2021年に急成長した中国のロボタクシー(専門用語と美辞麗句が溢れるリリースから実際のところを解析)

自動運転車を手がける中国のスタートアップは、自社の自律走行車両への乗客を獲得するため、軍拡競争を繰り広げている。数週間ごとに、また1つの大手企業が新しいパイロットプログラムや小規模サービスを開始するための認可を得たというニュースが届く。

これらのプレスリリースは、規制に関する専門用語や、企業の発展を誇示するための美辞麗句が多く、わかりにくい。そこで、中国の主要なロボタクシー事業者であるAutoX(オートX、裹動智駕)、Baidu(バイドゥ、百度)、Deeproute.ai(ディープルートAI、元戎啓行)、DiDi(ディディ、滴滴出行)、Momenta(モメンタ)、Pony.ai(ポニーAI、小馬智行)、WeRide(ウィーライド、文遠知行)の2021年の進捗状況をこの投稿にまとめ、それぞれの発表から実際にどのようなことがわかるのかを解析した。

中国では多くの大手企業が以前から有人車両(保安運転手が乗車する自動運転車)や無人車両の試験運行を行っているため、この投稿では、定期的に行なわれている一般向けサービスに焦点を当てる。これらの企業は、ロボタクシーに関わるコスト、安全性、規制を調整しながら、自動運転トラック、貨物運搬車、市バスなど、より早く規模を拡大できる分野にも乗り出している。とはいえ、やはり長期的にはロボタクシー分野に重点を置いていくことに変わりはない。

中国の自動運転区域について留意すべき点

本題に入る前に、中国の自動運転車事業に特有の状況をいくつか取り上げる。

  • 中国国内の道路事情は場所により大きく異なる可能性がある。例えば、深圳郊外の工業団地で自動運転車の試験走行を行う場合、都市部にある繁華街の蛇行する道路で行うよりも道路状況はずっと楽である。
  • 自動運転車に関する規制は、それぞれの省で異なる可能性に加え、同じ都市であっても地区によって異なる場合がある。ある都市において完全無人の自動運転走行試験を行う承認を得た企業が、必ずしも他の企業より技術的に進んでいるとは限らない。単に、連携する地元の規制当局が自動運転に対して進歩的な姿勢を有しているからだという場合もある。
  • スマート交通を成長戦略として掲げている地方行政もある。当然、自動運転車を手がけるスタートアップの支援にも熱心だ。国や都市レベルの規制が制定されるよりずっと前に、当局がその管轄区域内で無人運転の試験を行うことを非公式に承認する場合もある。
  • 行政支援は、税制優遇措置、有利な土地利用の機会や安価なオフィススペースの提供などの形で現れることもある。これが、中国の主要な自動運転車のスタートアップが、深圳、広州、上海、蘇州などの十分な資金力のある都市に集中している理由の1つだ。
  • 中国の地方行政は、自動運転のような新技術の開発に拍車をかけるため、たびたび実証区を設置する。こうした取り組みにより、企業は成熟産業を規制する通常の制約を受けることなく、試験を行うことができる。
  • 今日現在、中国のどの都市も無人ロボタクシーの許可を出していない。この許可が下りればサンフランシスコで Waymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)が行っているように、自動運転車が保安運転手なしで一般市民を輸送することが可能になる。

AutoX

深圳に本社を置き、カリフォルニアに研究開発センターを持つAutoXは、プリンストン大学の元教授、肖健雄氏により、2016年に設立された。出資者には、Alibaba(アリババ、阿里巴巴集团)、MediaTek(メディアテック、聯發科技)、中国国営自動車メーカーSAIC(サイク、上海汽車集団)などが名を連ねる。

深圳のAutoXのロボタクシー(画像クレジット:AutoX、2021年)

事業状況

2020年8月、AutoXは上海の嘉定区で、有人運転ロボタクシーの一般向けサービスを開始した。利用者はAlibabaのナビゲーションマップ「Amap(エーマップ、高徳地図)」を通じて配車予約ができる。AutoXによると、中国の大手配車サービスプラットフォームでロボタクシーのサービスが利用可能になったのはこれが「初めて」だという。

上海郊外の嘉定区には、上海汽車集団、Volkswagon(フォルクスワーゲン)、NIO(ニーオ、上海蔚来汽車)、トヨタ自動車、Baidu、DiDi、Delphi(デルファイ)といった大手自動車メーカーやOEMがオフィスを構えている。2020年の発表によると、AutoXは100台の「自動運転車」を市内の公道で走らせる契約を上海政府と結んだ。

2021年1月、AutoXは「スマートシティ」として生まれ変わりつつある深圳の工業地帯、坪山区で無人ロボタクシーのサービスを開始した。11月には、同社はこのプログラムが168平方キロメートルの坪山区全域をカバーしたと発表した。これはマンハッタンの約3倍の広さに相当する。

ちょうど1カ月前、AutoXは深圳の公道に25台の無人自動運転車を配備し「試験走行」を実施した。中国の自動車ニュースブログは、AutoXが地元の交通規制当局の許可を得ずにこれを進めたと報じている。一方、同社はTechCrunchに対し「政府の支援」を得たと語った。当時、我々は関連部門と連絡を取ることはできなかった。

AutoXによると、同社は合わせて「数百台」のロボタクシーを路上で走行させているという。

関連記事:自動運転ユニコーンAutoXが中国初のロボタクシーのテストを深センでスタート

米国での試験走行

2021年11月現在、AutoXはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

AutoXは、ホンダFiat Chrysler(フィアット・クライスラー)と共同で、中国でのロボタクシーの開発を進めている。

Baidu Apollo Go

「Apollo Go(アポロ・ゴー)」は、2000年に設立された北京のインターネット企業である検索エンジン大手Baiduの自動運転車プロジェクトである。Baiduは  2015年末、多くの競合するスタートアップが誕生したのとほぼ同時期に、自動運転車部門を始動させた。

Baidu「Apollo Go」のロボタクシーサービス(画像クレジット:Baidu、2021年)

事業状況

2021年11月、Apollo Goは北京の中国における「初の商用自動運転車実証区」で、有料でのロボタクシーサービスの提供が認められた。

Apollo Goにとって公道での「初の商用展開」となった67台の車両では、乗車した保安運転手が監視を行った。このサービスはApollo Goのアプリから配車が可能で、毎日午前7時から午後10時まで運行が実施された。

Apollo Goは、中国の「初の商用ロボタクシー実証区」に参加できたが、対価を目的とした乗車提供はBaiduのこのサービスが初めてではなかった(ネタバレ:以下のWeRide.aiの項を参照)。とはいえ、このイベントにはかなりの象徴的な重要性があった。60平方キロメートルに及ぶこの実証区は、亦荘郊外における国家レベルの経済プロジェクトである北京経済技術開発区の区域内に位置している。このイベントで、ロボタクシー事業者が乗客のデータを活用し、サービス価格を設定する方法について規定する規制の枠組みが導入されたのだ。首都におけるこのような動きは、中国全土のモデルとなる可能性がある。

亦荘が推進しているのは、ロボタクシーだけでない。「コネクテッドカー実証区」はその他のタイプの自動運転車にも対応している。2021年、JD.com(JDドットコム、京東商城)やMeituan(メイトゥアン、美団)を含む多くの大手テック企業が、実証区での無人配送用ミニバンの試験走行を開始した。

Apollo Goの無料版は、広州、長沙、滄州の一部地域で一般公開されており、現在は上海で早期テスターを募集している

米国での試験走行

2021年11月現在、Apollo Goはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

Apollo Goのロボタクシー車両は、国営メーカーFAW(第一汽車集団)のHongqi(ホンチー、紅旗)電気自動車(EV)スタートアップのWM Motor(WMモーター、威馬汽車)、国営メーカーGAC(広州汽車集団)のEVブランド「Aion(アイオン)」、国営メーカーBAIC(北京汽車集団)のEV新ブランド「ARCFOX(アークフォックス)」から提供されている。

Deeproute.ai

深圳に拠点を置くディープルートは、設立からわずか2年の企業としてはかなりの進展を遂げている。2019年、創業者の周光氏は、自動運転車ベンチャーのRoadstar.ai(ロードスター・エーアイ、星行科技)を会社の内紛により辞したのち、ディープルートを設立した。この若い起業家は、すぐに新しい試みへの支持を集めた。2021年9月、ディープルートはAlibabaや中国の自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利汽車)などの出資者から、シリーズBラウンドで3億ドル(約340億円)もの資金を調達した

Deeprouteのロボタクシーサービス(画像クレジット:Deeproute.ai、2021年)

事業状況

7月、ディープルートは本社に近い深圳の繁華街、福田区の公道に、20台の有人ロボタクシーを配備した。同本社は香港、深圳両行政が設立した  技術協力区の区域内にある。

同社が4月に深圳の交通規制当局から許可を得て開始したロボタクシーサービスは、現在のところ無料で一般利用できる。TechCrunchに語ったところによると、将来的には有料化する予定だという。

2021年3月、中国国営メーカーの東風汽車集団と共同開発したディープルートのロボタクシーが、武漢で一般向けに無料乗車の提供を開始した。中国中部の都市武漢も、中国の自動運転車分野のパイオニアを目指す候補地の1つだ。

米国での試験走行

2021年11月現在、ディープルートはカリフォルニア州で有人自動運転車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

ディープルートと東風汽車は、2022年までに200台以上のロボタクシーを配備することを予定している。

DiDi

配車サービス大手のDiDiは、2019年に自動運転車の子会社を設立し、新会社のために5億ドル(約570億円)を迅速に調達している(当時業界で唯一最大の資金調達ラウンドだった)。これにもかかわらず、ロボタクシー開発の動きは予想より静かだった。

DiDiが他の問題に気を取られていたとしても、無理はない。2021年、米国で上場した直後、同社は中国の規制当局から徹底的なデータ調査を受けている。この中国配車サービス大手は12月、ニューヨーク証券取引所から上場廃止となることを発表した

DiDiのロボタクシーサービス(画像クレジット:DiDi、2020年)

事業状況

DiDiのロボタクシーは、2020年6月に上海の一部地域で乗車サービスを開始した。同社は、2020年末までにロボタクシーサービスを北京と深圳に拡大し、2021年には中国国外にもこの事業を展開すると述べていたが、その進捗状況はいまだ更新されていない。同社はまた、2030年までに配車サービスプラットフォームを通じて100万台以上の「自動運転車」を運用するという野心的な目標も掲げている

米国での試験走行

2021年11月現在、DiDiはカリフォルニア州で有人自動運転車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

2021年4月、DiDiはジーリー傘下のVolvo(ボルボ)から同社の海外向けロボタクシー車両の提供を受けると発表した

Momenta

レベル4の完全自動走行技術にのみ注力するロボタクシー事業者が多いなか、創業5年のMomentaは、自動車メーカー向けに先進運転支援システム(ADAS)の売り込みも行っている。このアプローチにより短期的な収入が得られる他、手頃なコストでアルゴリズムの学習用データを蓄積することができる。一方、同社が実際の無人運転技術に十分なリソースを投入しているかどうかについては、業界関係者から疑問の声が上がっている。

Momentaと上海汽車集団が共同開発したロボタクシー(画像クレジット:Deeproute.ai、2021年)

それでも、蘇州に拠点を置くMomentaは、中国で最も資金提供を受けている自動運転車のスタートアップの1つとなっている。General Motors(ゼネラルモーターズ)、Daimler(ダイムラー)、Bosch(ボッシュ)、トヨタ自動車、中国国営自動車メーカー上海汽車集団から、二―オの創業者ウィリアム・リー氏が監督するファンド、Nio Capital(二―オキャピタル)まで、名だたる出資者から合わせて12億ドル(約1370億円)を調達しているのだ。

同業他社の多くが、研究開発部隊の設置や試験走行を米国で行っている一方、Momentaは国際展開の拠点としてドイツを選んだ。2021年、同社は出資者であるダイムラーの本拠地、シュトゥットガルトにオフィスを開設した。

事業状況

2021年12月、Momentaと上海汽車集団は、上海の一部地域で無料のロボタクシーサービスを開始した。利用者は毎日午前8時から午後10時まで、上海汽車集団のアプリを通じて有人運転のロボタクシーを呼び出すことができる。このプログラムでは「20台の車両を用いて将来的な商用利用のための試験と検証を行っている」とMomentaは述べている。同プログラムは、今後数カ月のうちに蘇州と深圳で展開される予定だ。

Momentaは、上海に隣接する豊かな都市、蘇州の政府から多大な支援を得ている。国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)蘇州支部と合弁事業を実施し、同市でのロボタクシー展開を「スケールアップ」させる。SASACは、100社あまりの大規模国有企業を監督する、中国の強力な政府機関である。

OEMパートナー

Momentaはロボタクシーの車両に関して上海汽車集団と協業している。両社は2022年までに中国全土に200台の車両を配備することを目標に掲げた

Pony.ai

Pony.aiは、中国で最も評判の高い自動運転車の専門家たちを輩出してきた、Baiduの自動運転車部門のベテラン2人により、2016年に設立された。広州とカリフォルニアにオフィスを構える同社は、トヨタ自動車の支援を受け、これまでに10億ドル(約1140億円)以上を調達している。

PonyのLexusのロボタクシー(画像クレジット:Pony.ai、2021年)

事業状況

Baiduと同様に、Pony.aiも2021年11月、北京のスマートカー実証区で有料のロボタクシーサービス事業を実施するための承認を得た。「PonyPilot+」と呼ばれるこのサービスは、これまで同エリア内で無料の乗車サービスを行っていた。

「PonyPilot+」は、2021年7月、上海の自動車産業の中心地である嘉定区で始動した。6月には、広州で既存のロボタクシーに加え、完全無人の自動運転車を配備している

米国での試験走行

11月、カリフォルニア州車両管理局は、フリーモントで起きた衝突事故の報告を受け、無人自動運転の試験許可を一時停止にするとPony.aiに通知した。Pony.aiが規制当局から許可を得てから6カ月後の決定だった。カリフォルニア州での同社の有人自動運転の試験許可には影響がなかった。

OEMパートナー

トヨタ自動車の「Lexus(レクサス)」、Hyundai(ヒュンダイ)の他、中国のBYD(ビーワイディー、比亚迪汽车)や「アイオン」など、複数のメーカーの車両をPony.aiのロボタクシーとして利用している。

WeRide.ai

WeRide.aiとPony.aiは多くのルーツを共有している。どちらも広州とカリフォルニアに拠点があり、創業者はBaiduの自動運転車チーム出身者だ。WeRide.aiは2017年に設立され、2021年だけで6億ドル(約686億円)以上を調達した。国営メーカーの広州汽車集団やルノー・日産・三菱アライアンスなどが出資者に名を連ねる。

東風汽車が提供するWeRideのロボタクシー(画像クレジット:WeRide、2021年)

東風汽車が提供するWeRideのロボタクシー/写真:WeRide2021年)

事業状況

2019年11月、WeRide.aiの有人運転ロボタクシーは、広州の144平方キロメートルのエリアで一般乗車を開始した。このサービスは、中国南部で最大のタクシー会社である国営の白雲タクシー会社(白雲出租汽車公司)と連携して実施している。

北京でのBaiduやポニーの有料サービスに先駆けて、WeRide.aiはサービス開始当初から、広州のタクシー料金に相当する金額を乗車料として受け取ってきた。

これは、競合同士が自社プログラムに中国で「初」という称号を得るため躍起になるという、よくある状況の例だ。このような主張そのものは有効だが、よく見極める必要がある。ある業界関係者によると「北京の方が政策を先導する上での影響力はある」が、企業にとっては有料ロボタクシーサービスを実施する場所が北京であろうと広州であろうと、その差は「それほど大きくない」という。

「北京でも広州でも、その都市が友好的な政策をとっていれば、それは良いニュースです。つまりは、ロボタクシー企業は実運用のための試験ができればいいのです」と、同関係者は語った。

WeRide.aiは、武漢でも有人運転のロボタクシーサービスを実施している。

米国での試験走行

2021年11月現在、WeRide.aiはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

WeRide.aiとその戦略的投資家である広州汽車集団が12月に発表したところによると、今後数年で「数万台」のロボタクシーを配備する予定であるという。

画像クレジット:Traffic jam during sunset / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

東京大学・FastLabel・Human Dataware Labが自動運転用3次元アンノテーションツールAutomanをOSSとして無償提供

東京大学・FastLabel・Human Dataware Labが自動運転用3次元アンノテーションツールAutomanをOSSとして無償提供

東京大学は1月21日、自動運転AI開発に不可欠な教師データ作成のため開発した3次元アンノテーションツール「Automan」について、オープンソースソフトウェア(OSS)として公開した(GitHub)。ライセンスはApache License 2.0。これは、アンノテーションツールの開発を行うFastLabelAutowareの開発をリードするティアフォーの子会社Human Dataware Lab.との共同研究によるもの。自動運転領域でのAIの研究開発を加速させる。東京大学・FastLabel・Human Dataware Labが自動運転用3次元アンノテーションツールAutomanをOSSとして無償提供

東京大学大学院情報理工学系研究科の加藤真平准教授を中心とする研究グループは、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業「完全自動運転における危険と異常の予測」において、完全自動運転中の危険と異常について、理論と実践の両面から実用的課題に取り組んでおり、そこには、機械学習技術に人間並みの判断を求めるよりも、危険や異常を感知したらすぐに停止することのほうが社会的な価値は高いとの理念があるという。そんな彼らは、限りなく100%に近い精度で危険と異常を予測し、最小限の移動量で安全に停止できる自動運転システムのプロトタイプを完成させた。

この成果を普及させるには、第三者が研究成果を再現できることが重要だが、それには自動運転システムのAI基盤が必要、またそれを構築するには高品質な大量の教師データが欠かせない。ところが現在、そうした教師データの作成はマンパワーに頼った労働集約型で行われているため、教師データ不足や品質の問題が発生し、自動運転AIの研究はなかなか進んでいないのが現状だ。

そこで研究チームは、FastLabelが提供するアンノテーション・プラットフォームFastLabelと連携し、自動運転AIが用いる画像と点群のデータへのアンノテーションの自動化に取り組み、今回AutomanをFastlabelおよびHuman Dataware Lab.と共同で開発。OSSとして公開するに至った。

また同研究では、3次元アノテーションを自動運転システム全体のCI/CD(Continuous Integration / Continuous Delivery)に組み込めるインターフェースを設計したことで、自動運転AIの開発サイクルを改善することを可能としたという。

今後は、外部からの攻撃に備えるため、脆弱性に対する研究を進めつつ、「走れば走るほど賢くなる自動運転システム」を目指して、自動運転の実用化を加速するという。

SpaceXの元エンジニアがクリーンな自律走行型の電気鉄道車両を開発中

SpaceX(スペースエックス)の元エンジニア3人が設立したParallel Systems(パラレル・システムズ)は、バッテリーで駆動する型鉄道車両を開発する会社だ。同社は米国時間1月19日に4955万ドル(約56億円)のシリーズAでステルスモードから脱却した。360万ドル(約4億円)のシードラウンドを含め、これまでに5315万ドル(約60億円)を調達した同社は、既存の鉄道インフラを活用した、より効率的で脱炭素の貨物ネットワークの構築に取り組んでいる。

共同創業者でCEOのMatt Soule(マット・ソウル)氏によると、今回の資金はParallel Systemの第2世代車両の開発と、同社の車両を実際の運用に組み込む方法を考案するための高度なテストプログラムの立ち上げに充てられる予定だ。

同社は、Anthos Capitalがリードし、Congruent Ventures、Riot Ventures、Embark Venturesなどが参加した今回のラウンドで得た資金を、約60人のエンジニアの雇用に充てるつもりだ。そうしたエンジニアの多くはソフトウェアを担当するとソウル氏は話す。

同社の鉄道車両アーキテクチャは、貨物の二酸化炭素排出、トラック輸送のサプライチェーン上の制約、鉄道貨物の限界といったいくつかの問題の解決を目指している。米国では、鉄道網が全貨物輸送の28%を占めているが、そのほとんどはバルク輸送であり、すなわち石炭や木材などの天然資源を輸送する大型列車だ。鉄道貨物輸送のごく一部はインターモーダル輸送と呼ばれ、基本的に船やトラックなどさまざまな輸送手段間で鋼鉄コンテナを移動させる。

「鉄道は、インターモーダル輸送に関しては成長するチャンスが多く、当社はこの分野に重点を置いています。というのも、競争とイノベーションの余地があると考えている分野だからです」とソウル氏はTechCrunchに語った。

Parallelが特許出願中の車両構造は、標準的な輸送用コンテナを1段または2段積みにして輸送することができる個別動力の鉄道車両を含む。この鉄道車両は合流して「小隊」を組んだり、途中で複数の目的地に分かれたりすることができる。つまり、サービスを経済的なものにするために大量の貨物を積載する必要はない。しかし、米国でほとんどの貨物輸送を担っているトラックよりもはるかに多くの重量を運ぶことができる、とソウル氏は話す。

「貨物列車のユニットエコノミクス(ユニット単位での経済性)がトラックと競争できるようになるには、非常に長い列車が必要で、機関車と乗務員のコストをその長い列車1本で償却することになります」とソウル氏は語る。「問題は、その長い列車をどこに停めたらいいのかということであり、答えは『あまりない』です」。

貨物輸送を長い列車に頼るということは、eコマース分野の需要増に対して頻繁に処理するのは難しい、ということだ。なぜなら、そうした長い列車は常に都市部や港にアクセスできるとは限らない。その物理的な大きさに対応するために、特別に作られた大きなターミナルが必要なのです、とソウル氏は指摘した。

「当社のユニットエコノミクスは、それほど大きな列車には依存しません」とソウル氏はいう。「荷揚げと荷積みのために1日中待機するのではなく、小隊で動くことができます。1〜2時間で出発し、他の小隊のためにスペースを空けることができます。そのため、港湾や内陸部の港湾シャトルシステムを構築することで、海に面した港から内陸部の港にコンテナを移動させることができます。内陸部の港はトラックにとってアクセスしやすい場所であり、倉庫保管場所にも近いのです」。

自律性に関して言えば、鉄道の閉じたネットワークは、レールへのアクセスが制限され、交通が集中制御されているため、自律走行技術を安全かつ早期に商業化するための理想的な運用設計領域だとParallelは見ている。ただ、同社の長期的なビジョンは有望と思われるものの、同社はまだ全国ネットワークでのテストを行っていないことに注意が必要だ。同社は、全国ネットワークから隔離されたロサンゼルスの小さな鉄道でプロトタイプ車両をテストしてきた。

米国の鉄道はオーナー制で私有化されていて、これによりParallelが車両や車両を動かす自律システムを大規模にテストすることは難しい。同社は、民間の鉄道会社を顧客に据えており、鉄道会社が日常的にサービスを運営するためのツールを販売またはリースする一方、技術の提供や統合という点でサポートする役割を提供したいと考えている。従来型鉄道のパートナーを得るまでは、同社の技術が実際の運用に対応できるかどうかを確認することはできない。

Parallelが手がけている技術の市場投入は数年先になるかもしれない、とソウル氏は話すが、世界中の荷主はより速い輸送だけでなく、よりクリーンな輸送も求めており、この分野の市場を手に入れるチャンスはある。

同社の小隊技術は、自律走行型鉄道車両が互いに押し合って荷重を分散させるのが特徴で、この技術によりParallelの車両がセミトラックと比較してわずか25%のエネルギーしか使わないようになると同社は予測している。

「貨物の脱炭素化を加速させること。これが当社の取り組みの根本的な狙いです。しかし、我々が目にしている問題は、鉄道の事業規模がサービスを提供できる市場に限定されていることです」とソウル氏は話す。「なので我々は、エネルギー効率を高めると同時に、運用面や経済面の障壁を取り払おうとしているのです。さらに、パワートレインを電動化することで、脱炭素化の効果をさらに加速させることができます。というのも送電網そのものはクリーンではないからです。当社が開発しているものとディーゼルトラックの比較において、米国の送電網の平均的なCO2含有量を見ると、当社の技術を使えば、現在のディーゼルトラックより貨物輸送1マイル(約1.6km)あたりにかかるCO2を90%削減することができます」。

画像クレジット:Parallel Systems

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

行ったことのない都市でも環境に対応し走れる自律配送車向けAIの英Wayve、約229億円調達

アレックス・ケンダルCEO(画像クレジット:Wayve)

英国の自律走行車スタートアップ「Wayve」は、同社の技術をスケールアップし、商用フリートとのパートナーシップを拡大するために、シリーズBラウンドで2億ドル(約229億円)の資金を調達した。Wayveは、ロボデリバリーや物流の分野で主要なプレイヤーとなることを目指している。

同社は、これまでに総額2億5800万ドル(約296億円)の資金を調達している。この技術は、車両の周囲に設置された汎用ビデオカメラと車載AI駆動ソフトウェアに大きく依存しており、そのため4Gや5Gネットワークへの依存度が低くなり、環境への高い応答性を実現している。

今回のラウンドは、既存投資家であるEclipse Venturesがリードした。その他に参加した投資家には、D1 Capital Partners、Baillie Gifford、Moore Strategic Ventures、Linse Capitalのほか、Microsoft(マイクロソフト)とVirgin(ヴァージン)、アーリーステージ投資家であるCompoundとBaldton Capitalが含まれている。また、戦略的投資家であるOcado Groupや、Sir Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Rosemary Leith(ローズマリー・リース)氏、Linda Levinson(リンダ・レビンソン)氏、David Richter(デイビット・リクター)氏、Pieter Abbeel(ピーテル・アッベル)氏、Yann LeCun(ヤン・ルカン)氏などのエンジェル投資家も参加している。

WayveのAlex Kendall(アレックス・ケンダル)CEOによると、Wayveのテスト車両は、ロンドンだけでなく、これまでに行ったことのない都市での走行に成功したという。英国の道路は一般的に中世のレイアウトになっているため、これは並大抵のことではない。

英国のオンライン食料品会社Ocadoは、Wayveに1360万ドル(約15億6000万円)を出資して自律走行による配送実験を開始しており、英国の大手スーパーマーケットチェーンAsdaもWayveに出資している。

Wayveによると、同社のAV2.0技術はフリートオペレーター向けに特別に設計されており、カメラファーストのアプローチと、Wayveの他のパートナーフリートから提供される運転データから継続的に学習する内蔵AIを組み合わせている。これにより、交通情報や道路地図、複雑なセンサー群など、車外のデータから多くの入力を必要とするいわゆる「AV1.0」よりも、よりスケーラブルなAVプラットフォームになるとWayveは考えている。

Eclipse VenturesのパートナーであるSeth Winterroth(セス・ウィンターロス)氏は、次のように述べている。「業界が従来のロボティクスで自動運転を解決しようと奮闘している中で、AV2.0は、商業フリート事業者が自動運転をより早く導入できるような、スケーラブルなドライビングインテリジェンスを構築するための正しい道筋であることがますます明らかになってきています」。

TechCrunchの取材に対し、ケンダル氏はこう付け加えた。「今回の資金調達は、当社がコア技術の実証から、スケールアップして商業的に展開する権利を得たという市場からのシグナルだと思います。我々が事業を開始した2017年は、自律走行車のハイプサイクルのピーク時で、すでに何十億ドル(何千億円)もの投資が行われていました。誰もが1年先の話だと思っていたのです」。

「そして、何兆ドル(何百兆円)規模のテック巨人たちに対抗するために、逆張りスタートアップを作っていくことは、少しクレイジーだったかもしれません。しかし(技術を)裏づける実例のおかげで、次のレベルのスケールに移行することができました。それは、複数の都市でテストを行えるということです。ロンドンでシステムのトレーニングを行い、マンチェスター、コベントリー、リーズ、リバプールなど、英国全土で展開したことに加え、多くの商業パートナーや、すばらしい人材をチームに引きつけることができました」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

トヨタベンチャーズ、トラクターを自律走行車に変えるAgtonomyのシード拡張をリード

Agtonomy(アグトノミー)の共同創業者でCEOのTim Bucher(ティム・ブッチャー)氏は農場で生まれ育ち、自らも農場経営に深く関わっていたが、カリフォルニア大学デービス校在学中にコンピューターのコースを取り、その魅力にとりつかれた。

その農業とテクノロジーのパラレルキャリアが、Agtonomyの起業につながった。同社は自律と遠隔アシストのハイブリッド型サービスのスタートアップで、トラクターやその他の装備を自律型マシンに変え、そうしたマシンを管理するための労働力を、テクノロジーを駆使して低コストで地方の農場に提供する。

同社は2021年9月にGrit Ventures、GV、Village Globalを含む支援者グループから400万ドル(約4億5000万円)のシード資金を得て、ステルスモードから脱却した。

GritとGVは、南サンフランシスコに拠点を置くAgtonomyに再び投資すべく、500万ドル(約5億7000万円)のシードエクステンション(追加拡張投資)に出資した。Toyota Ventures(トヨタ・ベンチャーズ)がシードエクステンションをリードし、Flybridge、Hampton VC、E²JDJ、Momenta Venturesも参加した。今回の資金調達により、Agtonomyの累計調達額は900万ドル(約10億円)になった。

資金調達をしたばかりだったため、ブッチャー氏はこんなに早く再び資金を調達するとは思っていなかったが、2022年の展望として、アグテックが2022年以降の「ホットな分野」としてトップになると、追加の資金調達に踏み切った。

「5年前は、アグテック関連のVCはなかなか注目されませんでしたが、ちょうど投資家から圧倒的な関心が寄せられました。当社はまだスタートしたばかりですが、地方の農業は今、助けを必要としています」と同氏は付け加えた。「今回の資金調達は、試験やパートナーの追加を加速させ、チームの拡大も含めた取り組みのスピードを倍増させる活動や能力を増強します」。

ブッチャー氏は、今後数カ月の間に50の試験を行い、20人の従業員を倍増させることを期待している。

Agtonomyは、Uberドライバーを呼ぶくらい簡単なものだと同氏は話す。携帯電話のアプリを使って、農家はトラクターに畑の草刈りなどの仕事を割り当てることができる。このような自動運転技術や、John Deere(ジョンディア)のような他社が行っていることは、世界中の農場が直面している数十年にわたる労働力不足を解消するのに役立つ、と同氏は考えている。

Agtonomyは、ブッチャー氏が「概念実証」と呼ぶ電動車両を少台数保有し、自身のTrattore Farmsで1年間稼働させている。同氏の農場での農作業は、ほとんどこれらの車両で行われているという。

ブッチャー氏は2023年に商業展開を見込んでいて、差し当たっては数百台のトラクターでスタートする予定だ。参考までに、トラクターは毎年30万台ほど販売されている、と同氏は付け加えた。トラクターの価格は50万〜100万ドル(約5700万〜1億1500万円)で、John Deereのような企業は通常、大規模農場を狙っている。

これに対し、Agronomyの自律走行車両の価格は5万ドル(約570万円)程度で、この価格設定により大規模農場は24時間稼働し、環境にやさしく、土地を荒らさない小型機械を購入するようになるとブッチャー氏は考えている。

トヨタ・ベンチャーズの創業マネージングディレクターで、Toyota Research Institute(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)のエグゼクティブアドバイザーであるJim Adler(ジム・アドラー)氏は「完全自律走行車は、都会の道路で実現するよりもずっと早く、より切実に必要とされている農場で現実のものとなるでしょう」と書面で述べている。

同様に、ブッチャー氏は、今日の自律走行車の多くは、より「便利な技術」に対応している一方で、アグテック分野の企業は同氏が「必要な技術」と呼ぶもので同様の車を作っていると信じている。

「消費者の需要、気候変動、電動化、農業分野における労働力不足など、一種のパーフェクトストームです」と同氏は付け加えた。「我々は、他の種類の自律走行技術を生活に取り入れるよりも、アグテックでこうした問題をずっと早く解決することができるのです。当社の技術で、私たちみんながおいしいものを食べることができるのです」。

画像クレジット:AnneCN / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

物流J.B. HuntがWaymoの自動運転貨物輸送の最初の顧客に、提携を拡大

自律走行車両企業のトラック輸送・貨物輸送部門であるWaymo Via(ウェイモ・ヴィア)は、物流企業のJ.B. Hunt Transport Services(J.B. ハント・トランスポート・サービス)との既存の提携を、試験から長期戦略提携に拡大する。

この契約の一環として、J.B. HuntはWaymo Viaの完全自律走行のドライバーレス貨物輸送の最初の顧客となる。Waymo Viaは今後数年以内にドライバーレス輸送を達成すると見込んでいる。

WaymoとJ.B.Huntは2021年に、米国内で最も交通量の多い貿易回廊の1つであるテキサス州のヒューストン・フォートワース間のI-45で「試験走行」を開始した。Waymoによると、Waymo Driver自律走行プラットフォームを搭載したWaymoのDaimlerトラックは、試験終了までに86万2179ポンド(約391トン)の貨物を輸送し、衝突やスピード違反などはなく、100%の定時集荷・配達を行い、貨物は100%無傷だったという。試験走行には毎回、商業免許を持つトラックドライバーとソフトウェア技術者が同乗してオペレーションを監視した。

J.B. Huntのサステナビリティ最高責任者兼執行副社長であるCraig Harper(クレイグ・ハーパー)氏は声明で「2021年行ったWaymo Viaとの試験走行は、自律走行技術を当社の業務内でどのように導入できるかを実際に理解する上で本当に役に立ちました。この戦略的提携はその勢いを継続し、顧客にとって価値あるソリューションとするために詳細をさらに模索していきます」と述べた。

画像クレジット:Waymo

2022年以降、両社はテキサス州の同じルートでさらにいくつかの試験を開始し、ドライバーレスの自律的オペレーションに備えるつもりだ。

Waymoは、J.B. Huntとの次の試験で達成したい具体的な目標について、ドライバー・アズ・ア・サービスモデルを固めるということ以外は共有しなかった。ここには、WaymoがDaimlerなどのOEMと提携して、Waymo Driverを搭載した自律走行トラックを製造することが含まれる。これらのトラックは、J.B. Huntのようなフリートや運送業者が直接購入し、Ryderのようなパートナーによってサービスが展開されることになる。

Waymoの広報担当者であるJulianne McGoldrick(ジュリアンヌ・マックゴールドリック)氏は「これは長期的なビジョンです」とTechCrunchに語った。「そうしたビジョンにスケールアップするまでの間、我々はトラックのテストフリートを有し、そうした車両と当社の自律走行専門家とで行う試験は、当社が完全に自律走行オペレーションに到達した時に、J.B. Huntのような顧客のために人間のドライバーなしで貨物輸送するためのすべての基盤が整っているよう、その運用慣行を得るためにあります」。

提携中にWaymoとJ.B.Huntはまた、自動運転トラックを使用した集合的進歩についてより多くを学ぶために、共同で運用および市場調査を行うことを計画していて、さらにはJ.B. Huntのデジタル貨物マッチングプラットフォームであるJ.B. Hunt 360との技術統合を検討する。

もちろん、テキサス州などの道路を走る自動運転トラックは、Waymoのものだけではない。Waymo Viaの競合相手の1社であるTuSimple(トゥシンプル)はこのほど、初のドライバーレス自律走行トラックを完成させ、その技術は事実上、より進歩的なマイルストーンだ。Aurora(オーロラ)とKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)も、テキサス州で試験的に貨物を運んでいる。

そうしたことについて、Waymoは心配していない。Alphabet傘下の同社の戦略は、自律走行に必要な条件を満たすことよりも、パートナー企業とより緊密に連携することだと、マックゴールドリック氏はいう。

「この業界における多くのパートナーシップやコラボレーションは、主に単発の試運転や試験が中心で、あまり肉付けされていませんでした」と同氏は指摘した。「今回の複数年の契約はすべてをカバーするものであり、単に試験のための試験を行うのではなく、パートナーとの協力関係を深いものにすることを示しています。完全な自律走行がどのようなものか、パートナーと一緒に作り上げ、準備が整ったときにできるだけ成功するようにしているのです」。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Serve Roboticsの新しい自律型歩道配達ロボットは遠隔オペレーターの助けも必要としない

Uber(ウーバー)からのスピンアウト企業で、歩道を走行する配達ロボットを製造しているServe Robotics(サーブロボティクス)は、一部の商業配達を人間が介入することなく完了できる次世代ロボットを配備すると発表した。特定の運用領域(ジオフェンスで囲まれた地域)において、Serveはロボットを遠隔操作するオペレーターや、安全のためにロボットの後をついていくスタッフに頼ることはない。

Coco(ココ)、Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)、Kiwibot(キウィボット)など、この業界のほとんどの企業は、自律走行による配達を監視し、ロボットが停止したり助けが必要な場合に走行を引き継ぐのに遠隔オペレーターに頼っている。なので、Serveのマイルストーンは、まさにロボット配達の進歩への一歩だ。

同社の共同創業者でCEOのAli Kashani(アリ・カシャニ)氏はTechCrunchに「我々が解決した問題は、安全のために遠隔操作に頼るということは、100%信頼できるLTEネットワークと100%ミスのないオペレーターに頼らなければならないということであり、どちらも絶対の確保は不可能です」と語った。「安全のために人間の注意が必要なのに、映像が遅れたり、接続が切れたりする場合を考えてみてください。レベル4ロボットがあれば、安全を確保するために人間がループに入る必要はありません」。

Serveは2021年12月に次世代ロボットの展開を開始し、最近、レベル4の自律性で最初の配達を完了したという。レベル4について自動車技術協会(SAE)は、一定の条件を満たす限り自律的に走行でき、人間が運転を引き継ぐ必要がないシステムと定義している。現在、Serveが2018年から事業展開しているハリウッドなど、ロサンゼルスの一部の地域で使われているロボットがレベル4機能を備えていると、カシャニ氏はいう。

「レベル4が有効な所定エリアにロボットがいるとき、遠隔ビデオフィードはオフになり、ロボットはループ内の人間を必要とすることなく自律的にナビゲートし続けます」と同氏は説明する。「ロボットは、何か予期せぬことに遭遇した場合など、いつでも支援を要請することができます。また、交差点を横断する際には、ビデオをオンにすることもできます。しかし、大半の時間は自律的に動作しています」。

自律走行車両がレベル5に到達し、あらゆる状況で人間がいなくても操作できるようになるまでは、ロボットが不慣れな特殊ケースが常につきまとう。そのような場合に人間に頼ることは、安全面でも商業化の面でも理に適っている、とカシャニ氏はいう。

Serveの新型ロボットには、 Ouster(オースター)の超音波センサーやライダーセンサーなどのアクティブセンサーと、交通量の多い歩道を誘導するためのカメラなどのパッシブセンサーが搭載されている。Serveは自動衝突防止、車両衝突回避、フェイルセーフ緊急ブレーキなど、ボットのために特別な機能を開発したという。これらの機能をリアルタイムで実現するために必要な計算には、チップメーカーNVIDIAのJetsonプラットフォームが使用されている。同プラットフォームはロボットやその他の自律型機械向けに特別に設計されているものだ。

Serveは12月に1300万ドル(約14億円)の拡張シードラウンドを実施し、調達した資金は新しい顧客層や地域への拡大計画の加速に充てられるという。そうした目標に沿って、同社の次のステップは、次世代ロボットをより多くの地域に配備することで、まずはロサンゼルスでの拡大を目指すとカシャニ氏は述べた。

画像クレジット:Serve Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Nuroの最新自律型配送ボットは一般商業向け、外装にエアバッグも搭載

Nuro(ニューロ)は米国時間1月12日に、商業的な自律配送戦略の最後のピースの1つを披露した。

元GoogleのエンジニアであるDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ズー)氏が2016年6月に創業して以来、21億3000万ドル(約2443億円)以上を調達したこのスタートアップは、商業運用向けに設計され、BYD North Americaと提携して製造した第3世代の電気自律型配送車両を発表した。

Nuroは、人ではなく荷物を運ぶために設計されたこの配送ボットのために、アルファベット数字の命名法(R1、そしてR2)をやめた。その代わり、この車両は「Nuro(ニューロ)」と呼ばれている。このロボットを大衆に紹介するためのセルフタイトルアルバムのようなものであり、同社の中でのこのフラッグシップモデルの位置づけを示す名称でもある。つまりは「Nuro 」が一番上だ。

Nuroボットは、歩道を走る宅配ボットではない。この新世代も、Nuroのこれまでのモデルも、すべて路上を走るためのものだ。

画像クレジット:Nuro

前モデルの2倍の荷室容量を持ち、カスタマイズ可能な収納と、荷物を保温・保冷する温度調節可能なコンパートメントを備えた新しい「Nuro」ボットは、自動車生産グレードの車両だ。これは、このボットが、天候やくぼみ、人による乱暴な扱い、長時間の走行など、配送車両に求められる過酷な条件に対応できるよう設計・製造されたものであることを意味する。

また、Nuroは、歩行者や自転車に乗っている人など、車両に接触する可能性のある人たちを保護するための安全機能も備えている。この車両はカメラ、レーダー、LiDAR、サーマルカメラなど数種類のセンサーを搭載し、360度の視界を確保しており、1つが故障した場合の冗長性も備えている。

また万が一、人や物に接触した際に作動する外装エアバッグも注目すべきアイテムの1つだ。

画像クレジット:Nuro

ボットの歴史

当初、同社は、アリゾナ州とテキサス州で試験的に食料品の配達や、テスト用にトヨタのプリウスセダンを改造して使用していた。

同社は2018年12月、荷物専用の車両への第一歩となるR1に移行した。

その第2世代の車両R2は2020年2月に導入された。ミシガン州のRoush Enterprises(ルーシュ・エンタープライズ)と提携して米国で設計・組み立てられたR2は、LiDARやレーダー、カメラなどを搭載し「ドライバー」が周囲を360度見渡せるようになった。

しかし、米国運輸省道路交通安全局が通常要求するいくつかの機能が欠けていた。3年にわたる規制当局との協議を経て、Nuroは米国運輸省道路交通安全局からR2車両のドライバーレス免責を取得した。この免除により、サイドミラー、フロントガラス、前進時に停止するリアビューカメラを搭載していないにもかかわらず、車両は走行することができるようになった。

また、Nuroは、カリフォルニア州で(顧客への請求ができる)自律走行車の配送サービスを運営するために必要なすべての承認と許可も得ている。

この新しい「Nuro」ボットは、少なくとも現時点では、商業的な目標に向けた最後のステップだ。

砂漠でボットを作る

同社は、まだNuroを市場に大量に解き放つ準備ができていない。しかし、それは近づいている。

Nuroは豊富な資金を調達し、著名なパートナーとともに車両を試験的に導入し、従業員も1200人を超えるまでに成長した。

5年足らずの間に、Greylock Partners(グレイロック・パートナーズ)、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、T. Rowe Price Associates Inc.(T. ロウ・プライス・アソシエイツ・インク)などの著名な個人投資家や機関投資家を惹きつけてきた。数カ月前に発表された最新の6億ドル(約687億円)の資金調達ラウンドは、新しい投資家であるTiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)が主導し、Baillie Gifford(ベイリー・ギフォード)、Fidelity Management & Research Company(フィデリティ・マネジメント&リサーチ・カンパニー)、LLC、Gaorong Capital(高榕資本)、Google(グーグル)、Kroger(クローガー)、SoftBank Vision Fund 1、T. Rowe Price Associates, Inc、 および Woven Capital(ウーブン・キャピタル)が助言するファンドおよびアカウントが参加している。

Nuroは7-Eleven(セブン-イレブン)、CVS 薬局、Dominos(ドミノス)、FedEx(フェデックス)、Kroger食料品店、Walmart(ウォルマート)など、有名なパートナーも獲得している。

現在、その資金の一部を使って、ネバダ州南部に4000万ドル(約45億円)の最終製造施設とクローズドのテストコースを建設している。また、同社は、ラスベガス・モーター・スピードウェイの74エーカーの土地を借りて、路上自律走行車の開発と検証を可能にするクローズドコースのテスト施設を建設する予定だ。このテストコースでは、歩行者やペットの回避から、共有道路での自転車へのスペース提供まで、幅広いシナリオでのボット性能を測定する他、環境試験や車両システムの検証を行うと、同社は以前から述べている。

サプライヤーであるBYD North Americaが新モデルのハードウェア部品を組み立てる。その後、Nuroの新施設で完成され、ボットは配備に向けて準備される。

「BYDはNuroとのコラボレーションを非常に重要視しています」と、BYD Co. Ltd.の取締役副社長兼BYD Motors Inc.の社長であるStella Li(ステラ・リ)氏は、声明で述べている。BYDはランカスター工場の製造能力を活用してNuroを支援し、カリフォルニアに雇用をもたらすと、リ氏は付け加えた。

Nuroは具体的な生産能力を明らかにしていない。同社は、この施設には年間「数万台」の配送車を製造し、テストする能力があるとしている。また、ネバダ州の施設は2022年中にフル稼働するという以外、スケジュールを明かさなかった。2021年11月に現地で建設が開始された。

Nuroは、これらの商用グレードのボットが最初にどこに配備されるのかについては言及しなかったが、同社は、既存のパートナーであるKrogerと、新しいNuroの配送ボットを使用することで正式な合意に達したことを確認した。

画像クレジット:Nuro

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Yuta Kaminishi)

テスラ「完全自動運転」最新ベータ版は違法なローリングストップを行う「アサーティブ」モード搭載

The Vergeの報道によると、Tesla(テスラ)の最新の「Full Self-Driving(FSD、完全自動運転)」ベータ10.3にはプロファイルが復活し、ローリングストップなどの違反にもなり得る操作を行う可能性のある「アサーティブ」モードが再び搭載された。このアップデートは当初、2021年10月に3つのプロファイル(「チル(=リラックス)」「アベレージ」「アサーティブ(積極的)」)を搭載してリリースされたが、信号での左折や予期せぬ停止などの問題が発生し、わずか2日後に撤回されていた。

米国時間1月9日に発表された最新のアップデートでは、FSDベータ版のプロファイルが復活している。「アサーティブ」を選択した場合、注意書きには「このプロファイルでは、Model Xの追従距離が短くなり、より頻繁にレーンチェンジを行い、追い越し車線から退出せず、ローリングストップを行う可能性があります」とある。なお、Twitterユーザーの@Digitalhenが指摘しているように「アベレージ」モードでもこのシステムはローリングストップを行うことがある。

「ロードレイジ(を招く)モード」は画面に収まりきらなかったらしい

一般的にローリングストップとは、クルマが停止線で徐行し完全に停止しないことを意味するが(これは違法で危険だ)、FSDの運転がそれに該当するかどうかはまだ明らかでない。また、多くの州では、誰も追い越していないのに左車線や追い越し車線を走行し続けることは違法だし、もちろん、先行車に追従しすぎるのもよくない。とはいえ、このモードはまだ十分にテストされていないため、これらのことがどのように行われるかを正確に示すことはできない。

週末、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは、まだベータ版であるにもかかわらず、FSDの価格を1万ドル(約115万円)から1万2000ドル(約138万円)に引き上げると発表した。以前にも指摘したように、FSDは真のレベル4の自動運転ではなく、単にレベル2の高度運転支援を提供するものであるため「Full Self-Driving」という名称は(Autopilotと同様に)誤解を招く恐れがある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Tesla

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

Volvoが新型e-SUVに自律走行機能を搭載へ、LuminarやZenseactと提携

Volvo Cars(ボルボ・カーズ)は米国1月5日、ライダー企業のLuminar(ルミナー)および自律走行(AD)ソフトウェア子会社のZenseact(ゼンセアクト)と協力して、次世代の完全電気自動車にAD機能を導入するとCESで発表した。「Ride Pilot(ライドパイロット)」と命名したこの機能を、今年後半に公開予定の電動SUVにアドオン・サブスクリプションとして導入することを目指す。

Volvoによると、Ride PilotはVolvoが「監視なし」のAD機能と呼んでいるもので、車が自分で運転できるようになるため、乗車する人は「読書、執筆、仕事、社交などの二次的活動」を楽しむ時間がたっぷり取れるようになるという。Volvoが株式の過半数を保有するLuminarとZenseactは、少なくとも2021年3月からこうした機能の構築に取り組んでいて、両社は技術を組み合わせて、他の自動車メーカーに提供できる「全体的な自律走行車スタック」を構築する計画を共有していた。Nvidia(エヌビディア)のシステムオンチップが、Volvoの基幹計算システムを動かす。

Volvoは、自律走行機能を備えた商用車の市場投入に向けた戦略を策定した最新の自動車メーカーだ。Tesla(テスラ)は、誤解を招くような名前の「Autopilot(オートパイロット)」と「完全自動運転」ソフトウェアを世に送り出した。これらは、カメラとコンピュータービジョン技術のみに依存し、はっきりと確認できる車線内での自動操縦、交通状況認識クルーズコントロール、自動車線変更、自動駐車、車呼び出し、交通および停止信号制御といったタスクを処理できる高度な運転支援機能を提供するものだ。中国の自動車メーカーXpeng(エックスペン)も、ライダー、レーダー、カメラに依存し、ドライバーが設定したルートに基づいて地点から地点への自動運転を支援する次世代ADASである「Xpilot」を展開している。

Volvoのデジタルビジネス担当副社長Martin Kristensson(マーティン・クリステンソン)氏は、「Ride Pilotで重要なのは、実際に自動運転ができることです」とTechCrunchに語った。「ハンドルにずっと手を置いている必要はありません。前方を見る必要もありません。実際に車の中で朝食を食べたり、本を読んだり、映画を観たりでき、その間、車が勝手に運転します。私たちは、車が自動運転しているときに責任を負います。そういう意味で、今の市場にはない提案だと思います」

Ride Pilotが市場に出る前に、このソフトウェアは、多くの条件下で高速道路で安全に使用できる技術の検証を含む、厳格な検証およびテストプロトコルを受けるとVolvoは話す。当初、Ride Pilotは限られた運用設計領域で利用できるようになる予定だ。具体的には、 Volvoが検証した高速道路での低速走行に限定される。

カリフォルニア州の顧客が最初にRide Pilotを体験し、その後、他の市場に徐々に展開する予定だが、カリフォルニア州が自律走行試験に対して良好な規制環境にあること、晴天が多い気候、そして高速道路を利用する車が多いことを考えれば、これは理にかなっている。ロサンゼルスの通勤者は平均年119時間も渋滞に巻き込まれており、その時間をもっと有効に使えるとVolvoは考えている。

Volvoはカリフォルニア州の公道で車両をテストするための許可を確保する必要があるが、クリステンソン氏は、同社が「カリフォルニア州陸運局を含む関連規制機関と対話し、必要なすべての承認を確保している 」と話す。今のところ、同社はスウェーデンでZenseactとRide Pilotのテストを行っているだけだが、今年半ばまでにはカリフォルニアの公道でのテスト開始に必要な許可を得られる見込みだ。Volvoがこの技術を実際に商業展開するために必要となる規制は、業界が提供するものに対してまだ追いついていない。例えば、カリフォルニア州には現在、運転中のドライバーの電話使用を禁止する法律がある。これは、自動運転中にTwitterをスクロールしたり、電子メールに返信したりできるとうたってドライバーをRide Pilotに加入させるVolvoの計画にとって障害になるかもしれない。

TechCrunchの情報提供要請に対するカリフォルニア州自動車局からの回答は間に合わなかった。

Volvoは、Ride Pilotサブスク料金や、SUVがいくらで販売される可能性があるかについては情報共有しなかったが、クリステンソン氏によると2022年のVolvo XC90の価格とほぼ同じで、5万ドル(約580万円)程度からになるとのことだ。顧客がソフトウェアを追加するかどうかにかかわらず、車両にはADとADAS機能を実現するために必要なすべてのセンサーを搭載する。その中でも、LuminarのIrisライダーセンサーは、光る宝石のようにルーフトップに取り付けられるのではなく、よりシームレスに車両のルーフラインに統合されるようになっている。さらに、新型SUVには5つのレーダー、8つのカメラ、16の超音波センサーが搭載される予定だ。

「Volvoは、ハードウェアの標準化を決定しました。つまり、人々がRide Pilotをサブスクするかどうかにかかわらず、すべての車両がこのソフトウェアを起動することができ、また、監視して安全で起動できることを確認するために必要なデータを収集することができるハードウェアを備えます」とZenseactのCEO、Ödgärd Andersson(オッドガード・アンダーソン)氏はTechCrunchに語った。 「全ての車両に、急ブレーキや急ハンドルの操作をサポートするような、基本的な安全機能が標準装備されます。この新しいレベルの技術とライダーによって実際に全く新しいレベルに到達し、その上、より優れたセンシングと計算が可能になったため、運転中にアシストするクルーズ機能が新しいレベルに到達したのです」

テスラのFSDと同様に、継続的に冗長性を確保するために、新しい市場のユーザーと既存のユーザーの両方に、ソフトウェアそのものとアップデートを無線で送信することができる。

Volvoは今後展開する電動SUVのデザインの詳細をまだ明らかにしていないが、フラットフロア、ガラス天井、後ろヒンジのスイング式後部ドアを備えたクロスオーバーに少し似ている、7月に公開したコンセプトEV「 “Concept Recharge(コンセプト・リチャージ)」は「実際の車がどのように見えるかをよく示しています」とクリステンソン氏は述べた。Volvoは、EVバッテリーを製造するNorthvolt(ノースボルト)、Google(グーグル)、Luminarといった企業と提携し、このEVや将来の車両を作る。

CESの期間中、Volvoは、Qualcomm(クアルコム)のSnapdragonデジタルコックピットインフォテインメントセンターを新しい電動SUVに実装する計画も明らかにした。また、Volvoは1月5日にGoogleとの提携の詳細も発表した。Googleアシスタント対応デバイスとの統合により、ユーザーはGoogleに車のウォームアップを頼んだり、YouTubeを車にダウンロードしたりすることができるようになる。

「電気自動車の充電を待っている間、あるいは自律走行車内で運転というより乗ってくつろいでいる状況で、ドライバーが運転以外の時間を車内で過ごすことが増えるとみています。ですので、車内でもっとデジタルサービスを可能にしたいのです」とクリステンソン氏は述べた。

Volvoが戦略的パートナーシップを通じて構築している一連のデジタルサービスは、同社がサブスクリプションモデルを構築し、顧客がこれらの新製品とどのように接したがっているかを学ぶ機会を与える。

デジタル・コンシューマー・プロダクト責任者のAnne-Mette Nygaard(アンネ・メッテ・ナイガード)氏はTechCrunchに次のように語った。「来年には、前もって購入するのではなく、実際にサブスクできるサービスや体験が消費者に提供されるでしょう。ですから、より柔軟なオーナーシップ、そして消費者への透明性を高めることが進むべき道なのです」。

画像クレジット: Volvo Cars

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

キャデラックの新たな自動運転コンセプトは「車輪のついた高級ラブシート」

2021年に6人乗りの自動運転ボックスや乗車可能なドローンのコンセプトを発表したGM(ゼネラルモーターズ)の最新の高級自動運転EVのアイデアは、より地に足の着いたものとなっている。InnerSpaceコンセプトは、外観は未来的なクルマのように見えるが、内部には、我々がこれまで見た中で最も広いスクリーンの1つに囲まれた2人がけのラブシートがある。もちろん、ハンドルやペダルはない。その代わりに、オットマンがビルトインされ、スリッパやブランケットを置くスペースがある。GMが目指すところでは、マニュアル操作の類は必要ない。

ドアが飛び出し、大きなフロントガラスとサンルーフが立ち上がる。クルマに乗り込むことさえもSFの世界のようだ。InnerSpaceのようなコンセプトは、例によってカーデザイナーが未来のクルマの姿を想像し、その力を発揮するための手段だ。確かに大半の人には手が届きそうにもないが、Cadillac(キャデラック)の裕福な顧客層なら、個人用の宇宙船を所有することに興味を持つかもしれない。少なくとも、フルサイズの高級SUVよりは環境にも優しい。

GMのグローバル・アドバンスド・デザイン担当エグゼクティブ・ディレクター、Bryan Nesbitt(ブライアン・ネスビット)氏は声明の中で「電動化と自律走行は、自動車の役割と顧客の乗車体験を根本的に変えるでしょう」と述べている。「私たちは、モビリティをウェルネスの味方として想定し、顧客に究極の贅沢を、そしてパーソナルな時間を奪うのではなく提供し、これらの革新的なコンセプトで行く末を模索しています」。

運転という行為が嫌いだが、運転が必須の場所に住んでいる者として、自動車メーカーがこれらの自動運転コンセプトカーをどのように現実のものにするのか、興味を持っている。そして、このような荒唐無稽なデザインを経て、さらに自動運転ファミリーEVのコンセプトカーが登場するかもしれない。

編集部注:本稿の初出はEngadget

画像クレジット:Cadillac

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(文:Devindra Hardawar、翻訳:Nariko Mizoguchi

遠隔操作DriveU.autoがEasyMileの自動運転シャトルやCocoの配送ロボットをサポート

2021年ステルス状態から脱したイスラエルのスタートアップ企業DriveU.auto(ドライブUオート)は、自動運転シャトルバス企業のEasyMile(イージーマイル)と、歩道ロボット配送スタートアップ企業であるCoco(ココ)が、その業務を同社のテレオペレーションおよびコネクティビティプラットフォームに統合することになったとCESで発表した。

自動運転車の業界では、多くの企業がその実現を約束したり、先進運転支援システムの名称を決めたりしているものの、依然として完全な自動運転技術を商業化するまでにはまだ遠い道程がある。実際、ほとんどの国では、公道における自動運転走行中には、安全のために人間のオペレーターが介在することが義務付けられている。自動運転技術をてがける多くの企業は、より早く市場に投入し、一般の人々に無人運転車を受け入れてもらうために、緊急事態や異常事態、安全上の問題が発生した場合には、遠隔地にいるドライバーが無人運転車の操縦を取って代わることができるテレオペレーションを採用している。

「事故現場で、複数の警察官が身振り手振りで交通整理をしている状況を想定してみてください」と、DriveU.autoのAlon Podhurst(アロン・ポドハースト)CEOは、TechCrunchに語った。「車両に搭載されたAIは、これらの身振りや声による命令を解釈するために、あらゆる可能性の支援を求めます。そのため、遠隔操作オペレーターは、ロボットや自動走行車など支援する車両の周囲の世界を、リアルタイムで見る必要があります。そこで我々は、車両のセンサーから遠隔操作オペレーターのいる場所へフィードをストリーミングしたいと考えました。遠隔操作オペレーターが車両周辺における実際の状況に基づいて判断を下すためには、信頼性の高い高品質で低遅延のコネクティビティ(相互接続性)を確保する必要があります。これはセルラーネットワークを介して行われます」。

テレオペレーションを成功させるためには、映像、音声、その他のセンサーデータを転送するための高性能なコネクティビティが不可欠だ。DriveU.autoのコネクティビティプラットフォームは、安定したネットワーク接続を確保し、自動運転走行車を支援する遠隔操作を妨げる可能性のある遅延や「ダークスポット」と呼ばれる接続性の低下を回避することを目的としている。

「1つのセルラーネットワークでは、5Gでさえ、信頼性の高い遠隔操作に必要なパフォーマンスレベルを保証することができません」と、ポドハースト氏はいう。「つまり、車両には複数のカメラが搭載されているので、複数の高精細な映像フィードを、移動中の車両から、制約のあるセルラーネットワークを使って伝送しなければならないのです。結論として、1つのネットワークでは十分ではないということになります」。

DriveU.autoの技術は、フランスの医療施設にサービスを提供しているEasyMileの「EZ10」自動運転シャトルバスにすでに搭載されており、現在はEasyMileの全車両に統合する作業を進めていると、ポドハースト氏は述べている。

EasyMileのマネージングディレクターであるBenoit Perrin(ブノワ・ペラン)氏は「自動運転車のユースケースを次々と継続的に展開していく中で、遠隔監視は当社のソリューションにおける重要な要素になることが予想されます」と声明で述べている。

DriveU.autoのコネクティビティ・ソリューションは、Coco社が保有する約100台のコンセプト実証用のパイロット車両「Coco 0(ココゼロ)」にもすでに搭載されている。Cocoによると、このプラットフォームへの統合は、新たに1000台が出荷される配送ロボット「Coco 1(ココワン)」でも計画されているという。Segway(セグウェイ)がハードウェアベースを開発しているCoco 1は、2022年第1四半期中に米国のロサンゼルスおよび他の2都市で展開が予定されている。

DriveU.autoは、EasyMileとCocoの他にも、ロボットタクシーや自動運転トラック、その他の配送ロボットや特殊用途の自動運転車でもすでに運用を行っているという。これらすべてのパートナーシップはまだ秘密保持契約の下にあるものの、今後数週間のうちに公開したいと同社では述べている。DriveU.autoは最近、日本の自動車部品メーカーであるDenso(デンソー)との18カ月間におよぶ提携も発表している。

DriveU.autoは通常、車両のコンピュータに統合されるソフトウェア開発キットを顧客に提供する。顧客は、車両に搭載されている既存のセンサーやその他のハードウェアコンポーネントを利用して、テレオペレーションを含む車両の操作を行うわけだ。このソフトウェアのみを提供するというアプローチが、より迅速な統合を可能にするため、同社の市場牽引の鍵となっていると、ポドハースト氏はいう。

同社のソフトウェアベースのコネクティビティプラットフォームは、ダイナミックなビデオエンコーディング、低遅延アルゴリズム、セルラー結合という3つの技術の融合により機能する。融合されたデータパッケージは、送信時のネットワークのパフォーマンスに応じて、複数のセルラーネットワークを介して送信される。このデータは遠隔地のオペレーター側に届くと、ビデオフレームとして再構成される。さらに詳しく見ていくと、このプラットフォームは、車両のシステムに組み込まれたソフトウェアモジュールと、クラウドベースのソフトウェアコンポーネントおよび遠隔操作オペレーターのコンピューターに組み込まれたモジュールで構成されている。

「高度なコネクティビティソリューションを配送ロボットに統合するには、過酷な電力と計算のパラメータが要求されます」と、CocoのCOOであるSahil Sharma(サヒル・シャルマ)氏は述べている。「この分野における業界リーダー各社を評価した結果、DriveUのソリューションが当社の成長計画と積極的な配送スケジュールに最もマッチすることがわかりました」。

画像クレジット:DriveU.auto

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Intel傘下のMobileyeが自動運転に特化したSoC「EyeQ Ultra」発表

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)は、乗用車、トラック、SUVに自動運転の能力を与えるために設計された、新しいスーパーコンピュータを市場に投入する。

同社は米国時間1月4日、CES 2022で、自動運転に特化した「EyeQ Ultra」という新しいシステムオンチップ(SoC)を発表した。同社によると、毎秒176兆回の演算が可能なEyeQ Ultra SoCの最初のシリコン生産は2023年末、完全な自動車グレードの生産は2025年となる見通しだ。

また、Mobileyeは先進運転支援システム(ADAS)向けの次世代EyeQシステムオンチップ「EyeQ6L」「EyeQ6H」も発表した。EyeQ6Lは、いわゆるレベル2のADASに対応するもので、2023年半ばに生産を開始する。2024年まで生産が開始されないEyeQ6Hは、ADASまたは一部の自動運転機能に対応する。この高性能チップは、あらゆる高度運転支援機能やマルチカメラ処理(駐車カメラを含む)を提供することができ、駐車の可視化やドライバーモニタリングなどのサードパーティアプリケーションをホストする予定だ。

Mobileyeは、ADASを強化するコンピュータービジョン技術を自動車メーカーに供給していることで、よく知られている。2004年に発売された最初のEyeQチップは衝突防止のために自動車に使用された。Mobileyeのビジネスは好調で、2021年末時点でEyeQ SoCの出荷数は1億個に達した。

近年、同社は自動車メーカーに対し、高度運転支援システムに必要なチップを供給する一方で、自社の自動運転車技術を開発・テストするという、いわば二重の戦略を追求してきた。2018年には、単なるサプライヤーであることにとどまらず、ロボタクシー事業にも手を伸ばした。

その2本の道は今、1本に重なろうとしている。そして、消費者向け自動運転車を「この業界の終盤戦」と表現する同社のAmnon Shashua(アムノン・シャシュア)社長兼CEOの長年の戦略を実現しようとしている。

Mobileyeは、数年前から自動運転車の技術開発を進めてきた。カメラ、レーダー、LiDAR技術に基づく冗長なセンシングサブシステムを含む同社のフル自動運転スタックを、REMマッピングシステムおよびルールベースの「責任感知型安全論(RSS、Responsibility-Sensitive Safety)」による運転方針と組み合わせる。

MobileyeのREMマッピングシステムは、EyeQ4(第4世代システムオンチップ)を搭載した一般車や商用車のデータをクラウドソースし、ADASや自動運転システムをサポートす高解像度の地図を作成する。このデータは、ビデオや画像ではなく、1キロメートルあたり約10kbの圧縮されたテキストだ。この新しいEyeQ Ultraチップの開発に貢献した地図技術にクラウド経由でアクセスし、走行可能な道路前方の最新情報をリアルタイムで提供する。

Mobileyeは、BMW、日産、Volkswagen(フォルクスワーゲン)など6社のOEMと契約し、先進運転支援システムに使用されるEyeQ4チップを搭載した車両からデータを収集する。商用車については、商業オペレーターに販売するアフターマーケット製品からデータを収集する。同社によると、現在、100万台以上の車両がREMデータを収集しており、1日あたり最大2500万キロメートルにのぼる。

EyeQ Ultraは、前世代のSoCアーキテクチャを踏襲している。Mobileyeによると、EyeQ Ultraは、EyeQ510個分の処理能力を1つのパッケージに詰め込んでいる。同社のソフトウェアで設計されたEyeQ Ultraは、追加のCPUコア、ISP、GPUと対になっており、カメラのみのシステムとレーダーとLiDARを組み合わせた2つのセンシングサブシステムからの入力と、車両の中央演算システム、高解像度REMマップ、RSS運転方針ソフトウェアからの入力を処理できるという。

自動運転可能な自動車、トラック、SUVを消費者に販売することを目指す自動車メーカーは、理論的には、このまだ販売されていないチップを使ってその目標を実行することになる。EyeQ UltraにはレーダーやLiDARなどのセンサーは搭載されていない。その代わり、入ってくる情報をすべて処理する。EyeQ Ultraチップをどのように使うかは、顧客である自動車メーカー次第だ。例えば、ある自動車メーカーは高速道路でのみ自動運転可能な新車を提供するかもしれないし、別の自動車メーカーは都市部での自動運転に焦点を絞るかもしれない。

画像クレジット:Mobileye

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMは2020年代半ばまでに自律走行車の個人向け販売を目指す

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は「2020年の中盤」までに個人向けの自律走行車を販売すると、同社のMary Barra(メアリー・バーラ)CEO兼会長は米国時間1月5日に行われたCES 2022の基調講演で述べた。

同社は、自動運転子会社Cruiseが最初にロボットタクシーサービスを開始することを期待しているが、バーラ氏は個人向けAVも追求していると述べている。

「私たちは今後、消費者が期待する安全性と品質、そして複数の道を同時に追求することで、現在のオーナーシップ体験を変える最先端の自動運転車技術を使って、完全自動運転車技術を個人の移動手段にまで広げる機会を探しています。GMとCruiseは、重要な技術的専門知識と経験を獲得しており、個人向け自律走行車の小売販売で市場最速になるよう取り組んでいます。実際、私たちは2020年代半ばまでに、初のパーソナルな自律走行車を提供を目指しています」。

バーラ氏が個人向けAVの目標に言及したのは、これが初めてではない。バーラ氏は2021年5月の決算説明会で、自動運転子会社Cruiseの技術を活用して、個人向けAVを販売するアイデアを探っていることを初めて明らかにしている。

GMが支配的な株式を保有するCruiseは、密集した都市部で動作し、人や荷物の可能性が高いシャトルバスになる共有の電気自律走行車に取り組んでいる。同社は、サンフランシスコの公道でその技術をテストし、2021年末には従業員にドライバーレス(つまり人間なし)の乗り物を呼べるようにした。このサービスは、まだ一般には公開されていない。

どのような車両が自律走行するのか、さらにはGMが自律走行をどのように定義しているのか、そしてCruiseがこの取り組みにまだ関与しているかどうかは、正確にはわかっていない。Cruiseは、商業用ロボットタクシー事業を立ち上げようとする一方で、独自の経営陣の激変を経ている。

2021年12月、CruiseのCEOだったDan Ammann(ダン・アマン)氏が突然会社を去り、内部関係者は彼を追い出したと主張している。自律走行車の共同設立者で、同社の初代CEOだったKyle Vogt(カイル・フォークト)氏が暫定的にその役割を引き継いでいる。フォークト氏はCruiseの社長兼CTOを務めてきた。GMによると、Northrop Grummanの元会長兼CEOでGMの取締役を務めたWesley Bush(ウェスレイ・ブッシュ)氏がCruiseの取締役に就任するという。

詳細はわかっていないが、重要なピースが1つ明らかになった。バーラ氏はそのタイムラインを設定された。

画像クレジット:スクリーンショット

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Katsuyuki Yasui)

MobileyeとZeekrが中国向けにレベル4の自律走行型EV製造を計画

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)は、中国の自動車ブランドZeekr(ジークロ)と提携し、消費者向けの完全電動自動運転車を開発する。この車両は2024年から中国で販売され、最終的には他の市場にも展開されると、特定の国や時期を明言することなく両社は米国時間1月4日に発表した。

MobileyeとZeekrはラスベガスで開催中のテック見本市「CES 2022」でこの発表を行った。Mobileyeはまた、Ford(フォード)およびVolkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ)と、同社のマッピング技術を使用してそれぞれの先進運転支援システムをサポートする契約を締結したことも発表した。

計画中のZeekr自律走行車は、MobileyeのチップとZeekrの親会社であるGeely Holdings(浙江吉利控股集団)の電気自動車アーキテクチャを組み合わせ、ブレーキ、ステアリング、パワーの冗長化が図られている。同社は、その車両がどのようなものになるかは示していない(この記事で紹介しているメインの写真は、Mobileyeの技術を搭載した「Zeekr 001 EV」だ)。

今度の車両は、いわゆるレベル4、つまりL4の能力を持つことになる。この言葉は、特定の条件下で人間に代わって運転のあらゆる局面を処理できるようになることを意味する。これは、特定の道路や都心部、あるいは気象条件が理想的な場合にのみ、この技術が機能するということを意味するのかもしれない。

Mobileyeの技術には、同社のEyeQ5(第5世代)システムオンチップが6個搭載され、センサーからの受信データの処理に加え、同社ブランドの「ロード・エクスペリエンス・マップ」マッピング技術や責任感応型安全論(RSS)をベースとした運転ポリシーが組み込まれる予定だ。

Mobileyeはまた、中国での研究開発活動を拡大し、現地にデータセンターを開設し、従業員を増強する計画であることも発表した。

MobileyeとZeekrのニュースは、Alphabet(アルファベット)の自律走行技術部門であるWaymo(ウェイモ)が、中国の自動車メーカーであるGeelyと提携して、全電気式の自動運転ライドヘイリングカーを製造すると発表してから1カ月もたたないうちに発表されたものだ。両社は、WaymoのAVシステムをGeelyのZeekr車両に統合し「今後数年のうちに」米国市場で使用する予定だと述べた。

高度運転支援システムをサポートするチップで知られるMobileyeも、数年前から自動運転車技術の開発を進めてきた。カメラ、レーダー、LiDAR技術に基づく冗長なセンシングサブシステムを含む同社のフル自動運転スタックは、REMマッピングシステムおよびRSS運転ポリシーと組み合わされている。

MobileyeのREMマッピングシステムは、先進運転支援システム(ADAS)や自律走行システムをサポートするために使用できる高解像度マップを構築するために、システムオンチップを搭載した消費者やフリート車両を利用することでデータをクラウドソーシングしている。そのデータは、ビデオや画像ではなく、1キロメートルあたり約10キロビットを収集する圧縮されたテキストだ。このマッピング技術にクラウド経由でアクセスすることで、前方の走行可能な経路の最新情報をリアルタイムで提供する。

MobileyeはすでにBMW、Nissan(日産)、Volkswagenと契約を結び、ADASに使用される最新のチップ「EyeQ4」を搭載した車両でそのデータを収集している。フリート車に関しては、Mobileyeは商業オペレーターに販売するアフターマーケット製品からデータを収集している。現在では、100万台以上の車両がREMデータを収集しており、1日あたり最大2500万キロメートルを超えている。同社は、このクラウドソーシングによる匿名化された情報をすべて利用して、精密で高精細な地図のデータベースを作成し「Mobileye Roadbook」というブランドを立ち上げた。

同社は現在、Volkswagen Group との関係を拡大し、収集した地図データを同社の運転支援システム「トラベルアシスト2.5」に適用している。この提携拡大もCESで発表された。

この契約により、Mobileye Roadbookは、VolkswagenのADASの機能拡張に利用されることになる。例えば、同社によると、利用可能な場合は、目に見える車線標識のない多くの地域で車線維持のアシスト機能が提供されることになるだろう。

両社は1月4日、Mobileye Roadbookで強化されたトラベルアシスト機能が、VolkswagenのMEBプラットフォームをベースにしたVolkswagen、Škoda(シュコダ)、Seat(セアト)の電気自動車モデルでまもなく利用できるようになると述べた。

Mobileyeはまた、Fordのハンズフリー先進運転支援システム「ブルークルーズ」の将来のバージョンにMobileyeのREMマッピング技術の使用を開始することも発表している。両社は、このマッピング技術がFordのADASシステムに統合される時期については共有していない。

画像クレジット:Mobileye

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Akihito Mizukoshi)

まるで畑のルンバ!? 作業状況をスマホで確認できる自律制御型電動トラクターDeer 8Rが2022年後半に市場投入

まさに畑のルンバ!? 作業状況をスマホで確認できる自律制御型電動トラクターDeer 8Rが2022年後半に市場投入

John Deere

米国の農機ブランド「ジョン・ディア」が、自律制御型電動トラクターの市販に向けた量産に入る予定だと発表しました。Deere 8Rと称するそのトラクターは2022年後半に市場投入される計画です。

農業機器の自動運転化は、農作業人口の減少への対策として各社研究を進めており、日本メーカーでもヤンマーやクボタ、井関農機などがトラクターのほか田植え機などの開発を行っています。テレビドラマ『下町ロケット』にも、クボタ製の自動運転トラクターが登場していました。

ディア・アンド・カンパニーのブランド、ジョン・ディアも早くから自律制御農機の開発を手がけておりトラクターだけでなくコンバイン、田植機、自走式ハーベスターといった機器に自動操舵システムを開発、GPSやAI制御を取り入れた製品開発をしてきました。

今回生産開始が伝えられた「Deere 8R」は、完全自律型トラクターとして開発されており、運転席はあるものの人が乗る必要はありません。トラクターは牽引車部分だけで、これに「チゼルプラウ」と呼ばれる部分を取り付けて畑を耕します。

農作業員は、畑にこのDeere 8Rを配置して必要な器具の取り付けなどを済ませれば、あとはタブレットやスマートフォンのスワイプひとつで指定した畑を自動的にすべて耕せます。その進行状況はやはりタブレットなどで随時確認可能。本体のカメラ映像をリアルタイムで確認したり、各種パラメーターを表示し、必要なら爪で掘り起こす深さや走行速度を変更することもできます。

本体には6ペアのステレオカメラとその映像を分析するローカルニューラルネットワークが搭載され、畑に存在する物体を認識します。また自機の位置はGPS信号によって把握し、あらかじめ設定したジオフェンスによってその行動範囲を制限します。

このような自律制御型の農機具は今後、高齢化や人口減少が予想される農業分野では間違いなく普及していくことでしょう。

(Source:John DeereEngadget日本版より転載)

AIの利用が加速するなか、韓国のデータラベリング企業AIMMOがシリーズAで13.8億円調達

人工知能モデルのほとんどは、監視下での学習を通じて訓練される。すなわち、生データへのラベル付けを人間が行う必要がある。データラベリングは人工知能と機械学習の自動化における最も重要な部分であるが、時間のかかる面倒な作業でもある。

韓国のスタートアップAIMMO(エイモ)は、ソフトウェアと人間を使って、画像、ビデオ、音声、テキスト、センサーフュージョン(複数センサーのデータを融合する)データのラベル付けとカテゴリー分けを行なってており、企業が高速でデータラベリングを行えるAIデータ・アノテーション・プラットフォームも開発した。

AIMMOは2022年1月2日、データラベリングテクノロジーの強化と世界進出の加速を目指し、1200万ドル(約13億8000万円)のシリーズAラウンドを完了したと発表した。ラウンドにDS Asset Management、Indsutrial Bank of Korea、Hanwha Investment & Securities、S&S Investment、Toss Investment、Korea Asset Investment & Securities、およびVenture Fieldというは7社のベンチャーキャピタルが参加している。AIMMOは企業評価額を明らかにしていない。

「パンデミックは、非接触テクノロジーへの転換と、情報監視、スマートシティ、無人運転車、スマートファクトリー、ロボティクスなどAIデータが不可欠な分野でのAI利用を加速しました」とAIMMOノグローバルセールス責任者、Doyle Chung(ドイル・チャン)氏はメールインタビューで答えた。「さまざまな方向性や業界がある中、当社の焦点は主として、スマートシティと自動運転です」。

2016年に、CEOのSeung Taek Oh(オ・スンテク)氏が設立したこのスタートアップは、3種類のデータアノテーションツールを持っている。AIMMO DaaSは自動運転車企業向けセンサーフュージョンデータを管理する。AIMMO GtaaSは、ビッグデータのためのターンキー方式のプラットフォーム、そして2020年に公開されたAIMMO Enterprisesは、クラウドアーキテクチャを使ったウェブベースのSaaSアノテーションラベリングツールだ。

同スタートアップは、これらのツールを使うことでデータアノテーションプロセスを効率化し、顧客はAIモデルに集中できる、という。プラットフォームの使用料はなく、コーディングのスキルやAIMMO Enterprisesのインストールも不要で、ユーザーはChromeなどのウェブブラウザーを使ってデータのラベリングができる。AIMMO GtaaSでは、ユーザーが生データをAIMMOに送ると、検査結果が戻される、とチャン氏は話した。

AIMMO DaaSプラットフォームを使ったデータラベリングの件数と売上は2021年に対前年比200%成長した。同社のIR資料によるとAIMMOの2021年の売上は1000万ドル(約11億5000万円)だった。自動運転分野の世界的需要の高まりを受け、2022年の売上が成長することを同社は予測している。

画像クレジット:AIMMOウェブサイトのスクリーンショット

データ収集とラベリングの市場規模は、2021年に16億ドル(約1843億円)で2028年には82億ドル(約9445億円)になるとGrand View Researchの市場分析レポートは予測している

AIMMOは幅広い企業にサービスを提供しており、顧客には自動車メーカーのHyundai Motor(現代自動車、ヒョンデ・モーターズ)、自動車部品製造メーカーのHyundai Mobis(ヒョンデ・モビス)、ライドシェアリングのスタートアップ、Kakao Mobility(カカオ・モビリティー)、カー・シェアリングのスタートアップSoCar(ソーカー)、自動運転貨物輸送デベロッパーのThoreDrive(トアドライブ)などがいる。AIMMOは自動運転車以外でも、ロボティクス、光学文字認識(OCR)、スマートファクトリー、インテリジェント監視、eコマース、ロジスティック業界、通信会社のSK Telecom(SKテレコム)、インターネット巨人のNAVER(ネイバー)、Kakao(カカオ)そして日本のKomatsu(コマツ)などとも仕事をしている。

韓国拠点のスタートアップは、英国、米国、日本、ベトナムに事業所がある。チャン氏によると、2022年にはドイツとカナダにも事業所を開く予定だ。AIMMOのが今後世界市場へ進出していけば、Scale AI(スケール・エーアイ)、Playment(プレイメント)、Understand.ai(アンダースタンド・エーアイ)、Deepen AI(ディープン・エーアイ)などがライバルになる。現在同社には世界で200名の社員と1万人以上のデータ・ラベラーがいる。

画像クレジット:ScreenShot | AIMMO

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(文:Kate Park、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アルファベット傘下Waymoが中国メーカー「Geely」と提携、米国での配車サービス用電動AVを製造へ

Alphabet(アルファベット)の自律走行技術部門であるWaymo(​​ウェイモ)は、中国の自動車メーカーGeely(吉利)と提携し、全電動の自動運転配車サービス車両を製造する。WaymoのAVシステムであるWaymo DriverをGeelyのZeekr車両に統合し「数年内」に米国市場で使用する予定だ。

Waymoは生産開始時期やこれらの車両が路上を走るようになる時期など具体的なタイムフレームを示していないが、この提携はWaymoがOEM提携に向けたマルチプラットフォーム・アプローチを追求していることを示している。Waymoの現在の配車サービス車両は、Jaguar(ジャガー)のI-PacesとChrysler Pacifica(クライスラー・パシフィカ)のハイブリッド構成で、アリゾナ州フェニックスで自律走行による乗車を提供している。また、 Fiat Chrysler automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)を傘下に持つStellantis(ステランティス)との提携を拡大し、ローカル配送サービスも行っている。Waymoの広報担当者によると、吉利との計画によるWaymoの既存の提携への影響はないとのことだ。

Geelyが2021年3月に立ち上げた高級EVブランドZeekrは11月、初のプレミアムモデルである洗練されたクロスオーバーを中国で発売した。Waymoのバージョンは、レンダリング画像ではミニバンのような外観で、スウェーデンのヨーテボリでカスタム設計とエンジニアリングが行われている。米国に出荷された後、Waymoがライダー、センサー、カメラなどのハードウェアとソフトウェアを含む同社のDriverを車両に統合し、自社の配車サービスフリートで展開する予定だと同社は話している。

関連記事:中国自動車メーカーGeelyがTeslaら対抗でラグジュアリーなEVブランド「Zeekr」を立ち上げ

Waymoのブログ記事によると、Zeekrの車両は「ライダーファースト」に設計されていて「よりアクセスしやすいフラットフロア、Bピラーレス設計による容易な乗降、低い踏み込み高、ゆったりした頭上と足元のスペース、完全に調節可能なシート」を備えている。完全なドライバーレス化を見据えてハンドルやペダルがない代わりに、ゆったりとくつろげるよう頭上と足元のスペースは十分に確保され、リクライニングシートやスクリーン、充電器も手の届くところに設置される。

Cruise(クルーズ)やArgo AI(アルゴAI)など他のAV企業も、専用の配車サービス用EVの計画を明らかにしている。Cruiseは2020年、ライドシェア向けのOriginを発表した。9月にはArgoとVolkswagen(フォルクスワーゲン)が共同開発した自律走行バンのID Buzz ADの計画を明らかにし、2025年にドイツのハンブルクで自律走行配車プールシステムの一部として商業展開する予定だ。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

サイクリストの安全性のために自動運転車が守るべき基準を同技術のArgoが発表

自動運転車技術を提供するArgo AI(アルゴAI)が、権利擁護団体のLeague of American Cyclists(LAB)と共同で、自動運転車がどのようにサイクリストを識別し対応すべきかについて示すガイドラインを作成した。自動運転業界がテスト段階から商業化へと移行し、今後数年でより一般的になろうとしている今、他のAV企業が模範とできるような基準を設定しようというのが目的である。

関連記事:Cruiseがサンフランシスコで無人運転ロボットタクシーサービスを開始

世界保健機関(WHO)の推計によると、毎年4万1000人のサイクリストが道路交通関連の事故で死亡している。自動運転車により大幅に減ると期待されている衝突事故だが、優れたコーディングがなければそれが叶うことはない。自動運転車は、発生し得る物体や状況を分類および特定する膨大なデータベースから学習する仕組みだが、Argoのガイドラインでは自転車、自転車用インフラ、自転車法に特に留意してモデルをトレーニングすることを重視している。

Argo AIの社長兼共同創業者であるPeter Rander(ピーター・ランダー)氏は声明の中で次のように話している。「コミュニティメンバーとの信頼関係を構築し、一貫した安全な行動によってサイクリストに安心感を与えられる自動運転システムを開発するための、当社の献身的な取り組みの一環としてこのガイドラインを作成しました。他の自動運転車開発者にもこのガイドラインを採用してもらい、リスクの高い道路利用者とのさらなる信頼関係を築いていきたいと考えています」。

現在、米国およびドイツの一部で自動運転テスト車両を運行しているArgoは、LABのコミュニティと連携して一般的なサイクリストの行動や車との関わり合い方ついての聞き取りを実施。ArgoとLABは、自動運転システムがサイクリストを検知し、サイクリストの行動を予測し、安定した運転を行うための6つの技術ガイドラインを策定した。

関連記事:ウォルマートがフォード、Argo AIと共同で自律走行車の配送サービスを開始

サイクリストは明確な対象クラスであるべき

サイクリストを個別のジャンルとして扱い、分類すれば、自動運転システムが学習すべき多様な自転車画像が収集できる。システムはさまざまな位置、方向、視点、速度の自転車画像を使って学習する必要がある。またこれにより自転車やライダーの形や大きさの違いも把握できるようになるとArgoは伝えている。

「スクーターや歩行者とは異なり、自転車の動きには自転車ならではの特徴があるため、自動運転システム(SDS)が自転車を正確に検出し、知覚システム内のコアオブジェクトとして自転車を指定する必要があります」と同社はいう。

サイクリストの典型的な動きを読む

自転車は予測不可能な動きをするものである。車線を超えたり、自転車をひいて歩いたり、道路上の障害物を避けるためにちょこちょこ動き回ったり、一時停止の標識で止まったり、歩道から道路に飛び出したりと、その動きはさまざまだ。優れた自動運転システムは、彼らの意図を予測するだけでなく、それに応じた対応を準備しておく必要があるのである。

「SDSには、サイクリストのあらゆる動きを把握した、サイクリストに特化した行動予測モデルを活用する必要があります。自動運転車がサイクリストに遭遇した場合、サイクリストが進路に選択するであろう複数の軌道を生成し、SDSがサイクリストの行動をより適切に予測して対応できるようにするのです」。

自転車インフラと地域の法律を地図上に表示

自動運転システムでは、周囲の環境を把握するために高精細な3Dマップを利用することが多い。Argoはその環境の一部として、自転車インフラや自転車に関する地域や州の法律が表示されるべきだと考えている。これにより、自転車レーンを塞いでいる停車中の車を避けるために車線に入ってきたり、赤信号を無視したりする自転車の動きを自動運転システムが予測し、自転車レーンから安全な距離を保つことができるというわけだ。

サイクリストから見たシステムの動きは一貫性があり理解しやすく、安全性が高くなければならない

サイクリストがAVの意図を明確に理解できるように、自動運転技術はごく自然な動きをするべきである。追い越しや合流、曲がる準備をする場合に、片側の車線を走行しながら車両の位置を調整したり、方向指示器を使用したりするというのがその例である。

また自転車の近くを走行する場合は「現地の制限速度に応じた保守的で適切な速度を守り、現地の法律と同等以上の幅を保ち、その幅と速度を維持できる場合にのみ自転車を追い越すべき」とArgoは伝えている。

また、自動運転システムは自転車が転倒した場合に備え、車を止めたりそらしたりできるよう自転車と一定距離を保つべきである。

不確実な状況に備え、積極的に減速する

自動運転システムは自転車の意図、方向、速度の不確実性をよく理解する必要があるとArgoは考えている。例えば、車両と反対方向に走行している自転車が同じ車線を走っている場合なら、車両が減速するように訓練すべきだと同社は提案している。

実際、自動運転システムは、不確実な状況のほとんどのケースで車両の速度を下げ、可能であれば車両とサイクリストの間に距離を置くべきだ。特に自転車を対象としていない場合でも、不確実な場合に速度を落とすというのはAV開発の世界ではすでにかなり標準的なことになっている。

サイクリングシナリオのテストを継続

自動運転の安全性を向上させるには、テストを継続的に続けるというのが一番の近道だ。自動運転技術の開発者は、自転車に特化したバーチャルテストとフィジカルテストの両方を継続すべきだとArgoとLABは提案している。

「バーチャルテストプログラムは、シミュレーション、リシミュレーション、プレイフォワードという3つの主要なテスト手法で構成され、自律走行車とサイクリストの関わり合い方を常に徹底的にテストする必要があります。これらのシナリオは、車両とサイクリストの行動の変化に加え、社会的背景、道路構造、視界の変化なども考慮する必要があります」。

通常、クローズドコースや公道で行われるフィジカルテストとは、開発者がシミュレーションを検証し、システムがバーチャルと同じように現実世界で動作することを確認するためのものである。Argoは、開発者がAVをテストする際には可能性の高いシナリオだけでなく「エッジケース」と呼ばれる稀な状況も想定すべきだと考えている。多くの都市の複数の公道でテストを行い、多様な都市環境からシステムを学習させることで、レアケースとコモンケースの両方を生成することができるのである。

安全性を極め、世間に受け入れられるために

より多くのAVが道路を走る日を迎えるためには、社会から受け入れられるという大きなハードルを越える必要があるが、現時点で自動運転車両の安全性に納得している人はさほど多くない。実際、市場調査会社Morning Consult(モーニング・コンサルト)の調査によると、約半数の人がAVの安全性は人間が運転する車に比べてやや劣る、あるいはかなり劣ると答えている。

自動車をすべての道路利用者にとって安全なものにするというのは、単なる前半戦に過ぎない。Argo AIのような企業は、人々が自分たちの車を安全だと信じてくれるように説得しなければならないのである。そのためには、業界全体で安全対策を標準化することが1つの方法なのかもしれない。

画像クレジット: Jared Wickerham/For Argo AI

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

AIチップメーカーのKneronが自動運転の推進に向けて約28.4億円調達

AIチップは機械学習を加速する半導体であり、多くのアプリケーションがある。Albert Liu(アルベルト・リュー)氏によると、将来性のあるユースケースの1つが自動運転車への利用だという。

リュー氏のAIチップ生産スタートアップKneronは、秘かに投資を集めて、スマート交通分野に進出しようとしている。同社はこのほど2500万ドル(約28億4000万円)の新たな投資ラウンドを完了したが、それは主に、台湾の光電子工学のパイオニアであるLite-On Technologyを戦略的投資家として迎え、その他の投資家にはAlltekやPalPilot、Sand Hill Angels、Gaingelsなどとなる。

2015年の創業以降、Kneronの総調達額は1億2500万ドル(約142億1000万円)を超えた。サンディエゴと台北を拠点とする同社は、香港の大物Li Ka-Shing(李嘉誠)氏のHorizon VenturesやAlibaba、Qualcomm、Sequoia、Foxconnなど多くの著名投資家たちを集めている。中でもFoxconnは世界最大のエレクトロニクスメーカーであり、Appleのサプライヤーだ。

関連記事:クアルコム出資のチップメーカーKneronがフォックスコンからも資金を調達

先にリュー氏が語ったところによると、同社は2023年に黒字化するため、上場の「好機」だという。最近、彼はIPOについてあまり語らなくなったが、上場は米国で行なうという。

Qualcommでコンピュータービジョンを手がけていたリュー氏は、インタビューで「自動運転のL4とL5はクルマだけの問題ではなく、路側のAIも重要です」と述べている。

Kneronへの最新の投資は、同社が先進運転支援システム(ADAS)と自動運転車向けの最初の自動車グレード半導体をリリースした直後にやってきた。

近くの車両と通信できる路側ユニットがあれば、例えば救急車は交差点で停止する必要がない。このようなインフラは、米国よりも交通事情が複雑なアジア諸国では特に有効であると、リュー氏はいう。

この戦略的投資を通じて、KneronとLite-Onは、KneronのエッジAIチップを搭載したロードサイドAIボックスを共同開発する。

このスタートアップのチップは「再構成可能」であり、ソフトウェアの柔軟性とハードウェアの高速性を兼ね備えている。自動車の場合、同社のシリコンは、車内の大型AIエンジンにも、クルマの外装に重ねた小型センサーの電源にも使えると、リュー氏は説明し、以下のデモ動画でも紹介している。

 

Kneronは、現在30社の企業顧客から毎月300万〜400万ドル(約3億4000万〜4億5000万円)の収益を得ており、収益の30〜40%は米国からのものだ。

同社は、業界のパートナーとの深い提携関係を築いている。5月には、Delta Electronicsの子会社であるVivotekから画像信号処理装置のVaticsを買収することに合意している。KneronはFoxconnを戦略的投資家としてカウントしており、電気自動車向け製造プラットフォーム「MIH」は同社のチップが採用されている。

画像クレジット: KneronAdventr

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)