Tencentが初めてメタバース実現に向けたビジョンを語る

Tencent Holdings Ltd.のマーティン・ラウ社長(左)と、馬化騰会長兼CEO(右)(画像クレジット:Brent Lewin/Bloomberg via Getty Images)

Facebook(フェイスブック)がメタバースという新しいバズワードに未来を託そうとしているときに、Tencent(テンセント)がその時流に乗らないわけがない。

現段階では、Tencentのアプローチは、Facebookのメタバース部門への100億ドル(約1兆1400億円)の投資に比べてより慎重であるように見える。しかし、中国のソーシャルメディアとゲームの巨人から少しでも早期のヒントが得られれば、投資家の憶測の材料にはなるだろう。

中国時間11月10日に行われた決算説明会で、TencentのPony Ma(ポニー・マー、馬化騰)CEOは、メタバースに関する同社の考えを初めて明らかにした。

仮想世界をよりリアルに、そして現実世界を仮想体験でより豊かにするものは、すべてメタバースの一部となり得ます。

その後、同社の幹部が順番にこのタグラインに肉付けをしていった。彼らの定義がよく分からなくなる場面もあったが、Tencentのボスたちは「メタバース」に到達するための3つの一般的な「道筋」については意見が一致していた。

現在、中国のインターネット業界では全体的に取り締まりが強化されており、開発中のメタバースにもそれが影を落としかねない。Tencentは、ユーザーエクスペリエンスが「規制の枠組みの下で提供される」限り、中国政府の規制は「メタバースの発展を根本的に妨げるものにはならない」と考えている。

しかし、中国国内のメタバースがまだ初期段階にある今、その規制がどのようなものになるかを知ることは困難だ。

メタバースへの階段

メタバースへの最も明白な道のりは、同社の最大の収益源であるビデオゲームだ。それは、高度にインタラクティブなゲームであったり、1つの共通IPのもとに存在する複数のゲームであったり、ユーザーがゲームを作れるようなインフラなどもあり得ると、マー氏は語った。

これらのアイデアのいくつかは、Epic Games(エピックゲームズ)、Roblox(ロブロックス)、Discord(ディスコード)など、Tencentのポートフォリオ企業ですでに具体化し始めている。そう、Tencentはすべてを自前でやろうとしているわけではなく、戦略的価値を見出すことができる何百もの企業を支援しているのだ。

Tencentのチーフストラテジーオフィサー(CSO)であるJames Mitchell(ジェームズ・ミッチェル)氏は「Epicの例では『Fortnite(フォートナイト)』と『Rocket League(ロケットリーグ)』を一緒に見ることができ、Roblox(ロブロックス)の例では、複数の異なるいわゆるゲーム体験があります」と説明した。

マー氏によると、2つ目の道筋は「ゲーム化され、より多くのプログラム可能な体験をサポートする」ソーシャルネットワークである可能性がある。

そのようなソーシャルネットワークには、一連のツールが必要だ。ミッチェル氏は「3Dグラフィックス機能を提供するもので……サーバーベースのコミュニティを持つもの」そして「ゲーム会社が必要とするUGCやPGCのツールを提供するもの」の両方が必要だと説明している。

「そのため、Meta(メタ)自体やSnap(スナップ)などのソーシャルネットワークは、最も多くの資本を持っていますが、やるべきこともそれなりに多くあります」とも同氏は付け加えた。

さらにもう1つの道として「現実世界での体験を、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)で拡張する」という方法もあるとマー氏は指摘する。

ミッチェル氏は、Discordのような「すでに高度な機能を持つテクノロジーボットが存在する」ユーザー運営のコミュニティは「テキストと画像をベースにしたものから、より没入感のあるビデオをベースにしたものへ」移行する可能性があると考えている。

これら3つの計画を実行するために、Tencentはどれだけの能力を持っているのだろうか?同社は、適切な人材と技術を備えていると考えている。

TencentのMartin Lau(マーティン・ラウ)社長はこう述べた。「(メタバースの)原動力となるのは、やはりソフトウェアであり、ユーザーエクスペリエンスを提供するのに本当に役立つ技術であり、それはエンジンテクノロジーであったり、多数の同時ユーザーに対してより良いリアルな体験や忠実度の高い体験を提供する能力であったり、AI技術であったりします。それらが揃うことで、人によって異なる体験をカスタマイズすることができます」。

同社はメタバースの実現時期については明らかにしなかったが、ラウ氏は「おそらく人々が予想していたよりも時間がかかり、多くのイテレーションを必要とするでしょう」と認めている。

Tencentの将来に、Oculus(オキュラス)に相当するものはあるのだろうか?ラウ氏は、メタバースの実現に向けて「ハードウェアは必要条件ではなく、おそらく補助的な条件になるだろう」と考えている。

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

地球のデジタルツインを開発する豪Blackshark.aiが約22億円を調達、MSのFlight Simulatorにも採用

オーストリアのスタートアップであるBlackshark.ai(ブラックシャーク・エーアイ)は、「Microsoft Flight Simulator」に搭載されている「デジタル地球」を開発した企業だ。同社は、地球のレプリカ技術の開発と拡張のために2000万ドル(約22億円)を調達した。地球の「デジタルツイン」の潜在的な用途は多様で、同社はGoogle(グーグル)のようなマッピング大手より先行している。

2020年の「Flight Simulator」では(100%ではないにしても)完全に横断可能で、驚くほど正確な地球を世界に見せてくれた。TechCrunchは「技術的な驚異」と表現し、それがどうやって作られたのか後に詳細を報じた。

Blackshark.aiは、ゲームスタジオBongfish(ボンフィッシュ)からスピンアウトした会社で、創業者でCEOのMichael Putz(マイケル・プッツ)氏によると、世界構築技術をゲーム環境以外にも応用することを目指している。Blackshark.aiの技術の基本は、機械学習とちょっとした賢い推測、そして大量のコンピューティングパワーを使って、広く利用可能な2D画像を正確な3Dに変えることだ。

基本的にBlackshark.aiのシステムは、最適ではない照明や不完全な画像であっても、さまざまな建物が上からどのように見えるかをしっかりと理解する。Blackshark.aiが構築した機械学習システムは、近隣の環境(住宅地と商業地)、屋根の種類(傾斜した屋根と平らな屋根)、空調設備の有無などの要素を考慮して、不完全な輪郭を推定する。これらすべての情報をもとに、建物のもっともらしい3D再現を行う。

難しいのは、一度だけではなく、定期的に何億回も繰り返して、地球上のすべての建物の最新の3D表現を作成することだ。プッツ氏は次のように説明する。「その作業のためのコンピューティングパワーをすべて購入できたとしても、それを動かすためのバックエンドを構築するのは大変なことです。これは私たちが直面した現実的な問題でした」。

プッツ氏らの解決策は、AIを搭載したサービスによく必要とされるように、最適化だった。同氏によると、地球上のすべての建物の3Dモデルを計算するプロセスは、もともと約1カ月の時間を要していたが、今では約3日で済むようになり、約300倍の加速を実現している。

人工衛星からの新しい画像をもとに定期的に更新できるこのような機能は、Blackshark.aiのビジネス提案にとって非常に重要だとプッツ氏は説明した。GoogleやApple(アップル)の地図に見られるような3D地図データの多くは写真測量をベースにしている。これは、複数の航空写真を組み合わせて、目のように視差データを比較して大きさや奥行きを判断する航空写真で、写真が撮影された時点ではすばらしいデータとなる。

2年前ではなく先週のシカゴのある一角の様子を3Dマップで表現したい、そしてそのレベルの最新情報をできるだけ多くの地球上の人々に提供したい、と考えた場合、現在では衛星画像しか選択肢がない。しかし、そのためには前述の2Dから3Dへの変換が必要になる。

パッツ氏は、Blackshark.aiの3DマップとGoogleやAppleの3Dマップは、表面的には似ているが、実際には競合するものではないと指摘する。リアルな「キャンバス」を提供するという点では同じだが、その意図は大きく異なる。

「Googleマップは、ローカルビジネスのためのキャンバスです。同社とそのユーザーの両方にとって重要なのは、場所、レビュー、道順などです」とパッツ氏は話す。「私たちは、たとえば気候変動のユースケースである洪水についてシアトルの3Dデータを提供していますが、水の物理学や流体シミュレーションを専門とする人たちは、現実世界をキャンバスとして描くことができます。私たちの目標は、検索可能な地球の表面になることです」。

画像クレジット:Blackshark.ai

サンディエゴのとある地区で利用できる平らな屋上の総面積はどれくらいか? 4000平方メートルのスペースが空いている地方空港は? 山火事のリスクがあるエリアは、更新された風モデルとどのように重なっているか? このように、活用法を思いつくのは難しいことではない。

「これは、考えれば考えるほどユースケースが出てくるアイデアの1つです」とプッツ氏は話す。「政府機関、災害救助、スマートシティ、自動車や飛行機などの自律型産業などで応用できます。これらの産業はすべて人工的な環境を必要とします。単に『これをやりたい』ということではなく、必要とされていることでした。そして、この2D-3Dは巨大な問題を解決する唯一の方法なのです」。

今回の2000万ドルのラウンドは、M12(Microsoftのベンチャーファンド)とPoint72 Venturesがリードした。プッツ氏は、アドバイザーとしておなじみの顔ぶれが参加したことに感激した。Google Earthの共同創業者であるBrian McClendon(ブライアン・マクレンドン)氏、Airbus(エアバス)の元CEOであるDirk Hoke(ダーク・ホーク)氏、Y Combinator(Yコンビネーター)の元COOで現在はApplied Intuition(アプライド・インチュイション)のCEOであるQasar Younis(カサール・ユーニス)氏らだ(これらの人々は助言をしているのであって、取締役会に参加しているわけではない)。

事業の拡張はプロダクトを作り上げるというより、市場投入のことだ。もちろん、エンジニアや研究者を増やすことは必要だが「賢いスタートアップ」から「3D合成地球の世界的プロバイダー」になることを急がなければ、他の賢いスタートアップに美味しいところを持っていかれるかもしれない。そこで、営業とサポートのチーム、そして「ハイパースケーリング・コンパニオンの残りの部分」も編成する、とプッツ氏は話した。

同氏が挙げた明白なユースケースの他に、想像できるかと思うが、メタバースアプリケーションの可能性もある。ただし、これはでたらめではなくアイデアだ。ゲームから旅行ガイドまで、おもしろいAR/VR/その他のアプリケーションが、最近レンダリングされた地球のバージョンをベースに、仮想体験をしたいと思えばそれが可能になる。それだけでなく、地球以外の世界も同じ方法で生成することができるため、もしあなたが地球のレイアウトを崩して新しい惑星を作りたいと思ったら(誰がそれを非難できるだろう)、今週中にはそうすることができる。すばらしいことではないか?

新しい資金が使われるようになれば、地球の表面で行われている複雑なマーケットやプロセスの新世代のより詳細なシミュレーションに「Powered by Blackshark.ai」などと表示されるようになるだろう。

画像クレジット:Blackshark.ai

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

モバイルゲームの巨人ZyngaのCEOが広告危機への対応とブロックチェーンゲーミング部門について語る

ウォール街と自身のガイダンスを上回る実績を上げたZynga(ジンガ)は、第3四半期決算で売上7億500万ドル(約804億円)、前年同期比40%を記録し、月間アクティブユーザー数1億8300万人、前年同期比120%増でモバイルユーザー数は過去最大に達した。

第2四半期にはApple(アップル)のプライバシーポリシー変更の深刻な影響を受け、8月5日から11月4日の間に持ち株の30%を売却するという劇的な出来事があったにも関わらず、予測を超えるユーザー数を獲得し、好調のうちに年を終える見込みが立ったことを伝える米国時間11月10日のニュースを受け、Zyngaの株価は急騰した。

ZyngaのCEOであるFrank Gibeau(フランク・ジボー)氏(画像クレジット:Zynga)

TechCrunchはZyngaのCEOであるFrank Gibeau(フランク・ジボー)氏をインタビューし、モバイルゲームの巨人がどうやって広告危機を乗り越えながら、クロスプラットフォームの拡大とブロックチェーンへの進出という転換ができているのかを尋ねた。

嵐を乗り切る

4月26日、Apple(アップル)はIDFA(広告識別子)を変更し、デベロッパーにATT(アプリ追跡透明性)ツールを使ってユーザーがiOSアプリを横断して追跡されることからオプトアウトできるようにすることを要求し、モバイル広告エコシステムを震撼させた。ロックダウン中に獲得した新規ユーザーは、パンデミックによる制約が解除されると一気に離脱し、獲得コストは急増した。企業は次々と15~20%の売上減少を報告し始めた、とConsumer Acquisitionは伝えている。中でも最も影響が大きかったのが、Snapchat(スナップチャット)のような広告プラットフォームや広告主のPeloton(ペロトン)、広告プラットフォームでも広告主でもあるZyngaなどだ。

「2021年の中間点は大変でした」とジボー氏がTechCrunchに語った。「当社はIDFAと大きな再開需要の問題の重なりから最初に立ち直った企業の1つです。進路を正すために、広告出費を抑え、新しいツールと技術の実験を開始して、9月には平常状態に戻りはじめました」。

ジボー氏は、「FarmVille 3」の公開を成長速度が回復するまで待ったことを話し、11月4日の発売後、この新作ゲームがiPadとiPhoneのApp Storeでそれぞれ第1位と第2位になったことを大いに喜んでいた。

「最悪の状態を脱したことを実感し、第4四半期に向けて新規ゲームへの投資を拡大できることを喜んでいます。この時期を乗り越えるための鍵は、当社のファーストパーティーデータ(自社で収集したデータ)をChartboost(チャートブースト)プラットフォームでどう使うかです」と、Zyngaが2021年買収した広告ネットワークに言及した。

「プレイヤーが当社のゲームにやってきた時に起きることやプレイしたイベント、当社の既存サービスで広告主が何をしているかなどに関して、私たちは大量のデータを持っています。ファーストパーティーデータを活用することで、会社にとって有益なリターンやオークションを予測するためのモデルを構築することができます」と同氏は語った。

Zyngaは、Unity(ユニティ)、Google(グーグル)、Iron Source(アイアンソース)とも提携して、プレイヤーをターゲットするよりよい方法を見つけようとしている。

「この問題には多くの賢い人が取り組んでいます。これはどちらかというと時間の問題で、答えがないわけではありません。長期的に見て、Appleは健全な広告市場を支える有効なプラットフォームを作ると同時に、プレイヤーのプライバシーを守ろうとしているので、私たちは喜んで協力しています」と同氏は語った。

ハイパーカジュアルを使いこなす

Zyngaのビジネスの80%はサブスクリプションとアプリ内購入の少額決済だが、売上の5分の1は広告によるものだ。ハイパーカジュアルゲームと呼ばれる、シンプルなインターフェースで通常30秒以内にプレイが終わるゲームの人気が広告を支えている。

第3四半期、Zyngaは広告売上を前年同期の2倍近くに伸ばした、とジボー氏はいう。この成功に寄与したのは、Zyngaが1年前に買収したトルコ拠点のゲームメーカーRollic(ロリック)で、Zyngaが同カテゴリーのトップ3パブリッシャーになるきっかけとなった。

「アプリストアのインストール数を見ると、ハイパーカジュアルは最大のカテゴリーです。非常に安上がりのゲームで膨大なオーディエンスにリーチできるので、広告を主要な収益方法として利用しています。当社にとって非常に実入りの良い分野であり、私たちのネットワークにユーザーを誘う理想的な入口です。このネットワークは、2022年以降に当社の成長を支える大規模なパブリッショングと広告のプラットフォームを作るという私たちの野心的計画につながっています」とジボー氏は言った。

すべての道はメタバースに続く

Zyngaが次にリリースする大型ゲームは、「Star Wars:Hunters」で、Androidの一部市場で2021年11月中旬に限定公開し、iOSとSwitchで2022年にテストを開始するとジボー氏はいう。これは同社にとってゲーム専用機で動く最初のクロスプラットフォームゲームであり、「Farmville 3」は、macOSで公開された最初のクロスプラットフォームゲームだった。

ジボー氏は、Zyngaのモバイルゲームを他のプラットフォームでプレイできるようにすることへの関心について話した。

「FarmVilleファンとStar Warsファンはどこにでもいるので、プラットフォーム無依存にして私たちの体験をできるだけ多くの場所に提供するのは至極当然のことです」と彼はいう。「結局私たちは、ゲームは1人より一緒にプレイするほうが楽しいと信じているソーシャルゲーム会社です。だから、革新を起こして新しいことを試すことは会社カルチャーの一部なのです」。

2020年以来、ZyngaはSnapchatGoogle Nest、およびAmazon Alexaでゲームを提供してきた。そしてつい最近、TikTokで同社初のゲーム、Disco Loco 3Dを公開した。これは無料でプレイできる音楽とダンスのチャレンジだ。

関連記事:TikTokがモバイルゲームに挑戦、まずはZyngaとの提携で

「ゲーミングの世界では、次のプラットフォームを逃すと窮地に追い込まれます。そこで失敗すると、非常に痛い目にあいます。だから、さまざまなソーシャルプラットフォーム向けに体験を開発して、チャンスがあるかどうかを見ることは非常に重要だと思いました。Snapchatとの提携では、彼らのエコシステムでゲーミングの存在を大きくするに方法を協力して考え、いくつか良い結果を得ていますが、まだ始まったばかりです」とジボー氏はいい、それらのゲームは概念証明が目的であり収益を生むためではないことを強調した。

Netflix Gaming(ネットフリックス・ゲーミング)は11月2日に公開され、Zyngaの元最高クリエイティブ責任者であるMike Verdu(マイク・バードゥ)氏が指揮をとった、とジボー氏は語った。「Netflixにとって、このビジネスのサブスクリプション部分にどうアプローチしたいのか、ユーザーはゲームをどのような操作するのかなど、検討すべきことがまだたくさんあるので、彼らがサードパーティーコンテンツを受け入れる準備ができているのかどうか私にはわかりませんが、将来どこかの時点で話をするのはとても有意義だと思います」。

さらにジボー氏はこう付け加えた「それがNetflixでもRobloxでもEpicでもValveでも、そこにプラットフォームがあり、私たちのコンテンツがそこにあって聴衆に届けることが理に適っているなら、私たちは間違いなく追究していきます」。

しかし、おそらくZyngaにとって今後最大の冒険は、元EA(エレクトロニック・アーツ)幹部のMatt Wolf(マット・ウルフ)氏を新設のブロックチェーンゲーミング部門の責任者として迎えたことにかかっている。NFT(非代替性トークン)の狂乱がゲーミング業界に吹き荒れ、ブロックチェーンのスタートアップ、Mythical Games(ミシカル・ゲームズ)やAnimoca(アモニカ)やForte(フォーテ)の評価額は過去数カ月で10億ドル(約1140億円)に達し、デベロッパーがゲームを横断して使える永久収集アイテムを作る後押しをした。

「この分野には多くの資金と人材が流れ込んでいます」とジボー氏は言い、決断のタイミングを説明した。「当社のファンダーで会長のMark Pincus(マーク・ピンカス)氏と、長年取締役を務めているBing Gordon(ビン・ゴードン)氏がこの分野に非常に熱心なので、ブロックチェーンは長期的にゲーミングの一部になると私たちは信じています。

ウルフ氏が現在最適な道筋を見極めるための専門部隊を立ち上げているところで、FarmVilleで農場を所有することでエンゲージメントや定着率が向上するかどうかなどを調べる予定だとジボー氏は語った。

「私たちはZyngaのスピードで動くつもりなので、数カ月のうちには何かをお見せできると思います」と同氏は語る。

画像クレジット:Zynga

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(文:Martine Paris、翻訳:Nob Takahashi / facebook

バーチャル渋谷の知見活用、都市連動型メタバースのガイドラインを策定する「バーチャルシティコンソーシアム」発足

渋谷区公認「バーチャル渋谷」の知見活用、都市連動型メタバースのガイドラインを策定する「バーチャルシティコンソーシアム」発足

バーチャルシティコンソーシアム

KDDI、東急、みずほリサーチ&テクノロジー、渋谷未来デザインの4社は11月9日、バーチャルシティコンソーシアムの発足を発表しました。KDDIが2022年春に展開予定のプラットフォーム構想「バーチャルシティ」などでの利活用に向けて、オープンな議論や調査研究を行い、ガイドラインの策定や情報発信に取り組むとしています。

同コンソーシアムでは、都市連動型メタバースをバーチャルシティと定義。「昨今、メタバースと呼ばれるインターネット上に構成される仮想空間での生活やビジネスが注目されており、バーチャルシティにおいては、実在都市と仮想空間が連動し、ともに発展していく新たなまちづくりを目指しています」とバーチャルシティ構想をアピール。一方で「バーチャル空間と実在都市の両方の視点から、ステークホルダー間の諸権利の整理やコンプライアンス指針の策定など、課題解決のための仕組みづくりが必要になります」とコンソーシアムの目的を説明しています。

なお、コンソーシアムの参加メンバーは、すでに渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」の運営にかかわっており、ここで得られた知見をもとに、今後の他都市や類似モデル展開などに向けて活動していくとのことです。

一定の成功を収めているバーチャル渋谷の事例を他の都市にも展開しやすくなるのであれば、今後メタバースを盛り上げていく一助となる可能性はありそうです。バーチャル渋谷の知見活用、都市連動型メタバースのガイドラインを策定する「バーチャルシティコンソーシアム」発足

策定計画(予定)

  • 2021年11月:「バーチャルシティ」への期待感へ応える取り組みの構想。これまでの「バーチャル渋谷」の取り組みのスタディ。「バーチャル渋谷」におけるステークホルダーや法規制・権利などの整理。実在都市におけるステークホルダーや法規制・権利などの整理
  • 2021年12月:バーチャルシティ」と実在都市が連携するメリット・デメリット。「バーチャルシティ」上のコンプライアンスのあり方
  • 2022年1月:「バーチャルシティ」上のコンプライアンスのあり方(続き)。他都市展開にあたっての留意事項の整理。ガイドラインの骨子
  • 2022年3月:ガイドライン案

(Source:KDDIバーチャルシティコンソーシアムEngadget日本版より転載)

Nianticが「現実世界のメタバース」というビジョン&AR開発者キット「Lightship」を発表、AR体験構築をよりアクセシブルに

「Pokémon GO(ポケモンGO)」の開発で知られるARテクノロジー企業のNiantic(ナイアンティック)は、拡張現実体験の構築をより身近なものにするAR開発キット(ARDK)「Lightship」を発表した。この無料で公開されている技術は、同社のビジョンである「現実世界のメタバース」の基礎を築くのに役立つ。

NianticのJohn Hanke(ジョン・ハンケ)CEOは、プログラム立ち上げのライブストリームで、以前彼がメタバースを「ディストピアの悪夢」と呼んだ自身のブログ記事に言及した。しかし、Facebook(フェイスブック)が社名をMeta(メタ)に変更し、VRヘッドセットが支配する未来を宣伝している間にも、Nianticは代替案を想像している。それは、仮想世界ではなく、人々を直接結びつけるメタバースだ。

Nianticの既存のゲームは、屋外での活動や新しい人との出会いを重視している。リモートでプレイできるようにパンデミック時代の調整を行う前は、伝説レイドバトルなど、Pokémon GOの特定の側面は、十分な数のプレイヤーが同時に協力しないとプレイできなかった。2017年に伝説レイドバトルがリリースされると、ローカルなDiscordコミュニティが立ち上がり、人々は現実世界でのミートアップを調整して、一緒にルギアやフリーザーを捕まえようとした。

ハンケ氏は次のように述べた。「Nianticでは、人間はバーチャルな世界がフィジカルな世界につながるときに最も幸せだと考えています。SFのメタバースとは異なり、現実世界のメタバースは、何千年も前から知られている私たちの世界における経験を向上させるためにテクノロジーを活用します」。

Lightship ARDKの公開により、デベロッパーは「Ingress(イングレス)」「Pokémon GO」「Pikmin Bloom(ピクミンブルーム)」などのゲームの基盤を利用して、新たなプロジェクトを生み出すことができる。また同社は、2000万ドル(約22億6500万円)規模のNiantic Venturesファンドを開設し、Nianticのビジョンに合致する企業に投資する。ローンチ時点で、NianticはすでにCoachella(コーチェラ・フェスティバル)、英国の歴史的王宮を管理する非営利組織Historic Royal Palaces、Universal Pictures(ユニバーサル・ピクチャーズ)、全米プロゴルフ協会などのブランドと提携しており、彼らは同社のARDKを利用しているという。

このソフトウェア開発キットは、3D、2D、VR、ARエクスペリエンスを構築するソフトウェアであるUnityと統合することで、開発者がiOSやAndroid向けの体験を構築するのに役立つ。ARDKは、NianticのAR機能のトップ3である、リアルタイムマッピング、セマンティックセグメンテーション、マルチプレイヤー機能を提供し、Nianticが何年もかけて開発してきたツールを、新進気鋭のクリエイターが利用できるようにする。

NianticのプロダクトマネージャーAmanda Whitt(アマンダ・ホイット)氏は、この度のQ&Aで「Unityの経験が少しあれば、簡単に使いこなせるようになります」と語った。

この新しいLightship ARDKは、興味のある開発者向けにNiantic Lightshipのウェブサイトで公開されている。

画像クレジット:Niantic

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】生き残りを賭けたフェイスブックの「メタ」への転換

Facebook(フェイスブック)は生き残りをかけて戦っているが、彼らの敵は規制当局の圧力ではない。Zuckerberg(ザッカーバーグ)氏は、下降しつつあるユーザーベースを守る救命ボートとして「メタバース」に頼り切っている。Facebookの未来が主要ハードウェアプラットフォームを所有することにかかっていることを、彼はずっと前から知っている。

先のFacebookの「Meta」へのブランド転換は、数十億ドル(数千億円)のバランスシートゲームの3イニング目だ。果たして消費者がこれを受け入れ、現実になるのかどうか拝見しよう。Meta / Facebookのすべてが懸かっている。

2016年からVRとARに投資している1人として私は、昨今のビジネストレンドチャンネルをにぎわしている「メタバース」の話題を聞いて、慎重ながら楽観的になっている。果たして今は本当にVRの時代なのか?

世界で最も価値のある会社の多くは、自らのソフトウェアアプリケーションを動かすハードウェアを所有している。Apple(アップル)とMicrosoft(マイクロソフト)は何年も前からハードウェア事業を手がけているし、Google(グーグル)もAndroid(アンドロイド)で堅実なOSビジネスを構築することができた。2014年のFacebookによる数十億ドルのOculus(オキュラス)買収は、ザッカーバーグ氏の真意をあからさまに示すものだったが、実際のピボット(転換)が起きるまでには7年を要した。

Oculus買収直後の数年間、VR(仮想現実)への投資が業界全体で相次いだ。ハードウェアプラットフォームが、Google、Microsoft、Sony(ソニー)、HTC(エイチティーシー)、Steam(スチーム)などから大々的な発表が続いた、こうした投資のほとんどは数年後に捨てられるか打ち切られることとなり、VRハードウェアプラットフォームの選択肢は不足状態になった。

Facebookが攻撃を開始したのはその時だった。Oculus / Reality Labsプラットフォームへの投資を強化して高品質モバイルVRハードウェア機器の開発で革新を起こし、ゲームデベロッパーに資金を投入して、プラットフォーム上の有望なゲームのほとんどを貪欲に買収した。買収を通じてデベロッパーエコシステムを構築するそのアプローチは、あらゆるVRプラットフォームが直面してきた初期コンテンツ不足問題を解決するための長丁場の投資だ。

ザッカーバーグ氏はゲームから手を付けた。それは、消費者の大きな興奮と成長が約束された最古のカテゴリーであり、ヘッドセットの中で消費者の熱狂を心地よく上昇させるからだ。次にザッカーバーグ氏は、VR/AR(拡張現実)をエンタープライブに持ち込み、リモートチームとの実践的3Dコラボレーションを、パンデミック下で分散された社員たちに浸透させようとしている。

幸運なのか実力なのか、彼は予知能力のある戦略家として知られている。ザッカーバーグ氏はこれまで、自分では必ずしも制御できない市場の変化とタイミングに対応して、完璧な戦略を見せつけてきた。

「メタバース」は、すでに「Fortnite」や「Roblox」に存在している。ザッカーバーグ氏は、人々が頭に被るコンピューターを通じた完全没入型体験を望んでいて、年齢層の高いユーザーベースを駆り立てられることに賭けている。

もしFacebookの過去の買収が道しるべになるなら、ザッカーバーグの戦略は成功するだろう。ただしWhatsApp(ワッツアップ)とInstagram(インスタグラム)をはじめとするFacebookの成功した買収先のほとんどは、買収当時すでに成功が約束されていた。「メタバース」に全力を注ぐことは、新しいプラットフォームとパラダイムを作り出すことであるが、そこは30年以上熱狂を促すサイクルを繰り返してきたにもかかわらず、悲しいほど普及が進まない分野である。

バランスシートを見る限り、うまくいく可能性は高い。しかし、今はまだ、隔離された空間に存在する戦略とチャンスのための妙技にすぎない。

編集部注:本稿の著者Jacob Mullins(ジェイコブ・マリンズ)氏はShasta Venturesのマネージングディレクターとして、2016年以来VR/ARに投資している。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Jacob Mullins、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マーク・キューバン氏とOculusの元CEOが支援する3D型eコマースを推進するVNTANA

Faceook(フェイスブック)やApple(アップル)が複合現実型ヘッドセットの導入を計画するなど、コンシューマー向けウェブの3D化を推し進めている一方で、世の中のウェブコンテンツのほとんどは、いまだに2Dのままだ。3Dコンテンツが存在する、完全に別世界の「メタバース」を推し進める人もいるが、現在のユーザーがいる場所にリソースを投資したいと考えている既存のウェブプラットフォームにとって、それは難しいことだろう。

VNTANA(ヴィンタナ)は、コンテンツ管理システムを構築しており、eコマースの小売業者がサイト上で商品をきれいな3Dで紹介するのを支援するとともに、ユーザーが拡張現実でモノを見たり、バーチャルで商品を試着したりできるようにしている。2012年に設立されたVNTANAは、長年にわたり3Dコンテンツに注力してきたが、パンデミック前のライブイベントにホログラムを導入することから、今ではウェブ上の店頭に3Dコンテンツを導入することへシフトしてきた。

「消費者が意味のある方法で製品に関わることができるような、インタラクティブな方法を作ることが常に目的でした」とCEOのAshley Crowder(アシュリー・クラウダー)氏は述べている。

同社は、シリーズAで1250万ドル(約14億2200万円)の資金を複数回にわたって調達したとTechCrunchに報告している。このスタートアップの最新の資金調達の支援者には、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Oculus(オキュラス)の前CEO、Brendan Iribe(ブレンダン・アイラブ)、Flexport(フレックスポート)、Anorak Ventures(アノラック・ベンチャーズ)などが含まれている。同社は、2019年に600万ドル(約6億8200万円)のシードラウンドを発表している。

同スタートアップのソフトウェア式には、大容量の3Dファイルを最適化して読み込み時間を短縮し、消費者が新製品をあらゆる角度から見ることができるようにする製品や、eコマースプラットフォームがすでに所有している3Dファイルを活用して、2Dのデジタルレンダリングによるショールーム画像や動画を作成し、マーケティングにかかる時間と費用を節約できるようにする製品が含まれている。また、同社は最近、卸売り管理プラットフォームのJoor(ジョア)やソフトウェアメーカーのPTCと提携し、事業拡大を図っている。

消費者は、同社のソフトウェアを利用することで、購入前に拡張現実(AR)を使って、実際の空間での商品の大きさや外観を確認することができ、返品の減少にもつながると、クラウダー氏は述べている。

Apple、Google、Facebookなどから大きな発表があったにもかかわらず、拡張現実を開発する機会というのは、数年前に関心が高まったときに多くの投資家が予想したよりも限られていた。しかし、VNTANAのような企業は、3Dコンテンツを利用した体験を提供することで、eコマースの小売業者が抱える既存の問題を解決するとともに、AR/VRの未来に向けた準備を整えている。

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(文:Lucas Matney、Akihito Mizukoshi)

フェイスブックがクリエイターにアップルの料金を回避できるリンクを提供

Facebookという名前だった企業は、米国時間11月3日、Apple(アップル)の悪名高いプラットフォーム料金を回避する計画を発表した。このところ有力なソフトウェア企業とiOSを開発した企業との間で戦争が続いているが、これはその最新の戦いとなる。Facebookの11月3日の投稿でMetaのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、同社プラットフォーム上の特定のクリエイターに対して、支払いを直接受けとることができるリンクを提供し、議論の多いAppleによる30%の手数料を迂回できるようにすると述べた。

「メタバースの構築のために、クリエイターが自分の仕事からお金を稼ぐ機会をクリエイターの手に開放することに注力したい。Appleが取引に際して徴収する30%の料金は、その開放を困難にしているため、この度、私たちのサブスクリプションプロダクトをアップデートして、クリエイターがもっと多くを得られるようにしたい」とザッカーバーグ氏はいう。

サブスクリプションの対象となるFacebookページを運営しているクリエイターは、テキストやeメールで新しいプロモリンクを共有し、独自の決済システム「Facebook Pay」で運営される決済ポータルにファンを誘導することができる。また、このクリエイター向けの投稿の中で、Facebookは、以前発表した10億ドル(約1142億1000万円)規模のクリエイタープログラムの一環として、年末までにクリエイターが新規購読者を獲得するごとに、5〜20ドル(約570〜2280)を支給するという新しいボーナスプログラムを発表している。

画像クレジット:Facebook

FacebookのPatreonに似たサブスクリプションプロダクトは、人気のあるFacebookページを持つ人々に、毎月の定期的な支払いで特別な収益化ツールを提供するものだ。現在の申込資格は、1万人のフォロワーまたは250人以上のリターンビューワーに加え、5万件の投稿エンゲージメントまたは18万分間の視聴があることになる。

Facebookは、2023年まではFacebook自身がクリエイターの決済から料金を徴収することはない斗述べているが、この分野に最近熱心になってきた同社としては、導入期の数年間無料にした後、ブームとなっているクリエイターエコノミーで自らも稼ぐ計画をきっと持っているだろう。そもそも同社自身が以前は、30%の手数料徴収を計画していたのだ。少なくとも現在のところ、その計画を引っ込めているようだが。

Appleはこれまで、iOSで提供されるすべての有料アプリとアプリ内課金から、標準で30%の手数料を徴収してきた。この手数料は、Appleにとって莫大な収益をもたらしてきた。しかし2020年末、同社は小規模なアプリメーカーに救いの手を差し伸べ、年100万ドル(約1億1000万円)未満の開発者の手数料を15%に引き下げている。

AppleのApp Store手数料は、多くの大手ソフトウェア開発者にとって大きな悩みの種となっている。2020年「Fortnite」のメーカーであるEpic Gamesは、自らを開発者のために闘う小さな会社と位置づけ、派手なキャンペーンでアプリ内課金をめぐってAppleを裁判で訴えた。本稿執筆時点で9230億ドル(約105兆4241億円)の価値があるMetaは、Appleとの間で行われたクリエイターへの支払いをめぐる新たな戦いにおいても、同様の位置づけをしている。

2021年9月、カリフォルニア州のEpic Games対Appleの訴訟の判事は、Appleが開発者に対して、同社による多額の手数料を回避する外部の支払い方法をユーザーに紹介することはもはや阻止できないという判決を下した。この判決により、Facebookの新たな回避策の道が開かれた。Appleはこの判決を不服とし、2021年10月に、判事の差し止め命令の停止を要求している。

クリエイターへの支払いに関する新たな回避策は、FacebookにとってAppleとの初めての大きな衝突ではなく、Facebookがユーザーの味方に回った初めての例でもない。Facebookは、ユーザーのプライバシーを強化するためにiOS 14に搭載された新しいトラッキング防止機能に脅威を感じ、すべての主要な全国紙に変更に抗議する全面広告を掲載した。表向きにこの行動は、自社ではなく影響を受ける中小企業を代表してのものだった。

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画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Meta(元フェイスブック)がVRフィットネスアプリ「Supernatural」を開発したWithinを買収

Facebook(フェイスブック)が「Meta(メタ)」に社名を変更した翌日、同社はWithin(ウィズイン)の買収を発表した。ロサンゼルスに本拠を置くWithinは「Beat Saber(ビートセイバー)」スタイルのワークアウトアプリ「Supernatural(スーパーナチュラル)」を開発した企業だ。このアプリは、身体の動きをベースにした高負荷のカーディオエクササイズで、バーチャルリアリティフィットネスにおける本物のサクセスストーリーの1つとなっている。

Facebook改めMetaが、VRに関する野望をメタバースのようなものにまで広げようとしていることを考えれば、これは賢明な買収といえるだろう。Supernaturalはまた、新型コロナウイルスの影響によるジムの閉鎖やワークアウトの制約が広がった中で、より多くの人々が家庭用のソリューションに目を向けるようになったことから、この1年半の間に特に注目された商品であることも間違いない。

「Metaとのパートナーシップに私たちは興奮しています。なぜならそれは、私たちがより多くのリソースを得て、VRでより多くの音楽、よりクリエイティブなワークアウト方法、より多くの機能、そしてよりソーシャルな体験を、みなさまにお届けできるようになるということを意味するからです。もちろん、これからも引き続き、毎日新しいワークアウトを提供していきます」と、WithinのCEOであるChris Milk(クリス・ミルク)氏とフィットネス部門の責任者であるLeanne Pedante(リアン・ペダンテ)氏はブログで述べている。

Withinによると、同社のコーチ、コレオグラファー、マネージャーなどの既存スタッフは、買収後も引き続き在籍するとのこと。Supernaturalは、MetaのVR/AR部門であるReality Labs(リアリティ・ラボ)の下で運営されることになるという。

「私たちは、VRフィットネスアプリをサポートするために、将来のハードウェアを強化する方法も一緒に検討し、他の開発者たちがVRに新しいフィットネス体験をもたらすことを奨励します」と、MetaのPlay担当VPであるJason Rubin(ジェイソン・ルービン)氏は、Oculus(オキュラス)のブログで書いている(ちなみにOculusというブランドは、間もなく廃止されることになっている)。「VRではフィットネスが大きな成功を収め、複数のサードパーティによるフィットネス・アプリも成功できると、私たちは確信しています」。

2015年に設立されたWithinは、これまでに5000万ドル(約57億円)を超える資金を調達しており、最近では2017年に、4000万ドル(約46億円)を調達したシリーズBラウンドを実施している。このラウンドは、Temasek(テマセク)とEmerson Collective(エマーソン・コレクティブ)が主導し、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、21st Century Fox(21世紀フォックス)、Raine Ventures(レイン・ベンチャーズ)、WPP、Macro Ventures(マルコ・ベンチャーズ)などが投資した。

今回の買収の財務的な詳細は公表されていない。

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画像クレジット:Meta/Within

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

FBメタバースのために設計されたハイエンドVRヘッドセット「Project Cambria」、2022年発売予定

Facebook(フェイスブック)は、コードネーム「Project Cambria(プロジェクト・カンブリア)」と呼ばれる新しいハイエンドVRヘッドセットの開発に取り組んでいる。同社は、米国時間10月28日に開催されたConnectカンファレンスで、デバイスを予告した。このヘッドセットは、2022年中に発売される予定だ。FacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、この製品は同社の299ドル(日本では税別3万3800円)のヘッドセット、Quest 2とは別の「ハイエンド」製品になると述べた。価格もQuest 2より高く設定されるという。

Cambriaには、他のVRヘッドセットでは実現できない機能が搭載される。このデバイスに搭載された新しいセンサーにより、バーチャルアバターはアイコンタクトを保ち、あなたの顔の表情を反映することができる。同社は、これによりバーチャルでインタラクトしている相手が、あなたの気持ちをよりよく理解できるとしている。このヘッドセットのもう1つの特徴は、複合現実(MR)のエクスペリエンスだ。新しいセンサーと再構築アルゴリズムの助けを借りて、Cambriaは物理的な世界のオブジェクトを、奥行きや遠近感を持って表現できるようになるとFacebookは主張している。

また、Cambriaには新しい光学系が搭載され、視覚的な忠実度が向上するという。Facebookは、2022年にこのヘッドセットのさらなる詳細情報を共有すると約束した。その一方で、サードパーティ開発者がすでにこのデバイス向けのエクスペリエンスに取り組んでいるとも言及した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Facebook

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

ザッカーバーグ氏がアップルのプラットフォームポリシーと手数料は「イノベーションを阻害する」と非難

Facebook(a.k.a Meta)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国時間10月28日の自社イベント、Facebook Connect 2021の基調講演でメタバースの計画について述べた際、Apple(アップル)およびアプリのエコシステム全体に対する明らかな批判を口にした。具体的には、アプリプラットフォームとそれにともなう手数料は「イノベーションを阻害」していると非難し、同時にFacebook自身が手数料を高く維持することについては、成長を続けるVRエコシステムと自社のOculus Questストアへのさらなる投資が必要であることを理由に正当化した。


同氏の発言は、Facebookの広告ビジネスに打撃を与えた、Appleによる最近のアプリ・プライバシー変更を受けたものだ。App Tracking Transparency(アプリのトラッキングの透明性[ATT])の導入によって、Appleはアプリが他のアプリやウェブサイトを横断して消費者を追跡することを消費者が拒否できるようにした。そしてこの変更によってFacebookの収益が落ち込んでいることを会社は認めている。

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現在Facebookは、Oculus向けに独自のアプリプラットフォームを構築することで新たな収入の流れを作る可能性に期待してる。デベロッパーが手数料を払う代わりに、収益を得るプラットフォーム。そして、別の会社の気まぐれな戦略変更によってビジネスが破壊されることのないプラッフォームだ。

ザッカーバーグ氏は、今こそこの変化を起こす時であることを強調し、最近彼が「プロダクトを作るだけでは十分ではない」ことを学んだと語った。

「私たちは、将来何百万もの人たちが恩恵に預かることのできる、人々の仕事が報われ、波が高まるにつれ利益をあげられるようなエコシステムを構築する必要があります。消費者だけでなく、クリエイターやデベロッパーにとっても」と彼は言った。「この時期私たちは謙虚でもあります。なぜなら私たちのような大きな会社でも、他のプラットフォームのためにものを作ることがどういうことかを学んだからです。そして彼らのルールの下で生きることは、テック業界に対する私の見方に大きな影響を与えました」とザッカーバーグ氏は続けた。

「何よりも、選択肢の欠如と高い手数料はイノベーションを妨げ、人々に新しいものを作るのをやめさせ、インターネット経済全体を抑制します」とザッカーバーグ氏は付け加えた。

一連のコメントは、AppleとGoogle(グーグル)に直接向けられたものであり、Facebookのプロダクトのほとんどは両社のプラットフォーム上にある。Facebookはアプリ内購入の手数料をApp Storeに払わなくてはならず、例えばユーザーがクリエイターをサブスクライブしたり、バッジを買ったり、ストリーミング提供者に直接チップを渡す場合も含まれる。Apple、Googleともに、小さな会社やメディア・プロバイダーやサブスクリプション・アプリに対しては手数料を値下げしたが、標準の取り分は今も変わらず70 / 30(プラッフォーム / デベロッパー)だ。

App Storeのルールは、Facebookが高い収益を得る可能性のある他のプロダクトを開発することも妨げている。最新のゲーミングサービスが一例だ。

たとえば2020年、iOSでFacebook Gaming(フェイスブック・ゲーミング)を公開した際、同社はAppleのポリシーを激しく非難した。Appleは他のアプリやゲームを中に含むようなアプリを許していおらず、それはサードパーティー・デベロッパーから収益を得る機会を失うからだ。このため、Android(アンドロイド)版ではミニゲームをプレイできるのに、iOSユーザーはFacebook Gamingでストリームを見ることしかできない。

しかし、Facebookの将来にとって本当の懸念は、手を出せないプラットフォームのポリシー変更によって、広告収益が脅かされていることだ。

広告収益は、過去何年にもわたってFacebookが他分野に投資し、アプリを無料にすることを可能にしてきた、とザッカーバーグ氏は指摘した。

「私たちはできるだけ多くの創作と商取引が生まれるように、クリエイターや販売者向けのツールを原価あるいはわずかな料金で提供しています。そして成功しています。何十億人もの人たちが私たちのプロダクトを愛しています」と同氏は強く語った。「私たちのプラットフォームには何億ものビジネスがあるのです」。

現在会社は、メタバースのエコシステム構築にも同じアプローチを取ろうとしている。デバイスを助成したり原価で販売することによって、消費者が手に入れやすくなる、とザッカーバーグ氏は言った。そしてAppleのApp Storeと異なり、Facdbookはサイドローディング(ストア外からのダウンロード)やパソコンへのリンクを可能にすることで、囲い込むのではなく消費者とデベロッパーに選択肢をあたえる計画だとFacebookは言っている(もちろん、多くのデベロッパーは発見してもらうためにQuest Store(クエスト・ストア)で公開することを選ぶだろう。Facebookにこの約束ができる理由はそこにある)。

さらに同氏は、Facebookはデベロッパーとクリエイターのサービス費用を極力低く抑えるつもりだとも言った。しかしザッカーバーグ氏は、会社の次のビジネスモデルへの思いを馳せながら、そうではないケースもあると警告した。新エコシスコムへの投資規模を踏まえると、一部の手数料は高くなるだろうと彼は話した。

「将来への投資を続けるために、一部の手数料を一定期間高く据え置いて、このプログラム全体であまり大きな損がでないようにする必要があります」とザッカーバーグ氏は説明した。「なんといっても、すでに利益をあげているデベロッパーが増える一方で、私たちは将来メタバースの規模が大きくなるまでの何年間、数十億ドル(数千億円)を投資する見込みなのです。しかし私たちは、次の10年間全員で努力を続ければ、メタバースは10億人に達し、何千億ドル(何十兆円)ものデジタルコマースをホストし、何百万人ものクリエイターとデベロッパーの職を支えられるようになると期待しています」。

言い換えると、Facebookの計画は今まで以上にデベロッパーの収益を活用し、独自のルールを決めることで、むしろAppleに似てくるだろうということだ。

画像クレジット:Facebook(ライブストリームより)

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

かつてフェイスブックと呼ばれた会社が「Oculus」ブランドをさりげなく抹殺

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国時間10月28日朝に行われたAR/VRに特化したイベント「Connect」で、名前が変わってもFacebookMeta(メタ)のミッションは変わらず、既存のブランドも変更しないと発表した。

「私たちが何者であるか、そして何を築いていきたいかを反映させるために、今日から私たちの会社がMetaになったことを発表でき誇りに思います。当社の使命は変わらず、人々を結びつけることにあります。私たちのアプリやブランドも変わりません」とザッカーバーグ氏は述べた。

しかし、実際にはそうではないことがわかった。基調講演が終了してから約15分後、CTO(に就任予定)のAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏は、Facebookへの長い投稿の中で、新しいブランド再構築の一環として、Oculus(オキュラス)ブランドを廃止することを明らかにした。

28日のプレゼンテーションでは、Oculusというフレーズが目立って欠けており、Oculus Storeなどの機能は一貫してQuest Storeと呼ばれていた。ボズワース氏は投稿の中で、2022年初めからOculusアプリをMetaアプリに、Oculus QuestをMeta Questに名称変更するプロセスを開始すると詳細に説明している。

「私たちはみな、Oculusブランドに強い愛着を持っており、今回の決断は非常に難しいものでした。Oculusという名前は引退しますが、当初のOculusのビジョンは、Metaが今日のVRの大規模な普及を推進していく上で、引き続き深く根付いていると断言できます」とボスワース氏は書いている。

Facebookは2014年にOculus VRを買収した。

画像クレジット:David Fitzgerald/Sportsfile / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックが「Meta」に社名変更、メタバースを中核事業に

正式発表だ。Facebook、Instagram、WhatsApp、Oculusを擁するソーシャルネットワーキングの親会社は、17年間にわたって「Facebook」と呼ばれてきたが、社名を新しくした。

Facebookの社名は「Meta」になった。

Facebookの生みの親であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、AR / VRに特化したイベント「Connect」でこの変更を発表し、新しい社名はメタバースを構築するという会社の中核的な野心を表していると語った。

「我々が何者であるか、何を構築したいかを反映するために、当社がMetaになったことを発表できることを誇りに思います。我々の使命は変わりません。人々を結びつけることです。我々のアプリケーションやブランドも変わりません」とザッカーバーグ氏は述べた。「これからは、Facebookファーストではなく、メタバースファーストでいきます」。

この名称変更は、Facebookにとって都合の良い時期に行われた。絶えず自社に対する反発に直面しており、特にここ数週間は元従業員がメディアや政府機関に大量の文書をリークし、Facebookが責任を持ってプラットフォームを構築する上で長年にわたって犯してきた過ちを詳述していた。同社は、数カ月前から社名変更のための準備を進めてきた。これは、同社の最も人気のある製品にまつわる絶え間ないネガティブな見出しから、同社の中核的なブランドを引き離すための努力であり、怒っている消費者を回避するためのもののようだ。

CEOのザッカーバーグ氏は7月、Vergeの記事の中で、Facebookがメタバースにすべてを賭けていることを発表した。これは、1兆ドル(約113兆円)規模の企業にとっては驚きの発表だった。その理由は主に、同社がバーチャルリアリティのハードウェアに多大な資金と労力を費やしてきた一方で、ソーシャルVR製品はほとんど短命という失敗に終わっており、ベータ版のソーシャルプラットフォーム「Horizons」については、1年半以上前に発表して以来、ほとんど何も語っていなかったからだ。

Facebookは8月に、VRで会議ができるように設計されたVRアプリについて、異例の大々的な発表を行った。ザッカーバーグ氏は朝のテレビ番組に出演し、小さなVRアプリの紹介に驚くほどの力を注いだ。

そして同社は9月「責任を持ってメタバースを構築する」というブログ記事の中で「これらの製品が責任を持って開発されることを保証する」ための研究に投資する5000万ドル(約56億円)の基金を発表した。同社は今月、設立間もない「Horizon Worlds」プラットフォームの開発者向けに、1000万ドル(約11億円)の小規模なクリエイターファンドを発表するとともに、メタバースプラットフォームを構築するために、EU域内で1万人もの従業員を雇用する計画であることを明らかにした。

先週のThe Vergeの記事には、Facebookは社名変更を検討しているようだ、とあった。

究極的には、主力事業を最も問題のあるプロダクトから切り離すことは、驚くべき行動ではない。しかしMetaに社名を変更することで、Facebookは自社のコアブランドを何年も先に進んだプロダクトと合わせる必要があり、メインストリームで成功するまでに多くの失敗を経験する可能性がある。Facebookはまだユーザー25億人を抱えるが、メタバース製品のユーザー数はせいぜい数千人程度だ。

テクノロジー業界の最大手企業が名前を大きく変えるのは、前例がないわけではない。Google(グーグル)は2015年に新しい会社組織を導入し、Alphabet(アルファベット)と呼ばれる親会社を設立した。Googleは現在もAlphabetの子会社だが、良くも悪くも、同社やその子会社に関係するものを「Google」と口語的に呼ぶ人が多いようだ。20年近くにわたってブランドを構築し、月間ユーザー30億人近くの製品に育ててきたFacebookも、おそらく同じような扱いを受ける。

Googleは自社の名前との間に距離を置こうとしていたわけではなく、Facebookはブランド変更の理由がまったく異なる。同社のビジネスは急成長を続けているが、2016年のロシアの選挙偽情報から、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルのような重大なプライバシー侵害、そして現在はFacebookのシビック・インテグリティ・チームの元メンバーで、Facebookの内部告発者となったFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏による進行中の暴露の数々と、そのブランドはここ数年で打撃を受けている。

また、Facebookは現在、テック業界のどの企業よりも規制当局の監視下に置かれていると言っても過言ではない。議員の意見が一致することはめったにない議会で、共和党と民主党はFacebookの拘束を受けない成長、非合理的なビジネス手法、そしてInstagramがティーンエイジャーの精神衛生に悪影響を及ぼすことへの懸念を共有し、嫌悪感を抱いている。

先週行われた上院の公聴会では、TikTok(ティクトック)、Snap(スナップ)、YouTube(ユーチューブ)の各ソーシャルメディア企業が、自社のビジネス手法をFacebookと明確に対比させようと躍起になっていた。YouTubeは「安全よりも利益を優先することはない」と断定した。Snapは自社が一定時間後に消えるな会話にフォーカスしていると指摘し、TikTokはティーンエイジャーのユーザーの健康状態を慎重に考慮していると主張した。しかし、Facebookの同業者たちの努力は無駄に終わったようだ。

Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員は「Facebookと違うということは防御にはなりません」と述べた。「障壁は、溝の中にあります」。

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(文:Lucas Matney、Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

ゲーム内広告の拡大とメタバースへの準備のためにアドテック企業Admixが資金調達

2020年6月、アドテック系スタートアップ企業のAdmix(アドミックス)が、シリーズAラウンドで700万ドル(約8億円)の資金を調達したことを紹介した。ロンドンに拠点を置く同社は、ゲーム、eスポーツ、仮想現実、拡張現実に広告を提供している。

大規模なゲーム内広告では、広告主が広告代理店のモデルに頼るのではなく、慣習的な広告購入プラットフォームを通じて、プログラムに従って入札を行うことができるが、この分野は広大であり、まだ十分に活用されていない。

Admixは、この広告モデルをさらに強化するために、シリーズBラウンドで2500万ドル(約28億4000万円)の資金調達を実施した。この資金によって同社はその「In-Play(インプレイ)」ソリューションの規模を拡大し、Facebook(フェイスブック)などの企業が明らかに構築を進めているメタバーズのような新しいプラットフォームに対応する準備を進めていく。

今回の資金調達により、Admixの総資金調達額は3700万ドル(約42億円)に達した。

この投資ラウンドは、Elefund(エレファンド)とDIP Capital(DIPキャピタル)が共同で主導し、Force Over Mass(フォース・オーバー・マス)、Notion Capital(ノーション・キャピタル)、Speedinvest(スピードインベスト)、Rocket Capital(ロケット・キャピタル)、Colopl Next(コロプラ・ネクスト)、Sure Valley Ventures(シュア・バレー・ベンチャーズ)、Sidedoor Ventures(サイドドア・ベンチャーズ)の他、成長投資家のKuvi Capital(クヴィ・キャピタル)やゲーム業界のエンジェル投資家たちも参加した。

AdmixのCEO兼共同設立者であるSamuel Huber(サミュエル・ヒューバー)氏は次のようにコメントしている。「私たちはインターネットが新たなステージに入ると考えています。それはWeb 3.0あるいはメタバースと呼ばれるもので、リアルタイムの3Dインタラクションと、ゲーム業界が先導する新しいクリエイター経済を特徴とします。【略】私たちの業界の多くのプレイヤーは基本的に代理店ですが、Admixはクリエイターが可能な限り最善の方法でコンテンツを収益化できるための重要なインフラを構築しています」。

Elefundの創業者兼マネージングパートナーであるSerik Kaldykulov(セリク・カルディクロフ)氏は次のようにコメントしている。「サムとジョーは、まさしく我々がElefundで一緒に仕事をしたいと思っているタイプの創業者です。彼らはデジタルゲームの未来に対するすばらしいビジョンを持って、AdmixとIn-Playを作り上げました。彼らはメタバースと呼ばれるようになる世界において、消費者と企業がどのように存在し、どのように相互作用するかということが形成される上で、引き続き重要な役割を果たすだろうと、私たちは信じています」。

さらに詳しくいうと、同じ分野の企業にはBidstack(ビッドスタック)、Adverty(アドバーティ)、Anzu(アンズ)、Frameplay(フレームプレイ)などがあると、ヒューバー氏は語る。しかし、これらの企業との違いは、Admixが「データを利用して、適切なゲームの、適切なユーザーに、適切なタイミングで、邪魔にならない広告を提供するためのプロセスを自動化するインフラを構築している」ことだと、ヒューバー氏はいう。「この技術は、スケーラビリティ(同社は過去2年間で300以上のゲームと数百の広告主と取引したが、90%はセルフオンボーディングしている)とネットワーク効果が防御可能であることを意味します。それが、このカテゴリーを支配するためにVCが当社に賭けている理由です」。

Admixは最近、Calvin Klein(カルバン・クライン)、Schuh(シュー)、Movember(モーベンバー)、Sky(スカイ)といったブランドと、In-Playを使った広告活動の契約を結んでいる。

画像クレジット:Admix / Samuel Huber, co-founder

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アドビが「ウェブ版」アプリに力を入れる理由とは?Creative Cloud製品群・最高製品責任者ベルスキー氏インタビュー

アドビが「ウェブ版」アプリに力を入れる理由とは?Creative Cloud製品群・最高製品責任者ベルスキー氏インタビュー

Webブラウザ版Photoshop

アドビは10月27日から28日にかけて、クリエイティブの祭典「Adobe Max 2021」を開催する。本稿では、同社Creative Cloud製品群の最高製品責任者であるスコット ベルスキー(Scott Belsky)へのグループインタビューを元に、質疑応答の内容を抜粋してお届けする。

アドビ、Creative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)のScott Belsky(スコット ベルスキー)氏

アドビ、Creative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)のScott Belsky(スコット ベルスキー)氏


── 2021年におけるクリエイター市場でのトレンドをどのように把握していますか?

いくつか興味深いトレンドがありました。例えば、写真でしたら、当然普段なら実際にその場所へ行ったりとか、もしくはスタジオで撮影したりするわけです。こういった部分での成長は大きくありませんでした。一方で、ビデオや、3D、「イマーシブクリエーション」と呼ばれる没入型のコンテンツ制作の分野に関しては、かなり大きな成長が見られました。

特に企業やブランドがお客様に対し、エンゲージするためのコンテンツを作りの重要性を認識したことで、さまざまなソーシャルプラットフォーム上でビデオが使われるようになりました。また、3D&イマーシブというセクターにおいては、以前でしたら多くの企業がスタジオで物や人を撮影していましたが、最近は3Dでレンダリングすることが増えてきています。

──トレンドとして挙げられた3D&イマーシブジャンルについて、アドビとしては3Dモデリング制作ツールなどの展開をどうお考えですか?

3D&イマーシブにおけるクリエイティブの世界は、まだ早期の段階にあると思います。これまでにコンシューマーの多くが3Dを経験したのかと考えても、そうではないはずです。一方で、将来的には私たちは、ARを駆使した世界で生活し、エンターテインメントの多くもVRになっていくことでしょう。こういった世界においては、全てのクリエイティビティに関するプロフェッショナルが3Dや没入型、あるいはインタラクティブなコンテンツものを作らなくてはならなくなります。

私たち自身がよりバーチャルな世界で生活することを「メタバース」と言ったりもします。そんな世界では、ファッションや、アクセサリー、そして3Dの空間といったものが、一層必要とされてくるのだと思います。そのため、私たちにとっても、「Adobe Substance 3D Collection」を充実させるのが非常に重要だと思っています。これはクリエーターの方々が、新しいバーチャルな世界において、制作活動を続けていくために欠かせません。そのためには、 やはり3Dの能力や機能をPhotoshopやIllustratorといったプロダクトに含めていくことが重要であると考えています。

──今回、Creative CloudスペースやCreative Cloudカンバスなど、Web上でのコラボレーションを想定した新サービスが登場しました。その背景についてお聞かせください。

クラウドドキュメントの開発は、私たちにとっても長い旅路になると思っています。元々、最終的には全てのプロダクトをクラウドに持っていきたいという意図はありました。また、お客様からも私たちの製品をあらゆるところで使いたい、例えば「どんな場所にいてもiPadでPhotoshopを使いたい」とか、「Webでのコラボレーションをより簡単にしたい」といった、要望がありました。

こうした背景もあって、私たちはクラウドドキュメントに対して方向性を定めなければいけないと考えてきました。アドビという企業はかつて、ローカルでのファイル格納や、デスクトップ製品に慣れていました。そういう意味において、Web上でのサービス提供は大きなトランスフォーメーションになると思います。こうした変化は、コロナ危機によって加速したと言える側面もあります。

私たちとしては、クラウド上にプロダクトを持ってくることによって、より多くの可能性を開放できると考えています。皆さんがより共同作業を行いやすくなりますし、異なるデバイスを使うこともできる。クラウドでしか実現できないようなAIのパワーをワークフローに取り入れることも可能です。さらに、その他のWebアプリケーションやクラウドサービスとの相互接続性も担保されていきます。

──10月に買収完了した「Frame.io」についてお伺いします。同社由来の機能をCreative Cloud製品群へのネイティブに実装することで、どのような進化が期待できるでしょうか?

Creative Cloudの全てのセグメントでどのようなコラボレーションをしたいか、を表しているのがこの「Frame.io」です。まず、このFrame.ioには、深いオプションがありまして、権限管理や、ビデオのウォーターマーク(透かし)付与、エディターのフィードバックの管理などが行えるのが特徴です。Frame.ioを使うようになったお客様は、よく「Frame.ioを使っていなかったころ、どうやっていたのか覚えていない」と仰られることが多いですね。

我々は、Adobeのプロダクトを利用する全てのお客様に対して、こういった魔法のようなコラボレーション機能を同じレベルで提供したいと考えています。

──Adobe MAXの完全オンライン開催は今回で2年目になります。昨年の経験が活かせた部分などはありますか?

「どういうふうになるのか」が何となく想像がついている点で、昨年よりも今年の方がよりリラックスして臨めましたね。例えば、私は基調講演の収録をしますので、自分が語りたいストーリーを考える際に、新しい人たちだったり新しい製品だったり、新しい声だったりを十分にカバーできたと思います。

ただ、そうは言っても、実際にお客様とお会いするということがなかなかできないのは少し残念には感じます。通常でしたらカリフォルニアや東京で行うイベントですので、現場でコミュニティやお客様との繋がりが生まれることになります。それができないのは大変残念です。

将来的には、オフラインとオンラインのハイブリッドでできればな、と思います。オンラインのセッションで何百万人もの人たちに、色々と語る機会があって、同時にコミュニティの繋がりを生むイベントなどもできればいいなと思っています。

──ありがとうございました。

なお、昨年開催されたAdobe MAX 2020における動画視聴回数は2100万回以上を記録したという。400以上のセッション、キーノート、MAX Sneaks、ワークショップが実施され、Adobe.comのイベントサイトへの訪問は220万回以上、ソーシャルインタラクションは5000万回以上を記録した。

2021年のAdobe MAX 2021は、日本時間10月27日~28日の2日間に渡って開催され、基調講演や400以上のブレイクアウトセッションが公開される予定だ。日本向けのオリジナルセッションも50以上用意され、すべて無料で視聴できる。アーカイブ視聴も用意されるので、ぜひチェックしてみて欲しい。

(井上晃(AKIRA INOUE)。Engadget日本版より転載)

FacebookのザッカーバーグCEOいわく「我々の目標は、メタバースが10億人に到達するのを助けること」

FacebookのザッカーバーグCEOいわく「我々の目標は、メタバースが10億人に到達するのを助けること」

GLENN CHAPMAN via Getty Images

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、社内に対して「若年層(young adults)へのサービス提供を進むべき道だとする」よう伝えたと述べています。これは、投資家との第3四半期決算説明会で、ここ数年、若い年齢層(18~29歳)のFacebook利用が減少し、今後それがさらに加速すると予想されることに対する懸念を反映しての方針転換と言えそうです。

これままでのFacebookは「若年層に特化したものではなく、幅広い年齢層に最適なものになるよう調整されている」とザッカーバーグ氏は述べています。そして、ターゲットの変更は高い年齢層の人々のFacebook利用率を下げることになるだろうとも述べました。しかし、結果を天秤にかけて考えれば、方針転換は「正しいアプローチだと思う」として、今後FacebookアプリおよびInstagramアプリに「抜本的な変更」を加え「メタバース」のビジョンを構築するために数十億ドルを投じる構えです。ただ、先日伝えられたFacebookの社名変更については、ザッカーバーグ氏はコメントしませんでした。

再構築には数年がかかると予想され、特にInstagramの変化は動画に力を入れ、特に「Reels(リール)」機能を中心に据えたものに変わるとのこと。これはTikTokの爆発的な普及に対応した動きでもあります。またそのほかに検討されている案としては、グループ機能の刷新、就職支援ツール、ムードフィードなどがあがっています。

一方、Faebookはもう1つの主要な優先事項として「メタバース」のビジョン構築を掲げています。「我々の目標は、メタバースが10億人に到達するのを助けること」だとザッカーバーグ氏は述べ、メタバースが「数千億ドルのEC市場」を生み出す可能性があるとしています。そして、Facebookは財務報告をFacebook、Instagram、Messenger、WhatsAppといった”ファミリー向け”と、AR / VR の開発を担当するReality Labs部門に分けて行うと発表しました。Reality Labsへの投資によって、Facebookは2021年の利益がおよそ100億ドル減少したと述べ、今後数年はAR / VR分野での支出が増えると予測しています。

Facebookは現在、フランシス・ハウゲン氏による一連の内部告発への対応にも取り組んでいると述べています。ザッカーバーグ氏は、報道が組織的に「リーク文書の美味しいところだけを切り抜いて、Facebookの誤ったイメージを広めようとしている」としました。そして「これらの問題が主にソーシャルメディアに関するものでないのを明確にする必要がある」「つまり、Facebookが何をしようと、我々だけでは決して解決できない問題だ」と述べています。

(Source:BloombergThe VergeEngadget日本版より転載)

TC Tokyo2021「NFT & メタバース」のセッションでは話題のRTFKT創設者ブノワ・パゴット氏が登壇決定

12月2、3日にオンラインで開催される「TechCrunch Tokyo 2021」。本年度は、期間中、7つのテーマで国内・海外のスピーカーを招いたセッションが行われる。

「NFT & Metaverse(メタバース)」をテーマにしたセッションでは、RTFKTのBenoit Pagotto(ブノワ・パゴット)氏が登場する。

RTFKTはメタバースのための次世代スニーカーとコレクターズアイテムを扱うサービスだ。その3人の創設者の1人であるブノワ氏は、高級ファッションとゲーム/esportsの両方で経験を積んだブノワ氏は、この2つの異なる世界を融合させた次世代ブランド、チーム、ビジネスモデルの構築を専門としている。

すでに参加者チケットは発売中。参加者チケットは2日間の通し券で、他の講演はもちろん新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」もオンラインで楽しむことができる。本講演は英語でのセッションとなるが、日本語の字幕が入る。

チケット購入

本記事執筆時点では「早割チケット」は税込3500円、2021年12月31日までアーカイブ配信も視聴できる「早割チケット プレミアム」は税込3500円となっている。また、スタートアップ向けのチケット(バーチャルブース+チケット4枚セット)は後日販売予定だ。

オンラインでの開催で場所を問わず参加できるため、気になる基調講演を選んで視聴することもしやすいはず。奮ってご参加いただければ幸いだ。

Facebook Messengerグループビデオ通話に新しいAR体験を追加

Facebook Messenger(メッセンジャー)は、ビデオ通話や同プラットフォームのビデオ会議機能であるMessenger Rooms(ルーム)に、新しい拡張現実(AR)体験を展開している。同社は、新機能「Group Effects(グループエフェクト)」が近日中にInstagram(インスタグラム)にも登場するとしている。

Facebookが、ARエフェクトを共有体験にすることを目指していると言っているように、グループエフェクトは、ビデオ通話に参加している全員に効果がある。ユーザーは、最高のハンバーガーを最も早く作ることを競うゲームなどを含む70以上のグループエフェクトのライブラリからエフェクトを選ぶことができる。

新しいグループエフェクトを確認するには、ビデオ通話を開始するかルームを作成し、笑顔をタップしてエフェクトトレイを開き、グループエフェクトを選択する。そこから、通話に参加している全員に適用されるAR体験を選択することができる。

さらにFacebookは、2021年10月末にSpark AR APIへのアクセスを拡大し、より多くのクリエイターや開発者がグループエフェクトを構築できるようにするとしている。

画像クレジット:Facebook

「グループエフェクトは、友達とつながるための、より魅力的でインタラクティブな方法を提供します。また、クリエイターのコミュニティをサポートし、人々が自分自身を表現する方法を増やすことができます」と同社はブログで述べている。

また、Facebook Messengerは、チャット内でアニメーションを起動する新しい「suggested word effects(メッセージエフェクト)」を展開している。例えば「おやすみ」や「おめでとう」などの単独のメッセージを送信する際に、その言葉に合わせてエフェクトを作成するオプションが表示されるようになった。Facebookは8月に、特別な祝日や内輪のジョークのためにエフェクトを発表したが、今回、この機能を日常的なフレーズにも拡大した。メッセージエフェクトは、すべてのiOSユーザーに提供されており、今後数週間のうちにAndroidでも利用できるようになる。

また、映画「007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ」の公開を受けて、ジェームズ・ボンドの「soundmojis(サウンド文字)」も新たに提供する。また「ケア」をテーマにしたものや、お化けのようなハロウィンテーマなど、新しいチャットテーマも登場する。Facebook Messengerは、ハロウィーンに合わせて4つのお化けの世界のARエフェクトを展開する。

MessengerのグループARは、Facebookが「メタバース」の取り組みを強化している中で登場したもので、共有された仮想体験を作り出すというテーマに沿ったものとなっている。

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

デジタル証券の第二取引市場を目指す投資プラットフォームRepublicが171億円超を追加調達

スタートアップの世界では、デジタル資産が米国証券取引委員会にとって、いつ有価証券と見なされるか否かについて、山ほど不満が募っている。

多くの人々が規制の暗雲を感じる分野で、創業5年のニューヨーク拠点の投資プラットフォームであるRepublic (リパブリック)が機会を伺っている。多くの企業が特定のデジタル資産と距離を置くべきかどうか悩んでいる中、Republic(CEOのKendrick Ngyueyn[ケンドリック・グエン]氏はGoodwin Procterでの証券訴訟が最初の仕事だった)は「compliant tokenization(規則に準拠したトークン化)」とグエン氏が呼ぶものの第1人者になることを創業時から目指してきた。

そして今同社は、すでに構築したデジタル「証券」の購入と再販のためのコンプライアンスを重視したマーケットプレイスを拡大する大きな野望をほのめかしている。

関連記事:厳選されたスタートアップ投資機会を提供するRepublicのCEOケンドリック・グエン氏のTC Tokyo2021登壇決定

グエン氏は先週TechCrunchとの電話で「米国内の主要な取引所でデジタル証券トークンを扱っているところはありません」と語った。つまり、製品やサービスに利用できるユーティリティトークンではなく、その価値が不動産のような外部の取引可能な資産に連動しているトークンのことだ。

扱わない理由の1つは、SECが、Ripple Labs(リップル・ラブズ)が開発した暗号資産であるXRPを、(通貨ではなく)Coinbaseなどの取引所が販売していない「証券」とみなしていることを極めて明確に示したからだ。

グエン氏は、Republicは「有能で良いカスタマーサービスを提供し、米国で証券とデジタル証券の第二の活発な市場を可能にする」取引所があれば「今すぐ提携する」意志があると語った。しかし、そんな取引所は存在しないため「あと1年ソリューションが見つからなければ、Republicはデジタル証券の二次的取引所に投資するか関連会社を通じて直接設立するつもりだ」と語った。

これはRepublicが運営している中で最も野心的なサービスであり、100万人以上のユーザーを集め、大規模な資金調達も行っている。

本日、米国時間10月20日、同社は1億5000万ドル(約171億円)のシリーズBラウンドをValor Equity Partnersのリードで完了したことを発表した。これは2021年3月に発表したGalaxy Interactive、Motley Fool Ventures、HOF Capital、Tribe Capital、およびCoinFundらが参加した3600万ドル(約41億円)のシリーズAラウンドに続くものだ(なお、これらの既存投資家は今回も参加し、Pillar VC、Brevan Howard、Golden Tree、およびAtreidesが新たに加わった)。

現在Republicの従業員は200名で、最新ラウンドの前に、新株発行で5000万ドル(約57億円)以上を、トークンの販売で2000万ドル(約23億円)以上を調達している。

会社はさまざまな調整に忙しく動いている。Republicはすでにいくつかの事業部門からなっており、10ドル(約1140円)から始められる人気の個人投資プラットフォームや、10億ドル(約1141億円)近い資産を管理し、認定投資家をふるいにかけてスタートアップに紹介する民間資本部門から、技術、財務、流通、およびトークン化サービスを提供するブロックチェーンコンサルタント部門まである。

さらにRepubliには、現在スタートアップや暗号資産プロジェクトに資金を配分するクローズドエンド型投資ファンドが2件ある他、Republic Realm(リパブリック・レルム)の名前で運用しているメタバース(仮想空間)とNFT(非代替性トークン)に特化したデジタル投資部門もある。

Republicがどうやってすべてをコントロールしているのかを聞かれたグエン氏は「異なるプラットフォームがあるとは考えていません」として、関心事や預金残高に関わらずあらゆる人にサービスを提供できる会社と考えていると語った。「もし億万長者がRepublicにやっきてきて、100ドル投資するのに時間を使うより10万ドルを配分したいというなら、我々はその機会を提供します。もしあなたが20歳で、20ドルをビデオゲームか不動産か女性起業家に投資したいなら、そのための機会もあります」。

目指しているのは「全人口」の要求に応えることだと彼は述べ、Republicなら培った技術力を駆使して成功できると強く思っている。そこにはある基本理念がある。それは「DeFiとNFTを含めほとんどのトークンは証券である」というRepublicの強い信念だ。その結果「私たちはRepublicのやっていることのすべて、触れるものすべてをなんらかの証券として扱い、米国証券法の既存の枠組みに適合させています」と彼は言った。

他の投資プラットフォームがSECに抵抗したいのならもちろんそれは彼らの権利です。Republicとしては「自分たちの仕事をするために新しいルールや規制を求めません。私たちのやり方は既存の法律、強固な法的根拠に基づいています」。

画像クレジット:Kendrick Nguyen / Republic

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックの名称が変わる?メタバースにフォーカスした名称への変更を計画中との報道

The Vergeによると、Facebookは、メタバースの構築に注力するために、新しい名称でリブランディングすることを計画しているという。

CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国時間10月28日に開催される年次カンファレンス「Connect」でその新名称を発表する予定だというが、報道によるとそれ以前に新名称を発表する可能性もある。

ソーシャルメディア以外でも広く知られたいと目論むFacebookは、米国時間10月17日、同社が将来において重要な要素だと考えるメタバースの構築を支援するために、今後5年間ヨーロッパで1万人の雇用を募集する計画を発表している。

また、同社は1カ月前に、ARとVRの責任者であるAndre Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏が最高技術責任者に昇格することを発表している。Facebookにはすでに1万人以上の従業員がおり、ザッカーバーグ氏がスマートフォンと同じくらいユビキタスになると考えているARグラスといった消費者向けハードウェアを開発、製造している。

2021年7月、ザッカーバーグ氏は、Facebookの未来はユーザーがその中で生活、仕事、遊べるバーチャルメタバースにあると述べた。

今回のブランド変更は、米上院商業科学運輸委員会で証言した内部告発者Frances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏が流出させた一連の内部文書など、さまざまなスキャンダルでFacebookが批判にさらされている時期に行われることになる。Facebookは、現在も米国政府による独占禁止法の調査を受けている

Facebookの広報担当者は「ウワサや憶測にはコメントしない」と述べている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Katsuyuki Yasui)