超小型衛星用推進機開発の東大発「Pale Blue」が研究開発型スタートアップ支援助成金NEDO STSで採択

超小型衛星用推進機開発の東大発「Pale Blue」が研究開発型スタートアップ支援助成金NEDO STSに採択

Pale Blueは4月1日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施した2020年度「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」(最大助成額:7000万円。NEDO STS事業)第3回公募において、助成対象として採択されたと発表した。2020年4月の設立後1年で累計調達額は約2億円となった。

これにより、宇宙産業を革新するメガコンステレーションの実現に必要な安全かつ安価な超小型衛星向け水統合エンジンの開発および実用化に挑む。

超小型衛星用推進機開発の東大発「Pale Blue」が研究開発型スタートアップ支援助成金NEDO STSに採択

現在、技術革新によって超小型衛星の市場が拡大している一方で、現状の小型衛星のほとんどは推進機を搭載していないため、能動的に軌道や姿勢を維持して運用寿命を長引かせたり、軌道を離脱させたりすることができず、とりわけ、後者に起因する宇宙ゴミ(デブリ)増大は深刻な問題になっているという。

こうした課題は推進機の搭載により解決可能なものの、大型衛星搭載の推進機は体積・重量・コストの観点から小型衛星への適用が難しく、また高圧ガス・有毒物を推進剤として使うため、環境への配慮や持続可能性の点でも問題があるという。

Pale Blueはこの解決策として、水を推進剤とした小型推進機を開発。従来の高圧・有毒な推進剤から脱却し、低圧貯蔵可能、安全無毒で取り扱い性と入手性の良い水を推進剤として利用することで、前述の課題を解決し、圧倒的な小型化と低コスト化を実現するとしている。

小型衛星実用化のボトルネックとなっている小型推進機にイノベーションを起こすことで、小型衛星群によるビジネスや深宇宙探査を実現し、科学技術による人類の幸福の最大化や文明レベルの向上を目指す。

東京大学は長年にわたって宇宙推進機の研究を行ってきており、推進機内における複雑なプラズマ物理の解明や電気推進の性能評価に関して、世界をリードする研究機関のひとつという。Pale Blueメンバーは、東京大学在籍時から推進機の基礎研究に加えて、高周波電源や高電圧電源の小型化・高効率化に取り組み、成果を上げ、さらに実際の小型衛星に搭載する推進システムの開発を多数経験してきたという。同社は水統合推進システムの実現において、東京大学のエンジン基礎研究の成果を社会実装・実用化する役割を担い、その収益をアカデミアに還元することを目指すとしている。

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カテゴリー:宇宙
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障害者手帳アプリ「ミライロID」やユニバーサルデザインのソリューションを提供するミライロが資金調達

障害者手帳アプリ「ミライロID」やユニバーサルデザインのソリューションを提供するミライロが資金調達

​障害のある当事者の視点を活かし、ユニバーサルデザインのソリューション提供や、障害者手帳アプリ「ミライロID」(Android版iOS版)を運営するミライロは4月2日、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は、日本生命保険、三菱地所。2021年2月に実施した第三者割当増資と合わせ、総額3億円の資金調達となった。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、障害者やその家族は様々な制約を受けており、障害者の就学や就労、日常生活の選択肢を増やすことが求められているという。ミライロは、同社ビジョンに賛同する企業とともに、障害者やその家族の生活がより豊かになる新たなソリューション開発を進め、障害を価値に変える「バリアバリュー」が広がる未来を目指す。

障害者手帳アプリ「ミライロID」やユニバーサルデザインのソリューションを提供するミライロが資金調達

ミライロIDは、障害者手帳を所有している方を対象としたスマートフォン向けアプリ。ユーザーは、障害者手帳の情報、福祉機器の仕様、求めるサポートの内容などをミライロIDに登録できる。また公共機関や商業施設など、ミライロIDを本人確認書類として認めている事業者において、障害者手帳の代わりに提示することで、割引などが受けられる。2021年2月末時点で885事業者が導入済みで、ミライロIDが利用できる駅やレジャー施設などの数は約6000カ所(2020年12月末時点)、ミライロIDが利用できるバスやタクシーなどの数は約5万台(2020年12月末時点)となっている。さらに3月10日には、JRを含む鉄道会社123社の導入が発表された。同アプリを利用できる施設・交通機関などは、「ミライロIDが使える場所」において確認可能となっている。

なお同社は、プレスリリースの表記を「障害者」で統一している。「障がい者」と表記すると、視覚障害のある方が利用するスクリーン・リーダー(コンピュータの画面読み上げソフトウェア)では「さわりがいしゃ」と読み上げられてしまう場合があるためという。「障害は人ではなく環境にある」という考えのもと、漢字の表記のみにとらわれず、社会における「障害」と向き合っていくことを目指すとしている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
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ソニーモバイルがXperia新製品発表を予告、日本時間4月14日16時30分に動画公開

ソニーモバイルがXperia新製品発表を予告、日本時間4月14日16時30分に動画公開

ソニーモバイルがYouTubeのXperia公式チャンネル等で、Xperias新製品の発表を予告しています。新製品は日本時間4月14日16時30分に発表予定で、同時刻にYouTube上に製品動画を掲載します。

発表内容は不明ですが、順当に行けば新型スマートフォンの「Xperia 1 III」(仮称)を発表するのかもしれません。なお、ソニーモバイルは例年、2月末のMWC Barcelonaで新製品を発表していましたが、新型コロナウイルスの影響で同イベントの開催が6月に延期されたことから、新製品発表のタイミングに注目が集まっていました。

(Source:YouTubeEngadget日本版より転載)

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着回しコーデ提案アプリ「XZ」と三井不動産がOMOサービス共同開発、ららぽーと来店客の手持ち服を見える化

着回しコーデ提案アプリ「XZ」と三井不動産がOMOサービス共同開発、ららぽーと来店客の手持ち服を見える化

AIコーディネート提案アプリ「XZ」(クローゼット。Android版iOS版)を運営するSTANDING OVATIONは、手持ち服を活かす着回しコーデ提案エンジンを活用したEC・店頭接客のOMO(Online Merges with Offline)ソリューションを三井不動産と共同開発したと発表した。

3月18日に「三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY」にオープンした「LaLaport CLOSET」(ららぽーとクローゼット)において、実証実験を開始している。

STANDING OVATIONはかねてより、三井不動産が運営する三井ショッピングパーク公式通販サイト「Mitsui Shopping Park &mall」(アンドモール)との取り組みを実施しており、ユーザーに対してAIスタイリストが手持ち服を使った着回しコーデを提案して商品購買率を向上させる施策を行ってきた。

LaLaport CLOSETでは、テナント横断のMIXブランド新品商品と手持ち服を組み合せた着回しコーデを提案することで店舗での試着を促し、「&mall」での購入につなげているという。

LaLaport CLOSETでは、来店客の手持ち服を見える化し接客

LaLaport CLOSETでは、来店客の手持ち服をタブレットで閲覧しながら接客を行うという。XZにより、従来の接客では把握しきれなかった来店客の手持ち服を見える化することで、来店客それぞれ合わせた質の高い接客・提案ができるようサポートするとしている。

着回しコーデ提案アプリ「XZ」と三井不動産がOMOサービス共同開発、ららぽーと来店客の手持ち服を見える化

表示される手持ち服は、過去に「&mall」で買い物した購入履歴だけではなく、追加の登録が可能。ららぽーと施設内で当日購入した商品や、当日着用している服、持ち込んだ服を代行登録してデジタル化するサービスも展開するという。

また、持っている服に似ているアイテムを手持ち服としてその場で登録できるため、ららぽーと施設内や「&mall」で商品を購入したことがない人でも利用できるという。

LaLaport CLOSET内の新品商品+手持ち服を使ったコーディネート提案

LaLaport CLOSETでは、商品についたQRコードを読み込むと、XZのAIスタイリストがブランド(テナント)横断MIXの新品商品とユーザーの手持ち服を組み合せたコーディネートを提案する。

AIスタイリストは、「瞬時」に「豊富」に提案することで「接触を軽減する接客」をサポートすると同時に、ユーザー側は、手持ち服に合う商品を買い足すことで着回しのバリエーションを増やせるとしている。

着回しコーデ提案アプリ「XZ」と三井不動産がOMOサービス共同開発、ららぽーと来店客の手持ち服を見える化またこのコーディネート提案では、LaLaport CLOSET内にある商品と「&mall」内にある商品を紹介しているため、店頭に在庫がある場合はその場ですぐに試着できる。気になってはいるがその場で購入に至らなかった場合には、来店客に対してQRコードの形で商品情報を渡すことが可能。後日ゆっくりと手持ち服との着回しコーデを確認することで、購入の再検討やあと買いを促進できるという。

STANDING OVATIONは、手持ち服を起点に、オンライン(EC)とオフライン(リアル店舗)の垣根を超えた融合(OMO)サービスを提供し、新たなショッピング体験を実現するとしている。

着回しコーデ提案アプリ「XZ」と三井不動産がOMOサービス共同開発、ららぽーと来店客の手持ち服を見える化

XZは、手持ちのファッションアイテムをアプリに登録することで、クローゼットの中身をデジタル化できるオンライン・クローゼットアプリ。AIスタイリストが手持ち服から着回しコーデを提案するため、今日明日の服装を決める際や買い物時に、いつでもどこでも持ち歩けるクローゼットとして利用されているという。

アプリの累計ダウンロード数は150万を突破。服・靴・バッグ・ファッション雑貨など、アプリ内の手持ちアイテム登録数は累計2800万点に上るという(2021年3月30日時点)。コーディネート作成数は420万点に到達しており(2021年3月30日時点)、XZにしか把握できないクローゼット・ビッグデータが蓄積しているそうだ。

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カテゴリー:ネットサービス
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二酸化炭素ゼロの再エネ100%電力を提供するCleenTechの「アスエネ」が3億円調達、脱炭素社会を目指す

(左から)グロ ラクマツーラ/VPoE、西和田浩平CEO、岩田圭弘COO、江森靖紘Sustainable Leader

(左から)グロ ラクマツーラ/VPoE、西和田浩平CEO、岩田圭弘COO、江森靖紘Sustainable Leader

再生可能エネルギーの電源を特定し、電力の地産地消を進めるCleenTechスターアップのアスエネ(旧リフューチャーズ)が事業展開を加速させている。地元産の再生可能エネルギーから電力をまかなえるサービスが企業に評判がいい。

クリーン電力サービス「アスエネ」を提供するアスエネは4月2日、シリーズAラウンドで第三者割当増資により3億円の資金調達を行ったと発表した。引受先はインキュベイトファンド、環境エネルギー投資、STRIVEとなる。2019年10月に創業したアスエネは、同年12月に行ったシードラウンドの資金調達と合わせ、今回で累計調達額が3億7500万円となった。なお、同社は2020年8月に会社名をアスエネに変更したことに合わせ、サービス名も「アスエネ」に統一している。

アスエネは二酸化炭素排出量ゼロとなる再生可能エネルギー100%の電力を、製造業の工場や企業の店舗・施設などに提供してコスト削減を図るサービスとなる。また、再生可能エネルギーの供給元となる地域・発電所を選べるようにして、地域貢献をするサステナブルな企業としてのブランディングに繋げている。

この他、アスエネは顧客施設の電力使用量や二酸化炭素削減量などを見える化し、パソコンやスマホ経由でブラウザからいつでもデータを確認できるようにしている。電力料金が高い月や時間帯を予測して事前に通知するアラート機能などもある。

サービスの特徴は、再生可能エネルギー100%の電力を地産地消できる仕組みだ。これまでは、発電所から工場に電気が流れる過程で電力が混ざってしまうため、再生可能エネルギーなどの電源特定は難しかった。つまり、企業は地域の再生可能エネルギーを使おうにも、どこの電気がどこで使われるかをトラッキングできていなかったのだ。

アスエネは、パブリックブロックチェーンを活用した非改ざん性の高い独自のトラッキングシステムを用いて、この課題を解決している。同システムにより、発電所側と顧客施設のスマートメーターで測定される電力使用量データを30分毎にマッチングさせることで、どこからどこに電力が流れたかをトラッキングし、電源を特定できるようにした。

二川工業製作所が持つ太陽光発電所

アスエネは2020年5月にサービスを始めてからの10カ月間、導入契約・受注数は毎月平均で約100%の成長率を記録し、20以上の業界で導入されるなど急成長している。サービスの対象エリアは東京電力エリア(関東地方)のみでスタートしたが、現在は東北電力エリアと中部電力エリア、関西電力エリア、中国電力エリア、九州電力エリアが加わり、全国6エリアにサービスを展開。今後は北陸電力エリア、四国電力エリアへの進出も視野に入れている。

直近では、アスエネは兵庫県の建設機械装置・部品メーカー二川工業製作所と連携し、同県にある二川工業製作所の全8工場の電力を、再生可能エネルギー100%の電力でまかなえるようにした。同県の二川工業製作所が持つ太陽光発電所2カ所からの電気をアスエネ独自のトラッキングシステムで電源特定することで、電力の地産地消を実現させている。二川工業製作所は約600万キロワットの電力をアスエネに切り替えたことで、年間の二酸化炭素排出削減量が約2900トンに上るという。

今回の調達資金は、人材採用や組織強化やシステム開発、販促・広告費などに充てる。アスエネの西和田浩平CEOは「次世代に向けた脱炭素社会の創造に挑戦していきます」と意気込みを語った。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:アスエネ二酸化炭素資金調達電力日本持続可能性

幼稚園・学校・塾・習い事教室の集金業務キャッシュレス化・DX化を実現する「enpay」が4億円調達

幼稚園・学校・塾・習い事教室の集金業務キャッシュレス化・DX化を実現する「enpay」が4億円調達

集金業務のキャッシュレス化・DX化を実現するFintech×SaaSプラットフォーム「enpay」(エンペイ)を提供するエンペイは4月1日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額4億円の資金調達を完了したと発表した。引受先は、リードインベスターのDNX Ventures、ちゅうぎんインフィニティファンド。累計調達額は4億7000万円となった。

調達した資金は、「お金の流れを円滑にし、幸せな社会を創造する」というビジョン達成に向けて、enpayの非連続な事業拡大および圧倒的な品質向上、新たな金融サービスの開発、それらに伴う組織の拡充へと投資する予定。

enpayは、PCとスマホを活用し、現金や紙を一切やり取りすることなく、請求から支払いまで対応する集金業務支援サービス。保育園・こども園・幼稚園・学校・塾・習い事教室などに特化しており、リアルタイムでの支払い状況の確認や消し込み作業などすべて自動管理が可能。また、集金業務だけでなく会計データを自動作成し、会計業務管理までワンストップで行えるという。集金業務から会計業務まで、圧倒的な業務負担軽減を実現するとしている。

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カテゴリー:フィンテック
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一般的な樹脂ペレット材対応の超大型3Dプリンター・独自新型3Dプリントヘッドを開発するExtraBoldが約3.6億円を調達

一般的な樹脂ペレット材対応の超大型3Dプリンター・独自新型3Dプリントヘッドを開発するExtraBoldが約3.6億円を調達

ExtraBold(エクストラボールド)は4月1日、第三者割当増資による約3.6億円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のリアルテックファンドおよびMistletoe Japan、小橋工業、前田技研、みずほキャピタル、グローカリンク。

エクストラボールドは、高速造形可能な超大型3Dプリンターにより、一般的な樹脂ペレットを使用した低コストでの大型造形を可能とし、これまでの製造業を革新するスタートアップ。

同社は、シンガポールの大学や研究機関との共同研究で、さらなる樹脂吐出量の増大や安定的な造形を実現するまったく新しい3Dプリントヘッドを共同開発しているという。調達した資金は、新規3Dプリントヘッドの開発を完了するとともに、大型3Dプリンター最新機種の量産化および販売拡大を目指す。

エクストラボールドによると、一般的に普及している従来の3Dプリンター(熱溶解押出方式)の大きな課題として「造形時間がかかる」「造形サイズが小さい」「材料が限定されている」の3点があるという。

この解決策として同社は、超高速で大容量の造形が可能な独自3Dプリントヘッドを開発。2020年5月発表の量産試作機「EXF-12」では、FFF(熱融解積層)方式のプリントヘッドをふたつ備えたデュアルヘッドを採用しており、1時間あたり15Kgの樹脂吐出量と最大1700×1300×1020mmの大型かつ高速な造形を実現した。フィラメントを用いずに一般的な多種の樹脂ペレット材を使用できるため、低コスト化やリサイクル材の活用が可能としている。

一般的な樹脂ペレット材対応の超大型3Dプリンター・独自新型3Dプリントヘッドを開発するExtraBoldが約3.6億円を調達

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さらにEXF-12は、非常時には被災地・避難所近くに移設し、身の回りに必要な家具や日用品などの造形が迅速に行える「モビリティタイプの大型3Dプリンター」としても利用できるという。国内鉄道輸送などでは一般的な12ftコンテナに設置する条件で設計を行っており、陸路・航路問わず輸送が可能となっている。

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「チャットコマース」と「接客DX」のZealsが総額18億円を調達、株式上場の準備を開始

「おもてなし革命」を掲げ、「チャットコマース」と「接客DX」を展開するZeals(ジールス)は4月1日、第三者割当増資および金融機関からの融資、コミットメントライン契約締結とを合わせて総額18億円の資金調達を発表した。引受先は、Zホールディングス傘下のZ Venture Capital、電通グループ、HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND(博報堂DYグループのCVC博報堂DYベンチャーズが運営するファンド)、ジャフコ グループ。またジールスは、株式上場の準備を開始した。

今回調達した資金は、事業領域拡大に伴う投資および全職種における採用活動の強化、プロダクトの開発体制構築、マーケティング活動への投資などにあてる。

「チャットコマース」と「接客DX」のZealsが総額18億円を調達、株式上場の準備を開始

同社は、チャットボットの技術をマーケティングに生かした「チャットコマース」と、チャットボットをビデオ接客ツール・予約システムといった一連の接客サービスと連携させる「接客DX」を展開。これら事業は非接触・非対面でのコミュニケーションが求められる時代に、日本が世界に誇る「おもてなし」をデジタル化することであり、その挑戦を加速すべく資金調達を実施したという。

チャットコマースは、チャットボットと会話しながら商品が購入できるサービスで、導入先は約400社、エンドユーザーはのべ430万人、会話分析データ数は4億5000におよぶという(2021年3月現在)。資産化したデータを活用することで、ユーザーに寄り添ったコミュニケーションを可能とし、顧客のマーケティング戦略に貢献しているとした。

テクノロジーの力で新たな顧客体験と産業モデルの構築を目指す「接客DX」は、無人化や効率化を図るためのツールではなく、AIと人の統合ソリューションという。オンラインでも感動や温かみのある接客体験を実現することを可能とし、旅行業界や自動車業界への導入事例をはじめ、様々な業界から注目を集めているそうだ。

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YJキャピタルとLINE Venturesが合併、Z Venture Capitalとして300億円の新ファンド組成

YJキャピタルとLINE Venturesが合併、Z Venture Capitalとして300億円の新ファンド組成

Zホールディングス(ZHD)の連結子会社YJキャピタル(YJC)とLINE Ventures(LV)は4月1日、YJCを承継会社とする合併を行い、Z Venture Capital(ZVC)に商号変更し、新たに事業を開始した。

2021年3月1日に、ZHDとLINEの経営統合が完了し新体制に移行したことに伴い、両社コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)のYJCとLVを合併し、投資機能・活動を承継会社ZVCに統合した。

CVC機能の統合に伴い、ZVCの日本国内投資および、韓国・米国・中国・東南アジアなどのグローバル投資ファンドとして、新たに300億円の新ファンド「ZVC1号投資事業組合」を組成し、日本最大級のCVCとなった。

投資領域

国内投資においては、新生ZHDは、データやAI技術をかけ合わせ、新たな価値やシナジーを強固に創出し「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー」の実現を目指す。

ZVCはZHDの中核事業であるコマース、メディア、フィンテックの3領域に加えて、ヘルスケア、サイバーセキュリティ、B2B ソフトウエア領域などにも積極投資を行う。特に、創業間もないシード期のスタートアップから、事業の拡大フェーズに入ったミドルからレイター期のスタートアップまでオールステージで投資活動を行うことで、投資先の継続的な成長支援に注力する。

さらに、投資先企業とZHDグループ企業との事業連携機会の創出や投資先企業の海外展開の支援するという。

グローバル投資においては、韓国、東南アジア、米国、中国での投資活動を推進し、各国の市場動向に応じて、フレキシブルな投資を実施する。まずはコンシューマー向けサービス、eコマース、フィンテック、O2O/モビリティ領域に注力して投資活動を行う。

さらに、投資先スタートアップに対しアジア進出支援を行うために、AI、ロボティクス、ブロックチェーンを含むディープテック(研究結果などにより裏打ちされた深い技術)分野でフロンティア市場の米国などを開拓する。加えて、韓国や日本をはじめとした事業のグローバル展開を支援する。

スタートアップ支援

ZHDグループは、経営統合を契機にグローバルエコシステムを余すことなく活用し、スタートアップが持続的に成長できる機会を提供する。

  • 事業提携機会の創出:ZHDグループが提供するサービスとスタートアップとの連携機会を創出するために、ピッチイベントの開催や1on1で担当者との面談機会を提供
  • ノウハウ共有:ZHDグループの持つ、メディア、コマース、フィンテックといった広範囲にわたる事業や技術のノウハウを提供
  • プロダクト導入支援、マーケティング活動の支援:ZHDグループ企業に対する、プロダクト提案の機会を設ける
  • 海外展開支援:ZHDグループがサービスを提供する約230の国と地域に広がるネットワークにより、スタートアップの海外進出をサポート

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カテゴリー:VC / エンジェル
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1億画素カメラ採用で税込3万4800円、シャオミがSIMフリースマホ「Redmi Note 10 Pro」を日本発売

1億画素カメラ採用で税込3万4800円、シャオミがSIMフリースマホ「Redmi Note 10 Pro」を日本発売

シャオミがSIMフリースマートフォン「Redmi Note 10 Pro」を4月16日以降、順次国内発売します。

「Redmi Note 10 Pro」は、税込で3万4800円という低価格ながら、約1億800万画素のフラグシップ級カメラを搭載したスマートフォンです。イメージセンサーは1 / 1.52インチと大型で、かつ9つのピクセルを1ピクセルとして扱い、ピクセルあたりの受光面積を拡大させる9 in 1ピクセル技術も搭載しています。

そのほか、500万画素の2倍光学望遠、視野角118度の超広角カメラ、深度センサーを搭載。これら計4眼カメラを活用し、望遠からパノラマ、ポートレートモードなどさまざまな撮影シーンに対応できます。

1億画素カメラ採用で税込3万4800円、シャオミがSIMフリースマホ「Redmi Note 10 Pro」を日本発売

動画撮影に関しては、「タイムラプス」や「人物クローン」など、さまざまな編集機能をプリインストールします。

1億画素カメラ採用で税込3万4800円、シャオミがSIMフリースマホ「Redmi Note 10 Pro」を日本発売

ディスプレイは6.67インチ 2400 x 1080解像度で、リフレッシュレートはミドルレンジ端末では異例の120Hzとフラグシップ級。画面内のインカメラも従来比で小型化し、より画面占有率を高めています。また、タッチサンプリングレートは240Hz。DCI-P3色域やHDR 10表示にも対応します。

1億画素カメラ採用で税込3万4800円、シャオミがSIMフリースマホ「Redmi Note 10 Pro」を日本発売

筐体は、ゴリラガラス5を使用した3Dカーブドデザインを採用。重量は193gです。カラーはグラディエントブロンズ・オニキスグレー・グレイシャーブルーの3色展開となります。

1億画素カメラ採用で税込3万4800円、シャオミがSIMフリースマホ「Redmi Note 10 Pro」を日本発売

パフォーマンス面では、SoCがクアルコムのSnapdrgaon 732、RAMが6GB、ストレージが128GB。ストレージはUFS 2.2に対応し、前世代のUFS 2.1と比較してリード/ライト速度が2倍に向上しています。

1億画素カメラ採用で税込3万4800円、シャオミがSIMフリースマホ「Redmi Note 10 Pro」を日本発売

バッテリー容量は5020mAhと大容量。33Wの急速充電にも対応し、急速充電器も同梱。わずか30分で59%まで充電できます。

1億画素カメラ採用で税込3万4800円、シャオミがSIMフリースマホ「Redmi Note 10 Pro」を日本発売

オーディオ面では本体の上下に1基ずつのデュアルスピーカーを搭載。3.5mmオーディオジャックも備えます。

なお、5G通信には非対応。おサイフケータイ(FeliCa)も対応しません。日本向けの仕様としては、日本の通信キャリアの周波数帯に対応するほか、緊急地震速報も利用できます。

4月16日以降、家電量販店やオンラインストア、各MVNOで順次発売予定。市場想定価格は税込3万4800円です。

1億画素カメラ採用で税込3万4800円、シャオミがSIMフリースマホ「Redmi Note 10 Pro」を日本発売

Engadget日本版より転載)

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味の素が一般アスリート・部活生向け自動献立提案AIアプリ「勝ち飯AI」β版を開発、限定ユーザーテスト開始

味の素が一般アスリート・部活生向け自動献立提案AIアプリ「勝ち飯AI」β版を開発、限定ユーザーテスト開始

味の素は3月31日、アスリート向け献立提案AIアプリ「ビクトリープロジェクト管理栄養士監修 勝ち飯AI」β版を開発し、ユーザーテストを開始した。限定ユーザーテストを通してコンセプトの受容性を確認するとともに、同社では今後さらに多様な領域において生活者への価値を創出・提案する予定。

勝ち飯AIは、同社がトップアスリート向けに培ってきた栄養計算や高度なサポートの知見を、一般のアスリートにも広く提供することをコンセプトとして開発した、自動献立提案アプリ。アスリートの厳しい栄養基準を満たしつつ好きなメニューを献立に組み込むなど、食事を楽しみ、親子のコミュニケーションなどを促しながら選手の目標に向けてサポートを行う。

同アプリは、献立やレシピに関する独自テクノロジーを基盤に、栄養面でトップアスリートへの食サポート活動を実施している同社「ビクトリープロジェクト」管理栄養士監修の下、開発。ビクトリープロジェクトのサポート現場で使用される栄養計算基準をアルゴリズム化し、ユーザーがアプリ上で必要な情報を入力するとAIが栄養基準を満たす献立を提案する。

また、必要栄養価を充たす献立を提案するためのメニューデータベースには、同社運営のレシピサイト「AJINOMOTO PARK」のデータを活用。各メニューに対し、栄養情報に加えて、ジャンル・季節・調理時間など様々な情報を紐づけており、AIがユーザーに適した献立を提案するという。

具体的な使用方法として、「選手」と、食で選手をサポートする「調理する人」とがアカウント連携することで利用できるという。

「選手」は、性別・体重・体脂肪率などの基礎情報に加え、種目(瞬発系、持久系、球技系、その他)や目標(体重を減らす、体重を増やす、現状維持)を選択し登録。日々の体組成をアプリに登録し、食事記録の際に味や食べた量を5段階で評価することでどのくらいの栄養価を摂取したかが分かるとともに、AIがユーザーの好みの味や量を学習し、使えば使うほど選手に最適化された献立が提案されるようになる。

「調理する人」は、選手の目標や体組成に応じてAIが提案する献立(10日分、毎食3パターン)から調理するメニューを選ぶことが可能。その際、あらかじめ選手が食べられない食材を登録したり、選手からのリクエストメニューを表示することもできる。

味の素は2018年、「食から未来を楽しく」というミッションの下、「生活者にとってのさまざまな価値」を実現することをすべての起点とし、新たな事業を生み出す部署として生活者解析・事業創造部を創設。研究機関やパートナーとの連携、AIなどのテクノロジーやデータの活用、サービスの開発と運用、生活者やパートナーからのフィードバックを通して世の中全体で多様な生活者価値を生み出し、新たな食の楽しい未来を作り上げたいという。

同アプリ開発にあたり生活者にヒアリングやリサーチを実施した結果、食事によるパフォーマンス向上への関心が高い「一般アスリート・部活生」に、トップアスリートと同様の食サポートプログラムを提供するサービスのニーズが高いことが判明。さらに、中高部活生を子に持つ親にインタビューを行ったところ、親としても食事面からサポートすべく講習会などに参加するものの、自分の子供に置き換えた場合栄養計算や献立の組み立てなどが結局分からないといった声があったという。

また、コロナ禍において活動休止・縮小となっている部活動も多く、「これまでの『たくさん動いて、たくさん食べよう』といった指導ができなくなっている」といった声も指導者から多く聞かれたそうだ。思うように練習ができない時にどのような食事でカラダ作りをするべきかなど、食事の内容に対する関心度の高まりを感じ、アスリート・部活生や食サポートをする方々の悩みを同社の知見を活かし解決することをアプリの目標として位置付けているという。

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glafitの電動ハイブリッドバイクを自転車・電動バイクに切り替えて道路を自由に走れるようにする「モビチェン」販売へ

glafitの電動ハイブリッドバイク「GFR-02」

和歌山県に本拠地を置くハードモビリティベンチャーのglafit(グラフィット)は2021年夏を目途に、glafitのバイクに後付けすることでバイクと普通自転車の切り替えを可能にする新機構「モビチェン」(モビリティカテゴリーチェンジャー)の販売を始める。これにより、glafitのペダル付き電動ハイブリットバイクは、法律上の区分において原付としてだけではなく、普通自転車としても街を走れるようになる。現行法では、状況を問わずペダル付き電動バイクは「原付一種」扱いとなるが、glafitは日本で唯一、バイクにも普通自転車にも切り替えられるという特例を得ている。glafitの鳴海禎造代表にglafitのバイクや起業の経緯などについて話を聞いた。

折りたたみ式の電動ハイブリットバイク「GFR」

glafitは折りたたみ式の電動ハイブリットバイク「GFR‐01」を2017年に販売し、現在までに5000台を売り上げている。2020年にはGFR‐01をフルモデルチェンジした「GFR‐02」を発表。2021年2月に行った先行予約販売分はわずか1時間で完売するなど、人気を集めている。

GFR‐02は普通自転車のようにペダルを漕いで走ることも、スロットルを回してバイクとして走ることも可能な折りたたみ式の電動ハイブリットバイクだ。価格は税込19万8000円で、本体の重さはバッテリー込みで約20kgとなる。

全長は1250mmで、折りたたみ時には650mmになり、クルマのトランクやマンションのベランダなどにも簡単に置くことができる。最高速度は時速約30kmで、走行距離はおよそ25kmとなる。リチウムイオンバッテリーのため、家庭用コンセントから充電可能。100%電動で動くカーボンフリーのエコなモビリティだ。

家庭用コンセントで充電可能

GFR‐02は01と比べて、ペダル走行時の走行速度の高速化のため、クランク側のチェーンリングの大型化を図った。また、折りたたみが楽にできるよう変更し、より安定してGFR-02が自立できるようになっている。鳴海氏は「電動ハイブリットバイクとして大きく進化しました」と胸を張る。

しかし、普通自転車としての側面はあるものの、モビチェンを後付けしなければ法律上の区分では原付であるため、車道しか走ることができない。

1台で普通自転車とバイクを切り替えるモビチェン

画像は機構の仕組みを説明するもので、今後の販売モデルのデザインとは異なる

モビチェンのイメージ(販売モデルのデザインとは異なる)

電動バイクと普通自転車の切り替えを可能にする新機構「モビチェン」は2021年夏以降に、オプションとして販売をする予定で、まずGFR-02に後付けできるようにしていく。GFR-01のモビチェン後付けについては今後対応を検討していく。

glafitは2019年に内閣府のサンドボックス制度で認可された実証実験を経て、モビチェンを後付けしたglafitのGFRシリーズは「バイクの電源を切り、ナンバープレートを覆った時は道路交通法上、普通自転車」として取り扱えることが認められた。これによりユーザーは、電動バイク時は原付、自転車時は普通自転車として乗ることができるようになる。

鳴海氏は「現状、glafitのGFRシリーズのみに認められた特例になります。他のハイブリットスタイルのペダル付き電動バイクは、原付扱いしか認められていないため、ペダルを漕いで走る場合も車道しか走ることができません」とした。

モビチェンはナンバープレートを覆うカバーの構造になっている。モビチェンの切り替え作業は、電源をオフにし停車したときに手動で行わなければならない。モーターの駆動は電子制御だけではなく、この必ず電源をオフにして行う作業を入れることで担保している。モビチェンには交通標識デザインに沿った普通自転車のピクトグラムが描かれており、切り替え時に普通自転車であることが通行人らに明確に伝わるようになっている。

モビチェンを後付けしたGFR-02は、電動バイクとして車道走行も、普通自転車として歩道や自転車レーン走行も可能になる。ユーザーは状況に合わせて柔軟に走り方を変更できるのだ。これでバッテリーが切れた時なども快適に進むことができるだろう。なお、普通自転車が歩道走行するには、歩道に「普通自転車歩道通行可」などの標識がある場合など、一定の条件が定められている。モビチェンを取りつけたglafitのバイクも同様だ。

サンドボックス制度を活用した特例

2018年に始まったサンドボックス制度は、関係省庁の既存の規制を受けずに、新技術の実証ができる環境を整えるものだ。glafitが2017年に販売を始めたGFR-01は原付に区分されるため、通行できるのは車道だけだった。このため、glafitはサンドボックス制度の認可を受けて、2019年11月から2020年1月までの3カ月間、和歌山県和歌山市の公道で普通自転車としての走行や安全性などを実証してきた。

鳴海氏は「交通量が多く、自転車レーンがある場合など、最適な道を選択できる幅をglafitのバイクにも持たせたいと考えていました。私のわがままではなく、ユーザーの声としてもありました。つまりユーザー代表として我々が国に声を届けたということです。実はここが重要で、これまでは法律が変わらなければ、サービスが開始できないといった議論が多くありました」と語る。

glafitはすでに、現行法の下でプロダクトを提供してきていた。鳴海氏は「法律の解釈を変えることができれば、国民がより安全、快適に生活できることに繋がります。単なるサービス開始のための法改正といった願望だったら、国も相手にしてくれなかったかもしれません」と振り返る。

実証実験の結果、参加者の約8割から、ペダル走行時のglafitのバイクを普通自転車として認める規制緩和をすべきという回答を得た。glafitは実証実験の結果も踏まえ、普通自転車として取り扱われるよう国にモビチェンによる安全性の担保などの説明し、今回の特例を受けることができた。

glafitのバイクができるまでの長い道のり

glafitの鳴海禎造代表

glafitの鳴海禎造代表

鳴海氏はシリアルアントレプナーだ。これまでglafitを含めて5社立ち上げている。鳴海氏は15歳から自力でビジネスを始め、自作で組み立てたオリジナルPCの販売などを行っていた。18歳でクルマの免許を取るとその魅力に取りつかれた。愛車を改造する度に出た交換部品をネット販売すると、買い手が多かった。この経験がきっかけとなり、鳴海氏はカービジネスにつき進んでいく。

2003年に自動車販売店を個人創業し、そこで新規事業としてカー用品事業を立ち上げる。2007年には同事業を独立させて「FINE TRADING JAPAN」を設立した。さらに2008年には単身海外に出て、ゼロベースから中国本土にカー用品などの製造請負会社と、この貿易を担う貿易会社を香港に立ち上げる。

鳴海氏は「中国の製造請負会社はglafit製品における部品の製造管理も行っており、ものづくりの重要なハブになっています」と説明する。

ターニングポイントとなったのは2011年、鳴海氏が30歳を過ぎたころだ。フォーバル創業者で会長の大久保秀夫氏と出会い、弟子入りをした。鳴海氏は「大久保さんに手とり足とり教わる中で言われたのが『100年ビジョンを持て』ということでした」と振り返る。

鳴海氏は悩んだ末、21世紀を代表する自動車メーカーを目指すことを決めた。FINE TRADING JAPANの新たなプロジェクトとして、2012年に「glafit」が生まれる。プロジェクトは電気自動車を作ろうと始めたが、まず二輪自動車から作ってみようと、2015年に社員から「GFR」の案が出た。鳴海氏は「私が考えるバイクとはまったく違うものでした。クルマ好きな私もおもしろいと思ったので、これはいけると直感しました」と語った。

鳴海氏は2017年に、Makuakeに電動ハイブリットバイクのプロジェクトを公開する。結果、目標金額の300万円をプロジェクト開始からわずか3時間で達成した。最終的に約1億2800万円が集まり、当時の国内クラウドファンディングにおける資金調達額の最高記録を樹立した。

鳴海氏は「プロダクトは高い評価を得ることができました。それならばスピンアウトして、会社として独立しようと決断しました」という。そして2017年、現在のglafitが立ち上がった。

また、国内で小型電動モビリティ事業を展開するglafitをはじめとした6社で2020年9月「日本電動モビリティ推進協会」(JEMAP)を設立した。鳴海氏は同協会の代表に就任している。同協会では次世代に向けた電動モビリティの在り方の提言や普及を進めていく考えだ。今後、glafitなどの小型電動モビリティスタートアップが、モビリティ領域を大きく変革させていくかもしれない。

関連記事:国内小型電動モビリティ系スタートアップなど6社が「日本電動モビリティ推進協会」を設立

カテゴリー:モビリティ
タグ:glafit電動自転車日本電動モビリティ推進協会日本

画像クレジット:glafit

味の素がZ世代対象事業創出の専任組織を新設、スタートアップや大学と新たな価値共創

味の素がスタートアップや大学との価値共創に向けZ世代対象事業創出の専任組織を新設

味の素は3月31日、食品事業本部内にZ世代事業創造部を2021年4月1日付で新設すると発表した。Z世代(Gen-Z。1995~2009年生まれ)の価値観や真に求めているものを追求し、「食と健康の課題解決」のための価値提供を行う事業創出をグローバルに加速する。スタートアップや大学などと新たな価値を共創することで事業化を推進し、2021年度中にZ世代向け新製品または新サービスを上市する予定。

Z世代事業創造専任部署の設置は、食品業界では日本初という(同社調べ)。同部新設にあたり、Z世代の価値観に寄り添い、生活動線に立脚した事業検討を進めるため、新事業検討チームのリーダーに30代の若手基幹職、チームメンバーには社内公募により選出した20代の若手人材3名を起用。

これらメンバーにより、既存事業の枠組みに捉われることなく、Z世代視点・生活者視点で自由に発想し、新領域製品や新チャネルの開発、デジタル技術を活用した新ビジネスモデルなどの事業創出をスピーディーに行うことを目的とし、事業立案・事業開発・市場定着まで一貫して実施する。

また同部は、渋谷スクランブルスクエア15階の共創施設「SHIBUYA QWS」(渋谷キューズ)をベースとして活動。Z世代と繋がりの強いスポットを拠点に、スタートアップや大学などと新たな価値を共創することで事業化を推進し、2021年度中にZ世代向け新製品または新サービスを上市する予定。

同社によると、Z世代は、世界で約13億人と現在の世代別構成において大きな割合を占めているという。地球環境・社会貢献・サステナビリティ・多様性と個の尊重などに対する関心が高いことが特徴とされ、この先の時代の人々のWell-beingに向けた価値形成・波及を推進する上で象徴的な存在とした。

同社は「食と健康の課題解決企業」を目指しており、次世代の主流となるZ世代を、心と体の健康価値や社会価値向上に繋がる新たなフードスタイル・先進的な食マーケティングのビジネスモデルを築くベースとなる重要なターゲットとして位置づけているという。

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CCCのグループ会社Tマネーがスマホで銀行サービスを利用できるネオバンク「T NEOBANK」を開始

CCCのグループ会社Tマネーがスマホで銀行サービスを利用できるネオバンク「T NEOBANK」を開始

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ会社Tマネーは3月31日、住信SBIネット銀行が提供する「NEOBANK」サービスを利用し、銀行サービスなどをスマートフォンで利用できる「T NEOBANK」(ティーネオバンク)をT会員に向け開始すると発表した。

CCCのグループ会社Tマネーがスマホで銀行サービスを利用できるネオバンク「T NEOBANK」を開始

「T NEOBANK」のサービス概要

  • 申込対象者:満18歳以上の日本国内に居住するT会員
  • 所属銀行:住信SBIネット銀行
  • 基本機能:預金機能(円貨預金、外貨預金など)、決済機能(ATM入出金、振込、振替など)、融資機能(カードローン、住宅ローンなど)
  • 「T NEOBANK」アプリAndroid版iOS版
  • ATMの利用:全国のセブン銀行またはローソン銀行ATMで引き出し可能(ATM利用手数料は月1回まで無料)。キャッシュカードは発行されない。ATM取引にあたってはT NEOBANKのアプリが必要

T会員はT NEOBANKアプリ(Android版iOS版)をダウンロード後、専用の住信SBIネット銀行口座の開設を完了すると、預金、振込や借入といった銀行サービスをアプリで利用可能となる。

また、キャッシュカードに代わってアプリでATMを利用できるほか、銀行取引に応じてTポイントを貯めることができる。このTポイントを使ってスポーツくじの購入や、カードローンの金額指定返済も行えるという。今後、Tポイントを利用できる銀行機能・商品を順次追加していく予定。

CCCのグループ会社Tマネーがスマホで銀行サービスを利用できるネオバンク「T NEOBANK」を開始

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BuzzFeed Japanとハフポスト日本版が合併、既存ブランドはそれぞれ運営継続

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BuzzFeed Japanザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン(ハフポスト日本版)は3月31日、合併に合意したと発表した。合併後の名称は「BuzzFeed Japan株式会社」。

同合併は、2020年11月に米BuzzFeedとVerizon Mediaがコンテンツと広告に関する新たな戦略的パートナーシップを構築すると発表し、BuzzFeedがVerizon MediaからHuffPostを買収したことを受けたもの。この取引により、米BuzzFeedは、BuzzFeed Japanとハフポスト日本版の両方の大株主となり、合併により日本市場の2事業体が統合されることとなった。また、その他の株主としてZホールディングスと朝日新聞社が引き続き出資する。

2021年5月1日以降、「ハフポスト日本版」はBuzzFeed傘下で運営される合併会社のバーティカル部門のひとつとなり、既存の「BuzzFeed Japan」「BuzzFeed Japan News」「BuzzFeed Kawaii」「Tasty Japan」の5ブランドは、コンテンツ面ではそれぞれ独立して運営を継続する。「BuzzFeed Japan News」と「ハフポスト日本版」の報道部門は、独立した報道機関として運営を継続する。

両社を合わせたオーディエンスの規模は、BuzzFeed Japanの月間ユニークビジター(UV)数が3500万人以上(2020年12月時点)、HuffPost日本版が2400万人(2020年4月時点)となる。BuzzFeed Japanのオーディエンスは、Z世代とミレニアル世代が中心であるのに対し、ハフポスト日本版は若年層に加え30代から40代の世代が中心という。

今後、既存チームの強みを活かすためバーティカルブランド間でのコラボレーションを行い、国内最大級のデジタルクリエイティブカンパニーとして新しいコンテンツを生み出すとしている。さらに、メディアの枠を超えて、新たなコンテンツフォーマットやデジタルコンテンツによる収益を追求するという。広告パートナーに対しては、今回の統合により、これまでにない幅広いリーチへの機会を提供可能としている。

BuzzFeed Japanは、ヤフー(現Zホールディングス)との合弁により2015年に設立、2016年1月にBuzzFeed日本版を創刊。社会にポジティブなインパクトを生み出すことをめざし、記事や動画、特集など独自のスタイルで、ニュース、カルチャー、エンターテインメントの情報を発信している。

ハフポスト日本版は、朝日新聞社をパートナー企業として2013年5月にスタート。「会話を生み出すメディア」として、SDGs、働き方、ジェンダー平等、ダイバーシティ、育児、中国経済ニュース、アート&カルチャーなどの重点テーマを掲げて記事を発信している。Facebookのフォロワーが32万、Twitterが35万人、SDGs専門のTwitterアカウントのフォロワーが3700人。

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オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」を運営するMFSは3月31日、第三者割当増資および社債発行により、総額6億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、あおぞら企業投資。

MFSは、2021年2月15日、ベンチャーキャピタルおよび事業会社の数社を引受先として、総額6.3億円の第三者割当増資および融資を実施している。これにより、今回のラウンドの資金調達額は総額12億8000万円、これまでの累計資金調達額は約23億6000万円となった。

今回調達した資金により、「住宅ローン審査に通る確率を上げるために個人の信用力をいかに向上させるか」に関連する提案機能や、人工知能の開発およびエンジニア採用を拡大する予定。

今後MFSでは、JICベンチャー・グロース・インベストメンツの他の投資先企業との様々な連携などを通じ、日本社会における住宅ローンのさらなる最適化を目指すとともに、引き続きユーザー目線に立ったサービスを追求する。また、あおぞら銀行グループが培ってきた地銀とのネットワークを軸に、オンラインで住宅ローンが比較・申込ができる「モゲチェック」の地域金融機関への導入をさらに加速させ、住宅ローン業務のオンライン化を進めるとともに、日本における住宅ローンプラットフォームの定着を図る。

2015年8月提供開始のモゲチェックは、オンライン上でユーザー属性に応じた最適な住宅ローンを紹介する無料のオンライン住宅ローンサービス。12項目を入力するだけで、自分が住宅ローン審査に通る確率が高い金融機関がランキング化され、自分の条件に合う住宅ローンを簡単に選んで申し込んだり、住宅ローンのプロから提案を受けたりできる。過去5000件以上の審査結果データを分析して構築した独自のロジックで、住宅ローン選びを最適化しているという。2021年3月にサービス利用者が5万人を突破、また1年間では3万人以上増加した。

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

コロナ禍により、2020年2月からは家計の見直しを図るため住宅ローン借り換えの需要が高まり、12カ月連続で前年同月比の2倍以上の申し込みがあり、現在も前年を上回る水準で利用されているという。また、在宅勤務が普及したことによる住環境の見直しや、低金利がつづく住宅ローンが要因となり、2020年9月からは新規借り入れの申し込みが増加し、前年同月比2倍以上のお申し込みが現在まで続いているとした。

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ウェブメディアの収益化をサポートするAutoStream運営のFLUXが10億円を調達

マーケティング効率化SaaSを展開するFLUXは、2021年3月31日、シリーズAで総額10億円の資金調達を実施したことを発表した。主な引受先は既存投資家のDNX VenturesとArchetype Venturesらだ。

FLUXの主力プロダクトは、2019年1月にリリースしたウェブやアプリでメディアを運用するために必要な各種ツールをワンストップで提供する「AutoStream」。主要な機能に広告入札ソリューション、アナリティクス、サイトの視認性向上、ブランドセーフティー管理などがある。

メディアの運営元がAutoStreamを導入するメリットは、サイトの収益化周りの作業が自動化されることとFLUXの代表取締役CEOを務める永井元治氏は話す。

「今まで担当者が手でやっていたことが自動化されます。例えば、これまで担当者は広告表示のために複数の広告事業者と自社メディアとをつないだり、分析のために広告データをエクセルにダウンロードして集計したり、ブランドを守るためにどんな広告がサイトに出るのか1ずつチェックしたりしていました。AutoStreamではこれが全部まとめてできるので担当者の工数が減り、運用が楽になります」。

永井氏は同社のCPOを務める平田慎乃輔氏とFLUXを創業している。平田氏はカカクコムでマネタイズを担当していた経歴を持つ。彼らがFLUXを創業したきっかけは、メディア運営に関わる中でメディアの収益化の面で課題を感じたからと永井氏は話す。

「もともと平田がメディアにいたり、私も複数のメディアの手伝いをしたりする中で、収益化のツールは複雑なものが多いと感じていました。そこを簡単に、パッケージ化して提供できないかと考えたのが始まりです。平田がいたカカクコムのような大きなメディアであれば、専任の担当者を置いて対応できます。ですが、中小規模のメディアになると、人もないし、知見もありません。FLUXはそうした問題を解決するところからスタートしました」。

今では読売新聞やフジテレビといった報道機関をはじめ、400件以上の契約を受注しているそうだ。大手のメディアの場合はすでに類似ソリューションを使っているケースも多いものの、AutoStreamではこれまで社内でやってきた作業がまとめてでき、担当者の負担が減ることなどが評価され、継続利用につながっているという。

今後の展開として、FLUXはAutoStreamの開発を進めるのと並行して、新規事業として立ち上げたメディアや中小企業向けのウェブサイト作成サービス「siteflow」を本格展開する。siteflowの特徴はカスタマイズでき、デザイン性も優れたサイトがノーコードで作れること。今のところsiteflowは「siteflow for Publisher」β版として、メディア向けに提供しているのみだが、4月以降、一般企業向けにもサービスを拡大する予定だ。

FLUXは2018年5月に設立し、2019年11月に2億円を調達している。今回の調達した資金はプロダクトの開発とマーケティング、人材採用に充てるという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FLUXAutoStreamメディア資金調達日本

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

クラウドファンディングサービス「READYFOR」(レディーフォー)を手がけるREADYFORは3月29日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による約10億円の資金調達を発表した。引受先は、グロービス・キャピタル・パートナーズ、セールスフォースベンチャーズ、JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱UFJイノベーション・パートナーズ、南都キャピタルパートナーズ、ベンチャーラボインベストメント、あおぞら企業投資。

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

2011年3月29日、6名の実行者たちとともにクラウドファンディングサービス「READYFOR」はスタート。10周年を迎える2021年、同社は、これまでクラウドファンディングサービス・基金運営で培ったノウハウとテクノロジーを活用し「寄付市場のデジタル化」(補助金・助成金等を含む)を推進。今後進んでいく官民連携を牽引することで「社会を持続可能にする新たな資金流通の仕組み」を実現する。実施予定の取り組みとしては、以下を挙げている。

実行者向け:継続的に活動を続けるための資金獲得の基盤へ

  • クラウドファンディングでの資金調達をよりスムーズで負担なく実施できる機能の開発
  • 継続的に資金を集められる機能の開発
  • 様々な機関から多様なお金を受け取れる機会を提供

支援者向け:想いを適切に届ける支援体験の強化

  • 企業:企業の理念・SDGs方針に合う活動や、従業員・顧客が望む未来を作る活動とのマッチングの強化
  • 自治体、財団:資金を必要としている活動と適切にマッチングを行う

2014年7月設立のREADYFORは、国内初のクラウドファンディングサービスとして、既存の金融サービス・資本主義ではお金が流れにくい分野、主にNPOや医療機関、研究分野、地域活性化などに資金調達の手段を展開。約2万件のプロジェクトに対して約200億円のお金が流れるようにしてきた(2021年3月29日時点)。

特に直近では、「より多くの想いとお金をマッチング」すべく、30社を超える企業と連携、オンライン従業員寄付やポイント寄付で5億円以上の支援金を受け付け、社会全体で実行者を支える支援のネットワークを構築している。

新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年には、東京コミュニティー財団と連携し「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」(コロナ基金)を運営。これまで得てきたファンドレイジング・審査・資金分配の知見を活かし、「資金が必要な現場」に対して最短14日とスピーディにお金を届けてきたという。

その結果、国内クラウドファンディング史上最高額となる約8億7000万円の寄付金を集め(同社調べ・国内で運営している購入型・寄付型クラウドファンディングサービスの実績より)、165件の医療機関・エッセンシャルワーカーの活動に助成を行った。

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

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名古屋大学発AIスタートアップのトライエッティングが3.5億円を調達、東急不動産HDと業務提携

名古屋大学発AIスタートアップのトライエッティングが3.5億円を調達、東急不動産HDと業務提携

名古屋大学発AIスタートアップのトライエッティング(TRYETING)は3月30日、第三者割当増資およびデットファイナンス(借入金)による総額約3億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、東急不動産ホールディングス(東急不動産HD)が取り組むTFHD Open Innovation Program、エンジェル投資家。デットファイナンスは三菱UFJ銀行から。

また、東急不動産HDグループのDX推進および新規事業創出を目的に、東急不動産HDと業務提携を行ったと発表した。

2016年6月設立のトライエッティングは、多種多様なアルゴリズムを搭載するノーコードAIクラウド「UMWELT」を主とした「知能作業」を自動化する名古屋大学発AIスタートアップ。また自動シフト作成AIクラウド「HRBEST」はじめ、AIを活用した需要予測、在庫生産管理、マテリアルズインフォマティクスなどでも実績を持つという。

東急不動産HDとの業務提携については、UMWELTを活用することで、同グループの様々な業務のDX化およびグループの幅広い事業領域へのAI活用による新規事業創出を目指す。

TFHD Open Innovation Programは、東急不動産HDがベンチャー企業やスタートアップへの支援や協業の体制を充実させ、新たなグループシナジーの創出と渋谷を中心とした街の活性化を加速するために2017年に設立したプログラム。

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AI創薬・AI再生医療スタートアップ「ナレッジパレット」が創薬・再生医療領域の停滞を吹き飛ばす

AI創薬・AI再生医療スタートアップ「ナレッジパレット」が創薬・再生医療領域の停滞を吹き飛ばす

創薬および再生医療高品質化の研究開発を行うナレッジパレットは3月29日、シリーズAにおいて、第三者割当増資による総額約5億円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家の未来創生2号ファンド(スパークス・グループ)、きぼう投資事業有限責任組合(横浜キャピタル)、既存株主のANRI。創業以来の累計調達額は約7億円となった。

ナレッジパレットのミッションは、遺伝子の活性化パターン(遺伝子発現プロファイル)からなる細胞ビッグデータを「正確に・速く」取得する技術で細胞を診断し、製薬・再生医療業界の課題「開発・製造の困難さ」を解決するというもの。

人体を構成する基本要素である「ヒトの細胞」の状態について、同社の技術を基にした遺伝子発現プロファイルにより取得・診断し、「病因は何か」「薬の効果はあるか」「製造された細胞の品質」を特定。AI創薬により「開発効率の低さ」の解決、またAI再生医療による「製造の困難さ」の解決を目指している。

AI創薬・AI再生医療スタートアップ「ナレッジパレット」が創薬・再生医療領域の停滞を吹き飛ばす

調達した資金は、研究開発および人材採用にあて、さらなる技術開発と各領域における共同研究を加速し、より多くの難病に対処できる創薬・再生医療プラットフォームを構築する。

また今後2年間は、シリーズAで調達した資金をベースに業容を拡大。2023年にシリーズB調達の実施を目指しており、2025年にIPOを計画している。中長期的には、他社との協業のほかに、AI創薬事業、AI再生医療事業において自社での研究開発を進め、最終的には構築したデータベースを基とした新薬や再生医療プロダクトを他社にライセンスするなども目指すとした。

遺伝子の活性化パターン(遺伝子発現プロファイル)というビッグデータ

ヒトは約37兆個の細胞で構成されており、細胞1個は30億文字に相当するDNAを持つ。さらにその中に3万カ所の「遺伝子領域」があり「RNA」として転写され、細胞の構成物質であるタンパク質を作るもととなる。

一口に「細胞」といっても心臓や肝臓など臓器の違いが生まれる理由は、この遺伝子の種類・状態により3万種類の遺伝子の活性化パターン(遺伝子発現プロファイル)が存在していることによる。同様に、病気による違い、化合物(薬)の効果の違いなども遺伝子発現プロファイルとして現れるという。

AI創薬・AI再生医療スタートアップ「ナレッジパレット」が創薬・再生医療領域の停滞を吹き飛ばす

ナレッジパレットは、この遺伝子発現プロファイルを正確・高速・大量にとらえる技術を有しており、これを基にビッグデータとして分析・診断結果を蓄積し創薬・再生医療に活用するという。

国際ベンチマーキングの精度指標と総合スコアで1位を獲得したコア技術

同社のコア技術は、共同創業者兼代表取締役CEO 團野宏樹氏が理化学研究所在籍時に開発した「シングルセル・トランスクリプトーム解析技術」だ。このコア技術は、国際ベンチマーキングの精度指標(遺伝子検出性能・マーカー遺伝子同定性能)と総合スコアにおいて1位を獲得しており、トップ学術誌Nature Biotechnologyに掲載されている(2020年4月)。

AI創薬・AI再生医療スタートアップ「ナレッジパレット」が創薬・再生医療領域の停滞を吹き飛ばす

AI創薬・AI再生医療スタートアップ「ナレッジパレット」が創薬・再生医療領域の停滞を吹き飛ばす

同技術は、精密な分子生物学実験術とAI技術を組み合わせて、1細胞レベルで全遺伝子発現プロファイルを取得するというもので、実験室で行う精密実験プロセス「精密分子生物学実験」と、コンピューター上で行う計算科学技術「AIによる大規模バイオインフォマティクス」により構成されている。

精密分子生物学実験では、解析対象となる細胞から多段階の分子生物学実験によりRNAを抽出し、次世代シーケンス技術により全遺伝子発現プロファイルを取得する。さらにAI科学計算・二次元マッピングといったバイオインフォマティクスを介し、どのような細胞がどの程度含まれているのか、また細胞に含まれる希少かつ重要な細胞(間葉系幹細胞など)も含めて、網羅的・高精度に細胞の状態を診断するという。

製薬会社と協業が進むAI創薬事業

近年、医薬品の開発現場では、薬のターゲットとなる体内物質(創薬標的)が枯渇しており(開発が容易な新薬・疾病はあらかた手が付けられている)、難病になるほど新薬開発の難易度が上昇、開発コストが急速に肥大化しているという。このため、新薬の開発効率を高める新たな創薬技術が必要となっている。

そこでナレッジパレットは、製薬会社との連携・協業の下、様々な病気の細胞や薬剤を投与した細胞の遺伝子発現データベースを構築し、これを活用したAI解析により新薬の開発を進めている。

AI創薬・AI再生医療スタートアップ「ナレッジパレット」が創薬・再生医療領域の停滞を吹き飛ばす

同社コア技術では、数多くの「微量な細胞サンプル」に対して、従来技術と比較して10~100倍のスループットで、どの化合物(薬品)が特定の細胞に効果が高く毒性が低いのかを選び出す「全遺伝子表現型スクリーニング」が可能という。

製薬会社では、薬剤の基となる数多くの化合物をまとめたライブラリーを持っており、対象の(かつ微量の)培養細胞などに対してそれぞれ処理を行い解析を行うことで、実際にどういった病気や細胞に効果があるのか特定する。ナレッジパレットは、これら大量の化合物サンプルと微量の細胞サンプルといった組み合わせでも、高精度・高速に遺伝子発現プロファイルの変化を捉えられる。これにより、従来技術と比べ1/10から数十分の1のコストで、大規模な全遺伝子表現型スクリーニングを可能としているという。

再生医療に関する3つの課題

現在の医薬品は、化合物合成で低分子化合物の製造を行う「低分子医薬品」、細胞の中でタンパク質を合成・製造する「バイオ医薬品」、ヒト由来の細胞を細胞培養により利用し機能の修復を行う「再生医療」に大別される。

再生医療では、「生きた細胞」をどう制御するかが医薬品として製造する上で大きなカギとなっているという。細胞のコントロールでは、大きく分けて「品質にバラツキが生じる」「培養液の未確立」「高い製造コスト」という3点の課題が存在しているそうだ。

品質のバラツキという点では、そもそも生きた細胞であることから個性が現れ、性質の制御が難しい。例えば同じ条件で培養した細胞、また違う研究機関が再現しようとしたところ別の細胞ができてしまったなどが起こりうるという。患者に移植予定の細胞シートが離職試験で剥がせず、移植に失敗するということもあるそうだ。

また、細胞を育てる培養液(培地)については、細胞の性質や増殖の機能を決定する生育環境にあたるものの、どのような化合物をどの程度の濃度で組み合わせると、特定の細胞に最適なのか、グローバルスタンダードが存在していない状況を挙げた。その理由として、細胞ごとに最適な生育環境を生み出すための培地調液は、高度なノウハウと手作業、多段階の実験プロセスが必要なため、試作可能なパターンが1年あたり約200種類と少なく、最適な培養液にたどり着けていないという。

これら品質のバラツキや培養液の課題が製造コストの高騰に結びついており、採算が取れない状況になっているそうだ。

同社は3つの課題の原因として、細胞がどのような性質を持っているのかという「細胞の診断技術」がなかった点を指摘。培養・製造の評価指標が不十分で、製造コストを下げられていないとした。

コア技術活用の「培養最適化」に基づく再生医療

ナレッジパレットは、コア技術(シングルセル・トランスクリプトーム解析技術)を用いることで、非常に多くの種類の培養条件で培養された細胞について、高速に全遺伝子レベルで診断することで、最適化された培養液を開発できる(培養最適化)という。

製造改善が必要な再生医療用細胞に対して、CTOの福田氏による独自のチューンナップを施した自動分注機・ロボットで多種類の培養液を作成。コア技術である遺伝子発現解析・分析により、どのような条件で培養された細胞がどのような性質を持つのか網羅的・高速に培養性能を評価しその情報を蓄積する。このデータベースとAIにより、最適な培養条件を選択できるようにするという。

AI創薬・AI再生医療スタートアップ「ナレッジパレット」が創薬・再生医療領域の停滞を吹き飛ばす

この取り組みにより、バラツキのない再現性の高い細胞製造をはじめ、さらに従来増殖が難しかった細胞についても10~100倍の収量を実現するといった生産性向上、製造コストの削減が可能になるという。再生医療を「製品」として確立させ、難病の治療に役立つものにするとした。

再生医療・細胞治療に関し、日本は国際的なトップランナー

創薬・再生医療領域において日本で起業したスタートアップというと、残念ながら耳にする機会はあまりない。TechCrunch Japanでも資金調達などの掲載例は数少ない状況にある。

国際ベンチマーキングの精度指標と総合スコアで1位を獲得(後述)という同社の技術力を考えると、海外での起業もあり得たのではないか。そう尋ねたところ、CEOの團野氏は、国内の製薬業界自体がそもそもグローバルに通じている点を挙げた。また同氏が理化学研究所においてバイオテクノロジーとAIの融合研究に従事したという経歴・人脈が、優れた人材をスピーディに採用する際に強みになると考えているそうだ。

また再生医療領域は、日本が力を入れている分野でもある。京都大学iPS細胞研究所所長・教授の山中伸弥氏が2012年のノーベル医学生理学賞を共同受賞したことから国として推している点が追い風となっており、民間企業やアカデミアが取り組むなか日本で起業する価値は高いという。

共同創業者兼代表取締役CTO 福田雅和氏は、日本では再生医療に関する新法が制定され、規制改革が大胆に行われた点を挙げた。法整備面では日本は進んでおり、海外から日本に参入する傾向も見受けられるという。再生医療・細胞治療に関しては日本は国際的なトップランナーといえるとした。

ナレッジパレットの技術、ナレッジパレットの事業で停滞を吹き飛ばし前進する

一方で團野氏は、「製薬の開発がすごく大変だという点は痛感しています。同時に、この領域が加速すると多くの方の幸せにつながると信じています。再生医療も同様です。再生医療だからこそ治る病気が多くあると期待されているにもかかわらず、日本では追い風があるにもかかわらず、承認された製品がまだまだ少ない状況です」と指摘。「私達の技術、私達の事業であれば、この停滞を吹き飛ばして前に進むことができると、強い気持ちで運営しています」と明かした。

福田氏は、「身近な人を治せるように、再生医療がそれが実現できるように、この領域でトップになることを決意して起業し、がんばっています」と続けていた。


© 2016 DBCLS TogoTV

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