ライブでウェブデザインをコラボできるツールMarkUpをCerosがローンチ

デザイナーが他のチームとコラボレーションするときには、InVisionZeplinなどのツールを使うことができる。しかしCerosのクリエイティブ・ディレクターであるJack Dixon(ジャック・ディクソン)氏によると「市場にはかなり興味深いギャップがある」という。プロトタイプの段階が終わり実際に公開されて動いているライブなウェブサイトをアップデートしようとすると、工程が細分化され、スクリーンショットやメール、スマートフォン、Google Docsなどに頼ることが多くなってしまう。

かねてから対話的なコンテンツのユーザー体験(UX)の改良を目指しているCerosは、MarkUpと呼ばれる新しいプロダクトをローンチした。このプロダクトを制作したGreg DiNardo(グレッグ・ディナルド)氏とAlex Bullington(アレックス・ブリントン)氏は、世論調査やマーケティングリサーチのスタートアップArbitに在籍していたが、買収とともに同社に移籍した。

彼らが見せてくれた簡単なデモでは、ユーザーがウェブサイトの興味がある箇所をマークをつけて、コメントとタスクをそこに残し、改訂が終わるとそのマークを付ける方法を紹介してくれた。

それだけを見ると非常に単純明快だが、ディナルド氏によるとライブなサイト上でデザイン作業のコラボレーションを実現するのは、予想した以上でかなり技術的な難易度は高かったという。

それでも彼らは、極めてシンプルなプロダクトを作りたかった。ブリントン氏は「山のように大量の機能を搭載したくなかった。グラフィックデザイナーなら誰でも使えるツールにしたかった」という。

最終的にMarkUpは、デザイナーがチーム間でフィードバックをやり取りするだけでなく、一般ユーザーがフィードバックすることもできる。

Cerosによると、MarkUpは誰でも無料で使える。またCerosのメインのプラットフォームであるCeros Studioからは完全に独立している。それどころかすでにHuffington PostやCushman & Wakefield、Informaなどのデザイナーが利用している。

「今後は、初めて使う人たちにとっての障害をすべて取り除いて、文字通り誰でも100パーセント自由に使えるようにしたい。そのためには大きなコミュニティとユーザーベースの関与がぜひとも必要になる。最近わかってきたのはエンタープライズ顧客の一部は、サイトデザインのホワイトラベル化など、さらに高度な機能を求めているということだ。今後はそれらも含めて、収益化の方法を考えていきたい」とディクソン氏はいう。

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画像クレジット: Ceros

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AWSとIBMは新型コロナ問題に挑むデベロッパーを支援する

社会が新型コロナウイルス(COVID-19)のため高まりつつある世界的な危機に直面する中、多くの企業がさまざまな方法で取り組みを強化している。米国時間3月20日、2つの大手IT企業、Amazon(アマゾン)とIBMはそれぞれ、このパンデミックに関連するさまざまな問題の解決策を見つけられるようデベロッパーを支援するプログラムを発表した。

画像クレジット:VectorMine/Getty Images

アマゾンでは、クラウド部門のAWSが「AWS Diagnostic Development Initiative」を発表した。予算として2000万ドル(約22億2000万円)を確保し、AWSクレジットとテクニカルサポートとして提供する。このプログラムは、新型コロナウイルス診断問題に取り組むチームを支援し、鼓舞するように設計されており、より優れた診断ツールが開発されることを目指している。

「AWSビジネスにおいて、緊急の必要性を突きつけられた分野の1つは、新型コロナウイルスの診断方法の研究開発です。迅速で正確な検出と診断が必要とされています。優れた診断法は、治療と封じ込めを加速し、やがてこの流行期間を短くすることにつながるでしょう」と、Teresa Carlson(テレサ・カールソン)氏は、3月20日の同社のDay Oneブログに書いている。

このプログラムは診断ソリューションの開発に取り組んでいる顧客が、製品をより迅速に市場に投入できるよう支援することを目的としている。さらに、関連する問題に取り組んでいる複数のチームが、協力して作業の奨励も目指す。

同社はまた、科学者と健康政策の専門家から構成される諮問グループを設立し、このイニシアチブに参加する企業の支援も発表した。

一方IBMは「2020 Call for Code Global Challenge」というデベロッパーコンテストに、改めて注力することにした。このコンテストの2020年における憲章は、地球規模の気候変動に関する問題を解決するというものだったが、拡大するウイルス危機に関する問題の解決も目指すことにした。いずれも、オープンソースのツールを開発することで貢献しようというものだ。

「新型コロナウイルスは、非常に短い間に私たちが当たり前のことと考えていたシステムの限界をさらけ出してしまいました。2020 Call for Code Global Challengeは、3つの主要な新型コロナウイルス対策の領域について、オープンソースのテクノロジーソリューションを開発するためのリソースを提供します。その3つとは緊急時の危機報道、遠隔学習環境の改善、地域コミュニティの協力関係の増進です」と、同社はブログ記事に書いている。

そうした領域は、かなり多くの人がウイルスを封じ込めるために屋内に留め置かれていることで、大きな負担を強いられている。IBMは、そうした問題に取り組むデベロッパーのインセンティブを鼓舞し、問題の解決につなげることを願っている。

社会のあらゆる状況が影響を受ける社会的、経済的な激変期には企業、学界、政府が協力して、このウイルスに関する無数の問題を解決する必要がある。これらは、そのほんの一例に過ぎない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Android 11デベロッパープレビュー2が公開、折り畳みスマホのヒンジ角度を取得できるAPIなどを搭載

米国時間3月18日、GoogleはAndroid 11のデベロッパープレビュー2を公開した。プレビュー1と同様にデベロッパー専用で、Over The Airのアップデートはできない。デベロッパーは手動でダウンロードし、対象デバイスにフラッシュする必要がある。対象デバイスは、今のところPixel 2、3、3a、4のみだ。

意外なことではないかもしれないが今回のリリースには驚くような新機能はなく、大半がプレビュー1の改善で、そのほとんどは新しいAPIなどデベロッパー向けのものだ。ユーザー向けの最新情報は、今後のいずれかのリリースで明らかになってくるかもしれない。

Googleのエンジニアリング担当VPのDave Burke(デイブ・バーク)氏はこの日の発表の中で「まだ早期のビルドではあるが、シームレスな5G接続や最新の画面でのUIのラップから、賢くなったキーボード、メッセージングの高速化など、OSの新しいエクスペリエンスを見てもらうことはできる」と述べた。

プレビュー2での新機能として、ユーザーが5Gネットワークを利用しているかどうかを確認できる5G state APIがある。これを利用してデベロッパーは、5Gネットワークを必須とするエクスペリエンスを有効にすることなどができる。また、折り畳み式デバイスのサポートを改善する新しいAPIでヒンジの角度のセンサーからデータを読み出せるので、ヒンジの角度に適合するアプリを開発できる。ロボコールをふるい分けたり、さまざまなリフレッシュレートに対応したりする新しいAPIもある。アプリでニューラルネットワークを使うデベロッパー向けとして、Android 11には新しい「hard-swish op」関数がある。これはオンデバイスモデルでのトレーニングの速度と正確さを向上させるものだ。

アップデートのほとんどはデベロッパー向けだが、ユーザーが気になるものとしては「resume on boot」(起動して再開)がある。Android 11デバイスが夜間にOver The Airでアップデートされ、再起動した後に、即座にCredential Encrypted(認証情報暗号化)ストレージにアクセスし、すぐにメッセージの受信を開始できる。現在のバージョンでは、自分で認証情報を使ってログインするまでスマートフォンはほとんど動作していない状態になる。

写真クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Kaori Koyama)

不安緩和のためマインドフルネスを無償で提供する瞑想アプリ

いったいこの先、どれくらいこの「15 days」が続くのかはわからない。率直に言えば、今日が何曜日なのかも曖昧な感じだ。現実と社会を把握する力を皆が失い、それに対処するためのテクノロジーに徐々に向かって行く中でたくさんの瞑想アプリケーションが、屋内避難を続ける人びとの心を落ち着かせるために、無料のコンテンツ提供を始めている。

Headspace(ヘッドスペース)はそのようなプランを提供した最初の企業の1つだ。この人気アプリは、そのプレミアムプランを、パンデミックの中最前線で活動し、最も苦しい仕事で気持ちが疲れ果てている「公共の場で働く全米の医療従事者たち」に感謝の証として無料で開放することを発表した。

要件を満たす関係者は、サービスサイト上で自身のNational Provider Identifier(NPI、米国の医療機関識別子)と電子メールアドレスを入力することによって、2020年の終わりまでのHeadspace Plusへの無料アクセス権を得ることができる。

米国時間3月18日午前にはSimple Habitが、「パンデミックの影響を受け、支払いが不可能になってしまったメンバー全て」に対して無料プレミアムメンバーシップを発表した。該当するひとは、help [at] simplehabit.comに電子メールを送り、パンデミックによって財政状態が不安定になっていることを申し出るだけで良い。このアクセスには、4月末までの無料の瞑想コレクションも含まれている。

CalmのCEOであるMichael Acton Smith(マイケル・アクトン・スミス)氏は、TechCrunchに対して、同社は現在緊張したコミュニティを助けられる方法を模索していると語った。その一方で、同社は多くの瞑想サービスを現在ユーザーに無償で開放している。

多くのヨガスタジオとエクササイズアプリケーションが、自宅にいる人のために類似のサービスを提供している。

画像クレジット:Sensor Tower

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(翻訳:sako)

新しいiPad Proはマウスとトラックパッドのサポートでノートパソコン化の道へ

アップルは、いくつかの新しいハードウェアに関するニュースを、プレスリリースを通してオンラインで発表した。とはいえ、すべてこの現実世界に関するものだ。今後の数週間から数ヶ月の間には、いずれも実際に手にすることができるはず。そのころにはアップルも、オンラインの世界での現実に慣れているかもしれない。MacBook AirMac miniに加えて、クリエイティブなプロ向けのiPad Proも、いくつかの新機能を装備してアップデートされた。

またiPad Pro用のオプションとして、新しいMagic Keyboardも追加された。価格は、11インチモデル用が3万1800円、12.9インチモデル用が3万7800円となっている。これは、iPadを単なるタブレットではなく、極めてポータブル性の高い生産的なデバイスに仕立てようという、アップルの長年の夢を実現するためのものと考えられる。

関連記事:アップルが新しいiPad Proを発表、iPadOSでマウスカーソルが利用可能に

この新機軸を支えるのが、新しいiPad OS 13.4だ。ノートパソコンのようなスタイルのマウスカーソルをサポートしている。新しいiPad Proは、すでにこのバージョンを搭載し、オプションのキーボードケースのトラックパッドで、カーソルが有効となる。まだiPad Proの新モデルに出資する準備ができていないという人のため言えば、この機能は、ここ2、3年の間に発売されたほとんどのiPadがサポートするはずだ。

とはいえiPadOSは、良くも悪くも、macOSではない。現にアップルも、一般的なデスクトップのカーソルとは異なったアプローチを採用したとしている。プレスリリースによれば、以下の通りだ。

Appleは、macOSでの体験をそのまま持ってくるのではなく、トラックパッドの対応はiPadのために一から作り直しました。ユーザーがトラックパッドの上で指を動かすと、ポインタが洗練された形で変形してユーザーインターフェイスの要素をハイライト表示します。トラックパッド上のMulti-Touchジェスチャーは、手を全く持ち上げることなく、システム全体で素早く、簡単に操作することができます。

iOSとiPad OSを分離することになった大きな動機として、この種のアップデートが念頭にあったのは確かだろう。こうしてiPadは、モバイルとデスクトップの間のあいまいな領域で、独自の道を切り開こうと、ますます努力しているのだ。タッチスクリーン付きのMacはまだないが、タブレットをメインのコンピューティングデバイスとして使うことを検討しているユーザーに対して、アップルは確実にその移行を容易なものにしたと言える。

新しいiPad Proは、すでに注文を受け付けている。Magic Keyboardも5月には発売予定だ。iPadOSの新バージョンも、3月24日には利用可能となる予定。このアップデートにより、システムはアップル製のMagic MouseとMagic Trackpadのおのおの最新バージョン、およびサードパーティ製のBluetoothマウスとも互換性を持つようになるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ChromeとChrome OSのリリースも一時休止

Googleは米国時間3月18日、「予定されていたChromeとChrome OSのリリースを「スケジュールの調製のために」休止する」と発表した。

ただしセキュリティアップデートは、現在の安定リリースバージョンであるバージョン80にマージされる。「セキュリティに関するいかなるアップデートも継続的に最優先し、Chrome 80に含まれることになる」とチームは本日の短い発表で言っている。

しかし機能の新たなアップデートは、お預けのようだ。Chromeのバージョン81は目下ベータだが、当分そのままだろう。現在の状況ではいろんなものが先行き不透明だが、Googleが通常のアップデートをいつ再開するつもりか、それも不明だ。

今週初めにGoogleは、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックでオフィスの人員が減っており、Androidアプリのレビューに時間がかかることを明らかにしていた。YouTubeも同じで、スタッフを保護するためにコンテンツのモデレーションにAIのアルゴリズムを多く使うと発表している。しかしそのために誤検知が多くなり、利用規約に違反していないビデオでも取り去られるだろう。

今やGoogleなどのテクノロジー企業では在宅勤務が増えているから、人手不足に伴うこのような発表が今後も増えるだろう。今後の見通しが得られるのは、数週間先以降ではないか。

関連記事
Androidアプリの公開用レビューも新型コロナウイルス影響で遅れがちに
YouTube warns of increased video removals during COVID-19 crisis(COVID-19危機の間は削除されるビデオが増えるとYouTubeが警告、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Androidアプリの公開用レビューもCOVID-19の影響で遅れがちに

Google(グーグル)は今週Androidのデベロッパーに、Playストアのアプリの公開用レビュー期間が通常よりずっと長くなる可能性があると警告した。これもCOVID-19危機の影響だ。デベロッパーはアプリのレビューに1週間、あるいはそれ以上かかることを覚悟しなければならないと、同社はGoogle Play Console上に表示するアラートで、コミュニティに通知している。

Google Playに影響を与えるのは、審査に時間がかかるようになることだけではない。

3月16日にYouTubeは、現状、自動化されたシステムに大きく依存することになると発表した。これは、人間のモデレーターによるレビューを受ける前に、機械学習システムによって、より多くのビデオが削除される可能性が高いことを意味している。

いずれの場合も、処理の遅延は社内の人員配置のレベルが低下していることによるものだ。これは、COVID-19パンデミックの結果であり、グーグルやその他の企業の従業員の配備計画が大きな影響を受けている。

これまでGoogle Playのアプリレビューのプロセスは、非常に速いという定評があった。

ここ数年、同社は長期間のレビューを待たずに、デベロッパーがアプリを公開できるようにすることで、Apple(アップル)のApp Storeに対して、Playストアを差別化してきた。もちろんこれにより、Playストアが品質の低いアプリで埋め尽くされ、時には悪意のあるアプリが野放しになるといった問題も引き起こした。しかしグーグルは2015年、社内のレビューチームを活用して、アプリを公開する前にそのポリシー違反を分析し始めたことを明らかにした

グーグルは当時、このようなプロセスの変更にも関わらず、数日ではなく数時間以内にアプリを承認できるとしていた。

しかし2019年になって同社は、より厳格なレビューを実施することにしたため、状況は変わった。その後アプリの提出から公開までに、少なくとも3日間のレビュー期間を見込んでおくようデベロッパーに通告するようになっていた。ただし定評があり、信頼関係が確立されたデベロッパーについては、より速いレビューが受けられて審査期間は短くなるとグーグルは明かしている。

1週間、あるいはそれ以上のレビュー期間というのは、COVID-19危機そのものと同様、前例がないものだ。

アプリのレビュー期間が長くなっているというニュースは、最初にAndroid Policeによって報告された

グーグルの広報担当者は、レビューが遅れていることをTechCrunchに認め、次のように述べている。「現時点では、勤務スケジュールの調整のため、レビュー期間は通常よりも長くなっています。また状況は悪化しつつあるため、アプリのレビュー期間も変動していますが、7日間からそれ以上かかる場合もあるでしょう」

この遅延については、Play Consoleのヘルプドキュメントでも確認できる

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

GitHubがJavaScriptのパッケージマネージャー「npm」を買収

Microsoft(マイクロソフト)が保有するデベロッパーリポジトリーGitHubは、米国時間3月16日に独自の契約によりJavaScriptのパッケージベンダーnpmを買収した。買収額は公表されていない。

GitHubのCEOであるNat Friedman(ナット・フリードマン)氏は、この買収を発表するブログ記事で、npmはJavaScriptのコミュニティにおける大きな存在だとしている。同社はNode.js上のパッケージマネージャーであるnpm Registryやnpm CLIなどのツールを開発し提供している。Node Package Managerの頭字語がnpmになる。

「npmはJavaScriptの世界で重要な。npmのチームによるこれまで10年間の仕事と、何十万人ものオープンソースの開発者とメンテナーの貢献により、npmは130万あまりのパッケージのホームになり、それらは1カ月に750億ダウンロードされている」とフリードマン氏はいう。

オーナーが変わることによる開発者の不安を打ち消すかのようにフリードマン氏は、ユーザーはその違いに気づかないだろうと語っている。「npmの公開レジストリを毎日使っている数百万の開発者にとってnpmはいつでも使えてmいつでも無料であり続ける」と氏は記している。

彼はまた、このツールを支えているインフラをアップデートしてユーザー体験を改善し、npmのコミュニティとの関係を維持すると約束している。フリードマン氏によると、npmの技術をGitHubのプラットフォームに一体化する。すなわち「将来的にGitHubとnpmを統合して、オープンソースソフトウェアのサプライチェーンのセキュリティを改善し、GitHubのプルリクエストから、セキュリティの改良などnpmのパッケージのバージョンの変化をトレースできるようにしたい」とのことだ。

npmの創業者でCEOのIsaac Schlueter(アイザック・シュリューター)氏は同社のブログで、買収は良い方向への変化だとしている。「npmのユーザー体験が改善される素晴らしい機会だ。それによりJSデベロッパーの毎日が大小様々な面で有意義に改良されるだろう。そして私たちのツールが信頼性を増し、より便利になり、お互いに依存し合っているJavaScriptの広大なエコシステムの誰とでも結びつけるようになる」という。

もちろんそれは、無料バージョンだけの話ではない。有料顧客のコアグループもあり、フリードマン氏によると、GitHubはその人たちのサポートも継続する。

彼によると、レジストリがさらにGitHubへと統合される2020年後半には、有料顧客は自分たちのプライベートなnpmパッケージをGitHubのパッケージに変換できるようになる。

PitchBookのデータによると、2014年に創業されたnpmはこれまで、4800万ドル(約51億円)の投資前評価額により1900万ドル(約21億2000万円)近くを調達している。「スタートアップとして6年間苦労したが夢は大きかった。次の章に入った今は、その夢を実現できるチャンスだ」とシュリューター氏は書いている。

関連記事: Microsoft has acquired GitHub for $7.5B in stock…Microsoftが75億ドルでGitHubを買収(未訳)

画像クレジット: Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルが新型コロナウイルス関連アプリを制限

Apple(アップル)は米国時間3月14日、新型コロナウイルス(COVID-1)関連のセーフガードをApp Storeに追加した。同社は開発者コミュニティ向けの投稿の中で、世界中でほぼあらゆる生活に影響を与え始めている世界的な流行病に焦点を当てたアプリの、申請審査に関する措置を設けると説明している。

「このような要望に応えるために、我々はデータソースが信頼できることを保証するべくアプリを重点的に評価しており、これらのアプリを提供している開発者が、政府機関やヘルスケアに焦点を当てたNGO、企業、医療機関や教育機関などの認定された団体からのものであることを確認している」と同社は説明している。「新型コロナウイルス関連アプリを提出できるのは、これらの認知された団体の開発者のみである」。

コンテンツの評価や開発者の数の制限に加えて、アップルは偏在的かつ生命を脅かす題材を利用しようとする、エンターテインメントアプリケーションやゲームのリリースも禁止している。

同社はまた、一部のアプリが危機的状況にあるユーザーの支援を目的としている可能性があることから、迅速な対応のために「Time-Sensitive Event」のオプションを利用するよう開発者に求めている。同社はまた、新型コロナウイルスに関連するアプリを開発しようとする非営利団体や政府機関にかかる年会費の一部を免除する予定だ。

「COVID」や「コロナウイルス」でざっと検索すると、ケーストラッカー、ニュースアプリケーション、手を洗うリマインダー、ゲームタイトルなど、この用語を使っているアプリがいくつか見つかる。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

iOS 14の新機能はスタートアップにとって脅威となる

フィットネスや壁紙、失くしたアイテムの探索機能などを提供するスタートアップは、強大な競合と新たに直面することになりそうだ。しかもそれは、すべてのiPhoneに標準装備される。

Apple(アップル)が、この6月に公開することになるiOS 14のコードのリーク情報から、多くの新機能と、新しいデバイスの登場が予想される。アップルが、そうした新たな機能をOSレベルで組み込んでくることは、スタートアップにとって脅威となるだろう。新しいiOSが登場した途端に巨大なインストールベースを獲得し、そうした新機能を無料、もしくは安価に提供できるからだ。そして、iPhoneという収益の柱の売れ行きをさらに増加させることになる。

このような新たに発見されたものが、すべて実際に6月に公式に発表されるのか、あるいはもっと後になるのかは、まだわからない。以下に示すのは、9To5MacのChance Miller(チャンス・ミラー)氏が取得したiOS 14コードの分析結果だ。そこから、どのようなビジネスにアップルが割り込み、どのスタートアップが打撃を受けることになるのか、予想できる。

フィットネス:コードネーム「Seymour」

AppleはiOS、WatchOS、Apple TVで使えるトレーニング用のガイドアプリ「Seymour」(シーモア)を準備しているようだ。これにより、ユーザーは解説ビデオクリップをダウンロードして、さまざまなエクササイズができるようになる。MacRumorsのJuli Clover(ジュリ・クローバー)氏によれば、このアプリは、「Fit)」(フィットまたは「Fitness」(フィットネス)と呼ばれる可能性が高いという。ストレッチ、コアトレーニング、筋力トレーニング、ランニング、サイクリング、ローイング、アウトドアウォーキング、ダンス、ヨガをサポートしている。Apple Watchを使えば、トレーニングルーチンの進捗を把握できるようだ。

iOS 14のコードに埋め込まれたアップルのフィットネス機能のアイコン

iOSの「ヘルスケア」アプリは、歩数やその他のフィットネス関連の目標を管理するため、かなり一般的に使われている。ヘルスケアを使って、新しいフィットネス機能をパーソナライズしたり、利用を促進することにより、アップルは簡単に巨大なユーザーベースを手に入れることができる。適切なトレーニングによって怪我や障害を避けるためには、学ぶべきことが多いので、ウェイトトレーニングや、筋力トレーニングに恐怖感を抱いている人も多い。複数のアングルから撮影されたビデオによるビジュアルなガイドによって、腕立て伏せや二頭筋カールなども、正しくできるようになる。

アップルがフィットネスに参入することで、Futureのようなスタートアップは危機にさらされる可能性がある。Futureも、個々のエクササイズのやり方をビデオで説明する、カスタマイズされたトレーニングルーチンを提供しているからだ。Futureは、これまでに1150万ドル(約12億400億円)の資金提供を受けたスタートアップ。月額150ドルで、Apple Watchを使ってトレーニングの進行を管理するサービスを提供している。これは、視覚、音声、バイブレーションを利用して、iPhoneの画面を見なくてもエクササイズを切り替えるタイミングを知らせてくれるもの。Featureの場合には、人間のパーソナルトレーナーがいて、エクササイズをサボると、テキストメッセージで小言を言ってくるが、アップルはそれがない代わり、同様の機能を無料で提供してくれるのだ。

アップル製のFitnessは、トレーニングの視覚的なガイドのみを提供するSweatやSworkit、あるいは音声のみのAaptivのような、それほど高額ではないアプリにとっては、もっとやっかいかもしれない。バイクを使わないBeyond the Rideというトレーニングを、ライブまたはオンデマンドのクラスとして提供しているPelotonや、巨大な3Dセンサーを内蔵したウェイトリフティング用の家庭用スクリーンを提供するTempoといったハードウェアメーカーも、アップルの無料、または安価なサービスに、それほどこだわりのない顧客を奪われる危険を感じているかもしれない。

支払い方法に関するコードがないので、アップルのFitnessは無料だと考えられる。とは言え、アップルがサービスを拡張して、有料のプレミアム機能を付加することも十分に考えられる。たとえば、人間の専門家によるリモートのパーソナルトレーニング補助機能や、エクササイズの種類を、有料で追加することもあるかもしれない。それによって、こうしたサービスから収益が得られるようにするわけだ。

壁紙:サードパーティによるアクセス

現在のiPhoneの壁紙セレクター

iOS 14では、アップルは新たな壁紙のカテゴリを、現在のダイナミック(ゆっくりとずれる)、静止画、Live(タッチすると動く)という3種類のオプションに追加するかもしれない。これまでアップルは、最初からあるいくつかの内蔵の壁紙に、カメラロールからだけ追加できるようにしてきた。しかしiOS 14のコードは、サードパーティが壁紙を提供することに、アップルが道を開く可能性を示している。

壁紙の「ストア」ができるとすれば、この分野の起業家にとって祝福すべきことにも、呪うべきことにもなる可能性がある。壁紙を取り揃えて閲覧させ、購入、ダウンロードできるにしているVellum、Unsplash、Clarity、WLPPR、Walliなどのサイトやアプリを危険にさらすことになるかもしれない。アップルは、同様の機能を壁紙の設定に直接組み込むことで、自ら膨大な壁紙のコレクションを提供することも可能だからだ。とはいえ美しい壁紙のクリエーターにとって、iOS 14が新たな販売方法を提供することになることも考えられる。ユーザーがiPhone画面の背景をインストールする場所で、直接サードパーティの壁紙を購入できるようになる可能性もあるのだ。

大きな疑問は、アップルは単にいくつかのプロバイダーと協力して壁紙パックを無料で追加するだけなのか、プロバイダーを財政的に支援して協力を取り付けるのか、あるいはアプリのデベロッパーのように、クリエイターが画像を販売できる本格的な壁紙市場を形成しようとしているのか、ということ。以前は無料だった機能を市場に変えることで、アップルはその売上をサービス収益の増加につなげることもできるのだ。

AirTag:探しものを見つける

アップルが、待望のAirTagを発売するのも、間近に迫っているようだ。それも、iOS 14のコードの断片から判断できる。これは、小さな追跡用のタグを、財布、鍵、ガジェット、その他の重要だったり、簡単に失くしてしまいそうなモノに取り付けると、iOSの「探す」アプリを使って見つけることができるようになるというもの。MacRumorsによると、AirTagは交換可能なコイン型のバッテリーで動作するようだ。

iOSとネイティブに統合されるので、AirTagのセットアップは非常に簡単だ。そして、アップル製のデバイスが世界中どこにでもあることで、大きなメリットが享受できる。というのも、AirTagは多くの人が持っているアップル製のスマホ、タブレット、ノートブックの通信に便乗して、失くしたアイテムの位置情報を元の持ち主に知らせることができるからだ。

ここで明らかなのは、AirTagがこの業界で長年に渡って先頭を走ってきたTileの強力なライバルになりそうだということ。このスタートアップは1億400万ドル(約108億円)の出資を受けている。追跡タグの販売価格は20〜35ドル(約2100〜3600円)で、150〜400フィート(約46〜122m)離れた場所にあるデバイスを見つけることができる。また、年間30ドル(約3100円)の会費を払えば、バッテリー交換が無料となり、30日間の位置情報の履歴も利用可能となる。この業界には、他にもChipolo、Orbit、MYNTといった会社がある。

しかし、すでにAirPodsの発売時に経験しているように、アップルならではの知見を生かした設計によるiOSとのネイティブな統合により、同社の製品は市場に出回っている製品を凌駕するものになり得る。もしAirTagが、iPhoneのBluetoothや通信ハードウェアへの独自のアクセスを可能にしセットアップが早ければ、アップルのファンならそうしたスタートアップの製品からアップル製の新しいデバイスに乗り換えるだろう。さらに、アップルも有料のサブスクリプションを設定して、バッテリーやAirTag本体の交換、あるいは特別な追跡機能をサポートする可能性さえある。

拡張現実スキャン:コードネーム「Gobi」

iOS 14には、ユーザーが現実世界の場所や、可能性としては個々のアイテムをスキャンすると、そこから有用な情報を引き出すことが可能な、新しい拡張現実機能のコードが含まれている。9To5MacのBenjamin Mayo(ベンジャミン・マヨ)氏によると、このコードは、アップルが、Apple Storeとスターバックスで、コードネームGobi(ゴビ)と呼ばれる機能をテストしていることを示すものだという。ユーザーは、製品の詳細や価格、他製品との比較情報を見ることができる。Gobiは、QRコードなどを認識して、特定のショップの位置情報を取得し、その場所に付随する拡張現実体験を開始させることもできる。

SDKを使えば、パートナー企業が独自の拡張現実を開発し、それを開始するQRコードを生成できるようになるようだ。最終的には、こうした機能は、アップル製のモバイルデバイスだけでなく、サポートするARヘッドセットにまで展開できるようになる。それにより、ユーザーが所定の場所に入るだけで、即座にヘッドアップディスプレイに情報を表示するといったことも可能となる。

アップルは、本格的なアプリを構築するためのAR Kitというインフラをデベロッパーに提供するよりも、より手軽に使えるAR体験を可能にする方向に舵を切ろうとしている。その動きが、いくつかのスタートアップや、他の大手IT企業との競合を生む可能性がある。拡張現実の本質は、現実世界の隠れた体験を探索しやすくすることにある。そこでもし、ユーザーがいろいろな場所、あるいは異なる製品ごとに、別々のアプリを探し、ダウンロードしてインストールするのを待たなければならないとしたら、そうした体験は台無しになってしまう。すぐに起動して、シンプルな体験を提供する1つのARアプリに統合すれば、普及も促進されるはずだ。

SnapchatのScan ARプラットフォーム

Blipparのようなスタートアップは、消費者向けのパッケージされた商品や、小売店で活用できることを目指し、長年ARスキャン機能に取り組んできた。しかし、上で述べたように、そのためのアプリをダウンロードしておいて、使うのを忘れないようにしなければならないこともあって、そのような体験が主流になることはなかった。SnapchatのScanプラットフォームは、特定のアイテムから、同様にAR効果​​を開始できる。こちらは、もう少し人気のあるアプリから使える。そして、FacebookやGoogleのティーザー広告が示している拡張現実のハードウェアとソフトウェアも、結局のところ日常生活をより便利にするものとなりそうだ。

もしアップルが、このテクノロジーをすべてのiPhoneカメラに組み込むことができれば、ARが抱える普及への最大の課題の1つを乗り越えることになる。それにより、デベロッパーのエコシステムを開拓し、最終的にARメガネが利用可能になるまでに、ユーザーにとってARが普通のものとなるように慣れさせることができるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

「サポートチームのためのOS」提供を目指すAssembledが3.2億万円調達

顧客管理などに使われるCRM(Customer Relationship Management)ソフトウェアは、企業のIT支出全体の4分の1を占めている。しかし皮肉なことに、外部からの問い合わせや外向けのマーケティング活動の管理に対して、SalesforceやSAPのようなプラットフォームに多くの費用が支払われている一方で、そうしたソフトウェアを利用するチームがよりよい仕事をするためには、どうすればよいかという点に多くの注意が払われては来なかった。

通話のピーク時間はいつなのか?最も一般的な質問は何なのか?どのスタッフがどのような質問に最も精通しているのか?そして、ある時点で実際に働いているのは誰か?こうしたことは課題の一部に過ぎないが、多くの場合、こうした課題の支援に使われるツールはほとんど存在していない。各組織はこうした場合、単にGoogleスプレッドシートやカレンダーアプリのようなプラットフォームを無理やり使うか、何もしないままになりがちだ。

米国時間3月11日、Assembledという名のスタートアップがこうしたギャップを埋めるためにステルスモードから姿を表した。その提供するプラットフォームは、カスタマーサポートチームが遭遇し(そして良い回答を行えた)質問や課題に特にアプローチするように構築され、チームがよりよく働けるようにするものだ。

Assembledはまず、設立チームがこれまで勤務していたStripeが主導するシードファンディングから310万ドル(約3億2000万円)の資金を得たことを公表した。この調達にはほかに、Basis Set Ventures、Signalfire、および複数のエンジェル投資家(主にStripeの元従業員たち)も参加している。Assembledの長期的な目標は、共同創業者のRyan Wang(ライアン・ワング)氏が「カスタマーサポートのためのロジスティクス」と表現するツールを構築することだ。

「サポートチームのためのオペレーティングシステムになりたいのです」と彼は言う。同社の直近の焦点は、カスターサポート担当者のパフォーマンスに当てられることになる。「チームは、トップパフォーマーとその時間の使い方について学び、その意思決定力を強化するためのデータを共有したいと考えているのです」と続ける。

現在350億ドル(約3兆6000億円)と評価されている、支払いならびに関連サービスプロバイダーのStripeは、その関心領域に隣接するスタートアップやその他の小規模ビジネスとの間に関係を築く中で、スタートアップに資金提供を行う大規模な事業を展開してきてきた。その意味で、StripeはAssembledにとっての戦略的投資家の1つと考えることができる。Grammarly、Gofundme、Hopper、そしてHarry’sと並んで、StripeはAssembledの有力顧客の1つなのだ。

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兄弟であるJohn Wang(ジョン・ワング)氏と、AssembledのCEOになったBrian Sze(ブライアン・ジー)氏(どちらも元Stripe)らと、共同創業を行った元Stripeのエンジニアであるライアン・ワング氏は、とあるインタビューの中で、今回のスタートアップのアイデアは、Stripeの初期メンバーであった彼らの経験から直接得られたものだと語っている。

Stripeの初期段階でのアプローチは、極めて草の根的なものだった。従業員たちはオフィスの外で集まり、サポートチケットのレビューを行って、傾向を見定め、何を修正すればよいかを見出し、将来的に課題をどのように扱って行けばよいかなどを話し合っていた。

このやりかたはおそらく、顧客が必要としているものをチームが理解するために最適な方法だったのだ。だが、最終的にはこのアプローチには問題があった。こうしたやりかたをどのようにスケーリングすれば良いのだろうか?技術者にとっては、目指す解決方法は明らかだ。それを行うために役立つプラットフォームを開発するということである。

「CRMという世界の中で、カスタマーサポートをサポートするというビジネスに、技術が実際は適用されていなかったことに気が付きました」とワング氏は言う。「それが私たちがStripeを去った理由です。私たちはそれが、適用範囲の広い問題であることを理解していたのです」。

カスタマーサポートチームの従業員管理を改善するためのツールを作成することは、既に独自の自家製ソリューションを通じてこれらの問題に対処しようとしている企業にとっては、難しいことではない。ワング氏は、現在の顧客の1つがそうしたデータの膨大なマップをGoogleスプレッドシート上に構築して、カスタマーサポート従業員の管理にアプローチしようとしていたと明かす。しかし結局「彼らはそのGoogleスプレッドシートを壊してしまったんですよ。とにかく大きすぎたんです」と語った。

実際、Stripeの運営責任者であるBob van Winden(ボブ・バン・ウィンデン)氏は次のように述べている。「数え切れない数のビジネスが、常時Stripeに依存しています。それらをサポートするために、無料の24時間年中無休の電話およびチャットサポートを含む、高速で信頼性の高いカスタマーサービスを提供するための、細部にこだわっています。このことが私たちをAssembledへと向かわせました。これを使うことによって、私たちのグローバルサポートチームは、Stripeユーザーの成長を支援するための体制を整え、集中することができているのです」。

企業がこうした問題を一度も意識したことがなかったり、またはそれらを知ってはいるものの、解決は難しすぎると思っているために努力をしていなかったりする場合は、ユースケースはそれほど明白ではない。(ここでの古典的な問題は、Assembledが「あまりにも賢すぎる」、あるいは「時代よりも先行しすぎている」ことだ)。それは、Assembledにとっては、オープンな市場であると同時に、未踏領域への挑戦でもあるのだ。

顧客に対するアプローチの1つは、より確立されたCRMパッケージと統合することだ。現在Assembledは、Salesforce、Kustomer、Zendeskと統合されていて、これらのデータを吸い出し、より多くの洞察をユーザーに提供することができる。

また別のアプローチは、企業運営を改善するために使うことのできる、分析およびデータベースからの知見の、幅広い傾向を知ることができる一連のツールを提供することだ。実際、インバウンドリクエストの狭い範囲に焦点を合わせていたCRMの常識を、Kustomerが覆したように、カスタマーサポート担当者が何をいつ行うべきかを把握するためのデータを解析する方法を、Assembledは再検討している。

スタートアップのプラットフォームは、インバウンドサポートの問い合わせ量を予測し、それをチャット、メール、電話、ソーシャルメディアなどの複数のチャネルでカバーする人員配置計画にマッピングする手段を提供する。その人員配置計画はまた、グループや個々人のカレンダーを設定するために用いられる。

一方、チームのアクティビティは、チーム全体が確認し作業をより良く調整するために使用できる一連の計測指標によって追跡される。

この先、Assembledが複数の異なる方向に展開していくことが想像できるだろう。1つは、カスタマーサポートに限ることなく、より多くのチームに従業員管理手段を提供することかもしれない、だがインバウンドリクエストを管理し、より効率的な作業計画に変換する方法も生み出していかなければならない。また別の方向は、「顧客」が実際に誰であるかに応じて、顧客サポートが異なることを意味する現実に対応するために、顧客サポートチームの機能を補完するツールの種類を拡大し続けることだ。

「私たちは『カスタマーサポート』という用語が進化していると考えています」とワング氏は語る。「大きな悩みは、その代わりとなる包括的用語がどうあるべきかということです。一般的に言うなら、私たちの望みは、カスタマーサポートの意味を変え、より向上させたいというものです。それはコールセンターだけに限られたことではなく、カスタマーエクスペリエンスを向上させるための、製品に関するあらゆる要素を含むものです」。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:sako)

社内ツールを作るためのノーコードプラットホーム「Snapboard」

ノーコードツールがこのところ好調で、Y Combinator出身のSnapboardもその波に乗ろうとしている。SnapboardはCalum Moore(カルム・ムーア)氏が単独の創業者として作ったプロダクトで、同氏の1年間毎週1つのプロダクトを作るという個人的チャレンジの産物だ。2週目に同氏は、作らなければならないアプリやサービスの数だけでなく、ソーシャルメディアにポストすべきプロダクトに関する記事の本数も大変であることを悟った。

そこでムーア氏は「それらすべてのアプリとツールの開発を1つのダッシュボードから管理したい」と考え、Snapboardを作った。

Snapboardを使えば、ユーザーはさまざまなアプリとプラットホームを1つのカスタマイズ可能なダッシュボードでリンクし管理できる。Snapboardの名のとおりユーザーは社内的に使うツールになるボードを手早く作るが、そのときプロダクトやエンジニアリングのチームが社内プロジェクトとして関わってこない。ムーア氏はそれを「すべてのデータがすでにそこにあるAirtableだ」と説明する。

Snapboardのプラットホーム上では、ShopifyやDropbox、Google Analytics、MailChimp、MongoDB、MySQL、Trello、Zendeskなど、50以上のアプリを利用できる。ムーア氏は、アプリを新たに統合してSnapboardに載せることをいちいち気にしないし心配もしない。スタートアップやテクノロジー企業が使う人気ツールには、ほとんどどれにもAPIがあるからだ。

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このプラットホームのユースケースは数え切れないほどあり、便利であるだけでなくそれらを実装するのも大変だ。ムーア氏が挙げた例の中には、個々の顧客1人ひとりのボードを作る、MailChimpが送ってきたメールにStripeのデータを結びつけて動作をターゲットしてみる、といったものがある。

そして、このプラットホームの柔軟性はほとんど何でもできるところにある。ただし、何をどうしたいのか事前によく理解する必要がある。曖昧なものや、あまりにも多くの使い方があるものは、難しいだろう。同氏によると、重要なのはSnapboard用のテンプレートライブラリを素早く作ること。それによって新しいユーザーにいろんなインスピレーションのネタを与えることだ。

Snapboardは無料でも使えるが、1人あたり月額10ドルで高度な機能もある。今、登録ユーザー数は3000で、WAU(週のアクティブユーザー)は230人程度だ。「ターゲットはもっぱらテクノロジー企業だが、Snapboardの社内ツール作成プラットホームは他の業界にも用途はある」と彼は見ている。

数え切れないほど多くの使い方のあるプラットホームに、目的に応じた正しいメッセージを送るのは、決して容易ではない。それだけでなくムーア氏が気づいているのは、現状のUXがあまりよくないことだ。

同氏は「デベロッパーにしかできないことを素材にして、万人向けのツールを作ろうとしてきた。デベロッパーにプラットホームを与えれば、黙っていてもそれを使いこなせる。自分なりに、それを使えるようになる。しかしテクノロジーに疎い人びとは、もっとわかりやすくて使いやすいものを求める。でも、今やろうとしているのは、技術的な体験を技術系でない人びとに届けることだ」と語る。

SnapboardはY Combinatorから15万ドル(約1566万円)を調達しており、3月16日から始まるデモデーに登場する。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

建築家向けプロジェクト管理ソフト開発のMonographが約2億円を調達

米国時間3月10日、建築家がプロジェクトとコストを簡単に管理できるようにするクラウドベースのソフトウェアを手がけるスタートアップのMonographが、190万ドル(約2億円)のシード資金を調達したと発表した。このラウンドを主導したのはHomebrew VenturesとParade Venturesで、Designer Fund、Hustle Fund VC、複数のエンジェル投資家も参加した。

画像:Monograph

2019年にRobert Yuen(ロバート・ユエン)氏、Alex Dixon(アレックス・ディクソン)氏、Moe Amaya(モエ・アマヤ)氏が、サンフランシスコを拠点として同社を創業した。3人がそれぞれ建築、デザイン、ソフトウェア開発の経験を有していることが、建築家に特化した管理プラットフォームの構築に有利に働いている。

Monographは、簡単に使うことができ、特に使いはじめが簡単なソフトウェアを設計した。建築事務所が表計算ソフトなど従来のプロジェクト管理方法から乗り換えるように促すためだ。同社によれば、1人で活動する建築家から60人以上を擁する事務所まで、すでに数百人の建築家と契約しているという。Monographはこれまでに、バスルームやキッチンのリフォームから大型ホテルの建設まで、1億2500万ドル(約130億円)以上のプロジェクトの管理に使われてきた。

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Monographの創業以前、3人はDixon & Moeという広告代理店で、テック系スタートアップや建築事務所を対象としたUI/UXコンサルタントとして、ともに働いていた。

ユエン氏はTechCrunchに対し、次のように語った。「Monographは、建築デザイナーとしての毎日の生活や友人たちとの日々の暮らしの中で見てきた問題を解決する製品として、まさにこの代理店から生まれた。仕事にどれほどの時間がかかっているか、プロジェクトの進行状況はどうか、誰がプロジェクトに関わっているのかといった情報が透明でなかった。プロジェクトをきちんと管理できる方法がなく、年々複雑さを増していた」。

PlanGrid、Procore、UpCodesといった建築業界のテック企業と同様に、Monographも設計と建築のプロセスを効率化しつつ、チームがもっと簡単に連携できるようにすることを目指している。

Monographは現在、建築家とコンサルタント向けに設計されており、マイルストーンのアサイン、プロジェクトのタイムラインの管理、タイムシート、請求のツールを備えている。データは後からMoneyGanttのようなコストと進捗の分析に使用し、予算を予測できる。

ユエン氏は、プロジェクトの規模にかかわらずチームには建築家、デザイナー、エンジニアがいると語る。Monographは今年末までに、構造、電気、機械のエンジニアやその他の有資格者も使える新しいバージョンのリリースを開始する計画だ。

同社は調達した資金でソフトウェアエンジニアリングとカスタマーサポートのチームを雇用することにしている。

報道発表の中でHomebrew VenturesのパートナーのSatya Patel(サティア・パテール)氏は「Monographは組織とプロジェクト管理を変革するソフトウェアを提供している。建築家とデザイナーの仕事を変えて、クライアントへのサービスを充実させコストを管理し利益を増やすものだ。我々は、モダンなソリューションを期待してきた市場において同社が成長し革新を続けていくことに期待している」と述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

昨年廃業したKubernetesインフラ管理のContainershipの資産を日立の米子会社が買収

日立製作所の米国子会社であるHitachi Vantara(ヒタチ・ヴァンタラ)は、企業のデータ管理を助けるハードウェアやソフトウェアを開発している。同社は米国時間3月10日、Containership(コンテナシップ)の資産を買収したことを発表した。Containershipはコンテナエコシステムの初期のメンバーのひとつだが、昨年10月に業務を停止した。

2015 Disrupt New YorkのStartup BattlefieldでデビューしたContainershipは、コンテナ化されたワークロードを複数のクラウド間で移動するサービスとしてスタートした。しかしその後、コンテナサービススタートアップの多くがそうであったように、もっぱらKubernetes(クバネティス)にフォーカスするようになり、企業のKubernetesインフラストラクチャの管理を助けるサービスを提供した。業務を停止する直前には、主にKubernetesのマルチクラウド展開を管理するサービスを提供していた。しかし同社のKubernetes関連プロダクトは収益化が遅れ、今ではそのウェブサイトも存在しない

Hitachi Vantaraのデジタルインフラストラクチャ部門のCOOを務めるBobby Soni(ボビー・ソニ)氏は「ContainershipはKubernetesクラスターとコンテナ化アプリケーションの、パブリッククラウドとプライベートクラウドおよびオンプレミス環境における容易なデプロイと管理を可能にする。そのソフトウェアは、Kubernetesを使っている企業が直面するクラウドネイティブの重要な問題、例えばパーシステントなストレージのサポートや認証の一元化、監査のロギング、継続的デプロイメント、ワークロードの可搬性、費用分析、オートスケール、アップグレードなどなどを解決する」と語る。

Hitachi Vantaraによると、同社の買収対象としてContainershipの顧客契約や社員は含まれず、Containershipのブランドを保全する計画もない。「ContainershipのIPをベースとして新しいプロダクトを開発することが目的である。それらのプロダクトが実際に供用される時点で以前の顧客が再び関わってこられることを期待したい」と同社のスポークスパーソンは説明する。

買収の価額は公表されていない。ピッツバーグに本社を置くContainershipは、2014年の創業以来約260万ドル(2億7121万円)しか資金を調達していない。その早逝の1〜2年前からは、まったく音沙汰がなくなっていた。買収価額もそんなに高くはなかっただろう。これまでの投資家は、Birchmere VenturesとDraper Triangle、およびInnovation Worksだった。

Hitachi Vantaraによると、同社のKubernetesコミュニティとの関係は継続する。ContainershipはCloud Native Computing Foundationのメンバーで、この買収を機にメンバーではなかったHitachi Vantaraも変わるかもしれない。

関連記事:ContainerShipはコンテナ化したアプリケーションのマルチクラウド展開を助ける

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

瞑想アプリでは不十分だった不安症に苦しむ人のためのCalmer You

瞑想とマインドフルネスのアプリがブームを呼んでいる。2019年にはトップ10までの瞑想アプリが1億9500万ドル(約204億円)を稼ぎ出した。これは前年比52パーセントの増加だ。そして今、売り上げトップの瞑想アプリHeadspaceの元研究主任Nick Begley(ニック・ベグリー)氏が、マインドフルネスを超えて、不安症で苦しむ人たちに焦点を当てた新しいアプリを立ち上げた。Calmer You(カーマー・ユー)という名のアプリは、瞑想の指導だけでなく、日記、認知行動療法のコースワーク、その他の身体と心の健康のためのコンテンツを組み合わせたアクティビティを提供する。

身体と心の健康のためのコンテンツには、フィットネス動画、眠れる話、有名人や心を揺さぶる人たちへの不安体験に関するインタビューなど、いろいろなものがある。

ベグリー氏はHeadspaceに2年間在籍していたが、そこで瞑想アプリが自己啓発を導きだす力の大きさを学んだと話している。

「それをマインドフルネスだけに限定する手はないと気づきました」とベグリー氏は、Calmer Youを始めた経緯に関連して語った。「世の中には優れた助言がたくさんありますが、自分を改革したいと望む人のほとんどが、動画を見たり本を読んだりと、単に受け身で消化しているだけです。それでは、そこで謳われている変化は起きません」とベグリー氏。

問題は、助言が悪いのではない。大抵の助言は優れている。そうではなく、その助言を行動に移すのが難しいのだとベグリー氏は言う。そこを手助けしてくれるのがCalmer Youだ。

アプリは、いくつかのパートで構成されており、段階的なガイドによって不安に対する理解を深め、不安の対処法を学べる28のセッションからなるコースもある。それには認知行動療法、マインドフルネス、自己への思いやりを強める療法(CFT)、分析手法など数多くのコンテンツが含まれている。また、今の気分や、自分が置かれるであろう状況をもとに推奨されるすぐに実践できる対処法を50種類以上収めたツールキットもある。さらに、日々の気分を記録するための日記もある。

1カ月の利用料は7.99ドル(約840円)、年間利用料は47.99ドル(約5020円)。

「Headspaceの穴を埋めるというのは、私たちが特別に意図していたことではありません。ユーザーがそう言い出したのです」とベグリー氏。「定期的に瞑想を行うのが難しいと感じている人が大勢いるため、私たちは不安を抱える人たちのためのツールと実践的対処法を、マインドフルネスに加えて提供したいと考えました。不安と不安から現れるさまざまな問題への対処を専門に助ける総合的なアプローチを提供する、最高品質のアプリ使用体験を届けたいのです」と彼は話した。

Calmer Youは、不安症の専門家であり作家のChloe Brotheridge(クロエ・ブラザリッジ)氏との協力で開発された。アプリの名前は、ブラザリッジ氏の著書「The Anxiety Solution: A Quieter Mind, a Calmer You(不安解消:より静かな心、より穏やかなあなた)」に由来する。開発チームはブラザリッジ氏の本をよく読んでいて、その実用的なアドバイスをもとにアプリを共同開発する気はないかと彼女に持ちかけた。

Calmer Youの親会社PSYTが掲げる目標には、こんなものがある。「自己啓発本をアプリにする

PSYT傘下のCalmer Youチームには、心理学者も加わっている。だが、アプリ自体はまだ、例えば無作為対照下試験などによる有効性の検証がされていない。ゆくゆくは行いたいという考えを彼らは示している。

Calmer Youは、ブラザリッジ氏の著書が特に若い女性を対象にしていることもあり、女性利用者にシフトしている。

「振り返ればずっと、私は不安に苦しみ、自分に最も効果のある運動を続けていました」とブラザリッジ氏。「そのためセラピストである私は、マインドフルネスだけでなく、その人にいちばん合った方法を自分で探せるように、いろいろな技術を教えています。アプリにいくつものアプローチを組み込むのは大変な作業でしたが、これがその人とその状況に最も有効な対策を見つけられるよう人々を後押しする上で、大変に重要なのだと私は考えています」と彼女は言う。

このアプリは2019年11月にベータテストを開始したが、それ以来、利用者の要望に応じてツールを追加してきた。「リバランス」ツールが2つ(1つは社会的不安を和らげるもの、もう1つは自信を持ってコミュニケーションできるようにするもの)と、夜に使用する不安日記を新しく加わえ、瞑想の指導コースと眠れる話の数も増やした。

重い不安症を抱える人の場合、このアプリは医師の治療代わりにはならないが、すでにHeadspaceなどの瞑想アプリを使っていて、常に不安を感じている人なら、普段から使うツールに加えておいてもいいだろう。

Calmer YouはiOS版が無料でダウンロードできるが、有料コースもある。

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(翻訳:金井哲夫)

iPadにマウスカーソルが導入されるかもしれない

9to5macの最新記事によると、AppleはiOSおよびiPadOSの次期メジャーバージョンで、マウスカーソルを本格的に導入するらしい。記事はiOS 14とiPadOS 14の早期バージョンのコードを根拠にしている。

もしAppleがこの新機能を採用すれば、BluetoothマウスやトラックボールでiPadのカーソルを自由に操れるようになる。デスクトップパソコンのマウスとほぼ同じように機能することになるだろう。

Appleは現バージョンのiPadOSでも、外部マウスの基本機能に対応しており、アクセシビリティの設定で有効にできる。ただし、基本的に画面上にある指を模倣するだけだ。

全面的にカーソルをサポートすることで、たとえばリンクの上にかざしたときにカーソルの形状が変わることなどが想像できる。右クリックができる可能性もあるだろう。

このiOS 14の早期バージョンでは、マウスを動かすのやめてから数秒後にカーソルが消える。マウスを動かすと再び現れる。Macではテキストをタイプし始めるとカーソルは消える。

他にも、AppleがiPad用の新しいSmart Keyboard(スマートキーボード)やトラックパッドを開発していることを示唆する箇所が複数見られる。タップでクリック、2本指タップで右クリックなどなど。これらは、次期スマートキーボードにトラックパッドがつくかもしれないことを意味している。

iOSとiPadOSは同じコードベースを共有しているが、私はiPhoneがカーソルに対応するとは思わない。カーソル対応はiPadのような大きいスクリーンで特に意味があるからだ。最新のiPad Proは、USB-Cポートを使って外部モニターとつなぐこともできる。

2017年のiOS 11で、Appleは多くのデザインメタファーをMacからiPadに持ち込んだ。画面下のドックや新しいファイルアプリなどだ。それでもiOSはmacOSとはまったく別のオペレーティングシステムのように感じる。ともあれ、デスクトップの重要な機能の一部がiPadでもうまく働くのを見るのが楽しみだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

エンタープライズ・ソフトという言葉は「新スタートレック」起源

1993年ごろにシリコンバレーにいたか訪問したことがあれば現在「エンタープライズ・ソフトウェア」と呼ばれている同じものが「インフォメーションシステム・ソフトウェア」と呼ばれていたことを覚えているだろう。この変化はいつ、どのようにして起きたかご存知だろうか?

読者の同僚にトレッキーがいれば大いに満足するだろうが、答えは「新スタートレック」(Star Trek: The Next Generation)だ。意外かもしれないが間違いない事実だ。

この時期にBoole & Babbage(現在のBMC)は精力的なマーケティング・キャンペーンを打ち、自身を「システム・ソフトウェア」企業から「エンタープライズ・ソフトウェア」企業にイメージチェンジさせた。

もちろん1993年よりずっと前から「エンタープライズ」はなんであれ複雑なシステムを表わす単語として使われていた。しかしBoole &Babbageが全米ネットワーク番組として当時最高の視聴率を誇った「新スタートレック」をプロデュースしたパラマウントと2年のライセンス契約を結んでからすべてが変わった。

スタートレックのファンはこのクレイジーなマーケティング契約について何年も語り草にした。詳しいことが知りたければファンサイトのTrekCoreで読むことができる。しかしいかにコアなトレッキーでさえ、このキャンペーンがテクノロジー業界にどれほど大きな長期的影響を与えることになるかは予想できなかった。Boole&Babbageはパラマウントと結んだライセンス契約でスター・トレック関連のコンテンツをほぼ無制限に制作、配信する権利を得ていた。BooleはVHSテープ(!)を顧客に郵送し、雑誌に広告を掲載し、カンファレンスでは社員に連邦宇宙軍のコスプレをさせた。このキャンペーンでBooleは「エンタープライズ・オートメーション」を提供する会社というイメージを確立した。

上のインフォマーシャルには副長のライカー中佐が登場し、「エンタープライズ号の指揮を取る機能が艦橋に集中しているように、Booleのソフトウェアは今日の企業が必要とする複雑な情報システムを一元化するのだ」と説明している。他の会社にはそうした機能を提供する力がないという印象を巧みに与えるような仕上がりだった。

Booleのキャンペーンに対抗意識をかきたてられたIBMは、1994年にスタートレックのワープ航法をヒントにOS/2をOS/2 Warpというブランド名に変えた。さらにエンタープライズ号のピカード艦長役のパトリック・スチュワートをプロダクト発表のホストに起用しようと試みた。残念ながらパラマウントはこの話に乗らず、IBMは代わりにスタートレック ヴォイジャーでジェインウェイ艦長を演じたケイト・マルグルーを起用.した。Booleの独占ライセンスはあったものの、IBMはイベントの最初に流す5分間のイントロにスタートレックのミスター・スポック(レナード・ニモイ)を使うことができた。

1994年のIBMの新製品発表を眺めるとOS/2以外でも13件もの「エンタープライズ」プロジェクトを数えることができる。大手ソフトウェア企業は「エンタープライズ」という用語が自社ブランドのイメージを高めるために効果があると認めるようになり、ブランドやプロダクトの名称に利用するようになった。SAPやBaan(現在はInfor)などの企業向けソフトウェアベンダーは1993年以降、そろって「エンタープライズ」という言葉を使い始めた。1995年にLotusは「エンタープライズ・ソフトウェア企業」だと名乗るようになった。

1996年にIBMがLotusを買収した後、すべての企業向け製品をエンタープライズと分類したことで、「エンタープライズ」は公式に業界で最もクールな新語となった。 GartnerがWileyから出版したERP: A Vision of the Next-Generation MRP II(ERP、次世代MRP IIのビジョン)はEnterprise Resource Planning(統合基幹業務)ソフトウェアというテクノロジーの誕生を告げた論文だが、1990年に発表されたにも関わらず、ライカー中佐がインフォマーシャルで「今日の企業が必要とする複雑な情報システムを一元化するのだ」と言うまでほとんど注目を集めなかった。Googleが提供している書籍の中に特定の単語が現れる頻度を示すサービス、n-gram Viewerは大変興味深いが、ご覧のように「enterprise software」(青線)と「enterprise resource plannning」(赤線)やという言葉がポピュラーになるのは1994年後半からだ。

それから30年。我々はあらゆるビジネスが「エンタープライズ・ソフトウェア」で実行される世界に住んでいる。ソフトウェア・ビジネスの企画書がデスクに届き、その中に「エンタープライズ」という言葉が現れるたびに私はライカー副長の貢献にもっと光が当てられてもいいと思うのだ。

【編集部注】この記事はベンチャーキャピタルのMercury Fundでマネージング・ディレクターを務めるAziz Gilani(アジズ・ギラニ)氏の寄稿だ。同氏はMercuryでSaaS、クラウド、データサイエンスなどのスタートアップへの投資を手掛けている。

【Japan編集部追記】トップ写真のジョナサン・フレイクスはCBS AllAccess配信の新スタートレック・シリーズにもライカー副長としてゲスト出演している。

画像:Greg Doherty/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

App Storeで警官配備の表示アプリが禁止され出会い系も困難に、アップルがガイドライン改定

Apple(アップル)は今週、デベロッパーにApp Store Reviewガイドライン改訂版を示し、どのようなアプリが許可され、あるいは拒絶されるのか、またアプリの動作として許されることを詳しく記述して注意を促した。同社によれば、今回のガイドラインの変更は、レビュー、プッシュ通知、アップルでサインイン(Sign in with Apple)、データの収集とストレージ、モバイルデバイスの管理、その他に影響を与えるという。かなり目立つ変更点としては、アプリが広告を通知として表示できるようになったこと、出会い系や占いアプリに対してのルールが厳しくなったこと、ユーザーが警察による取り締まりを回避することを助けるようなアプリをAppleが拒絶できるようする新ルールが盛り込まれたことなど、いろいろある。

最後に挙げた、警官のいる場所を表示するアプリに対する変更は、驚くべきことに、プッシュ広告や出会い系アプリに対する変更ほど注目されていない。しかし、これは今回のルール変更の中で最も注視すべきものだろう。

App Store Reviewガイドラインの以前のバージョン(2020年1月のスナップショットを参照)には、「アプリは法執行機関によって公開された飲酒運転検問所のみを表示できる」と書かれていた。そして「アプリが「飲酒運転」や「速度の超過」を助長するようなことをしてはならない」と記されていた。当然の懸念だろう。

今回改訂されたルール(セクション1.4.4)では、これまでの文言に加えて、「ユーザーが法執行機関を回避するのを補助することによって、その種類を問わず、犯罪を犯したり、犯そうとするするために使われるような」アプリをアップルは拒絶すると明記されている。

思い出してみれば、昨年アップルは香港の民主主義推進派のデモ隊が警官を避けるために使用していたクラウドソーシングによるマッピングアプリ「HKmap」を拒絶するという決定を巡って、やっかいな状況に巻き込まれていた。当初、アプリは承認されたが、同社は中国の国営メディアから「暴徒による暴力行為を助長している」と批判されると、その1日後に承認が取り消した。

このアプリでは、ユーザーは警官のいる場所、催涙ガスが使われている場所、その他の抗議活動に関する詳細など、クラウドソーシングによって集めた情報を、定期的に地図上にプロットして共有できる。アップルは声明の中で、そのアプリが「警官を待ち伏せして標的にする」ために使われていることが判明したため、削除したと述べた。

セクション1.4.4の変更前(上)と変更後(下)

新しいApp Store Reviewガイドラインでは、この種のアプリに関するアップルの最終決定を明記している。事実上、ユーザーが法執行機関を回避することを支援するアプリを禁止した。ただし、ガイドラインにも記載されているように、警官を避けるのは必ずしも「犯罪を犯す」ためとは限らない。アムネスティ・インターナショナルは、香港の抗議活動中に警察に拘束された人々が、殴打されたり、拷問を受けるなど、警察による残虐行為があったことを文書で報告している。つまりHKmapには、ユーザーが自らの身の安全を確保するために、警官を回避することを可能にするという面もあったことになる。

このようにアップルのルールにはあいまいな部分があり、アプリを拒絶したり禁止したりすることを決定する前に、そのアプリがどのように使われるのか同社として精査する余地を残している。

今回のガイドラインに関して注目すべき他の変更としては、アプリのデベロッパーが、プッシュ通知でマーケティングメッセージ(つまり広告)を送信できるようにするという更新(セクション4.5.4)も含まれている。これまではこのような動作は禁止されていた。この変更は、すぐにユーザーから抗議を受けることになったが、最初に考えられたほど悪くないかもしれない。

これまで禁止されていたにもかかわらず、多くのアプリが、すでにユーザーにスパム広告を表示していたのは明らかだ。これからは、そうしたアプリは、ユーザーインターフェース内で顧客の同意を得る必要があり、アプリ内にオプトアウトのための仕組みを用意して、ユーザーがプッシュ通知による広告をオフにできるようにすることが求められる。この変更により、アプリ内購入が可能だったり、広告収入に依存しているアプリについて、オプトアウトの仕組みを備えているか、少なくともレビュー担当者はチェックしなければならなくなる。

「こうしたサービスを悪用すると、デベロッパーの権利が取り消される可能性があります」と、アップルは警告している。また別の変更では、「占い」や「出会い系」アプリが、「ユニークで高品質な」体験を提供していない場合、スパムとみなされるアプリのリストに追加された。それに関連するセクション(4.3)では、アップルが過飽和だと認識していたり、より厳格なレビューが必要だと考えているアプリのカテゴリについてデベロッパーに注意を促している。

また新しいガイドラインには、App Storeに投稿されたレビューにデベロッパーが対応する方法を指示するセクション(5.6.1)が含まれている。そこには「ユーザーのコメントに返信する際には、敬意を持って接すること」や、無関係な情報、個人情報、スパム、マーケティング情報を文面に含んではならないと念を押している。またこのセクションには、デベロッパーがユーザーのレビューを求める際には、アップルのAPIを使い、ほかのメカニズムを利用してはならないことも明記している。これによりユーザーは、iOSの設定からすべてのアプリについてApp Storeのレビューの要求をオフに切り替えることができる。この文言は以前のガイドラインにもあったものだが、セクション1.1.7から同5.6.1に移動した。

最後にアップルは、既存アプリのアップデートを含み、今後のすべてのアプリは、2020年4月30日以降、iOS 13のSDKを使用したものである必要があると、デベロッパーに念を押している。それ以降のアプリは、すべて「Appleでサインイン」のログイン/サインアップ機能をサポートする必要もある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

人気の写真編集アプリ「VSCO」に複数の写真や映像を重ねられる映像ツール「Montage」が加わる

写真編集アプリとして人気の高く、Z世代のお気に入りというミームでもあるVSCOは、このところビデオに力を入れているようだ。先月、同社はついに、写真とともにビデオも投稿できる機能を加えた。そして米国時間3月4日、Montage(モンタージュ)と呼ばれるさらに強力で複雑なビデオ編集ツールを発表した

すでにVSCOには、ビデオにフィルターをかけたり、露出を調節したりと、写真編集のようなビデオ編集機能がある。しかしMontageは、それらとはまったく異なるビデオ編集体験だ。まず、ユーザーは複数のシーンのある長いストーリーを作成できる。そしてストーリーには、複数のビデオや写真、色、形などを重ねてコラージュのような作品も作れる。

その新しい機能は、VSCOのいわば原点でもあるVSCO Studioから利用できる。使用するユーザーはまず、方形、横長、縦長などの縦横(アスペクト)比を指定し、「カメラロール」から複数の写真やビデオを加えてシーンを作る。

「モンタージュ」を作るときに重ねていく像の透明度を指定できる。ビデオに加えるシーンの数に制限はない。ただし投稿できるビデオは2分以内だ。最終結果はVimeo以外でも共有できる。

VSCOがビデオに投資するこの時期には、Instagramストーリーや、人気アプリTikTokやByteによってソーシャルメディア上のビデオ共有が急激に盛んになり、ビデオを編集することへの関心も急増している。

昨年VSCOは、ビデオ技術の企業であるRyloを買収して、ビデオに注力する意思を明らかにした。Montageなどに搭載される新しいビデオ機能には、有料会員を増やしたい思惑もある。12月に同社は「今のペースでは2020年内に有料ユーザーが400万人を超え、年商は8000万ドル近くになる」とコメントした。これは、年間19.99ドルの会費によるもの。VSCOの1週間のアクティブユーザーは2000万人を超えているが、そのうち200万人強が有料ユーザーだ。

無料ユーザーもMontageで遊べるが、完成したビデオの保存や投稿は有料ユーザーのみだ。MontageのiOSおよびAndroidバージョンは、本日から提供される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ウェブサイト構築にマイクロサービスを導入したNetlifyが約57億円調達

ウェブサーバーというものをなくして、ウェブサイトの作り方を変えたいと願うNetlifyは米国時間3月4日、5300万ドル(約57億円)のシリーズC調達を発表した。

EQT Venturesがラウンドをリードし、既存の投資家であるAndreessen HorowitzとKleiner Perkins、そして新規にPreston-Werner Venturesがこのラウンドに参加した。並行してEQT Venturesの投資アドバイザーであるLaura Yao(ローラ・ヤオ)氏がNetlifyの取締役会に加わる。同社によると、これで同社の調達総額は9700万ドル(約104億円)になる。

最近は多くのスタートアップがそう言うが、Netlifyの共同創業者であるChris Bach(クリス・バッハ)氏もまた、「新しい資金を求めてはいなかったが、会社が急速に成長しているので、その成長の継続のためにお金をもらっておくのが賢明と判断した」と述べる。

バッパ氏とCEOのMatt Biilmann(マット・ビルマン)氏は評価額を明かさなかったが、「それはとっても気前のいい額だったが、Netlifyの現状にはふさわしい」とだけ語った。売上の額も公表しないが、創業後3年で売上は3倍になったという。

その成長を支えているのが、このプラットホームに参加するデベロッパーの数だ。2018年のシリーズBのとき30万人だった登録ユーザーが、今では80万人と大幅に増えている。

2018年にTechCrunchが取材した際に同社は「ウェブサイトの作り方を変えたい」と語っていた。以下に、そのときの記事から引用しよう。

「Netlifyはウェブサーバーの概念を抽象化してしまった。彼らによると、ウェブサーバーはデプロイに時間がかかりすぎるし、セキュリティもスケールも困難だ。一枚岩的なウェブサイトから、スタティックなフロントエンドとバックエンドのマイクロサービス群へ移行すれば、セキュリティとスケーリングの問題は解決するし、サイトをもっと速く完成できる」と同社は語る。

デベロッパーに人気があることはいい出発点だが、もっと大型の顧客を獲得していかないと売上は伸びないだろう。そこで同社は今回得られた資金を、同社のエンタープライズ対応を構築するために使いたいという。現在のエンタープライズ顧客には、GoogleやFacebook、Citrix、Unileverなどがいる。

社員数は、昨年初めの38名から今では97名に増えている。「そして今年中に180名ぐらいにしたい」と同社は語る。

関連記事:Netlify just got $30 million to change the way developers build websites(ウェブサイトの作り方を変えるNetlifyが3000万ドルを調達、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa