ウェルネスとデジタルサイケデリックのXRプラットフォームTrippが世界最大のVR瞑想コミュニティEvolVRを買収

カリフォルニアに拠点を置く「ウェルネスとデジタルサイケデリックのXRプラットフォーム」、Tripp(トリップ)は買収による成長路線を継続し、世界最大のVR瞑想コミュニティであるEvolVR(エボルVR)を買収した。これは2021年のPsyAssist(サイアシスト)の獲得に続くものだ。PsyAssistは、サイケデリック体験を続けるために使うモバイルアプリである。今回の買収によって同社は、ポケモンGOメーカー、Niantic(ナイアンティック)の新しいツールキットであるNiantic Lightship(ナイアンティックライトシップ)の立ち上げパートナーの一員として、拡張現実(AR)体験に取り組んでいることが明らかになった。

EvolVR(創設者はユニテリアンユニバーサリストの牧師および瞑想インストラクター)は、VRで活動する世界初・世界最大の瞑想コミュニティであると主張しており、4万人を超える人がVRマスクを着けて瞑想に入っているとのことだ。Trippも負けてはいない。同社は、350万を超えるウェルネスセッションを行ってきたと主張している。「瞑想術、フロー誘発ゲーム、バイノーラル音声と呼吸のエクササイズ」を組み合わせて、不可思議な感覚を吹き込み、ユーザーの感じ方を変えるのだ。こうしたセッションは、リラックスと調和に役立つように考案されているが、サイケデリック体験の促進に使用することもできる。

コミュニティを重視する組織を買収して支持者の規模を拡大すれば成長を大きく促進できるが、当然ながら、すべてのコミュニティが「買われる」ことに賛成であるとは限らない。特に、買い手が移行期間に荒っぽいことをすればそうである。TrippのCEO兼創業者であるNanea Reeves(ナネア・リーブス)氏と話して、買収の背景が少しわかった。また、高揚感を得られるVR・瞑想・スピリチュアリティ・サイケデリックのマッシュアップとして次に来るものを知ることもできた。

Trippという名前について尋ねないわけには行かなかった。名前の由来は?サイケデリックとの関係は?

「体験としては、サイケデリックというよりVRです。Oculusの開発キットが初期段階の頃、誰もが四六時中VR体験をしていました。ヘッドセットを外して、『すごい、まさにTrippだ!』と言ってました。ある現実があってそれに気づくという体験をして、それから別の現実も体験することには、何かがあります。もちろん、薬物を使ってもそういう体験はできますが、VRにはそれ自体にそういうメカニズムがあります。そこから名前がひらめきました」とリーブス氏は説明している。

TrippのCEO兼創業者ナネア・リーブス氏(画像クレジット:Tripp)

「先方が当社のサイケデリックな面について知ったのは、当社が消費者向け製品を発売した後でした。私たちがしていることにサイケデリックコミュニティから大きな関心が寄せられ、ケタミンを使うクリニックなどでは当社の消費者向け製品がオーガニックな方法で採用されていることがわかりました。私たちは、それを臨床分野への進出の機会と見ることにしました。(苦痛緩和ケアやサイケデリック療法において)臨床展開に取り組む方法はいくつかあると思います。不安を和らげる治療に備える方法や治療後のサポート方法に大いに力を入れていきたいと思います」。

「当社には、別の取り組みと、サイケデリックなメンタルヘルスの手順を対象としたPsyAssistというアプリケーションバンドルがあります。当社はこれらの分野で支援を行うことができます。2022年の前半に、現時点ではケタミン限定のパイロット試験をいくつか行う予定です」。

「私たちと消費者の最も意味深い関わり合いのいくつかは、人生の終わりに臨んで当社の製品を使用する人との関わり合いであることがわかりました。そうした人にメリットがあった、つまり自分が身体的に経験していることから気持ちを紛らすことができたというだけではありません。家族や世話をする人も、Trippの体験を通してストレスを解消できました。当社のツールキットやアプリがさまざまな点でどのように役立ったか報告してくれるユーザーのフィードバックを見ると、起業家としてそれ以上求めるものはありません。努力によって実際に人々の状況が良くなっていることがわかるからです」。

EvolVRの買収

同社はMayfield(メイフィールド)が取りまとめたラウンドで400万ドル(約4億6200万円)を調達し、その後2021年6月にサイケデリックライフサイエンスを重視する投資会社Vine Ventures(バインベンチャーズ)とMayfieldが取りまとめたラウンドで1100万ドル(約12億7000万円)を調達した。同社は、変革的な体験を実現するために臨床分野とコミュニティ構築を並行して追求することを計画している。EvolVRの買収は明らかに、その課題の中のコミュニティ分野である。

Trippは、2022年の終わり頃にAR製品を発売するために、ナイアンティックライトシップのプラットフォームに取り組んでいる(画像クレジット:Tripp)

「私は、EvolVRのコミュニティについていくつか気づいたことがあります。私はよくVRで人に会っていましたが、彼らはJeremy(ジェレミー)[Nickel(ニッケル)氏、EvolVRの創設者]の話をずっとしていることがよくありました。それがアバターのグループでの瞑想を強制することになるとは思いませんでしたが、私は続けて、特にパンデミックの時期に彼らの瞑想をいくつか試してみました。彼らが案内付きの瞑想体験をしているのが気に入りました。私と一緒に瞑想体験をしている別の人がいるのを感じました」とリーブス氏は説明している。「Electronic Arts(エレクトロニックアーツ)にいたとき、私はゲーム中毒のコミュニティの状況や、彼らが女性に優しくないことがわかりました。EvolVRでは、瞑想グループのリーダーが安心できる場を作っているのがわかりました。彼らは、私が良い印象を受けるようにグループをリードする方法を心得ていました。誰かが煽っても、効果はありませんでした。メタバースが拡大するときも、嫌がらせを無視できる場があることは大切です。私たちは、そうした配慮の行き届いた落ち着ける場を作って、自分自身と他の人とのつながりを深めるお手伝いができます」。

「ジェレミーと私は(買収を)内密にしてきました。彼は、コミュニティの人たちは買収を喜ぶだろうと思っています。私たちは、ジェレミーの14人の瞑想リーダーと意思の疎通を図る必要があります。彼らも私たちの傘下に入るからです。私たちは、配慮の行き届いたメタバースとはどのようなものか、考える努力をしています」。

買収の結果、EvolVRはどう変わるか?

「私はこの買収を記念したいと思っています。2つのコミュニティが一緒になって、アンビエント音楽のDJイベントとローンチパーティーを開くことを考えていました。私たちは、本当にクールなことをしようと思ってわくわくしています」とリーブス氏は語る。「プログラミングの観点からは、単なるグループ瞑想の枠を超えたいと思っています。サウンド入浴を手がけたいと考えています。呼吸法も手がける予定です。アンビエント音楽の『エクスタティックダンス』で体を動かすイベントを行う方法についてアイデアがいくつかあります。VRの抽象的な概念を使ってコミュニティとの調和をサポートするすばらしい機会があります。VRの申し分のない使用事例です。不名誉なことは避けて、自分の家でこっそりできます。きまりの悪い思いをすることはあまりなく、それでいてメリットがあります」。

Trippのプラットフォームを試してみた。慣れるのに少しかかりますが、とてもリラックスできる。写真は私ではない(画像クレジット:Tripp)

「(Trippの)支持者の幅広さにとても満足しています。私たちの支持者の大多数はミレニアル世代で、X世代がとても大きな2番目の世代です。支持者の約8パーセントは65歳以上です。VRはまだ共有のデバイスで、家族全体で使われています。例えば宿題をする前に集中力を高めるのに役立つよう子どもにTrippを使わせているという声もあります。ゆくゆくは、ほとんどの人がデータに対応したヘッドマウントディスプレイを使うようになることを期待しています。理想では、感情的な健全性を管理するお手伝いをしたいと思っています。そこから、依存症ケアや苦痛緩和ケアのような使用事例を対象にすることができます。実際のところ、主なメリットは、その時その時の感じ方に力を作用させるのに役立つということです」。

「音声だけの現行世代の瞑想アプリで、人々はますます快適に解決策を探していると思います。それを次のレベルに持っていくお手伝いができると思います。そうすれば、そのレベルのあり方を体験できます。私の目標を挙げるとすれば、必要な時に利用できるセルフケアの決まったツールキットを継続的に提供することです」。

今回の買収は現金と株式の組み合わせだったが、Trippは取引の詳細を開示していない。

画像クレジット:Tripp

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

暗号資産企業Circle、SPACとの取引見直しで評価額が2倍の約1兆350億円に

暗号資産企業のCircle(サークル)は、上場している特別買収目的会社(SPAC)のConcord Acquisition Corp.とのこれまでの契約を解消したことを発表した。同時に、Concord Acquisition Corp.と新たな合併に向けた契約を締結した。この取引が成立すれば、Circleは90億ドル(約1兆350億円)の評価額で上場企業となる。

もともと2021年7月に発表されたこの合併は、2021年第4四半期に完了することになっていた。そして、Circleは45億ドル(約5180億円)で評価された最初の取引に満足していなかったようだ。同社は2022年4月3日の終了日を待たずに契約を破棄し、新たな契約を交わした。

CircleはCoinbase(コインベース)とともにCentreコンソーシアムの創設メンバーの1社としてよく知られている。このコンソーシアムは、人気のステーブルコインのUSDコイン(USDC)の管理を担当している。どの時点でも、1USDCは常に1米ドルの価値がある。

その裏付け資産は、現金、現金同等物、短期米国債のみだ。それらの準備金は、監査法人によって定期的にチェックされている。この方法では、暗号資産の変動にさらされることはないが、コードを使用して1つのウォレットから別のウォレットにお金を送ったり受け取ったりすることができる。それは通常の暗号資産取引のように機能する。

USDCはいくつかの異なるブロックチェーンで利用可能だ。各ブロックチェーンは、手数料、スピード、利便性に関してあなたが探しているものに応じて、異なる利点と欠点を提供する。USDCは現在、Ethereum、Algorand、Solana、Stellar、Tron、Hedera、Avalanche、Flowで利用できる。

そして、USDCの利用は急速に増えている。2021年7月、Circleは250億ドル(約2兆8760億円)相当のUSDCが流通していると発表した。その数字は、USDCの流通額が525億ドル(約6兆400億円)に達し、2倍以上になっている。

Circleは、準備金関連の収入に加え、複数のAPIや利回り商品を提供している。例えば、簡単なAPIコールで決済を処理し、支払いを促すことができるようサポートしている。カード決済、銀行送金、ACH(電子小切手決済)など、多くの古典的な支払い方法に対応している。

開発者は、それらのサービスを活用して、暗号資産製品の出入り口を作ることができる。そして、それらの「取引と財務サービス」は、Circleの収益の大部分を生み出している。Circleの取引とトレジャリーサービスを使用している企業にはDapper Labs、Compound Labs、FTXなどが含まれる

直近では、CircleはCircle Yieldの提供を開始した。Circle Yieldを利用する企業は、1〜12カ月の短期投資を通じて確定利子を得ることができる。また、Circleは株式クラウドファンディングのプラットフォームであるSeedInvestを所有していることも注目すべき点だ。

Circleがこの新しい取引で最終的に上場するかどうか見てみよう。TechCrunchのAlex Wilhelmが2021年書いたように、Circleは今後まだ成長ポテンシャルがあると考えている。過去の収益に賭けるのではなく、同社は投資家に将来の機会に賭けて欲しいと考えている。

画像クレジット:Chaitanya Tvs / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

放射線科のITを根本から再構築するNinesのAIアルゴリズムをSirona Medicalが買収

デジタル放射線科のための「OS(オペレーティングシステム)」を開発しているSirona Medical(シロナメディカル)は、米食品医薬品局(FDA)が認可した分析およびトリアージのアルゴリズムの開発元Nines(ナインズ)を買収した。この買収は、AIを使った放射線技術がやや不安定な時期に行われた。しかし、Sironaはこの動きによって「臨床ワークフローにAIを導入するためには、物事を一から作り直す必要がある」という同社の考えが証明されることに賭けている。

SironaとNinesがどの部分で一緒になってうまくいくのかを理解するには、放射線治療の背後にあるITをレイヤーケーキに見立てて考えるといい。そのケーキの最初の層は、医療画像データベースでできている。2つ目の層は、閲覧や報告のソフトウェアなど、放射線科医が日常的に接するソフトウェアだ。3つ目の層は、これらの画像のパターンを検索したり、医師の意思決定を支援したりするAIアルゴリズムで構成されている。

Sironaの主力製品であるRadOSは、この下の2層をまとめ、その上にAIアルゴリズムを重ねられるようにすることを目指していて、NinesのAIはの下の2層で大きな進歩を遂げた。

Ninesは、実際に医師の意思決定をサポートできるとするアルゴリズムを作り出した。そのうちの1つは、科学者が肺の結節(異常な増殖)の大きさを測定し、呼吸器疾患の発見に役立てるというアルゴリズムだ。もう1つのアルゴリズムは、脳のCT画像を分析し、頭蓋内出血や腫瘤の兆候を検出するものだ。医師が患者をトリアージするのを支えることを目的としている(両アルゴリズムともFDAの510(k)認可を取得している)。

RadOSプラットフォーム(画像クレジット:Sirona Medical)

今回の買収は、臨床医のワークフローにアルゴリズムを真に統合するためには、第1層と第2層を統合する必要があるからだとSirona MedicalのCEO、Cameron Andrews(キャメロン・アンドリュース)氏はTechCrunchに語った。RadOSは、その問題を解決する準備ができているという。

ヘルスケア分野におけるAIは、最近混迷を極めている。一方で、1月にIBM Watson Healthがスピンオフし、AI放射線科の楽観論者に打撃を与えた。しかし、熱意は冷めていない。同じ月に米国最大の外来画像診断プロバイダーであるRadnet(ラドネット)は、がん、肺疾患、神経変性のAI画像解析に投資する2社を買収した。

そして、誰もが触れない点がある。それは、期待されるAI放射線科革命は、まだ到来していないということだ。米放射線学会の会員約1400人を対象に2021年に行われた調査で、現在臨床でAIを使用している放射線科医はわずか30%であることが明らかになった。AIを使用していない人の20%は、5年以内の新AIツール購入を計画していた。

Sironaの主張は、放射線科でのAI活用を阻んできた問題は、業界のレガシー技術に深く食い込んでいるというものだ。前述の「層」はすべて一緒に機能するように設計されていない。

臨床支援アルゴリズムを追加する前でさえ、放射線科医はすでに3つか4つの異なるソフトウェアで作業している、とアンドリュース氏は話す。そして、AI機能を採用した新しいソフトウェアを追加しようとすると、それらのソフトウェアにさらに別のものを追加しなければならない。「Radiology Artificial Intelligence」のあるレビュー論文によると、堅牢なAIソフトウェアは、個々のワークステーションにベンダー固有のソフトウェアをインストールする必要があるとのことだ。このプロセスは、新しい技術を採用する際に複雑さをさらにもたらすことになる、と同論文は指摘している。

「私たちは、基礎となる放射線科ITスタック自体、そしてより広範な基礎となるイメージングITスタックは、放射線科医が抱えるタスクと、サードパーティのAIおよびソフトウェアベンダーが今後10年間に要求するタスクの両方を根本的に処理できないと認識しました」とアンドリュース氏は述べた。

そう考えると、SironaがNinesを買収したことで、それらのトップ層のアルゴリズムがRadOSに統一されることになる。それは医師にとって、実際にどのような意味を持つのだろうか。注釈付き画像からレポートへのシームレスな移行が可能になる、ということだ。肺結節をクリックし、Ninesのアルゴリズムで測定し、さらにクリックすれば、その測定値をレポートに反映させることができる。

「これは、とてもシンプルです。しかし、それにもかかわらず「実現不可能でした」とアンドリュース氏はいう。

RadOsのプラットフォームを利用したメモ帳アプリケーション

「AIやコンピュータビジョンは、ピクセルと言葉を関連付ける能力であり、自然言語処理は、言葉をピクセルそのものに関連付ける能力です」と同氏は説明する。「報告書を作成するためのソフトウェアと画像を見るためのソフトウェアが機能的に分離しているため、このような双方向の接続を今日実現することはできません。そして、それらはアルゴリズムから完全に分離されているのです」。

SironaはNinesの臨床データパイプライン、FDA認可の2つのアルゴリズム、機械学習エンジン、放射線科ワークフロー管理・分析ツールのみを買収した。興味深いことに、同社はNines AIの遠隔放射線の部門を買収していない。Ninesはリモートで働く放射線科医も雇用しており、その専門知識を病院やクリニックに提供している。

Sironaは「放射線科サービス事業を行っていない」ため、遠隔放射線部門はSironaになじまなかったと、アンドリュース氏は話した。しかし、同氏買収の詳細を明らかにするのは却下した。

今回の買収の発端は、投資家の重複と相互のつながりにある。8VCは両社に出資していて、SironaはNinesの投資家であるAccel Partnersとつながりがある。Sironaはこれまでに6250万ドル(約72億円)を調達している。

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(文:Emma Betuel、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォルクスワーゲンがファーウェイの自動運転部門を買収する方向で交渉中との報道

自動運転の分野で、2つの大企業の「結婚」が見られるかもしれない。Volkswagen(フォルクスワーゲン)がHuawei(ファーウェイ)の自動運転部門を数十億ユーロ(数千億円)で買収するためにHuaweiと交渉していると、ドイツの月刊ビジネス誌Manager Magazinが2月17日に報じた

HuaweiはTechCrunchの取材に対し、直ちにコメントすることはできないと述べた。VW Chinaもノーコメントとした。

合併の可能性は強力なものになる。Huaweiの自動運転部門は、通信機器とスマートフォンの巨人であるHuaweiが2019年に立ち上げたばかりの「スマート・ビークル・ソリューション」事業部門の下に位置する。smart car BUの設立は、Huaweiが自社で自動車を開発するのではないかとの多くの憶測を呼んだが、同社は製造計画を繰り返し否定し、代わりに「中国のBosch(ボッシュ)」に、つまり自動車ブランド向けの部品供給業者になりたいと述べた。

Huaweiは、少なくともこれまでのところ、この戦略を堅持しているようだ。深センに拠点を置く同社は2021年、中国の自動車メーカーBAIC傘下の新しい電気自動車ブランドであるArcfoxの量産セダンにプリインストールされた自動運転ソリューションを展示した。Huaweiは、この電動セダンのチップセットと車載OSを供給した。

VWにとって、自動運転機能を持つテック企業は、明日の自動車を作るという野望を前進させるのに役立つかもしれない。実際、VWはFord(フォード)とVWが出資するピッツバーグ拠点のスタートアップArgo AI(アルゴAI)と提携している。2021年9月、この2社は共同開発の最初の製品である自動運転電動バンを発表した。

2020年時点で最大の市場である中国で、VWが同様の技術パートナーを探していたとしても、誰も驚かないだろう。中国の自動運転車企業の多くは、すでに自動車メーカーと深い関係を築いており、Baidu(バイドゥ)はGeely(ジーリー)とDidi(ディディ)はBYDとジョイントベンチャーを結成している。

今回の買収報道は、HuaweiのAVチームにとって微妙な時期でのものだ。同社の自動運転プロダクトの責任者だったSu Jing(スー・ジン)氏は、Tesla(テスラ)のAutopilotの致命的な事故が「人を殺す」と非難した後、1月にHuaweiを去った。この発言について、Huaweiは「不適切なコメント」とした。

退社後、スー氏の次の一手は多くの憶測を呼んだ。わかっているのは、スー氏がロボタクシーを嫌っていることだ。2021年のインタビューで、歯に衣を着せないこのエグゼクティブは「ロボタクシーを最終的な商業目標とする企業は絶望的です。ロボタクシーを提供できるのは、乗用車に取り組んでいる企業でしょう。そのマーケットは間違いなく私のものになります。まだそうなっていないだけです」。

Huaweiの自動運転事業の買収は、決して安くはないだろう。同社のスマートカー部門は、2021年に研究開発に総額10億ドル(約1150億円)を費やす計画だった。また、スタッフ5000人を誇る研究開発チームの構築を目指していて、そのうち2000人超が自動運転に専従している。ここで疑問がある。Huaweiはすでにスマート運転に多額の投資をしており、顧客も増えているなかで、なぜこの芽生えつつある事業を手放すのだろう。

画像クレジット:Arcfox Alpha S powered by Huawei

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

Spotifyがポッドキャスト測定、分析企業のPodsightsとChartableを買収

米国時間2月16日、Spotify(スポティファイ)はポッドキャスト関連の買収を新たに2件発表した。今回は2つともビジネスの測定と分析に関わるもので、ポッドキャスト測定サービスのPodsights(ポッドサイツ)と分析プラットフォームのChartable(チャータブル)を買収する。買収金額は公表していない。

Spotifyの説明によれば、ポッドキャストの広告主にとって測定と属性はまだ明らかになっていない最大の問題で、これをPodsightsの買収によって解決したいという。まずはPodsightsのテクノロジーを利用して、Spotifyの広告主がポッドキャストの広告による影響と行動をもっと正確に測定できるようにする。ただし将来的には、音楽の間に流れるオーディオ広告、ビデオ広告、ディスプレイ広告といった他の広告フォーマットにも測定ツールを広げたい考えだ。

Podsightsに勤務する40人のフルタイムの従業員は全員、1つのユニットとして統合されてSpotifyにジョインする。Spotifyによれば、現時点でこのチームを再編する予定はないという。

もう一方のChartableはMegaphone(メガフォン)に追加される。ラジオ放送局が番組をポッドキャストに変換できるようにするWhooshkaa(ウーシャカア)の買収に続くものだ。Chartableは聴取者に関するインサイトとプロモーションのツールであるSmartLinksとSmartPromosをMegaphoneと統合し、ポッドキャスターがリスナーベースを詳しく知ってビジネスを成長させることに貢献する。

ChartableがMegaphoneと完全に統合されたら、SpotifyはスタンドアローンのChartableプラットフォームを終了する。ただしそれまでは、新規と既存の両方のパブリッシャーと広告主が引き続きクライアントとしてChartableプラットフォームを利用できる。

ChartableはPodsightsより小規模で従業員は11人だが、Spotifyはこちらもすぐに何らかの変更をする予定はないとしている。

これらの独立した企業がSpotifyの社内に取り込まれることに対する懸念があるかもしれない。しかしSpotifyは、ポッドキャストのブランドや代理店といったクライアントからの信用を維持するために、今後しばらくはPodsightsのチームはSpotify社内の他のサービス機能からは独立して運営するとしている。

Spotifyの名前はここ数週間、独占契約で配信しているJoe Rogan(ジョー・ローガン)氏のポッドキャストが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の誤情報を拡散しているとしてメディアに取り上げられている。これが反発を生み、Neil Young(ニール・ヤング)氏など複数のアーティストが抗議としてSpotifyから自分の音楽を引き上げた。しかし今のところこのような批判は、ポッドキャストおよびポッドキャストのテクノロジーに投資するというSpotifyの全般的な計画には影響していない。同社は、ポッドキャストには長期的に見て売上を加速する可能性があると考えているからだ。

Spotifyのコンテンツ&広告ビジネス最高責任者であるDawn Ostroff(ドーン・オストロフ)氏は発表の中で次のように述べている。「我々はまだデジタルオーディオの初期段階にいて、この分野における広告の可能性は計り知れないほど大きいと考えています。ポッドキャストテクノロジーのプレイヤーであるPodsightsとChartableの買収は、我々がデジタルオーディオを次のレベルへと進めるための重要なステップで、広告主とパブリッシャーのそれぞれに大きな影響があることは明らかです」。

Spotifyは比較的小規模なテック企業を買収する際の金額をすぐには公表しない傾向があるが、後になってSEC提出書類でわかることはしばしばある。例えば、2021年6月にポッドキャスト発見企業のPodz, Inc.(ポッズインク)を4500万ユーロ(約58億8600万円)で買収したことを明らかにした。買収後にSpotifyのライブオーディオプラットフォームであるGreenroom(グリーンルーム)になったBetty Labs(ベティ・ラボ)の買収金額は5700万ユーロ(約74億5600万円)だった。Megaphoneはポッドキャスト関連の買収としては最大規模で、1億9500万ユーロ(約255億600万円)だった。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

AkamaiがLinodeを1040億円で買収

米国時間2月15日、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)のプロバイダーとして知られ、セキュリティやエッジコンピューティングのサービスも提供しているAkamai(アカマイ)が、Linode(リノード)の買収発表した。買収金額は9億ドル(約1040億円)で、AkamaiはLinodeが2022年の会計年度中に約1億ドル(約115億6000万円)の収益をもたらすと予想している。

2003年にローンチしたLinodeは、手頃な価格で仮想プライベートサーバー(VPS)をレンタルできるサービスとして、瞬く間にその名を広めた。それは、AWSがクラウドコンピューティングを流行語にする少し前のことだが、当時は自分のウェブサイトや基本的なウェブアプリをホストするには、VPSが適していたのだ。それ以来、ハイパークラウドやDigitalOcean(デジタルオーシャン)のような競合他社が出現し始めたため、Linodeは提供するサービスを拡大し続けた。競合他社とは異なり、Linodeは自己資金で創業し、外部からの資金調達を一切行わなかった。

現在、Linodeは開発者が期待するようなすべてのコアクラウドサービスを提供している(初期のVPSプロバイダーのほとんどがそうしている)。これには、計算処理だけでなく、ブロックおよびオブジェクトストレージ、マネージドデータベース、ロードバランサー、そして最近では、コンテナ化されたアプリケーションを実行するためのマネージドKubernetesサービスも含まれている。

画像クレジット:Linode

Akamaiによれば、この買収は「クラウドからエッジまで、世界で最も分散されたコンピュートプラットフォームになる」ためだという。

AkamaiのCEOで共同創業者であるTom Leighton(トム・レイトン)博士は発表の中で「Linodeの開発者フレンドリーなクラウドコンピューティング能力と、市場をリードするAkamaiのエッジプラットフォームおよびセキュリティサービスを組み合わせる機会は、Akamaiに変革をもたらします」と述べている。さらに彼は「Akamaiは20年以上にわたってエッジコンピューティング事業のパイオニアでしたが、本日クラウドからエッジまでのアプリケーションを構築、実行、および確保するための独自のクラウドプラットフォームを生み出すことで、弊社の歴史に新しいページを加えられることに興奮しています。これは開発者にとって大きな勝利です。開発者は、これまでにないスケール、リーチ、パフォーマンス、信頼性、セキュリティを提供するプラットフォーム上で、次世代のアプリケーションを構築することができるようになるのです」と続ける。

Linodeは当面はこれまで通りの運営を続ける予定で「私たちを成功に導いたものを(Akamaiは)変えるつもりはありません」と述べている。

Linodeの創業者、Christopher Aker(クリストファー・エイカー)氏はこう語る「AkamaiとLinode の間には、互いの使命や文化だけでなく、持ち寄れる強みを組み合わせることで生まれる自然な相乗効果があります。Linode のコンピュートおよびストレージ製品と、アカマイのサーバーレス、CDN、およびセキュリティソリューションを組み合わせることで、お客様は次世代のアプリケーションを構築、更新、拡張するための幅広いサービスを利用できるようになるのです」。

Linodeとは異なり、Akamaiはこれまで開発者向けのセルフサービス型 SaaS 製品をあまり提供してこなかったが、いまや市場ではかなり期待されている。今回の買収によって、Akamaiは、過去に多少のセキュリティ上のミスはあったものの、多くの開発者から長年にわたり本業・副業を問わず利用されてきた高評価の企業を手に入れ、この分野の足場を固めることになる。

今後の計画については、両社に問い合わせているところだ。

画像クレジット:Suzanne Kreiter/The Boston Globe via Getty Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

インテル、タワーセミコンダクターを約6250億円で買収、カスタムファウンドリ戦略を構築へ

Intel(インテル)のCEO、Pat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏は、2021年3月に同社のファウンドリ戦略を発表した際、これをIDM(Integrated Device Manufacturing、垂直統合型デバイスメーカー)2.0と名づけた。当時、同社はその第1弾として、200億ドル(約2兆3140億円)を投じてアリゾナ州に2つの新工場を建設することを発表した。また、他の半導体メーカーにファウンドリサービスを提供するプロバイダーになる計画も明らかにした。

その計画に沿って、同社は米国時間2月15日、カスタムファウンドリサービスを提供するTower Semiconductor(タワーセミコンダクター)を54億ドル(約6250億円)で買収すると発表した。

ゲルシンガー氏は、この動きが同社のビジョンに完璧に合致すると見ている。「Towerの専門技術ポートフォリオ、地理的リーチ、深い顧客関係、サービス第一の運営は、Intelのファウンドリサービスを拡大し、ファウンドリの世界的主要プロバイダーになるという当社の目標を前進させるのに役立ちます」と、同氏は声明で述べた。

IDM2.0は、半導体製造に対する3つのアプローチからなる。Intelのグローバルな工場ネットワーク、サードパーティの生産能力の活用、そしてIntelファウンドリサービスの構築だ。これにより、Intelは単に自社ブランドのチップを製造するだけではなく、カスタムチップに対するニーズの高まりに応えることができるようになる。

Moor Insight & Strategiesの創業者で主席アナリストのPatrick Moorhead(パトリック・ムアヘッド)氏は、このカスタムチップこそが今回の取引の鍵だと話す。「Intelの買収は、これまで製造できなかったタイプのシリコンを製造できるようになることを意味します。具体的にはRF、センサー、シリコンフォトニクス、電源管理チップなどです」と述べた。

半導体産業を追跡するSemiAnalysisのチーフアナリスト、Dylan Patel(ディラン・パテル)氏も、Tower買収はIntelにとって賢い行動だと同意する。「Towerの買収は、Intelのファウンドリサービスにおいて、プロセスノードの種類によって必要とされるギャップを埋めるものです。買収により、複数の外部顧客とのインターフェースとなる特殊技術を成功裏に運営して利益を上げてきたチームを取り込みます」とパテル氏は語った。

また、Intelはこれまで、社内のニーズに合わせてカスタマイズしたフローをほとんど使っていたと同氏は付け加えた。Towerは、より標準化されたフローを提供する方法をもたらす。「Intelは業界標準のフローを採用しようとしているため、製品設計キット(PDK)機能は、彼らが多くの支援を必要とする分野です。Towerの特殊なニッチ技術における能力は、柔軟で拡張性のあるPDKを作成して提供する能力を大いに高めます」と同氏は述べた。

想像に難くないが、TowerのCEO、Russell Ellwanger(ラッセル・エルワンガー)氏は、2社の合併が大きな力になると考えている。「Intelと一緒に、我々は新しい有意義な成長機会を推進し、一連の技術ソリューションとノード、大幅に拡大したグローバルの製造拠点を通じて、顧客にさらに大きな価値を提供します」と、エルワンガー氏は声明で述べた。

両社の取締役会は買収を承認しているが、通常の規制当局による承認手続きとTowerの株主の審査を経る必要がある。プロセス完了には約12カ月かかる見通しだ。

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Contributor / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

リモートワーク用ネットワーキングツールtwine、ビデオチャット内で参加者をマッチングさせるプラットフォームGlimpseを買収

バーチャルイベントやリモートチーム向けのネットワーキングツールを提供するtwine(トゥワイン)は、まもなくZoomにそのサービスを提供する予定だ。これは、バーチャルイベント向けに設計された「スピードマッチング」プラットフォームを開発していたY Combinator(Yコンビネーター)が支援するスタートアップGlimpse(グリンプス)の買収のおかげだ。Glimpseのアイデアは、現実世界のイベントで一般的に行われているつながりを促進する方法を提供することであり、AIを使ってビデオチャット内で参加者をマッチングさせることで、それをオンラインに持ち込むことであった。最近、Glimpseは、イベント主催者がZoomミーティング、ウェビナー、イベントにスピードネットワーキングを追加できるようにするための新しい統合をテストしていた。

関連記事:バーチャルイベントにネットワーキング機能を追加するためにtwineが3.6億円調達、ビデオチャットアプリから方針転換

この統合は、Glimpseと他の数社が早期にアクセスすることができたZoomの新しい「ブレイクアウトルーム」APIによって実現された。両社は、リモートで人をつなぐという同じような分野で仕事をしていたが、GlimpseのZoomとの統合は、製品開発の面でtwineをリードしていた。さらに、twineの共同創業者兼CEOのLawrence Coburn(ローレンス・コバーン)氏は、自社がGlimpseに取引を奪われたこともあったと認めている。

今回の買収で、Glimpseの技術は、より幅広いZoomユーザーへの展開計画も含め、twineの顧客ベースに利用できるようになる。

Zoomの新しいブレイクアウトルームAPIを使って作られたアプリは、今後数週間のうちに、Zoomクライアントの中で動作するように設計された、または他の方法でその機能を拡張するために設計された数十のアプリを収容している同社のアプリストアZoom App Marketplaceに追加される予定だ。近日発売予定の「twine for Zoom」もその1つで、マッチングツールやネットワーキング、バーチャルウォータークーラーツールを利用できるようになる。これはバーチャルイベントだけでなく、社内交流会や全体会議、新入社員の受け入れ、コミュニティのミートアップなど、他のタイプのミーティングにも利用することが可能だ。

「私たちは長い間、Glimpseのチームと製品を賞賛してきました。彼らとチームを組むことに興奮しています」と、コバーン氏は述べている。「彼らがZoomのエコシステムの中で作り上げたものは、リモートチームやバーチャルイベントに画期的なインパクトを与えるものであり、まさに驚くべきものです」。

Glimpseは比較的若い会社で、売上も少ないが、顧客は150社に増え、さらに700社の企業が同社のプラットフォームの利用を希望しているとのことだった。顧客は、EdTech企業、VC、企業顧客など多岐にわたる。Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、eBay(イーベイ)などの大企業に利用されている。

「Glimpseは、Zoom App Marketplaceを活用して顧客体験を向上させた、非常に革新的な企業の好例です」と、Zoom Apps & IntegrationsのプロダクトリードであるRoss Mayfield(ロス・メイフィールド)氏は述べ「Twineチームがtwine for Zoomを市場に投入するのを楽しみにしています」と、加えた。

Glimpseは、スタートアップアクセラレーターであるY Combinatorの2020年冬バッチに参加し、YCとMaven Ventures(メイブン・ベンチャーズ)の両方からシードステージの投資を受けていた。共同創業者のHelena Merk(ヘレナ・メルク)氏とBrian Li(ブライアン・リ)氏は、移行期間中もtwineに対応できるようにリテーナーとして残る予定だ。しかし、3人の従業員からなるチームは、現在16人のフルタイム従業員を抱えるtwineに加わることになる。両社ともまだ初期の会社であることから、これは小さなエグジットであるため、買収条件は公開されていない。ただし、私たちは、7桁台(数億円)のオールストックディールであると理解している。

画像クレジット:Twine

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

さらば「powerlanguage.co.uk/wordle」、これまでの「Wordle」

米国時間2月10日午後をもって、powerlanguage.co.uk/wordle(人気のインターネット日刊ワード・パズルのややこしいURL)へ行こうとした人は、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)のウェブサイトにリダイレクトされる。そこでは不思議なほど見慣れたようでいて、どこか違った感じのするウェブページがみんなを出迎えてくれる。よく見ると「Wordle(ワードル)」のタイトルはNew York Times特有のフォントになっていて、懐かしのHelvetica(ヘルベティカ)ではなくなっていることに気づく。

画像クレジット:TechCrunchによるスクリーンショット

あれはつい先週のこと、New York TimesはJosh Wardle(ジョシュ・ウォードル)氏の爆発的ヒット作品を「7桁の低い方」の金額で買い取った。しかし、この伝統的新聞社はもう動き出している。URLをリダイレクトした! つい3時間前、New York TimesはWordleのヒントと小技ページまで公開したのだが、そこには従来の「power language」のURLへのハイパーリンクが書かれている。おそらくライターたちは我々同様ノスタルジックなのだろう。

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こうなることはわかっていたし、ゲームに加えられた変更はごくわずかですぐには気づかないかもしれない(右上隅にハンバーガメニューがあり、New York Timesの別のゲームに飛べる)。しかし、少なくともここTechCrunchでは、あの奇妙なURLを溺愛していた。

我々はpowerlanguage.co.uk/wordleが好きだった、なぜならあまりにも直感的でなく、バイラルにするつもりがまったくなかったからだ。誰1人検索エンジン最適化や発見されやすさに悩んだことがなく、それでも大ヒットした。友達からWordleについて聞いたとしても、Google検索してあの「power language」ウェブサイトが果たして自分の行くべきところなのかどうか悩んだかもしれない。本当はアプリなのだろうと思い、間違って偽物をダウンロードした人もいるだろう。

なぜpowerlanguageなのか?幸いTechCrunchは、2022年1月にウォードル氏をインタビューしたとき、彼のオンラインペルソナの由来を聞くことができた。突如引っ張りだこになったプログラマーにとって、それは一昔前のことのように感じることだろう。

「あれはオンラインで長い間使っているユーザー名で、元々は人の言葉を聞き間違えたことから来ているんです。若い頃、友人と私はある人にひどく られました。お互いに悪態をついていたことで られたんです。私はその人が『power languge(パワーランゲージ)』と言ったと思いました。思い起こしてみると、その人は『foul language(汚い言葉)』と言っていたのを聞き違えたのです。しかし私は、悪態をつくことを『power language(強力な言葉)』と呼ぶ考えをとても気に入って、16歳かそこいらの時にするように、それをなんとなく引き継いだのです」。

残念なニュースもある。ウェブが移行してもゲームプレイの統計は維持されるが、連続記録はリセットされるようだ。気に入らないが、これは完璧である必要性から我々を解放するいい機会なのかもしれない。明日は本当に悪い言葉を初手に選んで、言語のパワーに浴することにしよう。どうして文字を並べて並べ直すことがこれほどの喜びをもたらし、友達とシェアすることが毎日の儀式になるのだろう。ときには怒りのツイートになることもあるだろうが、それもまた良し。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

サイバーセキュリティにとって厳しかった2021年は関連スタートアップには記録的な年に

2021年は、サイバーセキュリティにとっては厳しい年だったかもしれないが、セキュリティ関連のスタートアップ企業にとっては記録的な年となった。

セキュリティ業界の財務アドバイザリー会社であるMomentum Cyber(モメンタムサイバー)が発表した新しいデータによると、2021年のサイバーセキュリティ関連スタートアップ企業がベンチャーキャピタルから調達した資金の総額は295億ドル(約3兆4000億円)と「記録的」な数字だったという。これは2020年に調達した120億ドル(約1兆4000億円)の2倍以上であり、過去2年間の合計額を上回る。

投資家たちは、この記録的な金額の資金を1000件以上の案件に注ぎ込み、そのうち84件が1億ドル(約116億円)を超えていた。その中には、産業用サイバーセキュリティのスタートアップであるDragos(ドラゴス)が獲得した2億ドル(約232億円)のシリーズD、Claroty(クラロティ)の1億4000万ドル(約162億円)のプレIPO調達パスワードレス認証のTransmit Security(トランスミット・セキュリティ)が調達した5億4300万ドル(約625億円)のシリーズAが含まれる。資金調達額の合計は前年比138%増となったことが、Momentum社のデータから明らかになった。

Momentumによると、この歴史的な投資額は、業界におけるイノベーションの活性化と、新型コロナウイルス感染流行の影響から悪化したサイバー脅威の爆発的増加によってもたらされたもので、2021年には記録的な数のセキュリティスタートアップがユニコーン企業となった。前年はわずか6社だったのに対し、2021年はWiz(ウィズ)、Noname Security(ノーネーム・セキュリティ)、LaceWork(レースワーク)など、30社以上のスタートアップが10億ドル(約1158億円)以上の評価額を達成した。

同様に、M&Aの件数も2020年の3倍以上に急増。2021年には286件の合併・買収が行われ、取引額の合計は775億ドル(約9兆円)となった。2020年には178件の買収があり、合計額は197億ドル(約2兆3000億円)に過ぎなかった。Momentum社のデータによると、これらの買収のうち十数件が10億ドルを超えた評価額となっており、その中にはAdvent(アドべント)がMcAfee(マカフィー)を買収した際の141億ドル(約1兆6000億円)、Thoma Bravo(トーマ・ブラボー)がProofpoint(プルーフポイント)を買収した際の123億ドル(約1兆4000億円)、NortonLifelock(ノートンライフロック)がAvast(アバスト)を吸収合併した際の80億ドル(約9300億円)、Okta(オクタ)がAuth0(オースゼロ)を買収した際の64億ドル(約7400億円)などが含まれている。

このような成長は、Momentum CyberとNightDragon Security(ナイトドラゴン・セキュリティ)の創業者兼マネージングディレクターであるDave DeWalt(デイヴ・デウォルト)氏が「サイバーの黄金時代」と呼ぶものを反映しており、すぐには減速しそうもない。Momentum社によると、脅威の増加にともない、業界は「さらに大きな」2022年に向けて準備を進めているという。

画像クレジット:Yulia Reznikov / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Mirantis、Docker Enterpriseの資産買収から2年間でランレート約115.6億円超えの大成功

2019年、DockerDocker Enterpriseを売却すると発表したときは誰もが驚いた。もっと大きな驚きは、買い手がMirantisだったことだろう。同社はそれまで、OpenStackプロジェクトの商用化で知られていた。

売却後のDockerは開発者を主対象とする企業へと方向性を変え、先週、5000万ドル(約57億8000万円)の年間経常収益を報告した。今週、MirantisのCEOであるAdrian Ionel(アドリアン・イオネル)氏がTechCrunchに、同社が前四半期に2800万ドル(約32億4000万円)の経常収益を得て、ランレートは1億ドル(約115億6000万円)をゆうに超えるだろうと語った。

イオネル氏によると、その売上はおよそ半分がDockerから得た資産、具体的にはDocker Enterprise Engine、Docker Trusted Registry、Docker Unified Control PlaneそしてDocker CLIなどとなる。そして残り半分が同社の買収前の本業だったKuberentes上のクラウドプラットフォームツールだ。なお、同社は2020年にKubernetes用のIDEであるLens買収しており、これも売上に貢献している。

しかし基本的にはDockerとMirantisはともに、買収の効果として年間経常収益5000万ドルのラインに達しており、Dockerの方はエンタープライズプロダクトを売却した後の経営努力として、そしてMirantisはDockerのエンタープライズアセットから、どちらも大きな売上を得ている。両者とも、買収から2年後にほぼ同額の取引効果を得ていることは極めて稀だが、しかしイオネル氏によると、当時はそれを知るすべもなかったという。

「信じられないほどすばらしい旅路でした。そのスタートは、2019年11月に契約に署名したことです。当時は、それが今後どうなるかを誰も知りませんでした」とイオネル氏はいう。何よりもまず、最初に作り出されたのは、この買収が同社の未来にとって何を意味するのかに関する顧客たちの混乱だ。しかしイオネル氏によると、同社のビジョンが複数のプロダクトの組み合わせとそれがもたらす効果にあることを、顧客はすぐに理解した。

「多くの人が、プロダクトのビジョンをとても早く、理解し共有してくれました。私たちがこれから新しい企業を作ろうとしていること、それが私の考える中心的なテーマであることをみんな理解しました。それは単に、MirantisがDocker Enterpriseを買収したという話ではありません。むしろ、両社のアセットを有効利用して新しい企業を作り、フレッシュでより強力な企業として立ち上がることでした」。

これらのアセットを買うメリットについては、取締役会も議論した。「買収前には取締役会で激しい議論がありました。ご想像どおり、うまくいかない買収の方が多いためです。しかしこれは、大成功でした。株主たちが持つ価値がものすごく増えました。私たちにとってはKubernetesとの旅路が加速され、未来につながったという意味で、すばらしい賭けでした」とイオネル氏はいう。

関連記事:Kubernetesの統合開発環境のLensをMirantisが買収

しかし買収が完了した後の航行は、楽なものではなかった。まず買収した企業の40%をレイオフしなければならなかった。イオネル氏は、当初は辛かったと認める。しかしエンジニアリングとビジネスファンクションを1つの傘の下にまとめることによって費用を節約し、その後の成功に導くことができた。

イオネル氏によると、Mirantisは過去2年間キャッシュフローがプラスで、その間に1900万ドル(約22億円)以上の現金を生み出しているという。Apple、Visa、Booking.comなど、合併時点で300の顧客との関係を拡大し、その過程で100の新規顧客を追加した。

イオネル氏自身も、Docker Enterpriseの買収がこれほどうまくいくとは考えなかった。「すばらしい旅路だったが、ときには難題もあった。それは主に、Docker Enterpriseの事業を再構築する過程だったが、決断力を重視して迅速にそれを行った。現状の好結果を見れば、成功だったといえるでしょう」。

画像クレジット:Suriyapong Thongsawang/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

シェアードモビリティのGoTo Globalがシェルカンパニーとの合併により株式公開へ

スペイン、イスラエル、マルタ、ドイツでシェアドマイクロモビリティやカーシェアリングの共有サービスを提供しているイスラエルのモビリティ企業GoTo Global(ゴートゥー・グローバル)が、シェルカンパニーNera Tech Media(ネラ・テック・メディア)との合併により、テルアビブ証券取引所(TASE)に上場する。GoToのCEOであるGil Laser(ジル・レイザー)氏によれば、この合併は4月上旬に完了する予定で、まずGoToは、Nera Techが保有する1200万ドル(約13億8000万円)の現金資産にアクセスできるようになり、GoToはこの資金を使って、ドイツでの事業拡大を目指すという。

13年前に設立されたGoToは、2021年秋にドイツのシェアード電動モペット事業者のEmmy(エミー)を買収し、ドイツ市場、特にハンブルグ、ベルリン、ミュンヘンへの参入を果たした。今回のIPOで得た資金は、GoToがドイツで提供している自動車や電動キックスクーター、電動バイクなどの乗り物の充実はもちろん、製品開発にも使われる予定だ。

スタートアップの世界には、未公開企業を合併し公開への道を加速させるための、特別買収目的会社(SPAC)という大きな流れがあるが、今回のNera Techとの取引はそれとは少し違うものだ。シェルカンパニーとの合併は、しばしば「リバースマージャー」と呼ばれ、アクティブな非公開企業が、休眠状態の公開企業(別名シェルカンパニー)の経営権を手に入れて、合併することを意味する。シェルカンパニーとは、通常、IPOプロセスを経たものの、その後事業を売却し、会社の構造(シェル=殻)だけを残した会社だ。

Nera Tech自体は、もともと上場企業であるSomoto(ソモト)が2つに分割された際に設立された。その際Somotoの株式の75%はエネルギーの貯蔵と管理を扱うNostromo(ノストロモ)にという会社に譲渡されている。その一方で、Somotoは映像と音声の広告事業を、Nera Tech Mediaに譲渡し、Nera Tech MediaはTASEに上場した。

いまでもNera Techは、Trinity Audio(トリニティ・オーディオ)というAIを利用したオーディオプラットフォームのスタートアップを所有しているが、レイザー氏は、このTrinity Audioを売却することで、GoToのIPOに向けてより多くの現金を得ることができるという。またTrinityが今後18カ月の間に約3000万ドル(約34億6000万円)で売却できると予想している。GoToが現在保有している1800万ドル(約20億8000万円)の現金資産、Nera Techからの1200万ドル(約13億8000万円)、そしてTrinity社の売却による3000万ドル(約34億6000万円)の見込みを考慮しても、GoToはプレIPOのためにさらに1800万ドル(約20億8000万円)から2000万ドル(約23億1000万円)をVC、エンジェル、ファミリーオフィスから調達する必要があるとレイザー氏は考えている。

新たに生まれる会社の時価総額は1億6300万ドル(約188億円)で、現在のGoToの株主は合併後の会社の株式の74%を取得し、残りの26%はNera Techの株主が手にすることになる。

レイザー氏はTechCrunchに「VCは主にSaaSやテクノロジーに特化したアーリーステージの企業や巨大企業を探しているので、結局現在はVCで資金を調達するよりも、株式公開することが最適だと考えたのです」と語った。「私たちは技術を持っていますが、オペレーションも持っているので、板挟みの状況でした。それでも公開企業になるという決断をしたのは、私たちには強力な製品があり、2年後には市場をリードしているという確信があり、優位性を保つためには速く走る必要があったからです」。

伝統的なIPOではなく、シェルカンパニーとの合併によって株式を公開することにしたのは、いわば良い取引だったからだ、とレイザー氏はいう。彼はGoToが今後2年間の目標をすべて達成し、ビジネスを利益の出るものにするための十分な資金を持っていることを指摘した。合併は、ただIPOへの近道でしかないと彼はいう。

GoToはグローバルではまだ利益を出していないが、イスラエルでは利益を出し、プラスのキャッシュフローを生み出しているとレイザー氏はいう。通常、シェアードビークルの企業が、利益につながる良好なユニットエコノミクス(顧客1人あたりの採算性)を実現するためには、より多くの資金を調達する必要があるが、GoToはそれとは少し異なるやり方をとっている。

5800台の車両を保有し、45万人以上の契約者がアクセスしている同社は、自社用の車両を購入するのではなく、Renault(ルノー)、Toyota(トヨタ)、Nio(ニオ)、Segway(セグウェイ)などの企業と、自動車やモペッドをリースするための覚書を交わしている。現在GoToはマイクロモビリティの車両の大半を所有しているものの、将来的にはそれらのリースも視野に入れている。期間と利用に伴って減価する資産を購入するのではなく、リースを行うことで会社は「さや取り」を行うことができる。つまり、2年間という期間で借り出した資産を、たとえば10分間だけユーザーにまた貸しした際の価格差を利用して利益を得るのだ。

GoToは、このビジネスモデルが収益化への道を加速させると考えており、年末までに3500万ドル(約40億4000万円)の収益を見込んでいる。これは、2021年の収益報告である2200万ドル(約25億4000万円)と比べて58%の増加となる。GoToは、来年末までに1億1600万ドル(約133億8000万円)を上回る年間収益を達成したいとTechCrunchに語ったが 、これは迅速なスケールアップを必要とする高い目標だ。

GoToが今後も拡大していきたいと考えている方向の1つがB2Bだ。現在の顧客のほとんどは、GoToのエコシステムに登録している日々の個人客だが、プラットフォームのユーザー数を倍増させるという目標を達成するために、同社はビジネスを呼び込みたいと考えている。多くの企業が従業員に、毎月旅費や通勤手当を支給しているが、GoToはそれを利用して、それらの企業や従業員のために専用車両を提供し、最終的にはあらゆる車両の長期レンタルを提供したいと考えている。

レイザー氏は「目標は、ターゲット層を増やし、商品の種類を増やすことです」と語る。

長期的には、GoToはエコシステム内のあらゆる種類の輸送を促進したいと考えている。同社は現在、ライドシェア企業とパイロットプロジェクトを行っており、統合のためのアプリを準備している。また、公共交通機関と協力して総合的なエコシステムを構築する方法を模索している。

画像クレジット:GoTo Global

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

NVIDIAがArmの買収を断念、Armはリーダーが交代し株式公開を模索

NVIDIA(エヌビディア)によるArm(アーム)の買収案件は見送られると、両社とArmのオーナーであるSoftBank(ソフトバンク)米国時間2月8日に発表した(PDF)。SoftBankとNVIDIAは、Armの買収に向けた取り組みを止めることで合意したのだ。

これにともない、Armでは大きなリーダーシップの交代も行われる。同社の現CEOであるSimon Segars(サイモン・シーガーズ)氏が同日付けで退任し、ArmのIPグループ社長であるRene Haas(レネ・ハース)氏(元NVIDIA VP兼コンピューティング製品事業本部長)がその任につくことになった。

買収が見送られたため、Armは買収の代わりに株式公開を模索しているという。現在の計画では、今後12カ月以内にIPOが実現する予定だ。

Financial Timesは、米国時間2月8日未明、この買収が破綻したと最初に報じた

今日の発表の直前にハース氏が私とのインタビューで語ってくれたように、シーガーズ氏が会社を去るという決断は、非常に個人的な選択であった。「彼は会社を上場させることと、その他諸々のために必要な時間とエネルギーが、自分のキャリアのこの段階において、自分が手を挙げたいと思えるものではないと判断したのです」とハース氏は語った。「だから、彼は退任することになりました。私が彼の後を継ぐことになります」と語った。

「レネは、上場再挑戦を目指すArmの成長を加速させるために最適なリーダーです。過去30年にわたるサイモンのリーダーシップ、貢献、そしてArmへの献身に感謝します」とSoftBank Group(ソフトバンクグループ株式会社)の代表取締役社長兼執行役員会長兼CEOの孫正義氏は述べている。

ハース氏は、今日のArmのビジネスがかつてないほど強力であることを指摘した。

「私たちは、この会社の次の章にとても熱意と興奮を感じています。というのも、この会社の業績は絶好調だからです。【略】Armのビジネスはかつてないほど好調で、収益性も高く、SoftBankに参加する前では見たことがないレベルです。しかし、おそらくもっと重要なことは、SoftBankに入る前と比較して、事業の多様化が進んだことです。クラウドやデータセンターのような分野でより強力な企業になり、自動車のような市場でもより強力な企業になり、IoTやメタバースといった将来の市場にも大きな機会があります」と彼は語った。

ハース氏は、NVIDIAとSoftBankの決断についてこれ以上コメントしない一方で、ついに取引が破綻したが、リーダー交代の話し合いはもっと前から始まっていたことを認めた。

「買収が成立しなかったことは残念ですが、同時に、今後の展望に非常に期待しており、次の章の開始が待ち遠しい」と述べている。それが具体的にどのようなものになるのか、ハース氏はまだ明言していないが、CPUやGPU市場への進出や、AI分野での取り組みを継続することに言及した。「これまでやってきたことを継続し、それを実行することが本当に重要になります。というのは、我々はビジネスを成長させる方法に関するレシピを提示し、それをぜひ継続したいからです」と語っている。

NVIDIAのCEOであるJensen Huang(ジェンスン・ホァン)氏も、これとほぼ同じことを言っている。「Armには明るい未来があり、我々は今後数十年間、誇りあるライセンシーとして彼らをサポートし続けるでしょう」と彼は声明で述べている。「Armは、コンピューティングにおける重要な変遷の中心にいます。私たちは1つの会社にはなりませんが、Armと密接に連携していきます。マサが行った多大な投資により、Arm CPUがクライアントコンピューティングだけでなく、スーパーコンピューティング、クラウド、AI、ロボティクスにまでその領域を拡大できるよう、Armを位置づけています。Armが次の10年で最も重要なCPUアーキテクチャになることを期待しています」と語った。

ある意味、今日の発表はサプライズではない。米連邦取引委員会が、合併後の企業が「NVIDIAのライバルを不当に弱体化させる」ことができるとして、合併を阻止するために提訴すると発表した後、BloombergはNVIDIAが計画を断念する準備をしていると報じていた。Armの本社がある英国でも、EUの反トラスト法規制当局と同様に、ここ数カ月で合併の障害にぶつかっていた。

結局、GPUとAIアクセラレーター市場を支配し、事実上すべてのスマートフォンやIoTデバイスを動かすチップのIPも所有するNVIDIAは、あらゆる警鐘を鳴らすことになったのだ。両社はおそらく、規制当局のプロセスを通過させるために、取引内容を大幅に変更するか、あるいは断念せざるを得なかっただろう。

NVIDIAがこの巨大買収計画を最初に発表したのは、2020年9月のことだった。当時、NVIDIAのCEOであるジェンスン・ホァン氏は、これによって自社が「AIの時代に向けて素晴らしく位置づけられた企業」を作ることができると主張していた。

この間、NVIDIAとArmの首脳陣は公の場で、この取引が最終的に規制当局の審査を通過する、と楽観的な姿勢を崩さなかった。何らかの反発があることは承知の上で、両社は常にこの取引の完了に多くの時間を費やし、発表から18カ月後の2022年3月を完了予定日としていたのである。しかし、ここ数カ月、両社はこの期日を逃すことになると認めていた。彼らはまた、2022年9月というちょっとした期限もあり、それを過ぎるとSoftBankは12億5000万ドル(約1443億円)の解消手数料を保持することになっていた、取引がなくなった今、SoftBankはいずれにしてもそれを保持することになったのである。

画像クレジット:SAM YEH/AFP via Getty Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

NVIDIAへのArm売却断念、そして2022年度中にArmの再上場を目指すと発表したソフトバンクグループの孫正義社長は決算会見で、売却断念に至った経緯などを説明しました。

孫社長のコメントは下記の通りです。

「1年半前、コロナがこれからどのくらい地球上に災難をもたらすかわからないような状況で、我々は4.5兆円の資金化プログラムを発表しました」

「その一環として、Armを手放すことを意思決定したわけですけども、まあ泣く泣く意思決定したわけですね」

「でも、単純に手放したくはないので、売ったような買ったようなということで、Armを急成長しているNVIDIAと合体させて、我々がNVIDIAの筆頭株主になれれば、ArmとNVIDIAがくっつけばまさに鬼に金棒という状況になりますので、チップの世界で、圧倒的世界最強の会社ができると。その筆頭株主に我々はなるんだという願いで、ArmのNVIDIAへの売却を契約したわけです」

「しかしその後ですね、なんとGAFAに代表される主要なIT業界の企業が、こぞって猛反対。そしてアメリカ政府もイギリス政府もEUの国々もこれに猛反対という状況になりました」

「通常は独禁法で合併を阻止しようとする際、同じ業界、たとえば車のエンジンを作ってるA社とエンジンを作っているB社が合併しようとすると、マーケットシェアが大きくなりすぎるということで、独禁法で止められるということなんですが、NVIDIAとArmは全く違ったものを作っている。言ってみればエンジンとタイヤくらい違うわけですね」

「この違う事業をやっている2社の合併を独禁法で阻止するというのは、独禁法が始まって以来初めてのケースで、我々も驚いたわけですけども、なぜそれほど止めなければいけなかったのかというと、それは各国政府やGAFAに代表されるような企業が、それほど止めなければいけないというくらい、ArmがIT業界、シリコンバレーの殆どの企業がArmを直接あるいは間接的に活用している、欠かす事のできない最重要カンパニーの1つということなんですね」

「そして今日、さきほど、Armの売却を中止するということでNVIDIAと合意に至りました」

「NVIDIA側からしても、合併は今でもしたいという気持ちはたいへん強く、最後までその気持ちは大変強いという状況でしたが、これほど各国政府が合併を阻止する強い動きに出ましたので、これ以上は承認を得る努力をしても認められないだろうということで、合併を諦めるということで、NVIDIAと我々が合意にいたったわけでございます」

2022年度内に再上場めざす

「まあ我々としては、(Armの再上場は)プランBということになりますが、もともと我々がArmを買収したのが2018年で、そして5年後くらいの2023年ぐらいに再上場するということを、買収当時から実はコメントしておりました」

「我々はArmを買収して一旦非上場会社にしたわけですが、そこからもう一度新しいArmの製品群に先行投資をし、(新しい製品群の)準備が整ったところでもう一度再上場する、その期限はだいたい2023年くらいだと買収した当日から言っておったわけですが、ちょうどその時期に達したと。2022年度という2023年3月末までですから、ちょうど2023年になります」

「当初から思っていた期限で、再上場させるということで、もともとのプランに戻ろうということであります。NVIDIAとの合併という意味ではプランBになりますが、もともとオリジナルの案なのですから、むしろこちらがプランAなのかもしれない」

Armの黄金期がやってくる

孫社長はその後、2021年度にAWSがArmアーキテクチャを採用するなど、スマートフォンだけでなくクラウドにもArmの採用が進んだことを強調。

ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す
そして今後はEV、メタバースで爆発的にArmの需要が増えるとしたうえで「第2のソフトバンクの成長の鍵になるのがArmだ。Armが戻ってきた。これから黄金期を迎える」とし「NVIDIAとのディールも成功した欲しかったが、むしろこっちも悪くない。振り返ってみたらこっちのほうが良かったと思うようになるんじゃないか」「Armは半導体市場最大のIPOになる」とコメントしました。ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指すソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

──なぜArmの急成長を見込んでいるのに再上場させるのか

孫社長:Arm株の25%はビジョンファンド1が持っています。ここには外部の投資家がいます。彼らのためにも上場株としての価値を作るのは我々の使命の1つ。2つ目の理由は、社員に十分なインセンティブを与えるため。エンジニア中心の会社ですから、彼らの労に報いるために、上場株のさまざまなストックオプションを提供していきたい。また、これから社会のインフラを担うようになるために、できるだけ透明性のある経営とするためにも上場するのが適切だろうと考えた。

──Armはどこで再上場させる?

孫社長:米国のNASDAQを目指している。

──Armはもともと英国の会社だが、なぜロンドンではなく米国での再上場を考えているのか

孫社長:Armの利用者は大半がシリコンバレー。また投資家もArmについて非常に高い関心を持っていると聞いている。そういう意味では、ハイテクの中心である米国のNASDAQが一番適しているのではないか。おそらくハイテクの中心のNASDAQに再上場すると思っているが決定ではない。

Engadget日本版より転載)

マッチングアプリBumbleの初買収はZ世代向けの同アプリFruitz、あらかじめ目的を明らかしておける点が人気

マッチングアプリ企業のBumble, Inc.(バンブル)は、米国時間2月7日、初の買収を行い、急成長中のフランスのマッチングアプリ「Fruitz(フルーツ)」を自社アプリのファミリーに加えるというニュースを発表した。Bumble, Inc.は、欧州で特に人気のあるBadooの親会社としてすでに国際的な事業展開をしているが、Fruitzを傘下に加えることで、より若いZ世代の利用者の間で勢いを増すことができると考えている。

取引条件は公開されていない。

Fruitzは、ユーザーのマッチングを支援するために、型にはまらないアプローチをとっている。同アプリでは、長期的な関係を望む人から一夜限りの関係を求める人まで、特定の関係タイプごとにフルーツが割り当てられている。これにより、ユーザーは自分と同じ考えを持っていない人を除外することができる。また、マッチングされた相手にメッセージを送る前に、アイスブレーカーとして機能する質問に答えるよう促される。

Fruitzは、CEOのJulian Kabab(ジュリアン・カバブ)氏、CTOのFabrice Bascoulergue(ファブリス・バスクーラーグ)氏、CFOのArnaud Ruols(アルノー・ルオール)氏によって共同設立され、最初は2017年2月1日にフランスでサービスを開始した。カバブ氏は、このアプリのアイデアは、自身がマッチングアプリを利用しようとした際に、その体験に何を求めているかという点で意図が異なる相手とマッチングしたことがきっかけだと語っている。

「自分が求めているものを表現することは、批判されることを恐れているので容易ではありません。その結果、誰もが自分の意図に正直にならず、お互いに時間を無駄にしていたのです」と同氏は語る。「人々が自分の意図に関して正直になれるようにすることが、私たちの最初のミッションでした」。

画像クレジット:Fruitz

Sensor Towerのデータによると、現在までにFruitzは、App StoreとGoogle Playで全世界で560万回ダウンロードされている。2022年2月3日現在、ホームマーケットであるフランスでは、iPhoneのトップ無料アプリチャートの「ライフスタイル」カテゴリーで4位にランクインしている。

現代の多くのマッチングアプリと同様に、Fruitzはスワイプベースのインターフェースとフリーミアム体験を提供している。

だがBumbleにとっての魅力は、このアプリのユニークな機能ではなく、その利用者層にある。Bumbleは、Fruitzがマッチングアプリ市場で成長しているZ世代に特にリーチしていることに着目した。またフランス、ベルギー、オランダ、スイス、スペインなど、西ヨーロッパの主要国でも人気を博しており、カナダでも急成長を遂げていた。

Bumbleの創業者兼CEOであるWhitney Wolfe Herd(ホイットニー・ウォルフ・ヘルド)氏は、声明の中でこう述べている。「Fruitzは、私が何年も動向を追ってきたブランドであり、リーダーシップチームです。ジュリアン(・カバブCEO)、ファブリス(・バスクーラーグCTO)、アルノー(・ルオールCFO)は3人ともダイナミックですばらしいリーダーであり、フランスをはじめとするヨーロッパ全域の消費者の共感を強く得るユニークな製品を作り上げました。このアプリを当社の技術プラットフォーム、コミュニティサポート、ブランドおよび成長マーケティングと組み合わせることで、Fruitzの成長を加速させることができます。Fruitzの買収により、当社が重視する人間関係のエンパワーメントに沿って、消費者向けの製品提供を拡大することができます」。

Bumbleは、Fruitzを同社の一連のマッチングアプリに組み込むとともに、機械学習(ML)技術、マーケティング、ローカリゼーション、安全性プラットフォームなどのリソースを提供する。なお、Fruitzのブランド変更や運営終了の予定はない。その代わり、共同創業者全員を含む9人のチームが、母国フランスでアプリの運営を継続する。現在、Fruitz、Badoo、Bumbleを擁するBumble, Inc.を合わせると900人以上の従業員がおり、オースティン、ロンドン、バルセロナ、パリ、モスクワにオフィスを構えている。

画像クレジット:Bumble

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

デジタルデザインプラットフォームCanvaがより良いデータストーリーテリングを目指し英Flourishを買収

Canva(キャンバ)はオーストラリア時間2月2日、ロンドンに拠点を置くデータビジュアライゼーションのスタートアップFlourishの買収を完了したと発表した。買収の金銭的条件は公表されていない。

今回の買収は、ビジュアルコミュニケーション企業であるCanvaの月間アクティブユーザー数(MAU)が7500万人を超え、過去12カ月間で3000万人以上増加した中でのことだ。

Duncan Clark(ダンカン・クラーク)氏とRobin Houston(ロビン・ヒューストン)氏が2016年に設立したFlourishは、BBC、Sky(スカイ)、Deloitte(デロイト)、Moody’s(ムーディーズ)などの企業が、データポイントを消化しやすいチャート、グラフ、ビジュアルに変えることができるよう、データビジュアライゼーションツールを提供している。Crunchbaseによると、80万人以上の顧客をCanvaの傘下に引き入れることになる同社は、これまでベンチャーキャピタルで約100万ドル(約1億1500万円)を調達している。

Canvaの共同創業者兼COOであるCliff Obrecht(クリフ・オブレヒト)氏はTechCrunchに対し、Flourishの44名の従業員全員がCanvaに加わることになると述べている。

シドニーを拠点とするCanvaは2013年に設立され、これまでに5億7000万ドル(約656億8000万円)以上のベンチャーキャピタル資金を調達してきた。最近では、2021年9月に2億ドル(約230億5000万円)のベンチャーラウンドを実施し、その際の同社の評価額は400億ドル(約4兆6105億円)とされた。今回の買収は、ベンチャーラウンドでの資金調達の一部ではない。オブレヒト氏によると、Flourishとの交渉は資金調達の前から始まっていたとのこと。

同社の共同創業者兼CEOであるMelanie Perkins(メラニー・パーキンス)氏は2021年9月のTechCrunch Disrupt 2021で、同社の買収戦略についてこう語った。「世の中には、いくつかの異なるタイプの企業があるような気がします。喜びをもたらすことに本当に集中している人たちと、ヒエラルキーや構造、そういったものを重視する人たちです。純粋に価値を提供することに集中している人は、実に重要です」。

来月中には製品が統合され、あらゆるデータソースを接続して、リッチで魅力的なビジュアルに変換する新機能が追加される。これには、スプレッドシートからテンプレートを選んでダイナミックチャートを作成できるようにしてほしいというような、顧客からの要望も含まれているとオブレヒト氏は述べている。

Flourishの買収は、KaleidoやSmartmockupsなど、2021年に行われた他の2社の買収に続くものだ。Canvaのキャッシュフローはプラスだが、オブレヒト氏は直近の増資について「人材、製品、M&Aを通じて成長するための『軍資金』を持つことは重要です」と語った。

「我々は、Canvaの中核となるデータストーリーテリングというビジネスコミュニケーションの重要な部分を担う企業を買収しています」と彼は続けた。「Canvaはこの点を最重要視し、データストーリーテリングを民主化するFlourishの買収を加速させ、当社のビジュアルストーリーテリングと組み合わせることで、真の相乗効果を得ることができました」。

関連記事:デジタルデザインのCanvaが静止画・動画から背景を消すKaleidoを買収

画像クレジット:Canva

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

瞑想アプリCalmが高齢者介護の負担軽減を目指すヘルスケアテック企業Ripple Health Groupを買収

瞑想アプリ「Calm(カーム)」は、サンフランシスコに拠点を置くヘルスケアテクノロジー企業「Ripple Health Group」を買収することを発表した。買収の条件は公表されていない。Calmはこの買収により、メンタルヘルスケアでの野望を加速させるとしている。買収後、Ripple Health GroupのCEOであるDavid Ko(デビッド・コー)氏は、Michael Acton Smith(マイケル・アクトン・スミス)氏とともにCalmの共同CEOを務める。Calmの共同創業者であるAlex Tew(アレックス・テュー)氏は、共同CEOを退任しエグゼクティブチェアマンとなる。

2019年に設立されたRippleは、ユーザーと適切なヘルスケアの選択肢を結びつけ、差し迫った健康上の問題を解決するソリューションを構築している。1月に登場されたRippleの最初の製品2つは、社会の高齢化に焦点を当て、プロおよび家族内の介護者による介護の負担を軽減することを目指している。

Rippleのチームは今後Calmに加わり、Calmの既存の雇用者向け製品であるCalm for Businessに代わるCalm Healthの構築に注力する。Calm Healthは、ケアの範囲を超えてメンタルヘルスをサポートすることを目的としており、近日中にリリースされる予定だ。Rippleのチームは、現在のヘルスケア技術と統合し、安全かつ簡単に使用できるCalm Healthのソリューションを構築することを目指す。Calmは、介護の負担軽減を目的とした製品の開発も進めていくという。

Calmの新共同CEOとなるデビッド・コー氏は声明でこう述べている。「2019年からCalmのアドバイザーとして、カテゴリーと流通チャネルの両方を再定義し、メンタルヘルスの未来を開拓するチームの能力を目の当たりにしてきました。Calmは、世界をより幸せに、より健康にすることをミッションとしています。Rippleのチームとテクノロジーにこれ以上ぴったりな会社はありません。同社に参加できることを信じられないほど光栄に思います。マイケル(・アクトン・スミス)と一緒にCalmをヘルスケアに導入することを楽しみにしています」。

Rippleに入社する前、コー氏はデジタルヘルス企業であるRally Healthの社長、COO、取締役を務め、消費者のケアへのアクセスを容易にすることを目的としたモバイルソリューションを開発した。

Calmの共同創業者で共同CEOであるマイケル・アクトン・スミス氏は、声明でこう述べた。「デイビッド(・コー)のビジネス感覚、卓越した運営能力、ヘルスケア企業のスケールアップの実績は、Calmが新たな事業に参入し、カテゴリーの未来を形成していく上で、非常に貴重なものとなるでしょう」。

Calmによる買収は、同社が新機能「Daily Move」を発表し、身体活動とビデオコンテンツに初めて進出してから数週間後に行われた。この機能は、ユーザーが体を動かすための簡単なエクササイズをガイドするものだ。Calmはこの新機能が、従来の瞑想を始めるのが難しいと感じている人々にとって、マインドフルコンテンツへのエントリポイントになると考えている。また、Calmは最近、最大6つのアカウントを含む「プレミアムファミリー」サブスクリプションプランを新たに導入した。この新しいサービスは全世界で年間99.99ドル(約1万1500)円で提供されており、個人向けのプレミアムプランは年間69.99ドル(国内価格6500円)だ。

Calmは、他の瞑想アプリとともに進行中のパンデミックの中で健闘し、ユーザー数が急増している。同社はこれまでに1億件以上のダウンロードを誇り、毎日平均10万人の新規ユーザーを獲得しているという。2020年12月、CalmはシリーズCラウンドで7500万ドル(約86億4000万円)を調達し、同社の評価額を20億ドル(約2304億円)に押し上げた。既存投資家のLightspeed Venture Partnersが同ラウンドをリードした。

画像クレジット:Calm

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

ドルビーが超低遅延ストリーミングプラットフォームのMillicastを買収

Dolby Laboratories(ドルビーラボラトリーズ)は米国時間2月3日、超低遅延のビデオストリーミング体験を構築するWebRTCベースの開発者プラットフォームMillicast(ミリキャスト)を買収したと発表した。

2018年に設立されたMillicastは、世界中のコンテンツを放送品質で、1秒以下の遅延で配信できることを約束する。同社の顧客は、放送局、会議主催者、コンサート会場、オンラインギャンブル会社、オークションハウスなど多岐にわたり、いずれも高品質で低遅延のストリームを必要としているという。ユーザーは、ウェブベースのダッシュボードや人気の高いOBS Studio(OBSスタジオ)デスクトップアプリ、あるいはZoomを含むRTMP対応サービスでストリーミングを受信できる。

つまり、これはかなり企業向けの製品であるということに注目しておく価値はあるだろう。月額料金は495ドル(約5万7000円)からで、500GBのCDN帯域幅が含まれる。

ドルビーは一般にオーディオコーデックでよく知られているが、開発者向けエコシステムの構築にも力を入れており、他社のオーディオとビデオの専門知識が自社製品に統合できるように取り組んでいる。

2020年に、ドルビーはDolby.ioをいくつかのオーディオAPIとともに立ち上げた。現在では、オーディオマスタリングソリューションからトランスコーディングサービスやライブストリーミングツールまで、さまざまなものを構築するための幅広いAPIを開発者に提供している。当然のことながら、ドルビーはMillicastの買収を利用して、同社の低遅延放送機能を備えたライブストリーミング用製品の強化を計画している。

「ドルビーにとってこの買収は、開発者や企業の機会を拡大するためのものです。Millicastの超低遅延ストリーミングによって、Dolby.ioのすでに豊富な機能を補完することができます」と、ドルビーの広報担当者は筆者に語った。

画像クレジット:Millicast(スクリーンショット)

Millicastの現在の顧客は、ドルビーのプラットフォームで慣れ親しんだ同じ機能に引き続きアクセスすることができる。両社の顧客層はすでにかなり重なっているとのことだ。

「ドルビーとMillicastは、光のように速く、水晶のように澄んだコンテンツを、何千人もの参加者に向けてストリーミングできる未来を実現したいという情熱を共有しています」と、MillicastのAlexandrine Platonoff(アレクサンドリーヌ・プラトノフ)CEOは述べている。「私たちが協力することで、世界中のお客様に超低遅延を提供し、あたかもその場にいるかのような仮想化された大規模な視聴体験を実現することが可能になります。私たちはドルビーの一員になれたことに興奮し、一緒にどんなものが作れるかを楽しみにしています」。

両社は買収額を明らかにしていない。近年のMillicastの業績は非常に好調らしく、起業家で投資家のKeith Teare(キース・ティア)氏は先日、同社が2021年に収益を300%以上伸ばしたことを紹介していた

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

急成長するライブストリームショッピングプラットフォームのWhatnotがPastel Labsを買収、エンジニアリング担当VPも雇用

ライブストリームショッピングプラットフォームのWhatnot(ワットノット)は、フェニックスのガレージから抜け出して今や従業員数120人、評価額15億ドル(約1717億5000万円)にまで成長した。事業が爆発的に成長していることから、2022年中に従業員は300人以上になると見込まれている。この成長を支えるために、Whatnotは重要な人物を2人雇用する。1人は2020年にJeff Chang(ジェフ・チャン)氏が創業したPastel Labsの買収に関連している。チャン氏はかつてPinterestの成長チームでテクニカルリードを務めた著名な成長アドバイザーで、買収にともなってWhatnotの成長担当責任者となった。買収は全株式の取引でIPは含まれないことから「アクハイヤー」(買収による雇用)と見られる。Whatnotはもう1人、Lyftの成長&プロダクトエンジニアリング担当責任者だったLudo Antonov(ルード・アントノフ)氏をVP兼エンジニアリング担当責任者として雇用することも発表した。

関連記事:コレクター向けのライブストリーミングショッピングアプリWhatnotが約165億円を調達、ユニコーン企業に

Pastel Labsの買収は2021年12月に合意していたものの発表されていなかった。この買収についてWhatnotの共同創業者でCEOのGrant Lafontaine(グラント・ラフォンテーヌ)氏は、500万〜1000万ドル(約5億7000万〜11億4500万円)規模と述べた。Pastel Labsは従業員5人の小さい企業で、ユーザーのビデオメッセージを記録するSaaSプロダクトやオンライン指導向けのEdTechマーケットプレイスなど、実験的なプロダクトを開発していた。

画像クレジット:Whatnot

ラフォンテーヌ氏はアクセラレータプログラムのY Combinatorでチャン氏を知った。Whatnotはコロナ禍の直前である2020年冬にY Combinatorに参加していた。創業当初、ビニール人形のFunko Popのようなコレクターズアイテムのリセールに力を入れていたWhatnotは、資金を調達できなかった。人々はお遊びではなくコロナ禍に気を取られていたからだ。Whatnotはしばらくの間、ロサンゼルスからフェニックスへ移らざるを得ないほどだった。しかし同社は、米国の市場ではライブのソーシャルコマースは初期段階で今後の可能性を大いに秘めていると考えて、構築を続けた。

ラフォンテーヌ氏は「(チャン氏は)Y Combinatorでまさに成長を教えている人です」と述べ、チャン氏について「会社をスケールし、成長させることと、そのためのメカニズム」を知ることに関して世界で指折りの人物と説明している。ラフォンテーヌ氏によれば、チャン氏はこれまでにも成長に関する問題についてWhatnotにアドバイスをしてきたという。そして両氏が話をする中で、ラフォンテーヌ氏はPastel Labsで開発されてきたことの一部を、1年間で60倍以上の成長を遂げたばかりのWhatnotでさらに活かせるのではないかと考えた。

今後、チャン氏はWhatnotでマーケットプレイスの売り手側のスケールに力を入れる。現在、マーケットプレイスで扱われているものはスポーツやゲームのカード、おもちゃ、マンガ、ビンテージゲームなどのコレクターズアイテムが中心で、最近ではスニーカー、ビンテージファッション、レコード盤などのマニア向けカテゴリーもある。チャン氏は買い手側の強化にも力を入れ、スケールし続けるために必要な仕組みを明らかにしていく。それは広告かもしれないし、共有のためのツールか、あるいはもっと別のものかもしれない。同氏が率いる成長チームのメンバーは現在6人で、今後増員する計画だ。

もう1人のアントノフ氏はLyftやPinterest、Huluなど多くの有力テック企業での経験があり、今後はWhatnotのエンジニアリングチームを動かしていく。

画像クレジット:Whatnot

ラフォンテーヌ氏はアントノフ氏について「ルードは世界有数の成長を遂げたPinterestの成長チームや、Lyftの数百人にのぼるプロダクト&成長エンジニアリングチームの運営など、一流のエンジニアリングチームを確立してきました。彼の経歴はWhatnotにうってつけです。ビデオを扱い、コンテンツやPinterestを扱い、Lyftでマーケットプレイスを扱ってきました」と称賛している。

ラフォンテーヌ氏は、Whatnotはコンテンツプラットフォーム、マーケットプレイス、ビデオプラットフォームの3つをすべて包含するものだと補足した。

新たに加わる2人は、NFTなどの新しい分野に進出して拡大を続けるWhatnotを率いていく。同社は他にも、スケーリング、低遅延の環境、リアルタイムのデータを用いてコンテンツを発見するシステムの構築といった課題にも取り組む。ラフォンテーヌ氏によれば、今後1年間で同社はコレクターズアイテムやマニア向けカテゴリー以外にも拡大していく予定だという。さらに同社は、コンシューマ向けの新機能や売り手向けツールを追加する計画も立てている。

「ジェフとルードはともに、成長やマーケットプレイスのエンジニアリングチームを率いる豊かな経験を持っています。2人はコンテンツとコマースを組み合わせるだけでなく、企業のユーザーを何億人にもスケールする技量を示してきました。ルードとジェフがWhatnotに加わって、これほどうれしいことはありません」とラフォンテーヌ氏はいう。

画像クレジット:Whatnot

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

EdTechユニコーンGoStudentが英Seneca LearningとスペインのTus Media Groupを買収

欧州のEdTechユニコーンGoStudent(ゴースチューデント)は、英国のSeneca Learning(セネカ・ラーニング)とスペインのTus Media Group(タス・メディア・グループ)を買収し、これまでこのドイツのユニコーンが手をつけていなかった分野にも進出している。Senecaはアルゴリズム学習コンテンツを提供し、Tus Mediaはオープンな家庭教師マーケットプレイスを運営している。買収の条件は明らかにされていない。

買収された両社は、現在のリーダーシップチームのもと、確立されたブランド名で引き続き独立して事業を継続する。CrunchBaseによると、2016年に立ち上げられたSeneca Learningは、これまでベンチャーキャピタルの支援を受けてこなかった。Tus Mediaも、個人所有の企業で、バルセロナを拠点とする投資家Redarbor(レダーバー)から不特定多数の支援を受けてきたのみだ。

今回の動きは、GoStudentがシリーズD資金調達で3億ユーロ(約388億円)を調達した1カ月後に行われ、GoStudentが2021年にオーストリアのオールインワン学校通信ソリューションであるFox Education(フォックス・エデュケーション)を買収したことに続くものである。

Seneca Learningは、英国で「フリーミアム」の宿題と復習のプラットフォームで、700万人の生徒が利用している。子どもたちは、KS2、KS3、GCSE & A-Levelのコースから選ぶことができる。

GoStudentのCEO兼共同創設者であるFelix Ohswald(フェリックス・オースワルド)氏は「英国はGoStudentの中核地域の1つであり、市場のリーダーとなることを目指しています。お客様のニーズに耳を傾け、当社のコアサービスにコンテンツプラットフォームを加えることは、当社にとって重要な戦略的ステップであり、学習提供のさらなる充実とポートフォリオの多様化を可能にします」と述べている。

Seneca Learningの共同創業者兼CEOであるStephen Wilks(スティーブン・ウィルクス)は「フェリックスとGoStudentチームと協力することで、Senecaの無料コンテンツと個別学習体験を、世界中のさまざまな国の数百万人以上の学生に届けることができるようになります。チームは、英国での成功を基に、より多くの子どもたちがすばらしい無料教育を受けられるよう、当社の製品を世界的に展開することに興奮しています」。と述べている。

2011年に設立されたTus Mediaは、400万人の生徒にサービスを提供する家庭教師のためのオープンマーケットプレイスを提供しており、スペインだけでなく、ヨーロッパやラテンアメリカのいくつかの国で教師が働いている。

Tus Media Groupの創設者兼CEOであるAlbert Clemente(アルベルト・クレメンテ)氏は「GoStudentの買収により、Tus Mediaとそのすべてのブランドを新しい市場でさらに拡大し、より地理的に大きな範囲に拡大することができるようになりました」。と述べている。

GoStudentのCOO兼共同創業者であるGregor Müller(グレゴール・ミュラー)氏は「アルベルト・クレメンテは、私たちがこれまでに出会った中で最も情熱的で熱心な教育分野の起業家の1人です。彼とパートナーとして協力し、互いに学び合うことで、世界No.1の学校に一歩近づくことができるでしょう」。とコメントしている。

Tus Mediaの元投資家であるRedarborの創業者兼CEO、David González Castro(ダビド・ゴンサレス・カストロ)氏は、次のようにコメントしている。「2018年、私たちはTus Mediaの20%、後に30%の参加権を取得しました。GoStudentによる買収後、私たちは株式保有を離脱することになります。アルベルト・クレメンテとのコラボレーションと価値創造で達成したすべての成功を非常に誇りに思っています」。

GoStudentは現在、およそ30億ユーロ(約3879億8300万円)の評価額を持っている。フェリックス・オースワルドCEOとグレゴール・ミュラーCOOにより2016年にウィーンで設立され、会員制モデルを用いて小中高生に有料のマンツーマン、ビデオベースの授業を提供している。Prosus Ventures(プロサス・ベンチャーズ)やSoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)などの投資家から5億9000万ユーロ(約763億2100万円)の資金を調達している。

オースワルド氏は「この2社は、GoStudentにとって非常に相性の良い会社です。Senecaは、非常に優れたコンテンツ企業を築き上げました。彼らは、英国の学校のカリキュラムに合わせてカスタマイズしたコンテンツを作成し、何千人もの教師と何百万人もの子どもたちが利用していますが、これは私たちが持っていないものです。私たちは過去に一度もコンテンツを作ったことがありません。そのため、彼らは私たちに欠けているコンテンツの要素をもたらし、私たちは相乗効果を築きながら、彼らがより多くの国でビジネスを拡大するのを助けたいと思っています」と電話で述べた。

さらに「Tus Mediaの側では、彼らはすばらしいSEOを駆使した会社を作りました。だから、彼らのマーケットプレイスで発生するトラフィックはすべて、マーケティング費用をかけずにSEOでもたらされるのです。これは、私たちが過去に達成できなかったことです。彼らと一緒になれば、私たちも学ぶこともできますし、彼らがより早くスケールアップできるよう支援することもできるのです」。とも話してくれた。

画像クレジット:GoStudent

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)