コロプラが5000万ドル規模のVR専門ファンド「Colopl VR Fund 2」を新たに設立

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1月26日に、30歳以下の起業家に特化した新ファンドを設立したばかりのコロプラが、新たにVR専門ファンドを1月31日に設立した。

コロプラおよびコロプラの100%子会社コロプラネクストが設立したのは、国内外のVR関連企業を投資対象とするVR特化型ファンド「Colopl VR Fund 2(コロプラネクスト4号ファンド投資事業組合)」で、出資規模は5000万ドル。2016年1月に設立されている「Colopl VR Fund」と合わせると、1億ドル規模の“世界屈指”のVR特化型ファンドとなるという。

Oculus RiftやPlayStation VRといったヘッドマウントディスプレーの登場でVRが一躍注目を集め、VR元年と言われた2016年を経て、拡大が期待されるAR/VR市場。Goldman Sachs Asset Managementによれば、「2025年には約950億米ドルまで拡大し、PC・スマートフォンに続く第3のプラットフォームとして市場を形成する可能性がある」と予測されている。

こうした動向の中でColopl VR Fundでは、国内外のVR関連企業30社超への投資。そのうち公開済みの各社が下記の21社だ。

Colopl VR Fund 投資実績(2016年12月末現在)

Colopl VR Fund 投資実績(2016年12月末現在)

コロプラでは「VR市場の発展には成長をさらに加速させるプレイヤーが必要だと考えている」として、「新ファンドを通じて、未投資領域・未投資地域への投資および、既存投資先への追加投資を進めながらVR業界の興隆に引き続き貢献していく」という。

また、コロプラネクスト代表取締役社長の山上愼太郎は「投資活動の中でアメリカに続いて中国におけるVR市場の拡大を目の当たりにし、世界のVRに対する熱量の高さを実感した。VR市場の確立を確信するとともに、新たなファンドの必要性を認識した」として、「新ファンドでは、医療や教育、エンタープライズ系といった未投資領域に加え、欧州、中東、アジアといった地域への投資を拡大し、VRが拡大するためのエコシステムの成長を積極的にサポートする」とコメントしている。

デザインや動画のレビューツール「Brushup」ーーフェンリルから分社化で本格展開を開始

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イラストレーターなどにイラストやパンフレット、プレゼン資料を依頼する場合、途中で何回かフィードバックやレビューを繰り返して、作品をイメージ通りに仕上げていくだろう。アプリ開発を手がけるフェンリルのサービスの提供するレビューツール「Brushup」では、このフィードバックのプロセスを一元管理することができる。同社は2月1日、Brushupを株式会社Brushupとして分社化し、事業の本格展開を始めると発表した。

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Brushupでユーザーはグループを作成し、アイテムごとにフィードバックやコメントをタイムライン上で管理できる。例えば、ゲームや制作物用のイラストを作成する場合、ディレクターとイラストレーターのグループを作成する。イラストレーターがイラストをアップロードすると、それに対してメンバーがコメントを加えることができるようになる。ディレクターはイラストの特定の箇所を選択してコメントを残したり、直接イラストにメモを書き込んだりすることができる。イラストレーターはコメントを確認してイラストを修正する。この工程を繰り返して、作品を仕上げるという流れだ。

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このようなやりとりをメールや電話で行うのには、不便な点がいくつかあったとBrushupの担当者は説明する。メールだとあまり重いイラストデータは添付できないし、過去のやりとりを検索しづらい。文字だけだと細かいニュアンスを伝えるのが難しい場合もある。電話や対面であれば、ニュアンスを正確に伝えられるが、記録には残らないので議事録を取らなければならないだろう。Brushupでは、レビューのプロセスが全てクラウド上にまとまっているため、過去に議論したことや変更点をさかのぼって確認することが簡単で、グループの誰もが最新の状況を理解できる。

Brushupは社内利用ためだけではない。他の企業とも連携できる「企業間コラボレーション」機能もある。これで複数の会社から受注した場合でも作品制作を一括で管理したり、他のクリエイターと連携して作品を制作したりできるという。

ディレクターの仕事を軽減

2005年に創業したフェンリルはソフトウェアやアプリ開発を手がける会社で、自社プロダクトにはウェブブラウザ「Sleipnir(スレイプニール)」などがある。Brushupは、もともとフェンリルがGREEと共同開発したソフトウェアが原型になっているという。GREEはゲームアプリを開発する企業で、ゲームディレクターは多くのイラストレーターと仕事をしている。GREEはディレクターとイラストレーターとの作業ややりとりを効率化できるソリューションを探していて、フェンリルとそのためのシステムを開発した。システムは好評で、GREEの承認もあり、フェンリルは新たにこれをBrushupとして2015年3月に立ち上げることになったという。

Brushupはデザインデータ以外にも動画やドキュメントファイルにも対応可能だ。当初は、イラストや動画制作、ウェブ開発といった分野での用途を想定していたが、最近ではそれ以外でも活用が広がっていると担当者は説明する。例えば、建築現場では工事の様子を撮影してフィードバックしたり、教育機関では学生の面接やプレゼンを指導するのに役立てていたりする。

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動画では、時間と位置を指定してコメントが残せる

2017年1月の時点で導入社数が1000社を突破した。Brushupは分社化を契機に事業を加速させていきたい考えだ。ユーザー数が10名以内なら無料で使用することができ、それ以上の場合は有料プランを月額3000円から用意している。Brushupはイラスト制作に限らず、多くのユーザーや企業でサービスが広まることを目指している。

テーマを選んで投資する「FOLIO」が新たに18億円調達、今春ベータ版を公開予定

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テーマ投資型のプラットフォームを開発する「FOLIO」は本日、シリーズAラウンドで18億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。引受先はジャフコ、マネックスベンチャーズ、三井住友海上キャピタル、Rakuten FinTech Fundに加え、既存投資家のDCM Ventures、Draper Nexusが参加した。2015年12月に創業してからの累計調達額は21億円となった。FOLIOは、今春のサービスリリースに向け、人材強化とサービス開発を進める。

資産運用サービスと言えば、お金のデザインウェルスナビなどのロボアドバイザーの登場が記憶に新しい。FOLIOの違いは資産運用サービスに運用を全て任せるのではなく、ユーザーが楽しみながら、金融リテラシーを高められる投資プラットフォームを目指している点だ。FOLIOにも資金を自動で運用するロボアドバイザー機能があるが、テーマ別に分けられた株式にアクティブに投資できる機能も用意している。テーマには「ドローン」や「人工知能」などがあり、ユーザーはそれを見て興味関心があるテーマを購入することができる仕組みだ。FOLIOでは、ユーザーに売り時を知らせるといった運用サポート機能も合わせて提供していくことで、投資を始める敷居を下げたい考えだ。

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FOLIO代表取締役CEO、甲斐真一郎氏

ショッピング感覚で投資を楽しみ、個人の生活圏に近い投資プラットフォームを目指しているとFOLIOの代表取締役CEO、甲斐真一郎氏は説明する。難しいと思われがちの投資を身近に感じてもらうには、簡単で楽しい要素のあるサービスであることが重要と考えている。サービスリリースに向け、現在はサービスのUIとUXを磨きあげるのに注力しているという。

今回の資金調達は、人材強化とサービス正式ローンチ後のプロモーションに充てる予定と甲斐氏は話す。現在FOLIOは、第一種金融商品取引業(個別株取引、証券業)と投資運用業(ロボ・アドバイザー、運用業)の登録申請を行い、登録の完了を待っている段階だという。今春にはベータ版をリリース予定だ。

最速0.2秒で翻訳、ネット回線不要のウェアラブル音声翻訳デバイス「ili(イリー)」——ログバーがお披露目

(左から)イオンモールの趙明氏、ビジョンの佐野健一氏、ログバーの吉田卓郎氏、東京地下鉄の小泉博氏

(左から)イオンモールの趙明氏、ビジョンの佐野健一氏、ログバーの吉田卓郎氏、東京地下鉄の小泉博氏

年々、増えている訪日外国人旅行者。街中で突然、質問をされることも多くなってきている。筆者はそのとき、どぎまぎしてしまうのだが、このデバイスの登場によって外国語での質問を恐ることもなくなるかもしれない。

指輪型ウェアラブルデバイス「Ring ZERO」を展開するログバーは1月31日、新たなウェアラブルデバイス「ili(イリー)」をお披露目した。本製品は2016年1月にCESでそのコンセプトなどが発表されていたものだ。

インターネット回線が不要、スムーズに翻訳してくれるデバイスili

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iliは“旅行”に特化したウェアラブル翻訳デバイス。海外旅行でよく使うフレーズにフォーカスした辞書の使用、独自開発の音声翻訳技術「STREAM(ボイス・ストリーミング・トランスレーション)」によって、正確かつスムーズな翻訳が実現。その速度は最速で0.2秒だという。訪日外国人旅行者とまるで直接話しているかのようなコミュニケーションがとれるという。

旅行に特化しているため、商談や交渉といったビジネスシーン、医療現場での使用、また長文や複雑な文章の翻訳はできない。あくまで、海外旅行でよく使う「◯◯へ行くにはどうしたらいい?」といったワンフレーズの翻訳に適したデバイスということだ。

同日開かれた記者会見ではデモ機が用意されていた。そのスムーズな翻訳には驚いたのだが、特筆すべき点はインターネット回線不要で利用できる点だ。翻訳の処理は端末内で行われる。これまでにも翻訳サービスはいくつも登場してきたが、そのどれもがインターネット回線が必要であった。それ故に翻訳にすごく待たされた……という人もいるだろう。

薄く、軽いのも魅力的だった

薄く、軽いのも魅力的だった

しかし、iliはインターネット回線を必要としないため、良質なインターネット環境を確保しなくてもいいし、電波の弱い地域でも安定して使うことができる。

リリース時に対応している言語は日本語、英語、中国語の3カ国後。今後は韓国語、スペイン語、タイ語にも対応していく予定だという。

まずは法人向けにサービスを提供

Ring ZERO同様に個人向けに提供を開始していくかと思っていたが、iliはまず訪日外国人旅行者の受け入れ側であるホテルや商業施設、交通機関といった法人を対象に「ili for Guest」として展開していく。法人が訪日外国人旅行者にiliを渡して使ってもらうというスキームだ。

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料金は1ライセンス(1端末)ごとに月額3980円。使用頻度の高い固有名詞を追加できるカスタマイズ機能や入出力言語を切り替えられる多言語対応機能、翻訳データを抽出できるログシステム機能が使える。

法人はiliを導入することにより、機会損失の削減や顧客満足度の向上、人的コストの削減が期待できる。本日より法人への導入を受け付ける。利用は6月以降になる見込みだ。すでにイオンモール、東京地下鉄(東京メトロ)、ビジョンへの導入の決まっており、今春以降に本格的な活用が始まっていくという。

個人向けは2017年中のリリースを予定。実際に海外旅行使用する…というのは少し先になるが、海外旅行中の悩みの種である“コトバの壁”を感じることは少なくなりそうだ。

顧客獲得が焦点に—、500 Startupsのアクセラレータープログラムがリニューアル

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日本にも拠点を置く500 Startupsは、スタートアップ向けアクセラレータープログラムのBatch 21(21期)の募集を開始している。2010年に創業以来、500 Startupsはアクセラレータープログラムを開催しているが、今回募集する21期よりこのアクセラレータープログラムを「SEED Program」としてリブランディングする。TechCrunch Japanはプログラム内容の変更について500 Startupsのパートナーで、SEED Programの運営を担うElizabeth Yin氏に話を聞いた。

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500 Startupsでパートナーを務めるElizabeth Yin氏

Yin氏自身も500 Startupsが提供するアクセラレータープログラムの卒業生だそうだ。Yin氏は高校の同級生とアドテクのスタートアップLaunchBitを創業し、500 Startupsの第2期に参加した。LauchBitは2014年9月にエグジットし、Yin氏は同年10月より500 Startupsにパートナーとして参加している。

Yin氏が500 Startupsのプログラムに参加した時から比べると、500 Startupsのアクセラレータープログラムは随分と変わったという。500 Startupsで提供するコーチングやサポート面が充実し、参加するスタートアップも変わったとYin氏は話す。Yin氏が参加していた頃は、アーリーステージの企業が対象というのを打ち出していたということもあり、まだプロダクトがないチームやプロトタイプ段階のスタートアップが多かった。しかし今では、設立間もなくともすでにプロダクトを持ち、利益を上げているスタートアップも少なくない。そうした変化を受け、500 Startupsの21期からは、以前より少し成長したスタートアップを対象とするように内容が変わるとYin氏は話す。

「21期以降のSEED Programで焦点とするのは、顧客獲得です」とYin氏は話す。SEED Programの参加企業は、顧客獲得のコーチとペアを組んで、顧客開拓を進めることになる。これらのコーチは500 Startupsの社員で、広告業界などでマーケッターやコンサルタントを務めた経歴を持つ人が多いそうだ。B2B SaaSに特化したコーチもいて、法人セールスや交渉におけるアドバイスも提供する。スタートアップからUX、UI、採用など顧客獲得以外の面で相談があれば、適任者を紹介するなどのサポートは行うとYin氏は説明する。ただ、500 Startupsのプログラムではそうした分野に特化したコーチングは行わないそうだ。

プログラムに参加できるスタートアップもすでに自社のカスタマーを把握している企業のみだ。SEED Programへの参加企業は、チームメンバー、プロダクト、市場規模の他に、どのチャネルにいくらかけて顧客を獲得しているかを重点的に聞いて、選考を行うという。「スタートアップが成功するにはチームメンバーやビジネスモデルも大事で、そうした点も見ます。ただ、そもそもカスタマーがいなければビジネスとして成立しないでしょう」とYin氏は話す。

シリコンバレーには他にも多くのアクセレータープログラムがある。500 Startupsでは顧客獲得に重点を置いていることを打ち出すことで、他社と比較した時の強みになることを期待しているとYin氏は話す。

SEED Programの21期はマウンテンビュー にある500 Startupsの本社で5月から始まる予定だ。各地域から何社といった枠を設けているわけではないが、世界各国の有望なスタートアップに門戸を開けているとYin氏は話す。申し込みは4月1日まで受け付けている

ホンダとGM、ミシガン州で水素燃料電池の大量生産へ―「燃料電池の時代が来た」

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今日(米国時間1/30)、日本のホンダとアメリカのGMは、水素燃料電池を大規模に生産する新しいプロジェクトに向けた提携を発表した。2020年までに生産を開始するために両社は合計8500万ドルを投資する。負担額は50%ずつになるとみられる。水素燃料電池セルはホンダとGMの今後の製品に採用される。

このジョイント・ベンチャーの実施主体はFuel Cell System Manufacturing, LLCと呼ばれ、 ミシガン州ブラウンストーンに所在するGMの既存のバッテリーパック製造施設を拠点とする。この工場では現在、GMのVoltとBolt EV向けのバッテリーを製造している。

GMは長年にわたって水素燃料電池テクノロジーを研究してきた。水素燃料電池は自動車だけでなく、あらゆる産業で広く利用されるようになると期待されている。たとえばGMはアメリカ海軍と協力して燃料電池で駆動されるドローン潜水艇を開発している。またアメリカ陸軍はコロラド州でZH2軍用トラックのパワートレインとしてGMの燃料電池ベースのテクノロジーをテストしている。これは従来の内燃機関を利用したパワートレインよりもはるかに柔軟性が高いものと考えられている。

GMは総額30億ドル前後を燃料電池開発のために費やしてきた。同社は早ければ2020年まえに燃料電池自動車を消費者のもとに届けたいとしている。GMは水素燃料電池の開発に関してホンダと提携することを2013年に発表している。今日発表された生産までのスケジュールは、当初発表されたものに驚くほど近い。両社は新燃料電池セルは既存製品よりはるかに小型でコンパクトなデザインになるとしている。

GMのグルーバル・プロパルジョン・システム担当副社長、Dan Nicholsonはホンダとのジョイント・ベンチャーを発表したプレスカンファレンスで「今日の発表は燃料電池の時代がやって来たことをわれわれが公式に確認したものと考えてもらってよい」と述べた。

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ホンダはすでにFCX Clarityに水素燃料電池を搭載している。この車種には今年中に完全電動車とプラグイン充電方式のハイブリッド2モデルが追加される予定だ。

この提携により、ホンダとGMは水素燃料電池の製造コストの低減と生産までの時間短縮を狙っている。燃料電池車に対する需要は両社とも高く、生産規模は大きなものになりそうだ。両社が提携によって生産規模を拡大すれば、納入業者に対しての立場が強まり、仕入れコストも低減できるだろう。

燃料電池テクノロジーは燃料補給ごとの最大走行距離や効率性で化石燃料エンジンや純粋電気自動車を大きく上回っているという。

〔日本版〕ホンダのクラリティのページ

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

女子のトレンド発信源にーーC Channelがリアルイベント「SUPER C CHANNEL」を今春開催

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スマホで情報がすぐ手に入るようになったが、実際に手に触れたり、体験したりすることで楽しめるものも多いだろう。10代や20代女子向けにファッションやメイク情報などを発信するC Channelも、オフラインで「体験」を提供する場を用意するようだ。C Channelは4月1日、2日に東京国際フォーラムで「SUPER C CHANNEL」を開催する。

ご存知の方も多いかと思うが、C ChannelはLINE元代表取締役の森川亮氏が立ち上げた動画ファッションマガジンだ。C Channelの動画はアプリの他に、FacebookやLINE、Instagramなどでも配信する分散型メディアの形を取っている。現在C Channelは、台湾、タイ、インドネシア、韓国、中国にも進出し、月間の動画視聴者数は約2億5000人、月間再生数は5億回に上るという。

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「SUPER C CHANNEL」は、C Channelで流行ったコンテンツをユーザーが実際に体験できるイベントと森川氏は説明する。イベントでは、C Channelで動画を配信している個人ユーザーの「クリッパー」やタレントと直接会えたり、ヘアメイクを体験したり、恋愛講座を受けたり、企業の最新商品などを試したりできる体験型のコンテンツを多数用意している。

イベントに先駆け、C Channelのアプリにはイベントでも使用できるポイント機能を追加する予定と森川氏は話す。ユーザーはブースを訪れたりすることでポイントを集めることができ、そのポイントを他のコンテンツを視聴したり、体験したりするのに利用できる。例えば、ポイントで視聴できるイケメン動画やオリジナルドラマなどを準備しているそうだ。また、C Channelからスターとなる人材を発掘し、応援できるコンテンツも用意し、4月のイベントではそうしたC Channel発のスターが登場するステージなども企画しているという。

またC Channelは、企業にとってもオンラインとオフラインの双方で、10代や20代女子との接点になるプラットフォームを目指すという。これまで多くの企業は、10代や20代女子にリーチするのにテレビや雑誌広告を使用してきたが、C Channelではこのデモグラフィックに向けた的確なターゲティングが可能という。C Channelでは企業に動画広告とコマースの商品を提供しているが、そのどちらも順調に伸びていると森川氏は説明する。C Channelの動画広告は、YouTubeのように見たい動画の前に広告が流れるというのではなく、広告自体をコンテンツとして楽しめるため回遊率が高く、ブランドリフトの効果があるという。すでに50社近くの動画広告を手がけたそうだ。また、昨年末から「ショッピング」の専用カテゴリー内で商品を動画で紹介し、購入から決済までがアプリ内で完結するコマースの仕組みを取り入れた。このコマースも、事業の柱として確立しつつあるという。

イベントでは企業と協力し、ブースやワークショップを用意すると森川氏は話す。企業は出展することで10代、20代女子に商品を訴求したり、テストマーケティングを行って意見を取り入れることができる。「これまではアナログからデジタルに行くという流れでしたが、今は、デジタルで先に知って、そこからアナログな場で、より深く浸透するという流れに変わってきています」と森川氏は話す。イベントはそうしたユーザーがアナログに企業のサービスやプロダクトを「体験」できる場にしたい考えだ。

イベントの様子はC Channelでも配信する。「C Channelの動画を見て、イベントで実際に体験し、それをまたC Channelで配信して楽しむという流れが生まれるよう準備しています」と森川氏は話す。C Channelはオンラインにとどまらず、オフラインでも新たなトレンドやムーブメントの発信源となることを目指すと森川氏は話している。

アルゴリズムで10分審査、中小企業向け融資のクレジットエンジンが約1億円を調達

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中小企業向けのレンディングサービスを展開する日本のクレジットエンジンは1月30日、シードラウンドで総額1億1000万円を調達したと発表した。同社は2016年の9月末にDraper NexusVoyage Groupから約6000万円を調達しており、今回新たに米国の500 Startupsおよび500 Startups Japan、そしてフリービットインベストメントなどから約5000万円を調達してシードラウンドを完了した。クレジットエンジンは今回調達した資金をテスト融資用の原資や人員強化のための費用に充てる予定だ。

また、クレジットエンジンは本日よりオンライン融資サービス「LENDY(レンディ)」のベータ版提供を開始する。

LENDYは、中小企業がもつオンラインデータを活用したレンディングサービスだ。オンラインデータをもとに融資判断を自動で行う独自のアルゴリズムを利用することで、ペーパーレスで人件費を抑えたスピード審査を実現できる。

また、一度きりの信用評価をするのではなく、リアルタイムなオンラインデータを取得することで継続的な信用評価を行うことができる。クレジットエンジンは、この継続的な信用評価によって貸し倒れリスクなどを軽減できると主張している。審査の手続きにかかる時間は10分から15分程度だ。

現状の中小企業金融が抱える課題

クレジットエンジン代表取締役の内山誓一郎氏によれば、中小企業金融が抱える課題は「既存の金融機関が中小企業や個人事業主の資金ニーズに適切に応えられていない」点だと語る。現状、中小企業や個人事業主が利用できる融資サービスは大きく分けて3つある。伝統的な銀行や信用金庫からの融資、スピーディな審査や無担保で融資を受けられることが特徴のビジネスローン、そして売掛金をすぐに現金化できるファクタリングだ。

中小企業が銀行などから資金を借りるときに障害となるのが、煩雑な手続きと融資完了までにかかる長い時間だ。規模の小さな事業体がもつリソースは少なく、詳細な事業計画などを作成する時間がなかったり、そもそも提供できる担保がないこともある。また、融資が完了するまでに2ヶ月から3ヶ月もの時間がかかり、急な資金需要には対応できない。伝統的な金融機関では、決められた融資枠の範囲であればいつでも自由に融資を受けることができる「当座貸越契約」を結ぶこともできるが、この契約を取り交わすことができるのは規模の大きな優良企業に限られる。

一方で、急な資金調達のニーズに応えてくれるのが、融資完了までの時間の短さが特徴のビジネスローンやファクタリングだ。しかし、ビジネスローンは無担保で借りられるが金利が高い。また、この方法でも書類準備には手間がかかる。ファクタリングには売掛金回収の手間が省けるという利点はあるが、請求書を発行するたびに事務作業をしなければならず、手数料も高いという難点がある(調達金額の5%から20%程の手数料が一般的だ)。

リアルタイムにオンラインデータを取得し、独自のアルゴリズムで審査

2016年7月に創業のクレジットエンジンは、中小企業がもつオンラインデータを活用することで融資にかかる時間や手間をできるだけ減らすことを目指している。

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ここでいうオンラインデータとは、例えば、銀行のインターネットバンキングから取得する残高や入金などの記録、クラウド会計サービスから取得する会計データ、ECサイトから取得する日々の売上データなどを指す。また、通常の審査では利用されない企業やショップの口コミなどの定性的なデータも利用していくようだ。本日発表のプレスリリースでは、LENDYのサービス連携先としてAmazon、スマレジ、住信SBIネット銀行、freee、楽天銀行などが挙げられている。

取得したデータを元に、クレジットエンジンが独自で開発する審査アルゴリズムが自動的に審査判断を下す。審査に通った事業体には融資枠が設定され、以後その範囲内であれば自由に借り入れが可能になる。

内山氏によれば、同社は将来的に顧客とのコミュニケーションの自動化のためにチャットボットを利用する予定でだと話す。これが実現すれば100%に近い「全自動の融資サービス」が可能になるかもしれない。内山氏は、「(全自動の融資サービスは)技術的には可能だと思っている。将来的にはそのようなサービスを目指したい」と語る。

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クレジットエンジンは、LENDYを通してユーザーに最大100万円(正式版では最大1000万円までとなる予定)を短期で貸し付け、そこから金利収入を得る。金額の上限設定について内山氏は、「事業の開始資金など、まとまった資金を借りるための融資サービスでは、金利などの面で銀行や信用金庫が圧倒的に有利になる。そのため、小規模だが急な資金ニーズに応えるというマーケットが当社が狙える分野だと思った」と話す。

ベータ版における貸付利率は融資額が100万円以上の場合8%~15%、100万円未満では13%~18%だ。金利水準だけを比較すると、一般的なビジネスローンの金利とあまり変わらないことが分かる。これについて内山氏は、「最初から金利水準で攻めるのではなく、まずは利便性で差別化を図る。ただ、審査モデルの実績も積み上がっていけば、価格面でも勝負できる可能性はある」と話す。

日本でもレンディングサービスが普及する土壌ができあがってきた

現在、中小企業向けのレンディングサービスは欧米を中心に普及してきている。同様のサービスを展開する米国のOnDeckによる融資総額は50億ドルに達している。その背景にあるのは、クラウド会計など各種クラウドサービスの急速な普及だ。

クラウド会計サービスのQuickBooksOnlineを例にすると、同社のユーザー数は2010年頃を境に急激に伸び、2015年度におけるユーザー数は150万人となっている。「日本でもクラウド会計のfreeeやPOSレジアプリのAirレジなどの普及が急速に進んでおり、中小向けレンディングサービス普及の土壌はできあがっている」と内山氏は語る。

本調達ラウンドに参加したDraper Nexusの倉林陽氏も、伝統的な金融機関以外からのレンディングサービスは重要な投資テーマの1つだと語る。「オルタナティブ・レンディング分野は投資テーマとして2015年からEIRを交え調査しており、専業でSMB向けにこの事業に取り組むスタートアップ企業を日本で創りたいと思っていました。そこに内山さん含むクレジットエンジンが現れ、弊社のEIRだった井上氏が参画する形でチームが強化されたのを受け、出資を決めてシードラウンドの調達を支援しました」。

昨年12月、OnDeskとアメリカ大手金融機関のJP Morganとの業務提携が発表された。クレジットエンジンも「2年後をめど」に自社の与信システム・プラットフォームを伝統的な金融機関に提供していく予定だ。

500 Startup JapanのJames Riney氏は、「米国においてオルタナティブレンディング領域のスタートアップが成功した要因は、シームレスなオンライン体験をレガシーな業界に持ち込んだことでした。日本においても、いずれ同様のことが生じていくと考えられます」と日本のレンディング・ビジネスの将来を語る。

そこで懸念されるのが、日本の伝統的な金融機関がスタートアップの技術を受け入れる体制にあるのかどうかだ。前職のマネーフォワード社では中小企業向けのクラウドサービス部門に所属していた内山氏は、「伝統的な金融機関からもFinTechを取り入れたいという気持ちは伝わってくるが、現状ではまだ先進的な試みをしているところだけだ」とコメントしている。

ところで、クレジットエンジンのビジネスモデルは、不特定多数の個人などから資金を集めた資金を貸し付けるというP2P型の「ソーシャルレンディング」ではない。米国ではP2P型のレンディングサービスも増えてきていて、日本にもmaneoなどがある。

ソーシャルレンディングのモデルを選択しなかった理由について内山氏は、「LENDYは中小企業や個人事業主などをターゲットにしたサービスである以上、ある程度の確率でデフォルトが起こることは避けられない。そのため、個人から資金を集めるP2P型のモデルはLENDYには適さないと思った。それに加えて、P2Pでは資金調達コストが5%から8%かかる。多い時では10%かかることもある。デフォルトが発生することを考えると、そのコストでは成り立たないと思った」と説明する。

内山氏によれば、金融機関の融資サービスの対象とならない(従業員が20名以下の規模の)事業者は、全国で350万社を超える。現在、中小企業に対する貸し付け残高は160兆円で、その内の2兆円が無担保ローンの貸し付け残高だという。そのマーケットがクレジットエンジンの事業領域だ。

医師にリアルタイム相談できる「小児科オンライン」、在シンガポール日本人も利用可能に

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2016年11月開催のイベント「TechCrunch Tokyo 2016」。そのメインコンテンツである、創業3年未満のスタートアップ限定のプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」で見事優勝したのが、遠隔医療相談サービス「小児科オンライン」を提供するKids Publicだ。同社は1月に入り、ニチイインターナショナルクリニックと連携。シンガポール在住の日本人家族向けにサービスを開始した。

小児科オンラインは、現役の小児科医師にリアルタイムで医療相談ができるサービス。平日の午後6時から午後10時までの間、事前に予約した時間に、LINEやSkype、電話など好みの手段を通じて相談ができる。料金は月額3980円。初週は無料で、クレジットカードでの支払いにのみ対応する。なおあくまでサービスが対応するのは医療相談のみ。医療行為は行わない。

サービスを提供するKids Publicは2015年12月の設立。代表取締役の橋本直也氏は小児科医として都内のクリニックで働くかたわらで起業した人物だ(厳密には小児科医になってから大学院に入り公衆衛生学を学んだ上での起業)。2016年にはOpen Network Labの起業家育成プログラム「Seed Accelerator Program」の第12期にも参画した。

Kids Public代表取締役の橋本直也氏

Kids Public代表取締役の橋本直也氏

橋本氏は「いくつかのメディアで、虐待を受けた子どもに出会ったことが起業のきっかけだと話したが…」とした上で、若い世代の親の子どもの健康に関する不安が、「取り残されている」状況であると説明。そういった親の負担を減らしたいという思いがあったと語る。

個人向けサービスとしてスタートした小児科オンラインだが、現在は法人向けのサービス展開を強化している。富士通では福利厚生制度としてサービスを導入。また、マルハン健康保険組合は医療費適正化を目指して試験的にサービスの導入を開始した。

そんな小児科オンラインの今回の取り組みだが、在外日本人向け病院・クリニックとの連携の最初の事例となるという。日中にクリニックを受診(現地人医師による日本語診療)した日本人が、クリニックが閉じている時間帯に生じた子どもの健康に関する質問について、小児科オンラインを通じて無料で日本人小児科医に相談できるというもの。

現在、海外で生活する日本人は約130万人(2015年時点、外務省領事局政策課)。その中には子どもの健康に不安を持つ親も少なくない。これに対して「海外にいても日本人医師の説明を受けたい」というニーズを満たすことで、世界中どこにいても日本人家族は子育てにおいて孤立しない社会を実現したいとしている。

サービスのイメージ

サービスのイメージ

DMM、クラウドストレージアプリ「POOL」と音楽アプリ「nana」の運営元を買収

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2016年12月に、ピクシブ創業者・代表取締役社長である片桐孝憲氏の社長就任を発表して話題を集めたDMM.com。体制を新たにした同社がスタートアップの買収を発表した。DMM.comは1月27日、クラウドストレージアプリ「POOL」を開発、運営するピックアップ、 音楽アプリ「nana」の開発、運営を行うnana musicの株式を取得し、子会社化したことを明らかにした。買収額はいずれも非公開。

160万人、34億枚の写真を扱う「POOL」

ピックアップは2014年設立。代表取締役社長の宮本拓氏はBASEに勤務したのち、独立した人物。同社が提供するPOOLは、手軽な操作で利用できる画像、動画用のクラウドストレージアプリだ。

screen696x696-1TechCrunchの読者であれば「そんなの、iCloudだってあるし、DropboxもGoogle フォトもある。それでいいじゃないか」なんて思うかも知れないけれど、これらのプロダクトすら使えないような若い世代をターゲットにしているという。

宮本氏に以前聞いたところだと、当時好きだった女の子から「スマートフォンで写真を撮り過ぎてデータの容量が増えて困っている。どうすればいいのか?」といった質問を受けたのがPOOL開発のきっかけだという。

当時宮本氏は「Twitterで『写真 容量』で検索すると、若い世代の悩みがいろいろ出てくる。それで調べてみると写真と動画が一番容量を取っている。それを解決したかった。だがiCloudすら分からないし、PCを持っていない人はバックアップに困っていた」なんて語っていた。

POOLのユーザー数は現在160万人で、34億枚の写真が保管されているという。広告やプレミアムユーザー向けの課金を行ってマネタイズを進めているとのことだが、今後はPOOLのマーケティングを強化するのに加えて、新アプリの開発も進めるという。

世界300万ダウンロードを達成した「nana」

screen696x696-2一方のnana musicは2013年の設立。同社が提供するnanaは、音楽のセッションやコラボレーションを楽しめるアプリだ。アプリを立ち上げ、スマートフォンのマイクで歌や楽器演奏を録音して投稿できるのだが、キモとなるのは投稿された音楽に重ね録りをできるという機能だ。この機能によって、伴奏だけを投稿するユーザーと、その伴奏に歌声を重ね録りして投稿するユーザー…といったようなコラボレーションが実現するのだ。投稿にはFacebookの「いいね!」のような「拍手」やコメントを付けることも可能。

サービスは法人登記前の2012年8月にスタート。2016年12月には世界累計300万ダウンロードを達成した。累計楽曲再生数は12億回、累計楽曲投稿数は3000万曲以上となっている。僕は前職から何度かnana musicの取材をしているが、代表取締役社長CEOの文原明臣氏はnanaを開発したきっかけについて、名曲「We Are The World」を世界中のユーザーで歌えるようにしたいといつも語ってくれていたのが印象的だった。

ユーザーの7割が18歳以下という若いコミュニティを持ったサービスとなっており、伴奏と歌だけでなく、声まねや朗読、Q&A形式の投稿など、ユーザーが新しい楽しみ方を自ら作り出しているのも特徴だという。マネタイズに関しては企業とのタイアップを中心に進めていたが、2016年10月から課金サービスも開始した。

なお買収した2社とも代表は引き続き会社に残り、サービスの成長を支えていくとしている。

 

 

卒業後は起業もありーーフランス発のブートキャンプLe Wagonが日本進出

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プログラミングを独学で学ぶのはなかなか続かないし、身に付かない。日本でもプログラミングを学べる場所が増えてきたが、今回新たにフランス発のプログラミングブートキャンプLe Wagonが日本に上陸した。Le Wagonは目黒のコワーキングスペースImpact HUB Tokyoと連携し、2月27日からブートキャンプを開催する。Le Wagonでは9週間、朝から晩まで集中的にプログラミングを学ぶプログラムを提供する。講義は全編英語だ。

Le Wagonは2013年にパリで始まり、現在はヨーロッパに加え、ブラジルや中国、カナダなど19都市でブートキャンプを開催している。Le Wagonから卒業した生徒数は1000名以上になる。

9週間のプログラムの内、最初の7週間でレクチャーとプロジェクトをこなし、最後の2週間で自分のプロダクトを作る。ブートキャンプの最終日には、制作したプロダクトをピッチするデモデーを開催する。ブートキャンプが終わる頃には、ウェブ開発に必要なスキルを全て習得し、ポートフォリオにいくつかプロジェクトを掲載できる状態になるという。

ジャパン・ディレクターを務めるゴメル・ポール氏は生徒としてLe Wagonのブートキャンプに参加した経験がある。「Le Wagonではスタートアップエコシステムに関わるテクノロジー、コーディング、起業家精神の全てに触れることができます。この9週間は、人生が変わるような体験となるでしょう」と話す。

Le Wagonの魅力は、コミュニティーにあるとゴメル氏は説明する。ブートキャンプではテクノロジー業界で活躍する起業家を呼んでリアルイベントを開催し、スタートアップ業界とのつながりを作る場としても機能するという。コミュニティーがあることで卒業後の起業を支援できる。ブートキャンプで作成したプロダクトで起業した卒業生もいるそうだ。また、生徒と就職先との接点も作っていくため、ブートキャンプの卒業生の採用に興味を持つテクノロジー企業とのパートナーシップも進めているという。

日本にもプログラミングを学ぶ場として、夜間の学校やオンライン講座などがある。だがそうした講座はいずれもドロップ率が高いだろうとゴメル氏は指摘する。Le Wagonの9週間では、集中的にプログラミングを学ぶことになる。「難しいと感じる人も多いのですが、コードに没頭することでマインドセットが変わるのです」とゴメル氏は言う。

仕事を休んだり、辞めたりして9週間プログラミングを学ぶのをハードルが高いと感じる人も多いかもしれない。受講料も79万円と決して安い金額ではない。しかし、Le Wagonのブートキャンプは受講して終わりなのではなく、将来への投資になるとゴメル氏は話す。現在小さな会社で働いたり、独立してフリーランスとして働く人が増えている。プログラミングを学び、起業家精神を持つことは、柔軟な働き方をするきっかけになる。特に女性や若い世代にとって、そうした自由な働き方をする機会が広がるだろうとゴメル氏は言う。

Le Wagonのブートキャンプを開催するImpact HUB Tokyo

Le Wagonのブートキャンプを開催するImpact HUB Tokyo

東京でのブートキャンプの開催時期は2月27日から4月28日だ。ブートキャンプの応募者は面接とコーディングのテストで選考する。最も重要視しているのは、本気でプログラミングを学びたいというモチベーションがあるかという点だとゴメル氏は言う。ブートキャンプは10名から15名の少人数で行う予定だ。現在、参加者をLe Wagonのサイトから受け付けている

コロプロが30歳以下の起業家に特化した新ファンド——1号案件はチャットボット作成ツール

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これまで学生起業家特化ファンドVR特化ファンドなど、特定の領域に特化したファンドを設立し、積極的にベンチャー投資を行ってきたコロプラと、同社の100%子会社であるコロプラネクスト。その両社が1月25日、新たに30歳以下の起業家を支援する「コロプラネクスト3号ファンド投資事業組合(『コロプラネクスト次世代起業家ファンド』)」を設立した。

2015年3月に設立され、現在も運用中の学生起業家支援に特化した「コロプラネクスト1号投資事業有限責任組合」ではこれまでに15社に投資しており、そのうち複数社はすでに追加の資金調達を実施済みだという。投資対象を拡大するため、新たに30歳以下の起業家を支援するファンドの設立に至った。(2015年のファンド設立時に行ったコロプラネクストへのインタビューはこちら

1号ファンドでは1社あたり数百万円から多くても1000万円程度の出資という話であったが、今回の次世代起業家ファンドでも対象はシード・アーリーステージにあるスタートアップと、既存の出資先が主になるとのことで、ファンド名の通りこれから活躍していく次世代起業家の育成支援を行っていく。

また今回、第1号案件としてチャットボット活用支援ツールを運営するhachidoriへ出資したことも合わせて発表されている。hachidoriはFacebook MessengerやLINEに対応したチャットボットをプログラミング不要で作成できるサービスだ。なお、出資額は非公開となっている。

スキルのC2Cサービス「ココナラ」が物販にも進出ーー今春からハンドメイド作品の取り扱いを開始

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個人のスキルのマーケットプレイス「ココナラ」は、本日ハンドメイドのEC領域に進出することを発表した。「ココナラ ハンドメイド」は2017年3月8日に正式ローンチする予定で、出品者の登録は本日より受け付ける。

2012年にサービスを開始したココナラは、ユーザーが自身の知識・スキル・経験を売買できるC2C型のマーケットプレイスだ。もともと出品サービスは一律500円だったが、現在は購入者がおひねりを追加したり、価格設定も5万円を上限に変更したりできる。人気の商品は占いやイラスト作成などだが、ビジネス用途でもリサーチ代行やプレスリリースのチェック作業といったサービスの出品がある。

ココナラ自体は無形サービスに特化したマーケットプレイスだが、「ココナラ ハンドメイド」のローンチでモノの出品もできるようになる。ココナラのユーザーとハンドメイド作品のマーケットプレイスのユーザーの親和性が高いとココナラ代表取締役の南章行氏は話す。

例えば、これまでココナラでは結婚式のウェルカムボード用のイラストを作成するサービスなどの出品があり、完成した作品を郵送したいというニーズがあった。これまでは商品の郵送には対応していなかったが、「ココナラ ハンドメイド」ではそれができる。「ココナラ ハンドメイド」はココナラとは別サイトで運営するが、ココナラのカテゴリーの1つのように見せ、相互送客していくという。

ココナラの創業当初から、ハンドメイド作品を扱う構想はあったと南氏は話す。ただ、ココナラのミッションは、個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする人に結びつけるプラットフォームを提供することだ。それを体現するのが無形サービスのマーケットプレイスと考え、ココナラを開始したという。今回、ハンドメイド作品のマーケットプレイスへの需要を感じ、「ココナラ ハンドメイド」を開始するに至った。

ココナラの最終的な目標は「相談のゲートウェイ」になることと南氏は説明する。「何か相談したいことがある場合、人はその先のソリューションを求めていて、それは大きなマーケットです」と言う。例えば人間関係で悩んでいる人は、まずは弁護士に相談し、その先で弁護士に調停の依頼するといったようにだ。悩みがあるとき、これまで多くの人はGoogleを使ってソリューションを検索することが多かっただろう。一方、ココナラでは、悩んだときは誰かに相談してから、ソリューションを決めるという流れを作り出したい考えだ。

人は様々な悩みを抱えている。ココナラは分野に特化してサービスを展開するのではなく、様々な分野を取り揃えることで、どんな悩みでも「悩んだときはココナラ」という立ち位置を確立する戦略だという。

ココナラは2016年8月、「ココナラ法律相談」サービスをローンチしているが、これも相談のゲートウェイの先にあるソリューションとユーザーをつなぐ位置付けにある。ココナラ法律相談では、ユーザーは登録弁護士に無料で法律相談ができる。ココナラは、ユーザーが弁護士に有料の法律サービスを依頼するときに送客手数料を得るモデルを採用している。現在、250名ほどの弁護士が登録しているという。

ココナラの出品数は10万件を超え、流通高は創業以来、毎年約3倍の成長率で伸びていると南氏は説明する。単価は低くても、このような売上が立つのは継続課金率が高いためで、この継続課金率の高さも、多様な分野を取り揃えていることが貢献しているという。ユーザーはずっと同じカテゴリーの出品サービスを購入するのではなく、異なるカテゴリーの出品サービスを購入する傾向にあるそうだ。今回の「ココナラ・ハンドメイド」は、ココナラの間口を広げ、集客エンジンを強化する位置付けと南氏は説明する。

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ハンドメイドのC2Cサイトには、Creemaやminneなどが先行している。他サービスと競合することについて南氏は、ハンドメイド領域は一社総取りではなく、ユーザーは欲しいと思えるモノがある場所を訪れるため、後発でも十分にマーケットを取れるだろうと話す。また、ココナラには、ハンドメイド作品のマーケティングやノウハウの相談やアドバイスをするサービスとして出品しているユーザーもいるそうだ。ココナラではモノとサービスの両方を提供していくことで、ハンドメイド作家を生み、育てられるマーケットになることを目指すと南氏は話している。

リピート率9割のカスタムアパレルEC「LaFabric」が4億円の資金調達——工場を結んだ生産基盤の構築へ

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採寸した自分のサイズを保存し、オンライン上で自分好みのオーダースーツやシャツを簡単につくることができる「LaFabric」を運営するライフスタイルデザイン。同社は1月26日、総額約4億円の資金調達を実施したことを発表した。

今回の資金調達は第三者割当増資と金融機関からの借り入れを含めたもので、増資の割当先は、既存株主であるニッセイ・キャピタルをはじめ、IMJ Investment Partners Japan LLP、ちばぎんキャピタル、フューチャーベンチャーキャピタルといった複数のベンチャーキャピタル。さらにはバリュー・フィールド代表取締役社長の市川貴弘氏、エンジェル投資家の千葉功太郎氏、三星グループ代表取締役社長の岩田真吾氏ら個人投資家となっている。

ライフスタイルデザインでは今回調達した資金を元に組織体制を強化し、LaFabricの業務拡大とともに、日本各地の生産工場とタッグを組みながらアパレル生産プラットフォームの構築を目指すという。

リピート率9割、スマホから気軽に買えるカスタムオーダースーツ

ライフスタイルデザイン代表取締役の森雄一郎氏

ライフスタイルデザイン代表取締役の森雄一郎氏

LaFabricは2014年にベータ版としてローンチし、2015年3月に正式にサービスを開始した。当初は試着の壁を超えるオーダーメイドスーツECとして、質問に答えるだけで最適なサイズを提案する「フィットアルゴリズム」を用い、個々の体型に合ったスーツやシャツが注文できることを売りにしていた。そこから現在のカスタムオーダーファッションレーベルへとブラッシュアップしていったことは、以前TechCrunchでも紹介している。

ライフスタイルデザイン代表取締役の森雄一郎氏によると「一度サイズを登録すればスマホから自分にフィットしたスーツやシャツを気軽に購入できるという利便性と、LaFabricならではのオリジナルの生地素材やカスタム性」が好評で、1年前に比べて売上は350%〜400%程伸びている状況だという。特に一度購入した人からの支持が集まっており、リピート率は9割以上だそうだ。

ものづくりの生産工程における課題をITで解決

これまでカスタマイズのアパレルECとして事業を推進してきた同社だが、今回の資金調達も踏まえ、今後はものづくりの生産プラットフォームの構築にも力を入れていく。

現在のものづくりは各生産工程ごとに分業されており、それぞれに協力体制はあるもののコミュニケーションコストなどが原因で納期がかかり、海外の勢力に負けている部分がある。その一方で作っているものは素晴らしいため、テクノロジーの力を活用することでアパレル生産の“川上から川下を繋ぐプラットフォーム”の必要性を感じているという。

「今はまだ実際にものを作っている人とIT 業界との間に隔たりがありますが、ものづくりの現場でもITへの理解は進んでいます。今後各地の生産工場や素材メーカーさんとも繋がりをつくりながらネットワーク化し、お客さまの『身体のサイズデータ』『生地やデザインの趣味趣向データ』といったパーソナルデータと合わせることで、より一層質の高いサービスを提供していきたいです」(森氏)

LaFabricが構想しているアパレル生産の川下から川上までを担うプラットフォームというのは、D2C(Direct to Consumer)と呼ばれる分野。メンズのアパレル関連では海外ではBonobos、日本発だとFactelierといったサービスが該当するが、消費者から選ばれる存在になるためには独自の高い技術をもった工場との提携にも力を入れていく必要があるだろう。

今回のラウンドに個人投資家として参加している岩田真吾氏が代表取締役社長を務める三星グループも、2017年に創業130周年を迎える岐阜県発の老舗テキスタイルメーカーだが、ものづくりのノウハウを持った工場との提携数は増加傾向にある。その数は100カ所を超えており(縫製工場だけでなく素材工場なども含む数値)、今後もこの繋がりを広げていくという。

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同社が考えるアパレル生産プラットフォームのイメージ

タクシー配車からツアー予約まで、インバウンド旅行者向け専用アプリ「WAmazing」がローンチ

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500MBの無料SIMで集客

2016年の訪日外国人旅行者は2000万人を超え、さらに政府は2020年までに訪日旅行者を4000万人に押し上げることを目標としている。訪日旅行者関連の市場規模は8兆円になることが推定されている。本日サービス開始したWAmazingは、こうしたインバウンド旅行者向けに提供するアプリだ。このアプリには500MBまでの無料モバイル通信、タクシー配車、日本での旅行ツアーやアクティビティの予約手配と決済ができる機能が揃っている。このアプリでWAmazingは、訪日外国人観光者と国内観光業界とを結びつけるプラットフォームになることを目指すという。

今回、WAmazingは成田空港と連携し、モバイル通信SIMカードの受取機を空港に4台設置する。訪日旅行者は自国でアプリをダウンロードし、会員登録をしておくと、成田空港に着いた時にアプリのQRコードを受取機にかざしてSIMカードを受け取ることができる。500MBまでは無料だが、それ以上使いたい場合はアプリでデータ通信料を追加購入することが可能だ。WAmazingのモバイル通信の機能はソラコムを使っているそうだ。

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サービス開始に合わせてWAmazingは、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会とチェッカーキャブ無線協同組合とも連携した。WAmazingは東京ハイヤー・タクシー協会が提供するタクシー配車アプリ「スマホdeタッくん」とAPI連携していて、旅行者はWAmazingのアプリからタクシーの配車依頼ができる。都内のおよそ1万2500台のタクシーを呼ぶことができるという。

チェッカーキャブとは観光コンテンツ面で連携し、WAmazingのアプリ内から観光貸切タクシーのツアーを販売する。サービスのローンチ時には東京23区のホテルからスキー場までタクシー送迎するプランを用意した。旅行者はクレジットカードの決済情報を登録しておけば、アプリでの予約手配から、決済まで一括でできる。WAmazingのビジネスモデルは、各種アクティビティへの送客手数料を得る形だ。

WAmazingは本日からアプリ配信を開始し、旅行者は2月1日から成田空港に設置した受取機で無料SIMカードを手に入れることができる。

日本の観光コンテンツと旅行者をマッチング

WAmazingのファウンダーで代表を務める加藤史子氏はリクルート出身で、旅行サイト「じゃらんnet」の立ち上げなどに関わっていた。旅行事業に携わる中で、訪日外国人旅行者は増えているが、観光事業者と旅行客のマッチングができていないために機会損失があると感じていたと話す。これまで日本の旅行代理店は海外の旅行代理店と提携し、訪日旅行客に訴求するケースが多かったが今ではその効果がどれほどあるか分からないと指摘する。「今は個人がモバイルインターネットを使って自分で情報を探す時代です。ITや通信事業と旅行事業を組み合わせることで、産業に大きく貢献できると考えています」と加藤氏は話す。

WAmazingは2016年7月に立ち上がり、2017年1月にクックパッドで執行役CTOを務めた舘野祐一氏が参画した。舘野氏はWAmazingにジョインを決めた理由について、創業メンバー5人が優秀で信頼して働けると感じたこと、そしてサービス開発において技術的なチャレンジがあることを挙げる。また、会社が成功した時の影響力の大きさも魅力に感じていると話す。「プラットフォームにならない限りは、ネットサービスは数年でしぼんでしまいます。WAmazingには外国人観光客、将来的には外国人に限らず日本全体の観光のプラットフォームになれる可能性があります。会社が成功した時の日本に与える影響が大きいと感じています」。

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WAmazingのアプリ画面

最初は香港と台湾の観光客を中心に訴求するため、アプリは中国語(繁体字)のみという。今後、タイやマレーシアなどでも展開していくことや成田空港以外の空港でもSIMカードの受取機を設置することを視野に入れている。WAmazingは旅行ツアーをはじめ、インバウンド旅行者向けの宿泊、飲食、買い物といった多種多様なサービス事業者と連携し、旅行者と国内観光事業者がつながるプラットフォームを目指す。

旅行先で使える無料500MBのデータ通信は確かに魅力的だろう。今後はいかに旅行者がアプリから申し込みたくなるようなツアーを揃えられるかがサービス成長の鍵となりそうだ。

スマホアプリ開発時のフィードバックをより手軽に実現、グッドパッチの新プロダクト「Balto」

グッドパッチ代表取締役社長の土屋尚史氏、デザイナーの川又慧氏、エンジニアの寺島博樹氏、Balto プロダクトマネージャーの中村太紀氏

グッドパッチ代表取締役社長の土屋尚史氏、デザイナーの川又慧氏、エンジニアの寺島博樹氏、Balto プロダクトマネージャーの中村太紀氏

UI/UX設計に特化したデザインスタートアップのグッドパッチ。クライアントワークでスタートアップから上場企業まで、スマートフォンアプリやウェブサイトのデザインを手がける一方で、デザインにまつわる自社プロダクトも手がけている。そんなグッドパッチが1月26日、スマートフォンアプリのフィードバックツール「Balto」の提供を開始した。

2014年10月には第1弾としてスマートフォン向けサイトにも対応したプロトタイピングツール「Prott」をリリース。ユーザー数や売上の実数は開示していないが、「現在の売上は、前年同月比で230%。競合サービスが出てきているが、サービスは依然伸びている」(グッドパッチ代表取締役社長の土屋尚史氏)状況だという。その後2016年2月には、DG インキュベーション、Salesforce Ventures、SMBC ベンチャーキャピタル、SBI インベストメントなどを引受先とした総額4億円の資金調達を実施。自社プロダクトの開発を強化するとしていた。

第2弾となるBaltoは、スマートフォンアプリ開発時のフィードバックを手軽に実現するツールだ。Baltoはエンジニア向けのダッシュボードと、スマートフォンアプリで構成されており、ユーザーはまず、BaltoのSDKを組み込んだ自社アプリを作成し、ダッシュボード上から配信する。配信した自社アプリは、Baltoアプリを通じてスマートフォンにインストールできる(このあたりの仕組みはAppleが買収したTestFlightやミクシィからスピンアウトしたDeployGate、直近Googleが買収したばかりのFabricのようなイメージだ)。

フィードバックの担当者は、画面上に表示されるボタンをタップするか、二本指でスワイプ操作することで、自社アプリのスクリーンショット、もしくは動画(6秒まで)を撮影可能。スクリーンショットには丸や矢印といったシェイプをつけることも可能。さらにコメントをつけて、フィードバックを投稿することができる。投稿されたフィードバックはダッシュボード上でToDoリストとして一元管理できる。料金はスタートアップ向けのスモールプラン(プロジェクト:4件、プロジェクト作成権限者:4人まで)で年額4万3200円からとなっている。14日間のフリートライアルも設ける。

Baltoを使ったフィードバックのイメージ

Baltoを使ったフィードバックのイメージ

社内向けのツールがきっかけ

Baltoのプロトタイプが立ち上がったのは1年数カ月前。同社エンジニアの寺島博樹氏が業務のすきま時間に開発した社内向けのツールがベースになっているという。「アプリのフィードバックといえば、スクリーンショットを撮って、Skitchでコメントを付け、チャットツールやGitHubで共有したり、Excelやスプレッドシートで管理するという手間がかかっていました。それを少しでも自動化できないかと考えたのがBaltoです」(Balto プロダクトマネージャーの中村太紀氏)。

デザイナーの川又慧氏は、アプリの「実装フェーズ」を「よりプロダクトを磨くフェーズ」にするためにも、フィードバックが重要だと語る。「プロトタイピングのフェーズでは見えない、つまり体験やインタラクションに伴う課題が見えてくるのは、エンジニアが本格的に関わる実装フェーズから。ここでのフィードバックをスムーズにすれば、プロダクトを磨くスピードが早くなり、結果として品質が上がるのではないかと考えています」(川又氏)

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また製品化にあたって重視したのは、利便性だけでなく、いかに楽しくなるフィードバックを行うか、という点だという。土屋氏は書籍「みんなではじめるデザイン批評―目的達成のためのコラボレーション&コミュニケーション改善ガイド」(アーロン・イリザリー、アダム・コナー著、安藤貴子訳)を例に挙げつつ、「フィードバックの仕方によっていかにいいチームになるか、クオリティの高いプロダクトになるか、ということが開発の1つのトピックになってきました。これをいかに実現するかは課題です。Baltoの1つのテーマは『使っていて楽しくなる』。ポジティブなフィードバックで楽しくプロダクトを作って欲しい」と語る。実際、エンジニアは淡々とバグの報告をもらうより、「この仕組みはどうなっているの?」といったちょっとしたコミュニケーションも含めてフィードバックがあるほうがモチベーションが上がるようなケースもあるそうで、Baltoを使ってそんなやりとりが生まれることも期待しているという。

今後BaltoはGitHubとの連携やクレジットカード決済への対応などを進める。また今春をめどに第3弾の自社プロダクトとして、タスク管理・プロジェクトマネジメントツール「Laika」の提供を予定しているという。プロトタイピングツールのPrott、その次の実装フェーズで使用するBaltoを提供し、両方のフェーズを一元管理するプロマネツールを提供することで、「デザインチームのプロセス全体を変える、『いいプロダクトを生み出せるためのプロダクト』を提供していく」(土屋氏)としている。
余談だが、Prottは「プロットハウンド」という犬種が、Baltoはアラスカで活躍した犬ぞりのリーダー犬の名前、そしてLaikaはスプートニク2号で宇宙に行った犬の名前——ということで、同社の自社プロダクトは全て犬に関わるネーミングになっているのだとか。

日経のAI記者が始動、1日30本の決算サマリーを量産

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同僚が人工知能という世界が現実のものになろうとしている。1月25日、日本経済新聞社がベータ公開した「決算サマリー」は、企業の決算発表のサマリー記事を書く人工知能だ。昨日から、人工知能が書いた記事を日経電子版(日経会社情報DIGITAL)日経テレコンのウェブサイト上で公開している。

日経新聞社は言語理解研究所(ILU)と東京大学松尾豊特任准教授研究室と協力し、記事執筆アルゴリズムを開発した。日経新聞社は保有する過去の決算記事を用い、人工知能に「記者が決算情報をどのように読み、記事にするか」を学習させているという。

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決算サマリーの人工知能は、企業が開示する決算短信添付資料と決算短信サマリ情報から決算情報を抽出した後、適切な文章を選んでサマリー記事を作成し、ウェブサイトへの配信まで自動で行う。人はそのプロセスに一切関わらない。人工知能が作成した記事は、日経電子版と日経テレコンで読むことができが、日本経済新聞の紙面には使われない。

日本の上場企業は約3600社あって、その大半の決算発表に対応できると日経はサイトで説明している。決算発表を見て、ものの数分で記事が書けてしまうのなら、記事作成の効率化に役立つことは間違いないだろう。

昨日1日で、決算サマリーの人工知能が手がけた記事を30件確認することができた(24日にはすでに稼働していたようで、24日付けの記事は9件あった)。いくつか読んでみたが、時折日本語に不自然な部分があるものの、言われなければ人工知能が書いた記事だとは分からない精度の高さだ。

決算サマリーの記事一覧

人工知能が書いた記事の一覧

 

タイトルに関しては、画一的で味気ない印象も受ける。もちろん決算サマリーはじっくり読むようなコンテンツではなく、企業の売上や利益の増減とその要因が分かりやすく記載されていれば良いのだから、人工知能が書いていようが、人が書いていようが、そう関係ないかもしれない。むしろ人工知能の方が、読み間違えたり、打ち間違えたりなんてミスを犯すなんてこともないため、投資家としては安心して記事を読めるということにもなるかもしれない。

海外では、AP通信のマイナーリーグ野球の試合記事を執筆している人工知能などがある。人工知能は人の仕事を奪うことになるのか、あるいは型にはまった定常的な仕事から人を解放することになるのかは、まだ分からない。いずれにしろ、人工知能が身近な存在になりつつあるようだ。

ソフトバンクのPepperロボット、サンフランシスコ対岸のオークランド空港にも登場

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ソフトバンクのPepperはサンフランシスコ湾の冬を楽しんでいるに違いない。昨年のクリスマスにはいくつかのショッピングモールで買い物客に挨拶をしたが、この愛想のいい日本のロボットが従事するのは空港の[咳払い]パイロット・プログラムだ。

今回Pepperが用事を引き受けた場所はオークランド空港のターミナル2のレストランだ。PepperはここのPyramid Taproomにいてレストランの客寄せ兼案内係を務める。

Pepperの主な仕事はお客を店に案内することと飲み物と本日のスペシャルを勧めることだ(ロボットなら知識は確かだろう)。またPepperは空港内の他の飲食スポットも推薦することができる。

もっと役に立ちそうな機能はPepperが対話的マップを表示できることだ。旅行者は搭乗ゲート、トイレなどの位置を確認できる。もちろんこれはパイロット・プログラムなので期間限定の仕事だ。しかしユーザーの反応が良ければPepperは常勤ロボットとなるかもしれない。空港ではロボット職員が増えており、近所のサンノゼ国際空港では昨年10月からFuture Robotsの踊るロボットが3台導入されている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

3D-CADとVRでマンション販売を革新、ワンダーリーグのVR事業がスタート

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人生でそう何回もマンションを買うことはないだろうから、購入を検討する人はモデルルームを訪れ、物件を入念に調査したいと思うだろう。ただ、マンションは竣工前に売り出しを開始するもので、実際のマンションの外観を見たり、内覧したりすることはできない。ここにVR技術を活用する余地がありそうだ。本日スマホアプリの開発を手がけるワンダーリーグは、分譲マンションの販売企業やデベロッパー向けの「マンションVRカタログ」サービスを開始すると発表した。

今のところ不動産でVRを活用する事例で多いのは、物件の360度写真や動画を撮影し、それをVR上でユーザーに見せる方法とワンダーリーグの代表取締役社長、北村勝利氏は説明する。一方、ワンダーリーグでは3DCADや2DCADデータを使ってよりリアリティーのあるVR体験を構築するという。CADは、建築などでパソコンの設計や製図ができるシステムのことで、マンション設計や内装のデザインなどに広く用いられている。ワンダーリーグはこのCADデータを使って、GearVRやGoogle CardboardなどでマンションをVRで閲覧できる「カタログ」アプリを作るのが目標だ。

ワンダーリーグは間取りや内装といった物件の内部の他に、マンションの外観とマンションが建つ周辺の街並みもVR上で再現できる。モデルルームでは模型やパネルを使ってマンションの外観や町並みを紹介することが多いが、VRでならより臨場感がある形でマンションの外観や雰囲気を伝えることができるとワンダーリーグは考えている。

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ワンダリーグは、これを実現するのにゼンリンが提供する3Dマップデータと連携している。3D-CADのマンションのデータと3Dマップデータを合わせることで、マンションの周辺の風景も一緒に再現している。ユーザーはVRアプリで竣工予定のマンションを見上げたり、マンションの周辺を歩き回ったりすることができる。

他社でもOculus Riftを使ったバーチャルモデルルームの体験を提供している事例もあると北村氏は話す。ただ、本格的なHMDでのVR体験の場合、アプリの開発から、機材を揃える手間暇がかかる上、モデルルームの来場者にVRを案内するだけでも時間がかかってしまう場合が多い。

ワンダーリーグのVRアプリは、モデルルームの担当者が簡単に扱うことができ、マンションの販促に効果的に活かせるよう工夫をしているという。例えば、マンションの営業担当者がマンションの案内がしやすいよう、ユーザーが見ているVRの中の景色を手持ちのパソコンと同期して、説明できる設定を用意した。また、簡易ビューアーと共に同じVRアプリを来場者に配布することでプロモーションに役立てることもできる。

他にも、ワンダーリーグはマンションの各階からの眺めをアプリ内で閲覧できるようドローンで空撮するオプションやマンションの3D画像をFacebookにも投稿できるようCADデータを用意したりするオプションも用意している。ワンダーリーグはさっそく東京日商エステムの分譲マンション「エステムプラザ赤羽アンダルシア」向けのVRアプリの開発に着手している。%e3%82%a6%e3%82%a7%e3%83%95%e3%82%99%e8%a1%a8%e7%a4%ba%e3%82%82%e5%8f%af%e8%83%bd

過去数回TechCrunch Japanでは、ワンダーリーグが手がけるモバイルeスポーツアプリスマホVR用のモーションコントローラー「Vroom」などを取材してきた。今回のVR事業は、ワンダーリーグがゲームアプリ開発という中核事業からピボットしたような印象を受けるが、「会社活動のスタンスはスマホ向けゲームアプリの企画開発会社というところは変わりません」と北村氏は説明する。モバイルアプリの開発がワンダーリーグの主軸であり、それを「VR」や「eスポーツ」に応用展開しているという。ワンダーリーグは、ゲーム開発環境、ハードウェア、コンテンツの開発力が強みであり、今回の分譲マンション向けのソリューションは、これまでワンダーリーグで培ったゲームアプリ開発技術を生かした受託サービスという位置付けだ。

これまでワンダーリーグが提供してきたイベント型のモバイルeスポーツに関しては、今後モバイルVRプラットフォームにシフトしていく予定だという。またモバイルVRへのシフトに伴い、専用のコントローラーが必要と考え、自社開発していたのが「Vroom」だった。VroomのKickstarterキャンペーン自体は未達に終わったが、開発は続けているという。今年3月にも量産体制に入れるよう準備を整えていると北村氏は話す。

2015年の首都圏の分譲マンション供給戸数は約4万3327戸であり、分譲マンションの広告販促費関連市場は1000億円以上だとワンダーリーグは推定している。今後ワンダーリーグはこの分譲マンションにおける2Dの販促市場を3Dに置き換え、革新を起こしたいと北村氏は話している。

民間月面着陸競走、GoogleのLunar XPrizeが山場へ―日本のHAKUTOもファイナリスト

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民間チームによる月着陸一番乗りを競うGoogleのLunar XPrizeは今年いよいよ山場を迎える。2017年末までに民間企業として初の月面着陸を果たすという競走に参加する5組のファイナリストが決定した。ファイナリストの5チームは、SpaceIL、Moon Express、Synergy Moon、Team Indus、Hakutoだ。勝利を得るためには単に月面に着陸するだけでなく、月面で最低500メートル移動し、月面から写真とビデオをライブで送信するなどの条件を満たす必要がある。

各チームはそれぞれ異なる月面到達の方法を採用している。XPrize受賞のためには2017年12月31日までにロケットを打ち上げ(着陸は後でよい)ることが求められている。月着陸その他の条件を満たした最初の参加チームには2000万ドルの大賞が贈られる。2位には500万ドルだ。また人類が初めて地球以外の天体に足を踏み入れた記念すべき場所、つまりアポロの最初の着陸地点に到達したチームにはボーナス賞が用意されている。

今回のファイナリストに選ばれなかった11チームもそれぞれ若干の賞を得る。Googleは総額100万ドルの賞金を用意し、宇宙航空と教育の進歩に貢献したという理由で参加した全16チームに分配する。

全チームのうち、月着陸機の打ち上げ契約が確認された5チームがファイナリストとして認められた。SpaceILが一番乗りで、SpaceXと2017年後半に月への打ち上げを行うという契約を結んだ。NASAと提携するアメリカのスタートアップ、Moon Expressの打ち上げを行うのはRocket Labという宇宙開発企業で、Electronロケットはまだ実際に飛行したことがない。Moon Expressは政府からミッションの許可を得た。Synergy MoonはInterorbital社のNeptune 8を利用する。こちらもまだ実際に宇宙への飛行を行ったことがない。インドのIndusと日本のHakutoはインド政府の宇宙開発機構の実績あるロケットを共同利用する予定。

このプロジェクトでは打ち上げロケットが重要な要素になるものとみられる。5チームのうち宇宙に到達した実績がある打ち上げロケットの利用を契約しているのは3チームだけだ。SpaceXも昨年の打ち上げ途中の爆発事故などの影響で計画に遅れが出ている。ではあるが、ここまでプロジェクトを進めてくることができたチームが5組もあったというのは素晴らしい。

〔日本版〕HAKUTOチームの公式ページ。Wikipediaにも解説がある。WikipediaによればMoon Expressは月で鉱物資源を開発することを目的としている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+