「生」ドッグフードを開発するMaevが約10億円調達、犬は喜び庭駆け回る

消費者が自身の身体に取り入れる食材についてより高い意識を持つようになるにつれ、同時にペットに与えるものについても意識が向けられるようになっている。世界的なパンデミックによりペットと過ごす時間が増えたことがきっかけとなり、同業界の売上は2020年には1000億ドル(約11兆4000億円)を突破した。

オースティンを拠点とし、人間グレードの「生」ドッグフードを開発しているのがMaevだ。同社はローフード部門のシェアを拡大すべく、米国時間12月10日、Springdale Venturesが主導する資金調達ラウンドで900万ドル(約10億円)を調達したと発表した。同社はこれまでにもVMG Partners、Bolt、Willow Growthの支援を受けた非公開のラウンドを調達している。

同社のD2Cのペットケアブランドの構想は、2018年にCEOのKatie Spies(ケイティ・スピース)氏とChristine Busaba(クリスティン・ブサバ)氏によって発案された。3つの学位を持つスピース氏は、起業前、エンジニアとしてキャリアをスタートさせている。あるスタートアップ企業で製品開発マネージャーとして働いていたものの、やりたいことを模索するため辞職した。やがてドッグウォーカーとして犬の散歩の仕事をするようになった時のこと、同氏はドッグフード分野で何が必要とされているのかを実感することになる。

Maevの創業者兼CEOのケイティ・スピース氏(画像クレジット:Maev)

正式に会社を立ち上げたのは2019年だが、ブサバ氏とスピース氏が生ドッグフードの最初の製品を発売したのは2020年になってからだった。パンデミックがMaevの立ち上げに影響を与えたのだ。4人の従業員とともに、発売計画をずらしたり資金調達ラウンドを延期したりしなければならなかったという。結局はすべてがうまくいき、現在ではビタミンバーやボーンブロスのトッピングなどを製品パイプラインに追加している。

同社の食品は獣医栄養士チームとともに開発されており、健康な犬の栄養のギャップを解決するための臨床テストが行われている。冷凍食品には本物の肉、野菜、果物が使われており、解凍する必要がある他社製品とは異なりMaevの製品は冷凍庫から出してすぐに食べることができるとスピース氏は話している。

「当社は3つの製品からスタートしたのですが、ペットケアの未来を築いていきたいと考えています。この分野にはこれまでイノベーションがほとんど存在しませんでした。中にはすばらしい製品もありますが、ペットの飼い主たちは健康的な製品とは使いにくいものだと諦めていたのです。私たちは、より簡単で愛犬にとってすばらしい製品を作りたいと考えています」。

Maevは定期購入商品として製品を販売しており、コストは1食あたり平均2ドル(約230円)程度となっている。この1年で約2000人の顧客を獲得し、現在の従業員数は16名、募集職種は11枠だ。同社は収益と顧客基盤の両方を拡大し続けており、サプライチェーンへの投資とイノベーションの強化に取り組んでいる。

新しい資本を手に入れたスピース氏は、前月比20%の成長を25%に押し上げるべく「アクセルを踏み込む」計画だ。今後1年間はオムニチャネルで販売し、顧客の囲い込みに力を入れる。同社の92%の顧客が、1箱目を購入後も継続して購入しているという。これは他のペットフードブランドではあまり見られない統計で、業界平均は60%だとスピース氏は説明する。

同氏はこの新たな資本をオースティンへの本社移転、ブランド認知、マーケティングとサプライチェーンにわたる雇用に投資したいと考えている。顧客からの最大の要望の1つが鶏肉製品で、現在3カ月後の発売を目指して計画が進められている。この商品が現在の牛肉商品の売り上げを上回るだろうとスピース氏は見込んでいる。

米国には9500万頭の犬がいるとされており、同社には十分な成長余地があるとスピース氏は指摘する。同氏によると、ここ数年で新たなペットフード会社が112社も誕生しており、新規参入組が市場を揺さぶっている。Maevは、Alpha PawJinxに続いて、この2カ月で新たにベンチャーの支援を得て資金を調達した企業となった。

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一方、既存のペットフード企業も健康志向の食品分野に手を伸ばしている。Freshpetは9月にベジタリアンドッグフード「Spring & Sprout」を発売し、Hill’s Pet Nutritionは2021年11月、Bond Pet Foodsと提携し、ペットフードとしての発酵による肉タンパク質の生産を発表した。

「市場の進化を見ることができて、本当におもしろいです。より多くの飼い主が標準的なペットフードの問題点について学び、愛犬に何を与えているのか懐疑的になっているのはすばらしいことです。しかし、最終的に愛犬のために何を選ぶかというのは、健康と長寿のためにとても重要なことです」。

細部へのこだわりとペットへの配慮こそが、同社が多くの投資家を惹きつけている理由である。

VMG PartnersのパートナーであるCarle Stenmark(カール・ステンマーク)氏は、声明で次のように伝えている。「VMGのポートフォリオに加えるブランドを検討する際、私たちは強いこだわりと規範を持っており、象徴的なブランドになるために必要な鍵を持つ企業に対しては、少額ずつかつ戦略的な投資を行うようにしています。私たちは、非常に熱心で意見を持った顧客基盤を持つMaevに惹かれ、また次世代のペットケアの基準を打ち立てているワールドクラスの創業者であるケイティとの連携に胸を躍らせています」。

Springdale Venturesの共同設立者でゼネラルパートナーのDan Graham(ダン・グラハム)氏は次のように付け加えている。「私たちの領域でいう革新とは、単に異なるフォーマットやパッケージの新製品を出すということではなく、消費者の生活に目を向け、彼らの期待を超え、彼らの愛する人やペットの日常生活を向上させる方法を見つけるということです。我々にとってペット分野への投資は初めてのことですが、同社の製品が健康的なペットフードというトレンドの最先端を行くすばらしい製品であることに加え、ペットとその飼い主の生活を変えるというケイティの情熱と決意に対して私たちは心から楽しみにしています」。

画像クレジット:Maev

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(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)

レジャー予約サイト「アソビュー!」運営元が総額30億円のシリーズE調達、累計調達額約55億円に

レジャー予約サイト「アソビュー!」が総額30億円のシリーズE調達、累計調達額約55億円に

遊び・体験の予約サイト「アソビュー!」をはじめ、観光・レジャー産業向けSaaSなどを提供するアソビューは12月24日、シリーズEラウンドにおいて、総額30億円の資金調達を12月23日に完了したと発表した。引受先は、フィデリティ・インターナショナル、三井不動産とグローバル・ブレインが共同運営する「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI事業」。累計調達額は約55億円となった。

調達した資金により、アソビュー!の認知拡大、観光・レジャー産業向けのバーティカルSaaSによるDX支援を実施する。またこれに伴う、プロダクト開発やインフラ面の整備、人材採用にあてる。

2011年3月設立のアソビューは、「アソビュー!」、大切な人に思い出を送る体験ギフト「アソビュー!ギフト」、レジャー観光・文化施設向けDXソリューション事業を提供。「生きるに、遊びを。」をミッションとし、「遊び」が衣食住に並ぶ人生を豊かに彩るものとして、ウェルビーイング(Well-Being)な社会の実現を目指している。

Shopify上での店舗のサブスク販売を支援するSkioが4.2億円調達

Skio(スキオ)は、Shopify(ショッピファイ)上の店舗のサブスクリプション販売にともなう苦痛を取り除くことを目指すスタートアップだ。同社は、シードラウンドで370万ドル(約4億2000万円)を調達した。

同社はHulu(フールー)とPinterest(ピンタレスト)に勤務していたエンジニアのKennan Davison(キーナン・デビソン)氏が4月に創業した。

デビソン氏はSkioを、フィンテックかつインフラの会社だと説明する。以前、Y Combinatorで練った構想から方向転換した。Skioが挑むのは、ReCharge Paymentsのような会社だ。ReCharge Paymentsもeコマースブランド向けにサブスクリプションソフトウェアを開発した。2021年初めには2億2700万ドル(約259億円)を調達し、同社には21億ドル(約2400億円)の評価額がついた

ニューヨークを拠点とするSkioは、Shopify上の店舗がサブスクリプションで販売できるよう、支払いスケジュールの管理だけでなく、サブスクリプションを管理するための顧客ポータル構築やSMSサブスクリプション管理など、消費者向けのプロセスに関わるあらゆることを支援する。

同社が使用する最新のフレームワークにより、既存のサービスよりも「はるかに迅速な構築」が可能になると主張する。

「迅速に構築するので、既存のソリューションよりも優れた機能を実現できます。Shop Payを使ったコンバージョン率を高めるワンクリック精算、カスタマーチケット(顧客からの問い合わせ)を減らすパスワードレスログイン、10倍速いサブスクリプション編集、すぐに使えて即時ロード可能なヘッドレスサブスクリプションポータル、グループサブスクリプション割引、ReChargeからの簡単な移行などがあります」とデビソン氏は語る。

Skioのしていることは正しいに違いない。すでにBev、MatchaBar、Remedy Organics、Quokka Brew、Muddy Bites、Barukas、Simulate、Red Bay、Dandelion Chocolate、Siete Foods、Doe Lashes、Backboneなど多くの顧客を抱えているからだ。

「私たちは、Shopifyの小規模な販売店とともに、市場の底辺からスタートしました」とデビソン氏はTechCrunchに語った。「今、ReChargeからSkioに、大規模な顧客が移ってきています」。

画像クレジット:Skio

この起業家のサブスクリプションに関する経験は高校時代に遡る。授業をサボり、Conscious Boxというサブスクリプションボックスのスタートアップでウェブ開発を行うようになったという。その後、Huluでエンジニアとして働き、サブスクリプション割引を管理するアプリをつくった。その後、Pinterestでグロースエンジニアとして、ユーザーのコンバージョンを高めるために200以上のA/Bテストを行ったという。

Skioは今のところ、Shopifyの販売店向けにサブスクリプションを支援しているが、デビソン氏の目標は、いつか「すべてのインターネット上の」販売店向けに仕事をすることだという。

AdjacentがSkioのシードラウンドをリードした。創業者のNico Wittenborn(ニコ・ウィットンボーン)氏は、モバイルファーストのサブスクリプション企業に焦点を当て、2020年同社を設立した。Adjacentを設立する前、ウィットンボーン氏はPoint Nine CapitalとInsight Partnersで働き、Calm、Revolut、Prose、Oura、Reflectlyといった企業を支援してきた。

今回の資金調達には、MuteSixのDaniel Rutberg(ダニエル・ラトバーグ)氏とMoody Nashawaty(ムーディー・ナシャワティ)氏、Shaan Puri(シャーン・プリ)氏、ItalicのJeremy Cai(ジェレミー・ケイ)CEO、Tiltの共同創業者でMagic Mindの創業者であるJames Beshara(ジェイムズ・ベシャラ)氏、Julian Shapiro(ジュリアン・シャピロ)氏、Sahil Bloom(サヒル・ブルーム)氏、そしてImmi、Thingtesting、Taika、Smile.io、Literati、Linjer、Raycon、Cresicor、Corted、Orcard Analytics、Cohereの創業者や幹部など多くのエンジェル投資家が参加した。

現在、Skioの従業員は5人だが、新しい資金を製品開発にあて「世界レベルのソフトウェアエンジニアを積極的に採用する」そうだ。

「1人で始めたため、適切な人たちにかなりの株式を与えることができる状態です」と同氏は話す。

リードインベスターのウィットンボーン氏はTechCrunchに対し、近年はShopifyエコシステムを追っており、その前は暗号資産のChainalysis、モバイルのRevenueCat、Salesforce(セールスフォース)エコシステムのOwnBackupなど、他の成長中のエコシステムに同様のインフラ投資を行っていたと語った。

「私がキーナンを紹介されたとき、彼はShopifyベースのサブスクリプションサービスのための基礎的部分を構築しているようでした。Skioの既存顧客や潜在顧客といくつかリファレンスコールをもったところ、同社の製品が既存のソリューションよりもはるかに有望で柔軟であることがすぐにわかりました」と同氏はメールに書いた。「真の競合他社はReChargeだけです。同社は市場の支配的な立場に安住しているように見えます。これはエコシステムのフラストレーションにつながると同時に、キーナンのような人に、より反応の良い統合された製品と、より良い顧客サポートで物事を揺るがす機会を作り出しました」。

画像クレジット:Busakorn Pongparnit / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

土木建設のさらなる効率化を目指すブラジルの建設テックAmbarが約41.2億円調達

ブラジルの建設テックスタートアップAmbar(アンバー)は、大規模なシリーズCラウンドを調達したことを発表した。2億400万レアル、今日の市場中値で約3600万ドル(約41億1800万円)だ。このラウンドはブラジルのEcho Capital(エコー・キャピタル)とOria Capital(オリア・キャピタル)が共同でリードし、TPG Capital(TPGキャピタル)、Argonautic Ventures(アルゴノーティック・ベンチャーズ)などが参加した。

Ambarは、テクノロジーを活用して土木建設プロセスを効率化するという野望を持って2013年に設立された。同社によると、これまでに3億6000万レアルの株式資金を調達している。これは約1億ドル(約114億4400万円)だと、CEOのBruno Balbinot(ブルーノ・バルビノット)氏は推定している。

この1億ドル(約114億4400万円)という数字は、現在のドル建て3億6000万レアルに相当する金額よりも高いが、為替レートはこの数年でかなり変動しているので、この数字を割り出すのは一筋縄ではいかない。また、一方で、同社の借入金も調達していることは考慮されていない。

正確な数字はともかく、Ambarは現在、計画実行のための相当量の資本を手に入れたということだ。TechCrunchの取材に応じたバルビノット氏は、この資金をラテンアメリカ全域で強いニーズがあるデジタル化事業を強化するために使う計画だと説明した。

スペイン語圏のラテンアメリカはAmbarの収益の一部となっているが、Ambarが最も存在感を示しているのはブラジルであるとバルビノット氏はいう。このスタートアップの母国には、2つの利点がある。この地域最大の市場であること、そしてブラジルのポルトガル語が競合他社に対する堀の役割を果たすことだ。

Ambarのサイトによると、467社のアクティブな顧客がいる。このうち3社は米国にあるが、米国に進出したのは、学習のためだとバルビノット氏はいう。一方、ブラジル国内では1500の建築現場がある。

Ambarのビジネスには、2つの側面がある。さらに推進する計画のデジタル化と、一部のメディアで建築分野のLego(レゴ)に例えられた工業化だ。

とはいえ、Ambarはゼネコンではない。「私たちは、建設業を営む人たちとパートナーを組むのが目的であり、決して建設業を営むことはありません」と、バルビノット氏はポルトガル語で語った。バルビノット氏は、Ambarが技術系企業であることを主張するだけでなく「建設部門よりもはるかに高い」単位経済性を裏付けにする。

バルビノット氏と共同創業者のIan Fadel(イアン・ファデル)氏には、自動車産業という意外なインスピレーションの源がある。Volkswagen(フォルクスワーゲン)の関連会社で働いていた2人は、同じようなプロセス駆動型のアプローチを建設分野にも取り入れたいと考えている。

建設業をより効率的に変革することは、同時に持続可能性を高めることでもある。人的・物的資源を最適化することで、Amberは従来の建設業の大きな副産物であった廃棄物を削減している。

これは、最新の投資家たちが取り組んでいる問題でもある。Oria CapitalはBコーポレーションで、サイトの環境・社会・ガバナンス(ESG)セクションは「Oriaのポートフォリオは、国連が提唱する主な持続可能な開発目標に貢献することを目指しています」と、説明している。

また、今回のシリーズCラウンドは、国連グローバル・コンパクトのイニシアチブと繋がりのあるAmbarの取締役Guilherme Weege(ギリェルメ・ウィーゲ)氏が新たに設立した成長ファンド、Echo Capitalが共同リードしている。ファッショングループGrupo Malwee(グルポ・マルウィ)のCEOは、同イニシアチブの1.5℃へのビジネス・アンビション・コミットメントに署名したビジネスリーダーの1人だ。

両ファンドは、Ambarが見習いたいポートフォリオの成功例がある。ウィーゲ氏のファミリーオフィスは、最近サンパウロのB3証券取引所のNovo Mercado(ノヴォ・メルカド)セグメントでIPOを果たしたブラジル企業のInfracommerce(インフラコマース)を支援した。Oriaは、1億ドル(約114億4400万円)の第3号ファンドで、2020年7月にNASDAQに上場したZenvia(ゼンヴィア)への追随投資を行った。

AmbarもOriaの3号ファンドが支援した企業の1つで、来年は大きな成長計画を立てている。「2022年には、Ambar製品を適用した同時施工数を2倍に増やし、970社の新規顧客を獲得する予定です」と、バルビノット氏は述べた。

最近、ソフトウェア会社のAutodoc(オートドック)を買収したバルビノット氏とそのチームは、ビジネスのIT面を優先させる計画だ。このスタートアップは、断片化を解消し、顧客が「1つのプラットフォームですべてにアクセスできるようにしたいのです」と、バルビノット氏は言った。「10のアプリケーションがあり、多くの人がそれらをコントロールする必要があったとしたら、これからはすべてを統一し、同じログインで提供します」。

画像クレジット:Amber

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(文:Anna Heim、翻訳:Yuta Kaminishi)

Dapper Labsも支援するTiblesがドクター・スースのキャラをNFTトレーディングカードに

2012年、ブルックリンに拠点を置くモバイルアプリ開発のスタートアップ企業が、83年の歴史を持つトレーディングカード会社Topps(トップス)に仕事を依頼された。UCLAで経済学を専攻し、トレーディングカードをこよなく愛していた社長のErich Wood(エリック・ウッド)氏にとって、この仕事は楽しいだけでなく、彼の人生を大きく変えるものとなった。

その当時、Toppsは、メジャーリーグベースボール、ナショナルフットボールリーグ、スターウォーズとライセンス契約を結んでいた。当時の同社デジタル部門責任者に見出されたウッド氏の小さな会社は、これら3つの最初のデジタルトレーディングカードプラットフォームを構築するために招かれたのだった

このデジタルトレーディングカードはすぐに好評を博した。実際、ウッド氏によると、あまりにも上手くいったので、同氏は2016年、デジタル部門責任者だったMichael Bramlage(マイケル・ブラムレッジ)氏と一緒に、自分たちのデジタル収集品会社Quidd(クイッド)を設立することに決めた。

それから現在にまで早送りすると、ブラムレッジ氏はまだQuiddのCEOを務めているが、Quiddは2019年にAnimoca Brands(アニモカ・ブランズ)に買収され、現在は独立した子会社として運営されている。一方、ウッド氏は静かにTibles(ティブルズ)という新しい事業を13人で起ち上げており、
Cadenza Ventures(カデンツァ・ベンチャーズ)が主導するシード資金調達で300万ドル(約3億4300万円)を調達したばかりだ。このラウンドには、2021年初めに「NBA Top Shot(NBAトップショット)」で世界に旋風を巻き起こしたDapper Labs(ダッパーラボ)も、前回に続いて参加した。

関連記事:NFTとは何か?デジタル収集家たちのなぜ今、熱狂しているのか?

興味深いことに、TiblesはQuiddとあまり変わらないように見えるが、Quiddはまだコレクターズアイテムを「オフチェーン」、つまり中央のサーバーに保管しているのに対し、TiblesはDapper Labsが開発したブロックチェーン「Flow(フロー)」のみで動作するNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスを構築している(ちなみにQuiddは、ホームページ上で「間もなくブロックチェーンに移行する」と言っている)。

また、Tiblesがポップカルチャーやエンターテインメント系のブランドに特化しているのに対し、Quiddはスポーツに関するコレクターズアイテムも販売しているという違いもある。

だが、おそらく最も重要な点は、ウッド氏の話から推察すると、TiblesはQuiddや他のデジタル収集品マーケットプレイスとは異なり、既存の画像をデジタル化してNFTにするだけではなく、ブランドと協力して、オリジナルのライセンスを受けたアート、トレーディング体験、コミュニティを備えたエコシステムの構築を計画しているということだ。同社の究極的な目標は、デジタルでの収集体験を、物理的な収集体験と同じくらい本物にすることだという。

それが計画通りにうまくいくかどうかはまだわからないが、まずはその出発点としてTiblesは、同社とDr. Seuss Enterprises(ドクター・スース・エンタープライズ)、Dapper Labsが協力して制作する「Seussibles(スースィブルズ)」を発表した。これはTheodor Geisel(セオドア・ガイゼル)のファンが、ドクター・スースの生み出したキャラクターであるLorax(ロラックスおじさん)や、Grinch(いじわるグリンチ)、Horton the Elephant(ぞうのホートン)などのNFTを所有し、他のファンと交流できるというものだ。

ウッド氏の説明によると、このNFTはPokémon(ポケモン)カードのような5枚組のブラインドパックとして販売されるという。「ステッカー」と呼ばれるこれらのカードは「ステッカーブック」で閲覧でき、他のユーザーたちとお互いのコレクションを見せ合うことができる。

また、ファン同士の交流の場であるクラブハウスや、保有しているカードを交換することができるトレーディングエリアも用意される。

今のところ、すべてのパックの価格は同じで「限定版」のNFTはないが、Tiblesはファンにとってどのキャラクターが他のキャラクターよりも価値があるのかを知るために、人々がどんなふうに交換するかを調べるに違いない。

このスタートアップ企業のロードマップでは、当然のことながら、まずは雇用が優先される。また、TiblesはDapper Labsと緊密に協力して、より多くのコンテンツを生み出せるように、より多くのライセンス契約を獲得する予定だ(具体的な内容を聞かれたウッド氏は「ライセンス契約のロードマップは長い」「秘密だらけだ」と答えている)。

開発面に関しては、ウッド氏によれば、計画は非常に単純だという。Tiblesは「他のApple(アップル)アプリ内課金と同じように、誰もが簡単に購入できるようなユーザー体験を提供することに非常に注力している」とのこと。また、ウッド氏は、ユーザーがコミュニティに参加したり、共有したり、整理したり、交換したりすることを、非常に簡単にしたいと考えている。「私たちは、これを楽しいものにして、(その成功を)いくつかの異なるパブリッシャーやライセンス、異なる体験で再現することに力を入れています」。

確かに、ウッド氏はデジタル収集品市場における長年の経験から、ファングループごとに評価が異なる傾向があることを知っている。Dapper LabsとDr. Seuss Enterprisesとの契約は、カードのようなステッカーを中心とするものだが、他のクライアントのための将来のプロジェクトでは「動画やアニメーション、あるいはインタラクションになるかもしれません」と、同氏は語る。

共通しているのは、すべてが収集可能なウェブオブジェクトになるということだ。あとはプロパティ次第である。「私たちは、IP、ブランド、ファン、そして彼らが好むものを理解することに多くの時間を費やします」と、ウッド氏はいう。「そして、それがうまくいくことはほとんどありません」。

Tiblesの最近の資金調達は、2021年初5月に実施された119万ドル(約1億3600万円)のシードラウンドに続くものだ。

前回のラウンドを主導したDapper Labsに加え、CoinFund(コインファンド)とWarburg Serres(ウォーバーグ・セレス)が両ラウンドに参加している。

画像クレジット:Tibles

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

睡眠計測サービスの筑波大学発S’UIMINがシリーズBファーストクローズで5億円調達、サービス拡大や新規デバイス開発

睡眠状態を可視化するサービス「InSomnograf」(インソムノグラフ)を提供する「S’UIMIN」は12月20日、シリーズBラウンドのファーストクローズにおいて、総額5億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、長瀬産業と帝国通信工業。累計調達額は約14億円となった。

調達した資金は、健康診断や人間ドックにおけるオプションサービスの拡大、新規デバイスの開発、電極量産のための資金、ビッグデータビジネスに向けての基盤構築などにあてる予定。

InSomnograは「InSomnia」(不眠症)と「Graf」(可視化)を合成した造語。サービス内容は、脳波を測定する独自ウェラブルデバイスから得られた情報をクラウド上のAIで解析し、睡眠状態を高精度で可視化するというもの。サービス利用者はPCやスマートフォンを通じ、その日の睡眠の「経過図」や「簡易評価」を即時的に確認できる。複数晩の計測後に作成するウィークリーレポートも、オンラインで確認可能。

2017年10月設立のS’UIMINは、筑波大学の「国際統合睡眠医科学研究機構」を母体とするスタートアップ。「世界中の睡眠に悩む人々にとっての希望の光となる」をビジョンに、睡眠障害へのあるべき予防・診断・治療の実現を通して、睡眠をキーワードとした健康寿命の延伸を実現を目指し、人類社会に貢献するとしている。

何かと忙しい会議をスマート化、行動につなげやすくするAvomaが13.7億円調達

Avomaの共同創業者。左からアルバート・ライ氏、ディベンドラ・ロールカー氏、アディチャ・コタディア氏(画像クレジット:Avoma)

会議中にメモをとるのは、聞きながら入力し、その2つをしながら次にいう気の利いたことを考えるマルチタスクが求められる芸術的な技だ。アプリを3つか4つ準備して使い、会議後の行動につなげなくてはならない。

パロアルトを拠点とするAvomaは、会議中にやることや使うアプリが多すぎて抜けてしまうことがあるはずだと考えた。同社は会議のワークフローを自動化し、話し合いを行動につなげやすくするソフトウェアを開発した。

米国時間12月22日、AvomaはシリーズAで1200万ドル(約13億7000万円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのはHeadlineで、Storm Ventures、Global Founder Capital、Zoom Apps Fund、Operator Partners、Industry Venturesが参加した。これまでに投資していたK9 Ventures、Dragon Capital、Twin Venturesも参加した。Avomaのこれまでの調達金額は1500万ドル(約17億1000万円)になった。

2017年にAditya Kothadiya(アディチャ・コタディア)氏、Devendra Laulkar(ディベンドラ・ロールカー)氏、Albert Lai(アルバート・ライ)氏が創業したAvomaは、AIを活用した会議アシスタントを開発した。このアシスタントは議題のテンプレート、メモとビデオの記録、リアルタイムの文字起こし、メモの要約、参加者に対する行動喚起の機能を備えている。

CEOのコタディア氏が以前に創業したShopalizeが2013年に顧客獲得およびエンゲージメントのソフトウェアとサービスを提供する[24]7.aiに買収され、同氏は[24]7.aiに在籍した。同氏は、Avomaを使うと週に数時間を節約でき、会議の成果は平均 30%向上するという。

同氏は次のように語る。「私はプロダクトリーダーとしてしょっちゅう会議に出席し、メモを取るのに時間を費やしていました。新しいプロダクトはお客様やプロダクトマーケティングチームの手に渡りますが、会議中はメモを取るのに忙しくてどうなっているかを聞いていませんでした。これを解決するためにテクノロジーを使って何も取りこぼさないようにしたいと思ったのです」。

Avomaの会話メモ(画像クレジット:Avoma)

生産性向上ツールは新しいものではなく、世界的なコロナ禍でみんなが在宅勤務をするようになって注目を集め、採用されている。しかしコタディア氏は、Avomaは会議管理、AIアシスタント、会話インテリジェンスを1つのツールにまとめたところが他との違いで、いくつものツールを購入し続けることがなくなると考えている。

企業のCRMと統合して情報を追加したり、会議中にいつ、誰が主に話したかを見ることもできる。さらにキーワードで検索し、その時点から録音を聞く機能もある。

コタディア氏は「AIが最初の下書きをして、その後はメモを振り返って重要なところを見つけ、必要に応じてさらに補足できます」と説明した。

Avomaは新たに得た資金をAI、ユーザーインターフェイス、ワークフロー統合の3つの柱に使う計画だ。機械学習と自然言語理解機能の改善を続けて、メモを取る機能などの利用ケースを会議のライフサイクル全般にわたって自動化していく。

プロダクト開発にも投資して、フリクションの少ない優れたユーザーエクスペリエンスを提供していく。さらにAIアシスタントや企業の既存システムとの統合についても開発を続ける。

今回はAvomaが順調に成長しているタイミングでの新たな資金調達となった。同社の売上は過去3年間で毎年400%以上成長しており、顧客数は300社を超える。

同社はこの成長を小規模なチームで実現してきた。現在の従業員数は15人で2020年12月と比べると倍増しているが、コタディア氏は今回の資金により、今後1年間で北米とインドのさまざまなポジションで従業員数を4倍にするとしている。

HeadlineのパートナーであるJett Fein(ジェット・ファイン)氏は「夢中になっている顧客」を持つプロダクトに特に関心があるという。同氏はGopuffやAvomaをそうしたプロダクトと見ており、Avomaは中堅企業に選ばれ、新しいリモートの世界でセールスのプロセスをまとめる接着剤になるだろうと考えている。実際、Headlineは社内で投資としてAvomaを使い始め「たいへん気に入りました」という。

ファイン氏は次のように述べた。「Avomaによって我々のプロセスが改善されました。我々が話をしたAvomaのお客様は夢中になっていて、多くの人がこれなしではやっていけないと言っています。お客様はAvomaを使うことで仕事の効率が大幅にアップしたと言います。そうした声を頻繁に聞いて、我々の興味は大いにかきたてられました」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)

電話自動応答サービスのIVRyが約3億円のシリーズA調達、プロダクト開発および採用・組織体制を強化

電話自動応答サービスのIVRyが約3億円のシリーズA調達、プロダクト開発および採用・組織体制を強化

電話自動応答サービスの「IVRy」(アイブリー)を提供するIVRyは12月22日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による約3億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、フェムトグロース・スリー投資事業有限責任組合、プレイド。調達した資金により、プロダクト開発および採用・組織体制の強化を行ない、電話応答の自動化による業務効率化の推進、他サービスとの連携による電話DXの実現を目指す。電話自動応答サービスのIVRyが約3億円のシリーズA調達、プロダクト開発および採用・組織体制を強化

IVRyは、様々なシーンでの電話業務を自動化・効率化し、業務オペレーションへの集中や対応工数削減を実現するSaaSサービス。PCやスマートフォンから即時登録・設定でき、最短5分で利用開始可能という。自由な分岐設定と自動応答・SMS返信・電話の転送(リダイレクト)・録音機能・ブラウザー電話機能などを活用することで、営業電話・顧客からの問い合わせ・注文・予約などの対応を自動化する。

  1. 電話自動応答サービスのIVRyが約3億円のシリーズA調達、プロダクト開発および採用・組織体制を強化

2020年7月にベータ版として提供を開始し、2020年11月に正式リリース。サービスリリースから1年で、病院や企業の代表電話・部署電話、飲食店、美容院、EC事業者などをはじめ、20種以上の業界で利用されているという。「最短数分で利用開始できる即時性」「月額3000円から使えるコスト面のハードルの低さ」「デジタルサービスに明るくないユーザーにも使いやすいUI・UX」「幅広い業種で活用できる高いカスタマイズ性」を特徴としている。

今回調達した資金は、サービスの機能開発およびマーケティング、組織体制の強化、採用活動に活用し、さらなる事業成長を目指す。必要不可欠でありながら業務効率化が進んでいないコミュニケーションツールである「電話」のあり方を再構築し「電話DX」を実現することで、スモールビジネスや中小企業を中心にあらゆるビジネスの業務効率化を実現したいという。

中小ビジネス向け融資プラットフォームのAmplaがシリーズAで約45.7億円調達

Amplaの創業チーム。(左から)Jim Cummings(ジム・カミングス)氏、Anthony Santomo(アンソニー・サントモ)氏、Jie Zhou(ジー・ゾウ)氏(画像クレジット:Ampla)

中小規模の消費者向け事業者に融資を行うAmpla Technologies(アンプラ・テクノロジーズ)は米国時間12月22日、4000万ドル(約45億7000万円)のシリーズAラウンドをVMG Partners(VMGパートナーズ)とForerunner Ventures(フォアランナー・ベンチャーズ)のリードで完了したことを発表した。

既存出資者のCore Innovation Capital(コア・イノベーション・キャピタル)もラウンドに参加した。Amplaはこの少し前、今回の株式投資とは別に2億5000万ドル(約285億4000万円)の負債融資を受けて事業を強化している。今回の資本投入によって、ニューヨーク拠点スタートアップの2019年創業以来の総調達額は、株式が5000万ドル(約57億9000万億円)、負債融資が3億3000万ドル(約376億8000万円)となった。

中小事業者やeコマース事業者に融資しているスタートアップは他にも数多くあるが、Amplaは自社の差別化要因を「オムニチャンネル」収益ストリームを考慮した融資限度枠を提供していることだと説明している。目標は、ファウンダーが低コストでより多くの資本を手に入れられるようにすることだとAmplaのCEOでファウンダーのAnthony Santomo(アンソニー・サントモ)氏はいう。

たとえばAmplaの主力プロダクトは、企業に(収益を上げる前でも)運転資金を貸し出すことで、在庫確保やマーケティングなどに出費できるようにすることが目的だ。現在Amplaは、eコマースと小売店舗チャンネル両方の消費者ブランド業界にいる中小企業を扱っている。同社「独自の」のデータに基づく保証ツールは、ビジネス全体を評価し「完全に透明」な利息と高い貸し出し限度で融資を行い隠れコストはない、とサントモ氏はいう。

ベンチャー資金の調達とは異なり、運転資金の調達は非希釈的(既存株主の持分比率が減らない)だ。最近、Clearco(クリアコ)やSettle(セトル)など、代替融資を行うスタートアップがいくつもでてきている。

Amplaはその一歩先を行き「新興企業がより効率的に成長する」ための周辺金融ツールを提供しているとサントモ氏はいう。

現在同スタートアップには、Partake Foods(パーテイク・フーズ)、Bev(ベヴ)、Good Planet Foods(グッド・プラネット・フーズ)、およびSerenity Kids(セレニティ・キッズ)など200社以上の顧客がいる。Amplaの顧客企業のファウンダーは、30%近くが白人以外で、40%以上が女性だと同社幹部は語った。

同社は具体的な売上数値は明らかにしなかったが、月間取引量は直近12カ月に300%以上伸びたと言った。同じ期間に社員数は4倍の40名になった。

Amplaは新たな資金を使って、プロダクト、テクノロジー、営業、および運用各部門の追加雇用を行う計画だ。

「チームを拡大することによって、新たなプロダクトの提供と既存プロダクトの改善を迅速に行えるようになります」とサントモ氏がTechCrunchに話した。「すべてのプロダクトは顧客からのフィードバックと要望に基づいています」。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックはeコマース利用に変革を起こした。パンデミック到来時「Amplaはすぐに、顧客基盤の大部分でEコマース販売が急増していることに気づきました」とサントモ氏は言った。「こうしたeコマース販売の大幅な増加によって、商業レベルの本格的運転資金ソリューションの需要が世界中で生まれました」。

Forerunner Venturesの代表、Jason Bornstein(ジェイソン・ボーンスタイン)氏は、Bonobos(ボノボス、Walmart[ウォルマート]のeコマース主導アパレル小会社)の創成期に顧客獲得・需要計画の責任者を務め、1億ドル(約114億4000万円)以上の資金を調達した。

同氏はこう回想した「当時オンラインでブランドを構築するのは簡単でしたが、オンラインでビジネスを構築するのはとても困難でした」。

「それでもこの10年で、デジタルブランドを立ち上げる手法が確立されました。プロダクトやサービスの実施レイヤーが成熟し、今はデジタルブランドの活気あふれるエコシステムができ上がっています」と同氏がメールで言った。「しかし、こと融資となると選択肢はまったく明確ではありません。有名ブランドがVCエコシステムを通じてベンチャー資金を得ている一方で、ほとんどのブランドは規模拡大のための適切な資本を利用できません。どのブランドにも、自分たちのビジネスモデルや資金需要、そして熱意を正しく認識し理解してくれる融資プラットフォームがあるべきです」。

Forerunnerはデジタルブランドの早期からの支持者としてで知られているが、ボーンスタイン氏は、同社が「常に」、ブランドの販売戦略と市場でのプレゼンス確立において、店舗と卸(おろし)が重要な役割を果たし続けると信じてきたことを強調した。

「Amplaはこの信念を共有していて、融資引き受けにあたってオムニチャンネルによる収益を考慮してくれる稀有な存在です」と同氏は言った。

VMG CatalystのパートナーであるBrooke Kiley(ブルック・カイリー)氏は、VMGには消費者プロダクトに投資してきた長い歴史があり、新興ブランドには有効な運転資金の選択肢がないことを直に見てきたことを指摘した。

「既存の選択肢は、起業家に混乱とイライラを与えるだけです。Amplaを使えば、見た通りのものが手に入ります」とカイリー氏がメールに書いた。「隠れコストや意図的に混乱させる仕組みはありません。会社は1つの収益チャンネルだけでなくビジネス全体で評価されます。そして、顧客を念頭においた柔軟な条件で融資を受けられます」。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

溢れる企業のデータを整理整頓しすぐ有効に使えるようにする、ノーコードのデータパイプライン「Hevo」が約34.2億円調達

企業が日々生成する大量のデータを整理整頓して有効利用に備えるSaaSを提供しているHevoが、その好調な1年の締めくくりとして3000万ドル(約34億2000万円)の資金を調達した。

サンフランシスコとベンガルールに本社を置く同社の3000万ドルのシリーズBは、Sequoia Capital IndiaがリードしQualgroやLachy Groom、Chiratae Venturesなど多くの投資家が参加した。これで、創業5年の同社の総調達額は4300万ドル(約49億1000万円)になった。

企業には、マーケティングやエンジニアリング、デザインなど多くの部門があり、それぞれが自分の業務のためにさまざまなサービスやプラットフォームを利用している。しかしそれらが日々生成するデータは、各部門のサイロに収容されているので、全体としてのリアルタイムの可視性を欠き、次の行動や意思決定の助けにならない。

Hevo Dataが作ったデータパイプラインは、さまざまなソースからのデータの統合と取り込みをとても簡単なものにし、それらを1つのダッシュボード上に可視化する。また、さらにそれらのデータをSnowflakeやGoogle BigQuery、Amazon Redshiftなどのクラウドデータウェアハウスに入れる。同社のCEOで共同創業者のManish Jethani(マニッシュ・ジェタニ)氏が、インタビューでこう説明してくれた。

「企業は社内のいろいろなところで、いろいろなタイプのソフトウェアを使っていますが、そのデータに他の部門からもアクセスできなければ、自分のところのデータの本当の意味すら理解できません」。それは、人体における血液の流れと一緒だと彼はいう。

「たとえばマーケティングに何千ドルも投資したら、実際に買った人と買わなかった人の数や購入の頻度を知る必要があります。購入単価も知りたい。これらのデータから、今後の適正なマーケティング予算がわかってくる。そしてこれだけの知見のために、マーケティングと受注のデータ、財務データ、それに顧客サポートのデータも必要になります」。

ジェタニ氏は、彼の以前のスタートアップGrofersに売ったSpoonJoyで、このような問題に苦戦していた。Grofersというやや大きなスタートアップで知ったのは、大きな企業でもデータの問題に悩んでいるということだ。ジェタニ氏によると、AmazonやFlipkartぐらい大きくなれば、独自のワークフローと大きなデータ専門部署を作って対応しているだろうという。

同社が提供するサービスは販売CRM、広告チャネル、マーケティング技術、財務システムソフトウェア、顧客サポート製品など、複数の異種ソースやアプリケーションからのデータを組み合わせて、ビジネスと顧客に関する360度のビューを構築すると、ジェタニ氏はいう。

Hevoが提供する人気のインテグレーション例。

Hevoの付加価値の1つは、ノーコードプラットフォームであることだ。データを中央のハブに流すための統合を確立するのに、個人はそれほど時間をかけず、また技術的な理解も必要ないという(例えば、IFTTTでアクションを設定するのと同じくらい簡単にアクセスできる)。Hevoはデータベース、SaaSアプリケーション、クラウドストレージ、SDK、ストリーミングサービスなど、100以上の統合機能をあらかじめ備えている。

同社は、40カ国以上の複数のカテゴリーで1000社以上の顧客を獲得しており、今後、より大きな市場を開拓するために、新たな資金を新製品開発に投じる予定だ。Hevoは、この1年間に500%という驚異的な成長を遂げたという。同社が取り組んでいる新商品の1つに、ユーザーが収集したデータを分析できるようにするインサイトプラットフォームがある。

また「Reverse ETL」と呼ばれるプロダクトも開発中で、これは分析以外の用途でも顧客のデータ活用を支援することを目的としているという。

「データは、この10年間で最も重要なビジネスインプットの1つになっています。Hevo Dataは、データの双方向モビリティを実現するための基盤インフラを構築しています」と、Sequoia IndiaのMDであるTejeshwi Sharma(テジェシュウィ・シャルマ)は声明で述べている。

「組織内でモバイルデータが増えれば増えるほど、その有用性は高まります。私たちは、同社の製品DNAに感銘を受けました。広く愛されている製品の秘密は、洗練された技術と消費者レベルの体験という二面性を兼ね備えていることなのです。Sequoia Capital Indiaは、Hevoとのパートナーシップをさらに強化し、シリーズBラウンドをリードできることをうれしく思っています」。

画像クレジット:Hevo

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

セラピストマッチングアプリ運営のHOGUGUテクノロジーズが資金調達、累計調達額は約2.2億円

セラピストとマッチング可能なアプリHOGUGU(iOS版)を運営するHOGUGUテクノロジーズは12月20日、シリーズAラウンドにて資金調達を行ったことを発表した。引受先はスマイル。累計調達額は2億2000万円となった。

調達した資金は、全国展開に向けたサービスの認知促進とマーケティングの強化、事業の成長加速のため体制強化や人材採用にあてる予定。またAndroid版アプリを2022年1月リリース予定。

HOGUGUは、自宅やホテルにセラピストを呼ぶことができるマッチングアプリを使った、訪問型リラクゼーションサービス。サービス開始から現時点でセラピスト登録者数は約600名以上、ユーザーインストール数は4万を超えるという。

家事の合間やオフィス、宿泊先でも手軽に利用することが可能。また、直近のアップデートにより24時間のサービス利用に対応した。これにより登録セラピストは既存店舗の営業時間に縛られることなく、好きな時間、好きなタイミングでユーザーからの予約を受けられる。

財務データのフローを自動化するフィンテック「LiveFlow」がYCやKlarna創業者からシードで約4億円調達

CTOのエバン・オブライエン氏、CEOのラッセ・カルカー氏、COOのアニータ・コイミュール氏(画像クレジット:LiveFlow)

フィンテックのスタートアップ「LiveFlow(ライブフロー)」は、Moonfire Venturesがリードし、Y Combinator(YC、Yコンビネータ)、Seedcamp、WndrCoが出資したシードラウンドで、350万ドル(約4億円)を調達した。また今ラウンドには、Klarna(クラーナ)の共同創業者であるVictor Jacobsson(ビクター・ヤコブソン)氏、元Google(グーグル)の製品担当VPであるBradley Horowitz(ブラッドリー・ホロウィッツ)氏、元Airbnb国際展開担当VPのOliver Jung(オリバー・ユング)氏、Peakonの創業者兼CEOのPhillip Chambers(フィリップ・チェンバース)氏などが参加した。

LiveFlowは、会計サービス、銀行、決済プラットフォームからのリアルタイムデータをカスタムレポートに同期させることで、ワークフローの自動化、企業アカウントの統合、全社的なコラボレーションを可能にする。

CEOのLasse Kalkar(ラッセ・カルカー)氏、Anita Koimur(アニータ・コイミュール)COO(元Revolut)、Evan O’Brien(エバン・オブライエン)CTO(元Web Summit)によって約1年前に設立されたLiveFlowは、Ascent CFO、CFO Minded、TinyCFOなどの会計事務所や、Y Combinator発のスタートアップ企業など、ほとんどの顧客を米国内に抱えている。

LiveFlowの共同設立者兼CEOであるカルカー氏はこう語る。「以前、勤めていた会社では、財務報告書を手作業でまとめることにフラストレーションを感じていました。LiveFlowのアイデアはそこから生まれたのです」。

Moonfire Venturesの創設者兼マネージングパートナーのMattias Ljungman(マティアス・リュングマン)氏は次のように述べている。「LiveFlowは、レポート作成プロセスを自動化・合理化することで重要なサービスを提供し、企業がビジネスをよりよく管理するために必要な可視性とリアルタイムの情報を提供します」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

ソフトウェア販売の未来を加速させるTackleがシリーズCで114億円調達、ユニコーンの仲間入り

アイダホ州に拠点を置くスタートアップで、AWSのようなクラウドマーケットプレイスでソフトウェア企業の販売を支援するTackle.io(タックル・アイ・オー)は米国時間12月21日、シリーズCで1億ドル(約114億円)を調達したとを発表した。CoatueAndreessen Horowitzが共同でラウンドをリードし、Bessemer Venture Partnersも参加した。

Tackleの調達総額は1億4800万ドル(約169億円)に達した。今回のシリーズCで12億5000万ドル(約1425億円)と評価され、ユニコーンになった。報道関係者に送った文書で、その数字は、わずか9カ月前に3500万ドル(約40億円)を調達したシリーズBにおける非公表の評価額から「大幅に上昇」したと説明されている。

Tackleによると、新しい資金は製品ロードマップの遂行加速、GTM(Go to Market)チームの拡大、グローバルリーチの拡大、イノベーションの継続に使う予定だという。かなり長いリストだが、1億ドル(約114億円)あれば可能かもしれない。

だが、リストは少し漠然とした感じがするため、Tackleが何に取り組んでいるのか、より深く掘り下げてみたい。

筆者の同僚であるRon Miller(ロン・ミラー)が2020年3月に報じたところでは、同社は、よくあるように、起業家のかゆいところに手が届く会社としてスタートしたという。Tackleの共同創業者でCTOのDillon Woods(ディロン・ウッズ)氏が以前勤めた複数の会社で気づいたのは、AWSのマーケットプレイスに製品を投入するためには、2名のエンジニアを専属にしても数カ月かかり、しかも毎回似たようなタスクの集合になるということだ。

Tackleは、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)が、Amazon(アマゾン)のAWS、Microsoft(マイクロソフト)のAzure、Google Cloud Platform、IBM傘下のRed Hatといった主要なクラウドマーケットプレイスに載るためのソリューションを考え出し、これを解決した。

あなたはまだ気づいていないかもしれないが「クラウドマーケットプレイスはソフトウェアを売るための単なるチャネルの1つではなく、唯一のチャネルになりつつある」と、a16zのMartin Casado(マーチン・カサド)氏は2020年3月に書いている。同氏は、a16zがTackleのシリーズBラウンドをリードしたときに同社の取締役会に参加した。a16zはこのスタートアップをカテゴリーリーダーとして見ている。「Tackleは、企業がクラウドを通じてソフトウェアを販売することを可能にするリーディングプレイヤーです」と同氏は話す。

カサド氏は当時、Tackleの顧客数は200社以上だと述べていた。その数は、現在350社に増えているという。この中にはAppDynamics、Auth0、CrowdStrike、Dell、Gitlab、HashiCorp、Looker、McAfee、NewRelic、Okta、PagerDuty、Talend、VMwareといった会社がある。

顧客はスタートアップから成熟した企業まで多岐にわたるが、共通しているのは、ソフトウェアを作っているということだ。では、なぜ彼らは「ゼロエンジニアリング」ソリューションを使って、マーケットプレイスの統合を構築・維持するのだろうか。Tackleによれば「ソフトウェア会社はソフトウェアを売るためにソフトウェアを作る必要はない」ためだ。ソフトウェア会社の人的資源は別のところに使った方が良いというわけだ。

Tackleの顧客であるローコードプラットフォームOutSystemsの、Robson Grieve(ロブソン・グリーブ)氏はこう話した。「Tackle Platformは、マーケットプレイスの活用をプロダクトやエンジニアリングチームにとって邪魔なものではなく、ビジネス上の意思決定にしてくれます」。

このビジネス上の意思決定、つまりクラウドマーケットプレイス経由の販売は、ますます一般的になりつつある。

Bessemerは「State of the Cloud 2021」レポートの中で、ニューノーマルの下でGTMを行う企業にとって、クラウドマーケットプレイスの採用はベスト3に入る施策だと強調する。ベンチャーキャピタルである同社は、シードラウンドからTackleに投資している。2020年に725万ドル(約8億3000万円)のシリーズAラウンドをリードし、その際にパートナーのMichael Droesch(マイケル・ドローシュ)氏が取締役に就任した。

知り得る限り、Tackleに投資していない同業のベンチャーキャピタルのBattery Venturesも、その見解を支持している。Battery Venturesは「State of the Open Cloud 2020」レポートの中で、新しいクラウドマーケットプレイスを活用して顧客を発見し、開拓することを業務上のベストプラクティスとして挙げている。

TackleのState of the Cloud Marketplaces Reportで、67%の調査対象者が、2022年に市場参入の手段としてのマーケットプレイスにさらに投資する予定だと答えた。また、このレポートは、クラウドマーケットプレイスでの取り扱い金額が2023年末までに100億ドル(約1兆1400億円)を、2025年末までに500億ドル(約5兆7000億円)を超えると予測している。

クラウドマーケットプレイス台頭の背景には複数の要因があるが、要は、B2B販売がB2C販売のようになりつつあるということだ。「Tackleは、クラウドマーケットプレイスとデジタル販売への移行を加速する、あらゆる販売者を支援する最適なポジションにいると確信しています」とCoatueのゼネラルパートナーであるDavid Schneider(デービッド・シュナイダー)氏は述べた。同氏は、今回のラウンドの後、オブザーバーとしてTackleの取締役会に参加する。

もちろん、Tackleの収益についてもっと知りたいところだが、同社は2021年にARR(年間経常収益)を倍増させたとしか述べていない。「Tackleにとって2021年はとてつもない年でした」とCEOのJohn Jahnke(ジョン・ジャンケ)氏は語った。2022年にはいよいよ「爆発的な成長が期待できる」という。

確実に成長するといえるのは、同社のチームだ。2021年、従業員は56人から160人に増え、2022年には倍増させる計画だ。

画像クレジット:Tackle

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(文:Anna Heim、翻訳:Nariko Mizoguchi

激しい資金調達レースが続く欧州のマイクロモビリティ、Voiは約130億円調達し新都市参入とIPOの準備を進める

ヨーロッパのeスクーター市場は現在、マイクロモビリティ分野で活躍する企業の主戦場となっており、ヨーロッパの比較的コンパクトな都市と、より持続可能な交通手段に移行したいという人々の願望を活かしている。2021年には、Tier(ティア)、Voi(ボイ)、Dott(ドット)などの企業がVCの支援を受け続けている。

しかし、この資金調達競争は、最終的には、最も多くの資金を調達することによって市場を支配し、競合他社に圧力をかけ、あるいは競合他社を買収することによって、この憧れの市場で誰が勝利するのかということだ。

この壮大な物語における新たな章の始まりを告げるのが、欧州のマイクロモビリティ事業者であるこのVoi Technologyが、1億1500万ドル(約130億円)のシリーズD資金を調達したというニュースである。この資金調達は、新たな市場への拡大の原動力となると同社は述べている。Voiはすでに英国と欧州の70都市でスクーターを販売している。今回の資金調達は、2021年8月に調達した4500万ドル(約51億1700万円)に続くものだ。2021年の総資金調達額は1億6000万ドル(約181億9000万円)に達し、Voiの創業以来5億ドル(約568億4400万円)を調達したことになる。

関連記事:コンピュータービジョンで歩道走行の防止と安全性の向上を目指すマイクロモビリティVoiが50億円を調達

今回の調達は、拡大だけでなく、将来のIPOを視野に入れたものでもある。広報担当者は「今回の資金調達を受けて、VoiはIPOの準備を開始する予定です。準備は開始しますが、現段階ではスケジュールを確定することはできません」と語っている。

Voi Technologyの共同創業者兼CEOであるFredrik Hjelm(フレドリック・ヒェルム)氏は、声明で「マイクロモビリティの登場は疑う余地もありません。Voiは、住民や訪問者に統合されたスマートな移動手段を提供したいと考える都市にとって、ヨーロッパにおける主要なモビリティプラットフォームとなることを考えています。都市と密接に協力することで、公共交通を高度に補完する都市交通の新しいビジョンが形成されつつあるのを目の当たりにしています。私たちは交通の未来を築いており、すべてのVoi都市をより住みやすい場所にすることを約束します」と述べている。

都市が規制を導入し、認可を付与し始めたため、マイクロモビリティ事業者が規模を拡大する方法は、都市の役人から承認を得て、消費者へのアクセスを確保するということになる。そのため、この軍資金は、そのような認可に対応できるような規模にするためのものでもあるのだ。

また「マイクロモビリティの需要はかつてないほど高まっており、その結果、人々が必要とするサービスを確実に提供できるようにしたいと思っています。この資金で、駐車場、歩道走行、2人乗り走行の修正、eスクーターのより良いモデルの展開、研究開発への投資など、乗り物や街のためのソリューションに投資するつもりです」。と広報担当者は述べている。

このラウンドは、Raine Group(レイン・グループ)とVNV Global(VNVグローバル)(前回の資金調達ラウンドを主導)が主導し、Inbox Capital(インボックス・キャピタル)、Nordic Ninja(ノルディック・ニンジャ)、Stena Sessan(ステナ・セーサン)、Kreos Capital(クレオス・キャピタル)および新規投資家のIlmarinen(イルマリネン)、Nineyards Equity(ナイアード・エクイティ)およびICT Capital(ICTキャピタル)などが参加した。King(キング)、Avito(アビート)、BCGなどからの起業家・経営者も参加した。

Voiは、2021年に前年比140%の収益成長を達成し、同時にマージンや収益性を高めたとしている。また、同社は2021年、多くの都市の入札を獲得し、競合他社にプレッシャーをかけている。

もちろん、マイクロビリティ企業は、自家用車への依存を減らし、渋滞を緩和し、二酸化炭素排出量を減らし、汚染を削減するという都市間のニューストレンドと新型コロナウイルスのために公共交通機関の混雑を避けたいという個人の願望を利用し、オープンドアでプッシュしている。

また、Voiは、これまでで最も安全なeスクーターのモデルになるという「Voiager 5」を発売する予定だ。その登場は時宜を得たものだろう。

Vioのユーザーの自宅で1台の車両が燃え始めたため、一部のレンタル車両の撤去を余儀なくされたことを受けて、英国では最近、eスクーターのバッテリーパックが原因で火災が発生する可能性が指摘されている。

Voi U.K.のゼネラルマネージャーであるJack Samler(ジャック・サムラー)氏は、TechCrunchに次のようにコメントしている「2021年12月初め、ブリストルで当社の長期レンタル用eスクーターの1台から煙が出るという事例がありました。これは、当社の長期レンタルスクーターの1台が起こした、孤立した、1回限りの事故でした。厳重な予防措置として、状況を確認する間、スクーターを外に出しておくようユーザーにお願いしました。12月の間、すべてのユーザーに不便をかけた分の返金も行いました」。

同氏は、この喫煙スクーターの結果、サービスは一時的に停止しただけで、調査後、すぐに再開したと述べている。「大半のユーザーはすでにサービスを再開しており、すべてのライダーが持続可能な方法で移動するための長期レンタルサービスをすぐに楽しみ続けられると期待しています」。

これらのバッテリーがより安全なものになると仮定すると、Voiは2023年初頭までに、中国から輸入しないヨーロッパ製のバッテリーセルだけを使用し、結果として二酸化炭素排出量を50%削減することを約束している。

Raine GroupのパートナーでEMEAの責任者であるJason Schretter(ジェイソン・シュレッター)氏は「安全で持続可能なマイクロモビリティを欧州の市場に提供するVoiを引き続き支援できることをうれしく思います。1年前に初めて投資して以来、Voiの製品革新、業務効率化、地域パートナーシップへの取り組みにより、同社はこの地域におけるリーダー的地位を拡大しています」と述べている。

VNV GlobalのCEOであるPer Brilioth(ペル・ブリリオス)氏は「我々はマイクロモビリティの転換期を迎えつつあり、住民に導かれた都市が、この新しい交通手段の可能性に目覚めつつあります」と述べている。

一方、ヨーロッパでは、eスクーターの競争が続いている。ベルリンを拠点にヨーロッパ全域に急速に拡大しているeスクーター会社Tierは、最近Wind Mobility(ウィンド・モビリティ)のイタリア子会社Vento Mobility(ヴェント・モビリティ)を買収した。

しかし、スクーター会社は、この注目すべき分野のイメージを損ねかねない悲惨な事故や衝突による悪評とも戦い続けている。

画像クレジット:Voi scooters

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

没入型ゲームをプレイ・作成したり、それプレイ以外の時間も過ごせる「ソーシャル」なプラットフォームRec Roomが急成長

ユーザーが作成したゲームコンテンツのプラットフォームで大ヒットしたRoblox(ロブロックス)に続き、また別のスタートアップ企業が、没入型体験を目的とした独自のユーザー生成プラットフォームを構築するために、大規模な資金調達を行った。無料でダウンロードして遊べるクロスプラットフォームのソーシャルゲーム会社Rec Room(レック・ルーム)は、1億4500万ドル(約165億円)の資金を調達した。

この資金は、モバイル機器、ゲーム機、PC、VRヘッドセットで独自の体験を生み出すツールの継続的な開発と、それを利用するゲーマーを増やしていくために使用される。なお、対応するOS / プラットフォームは、iOS、Xbox(エックスポックス)、PlayStation(プレイステーション)、Oculus(オキュラス)、Steam(スチーム)、そして8月時点ではAndroid(アンドロイド)となっている。

今回の資金調達は、Coatue Management(コーチュー・マネジメント)が主導し、既存投資家のSequoia Capital(セコイア・キャピタル)、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Madrona Venture Group(マドローナ・ベンチャー・グループ)が参加。同社の評価額は35億ドル(約4000億円)に達している。

この評価額は、2021年3月にSequoiaの主導により1億ドル(約114億円)を調達した際の12億5000万ドル(約1400億円)と比較すると、大幅に上昇している。この間、Rec Roomは非常に印象的な成長を遂げてきた。3月には200万人がゲームをプレイ / コンテンツを作成していたが、現在のユーザー数は3700万人に達しているという。

関連記事:VCたちが新たなRobloxを探す中、VRプラットフォームのRec Roomが約110億円調達

今回の資金調達が行われた背景には、Rec Roomが大きく成長し、規模を拡大していることに加え、VRや没入型体験、そして特にこれらのメディアでユーザーを惹きつけるコンテンツ(またはコンテンツのための手段)を構築している企業が、突如として多くの注目を集めるようになった現在の状況がある(確かに、これまでは不便なVRヘッドセットを使用したり、その他の先鋭的な技術に投資するほど、魅力的なコンテンツがなかったことが問題だった)。

Rec Roomは、いくつかの意味において「ソーシャルゲーム」の会社だ。興味深いことに、Rec Roomの成長の鍵は、ゲームを作成したり、他の人が作成したゲームをプレイしたり、ルームに参加して一緒にプレイしたりする機能(これがおそらく最も明白な「ソーシャル」な側面)だけでなく、ユーザーがゲームプレイ以外の時間を過ごすためによく使われる仮想のソーシャルスペースを提供する能力にある。

Rec Roomは、Facebook(フェイスブック)などの他のプラットフォームにゲーム体験のソーシャルな側面を依存していた他の多くのソーシャルゲーム企業とは異なり、すでにバーチャル結婚式、ビジネスミーティング、よりカジュアルな会合などに利用されているという。これらの活動は、新型コロナウイルスの大流行と、その影響による実際の社会的な会合や旅行が減少した結果、さらにバーチャルな発展を遂げたものと思われる。Rec Roomは、初心者と経験豊富なゲーマーのどちら対しても、多様な体験を提供しているため「Rec Life(レック・ライフ)」というコンセプトは、どちらの層のユーザーにとっても非常に参入障壁が低くなっている。

2016年にシアトルで設立されたRec Roomは、創業から約5年間、他の多くのヒットしたソーシャルゲームの特徴である、急成長と急落を(少なくとも今のところは)避けている。現在は獲得した3700万人のユーザーが、他のユーザーと仮想的に一緒に過ごす「ルーム」でゲームを作ってプレイしている。同社によると、このプラットフォームにはすでに約1200万ものルームが存在するという。

この3700万人という数字のうち、どれだけアクティブユーザーがいるのかは不明だが、Rec Roomによると、毎月のユーザー数は2020年(2020年11月以降)から約450%増加しており、中でもその成長を牽引するモバイルユーザーは、同期間に10倍に増加したという。

「Rec Roomが、ミニゲームの小規模なコレクションから、コミュニティによって構築された何百万もの体験を提供するグローバルなプラットフォームに成長する過程を目の当たりにすることは、すばらしい体験でした。このプラットフォームは、人々が集まって有意義なつながりを築き、コミュニティを構築し、創造性を共有することができる場となっています」と、Rec Roomの共同設立者兼CEOであるNick Fajt(ニック・ファイト)氏は、声明の中で述べている。「やりたいことはまだたくさんあります。私たちは2022年に向けて、より多くの体験を構築し、新しいプラットフォームに拡張し、クラス最高の信頼性と安全性のシステムに投資し、クリエイターツールを拡大し続けることを、非常に楽しみにしています」。

同社は現在、収支の数字を一切公表していないものの、3月には同社のプラットフォームでゲームクリエイターに約100万ドル(約1億1400万円)を支払っていると発表していた。

「Rec Roomが創作した友達と一緒にゲームを作って遊べる世界に、我々は魅了されました」と、Coatue ManagementのMatt Mazzeo(マット・マッツェオ)氏は、声明の中で述べている。「スマートフォンからVRまで、何百万人ものプレイヤーがRec Roomに集っています。デジタルの世界をより楽しく、より没入感のあるものにするチームとパートナーを組めることに、我々は興奮しています」。

画像クレジット:Rec Room

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

履歴書や面接ではわからない候補者の潜在的な強みや弱みがわかるSearchlightの人材採用ツール

学歴や職歴は、山積みになっている他の履歴書と同じようなものかもしれない。だが、Searchlight(サーチライト)という会社は、企業が個人のソフトスキルを測定する方法を改善することで、差別化要因を提供するだけでなく、その人が最終的に組織にどれだけ適合するかを示せるようにすることも目指している。

Kerry Wang(ケリー・ワン)氏と彼女の双子の姉妹であるAnna Wang(アンナ・ワン)氏は、同じ仕事に応募する際に自分たちを差別化しようとして、この問題に直面した。面接の過程では、自分たちがどう違うのかを十分にアピールする時間がないと感じることが多かったと、ケリー・ワン氏はTechCrunchに語った。

「企業が採用した全人材の半数近くが18カ月以内に辞めてしまうことからも、私たちを同一人物と決めつける現在の人材ソフトウェアを変えたいと思いつきました」と、ケリー・ワン氏はいう。「今、この『大退職時代』を考えると、人材獲得競争に勝つためには、早く採用するだけではなく、うまく採用しなければなりません。人材の質を測る方法に食い違いがある場合、これは難しくなります」。

彼女たちは2018年にSearchlightを起ち上げ、行動参照データとプリスクリプティブ分析を用いて、履歴書や面接時には現れない、候補者の潜在的な強みや弱みを、雇用者が360度見渡せるようにする技術を開発した。

Searchlightの新機能をベータ版として使用した企業は、過去12カ月間に数千人の候補者を採用しており、多くの場合、プロセスが迅速化され、偏りが少なく、定着率が向上したと、ワン氏は述べている。実際、ユーザー企業では、他の方法で採用した場合と比べて、定着率が45%向上し、採用までの時間が40%短縮され、採用した社員は平均で72%長く在籍しているという。

米国時間12月20日、SearchlightはシリーズAとして1700万ドル(約19億3000万円)の資金調達を発表した。同社はこの資金を活用し、提供するサービスを拡大していく。その中には、ワンクリックで作成できる推薦状、15分以内にできる候補者評価、今後の採用を改善するための可視性を高める採用品質ダッシュボード、採用前に収集した行動データを従業員の成果に結びつけることで、採用のベストプラクティスを示し、優秀者のプロファイルを強調する「ピープルサイエンスエンジン」などがある。

今回の資金調達は、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)が主導し、Accel(アクセル)、Shasta(シャスタ)、Kapor Capital(ケイパー・キャピタル)、Operator Collective(オペレーター・コレクティブ)の他、Coda(コーダ)、Confluent(コンフルエント)、Plaid(プレイド)などの企業の幹部を含むエンジェル投資家グループが参加した。これにより、同社が今まで調達した資金は、2019年に実施した250万ドル(約2億8000万円)のシードラウンドも含め、総額2000万ドル(約22億7000万円)となった。

人材にはさまざまな形や大きさがある。Searchlightはそのアプローチが、ベンチャーキャピタルに支援された最新の企業だ。他にも、最近資金調達を発表したリクルートテクノロジー企業には、フラクショナルワーカー(フルタイムではない人材)のマーケットプレイスであるContinuum(コンティニュアム)、Sense(センス)、Karat(カラット)などがある。

Searchlightによる行動データの収集(画像クレジット:Searchlight)

Searchlightの独自性として、ワン氏は、ユーザーに提供されるデータやインサイトのレベルが高く、より優れたレコメンデーションが可能であることを挙げている。また、同社は企業が候補者に求めるべき特性を示すこともでき、さらに企業が労働力の構成について抱いている仮定を否定することさえできるという。

「何が成功につながるかを認識する必要があるのですが、それは通常、直感に頼ることが多いものです」と、ワン氏は付け加えた。「当社ではソフトスキルに基づいて、定着率を高めることにつながる成功プロファイルを作成します」。

同社は現在、Udemy(ユーデミー)、Talkdesk(トークデスク)、Zapier(ザピアー)など100社以上の企業と取引しており、従業員は2020年の4人から15人に増えた。顧客数もこの1年で3倍以上に増えている。ワン氏によれば、多くの顧客はSearchlightを使用した後、この製品への投資を倍増させているという。

今回の資金調達により、Searchlightは、2022年に向けてチーム規模を2倍にするための追加雇用や、製品開発およびGo-to-Market戦略への投資が可能になる。

今回の投資の一環として、Founders FundのジェネラルパートナーであるKeith Rabois(キース・ラボイス)氏がSearchlightの取締役に就任した。

ラボイス氏は、テクノロジー企業の設立、資金調達、経営に携わってきた20年のキャリアの中で、共通していたのは優れた人材の必要性であると述べ「あなたが作るチームが、あなたが作る会社である」と語っている。

「Searchlightに共感しました」と、ラボイス氏は付け加えた。「私はこれまで15以上の役員を務めてきましたが、どの会社でも人材の定着と、定着率を高めるために何をすべきかについて話し合っています。常に人材を入れ替えていては、良い会社は作れません。私は常に自分自身を向上させたいと考えていましたし、自分が向上するためのデータやツールを持っています。Searchlightは、そのような採用の判断をするための最高のデータを提供しています」。

画像クレジット:Searchlight / Searchlight co-founders Kerry Wang and Anna Wang

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

気泡緩衝材をウールに置き換えることを目指すWoolaが3.2億円のシード資金を調達

毎年約550億個の小包が気泡緩衝材(いわゆる「プチプチ」「エアキャップ」etc.)とともに出荷されている。プラスチック製の気泡緩衝材は化石燃料に依存しており、プラスチック製のパッケージの98%は使い捨てにされる。こうしたプラスチックが環境へ与える悪影響は想像できるだろう。

Woola(ウーラ)の創業者は、オンラインのeコマースストアを運営していたときに、このパッケージングの問題を直接目にした。持続可能でスケーラブルな保護パッケージに選択肢がなかったことは、やがてウール(羊毛)の再発見へとつながった。これは、弾力性に富み温度と湿度を調整してくれる手つかずの資源だったのだ。

その結果、気泡緩衝材の代わりに、余った羊毛を使用する彼らのスタートアップが誕生した。彼らのウールベースのパッケージは、エンドユーザーによる再利用、転用、返送が可能だ。最終的な目的はソリューションを「閉ループ」にして廃棄されるものがないようにすることである。

Woolaはエストニアに生産施設を開設し、2020年12月に最初の製品を発売した。ウール製の封筒が、市場に出た最初の製品だった。現在製品は、英国、フランス、ドイツへ拡大している。2022年1月に発売される次の製品は、飲料会社を対象としている。

彼らはこのたび、Future Venturesが主導する250万ユーロ(約3億2000万円)のシードラウンドを行った。ラウンドにはさらに、Veriff(ベリフ)のCEOのKaarel Kotkas(カーレル・コトカス)氏、Veriffの共同創業者のJaner Gorohhov(ジェイナー・ゴロコフ)氏、VeriffのVPのKristinaLilleõis(クリスティーナ・リリワー)氏、Near Future Summit(ニア・フューチャー・サミット)の創業者のZem Joaquin(ゼム・ホアキン)氏、ブルーボトルコーヒー会長のBryan Meehan(ブライアン・ミーハン)氏が投資家として参加している。Woolaのこれまでの投資家には、Pipedrive(パイプドライブ)、Bolt(ボルト)、エンジェルファンドのLemonade Stand(レモネードスタンド)の共同創設者たちが含まれている。

WoolsのCEOで共同創業者のAnna-Liisa Palatu(アンナ=リサ・パラトゥ)氏は「気泡緩衝材は、何年もの間包装業界を支配してきましたが、その減少は避けられません」という。「この気泡緩衝材業界が駄目な理由は2つあります。1つは化石燃料への依存、そしてもう1つは使い捨てという発想です。パッケージングをより持続可能なものにするために、この両者を取り除く必要があるのです」。Jevgeni Sirai(ジェフゲニー・シライ)氏とKatrin Kabun(カトリン・カブーン)氏が共同創業者として加わっている。

Future VenturesのSteve Jurvetson(スティーブ・ジャーベンソン)氏は、次のようにコメントしている「eコマースが隆盛を誇る中で、使い捨てのプラスチックパッケージは手に負えないものになっています。Woolaは、それをすべて、これまでは燃やしたり埋めたりされていたスクラップウールを使った美しい封筒へと置き換えることができるのです。世界は、より健康的な未来のために、石油化学経済に代わる持続可能な手段を必要としているのです」。

羊毛は手つかずの資源だ。ヨーロッパでは現在年間20万トン以上の羊毛が廃棄されている。Woolaによると、これは世界の気泡緩衝材需要の120%を満たすのに十分な量だという。

スタートアップの競合相手は、Ranpak(ランパック)やS-Packaging(Sパッケージング)が提供するリサイクルペーパー製の気泡緩衝材などだ。

画像クレジット:Woola team

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(文: Mike Butcher、翻訳:sako)

ストリーミングビデオをインタラクティブにするAdventrが約5.7億円のシード資金調達

創業者でCEOのDevo Harris(ディーボ・ハリス)氏がAdventrを思いついたのは、音楽業界の大物アーティストたちと仕事をしていたときだ。

「AdventrはKanye West(カニエ・ウェスト)やBritney Spears(ブリトニー・スピアーズ)やNas(ナズ)といったアーティストのコンテンツを作っているときに思いつきました。インタラクティブな要素を導入したミュージックビデオは人気を博し、視聴者を惹きつけるのは高価な映像や編集だけではないことが証明されました」とハリス氏はいう。

そこでハリス氏は、グラミー賞まで取ったメディアプロデューサーとしての地位を捨て、一介のアーリーステージスタートアップの創業者になった。現在、Adventrはインタラクティブなメディアを作成、閲覧、共有するためのドラッグ&ドロップSaaSツールで、ユーザーはタッチスクリーンやクリック、さらには自分の声を使ってビデオを操作できる。Adventrは、「SmartListen」という音声制御技術の特許を取得し、音声コマンドに基づいてメディアコンテンツを流れの途中で変更することができる。この技術は広告に応用可能で、視聴者が「緑のシャツを買って」などということができるようになるかもしれない。また、クリエイターがAdventrで映画を作る場合、ホラー映画の主役に「あの廊下を進むな」というように、観客から登場人物に指示を出すよう呼びかけることもできる。

その特許を取ったSmartListen機能はまだ未完成だが、Harris氏によると、2022年の初めには一部のパートナーが利用できるようになる。

「これはゲームチェンジャーであり、動画内のクリックを超えたコネクテッドメディアの可能性にクリエイターの心を開くことになるでしょう」とハリス氏はいう。

関連記事:動画に話しかけることでユーザーがストーリー展開を変えるAdventrのボイスコントロール技術

立ち上げからわずか1年のAdventrは、2021年秋のTechCrunch Disrupt、Startup Battlefieldに登場し上位5社のファイナリストに残った。その後、同社はベータでプロダクトを磨き、ユーザーは8000社になっている。その中にはAsiaNet NewsやMSI Gaming、SK Interactive、そしてニューサウスウェールズ州政府もいる。これらの顧客はユーザーが動画と対話している際のアナリティクスを確認できるので、消費者についていろいろ知ることができる。

Disrupt後、AdventrはPaladin Capitalがリードするシード投資で500万ドル(約5億7000万円)を調達し、それにReinventure CapitalやIn/Visible Ventures、そしてアカデミー賞受賞者John Legend(ジョン・レジェンド)氏らが参加した。レジェンド氏はハリス氏の長年の協力者で、カレッジのルームメイトでもある。

「Disruptの直後から6桁ドルの収益が上がり、今でもオンラインでピッチビデオを見た人からインバウンドがきています」とハリス氏はいう。

Adventrは今回の資金をチームの構築に使っていきたいという。Disruptに出たときは5人の社員しかいなかった。最近同社はVimeoのゼネラルマネージャーだったPeter Gerard(ピーター・ジェラルド)氏をプロダクトのトップに招いた。Adventrはまもなくソーシャルメディア・プラットフォームとの統合を開始し、顧客がそれらのプラットフォーム上でインタラクティブビデオをネイティブに共有できるようにする予定だ。

画像クレジット:Adventr

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

リモートでのエンジニア発掘、採用、管理を支援するTuringが約98億円調達、転勤望まぬエンジニアからの需要急増

コーンフェリーの調査によると、テクノロジー業界のエンジニア人材を巡っては需要が供給を上回る深刻な状況が続き、2030年までに乖離は広がり、8500万件のポジションが埋まらない見通しだ。より包括的かつグローバルなアプローチで人材を発掘、採用、管理することでこの流れを食い止めることができると考えるスタートアップが、自社のプラットフォームの構築を継続するため、大規模な資金調達を米国時間12月20日に発表した。

AIを使ってエンジニアの発掘、評価、採用、入社、リモートでの管理(人事やコンプライアンスの面も含む)を「タレントクラウド」という大きなプラットフォームで行うTuring(チューリング)が、シリーズDラウンドで8700万ドル(約98億円)を調達した。このラウンドで11億ドル(約1250億円)のバリュエーションがついた。WestBridge Capitalがこのラウンドをリードし、前回の出資者であるFoundation Capital、新規投資家のStepStone Group、AltaIR Capital、戦略的投資家のHR Tech Investments LLC(Indeedの関連会社)、Brainstorm Ventures, Frontier Ventures, Modern Venture Partners, Plug and Play Scale Fundも参加した。このラウンドは応募超過となったため、同社はバリュエーション40億ドル(4520億円)でSAFEノートも募集した。こちらも応募超過となった。

今回の資金調達の背景には、Turingの力強い成長がある。世界各地にいる、転勤ができない、あるいは転勤を望まないエンジニアからの需要が急増したのだ。創業者でCEOのJonathan Siddharth(ジョナサン・シッダールト)氏はインタビューで、候補者総数が2020年1年間で9倍に増え、140カ国、100万人のエンジニアや開発者が、プロジェクトを探しているか、すでにプロジェクトに携わっていると話した。(2020年、同社が3200万ドル[約36億円]の資金調達を発表したとき、このプラットフォームには18万人の開発者がいるとのことだった)。現在、約100のテクノロジーと15の職種をカバーしており、エントリーレベルからエンジニアリング・ディレクター、CTO候補まで、幅広い職種をカバーしているとシッダールト氏はいう。

関連記事:エンジニアをリモートで調達・管理するAIベースのプラットフォーム開発のTuringが約33億円調達

人気の職種は、フルスタックエンジニア、フロントエンドやバックエンドの言語を専門とするエンジニア、そしてサイトの信頼性を高めるエンジニアだ。近い将来、Turingはプロジェクト管理などの隣接分野にも進出し、新製品への道を開く予定だ。企業がTuringを使って個々人をチームとして管理するのではなく、チーム全体を管理できるような製品だ。

このプラットフォームに対する需要も拡大している。顧客はテクノロジー企業から、ビジネスのさまざまな側面の運営や構築を支援するエンジニアを必要とする非テクノロジー企業まで、多岐にわたっており、Johnson & Johnson、Coinbase、Rivian、Dell、Disney、Plume、VillageMDなどが含まれる。

「私たちは今、リモートファーストの世界に生きており、誰もがその価値を享受しようと競っています」とシッダールト氏は話す。

Turingは、採用とリモートワークに関するいくつかの基本的な前提に基づいて設立された。その前提は現在の市場環境で受け入れられ、新型コロナウイルス感染症がおそらく恒久的に位置づけを変え、姿を変えた。パンデミック以前も、リモートワークが受け入れられることもあったが、多くの場合、企業は実際にインフラを整え、人々がオフィス環境で一緒に働けるようにするだけでなく、できるだけ多くの時間を過ごすよう奨励した。そのために、無料でおいしい食事、ビリヤード台やその他の娯楽、一眠りしたいときの仮眠室さえ用意した。

こうしたことは、オフィスカルチャーに関する凝り固まった考え方の中で広がっただけでなく、募集や採用にも影響を与えた。仕事のためには引っ越すものであったし、会社と従業員は大がかりなビザの手続きを経なければならなかった。しかも、ベイエリアのような特定のハイテク拠点への転居を求められることが多かった。これは、地域のインフラや家賃、市や町の大きな社会構成に大きな負担をかけることを意味した。

新型コロナがゲームを完全に変えた今、私たちはみな、仕事をするために、しかも仕事を首尾よく進めるために、そうしたことが本当に必要だったのかどうかを自問している。

Turingは、そのような問いかけに事実上、響き渡る声で「ノー」と答えるプラットフォームだ。

「Twitter、LinkedIn、Siemensはリモート化を進めており、その理由は明白です」とシッダールト氏は話す(いずれもTuringの顧客ではなく、リモート化を進める企業の例だ)。「今やエンジニアのプールを利用することができます。賢い人々は他の人がいないところに目を向けています。また、分散型チームの成功も証明されています」。

しかし、リモートマネジメントが簡単だというわけではない。エンジニアのパイプラインを構築し、彼らを評価する方法を考え、彼らと連絡を取り続ける必要がある。そのため、Turingが構築されたのは、発掘のためだけではなく、その他のハードスキルやソフトスキル支援のためでもある。シッダールト氏によると、ほとんどの人は有期のプロジェクトで登録するが、中には組織内のもっと長期的な、さらには正社員のポジションで働く人もいる。このような人材不足の問題に取り組んでいるのは、Turingだけではない。

Fiverr、Upwork、LinkedIn、その他多数のプラットフォームで、エンジニアがどこにいても簡単に探し出すことができる。Turingが構築したプラットフォームは、エンジニアと関わる際に生じる、より特殊なエンド・ツー・エンドのニーズに対応する(この点では、先にデザイナーやクリエイターの採用・管理プラットフォームで資金調達を行ったSupersideと少し似ている)。

StepStone GroupのパートナーJohn Avirett(ジョン・アビレット)氏は「世界中の開発者にすばらしい機会を提供するというTuringの野心的なビジョンは刺激的です」と声明で述べた。「『インテリジェント・タレント・クラウド』は、アクセスを民主化し、契約を結ぶ以上の永続的なつながりを作る驚くべき方法です。彼らは、そのプロセスを、個人と採用する企業のための長期的なキャリアプランにまで洗練させました」。

「Turingは、巨大な業界のあらゆる『脚』を製品化しており、その顔と認識を将来にわたって恒久的に変えました」とFoundation CapitalのAshu Garg(アシュ・ガルグ)氏は付け加えた。

画像クレジット:Busakorn Pongparnit / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

虫歯治療をサポートする歯科AIソフトOverjet、前回からわずか4カ月で約48億円のシリーズB完了

Overjetの診療情報プラットフォームがX線写真と歯科AIの検出結果を表示している(画像クレジット:Overjet/PR Newswire)

2700万ドル(約31億円)のシリーズAラウンド発表からわずか4カ月後、歯科治療人工知能ソフトウェアを開発するOverjet(オーバージェット)は、既存投資社の支援を受けて4250万ドル(約48億円)のシリーズBラウンドを完了し、さらに前進した。

同社のシリーズA以前、TechCrunchは2020年に同社が785万ドル(約9億円)調達した時に紹介記事を書いた。直近のラウンドをリードしたのはGeneral CatalystとInsight Partnersで、Crosslink CapitalとE14 Fundも参加した。これまでの調達総額は8000万ドル(約91億円)をわずかに下回る。十分な資金を得たことで、Overjetの企業価値は4倍近い4億2500万ドル(約483億円)になった、とOverjetの共同ファウンダーでCEOのWardah Inam(ワーダー・イナム)博士はいう。

「前回のラウンドの評価額は1億1500万ドル(約131億円)ですから、これは非常に大きな伸びです」と彼女は付け加えた。「歯科企業でこの節目を達成したところは多くありません」。

関連記事:歯のレントゲン分析にAIを活用するOverjetが8.5億円調達

ラウンドを終えたばかりのイナム氏は、これは急なシリーズBで予定外のタイミングだったが、投資家からの問い合わせが多かった結果だとTechCrunchに話した。新規の投資家が興味を示したが、同社は既存出資者だけのラウンドにすることに決め、それは将来に向けた条件が満たされたからだった。

ボストン拠点のOverjetが開発した歯科AIソフトウェアは、歯科医がスキャン結果を見て虫歯の特定と進行を判断する手助けをする。同社の製品、Dental Assist(デンタル・アシスト)はFDA(食品医薬品局)の認可を取得している。10月に発表した50カ所の歯科医院からなるNew England Family Dentistry(ニューイングランド・ファミリー・デンティストリー)との提携など、多くの歯科が参加している団体をターゲットにする戦略の同社は、現在自社ソフトウェアを数千か所の施設に導入するのに忙しくしているとイナム氏は語った。

保険に関しては、同社の顧客には主要保険会社16社がいる。シリーズA時点で5000万人のメンバーをカバーし、現在は約7500万人になっている、とイナム氏はいう。

「調達した資金は歯科クリニックへの導入を進めるためです。十分な雇用が達成されたので、これから大量の受注残をこなしていきます」と付け加えた。「1年かかると思っていた節目が、結局数カ月で達成されてしまいました」。

12月にOverjetの従業員は50名になった。2021年初めは20名だった。次の6カ月間で人員を3倍にして、カスタマーサクセス(顧客を成功に導く)とエンジニアリングを強化する予定だとイナム氏はいう。同社はリモート優先の業務形態に切り替えたので、幅広く人材を集められるようになった。新たな資金は新製品開発にも使う計画だ。

今度も同社は、口腔衛生と口腔ケアの改善と技術開発に焦点を当てていく。歯科データをコンピューターで分析することで疾病の進行をより正確に判断し、価値に基づく治療にむけて結果を判断できるようする。このようなテクノロジーは「史上初めて」だとイナム氏は確信している。

歯科業界はテクノロジーの導入が遅いほうだが、過去10年間、伝統的に手作業だった部分を自動化して患者と医師を支援するべく多くのスタートアップが参入した。具体的には、クリアアライナー(透明歯列矯正)とデンタルスキャン、歯科衛生教育などだ。

2021年、X線画像を変換して虫歯を見つけやすくするAdra(アドラ)などの会社が資金調達を完了した。歯科保険のBeam Dental(ビーム・デンタル)もそうだ。

「歯科医院の経営は急速にビジネス的になり、彼らは治療と収益を改善するためにテクノロジーやその他のツールに投資する用意があります」とイナム氏は言った。「この分野で優秀なスタートアップが次々とでき上がっているのはそれが理由です。だれもが口腔衛生の価値を軽視しているからです。そして今、そこにはもっとすばらしいテクノロジーを提供するチャンスがあります」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nob Takahashi / facebook