GMが自動運転の子会社「Cruise」のソフトバンク株を買い取りへ

General Motorsが、自動運転技術の子会社であるCruiseの持ち株を増やそうとしている。

米国時間3月18日の夜、同社は、Softbank Vision Fund 1のCruiseの持ち株を21億ドル(約2500億円)で取得すると発表した。またGMは、同ファンドが以前2018年に行ったコミットメントに代わり、Cruiseに対して13億5000万ドル(約1610億円)の追加投資を行う。

この発表の6週間前にCruiseは、一定の制約のある自動運転のロボタクシーサービスをサンフランシスコの公道で開始した。それはSoftbankにとっては、以前の13億5000万ドルの追加投資の約束を実行に移すすべきタイミングだった。

なぜ今、ソフトバンクが売却に踏み切ったのか、その理由は明らかではない。GMの広報担当者は、同社の出資比率が高まることで、クルーズの株主構成がシンプルなものになるだけでなく、GMとクルーズがAV技術の商業化と潜在能力を最大限に引き出すために最も価値のある道を追求するための最大限の柔軟性を提供することができると述べている。

GMのCEOで会長のMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、これにより株主の価値が増大するという。

「GMがバランスシートの強みを生かし、Cruiseへの出資を増やし、当社の統合的な自律走行車戦略を推進する機会を得たことを発表できることを非常にうれしく思います。私たちの投資は、長期的な株主価値を創造するための特別な機会であると引き続き信じています」とバーラ氏は声明で述べた。「私たちの投資ポジションの拡大は、Cruiseの株主構成を簡素化するだけでなく、GMとCruiseがAV技術の商業化と潜在能力を最大限に引き出すための最も価値ある道を追求するための最大の柔軟性を提供します」。

GMの出資比率が高まることで、同社がCruiseをスピンオフさせたり、株式公開に踏み切ったりするといった可能性もある。GMは、短期的な計画としてIPOがあるかどうかについては明言しなかった。しかし同社の広報担当者は、GMが前進する際には「株主のために価値を創造するあらゆる機会を検討する」という。GMは、将来におけるCruiseのIPOを否定していないと広報担当者は付け加えた。

CruiseのCEOであるKyle Vogt(カイル・フォークト)氏の発表によると、GMの投資の増加に加えて、同社は反復性のある流動化機会プログラムをローンチした。それは、人材獲得および引き止めるための「目の前の人参」の1つだ。フォークト氏によると、このプログラムは従業員に流動性を与え、同社の上場に際してはIPOに参加しなくても株価上昇による利益が得られるようにするというものだ。

このプログラムでは、現在と過去の社員が権利の確定した株式の任意の量を、各四半期に売ることができる。フォークト氏によると、買うのはGMまたはその他で、その価値はサードパーティーの金融企業が会社の業績や財務予測、マーケットの条件、関連する取引や資金調達案件、そしてマーケットにおける他社との比較などによって決まる。

「私たちの技術のデプロイとスケールが順調であれば、従業員持ち株の価値は上がるはずだ」とプログラムを発表するブログ記事でフォークト氏で述べている。

画像クレジット:Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ドイツの金融スーパーアプリVivid Moneyが評価額約1020億円で130億円調達、欧州全域で展開へ

50万人の顧客を持つベルリン発のチャレンジャーバンクVivid Money(ビビッドマネー)は、基本的な当座預金と資金管理のサービスに加え、株式や暗号資産投資も扱う金融ワンストップショップの「スーパーアプリ」として有名になった。そしていま、同社はプラットフォームにサービスを追加し、欧州全域で事業を展開しようと、1億ユーロ(約130億円)を調達した。同ラウンドはGreenoaks Capitalがリードし、Ribbit Capitalと新規投資家のソフトバンク・ビジョンファンド2が参加した。

今回の資金調達でのVividの評価額は7億7500万ユーロ(約1020億円)だ。参考までに、この数字は同社が6000万ユーロ(約79億円)を調達した2021年4月の前ラウンド時の評価額(約473億円)の2倍以上だ。また、この間にユーザー数は5倍、売上は25倍になったという。Vividはプラットフォームへの預け入れ総額や取引件数など詳細については公表していないが、Vividの共同創業者であるAlexander Emeshev(アレクサンダー・エメシェフ)氏は、2022年中にユーザー100万人達成を目標としている、と述べた。

Vividは現在、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアの4つの市場で事業を展開しており、2022年中に新たに5つの市場に進出し、2023年末までに欧州全域で利用できるようにする計画だ。新商品としては、保険商品の展開が初期段階にあり、エメシェフ氏によれば、2022年後半に初のクレジット商品を導入する予定だ(Vividは現在、ユーザーにVisaデビットカードを提供している)。

2020年にスタートしたVividは「COVIDネイティブ」のスタートアップと言えるかもしれない。モバイルファーストのサービスは、従来の銀行や投資サービスからすでに遠ざかっていただけでなく、パンデミックのために自宅で過ごす時間が増え、金融面の管理方法を再考していた30代のユーザーに訴えるものだった。

他の多くのネオバンクと同様、Vividの基本となるフリーバンキングは、他のプロバイダー(Vividの場合は、ドイツの組み込み型金融の大手Solarisbank)のインフラの上に構築されている。顧客が目的に応じて資金を最大15個の「ポケット」に分けることができ、ポケット間の移動も簡単にできるなど、よりカスタマイズされた資金管理サービスやその他のパーソナリゼーションサービスを加えている。

こうした基幹サービスとともに、暗号資産やETF(上場投資信託)などの新しい取引形態の金融サービスの波も押し寄せてきており、Vividはこれらも取り込むつもりだ。

Vivid Moneyのもう1人の共同創業者であるArtem Iamanov(アルテム・アイアムノフ)氏はインタビューで「当社のビジョンは、投資と貯蓄の巨大市場であるヨーロッパ大陸をターゲットにすることでした」と語った。「我々は、分散型金融や他の種類の代替投資アプローチがブームとなっていて、それらが従来型の銀行の世界とあまりよくつながっていないことを知っていました」。

そのつながりのなさは、理解という点でだけでなく、消費者の金融生活全体が伝統的なプラットフォームに基づいているときに、新しいサービスに足を踏み入れる方法という点でもそうだった。

Vividのソリューションは、ユーザーが既存のフィアット口座を使って簡単に株式や通貨について学び、その後投資できるような一連のサービスを作ることだった。例えば、同社は現在50の暗号資産と3000の株式やETFを選択できるポータルを提供し、分散型金融の分野に慣れておらず、さまざまなことを試しているかもしれないユーザーにアピールするように設計されている(これらの新しい投資ビークルの中にはSPACもあり、Vividは欧州で一般消費者がこれらのビークルに投資できる数少ないプラットフォームの1つだ)。

「古いものと新しいものの間に大きなギャップがあることがわかったので、この2つの世界の間で交わる商品にユーザーがアクセスできるようなスーパーアプリを作ることにチャンスを見出しました」とアイアムノフ氏は話した。

Vividのプラットフォームでの投資は無料で、ユーザーが米国株に投資する場合など、為替レートやその他の手数料でVividは利益を得る仕組みになっている。また「Prime」(Amazonはどう思っているのだろう)として販売するサブスクリプションを設け、月額9.90ユーロ(約1300円)を払えば、ユーザーはそうした手数料を払わなくてもいいようになっている。

チャレンジャーバンクがひしめく市場で、Sequoiaの支援を受けたネオブローカーのTrade Republicなど、Vividと非常に近い競合相手もいるが、Vividの出資者は同社の牽引力と、新しい消費者投資家にアピールするオールインワンで簡単なアプローチにより、同社が事業を拡大するにつれ、ユーザーと利用が増えるだろうと考えている。

「Vivid Moneyはわずか1年余りで、すでに欧州で最も愛されている消費者向けバンキングプラットフォームの1つを構築し、ユーザーは金融生活全体を1つのアプリで管理できるようになりました。2021年投資して以来、Vivid Moneyの新製品開発のペースの速さを目にして感激しており、Vivid Moneyは既存ユーザーを喜ばせ、新規顧客を引き付け、プラットフォームの価値提案を深化させています」とGreenoaksのパートナー、Patrick Backhouse(パトリック・バックハウス)氏は声明文で述べた。「我々は消費者金融における革命のまだ初期段階にいると考えており、事業を拡大し続けるVividとのパートナーシップをさらに深化させることをうれしく思っています」。

画像クレジット:Vivid Money

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクとゴールドマン、インドの小規模小売店プラットフォームElasticRunにユニコーン出資

ソフトバンクが世界第2位のインターネット市場における商業的な賭けをさらに強化する中、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)は、ElasticRun(イラスティックラン)の3億ドル(約345億2000万円)の最新ラウンドをリードした。

ElasticRunがインド時間2月7日に規制当局へ提出した書類によると、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)と既存投資家であるProsus Venturesも、プネーに本社を置く同社のシリーズEラウンドに参加した。今回のラウンドで、ElasticRunの評価額は15億ドル(約1727億円)となった。

TechCrunchは1月初め、ソフトバンクとゴールドマン・サックスがElasticRunを支援する交渉を行っていると報じていた。

ElasticRunは、インドの数百の市町村にある数十万の小規模小売店が、トップブランドの在庫や運転資金を確保できるよう支援している。ElasticRunは、eコマース企業やその他の大手ブランドとの協業をサポートすることにより、これらの近隣店舗の収益向上を支える。EC企業やブランド側は、これまで参入が難しかった巨大な市場へのアクセスを得ることができる。

今回のラウンドにより、ElasticRunの累計調達額は4億3000万ドル(約495億円)以上となり、これまでのすべての資金調達を合わせた額よりも多くの資金が同社にもたらされた。

ElasticRunはクラウドソーシングにより、近隣店舗(キラナとして知られているパパママストア)にサービスを届けるパートナーの物流ネットワークを構築してきた。ElasticRunと協力してこのネットワークを利用している大手企業には、Amazon(アマゾン)、Tata Consumer Products(タタ・コンシューマー・プロダクツ)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、PepsiCo(ペプシコ)、インド最大の小売チェーンであるReliance Retailなどがある。

このスタートアップは、ソフトバンクがインドのコマース市場で行ってきた一連の賭けの中で最も新しいものだ。ソフトバンクはこれまでにも、Flipkart(Flipkart)やソーシャルコマースのスタートアップであるMeeshoなどを支援している。

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Cruise、サンフランシスコの公道で自動運転タクシーの一般乗車開始へ

GMの子会社で自動運転技術を手がけるCruise(クルーズ)は、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)から13億5000万ドル(約1546億円)の新たな投資を受け、商用化に向けてさらなる一歩を踏み出す。同社は米国時間2月1日、無人運転のロボタクシーサービスを、サンフランシスコの公道で一般向けに公開すると発表した。

ソフトバンクは以前、Cruiseが商業的に展開する準備を整えた時点で、当初の9億ドル(約103億円)に加えて13億5000万ドルを追加投資すると約束していた。

Cruiseは公式ウェブサイトを通じて一般からの乗車申し込みを受け付けている。今のところ、乗車料金は無料だ。同社は2月1日のブログ記事で、予約申し込みに参加した一般の人々は、サービスを利用する前に秘密保持契約に署名する必要はないと述べている。同社の広報担当者によると、1月27日に乗車を終えた友人や家族の少人数グループがいたが、彼らは今朝まで秘密保持契約の下にあったという。

Cruiseの広報担当者によると、無人運転サービスは当初、午後11時から午前5時までとなっているという。夜間の運転は、最もインパクトを与えられる場所から始めて、そこから計画的に拡大していくという戦略の一環であるとのことだ。Cruiseは「Chevy Bolt (シボレー・ボルト)」の自動運転車をサンフランシスコ市内で走らせてテストする。ただし、この無人運転サービスは、ヘイト・アシュベリー、リッチモンド地区、チャイナタウン、パシフィック・ハイツ地区内の特定の地域や道路に限定される。

Cruiseは、人間のドライバーが運転しない車両の運行および課金に必要な許可をほぼすべて取得している。カリフォルニア州自動車局からは、運転手付き車両と運転手なしの車両をテストおよび運用するために必要な3つの許可を取得しており、そのうちの1つは一般人の乗車を許可するものだ。同社はカリフォルニア州公益事業委員会に、乗車料金を請求するための許可証も申請しているが、こちらの許可はまだ取得できていない。

画像クレジット:Screenshot

この数週間、Cruiseの従業員が、安全のための人間の運転手が乗車していない無人運転車に乗っている様子を撮影した動画を投稿している。GMの会長兼CEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、最近になって乗車した。

同社では、社員が一般の人を指名できるようにしており、すでに何人かの人が乗車しているという。Cruiseはこのプログラムを「Cruise Rider Community(クルーズ・ライダー・コミュニティ)」プログラムと名付けている。社員から指名された人や、乗車予約を申し込んだ人は、最初の一般乗客となるパイプラインに組み込まれるという。

Cruiseは、Dan Ammann(ダン・アマン)CEOの突然の退任を受けて、このサービスの一般公開に踏み切った。同社の共同設立者であるKyle Vogt(カイル・ヴォクト)氏が、現在はCTOと同時に暫定CEOを務めている。

画像クレジット:Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

家賃支払いなどでクレジットスコアを構築し「人種間の貧富の差を埋める」フィンテックEsusuが150億円調達しユニコーンに

1億人超の米国人が、毎月の家計で最も大きな支出である家賃に月平均1100ドル(約13万円)、合計で年1兆4000億ドル(約161兆円)以上を費やしている。しかし、報告によると、そのうちの9割の人は家賃を期限どおりに支払ってもクレジット(信用)を得られていない。

さらに踏み込んで見ると、消費者金融保護局の2020年のレポートによると、米国では4500万人超がクレジットスコアを持っていない。この層の多くは、経歴や人種によって経済的に疎外されている。

移民やマイノリティにクレジット構築のための家賃支払い報告やデータソリューションを提供するフィンテックのEsusu(エスス)は米国時間1月27日、シリーズBラウンドで1億3000万ドル(約150億円)を調達したと発表した。

このラウンドで創業4年のEsusuの評価額は10億ドル(約1150億円)に達し、米国で、そして世界的にも数少ない黒人経営ユニコーンの1社になった。ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が同ラウンドをリードし、Jones Feliciano Family Office、Lauder Zinterhofer Family Office、シュスターマン財団、ソフトバンク・オポチュニティ・ファンド、Related Companies、Wilshire Lane Capitalが参加した。

移民やアフリカ系米国人は、他の人に比べてクレジットスコアが低いか、そもそもクレジットスコアを持っていない。また、彼らは高利貸しに直面する機会が多く、これにより経済的不安の連鎖に陥っていることが多い。そのため、富を築くのに強力なクレジットスコアを必要としながらも、クレジットを築くための足がかりを持っていない。

Esusuの共同創業者で共同CEOであるナイジェリア生まれの米国人Abbey Wemimo(アビー・ウェミモ)氏とインド系米国人のSamir Goel(サミール・ゴエル)氏は移民家庭で育ち、この金融的排除を身をもって体験した。2人はこの疎外されたグループのクレジットスコアを構築し、家賃支払いを通じて「データ活用による人種間の貧富の差を埋める」ために2018年にEsusuを立ち上げた。

ニューヨークに本社を置く同社は、不動産オーナーや住宅プロバイダーと提携し、全米集合住宅協会(NHMC)のリストにある大手家主の35%と連携している。パートナーには、Goldman Sachs、Related Companies、Starwood Capital Group、Winn Residentialなどがいる。

Esusuは賃借人のクレジットスコアを強化するために、プラットフォームに登録した賃借人の期日までの支払データを取得し、3大信用情報機関(Equifax、TransUnion、Experian)に報告する。これにより、賃借人は時間をかけてクレジットスコアを向上させることができ、不動産オーナーは退去勧告を軽減できる。

Esusuは、不動産管理者とオーナーに3500ドル(約40万円)のセットアップ料と1住居あたり毎月2ドル(約230円)を請求する。一方、賃借人は、年間契約料として50ドル(約5760円)を支払い、家賃支払いデータを信用情報機関に報告する。

Esusuは前年比600%で成長していると創業者2人はTechCrunchに語った。現在、250万戸超の住宅が同社のサービスを利用していて、総リース量(GLV)は米全体で30億ドル(約3460億円)以上だ。同社が半年前に報告した200万戸、総リース量24億ドル(約2765億円)超から増加している。

Esusuが2020年4月に自社プラットフォームで調査を実施したところ、パンデミックの影響により62%のユーザーが家賃を期限内に支払えないことが判明し、同社は家賃救済ファンドを立ち上げた。クラウドファンディングや非営利のインパクト投資ファンドを通じて50万ドル(約5800万円)近くを調達した。

それから2年経った現在もこのプログラムは続いていて、Esusuはその規模を拡大し、何千人もの賃借人を自宅にとどめている。このプログラムには、貸借対照表に17億ドル以上(約1960億円)を計上するほどのパートナーが集まっていると創業者らは語った。

ウェミモ氏とゴエル氏は声明で「私たちは、データを使って人種間の貧富の差を埋め、この国の低・中所得世帯により公平な金融機会を創出するというビジョンを持ってEsusuを設立しました」と述べた。「クレジットスコアを取得し向上させることで、個人、家族、コミュニティが長期的な経済的目標を達成できるようにしつつ、経済的アイデンティティを強化しています」。

Esusuは、チームの拡大(正確には従業員を3倍に増やす)「製品イノベーションによる成長の加速、市場で最も包括的な金融ヘルスプラットフォームの構築」のために調達した資金を使用する計画だ。

2021年7月の1000万ドル(約11億円)のシリーズAラウンドのリードインベスターであるMotley Fool Venturesは今回の新ラウンドで再投資した。その他の既存投資家であるConcrete Rose Capital、The Equity Alliance、Impact America Fund、Next Play Ventures、Serena Ventures、Sinai Ventures、TypeOne Venturesも参加した。Esusuの累計調達額は1億4400万ドル(約165億円)超となった。

今回の資金調達でEsusuは、ユニコーンのステータスを獲得している世界900社超の中で、黒人が主導・所有するスタートアップという切望されている小さなグループに加わる。このグループには、評価額30億ドル(約3460億円)の米国のスケジュールアプリCalendly、英国拠点のフィンテックで50億ドル(約5760億円)と評価されたZepz、評価額12億ドル(約1380億円)のデジタル保険スタートアップMarshmallow、そしてアフリカのフィンテックFlutterwave(評価額10億ドル、1150億円)、Chipper Cash(同20億ドル、2300億円)、Interswitch(同10億ドル)などが含まれる。

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nariko Mizoguchi

ロボット工学と統合されたeコマース配送プラットフォーム「Paack」が約257億円調達

Paack物流センター・マドリードの仕分けロボット(画像クレジット:Paack)

今や多くの人が、Amazon(アマゾン)などの広大なスペースに設置された倉庫ロボットを見慣れていることだろう。特にAmazonは、この技術のパイオニア的存在だった。しかし、2021年の今、倉庫ロボットとソフトウェアロジスティクスプラットフォームの連携は、もはや一企業の専売特許ではなくなっている。

後発のスタートアップで、このアイデアで「成功」しているのが、現代の物流業務に不可欠なロボット工学と統合された高度なソフトウェアプラットフォームを持つeコマース配送プラットフォームのPaack(パアック)である。

Paackは、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD資金調達ラウンドで、2億ユーロ(約257億円)を調達した。この資金は、製品開発とヨーロッパでの事業拡大に充てられる予定だ。

このラウンドには、Infravia Capital Partners(インフラビア・キャピタル・パートナーズ)、First Bridge Ventures(ファーストブリッジ・ベンチャーズ)、Endeavor Catalyst(エンデバー・カタリスト)も新たに参加した。また、Unbound(アンバウンド)、Kibo Ventures(キボ・ベンチャーズ)、Big Sur Ventures(ビッグ・サー・ベンチャーズ)、RPS Ventures(RPSベンチャーズ)、Fuse Partners(フューズ・パートナーズ)、Rider Global(ライダー・グローバル)、Castel Capital(キャステル・キャピタル)、Iñaki Berenguer(イニャキ・ベレンゲール)といった投資家も参加している。

今回の資金調達は、本国スペインで収益性の高いポジションを確立した後に行われたが、Paackは、英国、フランス、ポルトガルなど、ヨーロッパ全域で同様の目標を達成する予定であると主張している。

Fernando Benito(フェルナンド・ベニート)氏、Xavier Rosales(シャビエル・ロサレス)氏、Suraj Shirvankar(スーラジ・シルヴァンカー)氏の3人が設立したPaackは、現在150の海外顧客から毎月数百万の注文を受け、1サイトあたり1時間に1万個の小包を処理しているという。そのうちの17社は、スペイン最大級のeコマース小売業者である。

同社のシステムは、eコマースサイトと統合されている。そのため、消費者はチェックアウトの際に配送スケジュールをカスタマイズすることができる、と同社はいう。

CEO兼共同設立者のベニート氏は「便利でタイムリーで、よりサステナブルな配送方法に対する需要は、今後数年間で爆発的に増加すると思われ、Paackはその解決策を提供しています。私たちはテクノロジーを使って、消費者に配送のコントロールと選択肢を提供し、配送にかかる二酸化炭素排出量を削減します」と述べている。

SoftBank Investment Advisers (ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)の投資ディレクターであるMax Ohrstrand(マックス・オルストランド)氏は「eコマース分野が繁栄を続け、消費者にとって当日配送がますます当たり前になる中、Paackはその技術とサステナビリティへの取り組みの両面において、カテゴリーリーダーになるための好位置につけていると考えています」。と述べている。

世界経済フォーラム(WEF)の調査によると、ラストマイル・デリバリー事業は2030年までに78%成長し、そのうち3分の1近くで、CO2排出量が増加すると予想されている。

そのため、Paackは、電気自動車を使用し、環境負荷を測定することによって、すべての小包をカーボンネットゼロで配送することを目指していると主張している。現在、カーボントラストと国連の認証取得を目指している。

ベニート氏はインタビューで「私たちは、短期的なビジョンとして、ラストワンマイルデリバリーのための、おそらく最も先進的な技術によるデリバリープラットフォームを通じて、ヨーロッパにおける持続可能なeコマースデリバリーをリードすることを目指しています。例えば、当社のCTOは、Google Cloud(グーグル・クラウド)のCTOであり共同設立者でした」と答えている。

「最高の配送体験を実現するために、倉庫の自動化、時間帯、ルーティングの統合など、あらゆるものを開発しています」と語る。

Paackによると、複数のロボットパートナーとの提携が可能だが、現在は中国企業GEEK(ギーク)のロボットを使用している。

同社は、ヨーロッパのDHL、Instabox(インスタボックス)、La Poste(ラ・ポステ)のような大規模な既存企業に対抗できるようにしたいと考えている。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ソフトバンクがマーケティング最適化のためのAIインフラ企業Pixisへの資金注入主導、新社名で新年度をスタート

Pixisの創業者。左からシュバム・A・ミシュラ氏、ヴルシャリー・プラサード氏、ハリ・ヴァリヤート氏

Pyxis One(現Pixis)は、シリーズCの資金調達で1億ドル(約114億円)を調達し、同社がいうところの「完全なマーケティング最適化のための、世界で唯一のコンテキストコードレスAIインフラ」の開発を続けている。

SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)がこのラウンドを主導し、新たな投資家であるGeneral Atlantic(ジェネラル・アトランティック)と、既存の投資家であるCelesta Capital(セレスタ・キャピタル)、Premji Invest(プレミジ・インベスト)、Chiratae Ventures(チラタエ・ベンチャーズ)が参加した。今回の資金調達は、Pixis(ピクシス)が1700万ドル(約19億4400万円)のシリーズBを発表してからわずか4カ月で行われ、これまでの総資金調達額は1億2400万ドル(約141億円)に達した。

カリフォルニアに拠点を置く同社は、3年前にShubham A. Mishra(シュバム・A・ミシュラ)氏、Vrushali Prasade(ヴルシャリー・プラサード)氏、Hari Valiyath(ハリ・ヴァリヤート)氏の3人によって設立された。ミシュラ氏はTechCrunchに対し、このチームが一緒に立ち上げた会社はこれで2つ目で、最初の会社はゲーム分野の人工知能だったと語っている。

会社が発展するにつれ、チームはほとんどの人が「Pyxis」を「y」ではなく「i」で綴っていることに気づき、クリーンで均整をとるために会社名を変更したと、彼は述べている。

Pixisを立ち上げる前、共同創業者たちはマーケティング責任者や収益責任者に、顧客のプライバシーを尊重するために企業が独自のシステムを導入しなければならない「Cookieなき」世界で、SaaS企業を迅速に拡大する方法について話をしたそうだ。

「この準備ができている人はあまりいません。私たちは、8秒以内に導入できるノーコードAIソリューションを構築することでそれを解決しています」。とミシュラ氏はいう。

実際、同社はマーケティングキャンペーンにAI最適化を加えるための自己進化型ニューラルネットワークのAIモデルを現在50個持っており、今後6カ月で200個にスケールアップする予定だ。Pixisは、ノーコードソリューションによって人々が部分的にデータサイエンティストになるというビジョンを信じている、とミシュラ氏は語った。

そして、それは「ノーコード」というだけのただの戦略ではなく、本当にノーコードであることを強調した。AIマーケティングモデルを徹底的にいじったり、データサイエンティストのチームを集めて何かを開発したり、30分のトレーニングを受けてボタンを押すだけで製品やプラグインを導入できるようにするため、このインフラは製品群のように構築されている。

シリーズCは、2018年からの600%の収益成長を受けたものだ。Pixisは1月中に100社以上の顧客を獲得し、すべて中堅から大企業の範囲に入るとミシュラ氏は述べた。PixisのAIインフラを利用する顧客は、毎月数時間にも及ぶ手作業の業務節約時間に加え、獲得コストが20%減少したと同氏は付け加えた。

今回の資金調達は北米、欧州、APACに拡大するAIプラットフォームとプラグインの拡張に役立てられるという。

「2022年は私たちにとって新たな夜明けです」とミシュラ氏はいう。「2021年は、BTCとDTCマーケティングへのソリューションを立ち上げていましたが、2022年の第1四半期の終わりには、B2Bとソフトウェア企業へのソリューションを提供する予定です」。

一方、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のパートナーPriya Saiprasad(プリヤ・サイプラサド)氏は、Pixisの特徴として「Cookieのない世界でより良い意思決定を促すために、マーケティング機能に最先端のデータサイエンス能力を装備する」デマンドジェネレーションのための真のエンド・ツー・エンドのインフラであるとメールで述べている。

マーケティングは企業にとって大きな予算項目だが、メッセージングやビジュアルのためのツールがないために、適切なタイミングで適切なチャネルを通じて適切な顧客をターゲットにできないと、その支出の多くが無駄になってしまうため、彼女は同社の製品が「ゲームチェンジャー」であると考えている。

「Pixisのプロダクトマーケットフィットの検証は、同社が立ち上げからわずか3年で達成したその目覚しい成長率と、忠実で熱心なグローバル大企業の顧客基盤に支えられています」とサイプラサド氏は付け加えた。「2021年に企業がデジタルマーケティングに費やした費用は推定4550億ドル(約52兆円)という市場規模と、さまざまな業種に対応できるPixisのプラットフォームにより、Pixisがこの勢いを持続するための大きな走路があると考えています」。

General AtlanticのマネージングディレクターであるShantanu Rastogi(シャンタヌ・ラストーギ)氏も、データ共有に関する新たな制限の結果、マーケティングエコシステムがシフトする中、Pixisはこれに対応し、予測AIモデルを活用してマーケティングの効率化を実現し、顧客に新しい投資収益率を生み出していると指摘している。

ラストーギ氏は「Pixisは、これまで時代遅れの技術に頼っていたプラットフォームを『十分である』と受け入れてきた業界に、自動化と統合をもたらそうとしています。今回の投資で、グローバルに成長・拡大しようとする有能なチームを支援できることをうれしく思います」。と語っている。

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

インドネシアの魚やエビの養殖業者向けサービスeFisheryが約104億円調達、アグリテックとして世界最大規模

インドネシアのeFishery(イーフィッシャリー)は現地時間1月10日、アグリテックのスタートアップとしては世界最大規模の資金を調達したと発表した。魚やエビの養殖業者向けに給餌機器やソフトウェア、融資を提供する同社は、Temasek、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2、Sequoia Capital Indiaが共同でリードしたシリーズCラウンドで9000万ドル(約104億円)を調達している。復帰投資家のNorthstar Group、Go-Ventures、Aqua-Spark、Wavemaker Partnersも同ラウンドに参加した。

調達した資金は、プラットフォームの拡大、そして中国やインドなど養殖業における上位10カ国に進出するのに使用される予定だ。

eFisheryの製品には、エビ養殖業者がオペレーションを監視できるeFarmや、魚養殖業者向けに同様の機能を提供するeFisheryKuといったソフトウェアがある。融資商品にはeFundがあり、これは資材や原材料といったものを購入するための後払いサービスなどのために養殖業者と金融機関をつなげる。これまでに7000人以上の養殖業者がeFundを利用し、承認された融資総額は2800万ドル(約32億円)超だという。

その他の製品にはスマートフィーダーなどがあり、現在インドネシアで3万人以上の業者が利用している。

ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズの投資ディレクターであるAnna Lo(アンナ・ロー)氏は「インドネシアは世界最大の水産物生産国の1つであり、養殖業界は世界の増大する人口に食料を提供するという大事な役割を果たすと信じています」と声明で述べた。

最近、多額の資金を調達した他のインドネシアのアグテックスタートアップには、マーケットプレイスのTaniHubEden Farm「海から食卓へ」企業のAruna、ソーシャルコマーススタートアップのChilibeliなどがある。

画像クレジット:Wokephoto17 / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

ブルーカラーに特化したHRテック企業のSenseにソフトバンク・ビジョン・ファンド2が出資

Sense(センス)は、世界最大級の人材派遣会社や人材紹介会社がタイムリーに人材を見つけて採用するための支援を行うHRテックのスタートアップ企業だ。同社が新たな資金調達ラウンドで評価額を5億ドル(約565億円)に拡大したと、関係者がTechCrunchに語った。

サンフランシスコに本社を置くこのスタートアップは、シリーズDの資金調達ラウンドで5000万ドル(約56億5000万円)を調達したという。SoftBank Vision Fund 2 (ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導したこのラウンドは、創立から5年半の間にSenseが調達した資金の総額を9000万ドル(約101億7000万円)に押し上げた。シリーズCラウンドを終了してからわずか6カ月で、同社の評価額が何倍にもなったことがTechCrunchの取材で明らかになった。

Senseは、ブルーカラーの労働者の要求に応えることに注力し、企業が人材のライフサイクル全体を管理することを支援する。

ナレッジワーカー(知識労働者)の採用には半年もかかることがあるが「倉庫の梱包作業者を雇用するような世界では、企業はその日中にその人を入社させる必要に迫られています」と、Senseの共同設立者であり最高経営責任者であるAnil Dharni(アンリ・ダルニ)氏はTechCrunchによるインタビューで説明した。同氏は、評価額についてはコメントを避けた。

現在、プロフェッショナルソーシャルネットワークなどの採用プラットフォームの大半は、知識労働者向けに設計されていると、ダルニ氏はいう。「しかし、Uber(ウーバー)のドライバーやAmazon(アマゾン)の倉庫作業員のような人々に、そのようなプラットフォームは関係ありません」と同氏は述べ、課題を表現した。

人材の適格審査に、自動化や人工知能、パーソナライゼーションを活用しているというこのスタートアップ企業は、600以上の企業を顧客に持ち、Amazon、Sears(シアーズ)、Vaco(バコ)、Kenny(ケニー)などの企業が、Senseプラットフォームを使って採用規模を拡大しているという。

Senseの顧客は同社のプラットフォームを利用することで、選考できる候補者の数が平均で263%増加し、採用にかかる時間が最大で81%短縮されたと、Senseは社内数値を引用して述べている。

「今回の資金調達は、今日の売り手市場の世界で、パーソナライズされた人材エンゲージメントの必要性を検証するというだけでなく、私たちが将来の仕事の形を変える手助けをするために、当社のプラットフォームをグローバルに加速させるものです」と、ダルニ氏は述べている。

Senseは、チャットボットをはじめとするさまざまなサービスを提供しており、企業が雇用慣行からバイアスを取り除くのに役立っていると、ダルニ氏は語る。

ダルニ氏によれば、この1年半の間に、同社のプラットフォームは医療従事者の雇用にも利用されるようになっているという。

ダルニ氏は前職の会社で人材採用の課題に直面したことがきっかけで、Senseを起ち上げる着想を得たという。同氏は以前、ゲーム会社のFunzio(ファンジオ)を共同設立している。この会社はGREE(グリー)に2億1000万ドル(約238億円)で買収された。

「人材が企業を左右することを実感しました。適切な人々を集めることができなければ、その会社は成功しないでしょう。TAM(獲得可能な最大市場規模)やビジネスモデルがどうであるかは関係ありません」と、ダルニ氏は語った。

「このような認識のもと、私たちが次に起ち上げるスタートアップは、人材確保のためのソリューションを提供するものにしようと決めました」。

ダルニ氏によると、Senseは2000億ドル(約22兆6000億円)規模の機会を狙っているが、そのほとんどがまだ未開拓だという。

Senseは過去1年間で売上高と従業員数を2倍以上に増大させた。今後は、西ヨーロッパを含むいくつかの市場で事業を拡大していく計画であると、ダルニ氏は述べている。

SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のマネージング・パートナーであるSumer Juneja(シュメール・ジュネジャ)氏は、声明の中で次のように述べている。「私たちは、顧客の企業が質の高い人材をより早く見つけて採用できるようにするために、Senseのプラットフォームが重要な役割を果たすことは明らかだと確信しています。それを国内およびグローバルに拡大していくとともに、企業がどうやって優れたチームを作り競争するかを、積極的に変革していく彼らの能力に疑いの余地はありません」。

画像クレジット:Sense

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソフトバンク出資のユニコーンPicsArtがR&D企業DeepCraftを買収、AI・動画編集機能の強化狙って

ソフトバンクが出資しているデジタルクリエイションプラットフォームで、2021年8月にユニコーン企業の仲間入りを果たしたPicsArt(ピクスアート)は、米国時間12月2日、R&D企業であるDeepCraftを買収することを発表した。今回の買収は、現金と株式の組み合わせで、7桁(数百万ドル、数億円)規模の金額とのことだが、正確な条件は公表されていない。

PicsArtは現在、コンシューマーとプロ両方に向けて、写真やビデオ編集をより楽しく、親しみやすいものにするためのさまざまなデジタル制作・編集ツールを提供している。PicsArtは、DeepCraftが持つAI技術分野の人材と、同社のコンピュータービジョンおよび機械学習(ML)における画期的な技術が、PicsArtのAI技術を強化し、近年のPicsArtのサービスにおける動画作成の成長をサポートするものと考えている。また、チームは、PicsArtのAI研究開発部門であるPAIR(PicsArt AI Research)にシニアレベルのリソースを追加して補完するのにも役立つとしている。

アルメニアに拠点を置くDeepCraftは動画・画像処理に特化した企業で、2017年に設立された。ちなみに、PicsArtは同国初のユニコーンだ。DeepCraftの共同創業者であるArmen Abroyan(アルメン・アブロヤン)CEOとVardges Hovhannisyan(ヴァルジス・ホフハニシャン)CTOは、AIと機械学習に20年以上を費やしており、その専門性は地元コミュニティでよく知られている。アブロヤン氏はこれまで、アルメニア共和国ハイテク産業省の副大臣、RedKiteのリードAIアーキテクト、Synopsys(シノプシス)のシニアソフトウェア開発者などを歴任してきた。一方、ホフハニシャン氏は、Synopsysで13年間、シニアR&Dエンジニアとして活躍した。

DeepCraftでは、Krisp、PatriotOne、さらにはアルメニア政府など、多くのクライアントと契約ベースで仕事をしていた。これらの仕事は終了し、チームはエレバンにあるPicsArtのオフィスで仕事を始めることになる。今回の買収により、DeepCraftの機械学習および映像分野のシニアエンジニア8名が、PicsArtに正社員として入社する。

PicsArtは、2018年にEFEKT(旧D’efekt)を買収して動画市場に参入し、近年、利用者が急増している。特に、動画を利用するソーシャルメディアのクリエイターやECショップに同社のアプリが採用されている。2021年、PicsArtのアプリで編集された動画は1億8千万本を超え、前年比で70%増となっている。現在、数千種類のエフェクトと数十種類の動画編集ツールを提供しており、AIやクラウド技術の進化に合わせてこのラインナップを増やしていく予定だという。

PicsArtは、DeepCraftのスキルセットと技術的な専門知識が、2022年に重要な焦点となるであろう動画のサポートを前進させるのにどう役立つかに特に関心を寄せている。

ただし、PicsArtは、今回の買収でDeepCraftから特定のIPを取得するわけではない、と同社はTechCrunchに語っている。

PicsArtは、DeepCraftとはさまざまな技術開発で協力関係にあったため、今回の買収に先立ち、すでに関係を築いていた。

PicsArtの共同設立者兼CTOであるArtavazd Mehrabyan(アルタバズド・メフラビヤン)氏はこう述べている。「DeepCraftはユニークで高度な技術を持つエンジニアのチームであり、当社はすでに1年以上彼らと協力して当社のコア技術を構築してきました。当社の動画機能を進化させるためにさらなる投資を行うにあたり、DeepCraftのチームが動画の未来を築く上で重要な役割を果たすことを確信しています」。

DeepCraftとの取引は、8月に同社がソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)主導で1億3000万ドル(約146億9000万円)のシリーズCラウンドを調達して以来、PicsArtにとって初の買収となる。そのラウンドにより、同社は2019年に約6億ドル(約678億円)だった評価額からユニコーンの地位に引き上げられた。

画像クレジット:PicsArt

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

旅行業界の再活性化に向け、ホスピタリティ管理ソフトウェアのCloudbedsにソフトバンクが投資

日程を決めずに宿泊チケットを買えるECサイトStay by Tripi運営のトリピが3800万円のシード調達

2021年夏、米国のホテル稼働率は新型コロナウイルス流行前の水準に達した。ホスピタリティ業界は、人々が旅行を再開することによる活動の活発化に備えているところだ。

このような状況には追い風も吹いている。「今後増える旅行者で最大の母集団は1979年以降に生まれた人々であり、この10年間により多くのお金を貯めたことで、自由裁量の支出が増え、それを旅行に使いたいと考えている」と、Cloudbeds(クラウドベッズ)の共同設立者兼CEOであるAdam Harris(アダム・ハリス)氏は述べている。

「新型コロナウイルス流行は誰もが歓迎しない状況でしたが、旅行業界は1兆ドル(約114兆円)規模の産業であり、世界でトップ5に入る規模です」と、同氏は付け加えた。「2019年にあった需要は、それから1年半も家に閉じ籠もらざるを得なかったことで、今はさらに強くなっています」。

Cloudbedsのプロダクト(画像クレジット:Cloudbeds)

ハリス氏と共同創業者のRichard Castle(リチャード・キャッスル)氏が、2012年にサンディエゴで設立したCloudbedsは、独立系ホテルからバケーションレンタル(民泊)まで、宿泊事業者向けのホスピタリティ管理ソフトウェアを提供している。このソフトウェアは、運営、収益、流通、グロースマーケティングなど、これまで別々に行われていたビジネスの機能を、1つのクラウドベースのツールに統合する。

人々の蓄積されてきたエネルギーにより、今までにない数の旅行が実施されるようになると、ハリス氏は確信している。このチャンスを活かすため、同社は新たな投資家であるSoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導した資金調達で、1億5000万ドル(約170億円)を確保した。

Cloudbedsとソフトバンクとの関係は2年前に始まったが、ハリス氏はこの投資会社が「世界で最も優れた旅行投資家の1つ」だと述べている。最近では、Yanolja(ヤノルジャ)、GetYourGuide(ゲットユアガイド)、Klook(クルック)などの旅行関連企業に、ソフトバンクは資金を提供している。

今日の市場では、ホテルが競争力を高めるためにテクノロジーを導入することが「重要」であり、世界的な新型コロナウイルス流行がその導入を加速させる要因になっていると、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のディレクターであるAndrew Zloto(アンドリュー・ズロト)氏はメールで述べている。

「Cloudbedsは、この機会を利用して、ホスピタリティ業界におけるテクノロジーの利用方法を根本的に変えたと、我々は確信しています」と、ズロト氏は語る。「これまでサイロ化され、複雑に絡み合っていたテクノロジーサービスを、Cloudbedsは単一のプラットフォームに統合し、あらゆる規模の宿泊施設に最適なソリューションを提供しています。重要なビジネスツールを統合して簡素化することによって、同社は独立系ホテル経営者が活躍できる場を広げ、絶えず進化する市場で成長するための支援を行っています」。

今回の投資ラウンドでは、ソフトバンクに加え、Echo Street(エコー・ストリート)とWalleye Capital(ウォールアイ・キャピタル)が新たな投資家として加わった。さらに既存投資家として、Viking Global Investors(バイキング・グローバル・インベスターズ)、PeakSpan Capital(ピークスパン・キャピタル)、Counterpart Ventures(カウンタパート・ベンチャーズ)も参加。これにより、Cloudbedsがこれまでに調達したベンチャー資金の総額は、2億5300万ドル(約287億円)となった。

この資金を武器に、Cloudbedsは研究開発の拡大、教育およびアドボカシー活動への投資、エンジニアリング、プロダクト、セールスの各チームの拡大を進めていく。さらにプレIPOに向けてチームを整えることに重点を置き、リーダーシップを強化していくと、キャッスル氏は述べている。

ハリス氏は成長指標を公表しようとはしなかったものの、Cloudbedsは2020年、新型コロナウイルス流行にもかかわらず成長を遂げた、ほんの一握りの企業の1つであると語っている。同社は現在、157カ国で2万2000人以上のグローバルな顧客にサービスを提供している。

「私たちは、この会社が200億ドル(約2兆3000億円)規模の企業になれると信じています」と、ハリス氏は付け加えた。「競合他社との競争を見れば、当社はリードしています。しかし、現金を投入する必要があり、そのために私たちは夜も眠れません。現在、当社のビジネスモデルには予測可能性があり、目標はIPO候補となり組織を成熟させることです」。

画像クレジット:num_skyman Shutterstock

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソフトバンクが支援するインドの物流企業Delhiveryが約1130億円のIPOを申請

インドの物流スタートアップ企業であるDelhivery(デリバリー)は、新規株式公開で約9億9800万ドル(約1133億円)の資金調達を目指していると、現地の規制当局とのやりとりの中で述べており、世界第2位のインターネット市場で、他の多くのテックスタートアップ企業とともに公開市場を模索している。

10年の歴史を持つこのスタートアップは、6億6900万ドル(約759億円)相当の新株式を発行する予定で、残りの資金は既存の株式を購入するために利用されると、同社は申請書(PDF)で述べている

インドの新聞Economic Timesが今週初めに報じたところによると、4カ月前に30億ドル(約3400億円)以上の評価を受けていたこのスタートアップは、公開市場で60億ドル(約6800億円)以上の評価額での上場を目指しているという。

関連記事:インド物流市場システムのデジタル化を進める最大手DelhiveryがIPOに向け約304億円調達

SoftBank(ソフトバンク)、Tiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)、Times Internet(タイムズ・インターネット)、The Carlyle Group(カーライル・グループ)、Steadview Capital(ステッドビュー・キャピタル)、Addition(アディション)に支援されたDelhiveryは、フードデリバリー企業としてスタートしたが、その後、インドの2300以上の都市と1万7500以上の郵便番号を対象とした物流サービス一式にシフトした。

データインテリジェンスプラットフォームであるTracxn(トラックスン)によると、グルガオンに本社を置く同社は、これまでに13億7000万ドル(約1556億円)の資金を調達している。2021年3月に終了した会計年度では、5億1400万ドル(約583億円)の売上に対して5600万ドル(約63億6100万円)の損失を計上した。

2021年度のDelhiveryの業績(DelhiveryがIPO申請時に共有したもの)

同社は、貨物交換プラットフォームを通じて物流市場の需要と供給のシステムをデジタル化しようとしている数少ないスタートアップの1つだ。

このプラットフォームは、道路輸送ソリューションを提供し、荷主、代理人、トラック運送者を結びつけるものだ。仲買人の役割を軽減し、Delhiveryにとって最も人気のある輸送手段であるトラック輸送などの資産をより効率的にし、24時間体制のオペレーションを保証するものだと同社は述べている。

このようなデジタル化は、国民経済を長年にわたって低迷させてきたインドの物流業界の非効率性に対処するために非常に重要だ。Bernstein(バーンスタイン)のアナリストは、インドの物流市場に関する先月のレポートで、需要と供給の計画と予測が不十分なため、輸送コスト、盗難、損害、遅延が増加すると報告している。

Delhiveryは、これまでに10億件以上の注文を配送しており、同社のウェブサイトによると「インド最大のeコマース企業や大手企業すべて」と取引しており、1万社以上の顧客と取引しているという。最終目的地までの配送に関して、同社の配送者は、2平方キロメートルを超えないエリアを割り当てられ、1日に数回の配送を行うことで時間を節約している。

インドの物流市場のTAM(獲得可能な最大市場規模)は2000億ドル(約22兆7200億円)を超えると、Bernsteinのアナリストは2021年初めに顧客向けのレポートで書いている。同スタートアップは2020年末、パンデミックの中でオンラインで買い物をする人が増え、増大する注文需要に対応するため、2年以内に4000万ドル(約45億4500万円)以上の投資を行い、運送車両規模をする計画であると述べた。

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

非テック企業のAIアプリ構築を支援するプラットフォームPeakが約82億円調達

人工知能(AI)はますます多くのエンタープライズアプリケーションに組み込まれてきている。そうした中、企業、特に非テック企業がよりカスタマイズされたAI意思決定ツールを構築するのを支援するプラットフォームを手がけるスタートアップが、大幅な成長資金を獲得した。英国・マンチェスターに拠点を置き「Decision Intelligence」プラットフォームを構築しているPeak AIは、7500万ドル(約82億円)の資金を調達した。同社は今後もプラットフォームの構築を続け、新たな市場への進出を図り、来四半期には約200人の新規雇用を行うことを予定している。

シリーズCにはかなりビッグネームの投資家が参加している。SoftBank Vision Fund 2が主導しており、これまでの支援者であるOxx、MMC Ventures、Praetura Ventures、Areteもこれに名を連ねている。このグループはPeakの2100万ドル(約23億円)のシリーズBに参加し、同ラウンドは2021年の2月にクローズした。同社の調達総額は1億1900万ドル(約131億円)に達している。評価額については公表していない。

PeakのCEOであるRichard Potter(リチャード・ポッター)氏は、資金調達の迅速なフォローアップはインバウンドの関心に基づいており、同社が行ってきたことはその一端につながっていると語る。

PeakのいわゆるDecision Intelligenceプラットフォームは、小売業者、ブランド、製造業者などが在庫レベルを監視し、パーソナライズされた顧客エクスペリエンスを構築するために使用している。また、より効率的に機能するある程度の自動化機能を備えたその他のプロセスにも使用されており、異なるファクターを相互に測定してよりインテリジェントなインサイトを提供する洗練性も求められる。現在の顧客リストにはNike、Pepsico、KFC、Molson Coors、Marshalls、Asos、Speedyなどが名を連ね、過去12カ月で売上は2倍以上になった。

Peakは、次のようなことに取り組んでいる。AIは、現代の多くの先進的ITアプリケーションやビジネスプロセスの基盤となっているが、もしあなたが組織であり、特にテクノロジーに依存していない組織であるなら、AIへのアクセスとその利用方法は必ずしも自分に合わせたものではなく、他者が構築したアプリケーションによってもたらされることになる。よりカスタマイズされたソリューションを構築するためのコストは往々にして非常に高くつく。Peakによると、同社のツールを使用するユーザーの平均収益は5%増加し、広告費は2倍になり、サプライチェーンコストは5%、在庫保有(企業にとっては大きなコストだ)は12%減少したという。

Peakのプラットフォームは、その問題を解決するための「ノーコード」のアプローチではないことを指摘しておかなければならない。少なくとも今のところは、そのような組織のデータサイエンティストやエンジニアに向けたものであり、彼らが、AIツールから恩恵を享受できるかもしれないオペレーション内の各種プロセスを容易に特定し、それらを比較的少ない労力で構築できるようにすることを目的としている。

また、重要な役割を果たすさまざまな市場ファクターも存在している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を例にとると、企業における「デジタルトランスフォーメーション」の拡大と、消費者需要の高まりやサプライチェーンの逼迫に対応するためのeコマースプロセスの効率化の両方で、企業はよりオープンになり、自動化をインテリジェントに改善するためのツールへの投資に熱心になっている。

これはPeak AIの収益増加とも相まって、SoftBankが興味を示していることの一部だ。この投資家はしばらく前からAIに注目しており、そのような投資先企業に戦略的サービスを提供することを目的として、自社の投資ポートフォリオの1セクションを構築している。

これにはeコマースやその他の消費者向けビジネスが含まれ、Peakの顧客ベースの主要セグメントの1つを構成している。

特に、この分野に特化した最近の投資の1つが2021年に入ってマンチェスターでも行われており、D2Cビジネスのためのソフトウェアを開発し運営するThe Hut Groupの7億3000万(約803億円)ドルの株式を取得している(将来的にはさらに16億ドル[約1760億円]を取得する可能性もある)。

SoftBank Investment Advisersのシニア投資家Max Ohrstrand(マックス・オーストランド)氏は声明で次のように述べている。「私たちは、将来の企業がバリューチェーン全体を最適化できる集中型AIソフトウェアプラットフォーム上で運営されるという、共通のビジョンを持つパートナーを得ています。これを実現するには新しいタイプのプラットフォームが必要であり、リチャード(・ポッター)氏とその優秀なチームがPeakで構築したものに非常に感銘を受けています。彼らがDecision Intelligenceにおけるカテゴリー定義のグローバルリーダーになるのを支援できることをとても喜ばしく思っています」。

SoftBankの2つのマンチェスター関連会社が協力するかどうかは明らかではないが、そうなれば興味深いシナジー効果が期待できるし、何よりもSoftBankが関心を持っている分野の1つを強調するものになるだろう。

長期的に、Peakがどのように進化し、すでに顧客となっている組織のより幅広いユーザー層にプラットフォームを拡大していくのか、またその展開がどうなるのかを見るのは興味深い。

ポッター氏は、短期的にも中期的にも「技術的な傾向のある人々」が同社製品のユーザーになる可能性が最も高いと考えているという。例えば、マーケティングマネージャーのような人たちはそうしたことをしないだろうと思うかもしれないが、多くのソフトウェアツールの一般的な傾向はまさに、データサイエンティストが使っているのと同じツールのバージョンを構築し、技術に詳しくない人たちが、自分の使いたいものを作るプロセスに関与できるようにすることにある。

「データパイプラインを流す能力を民主化し、それらをアプリケーションで動作するように最適化できることが重要だと考えています」とポッター氏は付け加えた。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

ソフトバンクも支援するFlock Freightが運送・貨物業界で新たなユニコーンに

新型コロナウイルスの影響による混乱などが、サプライチェーンのボトルネック問題を浮き彫りにしたこともあり、国際的な運送・貨物業界はかつてないほどの注目を集めている。トラック輸送の物流企業であるFlock Freight(フロック・フレイト)は、世界的なサプライチェーンの危機を解決することはできないが、商品をより早く、より無駄を減らして目的地に届けることには貢献できるはずだ。

同社はシリーズC資金調達を終えてから1年も経たないうちに、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD投資ラウンドで2億1500万ドル(約245億円)を調達し、10億ドル(約1140億円)を超える評価額を得て、業界で最も新しいユニコーンとなった。

Flock Freightは「FlockDirect(フロックダイレクト)」と呼ばれるソフトウェアを活用した「シェアード・トラックロード(共有トラック積荷)」サービスを開発している会社だ。これはつまり、同じ方向に向かう荷物を集めて運ぶ、荷主のための相乗りサービスと考えればいいだろう。これによって荷主は、配送の途中で荷物をターミナルやハブで移動させるロスが減らせる。同社は確率的な価格決定アルゴリズムを用いて、同じ方向に向かう複数の荷主から中型貨物をプールする。

Flock Freighによると、このサービスは顧客と運送業者の双方にメリットがあるという。顧客は、積み降ろしの繰り返しや実際には必要のないトレーラーのスペースのために支払うコストを回避でき、運送業者は、自社のトラックの積載を満杯にすることができる。Flock Freightは、40フィート(約12.2メートル)、3万6000ポンド(約1万6330キログラム)以下の貨物を対象とした「プリベート」プログラムという段階的な割引プログラムを用意しており、荷主はさらにコストを削減することができる。

削減できるのはお金だけではない。Flock Freightによると、従来のハブ&スポーク方式輸送に比べて、二酸化炭素の排出量を40%も削減することができるという。同社の試算では、これまでに1万5000トン以上の排出ガスを削減したとのこと。

カリフォルニア州サンディエゴで設立されてから6年が経過したこのスタートアップ企業は、今回調達した資金を事業の拡大と雇用に使うことを目指しており、特にシカゴでは2021年中に新オフィスを開設する予定だ。

ソフトバンクは、Flock Freightの初期から投資しており、2020年の1億1350万ドル(約129億3000万円)を調達したシリーズCラウンドを主導した。今回のシリーズDラウンドでは、この日本の企業に加えて、新たな少数株主としてSusquehanna Private Equity Investments(サスケハナ・プライベート・エクイティ・インベストメンツ)とEden Global Partners(エデン・グローバル・パートナーズ)が参加。また、既存投資家であるSignalFire(シグナルファイア)、GLP Capital Partners(GLPキャピタル・パートナーズ)、Alphabet(アルファベット)傘下のベンチャーファンドであるGVも参加した。

関連記事:運送業者の積荷共有を手配するFlock Freightが119億円調達、ソフトバンクやボルボらが出資

画像クレジット:Shutterstock under a Shutterstock license.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソフトバンク出資のトラベルテックYanoljaが韓国のeコマースInterparkを買収

韓国のトラベルテック企業Yanolja(ヤノルジャ)は、同国の電子商取引のパイオニアで上場企業のInterpark(インターパーク)の株式の70%を約2億5000万ドル(約285億円)で取得した。

Yanoljaは、今回の買収を機に、海外旅行業界へのさらなる進出を目指す。Interparkは、韓国語、英語、中国語、日本語を話す顧客を対象に、230カ国以上でオンライン旅行予約サービスや国際配送サービスを提供している。

海外旅行業界は、国外のトラベルテックプラットフォームが主流となっているが、Yanoljaは、ホテルや車両の予約、旅行関連のなどの現行のサービスに加え、Interparkが長年培ってきたライフスタイルサービスをより多く取り入れて「スーパーアプリ」を構築し、規模を拡大して対抗したいと考えている。Interparkのサービスは、ショッピング、レストランの予約、旅行チケット、アトラクション、ライブパフォーマンスなどをカバーしているとYanoljaの広報担当者はTechCrunchに語った。

Yanoljaは2021年7月にソフトバンク・ビジョン・ファンド2から17億ドル(約1938億円)を調達していた。Yanoljaへの投資は、ソフトバンクが韓国企業に投じた資金としてはCoupang(クーパン)への投資に次ぐ規模だった。Coupangは上場前にソフトバンクから約30億ドル(約3420億円)の出資を受けた。

Yanoljaのバリュエーションは10兆ウォン(約9576億円)以上と推定される。報道によると、2023年頃には米国と韓国での重複上場を目指す予定だという。この20カ月間、旅行・観光業界には大きな雲がかかっていたが、同社はしっかりと成長した。2019年、Yanoljaは1億8000万ドル(約205億円)のシリーズDラウンドを終え、10億ドル(約1140億円)以上の評価を受けた。同社は、評価額やIPOの計画についてのコメントを控えた。

韓国最大のトラベルテック・スタートアップであるYanoljaは、CEOのSuJin Lee(スジン・リー)氏が2005年に創業した。同氏は以前、モーテルのマネージャーだった。

Yanoljaは、直近の調達資金を利用し、グローバルトラベルプラットフォーム(GTP)への投資や、人工知能による自動化ソリューションの強化を行っており、ユーザーのためにパーソナライズされたソリューションを提供する技術の開発を目指しているという。

同社は7月、新機能であるB2Bオペレーションソリューション「Yanolja Cloud」の提供を開始した。パンデミックにより非接触サービスの需要が高まるなか、デジタルトランスフォーメーションを強化する。Yanolja Cloudは、オンラインおよびオフラインのオペレーションを自動化し、ホテル経営者が低コストでゲストにパーソナライズされたサービスを提供し、より多くの収益を上げることを支援する。同社は、東南アジアやアフリカ全域を含む170カ国、約3万社の顧客に、60種類の言語でYanolja Cloudを提供しているという。

同社は10月14日、Yanolja Cloudが9月時点で米国、インドネシア、フィリピン、インド、アフリカなどの海外市場で前年比170%の売上高を計上したと発表した。

同社は規模拡大のために他にも買収を行っている。2019年には韓国のDailyhotelとインドの宿泊管理プラットフォームeZee Technosysを、2018年には東南アジアを拠点とするホテルチェーンZen Roomsを買収した。

画像クレジット:Yanolja

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクが支援する韓国EdTechスタートアップのRiiidがLangooを買収して日本での拡大を目指す

韓国に本社を置きAIを活用するEdTech企業のRiiidが、日本のディストリビューションパートナーであるLangooを買収して日本での事業拡大を目指す。

Riiidは直近のラウンドである2021年5月のシリーズDでソフトバンク・ビジョン・ファンド2から1億7500万ドル(約195億8000万円)を調達し、その後この買収を実施した。Riiidはこの資金で海外進出をさらに加速していくと述べていた。

関連記事:韓国のRiiidはソフトバンクの支援を受けてAIベースの学習プラットフォームをグローバルに拡大する

Riiidの日本でのパートナーであるLangooは、TOEIC対策アプリのSANTAを日本のiOSのApp Storeで提供している。SANTAの後継アプリであるRiiid Tutor(リドチューター)は、Riiidが日本のiOSのApp StoreとGoogle Playストアで公開している。Riiidによれば、Riiid Tutorアプリは韓国と日本で250万人以上のユーザーにダウンロードされたという。日本で公開された2019年4月に、Riiid Tutorアプリは公開から1週間でAndroidの教育アプリの売上トップになった。

Riiidの共同創業者でCEOのYJ(Young-Jun)Jang(チャン・ヨンジュン)氏は「Riiid Tutorを日本で成功させてきたLangooの卓越した能力が買収の主な理由です。Riiidの強みは、地域や言語、分野に関わらずあらゆるところで我々のテクノロジーを生かせるスケーラビリティと能力です。今回の投資によって我々は日本市場をさらに広く獲得していきます。この買収はRiiidのAIテクノロジーを世界のマーケットに広め、世界中の学習者を支援する無機的戦略の第一歩です」と述べた。

Riiidの広報担当者はTechCrunchに対し、日本は最大の教育市場の1つで旧来型の対面の教育システムに今も依存している日本のEdTech業界には大きな成長の可能性があると述べた。担当者はさらに、日本市場に浸透した後は中央アジアや東アジアなど他の海外市場へ進出していくと述べた。

矢野経済研究所のレポートによると、2020年の日本のリモート学習業界は前年比22.4%増の約2880億5000万円規模と推計されている。

Riiidは今回の買収を通じて日本のユニットを立ち上げ、日本におけるマーケティング、セールス、B2B事業開発を進めていく方針だ。日本市場でのリモート学習に取り組む。

同社は日本でTOEICや英会話指導のサービスを提供してカスタマーベースを広げていくという。

Riiidは米国の拠点としてシリコンバレーにRiiid Labsを開設し、2020年以降、グローバルマーケットに積極的に進出している。広報担当者によれば、ベトナムと台湾でもユーザーを獲得し、最近ではインドを拠点とするAIベースのEdTech企業と提携した。さらにカナダにも研究開発拠点を開設する予定だという。

TOEIC対策のモバイルアプリだけでなく、エジプト、トルコ、UAE、ヨルダン、サウジアラビアで2021年前半にConnectMe Educationとの提携でACT対策のモバイルアプリをリリースした。2021年にはKaplanとの提携でGMAT対策のベータ版を発表し、まず韓国市場をターゲットにする。2022年第1四半期には教員に形成的評価と学習のプログラムを提供するAIベースのソリューションであるRiiid Classroomをリリースする計画だ。Riiid Classroomの主な機能には、個人のパフォーマンスの分析、生徒1人ひとりの弱点に応じた授業の提案、ドロップアウトの分析、タスク管理などがある。

RiiidはK-12、高等教育、企業向けにAIベースのオンライン教育ソリューションを提供している。2014年に創業し、韓国、米国、英国、カナダ、ブラジル、ベトナムにおよそ210人の従業員がいる。

画像クレジット:Riiid / Riiid

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(文:Kate Park、翻訳:Kaori Koyama)

WebOpsプラットフォームのPantheonが予定より1年前倒しでSoftBank Vision Fundから約110億円調達

WebOps SaaSプラットフォームのPantheonは何年も前にDrupalとWordPressをホストする企業として発足した。Pantheonが2021年7月中旬、Softbank Vision Fund単独によるシリーズEラウンドで1億ドル(約110億)を調達したと発表した。このラウンドでPantheonの評価額は10億ドル(約1098億円)を超え、同社はユニコーン企業としての地位を手に入れた。

Pantheonの共同創設者兼CEOであるZackRosen(ザック・ローゼン)氏は、同社は特に急いで資金調達をする必要に迫られていたわけではなかったと語った。「今回得た資金は、現在私たちが取り組んでいることにさらに弾みをつけるのに役立てることになります。当社は銀行にたくさんの現金を持っているので、今後 1年か2年で資金調達する予定ではあったのですが、今すぐに資金調達が必要だったわけではありませんでした。しかし、私たちはこの業界がどこに向かっているのかについて確信を持っており、お客様のニーズもかなり明白であることから、資金調達の時期を6カ月から1年前倒しし、すでに遂行計画に入っている事柄を加速するチャンスとしてこの機会を活用することにしました」。

ローゼン氏のいう通り、企業ウェブサイトの役割はPantheonが約12年前に発足した当時とはだいぶ変容してきている。もともと企業ウェブサイトはブランドの確立やニュース発表の経路を確保する役割を果たしていたが、昨今ではウェブサイトはダイレクトに収益に結びついている。「最近では、企業の担当者がお客様と商談する前に、購入決定の大半がなされています。あらゆる調査がウェブサイトを閲覧することで完了しているのです。広告内のリンクや電子メール内のリンクも、お客様をウェブサイトにつなぎます。ウェブサイトは最も重要なデジタル製品なのです。マーケティング担当者はウェブサイトをこのように捉え始めています」。

このため、ホスティングとパブリッシングで問題が解決することがある一方で、Pantheonは今後、企業のウェブサイトを通じて収益を上げそれを測定する、という部分に多くのチャンスがあると見ている。もちろん、同社のサービスの中心は依然としてサーバーレスホスティングプラットフォームであり、サービスの主な対象者は開発者である。しかし、同社が現在投資している多くの事柄を促進しているのはマーケティングチームと開発者によるコラボレーションである。「最高クラスのデジタルサービスを日々繰り返しお届けし、さらにデザイナー、開発者、ウェブサイトの所有者、プロジェクトマネージャーとともに作業していくには、その作業を記録するシステムが必要です。そうしたチームには確実なワークフローが必要なのです」とローゼン氏は語った。

企業は、高性能ホスティング、CDN、およびウェブサイトをホストするための重要な要素に加え、そうしたワークフローを提供してくれる信用のおけるSaaSプラットフォームを探しているとローゼン氏はいう。「チームはそうしたことを考えるのをやめたいと望んでいます。彼らが必要としているのはパートナーであり、Stripe、Twilio、SalesforceといったSaaSアプリケーションです。彼らはそれらを機能させることを望んでいるのであり、そのために気持ちを煩わせることは望んでいません。ですから、それを管理してくれるサービスがあれば、チームが関心を持っている結果を促進する物事に力を注ぐことができます」。

画像クレジット:Pantheon 

SoftBank Vision Fundの投資先にはByteDance、Perch、Redis Labs、Slack、Arm(そして悪名高いWeWork)などがある。そうしたSoftBank Vision Fundからの資金調達について、ローゼン氏はPantheonには、投資元についていくつか選択肢があったのだが、最終的にSoftBankのチームが「このカテゴリーの有力な信奉者」であり、Pantheon がWebOpsカテゴリーを明確なものにしていくにあたり必要な規模に到達するのを、SoftBankがサポート可能であると判明したのだと述べた。

SoftBank Investment AdvisersのパートナーであるVikasParekh(ビカス・パレック)氏は次のように述べている。「デジタルトランスフォーメーションが重要なビジネスインフラのクラウドへの移行を加速しました。私たちは、Pantheonの一流のプラットフォームが、SaaSサービスを通しワークフローと自力での作業を自動化することによって、最新のウェブサイトエクスペリエンスがどのように生み出されるか、その方法を変革していっていると確信しています。私たちはローゼン氏およびPantheonチームと提携して、同社の志をサポートするのをとてもエキサイティングなことだと感じています。Pantheonは、企業が結果を生み出すウェブサイトを構築するための新たな、そしてより優れた方法を提供することを目指しているのです」。

画像クレジット:Pantheon

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Dragonfly)

プロアスリート向けのウェアラブルトラッカーのWhoopが220億円調達

2012年創業のWhoop(ウープ)はフィットネストラッカーの世界では馴染みのないブランドだ。しかしここ数年、同社はかなりの乗り換えユーザーをひきつけてきた。同様に、ベンチャーキャピタルをひき寄せるのにも苦労はしなかった。ボストン拠点の同社にTechCunchが最後に話を聞いたのは、同社が5500万ドル(約60億円)を調達した2019年後半だった。そしていま、Whoopはさらに2億ドル(約220億円)という巨大な資金調達を行った。

今回のシリーズFラウンドでWhoopの累計調達額は4億500万ドル(約446億円)近くになった。この規模の企業にしてはかなりの額だ。ソフトバンクのVision Fund 2がリードしたFラウンドでのバリュエーションはなんと36億ドル(約3965億円)だ。

その他の投資家にはIVP、Cavu Venture Partners、Thursday Ventures、GP Bullhound、Accomplice、NextView Ventures、Animal Capitalが名を連ねている。既存投資家は全国フットボールリーグ選手協会、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏、その他数多くのプロアスリートだ。

Whoopがアスリートをターゲットとしているのは、Apple WatchやFitbitなど主要な消費者向けウェアラブルとはかなり対照的だ。事実、Whoopはスポーツチーム、企業やヘルスケア、政府 / 防衛向けソリューションのための特別販売を行っている。

Whoopは、このほどFitbitが新製品Charge 5のための「Daily Readiness Score(体の準備ができているかを示すスコア)」を発表したときに社名を響かせた。このスコアについては、多くの人がより高度なWhoopの分析を引き合いに出した。

Whoopは追加の資金調達を模索するモチベーションとして、2020年の会員数の「大幅な成長」を挙げている。それはおそらく部分的に、18カ月のサービスが月18ドル(約2000円)〜というサブスク(サービス利用期間が短いほど月額料金は高くなる)に注力する一方で、500ドル(約5万5000円)のウェアラブルを無料にするという2019年の決断によるものだった。

Whoopは米国以外のマーケットへの進出もにらんでいて、膨大な額の調達資金をハードウェアのR&D、ソフトウェア、分析ソリューションに注ぐ。また、現在500人超の従業員数の増加にも使う(従業員の半分近くは2020年加わった)。

「当社は国際的に成長していて、ソフトバンクとの提携をさらに深化させることに胸躍らせています」と創業者でCEOのWill Ahmed(ウィル・アーメッド)氏はリリースで述べた。「2020年驚くほどの成長を経験しましたが、当社のテクノロジーの潜在性ならびに健康モニタリングの広大なマーケットの大部分は未開拓のままです」。

画像クレジット:Whoop

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクG孫社長が中国への投資は「しばらく様子見」、IT大手締め付けに「いずれバランスを取り戻すと信じている」

ソフトバンクG孫社長が中国への投資は「しばらく様子見」、IT大手締め付けに「いずれバランスを取り戻すと信じている」

AI革命を掲げ、多くの中国ハイテク企業に投資しているソフトバンクグループの孫正義社長は8月10日の決算会見で、中国当局のIT大手締め付けについて『長い目でみれば、どこかでもう一度バランスを取り直すと私は信じている』とコメントしました。

孫社長は『6月末を過ぎたあたりで、中国の問題が出てきました。DiDiが上場した直後や、フルトラックアライアンスも上場直後でしたね。その後、アリババもテンセントもバイドゥもメイトゥアンも、中国のハイテク株は今受難のときであります。しかし、長い目で見ればですね、業績は伸び続けているわけですから、もう一度バランスを取り直して、株価も持ち直すと私は信じております』とコメント。

また『世界のAI技術の革新の中心は2つあって、米国と中国であると思っています。ですから、今後とも中国におけるAI技術そしてビジネスモデルの革新はどんどんと続いていくんだろうと強く信じております』と述べました。

一方で投資活動については『新たなさまざまな規制等がはじまっておりますので、どのような規制がどのような範囲で行われるのか、そしてそれが株式市場にどのような影響を与えるのかを、もう少し様子を見てみたい』とし、中国企業への投資は当面見合わせる方針を示しました。

加えて『我々が中国政府の動きに反対しているとか、そういうことは全く考えてませんし、中国の将来性について疑念を抱いているかというと、それも全く違います。ただ、新たな規制、新たなルールが今はじまろうとしているばかりですから、もう少し様子が固まるまで、我々としては様子を見てみたいと。おそらく1年2年すれば、新たなルールのもと、新たな秩序がもう一度しっかり構築されると私は信じておりますので、その状況がはっきりしてくれば、中国での投資活動を活発に行うということは十分に可能性としてはありますが、ここしばらくは様子を見てみたいということです』とも付け加えました。

また、ソフトバンクグループの時価純資産(NAV)の多くを占めるアリババについては『依然として売上1.3倍増くらいが続いていますし、直近もそれが衰えずに伸びておりますので、アリババの株価もいずれ回復すると私は信じております』と述べた一方、「直近ではNAVに占めるアリババ株の割合はソフトバンク・ビジョンファンドを下回っている」とも述べ、アリババ一本足打法とみなされる状況を脱却しつつあるとも強調しました。

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

また、ビジョンファンドにおける中国企業への依存度については、ビジョンファンド1・2のトータルでは『2021年7月末の時価ベースで23%』としたものの、2021年4月以降の新規投資では11%に留まっていることも明かしました。

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Alibaba / アリババ(企業)Ant Group(企業)ソフトバンク / SoftBank(企業)ソフトバンク・ビジョン・ファンド / SoftBank Vision Fund(企業)Tencent / テンセント(企業)Didi Chuxing / 滴滴出行(企業)Baidu / 百度(企業)Meituan / メイトゥアン(企業)中国(国・地域)日本(国・地域)

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孫社長は『6月末を過ぎたあたりで、中国の問題が出てきました。DiDiが上場した直後や、フルトラックアライアンスも上場直後でしたね。その後、アリババもテンセントもバイドゥもメイトゥアンも、中国のハイテク株は今受難のときであります。しかし、長い目で見ればですね、業績は伸び続けているわけですから、もう一度バランスを取り直して、株価も持ち直すと私は信じております』とコメント。

また『世界のAI技術の革新の中心は2つあって、米国と中国であると思っています。ですから、今後とも中国におけるAI技術そしてビジネスモデルの革新はどんどんと続いていくんだろうと強く信じております』と述べました。

一方で投資活動については『新たなさまざまな規制等がはじまっておりますので、どのような規制がどのような範囲で行われるのか、そしてそれが株式市場にどのような影響を与えるのかを、もう少し様子を見てみたい』とし、中国企業への投資は当面見合わせる方針を示しました。

加えて『我々が中国政府の動きに反対しているとか、そういうことは全く考えてませんし、中国の将来性について疑念を抱いているかというと、それも全く違います。ただ、新たな規制、新たなルールが今はじまろうとしているばかりですから、もう少し様子が固まるまで、我々としては様子を見てみたいと。おそらく1年2年すれば、新たなルールのもと、新たな秩序がもう一度しっかり構築されると私は信じておりますので、その状況がはっきりしてくれば、中国での投資活動を活発に行うということは十分に可能性としてはありますが、ここしばらくは様子を見てみたいということです』とも付け加えました。

また、ソフトバンクグループの時価純資産(NAV)の多くを占めるアリババについては『依然として売上1.3倍増くらいが続いていますし、直近もそれが衰えずに伸びておりますので、アリババの株価もいずれ回復すると私は信じております』と述べた一方、「直近ではNAVに占めるアリババ株の割合はソフトバンク・ビジョンファンドを下回っている」とも述べ、アリババ一本足打法とみなされる状況を脱却しつつあるとも強調しました。

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