アップルはアクセシビリティ機能に真正面から取り組む

WWDCで発表されたApple(アップル)のアクセシビリティに関するニュースの核心部分はすでに報道されているが、それ以外にもアクセシビリティに関連するアイテムは発表されている。ということで、ここでは、あまりニュースとして取り上げられないアップルの発表に関して、私が障害者としての観点から最も興味深いと思っている点について、考察を述べてみたい。

アクセシビリティが主要な関心事に

私がWWDCの週に報告したことの1つは、アップルが(iOS 13とiPadOS上で)アクセシビリティメニューを設定階層の最上位に移動したことだ。「設定」→「一般」→「アクセシビリティ」とドリルダウンするのではなく、いまやアクセシビリティ設定は「通知」や[「スクリーンタイム」などと同じリストビュー内にあるトップレベル項目になった。アップルはまた私に対して、この動きはwatchOS 6にも適用されると説明している。

同様に、アップルは最初の「セットアップ」プロセスにアクセシビリティ機能選択を追加したと語った。新しいiPhoneまたは他のデバイスを初めて設定するときには、システムはユーザーに対して、例えばVoiceOver(「設定」→「一般」→「アクセシビリティ」→「VoiceOver」)のような、望ましいアクセシビリティ機能を設定することを促す。

どちらの変更も、長い間待ち望まれていたもので、特に象徴的な重要度が大きい。平均的なユーザーにはあまり影響はないかもしれないが、アップルがこの動きを行った事実は、彼らが如何にアクセシビリティコミュニティを気にかけているかを饒舌に物語っている。「設定」の中で「アクセシビリティ」をフロントページに移動することで、障害を抱えた(そしてさまざまなな意味でアクセシビリティに課題を抱えた)ユーザーたちに、もう少しだけ配慮することになるのだ。

身体障害者としての私自身にとっては、これは取るに足らないことではない。この変更は、アクセシビリティを第一級の市民にするという点に関して、アップルが業界のリーダーとしての地位を強化することになる。アクセシビリティをトップレベルに引き上げることで、アップルはそれがオペレーティングシステムの重要な側面であり、私を含む多くの人びとのユーザー体験の重要な一部である、というメッセージを発信するのだ。

HomePodへのハンドオフ(切り替え)

私はHomePodを使って音楽やPodcastを聞いたり、HomeKitデバイスを制御したりすることを楽しんでいる。しかしながら、これまでのHomePodで最も煩わしかった点は、中断したところからの再開ができないということだった。音楽やPodcastを聞きながら、スーパーマーケットから家に帰ってきて、そのまま聞き続けたいと思っても、私はまず再生を止めて、出力先をオフィスのHomePodに切り替えなければならない。それは別に難しいことではないが、アクセシビリティの観点からすると、たくさんの余計なタップを繰り返さなければならない。私はもちろんちょっとした面倒を感じていて、その面倒な手続きを強いられるたびに悪態をついている。

iOS 13では、その面倒はなくなる。私のiPhone XRをHomePodに(設定時と同様に)近付けるだけで、iPhoneは再生中の音声を全て、スピーカーに対してハンドオフ(切り替え)するのだ。繰り返すが、入出力の切り替えは全体からすれば大した話ではない。しかし障害者の1人として、私はほんのわずかな不便さにさえ敏感なのだ。受信したiMessageを自分のAirPodではっきりと読み上げてくれる機能などと同様に、こうしたちょっとした洗練は、長い目でみたときにより楽しくシームレスな体験につながっているだけでなく、体験そのものへのアクセシビリティを高めてくれるのだ。こうした意味で、この技術は様々な意味で魔法のようなものなのだ。

ボイスコントロール(Voice Control)の素晴らしさ

ボイスコントロール(Voice Control)の追加そのものは間違いなくメインテーマの1つだが、その舞台裏が大きく語られることはない。

WWDCの開催週の中で、私が話をしたすべての人たち(同僚のレポーターだろうが、開発者だろうが、あるいはアップルの従業員だろうが)が、同じ意見を持っていた。ボイスコントロールはとても素晴らしいと絶賛していたのだ。実際に、 ジョン・グルーバー(John Gruber)氏のポッドキャスト「The Talk Show」の中で、彼と特別ゲストのクレイグ・フェデリギ(Craig Federighi)氏とグレッグ・ジョシュウィキ(Greg Joswiak)氏が議論している部分はその良い一例だ。それは私が会議で耳にしたことと、完全にかみ合う内容だ。フェデリギ氏は、Appleのアクセシビリティチームのメンバーによる内部デモを見たときに、涙があふれることを抑えることができなかったと語っていた。

同様に、会議の中でのアクセシビリティ集会でもそれは熱い話題の1つだった。多くのエンジニアたちや、アップルのアクセシビリティグループのメンバーたちが、ボイスコントロールを送り出せたことをどんなに誇らしく思っているかを、私に伝えてくれた。私はその開発が、大変な仕事だったことを聞かされており、そこに関わった全ての人びとにとって、それが世界に対してリリースされるところを見ることは、ここまでたどり着くために必要だった困難な道のりを振り返らせ、興奮させるものなのだ。

高いレベルから眺めた時に、ボイスコントロールは、私にとってアップルのアクセシビリティに対する取り組みを象徴するものとして目に映った。では動画を見てみよう。

これはとても信じられない、まるで魔法のように感じられるものだ。だがこれはすべて本物である。そして何より素晴らしいのは、これは非常に多くの人の経験をとても深く素晴らしいものへと変えてくれる、革新的機能だということなのだ。フェデリギ氏が泣いたのも無理はない。これは本当に素晴らしいものなのだ。

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(翻訳:sako)

アップルの音声コントロールはアクセシビリティをOSレベルで強化する

Apple(アップル)は、なめらかで直感的なユーザインタフェースをお家芸としている。しかし、もしユーザーがクリック、タップ、ドラッグといった操作のための指を持っていなければ、そんなものは何の役にも立たない。障がいを持つユーザーのために、Appleは強力な「音声コントロール」を装備し、音声ベースのアクセシビリティ機能の強化に本気で取り組んでいる。Mac、iPad、iOSデバイスで利用できる。

多くのデバイスが、すでに優秀な音声入力機能を備えている。そしてもちろん、Apple製のスマホやパソコンにも、もうかなり前から音声ベースのコマンド機能が備わっていた。古くはMacintosh Quadraにさえ、そのためのマイクが標準装備されていた。しかし今回の音声コントロールは、これまでにないほどの大きな進化だ。声による操作を、誰でも使える万能なものに近付ける。そして、すべてオフラインでも機能する。

基本的に音声コントロールでは、ユーザーはセットコマンドと、コンテキストに固有のコマンドの両方が使える。セットコマンドとは、「Garage Bandを起動」とか、「ファイルメニュー」とか、「タップして」などといったもの。もちろん、ユーザーが命令しようとしているのか、文章を入力しようとしているのかを区別するだけのインテリジェンスは備えている。

しかし、こうしたコマンドは、多くのボタンや入力フィールド、ラベルなどが1画面に混在しているようなインターフェースでは、うまく動かない。もし、すべてのボタンやメニュー項目に名前が付いていたとしても、いちいちすべての名前を端から読み上げて選択を促すのは時間もかかり、現実的ではない。

この問題を解決するため、Appleは表示されているすべてのUI項目に単純に番号を付けた。ユーザーが「番号を表示」と言えば表示する。そこでユーザーは、単に番号を発音するか、たとえば「22をタップ」のように、操作の種類も合わせて指示できる。基本的なワークフローは、下のGIF動画に示されている。ただ、音声がないので、伝わりにくい部分があるかもしれない。

こうした数字なら、声を出しにくい人、あるいはまったく出せない人にとっても、比較的簡単に指示できることは重要なポイントだ。たとえば、ダイアルや息を吹き込むチューブといったような、単純な入力デバイスでも選択できるのだ。視線を追跡するのも優れた入力方法だが、それなりの限界もある。数字を使う方法は、それを補うことができるだろう。

たとえば地図のように、どこでもクリックしたくなる可能性があるような画面用には、グリッドシステムを用意している。それによって拡大したり、クリックしたい場所を指定する。まさにブレードランナーのようだ。スクロールやドラッグといったジェスチャーに対応する機能もサポートしている。

テキストの音声入力は、ちょっと前から使えるようになっていたが、それについても進化した。あるフレーズだけを選択して置き換える、といったことも声で指示できるようになった。たとえば、「”be right back”の部分を”on my way”に置き換えて」のように言えばいい。他にも細かな改良点があるが、この機能を頻繁に使用する人なら、その変化に気付き、きっと気に入るはずだ。

音声の解析などの処理は、すべてオフラインで行われる。そのため応答も早く、ネットワークとの接続状態に影響されない確実な動作が可能。データ通信が困難な外国に出かけている場合も安心だ。また、Siriに組み込まれたインテリジェンスによって、基本的な語彙に含まれない名前や、特定のコンテキストに固有の単語なども認識できる。音声入力の進歩により、絵文字を選択したり、辞書に項目を追加したりすることも、簡単にできるようになった。

現状では、すべてのApple純正アプリが音声コントロールをサポートする。またAppleのアクセシビリティAPIを使用しているサードパーティ製アプリなら、簡単にそのメリットを享受できるはずだ。さらに、特に対応していないアプリでも、数字とグリッドによるインターフェースは機能するはずだ。というのも、OS自体が、アプリが表示しているUI項目の位置を把握しているからだ。このように進化したアクセシビリティ機能は、デバイスをiOS 13またはCatalinaにアップデートするだけで、すぐに利用できるようになるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

WWDCで発表されたiOS、macOS、watchOSのおいしい部分まとめ

米国時間6月3日のWWDCの基調講演では、予想通り多くのものが発表された。そのすべてを見終わってみると、なんだかAppleは、今回取り上げた新機能の間で競争を繰り広げていたようにも感じられた。全部を2時間ちょっとのイベントに詰め込まなければならなかったのだから、それも当然だろう。

多くの人にとって、新しいMac Proが今回の発表のハイライトに見えただろう。ただしAppleとしては、ソフトウェアに焦点を当てていたのは確かだ。Appleは、ハードウェアの売り上げが伸び悩むにつれて、やはり将来はソフトウェア、サービス、そしてコンテンツにかかっているのだと、痛切に感じているはずだ。今回の基調講演では、iOS、macOS、そしてwatchOSが提供することになる新しい機能の中でもベストな部分を、解説付きで観ることができた。

驚くべきことではないが、その中ではiOS 13が最も大きな変更をもたらす。ダークモードは、いわばその中のハイライトだ。この機能のセールスポイントは、macOSなど、他のOSのものと基本的に変わらない。つまり、目に優しく、バッテリーの消費を抑えるというもの。ユーザーの設定によって、常にそのモードを使うか、太陽が沈んでいる間だけ有効にするかを選ぶことができる。

ダークモードにすると、自動的に暗い壁紙が選ばれる。とりあえずAppleの純正アプリで動作するが、やがてサードパーティ製アプリもサポートする。また、アプリ開発環境も標準的にサポートするはずだ。

Appleマップは、登場した直後には鳴かず飛ばずだったが、大きなアップグレードがずっと加えられてきた。今回の新機能で最も注目に値するのはLook Aroundだ。Googleがずっと前から実現しているストリートビューに対抗するものとなる。デモを見る限り、非常にスムーズに動作する。ただし、実際に路上のセルラーネットワーク環境でどのように動くかはわからない。しかしデモは、間違いなく印象的なものだった。

イメージングに関しては、これまでもiOSにとって重要なアップグレードのポイントとなってきた。それは今回も同じだ。写真アプリの編集機能はかなり進化している。ホワイトバランス、コントラスト、シャープネス、ノイズ除去など、プロっぽいコントロールが可能となった。

簡単に使えるフールプルーフ的な機能も加わっている。たとえば、肌の色に影響を与えずに彩度を調整する機能などだ。また、画質や色調の調整や、全体の回転など、ビデオに対して使える編集ツールも加わった。また写真アプリでは、撮影した写真の1画面の表示数、並べ方をダイナミックに変更できる。たとえば、誕生日に撮影した画像をグループ化して表示すれば、時の経過を嫌でも再認識することになるだろう。

今年の基調講演は、iPadにとって、大きな節目となるものだった。iPad用のOSが、iPhone用のiOSから分離されたからだ。ユーザーにとっては、iPadの大きな画面を活かした機能を利用できるようになることを意味する。たとえば、同じアプリのウィンドウを複数開いて、これまでとはまた違う意味のマルチタスクも可能となる。さらに、ジェスチャーによってテキストを選択したり、コピー&ペーストまでできるようにもなる。こうしてiPadOSは、パソコンの操作感覚に近づいていく。

しかし、それより何より、最もエキサイティングな新機能は、実はMac側にあった。macOS Catalinaは、DuetやLuna Displayのようなセカンドディスプレイ機能をiPadに付加する。つまり、iPadをMacの外部モニターとして利用できるのだ。この機能は、Bluetoothによる無線接続でも、USBによる有線接続でも使える。

WWDCの会場は、無線通信にとっては過酷な環境のためか、デモは有線接続で行われた。複雑な操作にも対応して完璧に動作したことは言うまでもない。iPad Proなら、Apple Pencilで描くこともできる。また、iPadのディスプレイの下部には、Touch Barのようなメニュートレイも表示される。

watchOSについても、いくつか付け加えておく価値があるだろう。中でも重要なのは、月経周期の記録、予想機能だ。この機能はiOSでも利用できるようになる。これまでとはまた違った意味での健康管理を可能とするもの。

その他、watchOSに追加される機能としては、オーディオブックをApple Watchで直接聴くための純正アプリ、内蔵マイクを使用して、聴覚障害の原因となる可能性のある騒音をユーザーに警告するNoiseアプリなどがある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

小規模eコマースでも傘下マーケットプレースを容易に増やして管理できるMirakl Connect

中小eコマースのお助けサービスを提供するMiraklが、Mirakl Connectという新製品を立ち上げた。これはユーザーであるeコマース企業が複数のマーケットプレースをパートナーにしている場合、それらパートナーのコントロールやコミュニケーションを行うダッシュボードだ。

フランスのスタートアップであるMiraklは最近、7000万ドルの資金を調達した。同社はeコマースのプラットホームと協働して、彼らのサイトにサードパーティのマーケットプレースを、いわば新たな在庫としてくっつける。

eコマースのWebサイトは今、マーケットプレースをくっつけることがますます流行している。Miraklもこれまで、Darty、Office Depot、カナダのBest Buyなどをマーケットプレースで強化してきた。同社は、B2B(買い手が消費者でなく企業)のマーケットプレースも扱う。

しかし契約マーケットプレースが多くなると、eコマース企業はその現状理解とコントロールが難しくなる。ある品物を、どこが扱っているか、分らなくなることも多い。それぞれのマーケットプレースの顧客とのコミュニケーションも、難しい。

そこでMirakl Connectを利用すると、セラーが企業のプロフィールを作ったり、複数のマーケットプレース上で同時に製品を販促したりできる。また始めたばかりのeコマースプラットホームは、Mirakl Connectを使えばサードパーティのセラーを見つけやすくなる。

あなたが小さなeコマースサイトをやっていると、サードパーティのセラーは売上ボリュームの少ないところへ自分の製品を出そうとしない。でもMirakl Connectを使えば、小さなeコマースでもマーケットプレースを容易にパートナーにできる。

そしてMirakl Connectの上でセラー(eコマースサイト)とマーケットプレースがチャットでコミュニケーションできる。まさにMirakl Connectはマーケットプレースのマーケットプレースみたいだ。その上で、マーケットプレースがどんどん増えていく。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iPadをMacの外部モニター/液タブにするアップル純正Sidecarの脅威

Apple(アップル)は、macOS 10.15 Catalinaに新たな機能を導入する。私に限らず、iPadとMacの両方を持っている人なら、誰でもすごいと認めざるを得ないだろう。この「Sidecar」と呼ばれる機能を使えば、iPadをMacのセカンドディスプレイとして利用できる。有線、無線、どちらでも機能する。さらにApple PencilをサポートするiPadなら、間接的にMacでペンシルが使えるようになる。

WWDC 2019のステージを見た範囲で言えば、何かをインストールしたり、設定したりすることなく、そのままで非常にシームレスに動作するようだ。この機能は、一般的なグラフィックタブレットに対応しているMacアプリも、そのままサポートする。つまり、その分野で非常に重要なAdobe Creative Suiteでも使える。

このような機能は、はっきり言って最初にiPadが登場したときから多くの人が求めていたものだ。しかし、Appleはなぜかそれを無視して純正のソフトウェアで実現してこなかったため、いろいろなサードパーティが独自にそのギャップを埋めてきた。最初に登場したのは、元AppleのエンジニアだったRahul Dewan氏によるもの。培った専門知識を生かして作ったiOSアプリ「Duet Display」だ。これも有線でも無線でも利用可能で、iPadやiPhoneをMacのセカンドディスプレイとして使うことができる。ミラーリングや入力デバイスとしての利用もサポートしている。もちろんApple Pencilにも対応する。他にはAstropadも、iPadをMacのディスプレイとして利用でき、アーティスト向けの入力機能も一通り揃えるなど、ほぼ同様のものとなっている。

ワコムも見逃せない。かなり初期のころから、大半の仕事をデジタルでこなす必要があるプロのアーティストやアニメーターが標準的に選択する製品だった。同社のCintiqシリーズは、ディスプレイに直接書き込めるスタイラスをサポートする高品質の描画タブレットを必要としている人にとって、長い間、ほとんど唯一の現実的な選択肢だった。ただし、それらは非常に高価で、デジタルアーティストとして生計を立てているような人だけが、購入を正当化できるほどのものだった。

ワコムは、Cintiq Proシリーズにおける革新を続けていて、最近になって16インチのCintiq Proを発売した。価格も、以前の製品よりもかなり手頃なものになっている。おそらく部分的には、iPadシリーズのApple Pencilサポートが拡大されたことに対抗したものだろう。もちろんAmazonを探せば、もっと低価格の代替品が豊富に販売されている。

しかしSidecarは、こうしたワコムの製品もそうだが、特に先に挙げたサードパーティ製のiPadアプリにとって脅威となる。誰か他の人のエコシステムに依存した製品を作っている限り、残念ながら避けられないリスクだ。

Appleは、自分たちのコアプラットフォームに組み込むにはあまりに些細な機能だと最初のうちは考えていたものを、後になって取り入れることに躊躇しない会社だ。たとえそれが、自らのエコシステムのパートナーが築いた領域に土足で踏み込むことになるとしてもだ。実のところ、間違いなく消費者に価値を提供し、自分が投資したハードウェアの価値を向上させるものだと感じられる場合には、Appleがそうすることを非難するのは難しい。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Skypeが画面共有機能をiOSとAndroid向けにローンチ

Skypeはデスクトップ版で最も人気がある「画面共有機能」を、モバイル版に導入する。米国時間6月4日、同社はiOS版とAndroid版にてそれぞれの画面を共有できる画面共有機能が、ベータテストを終了したと発表した。

この機能は、Microsoft(マイクロソフト)が以前に提案していたように、パワーポイントのプレゼンテーションを共有するなど仕事関連で利用できる。しかしそれだけでなく、デートアプリで友達と盛り上がったり、あるいはオンラインショッピングにも活用できる。特に、家族へのスマートフォンの技術的なサポートに役立つことだろう。

モバイル向けの画面共有機能はまず4月にテスター向けにベータ版が導入され、現在はすべてのユーザーが利用できるようになった。この機能はSkypeアプリの「…」のメニューから利用できる。ここでは、通話録音やサブタイトルなど、最近リリースされたその他の機能も見つけられる。

また最新版のモバイル向けのSkypeでは、通話コントロールがワンタップで解除できるように通話画面のデザインが変更されている。2回タップするとすべてのコントロールが消え、ビデオ通話がフォーカスされる。また、もう1回タップすればコントロールが復帰する。

Skypeは古参アプリだが、依然として月間3億人のユーザーを抱えている。WhatsAppやMessenger、Snapchatのようなチャットアプリ、あるいはiMessageやFaceTimeのような内蔵コミュニケーションサービスにて数多くのメッセージがやり取りされる時代になっても、Skypeが存在感を確保するために新機能の追加をやめることはない。

なお、すべての変更が成功したわけではなく、以前にはSnapchatのようなカラフルすぎるデザインを撤回したこともある。一方で、HD動画やSignal Protocolによる暗号化、通話録音など、便利な機能も導入されている。

モバイル向けの画面共有機能はAndroid 6.0とそれ以降、あるいはiOS(iPhoneとiPad)のiOS 12かそれ以降で利用できる。機能の利用には、アプリを最新版へとアップデートする必要がある。

なお画面共有機能は、Linux、macOS、Windowsと、Skype for Windows 10(バージョン14)でも利用できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Apple Watch専用のApp Storeとアプリが登場

Apple Watchアプリがこれまでの制約から解放される。Apple(アップル)はデベロッパー会議でApple Watch上で作動する専用のApp Storeを発表した。つまり、Apple WatchのアプリをiPhoneで探したり、オンやオフをトグル設定したりしなくてもよくなり、新しいApple Watchアプリを手首でブラウズして探すことができる。

Apple Watchの新App StoreではiOSのApp Store同様にアプリの説明、スクリーンショット、評価などが表示される。そしてスクリーンをタップしてアプリをApple Watchにインストールできる。

このApple Watch専用App Storeに関連して、アップルはwatchOSアプリがiOS アプリから独立して作動すると説明している。これによりデベロッパーはWatch専用のアプリをつくることができるようになる。おそらくこうした変更によりiOS用のApp Storeでは展開できなかったApple Watchエコシステムを始動させることを思い描いているのだろう。最近の消費者はアラームの受信や、着信・メッセージへの応答、音楽の操作などのビルトイン機能をApple Watchで活用する傾向にある。

今回、新たなストリーミングAPIも発表された。この独立したApple Watchアプリにはライブのオーディオフィードが含まれ、会議のステージ上で紹介されたようにスポーツイベントの中継を聴いたりすることもできる。

こうした新たな要素は、より多くの消費者にApple Watchを購入したいと思わせるかもしれない。今まではApple Watchを使うにはiPhoneも持っていなければならなかった。しかしこれからはAppleのエコシステムに多くを投資することなく、さまざまなWatch機能のアドバンテージを享受できるようになる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Spotifyが軽量視聴アプリ「Stations」を米国でリリース

Spotifyは米国にて、キュレートされたプレイリストに簡単にアクセスできる視聴アプリのStationsをリリースした。このアプリはSpotifyによる実験だと考えられており、また起動時のインスタント楽曲再生をサポートしていることから、Pandoraのコピーだと考える人もいる。

Stationsアプリは、時間と労力をかけて音楽を探したり、自分のプレイリストをカスタムするよりも、ラジオのような体験をしたい人へと向けてデザインされている。また、Spotifyのアプリの外観は万人向けとはいえないので、シンプルなユーザーインターフェイスを求める人にも魅力的だろう。

そのかわり、Stationsではスクロールできるリスト上のプレイリストや、簡易的なカスタムツールなど、機能が最低限に留められている。

Stataionsでは無料ユーザーには広告が再生され、また楽曲の評価ができるが、スキップはできない。Spotifyのプレミアム会員は無限のスキップと広告なしでの再生が可能だ。

アプリではジャンルや年代、アクティビティなどに応じたプレイリストが用意され、使い続けるうちにユーザー向けによりカスタマイズされていく。またYouTube Musicのように、ユーザーが好きなアーティストを選び、自分のステーションをカスタムすることも可能だ。さらに、ユーザーの好みに応じたお気に入りプレイリストも用意される。

Stationsアプリはまず、オーストラリアにてAndroidユーザー向けに2018年にローンチされた。そして同国では、1カ月前にiOS版もローンチされている。

当初、Spotifyはこのアプリを他の市場へと投入する計画についてコメントしなかったが、今回の拡大はSpofityがStationsのユーザーから良好なフィードバックが得られたという前向きな兆候のようだ。

なお、現在米国ではiOS向けにStationsがローンチされている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

iMessageがプロフィール写真をサポート、ミー文字ではメイクやアクセサリーも楽しめる

アップルはiOS 13でiMessageを大幅にアップデートするとWWDCで発表した。ついに、自分の連絡先に写真を設定していない相手に表示される邪魔なグレーのイニシャルをなくす方法が提供される。ユーザーが自分のプロフィール写真を追加すると、iMessageでメッセージをやり取りするときに表示されるようになる。これは写真でもいいし、ミー文字でもいい。そのミー文字もアップデートされる。

現在のミー文字では、肌のトーン、髪の色、目などを変更できるが、今後はさらにメイクやアクセサリーも追加できるようになる。アイシャドウやリップの色を変えたり、ピアスなどのアクセサリーを追加したり、さらにAirPodsを耳に装着することもできる。

WWDCのステージでは、リップピアス、舌ピアス、ノーズリングなどのデモがあった。歯列矯正装置やイヤリング、そしてすきっ歯、金歯、髪、帽子などの新しいオプションもある。今回のイベントでは美容系インフルエンサーが登壇して新しいミー文字を紹介した。

このアップデートでiMessageは、MessengerやWhatsAppなどのようなメッセージングアプリらしさを増す。

その後に披露された新登場のiPadOSに関するデモでは、iMessageの新しいプロフィール写真とミー文字が共有シートにも表示されることを確認した。

さらにiOS 13では、ミー文字はステッカーとして送信できるようになる(以下の写真を参照)。

SnapchatのBitmojiに見られるように、オリジナルの絵文字は自己表現の形として人気がある。米国時間6月3日のアップルのキーノートに先立ち、Facebookも「Avatars」というBitmojiのようなものを発表した。Avatarsは米国時間6月3日にオーストラリアでMessengerとニュースフィードのコメントに使えるようになり、今後各国で導入される。

iMessageの新機能は今秋登場のiOS 13に搭載される予定だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

iOS 13で写真アプリが大改良、目当ての写真がさらに見つけやすく

iPhoneの上で写真を見つけようと思ったら、どうするか?やり方はたくさんあるが、でも正直なところカメラロールへ行って光よりも速くスクロールし、自分の目が目的の写真を正しく見つけてくれることを信じるというやり方が圧倒的に多いだろう。でも今度からは「写真」アプリの新しいレイアウトによりそれが変わるかもしれない。写真を見つけやすいように、日、月、年別にまとめてくれるのだ。

現在、写真アプリは混乱の巣窟だ。写真を整理する方法はいくらでもあるが、どれ1つとして正しいとは思えない。「For You」タブには最近の一定期間の、ランダムに選んだランダムなお勧め写真がある。それらを「1年前」「春」「旅行」「食事」などで検索できる。たくさんの小さな画像を日付順に並べてくれる機能もあるけど、小さすぎてよくわからない。だからみんなカメラロールを自分でスクロールしまくる原始的な方法に頼るのだ。

WWDCで発表された、Days(日)、Months(月)、Years(年)のテーマでそれが変わるかもしれない。そしていろんなタブ、多すぎるぐらいのタブがあってそれらの期間を指定できる。

そのデフォルトのモードは単なるカメラロールに似ているが、でもDays(日)を選ぶと、ライブフォトが有効なままで、それぞれの日のいろんな写真がハイライトされる。次の日ヘ行くのも簡単だ。もっと新しい写真が下のほうへ出てくる。

Months(月)を選ぶと、各月の写真が場所やイベントごとにまとめられている。Years(年)でも同じだが、各年のアルバムの表紙には同じ日の写真が載る。例えば、誰かの誕生日パーティーに行った日の写真とか。

写真アプリには前から、特定の日付を指定する機能があるけど、それよりも今度の方法の方がいいね。ある年を選んで、さらに月、日、と大量の写真をかき分けていく。カメラロールの単純なスクロールよりもずっと有意義だ。とはいえ、カメラロールスクロール主義を完全に放棄することは絶対にないだろう。

以上は、iOSのマイナーな変化にすぎないが、写真アプリはなにしろ使う頻度が多いから、写真を見つけやすくなったことは相当重大な変化と言えるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルの新しいTestFlightでスクリーンショット付きのフィードバックを簡単に送れる

アップルのテスト用プラットフォーム、TestFlightがアップデートされる。WWDCで発表された新バージョンのXcode 11では、TestFlightアプリのユーザーからのフィードバックが自動で有効になる。ユーザーはテスト中のTestflightアプリからスクリーンショットを共有する際に、ベータフィードバックとして共有するかどうか、コメントをつけるかどうかを選択できる。これまでよりも一体化したエクスペリエンスにすることによって、より多くのユーザーにフィードバックを促そうというものだ。

こうした機能は人気のアプリフィードバックプラットフォームのInstabugにもある。InstabugはBuddybuildのサービスで、アップルは2018年1月にBuddybuildを買収していた

開発者はApp Store Connectで受け取ったフィードバックをすべて確認し、詳細をダウンロードして後で参照することができる。

ちょっとしたアップデートのように思えるが、開発者はiOSのApp Storeでアプリを広く公開する前のユーザーテスト期間中に多くのバグや問題を把握できるようになる。エンドユーザーにとってはアプリのテストとフィードバック提供がシンプルになる。これまではフォームに入力したり開発者にメールを送信したりといった手間がかかって、フィードバックせずに放置されることがあったと推測される。

これは、アプリのフィードバックに関して米国時間6月3日に発表された2つのうちのひとつだ。

もうひとつというのは、ユーザーが共有に同意すると、アプリの開発者はバッテリー駆動時間、起動時間、メモリリークの数値を匿名化した形で取得できることだ。これらの数値は集約され、クラッシュやエネルギー使用量の隣のオーガナイザーに表示されるので、開発者がアプリのパフォーマンスを監視し向上させるのに役立つ。

アップルによれば、集約された数値の収集は実際には今年の春のiOS 12.2から始まっていたので、多くのアプリではすでにこのデータをこれから利用できる状態になっているという。

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(翻訳:Kaori Koyama)

watchOS 6はiPhoneからの独立に焦点

Apple(アップル)は米国時間6月3日に開催されたのWWDCの基調講演で、watchOSの最新バージョンを披露した。発表の大部分はApple WatchのiPhoneからの独立と、Series 4の大画面を活用したデザインについてだった。

今年もアップルは文字盤を変更し、クラシックなデザインとミニマリスト的デザインなどが加わる。watchOS 6には、騒音測定や風速、雨量などのコンプリケーション(Watchの組み込みアプリ)もある。変わったところでは、「Taptic XChimes」という新機能は時計台のように時報を振動で知らせてくれる。

おそらくこのバージョンのビッグニュースは、iPhoneのスタンドアロンアプリがいくつかwatchOSに移植されたことだ。次期watchOSには、オーディオブック、ボイスメモ、計算機が入る。これでチップの計算がすぐにできる。

さらに注目すべきは、watchOS版のApp Store が用意されることだろう。アプリを探したり、レビューを読んだり、ダウンロードしたりがApple Watchだけでできるようになる。

Apple Watchにスタンドアロンで動作する標準watchOSアプリが増えるのに伴い、アップルはサードパーティーデベロッパーがiPhoneアプリを必要としないスタンドアロンwatchOSアプリを簡単に作れるようにする。

ヘルスケアについてはあまり大きな新機能はない。ヘルスアプリの測定値が一定以上変化したとき、通知経由でコーチングを受けられるようになる。そのほかアップルは、女性が月経周期を記録・追跡するためのCycle Trackingアプリも追加した。

  1. Screen-Shot-2019-06-03-at-10.23.55-AM

  2. Apple-Watch-cycle-tracking

  3. Screen-Shot-2019-06-03-at-10.22.33-AM

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  8. Screen-Shot-2019-06-03-at-10.15.49-AM

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

タブレットがとうとう独自OSにWWDCでiPadOSが登場

iPadは登場から10年を迎え、ハードウェアは大きく強化された。一方、OSをiPhoneと共有していることが制約になり始めていた。米国カリフォルニア州サンノゼで米国時間6月3日に開幕したWWDCで、アップルはiPadに独自のOSを搭載することを発表した。今後iPadアプリはiPadOSに適合したものとなる。

iPadOS

とはいえ、新OSは iOS 12と比較してさほど劇的な変化はしていない。実のところ、アップデートの内容はかなり地味だ。しかしiPadOSという独自名称を与えたことでAppleはiPhoneとOSを共有する制約から離れ、iPadの持つ潜在能力を充分に発揮させる方向に舵を切った。

ここで重要なのはApple(アップル)の戦略転換だ。iPadアプリは今後macOS版よりさらに強力になっていくだろう。Phoneのサイズに縛られて iPadが能力を完全に発揮できないなどというのはナンセンスな事態だった。iPadに独自OSが来たことでで一番わくわくするのはどの部分だろうか。

  • Safariでサイトを訪問するとき、モバイル版ではなくデスクトップ版が開くようになった。これは大きなニュースだ。 
  • ホーム画面にウィジェットを追加できる。ホーム画面の構成もアップデートされ、これまでより多数のアイコンを並べることができる。 
  • ファイルをフォルダーにまとめてiCloudに保存、共有するファイルやアプリもiPadに最適化された。表示にカラムビューが加わり、USB-C接続のフラッシュドライブからデータをコピーすることも簡単になった。.
  • iPadOSでは同一アプリで複数の窓を開ける。これ以外にもiPadの画面のサイズを生かしてマルチタスクを容易にする機能が追加された。 
  • Apple Pencilのレイテンシーが20msから9msにほぼ半減した。AppleはPencilKitというデベロッパー向けAPIを用意。これによりアプリにカスタマイズされたペンシルの機能を開発することが簡単にできるようになった。 

こうしたアップデートはさほど劇的なものではない。iPhoneの狭い世界からiPadが解放されたことはグッドニュースだ。今後に大いに期待できる。

もっともあまり劇的なアップデートが用意されていないこの時期にiPadのOSの名称を変更したのはやや不思議だが、デベロッパーにとっては iOSがiPhone向けとiPad向けに正式に分岐したことは決定的に重要だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

この秋からiOSアプリがmacOSで動くようになる

Apple(アップル)は6月3日(日本時間6月4日)、WWDCの基調講演で、今秋公開されるmacOSの次期メジャーリリースであるmacOS Catalina(カタリナ)で、iOSアプリをmacOSで動かせるようになることを発表した。サードパーティーデベロッパーはこの秋からiOSアプリをMac向けにリリースできるようになる。

これは小さな変更に思えるかもしれないが、舞台裏では大きな変更が数多く行われたはずだ。昨年アップルは、ボイスメモ、Apple News、株価、およびホームの各アプリをmacOSに移植してこの機能を予告していた。

スクリーンタイムもMacにやってくるほか、iOS 13で加わる新機能のフォトギャラリー、メモのフォルダー、改訂されたリマインダーなどもmacOSで動作する。

想像されていたとおり、アップルはプロジェクトCatalyst(カタリスト)を使ってこれらのアプリを移植した。プロジェクトはアップルの内部コード名 Marzipan(マジパン)の名前で知られていた。

Catalystは今日からmacOS Catalinaの初期ベータ版とともにデベロッパーに公開される。今年の夏には多くのデベロッパーがこれを使って何かを作っているに違いない。

Gameloft、Twitter、Atlassianの各アプリは、すでにアプリをmacOSに移植している。つまり、次期バージョンのmacOSではTwitterのネイティブアプリをダウンロードできるということだ。デベロッパーは、この秋にユーザーがmacOS Catalinaにアップデートすれば、macOSユーザー向けにiOSアプリを提供できるようになる。

Catalinaは、iTunesの入っていない最初のmacOSになる。さようなら、iTunes。アップルはiTunesをApple Music、Apple TV、Apple Podcastsの3つに分割した。

Apple Musicは音楽のみに特化する。つまりiTunesよりずっと速くなるはずだ。Apple Podcastsは、ユーザーの所有する複数デバイス間で再生状態を同期できる。アップルはポッドキャストの音声コンテンツをインデックス化しているので、番組の検索が可能だ。

Apple TVアプリは、iOSデバイスやApple TVデバイス上のApple TVアプリ(ややこしくて申し訳ない)とよく似ている。ビデオのストリーミングは、4K HDR、Dolby AtmosおよびDolby Visionを備えて画質が向上した。

iOSデバイスをMacと同期したいときは、Finderの中にその機能がある。iTunesの同期画面とまったく同じ外見だ。

iPadをMacの外部ディスプレイとして使うことができる。サードパーティーアプリのDuet DisplayやLuna Displayと同様の機能だ。Apple Pencilをドロー機能や写真編集に使うこともできる。ケーブル接続でもワイヤレスでも利用可能。

アクセシビリティ機能では、ボイスコントロールがmacOSとiOSの両方にやってくる。例えば、アプリを開き、「scroll down」と言ってスクロールしたり、ボタンをクリックしたり、テキストや絵文字を音声入力したりできる。数多くのボタンやエリアに数字のラベルが付けらるので、音声でボタンなどのタップやクリックができる。

新しいmacOS(とiOS)アプリ(Find Myは」Find My iPhone(iPhoneを探す)とFind My Friends(友達を探す)を組み合わせたものだ。これに伴い、オフライン状態のデバイスも見つけられるようになった。オフラインのデバイスは同じエリア内のアップルのデバイスに暗号化された匿名の信号を送る。例えば、地下にあるバーにiPhoneを置き忘れたとき、近所の人が信号をキャッチしてFind Myアプリに位置情報を送ってくるかもしれない。

なんと言っても最大のニュースはCatalystだ。詳細はまだほとんどわかっていないが、アップルは本日午後に行われるセッション(Platforms State of the Union)で追加情報を発表する可能性が高い。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WWDCでiOS 13の詳細判明、ダークモード、プライバシー強化などアップデート多数

先ほど開幕したWWDC19でApple(アップル)は、iOS 13のプレビューを紹介した。製品版はこの秋に一般公開される。

ダークモード始め、大小さまざまなアップデートが発表された。ソフトウェアエンジニアリング担当副社長のクレイグ・フェデリギ氏は「iOS 13には多数の新しい機能が追加され、非常に大規模なアップデートになる」と述べた。

フェデリギ氏はこれに続いて、パフォーマンスの改善の詳細を説明した。Face IDは30%速くなる。App Storeからの新規ダウンロードはサイズが小さくなる。しかもiPhoneはアップデートのたびに全体をダウンロードするのではなく、必要な部分だけ取得するので、サイズは平均60%も小さくなるという。アプリのローンチまでの時間は半分に短縮されるなどなど。

ダークモードとシステムレベルの改善

すでの多数のアプリがダークモードを採用している。しかし今回アップルは、iOS 13ではダークモードがシステムレベルで実装されることを明かした。コントロールセンターからワンタッチでUIをダークモードに設定できる。音楽、カレンダー、メッセージなどネイティブアプリはすでにダークモードをサポートするようアップデートされている。

通知、ウィジェットの外観が変わり、全体として暗めのデザインになった。アプリを開くと背景は純粋黒になる。OLEDモニターはまったく光を発しないようにできるので黒がすっきり締まって見える。

ネイティブキーボードは、キーからキーへスワイプして入力できるようになった。共有をコントロールするシェアシートのデザインがアップデートされ、ユーザーの活動履歴をベースに最適と思われる連絡相手がシェアの候補に表示される。音楽アプリではスクロールして歌詞を表示できるようになった。

純正アプリのアップデート

アップル自身が提供するアプリについてだが、Safariにはウェブサイトごとにテキストサイズを設定できるオプションが加わった。メールもリッチテキストが利用できる。メモ(Notes)にはギャラリー表示とフォルダーが加わった。

リマインダーもまったく新しいデザインになった。タスクを追加するためのクイックタイプバーが新設された。タスクをネストさせて下位のタスクをインデントできる。連絡相手をタグ付けすると、iMessageで通知が行く。

アップルのメグ・フロスト氏は、新しいマップをデモした。地図データが改良されたのはもちろんだが、アップルの地図にGoogleのストリートビューに似たLook Aroundという機能が追加された。同機能による地点間の移動は驚くほどスムーズだ。

このほか、マップには友だちとの待ち合わせの予定到着時間(ETA)を表示する、お気に入りの場所を記録する、リストを友だちと共有するなどの機能も追加された。

米国については、年末までにアップル独自の地図データが利用できるようになるという。他の国では来年以降になる。

プライバシー強化

アップルは位置情報の取扱を厳格化するアップデートを行う。ユーザーはワンタッチでロケーション情報の共有設定ができるようになる。

これによりサードパーティーのデベロッパーはユーザーが利用しているWi-FiやBluetoothについての情報を得られるなる。こうした情報からユーザーの位置がリークされるというスキャンダルの防止に役立つはずだ。

アップルはまた「Facebookでログイン」に対抗して「アップルでログイン」というという機能を追加する。ユーザーは個人情報を明かす心配なしに新しいアカウントを作成できる。またアカウントがメールアドレスを必要とする場合、ランダムな文字列によるアドレスを生成し、アカウントへのメールを受信することができる。メールは本当のアドレスに自動的に転送される。

スマートホーム関係ではHomeKitのプライバシーも強化された。セキュリティカメラの映像10日ぶんをiCloudのHomeKit Secure
Videoに保存できるようになった。再生するためのキーはアップル自身ももっていない。またセキュリティカメラのデータはiCoudの容量にカウントされない。Logitech、Netatmo他の有力メーカーは今後、新しいHomeKitをサポートするという。

HomeKitデバイスのセキュリティをさらに強化するため、アップルはHomeKitにルーターを経由させる機能を加えた。これを利用すればHomeKitデバイスはファイアウォールで切り離され、インターネットに直接アクセスできなくなる。

iMessageがさらにパーソナルに

iMessageにはどうしても強化版のSMSというイメージがつきまとっていた。iOS 13ではもっとWhatsApp的になる。ユーザーはプロフィール画像を登録し、選択した連絡相手に表示できるようになる。

アップルはこの機会に、人の顔のアニ文字、ミー文字のカスタマイズ機能も強化した。ミー文字をオリジナル絵文字のビット文字やスタンプに利用することもできるようになる。

写真

写真まわりではアップルはポートレートに新しい照明効果を追加した。ポートレートモードでの撮影がプロフェッショナルなレベルまでカスタマイズできるようになる。

カメラアプリにはサチュレーション、ハイライト、シャドウなどをコントロールするボタンが追加された。これらの機能は静止画だけでなく動画でも利用できる。ビデオが回転できるのはInstagramのユーザーには朗報だ。

写真ライブラリの管理では、iOSは同一写真を自動的に検出し、最もよく撮れている写真を選んでくれる。写真ライブラリをナビゲートするための新しいタブも追加された。写真のブラウズはよりスムーズになり、ビデオは周囲が暗く表示される。新しいタブバーで年、月、日ごとにハイライトを見ることができる。

Siriもさらに賢くなった

AppleはSiriの音声機能を強化した。例えば、AirPodsを装着しているときにメッセージを受信するとSiriはそれを読み上げる。ユーザーは音声で返信ができる。

iPhoneとAirPodsを持っている友だちと音楽を共有することもできる。具体的には、1台のiOSデバイスから2台のAirPodsに音楽をストリーミングできる。

スマートスピーカーのHomePodに関してはiPhoneをタップしてHomePodに音楽を送れるようになった。またインターネットラジオをライブで再生できるようになったというのだが、これは正直、今までできなかったことを知って驚いている。また、マルチユーザーでの利用が可能になり、カレンダー、メッセージなどをユーザーごとに呼び出せるようになった。

CarPlayもアップデートされ、Siriの新機能が利用できる。ユーザーは車内で音声でPandoraの音楽やカーナビのWazeをコントロールできる。SiriにアニメがCarPlayのスクリーンを占領してしまうこともなくなった。

iOS 13ではSiriのショートカットアプリが標準でインストールされる。ユーザーは簡単な操作でSiriの音声ショートカットを設定でき、ひと言で複雑な動作を行わせることができる。またお勧めのショートカットの候補も推薦される。Siriの音声も改良され、自然さがアップした。

これ以外にもiOS 13には多数の新機能が登場する。特にiPad独自の機能が拡充され、iPadOSという独自の名称となった。詳しくはこちらの記事を参照

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

週明け開幕のWWDC 2019でアップルが発表するモノ

昨年のWWDCはApple(アップル)としては珍しくソフトウェア重視だった。WWDCに先立ってハードウェアのマイナー・アップデートのプレスリリースがいくつか出ていたが、WWDCでは新しいデバイスは一つも登場しなかった。その後アップルが力を入れてきたのはApple TV+関連のソフトウェアとコンテンツだった。

先週もこのパターンが繰り返された。MacBook Proのアップデートが発表されたが、懸案だったキーボードの改修が主な内容だった。これと対照的に来週のWWDC 2019はビッグイベントとなりそうだ。多数の関係者が「大きな発表がある」と予想している。ハードウェアも各種Proデバイスに動きがあるかもしれない。

Google I/OとMicrosoft Buildがどちらかというと地味なものだったのでアップルとしては来週のWWDCを盛り上げる必要がある。アップルといえどもスマートフォン市場の飽和といった大きなトレンドと無縁でいることはできない。最近の四半期決算報告でも、アップルはハードウェアからサービスに事業の中心を移す姿勢を見せていた。Apple TV+を通じてたコンテンツの獲得に巨額の投資が行われているのがよい例だ。

もちろんWorld Wide Developer Conferenceという名前が示すとおり、このイベントは本質的にデベロッパー向けだ。初日のキーノートはメディア全般の注目の的だが、本当に重要な話題はなんといってもデベロッパーに直接影響するアップルの各種プラットフォームに起きる変化だ。まず大きいところから検討してみよう。

iOS 13

リーク情報によれば、今年macOSで採用されたダークモードiOSにも登場するという。新しいダークモードはシステムを通して利用可能で、作業中の部分を除いた背景が暗くなり、目に優しく、バッテリー消費量が抑えられるという。アップル自身のアプリだけでなく、サードパーティーのアプリも必要なアップデートをすれば利用できる。

Bloomberg(ブルームバーグ)はYukonというコードネームで準備されているiOS 13に搭載されそうな機能について観測を掲載していた。ちなみにアップルは、すでに5GとARを目玉とするiOS 14の開発に取り掛かっており、コードネームはAzulだという。

当然だが、ヘルス関係のアプリがリニューアルされるはずだ。これにともなってユーザーからヘルスケア情報を取得するApple Watchなどもアップデートされるだろう。またiPadを外部モニターとして使えるDuet Displayアプリのような機能が標準でiOSに搭載されるかもしれない。外部モニター接続機能は以前から噂になっていたが、個人的に大いに興味がある。これは私の作業環境を一変させるかもしれない。メール、マップ、ホームもアップデートを受けるはずだ。

ハードウェアではバグフィックスは当然として、パフォーマンスの改善、旧機種への適合性の向上などが予想される。実際、消費者は以前より長期間デバイスを使い続けるようになった事実は受け入れざるを得ないだろう。

macOS 10.15モバイルデバイス同様、パソコンも過渡期にある。もちろんパソコンの危機はモバイルが主流となったときから続いている。今週、台北で開催されたComputex 2019ではWindowsパソコンのメーカーがこぞってモバイルデバイスのセカンドスクリーンとして利用できる機能を発表していた。

アップルとしてはMicrosoft(マイクロソフト)やSamsung(サムスン)の追撃を受けて侵食されたクリエイティブツールの王者という地位を取りも戻す必要がある。

昨年アップルはニュースなどいくつかのiOSアプリをデスクトップに移植した。これはMarzipan(マジパン、アーモンド粉の練り菓子)というコードネームのmacOSアプリ開発プロジェクトの一環だった。ちなみにこの1年のアップルのコードネームの中ではこれが一番面白かった。今後移植されそうなiOS機能はスクリーンタイム、iMessageのエフェクト、Siriのショートカットなどだ。

Macハードウェア

ハードウェアでは新しいMac Proが登場するらしい。長らく待たされていただけに実現すればエキサイティングだ。もちろんまだ確定ではない。実際、過去に噂に振り回されて痛い目にあったことがある。冒頭で述べたようにアップルはハードウェアに関しては一時停止ボタンを押した状態で、動きが止まっている。しかしこれはハイエンドのデスクトップを完全に一新する準備をしているせいだとも伝えられている。Mac Proがリニューアルされる必要があるのはもちろんだが、他のPro製品についても同様だ。

また 31.6インチの6K Proディスプレイが登場するという情報もある。これはMac Proにぴったりのカップルとなるだろう。ただし財布の中身は炎上しそうだ。

その他いろいろ

アップルの最近のイベントはほぼすべてApple TVがらみだった。新アプリも登場したことだし、引き続きApple TV+関連のアップデートがあるだろう。なんといってもケーブルテレビ会社だけでなくライバルの動画ストリーミング・プラットフォームもターゲットにした数十億ドル級の大プロジェクトだ。

Apple Watchを公共交通機関で利用する実験が進められていたが、明日からニューヨークの一部の地下鉄駅でApple Watchが使えるようになる。WWDCではヘルスケア関連で大きな動きがありそうだ。これはソフトウェアとサービスに力を入れる戦略の一環でだ。真剣な努力をしていることをアピールすればFDA(食品医薬品局)の認可を受けやすくなる。ヘルスケア提供企業との提携を深めることができるだけでなく、ライバルのウェアラブルに大きく差をつけるのにも役立つだろう。アップルは女性の生理周期をモニターして適切なメディケアを提供するサービスを開発中だ。

小さいところではボイスメモ、電卓、Apple Booksアプリなどのアップデートも発表されるかもしれない。

WWDC 2019は米国時間6月3日午前10時(日本時間、4日午前2時)に開幕する。TechCrunchも参加し、現地からライブブログで報じるほか、関連記事も多数アップする予定だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

パスワードマネージャーのDashlaneがシリーズDで約120億円を調達

パスワードマネージャーのDashlaneは、最新ラウンドで1.1億ドル(約120億円)を調達したことを米国時間5月30日に発表した。同社のシリーズDラウンドをリードしたのは Sequoia Capitalで、パートナーのJim Goetzが取締役に就任する。Dashlaneは、Lyftの幹部Joy Howardが新たなマーケティング責任者として8月に就任することも発表した。

Dashlaneによると、今回調達した資金は同社の中核製品に投資し、消費者および企業顧客の要求への対応に重点を置くという。「我々はまだセキュリティー市場の上っ面をなでただけ」とCEOのEmmanuel Schalit氏は語る。「世界で何十億の人々何百の企業が、個人情報の流出からパスワード管理まで、デジタル個人情報の管理に頭を悩ませている」。

パスワードマネージャーは、近年の相次ぐ個人情報攻撃事件を受けますます注目を集めている。パスワードを一箇所に保管しマスターパスワードや指紋などの生体認証で保護することによって、ユーザーはどのサイトへ行っても自動生成された強力なパスワードを使うことができる。

Dashlaneはこれまでに合計1.85億ドル(約200億円)の資金を調達している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルがChrome拡張機能のプライバシー規定の強化を発表

米国時間5月30日、Google(グーグル)は、Chrome拡張機能のデベロッパーがユーザーのプライバシーを守るための大きな変更を2つ発表した。今年の夏以降、拡張機能の開発者は機能の実現に必要なデータしかアクセスを要求できなくなる。プライバシーポリシーの表示を義務付けられるデベロッパーの範囲も拡大される。

また同社は、ユーザーがファイルをアクセスするためにサードパーティーデベロッパーがGoogleドライブAPIを利用する方法を変更することも発表した

これらはすべて、サードパーティーによるGoogleアカウントおよびAndroid端末のデータ利用を見直すために、グーグルが昨年開始したProject Strobeの一環として実施される。例えば、同社の失敗に終わったソーシャルネットワークであるGoogle+の閉鎖を早める原因となった問題を発見したのもProject Strobeだった。

「サードパーティーアプリやウェブサイトが提供するサービスによって、数百万の人々が物事を成し遂げオンライン体験をカスタマイズできる」とグーグルフェローでエンジニアリング担当VPのBen Smith氏が本日の発表で語った。「このエコシステムを成功させるためには、ユーザーが自分のデータは安全であると確信できなくてはならず、デベロッパーには明確なルールが必要だ」。

グーグルは本日の発表で上記のルールを発表する予定だ。これは機能拡張の開発者にとって、機能を実装するために多くの承認が必要なら、アクセスするデータをできる限り少なくする必要があることを意味している。これまでグーグルはそれを推奨してきた。今後は要求される。

従来は個人情報や機密データを扱う拡張機能だけがプライバシーポリシーを表示することを義務付けられていた。今後は、ユーザーが提供するコンテンツや個人的コミュニケーションを扱う機能拡張にも表示義務が課せられる。「もちろん、これからも拡張機能はユーザーデータの扱い方を明らかにし、データの収集、利用、共有の方法を公表しなければならない」とSmith氏は付け加えた。

GoogleドライブAPIに関しては、サードパーティーの特定ファイルに対するアクセス制限が少し厳しくなる。バックアップサービスなど広範囲なアクセスを必要とするアプリは、グーグルによる検証が必要になる。ただしドライブAPIの変更が実施されるのは来年からだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルが新設したApp Storeウェブサイトは反トラスト訴訟に狙いを定める

WWDCを目前に控えた今、Apple(アップル)は新しくApp Storeウェブサイトを公開した。最近の同社を相手取った反トラストおよび反競争の告発から自らを擁護することが目的だ。同サイトには、AppleがどのようにApp Storeを運営しているかが詳しく書かれている。アプリがどのように集められ、レビューされているか、デベロッパーはどんなビジネスモデルを構築できるかなども説明されている。さらに、「A Store that welcomes competition」(競争を歓迎するストア)と題したセクションもあり、自社アプリとサードパーティーアプリがマーケットプレイスで共存していることをAppleが主張している。

例えば、Appleの自社製メッセージアプリがMessenger、Slack、Snapchat、Viberらと、AppleのメールがGmail、Outlook、Spark、Yahoo Mailと、マップがGoogleマップ、Citymapper、MAPS.ME、Wazeとそれぞれ競合していることを紹介している。

当然Spotifyも、Apple Musicとポッドキャストのライバルとして掲載されている。

これは驚くことではない。なぜなら最近Spotifyは、Appleが反競争的環境で運営されていると主張しているからだ。3月にEUに提出され現在調査中と報じられている告発状で、同社はAppleがiOS、App Store、自社製競合アプリのすべてを持っていることで戦いを有利に導いていると主張している。Appleバージョンのアプリと競合するアプリを売りたい人は、収益の30%をAppleに払わなくてはならない。

このいわゆる「Apple税」のために、デベロッパーの中にはiOSユーザー向けのアプリやサブスクリプションの価格を高く設定しているところもある。例えばSpotifyは、ウェブで申し込むと月額9.99ドルだが、iOSデバイス経由だと12.99ドルで、事実上「Apple税」を消費者に転嫁している。

これが、今月米国最高裁判所が、裁判の実施を認めた反トラスト法訴訟の根拠となっている。

裁定に際しAppleは、「デベロッパーはアプリの価格を自由に設定しており、Appleは関与していない」と、iOSユーザー向けの価格を高く設定したデベロッパーの決定から自らを遠ざけようとした。

「Appleが収益を分配するのは、デベロッパーがデジタルサービスをApp Store経由で販売することを選んだ場合に限られる」とも同社は言っている。デベロッパーは支払いとサブスクリプションをAppleのプラットフォーム経由で行わなくてもよい、ということのリマインダーだ。

実際、複数の大手IT企業がすでにApp Storeを回避している。

Amazonは以前から長期にわたり、同社のiOSアプリのユーザーが書籍、音楽、映画、TV番組などを買う場合、ウェブブラウザー経由でのみ許している。最近Netflixは、Google PlayとApp Storeの両方でアプリからのサブスクリプション申し込みを廃止した。

残念ながらiOSデベロッパーは、App Store以外で購入する手段をユーザーに伝える手段が制限されており、App Store以外で購入するためのウェブサイトへのリンクを知らせることも禁止されている。しかし、これはフェアなシステムとも言える。「Apple税」は消費者にとってApple Payで簡単に支払うことができ、デベロッパーにとってはAppleが支払手続きを代行してくれ手数料と見ることができるからだ。

本件に関するAppleの総合的な立場はこの新しいApp Storeウェブサイトでも繰り返されている。アプリを集約したプラットフォームの価値と、全世界で10億人に達する顧客とつながることの利点を強調している。

さらにAppleは、これまでに合計1200億ドル以上をデベロッパーに渡してきたことも、思い出させようととしている。そして、ほかのどのアプリストアよりもiOSユーザーが多くのお金を使っていることも(だからデベロッパーは頑張ってね!)

ただしこれは、Appleにとって強調すべきことだったかどうかはわからない。なぜならApp Storeが業界内で避けることのできない巨大な存在であることを、自ら示しているからだ。そして、デベロッパーがよそへ行くことがいかに難しいかを容易に想像できる絵がそこには描かれている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトが大小多様なフォームファクターをサポートする新しいOSを開発中

AMDIntel(インテル)、そしてQualcomm(クアルコム)が重要な発表を行った今週、台北で行われたComputexカンファレンスではMicrosoft(マイクロソフト)、ややおとなしいキーノートを述べた。新製品の発表はなく同社は、同社が目指す現代的なオペレーティングシステムについて軽く触れた。しかも興味深いことに、そのキーノートに関するMicrosoftのブログ記事にはWindowsへの言及がなく、同社が今新しい「超安全な」OSを開発中、という憶測が裏付けられた。

同社の営業担当副社長Nick Parker氏が書いたそのブログ記事によると、現代的なオペレーティングシステムはさまざまなタイプのデバイスに統合できる柔軟性を持った「フォームファクター・アジリティ」(さまざまな形状サイズへの機敏な対応)を可能にするものでなければならない。たしかに昨年同社は、Surface系列の新しい機種をほのめかした。当時は、それはスマートフォンだろうという憶測もあった。いずれにしても、フォームファクターの多様化という伏線は、すでにそのときからある。

Parker氏によると、現代的なOSは、アップデートがユーザーの心と手を煩わせずバックグラウンドで勝手に自動的に行われるものでなければならない。ユーザーは、アップデートのためにいちいち仕事やコンピューターを中断しない。セキュリティはデフォルトで完璧で、マシンのステートとオペレーティングシステムの隔離、そしてアプリケーションとコンピュートの隔離により攻撃を防止する。

現代的なOSはLTE 5Gに常時接続、AIを使ってアプリケーションの効率化を助けるだろう。そしてペン、音声、タッチ、目の動きなど多様な入力を受け付ける。タッチと目の動きが出てくるあたりに、この新しいOSが何らかのモバイル製品に載って登場する、という憶測の根拠がある。例えばそれは、Surface Phone(Surfaceスマートフォン)か? もしくは、軽量デュアルスクリーン(2画面)のラップトップかもしれない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa