【レビュー】ポルシェ2022年型Taycan GTS Sport Turismo、ワゴンでパワーとパフォーマンスを実現、ユーザーエクスペリエンスも悪くない

待てば海路の日和あり、Porsche(ポルシェ)はその完全電気自動車Taycan(タイカン)の最も強力なバージョンを最後に残しておいた。2022年型Porsche Taycan GTS(タイカンGTS)とそのワゴンスタイルTaycan GTS Sport Turismo(タイカンGTSスポーツツーリスモ)だ。

パワー、洗練されたスポーティなドライビング、そしてガソリンを使わない完全電動パワートレインを求める人たちのために、Taycan GTSとTaycan GTS Sport Turismoはどちらも、ハイテクとパワフルな性能を見事に融合させたものを用意している。そしてTechCrunchは最近、それを試乗する機会を得た。GTSは現在、Porscheが提供するすべてのモデルラインで提供されており、2022年型Porsche Taycan GTSとGTS Sport Turismoは、合計10種類のPorsche Taycanオファリングを締めくくるものとなる。

結論として、Sport Turismo GTSとそのセダンの姉妹車は、内燃機関から完全電動への移行を可能な限りスムーズに、シームレスに、そして信頼できるものにしたい顧客を惹きつけようとしている高級自動車メーカーにとって、ベンチマークとなるべきものである。もちろん、高級車であることの弊害もあり、Taycanとその数あるバリアントは、ほとんどの人にとって手の届かないところに位置している。

Porsche純粋主義者たちは、Taycanやそのバリアントがいかに「本物のPorsche」ではないかについて自らのナイフを研ぎ澄ます前に、EVが消費者の心にどう響いたかを考慮するかもしれない。2019年に初めて発表されたこの電気自動車は、同社にとって驚異的な販売成功を収めている。Porscheは2021年1月から9月の間にTaycanを2万8640台販売し、フラッグシップの911スポーツカーとPanamera(パナメーラ)をはじめ、718 Boxster(ボクスター)や718 Cayman(ケイマン)を上回った。なお、Porscheの最も人気のある2車種、Cayenne(カイエン)とMacan(マカン)は依然として販売台数でTaycanを凌いでいる。

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Taycanは2021年報告されたTesla(テスラ)のModel(モデル)3とYの販売台数には及ばないものの、今のところModel SとXの販売台数を上回っている。Teslaの報告によると、第3四半期末までのModel SとXの出荷台数は1万3214台であった。

この販売台数は、PorscheのTaycan開発への10億ドル(約1137億円)の投資が実を結んだことを示唆している。最新かつ究極の2つのバリアントに筆者が費やした時間は、この開発資金が適切に使われたことを実証している。2022年型Porsche Taycan GTSとTaycan GTS Sport Turismoは、特筆すべきスポーツセダンとワゴンだ。

Porsche Taycan GTS Sport Turismoで路上へ

Porscheは数週間前、LAオートショーの前のイベントで新しいTaycan GTSとSport Turismo GTSを発表した。そしてこのロサンゼルスとその周辺地域での発表のすぐ後に、私たちは両方のクルマの試乗時間を確保した。

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Taycan GTSとGTS Sport Turismoは、ライントップである670馬力のTurbo(ターボ)バリアントの下に位置する。Porscheによると、Taycan GTSは、590馬力と前後2つの永久磁石同期モーターからの626ポンドフィート(約849ニュートンメートル)のトルクにより、0-60マイル/時(約97キロメートル/時)をわずか3.5秒以内で加速することができるという。どちらのGTSも全輪駆動であるが、通常の駆動ではパワーバランスは後輪から推し進められる。

このリアモーターはPorsche Taycan Turboからのもので、これにより路上におけるGTSの俊敏性と応答性が向上するとPorscheは述べている。

両モデルとも、モーターは93.4キロワット時のバッテリーパックを搭載した800ボルトのアーキテクチャーを採用している。私たちがWalmart(ウォルマート)の駐車場にあるDC高速充電器で試したところ、5%のバッテリー電力をわずか22分で80%まで高速充電できた。

筆者は鮮やかな赤のTaycan GTS Sport Turismoで、ロサンゼルスのダウンタウンからウィロースプリングスまで片道約90マイル(約149キロメートル)をドライブし、曲がりくねったエンゼルクレスト・ハイウェイとヒューズ湖道路を通ってダウンタウンに戻った。

より重量のあるワゴンスタイルのGTS Sport Turismoは、その大きな旧式の背面があることについて想定を裏切らなかった。低い電子消費のRange(レンジ)設定からNormal(ノーマル)、Sport(スポーツ)、Sport +(スポーツプラス)、Individual(インディビジュアル)設定まで用意された多様なモードにより、機敏性、応答性、快適性がもたらされる。GTS Sport Turismoは、ラグジュアリーながら並外れたパワーを備えた電動ワゴンだ。

画像クレジット:Porsche

GTS Sport Turismoは、ウィロースプリングス近郊の2車線の幹線道路を走るときも、クレストで陽に灼けたコンクリートを超えて進むときも、PorscheがライントップのTurboと下位の4Sとの間に位置づけ「スイートスポット」と謳う呼び名を忠実に体現している。完全電動を牽引する人々の中でスポーツカーの気分を味わいたいという人に向けて、特別に仕立てられている。

Porscheは、Porsche Active Suspension Management System(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)の再基準化を行い、シャシーを再調整し、オプションのリアステアリングシステムとアダプティブアアンチロールバーを追加した。これに加えて、Taycan GTSとそのワゴンタイプの兄弟車には、ボタンタッチ操作により不透明から交互配列された層の多様な段階、透明へとパネルが変化する、巧妙なサンルーフがオプションで用意されている。このルーフは液晶をはさんだ2枚のガラスでできており、フル作動、つまり閉じられるとUVカットのグレーのパネルができあがる。

Porsche Taycan GTSのトラック体験

画像クレジット:Abigail Bassett

おそらくTaycan GTSの購入者の大半はそのセダンでトラックを走行することはないと思うが、それを実行するごく少数の人々にとっては、多くの感動があるだろう。Taycan GTSセダンは、ハッチバックスタイルではない4人乗りの十分なスペースと、Taycan GTS Sport Turismoのすべての機能を兼ね備えている。ビッグウィローのトラックをワゴンで走り回るのも正直楽しそうだが、その代わりに筆者は、Taycan GTSのセダンに30分間のリードフォロースティントで乗り込んだ。

Taycan GTSにはPorscheのTrack Precision app(トラックプレシジョンアプリ)が付属しており、同車両に装備されている新しいPCM 6.0システムと統合されている。スマートフォンのアプリをクルマに接続すると、スピードやブレーキ制動力、アクセルとブレーキのインプット情報など、トラックをどのように運転しているかに関する詳細なデータをリアルタイムで取得できる。スマートフォンをフロントガラスに装着すれば、スロットルインプットからステアリングアングル、ブレーキ圧までのすべてにアプリがマッピングする、トラックの1人称視点ビデオという付加的な特典が得られる。

ウィロースプリングスは、その古さと、ランドマークのないオフキャンバーのターンから、険しいトラックとして知られている。このトラックのフロントストレートで時速120マイル(約193キロメートル)まで加速したとき、Taycan GTSは一貫して高い接地性を維持した。Taycan GTSのより大きくなったフロントブレーキ(Sport Turismoも同様)は、勾配を登っていく一連のターンから見通しの悪いブラインドの左ターンまで、この電動セダンを扱いやすい速度にすばやく落とす際に力を発揮し、車両に接続感と正確さが感じられた。

Taycan GTSは速いというのは控えめな表現である。筆者は2021年9月にLamborghini Huracán STO(ランボルギーニ・ウラカンSTO)で初めてビッグウィローをドライブした。レーシングカーのドライバーであると自称するつもりはまったくないが、Porscheのアプリで記録したTaycan GTSセダンのラップタイムは、STOでのベストタイムからわずか4秒しかずれていなかった。しかもSTOはレーストラック用に特別に作られている。Taycan GTSがクローズドコースで走っている、と言えば十分だろう。

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Porsche Taycan GTS Sport Turismoの充電

画像クレジット:Abigail Bassett

トラックタイムを終えて、GTS Sport Turismoに再び乗り込み、ロサンゼルスのダウンタウンにもう一度向かった。その霧のかかった土曜日の朝、筆者はフル充電のバッテリーと235マイル(約378キロメートル)の航続距離でホテルを出発していた。

ウィロースプリングスに着いたとき、高速道路と峡谷の活気あるドライビングの後で車両は約130マイル(約209キロメートル)の航続距離を残していた。Race-Texが施されたステアリングホイール上でハンドルを切り替えながら、Range、Sport +、Individualの設定の間で片道90マイルのドライブのほとんどを過ごした。これらの設定はサスペンション、パワー、ステアリングの感触、そしてTaycan GTSで聞こえる合成音の「エンジン音」さえも調整してくれる。ステアリングの感触と乗り心地を別々に設定できるIndividual設定を筆者は好んで使っていた。

ロサンゼルスの交通量は絶え間なく、これは一部の電気自動車とその航続距離に課題を投げかけるものとなろう。筆者は約70マイル(約113キロメートル)の航続距離を残してバーバンクに入り、Electrify America(エレクトリファイ・アメリカ)の公共充電器でTaycan GTSに充電しようとPorscheが指定した経由地に立ち寄った。

土曜日の夜、店内は買い物客で埋め尽くされ、EV充電を求める人の数も多いようだった。DC高速充電器は1つしかなく、ジャーナリストの充電を補助するためにそこに配備されていたPorscheの担当者によると、充電器はほぼ終日使えなかったという。筆者が到着したときにはFord Mustang Mach-E(フォード・マスタングMach-E)がその場所で充電していたため、空いていた別の充電器にクルマを寄せた。EVオーナーにとっては驚くことではないのだが、その充電器は筆者のGTS Sport Turismoで起動しなかった。他にも3つの充電器を試した後、DC高速充電器に戻ってみると、奇跡のようにGTS Sport Turismoが接続され、わずか20分で25%から80%まで急速充電することができた。

これはPorscheではなくElectrify Americaの充電器に特有の問題であったが、Teslaとその専有のSupercharger(スーパーチャージャー)ネットワークに対抗する上でElectrify AmericaのDC高速充電器ネットワークを頼りにしている自動車メーカーにとって、間接的に問題となるものだ。その場所にあったElectrify Americaの複数の充電器で、筆者の運転していたクルマが認識されない状態が続いた。他のジャーナリストが充電に来た際も同様の問題を抱え、私たち全員が、機能する充電器を求めて、一連の電動バイクや電気自動車を交互に試していくことになった。

ユーザーエクスペリエンス

充電インフラの構築にはまだ多くの作業を要するが、Porscheのナビゲーションシステムにおける充電器の位置特定が、他の電気自動車メーカー(Teslaを除く)よりはるかに容易になったことは朗報と言えよう。

このシステムでは、利用可能な充電器を見つける方法が3つ用意されている。音声認識機能を使って充電器をリクエストすると、選択した充電器がナビゲーションシステムにポップアップ表示される。また、タッチスクリーンを使用して検索パラメーター(EV充電器のブランドや充電速度など)を設定し、近くにある充電器を検索することもできる。

最後の1つは、Porscheのアプリやインフォテインメントシステムのナビゲーションを使用して経路を設定すると、目的地に到着したときに残しておきたい充電量に基づいて、経路に沿って自動的に充電器が検出されるというものだ。筆者が運転したクルマは欧州仕様だったため、この設定を自分で試すことはできなかったが、トラックを走っていたセダンの1台に米国仕様の限定的な機能が搭載されており、Porscheの広報担当者がその手順を説明してくれた。

Porscheの新しいインフォテインメントスクリーンは、中央のスクリーンからこれらの機能にアクセスできることに加えて、助手席側にまで広がっており、同乗者は走行中に充電器を探したり、ステレオのインプットやステーションの変更、ナビゲーションなど、他にもさまざまなことを行える。ほとんどの自動車メーカーは、移動中に運転席と助手席の両方からこれらの機能にアクセスすることを制限しているが、そうした「機能」は、移動中に積極的なナビゲーションや場所の検索をしようとするときに実に腹立たしく思える。Taycan GTSとTaycan GTS Sport Turismoについてはそのようなことはない。クルマが走行中でも、運転者と同乗者の両方が、インフォテインメントシステム上の多くの機能とのインタラクションを続けられる。

2022年型Porsche Taycan GTSとTaycan GTS Sport Turismoは、2022年第2四半期までに11万ドル(約1252万円)強の価格で提供される。セダンは13万1400ドル(約1494万円)から、Sport Turismoは13万3300ドル(約1516万円)からという価格設定(納車費用は別途1350ドル[約15万3500円])となっている。まさにPorscheらしいスタイルで、ほぼすべてのものを好みに合わせてカスタマイズ可能である。どちらも洗練されたスリーパーパッケージで優れたパフォーマンスとスタイルを豊富に有しており、熱心なファンや搭乗者たちに技術と洗練さの絶妙なバランスを届ける。

2022年型Porsche Taycan GTSは、どのような形であっても、真に一目置かれるべき電気自動車である。

画像クレジット:Porsche

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】リモートワークの時代、Opalはウェブカメラの未来を垣間見せてくれる

2021年9月、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏はツイートに姿を変えた観測気球を送り出した。「私たちは密かにチーム(Apple、Beats、Uber出身)を支援し、消費者向けテクノロジーの忘れられた一角を復活させました」と776の創業者は書いている。「ベータ版は本日公開されましたが、その品質には目を見張るものがあります。ウェブカメラたち、2021年へようこそ」。

メッセージにはオープンボックスが付いていて、会社名を含むいくつかの識別情報にモザイクがかかっていた。その情報は、最終的にはそれほど難しくなく、レンズの縁の上の部分に会社名とプロダクト名であるOpal C1が白で印刷されていた。

反応は速かった。「shut up and take my money(いいから受け取ってくれ)のGIFアニメが流れた」。結局のところ、それは少なくとも1つの既知の量に裏打ちされたハンサムな装置だった。そして、さらに差し迫ったことに、それは事実上世界的に認められている技術的ペインポイントの頂点に達した。ウェブカメラたち、端的にいうと、吸引力があるね。

画像クレジット:Brian Heater

それは目新しいものではない。ウェブカメラがそれを吸い上げて解決しようというのも今に始まったことではない。それはつい最近まで、私たちが甘受してきたものに他ならない。しかし、CNN特派員のアパートをCrisco(クリスコ)のコートを通して480pで覗き見ることを50回も繰り返すうちに、世界の本質に疑問を抱くようになる。

もちろん、毎晩ケーブルニュースに出演してアップグレードを求める必要はない。Logitech(ロジクール)を買ったのかもしれないし、もしかしたらデジタル一眼レフの間に合わせとして何かにお金を使ったのかもしれない。どちらの場合も、最終的には巨大で未対応の市場が明らかになる。パンデミックが始まった当初は一瞬の出来事のように思われたかもしれないが、このすべてが終わったとしても、戻ってくるべき通常が実際にあるわけではないことは明白だ。

企業のオフィスがもたついている間に、私たちはリモートワークについての疑問のコーナーを曲がったようだ。すぐに例外というより規則的になり、多くの人が同じ質問をする。ウェブカメラが付いたiPhoneはあるか?とても単純なように思われる。スマートフォンの画像処理から得られたすべての知見を、停滞する市場に応用する。

左2020 iMac ウェブカメラ、右Opal C1(画像クレジット:Brian Heater)

Apple製はないようだ。少なくとも近い将来的には。Appleの功績は、まずM1チップのデジタル画像処理を行い、次に内蔵センサーをアップグレードしたことが挙げられる。しかし、多くの人にとって「良い」だけでは不十分である。それが事実上、Opalの創業者たちに彼らの道を歩ませた。

オハニアン氏のツイートが届いた時には、Opalは7カ月間C1に取り組んでいた。これは基本的にハードウェアのスタートアップ領域では一夜にして実現されるものだが、少なくとも、素敵なパッケージに収められた見栄えの良いハードウェアがあり、VCの神秘的な雰囲気が漂っていた。同社によると、現在1万6000人のウェイトリストを抱えているという。

「(反応は)圧倒的でした」と共同創業者兼プレジデントのStefan Sohlstrom(ステファン・ソールストロム)氏は語っている。「本当に喜ばしいことでした。私たちは自分たちが構築しているものについて最も強気な2人です。明らかに、市場が大きいだけではなく、それは明白なことですが、ニーズが非常に深いものであると感じていました。何百万人もの人々がこれを購入するということだけではありません。仕事のためにそうする人々にとって、重要な意味を持っています。これは人々が世界とコミュニケーションする方法なのです」。

画像クレジット:Brian Heater

Opalのジャーニーは2020年11月から正式に始まったが、それは素朴な疑問によるものだった。

「今日ウェブカメラを作るとするなら、iPhoneを可能な限りデジタル一眼レフに近づけるために利用できる技術にはどのようなものがあるでしょうか」と共同創業者でCEOのVeeraj Chugh(ヴィエラ・チュグ)氏は語る。「私たちは業界の人たちと話をしたり、ユーザーと話をしたり、以前競合他社で働いていた人たちと話をしたりして、多くの調査を行いました。圧倒的な反応は『それは存在すべきであり、その技術は以前のどのウェブカメラとも大きく異なって見える必要がある』というものでした」。

チームは2020年12月までに非公開のシードラウンドで資金を調達し、その1カ月後にはApple、Google(グーグル)、Magic Leap(マジック・リープ)などでの勤務経験を持つデザイナーとエンジニアからなるチームを立ち上げた。

その結果、7.8mm、4Kのソニーセンサーと、ビルトインのビームフォーミングマイクメッシュアレイを備えた、愛情を込めて作られた300ドル(約3万4000円)のハードウェアが完成した。これは間違いなく筆者がテストした中で最高の外観のウェブカメラだ。それ自体は大したことではないと認識しているが、筆者は毎日それをじっと見つめて何時間も過ごしてしまうほどであるから、注目してもいいかもしれない。

画像クレジット:Brian Heater

また、最終的には最も有能となる可能性もある。だがここでは、筆者のこのプロダクトの実地体験は、自身がこのベータ版テストを進める上で効果的な作用を及ぼしているということをお伝えしたい。Opalは、すぐに使えるプラグ&プレイ体験を目指している。そして、つい最近創立1周年を迎えたばかりの会社にとっては、その道のりは順調だ。

一般提供に向けて前進している中で、このプロダクトのレビューをより快適に感じられるようになるだろう。今のところ、他のプロダクトをレビューするよりもC1に長いリードを持たせることに満足している。エキサイティングな新会社のエキサイティングな新デバイスだ。問題を抱えていて、果たされていない約束もあるが、新しい会社の限定ベータ版に期待されるものが多かれ少なかれある。

M1 iMacのスクリーンの上部にあるデバイスが最終的なハードウェアとなる。一方、ソフトウェアはまだベータ版だ。筆者が受け取ったものは、本日から特定の顧客に展開され始めている。以下はOpalからのコメントである。

一般向けの出荷は2021年12月14日から開始されます。順番待ちのお客様は招待状を持ってカメラを購入することが可能です。私たちは、顧客満足度が期待を上回ることを確実にするために段階的にロールアウトを行っています。そこでポジティブな閾値を超え次第、数万単位で展開する予定です。

画像クレジット:Brian Heater

4Kはまだ運用されていない。「ほとんどのビデオ会議アプリと互換性がないため、4Kビデオを一時的に無効にしています」と同社は述べている。「まもなくより強力な警告を追加して再ローンチする予定で、サポートしているアプリケーションやビデオの録画などに利用できるようになります」。

デスクトップでベータ版のコントロールソフトウェアを開くとAudioタブがグレー表示される。前面のマイクアレイと背面のアンビエントマイクを使用することで、同社は将来的にいくつかの大きな計画を立てている。

私たちはノイズキャンセレーションをリードする市場の構築に注力しており、同じ学習を使ってスタジオサウンドと呼ばれるものを構築しています。スタジオサウンドを使用すると、500ドル(約5万7000円)のブームマイクなしで、プロのポッドキャストのようなサウンドを再生できます。ニューラルネットワークを介したMicMesh入力を使用することで、あなたのサウンドをプロ品質にすることができます。

このままだと音が良い。「良い」というのは仕事とミーティング的に良いという意味で、CNNに登場したりポッドキャストを録音したりするには良いとは言えない。これらのいずれかを行う場合は、専用のマイクが必要になるだろう。将来はどうなるかわからない。「スタジオサウンド」は標準的なものかもしれないし、プロが毎月のサービスパックの一部としてアンロックできるものかもしれない。ベータ版が好調な時期を迎えているが、まだ多くの疑問が残されている。

もう1つの疑問は、ユーザーに事前にどれだけのコントロールを与えるかということだ。当たり前のことのように思えるかもしれないが、画像の世界では、コントロールが多すぎると平均的なユーザーにとって必要以上に負担が大きくなる可能性がある。大多数のユーザーにとって理想的な妥協案は、すぐに使える高品質なもので、掘り下げた場合にはユーザーが手動で調整するというものだ。オートホワイトバランスとスキントーンは、いずれも同社にとって今後の課題である。

画像クレジット:Brian Heater

しかし全体的には、箱から出したイメージに満足している。あちこち微調整してみた。リングライトと窓からの自然な照明があれば役に立つが、それでも筆者は、欲しいものを手に入れるために設定をいじくり回している。

このカメラは、最近のスマートフォンのポートレートモードに似た人工的なボケ効果を利用している(ただし同社は自社開発だとしている)。とはいえ、スライダーは今のところ8分の1しかない。強すぎると、デプスカメラが搭載されていないため、耳や顔の横がぼやけてしまう。Opalによると、奥行きを出すためにステレオカメラを試してみたが、デバイスをタイムリーに世に出すためにそれを選ばなかったそうだ。

「結局のところ、ユーザーと話すときには『とにかく何でもいい。もうLogitechは扱えない』と言われます」とチュグ氏。「私たちにとってスピードは最も重要なものでした。本当に良いものを出荷できると感じたからです。優先順位をつけることについては、少し断固とした姿勢が必要です」。

C1の場合、光学ズームがないことも意味する。ウェブカメラにしては妙な不満のように思えるが、筆者はデジタル一眼レフのデスクトップ設定を使っているときに気に入った。画質を劣化させることなく、しっかりと切り抜くことができるのは非常に大きい。

画像クレジット:Brian Heater

「初代カメラでは、機械部品を増やせば増やすほど、サプライチェーン側と製造側のリスクが高まります」とソールストロム氏は説明する。「基本的には壊れることの方が多いです。Canon[キャノン]のレンズが完成するまでには50年もかかっています。それは将来的には間違いなく私たちにも実現の可能性があります」。

今のところ、このシステムは4Kセンサーのおかげで、画像を劣化させることなく1080pで2倍ズームできる。同社によると、理論的には20倍から30倍程度の処理が可能だが、画質はそれに応じて低下するという。筆者は創業者たちとのコールの中で、少し建設的なフィードバックを提供した。1つは、ストレートアップのズーム設定が欲しい。現時点で最も近いのはFacelock(フェイスロック)だ。これはAppleのCenter Stage(日本では「センターフレーム」)やFacebook(フェイスブック)、Google、Amazon(アマゾン)などのスマートディスプレイに似た機能である。

しかし、正直に言ってあまりにも敏感すぎるので、多少船酔いしてしまうかもしれない。将来のバージョンでは、ユーザーが感度を調整したり、単にズームインしたりできるようになることを期待している。これらはどちらも非常に簡単な修正だ。さらに大きな問題もある。「Google Hangouts(ハングアウト)」や「Zoom(ズーム)」といったアプリを見つけたが、カメラの電源を数回切ったり、ソフトウェアを再起動したりしなければならなかった。カメラはアクティブでなくても非常に熱くなる。同社はこれを、システムのオンボード処理と4K画像のダウンスケーリングの両方の問題だとしている。同社は上記の修正に取り組んでいる。

画像クレジット:Brian Heater

新しい会社が1年足らず前に作り始めたプロダクトとしては、比較的小さな欠点のように感じられる。人々にデジタル一眼レフから乗り換えるようにいうのはやめておこうと思う。特に仕事でビデオの品質が重要な場合は。しかし、ここには多くの可能性がある。C1は、マイクロファイバーのクロスとコイル状のUSB-Cケーブルが付いた磁気レンズキャップのようなタッチから、より複雑な加工まで、非常に思慮深いプロダクトだ。

これは確かにウェブカメラの未来のように感じられる。そこに辿り着くために対処すべき方策がまだ残されているとしても。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】Amazon Glow、本当に会話相手の存在を感じる小型プロジェクターは楽しいがまだ粗削り

私が困っているのは、テーブルの上のその黒い魔法の箱がときどき私の手を見失うことだ。

しかし、うちの三歳児はまったく平気だ。彼は、300km先にいる祖母がテーブルに置いた恐竜を何度も掃除機で吸い上げながら、息ができなくなるほど激しく笑い転げている。

とい何のことだかわからないだろうから、初めからお話しよう。

私たちは今、Amazon Glowで遊んでいる。新しいやつだ。わずか2年前にAmazon(アマゾン)が「Glow」と名づけたあれではない。

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タッチスクリーンが自立し、それにプロジェクターをくっつけた。それが乗るテーブルに、画像が投射される。カメラは2つ搭載され、1つは目の前にいる人を写し、もう1つはテーブルにあるその人の手の位置を追う。これにより、テーブルに投射される画像がタッチスクリーンになる。これがGlowだ。

画像クレジット:Amazon

Glowは子どもたちを遊ばせ、絵本を読ませ、遠くの家族や友だちなど限られた人たちとビデオチャットをさせるものだ。その際、スクリーンにはチャット相手が映っている。祖母などは、テーブル上の画像を自分のタブレットでそれを見る。祖母が彼女の本のページをめくると、子どもの本のページもめくられる。一方が何かを描くと、相手もそれが見られる。なお、Amazonは推奨年齢を「3歳以上」としているが、今の状態であれば、私なら「3歳から8歳まで」というだろう。

すべてが、Amazon Kids+を軸に構成されている。それはプライムとは別の有料サブスクリプションで、子どもの本やゲーム、映画、テレビ番組などを収集している。ただしGlowで観られる / 遊べるのは本と一部のゲームだけだ。それは正解だろう。動画を観ることができたら、うちの子は1日中BlippiのYouTubeを観ているだろう。Glowを買うと1年間Kids+が無料になる。その後はプライム会員なら月額3ドル(約340円)もしくは5ドル(約570円)となる。

本のチョイスはいい感じで、特に幼児向けが充実している。ゲームは神経衰弱やチェス、卓球ゲームのポンといったアーケードゲームなど、いずれも簡単な複数プレイができるものだ、お絵描きアプリは、自分が父のコンピューターの前に長時間座ってKid Pixで絵を描いていた頃のことを、強烈に思い出させる。今回それはディスプレイではなくテーブル上だが、我が子は遠く離れた州にいる祖母と一緒に絵を描いている。祖母が恐竜のステッカーをスクリーンに置くと、子どもは掃除機ツール(消しゴム)でそれを飲み込む。そして2人が笑う。そうやってスクリーンの掃除を100万回繰り返す。

子どもが話せる相手は、完全に親が決める。親もAmazonのアカウントが必要だ。そのセットアップには、相手によっては時間がかかるかもしれない。しかし、一度行えば二度やる必要はない。このような、ホワイトリスト方式は良いものだ。子どもが偶然、知らない人と話をすることがない。

確かにGlowは、パンデミックの申し子のようなデバイスだ。家族と直接会えないことが購入動機になるだろう。特に高齢者にとっては、人とリアルに会うことが今や自分の生死に関わることもある。

「でも、おばあちゃんとリモートで話したいだけなら読書アプリとFaceTimeで十分では?」と、思うかもしれない。

もちろん、そうだけど、しかしそれでも……。

Glowには、少々異なるとことがある。うちの子にとってそれは、FaceTimeやZoomなどとはまったく違うものだった。私も、そう感じる。

像クレジット:Greg Kumparak

その違いが、会話している相手の存在感を生み出しているのだろうか。Glowは通話中に、デバイス本体をあちこち動かさないためバッテリーがなく、壁からプラグを抜けば電源はオフになる。同じテーブルに座ってる誰かと話をしていて、ふと顔を上げると目の前にその人がスクリーンに映っている。お互いに相手の目と目、顔と顔を合わせているような感覚がある。コンピューターのディスプレイを見つめている感覚ではなく、むしろテーブルに座って一緒にボードゲームをしているような感じだ。

いずれにせよ、不思議なほど効果的だ。うちの子は通常、FaceTimeを使って5分ほど祖母と過ごす。自分のおもちゃを披露したりするが、急に違うことを始めたりする。今では、祖母と話したいかいと尋ねると彼は明確に「Glowしたい」という。「glow」を動詞として使う。彼は自ら喜んでGlowの前に座り、たっぷり1時間祖母と遊んだり本を読んだりする。バグなんか、気にしない。

そう。問題はバグだ。

Glowは、発売されたような、されてないような、ちょっと不思議な製品だ。Glowは、Amazonの「Day 1 Editions」プログラムの一部で、「まだベータ版のときに買うプロダクト」という意味の、より市場性の高い言い回しになっている。「invite(招待)」を申し込むと、Amazonはそれを購入する人を選び、選ばれた人は、Amazonが調整している間、少し早く使うことができる。Day 1プログラムの一環として購入する場合は250ドル(約2万8600円)で、それ以降は299ドル(約3万4200円)だ。

このような事業では、バグも主役だ。そして2021年末現在のGlowにも、バグはある。タッチが検出されないいことが頻繁にある。子どもが長袖を着ていると、余計ひどいようだ。混乱すると「KLONK」という音がしてエラーを吐く。誰に対しても! 本やゲームはロードできないことがときどきある。ランダムにリセットが起きる。

このようなプログラムでは、バグはつきものだ。2021年末に発売される「Glow」にも、そのようなバグがある。タッチの検出に失敗することがやや多く(子供が長袖を着ているときは特に)、混乱すると「KLONK」という音を出してエラーになる(どちらのユーザーも!)。本やゲームの読み込みに失敗することもある。そしてときどきランダムにリセットされる。

また、バグというよりもただ粗削りな部分もある。例えば、こんな感じだ。

  • Glowのスクリーンに映る通話相手は、なぜか上の写真のように顔半分が切れてしまうことが多い。これは、グローの画面がポートレート(縦長)モードであるのに対し、通話相手は一般的にランドスケープ(横長)モードであるためと思われる。一方、通話をしてきた人は、自分の顔はほとんど見えず、子供の顔と、子供が見ているものが映し出されるだけなので、それが起きていることに気づかない。最初は、その人がタブレットの置き方を知らないだけだと思っていた。その後、別の人でも同じことが起こった。別の部屋から子供をGlowで呼び出したら、3分くらいで顔が切れてしまって、妻に笑われてしまった。Amazonは、このような事態を想定して、「センターフレーム」のような顔追従機能を組み込むべきだろう。
  • Amazon Kid’sのライブラリーには、文字が小さすぎて読みにくい本がたくさんある。Bubble(バブル)モードというのがあり、これは自動的に文字を拡大して読みやすくしようとするが、邪魔になることも多い。また、このモードが勝手に切り替わることもあり、初めて目にしたユーザーはとまどってしまうだろう。
  • UIは全体的に遅かったり、フォーマットがおかしい。。

いずれも簡単に修正できそうなものなので、Amazonには期待したい。もっとブラッシュアップして、今後コンテンツが増えれば、Glowは本当にすてきでかわいいデバイスだ。しかし現状では、どれだけ愛されるだろうか。我が家で数週間使ってみたが、その間にパッチはあったのだろうか。よくわからない。

しかしそれでも、愛すべき点は多い。プロジェクターでテーブルに映し出されるスクリーンは明るくてきれいだ。白いマットが巻かれた状態で同梱されており、それを使うと明るさと手触りがさらに良くなる。これを使うために部屋の灯りを調節したことはない。セットアップはとても早くすぐに使えるし、手早くしまえる。箱は、良くできた耐久性の高いケースにもなる。Amazonはこういったポイントもしっかり考えたのだろう。未使用時のための、プライバシー保護用の物理的なカメラカバーもある。壊れたときの修理は最初の2年間無料だ。子どもはモノを壊す動物だから、このポリシーもいい。

しかし、これらはどれも子どもには関係ないことだ。彼らは掃除機でもっとたくさんの恐竜を吸い込みたいだけだ。

私のこのレビューを、簡単な問いで終えよう。このレビュー機をAmazonに返却後、果たして私はGlowを買うだろうか?今回の場合、すでに買ってしまった(詳しくいうと、購入の招待状をリクエストした)。「おばあちゃんとglowできなくなる」と子どもはすごく落ち込むだろう。そして、彼が祖父母と話をしているときの、Glow独特の話し相手の「存在感」が気に入った。

あなたはどうだろう?あなたの子どもがすでに祖父母とのFaceTimeで満足しているなら、買わなくてもよいかもしれない。本やお絵描きや簡単なゲームに関心を示さないなら、やはりいらないだろう。この製品の、そしてAmazonの製品開発努力を手伝い、いくつかのバグを我慢する気がないのであればやはり難しいだろう。しかしAmazon Glowは、おもしろそう、良さそうと感じた人にとっては、とても楽しい製品だ。

画像クレジット:Amazon

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【レビュー】Mevo Multicamは手ごろですばらしいライブ配信スタジオだ……必要なのは「それを信じる」ことだけ

Mevo Multicam Appと3つのカメラがセットになったMevo Start 3パックは999ドル(約11万4000円)。これに良い照明と適当なマイクを加えれば、2000ドル(約22万8000円)以下でフルマルチカムのストリーミングセットアップが完成する。数年前ではまったく考えられなかったことだ……人類の進歩は驚くべきことだとしみじみ思う。これにしっかりとしたインターネット接続を追加すれば、このキットよりも2桁は高価な機器を満載した衛星中継車の中核的な機能が再現される。

プロの放送局のニュースクルーがMevo Startキットを使うことはできるだろうか。それは難しいだろう。もっと高い信頼性と冗長性、そして生放送のニュースレポーターのニーズに対応した機器が必要だ。しかし、同じ問題を別の視点で考えてみると、非常にわかりやすくなる。

例えば、ユーチューバーが自分のスキルを発揮したいと思ったらどうだろう?ウェブカメラとOBS(録画とライブ配信用のアプリ)を組み合わせてライブ配信を行っている人なら、もっと簡単に分解・再構築できるセットが欲しいと思うかもしれない。Twitchで音楽配信をしていたり、自分のバンドで何度かライブ配信したことがあったり、マルチカメラを使ったライブ配信の腕を上げたいと考えている人も、さまざまな会場で行われるイベントのライブ配信を始めたいと思っている人もいるだろう。この場合、Mevo Start 3パックは俄然お買い得に思える。何よりも、最初にセットアップしてしまえば、分解して再度組み立てるのも簡単だ。

少なくとも理論上は良い話だ。しかし、少しリラックスして考えてみよう。本当にこれだけのことができるのだろうか?

テクニカルレビュアーは時として不可能といってもいい課題に直面する。自分の用途ではない製品をどうやってレビューするのか、その製品が対象とするユーザーに適しているかどうかについて、どうしたら有意義なレビューをすることができるのか。Logitech for Creators(ロジテックフォークリエイターズ)のMevo MulticamアプリとMevo Start 3パックは、まさにそのような製品の1つだ。筆者はTwitchやYouTube、Facebookのストリーマーではないが、放送ジャーナリズムを中心としたジャーナリズムの学位を取得している。ニュースキャスターやテレビの生中継レポーターとして訓練を受けたことが懐かしい。BBCニュースの衛星中継車では(文字通り)熱い時間を過ごした。テレビのプロデューサーだったこともある。

問題は、ある業界で専門的な経験を積むと、普通の人とは異なる期待を持って製品に臨むようになることである。BBCに在籍していたときは、生放送中に衛星への信号がほんの一瞬落ちただけでも、ニュースルームの送受信センターにとって信じられないほどのストレスだった。一方で、端的にいえば、このキットは何百万、何千万もの人々にニュース速報を伝えるための中継車1台分の機材を置き換えるためにデザインされたものではない。ユーチューバーに使ってもらうためのものだ。

Mevo Multicamアプリは、マルチカメラを使用したライブ配信のコントロールセンターとして機能する。エレガントなすばらしい方法でマルチカメラストリーミングを行うことができる(画像クレジット:Haje Kamps for TechCrunch)

理論上はMevo Startは非常に良いアイデアのように思える。しかし、これはMevo Startが完ぺきという意味ではない。Mevo Startは明らかに、薄暗いクラブハウスでカメラ機材のセットアップに長い時間を費やしたことのない人によって設計され、その製品チームはMevo Startキットのセットアップと解体を連続して30回行うことを要求されていない。もしそうなら、製品の仕上がりに大きな影響を与えるほんの少しだけ異なる判断をしていただろう。

例えば、カメラの電源ボタンについては実に愚かだ。電源ボタンはゴム製ではあるものの、ボディに対して凹凸がなく、触っただけではどこがボタンかわからない。さらに悪いことに、マットブラックのボディに対して電源ボタンもマットブラックだ。暗闇の中で、何人ものミュージシャンに囲まれながらカメラを設置しようとしたらどうなるかを考えてみたらいい。公平を期すためにいえば、これは製品設計上よくあることである。CADで設計され、明るいハードウェアラボでテストされた製品を、誰かが「カメラが使用されるであろうユースケースに合わせて調整しよう」と考えるのが遅すぎたのだ。

カメラの背面:電源用のUSB-Cポート、ローカルレコーディング用のMicroSDカードスロット、マイク入力、そして暗闇の中では非常に見つけにくい電源ボタンがある(画像クレジット:Haje Kamps for TechCrunch)

デザイン上の特徴を1つだけ殊更に強調するのは申し訳ないとは思うが、電源ボタンはカメラの唯一のボタンであるので重要なことだ。電源ボタンが簡単には押せず、かなりの力で押さなければならない、という点はすばらしい。ライブ配信中の事故は絶対に避けたいものだが、誤って電源ボタンを押してしまうのを防ぐことができる。一方で、ライブ配信のために急いで何かを設定しようとすると、両手がふさがってしまう。筆者の場合、片手はマイクや他の機材でふさがっていて、常に片手でカメラの電源を入れたり切ったりする必要があった。(電源ボタンがかたいということは)つまり、カメラの電源ボタンを押すときには、電源ボタンの反対側の同じ位置をつかんでカメラを固定しないと力が入らない、ということである。残念ながら、電源ボタンを押す際、力をいれようとすると自然にレンズもつかんでしまうということになる。カメラの中で唯一指紋をつけてはならないのがレンズなのだが。

片手でカメラの電源を入れたり切ったりするには、このようにカメラを持つしかない。人差し指は電源ボタンを押しているが、親指はどうだ?次にやるべきことは、レンズについた親指の指紋を消すことか?(画像クレジット:Haje Kamps for TechCrunch)

電源ボタンはさておき、このカメラにはスマートなデザインも多くみられる。迷光を防ぐためにドーム型のレンズの上には小さなひさしがあり、レンズフレアの軽減に大いに役立っている。カメラ底部の三脚穴は取り外し可能で、穴の径を変えればカメラをマイクやライトスタンドに取り付けることができる。カメラ前面のライトLEDは、スタンバイ中のカメラを示す緑のLEDと、実際に撮影中であることを示す赤のLEDで構成されている。カメラにはバッテリーが内蔵されているので、電源がなくてもライブ配信を開始することが可能。外出先でのライブ配信にも適している。これらはすべて、非常に考え抜かれた機能である。

しかしながら、カメラのセットアップには非常に苦労した。3台とも使用する前にファームウェアのアップグレードが必要だった。もしかしたら筆者がAndroidデバイスを使用しているのが原因で、iOSのアプリの方がこなれているのかもしれないが、判読不能なエラーメッセージが表示されて完了までに何時間もかかった。最終的には使えるようになったものの、スマートフォンを6回も再起動する羽目になった。そのうち1回は最初に各カメラに接続するため、もう1回はファームウェアのアップグレードの失敗からリカバリーするためだ。

ファームウェアの問題が発生したことを受けて、筆者はMevoのプレスチームに連絡をしてみた。彼らは開発チームに連絡してカメラが動作するようサポートと提案してくれた。筆者はこれについて検討したが、その申し出は断ることにした。ハードウェアレビュアーとしては、製品の開発に携わった人と電話で話すことができるというメリットがあるが、消費者としては、このようなことは期待できない方が多い。

もし自分で使うためにこのカメラを購入していたなら、この時点で返品していたと思う。筆者はハードウェアのレビューを長年担当してきたが、レビューを始める前にスマートフォンを6回も再起動しなければならないような製品をテストしたことはない。数日間あきらめて、やっと重い腰を上げてカメラを本格的に試そうとしたら、またファームウェアのアップグレードがあった。今回は比較的スムーズに作業を進めることができたが、数週間のうちに2回もカメラのファームウェアをアップデートしなければならないというのは決して心強いとはいえない。

問題の核心は「信頼性」にある。製品の中には、2回、3回うまくいかなくても問題のないものがたくさんある。例えば、Google Nest Thermostatの温度を変更しようとして、最初はうまくいかなかったとしても、それはそれで問題ない。もう一度やってみる、うまくいく。それでOKだ。しかしながら、ライブ配信はエアコンをつけるようなものではない。数千人の人々がライブを観ている場合はストレスレベルが上がり、小さな技術的な問題であっても、とてつもないストレスとなる可能性がある。私の感覚は、何百万、何千万もの視聴者が観ているかもしれない衛星回線のライブや、現場からのライブレポートがニュースルームに届かずに台無しになってしまうテレビの生放送なので、おそらく他のライブストリーマーは、筆者のように技術的な問題に敏感ではないのだろう。

取り外し可能な三脚穴のデザインはありがたい。ネジは照明スタンドのサイズと三脚のサイズの2つ。ネジを外すとマイクスタンドのネジのサイズになる。非常によくできた仕組みだ。ボディに指紋がつきやすいのは指摘しておくべきだろうが、機能的には問題ない(画像クレジット:Haje Kamps for TechCrunch)

製品を完全にセットアップできたら、製品が輝くチャンス到来だ。カメラを操作するMevoのアプリは非常に優れている。Mevo Multicamアプリでは、1台のカメラで撮影を準備し、カメラ間でフェードイン / アウトすることができる。また、ズームインやオーバーレイの使用、さらにはデジタルパンニングも可能だ。基本的には非常にシンプルなセットアップでありながら、非常にパワフルな結果を生み出すことができる。

セットアップのプロセスについては不満を並べたが、それはここで打ち切るべきだろう。筆者はこのカメラをさまざまな場面でテストしたが、一度も期待を裏切られることはなかった。問題も起きなかったし、バッファリングし続けることも、遅延、切断もなかった。

マルチカメラによるストリーミングは、創作活動、音楽ライブ、実写イベントなどに最適である。Mevo Startは、小さなボディに驚くべき価値を秘めている(画像クレジット:Haje Kamps for TechCrunch)

問題は、筆者がこのカメラを完全に信頼することができなかったことであり、結果として筆者が担当するライブ配信にこのカメラを使用することはおそらくないだろう、ということだ。3台のカメラを用意して、もらったばかりの子猫たちが遊んでいる様子をライブ配信するか?もちろん、見応えのある愛らしい映像になると思う。友人が地元のバーで行う音楽ライブの様子を、何十人かのライブ配信愛好家に向けてライブ配信する際は利用するだろうか?おそらく「No」だ。ストレスレベルが高すぎる。長時間なんの問題なくライブ配信して初めて、重要な撮影にこのカメラを使ってもいいと思えるだけの信頼を置けるかどうか、といったところだ

ここに難問がある。ライブ配信は非常に危険で高ストレスなものなので、自分の機材を信頼できると感じることが重要である。私がこれまでにレビューした製品の中でも、Mevoのカメラは信頼という点で最悪のデバイスだ。とはいえ、逆もまた真なりだ。というのは、レビュアーという仕事では、ファームウェアの初期バージョンや、まだ本領を発揮していないソフトウェアを目にすることもある。Mevoは、このレビューで見つかった問題を解決してくれるかもしれないし、3カ月後、6カ月後にはカメラはすばらしいものになっているかもしれない。筆者は喜んでそれを受け入れよう。

少なくとも理論的には、マルチカメラにチャレンジしたいと考えているライブストリーマーにとって、Mevo Start 3パックは費用対効果の高い、完ぺきに近いソリューションとなるはずだ。この製品がおすすめできるかどうかは、数カ月後に再検討したいと思う。

画像クレジット:Haje Kamps for TechCrunch

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】邪魔にならない、スマートリング「Oura Ring」第3世代モデル

Oura Ringについて、誤った意見を持っていたことを認めざるを得ない。筆者はこのデバイスをApple Watchの代替品として考えていた。ざっくりいえばその通りだが……ほとんどの人がどちらか一方を選択するだろう。活動量計2つは多すぎるし、コスト的にも難しい。299ドル(約3万4000円)あればスマートウォッチが1つ買える。

また、この第3世代からOura Ringには月額6ドル(約700円)のサブスクリプションが追加される(6カ月の無料期間あり)。サブスクリプションには新しい機能も追加されているが、これまで無料だった機能まで有料になる。Oura Ring 3はまさに「投資」だが、スマートウォッチではない。

Oura Ring 3はどちらかといえばフィットネスバンドを後継する製品だ。最近はフィットネスバンドの話をあまり聞かないが、Appleがウェアラブル市場に参入する前は、フィットネスバンドがこの市場を完全に支配していた。Fitbit(フィットビット)やXiaomi(シャオミ)のような企業は今でも毎年大量にフィットネスバンドを販売しているが、同種の、さらに機能が充実した製品に押されてもはや時代遅れになってしまった。しかしながら、Oura Ringをフィットネスバンド(あるいはヘルスバンド)として考えてみると、その意味がわかるようになる。

画像クレジット:Brian Heater

Oura Ringは、いうなれば受動的なデバイスだ。ブザーやビープ音が鳴り、常に注意を向けなければならないデバイスではない。装着しておくだけのデバイスで、活動のリマインダーなど、あらかじめ設定された小さな刺激がある以外はほとんど無視できる。実際その通りなのだ。フィットネスバンドにはディスプレイがあったりなかったりするが、リングという形状はスペース的に非常に大きく制限される。

それを逆手に取り、Oura Ringは邪魔にならないように設計されている。リングで収集された睡眠、健康、フィットネスの実用的なデータは、後から接続済みのモバイルアプリで見ることができる。それこそがOura Ringのセールスポイントだ。リングという形状はフィットネスバンドよりも邪魔にならないようにすることができる。このタイプの最初の製品であるMotiv(モーティブ)のリングはそれが魅力だった。Motivはその後フィットネスカテゴリーから離れていったようだが、Ouraがその後を引き継いだ。

画像クレジット:Brian Heater

先に進む前に告白しておこう。筆者はリング的なものが好きではないので、身につけることもない(締め付けないでくれ、といったところだ)。これはOura Ringを使わない大きな理由の1つだが、正直なところスマートウォッチに愛着もある。とはいえ、ここ2週間はOura Ring 3を装着している。製品をレビューするにあたり、Oura(オウラ)に提案、というか控えめに要求されたのだ。

筆者はこの提案を不思議に思った。ハードウェアをレビューする際、できるだけ長く製品を試して欲しいと思うのは一般的だ。時としていうは易く行うは難しだが。しかし同社は、ある種の基準となる測定を行うために2週間使ってくれと主張する。最初の2週間の測定値が悪いということではなく、少しの間デバイスを装着し、Ouraがユーザーの習慣、睡眠、生体認証をより明確に把握するとより良い結果が得られるということらしい。

私たちはそれぞれが異なる個性を持っているので、どのような種類の健康器具にとってもカスタマイズは重要だ。299ドルのリングを購入しようとするユーザーには賛同してもらえると思う。付けていてもあまり影響はないので装着し続けるのも難しくはない。繰り返しにはなるが、リングが好きではなく、寝不足気味の筆者にとっては慣れるまでに多少時間がかかった。それでも大きくてかさばるスマートウォッチを装着したままにするよりも楽だった。睡眠の邪魔になる睡眠トラッキングデバイス、というのも皮肉なものだが、Oura Ringはそれには該当しない。

Oura Ringはリングであるが故に快適だ。リングが好きでなくても、単に身体に触れる面積が小さいだけで侵襲性が低い(影響が少ない)。デザインは前作とほとんど変わらず、丸い単色のメタルバンドだが、上下を示すために上部は平らになっている。

画像クレジット:Brian Heater

自分の指輪のサイズがわからない場合は、プラスチック製のダミーリングが多数入ったサイズ調整キットが送られてくる。Warby Parker(ワービー・パーカー、気になるメガネを自宅で試着できるサービスを展開)みたいだ。人間の指は日中でもサイズが変わるから、1つのリングを丸一日装着することが推奨される。サイズとカラー(筆者はマットブラックを選択)を選び、製品を待つ。実際のリングはプラスチック製のダミーよりも少しゆるい気がしたが、問題なく装着できた。そして日を追うごとにフィット感が増していくように感じられた。

一見すると普通のリングのように見え、それが実に魅力的である。しかし、心拍数の計測時にはリングの内側から緑の光が見えてしまうことがある。発売当初に搭載されたいくつかの新機能の中には日中の心拍数モニターがあり、(筆者が使う機会はなかったが)生理日予測や温度感知機能も改善されている。これらの新機能だけを見ても、第3世代は第2世代よりも進化していることがわかる。

関連記事:Oura Ringは今の時代を生き抜くための指輪型健康トラッカー、睡眠分析機能はwatchOS 7を凌ぐ

2021年から2022年にかけて搭載される予定の機能は、瞑想や呼吸法などの新コンテンツ、ワークアウト時の心拍数モニター、より正確な睡眠ステージング、動脈血酸素飽和度(SpO2)測定など、盛りだくさんだ。最後のSpO2測定機能については、導入が遅れたとしてもまったく不思議ではない。発売後に重要なヘルスセンシング機能を追加するのはOuraだけではない。Ouraの場合は、(少なくとも今のところ)米国食品医薬品局(FDA)の承認の問題ではなく、実装の問題だ。

Samsung(サムスン)やApple(アップル)でもなければこの種の機能をきちんと実装するのは難しいだろうが、今後の予定となっている機能は数多くあり、多くの潜在ユーザーが「なぜOuraはより完全に機能を実現した製品まで待たなかったのか」と思うことだろう。筆者は、これはベースとなるハードウェアを提供し、製品の耐用年数が尽きるまで機能の改善と展開を続けることを約束する、という熟慮された戦略の一環なのではないかという考えに至った。

Ouraがこの製品に対して長期的な目標を持っていることは間違いない。同社が参加した数多くの研究に目を向けてみよう。同社のブログをざっと見ただけでも、うつ病、スマートフォンの使用が睡眠に与える影響、海底環境への適応など、あらゆる研究が紹介されている。すべてが解明されるわけではないとはいえ、ほとんど(または多く)が今までにない、新しい機能につながると思われるが、少なくとも、センサーを使用するとどれだけ正確にモニター / 予測できるかについては興味深い洞察が載っている。特に、これらの研究では指と手首で心拍数などを測定する際の精度が明らかになっているようだ。

結局、筆者はワークアウトのトラッキングにはApple Watchのような手首に装着するタイプのトラッカーの方が好みだが、この2つを組み合わせることで自分の活動の全体像を知ることができた。とはいえ、誰もができる方法ではないし、皆が希望するものでもないことは承知している。Oura Ringが従来のトラッカーと比較しても結果的に成功しているのは、Ouraが実用的な分析情報にフォーカスしているからだ。だからこそ、Oura Ringの効果を判断する前に基準を決めることにこだわるのだろう。

画像クレジット:Brian Heater

この手のデバイスでは、回復(リカバリー)や準備状態(レディネス)といったものが見落とされがちだが、Ouraは後者について次のように説明している。

レディネスはOuraのメインスコアであり、あなたのためだけに設計され、何があなたの身体とライフスタイルに合っているのかを認識できるようにします。レディネスは、最近の活動、睡眠パターン、身体に負担がかかっているかどうかを示す直接的な身体のシグナル(安静時心拍数、心拍変動、体温など)を考慮した、あなたの健康の全体像です。

実際上は、収集したすべての指標を使用して十分にリカバリーできているかを判断する。筆者にとってはリカバリータイム(身体が次のトレーニングに適した状態になるまでの時間)が常に要注意だった……まあそれはおいておこう。筆者はワークアウトとワークアウトの間に身体を回復させることができたし、もっと上手くやるべきだった。赤の「Pay attention(注意)」が示しているように、確かに改善すべきポイントだった。

画像クレジット:Brian Heater

もう1つ注目すべきは睡眠だ。「ホーム」タブをタップすると「昨日の夜、心拍数が低下したので、まだ完全には回復していないかもしれません。身体の充電のために、今日はゆっくりしてみませんか?」と表示される。例えば、(筆者は朝に瞑想をしているが)朝ではなく夜に瞑想したり、寝る前に呼吸法を行ったりする方が、イヤフォンで音楽を聴きながらTwitterでネガティブ情報ばかり追ってしまうよりも良い睡眠が得られる(実際筆者の睡眠の質は悪い)というのは明らかだろう。

しかし、日々の仕事に追われているとこの事実は見失いがちである。筆者は常々、ウェアラブルデバイスの利点は指に結んだ紐と同じように気にならないことであり、過小評価されていて議論もされていないと発言している。このテクノロジーは、マインドフルネスをもたらし、そもそもなぜ投資をしたのかを思い出させてくれる。私たちがこれらの製品を購入するのは、自分自身を改善したいからである。ともすればテクノロジーが真逆のことをしてしまう現在、ウェアラブルのテクノロジーによるポジティブな補強はネット・ポジティブ(差し引きプラス)だ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】Urtopiaのeバイクはまるで車輪付きコンピューター

自転車の電動化といえば、これまでは単に「自転車に電動モーターを搭載したもの」を意味していた。上位モデルには、便利な機能がいくつも搭載されているかもしれないが、基本的には「シンプル・イズ・ベスト」とされていた。しかし、中国を拠点とする最新のeバイク(電動アシスト付きスポーツ自転車)ブランドUrtopia(ユートピア)の考えは違う。そのデビューモデルは、これまで見てきた中でも最もハイテク仕様のeバイクの1つであり、そのスペックシートは、次世代eバイクというよりも、まるでスマートフォンのようだ。

例えば、3段階のライディングアシスト機能を備え、推定航続距離は30~80マイル(50~130キロメートル)とされる250Wのハブモーターの他、ドットマトリックスディスプレイ、指紋リーダー、GPS、4G通信(eSIM利用)、車両検知用のミリ波センサー、内蔵アラームなど、数々の機能が搭載されている。

バイク自体は、2021年最も先進的なテクノロジーを備えたモデルであることを隠すことなく、印象的な美しさを放つ。BMW(ビーエムダブリュー)やIKEA(イケア)などでのキャリアを持つMathis Heller(マティス・ヘラー)氏がデザインした、滑らかな曲線とレーシングラインのフレームが特徴的だ。また、すべてのワイヤーをフレーム内部に隠すことで、ステルス爆撃機のような外観を実現している。ユートピアはシティサイクルとして売り込まれており、取り外し可能なバッテリーは目立たないものの、単なる足漕ぎ自転車ではないことは一目瞭然だ。

このバイクが届いたとき、筆者は組み立てるのが不安だった。これまでの経験から、複雑ではなくとも、セットアップのために、それなりの時間と場所を確保する必要があると考えたためだ。しかし実際には、筆者が試したプロトタイプモデルでは、前輪を装着し、ポンプでタイヤに空気を入れるだけで、問題なく使用できた。

画像クレジット:James Trew / Engadget

ガジェットファンにとっての魅力は、間違いなく「スマートバー」と呼ばれるハンドルバーに内蔵されたオンボードコンピューターだろう。ハンドル中央に据えられたドットマトリックスディスプレイは、まさに「未来から来たバイク」という雰囲気を醸し出している。また、ハンドル右側の通常ベルがある位置には、コンピューターをいくつかの方法で操作するための指紋リーダーがある(デジタルベルでもある)。そして、左側には4方向のDパッド(十字キー)があり、モードや設定を変更したり、バイクの電源をオンにしたりできる(オフにはできないが、これについては後述する)。

スマートな機能が数多く列挙されているが、筆者の試用のために送ってもらった試作機では、そのすべてを試すことは出来なかった。ミリ波センサーのハードウェアは実装されているものの、それを起動する方法がない。また、GPSとeSIMの動作にはコンパニオンアプリが必要だが、これもまだ用意されていない。残念ながら、これらの非常に興味深い機能については、今後の状況を見守る必要があるが、その他のほとんどの機能は正常に動作している。

興味深い機能の前に、パワー、スピード、距離などのeバイクとしての基本的な機能について見ていくと、これまでに筆者が試乗した他のハブモーターバイクと同等であるように感じた。例えば、最近テストしたTenways(テンウェイズ)のシティサイクルは、250Whのバッテリーと250Wのモーターを搭載している。対するユートピアのバッテリーセルは360Whだ。しかし、どちらも250Wトルクベースのブラシレスハブモーター、および同じGates(ゲイツ)製のカーボンベルトを使用している。

バイクの電源を入れると、さらにエキサイティングなことが起こる。スマートバーのスピーカーからは「ビューン」という音が聞こえ、ディスプレイに会社のロゴが表示された後、デフォルトのスピードメーター表示に戻る。一部のサウンドはユーザーが設定できるようになっているとのことだが、それにはサウンドをオフにするオプションも含まれていることを期待する。まず乗る前には、操作方法に慣れておきたいものだ。Dパッドを上下に動かすと、アシスタンスレベルが切り替わる。アシスタンスレベルには「ペダル」「エコ」「コンフォート」「スポーツ」のモードがあり、スロットルモードに相当する「ターボ」モードもある。

ユートピアのeバイクは、方向指示を地面に投影する。

画像クレジット:James Trew / Engadget

Dパッドを左右にタップすれば、方向指示が地面に投影される(ライトが点灯しているときは点灯したままだが、左右に曲がり始めると点滅に変わる)。しかし、実際にライトを点灯させるためには、バイクに話しかける必要がある。つまり、手動での操作はできず、音声でのみ操作ができるということだ。

ここからが少しおかしな点だが、ユートピアはプレス資料の中で、音声認識システムは完全には「学習」していないと警告している。しかし、筆者の場合は完璧に動作した。もしかしたら、くもった声のイギリス人でしか学習していないのだろうか。とにかく、ライトを点灯させるには、指紋リーダーに指を置き少し待つと、ディスプレイに顔のアイコンが表示され、Knight Rider(ナイトライダー)のMichael Knight(マイケル・ナイト)のようにコマンドを発することができるのを知らせてくれる。これはすばらしいことだが、それでもやはり、公共の場で自転車に話しかける必要がないように、物理的なスイッチが欲しいところだ。また、特に走行中は風の音などでスマートバーに声が届きにくくなることもある。そのため、ちょっと立ち止まったり、ハンドルに顔を寄せて走ることになるが、どちらもあまりエレガントとはいえない。

現在、音声で操作できるものは、アシストモードの変更、バイクのロック、方向指示、スマートバーの音量変更などだ。これらのうち、音量(とライト)以外は、物理的な操作も可能だ。音声での操作は、ハンズフリーの選択肢を提供する気の利いたアイデアだが、実際には、ボタンを押すだけの操作よりもどれほど便利なものかは疑問だ。

また、必ずしもテクノロジーが行き届いていないと感じる機能としてベルがある。このバイクでは、指紋リーダーに内蔵されており、指紋リーダーを長押しすると音声認識が作動し、短押しすると「リンリン」というデジタル音が鳴る。機能はするのだが、物理的なベルのように反応がよいわけではない。人の後ろから近づいていったとき、自分の存在を知らせたいと思って指紋リーダーを押しても、すれ違ってから0.5秒後にベルが鳴るということもあった。また、ベルを鳴らすために2、3回押してみなければならないこともあった。

画像クレジット:James Trew / Engadget

アラームの使用感についても、少し改善の余地がある。自転車を「ロック」した状態で離れたときに、誰かが動かすとアラーム音が鳴るというアイデアは気に入っている。問題は、ユートピアをロックしている間はいつでもこの機能が働くということだ。基本的に「ロック」とは「スタンバイ」であり、バッテリーを接続するとすぐに自転車がこのモードになることを知るまではこの問題に気づかない。つまり、バッテリーを接続した後、バイクを玄関から運び出そうとすると、アラームが鳴ってしまうのだ。

これを簡単に止める方法はあるが、完全に解決するというわけではない。eバイクの電源を入れれば、アラームは解除される。公正な立場でいえば、これはプロトタイプであるがゆえの不完全さだ。製品モデルでは、指紋センサーやコンパニオンアプリでアラームを無効にすることができるとのことだが、筆者がテストしているバイクでは確認できない。現時点では、バッテリーを取り外す以外にこのeバイクの電源を切る方法はないが、これらの不備が発売までに解消されることを祈っている。筆者はユートピアの担当者にそういった計画について訪ね、その予定であることを確認した。

さて、技術的な話はさておき、実際の乗り心地はどうなのだろうか。座ったときの姿勢は、一般的なシティサイクルのような直立姿勢ではなく、ロードレーサーのような前傾姿勢になる。Velo(ベロ)のサドルはかなり硬く、ゲルクッションが施されているようには見えず、もう少しお尻に優しい方がよいかもしれないが、中・長距離ライドをしても快適だった。最長で11マイル(約18キロメートル)走ったが、まだまだ走れると感じた。

ペダルモードでは、このタイプのハブでありがちなモーターからの気になる抵抗はない。カーボンファイバー製のボディのおかげで、13kg、30ポンドとeバイクとしてはかなり軽量だ。つまり、バッテリーを使用しない場合でも、普通の自転車として機能する。しかし、Dパッドをタップすると、すぐに快適になる。他のeバイクと同様に、ユートピアは地域によってパワーアシストに制限がある。米国モデルでは時速20マイル(時速32キロメートル)に達するまでアシストが働き、EUモデルでは時速16マイル(時速25キロメートル)がアシストの上限となる。

画像クレジット:James Trew / Engadget

3つのパワーモードは、いずれもかなり速く感じられる。つまり「エコ」モードでも、快適に走れるということだ。「コンフォート」モードにすると、目的地にたどり着くまでに必要なパワーがほぼすべて得られ、運動とアシストのバランスが取れる。「スポーツ」モードでは、上限が標準設定されているにもかかわらず、非常に速く感じられる。他の人が近くにいるときは、よい意味できびきびとした操作感が得られるため、よくコンフォートモードに戻していた。

eバイクにすべてを任せ、リラックスして走りたい場合は、ターボモードがある。Dパッドの「上」を長押しすると、軽いペダリングでもすぐに時速20マイル(時速32キロメートル)に達する。レーシングスタイルの外観と前傾姿勢となるシートポジションのため、ほとんど力を加えず快適に走ることができる。

それを踏まえて、航続距離についても触れておく必要があるだろう。ユートピアは、30~80マイル(50~130キロメートル)のアシストが可能だとしている。もちろん、これは地形やどのパワーモードを使用しているかによるため、かなり幅のある推定値となっている。筆者はまだバッテリーを使い切っていないが、10マイル(約16キロメートル)の走行でも、スマートバーのバッテリーインジケーターは、かなり少なくなっているように見えた。これがプロトタイプゆえの特性なのか、単にバッテリーの減りが早いだけなのかはわからない(これについては、最終モデルの出荷までに最終的なファームウェアで改善されるのかどうかは不明だ)。

GPSと4G接続について、ここまで触れていなかったのはそのためだ。筆者にとって興味深いセールスポイントは、ほぼいつでも地図上でバイクの位置を確認できることだ。同社によると、4G接続用のデータバンドルを年間約30ドル(約3400円)で提供する予定とのことだが、万が一、バイクが行方不明になっても、どこにあるか位置を特定できるという安心感を考えれば、かなりリーズナブルといえるだろう。疑問は、スタンバイの状態でGPSと4Gを作動させていた場合、バッテリーの消耗にはどの程度の影響があるのかということだ。残念ながら、この疑問の答えは最終モデルの販売を待つことになる。

ミリ波センサーについても同様の疑問があるが、これも現在はテストできない。

画像クレジット:James Trew / Engadget

現時点でこのeバイクについてわかったことは、乗っていてとても楽しく、軽量なおかげでかなり扱いやすいということだ(筆者はアパートの5階に住んでいるため、小さなエレベーターに押し込めるのはありがたい)。テクノ調のスタイリングは、万人受けするものではないかもしれないが、筆者はとても気に入っている。そして何よりも、たとえ一部の主要な機能がまだ準備できていなかったとしても、これほどまでに先進的なテクノロジーを見ることができたのはうれしいことだ。準備ができればまた試してみたいし、同社と話した限りでは、まださらに何かありそうな気がした。冗談で、スマートバーのスピーカー(このeバイクにはBluetoothが搭載されている)で音楽を聴けるようにすべきだと提案したところ、同社はそういった新機能を提供するために必要なOTA(Over-The-Air、4G接続による)アップデートは可能だといってくれた。

現在、ユートピアはIndiegogo(インディーゴーゴー)で先行予約を受け付けている。そのため、正規の注意事項が適用されるが、筆者が受け取ったプロトタイプが最終モデルに近いことを考えると、これ以上の開発は必要なく、残っている機能の微調整を行うだけのように思われる。予約注文をすると、2000ドル(約22万7000円)で購入することができる。これは、このeバイクの追加機能が有効になっていないとしても、十分に魅力的な価格だ。キャンペーンによると、この価格は、小売店に並ぶときには2倍近くになるとのことなので、このeバイクに魅せられた方には早めに購入する価値があるだろう。

編集者注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJames CrewはEngadgetのエディター。

画像クレジット:

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(文:James Trew、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】2022 Polestar 2、Android OSと交換可能なバッテリー&パーツがEVに磨きをかける

2020年、Polestar(ポールスター)が発売した最初の電気自動車は、デュアルモーターの全輪駆動構成、インセンティブ前の価格が約5万ドル(約570万円)という単一の仕様だった。しかし同社は2022年、新たなバリエーションを増やすという。

新たにPolestarが発売するのは、シングルモーターの2輪駆動バージョンのセダンだ。デュアルモーターのPolestar 2の特徴を多く備えながらも、より手頃な価格でより環境に優しい、電気自動車への切り替えを検討している人にとっては魅力的なオプションとなっている。今回、試乗であれこれとチェックさせてもらってきた。

シングルモーターVSデュアルモーター

画像クレジット:Kirsten Korosec

シングルモーターの「2022 Polestar 2」の航続距離は270マイル(約435km)とされており、パワーはやや劣りオプションもやや少ないが、ドライブを快適にしてくれるあらゆるテクノロジーが搭載されている。

デュアルモーターのように2つのモーターで4輪を駆動するのではなく、231馬力のパワーと243ポンドフィートのトルクをすべて前輪に配分するのがシングルモーターバージョンだ。2022 Polestar 2シングルモーターには、前輪と後輪の間の床下に78kWhのバッテリーパックが搭載されており、同社によると使用可能容量は75kWh。Polestar 2デュアルモーターにも同じバッテリーパックが搭載されている。Polestarは充電の高速化やバッテリーの設定を微調整して効率を上げるための無線アップデートをすべての車両において取り組んでいる。

The 2022 Polestar 2シングルモーターセダンには、オプションで機械式ヒートポンプ(Plus Packで4000ドル、約45万円増)が追加でき、より厳しい気候でも充電量を維持できるようになっている。同社によると特定の気候条件の下では、ヒートポンプが外気から熱を集め、航続距離を最大10%延長することができるという。Polestarの試算によると、2022 Polestar 2シングルモーターは、ヒートポンプを活用すればさらに27マイル(約43km)の航続距離を得ることができるということになる。

今回のモデルではフル装備のLaunch Editionが廃止され、Polestar 2シングルモーターがその代替となっている。Launch Editionではガラス製だったルーフを金属製に変更し、環境に配慮した内装を採用して装備を簡素化しているが「パック」と呼ばれる複数のオプションも用意している。

ヒートポンプ、ガラス製パノラミックルーフ、Harman Kardon(ハーマン・カードン)製プレミアムオーディオ、ワイヤレス携帯電話充電器などがセットになった「Plus Pack」を選ぶことも可能だ。筆者が試乗したPolestar 2のプロトタイプにはこのパックが搭載されていた。また、アダプティブ・クルーズ・コントロールやLEDエクステリア・ライティングなどを含むPilot Pack(3200ドル、約36万円増)を選ぶこともできる。残念ながら、筆者が運転した車両にはアップグレードされたADASシステムが搭載されていなかったため、同社がいうレベル2の運転支援機能を試すことはできなかった。

ネイティブAndroid OSとOTAアップデート

画像クレジット:Kirsten Korosec

Polestar 2は、Google(グーグル)のAndroid Automotive OSを初めて採用した車でもある。Volvo(ボルボ)も、Volvo XC40 Rechargeのような一部車両にAndroid Automotive OSを展開しているが、Polestarはブランド全体でこのプラットフォームを採用している。

Android Automotive OSはLinux上で動作するオープンソースのOSで、Polestarをはじめとする自動車のインフォテインメントシステムの基盤OSとして使用されている。その結果「Googleアシスタント」や「Googleマップ」「Google Playストア」などのGoogleのサービスが車にあらかじめ組み込まれているわけだ。Android OSは、スマートフォンの機能や操作感を車のセンターディスプレイに映し出すことができる、OSの上にある副次的なインターフェースであるAndroid Autoとは異なるものである。

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2022 Polestar 2では「Hey Google」というフレーズを使うことで、エアコンや道案内の操作など、車内のほぼすべての機能をボイスコントロールで利用することが可能だ。Googleのインフラはかなり一般に浸透しているため、誰でも非常に直感的に操作することができるだろう。

足もとが熱いことをシステムに伝えると、GoogleのOSがフットウェルの温度を下げてくれる。サンタバーバラで一番おいしいタコス屋を見つけたければ、筆者がやったようにGoogleに検索してもらい、そこまでナビゲートしてもらえば良い。運転中にタッチスクリーンに触れたことはほとんどなく、必要なことはGoogleにお願いするだけでほぼすべてのことができてしまった。

自然言語認識はGoogleが長年にわたって取り組んできたもので、その性能はますます向上している。このシステムを使っているとき、筆者は何度かリクエストを失敗したり、写真を撮るために地元のビーチに立ち寄ろうとしてぎこちないリクエストをしてしまったりしたことがあったのだが、システムは動揺することなく筆者の言葉を解きほぐし、要求した通りのことをやり遂げてくれた。

筆者が乗ったPolestar 2シングルモーターには、充電ステーションがAndroid OS上のGoogleマッププラットフォームに統合されていたのだが、ここには注意点がある。

Googleにルート上の充電スタンドを検索してもらうと、ブランドごとにフィルタリングをすることができる。しかし充電器が利用可能、または稼働中かどうかは教えてくれない。PolestarはChargePoint(チャージポイント)と提携して充電サービスを提供しているため、センタースクリーンにインストールされたChargePoint Appを使って選択した充電器の詳細を知ることができるが、画面をタップ操作する必要があるため最寄りの充電器に向かう前に一度車を止めることになるだろう。筆者の場合は、ハリウッドのパシフィックデザイン・センターからサンタバーバラまでの往復200マイル(約322km)の旅において、充電のために停車する必要はなかった。

同社によると、DC急速充電器であれば約30分で80%の充電が可能とのこと。Polestarのテクニカルオペレーション・スペシャリストであるGlenn Parker(グレン・パーカー)氏によると、これまでは80%充電するのに40分かかっていたためいくらか短縮されている。また、すべてのオーナーにアップデートを展開していく中で、今後も無線によるアップデートを継続することで、ポートフォリオ全体の効率と航続距離を向上させていくとパーカー氏は話している。

利用可能な充電器を探すのは面倒だが、Google MapsがPolestar 2の技術基盤に統合されたことで、新しい場所に移動したり、途中で寄りたい場所を追加したりするたびに推定航続距離が表示されるのは実に良い。筆者の日帰りドライブではロサンゼルスに戻るタイミングが悪く、ウェストサイドの渋滞に45分間も引っかかってしまったため、航続距離が20%ほど落ちてしまったのだが、最終的にはシステムが当初想定していた航続距離よりも数マイル多い状態で各目的地に到着したのはうれしい驚きだった。

路上にて

2022 Polestar 2デュアルモーターの試乗(ビデオクレジット:Kirsten Korosec)

Polestar 2シングルモーターは、静かかつ快適で、速い。同社によると0-60mphを7秒で達成できるとのことで、これは大したことではないように思えるが、特に低回転域のトルクがすぐに発揮されるため、加速車線から高速道路に合流するには十分な速度である。

筆者が試乗したプロトタイプでは、ステアリングフィールやワンペダルブレーキなど、いくつかの運転機能を調整することができ、車線逸脱警報などの運転支援システムのオン / オフを切り替えることもできた。残念ながら、前述のとおり筆者の試乗車には同社がPilot Packで提供している先進運転支援システムが搭載されていなかったため、それを試すことはできなかった。

電気自動車の楽しさの1つに、ブレーキモード(Bモード)、つまりワンペダルドライブがある。これはアクセルを離したときに、走っている車輪から得られる回生量を調整するものである。

Polestar 2では、ゆっくりと停止することができ、インフォテインメント画面で「Creep」モードの設定を切り替えると、アクセルペダルを踏まなくても車両がゆっくりと動きだす。筆者はほとんどの電気自動車を最もアグレッシブなブレーキ設定で運転しているが、これはロサンゼルスの交通事情においては最も効率的で楽しいモードだからである。Polestar 2の最高設定に多くの人は驚くかもしれないが、数分で慣れ、誰でも直感的に使えるようになる。ただし、筆者は回生ブレーキモードと組み合わせたときに不自然さを感じたので「Creep」機能はオフにした。

また運転中9割は「Firm」と呼ばれる最もアグレッシブなステアリング設定を使用した。基本的には選択した設定に応じてステアリングの比率が変わるシステムで「Firm」は最もダイレクト感のあるレスポンスを提供し、よりソフトな設定だとゆったりとしたレスポンスとなる。

修理、再調整、リサイクルの権利

同社は環境に配慮した製品づくりと素材選びにこだわりを持っており、自動車に搭載するバッテリーのライフサイクル全体に対して積極的に取り組んでいる。パーカー氏によると、同社はバッテリーに使用するコバルトの採掘をブロックチェーンで追跡しており、自動車の製造に使用する他の要素の追跡にもこのシステムの使用を検討しているという。

これに加え、同社はバッテリーとオーナーのライフサイクルについても比較的包括的に考えている。

Polestar 2シングルモーターのスタックパックは、部品が故障しても個別に交換することができ、パーカー氏によると1つの部品が故障した場合、同社がその材料を再び回収して閉ループシステムを形成するという。「再製造や、戻ってきた部品の再利用の方法を検討しています」と同氏。また同社では、修理方法の説明や、オーナーが直接購入できる部品カタログへのアクセスも提供している。

Polestar 2シングルモーターの価格は4万5900ドル(約520万円)からで、2022年1月から販売が開始される予定である(デスティネーションフィーおよび税金は含まれていない)。7500ドル(約85万円)の連邦税優遇措置と一部の州での優遇措置により、3万5000ドル(約400万円)程度まで下げることが可能だ(これにも税金とデスティネーションフィーは含まれていない)。

画像クレジット:Abigail Bassett

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】Surface Duo 2、前機種よりはるかに洗練されたがいまだ進化の途上

現状に挑戦することが簡単であれば、私たちはもっと多くを知ることができるだろう。それはスマートフォンの世界では、10年半以上にわたりデフォルトになっているフォームファクターの長方形から離れて考える勇気を意味する。スマートフォンの販売が停滞している中、企業は徐々にだが確実にその流れを試している。

近年、進化の行き詰まりがいくつか見られた。ZTEのAxon Mが思い浮かぶ。重大な欠陥があるとはいえ、あらゆる意図と目的において、2つのスマートフォンをつなぎ合わせるというのは勇気ある試みだった。Samsung(サムスン)の折りたたみスマートフォンも、早くから同じような運命にあったようだ。

数世代を経て、同社は状況を好転させてきたものの、プロダクトラインとプロダクトカテゴリ両方の長寿性とメインストリームへの意味合いについては、依然としてあまねく疑問が残されている。GALAXY Z Flip 3は、使ってみて楽しい時間を過ごしたと素直に言える。意図された通りに動作し、他の折りたたみ式デバイスのように扱いにくくはなく、正直なところ、筆者が勧める第一の折りたたみ式デバイスだ。

Samsungと同様、Microsoft(マイクロソフト)もこの分野で優位に立っている。同社はかなり前にメインストリームのモバイル大手になるという希望を捨てた。もちろん努力が足りないからではない。しかし、72億ドル(約8200億円)でNokia(ノキア)を買収したからといって、その夢を実現できるわけではない。代わりに同社はSurfaceシリーズのハードウェアに慰めを見出し、いくつかの真に魅力的なフォームファクターを生み出した中程度の成功を収めた。

画像クレジット:Brian Heater

初代のSurface Duoは、標準的なPC / タブレットのフォームファクターを超えた考え方を誇るプロダクトラインの方針から生まれたものだ。同社は2019年10月のイベントで、デュアルスクリーンのノートPC「Neo」と、より小型化されたデュアルスクリーンのAndroid搭載端末「Duo」を発表した。前者は生産着手には至らなかった。Microsoftは5月にWindows 10Xのリリース計画を断念することを認めたが、Neoにも同様の意向が伺える。

2020年秋に発売されたDuoは2021年最も待ち望まれていたデバイスの1つだった。ZTEと同じように、Microsoftは、2つの画面をヒンジで融合することで折りたたみ式ディスプレイの必要性を回避した。それでも、10年近くにわたってSurfaceのハードウェアを手がけてきた同社は、明らかにこれまでよりはるかにエレガントなソリューションを生み出した。しかしながら、これまでのAxon Mと同様、初代Duoも大いに失望を招く結果となった。

ハードウェアの観点からは失敗ではなかったものの(セールスは違うストーリーかもしれないが)、問題が多すぎて1400ドル(約15万9000円)という提示価格を正当化できるものではなかった。外部カメラがないこと、ソフトウェアにバグがあること、5Gを搭載しないことなどが、課題の多いこのデバイスの主な問題点だった。第一世代の製品は不完全になる。これがアーリーアダプターの窮状だ。

画像クレジット:Brian Heater

しかし、消費者にこれだけの金額を払って新しいデバイスを買ってもらうには、期待される品質のレベルがある。初代Duoが満たせなかったものだ。ただし、Microsoftがこれに耳を傾けたことは称賛に値する。もちろん、最初のプロダクトを購入した少数の人には役に立たないものの、同社は将来の顧客により良いサービスを提供することをコミットしている。そういう意味では、Surface Duo 2は単に初代デバイスをアップデートしただけではなく、前世代の最大の過ちを正そうとする取り組みでもあるのだろう。

最初のDuoがこの新しいモデルに近かったなら、Microsoftはかなりの心痛を軽減していただろうという、かなり説得力のある主張ができる。Snapdragon 888と5Gの追加、背面トリプルカメラの搭載、デュアルスクリーン間のギャップの縮小、ソフトウェアの継続的な改善は、正しい方向への重要なステップである。しかしDuo 2は、ユーザーが心から勧めるようなデバイスというのにはまだほど遠い。Microsoftが今後数世代にわたってこのデバイスに投資を続けていけば、問題が根本的なものなのか、それとも単に継続的な改善が必要なものなのかを判断することになろう。

画像クレジット:Brian Heater

ディスプレイ間の切り替えにまだバグがあるソフトウェアは、後者になる可能性が高い。Microsoftは自社のデュアルスクリーンソフトウェアの開発に加えて、Google(グーグル)がSamsungなどの企業と行ってきた作業の多くを活用し、折りたたみ式ディスプレイで動作するバージョンのAndroidを開発している。もちろん、折りたたみ可能、かつデュアルスクリーンというフォームファクターを開発することは、完全な1対1ではない。しかし、Microsoftの膨大なリソースを考慮するなら、その体験を完全なものすることは、同社がどれだけの時間と資金を投じるかにかかっていると言えそうだ。それはひいては、このデバイスに関心があるという認識の産物でもあるのだ。

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初代Duoは内部カメラでの撮影に依存していたが、Duo 2には背面カメラが3つ搭載されている。これは一見すると確かに良さそうであり、間違いなく改善されている。しかし、カメラアプリは必要最低限のもので、画質はかなり安価なシステムと比較しても常に標準を下回っていた。Duoは混合光と微光の両方で苦戦した。それは2021年に1500ドル(約17万円)のシステムに期待するものを超えるものだった。

画像クレジット:Brian Heater

MicrosoftはSamsung、Apple(アップル)、あるいはGoogleほどモバイル写真撮影に投資していない。そのことは確かにここに表れているが、将来の世代で改善できることでもある。しかし、最終的には、カメラがデバイスの根本的な問題の1つを引き起こすかもしれない。初代Duoが内蔵カメラに依存していた理由の1つに、フォームファクターの実用上の問題がある。つまり、デバイスを開き、一方にカメラ、もう一方にビューファインダーとして機能する第2のディスプレイという構成で、本体を反転させるという点だ。

同社は実際、カメラの突起部分をうまく処理しており、ディスプレイの背面はやや斜めに重なっている。しかし、実際にそれを使うのは厄介だ。撮影した写真を表示するためのセカンドスクリーンがあるのは便利だが、そのプロセス自体は扱いにくく、タブレットを使って被写体を撮影しようとする感覚に近い。

このように避けられないと思われる欠陥がいくつかあるものの、Duo 2はハードウェアとして優れており、5月に初代Duoに搭載されたMicrosoft Penサポートやデュアルスクリーンゲームなどの機能が追加されたことで、プロダクトはあるべき姿に近づいている。Glance Barのように、デバイスを閉じたときに画面の隙間に通知がちらりと表示される便利な機能もあり、Microsoftが自身の保有するフォームファクターで巧みに仕事を続けていることを示している。しかし、継続的な問題と1500ドルという提示価格を考えると、このプロダクトが真の意味でメインストリームになるという見込みは、ひいき目に見ても何世代も先の話になりそうだ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】 Kobo SageとLibra 2、デザインが犠牲になっているがディスプレイは向上

Koboは最近2つのeリーダーを発売した。これらのeリーダーには、控えめではあるもののディスプレイ、スタイラス対応、そしてオーディオブックを聞くためのBluetoothなど確かな改善が見られる。しかし、すばらしかったFormaと比べると製造品質の面でやや劣っていると言わざるを得ない。ただ、新しい機能はアップグレードの価値があり、特にLibra 2は魅力的な小型のeリーダーになっている。

今回発売になったのは、FormaとLibra H2Oの後継機種である。私はお気に入りだったBoox Poke 3を壊してしまって以来、毎日Formaにお世話になってきた。2つのリーダーの主な違いはサイズであり、その他の機能はほぼ同じだ。SageLibra 2はそれぞれ260ドル(約2万9000円)と180ドル(約2万円)と安くはないが、 eリーダーを日常的に使用し、オーディオブックやPockerを好む人なら、特にLibra 2は購入を検討する価値があると思う。

最も目立つ新機能はスクリーンで、最新のCarta 1200 eインクディスプレイになっている。どちらのeリーダーも300ppiを備えており、これだけあれば文字の表示は十分シャープだ。FormaをSage(材質が非常に似ているため)と比べると、新しい画面のせいで大きな違いが生まれていることに驚きを感じるほどだ。コントラストが目に見えて向上しており、並べて見るとFormaの字はややグレーで、Sageの字はこれよりずっと濃い。誤解のないように言えば、どちらも素晴らしくはある。しかし、この新しい画面は大きな改善と言えるだろう。

操作については以前のデバイスとほとんど同じだが、内部がアップグレードされたおかげで起動、ナビゲート、デバイスを動かした時の画面の向きの変更をすばやく行うことができる。ページをめくるのにかかる時間は古いデバイスと同じで、2、3ページスキップしたとしても、ほとんど時間はかからない。しかし、本を新しく読み込む時は、古いFormaのほうが早いようだ。これは大きな問題ではないし、iPadのようなスムーズさをこれら(他のeリーダー全般に対しても)に求めるべきではないだろう。

画像クレジット:Kobo

オーディオブックはKoboにとっては新しいものである。今回出た新しいデバイスにはスピーカはないがBluetooth接続があり、オーディオブックを聞くことができるようになっている。Bluetoothを使ったデバイスの同期は他のデバイスを同期させるのと同じくらい簡単で、Koboストアの本(現在のところは、自分の本は読む込むことができない)をちょっと聞いてみたところ、ほぼ期待どおりだった。スピードアップ、スピードダウン、再生、前へのスキップ、後ろへのスキップも可能で、接続を切ったり、シャットダウンした場合でも、再度接続した時に、元いたカ所から音声を聞くことができる。加速再生で生じるごくあたりまえのわずかな問題を除けば、音声の質も良かった。

関連記事:【レビュー】大型化し手書きメモもできる電子書籍リーダー「Kobo Elipsa」

このサイズのデバイスでスタイラスを使用するのは、私には実用的に思えないが、編集者や本に印を付けるのが好きな人には、確かに役に立つかもしれない。Elipsaでの使い勝手はどうだったかというと……まあ使える感じではあった。ファンシーと言えるようなものではなく、ただ直接本や書類に印をつけるいくつかの方法というのに過ぎない。後で参照できるようメモにシンボルや注釈ベースの表記法が追加できれば便利だが(ソニーの星のように)、これはまだ始まったばかりの機能である。いずれにせよ、スタイラスは問題なく使える。しかし、しまう場所がないので、すぐに紛失してしまう恐れがある。

画像クレジット:Kobo

どちらのデバイスも、それぞれの先行デバイスより厚みが増しているが、これは、新しいハードウェアとスタイラス検出レイヤーが組み込まれているためと思われる。私の意見では、これは改善ではない。これらのデバイスはFormaよりも安っぽく、LibraH20より程度は低いと感じられる。外見も、Formaを気の利いたものにしていた思い切った角度や溝を取り払ってしまったこともあり、工夫を凝らした造形というよりは、成形プラスチックのように見える。そもそも先行デバイスも軽量機種ではなかったが、新しいリーダーは更に重くなっている。

今まで、Koboのボタンが優秀なものだったことは一度もなかったが、今回も例外ではない。特にSageのページめくりボタンは柔らかく、決定力に欠ける。その埋め込み式の電源ボタンは、Formaの側面にあったものよりは改善されているが、それでもすばらしいとは言えない。小さいLibra2の方のボタンはややクリック感があってよいが、しかし、もっとしっかりしたクリック感があってもよい。

画像クレジット:Kobo

私はこれらの変更をよいとは思わないものの、これらはすべてをぶち壊しにしてしまうようなものではない。しかし、これは明らかに後退といえる部分なので、Koboには次世代のデバイスであのプレミアム感を取り戻してもらいたいと思う。

SleepCover

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

どちらの機種にも推奨されているのが、40ドル(約4600円)のスリープカバーまたはパワーカバーだ。これらの革のような(本当の革か合皮かはわからないが、手触りはよい)二つ折りカバーは、しっかりデバイスに取り付けることができ、他の競合他社の製品と同様、開けたり閉じたりすると、リーダーを起動したり、スリープモードにしたりできる。新しいデバイスのカバーは、折り紙のような折りたたみ式で、デバイスを斜めの角度をつけて立たせることができる。

私はそもそもeリーダーにカバーを付けないで使用する方が好きなので、これらのカバーを好きになるとは思っていなかったのだが、やはりSageの場合、すでに大きめなので、ケースに入れるとさらに大きくなってしまい、好ましいと思わなかった。ケースは少し緩すぎるように感じたし、電源ボタンを覆ってしまっていた。カバーはやや豪華なのだが、 それも良いとは思わなかった。しかし、カバーがなければ、Sageは無防備で精細を欠くように見えた。

けれども、小さめのLibra 2のカバーはかなり良いと思った 。プラスチックっぽいデバイスだがカバーを付けることで、はるかにプレミアム感が出るし、赤い色がとても魅力的である(それに電源ボタンにもアクセスできる)。それだけでなく、カバーは、eリーダーを置くにも立たせるにもとても役に立つ。立たせる時には、ちょうどペーパーバックの前半分を折り返したような形になる。スクリーンが凹型になっているので(私は平らなフラッシュ型が好きだが)汚れも付きずらい。Booxの超コンパクト、超スムーズなデザインが私の好みではあるが、場所の心配をしなくてよいなら、Libra 2のデザインが二番目のお気に入りである。

もう少し値段の高いカバーで「パワーカバー」もある。しかし、お持ちのデバイスがすでに数週間充電なしで行けているなら、なにもパワーカバーによる重さやかさばりを我慢してまで、もう数週間その期間を引き伸ばす必要もないだろう。

私が最終的にお薦めするのは、Sageとパワーカバーは購入しないことである。大型のeリーダーが欲しいなら、ElipsaかreMarkableがよいし、Koboでオーディオブックを聞きたいなら、Libra 2とスリープカバーのセットが良いだろう(これはきっと気に入っていただけるはずだ)。オーディオブックが必要ないなら、 Formaがやっぱりお薦めである。これらのデイバイスとアクセサリーは現在すべて購入できるようになっている。

画像クレジット:Kobo

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】Withings ScanWatch、Apple Watchと正反対なスマート腕時計には乗り換えるべき価値がある

Apple Watchをリリースしたとき、Appleは「デジタルクラウン」や「コンプリケーション」がいかにすばらしいものか消費者に説いて大騒ぎしていた。しかし、我々のような時計愛好家には、あの騒動は理解し難いものだった。当然だが、時計にはそんなものはすべて付いているからだ。

当時、Appleは、コンピューティング企業として既存自社製品の犠牲になっていた。要するに、Appleが作っていたのはスマートウォッチなどではなく、手首に着けることができる小さなiPhoneだったのだ。それでもAppleは「いや、これは腕時計ですよ。絶対に」と言い張りみんなを必死に説得しようとしていたが。

Withings(ウィジングス)のHealth Mateアプリは格別だ。Withingsの健康関連プロダクツを複数使っているならなおさらだ。このアプリはGoogle FitおよびApple Health Kitと統合されているため、お好みのエコシステムにデータを移植できる。(画像クレジット:Haje Kamps for TechCrunch)

これと同じような状況をクルマの世界で見たことがある。多くの従来の自動車メーカーは困惑して、こう思っていた。「一体どうすればトラック1台分のバッテリーと電気ドライブトレインを1台の車に詰め込むことができるのだろう」と。しかし、一部のメーカー、とりわけテスラはこの難題をまったく違った方向から捉えた。テスラのアプローチはこうだ。「iPhoneはソフトウェアアップデートが利用可能になると自動的に更新される。それなら、iPhoneを中心に据えて、その周りに車を構築したらどうなるだろう」と。その結果、テスラが生まれた。テスラは、外観も使い勝手も他の車とは見事に異なっていた。テスラのインテリアと所有権を取るか、メルセデスの最新世代電気自動車を取るかを決める要因はさまざまだが、筆者の考えでは、製品の全般的な哲学およびデザインと機能に対するアプローチの問題だと思う。

それらすべての要因を考慮するとScanWatchに行き着く。Withingsは常に、Appleとは異なるアプローチを取ってきた。ScanWatchはミニマリズムの外観と操作性を備えているが、Appleが解決しようとしていたのと同じ問題を抱えていた。時計の外観と操作性を持ちながら、優れた実用性を備え、そしていく分のスマートな機能も備えた時計を作るにはどうすればよいだろう、と。Withingsは、この問題をあくまで時計メーカーのやり方で解決しようとした。Steel HRはその後に登場する製品を示唆していた。WithingsのScanWatchは、Steel HRを自然な形で、より野心的にステップアップさせたものだ。

Withings独自のデザイン哲学とは要するに次のようなことだ。つまり、ScanWatchを手持ちのスマートフォンで写真を撮るためのリモートコントロールとして使うことはできない。ScanWatchに話しかけたりメールを打つこともできない。ScanWatchでメールを読んだり音楽を聴いたり、音声メモを録音することもできない。こうした機能が重要なら、ScanWatchはあなたが求めている製品ではない。あなたが求めているのはスマート腕時計ではなく、超小型スーパーコンピューターだ。

全体的な品質の高さと細部へのこだわりが光るScanWatchは本当にすばらしい製品だ。小型コンピューターというよりむしろ高級腕時計に近い(画像クレジット:Haje Kamps for TechCrunch)

筆者は、Withingsの最上位機種のスマート腕時計をしばらく使ってみたが、この時計が備えているすべての機能に、そして何より、この時計から余分な機能が取り除かれていることに、何度もうれしい気分になった。筆者がApple Watchを着けるのを止めてしまったのは、デザインが嫌いだったし(味気ない黒の四角で、むしろスマートフォンに近い)、メッセージやツイートやメールの着信音がしょっちゅうブンブンと鳴ることに辟易していたからだ。もちろん、着信音をオフにすることはできるが、そうするとApple Watchを着けている意味がほとんどなくなってしまう。わざわざ毎日充電してまで着けたいとは思わなくなってしまった。

Withings ScanWatchの文字盤サイズには、38ミリと42ミリの2種類がある(画像クレジット:Withings)

WithingsのScanWatchはApple Watchとは正反対の時計だ。第一に、見た目がシンプルでミニマリズムだ。小さなPMOLEDディスプレイをオフにすると、多くの時計メーカーが作っているハイエンドの控えめなデザインの時計だと勘違いしても無理もない。ディスプレイはしゃれたRetinaディスプレイではないが、その代わり、電池は最大1カ月は持つ。腕時計らしさもよく出ている。思ったより重いが、それもある意味安心感を与えてくれる。着けていることが分かるし、上質の時計を着けるのに慣れるのも悪くない。

ScanWatchは、健康とウェルネス機能を重視した多くの極めて高度なテクノロジーを腕時計に取り込んでいる。これらの機能は、スマートフォンの機能ではなくフィットネストラッカー機能を拡張したものだ。

WithingsのScanWatchには、多数の医療用トラッカーが組み込まれている。EKG(心電図)機能はこのスマートウォッチとアプリの組み合わせで最も重要な部分だ(画像クレジット:Withings)

ScanWatchは欧州ではリリースされてしばらく経つ。米国でのリリースが遅れている理由を聞くと、このデバイスが競合他社製デバイスと大きく異なっているがよくわかる。ScanWatchを販売するにはFDAの認可が必要なのだ。Withingsによると、ScanWatch内蔵の心電図機能(EKG)は非常に高品質であるため、心房細動(afib)を検出できるという。心房細動は、最も一般的な不整脈で、脳卒中、心臓麻痺、その他の心臓疾患の主な原因でもある。

同社によると、この心電図データをユーザーに提供するには、処方箋が必要で、最初の心電図の出力を医療専門家に分析してもらう必要があるという。同じような心電図機能を備えたスマートウォッチを提供している他のメーカーがこの承認プロセスをどのようにして回避しているのかはよく分からない。Withingsがこの機能を根本的に異なる方法で実装しているのかもしれない。

心電図の承認プロセスは無料で受けることができる。継続的な心電図機能の利用を承認されるかどうかに関係なく、料金はかからない。しばらくの間、同社は処方箋と追加費用なしでユーザーが心電図機能をフルに使えるようにするための取り組みを進めている。おそらく、Apple、サムソンなどがFDAの承認を回避するために行ったことを真似するのだろう。

FDAの承認とはやり過ぎだと感じるかもしれない。そう感じたのはあなただけではない。WithingsはScanWatchのリリース前から守りの姿勢を取っており、心電図機能に関するFAQまで公開している

ここで、健康ファーストデバイスのブランドになろうとするWithingsの野心にスポットライトを当ててみよう。Withingsは、スマートスリープトラッカー血圧測定バンドスマート体温計体脂肪測定器具などを販売している。また、すべてのWithings製デバイスで稼働している優れたHealth Mateアプリは、体の健康のセントラルハブとして人目を惹き付ける。

ScanWatchには2つのサイズがある。これは38ミリ版で「筋トレやってる?」と聞かれるくらいひ弱な手首の筆者にはちょうどよい(画像クレジット:Haje Kamps for TechCrunch)

ScanWatchは着けているのを忘れてしまうようなおしゃれなデバイスだが、その中に、心拍数、血中酸素濃度の監視、心電図機能、歩幅 / トレーニング / アクティビティトラッカー、接続されたGPS、高度計、スリープトラッカー、スマート目覚ましアラームなどの機能がすべて詰め込まれている。これらの機能がすべて揃っているのは本当にすごい技術力だ。

筆者はテクノロジーレビューワなので、これらがすべてWithingsが謳っている機能を本当に実現しているのどうかを判断できるような医療専門知識は持ち合わせていない。何人かの医療専門家に聞いたところ、病院にあるような数千ドル(数十万円)の工業医療機器と同等と言えるほどの機能は提供していないということのようだ。正直、手首に着けられる300ドル(約3万4000円)程度の消費者向けアイテムで、そこまでの機能を提供していたら理屈に合わないだろう。

体型を気にしている健康フィットネス志向の人なら、この時計を選択して間違いないはだろう。手首装着型デバイスとしては信じられないほどの大きな進歩であり、若干低酸素状態で行き詰まり始めていたこの製品カテゴリーに、新鮮で酸素を豊富に含んだ血液を流し込んでくれる、そんな製品だ。

最後に余談を少し。筆者は、数年前eBayでApple Watchを売り払ってせいせいしていたのだが、このレビューのためにお借りしたScanWatchをWithingsに返却したらすぐに、自前でScanWatchを購入するつもりだ。最近たくさんのガジェットを疑いに満ちた目で見ている筆者だが、この時計は本当にすばらしいと思う。

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】「ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説」、レトロゲーム好きへのクリスマスプレゼントに

任天堂が「Nintendo OSAKA」を大丸梅田店に2022年末オープン、国内2店舗目の直営オフィシャルショップ

私が手にしているのは「ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説」だ。これは、任天堂の懐かしの携帯型ゲーム機シリーズの第2弾で、すでにSwitchを持っている人(あるいは手に入らない人)のための小さなクリスマスプレゼントとして作られたものだ。この「ゲーム&ウオッチ」は良い仕事をしており、収録されている3本の昔のゼルダは、ポケットに収まるサイズの非常に難易度の高い冒険を楽しむためのすばらしい選択肢だ。

数カ月前に発表されたこの税込5480円のガジェットは、2020年発売されたゲームボーイ以前の携帯ゲーム機をベースにしたシリーズの第1作目「ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ」と非常によく似ている。唯一の違いは、ゼルダのゲームで実際に使われるスタートボタンとセレクトボタンが追加されていることだ。

収録されているゲームは、オリジナルの「ゼルダの伝説」、難易度の高い横スクロールゲームの続編「リンクの冒険」、そして最近リメイクされた名作「ゼルダの伝説 夢を見る島」だ。また、80年代のクラシックなモノクロのゲーム&ウオッチも再現されているが、正直なところ、その楽しみ方は限られている。

それぞれのゲームは、そのままプレイすることも、進行状況を保存しながら、ゲームボタンを押して別のゲームに切り替えることもできる。しかし、それ以上のセーブ機能はないので「リンクの冒険」では何度も死ぬ覚悟が必要だ。

ディスプレイは豪華なものではないが、ゲームの解像度とよくマッチしており、このサイズで期待される程度に鮮明に見える。テレビでプレイするよりも「ゲーム&ウオッチ」でプレイする方が断然難しいが、十分に可能だ。ちなみに、これらのクローズアップ写真は、プレイ中に気づくよりもピクセルが目立っており、下の写真のようなスクリーンドア効果はない。ちょっとした気配りとして「ゼルダの伝説 夢を見る島」にはアスペクト比の調整オプションがある。オリジナルのゲームボーイの画面は4:3よりも狭かったので、その場で切り替えることができる。なお、収録されているのはカラーではなくオリジナルのモノクロ版だ。

実際の画面は非常にクリアで、グリッド効果はカメラの効果(画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch)

「ウオッチ」に関しては、時計の他にタイマーアプリが追加された。この時計はなかなか楽しい。午前0時と正午になると、リンクはオリジナルのゲームでクエストを開始し、剣を集めることから始まり、画面上に次々と産み出されるモンスターを1分ごとに繰り返し倒し、時には自分も死んで復活してから次のモンスターに向かうという、かなり行き当たりばったりのゲーム進行をする。ゲームをプレイしている単純なAIが記録しているわけではないので、まったく同じことが何度も起こるわけではない。

例えば、7時59分には緑のダンジョンでスタルフォスを退治し、8時になると必ずボスの部屋に進み、デグドガを小さくするために笛を吹いて、小さくなった哀れなデグドガを倒して、5つ目のトライフォースの欠片を手に入れる。11時30分には最後のダンジョンに入り、真夜中にはちょっと拍子抜けするほど簡単にガノンを退治する。そして、色を変えながらこのサイクルを繰り返す。ダンジョンやワールドマップはオリジナルゲームとまったく同じではなく、時計に合わせてさまざまな変更が加えられている。それでも、このシーシュポスのようなリンクが、さまざまな道具や宝物を何度も集めながら、ゲームを進行しているという感覚が得られる。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

タイマーは限られたものではあるが、1時間以内の任意の分数をカウントダウンするという期待どおりの働きをしてくれる機能だ。リンクは「リンクの冒険」のスタイルで敵と戦い、そして、私と同じように青の騎士を殺すのに苦労する。一定時間内の最高得点が記録されるので、3分間のラウンドに設定して、リンクの成績を競うこともできる。

「がんばれ、リンク」ここでのモアレ効果は誇張されている。実際にはディスプレイはとてもクリーン(画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch)

ハードウェアはほとんど変わっていないが、スタートボタンとセレクトボタンが追加されたことで、ただでさえ低い位置にあったAとBがさらに低くなっている。この点に関しては、平均的な手の大きさの人が数分以上プレイする場合には「理想的ではなかった」以前のハードウェアから「不快である」に変わった。任天堂は、それを1.5cmくらい上にずらすことはできたはずだ。幸いなことに、このデバイスは非常に軽量だ。

「ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説」の背面には、うっすらと光る小さなトライフォースがついている。これは、必要性のない素敵なディテールであり、誰かがこのデバイスを本当に愛していることを示している。

バッテリー駆動時間は、画面をどれだけ明るくするかにもよるのだが、少なくとも5、6時間、それ以上もつ可能性がある。今テストしているところなので、この点に関しては後で更新する。

もう1つの楽しみは、以前のマリオの時には見逃してしまったのだが、付属の箱がちょっとしたスタンドになっていることだ。切れ込みの入った脚を折りたたむと、デバイスを見やすい適切な角度に固定することができる。視野角はあまりよくないので、平なところに置いたり、真っ直ぐ立てたりするのは理想的ではない。

「ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説」は、ファミコンやゲームボーイの名作を愛する人なら誰もが喜ぶ、楽しいグッズだ。唯一の問題は、手に入れられるかどうかだ。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Yuta Kaminishi)

DJI Mavic 3は最高の同社一般向けドローン。カメラ、通信範囲、バッテリー、物体検知すべてがアップグレード

卵より小さなアクションカメラ、ガチで毎日持ち運べるDJI Action 2実機レビュー

はっきり言っておこう。2199ドル(日本では税込25万3000円)のDJI Mavic 3はすばらしい製品であり、筆者はまだすべての新機能を試せていない。

Mavic 3は、DJIの最新の最上位機種コンシューマー向けドローンだ。折りたたみ式で、高価で、すばらしいデュアルレンズカメラと劇的に向上したドローン / コントローラー間の通信機能を搭載している。DJIのコンシューマー向けドローンとしては、Mavic 3がこれまでで最高の製品であることは間違いない。残念ながら、発売前のファームウェアではいくつかの重要な機能が利用できなかったため、完全なレビューはこれからだ。

新機能は以下のとおりだ。

  • カスタムのHasselblad L2D-20c空中カメラを搭載したデュアルカメラシステム。4/3 CMOSセンサーに2つのレンズ、24mmのプライムレンズと28倍のハイブリッドズーム望遠レンズを搭載している
  • DJI製ドローンとしては初めて1080p/60fpsのライブ映像をドローンからコントローラーに伝送できるようになった
  • AppleのProRes 422 HQおよびH.264/H.265に対応し、最大で5.1K@50fps、DCI 4K@120fps、4K@120fpsのビデオ撮影機能を搭載
  • 改良されたビジョン検知システムにより、0.5~200メートルの範囲で物体を検知できる
  • 46分の飛行時間(バッテリー容量は5000mAh)

先週DJIから筆者の元にMavic 3が送られてきたので、休みなく飛ばし続けている。しかし、このドローンが正式に発売されるまで、いくつかの重要な機能が利用できなかった。新しいActiveTrack 5.0システムとAPAS 5.0物体検知をテストすることができなかったが、これらは過去のバージョンよりも大幅にアップグレードされているそうだ。DJIの主張を確認することはできていないが、新しいActiveTrackシステムをぜひ試してみたいと思っている。過去にDJIが実装したものは印象に残らなかった。

カメラ

DJI Mavic 3は、2つのレンズを含む新しいカメラシステムを採用している。メインレンズはすさまじい。20MPの4/3 CMOSセンサー、24mmのプライムレンズ、84度の視野角を持つ。第2のカメラは、28倍のハイブリッドズームを備えた162mmの望遠レンズを搭載している。このシステムでは、Mavic 3はすばらしい単焦点レンズを備え、ズームは2番目のカメラに任せている。

新しいカメラでは、対応するビデオフォーマットも新しくなっている。AppleのProRes 422 HQ、DCI 4K、5.1Kでのエンコードをサポートしている。ただし、Apple ProRess 422 HQエンコーディングは、4999ドル(日本では税込58万3000円)するより高価なMavic 3 Cineエディションでのみ利用できる(容量1TBのSSDも含まれる)。

カメラでとらえた画像は驚くべきものだ。DJI Air 2Sを使って撮影した画像と比較してみたが、トーンが深く、シャドー部のニュアンスが増すなど、その差は歴然としている。細部までくっきりとしている。

詳しいレポートは近日中に案内する。いくつかの重要なビデオ機能は、DJIがMavic 3を正式に発表するまでロックされていた。最新のファームウェアを使ってドローンをテストする必要がある。

物体検知

筆者はたくさんのドローンを衝突させているが、それは不注意のためではない。私はドローンを必要以上に遠くへ(そして近くへ)飛ばす。プロップも安いし。しかし、Mavic 3はどれだけ試みてもまだ衝突していない。このドローンはすべてを見ている。

物体検知や衝突軽減などの機能は、数世代前からドローンの標準機能として搭載されている。それでも、今回の最新バージョンでは、より遠く、あるいは近くの物体を検知するなど機能がアップしている。

本稿執筆時点で、DJIはまだMavic 3の機能を大幅にアップデートした最新のファームウェアに更新していない。しかし、リリース前のソフトウェアでもMavic 3はすばらしい。

ミシガン州は秋で、ほとんどの木の葉が落ちている。しかし、Mavic 3は気にしない。どんなに小さな枝でも簡単に検出することができる。Mavic 3は停止するか、物体を迂回しようとすることができる。

Mavic 3と一緒に森の中を散歩してみた。ほとんどの場合、Mavic 3は障害物を避けるために左右にスライドしながら自力で進むことができた。筆者はMavic 3に前に進むよう命令するだけでよく、あとはMavic 3が自分で道を見つけた。これまでのDJI製ドローンでもできたことだが、ここまでスムーズではなかった。以前の衝突軽減システムは信用できなかった。今回のシステムはかなり改善されているように感じる。

Mavic Pro 2と同様、Mavic 3にもドローンの隅々まで監視するセンサーが搭載されている。加えて、6つの魚眼ビジョンセンサーと2つの広角センサーを備える。DJIはこれを「全方向障害物検知」と呼んでいるが、4方向しか見られないAir 2Sよりも一歩進んだ機能だ。

通信範囲

これまでのモデルと比べてMavic 3は2つの点で優れていることに気づく。1つは、通信接続がより強化されていることだ。これまでのドローンでは切れてしまうような場所でも、飛行中にMavic 3とのコンタクトが途切れることはなかった。Mavic 3は、1080p/60でコントローラにライブ映像をストリーミングするが、これは過去のモデルの2倍のフレームレートであり、注目に値するものだ。

DJIは、最大伝送距離は15kmだとしている。これは9マイルを超える距離だが、FAA(米連邦航空局)の規制により、筆者はこの距離をテストすることができない。しかし、Mavic 3の航続距離は本当にすごいものだ。

Mavic 3を使って、川に低い橋がかかっている放棄された都市部など、いくつかの馴染みのスポットを短時間で回ってみた。筆者はこのエリアでドローンを飛ばすのが好きだ。過去のドローン(DJI Air 2SとMavic Pro 2)は、橋の下を通るときに通信を維持するのに苦労した。Mavic 3の通信は始終つながっていた。

さらに、家の裏にあるトウモロコシ畑でドローンを飛ばしたときにも、送信力の向上に気づいた。他のドローンでは畑の上をかすめることができることが多いが、ドローンが何百フィートも上空にあるのではなく、地面から数フィートの距離にあると通信範囲が極端に狭くなる。Mavic 3にはそのような問題はなく、ライブビデオを1080p/60でコントローラにストリーミングすることができた。

ライブ映像のプレビューも美しい。十分な距離まで近づくと、1080pのフルHDを60fpsで送信する。フレームレートの向上は喜ばしいことだ。さらに、ビデオプレビューがスムーズになったことで、ドローンの操縦がより楽しいものになっている。

製造品質

  • DJI Air 2と比較して、構造と製造品質は向上している。しっかりとしていてで、おもちゃのようには見えない
  • Mavic 3のプロップアームは、小型のAir 2Sに搭載されているものよりも大幅に薄くなっている
  • プロップは4.5インチ(約11cm)。Air 2Sのプロップは3.5インチ(約8.8cm)だ

バッテリー

  • Mavic 3では、従来のモデルから新しいデザインのバッテリーを採用している。重さ335.5gの4つのセルのユニットだ。ドローンのボディにスライドして装着する
  • DJIが用意したコネクターで充電する。充電ドックはUSB-Cを採用している
  • バッテリー駆動時間は46分という。筆者の体験から、風が強い状況では平均30分間程度だ

記事掲載時にはテストできなかったこと

    • 120fpsのビデオモード
    • APAS 5.0。発売前のファームウェアには、最新の物体検知機能と衝突軽減機能が搭載されていなかった。そのためMavic 3には過去のバージョンの機能が搭載されており、小さな木の枝程度の物体を識別して回避することができた
    • ActiveTrack 5.0。この機能は後日提供される。時期は未発表。このシステムでMavic 3は進行方向に関係なく物体を追跡できるようになるとみられる。この機能の過去のバージョンは、主にドローンに向かって移動する物体、またはドローンから離れて移動する物体の追跡に限られ、左右や斜め方向には対応していないという残念なものだった。この新機能はぜひ試してみたい

4G Network-Powered Transmission。このアタッチメントは、4Gネットワーク通信を利用して映像伝送を改善すると思われる。後日リリースされる予定で、本稿執筆時点でテストできていない。

詳しいレビューは近日中に掲載する。来週をお楽しみに。

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(文:Matt Burns、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】Beats Fit Proは一歩先行くワイヤレスイヤフォン、2万円強でワークアウトに超おすすめ

イヤフォンのレビューが非常に難しいのは、まったく同じ耳を持つ人がいないからだ。まったく同じ耳はない。間違ったセットを長期間使用すると痛みを感じやすい私としては、自分に合ったペアを見つけることの重要性を実感している。

Beats Fit Pro(ビーツ・フィット・プロ)の情報が最初にリークされたとき、私は不安を抱いた。デザイン的には、Apple(アップル)の子会社であるBeatsが夏に発売したStudio Buds(スタジオ・バッズ)とほぼ同じだが、大きな違いが1つある。「ウイング」だ。翼、翼端、イヤーピース、ヒレ、何と呼んでもいいが、私は嫌いだ。実際、私はその耳に詰め込む奇妙な小さな尖った代物をみたときに、本能的な嫌悪感を感じた。

まあそれは、何年か前にワークアウト用のヘッドフォンをテストしたときの名残であることも認めたい。当時のウイングは、見た目と同じように極端に尖った硬いプラスチック製だった。安定性の観点からは、たとえば長時間の走行時にこのような形状が有効であることは理解できるものの、私はどうしても必要な場合を除いて、基本的に体のデリケートな部分に先のとがったものを入れたり、近づけたりしないようにしているのだ。

画像クレジット:Brian Heater

だが当初は躊躇していたものの、その心配が杞憂に終わったことを今は喜んでいる。Fit Prosは快適だ。驚くほど快適なのだ。イヤフォン自体はかなり小さく、イヤーピースにウイングを加えたようなデザインになっている。その点ではPowerbeats Pro(パワービーツ・プロ)と変わらないのだが、その目的を大幅にプラスチックを減らすことで達成している。このイヤーピースの成功の鍵は、その大きさと形状、そして、軟骨に食い込ませずに留めることができるシリコンの柔軟性にある。

とはいえ私がこれまでにテストした中で最も快適なイヤフォンだとまでいうのはやめておこう。正直なところ、比べるとしたら相手は以前の製品であるPowerbeats Pro(パワービーツ・プロ)がふさわしい。Powerbeats Proのデザインは大きく、やや扱いにくいものだが、耳掛け式によって、イヤフォンの重さや圧力が分散されている。一方、Fit Prosの重量は11.2gしかないとはいえ、長時間使用すると、その重さがきいてくる。

また、Fits Prosは固定にも見事に成功している。最近、ランニングを再開したのだが、いろいろな種類のイヤフォンを試している(だが上手くいく率は低い)。ワークアウト中にヘッドフォンを固定することを考える場合、(当然のことながら)物理的な動きに注目しがちだ。意外と忘れがちなのが、汗をかくことによって、イヤフォンを固定することが難しくなり、調整がやりにくくなるという点だ。

画像クレジット:Brian Heater

Fit Proはこの点において、最近のどのイヤフォンよりも優れていた。もしジム利用を第一目的としてイヤフォンを探しているのであれば、この製品が最適だ。イヤフォンに接したウイングがボタンの役割を果たす。イヤーピースの一番離れたところで押すことに意味があるのだ。真ん中を押すと、耳にかかる圧力が大きくなる。1回押すと再生 / 一時停止 / 通話への応答、2回押すと曲送り、3回押すと曲戻し、長押しするとANC(アクティブノイズキャンセリング)モードと透過モードが切り替わる。

ワークアウト用のヘッドフォンには、こういった物理ボタンが必要なのだ。汗をかくとタッチが難しくなる。最大の欠点は、サイズが比較的小さいため、トレーニング中にイヤフォン位置を調整しようとして、誤ってボタンを押してしまうことがあることだ。しかしそれでも、ワークアウトという目的のためには、一般的なイヤフォンよりもはるかに優れている。また、ランニング中に固定するのが非常に困難だったStudio Budsが、うまく改良されたものなのだ。

画像クレジット:Brian Heater

なお、ウイングはボタンと一体となっているため、取り外しや交換することはできない。それはちょっと残念だ。ワークアウトが終わったらウイングを外せるといいのだが、構造上の問題があるだろうし、紛失する可能性もある。もしウイングが破損した場合は、(保証期間内であれば)全部を送り返す必要がある。Apple / Beatsはその部品を別売りしていない。

サウンドは良好で、他のBeatsとよく似ている。つまり、低音が強いということだ。例えばジャズの微妙なニュアンスを楽しむためのイヤフォンを探しているのであれば、ソニーの製品をお勧めする。Beatsのヘッドフォンは「刺激的なプレイリストをかけてランニングしよう」というタイプのもので、確かにそのような用途には適している。アクティブノイズキャンセリング(ANC)も優れている。特に大型のシリコンチップへ交換したときには、周囲のストリートノイズやジムの中に流れる好みではない音楽をうまく遮断してくれた。

画像クレジット:Brian Heater

Appleの製品である以上、iOSデバイスとの相性が良いのは当然のことだ。それは、H1チップの搭載によるところが大きい。高速ペアリングやデバイスの自動切り替えに加え「探す」機能や「空間オーディオ」機能も搭載している。最後の機能は、AirPodsにも搭載されているが、ヘッドトラッキングを利用してオーディオの音の方向を変化させる。つまり、音楽を聴くときにはよりスピーカーに近い体験ができ、FaceTime(フェイスタイム)では画面上の位置に応じて声を配置することができるということだ。いまはまだ目新しさを感じられる。一方、Android(アンドロイド)ユーザーは、Beatsアプリをダウンロードすることで、全機能を引き出すことができる。

画像クレジット:Brian Heater

ループからウイング型に変更したことで、充電ケースが大幅に小さくなったことはあまり宣伝されていない。Powerbeats Proのケースは巨大だった。Fit Proのケースも決して小さくはないが(実際AirPodsよりはかなり大きい)、実際にはポケットに入れて持ち歩ける位には小さくなっている。また、ハードウェアの進化により、Fitのケースを含んだバッテリー寿命は27時間と、Powerbeats Proの24時間よりも長くなっている。イヤフォン単体では、使用状況に応じて6~7時間となっている。ケースのフル充電には約90分かかるが、USB-C経由で充電できるので、Lightningケーブルが好きではない人にはうれしい。ただし、ワイヤレス充電が行えないのは減点対象だ。

興味深いことに、Fit Proは、Beatsファミリーの他の製品を置き換えるものではない。Powerbeats Pro、Beats Studio Buds、そして有線ユニットのすべてが存続する。多少重複したラインナップだが、Bratsはこれまでも常に親会社のAppleよりもすばやく多少機能の少ない製品を出してきた。

199ドル(約2万2600円)という価格は、Beats StudioとPowerbeats Proのちょうど中間に位置している(日本の発売予定は2022年、価格は未定)。しかし、ほとんどの場合にほとんどの人(特に、頻繁にトレーニングをする人)に、一番お勧めできる製品だ。本日(米国時間11月1日)より予約受付を開始し、米国時間11月5日より出荷を開始する。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

【レビュー】たくさんのワイヤレスイヤフォンの山から自分に合うものを見つける方法

イヤフォンのレビューは簡単なはずだ。日々出てきては消えていく無数の製品カテゴリーと比べて、変数はさほど多くない。音はいい?バッテリー寿命は?ノイズキャンセリングはどう?フィット具合は?

最後の1つは、もちろん、極めて主観的であり、他よりもはるかにそうだ。そしてそれは、この種の製品をレビューする上で最大の問題を暗示している。それを使ってどんな音楽を聞くかとというのと同じく、好みは個人によるところが非常に大きい。続けて何時間も身につけることが多い製品であり、仕事中も旅行中もエクササイズ中も、寝ている時でさえ私たちの耳と密に接触している。

何度も書いてきたように、Bluetoothイヤフォンほど移り変わりの早い消費者エレクトロニクス製品カテゴリーは見たことがなく、目新しかったものが一夜にして日常になったように感じる。そして真実はと言えば、そのほとんどがかなりよくできている。

原則として自分のスマートフォンを作った会社のイヤフォンを選ぶのがよい、と人にはよく言っている。一体となって動くように作られたイヤフォン製品には良いことがあるものだ。もちろん、スタート地点としては申し分ない。しかし、自分のためにイヤフォンを買う時、検討に値する要素は沢山ある。ホリデーシーズンのギフトでも同じだ。音質、価格、使い心地、デザイン、サイズ、すべてが考慮に値する。

この1年間、TechCrunchではワイヤレスイヤフォンを他のどの商品カテゴリーよりも(大きく引き離して)数多くレビューしてきた。その中に、1つですべてを満たすものはなかったし、おそらくこの分野では将来もないだろう。以下、この急成長、急上昇しているカテゴリーの中で、私のお気に入りをいくつか紹介する。どれを選んでも間違いはない。

Apple AirPods Pro

画像クレジット:Brian Heater

価格:249ドル(税込3万580円)

関連記事:AirPods Proはワイヤレスイヤフォンの価格水準を引き上げる

つい先日発売2周年を迎え、Appleのプロレベルイヤフォンもやや年老いてきた。しかし、パッケージ全体としては今も他社の目標の1つだ。Appleは標準型AirPodsの第3世代を出して、両社の境界をぼやかすような新機能を搭載させたが、価格を別として、Proはさまざまな面で上をいっている。ただし、あなたがシリコンチップを嫌っていなければ。

音はすばらしく、着け心地も良く、ノイズキャンセリングは完璧で、iOSデバイスでシームレスに使える。

Beats Fit Pro

画像クレジット:Brian Heater

価格:199ドル(国内未発売、約2万2700円)

この日まで、誰かに良いワークアウト用ヘッドフォンを尋ねられたらいつもPowerbeats Proを薦めていた。Fit Proはそれを完全に置き換えるものではないが、このカテゴリーで私のリストのトップに躍り出た。最近ランニングを復活した1人として、Beats(ビーツ)がこのニッチなカテゴリーでここまでできることに感心している。過去に固くて痛いモデルをテストした後、イヤーフックに嫌悪感を覚えるようになったのだが、会社はしっかり解決した。

OnePlus Buds Pro

画像クレジット:Brian Heate

価格:150ドル(国内未発売、約1万7000円)

関連記事:【レビュー】OnePlus Buds Proは高コスパイヤフォン、1.65万円で音質、フィット感ともに文句なし

最初のワイヤレスイヤフォンで三振を喫した後、OnePlusはProモデルで多くの点を改善した。そこに世界を驚かせるような技術イノベーションはないが、堅実でバランスの取れた製品でローンを組む必要もない。Proには良いノイズキャンセリングが付き、着け心地もよく、おまけとして、ステムを掴むと瞑想的なホワイトノイズが耳に流れ込む。

Samsung Galaxy Buds 2

画像クレジット:Brian Heater

価格:150ドル(税込み1万5109円)

関連記事:【レビュー】サムスンの「Galaxy Bud 2」は派手さはないが堅実なワイヤレスイヤフォン

他のGalaxyシリーズ製品と異なり、SamsungのBudsに派手さはない。そして正直なところ、それで問題ない。コンパクトで堅実で仕事をこなす。OnePlus Buds Proと同じく、限界に挑戦しているものはないが、外部音取り込みもできるアダプティブ・ノイズキャンセリングを備えた150ドルの完璧なイヤフォンだ。Samsungデバイスとの相性は特にいいので、Galaxyエコシステムにいる人には特におすすめだ。

Sony WF-1000XM4

画像クレジット:Brian Heater

価格:280ドル(税込3万3000円)

レビュー記事:【レビュー】ソニー新型「WF-1000XM4」は高性能ワイヤレスイヤフォンの新基準、2年待っただけの価値がある

気の弱い人には(財布の弱い人も)向かないが、Sonyは2021年真の完璧なオーディマニア向けイヤフォンをひっさげて帰ってきた。大きくてかさばる傾向の製品なので、イヤフォンを着けてランニングする人には薦めないが、例えばすばらしいジャズのライブレコードを楽しむためのイヤフォンを探している人にとっては、これを越えるものを見つけるのは難しい。旧機種のWF-1000XM3や紛らわしい名前のヘッドフォン、WH-1000XM3 / 4とともに、Sonyは最高音質ヘッドフォンの絶対的標準であり続けるだろう。

選外

Nothing Ear (1)

画像クレジット:Brian Heater

価格:100ドル(約1万1400円)

レビュー記事:【レビュー】成熟した市場に参入する低価格の変わり種、Nothingのワイヤレスイヤフォン「Ear(1)」

大企業以外の製品を探している人のために特別賞。Nothingはよくできたイヤフォンのペアをお手頃価格で作った。気の利いた半透明デザインもよい。当初接続がうまくいかないことがあったが、その後のファームウェアのアップデートで問題はほとんど解決した。Apple、Samsung、Sony以外の世界で財布に優しい製品を探している人は検討されたい。

Nura NuraTrue

画像クレジット:Brian Heater

価格:200ドル(約2万2800円)

レビュー記事:【レビュー】Nuraがパーソナライズを実現する革新的なサウンド技術をついにワイヤレスイヤフォンに搭載

Nuraは独自のサウンド・アダプティング技術をワイヤレスイヤフォンに採用した。オーバーイヤー型ヘッドフォンの没入感は少々欠けるが、カスタム・プロファイルを使うことによって実に印象的な音楽体験を作り出している。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【レビュー】DJIの最新アクションカメラ「Action 2」はすばらしいプロダクトだが、オーバーヒート問題は未解決

第2世代となったDJIの「GoProキラー」は、これ以上ないほどの出来栄えだ……スペックを見た限りでは。

この圧倒的に小さい「DJI Action 2(DJIアクション2)」は、コンパクトでありながら充実したスペックを誇り、コアカメラユニットの機能を拡張できる魅力的なモジュラーデザインを採用している。率直にいうと、Apple(アップル)が古い「GoPro Session(セッション)」カメラの再デザインを担当したらこんな感じになるのではないかといった印象だ。この製品には2種類のバリエーションが設定されている。コアカメラユニットと、それにマグネットで取り付けられて長時間の撮影が可能なバッテリーキューブが付属する税込4万9500円の「DJI Action 2 Powerコンボ」と、カメラユニットに取付可能なフロントタッチ画面モジュールがセットになった税込6万3800円の「DJI Action 2 Dual-Screenコンボ」だ。重量56グラムのAction 2コアカメラユニットは、4K/120fpsで撮影可能な最新の「GoPro Hero10 Black(ゴープロ・ヒーロー10ブラック)」に匹敵する性能を半分のサイズで実現する……少なくともそのように宣伝されている。

筆者はこのデバイスを数日間使用する機会を得たが、見出しが示すように、今回の試用では問題がないわけではなかった。要するに、このデバイスは非常に美しく、いくつかの明確な方法で革新をもたらしたものの、まだ発売に向けて準備が整っていないような状態だったのだ。

まず最初に、良い点を挙げよう。

ハードウェアは非常にすばらしく、モジュラーデザインは期待以上にうまく機能する。マグネットクリップやロック機構もしっかりしていて、全体的に密度の高い重厚感があり、これまで試したどのアクションカメラよりも高級感がある。映像画質は、この価格帯のアクションカメラとしては概ね期待どおりで、同梱されていたネックレスのようなマウントやマグネット式マクロレンズなどのアクセサリーも楽しめた。外付けのバッテリーユニットや画面モジュールに取り付けないと、中心のカメラユニットを充電できないといったクセはあるが、全体的に見てこのモジュール方式はうまくできている。

画像クレジット:DJI

このデザインは、主に携帯性とバッテリーライフのバランスを考えたものだ。Instagram(インスタグラム)に投稿するための短い動画を撮影するだけなら、追加モジュールは家に置いておくことができる。DJIはAction 2を、プロアスリートやインフルエンサーのような人向けのクロスオーバーアクションカメラとして販売することを目指しており、付属のマグネット式ストラップで胸に装着できるコンパクトなデザインになっている。

Action 2で4K動画を撮影した(というか、撮影しようとした)ところ、1回の充電で約30分の映像をコアカメラのみで撮影できることがわかった。これはソーシャルメディアに投稿するためのクリップとしては十分だが、一般的なアクションカメラとしては物足りない(DJIは最大70分の駆動時間を謳っている)。バッテリーモジュールや画面モジュールを取り付けて撮影すれば、より長時間の撮影が可能になる。

さて、次は悪い点だ。

理論上、120フレームの安定した4Kビデオをこの小さなパッケージで撮影できるというのは、信じられないほどすばらしいが、しかし残念ながら、この謳い文句は真実に対して良く言い過ぎだということがわかった。最高の画質設定で実際に撮影できた時間は5分に満たず、それを超えるとオーバーヒートのために自動的に録画を停止してしまうのだ。実際、どの設定にしても、最終的にオーバーヒートで停止することなく、4Kで撮影を続けることはできなかった。最も低い24fpsの設定でさえもだ(このモードでは15分弱の映像を撮影できた)。機能しないほど熱くなるというのは、DJIが胸部や頭部に装着できると宣伝している製品にとって厳しい問題だ。

DJIの広報担当者は、他のレビュアーでも同様のオーバーヒートによる問題があったことを確認しており、今のところは低い解像度で撮影することが唯一の解決策であると述べている。

画像クレジット:DJI

ハンズオンではこれ以上深く掘り下げることが難しい。なぜなら、どのフレームレートでも一貫して4K品質のビデオを撮影できるわけではないので、少なくとも発売当初は、誰かに購入をお奨めしにくい。Action 2の大きく世代を超えたデザイン変更の大胆さは評価できるが、GoProの段階的な連続したアップグレードにも敬意を持てるからだ。GoProにはAction 2のような華々しさはないものの、一貫して宣伝通りの機能を発揮することができる。

我々は概して、初代DJI Actionカメラの大ファンだった。2019年に発売された初代Actionは、GoProの強力なライバルになることを証明しただけでなく、非常に説得力のある数々の機能を披露し、その多くは歴代のGoProで採用されることになった。「しかし、今のところ、ここで見つけられる欠点はほとんどが小さなものだ。このことは、老舗企業の製品とはいえ、実質的に第一世代の製品としてはかなり注目に値する」と、同僚のBrian Heater(ブライアン・ヒーター)は当時書いていた。

DJIはファームウェアのアップデートでこれらの問題を解決するかもしれないが、現時点でこのデバイスは、明らかにレビュアーに送る準備ができていなかった。メーカーがいくつかの重要な修正を示すまで、私なら注文するのを控えたいと思う(DJI Action 2は10月27日より販売中)。

画像クレジット:DJI

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

卵より小さなアクションカメラ、ガチで毎日持ち運べるDJI Action 2実機レビュー

DJIがアクションカメラ「DJI Action 2」を発表しました。

卵より小さなアクションカメラ、ガチで毎日持ち運べるDJI Action 2実機レビュー卵より小さなアクションカメラ、ガチで毎日持ち運べるDJI Action 2実機レビュー

DJI Action 2は、マグネット着脱式デザインのアクションカメラです。単体でも使えますが、タッチ対応の画面がついたモジュールや、服にくっつけることができるストラップ、サードパーティー製のアクセサリーも装着できるアダプターマウントなど、様々なものと接続できます。

また、コンパクトで56gと軽量ながら、4K/120fpsのスローモーション、4K60fpsの動画が撮れるなど、アクションカメラとして高性能。ほかにも、手ブレ補正、防水対応、タイムラプス、AI編集(スマホアプリ)など様々な機能に対応しています。

価格は「DJI Action 2 Dual-Screenコンボ」が6万3800円。「DJI Action 2 Powerコンボ」が4万9500円。違いの詳細は後述します。

▲左:DJI Action 2、右:DJI OSMO Action

▲左:DJI Action 2、右:DJI OSMO Action

DJI Action 2は「2」とあるように、2019年5月に発売された「DJI OSMO Action」の後継機です。とはいえ、ぱっと見は後継機か分からないほどデザインや特徴が大きく変わりました。性能面に関しても、Osmo Actionよりセンサーが1/1.7型へ大きくなり、FOV(映像の画角)の種類が増えて、プロセッサーも強力に。

筆者は、先行で1週間ほど使わせてもらったので、この記事では使用感や実際の作例をお届けします。

小さくて軽いため毎日持ち歩きたくなるほど生活に馴染む

DJI Action 2は、日常使いや、旅行、激しいスポーツなど様々なシチュエーションで使えます。筆者は毎日持ち歩いて動画を撮っていましたが、小さくて軽いため毎日持ち歩きたくなるほど生活に馴染むんです。

▲DJI Action 2のサイズ。長さ39mm、高さ39mm、幅21mm

▲DJI Action 2のサイズ。長さ39mm、高さ39mm、幅21mm

そもそも単体の重量は56g。これは卵くらいの重さで、大きさも卵より小さいくらい。

卵より小さなアクションカメラ、ガチで毎日持ち運べるDJI Action 2実機レビュー
タッチ対応のOLEDディスプレイがついた「フロントタッチ画面モジュール」を装着しても120gほどなので、iPhone 13よりも軽くなります。

このフロントタッチ画面モジュールは、タッチ対応の画面がついているだけでなく、USB Type-CポートやmicroSDカードスロット、バッテリーも内蔵。外でもクリアな音声で録音できる機能なども備えます。

▲DJI Action 2本体にもタッチ対応の液晶がついています
DJI Action 2単体だと32GBの内蔵メモリーに保存となるため、筆者は基本的にはフロントタッチ画面モジュールとセットで使っていました。

▲はじめは、こんな感じで延長ロットを使ったザ・アクションカメラスタイルで動画を撮っていましたが

▲はじめは、こんな感じで延長ロットを使ったザ・アクションカメラスタイルで動画を撮っていましたが

行き着いたのがこちら

行き着いたのがこちら

行き着いたのがこちら。「DJI Action 2 Dual-Screenコンボ」付属の「磁気ボールジョイント アダプターマウント」のボールジョイントを持つスタイルです。

このスタイルだと、身軽でコンパクトで、スマホのようにパーカーやズボンのポケットにしまえるので、撮りたいときにすぐに撮影できます。

ボールジョイント部分がいい感じに握れるため、持ちにくいといったことも、不安定になることもありません。また、角度が欲しいときはボールジョイントで調整もできます。

このコンパクトさを気軽に持ち運べて、アクションカメラならではの防塵性・防水性・耐衝撃性(3つ揃っているのは本体のみ)があり、多少乱暴にも使えるため、生活に馴染んだというわけです。

こちらの動画は、1週間使い続けたうちの数日を切りとってVLOG(ブイログ)風に仕上げたもの。画質や音声はあえていじっていない動画です。幹線道路沿いを歩いているときも大声でしゃべったりはしていないですし、お店の中など暗所でも撮っていたり、船の上でも撮っていたりと、色んな場所で普通に撮っている様子をまとめました。

動画内では、スローモーション、ズーム、超広角などの機能も使用。また、DJIのスマホアプリ「DJI Mimo」でテンプレートを選ぶとAIが編集してくれる機能の作例も入れています。DJI Action 2で撮ったそのままを詰め込んでいるので、一度ご覧になってみてください(なお、4Kではなく2.7Kで撮っているのはスマホにデータ転送をするため。データが重いと転送に時間がかかるので)。

動画を撮ってみた感想は、「画質は綺麗で音声も思った以上に録れている」でした。画質は編集なしでも色が綺麗に出ていますし、船の上で風の音がうるさくないのは驚きです。船と鳥が一緒に進んでいるスローモーション部分もいい感じですし、VLOG的に使うのであればサイズ感も重量的にもぴったりだと思いました。

卵より小さなアクションカメラ、ガチで毎日持ち運べるDJI Action 2実機レビュー
こちらはDJIのスマホアプリ「DJI Mimo」の画面。さきほど少し触れましたが、DJI MimoとDJI Action 2を接続してデータを転送すると、手軽に動画を編集できます。動画転送に時間はかかりますが、テンプレートを選んで動画を選ぶだけでAIがいい感じに編集してくれる機能をつかうと、2~3分ほどで動画が完成。

  • データを転送する
  • テンプレートを選ぶ
  • 動画を選ぶ
  • 書き出しする

以外はアプリ任せなので楽ですし、初心者でも簡単です。もちろん、切りとりたい場所を変えるなどアプリがつくってくれた動画を編集もできます。

▲アプリで作った動画

この動画は新宿御苑を散歩しているものですが、SNSにサッとアップするならこれくらいの長さと編集の感じが良いと思うんです。この動画くらいのものであれば、データ転送したあとは5分もあればアプリがしあげてくれますし、アプリ内に普通の動画編集ができる機能もあるので、パソコンで動画編集しない人にもDJI Action 2はおすすめできます。

良いところイマイチなところ

卵より小さなアクションカメラ、ガチで毎日持ち運べるDJI Action 2実機レビュー
ここで改めて注目したいのが「コンパクトさ」です。DJI Action 2はアクセサリーを使って服に付ければ、ミラーレス一眼や一般的なアクションカメラの撮影のように片手を塞ぐことはありません。

強力なマグネットでくっついているので落ちる心配はないですし、56gと軽いので重さが気になることもないですし、両手が自由なので荷物を持っているときでも手軽に撮影できます。旅行時は荷物を持っていることも、ご当地名物を食べていることなども多いと思うので、両手があくのは地味にポイントです。

▲アクセサリーの一例

▲アクセサリーの一例

さらに、アクションカメラだからこそのアクセサリーの豊富さも魅力。1/4インチのねじ穴や、いわゆるGoPro マウント系のアクセサリーはサードパーティー製からも多く出ているので、自分好みのものを見つけやすいです。また、自転車・バイク向け、エクストリームスポーツ向けなど様々な用途に対応したアクセサリーなどもあります。

と、ここまで良いところばかりを挙げてきましたが、もちろんイケてないところもあります。

  • 本体が小さいこともありバッテリーは長くは持たない
  • 本体のみで使う場合、容量が32GBなのでこまめにバックアップをとらないとすぐデータがいっぱいになる
  • 暗所撮影にはあまり向かない(アクションカメラ全体的に)

など。DJI Action 2の本体でのバッテリー駆動時間は70分。フロントタッチ画面モジュールに接続すると160分、電源モジュールに接続すると180分、というのが公式の情報です。ただし、これは1080p/30fpsでの動画撮影 省電力モードがオン)で測定された値なので、実際はもう少し短いです。

すぐ切れるみたいなことはないですが、お出かけして使おうと思うと小まめに充電したほうが良いです。

また、本体の容量が32GBしかありません。4K撮影を長時間するには向かないですし、microSDカードスロットはモジュールについているので、4K撮影時は基本的にモジュールを装着した運用となります。あと、これはアクションカメラ全体的にいえることですが、暗所撮影は得意ではないです。ここはある程度割り切るしかないかなと思います。

とはいえ、アルミ素材は手触りも良く、デザインはかっこよくて、小さくて軽くて、誰でも使える手軽さはマイナス面を十分に補う魅力です。

主な機能と価格

卵より小さなアクションカメラ、ガチで毎日持ち運べるDJI Action 2実機レビュー
DJI Action 2は上記で挙げた撮影方法も含め・・・・・・

  • 通常撮影
  • スローモーション
  • タイムラプス & ハイパーラプス
  • QuickClip(10秒/15秒/30秒の短いショート撮影)
  • ライブ配信(1080p/30fpsのライブ配信)
  • UVC DJI(パソコンのウェブカメラとして使う機能)

上記のような撮影が可能です。手ブレ補正は電子式の「RockSteady機能」と、映像中の水平方向の安定性を確保できる安定化アルゴリズムの「HrizonSteady機能」を搭載。

イメージセンサーは 1/1.7インチで、f/2.8、超広角155度 FOV、最大120fpsの4K動画を撮影可能。32GBのストレージ内蔵し、単体で水深10mまでの防水性能も備えています。

DJI Action 2 Dual-Screenコンボ

DJI Action 2 Dual-Screenコンボ

価格は、DJI Action 2 Dual-Screenコンボが6万3800円。同コンボには、DJI Action 2 カメラユニット、フロントタッチ画面モジュール、磁気ストラップ、磁気ボールジョイント アダプターマウント、磁気アダプターマウントが同梱されています。

▲DJI Action 2 Powerコンボ

▲DJI Action 2 Powerコンボ

DJI Action 2 Powerコンボが4万9500円。同コンボには、DJI Action 2 カメラユニット、タッチ画面がついていない電源モジュール、磁気ストラップ、磁気アダプターマウントが同梱されています。

DJI Action 2は、動画初心者にも、気軽にSNSに動画をアップしたい人にも、もっと楽に動画編集をしたい人にも、VLOGを撮るような人にも、エクストリームスポーツをやっている人にもおすすめできる1台です。

ほぼ毎日持ち歩いてライフログカメラ的に使用しましたが、本当に生活に馴染みました。毎日持ち歩けるカメラを探していた方にはとくに検討して欲しいなと思います。

(砂流恵介/Keisuke Sunagare。Engadget日本版より転載)

【レビュー】フォード2021マスタングMach-E GTとGTパフォーマンス初試乗、ついに「Mach-E」の名にふさわしいものに

Mustang Mach-E(マスタングMach-E)という名前について議論するのはもうやめよう。Mach-Eではなく、もう片方のことだ。電気SUVに塗られたポニーカーの血統。その議論に終止符を打つ。人々は二手に分かれたのだ。Mach-Eがマスタングかどうかという疑問は妥当ではない。「Mach-E GTがGTの名にふさわしいか」という、それよりはるかに差し迫った問いが私たちに投げかけられている。


無条件で、Mach-E GT(5万9900ドル[約684万円]から)とMach-E GTパフォーマンスエディション(6万4900ドル[約741万円]から)の両方がFord(フォード)のグランドツーリングの名にふさわしい。これは通常のMach-Eからのトリムレベルの著しい強化、新たなトラックモード、そしてパフォーマンスエディションではアップグレードしたサスペンションシステムにより実現した。

アンブライドルド

画像クレジット:Roberto Baldwin

ベース車のMach-EはEVパワートレインのおかげですでに加速面で優れている。GTとGTパフォーマンスエディションでは、加速とスロットルレスポンスが増して驚異的な速度のバーストを生んだ。標準のGTは480馬力、600ポンドフィート(約814ニュートンメートル)のトルクを誇り、完全停止状態から3.8秒で時速60マイル(約96km)に達する。フォードは加速のために、バッテリーパックは88 kWhと変わらないままパックの配線とチューニングを強化しつつ、フロントモーターをアップグレードした。

予算に余裕があり、もっと早く時速60マイル(約96km)を出したい人には、480馬力、634ポンドフィート(約860ニュートンメートル)のトルクで、3.5秒でゼロから時速96kmに達するGTパフォーマンスエディションがよい。GTと同じく、バッテリーの配線とチューニングのアップグレードとフロントモーターの強化が行われた。

両車とも出荷時は前輪駆動(AWD)標準だ。すべてのEVトルクを道路に伝達するのに役立つが、そのパワーは本来あるべきほど十分に維持されない。複数回のローンチの間、両方の車両の前輪が、ローンチ時または時速30マイル(約48km)に達する前にスリップした。また、GTパフォーマンスエディションで、完全停止状態からアクセルを踏んだ瞬間のトルクステアも体験した。

これらの小さな急加速がGTで予想される。通常のMach-Eと同じマルチリンク式サスペンションで回転する。しかしGTパフォーマンスエディションは、MagneRideサスペンションシステムを装備したフォード初のEVだ 。コーナーでボディロールを減らすことには優れているが、発進時にフロントのホイールのスリップを減らすためにバックエンドが飛び出さないようにするには、もう少し調整が必要なようだ。私は同日に両方の車を運転して、高速道路と田舎道の両方でMagneRideの利点を見ることができた。GTは角を曲がったところで適切なハンドリングができたが、より高価なGTパフォーマンスエディションよりもはるかに多くのボディロールが見られた。ヘアピンターンでこれは特に顕著だった。そこではパフォーマンスエディションは車体を保持していたが、GTは外側に飛び出していた。

コーナリングに関しては、どちらの車両もAWDで、わずかなアンダーステアを示した。これさほど驚くことではない。しかし試乗2日目には、フォードはGTパフォーマンスエディションでレース用トラックを走らせてくれた。トラクションコントロールをオフにするとコーナーでよりニュートラルに感じ、力を入れるとわずかにオーバーステアが生じた。

BlueCruise

GTを運転している最中に、フォードのハンズフリー運転支援システム「BlueCruise(ブルークルーズ)」に初めてお目にかかった。GMのSuper Cruise(スーパークルーズ)のように、レベル2システムにより一定条件下でドライバーがホイールから手を離すことができる。スーパークルーズと同様、システムは地図化されている中央分離帯のある高速道路に対してジオフェンスされており、ドライバーモニタリングシステムを使用してホイールを握る人が道路に注意を払っているか確認する。フォードは、ブルークルーズをオプションの1900ドル(約22万円)のフォードCo-Pilot360 アクティブ2.0パッケージの一部として両方の車両で利用できると述べた。

テスト中、システムはGMの製品よりもわずかに堅牢性が低く、急カーブ後の車両のノッキングが少し多いことがわかった。1度だけ、車両が十分に鋭く曲がっていないと感じ、隣の車線に滑り込んでいくと思ったため、ステアリング動作を引き継いだ。ほとんどのコーナーで、直線で走行するとき、変化する交通状況とカットインを上手く処理していた。前方の路上ではなくインフォテインメント画面を見るのに時間をかけすぎると、システムに適切に注意してくれた。

警告音が少し大きくなり、フォードがダッシュクラスターに加えて、ライトバーまたは警告灯が車両のステアリングホイールに追加され、注意が必要なときやBlueCruiseのハンズフリー機能が解除されるときに警告してくれるようになることを強く願う。BMW、GM、Mercedes(メルセデス・ベンツ)はオンホイールインジケーターを使用している。フォードが彼らの先導に従わないことに決めたのは残念だ。

内装:同じだが、違う

内装は通常のMach-Eと同じだが、新しいシートでは素材がアップグレードされている。GTではスポーツスタイルのシートにより、コーナリング中にドライバーがシートから飛び出さないよう、サイドボルスタリングをわずかに追加している。新しいシートは、過度にスポーティーでなく快適だ。

GTパフォーマンスエディションのシートは別の問題がある。パフォーマンスのシートはショルダーラインに追加エレメントがあり、身長190cmの私は態勢をどう変えても座り心地がよくなかった。背が低い場合は大丈夫だが、私は座り心地が悪く、GTに乗り換えるとよくなった。

通常のMach-Eと同様、二種類のGTはSync 4A を搭載したフォード製15.5インチポートレートディスプレイを採用している。インフォテインメントシステムはわずかなレイテンシを示した。その表面積の大きさが、これが車の未来であることを思い出させてくれる。ほとんどの機能をすぐに利用でき、ディスプレイ近くに大きなノブがあることがこの車で一番のお気に入りだ。

温度調節はインフォテインメントシステムによって処理されるが、私は好きではない。コントロールが常に画面の下にあるため、温度の調整は比較的簡単だった。

両方の車両の後部座席は、背の高い大人でも快適だ。また、後部座席の後ろにあるMach-Eの29.7立方フィートの貨物スペースは、中型の荷物を4〜5個運ぶには十分だ。

バッテリ―とレンジ

画像クレジット:Roberto Baldwin

GTのすべての楽しみは、ベース車のMach-Eの4万2895ドル(約490万円)と比べて、大きなコスト差のある価格で提供される。

パワーが増強されると、走行距離を失う。Mach-E(5万775ドル(約580万円)から)は1回で306マイル(約492km)走行できる。Mach-E GTは最高270マイルに達し、GTパフォーマンスエディションは260マイルの後電力系統に接続する必要がある。

幸運もどちらもDC急速充電ステーションで最大150 kWの充電をサポートしている。さらにはプラグアンドチャージ機能を備えていることから、Electrify America(エレクトリファイ・アメリカ)のような充電ステーションでアカウントを持っていれば、車両を接続するだけで、アプリやクレジットカードを使用せずにその電気を車両のバッテリーに送り始める。車両を認識してくれるのだ。

どちらを購入するか

Mach-E GTパフォーマンスエディションは5000ドル(約57万円)をパワーのわずかな向上とサスペンションの改善に費やすことへの、説得力ある事例を作り出している。現実は、運転者のほとんどがトラックを見たり、フォードのMach-E trackトラックモードのUnbridled Extend機能を使用したりすることは絶対にない。彼らはトラックタイムより交通状況を見る、日常生活のドライバーである可能性が高い。その場合、ハンズフリーのBlueCruiseを搭載した1900ドル(約22万円)の運転支援パッケージは価値ある出費だ。

どちらを選択しようとEVの運転体験が得られる。私たちは同意しないかもしれないが、間違いなく認めることができるのは、マスタングがGTバッジにふさわしいということだ。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】Kindle Paperwhiteシグニチャーエディション、充実した読書のためのすてきな機能を追加

筆者はiPhoneをワイヤレス充電器から外し、新しいKindleを載せた。正直なところ、こんな一文を書くことになるとは思っていなかった。心が躍らないことはわかっているし、2021年時点では間違いなくそうだ。だが、冷静に考えてみれば、電子書籍リーダーのイノベーションのペースは、他の業界に比べるとまさに氷河の動きなのだ。


理由の1つは、競争相手が減少していることだ。Sony(ソニー)のようなかつての大企業はとうの昔に撤退し、Barnes & Noble(バーンズ・アンド・ノーブル)は表向きにはまだNook(ヌーク)事業を続けているが、かつての栄光の日々はとっくに終わっている。ビッグプレイヤーといえば、まだ健在のKobo(コボ)と、そしてもちろんAmazon(アマゾン)だ。

現実的に考えて、米国での規模と存在感という点ではAmazonに軍配が上がる。他の分野でもいえることだが、この巨大小売企業がこの分野を支配している。出版業界での圧倒的な存在感と、同社のホームページに持つ世界有数の、オンラインの広告塔が寄与している。そして見逃せないのは、同社が総じて優れた電子書籍端末を製造しているという事実だ。

この分野で競争が少ないということは、メーカー同士の激しい競争は二度と起こらないということでもある。つまり、スマートフォンのような競争、あるいは10年前のような競争は起こらないと思われる。

だからこそ、新しいKindleが登場すると、純粋にワクワクする。このカテゴリーにはまだ生命力があるように感じられる。Kindleは、EchoやFire TVの陰に回って久しいが、良い年には1年に1台のペースで新しいKindleが発表される。

2021年9月末に発表された新しいPaperwhiteは、ハイエンドのOasisとの違いを曖昧にするいくつかの機能、そしていくつかの純粋な驚きをもたらした。その中でも、ワイヤレス充電とUSB-Cは、後者のカテゴリーだ(ただし、いずれも「シグニチャーエディションのみで利用可能な機能。同モデルはスタンダードモデルより50ドル[日本では5000円]高い)。これまで何世代にもわたってmicroUSBを採用してきたこのデバイスの底部に、新たなポートが搭載されているのは、正直なところ、単純に不思議な感じだ。

USB-Cの採用により、充電時間が短縮され、約2.5時間(ワイヤレスの場合は約3.5時間)で本体を充電できる。とはいえ、筆者にとっての最大のメリットは、旅先で持ち歩くケーブルが1本減ることだ。Kindleは、私が普段使っている中で、microUSBを使う最後のデバイスの1つだった。もちろん、バッテリー駆動時間を考えると、その点はもう意味を持たない。新しいPaperwhiteは現在、10週間のバッテリー駆動が可能とされているからだ(ワイヤレスをオフにし、1日30分の読書をした場合)。

従来の6週間からさらに長くなったわけだが、ガジェット用のバッテリーとしては、6週間でも非常に良い。数日や数時間ではなく、数週間使える数少ない消費者向けデバイスの1つだ。このことは、一般的な、ある奇妙な点に光を当てる。こうしたデバイスでアップデートされる機能の多くが、バッテリーと充電に集中しているという事実だ。確かに、Bluetoothオーディオを使ったオーディオブックなどは、通常の読書よりもバッテリーに負担がかかる。

新しいPaperwhiteは、一見すると前世代とほぼ同じように見える。Oasisと同様、平らになったベゼル(ディスプレイを囲む縁の部分)とディスプレイが、すでに強固な躯体に加わる。しかし、250ドル(日本では8GB広告付きで税込2万9980円)のOasisのような高級感はない。Oasisには背面が金属製で物理的なページボタンがついているが、Paperwhiteにはそのような贅沢な部品はない。

興味深いことに、スクリーンに大きな違いはない。どちらも解像度は300ppi(前世代と同じ)で、標準的なKindleの167を大幅に上回った。サイズは6.6インチから新モデルの6.8インチへとわずかに大きくなった。Oasisの7インチよりわずかに小さい。また、両モデルともにIPX8規格の防水機能を備え、プールやバスタブなど水のあるところで読書をしたい人にはうれしい仕様となっている。

フロントライトは、Paperwhiteの17個に対してOasisは25個と、Oasisが勝っている(Paperwhiteの方が画面が小さいということはある)。ライトは均一で、暗いところで読むときにもいい仕事をしてくれる。システムは、2019年のOasisで導入された色調調節機能を備える。睡眠パターンに悪影響を及ぼす可能性のある青い光をスケジュールに沿って減らすものだ。明るさを調整するアンビエントライトセンサーは、シグニチャー・エディションにのみ搭載されている。

搭載されているストレージも標準版のPaperwhiteとシグニチャーエディションの大きな違いで、前者の8GBに対し、後者は32GBと大きい。ワイヤレス充電は、ほとんどの人が電子書籍リーダーを使用する際には不要なものであり、140ドル(日本では1万4980円)と190ドル(日本では1万9980円)の価格差を正当化するほどのものではないと思う。30ドル(日本では3480円)のワイヤレス充電スタンドが別売りであることを考えれば、なおさらだ(筆者のAnkerの充電器は問題なく動作しているため遠慮する)。

概して、歓迎すべき追加機能がたくさんある。2018年版のPaperwhiteを持っている人には、アップグレードする価値がないかもしれないが、充実した電子書籍端末を探している人にはお勧めだ。新機能は、上位モデルのOasisとの境界線を曖昧にした。250ドル(日本では8GB広告付きで2万9980円)のOasisはより高級な外観だが、大多数の読者にとっては新しいPaperwhiteの方がずっと理に適っている。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】グーグル「Pixel 6 Pro」、ハード面でも真のブレークスルーを達成

家電製品の領域では、ヘイルメリーパス(アメフトで逆転勝利を狙って行ういちかばちかのロングパスのこと)を何度も出すことはできない。それがたとえ大企業であってもだ。例えば、Microsoft(マイクロソフト)の携帯電話に対する長年の思いを見てみよう。かつて圧倒的な強さを誇ったNokia(ノキア)を72億ドル(約8200億円)で買収しても、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)と肩を並べることはできなかった。


初期の失敗を除けば、Google(グーグル)のモバイルハードウェアの野望は、全体的に見てより成功しているほうだ。しかし、Pixelシリーズは、このカテゴリーに費やされたリソースを正当化するのに必要な大ヒットを記録していない。これらのデバイスは、よくいえば、Googleがモバイルソフトウェアや機械学習で取り組んでいるクールなものを紹介するためのショーケースであり、悪く言えば、一種の劣等生のようにも感じられてきた。

スマートフォンのような混雑した分野に参入することは決して容易ではなかったが、同社が波風を立てずに奮闘している姿は、正直なところ奇妙なものだった。また、他社フラッグシップスマートフォンがどれも全体的に非常に優れており、この分野での継続的な優位性が主にこれまでの前進する勢いの結果によってもたらされている場合、これを達成させることは二重に困難だ。さらに面倒なことに、Googleは、真のブレークスルーはすべて「ソフトウェア側」で起こっていると長年執拗に主張してきた。

AppleやSamsungなどがスペック競争に明け暮れるのは時間の無駄だというのは、確かにおもしろい命題だ。確かにその通りだと思うが、少なくとも現状では、ハードウェアに依存しないことは不可能だ。人工知能や機械学習の重要性が増していることは間違いないが、カメラレンズ、ディスプレイ、プロセッサーのすべてが重要であることに変わりはない。少なくとも、今のところは。

Google Pixel 6 Pro

2020年5月、Pixelチームの主要メンバーが会社を去ったことが明らかになった。これは、大きな見直しの一環であり、その再考はさらに進むことになる。2021年の8月には、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)CEOが、同社が4年前から自社製の半導体を開発していることに言及した。Qualcomm(クアルコム)のようなチップメーカーからの脱却は、ヘイルメリーパスを出す(リスクをとる)上で、大きな意味を持つ。そして、それには大きな携帯電話が必要になってくる。

2020年の同時期に発売された「Pixel 5」は、旧来の方法の最後の名残となった。大きな変化は一夜にして起こるものではなく、ましてや主要な家電製品ラインに関しては1年で起こるものでもない。Googleにとっては残念なことに、小規模なリストラのニュースが発売前に流れてしまい、Googleでさえ、より良い時代が来るのはまだ随分先だということを認めざるを得なかった。今回の「Pixel 6」が、Googleの製品ラインを決定するものではないが、何世代にもわたって刺激のない販売を続けてきたGoogleは、物事が正しい方向に向かっていることを証明する必要がある。

その基準からすれば、本モデルは大成功といえるだろう。

Google Pixel 6 Proレビュー

スペックにこだわらないGoogleの姿勢とは対照的に、優れたソフトウェアにはやはり優れたハードウェアが必要だということを証明している。Pixel 6は、決してオーバークロックされた最先端のスペックマシンではないが、適切なハードウェアを与えられたときに、Googleの優れたソフトウェアにどんなことができるのかを示す例となっている。

しかし「Pixel 6 Pro」を手にした瞬間、何かが違うと感じた。この端末は、Pixelの系列というよりも、Samsungの製品のように感じられる。Galaxyシリーズを彷彿とさせるサイズ感と重厚感があり、曲面ガラスのエッジによってその美しさはさらに増している。

発表当日、正直なところ最も驚いたことの1つは、オンラインコミュニティで曲面ガラスについての意見がいかに二極化しているかということだった。今回の発表では、Samsungのようにエッジを用いた機能を盛り込むのではなく、主に美しい外観を重視した使い方がされている。私が耳にした曲面ガラスに対する最大の反論は、携帯電話の両脇をつまんだときに誤ってタッチスクリーンを作動させてしまうリスクだ。この問題に関しては、私は経験していないし、正直なところ、私は全体的に曲面スクリーンには興味がない。

Google Pixel 6 Proレビュー

6 Proのディスプレイは6.7インチで、512ppiのQHD+(3120×1440)OLEDだ。最大リフレッシュレートは120Hzで、大きくて明るいのがいい。一方、スタンダードのPixel 6は6.4インチ、411ppi、90Hzのディスプレイだ。どちらを選んでも間違いではないが、Proはこの点で優れたアップグレードといえる。前面のカメラはピンホールデザインで、デフォルトの壁紙では見えづらくなっている。

また、下部にはディスプレイ内蔵指紋認証リーダーがあり、すばやくロックを解除することができる。ディスプレイはGorilla Glass Victusで覆われており、背面にはGorilla Glass 6が使用されている。背面の上部3分の1は、大きくてはっきりとしたカメラバーで独占されている。デザイン的には気に入っている。競合他社がこぞって採用している標準的な四角いカメラバーからの良い変化だ。

しかし、このカメラバーにはかなりの高さがあるため、背面に置いたときに携帯電話が斜めになってしまう。しかし、標準的なケースを装着することで、この影響はほとんどなくなるだろう。カメラの配置でもう1つ気になるのは、ランドスケープモードで撮影する際に、手の位置を少し気にしなければならないことだ。この点については、私は特に問題を感じなかったしし、もし問題があったとしても簡単に正すことが可能だ。

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カメラバーの上下のガラスにわずかな色の違いがある。これは、Pixelの旧モデルで電源ボタンに採用されていたような、ちょっとした遊び心だ。Googleが、どれも瓜二つの競合製品との差別化を図る方法をいまだ開発し続けてくれていることは明らかだ。ありがたいことに、これはほんの些細なポイントだ。デザイン言語全体は、退屈さと突飛さの間のちょうどよいラインだ。

カメラシステムは、優れたソフトウェアとハードウェアが互いに影響し合うことを示す究極の例といえる。「Surface Duo」と同時にPixel 6 Proをテストしていたのだが、特に光が混ざった状態や光量の少ない状態では、Microsoftのデバイスがしっかりとしたカメラリグを持っているにもかかわらず、(いわば)昼と夜のような違いがでた。

何世代にもわたって独自のカメラシステムを開発してきたことが功を奏したのだと思う。私は、このカメラで撮影できた写真がとても気に入っている。Proに搭載されている4倍の光学ズームもいい感じだ。デジタルでは最大20倍まで可能だが、Googleのコンピュータ写真処理を使っても、すぐに画像にノイズが入るようになってしまう。

標準的なPixelカメラの機能に加えて、いくつかのクールな新機能が搭載されている。「消しゴムマジック」は、Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」ツールと原理的には似ている。不要な背景画像の上に指を置くと、周囲の設定を使ってその部分を埋め、被写体を効果的に「消す」ことができる。しかし、完璧とは言えない。よく見ると、ムラのある部分が見つかるのと、周囲の環境が複雑であればあるほど、一般的に出来栄えは残念なものになる。それでも、アプリに搭載された新機能としては、すばらしい働きをしてくれている。

「アクションパン」も同様だ。この機能は、ポートレートモードと同様に、被写体の背景に擬似的なぼかし効果を加えてくれる。車のような大きくて幾何学的にシンプルな形状のものによく合う。一方、自転車に乗っている人などは、ポートレートのように輪郭周辺部が気になる。「長時間露光」はその逆で、動いているものをぼかし、背景は静止したままにしてくれる。

正直にいうと、私はパンデミックで閉じこもりがちな生活を送っているため、ヒトを撮影する機会があまりなかった。また、2台のカメラと顔検出機能を使って、動いている被写体にシャープな画像を合成する「フェイスアンブラー(顔のぼかし解除)」機能も注目されている。「リアルトーン」機能については、近日中にもう少し詳しく紹介する予定だが、幅広い肌色をよりよく撮影できるようになったことは、大いに歓迎すべきことだ。ただし、この機能も顔検出に依存しているため、問題が発生することもある。

また、Pixelに搭載された一連のテキストツールも印象的だ。私の限られたテストでは、リアルタイム翻訳がうまく機能し、テキスト入力にすばらしい効果をもたらしてくれた。アシスタントの音声入力はうまく機能しているが、音声による絵文字の追加など、時々問題が発生した(おそらく私の発音が悪いのだろう)。また、ドイツ語や日本語に対応した「レコーダー」などの既存の機能に加えて、このような機能が追加されたことは歓迎すべきことだ。

Google Pixel 6 Proレビュー

もちろん、今回のショーの主役はTensorだ。Googleは、現在増えつつあるQualcommの半導体の独占状態を避けて独自のチップを採用する企業の仲間入りを果たした。これは、4年前から計画されていたもので、GoogleがPixelシリーズに今後も力を入れていくことを示す良いサインといえるだろう。今回、同社はPixel 6の新機能の多くが自社製SoCによって実現されているとしている。同社は、最近のブログ記事で次のように述べている。

Google Tensorによって、モーションモード、フェイスアンブラー、動画のスピーチエンヘンスメントモード、動画へのHDRnetの適用など、最先端の機械学習を必要とする驚くべき新しい体験が可能になります(詳細は後述)。Google Tensorは、スマートフォンにおける有用性の限界を押し広げることを可能にし、スマートフォンを画一的なハードウェアから、多種多様なスマートフォンの使い方を尊重し、それらに対応することができるほど大きな知能を持つデバイスへと変えてくれます。

Geekbenchテストでは、シングルコアで1031点、マルチコアで2876点を記録した。これは、Pixel 5の平均値である574と1522を大幅に上回るものだが、Pixel 5はSnapdragon 765Gというミドルレンジのプロセッサーを採用していた。フラッグシップモデルとは言えない。Snapdragon 888を搭載したSamsungの「Galaxy S21」の1093と3715と比較すると、処理能力の点でGoogleの自社製チップにはまだまだ課題があることがわかる。「iPhone 13 Pro」のテストで得られた1728と4604と比較すると、結果はさらに悪くなる。

Google Pixel 6 Proレビュー

バッテリーは、従来のモデルの最大の難点の1つだったが、Googleはこの点を大きく改善した。6には4614mAh、6 Proには5003mAhのバッテリーが搭載されており、Pixel 5の4080mAhからしっかりとアップグレードされている。それがPixel 4からのすばらしい飛躍だった。Googleによると、満充電で24時間使用可能とのことだが、私の適度な使用で26時間ほどもったので、その点では朗報だ。

ここ数年、Pixelのハードウェアと売上は中途半端だったため、Googleは、低迷するモバイル部門を前進させるためのデバイスを本当に必要としていた。これまでの4年間にわたるプロセッサーの開発、6世代にわたるソフトウェア、そしてピカピカの新しいハードウェアが、1つのパッケージにうまくまとめられている。Googleはこれまで、Pixelシリーズは単に新しいAndroidソフトウェアをアピールするだけのものではないと主張してきたが、今回はそれが現実のものとなった。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【レビュー】アップルAirPods(第3世代)、前モデルよりも優れProより大幅に安い第3世代はそれらの中間的な存在

初代AirPodsがBluetoothイヤフォンの常識を覆してから5年経った。発売当初は、その長い茎のようなデザインを嘲笑するような声もあったが、事実上のユビキタスになるまでそれほど時間はかからず、まだ新しかったカテゴリーを牽引する存在となった。このプロダクトは、テクノロジーを理にかなったパッケージに結びつけるフォームファクター、デザイン、ユーザーエクスペリエンスを提供した。

もちろん5年も経てば、特にこの業界では多くのことが変わる。率直にいって、Bluetoothイヤフォンほど早く成熟し、人々の想像力をかき立てるカテゴリーはなかった。主要なハードウェアメーカーにはそれぞれ少なくとも1つの優れた、もしくはすばらしいイヤフォンがあり、その中にはNothingのように現状を打破するという明確な使命を帯びて登場するものもある。

Appleのラインナップも、もちろん変化を繰り返している。2019年の第2世代モデルでは、ハンズフリーで「Hey Siri」を使えるH1チップが追加され、ワイヤレス機能の向上、バッテリーの改善、オプションのワイヤレス充電ケースが追加された。同年、Appleは「AirPods Pro」というかたちで、プレミアムモデルを追加した。本モデルでは、アクティブノイズキャンセリング機能(+外部音取り込みモード)、標準のワイヤレス充電ケース、そしてApple製ヘッドフォン愛好家の長年の要望であるシリコンチップが追加されている。

本稿執筆時点で、現在、AirPodsのイヤフォン(buds)型は3種類、それにオーバーイヤー型のMaxがある。事実上、同社が2019年以降に販売したすべてのモデルが、同社サイトで購入可能になっている。第1世代のバージョンのみが販売終了だ。新たに登場した第3世代モデルは、デザインを一新した他、空間オーディオの追加、防汗・防水機能、付属のMagSafe充電ケース(いずれもProと共通の機能)など、先代モデルを上回る内容となっている。

またバッテリー駆動は、1時間延長され最大6時間の再生が可能になった。179ドル(日本では税込2万3800円)という価格は、Pro(249ドル、税込3万580円)と第2世代(129ドル、税込1万6800円)の中間となるが、後者に近い。Proが少々古くなってきているため、無印のAirPodsがアップデートされて、2製品の境界線がさらに曖昧になったとしても不思議ではない。ステムが短くなり、充電時間が長くなったことで、デザイン言語はProに近いものになっている。

当面の間、主な差別化要因はシリコン製イヤーチップ、アクティブノイズキャンセリング、そしてもちろん価格となる。Proは今でもプレミアム価格で、間違いなく同社最高のイヤフォンであり、プレミアムイヤフォンとしても最高の部類に入る。しかし、ここ1、2年の間に、アクティブノイズキャンセリングのような機能が、さまざまな価格帯でますます一般的になってきている。

AirPods 3は、機能や音質の面においては先代モデルから大きくステップアップしているが、同年に登場したAirPods Proからはステップダウンしているという、ある種の迷走状態にある。やはり、ここで最も説得力があるのはやはり価格だろう。70ドル(日本価格では6780円)は、AirPodsからProに乗り換えるのに微々たる金額ではない。しかし、ここ数年Proを愛用してきた者としては、日常的にAirPodsを使うようになると、明らかにステップダウンしたように感じてしまう。

より輪郭のはっきりした第3世代は、前モデルよりも快適であることは間違いないが、Proとの差はまるで昼夜の差ほどに感じられる。耳の小さい人は特にだろうが、サイズの違う取り外し可能なイヤーチップがあるとうれしい。また、このチップは物理的にパッシブノイズキャンセリングを行い、より多くのオーディオ周波数を効果的に取り込み、周囲のノイズを遮断する。

長年、シリコンチップを支持してきた私は、成型プラスチックを好む人がまだいると聞いて驚いた。しかし、その後、少なくとも1人のTechCrunchのスタッフがこのタイプで、耳に何かを挿入することを好むことを知った。たとえ、ある選択肢が他の選択肢を時代遅れにしているようであっても、企業が選択肢を提供することを私は非難しません。

ニューヨーク最大の行政区の住人として、私は生活の多くを路上の騒音に囲まれて過ごしており、家の中にいても常に工事の音が聞こえてくる。AirPods Proのアクティブ / パッシブノイズキャンセリング機能は、緊急車両のサイレンはもちろん、道路清掃車や地上を走る地下鉄が私の前を通り過ぎるときに、大きな違いをもたらしてくれる。聴いていたポッドキャストが都市生活の不協和音にかき消されてしまうこともあった。しかし、これは状況認識の観点からすると評価できる点でもある。

ワイヤレス充電は、歓迎すべきアップデートだ。ケースには、MagSafeまたは標準的なQi充電器を使うことができる。前者は、手動で接続できるというメリットがある。一方、空間オーディオはとても便利な機能だ。複数の人とFaceTimeで通話する場合、相手のボックスの位置に応じてそれぞれの声の位置が割り当てられる。また、Apple Musicなどのアプリでは、音源(スマホやタブレットなど)の位置に応じて、あたかもスピーカーのように音が調整されるという斬新な効果がある。

新しいAirPodsは、既存の機能にBluetoothビーコン風のレイヤーを追加した新しい「探す」機能にも対応している。これは、従来の機能にBluetoothビーコン風のレイヤーを追加したもので、近距離でも個々のAirPodsを見つけやすくなる。ビープ音に頼りにしなければならなくなった人なら、散らかった部屋の中で探すのは頭が痛いことだと知っているだろう。

このイヤフォンはApple製品と最も相性がいい。これまでのレビューでもお伝えしてきたように、一般的にはスマートフォンと同じメーカーのイヤフォンを買うのがベストだ。iOSでのペアリングは確かに強力だが、AirPodsはAndroidデバイスで使用しても概ね問題なく動作した。

AirPodsとAirPods Proの間の境界線が曖昧になるのを見ると、これらのプロダクトがいずれ1つに統合されるのはほぼ必然のように思える。今のところ、新世代の製品は従来の製品よりも確実にステップアップしており、Proとの70ドルの差があることには注意が必要だ。アクティブノイズキャンセリング機能にこだわらない、あるいはプラスチック製のモデルチップを好むのであれば、簡単に選択できる。もし、完全にプレミアムな体験をしたいのであれば、それもまた簡単な選択だ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)