投資アプリRobinhood、株取引時間拡大の発表で株価が25%急伸

消費者に人気の投資アプリのRobinhood(ロビンフッド)は米国時間3月29日、24時間365日の投資という目標に向けて、朝と夕方の株式取引時間を拡大すると発表した。これまで同アプリは米国東部時間午前9時〜午後6時、つまり市場が開く30分前から、市場が終了して2時間後までの取引を提供していた。新しい取引時間は同午前7時〜午後8時だ。

投資家はこのニュースを好意的に受け止め、Robinhoodの株価はニュース発表後、25%超上昇した。

Robinhoodはブログへの投稿で、取引時間の拡大で顧客のニーズにこれまで以上に応えられると、その理由を説明している。

「当社の顧客は、通常の市場時間帯は仕事をしていたり忙しかったりして、自分のスケジュールに合わせて投資したり、重要な市場ニュースを評価して対応したりする能力が制限されているとよく言っています」と同社は書いている。また、Robinhoodの顧客の中には、午前と午後の両方で通常の市場取引時間外にアプリにログインしている人が多数いることも指摘した。「彼らはフルタイムの仕事から学校、家庭、副業まで多くのことをこなしています」とRobinhoodは述べた。「株取引時間の拡大で、顧客は早朝や夕方など都合のいい時にポートフォリオを管理する多くのチャンスを手に入れます」。

今回の措置は、手数料無料の株式取引というアプリの中核的な価値提案を超えて、消費者投資家のニーズに応えるために同社が創業以来行ってきたいくつかのアップデートのうちの1つだ。

近年、Robinhoodは暗号資産に進出し、分数株を導入し、自動投資を追加し、24時間365日の顧客サポートを展開した。

ちょうど2022年3月、同社は独自のキャッシュカード立ち上げた。このカードは、顧客が外出先で小遣いにアクセスし、オプションで購入額をおおよその額に切り上げ、余った分を自分の選んだ資産に投資できるようにするものだ。Robinhoodの幅広いサービスでは、従来の銀行サービス手数料、サブスク料、ATM手数料、当座貸し越し手数料がかからないだけでなく、給与の口座振替への早期アクセスなどの機能で他のフィンテック企業に対抗している。カードは金融の大衆化という同社のミッションにもつながるものだと述べている。

Robinhoodは初めて株式取引を行う新しい、そしてしばしば若い投資家を呼び込むことができ、サービス開始以来かなりの数の消費者が同社のアプリを利用し、2021年の口座数は2020年12月の1250万から81%増の2270万となった。

しかし直近の四半期で成長が鈍化し、株価が急落している。2021年第4四半期に同社が発表した収益は前年同期比14%増で、夏場の成長率の半分以下だった。また、今四半期の収益見通しを弱めに発表し、業界予想の3億7630万ドル(約462億円)に対して3億6270万ドル(約445億円)、1株当たりの損失は予想の35セント(約43円)に対して49セント(約60円)と予想を下回るものとなった。

2022年の株価はIPO価格から70%下がり8月の高値から87%下落していた。

取引時間の延長は、顧客が通常の市場時間外に取引する機会を増やしたがっているという同社の主張が正しければ、Robinhoodが成長を取り戻すのに役立つ可能性がある。もちろん、同社は取引時間の延長にともなうリスクについても警告しているが、取引時間の延長により、顧客は市場が終了した後に行われる四半期決算発表や、海外市場で行われている活動に基づいて取引を行うことができるようになると指摘した。

新しい取引時間により、Robinhoodはすでに取引延長を提供しているCharles Schwab(チャールズ・シュワブ)やFidelity(フィデリティ)といった従来の証券会社に対する競争力を高めることになる。

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

個人向け自動資産運用サービス「SUSTEN」のsustenキャピタル・マネジメントが15億円調達、利便性向上や新サービス開発

個人向け資産運用サービス「SUSTEN」を展開するsustenキャピタル・マネジメント(サステン・キャピタル・マネジメント)は3月28日、第三者割当増資による総額15億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、マネーフォワード、NOWが運用するファンド、東京理科大学ベンチャーファンド。調達した資金は、既存サービスの利便性向上をはかる改良、個人投資家のニーズに応える新サービス開発、本格的なマーケティング活動にあてる。

SUSTENは、利用者がアプリ上で質問に答えるだけで、利用者ごとに適した運用ポートフォリオを診断し運用まで自動で行うという資産運用サービス。投資の知識がない人でも、金融工学理論と機械学習を融合させた分散投資を利用できるとしている。世界の株式に投資する従来型の運用だけでなく、株式以外の収益源を活用する絶対収益追求型戦略も用意しているそうだ。

また同社は、完全成果報酬型の費用体系を導入。資産が増える時のみ費用が発生し、相場が軟調な間は、同社に対する費用は発生しない。顧客の投資資産を保全する信託銀行に支払う受託者報酬、投資対象上場投資信託に支払う経費など、投資金額に対して年率0.022~0.099%(税込)程度の実質的な費用は発生する。

ISA採用プログラミングスクール運営のLABOT、教育機関の「学費の出世払い」導入を支援するISAプロバイダー事業発表

ISA採用プログラミングスクール運営のLABOT、教育機関の「学費の出世払い」導入を支援する「ISAプロバイダー事業」発表ISA(Income Share Agreement・所得分配契約)を支払いモデルとして採用するプログラミングスクール「CODEGYM」(コードジム)などを運営するLABOT(ラボット)は3月25日、自社スクール以外の教育機関におけるISA導入を支援する「ISAのプラットフォーム構想」(ISAプロバイダー事業)を発表した。今後のコーポレート・ファイナンスを経て、中長期的な経営構想として金融分野への参入、アジア市場展開を行う。2022年度中に実証実験を行うにあたり、ISA参画に関心のある教育機関との連携を模索するという。

ISAは、教材や学習機材など一部の実費を除き、在学中に学費や入学金などの初期費用負担が発生しない代わりに、卒業後の年収に応じて支払金額を決定する支払いモデル。入学金や学費の前払いが一切ない代わりに、卒業後に希望する職種への就労が実現した後、一定期間(CODEGYMの場合は30カ月間)、月額給与の一定割合(CODEGYMの場合は10%)を支払う義務が発生する。このモデルは「出世払い」とも呼ばれ、所得による教育格差を是正する方法として、米国を中心に世界各地の教育機関やブートキャンプに採用されているという。

また、学習を始めた初期に挫折してしまったり、就職に成功しない場合には学費の支払い義務が発生しないほか、就職後でもISA規定が定める年収ラインを下回る期間、病気や怪我、介護、育児などの事情で給与を得られない期間がある場合、ISAにおける支払いは猶予され金利は発生しない。

一方ISAによる支払手段を教育機関が採用するには、法務(受講契約書や支払いに関する約款など)や会計、税務面での煩雑な手続きが必要になるほか、何よりスクールを卒業後、2年〜3年といった長期間にわたって学費の支払いを受けるため、提供企業・教育機関側としては財務キャッシュフローの問題が最も懸念される。これらのことから、ISAには非常に高い参入障壁があり、国内では、継続的に投資家の出資を受けて行われる法人でのISAの参入例は、LABOTを含め2例しか確認できていないという。

今回発表のISAプロバイダー事業では、日本およびアジア圏の教育機関に対し、ISAの運営ノウハウをSaaSとして提供するとともに、将来的にはISAの教育ファンド(現在構想中、順次必要なライセンス取得予定)を通じた資金繰りを支援する金融分野への参入を目指す。

またLABOTは、ISA産業の立ち上げを目指す業界団体の発足に向け、社内に準備委員会を設置。消費者保護を第一とする共通ガイドラインの策定、長期的な視点での関連省庁や政府両党との意見交換、法務・税務の観点の整理、海外動向のリサーチとケーススタディ、学術的研究などを行なう予定。さらに、ISA産業に関する媒体「ISA研究会マガジン」を開設。ISAの国内外情勢の最新ニュース、考察、事例研究、投資・スタートアップ動向などを情報発信している。LABOTは、今後はテクノロジー領域にかぎらず、様々な分野の教育機関でISAが選択できることで、より多くの人々が平等な教育機会を得られる社会の実現に貢献したいという。

LABOTは「人の可能性に投資する」をビジョンを掲げ、2019年7月に設立。ISAを採用したエンジニア養成スクールのCODEGYM、就職活動を控えた学生の新卒エンジニア就職を支援するCODEGYM Academyを運営しており、2021年度の春・秋に合わせて638名が入校している。

ウォレットアプリのKyashが49億円のシリーズD調達、累計資金調達額約128億円に

ウォレットアプリのKyashが49億円のシリーズD調達、累計資金調達額約128億円に

ウォレットアプリ「Kyash」(iOS版Android版)提供のKyashは3月17日、シリーズDラウンドにおいて、第三者割当増資による49億円の資金調達を実施したと発表した。累計資金調達額は約128億円となった。引受先は、JPインベストメント、米Block(旧Square)、英Greyhound Capital、米Altos Ventures、Goodwater Capital、StepStone Group(旧Greenspring Associates)、香港Yitu Capital、SMBC日興証券、三井住友海上キャピタル、AGキャピタル、ジャフコ グループ、SMBCベンチャーキャピタル、W venturesのそれぞれが運営するファンド。

調達した資金により、さらなる人材採用による組織拡充を行い、事業領域の拡大・サービス運用体制を強化する。

「Kyash」アプリは、インストールすると誰でもすぐにバーチャルカード(Visa)を発行可能。銀行口座やクレジットカード、デビットカードをアプリに登録すると、Visaオンライン加盟店で買い物が行える。Apple PayやGoogle Payにも対応しており、QUICPay+加盟店の決済もサポート。「Kyash Card」、「Kyash Card Lite」を発行すると実店舗でも利用できる。カードの利用限度額上限や利用可能場所はカスタマイズに対応しており、ICチップによるサインレス決済も可能。

2015年1月設立のKyashは、「価値移動」のサービス・インフラを開発・提供するテクノロジー・カンパニー。人々のライフスタイルに寄り添いながら、人々の価値観や想いが自由に届けられる「新しいお金の文化」を創造することを目指している。

社会インパクト可視化システム・社会インパクト投資プラットフォームのインパクトサークルが8000万円のシード調達

社会インパクト可視化システム・社会インパクト投資プラットフォームを構築するインパクトサークルが8000万円のシード調達

インパクトサークルは3月16日、シードラウンドとして、第三者割当増資による約8000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、インクルージョン・ジャパン、Relicなど。調達した資金は、国内外事業展開の加速にあてる。

2021年7月設立のインパクトサークルは、社会インパクト可視化システムと、社会インパクト投資プラットフォームを構築するFinTechスタートアップ企業。「インパクト×リターン」を実現するマイクロファイナンス・リースを自ら運用し、また投資によって生み出される社会インパクトを可視化することで、新たな社会インパクト投資の機会を創出するプラットフォームを構築する。

インドのPaytm、同社決済銀行が中国企業とデータ共有しているという報道は「完全な虚偽」と発表

インドのPaytm(ペイティーエム)は、同社の運営する決済銀行「Payments Bank(ペイメンツ・バンク)」のデータが中国企業に流出したと主張する報道は「完全な虚偽であり、センセーショナルに煽り立てているだけ」と述べた。このインドの大手フィンテック企業は、現地時間3月14日に同社の株が14.7%も急落して1株8.6ドル(約1020円)になった後、投資家の懸念を静めるために説明を急いでいる。

Bloomberg(ブルームバーグ)は米国時間3月14日午後、Paytm Payments Bankの株式を間接的に所有する中国ベースの企業とデータ共有を許可していることがインドの規則に違反しているため、Paytmのデジタルバンクは新規顧客の追加を禁じられたと報じた。

この報道に対し、Paytmの広報担当者は、Paytm Payments Bankは「国産銀行であり、データの局在に関するRBI(インド準備銀行)の指示に完全に準拠している」と述べている。

この広報担当者は「当行のデータはすべて国内に存在します。我々はデジタル・インディア政策の真の信奉者であり、国内の金融包摂を推進することに引き続き尽力していきます」と続けた。

Paytmの創業者で最高経営責任者のVijay Shekhar Sharma(ビジャイ・シェカル・シャルマ)氏はさらに、国営放送でこの報道を断固として否定し、Paytm Payments Bankに対する中央銀行の通知には「いかなるデータアクセスやサーバー、いかなるデータアクセス手段、またインド国外にサーバーがあるということにも、言及している点はまったくない」と、述べた。

インドの中央銀行であるインド準備銀行は、現地時間3月11日、ある種の「重要な監督上の懸念」を理由に、Paytm Payments Bankに新規顧客の受け入れを禁じたが、その概要は明らかにしていない。

「同行はIT監査法人を任命し、ITシステムの包括的なシステム監査を実施するようにも指示されている。新規顧客の受け入れは、IT監査法人の報告書を確認した後、RBIが認める特定の許可に従うことが条件となる」とRBIは付け加えた

3億人以上のユーザーを抱え、複数の事業を展開するPaytmは、RBIの措置が「Paytmの事業全体に重大な影響を与える」とは考えていないと述べている。

Paytmの株価は、月曜日に14.7%も暴落した後、わずかに回復した。記事公開時のPaytmの時価総額は57億2000万ドル(約6766億円)と、2019年後半の資金調達時の160億ドル(約1兆8925億円)から減少している。かつてインドで最も価値が高かったスタートアップは2021年、同国最大のIPOで25億ドル(約2960億円)を調達した

Paytmを最も鋭く批判してきたアナリストたちのいる証券会社Macquarie Capital(マッコーリー・キャピタル)は、今回の事態がPaytmに大きなビジネス上の影響を与える可能性は低いものの、同社が5月に資格を得る小規模金融銀行への「格上げ」の可能性は低くなるだろうと述べている。

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Flipkart創業者の印フィンテック企業Navi Technologiesが518.5億円のIPOを申請

顧客に保険やローン商品を提供するフィンテックスタートアップのNavi Technologies(ナビ・テクノロジー)が、4億4000万ドル(約518億5000万円)のIPOを申請した。40歳の創業者Sachin Bansal(サチン・バンサル)氏は、かつてインド国内でeコマースの波を引き起こして財を成した人物だ。その彼が再び大胆な挑戦を始めた。

Navi Technologiesの新規株式公開はすべて新規株式で構成される予定であり、同社が土曜日(インド時間3月12日)に現地規制当局に提出した目論見書草案の中では、IPO前の募集を検討する可能性があると述べられている。

このIPOは、この数カ月ハイテク株あるいは他のほとんどの株が急落しているときに行われた。2021年上場したZomato(ゾマト)、Paytm(ペイティーエム)、Nykaa(ニーカ)、PolicyBazaar(ポリシーバザー)を含むすべてのハイテクスタートアップは、ここ数週間、最低株価で取引されている。

しかし、1年以上前から新規株式公開を視野に入れているNavi Technologiesにとっては、会社を公開することへの切迫感もある。この件に詳しい2人の情報筋によると、スタートアップが銀行になるためのライセンスを確保できなかったために、ソフトバンクや他の投資家から40億ドル(約4713億6000万円)以上の評価額で資金を調達しようとした直近の試みが失敗したのだという。

2018年に創業されたNaviは、融資の世界でデジタル個人ローン、住宅ローン、不動産担保融資を提供している。また医療保険とパッシブ・ファンドを中心としたデジタル資産管理を提供している。これまでのところ、このスタートアップへは、ほぼ全額をバンサル氏が出資している。

10年以上前にFlipkart(フリップカート)を共同創業し、Walmartへの売却前に同社を去った億万長者のバンサル氏とNaviは、これまでほとんど脚光を浴びることはなかった。目論見書(PDF)では、Naviのさまざまな事業や財務の健全性が初めて伝えられている。

画像クレジット:Navi

目論見書の中で同社は「社内にNBFC(非銀行金融機関)部門を持ち、AI/ML(人工知能/機械学習)ベースのアンダーライティングとデジタル限定のD2Cアプローチにより、Naviは融資商品の調達、アンダーライティングから回収までのコントロールを行い、顧客にスムーズな体験を提供することができています」と説明している。

Naviは、テクノロジーを使って、これまでサービスを提供できなかった顧客にサービスを提供しているという。スタートアップは「迅速な融資実行、低金利でのデジタル・ホーム・ローンの提供、不正およびクレジット・デフォルト・リスクの防止に対するテクノロジーの活用、データ・アナリティクスを使用して融資アルゴリズムをトレーニングして、魅力的な価格設定と優れたローン・アカウント管理を提供し、デジタルとフィールドの両者を活用する」ことを保証している。

Naviの提供する価値(画像クレジット:Navi)

21年度の連結利益が920万ドル(約10億8000万円)、売上は1780万ドル(約21億円)だったこのスタートアップは、個人向けローンと個人向け健康保険を、それぞれ4.5分以内と2.5分以内でサインアップできると述べている。

Naviの個人向けローン事業は、開始以来21カ月で、インドの郵便番号の84%に相当する地域で48万1000人以上の顧客にサービスを提供し、最長84カ月の期間で最大200万インドルピー(307万6000円)までを融資している。これらのローンの融資単位は665ドル(約7万8000円)だ。

「2021年12月31日現在、販売された健康保険契約の61.17%が、Navi Appで人間の介在なしに承認されています。さらに、チャットベースのインターフェースを開発し、お客様が購入なさるまでの間、シームレスにサービスを受けられるようにしています」とスタートアップは付け加えている。

「毎月一定額を保険料としてお支払いいただくEMI(均等月額割賦払い)方式を採用したことで、魅力的でお求めやすい価格帯の商品を提供することができました。2021年12月31日までの9カ月間における当社のGWPは、6億6700万インドルピー(約10億3000万円)で、そのうち6326万インドルピー(約9723万8000円)はリテール医療保険セグメントからのものでした。2021年12月31日までの9カ月間で、当社は合計22万491件の保険契約を発行し、そのうち2万7800件はリテール医療保険でした」。

画像クレジット:MONEY SHARMA / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

決済大手Stripe、暗号資産決済のサポートを再開

決済大手のStripe(ストライプ)は、すでにウェブの金融インフラの大部分を動かしているが、今度は暗号資産(仮想通貨)決済のサポートを開始する。顧客がウェブ3ユーザーを取り込み、暗号資産とのやり取りを容易にする方法を提供する。

Stripeは3月10日、暗号資産トークンの購入や保管、売却、NFTの取引、本人確認手続き(KYC)などのコンプライアンスワークフローの処理を容易にするツールやAPIに顧客がアクセスできるようにする一連の製品を発表した。同社のサポートページには、ユーザーが180カ国の法定通貨で135以上の暗号資産を購入するのをサポートできるようになると記されている。

Stripeの共同創業者John Collison(ジョン・コリソン)氏は3月10日にTwitterで新機能を発表した。

Stripeは長年にわたり暗号資産と複雑な関係を持っており、2014年に暗号資産のサポートを開始した後、支払い手段として暗号資産は「あまり有用ではない」として2018年にBitcoin(ビットコイン)のサポートを終了した。そして昨年10月に同社は暗号資産チームを構築するための求人情報を掲載し始め、数週間後に暗号資産VCのMatt Huang(マット・ホアン)氏を取締役として迎えた。Stripeのこの分野への再参入は、同社の広大なリーチを欠く既存の暗号資産決済事業者にとって大きな脅威となる。

このニュースと並行して、暗号資産取引所FTXは、ユーザー向けのIDコンプライアンス機能と法定通貨オンボーディングワークフローを改善すべくStripeと提携すると発表した。

[原文へ]

(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

「秀才1000人の信頼ではなく学生2000万人の納得が必要」Mosは急進的なフィンテックスタートアップを目指す

大学に進学する金銭的余裕がなかった人権活動家でMos(モス)の創業者であるAmira Yahyaoui(アミラ・ヤヒアウイ)氏は、学生と奨学金との橋渡しをするプラットフォームを立ち上げたとき、取り組んでいたイノベーションにひと区切りがついたと感じた。2017年の創業以来、Mosはコミュニティ内の40万人以上の学生に対し、1600億ドル(約18兆5000億円)以上になる学資援助プールへの自由なアクセスを提供している。

現在、ヤヒアウイ氏は、自身が直面したもう1つの金融の障壁を壊すことを目指し、Mosをチャレンジャーバンクへと拡大している。これは、Mosが、学生の大学受験や進学を支援するEdTech事業から、同じユーザー層の生活における複雑な要望をサポートするフィンテック事業へと進化したものだ。

「当社は、自分たちが行っていることとその理由について、かなり急進的に考えている」と同氏はいう。「エリート主義でもなく、ごく限られた人たちのためにやっているわけでもない。米国に根ざす銀行になりたいと真剣に考えている」とし、まずは学生を対象に「それを目標としている」と語る。

この目標は多くの投資家の共感を呼び、Mosの最新の資金調達ラウンドへの参加が競われた。今回のシリーズBでは、評価額が2020年5月時点の5000万ドル(約57億7000万円)から4億ドル(約461億円)に引き上げられ、4000万ドル(約46億1000万円)を調達した。ヤヒアウイ氏によると、このラウンドは、Tiger Global(タイガー・グローバル)の主導のもと、Sequoia(セコイア)、Lux Capital(ラックス・キャピタル)、Emerson Collective(エマーソン・コレクティブ)、Plural VC(プルーラルVC)などが24時間以内に集まり、複数の条件規定書を断ることもあったし、プレゼンのスライドも必要なかったという。

Mosの最初のデビットカードには、当座貸越料、遅延損害金、ネットワーク内ATM手数料が不要などいくつかの主な特徴がある。また、Mosの口座を開設するために最低残高も必要ない。

画像クレジット:Mos

「学生はお金をあまり持っていないため、当座貸越や詐欺など、あらゆる不利な条件に直面している」と同氏はいう。確かに、他のフィンテック企業も、学生の多くが卒業後も銀行を変えないことに着目し、脆弱ではあるものの定着性のある顧客層に同様のサービスを提供する機会があると考えているだろう。Stride Funding(ストライド・ファウンディング)LeverEdge(レバーエッジ)は学生ローン業界に参入しており、Thrive Cash(スライブ・キャッシュ)は合格通知に基づいて資金を提供し、学生向けの資金援助ツールであるFrank(フランク)はJPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)に買収されたばかりだ。

「JPモルガンをはじめとするすべての銀行は、自分たちの未来が過去とは異なることを認識しているのだろう。銀行は学生との関係を強めようとしているが、学生は既存の銀行経由では奨学金を利用しない」と同氏は述べる。一方、Mosは、2021年までに15億ドル(約1730億円)以上の奨学金を学生に提供してきた。

Mosはこれまで、奨学金を通じて学生の購買力を高めることで、学生との信頼関係を築いてきたが、この関係が他のフィンテック企業との競争に有利に働くとヤヒアウイ氏は考えている。つまり、自分を信頼し、認めてくれる人たちのユーザー基盤を構築し、その人たちに響く言葉で商品やサービスを紹介するというものだ。

「当社は大人になったばかりの顧客にサービスを提供しているが、将来的には顧客が大学を卒業してアパートを借り、家賃を払うようになるため、当社も顧客と一緒に成長していくのだ」と付け加える。

Mosの創業者であるアミラ・ヤヒアウイ氏(写真提供者:Cayce Clifford)

今回のラウンドに参加したラックス・キャピタルのDeena Shakir(ディーナ・シャキール)氏は、銀行事業は常にMosの「ミッシングピース」だったと述べる。もともとMosは、情報公開の他の側面を担ったり、学生に特化した他の金融商品のプラットフォームになったりと、さまざまな方法で拡大できると考えていたという。今では、この最初の数年間に築いたネットワーク効果により、当然のように次のステップに進んでいると同氏は考えている。

「Mosは、金融アクセスや金融包摂の側面から関わるのではなく、学生にとってのメインバンク、クレジットカード、そしてホームとなるユニークな機会を得たと認識している」と同氏はいう。

当初のミッションを超え、このスタートアップの新しい目標は、確かな収益をもたらす可能性がある。Mosはもともと、奨学金へのアクセス料で収益を上げていた。現在、Mosは仲介手数料で収益を上げているが、その知識は口座を開設すれば誰でも無料で得られる。ヤヒアウイ氏は、Mosが以前のビジネスモデルで「数百万ドル(数億円)」の年間収益を得ていたと述べたが、現在の収益については語らなかった。しかし、チャレンジャーバンク路線を追求したことで、有効な市場が爆発的に拡大したといい「当社の時価総額は、以前の10倍になっている」と語る。

将来的にMosは、学生がお金を支払ってアクセスできる商品セットを作り、アドバイザーとのより実践的な相談や特定の銀行機能などを提供する予定だ。

最近のPayPal(ペイパル)の業績からも明らかなように、すべてのフィンテック企業にとって問題となるのは、長期的なユーザーの質だ。Mosは、デビットカード事業を開始してから数カ月後の11月頃に、成長率が大幅に上昇した。競争の激しいフィンテック業界であるため具体的な成長指標については明らかにしていないが、カードの開始後、最初の四半期に10万人以上の学生がMosに口座を開設したことを紹介する。同氏は、この成長によりMosが米国で10番目に大きなネオバンクになったと推定している。

その学生たちが固定客となるのか、それとも大学に通っている間の一時的な顧客なのかはまだわからない。景品や紹介ボーナスには魅力を感じるが、それは同社にとって長期的な利益につながるのだろうか。

Mosの第一期生となった大学生のJulieta Silva(ジュリエッタ・シルバ)さんは、テキサス州の小さな町で育った。彼女が通う500人規模の学校には、大学進学のためのカウンセラーが1人しかいなかったため、進学に関する相談は、ほとんどMosからTikTok(ティックトック)を介して行っていた(実際、Mosのソーシャルメディアプラットフォームのアカウントには、5万2000人以上のフォロワーがいる)。最初にこのプラットフォームに参加したのは2020年8月で、奨学金を申請するためだったが、このプラットフォームは「複雑な銀行システムの簡易版」を目指して成長してきた。現在、ノースイースタン大学の1年生である彼女は、今でもBank of America(バンク・オブ・アメリカ)のカードを使っているが、日々の生活ではMosのカードに頼っている。友達に登録してもらえば、紹介料を得ることもできるという。

「学内で使われているのはまだあまり目にしないが、私がカードを使うたびに[カードについて]聞かれる。だから、ちょっとした特典を全部教えてあげるが、実際に皆の関心を集めるのはMosのファイナンシャルアドバイザーと、学費のための資金援助だ」と彼女は話す。

画像クレジット:Mos

一方、創業者のヤヒアウイ氏は、NFT(非代替性トークン)やしゃれたロゴ(と重さ!)を施したクレジットカードなど、話題性に気を使ってきた。しかし、ベンチャーキャピタルの支援を得て、大衆向けの事業に乗り出すことにした。

「1000人の秀才の信頼が得られればよいと思っていた」と同氏は述べ、そして続けた。「しかし実際には、2000万人の学生を納得させる必要がある」。

画像クレジット:BreakingTheWalls / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

法人カードPaildを手がけるHandiiが後払い機能の2022年5月頃リリースを発表、優先枠の登録受付を開始

法人カードPaildを手がけるHandiiが後払い機能の2022年5月リリースを発表、優先枠の登録受付を開始

法人カードのクラウド型発行・管理サービス「paild」(ペイルド)を提供するHandiiは3月1日、事前入金が不要となる(口座振替を実施)、後払い機能(クレジット支払い機能)を発表した。リリース予定は2022年5月頃。また「paild後払いに事前登録する」において、本日より優先枠の登録受付を開始している。

同機能の追加により、事前の入金なしに決済を行えるようになる。引き続き前払いを行うことにより、与信枠を超えた決済も可能。与信枠に関しては、デジタル情報を活用し、従来型の法人クレジットカードと比較して、最大10倍前後の与信枠を設定する予定だ。

同社CEOの柳志明氏によると、与信枠の設定と前払い残高を組み合わせた決済手段の提供により、中小企業が十分なカード決済ができない状態から解放し、法人カードの導入を通じた業務プロセスの改善を推進する戦略であるとのこと。paildでは、管理画面上から何枚でも即時に法人カードを発行できる機能を提供しており、従業員の経費精算の削減や部署の支出の見える化で効果を発揮しているという。

法人カードPaildを手がけるHandiiが後払い機能の2022年5月リリースを発表、優先枠の登録受付を開始

管理画面サンプル

paildは、無料登録から最短30分でVisaで使える法人カードを発行し、使うことができるサービスとして、2019年8月から提供を開始。サービス初期設定費用・年会費・バーチャルカードの発行手数料は全て無料。リアルカードの発行手数料は有料(税込1650円)だが、現在2022年4月末までの期間限定で、無料(0円)で発行可能とのこと。

2021年には、会計連携やSaaS管理機能といった会計業務の円滑化・効率化に向けた多くの機能をリリース。2022年に入って、カード業界ではまだ珍しい番号が券面に記載されていないナンバーレスリアルカードを発表したほか、ICチップ対応、Visaタッチ決済導入、3Dセキュア(本人認証)などに対応し、セキュリティの向上に向けた開発を進めている。

【コラム】フィンテック創業者の教訓、B2BでCを解決する

消費者にとっての大きな問題を解決しようとするフィンテック企業の創業者は、ほとんどの場合「人を助けたい」という善意でスタートを切る。しかし、その目標を大きく外してしまうことがあり、その結果他のフィンテック企業の創業者は消費者にどれだけ効果的に役立つことができるのかに疑問の目が向く。ベンチャー企業で営利を目的としたフィンテックのスタートアップ企業に「Altruis(利他主義)」という名前をつけるとしたら、ある種の健全な懐疑論がつきまとうことは確かだ。

フィンテックの世界は、さまざまな意味で内部対立の上に成り立っているため、その懐疑的な見方は理解できる。フィンテックの創業者の大半は、収益性の低い目標を達成するための超高収益ビジネスモデルの力と価値を深く理解している。また、金融機関出身者が多いため、金融ツールや金融機関が消費者の利益にならず、時には搾取している点を見抜くことができるという内部者的な強みがある。

創業者たちは問題をすばやく特定し、それを解決するスキルを持っているため、人々を支援するためのソリューションを構築し始める。彼らの意図は、概して利他的だと言える。

しかし、フィンテックの創業者にとっては、ここからが複雑だ。解決しなくてはいけない問題の特定に役立った業界のノウハウやビジネスへの理解がきっかけで、多くの人が当初の使命を放棄する道に走るからだ。

では、利他的なフィンテック創業者はどこで道を踏み外すのか。どんな市場の力によって、彼らの「破壊」が同じ古風なビジネスモデルに変わってしまうのだろうか。そして、最も重要なことだが、それらをどのように避けることができるのだろうか。

搾取の道を回避

フィンテックの創業者が取るべき最初のステップは、対応可能な市場規模を適切に設定することだ。これは単に広範なニーズを特定することではない。「人々が貯蓄を始めるのをサポートしたい」というのはすばらしいミッションステートメントだが、創業者はこのニーズを実現する方法については現実的でなければならない。

もしビジネスモデルが、対応可能な市場から200ベーシスポイント以上の収益を上げなければならないというものならば、サポートを提供する顧客に対してコストが大きすぎるかもしれない。要するに、正しい計算をしなければならないのだ。

ビジネスのユニットエコノミクスは、あまりにも多くのお金がかかるためにその顧客の資産に基づいて顧客を獲得することができなくなっている。その計算を成り立たせるためには、膨大な顧客生涯価値を生み出さなければならず、助けたい顧客は十分なお金を持っていないため、巨額の手数料を徴収しなければならない。

多くの消費者向けフィンテック、特に貯蓄型商品のビジネスモデルを実際に見てみると、その手数料は実質的に年率5%であることが多い。それは略奪的な融資に近いものだ’。

事実上彼らは「私たちの製品を使ってもらい、あなたが本当は利益を得ることができないことに気づかない程度の少額の取引手数料をいただきます」と言っているのだ。

さらに悪いのは、多くの創業者がこのような搾取的な道を、気づかないうちに進んでいることだ。正しく計算することが最初のステップだが、別の道がないか、もう一度じっくりと検討するのに悪いタイミングはない。

ベンチャー企業のプレッシャーと注意を逸らすもの

対応可能な市場の「計算」が間違っていると、フィンテック創業者の次の危険な罠、つまり「手っ取り早い成長」プログラムに巻き込まれる可能性がある。

ベンチャー市場によって、フィンテック事業は浅薄なものとなった。そして同じ作戦で組織をスケールアップし、多くの資金を集めなければならないという大きなプレッシャーがある。残念ながら、このアプローチでは、しばしば顧客が干からびてしまう。

例えば、投資、購入、消費を自動化するある大手フィンテック企業は、崇高な使命を掲げており、全資産に対して1%の収益を見込んでいることも公言している。これは高額な手数料であり、多くの非デジタル・プラットフォームのほぼ2倍である。

しかし、本当に計算して、正に「破壊的な」4分の1の手数料を取るなら、50億ドル(約5775億6250万円)の資産は1200万ドル(約13億8615万円)のビジネスにしかならない。投資家は小さな会社を作りたがらないし、1,200万ドルは小さな会社なのだ。だが1%になると、突然、世界を変える力を持ったユニコーンになれる。

このようにすばやく大きくなることは、消費者の足を引っ張る高値の製品や「ミッションクリープ」につながる可能性がある。人々がお金を貯めるのを助けようとした創業者が高額の暗号資産投資サービスを製品に付加する創業者になってしまうかもしれない。なぜか?暗号資産は、その当時、成長と資金調達への近道を提供したからだ。

資金調達に躍起になることも、道を踏み外す早道だ。創業者が迅速な資金調達ラウンド(金庫証券や従来の優先株式の調達)を何度も行うと、気がつけば自分の会社の最小限の割合しか所有していないことがよくある。

その時点で「どんな犠牲を払ってでも成長する」ことに縛られてしまい、利益を得るためにはモンスターを作り上げなければならなくなる。

B2B化でCを解決する

もちろん、このコラムを読んでいる創業者の中には、すでに計画の真っ最中である人もいるだろう。可能な限り市場規模を把握し、必要な資金を調達し、投資家を選択したことだろう。上記のようなリスクを管理するために、あなたができることはほとんどないかもしれない。

しかし、利他的な創業者が消費者を支援するための無視されがちな道もある。結果ではなく、原因にアプローチするのだ。

消費者のお金との関係ほど複雑で個人的な問題はない。多くの企業が、消費者が抱える1つの苦悩を切り離すことで、何らかの形でシステム的な変化をもたらし、誰かのためにより良い金融生活を実現できると考えている。彼らは消費者の問題を特定し、その解決策は消費者との直接取引でなければならないと考えているのだ。

貯蓄、予算、投資のどれをとっても、これらの解決策は善意に由来し、上手く実行されているが、これは不眠症を布団で「解決」するのと同じようなものだ。

消費者の問題を無視しろとは言わまいが、一般的な人が日常生活で対処していること以外にも視野を向けることで、最も消費者を助けることができるかもしれない。

お金を貯めることの難しさは、新しい銀行システムを開発することで解決できるかもしれない。給料日に振り込みを間に合わせるのが難しい人は、雇用者と協力して給与計算のソリューションを改善することで解決できる可能性がある。資産運用の苦労は、アドバイザーが顧客を支援するための優れたテクノロジーを提供することで軽減することができる。

そして何より、ビジネス上の問題を解決することは、フィンテック創業者が陥りがちな問題を回避することにつながる。B2Bソリューションの対応可能なマーケットを適切な大きさにすることで、誇大妄想に陥る可能性は低くなる。B2Bの世界には、注意を逸らすような美味しい話や「急成長」の罠がはるかに少ないのだ。B2Bフィンテックを支援する投資家は、ランウェイやARRに対して、より忍耐強く、合理的な期待を持っている傾向がある。

いずれは消費者向け製品をリリースすることになるかもしれないが、その時までには消費者に効果的にサービスを提供するための適切な安定性と規模を獲得しているだろう。

多くの場合、消費者を支援するための最良の道は、消費者以外を見つめることなのだ。

編集部注:Jason Wenk(ジェイソン・ウェンク)はAltruistのCEO兼創設者。

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(文:Jason Wenk、翻訳:Dragonfly)

ウクライナ侵攻に対する経済制裁により、ロシア国内でApple PayやGoogle Payなどが利用停止

ウクライナ侵攻に対する経済制裁により、ロシア国内でApple PayやGoogle Payなどが利用停止ロシアのウクライナ侵攻を受けて、米国政府およびEUはロシアの大手銀行5行に対して外国為替取引の制限を含む経済制裁を実施しました。その結果、現地の主要銀行口座と紐付けられたApple PayやGoogle Payなどのデジタルウォレットがロシア国内で利用停止となったと伝えられています。

ロシア中央銀行は25日、制裁対象となった銀行の顧客は海外でカードを使用できなくなり、制裁を支持する国に登録されている企業のオンライン決済ができなくなると発表しました。

公式声明によると、影響を受ける銀行はVTBグループ、ソブコムバンク、ノビコムバンク、プロムスヴィヤズバンク、オトクリティの5つ。これら5つの銀行が発行するカードは、Apple PayやGoogle Payで使えなくなったと指摘しています。

なおロシアの顧客は、ロシア国内では物理的なカードを使って非接触決済を行うことができるとのこと。現時点では、上記の5行と紐付けられたApple PayとGoogle Payの決済は同国内で無期限で停止されており、再開のめどは立っていません。

今回のできごとは、あくまで「Apple PayとGoogle Payと取引ある地元銀行が経済制裁の対象となった」ためです。しかし米バイデン政権は追加制裁として半導体などハイテク製品の輸出規制も決定しており、その範囲がうわさ通りソフトウェアや通信プロトコルにも及べば、ロシア国内でApp StoreやGoogle Playストアが使えなくなる事態もあり得そうです。

(Source:Bank of Russia。Via BusinessInsiderEngadget日本版より転載)

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Egor Lyfar on Unsplash

与信サービス構築基盤Credit as a Serviceを展開するCrezitが6.5億円調達、開発・経営チームの採用強化

与信サービス構築基盤Credit as a Serviceを展開するCrezitが6.5億円調達、開発・経営チームの採用強化

与信プラットフォーム「Credit as a Service」(CaaS)を手がけるCrezit Holdingsは2月24日、第三者割当増資による総額6億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、デライト・ベンチャーズ、Spiral Capital、千葉道場ファンド。シードラウンドを含めた累計調達額は約9億2000万円となった。調達した資金は、採用・組織体制の強化、CaaSの開発にあてる予定。

Crezit Holdingsは「Optimize Credit, Unleash Potential. / 信用を最適化して、人の可能性を解き放つ。」をミッションに掲げ、2020年7月に設立したスタートアップ。消費者信用事業(貸金・割賦販売など)に参入したいあらゆる企業に対して、金融サービス構築に必要なシステム基盤やオペレーションを提供していくCaaSを開発・提供している。

一般に、与信サービスの立ち上げには膨大なリソースを必要とし、金銭的にも時間的にも多大なコストがかかかる。このため結果として、従来一部の大資本を持つ事業者以外による参入は、限定的な状況にあった。

テクノロジー企業が自社の顧客基盤に対して、ユーザーデータを活用した金融サービスを展開する流れが起こりつつある中で、同社は与信サービスに必要な様々な要素をソフトウェアとして提供することで、利用企業の早期の消費者信用事業の立ち上げを可能とするという。

サービスの利用企業と共に新しい金融サービスを共創していくことで、より多くの個人に対して適切な金融サービスが届く世界を実現するとしている。

フィリピンの決済ゲートウェイPayMongoが約35.6億円のシリーズB調達、東南アジア地域での拡大狙う

PayMongoの創業者たち。CTOのJaime Hing III(ハイメ・ヒンIII)氏、CEOのFrancis Plaza(フランシス・プラザ)氏、CCOのLuis Sia(ルイス・シア)氏

マニラに拠点を置くフィンテック企業で、加盟店のデジタル決済を可能にするオンライン決済プラットフォームのPayMongo(ペイモンゴ)は、周辺地域での事業拡大を視野に入れ、シリーズBラウンドで3100万ドル(約35億5800万円)を調達したと発表した。参加した投資家には、Justin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏のJAM Fund、ICCP-SBI Venture Partners、Lisa Gokongwei(リサ・ゴコンウェイ)氏のKaya Foundersに加え、既存投資家のGlobal Founders CapitalとSOMA Capitalが名を連ねている。今回のラウンドには、Qonto、Viva Wallet、Billie、Scalableといった欧州のフィンテック創業者らも参加したとのこと。

これでPayMongoの累計調達額は4600万ドル(約52億7900万円)弱に達した。前回の資金調達は2020年に発表された1200万ドル(約13億7700万円)のシリーズAで、米国の決済サービス大手であるStripe(ストライプ)がリードした

同社はあらゆる規模の企業を対象としているが、特に零細企業、中小企業をターゲットとしており、銀行カード、デジタルウォレット、店頭取引など、さまざまな形態の支払いを受け付けることを可能にする。同社の製品には、PayMongo決済APIやeコマースプラグインなどがある。今回調達した資金は、PayMongoの現在の決済インフラをさらに発展させ、払い出し、資金貸し出し、BNPL(後払い)、サブスクリプションや定期支払いなどの金融サービスの追加に充てられる。

PayMongoの製品ロードマップの一部には、より多様な金融サービスの運営を可能にする新しいライセンスの取得が含まれている。同時に、地域的な拡大も模索しているという。

共同創業者兼CEOのFrancis Plaza(フランシス・プラザ)氏は、TechCrunchにメールでこう語った。「まだまだフィリピンで、やるべきことがたくさんあります。現在の需要の増加に対応し、積極的な製品ロードマップを実現するために、チームの規模を2倍以上にすることを見込んでいます。それと並行して、2021年に取りかかり始めた、東南アジア地域での事業拡大に向けた初期調査と足固めを開始しました」。

フィリピンには他にも、DragonPay、PesoPay、PayMaya、Paynamicsといったデジタル決済ゲートウェイがある。プラザ氏はTechCrunchへのメールで、PayMongoは2019年に設立されて以来、SMBや高成長のスタートアップ・企業にフォーカスすることで差別化を図っていると語った。

それ以上に、当社のプラットフォームを利用している何千もの企業と協力しながら、マーチャントが簡単に支払いを受けられるだけでなく、他の金融サービスにアクセスして成長できるような、より多くの製品やサービスを構築することを目指しています」と同氏。「送金機能から、残高の保存、クレジットへのアクセスまで、そして顧客にとっての支払い方法の選択肢を広げることができます」。プラザ氏はさらに、いくつかの新しい製品やサービスを、すでに加盟店とともにベータ版としてテストしていると付け加えた。

Tinder(ティンダー)やJAM Fundの創業者であるJustin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏は声明で次のように述べた。「PayMongoの最初の投資家の一人として、私は彼らがひと握りの企業の決済を簡素化したところから、今では何千もの加盟店が日々の業務で頼りにしている会社になるまでの道のりを見てきました。彼らの成長にワクワクするとともに、デジタル経済を通じてより大きな経済機会を生み出すチームを再びサポートできることを嬉しく思っています」。

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(文:Catherine Shu、翻訳:Den Nakano)

一般の人がIPOや追加資金調達に投資しやすくする英PrimaryBidが218.5億円調達

フィンテックの発展により、投資などの金融サービスが、より多くの消費者にとってますます身近なものになっている。このたび、このコンセプトの限界に挑戦している大手企業の1つが、旺盛な需要と今後の大きな可能性を信じて、大規模な資金調達を発表した。上場しようとする企業や、資金調達を行う上場企業が、従来の株式売却と並行して個人投資家(つまり専門家ではなく普通の人々)に株式を提供できるよう支援するPrimaryBid(プライマリービッド)が、このほど1億9000万ドル(約218億5000万円)を調達したのだ。

PrimaryBidの共同創業者であるAnand Sambasivan(アナンド・サンバシバン)CEOによると、ロンドンに拠点を置くこのスタートアップは、調達した資金を利用して、企業に提供する製品の開発を継続する計画だという。たとえばSPACベースの株式公開や、リテール債への投資などが含まれる。さらに同社は新たな地域への進出を計画しており、特に米国にオフィスを開設することを視野に入れている。米国では、その市場に上場している企業と協力するために規制当局の承認を得るプロセスの途中で、2022年後半か2023年にはローンチする予定だ。

PrimaryBidは現在、約60のチャネルと提携して投資を可能にしており、その中には現在一般人が投資を行うために利用している証券会社や投資アプリも含まれている。そして今でもその数は増え続けている。

サンバシバン氏によると、同社の使命は、一般の人々に銀行や他の大規模なプロの投資家と並んでIPOに直接投資する機会を提供し、株式公開の理念に「公共性」を取り戻すことだ。

サンバシバン氏はいう「もし今、公開市場が発明されたら、100年前のようになるでしょうか?いいえ、そうはなりません。サービスはAPIで相互運用され、モバイルアプリを使って、投資へのアクセスがさらに簡単になるでしょう。これは、アップグレードが必要なシステムなのです」。

SoftBankがVision Fund 2を通じて、今回のシリーズCラウンドを主導しており、以前からの投資家も匿名で参加している(2020年10月に行われた5000万ドル[57億4000万円]のシリーズBラウンドには、London Stock Exchange Group、Draper Esprit、OMERS Ventures、Fidelity International Strategic Ventures、ABN AMRO Ventures、Pentech、Outward Venturesなどが参加している)。

サンバシバン氏によれば、PrimaryBidは評価額を公表していないものの、PitchBookに掲載された1月の報告の時点では、評価額6億5000万ドル(約746億5000万円)で1億5000万ドル(約172億3000万円)が確保されていたという。これは、その当時Sky News(スカイ・ニュース)が、このラウンドの噂を最初に流し、プレマネーの評価額を5億ドル(約574億3000万円)としたことを受けたものと思われる。もしこうした数字が正確ならば、現在のPrimaryBidの評価額は6億9千万ドル(約792億5000万円)前後になるだろう。

シリーズB以降PrimaryBidは、一般の人々の投資の世界にもっと参加したいという欲求に後押しされて成長を続けている。同社によると、過去18カ月間で、約150件のIPOや追加株式発行に対して、個人投資家向けの投資を支援したという。これまでは主に英国で展開してきたが、現在はフランスでも活動を開始し、投資家であるABN AMROの協力を得て、オランダでのビジネス展開も視野に入れている。同社がてがけた大規模な株式売却には、Deliveroo(デリバールー)、PensionBee(ペンションビー)の売却や、英国での株式売却を通じて行われた2021年のMCG Group(Soho House[ソーホー・ハウス])の米国でのIPOなどがある。

サンバシバン氏は「資本市場に大きな足がかりを得ました 」とインタビューで答えている。「(私たちが戦っているのは)一般の人々がもはや公開市場から排除されているという考えです。上場する優良企業の中には株主に対する強い思い入れをもつ企業もありますが、それをIPOに反映できてこなかったのです。企業は皆、熟考した上でしっかりと一般の人々を含めることに価値を見出していて、私たちはプラットフォームを通じてそれを実現する手段を提供しています。私たちは持続的な成長を遂げていますし、私たちがやっていることは重要すぎて失敗することはできないと信じています」。

PrimaryBidは、他の一連の動きも手伝って、長い間形作られてきた関心の波に乗っているところだ。Robinhood(ロビンフッド)やRevolut(リボルト)のような金融アプリや、ヨーロッパで人気の高い新しい投資アプローチETFの成長は、一般消費者が興味を持ったり、良いリターンをもたらしてくれるかもしれないと考える公開企業や通貨(暗号資産を含む)への投資をずっと容易にした。これまでは、こうした投資は証券会社やプロの投資家が相手にする富裕層にしかできなかったことだ。

2021年のGamestop(ゲームショップ)の株式騒動のような出来事は、投資大衆化の落とし穴もあらわにしたかもしれないが、それでも一般投資家の力がいかに大きくなったかを浮き彫りにしている。そうした大衆化の波が、IPOや追加株式発行に押し寄せるのは時間の問題だったのだ。

B2C企業が株式公開や資金調達の一環としてユーザーに株式を提供することには強い動機がある。なぜなら、顧客たちは自分が信頼しすでに利用している企業を、とりわけ支援したいと考えるからだ。それは、これからも増える一方だ(例えばRedditのCEOは、同社が上場する際には個人投資家に株式を提供したいと述べている)。

しかし、企業や投資家自身がそうした市場の需要から恩恵を受けるのは、なにも消費者向けのビジネスに限った話ではないとサンバシバン氏は指摘する。実際、PrimaryBidが扱ってきた取引のうち、B2Cは10%程度に過ぎないという。

SoftBank Investment AdvisersのパートナーであるAnthony Doeh(アンソニー・ドー)氏は「PrimaryBidは、これまでは機関投資家やプロ投資家向けに発行されていた株式に、誰でも簡単にアクセスできるようにすることで、資本市場におけるインクルーシブ性を強化しています」と声明の中で述べている。そしてさらに「このチームは、株式発行企業のための独自のコミュニティIPOプラットフォームの開発を含む、参加者の拡大という課題に対して、テクノロジー、データ、『エコシステムフレンドリー』なアプローチを組み合わせたプラットフォームを構築したと考えています。私たちは、彼らとパートナーを組めることに興奮していますし、私たちのグローバルなネットワークと専門知識が彼らのビジネスに大きな価値を付加できると信じています」と語っている。

画像クレジット:ALotOfPeople / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

「組み込み型バンキング」の新たなフィンテックスタートアップとして登場したIntergiro

「Embedded commerce(組み込み型商取引)」は、PayPal(ペイパル)のようなものから始まり、長年を経てStripe(ストライプ)のような製品に進化した。しかし「Embedded Finance(組み込み型金融)」はフィンテックの新しい波として登場し、Contis(コンティス)、Solaris(ソラリス)、Swan(スワン)、Stripe Treasury(ストライプ・トレジャリー)などがこの分野に参入している。確かに、a16zのAngela Strange(アンジェラ・ストレンジ)氏が、2019年に「すべての企業がフィンテック企業になる」と宣言したことを思い出すかもしれない。また、組み込み型金融の市場は2030年までに約7兆2000億ドル(約827兆円)もの価値になるという予測もある。

Intergiro(インタージロ)は過去5年間、個人出資によるブートストラップのスタートアップ企業として、ステルスモードで運営を行ってきたが、現在の組み込み型バンキングの波に乗って事業を公開した。同社はほぼすべての種類の企業が銀行サービスを提供できる「金融クラウド」を自称している。

共同設立者でCEOを務めるNick Root(ニック・ルート)氏は、大学でコンピュータサイエンスを専攻し、ロンドンの銀行で12年間勤務しながら、CTO、COO、CFO、CEOを歴任した後、Intergiroを設立した。

筆者による独占インタビューの中で、ルート氏は次のように語った。「私たちのツールを使っているエンジニアは、金融商品を構築するために、あちこちのプロバイダを飛び回ってつなぎ合わせる必要がありません。チェックアウトから、複数通貨のウォレット、SWIFT(国際銀行間通信協会)や地方銀行との電信、Visa(ビザ)やMastercard(マスターカード)のネットワークまで、金融のバリューチェーン全体にアクセスできます。このオールインワンのアプローチは、製品開発者にとってより便利であるだけでなく、まったく新しい製品体験を可能にします」。

それは数年前、ルート氏が新しい種類の銀行サービスを構築したいと考えたことが始まりだった。そこで同氏は、伝統的な手法でそれを実現するために、Intergiroのチームを結成したが、最終的には暗号資産市場も視野に入れていた。Intergiroは2014年頃に(別の名前で)設立され、2017年に形を変えて、2019年にクローズドベータの展開を開始した。しかし、一般公開されたのは2021年になってからだった。TechCrunchのような大手メディアに詳細を語ったのは今回が初めてだ。

その仕組みは以下の通りだ。企業はデジタルフォームでIntergiroに参加する。KYCが承認されると、B2BおよびB2B2CのAPIスイートにアクセスできるようになり、構築を開始できる。企業は独自のフロー(給与計算、照合、請求書の支払いなど)を自動化したり、金融商品を自社のアプリに組み込むことができる(チェックアウト、ウォレット、カードなど)。また、この2つのプラットフォームをさまざまな方法で組み合わせることも可能だ。例えば「クローズループ」のカード決済システムを構築したり、暗号資産取引アプリを開発したりすることもできるだろう。アクワイアラ(加盟店契約会社)であり、アカウントプロバイダーであり、カード発行者である同社は、独自のカードスキームを持っているため、マーケットプレイスや暗号資産取引所(例えば)は即時決済の恩恵を受けることができる。収益は、カード決済による入金、FX取引、カード決済による出金(インターチェンジ)から得る。

Intergiroは自らを、市場でカードアクワイアラ(カード加盟店契約会社)、カードイシュア(カード発行会社)、FX、銀行口座を提供し、B2BとB2B2Cの両方のプラットフォームで市場に参入する数少ない、もしかしたら唯一のプロバイダーであると主張する。「当社は、単なる最上位の技術レイヤーではなく、規制や技術のスタックをすべて所有しています」とルート氏はいう。

「テクノロジーがどのようにして誕生したかを考えてみてください。どのようにしてIntel(インテル)がチップを概念化したか、Google(グーグル)がインターネットのリンクを概念化したか、Facebook(フェイスブック)がソーシャルグラフを概念化したか。同じようなことが今、金融の世界でも起きています。そしてそれは、あらゆる消費者との相互作用に浸透していくでしょう。つまり、予想もしなかったような製品でお金が動くようになるのです」と、ルート氏は筆者に語った。

現在、Intergiroの顧客数は約2000件で、毎月約200件のペースで増加しているという。サービス開始以来、そこでは約25億ユーロ(約3270億円)の取引が行われたことになる。ストックホルムを拠点とするこのスタートアップは、現在140人のリモートスタッフを雇用している。

画像クレジット:Nick Root, Intergiro

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インドのフィンテックCRED、アマゾン出資のSmallcaseへの投資を検討

インドのフィンテック企業CRED(クレド)は、ベンガルールに本社を置くスタートアップSmallcase(スモールケース)への出資を交渉中だと、この件に詳しい3人の情報筋が語った。Tiger GlobalとAlpha Wave Globalが支援する同社は、顧客への資産商品を拡大しようとしている。

CREDが提案したSmallcaseへの投資は、同社を3億〜4億ドル(約345億〜460億円)で評価していると、情報筋は述べた。投資規模は不明だ。協議が進行中かつ初期段階であり、また非公開であるため、情報筋は匿名を求めた。

CREDはコメントを却下した。Smallcaseの創業者はコメントの要請にすぐには応じなかった。

Smallcaseは、新世代の投資家がインドの株式市場に参加するのを支援するプラットフォームを運営している。

同社は300万人以上のユーザーにサービスを提供していて、株式や上場投資信託の100以上のポートフォリオや、独立系投資マネージャー、証券会社、資産プラットフォームへのアクセスを提供する、ライセンスを持った社内専門家チームにユーザーをつないでいる。

Amazon、Sequoia Capital India、Blume Ventures、Arkam Venturesを既存投資家に持つSmallcaseは、KiteやUpstoxなど多くの株式仲介サービスと連携している。

Smallcaseへの投資により、CREDは資産管理製品を拡充することができる。Kunal Shah(クナル・シャー)氏が設立した同社は、3つの主要サービスを展開している。ユーザーの金銭感覚の改善を促すため、クレジットカードの請求を期限内に支払うと、ユーザーにリワードを与える。また、家賃や教育費、その他さまざまな請求書の支払いや追跡もサポートしている。

3つ目のサービスは、資産管理だ。CREDは2021年、Mintというピア・ツー・ピアの貸付サービスを開始し、インフレに負けない投資機会を顧客に提供している。

今回の取引が実現すれば、CREDがここ数四半期に行った一連の投資の中で最新のものとなる。直近の資金調達ラウンドで40億ドル(約4600億円)と評価された同社は2021年、B2B債権のスタートアップCredAvenue(クレドアベニュー)に出資し、企業の経費管理プラットフォームを運営するHappay(ハッペイ)を買収した。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】創業者の派手な発言は会社のためになっているのか?

1年前には、2014年に設立されたチェックアウトテクノロジー企業であるBolt(ボルト)というブランドも、その創業者であるRyan Breslow(ライアン・ブレスロー)氏もほとんど知る者はいなかった。ブレスロー氏は一見すると典型的なシリコンバレー型人物で、スマートで意志が強く、スタンフォード大学を中退してわずか2年で起業したのだ。

それが2022年1月から始まった一連の派手な発言により、Boltは突然注目の企業となり、ブレスロー氏も記者や投資家、創業者の注目を集めることとなった。

疑問は、これほどまでの論争を引き起こすことがBoltのためになっているのかということだ。

ブレスロー氏の最新の宣言は、今週の米国時間2月14日にTwitterで発表された。すでに他の企業よりも従業員にストックオプションを行使するための期間を長く提供しているBoltが、すべての従業員に対してストックオプションを行使するために会社からお金を借りる機会を提供するというものだ。この前例のない「過激」な提案は、一般社員が株式を購入する際にも、上級管理職と同じように税制上の優遇措置を与えるというものだ(早めに株を買っておけば、株の価値が上がり続ける限り、理論的には税金を減らすことができる)。

この動きを称賛する創業者は多く、その中には、継続的な収入源を持つ企業に先行投資を行うことで急成長を遂げているPipe(パイプ)の創業者でCEOのHarry Hurst(ハリー・ハースト)氏も含まれている。「はい、当然ですね!自分たちも2020年に同じことをしましたが、すばらしいものでした。正しいやり方です」とハースト氏はツイートした。

しかし、このアイデアは斬新でも賢明でもないと主張した人も多い。このような融資は、会社の株価が下落した場合、従業員を非常に不安定な財政状態に置く可能性があるというのだ。

GGV Capital,のマネージングディレクターであるJeff Richards(ジェフ・リチャーズ)氏もその1人だ。昨日コメントを求められたリチャーズ氏は我々にメールでこう返信してきた「通常は創業者の『アドバイス』スレッドにコメントすることは避けているのですが、今回は黙っていられませんでした。これは文字通り、創業者仲間に与えることのできるアドバイスの中でも最悪のものの1つです。多くの人が、ローンを抱えた社員が避けられない負の局面に対処することを助けるという、悪夢のようなシナリオを経験しています。これはただ悲しいことなのです。最も重要なのは、ライアン氏のツイートに関わらず、これは『新しい』ことではないということです。たくさんの企業がすでにこれを行っています。優れた企業がそれをしなくなったのには理由があります。それはひどいアイデアだったからです」。

SecfiのエクイティアドバイザリーシニアディレクターであるVieje Piauwasdy(ビジェ・ピアワジー)氏も同意見だ。ただしSecfiは中立な立場ではない。同社はストックオプションファイナンスの会社であり、ノンリコースローンを提供している。これは、後から一気に返済することを条件に、前もって従業員にお金を渡すというものだ。だが、PriceWaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース)に5年間勤務した経験を持つSecfiのピアワジー氏は、ブレスロー氏が提案しているようなローンは「非常にリスクが高い」と指摘する。

「Boltが成功することを祈るだけです」とピアワジー氏はいう。「ライアン(ブレスロー氏)は、Boltが従業員の味方であることを望んでいます。しかし、将来を予測することはできません。もし、株式の価値がゼロになったとしても、何らかの形でリコースローンを返済しなければならないのです」。

27歳のブレスロー氏は2月14日月曜日のツイートで、VCが「これは災難だというだろう」と予測したが、従業員への株式ローンに関する大げさなスレッドは、これまでプレスロー氏が行ってきた他の発言を象徴しているようだ。2週間前には、やはり賞賛と軽蔑の両方を集めたスレッドで、彼は決済会社のStripe(ストライプ)がY Combinator(YC、ワイコンビネーター)のメッセージボードを支配しているという間違った非難を行い、YCはStripeのライバルたちに資金を提供する気がない(実際にはYCは提供を行っている)と主張し、Lyft(リフト)をYCの仲間だと言った(LyftはYCのアクセラレータープログラムには参加していない)。

このツイートの嵐への反響を受けて、ブレスロー氏はCEOを退任し、かねてから計画していたというエグゼクティブチェアマンに就任した。

明らかにブレスロー氏はこの勝負に賭けている。Boltは2022年1月、BlackRock、General Atlantic、Willoughby Capitalなどの有力企業から110億ドル(約1兆3000億円)の評価額の下に資金調達を完了しており、ブレスローはその25%の株式を保有していると言われている。しかし、ブレスロー氏のツイッターゲームが、顧客や投資家から会社の評価を得るためにどのように役立っているのかはわかりにくい。投資家は、140億ドル(約1兆6000億円)の評価額で会社にさらに資金を投入しようとしているとも報じられている。

ブレスロー氏の今回の発言は、非常に厳しい市場において求職者を惹きつけることを目的としたものである可能性が高いが、同時に、このチェックアウトスタートアップの中で誰が本当の責任者なのかということについて混乱を招くシグナルを、潜在的な求職者に送っているに違いない(また、同社の新CEOである元アマゾン幹部のMaju Kuruvilla(マジュ・クルブラ)氏にも、どのようなシグナルが送られているのかも気になるところだ)。

今週初めにブレスロー氏に話を聞こうとしたみたところ、彼は当面「オフライン」だという返答だった。それでも、ブレスロー氏はツイッターで話題を振りまくことをやめないだろう。今や書類上では米国最年少の億万長者であるブレスロー氏は、そのツイートの最後に、読者にフォローを求めた上で、スタートアップの作り方についての「過激な」アイデアを発表することを約束すると語っている。彼のプロフィールには、2月9日のツイートが貼り付けられていて、その使命が強調されている。

その内容は「先月はすごかった。30日でフォロワーが5万人増えた。ちなみに、フォロワー数が4000人になるのには8年かかった。教訓:自分の真実を語ると聞く人は喜ぶ」というものだ。

画像クレジット:Bet_Noir / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

社会的弱者の創業者やフィンテックに投資、決済インフラ企業Strongholdがベンチャーキャピタル部門を起ち上げ

決済インフラ企業のStronghold(ストロングホールド)がベンチャーキャピタル部門を起ち上げ、バランスシートの資産のうち1億ドル(約115億円)を、3つのコア戦略である「社会的弱者の創業者」「フィンテック(金融テクノロジー)」「Web3」に関連するスタートアップやファンドに投資すると、同社のTammy Camp(タミー・キャンプ)CEOは、TechCrunchによるインタビューで語った。

Strongholdは、同社のウェブサイトによると、組み込み型の決済や清算・返済など、フィンテックやブロックチェーンのAPIおよびサービスを提供している企業だ。2017年に設立されたこのスタートアップは、IBMと提携して、ブロックチェーンをベースにした即時決済処理用のステーブルコインを発行した。同社は、2017年のシードラウンドを通じて、これまでに330万ドル(約3億8000万円)の資金を調達している。この時のラウンドはFreestyle Capital(フリースタイル・キャピタル)のDave Samuel(デイヴ・サミュエル)氏が主導し、ベンチャーやフィンテックのエンジェル投資家が多数参加した。

Stronghold Capital(ストロングホールド・キャピタル)と呼ばれるこの新しいVC部門は、すでにSam Bankman-Fried(サム・バンクマン・フリード)氏が設立したAlameda Research(アラメダ・リサーチ)などの企業や、Precursor Ventures(プリカーサー・ベンチャーズ)やBackstage Capital(バックステージ・キャピタル)などのファンドに投資しているが、これらはいずれも社会的弱者の創業者を支援してきた実績がある。Stronghold Capitalは、ブロックチェーンベースの機関投資家向け資金調達プラットフォームであるMaple Finance(メイプル・ファイナンス)のDeFi(分散型金融)シンジケートローンを通じて、Alameda Researchへの投資を行ったという。

このファンドは、Strongholdの事業ラインと「双方向の価値」を提供できる企業への投資を探している、とキャンプ氏はいう。また、ファンドマネージャーに直接投資することで、Strongholdは同社が支援したいと考える企業のソーシングパイプラインにアクセスできるようになるとも述べている。

キャンプ氏によれば、Stronghold Capitalが現在行っている投資の75%は、社会的弱者や見過ごされている創業者への投資であるという。このベンチャーファンドは、2022年中にチームの構築を計画しており、3つの重点分野のそれぞれに精通した投資家を採用するつもりであると、同氏は付け加えた。

Strongholdは、2018年にSHxと呼ばれる独自の暗号資産(暗号資産)を発行し、現在はKuCoin(クーコイン)などの暗号資産取引所で取り扱われている。同社によると、時価総額は15億ドル(約1720億円)を超えているとのこと。Strongholdの決済レールを使っている企業は、SHxで利益を得て、手数料の相殺に利用することができる。また、企業はこのトークンを使って、他の事業者にDeFiローンを提供したり、社内のガバナンス・プロセスを管理したりすることができると、キャンプ氏は述べている。

企業の間でこのトークンの人気が高まったことは、2021年におけるStrongholdの成長を牽引した。同社によると、2021年のビジネスは「ほとんどの指標で5倍」に成長したという。この牽引力が、Strongholdの幹部が長い間検討していたファンドの起ち上げを促したと、キャンプ氏は述べている。

「決済や金融サービスは大きな分野であり、多くのプレイヤーがそのミッションを遂行することができます。なぜなら、最近では非常に多くの決済レールがあるからです」と、キャンプ氏はいう。「他の企業やファンドマネージャーとパートナーシップを組んで、そのビジョンを実現できることは、私たちにとって非常にエキサイティングなことです」。

画像クレジット:Stronghold

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

個人が寄付金管理口座を簡単に低コストで開設できるアプリ「Daffy」

シリコンバレーで活動する有名人Adam Nash(アダム・ナッシュ)氏は、あなたがもっと寄付をしたいと思っていると考えており、さらに「寄付」という行為をとてもシンプルなものにしようとしている。

そのようなメッセージを筆者はナッシュ氏と先週末に話をしたときに受け取った。同氏の直近のフルタイムの職務にはDropbox(ドロップボックス)の副社長と、財務顧問会社Wealthfront(ウェルスフロント)の社長兼CEOがあり、自動車eコマースプラットフォームShiftとAcornsの取締役も務めている。

実は、ナッシュ氏が現在構築しているDaffyという寄付のための新しい金融プラットフォームは、マイクロ投資アプリAcornsでの最後の役割がきっかけで生まれたものだ。DaffyはRibbit Capitalがリードし、XYZ Capital、Coinbase Ventures、50人以上の著名なエンジェル投資家(Reid Hoffman[リード・ホフマン]氏、Aaron Levie[アーロン・レヴィ]氏、Amy Chang[エイミー・チャン]氏など、リストは続く)が参加したシリーズAラウンドで1710万ドル(約20億円)を調達したばかりで、目的は人々がより頻繁に、もっと寛大になれるよう支援することだ。

具体的には、どう機能するのか。Daffyは、慈善寄付のための401(k)のようなものであるドナー・アドバイズド・ファンド(DAF)を開設して利用する、最も低コストで摩擦の少ない方法を提供している。DAFは、お金あるいは株式や暗号資産を寄付することで寄付時に税優遇を受け、その寄付金は管理された投資口座に移動し、時間の経過とともに増えることが期待されるものだ。後日、寄付者はその資金を自分の選んだ慈善団体に寄付する。

DAFは、超富裕層や、億万長者ではないが生活に困っていない人々の間で、含み益に対する課税を回避する手段として非常に人気がある。National Philanthropic Trust(NPT)によると、2021年時点で平均的なドナー・アドバイズド・ファンド口座は16万3000ドル(約1880万円)で、現在DAFには十分な資金(約16兆円超)が眠っており、2021年のDAFから適格慈善団体への助成金は推定346億7000万ドル(約4兆20億円)に達し、2019年に比べて27%増加した。NPTはこれを「ハイウォーターマーク (最高水準)」としている。

DaffyはDAFを開放することで、経済的なスペクトルを超えてより多くの人々が参加できるようにするつもりだとナッシュ氏は述べた。そのための第一歩は、より手頃な価格でアクセスできるようにすることだ。SchwabFidelityVanguardの顧客は現在、ドナー・アドバイズド・ファンドを設立することができるが、これらの金融大手はそれぞれ資産の0.60%の管理手数料を徴収しており、これは長期的に積み重なる可能性がある(Vanguardは最低寄付額2万5000ドル[約290万円]を口座開設要件としている)。

一方、Daffyは最低100ドル(約1万1550円)の寄付を一度だけ行う必要があり(あるいは、100ドルに達するまで毎週10ドル[約1155円])、寄付の金額にかかわらず、月3ドル(約350円)、年間36ドル(約4200円)の手数料を徴収する。この手数料は「より多くの費用がかかる」評価済みの株式や暗号資産も寄付する場合は月20ドル(約2300円)になるとナッシュ氏は説明する。しかし、その資産が相当なものであるなら、これはおそらくリーズナブルな設定だろう。

DAFがより広く採用されるための第2ステップは、アクセスを容易にすることだ。この点では、カリフォルニア州ロスアルトスを拠点とするDaffyは前進している。実際、Daffyのアプリは現在Apple App Storeからダウンロードでき、Daffyはこのプラットフォームで利用できる初の「フル機能」DAFだと主張している。

Daffyは現在、9つのファンドにアクセスできるようにしているが、今後さらに多くのファンドが登場する見込みだとナッシュ氏は話す。

この大きく成長する経済の一部に取り組んでいるのは、Daffyだけではない。Fidelityのような大手に加え、Y Combinatorのアクセラレータープログラムを最近終了したCharityVestのようなスタートアップも同じ顧客を追い求め始めている。

また、低コストであるため、どのように生き残り、成功するかという問題もある。それはそうとして、従来はもっと手数料の高いDAFを利用していたが、数千ドル(数十万円)とは言わないまでも数百ドル(数万円)の管理コストを節約するためにDaffyに乗り換えるような顧客を、Daffyがますます自社プラットフォームに引きつける可能性はありそうだ。

ケチな大富豪について質問されたナッシュ氏は、Daffyにはすでに「7桁」のポートフォリオを持つ顧客がいると述べ、Daffyがこれ以上高額の扱いをする計画はないと主張した。また、Daffyが提携するファンドから紹介料を受け取っていないこと、資産額に関係なくすべての顧客を歓迎することも明確にした。

おそらく、一部の顧客はロスリーダーと同氏は見ているのだろう。実際、多くの金融サービスのスタートアップと同様、DAFはDaffyが他の多くの商品を提供するための最初のステップであるように見える。しかし、同氏は、まだすべてを発表する準備ができていない。

「これは間違いなく、より大きなもののためのくさびですが、金融サービスを目的とはしていません」とナッシュ氏は語った。「これはメガバンクが手がけるものではありません。当社の使命は、人々がもっと頻繁に、そしてより寛大になり、自分より恵まれない人々のために積極的にお金を準備するのを助けることです。人々が寄付をする方法、組織が資金を調達する方法はたくさんあり、これらはすべて我々が非常に楽しみにしている分野です」と同氏は続けた。

しかし、今のところナッシュ氏は、Daffyをユーザーの毎日の習慣にすることに全力を注いでいる。それは野心的なことだと同氏は認めるが、人はテクノロジーの助けを借りてあらゆる種類のルーチンを確立するものだ。

「CalmやHeadspace、あるいは宗教関係のアプリなど、人々が自分の望む生活を送れるようにするためのアプリやサービスはますます増えています」とナッシュ氏は指摘する。多くの人が「なりたい自分になるために、サービスを利用しています」ともいう。それが寛大さ、慈善活動、チャリティーに適用されない理由はない。

画像クレジット:Dropbox

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi