アルファベットCEOピチャイ氏がテック業界の規制とサイバーセキュリティへの投資を米国に要求

WSJ Tech Liveカンファレンスで行われたリモートワークの未来からAIの革新、従業員の政治活動、さらにはYouTubeにおける誤情報にいたるまで幅広い話題に及んだインタビューで、Alphabet(アルファベット)CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、米国における技術革新の現状と新たな規制の必要性について自身の考えを述べた。特にピチャイ氏が強調したのは、米国の連邦レベルのプライバシー基準の創設で、ヨーロッパのGDPR(一般データ保護規則)に類似するものだ。さらに同氏は、中国の技術エコシステムが欧米市場からさらに切り離されていく中、米国がAI、量子コンピューティング、サイバーセキュリティなどの分野で有意を保つことがより一層重要であると提起した。

ここ数カ月、中国はテック企業の締め付けを行っており、テック企業による独占の阻止、顧客データ収集の制限、およびデータセキュリティを巡る新たなルール制定など、新たな規制がいくつも施行されている。Google(グーグル)を含め多くの米国テック企業は中国で中核サービスを提供していないが、提供中のいくつかの企業は撤退を始めている。たとえばMicrosoft(マイクロソフト)は2021年10月、LinkedIn(リンクトイン)を中国市場から引き上げた

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ピチャイ氏は、こうした欧米テック企業の中国との分離は今後増えていく可能性があると語った。

またピチャイ氏は、米国と中国が競合する分野で先行することが重要だと語り、AI、量子コンピューティング、サイバーセキュリティなどを挙げて、Googleによるこれらの分野への投資が、政府による「基礎研究開発財政支援」がやや後退したタイミングで行われたことを指摘した。

「政府のリソースは限られているので焦点を絞る必要があります」とピチャイ氏は話した。「しかし私たちが恩恵を受けているのは20~30年前の基礎的投資からです。現代テクノロジーの多くがこれに基づいており、少々慣れきっているところもあります」と彼は語った。「だから私は、半導体サプライチェーンと量子コンピューティングでリードするために、政府は重要な役割を果たすことができると考えています。それは政策面だけでなく、私たちが世界中から優れた人材を集めたり、大学と協力して長期的な研究分野を作り出すことを可能にすることです」とピチャイ氏は付け加えた。それらの分野は民間企業が最初から焦点を当てられるものではないかもしれないが、10年20年かけて実行できると彼は言った。

国境を超えるサイバー攻撃が増加する中、ピチャイ氏は、サイバーワールドのための「ジュネーブ協定」のようなものが必要な時が来たと語り、政府はセキュリティと規制の優先順位を上げるべきだと付け加えた。

同氏は米国における新たな連邦プライバシー規制に賛成する意見を明確に表明した。これはGoogleは過去何度にもわたって強く要求してきたもので、ヨーロッパのGDPRのようなものを想定している。

「GDPRはすばらしい基盤となっていると私は思います」とピチャイ氏は言った。「私は米国に連邦レベルのプライバシー基準ができることを強く望んでおり、州ごとにバラバラな現在の規制を懸念しています。そのために複雑さが増しています」と彼は続けた。「大企業はさまざまな規制に対応して自らを守ることができますが、小さな会社を始めるためには大きな障壁です」。

これは、Facebook(フェイスブック)CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が規制を求めた際にも再三指摘された問題だ。米国テック業界の規制が強化されることは、FacebookやGoogleのように規制のハードルを超えるためのリソースをもつ大企業に有利に働く。しかし、国が単一の基準を定めることによって、巨大テック企業はただ1つの規則と戦い、米国各州に点在する多くの規則に対応する必要がなくなる。

ピチャイ氏は消費者のプライバシーをセキュリティに結びつけ「プライバシーの最大のリスクはデータが不正アクセスされること」であるとも指摘した。Google最大のライバル、Amazon(アマゾン)のゲーム・ストリーミングサイトであるTwitch(トゥイッチ)がわずか数日前にハックされた後だけに興味深い発言だ。

テック業界の規制でどこに線を引くのかについてピチャイ氏は、法律はオープンインターネットを侵害すべきではないと語った。

「インターネットがうまくいっているのは、相互運用可能で、オープンで、国境を越えた利用が可能で、国境を越えた取引を推進しているからだと私は思っています。だから私たちがインターネットを進化、規制していく上で、こうした特性を維持していくことは重要だと考えています」と同氏は話した。

CEOは他にも、パンデミックが企業カルチャーに与える影響、従業員の政治活動、YouTube上の誤情報などAlphabetとGoogleが直面しているさまざまな問題に関する質問に答えた。

YouTubeの問題についてピチャイ氏は、体験の自由に対する誓約を表明しつつも、最終的には、会社がコンテンツクリエイターとユーザーと広告主のバランスを取ろうとしていることに言及した。同氏は、多くのブランド広告主が自分たちの広告がある種のコンテンツと並んで表示されることを望んでいないと語った。本質的に、YouTubeの広告を基盤とする経済には、誤情報問題の解決に役立つ可能性があることを同氏は示唆した。

「自由市場ベースで考えれば、自分の広告がブランドを損なうと思うコンテンツと並ぶことを広告主は望まない、ということができます。ある意味で、エコシステムのインセンティブが時間とともに正しい判断を後押しすることが実際にあるのです」。

しかしピチャイ氏は、YouTubeは自らがコンテンツの判断を下すことで、パブリッシャーのように振る舞っているのではないか、というインタビュアーの質問はかわした。

ピチャイ氏はパンデミック下におけるAlphabetの企業カルチャーとオフィスへの復帰についても語り、3-2モデル(3日対面と2日リモート)がよいバランスをもたらすと言った。対面勤務日によって共同作業とコミュニティが可能になり、リモート勤務日によって社員は長時間通勤など対面勤務につきものの問題をうまくやりくりできる。しかし、インタビューの別の部分では、ピチャイ氏は少なくなった自身の通勤時間を懐かしんだ。そこは「深く考える」ための空間だったと彼は言った。

従業員の積極活動について。近年多数かつ多様化した従業員が幹部の下した決定と対立する意見を共有することが頻繁に起こり、多くの積極的活動が見られている。ピチャイ氏はこれをビジネスにおける「新常態」だという。しかし、これはGoogleにとってまったく新しいことではないとも指摘した(たとえば数年前、Google従業員は会社が中国市場向けに検閲機能付き検索エンジンを開発していることに抗議した)。

「最近慣れてきたともいえます」とピチャイ氏は語り、会社としてできる最善のことは、決定したことを説明しようとすることだと語った。

「私はこれを会社の強みと考えています、高いレベルで。会社のやっていることをそこまで深く気にかけるほど熱心な従業員がいるのですから」と彼は言った。

画像クレジット:Kenzo Tribouillard / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

トヨタが米国でも車載用電池生産に約3800億円投資を発表、新会社を設立し2025年稼働を目指す

Toyota Motor(トヨタ自動車)は、他の大手自動車メーカーと同様に、電動化に向けて巨額の資金を投入している。同社は米国時間10月18日、米国での車載用電池生産に、今後約10年間で約34億ドル(約3800億円)を投資すると発表した。

この投資はトヨタの北米部門を通じて行われるもので、その第一歩としてトヨタの北米事業体であるToyota Motor North America, Inc.(TMNA)が、トヨタグループの総合商社である豊田通商とともに、米国で車載用バッテリー工場を新会社として設立する。2025年の生産開始を目指すというこの工場には、2031年までに約12億9000万ドル(約1430億円)の投資が予定されており、現地で1750人の従業員を新規雇用する見込みだという。なお、工場の場所は現時点では発表されていない。

今回の計画は、トヨタが2030年までに世界全体における電池供給体制の整備と研究開発を行うため、約1兆5000万円(約135億ドル)を投資するという大きな目標の一部であり、すでに電池開発の促進とラインナップの電動化に向けて巨額の投資を約束している他の自動車メーカーに追いつくためのものでもある。General Motors(ゼネラルモーターズ、GM)など他の大手自動車メーカーも同様の、しかしさらに大きな投資を発表している。例えばGMは、2025年までに350億ドル(約4兆円)を投じて、電気自動車の生産能力を増強し、30車種の新型EVを世界市場に投入することを計画している。

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トヨタはこの新工場で、まずはハイブリッド車用のバッテリーを製造すると述べている。新工場の生産能力は明らかにされていない。

トヨタの新工場建設計画は、他の自動車会社が最近発表した計画と足並みを揃えるものだ。Ford(フォード)は電池メーカーのSK Innovation(SKイノベーション)と共同で、114億ドル(約1兆3000万円)を投じて、米国内に2カ所のEV用バッテリーの製造拠点を設けると発表している。また、Fiat Chrysler(フィアット・クライスラー)とGroupe PSA(グループPSA)の合併により誕生した自動車会社のStellantis(ステランティス)も、LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)と予備的な契約を結び、北米でバッテリーセルとモジュールを生産すると発表したばかりだ。

しかし、今回のトヨタの発表は、これら他の自動車メーカーとは少々異なる印象を与える。トヨタが他の電池メーカーと提携せず、車載バッテリーの完全な内製化を計画していることを明確に示すものだからだ。

トヨタは他の自動車メーカーと比べると、電気自動車の展開で遅れを取っている。同社は現在、米国でBEV(内燃機関を搭載せず、バッテリーだけで走る純粋な電気自動車)を販売しておらず、いくつかのプラグインハイブリッド車やハイブリッド車をラインナップに揃えているだけだ。しかし、2021年6月にはクロスオーバーSUV型BEVのコンセプトカー「bZ4X」を公開し、2022年にその量産モデルを発売すると発表した。同社は2025年まで世界全体でBEVのラインナップを15車種へと拡大することを目指している。

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画像クレジット:HECTOR RETAMAL/AFP / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ミズーリ州知事が州のデータ漏えいを報じた地元ジャーナリストを告訴すると脅迫

米国ミズーリ州のMike Parson(マイク・パーソン)知事は、州ウェブサイトの深刻なセキュリティ障害を報道したジャーナリストを告訴すると脅したことで前代未聞の非難を浴びている。

先にSt. Louis Post-Dispatch(セントルイス・ポスト・ディスパッチ)紙のJosh Renaud(ジョシュ・ルノー)記者は、 州の初等中等教育局(DESE)のウェブサイトが、10万人を超える教員の社会保障番号(SSN)を露出したことを報じた。問題のSSNは同サイトのウェブページのHTMLソースコード経由で発見が可能で、インターネット接続のある人なら誰でも、ページで右クリックして「ページのソースを表示」を選ぶだけで個人情報を見ることができる。多くの人にとって、ページのソースコードはキーボードの「F12」キーを押すだけで見える。

Post-Dispatch紙はウェブサイトを修正するよう州当局に脆弱性を通知し、州に修正する時間を十分与えるために記事の公開を遅らせた。その後教育局は「教員検索機能は直ちに無効化」され、脆弱性はすでに修正されたことを正式発表した

それで終わるはずだった。当局責任者であれば、不具合を発見して公表前に警告してくれたことについて同紙に感謝するのが一般的だが、ミズーリ州の共和党州知事マイク・パーソン氏は、脆弱性を発見したジャーナリストを「ハッカー」呼ばわりし、新聞社が欠陥を発見したのは「州当局を辱める」ためだったと語った。

「ハッカーとは情報やコンテンツを不正にアクセスする連中です。この人物は自分のやったことの許可を得ていません」と米国時間10月14日の記者会見で知事は語った。「この人物は被害者ではありません。新聞社は州当局に逆らい、教員たち個人情報を漏洩させることで州をはずかしめ自分たちの報道機関の見出しを飾ろうとしたのです」。

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「私たちのシステムをハッキングする者やそれを幇助する者に対して州は断固として法的措置をとります」と、パーソン氏は言った。さらに知事は本件を郡検察庁に送致した。

当然のことながら、Post-Dispatch紙の記事に対する知事の反応(および「ハッカー」という用語に対する明らかに誤解)は批判を噴出させ、彼自身の党内からも避難を浴びた。共和党のTony Lovasco(トニー・ロバスコ)議員はTwitter(ツイッター)に「知事室がウェブテクノロジーおよびセキュリティ脆弱性の報告に関する業界標準手続きを根本的に理解していないことは明らかです」と指摘し「ジャーナリストがデータ・プライバシーに関して責任を持って警告を発することは犯罪的ハッキングではありません」と付け加えた。

Ron Wyden(ロン・ワイデン)上院議員もパーソン氏の発言を非難するツイートをした。「ジャーナリズムは犯罪ではありません。サイバーセキュリティ研究も同様です。真のリーダーは報道が政府の失敗を暴露したときに攻撃犬を放ったりせず、真摯に問題を修正するものです」。

サイバーセキュリティ業界も直ちにパーソン氏の発言に介入した。ハッカーでSocialProof Security(ソーシャルプルーフ・セキュリティ)CEOのRachel Tobac(ラチェル・トバック)氏は次のようにツイートした。「公共機関の提供するツールで誰でもキーボードのF12を押すだけで個人情報が漏洩されるようなら、そこにあるのはハッキング状態ではなく、重大なデータ漏えい問題です」。

Post-Dispatch紙はパーソン氏の発言を真に受けることもなく、ルノー記者を支持する立場をとっている。同紙は、自社の記者は「自らの発見を教育局に報告することで、州当局が露見や悪用を防げるようする責任ある行動をとったのです」と語った。

「ハッカーとは、悪意や犯罪の意図をもってコンピューターセキュリティを破る人々のことです。今回の行動に、ファイアーウォールやセキュリティの侵害も、悪意も一切ありません」と同紙が声明で語った。「教育局がこれを『ハッキング』と称することで自らの失敗への批判をかわそうとすることに根拠はありません」。

もちろん、パーソン知事は、州がセキュリティ脆弱性を発見、修正するのを手助けしたその犯罪とされる行為の「責任」がPost-Dispatch紙にあると主張しているものの、米国最高裁判所が最近のVan Buren(ヴァン・ビューレン)事件の判決で、本来見ることのできないファイルや情報をアクセスした者は法に違反していると裁定したことを踏まえると、ルノー氏が最終的に有罪判決を受ける可能性は低い。

しかし、もし州当局が法的措置に出れば、訴えがジャーナリズムやセキュリティ研究を萎縮させ、セキュリティ欠陥を発見して当事者に報告したセキュリティ研究者が法的脅威や攻撃に直面する問題がさらに拡大しかねない。

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画像クレジット:Evgenii Bobrov / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国で大麻関連企業への投資が急増、2021年の平均投資額は昨年比165%増に

大麻関連企業のエクイティ資金調達額が、急速に過去最高を更新している。Crunchbaseのデータを分析すると、大麻企業はエクイティ資金調達でより大きな額の小切手を手にしていることが明らかになった。ラウンド数はシードラウンドから後期段階のラウンドへと移行しているようだ。

米国時間10月14日、大麻関連のテクノロジー企業として業界をリードするDutchie(ダッチー)が、新たに大規模な資金調達を行ったというニュースが報じられた。今回の3億5000万ドル(約400億円)を調達したシリーズDラウンドは、2021年3月に実施された2億ドル(約230億円)のラウンドに続くもので、同社の評価額は37億5000万ドル(約4290億円)に達した。Dutchieはこれまでに総額6億300万ドル(約690億円)を調達している。

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Dutchieの他にも、2021年には大規模な資金調達ラウンドを実施する大麻関連企業が続出している。例えば、Jane Technologies(ジェーン・テクノロジーズ)は8月にシリーズCラウンドで1億ドル(約114億円)を調達し、Kadenwood(カデンウッド)は5000万ドル(約57億円)を調達したシリーズBをクローズした。また、私募投資で1億ドルを調達したMedMen(メッドメン)のように、IPO後の株式に目を向けている企業もある。Weedmaps(ウィードマップス)の親会社は、SPACと同時に3億2500万ドル(約372億円)の投資を受けている。

2021年の最初の5カ月間に大麻関連企業が実施した資金調達は132件で、その1件あたりの平均調達額は1500万ドル(約17億円)にのぼる。しかし、資金調達の激しさはその後も加速し、直近の5カ月間に大麻関連企業は73件の資金調達を実施しているが、平均調達額は2800万ドル(約32億円)と86%も増加した。これらの中には、シリーズDまでのプレシード投資の他、IPO後のエクイティ資金調達、エクイティクラウドファンディングなどが含まれる。

2020年の水準と比較すると、大麻関連の平均投資額は、2020年の750万ドル(約8億5800万円)から、2021年には1990万ドル(約22億7600万円)へと165%増加している。資金調達イベントの数も飛躍的に増加しており、2021年は現在までの10カ月足らずの間に、205件の資金調達ラウンドが報告されている。2020年は通年で176回だった。

投資額は、ほぼすべてのステージで増大している。Crunchbaseのデータによると、2021年のシードステージの平均投資額は186万ドル(約2億1300万円)で、2020年の平均約100万ドル(約1億1400万円)から85%増加。シリーズBとシリーズCの投資額は、それぞれ128%と154%増加し、平均投資額は1896万ドル(約21億7000万円)と1億167万ドル(約116億3000万円)となっている。ただし、この傾向には1つだけ例外がある。シリーズAの投資額は、前年同期比で25%減少しているのだ。全体的な傾向は増加しているにも関わらず、特定のステージのみが減少している明確な理由は見当たらない。

大麻は依然として連邦政府には違法薬物とされているが、企業は増え続ける規制に直面しながらも成長するための新しい方法を見出している。新型コロナウイルスの流行はそれを後押しした。感染流行初期の頃は、全国の薬局が必要不可欠なビジネスとみなされ、消費者受容が急激に高まった。2021年後半には、以前にも増して多くの米国人が大麻に慣れ親しんでおり、これには明らかに投資家も含まれている。

画像クレジット:Kimberly Delaney / Getty Images

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(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがモバイルアプリで検索結果の連続スクロール機能を導入、まずは米国で

米国時間10月14日、Google(グーグル)はモバイルデバイスでの検索の動作をまず米国で変更することを発表した。現在はスマートフォンで検索結果の最後までスクロールすると、タップして次のページを表示する必要がある。今後は検索結果の続きが自動で読み込まれ、下へスクロールしていけば他の情報を続けて見られるようになる。

この変更は当面、米国で英語で検索した際にモバイルのウェブで動作し、iOSとAndroidのGoogleアプリにも対応する。徐々に導入されるため、はじめのうちは検索結果が連続スクロールすることもあれば、しないこともあるようだ。

Googleによれば、多くの人は先頭のいくつかの検索結果から目的の情報を見つけるが、さらに情報を求める人は検索結果を4ページブラウズする傾向がある。そこで同社は変更を加えることにしたとTechCrunchに語った。多くの情報を求める人はページ下部の「もっと見る」をタップする必要がなくなり、これまでよりもシームレスにベージを行き来できる。

Googleは、単に答えを見つけるのではなく特定のトピックに関してアイデアやヒントを求めて検索する人にとって特に役に立つだろうと述べている。

この設計には、Googleが言及していない利点が他にもある。

まず、連続してスクロールするなら、検索のどこかの時点でストップしてからリンクをタップして移動する必要がなくなる。この動作はデスクトップ時代のウェブ検索の名残りだ。この「クリックして詳しく」というタイプの設計は、例えばFacebookのニュースフィードのようにアプリ内のフィードが延々スクロールして新しい情報が表示される世界では時代遅れだと感じる。また、連続スクロールによって、ユーザーはこれまでよりも長い時間アプリを見ることになり、広告が多く目に入るかもしれない。

連続スクロールにすれば、Googleは広告をこれまでより柔軟に配置できる可能性がある。検索結果ページの上部に限られていた広告を、下ヘスクロールするにつれて検索結果の途中に挿入することができるだろう。SNSのフィードの途中に広告が表示されるのと同様だ。

Googleは今回の変更にともなう広告の計画を詳しくは明らかにしなかったが、同社はTechCrunchに対し、米国(英語)のモバイルの検索結果でページの上部と下部の間に表示されるテキスト広告の数を再配置する予定だと語った。テキスト広告は2ページ目以降の上部に表示され、各ページの下部に表示されるテキスト広告は減る。しかし現時点では、ショッピングと近隣の広告の表示には変更はないものと思われる。

また、Google検索は情報のボックス、検索の提案、ショッピング「ビデオ」など他の分類へ移動するボタンなどでごちゃごちゃしてきたため、検索結果の中から適切な項目をタップして進むのが難しい。ユーザーの目を引いてタップさせようとするためにボタン類の色が暗くなるので、さらに難しくなっていた。

今回の変更は、2021年1月にモバイルの検索結果ページをモダンなデザインに変更すると発表したことに続くものだ。1月の変更の主眼は検索結果を見やすくすることで、そのために余白を増やして一部には色を付け、フォント(実はGoogle独自のフォント)を大きく太くし、丸くて影が付けられていたボックスをシンプルな直線にするなどの変更が加えられていた。

ただ、その時の変更は主に検索結果の表示に関することで、動作の変更ではなかった。

Googleによれば、連続スクロールは米国で公開が開始されている。

関連記事:グーグルがモバイル検索のデザインを変更、違いはわずかだがよりわかりやすくモダンに

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ツイッターが米国でAndroidユーザーに「チケット制スペース」の提供を開始

Twitter(ツイッター)は、有料のTicketed Spaces(チケット制スペース)を米国のAndroidユーザーが数日中に利用できるようになると発表した。Twitterのライブオーディオルーム機能であるスペースのホストは、チケット制スペースへのアクセスを販売できる。今回のAndroid版のリリースは、8月下旬にまずiOSユーザー向けに始まったチケット制スペースの展開に続くものだ。

関連記事:ツイッターが有料の「チケット制スペース」展開をiOSで開始

チケット制スペースは最初6月に、18歳以上で、過去30日以内に3つのスペースを開催したことがあり、1000人以上のフォロワーを持つiOSおよびAndroidユーザーを対象に、テスト参加の募集が始まっていた。Twitterは現在、Androidユーザーに対して、チケット制スペースの利用とこの新機能へのフィードバックを呼びかけている。

チケット制スペースがAndroidに提供されます!チケット購入オプションは、数日中に米国のすべての人に展開されます。

この機能は、公開される会話を主催したり司会したりするクリエイターの、時間と労力を支援する方法であると、Twitterは述べている。クリエイターはチケット制スペースを利用して、ワークショップやユーザーとの対話、ファンとの交流会などを開催することができる。この大手ソーシャルメディアは以前、クリエイターが得た収益の3%を手数料として徴収すると表明していた。

そのスペースがチケット制スペースである場合、ユーザーにはホストが設定した金額でチケットを購入するオプションが表示される。また、ユーザーはチケット制スペースの参加者から、リンク付きのDMでチケット購入の誘いを受けることもある。

チケット制スペースは、Twitterが競合するClubhouse(クラブハウス)やInstagram(インスタグラム)との差別化を図るのに役立つだろう。これらの2つのプラットフォームは、事前チケット販売の機能を導入していないからだ。

画像クレジット:Nina Riggio / Bloomberg / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

オリンパスが米国での新たなサイバー攻撃を認める、ランサムウェア「BlackMatter」がEMEA地域のシステムを攻撃した数週間後に

日本の大手テクノロジー企業Olympus(オリンパス)は、先の週末にサイバー攻撃を受け、米国、カナダ、ラテンアメリカのITシステムを停止せざるを得なくなったことを認めた。

オリンパスはウェブサイト上の声明で「10月10日に検知されたサイバーセキュリティ事件の可能性を調査中」であり「現在、この問題を解決するために最優先で取り組んでいます」と述べている。

関連記事:オリンパスがランサムウェア「BlackMatter」の攻撃を受ける

「調査と封じ込めの一環として、影響を受けたシステムを停止し、関連する外部パートナーに報告しています。現在の調査結果によると、この問題はアメリカ大陸に限定されており、他の地域への影響は確認されていません」。

「当社は、この状況について適切な第三者と協力しており、今後もお客様やビジネスパートナーに安全にサービスを提供するために必要なあらゆる手段を講じていきます。お客様やビジネスパートナーを保護し、当社への信頼を維持することは当社の最優先事項です。当社の調査は継続中であり、透明性の高い情報開示に努め、新たな情報が得られた場合には最新情報を提供していきます」。

これは、2021年9月にオリンパスが欧州・中東・アフリカのネットワークへのサイバー攻撃を受けて発表した声明とほぼ同じ内容だ。

攻撃を受けた当時、オリンパスは「サイバーセキュリティ事件の可能性を調査中」とも述べている。この事件を知る人物がTechCrunchに語ったところによると、オリンパスはランサムウェアの攻撃から回復していたという。感染したシステムに残された身代金のメモは、ランサムウェア・アズ・ア・サービス(ransomware-as-a-service)グループ「BlackMatter」にも関連していた。

Emsisoftのランサムウェア専門家で脅威アナリストであるBrett Callow(ブレットキャロウ)氏は、今回の事件が週末に発生したことを受けてギャングがランサムウェアを展開するのは休日を含むことが多いため、繰り返し攻撃を受ける可能性が高まるという。「ランサムウェアだとしても、それがまたBlackMatterであるかどうかはわかりません。また、もしランサムウェアだとしたら、それがBlackMatterであるかどうかはわかりませんが、その可能性もありますし、EMEA地域への攻撃を行った組織が、今回は別のランサムウェアを使用した可能性もあります」。

オリンパスの広報担当者であるSusan Scerbo(スーザン・セルボ)氏からは、コメントを得られていない。オリンパスのセキュリティ事件についての詳細がわかり次第、更新する。

画像クレジット:Filip Radwanski / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Katsuyuki Yasui)

フェイスブックが米国でポッドキャストやライブオーディオなどを集めた「オーディオ」ハブを公開

Facebook(フェイスブック)はオーディオの取り組みに対する投資を拡大しており、米国でモバイルアプリに新たに「オーディオ」を集めたハブの役割を果たす部分を設けた。ポッドキャスト、Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)、短尺のオーディオと、Facebookで配信されている各種のオーディオフォーマットを1カ所で発見できる。さらに同社によれば、Clubhouse(クラブハウス)のライバルであるLive Audio Roomsをグローバルで利用できるようにし、TikTok(ティックトック)のオーディオ版のような短いオーディオクリップのSoundbites(サウンドバイツ)という新しいプロダクトも公開を開始している。

新しいオーディオハブの初期バージョンは、米国の18歳以上のFacebookユーザーに対してiOSとAndroidで公開がすでに開始されていたが、正式には米国時間10月11日に発表された。Facebookのビデオのハブである「Watch」の上部からアクセスできる。オーディオコンテンツは聴くものであって見るものではないから「Watch」からというのはちょっと違和感がある。

Facebookは、新しいハブを設けたことでクリエイターにとっては自分の番組を見つけてもらいやすくなり、ユーザーにとっては好きなクリエイターのコンテンツを見つけ、知らないコンテンツを発見し、コンテンツを保存して後で聴くこともできるようになるとしている。提供開始時点では、オーディオのセクションにはすでにフォローしているクリエイターのコンテンツの他、パーソナライズされた提案、Facebookで人気のオーディオも表示される。

「オーディオ」ハブは、オーディオコンテンツを聞いたり多くのクリエイターをフォローしたりすることで時間が経つにつれて自分好みにパーソナライズされていくと同社は述べている。

この公開に合わせて、Facebookはオーディオプロダクト全般に関するアップデートも提供する。

2021年春に同社はオーディオの新機能として、ClubhouseのライバルであるLive Audio Rooms、短尺のオーディオプロダクトであるSoundbites、ポッドキャストのサポートを発表した。またSpotify(スポティファイ)との連携で音楽サービスをFacebook上でストリーミングする新しいミニプレイヤーも発表した。

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Live Audio Roomsは2021年6月に米国の著名人やFacebookグループに対して正式に公開された。それ以降、人々がつながり会話を交わす手軽な手段として機能しているとFacebookはいう。Lil Huddy(リルハディ)、Noah(ノア)、Miley Cyrus(マイリー・サイラス)、アメフトのクォーターバックであるRussell Wilson(ラッセル・ウィルソン)、歌手のBecky G(ベッキー・G)、コメディアンのSherry Cola(シェリー・コーラ)、Mereba Music(メレバ・ミュージック)などがこれまでにLive Audio Roomsを利用した。

画像クレジット:Facebook

Live Audio Roomsは米国以外の著名人やクリエイターと、米国以外を拠点とするFacebookグループにも順次公開されているという。iOSに加えてAndroidにもこの機能が導入され、デスクトップでもLive Audioを聴けるようになって、これまで以上に多くの人が利用できる。

一方、短尺オーディオのSoundbitesは2021年6月から注目のクリエイターなどを対象にテストが実施されている。テストには、コメディアンでベストセラー作家のJosh Sundquist(ジョシュ・サンドクイスト)、女優で社会活動に取り組むライフスタイルインフルエンサーのLolo Spencer(ロロ・スペンサー)、デジタルクリエイターのMolly Burke(モリー・バーク)などが参加している。最近になってテストに参加するクリエイターを増やし、Facebookによれば数週間以内にこれまでより多くの米国ユーザーにSoundbitesが公開される予定だという。

Facebookは、2021年前半に発表したポッドキャストのサポートにも引き続き取り組んでいると述べた。2021年夏に米国のユーザーはポッドキャストを利用できるようになった。最近ではポッドキャストの短いクリップをニュースフィードで共有できるようになり、Androidでは字幕に対応した(iOSでは未対応)。ポッドキャスト制作者はデスクトップとモバイルでFacebookページに自分のRSSフィードを追加できるようになった。ただし、ポッドキャストを聴取できるのは当面米国に限られる。

Facebookはオーディオエクスペリエンスの拡張を続けていると語る。Facebook上の有害コンテンツを自動で特定するなど、同社のコミュニティ規定に違反するコンテンツを見つけて対応するツールの開発に取り組んでいる。さらに同社は、規定に違反するオーディオコンテンツを検知して調整するテクノロジーとプロセスの両方を、学習を続けながら対応させていくと述べた。

このところ、Facebookには大変な日々が続いている。これまでで最長のシステム障害が発生し、米国上院では内部告発者がエンゲージメントベースのアルゴリズム、誤情報に対応する能力の欠如、人間よりも利益を優先する企業としての決定といったFacebookプラットフォームによって引き起こされる害悪について証言したニューヨーク・タイムズでは、Facebookの従業員はこの内部告発者の証言に対して意見が割れていると報じられている。同社はオーディオやライブオーディオに深く関わっていこうとしているが、これは節度を保つのが難しい分野だ。オーディオを安全な環境にするのに必要なテクノロジーを構築できなければ、Facebookはこれまで以上に誤情報が広がりやすいプラットフォームになる危険性がある。

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画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ディズニーが新しいアトラクション予約サービス「Disney Genie」開始、まずは10月19日よりフロリダのWalt Disney Worldで

Disney(ディズニー)の新しいデジタルサービス「Disney Genie(ディズニー・ジーニー)」が、米国時間10月19日より、Walt Disney World Resort(ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート)で始まる。8月に初めて発表されたこのサービスは、従来のディズニー・パークの行列予約ツールをアップデートしたもので、ゲストは旅程を計画・更新したり、最も人気のあるアトラクションの時間帯を予約したり、さらにオプションとして、人気アトラクションではアラカルトまたはアドオンの「Genie+(ジーニー・プラス)」を通して、並ぶ時間を短縮できる「Lightning Lane(ライトニング・レーン)」入場口の有料アクセスを購入することができる。

ディズニーによれば、このDisney Genieは、旧来のFASTPASS(ファストパス)、FastPass+(ファストパス・プラス)、Disney MaxPass(ディズニー・マックスパス)に代わるサービスとして、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートとカリフォルニアのディズニーランド・リゾートで導入されるという。

Disney Genieの中核となるのは、ゲストがパーク内で必ず体験したいと思っている乗り物やアトラクション、食事やエンターテインメントに基づいて、パーソナライズされた旅程を作成するスマートな旅行計画機能だ。つまりDisney Genieのユーザーは、人気アトラクションだけでなく、ディズニープリンセスとのミート&グリートを予定に組み込んだり、パーク内のバーで最高のカクテルを楽しみたいといった自分の興味に基づいて、1日の旅程をカスタマイズすることができる。

画像クレジット:Disney (choosing your interests in the app)

Disney Genieの導入以前は、パークに行く前に「FastPass+」と呼ばれる予約システムでアトラクションを3回まで予約でき、3回目以降はアプリ「My Disney Experience(マイ・ディズニー・エクスペリエンス)」を使って予約を継続することができた。しかし、この無料システムでは、60日前から予約できるディズニー直営ホテル宿泊者が有利で、それ以外の人は30日前にしか予約できないため、人気のある乗り物の予約が取りにくいという問題があった。また最初の予約時には、すべての人気アトラクション(いわゆるTier1アトラクション)を3つ予約できるわけではなかった。

Disney Genieは、これらの問題を解決するためのものだが、しかし有料となる。そのため、ディズニー・ファンからは「ディズニー旅行にはすでに十分お金を払っているのに、さらに追加料金を払いたいとは思わない」という反発の声が上がっている。実際、Disney Genieの発表動画には、本稿執筆時点で、1万2000件もの「低評価」が付けられているのに対し「高評価」は948件に過ぎない。しかし、テーマパークの主要アトラクションに有料で優先的に並べるサービスは、ディズニーに競合するテーマパークでは一般的なものであり、タイトなスケジュールで確実にすべてのアトラクションを体験したい人にとっては役に立つ。

10月19日に発売されるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのDisney Genieでは、ゲストは2つの有料オプションから選択できるようになる。最大2つのライトニング・レーンを個別に利用するか、あるいはGenie+のより幅広いセレクションを利用するかだ。

ディズニーによると、アラカルト・オプションで利用できるアトラクションは以下の通り。Magic Kingdom(マジックキングダム)の「Seven Dwarfs Mine Train(七人のこびとのマイントレイン)」と「Space Mountain(スペース・マウンテン)」、Epcot(エプコット)の「Remy’s Ratatouille Adventure(レミーのラタトゥイユ・アドベンチャー)」と「Frozen Ever After(フローズン・エバー・アフター)」、Disney Hollywood Studios(ディズニー・ハリウッドスタジオ)の「Star Wars:Rise of the Resistance(スター・ウォーズ:ライズ・オブ・ザ・レジスタンス)」と「Mickey & Minnie’s Runaway Railway(ミッキー&ミニーの暴走鉄道)」、Disney’s Animal Kingdom(ディズニー・アニマル・キングダム)の「Avatar Flight of Passage(アバター・フライト・オブ・パッセージ)」と「Expedition Everest(エクスペディション・エベレスト)」。

これらの中から、2つのアトラクションを選ぶことができ、待ち時間を短縮できる可能性はあるものの、あなたがどうしても乗りたいアトラクションは含まれていないかもしれない。

一方、Disney Genie+では、4つのパークにある合計40以上のアトラクションでライトニング・レーンを開放し、しかもその中には、多くのTier1ライドが含まれる。販売開始時の価格は、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは1日1枚15ドル(約1700円)、ディズニーランド・リゾートでは1日1枚20ドル(約2300円)になる予定だ。

画像クレジット:Disney

アラカルトの価格は、日付、アトラクション、パークによって異なるとディズニーは述べている。ディズニーは各ライドの具体的な価格を発表していないが、いくつかの例を提示している。例えば「レミーのラタトゥイユ・アドベンチャー」のライトニング・レーン入場は、10月19日には1人9ドル(約1020円)だが、10月23日には1人11ドル(約1250円)になるとのこと。しかし、同じ日に「エクスペディション・エベレスト – 禁断の山の伝説」は1人7ドル(約790円)「スター・ウォーズ:レジスタンスの台頭」は1人15ドル(約1700円)となっている。

ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートで10月19日より開始するというニュースに併せて、ディズニーはこの機能がMy Disney Experienceアプリにどのように統合されるかについても詳しく説明している。これは、チケット、パークマップ、ショータイム、オンラインフードオーダーなどにアクセスするためのアプリだ。

画像クレジット:Disney

現在は多くのパーク来場者が、TouringPlans.comをはじめとするインディーデベロッパーによるサードパーティ製アプリや、ディズニー・ファンのブログなどを利用して、主要なアトラクションやイベントをすべて見て回るルート計画のヒントを得ている。しかし、Disney Genieは、同社が把握している待ち時間やパークの変化(一時的に閉鎖されている乗り物やその他の遅延など)などの情報も組み入れながら、自社の「My Disney Experience」アプリで直接、ユーザーが旅の優先順位を決めるための手助けをすると約束している。この自社開発のオプションは、パーク・プランニングのニーズに対応するために作られたサードパーティ・ビジネスの収益源に影響を与える可能性がある。

しかも、固定されたプランとは異なり、Genieによる体験は、ユーザーの要望や予期せぬ計画変更にも対応する。例えば、小さな子どもを昼寝させるためにホテルへ戻る必要が生じたり、予定外の軽食で休憩を取ったり、気に入ったアトラクションにもう一度乗りたいと思ったりすることがあるだろう。そんなふうに予定を変更すると、Genieはあなたの旅程をアップデートしてくれる。このサービスは、ライトニング・レーンの入場料を払っていなくても、無料で利用できる。

ディズニーは、カリフォルニアのディズニーランド・リゾートではDisney Genieがいつから導入されるかを発表していないが、以前「2021年の秋」と言っていたので、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートからそれほど遅れることはないだろう。

画像クレジット:Disney

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】データプライバシーを全世界的に標準化すれば、それは真の意味で人類の進歩となるはずだ

中国は2021年8月、初めて抜本的なデータプライバシー法を可決した。今後、中国の個人情報保護法(PIPL)の対象となる中国の住民(中国の人口は世界で最も多い)と関わるであろうグローバル企業や意欲的なスタートアップ企業は、オンラインで売買やサービスの提供を行う際に影響を受ける可能性がある。

この法律自体は2016年に導入されたEUの一般データ保護規則(GDPR)と類似し、目新しいものではない。衝撃的なのは、GDPRが導入された際は企業に2年の準備期間があったのに対し、PIPLは2021年11月1日に施行されるということである。

PIPLを受けて、関連する企業はコンプライアンスの遵守を確立するために奔走することになる。また、データプライバシーの重要性と緊急性が世界規模で高まっていることも明らかになった。中国は、GDPR類似のプライバシー法を制定した17番目の国となるが、さて、いまだにプライバシー法を制定していない世界の超大国はどこだろうか?

米国は、消費者に焦点を当てた国家レベルのデータプライバシー法をいまだに採用していない。国民はオンライン上の個人データの管理強化を望んでいるにもかかわらず、である(複数調査による)。データプライバシー法の不整備は、特にテクノロジー業界に大きな影響を及ぼす。

さまざまな事象が急速に進む現在、データプライバシーの発展は明らかに重要な分岐点に達している。私たちのとる行動によっては世界中の何十億、何千億もの消費者に影響を与える可能性があり、また、小さなスタートアップ企業から巨大なグローバル企業まで、さまざまな企業の発展にも影響が生じる。今こそ慎重な検討が必要だ。

この記事では、最初に米国におけるデータプライバシー法の進展、およびこれが世界にとって何を意味するかを検討し、次にデータの最小化(「必要」かつ「適切で、関連性があり、限定された」個人データのみを処理する原則)の取り組みでこれらの問題に対応できるかを確認して、データプライバシーという難問に挑んでみる。最後に、データプライバシーという問題の解決に欠かせないこれらの要素を比較した上で、人々が自分のデータを確実に管理できる、世界規模のデータプライバシー基準を提唱することで締めくくりたいと思う。

米国におけるデータプライバシー

米国のデータプライバシーを取り巻く状況は複雑だ。連邦レベルでは、(動きがあるものの)包括的なデータプライバシーポリシーは存在しない。その代わりに医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)、消費者金融商品を対象としたグラムリーチブライリー法(GLBA)など、業界ごとのプライバシー規制がある。

13歳未満の子どもを保護するための児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)も存在する。また、連邦取引委員会(FTC)も、FTC独自のプライバシーポリシー(連邦取引委員会法)に違反しているアプリやウェブサイトを積極的に取り締まっている。

しかしながら、米国政府は、消費者のデジタルプライバシー権を保護するための包括的な法案を可決しておらず、各州が独自に対応している(例:カリフォルニア州のCCPA、バージニア州のVCDPA、コロラド州のColoPA)のが現状だ。このため多くの米国人のプライバシー権が侵害され、企業は何をすべきかを決めることができずに混乱している。

これが本来あるべき姿だと主張し、停滞した議会では意味のある消費者プライバシー法案を可決することはできないと警告する人々もいる。彼らは、仮に国家レベルのプライバシー法が可決されたとしても、内容は骨抜きにされ、慎重に構想された各州の法律にも悪影響を及ぼすだろうと考えているらしい。

それと同時に、50の州で異なるデータプライバシー法が存在することになる可能性も否定できない。どれも類似しているものの、それぞればらばらで、異なっている……正しく法を遵守しようとする企業にとっては悪夢のようなシナリオだ。この状況を世界規模に拡大してみよう。

データの最小化は唯一の解決策ではない

データプライバシーの問題に対処するための1つの方法として、データ最小化の原則が挙げられる。これは、企業が具体的な目的のためだけに個人情報を収集・保持することを認めるものである。

データ最小化の原則では、基本的には企業が収集するデータの量を減らすことが求められる。これには、マーケティングチームが収集するデータ量を減らしたり、データ保持のスケジュールを設定して使わなくなったデータを消去したりすることが考えられる。

これにメリットを感じる人もいるだろうが、現実的ではない。消費者に強く配慮する企業であっても、マーケティング担当者に対して潜在顧客の個人情報の収集を減らすように提案することはないだろうし、データを収集する正当な理由を探し出すことは間違いないだろう。

そして、たとえ目的が純粋なものであったとしても、個人情報や嗜好を調査して製品を開発し、ビジネスを成長させているスタートアップ企業にとって、この原則は有害なものになりかねない。この点で、データの最小化は、思わぬところでイノベーションを阻害する可能性がある。

さらに率直に言えば、消費者が自分自身のデータの取得・利用方法について選択できるようにすれば、データを最小化する必要はないと思われる。パーソナライズされたオーダーメイドの体験を好む消費者は、個人情報を共有しても問題ないと考えているケースもある。たとえば「Stitch Fix(スティッチフィックス)」「Sephora(セフォラ)」のようなブランドは、よりショッピングを楽しんでもらうために事前にたくさんの個人的な好みを質問しているが、多くのユーザーがそれを問題視していない。

世界規模のデータプライバシー基準の必要性

筆者は、このような複雑で微妙な問題が表面化し、企業や消費者を悩ませてしまうのは、皆が同じ見解を持つためのグローバルスタンダードが存在しないからだと考える。グローバルスタンダードが存在しない限り、他のいかなる法律や規則、基準も一時しのぎに過ぎない。

今こそ、世界中の消費者を保護し、企業が遵守すべき要件がどの地域でも同一になるよう、各国が合意できる基本原則を策定するときだ。

国際的なデータプライバシー法が乱立し、この地域の要件は厳しく、あの地域の要件は少しだけ異なる、といった状況になれば、企業がコンプライアンスを完全に遵守するのは不可能に近い。そうなるのも時間の問題だ。私たちは事態を収拾しなければならない。

データプライバシー基準は、国境を越えた公平性の基本を確立し、あらゆる段階の企業に適用される。そして、企業の国際的なビジネス展開は飛躍的に容易になる。

筆者は、今影響を受けている企業や地域が、国際的なデータプライバシー基準に向けた変化を促進してくれることを期待している。グローバル化を目指す企業にとって、地域で異なる基準は大きなマイナスであり、膨大なコストにつながっている。そういった企業が協力すれば、共通の解決策を見出すことができるだろう。推進力はそこにある。中国の動向を見れば、他の国が追随する日もそう遠くはないはずだ。

米国内でのデータプライバシー法の制定を待たずに、米国を拠点とする業界団体でさえグローバルスタンダードへの第一歩を踏み出そうとしている。例えばConsumer Reports(コンシューマーレポーツ)は解決策を検討するためのワーキンググループを立ち上げた。これにより、企業と消費者の双方を保護するためのデータプライバシーに関する世界的な関心が急速に高まる可能性がある。

データプライバシー基準の核心

データプライバシー基準はもはや必要不可欠であるといえるが、その策定にあたって忘れてはならないのは「消費者自身が、企業による自分の情報の扱いをコントロールできる」ようにしなければならないということである。

とりわけサービスやアプリケーションが取引を促進するために利用される場合は、消費者自身が、誰が自分の情報にアクセスできるのか、それはなぜなのかを知る権利を持つ。また、要求に応じて個人情報を削除させる権利や、企業が許可なく自分の情報を販売することを防ぐ権利も必要だろう。これらは基本的かつ普遍的な権利であり、政府機関や支援団体はこれを理解しなければならない。

マーケター、マーケティング担当者は不満かもしれないが、すべての消費者が自分の情報を共有することに反対していると考える必要はないだろう。実際には、前述の例のように、企業が個人情報を収集・保持することで、パーソナライズされた体験やショッピングができることを評価する人も少なくない。

消費者の選択権は、最終的にエコシステム全体の健全性を高め、企業が信頼と透明性を築くための新たな手段となる。企業も(地域ごとに)何種類もの消費者の権利を開発・管理するためにいつまでもあたふたする状況から解放される。

筆者は、スタートアップ企業がプライバシーファーストで設立されるようになると予想している。これは企業の差別化にもつながるだろう。しかし、変化の最大の要素は、消費者が世界のどこにいようと、個人情報を含むシステムが世界のどこにあろうと、自分のデータを確実にコントロールできるようにすることだ。データプライバシー基準は消費者の権利を保護し、混乱を解消して企業が効率的にビジネスを行えるようにする。他のアプローチでは同じことを合理的に行うことはできないし、大規模に展開することもできない。

データプライバシーを全世界で標準化し、私たち全員が同じステージに立つことができれば、それは真の意味で人類の進歩となるはずだ。

画像クレジット:Kardd / Getty Images

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(文:Daniel Barber、翻訳:Dragonfly)

米司法省はサイバー攻撃やデータ侵害を隠ぺいした政府契約企業を訴える

米国司法省は、サイバー攻撃やデータ侵害の報告を怠った国の契約企業に対して、今後、民事訴訟で起訴すると発表した。

今週、副司法長官のLisa Monaco(リサ・モナコ)氏が導入したCivil Cyber-Fraud Initiative(民事サイバー詐欺対策)は、既存のFalse Claims Act(FCA、不正請求防止法)を利用して「政府契約企業や助成受給者によるサイバーセキュリティ関連の不正行為を追及する」。

司法省のプレスリリースによると、この政策は国の契約企業や個人が、欠陥のあるサイバーセキュリティプロダクトやサービスを故意に提供して、米国のサイバーインフラストラクチャを危険にさらした場合、彼らの責任を問うものだ。同じく政府契約企業はこれからは、サイバーセキュリティのインシデントと侵害を監視し報告することを怠った場合「義務違反」で処罰される。

これは、政府機関を狙った大量のハッキング行為に対する、バイデン政権の最新の対応だ。被害者の中には、財務省や国務省、国土安全保障省まで含まれていた。その後法務省は、ロシアの外国諜報サービスであるSVRのために仕事をしていたハッカーたちの、スパイ行為を非難している。ロシアのハッカーはSolarWindsのネットワークに侵入し、企業のネットワークとデバイス群をモニターするOrionソフトウェアにバックドアを仕込んだ。そしてそれを、汚染されたソフトウェアアップデートにより顧客のネットワークに直接押し込んだ。

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司法省によれば、このような、下請けレベルのセキュリティ強化により、公共部門におけるサイバーセキュリティの侵犯に対する「広範囲な耐性」を得ることができ、また、広く使われているプロダクトとサービスにある脆弱性を政府が見つけてパッチを作成し配布できるようになる。企業が政府のセキュリティ基準を満たせなかったときには、損失の回復を企業に要求できる。

副司法長官モナコ氏は次のように語る。「侵害はそれを報告して、公にするよりも隠した方がリスクが少ないという間違った信念により、企業はあまりにも長年、沈黙を選んできました。それが、今日から変わります。本日の発表によりこれからの私たちは、私たちの民事請求ツールを使って企業を追及できるようになります。彼らは国のお金をもらっている政府契約企業であり、必要なサイバーセキュリティのスタンダードに従うことができなければ、私たち全員を危険にさらすことになるからです。これは、納税者のお金が適切に使われて、国庫と国への信頼が確実に守られるようにするためのツールです」。

この政策が発表された時期は、National Cryptocurrency Enforcement Team(米国暗号資産遵法局)が創設された時期でもある。こちらは暗号資産の誤用と犯罪に対する複雑な捜査のために作られた警察的な組織だ。

さらにまた今週は、上院議員Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)氏と下院議員Deborah Ross(デボラ・ロス)氏が両院提出の法案Ransom Disclosure Act(身代金開示法)を議会に提出した。同法によると、ランサムウェアの被害者は被害額の大小を問わず48時間以内に詳細を公表しなければならない。

関連記事:ランサムウェアの身代金支払いに関する情報開示を企業に義務付ける米国の新法案

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg/Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ライドシェアLyftでマッチングアプリTinderで出会った相手に乗車をプレゼント

対面デートがカムバックした今、Lyft(リフト)とTinder(ティンダー)は、対面による出会いを後押ししようと考えた。3月に予告された通り、Tinderアプリに新しくExplore(エクスプロア)ハブが追加され、交際相手にLyft乗車を贈れるようになった。住所や位置情報を交換する必要はなく、クレジット(目的地を指定することもできる)を送るだけであとはデート相手がやってくれる。

クレジットは、設定された目的地から0.5マイル(800メートル)以内で降車したときにのみ有効で、未使用のクレジットは払い戻しができる。自分の恋人候補が町の反対の端まで乗っていく心配はしなくてよい、という言い方もある。

同期は実に明快だ。Lyftドライバーの仕事を増やし、Tinderユーザーにはメッセージを送り合ったり動画を見たりする以上の行動を促す。レストランまでただ乗りするために使われても文句は言いにくいかもしれないが、それで良い関係が築くことができれば悪くないかもしれない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Jon Fingas(ジョン・フィンガス)氏はEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Tinder

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ランサムウェアの身代金支払いに関する情報開示を企業に義務付ける米国の新法案

米国で新たに提出された法律案は、ランサムウェアによる身代金の支払いを行った場合、取引から48時間以内に開示することを同国の企業に義務付けるものだ。

Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員とDeborah Ross(デボラ・ロス)下院議員が起草したこの「Ransom Disclosure Act(身代金開示法)」は、(個人ではなく)企業や組織を対象とするもので、要求された暗号資産の金額や種類、支払った金額など、ランサムウェアの支払いに関するデータを米国土安全保障省に提供することを義務付ける。

この法案は、サイバー犯罪者の活動に対する米国政府の理解を深め、ランサムウェアによる脅威の全体像を把握するために役立てることを目的としている。身代金の支払いは一般的にbitcoin(ビットコイン)で行われるが、セキュリティ専門家によると、脅威アクター(犯行者)はMonero(モネロ)などの「プライバシーコイン(匿名通貨)」を利用する傾向にあり、捜査当局が資金の流れを追跡することを困難にしている。

また、この身代金開示法では、国土安全保障省にも、組織や企業が身代金の支払いを自主的に報告するためのウェブサイト設置を求めるとともに、支払いを行った組織の識別情報を除き、前年中に開示された情報を共有することを要求する。セキュリティ研究者による同様の取り組みはすでに行われている

関連記事
ランサムウェアの問題を可視化するクラウドソースの身代金支払い追跡サイト「Ransomwhere」
ランサムウェアが企業に与える莫大な金銭的被害は身代金だけじゃない

ウォーレン上院議員は、ランサムウェアによる攻撃が「急増」していることから、こうした対策が必要だと述べている。2020年、北米でのサイバー攻撃は158%増加しており、世界中の被害者が支払った身代金は3億5000万ドル(約390億円)近くにのぼり、2019年に比べて300%以上増加していることがデータによって示されている。

さらに、最近の調査によれば、身代金の支払い自体はランサムウェア攻撃によって受けた被害の総額のうちわずか20%に過ぎず、企業は生産性の低下や攻撃後の復旧作業によって、はるかに大きな損失を被っていることがわかった。

「サイバー犯罪者を追及するための重要なデータが不足しているのです」と、ウォーレン氏はいう。「私がロス議員と共同で提出した法案は、身代金が支払われる際の情報開示義務を定めるもので、これによってサイバー犯罪者がアメリカの団体からどれだけの資金を吸い上げて犯罪に利用しているかを知ることができ、犯罪者を追跡するために役立ちます」。

米国がランサムウェアを取り締まるために採用する戦術はこれだけではない。

例えば、財務省は2021年9月、暗号資産取引所のSuex(スエックス)に対し、その取引総額の40%以上が悪質な行為に関連していたことが判明したため、身代金の支払いを助長する役割を果たしたとして、初の制裁を科すと発表した。さらに財務省は先日、米国の制裁対象国に拠点を置く脅威アクターへの支払いは禁止されていると、米国企業に警告を出した。

関連記事:米財務省の新たな制裁措置はランサムウェアグループによる現金化の阻止が目的

画像クレジット:Donat Sorokin / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

臓器調達におけるテクノロジーの推移

米国では毎年、10万人以上の人々が移植用臓器の提供を待っている。そして、臓器の提供を待っている間に、毎日10数人の患者が亡くなっている。臓器調達の世界で働くには、このような冷酷な計算と楽観的な考え方が必要となる。

この数十年の間に、57の臓器調達機関(OPO)が設立されたが、いずれも全米臓器分配ネットワーク(UNOS)と提携している。UNOSは、連邦政府との契約に基づき提供された臓器と患者(レシピエント)とのマッチングを行う非営利団体だ。

これは医療界のユニークな一面であり、また初めの印象より驚くほどテック系スタートアップに似ている。初期のベータ版製品から、より専門的かつ近代的な技術スタックに至るまで、UNOSのネットワークとそれに関わる企業は、臓器移植プロセスのスピードと信頼性を向上させるべく努力してきた。

ここでは、物流や分配計画のためのインフラ整備など、いくつかの団体における最新の取り組みを紹介するとともに、異種移植、ドローン配送システム、臓器生存プラットフォームなど、よりSF的なプロジェクトについても探ってみたい。そこでUNOSと2つのOPOの関係者数人にインタビューを行い、最先端の状況と将来の夢について聞いた。

ある電話番号の男

UNOSで30年近く働き、現在シニアコミュニケーションストラテジストを務めるJoel Newman(ジョエル・ニューマン)氏は「移植は、誰もがリアルタイムでコミュニケーションを取り、協力し合わなければならない。しかも常に知っている相手とは限らない。そういう意味では以前からずっとユニークだ」といい、臓器移植という生死にかかわる問題のわりには、意外かもしれないが「これらの段取りの多くは、驚くほど略式のものだった」と語る。

実際、初期の頃はあまりにも簡易的であり、ドナーとレシピエントのマッチングはボイスメールの受信箱を介して行われていた。

臓器調達機関Gift of Life(ギフト・オブ・ライフ)の現社長であるHoward Nathan(ハワード・ネイサン氏、1984年に代表に就任して以来、全OPOの中でも最も長く社長を務めている)によると、1980年代に臓器移植が活発に行われるようになってきた初期には、Don Denny(ドン・デニー)氏という1人の男性が協力体制の多くを運営していたという。

1977年にピッツバーグに移り住んだデニー氏は、レシピエントの状態を1~4の段階で評価する独自のシステムを構築した。同氏のシステムでは、「1」が最も臓器移植の緊急性が高いことを示していたが、現在の評価システムでは逆になっている。「デニー氏は毎日、ボイスメールにレシピエントの状態を録音し、ドナーを探す側ではその録音を聞く。そして、集中治療室で移植に適合する臓器のドナーが見つかった場合、家族の同意を得てデニー氏に電話する」とネイサン氏は当時を説明する。同氏によると、デニー氏は4年半の間に2700件の移植をコーディネートしたが、すべてはデニー氏の録音したボイスメールと電話を介して行われたという。

UNOSは1977年に設立され、1984年に法人化された。1986年には、当時の最新通信技術だったFAXを利用して、臓器移植のマッチングを行うためによりコンピューター化されたシステムを開発した。現在、ギフト・オブ・ライフの臨床サービス担当副社長であり、2022年にネイサン氏の後任として社長に就任するRick Hasz(リック・ハース)氏は、当時の技術はそれほど信頼できるものではなかったという。「入社した頃は、感熱紙のFAXを使っていた。早くマッチングしなければ、印字が消えてしまい、情報が失われてしまっていた」と同氏は語る。

もちろんUNOSは、ドナー、ドナー病院、レシピエント、移植センターのニーズに合わせて、時間とともにテクノロジーを進化させ続けてきた。UNOSは、ウェブベースのアプリケーションを利用しており、現在ではモバイルアプリも提供している。

同社でITカスタマー支援担当ディレクターを務めるAmy Putnam(エイミー・パットナム)氏は、間違いを減らすためにモバイルアプリを導入したことが大きなブレークスルーになったという。「2012年、UNOSはTransNet(トランスネット)と呼ばれる変革に取り組んでいた。トランスネットはiOS(アイオーエス)とAndroid(アンドロイド)上で動作するモバイルアプリで、OPOが臓器を電子的にパッケージ化し、ラベル付けすることができる。夜中の3時ともなると、大抵の人の手書き文字は読みづらく、データ入力のミスが多くなってしまう。だからトランスネットは本当に助けになった」と同氏は語る。

しかし、このシステムを構築したことによる真の成果は、すべてのOPO関連企業と協力して作業を進め、すべてのユーザーからのフィードバックに基づいてプロセスを改善できるようになったことだった。

臓器のエクスペディアを構築する

画像クレジット:aydinmutlu / Getty Images

移植の調整では、電話とコミュニケーションが重要となる。臓器提供は通常、突然発生し、ほとんどどこでも起こりうる。そして、ドナー病院から移植センターのレシピエントに臓器を届けるまでOPOに与えられる時間は、わずか数時間しかない。加えて、対象の臓器の提供を待つ可能性のある数十の移植センターの中から、どの患者が適合するか極めて迅速に判断しなければならない。そういった要件をリアルタイムで処理することが、UNOSの最新技術スタックの大きな強みとなっている。

ニューマン氏は、その複雑な作業の一部を説明してくれた。「腎臓は多くの場合、およそ24時間以内であれば移植できる。しかし、摘出した後は早く移植するほうが望ましいため、おそらくほとんどが12時間以内に移植されている。肝臓や膵臓の場合は8時間以内が理想的で、心臓や肺の場合は4~6時間程度にまで短くなる」と同氏は述べる。血液が供給されなくなった後、臓器が生存できる時間を「阻血時間」という。

この数年をかけ、UNOSは臓器の所在を把握するために、より精巧な追跡システムを開発してきた。OPOの1つであるLifeSource(ライフソース)の主任臨床役員を務めるJulie Kemink(ジュリー・ケミンク)氏は「今見ているものは、Amazon(アマゾン)のパッケージに似ている。出荷されたことはわかるが、正確にどこにあるかは必ずしもわかるわけではない」という。

しかし、UNOSのインフラが新しくアップデートされたことにより、すべての臓器のリアルタイムな位置情報が提供されるようになってきた。「これは、Uber(ウーバー)のようなもので、臓器が実際にどこにあるのかを常に確認することができる」と同氏はいう。

臓器ごとにGPS位置情報を持たせるのは簡単なことのように思えるが、膨大な調整が必要だった。ドナー病院、臓器調達機関、移植センターはそれぞれ異なる団体であるため、位置に関する共通基準を定義することには困難が伴った。さらに、基本的に臓器の輸送はランダムに起きるため、適切な機器と追跡装置を米国各地に設置することは、それだけでハードルが高かったのだ。

物流情報が充実した現在、移植外科医は臓器の到着時間をリアルタイムに把握できるようになった。臓器が飛行機の貨物室に入れられ空輸される場合でも、その飛行機が早く空港に到着すれば、医師に予定よりも早く進行していることが通知され、レシピエントの準備を早めることができる。逆に、車の渋滞で臓器の到着が遅れている場合、移植センターはレシピエントの術前処置を遅らせることができる。

UNOSでは、より多くのデータが得られるようになったことを受け、パットナム氏が「臓器のエクスペディア」と呼ぶ「トラベルアプリ」の開発を検討している。「そのアプリでは、OPOや移植病院が、ドナー病院とレシピエントセンターに関する具体的な情報を入力すると、オプションが表示され、飛行機の選択肢や、車で移動する場合の輸送に要する時間を確認してオプションを選ぶことができる」と同氏は述べる。また、このアプリは現在試験的に運用されているが、将来的にはアプリの操作だけで臓器の割当ができるようになるかもしれないと、同氏はいう。

このインフラは非常に重要だ。というのも、UNOSは臓器の距離を定義する方法を改定しているからだ。数十年にわたり、UNOSとそのOPO加盟団体は、地域の境界線に基づきシステムを運用していた。例えば、ミネソタ州にある臓器は、まずミネソタ州のレシピエントが対象とされ、その後、適合者が見つからなければ近隣の地域に対象を広げる、といった具合だ。

これは単純なシステムだが、富裕層を中心に利用される可能性があった。今から10年以上前、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏がテネシー州に住んでいないにもかかわらず、テネシー州で臓器移植を受けたことが物議を醸した。同氏は、当時「マルチプルリスティング」と呼ばれていた方法を利用して臓器移植を受けた。これは、手段を持つレシピエントができるだけ多くの地域の臓器提供の順番待ちリストに登録することができる仕組みだ。米国内のどこかで適合する臓器が見つかれば、レシピエントはすぐにプライベートジェットをチャーターして臓器移植を受けに行き、リストを待つ時間を実質的に短縮することができたのだ。

現在、UNOSでは、恣意的な地域の境界線ではなく、実際の半径に基づいた距離アルゴリズムを使用している。しかし、それでもいくつかのバランスの悪さが残る。ミネアポリス地域を担当するOPOであるライフソースのケミンク氏は「ミネソタ州は東西どちらの海岸にも近いため、米国全土から臓器提供を受けるチャンスがある」という。これは、沿岸部では利用できないオプションだ。「カリフォルニアでは、ニューヨークから心臓の提供を受けることは基本的に不可能だ」と同氏はいう。

物流の改善に加えて、UNOSは統合のためにプラットフォームを最適化した。「一般に、多くの人は複数のユーザー名やパスワードを持つことを嫌い、複数のソリューションを持つことも嫌う。そのため、最も重要なことは統合だ。統合する必要がある」とパットナム氏は最近のアップグレードについて語る。

統合の一環として、レシピエントのデータや画像ファイルをアップロードする方法を増やした。「医師らは、アップロードされた冠動脈造影を実際に見て、[心臓が]レシピエントに適しているかどうかを確認できるようになった」とケミンク氏はいう。このことにより臓器のオファーを受けてから決定までの時間が短縮され、結果として臓器移植の成功率が高まることになる。

臓器におけるIFTTT(イフト)

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米国政府のデータによると、同国では3万9000件の臓器移植が行われた。臓器移植が頻繁に行われるようになったことで、配分ネットワークの戦略を細かく調整するために利用できるデータセットは次第に増加し、結果的に移植に成功する臓器の数は増えている。

「現在、当社は臓器提供プロセスに予測分析を導入するプロジェクトに取り組んでおり、レシピエントがこの臓器を受け入れた場合の生存確率に関する分析を検討している」とパットナム氏は述べる。逆に臓器提供を断った場合「同程度かそれ以上の臓器が提供されるまでの確率と期間」の予測も行う。UNOSは現在、これらの変更について顧客からのフィードバックを得るための導入試験に取り組んでおり、また、臓器提供という非常にセンシティブな面を考慮し、アルゴリズムにおける極めて明確な説明性を確保している。

また、2020年からは「オファーフィルター」と呼ばれる機能も試験的に導入している。これは、移植センターが、臓器適合の可能性に関する意思決定をより自動化するために使用するものだ。パットナム氏は「当社が行ったことは、過去の腎臓の受け入れデータを見て『移植センターが受け入れるはずがないとわかるオファーがあるかどうか』を調べることだった」という。

UNOSのニューマン氏は「これまでも、移植センターが設定できるスクリーニング基準はあったが、オファーフィルターにより『70歳以上のドナーを絶対に受け入れないということはないが、70歳以上に加え到着までに6時間以上かかる場合は、関心がない』というように、もう少し細かなフィルタリングができるようになった」と述べる。UNOSでは、2021年の後半には全米へ展開したいとしている。

臓器提供の未来

臓器調達のプロセスは非常に重要だが、過去10年間に得られた成果の多くは、結局のところITアプリケーションの進歩とその実装によるものだ。多くのスタートアップの創業者やベンチャーキャピタリストの強い関心を集めるテーマは、臓器を必要としている患者のためにその入手性を根本的に変えることができる「ムーンショット」となるアイデアの実現性だ。

ドローンを使って臓器を届けるというプロジェクトは、すでに試行が始まっている。ギフト・オブ・ライフのネイサン氏は「現在、ドローンを使った試みは行われており、実際に1件の例がある」といい、さらに「メリーランド州にも実験を行っているグループがある」と付け加える。同氏は、数百マイル(数百キロメートル)に及ぶ場合もある臓器の移動距離や、臓器が受ける損傷の可能性を考えると「臓器を危険にさらしたくはないから」と、このテクノロジーにはやや懐疑的だ。

また、臓器調達機関に登録されている患者の中でも最も移植が優先されるレシピエントに臓器を届ける時間を確保するため、阻血時間を長くする(あるいは完全になくす)ことを目的とした低温保存や温灌流保存などのテクノロジーがある。現在、いくつかの装置やシステムが米国食品医薬品局(FDA)の審理を受けており、今後10年の内には実用化されると予想されている。

ライフソースのケミンク氏は、臓器生存率向上を目的とするテクノロジーの進歩により臓器の分配を改善できる2つの要素として、血液型の一致と年齢を挙げている。同氏は「AB型は最も少ない血液型のため、その血液型の臓器を待っている患者はあまり多くない」とし、タイミングよく「適合するレシピエントがいないかもしれない」ため、適したレシピエントが現れるまで、低温保存技術で臓器を「氷漬け」にしておくことができるかもしれない、という。同様に、提供される臓器はレシピエントのサイズに合っている必要がある。「12歳の子どもから心臓を摘出しても70歳のレシピエントに移植することはできない」と同氏はいう。体の大きさが合わないからだ。そして「適合するレシピエントが現れるまで、保存することができるようになれば、それはすばらしい進歩だ」と同氏は続ける。

また、循環器死(DCD)と呼ばれる、循環死したドナーからの臓器調達も進んでいる。ネイサン氏は「米国では毎年280万人の人が亡くなっているが、そのうち医学的に臓器提供に適しているのは2万人程度だ」という。それが、臓器提供を非常に長い時間待たなければならない理由の1つだ。

ハース氏は、このような状況下でも、臓器調達の方法が進歩したことで、移植可能な臓器が見つかる可能性が高まったと述べる。同氏は「2、3年前までは何も変わっていなかった。肝臓や腎臓などに限られていた」とし、しかし「ここ数年、心臓や肺の移植でより多くの人を助ける機会が生まれ、200件の心臓移植が行われた」と述べる。そして最終的には、これらの新しいテクノロジーによって「DCDによる心臓のドナープールを30%拡大できると考えている」と続ける。

最後に「異種移植」と呼ばれる、動物から人間への臓器移植について見てみよう。このような実験は、何十年も前から行われているが、目立った進歩は見られない。ハース氏は「異種移植については、常に10~15年先といわれてきた」と述べる。とはいえ、CRISPR(クリスパー)のような新しい技術により、近年、この分野での進歩が見られ、人間の臓器の不足を動物の臓器で解決する道が開かれる可能性もある、と同氏は説明する。

しかし、このような変革や新しいテクノロジーがあっても、米国における臓器の根本的な課題は変わらない。命を救うためには、人々が「イエス」にマークする必要があるのだ。「最も必要としているのは、臓器提供にイエスと答えてくれる人を増やすことだ。臓器提供の意思表示をしてもらわないと、誰も移植を受けられないのだから」とケミンク氏はいう。現在、米国民の約半数が臓器提供の登録をしている。この課題を解決するためには、技術的な問題ではなく、人々に命の力、そして自分が他の人に提供できるものを思い出してもらうことが重要だ。

画像クレジット:PIERRE-PHILIPPE MARCOU / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

米国アマゾン、プライム会員はメールアドレスや電話番号だけでギフトを送れるように

Amazon(アマゾン)は米国時間10月4日、ホリデーショッピングシーズンに向けて、モバイルアプリでギフトを送る際に使える便利な新機能を発表した。デジタル化された現代では知らない人が多い受取人の住所を入力する代わりに、プライム会員は、電話番号やEメールアドレスを使って友人にギフトを送ることができるようになった。

この機能は、チェックアウト時に配送先の住所を入力する代わりの手段を提供するもの。相手の住所を知らない場合は「Let the recipient provide their address(受取人に配送先住所を提供してもらう)」という新しいオプションを選ぶことができるようになる。そして、相手のメールアドレスまたは携帯電話番号を入力する。

チェックアウトが完了すると、ギフトを受け取った人は、あなたが提供した情報に応じてEメールまたはテキストを受け取り、自分のAmazonアカウントから希望する配送先をAmazonに伝えることでギフトを受け取れる。または、ギフトで受け取った商品と同額のAmazonギフトカードと交換するオプションもある。これは、ギフトの送り主がチェックアウト時に「ギフトレシートを追加する」オプションを選択することで可能になる。もちろんこの交換は実店舗のショッピングと同じように、ギフトを贈った人に通知することなく行える。Amazonはギフトを受け取った人にもともと購入された商品を表示するため、ギフトを選んでくれた人にはそのアイテムに対する感謝の気持ちを伝えることができる。

この機能は、Amazonで買い物をしたい人なら誰でも利用できるというわけではない。同社はその代わりにこれを、ユーザーにプライム会員(年額119ドル / 月額12.99ドル、約1万3200円 / 1440円)への登録を促すための新たなプロモーション手段として利用している。ギフトシーズンの煩わしさを解消することで、会員登録を躊躇していた人たちの背中を押す可能性はある。しかしおそらく、これまでAmazonプライムの利用を検討していなかった人に入会を促すほどの理由にはならないだろう。家族や友人、同僚に住所を教えてもらうだけなら、いつでもできるからだ。しかし、すでにプライム会員になっているユーザーにとっては、特にギリギリのタイミングでのプレゼントや贈り物を忘れた時など、有益なリテンション戦略として役立つかもしれない。

アマゾンによると、この機能は10月4日から米国のプライム会員向けにモバイルアプリで展開される予定だ(今のところ、米国本土に配送するギフトのみが対象)。

同社は4日、ブラックフライデーの早期割引情報や、複数週にわたりさまざまな商品が割引になるビューティーホール(買い込み)イベントも発表した。

画像クレジット:Thomas Trutsche / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

米連邦通信委員会がSIMスワップ詐欺に対抗する新規則を提案

ここ2、3年で、SIMスワップ詐欺の被害が増加している。最近はほとんどのオンラインサービスが電話番号に関連付けられているため、この手法は被害者の生活を破壊するおそれがある。現在、Federal Communications Commission(米連邦通信委員会)は、SIMスワップ詐欺やポートアウト詐欺など、電話番号や個人情報を乗っ取る手口を防止するための新たな規則を制定しようとしている

同委員会によると、これらの乗っ取り手法によって「重大な苦痛、不便、経済的被害を受けた」消費者から多数の苦情が寄せられているという。SIMスワップとは、悪質な行為者が無線通信事業者を騙して、被害者のサービスを自分が保有する携帯電話に移す手法だ。悪質な行為者が被害者のサービスと番号を別の通信事業者に移すことに成功した場合、それはポートアウト詐欺と呼ばれる。

詐欺師が標的とする被害者の電話番号の支配権を得ることを難しくするために、FCCはCPNI(Customer Proprietary Network Information、顧客に関する専属的ネットワーク情報)とLocal Number Portability(地域電話番号ポータビリティ)の規則を改正しようとしている。具体的には、顧客が新しい電話機に機種変更したり、他の通信事業者へサービス移管することに同意する前に、より安全な方法で本人確認を行うことを事業者に求めるというものだ。また、SIMカードの移行や別の通信事業者への移転の要請が、顧客のアカウントで行われた場合、プロバイダーは顧客に通知して確認を取ることを義務付ける規則も提案している。

FCCの規則制定プロセスの一環として、現在これらの提案に対して一般市民がコメントできるようになっている。連邦通信委員会は、これらの提案を読んだ上で、一般市民が声を届けることができる機会を再度提供してから、前述の規則を改正するかどうかを決定しなければならない。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moonは、Engadgetの編集委員。

画像クレジット:Luciano Belviso Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMの米国工場は再生可能エネルギー100%への切り替えを5年前倒しで実施へ

ゼネラルモーターズ(GM)は2021年初め、2035年までに生産する車両、そして2030年までに生産方法の面でグリーン化を進める計画を発表した。このたび同社は「方法」という部分にいち早く取り組み、予定より5年早く2025年までに米国内の施設で再生可能エネルギーを100%使用することを述べている

この目標を達成するために、GMは、エネルギー効率を高め、施設に自然エネルギーを調達すると述べている。また、再生可能エネルギーを中長期的に貯蔵する技術を開発し「再生可能エネルギーの導入を支援するマイクログリッドを構築する」としている。

GMのサステナビリティ最高責任者であるKristen Siemen(クリステン・シーメン)氏は、次のように述べた。「当社は、気候変動対策が優先事項であり、すべての企業が脱炭素化をさらに迅速に進める必要があることを理解しています。それを実現するために、米国では(計画より)5年早く再生可能エネルギー100%を達成することを目指しています」。

また同社は、PJM Interconnectionという会社と協力して、その時々の送電網の炭素出力に基づいてエネルギー使用量を追跡する計画についても詳しく説明している。「GMは、供給されている電力のほとんどが化石燃料で構成されている場合、蓄えられている再生可能エネルギーの活用や消費電力の削減について、情報に基づいた判断を下すことができます」とも述べている。

生産する車両については、GMは2025年までに全世界でフルEVを30車種投入するする予定で、さらに「2035年までに新しい小型車(自動車、SUV、ピックアップ)のテールパイプ排出ガスをゼロにする」ことを計画している。この言い回しは水素自動車を含む可能性を示唆しているが、今のところGMは主にEVに焦点を当てているようだ。

しかし、GMの汚染削減計画は、政治的な風向きに左右され推移してきた部分もある。同社は、カリフォルニア州をはじめとする各州が独自に公害防止やゼロエミッションの要件を設定することを禁止するというトランプ政権の計画を支持したいくつかの自動車メーカーの1つだった。これにより、自動車メーカー各社は、前政権が要求していた年間5%の燃費向上を大幅に下回る、年間1.5%の燃費向上で許される。GMは、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏が大統領に選出された直後に、この訴訟から撤退した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Veanne Cao

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

Facebookリールは米国内でのベータを終了、再生回数の多い動画のクリエイターに対する報酬支払手段を提供

Facebook(フェイスブック)は、2021年8月にベータテストを開始したばかりの機能「リール(Reels)」を、米国時間9月29日、iOSとAndroidの両方で、米国内のすべてのFacebookユーザー向けに提供を始めた。この機能は、TikTok(ティックトック)に対するFacebookからの回答だ。クリエイターは、音楽やオーディオ、ARエフェクト、タイマーやカウントダウンの使用といった、さまざまな編集ツールを使って短編動画コンテンツを作成し、共有することができる。今回の公開によって、クリエイターはFacebook上で直接リールを作成することができるようになり、また、Instagram(インスタグラム)で公開したリールをFacebookにも共有することで、両方のアプリでフォロワーを増やすことができるようになる。

またFacebookは、リールの制作をどのように強化していくかについての、より詳細な計画を公開している。

同社は、他の人がリールを見たときに、そのクリエイターに報酬が支払われるような新しいボーナスプログラムを導入する。このプログラムには、2022年までにクリエイターに10億ドル(約1120億円)以上を投資するFacebookの大きなコミットメントの一部として資金が投じられる。また、クリエイターが特定の種類の広告を掲載する場合や、Facebookスター(仮想チップ)による支払いを受ける場合などにも報酬が支払われることになる。

関連記事:フェイスブックがクリエイターを呼び込む約1100億円のボーナス報酬プログラムを発表

Reels Play(リール・プレイ)ボーナスプログラムは、InstagramのReels Summer(リール・サマー)ボーナスを拡張したものだ。対象となるクリエイターには、FacebookとInstagramでのリールの再生回数に応じて報酬が支払われ、30日間で1000回以上の再生回数を記録したリールに対して支払いが行われる(ただし、Facebookは最終的な支払い額については言及していない)。

この新しいプログラムは、米国のクリエイターのみが対象で、当面は招待制である。最終的には、より広くグローバルマーケットに展開する予定だ。

Facebookによれば、クリエイターがリールから収益を得るための他の方法の開発にも取り組んでおり、スタンプ広告やバナー広告などの新しい広告フォーマットをリール内でテストする予定だ。また、仮想チップシステムであるFacebookスターをリールに統合し、ファンがお気に入りのリールクリエイターに直接支払いができるようにすることも検討している。
また、TikTokの広告のように、リールの間に表示されるフルスクリーン広告や没入型広告をテストすることで、プロダクトとしてのリールの収益化も図る予定だ。こうした広告を通して、ユーザーはブランドや他のスモールビジネスつながることができるようになる、とFacebookはいう。また、視聴者はリール自身と同様に、すでにInstagramリールに表示されている広告に対して、コメント、いいね!、閲覧、保存、共有、スキップすることができる。

関連記事:TikTok広告価格上昇の中、Instagramがライバル機能「リール」広告をグローバルに展開

InstagramリールをFacebookへオプトインで共有(画像クレジット:Facebook)

Facebookユーザーがリールを作成できる場所はいくつか用意されている。ニュースフィードをスクロールすると表示される新しいリールセクションの中の「作成」ボタンや、リールを見ているときやニュースフィードの上部にある「リール」をタップすることでも作成することができる。一方、ユーザーはニュースフィードからリールを見ることができる(ここには、Instagramから共有されたリールも加わる)。また、一部のページやグループでもリールを見ることができる。

当初リールは、TikTokのクローンのようなものとして、ちょうど1年前に世界のユーザーに向けてローンチされた。現在、リールはTikTokと同様の機能を提供しており、オーディオや音楽の大規模なカタログへのアクセス、タイマーやカウントダウン、ARエフェクトなどを使って動画を編集するツール、速度調整やクリップをつなぎ合わせるためのツールなどが含まれている。リールの編集ツール、特にARエフェクトのラインナップはTikTokには及ばないが、クリエイターが他社の編集アプリで作成した動画をそのままリールにアップロードすることも簡単にできる。また、TikTokのウォーターマークが表示されたリールは、アルゴリズムによってランクダウンされるものの、現在のところ、複数のサービスにクロスポストされたコンテンツが禁止されることはない。

グループ内のリール(画像クレジット:Facebook)

Facebookは、TikTokの台頭を自社のビジネスにとっての脅威と考えていることを明言してきた。競合他社に直接言及しない企業もある中で、Instagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は2021年6月に、Instagramがより多くの動画を含むように進化している理由の1つとして、TikTokを具体的に名指ししている 。さらに同氏は「私たちはもはや写真共有アプリでも、単なる正方形写真共有アプリでもありません」とユーザーに訴えた。

一方、TikTokの成長には目を見張るものがある。それは、2020年に最もダウンロードされたアプリとなった。7月には、Facebook以外のアプリとしては初めて、全世界で30億ダウンロードを達成。そして今週、TikTokは月間アクティブユーザー数が10億人に達したことを発表している。これに対して、Facebookのアプリ群の月間アクティブユーザー数は現在35億1000万人に達している。

Facebookのリール機能は、米国時間9月29日から米国のユーザーを対象にFacebookのモバイルアプリ上で展開される。

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TikTokの月間アクティブユーザーが10億人に到達

画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

Ringのホームセキュリティドローンが米国内で招待制で販売開始

2020年、Ringはセンサーとカメラを搭載したドローン「Always Home Cam」を発表した。このドローンは、Ring Alarmセンサーなどのトリガーや、Ringアプリからの手動コマンドに反応して、ユーザーが設定した経路に沿って家の中を移動することができる。このコンセプトは現実のものとなり、米国のユーザーに向けて出荷が開始された。ただし、最初は招待者のみの発売となる。トが現実となり、米国のユーザーに発売された。ただしそれは、最初のうち、招待制のローンチだ。

Ringは、1年以上前に249ドル(約2万7800円)のAlways Home Camを公開した。そのときは「2021年に出荷する」と述べていたが、それが実現した。約5×7×7インチ(約12.7×17.8×17.8cm)の小型ドローンは、玄関や廊下なども軽快に移動できるはずだ。このデバイスの背景にあるアイデアは、留守中にカメラを家のあらゆるところに設置する方法を提供することだが、実際にたくさんのカメラを用意して設置する必要はない。

Ringは、Always Home Camは、事前に設定されたトリガーまたは手動でユーザーが指示した場合にのみ飛行することを強調している。また、基地内で静止しているときは、デフォルトではカメラは起動しておらず、録画も行わない。これは「プライバシーとセキュリティー」を高めるための意図的な選択だという。

次世代の国内航空監視システムの1階に入りたい人は、今日からRingに招待状をリクエストするとよい。次世代の家庭用空中監視システムを早く体験したい人は、Ringに招待状を申し込もう。

画像クレジット:Ring

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

暗号資産取引所Coinbaseの口座への給与振込が可能に、まずは米国で展開

暗号資産取引所のCoinbase(コインベース)はいくつかの新機能を発表した。同社は米ドルをさまざまな暗号資産に変えられる取引サービスでよく知られているが、ユーザーがこれまで以上に多くの金融サービスで同プラットフォームを活用できるようにするために消費者サービスを拡大する。

まず、間もなく米国で口座振替の機能を立ち上げる。この機能ではユーザーは支払われる給与の一部をCoinbaseに預け入れることができる。Coinbaseアプリのユーザーは現在給与を支払っている会社あるいは雇用主をアプリで見つけて、そこから給与の分配を更新できる。最も積極的なユーザーは給与全額をCoinbaseの口座に入れることを選ぶのではないだろうか。

Coinbaseの口座に入金されると、ユーザーはCoinbaseに米ドルをどのように扱わせるかを決められる。単に全額を米ドルのままにしておくこともできるし、全額を暗号資産に変えることもできる。

ユーザーはCoinbaseで利用できる暗号資産から選べる。この機能は、もしあなたがいちいち考える必要もない繰り返しの購入を設定したい場合に特に便利だ。

口座振替は、CoinbaseがMarqetaの手を借りて、Apple PayとGoogle Payで使える自前のVisa(ビザ)デビットカードを提供していることを考えると理に適っている。つまり、Coinbase口座での入出金ができることになる。

Coinbaseアプリから、ユーザーはカード決済のためのソースウォレットを選ぶことができる。カードを使うたびに、Coinbaseがユーザーの暗号資産を米ドルに2.49%の決済手数料で替える。

カード決済ではまたリワードも受けられる。現在、リワードにはDAI、ETH、DOGE、BTCでの1%還元、GRT、XLM、AMP、RLYでの4%還元がある。なので決済手数料でお金を使い、リワードで少し稼げる。

ユーザーはまた直接米ドルを使うこともできるようになっている。その場合、カード決済での手数料は発生しない。CoinbaseはここしばらくCoinbase Cardをテストしていて、2021年10月から誰でも使えるようになる見込みだ。

Coinbaseはすでに米国の何百万人という人にとって重要な金融アプリだ。そうした顧客を抱える同社が使用を増やすために新しいサービスを追加するのは何ら不思議ではない。Coinbaseはモバイルアプリに新たに「アセット」「取引」「支払い」「あなたのために」の4つのタブを加える。そしておそらく一部のユーザーはCoinbaseのアプリをこれまでよりも少し頻繁に使うことになり、銀行アプリの使用が少し減ることになる。

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi