スペクトルカメラで撮った農地の画像を機械学習で分析して最適解を農家に推奨するCeres Imagingが$2.5Mの追加資金獲得

アグテック(agtech, 農業のテクノロジー化)はスタートアップの数が少ないけど、実は農家自身は新しい技術の導入に、想像以上に積極的だ。

Ceres Imagingのピッチ(売り込み文句)は、単純明快だ。低空から独自のセンサーを備えたスペクトルカメラで農場の航空写真を撮り、それに基づいて今作物に水や特定の栄養が必要か教え、また作物の病気や害虫の危険性についても現状や今後の可能性を教える。

同社は5月のシリーズAで500万ドルの資金を調達したが、今日(米国時間11/1)はそれに加えて、250万ドルを調達したことを発表した。投資会社は、前の500万ドルと同じく、Romulus Capitalだ。

Ceres ImagingのCEO Ashwin Madgavkarが同社を創ったのは、まだスタンフォードの学部学生だった4年前だ。当時の彼は、スペクトルカメラのクールなアプリケーションの数々に感激して、それらをクリーンエネルギーや資源利用の効率化に生かせないものか、と考えていた。

農業へのスペクトル画像カメラの利用は、最初のうち、ぶどう園や果樹園などの高密度作物に限定していたが、今では顧客層がカリフォルニア、ハワイ、中西部、オーストラリアと広がるにつれて、多様化している。新しい作物向けのソリューションを開発するときは、その作物の特性の勉強から始める。水の不足や過剰への強さ弱さ、葉緑素濃度、林冠活力、温度分析、栽培密度、そしてこれら要素の最適測度、などなど。

Madgavkarによると、アグテック企業の多くが、作物の多様性に配慮しない画一的な画像分析をしている。しかし彼のチームは、新しい顧客に対してはまず詳細なコンサルテーションにより、その営農や地域の特殊性を細部まで把握する。すなわち、個別オーダーメイドのソリューションを、提供する。

今とくに重要な課題とされているのが、中西部における大豆やコーンの収量アップ対策だ。これらの作物は従来、メンテナンスをほとんどしない、粗放作物の典型だったが、でも本当は、最初から農家の賢い判断を必要とする作物なのだ。

今では同社が提供するソリューションも多様化しており、しかも今後は、今回の資金でさらなるグローバル展開を目指している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

500 Startupsの第22回デモデイで、目立ったスタートアップたち

Dave McClureが今年の7月に、複数の女性にアプローチし、薄気味悪い思いをさせていた事を認めて500 Startupsのジェネラルパートナーを辞任したことで、500 Startupsの立場は微妙なことになっている。 それ以来、同社のプログラムにはずっと不安がつきまとっているが、デモデイと新しいクラスの登録を始めた今はその不安が一段と高まっている。

それは同社の22回目のデモデイにますます強いものとして現れていたように思う。この日、CEOのChristine Tsaiがステージに上り、起こり始めた同社の改革についての説明を行った。

「8月には、500 Startupsが包括性、多様性、ハラスメントへの対処を図ることを目指すことを宣言しました」とTsaiは語る。「どれも、他のものへ同時に対処する事なしに解決を図ることはできません。私たちは、直ちに多くのフランクで本音の議論をチーム内で行いました。同時に共通の理解に達するため…そして500 Startupsの文化がうまくいっている場所、欠けている場所を見出すための調査も立ち上げました。私たちは多くの素晴らしい学びを得ることができました。そして私たちはこれを定期的にモニターし続けるつもりです」。

そしてデモデイがやって来る:以前私たちは、デモデイは非常に忙しくなる可能性があると指摘した。1つあたり、わずか数分のプレゼンテーションから本当に素晴らしい会社を選び出すのは、本当に困難なことなのだ。しかしそれでも、そのうちの幾つかはきちんと取り上げる価値がある。それらは背後にあるアイデアや、彼らが解決する問題、そして創業者のチームといった幾つかの要因から判断される。

同じことが、今日(米国時間10月25日)の500 Startupsの、22回目のデモデイにも当てはまった――ということで、以下に示すものが数時間にわたるプレゼンの結果、私たちが選びだしたものだ:

1/8 :Nextplay

企業内キャリアのための論理的な道筋を持つことは、おそらく企業が従業員を留めておくために必要とする最も重要なツールの1つである――そして多くの企業が失敗する。

なので、従業員たちがどのようなゴールを達成し、どのように前へ進もうかと悩むとき、彼らはしばしば社外に進むべき道を見出してしまう。Charu Sharmaと彼女の共同創業者Nawar Noryは、企業がそうした従業員たちに、メンタリングと希望の持てる一連のゴールを提供するためのツールを開発するために、Nextplayを創業した。最終的な製品はEllenと呼ばれる。このアプリはメンターとのマッチングを行い、自身のキャリア対し安心感を得る手助けをするものだ。

「キャリア開発は不確定な道筋です、自分の目標を特定し、自分のメンターを見つけることは従業員自身に任されています」とSharmaは語った。「女性は苦しみ、少数派も苦しみ、内向的な人も苦しんでいます」。

Sharmaによれば、Ellenを6ヶ月間使用した後、25%以上の従業員が自分たちの会社で働くこと強く推奨するようになっているそうだ。同社は10万ドルの収益を上げている。

2/8 :Mobile Forms

アフリカは世界で最も重要な発展途上市場の1つであり、拡大しようとしている企業たちに対して大きなチャンスを提供している――しかしそこでどのように始めるべきかのデータを収集することは、最も難しい課題だとMobile FormsのCEOであるTomi Ayorindeは語る。

「アフリカの経済は2桁台の成長を遂げていて、それが世界中の企業たちの注目を集めています」とAyorindeは語った。「企業は市場を理解しようと何十億ドルも費やしていますが、ほとんどの企業にとって、市場はまだブラックボックスのように見えています」。

企業は必要な調査の要求を定義して、それをMobile Formasに送信する。その後Mobile Formsは、何千人ものフィールドエージェントのチームに要求を送信し、企業がより良い決定を下すために必要とする情報を収集する。ナイジェリアを皮切りに、同社はこれまでに約15万ドルの収益を上げていると述べた。

3/8 :Fincheck

これまで経費精算をしたことが一度もない人はわからないかもしれないが――まあ楽しい経験とは言えない代物だ。おそらく読者も、そうした経費をインターネット上で、Googleカレンダーや電子メールその他の様々な場所に置いてクロスチェックを行っていることだろう。

これがFincheckの役に立つ場所だ。基本的にはそうした作業の後半を受け持ってくれる。複数のデータソースをタップすることで、Fincheckは最後に経費のサマリーを表示してくれる。こうしてこれまで経費ソフトウェアの操作に費やしていた時間から解放してくれるのだ。

CEOのRuth Polachekは、同社がプライベートベータで10万件を超えるトランザクションを処理したと語った。バックエンドで一連のアルゴリズムを使用して、基本的にはブラウザのタブを何度も表示することで得られるすべてのものをデジタル化するのだと語っている。

4/8 :Plum

都市部に住んでいたり、真に平均的な人物ならば、長期的に貯蓄を積み上げていくことに困難を感じているかもしれない。

Victor Trokoudesも確かにこの問題を感じていた――30代の時には基本的に貯金がなかったのだ。だからこそPlumのアイデアが生まれたのだ。これは、あなたの支出パターンを学習するだけではなく、支払いを抑えてより節約することができる場所を把握するために、請求書も追跡してくれる。

「これは『気付かせる力』(the power of nudge)と呼ばれるもので、人びとに暮らし向きが良くなる判断ができるようにさせるものなのです」とTrokoudesはノーベル賞受賞者のRichard Thalerに言及しながら語った。「PlumはAIを使って皆のお金が、煩わしさなしに、あるべき形で管理されるようにするチャットボットです」。

Trokoudesによれば、1月に発売されて以来、アプリのユーザー数は5万人に達し、毎月20%ずつ増えているという。

5/8 :Mira

生命保険は、特にリスクの高い人にとっては、常に見通しが難しいものだ。しかしShuo Zhangは、例えば糖尿病のような「危険性の高い」カテゴリーに陥る人もいるものの、そういう人たちも本当にリスクが高い顧客とはいえない場合がある、と述べている。

「私たちのオンラインアプリケーションでは、40のユニークな医療、財務およびその他の追跡データを統合することができます。つまり、顧客に関する更に大きな洞察を得ることが可能なのです」と彼は語る。「私たちは、彼らが健康的な食事をし、頻繁に運動を行い、血糖値が安定していることを知ることができます。そうした人たちは、保険会社が考えるほど高リスクではないのです」。

ある顧客が潜在的にハイリスクかもしれないと報告されると、保険会社はそれMiraに照会することができる。Miraは、顧客の実際のリスクプロファイルを把握するための深い探索を行う。この結果、顧客は彼らにハイリスク顧客というラベルを貼る典型的な保険会社と、より有利な条件で保険を契約することが可能になるのだ。

6/8 :MailHaven

もしAmazon Primeの顧客で、大量のパッケージを受け取るような人物なら、荷物の受取に付き纏う不安は――そしてそれが玄関先から盗まれないことを祈ることは――深刻な問題だ。

このため、返品のためのピックアップを行なう、オンデマンドのスタートアップのような、よりスマートなデリバリサービスを提供しようとする試みは、これまでも沢山あったが、MailHavenはもう少しレトロなやり方を考えている。同社はあなたの家の前に置かれる、文字通り「箱」を販売している。配送業者たちはこの箱に荷物を自動的に投入することが可能で、逆に返品の必要がある荷物をピックアップすることも可能なのだ。

「もし何かを返品をする必要が生じる度に、それを家の前に置かれた箱の中に保管しておいて、それを持っていって貰えるようにできたら便利だと思いませんか。そうした仕掛けが無いために、生産性に対して年間450億ドルの損失が生じているのです」とCEOのKela Ivonyeは語る。「2700万人の人がなんとか郵便局まで持ち込むか、高価なオンデマンド配送サービスと契約さぜるを得なくなっているのです」。

399ドルの初期費用と月額15ドルのサブスクリプションを考えると、これは先進国向けのオプションのように見える。しかし、商取引がますますオンライン化されるつれて、MailHavenのようなものが、パッケージを適切なタイミングで入手するための回答になるのだろう。

7/8 :LaborVoices

衣料品ブランドがその生産立ち上げようとするときには、実際にその衣料を作るための工場群に接触しなければならない。しかし全ての工場の正確な状況に、いつでもアクセスできるわけではない。

「現在私たち全員が服を着ていますが、今着ている服が児童労働や強制労働で作られたものなのかどうかを知る術はありません」と語るのはLaborVoicesのCEOであるKohl Gillだ。「不都合な真実は、ブランド自身もその実体を把握していないということなのです。彼らは世界中の工場で何が起こっているのかを知りません」。

ここがLaborVoicesの登場する場所だ。工場の従業員たちが現在の労働状況を、携帯電話を使ってサービスに対して送ってくる仕掛けだ。LaborVoicesはブランドと提携し、全てが標準に準拠して運営されていることを保証する。

Gillによれば、今でもブランドは検査に数十億ドルを費やして、工場からの供給を管理しようとしているものの、そのプロセスは依然として、破綻し上手く行っていない場合が多いということだ。過去1年で、LaborVoicesは60万ドル以上の収益を計上したと、同氏は述べている。

8/8 :Sendoso

おそらくあなたは、朝の仕事を数十(あるいは数百)に及ぶ電子メールの処理で始めなければならないことにうんざりしていることだろう――そしてそれが見込み客を見つけるためだとしたら、その電子メールの山と注意深く格闘することになる。

ということで、実際の物理的メールを受け取ることに喜ぶ人たちの側に振り子が戻っていることは驚きではない。そしてその流れを追う企業たちが存在する。

Sendosoは、そうした企業たちに、潜在的な顧客たちの注意を喚起する手段として、実際の物を送るサービスを提供する。企業はSalesforceを通じて、潜在的な顧客の関心を呼ぶかもしれない物を追跡し、発送する手段を見出すことができる。

「見込み客や顧客を、電子メールや電話で引きつけることはこれまでにないほど難しくなっています」とCEOのKris Rudeegraapは語る。「企業は影響力の強いダイレクトメールのような他のアウトリーチ手段に向かいつつありますが、企業がダイレクトメールを運用し、拡大し、ROIを追跡することはとても困難なのです」。

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(翻訳:Sako)

「ソーシャル・ネットワーク+Evernote」をイメージするMrOwl

ソーシャル・ネットワークとEvernoteが融合したようなアプリケーションが登場してきた。ArvindおよびBecky Raichurによるもので、データの保管や共有を簡単に行うことができるようになっている。しかもあらゆるデータ形式に対応しているのだ。

データは公開ないしプライベートで保管しておくことができる。たとえば当方で、「Rolex」についてのブランチ(MrOwlでは情報をまとめる単位を「ブランチ」と呼んでいる)を作成して公開してある。ここに画像、テキスト、リンクなどの情報を加えていくことができる。人気の公開ブランチには、たとえばシークレット・メニューについてのものなどがある。

アプリケーションの魅力を存分に発揮するには、まだまだ利用者が少ない様子。利用者が増えてくれば、より活発に情報のやり取りが行われることになるだろう。

「コラボレーション機能が、このアプリケーションの大きな魅力です。編集権を公開してブランチを育てていったり、特定の人に対して公開して編集作業を続けるようなことができます。もちろん完全にプライベートなものとして、保管しておくことも可能です」とArvindは述べる。「知識やリソースを、コミュニティ全体の資産として育てていくことができるわけです」。

もちろんソーシャル機能をもつアプリケーションは、世の中に溢れかえっている。しかし大量のデータを友人やコミュニティに、簡単に公開できるMrOwlはなかなかおもしろい試みだと思う。アプリケーションは、まずインドで広まり、現在のデイリー・アクティブユーザーは7500人で、セッション数は70万となっている。これまでに600万ドルの資金調達も行なっている。

「利用者の方々は、MrOwlを指してGoogle、Wikipedia、およびPinterestをつなぐものであると表現しています。面白そうなものを見つけたり、情報を集約するブランチを作成したり、他の人と連携して詳細な情報ハブを構築して行ったり、あるいはまとめた情報を共有することができるのです」。

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(翻訳:Maeda, H

スタートアップ時代が終わった後に何が来るのか?

最近シリコンバレーとサンフランシスコには奇妙な空気が漂っている。他所では、つまりデンバーサンチャゴトロントベルリンなどではSilicon GlenSilicon AlleySilicon RoundaboutStation Fなどスタートアップのセンターを育成している。こうした都市は皆、第2のシリコンバレーになることを夢見ているのだ。しかしシリコンバレー自体ではどうだろう? ここでは「スタートアップの黄金時代は去った」という空気が支配的だ。

世界中いたるところで工学や経営学の学位を得た若者たちが第2のFacebook、Uber、Airbnbを創立しようと懸命だ…ポール・グレアムが創立したY Combinator方式のスタートアップ・アクセラレーターがどこの大都市にも生まれている…テクノロジー起業家は生活、経済のあらゆる面をディスラプトしつつある…ビッグビジネスは神経痛の恐竜も同様、動きが鈍く、俊敏で鋭い牙を持った哺乳動物―スタートアップにとって代われられてしまうだろう…。

残念ながら、ノーだ。上に述べたようなことは10年前の話だ。 時代は変わった。いまやスモールではなくビッグであることがもてはやされる。しばらく前から振り子は反対側に揺れ始めた。来るべき10年の主役はスタートアップと起業家ではなく大企業と大企業経営者たちだ。今の優秀な若者は第2のザッカーバーグになろうとするよりザッカーバーグの会社で働くことを目標にしている。

1997年から2006年ごろのインターネット時代の到来はAmazon、Google、Facebook、Salesforce、Airbnbといった新たな企業を登場させた。インターネットはそれほど革命的だった。数人の若者がガレージや学生寮の1室で新しいサイトを立ち上げ、数百万ドルの資金を手に入れ、世界を変えるような存在に成長することが可能だった。その後、2007年から2016年にかけてのスマートフォンの時代にはUber、Lyft、Snap、WhatsApp、Instagramなどが注目された。スマートフォン・アプリの登場はインターネットの登場に近い大きな影響を与えた。

しかし周囲を見回してもインターネットやスマートフォンに匹敵するような革命が起こりつつある様子はない。ウェブはすでに巨大企業に分割占領されている。誰もがすでにスマートフォンを持っており、アプリの世界を支配するのもビッグビジネスだ。ウェブにせよスマートフォンにせよ、現在のテクノロジーはきわめて複雑で開発には莫大なリソースを必要とし、ビッグビジネス以外には手に負えない規模となっている。

2017年のシード投資がダウンしたのは偶然ではない。Alphabet、Amazon、Apple、Facebook、Microsoftは「テクノロジー分野のビッグ5」から世界でももっっとも時価総額が大きい上場企業5社へと成長した。世界の支配者はこの5社とそれに続く大企業グループだ。

次世代の重要テクノロジーにはAI、ドローン、AR/VR、暗号通貨、自動運転車、IoTが含まれることは常識となっている。これらの技術が全体として社会を大きく変えることは確実だが、当初のウェブやスマートフォン・アプリに比べると圧倒的に複雑であり、多くのスタートアップの手が届かない範囲にある。以下個別に問題点を見ていく。

AI:実装には並外れた才能を必要としない。というか機械が学習する基礎となる膨大なデータなしにはいかに才能があっても役に立たない。それでは誰がそうした巨大データの山を所有しているかといえば、先程述べたビッグ5だ。プラス中国のTencent、Alibaba、Baiduだろう。

ハードウェア:これはドローンやIoT(モノのインターネット)デバイスが中心になるが、プロトタイピングが困難で大きな資金を必要とする。また一般に製造業はマージンが低く、スケールさせるのも難しい。FitbitJawboneJuiceroHTCなどの例を見てみるとよい(ただし新しく登場しつつあるハードウェアを基礎とするソフトウェアやサービスは例外だろう。こうした分野のスタートアップは成功の確率が平均よりずっと高いと思われる)。

自動運転車: 言うまでもなく金がかかる分野だ。バイオもそうだが、こうした分野は巨大企業による資金投入の競争の場となっている。少数のスタートアップは有利な条件で買収される可能性があるが、それ自身で大企業に成長できる可能性はほとんどない。

AR/VR: 現在すでに当初の楽観的な普及の予測は大きく外れている。ハードウェアは依然高価であり、ソフトウェアの開発も依然として難しい。スタートアップのMagic Leapは20億ドル近く(!)の投資を集めたにもかかわらず、まだ何のプロダクトも発表できない。(根拠の有無はともかくとして)Theranosと比較する懐疑的な意見も出ている。一方、MicrosoftのHoloLens、GoogleのCardboard / Tango / ARCore、AppleのARKitは着実に前進し続けている。

暗号通貨: これは別にスタートアップに価値を与えるようなテクノロジーではない。これは新たな分散型の通貨とそれによるエコシステムを創造しようとするテクノロジーだ。Bitcoin自体の価値はBitcoinをベースにしたスタートアップの会社評価額とは比べ物にならないほど大きい。Ethereumについても同じことがいえる。信奉者は暗号通貨が世界のすべてを変えるはずだと主張するが、このTwitterのスレッドを読めば、私のようにインターネット経済は非中央集権化されるべきだと信じている私でさえ、そこここでうなずかざるをえない。

Blockchain/暗号通貨に関する賛否の意見 

とすると、テクノロジー・スタートアップの出番はどこに求めたらよいのだろうか? 成功へのハードルは高いだろう。大企業、願わくばトップ5に買収されるというのがベストの可能性かもしれない。もちろん例外的に独自の成長を遂げるスタートアップも現れるだろう。しかしスタートアップがブームであった頃に比べるとその数はずっと少ないはずだ。

こうした移り行きをすでに現実のものだ。たとえばY Combinatorを考えてみるとよい。スタートアップ・アクセレーターというコンセプトのパイオニアであり、あらゆる意味でその模範となる存在だ。YCのクラスに入るのはハーバード大学に入るより難しいと噂されるくらいだ。ではその卒業チームはどうなっただろう? 5年前、 2012年にはYC出身のトップ3といえばAirbnb、Dropbox、Stripeであり、まさに世界を変革する勢いだった。

では早送りして現在の状態を見よう。YCを代表とするスタートアップのトップ3は…変わっていない。この6年、YCはそれ以前の全期間(最初の6年)の2倍以上のスタートアップに投資してきた。しかし2012年のビッグ3ほどの成功を収めたスタートアップを1チームでも覚えているだろうか? 唯一の例外になる可能性があるのは生鮮食品配送のInstacartだが、AmazonがAmazon FreshとWhole Foodsスーパーマーケットチェーンの買収でこの市場に参入を図っているのは大きな不安材料だ。

Amazon、Apple、Googleを始めとする巨大テクノロジー企業はますます支配力を強め、スタートアップの成功はますます難しくなる。もちろん歓迎すべき事態ではない。ビッグ・ビジネスの支配力は今でも強すぎる。AmazonとGoogleはあまり圧倒的なので公的規制を受けるべきだという声もある。Facebookに掲載されたフェイクニュースが大統領選に影響を与えた可能性もある。

スタートアップは新しいアプローチ、新しい思考をもたらし、時代遅れの巨大企業が支配する非効率な市場を変革する。しかしテクノロジーの進化の現状を見ると、次の5年から10年は、時代遅れであろうがなかろうが、巨大企業が支配を強める時代になりそうだ。私としては振り子がいつかまた逆の方向に振れ始めればよいと祈っている。

画像: Wikimedia Commons UNDER A Public domain LICENSE

〔日本版〕トップ画像はアニメ番組『ルーニー・テューンズ』のエンディング。「これでお終い」。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

犬の健康をチェックする、スマート首輪のWaggit

ペットの犬のQOL(生活の質)向上と、飼い主による適切なケアを実現するための首輪が登場した。名前をWaggitという。似たプロダクトには、1億ドル以上の価格でMarsに買収されたWhistleというものもあった。これと同様にWaggitも運動状況のトラッキング機能も提供する。しかしWaggitは、フィットネス系の情報だけでなく、健康状態についての情報を管理することを主目的としている。

「犬の健康状態をきちんと管理するためのツールはありませんでした」と、WaggitのCEOであるSusan Sierotaは述べる。「これまでのものは、運動記録を残すことのみを目的としていたのです」。

Waggitの首輪は、バイタルの変化や、いつもと違う眠り方(いつも左側を下に寝ていたのに、とつぜん右側を下にするなど)、睡眠のクオリティなども記録するようになっている。こうしたデータを記録することで、犬が感じているかもしれない痛みや負っている怪我、体調不良などを検知しようとしているわけだ。もちろん、体温も測定して記録する。

Waggitの開発にあたっては、獣医、心臓専門医、栄養士などと連携して、機能面の充実をはかってきたと、Sierotaは述べている。今年の6月からベータテストを行なっていて、現在は50匹の犬で動作確認中なのだそうだ。そしてこの度、オーダーの受付を開始したのだが、出荷開始は11月からを予定しているのだとのこと。

Waggitを利用するには、本体価格の249ドルと、通信費用の月額4ドル95セントが必要となる。少々高い気がしないでもないが、これにより犬の健康状況を把握することができるのなら安いのかもしれない。ちなみに、Whistleの方は79ドルとなっている。

現在のところ、重さ20ポンド以上の犬にのみ対応している。これから、小さな犬や猫でも利用できるものを開発していく予定であるとのこと。Waggitはこれまでに150万ドルの資金を調達しており、近いうちにさらなる資金調達を行う予定であるとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

$49.99でSphero体験ができるSphero Mini登場

Spheroにとっては大忙しの1年だった。R2-D2スパイダーマン、あるいはライトニング・マックィーンといったプロダクトをたてつづけに送り出していたのだ。なお、そうしたプロダクトに埋もれがちではあるが、Spheroはライセンス製品以外も開発している。今回発表されたものもノンライセンスのプロダクトで、名前をSphero Miniという。Sphero製品の中で、もっとも安価なモデルともなっている。

「Sphero製品をおおぜいの方に使ってもらいたかったのです」と、共同ファウンダー兼ソフトウェア・アーキテクトであるAdam Wilsonは述べている。

このSphero Mini、基本的にはSphero 2.0の廉価版だ。サイズは42mm x 42mmで、重さは46グラムとなっている。サイズをコンパクトにするために、2.0からワイヤレス充電などの機能を削っている(防水でなくなっていて、耐久性も2.0には劣るとのこと)。

そうはいっても、このMiniにも2.0の主要機能は搭載されている。スマートフォンのアプリケーションを利用して操作することができるし、スマートフォンゲームのコントローラーとして利用することもできる。Sphero Eduのアプリケーションを使えば、プログラミングを楽しむこともできる。

さらに新機能としてFace Driveを備えてもいる。これは表情によってMiniをコントロールするものだ。私も試してみたが、操縦者が笑顔を見せたりしかめっ面をしたり、あるいは首をかしげるなどしてMiniをコントロールするのはなかなかおもしろい。

さらにMiniには、近くにあるMiniを検知する機能も備わっているのだとのこと。ただし、この機能を活かした動作はまだ実装されていないとのことだ。

「たしかにディズニーなどとのコラボレーションからうまれてくる製品は面白いが、メジャーな映画やキャラクターとは無関係なMiniのようなデバイスに果たして魅力はあるのだろうか」と考える人もいるかもしれない。Wilsonによれば、紐付きでないことで、むしろFace Driveのような新機能を試すことができたのだとのこと。また、Spheroの基本方針である「プログラマブルでハッカブル」を自由に試すことができるのだとも話している。

「わたしたちSpheroにとっては、キャンペーンも、また製品のキャラクターも自由に設定することができるという魅力があります」とWilsonは述べる。「また、新しい技術は自社ブランドプロダクトに埋め込んでみたいという考えもあります」。

Sphero Miniはすでに販売開始となっており、価格は49ドル99セントだ。Sphero 2.0の半額ほどの値段になる。製品にはミニ・ボーリングピンやコーンも同梱されている。個性を発揮したいという人には、カラーバリエーションも容易されている。

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(翻訳:Maeda, H

ゲイツ、ザック、ベゾスらがVillage Globalを支援――スタートアップ育成のシード・ファンドがスタート

Y Combinator出身のスタートアップ紹介サイト、Product Huntの社員1号、Erik Torenbergは有望なスタートアップを見つけて世界に紹介するだけでなく、自ら投資しようとしている。今日(米国時間9/26)、静かにスタートしたVillage Globalは、シード資金とプレ・シード資金を最初期段階のスタートアップに投資することを目的とするベンチャーファンドだ。

このファンドは起業家に資金を提供するだけでなく、起業家と世界的に有名なメンターとを結びつけようとしている。Facebookのマーク・ザッカーバーグ、Amazonのジェフ・ベゾス、LinkedInのリード・ホフマン、Googleのエリック・シュミット、Yahooのマリッサ・メイヤー、Microsoftのビル・ゲイツといったスーパースターがリミッテッド・パートナー(LP)として、またアドバイザーとしてVillage Globalに加わっている。

Village Globalのパッケージ、Erik Torenberg

SEC〔アメリカ証券取引委員会〕の規則によりベンチャーキャピタリストは資金調達中のファンドについて公に論ずることを禁じられているためTorenbergはわれわれの取材に答えることを控えた。Village Global自体はファンドの規模について明らかにしなかったものの、同社が規則に従って6月にSECへ提出した書類をTechCrunchが調べところによれば、調達目標とする金額は5000万ドルだ。ただし、資金調達が完了していないため、実際に集まった資金の総額はまだ分からない。

上に挙げた以外にも前ニューヨーク市長、マイク・ブルームバーグ、VMWareのファウンダー、ダイアン・グリーン、DisneyのCEO、ボブ・アイガーなど数多くの著名人がこのファンドに加わろうとしている。皆大富豪だから、目的は利益ではなさそうだ。Village Globalは事業を紹介するリリースで「こうしたイノベーターたちはスタートアップ・ゲームへの関心を失っていない。彼らは自らの企業運営の経験からさまざまな知恵を起業家に伝えたいと考えている。同時に次世代の起業家たちとの交流を通して新たな洞察を得ようとしている」と書いている。

実際、ここに名前を挙げたテクノロジー界の巨人たちがVillage Globalに信頼を置く理由は、TorenbergがProduct Huntを通じて「草の根」的に次世代の起業家を熟知しているからだろう。

ホフマンと共著でスタートアップの戦略の教科書、スタートアップ シリコンバレー流成功する自己実現の秘訣(日経BP)(The Startup of You)を書いた後、ホフマンの側近としてLinkedInに加わったベン・カスノーカがVillage Globalのチームに加わった。またパートナーには IACの事業開発担当幹部、500 StartupsのIR部門の責任者、Queensbridgeのパートナーを歴任したAdam Corey、Cheggの最高ビジネス責任者、Harvard Business Schoolの客員起業家、Anne Dwane、SuccessFactorsの前副社長でCanaanのパートナー、Ross Fubiniなどが含まれる。

最初期のスタートアップへの投資を目的とするため、Village Globalはさほど巨額の資金を集めたりAndreessen HorowitzやGV(以前のGoogle Ventures)のような大規模な組織なしに意味のある影響を与えることができる。人材獲得や組織のデザインの面でも負担が軽いはずだ。その代わり、Village Globalはテクノロジー界のスターをアドバイザーとして網羅しようとしている。 【略】

Village Globalでは一般のベンチャーキャピタルのように少数の中心的メンバーがすべての投資の決定を行うのではなく、幅広いスカウトのネットワークを通じて行おうとしている。この「スカウト・ネットワーク」のリーダーにはYouTubeのVRの責任者、Erin Teague、Quoraの副社長、Sarah Smith、Dropboxの社員1号、Aston Motes、Target、Hilton、 Verizon[TechCrunchの親会社]の取締役を務めるMel Healeyなどがいる。

Village Globalのビジネスモデルはスタートアップの起業は投資家にとって二極化―大成功を収めるかゼロになるかで、その中間が少ない―という現実を前提としている。Village Globalはスタートアップのスカウトに有利な条件を示しているが、これはいくつかの大成功ですべての投資の元を取ろうという戦略だろう。

上場や買収などにより現金化に成功し資産を築いたファウンダーなど富裕な個人が続々と初期段階のスタートアップへの投資に参入してくる現状なのでこの分野は今後激しい競争にさらされるはずだ。しかし幅広いネットワークとテクノロジー界のスターをメンターに擁することでVillage Globalから次のユニコーン〔企業価値10億ドル以上のスタートアップ〕が生まれるなら、健全なエコシステムを築くことができるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

チャットやメッセージングを営業とマーケティングのツールにしたいHubSpotがチャットボット制作のMotion AIを買収

営業支援とインバウンドマーケティングの今や古参で大手HubSpot日本)が、チャットボット制作のスタートアップMotion AIを買収したことを、今朝(米国時間9/20)発表した。

Motion AIは2015にローンチし、チャットボットを作るためのエディターを提供している。そのチャットボットは、WebサイトやFacebook Messenger、SMS、Slackなどで動作し、ユーザーはコーディング不要で作成できる。実は、HubSpotのFree CRMにはMotion AIがすでに統合されている。

Motion AIのファウンダーでCEOのDavid Nelsonを含め、全員がHubSpotに加わる。さらに詳細は、来週(9/26)行われるHubSpotのイベントINBOUNDで発表するそうだ。

買収の発表声明の中でHubSpotのCEO Brian Halliganはこう述べている: “今やチャットとメッセージングのインパクトを無視することはできない。それはB2Bで重要なだけでなく、社会全体として重要だ。今はどの企業も大きな転換期にあり、それを好機として乗り切るためには、このような新しいプラットホームを積極的に導入して、ブランドからのより密接で常時つながってる状態のコミュニケーションを求める消費者を、前向きに受け入れて行かなければならない”。

数か月前にAIのKemviを買収したHubSpot は、そのときと同じく、買収の条件等を公表していない。Motion AIはCharge VenturesやCrush Venturesなどから資金を調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Disrupt SF 2017 Startup Battlefieldの優勝チームは無線充電のPiに決定

初めに22のスタートアップありき。3日におよぶ激戦を経て今ここに、その勝者がいる。

Startup Battlefieldに参加したスタートアップは全員、われわれスタッフによる選択という、競争率の非常に高い事実上の一次予選を通過している。彼らは全員が複数のVCとテクノロジー業界のリーダーから成る審査団の前でプレゼンを行い、優勝賞金5万ドルと名誉の象徴Disrupt Cupを争った。

予選の審査員たちが書いたメモを数時間かけて検討激論し、まず6社のファイナリストが決まった: Augmedics, colormass, Future Family, Matic, Onēva, そしてPi

決勝に臨んだ彼らの前に立ちふさがった強豪審査員は、Theresia Gouw(Aspect Ventures), Kirsten Green(Forerunner Ventures), Aileen Lee(Cowboy Ventures), Ann Miura-Ko(Floodgate), Matthew Panzarino(TechCrunch), そしてKrishna Yeshwant (GV)だ。

今は、ベルリンで行われるDisrupt BerlinのStartup Battlefieldが出場者を募集している。ぜひここで応募していただきたい。

では、TechCrunch Disrupt SF 2017 Startup Battlefieldの優勝者と準優勝チームをご紹介しよう。

優勝: Pi

Piは、全方向1フィート以内にある複数のデバイスを充電する。他社が何年もかけて開発した全室充電タイプではないが、柔軟性では優れている。

Piを紹介する本誌記事をご覧あれ。

準優勝: Oneva

Onēvaは、企業の社員の福利厚生の一環としての、高齢者介護、保育などのサービスを提供する。各サービスの提供者は、犯罪履歴や身元保証、本人証明などを厳格にチェックされている。

Onēvaを紹介する本誌記事をどうぞ。


[決勝審査員たち]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

フィンランドの広告スタートアップ、Smartly.io、既存株式売却で資金調達――2000万ドルでアメリカ進出へ

フィンランドの首都ヘルシンキを本拠とするSmartly.ioはFacebook広告プラットフォームを通じてマーケティングの自動化を狙うスタートアップだ。同社は今日(米国時間9/19)、発行済株式の売却によって2000万ドルの資金を調達したことを発表した。これは既存株主の株式をヨーロッパのベンチャーキャピタルのHighland Europeに売却するという方法で実施された。

2013年創業のSmartly.ioのファウンダー、CEOのKristo Ovaskaは「われわれは2年前からすでに黒字化している」と述べた。同社の株式はファウンダー、エンゼル投資家、社員が所有していた。そのため今回のラウンドはSmartly.ioに対して会社の売却あるいは上場による現金化の道を探るという圧力を与えずにファウンダーらの株式を現金化し、報酬に充てる効果があった。

Ovaskaは「Highland EuropeはアメリカのHighland Capital Partnerと密接な関係のあるベンチャーキャピタルだ。Smartly.ioはアメリカ市場を始めとする各国市場への進出を計画しており、HighlandはSmartlyの経営のグローバル化、進出先での企業買収などのアグレッシブな成長戦略やその資金づくり助けるだろう」と付け加えた。

Facebook Marketing PartnerはFacebookが開発したプラットフォームで、Facebookが審査、選定した企業のマーケティングを助ける。Smartly.ioのツールはブランドの商品画像から自動的にバナーやビデオによる広告を作成し、、Facebookに出広する。Smartlyはまたオーディエンスのターゲティングや出広のタイミングや表示先など広告予算の運用も独自に決定する。

Smartly.ioは最近、通年換算で10億ドルの広告予算を処理していることを発表した。現在、Smartlyのプラットフォームを利用しているブランド、広告代理店の数は500社以上で、eBay、JustFab、Zillow、SkyScanner、Lazada、Deliverooなどの有名企業が含まれる。【略】

「Smartly.ioの社員は150人だが急速に拡大中だ。Highlandはアメリカにおける有望なカスタマー候補企業をリストすることに十分な経験がある。顧客獲得だけでなく人材採用も助けるだろう」とOvaskaは述べた。【略】

Smartly.ioのカスタマー・サポートはすべて同社の社内で行われる。社員のほとんどはプログラミングの経験があり、CEOのOvaska自身も自ら毎日何時間かカスタマー・サポートを行っている。Ovaskaはカスタマー・サービスの充実が他のマーケティング自動化ツールに対するSmartly.ioの競争力の源泉だとしている。

Smartly.ioはシンガポールにもアジア太平洋地域のカスタマーのためのオフィスを開設しているが、もっとも重要な市場はいうまでもなくアメリカだ。

「アメリカ市場の成長可能性は非常に大きい。Facebookプラットフォームに向けられている世界の広告予算を見ると、アメリカ市場はその他の地域をすべて合計した以上の金額となっている。同時にもっとも成熟した市場でもある。われわれはアメリカを中心に投資していく」とOvaskaは述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

企業が最新の研究動向を容易に見つけられるようにするResolute InnovationにSteve CaseらのVCが投資

企業が自分の分野の最新の研究開発動向を、日々もれなくチェックしていくことは、きわめて難しい。たとえば、ある技術課題で最良のパテントを見つけようとすると、それはなかなか、合理的で効率的で正しい結果の得られる調査過程にはなりにくい。

そこをお助けしようとするのが、Resolute Innovationだ。このスタートアップは、企業をビッグなアイデアに結びつける。ニューヨーク生まれのResoluteが構築しようとしているものは、同社が“技術をスカウトするソフトウェア”(technology scouting software)と呼ぶもの、すなわち検索できるR&Dデータベースだ。食品、化粧品、医薬品、宇宙、などなど、そのカテゴリーは多岐にわたる。

Resoluteは今、330万ドルのシリーズA資金を調達中だ。このラウンドのリーダーRevolution Venturesは、Tige Savage、David Golden、それにAmerica Online(AOL)の創始者Steve Caseらが創ったVC企業だ。

そのCaseは語る: “技術移転の過程は、その姿を抜本的に変えるべきだ”。彼によるとResoluteは、“アイデアと知財を持つイノベーターと、そのアイデアを商用化してスケールできる企業を結びつける橋を構築する、指導的なプラットホームとして登場してきた”。

研究の多くは、大学が提供している。たとえば私が出たコロンビア大学は、Resoluteとパートナーしている。そのほかに、スタートアップや医療機関や国の研究所やそのほかの研究機関から毎日、さまざまなアイデアが生まれている。

Resoluteの収益源は、そのソフトウェアを常用する企業からの会費収入だ。今すでに数千社の顧客がおり、Fortune 500社やそのほかの大型研究機関とも協働している。

Tige Savageは曰く、自分がResoluteに投資したのは、“現代的なAI技術で、さまざまな研究成果を、だれもが見つけることができて、検索もでき、インデクシングも再構成もできる形で提供しているからだ”。彼によると、それは彼の投資理論にも合致している。それは、“古い非効率なやり方に何十億ドルも投じている分野”を見つけることだ。そして、それを建設的に破壊(ディスラプト)するスタートアップに投資する。

CEOのSebastian Mettiによると、今度の資金は同社の研究者ネットワークの拡大に充てる。また、アジア、ヨーロッパ、北米地区、イスラエルなどへの国際展開も目指す。この前は、数名のエンジェル投資家から資金を調達した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SoftBank、評価額51億ドルでSlackに巨額投資 

Slackが新たなラウンドで大型の資金調達を実施した。評価額が50億ドル以上と伝えられる今回のラウンドをリードしたのは日本のSoftbankで、同社はこのところありとあらゆるテクノロジー企業に投資している。今回の投資も総額1000億ドルと伝えられるSoftBankの巨大なビジョン・ファンドからのようだ。

SoftBankは最近のシリコンバレーの大型投資案件の多くに参加しているが、今回はビジネス向けコミュニケーション・ツール、Slackの2億5000万ドルの資金調達ラウンドをリードした。このラウンドで、Slackは「人気があるといってもしょせんシリコンバレー周辺の現象」という通念を打ち破り、世界的なビジネス・アプリへの道を歩む可能性を示した。Slackはスタート当初は誰でも使えるシンプルさを売り物にしたチャット・サービスだったが、今や大企業のユーザーも多くなり、これに伴ってMicrosoftやAtlassianといったビジネス・ソフトの有力プレイヤーがひしめく競争の激しい市場に参入しつつある。

Slackが大型資金調達を実施するらしいという噂は以前から流れていた。われわれも今年の7月に同社は5億ドルのラウンドを計画しているという記事を掲載し、Amazonが90億ドルでSlackを買収する可能性も報じた。そうした背景からすると今回のラウンドはだいぶ規模が縮小されたことになる。

Slackは昨年アップデートを頻繁に繰り返しながらプロダクトを拡充させていった。この「コツコツやる」方式の改良は実を結びつつある。たしかにSlackの人気はシリコンバレーで非常に高いが、同社はニッチ・プロダクトという地位から脱却して成長を続け、ビジネスにおける共同作業の標準的なプラットフォームとなるべく努力をしている。今月、Slackは1日当たりユーザーが600万人、1年単位の課金額(annual recurring revenue)が2億ドルを超えたと発表した。当初のロケットスタートほどのスピードではないにしても、Slackの成長の勢いは相当のものだといえる。

昨年、MicrosoftはSlackの買収をかなり検討したもようだ。情報源によればこのときの会社評価額は80億ドルだったという。しかしMicrosoftは結局、傘下のSkypeを改善する方を選んだ。今月、MicrosoftはSkypeをアップデートして他組織のゲストも共有チャンネルに参加できるようにした。

Slackは買収ではなく資金調達ラウンドの実施を選び、Thrive Capitalから38億ドルの評価額で投資を得た。 つまりSlackにとって大型の資金調達ラウンドはこれが最初ではない。上で触れた噂のようにこのところSlackは熱い注目の的だったが、結局、噂よりは着実な評価額でのラウンドの実施となった。Slackに予想される次年度売上高と評価額の比は25倍程度だ。もちろん評価額には健全な成長が続くという前提とのれん代も含まれているはずだ。

Slackは今月に入って複数の組織のメンバーが参加できるチャンネルを開設した。開発に1年以上かかったものの、これは機能の自然な拡張であり、かつある種の口コミによっ企業ユーザーを拡大するという狙いも込められている。Slackは今後もさらに大企業の注目を集める機能を開発していくものと思われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

第10回HAXデモディで見かけた傑作ハードウェアたち

サンフランシスコミント(旧サンフランシスコ造幣局)で行われたハードウェアアクセラレーターHAXを取材した。今回10回目を数えるこのイベントで、新しいハードウェアスタートアップたちをチェックするためだ。多くのスタートアップたちが、ハードウェアとソフトウェアのクリエイティブな組み合わせを展示していた。特に旧来のサービスや時代遅れのビジネスモデルを改善するために、機械学習を取り込んだものが目立った。

HAXは、中国でのプロトタイピングと製造を行なう専門性で知られている。HAXの支援を受ける企業は、ハードウェアのスタートアップの創業者が直面する、個別の課題に対処するための専用リソースを、手にすることができる。

1/11:Breezi

BreeziはHVAC(heating, ventilation, and air-conditioning:冷暖房空調)システムをモニターし、フィルタの性能に関する重要な情報を提供する。Amazon Alexaとの統合により、HVACシステムの状態を声を使って確認し、最適なタイミングで交換用のフィルタを簡単に注文できるようにすることで、お金を節約して健康を改善することができる。

同社は、気圧やシステムの他の状態をモニターするために、エアフィルタに直接配置できるセンサを販売する。

2/11:Digi Bio

Digi Bioは、バイオテクノロジー研究を加速するためのハードウェアを開発している。同社の最初の製品は、一般的なテストを猛烈なスピードで実行するようにプログラムできる、マイクロ流体チップ実験を自動化するボックスだ。

3/11:EngX

EngXは、3D印刷、組立、配線が可能な製造ツールを利用して、生産プロセスのスピードアップを図っている。これまでの3Dプリンタは印刷のみが可能で、組立以降には手作業が残されていた。

現段階では組立はカスタマイズ可能な部品トレイを使って行われているが、チームによれば、将来的には組立プロセスをより広く適用可能にするために、コンピュータービジョンを更に統合したいということだ。

4/11 :Flow Neuroscience

Flowチームは、神経科学分野の研究を活用して、うつ病の治療をターゲットとした、電気インパルス利用の特殊なウェアラブルを開発している。研究では、活動の低下した左前頭葉を活性化することで、しばしばうつ病の症状が軽減されることが示されている。

ユーザーは、最初は25分間ヘッドバンドを週に5回まで着用し、徐々にその使用量を減らしていく。目標は、抗うつ薬の必要性を減らして、患者を助けることだ。

5/11 :GardenSpace

GardenSpaceはホームガーデニング用のモニターツールです。カメラを装備しているGardenSpaceは、植物の健康に関する情報を提供し、必要に応じて水やりを管理することができる。

チームはサーマルイメージングを利用して脱水状態をモニターしている。植物をGardenSpaceと一緒に育てるときに、システムは過去のベンチマークを参照しながら、モバイルアプリを通して状況を報告する。

6/11 :Lumotune

Lumotuneは店舗オーナーのためのコンテンツを表示する透明ガラスを製造している。物理世界とデジタル世界を橋渡しすることで、小売業者たちはタイミングに合わせて広告を変化させることができる。

Lumotuneは主にそのガラスを店舗に賃貸し、これまでの窓の後ろに広告ボードとして設置する。同社はまた、パネルの大量販売も行なっている。そうした顧客は特殊ガラスを窓に直接取り付けることができる。

7/11 :SmartShepherd

SmartShepherdは畜産業界を支援している。従来のやり方に比べてほんのわずかの手間で、完全な血統記録を行なうことができる。スタートアップのIoTデバイスは、新しく生まれた仔羊たちの母親たちを追跡するようにデザインされている。近親交配を減らすことで、農民の重要な資本を保護し、業界全体の成果を改善することができる。

8/11 :Teamosa

Teamosaは、お茶を淹れる際に、抗酸化物質が最大限保持されるようにデザインされたティーメーカーだ。このデバイスは温度と時間をコントロールし、自身を自動的に清掃することができる。

超音波を使ってお茶を淹れることに加えて、Teamosaはティーメーカー用にデザインされた特別包装のお茶も販売する。もちろん、消費者は望むなら自分のお茶を使うこともできる。

9/11 :ZiO Health

ZiO Healthは、さまざまな体液に対応できる検査システムを構築しようとしている。現段階では、ZiOは母乳に焦点を当てている。特製カートリッジと一緒に使用すれば、ZiOは母乳の質と、重要なビタミンや望ましくない汚染物質の存在について、母親たちに知らせることができる。将来は、血液と唾液も扱うようにしたいとZiOは考えている。

10/11 :Moona

Moonaのカスタム枕は水を使って枕の温度をコントロールし、人びとの眠りを改善する。クローズドループの加熱冷却システムにより、水の交換や定期的な清掃を心配することなく、毎晩特定のセッティングで眠ることができる。

ソフトウェアは、機械学習を使用して睡眠パターンをモニターし、一晩中枕の温度を自動的に調整して睡眠の質を最大限に高める。

11/11 :Unsupervised

Unsupervisedは「脚付き」自律ラストマイル配送のブランドだ。スタートアップによる最初の配送ロボットはAidaだ。強化学習を使うことによって、Aidaは複雑で変わりやすい環境で動作することができる。

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(翻訳:Sako)

SparkLabs Groupがアグテックスタートアップを専門的に育成するアクセラレーターをオーストラリアに開校

アジア最大のアクセラレーターグループを自称するSparkLabs Groupが、オーストラリアのニューサウスウェールズ州第一次産業省とパートナーして、アグテック(農業×テクノロジー)のスタートアップを育てる新しい事業、SparkLabs Cultiv8を立ち上げる。その本部はニューサウスウェールズ州オレンジに置かれ、2018年の第二四半期にアクセラレーターとしての事業を開始する。

一回の育成期間は8か月で、8から12のスタートアップを受け入れる。彼らはSparkLabsと一次産業省が作った学習施設Global Ag-Tech Ecosystem(Gate)で学び、オレンジにある同省の研究所や農場…シドニーから車で3時間ぐらい…を利用して、プロトタイピングを行う。また一社につき10万オーストラリアドル(約8万USドル)の資金を授与される。

“それは都市のコワーキングスペースではない。アグテックやサステナビリティのスタートアップにとって重要な最上級の施設や便宜へのアクセスを与える”、とCultiv8のパートナーJonathon Quigleyは語る

Cultiv8のローンチによりSparkLabsは、韓国、台湾、中国、香港、オーストラリアなどでアクセラレーター事業を展開する。オーストラリアの農業はすでにアジアだけでも数十億ドルの農産物を輸出しているからとくに重要だ。2050年には輸出量が倍増すると予想されているから、アグテックスタートアップのスケールアップに関しても実践的な勉強ができる。

農業と食品関連のテクノロジーは最近投資家たちも注目するようになり、投資総額は2015年に記録的な額に達した。しかしQuigleyによると、それはまだ初期的な投資の段階にすぎない。彼によるとIoTのコストがもっと下がれば、さらに多くのスタートアップが、農家の資源管理や廃棄物〜無駄の減少、反収のアップなどのための監視分析ハードウェアやソフトウェアを手掛けるようになるだろう。

Quigleyによると、Cultiv8は農業技術に大きな影響を与えうるIPを持っているスタートアップをとくに歓迎したい。彼らが正しい経営をしていけば、急速にスケールするだろう。

“アグテックの現状は、2009年ごろのAIに似ている”、とQuigleyは語る。“SiriはAppleに買われてから爆発的に伸びた。アグテックの分野にも、起業や投資の機会を求めている優秀な才能の持ち主がたくさんいる。われわれは、実際に会社を興して農業をディスラプトしたいと考えている未来のファウンダーたちを育てていきたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

未払い請求書への対応を自動化するYayPayが$5.3Mを調達、新たに入金予報機能を導入

本誌TechCrunchのStartup Battlefieldに出てから2年になるYayPayが、530万ドルをQED Investors, Birchmere, Fifth Third Capital, それに500 Fintech Fund, Aspect Ventures, Gaingels, Techstars, Zelkovaなどから調達した。

YayPayは会社の経理部の仕事を最適化する。とりわけ、これまではあまりにも多くの中小企業が、未払い請求の催促をめぐって大量の時間を浪費していた。YayPayはそういう請求書の追跡を自動化し、状態のチェックや、リマインダー(この場合“督促状”)の送付を行う。

最近同社は、キャッシュフローの予報機能を導入した。YayPayは過去の請求〜支払い状況を見て、今の請求の支払日を予言する。そうやって入金の期日が分かれば、会社の銀行口座の近未来の残高も予測できる。

このサービスは既存のERPとの統合もでき、またチームでコラボレーションしながら利用できるから、今だれが何をやってるか分かり、放置されていた顧客にも対応できる。

また、このサービスの管理コンソール上で過去の請求書を調べ、履歴データを作れる。これまでYayPayが処理した請求書は15万あまり、それは1億ドル以上の売掛金(受取勘定)に相当する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「見えない小売店」を目指すDarkstore

オンデマンドフルフィルメント(商品の受注決済在庫管理配送を全て手がけるサービス)スタートアップのDarkstoreが、T-Force Final Mileと提携し、さらに33の全国のマーケットを追加した。これによってDarkstoreが対象とするマーケットの総数は40となった、その中にはサンフランシスコ、ロサンゼルス、ポートランド、マイアミ、アトランタ、ボストン、リノ、そしてオースティンなどが含まれている。

T-Force Final Mileは、IKEA、Office Depot、そしてAmazonのための配送を行っているラストマイル配送会社だ。この提携のおかげで、Darkstoreは全国にあるT-Forceの40の倉庫をフルフィルメントセンターとして利用できるようになる。

Darkstoreは、顧客基盤を拡大するため、ショッピングカートの提供も発表した。これにより、各電子商取引ブランドは、コードを1行書くだけで、容易にオンデマンド配送を顧客に対して提供することができるようになる。

Darkstore’sのT-Forceとの提携と、ショッピングカートサービスの提供はDarkstoreの「見えない小売業者」になるという目標の一部を成すものだ。これはDarkstoreの創業者のLee Hnetinkaが先週私に語ったものだ。

Darkstoreは、貯蔵施設、モール、小売店の余剰倉庫を活用し、スマートフォンだけでフルフィルメントセンターとして機能させる。基本アイデアは、地元に倉庫のないブランドが、それをDarkstoreに保存しておき、当日出荷ができるようにするということだ。Darkstoreは在庫に対してはブランドに対して何も請求しないが、Darkstoreから出荷されるアイテムごとに価格の3%もしくは最低2ドル、そして最高20ドルまでを請求する。

実際の配送に関しては、DarkstoreはサンフランシスコのAxleHireやUberRUSHのような企業と提携している。他のマーケットでは、Darkstoreは、例えばDelivやブランドが使用したい他の地元の配送業者などのサービスを使用する。

Darkstoreの顧客一覧にはマットレススタートアップのTuft & Needle、プレミアムヘッドホンメーカーのMaster & Dynamic、衣料ブランドのWildfang、そしてソファスタートアップのBurrowなどが登録されている。

Darkstoreは昨年5月にローンチした。それ以来、Darkstoreは150万ドル以上の資金調達を行って来ている。4月にはPivo​​tNorthからの140万ドルの資金調達が続いた。Darkstoreの目標は今年末までに1億1000万ドル相当の製品の出荷を行なうことだ。Hnetinkaによれば、Darkstoreはその指標を「予想以上に早く達成している」。

平均してDarkstoreは1注文当たり16.50ドルの収益を挙げている。平均注文額は550.22ドルだ。昨年には、Darkstoreは毎月25%の収益と注文の伸びを見せていた。

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(翻訳:Sako)

シリコンバレーの外で成長中、大衆市場を狙うスタートアップたち

【編集部注】執筆者のHans TungはGGV Capitalのマネージングパートナー

シリコンバレーは長きにわたって、現状を打ち破ろうとするテック企業のホームグラウンドとして知られてきた。しかしエンジニアやプロダクトマネージャーといった人材の拡散、ミレニアル世代の影響力の増大、さらにはソーシャルメディアを介したeブランドの台頭といった要素が相互に作用し合い、シリコンバレーの外でも新たな動きが生まれ始めている。

昨年ニューヨークではB2Cビジネスが転換期を迎え、ロサンゼルスもSnapDollar Shave Clubをはじめとするスタートアップの活躍で注目を集めた。

母校に近い都市部での生活を選ぶ新卒生が増える中、シリコンバレーの独占状態は崩れ始め、結果的にサンフランシスコのベイエリアに拠点を置く大手テック企業も、本拠地以外のオフィスを拡大し始めた。特にニューヨークやロサンゼルスといった大都市では、長年コンシューマー向けブランドやエンターテイメント、メディア企業で活躍してきたスペシャリストと”国境なきエンジニア”の間にシナジーが生まれつつある。

例えばシリコンバレーで力をつけたエンジニアと、ニューヨークに蓄積したブランディング、メディア、ファイナンス、ヘルスケア、コマース、製造といった業界のノウハウーーそしてGGV Capitalにとっては友人のようなBoxGroup, First Round, General Catalyst, Greycroft, Lerer Ventures, Max Ventures and Union Squareなどのニューヨークに拠点を置くVCーーが全て合わさることで、さまざまなウェブ・モバイルファーストプラットフォームやeブランドが誕生している。

私たちはミレニアル世代(アメリカ:7500万人、中国:3億人)という名の新しい大衆市場には、途方も無いほどのチャンスが眠っていると考えている。だからこそGGV Capitalは、昨年だけでニューヨークの企業に合計9回もの投資を行ったのだ。

テクノロジー人材の流入

健全なエコシステムの醸成には、大企業と荒削りなスタートアップの共存が不可欠で、人材やアイディア、資金が双方向に流れることで両者にメリットが生まれる。ニューヨークでは既にそのような動きが一定の効果を発揮しつつある。Googleは2008年から2012年の間にニューヨークオフィスの社員数を倍増させ、FacebookやHPも同時期にニューヨークの人材を増強した。そして、このような企業で腕を磨いたエンジニアたちは自らビジネスを立ち上げ、以前からニューヨークで活躍するブランディングやメディアのスペシャリストとタッグを組んでいるのだ。

プラットフォームとブランド

このような文化をまたいだコラボレーションは、大きなビジネスに繋がる可能性を持っている。シリコンバレーは世界でも有数のプラットフォーム発祥地として知られているが、テクノロジー以外の分野では、コンシューマー向けブランドをつくろうという気運が高まっているとはいえない。

ベイエリアでは最先端のイノベーションや、特定の市場の課題を解決するためのプラットフォームの創出に重きが置かれている。その一方で、シャンプーや缶飲料、服といった一般的に消費額の多い日用品となると、シリコンバレーは富裕層に目を向けがちなところがある(400ドルもするWiFi機能搭載ジューサーなどを思い浮かべてみてほしい)。

確かにニューヨークのスタートアップの多くも、これまでは大衆市場ではなく富裕層を主なターゲットにしてきた。しかし、質はそのままに価格だけを下げた商品で大衆市場を狙うWishIbottaPoshmarkといった企業は、未だに需要が満たされきれていない大衆市場の伸びしろに気づいたのだ。

ここからがニューヨークらしいところで、現在街にあふれるデザイナーやマーケターは、大手小売企業を離れて自分たちでEC企業を立ち上げようとしている。

ロサンゼルスでも、約260億ドルの時価総額を誇るSnapや、Unileverに10億ドルで買収されたDollar Shave Club、さらにはMobalyticsMusical.lyMightyをはじめとする急成長中のスタートアップ各社のおかげもあり、スタートアップエコシステムが芽を出し始めた。

生まれ変わるメディア

メディアビジネスもニューヨークのスタートアップの得意分野だ。シリコンバレーで生まれたプラットフォームやツールは従来のメディアビジネスに大きな影響を与えたが、シリコンバレー発のメディア企業という話はほとんど聞かない。その一方で、アメリカメディアの中心地としてのニューヨークの力は衰えておらず、スタンフォード大学が優秀なエンジニアを輩出するように、コロンビア大学ジャーナリズムスクールなどの有名校から数々のコンテンツクリエイターが誕生している。

The Huffington PostとBuzzfeedがSEO・ソーシャルメディア革命の波に乗って大きく成長し、現在ニューヨークでは新しい分野で新たなオーディエンスを狙うメディアビジネスの第2波が到来しつつある。

BuzzfeedBustle(女性向けのオンラインメディアで2013年の誕生以降急成長中)、Refinery29といった企業は、潤沢な資金を持つ在ニューヨークの広告会社との物理的な近さを利用し、売上を伸ばしている。

そして彼らはシリコンバレーのスタートアップとは違う強みを持っている。GoogleやFacebookは、広告主ができるだけ多くの人にリーチできるようなツール・プラットフォームを提供する一方、ニューヨークのメディアスタートアップはそれぞれの強みを活かし、広告主と一緒にミレニアル世代に訴えかけるようなユニークなコンテンツを作っているのだ。さらに生放送のニュースを配信するCheddarやニュースレターのThe Skimm、VR動画のLittlstarといった企業がメディアの境界線をさらに押し広げようとしている。

国中に広がるスタートアップの波

以上の通り、ブランディング・メディアビジネスのメッカとしてのニューヨークの強みが、テクノロジーを活用したeブランド構築の原動力となっている。その一方でニューヨーク以外の都市も、自らの強みとシリコンバレー外に移住するエンジニアのスキルを融合させ、新しいビジネスを生み出そうとしている。

ロサンゼルスで言えばエンターテイメント、シアトルで言えばSaaS(Amazon、Microsoft、Expedia、Zillowなどがそれを後押ししている)、さらに中西部の街では食べ物とテクノロジーを組み合わせたビジネスが誕生しようとしている。シリコンバレーがテック界の潮流をつくるという構図に変化はなくとも、シリコンバレーやベイエリアの外にチャンスを求めている投資家や起業家にも十分望みは残されているのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

2017年に閉鎖された、かつて多くの資金調達を行ったスタートアップたち10社

立ち上がるスタートアップもあれば、失速するスタートアップもある。2017年にはいくつもの著名なスタートアップが失敗に終わった。JawboneからBeepi、Yik Yakに至るこれらの企業は、最終的にその扉を閉ざす前に大金を調達していた。

以下に挙げるのは、2017年の最初の9ヶ月に閉鎖される、もっとも多くの資金調達を行った10社だ(破綻順)。これらの企業は合計で、ベンチャーキャピタリストと銀行から合計17億ドルを調達している。

最終的に何もかもが失われるわけではない。経験と教訓が残されるのだ。創業者や開発者、マーケティング担当者、そして販売担当者たちは、苦戦を強いられたスタートアップで働くことによってのみ得られる知識を、この先活用することができる。

2017年にはまだ数ヶ月が残されていて、より多くのスタートアップが年末までには閉鎖されるだろう。しかし、企業が倒れることによって、起業家精神はさらに飛躍する。

1/10:Beepi

2017年2月にシャットダウン

5ラウンドを経て、35人の投資家から1億4895万ドルを調達

Beepiは良いアイデアに基くスタートアップのお手本だった。利用者たちは中古車を売買できるマーケットを提供していた。Beepiによって中古車が査定され、事務処理が行われ、新しいオーナーに配達される仕組みだった。従来の中古車販売代理店のコストのかかる手間と、手数料の構造を回避することを可能にするものだった。そして運用もしっかりしていて、強力なカスタマーサービスも大きなセールスポイントだった。しかし、最終的に会社は破綻に追い込まれた。

これまでのラウンドでは最高5億6000万ドルと評価され、Yuri Milner、Comerica、 Redpoint、Foundation Capital、Sherpa CapitalそしてFabrice Grindaなどを含む35の投資家たちから資金を調達していた。

しかし、とある情報源によると、Beepiは優先順位の設定に間違いがあったということだ。かつての従業員の1人が語るには、Beepiは最高で300人を雇用していたときには、月に700万ドルを失っていたということだ(先の12月にはFair.comへの売却交渉のために200人をレイオフした)。

2/10:HomeHero

2017年2月にシャットダウン

3ラウンドで7人の投資家から2320万ドルを調達。

HomeHeroは、非医療在宅介護サービスの提供に失敗し、2017年2月に閉鎖された。CEOのKyle Hillは、Mediumの投稿の中で、1099型請負形態(税務の責任が全て労働側にあるフリーランス契約)からW2型雇用形態(雇用者側で源泉徴収の発生する契約)に転換したことを、「劣った雇用ビジネス」と呼び、中心となるアイデンティティを企業が失った理由とした挙げた。

同社は、在宅介護労働者たちを、それを必要とする家族たちとつなぐために2300万ドルを調達していた。途中、病院と提携し、HomeHeroに雇用された医療従事者の世話を受けて、家族の健康状態をモニタすることを助けるサービスを開始していた。

最終的な目標は、入院のリスクを減らしてくれるHomeHeroのようなサービスの費用をカバーできる保険会社と、直接仕事をすることだったが、明らかに会社を救うことはできなかった。

3/10:Auctionata

2017年2月にシャットダウン

6ラウンドで、9565万ドルを15人の投資家から調達。

Auctionataは、期待していた資金調達に失敗し、事業を停止した。同社は、2012年の設立以来、美術品と蒐集品のオンラインオークションをライブ放送するために、9500万ドル以上を調達していた。

ライブストリーミングオークションは、アート界の多くの人々の間では長年抱かれてきた野望だった。このようなフォーマットは、物理的制約からの脱却を可能にし、より幅広い入札参加者を得て、出品アイテムにもより高い入札が行われるだろうという、大いなる期待が抱かれている。しかし、ライブストリーミングイベントを使った初期の試みは、(言うならば…)彼らの期待を達成することができず、遅いブロードバンド速度は混乱を招き、それ以外の問題も多数あった
会社が閉鎖する前にはPaddle8と合併していた(Paddle8は2011年の創業以来4400万ドルを調達していた)。

4/10:Quixey

2017年5月にシャットダウン

4ラウンドで1億6490万ドルを調達

Quixeyは当初Mountain Viewを拠点とするモバイル検索会社として立ち上げられた。しかしその後アプリのためのデジタルアシスタントを作成するために分離した。

同社は1億6490万ドルを調達し、評価額は一時は6億ドルに達した。しかし、同社がデジタルアシスタントを構築していたときには、AppleやGoogle、そして最終的にはSamsungに買収されたVivのようなスタートアップも存在していた。

かつての同社の売りは、ユーザーがアプリ内でコンテンツを検索するのを助け、そして検索結果からパーソナライズされたアクション(例えば近くにいるFacebookの友人を表示したり、Spotifyの中で個人的なプレイリストを呼び出したり)を行える技術を開発したということだった。

5/10:Yik Yak

2017年5月にシャットダウン

3ラウンドで、9人の投資家から7350万ドルを調達。

かつて人気のあった匿名のソーシャルネットワークYik Yakは、2017年5月に閉鎖された。おそらくはサイバーいじめと不愉快なコンテンツが皆にとってのアプリ体験を望ましくないものとしたのだ。TechCrunchで報告済だが、2016年末までにユーザーのダウンロード数は2015年の同期間に比べて76%減少し、同社はほとんどの従業員を解雇し始めた。
このアプリケーションは、ユーザーに匿名性を提供するフォーラムや、お互いにチャットする手段を提供している場合には、当然予測可能な問題に直面していた。それはあらゆる種類のサイバーいじめに悩まされ、一部の学校では禁止もされた。しかし、世界中から集った資金とアドバイスはその勢いを維持する手助けはできなかった。
Crunchbaseによれば、Yik Yakは2013年に設立されて以来、ベンチャーファンドで7340万ドルを調達し、2014年の順調な時期にはその評価額は4億ドルに迫っていた。

6/10:Sprig

2017年5月にシャットダウン

4ラウンドで、26人の投資家から5670万ドルを調達。

独自の食品を作り配送していたスタートアップのSprigは、2017年の5月に閉鎖した。

2013年の創業以来、Sprigは健康に配慮したランチとディナーを提供するために5670万ドルを調達してきた。Sprigは、その最後の数ヶ月の間、興味深い戦略を試行していた。

同社はチップ機能を追加し、競合他社のほとんどが契約社員に頼っていた時に、従業員たちにフルタイムの雇用を提案した。Sprigはこのことによって顧客の引き留めをより効果的に行なうことができると考えた。これはSprig社のCEOであり、元TechCrunchライターのGagan Biyaniが1月に語ったことだ。

7/10:Jawbone

2017年7月をシャットダウン

14ラウンドで、19人の投資家から 9億5080万ドルを調達。400万ドルの借入金。

コンシューマー向けウェアラブル市場における存在感を維持するための、複数年にわたる闘いを続けた後、Jawboneは2017年7月に清算を開始した。

それは1990年代後半にその起源を持つJawboneの、長く引き伸ばされてきた終焉だった。かつて隆盛を誇ったJamboxスピーカービジネスは、私たちがこの会社の転換を今年の始めに報告したときには、既に関係のないものになっていた。そして同社はウェアラブル業界の継続的な縮小により、特に大きな打撃を受けているようだ。

合計で同社は約9億5100万ドルを調達したようだ、投資したのはAndreessen Horowitz、Sequoia、Kleiner Perkins、JP Morgan、Mayfield、Khosla、そしてBlackRockのような従来の貸出銀行(lending bank)たちだ。

しかし、すべてが失われたわけではない。新しい無名の投資家からの資本注入により、元の会社の背後にあった原動力のなかから、Jawbone Health Hubという新しいビジネスが立ち上がろうとしている。

8/10:Hello

2017年6月にシャットダウン

4ラウンドで、7人の投資家から4051万ドルを調達。

ベッドサイドに置く睡眠トラッカーのSenseを作っていたHelloは2017年5月に閉鎖された。 同社のブログ記事によれば直前まで会社の買い手を探していたようだ。

Temasekが主導し、4000万ドルを調達した昨年のラウンドでは、同社は2億5000万ドルから3億ドルの間に評価されていた。同社は、最初の製品を作る際にKickstarterで240万ドルを調達したが、それ以来、昨年出した音声認識バージョンのような、新しい機能を追加しようとして来た。その最後のユニットの価格は149ドルだった。
Helloは腕に装着する必要のない睡眠トラッカーという位置付けの製品だった。枕に小さなトラッカーを入れ、それを部屋の適当な場所においた親機で受信する仕掛けだ。睡眠のトラッキングは、ますます多くのフィットネスと健康トラッキングの構成要素となってきており、iOSには「ベッドタイム」という標準搭載機能さえ追加されている。

9/10:Pearl

2017年6月にシャットダウン

1ラウンドで、 4人の投資家から5000万ドルを調達。

Pearlは、車のナンバープレートカバーに埋め込まれる後方用カメラとして、2016年に世に出された。途中4人の投資家から5000万ドルを調達したものの、1年後の2017年6月に閉鎖された。

元Appleのエンジニアたちのチームによって設立された同社は、最高の後方用カメラを提供しているという意見も見られる。しかしそれは、後方用カメラがほぼ全ての車両の標準装備となっている現在、500ドルという価格は買い手にとって過大なものに映ったものと思われる。

10/10:Juicero

2017年9月にシャットダウン

4ラウンドで、17人の投資家から1億1850万ドルを調達。

Juiceroは創業後わずか16ヶ月で閉鎖される。同社は、Google Ventures、Kleiner Perkins、Campbell Soup Companyなどの著名なVCから1億1800万ドル以上を調達した。

しかし同社はブルームバーグの記事によって苦しめられた。この記事は、同社の提供するジュースパックは同社の提供する400ドルの絞り器を必要とせず、手で絞ることができることを示したものだ。

キューリグのコーヒーメーカーに触発されて、大きな注目を集めることができる類似のキッチンアプライアンスを探していたベンチャー投資家たちがいたようだ。ジュース提供は増加する傾向にあり、Juiceroのアイデアは、皆が自宅で簡単にジュースを用意できるようにするというものだった。しかし、マシンの初期費用は高く、 単に新鮮なフルーツを買って搾るのではなく、詰め替用ジュースパックの追加費用を支払わなければならなかった。

[原文へ]

(翻訳:Sako)

多額のVCマネーを集めた、400ドルのジュースマシンが販売停止

一部で人気だった、400ドルのジュース・マシンが姿を消すこととなった。

「これまでに100万以上のジュースパックを販売してきましたが、Juicero本体およびパックの販売を停止することをご報告いたします」と、公式ブログ上にアナウンスが掲載されたのだ。

商品の返金にも応じるとのこと。「これから90日間、本体の返金に応じます」と記されている。

Juiceroを創立したのはDoug Evansで、サンフランシスコに拠点をおきつつ、Google Ventures、Kleiner Perkinsなど著名VCから11800万ドル以上の資金を調達していた。Melo7 Tech Partners経由でカーメロ・アンソニー(Carmelo Anthony)も出資していた。テック系以外からも、たとえばキャンベル・スープ・カンパニーも資金を提供している。Juiceroの資金調達は2013年に始まり、実際のプロダクト提供は16ヶ月前から行われていた。

Bloombergがプロダクトの有用性に対する疑義を記事にしてから、消費者の間からも疑いの声が上がっていたことも、販売停止に影響しているのかもしれない。

Juicero側は低価格プロダクトの提供などをアナウンスしていたが、それもかなわぬこととなった。現在は会社の買い手を探しているとのこと。

「プロダクトの有用性は伝えられたのではないかと思っています。このプロダクトによるサービスを継続して提供するためには、サービスの買い手を見つけるのが一番良いだろうという考えにいたったのです」と、ブログには記されている。

Keurigのコーヒーメーカーの大成功以来、いくつかのベンチャーがキッチン系プロダクトの開発を行なってきた。熱狂的な「ジュース信者」もいる中、家庭で簡単に本格的ジュースを提供するプロダクトが登場するのは当然のことといえただろう。しかしBloombergの記事がなくとも、本体価格は高価で、さらに専用のリフィル購入が必須である点で、魅力を感じなくなった人も多かったと思われる。

価格は一時700ドルとなっており、当初よりコストパフォーマンスに疑問を感じる人もいた。「シリコンバレー・エリート」専用のプロダクトだと揶揄するむきもあった。

ちなみに筆者もJuiceroのジュースを試してみたことがある。味については文句なくおいしかったと思う。RIP。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

私はハックされた!

8月22日火曜日の午後9時頃、ハッカーが自分のSIMと私のSIMをすり替えた ―― おそらくT-Mobileに電話をして。その結果、私の携帯ネットワークサービスは遮断され、そのすぐ後、ハッカーは私のGmailとFacebookのパスワードを変更し、私に代わってテキストメッセージを送った。2要素認証の通知はすべてデフォルトで私の携帯番号に送られたため、私は一切受け取ることができず、約2分間のうちに私はデジタル社会から閉め出された。

事態に気づいたのは午後10時頃で、私は被害を想定しT-Mobileに電話を掛けた。10:30までに私は古いSIMをリセットし、あらゆるパスワードを変更し、2要素認証アカウントとT-Mobileアカウントを強化した。これで二度と同じことが起きないはずだ。

しかし残念ながら、また起きるのではないかと心配している。

私を襲ったハッカーは綿密だった。ものの数分のうちに、彼だか彼女は私のFacebook Messengerのメッセージをすばやく検索し、出身がオハイオ州で、父親が病気であることを突き止めた。そしてこの情報を使って、私の暗号化通貨コミュニティーの知り合いに連絡をとった。そのストーリーは実に馬鹿げていた。支払いを済ませないと病院が父の生命維持装置を外すという。そして腹立たしくも私[に成りすました犯人]は、今すぐ10 bitcoinを借りて売る必要があり、翌日友達に15 bitcoin 返すのだという。幸い友人は間抜けではなかったので、即座の私と妻にメッセージをよこした。

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ハッカーのIPアドレス(173.239.232.29)はテキサス州プレイノにあるLogicWebを指しており、閲覧履歴がフロリダ州からログインしたことを示していることから、犯人(ら)は米国以外にいることが示唆される。明らかに慣れた手口であり、ここ一週間のうちに同じコミュニティーの友人がふたりもハックされた。

おそらくきっかけは、暗号化通貨分野の別の友人が先週ハックされたことに違いない。そのハックは、SIMのハイジャック以外すべて今回と同じ特徴をもっていた。ハッカーはまず、私の友人のFacebook Messengerに侵入し、リストの中で暗号化通貨に関心のある人全員(私を含む)と接触した。次にハッカーは、10 bitcoin送れば明日11 bitcoin返すと言った。困惑した私は、Bitcoinは持っているがそんなにたくさんではないと答えた。そこで私はあやしいと気づきこう言った、「Wallace Shawnとは話したか? 彼なら助けてくれると思う。たぶん今は Andreとディナー中だと思う」。ハッカーはWallaceと連絡がつかなかったと言い張った。私は詐欺を確信した。

このやりとりが、私へのハッキングにつながった。私がいくらかのbitcoinを持っていることを知ったハッカーが、次のターゲットに私を選んだのだ。

結局私は運がよかった。今のところ深刻な被害はなく、比較的早くアカウントは全部取り戻した。2要素認証をいくつか設定していたが、最初に携帯電話をやられたため、ほとんどアクセスできなかった。その後、全アカウントで認証アプリを有効にした。最大の疑問は、犯人がどうやって私のSIMカードを乗っ取ったのかだ。これがいちばん心配な部分であり、何が起きたのかをT-Mobileが調べている。

これは新しい問題ではない。Bitcoin取引所のKrakenは注意を喚起し、安全のためのヒントをいくつか書いている。

携帯電話会社に電話をかけて:

  • アカウントにパスコード/暗証番号を設定する

    • アカウント情報の〈あらゆる変更〉に適用されることを確認する
    • 同じアカウントの全部の番号に適用されることを確認する
    • パスコードを忘れたとき、何が起きるかを尋ねる
      • パスコードを盗まれたら何が起きるかも尋ねる
  • ポートフリーズを設定する

  • SIMロックを設定する

  • ハイリスクフラグを追加する

  • ウェブベースのオンライン管理用アカウントを閉鎖する

  • オンライン管理システムの追加登録を禁止する

  • 自分をハックしてみる

    • 相手がどんな情報を漏らすかを試す

    • 自分でどんなアカウント変更ができるか確認する

ほかに、プロバイダーメールアドレスは使わず、2要素認証や警告通知には、通常のアカウントと完全に隔離されたプリペイド携帯かGoogle Voiceの番号を使うことを推奨している。私はこれをすべて実行している。

これ以上証拠がでてこなければ ―― やつらを見つけ出すための情報は常に歓迎している ―― とりあえず私のデータは安全だと仮定するしかないが、同時にそれは、常に、永久に危険にさらされていることでもある。これは私にとってFacebook時代で初めての本格的ハッキング被害であり、パニックになったときの感覚はいまだに忘れられない。もしあなたに起きたときは、まず携帯電話を止め、それからメールその他のアカウントの処置をすることをお勧めする。そして、絶対安全なものはないと想定すること。今私は物理的セキュリティーの方がはるかに関心がある。自分の手の中にあるものの方が、ハードディスクの中にあるものより安全だと気付いたからだ。

私はハックされた。おそらくあなたもハックされる。ユーザーアカウントのハックは益々難しくなっているが、決して不可能ではない。最悪の事態に備え、起きないことを願おう。起きてしまったときでも、計画を立て、バックアップをしていれば、きっとチャンスはある。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook