韓国のプロップテックRsquareがシリーズCで約82億円調達、東南アジアで事業拡大

韓国の商業用不動産仲介市場は細分化されており、不正確な物件情報、高額な仲介手数料、複雑な事務手続きのために、テナントが新しいオフィスを見つけるのは困難だ。ソウルを拠点とするプロップテックのスタートアップRsquare(アールスクエア)は、テナントが複数の物件を比較してオフィスを探せるよう、プロセスをデジタル化するためにデータ駆動型のプラットフォームを構築した。

RsquareのCEOであるJohnWoo Lee(ジョンウー・リー)氏は、TechCrunchのインタビューで、Rsquareが7200万ドル(約82億円)のシリーズCをSTIC Investmentsから調達したと話した。今回の資金調達により、累計調達額は約9500万ドル(約108億円)になった。

Rsquareは今回調達した資金を、AIを活用したプロップテックプラットフォームの高度化、商業ビルの取引やフルフィルメントセンターの仲介サービスの加速、来年までに従業員を400人に増やすことに使う、とリー氏は述べた。10月時点での従業員数は354人だ。

また、リー氏によるとソウルに本社を置く同社は韓国、そしてシンガポール、ベトナム、インドネシアといった東南アジアのプロップテック分野でさらなる投資を行う計画だ。同社は、2020年にベトナムのプロップテックスタートアップPropzyに、2019年にインドネシアのプロップテックMamikosに投資している。

6月にベトナムにオフィスを開設したRsquareは、2021年11月中にシンガポール、2022年にインドネシアに進出する予定だとリー氏は付け加えた。

2009年創業のRsquareは、スタートアップのオフィス探しを支援するため、2015年にオフィス仲介サービスを開始し、その後、中小企業や大企業向けへとプラットフォームを拡大してきた。2016年には、シリーズBでYahoo Japan CapitalとSoftBank Ventures Asiaから380万ドル(約4億円)を調達したことをきっかけに、オフィスのインテリアデザインサービスを提供する完全子会社Rsquare Designを設立した。

Rsquareの差別化のポイントとして、リー氏は創業以来収集してきたオフィスの家主やテナントの情報を含む商業ビルのデータを挙げる。同社は、韓国の50拠点で12万件以上の商業ビルデータ、ベトナムでは約1万件の商業施設データを蓄積しているという。同社によると、そのリアルタイムなデータベースは詳細な情報を提供し、従来の商業ブローカーに比べて、時間とコストを50%以上削減できる。同社は韓国で、2万1000人以上の顧客に1万件以上のオフィス仲介取引を行ってきた。

パンデミックは世界中の商業用不動産市場に打撃を与えた。Rsquareも同じくパンデミックに見舞われたが、2020年後半から多くの韓国企業がオフィスを再開し始めたため、急速に回復しているとリー氏は話す。同社は、2020年に5520万ドル(約63億円)の売上を計上し、その前の8カ月間の売上高は8500万ドル(約97億円)だった。新型コロナウイルス感染症のロックダウンが緩和されることで、2021年の売上高は2020年の2倍になると予想しているという。

エグジット計画に関しては、同社はすぐには株式公開を予定しておらず、2年以内に実現することはないだろうとリー氏は話した。2年ほど前にWeWorkを含むグローバルな戦略的投資家からM&Aの打診を受けたことがあるが、当時は彼らとのシナジー効果を見出すことができなかったと、M&Aの可能性について聞かれたリー氏は答えた。Rsquareは今後2年間、事業の拡大と海外市場へのさらなる浸透に注力するとも語った。

画像クレジット:Rsquare office in Seoul / Rsquare office in Seoul

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

零細企業にハードウェア不要のカード決済を提供するNomodが3.8億円を調達

新興国の零細企業は、いくつかの理由でデジタル決済の利用にいまだに苦労している。1つには、そうした企業の多くはその規模ゆえに、世界のさまざまな決済システムから除外されていることがある。また、プロバイダーからハードウェアを調達するには費用がかかることも挙げられる。

英国を拠点とするフィンテックNomodは、追加のハードウェアなしに携帯電話でカード決済を受け付けるプラットフォームを提供することで、これらの零細事業者がカード端末を回避できるようにしている。同社は5000万ドル(約57億円)の評価額で340万ドル(約3億8000万円)のシード資金を調達した。

創業者でCEOのOmar Kassim(オマール・カシム)氏がTechCrunchに語ったところによると、加盟事業者ベースを獲得し、金融オペレーティングシステムを構築するのに、決済は同社のフライホイールとして機能する。

加盟事業者に対して、口座、カード、地域の決済ネットワーク、融資へのアクセスを提供するというのが同社の計画だ。この一連のサービスは、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バングラデシュなど、Nomodが大きな加盟事業者基盤の構築を目指している主要市場では不可欠だ。

例えば、サウジアラビアでは、法人100万社超のうち銀行融資を受けられるのはわずか3%だ。アラブ首長国連邦では、ビジネス用の銀行口座を開設するのに半年近くかかる。また、バングラデシュでは、中小企業にとってカードPOSのハードウェアは非常に高価だ。

Nomodを使えば、加盟事業者は携帯電話にNomodをダウンロードして、対面での支払いや顧客からの支払いリンクを処理することができ、決済問題に対処できる。

顧客はVisa、Mastercard、American Express、Union Payなどのさまざまなカードを利用できる他、NFCやQRコードによる非接触型の決済も可能だ。また、加盟事業者は135種類以上の通貨で課金することができる。

「加盟事業者はいま、Nomodをインストールして3、4分でサインアップし、決済リンクを使った対面およびオンラインでの決済の処理を始めることができます」と、カシム氏はTechCrunchに語った。

オマール・カシム氏(NomodのCEO)

Nomodは、MENA(中東・北アフリカ地域)およびGCC(湾岸協力会議)地域の加盟事業者の獲得にフォーカスしてきたが、カシム氏によると、このプラットフォームはグローバル展開しており、欧州、米国、オーストラリア、アジアの40カ国以上からサインアップできるようになっている。

同社はナイジェリアと南アフリカの加盟事業者とテストを行っていて、近い将来、両市場でのサービス開始を見込んでいる、とカシム氏は話す。

「カードの受け入れはかなり均質な行為である、というのが当社の考えです。オーストラリア、インド、あるいはどこでやろうが、場所はあまり関係がありません。我々は、多くの市場で並行して行うことができると考えており、現在44カ国の加盟事業者が当社のプラットフォームを利用できるようになっています」。

今のところ、米国、英国、アラブ首長国連邦の加盟事業者はそれぞれの国の通貨(ドル、ポンド、ディルハム)で決済することができる。

しかし、南アフリカのように通貨の変動がある市場では、Nomodは多少のFXコストを適用している。カシム氏によると、このような市場で大幅に受け入れられれば、Nomodは加盟事業者のためにプラットフォームを最適化し、現地通貨での決済を開始するという。

YCの経歴によると、Nomodは自らを「Square(スクエア)からハードウェアを除いたもの」と表現しているが、2010年にStripe(ストライプ)がサービスを開始して以来、決済がどのように進化してきたかを考えると、この名前は示唆に富んでいるとカシム氏は確信している。

同氏によると、950億ドル(約10兆円)規模の企業が新たに立ち上げるとしたら、ハードウェアは必要ない。しかし、同氏の考えは、ほとんどの企業がウォレットやトークンを使ってフィンテック取引を行っているアラブ首長国連邦のような新興市場での決済の仕組みに基づいている。Nomodは、対面での決済を受け付けるStripeのリストにあるパートナーの1社だ。

「一部のプラットフォームでは、オンライン取引の約60~70%がApple Payによるものとなっています。最近では、消費者が積極的にデバイスにトークンを付けて決済していることも明らかになっています」。

Nomodの前に、カシム氏はeコマースのマーケットプレイスプラットフォームJadoPadoを運営し、中東・北アフリカ地域でAmazon(アマゾン)と競合するNoon(ヌーン)に売却した。

その後、いくつかのコンサルティング業務に携わり、フィンテックとネオバンクの波が英国を襲ったことに注目して、2018年にサイドプロジェクトとしてNomodを立ち上げた。それは、Stripeのアカウントを持っている人なら誰でも、対面での支払いができるシンプルなアプリだった。

このアプリを運営することで、カシム氏は将来の決済のあり方について2つの大まかなアイデアを得た。1つ目は、消費者向けのフィンテックでは、プラスチックカードがデジタルトークンやネイティブウォレットに取って代わられること。また、加盟事業者を対象としたフィンテックでは、従来のハードウェアからソフトウェア主導のソリューションへと移行するということだ。

「世界を見渡しても、決済のための有力なモバイルソフトウェアソリューションは現在ありません。だからこそ、支払いの受付のためのWhatsAppやTelegramのようなもの、あるいは決済リンクやサブスクリプションのようなものでの対面ソリューションを構築することにチャンスがあると感じています」。

2021年3月に正式にサービスを開始して以来、Nomodは約4500の加盟事業者を獲得した。同社によると、その総処理額は11.5倍に増え、ランレートは年700万ドル(約8億円)になっている。

Y Combinatorの夏季クラスを卒業したばかりのNomodは、Global Founders Capitalがリードした投資を獲得した。このラウンドにはKingsway Capital、Goodwater CapitalなどのVCや、DST Globalのパートナーを含むシリコンバレーや世界のエンジェル投資家たちが参加した。

画像クレジット:Nomod

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nariko Mizoguchi

学習アプリ「クァンダ」を開発した韓国のMathpressoにグーグルも出資

幼稚園児から高校生までを対象としたAIベースの学習アプリ「QANDA(クァンダ)」を開発した韓国のEdtech企業Mathpresso(マスプレッソ)は、新たな投資家としてGoogle(グーグル)が加わったことを発表した。

Googleの非公開の投資は、6月に実施されたシリーズC資金調達の一部ではないとのことで、評価額は明らかにされていない。

今回の追加投資は、5000万ドル(約57億円)のシリーズCから5カ月後のことだ。6月の時点で、同社の総資金調達額は1億500万ドル(約120億円)に達していた。同社にこれまで出資した投資家には、SoftBank Venture Asia(ソフトバンク・ベンチャー・アジア)、MiraeAsset Venture Investment(未来アセット・ベンチャー・インベストメント)、Smilegate Investment(スマイルゲート・インベストメント)、Samsung Venture Investment Corporation(サムスン・ベンチャー・インベストメント・コーポレーション)、Legend Capital(レジェンド・キャピタル)などが含まれる。

Mathpressoは、世界的な市場拡大と技術進歩の両面において、Googleとの相乗効果が生まれることを期待している。

クァンダのユーザーの85%以上は、韓国以外の日本や東南アジアに住んでいる。ソウルに本社を置くこのスタートアップ企業は、東京、ハノイ、ジャカルタ、バンコクにオフィスを構え、英語、スペイン語、韓国語、日本語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語の7言語に対応している。

Mathpressoは、1:1のQ&Aサービスプラットフォームとしてクァンダを開発した共同CEOのRay Lee(レイ・リー)氏とJake Lee(ジェイク・リー)氏によって、2015年に設立された。同社は2016年に、詳細な数学の解き方や、各ユーザーのレベルに合わせてパーソナライズされた学習コンテンツを提供するクァンダを起ち上げた。2017年に追加されたAIベースの光学式文字認識(OCR)技術は、ユーザーがわからないテキストや数式の写真を撮影すると、それを認識してわずか数秒でユーザーが解き方を検索できるようにする。

クァンダのプラットフォーム上では、毎日約1000万枚の写真がアップロードされているとのこと。同社の主張によれば、クァンダのアプリは4500万人以上の登録ユーザーと30億の教育データポイントを蓄積しており、50カ国で1200万人以上の月間アクティブユーザーを獲得しているという。

Mathpressoは2021年初め、クァンダに新機能を追加した。それは「ひと口サイズ」の短い動画講義を無制限に提供するプレミアムサブスクリプションモデルや、オンライン学習グループのように共同学習を強化するコミュニティ機能などだ。

「Googleによる投資は、Mathpressoにエキサイティングな好機をもたらし、世界中の学生にサービスを提供する当社の能力を高めることになります」と、MathpressoのCFO(最高財務責任者)であるSoo Nahm(スー・ナム)氏は述べている。「最近のシリーズC資金調達と合わせ、今回の投資によって私たちは、グローバルな市場拡大と技術的な進歩を加速させることができるでしょう」。

クァンダはAndroid、iOSそしてウェブブラウザで利用できる。

画像クレジット:Mathpresso

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(文:Kate Park、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自動運転トラック界、最後の非上場企業として投資家の注目を集める「Kodiak」

シリコンバレーで最後の株式非公開企業の1つであるKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)が、新たに1億2500万ドル(約142億円)の資金を調達した。この資金は、商業化に向けて従業員を倍増させるために使用される。

募集を超えた応募があった今回のシリーズBラウンドは、出資者の数が非常に多いことに加え、主導した投資家の名前が公表されていないことが特徴的だ。TechCrunchが耳にした話によると、ある貨物・物流会社が、このラウンドの戦略的主導投資家として、特別利害関係者向けの金融機関を設立したとのこと。

それ以外の投資家には、新たに加わったSIP Global Partners(SIPグローバル・パートナーズ)、Muirwoods Ventures(ミュアウッズ・ベンチャーズ)、Harpoon Ventures(ハープーン・ベンチャーズ)、StepStone Group(ステップストーン・グループ)、Gopher Asset Management(ゴーファー・アセット・マネジメント)、Walleye Capital(ウォールアイ・キャピタル)、Aliya Capital Partners(アリヤ・キャピタル・パートナーズ)などが含まれる。また、既存投資家であるBattery Ventures(バッテリー・ベンチャーズ)、CRV、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)も参加した。2021年6月にKodiakへの戦略的投資を発表していたBridgestone Americas(ブリヂストン・アメリカス)とBMW i Venturesは、今回のラウンドで資金を転換した。

Kodiakは、2018年の創業以来、合計で1億6500万ドル(約188億円)を調達している。同社は評価額を公表していない。

多くのスタートアップ企業と同様に、この資金はより多くの人材を雇用するために使われる。Kodiakでは、従業員数を現在の90人から、来年末までに約170人に増やすことを目指している。

創業者兼CEOのDon Burnette(ドン・バーネット)氏によれば、今度の採用は社内のすべての部署に及ぶという。新たに調達した資金は、業務の拡大と保有車両の拡充に充てる予定だ。Kodiakでは、少なくとも15台のトラックを追加し、合計25台以上の自動運転走行車を展開する計画だ。

「私たちは規模を拡大する必要があり、規模の拡大には会社全体の成長が伴います。より多くのドライバー、オペレーター、エンジニアが必要になります」と、バーネット氏はTechCrunchによるインタビューで語った。「研究開発が資金の主な使途であることは間違いありませんが、車両フリートの規模拡大も大きな課題です。当然ながら、この分野を見ていると、商業的な牽引力、顧客、パートナー、走行距離、自動運転貨物輸送ネットワークの規模などへの関心が、ますます高まっていることがわかります。私たちはこれらすべてに対する取り組みを拡大していくつもりですが、それにはお金がかかります」。

今回のシリーズBラウンドは、Kodiakの非常に重要な時期に実施された。同社の規模は、他の自動運転技術企業でトラック輸送を目指しているAurora(オーロラ)やWaymo(ウェイモ)などと比べたら数分の一に過ぎない。しかし、はるかに規模が大きくて資金力のあるライバル企業よりも、Kodiakは資本効率が高いと、バーネット氏は主張している。

これはKodiakが永遠に資金調達を求め続けるという意味ではない。経営の規模が大きくなれば、同社はさらに資金を求め、公開上場や非登録証券市場という選択肢を検討することになるだろう。バーネット氏は合併は考えておらず、買収も求めていないと述べている。

自動運転技術業界の資金調達について、バーネット氏は「今後の展開が非常に興味深い」と語っている。「投資欲求をそそるかという観点から考えると、今回のラウンドが非常に多くの応募を集めたことは、投資家の関心がまだ高いことを示していると思います。競合他社の多くが株式を公開しているため、非公開市場では、Kodiakは大きな進展が見られる最後の非上場の自動運転トラック企業の1つとして位置づけられます」。

10月にKodiakは、第4世代となる自動運転走行トラックシステムの詳細を明らかにし、自社の保有するPACCAR(パッカー)製クラス8トラックを15台、増車すると発表した(現在は10台のトラックが導入されている)。この第4世代のトラックには、フロントルーフラインに設置されたセンターポッドと、両サイドミラーに組み込まれた左右のポッドに、モジュール式のセンサー群が搭載されている。

画像クレジット:Kodiak Robotics

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

VRイベント「バーチャルマーケット」を手がけるHIKKYが65億円調達、オープンメタバース開発とグローバル事業展開を加速

VRイベント「バーチャルマーケット」などVRサービスの開発ソリューションを提供するHIKKYは11月15日、シリーズAラウンドのファーストクローズにおいて、第三者割当増資による65億円の資金調達を発表した。引受先はNTTドコモ。また、両社は2021年10月20日に資本・業務提携を締結したと明らかにした。現在、同ラウンドのセカンドクローズも検討しているが、当該両クローズによる資金調達後も、HIKKYの独立性が維持される予定。

調達した資金は、「オープンメタバースの開発、サービス提供」、またHIKKYの開発するスマートフォンおよびPCブラウザー上で動くVRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud」(ブイケット クラウド)のエンジンの開発体制強化、「バーチャルマーケット事業の開発体制の強化」「海外展開を含めた事業拡大」などに充当する方針。

なお、HIKKYが提唱するオープンなメタバースとは、以下を実現するサービスという。
・プラットフォームの壁を超えて人々が行き交う環境
・オープンワールドにおける大人数での体験やコミュニケーション
・独自ドメインでオリジナルのコンテンツ展開
・デバイスフリー&アプリレスでの簡単なアクセス

今後同社は、バーチャルマーケット事業によってつながったクリエイターや、パートナー企業の力を借りながら、自社開発エンジンであるVket Cloudを用いて「オープンメタバース」の開発・サービス展開を行う。また、オープンなメタバースにおいて、これまでの社会では評価されることのなかったあらゆる人の創造性やコミュニケーションが新しい価値として認められ、新たな経済圏とするべく様々なサービスを提供する。

 

業務プロセスを自動化するRPAを「自動化」するMimicaが6.8億円のシリーズA調達

RPA(ロボットによる業務プロセス自動化)導入を自動化するMimica(ミミカ)が、Khosla VenturesからシリーズAで600万ドル(約6億8000万円)を調達した。同社は今回の資金を、米国での販売チームの設立と製品の開発に使う予定だ。これまでのシード投資家には、英国のアクセラレーターEntrepreneur FirstやEpisode 1 VCなどがいた。

Mimicaの最初の製品であるMapper(マッパー)が対象とするのは「プロセス・ディスカバリー」の領域だ、すなわち「従業員のクリックやキーストロークからパターンを学習する」ことで、通常はビジネスアナリストが手作業で数カ月かけて作成する業務プロセスマップ(業務プロセスの見取り図)を生成するのだ。つまり「プロセスを自動化するための作業」を自動化するということだ。

MimicaはRPAチームを持っていて、データ入力、フォームへの入力、クレームやチケットの処理などの反復的な作業を行うソフトウェアボットを開発している。こうした市場規模は2027年までに1070億ドル(約12兆2000億円)に達すると予想されている。しかし、Mimicaによれば、UiPath(ユーアイパス)のようなRPAの巨人が提供するシステムを実際に導入することは難しく、Mimicaのシステムを使うことで導入を加速することができるという。

Mimicaのチーム

MimicaのAIは「自動化できる局面」を自動的に発見し、開発を加速できるボット用のプロセスマップを生成することで、導入のためのボトルネックを取り除くのだ。

CEOのTuhin Chakraborty(トゥヒン・チャクラボルティ)氏とCTOのRaphael Holca-Lamarre(ラファエル・ホルカ=ラマール)氏が、2017年にMimicaを共同創業した。ホルカ=ラマール氏は、計算論的神経科学と機械学習で博士号を取得た。チャクラボルティ氏は、スタンフォード大学で機械学習を学び、LinkedInで開発した教師付き学習モデルで特許を取得した。

2020年のローンチ以来、MimicaはDell(デル)、AT&T、Hexaware(ヘクサウェア)、Experis(エクペリス)、Ironbridge(アイアンブリッジ)と仕事をしてきた。

チャクラボルティ氏は次のようにいう「RPAは当社の技術を売り込むための最適な足がかりとなります、なぜならRPAを導入した企業はどこも大変な苦労を重ねているからです。手作業で自動化できる局面を探したり、プロセスマップを構築したりするのは拷問のようなものですし、不必要なものなのです」。

Khosla Venturesの創業者であるVinod Khosla(ビノッド・コースラ)氏は次のように語る「私たちがMimicaに投資したのは、彼らのチームがAIシステム構築の深い技術的専門知識を持ち、企業がプロセスを管理する際に直面する課題を十分に理解している、というすばらしい組み合わせだったからです」。

Mimicaの競合相手は、米国のFortressIQ(フォートレスIQ)やSkan(スキャン)だ。なおUiPathやCelonis(セロニス)のような他のプレイヤーも、競合するソリューションを開発している最中だ。

画像クレジット:charles taylo / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:sako)

データサイエンスでストーリーを分析・編集し人気作品を生み出す自費出版プラットフォームの独Inkitt

パンデミック渦、本の売り上げが上昇した。それにともない人々の読書量も増えているInkitt(インキット)は誰もがストーリーを書いて公開できる同名の無料プラットフォームを運営しているスタートアップだ。同社はさらにデータサイエンスを用いてそこに掲載されたストーリーを分析し、選ばれたストーリーを別の有料アプリGalatea(ガラテア)で長編作品として発表するという仕組みをとっている。この絶好の時期を捉え、同社は5900万ドル(約66億円)の資金調達を達成した。シリーズBでの評価額は公表されていないが、筆者が信頼できる情報源から得た情報によると、3億9000万ドル(約436億円)程度だという。

ベルリンを拠点とするInkitt。今回の資金調達はアルゴリズムとテクノロジーの構築を継続するために使用される予定だ。無料アプリから有料アプリに飛躍させる長編作品の選択、ストーリーの方向性のバリエーションのA/Bテストを行う「編集者」としての役割など、ストーリーのキュレーションは人間ではなくすべてアルゴリズムによって行われるため、アルゴリズムとテクノロジーの構築はとても重要な要素になる。また今回の資金は、特に北米市場へのさらなる進出に向けたより多くの人材雇用のために使用される予定だという。さらに、長期的にプラットフォームを拡張する方法についても検討をすすめている。そのためには読書以外のフォーマットも含まれる可能性があり(例えば現在オーディオにも着手し始めている)、またAPIやSDKを構築し、他の出版社などがこのツールを使って書籍化の可能性のある短編作品をテストできるようにするというようなことも考えている。

Inkittはここ数年間著しい成長を続けている。同社は現在700万人のユーザー(つまり読者)と30万人のライターのコミュニティを抱えており、筆者が前回の資金調達ラウンドを取材した2019年の時点では、160万人の読者と11万人のライターだったので、約3倍に増えていることになる。一方、有料のGalateaアプリのランレートも3800万ドル(約42億5000万円)を超えている。2年前はわずか600万ドル(約6億7000万円)だったため、この数字は6倍以上である。

同スタートアップは出版業界のさまざまな企業からも注目されており、今回のラウンドに投資する企業の顔ぶれがそれを物語っている。

NEAのマネージングジェネラルパートナーであるScott Sandell(スコット・サンデル)氏と、ドイツの出版大手Axel Springer(アクセル・シュプリンガー)が今回の投資を共同で主導。これまでにPenguin Books(ペンギン・ブックス)のCEOを務め、Disney Publishing(ディズニー・パブリッシング)を立ち上げたこともあるDisney(ディズニー)の元上級幹部で現在Snap(スナップ)の会長であるMichael Lynton(マイケル・リントン)氏の他、Macmillan(マクミラン出版社)などを所有し、自身の名を冠した出版大手の会長を務めるStefan von Holtzbrinck(ステファン・フォン・ホルツブリンク)氏、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)、HV Capital(HVキャピタル)、Redalpine(レッドアルピン)、Speedinvest(スピードインベスト)などが参加している。ちなみにKleinerはInkittのシリーズAを主導している。

このプラットフォームに参加している作家(少なくとも最初の章がInkittのアルゴリズムに合致し、それを読者に響くような長編作品に仕上げた作家)も、かなり大きな数字を達成しており、その中にはおとぎ話のようなサクセスストーリーもいくつか含まれている。

インドの中でも貧しい州の1つであるオディシャ州出身のSeemran Sahoo(シームラン・サフー)氏は、スマートフォンのみを使用してInkittに発表した小説「The Arrangement」でこれまでに270万ドル(約3億円)を稼いでいる。イスラエルのSapir Englard(サピア・エングラード)氏は、当初Inkittで発刊した「The Millennium Wolves」の収益を、ボストンのバークリー音楽院の学費に充てたいと考えていた。米国の高等教育機関の学費は高いものの、それでも彼女はその目標には十分すぎるほどの額を達成、これまでに小説で800万ドル(約9億円)を稼いだという(注:いずれもInkittの前回の資金調達ラウンドの前に出版されたものであり、彼らはその後も売り上げを上げ続けている)。

この2人は異例の成功だが、Inkittの創業者兼CEOのAli Albazaz(アリ・アルバザズ)氏(下記写真)は、Galateaに選ばれた人のほとんどが、他の出版環境に比べて非常にうまくいっていると話している。

「Galateaの作家の大半は10万ドル(約1100万円)以上の売り上げを記録しています」と同氏はいう。しかし、今は書籍、それも特に超大作がInkittの活動の中心にあるわけだが、同社の今後の大きなビジョンは単なる読書に留まらないとアルバザズ氏は話している。同社はオーディオブックの開発にも着手し始めており、映画、テレビ番組、マーチャンダイジング、ゲーム、さらにはテーマパークの開発も計画しているという。「21世紀のディズニー」というのは同氏の言葉である。

Inkittの創業者兼CEOのAli Albazaz(アリ・アルバザズ)氏(画像クレジット:Inkitt)

同社の道のりは一貫して順調だが、猛スピードでことが進んでいるわけでもない。これはアルバザズ氏が2019年に語ってくれた通りのシナリオである(しかし当初のプランから変わってきたものもいくつかある。例えば当初Galateaのユニークなセールスポイントには、本に付加する一連の「エフェクト」、つまり読書体験をより没入的にするための音や揺れがあった。これらエフェクトは今でも存在はするが、もはやすべての中核的な存在ではないようで、今回の我々の会話の中でアルバザズ氏もエフェクトについては後付けの要素としか言わなかった)。

なぜディズニーのビジョンがまだ実現されていないのかというと、パンデミックがあったから、というのが公平な言い分である。それに「Move fast and break things(すばやく行動し破壊せよ)」という考えがいつも正解なわけではない。

アルバザズ氏によると、同社には「テレビや映画、制作会社からGalatea / Inkittの本に対するコンテンツベースの依頼が毎週2〜4件きている」とのことだが(出版社であるInkittは映画化などの権利を保有している)、まだどれも契約には至っていない。その理由の1つはこのディズニーのアイデアにある。Inkittは次なるステージでも大きな役割を果たしたいと考えているからだ。

「何がベストなのかを検討中です。我々はGalateaに動画を設置するという選択肢を残しておきたいのです」と同氏。ちなみに、Sony Pictures Entertainment(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)のCEOを務めたこともあるマイケル・リントン氏がこの分野でも力を発揮してくれそうだ。

2021年初めに韓国のNaver(ネイバー)に約6億ドル(約671億円)で買収されたWattpad(ワットパッド)のような他の自費出版プラットフォームと同様に(Wattpadも彼らなりの「ディズニー」ビジョンを持っており、プラットフォームで芽を出した作品から、動画などさまざまなコンテンツを生み出していた)、Inkittは文章で生計を立てたいと夢見ているクリエイティブな人々や、自分の作品を世に送り出したいと思っている人々のために市場への新しいルートを開拓した。もちろん、FanFiction(ファンフィクション)のようなサイトからAmazon(アマゾン)やその他あらゆるサイトまで、同様のことができる場所はすでにたくさん存在する。

後者についてアルバザズ氏は、書籍の「マージンをすべて奪い、利益を押し下げ」、Kindle(キンドル)によって読書体験を台無しにした巨大eコマースサイトへの嫌悪感を露わにしている。この気持ちが、Inkittに加えてGalateaを作った理由だと同氏はいう。以前は、Inkittアプリの短編フォーマットを超えた書籍をAmazonに移行させていたからだ。しかし、Inkittには皆が必ずしも納得するわけではない独自のひねりがあることも指摘しておきたい。

ある著名な作家(名前は非公表)は、新作がInkittマシンでどのように評価されるかに興味を持ち、そこに掲載するための章を提出した。

Inkittのデータサイエンスエンジンは誰が書いているかには無頓着で、何が「うまくいくか」だけを重視する。結果その本は「読者はこのストーリーに興味を持たず、すぐに読むのをやめてしまう」と測定されてしまったのだ。

アルバザズ氏によると、その著者は「激怒」し、著者の出版社も激怒したという。著者が「彼らの」本に対して勝手にそんなことをしたから尚更である。著者はフィードバックを無視して著者が書いたとおりの本を出版した(その章が提出されたときにはすでに本全体が書き終えられていた)。結局この本は100万部の販売を達成。まずまずの結果だが、著者のこれまでの大ヒット作には到底及ばない。

「その100万人は、作者の名前を見て買っただけです」とアルバズ氏は断言する。

長期的に見て、Inkittが今の成長を維持できるかどうかだけでなく、より大きなメディアプレーに活用していけるかどうかが見どころである。おそらく、Inkittの今後の実行方法だけでなく、より広い市場で何が起こるかにもかかっているのだろう。

読んだ記事から他のコンテンツのアイデアが生まれることが多いため、AmazonやByteDance(出版業界の一部ではすでに話題になっている)のような企業も今後この分野を掘り下げていきたいと考えていることは間違いない。Amazonは事業の他の部分にも広範なA/Bテストを行っており、またデータサイエンスとAIの強力な武器を事業のあらゆる部分で活用している。しかしこれまでのところ、これらすべてを自費出版の取り組みに活かせるような大きな進展は起きていない。

しかしポジティブに捉えれば、これは投資家が好きなビッグチャンスと現在の牽引力を表しているのではないだろうか。

スコット・サンデル氏は声明の中で次のように述べている。「Inkittには、ストーリーテリングの未来を担うための体勢が整っています。すでに従来のコンテンツ形式を超え、何百万人もの読者にとって革新的で魅力的な新形式に移行しています。人々の物語の消費方法に重要な変化が起きており、Inkittはそれをきちんと理解しています。アリ氏をはじめとするInkittの役員と緊密に連携し、エキサイティングで飛躍的な成長を遂げるであろうこの時期を後押しできることを大変うれしく思います」。

「Inkittの技術は並外れており、同社の成功はストーリーテリングの未来を如実に描いています。Inkittの多くの作家たちが商業的にここまで大きな成功を収めていることを見れば、同社が人々の本の消費方法をいかに深く変革しているのかがよくわかります。私たちは彼らのさらなる発展の一翼を担い、彼らの旅路をともに歩んでいけることに胸を躍らせています」とデフナー氏(Axel SpringerのCEO)は話している。

更新:Inkittは匿名の著者に別のプロットラインを提案しておらず、そのままでは読者の興味を引くことができないと著者に伝えただけである。

画像クレジット:PM Images / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

テック系の職を目指す女性にトレーニングやメンターを提供するEdTechスタートアップEntity Academyが約113億円を調達

近年、女性がテクノロジーの世界に大きく進出してきたが、雇用者数、報酬、そしてプロダクト開発において、真に公平な状況に到達するまでにはまだ長い道のりがある。Entity Academyは、女性にデータデサイエンス、ソフトウェア開発などの領域のトレーニングやメンタリングを提供し、最終的にはジョブコーチングを目指すEdTechスタートアップだ。同社は、事業の堅調な成長を背景に、その比率を高めようという野心を抱き、1億ドル(約113億円)を調達した。

この資金は、Entity Academyの授業料(通常1万5000ドル[約169万円])を受講者が調達することへの支援に充てられる。同資金の出資者で自身もスタートアップであるLeif(レイフ)は、EdTechプラットフォームに金融サービスを提供し、学生たちが所得分配契約(ISA、学生が就職するまで学費ローンを返済する必要がない制度)を利用できる機会を創出している。

Entityの創業者でCEOのJennifer Schwab(ジェニファー・シュワブ)氏は、2016年以降、外部からの資金調達を事実上行わずに事業を構築してきた。しかし今回の資金調達で、VCの主導による同社初の、より伝統的な株式投資ラウンドの先駆けを得たと同氏は語る。

Entityはeラーニングコンテンツ自体を制作するのではなく、Springboard(スプリングボード)やLambda School(ラムダ・スクール)、Columbia University(コロンビア大学)などのプロバイダーから提供されるデータサイエンス、ソフトウェア開発、フィンテックエンジニアリング、テクノロジーセールスのオンラインコースを、24~33週の「ブートキャンプ」スタイルのコースに集約している。(大学からのコースは機関が作成したものがそのまま提示される傾向にあるが、他のコースはEntity自身が受講者に合わせてカスタマイズしている)。

Entityのテクノロジーへの関わりは、同社のカリキュラムがテクノロジーにフォーカスしていることに留まらない。EdTechスタートアップから想像されるように、Entityもまた、戦略とビジネスを構築するために収集されるデータに大きく基礎を置く。

このデータは、過去や現在の受講生からのフィードバックや受講生の成果だけではなく、他のチャネルにも基づいている。同社の「コンテンツ部門」のEntity Mag(エンティティ・マグ)は、かなり興味深いことにソーシャルメディア上で急速に拡散し、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)で110万人を超えるフォロワーを獲得しており、エンゲージメント(将来の学生も含まれるだろう)に向けた別の切り口の主要チャネルとなっている。

Entityはこれらすべてを使って、提供するコースやカリキュラムの内容、またその学習を補完する最良の方法についてキュレートする。Entityのコースには現在、テック業界で働く人々による対象を絞ったメンタリングや、求職に向けたキャリアコーチングも含まれている。

Entityのスイートスポットは枝分かれしている、とシュワブ氏はインタビューで語っている。

その分岐要素は、新規の女性(典型的には19~23歳)と、新しいキャリアに再挑戦するかキャリアを再考する女性(典型的には30~39歳)である。どちらのカテゴリーの女性も、テック系の仕事や、より技術的なプロモーションを考えたいが、そのための専門知識が不足していることを認識し、Entityを訪れている。その多くは大学で人文科学やその他の非技術系科目を学んでおり、概して、技術的な役割への扉を開くための文字通りの再訓練を提供するような職場環境でのサポートを得られていない。

加えて、これらの女性の多様性の組み合わせも存在し、そのコホートに異なる種類の課題を提起しているが、課題に取り組む手助けをするEntityにとってはそれが大きな推進力にもなっている。19~23歳のグループの約55%は有色人種の女性であり、30~39歳では62%を占める。Entityは「ラップアラウンド(包み込み)」戦略と同社が表現するように、このような女性たちすべてに対して、テック系の仕事に就く上でのそれぞれの課題に対処するツールを提供することを目指している。

「受講生の多くは、過去にSTEMプログラムを追求したことがないと思います」とシュワブ氏は述べ「そのため、私たちは一からスキルセットを構築しています」と続けた。

受講生の約80%が授業料を支払うために何らかの融資を受けており、Entityがそのための手段を強化している背景がうかがえる。

2016年以降、ほぼすべてが女性である400人余りの受講生が同社のコースを修了している。しかし、当初はかなり短期間のプログラム(6週間)として開始され、すべて対面式で費用は5000ドル(約56万円)であった。現在では8カ月間のコースが多数存在し、すべてがバーチャルとなっており、費用も人数も増大している。シュワブ氏によると、さらに300人が同社のコースを受講中で、来年は1500人になる見込みだという。

Entityの成長は、EdTechの拡大、そして「Future of Work(未来の働き方)」のトレンドと密接に結びついている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、eラーニング業界に思いもよらない、大きな苦労をともなう期待を生じさせた。教育者はリモートでのかつてない需要に突如として直面し、それを支援するためのツールを各企業が構築してきた。この需要は、従来の学習環境のバーチャル化の必要性のみならず、パンデミックのために多くの人々が自ら進んで、あるいはやむを得ず、自分たちの生活で何をすべきかを再考するようになったことにもよるものだ。オンライン教育は、他にほとんど何もできないときに何かをするための重要な手段の1つになっている。

Entity自身のストーリーは、これらのストーリーラインの両方に適合する。

同社は、シュワブ氏が自身のキャリアの初期にErnst & Young(アーンスト・アンド・ヤング)でアドバイザーを務めていたときの経験をもとに、ロサンゼルスで設立された。

「私の当初の目標は、女性のキャリアに対する考え方をグローバルに変革することでした。Ernst & Youngに入社した当時は女性のメンターがいなかったことから、女性をより良くメンターする方法について考えるようになったことが原動力となりました」とシュワブ氏は回想する。同氏は「(馴染みのある場所とは違う)島にいるような感じ」はそれ自体は良くないことだとしながらも、それは(同氏のキャリア上経験のなかった)教育と職業斡旋に向けての漸次的な進化であり、メンタリングと並行して行われたのは「女性がテック系の仕事に就かない理由を(別の理由として)特定した」からだと言い添えた。

2016年に同社がそのコンセプトを最初に具現化したのは、ロサンゼルスの1920年築の建物に設置された実店舗型の学習センターとしてであった。それは説得力を持つセールスだった。学習期間が短く、対面式であるため、完了率は96%で、終了時にはコホートの90%以上に仕事がもたらされた。「個人としての直接的なアカウンタビリティははるかに大きなものがあります」とシュワブ氏は語っている。

パンデミックは、当然ながらEntityをそのモデルから引き離したが、同時に規模拡大のレバーにもなった。2020年にラスベガスの新本社からバーチャルプログラムとして再スタートした際には、受講者数が増加し、コース期間が延長された他、より長期の契約を反映して授業料も増大した。

その一方で、完了率が低下するというマイナス面も生じており、同社が改善に取り組むべき優先事項の1つであるとシュワブ氏は述べている。

同社のプログラムのメンターは、バーチャル化によって拡大した事業の別の側面だ。当初、メンターは全員無給のボランティアで、より多くの女性が業界で優位に立てるように手助けしたいと思っていたか、より便宜的に学生との接触を雇用のための資金源として利用していた。この点についても、オンラインのエンゲージメントとともに進化している。

「今ではメンターに報酬を支払い、プロのモデレーターを雇って、メンター主導のディスカッションを一定のペースで進めています」とシュワブ氏。講演者は奨学金や保育料を寄付することが多いという。受講生グループ向けの講義にフォーカスしているメンターや、通例的には受講生が学ぶ技術的科目に関連している個別対応に従事するメンターなど、現在Entityのネットワークには約250人のメンターが在籍している。シュワブ氏によると、この数字は来年には500人に倍増することが見込まれている。

同社が学びを提供する領域への求職の側面については、おそらくこれまでのところあまり発展していないのだろう。Entityのウェブサイトの下部には、Entity Academyは伝統的な教育に取って代わるものではなく、補完的なものであるという注意書きとともに「仕事の斡旋を保証するものではない」と小さな文字で書かれている。

しかしながら、オポチュニティのポテンシャルもそこには感じられる。その意味では、The Mom Project(ザ・マム・プロジェクト)のように、雇用市場における女性の大きな格差だけではなく、それに対処するための仕組みがあまり整っていないという事実に焦点を当て、明確に女性層をターゲットにするオポチュニティに目を向けている企業もある。ありがたいことに、状況は変わりつつあるようだ。

画像クレジット:AleksandarNakic / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

フリーランサーや零細企業向けネオバンク「Oxygen」が約570億円超の評価額でのシリーズB調達に向けて交渉中

フリーランサーや零細企業にデジタルバンキングサービスを提供しているスタートアップ「Oxygen」が、5億ドル(約570億円)以上の評価額での新規ラウンドの調達に向けて交渉中であることを、2人の情報筋が語ってくれた。

サンフランシスコに本社を置く同社は、約7000万ドル(約79億7000万円)の資金調達に向けて交渉を進めているとのこと。ロンドンを拠点とするTribe VenturesがOxygenのシリーズBラウンドを主導する交渉を行っていると、詳細は非公開のため匿名を希望している情報筋は付け加えた。

米国やその他の地域の銀行は昔から、従来的な定職と安定した定期収入がない個人へのサービス提供を拒否してきた。

以前Amazon(アマゾン)で働いていたHussein Ahmed(フセイン・アーメッド)氏は、他のスタートアップをサポートするフリーランスコンサルタントとして仕事をするようになってから、自らこの問題に直面した。2020年のポッドキャストで同氏は「その時に、当社が今サービスを提供しようとしている市場セグメントに行き当たったのです」と語った。アーメッド氏はWeWorkで仕事をしていたとき「写真家から不動産ブローカー、会計士まで、周りの人たちは皆、同じ問題に直面している」ことに気づいた。

アーメッド氏がOxygenを立ち上げたのはその時期だった。このスタートアップは、一般消費者や小企業向けに、月額料金ゼロの口座を提供している。これらの口座は、FDICによって保証されており、最低残高なしで運用でき、Visaデビットカードが付いている。

Y Combinator(Yコンビネータ)やRuna Capitalなどが出資している同社は、これまでに60万人以上の顧客を獲得している。

Oxygenは今回の資金調達の交渉についてコメントを控えたが、アーメッド氏は広報担当者を通じて、同スタートアップは「2021年に大規模な成長を遂げ、2021年は収益を10倍に伸ばした」と述べている。「将来の計画に最適な資金調達方法について継続的に話し合っており、可能なときにコメントする予です」とのこと。

画像クレジット:Oxygen

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

カード取引プラットフォームAltが約85億円調達、代替資産カテゴリー拡大とモバイルアプリを準備中

3月にAlt(アルト)を取材したとき、同社は代替資産プラットフォームのために3100万ドル(約35億3500万円)を調達したばかりだった。同プラットフォームはこれまで、主に高価値のスポーツカードの調査、取引、安全管理を求める人々に利用されてきた。

それからわずか数カ月後、Altは、一流の投資家やプロスポーツ選手から7500万ドル(85億5400万円)のシリーズBを調達し、大規模な雇用を行い、モバイルアプリの立ち上げを準備している。その一方で、カバーする代替資産の範囲を拡大し始めている。

Altは当初、創業者のLeore Avidar(レオレ・アヴィダー)氏がよく知るスポーツカードというカテゴリーに焦点を当てていたが、最近では他の種類のトレーディングカードにも対応している。Altの取引所を覗いてみると、Charizards(リザードン)やYu-Gi-Oh!(遊戯王)の初版カードに加え、レアなKobe(コービー)氏やKaepernick(ケパーニック)氏のサイン入りカードなどが混ざっている。将来的には、カードだけでなく、他の代替資産への展開も視野に入れている。

「私たちの目標はスニーカー、時計からNFT製品まで扱うことです」とアヴィダー氏は語っており、スポーツカードを彼らの「証明書」として言及してくれた。

Altでカードを販売するためには、まずPSA、BGS、SGCといった定評あるグレーディング団体の審査を受け、その後、同社がよく「カードのFort Knox(フォート・ノックス)」と呼んでいる、光と温度をコントロールし、防火対策を施したAltの施設「金庫」へ送られる。ここでは、購入者から購入者へ、所有権を即座に移すことができる(Altは販売額の1.5%を受け取る)。デフォルトでは、購入したカードはこの金庫に保管される。所有者は自由にカードを金庫から取り出して発送することができるが、アヴィダー氏によると「99%」のカードは取引後も金庫に保管されているそうだ。彼らはほとんどの場合、これらのカードを展示するためではなく、投資として購入している。また、Altのユーザーはこれまでに7000万ドル(約79億8200万円)相当のカードを金庫に保管していると聞いている。

Altでは、カードに関するデータの多くを共有している。市場動向のページでは、ここ数週間で最も人気のあったカテゴリーを表示し、過去7日間でカードの価値が最も大きく変動したプレイヤーを紹介している。個々のリストには、そのカードが過去1年間に販売された価格が表示され「Altバリュー」と呼ばれる、Altが入手した最近の取引データに基づくZestimate(ゼスティメイト)スタイルの価値推定値が表示される。

Altのチームは急速に成長しており、アヴィダー氏によると、現在の従業員数は約60名だそうだ。特に最近では、eBay(イーベイ)のコレクターズアイテムおよびトレーディングカード部門のゼネラルマネージャーを務めていたNicole Colombo(ニコル・コロンボ)氏を初代社長として採用している。

では、同社のロードマップで次の課題はなんなのか?それは、モバイルアプリの立ち上げだ。これまでブラウザ上で展開してきたAltは、今月末にiOSとAndroidのアプリをリリースする予定だ。トップ画像はそのアプリのイメージだが、こちらの画像もある。

画像クレジット:Alt

その一方で、同社は新たな収益源を静かに模索している。それは、ユーザーがAltに保管しているカードを担保にして、ユーザーにお金を貸すという機能だ。アヴィダー氏は、銀行は一般的にスポーツカードのコレクションのようなものを「本物の担保」とは見なさないと指摘している。一方で同社は、あるカードが日々どれくらいの価値があるのかをかなり深く理解しており、カードはAltの金庫に保管されているため、カードが突然消えたり破損したりすることはないと想定している。このプログラムを「Alt Lending(アルト融資)」と呼んでいるが、現在はベータ版で、一部のユーザーにしか公開されていないとのことだ。

今回のラウンドは「3億2500万ドル(約370億円)以上」の評価額で調達されたとのことだ。今回のラウンドは、Spearhead(スピアヘッド)(Jeff Fagnan[ジェフ・ファグナン]氏とNaval Ravikant[ナヴァル・ラヴィカント]氏が共同で設立した新しいタイプのファンドだ。Spearhedに関しての情報はこちら)。また、Seven Seven Six(セブン・セブン・シックス)、Vibe Capital(バイブ・キャピタル)、Breyer Capital(ブライア・キャピタル)、Shrug Capital(シュラグ・キャピタル)、Apollo Projects(アポロ・プロジェクト)(Max[マックス]氏とSam Altman[サム・アルトマン]氏の会社で、別の似たような名前の新しい親会社のことではない)、Hyperguap(ハイパーグァップ)、A*、および多数の個人投資家(Tom Brady[トム・ブレイディ]氏、Giannis Antetokounmpo[ヤニス・アデトクンポ]氏、Alex Morgan[アレックス・モーガン]氏、Candace Parker[キャンデース・パーカー]氏、Marlon Humphrey[マーロン・ハンフリー]氏など、スポーツ界の大物を含む)が支援した。

画像クレジット:Alt

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Promoted.aiは膨大な商品があふれるマーケットプレイスで買い手と売り手をマッチングさせるツールを開発

現在、マーケットプレイスには多くの商品が溢れている。それらは買い手に見付けてもらうのをただ待つしかないため、売り手になるのは大変だ。Promoted.ai(プロモーテッド)は、そんなマーケットプレイスの検索で、買い手と売り手をマッチングさせるツールを開発し、人々があなたの商品を見つけるための手助けをしようとしている。同社はその仕事を継続するために200万ドル(約2億3000万円)の資金を調達した。

Promotedは、Pinterest(ピンタレスト)のエンジニア兼エンジニアマネージャーだったAndrew Yates(アンドリュー・イェーツ)氏とDan Hill(ダン・ヒル)氏の2人が起ち上げた会社で、買い手がもっと簡単に欲しいものを見付けられるようにして、それがリピート購入につながるようにしたいと考えた。そして売り手には、自分の商品が検索でどのように表示されるかをすぐに確認でき、販売を改善するためのツールを提供したいと考えた。

「私たちは、検索されたすべての商品について、誰かが興味を持って最終的に購入することになるのは何であるかを予測します」と、イェーツ氏はTechCrunchの取材に語った。「これは、完全なパッケージです。私たちが業界や顧客から発見したことは、適切な場所に適切なタイミングでデータを置くことができるように、データインフラが必要だということです」。

Promotedの技術は単なるアイテムではなく、全体像の最適化であると、イェーツ氏は説明する。つまり、大規模な販売者と小規模な販売者の間で注目度を共有するにはどうすればよいかを公平に考え出し、その上でユーザーがその検索に満足しているかどうかを考慮するのだ。

イェーツ氏とヒル氏は、2020年にベイエリアを拠点にPromoted.aiを立ち上げ、最近のY Combinator(Yコンビネータ)の冬期コホートに参加した。今回の資本投入では、同アクセラレーターに加え、主要な投資家としてはInterlace Ventures(インターレース・ベンチャーズ)とRebel Fund(レベル・ファンド)が資金を提供している。

InterlaceのマネージングパートナーであるVincent Diallo(ヴィンセント・ディアロ)氏は、この会社に惹かれた理由として「この分野ですばらしい経験を積んでいる」と感じられたチームの存在が大きいと述べている。

Interlaceは主にコマーステクノロジーに投資しているベンチャーキャピタルであり、ディアロ氏はPromotedが取り組んでいる2つのトレンドに注目した。1つ目は、小売業者がマーケットプレイスを開設することで、電子商取引や配送の幅を広げようとする動き。2つ目は、ある種の顧客行動やコミュニティの構築を通じて、市場のサブセットを獲得しようとする縦割り型のマーケットプレイスが増えていることだ。

「Amazon(アマゾン)の業績の大部分は広告マネージャと広告収入によるものです。そこで私たちは、このようなツールを構築することにチャンスがあると確信しました」と、ディアロ氏は付け加えた。

Promotedは企業向け案件をターゲットにしており、新たに調達した資金は人材雇用に充てる予定だ。しかし、同社の資金調達ラウンドは少し変わっていた。

同社のチームの大部分は、Facebook(フェイスブック)、Pinterest、Google(グーグル)の元エンジニアで構成されている。優れた人材をめぐり激しい競争が繰り広げられている環境の中で、同社の創業者たちは、従来のシード資金調達という方法を採るのではなく、創業時のエンジニアチームに株式を提供し、残りの資金を5万ドル(約570万円)以下ずつ個人エンジェル投資家から調達することにしたのだ。

「そのためには、いくつかのすばらしい資金に背を向けなければなりませんでしたが、その代わりに、優秀な人々、専門家、支持者のすばらしいネットワークを手に入れることができました」と、イェーツ氏はいう。「私たちは、優れた才能を確保するためには、エンジニアに直接株式を提供する方が良いと考えました。なぜなら、株式は非常に注目されており、経験豊富な機械学習や広告のエンジニアの現金給与は非常に高いからです。最終的には、チームを拡大するための追加資金を調達する予定です」。

Promotedはまだ若い会社だが、すでにHipcamp(ヒップキャンプ)やSnackpass(スナックパス)などのマーケットプレイス・アプリと連携しており、顧客はコンバージョン率の向上を実感している。例えばHipcampでは、Promotedによって総予約率が7%以上増加したと、イェーツ氏は述べている。

同社は今後、製品のローンチマネージャー方面に注力し、リスティング広告における広告マネージャーのようなツールを開発していく予定だ。

画像クレジット:Richard Drury / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

営業の「Salesforce疲れ」を解消、アップデート高速化ツールのWeflowがプレシード資金獲得

Salesforce(セールスフォース)のユーザーは、記録の更新にかかる時間に同じような不満を抱きがちだが、Weflow(ウィーフロウ)はこのような「Salesforce疲れ」を克服することを目指している。

ベルリンに本社を置くWeflowは、Salesforceの更新時間を短縮し、営業担当者の時間を奪うような忙しい仕事を減らすツールを開発している(まだプライベートベータ版だ)。

フォーチュン500社のうち83%の企業が営業の生産性向上のためにSalesforceを利用しているが、多くの営業担当者は営業以外の業務に時間の大半を費やしている

シリアルアントレプレナーのHenrik Basten(ヘンリック・バステン)氏とJanis Zech(ジャニス・ゼック)氏はFyber(ファイバー)でともに働き、収益チームを管理しながらこのことを身をもって体験した。彼らは、営業担当者がSalesforceの記録内の情報をすばやく追加してパイプラインを管理できるよう、Saleforceのデータベース上に構築された収益ワークスペースになるべく、2020年末にWeflowを立ち上げた。

「パイプライン管理のためのAsanaのようなソリューションを作りたいと人々は考えています」とCEOのゼック氏はTechCrunchに語った。「しかし、Salesforceはオープンなエコシステムで、その上に構築することができます。私たちは、営業担当者がパイプラインに入り、30ものタブを開いてメモを散らかしているのを観察しました。もし営業担当者が楽しんで使っていないのであれば、アップデートしやすい、よりモダンな体験を作ろうと考えていました」。

Weflowのパイプラインテーブル(画像クレジット:Weflow)

その仕組みはこうだ。ユーザーはSalesforceアカウントにサインアップしてパイプラインにアクセスし、数回クリックするだけで案件、タスク、メモ、アクティビティを更新することができる。すべてのデータはSalesforceに残る。営業担当者は通常、週に1回、2〜3時間かけてこの作業を行うが、Weflowを使えば20分に短縮できるとゼック氏は見込んでいる。

さらに同社は、Salesforce用に作られたモダンなメモ帳を作成し、ユーザーがテンプレートを構築することで、営業担当者が同じ質問をし、同じフィールドに書き込むことができるようにした。また、タスクマネージャーも用意されている。

そして米国時間11月12日、Weflowはそのツールを一般公開するために、Cherry Venturesがリードしたプレシードで270万ドル(約3億円)を調達したことを発表した。Christian Reber(クリスチャン・レバー)氏、Sascha Konietzke(サシャ・コニエツコ)氏、Chris Schagen(クリス・シャゲン)氏、Alexander Ljung(アレクサンダー・ユング)氏、Eric Quidenus-Wahlforss(エリック・キデナス・ウォルフォルス)氏、Andreas Bodczek(アンドリアス・ボドゼック)氏などのエンジェル投資家も参加した。

Cherry VenturesのパートナーであるFilip Dames(フィリップ・デイムス)氏は、創業者たちとはFyberの頃からの知り合いで、Weflowの話を持ちかけられたとき「この旅のサポートができてうれしかった」と話した。

デイムス氏は、Weflowのポートフォリオを見渡したとき、ほとんどのスタートアップが営業から始まっていて、営業ツールが「高価で不便」な場合は特に、そのプロセスを強化することは困難であることを指摘した。

そして「Salesforceの上に何かを構築することができれば、会社がどのような方向に進むことができるか、広いキャンバスが広がります」と付け加えた。「ジャニスとヘンリックは、ベンチャー企業のリターンを生み出すのに十分な大きさの分野で、ミッションを遂行しています。Salesforceは200億ドル(約2兆2780億円)の売上を上げており、それによって多くの新しいビジネスが生み出されています。インターフェイスを、これまで以上に使うのが楽しいものにすることで、顧客との時間をより長くとることができます」。

バステン氏とゼック氏はここ数カ月で10人のチームを結成した。現在、15社の共同開発パートナーが製品を試用中で、毎週数社ずつ追加されている。ゼック氏によると、この製品は来年初めに展開される見込みだ。

今回調達した資金は、マーケティングと製品開発への投資に充てる。Weflowは製品主導型で、ゆくゆくは無料版を提供する予定だとゼック氏は付け加えた。

「Salesforceについて誰と話しても、この問題は非常によく理解されています。ですので、私たちはこの問題を解決することに関心があり、良い出発点を持っているため、みんなを助けたいと思っています」とゼック氏は話した。

画像クレジット:Weflow / Henrik Basten and Janis Zech

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

オープンソースのクラウドインフラ可視化ツールを手がけるスタートアップ「CloudQuery」

開発者が複数のクラウドにコードをプッシュすると、どのインフラストラクチャを所有しているかを把握することが非常に困難になるため、通常はカスタムスクリプトを書くことが必要とされる。アーリーステージのスタートアップ起業であるCloudQuery(クラウドクエリ)は、これをもっと簡単にしたいと考え、その作業を代行するオープンソースのツールを開発した。同社は米国時間11月11日、350万ドル(約4億円)のシードラウンドを実施したと発表。このラウンドはBoldstart Ventures(ボールドスター・ベンチャーズ)が主導し、Work-Bench(ワークベンチ)、Mango Capital(マンゴ・キャピタル)、Haystack(ハイスタック)が支援した。

CloudQueryのCEO兼共同設立者であるYevgeny Pats(エフゲニー・パッツ)氏は、高いレベルでいうと「我々は、SQLで動くオープンソースのクラウドアセットインベントリー(ツール)である」と述べている。同氏は、以前起ち上げたスタートアップであるFuzzit(ファズィット)をGitLab(ギットラブ)に売却して、複数のクラウドプラットフォームで仕事をしていたとき、クラウド間のインフラをレイアウトしたり、すべてのピースがどのように組み合わされているのかを把握するのに苦労していたと語る。

さらに同氏が驚いたのは、そのために役立つオープンソースのツールが見当たらなかったことだ。HashiCorp(ハシコープ)のTerraform(テラフォーム)のように、インフラをコードとして書いている開発者が持っている種類の可視性を与えてくれるソリューションは存在しないように思われた。

そこでパッツ氏は、優れた起業家ならば当然やるべきことをやった。そのツールを作ることに着手したのだ。

「私が新たにCloudQueryを起ち上げて目指そうとしたのは、そのようなプラットフォームです。開発者がビジネスとセキュリティの目的を達成するために、新しいクエリエンジンを学ぶ必要がなく、知っているSQLを使って、ビジネスとセキュリティのロジックだけに集中できるようなエコシステムを構築したいのです」と、パッツ氏は説明する。

同社のツールは9カ月前に発表されたばかりだが、パッツ氏はこの問題を抱えているのが自分だけではないことを知った。すでに、Bloomberg(ブルームバーグ)、Salesforc(セールスフォース)、Zendesk(ゼンデスク)などの大手企業が導入し、スクリプトを書く多くの手作業に代わるツールとして使い始めている。

「(2021年の初めに)GitHub(ギットハブ)で公開してHacker News(ハッカー・ニュース)で発表したところ、3カ月も経たないうちに多くの開発者、DevOps(デブオプス)エンジニア、SRE(サイト・リライアビリティ・エンジニア)からかなりの支持と採用を得られたので、このオープンソース・プロジェクトの拡大と発展を続けるために、資金を調達してその機会を倍増させることに決めました」と、パッツ氏は述べている。

マネタイズの観点から、パッツ氏まず、コミュニティを構築したいと考えている。この製品が軌道に乗れば、オープンソースツールの使用にともなう複雑さを最小限に抑え、企業顧客向けにいくつかの特別な機能を提供するSaaSバージョンを構築する計画だ。

同社の従業員数は現在11名で、2022年の第1四半期までに14名に増やすことを計画している。オープンソースであるということは、コミュニティからの助けも得られるため、より無駄のない運営ができるということだ。また、パッツ氏によれば、完全なリモート企業であることは、より多様な人材を育成することに役立つが、雇用市場は厳しいため、よりチャレンジングであるという。

パッツ氏は、同社を完全なリモート企業として維持していく方針で、GitLabで働いていたときに学んだいくつかの教訓を、自分の会社で実践していくつもりだという。その1つが、適切なタイムゾーンでチームを構成することだ。世界中に人が散らばっていると、適切な時間にミーティングを行うことが難しくなるからだ。

画像クレジット:CasarsaGuru / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

カーボンオフセットのサブスクを行うEcologiがクラウドファンディングで資金調達

人々は音楽に定額料金を支払っているのだから、カーボンオフセットにも定額料金を支払い、気候危機に対する良心の呵責を和らげようとする人だっているはずだ。そう考えた英国のEcologi(エコロジ)というスタートアップ企業は、サブスクリプション会員から集めた資金を使って、アフリカやラテンアメリカなどの地域で10日ごとに100万本の木を植えたり、インドネシアの泥炭地を保護する活動などを行っている。そうすることによって会員のカーボンフットプリントを減らし、カーボンオフセットを購入することで会員の排出した二酸化炭素を相殺するというわけだ。

Ecologiは2021年4月、プレマネー評価額1650万ポンド(約25億2000万円)でシード投資ラウンドをクローズし、リードインベスターであるGeneral Catalyst(ジェネラル・キャタリスト)とEntrée Capital(アントレ・キャピタル)から、405万ポンド(約6億2000万円)の資金を調達した。

3万5000人の個人および企業が利用しているこのサブスクリプションサービスでは、会員は毎月少なくとも12本の木を植えて「自分の森を育てる」ことができ、さらに幅広い炭素削減プロジェクトに資金を提供することで、自分のカーボンフットプリントをオフセットすることができる。

2019年の設立以来、これまでブートストラップで運営してきた同社は、領収書、証明書、取締役会議事録、財務諸表などもすべて公開台帳に載せている。

現在は、英国の投資クラウドファンディングプラットフォームであるCrowdcube(クラウドキューブ)では、目標額の200万ポンド(約3億500万円)を上回る資金を集めており、プレマネー評価額は7500万ポンド(約115億円)に達している。この資金は、製品の開発、チームの拡大、米国およびEUでの事業拡大に充てられる予定だ。また、同社は現在、B-Corp(ビーコープ)認証を待っているところだという。

2022年初頭には、企業向けのリアルタイムカーボンフットプリントソフトウェア「Ecologi Zero(エコロジ・ゼロ)」の発売を予定している。

これによって同社は、Normative(ノーマティブ)、Spherics(スフェリックス)、Plan A(プランA)といった他のカーボンフットプリントSaaSスタートアップと競合することになる。

Ecologiは、9カ月間で650%以上の成長を遂げ、2020年1年間で炭素削減による効果を330%増加させたと主張している。2021年1月におけるARR(年間経常収益)は300万ポンド(約4億6000万円)だったが、2021年は850万ポンド(約13億円)のARRで終える見込みだという。

同社はこれまでに合計で2500万本以上の木を植え、120万トンのCO2を相殺したと主張する。これらの木の大部分は、マダガスカル、モザンビーク、ニカラグア、米国、オーストラリア、英国、ケニアで植えられた。さらにインドネシアの泥炭地保護、トルコにおける埋立てガスからのエネルギー生産、インドにおける廃棄籾殻からのエネルギー生産などのプロジェクトを支援している。

共同設立者でCEOのElliot Coad(エリオット・コード)氏は次のように述べている。「コミュニティ・オーナーシップは我々の活動の中心であり、過去2年間の成長の原動力となってきました。だから、当社の熱心な定額会員のみなさまに、Ecologiの株式を所有する機会を提供することは、当然のことだと考えました。そこで私たちは、2021年4月にGeneral Catalystから出資を受けて以来、この3カ月間はベンチャーキャピタルからの出資を断り、コミュニティベースのクラウドファンディングを採用したのです」。

画像クレジット:Ecologi / Ecologi co-founder Elliot Coad

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

健康的なスナック食品のR&Dとテストマーケティングを繰り返すThe Naked Market

職場向けの置き菓子サービス「オフィスグリコ」が全国で利用可能になる「どこでもオフィスグリコ便」の受け付け開始

食品と飲料のスタートアップThe Naked Marketが、2750万ドル(約31億円)のシリーズAを調達した。Integrated Capitalがリードし、同社の健康的な食べ物というブランドイメージの発展に寄与していく。

同社は2019年にHarrison Fugman(ハリソン・ファグマン)氏とAlex Kost(アレックス・コスト)氏とTim Marbach(ティム・マーバッハ)氏が創業し、新しい食品を開発するために、アイデアから市場までを約3カ月で行うエンドツーエンドのインフラを含む「ファストフェイル」手法を生み出した。同社は流通も手がけている。

またThe Machineと呼ばれる独自のデータツールで、Shopifyや顧客からのフィードバック、Amazon、営業や検索エンジンのトレンドであるリテールポイントなどの場所からの1500万ほどのデータポイントを集めて、同社が追究すべき有望なカテゴリーを見つけ出す。加えてまた、直接的な顧客フィードバックのループによりThe Naked Marketは、どの製品が消費者に好まれていて大規模化してよいかを測る。

CEOのFugman(ファグマン)氏は「このポートフォリオアプローチは、データに基づいたフェイルファスト戦略を採用している点が異なります。数年単位ではなく、数カ月単位で食品を特定して市場に投入することができ、製品市場に適合しないブランドがあれば、すぐにシャットダウンすることができます」という。

創業以来、The Naked Marketは5つのブランドをプロデュースした。Flock Chicken Chips、AvoCrazy、Project Breakfast、Beach House Bowlsなどで、最新のブランドであるRob’s Backstage Popcornは、Jonas Brothersとのジョイントベンチャーだ。

シリーズAに参加したのはGreat Oaks Venture CapitalとPacific Tiger Group、Sope Creek Capital、そしてClearcoとなる。The Naked Marketは約3300万ドル(約37億6000万円)を調達したことになるが、それには初期の600万ドル(約6億8000万円)のシードラウンドも含まれている。

Integrated Capitalの常務取締役Jeffrey Yam(ジェフリー・ヤム)氏は以前、香港でファグマン氏とコスト氏に会い、彼らがヤム氏に事業計画をプレゼンしたときにはすでに知己だった。

ヤム氏によると、マーケットの大きさを追求する彼らの手法と、新参のブランドにとって未開拓の分野を探す彼らの手法が気に入っている。また彼らの、データドリブンなやり方も魅力的だという。

「データドリブンで早期に勝者と敗者を見分けるアプローチは彼らを、この市場を追うにふさわしい完璧なプラットフォームにしている。製品を非常に短時間で市場に出せる軽量のインフラストラクチャが、大きな機会を作り出している」とヤム氏はべた褒めだ。

The Naked Marketの創業者アレックス・コスト氏とハリソン・ファグマン氏(画像クレジット:The Naked Market)

スナック食品の市場は2020年で4270億ドル(約48兆6479億円)といわれ、2026年まで年率3%で伸びると予想されている。ファグマン氏によれば、このような数百億〜数千億ドル(数兆〜数十兆円)の巨大市場をテクノロジーの力でディスラプトするのはやりがいがある。彼によると、最近の10年で健康的なスナックが好まれるようになり、彼の会社のような研究開発に投資する企業にチャンスが訪れている。

「既存企業は研究開発に投資していないか、投資していたとしても一桁台の低予算であり、これがチャンスになる。私たちは、マーケットリーダーを追いかけるブランドを構築できるカテゴリーを探しており、市場を特定し、ブランドを構築し、合理的な規模を実現する方程式を解いたと感じています」とさらにファグマン氏は語る。

The Naked Marketの製品は12カ月以上市場にあり、今回の新しい資金で「その炎に油を注ぐ」ことができる、という。つまり既存のブランドを規模拡大し、新製品を作り、そしてそれらブランドのM&Aの機会を追うのだ。

今同社の社員は10名だが、創業時の2年前に比べて3桁成長を遂げている。今度の新しい複数のブランドは2022年前半のローンチを予定している。

販売は目下、オンラインのみだが、今後はリテールへの卸も考えている。すでにパートナー数社が行列に並んでいる。

画像クレジット:The Naked Market

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「臓器もどき」とAIで、医薬品開発のスピードアップと動物実験の削減を目指すイスラエルのQuris

創薬のプロセスに動物実験は必要悪だ。マウス(ハツカネズミ)は特に人間に近いとはいえないものの、マウスを代替するものはないようにも思える。イスラエルを拠点とするQuris(クリス)は「チップ上の患者(複数のオルガノイドをリンクさせたシステム)」のデータとAIとを組み合わせて、マウスを必要としない新開発の本格的な方法で、低コストで極めて信頼性の高い試験と自動化を実現する、と主張している。

同社は、試験運用から実際の生産に移行するために900万ドル(約10億3000万円)を資金調達した。また、錚々(そうそう)たる後援者およびアドバイザーたちも、同社のアプローチが持つ利点を示す有望な指標となっている。

ベースとなるのは非常に理にかなったアイデアだ。これまで以上に優れた人体の小規模シミュレーションを構築し、それを使って機械学習システムが解釈しやすいデータを収集する。もちろん「言うは易し、行うは難し」だが、研究者たちのそんなアイデアを受けて、Qurisはすぐさまこれを実行に移した。

Qurisのアプローチは、ハーバード大学で行われた、いわゆる「organs on a chip(生体機能チップ)」の使用に関する大規模な研究に基づいている。まだ比較的新しいが、この分野ではすでに確立されたシステムで、少量の幹細胞から作られた組織(オルガノイド、臓器もどき)を薬や治療法の実験台として使用し、例えば人間の肝臓がある物質の組み合わせに対してどのように反応するかを調べることができる。

ハーバード大学では、複数の臓器(肝臓、腎臓、心臓の細胞など)の生体機能チップをリンクさせることで、驚くほど効果的に人体のシミュレーションが可能になるということが発見された。本物(の人体)にはかなわないとはいえ、複数のオルガノイドをリンクさせたシステム=「チップ上の患者」は、マウス実験に代わる真の手段となる可能性がある。というのも、マウスでの実験に合格した分子が人での実験に合格する確率は10%未満という事実にもかかわらず、マウスでの実験は未だに行われているからである。

Qurisの共同設立者でCEOのIsaac Bentwich(アイザック・ベントウィッチ)氏は、同氏と同僚はこの研究結果が発表された直後にこの研究が持つ将来性に気づき、実験的なシステムから規模を拡大するために、エンジニアリングとAIという点で何が必要かを考え始めたという。Qurisが取り組むのは単なるマウスの代替ではない。制約のある、人を使った実験を、人を使わずに、かつマウスの不確実性を排除して(比較的)安価に行う方法である。

自動化された「チップ・オン・チップ」デバイスの全体像(画像クレジット:Quris)

ベントウィッチ氏はインタビューで次のように話す。「あなたが製薬会社だと仮定しましょう」「理論上では効果がありそうな分子があるとします。実際に効果があるかどうかを調べるのに、臨床試験を行う寸前まで待ちますか?ゲノム情報をいくら集めても、マウスの実験で失敗する確率は90%です。Qurisの手法があれば、レースに出る前にうまく機能する(しそうな)分子を選別することができるのです」。

医薬品候補が臨床段階に到達するまでに何百億円もの費用がかかることを考えると、失敗する(はずの)候補を除外するために、わずかな費用(数十億円程度)を費やす価値は十二分にある。手法が正確であれば(おそらく正確なはずだが)、リスクは実質的にゼロであり、高額を費やしながらも失敗する(はずの)医薬品候補を1つ除外するだけで元が取れる。ベントウィッチ氏によれば、要はソフトウェア産業における「Fail fast, fail cheap(損害の少ないうちにさっさと失敗しよう)」という考え方を、こういう考え方がまったく存在しなかった医薬品という領域に持ち込んだのだ。

Qurisのシステムでは、チップオンチップという技術を使用する。つまり、複数のオルガノイド(チップ)を並べて(別のチップ上に)配置するのだが、最新の研究室のシステムと比べてはるかに小さく、効率的である。ハーバード大学で行われた実験方法で100人分のオルガノイドを調査するには何億円もかかるが、Qurisのシステムでは100万円以下で済む。Qurisの自動システムには適切に訓練された機械学習モデルが採用され、使用する生体物質の量も少ないからだ。

機械学習モデルはQurisのもう1つの特徴である。実験を理解し、実験の実行と解釈をサポートするQuris独自のAIを機能させるには、同社だけのデータセットが欠かせない。同社のAIは、既存の医薬品や今後発売される医薬品の一部を学習済みで、物質の安全性にとってさまざまなセンサーからの信号がどのような意味を持つかを学習する。これにより(500匹のマウスの代わりに)一握りのチップで効果的な実験を行えるようになる。

チップ自体もすべて同じではない。幹細胞や組織を慎重に操作・選択することで、人のさまざまなタイプ、さまざまな状態や表現型を検査することができる。効果は十分だが10%の確率で副作用が起こる医薬品があり、その原因がわからないとしよう。自動化された環境で異なる遺伝的素質や複雑な要因に対するテストを行えば、どのような要素がその副作用を引き起こすのかを調べることができるかもしれない。

ラボで作業するQurisチームのメンバー(画像クレジット:Quris)

AIはこれらすべてを認識し、カタログ化しているので、比較的少数の自動テスト(数千ではなく数十のテスト、コストも数億円ではなく数十万円)で、その医薬品候補を臨床試験に持ち込めるかどうかを判断できるようになるはずだ。AIによる解釈がなければ、データの解析は(何種類もの博士号が必要なぐらいの)難しい問題になる。しかし、ベントウィッチ氏は、生物学的な側面を排除してAIだけに頼ることは決して想定できないとすぐに気づいたと言い「『AIは生物という相手と連携する必要がある』というのが、哲学、生物学という点での私たちの見解です」と話す。

科学諮問委員会に参加しているModerna(モデルナ)の共同設立者、Robert Langer(ロバート・ランガー)氏は、このTechCrunchのインタビューでベントウィッチ氏の見解に同意し、この技術はすぐに採用されるだろうが、(本質的に)保守的な大手製薬会社がどうするかはわからない、と予測している。

ランガー氏は次のように話す。「これは非常に大きなチャンスだと思います」「私は他の化学分野でも『AIを使ってこれらの予測を行うことができる』という類似のアイデアを持っています。(動物での、あるいは人での)試験に置き換わるものではありませんが、候補を絞ることで、プロセスを爆発的な速さで進めることができるだろうと思っています」。

ランガー氏やノーベル賞受賞者のAaron Ciechanover(アーロン・チカノーバー)氏のような人物を味方につけるのは良いことだが、ベントウィッチ氏は、Qurisのビジネスはランガー氏やチカノーバー氏の特許ポートフォリオとこの分野における優位性に依存している、と話す。Qurisはニューヨーク幹細胞財団と契約を締結し、財団の幹細胞ワークフローを特別に利用している。

このビジネスモデルには2つの柱がある。1つは、製薬会社に医薬品候補をスクリーニングするサービスを提供し、その結果が正確であると証明された場合(例えばQurisのシステムによって絞り込まれた医薬品が、予測通りに所定の試験をクリアした場合)に支払いを受け取るというものであり、もう1つは、自社の医薬品の開発だ。現在、同社は自閉症に関連する脆弱X症候群の治療薬を開発中で、来年には臨床試験を開始すると予定している。

ベントウィッチ氏は、AIを活用した創薬が急増し、投資が行われているにもかかわらず、自社の研究成果である分子が臨床試験に入ったといえる企業はほとんどない、と指摘する。この理由としては、たとえば企業が、特定の生物活性を持つ分子やその効率的な製造方法を公表するなどの主張を行っていないからではなく、(医薬品候補となる分子の)発見、試験、承認のプロセスには他にも時間のかかる多くのステップがあり、AIなどを利用することで以前よりは高くなったとはいえ、成功する確率はまだまだ低い、ということにある。

シードラウンドでの900万ドルの資金調達について、ベントウィッチ氏は「私たちの装置を製品化し、一層の効率化、自動化を図り、AIを訓練するために最初の100~1000種類の薬をテストするための資金として非常に有効です」と話す。プレスリリースによると、今回の資金調達ラウンドは「心血管治療のパイオニアであるJudith Richter(ジュディス・リヒター)博士とKobi Richter(コビ・リヒター)博士が主導し、データストレージの革新的技術の先駆者であるMoshe Yanai(モシェ・ヤナイ)氏と複数の戦略的エンジェル投資家が参加した」という。機関投資家からの投資が見当たらない点については読者の判断に委ねたい。

ベントウィッチ氏は、Qurisの未来を「完全にパーソナライズされた医療」という自身が持つ大まかな未来像の一部として捉えている。幹細胞のコストが下がり続ければ(数億円だったものがすでに数十万円に下がっている)、まったく新しい市場が開拓されるだろう。

「製薬会社が高価な実験をするだけという状況は変わるでしょう。5年後、10年後には、何億もの人々が創薬をしているかもしれません。考えてみれば、私たちの今の生活は、野蛮なものとも言えるのです」とベントウィッチ氏。「薬剤師は起こりうる可能性のある副作用を教えてくれますが、はっきりとしたことはわかりません。自分はモルモットだと思いませんか?私たちは全員がモルモットです。しかし、それこそがこの状況からの脱却の第一歩です」。

画像クレジット:Andrew Brookes / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

忙しいテック系起業家のためのオンデマンドビジネススクール「Framework」

ビジネス教育は、率直に言って、3兆ドル(約340兆円)規模の世界的なテクノロジー系スタートアップ経済の活況に追いつくことが難しい状況にある。高成長企業は時間に追われており、それらの経営者も同様だ。だが、彼らに提供される授業は長くて退屈なものも多く、その質もさまざまである。理想を言えば、ビジネス教育はもっとオンデマンドで、ターゲットを絞り、実践的で、バイトサイズ(ひと口で食べられるサイズ)であるべきだ。

つまり、それがFramework(フレームワーク)という企業の考え方の基本だ。同社は「オンデマンドのビジネススクール」を実現するために、200万ドル(約2億3000万円)のシードラウンドを実施した。このEdtechプラットフォームによると、2022年のローンチに向けて、現在すでに2500人以上が予約リストに登録されているとのこと。

そのアイデアは次のようなものだ。Frameworkの会員は、Slack(スラック)、ASOS(エイソス)、Flo Health(フローヘルス)、Netflix(ネットフリックス)といった企業の技術管理者から、1単位15分の「フレームワーク」や、週に一度の「オフィスアワー」ライブセッションを通じて、直接学ぶことができる。メンバー同士で1対1のコネクションを作ることもできる。これは「snackable(間食のように、気軽に楽しめる)」なコンテンツと呼ばれたりする。

Frameworkは、欧州を中心とした世界のエリートテック系起業家のプライベートネットワークであるFounders Forum(ファウンダーズ・フォーラム)が作った9カ月間の「無料の代替MBA」と呼ばれるFounders Academy(ファウンダーズ・アカデミー)からスピンアウトした会社だ。

同社は、Learn Capital(ラーン・キャピタル)のシードファンドであるLearnStart(ラーンハート)、Evio(エヴィオ)、Atomico(アトミコ)やAda Ventures(エイダ・ベンチャーズ)のエンジェルプログラムからも支援を受けている。何人かのエンジェル投資家も参加しており、その中にはlastminute.com(ラストミニット・ドット・コム)やMADE.com(メイド・ドット・コム)の共同創業者であるBrent Hoberman(ブレント・ホバーマン)氏、Ada Health(エイダ・ヘルス)共同創業者のClaire Novorol(クレア・ノボロール)氏、Monzo(モンゾ)の元COOであるTom Foster-Caster(トム・フォスター・キャスター)氏、Lendable(レンダブル)の共同創業者であるVictoria van Lennep(ヴィクトリア・ヴァン・レネップ)氏、NetflixのHRディレクターであるAaron Mitchell(アーロン・ミッチェル)氏などが含まれる。

Frameworkの共同創業者であるAsha Haji(アシャ・ハジ)氏は、次のように述べている。「私たちのミッションは、世界中のスタートアップやスケールアップのための頼りになる学習コミュニティを構築することによって、新世代のテックリーダーを育成することです」。

同じく共同創業者のRiya Pabari(リヤ・パバリ)氏は「有色人種の2人の女性創業者として、VCコミュニティからもっと注目されるべきなのに過小評価されている創業者たちのために、旗を掲げるチャンスでもあります」と付け加えた。

ハジ氏は電話で私にこう語った。「長時間式の学習は、スタートアップ企業で働くほとんどの人にとって、時間的な負担が大きいために利用できません。私たちがやっているのはマイクロラーニングです。本当に毎日やること、実践的な質問をすることが大事です。コンテンツだけでなく、コミュニティも充実しています。お互いに1対1で関わることができます」。

Founders Forumの共同設立者であり、Frameworkの投資家でもあるブレント・ホーバーマン氏は次のように述べている。「Frameworkのバイトサイズのレッスン、実用的なチートシート、魅力的なコミュニティ機能は、業界が待ち望んでいたモダンな学習プラットフォームであり、リヤとアシャはそれに命を吹き込む強力なコンビです」。

画像クレジット:Framework / Framework founders, Riya Pabari and Asha Haji

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

数週間を1〜2日で、オンデマンドの家庭用修理サービスを提供するPuls Technologiesが約17億円調達

家に住んでいると、必ず何かが壊れるもの。そして、誰に連絡すればいいのか、修理費用を負担できるのかを把握するのは難しい。そこで、Puls Technologies(パルス・テクノロジーズ)の出番となる。

Hanaco Venture Capital(ハナコ・ベンチャー・キャピタル)から1500万ドル(約17億円)の出資を受けたPulsは、カリフォルニア州リバモアを拠点とし、モバイルアプリを使ってオンデマンドの住宅修理サービスを提供している。また、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、オーブンなどの家電製品を対象とした、月額約29ドル(約3300円)からの家電製品保証オプションを開始し、住宅保険市場も狙っている。

Pulsは、予測アルゴリズムを利用して技術者と仕事をマッチングさせることで、手間をかけずにタイムリーに修理を行い、通常は数週間かかるところを1〜2日で完了させることができる。同社は、米国の20都市で7000人以上の審査済みの技術者と連携している。

同社は当初、2015年に携帯電話の修理サービスとしてスタートし、2020年にビジネスモデルを会員制に転換する経営転換を行ったと、PulsのCEOであるGabi Peles(ガビ・ペレス)氏はメールで語っている。

従来の住宅保証サービスに関して顧客から寄せられる年間数千件の苦情を目の当たりにしただけでなく、米国人の61%もが予期せぬ出費として1000ドル(約11万3900円)も確保する経済的余裕がないことを知り、家電保証を狙うことにしたのだそうだ。

「高額な料金、細かい文字、費用のかかる問題の除外、作業員の派遣の遅れなどが、従来の保証プランの限界を表しています。Pulsは、ユーザーがリーズナブルな価格で、ほとんどの家庭用電化製品に対してより多くの保証を得ることを可能にします。また、技術者の体験を向上させ、1日にアクセスできる仕事の量を増やし、アップセルやクロスセルによる収入の機会を提供することで、新規ビジネスを促進するプラットフォームを提供することにも取り組んでいます」とペレス氏は述べている。

以前の経営体制では、Pulsは2018年に遡って5000万ドル(56億9600万円)のラウンドを含む9600万ドル(約109億円)を調達した。今回の1500万ドル(約17億円)は、同社の新たな経営陣のもとでは最初のものだとペレス氏は述べている。

Puls Technologiesのアプリ(画像クレジット:Puls Technologies)

同社は、過去1年間で従業員数を約2倍の60人に増やすなど、過去6カ月間で100%成長した。その中には、世界的な大流行により、人々が家で過ごす時間が長くなったことで、家の修理の必要性が高まったことに関連した需要もあったという。

ペレス氏の説明によると、平均的な冷蔵庫のドアの開閉回数は1日20回だが、家にいる時間が長くなると100回以上になり、ドアの修理依頼が増加するそうだ。

Pulsは、今回の資金調達を機に、40都市以上に拠点を拡大し、2022年末までに従業員を100名以上にする予定だ。

一方、Hanaco Venture Capitalのゼネラルパートナー兼共同設立者であるLior Prosor(リオール・プロソール)氏は、Pulsは、市場規模が大きいだけでなく、何十万もの異なるサービスプロバイダーによって断片化されている米国の住宅修理・メンテナンスサービス市場を狙っているとメールで述べている。

その状況のせいで、技術者と住宅所有者の両方がサービスを受けられずにいる。技術者は自分の仕事を向上させるためのツールを持たず、住宅所有者は精彩を欠いたサービスを受けなくてはいけなくなっているのだと彼は付け加えた。Pulsは、スケジュール管理、価格設定、請求書作成、顧客サービスを行うことで、技術者が顧客に専念できるようにする。

「私たちは、2020年に向けて、会社のオペレーティングモデルの変革をさらに推し進める絶好の機会を得ました。私たちは、Pulsの資産を活用して、インシュアテック市場で最高のホームケア企業を構築できるというガビ氏のビジョンに強い確信を持ちました」とプロソール氏は語る。

「この事業は、持続可能な成長軌道を示す、増加していてエキサイティングな事業指標を牽引している新しい会員制商品や保証商品の導入によって、明らかな転換期にあります。同プラットフォームは、費用対効果が高く、プロジェクトベースの仕事と『クリック& フィックス』サブスクリプションサービスの両方において、製品市場への適合性が証明されており、保証と住宅保険の新商品も期待されています」と付け加えた。

画像クレジット:Andrii Yalanskyi / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ウガンダで電動バイクの普及を目指す仏Zemboが豊田通商などから約3.8億円を獲得

豊田通商とCFAOグループのコーポレートベンチャーキャピタル子会社であるMobility 54 Investment SASと、DOB Equity、InfraCo Africaは、電動バイクのスタートアップZembo(ゼンボ)の事業成長を支援すべく、340万ドル(約3億8000万円)を出資した。

Zemboはウガンダで事業を展開するフランスのスタートアップで、2018年に設立された。リース・トゥー・オウン(購入選択権付き)プログラムを通じて電動バイクを販売している。また、同国でソーラー充電ステーションとバッテリー交換ステーションのネットワークを運営している。

Mobility 54は、このスタートアップがアフリカ全土で事業を拡大するために「グループ(トヨタ)の自動車事業の大陸全体での存在感を活用して支援する」と話す。加えて、Mobility 54はZemboが最も成長を期待しているバッテリーとソーラーパネルの事業を中心に、同社と新たなパートナーシップの構築を目指す。

「Mobility 54のZemboへの投資は、モビリティ産業の電動化によりアフリカのカーボンニュートラルを加速させることを目的としています。豊田通商とCFAOグループは、アフリカでの自動車販売実績を活かし、Zemboのアフリカでの事業展開に貢献します」とMobility 54は声明文で述べた。

今回調達した資金は、オートバイの台数を約2000台増やし、ウガンダの首都カンパラに60カ所以上の充電・バッテリー交換ステーションを設置するために使用される。Zemboのバイクは、1回の充電で37マイル(約60キロメートル)走行する。

Zemboの共同創業者Étienne Saint-Sernin(エチエンヌ・サン・セルニン)氏は「InfraCo Africa、DOB Equity、Mobility 54といったインパクト重視の組織と提携して、電動ボダ・ボダ(オートバイ)と充電ステーションの開発を継続できることをうれしく思います」と述べた。

「ウガンダのボダボダライダーの収入向上と大気汚染の抑制を両立させるというZemboのミッションは支援者にも共有されており、今回のパートナーシップの原動力となっています。今後も顧客にサービスを提供し、ウガンダで持続可能なモビリティを実現できることを楽しみにしています」と話した。

Zemboは、ウガンダで電動バイクを組み立て、外部の金融機関と協力して、レント・トゥー・オウンプランで販売している。同社のバッテリー・アズ・ア・サービス・モデルでは、ライダーは空になったバッテリーをフル充電されたバッテリーと有料で交換することができる。

InfraCo AfricaのCEO、Gilles Vaes(ジル・ヴェース)氏は次のように話した。「……Zemboは、電動二輪車を市場に提供してきたすばらしい実績を持っています。DOB EquityおよびMobility 54と共同で事業の拡大・発展に取り組むことで、カンパラの都市大気汚染の抑制、雇用の創出、経済発展を促進するZemboの能力を拡大することができます。このプロジェクトは、大気の質を改善し、今世紀半ばまでに二酸化炭素排出量を正味ゼロにするという世界的な取り組みにも合致するものです」。

InfraCo Africaは、6カ国の政府と国際金融公社(IFC)が出資するPrivate Infrastructure Development Group(PIDG)の一員として、インフラプロジェクトに資金と専門知識を提供しており、DOB Equityは東アフリカに関心を持つオランダの一族が出資する投資家だ。

バイクタクシーはアフリカ全土で人気があり、カンパラなどの大都市でも広く利用されている。しかし、騒音や大気汚染の大きな原因とみなされていて、こうした問題は電動化で解決できる。

Zembo Stormバイクは、よりクリーンな移動手段として電動モビリティソリューションを提供するためにアフリカ市場で台頭してきた数多くの企業の1社だ。

他のプレイヤーとしては、ケニアのOpibusがあり、2022年にはオートバイの大量生産を開始する予定だ。同社はTechCrunchとの先のインタビューで、電動移動手段の競争上の優位性として、化石燃料を使う移動手段に比べて最大60%運用コストを抑制できる点を挙げている。

また、電動化は世界が取り組んでいる気候変動問題の原因となっている二酸化炭素の排出量を削減することも期待されている。

しかし、アフリカにおける電動モビリティの普及は始まったばかりであり、チャンスはまだたっぷりある。特にインフラの整備が進めば、その可能性は大きく広がる。このギャップを埋めるために、ZemboやOpibusのような企業は独自のインフラを構築している。

画像クレジット:Zembo

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nariko Mizoguchi

Pocket RDが4.5億円調達、メタバース向け3Dアバターの自動生成・編集システムやNFT 3DCGマーケットプレイス開発強化

PocketRDが3DCGデータの二次流通・二次創作が可能なブロックチェーン活用サービスのβ版公開

Pocket RDは、シードBラウンドにおいて、第三者割当増資による4億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のKDDI Open Innovation Fund 3号(グローバル・ブレイン)、また講談社、大日本印刷(DNP)、SMBCベンチャーキャピタルが運営するSMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合。これにより、同社の資本業務提携先はスクウェア・エニックス、KDDI、講談社、大日本印刷の計4社となった。

調達した資金は、アバターの自動生成・編集システム「AVATARIUM」と、ブロックチェーン技術を活用したNFT 3DCGマーケットプレイス「Pocket Collection」の開発強化にあてる。また、資本提携先のKDDI、講談社、大日本印刷との業務提携による事業推進強化を行う。

すでにKDDIとは事業連携を開始しており、AVATARIUMスキャナーをGINZA456 powered by KDDIやau Style SHIBUYA MODIなどへ設置、オリジナルアバターと「バーチャル渋谷」が連携させた。「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021 ~Fun for Good~」においてコラボレーションを行い、ユーザー自身をデフォルメしたアバターや、有名キャラクターの衣装を提供し、オリジナルアバターでバーチャルハロウィーンを楽しめるようにした。

今後は、アバター生成技術やブロックチェーンを活用したマーケットプレイスをau版メタバースで活用してもらい、リアルとバーチャルが連携した「バーチャルシティ」でユーザーだけのオリジナルアバターで楽しめる体験や、生活者自身のデジタルデータを両社で協力し生み出すという。

アバターの自動生成・編集システム「AVATARIUM」

AVATARIUMは、撮影から用途に合わせたアバターをすべて同時に自動生成することを可能とし、外部環境へもシームレスなエクスポートを実現するという。エクスポート時の対応ファイル形式は、OBJ、FBX、PLY、glTF、VRMを実装。特殊なアバターを活用するメタバースの対応も完了しており、今後も業界ニーズに合わせて順次機能追加するとしている。Pocket RDが4.5億円調達、メタバース向け3Dアバターの自動生成・編集システムやNFT 3DCGマーケットプレイス開発強化

ブロックチェーン技術活用のNFT 3DCGマーケットプレイス「Pocket Collection」

Pocket Collectionは、ブロックチェーンを活用し、3D技術を活用したアートワークなど、デジタル創作物全般の大量保存・2次創作・2次流通・販売が可能なサービス。作品の2次創作・2次流通においても権利を管理し、利益分配を行える。クリエイターの創作活動における中心的なプラットフォームとなれるように大容量ストレージ機能によるポートフォリオ掲載機能、プロジェクトマネジメント機能によるグループによる制作活動、マーケットプレイス機能による購入・販売も可能にし、創作活動を全面的に支援するとしている。Pocket RDが4.5億円調達、メタバース向け3Dアバターの自動生成・編集システムやNFT 3DCGマーケットプレイス開発強化Pocket RDが4.5億円調達、メタバース向け3Dアバターの自動生成・編集システムやNFT 3DCGマーケットプレイス開発強化