴だという。

サイトで公開されている記事数は現在約400件。寄稿や取材に協力する医師は100人以上だという。月間120件ほどの記事を掲載しているが、直近にも月間200件以上を公開できる体制を整えるとしている。

メディカルノートの設立は2014年10月。代表取締役の井上祥氏は横浜市立大学医学部を卒業し、同大学の大学院で医学教育学や消化器内科学を学んだ。そして在学中から医療書籍の編集・執筆に携わっていたが、オンラインで正しい医療情報を発信するべくメディカルノートを立ち上げた。井上氏は2015年春に大学院を卒業。そこからサービスを本格稼働させている。

「外来診療をやっているとカルテが文字通り山のように積み上がる。そうなると患者に対して1人1分の説明も難しくなることがあり、注意点を説明しても漏れてしまうということがある。またそもそも患者が知りたい情報があっても、(事前の)情報レベルが高くないと適切に質問できないということもある。そういう状況を変えたい」——井上氏は起業の経緯についてこう語る。

情報のスピードより品質を重視

先日資金調達を発表したメドレーのMEDLEYのほか、ディー・エヌ・エーのMedエッジ、サイバーバズのDoctors Me、Good Medicine JapanのcoFFee doctorsなど医療情報を提供する競合サービスは多い。これらに対してメディカルノートの強みは何なのか、井上氏は「記事と医師が結びついていること」だと説明する。

医療に関わる情報は、内容の誤りが文字通り命に関わる可能性だってあるため、正確さを求めるのは重要だ。メディカルノートでは、記事掲載のスピードを落としてでも医師によるチェックを徹底している。

ここまでなら競合サービスでも聞いた話なのだが(これすらできていない競合もあるようだが)、メディカルノートではチェックを行った医師の実名も記事に結び付けて掲載することで、記事の品質を高めようとしているという。現在は大学や病院のキーマンとなっている医師に協力を仰ぎ、より多様なコンテンツを発信できる体制作りを進めているという。

文末に掲載される医師のプロフィール

文末に掲載される医師のプロフィール

現状はマネタイズよりも「コンテンツ制作や協力者のネットワーク作りを優先する」(井上氏)という。具体的な話は聞けなかったが、井上氏は将来的な話として「今はどこにどんな症状の人がいるかも整理されておらず、患者も(症状を学ぶような)場所に困っている。患者に適切なソリューションをどう提供していくかは考えて行きたい」と語った。また資金調達を行う以上イグジット戦略も持っているが、「IPOは結局のところ手段でしかない。この事業を広げて社会に価値を出すことが重要」(井上氏)だという。

メディカルノートでは、今秋をめどに症状や地域に応じて医療機関を検索できる機能を提供する予定。「病気について検索してやってきた人が、最適な病院に行きつけるようなサービスにしたい」(井上氏)

足の写真から最適な靴を提案する「シンデレラシューズ」、KDDI ∞ labo第8期の最優秀賞に

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KDDIが手がけるインキュベーションプログラム「KDDI ∞ labo」。2015年3月〜6月に開催された第8期となるプログラムも終了し、7月14日にその成果発表会が開催された。最優秀チームとなったのは、足の写真を送るとそのデータを計測、自分にピッタリなサイズの靴をECサイトから探せる「シンデレラシューズ」(本日、1000人に限定してサービスをローンチ)を手がけるシンデレラだった。発表会でのプレゼンテーションをもとに参加者が投票する「オーディエンス賞」にもシンデレラが選ばれた。

KDDI ∞ laboは2011年から続くインキュベーションプログラム。第8期に採択されたチームはシンデレラシューズのほか、照明をヒントにしたIoTデバイスを手がける「LYNCUE(リンキュー)」、美容室予約サービスの「Oshareca(オシャレカ)」、IoTで養蜂業を支援する「Bee Sensing」ものづくりに関するハウツー動画を集めた「PU」の5チーム。サービスの概要は以下の通り。なお8期メンバー採択時の記事はこちら

OSHARECA「Oshareca」

いつも通う美容師に対してヘアケアなどの相談ができるコミュニケーションアプリ。相談した記録が蓄積されることで、ユーザー独自のヘアカルテになる。クローズドベータ版を同日リリースした。

Bee Sensing「Bee Sensing」

3万匹の中に1匹しかいない女王蜂の体調管理をはじめとして、実は重労働が伴う養蜂業。その養蜂のための巣箱にセンサーを付けることで、スマホでの蜂の健康管理を行う。データは遠隔地で閲覧できるほか、緊急時にはアラートを出すことが可能。さらにユーザーには、どこで取れた蜂蜜であるかを伝える、つまりトレーサビリティを確保できる。チーム代表の松原秀樹氏はIMBの出身。市場規模180万円の養蜂業をDisruptすべく2015年に起業した。現在クラウドファンディングサービス「READYFOR?」にてプロジェクトを掲載中だ。

SUPERSTUDIO「PU

ものづくりのハウツーを動画で学習できるサービス。サイトは本日オープンした。ただ動画で学習するだけでなく、同社では都内数カ所の倉庫でものづくりに関するリアルイベントを企画。今後は自らが作成した商品の売買ができるECプラットフォームも展開する予定。

TEAM LYNCUE「LYNCUE

照明を軸にしたIoTデバイス。照明にプロジェクターとカメラを組み込んでおり、
スイッチ1つで電源がつき、遠隔地に置いたLYNCUEのビデオやプロジェクターが起動。リアルタイムに映像を共有する。現在クラウドファンディングサービス「MAKUAKE」にもプロジェクトを掲載する。

シンデレラ代表の松本久美氏

シンデレラ代表の松本久美氏

シンデレラ「シンデレラシューズ

靴を買うときに相談できる専門家はシューフィッターや靴職人などがいるが、フィッティングとプライスが相反するのが靴の業界。それを画像解析によって最適化するのがこのサービス。本日先着1000人限定でサービスを提供開始した。具体的には足の写真を上から、横からの2枚、左右で計4枚撮影してサイトにアップロード。すると画像認識の結果と靴のデータベースによるマッチングを実施。ユーザー向けに診断書を発行するほか、シンデレラシューズのサイト上でさまざまな靴を「ピッタリ度」をとともに紹介する。

大企業連携、地方連携も強化

∞ laboでは第7期以降、KDDI以外の大手企業が採択チームへの支援を行う「パートナー連合プログラム」を展開。第8期では15社がプログラムに採択された各チームを支援した。

例えばOsharecaはクレディセゾンがガード会社へのリサーチで支援する、シンデレラシューズは三井不動産が足データの測定で支援するといった具合だ。第9期では、新たにグーグル、住友不動産、三菱UFJニコスがプログラムに参加する。「同業、異業の枠を超えてスタートアップを支援していく」(KDDI代表取締役執行役員専務の高橋誠氏)

地方と連携する「MeetUP!プログラム」

地方と連携する「MeetUP!プログラム」

また第8期から実施している地方創生の取り組みを強化する。第8期より実施している大阪市との連携に加えて、石巻市や広島県、福岡市と連携。各地スタートアップ向けに地方ピッチやDemoDayへの参加を促す「MeetUP!プログラム」を展開する。

6カ月の「ハードウェアプログラム」も開催

さらにハードウェアに特化したプログラムも実施。通常のプログラムは3カ月だが、こちらのプログラムは6カ月。応募条件としては試作品が外部公表前のプロダクトに限定されるが、事業化計画の支援から専門家によるメンタリングや講義の開催、さらに開発環境やツールを提供することで、クラウドファンディングによる試作から量産化の支援、販路の提供やビジネスマッチングまでをサポートする。

ハードウェアプログラムについて

ハードウェアプログラムについて

プログラムでは、ザクティやソフトフロント、ユカイ工学などのハードウェア企業やIoTコンサルタント、スマートデバイスメーカー社長などの専門家が支援を行う。「IoTはたくさん取り組んでいるが本当にマネタイズする仕組みが必要。持続的に回らないと『はやりワード』で終わってしまう。何とか支援していきたい」(高橋氏)。第9期の募集は本日から8月17日まで。応募および条件の詳細ついては∞ laboのサイトにて。

楽天、バーチャル試着室のスタートアップ、Fits.Meを買収―ファッションeコマースに意欲

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日本のAmazonともいうべき巨大eコマース企業、楽天はデジタル・メディアとeコマースの強化に惜しみなく投資中だ。今回はファッション分野のスタートアップを買収した。

楽天が買収したのはエストニアで創立され、現在ロンドンに本拠を置くFits.meだ。同社の開発したバーチャル試着室は消費者とリテラーの双方にメリットをもたらす。消費者は関心を持ったファッション・アイテムが自分に似あうかどうかオンラインで試着できる。同時にリテラーはユーザーに関する詳しい情報を入手できる。

楽天はFits.meを引き続き独立の事業として運営させる考えだ。同社はこれまで通り、独自にテクノロジーを開発し、ビジネスを拡大することになる。Fits.meのテクノロジーを利用している既存のクライアントにはThomas PinkHugo Bossのような有名ブランドやホーム・ショッピング・サービスのQVCなどがある。

Fits.meには65人の社員がおり、買収後もJames Gambrellが引き続きCEOを務める。共同ファウンダーのHeikki HaldrePaul Pallinも社員として活動中だ。

われわれの得た情報によると、楽天がFits.meを買収したのは数週間前だという。両者ともこの点についてはコメントを避けている。

この半年ほど楽天は精力的に買収と投資を進めている。3月にLyftに対する5億3000万ドルの投資ラウンドをリードし 、6月には資金を確保するため1880億円に上る株式の公募増資を行った。この増資のために設けられた大型買収の停止期間が今日(米国時間7/12)終了した。そこでFits.meの買収が公表されたわけだ(なお、楽天は別のヨーロッパ企業の買収にも興味を示しているという。一方、一時進んでいると伝えられたPopSugarの買収は不調に終わったもようだ)。

Fits.meは将来は楽天とさらに密接に事業を展開することになるだろう。まだ詳細は明らかでないが、楽天の事業にFits.meを利用できる分野が多数あるのは明らかだ。

メイン・ポータルRakuten.comにファッションや美容分野のショップが無数に出店している他に、楽天はファッション通販専門の StyLife(日本) やVault (アメリカ)を運営している。また楽天はPinterestの大株主だが、このソーシャル写真サイトは最近コマース分野に力を入れ始めている。

Fits.meが開発した消費者向けテクノロジーの一つは、ユーザーが関心を抱いたファッション・アイテムを着用してみせるオンランのバーチャル・マネキンだ。このロボット・マネキンは消費者が身長、体重、年齢などの情報を入力するとそれに合わせてサイズなどを変化させる。

楽天は当初Fits.meへの投資を考えていたようだが、交渉が進むうちにまるごとの買収を提案したという。Gambrellによれば「楽天はFits.meにとって適切なパートナーだと考えて提案を受諾した。楽天はさらなる成功のためにクリエーティブな方法を求めており、われわれは楽天の事業のさまざまな分野でその方法を提供できる」という。もう一つの考慮は、ライバルとの競争だ。GambrellによればFits.meが注目しているライバルは、バーチャル試着室のMetailからオンラインの消費者のアイテムの選択を助けるサービスまで320社もあるという。

これに加えて、この分野における集中化のトレンドもすでに目立っていた。eBayがPhiSixを、MyntraがFitiquetteを、それぞれ買収している。またFits.me自身もClothes Horseを買収している。楽天の傘下に加わることでFits.meは生き残りと事業の拡大の保証を得たことになる。

Fits.me、楽天ともに買収金額を明らかにしていないが、情報源によれば「投資家は皆ハッピーになった」という。

楽天の最近の買収は日本のトラベル・サイトVoyaginだった。ヨーロッパでの買収にはメッセージ・アプリのViber、ビデオストリーミングのWuaki、フランスのeコマース・ポータル、Priceministerなどがある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「どっちが尊敬できる?」転職サイトのTalentBaseは“究極の2択”で求職者のスキルを可視化する

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「どちらのほうが頭がいいですか?」

ソーシャルデータと人工知能を使ってイケてる人材を探すサービス「TalentBase(タレントベース)」にこのたび、“究極の2択”に答えることで、求職者のスキルを可視化する機能が加わった。

求職者は「どちらのほうがコミュニケーション力がありますか?」や「どちらが一緒に飲みたいか?」といった質問に対して、提示される友達2人の中から1人を選ぶ。友達はFacebookでつながっているTalentBaseユーザーが出てくるので、回答にしばし悩むこともありそう。

友達からのポジティブな評価が20件以上集まると、ビジネス基礎能力やコミュニケーション能力、技術力、人間力など10種類の「定性スキル」がレーダーチャートに表示される。求職者は自己分析につながるし、求人企業もプロフィールでは伝わらない求職者の能力や特性がわかるというわけだ。

10角形のレーダーチャートで「定性スキル」を可視化する

10角形のレーダーチャートで「定性スキル」を可視化する

究極の2択にはこんな質問もある。

「どちらが尊敬できますか?」「どちらがリーダーシップがありますか?」「どちらのほうが熱意が強いですか?」「どちらのほうが折れない心を持ってますか?」「どちらのほうが話してて楽しいですか?」「どちらがルックスがいいですか?」「どちらのほうが頼りになりますか?」

ちなみに、自分がどんな質問で、誰を評価したかは相手に伝わるが、誰と誰を比べて評価したかは公表されない。もちろん、評価されなかった人には何も告げられない。

自分がポジティブな評価を受けた場合には通知が届くが、その内容を確認するには「ポイント」が必要となる。このポイントは相手を評価したり、自分が評価されたことをFacebookやTwitterでシェアすることで貯まる仕組みだ。

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人工知能でイケてる人材と企業をマッチング

過去にもお伝えしたが、TalentBaseは自社で活躍する社員や興味のある人材を検索して登録するだけで、人工知能が自社に合った人材を推薦するサービス。

求人企業は、求職者のプロフィールやソーシャルサービス(Facebook、Twitter、LinkedIn、GitHub、Qiita)の利用状況をもとに算出した「スコア」を見て、気になる人材を「タレントプール」と呼ぶデータベースに追加する。この行為を繰り返すたびに、人工知能が企業の好みを学習していく。

ただし、この仕組みはSNSを活用していない求職者は不利になる。求人企業としても「SNSを活用しないイケてる人材」を発掘するのは難しい。こうした課題を解決しようとするのが“究極の2択”だ。TalentBaseとしては、SNSをもとにしたスコアだけでなく、定性的な能力や特性を踏まえて、人と企業のマッチングを図る狙いがある。

Facebook、Twitter、LinkedIn、GitHub、Qiitaの5サービスの利用状況をもとに、「ソーシャル」「ビジネス」「技術」の3項目でスコアを算出している

Facebook、Twitter、LinkedIn、GitHub、Qiitaの5サービスの利用状況をもとに、「ソーシャル」「ビジネス」「技術」の3項目でスコアを算出している

究極の2択は「評価ゲーム」という名称で今年3月のTalentBase公開時から提供していて、評価データは累積8万5000件に達した。いままでは自分がどんな質問で評価されたかのみを表示していたが、定性スキルをレーダーチャートとして可視化するようにした。

“究極の2択”というだけあって、なかなかにエグい質問が投げかけられるが、TalentBaseを運営するアトラエの岡利幸CTOは、「(求職者を)弱者と強者に分けたいわけではない」として次のように狙いを語る。

「自分の定性的なデータから、自分に似た定性スキルを持つ人が、どんな会社のどんなポジションで働いているのかがわかるようになることで、今までのレジュメや求人票ベースの選択ではなく、もっと人間らしい会社選びや人選びができるようになれば。」

“毛穴が見えない”美肌フィルター搭載で「リア充」の取り込みをねらう—サイバー子会社がライブ配信アプリ「宅スタ」

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ライブ配信サービスのツイキャスこと「Twitcasting」。サービス開始から5年で登録ユーザー数1000万人(4月時点)、累計配信回数で1億5000万回(3月時点)と大きく成長した。ディー・エヌ・エーの「Showroom」など競合サービスもあるが、アタマ1つ抜けた状態にあると言っていい。そんなライブ配信の分野にサイバーエージェントが参入した。

サイバーエージェント子会社のタクスタは7月9日、ライブ配信アプリ「宅スタ」を公開した。iOS、Androidに対応しており、App StoreおよびGoogle Playから無料でダウンロードできる。

宅スタは個人向けのライブ配信アプリ。Twitterのアカウントさえ登録すれば誰でもスマートフォン1つでライブ配信が可能になる。視聴のみのであればTwitterアカウントも必要ない。現時点ではAmeba IDとの連携は行っていない。

「宅スタ」の視聴画面

「宅スタ」の視聴画面

“初めての自撮り”に配慮した「フィルター」機能

最後発のライブ配信サービスとなる宅スタの最大の特徴は、動画の「フィルター加工」が可能なことだという。フィルターを使うことでユーザーは自分好みの映像でのライブ配信が可能になるとしている。

「初めての『自撮り』に配慮している」——タクスタ代表取締役社長の田久保健太氏はこう語る。ライブ配信の経験をしたことのないユーザーが宅スタのアプリを立ち上げ、配信ボタンをタップする。するとインカメラで自分の顔がどアップになるのだから、抵抗があるユーザーだっているだろう。

これを少しでも緩和するためにフィルターを導入した。配信ボタンをタップすると、デフォルトで「美肌」なフィルターがかかった状態になる。「どの距離で毛穴が見える、見えないというような細かいところまでバランスを調整した」(田久保氏)

また、あらかじめ撮影した静止画像と音声のみで配信する「静画モード」を用意。動画で配信したくない場所、もしくはタイミングでこのモードに切り替えることも可能だ。Twitterアカウントは複数登録して切り替えることも対応。「実際に原宿で女子高生にヒアリングしたが、多くの回答者が『本アカ(メインのアカウント)』『裏アカ(匿名など、メインアカウントでは言えないようなことを発信するアカウント)』『共通アカ(友人らと運用するアカウント)』の3アカウントを持っていた。このTwitterの利用スタイルに合わせた」(田久保氏)

タクスタ代表取締役社長の田久保健太氏

タクスタ代表取締役社長の田久保健太氏

住所や実名が投稿されないようにする「禁止ワード」の設定も可能。「Ameba同様の監視はするが、リアルタイムで何が起こるか分からない」(田久保氏)とのことで、可能な限り配信者の安全性には配慮したという。また低回線でも利用できるよう、画質とフレームレートを落とした低画質再生モードも備える。同社によると利用可能なデータ量を超過し、通信速度制限がかかった状態でも視聴可能とのこと(一応お伝えしておくと、音声のみの配信やNGワード設定などは競合にも用意されている)。

インターフェースはスマートフォンのスクリーン全部に画像が映る「縦画面」となっている。この画面下部、動画に重なるかたちでコメントや各種の通知が表示される。

また、視聴者は配信者に対して「エール」を送ることができる。画面右下のエールボタンをタップすると、配信画面に星が飛び出すエフェクトがかかる。エールは1日300回までに制限されている。将来的には星以外のエフェクトも用意する予定だそうで、ここでのマネタイズを検討しているようだ。

さらに配信者には「○○さんが入室した」「○○さんが最初のコメントをした」、視聴者には「今なら(他のコメントが少ないので)質問すれば回答がもらえるかも」といったニュアンスでコミュニケーションのきっかけを与える通知をすることもできる。配信後は配信回数やコメント数、エール数、配信時間などを知らせる簡単なアナリティクス画面が表示される。配信した動画は60日間保存されるが、設定によって無期限保存も可能だ。

ライバルはツイキャスとPeriscope、強みは「リア充」の取り込み

田久保氏は競合についてツイキャスと、Twitterが買収したPeriscopeだと明言する。

タクスタは2014年11月の設立。その以前はアメーバピグ事業を統括していたという田久保氏。競合サービスとの比較について聞くと、「アメーバピグを通じて、ローリテラシーで若い人たちの文化というのが分かってきた。(リテラシーは低いが)リア充なユーザーを無視してはいけない。言葉は悪いが、『暇なリア充』に使ってもらえば、大きくサービスが広がると考えている。そこをどう取り込むかがサイバーエージェントグループのプロデュース力ではないか。もちろんユーザー自ら移行することもあるだろうが、自分たちで配信者を育てていきたい」と答える。ただし、あくまで配信者の中心は一般ユーザー。現時点ではAmebaブログのように芸能人を積極的に取り込むことはしないという。

マネタイズについては未定だが、タイアップの動画配信などは検討しているという。また前述の通り、エールに関する課金の可能性もありそうだ。当面の目標については「半期が終わる2016年3月時点で日本一の動画メディアになりたいとは思っている。だがまずは質のいい配信者と配信内容が集まることが大事だと考えている。7月はユーザーに『アツい』と思ってもらえる空間作りをしていく」(田久保氏)

サイバーエージェントではAmeba、広告、ゲームに続く新たな事業の柱として「動画」を掲げている。タクスタ以外の動きとしては、3月にはテレビ朝日と新会社を設立。定額制動画配信プラットフォーム「Abema」を提供するとしているほか、直近の7月6日には、東京・原宿の竹下口に公開スタジオ「AmebaFRESH!Studio」をオープン。今秋リリース予定の生放送アプリ「AmebaFRESH!」向けの番組を配信する。なお今後は宅スタでもこのスタジオを使った配信・イベントなども検討している。

自分の洋服で“おしゃれな誰か”が着回し提案、「クローゼット」が1.4億円調達

STANDING OVATIONの荻田芳宏社長

「洋服はたくさん持っているのに着ていく服がない」というのは、女性にありがちな悩みらしい。そのせいか、女性ファッション誌は毎号のように「着回し」特集を組んでいる。

ファッションに興味が薄い男性読者のために説明しておくと、着回しとは、1つの洋服を何通りにも着ることだ。彼女たちが愛読する雑誌には「着回しコーデ1週間」「着回し大作戦」のような見出しが踊るが、2014年1月に創業したSTANDING OVATIONが手がける「XZ(クローゼット)」は、アプリで女性の「着回し力不足」を解決しようとしている。

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おしゃれな誰かが着回し提案

スマホで手持ちのアイテムを撮影してネット上の「ソーシャルクローゼット」に投稿すると、おしゃれな誰かが新しい着回しアイデアを提案してくれるアプリ。誰かが⾃分のアイテムを使ってコーディネートを作成するとお知らせが届く。

自分や他のユーザーの「クローゼット」からアイテムを選んでコーディネートが作れる

自分や他のユーザーの「クローゼット」からアイテムを選んでコーディネートが作れる

新品ではなく、自分がすでに持っているアイテムで、自分でも気づかなかった新しい着回しアイデアを発見できるのが特徴だ。例えば、「このトップスはスカートしか合わせたことがなかったけどパンツとも合わせられるんだ!」みたいな気付きがある。

誰かが⾃分のアイテムを使ってコーデを作成するとお知らせが届く様子

誰かが⾃分のアイテムを使ってコーデを作成するとお知らせが届く様子

昨年9月にiPhoneとAndroid向けのアプリを公開し、ダウンロード数は約5万2000、ユーザーの平均年齢は25歳。これまでに投稿されたアイテムは27万点に上り、平日でも毎日1000点、土日になると1日に2000点近く増えている。

着回しアイデア提案数は5万5000件を超え、STANDING OVATIONの荻田芳宏社長は「クックパッドで料理のレパートリーが広がるように、クローゼットで着回しバリエーションが増えている」と手応えを感じている。

アイテムを投稿するほど着回しアイデアが埋もれない仕組みに

その一方で、着回しアイデアが埋もれてしまう課題もある。

現在は、自分が投稿したアイテムが他人に使われた場合のみ、着回し提案のフィードバックが得られる仕組み。言い換えれば、他のユーザーが自分と同じアイテムを投稿してフィードバックを得たとしても、自分のもとには届かない仕様だ。こうした課題を荻田氏は認識していて、8月にアプリを大幅リニューアルする。

リニューアル後は、同じアイテムを投稿したすべてのユーザーに着回し提案が届く。「青いスカート」や「白いスニーカー」のように、自分が投稿したアイテムと似たアイテムに着回し提案が寄せられた場合にも、お知らせが届くようにする。アイテムを投稿するほど新たな着回しアイデアに出会えるようになれば、コミュニティがさらに活性化しそうだ。

アパレルメーカーへの課金も視野

9月にはスマートフォン向けサイトを公開し、着回し力がアップするような雑誌っぽい記事を掲載する。新たなユーザーを獲得するとともに、ネイティブアドでの収益を見込む。

自分の服に合うアイテムを不特定多数の人に聞けるQ&Aコーナーも設け、「気に入っているジャケットに合うアイテムを教えてください」のような質問を写真付きで投稿すると、おしゃれな誰かが提案してくれる仕組みを作る。

ファッション誌を意識した着回し提案記事(左)とQ&Aコーナー(右)

ファッション誌を意識した着回し提案記事(左)とQ&Aコーナー(右)

将来的にはアパレルメーカーへの課金も視野に入れている。

例えば、Q&Aにはアパレルメーカーが回答できるようになっているので、押し売り感なく自社商品を提案したり、良質な回答をすることでファンを増やせるかもしれない。現在はアパレルメーカーと交渉中で、クローゼット経由で販売した金額の一部を手数料として徴収するビジネスモデルを検討している。

「ファッションのクラウド化」は成立するか

競合に挙げられることが多い国内のファッション系サービスとしては、500万人が利用するコーディネート検索アプリ「WEAR」や、200万人が利用するコーディネート作成アプリ「IQON」がある。これらについて荻田氏は「どちらもコーディネートの参考にはなるが、着回しの解決にはつながらない」と見ていて、本人のセンス任せになってしまうと語る。

これに対して、クローゼットはおしゃれな人の知恵を集合知化して、自分だけでは気づかなかった意外な着回しを発見できるのが強みだとアピールする。荻田氏は「ファッションのクラウド化」をテーマに掲げるが、その成否は、クローゼットの最大の価値である着回し提案の回数が増え、その結果、アイテム登録数も増える好循環が生まれるかどうかにかかっていそうだ。

7月8日にはgumiベンチャーズ、DBJキャピタル、アイスタイルキャピタル、個人投資家を引受先とする、総額1億4000万円の第三者割当増資を発表。調達した資金は8月のアプリリニューアル、9月のスマホウェブ版の開発にあてる。

STANDING OVATIONは昨年11月に東京・渋谷で開催した「TechCrunch Tokyo 2014」のスタートアップバトルのファイナリストでもある。

STANDING OVATIONの荻田芳宏社長

STANDING OVATIONの荻田芳宏社長

2004年スタートのアクテビティー予約サイト「そとあそび」、B Dashから2億円の資金調達

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アクティビティ予約サイト「そとあそび」を運営するそとあそびは7月6日、B Dash Venturesを引受先とする総額3億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした(調達自体は2月に実施している)。

そとあそびは2004年にスタートしたアクティビティ予約サイト。そとあそびでアクティビティを紹介する「キュレーター」の山本貴義氏が1人で立ち上げたサービスだ。2014年にはガイアックスの元代表取締役副社長COOである中島裕氏が代表取締役社長に就任。有限会社から株式会社化した。

4月にJTBとの資本業務提携を発表した「あそびゅー」などの競合サイトはあるが、そとあそびの強みは質の高いアクティビティのみを掲載するという「キュレーション力」にあるという。掲載するアクティビティは、アウトドア経験の豊富な同社のキュレーターがすべて実際に体験取材をしたもののみ。「安全性や保険の有無、エンタメ性などを確認している。手間暇はかかるが『(そのアクティビティの)プロであること』と『(催行する)地域を知っていること』のどちらも達成できているか1つずつ見ている」(中島氏)

売上高は非公開。「初年度から伸びてきて事業者からは評価されているが、ここ数年は売上が横ばいだった。そこで体制を変更し、(中島氏が代表になり)チームを作って伸ばすことを進めてきた。今年度は送客人数ベースで前年比倍増のペース」(中島氏)

そとあそびでは今回の調達をもとに、人材を拡大。今期中(2016年3月まで)に現在30カテゴリ・1000件弱のプランを2倍の2000件まで増やすほか、システムの強化を進める。「競合はあまり意識していない。10年以上磨いてきた『丁寧に紹介していく』ということを続けて、そとあそびなら安心してアクティビティに申し込める、と思ってもらえるようにしたい」(中島氏)

食べログ、「東京都の月間口コミ数ナンバーワン」と発表したRettyに反論

東京における月間口コミ投稿数の遷移

7月2日開催の事業戦略説明会で、「東京都において、国内最大のグルメサイトの月間口コミを超えた」と語り、サイト名こそ自ら出さないものの、東京都内の口コミ数でグルメサイト「食べログ」(MAUで6859万人で国内最大のグルメサイトだ)を上回ったと発表したグルメサイト「Retty」運営のRetty。その発表内容に対して食べログを運営するカカクコムが「Retty株式会社発表の弊社サイト「食べログ」口コミデータの訂正」という名称で反論のコメントを発表している。

食べログは200文字以上のコメントのみ「口コミ」として計測

食べログサイドの説明によると、実際にRettyに対して事実関係を確認したところ「口コミ数」自体が異なる基準で算出されているのだという。具体的には以下の通りだ。

■「食べログ」の口コミ数の基準
200文字以上のコメントを含む口コミ数

■「Retty」の口コミ数の基準
コメント無し、写真無しのものでも、スコアと利用シーンなどのお店の魅力が伝わるものを含んだ投稿数

食べログでは、「おいしい」「行きました」だけの短い口コミや、「(写真がないので)本当に行ったか分からないけど口コミしました」といった口コミはそもそも口コミではない、そんなノイズを排除した数字を出していると言っているわけだ。食べログがRetty基準で計算した場合の月間口コミ実数は以下の通り。Rettyの月間口コミ数は発表されたグラフから見る限り5万件弱(実数は現在同社に確認中)。まだまだ倍近くの数があるというわけだ。逆に言えば、Rettyが食べログの月間口コミ数の半分になるまで来ているとも見られるが。

4月 9万6802件
5月 10万5362件
6月 9万8527件

Rettyの投稿は「東京都が大半」と主張する食べログ

食べログはこれに加えて、Retty基準での全国の口コミ数も発表している。直近3カ月で毎月30万件の口コミが投稿されており、「東京都の投稿が大半であるRetty社に対して、食べログでは東京都以外の全国各都市においても活発に投稿が行われております」としている。

4月 29万7086件
5月 33万6333件
6月 29万7284件

Rettyは累計口コミ数170万件とは発表しているものの、東京以外での口コミ数については発表していない。昨日の説明会でもRetty CFOの奥田健太氏が「大阪をはじめとした都市部を中心に成長している」といった旨を説明するにとどまっている。そのため具体的な数字に関してはなんとも言えないけれども、東京での口コミが中心になっているのは間違いないだろう。

その根拠となるのはRettyが実名制を採用していること。RettyはFacebookログインを使った実名制のサービスだ。実際の口コミ数は非公開でも、「口コミを投稿することが可能なユーザー数」を調べることは容易だ。

Facebookの広告ツールの数字をもとにすると、国内の18歳〜65歳以上のFacebookユーザーは2300万人、そのうち東京都のユーザーは450万人(周辺のエリアでは神奈川県:230万人、埼玉県:120万人、千葉県:120万人、エリア合計で920万人)、大阪府は210万人(周辺エリアでは京都府:65万人、兵庫県:110万人、奈良県:65万人、エリア合計で450万人)、愛知県は150万人となっている。東京と大阪、もしくはそれぞれの周辺地域を含んだ数字を比較しても東京のFacebookユーザーは2倍という状況なのだ。この数字だけでもある程度口コミが東京に集中していることは想像できると思う。

食べログの発表についてRettyに聞いたところ、以下のような回答が返ってきた。

弊社として「口コミ」の定義を、コメント投稿に加えて、ユーザーにより選択された「オススメ度」と「利用シーン入力」、「おすすめの食事入力」などユーザーのお店選びの意思決定に資する情報としております。
ここの部分に関して両社の解釈が異なっていると思われます。
競合他社が「Retty社の口コミ数の定義に従った場合の食べログの口コミ数」として発表している数値は、リソース等不明なので詳細わかりかねますが、上記解釈の相違により我々の定義による競合他社の数値とは異なっており、依然、我々の発表した競合他社の数値は、Rettyの定義において正しく算出する上では、間違っていないものと考えています。
従って、競合他社のリリース内容に関しては、弊社はなんらその正確性/妥当性について保証していない点お伝えいたします。

食べログの「文字数も写真もない口コミは口コミじゃない」という意見に対して、Rettyは「文章以外の指標を入力することは、ユーザーの意志決定を助ける立派な口コミだ」としているのだ(もちろん、食べログにも点数をはじめとした各種の指標がある)。

両社の指標の是非については読者の判断にゆだねたい。しかしこうして食べログが緊急のリリース(プレスリリース配信サービスの「PR TIMES」では19時04分配信だった。通常プレスリリースは10時とか15時といったキリの良いタイミングにセットしておくものだ)を出すということは、かつてぐるなびやホットペッパーによる営業力勝負のグルメサイト全盛期の時代から着々とその地位を築いてきたきた食べログが、今度は後発のRettyを意識せざるを得ない状況に来ている、ということは確かだろう。

inbound insightはSNSの情報をもとに訪日外国人の行動データを可視化する

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2020年に開催される東京オリンピック。その需要を想定した新事業や新サービスが次々にスタートしている。昨日のニュースだけを見ても、楽天がVoyaginを買収してインバウンド(訪日旅行者向け事業)を強化するとしているし、MAU(月間アクティブユーザー数)1000万人という数字を発表したRettyも、訪日外国人満足度ナンバーワンのサービスを目指すと語っている

今日もそんなオリンピック需要を見越した新サービスを紹介する。ナイトレイは7月3日、訪日外国人の行動データ可視化ツールとデータを提供する「inbound insight(インバウンドインサイト)」の提供を開始した。

ナイトレイはこれまで、場所や店舗の情報に特化したソーシャルメディア解析エンジン「T-Rexa(トレクサ)」を提供するなど、3年以上にわたりSNSのデータを元にした位置・移動・行動データ解析を行ってきた。

今回のサービス提供にあたり、言語判定や国籍判定、入出国判定などを常時解析する技術を新たに開発。これにより、訪日外国人が観光をする際の行動データについて可視化が可能になったのだという。

行動データの解析対象となるのは、Twitterや新浪微博などのSNSのうち、一般公開されているユーザ投稿の情報。投稿内容から地名やランドマーク名や、緯度経度の情報などをもとに位置を特定する。現在1カ月あたり約6500人の訪日外国人旅行者のデータ解析を実現しているという。

inbound insightは、ブラウザから利用できる行動データ可視化ツールと解析データ購入プランの2つのサービスを提供。ツールには無料プランと月額10万円のPROプランの2つのプランを用意する。

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無料プランでは、地図上でのヒートマップ表示、人気エリアランキング表示、行動データのグラフ化が可能。PROプランではこれに加えて、地図上での行動ルート表示、国籍判定(中国、香港、台湾、韓国、タイ)、性別判定(中国、台湾、香港)、ポイントデータ表示、クチコミ詳細内容表示、投稿写真表示の機能が提供される。

また解析データ購入プランは1カ月のデータで50万円となっている。投稿日時、緯度経度、住所、プレイス名、ユーザID、性別、推定国籍、投稿テキスト、投稿画像URLなど、必要な期間の解析結果をCSV形式で提供する。

ナイトレイでは訪日外国人の誘致を進める官公庁や観光業、ホテル業、商業施設、商店街等に向けて導入提案を進める。2015 年末までに行動データ可視化ツールを100社、解析データ購入プランを20社に導入することを目指す。

TechCrunch Tokyo 2015「スタートアップバトル」参加企業を募集開始

昨年のスタートアップバトルは家庭用プリンタで電子回路を印字できる「AgIC」が優勝した

昨年のスタートアップバトルは家庭用プリンタで電子回路を印字できる「AgIC」が優勝した

昨年のスタートアップバトルは家庭用プリンタで電子回路を印字できる「AgIC」が優勝した


本日チケット販売を告知したけど、TechCrunch Japanは11月17・18日、東京の渋谷ヒカリエで「TechCrunch Tokyo 2015」を開催する。昨年、800人規模の会場で立ち見が出るほどの盛り上がりを見せた目玉企画「スタートアップバトル」(以下、バトル)はもちろん今年もある。本日、参加企業の募集をスタートしたのでお知らせしたい。

バトルを簡単に説明すると、スタートアップが今年ローンチした、もしくはローンチ予定のプロダクトをプレゼンで競い合うというもの。昨年は113社の応募があり、書類審査に通過した12社が決勝に進出した。今年も決勝には10社前後に登壇してもらう予定だ。優勝チームには賞金100万円を贈呈する。

応募チームに特典

バトルに応募してくれたスタートアップには特典もある。まずは決勝に出場した全チームに、会場の展示ブースを無償で提供する。惜しくも本戦出場を逃したチームの中でも、何社かに同様の特典を用意する予定だ。

スタートアップバトルの応募要項は以下のとおりだ。締め切りは10月2日でまだまだ先と思うかもしれないが、エントリーシートはすべてTechCrunch Japan編集部が目を通している。「これは!」というプロダクトがあれば事前に取材させていただくこともあるので、条件に当てはまるスタートアップは是非、応募ページから早めに申し込んでほしい。

そうそう、それともうひとつ。昨年は米国のTechCrunchでも、スタートアップバトルの様子をロングレポートしている。今年も米国から本家TechCrunchスタッフが来日する予定なので、世界デビューを目論んでいるスタートアップにとっては大きなチャンスになるかもしれないね。

ちなみに昨年の王者は、家庭用プリンタで電子回路を印字できるプロダクトを手がける東大発ベンチャーAgIC。今年1月には1億円の資金調達を実施し、製品ラインナップを拡充している。イベント当日は創業者の清水信哉氏も参加し、昨年バトルで優勝して以来の成長ぶりを語ってもらう予定だ。

応募資格

  • 未ローンチまたは2015年1月以降にローンチしたデモが可能なプロダクト(サービス)を持つスタートアップ企業(未公開プロダクトを歓迎します)
  • 創業年数3年未満(2012年11月以降に創業)で上場企業の子会社でないこと。なお、このイベント以前に開催された他のイベントで受賞をしていないプロダクトを優先します。

応募受付期間

2015年10月2日(金)23時59分まで

審査について

  • 審査基準: 企業とプロダクトを対象にし、そのプロダクトの市場性やビジネスの成長性、またビジョンを実現していけるチームであるかを基準とします。
  • 事前審査:一次審査は書類審査とし、その後一部評価に必要な情報が足りない場合はインタビューやデモを見せていただく場合があります。選考を通った応募企業には運営事務局から10月9日までに審査結果を通知します。
  • 決勝戦: TechCrunch Tokyo 2015の2日目(11月18日午後)に行います。TechCrunch Japanが選んだ審査員によって最優秀企業を選出します。

楽天、東京の一風変わった旅行サイト、Voyaginを買収

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楽天は、日本最大のEコマースサイトを運営するだけでなく、同国最大級のオンライン旅行代理店として、毎月380万件の宿泊を取扱っている。

このたび同社は、東京拠点のツアー計画スタートアップ、Voyaginを買収し、その視野をホテルとフライトからさらに広げようとしている。

契約の金銭条件は公表されていないが、Voyaginの共同ファウンダー、高橋理志氏とTushar Khandelwalは、楽天はキャッシュで支払い、現在50%以上の株式を保有していると語った。本誌は、同社が2012年末にスタートした数ヵ月後にVoyaginを紹介した。旅行者に、地元住民主催の一風変わった旅を提供するサービスだ。

現在同サイトには、1800以上のアクティビティーが掲載され、この一年間で3万人以上の旅行者にサービスを提供した。主な市場は東京、京都、沖縄,およびバリだが、Voyaginは、その他の東南アジアおよび中国にも拡大する計画だ。

Voyaginは、楽天の旅行カタログを増やし、現在国内が殆どのユーザーを海外からも多く呼び寄せる手助けをする。Voyaginの従業員は13名だが、今回の資金でエンジニリング、セールス、および運営チームの強化を行う計画だ。

Voyagin

日本への旅行は、最近の円安および中国、タイ、マレーシア、イントネシア、ベトナムに対するのザ政策緩和によってブームとなっている。去る4月、約180万人の外国旅行者が日本を訪れ、これは対前年比43.3%増だった。この数字は、さらに速く成長することが見込まれる。日本が2020年に東京オリンピックを控えているためだ。

サイトは今後も別ブランドとして運営されるが、Khandelwalは、楽天の他の旅行部門との統合に取り組んでいると話した。

「楽天は既に日本最大のOTA[オンライン旅行代理店]だが、OTAとしてあらゆる分野をカバーしたいと考えている。既にフライトとホテルを提供しており、Voyaginによってこの分野の最後の1マイルをカバーすることが可能になる」とKhandelwalは言った。「楽天はアジアでもOTAの拡大に興味を持っている。われわれは既に旅行とアクティビティーのアジア拠点プラットフォームへの旅をスタートしているので、楽天の拡大に役立つことができる」。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソニーがヤフーとタッグ、新規事業から生まれた製品を販売する「First Flight」

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業績面では2014年度純損益1259億円の赤字決算から、2015年度純利益1400億円の黒字へと転換の見通しが立ったと発表しているソニー。本業の業績回復に向けて動いている一方で、この1年、積極的な新規事業開拓を行っているのはご存じだろうか?

同社は2014年4月に平井一夫社長直轄のプロジェクトとして「Sony Seed Acceleration Program(SAP)」と銘打った新規事業創出プログラムをスタート。すでに電子ペーパーを使った腕時計「FES WATCH」やスマート電子工作キット「MESH」といったプロダクトを世に送り出している。

そんな新規事業創出プログラム発のプロダクトを紹介し、クラウドファンディングやECを展開するサイト「First Flight」が7月1日にオープンした。サービスの立ち上げにはヤフーが協力。ヤフーが2014年に実施した企業内起業家育成制度「スター育成プログラム」から生まれた新会社のリッチラボがサイトの開発、運営を担当した。

サイトでは、SAPから生まれたプロジェクトについて、プロダクトのアイデアを紹介・提案し、サポーター(支援するユーザー)から応援メッセージやフィードバックをもらう「ティザー」、期間内に一定数以上のサポーターの支持を集めてティザーで紹介・共創したプロダクトを商品化する「クラウドファンディング」、商品化されたプロダクトを広く販売する「Eコマース」の3つの機能を提供する。なおEコマースの機能はYahoo!ショッピング内の「First Flight」にて行う。

サイトローンチ時点には、MESHやFES WATCHを販売するほか、1台で家電ごとに機能を切り替えられるリモコン「HUIS」のクラウドファンディングを実施している。

SAPから生まれた「MESH」

SAPから生まれた「MESH」

1年で400件の企画が集まったソニーの新規事業プロジェクト

「SAPをやって分かったのは、ソニーの中に新しいことをやりたい人がいて、やりたいプロダクトがあるということ」——SAPを統括するソニー 新規事業創出部 担当課長の小田島伸至氏はこう語る。

SAPへの応募はプログラム開始から1年間で400件を超えた。応募されたプロジェクトは「オーディション」と呼ぶ審査に合格すれば、プロジェクトに合わせた予算が用意され、3カ月間そのプロジェクトに専念できる。そして3カ月後に改めて事業継続のジャッジを受けるのだという。製品は既存事業でなければオーケー。ソニーの社員がチームに1人いれば、社外からメンバーを募ってもいい。向上についても、SAP向けの開発リソースを確保できる体制だという。

クラウドファンディングをやって分かった「課題」

すでに世の中に出るようなプロダクトが生まれているが、課題もあった。FES WATCHとMESHはクラウドファンディング(FES WATCHはMAKUAKE、MESHはIndiegogo)を通じて告知・販売されていたが、クラウドファンディングでサクセス(支持・購入者が集まること)して、サポーターには商品が届いても、クラウドファンディングサイトでは、基本的にプロジェクトごとに期間を限定しているため、サクセス後の継続的な情報発信やコミュニケーション、製品のアップデートなどは難しい。

実はこの課題、別の場所でも聞いたことがある。クラウドファンディングを通じての初期のマーケティングや支援者集め、初期ロットの販売はとても大切だ。しかし一般的なその次のステップに向けた機能がなく、また別の「売り場」が必要になる。せっかくできたサポーターとのコミュニケーションだって途絶えてしまう。イベント開催などを前提とした「売り切り」のプロジェクトもあるのでそのプロジェクトの性質次第という話ではあるが。

もちろんソニーには既存の販売チャネルがある。だが小田島氏いわく「『大きいモノをたくさん売る』ものであり、小ロットで売るパスがなかった。そうなると売れるか売れないか分からないのに大量生産をする、ということになる。大きな金額がかかるし、それ以上に販売できるのが1、2年先になってしまう」とのこと。SAPが動き出す中でそんな課題が見えてきた。

スター育成プログラムでヤフーと接点

そういった動きと並行して、ソニーではスター育成プログラムなどを通じてヤフーとコミュニーケーションを取るようになっていた。リッチラボ代表取締役社長の鈴木辰顕氏も「プログラムの中でもハード、ソフトの面でソニーと何かできないかと話していた」と振り返る。「やる気があるエンジニアがいるのにプロダクトを出せない。また外の人に目利きをしてもらいたい。さらにハードウェアでも、ソフトウェアのようにベータを出して開発するということをしたかった」(小田島氏)「モノを作って売ることはヤフーとしても興味があった。それを決済や金融寄りの立場から何かできないかと検討していた」(ヤフー決済金融カンパニープロデュース本部プロジェクトマネージャーの真鍋拓也氏)

そんな経緯もあって、First Flightではリッチラボがサイト開発を担当(決済にはヤフーのFastPayを使っているそうだ)することとなった。IDから決済、販売、物流についてはヤフーのプラットフォームを活用。ソニー銀行もプロジェクトに参加し、決済まわりの調整に尽力した。

First Flightでは今後も継続的にSAP発のプロダクトを掲載する予定だ。「First FlightはSAPで訓練を終えた『見習いパイロット』がクラウドファンディングを使って初めて飛び立つ場。ここからさまざまなプロダクトが世に出て行けばいい」(小田島氏)

First Flightのプロジェクトメンバー。後列左からソニー銀行の中路宏志氏、ソニーの小田島伸至氏、ヤフーの真鍋拓也氏、リッチラボの鈴木辰顕氏、前列は開発を務めたリッチラボのメンバー

医療系スタートアップのメドレーが三井住友海上、MRT、グリーから3億円を調達

メドレーのメンバーら。左から2番目が石崎氏、3番目が
5番目が代表取締役の瀧口浩平氏

メドレーのメンバーら。左から3番目が代表取締役医師の豊田剛一郎氏、5番目が代表取締役の瀧口浩平氏

メドレーのメンバーら。左から3番目が代表取締役医師の豊田剛一郎氏、5番目が代表取締役の瀧口浩平氏

医療系スタートアップのメドレーは6月30日、三井住友海上キャピタル、MRT、グリーおよび個人株主を引き受けとする総額3億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

今回メドレーに出資したMRTは、外勤紹介サービスの「Gaikin」、転職紹介サービスの「career」(いずれもMRTのコーポレートサイトで提供)、医局向けサービス「ネット医局」、ヘルスケア情報サイト「GoodDoctors」など、医療従事者向けのサービスを展開している。今後は、ジョブメドレーとGaikinのサービス連携、医師や医療従事者のネットワーク拡大、新サービスの共同開発を進めるとしている。

メドレーは2009年の設立。代表取締役の瀧口浩平氏は家族のがん治療の経験から、医療現場の効率化、情報の非対称性といった課題に気付き、それを改善すべく医療領域で起業した(同士は学生時代にも一度起業しており、これが二度目の起業となる)。

同年11月には医療・介護業界専門求人サイトの「ジョブメドレー」の提供を開始。2015年2月には瀧口氏と小、中学校時代からの友人である医師の豊田剛一郎氏を代表取締役医師として招聘。あわせてオンライン病気事典「MEDLEY」を公開した。また、2015年にはグリー傘下で介護施設の口コミサイト「介護のほんね」を提供していたプラチナファクトリーを株式交換により子会社化している。

同社にはこれまでにウノウ創業者でメルカリ代表取締役の山田進太郎氏やアトランティス創業者の木村新司氏といった個人投資家のほか、East Ventures、インキュベイトファンドなどが出資している。

社員数は現在約60人。役員を中心に、東大医学部卒業生も4人在席している。「2009年に創業した時は、医療分野をやりたいエンジニアなんかいなかった。だここ最近はApple Watchでヘルスケア情報が取得できるようになったりして、医療領域に注目が集まってきている」(瀧口氏)

医療情報の提供、「生半可な気持ちでやっていくつもりはない」

今回の増資を受け、メドレーでは前述のMRTとの協業に加えて、オンライン病気事典MEDLEYおよび医療系人材の求人サイトジョブメドレーのサービス開発を加速するとしている。

MEDLEYでは、医師や医療従事者が執筆する情報を、220人の専門医が校正。一度掲載された情報についても逐次アップデートするという体制を取っているそうだ。「病気を調べるときにパッと思い浮かぶ病気のサイトにしたい。将来的には疾患の基礎情報からQ&Aまでを網羅する。医者1人1人も時間が限られている。診断したあと、(MEDLEYの)URLや印刷物を渡して『聞きそびれ』をなくすようなものにしたい」(豊田氏)。

ここ最近では医療情報サイトもいくつか出ているが、その一部は、情報の信頼性に不安をおぼえるものも少なくない。例えば、ある医療情報サイトで「子宮肉腫」という項目が「良性の腫瘍」と説明されているのだが、実際は「良性の子宮筋腫と間違いやすい、悪性の腫瘍」なのだそう。競合サイトでこういった生死に関わる情報が正しく扱われていない背景を踏まえて豊田氏は前述のコンテンツチェック体制を強調。「サービスを生半可な気持ちでやっていくつもりはない」と語る。

またジョブメドレーも売上は伸びており(グラフを見せてもらったが、金額自体は非公開とのこと)、「採用決定数も競合比較で多くなっている」(瀧口氏)のだそう。

将来的には、遠隔医療分野を支援、効率化するサービスの提供も予定しているという。こちらも具体的な話は非公開ということだったが>、豊田氏いわく「医療は『サイエンスとアート』なんて言われることがある。そのサイエンスの部分をシステムに置き換えて、アート、つまりコミュニケーションなどのために医師が時間を使えるようにしたい」とのこと。

スペースマーケットがiOSアプリをリリース、今後はポップアップショップの紹介なども

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昨年4月にサービスを開始した“ビジネス版Airbnb”こと「スペースマーケット」。野球場から映画館、果ては船まで、さまざまなスペースを1時間単位でレンタルし、会議や株主総会、研修、イベントなどに利用できるこのサービスが6月30日、iOS版のアプリをリリースした。App Storeから無料でダウンロードできる。なおAndroid版アプリは今後提供する予定。

アプリでは、レンタルスペースを検索して予約リクエストを送信。アプリ上で決済までを完了できる。設備等の気になる点を質問できるメッセージ機能も用意する。ただし、アプリ経由でのオーナー登録(貸したいスペースを掲載する)の機能は現在実装されておらず、今後対応する予定だという。

取り扱いスペースは3000件に

サービスを運営するスペースマーケット代表取締役社長の重松大輔氏に聞いたところ、取り扱いスペースは現在約3000件。5月にはNPOと提携して群馬県桐生市にある遊休施設のレンタルを開始するなど、“地方創生”関連の案件なども積極的に開拓しているそうだ。

とはいえ、ビジネスの中心になっているのは結婚式場などの大きなスペースで企業の周年イベントや社員総会を開催するといったBtoBの案件。「今ホテルの宴会場を貸し切ると高い価格になるが、平日の式場などは安価に利用できる。我々にも競争力がついてきたので、スペースとの価格交渉もできるようになってきた」(重松氏)

事業面を見るとまだ赤字ながら、売上、利益ともに伸びているという。ただし売上は「季節要因が大きい」(重松氏)。会社行事などが集中する12月や3月、4月などは増加する一方、5月以降は下降ぎみだという。

今後はポップアップショップの紹介も

国内の競合を見渡すと、米「StoreFront」や英「Appear Here」のようにポップアップショップに特化したCOUNTERWORKSの「SHOPCOUNTER」が5月にスタートしているほか、またWiLなどが出資しており、安倍政権の特区構想に準拠するかたちで日本版Airbnb「TOMARERU」を提供する予定の百戦錬磨も、2014年末に「Jambalaya」なるスペースレンタルサービスをひっそりと開始している。古参の「軒先ビジネス」なども健在だ。

重松氏は「CM撮影やイベント開催、ポップアップショップなどはトレンドとして確実に『来る』と思っている。ちょっとしたスペースも、コンセプトを与えてやるとうまく回っている」と説明。今後はより広いニーズに対応していきたいと説明する。すでに同社のオウンドメディア「BEYOND」でも、そんな物件が紹介されていたりする。

LINEが人気飲食店のネット予約サービスをひっそり開始、しかも人力で

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LINEが一部地域で、ひっそりと飲食店のネット予約サービス「LINE グルメ予約」を開始した。

「デート」や「宴会」などのシーンから最大4店舗を選び、氏名や電話番号、来店日時、人数を入力すると、オペレーターが電話予約をしてくれる。飲食店のエリアやジャンル、予算などの詳細条件も設定できる。いわば人力の予約代行サービスだ。予約完了後はLINEで通知が届き、予約の依頼から完了まで最短10分で完結するという。

人気飲食店だけを厳選

人気飲食店の予約に特化していることも、大きな特徴だ。サービスの提供にあたっては実名型グルメサービス「Retty」と提携し、人気店舗を中心に9都道府県8500店舗を厳選。Rettyの画像や口コミといった店舗情報を掲載している。

ざっと見た限りだと、食べログの評価3.5点以上の店舗が多いような印象だ。逆に言うと、大手予約サービスが対応しているチェーン店は掲載していない。掲載店舗については、すべて許諾を取得している。

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利用するには外部のアプリインストール不要で、LINEアプリから「その他>LINE App>LINE グルメ予約」を選択する。現在は試験的な「ソフトローンチ」という位置づけで、LINE公式アカウントを登録して整理番号を取得した順番に、利用開始の通知が届く。今後は段階的に利用できるユーザーを増やしていく予定だ。

LINEの飲食店予約サービスは初めてではない。2014年11月には渋谷限定で、空席情報をLINEのトーク上からリアルタイム検索できる「LINEいますぐ予約」を開始。予約希望人数をトーク上から送信すると、当日の空席店舗情報がわかるサービスだ。LINE グルメ予約は、事前の予約を受け付けている点が異なる。

あえて人力予約を採用した理由

国内の飲食店ネット予約サービスにはホットペッパーグルメやぐるなび、食べログなどのプレイヤーが参入しているが、対応店舗は大手チェーン店が中心。今年4月には飲食店向け予約台帳サービスのトレタとヤフーが機能連携し、「俺のフレンチ」をはじめとする人気店のネット予約を開始したが、電話予約しか受け付けない人気店は多い。予約システム導入の負担が大きいためだ。

店舗の負担となっているのは、オペレーション変更に伴う教育コスト、複数の予約サービスを使うことでのオーバーブッキング、キャンセルのリスクなどがあり、集客に困っていない人気店がわざわざネット予約を導入しないのもうなずける。LINEは店舗の負担をなくすために、まずは、あえてスケールが見込めない電話での予約代行という方法を採用した。

前述のとおり、LINE グルメ予約はユーザーに代わってオペレーターが電話予約を代行してくれるサービスだ。店舗側はネット予約のシステムが不要で、オーバーブッキングも回避できる。個人と紐付いたLINEを通した予約となるため、キャンセルの抑止力も働く。悪質なキャンセルを繰り返すユーザーに対してLINEは、LINE グルメ予約の利用を停止させる措置も検討しているという。

ずっと人力の予約代行を続ける?

それでは予約代行サービスをずっと続けるのかというと、そうではない。今後は、飲食店がコミュニケーションツール「LINE@」を通じて予約を受け付けたり、顧客を管理できる機能を提供する。LINEとしては、LINE@の有料アカウント(月額5400円〜)を増やす狙いがある。

もともとネット予約を受け付けていなかった店舗に、どうやってLINE@を普及させるのか。LINE グルメ予約を担当するLINEの杉本謙一氏は、「人気店でも、曜日や時間帯によっては集客のニーズはまだある」と勝算を語る。「LINE経由の予約でキャンセル抑止につながったり、予約のやりとりを簡素化できることもアピールしたい」。

ヴォラーレがアプリレビューサイト「Appliv」で海外進出——MAU600万人、アプリ版は100万ダウンロード

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ヴォラーレ代表取締役の高橋飛翔氏

ヴォラーレが提供するアプリレビューサイト「Appliv(アプリヴ)」が海外に進出する。同社は6月にフィリピン子会社を設立。今後現地の人材を採用して英語でのアプリレビュー記事を作成していき、9月末をめどにUS版のウェブサイトを立ち上げる予定だ。将来的には他の地域への展開も視野に入れる。

Applivは2012年8月にスタートしたスマートフォンアプリ向けのレビューサイト。アプリを1500のカテゴリーに細分化し、約6万8000件のレビューを掲載している。レビューはヴォラーレのライターが執筆したものに加えて、ユーザーの投稿も掲載。MAU(月間アクティブユーザーは)は600万人。

3月に提供を開始したスマートフォンアプリ版(iOSおよびAndroid)は、合計100万ダウンロードを突破した。アプリ版のダウンロード数は現在月間数十万件ペースで増加しているという。

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iOS版の「Appliv」

ちなみにApplivはウェブ版とアプリ版でサイト構成が異なっており、ウェブ版が同社によるレビューが中心になっているのに対して、アプリ版ではユーザーレビューが中心(一部同社の「公式キュレーター」によるユーザーレビューもあるそうだ)になっている。またアプリ版はレビューが時系列で表示される「タイムライン」を用意している。

この理由についてヴォラーレ代表取締役の高橋飛翔氏は「ウェブとアプリではユーザーの導線設計が違っているから」と説明する。

ウェブ版は検索から流入するユーザーが中心。つまりどんなアプリをダウンロードしたいかというニーズが明確だ。一方でアプリの場合はニーズが抽象的。なんとなく(レビューを)見に行くので、「『友達のおすすめ感覚』でアプリを紹介している」(高橋氏)のだという。

Applivは広告モデルでサービスを展開しており、2013年からは「Appliv Ad」と呼ぶインフィード型のネイティブアドを展開している。アプリストアへの送客で課金を行う成功報酬型の広告となっている。

Gyazo、かすかな記憶を頼りに画像を探せる連想検索「Ivy Search」 MAUは1000万人突破

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フォルダやファイル名をつけて画像を管理している人にとって、「あの画像どこだっけ?」というのはよくある話だ。画像にタグを付けてあとで検索すればいいという人も、そもそものタグを思い出せないこともある。そんな問題を解決する検索機能を、スクリーンショットツール「Gyazo」が発表した。6月29日以降、有料ユーザーに対して順次公開。その後は無料ユーザーも利用できるようにする。

画像の類似度を自動算出→似ているものをグルーピング

「Gyazo」はスクリーンショット画像にURLを付与し、クラウド上に保存できるサービス。今回の機能は「Ivy Search」という名称で、現在注目している画像に近い画像を連想的にたどり、目当ての画像を探せるのが特徴だ。Gyazoでクラウド上に保存した画像について、 「関連情報をたどって必要な情報にたどりつく」 「記憶をたどって何かを思い出す」 といった連想的な検索をブラウザ上で実行できる。

連想検索のキーとなるのは、画像に付随するメタデータの類似度だ。

ユーザーはこれまで通りキャプチャするだけで、Gyazoが自動的にウェブページのタイトル・URL・作成時刻を自動的に収集。ユーザーが付けたコメントだったり、アプリをキャプチャした場合はそのアプリの名称も含めて、メタデータとして収集している。メタデータが似ている画像をグルーピングすることで、手間をかけずに画像を整理できるというわけだ。

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動画で見るIvy Search

Gyazoを手がけるNOTA,inc.の洛西一周CEOは、「スクリーンショットしまくっていたオフィスの内装画像を探すのに役立った」と話す。実際にどんな挙動なのか。

例えば、あるオフィスの画像を選ぶと、ウェブページのタイトルだったり、画像に付けたコメントをもとに、勝手に関連画像が集まってくる。ここでポイントなのは、オフィスの写真だけでなく、「手書きのオフィスの内装案」や「椅子」のような画像まで一緒に出てくることだ。これは両方の画像に洛西さんが「オフィス」とコメントを付けていたためである(以下、動画参照)。

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NOTAのCTOでIvy Searchの考案者である増井俊之さんに提供してもらった動画をご紹介しよう。最初は「神戸」で検索していたのに、いつしか「ネタ」や「アニメ」の画像が出てくるなど、画像に1つでも共有点があれば、数珠つなぎのように昔の記憶をたどれるのが楽しい(以下、動画参照)。

PCで画像を管理する場合、内容に応じて適切なフォルダやファイル名を考える人は多い。とはいえ、適切な名前を考えるのは面倒だし、後で忘れてしまうこともある。画像にタグを付けるのが面倒という人でも、Ivy Searchは作成日や位置情報、アプリ名、URL、その前後でキャプチャした写真などのメタデータをきっかけに探せるので、画像の整理がほぼ不要になるかもしれない。

月間アクティブユーザー数は1000万人突破、86%が海外利用

Gyazoは2011年1月に公開し、今年6月時点での月間アクティブユーザー(MAU)は1000万人を突破した。

海外ユーザーの比率が高いのが特徴で、日本の比率はわずか14%。北米が33%、ヨーロッパが37%と圧倒的に海外で使われている。設立当初からシリコンバレーを本社に置き、製品設計(UI)やデザインからコピーライティングに至るまで、最初から「世界で勝てるトランスカルチャーの製品を作る」発想で開発しているためだと、過去のインタビューで洛西さんは語っていた

今後は、会社や特定のチーム内でスクリーンショットを共有することを想定したSaas型の有料サービス「Gyazo Teams」をリリースする予定だ。

グランドデザインが2億3000万円の資金調達—店舗送客支援の「ガチャアプリ」を提供

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ショッピングモールアプリ「Gotcha!mall(ガッチャモール)」を運営するグランドデザインは6月25日、アイスタイル、アドウェイズ、トランスコスモス、ベクトル、リアルワールド、みずほキャピタルから、第三者割当増資および株式譲渡により総額約2億3000万円の資金調達を実施した。トランスコスモスとはASEAN進出に向けた業務提携も締結している。

ちょっとややこしいのでグランドデザインの設立の経緯を先に紹介しておこう。同社は2014年11月にグランドデザイン&カンパニーから新設分割して設立した会社だ。グランドデザイン&カンパニー自体は2004年7月の創業で、これまでデジタルマーケティング支援を手がけてきた。

そんな同社を2014年10月にオークファンが買収。Gotcha!mall事業を切り出す形でグランドデザインを立ち上げるに至った。グランドデザインのファウンダーはグランドデザイン&カンパニーの創業者でグランドデザイン代表取締役社長の小川和也氏。そのほか役員数人とオークファンが出資している。

Gotcha!mallは、カプセルトイ(小型自動販売機、ガチャガチャやガシャポンなんて名称で商標登録されている販売機だ)の世界観を、スマートフォン上に再現したデジタルモールアプリ。企業は同サービス内に専用筐体を出店し、ゲーミフィケーションを活用したプロモーションや販促活動ができる。例えば電子カプセルトイでクーポンや景品などを発行し、企業の店舗誘導するということができる。位置情報と連動することで、近隣店舗のクーポンを発行するといった機能も備える。

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アプリのダウンロード数は約100万件。アクティブユーザー数は非公開ながら「非常に高い数字」(小川氏)だという。すでにドン・キホーテやサンリオ、高島屋など約20社が出店している。独自にDMPを構築しており、性別や年齢と言ったユーザー属性、プレイ回数や来店回数、利用時間や場所の観点を加味した各種データを蓄積・解析することで、ユーザーと出店企業の最適なマッチングを図るという。「『カプセルトイで当てた』という能動系なアクションがあるため、コンバージョン率も高い」(小川氏)とのことで、バラマキ型のクーポンと比較して3〜20倍のコンバージョン率を実現しているという。

同社では今回の調達を契機に、Gotcha!mallユーザーの獲得、運営体制の強化、新機能追加に伴うシステム開発などを進める。

トランスコスモスと業務提携では、Gotcha!mallのASEANにおける独占販売権をトランスコスモスへ提供する。今秋をめどにアジア展開を開始し、初年度5カ国300万ユーザーの獲得を目指す。