高齢者の徘徊、転倒、転落、不正な食事や睡眠等々の健康状態がすべてリモートで分かるリストバンドAifloo

センサーとAIを結びつけて高齢者のための‘スマートリストバンド’(腕輪)を提供するスウェーデンのAiflooが、510万ユーロの資金を獲得した。

このシリーズAのラウンドをリードしたのはEQT Venturesで、同社のアナリティクスパートナーのHenrik Landgrenは、“大量のデータと現代的なAI”を組み合わせて、高齢者の長寿と自立的生活をヘルプしていく点を、Aiflooの将来性すなわち投資価値として挙げている。

2015年にFelix EtzlerとMichael CollarosおよびAnders Widgrenが創ったAiflooは、高齢者の生活の質を良くするためのeヘルスシステムを作り、家族や介護者にも安心を与える、と自社を説明している。

ハードウェアはたくさんのセンサーを搭載したリストバンドで、AIが着用者の行動をモニタし、問題があれば介護者に通報する。とくに重視される問題は、徘徊や転落転倒、食事習慣の変化、そして睡眠行動の変化だ。

Etzlerはこう説明する: “Aiflooはまったく新しいeヘルスシステムであり、個人のビヘイビアを継続的に知ることができ、異状を検出する。それにより高齢者の強健な生活を助け、家族や友だちに安心感を与え、介護の専門家が提供するケアを拡張する”。

そしてその基本的なコンセプトは、“人間のビヘイビアの検出を当人に意識感知されない形でデジタル化する”ことにある。そのためにAiflooのリストバンドは、複合機能ではなく単機能のウェアラブルとし、長い電池寿命を確保する。そしてAIによるリアルタイム分析のようなコンピューターの重労働は、すべてクラウド側で行う。

“リアルタイムの状況把握だけでなく、長期的な傾向の記録と分析も行い、また、本人が通報不能の状態でも緊急状態の検出と通報をする。その後は、介護者が適切なタイミングで適切なケアを、テクノロジーの助力がなくても提供できることを期待したい”。

Etzlerによると、これまでの高齢者ケアは人間が手作業でやるべきことが多すぎて、もはや時代遅れである。またいくつかの専用システムや介護用機器類は、高価で、個人の特殊性に合わせてカスタマイズできず、しかも複雑だ、とEtzlerは指摘する。

“一方、これまでのウェアラブルは若くて健康な人向けだったり、糖尿病のような特定の医療状況に対応していた。私たちが作ったものは、個人化されており、丈夫で使いやすく、複雑な問題に対する長期的なソリューションだ。それを、装着者の負担にならないウェアラブルおよびサービスとして実装したのだ”。

スカンジナビア地域で有数のヘルスケア企業であるAlerisが、早くもAiflooを採用した。今後は、在宅介護の企業にも売っていきたい、とEtzlerは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

意思決定AIプラットフォームの提供を目指すProwler.ioが1300万ドルを調達

幅広い人工知能ベースのスタートアップが市場に参入してくるのを眺めていると、果たしてAIシステムというものは人間と同様の意思決定ができるのだろうかという、拭えないそして大きな疑問が湧いてくる。

ケンブリッジ大学からのスタートアップであるProwler.ioは、確率的モデリング、強化学習、ゲー​​ム理論に基づいた新しい種類の意思決定プラットフォームを開発している。上の疑問に対してAIコミュニティが肯定的な回答をすることを期待してのことだ。

Prowler.ioは、また別のAI企業であるVocalIQの元従業員である2人の人物によって創業された(VocalIQはローンチの13ヶ月後にAppleによって買収されている)。同社は本日(米国時間9月4日)その拡大のために1000万ポンド(1300万ドル)を調達したことを発表した。

新しい投資者であるCambridge Innovation Capitalに主導された今回のラウンドには、Atlantic Bridgeだけでなく、昨年の200万ドルのシードラウンドにも参加したPassion Capital、Amadeus Capital Partners、そしてSG Innovateも参加している。

人工知能はますます混み合った領域になりつつある。CB Insightsは、2016年には550社のスタートアップが658件の取引を行い、50億ドルの資金調達を行ったものと推定している。この数字は、わずか160件の取引しかなかった2012年に比べて60%増加している。これらのスタートアップに加えて、さらに立ち上がろうとする企業たちや、Google、 Apple、Amazon、Facebook、Baidu、そしてMicrosoftのような大きなテクノロジー企業がAIテクノロジーに投資を進めている。

AIはまた買収に向けての成熟も遂げている領域だ。多くの大規模テクノロジー企業は、新しいタレントを取り込み、彼らが既に作り上げたものを手に入れるために、AIスタートアップたちを買収している。CB Insightsによれば、2012年以降AIに焦点を当てたスタートアップが、250社以上買収されていることを指摘している。

Prowler.io自身は、そうした競合相手たちからは距離を置いていると認識している。何故なら現在AIの最大領域である認知機能(コンピュータービジョンや画像認識に関係)には焦点を当てず、意思決定の領域に注力しているからだ。

「当社にとって重要なことは、他の大きなAI企業が何に取り組んでいるのかではなく、何に取り組んでいないのかということです」と語るのはCEOのVishal Chatrathだ。ChatrathはProwlerをVocalIQのキーメンバーであったDongho Kim博士(現在はProwlerのCTO)と一緒に創業した。

“Big 5″(Google、Apple、Amazon、Facebook、Microsoft)や機械学習を採用する企業たちを眺めると、彼らは皆膨大なデータを利用したディープニューラルネットワークに集中している、とChatrathは言う。「これらは分類と知覚の問題を解決するためないは素晴らしい力を発揮します。これを使えば犬を犬であると言うことができるのです。そうやって、あなたが一旦世界を分類したら、何が何かはわかってしまいます。しかし、意思決定のギャップは残されたままなのです」。

問題は、ディープニューラルネットワークにはある種の意思決定を教えることはできるものの、それらは依然としてシステムを訓練するために多くのデータに依存しているということだ。「現実世界では、何千万ものデータを得るという贅沢は考えられません。あなたが行なうすべての選択には、ダイナミックな環境におけるマイクロ意思決定が含まれています」。

(かつてはNokiaの自動車関連部門の責任者でもあった)Chatrathが説明しているように、自動運転システムは車の周囲で起きる全てのことを検知することは可能だが、その中でシステムが何に注目し、運転上の決断をする際に何を評価をすべきかは遥かに難しい問題だ。また、知覚と評価に関する同様の課題は、他の多くのシナリオにも適用できる。

Prowler(直訳では「餌などを求めて徘徊する者」という意味:という名前は、この問題を解決するために、あらゆる角度からの挑戦を行なうという姿勢を表したものだ)は、この問題に対して、従来の機械学習の上に構築される数学と統計からの学びに着目している。

そのプラットフォームが利用するものは「新しい状況に対して一般化され、データ駆動を用いることで戦略を洗練し変化する環境に適応していく」確率的モデル、不確定性を推定し考慮する強化学習アルゴリズム、そしてマルチエージェント環境で他の人間やAIがどのように振る舞おうとしているのかを推定するゲーム理論だ。

ゲームチェンジャーとしての可能性は秘めているものの、その開発はそれほど迅速には進んでいない。Prowlerは、著名な学者たちをたくさん雇っているものの、まだ製品化は行われておらず、契約した顧客もいない(Prowlerそのものの話を始める前から、インタビューの最中にもChatrathが誇らしげに語ったことは、同社が際立つ実績を持つ教授や研究者たちを、その50人の従業員のなかに擁しているということだった)。いずれにしても、見込み客の中には開示できない潜在的な顧客が複数含まれている。

「NDAを交わして契約を締結するための複数の交渉に入っているところです、ゲーム業界の中の1つとは最終段階に差し掛かっています」と彼は語った。配車業界や金融業界からも多くの問い合わせが寄せられて来ている。注目すべきことに、これまで寄せられた問い合わせはすべて、先方から自発的に送られてきたもので、口コミに基くものであったということだ。

Prowlerが現在取り組んでいることの1つは、学習エンジンと意思決定エンジンという2つの部分からなるプラットフォームのための最高のアーキテクチャの構築だ。スタートアップは学習エンジン自身は自社で抱え、意思決定部分を顧客と構築する考えだったが、データを変更できるようにサンドボックス化を望む企業もある。

一方、同社は投資家たちの支援を受け続けており、このプラットフォームを立ち上げて、現在世の中にある意思決定のための他のソリューションよりも、意思決定を本当に効果的に進めることができるかどうかを示す必要に迫られている。

Cambridge Innovation Capitalの投資責任者であるAndrew Williamsonは、その声明の中で次のように述べている「PROWLER.ioは、現在最も扱いにくい問題に挑戦するために、世界レベルの研究者たちを集めました。ケンブリッジ大が擁する、確率的モデリング、機械学習とゲーム理論の専門知識を活用できることは、非常にエキサイティングです。重要問題の解決に適用される、PROWLER.ioのチームとテクノロジーの組み合わせは、同社にとって大きな商業チャンスを生み出すことでしょう」。

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(翻訳:Sako)

B向け人工知能業界をまとめたカオスマップ(2017年下期版)が公開

AI専門メディアの「AINOW」は9月5日、B向けに人工知能関連ビジネスを展開する企業をまとめたカオスマップを公開した。

このカオスマップに掲載されている企業は190社。なかでも「解析系」の領域には最も多くの企業が分類されていて、その数は60社となる。

マップ上では総合開発の領域が一番大きいように見えるけど、中身をみると結構幅広い企業が掲載されているから、アンケートでいうところの「その他」に似た分類という印象。それでも、トヨタから105億円という巨額の資金調達を実施したPreferred Networksなど、有力なAIスタートアップもここに含まれている。

このカオスマップを公開したAINOWは、「今まで大規模で扱うことが難しいとされていたビッグデータを可視化・分析をすることで新たなビジネスに繋げることができ、各企業がビッグデータの活用に注目」しており、その影響から解析系に分類される企業が増えたのではないかとしている。

TeslaのElon Muskが国家間のAI競争が第三次世界大戦を招くと警告

Elon Muskは、労働の日(米国時間9/4)を不吉な予言で祝った。この多産なテクノロジスト起業家によると、人工知能の技術の世界最強を目指す国家間の競争は、第三次世界大戦のような状況を招く、という。

Muskはその思いを月曜日(米国時間9/4)にツイートしたが、それは北朝鮮の自称水素爆弾の実験が契機だったようだ。その後のツイートで、そのことを明かしている。

[中国やロシアなど大国によるAIの優位性をめぐる国家レベルの競争が第三次世界大戦を起こすだろう。]

Muskによれば、これからは、ロシアや中国などコンピューター科学に強い国々のすべてがAIの覇権を目指して競争する。それは、The Vergeに載った、AIにおける世界のリーダーが全世界のリーダーになる、という説に対するロシアのリーダー、ウラジミール・プーチンのコメントをめぐる記事への、彼の答でもある。

AIを開発している国自身が意図的意識的に第三次世界大戦を開始する、という意味ではない。Muskが言いたいのは、テクノロジーの軍拡競争の中で開発されたAIのどれかが、自分が世界のリーダーになるためにはそれが最良の道であると判断して、実際に攻撃を開始することもありえる、という意味だ。

OpenAIの創始者でもある彼は、さらに続けて、AIの軍拡競争がもたらす脅威に比べると、核戦争の危険性は低い、と主張する。人間リーダーが実際に核を発射する可能性は、文明の存続に対する懸念のリストの中ではずっと下の方にある、と彼は言うのだ。

Muskによると、AI技術の各国家による追究がもたらす最大の危険性は、それらが超法規的でありうることだ。そのため従来のように、国のイノベーションは民間企業のイノベーションを後追いするという従来の傾向に逆らって、独自の研究開発路線を突っ走ることもありえる。〔原爆がそうであったように。〕

[政府が企業の最先端のAI技術を独占的に入手することもありえる。]

Muskは前にもAIの危険性について語り、それを“生存の危機”と呼んだ。彼がOpenAIやNeuralinkを創設したのも、そのためだ。前者は人工知能の開発を正しい監査のもとに公開的に行っていこう、という主旨の団体。そして後者は、人間の脳とAIを結びつけることによって、AIが人間を無視して独走しないようにすることを目指す。

彼の危機感は技術に対する誤解に基づいている、と批判され、AIの専門家たちの一部は、彼には技術がわかっていない、とまで言った。Muskは、それらの批判に折れて自説を撤回してはいない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

偽レビューの真実――お金で買えるベストセラーとAIの可能性

かつてMary Strathernは「指標が目的化すると、その数値は指標としての意味をなさなくなる(グッドハートの法則)」と語った。シェイクスピアに言わせれば、守るよりも破ったほうが名誉になるルールということなのだろうか。アルゴリズムが支配する私たちの社会では、多くの指標が目的に姿を変え、その意味を失っていった。この記事では本を例にとって、この問題について考えていきたい。

「No.1ベストセラー!」というのは、”集合知”を反映した高品質の証だ。つまりこれは指標であり、今日の世界では目標でもある。一体「No.1ベストセラー」とは現在どんな意味を持っているのだろうか? Kindle Storeを見てみると……

Kindle Storeがどれだけ使えないか知りたければ、全体でナンバー1の本を見てみればいい。

……New York Timesのベストセラーリストはどうかというと……

New York Timesのベストセラーリストで第1位に輝いたヤングアダルト小説が同リストから抹消された。複数のヤングアダルト小説家がTwitter上で『少女探偵ナンシー』ばりの調査を行った結果、特定の書店で問題の小説が大量に事前予約されていたことがわかったのだ。

……と、「ベストセラー」という言葉は、もはやあまり大きな意味を持っていないとわかる。どうやらKindle StoreにしろNew York Timesにしろ、ベストセラーの称号はお金で買えるようなのだ(確かにNYTは問題に対処したが、調査を行った人たちがいなければ件の本はベストセラーのままだっただろう)。

ポスト真実の現代においては、これもあまり驚くべき話ではないのかもしれない。そもそも賞やランキングといったものは程度の違いこそあれ、人の手が加えられたものばかりだ。しかし今では、ランキングの多くがキュレーションなしでアルゴリズムによって決められるため、同じようにアルゴリズムの力を借りることで、簡単に操作できるようになってしまったのだ。そして世界中(もしくは少なくともアメリカ国内)で起きていることを見ればわかる通り、いずれこのような事件は政治的な問題へと発展していく。

プライドの高い作家は、New York TimesWall Street JournalAmazonのベストセラーリストの座をお金で買おうと試み、どうやらときにはそれが成功することもあるようだ。

その一方で、Amazonが偽レビュー取り締まりを行い、偽レビューを検知するサードパーティーのプラグインが配布されているかと思えば、気に入らない本に嘘のネガティブなレビューを残す”レビューの乱用”も横行している。真実と虚偽がせめぎ合う様子は偽ニュースの問題を彷彿とさせ、どちらが優位に立っているのか判別するのも困難な状況だ。

私は何冊か小説を出版していることもあり、この問題には個人的な思いがある。これまでにも知人から、私の本に5つ星のレビューを書くから、その人のアルバムに5つ星の偽レビューを書いてくれないかという類の話をされたが、いくばくかの嫌悪感を抱きながら全ての提案を断った。友人に良いレビューを残すよう頼んだことも一度もない。Amazonのレビューシステムをミシュランと勘違いしたのか、1つ星とともに激賞の言葉が並んだレビューにため息をついたこともある。人は嘘の称賛を嗅ぎ分けられると自分に言い聞かせてきたが、本当はそうではないのではないかと不安になる。

もちろん本のレビューに関する問題は、作家という一部の変わった人たちにしか関係のないことかもしれない。しかしそれ以外にも似たような問題は散見し、偽ニュース、偽科学、資格・スキルの詐称など枚挙にいとまがない。人はある指標を攻略しようと嘘をつき、指標自体を新しく考え出すことさえある。その指標も、証明できる事実や統計からソーシャルメディア上の繋がり、学歴、功績まで内容はさまざまだ。さらに情報過多の現代では、ただでさえ短いアテンションスパンを慎重に使うために、私たちは情報を選別するための第一歩としてアルゴリズムによる雑なフィルタリングに頼りがちだ。だがそうすることで、どれだけの真実が手からこぼれ落ち、逆にどれだけの嘘が監視の目をかいくぐって頭の中に入ってきてしまっているのだろうか?

しかし私たちには人工知能(AI)という名の一縷の望みがある。細かなパターンの認識や、目標にとってかわった粗雑な指標の代替というのはまさにAIの得意分野だ。ApectivaをはじめとするAI企業は、偽レビューを検知したり、本当のレビューから有用な情報を取り出したりするソフトを開発している。

もちろんAIにもバイアスや適合性、ブラックボックスの問題があるが、今私たちが直面している問題に比べれば大したことはない。未来のニューラルネットワークが、仕組まれたレーティングや偽レビュー、偽アカウントを認識できるようになることを祈ろう。ただそれも、AIが検知できないような偽レビューを書くAIが出てくるまでの話だ。こうして真実と虚偽のせめぎ合いは続いていく。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

DeNAからタクシー配車アプリが登場——横浜の限定エリアで実用実験、AI活用で需給予測も

自動運転バスや宅配便の自動運転プロジェクト「ロボネコヤマト」など、自動車関連テクノロジーの開発にも積極的に乗り出しているDeNA。2017年1月には「ロボットタクシー」をともに手がけていたZMPとの業務提携を解消したものの、同時に日産と自動運転車両の交通サービスのプラットフォーム開発を発表しており、自動車に関するサービスやソリューションを提供する事業を進めている。

そのDeNAが、今度はAIを活用したタクシーの配車アプリ「タクベル」の実用実験を開始する。この実験は横浜市と神奈川県タクシー協会との協力によるもので、横浜市の中区、西区およびJR横浜線沿線の東神奈川~長津田周辺の限定エリアを対象に、9月12日から10月31日まで実施される。実験中は、専用端末を搭載したタクシー約200台(1日に走行する車両は100台程度)が走行。DeNAは、神奈川県内では2018年1月以降での実用化を目指しており、神奈川県以外の地域へも順次導入を進めたい考えだ。

タクシーの配車アプリといえば、日本交通の子会社JapanTaxiが提供する「全国タクシー」が先行している分野だ。全国タクシーは6月の時点で、ダウンロード数が300万件を突破。エリアは47都道府県をカバーし、全国のタクシー台数の5分の1以上に対応している。また決済手段も増えていて、事前のネット決済のほかに、ウォレット機能による乗車中の支払いも可能だ。

後発となるタクベルでは、指定場所へのタクシーの配車依頼や、周辺を走行中のタクシーを表示する機能など、既存の配車アプリに搭載されている機能に加え、迎車地点で乗客と乗務員が効率よく出会えるよう、お互いの現在地を確認できる機能や、定型メッセージを送り合える機能が備わっている。決済は事前に登録したクレジットカードを利用するネット決済と車内決済を選択することが可能だ。

さらに、タクベルではAIを活用した「需給予測システム」が導入される予定だ。この需給予測システムは、運行中の車両から収集するビッグデータと、タクシー需要に関連する各種データを解析し、乗務員にリアルタイムに需給予測情報を提供するという。

タクベルは、iOSのみでの提供を予定。9月12日16時以降、こちらからアプリのダウンロードが可能になる。ダウンロードは無料。

DeNAでは、タクベルの提供により「将来的にはタクシーと乗客のマッチングを効率化し、乗りたい時により早くタクシーが見つかる環境を目指す」「タクシーの新たな需要を掘り起こすことにより、更なる深刻化が想定されるタクシー乗務員の労働力不足の課題解決に貢献したい」としている。

Ahoy.aiは1通のメールやSlackメッセージでミーティング予定を調整するサービス

Ahoy, mateys!(よう、お仲間!) オハイオ州コロンバスに拠点を置くAhoy.aiが、たった一通の電子メールまたはSlackでアンタ(ye)の仕事のスケジューリングを片付けようとしているぜ(Ahoy!という呼びかけは船乗りの使う呼びかけの言葉)。

AhoyはJesse RoweとAlex Ogorekによって開発された。Roweはオハイオ州立大学の4年生で、これが最初の最初の会社だ。オハイオ州の小さなファンドから1万4000ドルを調達して、彼のアイデアを広めようとしている。

「私たちの競合相手のほとんどは、いまだに電子メールのやりとりを行なっています」とRowe。「”x.ai、Clara Labs、そしてJulie Deskのようなサービスは、人工知能ロボットと対話する少なくとも1つのグループが必要です。x.aiの場合、1つの会議をスケジュールするために平均8通のメールが必要です」。

このプロダクトは単純に一通の電子メールあるいはSlackメッセージを受け取る。するとボットが残りの作業を行なってくれる。電子メールの内容からどの日程を考えているのかを判別し、ミーティング参加者に通知してくれるのだ。彼らは現在数百人のユーザーを持ち、それをさらに多くの人びとの手に届けようとしている。

「共同作業管理アプリケーションを開発している最中に、Ahoyのアイデアを思いつきました。Ai while trying to reschedule a meeting. 私たちは4人の人間が会う理想的な時間を調整して見つけ出すことがいかに難しいかに気が付き、現行の製品よりも優れた解決策がなければならないと考えたのです」と彼は語った。

このプロダクトは現在電子メールで動作しているが、今週にはSlackの統合も開始する。これは試してみる価値のあるものだ、そして多分アンタ(ye)とお仲間たち(co-hearties)のお宝探しのスケジューリングの役にも立つだろう。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: BRYCE DURBIN/TECHCRUNCH

両義的な文の機械翻訳で正しい訳語をガイドするGoogleのTransformerシステム

機械学習が翻訳にも大きく貢献することが実証されてきたが、弱点もある。たとえば翻訳モデルには、逐語主義(一語々々仕事をしていく)という性癖があり、それが深刻なエラーに導くこともある。Google Researchの今日(米国時間8/31)のブログ記事が、この問題の性質と、それに対する解決方法を詳述している。

同社の自然言語処理の部署にいるJakob Uszkoreitが、問題をうまく説明している。次のような二つのセンテンスがあるとしよう:

I arrived at the bank after crossing the street.

I arrived at the bank after crossing the river.

もちろん、これらの“bank”の意味は同じではない。でも、その意味はセンテンスを最後まで読まないと分からないから、アルゴリズムはこの語を拾ったとき間違った訳を与えるかもしれない。いろんな文章を注意して読むと、このような曖昧性は至るところにあることに気づく。

ぼくならセンテンスを書き換えるが(StrunkとWhiteはこれについて警告している)、もちろんそれは翻訳システムの能力にはない。また、このような曖昧なケースのすべてに対応できるように、ニューラルネットワークの振る舞いを変えることも、たいへんすぎて非現実的だ。

Googleのソリューションは、Attention Mechanismと呼ばれる。同社はそれを、Transformerと名付けたシステムへ実装した。それはセンテンス中の各語をすべてのその他の語と比較して、お互いのあいだにどれぐらい重要な影響関係があるか調べる。たとえば、“he”が話しているのか、“she”が話しているのか、それとも“bank”のような語に特別の意味があるのか…。

訳文を構築するとき、Attention Mechanismは各語を、他のすべての語の末尾につけた形で比較する。下のGIF画像は、その様子を表している。…ある程度はね。

今週のこの記事〔未訳〕を読まれた方は、すでにAttention Mechanismの用例をご存知だろう。その記事では協同ファウンダーが、この問題にはいちばん苦労した、と言っている。そして、Googleのポストが参考にしているコーネル大学のペーパーも教えてくれた。もちろん、Googleがそのペーパーの記述を模倣しているわけではない。しかしDeepLの実装はとても効果的で、Googleのよりも良いかもしれない。

Googleのやり方には、面白い副作用があって、システムのロジックをのぞき見できる: Transformerは各語に、すべてのほかの語との関連性をスコア(得点)で与える。下図では色の濃淡がスコアだが、左のセンテンスではitはanimalとの関連性が濃く、右のセンテンスではitはstreetとの関連性が濃い: 〔tired(疲れている)のはanimal、wid(広い)のはstreetだ〕

これは、うまいやり方だよね。少なくともぼくは、そう思う。この例では“it”がstreetかanimalかに関して曖昧性があり、最後の語を知らないとどっちが正しいか分からない。人間は教わらなくても分かるが、機械には、何でも教えなければならないのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AIスタートアップのAppierがソフトバンク、Line、Naverなどから3300万ドル資金調達

Appierの共同創業者兼CEOのChih-Han Yu(写真中央)と社員たち

AI(人工知能)を活用してマーケティングの意思決定を支援する台湾のスタートアップ企業Appierは、シリーズCにおいて名だたるアジアの投資家勢から3300万ドルを調達したことを本日(米国時間8/30)発表した。投資を行ったのは、ソフトバンクグループ、LINE、Naver、EDBI(シンガポール経済開発庁の法人投資部門)、そして香港に本拠を置く金融サービス企業AMTDグループ。

これにより、今までAppierが調達した資金の総額は8200万ドルになった。前回のラウンドを率いた主な投資家は、Sequoia CapitalやPavilion Capitalなど。Appierの共同創業者兼CEOのChih-Han Yuは、シリーズCで調達した資金を、シンガポールを含む台湾以外の国のエンジニアリング、および研究開発チームの成長に投じると述べている。

Appierは他の地域への展開を検討する前に、アジアにおける影響力を高めていく意向だ。

「我々はアジアのインターネット企業に焦点を置いており、今回のラウンドの出資者の皆さまに、アジア全体に展開するための多大なパートナーシップを頂いたと考える」。Yuはそう述べた。

ソフトバンクグループとLINE株式会社はいずれも日本に本社を置き、Naverは韓国最大のインターネット企業の1つだ。日本と韓国の両国は、北アジアにおけるAppierの最大の市場。(930億ドルのSoftBank Vison Fundは現在、前代未聞の投資規模として注目を浴びているが、Appierに対する出資はソフトバンクグループが行った)。EDBIは、もう1つの重要な市場である東南アジアを代表する企業であり、AMTDは香港への架け橋だ。

2012年にAppierが設立された当時、同社はクロススクリーン・マーケティングに焦点を当てており、それは他の製品を展開する下地として役に立ったとYuは語る。Appierは現在2つのメイン製品を持つ。1つはCrossX Programmatic Platformと呼ばれる製品。企業がデジタルマーケティングのキャンペーンにAIを活用できるよう制作されたものだ。2つ目はAxion。企業が顧客の行動を理解し、予測するのを支援するデータインテリジェンスプラットフォームだ。クロススクリーンマーケティングの基盤があるため、Appierはその予測の基礎となる強力なユーザーデータのグラフを持っているとYuは言う。

「マーケティングは企業と関わるうえで最初の出発点となり、そしてまた多くの素晴らしいパートナーと出会うことができた。ここ何年にもわたり我々は、多数の問題解決や、ユーザーに関するより深い洞察と分析、ユーザーの行動予測に対するより良い理解などを行うため、多くの企業がAIを活用したいと思う強いニーズを見てきた」とYuは述べる。

例えばある化粧品会社は、Appierのソフトウェアを使用して、小売店の売上やアプリなどといった様々な部門や情報源から来るデータを同期する。CrossXは顧客のエンゲージメント率をどのように高めるかを考え出すのを支援し、Axionはどういった顧客がリピーターになるのか、いつ製品を再び購入する可能性が高いのかなどといった、顧客層に関するさらに詳細な洞察を提供する。

Appierが現在ビジネス共にしている企業は3つのカテゴリーに分類できる。1つは消費者ブランド、2つ目は既に多くのユーザーデータを持っており、予測の精度を高めたいeコマース企業、3つ目は020サービスや、ゲーム内の行動におけるユーザーのエンゲージメントのパターンの理解を深めたいモバイルコマースやゲーム開発会社だ。

ソフトバンクグループ株式会社の執行役員兼事業副統括の田中錬は、事前に準備された声明の中で以下のように述べた。

「ビッグデータやIoTなどの革新的なテクノロジーと組み合わせることにより、AIは産業革命以上のインパクトを世界に与えようとしている。AIは既に我々の生活の多くの場面で役立っており、企業においても大きな役割を果たしていくものと考えている。Appierの法人向けAIというアプローチはユニークであり、ソフトバンクはAppierのパートナーとして、新しい画期的なAIソリューションの構築を楽しみにしている」。

 

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(翻訳:Keitaro Imoto / Twitter / Facebook

SalesforceがAIを利用して自然言語の質問をSQLに翻訳、事務系社員でもデータベースを利用できる

SQLはプログラミングの世界ではやさしい方だが、ふつうの人たちがリレーショナル・データベースを対話的に利用したいと思ったときには、やはりその学習曲線は急峻だ。そこでSalesforceのAIチームは、SQLを駆使できない人でもデータベースを使えるために、機械学習を利用できないか、と考えた。

彼らの最近のペーパーSeq2SQL: Generating Structured Queries from Natural Language using Reinforcement Learning(強化学習を使って自然言語からSQLを生成する)は、機械学習でよく使われるシーケンス変換モデルを利用している。強化学習の要素を加えたことによりチームは、自然言語によるデータベースへのクェリをSQLに翻訳するという課題に対し、かなり有望と思われる結果を得た。

すなわちミシガン大学のデータベースに対し、データベースにフットボールの優勝チームを尋ねるクェリで、正しい結果が得られた。

このプロジェクトに関わった研究員の一人、SalesforceのVictor Zhongは、こう語った: “クェリの正しい書き方は一つではない。自然言語で言われた質問*に対し、それを表すSQLのクェリは二つも三つもあるだろう。われわれは強化学習を利用して、同じ結果が得られるクェリを使うよう、学習を誘導した”。〔*: 自然言語は、語形はまったく同じでも、話者の込めた含意がさまざまに異なることが多い。〕

どなたもご想像できると思うが、ボキャブラリーがとても大きいと、機械翻訳という問題はたちまち複雑困難になる。しかし、翻訳の可能性の多様性を野放しにせずに、どの語に関しても少数に限定してやると、問題はよりシンプルになる。そのためにSalesforceにチームは、ボキャブラリーを、データベースのラベルに実際に使われている語に限定した。つまりそれらの語は、SQLのクェリに実際に登場する語だ。

SQLの民主化は、これまでにもいろいろ試みられている。たとえば最近Tableauに買収されたClearGraphは、データをSQLでなく英語で調べることを、自分たちのビジネスにしている。

“データベース本体の上で実行されるようなモデルもある”、とZhongは付言する。“しかし、社会保障番号を調べるような場合は、プライバシーの懸念が生じる”。

ペーパー以外でSalesforceの最大の貢献は、モデルの構築に利用したデータセットWikiSQLだ。最初に、HTMLのテーブルをWikipediaから集める。これらのテーブルが、ランダムに生成されるSQLクェリのベースになる。これらのクェリを使って質問を形成するが、それらの質問はAmazon Mechanical Turkで人間に渡されてパラフレーズ(語形変化)される。それぞれのパラフレーズは二度検査され、人間によるガイダンスが付く。そうやって得られたデータセットは、このようなデータセットとしてはこれまでで最大のものだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

2人の元Google社員が、AIを用いて求職活動のマッチングを行う

2人の元Google社員が、ハイテク産業界の労働者たちに対して、理想の雇用主たちとのインタビューが確実になるようにしようとしている。人工知能を活用するのだ。

この1年ほどの間に、AIは広範な課題に対して適用されてきた。元GoogleのエンジニアだったRichard LiuYunkai Zhouが設立したLeap.aiは、AIがテクノロジー業界の雇用問題を解決することに利用できると考えている。

周知のように、現在のLinkedInは、オンライン求人を代表する体重360キログラムのゴリラだ。しかし、それはとても完璧とは言えない。ほとんどのHR(人事)チームと採用チームは、積み上がるデジタル履歴書を捌くために、終わることのない苦労を続けている。昨年Microsoftに260億ドル以上で売却されたLinkedInの中ではヘッドハンティングオプションが提供されている。しかしそれほほとんどの場合、質というよりは量を担保するもので、このサービスを活用するためには、多大な時間を注ぎ込んで手作業を行う必要がある。

Leap.aiの創業者であるLiu(CEO)とZhou(CTO)は中国からやって来て、もう長い間シリコンバレーに住んでいる。そして彼らは求職者が持つスキルと経験を、彼らの希望と雇用者候補のカルチャーに対してより効率にマッチさせる方法があるに違いないと考えたのだ。

「私はおそらく、私の部門に500人ほどを雇い入れました」とLiuはTechCrunchに語った。彼はGoogleで8年間を過ごし、Project Fi(Googleの格安SIMプロジェクト)のエンジニアリング責任者となった経験をもつ「そこで雇用が難しいことを学びました」。

「学び、協力し、統率力を発揮する能力は、強いアピールポイントとなりますが、それをインタビューから読み取るのは至難の業です。好奇心や動機なども、インタビュープロセスの中では多くを測ることはできません」と彼は付け加えた。

Leap.aiは18カ月前に設立され現在10人のスタッフを擁している。候補者のより完璧なキャリア志向を様々なデータを駆使して組み上げるが、使われるデータとしては例えば、就労履歴、様々な資格やスキルといった普通のものから、個人的興味、この先のキャリアに対する希望などまでが勘案される。そのプロセスの一部には、「理想」の雇用主と自身の理想とする役割のマッピングも含まれる。

そこからシステムは、DropboxやUberなどを含む(Leap.aiの常連客である)雇用者側と、求職者をマッチングする。求職者が働くことを熱望する候補の会社の名前を2つ挙げて貰うことで、Leap.aiは少なくとも1つの企業とのインタビューは保証できると考えている(特に希望対象がスタートアップでGoogleのような巨大企業ではなかった場合)。

なぜなら、企業は自身の文化に合った候補者に本当に価値を置いていて、財務的利益を超えて彼らを採用する意欲があるからだ、とLiuは説明する。

「ご存知のように、LinkedInは(人を集めるという)最初の問題は解決しました。しかしひとりひとりがどのように優れていて、どのように組織にフィットするかは、ずっと難しくて、ずっと価値がある問題なのです」と彼は語った。

Leap.aiサービスはまた、求職側や求人側から収集したデータに基づいて、候補者が働くのに適している場所について個人的な提案を行なうサービスも提供する。

これまでのところ、得られた結果は印象的なものだ。同社は、雇用が成立したときにのみ報酬を受け取るが、Liuは8月には利益が出るようになると述べている。現在までに、提供されたマッチングのうちの70%で、対象企業の(少なくとも)最初のインタビューはパスしている。

現在は、ニューヨーク、ボルダー、オースティン、シアトル、シリコンバレーの候補者に焦点を当てているが、米国内と海外の両方に、その範囲を広げようとしているところだ。これは、現行の50以上の顧客からの要請によって推進されている部分もある。Liuによれば、Leap.aiは現在、インドや中国の会社からの興味が大きく高まっていることを感じているそうだ。この両国の会社の中には、海外から故国に帰り、ハイテクプロジェクトで働きたいと思う海外居住者を探そうと考えるものが増えつつある。

すでにLeap.aiは、そうしたアジア系企業による米国での雇用を支援するための専用機能を構築している他、中国を起点にローカル採用オプションを試す予定だ。

中国でのネットワーク公開の準備は進んでいる。Leap.aiの創業者たちは、Googleの中で腕を磨いた中国人エンジニアとしての地位の他に、中国のトップテクノロジーVCの1つであるZhen Fudから支援を受けている。これはこれまで調達した240万ドルのシード資金の一部を構成している。

「私たちは積極的に中国でのチャンスを模索してはいますが、中国に進出する前に米国で確固たる地位を確立したいと考えいます」とLiu。「創業当初から、米国、中国、インドを目標として置いていました」。

同社の野望は単に雇用を支援するだけではなく、LiuとZhouがGoogleに参加していたときのような、メンターシップを再現することも考えている。すなわち、若い被雇用者たちが、キャリアゴールを設定しその野望を達成するためにステージからステージへの移動を描き出すことを助けるということだ。それは現在の会社の中での新しい役割かもしれないし、どこか外へ出て実現されるものかもしれない。

プロダクトの観点からみれは、これは人びとがずっと一定のキャリアコンパニオンとして使い続けるリソースとなることを意味する。既にスタートアップのアプリは、単なる就職活動を超えて、既にキャリアや個人の開発にむけて焦点を当てていて、この先更に深みが加えられていく予定だ。

「私たちはGoogleで積極的にメンタリングを行ってきました」検索の巨人で10年近く働いていたZhouはそう語る。「長期的観点でのキャリアの成功を助けたいのです」。

その成功の尺度として、同社はスタッフの半分以上を自社のサービスを通して雇用している。そして今は、自分たち以外の世の雇用者と従業員の双方にもメリットを与えられことを望んでいる。

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(翻訳:Sako)

Googleが膨大な数の「ヘタクソな絵」を公開した、AI研究者にとっては面白いネタの宝庫だ

昨年の11月に、Googleはファンキーな機械学習実験のいくつかを発表した。中でも目立っていたのがQuick, Draw!だこれは、あなたが何かをスケッチすると、画像認識システムがそれが何かを推測するゲームだ。そして今Googleはこのゲームのプレイヤーたちが残した膨大な結果を、AI研究者たちが利用できるように、オープンデータとしてリリースした。

さて、この膨大な(5000万にも及ぶ)帽子、靴、そして猫のヘタクソな絵の集まりをただ眺めていくのは、とても退屈そうだ。だが安心して欲しい。それがこの記事の本題ではない。

ここでの本題はメタデータに関するものだ。これらの絵はさまざまな国から来たもので、例えばドイツと韓国ではネコの捉え方がどう異なっているのかを見るのは楽しい。あるいは椅子とか!

へえ。

よく見てみよう。そこには注目に値するパターンが存在する。明らかに、韓国語とロシア語の人たちは、椅子を斜めにまたは横方向から描く傾向があった。何故か?それこそが、このデータを用いてこの先作られる機械学習システムが、発見することを期待されていることだ。

実際、興味深い違いがたくさん存在する。Googleの投稿が指摘しているように、スニーカータイプのシューズへの大きなバイアスがかかっていたため、システムはハイヒールやサンダルの認識に問題があるだろう。そして、ネコはどうだろう?確かに人びとが、ネコたちを描く際に選んだサブ(ネコ)カテゴリが存在している。実際私が1回これを試した時には、ネコの全身を描いた。私は珍しく丁寧な例外なのだろうか?ああ、もし私が、ヒントを見い出すための機械学習システムの作り方を知っていたなら。

Googleは、彼らの新しいファセットツールを使用して、セット内の膨大なデータを視覚化することを勧めている。そして、そこがこの全体の中でも、本当に興味深いところだ。このように膨大なデータセットを持っている場合、たとえ全体レベルからでも、粗いパターンや追求する価値のあるアイデアを見つけられるようにするために、どのようにそれらを並べ替えて、観察することができるだろうか?そして、体系的なバイアスや、改善のチャンスのようなものは、どのように見つけ出すことができるのだろうか?

今回の5千万枚の絵は単なる始まりに過ぎない。他の7億5000万枚以上の絵がこの先徐々にリリースされる予定だ。そしておそらく、他のプロジェクトの興味深いデータもリリースされることだろう。最新情報のために、Google Researchブログ(もちろんTechCrunchにも)注目していて欲しい。

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(翻訳:Sako)

GraphPathの「サービスとしてのナレッジグラフ」は大企業へのAI導入を狙う

現在世の中は、AIと機械学習スタートアップの誕生には不足していない。しかし、まだ残されている最大の機会の1つは、AIを皆が、特にビジネスに、活用できるプラットフォームへと変えることだ。

近年、テクノロジー業界ではナレッジグラフ(知識グラフ)という名で知られるものと関連する形で、新しい分野が開発された。これは、特にセマンティックウェブとの関係で、長い期間知られていた概念だ。しかし最近までは、ナレッジグラフの開発と管理を一般化しようとする努力は、それほどなされてはいなかった。

だが、新しい会社GraphPathが、今そこに変化を起こそうとしている。親会社のAunken Labsによって創業された、スタートアップのGraphPathは、既にAIで長い歴史を持っている。創業者のDemian Bellumioは、10年以上にわたり機械学習コンポーネントを持つハイテク企業を経営してきた。もしこのアイデアを実現する方法を知っている者がいるとすれば、それは彼なのだ。

GraphPathは本日2つの主要なアナウンスと共に、公の場に姿を表した。1つ目のアナウンスは、Socialmetrixの買収である。

Socialmetrixは「多言語による社会分析と聴取空間のリーダー」と呼ばれている。GraphPathは、これを活用して、米国とラテンアメリカの企業に対する展開を加速する。Socialmetrixは、2011年に英国に拠点を置くDMGTから少額の投資を受けている。

第2のアナウンスとしては、GraphPathは、創業以来どのくらいの資金を調達しているのかを公表していないものの、そのウェブサイトに世界的に認められた顧問や投資家たちを掲載したということだ。AragoのChris Boos、そしてSentient TechnologiesのAntoine Blondeauの2人は、それぞれヨーロッパと米国における最も有名なAIの専門家たちだ。さらに、Prelude FertilityのMartin Varsavsky(過去にFon、Jazztelに在籍)、Higher Ground LabsのAndrew McLaughlin(betaworks、Google)、そしてIngenuのBabak Razi(Ostendo、Broadcom)も名を連ねている。

ナレッジグラフという言葉は、AlphabetのCEO、Sundar Pichaiが投資家への説明で頻繁に引用するものだ。先の5月に開催されたI/Oカンファレンスでも、新しいビジュアル検索ツールであるGoogle Lensを差別化するための要素として言及されている。

しかし、つい最近まで、それについての合意された定義を生み出そうとする試みはなされていなかった。そこで、昨年末にオーストリアのヨハネス・ケプラー大学リンツ校の研究者たちが、正式な定義を提出した:「ナレッジグラフは、獲得した知識を、オントロジーを使って統合し、推論を適用することで新しい知識を導き出すものである」。

GraphPathは、実際にこの定義を借用して、サイト上で用語を説明している。しかし、そこでの説明はさらに一歩進んでいて、彼らのコンセプトは「ナレッジグラフ・アズ・ア・サービス(Knowledge Graph-as-a-Service)」という名前で呼ばれている。これはグラフ・コンピューティング・フレームワーク、ウェブとAPIアクセス、機械学習ワークフロー、そしてクラウドまたはオンプレミスを対象とした展開、といった多くのビルディングブロックを含むものだ。

Bellumioによれば、大規模なグラフデータベースの展開、機械学習、そしてグラフ分析プロジェクトに関する彼らのチームの専門知識に基いて、このアプローチを開発したということだ。

GraphPathはSaaSとして提供されるため、顧客自身のソリューションと比較した時に、迅速かつ信頼性の高い実装を可能にする。また顧客はコンプライアンスの要求に従って、クラウドあるいはオンプレミスのソリューションを選ぶことができる。

GraphPathは、大きなデータを使用する大企業を対象にしている。たとえばそれは、携帯電話の基地局のデータや、携帯電話が基地局に接続した時にシステムが生成するデータに適用することができる。ユーザーの観点からは、課金履歴、アプリの使用状況、通話記録、ローミング料金などが含まれることになる。そして更には、特定のエリアの周辺で生成される、ソーシャルメディアネットワークから収集されたセンチメントデータなども含むこともできる。例えば都市のダウンタウンエリア周辺の、高価値の基地局クラスターから集められたそうしたデータを、ネットワークデータやユーザーデータと比較することができる。

つまり、例えば、センチメントデータが競合相手より20%以上悪い地域内で、ドロップコールの割合が最も高い基地局のリストを取得することができる、ということだ。

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(翻訳:Sako)

Salesforceの第二四半期決算報告を見ると年商100億ドルがいよいよ現実的に

今年早くからSalesforceは、同社の年商が100億ドルに達すると予想された。そしてどうやら、今後とくに問題なければ、実際に100億に達するようである。

Salesforceが今日(米国時間8/22)発表した第二四半期の決算報告によると、売上は25億6000万ドルで、EPSは33セントとなった。どちらも予想を上回ったが、株価は時間外取引でやや下げた。今年は一貫して、驚異的な上げ潮続きだったから、すこし引いたという感じだ。今年の1月以降これまでの上げ幅は36%近かったが、今日の決算報告後では約3%下がった。

Salesforceはこのまま行けば年商100億に乗りそうだが、人びとが注目しているのは年後半のDreamforceカンファレンスだ。そこでSalesforceはいくつかの新製品を発表するだろうし、同社のAIシステム“Einstein”に関する詳しい報告もあるだろう。Salesforceは、ネットを利用するCRMツールの元祖だが、最近ではもっと若くて小さい競合企業の成長が著しい。

そこで同社は、製品を現代化して今後も先頭を走り続けようとしている。その現代化には、企業がワークロードを機械学習を利用してダイエットしていくためのツールなどが含まれる。機械学習は今、エンタープライズソフトウェアの分野にも入り込みつつある。その方面ではSalesforceがとくに積極的で、これからはカスタマーサービスのツールを半日で作れる、とまで豪語している。SalesforceはCRMサービスのAI化を、今後も強力に推進していくつもりのようだ。

同社はデベロッパーが自分のアプリケーション開発のために利用するAIのAPI(EinsteinのAPI)を、すでに提供している。そこで今年の後半に関しては、ウォール街ですら、同社がそのサービスをAI利用でますます自動化していくこと、そしてそのための一連の新製品がカンファレンスで発表されることを、期待しているのだ。

そのウォール街の予想では、Salesforceの第二四半期のEPSは32セント、売上は25億1000ドルだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

楽天出身・出張手配サービスのAIトラベルが4000万円を資金調達、法人向けサービスも開始

出張が決まったとき、地図アプリ、乗換案内や航空会社サイトの時刻表、ホテルや航空券の予約サイトなどを駆使してプランを決め、交通手段を確保し、最適な場所と価格のホテルを予約するのは、楽しいという人もいるかもしれないが、なかなか手間がかかることは間違いない。「AI Travel」は、国内外への出張時に、出発地と目的地、行き帰りの日時と、大体の宿泊予算を入力するだけで、AIが最適なホテル・飛行機・新幹線を調べてくれて、そのまま予約までできる出張手配・予約・管理サービスだ。

このサービスを提供するAIトラベルは8月23日、旅費の申請・精算機能や、部門やプロジェクトごとの経費の一元管理・分析機能を追加した、AI Travelの法人向けサービスの提供を発表、申し込み受付を開始した。法人向けサービスでは、海外出張時のビザの手配代行やリスク管理のサポート、主要な会計ソフトへのデータ入力などにも対応するという。AIトラベルは法人サービスでは、出張者の手配効率の向上だけでなく、総務・経理の業務の自動化・効率化による管理コストの削減、出張経費の可視化も図れる。「TechCrunch Tokyo 2016」のスタートアップバトルでファイナリストにも選ばれている

また同日、AIトラベルはプレシリーズAラウンドとして、ジェネシアベンチャーズベンチャーユナイテッド、TLMを引受先とした総額約4000万円の第三者割当増資を実施したことも明らかにしている。

サービス開始当初から、出張の多いビジネスマンにとっての利便性もうっていたAI Travel。だが実際にユーザーへのヒアリングを進めていくと、「予約のプロセスが楽になっても、出張者の多くは(会社のルール上の)申請フローにおける雑務に対してまだ不満を強く持っているということが分かってきた」(AIトラベル代表取締役の藤原由翼氏)という。また同時に、出張者を管理する総務・経理部門にも課題感があった。

「上司からは業務効率の改善やコスト削減を依頼され、現場からは面倒なプロセスに対する不満が出たり、出張報告書の依頼や経費精算に関するやりとりでのストレスなどがあったりする。もっと効率的にできるはず…と思っても最適なサービスが分からないという意見が多かった」(藤原氏)

実際藤原氏が法人向けの旅行サービスを調査したところ、観光向けサイトに多少の機能が追加されただけ、もしくは逆に多大なコストのかかる大規模なシステムしかなかったのだという。

「米国ではトラベルマネージャーという出張管理を専門とした役職があり、インハウスで雇っている例が多いことも分かりました。既存のプレイヤーのように旅行代理店として予約を増やすことを目的とせず、企業の出張を(まるで優秀なトラベルマネージャーがいるかのように)適切にマネジメントできるサービスを目指しています」(藤原氏)。トラベルマネージャーは、実際経費削減や業務改善といった観点まで含めて出張を管理する。AI Travelも単なる代理店機能でなく、そこまでの機能を提供したいという。すでに、月間50〜100件程度の出張が発生する会社を中心に試験的な導入も行っている。

AIトラベル代表の藤原氏は楽天出身で、インキュベイト・ファンドのデザインフェローを務めた後、2014年に起業した。今回の調達資金により、サービス開発と運営体制をより一層強化する、としている。

Monsterが音楽専用の音声アシスタントをヘッドフォーンの新製品に搭載、Siriの音楽無能が契機

Monsterは必ずしも革新的なテクノロジー企業ではないけど、でも同社製のヘッドフォーンにMelodyと呼ばれるヘルパーアプリを載せることによって、今大流行の音声アシスタントの世界へ足を踏み入れた。

MonsterのElementsヘッドフォーンに搭載されているMelody音声アシスタントを作っているSpeak Musicは、基本的にその機能を、Siriが音楽サービスをApple Musicしかサポートしていない、という音楽的欠点を補うために設計した。Siriは、そのApple Musicのサポートすら、そもそも十分ではない。Speak Musicの財務のトップは、Monsterのプロダクト担当VPだった人だから、その御縁で二社はパートナーしたのかもしれない。

Melodyは、ヘッドフォーンに限らず、スタンドアローンのオーディオ製品に組み込むのに適している。いきなりAmazonのAlexaやMicrosoftのCortanaなどに飛びつくと、今の音声アシスタント製品にはびこる数々の愚かさから、逃げれなくなってしまう。少なくとも理論的には、ユーザーはオーディオ製品に音楽の機能だけを期待するだろうから、ほかの低能な音声アシスタント機能で彼らをがっかりさせるおそれはなくなる。Bluetoothスピーカーならまだしも、ヘッドフォーンが、Siriなどスマートフォンのアプリに依存していたら、相当売りにくいだろう。

Melodyも、スマホのアプリとしてダウンロードできるが、でも音声アシスタント機能は即座に簡単に使えるべきだから、(このヘッドフォーンの場合のように)ハードウェアに最初から統合されていることが必須だ。たかがヘッドフォーンのメーカーがここまでやる、ということは、2017年という今における、音声アシスタントのみすぼらしい状況を示唆している。しかもそれらの機能の制約は、現状ではプラットホームごとにまちまちだから、ますます、今回のような本体搭載に拍車をかける。

MonsterのワイヤレスヘッドフォーンElementsは、色が“ブラックスレート”、“ブラックプラチナ”、“ローズゴールド”の三種あり、今月末から350ドルで発売される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ビデオストリーミングの高画質化+中断のないスムーズ化にMITの研究者がニューラルネットワークを併用

MITのコンピューター科学と人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Lab, CSAIL)は、途中でぶち切れない、スムーズなストリーミングビデオを志向している。そのためにMohammad Alizadeh教授のチームが開発した人工知能システム‘Pensieve’は、その都度正しいアルゴリズムを選ぶことによって、中断のない最良の再生を確保する。

その方法には既存の技術の改良も含まれ、たとえばその一つYouTubeの適応ビットレート(adaptive bitrate, ABR)は、モザイクなどで画質を落とすことによって、スムーズな再生を維持しようとする。MITのAIは、今デバイスがどんなネットワーク条件に遭遇しているかによってアルゴリズムを切り替え、えんえんとひとつだけの方法を使い続けた場合の弱点を抑える。

そのアルゴリズム切り替え法によると、ストリーミングビデオの中断は10〜30%少なくなり、画質は10〜25%向上した。ビデオを長時間見るときには、これぐらいの改善でも相当大きな効果を感じるだろう。

  1. pensieve-overview.jpg

  2. pensieve-outperforming-existing-approaches.png

  3. pensieve-neural-network-detailed-diagram.jpg

しかもCSAILのPensieveは、完全にアルゴリズムだけに頼るのではなくニューラルネットワークを使用し、ストリーミングの最終的な画質に応じてNNにごほうび(reward)を与えることによって、NNを鍛えていく。それにより、どんな場合にはどんなアルゴリズムとその変数セットを選ぶか、ということをNNが学習していく。たとえばビデオをバッファリングするときのアルゴリズムの選択にも、固定的なルールには従わないというのが、このシステムの大きな特長だ。

チームによると、システムの振る舞いをエンドユーザーが(好み等に応じて)カスタマイズすることもできる。たとえば再生時に、画質重視、スピード重視、データの現状保全重視、などから選ぶこともできる。

Pensieveはオープンソースのプロジェクトとして来週ロサンゼルスで行われるSIGCOMMで発表される。チームは、もっと大量のデータセットで訓練すれば画質もスピードも大幅に向上する、と期待している。また今後は、通常のビデオよりもビットレートがものすごく高いVRビデオも使って、Pensieveの性能を上げたい、と彼らは考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Swiftを作ったChris LattnerはTesla Autopilotの後今度はGoogle Brainへ

Appleのプログラミング言語Swiftを支えた重要なクリエイターの1人であるChris Lattnerが、再び動き出した。昨年AppleからTeslaのAutopilot Softwareの副社長に就任し、その地位で6ヶ月過ごした後、LattnerはTwitterで次の勤務先がGoogle Brainであることを発表した。

Appleの低レベルのソフトウェア並びにシステムで10年以上働いたLattnerは、Teslaでの仕事が「良いフィットではない」ということが判明した後、6月の時点でTeslaの辞任を表明していた。その際Lattnerは、彼の履歴書は「オンラインで見つけやすい」と冗談を言い、最高の売り文句を口にしていた:「当方Swift言語で7年の経験アリ」。これはAppleの開発チームに所属していない人物が掛け値無しに口にできる最長のものだ。

来週からGoogle Brainに参加できることがとても楽しみだ:AIは自分自身を(まだ?)民主化できていない。なので私はそれが皆の手に届くような手助けをするつもりだ!

Lattnerがプログラミングの世界に大きな貢献をしたものは、Swiftだけではない。Appleの最新のコーディング言語に携わる前には、彼はClangコンパイラとLLVMを作成した。言い換えれば、Lattnerが過去に作り出したものに、基本的なレベルで触れたことがない現代の開発者を見つけるのは極めて困難だということだ。

Google Brainは、ディープラーニングと人工知能に焦点を当てた、Googleのチームだ。それは、DeepMindも含むAlphabet内のチームたちと横断的に協力し、リサーチとプロダクトインテグレーションの両者に取り組み、AIを幅広いプロダクトで利用することに焦点を当てている。その究極の動機は、オープンソースプロジェクト、アカデミックコラボレーション、そして出版によって、この分野を発展させることだ。

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(翻訳:Sako)

高知発・AI対話システム開発のNextremer、産業革新機構などから4.7億円の資金調達

AI対話システムの研究・開発を行うベンチャー企業のNextremerは8月8日、産業革新機構(以下、INCJ)および高知銀行を引受先とした第三者割当増資により、総額4億7000万円の資金調達を実施したと発表した。INCJが4億円、高知銀行が7000万円を引き受ける。また出資に伴い、INCJマネージングディレクターの鑓水英樹氏が社外取締役に就任している。

Nextremerは2012年の設立。設立当初から取り組んできた、AIを活用した対話システムの研究・開発を軸に、文字や音声も含んだ自然言語処理機能を持つ対話システム「minarai」を提供している。独自で開発した深層学習をベースに、各業界に特化したシナリオデータベースを組み合わせることで、応答精度の高い対話システムの開発を行っているという。

最近では、空港や駅の案内システムや24時間自動応答のカスタマーサポートサービスにminaraiを提供して、人とAIが協業で対話するシステムの実証実験を実施・支援するなど、公共施設を中心に大手事業会社との共同研究や開発受託を行っている。2017年2月にはHaneda Robotics Labが行った実証実験「羽田空港ロボット実験プロジェクト2016」に第1期事業者として参加。羽田空港のデジタルサイネージに対話システムを提供した。また今夏は、凸版印刷と東武鉄道が検証する訪日外国人向けの観光案内サービスにもminaraiを提供している。

同社は高知県に開発拠点や子会社を持ち、若者の雇用などを通じた産業振興に加えて、AI対話システムの社会実装にも取り組む。子会社のdataremerでは、AI技術開発のためのデータ収集と対話シナリオのプランニングを専門に行い、事業者に提供。dataremerでは2017年3月に、高知銀行、オーシャンリース、REVICキャピタルが共同設立した「こうぎん地域協働ファンド」から資金調達を実施している。

今回の調達資金でNextremerでは、高知県の開発部隊の人員を現在の30名から100名に拡大して、研究・開発体制を強化。現行のカスタマーサービスや受付案内などの対話システムの質の向上を目指すとともに、自動車やロボティクス分野への適用を進めていくという。

モビリティやロボティクス分野のAI技術活用は、8月4日にトヨタ自動車から約105億円の資金調達を実施したPreferred Networksをはじめ、ベンチャーから大手までさまざまなプレイヤーが競い合うフィールドとなっている。対話システムから始まったNextremerでは、新たなプレイヤーとしてこの分野に参画するにあたって、「自然にコミュニケーションできる対話システムが我々の強み。ゆくゆくは、ナビゲーションシステムなどへの組み込みにより、例えば渋滞情報だけでなく、代わりの立ち寄り先をプラスアルファで提案してくれるような、会話ができるシステムが提供できれば、と考えている」という。

さらにNextremerでは、少子高齢化社会における労働人口減少などの課題解決に向けたAI対話システムの社会実装モデルの構築も実現していく、としている。

出資に関して、INCJ代表取締役社長の勝又幹英氏は「Nextremerの取り組みは、人と協業するAI対話システムの社会実装モデル構築へのチャレンジ。AI関連サービス事業の拡大やAI技術搭載製品の普及は労働人口減少、インバウンド需要等への対応として非常に重要であり、同社の今後の成長を期待するとともに、継続的な支援を行う」とコメント。

また、高知銀行取締役頭取の森下勝彦氏は「AIを高知の新産業とするNextremerのビジネスモデルに共感するとともに、今回の投資を通じて成長をさらに後押しできることを大変嬉しく思う。人とAIの協業によるサービスや製品が社会に実装されていくことが、人口減少最先端にある高知県における雇用の創出ひいては地域経済の活性化につながるものと大いに期待している」と述べている。

SalesforceのAIがソーシャルメディア上に自社製品が写ってる画像を見つけてくれる

企業が自分の社名やブランド名、製品名などへの言及をソーシャルメディア上に探すことは前から行われているが、画像中にロゴや製品が写っているのを見つけることは、当時はできなかった。しかしSalesforceの人工知能Einsteinは最近、そんな能力を持つに至った。

同社が今日発表したEinsteinのVision for Social Studio機能はマーケターに、言葉を探す場合と同じやり方で、ソーシャルメディア上に製品等の関連画像を探す方法を提供する。そのためにこのプロダクトは、Einsteinのとくに二つのアルゴリズム、画像分類アルゴリズムとオブジェクト検出アルゴリズムを利用する。前者はビジュアルサーチにより、製品やブランド名を画像中に見つける。そして後者は、それらが載っていた品目を同定する(例: 雑誌のページの上)。

最近のAIはとりわけ、感知や認識の能力が優れている。それは、画像の認識能力を訓練するアルゴリズムが進歩したためだ。最近では電子計算機の計算能力のコストは大幅に下がっており、そこに大量の画像をネット経由で放り込んでもそれほどの費用にはならない。そのために、大量の画像データでAIを教育訓練することが、誰にでもできるようになったのだ。

Salesforceのマーケティング担当VP Rob Beggによると、それ(画像認識とそのための訓練)は、人間よりもマシンに適した仕事でもある。“企業のマーケティングという視点から見ると、今のソーシャルメディア上のツイートやポストはものすごく多い。しかしAIは、その大量の情報の中にわれわれが求めるものを見つけることが得意だ”、と彼は語る。

彼によるとたとえば、ネット上に車に関するポストは山ほどあるが、でも今やっている広告キャンペーンと関連性のあるものは、ほんのわずかしかない。AIは、その、わずかしかないものを、簡単に見つけてくれる。

Beggが挙げるユースケースは三つある。まず、自分たちの製品を人びとがどのように使っているかが、分かること。第二に、画像中に隠れている自社製品やブランドを見つけ出すこと。そして三つめは、俳優やスポーツ選手など有名人が自社製品を使っているシーンを見つけること。

EinsteinのVision for Social Studioは、訓練により、今では200万のロゴと、60のシーン(空港など)、200種の食品、そして1000種のオブジェクトを認識できる。どの企業にとっても、はじめはこんなもので十分だ。ユーザーがカスタマイズすることは現状ではできないから、特定のロゴやオブジェクトを認識しないときは、今後の、カスタマイズ可能バージョンを待つべきだ。

Beggによると、Vision for Social Studioはマーケターのような技術者でない者でも容易に利用でき、彼/彼女にビジュアル認識ツールという新しいレパートリーが加わる。この新しい機能は、Salesforce Social Studioのユーザーなら今すぐ利用できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))