Flipkart創業者の印フィンテック企業Navi Technologiesが518.5億円のIPOを申請

顧客に保険やローン商品を提供するフィンテックスタートアップのNavi Technologies(ナビ・テクノロジー)が、4億4000万ドル(約518億5000万円)のIPOを申請した。40歳の創業者Sachin Bansal(サチン・バンサル)氏は、かつてインド国内でeコマースの波を引き起こして財を成した人物だ。その彼が再び大胆な挑戦を始めた。

Navi Technologiesの新規株式公開はすべて新規株式で構成される予定であり、同社が土曜日(インド時間3月12日)に現地規制当局に提出した目論見書草案の中では、IPO前の募集を検討する可能性があると述べられている。

このIPOは、この数カ月ハイテク株あるいは他のほとんどの株が急落しているときに行われた。2021年上場したZomato(ゾマト)、Paytm(ペイティーエム)、Nykaa(ニーカ)、PolicyBazaar(ポリシーバザー)を含むすべてのハイテクスタートアップは、ここ数週間、最低株価で取引されている。

しかし、1年以上前から新規株式公開を視野に入れているNavi Technologiesにとっては、会社を公開することへの切迫感もある。この件に詳しい2人の情報筋によると、スタートアップが銀行になるためのライセンスを確保できなかったために、ソフトバンクや他の投資家から40億ドル(約4713億6000万円)以上の評価額で資金を調達しようとした直近の試みが失敗したのだという。

2018年に創業されたNaviは、融資の世界でデジタル個人ローン、住宅ローン、不動産担保融資を提供している。また医療保険とパッシブ・ファンドを中心としたデジタル資産管理を提供している。これまでのところ、このスタートアップへは、ほぼ全額をバンサル氏が出資している。

10年以上前にFlipkart(フリップカート)を共同創業し、Walmartへの売却前に同社を去った億万長者のバンサル氏とNaviは、これまでほとんど脚光を浴びることはなかった。目論見書(PDF)では、Naviのさまざまな事業や財務の健全性が初めて伝えられている。

画像クレジット:Navi

目論見書の中で同社は「社内にNBFC(非銀行金融機関)部門を持ち、AI/ML(人工知能/機械学習)ベースのアンダーライティングとデジタル限定のD2Cアプローチにより、Naviは融資商品の調達、アンダーライティングから回収までのコントロールを行い、顧客にスムーズな体験を提供することができています」と説明している。

Naviは、テクノロジーを使って、これまでサービスを提供できなかった顧客にサービスを提供しているという。スタートアップは「迅速な融資実行、低金利でのデジタル・ホーム・ローンの提供、不正およびクレジット・デフォルト・リスクの防止に対するテクノロジーの活用、データ・アナリティクスを使用して融資アルゴリズムをトレーニングして、魅力的な価格設定と優れたローン・アカウント管理を提供し、デジタルとフィールドの両者を活用する」ことを保証している。

Naviの提供する価値(画像クレジット:Navi)

21年度の連結利益が920万ドル(約10億8000万円)、売上は1780万ドル(約21億円)だったこのスタートアップは、個人向けローンと個人向け健康保険を、それぞれ4.5分以内と2.5分以内でサインアップできると述べている。

Naviの個人向けローン事業は、開始以来21カ月で、インドの郵便番号の84%に相当する地域で48万1000人以上の顧客にサービスを提供し、最長84カ月の期間で最大200万インドルピー(307万6000円)までを融資している。これらのローンの融資単位は665ドル(約7万8000円)だ。

「2021年12月31日現在、販売された健康保険契約の61.17%が、Navi Appで人間の介在なしに承認されています。さらに、チャットベースのインターフェースを開発し、お客様が購入なさるまでの間、シームレスにサービスを受けられるようにしています」とスタートアップは付け加えている。

「毎月一定額を保険料としてお支払いいただくEMI(均等月額割賦払い)方式を採用したことで、魅力的でお求めやすい価格帯の商品を提供することができました。2021年12月31日までの9カ月間における当社のGWPは、6億6700万インドルピー(約10億3000万円)で、そのうち6326万インドルピー(約9723万8000円)はリテール医療保険セグメントからのものでした。2021年12月31日までの9カ月間で、当社は合計22万491件の保険契約を発行し、そのうち2万7800件はリテール医療保険でした」。

画像クレジット:MONEY SHARMA / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

一般の人がIPOや追加資金調達に投資しやすくする英PrimaryBidが218.5億円調達

フィンテックの発展により、投資などの金融サービスが、より多くの消費者にとってますます身近なものになっている。このたび、このコンセプトの限界に挑戦している大手企業の1つが、旺盛な需要と今後の大きな可能性を信じて、大規模な資金調達を発表した。上場しようとする企業や、資金調達を行う上場企業が、従来の株式売却と並行して個人投資家(つまり専門家ではなく普通の人々)に株式を提供できるよう支援するPrimaryBid(プライマリービッド)が、このほど1億9000万ドル(約218億5000万円)を調達したのだ。

PrimaryBidの共同創業者であるAnand Sambasivan(アナンド・サンバシバン)CEOによると、ロンドンに拠点を置くこのスタートアップは、調達した資金を利用して、企業に提供する製品の開発を継続する計画だという。たとえばSPACベースの株式公開や、リテール債への投資などが含まれる。さらに同社は新たな地域への進出を計画しており、特に米国にオフィスを開設することを視野に入れている。米国では、その市場に上場している企業と協力するために規制当局の承認を得るプロセスの途中で、2022年後半か2023年にはローンチする予定だ。

PrimaryBidは現在、約60のチャネルと提携して投資を可能にしており、その中には現在一般人が投資を行うために利用している証券会社や投資アプリも含まれている。そして今でもその数は増え続けている。

サンバシバン氏によると、同社の使命は、一般の人々に銀行や他の大規模なプロの投資家と並んでIPOに直接投資する機会を提供し、株式公開の理念に「公共性」を取り戻すことだ。

サンバシバン氏はいう「もし今、公開市場が発明されたら、100年前のようになるでしょうか?いいえ、そうはなりません。サービスはAPIで相互運用され、モバイルアプリを使って、投資へのアクセスがさらに簡単になるでしょう。これは、アップグレードが必要なシステムなのです」。

SoftBankがVision Fund 2を通じて、今回のシリーズCラウンドを主導しており、以前からの投資家も匿名で参加している(2020年10月に行われた5000万ドル[57億4000万円]のシリーズBラウンドには、London Stock Exchange Group、Draper Esprit、OMERS Ventures、Fidelity International Strategic Ventures、ABN AMRO Ventures、Pentech、Outward Venturesなどが参加している)。

サンバシバン氏によれば、PrimaryBidは評価額を公表していないものの、PitchBookに掲載された1月の報告の時点では、評価額6億5000万ドル(約746億5000万円)で1億5000万ドル(約172億3000万円)が確保されていたという。これは、その当時Sky News(スカイ・ニュース)が、このラウンドの噂を最初に流し、プレマネーの評価額を5億ドル(約574億3000万円)としたことを受けたものと思われる。もしこうした数字が正確ならば、現在のPrimaryBidの評価額は6億9千万ドル(約792億5000万円)前後になるだろう。

シリーズB以降PrimaryBidは、一般の人々の投資の世界にもっと参加したいという欲求に後押しされて成長を続けている。同社によると、過去18カ月間で、約150件のIPOや追加株式発行に対して、個人投資家向けの投資を支援したという。これまでは主に英国で展開してきたが、現在はフランスでも活動を開始し、投資家であるABN AMROの協力を得て、オランダでのビジネス展開も視野に入れている。同社がてがけた大規模な株式売却には、Deliveroo(デリバールー)、PensionBee(ペンションビー)の売却や、英国での株式売却を通じて行われた2021年のMCG Group(Soho House[ソーホー・ハウス])の米国でのIPOなどがある。

サンバシバン氏は「資本市場に大きな足がかりを得ました 」とインタビューで答えている。「(私たちが戦っているのは)一般の人々がもはや公開市場から排除されているという考えです。上場する優良企業の中には株主に対する強い思い入れをもつ企業もありますが、それをIPOに反映できてこなかったのです。企業は皆、熟考した上でしっかりと一般の人々を含めることに価値を見出していて、私たちはプラットフォームを通じてそれを実現する手段を提供しています。私たちは持続的な成長を遂げていますし、私たちがやっていることは重要すぎて失敗することはできないと信じています」。

PrimaryBidは、他の一連の動きも手伝って、長い間形作られてきた関心の波に乗っているところだ。Robinhood(ロビンフッド)やRevolut(リボルト)のような金融アプリや、ヨーロッパで人気の高い新しい投資アプローチETFの成長は、一般消費者が興味を持ったり、良いリターンをもたらしてくれるかもしれないと考える公開企業や通貨(暗号資産を含む)への投資をずっと容易にした。これまでは、こうした投資は証券会社やプロの投資家が相手にする富裕層にしかできなかったことだ。

2021年のGamestop(ゲームショップ)の株式騒動のような出来事は、投資大衆化の落とし穴もあらわにしたかもしれないが、それでも一般投資家の力がいかに大きくなったかを浮き彫りにしている。そうした大衆化の波が、IPOや追加株式発行に押し寄せるのは時間の問題だったのだ。

B2C企業が株式公開や資金調達の一環としてユーザーに株式を提供することには強い動機がある。なぜなら、顧客たちは自分が信頼しすでに利用している企業を、とりわけ支援したいと考えるからだ。それは、これからも増える一方だ(例えばRedditのCEOは、同社が上場する際には個人投資家に株式を提供したいと述べている)。

しかし、企業や投資家自身がそうした市場の需要から恩恵を受けるのは、なにも消費者向けのビジネスに限った話ではないとサンバシバン氏は指摘する。実際、PrimaryBidが扱ってきた取引のうち、B2Cは10%程度に過ぎないという。

SoftBank Investment AdvisersのパートナーであるAnthony Doeh(アンソニー・ドー)氏は「PrimaryBidは、これまでは機関投資家やプロ投資家向けに発行されていた株式に、誰でも簡単にアクセスできるようにすることで、資本市場におけるインクルーシブ性を強化しています」と声明の中で述べている。そしてさらに「このチームは、株式発行企業のための独自のコミュニティIPOプラットフォームの開発を含む、参加者の拡大という課題に対して、テクノロジー、データ、『エコシステムフレンドリー』なアプローチを組み合わせたプラットフォームを構築したと考えています。私たちは、彼らとパートナーを組めることに興奮していますし、私たちのグローバルなネットワークと専門知識が彼らのビジネスに大きな価値を付加できると信じています」と語っている。

画像クレジット:ALotOfPeople / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

インドの国営生命保険会社LICがIPOで約9200億円の資金調達を計画

インドの政府系保険会社であるLife Insurance Corporation of India(LIC、ライフ・インシュアランス・コーポレーション・オブ・インディア)は、現地時間2月13日、市場規制当局に目論見書の草案を提出。同国最大のIPOで約80億ドル(約9200億円)を調達するために株式の5%を売却する計画を発表した。

Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)政権は、この国営生命保険会社の株式約3億1600万株を売却する予定であると、この目論見書の草案には記されている。同社のIPOは、拡張予算を捻出するためのモディ政権による民営化推進の最新の取り組みだ。保険会社にとって重要な指標の1つである、同社のいわゆる「エンベディッド・バリュー」は、715億6000万ドル(約8兆3000万円)とみなされている。保険会社の市場価値は、一般的にエンベディッド・バリューの3倍から5倍といわれている。今回の新規株式公開では、LICは新株の発行を計画していないという。

インドのAramco(アラムコ)の場合と比較されるLICの新規株式公開は、同国のベンチマーク株価指数であるSensex(センセックス)が最近の売り越しから回復を図ろうとしている時期に行われる。ここ数週間は、2021年22億ドル(約2500億円)のIPO(当時は国内最大)を申請したPaytm(ペイティーエム)や、Zomato(ゾマト)、Policybazaar(ポリシーバザー)、Nykaa(ナイカ)など、多くのテック企業が記録的な安値に落ち込んでいる。過去に大型のIPOを行った政府系企業3社が、上場後に市場価値の半分以上を失ったことも救いがない。

LICの総保険料の伸び率

しかし、インド政府は、LICブランドの高い知名度が、好調な上場につながると期待しているのかもしれない。65年の歴史を持ちムンバイに本社を置く同社の名前は、南アジア市場でよく知られている。提出書類に「インド政府財務省を通じてインド大統領」がプロモーターであると記載されているLICは、2000以上の支店を持ち、従業員数は10万5000人以上、5300億ドル(約61兆円)以上の資産を保有し、2億8600万件の保険契約を保有していると、目論見書草案には記載されている。2021年9月までの6カ月間の利益は、1億9100万ドル(約220億円)に上ったという。

「当社はインドで65年以上にわたり生命保険を提供しているインド最大の生命保険会社であり、2021年会計度の収入保険料(GWP)の市場シェアは64.1%、新契約保険料(NBP)の市場シェアは66.2%、個人保険の発行件数では74.6%、団体保険の発行件数では81.1%となっています。また、2021年3月31日時点で、個人代理店の数でもインドの全個人代理店の55%を占めています」と、目論見書には記載されている。

同社のIPOのブックランナーには、Kotak Investment Banking(コタック・インベストメント・バンキング)、Goldman Sachs Securities(ゴールドマン・サックス証券)、JP Morgan(JPモルガン)、Axis Capital(アクシス・キャピタル)、ICICI Securities(ICICI証券)、SBI Capital Markets(SBIキャピタル・マーケッツ)、Bank of America Securities(バンク・オブ・アメリカ証券)などが名を連ねている。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インドの電子機器&ライフスタイルのスタートアップboAtがIPOを申請

インド発の希少なハードウェアスタートアップの1つである電子機器&ライフスタイルブランドboAt(ボート)の持ち株会社Imagine Marketing(イマジン・マーケティング)は、最大2億6600万ドル(約305億円)のIPOを申請した。

Warburg Pincus(ウォーバーグ・ピンカス)が支援するboAtは、現地時間1月27日に地元の規制当局に提出したDRHP(予備目論見書のこと)の中で、約1億2000万ドル(約137億円)相当の新株発行と1億4600万ドル(約167億円)相当の株式の売り出しを計画していると述べている。boAtの出資者の1人であるSouth Lake Investment(サウス・レイク・インベストメント)氏は、IPOで1億640万ドル(約122億円)相当の株式を売却する予定であると、申請書は述べている。

1年前のシリーズBラウンドで3億ドル(約344億円)と評価されたこのスタートアップは、IPOの手続きを過去の債務の支払いや現在の債務の「前払い」に充てる予定だという。匿名を希望する投資家の1人によると、新規株式公開では15億ドル(約1721億円)以上の評価額を求めているとのこと(求められる評価額は、地元メディアによって以前に報告されている)。

boAtはヘッドフォン、フィットネスウェアラブル、スマートウォッチ、ゲームコントローラー、充電ケーブル、携帯バッテリーパック、イヤフォン、その他のモバイルアクセサリーなど、さまざまな電子製品を「製造」し販売している。同社の低価格でプレミアム感のある美しい外観デザインのデバイスは、顧客層の大半を占める若者の支持を得ている。

boAtは近年、展開カテゴリーを拡大し、そこでも最初に際立った存在となったのと同じ戦略を取っている。フィットネス用ウェアラブルは25ドル(約2870円)以下から、スマートウォッチとAirPodのようなイヤフォンは30ドル(約3440円)以下、充電ケーブルは3ドル(約340円)、ホームシアター用サウンドバーは約50ドル(約5740円)、ワイヤレススピーカーは10ドル(約1140円)強、ヘッドフォンは5.5ドル(約630円)である。

boAtは提出書類の中で、オーディオ、ウェアラブル、パーソナルケアなどのカテゴリーを含む製品の生産について、多くの契約メーカーに依存していると述べている。

「当社は、製品の製造をこれらの契約メーカーに依存しており、当社の契約メーカーは、同様に、当社の製品に使用される多くの構成部品をサードパーティサプライヤーに依存しています。2019年、2020年、2021年および2021年9月30日に終了した6カ月間において、11億6092万ルピー(約17億7900万円)、34億833万ルピー(約52億2400万円)、71億7618万ルピー(約110億円)および99億1081万ルピー(約151億9200円)、もしくは、我々の仕入れの57.79%、69.34%、57.19%、60.73%は、それぞれ最もよく使うサプライヤー5社からです」と述べた。インドと中国の地政学的緊張がスタートアップのビジネスに影響を与える可能性があるとも指摘した。

また、boAtが商品の販売にサードパーティーのマーケットプレイスであるAmazon(アマゾン)とFlipkart(フリップカート)に大きく依存していることも、潜在的な懸念材料となっている。「当社の主要な販売チャネルはオンラインマーケットプレイスを介しており、2019年、2020年、2021年の会計年度および2021年9月30日までの6カ月間、当社の営業収益の85.11%、86.26%、85.84%、83.24%はオンラインマーケットプレイスに由来し、当社の営業収益の78.59%、81.35%、83.72%、75.02%はトップ2のオンラインマーケットプレイスに由来しています」と申請書には書かれている。

「当社の上位2つのオンラインマーケットプレイスとの契約は、非独占的なものです。一部の顧客については、彼らとの契約に基づき、一定期間後に売れ残った商品について再購入または追加価格支持を行う義務を負っています」。と記されている。

マーケティング調査会社IDCによると、boAtは2021年初頭の時点で、インドのウェアラブル市場の30%以上を占め、同カテゴリーにおいて世界第5位のブランドとなっている。

このスタートアップの新規株式公開は、ここ数日、世界中の投資家が米国の金利上昇とテック系株への影響を懸念して急落している現地の株式市場にとって、試金石となる可能性がある。2021年上場したインドのテック系スタートアップ4社(Zomato、Paytm、Nykaa、PolicyBazaar)の株価は、過去2週間で下落している。

画像クレジット:Boat Lifestyle

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

韓国EVバッテリーメーカーLG Energy Solutionが上場、時価総額で同国2位に浮上

韓国最大手のEVバッテリーメーカーであるLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)は1月27日、成功裏に韓国取引所に上場した。終値で計算した同社の時価総額は118兆1700億ウォン(約11兆2600億円)で、Samsung Electronics(サムスン電子)に次ぐ国内2位の企業となった。

LG Energyの株価は、公募価格の30万ウォン(約2万8716円)を99%上回る59万7000ウォン(約5万7145円)で始まり、取引開始後は25%下落したこともあったが、最終的には68.3%値を上げた。

中国のCATL(寧徳時代新能源科技)に次いで世界2位のEV用バッテリーメーカーである同社は、先週、韓国最大のIPOで12兆8000億ウォン(約1兆2250億円)を調達し、同社の価値は590億ドル(約6兆8000億円)に達した。

セクターアナリストによると、LG EnergyはTesla(テスラ)、General Motors(ゼネラルモーターズ)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)などを顧客とし、世界のEV用バッテリー市場の約23%を占めているとのこと。これに対し、中国のCATLは約35%のシェアでトップだ。また、日本のパナソニックは約13%、中国のBYD(比亜迪)は約7%のシェアをそれぞれ占めている。

LG EnergyはIPOで得た資金をもとに、グローバル市場での生産能力を高める計画だ。また、米国、欧州、中国の自動車メーカーと戦略的パートナーシップを結び、世界の競合他社に対抗していきたいと考えている。

2020年12月にLG Chem(LG化学)からスピンアウトしたLG Energyは、3万人以上の従業員を擁し、EV、モビリティ、ドローン、船舶、ITアプリケーション、電力貯蔵システム(ESS)用のリチウムイオン電池を開発している。上場後、親会社のLG ChemはLG Energyの81.8%の株式を保有することになる。

2021年6月、ソウルに本社を置く同社は、GMのChevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)についてバッテリーセルの欠陥により発火の危険性が指摘され、一連のリコールが行われたことを受けて、IPOプロセスを中断していた。

2021年7月に同社は、2025年までに電池材料に52億ドル(約6000億円)を投資する計画を発表した。LG Energyは1月25日、GMと共同で米国に26億ドル(約3000億円)規模のEV用バッテリー工場を建設する計画を発表した。

関連記事:LG化学がEV用バッテリー生産拡大へ向け2025年までに5770億円を投資

画像クレジット:LG Energy Solution

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

韓国EVバッテリーメーカーLG Energy Solutionが上場、時価総額で同国2位に浮上

韓国最大手のEVバッテリーメーカーであるLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)は1月27日、成功裏に韓国取引所に上場した。終値で計算した同社の時価総額は118兆1700億ウォン(約11兆2600億円)で、Samsung Electronics(サムスン電子)に次ぐ国内2位の企業となった。

LG Energyの株価は、公募価格の30万ウォン(約2万8716円)を99%上回る59万7000ウォン(約5万7145円)で始まり、取引開始後は25%下落したこともあったが、最終的には68.3%値を上げた。

中国のCATL(寧徳時代新能源科技)に次いで世界2位のEV用バッテリーメーカーである同社は、先週、韓国最大のIPOで12兆8000億ウォン(約1兆2250億円)を調達し、同社の価値は590億ドル(約6兆8000億円)に達した。

セクターアナリストによると、LG EnergyはTesla(テスラ)、General Motors(ゼネラルモーターズ)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)などを顧客とし、世界のEV用バッテリー市場の約23%を占めているとのこと。これに対し、中国のCATLは約35%のシェアでトップだ。また、日本のパナソニックは約13%、中国のBYD(比亜迪)は約7%のシェアをそれぞれ占めている。

LG EnergyはIPOで得た資金をもとに、グローバル市場での生産能力を高める計画だ。また、米国、欧州、中国の自動車メーカーと戦略的パートナーシップを結び、世界の競合他社に対抗していきたいと考えている。

2020年12月にLG Chem(LG化学)からスピンアウトしたLG Energyは、3万人以上の従業員を擁し、EV、モビリティ、ドローン、船舶、ITアプリケーション、電力貯蔵システム(ESS)用のリチウムイオン電池を開発している。上場後、親会社のLG ChemはLG Energyの81.8%の株式を保有することになる。

2021年6月、ソウルに本社を置く同社は、GMのChevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)についてバッテリーセルの欠陥により発火の危険性が指摘され、一連のリコールが行われたことを受けて、IPOプロセスを中断していた。

2021年7月に同社は、2025年までに電池材料に52億ドル(約6000億円)を投資する計画を発表した。LG Energyは1月25日、GMと共同で米国に26億ドル(約3000億円)規模のEV用バッテリー工場を建設する計画を発表した。

関連記事:LG化学がEV用バッテリー生産拡大へ向け2025年までに5770億円を投資

画像クレジット:LG Energy Solution

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

中国のスマート製造業に注力するAInovationが香港でIPOを申請、李開復氏やソフトバンクも支援

中国では、人工知能に金銭を支払う顧客を見つけようとする情熱が続いている。中国のコンピュータビジョンと機械学習のスタートアップ企業で、Kai-Fu Lee(カイフ・リー、李開復)氏のSinovation Ventures(シノベーション・ベンチャーズ)とSoftBank(ソフトバンク)が出資するAInnovation(エーアイノベーション、創新奇智)は、中国の巨大な製造業を自動化しようとしている。設立からまだ4年しか経っていないこのスタートアップは、香港で株式公開の申請を行っており、その目論見書では、今後数年のうちに中国の産業お青写真で重要な位置を占めるスマートマニュファクチャリングの商業的実行可能性を垣間見ることができる。

2010年代、SenseTime(センスタイム)やMegvii(メグビー)などのコンピュータビジョン企業は、中国の公的なセキュリティのインフラに顔認証技術を提供することで、大成功を収めた。しかし、競争によって価格が下がり、監視技術をめぐる米国の制裁による圧力が強まるにつれ、中国の初期のAIスタートアップ企業は多角化を模索している。SenseTimeは教育分野に進出し、Sinovation Venturesの支援を受けるMegviiは無人倉庫保管ソリューションを事業に加えた。

関連記事:米小売大手が中国企業の防犯カメラを店舗から撤去、人権侵害を指摘される

AInnovationは、AIアプリケーションの分野では若い企業に入る。目論見書によると、IBM、SAP、Microsoft(マイクロソフト)での経験を持つCEOのXu Hui(シュー・フイ)氏が共同で設立したこのスタートアップは、2021年9月までの9カ月間に、収益の半分を製造業の顧客から得ているとのこと。同社のコンピュータビジョンモジュールとカスタマイズされたサービスは、溶融した鉄の輸送(写真)、自動車の生産ラインにおける異常の検出、半導体製造での欠陥発見などの場面で使用されている。

収益の3分の1は金融サービスによるもので、残りは小売業、通信業、その他の産業から得ている。

AInnovationのような企業は、研究室で機械学習モデルを実行する博士号取得者を雇うだけでは不十分だ。文字通り自ら身体を動かし、実際に顧客の工場を訪問して、鉄鋼メーカーや衣料品メーカーにとってどのような自動化が最も良い利益を生むのかを学ぶ必要がある。そこで同社は、主要なパートナーである大手製鉄グループのCISDIおよび国有建設会社のChina Railway No.4(中鉄四局集団有限公司)と、それぞれ2つの合弁会社を設立した。

AInnovationのコンピュータビジョン技術を用いてネジの欠陥を検出する(画像クレジット:AInnovation)

AInnovationはまだ、スマートシティの先行企業ほどの収益を上げていない。2020年の売上は4億6200万元(約83億2000万円)だったが、SenseTimeは同年に34億元(約612億円)を得た。しかし、AInnovationは急速に成長している。2021年9月までの9カ月間で、その収益は5億5300万元(約99億6000万円)に達し、2020年の合計額を上回った。

とはいえ、課題もある。1つは、同社がいくつかの重要な顧客に大きく依存していることだ。2019年と2020年に同社が5つの大口顧客から得た収益は、それぞれ約26%と31%を占めている。

中国の初期のAI参入企業が顔認識に集まったのには理由がある。そのほとんどがソフトウェア事業であるため、儲かるからだ。例えばSenseTimeの利益率は、2018年の約57%から2020年には70%以上に上昇した。

AInnovationも、かつてはソフトウェアファーストの企業だった。目論見書によると、同社の売上総利益率は、2018年には63%だったが、2019年には31%、2020年にはさらに29%まで急落している。これは、同社がソフトウェアの販売を中心としていたビジネスから、より多くのハードウェア部品を含む統合ソリューションに軸足を移したことが原因だ。ハードウェアは一般的に材料費がかさむ。また、収益性が低下したのは、顧客基盤を拡大するために「競争力のある価格で提供」したためだという。AIビジネスでは、データがその燃料となる。

どちらもまだ不採算事業である。AInnovationは、2019年に約1億6000万元(28億8000万円)、2020年に約1億4400万元(25億9000万円)の調整後純損失を計上している。これに対してSenseTimeは、同時期に10億元(約180億円)、8億7800万元(約158億円)の調整後純損失を計上している。

中国の製造業の各分野は、簡単に数十億規模の市場機会となる。問題は、AInnovationが持続的な成長と健全なビジネスモデルへの道を見つけることができるかどうかだ。

Bloomberg(ブルームバーグ)による事前の報道によると、AInnovationの株価は仮条件レンジ下限の1株あたり26.30香港ドル(約385円)で設定されているという。この価格であれば、同社は香港でのIPOによって約1億5100万ドル(約172億円)を調達することになる。

画像クレジット:AInnovation

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Airbnbのクルマ版、カーシェアリングのTuroがIPOを申請

ピア・ツー・ピア・カーシェアリングのスタートアップTuro(トゥーロ)が、米国で上場申請したことを正式発表した。2021年8月から密かに進めていた手続きだ。

米国時間1月10日、米国証券取引委員会(SEC)に提出されたS-1書類に、募集条件は書かれていない。

Turoは2010年に設立され、Airbnb(エアビーアンドビー)のクルマ版と言われている会社で、民間の自動車所有者が、同社のウェブサイトを通じて車両を貸し出すサービスを提供している。2021年9月30日時点で、7500以上の都市にアクティブ・ホスト8万5000人、アクティ車両16万台が登録していると同社は言っている。自動車オーナーは保有コストの削減が見込め、ユーザーは、パンデミックによるサプライチェーン問題でレンタカーが値上げされている時期に、短期レンタルを利用できるメリットがある。伝統的レンタカー業界の苦境が、激しい競争にもかかわらずTuroの市場シェア獲得に寄与したことは間違いないが、その人気は時として負担をもたらすことをS-1のリスクファクター記述が示している。

財務状況概要

まず財務状況を見てみよう。

2020年、Turoは純売上1億4990万ドル(約172億9000万円)を計上し、対前年比6%の成長だったとS-1に記載されている。収支は純損失9710万ドル(約112億円)で、2019年の純損失9860万ドル(約113億7000万円)からわずかに改善された。

Turoは売上増加についていくつかの要因を挙げているが、中でもRisk Score(リスク・スコア)と同社が呼ぶデジタルツールが目立っている。2020年4月に提供開始されたこの機能は、利用者が予約する際にTuroが徴収する手数料を動的に調整する。Turoは、このツール、およびホストが車両を貸し出す料金を引き上げたことが、純売上の増加に貢献したという。

2021年、売上と損失が急増。

Turoは2021年最初の9カ月間に3億3050万ドル(約381億2000万円)の純売上を生み出し、2020年同期間の1億780万ドル(約124億3000万円)から207%急増した。純損失も同じく急増した。2021年9月31日までの9カ月間に、Nuroは1億2930万ドル(約149億2000万円)の損失を計上し、2020年の同時期は5170万ドル(約59億6000万円)だった。

その理由?TuroはS-1書類で、レンタル日数の増加および1日当たりの総取扱高の増加によって売上が増えたと書いている。

S-1を精査したところ、Turoは2020年、少ない労力で多くのことを行おうとした結果、この年の財務状況が好転したとみられる。同社は2020年の出費を抑え、事業経費を2019年の1億3390万ドル(約154億4000万円)から2020年は9580万ドル(約110億5000万円)に削減した。

2021年最初の9カ月間の状況は異なる。同期間の事業経費は1億2401万ドル(約143億円)で、前年同期間の7160万ドル(約82億6000万円)を上回った。

リスクファクター

同社が直面するリスクファクターには、当然ながら「人々がTuroを使わなくなったらどうするか」および、類似アプリと伝統的レンタカー会社との「競争に直面する」ことが挙げられる。しかし、他にもいくつか気になる点がある。

まず、Turoは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが同社ビジネスに変動性を加えたことを指摘している。会社は社員の解雇を余儀なくされ、2020年にはドイツでの操業を閉鎖し、なんとか「新型コロナ以前レベルを超える」ところまでこぎつけた。

同社は、ホストに対する犯罪行為の責任問題に直面する可能性を指摘している。これまでに訴訟や罰金が発生した様子はないが、2021年8月、Turoをはじめとする複数のピア・ツー・ピア・レンタル・アプリが人身売買などの犯罪に利用されたことが発覚した。国境付近で増加傾向にあると米国税関・国境警備局が認めている犯罪だ。

Turoは、同社に対してレンタカー許可の取得を義務づけている都市、具体的には空港当局からの訴訟リスクもある。実際この面においては、Turoは訴訟を受け反訴もしている。空港利用に関する訴訟は4件あり、Turoがロサンゼルス市を相手取った訴訟を含め3件は未解決だ。

機会と成長

リスク要素はあるものの、Turoは現在のサービス可能獲得可能市場規模を1460億ドル(約16兆8405億円)、総獲得可能市場規模(TAM)を2300億ドル(約26兆5257億円)と推計している。

「当社の総獲得可能市場規模、2300億ドルのうち1340億ドル(約15億4541億円)は北米、650億ドル(約7兆4969億円)が欧州、310億ドル(約3兆5754億円)がそれ以外(中長期的機会があると当社が考える国々が含まれます)と推計しています」と提出書類にかかれている。

同社が事業を本拠地米国だけでなく世界市場に進出する用意ができているらしいことは注目に値する。さらに同社は、戦略的買収および提携によって「ホストやゲストに現在自社で提供していないサービスや機能を提供する」つもりだ。

画像クレジット:Turo

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(文:Rebecca Bellan、Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

IPOは中止になったが、Babbelの語学学習サービスは急成長中

ベルリンを拠点とする語学学習サービスのBabbel(バベル)は、2021年9月下旬にフランクフルト証券取引所でIPOを行う予定だった。しかし、IPOのほんの数日前に、上場は中止された。当時、世界の株式市場を非常に神経質にした中国「恒大集団」の債務危機の状況を嫌ったためだ。新しいIPOの日付はまだ発表されていいないが、BabbelのCEOであるArne Schepker(アーネ・シェプカー)氏が私にいうように、同社は引き続き市場を観察している。

しかしIPOの中止は誰にとっても予想外だった。「取り組んでいたチームにとってはがっかりするできごとでした。長く熱心に働いていたからです。私たちは本当によくやっていました」とシェプカー氏は語った。「私たちは予定をこなし、正しい軌道に乗り、100人以上の関心の高い投資家に出会い、すばらしいフィードバックを得ていたのです、その最中に恒大集団の状況が明らかになり、IPO市場のほとんどが止まってしまいました。進むべきか、退くべきか。私たちは、その市場に参入すべきか否かという非常に意識的な決断に直面したのです」。

シェプカー氏は、Babbelが十分な資金を持っていて、銀行に十分な現金を保有していることに加え、必要ならば製品への投資や買収を続けるための他の資金調達の選択肢があることから、同社が正しい決断を下したと確信している。

画像クレジット: Babbel

同社の最も急成長しているビジネスの1つは、サービスのアプリベースの語学学習ツールを強化する「ライブ」クラスだ。2021年初めにリリースされたBabbel Live(バベル・ライブ)は、2021年の後半には上半期と比較してサブスクリプションでは300%、収益では400%増加した。数万人の学習者を抱えるBabbel Liveは、毎月1万5000のクラスを提供しているが、シェプカー氏によれば、学習者の約25%が、ライブプラットフォームを導入ポイントとしており、残りの75%がアプリから使い始めているという。

Babbel Liveと同社のB2B Babbel for Business(バベル・フォー・ビジネス)サービスは、現在、同社の収益の9%を占めている。また、ビジネス全体も好調で、11月の請求可能な売上高は2020年から30%増加して2000万ドル(約22億8000万円)を超えている。

シェプカー氏によれば、そのことと、質の高い製品で定評があることが重なり、同社は優秀な教師を採用できるのだという。「私たちはイノベーションのフロンティアを押し広げ、人間の知性と人工知能を、常に最大限に活用しようとしています。このように、私たちは完全に人間依存でもなく、完全にテクノロジー依存でもないために、それが私たちのライブ教室の教師の方々にとって魅力的なのだと思います」と彼はいう。

画像クレジット:Babbel

同社のB2B側をみてみると、Babbelは11月には5000人の新規企業学習者を登録し、現在1000社を超える企業と協力している。Babbelがこちらのビジネスを構築するのにはある程度の時間がかかっている、このビジネスは長い間ドイツでしか利用できず、最近イタリアに拡大したばかりだ。すぐに他のヨーロッパ市場、そして米国にも拡大することが計画されている。シェプカー氏は、企業の語学学習は語学学習市場全体の約3分の1を占めているため、これは同社にとってかなりの成長の機会であると述べている。

今後のことを見るなら、Babbelチームは、さまざまなプラットフォーム間でより良い統合を行う手段を具体的に検討している。これにより、Babbel Liveの教師は、例えばクラスとクラスの間で生徒がアプリで何を学んだかを確認できる。Babbelのポッドキャスト、アプリ内ゲーム、その他の導入ポイントに加えて、同社はすでに言語学習ツールの非常に豊富なエコシステムを提供している。現在の問題は、それらすべてをよりまとまりのあるプラットフォームにするにはどのようにすればよいかということだ。

「ユーザーの方々は独自の学習方法のエコシステムをつなぎ合わせる傾向がありますが、私はその状況をクリエイティブな混沌と呼んでいます。なぜなら私たちはそれを実際に行う手法を学んではいませんし、実際に統合もされていないからです」とシェプカー氏は述べている。「例えば異なる学習方法は、私が教室に足を踏み入れたときに、私がアプリで何をしていたかを知って活用することはできません。それは、学習者にとっても教師にとっても、そして語学学習会社としての私たちにとっても、エコシステムの中に見出すことができる付加価値なのです。私たちが学習者のエコシステムをまとめてあげることで、学習の旅を実際に進めて行くことができるのです」。

画像クレジット:Babbel

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(文: Frederic Lardinois、翻訳:sako)

オンデマンドシャトルソフト開発Viaが株式公開に向けて秘密裏に申請

オンデマンドシャトルサービスおよびソフトウェアの会社であるVia(ビア)は、上場を非公開で申請した。同社が声明で発表した。この種のリリースにはよくあることだが、募集株式の数や募集案の価格帯はまだ決定していない。

ViaはReddit(レディット)に続いて、年末に市場が休場となる前に上場のための申請を非公開で行った。両社とも2022年初めにデビューする。

なぜ、年末年始を控えた今、申請するのか?ここ数四半期、Viaは目覚ましい業績を上げており、早くにIPOのために準備を整えることは、決してアグレッシブなことではない。最近の下落にもかかわらず、テック企業のバリュエーションがまだ高いことを考えると、率直にいってこれは妥当だ。そして、上場できる企業は、IPOのウィンドウが開いているときを利用したいと思うだろう。

Crunchbaseによると、ViaはこれまでにMacquarie Capital、森ビル、Shell、83North、Broadscale Group、Ervington Investments、Hearst Ventures、Planven Ventures、Pitango、RiverPark Venturesなどの投資家から7億7710万ドル(約886億円)を調達している。

Viaは2021年11月、1億3000万ドル(約148億円)の資金調達を発表し、これにより同社の評価額は33億ドル(約3765億円)へと押し上げられた。今にして思えば、その資金調達はIPO前のラウンドだったのだろう。ViaのソフトウェアプラットフォームであるTransitTechが前年の倍となる年間1億ドル(約114億円)のランレートを超えたことを受けての資金調達だった。

関連記事:オンデマンドシャトルソフトウェア開発のViaが事業を拡大へ、約147億円調達

もっと簡単にいえば、Viaは収益面でIPO規模の閾値に達しており、考えられる他の収入源は考慮されていない。そのため、IPOのタイミングはまたも理に適っている。

ソフトウェアの売上だけではない。最初の都市との提携に5年を要したViaは、現在、ロサンゼルスメトロ、ジャージーシティ、マイアミなど500以上のパートナーを抱える。

しかし、Viaにとっては決して楽な道のりではなかった。パンデミックの中、同社のビジネスに対する需要はまちまちだった。当初は新型コロナウイルス感染症のために利用が減少したが、都市は緊急サービスに重点を置き、Viaのソフトウェアプラットフォームに対する需要を生み出すことに貢献した。ビジネス的には、都市との契約の結びつきを考えると、これは良いニュースだ。

Viaはここ数年で事業を強化し、おそらく株式公開のための売り込みを行う計画をほのめかしていた。3月には、都市が交通計画や道路設計に使用するソフトウェアを作成するRemix(リミックス)を1億ドル(約114億円)で買収した。また、 Fleetonomy(フリートノミー)も買収している。

2022年の上場に向けて取り組んでいるモビリティスタートアップはViaだけではない。Voi Scooters(ボイ・スクーターズ)は2021年12月、IPOに向けてシリーズDで1億1500万ドル(約131億円)を調達し、Kakao Mobility(カカオ・モビリティ)は噂される上場に先立ち42億ドル(約4791億円)の評価額を獲得した。

TechCrunchは、申請書類を入手したら、一連の質問をするつもりだ。例えば、政府機関に販売しながら、従来のようなSaaSの粗利を確保できるのかが気になるところだ。また、販売サイクルはどの程度なのか。さらに、同社の中核市場ではどのくらい深く浸透しているのか。そして、調達した資金は何に使ったのか。投資キャッシュフローなのか、営業損失なのか?

そんなこんなで、2022年のIPOサイクルは、非常に興味深い多くのデビューでスタートすることになりそうだ。

画像クレジット:Klaus Vedfelt / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

注文翌日に食料品配達サービスを提供する韓国Kurlyが約238億円のプレIPO達成

韓国のオンライン食料品スタートアップKurly(カーリー)は、前回のシリーズFラウンドの発表からわずか半年で、香港に拠点を置くプライベートエクイティ会社Anchor Equity Partners(アンカー・エクイティ・パートナーズ)の単独支援によるプレIPOラウンドで2億1000万ドル(約238億円)をクローズした。

今回の資金調達により、調達総額は7億6100万ドル(約862億円)、企業価値は33億ドル(約3740億円)となった。

ソウルに拠点を置き、全国で翌日の食料品配達サービスを提供するこのスタートアップは、この新たな資金をデータインフラと物流サービスの高度化、人材確保に充てる予定だ。

このニュースは、上場場所をニューヨーク証券取引所から移し、地元でのIPOを発表したことにともなうものだ。韓国取引所は、技術系スタートアップ企業を誘致するため、8億5400万ドル(1兆ウォン/約950億円)以上の価値をもつスタートアップ企業の上場要件を緩和している。

Kurlyは、上場後の推定企業評価額を最大約58億ドル(約6570億円)と見込んでいる。同社は来年初めにIPO申請を行う予定で、2022年上半期の上場を目指している。

Kurlyの広報担当者は「Kurlyのユーザー数は1000万人で、そのうち240万人以上が月間アクティブユーザーである」と述べている。

プレスリリースによると、Kurlyの売上は創業以来100%以上向上している。2020年の売上高は8億4500万ドル(約958億円)、営業損失は9700万ドル(約109億円)だったと報じられている。

Kurlyは2015年の創業当時、韓国で初めてプレミアムフードを翌日の早朝に配達する企業だった。地元の競合他社もその後、夜間配達サービスを採用することとなった。

これまでの支援者には、DST Global(DSTグローバル)、Sequoia Capital China(セコイア・キャピタル・チャイナ)、Hillhouse Capital(ヒルハウス・キャピタル)、Aspex Management(アスペックス・マネジメント)、MiraeAsset Venture Investment(ミラアセット・ベンチャー・インベストメント)、そして韓国に拠点を置く戦略的投資家のCJ Logistics(CJロジスティクス)とSK Networks(SNネットワークス)が含まれている。

画像クレジット:Kurly

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

RivianがIPOで調達した資金のうち5650億円をジョージア新工場とバッテリー技術に投資

Rivian(リビアン)は、株式公開時に調達した137億ドル(約1兆5500億円)の一部をジョージア州の第2工場建設に回す。同工場は同社のイリノイ工場の2倍の生産能力を持つ。

米国時間12月16日に最初の決算報告の一部として発表した同社は、資金をイリノイ州ノーマル工場のEV生産能力を年間15万台から20万台に拡大するためにも使うという。第2工場はアトランタの東、モーガン郡とウォルトン郡に建設され、年間生産能力目標は40万台だ。

ジョージア工場ではバッテリーセルの生産も行う。建設は2022年夏に、生産は2024年に開始する見通しだ。同社は株主向けの書簡で、持続可能な事業運営、人材プール、サプライチェーンや物流への近さなどを総合して、この地を選んだと述べた。

「ジョージア工場は、持続可能な輸送手段の大規模な導入を加速するという当社の目標にとって、極めて重要になります」と書簡で述べた。さらに、同工場は同社の次世代車両の生産にも使われると付け加えた。

短期的には、次世代自動車の設計・開発にも資金を投入する。Rivianには現在、消費者向けのピックアップ「R1T」とSUV「R1S」、そして商用バンの3車種がある。同社の株式を20%以上保有するAmazon(アマゾン)は、Rivianにとって最初の商用バンの顧客で、まず10万台の注文を受けた。

また、Rivianは垂直統合に多額の投資を行うが、これは同社と創業者でCEOのRJ Scaringe(RJ・スカンジー)氏の過去数年間の戦略に従っている。具体的には、バッテリーセル化学の開発、原材料の調達、自社でのセル製造など、バリューチェーン全体にわたってバッテリー技術に投資するつもりだと、同社は株主向け書簡で述べている。そこに掲載された図を見てみると、こうした垂直統合の野望がよくわかる。

画像クレジット:Screenshot/Rivian

書簡によると、電気駆動システムも投資の優先順位の1つになるという。その目的は「より高い性能、改良されたパッケージング、低コストを提供する自社製の将来のドライブユニット」を進化させることだという。

売り上げの創出がTo Doリストの冒頭にくることはいうまでもない。Rivianは、顧客との関わりと体験に投資を続けることによって売り上げを増やす計画だ。その中には「体験スペース」、消費者向けのRivian会員プログラム、商用顧客向けのFleetOSというブランドのデジタル車両管理ソフトウェアなどが含まれる。

Rivianは、車両サービスと充電インフラの整備を計画していると明らかにした。2021年末までに60台以上の移動式サービスバンを稼働させ、カリフォルニア、コロラド、イリノイ、ニューヨーク、ユタ、ワシントンに8つのサービスセンターを設置する予定だという。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Redditが秘密裏にIPOを申請

この8月、Reddit(レディット)はFidelityの主導で4億1000万ドル(約467億9000万円)にものぼる資金を調達し、評価額は100億ドル(約1兆1413億円)となった。そのときは、最大7億ドル(約798億8000万円)でシリーズFラウンドを終わらせる計画だった。

同社のCEOであるSteve Huffman(スティーブ・ハフマン)氏は、ニューヨークタイムズ紙に対して、Fidelityの投資により、いつどのように公開するかを決める時間を稼げると語っていた。

関連記事:RedditがシリーズFで最大770億円調達へ、評価額は1兆円超えに

サイト開設16年の同社は、米国時間12月15日の夕方、証券取引委員会(SEC)に株式公開に向けた登録届出書の草案を秘密裏に提出していたことを公表した。

Redditは、公開する株数やIPOの価格帯をまだ決定してない。

資金力に富む同社が、IPOの準備をしている兆候はあった。3月には、以前SnapのIPOに携わったDrew Vollero(ドリュー・ボレロ)氏を、同社初のCFOとして採用したことを発表していた

公開情報によれば、Redditはこれまでに13億ドル(約1483億6000万円)の資金を調達した。

コンテンツ集約の巨人である同社は、ヘイトスピーチを取り締まろうとする一方で、コミュニティの拠点としての存在感を確立しようとするなどの大きな挑戦に直面している。2021年の初めにはsubreddit(サブレディット、Reddit内のコミュニティ単位)の1つが、GameStopやAMCなどの急激な株価上昇に中心的な役割を果たした

2019年に、Redditの3億ドルのシリーズDをTencent(テンセント)が主導した際には、検閲がコミュニティサイトに入りこむのではないかという憶測が飛び交った。当時の私の同僚のJon Russel(ジョン・ラッセル)記者は、その憶測に異議を唱えている

Redditに関する過剰な期待は、その経済的な成功に貢献している。第2四半期には、Redditは1億ドル(約114億1000万円)の広告収入を達成した。8月の最終実績では、サイトは1日あたり5000万人の訪問者をひきつけ、10万のアクティブなsubredditをホストした。

画像クレジット:TechCrunch

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(文: Rita Liao、翻訳:sako)

中国のAI・顔認識大手SenseTimeが米国のブラックリスト入りでIPOを延期

中国で最も価値のあるAIソリューションプロバイダーの1つであるSenseTime(商湯科技、センスタイム)は、7億6700万ドル(約872億円)の株式上場を保留すると香港時間12月13日に発表した。

この発表は、香港証券取引所がSenseTimeのIPOにゴーサインを出してから3週間後のことだ。12月10日、米財務省は同社を「中国軍産複合体企業」のリストに加え、同社が「対象者の民族性を判断できる顔認識プログラムを開発し、特にウイグル族を識別することに重点を置いている」と述べた。

前政権時には国防総省と財務省が共同管轄し、財務省のみの管轄へと変更されたこのブラックリストは、米国の投資家がSenseTimeの有価証券を購入または売却することを禁止している。

米国政府の決定を受けて、SenseTimeはIPOを延期し、潜在的な投資家の「利益を守る」ために、新たな上場スケジュールを記載した補足目論見書を発行するとのこと。

SenseTimeは声明の中で、次にように述べた。「当社は、今回の指定およびそれに関連して行われた非難に強く反対します。これらの非難は根拠がなく、当社に対する根本的な誤解を反映しています。地政学的な緊張の渦中に巻き込まれたことを遺憾に思います」。

2019年、SenseTimeは、米国企業との取引を制限する「エンティティリスト」に登録された。

SenseTimeのビジネスの概要については、以前の記事でご覧いただける。

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画像クレジット:Getty Images(Image has been modified)

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(文:Rita Liao、Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

フォードやBMWが支援するSolid Powerが上場、全固体電池開発の競争激化

Ford(フォード)やBMWが支援する全固体電池開発企業のSolid Power(ソリッドパワー)が、米国時間12月9日に上場した。取引開始直後に株価は急上昇している。

Solid Powerは、電気自動車関連分野では数少ない、特別買収目的会社(SPAC)との合併により上場した企業だ。同社は6月にSPACのDecarbonization Plus Acquisition Corp III(ディカーボナイゼーション・プラス・アクイジション・コーポ III)との合併を発表。合併後の市場評価額は12億ドル(約1360億円)とされていた

この合併では、株主投票前償還が著しく少なかったため、最終的にSolid Powerに約5億4290万ドル(約615億円)の現金がもたらされた。これは事前に推定されていた6億ドル(約680億円)に非常に近い金額だ。この現金には、1億9500万ドル(約221億円)のPIPE(上場企業の私募増資)と3億4790万ドル(約394億円)の信託現金が含まれる。

この資金は、世界初の電気自動車用全固体電池の実用化を目指す同社にとって必要なものになる。全固体電池とは、液体ではなく固体の電解質を用いることからその名がついたもので、次のブレークスルーとなる電池技術として注目を集めている。開発者によると、可燃性の電解液を使用しないために、従来の電池にともなう火災のリスクを最小限に抑えることができ、さらにエネルギー密度(すなわち電池の重量や体積あたりの航続距離)にも優れているという。

Solid Powerは現在、コロラド州にある工場を拡張し、2022年初頭に商用品質の100アンペア電池セルを試験的に生産する準備を進めているところだ。この電池セルは、同社に出資しているフォードやBMWの自動車でテストに使われることになっている。Solid Powerは今回の上場で得た資金を、2026年と予想される車両への搭載までの運営資金に充てる計画だ。

関連記事:固体バッテリー開発のSolid Powerが生産能力拡大、2022年にフォードとBMWに試験用バッテリーを納入

同社の長期的なビジネスプランは、業界大手のLG Chem(LG化学)やSK Innovation(SKイノベーション)のような大規模な電池メーカーになることではない。最終的な目標は、メーカーや製造業者にセルのライセンスを供与することである。「長期的に考えれば、当社は素材メーカーです」と、同社CEOのDoug Campbell(ダグ・キャンベル)氏は、先日のTechCrunchによる取材に語っていた。「私たちは、固体電解質材料の業界リーダーになりたいと考えています」。

Solid Powerは、SPACを通じて株式公開した唯一の全固体電池開発企業でもなければ、大手自動車メーカーから投資を受けている唯一の企業でもない。

実際、ライバルのQuantumScape(クァンタムスケープ)はVolkswagen(フォルクスワーゲン)の支援を受けており、Stellantis(ステランティス)とMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は新規参入のFactorial Energy(ファクトリアル・エナジー)に資金を提供するなど、大手自動車メーカーは全固体電池の開発競争に出馬する馬を選んでいるようだ。

QuantumScapeも、2020年11月にSPAC合併による上場を完了させた。他のモビリティ系SPACと同様、株価は変動が激しく、12月には114ドル(約1万3000円)まで上昇した後、20~25ドル(約2270〜2830円)程度で落ち着いている。Solid Powerの株価が同じような激しい変動にさらされるかどうかはまだわからない。同社の株は「SLDP」というティッカーシンボルで取引されている。

画像クレジット:Solid Power

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インテルが先進運転支援・自動運転関連の子会社Mobileyeを2022年上場へ

Intel(インテル)は、4年以上前に150億ドル(約1兆7000億円)で買収した先進運転支援・自動運転関連の子会社であるMobileye(モービルアイ)を、2022年に上場させる計画をしている。

Mobileyeを独立した上場企業にすることで、Intelの株主の価値を高めることができると、この親会社は月曜日(米国時間12月6日)遅くに発表した。ある関係者がTechCrunchに語ったところによると、IPOには約6カ月かかる見込みで、このスケジュールは、一般的なIPOロードショーのプロセスをまだ開始していないことを示唆している。

IntelがMobileyeの株式を上場する計画に詳しい関係者は、Reuters(ロイター)に対し、このユニットの評価額は500億ドル(約5兆6800億円)以上になる可能性があると述べた。The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、IntelがMobileyeの株式を売却する意向であることを最初に報じた。

同社の声明によると「IntelはMobileyeの過半数の所有者であり続け、両社は戦略的パートナーとして、自動車分野におけるコンピューティングの成長を追求するプロジェクトで協力していきます」とのことだ。

Intelは、過半数の所有権を保持し、スピンオフや売却の意図はまったくないとしている。IPOに関する最終的な決定はまだ必要で、市場の状況に左右されるが、Intelは過半数の出資者として、今後もMobileyeを完全に統合していく方針のようだ。

MobileyeのCEOであるAmnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏は、引き続き同じエグゼクティブ・チームを率いることとなる。同社によると、LiDARやレーダーの開発に携わるIntelのチームは、最近Intelに買収されたイスラエルの旅行計画アプリ「Moovit(ムービット)」と同様に、Mobileyeの下で連携することになるという。

「IntelによるMobileyeの買収は大きな成功を収めています。Mobileyeは前年比で記録的な収益を達成しており、2021年の収益は2020年比で40%以上の増加が見込まれています。これは、両社の継続的なパートナーシップによる強力な利益を強調するものです。アムノン氏と私は、IPOがMobileyeのイノベーションの実績を構築し、株主に価値をもたらすための最良の機会を提供すると判断しました」。と、IntelのCEOであるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏は声明で述べている。

シャシュア氏によると、2017年の買収以来、Mobileyeは年間のチップ出荷量、売上高、従業員数を3倍にすることができたという。

「Intelとの提携は、Mobileyeに貴重な技術リソースとサポートを提供し続けており、それが強力な収益をもたらすとともに、現在の収益からAV(自律走行車)開発作業に資金を供給できるフリーキャッシュフローをもたらしています」。とシャシュア氏は述べている。

このニュースは、Mobileyeがレンタカー大手のSixt(シクスト)と提携し、2022年にドイツでロボットタクシーのサービスを開始することに合意してからわずか数カ月後に発表された。2021年、Mobileyeは、自律走行車のテストプログラムをニューヨークを含む米国、欧州、アジアの複数の都市に拡大し、30社以上の自動車メーカーで41件の先進運転支援システムプログラムを新たに獲得したと述べている。また、2028年までにUdelv(ユーデルブ)とともに、目的別の無人配送車を3万5000台にする計画で、2023年にはサービスとしてのモビリティプログラムの複数の案件を獲得している。

画像クレジット:Mobileye, Intel

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

独Sono Motorsが上場、ソーラー電気自動車Sionを2023年までに市場へ投入

Sono Motors(ソノ・モーターズ)は、すべての電気自動車に太陽光発電で電力を供給したいと考えている。そのアイデアは9年前にミュンヘンの地下室で、起業家精神に富んだ18歳の若者2人が、化石燃料への社会の依存に対するソリューションを思いつくまま打ち出し始めたことに端を発する。Sono Motorsの共同創業者であるJona Christians(ジョナ・クリスチャン)氏とLaurin Hahn(ローリン・ハーン)氏は、自動車にはあまり乗り気ではなかったものの、輸送機関がどれほど化石燃料の燃焼に貢献しているかを認識しており、そこから始めるのが良いと考えた。

「私たちはあらゆる車両に太陽光発電を統合するというビジョンを思いつき、それには何が必要かと考えました」とハーン氏はTechCrunchに語った。

彼らは、再生可能エネルギーが輸送時の排出ガス問題の解決に役立つことを証明するために、ソーラー電気自動車の試作品の製造に着手し、2015年までに実用モデルを完成させた。翌年、クリスチャン氏とハーン氏はクリエイティブディレクターのNavina Pernsteiner(ナヴィナ・ペルンシュタイナー)氏を招き、共同で事業を立ち上げ、Sono Motorsを会社とブランドとして確立した。

米国時間2021年11月17日、Sono Motorsの親会社であるSono Group(ソノ・グループ)が上場した。IPO価格が15ドル(約1730円)に設定された後、NASDAQで20.06ドル(約2314円)で取引を開始したが、取引終了前に38.74(約4469円)ドルの高値をつけた。

Sono Motorsの市場への道は2つある。同社は、同社初のソーラー電気自動車であるSion(サイオン)の1万6000台の先行予約を平均3000ドル(約34万6000円)の頭金で確保した。5ドアの小型でファミリー向けのハッチバックは2万8700ドル(約331万円)で、2023年前半までに消費者に届ける予定だ。Sonoはさらに、複数の企業と協力して同社のソーラー技術を他の車両に統合しようとしている。2021年の初めに、同社は自社のソーラーボディパネル技術を他社にライセンス供与することを発表し、電動自動運転シャトルバス会社EasyMile(イージーマイル)を最初の顧客に選んだ。

関連記事:Sono Motorsがソーラーカー技術を自動運転シャトルバスのEasyMileにライセンス供与

Sion

Sionの航続距離は190マイル(約306km)で、中国のBYD(比亜迪)が供給する54kwHのリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを使用する。この電池は環境と倫理に大きなインパクトを及ぼす金属であるマンガン、ニッケル、コバルトを使用していないため、よりサステナブルだと考えられている。Sionは壁のボックスを介して充電できるが、Sonoによると、太陽が輝いているときはいつでもバッテリーにエネルギーを供給するため、毎日の通勤のほとんどをまかなうことができるという。

「例えばドイツでは、通勤圏の平均は1日10マイル(約16km)です」とクリスチャン氏はTechCrunchに語ってくれた。「当社独自の技術により、太陽光発電だけで週平均112(約70マイル)走行できます。これは毎日の通勤の大半をカバーしているので、それほど頻繁に充電する必要がありません。同じサイズのバッテリーを搭載しながらも太陽光を統合していない他の電気自動車と比べて、航続距離は4倍になります。だからこそ、この技術はEVを大衆化する大きなポテンシャルを秘めていると考えています」。

同社によると、アルミニウム製フレームは248個以上のセルを統合したソーラーパネルで覆われており、車には双方向充電機能が搭載されている。これにより、消費者はバッテリーに蓄えられたエネルギーを使って、壁のボックスを介して自宅や他の電子機器に電力を供給できるようになる。この機能は、相乗りやカーシェアリングと併せて、デジタルキーとしても機能するSonoアプリによって実現される予定だ。

このクルマの予約注文のほとんどは、発売が予定されている欧州からのものだ。受注の90%はドイツまたは「ドイツ語圏」からで、残りの10%は製造拠点となるオランダ、スペイン、フランス、イタリア、スウェーデンなどからの受注だ。Sonoは旧Saabの工場で生産するため、National Electric Vehicle Sweden(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン、NEVS)と提携した。クリスチャン氏の話では、この工場は年間4万3000台の生産能力を有し、7年間で約26万台が生産される予定になっている。

「ワンベース」車両プラットフォーム

他の多くの自動車メーカー(GM、Arrival)と同様、Sonoも「ワンベース」の車両プラットフォームを開発中で、その上に将来のモデルを構築したいと考えている。Sionを皮切りに、同社はクロスオーバー乗用車やラストワンマイル配送用の貨物バンの製造も検討している。

「パワートレイン、シャーシ、サーマルユニット、一部の電子機器などのモジュラーシステムをSionで使用予定」とSonoは米証券取引委員会(SEC)への提出書類に記載している。「これらのモジュラーシステムは、改造なしに、または軽微な改造のみで他の車種にも使用することができる」。

太陽光技術の統合とライセンス

Sonoの太陽光技術は、他の車両への統合と、バス、トラック、ラストマイル車両などのさまざまな車両アーキテクチャのライセンス供与の両方を可能にするように設計されている。同社によると、すでに試作サンプルを顧客に発送しており、戦略的ユースケースの検証に向けて10件を上回る予備的合意書や商事契約書を締結済みだという。

「特に輸送および物流業界は、総所有コストに非常に重点を置いており、太陽光発電の統合でランニングコストを大幅に削減できる」とSECへの提出書類には書かれている。「当社の専有技術を保護するために、いくつかの特許を取得している。さらに、これらの特許、多数の異なるポリマー材料のテスト、そしてパワーエレクトロニクス、特にMCUなどの完全な太陽電池集積化用の複数の関連コンポーネントの使用により、関連する競合他社であると考えられる企業に先駆けて、最大4年間の高度な開発を進めている」。

このMCUとはSonoの「maximum power point tracker central unit(最大電力ポイント追跡中央ユニット」のことで、同社によると、太陽電池がエクステリアのさまざまな場所に設置されていることに起因する不均一な日光暴露の問題を解決する。

Sonoはまた、2030年に販売される車両の半数以上がソーラー改良に適しており、そのうちの3分の1がソーラー統合に適していると考えている。近年、太陽光発電の価格が低下し、太陽電池の効率が向上しており、EVの航続距離にインパクトを与える可能性がある。

「また、電気自動車の販売台数が急増していること、そして充電ステーションの伸びが比較的鈍化していることが、電気自動車の大規模導入のボトルネックになっている」と同社は提出書類に書いている。「今後数年のうちにも、個人が充電できないような場所に住んでいる人たちは、適切な充電オプションを見つけられるかどうかが不透明であることから、電気自動車を購入することに消極的になると私たちは考えている」。

Sono Motorsは納品できるだろうか?

生産をNEVSにアウトソーシングすることは、車を効率的かつスケーラブルに生産するためのSonoの戦略における、同社が称する「重要な差別化要因」の1つである。差別化には次のようなものが含まれている。他の企業はB2C販売のみであるが(同社は)従来型の店舗を排除している、アルミ製のスペースフレームを採用しているためスチールプレス加工が不要、ソーラーパネルであるため塗装作業が不要。しかし、NEVSは頼りにするには慎重を要する。この会社は中国企業のEvergrande(恒大集団)が所有しているが、同社は880億ドル(約10兆円)の負債を抱えており、世界的な金融危機の脅威にさらされている

「NEVSは2019年から当社の生産パートナーを務め、それ以来緊密な交流を続けており、現在もその状態が続いています」とクリスチャン氏。「Sionの生産は現在のところリストラの影響を受けていません。2022年のプレシリーズ生産と2023年前半に予定されているSionシリーズ生産の設備準備は計画通りに進んでいます」。

Sono Motorsは念のため、いくつかのバックアップ計画を立てている。プランAではNEVSでSionの製造を継続する予定だが、他の欧州の委託製造業者のキャパシティを利用するなど、代替シナリオと選択肢を模索しているとクリスチャン氏は話す。

それでも、NEVSは新しいオーナーを探しており、最終的にはSonoにとっては問題ないかもしれない。しかしこのスタートアップは生産を遅らせる余裕はないだろう。2018年、Sonoは2019年までに顧客に出荷する予定だった予約注文が7000件あったが、これらの注文は2021年まで延期された。Sonoがすぐに納品とスケーリングを開始しなければ、単なる評判の問題以上の問題に直面することになる。

予約注文1件当たり3000ドルで、Sonoは約4800万ドル(約55億円)を銀行に保有している。しかし、それだけではSionを生産することはできず、Sonoはすでに現金獲得を切望している。SECに提出された書類によると、同社の上半期の損失は約2900万ドル(約33億円)で、純損失は累積赤字1億2300万ドル(約142億円)となった。同社は「少なくとも当社がSionの資材輸送を開始し、当社のソーラー技術の収益化を含む事業規模を大幅に拡大するまでは、予測可能な将来においても引き続き損失を発生させ、外部からの資金調達に依存することになる」と述べている。

幸いなことに、今回のIPOは同社にとって、Sionを製品化するための良い緩衝材となった。同社は上場により1億5000万ドル(約173億円)を調達した。この資金は、一連のコンポーネントから作られる次のプロトタイプ世代に焦点を当てたSionの開発にも使われる予定だ。

画像クレジット:Sono Motors

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

LG化学のバッテリー部門LG Energy Solution、韓国取引所の承認を得てIPOを計画

LG Chem(LG化学)が全額出資するバッテリー部門のLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)は新規株式公開の予備承認を得た。韓国取引所が現地時間11月30日に声明文で明らかにした。

LG Energy Solutionは早ければ今週中にも金融監督庁にIPO申請書を提出し、2022年1月末の上場を目指している、と報じられている。

同社は6月、米自動車メーカーGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)の電気自動車Chevrolet Boltがバッテリーセルの欠陥で発火のリスクが高まる可能性があるとして一連のリコールを行ったことを受けて、IPO手続きを一時停止した。

General Motorsは、バッテリーセル製造パートナーであるLG Chemに、推定10億ドル(約1127億円)相当の損失の弁済を求めると述べていた。LG EnergyとLG Electronics(LG電子)は、Bolt EVのリコールにかかる費用として11億ドル(約1240億円)をGMに支払うことでリコール問題を解決した。

関連記事:GMがシボレー・ボルトのリコール損失約1100億円をLG Chemに請求すると表明

9月にGeneral Motorsとリコール関連問題で合意したことを受けて、LG Energy Solutionは10月、予定していたIPOを再開すると発表した。

ソウルのアナリストは、LG Energy Solutionの評価額を505億〜589億ドル(約5兆7230億〜6兆6750億円)と見積もった上で、IPOの規模を83億ドル(約9405億円)と予想しており、これは韓国では最大級のIPO案件となる。

同社の広報担当者は、IPOの詳細についてのコメントを却下した。

LG Energy Solutionは、財務報告書に基づき、9月時点の売上高を112億ドル(約1兆2690億円)としている。

同社は、中国のCATLBYD、日本のパナソニック、韓国のSK InnovationとSamsung SDIと競合している。

LG Chemは、2025年までに52億ドル(約5892億円)を投資して米国でのバッテリー事業を強化する計画を発表している

関連記事:LG化学がEV用バッテリー生産拡大へ向け2025年までに5770億円を投資

同社は先週、LG Energy Solution Michiganが、北米に新たなEV用バッテリー生産施設を設立するため、13億6000万ドル(約1541億円)の資金調達を計画していると発表した。同社はこの資金を利用してEV用バッテリーとエネルギー貯蔵システム(ESS)の生産を増やし、増大する需要に対応する。

LG Energy SolutionとStellantisは10月、北米でバッテリーセルおよびモジュールを生産する合弁会社を設立するという予備的な取引を発表した。この取引はまだ規制当局の承認を得る必要があるが、合弁会社は年間40ギガワット時の生産能力を持つことになるという。

また、LG Energy Solutionは正極材の生産に使用される主要鉱物(コバルトとニッケル)の安定供給に関して、オーストラリアの鉱山会社と6年間の契約を結んでいる

関連記事:LG Energy Solutionが豪州企業とニッケルとコバルトの購入契約を締結、EV用バッテリー製造のため

画像クレジット:Joan Cros Garcia – Corbis

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国のAI・顔認識大手SenseTimeが香港でのIPOを準備中

中国最大級のAIソリューションプロバイダーであるSenseTime(商湯科技開発有限公司、センスタイム)は、IPOに向けて一歩前進した。メディアの報道によると、SenseTimeは香港証券取引所に上場するための規制当局の承認を受けた

2014年に設立されたSenseTimeは、Megvii、CloudWalk、Yituと並んで中国の「四大AIドラゴン」と総称されている。2010年代後半、SenseTimeのアルゴリズムは、現場のデータを実用的な洞察力に変えることを望む企業や政府から多くの需要があった。同社のAIモデルを組み込んだカメラは、24時間体制で街を監視している。ショッピングモールでは、同社のセンシングソリューションを利用して、施設内の混雑状況を追跡・予測している。

SenseTimeのライバル企業3社は、いずれも中国本土か香港での株式売却を検討している。Megviiは、香港証券取引所への申請が失効した後、中国のNASDAQ式証券取引所、STAR Board(科創板)への上場を準備している。

関連記事:中国最大級の顔認証ユニコーンMegviiが上海でのIPOを準備中

中国のデータリッチなテック企業が海外で上場する道は狭まっている。北京は、機密データを持つ企業が中国国外で上場することを難しくしており、欧米の規制当局は、大量監視を助ける可能性のある顔認証企業に対し慎重な姿勢をとっている。

しかしここ数年、中国のAI新進企業は世界中の投資家から求められていた。2018年だけで、SenseTimeは20億ドル(約2300億円)以上の投資を集めた。これまでに同社は、12回のラウンドを通じて52億ドル(約5982億円)という驚異的な額の資金を調達している。最大の外部株主には、SoftBank Vision Fund(SVF、ソフトバンク・ビジョン・ファンド)とAlibaba(アリババ)のTaobao(淘宝、タオバオ)が含まれている。ロイター通信によると、SenseTimeは香港での株式公開にあたり、最大20億ドル(約2300億円)の資金調達を計画しているという。

目論見書によると、SenseTimeは資本の大部分を研究開発に費やしており、2018年から2020年の間に50億元(7億8000万ドル、約897億円)以上の費用がかかっている。同社は過去4年間、純損失を計上しており、その主な原因は「優先株式の公正価値損失」である。その純損失は2021年の上半期に37億元(約666億円)に達した。6月時点での赤字総額は230億元(約4139億円)に迫る。

同業他社と同様に、SenseTimeは「スマートシティ」プロジェクトを収益化の柱としており、6月までの半年間の総売上高16億5000万元(約297億円)のうち、47.6%を占めている(2020年同期は27%)。同社の目論見書によると、SenseTimeのソフトウェアプラットフォームを利用している都市の数は、6月までに119に達した。

商業施設や賃貸マンションなど、企業のニーズに合わせた「Smart Business」ラインは、2021年上半期の収益の約40%を占めた。同社は残りの収益を、IoTデバイスに供給する「Smart Life」部門と、知覚知能を自律走行ソリューションに適用する「Smart Auto」から得ている。

画像クレジット:Gilles Sabrie/Bloomberg via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

電気自動車メーカーRivianが上場、2021年最大のIPOに

Rivian(リビアン)は米国時間11月10日、上場会社としてデビューした。106.75ドル(約1万2000円)の初値をつけ、同社を取り巻く高揚感は一気に高まった。

これが定着すれば、Rivianの評価額は900億ドル(約10兆2400億円)に達する。初値は、IPO価格の78ドル(約8870円)を37%近く上回った。この絶対的に目を見張る数字は、Rivianを米国史上最大のIPO企業の1つにし、同社の時価総額はGM(ゼネラル・モーターズ)や同社の出資者であるFord(フォード)を上回る。GMの時価総額は863億1000万ドル(約9兆8190億円)、Fordの時価総額は782億ドル(約8兆8990億円)だ。

Rivianの株価は10日午後1時の取引開始後も上昇を続け、119ドル(約1万3500円)の高値をつけた後、112ドル(約1万2700円)ほどまで下落した。

創業者兼CEOのRJ Scaringe(RJ・スカーリンジ)氏には、RivianのIPOが歴史的な規模であることの意味がわかる。しかし、予想されたことかもしれないが、スカーリンジ氏はEVの将来性について強気であり、最近のインタビューで、毎年販売されている9000万台から1億台の自動車は、今後10〜20年の間に電気自動車に移行するだろう、と話している。

「結局、投資家がこの分野に注目するのは、未来がどうなるかを評価するためです。とスカーリンジ氏は話す。「そう遠くない将来、100%が電気自動車になるでしょう」。

また、車両とその発売という点ではRivianは非常に初期段階にあるが、投資家は将来の可能性にも基づいて当社を評価している、と同氏は語る。

「彼らが純粋に今日のP&L(損益計算書)だけで当社を評価しているとしたら、会社のポイントを見逃していると思います。彼らはもちろん、Rivianが時間をかけて達成できると考えているものを見ているのです」と話した。

Rivianが何を達成できるのかは、まだ証明されていない。投資家、顧客、業界関係者はすぐにそれを知ることになる。しかし、同社の将来計画は確かに野心的であり、消費者向けの最初の2つのモデル(ピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」)や、2024年までに10万台の電動商用配送バンを生産するというAmazon(アマゾン)との提携をはるかに超えるものだ。特許文書やスカーリンジ氏のTechCrunchへのコメントによると、Rivianは消費者用および商業用のさまざまな製品を発売する計画だ。

また、Rivianが垂直統合を推進し、長期的には独自のバッテリーセルを開発する計画であることから、投資家は同社が技術的なリーダーとなることに賭けているのかもしれない。

スカーリンジ氏は「我々が中核技術スタックと考えているもの、つまり車両のすべての電子機器、完全なソフトウェアスタック、車両の推進部分を制御し、垂直統合することが本当に重要です。これらの中で最も重要なのは、ソフトウェアと電子機器でしょう」と話した。

ワイルドなIPOの旅

Rivianが2021年10月にIPO申請書を公開して以来、ワイルドな旅が続いていた(IPO申請は8月に内密に行われた)。この申請書は、Rivianの財務状況、リスク、およびチャンスに関する詳細な全体像で、電気自動車の設計、開発、生産、および販売という資本集約的なタスクに取り組むために現金をつぎ込んで状況を示している。

同社は1億3500万株を57~62ドル(約6480〜7050円)で発行することを計画していた。引受人はまた、2025万株まで追加購入できるオプションを持っていた。

投資家の需要が熱狂的だったというのは、2021年の控えめな表現かもしれない。11月9日夜遅くに公開された当局への書類によると、Rivianは目標株価を2回引き上げ、最終的に1株78ドルで新規株式を売りに出しただけでなく、さらに追加で普通株式1億5300万株を加えた。また、Rivianは引受人にさらに2295万株を購入するオプションを与え、この数字は以前の想定よりも多い。

今回のIPOの規模は、大口出資者にもメリットがある。Amazon(アマゾン)は20%、Fordは12%のRivianの株式を保有している。

Rivianの株価が上昇したのには、いくつかの理由がある。例えば、同社はいま、毎年何百万台もの自動車を生産・販売している既存の自動車メーカーよりも評価が高い。

一方、Rivianは収益が少なく、費用が多い。

同社は、イリノイ州ノーマルにある工場をはじめ、複数の施設で数千人の従業員を雇用している。スカーリンジ氏は11月9日夜、現在9000人超の従業員を抱えているとTechCrunchとのインタビューで答えた。

スカーリンジ氏の垂直統合へのこだわりは、研究開発費を押し上げることにもなった(同社は2020年にR&Dに7億6600万ドル=約871億円=を投じた。2021年上半期には、R&Dに6億8300万ドル=約777億円=を費やしている)。

その結果、ピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」の生産準備に伴い、純損失が拡大した。同社は2021年上半期だけで9億9400万ドル(約1130億円)の純損失を計上し、2020年同期に同社が計上した純損失3億7700万ドル(約428億円)の2倍をはるかに超える。

一方で、2021年10月から始まった顧客への「R1T」の納車が本格化するにつれ、売上は徐々に増加している。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi