VanMoofが最高速度50km/hの電動アシスト自転車「VanMoof V」発表、日本では45万円で2023年に発売予定

EバイクメーカーのVanMoofは最近、1億2800万ドル(約145億円)の資金調達を行った。そして、同社はすでにその資金の一部を使って、新製品となるハイスピードEバイク「VanMoof V」の開発を進めている。

このVanMoof Vはまだ発売されていない。代わりにVanMoofは、YouTubeのライブ動画でこの新製品を予告した。同社では、2022年末までにVanMoof Vを発売することを計画している(日本市場向けには2023年に導入予定)。公式ウェブサイトによると、価格は3598ドル3498ユーロ2998ポンド、そして日本では税込45万円になると予想されるとのこと。

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この価格で手に入れられるのは、前輪と後輪にそれぞれ1基ずつ、計2基のモーターを搭載した2輪駆動の電動自転車だ。前後にサスペンションを装備し、凹凸のある道でも安心して走行できる。安全性を高めるために、太いタイヤも装着されている。

画像クレジット:VanMoof

YouTubeの動画によると、この自転車は最高50km/hの速度に達することができるとのこと。しかし、すでに電動アシスト自転車をお持ちの方はご存知のように、自転車のモーターアシストには規制がある。公道を走る場合、欧州では25km/h、日本では30km/hまでの速度に制限される。米国では州によって異なるが、いずれにせよVanMoof Vの最高速度よりは低い。

それ以上の速度で走れないというわけではない。管轄地域の最高速度に達すると、モーターがアシストを停止するということだ。メーカーではあらかじめ「VanMoof Vは法を犯すことを助長するものではありません」と述べている。

「Vがどのようなものになりえるかという想像を始めたとき、私たちはすぐに、道路の使い方に対するまったく新しいアプローチになるということで合意しました。VanMoof Vには、各国の規制に合わせた速度設定が組み込まれています。しかし、このバイクは50km/hまでのスピードを出せる技術と能力を持っています。現状では、世界各地のローカル規制がこのカテゴリーの最高速度に上限を設けています。しかし、長期的にはもっと大きな考え方が必要です」と、VanMoofの共同設立者でCEOを務めるTies Carlier(ティーズ・カーリエ)氏は、発表会で語った。

「私たちのビジョンでは、現在の政策はこの種の交通手段の普及を妨げているということです。私たちは、自動車ではなく人間のための政策を求めています。だからこそ、私たちは都市政府と協力して、ジオフェンシングの導入を検討しながら、時代に合った速度規制を推進していきます」と、同氏は続けた。

つまり、VanMoof Vは、VanMoofのビジョンを共有するためのコンセプトバイクであると同時に、世界中の政策立案者に向けたロビー活動の手段でもあると考えるべきなのだ。25km/hに達するために2輪駆動は必要ないので、同社は事前に計画を明らかにする必要があった。

とは言いながらも、すでにVanMoofは同社の顧客とクラウドファンディングの支援者たちに招待状を送っている。これらの招待状では、20ドル(約2270円)の前金を払うことでVanMoof Vを予約することができる。予約受付はすでに始まっており、納車は前述したとおり、2022年後半から2023年になる見込みだ。

画像クレジット:VanMoof

画像クレジット:VanMoof

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Gogoroが中国で電気二輪車用バッテリー交換ステーションを開設、サービス開始

中国の二輪車メーカー大手2社との提携を発表してから5カ月「Gogoro(ゴゴロ)」は米国時間10月11日、杭州に45カ所のバッテリー交換ステーションを開設し、サービスを正式に開始した。同社の共同設立者であり最高経営責任者であるHorace Luke(ホレス・ルーク)氏は、TechCrunchの取材に対し、年内に80カ所のステーションを開設することを目標としており、その後、パートナーであるYadea(ヤデア)とDachangjiang Group(大長江グループ-DCJ)とともに他の主要都市にも拡大していくと述べている。

中国では、Gogoroのバッテリー交換技術はGogoro、Yadea、DCJが提携するHuan Huanブランドで運営されることになる。

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YadeaとDCJは、Gogoroのバッテリー交換技術を搭載した車両の開発を進めており、Yadeaは本日、杭州を皮切りに2モデルの販売を開始した。

両社は、とりわけ電気二輪車において、鉛蓄電池ではなくリチウム電池の使用が義務づけられていることなどから、政府の規制が消費者の需要を動かしてくれることを期待している。2025年までに、この規制に対応していない2億7千万台の車両が廃車になると言われている。

Gogoroは2021年9月、Poema Global(ポエマ・グローバル)との23億5000万ドル(約2600億円)のSPAC取引(2022年第1四半期に完了予定)を経て、NASDAQに上場することを発表した。同社は、バッテリー交換ネットワークに加えて、独自のハイエンド2輪スクーターのシリーズでもよく知られているが、Yamaha(ヤマハ)、Suzuki(スズキ)、AeonMotor(イオンモーター)など、同社のバッテリーや充電ステーションを使用する車両を生産する他のメーカーとの契約を結んでいる。

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このパートナーシップは、Gogoroの技術へのアクセス性を拡大させるための重要な要素となっており、2021年はインドの二輪車市場のリーダーであるHero MotoCorp(ヒーロー・モトコープ)との契約も発表している。

「私たちは『Gogoroは高級すぎて、主要都市で本当に必要としている人たちには届かない』という目で見られてきましたが、YadeaとDCJの協力があれば、これから誰もが乗れるようになり、これまで販売されてきた大衆車よりも安価な車両を購入できるようになります」とルーク氏は語った。

画像クレジット:Gogoro

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(文:Catherine Shu、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Googleマップが米国で「最も環境に優しい」ルート検索機能を提供開始

Google(グーグル)は米国時間10月6日、2021年初め発表した「エコフレンドリールート」機能を、米国のiOSおよびAndroidユーザー向けに提供開始し、欧州では2022年にサポートを開始することを発表した。この新しいルート案内オプションは、ドライバーが最速ルートと最も燃費の良いルートから選択できるようにするもので、今回のリリースのハイライトであることは明らかだ。それに加え、Googleマップには他にも2つの新機能が追加される。1つは、ルート案内は必要だがターンバイターンのナビは必要ないというサイクリストのための新しい「Liteナビゲーション」モード(今後数カ月以内に提供開始予定)、もう1つは、ベルリンでDonkey Republicの自転車を利用したいときのための、自転車やスクーターのシェア情報の拡充だ。

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Googleマップのトランスポーテーション部門シニアディレクターであるRussell Dicker(ラッセル・ディッカー)氏はこう述べた。「エコフレンドリーなルート検索機能では、常に最速のルートを表示し、さらに燃費の良いルートも表示します。数回タップするだけで、異なるオプション間の相対的な燃料節約量や、ETA(到着予定時刻)の差がある場合はその差を確認し、自分に最適なものを選ぶことができます」。何があっても常に最速ルートを見たいというユーザーのために、Googleマップではそれだけを見ることができる設定も用意されている。

Googleは、この新しい経路選択オプションにより、マップユーザーが年間100万トン以上の二酸化炭素排出を回避できる可能性があると考えている。これは、道路から20万台の自動車を取り除くのと同じことだ。少なくともこの機能がしばらく使われて実際のデータが得られるまでは、このような数字には少し懐疑的にならざるを得ない。というのも、Google マップでは、多くの人にとって曖昧な概念である二酸化炭素の排出量ではなく、ユーザーのコスト削減につながる燃料効率に焦点を当てているからだ。

燃費を考慮しなくても、ルーティングは難しい問題だ。ディッカー氏は次のように述べている。「多くの場合、すばやく処理するか、正確ではあるが非常にゆっくりと処理するか選ぶことになります。私たちが成功したのは、Googleではすべてがスケールの問題であるため、たくさんの優れた選択肢を非常に迅速かつ大規模に得ることができる多くの技術を構築したからです」。

ディッカー氏は、より燃費の良いルートを選択するためには、距離、時間、標高、速度、そして一定の速度を維持できるかどうかといった要素が重要であると指摘している。

「Liteナビゲーション」は、過去1年間にGoogleマップで自転車の道案内を求める声が高まったことから生まれたものだとディッカー氏はいう。しかし、多くのサイクリストは走行中に携帯電話を目の前に置かないし、必ずしもターンバイターンの案内を望んでいるわけでもない。そのため、Liteナビゲーションでは、マップ上で自分がどこにいるかを確認するとともに、ETAや今後の高低差などの情報を提供することに重点を置いている。

自転車やスクーターのシェアリングについては、欧州ではDonkey Republic、Tier、Voi base、米国ではBird(バード)、Spin(スピン)との提携により、AndroidおよびiOSで、世界300都市のシェアリングステーションの場所がGoogle マップに表示されるようになった。

画像クレジット:Anchalee Phanmaha / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】プライバシーを侵害しないモビリティデータの共有

近年、米国の各都市では、歩道に電動スクーターや自転車が並んでいるのがよく見られるようになった。

電動スクーターの市場規模は、2025年には400億ドル(約4兆4500億円)を超えると予想されており、米国人は2010年以降、3億4200万回以上もシェアサイクルや電動スクーターで移動している。

マイクロモビリティサービスは、潜在的に機密性の高いユーザーの正確な位置情報を含む大量のモビリティデータを生成する。モビリティサービスから得られるデータは、交通政策やインフラ政策の指針となる貴重でタイムリーな情報を提供するが、企業間や政府機関との間で機密性の高いモビリティデータを共有するには、まずプライバシーや社会的信用の問題が解決されなければ正当化することはできない。

革新的なモビリティオプションは、交通機関の隙間の移動に関するラストマイル交通問題を解決する機会を都市に提供しており、これらのサービスから得られるデータはさまざまな生産的な用途がある。

これらのサービスから得られるデータは、都市計画者が利用者の安全を確保するために、保護された自転車レーンなどの交通改善を設計するのに役立つ。また、モビリティデータにアクセスすることで、地域の支援者や政府関係者は、特定の地域にどれだけのモビリティデバイスがあるかをほぼリアルタイムで知ることができ、その地域が過密状態やサービス不足にならないように制限を設けることができる。また、これらのデータは、企業と市政府間のコミュニケーションを効率化し、モビリティサービスが都市のイベントや緊急事態に迅速に対応することを可能にする。

しかし、デジタル化されたモビリティサービスが収集し、政府との共有を要求できるデータの粒度と量については、プライバシーに関する確かな懸念がある。

例えば、ロサンゼルス市交通局とロサンゼルス市を相手取った最近の訴訟では、市がMobility Data Specificationを通じて電動スクーターの走行データを収集していることが、米国憲法修正第4条とカリフォルニア州電子通信プライバシー法に違反していると主張している。下級裁判所はこの訴訟を棄却したが、電子フロンティア財団と北カリフォルニアおよび南カリフォルニアのアメリカ自由人権協会(ACLU)は最近、連邦控訴裁判所にこの訴訟の復活を求めている。

さらに、最近カリフォルニア州議会に提出された法案では、モビリティデータを公的機関や契約者と共有する前に、特定の条件を満たすことが求められている。この法案では、データを共有できるのは、交通計画を支援するため、または利用者の安全を守るために限られている。また、この法案では、共有できる移動データは24時間以上経ったものでなければならないとしている。

ほぼリアルタイムの位置情報データは、安全性や規制強化の目的を果たすために必要とされることが多いが、このデータは個人の生活の親密な部分を明らかにする可能性があるため、非常にセンシティブなものである。位置情報データのパターンは、個人の習慣、対人関係、宗教上の慣習などを示す可能性があるからだ。

特定の個人やデバイスに関連付けられた位置情報データを「非識別化」することが可能な場合もあるが、正確な位置情報の履歴を持つデータセットを完全に匿名化することは非常に困難だ。大人数のパターンを高度に集約した位置情報データであっても、意図せずにセンシティブな情報が漏えいする可能性はある。

2017年には、フィットネスアプリ「Strava」のユーザーの動きを示す「グローバルヒートマップ」によって、機密扱いの場所に配置されている軍人の位置情報が誤って公開された。位置情報データは、たとえ非識別化または集計されたものであっても、データが保護され、非公開であることを保証するために、チェックとコントロールの対象であるべきだ。

地方自治体やモビリティ企業は、ユーザーのプライバシーに関するこうした問題に真剣に取り組んでいる。この数カ月間、Future of Privacy Forumは米国自動車技術者協会(SAE)のMobility Data Collaborativeや官民の関係者と協力して、プライバシーに配慮した方法でモビリティデータを共有したいと考えている組織が考慮すべき点に焦点を当てた、交通機関に合わせたプライバシー評価ツールを作成した。

モビリティデータ共有アセスメント(MDSA)は、官民を問わず、組織がデータ共有のプロセスにおいて、慎重かつ綿密な法律とプライバシーの検討を行うための運用ガイダンスを提供する。このツールを使ってモビリティデータを共有する組織は、モビリティデータ共有契約の設計に、プライバシーと公平性への配慮を組み込むことができる。

MDSAの目的は、個人のプライバシーを保護し、地域社会の利益と公平性を尊重し、一般市民への透明性を促進する責任あるデータ共有を可能にすることだ。オープンソースで、相互運用性があり、カスタマイズ可能で、ガイダンスを含む自主的なフレームワークを組織に提供することで、モビリティデータの共有に対する障壁を減らすことができる。

これはMDSAツールの最初のバージョンであり、特に地上のモビリティデバイスと位置情報に焦点を当てている。電動スクーターなどのモビリティ・ビークルには車載カメラが搭載されていて、将来的には、MDSAがモビリティデバイスによって集められたイメージやビデオについてのガイダンスを追加することも可能だ。

MDSAツールはオープンソースでカスタマイズ可能なので、この種のモビリティデータを共有する組織は、画像を含むセンサーやカメラのデータを共有する際のリスクとメリットを考慮して編集することができる。

マイクロモビリティサービスは、仕事、食料、医療へのアクセスを向上させる上で重要な役割を果たす。しかし、企業や政府機関がモビリティデータを他の組織と共有する際には、共有するデータの精度、即時性、種類など、考慮すべき複数の要素がある。企業は、バイアスの可能性を考慮した上で、これらの要素を、慎重かつ構造的に評価しなければならない。

それが、都市をより安全かつ迅速に移動できるよう、短期的にはサービスのメリットを最大化し、長期的にはインフラを構築する、モビリティデータの活用の鍵となる。

編集部注:執筆者のChelsey Colbert(チェルシー・コルベール)氏はFuture of Privacy Forum(FPF)のポリシーカウンセル。自動運転車、ライドシェアリング、マイクロモビリティ、ドローン、配送ロボット、モビリティデータ共有などを含むモビリティと位置情報に関するFPFのポートフォリオを担当している。

画像クレジット:Anna Lukina / Getty Images

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(文:Chelsey Colbert、翻訳:Yuta Kaminishi)

ベルリンの電動自転車サブスクDanceがサービス開始から数週間で約21.6億円を調達

ドイツのスタートアップ企業「Dance(ダンス)」は、新たに1940万ドル(約21億6000万円)の資金を調達した。このニュースは、同社がベルリンで電動自転車のサブスクリプションサービスの展開を開始してからわずか数週間後に発表された。

今回の資金調達では、Eurazeo(ユーラゼオ)が主導している。HV Capital(HV キャピタル)とBlueYard(ブルーヤード)も出資しており、Offline Ventures(オフライン・ベンチャーズ)のDave Morin(デイブ・モリン)氏とJames Higa(ジェームス・ヒガ)氏、Nicolas Berggruen(ニコラス・ベルグリューン)氏、Roxanne Varza(ロクサーヌ・ヴァルザ)氏、Verena Pausder(ヴェレナ・パウザー)氏も参加している。

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なお、知らない人のために、Danceは「Dance One(ダンス・ワン)」という独自の電動自転車をデザインしている。カーボンベルト、油圧ディスク、スマートフォン用マウント、取り外し可能なバッテリーを搭載しており、見込み走行可能距離は55kmだ。

顧客は自転車を直接購入することはできない。その代わりに、月額79ユーロ(約1万280円)で加入することができる。その後は、何の心配もなく利用することが可能だ。自転車がパンクしたり、その他の問題が発生した場合は、Danceが技術スタッフを派遣して修理もしてくれる。

長期の契約はない。つまり、Danceの自転車は、数カ月または数年でも、レンタルすることができるということだ。普段あまり自転車に乗らないという人にとっては、とてもありがたいサービスだろう。自分の自転車を購入する前に、長い目で見て自転車に乗りたいと感じるかどうかを確認することができるのだから。

自転車のデザインが完成した今、同スタートアップはサービスを展開開始しなければならない。現在、ベルリンの街中には「数百台」のDanceの電動自転車が走っており、これはまだ始まりに過ぎない。

しかし、今日の資金調達は、オペレーションとエンジニアリングの分野で新たな人材を採用し、チームの規模を2倍にすることを計画しているDanceにとって有益なものとなるだろう。Danceは、2022年からヨーロッパのより多くの都市に進出する予定だ。

画像クレジット:Dance

画像クレジット:Dance

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【レビュー】オフロードも走れるeバイクUBCO 2×2 Adventure Bike、キレのあるユーティリティ

最近ニュージーランドのオークランドに引っ越してきたことで、筆者はeバイク(電動アシスト自転車)に興味を持つようになった。公共交通機関があまり発達しておらず、自転車でちょっと店に出かけるだけで汗を流すワークアウトになりそうな丘陵地帯がある都市だ。

だが旺盛な需要と高騰する価格により、ここ長く白い雲のたなびく国、アオテアロア(ニュージーランドを表すマオリ語)では切望されるeバイクへのアクセスは厳しくなっている。ニュージーランドに拠点を置く電動バイクスタートアップのUBCOが最近、投資家から1000万ドル(約11億円)の資金を調達したことで、この状況に変化が訪れた。

関連記事:電動ユーティリティバイクUBCOは持続可能性に優れるサブスクモデルで世界展開と循環型経済分野のリードを目指す

同社は筆者にUBCO 2×2 Adventure Bikeを1カ月近く提供してくれたので、試してみる時間は十分にあった。

筆者自身はUBCOのターゲットユーザーとは言えないかもしれないが、設計が示唆する通りにバイクを最大限に活用しようと、配送されるガーリックブレッドや郵便その他の荷物の重さを模した、本などの重いものをバッグに詰めて荷造りした。UBCO 2×2 Adventure Bikeは都市部の公共交通機関向けに作られており、オフロード走行も可能だ。

同社のフラッグシップは、もともと農家を助けるために設計された電動ダートバイク、UBCO 2×2 Work Bikeである。同社が6月に調達した新たな資金は、食品配送、郵便サービス、ラストマイル物流などの既存の垂直市場への拡大、商業サブスクリプション事業の拡張、そして米国での売上増の目標達成に充てられる。

ここオークランドでは、また聞くところによると英国でも、ドミノ・ピザのドライバーたちがUBCOのバイクでホットピザを配達する光景が見られる。同社はNew Zealand Post、国防軍、自然保護局、Pāmu、Landcorp Farming Limited、その他地元のレストランや店舗など、さまざまな国内クライアントを擁している。

画像クレジット:Rebecca Bellan

ハンドオフ

CEO兼共同創業者のTimothy Allan(ティモシー・アラン)氏は、個人的にバイクをハンドオフするため、本社のあるタウランガから車でやってきた。筆者の家の近所は晴れていて、同氏が各種のこまごまとしたもの、マシンの使い方や充電方法を説明する様子に、筆者は辛抱強く耳を傾けた。

アラン氏の助けを借りて、携帯電話と自転車をペアリングするためのUBCOアプリをダウンロード。いくつかの機能の中から、時速約20マイル(約32km)で走行できるビギナーモードを選ぶことになった。ここに書こうと心に留めておいたのだが、すぐに最高速度の時速30マイル(約48km)に到達しようと心に決めた。

そうしたところ……やばい、最高。大げさにさわぎたてるつもりはないんだけど!実に心地いいバイク。その理由を紹介しよう。

外観

Adventure Bikeの標準カラーはホワイトで、17×2.75インチの多用途タイヤとアルミニウム製リムが装着されている。筆者のバージョンでは、ニュージーランドの先住民に敬意を表して、フレームにマオリのステッカーが貼られていた。

自転車の高さは約41インチ(約104cm)で、シートの高さは32インチ(約81cm)だ。ホイールからホイールに至る距離は約72インチ(約183cm)となっている。ライダーを含めた積載量は約330ポンド(約149.7kg)で、パートナー(188cmの男性)と筆者(170cmの女性)は、ハンドルから突き出た大きなバックミラーを調整するだけで簡単にこの自転車に乗ることができた。もちろん一緒に乗ったわけではない。このバイクはワンシーターとして設計されている。

画像クレジット:Rebecca Bellan

とはいえ、バックホイールの上には小さなカーゴラックがあり、そこにはナンバープレート(多くの場所で登録が必要なモペッドに分類されているようである)が取り付けられている。他のカーゴラックも携行できそうだ。実際には試していないが、少なくとも5つのピザの箱をバンジーコードで縛ることはできると思う。バイクラックにはサドルバッグを取り付けることも可能。UBCOは、耐候性のロールトップカーゴバッグPannier Back Packを189ドル(約2万1000円)で提供している。

アクセサリー以外のところでは、アロイフレームは軽量でステップスルー式で、これは筆者がバイクで気に入っているものだ。完全に駐車する前にシフトを開始することができ、極めて機敏で速いと感じる。駐車に関していうと、場所によってルールが違うと思うが、ここでは歩道ではなく路上や駐車場に駐車する。それを固定するためのキックスタンドがついていて、フロントホイールをロックすることができるので、誰もホイールを回して離すことはできない。ただ、わずか145ポンド(約65.8kg)なので、望むならピックアップトラックの後ろに載せることもできるだろう

バイクの外観は、筆者に対してだけでなく際立っていた。数週間にわたる試乗の間に、まさしくUBCOが目指しているターゲット層であろう、多くの商売人や自転車愛好家たちが、そのデザインを称賛しにきてくれた。

乗車性

バイクの軽さは、簡単にバランスを取ることができることを意味する。バッテリーはフレームの中央の足元近くにあり、バイクをしっかり固定して安定した重心を与えてくれる。

軽量であることは祝福であり、災いのもとでもある。道を曲がるのは簡単だが、風の強い日や道が開けているときには、ひっくり返されるのではないかと心配する瞬間があった。ただ、それは道路で10輪車の隣を走ることと関係があるかもしれない。とても軽いので、自転車専用レーンではなく、他の大きくて意地の悪い車と一緒に車道にいるのは、少し違和感があった。

高トルクのギヤードドライブトレインにより、急な坂道でもフルエレクトロニックスロットル制御ですばやく加速する。ドライブトレインには、密閉ベアリング、アクティブな熱管理、残留水分のためのアクティブベント(この湿気の多い都市では欠かせない機能だ)を備えた2つの1kWのFlux2モーターが搭載されている。

加速音は、ガソリンを動力とするダートバイクの音に似ているが、電子音はよりソフトで、意外な長所だった。UBCOに乗るまで、自分がどれだけ速く走っているかを知るのに、自分の音感にどれだけ依存しているかに気づいていなかった。

ブレーキシステムは少し敏感だ。油圧ブレーキと回生ブレーキが連動しているのか、とても繊細な感覚を覚えた。また、受動的な回生ブレーキシステムもあり、これはあの巨大な丘の1つを惰性で走ろうとしていたときにブレーキをかけたものだと思う。

画像クレジット:Rebecca Bellan

130mmのフロントサスペンションと120mmのリアサスペンションの両方に、油圧緩衝器付きのコイルスプリングと、プリロードとリバウンドの調整がある。つまり、この衝撃はすばらしい。積極的に歩道を走り、速度が上がっても、ほとんど何も感じなかった。

オフロードでの性能をテストするためにコーンウォール公園にバイクを持ち込んだ。芝生の上で全速力で走り、木々の間を横切り、木の根や岩の上を飛び、フィールドでドーナツ走行をした。それはとても楽しく、完全に車をコントロールできていると感じた。なぜ農家がワークバイクに目を向けたのか想像がつく。

配達用バイクとしての用途をテストするときには、2つのサドルバッグに本や食料品を詰め込んで一走りした。それもまたすばらしい乗り心地だったが、コツをつかむまでは少しふらついてしまった。

バリュー

UBCOのAdventure Bikeは、特定の自転車カテゴリーにうまく収まらないため、単純な価格比較とはならないだろう。Lexmoto YadeaやVespa Elettricaのような電動モペットなら、それぞれ2400ドル(約26万円)と7000ドル(約88万円)から購入できる。電動ダートバイクの価格は、KTMやAlta Motorsなどで6000ドル(約66万円)から11000ドル(約121万円)程度になる可能性がある。とはいえ、スウェーデンの電動モーターバイクスタートアップCakeは、3500ドル(約38万円)の都市専用最新モデルMakkaを発売したばかりだ。

関連記事:スウェーデンのCakeが都市部向け電動モペッド「Makka」を発表

UBCOのAdventure Bikeの価格は、2.1kWの電源で6999ドル(約77万円)、3.1kWで7499ドル(約82万円)となっている。用途にもよるが、この種の自転車にしてはミッドレンジあたりだろう。仕事関連の活動に使用する可能性が高い場合は、税金の控除を受けることができる。さらに、重いものにも対応するためダウンしたバイクの品質を求めるなら、UBCOはそれを十分に備えている。これは便利なユーティリティバイクであるだけでなく、後述するような秀逸なテクノロジーも備えている。

UBCOの推定寿命は10〜15年で、用途によって異なる。無線ソフトウェアのアップデート、部品の交換、全面的な改修によって、自転車を長持ちさせることができるだろう。同社は完全なプロダクトスチュワードシップを約束しているので、使用済みバイクを返却するようライダーに勧めている。

ただし、今バイクを購入したい場合には、予約注文となることもある(地元のUBCOディーラーに在庫がない場合)。今注文すれば、米国在住であれば9月までにUBCOを入手可能だ。同社は、需要が高く、サプライチェーンが引き延ばされて遅れが生じていることから、新型コロナの影響をまだ感じていると話す。予約には1000ドル(約11万円)の前払い金が必要だ。

UBCOにはサブスクリプションモデルもあり、現時点では主にエンタープライズ顧客向けに提供されており、ケースバイケースで価格が設定されている。一方で、このプログラムを全世界に展開する前に、オークランドとタウランガで個人向けのサブスクリプションを試行している。サブスクリプションは36カ月間、月額300ニュージーランドドル(約2万3600円)前後から開始される予定である。

航続距離

Adventure Bikeのバッテリーパックは、航続距離約40~54マイル(約64.4~86.9km)の2.1kWhと航続距離60~80マイル(約96.6~128.7km)の3.1kWhが用意されている。

バッテリーは「Scotty」と呼ばれる管理システムで稼働し、リアルタイムのパフォーマンスと安全性を監視する。バッテリーはアロイで密閉され、使用中は排気されるが、1万8650個のリチウムイオンセルで作られており、最大500回の充電サイクルに対応できる強力なバッテリーである。UBCOによると、同社のバッテリーは寿命がきたら分解できるように設計されているという。

画像クレジット:Rebecca Bellan

10アンペアのアロイ製高速充電器は、4時間から6時間でバッテリーを完全に充電できる。車両内にある状態で電源コンセントに接続するだけで充電することも、バッテリーのロックを解除してバッテリーを引き出し(少し重い)、室内で充電することも可能だ(注記:充電の音は大きい。これが標準かどうかは定かではないが、おそらくそうなのだろう)。

筆者は2〜3日ごとに充電したが、それは使用状況と場所によることになるだろう。オークランドは今冬なので少し寒く、バッテリーの寿命に影響を与えているし、丘陵地帯は過酷だからバッテリー寿命を大量に消費する。

毎日のようにダウンタウンや近所を走り回っていたが、配達ドライバーなら夜間に充電が必要になることもあるだろう。先に述べたように、バッテリーは充電のために取り外すことができるので、仕事で使う場合は、オフィスなどに持ち込んで、他の作業をしながら充電することも可能である。

テクノロジーの特徴

車両管理システム

この車両は、UBCOがCerebro vehicle management systemと呼ぶシステムで動作する。このシステムは、車両のすべての電子的および電気的機能を統合し、Bluetooth経由で制御とアップデートを提供する。UBCOは寿命を考慮して構築されているため、CANバスは隔離されており、将来のCANデバイスを簡単に統合できるようになっている。

さて、筆者が最初に疑問に思ったことの1つは、このバイクの重量と、都会の生活の中で仕事をするためにそれに乗るギグエコノミーの労働者の可能性を考えると、次のようなことだった。路上に置かれたときに、誰もこれを盗まないようにするにはどうすればいいのだろうか。5階まで引き上げることはできないだろうから。

前にも述べたように、ホイールを所定の位置に固定することができるので、ホイールを外すのはかなり難しくなる。また仮に誰かがこの扱いにくい車両を丸ごと捕獲した場合でも、UBCOが追跡してくれる。UBCOの各バイクにはテレメトリ(SIMカード)が内蔵されており、位置情報、サービス、盗難、安全性、経路計画などに利用できるデータを提供する。

このVMSアーキテクチャは、UBCOのエンタープライズサブスクリプション車両経由でフリートを処理するために作られているが、明らかに他の用途もあり、例えば心の安らぎを与えてくれる(個人的にはまだチェーンでロックしているが、筆者はニューヨーカーで誰も信用していない)。もちろん、このテレメトリが不気味だと思う人はオプトアウトすることができるが、サブスクリプションには標準装備されており、ユーザーはアプリ上で自分のバイクの位置を追跡できる。

ディスプレイ

画像クレジット:Rebecca Bellan

ハンドルバーには、速度、電力レベルなどを表示するLCDディスプレイが搭載されている。また、ハイビーム、ロービーム、インジケータ、ホーンのスイッチコントロールもハンドルバーにある。インジケータが少し厄介で、時々スリップしてクラクションを鳴らしてしまった。ハンドルバーにもスマートフォン用のマウントがあればいいのにと思った。そうすれば指示に従うことができる。ヘッドホンをつけてGoogleマップで道順を教えてもらうのを聞いたりしたが、あまり安全で効率的ではないと感じた。

電源オン

キーレスフォブで電源を入れるには、フォブのボタンかハンドルバーのボタンをクリックする。キーレスフォブボタンは奇妙に敏感だということに注目したい。何度か携帯電話やポケットに入れていたのだが、乗車中にボタンにぶつかって電源を落としていたに違いない。ありがたいことに、それは混雑したところでは起こらなかったが、注意すべきことである。

アプリ

前述の通り、アプリを使って自分のスマートフォンや他のユーザーのスマートフォンをバイクにペアリングすることができる。このアプリでは、学習者モードか制限モードを選択して、乗車設定を制御することができる。バイクとライトのオンオフの切り替えをする。メトリクスを変更する。バッテリーの寿命、速度、モーターの温度などの状態を確認する。基本的にはダッシュボード上のすべての情報だが、アプリ上にあるので、使う必要性を感じなかった。

ライト

LEDヘッドライトは、車両の電源が入っているときは常に点灯しているが、ハイビーム、ロービーム、そして周辺パーキングライトも装備されており、これらはすべて寿命後に分解するように設計されている。LEDバックライト、ブレーキライト、ナンバープレートライト、DOT認定の表示灯もある。

その他のこと

他のカテゴリーにうまく当てはまらない機能の中には、フィールドキットが挙げられる。このキットはリフトアップシートに固定されており、ユーザーマニュアルと、2×2のセットアップとメンテナンスのためのツールが含まれていて、とても使い勝手が良い。通常、UBCOのバイクを購入すると箱に入ってきて「乗る準備をするための簡単なステップがいくつかある」。UBCO Universityのコースでも設定方法の説明がある。UBCOのディーラーから購入した場合には、集荷時に開梱して設置してくれる。

メンテナンス

メンテナンスは月額サブスクリプションで提供される。UBCOでは、修理が必要な場合に備えて、同社がバイクを販売するすべての場所に技術者のネットワークを設置している。近くに正規の整備士がいない場合は、UBCOの本社が顧客と連携してバイクの修理を支援する。UBCOは、同社のネットワーク内に承認された整備士が何人いるかについては回答しなかった。

繰り返しになるが、ニューヨーク出身の筆者はこれまで、何千人もの配達人がバイクやモペッドに乗る姿を目にしてきた。彼らはプラスチックの袋に入れられたオーブン用のミットをハンドルバーに貼り、寒さの中でも手を暖かく保てるようにしていた。このバイクは荷物を運ぶための重い荷物を扱うことができ、交通の流れにすばやく機敏に対応し、乗りやすくて使いやすい。

特にエンタープライズ向けのサブスクリプションサービスは、さまざまな気象条件に対応できる優れたシティバイクに仕上がっている。雨や泥を扱えることはすでに明らかで、あらゆる兆候が、北部の都市の冬の、雪解けでぬかるむ凍てつく地獄での成功を示している。そしてこれはまた、冒険家、つまり路上やオフロードで、街を出て荒野に向かっていく、何かいいものに乗りたいと思っている人に向けた、かなり長持ちする優れた消費者向けバイクでもあるだろう。

画像クレジット:Rebecca Bellan

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

台湾の電動スクーターと交換式バッテリーインフラ企業Gogoroが評価額2575億円のSPACを経てNASDAQへ上場

Gogoro(ゴゴロ)が上場する。電動のスマートスクーターと交換式バッテリーインフラで知られている同社は現地時間9月16日、Princeville Capital(プリンスビレキャピタル)傘下のSPAC(特別買収目的会社)Poema Global(ポエマグローバル)との合併を通じてNASDAQに上場すると発表した。この取引でのGogoroのバリュエーションは23億5000万ドル(約2575億円)で、2022年第1四半期の取引完了を目指している。合併会社の社名はGogoro Incとなり、ティッカーシンボル「GGR」で取引される。

発表によると、募集以上の申し込みがあったPIPE(上場企業の私募増資)での2億5000万ドル(約274億円)、そしてPoema Globalが信託で保有する3億4500万ドル(約378億円)を含め、Gogoroは上場の過程で5億5000万ドル(約603億円)を調達すると予想している。PIPEでの投資家には、Foxconn Technology Group(フォックスコン)や、GojekとTokopediaの合併で誕生したインドネシアのテック大企業GoToといった戦略的パートナー、Generation Investment Management、台湾の国家開発基金、Temasek、Ruentex GroupのSamuel Yin(サミュエル・イン)博士、Gogoroの創業投資家などの新規・既存投資家が含まれる。

資金はGogoroの中国、インド、東南アジアでの事業拡大と、テックエコシステムのさらなる開発に使われる。

台湾で10年前に創業されたGogoroのテクノロジーには、交換可能なスマートバッテリー、充電インフラ、車両やバッテリーの状態やパフォーマンスをモニターするクラウドソフトウェアが含まれる。Smartscooters、Eeyo電動自転車といった自前のブランドを手がけているだけでなく、Gogoroは自社のPowered by Gogoro Network(PBGN)プログラムを通じて利用できるプラットフォームを作り、パートナー企業がGogoroのバッテリーや交換ステーションを使う車両を製造できるようにしている。

SPAC取引の数カ月前に、Gogoroは中国とインドでの大きな提携を発表していた。中国ではバッテリー交換ネットワークの構築でYaeda、DCJと協業し、インドでは世界最大の二輪車メーカーの1つ、Hero MotoCorpがGogoroのテックをベースにしたスクーターを発売する。Gogoroはまた、ヤマハ、スズキ、AeonMotor、PGO、CMC eMOVINGなどのメーカーとも提携している。

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これらのパートナーシップが整ったことで「我々は現在、真に当社を次のレベルに持っていく必要があります」と創業者でCEOのHorace Luke(ホイレス・ルーク)氏はTechCrunchに語った。GogoroがSPACのルートを取った理由について、同氏は次のように説明した。「ビジネスチャンスやストラクチャー、提携とは何か、かなり掘り下げて語ることができるため、急ぎのロードショー(さまざまな機関投資家への会社説明会)よりも正しく会社を評価できます。当社の事業計画を考えると、SPAC上場は事業拡大にフォーカスする絶好の機会となります」。

GogoroがPoemaを選んだ理由の1つは「Poemaの持論が当社のものとかなり一致していたからです」とGogoroの最高財務責任者Bruce Aitken(ブルース・エイトケン)氏は述べた。「例えばPoemaは持続可能性の基金を持っていて、当社の環境と持続可能性に対する情熱はそれとうまく融合します」。

5年もしないうちに累計で売上高は10億ドル(約1097億円)に、バッテリー交換インフラの契約者は40万人超になる、とGogoroは話す。同社は2021年第4四半期に中国・杭州で試験プログラムを立ち上げ、2022年にはさらに6都市でも展開する。インドではHero MotoCorpが現在、Gogoroをベースにした初の車両を開発中で、2022年にニューデリーでバッテリー交換インフラの展開を開始する。

「想像したよりも中国での需要は大きく、これは当社にとって良いニュースです。そしてこれは上場する必要がある基本的な理由の1つでもあります。当社はこうしたマーケットに実際に大規模に貢献するのに必要な資金やリソースを調達しなければならないのです」とルーク氏は述べた。

Gogoroが東南アジアに進出するのにGoToと同様の提携を結ぶのか尋ねたところ「重要なのは東南アジアが二輪車マーケットとしては中国、インドの次に3番目に大きいことを認識することです。Gogoroはこうした大きなマーケットを追い求めるためのビジョンを常に持っています。GoToはインドネシアですばらしい成功を収めていて、GoToの当社への投資は会話のきっかけになりますが、GoToがPIPEに参加するということ以外、現時点で発表できることはありません」とルーク氏は話した。

発表資料の中で、Poema GlobalのCEOであるHomer Sun(ホーマー・サン)氏は「Gogoroが構築したワールドクラスの提携との組み合わせで開発したテクノロジーの差異化は、2つの世界最大の二輪車マーケットでかなりの成長機会をもたらすと確信しています。Gogoroの事業エリア拡大の計画とNASDAQ上場企業への移行をサポートすべく、同社の傑出した経営陣とともに取り組むことを約束します」。

画像クレジット:Gogoro

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

今後5年で1000万台、世界をリードするスマートeバイクを目指すVanMoofが約141億円調達

アムステルダム発の電動自転車スタートアップVanMoof(ヴァンムーフ)は米国時間9月1日、シリーズCラウンドで1億2800万ドル(約141億円)の資金を調達したと発表した。VanMoofは、一部の市場でかなり人気のあるeバイク(電動アシスト自転車)の設計・販売を行っている企業だ。同社は現在、イタレーションをより速いペースで行うことにより、世界をリードするeバイクブランドになることを目指している。

今ラウンドはアジアを拠点とするプライベートエクイティ企業Hillhouse Investmentがリードし、Booking.com(ブッキング・ドットコム)の元CEOであるGillian Tans(ジリアン・タンズ)氏も参加している。また、Norwest Venture Partners、Felix Capital、Balderton Capital 、TriplePoint Capitalなどの既存投資家も、さらに資金を投入した。

今回のシリーズCは、同社のシリーズBに比べて大きな飛躍を遂げている。2020年、VanMoofは4000万ドル(約44億円)のシリーズBを調達した。全体では、同社はこれまでに総額1億8200万ドル(約200億円)を調達したことになる。

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【レビュー】電動自転車VanMoof X3、ハイテクだが手頃な値段であらゆる人を信奉者にしてしまう

VanMoofのeバイクに馴染みのない方は、TechCrunchで最新のS3X3の両モデルを以前レビューしている。機能の上では、両者は同じだ。VanMoof X3は、より小さなフレームと小さなホイールを採用している。

VanMoofが一般的なeバイクメーカーと異なる点は、サプライチェーンから顧客体験まで、すべてをコントロールしようとしていることだ。VanMoofのeバイクは、主に街乗り用に設計されたプレミアムeバイクだ。最新モデルの価格は、2298ドル(日本では税込27万5000円)となっている。

同社のeバイクは、電動モーターと電動変速システムを組み合わせているのが特徴だ。4つのギアがあり、自分でギアチェンジをする必要はない。自転車に乗って、ペダルを漕ぐだけだ。

未来的な三角形のフレームが特徴的なS3とX3には、油圧式ブレーキ、ライト、そしていくつかのスマートバイク機能が搭載されている。S3とX3には、アラーム機能付きモーションディテクター、GPSチップ、スマホ接続機能などが搭載されている。

自転車の盗難を報告すると、GPSと携帯電話のチップが稼動し、VanMoofアプリで自転車を追跡することができる。また、Apple(アップル)の「探す(Find My)」アプリにも対応するようになった。

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VanMoofは、既製の部品だけに頼るのではなく、少数のサプライヤーと協力してカスタム部品を製造している。そうすることで、できるだけ多くの中間業者を排除し、コストを抑えられる。これは競合優位性にもつながる。

VanMoofのような企業を成長させるのは、資本集約的なビジネスだ。同社は、世界50都市に小売店とサービス拠点を開設している。もともと欧州でスタートした同社だが、現在は米国がVanMoofにとってもっとも急速に成長している市場となっている。

今回の資金調達により、VanMoofは現在の戦略をさらに強化する予定だ。研ぎ澄まされたデザインとより多くのカスタムパーツを備えた最新のバイクが期待できる。また、世界中に店舗やサービス拠点を増やしていく予定とのこと。そしてオンライン販売の拡大も予想される。

共同設立者兼CEOのTaco Carlier(タコ・カーリエ)氏は、声明でこう述べている。「(この資金調達により)今後5年間で、1000万人の人々に同社のeバイクに乗ってもらうことができます」。ちなみに今のところ、VanMoofのeバイクは15万人に利用されている。

今日の投資は、驚くべきことではない。新型コロナのパンデミックはヨーロッパの都市を変革する計画を加速させ、自動車よりも自転車を優先させる状況を作った。2020年、TechCrunchの同僚であるNatasha Lomas(ナターシャ・ロマス)と私は、パリ、バルセロナ、ロンドン、ミラノの4つの主要都市における主要な政策展開の包括的な概要を書いた。VanMoofは現在、こうした政策の変化の恩恵を受けている。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

独Dance、初期費用ゼロでeバイクが欲しい人向けに修理・メンテナンス込みサブスクサービスを開始

ドイツのスタートアップ企業Dance(ダンス)は、地元ベルリンでサブスクリプションサービスを開始する。月々79ユーロ(約1万260円)の定額料金で、ユーザーは自分専用のカスタムデザインeバイク(電動アシスト自転車)を借り、オンデマンドの修理・メンテナンスサービスを利用できる。

SoundCloud(サウンドクラウド)とJimdo(ジンドゥー)の元創業者たちによって設立されたこの会社は、サービス開始前に多額の資金調達に成功した。同社のシードラウンドはBlueYardがリードし、HV Capital(旧社名:HV Holtzbrinck Ventures)が1500万ユーロ(約19億5000万円)のシリーズAラウンド(当時の金額で1770万ドル)をリードした。

Danceがこれほど多くの資本を必要とした理由は、同社が独自のeバイクを社内で設計したからである。「Dance One」と名付けられたこの電動自転車は、アルミフレームを採用し、重量は約22kg。シングルスピードで、電動モーターの力で0〜25km/hの速度で走行できる。

一番いいところは、リチウムバッテリーを取り外して家の中で充電できる点だ(VanMoofのeバイクではできない)。これにより、自転車ごと階段を上る必要がない。アパートに住んでいる人にとってはありがたい機能だ。ユーザーは、目安として55km走行したあとはバッテリーを充電することになる(フル充電で約65kmの走行が可能)。

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画像クレジット:Dance

Dance Oneはカーボンベルトを採用しているため、メンテナンスがほぼ不要だという。自転車の前方にはスマートフォン用のマウントが組み込まれており、このタイプのマウント用に設計された一般的なケースに対応している。電動アシストのレベルは、ハンドルバーのボタンで操作できる。高アシスト、低アシスト、アシストなしの3種類のモードがある。

バイクの前後にはライトが装備されており、こちらもボタンで操作できる。ブレーキには油圧ディスクを採用している。オプションで、自転車の後ろにバスケットやサドルバッグを付けることもできる。

VanMoofやCowboyのような他の人気eバイクと同様に、Danceのeバイクもモバイルアプリからロック・アンロックが可能だ。同社では、GPSとBluetoothチップを自転車のフレームに組み込んでいる。もちろん、スマートロックに加えて従来のロックも使用するべきだが。

理論上は、街乗りに適したeバイクのように見える。ユーザーは月々79ユーロ(約1万260円)を支払うことで、自転車を利用できるようになる。契約期間のコミットメントや初期費用はない。夏の間だけ利用したい場合は、そうもできる。また、自転車にトラブルが発生した場合には、同社がメカニックを派遣して修理してくれる。

Danceは数百人のベータユーザーとともにサービスを試してきたが、現在は「数千台」の自転車が新規ユーザーのために用意されているという。今のところベルリンを中心に展開しているが、将来的にはドイツやヨーロッパの他の都市にも拡大していく予定だ。

Danceは、SwapfietsやパリのVéligoなど、ヨーロッパ各地にあるいくつかのサービスと競合していく。また、Lime(ライム)のようなオンデマンド型のシェアサイクルや、ヨーロッパの各都市が主導する官民一体のバイクシェアリングサービスとも間接的に競合することになる。もちろん、最終的には自分でeバイクを購入する人もいる。

それを考慮してもDanceは、魅力的な自転車とエンドユーザーにとっての柔軟性を備えた、よくできた製品だと思う。シームレスなエンド・ツー・エンドの体験を求めているユーザーを、このスタートアップは問題なく見つけられることだろう。

画像クレジット:Dance

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画像クレジット:Dance

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロモビリティシェア大手Birdが約25万円の一般向け電動アシスト自転車を発売

電動マイクロモビリティのシェアリングサービスを提供するBird(バード)は、新たにコンシューマー向けのeバイク(電動アシスト自転車)を発表した。これは、同社がシェアモデルではなく、個人向けの車両を販売する初めての試みだ。

この自転車の名称は、2021年6月にリリースしたばかりのシェア方式電動アシスト自転車と同じ「Bird Bike(バードバイク)」。シェアモデルと同様に自社で設計しているが、製造パートナーは明らかにしていない。数量限定で、Stealth Black(ステルスブラック)とGravity Gray(グラビティグレー)の2色を用意し、米国時間8月19日から2299ドル(約25万2000円)で販売している。Birdは、この電動アシスト自転車の初期オーダーをどの市場から納品するかは明らかにしていないが、2021年の秋には米国各地の小売店で広く販売したいと考えているという。

関連記事:Birdがシェア用電動自転車をローンチ、シェア事業者向けアプリも公開

電動自転車市場は、2026年までに680億ドル(約7兆5000億円)近くに達すると予想されているのに対し、バイクシェア市場は同年までに138億ドル(約1兆5000億円)程度にとどまると予想されていることから、Birdの発表はそうした財政的な理由によるものと考えられる。2021年5月に提出されたSPAC書類では、収益が大幅に悪化し、その結果、純損失を計上していたため、同社はマイクロモビリティの有名企業としての地位を活用し、事業内容を多様化することで収益性の向上を図ろうとしているようだ。

バード社のS-4 SEC提出書類によると、この新しい電動アシスト自転車はBirdの事業の約10%を占める消費者向け製品ポートフォリオの一部となっているが、同社はなぜ消費者向け事業を立ち上げることにしたのかという説明を求めるリクエストには答えなかった。とはいえ、Birdが手を広げようとするのは今回が初めてではない。2019年に、Birdはeスクーターの月額制サブスクリプションサービスを発表したが、それが軌道に乗ることはなかった。

Birdの創業者兼CEOであるTravis VanderZanden(トラヴィス・ヴァンダーザンデン)氏は声明の中でこう語った。「交通手段の未来はオール電化です。Birdの消費者向け製品とシェア製品を電動アシスト自転車だけでなくeスクーターも含めて拡大することで、5マイル(約8km)以下の年間数十億回の移動のために、当社は環境に優しい交通手段への革命をリードするユニークな立場にあります。今回の新しい電動アシスト自転車によって、当社が今日シェアードサービスを提供するために提携している300都市を超え、人々がマイクロEVを受け入れる機会を増やしていきます。当社の電動アシスト自転車は安全性と耐久性に優れ、スタイリッシュな美しさと高度な技術を備えており、渋滞の原因となるガソリン車に代わる楽しい乗り物を提供します」。

VanMoof X3と同程度の価格のBirdの電動アシスト自転車は、LGセルを採用した12.8Ahのバッテリーを搭載し、最大50マイル(約80km)の航続距離を実現しているという。ステップスルーとステップオーバー両方のアルミ合金フレームから選べ、Kenda社製の耐パンクタイヤを採用している。ペダルアシストは時速20マイル(約32km)まで可能で、厄介な坂道にはサムスロットルが用意されている。ハンドル下の液晶パネルには、速度、距離、バッテリー残量が表示され、BirdアプリとのBluetooth接続により、LEDライトの点灯・消灯、バッテリー残量、走行距離の確認が可能だ。

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画像クレジット:Bird

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)

【レビュー】電動自転車VanMoof X3、ハイテクだが手頃な値段であらゆる人を信奉者にしてしまう

自転車レーンでそよ風に吹かれながら電動自転車をこぎつつ、新たに手に入れた自由についてあれこれ思いを巡らす。こんな経験をするまでは、過去10年の間に生まれた最高の消費者向けテクノロジーのいくつかに対してと同様、筆者は自分に電動自転車が必要だとは思っていなかった。

Nintendo Switchを購入する前は、簡単にバックパックに収納してしまえるこのキャンディーのような色をしたゲームコンソールが、長時間のフライトをこんなにも楽しいものにしてくれるとは想像だにしなかった。電動自転車、特にこの 電動自転車VanMoof X3についても、まったく同じように感じている。

筆者はオレゴン州はポートランド市に住んでいる。ここは自転車レーンが多く設けられていて、ネイキッドバイクライドイベントが開催される町。ポートランド市に引っ越して来た当初は、筆者も自転車に乗ってあちこち足を伸ばしたものだが、時間の経過とともに自転車に乗る機会が減っていった。というのも、週末のキャンプ旅行のために購入した自動車が、徐々に毎日の用事をこなすのに使われるようになっていったからだ。

引っ越してから数年後、ある慢性疾患の診断を受け、突如として自分が何をできるか、どこまでなら安全に行けるのか自信がなくなってしまった。その後筆者が自転車に乗るのは、すばらしい天気に恵まれた日に限られるようになり、シーズン中に数えるほどの日数になってしまった。そんな時、もっと自転車に乗れたら、本当に楽しいだろうに!と考えため息をついたものだ。

X3に試乗してみるまで、筆者は短い距離でも自転車に乗らずに自動車を使用する言い訳を見つけたものだ。往きは良くても疲れてしまって、自転車で家に帰って来られなくなったらどうする?雨が降り始めたら?職場についた時、汗だくでは困るのでは?電動自転車は、こうした心配の大部分を一気に解消してくれる。

気温が35℃以上あったとしても、X3は快適な乗り心地で筆者をさっと職場まで連れて行ってくれる。急な嵐がきてもスピードで乗り切れる。一日を汗だくの状態で始めるのが嫌なら、すてきなすてきな電動機能に頼ることで、汗の一滴もかかずにオフィスへ到着することも可能だ。

そして、これはぜひ強調したいのだが、自転車で風を切って進むこと(自分に適した労力を使って)、これは本当に、本当に楽しい。あなたがまだ電動自転車に乗ったことがないのなら、是非実地で試してもらいたい。というのも、かすかな電動音を感じながら、快適にすいすい進むこの感覚を言葉で伝えることは難しいからだ。

VanMoofの誇るハイテク自転車のペア、X3および同系統でやや大型のS3は、もちろん市場に出回っている唯一の選択肢というわけではない。その利点の一部はどの電動自転車にも当てはまるものだ。しかし、だからといってVanMoofがありふれた存在であるかというと、そうではない。VanMoof X3は、ある種の乗り手(私自身を含む)にパーフェクトにマッチする非常に特殊な外観、感触、機能を備えている。しかし、電動自転車をこれから購入予定の方々は、さまざまな側面を検討したいと考えておられるだろう。そこで、以下に詳しく特徴を掘り下げてみようと思う。

数値ディスプレイにはバッテリー寿命、スピード、その他の重要な情報が表示される

外見

筆者はVanMoof S3ではなくX3(写真では形状がやや奇抜に見える)に試乗した。これは、好みでそうしたというよりも、筆者の身長が162.5センチメートルであるからだ。X3は、身長が150~195.5センチメートルの人向けで、身長が172.5センチメートル以上の人向けのS3よりも少し小型でデザインもやや変わっている。X3のタイヤはS3の28インチと異なり24インチで、フロント部にバンジーコード付きの台座があり、どのように使うのかは定かではないが、何かしら運べるようになっている(別売りのバスケットを購入してフロント部に取り付けても素敵だと思われる)。

他の電動自転車と同様、X3は一般の公道用自転車や通勤用自転車と比べると、ずっと重たい。公表されている重量は約21kgで、仮にそれを遠くまで運ばなければならない場合、その重さは大変なものに感じられるだろう。筆者はオレゴン州ポートランド市の一軒家に住んでいて、X3に乗るために玄関からほんのわずかな距離を運ばなければならなかったが、まったく問題はなかった。

筆者はブルックリン市でエレベーターの無い建物の5階に住んでいた事があるが、X3を抱えて階段を上り下りすることは不可能だったろうと思う。充電のためにX3(または他の電動自転車)を一階に保管することができない場合は、この製品はあなたには適さないかもしれない。(あとから説明するが、写真では、チェーンの上部に、オプションの外付けバッテリーパックを装着できる小さな台座があるのに注意して欲しい。この台座は取り外し可能)。

紙の上で見た場合、筆者にはS3の方が好ましいと感じるが、実際には、駐車中でも誰かが乗っている場合でも、X3が不格好というようなことはまったくない。キュートで、未来的でありながら目立たず、多くの称賛を得ている。筆者の妻は、その外見を「デス・スターっぽい」と表現していて、その意味するところを筆者が完全に理解しているわけでないにしても、彼女は間違ってはいない。通勤途中、清掃トラックの運転手がトラックの窓を下げて「その自転車、とっても格好いいね!」と声をかけてくれた。どうもありがとう!

VanMoofの現行の電動自転車はマットペイントでコーティングされていて、クラシックでセクシーなマットブラック、または心地よい陽気なマットライトブルーのどちらかを選ぶことができる。以前のバージョンでは光沢のあるコーティングだったが、マットの方が傷がつきにくいと思われる。爆弾の破壊力に完全に耐えられるというほどではないにしても、ペイントはかなりしっかりしているように見える。ハンドルバーになぜか小さなキズがついていてペイントが剥げているがどうしてそれがついたのかはまったくわからない(フクロウのせい?)。

ちょっと重要だと思うのは、VanMoof X3やS3が電動自転車のようには見えないということだ。フレームから醜い膨らみが突き出ているということもないし、トップチューブとダウンチューブは厚みがあるが均一で、その厚みもそう気になるほどではない。

電子部品はフレーム内に収納されており、ドライブトレーンも収納され密閉されている。トップチューブに埋め込まれたLED指標ディスプレイがあるが、これはほぼ乗っている人からしか見えない。電動自転車であることを大声で喧伝しているかのような外見の電動自転車を探しているわけでなければ、VanMoofはベストの1台ではなくとも、ベストチョイスの1つだ。外見がすばらしい電動自転車というだけではなく、自転車として見てもすばしいのだから。

乗り心地

VanMoof X3は見栄えの良い自転車だ、ということはおわかりいただけたと思う。しかし、乗り心地の方はどうだろう?筆者は自信を持って、次のようにお伝えすることができる。通勤のために初めてX3に乗ってから20回目になるまで、X3はすばらしく楽しい時間を提供してくれるということを。

電動自転車が初体験の筆者には、ちょっと躊躇する気持ちもあった。電気の助けを借りたら、自転車に乗ることのすばらしさが安っぽいものになってしまうのではないか?シフトチェンジを自動でしてくれる自転車を自分は本当に欲しいのだろうか?しかし、ふたを開けてみれば、そのような心配はまったくいらなかったことがわかった。

VanMoof X3(とその兄弟のS3)は乗り手がペダルをこいでいるのを電気でサポートしてくれる。つまり、乗り手は自分の力でペダルをこいでいるのだが、電気の力も同時に借りてとても楽に少ない労力でより速く進むことができるのだ。X3のハンドルバーの右側には、ターボブーストボタンがついていて、米国では、通常のなめらかな電気アシスタンスを超えた強力なブーストを1時間に20分まで得ることができる。

乗り手は必要なアシスタンスのレベルを選ぶことができる。VanMoofアプリ(後で説明する)を使って、または実際のボタンを使って、必要なパワーアシストのレベルを0から4まで選ぶ事ができるのだ。0は電気によるアシストはまったくなく、乗り手がまったくの自力でペダルをこいている状態(これはよろしくない)で、4では、まったく汗さえかかない、労力のいらない楽な状態になる。

筆者がX3を試乗していた時は、ちょっとペダルを重くしてエクササイズしたい気分の時には「2」を使い、朝コワーキングスペースへ急いでいる時は「4」、それ以外の、例えば週末にブランチに行く、というような時には「3」にしていた。ペダルアシスタンスのレベルを選べるというのは大変大きな利点で、これによって自転車をフレキシブルにさまざまな場面に合わせて調整できる。

どのモードであっても、ターボブーストボタンは強力なサポート機能である。これによって急な坂はあたかも平面のようになるし、クルマの運転手が周囲に気を配っているか定かでないような混んだ交差点を横切る時など、ずっと安全に渡れる気がする。X3は、危険を避けた安全な街乗りにはもってこいの、楽しくすばらしい電動自転車である。

自動電気シフトに慣れるのにはやや時間がかかるが、それは本当にスムーズである。冷蔵庫やランプ、バイブレーターに、ナンセンスで無駄な「スマート」ハイテクが搭載されるまでは、それらが完璧に機能していたものだが、筆者は最初それと同じように、この電気を使った技術が邪魔に感じられるほど頻繁に不具合を起こすのでは、と予想していた。

長期間にわたって調査した結果、筆者はX3は今までにないほどスムーズでシームレスであるということができる。たまにペダルを踏み込む際スムーズでなかったり、ギアが瞬時に機能しなかったりするが、それはごく稀である。アプリを使って自転車が上下に移動するタイミングをカスタマイズすることもできるのだが、自分にピッタリあった自転車が手に入るのだから、それを試してみる価値は十分にある。

他には特筆すべきことは?米国におけるX3の最大アシスト速度は20 mph(時速32km)であるが、ヨーロッパでは15.5 mph(時速25km)に制限されている。米国で許可されているこの速度はすばらしく、X3で20mphまで速度を上げ維持するのは造作のないことだ。通常の自転車でそんなことをしようとするなら、筆者が所有する小回りのきくロードバイクですら、大腿四頭筋を痛めてしまいかねない。

それ以外にも、シートは非常に心地よく、乗り心地も快適にまっすぐでナチュラルである。X3にしばらく乗っていたせいで、筆者の愛すべきビアンキに戻るのが大変で、慣れ親しんでいたはずの快適な感覚を取り戻したいと切に願う羽目になった。

未来型テイルライト

価格

VanMoof X3はすべてを考慮するとすばらしい価格である。この会社は価格をいじくり回す変わった癖があるのだが、2020年に設計変更が行われ、大幅な価格の下落(3398ドル[約37万5000円]から一時は1998ドル[約22万円]に設定された)があって以降、X3は大変お買い得感のある値段がつけられている。現在の値段は2298ドル(日本では税込27万5000円)で以前の価格より300ドル(約3万3000円)高いが、それでもフル機能を備えた電動自転車を2000ドル(約22万円)程で手に入れたいと考えている人にとってはよい取引である。

この金額は、VanMoofの気の利いた付加機能がついていない、通常の新しい自転車を買う場合と比べてもそれほど大きく違わない金額である。ハイエンドの自転車を購入しようとしている場合には、この金額はさらにずっと低いものに感じられるはずだ。そして現実的な側面で言えば、電動自転車を購入するということは、従来の自転車の代りということではなく、車や公共交通機関など、目的地へ移動するのにお金を払うものに今ほど頼らなくても済むようになるということである(米国で2000ドル[約22万円]以下の自転車を探す場合は、Rad Power BikesおよびCharge でよいオプションを探して欲しい)。

VanMoofの価格設定は、高品質で機能豊富なハイエンド電動自転車に比べると、はるかに低額である。しかし同社の製品は、見栄えの点でも機能の点でもそれらのハイエンド製品に太刀打ちできている。しかし、VanMoofがすでに世に出ている自転車の価格をひそかにいじくりまわしているのはいただけない。狙いを定めて購入しようとした矢先に値段が吊り上がる、などということになったら最悪である。

この件について同社はもっと透明性ある対応をし、今後予定されている価格変更日についての情報を開示すべきである。自転車の世代交代もあるようで、現在購入できるX3は2020年のX3とは異なる可能性がある。これらは紛らわしいので、ウェブサイトにはっきりした情報を掲載するべきである。

VanMoofアプリのアプリ内ライドトラッキングとサマリースタッツ

航続距離

電動自転車(またはeと名のつくものすべて)で最も考慮しなければならない事の1つが航続距離である。VanMoofによると、X3の航続距離は「フルパワー」で走った場合は37マイル(約60km)、エコノミーモードでは最大93マイル(約150km)となる。93マイルまで行けたなら、ペダルアシスタンスをまったく使わないで走行していた可能性もあるので、その場合は、93マイルという数値を気にする必要はないだろう。最も低い37マイルという見積もりだが、これは、4番目のパワーアシストモードで走り頻繁にターボブーストを使用する人にとってはちょっと甘めの見積もりかもしれない。筆者の経験(通常モード3か4で、たまに2、ターボボタンは軽く使用)からいくと、35~45マイル(約56~72km)が順当なところだろう。

航続距離は問題ないと感じる。X3を週のうちほとんど毎日使用しても、充電は煩わしく感じるほど頻繁にしなくてもよい。筆者の場合、毎日短距離(通常2~2.5マイル[約3~4km])を走行し、たまに長距離(10~20マイル[約16~32km))も走行する。X3やS3を使用してもっと長距離を通勤する人の場合はもう少し頻繁に充電することになる。そうであっても、家から遠く離れたところに来ているのに、バッテリーがあがってしまうのではないかと心配するようなことには決してならないだろう。仮にそのような状況になったとしても、自転車なのでペダルをこぐことはできる(ただペダルがとても重いだけである)。ほとんどの人は一晩かけて充電を行うと思うが、必要なら4時間でバッテリーをフルの状態にすることができる。

注意すべきなのは、壁取付け型充電器を直接自転車につないで充電する点である。X3を1階で充電したり保管したりできない場合、自転車を抱えてコンセントのあるところまで運ばなければならない。取り外しできるバッテリーがない点が、エレベータのない建物や小さなアパートに住んでいる人にとってのVanMoof自転車のネックになるかもしれない。しかし適切な保管場所がある人には、迷うことなくお薦めできる自転車だ。

内蔵バッテリーによる航続距離もほどんどの場合十分だが、VanMoofでは、X3とS3向けに別売りの外付けバッテリーパックを発売したところだ。バッテリーは下の写真にあるように、小さな台座にはめ込むことができ、試乗用の自転車に取り付けられている。これによりX3の航続距離を大幅に伸ばすことができる。VanMoof はこのPowerBankアクセサリーを348ドル(約3万8000円)で販売している。このバッテリパックは小さくはないし、重さは約2.7kgある。しかしVanMoofによると、これにより28~62マイル(約45~100km)も航続距離が伸びるそうである。この上限値に到達する人はほとんどいないだろうが、下限の値であっても元の航続距離のほぼ2倍になっている。

VanMoofの外付けPowerBank

PowerBankは大きく、かなりかさばっている。ひどく不格好というわけではないが、そのためにX3は間違いなく電動自転車に見える。超ハンサムな電動自転車、Cowboyの取り外し可能バッテリーのようなエレガントさは無いが、それでも問題になるレベルではない。VanMoofの他の点はパーフェクトだがもう少し航続距離が必要だ、という場合、ある程度のお金は払わなければならないが、このオプションがあるのはありがたい。

技術的特徴

VanMoofのX3とS3の付加技術は、その他の電動自転車からX3とS3を大きく際立たせている。X3の価格は、信用ができ、見栄えのよい電動自転車の価格としては納得のいくものだが、それに加えうれしいのは、小技の効いた電動自転車を手に入れることができる点だ。

  • 数値ディスプレイ:自転車のトップチューブには、メタルディスプレイに組み込まれたLEDライトが、速度、バッテリー寿命、その他の役立つ情報を表示してくれる。これはキラー機能で、本当にいかしている!
  • アラーム:あなたの自転車に危険を及ぼしかねない相手には「文字通りうなる」アラームを発動することができる。アラームは強烈でかなり音が大きい。
  • キックロック:小さなフィジカルボタンをキックすると後輪にロックをかけることができる。自転車泥棒がいるような町に住んでいる場合、泥棒はトラックにひょいと自転車を投げ込んでしまうだろうから、キックロックがあればセキュリティは万全、というわけではないけれども(筆者は小型のクリプトナイトロックを使用していたが、これは効果を発揮した)。
  • iOSのFind My:iOSを使用している人の場合は自分の自転車がどこにあるか簡単に追跡することができる。しっかり自転車にロックをかけておけばこれは必要ないかもしれないが、すばらしい機能である。

VanMoofはiOSの「Find My」アプリに対応している

  • ライト:VanMoof X3は、フロントにもバックにも優秀な内蔵ライトがついている。
  • アプリ:驚くべきことに、このアプリは大変優れものである。細々したこと(ベルの音量、アラームのオン・オフ、設定の変更)をカスタマイズでき、走行状況などの情報を表示することもできる。また、最も基本的な、自転車をこぐ、ロックを解除する、電気アシスタンスのレベルを変更するといったことは、自転車をアプリに接続していないくても実行できる。接続がうまくいかないことが時たまあったが(そのほとんどはAndroidで)、問題を解決するのは簡単で、そのために自動で走行記録が取れないことはあっものの、自転車の使用に支障をきたすことはなかった。またこのアプリを使って自転車がどこにあるかを追跡することもできる。VanMoofは、この機能とアラームシステムおよび盗難復旧チームを組み合わせることで、自転車をなくした人々が自転車を取り戻せるよう支援することができると宣伝している。

全体として、X3がすばらしいのは、その技術的機能がただの凝った機能ではなく、実用的でユーザー体験を大幅に向上させてくれるものである点だ。そして、これらはオプションである。アプリを使わなくても、パワーアシスタンスに助けられながら自転車に乗ることができる。普通のロックを使いアラームシステムをスキップする選択もできるし、実際のボタンコードを使って手動でこれを無効化することもできる。このボタンを使ってパワーアシスタンスモードを変更することもできる。これは優れた機能で、これにより電動自転車を自分の使いたいように使うことが可能になる。個人的には、インターネット、スマートフォン、アプリに接続が必要な電気自動車は購入するつもりはない。そういったものはトラブルの元だからである。

その他の考慮事項

  • 配送と組み立て:VanMoof X3およびS3は大きなボックスに入って郵送されてくる。組み立てはいたって簡単である。ただし1カ所だけ難しいところがあり、VanMoofのサブレディットを検索して(つまり、この箇所につまづいたのは筆者1人ではないということ!)これに小一時間ほど費やす羽目になった。
  • 追加サポート:VanMoofは自転車を正常な状態に保ち、持ち主が自転車を所有し続けることができるよう、3つの有料プランを提供している。3年間のメンテナンスプランは348ドル(約2万6000円)、3年間の盗難復旧プランは398ドル(約3万円)、またはこれらを組み合わせたプランは690ドル(約5万3000円)となっている(以下のVanMoofによる内訳)。

  • メンテナンス:VanMoofの自転車を購入する際、最も考慮すべきなのはどこに住んでいるかだろう。筆者は長期間にわたりX3が信用に足るか試乗していたわけだが、問題はほとんど起こらず、これには驚くほどであった。ブレーキパッドが擦れてしまったため、ある時点で前輪の中心を再設定しなければならなかったが、アプリの接続問題がたまに起こることを除き、この出来事以外の問題は起きなかった。もちろん、経年劣化はどの自転車にも起こるだろうから、そのモデルをよく知っているプロにチューンナップしてもらうのは良いことである。

VanMoofはアムステルダム、ロンドン、パリ、ベルリン、ニューヨーク、サンフランシスコ、シアトル、東京に本格的な店舗を構えている。この本格的な店舗以外にも、同社は同社自転車の整備のために大規模なサービスセンターおよび「認定ワークショップ」のネットワークを構築しているので、お近くにサービスショップかあるか確認するようにしよう。個人的には、2000ドル(約22万円)以上の投資とX3に備わった多くの技術的要素をパーフェクトな状態に保つことができるよう、VanMoofの店舗または少なくともサービスセンターの近くにいることが望ましいと考える。誰も修理のために、自転車を送り返したいとは思わないだろう。特にそれが重く技術的に複雑な要素を持った自転車ならなおさらのことである。

X3を試してみるまでは、筆者は電動自転車についてそれほど考えることがなかったし、電動自転車がそもそも誰を対象としたものだかよく知らなかった。数年前に初めて、筆者よりずっと自転車に熱心な親しい友人が、長い散歩に飼い犬(とってもいい女の子である)を連れて行くのに電動自転車を購入した時に、VanMoofの社名を耳にした。一緒にファーマーズマーケット(農産物の直売所)に行き、彼女のVanMoofをすばらしいと褒めたものの、これほど多くのテクノロジーを内部に備えた自転車が、時間が経過しても信頼に足るものであるのか、懐疑的だった。

自転車とは機械的でシンプルなものである。それこそが自転車のすばらしいところである!電動自転車は自転車に乗ることのすばらしいシンプルさを、ハイテクであるなにかに本当に置き換えることができるのだろうか?結果としてわかったのは、それは可能だ、ということである。VanMoof X3を試してみてそれが信用に足るものであることを確認し、その機能が日々の使用の中でどのように維持されるかを理解してみると、筆者は自分が以前懐疑心を抱いていたことを後悔するほどである。

筆者は、VanMoof X3を試している間どんなにか電動自転車、特にこの電動自転車が生活の細々したところを良い方向へと変えてくれたかを、十分言い尽くせないように感じている。自転車にもっと乗ること(そして電気自動車はより多くの人が自転車に乗るような流れを作っている)は、筆者をより幸せに、より健康にしてくれる。自転車にもっと乗ることで、運動不足になりがちなパンデミックの時期から抜け出し、周囲の世界との結び付きを感じさせてくれる新しい習慣を身に付けることができた。自分の住む町を新鮮な目で見、一度も足を踏み入れたことのない新しい近隣地域を訪れ、当たり前に思っていた小さな物事を大切に感じることができている。筆者が電動自転車について後悔していることがあるとすれば、それはどうしてもっと早く電動自転車に乗ってみなかったのか、ということだけである。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:電動自転車VanMoofレビュー

画像クレジット:電動自転車、VanMoof、レビュー

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

ニューヨークの電力網に負担をかけずに電動モペッドの電力を供給するためにRevelはゲーム化したアプリを利用

Revel(レベル)が、ニューヨーク市の電力網に負担をかけずに3000台以上の電動モペットへの充電を行うために、エネルギー使用をゲーム化したアプリを利用する。

ブルックリンを拠点とするこのスタートアップにとって、電気は重要な要素だ。最近同社のサービスは、電動モペッドの共有だけでなく、電動バイクのサブスクリプション急速充電インフラ、さらには電気自動車(EV)の配車サービスにまで拡大している。Revelが運用コストを可能な限り低く抑えるためには、単なる電力の利用だけでなく、電力を利用するタイミングも管理することが不可欠だ。

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そこで、登場したのがLogical Buildings(ロジカル・ビルディング)だ。このソフトウェア会社は、利用者が毎月のエネルギー消費量を減らし、それによって、現金報酬を得ることができるアプリGridRewards(グリッドリワーズ)を開発した。このアプリの「仮想発電所」ソフトウェアは、Revelが保有する車両の充電スケジュールを動的に調整し、ニューヨーク市の電力網の弾力的運用をサポートするのに役立つと両社は述べている。

RevelのCOOで共同創業者のPaul Suhey(ポール・スヘイ)氏は「当社は電動モビリティ製品を拡大していく中で、電力網の負債ではなく資産となることを計画しています」と述べる。「私たちのEVインフラと充電オペレーションは、ニューヨーク市がよりクリーンな電力網に移行する際に大きな役割を果たすことができます」。

電気自動車の導入やマイクロモビリティの共有サービスが増加しているため、多くの業界関係者がバッテリーと電力網間でのエネルギーを転送を模索している。EVのバッテリー交換を行うAmple(アンプル)は、同社の交換ステーションを緊急時のバックアップ電源として利用できるとしている。また、フォードの新型ピックアップトラック「 F-150 Lighting」も、停電時に自宅の電力を供給することができる。

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Revelの場合、電力網の解放が即座に必要な場合には、迅速に充電ステーションからの負荷を軽減する「デマンドレスポンス」(需要反応)オペレーションのようなサービスを提供したいと考えている。これは同社が先にニューヨークで実施したような運用だ。6月28日の猛暑の中で、Revelは需要のピーク時を避けるために、車両群の充電スケジュールを調整したのだ。

Revelによれば、エネルギー需要が高い時には、発電所から単位電力あたり2倍の二酸化炭素と20倍の窒素酸化物が排出されるため、ピーク時の需要を避けることで、よりクリーンな電力網の構築にもつながるという。

Revelまた、完全EV配車サービス用にTesla(テスラ)も所有しているが、このサービスは、市でのハイヤー新規導入に上限が設けられたため、サービスの停止を余儀なくされている。しかし現時点では、同社がこの技術を適用するのは電子モペッドに限定されている。

Logical Buildingsの業務担当副社長であるDavid Klatt(デビッド・クラット)氏は「交通機関の電化が進む中、電気モビリティ会社は電力網の弾力性を高めるための充電スケジュールを立てることが重要です」という。「Revelは、ニューヨーク市の円滑な電化と脱炭素化に道を開く、インテリジェントな充電オペレーションのリーダーとなるために必要な措置を講じています」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:ニューヨーク電力網電動モペッドRevel電気自動車充電ステーション

画像クレジット:Revel

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

和歌山発glafitの電動ハイブリッドバイク「GFR」が自転車・電動バイク車両区分の切り替えが認められた日本初の車体に

和歌山発glafitの電動ハイブリッドバイク「GFR」が自転車・電動バイク車両区分の切り替えが認められた日本初の車体に

和歌山県を拠点とする「glafit」(グラフィット)は7月2日、同社「ハイブリッドバイクGFR」(GFR)に「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー」(モビチェン)機構を取り付けた場合、電動バイクと自転車の切り替えを認める通達が警察庁より2021年6月28日発出され、7月1日に公表されたと発表した(通達文)。モビチェン操作により、原動機を作動させずペダル走行する場合は、道路交通法上自転車となり、自転車が通行可能な場所(通行区分)や運転方法に従うことになる。

今後全国で運用を開始するにあたり、モビチェン装着の次期GFRシリーズ(GFR-02)の走行が始まる前に、まず都府県警と地元メディア向けにモビチェンの具体的な操作方法や安全対策などの説明とGFRの試乗のキャラバンを行って普及活動を実施する。特に利用ユーザー様が多い都府県を中心に、今後日程調整の上行うとしている。

キャラバン予定:警視庁、千葉県警、埼玉県警、神奈川県警、静岡県警、愛知県警、大阪府警、和歌山県警、京都府警、兵庫県警、福岡県警

和歌山発glafitの電動ハイブリッドバイク「GFR」が自転車・電動バイク車両区分の切り替えが認められた日本初の車体に

glafitは、内閣官房日本経済再生総合事務局(現・成長戦略会議事務局。規制のサンドボックス制度 政府一元窓口)によるサポートのもと、和歌山市と規制のサンドボックス制度に共同申請し、2019年10月17日に実証計画が認定された(経済産業省、警察庁、国土交通省認定)。

同社は、この認定に基づき2019年11月から行ってきた実証実験を経て、モビチェンを自社開発したという。関係省庁でも検討を行い、警察庁での最終確認を経て、車両区分の切り替え第1号案件として、1台の車両で電動バイクと自転車の切り替えを認める通達が発出された(2021年6月28日発出、2021年7月1日公表)。

従来「ペダル付きの原動機付自転車」は、原動機を作動させずペダル走行させる場合であっても、原動機付自転車の属性は変化せず、例えば原動機付自転車が運転可能な場所(通行区分)や運転方法に従うこととなっていた。しかし今般の改正(解釈変更)により、モビチェン機構を取り付けたGFRは、モビチェンの操作により、原動機を作動させずペダル走行させる場合は、道路交通法上自転車の取り扱いとなった(切り替えは、道路交通法上の取り扱いとして認められたもので、道路運送車両法では原動機付自転車)。

これにより、規制のサンドボックス制度を利用し、モビリティ分野で道路交通法の解釈変更が認められ、実際に運用が始まることとなる。GFRはこれら取り扱いの日本初の車体となった。

「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー」(モビチェン)機構

モビチェンは、切り替えを認められる要件を満たすよう、警察庁の指導を受けながらglafitが開発した専用の機構。まずGFR-02へのオプション対応を行い、その後は前モデル(GFR-01)へのオプション対応を行う。さらに、今後はモビチェンを活用した新しいモビリティも開発予定。

和歌山発glafitの電動ハイブリッドバイク「GFR」が自転車・電動バイク車両区分の切り替えが認められた日本初の車体に

同社は「ハイブリッドバイク」という新ジャンルを切り開き、市場のパイオニアとして広く普及促進していくために、志を同じくする企業と特許ライセンス提供契約を結び、車両区分の切替えを伴うモビリティ分野の発展に寄与するとしている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:glafit(企業)電動自転車 / eバイク / 電動モペッド(用語)日本(国・地域)

ポルシェ、ヤマハが電動モビリティのオンライン販売を行うRidepandaに出資

電動マイクロモビリティのオンラインディーラーであるRidepanda(ライドパンダ)が、375万ドル(約4億1600万円)の資金調達を発表した。この資金は、同社のeコマースおよびB2Bソリューションを発展させるため、エンジニアリング、プロダクト、デザインの各チームの増強に使用される予定だ。また、同社は配送業者や、電気自動車を購入した従業員に通勤手当を支給する企業との戦略的パートナーシップを強化したいとも考えている。

2020年は電動アシスト自転車や電動スクーターの販売が急増した。Bicycle Associationは、新型コロナウイルスが2020年1月から10月までの間に英国のサイクリング経済に与えた影響を詳しく調査しているが、そのリポートによると、電動アシスト自転車の販売台数は2倍以上に膨れ上がったことが明らかになった。Deloitte(デロイト)は、2023年には電動アシスト自転車の販売台数が全世界で4000万台を超え、220億ドル(約2兆4000億円)以上を生み出すと予測している。電動マイクロモビリティの選択肢増加にますます追い風が吹いている市場において、Ridepandaの事業は、一般消費者向けと商用(配達業務やレンタル事業)向けの両方で、電動アシスト自転車、電動キックスクーター、電動スクーターの販売を牽引する可能性がある。

「自動車による移動の60%は5マイル(約8キロメートル)以内です。その程度の移動であれば、もっと良い方法があると、私たちは考えています」と、Ridepandaの共同創業者でCEOを務めるChinmay Malaviya(チンメイ・マラヴィヤ)氏は、TechCrunchに語った。「電気自動車は1つの解決策ですが、私たちが提供する車両は、もっと安く、より扱いやすく、より手軽に乗れて、より実用的で、渋滞にも強く、収納しやすく、駐車しやすく、充電しやすく、環境にやさしく、健康にも良いので、より楽しく乗れると思います」。

サンフランシスコを拠点に米国48州に出荷しているRidepandaは、Segway-Ninebot(セグウェイ – ナインボット)の電動キックスクーターから、Aventon(アヴェントン)の電動アシスト自転車、Niu(ニウ)の電動オートバイまで、さまざまな電動軽車両を提供している。2019年の創業以来、同社は販売した車両の台数を明らかにしていないが、マラビヤ氏はTechCrunchに「4桁の数字」だと語った。

共同創業者でCTOのCharlie Depman(チャーリー・デップマン)氏によると、電動アシスト自転車が最も人気があり、電動キックスクーターがそれに続くという。電動スクーターにはまだ成長の余地があるが、このカテゴリの販売が伸びない理由の1つは、現在も解決されていない新型コロナウイルスの影響による部品供給不足の問題があるためではないかと、デップマン氏は考えている。

Ridepandaは、サイトに掲載している各車両を事前に審査し、すべてのパーツが高品質で修理や交換が容易であることを確認している。故障した電動キックスクーターを従来の自転車店に持ち込んで、苦い経験をした人なら、その有益性が非常によくわかるだろう。

Ridepandaのサイトにアクセスすると、洗練されたレコメンデーションエンジンが、都市部での通勤や郊外でのレジャーなど、それぞれのユーザーの用途に合った最適な乗り物を選ぶのを手伝ってくれる。

「当社のお客様の5分の1は、当社のサイトを訪れたときに、自分がどんな種類の乗り物を求めているのかを知らないのです」と、デップマン氏はTechCrunchに語った。「当社では、お客様のユースケースや好みの機能に応じて、ランク付けされたおすすめの車種を紹介します。そこからそれぞれの車種のページに移動すると、当社についての詳しい説明や、メンテナンスプランやロードサイドアシスタンスなどを提供しており、安心して所有していただくことができます。基本的には自動車を所有するのと同じくらい簡単ですが、普通はこのようなインフラの多くは、電動軽車両を所有するためには用意されていません」。

車両は顧客に直接配送され、顧客は自分で組み立てるか、訓練を受けた技術者が家に来て自宅で組み立てるかを選択できる。

同社では、今回調達した資金によって、このような受注から納車までのフルフィルメントプロセスの自動化や「PandaCare(パンダケア)」アプリによるアフターサービスの構築など、ユーザーと直接関わるアプローチを改善していきたいと考えている。

PandaCareは、メンテナンスやロードサイドアシスタンス、延長保証など、すべてのサービスを提供する当社のフラッグシップディーラーシップです」と、デップマン氏は語る。「理想としては、このアプリを使ってすべてのサービスにアクセスできるようになることです。例えば、メカニックを呼んで自分の車両の修理をしてもらったり、あるいは予防的なメンテナンスの必要を、オーナーや当社に通知することで、車両の寿命を伸ばすこともできるでしょう」。

Ridepandaは製品面でも、地域に合わせてパーソナライズすることを目指している。このような電動軽車両を取り巻く法規制は州によって違い、購入時に支給される補助金も州ごとに異なるからだ。

2021年2月、オレゴン州選出のEarl Blumenauer(アール・ブルーメナウアー)議員は、Electric Bicycle Incentive Kickstart for the Environment(環境のための電動アシスト自転車奨励金導入)法案を提出した。これは新しい電動アシスト自転車を購入する際に、30%の還付可能な税額控除を行うというものだ。この法案はまだ議会を通過していないが、もし可決されれば、これをきっかけに購入を検討する人は増えるだろう。それにともなう販売増加の促進に一役買いたいと、Ridepandaは望んでいる。

マラヴィヤ氏によると、Ridepandaはサンマテオ郡の電力会社であるPeninsula Clean Energy(ペニンシュラ・クリーン・エナジー)と提携し、地域の電動アシスト自転車奨励金を展開することで、低所得者層が購入時に利用できるようにしているという。

「私たちは、技術的なパートナーとして、また消費者にとっては、これらの奨励金をや補助金をシームレスに統合することで、その利点を簡単に利用できる精選されたプラットフォームとして、当社がどのような役割を果たすことができるかを、非常に楽しみにしています」と、マラヴィヤ氏は語っている。

マラヴィヤ氏によれば、2020年のシード資金調達の延長となる今回の375万ドルのラウンドは、Porsche Ventures(ポルシェ・ベンチャーズ)、Yamaha Motor Ventures(ヤマハ・モーター・ベンチャーズ)、Poeza Ventures(ポエザ・ベンチャーズ)が主導し、Lime(ライム)の共同創業者であるエンジェル投資家のToby Sun(トビー・サン)氏と、シリコンバレーのVCであるGeneral Catalyst(ジェネラル・カタリスト)が参加したという。

「これらのパートナーシップから私たちが得られるものはたくさんあります」と、マラヴィヤ氏は語る。「ヤマハからは、ディーラーシップやサプライチェーンの管理から、実際に自転車やスクーターを提供するまで、どのようにやっているかを学ぶことができるでしょう。ポルシェも同じです。ポルシェはハイエンドの電動アシスト自転車も発売しましたが、ディーラーシップや製品へのアクセス、さらにはブランディングの面でも協力できることを楽しみにしています。Proezaからは、サプライチェーンに関する専門知識を得られることを非常に期待しています。また、これらの企業について重要なこととして、ポルシェの本社はドイツにあり、ヤマハは日本、Proezaはラテンアメリカにあることも挙げられます。私たちが米国以外の地域に進出する際には、大きな助けとなるでしょう」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Ridepanda資金調達電動キックスクーター電動自転車eコマース

画像クレジット:Ridepanda

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

セコムがトヨタ開発中の巡回警備用パーソナルモビリティー「歩行領域EV」で公道実証運用を開始

セコムがトヨタ開発中の巡回警備用パーソナルモビリティー「歩行領域EV」で公道実証運用を開始

セコムは6月28日、トヨタ自動車と連携して、トヨタが開発中の「歩行領域EV(警備実証用モデル)」を使用した巡回警備の実証運用を、東京都江東区青梅のテレコムセンターと青梅フロンティアビル周辺の公道(車道と歩道・横断歩道)で開始した。

セコムがトヨタ開発中の巡回警備用パーソナルモビリティー「歩行領域EV」で公道実証運用を開始

セコムでは、警備業界の負担軽減、労働環境の改善における解決策の1つとして、広域エリアの巡回警備を効率化する「歩行領域EV(警備実証用モデル)」の活用検討を行っている。これまで、大型商業施設や空港など、道路交通法の適用外となる私有地での実証実験を重ね活用実績とノウハウを蓄積してきたものの、法律の制約により「公道での巡回警備の実情に沿った形での走行」ができないことが課題だった。

これに関連して東京都は、セコムの事例を含む「公益的な事業等における搭乗型移動支援ロボットの活用」という規制改革提案を国に提出。2020年12月には警視庁から「『搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験』等に係る取扱いについて(通達)」が出され、2021年5月には国土交通省が「公道実証実験事業に用いる搭乗型移動支援ロボットの基準緩和認定要領について」の一部改正を行ったことから、国家戦略特区内での「歩行領域EV(警備実証用モデル)」の公道走行が、一定の条件下で可能となった。

条件は、警備員資格を保有し、あらかじめ乗車訓練を受けた警備員で、原動機付自転車の運転に必要な運転免許を保有している者のみが運転すること。また事前に許可を得たエリアに限定し、最高速度は時速6キロ以下などとなっている。

「歩行領域EV」の利点は、広域の移動が容易になることばかりではなく、視点が高くなることから視野が広がり、目立つことから犯罪抑止効果が期待できるという。また、AEDや拡声器などの装備品を携帯して移動できるといった長所もある。

セコムがトヨタ開発中の巡回警備用パーソナルモビリティー「歩行領域EV」で公道実証運用を開始

「歩行領域EV(警備実証用モデル)」の主なスペックは以下のとおり。

  • 全長:700mm
  • 全幅:450mm
  • 全高:1200mm
  • ステップ高さ:160mm
  • 最高速度:時速2/4/6/10km ※切替可
  • 連続走行距離:約14km
  • 連続走行時間:2.5時間
  • 充電時間:2.5時間
  • 乗員要件:身長130~185cm、体重100kg以内

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:セコム(企業・サービス)電動自転車 / eバイク / 電動モペッド(用語)トヨタ自動車(企業)マイクロモビリティ(用語)モビリティ(用語)日本(国・地域)

TC HUBが人気記事に登場する起業家を迎えるイベントを開催、記念すべき第1回目のゲストはモビリティスタートアップglafit代表の鳴海氏

2021年3月に開始した、スタートアップとその支援組織、そしてTechCrunch Japan編集部をつなぐコミュニティ「TC HUB」。Slackを通じて、過去取材先の起業家や広報チームなどが交流する場となっているが、コミュニティ向けのイベントの第1回が2021年5月28日午前9時から10時まで、バーチャルコミュニケーションプラットフォームのoViceにて開催された。

TechCrunch Japanの人気記事で取り上げた人をゲストに

TechCrunch編集部では毎月の人気記事を編集部内でも共有しているが、今後TC HUBでは、最近のPV上位記事で登場した起業家たちを迎え、スタートアップたちに現在、必要な情報や起業ストーリーを語っていただく。後半ではゲストブース、編集部ブース、自由交流ブースなど場所を設定し、参加者が自由に交流できる仕組みだ。

第1回目のゲストは、ハードモビリティベンチャーのglafit代表である鳴海禎造代表を迎えた。モデレータを務めるのは元エンジェルでスタートアップコミュニティStartpassを運営するStartPointの小原聖誉氏。事前の打ち合わせで今回のストーリーのポイントを抑えつつ、申し込み時に集めた事前質問を参加者の代わりに質問し、内容を深掘りしていく。

モビリティスタートアップの創業者に聞く事業成長ストーリー

glafitは和歌山県を拠点とし「日本を代表する次世代乗物メーカー」を目指して活動するハードスタートアップ。電動スクーター「X-SCOOTER LOM」(クロススクーターロム)」や折りたたみ式電動ハイブリッドバイク「glafitバイク」を製造、販売。米国で開催される世界的な電子機器の見本市であるCESでもプロトタイプを発表し、KickStarterでのクラウドファンディングに続いて、日本でもMakuakeを通じてglafit本体や関連グッズの予約販売を実施した。2021年4月には、バイクと自転車の機能を切り替えられるモビチェンについて発表、こちらの記事がTechCrunch Japanでも注目を集めた。

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glafitの電動ハイブリッドバイク「GFR-02」

イベントでは、鳴海氏は事業成長のポイントをはじめ、クラウドファンディングを通したメディア戦略について語った。

今後もTechCrunch Japanでは、定期的にTC HUBメンバーに向けたインタビューイベントや、交流イベントを行なっていく予定だ。TC HUBの加入に関心をもったら、ぜひこちらからアクセスして欲しい。

カテゴリー:イベント情報
タグ:TC HUBバーチャルイベントglafit電動自転車

Birdがシェア用電動自転車をローンチ、シェア事業者向けアプリも公開

Bird(バード)は、世界の250以上の都市で展開しているeキックスクーター(電動キックスクーター)に加えて、シェア用電動自転車(電動アシスト自転車)を導入することを発表した。また、シェアマイクロモビリティを提供するBirdは、地域のシェア自転車や電気モペットのプロバイダーたちや交通機関のアプリが、Birdのアプリを統合することができる「Smart Bikeshare」(スマートバイクシェア)という名のプラットフォームを同時に立ち上げた。

Birdの創業者でCEOであるTravis VanderZanden(トラヴィス・ヴァンダーザンデン)氏は声明の中で「シェアeキックスクーターは、世界で1億5000万回のゼロエミッション移動を提供し、シェアマイクロモビリティを都市における環境にやさしい交通手段の中心へと押し上げました」という。「私たちは、都市と移動者の間で急速に高まっている、持続可能な交通手段への要求に応えるため、シェア方式のBird Bike(バードバイク)とSmart Bikeshareのプラットフォームを立ち上げました。私たちが拡大したい市場では年間50億回の移動が予想されています」。

今回の発表は、Birdがバッテリーが改善された新型キックスクーター「Bird Three」(バード・スリー)を発表してからわずか1カ月後のことだ。同社の広報担当者によると、マイクロモビリティの巨人であるBirdの電動自転車は、最初の市場の1つとして2021年後半にオハイオ州クリーブランドで展開される予定だ。Birdの声明によると、この電動自転車は2021年、北米、イタリア、スペイン、ドイツ、アイルランド、フランスの一部の都市で利用可能になる予定だ。Birdは、ローンチする電動自転車の台数や具体的なローンチ日程については言及していない。

またBirdは、この電動自転車が同社で設計・製造されているのかどうか、または設計・製造されていない場合には、どのメーカーと協力しているかについても回答をしていない。

Bird Bikeは、75ポンド(約35kg)のフレームにステップスルーデザインを採用していて、20%の勾配のある坂道でも登ることができるという。前カゴ、大きな空気式タイヤ、そしてBirdの乗り物に必要なジオフェンシング(地域限定機能)や診断機能が搭載されている。

Bird Bikeは、Birdの最初の自転車ではない。2019年の夏には、同社はBird Cruiser(バードクルーザーを発表した)。これは自転車とモペットを掛け合わせた、2人乗りの電動自転車だ。しかし同社の広報担当者は、パンデミックが発生した2020年、この試験的な試みを中止することにしたと語っている。

すでにBirdの自転車シェアプラットフォームは、イタリアのeモペット会社「Zig Zag」との間で協業が始まっていて、Birdのアプリ内では、Zig Zagの車両と一緒に表示される。Birdは、世界中の他のマイクロモビリティ企業と協力していきたいと考えており、たとえば米国内ではNorth American Bikeshare Association(北米バイクシェア協会)などの団体と交渉を進めているという。

だがBirdは、Birdのアプリで予約された場合に、現地オペレーターの利益の一部を受け取るかどうかについての質問には答えなかった。

同社の発表によると、Birdのバイクシェア・プラットフォームにより、同社は「地域のシェア自転車やeモペットのプロバイダーと統合した最初のキックスクーター事業者」となる。またBirdは現在のところ、サードパーティのeキックスクータープロバイダーを自社アプリに統合する予定はないということだ。

Birdが地域のeキックスクーター事業者と提携せず、電動自転車や電動モペット事業者とプラットフォームを共有するならば、実際に複数事業を立ち上げるという苦労をすることなく、複数事業の存在感を示すことができるだろう。少なくとも、これらのコラボレーションにより、Birdは、乗り手ががどこでどのようにさまざまな車両を利用しているかをよりよく把握することができる。これは、Birdが投資すべき新たなモビリティ形態を決定するのに役立つだけでなく、特にヨーロッパにおけるBirdの拡大計画にも役立つだろう。

Birdは、これが同社のバイクシェア・プラットフォーム戦略の一環であるかどうかには答えていない。

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

Lyftの新しい電動自転車を試してみた、2021年6月からパイロットテスト中

私が混沌とした道路工事だらけのマンハッタンの路上を走ったその自転車に、見慣れたロゴはついていなかった。外観はいかにもプロトタイプという感じでつなぎ目にはハンダ付けの跡が見え、未完成のAVシステムを載せていた。しかし、走りは快調で、交通の流れに問題なく出入りできた。つまるところ、それは最も重要なことだ。

Lyft(リフト)の新しいeバイク(電動アシスト自転車)のパイロットテストは2021年6月に始まった。このライドシェアリング会社は、同社が運用している都市で車両を提供していく。まずサンフランシスコ、続いてシカゴとニューヨークだ。場所はほぼランダムな「イースターエッグ」方式なので、ユーザーはピカピカの新しい電動自転車とランダムに出会うことになる。幸運にも遭遇することができれば、Lyftはあなたにメールを送り、どんな体験だったを尋ねる。

私の体験は全体的にかなりよかったが、走っている途中にデリバリートラックと接触した。しかしそれが大都市の生活というもので、たぶん私が大きく曲がりすぎたのだろう。私にとって初めての80ポンド(36kg)の電動自転車だ(前車種より20ポンド、約9kg重い)。この重さ(主にダウンチューブ内の新型巨大バッテリーによる)は当初私を心配させたが、自転車の動きは驚くほど快適だ。電動アシストは自然でスムーズだ。巡航速度で走行中は、1ブロックに数回ペダルを踏むだけだった。

画像クレジット:Lyft

試乗は限定的で、ほぼ全部が平坦地だったので、橋の入り口ランプやサンフランシスコの有名な坂道で電動アシストを試すことはできなかった。

新しい電動自転車は、Lyftが前回の電動自転車軍団を展開(問題がないわけではなかった)してから比較的すぐだった。しかし会社は、この新型車を実質的にゼロから作ったと述べている。

「eバイクを作っているところは、家内工業から巨大消費者メーカーまで山ほどあります。しかし、業務走行用のeバイクはまったくの別物です」とプロダクトマネージャーのGary Shambat(ゲーリー・シャンバット)氏がTechCrunchに語った。「外観は同じように見えますが、摩耗や破損や破壊行為は著しく異なるので、既存製品にいくつか手を入れて、通信モジュールを載せておしまいというわけにはいきません」。

画像クレジット:Lyft

電動アシストを駆動する500Wのモーターとかなり巨大なバッテリーは60マイル(96km)の走行が可能だと同社はいう。つまり、1回の充電で何回か乗れるという意味だ。走行状態はすべてセンサーシステムによって監視されていて、バッテリーやブレーキに問題があれば警告が発せられる。

白い車体は光沢があり、前方のLEDリングライトは色を変えることができる。ヘッドライトと安全灯以外のさまざまな使い方を試験中だと会社はいう。リングは分割されていてさまざまな色に変化するので、方向指示器などに使うことが考えられる。全体的にちょっとした工夫が見られる。ハンドルバーグリップは小さな口ひげのようなデザインで、同社サービスの黎明期の装備を彷彿させる。

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現在、Lyftは9つの都市でバイクシェアリングを展開している。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Limeがニューヨーク市に電動モペッド100台導入、デブラシオ市長による7月1日の完全解禁宣言を受けて

ニューヨーク市の電動スクーターシェアリング事業の入札を、最初の企業として勝ち取ってから数週間後、マイクロモビリティー大手のLime(ライム)は、ニューヨークの街に電動モペッドを導入する。ニューヨーク市で複数の形態のマイクロモビリティーシェアリングを展開するのは、Limeが初となる。

米国時間4月30日、Limeはブルックリン区の路上に100台の電動モペッドを展開する。今後数週間で、対象地域はクイーンズ区とマンハッタン区の南区域に広げる予定だ。ニューヨーク市は、自動車の排気ガスによる大気汚染と温暖化に悩まされてきた。2050年までにカーボンニュートラルを実現したいならば、同市は電動マイクロモビリティーをもっと快く受け入れる必要がある。

Limeの直接の競合相手は、ニューヨーク市でLimeの他に唯一電動モペッドのシェアリング事業を展開しているRevel(レベル)だ。Revelは先日、全電気自動車による配車サービスの開始を発表したばかりだ。Limeが最初に運用を開始する地域は、ウィリアムズバーグからグリーンポイント、さらにブルックリンハイツにかけてのブルックリン区北部のほぼ全域というRevelの対象地域と、だいたい重なっている。だが、Limeの広報担当者によれば、Limeは南西部のフラットランズまで対象地区を広げるという。

2021年4月初め、LimeはワシントンD.C.とパリでも電動モペッド事業を開始している。どちらの地区でも、Limeが力を入れているのがライダーと他の道路利用者の安全だ。そのための機能として同社は、AIによるヘルメット検知、免許証確認、活性テストを導入している。活性テストとは、指示に従っていくつかの表情を見せ、ライダーが本物の生きた人間であることを証明するためのもので、他人の顔写真で誤魔化すことを防ぐ。Limeの広報担当者は、この活性テストは免許証の人物とライダーの照合にも使われると話している。

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さらにLimeは、米モーターサイクル安全財団の監修で構築したライダー教育カリキュラムの受講をライダーに義務づけている。サービスは自賠責保険でカバーされ、ライダーが運転中に人や器物に損害を与えた場合の金銭的な補償がなされる。ただし、ライダー自身の怪我や器物の損害は対象外となる。

ライバルのRevelは、こうした安全対策の導入を苦い教訓から学んでいる。2020年夏、ヘルメットを装着しないライダーの死亡事故や通報が相次いだことを受け、同社は電動モペッドのシェアリングを数週間停止し、市当局の不安を払拭するための安全対策を練った。現在Revelでは、利用者にヘルメットを着用した自撮り画像を要求している。また初めて利用する人はみな、乗車前に、安全訓練クイズ21問に答え、教則動画を見ることが義務づけられている。Revelのアプリには、コミュニティ通報ツールも組み込まれていて、悪質なライダーを見かけた人は、誰もが通報できるようにもなっている。

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ライダーの安全を守るためのLimeとReveの取り組みは、ニューヨーク市交通局(DOT)に指示されたものではない。DOTによる電動スクーターの承認には長い時間を要したが、電動モペッドには市の規制がない。

「私たちはDOTと協力して作業を進め、私たちの取り組みを逐一報告し、質問に答え、あらゆる問題点に対処しています」とLimeの広報担当者はTechCrunchに話した。

Limeは今後、Pell Grant(大学生向けの米連邦政府による給付型奨学金)の受給者、休職中の人、各種助成を受けている人の料金を割り引き、さらにパンデミックの影響を強く受けた最前線で働く人、教師、非営利団体の職員、アーティスト、接待業の人たちは無料にするLime Aid(ライムエイド)プログラムを実施する予定だ。

より多くのニューヨーク市民がワクチン接種を受けて、街の活動が元どおりに解禁されたとき(7月1日に完全解禁という計画が発表されたばかりだ)、Limeはマイクロモビリティ提供者の主導的地位を確立したいと考えている。彼らにとって、パンデミック後の夏は、この上ない好機だ。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Limeニューヨーク電動モペッドマイクロモビリティ

画像クレジット:Lime

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:金井哲夫)

NYでドック型の電動自転車シェアリングをJOCOが開始、私有地にステーション設置

Citi Bike(シティバイク)よりも一歩進んだ、ドック型の新しい自転車シェアリングサービスが登場した。自転車はすべて電動だ。JOCO(ジョコ)は来週、一般利用のために電動自転車ステーションを私有地に置くネットワークを立ち上げる、ニューヨーク市では初の自転車シェアリングオペレーターとなる。

シェアリングモビリティプラットフォームVulogで動くこのサービスは、まずはマンハッタンに設置するステーション30カ所と電動自転車300台で始まり、2021年6月までにステーションを100カ所に、電動自転車を1000台に拡大する。2021年ニューヨークでモビリティシェアリングを提供するオペレーターはJOCOが初めてではない。先週ニューヨーク市はブロンクスで展開する電動スクーター試験事業に参加する企業を選んで発表した。しかしBird、Lime、Veoがブロンクスで事業を展開できるエリアは限られており、 Citi Bikeの範囲には遠く及ばない。だが、JOCOにはそうした制限はない。

JOCOの自転車はまず、ニューヨーク最大の駐車場オペレーターIcon Parkingのガレージを含め、街のあちこちにある駐車場に駐輪される。しかし近い将来、住宅ビルや商業ビルにも拡大したいとJOCOは話す。同社は駐車場の利用料金を駐車場のオーナーに支払い、駐車場オーナーたちは運営したり電動自転車のメンテをしたりする必要はない。

「Citi Bikeと異なるのはまず、当社の自転車は100%電動で、100%プレミアムであるという点です」と共同創業者でニューヨーク育ちのJonathan “Johnny” Cohen(ジョナサン・“ジョニー”・コーエン)氏はTechCrunchに語った(2人の共同創業者はいずれもジョナサン・コーエンという名前で、1人はニューヨーク出身、もう1人はロンドン出身だ。それでJOCOという社名だ)。「ユーザーは自転車を事前に予約できます。ステーションは私有地にあり、ステーションには手指消毒液も用意されています。自転車は夜間に雨に濡れることはなく、少しは綺麗でアクセスしやすくなっています」。

JOCOのニューヨーク市内にある電動自転車ドック30カ所のマップ(画像クレジット:JOCO)

Citi Bikeの自転車は約30%が電動だ。電動自転車を充電するのにLyft傘下のCiti Bikeは人を配して自転車をステーションから移動させているが、JOCOの自転車はステーションで充電される。Citi Bikeと同様、自転車はフル充電で約30マイル(約48km)走行できる。

「マンハッタン内を何回か駆け回るのには十分です」とロンドン出身のジョー(2人のコーエン氏を区別するためのもう1つの名前だ)は話した。「当社の自転車は常に充電されていて、いつでも利用できる状態にあるはずです。かなり持続可能である自転車に関し、バッテリーを交換するのにガソリン車でやって来るというのは本末転倒です。当社は真に環境フレンドリーな会社になり、より一貫性があって信頼できるサービスを提供することを目指しています」。

2019年に創業され、Fortune 500企業の元CEOのグループ、特にテクノロジーや不動産のバックグラウンドを持つ投資家から出資を受けているJOCOは、Citi Bikeと同じような価格帯で電動自転車を提供する。自転車を解錠するのに1ドル(約108円)、そして乗車1分当たり25セント(約27円)かかり、つまり10分の利用は3.5ドル(約378円)になる。Citi Bikeでは解錠に3.5ドル、そして1分あたり18セント(約19円)で、10分の利用は5.30ドル(約570円)になる。

「当社の真新しくゴージャスなフル電動のプレミアムな自転車の方がずっと安くなります」とニューヨーク出身のジョーは話した。

JOCO、Citi Bikeのいずれも会員には解錠料金を課さない。JOCOの会員費は月49ドル(約5285円)で、無制限に利用できる。Citi Bikeの会員費は月20ドル(約2157円)だが、会員も利用1分あたり18セント払わなければならない。年間会費を払う人の場合、1分あたり12セント(約13  円)となる。Citi Bikeの年間メンバーシップでは10分の利用が1週間に平均5回あれば、毎月の支出額はJOCOと同じくらいのものとなる。

「Citi Bikeは2013年からサービスを展開していて、ニューヨーク市における自転車の浸透にかなり貢献しました」とVulogの北米マネージングディレクターMonica Wejman氏はTechCunchに述べた。「そしていまVulogで動くJOCOが、Citi Bikeを補い、電動自転車へのアクセスに対する急増している需要を満たすために参入します。当社はモビリティオペレーターがモビリティプログラムを大規模展開するのをサポートしています」。

JOCOはドッキングステーションのスペース確保で通りや歩道を削るためにニューヨーク市の交通局に頼ることはないが、それでも市当局と良い協調関係を確保するための方策を取っている。当局はニューヨーク市内におけるすべての自転車シェアリングシステムは交通局からの事前の承認文書が必要だとTechCrunchに述べたが、その一方でJOCOの弁護士Matthew W. Daus氏の声明には、それは同社が「明確にしようとしている単純な誤解」だとある。

「クライアントのJOCOは2020年秋、そして最近もNYC DOT(ニューヨーク市交通局)の上層部と純粋にプライベートな電動自転車レンタルの取り組みコンセプトを共有するために連絡を取りました。市の持続可能な目標を推進するのをサポートするための情報事項です。このバイクレンタルイニシアチブはニューヨーク州の法律で許されているものであり、特にレンタルのために市道ではなく私有地を使っています。NYC DOTからの許可や承認は必要ではないと思われます。JOCOは来週初めにサービスを開始する計画です」と声明には書かれている。

ロンドン出身のジョーは、JOCOの自転車は破壊行為の影響を受けにくいようにする隠れたケーブル、パンクしないエアレスタイヤ、自転車追跡など安全性を重視した機能を搭載していることを知ると市当局は安心できるだろうと話す。自転車追跡はVulogのバックエンドによるものだ。

「加えて、私有地で展開することで、当社は市のために自転車が歩道に散らかる問題をなくしています。そして市は新たに自転車50台を通りにもってくるにはどうしたらいいのか頭を悩ませる必要はありません。市の大きな頭痛の種を当社は取り除いていて、これによりよくコントロールされた状態を維持し、市に頼る必要はありません」とロンドン出身のジョーは話た。

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タグ:JOCO電動自転車ニューヨーク

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi