500 Startups Japanが始動、元DeNAのVCと日本人パートナーが30億円規模運用へ

シリコンバレーの著名アクセラレーター「500 Startups」が日本にやってくる。

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500 Startups JapanパートナーのJames Riney氏

新たに発足した「500 Startups Japan」にアメリカ人と日本人と2人のパートナーが就任し、まもなく日本のスタートアップ企業への投資を開始する。もともと500 StartupsはNTTドコモと提携したり、GengoMakeLeapsPeatixWhillなど日本のスタートアップ企業に投資をしてきた経緯があるが、明確に日本に拠点を構えるのは今回が初めて。

パートナーの1人はディー・エヌ・エーの投資部門で1年半にわたってスタートアップ投資をしてきた元起業家でキャピタリストのジェームズ・リネイ(James Riney)氏。もう1人についてはまだ詳しくは書けないのだけど、日米スタートアップに詳しく、金融とテクノロジーのバックグラウンドを持つ日本人だ。ともに東京を拠点に活動するバイリンガルで、バックグラウンドと得意分野で相補関係にある2人が日本と米国を繋ぐという。

TechCrunch Japan読者には説明が不要かもしれないが、500 Startupsは、技術やアイデアを持つ少数精鋭のチームに少額の投資をして、ビジネス・企業を大きく育てる「アクセラレーター」としてY CombinatorやTechStarsなどと並んで知られている。Y Combinatorが米国指向が強いのに対して、500 Startupsは地理的にも投資ポートフォリオ的にも分散する傾向が強く、すでに韓国と、東南アジア、タイと3つがブランチとして立ち上がっている。今回の500 Startups Japanが海外拠点としては4つ目になる。500 Startupsは2010年の開始以来、50カ国以上で1200社以上に投資してきた。500 Startupsが投資したスタートアップ企業の成功例には、VikiTwilioWildfireSendGridMakerbotなどがある。9月4日にはグローバル投資のための3号ファンドとして8500万ドルを調達したことを発表している。

日本のスタートアップを米国へエグジットさせる

本家といえる米500 Starups(ファイブハンドレッド・スタートアップスと読む。念のため)同様に、シードからアーリーステージにある国内スタートアップ企業に投資をしていく。アメリカ企業による日本のスタートアップ企業の買収というクロスボーダーのM&Aを増やす、というのが500 Startups Japanのミッションの1つだ。

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最近でこそ少し増えてきたとはいえ、国内M&Aの件数はまだまだ少ない。買う側の企業の数が限られていることもあって、日本のスタートアップが目指すエグジットとしてはマザーズへのIPOが主流というのが現状だ。そのIPOも年間100件程度と上限がしれている。エグジット数が少ないのが日本のスタートアップエコシステムの成長にとってボトルネックの1つなのであれば、アメリカ企業が買いやすい座組を用意するのが最も効果的なのではないか、というのがパートナー2人の考えだ。「アメリカ企業が買えば、日本のM&A件数は10倍になる」とジェームズは言う。

過去にはZyngaによるウノウの買収や、GoogleによるSchaftの買収、最近だとIACによるエウレカの買収、直近には米イングリッシュセントラルによるラングリッチの買収というM&A事例はあるものの、アメリカ企業が日本のスタートアップ企業を買うのは例外的だ。

この背景には、いくつか理由がある。ジェームズは以前、老舗で有力VCのセコイア・キャピタルに、なぜ日本で投資をやらなのかと聞いたことがあるといい、その時に返ってきた理由というのはバブルなどマクロな経済環境のことをのぞくと以下の2つという。1つは日本のスタートアップ界隈が外部から見えない「ブラックボックス」であること。もう1つはM&Aに至るまでの日本チームとのコミュニケーションが難しく、米企業やVCなどシリコンバレー関係者からすれば買収後の企業・事業統合、いわゆるPMI(Post Merger Intergration)をうまくくやり切れる自信がないこと。一般的には買収に至るまでに2年くらいは対話をするもので、そうしたリード期間なしに、いきなり国境を超えた買収は難しいということだ。

逆に500 Startups JapanのVCとしての強みは、シリコンバレーにネットワークを持っていること。ジェームズは「We are not just 口先」と日本語と英語を交えて、これまでの日本のVCとは現地でのコネクションの広さと深さが違うと説明する。「日本人がサンフランシスコ・オフィスに駐在しているとしても、現地のテック・エリートのコミュニティーには溶け込めないことが多い。われわれはベン・ホロウィッツなどとも交流があるし、シリコンバレーのほとんどのテック・エリートとは1ホップか2ホップで繋がっている」。

全部で70人ほどいる500 StartupsのVCやスタッフはSlack上で日々情報交換をしていて、「例えばHomejoyがもうダメだというのは、それがメディアで広く伝えられる前からわれわれは知っていた」りするのだといい、この辺の情報力も日本のVCに対する差別化となると言う。アメリカでうまく行っているモデルを日本に持ち込むという点でも、この情報の速さがカギになると言う。

グローバルな投資スキームを、そのまま使う

500 Startupsからは資金と運営ノウハウなどで支援を受ける。ちなみに、お隣の韓国で500 Startupsが「500 Startups Kimchi」(キムチ)、東南アジアで「500 Startups Durian」(ドリアン)と名付けるなら、日本の500 Startupsは「500 Startups Sushi」となるべきではないのかと聞くと、「Only がいじん insisted stupid names like sushi or sakura」(スシとかサクラとか、そういうバカな名前がいいと言ったのはガイジンだけだよ)なのだそうだ。ジェームズは幼少期も合わせると、もうかれこれ日本に13年くらい住んだことになり、日本語もかなり話す。だから500 Startups Sushiとの命名に反対するくらいには日本のことが分かっているというわけだ。

ジェームズは東京のJPモルガンでキャリアをスタートし、後にSTORYS.JPを運営するレジュプレスの共同創業者として起業。その後はディー・エヌ・エーでVCとして投資を担当し、インドやインドネシア、タイ、ヨーロッパ、シリコンバレーなどで広く投資をしてきたという。その中にはAndreessen Horowitzや、Eric Schmidt、Vinod Khoslaなど、いわゆる「スマートマネー」が投資している企業もあるという(スマートマネーというのは、単なる資金提供だけでなく、ノウハウや知見、コネクションを提供することで、多くの起業家が投資してほしいと考えるトップ・ティアのVCやエンジェル投資家による資金のこと)。

国内VCの多くは「投資事業有限責任組合」だが、500 Startups Japanは組織としては「ケイマン・ストラクチャー」と呼ばれるシリコンバレーと同じ枠組みに沿う。投資契約のタームシートもグローバルのものを使うという。これは海外企業へ売却するというときに有利に働くかもしれない。ファンド規模は約30億円をターゲットしていて年末をめどに投資を始める。現在までの調達額やファンドの出資者は非公開だそう。500 Startups Japanとしての投資開始時期は未定だが年内の活動開始を予定しているという。ジェームズ自身は500 Startups本体からの投資であれば、すぐにも開始する用意があると話している。

投資対象領域はパートナー2人の得意領域である、バイオ、ヘルスケア、VR、ドローン、ロボティクスなんかがキーワードとして上がってきたが、「ゲームはやらないと思う。ただ、あまり領域を決めてやろうというわけではない」そうだ。

日本とアメリカのベンチャー投資額やエンジェル投資額は、調査レポートや年によって違いはあるが、それぞれざっと20〜40倍くらいの差がある(例えば経済産業省が2015年3月に公開した調査報告、起業・ベンチャー支援に関する調査「エンジェル投資家等を中心としたベンチャーエコシステムについて」に数字がある)。人口や経済規模からすれば、差はもう少し小さくても良いはずだ。これは結局のところ、これまでアメリカほど日本のスタートアップ企業への投資がリターンを多く産んでいないことが要因の1つ。もし米企業による日本のスタートアップ企業の買収が増えれば、米国同様に資金の流れが生まれて風向きが変わってくる可能性もありそうだ。

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500 StartupsファウンダーのDave McClure氏(左)と、James Riney氏(右)

スマートトイのMoffがバンダイナムコなどから1.6億円の資金調達——新領域と米国展開を強化

ウェアラブルデバイス「Moff Band」を2014年にリリースしたMoff。同社は9月7日、バンダイナムコエンターテインメント、ORSO、TomyK(既存株主でACCESS共同創業者である鎌田富久氏の会社だ)、個人投資家を引受先として、総額1億6000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

Moffは2013年10月の設立。大阪市主催のハッカソン「ものアプリハッカソン」をきっかけに、ウェアラブルデバイスの開発を目指すことになった(当時の話はこちらをご参考頂きたい)。2014年秋に日米で一般発売を開始したMoff Bandは、Amazon電子玩具カテゴリーで国内最高1位、米国最高2位を記録。販売台数に関しては明らかにしていないが、Moff代表取締役の高萩昭範氏いわく手応えは好調だという。

「Moff Band」

「Moff Band」

Moff Bandは内蔵する加速度センサーとジャイロセンサーによって人の動きを感知。Bluetoothで各種デバイスと連携する。例えば手を上下に振ることで、その動作に合わせて疑似的に楽器を演奏したりできる。

プロダクトは当初“スマートトイ”という触れ込みで製品を提供してきた。その先の構想はあったが、「いきなり(機能を)てんこ盛りにしても売れない。まずはベーシックなモノをと考えた」という。そしてトイというアプローチを通じて、「『体を動かす』ということはゲーム体験として通用するということが分かった」(高萩氏)という。そのため今後は低年齢層向けのトイにとどまらないプロダクトの展開を進める。

Moff Bandで取得した動作や姿勢の情報や独自のデータ解析技術を活用し、フィットネスやヘルスケアの分野でのゲーミフィケーション化を可能にするプラットフォーム「アクティブ・ゲーミフィケーション・プラットフォーム」を構築する。またパートナーとの事業開発も強化する。株主となったバンダイナムコエンターテイメントやORSOとのサービスの共同開発をすすめるほか、米国では10月以降大手玩具チェーン店と組んでの商品展開も予定している。

なおMoffは、米国展開の強化に向けて100%子会社の米国法人である「Moff USA」を設立したことも発表している。CEOには、米AppleやAT&T、ACCESS等で事業開発・アライアンス分野のVice Presidentを歴任したAlbert B. Chu氏が就任する。

左からMoff USA CEOのAlbert B. Chu氏、Moff代表取締役の高萩昭範氏

左からMoff USA CEOのAlbert B. Chu氏、Moff代表取締役の高萩昭範氏

BASEがオンライン決済サービス「PAY.JP」を開始、EC事業者をメインターゲットに

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

ネットショップ開設サービス「BASE」を提供するBASE。同社は今年の2月、オンライン決済サービス「Pureca」を開発するピュレカを買収し、自社で決済事業を行う発表していた。当初今春にもリリース予定としていたそのサービスがいよいよスタートした。同社は9月7日、決済サービス「PAY.JP」を公開した。

PAY.JPは、ウェブサイトやネットショップがクレジットカード決済機能を無料で簡単に導入できる開発者向けのサービス。審査の後、サイト上にコードを加えることで導入が可能。

世界でサービスを展開する米PayPalや今秋にも日本で正式にサービスを開始する予定のStripeのほかGMOペイメントゲートウェイをはじめとする国内の大手事業者、さらにはメタップスのSpikeなどがいる領域だが、PAY.JPのウリはサービスの使いやすさ、審査の速さ、導入の手軽さなどだという。初期費用および月額手数料は無料。決済手数料はVISAおよびMasterCardが3.0%、AMEX、JCB、Diners Club、Discover Cardは3.6%。2016年5月末までにサービスを導入した個人および法人を対象にした決済手数料無料キャンペーンも実施する。2月の発表以降、ウェブサービスを中心にしてすでに2000店舗の申し込みがあった。

PAY.JPのトップページ

PAY.JPのトップページ

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏は、立ち上げたときから一貫してBASEについて「(ITリテラシーが低いという意味で)お母さんでも使えるサービス」をコンセプトにしていると語っていた。BASEのショップ開設数は2年半で17万店舗。現在も毎月1万件ペースで店舗が増えているという。この成長はそれはそれですごいと思うが、決済は「BASEというプラットフォームの規模に適さない(より大きな)ウェブサービスをやっていく人に向けて提供するサービス」なのだそう。「BASEはネットもままならない人に『商売』のサービスを提供するというものだが、PAYではよりモノを簡単に買えるようにする。ずっとやりたかったサービス」(鶴岡氏)

鶴岡氏いわく、Stripeは自らもプログラムに参加していたY Combinator発のスタートアップが手がけるサービスをはじめとして、ウェブサービスでの決済で成長してきた。しかし日本ではスタートアップが手がけるウェブサービスの課金というのは米国ほど大きいとも言えない。さらには既存の決済事業者も居る状況。そういう状況もあって、PAY.JPでは当面はウェブサービスよりはECの事業者をターゲットにするという。「大手事業者のクライアントを(PAY.JPに)ひっくり返していくのでなく、例えば5年後に『ZOZOTOWN』のように成長しているような新興ECサイトへの導入をいかにできるか。料率だけでもPAY.JPはいいと思うが、料率だけならば(競合と)たたき合おうと思えばたたき合える。どうユーザーをサポートしていくかが重要」(鶴岡氏)

PAY.JPの事業は2〜3年後の黒字化を目指す。同社はBASE事業の売上について詳細を公開していないが、「BASEも売上を意識するフェーズになってきた。PAY.JPは当面コストがかかるので、それを支えるサービスにしたい」(鶴岡氏)としている。

動画広告とテレビCMの効果を統合的に分析、メタップスが新サービス

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8月28日に上場したメタップスが、上場後初となる新サービス「Metaps Video Analytics」を発表した。

Metaps Video Analyticsは動画広告のアナリティクスサービスだ。最大の特徴は動画広告の効果測定と、テレビCMの効果測定を統合して分析できる点。メタップスでは広告代理店からテレビ視聴率データの提供を受けており、これとスマートフォン向け動画広告の効果分析を統合的に分析することで、例えばスマホ向けの動画広告とテレビCMの効果を比較したり、その相乗効果を調べたりということが可能になるという。

Metaps Video Analyticsではこの動画広告とテレビCMの統合分析の機能のほか、主要動画メディアへの広告配信データの管理、主要動画メディアでの人気動画の統計データの閲覧、動画広告配信後のソーシャルメディア上でのクチコミデータの可視化といった機能を備える。料金は利用条件により異なるため応相談となっている。

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先日、元DeNA執行役員で同社のテレビCM制作にも携わっていた彌野泰弘氏による「『ハイパフォーマンスなテレビCM』がスタートアップの成長を加速させる」という寄稿を掲載したとおりで、スマートフォンアプリやウェブサービスのグロースにおいてテレビCMは無視できない存在になっている。だが莫大な費用のかかるテレビCMの効果を正確に、かつ1つのツールでウェブにおける広告効果と比較するようなことは難しい。メタップスはこういった課題を解決すべくこのサービスを開発したという。

「ツール上でアプリ、広告、動画広告、テレビCMが一元管理できるようになるので、効果測定がシャープになり、投資対効果が測れるようになるので、『次の一手』が打ちやすくなる。大きなタイトル持ってるアプリデベロッパーや海外アプリデベロッパーにも求められるツール」(メタップス)

 

スマート体温計のKinsa、新たに赤ちゃんの利用を想定した耳式スマート体温計をリリース

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近隣の流行感染症などの情報も活用するスマート体温計を提供しているKinsaが、耳式の新タイプを発表した。

最初のモデルは標準的な(スマートではあるが)タイプの体温計だった。こちらの耳式体温計はワイヤレスで、スマートフォンアプリケーションとはBluetoothで接続する。

Kinsaによる説明をみてみよう。

曰く、Kinsaの体温計で子供(もちろん大人でも利用できる)の熱をはかると、ただちにアプリケーション側で記録される。もし医者にかかるような場合には、情報を簡単に提示することができるわけだ。さらに新しい耳式タイプ(Smart Ear Thermometer)のリリースにともない、ソフトウェア的なアップデートも行なっている。すなわちこれまでの記録を参照するだけでなく、状況に応じた「アドバイス」をくれるようにもなっているのだとのこと。

「アドバイス」をくれる機能は「Guidance」と名付けられたもので、これまでの履歴や測定結果などの情報に基づいて、どのようなアクションをとるべきかを教えてくれる。

「具合の悪い子供の熱が、38.9度なのかそれとも39度なのかということはあまり重要ではないでしょう」と共同ファウンダーのInder Singhは言う。「とにかく高熱時にどのように対応すべきなのかが問題のはずです。Guidance機能ではそうした際に役立つことを第一に考えました」。

Guidance機能は新型のSmart Ear Thermometerでも、そして以前のSmart Stick Thermometerでも利用することができる。

なお新しいSmart Ear Thermometerでは、熱をはかるのに要する時間はわずか1秒だとなっている。寝ている赤ん坊の熱が気になるときなどにも便利に使うことができる。

Smart Ear ThermometerとSmart Stick Thermometerが競合するのではないかというのも気になる点だ。Singhに尋ねてみると、対象となる利用者層が異なるのだとの話だった。耳式は主に赤ちゃんに使うことを想定しているのだとのこと(訳注:耳式は通常タイプに比べて測定値の正確性がやや低いという話もあるようです)。

Kinsaは、個人の体温データの蓄積するだけでなく、クラウドソーシングの機能も備えている。すなわち近隣や学校で風邪などが流行していないかを知る手助けとなるのだ。帰宅した子供が風邪やあるいは鎖球菌性咽頭炎などに感染したのではないかと判断する一助となる。

KinsaのSmart Ear Thermometerは現在Indiegogoでキャンペーン中だ。29ドル99セントの早期割引は既に完売となっている。キャンペーン終了後の価格は60ドルとなる予定だそうだ。

興味のある方はこちらでキャンペーンの状況を確認することもできる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

1行でWebサイトを多言語化する「WOVN.io」が1.3億円をオプト、ニッセイから資金調達

すでにTechCrunch Japanで何度か紹介しているが、1行でWebサイトを多言語化する「WOVN.io」を運営するミニマル・テクノロジーズが今日、オプトベンチャーズ、ニッセイ・キャピタルを引受先とした1.3億円の第三者割当増資を実施したたことを明らかにした。同社は2014年3月設立で、これまでインキュベイトファンドから計約3000万円のシード投資を受けて、サービス開発を進めていた。

サービスを提供していく中で、大規模サイトでの利用ニーズが大きかったことから、これまでもエンタープライズ向けサービスを開始しているが、今回の資金調達によりセールス、開発とも加速すると林CEOは話している。

特に中国から日本への流入というインバウンド需要に対応するために、BaiduやNAVERのクローラー対応によるSEO対策など機能拡張を続けていたが、今後はWebサイトをローカライズするだけにとどまらず、海外ユーザーを獲得するためののプラットフォームと位置づけて、機能開発を行っていく予定という。

ちなみに、ミニマル・テクノロジーズはTechCrunch Tokyo 2014のスタートアップバトルのファイナリスト。今年11月のTechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルについては現在、参加企業を募集中だ。

“リアルなモノのDropbox”目指す——サマリーと寺田倉庫が組んだトランクルームサービス「Sumally Pocket」

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ファッションアイテムなどの「モノ」を軸にしたSNS「Sumally」を提供するサマリー。

Sumallyは”モノの百科事典”をうたうSNSだ。ユーザーは世の中にあるさまざまなアイテムから、欲しいものに「want」、持っているアイテムに「have」のタグを付けてリストを作ることができる。気になったアイテムはSumally上で購入したり、個人間で売買をしたりできる。

現在のユーザーは約60万人。登録されているアイテムは200万点に上る。将来的にはユーザーのwantやhaveを集めることで、「アイテムグラフ」と呼ぶようなユーザーとアイテムとの関連データベースを作り、さまざまな商品の購入にレコメンドを付けられるような世界観を目指しているという。

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そんなSumallyが今回リリースしたのは、アニメ「ドラえもん」に登場する、何でも収納し、取り出せるひみつ道具「四次元ポケット」がライバルだというトランクルームサービス「Sumally Pocket」だ。アプリは当初iOSでのみ提供。App Storeより無料でダウンロードできる。今後はAndroid版のリリースも予定する。

Sumally Pocketの使い方は次の通りだ。まずアプリ上で、書籍や衣類など、預けるアイテムの種類に合わせて段ボールを3種類から選択し、送付を依頼。専用の段ボール箱(このデザインが結構かわいい)にアイテムを詰め、アプリ上で日付を指定して集荷を依頼。配送業者に段ボールを手渡せばユーザー側の作業は完了だ。

倉庫に届いたアイテムは、スタッフが1点1点写真で撮影。撮影が完了し次第、アプリ上で閲覧・管理可能になる。必要になったアイテムは段ボール箱ごと、もしくはアイテム1点単位で取り出し(指定住所への送付)が可能だ。Sumallyとも連携しており、アイテムを公開することも可能。

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料金は月額保管料が1ボックスごとに300円。段ボール箱などのキット代金が1ボックス300円。取り出し送料が1ボックス(一辺38cmの段ボール箱)800円となっている。首都圏近郊であれば翌営業日の取り出しが可能。将来的には地域にもよるが、当日の取り出しにも対応するという。決済には事前に登録したクレジットカードを利用する。

現在は段ボール箱のサイズを固定しているが、将来的にはスノーボードをはじめとしたアウトドアグッズなど、大型の荷物にも対応することを検討する。また預けたアイテムを売買する機能なども提供する考えだ。

サービスは寺田倉庫と協業で提供する。寺田倉庫ではこれまでもトランクルームサービス「ミニクラ」を展開しており、すでに配送、保管のノウハウが豊富なのだそう。これにスマートフォン1つで完結するインターフェースを用意することで、トランクルームを超える新しい体験を提供したいとサマリー代表取締役の山本憲資氏は語る。

「これまでもオンライントランクルームサービスはあったが、モノを保存するだけでなく、(アプリ上で手軽に取り扱えるよう)データとして保存する。いわばリアルなアイテムのDropbox。ライバルはドラえもんの四次元ポケットだと思っている」(山本氏)

山本氏によると、トランクルーム市場は米国で約2兆円ある一方、日本では500億円規模。しかし年間20%で成長しているそう。今後は引っ越し業者や不動産業者との連携も進めつつ、早期に取り扱い10万箱を目指す。

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わずか1万DLのアプリが月商1000万円を達成する事例も——アプリ制作ツール「Yappli」運営元が3.3億円を調達

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「1年目は本当に大苦戦、月の売上は数十万円で毎月微増を繰り返すだけ。『いいプロダクトを作ったから来て使ってよ』というのでは全然ダメだった」——ノンプログラミングでアプリを制作できるツール「Yappli」を手がけるファストメディアの取材は、代表取締役の庵原保文氏のこんな重たい言葉から始まった。

同社は9月1日付けでグロービス・キャピタル・パートナーズ、Salesforce Ventures(米Salesforce.comグループのコーポレートベンチャー事業部)、YJキャピタル(既存株主でもある)、個人投資家の川田尚吾氏を引受先とした総額約3億3000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにしている。出資比率やバリュエーションは非公開。

ファストメディアは、ヤフーで同僚として働いていた庵原氏と共同創業者で取締役の佐野将史氏、取締役の黒田真澄氏の3人が2011年に立ち上げた個人プロジェクトからスタート。2013年にYappliを正式公開した。

Yappliはブラウザ上で機能をドラッグアンドドロップで配置し、クリエイティブをアップロードしていくことで、ノンプログラミングでスマートフォンアプリ(iOS/Android)を作成できるサービスだ。詳細は以下の動画を見てもらえばと思う。

ジオプッシュ(スマートフォンが特定のエリアにある際にプッシュ通知を送る機能)を含むプッシュ通知にも対応し、広告配信も可能、アプリの申請も代行する。冒頭で庵原氏が語るように、プロダクト自体は——初めてデモを見たリリース時から——イケていると思った。価格も月額9800円からと比較的安価で中小規模の会社でも使いやすい。だが、クラウドサービスとしてサイト上で販売していたところで有料ユーザーはほとんど増えなかったという。

同社はYJキャピタルからシードマネーを調達していたが、サービスインから1年経たずで売上は数十万円。さすがに「これでは危ない」となって方針を転換。大手企業をターゲットに営業を始めたところ、今度は驚くように案件が取れ始めた。新生銀行や日本ロレアル、女性アパレルのアダストリアホールディングスなどが次々と自社アプリの制作にYappliを導入。3人というスモールチームだったこともあって、サービスインから1年半経たずして単月黒字を達成した。

「革新的なサービスを作って数万円で手軽にスモールビジネスに提供しようとしたが、結局市場のニーズを見ていなかった。自社アプリを求めていたのはすでに顧客を抱えている大手企業。だがいざ制作会社に相談すると1000万円単位の見積もりが来るので、容易にアプリを制作できないという課題があった」(庵原氏)。そんな大手企業にこそプロダクトが刺さったのだという。「制作会社と比べれば10分の1程度で導入が可能。またノンプログラミングでアプリを作れるというのは、ITリテラシーの低いEC担当者であっても運用できるということ。そこも評価されている」(庵原氏)

サービスに登録する法人は、無料も含めて5000社。有料ユーザー(社数非公開)の7割はアパレル関連の自社アプリやブランドアプリだという。アプリはそのブランドのファンがダウンロードすることもあって、アクティブ率が高く、売上への貢献度も大きいケースが多いという。

「ブランドアプリであれば、アプリのプッシュ通知はメールマガジンよりも効果がある。ECサイトの売上全体のうち10%程度がアプリ経由というブランドも複数ある。1社だけだが、1万ダウンロードのアプリだけで月商1000万円を達成するという事例もある」(庵原氏)。プッシュ通知の開封率(通知が来て、そのアプリを起動すること)は約30%、通知から5分以内での開封率が5〜10%あるため、タイムセールなどを積極的に行うブランドも多いという。

同社では今回の調達を契機にサイト上で提供していた低価格帯のサービスの新規募集をいったん終了する。今後は人員を拡大し、サービス開発および法人営業に注力するとしている。

各都市に高齢者が自立生活できるための支援スタートアップを育てるインキュベータAging2.0

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一般消費者の中でも、20代から50代前半までの層は、その購買力ゆえに、いちばんだいじにされ話題にもなる年齢層だ。高齢者は、世界の人口の16%以上を占める*にも関わらず、購買力があまりないので、企業や投資家などから無視されがちだ。〔*: 言うまでもなく日本など‘先進国’では比率はもっともっと高い。〕

Aging2.0は、それを変えたいと願っている。9月に同社は、30日で30の都市を訪れ、高齢者のお世話ができるスタートアップを見つける。サンフランシスコを本拠地とするAging2.0は、高齢者にサービスを提供する起業家の支援を、自分のビジネスにしたいと考えている。すでに20近くの都市に支部があり、有望な企業に機関投資家を結びつけて育てるアクセラレータ事業Aging2.0 Academyを展開している。

来月(2015/9)同社が行うツアーは#30in30in30と呼ばれ、Google For Entrepreneursと提携して9月8日にキックオフする。その主なプログラムは、14の国におけるスタートアップのピッチ(売り込み)大会だ(オーストラリア、ベルギー、合衆国、中国、ドイツ、ペルー、イギリス、オランダ、日本(Aging2.0 #30in30in30 | Tokyo, Japan @ ITOKI Tokyo Innovation Center Oct 6 @ 6:00 pm – 9:00 pm)、チェコ、ブラジル、台湾、イスラエル、カナダ)。ファイナリストたちは11月にサンフランシスコで行われるAgeTech Expoでデモ等を行い、Aging2.0 Academyの次のバッチに優先入学できる。

Aging2.0の協同ファウンダStephen Johnstonは、Nokiaで事業開発部門のシニアマネージャだったが、その後、ヘルスケアのイノベーションを助けるコンサルティング企業を創業した。そのときのクライアントだったある富裕な家族の長老が、あまり例のない形の認知症で苦しんでいた。お金持ちでも、正しいケアが得られないこともある。そのことが、JohnstonをAgeing 2.0のローンチに導いた。

“その家族は私的な研究機関まで作って治療法を見つけようとした。そのときわれわれは、彼らの父親を支援できる適切な介護者を見つけるための、サービスやプロダクトがどこにもないことに気づいた。市場は、大きな機会を見逃していた”、とJohnstonは語る。

高齢者のためのサービスという、地味な業態にもかかわらず、同社はやがて、注目を集め始めた。Johnstonによると、合衆国だけでも、そして過去2ヶ月だけでも、5000万ドルあまりのベンチャー資金が、介護・養護関連のスタートアップに投じられている。それらはたとえば、HonorHomeHeroなどだ。

そのほかの、ポテンシャルの大きいイノベーション分野として、ヘルスケア・ウェアラブルや高齢者の安全確認デバイスが挙げられる。いずれも高齢者が家族等といつも接触している状態を作り出す製品だ。また、Stitchのようなソーシャルネットワーキングサイトや、ある種のスマートホームデバイスは、あまり動けない高齢者が一人でも生活できるようにする。

日本のSoftBankが開発した人型ロボットPepperのようなものでさえ、最初から高齢者との交流を想定して設計されている。日本では、高齢者人口が総人口の20%を超えている。

Johnstonは老年学の研究者Katy Fikeと一緒に、高齢者のケアとサービスにおけるイノベーションを支える、グローバルなエコシステムを作りたいと願っている。Aging2.0は現在、Generator VenturesやFormation CapitalなどのVCと協働して投資家のネットワークを作り、有望なスタートアップたちに彼らがプロダクトを世に出せるための資金を提供しようとしている。

“高齢者が病院や介護施設ではなくコミュニティで、自立的で健康で幸福な生活ができること。われわれはいろんなやり方で、この‘賞’というか‘ごほうび’が得られるよう、努力していきたい”、と彼は語る。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

不倫サイトAshley Madisonの漏洩データを使って、恐喝するハッカーたち

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不倫サイトAshley Madisonを襲ったハッカーらは、同サイトを使って浮気を目論んだであろう人々をゆするべく3600万通のメールを盗んだ。Brian Krebsが、ミルウォーキーのメールプロバイダー管理者Rick Romeroから聞いたところによると、彼がスパムフィルターを作って発信メールをブロックしたところ、ハックされたユーザーに対してアカウントを公開されたくなければ1Bitcoinを払うよう要求するメールが見つかった。

こんにちは、

誠に遺憾ながらあなたのデータは最近のAshley Madisonハック事件で漏洩し、今私はあなたの情報を持っている。

もし、私がこのテータをあなたのパートナーに送ることを防ぎたいなら、1.0000001Bitcoinsちょうど(約225米ドル)を以下のアドレスにお送りいただきたい。

1B8eH7HR87vbVbMzX4gk9nYyus3KnXs4Ez [link added]

誤った金額を送金することは、支払ったのがあなたであることが私にわからないことを意味している。

このメールを受け取ってからBTC(Bitcoin)を送るまでに、7日間の猶予がある。BTCを購入する場所を探す必要があれば、以下を調べられたい…

ユーザーの一人、MacはKrebsに、恐喝には大変困惑しているが心配はしていない、と話した。「やつらは私の請求先住所と姓名を知っているから、自宅の住所や私の素性を知ることは比較的容易だろう」と彼は言う。「もし暴露されれば結果は甘んじて受けるつもりだが、もちろんそうならないことを願っている。妻と私は二人とも幸せな結婚生活を送っているから」。

さらには、Ashley Madison自身がライバル相手にどんなハッキングを試みてきたかが徐々に明らかになってきた。例えば2012年、創業CTOのRaja Bhatiaは、ライバルのNerve.comが穴だらけだと書いている。

「彼らのプラットフォームは実にお粗末なつくりだ。私は全ユーザーデータを手に入れた」と、BhatiaはBidemanにメールで伝え、データベースのサンプルを入れたGithubアーカイブのリンクも書かれていた。「私は、無料ユーザーを有料ユーザーに変えることもその逆もできるし、ユーザー同士のメッセージを作成したり、未読状態をチェックすることもできる」

このリークが、様々な興味深い ー そして問題含みの ー ネタを、善玉ハッカーにも悪玉ハッカーにも与えることだけは間違いなさそうだ。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

お気に入りの「場所」をブックマークしておくためのMapstr、80万ドルを調達して新たな未来を画策中

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フランスのスタートアップであるMapstrが、提供する地図アプリケーションをご存知だろうか。しばらく前にバージョン1.0をリリースしたのだが、すでに次版を見据えた企画が進行中であるらしい。エンジェル投資家たちから80万ドルの資金を獲得し、数ヶ月のうちに新しい機能をリリースするとしている。

ご存じない方のために記しておくと、Mapstrは「場所」を対象としたブックマークサービスだ。地図とメモ機能をミックスして、お気に入りの場所を記録しておいたり、行きたい場所をチェックしておくことができる。

登録した場所にはいくつでも好きなだけタグ(restaurant、sushi、cocktail、など)を付けることができ、過去の記録情報を簡単に探すことができるようにもなっている。営業時間や電話番号なども、簡単に記録しておけるようになっている。

MapstrのファウンダーであるSébastien Caronとは先週話をする機会があった。このアプリケーションで実現したいことなどをいろいろと教えてくれた。先月にバージョン1.0をリリースして以来、5万人が利用して、40万ヶ所が登録されているのだそうだ。

最初に試したベータ版の頃は、情報をローカルに保存しておく自分のためだけのツールという体裁だった。バージョン1.0からは、自分の登録した場所を一覧できるプロフィール画面の機能が実装され、またそれらの場所情報を友人とシェアできるようになった。他の人を友だち登録すれば、その人が公開しているマップ情報を見て、そして面白そうな場所を発見することができるようになっているのだ。

このプロフィール機能は、Mapstrの今後にとってもとても重要なものだ。多くの人に「場所発見ツール」として使ってもらうため、たくさんの人に場所情報をブックマークして共有してもらいたいと考えているのだ。そしてそうした情報をより積極的に活用していきたいと考えている。これから実装する機能の一部を紹介すれば、まずブックマークした場所の近くにきたときに通知を送る機能を考えているそうだ。これにより、近くまで来ていたのにうっかり立ち寄り損ねてしまうようなことを防ぐことができる。また、場所をブックマークするだけでなく、自分で撮影した写真も加えられるようにしようとしている。ブックマークしたレストランのメニュー情報などもあわせて記録しておくことができるわけだ。さらに「オフィシャルマップ」の機能も考えているそうだ。たとえば雑誌社などが地図を作成し、一般の利用者たちがその情報をフォローするような使い道を考えている様子。

なお、現在はiOS版のみが提供されている。Mapstrとしては、近々Android版およびApple Watch版もリリースしたいと考えているのだそうだ。などなど。ともかく多くのプランが現在進行形で動いているところであるらしい。新たに獲得した資金で、試してみたいことがいろいろとあるようだ。

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(翻訳:Maeda, H

「食料需給のミスマッチを解決する」肉や野菜の直接取引プラットフォーム「SEND」が正式オープン

左からプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏、StartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏

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6月に紹介したプラネット・テーブルの食材・情報取引プラットフォーム「SEND(センド)」。これまで試験的に一部ユーザーにげんていして提供してきたこのサービスが8月25日に正式オープンした。今後は広く利用希望の生産者や飲食店を募集。承認制で順次サービスを提供していく。

SENDは特長やこだわりのある食材を持つ生産者と、そんな食材を使いたい飲食店のシェフをつなぎ、オンライン上で直接取引を行うプラットフォームだ。取引だけでなく、トラック(現在は1台。間もなく2台目を導入予定)による配送や倉庫での保管についても同社が担当する。当初は広尾や恵比寿、六本木などを中心に、客単価5000円以上で食材にこだわる飲食店をターゲットにサービスを展開する。試験運用時には約30件の生産者と約60店舗の飲食店らがサービスを利用している。取り扱うのはおもに肉と野菜。今後はラインアップを拡充する予定だが、鮮魚については扱う予定がないという。

前回の記事でも紹介したが、SENDはもともとプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏が「食料需給のミスマッチを解決する」という考えのもとにスタートしていることもあり、取引される食材にも特徴があるという。

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通常であれば野菜などは色やサイズなどの規格を分けて梱包し、発送するのが一般的だが、生産者はそれをまとめてSENDに送れば、同社の倉庫(オフィス内に業務用冷蔵庫が並んでいる)にてサイズ等を振り分け、需要に合わせて最適なかたちで飲食店に配送するといった仕組みをとっている。

また生産者は自身のプロフィールや商品をSENDに登録できるだけでなく、SENDが飲食店サイドからの要望をヒアリングし、「こんな野菜が欲しい」といったリクエスト情報を知ることができる。

飲食店サイドは、あらかじめ住所等を登録しておけば、生産者が登録した食材を選択し、発注量の個数を入力するだけで商品を注文できる。「これまでは紙に数量を書いてFAXで発注していた。同じように個数を入れるだけ。シェフは『電話、FAXより楽でないと嫌』と言っていたが、SENDなら冷蔵庫の前で食材を見ながらスマホで発注できる」(菊池氏)

冒頭では「直接取引」と紹介したのだが、厳密に言うと少し違うところがある。実はSENDでは、プラットフォーム上の流通データを分析して直近の発注量などを予測しており、事前に生産者に発注を行っている。そのため、現在サービスを提供している都心エリアであれば、シェフが注文した食材を当日、もしくは翌日の指定時間に届けることが可能だという。

なおSENDはポケットコンシェルジュやCyta、Rettyなどのサービス開発経験があるStartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏が“社外CTO”として開発を担当している。「 スタートアップの我々には、この難しいテーマに取り組めるエンジニアチームを雇うコストはなかった。 それであれば サービス要件定義までは我々が担当し、その先はただの外注ではなく、フェアな関係でトップクラスのエンジニアやチームに開発をお願いしようとなった。エンジニアを社内で1から教育していれば時間はかかったが、テストを含めて2カ月でサービスを提供できるまでになった」(菊池氏)

左からプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏、StartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏

左からプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏、StartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏

 

商品よりも“作品”を、売り方の話よりも作家とファンの接点を——23歳CTOとマンガ編集者の挑戦

左からマグネット代表取締役の佐渡島庸平氏、CTOの草野翔氏

漫画は、「商品」なのか、「作品」なのか。

Amazon.co.jpを筆頭にして、ネット上で漫画を売る場所は増え、同時に売り方やマーケティングに関する話も増えている。ただ、それではあくまで商品としての話であり、「作品」としてのではない。漫画を作品として出していくには、作家とファンが1対1で直接つながる関係性が求められるのではないか。

そのような考えから、イーブックイニシアティブジャパンのグループ会社であるマグネットは、漫画作品の公開・販売プラットフォーム「マグネット Publishing」を提供している。1年以上のベータ版運用の末、8月20日にサービスを正式オープンした。このサービスは一体なにを解決するのか。今回、同社CTOの草野翔氏と、代表を務める佐渡島庸平氏に話を聞いた。

 

左からマグネット代表取締役の佐渡島庸平氏、CTOの草野翔氏

左からマグネット代表取締役の佐渡島庸平氏、CTOの草野翔氏

“インターネット印刷所”を作る

もともとの出会いは2年ほど前。元講談社の編集者であり、現在は作家エージェントのコルク代表も務める佐渡島氏が、クックパッド代表執行役・穐田誉輝氏に出版業界の課題を説明していたところ、“すごいエンジニア”として紹介されたのが草野氏だったという。2人の出会いががきっかけとなり、1992年生まれの草野氏と1979年生まれの佐渡島氏で会社を立ち上げ、サービスを作ることになった。

草野氏は「電子書籍サービスというと少し違ってくるんですが……」と前置きしながら、「”インターネット印刷所”のようなものを作っています」と、マグネット Publishingを紹介する。このプラットフォームでは、作家は作品の発表や販売(売り上げの7割が作家に還元)、読者は作品の購入やSNSにおける埋め込みでの拡散などができる。

「もともとは電子書籍サービスをやりたい、ということで出発しました。でも、いまさら本屋さん(売り場)をやるのは少し違うと感じました。それよりも、作家の原稿をそのまま作品として見せたい場所がインターネット上にはないと思ったんです」(草野氏)。

マグネット設立前にはプロトタイプを作り、議論のたたき台にした。草野氏は以前から「単純な画像をシームレスに、ダウンロードを待つことなく読みたい」と思っていたそうだが、それを実現できるサービスがなかったため、自身で開発してみたのだという。また、電子書籍を出す際に、作家や出版社側がわざわざ自分たちでePubファイルを作るということにも疑問を持ちはじめた。Kindle出版のハウツーや、ePub ファイルの解説を主眼にしたKindle本が何冊も販売されているような状態で、はたしてそういったものは出版サービスなのだろうか。それはプラットフォーム側がやるべきではないか。

草野氏をはじめ4名のエンジニアで開発するマグネット Publishingでは、作家が画像ファイルをアップロードするだけで作品が発表できる。さらには大きな画像サイズ(たとえば横1万ピクセル)でも入稿可能だ。このプラットフォームでは、それらの元画像がディスプレイサイズに合わせて自動でリサイズされるなど作家の作業や負担を減らす細かな工夫もある。

ネットの強みは人と人を瞬間的につなぐこと

一方の佐渡島氏は、出版業界はいいシステムだったが課題もあると振り返る。

「出版社、印刷所、取次、書店など全員で出版という大きなシステムを作り上げていました。ぼくが出版社にいた10年でも、見せ方や売り方をめぐる議論がなされ、技術も進歩してきました。ただ、たくさんの人が関わることで、作者の思いや作品の質が劣化してきた側面があると思うんです。端的に言えば、作家と読者の距離が遠かった」(佐渡島氏)

では、オンラインではどうか。「インターネットの一番の強みは人と人を瞬間的につなぐところ」と佐渡島氏。作家とファンが1対1の関係でつながれるとしたら、コンテンツの価格は上がるのではないかという。

「売り場に並べて勝負するのではなく、ファンと直接つながり、手渡しするような関係で売る。でも、そういうコンテンツの発表の場や売り場がないから、マグネットが作るのです。ぼくが代表を務めている『コルク』の社名の由来は、ワインのコルクのように、(作品を)世界に運び、後世に残すこと。ワインって、『だれ』が『いつ』つくったのかという中身によって値段が決まるんです。同じように、コンテンツの値段も、『だれ』が『いつ』作ったのかによって、決まるようにしたい」(佐渡島氏)

だから、マグネットは「作家と読者をつなぐ漫画のネットワーク」という言葉を掲げる。オンラインでファンとつながる絶好の機会をつかむことは、作家と出版社のためにもなるだろう。直接つながったファンが、YouTubeやSlideShareのように埋め込み機能を用いて作品の認知を広げることもマグネットでならできる。SNSや作者自身のブログ上などさまざまな場で漫画の試し読みが可能になるのだ。

しかし、これまでネット上に漫画などのコンテンツが出てくると、それをどこでいかに売るのかという話だらけになってしまっていた。つまり、作家のつくったものが商品として扱われている状態だ。対照的にマグネットは作家の思いや原稿をそのまま伝える“作品”を発表(し販売)できる場を作っている。

「デジタル化で便利になりましたが、無機質な電子書籍では作家の思いや考えは全然伝わりません。草野さんとであれば、作家のこだわりを紙以上に再現できて、作家の思いを誰にも邪魔されずに、読者に直接届けていくものが作れるのではないかと思いました。ネットではコンテンツが無料でお金にならないからといって、みんなマネタイズの話にすぐ行きがちですが、ぼくらは収益があとからついてくると考えています。なぜなら、商品ではなく作品が求められていると思うから」(佐渡島氏)

技術ばかりを意識しすぎない

ベータ版では50名以上の作家が利用、読者を含めると1000人程度が登録をした。コルク所属の作家も利用し、SNSへの埋め込み機能のほか、さまざまな利用や感触を試している。今回の正式リリースでは、作家だけでなく、出版社も利用できるオープンなプラットフォームとなった。マグネットは、本質にこだわる。ビジネスのことは当分考えず、よりよい電子書籍のあり方を考え、実現していくことが最優先事項なのだ。

草野氏はCTOとして、「技術ばかりを意識しすぎないようにしている」という。「マグネットは、誰のために、なんのためにあるのかを繰り返し考えています。たとえば、作品の値段が時限的に変更できる機能を付けるのは、本質的に作家さんのためになるのかどうか。そのために意識的に技術研究をしています。よりよいリサイズ、よりよいページの扱いとはなんだろう。人工知能を活用ができないだろうか。そういうことを考え、試しています」

たとえばマグネット Publishingでは、画面サイズに応じて作品の画像サイズが変わるが、その際、きれいな画像が表示されるまで待つのではなく、一瞬粗い(ファイルサイズの小さい)画像が表示され、その後きれいになるようになっている。エンジニアとしては、粗い画面を一瞬ですら見せたくなった。でも読者は多少粗くても、作品を読みたいのだから、なるべく高速に表示できる方法を選んだ。そういったディスカッションを交わしながら、マグネットは少しずつ作られている。佐渡島氏は「コンテンツのための本気の仕組みがまだない」と指摘する。

「世界的にみて、純粋にコンテンツのためのプラットフォームはほとんどありません。アップルもグーグルもコンテンツで儲けようとしていないから、仕組みが本気ではないように思います。そして、売り場だけが増え、売り方だけが先行しすぎると、ランキング至上主義になり、作家に対して売り場の方が立場が強くなりすぎてしまうんです。だから、便利なツールをつくり、作家の要望を叶えたいんです。

一方、リアルな売り場においてニッチな作品は多くの数は売れません。だから、大衆受けする商品にしないといけない。つまり、商品にするには芸術のレベルを下げないといけないんですね。だから、作品を作品のまま出して、大きな商売にしていくための仕組みを作ることがマグネットの挑戦なんです」(佐渡島)

業界の先の姿を見据えたサービスを

ところで、マグネットに資本参加しているクックパッドは今年4月、イーブックイニシアティブジャパンの筆頭株主となった。今後、マグネットとイーブックイニシアティブジャパンが業務提携を進めるなかで、マグネットが開発するシステムを電子書籍販売サイト「eBookJapan」に一部転用するプランもあるという。

このような漫画・電子書籍周辺の動きの1つの大きな流れとして、DeNAの「マンガボックス」やNHN Playartの「comico」などマンガアプリが活況を呈しているという状況がある。それについてはどう思っているのか。

「戦い方が異なる」——佐渡島氏はこう語る。「有力なマンガアプリは資金力があるので、まずはいまと地続きのほうがいいんです。つまり、みんな雑誌や漫画本を読んでいるから、それをスマホに置き換えるというのはイメージできるでしょう。でも、マグネットの場合は、資金力がないからこそ、現在の出版ビジネスの仕組みを置き換えるような事業をやるのはむずかしい。だから、変容していく業界の先の姿を見据え、そのときに便利に使えるツールを開発しているのです」

草野氏も「なにも食い合っていない」とスタンスの違いを強調する。「ぼくらはインターネット上で作品をよりよく発表・購買するにはどういうツールやプラットフォームが必要なのか、というのをずっと考えています。だから、マグネットのツールをマンガアプリなどのプレイヤーが利用することも十分にありえると思います」

ベンチャーキャピタルなど外部の資本を入れていないマグネットには、事業計画のようなものはないのだという。「本質的なこと、世間に役に立つことをやればお金が付いてくると考えています。そもそもクックパッドも、耐えて耐えて成長してきた。だから、マグネットはものづくりをする作家や出版社が使いやすいツールを作り、提供するだけです」(佐渡島氏)。

作家が作品として発表でき、ファンと直接つながり、ファンは埋め込みなどで作家を応援する。ベータ版での課題としては、なかなか購買まではつながらなかったことがある。この新しい購買体験をどれだけ当たり前にしていけるのかがカギになるのかもしれない。「売り方」や「売り場」ばかりが語られ、「プラットフォーム」が力を持ちすぎていたネット上のコンテンツを取り巻く環境のなかで、はたして、ネット上に“作品”がどれだけ増えていくのか――ビジネスよりも本質を見続けるマグネットの挑戦がスタートを切った。

CasterBizは「ハイスペック秘書」にいつものツールで仕事が頼めるサービス(バトル応募企業紹介)

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「CasterBiz」は経理や人事、秘書業務といった細かい仕事をオンラインで依頼できるサービスだ。TechCrunch読者にとって便利そうなのは、FacebookやSlack、チャットワーク、メールなどなど、“いつものツール”を使って作業を依頼できる点。料金は契約期間によって異なるが、最安プランが1年契約で7万円で、月に実働30時間の作業を依頼できる。

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倍率100倍超の採用を通過したオンライン秘書

大きな特徴なのが、作業を担当する「オンライン秘書」の存在だ(CasterBizではオンラインアシスタントという名称)。サービスを運営するキャスターの中川祥太社長によれば、オンライン秘書は倍率100倍超の採用プロセスをくぐり抜けた人員。面談はSkypeを通じて合計3回実施し、主に以下の点をチェックして”ハイスペック秘書”を採用している。

 ・タイピングや使用しているWebツールなど
 ・履歴書、職務経歴書、本人確認証などからの過去の仕事実績
 ・採用媒体を通してのWebコミュニケーションのスピード
 ・模擬タスクに対する採点
 ・性格診断の結果

仕事はオンラインで完結することから、「FacebookやSkypeって何?みたいな人は一度目の面談にも到達できない」と中川氏。ある程度のネットリテラシーを重視しているようだ。6月と7月の応募総数は750件超で、このうち採用に至ったのは4人にとどまる。現在のオンライン秘書は15人で、クライアントごとに3〜5人がチームとなって担当する。そのため、同じ仕事を依頼する場合は以前と同じ説明が不要になるので、依頼するほどに便利になっていくメリットがある。

オンライン秘書に頼めることとは?

月額料金は12カ月契約で7万円、6カ月契約で8万円、3カ月契約で10万円といったプランがあり、いずれも月に実働30時間の作業を依頼できる。オンライン秘書は9時から18時まで待機しているが、頼んだ仕事の分だけ「実働時間」として消化する仕組み。業務委託や人材派遣と違って、”ハイスペック”な秘書を初期コストゼロで導入できるので、中小企業のバックオフィスを強化できそうだ。

実は僕もサービスローンチ前の2014年12月に試したことがある。依頼内容は、2014年にイグジットしたIT・ネット系のスタートアップの情報をまとめてほしいというもの。オンライン秘書とはFacebookを通じてやりとりし、情報はGoogle Spreadsheetで共有した。アウトプットは過不足なく、作業時間は合計12時間だった。

キャスターによれば、こうした調べ物以外にスケジュール調整や店舗予約、データ入力、メール返信代行、ソーシャルメディアの簡単な運用、振込代行といった作業を依頼できる。僕が依頼した仕事は重たい部類に入ると思うが、店選びや予約代行なら0.5時間〜、経費入力代行なら0.5〜1.0時間、振込代行なら1.0時間〜といった作業時間の目安となっている。

オンライン秘書といえば、以前TechCrunchで紹介した「kaorisan」をはじめいくつかのサービスがある。CasterBizはクライアントに対応するスタッフが固定している点、9時から18時であればリアルタイムに対応できる点などが異なると、中川氏は話す。オンライン秘書は市場といえるほどの規模はないが、4兆円といわれる派遣市場のリプレイスを図りたいという。

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実はキャスターは、今年11月18日に東京・渋谷で開催する「TechCrunch Tokyo 2015」の目玉企画、スタートアップバトル(以下、バトル)にエントリーした企業の1社だ。バトルは創業3年未満のスタートアップが、今年ローンチした、もしくはローンチ予定のプロダクトをプレゼンで競い合うというもの。昨年は113社のエントリーがあり、書類審査に通過した12社が決勝に進出した。今年のバトルは現在も募集中なので、我こそはというスタートアップは是非エントリーしていただきたい。

そうそう、バトルのエントリー締め切りは10月2日までだけど、8月24日(月)までにエントリーしたスタートアップには特典も用意している。僕らTechCrunch編集部のオフィスがある東京・末広町(秋葉原から徒歩数分)にある建物「3331 Arts Chiyoda」で8月27日(木)18時から開催するサマーパーティーに無料でご招待したい。パーティーにはバトルにエントリーしたスタートアップのほか、シード期のスタートアップに投資するVCも参加してもらう予定だ。

【TechCrunch Tokyo 2015スタートアップバトルの応募はこちらから

【TechCrunch Tokyo 2015の前売りチケット購入はこちらから

BuzzFeed、NBCUniversalからも2億ドルを調達

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BuzzFeedからのアナウンスによれば、NBCUniversalから2億ドルの資金を調達したようだ。

「前に出ていたニュースかな」と思った人もいることだろう。つい先週にも、NBCUniversalはVox Mediaに2億ドルを出資しているのだ。Re/code(しばらく前にVoxにより買収されている)は、BuzzFeedが評価額15億ドルにて、Vox Mediaと同額の2億ドルを調達した旨を報じている。

Voxに出資した際と同様、NBCUniversalは戦略的パートナーシップを結ぶことにより、何ができるのかを見極めていきたい旨をアナウンスしている。

ファウンダー兼CEOであるJonah Peretti(上の写真の人物)がBuzzFeedの従業員向けに配布したメモでは、Yahoo Japanとの提携にも触れつつ、次のように述べている。

最近になって行ったパートナーシップの構築は、まずBuzzFeedのエディトリアルおよびクリエイティブ面での独立性を維持するために行ったものです。NBCUなどからの資金調達や、急激に増えつつある売上で得られる収益により、私たちの独立性が担保されるわけです。短期の利益追求を目指したり、あるいはIPOのプレッシャーに晒されることなく、私たちは成長を続けることができるわけです。

BuzzFeedは1年前、Andreessen Horowitzから5000万ドルを調達している。BuzzFeedからの発表によれば、月間のユニークビジターは2億に達し、ビデオ閲覧回数は15億回に達しているとのことだ。

ちなみに、Gawkerは最近、リークされた資料に基づいてBuzzFeedの経営状況についての記事を掲載していた。それによればエディトリアル関連の予算は1040万ドルにのぼり、2014年上半期の純利益が270万ドルであったとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

スクーとエン・ジャパンが業務提携、転職希望者のスキル育成支援で特別カリキュラムを提供

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オンライン動画学習サービス「schoo WEB-campus」を運営するスクーと総合求人・転職支援サービス「エン転職」などを展開するエン・ジャパンが8月18日、業務提携を発表した。

今回の提携はウェブ・IT業界の人材不足の解消に向けた新しい人材の創出と企業から求められる人材の育成を目指すもの。スキルを持った人材を育成すべく、まず最初の取り組みとして、エン転職のユーザーに「schoo WEB-campus」の「Webデザイナー」(3コース:14授業、計12時間)、「Webプログラマー」(4コース:13授業、計13時間)「Webマーケター」(2コース:12授業、計12時間)の講座を無料で配信する。

これだけであれば、schooのコンテンツの配信先が1つ増えたというだけの話だが、9月からは人材の育成、転職についてより具体的な支援をしていくのだという。具体的には、スクーがエン転職のユーザーに対して、プログラミングやウェブデザインなどの特別カリキュラムを提供し、すべてを受講したユーザーに対して修了認定を行う。終了認定されたユーザーに対してはエン・ジャパンが転職サポートを行うほか、入社後の活躍・定着に向けたフォローを行うとしている。

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ペパボ創業者の家入氏の新会社キメラが始動、East Venturesや個人投資家から1億円の資金調達

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paperboy&co.(現:GMOペパボ)創業者の家入一真氏。29歳の最年少でJASDAQ上場(当時)を果たしたのち、飲食店経営や投資活動、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」運営のハイパーインターネッツやネットショップ開設サービス「BASE」運営のBASEなどの共同創業、果てには都知事選への立候補など——時に騒ぎを起こしつつも活動してきた同氏の新会社キメラがいよいよ本格的に動き出した。

キメラは8月18日、East Ventures、あすかホールディングス取締役会長の谷家衛氏、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏、ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏など複数の個人投資家、リブセンスを引受先とする総額1億円超の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。資金の調達に合わせて谷家氏が同社の取締役に就任する。キメラでは今回の資金調達をもとに人材の拡充やマーケティング強化、開発環境の整備を進めるとしている。

キメラでは、「新しい働き方の提案や雇用力を強化するサービスを開発する」としており、第1弾のプロダクトとして、タレントマネジメントシステム「LEAN」を開発中だ。キメラ共同創業者で取締役の佐野一機氏(paperboy&co.のブランド戦略などを担当したコンサルタントであり、その後自身でも起業。コスメ事業を立ち上げて売却し、現在サティス製薬取締役も務める)によると、クローズドベータ版サービスの運用はすでに開始しており、9月にも正式にサービスを開始する予定だという。

「最近ではリファラル採用(人材会社を利用しない、人づてでの採用のこと)という言葉も出てきているが、企業のHRに必要なインフロー(採用)、インターフロー(教育、配置)、アウトフロー(輩出)にそれぞれモジュールを提供していきたいと考えている。LEANはその採用のモジュール」(佐野氏)

機能の詳細については聞けなかったが、LEANは採用に向けた情報発信に加えて、入社した人材の属性を一元管理。さらにデータを蓄積していくことで、自社に求められるのがどのような人材であるかを確認できるようなプロダクトだという。海外ではすでにLeverのようなサービスが登場しているし。国内で言えばWantedlyなどが近いだろうか(同様のサービスを提供予定だったハッチは現在活動をストップしていると聞いている)。

キメラのコーポレートサイトでは、社名の由来である「キメラ」について「同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっていること。またそのような状態の個体のこと」という説明があるほか、その語源でもあるギリシャ神話の怪物「キメラ」を例に「獅子の頭、山羊の体、蛇の尾を持つ怪物キメラの様に、わたしたちはひとりひとりが独立した特徴を持つモンスターでありたい」というメッセージが書かれている。このメッセージどおりで、同社では今後LEANに加えて複数のサービスを展開していく予定だという。

日本ではコーポレート・ベンチャーキャピタルが主流

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【本稿の筆者、James Rineyは、DeNA Venture Capital Groupのプリンシパル】

アメリカで資金調達を考えるとき、コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)は「プランC」とほぼ同義だ。有力ベンチャーキャピタルから資金を得られなければプランBの準大手へと移る。それに失敗したときのプランCが、コーポレートだ。

例外はあっても、コーポレートは最後の手段と考えられがちだ。そこはあなたの会社が売れ残ったり、評価額が高すぎてそんな会社に小切手を書く頓狂な投資家は山ほどの「馬鹿マネー」を持っているところだけ、というときに行く場所だ。

「やつらは最低だ!」とUnion Square VenturesのFred Wilsonは言う。「彼らは会社の成功にも起業家の成功にも興味がない。大企業は自分たちの利益を最大化するために存在している。いい人や寛大になることはない。そんなものは彼らのDNAにない、だから投資家として最低なのだ」。

企業から資金調達することは米国で、とくにシリコンバレーでは理想的と言えないかもしれない。しかし日本では、IT起業家にコーポレート・ベンチャーキャピタルを嫌う贅沢は許されない。

CVC Participation Japan

様々な意味で、ベンチャーキャピタルとは基本的に企業の資金であり、それはコーポレート・ベンチャーキャピタルとしてだけでなく、個別ファンドの限定パートナーという形をとる場合もある。米国では圧倒的大部分の資金が年金基金、寄付、ファンドオブファンドなどの機関投資家から来ているが、日本では大半が企業からだ。

この相違は、日本の投資家の方がずっとリスク回避的であり、ベンチャーキャピタルは資金を投じるには危険すぎると広く理解されているためだ。そして、残念ながら、リターンはこの嫌悪感を乗り越えられるようなシリコンバレー並みにはいたっていない。

その結果、起業家の利用できるリスクマネーは著しく少ない。2014年、日本では9.6億ドルがベンチャーキャピタルに投じられたのに対して、米国では480億ドルだった ー 50倍の違いだ。エンジェル投資に関しては、違いは約10億ドル対241億ドルだ。言い換えれば、日本の起業家にはわずか19.6億ドルしか用意されていない。これは、おおよそAndreeseen Horowitzで5番目のファンドに相当する規模だ。

CVC Participation North America

ではなぜ日本企業はスタートアップに投資するのか?理由は他の国々の企業投資家とそう変わらない。企業投資の目的は金銭的見返りだけではない。経営的見地から、コーポレート・ベンチャー部門は、研究開発あるいは経営企画経費として見られている。

研究開発のニーズは、最新トレンドから目を離さなず、会社の中核ビジネスに影響を与えるものを手遅れになる前に発見することで満たされる。経営企画面からは、買収先企業を見つけるとともに、将来の提携を見越して有望な企業との関係を築くための機構の一つだ。要するに、彼らがVCをリスキーと考えているかどうかはあまり関係ない:金銭的見返りは主目的ではない。

スタートアップの資金の多くはいずれにせよ企業から来るため、企業マネーがなんらかの意味で独立マネーより劣るという発想は実はない。

実際、強力なブランドを持つ有力企業から資金を調達することは、市場に対して見せる姿勢として悪くない。体質的にリスクを嫌う国では、ブランド企業の後ろ盾は安定を意味し、その安定は途方もなく役に立つ。

CVC Participation Asia

名もない小さなスタートアップにとって、1年後も会社が存続していることを信じてもらえれば、ずっと顧客を説得しやすい。同じことは、優れた人材を雇うときにも言える。企業の後押しは、あなたのスタートアップという手漕ぎボートが、起業精神の嵐に出会っても沈没しないという幻想を与える。

認識は場所によって変わる。日出ずる国の起業投資家は、ベンチャーワールドのSequoiaだったり、Andreessen Horowitzだったりする。直観に反するかもしれないが、日本について聞くユニークな話は、おそらくこれが初めてではないだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Ingressを産んだNiantic Labs、Googleから独立して新たな成長を目指す

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Googleが設立するAlphabetに関連して、まだまだいろいろな動きが出てきそうだ。米国時間で8月12日には、Google内のとあるグループが別会社になる旨がアナウンスされた。Alphabet傘下にとどまるのかどうかについては、まずはみなさんで想像してみて欲しい。

独立するのはNiantic Labsで、Google+のIngressアカウントから以下のようにアナウンスがあった。

Important Account Information:Niantic Labsが独立した企業となります。Googleとも新たな協力/バックアップ関係を構築しつつ、さらに魅力的で面白いプロダクトを、いっそう多くの人にむけて提供していきたいと考えています。Ingressはこれまでに1200万ダウンロードを達成しており、世界中のライブイベントにも25万人以上の人が参加してきました。ゲーム参加者は探索や発見を大いに愉しみ、各参加者の移動距離を合計すると太陽から地球までの距離にも相当します。

さて、Alphabet傘下にとどまるのかどうかだが、結局完全に独立した企業としてやっていくことになるようだ。「NはNianticのN」ではなかったわけだ。もちろんGoogleとNiantic, Inc.の関係が完全に切れてしまうというわけではない。

Ingress Missions

TechCrunchの取材に対応してくれたスポークスパーソンは、今後の関係について次のように述べている。

Niantic Labsは、モバイルの世界に非常にイノベーティブなエクスペリエンスをもたらしてくれました。Ingressはその成果のひとつです。これまではGoogleのインキュベーションのもとにありましたが、すでに独立した企業として成長を求めていく段階に到達しているのです。これからも投資家やパートナーとして、全面的な協力関係を築いて行きたいと考えています。Nianticはこれからも世界中の人々に新しい、そして面白いプロダクトを問うていくことになるでしょう。そのような企業をサポートしていくことに、私たち自身も大いに期待しているのです。

Nianticは、Google内のスタートアップとして2010年にJohn Hankeが設立したものだ。そして多くのテック系の人々が熱中するIngressという拡張現実ゲームや、Field Tripというアプリケーションを世に送り出している。なるほど、NianticのプロダクトはGoogleの他プロジェクトと重なるものではないのかもしれない。そこで独立という成長の機会が与えられたということなのだろう。

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(翻訳:Maeda, H

マッチングサービス「Omiai」のネットマーケティングがマザーズ上場へ

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オンライン広告やマッチングサービス「Omiai」を提供するネットマーケティングは8月13日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は9月16日で、証券コードは6175。

ネットマーケティングでは上場にともなって、49万株を公募し、108万株を売り出す。ネットマーケティング代表取締役の宮本邦久氏(50万株)、ネットマーケティング取締役の長野貴浩氏(20万3100株)および松本英樹氏が(1万6900株)のほか、ベンチャーキャピタルのRIP2号R&D投資組合(33万株)、DBJキャピタル投資事業有限責任組合(2万株)などが株式を放出する。オーバーアロットメントによる売り出しは23万5500株。

公募・売り出し価格の仮条件の決定は8月27日、ブックビルディング期間は8月31日~9月4日。価格の決定日は9月7日。主幹事証券会社はSBI証券となっている。

同社の2013年6月期の売上高は46億9084万円、経常利益は5557万円、純利益は6140万円。2014年6月期の売上高は66億1864万円、経常利益は2億7314万円、純利益は1億2695万円となっている。

ネットマーケティングは2004年7月の創業。ウェブ広告代理店としてスタートし、アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)などを展開。2012年からはFacebookを使ったマッチングサービスのOmiaiを開始。2015年にはそのOmiaiの仕組みを利用したジョブマッチングサービス「Switch.」も展開している。