問題があると見做される商品のみを扱う「リスクの高い顧客」に特化した本人認証プラットフォーム「A.ID」

リスクの高い顧客向けに特化したアイデンティティとコンプライアンスのプラットフォームを提供するA.IDは、RobinHood(ロビンフッド)、Square(スクエア)、Snap(スナップ)の元従業員を含むエンジェル投資家から50万ドル(約5500万円)の資金を調達したプレシード投資ラウンドを終了した。

このスタートアップ企業は、従来のフィンテック企業や銀行が対応できない市場、すなわち、問題があると見做される商品のみを扱っている「リスクの高い」顧客の増加に対応しているという。例えば、合法的な大麻産業は毎年67%、暗号資産は46%以上の成長を遂げている。その一方で、銀行口座を持たない人や持てない人の数は日々増加しているが、既存の金融機関はこれらの爆発的な市場に応えられていないように思われる。

A.IDは、金融とコンシューマーテック製品の両方で起業した経験を持ち、これが3度目の起業となるEkaterina Romanovskaya(エカテリーナ・ロマノフスカヤ)氏と、欧州でコンプライアンス・プロダクトを立ち上げた経験を持つ(Justinas Kaminskasジャスティナス・カミンスカス)氏によって設立されたB2B2Cプラットフォームだ。

ロマノフスカヤ氏は次のように述べている。「私たちの最終目標は、信頼を築くことです。エンドユーザーは企業を信頼して個人の機密データを託し、企業はユーザーが違法な行為をしないことを信頼します。私たちはこのような信頼が不可欠であると固く信じており、あらゆる場所で強く待ち望まれていると考えています」。

A.IDによれば、同社のソリューションを利用するクライアントは、顧客の身元確認とオンボーディング、標準的および強化されたデューデリジェンスの実行、ウォッチリストに対する個人や企業のスクリーニング、支払いの監視、コンプライアンスケースの作成と解決、疑わしい活動の規制当局への報告などを行うことができるという。同社のクライアントは、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を介して統合することもできるし、ウェブアプリケーションとして利用したり、SDKを使用したりすることも可能だ。

現在までに、新興産業向けのデジタルバンクであるArival(アライヴァル)や、クリエイター向けのソーシャルネットワークであるClos(クロス)などがユーザー認証に採用している。

「私は2017年に米国に永住しました。しかし、VCから適切な注目を集めるのに苦労しました。私は女性の創業者であること、移民の創業者であること、技術的な専門知識を持たない創業者であることなど、ベンチャー投資家に不人気ないくつかのカテゴリーに同時に当てはまりました。私が自力で起業した会社は、新型コロナウイルスの影響を受けて倒産するまで有機的に成長しました。私は2020年のロックダウン時を利用してデータサイエンスを勉強し、コードを学び、データエンジニアになりました。そして2020年9月にA.IDを設立しました」と、ロマノフスカヤ氏はTechCrunchに語った。

ロマノフスカヤ氏は、Twitter(ツイッター)でクレムリンを批判する風刺的な政治アカウントを共同設立し、ピーク時には200万人のフォロワーを獲得したことで、ロシアではTwitter有名人となった。2016年には、女性向けにパニックボタンを内蔵したファッショナブルなスマートリング「Nimb(ニム)」で知られる企業を共同設立している。

A.IDの本社は米国カリフォルニア州ロサンゼルスにある。欧州支社はリトアニアにオフィスを構え、EUで事業を行っている。

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画像クレジット:A-id.co

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Cruiseがカリフォルニアの農家から購入する太陽光発電を電気自動車や自動運転車の動力源に

General Motors(ゼネラルモーターズ)傘下で自動運転車を開発するCruise(クルーズ)は、カリフォルニア州セントラルバレーの農場から太陽光発電電力を調達する「Farm to Fleet」という新たな取り組みを始めた。San Francisco Chronicle紙が最初に報じたところによると、Cruiseは、Sundale Vineyards(サンデール・ヴィンヤーズ)とMoonlight Companies(ムーンライト・カンパニーズ)から再生可能エネルギー・クレジットを直接購入し、サンフランシスコで運行するすべての電気自動車の電力供給に活用しようとしている。

Cruiseは先日、サンフランシスコで人間のセーフティーオペレーターがいない試験車両で乗客を運ぶ認可を取得した。また、GM Financial(GMフィナンシャル)から50億ドル(約5500億円)の融資枠を受け、電気自動車や自動運転車など数百台のCruise Originを購入し、商用化に向けた動きを加速させている。今回のカリフォルニア州の農家との提携は、再生可能エネルギーの導入を進めるカリフォルニア州にとって有益であることは間違いないが、Cruiseは慈善事業を行っているわけではない。

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California Independent System Operator(カリフォルニア独立系統運用機関)はこの夏、電力需要が高まり、停電を起こす可能性のある熱波を想定し、米国西部の電力会社にメガワット単位での販売を呼びかけた。電力供給は、干ばつや停電、新しいエネルギー源の導入の遅れ、水力発電の減少などにより、すでに予想を下回っている。Cruiseが計画している大幅な台数の増加にカリフォルニア州の送電網が対応するには、送電網を強化するしかないようだ。しかし、Cruiseは、エネルギー源を確保するだけではなく、より高い目標を持っていることを明言している。

Cruiseの広報担当Ray Wert(レイ・ワート)氏はTechCrunchの取材に対し「私たちが都市やコミュニティのために正しいことをし、交通手段を根本的に変えていくことが目的です」と述べた。

環境保護団体「Nature Conservancy」の報告書によると、カリフォルニア州の農家は干ばつに悩まされており、農地を太陽光発電所に変えることにより気候変動の目標を達成できる可能性がある。だからこそCruiseは、セントラルバレーの農家に今アプローチすることに意味があると考えたのだ。

「Farm to Fleetは、都市部の交通機関の二酸化炭素排出量を急速に削減すると同時に、再生可能エネルギーに取り組むカリフォルニアの農家に新たな収入をもたらす手段です」とソーシャル・アフェアーズ&グローバル・インパクト担当副社長のRob Grant(ロブ・グラント)氏はブログで述べた。

Cruiseは、クリーンエネルギーのパートナーであるBTR Energy(BTRエナジー)を通じて、農家に対し合意した契約料金を支払っている。同社はコストを公表していないが、他の形態の再生可能エネルギー・クレジット(REC)を使用した場合と比べて、支払う金額は大きくも小さくもないとしている。RECは、再生可能エネルギー源が1メガワット時の電力を発電し、それを送電網に渡すと生成される。Cruiseによると、Sundaleは20万平方フィート(約1万9000平方メートル)の冷蔵倉庫に電力を供給するために、2メガワットの太陽電池容量を設置し、Moonlightは選別・保管施設に合計3.9メガワットの太陽電池アレイと2つのバッテリー貯蔵システムを設置しているという。これらの農場からクレジットを購入することで、Cruiseは電力使用量のうち特定の量が再生可能エネルギーで賄われていることを証明できる。RECは一意であり追跡できるため、どこから来たのか、どのようなエネルギーを使ったのか、どこに行ったのかが明確になる。Cruiseは、農場から購入するRECの数量について明らかにしていないが、同社のサンフランシスコの車を動かすのに十分な量だと述べている。

「太陽光発電の電力は同じ送電網を通っています。Cruiseは農場のソーラーパネルで発電された再生可能エネルギー・クレジットを購入しますが、最終的にそれはなくなります」とワート氏は話す。「カリフォルニア州大気資源局に四半期ごとに提出するデータにより、車両の充電に使用した電力量に相当する数のRECを償却しています」。

また、CruiseはBTRエナジーと協力し、アリゾナ州での事業に必要なRECの供給を確保している。同州での事業には、Walmart(ウォルマート)との配送試験も含まれる。

カリフォルニア州では低炭素燃料基準が定められており、輸送用燃料の炭素強度を低減し、より多くの低炭素代替燃料を提供することを目的としているため、完全に再生可能な電力を使用することはCruiseにとって有益だとワート氏はいう。同社はすべてのEV充電ポートを自社で所有・運営しているため、電力の炭素強度スコアとエネルギー供給量に応じてクレジットを生成することができる。Cruiseはこのクレジットを、二酸化炭素排出量の削減や法規制の遵守を求める他の企業に販売することができる。

Cruiseは、実用性だけでなく、業界の標準を確立し、再生可能エネルギーの需要を創出することで、より多くの人々や企業に再生可能エネルギーの創出を促すことを目指している。

グリッド分析を行うスタートアップであるKevala(ケバラ)のCEOのAram Shumavon(アラム・シュマボン)氏は、今回の提携について、Cruiseを賞賛すべきだと述べている。

「Cruiseが認めようとしているのは、同社が消費する電力に関する炭素強度であり、それを何らかの形で相殺しているということです」とシュマボン氏はTechCrunchに語った。「炭素会計にはスコープ3と呼ばれるカテゴリーがあり、サービス提供に必要なサプライチェーンが実際にどれだけの炭素を含んでいるのかを把握しようとするものです」。

シュマボン氏は、商業活動の炭素強度を定量化することで、企業はその説明責任を果たすことができ、供給者には自然エネルギーからの供給を求めることで、変化を促すことができると述べている。例えば、ある自動車メーカーは、アルミニウムを供給する会社に、石炭発電ではなく水力発電のある地域からのみ調達するよう依頼することができる。これにより、自動車メーカーの炭素強度を下げることができる。

「輸送部門は温室効果ガス排出量の40%以上を占めています。そのため、我々は2月に『クリーンマイル・チャレンジ』を発表し、自動運転業界の他の企業に、毎年何マイルを再生可能エネルギーで走行しているかを報告するよう呼びかけました」とワート氏は話す。「他の企業が我々に追随することを期待しています」。

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画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

ギグワーカーを非従業員とするカリフォルニアの条例Prop 22を高裁が憲法違反と判決

UberやLyftなどギグワーカーを軸とする企業に米国時間8月20日の夜遅くショックが訪れた。高等裁判所の判事が、2020年に成立してギグワーカーの雇用ステータスに対する論争の多かったAB-5法を、否定する目的で成立させたカリフォルニア州第22条令(Prop 22)は州の憲法に違反していると裁定した。

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オークランドやバークリーなどイーストベイの多くをカバーするアラミダ郡の高裁判事Frank Roesch(フランク・ローシュ)氏は「その法(Prop 22)が、将来の議会がギグワーカーの雇用ステータスを定義する力を制限する」と裁定した。この訴訟は2021年1月にService Employees International Union(SEIU)(サービス業被雇用者国際組合)が起こし、同様の訴訟がフォルニア州最高裁で却下されてから下級審へ回されたものだ。

この法廷の決定はほぼ確実に控訴されるであろうし、今後の法的議論が当然あるだろう。

しかしSEIUのカリフォルニア州評議会の議長Bob Schoonover(ボブ・スクーノーバー)氏は、声明で次のように述べている。「ローシュ判事によるProp 22を無効とする本日の裁定は極めて明確である。ギグ業界が金で買った住民投票は憲法違反であり、したがって施行不可能である。2年にわたりドライバーたちは、民主主義は金で買えないと言い続けてきた。そして本日の判決は、彼らが正しかったことを示している」。

高裁の判決は、UberやDoorDashのようにギグワーカーに大きく依存している企業と、労働者を代表する組合や活動家との間の戦いの、勝ちと敗けの長い々々列の最新のひとコマにすぎない。その議論の中心にあるのは、フリーランサーと従業員との法的な区別であり、それぞれのワーカーに対して企業はどの程度の福利厚生の責任を負うか、という点だ。

その区別がビッグビジネスになっている。UberやLyftなどの企業は2020年Prop 22を勝ち取るために、総額で2億ドル(約220億円)あまりを費消した。カリフォルニアの有権者はその条例を、ほぼ59%対41%で通過させたが、それはギグワーカープラットフォームの大勝利と多くの人びとが受け止めている。

しかしこのような戦いはシリコンバレーの本拠地である州だけの現象ではない。2021年初めに英国では、Uberが従業員の位置づけをめぐる法廷闘争で負けて、その数万人のドライバーが労働者と見なされた。そしてその判決により彼らには、それまで保証されなかった多様な福利厚生が提供された。

画像クレジット:ejs9 / Getty Images / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Waymo Viaがテキサス、アリゾナ、カリフォルニア州で自動運転トラックのオペレーションを拡大中

Alphabet(アルファベット)の自動運転部門であるWaymo(ウェイモ)は、テキサス州、アリゾナ州、カリフォルニア州での自動運転トラック事業を本格的に拡大するために、ダラスにトラック専用のハブを建設し、車両マネジメントサービスでRyder(ライダー)と提携するという2つの動きを行っている。

このニュースは、Waymoが自動運転プラットフォームWaymo Driver(ウェイモ・ドライバー)とそのチームの継続的な成長のために、25億ドル(約2754億円)の資金調達を発表してからわずか2カ月後のことだ。同社の広報担当者によれば、Waymoは、クラス8のトラック(約15トン以上)に搭載した第5世代のDriverのテストを強化していて、テキサス州ヒューストンとフォートワースを結ぶ州間高速道路45号線に沿ってJ.B. Hunt(J.B.ハント)などの運送業者の貨物を運搬し、Daimler Trucks(ダイムラートラック)と協力して堅牢なレベル4車両プラットフォームを開発しているという。Society of Automotive Engineers(自動車技術者協会)によると、レベル4の自動運転とは、あらかじめ設定されたエリア内限定なら人間がいなくても、車が自動運転可能であることを意味している。

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Waymoは、国内で最も忙しい地域の1つにサービスを提供するために、ダラス・フォートワースに、同社の自動運転トラック事業であるWaymo Via(ウェイモ・ビア)専用の9エーカー(約3万6000平方メートル)の新しいトラック輸送ハブの建設をすでに開始している。このハブは商用利用のためにデザインされており、同社がこの地域で規模を拡大し、より大規模で複雑な自動運転テストを実施する際には、何百台ものトラックを収容することが期待されている。Waymoは、このハブはテキサス州での事業をI-45(高速45号線)に沿って、I-10とI-20の間に展開するのに役立つとしている。この場所は、州境を越えた長距離路線をサポートし、Waymoのフェニックスのオペレーションセンターと連携するのに適した場所だ。Waymoは、来年の前半にこの施設に入居する予定だという。

ここで、Ryderとのパートナーシップの出番だ。ダラスのハブは、Waymo Driverのテストを行うだけでなく、Waymo Driverが幹線道路を走って、人間のドライバーがファーストマイルとラストマイルの配送を担当できるようにするための、自動運転と手動運転を組み合わせた高速道路の近くにあるトランスファーハブモデルをテストするための中心的な拠点となる。このモデルを拡大するには、高度な組織化が必要だが、Ryderの車両マネジメントサービスと、500以上の施設で標準化された車両メンテナンス技術が、その役目を果たしてくれるはずだ。

このパートナーシップには、新しいダラスの施設を含むWaymo Viaのすべてのハブとテストサイトにおける車両のメンテナンス、検査、ロードサイドアシスタンスが含まれている。Ryderの規模と影響力、そしてWeymoの自動運転車両データへのアクセスを使って、両社は自動運転トラックのメンテナンスと最適化されたパフォーマンスの青写真作りにも取り組んでいく。

Ryderのチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)で新製品開発責任者でもあるKaren Jones(カレン・ジョーンズ)氏は「このパートナーシップは、当初は車両メンテナンスに焦点を当てていますが、自動運転トラックの大規模展開を成功させるために、自動運転トラックの運用面で協力する機会はたくさんあると考えています」と述べている。「すでに、トラックのサービス性や、近い将来に計画しているトランスファーハブモデルに最適化できるように、Waymoのダラスの新施設のレイアウトやデザインについて協力しています。クラス8トラックの自動運転技術は急速に展開していて、Ryderはトラックの整備だけでなく、自動運転にともなう独自の物流管理においてもリーダーとなる準備を進めています」。

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画像クレジット:Waymo

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

中国のPony.aiが2022年にカリフォルニアでのドライバーレスロボタクシー運用を計画

中国と米国で運用しているロボタクシーのスタートアップ、Pony.ai(ポニー・エー・アイ)は、2022年に計画している商用サービスに先立ち、カリフォルニア州の公道でドライバーレス車のテストを開始した。

ドライバーレス車両によるテストは、運転席にセーフティードライバー(安全管理者)がいない無人自動車が走ることを意味しており、カリフォルニア州フリーモントの公道で毎日行われている、と同社は語った。Pony.aiは中国の広州でもドライバーレス車のテストを行っている。

また同社は、2021年の夏にカリフォルニア州アーバインで、セーフティードライバーの乗った無人車を使ったライドシェアサービスを再開する計画であることも話した。目標は、2022年に完全ドライバーレス・サービスを展開することだ。

「完全ドライバーレス化は完全自律運用への鍵であり、私たちの野心的計画にとって不可欠な起爆剤です」とPony.aiのCEOで共同ファウンダーのJames Peng(ジェームズ・ペン)氏はいう。

Pony.aicが商用サービスを運用するためには規制のハードールがいくつか残っている。ドライバーレス乗車サービスを有料で提供しようとする無人運転車企業は、カリフォルニア州運輸局(DMV)とカリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)の両方から運用許可を受ける必要がある。GM傘下のCruise(クルーズ)は、CPUCから乗客輸送テストが可能なドライバーレス自動運転サービス許可を受けた最初の企業となった。DMVの最後の一歩は運用開始許可で、これまでにNuro(ニューロ)のみが取得している。

Ponyのカリフォルニア州でのドライバーレス・テストのマイルストーンは、州がPonyの6台のドライバーレス車両によるテストを約39平方マイル(101平方km)の地域で行う許可を出してから1カ月後だった。何十という会社(計55社)がセーフティードライバー付き自動運転車のテスト許可を取得しているが、ドライバーレス車両の許可受けるのは稀だ。Ponyは同州でドライバーレス・テスト許可を受けた8番目の会社で、取得企業には中国のAutoX(オートエックス)、Baidu(バイドゥー)、およびWeRide(ウィーライド)、米国のCruise、Nuro、Waymo(ウェイモ)、Zoox(ズークス)らがいる。商業的運用が可能な deployment permit(運用開始許可)を受けているのはNuroだけだ。

関連記事:GMの自動運転車子会社Cruiseがカリフォルニア州で無人運転車に客を乗せることが可能に

Pony.aiは、2016年にBaiduの開発者だったペン氏とLou Tiancheng(ルー・チャンチェン)氏が設立し、2017年にセーフティードライバー付き無人運転車のテスト許可を取得した。5月にカリフォルニア州DMVが発行したドライバーレス許可は、Ponyの州内における活動実績を踏まえて拡張された。

Pony.aiはカリフォルニア州のフリーモントとアーバインでライドシェアのテストを行ってきた。2019年、電動無人運転のクロスオーバー車、Hyundai Kona(ヒュンダイ・コナ)にPonyの自動運転システムとVia(ヴィア)のライドシェアリング・プラットフォームを搭載し、公道で乗客輸送を開始した。BotRide(ボットライド)と呼ばれるそのロボタクシー・サービスはドライバーレスではなく、運転席には常時人間セーフティードライバーが乗っていた。BotRideのパイロットは2020年1月に終了した。

その後同社は公開ロボタクシー・サービスのPonyPilotをアーバイン地区で運用開始した。その後、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックのために、乗客輸送から貨物輸送に切り替えた。Pony.aiはeコマースプラットフォームのYamibuy(ヤミバイ)とも提携して、アーバインの顧客に無人ラストマイル配送サービスを提供した。その配送サービスは新型コロナパンデミックによって急増した注文に対応するための能力増強のために実施した、と当時Pony.aiは述べていた。

パンデミックが沈静化してカリフォルニア州に平常状態が戻るのに備え、Ponyは商業的ロボタクシーサービス運用の準備を進めている。その目標を達成するために、同社はすでに何社ものパートナーを集め、トヨタ自動車からの4億ドル(約440億円)を含む10億ドル(約1100億円)以上の資金を調達している。2020年11月、新たな2億6700万ドル(約290億円)の資金調達を完了した同社の企業価値は53億ドル(約5840億円)に達した。Ponyは、Bosch(ボッシュ)、Hyundai、トヨタをはじめとする自動車メーカー、部品メーカーとの提携、協業をいくつか行っている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Pony.aiロボタクシーカリフォルニア自動運転

画像クレジット:Screenshot/Pony.ai

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

GMの自動運転車子会社Cruiseがカリフォルニア州で無人運転車に客を乗せることが可能に

GMの自動運転車子会社で、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、マイクロソフト、ホンダも出資しているCruise(クルーズ)は、ハンドルを握る人間の安全管理者がいないテスト車両で乗客を運ぶ許可を取得した。

この許可証は、CPUC(カリフォルニア州公益事業委員会)がドライバーレス・パイロット・プログラムの一環として発行したもので、自動運転車メーカーが商業的な運用を開始する前に満たさなければならない規制要件の1つだ。この許可証は重要だ。Cruiseは許可証を取得した最初の会社となった。しかし、この許可証に基づくテスト用の自動運転車では乗客に料金を請求することはできない。

「カリフォルニア州で乗客向けの商用サービスを開始するためには、カリフォルニア州DMV(車両管理局)とCPUCの両方から商業許可証を発行してもらう必要があります。私たちは本日、カリフォルニア州PUCから、乗客の輸送をテストするためのドライバーレス自動運転サービス許可証を最初に受け取ったことを光栄に思います」と、Cruiseの政府担当ディレクターであるPrashanthi Raman(プラシャンティ・ラマン)氏は、TechCrunchに対してメールでの声明で述べた。

自動運転車のテストと最終的な運用開始を決定する規制機関は、CPUCとカリフォルニア州DMVの2つ。カリフォルニア州DMVは、安全運転者の有無にかかわらず、自動運転車のテストを監督する。約55社が安全運転者付きの自動運転車のテスト許可を取得した。人間が運転しないドライバーレス・テスト許可証は、カリフォルニア州で商用のロボットタクシーや配送サービスを開始しようとする企業にとって新たなマイルストーンとなり、必要なステップとなっている。AutoX、Baidu、Cruise、Nuro、Pony.ai、Waymo、WeRide、Zooxは、DMVからドライバーレス許可証を取得した。

DMVでの最後のステップは、Nuroだけが達成した運用開始許可だ。この許可により、Nuroは商業規模での運用が可能になる。Nuroの車両は乗客を乗せず、貨物だけを積載できるため、CPUCの許可プロセスを回避できる。

CPUCでは「Drivered」と「Driverless」という許可証があり、いずれも企業に自動運転車へ客を乗せることを許可する。Aurora、AutoX、Cruise、Deeproute.ai、Pony、Voyage(Cruiseに買収された)、Waymo、Zooxなどが「drivered」の許可を得た。Cruiseはドライバーレスの許可証を最初につかんだ企業だ。

将来的に、ロボットタクシーでシャトルバスを運行し、乗客に乗車料金を請求したいと考える企業は、DMVとCPUCからこれらの許可をすべて取得しなければならない。

「CPUCの自動運転車乗客サービスパイロットプログラムにおける最初の無人運転許可証が発行されたことは重要なマイルストーンです。自動運転車は、個人のモビリティニーズを解決し、道路の安全性を向上させ、州内の商品を持続的かつ効率的に移動させることで、交通システムやコミュニティを変革する可能性を秘めています」と、Genevieve Shiroma(ジュヌビーブ・シロマ)コミッショナーは声明で述べた。「自動運転車の効果的な運用開始は、車両の製造、メンテナンス、サービスのビジネスモデルを変革し、カリフォルニア州の労働力に新たな雇用と産業を創出することにもつながります」。

CPUCは2020年、長い規制上の手続きをパスすれば、許可された企業が自動運転車によるライドシェアサービスを提供し料金を請求できる2つの新しいプログラムを承認した。この決定は、自動運転車業界がCPUCに対し何カ月にもわたって働きかけた結果だ。業界は、無人運転車による料金徴収とライドシェアの提供を可能にする規則変更を検討するよう働きかけてきた。

CPUCによると、Cruiseは最終的にパイロット版に参加する他の企業とともに、ドライバーレス自動運転車乗客サービスを提供する車両の運行状況について、四半期ごとに報告書を提出しなければならない。また、ドライバーレス運行における乗客の安全を守るための計画をまとめた乗客安全計画を提出しなければならない。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Cruiseカリフォルニア自動運転ロボタクシー

画像クレジット:Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

トヨタ出資の自動運転Pony.aiがカリフォルニア州から無人運転テスト許可を取得

中国のロボタクシースタートアップPony.ai(ポニーエーアイ)は、カリフォルニア州の当局から自動運転車両をセーフティードライバーが乗り込むことなしに3都市で試験する許可を取得した。

全部で55社がセーフティドライバー付きでの自動運転車両のテストを行う許可を得ているが、ドライバーなしの許可を得ている企業はずっと少ない。Ponyは同州でこの手の許可を得た8番目の企業であり、その他の企業は中国企業のAutoX、Baidu、WeRide、そして米国企業のCruise、Nuro、Waymo、Zooxだ。この中でNuroだけがいわゆる運営許可を得ていて、商業展開ができる。

自動走行車両のテストを管轄するカリフォルニア州車両管理局が発行する許可は、同州でのPony.aiの既存の活動を拡大する。同社は2017年からセーフティドライバー付きでの自動走行車両テストを許可されてきた。

新たな許可の下で、Pony.aiは自動走行車両6台をドライバーなしで、フリーモント、ミルピタス、アーバインの特定の道路でテストできるようになる。許可には制限がある。車両のスピードは時速72km以下で、良好な天候と小雨の状況でのみ走行が許される。試験はまずフリーモントとミルピタスで午前10時から午後3時の間に行われる。

こうしたドライバーなしのテスト許可を得ている企業は保険の証明か500万ドル(約5億4000万円)相当の債券を提出し、またテクノロジーでつながった遠隔オペレーターを訓練するなどいくつかのルールに従わなければならない。当局によると、ドライバーなしのテスト許可取得企業は、ドライバーレス車両が関わった事故が発生した場合、10日以内に州車両管理局に報告し、テストを止めた場合は年次レポートを提出する必要もある。

2016年に元Baidu開発者のJames Peng(ジェームズ・ペン)氏とLou Tiancheng(ルー・ティエンチェン)氏によって創業されたPony.aiは比較的短い期間に多くのパートナーや投資家を獲得した。2020年11月に同社は2億6700万ドル(約290億円)の資金調達後に評価額が53億ドル(約5770億円)に達した、と述べた。中国とカリフォルニアで事業を展開する同社は、トヨタからの4億ドル(約436億円)を含め、創業以来10億ドル(約1089億円)を調達した。Pony.aiはBosch、Hyundai、トヨタを含む自動車メーカーやサプライヤーといくつかの提携やコラボレーションを抱えている。

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Pony.aiは小型車から大型トラックまであらゆるサイズの車両のためのアグノスティック・バーチャル・ドライバーと呼ぶものを構築中で、それはライドシェアとロジスティック(配達)サービスネットワークで運用される見込みだ。同社は2019年に、自社の自動テクノロジーを長距離トラックマーケットに応用するためにOEM、そしてサプライヤーと協業している、と話した。しかし同社はおそらくロボタクシーでの取り組みで最も知られている。

Pony.aiはカリフォルニア州フリーモントとアーバイン、中国の広州でライドシェアをテストしてきた。2019年にPony.aiの自動走行システムとViaの配車プラットフォームを搭載したHyundaiのクロスオーバー電動自動走行車両Konaが顧客を乗せて公道走行を開始した。BotRideという名称のロボタクシーサービスはドライバーレスではなく、常にセーフティドライバーが運転席にいた。BotRideの試験は2020年1月に完了した。

Pony.aiはその後、PonyPilotという一般向けのロボタクシーサービスをアーバイン地区で開始した。新型コロナウイルスパンデミックが世界に広がったため、Ponyはロボタクシーサービスの対象を人から荷物へとシフトさせた。2021年4月にPony.aiはeコマースプラットフォームのYamibuyと、アーバイン地区の顧客への自動走行ラストマイル配達の提供で提携したと発表した。新たな配達サービスは、新型コロナパンデミックをきっかけとするオンライン注文の急増に対処する追加の能力を提供すべく立ち上げられた、とPony.aiは当時述べていた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Pony.ai自動運転カリフォルニア中国ロボタクシー

画像クレジット:Pony.ai

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動トラックRivianga全米40州で自社保険プログラムを立ち上げ

電動トラックのスタートアップRivianは、米国時間4月15日木曜日にRivian Insuranceプログラムの詳細を発表した。この保険は、同社のデジタル注文プロセスに統合される予定だ。

この保険は当初、40の州で提供される予定だ。「アドベンチャー・ビークル」企業としてのRivianのマーケティングに沿って、顧客は自宅やボート、ダート・バイク、キャンピングカーなどのレクリエーション設備をカバーするオプションもある。同社が保険プログラムを開始するという計画は、1年以上前に求人広告が発見されて初めてリークされた。

この保険サービスが際立っているのは、Rivian車両プラットフォームとDriver+セーフティスイートの統合だ。同社はブログ記事の中で、この統合により「カスタマイズされたデータベースの補償」を提供できると述べている。Rivian Insuranceを選択した顧客には、Driver+の割引料金が適用される。ドライバーはさらに、RivianのActive Driver Assistanceソフトウェアを使用することで割引を受けることができる、別のプログラムも選択できる。

これは、2021年後半に初の電動ピックアップを市場に投入することを計画しているRivianにとって、賢明な動きだ。Tesla(テスラ)と同様に、RivianはRivian Collision CenterとService Centerですべての作業を自社で行うことで、顧客がシームレスな保険プログラムに魅力を感じるようになると考えているようだ。Rivian Insuranceはベテランに続く新規参入者の一例だが、実は大きな利点がある。なぜなら、Tesla Insuranceが利用できるのはカリフォルニア州のオーナーだけだからだ。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Rivian保険カリフォルニア電気自動車トラック

画像クレジット:Rivian

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

山火事発生時に避難情報を伝える双方向緊急プラットフォームをPerimeterが開発

窓の外では火が燃え盛っていて、それがどんどん近づいてくる。混乱している。恐怖。クルマに逃げ込む。道路が当局によって突然閉鎖される。渋滞に巻き込まれる。炎が止まったかと思うと、突然、炎が方向を変えて飛び出してくる。普段の日常生活の中では、誰もがこれからやることの予定を立てている。しかし、誰かが避難のために家を出た瞬間、その「やること」は破棄されてしまう。

だが、いざというときこそ、何をすべきか、どこに行くべきか、正確に把握しておくことは、誰にとっても必要だ。とはいえ、残念ながら、そのような情報が必要な形で得られることはほとんどない。

カリフォルニア州のサンフランシスコ北部に住むBailey Farren(ベイリー・ファーレン)氏の家族は、このような事態をもう4回も経験している。気候変動による乾燥化で山火事がかつてないほど多発しているにもかかわらず、避難は相変わらず大混乱になる。カリフォルニア大学バークリー校の学生だった彼女は、何が起きていたのか、なぜ家族が安全かつ迅速に避難するために必要な情報が常に不足していたのかを調べ始めた。「第一応答者は、必要な情報をすべて持っていると思っていました」と、彼女はいう。

しかし、そうではなかった。最前線で活動する消防士には、正確な情報をオペレーションセンターに伝え、市民に避難方法を指示するためのテクノロジーを持ち合わせていないことが多い。市民には最新の情報を常に伝えなければならないが、その手段を関係当局は簡単なテキストメッセージに頼っていることが多く、例えば、郡全体の人々に避難するように伝えるだけで、それ以上の情報はほとんど伝えられない。

2018年にカリフォルニア州で発生した史上最悪の火災「Camp Fire(キャンプ・ファイア)」をきっかけに、ファーレン氏は公安担当者へのインタビューに留まらず、さらに解決策の構築を目指すようになった。2019年春に大学を卒業すると同時に、彼女は同じバークリー校の卒業生であるNoah Wu(ノア・ウー)氏と、Perimeter(ペリメーター)を設立した。

Perimeterは、ファーレン氏の言葉によれば、地理空間データを中心にした双方向のコミュニケーションを提供することで「機関と市民の間のギャップを埋める」ために設計された緊急対応プラットフォームだ。

同社は米国時間4月12日、プレシードラウンドで100万ドル(約1億900万円)の資金を調達したと発表した。この投資ラウンドはParade Ventures(パレード・ベンチャーズ)のShawn Merani(ショーン・メラニ)氏と、Dustin Dolginow(ダスティン・ドルジノウ)氏が主導し、SIO(ソーシャル・インパクト・オーガニゼーション)のOne World(ワンワールド)と、Alchemist Accelerator(アルケミスト・アクセレレーター)が参加。Alchemistはこのスタートアップの最初の資金提供者だった。

Perimeterの共同創業者でCEOのベイリー・ファーレン氏(画像クレジット:Benjamin Farren via Perimeter)

市民はPerimeterを利用して、新たに発生した火災や、倒れて道路を塞いでいる木など、地理的にタグづけされた情報をアップロードすることができる。「消防隊員が到着する前に、市民が最も正確でリアルタイムな情報を持っていることがあります。それを【略】政府の役人と共有してもらいたいのです」と、ファーレン氏は語る。しかし、その情報はすぐには一般には広まらない。まずは第一応答者が情報を調査し、市民が常に正確な情報をもとに行動を起こせるようにする。「ソーシャルメディアのようにはしたくないのです」と、彼女は説明する。

その一方で、オペレーションセンターはPerimeterを使って、市民に正確で詳細な避難地図と避難経路を送ることが可能だ。単なるテキストメッセージとは異なり、PerimeterはメッセージとURLの両方を送信し、地図や災害の進行状況に関するリアルタイム情報を表示できる。

現時点では、このプラットフォームはウェブアプリとして配布されており、災害時に備えて市民が事前にインストールしておく必要はない。ファーレン氏によれば、同社はネイティブアプリにも取り組んでおり、特に被災地では携帯電話の電波が断続的になることが多いため、堅牢なオフライン機能を必要とする救急隊員のために開発を進めているという。

ファーレン氏と彼女のチームは、緊急管理機関に広くインタビューを行っており、最初の顧客はパロアルトのOffice of Emergency Services(緊急管理局)だった。「研究開発に重点を置き、機関と手を取り合って構築しました。過去2度の火災が多い時期には、技術のベータテストを行いました」と、ファーレン氏は述べている。

現在、Perimeterには4人のフルタイム従業員がいる。リモートで仕事をしているが、全員がカリフォルニア在住だ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Perimeter火災資金調達Alchemist Acceleratorカリフォルニア

画像クレジット:Patrick T. Fallon/Bloomberg / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国の自動運転車両スタートアップWeRideが米サンノゼでの無人テスト許可を取得

このほど3億1000万ドル(約339億円)を調達した中国の自動運転車両スタートアップWeRide(ウィライド)が、米国カリフォルニア州サンノゼの公道で無人の車両をテストする許可を取得した。無人運転車両テストの許可を取得したのはAutoX、Baidu、Cruise、Nuro、Waymo、Zooxに続き7社目となる。

自動運転車両開発の初期段階においては、テストの許可はセーフティドライバーが運転席に乗ることが必須だった。セーフティドライバーが乗り込んでの自動運転車両テストの許可は現在56社が取得している。人間が運転席に乗り込まないドライバーなしのテストの許可は新たな指標となり、商業ロボタクシーや配達サービスを米国で展開したい企業にとっては必須のステップだ。

カリフォルニア州内の自動運転車両テストを管轄するカリフォルニア州自動車管理局(DMV)は、今回の許可でWeRideはサンノゼ内の特定の道路でドライバーなしで自動走行車両2台をテストできる、と述べた。WeRideは2017年からドライバー付きでの車両テストの許可を持っている。同社はまた、どのように、そしていつ車両をテストするか規制されている。DMVによると、無人自動運転車両は時速45マイル(約72km)以下で走行し、テストは月曜日から金曜日の間に行う。ただし濃い霧や雨の場合、テストは不可だ。

カリフォルニア州でドライバーなしでのテストを行う許可を取得するには、企業は数多くの安全や登録、保険に関する要件を満たさなければならない。ドライバーなしテスト許可を申し込む企業は保険の証拠か500万ドル(約5億5000万円)相当の債券を提出し、車両がドライバーなしで走行できることを証明しなければならない。そして、連邦自動車安全基準を満たすか国道交通安全局からの免除を取得している必要があり、SAEレベル4あるいはレベル5の車両でなければならない。かつ、テスト車両は絶えず監視され、テクノロジーでつながったリモートオペレーターを訓練する必要もある。

ドライバーなしテスト許可所有事業者はまた、ドライバーなしテスト車両の衝突をすべて10日以内にDMVに報告し、離脱の年次報告を提出しなければならない。

WeRideのオペレーションの大半は中国で行われている一方で、今回の許可取得は同社が引き続き米国にも関心を持っていることを示している。中国・広州に本社を置くWeRideはR&Dとオペレーションセンターを北京、上海、南京、武漢、鄭州、安慶、そしてシリコンバレーに置いている。2017年創業の同社は2021年2月に広州で配車事業運営の許可を取得した。

同社は中国で最も資金を調達した自動運転車両テクノロジーのスタートアップで、出資者にはバスメーカーのYutong、中国の顔認証企業SenseTime、そしてとRenaultと日産、三菱の戦略ベンチャーキャピタル部門Alliance Venturesが含まれる。その他、CMC Capital Partners、CDB Equipment Manufacturing Fund、Hengjian Emerging Industries Fund、Zhuhai Huajin Capital、Flower City Ventures、Tryin Capital、Qiming Venture Partners、Sinovation Ventures、Kinzon Capitalも投資している。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:WeRide自動運転ロボタクシー中国カリフォルニア

画像クレジット:WeRide

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

契約から完成まで30日、Aboduの「裏庭ミニ住宅」をLA当局が承認

カリフォルニア州の住宅不足は深刻だ。そこで裏庭に「離れ」や簡易オフィスを提供するサービスが多数生まれている。Aboduもそうしたスタートアップだが、契約から竣工までまで30日という超特急のQuickshipプログラムがロサンゼルス市から認可を受けた。

このスピードを可能にしたのは「一括事前承認」システムで当初サンタフェに導入されたが、今回LAでも認められた。

サンノゼ市は付随的簡易住宅(ADU)の開発者に対し事前に一括認可を与えるプログラムを2019年に開始した。Aboduはこの事前認可プロセスを利用して同市で住宅の建設を開始した。

この承認プロセスが適用される場合、AboduのようなADUデベロッパーは1時間で建築許可を得られる。サンノゼで事前承認されているADUデベロッパーには他にActon ADU、ベンチャー企業のConnect Homes、J. Kretschmer Architect、Mayberry Workshop、Open Remodel、prefabADUなどがある。ロサンゼルスではLa Mas、IT House、Design、Bitches、Connect Homes、Welcome Projects、First Officeなどが事前承認による住宅建設許可の対象となっている。

AdobuはADUによる事前承認を受けた建設以外にもパロアルト、ミルブレー、オレンジカウンティ、ロサンゼルス、オークランドなどカリフォルニア全域で各種の建設を行っている。同社の資料によれば、サンフランシスコ周辺のベイエリアではADU同等住宅の販売価格は18万9000ドル(約2100万円)からとなる。中層マンションでは65万〜85万ドル(約7100万〜9300万円)、鉄筋の高層ビルでは1戸あたり100万ドル(約1億900万円)かかるという。

AboduのCEOであるJohn Geary(ジョン・ギアリー)氏は次のように述べている。

個人が住宅を増設しようとする場合、当社のQuickshipプログラムが最速です。子供が成長したなど家族構成の変化や賃貸による投資収益を期待するなど住宅増設のニーズがある戸建て住宅所有者は大勢います。Aboduはロサンゼルス市で最短4週間でADUプロジェクトを完了できるようになりました。Aboduが最も重要だと考える使命は、人々や自治体に真の変化をもたらすために必要な青写真を提供しながら、州の住宅不足に深刻な打撃を与えることです。

Kim-Mai Cutler(キム-マイ・カトラー)氏は元TechCrunchのライターだが現在はAboduの取締役に就任している。同氏は「建設開始から30日以内に引き渡しという大きな目標を達成できたことで夢が現実になりました」と語った。カトラー氏はカリフォルニア、特にサンフランシスコからシリコンバレーで深刻化している住宅危機についての本を出版している。

この本(ないしそれに相当する文章)をきっかけにカトラー氏はホームレス解消のための公的対策に積極的に関与するようになった。同氏はAboduサイトのブログ記事に「私は米政府のホームレス対策支出や自治体による手頃な価格の住宅を調達するための地方債の発行、運営を監督する委員などの組織に参加するようになりました」という。

画像クレジット:Abodu

カトラー氏がAdobuを支援するのは、以前から住宅に関する問題に関する関心と知識を持っていたためだとしてこう続けた。

カリフォルニア北部は今や世界で最も不動産価格が高くまた予測不可能な動きを示す土地となっています。これ非常に大きな問題を引き起こしています。住宅建設は許可手続きから資材調達まですべてに透明性が欠けているため何年もかかるのが普通です。この1年間、Aboduの共同ファウンダーであるジョン・ギアリー氏、Eric McInerney(エリック・マキナニー)氏は、子持ちの大学生カップルのためにその両親宅の裏庭に家を建てました。またミルブレーでは母親と息子のためにそれぞれ独立した家を、サンノゼでは夫婦の家の裏庭に祖母を住まわせるための家を建設しています。

Aboduの特色は裏庭に建設する「お祖母さん用の離れ」や「勉強部屋」「ミニハウス」に焦点を絞っているところにある。カトラー氏はこう説明する。

サクラメント(のカリフォルニア州議会)では中層階住宅建設の促進に関する審議が行き詰まっている一方、裏庭のミニハウスに関しては州議会でも太平岸州北西部の議会でも、Phil Ting(フィル・ティン)氏のAB68、Bob Wieckowski(ボブ・ウィエコウスキー)氏のSB1069など、裏庭に小住宅を簡単に設置できるようにする法案が次々と成立しました。これは郊外居住者が待望ん望んできた変化です。これは人々に有益であると同時に政治的にも実行実行が用意なオプションなのです。

カトラー氏はAdobuが30日以内に家を建設できることは人々の認識を大きく変えるきっかけになると考えている。このスケジュールは基礎の建設に2週間、プレハブ住宅をクレーンで基礎の上に載せるのは1日というテクノロジーのおかげだ。またこの方式は驚異的な低コストを実現する。これにより住宅の建設数自体が大幅に上昇するはだ。しかし絶対的にみれば住宅の供給は依然として危機的なまでに低い水準だ。「ミレニアル世代が家族形成の最盛期を迎えている時期だというのに米国全土での住宅売買の数は1年前のわずか半分なのです」とカトラー氏は指摘する。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Aboduカリフォルニア住宅建設

画像クレジット:Abodu

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:滑川海彦@Facebook

2025年までにすべての自動運転車に二酸化炭素排出量ゼロを義務づけるカリフォルニア州の法案

自動運転車を電動化する期限を設定する最初の州が、カリフォルニア州となる可能性がある。

2025年までにすべての自動運転車に二酸化炭素排出量ゼロを義務づける法案が、2021年2月中旬のカリフォルニア州議会にひっそりと提出された。提案されたSB 500法案は、Dave Min(デイブ・ミン)上院議員によって提出され、Union of Concerned Scientists(憂慮する科学者同盟、UCS)が賛同した。この法案は、配車サービス、配送、トラック輸送などのかたちで新たに登場しようとしている自動運転車業界に対して、直接的な影響を与えることが考えられる。

この修正案は、カリフォルニア州で取り組んでいる二酸化炭素排出を削減するさまざまな目標と一致しており、可決されれば自動車に関連する州の法律に加えられる。現在、州の法律では、Clean Vehicle Rebate Project(クリーン自動車補助金プロジェクト)やCharge Ahead California Initiative(電動化促進カリフォルニアイニシアチブ)など、ゼロエミッション車を奨励するプログラムが施行されている。

Gavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事は、今後販売される新車はすべて、2035年までに二酸化炭素排出量ゼロにする意向であると述べている。ただし、商用車は除外される。この法案が否決されれば、この意向が適用されることはない。提案された法案は初期段階にあるため、却下される可能性も十分ある。しかし、急成長する自動運転車業界や、カリフォルニアで自動運転技術を開発および商業化しようとする企業に対して、この法案が一石を投じている。また、電気自動車だけを使用する企業を後押しすることにもなり得る。

「気候変動に積極的に向き合っているカリフォルニアでは、重要な基準を定めてきました。私の提案したSB 500はこのような動きと一致しており、自動運転車が広く普及する前の段階でゼロエミッションを義務づけるための重要な一歩となります」とミン氏はTechCrunchに述べた。

法案の提案者たちは、今後開発されるであろう交通手段にこれまでの技術を活用することを望んでおらず、二酸化炭素を削減するうえで自動運転車が役立つ可能性と役立たない可能性を指摘している。カリフォルニア州では、他の州に先駆けて電気自動車を採用したり、二酸化炭素排出に関連するその他の政策を推進したりしているため、この法案の成否が国全体に波紋を広げる可能性もある。

「配車サービスや配送などの分野で自動運転車が登場するのは間違いないと思います。だからこそ、そのような分野で使用されるのが電気自動車であるというは、非常に重要です。平均的なドライバーは、走行距離が年に1万8000から2万1000kmになりますが、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)のフルタイムドライバーの走行距離は、4万8000kmを超えます」とUCSの輸送担当シニアアナリスト、Elizabeth Irvin(エリザベス・アービン)氏は述べた。

戦略

カリフォルニアの温室効果ガス排出量の半分近くが、交通手段から発生している。スモッグがかかるロサンゼルスの夕暮れはとてもユニークだが、自動運転車の業界に規制を課さないなら、商用車が自動運転となり、その動力源は化石燃料になるのは目に見えていると、法案の支持者たちは考えている。

自動運転車が普及することで楽な生活に慣れると、車に乗る人が大幅に増える結果として、排出量も劇的に増加する可能性があることを示す研究があることを、UCSがこの法案を支持する声明の中で指摘している。2040年時点で自動運転車がワシントンD.C.の都市圏の輸送システムに及ぼす影響を調べた研究によると、自動運転車によって車の走行量が2040年の基準に比べて66パーセントも増加することがわかった。

アービン氏がTechCrunchに語ったところによると、カリフォルニアですべての自動運転車に二酸化炭素排出量ゼロを義務づける政策が本格的に導入される前に、その政策を推進する戦略に関して、ソフトバンクが支援する自動配送スタートアップのNuro(ニューロ)や、General Motor(ゼネラルモーターズ)の自動運転子会社のCruise(クルーズ)などのさまざまな利害関係者との話し合いがUCSと重ねられてきた。

「業界のクリーンエネルギーへの移行を推進する取り組みを支持しています。このような取り組みはニューロが掲げる目標や価値と一致しています。自動運転車が自動車業界の礎となることを楽しみにしており、この取り組みが環境にも健康にもやさしい未来につながると考えています」とニューロの広報担当者は述べた。

画像クレジット:Nuro

2020年にOrigin(オリジン)という無人運転車を発表したCruiseも、同じ方向に向かっている。オリジンは、カーシェアリング向けに設計されており、GMが開発した全電動プラットフォームが動力源で、ホンダとの何年にもわたるパートナシップにより生み出された。Cruiseの自動運転車オリジンは、サンフランシスコでのテストが開始されていない。バッテリーのプラットフォームがGMの試験場でテスト段階であるが、自動運転車を本格展開するという熱い思いに変わりはない。テストの初期段階では、全電動のChevrolet Bolt(シボレー・ボルト)を使用する。これは、サンフランシスコの配車サービスや一部の配送サービスで展開される可能性がある。

関連記事:GMとホンダが協業開発した配車サービス用電動無人運転車が登場

「この業界は発足して間もないので、誰でも電気自動車をオプションに入れられます。既存の車両を改造するということではありません。最初に電気自動車を選択すると、現状を維持し続けて後で変更を強いられるということがありません」とCruiseの政府業務担当副社長、Rob Grant(ロブ・グラント)氏はTechCrunchに語った。

ハイブリッド自動車と電気自動車

自動運転車が電気自動車であるとは限らない。Ford Fusion(フォード・フュージョン)のハイブリッドやChrysler Pacifica(クライスラー・パシフィカ)のプラグインハイブリッドミニバンは、Argo AI(アルゴAI)、Aurora(オーロラ)、Waymo(ウェイモ)、Voyage(ボヤージュ)などの自動運転車開発企業に人気のある選択肢だ。

テクノロジープラットフォーム企業のアルゴAIでは、Volkswagen(フォルクスワーゲン)やフォードなどの大手自動車メーカーと共同で自動運転システムを開発している。フォルクスワーゲンのID.Buzz(アイディーバズ)は、同社初の全電動自動運転車になる予定だ。フォードの手法はもう少し慎重で、ハイブリッドのフォード・フュージョンをベースに開発している。

「バッテリーを原動力とする電気自動車に最終的には移行したいと考えていますが、実行可能で収益性が高いビジネスモデルを開発するための適正なバランスも必要です。結果として、手始めにハイブリッド車を開発することになりました」とFord Autonomous Vehicles(フォードオートノマスビークルズ)のチーフエンジニア、John Davis(ジョン・デービス)氏は述べた。

デービス氏が概略した全自動の電気自動車を開発する際の課題には、車載技術で電気を使用することにともなう航続距離の減少、充電にともなう車の使用率の低下、バッテリーの劣化などがある。

「テスト結果よると、バッテリーを原動力とする電気自動車では、自動運転システムの計算処理に航続距離の50パーセント以上が消費されています。加えて、配車サービスでは乗客が快適に乗車できるように、エアコンやエンターテインメントのシステムが必要だと思われます。バッテリーが化学的に向上しており、コスト面でも改善が続いているので、このような問題に前向きに取り組んでいます」とデービス氏は述べた。

 DPAの画像(画像クレジット:Andrej Sokolow/Getty Images)

Waymoはロボタクシーのテスト完了後に、Phoenix(フェニックス)郊外でエリアを調整しながらサービスを開始した。カリフォルニアでのサービス提供に関して、Waymoからの公式な発表はないが、サービスを提供する方針であることを何年にもわたる活動が示している。カリフォルニア州Mountain View(マウンテンビュー)に本拠を置く同社は、サンフランシスコとその周辺で車のテストを周期的に実施しており、電気自動車のJaguar I-Pace(ジャガー・I-PACE)の試験も進められている。Waymoは、ニューサム氏が発出した直近の行政命令を支持すると述べたが、ミン氏の法案で言及されている文言を支持するまでには至らなかった。

「カリフォルニアで将来的にすべての自動車を電動化するという包括的な取り組みである、ニューサム知事が発出した直近の行政命令N-79-20で概略されている目標を、完全自動運転の技術を市場に初めて展開する企業として強く支持します。Waymoには、配車サービスからトラック輸送、地域の配送にわたる事業分野とパートナーシップがあります。電気自動車に関するカリフォルニアの政策が、さまざまな問題や政策の影響を受ける業界に適合したものとなることを願っています。現時点でこの法案は初期段階です。尽力されているミン上院議員と取り組んでいけることを楽しみにしています」とWaymoの広報担当者はTechCrunchに語った。

法案に詳しい業界情報筋の指摘によれば、現在の文言は単語を置き換えただけのかなり簡素な内容で、この会期で大きな進展を見る見込みはなさそうだ。同じ情報筋は賛同者や起草者を批判し、インフラの整備や小型車と大型車の区別に関する計画の規定が滞っていると述べた。自動運転が最初に普及する車種は、貨物を運ぶトラックであると予想されるが、自動運転トラックの開発はカリフォルニアではなく、アリゾナやテキサスなど規制が緩い州で進められている。自動運転の電動トレーラーも開発されてはいるが、テストされているのはディーゼル車がほとんどだ。このため、カリフォルニアで開発を進める企業は、大型車の適用除外を設けるように上院議員に直訴する可能性もある。

「プロセスの進展とともに法案の詳細が決定していくかどうかに注目していますが、この法案の目的が電動化の義務づけとなることが、UCSの願いです」とアービン氏は述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:カリフォルニア二酸化炭素電気自動車ハイブリッドカー

画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

カリフォルニア最高裁がギグワーカーを個人事業主に分類するProp 22を違憲とする訴訟を棄却

カリフォルニア州最高裁判所は米国時間2月3日、同州のライドシェアドライバーのグループとService Employees International Union(国際サービス従業員労働組合)が提出した、Proposition 22を違憲とする訴訟を棄却した。

「私たちの声を聞かなかった最高裁判所の決定に失望しています。しかし、生きるための賃金と基本的人権を勝ち取るための私たちの戦いを止めることはできません」と原告の1人であるHector Castellanos(エクトル・カステリャノス)氏が声明で語った。「私たちは、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)のように自身の利益を改善するために、民主主義を覆し私たちの権利を侵害する会社から、カリフォルニアの労働者を守るためにあらゆる手段を講じるつもりです」。

本訴訟は、Prop 22は州議会がギグワーカーのための労働補償制度を制定、施行することを困難にしていると主張している。さらに、Prop 22は投票法案は単一争点に限るという規則に違反していること、および何を法案の修正条項とするかを憲法に反して定義していることも主張している。現在Proposition 22の修正には、議会の7 / 8という圧倒的多数を必要だ。

「私たちはカリフォルニア最高裁判所がこのメリットのない訴訟を却下したことを喜んでいますが、驚いてはいません」とProp 22を支持し「Yes on 22」キャンペーンに協力したライドシェアドライバーのJim Pyatt(ジム・パイアット)氏は声明で語った。「私たちはこの判決が、ドライバーを圧倒的に支持してProp 22を通過させた有権者の意志を無にしようとするグループに対して、行動を中止するよう強い信号を送ることを望んでいます。この投票提案はカリフォルニア州の政治的立場を越える60%近い有権者から支持されたものであり、そこには何十万人ものライドシェアドライバーも含まれています。今こそ、カリフォルニア有権者の大多数を、そしてProp 22に最も影響を受けるドライバーたちを尊重するときです。

一方、Uber、Lyftをはじめとする各社はProp 22と同じような法案を他州でも推進する考えだ。UberとLyftのアンチ「ギグワーカーは従業員」のスタンスを考えると、UberとLyftが個別に、他の州や世界で同様の法案を推し進めるといったのも驚きではない。

たとえばLyftは独立請負人としての分類を推進する外部団体を複数設立した。Illinoisans for Independent WorkNew Yorkers for Independent Workがそのうちの2つだ。前者は2020年6月に設立されLyftが120万ドル(約1億3000万円)の資金を提供している。提出資料による。同団体の表明された目的 は「本組織の思想と独立した仕事の価値を共有する立候補者を支援すること」となっている。

しかし本誌が以前報じたように、Prop 22の実現は一部のギグワーカーが従業員の地位を得ようとする戦いの終わりを意味していない。協調した取り組みは2021年も進められており、来たるべき次の立法バトルに備えて準備を続けている。

関連記事:ギグワーカーと労働組合がギグワーカーを個人事業主に分類するProp22を州憲法違反として提訴

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Proposition 22UberLyftカリフォルニアギグワーカー裁判

画像クレジット:Getty Images

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(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ギグワーカーと労働組合がギグワーカーを個人事業主に分類するProp22を州憲法違反として提訴

カリフォルニア州の配車サービスのドライバー団体と、サービス従業員国際連合(SEIU)は、米国時間1月12日、同州住民立法案Proposition 22を、カリフォルニア州の州憲法に違反するとして提訴した。この訴訟の目標は、カリフォルニア州のギグワーカーを個人事業主に分類することを決めたProp 22の撤廃だ。

カリフォルニア州最高裁判所に起こされたこの訴訟は、同州議会によるギグワーカーのための補償制度の立法化と施行が、Prop 22によって阻害されると訴えている。またProp 22は、住民投票は1つの問題に限定することを定めた法令に違反し、州憲法に違反して規定された法令の修正条項であると主張している。現状では、Prop 22の修正には立法府の8分の7という圧倒的多数の賛成を必要とする。

「私のような配車サービスのドライバーは、毎日家計のやりくりに苦労しています。Uber(ウーバー)やLyft(リフト)といった企業が、我々の幸福よりも自社の利益を優先させているからです」とこの訴訟の原告であるサオリ・オオカワ氏は声明の中で述べている。「Prop 22によって、彼らは我々の健康と安全をないがしろにしているばかりか、私たちの州憲法も踏みにじっています。私は、この問題が、我々の労働から利益を得ている裕福な企業幹部ではなく、法律を作ってもらおうと私たちがが選出した人たちに懸かっていると思い、この訴訟に参加しました。裁判所はProp 22が企業の権力掌握のためだけのものであることを認め、Prop 8やProp 187と同様、Prop 22が憲法違反の法令という汚名を着ることになると信じています」

この訴訟は、ギグワーカーとテック企業との間で続けられてきた長い戦いの中の新たな一戦だ。その間、UberとLyftは、Prop 22と同等の法律を他の地域にも求めてきた。UberもLyftも、ギグワーカーは従業員ではないというスタンスを保っているため、両社がそれぞれ個別に、同様の法律が他の地域や他の国でも施行されることを望むと語ったところで、驚くにはあたらない。

Uber、Lyft、DoorDash(ドアダッシュ)からは、すぐにコメントは得られなかった。だが、Prop 22を支持するYes on 22キャンペーン、またはProtect App Based Jobs & Services(アプリベースの仕事とサービスを守れ)運動の支援者が、TechCrunchに以下の声明を送ってくれた。

「アプリベースのドライバーの大半を含む1000万人近いカリフォルニアの有権者は、歴史的にも新しい保護が受けられ、ドライバーの独立が保てるProp 22を通過させました」と、Prop 22を支持するUberドライバーJim Pyatt(ジム・パイアット)氏は述べている。「政治的な立場を超えて多くの有権者たちが明確な主張を繰り広げ、Prop 22を圧倒的大差で承認しました。疑いようのない民主主義による人々の意志をむしばもうとする無意味な訴訟は、法廷の審議を耐え抜くことはできません」。

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画像クレジット:JOHANNES EISELE/AFP via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Nuroの無人運転配達車がカリフォルニア州初の商業運用許可を獲得、2021年早々にもサービス開始予定

無人配達スタートアップのNuro(ニューロ)は、カリフォルニア州車両管理局(DMV)から認可を受け、同州の公道で無人配達サービス事業の開始が許可されることになった。同社はこのハードルをクリアした最初の企業となる。

Google(グーグル)出身のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジュー)氏によって2016年6月に設立されたNuroは、2021年早々に商用配達業務を開始する予定だ。いわゆる「Autonomous Vehicle Deployment(自動運転車両展開)」許可を取得することで、Nuroはサンマテオ郡とサンタクララ郡で商業的なサービスを運営することができるようになる。つまり配達料を請求できるようになるということだ。同社は2021年の早い時期に、1つのパートナーと1つの都市で、トヨタ・プリウスの自動運転車を使ってサービス開始を目指すと、同社の最高法務・政策責任者を務めるDavid Estrada(デビッド・エストラーダ)氏はいう。最終的には、無人配達専用車両として開発された「R2」と呼ばれるデリバリーボットに移行し、さらに多くのパートナーを追加して、地理的に拡大していく計画だ。

Nuroはパートナーや都市の名前を特定していないが、同社がマウンテンビューに本社を置き、以前から本社の近くで事業を開始する意向を表明していたことは注目に値する。

「初の展開許可証の発行は、カリフォルニア州における自動運転車の進化において、重大なマイルストーンです」と、車両管理局のSteve Gordon(スティーブ・ゴードン)局長は現地時間12月23日に発行されたプレスリリースで述べている。「この技術が発展していく中で、我々は引き続き公道の安全を念頭に置いていきます」。

この展開許可証はアサートン、イーストパロアルト、ロスアルトスヒルズ、ロスアルトス、メンロパーク、マウンテンビュー、パロアルト、サニーベール、ウッドサイドといった各都市を含むサンタクララ郡とサンマテオ郡の指定された区域の路上において、商業配達サービスで小型の無人運転車両の一群を使用する許可をNuroに付与するものだ。DMVによると、この車両の最高速度は時速25マイル(約40km/h)で、晴天時に制限速度が時速35マイル(約58km/h)以下の道路でのみ、運行が認められているという。

今回の発表は、米国時間12月23日に自動運転トラックのスタートアップ企業Ike(アイク)を買収したことを発表したNuroにとって、節目の年を締め括ることになった。

さらにNuroは5億ドル(約518億円)を調達し、資金調達後の評価額を50億ドル(約5180億円)に押し上げ、州や連邦政府の規制において重要な勝利をいくつか確保した。

この展開許可証を獲得するために、Nuroはこれまで長く曲がりくねった道のりをたどってきた。2017年、カリフォルニア州で自動運転車を規制する機関である同州のDMVは、運転席に人間のドライバーが乗車することを義務づけた自動運転車試験許可証をNuroに発行した。同社は当初、改造したトヨタ・プリウスをこの公道テストで使用し、同時にアリゾナ州とテキサス州では試験的な食料品の配達を行った。

2018年12月に同社は、テスト車両を荷物配達用に設計された車両の第一歩となる「R1」に移行させた。その第2世代にあたるR2と呼ばれる車両は2020年2月に発表された。ミシガン州に拠点を置くRoush Enterprises(ラウシュ・エンタープライゼス)との提携により、米国で設計・組み立てが行われたR2はLiDAR、レーダー、カメラを搭載し、「ドライバー」に周囲360度の視界を与える。重要なことに、NuroはR2の車両について米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)から無人運転車の安全規定免除を受けた。この免除により、R2はサイドミラー、フロントガラス、前方走行時にシャットオフされるバックカメラを装備しなくても運用が可能になった。

Nuroは2020年4月に、カリフォルニア州DMVから無人運転車両をテストするための許可証を取得したが、これはついに同社が、R2デリバリーボットを公道で走らせることができるようになったということを意味していた。数十社もの企業がカリフォルニア州DMVから、安全のために人間の運転手を乗せた自律走行車のテストを行う許可を積極的に取得しているが、カリフォルニア州の公道で無人運転車をテストすることを許可されている(カリフォルニア州DMVサイト)のは、AutoX(オートエックス)、Cruise(クルーズ)、Nuro、Waymo(ウェイモ)、Zoox(ズークス)だけだ。

それでも、Nuroは12月23日に発行された展開許可証を受け取るまで、配達料を請求することができなかった。

無人運転タクシーで人を運ぶことを目指している自動運転の企業に比べると、Nuroの場合は商業運営の実現に向かう道がまだ少しだけ平坦だ。無人運転車を使う商用ライドシェアリングサービスは、乗客を運ぶためには、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)からも認可を取得しなければならない。また、乗車料金を請求するためには、CPUCによる追加の許可が必要となる。

乗客から運賃を徴収するための許可を得ることは、先月までは可能ですらなかった。CPUCは11月に、認可を受けた企業に自動運転車によるライドシェアの提供と課金を許可する2つの新しいプログラムを承認した。自動運転車技術業界は、運用者による運賃の請求と無人運転車両を使ったライドシェアの提供を可能にする規則変更を検討してもらうために、何カ月もCPUCに働きかけてきた。この決定は広く喝采を浴びたが、業界の一部では、この承認プロセスが商業的な自動運転タクシーの運用をさらに遅らせる可能性があると警告している。

自動運転タクシー事業者になる可能性のある企業は、CPUCとカリフォルニア州陸運局から適切な許可を受け、いくつかの報告要件を満たさなければならない。また、このプログラムに参加する企業は、安全計画と四半期報告書のほか、個々の運用区間における乗車場所と降車場所、車いす乗車可能な車両の有無と数、恵まれないコミュニティへのサービスレベル、そして車両が使用した燃料の種類、走行距離、乗客の移送距離などのデータを集計し匿名化した情報を、CPUCに提出する必要がある。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

GMの子会社Cruiseが運転手なしの自律走行車公道テストをサンフランシスコで開始

SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、Honda(ホンダ)、T. Rowe Price & Associates(ティー・ロウ・プライス)から支援を受けているGMの子会社で、自律走行車を手がけるCruise Automation(クルーズ・オートメーション)は、サンフランシスコの公道で、同社が完全なドライバーレス車と表現する車両の走行テストを開始した。

サンフランシスコのサンセット地区で、同社初の公道におけるドライバーレス走行を行ったCruiseのDan Ammann(ダン・アマン)CEOは、それを「ひどく退屈なもの」そして商業サービスへの「謙虚な一歩」と呼んでいる。

「走行自体は非常に自然で、予測可能でした。従ってそれは一種の退屈であったといえます。しかし、すべてが正しく行われました」と、アマン氏は米国時間12月9日に記者団との電話会見で語った。「そして私達の目標は、その同じ経験をできるだけ早く、安全に、多くの人々が利用できるようにすることです。それは無人運転のクルマに乗れるようになることかもしれないし、あるいは自動運転の配達を実現することかもしれません」。

12月9日に、最初の走行試験の様子を収めたビデオを公開した。サンフランシスコのサンセット地区を走るクルマの運転席には誰も乗っておらず、安全のために助手席に人間のオペレーターが乗っていたことを、ビデオは示している。

Cruiseの完全自律走行車のテストは、限定されたエリアで行われており、そこは間違いなくサンフランシスコの中でも単純な環境の1つだ。下のビデオを観ればわかるように、テストは夜、あまり混雑していない地域で行われた。とはいえ、それは2019年末までに商用サービスの開始(未訳記事)を目指していた同社の進歩を示すものである。

業界の中には助手席に安全オペレーターを乗せていることや、「より簡単な」ジオフェンスで制限された狭いエリアで始めたことを取り上げ、但し書きが必要だと指摘する声もある。Cruiseによると、これはほんの始まりに過ぎず、最終的にはドライバーレスのテストエリアを拡大し、時間をかけてより複雑な環境を追加していき、安全のためのオペレーターを車両から取り除くことも視野に入れているという。

「我々はこれが技術競争であると同様に、信頼競争であることを認識しています」と同社の広報担当者であるMilin Mehta(ミリン・メータ)氏は電子メールで述べている。「それを考えると、自律走行の許可証の使用を始める際には、助手席に安全のためのオペレーターを乗せることになるでしょう。このオペレーターは緊急時に車両を停止させることができますが、標準的な運転操作にはアクセスできません。最終的には、この安全オペレーターは完全に取り除かれることになります」。

Cruiseは2020年11月、5台の自律走行車を使ってドライバーレステストを開始した。同社の他の車両は、人間のドライバーを乗せて通常のテストに使用され、その一部は地域のフードバンクに物資を届けるために使われる予定だ。

カリフォルニア州で自律走行車のテストを規制する機関であるカリフォルニア州陸運局は10月、サンフランシスコ市内の特定の道路で、運転手なしで5台の自律走行車をテストする許可をクルーズに発行した。クルーズは2015年より、人間のドライバーを運転席に乗せて自律走行車のテストを行う許可を得ている。

クルーズは2020年2月、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から、州内で自律走行車による乗客輸送を行うための許可を得た。しかし、適切な許可を得た企業がドライバーレス車両を利用した乗客に料金を請求できるように、CPUCが規制を修正したのは11月に入ってからだった。

許可証を取得するためのハードルは以前よりも高く、現在では政府の承認を得るためのプロセスも必要になっている。業界の中には、不必要な官僚主義が加わり事業の展開を2年以上遅らせる可能性があるという主張もある。

政府の承認手続きは別にして、CPUCのウェブサイトの情報によると、CPUCの許可を得るためには、クルーズは30日間ドライバーレス走行をテストしたというデータを提出しなければならないという。

AutoX、Nuro、Waymo、Zooxもカリフォルニア州でドライバーレス車をテストする許可を得ている。Waymoは同社が「完全自律モード」と表現している機能を、カリフォルニア州の公道で、人間のドライバーを運転席に乗せずにテストしているが、まだ人間のオペレーターを車両から外すには至っていない。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

イーロン・マスク氏がカリフォルニアに愛想を尽かしてテキサスへ転居

SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は米国12月8日、テキサス州に転居したと述べ、ここ数カ月流れていたカリフォルニア州を去るだろうという憶測を認めた。カリフォルニア州に対してマスク氏はかなり批判的になっていた。同氏はウォールストリートジャーナル紙のCEOカウンシル年次サミットでのインタビューで転居したことに言及した。

マスク氏がテキサス州に引っ越すつもりだと友人に語ったというCNBCの報道を、同氏は肯定した。

転居は、テキサス州で進められているSpaceXとTesla関連の数多くのプロジェクト、マスク氏のロサンゼルスにあるいくつかの家の売却、そしてカリフォルニア州当局の新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック対応への不満と一致する。マスク氏は5月に同州アラメダ郡を相手取って訴訟を起こし、本社や将来のプログラムをテキサス州かネバダ州にすぐさま移すと脅した。訴訟は、フリーモントにあるテスラの工場が新型コロナで発令された外出禁止令の最中に再開できるかどうかをめぐる衛生当局との応酬がエスカレートした結果だ。

インタビューの中でマスク氏は、カリフォルニア州は恵まれたな地位を当然のものだと考え、独りよがりになっていると語った。

マスク氏がテキサス州に引っ越すだろうという憶測はテスラがCybertruckとModel 3、Model Yを生産する工場の設置でオースティン近くを選び、建設を開始した後に流れ始めた。同氏の別企業であるSpaceXはテキサス州ボカチカにロケット打ち上げサイトを計画している。ブルームバーグは12月7日、マスク氏が自身の財団をオースティンに移し、これは同氏がテキサス州に引っ越したか引っ越そうとしているもう1つのサインだと報じた。

テキサス州は近年、オースティンやヒューストン、ダラスの急成長でホットスポットとなっている。パンデミックの間、カリフォルニアを拠点としていたテックワーカーがシリコンバレーやサンフランシスコといった高級エリアから脱出するにつれ、テキサス州の勢いは増した。

同州はまたマスク氏にとって別の大きなメリットがある。州所得税がないことだ。

カリフォルニアはまだSpaceXとテスラの運営においてメジャーハブだ。SpaceXの本社はホーソーンにあり、テスラの本社はシリコンバレーにある。Model 3やModel X、Model S、Model Yを組み立てるテスラのメイン工場はフリーモントに立地する。

カテゴリー:その他
タグ:イーロン・マスクテキサスカリフォルニアTeslaSpaceX

画像クレジット:Diego Donamaria / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Uberが「ギグワーカーは個人事業主」というカリフォルニアの住民立法を世界展開へ

先にカリフォルニア州で、ギグワーカーを個人事業主と分類し続けることを可能にする住民立法案の投票が行われ、その日のうちに承認される見通しとなった。これを受けてUber(ウーバー)は同様の動きを引き続き展開する。ビジネスモデルを守る住民立法というUberの野心は舞台を世界へと移す。

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は米国時間11月5日のアナリストとの決算会見で、同社が「Prop 22のような法律を声高に追求する」と述べた。同氏はその後、「これを実現するために米国中、そして世界中の行政と協業する」ことが社にとって優先すべきことだと付け加えた。

「声高に追求する」の内容はやや不透明だ。Prop 22はUberやLyft(リフト)、そしてDoorDash(ドアダッシュ)やPostmates(ポストメイツ)のようなオンデマンドデリバリー企業が支持した。住民立法案を通し、ギグワーカーを従業員として分類するよう企業に強制するカリフォルニア州議会を通過した州法に置き換える動きはかなり費用のかかるものだった。Yes on 22(Prop 22に賛成)キャンペーンに注入された資金は2億500万ドル(約210億円)で、1999年以来、カリフォルニア州で行われた住民投票で最も費用をかけたものとなった。

以下、コスロシャヒ氏の考えだ。

最後に、 Proposition 22について。カリフォルニア州でかなりの差をつけて賛成多数となったことを喜んでいます。

この重要な問いについての答えがいま、米国で最も人口が多い州で得られました。カリフォルニアの投票者はドライバーの多くが求めていることに耳を傾けています。ドライバーは新たな福利厚生、保護、そしてこれまで同様のフレキシビリティを求めています。これを前に進めることで、カリフォルニアのドライバーや配達員は最低収入、ヘルスケア加入、事故保障、セーフティ保障の増強が保証されます。これは正しいアプローチだと我々は強く確信しています。物事を改善するために、雇用システムを除外するのではなくギグワーカーの福利厚生を手厚くすべきです。

だからこそ今後、Prop 22のような新しい法律をより一層声高に求めていきます。Prop 22は、ドライバーがかなり重視しているフレキシビリティを維持しつつ、すべてのギグワーカーが求めている保護を追加し、バランスが取れているものだと確信しています。我々が提案した新たな実用的アプローチはドライバーの82%、投票者の76%に支持されました。これを実現するために米国中、そして世界中の行政と協業するのが当社の優先事項となります。

さしあたって、コスロシャヒ氏は同社がProp 22を遵守することに注力すると述べた。Prop 22では企業に、最低賃金の少なくとも120%の収入、業務中の1マイルあたり30セント(約31円)の経費支払い、医療保険、業務中の事故に対する労災保険、差別やセクハラからの保護、自動車事故および賠償責任保険などの保証を求めている。収入の保障と経費の支払いにはドライバーの業務時間が反映され、ライドや配達の合間の時間は考慮されない。

「当社はドライバーに関係するProp 22の実行にかなり集中して取り組みます」とコスロシャヒ氏は述べた。そして、これは運賃の引き上げにつながるかもしれないが、過去の経験からしてライド利用には大きな影響は及ぼさないとの考えを示した。

関連記事:「ギグワーカーは個人事業主」の是非を問うカリフォルニア州住民投票で賛成多数

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タグ:Uberギグワーカーカリフォルニア

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(翻訳:Mizoguchi

カリフォルニア州でのギガワーカー法案通過を見込んでUberとLyftの株価が高騰

米国ライドシェアリングの両巨人、UberとLyftの株価は本日11月4日午前の時間外取引で急騰した。カリフォルニア州の投票法案、Proposition(プロポジション)22の通過を見込んだ行動だ。同法案が成立すれば、テック利用のオンデマンド企業は、引き続きギグワーカーを個人事業主として分類できる。

Uberの株価は時間外取引で11.88%上昇し、Lyft(米国市場、すなわりカリフォルニア州への依存度が高い)は驚きの14.9%高を市場開始前から示している。

TechCrunchは、この投票法案が通過見込みであることを東海岸時刻11月3日午前3時に指摘した。開票は続いており、Google(グーグル)の選挙データによると、プロポジション22は開票率71%時点で賛成が58.4%だ。

我々が見ているのは「公開」オンデマンド企業の株価だけだが、この日はDoorDashの価値も高まった。DoorDashはSoftBank(ソフトバンク)らが支援する(未訳記事)フードデリバリーの大手企業で、非公開で上場申請しているが、まだS-1書類を公開していない。

それでも同社の投資家は、本日UberとLytfの株主と同じ喜びを享受している。カリフォルニア州で価格やビジネス手法を大きく変えることなく運用を続けられるという意味でも、潜在的企業価値が高まるという意味でも。

プロポジション22を背景に、おそらくDoorDashは上場に向けていっそう意欲的に行動するだろう。

上記3社はPostmatesとともに、プロポジション22の通過に向けて多大な費用を投下していることを米国時間11月2日夜にTechCrunchは報じている。

Prop 22は主にUber、Lyft、DoorDash、Postmatesが支持していた。先週DoorDashは「Yes on 22(Prop 22に賛成)」キャンペーンに追加で375万ドル(約3億9000万円)を注ぎ込んだ。11月2日には、Uberも追加で100万ドル(約1億400万円)を出した。そうした資金の注入もあってYes on 22が集めた総額は約2億500万ドル(約213億8000万円)になる。これによりProp 22は1999年以来、カリフォルニア州で行われた住民投票で最も費用をかけたものとなった。

その費用は、ビジネス視点では有益に使われたといまはいえるだろう。労働者擁護団体にとっては残念な結果だ。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:UberLyftDoorDashギグワーカーカリフォルニア

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「ギグワーカーは個人事業主」の是非を問うカリフォルニア州住民投票で賛成多数

カリフォルニア州の住民立法案「Proposition(プロポジション) 22」を支持してきたUber(ウーバー)、Lyft(リフト)、Instacart(インスタカート)、DoorDash(ドアダッシュ)は目的を達成しつつある。ギグワーカーは個人事業主という分類を継続させる住民立法案は承認される見通しとなった。AP通信が途中経過として開票率67%で賛成多数を報じた。

この記事公開時点で、投票者の58.2%(630万人超)がProp 22に賛成し、41.5%(約450万人)が反対した。

住民立法案は最低賃金の少なくとも120%の収入、業務中の1マイルあたり30セントの経費支払い、医療費、業務中の事故に対する労災保険、差別・セクハラからの保護、そして自動車事故および賠償責任保険を保証する見込みだ。そうした収入保証や経費支払いはドライバーが仕事に従事している間だけに適用され、乗車やデリバリーの合間は考慮されないことは記すに値するだろう。

Prop 22の提案者は、投票者の57%が賛成した米国時間11月3日夜時点で勝利を宣言した。UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は電子メールでこのニュースをドライバーに知らせた。

「今回の投票でドライバーや配達員は、望んでいたあるいは維持したいと考えていたフレキシビリティや独立性を失うことなく、福利厚生や保護へのアクセスといった多くの人が熱望していたものを手に入れます」とコスロシャヒ氏はメールに記している。「あなたたちのようなドライバーの多くが声を上げて意見を述べ、そうした声に州内の投票者が耳を傾けました。個人事業の未来は、より確固たるものになります」。

Uberは今後数週間以内に、労働災害保険やヘルスケア助成といった新たな保障をどのように申し込むか、ドライバーに詳細を知らせると述べた。一方、Prop 22反対者は敗北をしぶしぶ認めた。

「我々は今夜の結果に落胆しています。今回のキャンペーンの成功が嘘や恐怖の利用によるものだからです」とGig Workers Collectiveはブログへの投稿に書いている。「企業は投票を買収できるべきではありません。しかし我々はまだ目的に専念し、戦いを継続します」。

Gig Workers Risingもまた、戦いは終わっていないと述べた。

「この争いは、ギグワーカーが権利や福利厚生、あって然るべき威厳ある労働条件を手にするための戦いを継続する手法に他なりません」とGig Workers Risingは声明文で述べた。

Prop 22は主にUber、Lyft、DoorDash、Postmatesが支持していた。先週DoorDashは「Yes on 22(Prop 22に賛成)」キャンペーンに追加で375万ドル(約4億円)を注ぎ込んだ。11月2日には、Uberも追加で100万ドル(約1億円)を出した。そうした資金の注入もあってYes on 22が集めた総額は約2億500万ドル(約214億円)になる。これによりProp 22は1999年以来、カリフォルニア州で行われた住民投票で最も費用をかけたものとなった。

一方、主なProp 22反対者はService Employees International Union(サービス従業員国際労働組合)、United Food & Commercial Workers(全米食品卸業労働組合)、International Brotherhood of Teamsters(全米トラック運転手組合員労働組合)などだ。

「企業が自前の労働法を書くことを許す危険な前例となります」とギグワーカーでGig Workers Collectiveの組織メンバーであるVanessa Bain(ヴァネッサ・ベイン)氏はつい最近TechCrunchにこう語っていた。「この法案では労働者の不利益で企業が一方的に利益を得ることになります」。

Prop 22は、ギグワーカー州法AB-5に反対する動きだ。AB-5はUber、Lyft、DoorDashといったギグエコノミー企業が労働者を独立請負業者として扱うことを難しくするものだ。

AB-5は、雇用主にABCテストを適用することでギグエコノミー労働者が最低賃金、労災保障、その他の福利厚生を受けられるようにするのをサポートしている。ABCテストによると、雇用する企業が合法的に労働者を独立請負業者として分類するには、労働者が雇用側の管理や指示から自由で、対象となる企業の事業以外の業務を行い、定期的に独立が確立された業務あるいは同様の業務に従事していることを証明する必要がある。

目下、UberとLyftは、カリフォルニア州司法長官であるXavier Becerra(ザビエル・べセラ)氏、そしてロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコの法律顧問がAB-5をめぐって2020年5月に起こした訴訟で争っている。べセラ氏らは、UberとLyftが労働者を誤って独立請負業者として分類することで違法な競争上の優位を得ている、と主張した。その後6月に原告はUberとLyftにドライバー再分類を強制することを求めて裁判所に差し止め命令を要望した。

8月に裁判所は差し止め命令を出した。UberとLyftは控訴したが、控訴裁判所は先月下級裁判所の判断を認めた。だが、判決は裁判所が伝達を出した後、30日間延期されることになった。一方、UberとLyftはその前に控訴を検討していると話していた。

この件では、UberとLyftはドライバーを従業員として再分類することによって取り返しのつかない害を被ることになると主張してきた。2020年10月の判決で、裁判官は会社が「法を破ることを禁じられることで、重大または取り返しのつかない害を被ることにはならず」、各企業の経済的負担は「取り返しのつかない害のレベルにまではいかない」と述べている。

しかし現在、Prop 22が承認される見通しとなり、この訴訟は法的根拠が揺らいでいる。また、Uberは他の州でも同様の法案を追求すると述べていることも記すに値するだろう。

カリフォルニア州の州務長官は太平洋時間午後8時に州内58郡の投票結果を段階的に発表し始めた。しかし最終的な投票結果は11月4日夜あるいは11月5日にはわからないだろう。これは部分的にはカリフォルニアが11月3日までの消印の不在者投票を受け付けるためだ。一方、郡選管は12月1日までに最終結果を出すことになっている。

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