イーロン・マスク、Teslaにとって株式非公開化が最良の戦略と説明

今朝(米国時間8/7)、TeslaのCEO、イーロン・マスクは、 同社の非公開化を検討しているとツイートした。これを受けて、Teslaはマスクが全社員にこの点を説明するために送ったメールを公開した。ただしマスクはメール中で「まだ何も正式に決定されていない」ことを強調している。

マスクは株式非公開化がTeslaにとって「前進するための最良の道」だと述べている。プライベート化することで株価の乱高下によって受ける悪影響を最小限にできるからだという。またこれにより短期的でなく、長期的視野に立った経営が可能になると述べている。

マスクは「Teslaは株式市場の歴史上最大の空売りを浴びている。公開企業である限り、大勢の人々がTeslaを攻撃して〔株価を下落させる〕インセンティブを持つことを意味する」と書いている。

マスクはメールの最後に「非公開化の提案は株主の投票に基づいて最終的に決定される。私が期待するような方向で決定が行われるなら、非公開企業のTeslaが誕生し、その結果関係者すべてに莫大な利益をもたらすことになるだろう」と付け加えた。

マスクが株式非公開化を検討しているとツイートした後Tesla株は急騰し、NASDAQは売買を一時停止した。その後再開されている。

〔日本版〕原文にはメールの全文がエンベッドされている。またマスクが時価総額820億ドルでTeslaを非公開化したいとツイートする直前にサウジアラビアの国営ファンドがTesla株20億ドルを購入したというニュースが流れている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、ついに時価総額1兆ドルを達成

長く予期されていたことがついに起きた。Appleが時価総額1兆ドル企業レースに勝利した。今週の好調な四半期決算報告の発表を受けて、Apple株式(NASDAQ:AAPL)は一時207.05ドルの高値を付けた。これにより7月20現在の発行済株式によって計算された時価総額は1兆ドルを超えた。

スマートフォン市場はほぼ飽和状態だが、iPhone XのおかgでAppleは販売価格と利益率を共にアップさせることに成功している。

iPhoneの売上台数はわずか1%しか増加していないが、売上額は20%も跳ね上がった。533億ドルの売上は前年同期比で17%の成長だった。

iPadのセールスはほぼ頭打ち、Macはダウンしている。ここ数年、Appleは「サービスがAppleの収益性のカギを握る事業になる」と主張してきた。実際、サービスのトータル(Apple Music、iCloud、Apple Payなど)は96億ドルを記録している。

しかしはっきり言えば、Appleの成功の源泉はiPhoneだ。iPhone戦線がすべてを決する。

この1年、巨大テクノロジー企業はすべて信じられないような成功を収めた。Alphabet(Google)、Amazon、Microsoftはいずれも1兆ドルの大台目前だ。

$1,000,000,000,000というのは、もちろんそれ自身として意味はないとはいえ、こうしてみればやはり驚かされる数字だ。

Appleはこの数年、時価総額世界一の企業だ。これが未来永劫続くわけはないだろうから、Appleはひとまずお祝いをする価値がある。

しかし有力テクノロジー企業がここまで巨大になると、無数の疑問も生じてくる。反トラスト法が発動される可能性はないのか?  経済的、政治的にあまりにも強大なパワーを持つことがないよう規制する法律は十分に整備されているだろうか?

Apple(そしてティム・クック)は多くの国やその指導者より大きな力を持っている。 その力が良い方向に使われることを祈りたい。

Appleの株価は現在上記の高値よりわずかに下がっている。

画像:David Paul Morris / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Samsung、Galaxy S9販売不振で4〜6月期の増益率減速

中国スマホメーカーとの競争に苦戦し、Samsung Electronics 第二四半期決算は過去1年で最も低い増益率という、まったく振るわないものだった。明るい材料として、この韓国テック大企業はセミコンダクター事業が順調であることを挙げている。

営業利益は前年同期比5.7%増の14兆9000億ウォン(約133億ドル)で、2017年第一四半期以来、最も低い増益率だった。純利益は11兆ウォン(約98億ドル)で、昨年同期とほぼ同水準。売上高は4%減の58兆5000億ウォン(約523億ドル)だった。

Samsungは、同社の旗艦スマホGalaxy S9の販売が期待を下回ったこと、季節的な変動、そして低価格スマホとの競争が要因とみている。特にXiaomiとHuaweiという2つの中国企業が手ごわいライバルとなっていて、中国とインドのマーケットでSamsungに圧力をかけている。

スマホ事業で苦戦する一方で、前四半期でもみられたようにSamsungのセミコンダクター事業は好調だ。チップ事業の第二四半期の営業利益は前年同期比45%増の11兆6000億ウォンだった。高密度データセンターの需要のお陰で、今年後半もチップ需要は堅調と見込んでいる。一方、スマホ・タブレット需要は、そこそこのスペックでありながら低価格な端末との競争にさらされ、今後も停滞すると予想している。

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(翻訳:Mizoguchi)

AWSはやはりAmazonのドル箱――第2四半期決算でさらに輝く

AWSは引き続きAmazonのバランスシートのスターだ。第2四半期の決算でAWSは新事業に期待しうる限りの好成績を挙げた。 しかも通販ビジネスよりもはるかに高い利益率を計上している。

いまや生鮮食品の宅配も運営するAmazonの本業の利益率はきわめて低い。しかしAWS事業部は現在なんと25%の利益を得ている。しかも昨年同期と比較して49%も成長している。

AWSは四半期だけでなく、この半年の対前年比成長率も49%ある。第2四半期だけの売上でも60億ドル以上を記録しており、売上は通年で100億ドルを楽に超えるはずだ。Amazonのリテール事業の売上は470億ドル弱だが、純利益は13億ドルにすぎない(監査ずみ数値ではない)。一方、AWSは61億ドルの売上から16億ドルの営業利益を上げている。

つまり簡単にいえば、AWSはとてつもなく高利益率で、Amazon全体で最大の利益を生む事業となっている。同社の発表によれば、今期の1株あたり利益は5.07ドルだったが、これはアナリストの予想2.50ドルのほぼ2倍だった。ただ529億ドルという売上は予測をやや下回った。好材料と悪材料が帳消しとなった形で時間外取引の株価はほとんど動かなかった。AmazonはGoogle、Apple、Microsoftと並んで時価総額1兆ドル企業を目指すレースを続けている。

AWSの成功はある意味で当然かもしれない。AWSはクラウドのパイオニアであり、世界のコンピューティングをクラウド化する有力な要因だった。AWSの好調さをみてMicrosoftとGoogleがこの分野への参入を決め、できるかぎりのシェアをもぎ取ろうと奮闘している。MicrosoftはAzure単独での詳細を明らかにしていないが、「われわれのグループで最速で成長している事業」だとしている。Googleの「その他事業」にはGoogle Cloud Platformが含まれるが、やはり最速で成長している事業ののひとつだとされている。大量のサーバーのコンピューティング能力をオンデマンドで販売することは、コマース事業の薄いマージンと比較して非常に旨味のあるビジネスだと判明したようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、時価総額1230億ドルを一夜で失う――市場は四半期決算に失望

一晩での時価総額のダウンとしては史上最大だったかもしれない。今日(米国時間7/26)、Facebookの終値は174.89ドルだった。これは昨日の終値、217.50ドルから19.6%のダウンだ(NASDAQ:FB)。

昨日、Facebookの株式時価総額は6296億ドルだった。今日は5062億ドルだ。つまりFacebookは一晩で時価総額を1234億ドルを失ったことになる。

この暴落はデータの不適正使用や大統領選疑惑などのスキャンダルから来たものではない。 Facebookの四半期決算が不満足なものだったからだ。今季、初めてFacebookの成長が停滞した。

 

Facebookを毎日訪問する人々の数は前四半期と比較してわずかして増えていない。さらに問題はFacebookのユーザーベースがヨーロッパで減少したことだ。Facebookは全体として成長しているが、EUのGDPR(一般データ保護規則)の施行とマーケットの飽和は明らかに同社に対する逆風となっている。

そうした理由から、Facebookは四半期決算発表の形式を初めて変えた。同社は新しい指標として「全社的アプリユーザー数」を発表した。これはFacebook本体だけでなく、Instagram、Messenger、WhatsAppのアプリのどれかを使ったことがあるユーザー数は50億人となっている。

FacebookがInstagramやSnapchatなど短時間で消滅するストーリーに会社の未来があると考えていることは明らかだが、成否が判明するには時間がかかる。現在のところは大きな疑問符だ。InstagramなどのアプリがFacebook本体と同様の収益性を得られかどうかは今後に待つ必要がある。

消えた時価総額を比較する

123,400,000,000ドル、といわれても額が大きすぎて理解しにくい。Facebookのような巨大企業に関連する金額を把握するのは難事だ。TechCrunchのJon
Russell記者が指摘しているとおり、bitcoinの 時価総額は現在1410億ドルだ。つまり一夜にしてbitcoinsが地上から消滅してしまったような額だ。

Facebook株がbitcoin以上に乱高下するなどとは誰も思っていなかっただろう。

Bitcoinよりもっと安定した巨大テクノロジー企業の株価と比べてもこれは巨額の損失だと分かる。たとえばNetflixの時価総額は1580億ドルに過ぎない。Twitterの価値はわずか330億ドルだ。Facebookは一晩でTwitterの4社分の損失を被ったことになる。Snapとなると170億ドルの時価総額しかない。

Facebookはビジネスモデルを変更中

現在のところメディアの興味はFacebookの損失額に集まっている。もちろん同社は驚くべき額を失った。しかし本当に重要ななのはFacebookのビジネスモデルであり、同社がそれをどう変えようとしているかを理解することだろう。

Facebookはこれまで大成功を収めてきた。ハーバード大学の寮の一室からスタートした無名の会社がわずかな期間で世界的企業の一つに成長したという信じられないようなサクセスストーリーだ。しかしFacebookのビジネスモデルは大きな危険性をはらんでいた。企業に高額な広告を販売するためには何千人もの社員がユーザーデータをますます精密に測定しなければならなかった。販売チームが企業にFacebook広告を高価に売りつけることができるのはターゲティングが完璧だったからだ。

こうしたビジネスモデルであれば、広告の価値を最大化するためにはユーザーがFacebookで過ごす時間を最大化しなければならず、そのためにもっとも効果的なのは中毒性が高いプロダクトを次々に生み出していくことだ。ユーザーがFacebookで過ごす時間が長いほど広告を見る回数も多くなるわけだ。

Facebookがいわゆるエンゲージメントの最大化に熱中するのはそうした理由だ。われわれが「いいね」や「うけるね」や「悲しいね」などの反応をすればするほどFacebookの収入はアップする。

今年はFacebookにとって一つの転機となる可能性がある。振り返ってみれば、今回の事件はFaqcebookの成長の歴史の屈曲点を示すことになるかもしれない。ともあれ、Facebookがそのビジネスモデルに潜む構造的課題にどういう回答を用意しているのかはまだ不明だ。

画像:Saul Loeb / AFP / Getty Images

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Netflixは時価総額でComcastを超えた――絶好調という噂一覧

Netflixの時価総額は今やケーブルTVの最大手、Comcastを超えた。企業を評価する尺度は時価総額以外にも多数あるが、象徴的な意味としてはAppleの時価総額がExxonを追い越したときと比較できる。テクノロジーの発達におけるある種の分水嶺となるかもしれない。

Netflixについて、実際の意味はともかく、象徴的に目立つ話題をいくつか拾ってみよう。

  • Netflixのユーザー数は依然上昇中:ユーザー数は市場が最初に注目する数字であり、Netflixの株価(つまりは時価総額)が上昇しているのもこれによる。
  • ケーブルTVの解約が続く:. Netflixはコンテンツの配信をビジネスとしており、ケーブルTVを提供しているわけではない。しかしNetflixから配信を受けるためにはインターネット接続が要るので現状では家庭になんらかのケーブルを引き込む必要がある。もちろん将来すべてが無線接続になれば話は別だ。
  • Netflixはコンテンツ製作に大金を投じている:人々が望む(消費する)のはコンテンツだ。ケーブルTVも結局はそのコンテンツを売っているわけだが料金が高い。Comcastはこれに対抗してNetflixをバンドルし始めた
  • NetflixとComcastは株価の基準が大きく異なる:Comcastの株価はその現実の収益性に基づいている。Netflixは…なんというか、成長中の会社として、将来はComcastより大きなビジネスになるだろうという期待に基づいて評価されている。そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。
  • Comcastの売上はNetflixよりはるかに大きい:今年第1四半期の売上はNetflixが37億ドル、 Comcastが228億ドル、フリーキャッシュフローが31億ドルだった。一方、Netflixは2018年のフリーキャッシュフローについて30億ドルから40億ドルの赤字を予想している。

ともあれNetflixは2ヶ月くらいのうちに次の四半期決算を発表するはずだ。上に挙げたような指標にも変化が生じるだろう。Netflixの株価は市場の期待に基づいているため、簡単に動く。もちろん株価の変動はBitcoinほど大きいわけではないが、ランダム性も高く予測は難しい。

おっと、これからNetflixでリバーデイルのシーズン2を見なければならない。やっぱりこういう独占コンテンツがあるからComcast より強いのだろう。あと数時間は忙しいので悪しからず。

画像:Ethan Miller

〔日本版〕現在のNetflixの時価総額は1518億ドル、Comcastは1455億ドルとなっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Snapchat、第一四半期のユーザー数の伸びは過去最低—株価は15%ダウン

Snapchatの2018年第一四半期(1〜3月期)決算はまったく芳しいものではなかった。デザインの試行錯誤やFacebookとの競争を展開する中で、前四半期からの復活はならなかったようだ。1日あたりの平均利用者数は1億9100万人に達し、前期の1億8700万人より増えたものの、成長率は2.13%に落ち込んだ。これは、2017年第四四半期の5.05%、最悪だった同年第三四半期の2.9%に比べても、最も低い成長率だ。一株当たりの損失は0.17ドルで、収益は2億3070万ドルだった。市場は一株当たり損失を0.16ドル、収益を2億4450万ドルと予測していた。

前四半期に北米マーケットでユーザー数を100万人増やして急激に成長したのは、どうやらまぐれだったようだ。実際は見かけ以上に厳しい状況にある。CEOのEvan Spiegel氏が前もってしたためていた意見では、「四半期の平均利用者数は1億9100万人だった。3月の平均ユーザー数は低かったが、第四四半期の平均は上回っている」としている。Snapchatの利用者数が落ち込んでいるというのは、投資家の心理を冷やすものだ。

Snapchatのクローン的存在であるInstagram Storiesの1日平均利用者数は3億人、WhatsApp Statusは4億5000万人。Snapchatが抱える問題は大きなものになりつつある。市場はSnapchatのユーザー数の成長が弱かったことを嫌忌し、Snapの株価は時間外取引で12ドルと15%も下げた。

一方で、Snapの損失額は前四半期の3億5000万ドルから3億8570万ドルへと膨らんだ。経費削減のために一時解雇したのはまさにこの損失額をなんとかしようとしたものだったが、これはあまりにも遅く、また対策としても不十分なものだった。COOのImran Khan氏は「前年同期比の収入成長率を考えるとき、第二四半期での成長率は第一四半期のものより落ち込むことが予想される」としている。これも投資家の心理を悪化させている要因だ。

今回の決算発表の中で数少ない明るい話題の一つが、事業所やクリエイター向けのSnap Proの展開だ。これは有名人や事業所のためのものだ。Khan氏は「このSnap Proではプロフィールの管理やコンテンツの作成・公開、反応の分析が簡単になる。結果として広告獲得につながる」としている。しかしこのSnap Proは展開してまだ日が浅い。

Snapはまた、北米におけるユーザー1人あたりの平均収入で前代未聞の減少にも直面した。第四四半期というのはクリスマスなどの休暇時期を抱えるため、通常は第一四半期に比べ書き入れ時だ。しかしSnapの北米でのASRPU(1契約あたりの売上値)は、第四四半期の2.75ドルから2.1ドルへとあまりに大きく落ち込んだ。第三四半期の2.17ドルからも減少している。これは第一四半期で広告閲覧減少による収入の確保が厳しくなっているという深刻な問題を意味している。

Spiegel氏は「デザインの変更によりユーザーを戸惑わせることになってしまい、また広告主にも懸念を抱かせることになり、これが今四半期の収入では向かい風となってしまった」と認めている。だからこそ、Snapchatは、StoriesをDiscoverページの中に押し込むといった大きなデザイン変更を展開している。しかし、残念ながらこの変更はオリジナルより良くないようだ。私が思うに、Snapに必要なのは日付順にメッセージを並べたり、表示されている友達に関連するStoriesを表示したりするタブであり、Discoverセクションにプロ向けコンテンツをもってくることなどだろう。

Snapchatは第一四半期、アプリのデザインを徹底的に見直す一方で、FacebookがCambridge Analyticaスキャンダルに見舞われている間に収益を上げようとした。当初のApp storeのレビューはかなりネガティブなものだったが、初インストール数とApp storeでのランクは上昇した。セレブのSnapchat離れや一部での使用減はデザイン変更に踏み切らせ、その変更には古いバージョンへの回帰もあったようだ

Snapは先日、カメラ付きサングラスSpectaclesの2代目をリリースした。これが収入につながるかは、次の四半期で明らかになる。問題は、120人超の一時解雇による悪影響が今後出るかどうかだろう。

Spiegel氏は、クリエイターを他のユーザーと分けることで、クリエイターにとってSnapchatがコンテンツを展開するのにお気に入りの場所となるよう、閲覧環境を整えることができるとしている。しかし、クリエイターのDiscoverページを改善したとしても、InstagramやWhatsAppに対抗するのは難しい。CFOのDrew Volero氏は「Snapの収益をトントンにもっていきたいが、いつ達成できるかは描けていない」としている。四半期で収入を3億8500万ドル増やすのは、ユーザー数が激増でもしない限りかなり難しい。ましてや、一時解雇で社員も減っているという現状がある。

年初に書いたように、欧米の若者の間でSnapchatは人気があることを考えると、Snapchatが一晩でなくなるとは考えにくい。しかし、Snapchatがなくなることは現実味を増していて、この業界を牛耳ることなく世界に影響を与えたサービスだった、ということになりかねない。

正直、Snapの経営はかなり厳しい状況にある。成長率は今までで一番低く、ユーザーあたりの収入は減少し、会社の存続をゆらがしかねないほど損失は膨れている。仮にユーザーが徐々に新デザインに馴染むとしても、その時までにInstagramやWhatsAppがSnapの世界展開のチャンスの多くを吸い取ってしまうだろう。また、本格的なARメガネはまだ先の話ということでSpectaclesが売れたとしても、Snapが社の存亡危機を回避できるかはまったく予断を許さない。

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(翻訳:Mizoguchi)

Googleの第1四半期は311.5億ドルの好成績――CPCは漸増だが売上、利益ともアナリスト予想を上回る

Googleの親会社、Alphabetが2018年最初の四半期決算(PDF)を発表したが、きわめて堅実な内容だった。事業が着実に拡大を続けているだけでなく、昨年に比べて成長速度はさらに加速している。

Googleによれば今年第1四半期の売上は対前年比で26%のアップで311.6億ドルとなった。昨年同期の売上は247.5億ドルだった。このときGoogleは第1四半期売上が対前年比22%アップしたと発表していたので今年はそれを上回ったことになる。

CPC(クリック単価)が引き続き低下傾向にあるにもかかわらずGoogleは売上を増加させてきた。CPCはあるサイトの価値を表すといってよいが、インターネット閲覧がますますモバイル・デバイスにシフトする中でここ数年低下を続けている。

またAlphabetが「それ以外の賭け」と呼ぶGoogle部門以外の他事業、自動運転車やインターネット・アクセスを提供する気球なども全体として売上が増加し赤字が減少している。Googleは広告収入に全面的に依存する現在の体質を改善する必要があるのでこれはよい兆候だ。しかし他事業の収入はGoogle全体でみればまだごく一部を占めるに過ぎない。今回はGoogleが自動運転車のノウハウをめぐってUberと和解した後の最初の決算となる。

スコアカードは以下のとおり。

  • 売上: 311.6億ドル(アナリスト予測は303.6億ドル)で対前年比26%アップ
  • 利益: 調整済1株あたり9.93ドル(アナリスト予測は9.28ドル)
  • Google内の他事業売上: 43.5億ドル、前年同期32.7億ドル
  • Googl外の事業売上:1.5億ドル(前年同期は1.32億ドル)
  • Google外の事業損失: 5.71億ドル(前年同期は7.03億ドル)
  • 売上TAC比(%) 24% 〔TAC=トラフィック獲得コスト〕
  • 実効税率: 11%(前年同期は20%)

この結果、Googleの株価は延長取引時間で2%アップした。時価総額世界最大の座をめぐってGoogleがMicrosoftやAmazonと並んでAppleを追う中で、Googleの時価総額に100億ドル以上を加えたことになる。

GoogleのTACは比較的安定しているようだ。Googleがトラフィックを得る代償としてアフィリエイト先や提携先から支払う金額はGoogleウォッチャーにとって重要な意味を持つ。これが上昇することはネットワーク企業の経営にネガティブを影響を与えるからで、ウェブ閲覧がモバイルにシフトするなかでここ数年GoogleのTACもわずかに増大していたのが懸念を呼んでいた。しかし今期は24%と安定した水準を保った。

Googleは本質的に広告企業であり、世界中の何十億ものユーザーからわずかずつ収益を上げている。しかしすべてがモバイルに移行する中で現在のような広告の価値は減少傾向だ。モバイルによるウェブブラウジングはデスクトップやノートなどのコンピューターを利用したブラウジングとは全く異なる消費者行動をもたらしているからだ。これまでGoogleはCPC(クリック単価)の減少をインプレッション(広告表示回数)の増大で相殺してきた。実際、今期の決算もそのとおりの傾向を示している。【略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Twitter、時価総額でSnapを一時追い越す――決算の結果はどちらも好調

すでにいろいろと意外なことが起きている2018年だが、今やTwitterが時価総額でSnapchatを運営するSnapを追い越した。 発表された決算は両社とも好調だったが、Twitterがついに利益を出し始めたことが株価に反映された。

Twitterは四半期決算を発表し、とうとうGAAPベースで利益を出した。これを受けて今朝(米国時間2/8)の株価はロケットのように25%も急上昇した。どちらも苦闘しているソーシャルメディア企業であるもの、 2017年にはSnapの方が時価総額で高く評価されていた。しかしTwitterの時価総額は250億ドル台となり、Snapは240億ドル台にとどまった。僅差には違いないが、それでもTwitterが上回ったのは大きい。

そこでグラフを見てみよう。この1年ほどのTwitterの値動きだ。

こちらはSnap。

Snapも今週、第4四半期の決算を発表したが、十分に好成績だった。これによりSnapの株価も上昇した。そこで最初の疑問に戻る。四半期決算で示された好調な広告売上は今後もFacebookやGoogleと対抗していける内実を備えているのだろうか? これはまだ試されていない。しかしFacebookやGoogleとは異なる独自の特長を備えた広告プロダクトを開発することができるというストーリーが実現することを期待したい。

TwitterとSnapの2社は2017年の暮にはほぼ同サイズだった。Snapは2017年にいささか花々しさに欠けるもののそこそこ成功した新規上場を行い、これを追い風として多数の会社が上場するきっかけを作った。ところが今回の決算発表後、市場が開くとSnapの株価は7%以上ダウンし、Twitterに追い越されてしまった。Twitterの株価は20%(ある時点では25%以上)上昇した。

今日の両社は時価総額で抜きつ抜かれつの競争を続けている。現在のところTwitterが優位だが、明日は(あるいは夕方にも)逆転しているかもしれない。その先となればまったく分からない。ただしこうした日々の値動きは別として、ソーシャルメディア企業のパフォーマンスを長期的に測るものは規模の拡大と広告ビジネスの成長の可能性だというのは間違いない。

〔日本版〕記事にもあるとおり、営業終了時点での時価総額はSnapがわずかに逆転し、Twitterが224.18億ドル、Snapが233.51億ドルとなっている(Google検索とYahoo! Financeでは数字に若干違いがあるがいずれもSnapが上回った)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、2017年第4四半期決算はぎりぎり合格――DAU14億人で成長は減速、売上は129.7億ドルで堅調

ロシア情報機関の介入やニュースフィードのアルゴリズムの変更などによるネガティブな影響が懸念されていたFacebookだが、2017年第4四半期の決算でまたもアナリストの予測を上回った。Facebookの発表によれば、DAU(1日あたりアクティブ・ユーザー)は14億人、対前年比2.18%アップだった。2017年第3四半期の成績は13.7億人、3.8%アップだった。成長率についてはかなりの減速だ。実際、Facebookとしては対前年比の成長率として最低の記録となっている。

この減速の原因はFacebookがバイラルビデオの表示を減らしたことにある。CEOのマーク・ザッカーバーグがFacebookに投稿したところによれば、「Facebookでの滞在時間を1日あたり約5000万時間減少させた」という。アクティブ・ユーザー1人あたりに換算すると毎日2.14分になる。これはトータルの滞在時間の5%の減少に相当する。 バイラルビデオの表示アルゴリズムを変更したことでFacebookはアメリカとカナダで初のDAU数減少に見舞われた。実数にすると70万人だ。

一方、Facebookの第4四半期の売上は129.7億ドル、1株あたりGAAP調整済み利益は2.21ドルとなった。しかしこれには海外でキャッシュでの支払いを要する巨額の税を計算に入れていない。これは1株あたり0.77ドルの利益に相当する。この税を除外すればFacebookはアナリストの予測、125.5億ドルの売上、1株あたり利益1.95ドルというアナリストの予測を上回った。ただし海外の税を考慮すると1.44ドルとなる。

Facebookの月間アクティブ・ユーザー(MAU)は21.3億人、対前年比3.39%のアップだった。200年第3四半期は20.6億人、 3.19%のアップだった。つまりDAUの伸びは減速したものの、MAUの伸びはわずかながら加速している。それでもFacebookのMAUとDAUの比率は66%と高いレベルを維持した。業界で「ステイッキネス」と呼ばれるこの回帰率は2015年からほぼこのレベルにある。
ユーザーの滞在時間はやや減少したが、回帰率には影響していない。

ユーザーあたり平均売上は6.18ドル、対前年比 27%のアップとなった。Facebookでは投資家に対しニュースフィードの広告掲載スペースを使い切りつつあると警告していたものの、売上総額は対前年比47%のアップとなっている。Facebookは42.6億ドルの利益を上げたが、前四半期の47億ドルから大きくダウンしたのは巨額の税の支払いのためだ。Facebookの株価は時間外取引で4%ダウンしたが、持ち直し、3%をやや超えるアップとなっている。

[アップデート:四半期決算を説明するFacebookの電話記者会見によれば、 WhatsAppのMAUは15億人となり、7月の13億人から大きくアップした。またアメリカとカナダのDAUが70万人減少した原因はバイラルビデオの表示を減らしたことにあると確認した。ザッカーバーグは「コンテンツそのものの意味より、そのコンテンツがどれだけ意味あるリアクションを起こしたかに基いて表示の優先順位を決めるよう指示している」 と述べた。Facebookの調査によれば、アプリでのストーリーの投稿数がニュースフィードの投稿数を上回ってたという。] 【略】

Snapchatの脅威は大部分Instagramという防壁によって食い止められたため、 Facebookの最大のライバルは自分自身ということになったようだ。Facebookは将来プライバシーや今回のロシア組織の介入のような問題によって生じる可能性のある危機を予防する方法を考えるべきだろう。また「時間をより良く使おう Time Well Spent」運動が「Facebookを使うのを止めよう」という運動に発展する前に対処する必要もある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Samsung、Q4の利益予測は新記録――アナリストの期待には届かず

Samsung Electronicsは2017年第4四半期の利益予測を発表した。数字は同期の新記録となるもののアナリストの予測はやや下回ることとなった。
昨日(米国時間1/8)、Samsungが発表した決算ガイダンスによると、66兆ウォンの売上に対して15.1兆ウォン(141.3億ドル)の営業利益を予測している。

この利益は昨年同期に比べて 64%のアップだ。昨年の第4四半期は53.33兆ウォンの売上に対して9.22兆ウォンの利益だった。それでもThomson Reuters.による17人のアナリストに対するアンケートの平均、15.9兆ウォンには届かなかった。

Samsungの 第3四半期は好調で、14.53兆ウォンの利益を計上している。好調の原因としては、チップ、 OLED、その他のパーツをAppleを含むデバイスにメーカーに大量に供給していることが大きかった。

2017年の通年決算では、Samsungは239.6兆ウォンの売上に対して53.6兆ウォンの利益を期待している。

Featured Image: Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Uberがスキャンダルで低迷、ライバルのLyftは売上が三倍増

Lyftにとっては、Uberの苦難の一年が大きな商機になったようだ。

The Informationの記事によると、この、アメリカにおけるUberのライバル企業は、売上が前年に比べて三倍に増加した。すなわち2017年前半のLyftの売上は4億8300万ドル、前年同期では約1億5000万ドルだった。

利益も改善されて、損失が2億8300万ドルから2億600万ドルに減少した。一乗車当たりに換算すると、損失額は4ドルから1ドル20セントに減った。

一方Uberは、損失が加速している。最近の四半期(2017Q3)の決算報告によると、同社の損失はおよそ15億ドルとなり、前年同期の10億6000万ドルから急騰した。

本年前半に関しては、フードデリバリーサービスUberEATSを含めると、30億の売上に対して20億ドルの損失となった。

訴訟があり、同社の企業文化に対する社会的非難〔←被害者手記〕があり、Uberの今年1年はスキャンダルまみれだった。その結果6月には創業者CEOのTravis Kalanickが退き、8月に元ExpediaのCEO Dara Khosrowshahiが引き継いだ。

両社とも今はさらなる資金獲得により、事業を加速しようとしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook四半期決算、利益47億ドルで株価は新高値――ロシア疑惑は影響せず

Facebookはロシアの大統領選への介入疑惑を巡って下院情報委員会の公聴会で事情を尋ねられている最中だ。しかしこの問題に関する懸念は第3四半期の決算の好調さに消し飛ばされたらしく、同社の株価は新高値をつけた。

それでも共同ファウンダー、 CEOのマーク・ザッカーバーグは決算発表の際のいつもの決まり文句、「われわれのビジネスは順調に推移した」にとどまらず、以下のように追加した。「しかしわれわれのサービスが人々を結びつけるという目的に反して不当に利用されたのであればビジネスの好調さには意味がない。われわれはこのプラットフォームの悪用を防ぐために全力を挙げている。セキュリティーの確保への投資は莫大なものになるため利益率に影響が出るはずだ。しかし社会を守ることは利益を最大化することよりはるかに重要だ」。

今日(米国時間10/31)、Febookが発表した2017年第3四半期の決算はきわめて好調で、 セキュリティー投資の強化の影響が出るとすれば来期以降のことだろう。今期の利益は対前年比で79%のアップ、47億ドルとなり、アナリストの予測を上回る四半期がさらに続いた。売上は103億ドル、1株あたり利益は1.59ドル(GAAP)だった。アナリストの予測はそれぞれ984億ドル、1.28ドルだった。Facebookの1株あたり利益は対前年比で76%アップという驚くべき数値となった。

売上は対前年比47%アップ、 で2016年同期の数字が56%からやや減少した。これはFacebook自身が「広告出稿スペースが底をつきつつある」と以前から警告していた。Facebookの広告売上に占めるモバイルの割合は87%から88%へわずかに上昇した。モバイル広告が占める割合はそろそろ安定期に入ったようで、デスクトップからモバイルへのシフトはほぼ完了したようだ。DAU(1日当りアクティブ・ユーザー)の平均売上は7.51ドルで1年前の5.95ドルから26%%アップした。FacebookのDAUの伸びは16%であったのに対してそれ以上に売上が伸びたということはFacebookの収益化能力がさらに向上中であることを意味する。

ユーザー数に関してみると、MAU(月間アクティブ・ユーザー)は20.6億人、前期末の20.06億人から3.19%のアップとなった(前期は3.4%のアップだった)。DAUは13.7億人で対前期比3.8%のアップだ。Facebookのいわゆる「スティッキネス」、つまりMAUのうちどのくらいの人数がDAUとして戻って来ているかという率は2016年第1四半期以来ほぼ横ばいで66%だ。しかしこの数字はスティッキネスとして異例に高い。サービスは時間と共にユーザー離れを引き起こし、スティッキネスが低下するのが通例だ。

四半期決算が発表される直前のFacebook株価は182.66ドルで、その後時間外取引で1.28%アップした。Facebookの手持ち資金は第3四半期末で382.9億ドルと極めて潤沢で、いつでも大型の買収を行える。

決算説明の電話記者会見でザッカーバーグは政府の広告規制に触れ、「適切に実行されるのであれば歓迎すべき方向だ」と述べた。ただしFacebookは自主規制の方向で努力している。

ここ数か月、メディアの間ではFacebookに関して懸念が高まっていた。ロシアの大統領選干渉に関連してFacebookのセキュリティー強化によってパブリッシャーのページがニュースフィードの上位に表示されなくなり、別の表示順位の低いフィードに隔離されるのではないかという噂されたためだ。しかしユーザー体験を優先するFacebookの方針はさまざまな批判を乗り越えてFacebookのビジネスを今期も成功に導いた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

クックパッドの有料会員が減少――17年2Q決算で明らかに

2016年のお家騒動で何かと話題になったクックパッド。同社は8月9日、2017年2Qの決算を発表した。内部の混乱が続いたクックパッドだが、今回の決算内容は投資家にとっても残念な内容だったみたいだ。

決算発表から読み取れるのサマリーは以下の通り:

  • 売上は前年同期比13.3%減の約71.1億円、営業利益は9.7%減の約30億円だった。
  • 一方、税引き前の四半期利益は増加していて、前年同期比8%増の約40.7億円だった。ただし、これは株式売却益により金融収益が増加したことによる。
  • 会員事業の売上は増加。前年同期比7.9%増の約34.7億円だった。うち、レベニューシェア売上は約10.8億円(同9.8%増)。
  • 広告事業の売上も減少している。前年同期比12.7%減の約21.9億円だった。

国内のプレミアム会員数が減少

決算説明資料を見てみると、クックパッドの有料会員数は2015年から一貫して上昇を続けている。しかし、この会員数がここ数年で初めて減少していたことが今回の決算発表で分かった(参考として、2013年からの会員数推移を示した図も下に掲載する)。

クックパッドが2016年に発表したIR資料

2017年2Q時点の会員数は193万人で、1Q時点の195万人よりも2万人減っていることになる。クックパッドの会員事業について、同社は「大手検索エンジンのアルゴリズム変更による新規流入の減少が影響」したと説明している。

では、海外はどうだろうか?クックパッドは2016年12月からイギリスに第2本社を設置するなど、海外事業により一層取り組んできた。

2017年2Qの決算によれば、海外のレシピサービスの月別平均利用者数は3086万人。前四半期の2938万人より増加してはいるが、最も会員数が多かった2016年4Qの水準(3260万人)にはまだ回復していない。

今回の決算発表を受け、8月10日の株式市場でクックパッドの株価は大幅に下落した。同社の株価は9.74%下落し、年初来安値を記録している(記事執筆現在)。

クックパッドを主軸とした「レシピサービス事業」は、同社の売上の90%以上を占める“命綱”であることは確かだ。

同社の説明の通り、この不調が検索エンジンのアルゴリズム変更による一時的なものなのか、それとも、なにか別の問題があるのかを知るためにも、来期以降の決算には注目だ。

Snapは第2のTwitter化している―ポリシーの根本的見直しが必要

Twitterは2013年にユーザー数が急激に頭打ちになったときにビジネスとして行き詰った。TwitterはFacebookを始めとするライバルからいくつもの機能をコピーしたが、これはかえってユーザーが求めるコンテンツを発見することを難しくした。選択を加えない単純な新着順のTwitterのフィードはもともとユーザーが望みのコンテンツを発見しにくかった。次の四半期にもユーザー数の伸びの低下が続くとTwitterの株価は18%下落した。

今日(米国時間5/10)、上場後最初の四半期決算の発表を受けてSnapchatの株価は暴落した。Facebookと激しく競争する中、Snapの選択を加えない単純な新着順のフィードも望みのコンテンツを発見しにくかったからだ。Snapの株価も24%下落した。

しかしTwitterは株価急落から4年経って再び成長し始めた。Twitterは根本的なプロダクト・ポリシーの一つを捨てることをとうとう決断した。それは「選択を加えいない単純な新着順フィード」だ。Twitterはフィードの表示に単純な新着順を廃止し、アルゴリズムを導入した。フィードはユーザー別にもっとも適切な投稿がトップに表示されるようカスタマイズされることになった。親しい友だちの投稿など関心が高いはずの投稿が目立つ位置に表示される。その結果、2017年の第1四半期にTwitterは久々に成長を回復し、900万人の新規ユーザーを加えることに成功している。

今日Snapは今期800万の新規ユーザーを獲得し、成長率は5%だったと発表した。残念ながらこれは2016年第4四半期のユーザー数158万、成長率3.2%という数字とほとんど変わらない。この間、 InstagramはStoriesをコピーしSnapchatの成長を妨げた。株式市場はSnapの現状に対して強い不満を表明している。

SnapchatとCEOのEvan Spiegelはそろそろ歴史から教訓を得るべきだろう。 なるほどSnapの反Facebook哲学は「消えるメッセージ」を産み出した。Facebookのチャットがメールに似て恒久的であるのに対してSnapchatのメッセージは24時間でタイムラインから消滅する。しかし手を加えない単純な新着順のStories表示はユーザーにとって非常に使い勝手が悪いものになっている。セレブや知り合いなどフォローしている相手の投稿の洪水に本当の友達からのメッセージが埋もれてしまう。
Snapchatのアルゴリズムを使わないフィードはユーザーを窒息させてしまうと先月私は警告した。

なるほど昨日発表された消しゴム機能、Magic Eraserや最近の3D拡張現実、World Lensesなどはよくできている。しかしそうした新機能ではSnapchatが使い難くなっているという根本的な問題の解決にはならない。世界のティーンエージャー、あるいはそれより上の世代のユーザーに対してSnapchatを使いやすく再び魅力的なものにするためには根本的なサービス哲学の見直しが必要だろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Snap、初決算は期待外れで株価急落―上場後の値上がり帳消し

Snapの上場は成功したと考えられている。しかし最初の四半期決算はウォールストリートの期待に遠く及ばず上場の成功は完全に吹き飛んでしまった。

Snapの発表によれば、同社の2017年第1四半期の売上は1億4960万ドルで、1株あたり2.31ドルの損失だった。この損失は株式ベースの報酬によるものが大きかった。一方でアナリストは1億5800万ドルの売上に対して0.16ドルの損失を予想していた。簡単に言えば成績は悪かった。同時にユーザー数の伸びも鈍っていた

この結果を受けて、株価は延長取引時間に20%以上下落し、18ドルを割り込んだ。これは上場後の値上がりを帳消しにして当初の売り出し価格17ドルぎりぎりに戻ったことを意味する。

四半期決算の内容を考えれば株価の急落は当然のことと受け止められている。上場後最初の決算はビジネスの詳細が公になる最初の機会だ。そこで成長余力とコスト管理の能力に関して深刻な疑問が持ち上がった。Snapのサービスがクラウド上で運営されていること、FacebookがSnapでもっとも人気のある機能を積極的にコピーして戦いを挑んでいることも悪材料となった。FacebookはSnap的な機能をInstagramに導入している。Instagramはすでに億単位のユーザーを擁しており、Snapのユーザーの伸びへの影響が懸念されていた。これが事実そうであるかどうかは分からないものの、株価にとっては「そのように見える」だけで十分だ。

Snapの赤字は昨年同期の1億40万ドルから今期は22億ドルに膨らんだ。ただし このコストの大部分は株式ベースの報酬だ。決算報告によれば、Snapの株式公開に伴って社員への報酬として計上されたRSU(制限付き株式ユニット)が20億ドルに上っている。つまりこのRSUの分を除けば事態は一見したほど悪いものではないとも言える。しかしRSU分を除外してもSnapの赤字は前年同期比で2倍になっている。

なるほど上場後最初の決算というのはどんな企業にとって波乱の体験となることが多い。Snapはまったく新しいジャンルの広告ビジネスであり、ウォールストリートは営業成績の予測にあたって2年あまりのデータしかなかった。ビジネス自体は急成長している―2015年から2016年の間に6倍にもなった。しかしコストもそれに比例して急騰した。今後ウォールストリートはSnapについてユーザー数、コスト、売上構造など、あらゆる変化をきわめて注意深く研究することになるだろう。

〔日本版〕SnapはAWSクラウド上で運営されており、上場申請書によればAWSに対して毎年10億ドルを支払う契約をしている。RSUはストックオプションと似ているが株式自体を給与の一部として定期的に支払うことを約束する制度。Wikipediaに解説がある。

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Nvidiaの利益、前年の2倍以上と絶好調――機械学習、ディープラーニングが追い風

Nvidiaのビジネスは絶好調だ。GPU事業は急拡大を続けており、自動運転テクノロジーなどへの巨額の投資も成功しつつある。先ほど発表された四半期決算を受けて株価は時間外取引で10%以上アップした。

2017年第1四半期の決算でNvidiaは5億700万ドルの純利益を上げたと発表した。これは前年同期の2億800万ドルから2倍以上の大幅アップだ。これと同時に売上も前年同期比で48%増加した。Nvidiaの急速な成長の原因は、自動運転や自然言語理解のようなディープラーニングによるコンピューター処理を担うGPUの需要が急増した点にある。

これによってNvidiaの前には、まったく新しい成長市場が開かれた。ウォールストリートはこの展開に強い好感を抱いたようだ。Nvidiaは以前からグラフィックスとゲーム用ボードの代名詞だったが、今や多くの企業、ことに人工知能を利用しようと試みるスタートアップにとって必須のハードウェア供給元になっている。膨大なデータを利用し、その場で効率的に処理するモデルにはNvidiaのカードが欠かせない。

AI以外の分野でもNvidiaのビジネスは好調だ。特にTegraプロセッサの売上は3億3200万ドルと倍増した。これには任天堂Switchのリリースが大きく貢献しているはずだ。

当面Nvidiaは投資家にとって金の卵を生む存在だ。もちろん現在の経営が順調だということは将来に渡ってGPUビジネスでライバルに脅かされずに済むことを保障しない。たとえばGoogleは機械学習のアルゴリズムを直接実行できるTPUチップの内製に取り組んでいる。人工知能全般に対する需要は高まっているが、そのうちで自動運転のような特定の分野に特化していくのがNvidiaの方針だ。

ちなみにここ1年のNvidiaの株価の動きは下のグラフのようになっている。

Nvidiaの今期の決算はウォールストリートのアナリストの予想を上回った。売上19.4億ドルの売上に対して1株あたり利益0.79ドルをもたらした。アナリストは19.1億ドルに対して0.67ドルだった。Nvidiaによれば「データセンターにおけるGPUコンピューティングは対前年比でほぼ3倍になっている」という。これはNvidiaの将来について重要な指標だろう。同社はディープラーニングが必要とするハードウェアの供給で(すくなくとも現在のところ)トップに立っていることは間違いない。

画像: David Becker/Getty Images/Getty Images

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AmazonのQ1は決算好調で株価上昇――売上は$35.7B、1株あたり利益も予測を上回る

Amazonは取引終了後に第1四半期の決算を発表した。1株あたり利益はウォール・ストリートの予測1.12ドルをはるかに上回る1.48ドルだった。純利益は7億2400万ドルとなった。

売上高は357.1億ドルでこれもアナリストの予測353.0億ドルを上回った。前年同期比でも23%のアップとなっている。時間外取引の当初、株価は5%も跳ね上がった。

ただし当期の営業利益は6%ダウンして10億ドルにとどまった。投資家は北米での営業利益率の向上を望んでいたが、この点では期待外れに終わった。

四半期決算にともなう声明でCEOのジェフ・ベゾスはインドにおける事業に関して、成長が期待できる巨大市場だという楽観的な見通しを述べた。「われわれのインド・チームは急速に活動を前進させており、販売者にも消費者にも良い結果を出している。インドではAmazon Primeが9ヶ月前にスタートして以来、品目を75%増加させた。今年に入ってからだけでフルフィルメント能力を26%も向上させている。Amazonビデオではインド・オリジナルの番組を18シリーズ公開した。先週はインドの消費者向けに最適化されたFire TV Stickを発表した。これには英語とヒンディー語による音声検索機能が内臓されている」とベゾスは述べた。

eBay、Tencent、Microsoft等は最近、インドにおけるAmazonのライバル、Flipkartに合計14億ドルを投資をしている。

Amazonのクラウドサービスのプラットフォーム、AWSも順調に拡大を続け、第1四半期の売上は37億ドルを記録した。前年同期の26億ドルから43%のアップとなる。ただし成長率はやや低下している。一昨年から昨年にかけての同期の成長率は64%だった。

Amazonの株価は昨年51%アップしている。時価総額は4390億ドルとなった。

画像: Mark Wilson/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoPro、さらに270人をレイオフへ―Q1は好成績と予告

今日(米国時間3/15)は 2017年第一四半期の決算の予告を発表した。これによると売上は前期に発表されたガイダンスの予測幅の上限という好成績だという。しかしこの明るいニュースに270人分の職を新たにカットする計画が影を落とすこととなった。

このレイオフは2016年1月に発表された100人分(7%)、11月の200人分(15%)の人員カットに上乗せされる。

2015年のクリスマス商戦の不振に続き、待望の新製品、折り畳み式のKarmaドローンがリコールを余儀なくされ、GoProの株価は急落した。 このリコールは「少数のKarma」に飛行中に電力を失うという不具合があったためだという。2016年のGoProのビジネスは荒れ模様となり、墜落を回避するための措置が必要となったわけだ(どうしてもこういう比喩を思いついてしまう)。

いつもながらGoProのファウンダー、CEOのNick Woodmanは強気で、将来計画を発表するときは笑顔を絶やさない。

Woodmanは決算関係のニュースと同時に発表されたプレスリリースでこう述べている。「GoProの財務状況はわれわれのプロダクトの高いブランド力に見合うものだと確信する。コスト削減の努力が実を結び、製品計画は順調だ。重要な点として、われわれは2017年には年間を通じて非GAAPベースでの黒字を出せるものと予測する」。

この声明は今年1月にCESでGoProが発表した内容に沿ったものだ。悪いニュースの中にあって若干の明るい要素を示したわけで、 株価は時間外取引で小幅ながら反発した。

Forbesが引用した情報源によれば、このレイオフは主として仮想現実部門とメディア部門をターゲットにしたものという。情報源はこれらの部門について「責任者がすでに誰もいない」と述べている。CESでWoodmanが述べた「GoProはコア事業に資源を集中する」という路線を実行するものなのだろう。そうであっても、類似製品があふれ、その多くが低価格を武器にしている市場のリーダーとして会社の舵取りは難しいものとなりそうだ。ことに、一時は提携したこともあるライバル、DJIとの競争は厳しくなる。

われわれはGoProに付け加える情報があるかどうか問い合わせ中だが、同社は公開された声明で意味は十分通じるという立場を取ると思われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DeNAがキュレーション事業で38億円の減損処理、事業再開について「決まっていることはない」

DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏

DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏

2016年末に医療系キュレーションメディア「WELQ」を契機にした騒動を巻き起こしたディー・エヌ・エー(DeNA)。2月8日に開かれた2017年度第3四半期(3Q:4〜12月)の決算説明会の冒頭で、DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏はあらためてこの騒動に対して謝罪。サイト再開の可能性があるかどうかについて、「検討しているが決まっていることはない」とした。今後は3月を予定する第三者委員会の報告も踏まえて、アナウンスできることがあれば速やかに行うとしている。

DeNAの3Q累計決算(IFRS)は、売上収益が1087億2000万円(前年同期比0.0%増)、営業利益が186億6300万円(同27.1%増)、四半期最終利益が288億300万円(同244.5%増)となった。キュレーション事業については、現状で事業再開のめどが見えないとして、のれん代38億5900万円の減損損失を計上。同事業は2016度第1四半期〜第3四半期(4〜12月)で約17億円の営業赤字を計上しており、第4四半期については13億円弱の赤字になる見込みだという。また一方で欧米の海外子会社の清算に伴う諸経費22億円を計上。利益を押し上げた。

キュレーション事業の業績

キュレーション事業の業績

説明会の後半の質疑応答でも会場のアナリスト、メディアからキュレーション事業に関する質問があったため、その内容を中心にまとておこう。冒頭にもあったとおり、守安氏はキュレーション事業に関する第三者委員会の調査結果が出る3月、事業を再開するかどうか、その可否も含めて協議をしているという。

「再開するのであれば具体的にはどういうバリューがあればユーザーに受け入れられるか、運営として適切で、アウトプットで責任が持てるのか、世間的にも受け入れられるのか、事業としてみた場合に魅力的になるのかと総合的に判断していく」(守安氏)

またキュレーション事業の成長性自体が当初とズレてしまっているかという質問に対しては、「判断はまだ早い」(守安氏)として、再開の可否を話すタイミングで改めて説明するとした。

DeNAではWELQ騒動を受け、専用の相談窓口を立ち上げている。この窓口への相談件数は具体的に開示されなかったが、「総数では結構な数を頂いている」「実際の健康被害で言えば数件単位」「主張されたことが当社起因か分からないことがあるので個別で相談させて頂いている」(いずれもDeNA執行役員 経営企画本部長の小林賢治氏)という状況だという。

では、DeNAはWELQ騒動以後に変化があったのか? これについて守安氏は、「変わっている最中。変わっていこうとしている最中」と答えた。

「議論してるところ。(DeNAは)色んな事業を展開しているが、管理体制、コンプライアンスのあり方について十分かどうかや、やり方を考えている。また行動規範のあり方を見直す必要はあるのではないかと考えている。その中で経営体制なども、中長期で考えていこうとしている最中だ」(守安氏)