米国時間5月18日、ソフトバンクグループはアリババグループの共同ファウンダーJack Ma(ジャック・マー)氏が同グループの取締役から去ると発表した。13年間にわたって 取締役を務めてきたマー氏だが、6月25日のソフトバンクグループの年次株主総会で退任が正式に発効する。
ソフトバンクは退任の理由を明らかにしなかったが、この1年、マー氏はチャリティ活動に力を入れており、ビジネス上の役割は減少していた。 2019年9月、同氏はアリババの会長を辞任したが、2020年の年次株主総会で取締役も退任するという。
マー氏とソフトバンクグループの孫正義会長、CEOとのビジネス関係はたいへん長い。ソフトバンクはマー氏のアリババに対する最初期からの大口投資家だった。創立の翌年である2000年には投資額が2000万ドル(約21億5000万円)に上ったと報道された。米SEC(証券取引委員会)への2020年2月の提出書類ではソフトバンクグループはアリババ株の25.1%を所有している。この持ち分は時価で1000億ドル(約10兆7000億円)の価値があり、 ソフトバンクとして最も成功した投資となっていた。
この発表はソフトバンクグループの第1四半期の(極めて憂鬱なものとなった)決算の発表予定の数時間前に行われた。同グループは2020年4月に総額1000億ドル(約10兆7000億円)のビジョンファンドが165億ドル(約1兆8000億円)の損失となると予想していることを発表した。この損失はWeWorkが破綻寸前に追い込まれたこと、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックがUberやOyoを含む他の投資先に強い悪影響を与えたことが大きい。またソフトバンクグループも通年で125億ドル(約1兆3000億円)の営業損失を予想していることを発表した。
同グループはこの3月に負債を減らし、現金準備を増やすために410億ドル(約4兆4000億円)の資産を売却または現金化し、47億ドル(約5040億円)の自社株買いを行うと発表した。
ちなみにソフトバンクグループの11名の取締役のうち、退任するのはマー氏のみだ。同社は2020年6月の株主総会に向けて新しく3人の取締役候補を指名した。社内からはソフトバンクグループの現CFO(最高財務責任者)の後藤芳光氏が、社外からは電子回路設計企業のケイデンス・デザイン・システムズのCEO、Lip-Bu Tan(リップ・ブー・タン)氏、早稲田大学経営大学院教授の川本裕子氏がそれぞれ選ばれている。
画像クレジット:Chesnot / Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)