アマゾンが支援するインドのBNPLプラットフォーム「Capital Float」が約55.6億円を調達

Amazon(アマゾン)が支援するスタートアップ企業Capital Float(キャピタル・フロート)は、インドで人気のある多くのオンラインプラットフォームで「Buy Now, Pay Later(後払い決済)」サービスを提供しているが、ここ数四半期の力強い成長を受けて、新たに5000万ドル(約55億6300万円)を調達したことを現地時間9月28日に発表した。

Lightrock India(ライトロック・インディア)が、バンガローを拠点とする同社への新規投資を主導することとなった。これにより、創業7年目の同社の過去の調達額は6億ドル(約667億円)を超えた(そのうち半分以上は負債によるものだ)。既存の投資家であるSequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)、Ribbit Capital(リビット・キャピタル)、Creation Investments(クリエーション・インベストメント)に加え、Nubank(ヌバンク)のDavid Vélez(デビッド・ベレス)氏、CRED(クレド)のKunal Shah(クナル・シャー)氏、Pine Labs(パイン・ラボ)のAmrish Rau(アムリッシュ・ラウ)氏といった著名な起業家も今回のラウンドに参加した。

Capital Floatは、他の企業とのパートナーシップを通じて顧客にアプローチしている。例えば、Amazon India(アマゾン・インディア)、オンライン学習サービスのUnacademy(アナカデミー)、航空会社のSpicejet(スパイスジェット)、消費者向けのライフスタイルや電子機器ブランドのBoat(ボート)、旅行予約会社のMakeMyTrip(メイクマイトリップ)など、多くの人気オンラインプラットフォームの融資パートナーとなっている。顧客は、チェックアウトの際にローンを利用して購入することができる、と同社の共同設立者であるSashank Rishyasringa(サシャンク・リシャスリンガ)氏は、TechCrunchのインタビューに答えた。

また、中小企業向けには決済会社のRazorpay(ラゾープレイ)と、個人顧客向けには個人金融を提供するWalnut(ウォルナット)と提携している。

Capital Floatは、これまで250万人以上の顧客を集めている。これらの顧客は毎月200万件以上の買い物をしており、年間2億7100万ドル(約300億円)以上の資金を調達しているという。リシャスリンガ氏によると、この1年間、同社が注力してきたのは、ほとんどがオンラインサービスだったとのことだ。

「当社の顧客基盤は過去12カ月で4倍以上に増加しましたが、他の多くの企業が落ち込んでいたこの時期でも、当社の回収効率は95%以上でした」と述べている。

キャピタル・フロートのBNPLモデル(画像クレジット:Bernstein)

インドでは、クレジットカードを持っている人が人口のごく一部しかいないため「後払い決済」という市場はまだ初期段階にある。しかし、Capital Float、ZestMoney(ゼストマニー)、LazyPay(レイジーペイ)など、ひと握りの新興企業がこの市場で牽引力を発揮し始めている。

インドでは、クレジットカードの普及率が低いため、銀行が融資を行う前にその人の信用度を確認するために多用する伝統的なクレジットスコアを持つ人がほとんどいなかった。さらに、小額の融資は銀行にとって利益を生まないため、小切手を発行するインセンティブが低くなっている。

Capital Floatのユーザーの半数は、クレジットカードを持っていないとリシャスリンガ氏はいう。Capital Floatは、他の多くの後払い決済サービスとは異なり、完全に規制された企業だ。つまり、Capital Floatは、ユーザーの取引を信用調査機関に報告する必要があり、それによってユーザーのクレジットスコアのプロファイルの構築を支援している。

同社は、さまざまな要素を用いて各顧客の査定を行っている。その査定は「2クリック5秒以内」に行われるという。

「Capital Floatは、インドにおけるBNPL(後払い決済)の可能性を引き出すために必要な、顧客体験、リスク管理、加盟店とのパートナーシップという、CX特有の三要素をクリアしました。Capital Floatは、その強力な技術プラットフォームに加えて、洗練された引受・回収能力と、倫理的融資のプレイブックを構築しており、このモデルを非常に魅力的なものにしています」。と、Lightrock IndiaのパートナーであるSaleem Asaria(サリーム・アサリア)氏は、声明の中で述べている。

「私たちはまた、クレジットサイクル全体を通じたチームの粘り強さと実行力に常に感銘を受けています。チームと協力して、デジタルクレジットや金融商品を通じてインドの何百万人ものお客様の生活にプラスの影響を与える、拡張性の高く、差別化され、持続可能なビジネスを構築することにワクワクしています」。

リシャスリンガ氏は、この新たな資本が、ここ数カ月の急成長に対応するのに役立つと述べている。同氏は、この成長の多くはパンデミックによるものだと考えているが、同時に、消費者の行動には長期的な変化があり、それがこの新興企業の進出を後押ししているとも述べている。

Kotak(コタク)やYBLなどの銀行と提携して融資を行っているこのスタートアップは、今後も提携先を拡大していく予定だという。

「さらに重要なのは、この先に指数関数的な成長の機会があると考えていることです。完全に規制された形式で、手頃な価格と利便性を解決することで、私たちのBNPL(後払い決済)のアプローチは、オンラインでの取引を始めている1億人以上のお客様の信用へのアクセスを責任を持って拡大できると確信しています。このビジョンの実現に向けて、投資家のみなさまのご支援を得られることを光栄に思います。また、パートナーシップを組んで、インドで世界クラスのデジタル金融機関を構築できることを楽しみにしています」と、リシャスリンガ氏とCapital Floatのもう1人の共同設立者であるGaurav Hinduja(ガウラヴ・ヒンドゥーヤ)氏は共同声明で語っている。

画像クレジット:Arijit Sen / Hindustan Times / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

米アマゾンがHaloサブスクでフィットネスと食事プランナーのサービスを提供

Amazon(アマゾン)はユーザーの健康とフィットネス、そしてHaloパーソナルヘルスデバイスに関係する2つの新サービスを導入する。Apple Fitness+のようなインタラクティブなホームビデオによるエクササイズのHalo Fitnessと、パーソナライズされたガイド付き食事プランナーのHalo Nutritionだ。

これらのサービスはいずれも、AmazonのHaloラインナップのフィットネストラッカーを使用する人向けのHalo会員サービスに含まれる。ラインナップにはOLEDディスプレイを搭載している新しいHalo Viewアクティビティトラッカーも加わる。HaloのサブスクはHalo Bandに付いてくる3カ月の無料トライアル、あるいはHalo Viewに付属する12カ月のトライアルの後は月3.99ドル(約450円)だ。Fitnessは2021年後半に提供が始まり、そして2022年1月からはNutritionも提供される。

Halo Fitnessは「業界の専門家」による「スタジオ品質のワークアウト」を提供し、Haloフィットネスバンドがとらえる心拍や心拍強度ゾーンなどの数値をリアルタイムに表示する。ワークアウトのコーチにはMichael Hildebrand(マイケル・ヒルデブランド)氏、Elena Cheung(エレナ・チュン)氏、Elizabeth Andrews(エリザベス・アンドリュー)氏らがいる。そしてワークアウトには有酸素運動、強度トレーニング、ヨガ、屋外移動クラスなどがある。

Halo Nutritionはレシピの検索や食事プラニングを提供し、食事の好みや必要に応じたメニュー、あるいはクラシック、ケト、地中海、北欧、パレオ、完全菜食、ベジタリアンといった特定の食事のためにあらかじめキュレートされたメニューを作るオプションもある。サービス開始時は、Whole Foods やWWなどのパートナーが提供する500超のレシピをライブラリーに備え、材料を探すためのAlexa買い物リストも統合している、とAmazonは説明している。

画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンの最新「Echo Show」は15インチの壁掛け型スマートピクチャーフレーム

Amazon(アマゾン)は先ほど、最新かつ最大の、Echo Showファミリーメンバーのベールを剥いだ。Echo Show 15は同社のスマートスクリーン技術を生かし、15.6インチ、1080pのディスプレイを壁に掛け、巨大デジタルピクチャーフレームとの二役を担わせる。

250ドル(約2万7900円)の新デバイスは、すでにEcho Show 5とEcho Show 8、さらには部屋にいる人に合わせて首を振る画面で一部の不評を買ったEcho Show 10(同じく価格は250ドル)が揃っている商品ラインへの間違いなく斬新な追加アプローチだ。新しいデバイスは、顔認識を利用して個人を認識しカスタマイズされたコンテンツを提案する新機能、Visual ID(ビジュアルID)の追加によってレベルアップを図っている。

画像クレジット:Amazon

新しい体験は、Alexa(アレクサ)ホームエコシステムのコントロールパネルのような役割を果たすカスタマイズ可能なホーム画面を中心につくられている。機能は主にカスタマイズ可能なウィジェットを通じて実現されていて、カレンダーイベント、ToDoリスト、レシピなどを追加できる。デジタルホワイトボートか冷蔵庫に貼られたマグネットのようでもある。他に、防犯カメラや玄関インターホンの映像を1つのウィジェットで見られるスマートホームコントロールもある。

Echo Show 15の明確な強みの1つは画面の広さだ。これはさまざまな情報を同時に見られることを意味していて、タイリング効果やピクチャーインピクチャーなどを使って、玄関ベルが鳴った時など特別な状況下でビデオを表示できる。実際これは、Samsung(サムスン)のスマート冷蔵庫の扉で見るような夢の機能を、何千ドルも払うことなく実現していると言えるかもしれない。

これ以外にもこのデバイスは、現在Echo Showに期待することはおよそ何でもこなし、実質的に大きなキッチンテレビとして機能する。たとえばPrime Video(プライムビデオ)、Netflix(ネットフリックス)、Hulu(フールー)、Sling TV(スリングTV)などのストリーミングが可能だ。最後のSling TVはTikTok(ティックトック)のコンテンツとともに近日提供される予定で、好きな人は15.6インチの画面で見られるようになる。

画像クレジット:Amazon

1080pのスクリーンの左右にはサイドファイアリング方式スピーカーが付いている。短いビデオクリップには十分だろうが、ストリーミング・ミュージックや映画、テレビなどを長い時間鑑賞するつもりなら別のEchoかBluetoothスピーカーとつなぎたくなるだろう。

カメラは大きめのベゼル(額縁用語にこだわるなら「マット」)に組み込まれている。この場合、白い縁取りが右上隅にある5メガピクセルカメラの存在を際立たせているのは良いことだ。隠しカメラのような存在は、間違いなくプライバシー問題の元になるが、少なくともここでは鮮やかな15.6インチ画面の横に白い背景にくっきりと黒い円形が見えている。、

画像クレジット:Amazon

デバイスはビデオチャットにも使用可能なので、Alexa for Businessを職場へのハードウェア進出手段として推進しているAmazonにとって、いずれ興味深い提案商品になるだろう。予算が厳しくたくさんの会議室のある会社向けの(比較的)低価格なリモート会議デバイスとして、この商品が使われることが想像できる。使っていないときには天気予報や社内イベント、会議室予約などをカレンダーに表示することもできる。Amazonが本格的にIT部門に売り込むことになれば興味深い。

カメラをふさぐ物理的遮断ボタンがついているらしい(未確認)。しかし私ならAirbnbで泊まった部屋にこれが掛けられていたら、コンセントを抜いて裏返しておくだろう。もちろん私はEcho Show 10の顔追跡機能を特に気味悪がった1人なので、そう思って読んでいただきたい。2020年、Amazonがその機能を発表したとき、顔の細かい特徴は追跡に使っていないとすかさず指摘していた。

画像クレジット:Amazon

ここでもAmazonは、Visual IDを利用するにはユーザーがオプトインして自分の顔を登録必要があることを強調した。ユーザーは、気が変わったら、自分のプロフィールをデバイス上でもAlexaアプリからでも削除できる。この機能はカメラを内蔵した同社のさまざまなShow製品全体に今後搭載されていくと私は予想している。ディスプレイはAmazonが最近発表したクアッドコアAZ2チップ(2020年のAZ1の後継)とオンボードのニューラルプロセッサーが駆動する。このカスタムビルトインチップはほとんどの処理をボード上で実行するので、Visual IDのデータをクラウドに送ることはない。しかしながらAmazonの顔認識にまつわる過去の経緯を踏まえると、この機能がプライバシー擁護派の間で懸念を呼ぶことはまず間違いない。

関連記事:アマゾンが顔認識技術を地方警察には1年間提供しないと表明、FBIへの提供についてはノーコメント

Show 15は2021年初めにベータ版が公開されたSound Detection(音声検知)機能の改訂版を搭載している。当初この機能は、ガラスの割れる音や赤ん坊の鳴き声などの決められた音を検知し、その時点でアカウント所有者に警告を送るように作られていた。新たに追加されたCustom Sounds(カスタム・サウンド)は、デバイスに音を聞かせることで実質的にシステムを訓練することができる。

画像クレジット:Amazon

Echo Show 15の価格は250ドルで、2021年中に発売される。実際に商品を近くで見ていないので製造品質について語ることはできないが、この価格からは、単なるデジタルフォトフレームのスケールアップ版以上のものを期待したい。壁に掛けたりカウンターやテーブルの上に常時置かれるものなのでなおさらだ。この商品は、多かれ少なかれ背景に溶け込むようにデザインされていた初期のスマートスピーカーに対する事実上のアンチテーゼだ。カウンタートップスタンドとキャビネットマウントも用意されているが別売りだ。

画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンがコンピュータサイエンス教育プログラム「Future Engineer」をインドで開始

Amazon(アマゾン)は、コンピュータサイエンスプログラム「Future Engineer(フューチャー・エンジニア)」をインドに拡大する。これにより、世界第2位のインターネット市場であるインドは、同社が「子どもからキャリアまでのコミュニティプログラム」を提供する5番目の市場となる。

Amazonは、現地時間9月28日に開催されたバーチャルカンファレンスで、インドの学生にコンピュータサイエンスのコース(ロボット工学、人工知能、機械学習など)を教えるための教材、奨学金、インターンシップ、メンターを提供するとともに、教師にもリソースを提供すると発表した。

同社はこのフューチャーエンジニアプログラムを通じて、Code.org(コード.org)などのプレイヤーと提携し、十分な教育を受けられていない、あるいは過小評価されている子どもたちや若者にCS(コンピュータサイエンス)教育の機会を提供する。Amazonによると、このプログラムは主に6年生から12年生までの生徒を対象としている。

「インドでは年間100万人の学生がCSエンジニアリングコースに登録していますが、十分な教育を受けていない、過小評価されているコミュニティの学生の貢献度は比較的低いです。その理由としては、CS関連の仕事に触れる機会が少ないこと、コミュニティ内に刺激的なロールモデルがいないこと、興味深いカリキュラムにアクセスするための言語の障壁などが挙げられます。また、政府系の学校では、CS教育を行うためのリソースが限られています」と同社は述べている。

Amazonは、インドの教師や学生のコミュニティに合わせて調整し、複数の地域言語で提供しているというこのフューチャーエンジニアを、1年以内に7つの州の900以上の公立学校で10万人以上の学生に提供することを期待している。

TechCrunchは12月に、Amazonが世界第2位のインターネット市場でこのプログラムを開始する予定であると報じた。

関連記事:アマゾンがインドでコンピュータサイエンス教育プログラムの開始を計画

「インドでは、十分な教育を受けていないコミュニティの学生は、特にコンピュータサイエンスの分野の教育を受けることにおいて、不公平な障壁に直面しています。すべての若者が、そのバックグラウンドにかかわらず、質の高いコンピュータサイエンス教育を受けられる環境にあるべきだと考えているため、アマゾン・フューチャー・エンジニアの構想をインドで実施できることを大変うれしく思います」。と、Amazon India(アマゾン・インディア)のグローバルシニアバイスプレジデント兼カントリーヘッドであるAmit Agarwal(アミット・アガルヴァル)氏は述べている。

「私たちは、コンピュータサイエンスのカリキュラムを、生徒が使いやすい言語で身近に感じられるようにし、適切なスキルとツールを身につけてもらうことで、生徒のキャリアの可能性を広げることを目指しています。学生たちが自信とスキルを身につけて、テクノロジーソリューションの責任ある創造者となり、自分自身と周囲のコミュニティのために、より良い未来を築いてくれることを願っています」と述べている。

これまでに65億ドル(約7200億円)以上をインドに投資してきた米国の大手eコマース企業Amazonは、数年前からインドの教育分野を開拓してきた。2年前には、インドの名門技術系教育機関への入学を目指す学生の支援を目的としたアプリ「JEE Ready(JEEレディ)」を発表した。JEE Readyは、現在は「Amazon Academy(アマゾンアカデミー)」に改称されているが、無料のオンライン授業を提供し、模擬テストで生徒の成績を分析している。

関連記事:Amazonがインドのスモールビジネスのデジタル化促進のため約1100億円を投資

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アマゾンが高齢者介護のサブスクサービス「Alexa Together」を開始

Amazon(アマゾン)は本日、自立した生活を送っているものの、特別なサポートを必要とする可能性がある高齢の家族を持つ家族のために設計された新しいサブスクリプションサービス「Alexa Together」を発表した。この月額19.99ドル(約2200円)のサブスクリプションは、Amazonの既存製品であるAlexa Care Hubを拡張したもので、Care Hubの機能の多くを取り入れ、緊急応答機能や専門家による緊急ヘルプラインへのアクセスなど、新たな保護機能を追加している。

同社は2020年11月に、年老いた親や愛する人の活動に関する一般的な情報を受け取ったり、愛する人が助けを求めた場合に警告を受けたりするために(本人の許可のもと)彼らを見守ることができるAlexaモバイルアプリのオプションであるCare Hubを初めて導入した。

画像クレジット:Amazon

Alexa Togetherでは、高齢の家族がAlexaに助けを求めてきたときに家族に知らせるためのケアアラートなどの機能に、家族は引き続きアクセスすることができる。

また、2022年初めから、複数の人が愛する人をサポートできるようになる。これは、例えば、兄弟で両親の介護を分担している場合などに便利だ。近くに住む人もサポート対象となり、緊急時にカスタマーの家族の様子を確認することもできる。

画像クレジット:Amazon

Amazonによると、介護者は、愛する人のデバイスにリマインダーを設定したり、お気に入りの曲を簡単に再生できるように音楽サービスにリンクしたりできる。また、家族のAlexaアカウントに連絡先を追加して、ハンズフリーで友人や家族に電話をかけることもできる。

また、新しいサブスクリプションには、ハンズフリーで24時間365日、緊急ヘルプラインにアクセスすることができる緊急対応機能が導入されている。これにより、高齢の家族が自宅で転倒したり、その他の緊急事態が発生したりした場合、Alexaに助けを求めることができる。

Alexaはそれに応えて、家族や隣人など、アカウントに接続されているすべての人に警告を発する。

このサブスクリプションは、6カ月間は無料で提供され、その後継続する場合は月額19.99ドル(約2200円)の有料会員となる。

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

アマゾンが室温調整機器スマートサーモスタットを発表、グーグルより安い約6700円

Amazon(アマゾン)は米国時間9月28日、新しいスマートサーモスタットの発表でハードウェアに関するビッグイベントを開始した。同社はこのデバイス製造でHoneywell(そしてResideo)と協業したが、製品はAmazonブランドを冠している(Ring、Blink、そしてAmazonが所有するその他のスマートホーム企業とは異なる)。スマートサーモスタットは60ドル(約6700円)だが、多くの家庭は参加リベートでかなりの割引を受けられる、と同社は話す。

既存のAmazon / Alexaホームエコシステムを利用することでユーザーがプログラミングを可能な限りしなくてもいいようにする、というのがこのデバイスの概念だ。つまり、Energy Starの省エネ電化製品のラベルが貼られたこのデバイスは、あなたが家を出るときやベッドに向かうときを把握して、「Hunch」機能を使って適切に室温を調整することができる。もしそれ以上にコントロールしたいのなら、ユーザーはコネクテッドAmazonデバイスから直接調整できる。

このスマートサーモスタットは大半の24V HVACシステムで利用できる、とAmazonはいう。Google(グーグル)のNestサーモスタットに挑戦しているようだ。しかし60ドルという価格はNestの提示価格200ドル(約2万2000円)よりもずいぶん安い。もちろん、外観はGoogleの製品には及ばないが、サーモスタット購入を検討している、機能するデバイスが欲しいだけの人は注目するだろう。

大きくてはっきりとした温度の数字、矢印のボタン以外にはほとんど何もなく、Amazonがシンプルさにフォーカスしていることがわかる。その他の部分はコネクテッドEchoデバイスが引き受ける。

画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】2008年、AnimotoがAWSを追い詰めた日

現在、Amazon Web Services(アマゾンウェブサービス、AWS)は、クラウドインフラストラクチャサービス市場を牽引する企業であり、600億ドル(約6兆6000億円)と圧倒的なビジネス規模を誇る。しかし、2008年当時のAWSはまだ日が浅く、クラウドサーバーの需要拡大に対応するために奮闘していた。実際、AWSがAmazon EC2(アマゾンEC2)のベータ版を発表したのは、15年前、2006年8月25日のことだ。それ以来、AWSはスタートアップに無制限のコンピューティングパワーを提供し、当時、主力のセールスポイントとなった。

EC2は、大規模なエラスティックコンピューティング(必要に応じてスケールアップし、不要になったら削除するサーバーリソース)を販売するための、最初の本格的な試みの1つだった。2008年、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がスタートアップを対象とした初期のセールスプレゼンテーションで「雷が落ちても大丈夫なように準備をしておかないと、大いに後悔することになるだろう。もし雷が落ちたときに準備ができていなかったら、その状況に対処するのは難しい。だからといって、雷が落ちなかったときのことを考えると、非現実的に冗長な物理的インフラを準備するわけにもいかない。だから、(AWSは)その難しい状況を手助けする」と語っている。

2008年、この価値提案に試練が訪れた。AWSの顧客であるスタートアップAnimoto(アニモト)が、South by Southwest(サウス・バイ・サウスウエスト)でFacebook(フェイスブック)アプリを発表した直後、ユーザーが4日間で2万5000人から25万人に膨れ上がった時のことだ。

当時のアニモトは、ユーザーが写真をアップロードして、それをBGM付きの動画にできるという、一般消費者向けのアプリを提供していた。今となっては大したことのないサービスに聞こえるかもしれないが、当時としては最先端の技術であり、1つの動画を作るのにかなりのコンピューティングリソースを使用していた。Web 2.0のユーザー生成コンテンツというだけでなく、モバイルコンピューティングとクラウドの融合という、今日では当たり前のことをいち早く実現していたのだ。

2006年に設立されたアニモトにとって、AWSを選択することはリスクの高い提案だったが、サービスへの需要がダイナミックに変化することから、自社でインフラを運営することは、それ以上のリスクをともなうことに気づいた。自社でサーバーを立ち上げるには、莫大な設備投資が必要だったのだ。アニモトは当初、最初の資金を集める前にサーバーを構築していたため、AWSに注意を向ける前はそのような方法を取っていたと、同社の共同創業者兼CEOのBrad Jefferson(ブラッド・ジェファーソン)氏は説明する。

「当社では、何らかの方法でコンセプトを証明する必要があると考え、自分たちでサーバーを構築し始めた。その結果、概念実証の段階でさらに弾みが付き、ある程度のユーザーにサービスを利用してもらえるようになった。そのため、一旦一歩下がって、失敗に備えるだけでなく、成功に備えるには何が必要なのか、考えてみることにした」と同氏はいう。

AWSの採用を決断することは、現在の状況を考えれば簡単なことのように思えるかもしれないが、2007年当時としては、ほとんど実績のないコンセプトに、会社の命運を託すことを意味した。

「AWSとEC2の躍進には眼を見張るものがあるが、当時としては本当にギャンブルだった。何しろ、eコマース企業と『インフラの運営について』話していたのだ。Amazonは、自分たちがそういったサーバーを持っていて、それが完全に動的に利用できるということを納得させようとしていた。今にして思えば明らかなことだが、当時、当社のような会社がAWSに賭けるのはリスクがあった」とジェファーソン氏は話す。

アニモトは、AWSが謳っていることの実現を信じるだけでなく、自社のソフトウェアをAmazonのクラウド上で動作するように半年間かけて再設計する必要があった。しかし、ジェファーソン氏が収支を計算してみると、この選択は理に適っていることがわかった。当時のアニモトのビジネスモデルは、30秒の動画は無料、それ以上の動画は5ドル(当時約600円)もしくは1年あたり30ドル(同約3600円)というものだった。このモデルを実現するために必要なリソースレベルをモデル化しようとしたところ非常に難しかったため、同氏と共同創業者たちは、利用者が急増したときでも対処できることを期待し、AWSに賭けるという決断を下した。

そのテストは、翌年のサウス・バイ・サウスウエストで行われたが、アニモトがFacebookアプリを発表したことで需要が急増し、結果として当時のAWSの能力の限界を押し上げることになった。同社が新しいアプリを発表した数週間後には、関心が爆発的に高まり、Amazonは同社のサービスを継続的に運営するために必要なリソースの確保に奔走することになったのだ。

現在、AmazonのEC2担当副社長を務めるDave Brown(デイブ・ブラウン)氏は、2008年当時、エンジニアとしてチームに参加していたが「(アニモトの)すべての動画は、個別のEC2インスタンスを起動し、処理し、終了させることで対応していた。ところが、前の月は、1日あたり50~100インスタンスを使用していたのに、火曜日のピーク時には約400、水曜日には900、そして金曜日の朝には3400インスタンスが使われるといったことが起きていた」と語る。AWSが急増した需要に必要なリソースを提供できたため、アニモトはその需要に対応することができた。アニモトの使用量は最終的に5000インスタンスに達したが、その後落ち着き、エラスティックコンピューティングが実際に有益であることを証明した。

しかし、ジェファーソン氏によると、その時点でアニモトは単にEC2のマーケティングを信用していただけではなく、AWSの幹部と定期的に電話で話し、需要が増えてもサービスが破綻しないことを確認していたという。「話の要点は、もっとサーバーを用意してくれ、もっとサーバーが必要だ、ということだった。AWSが自分たちのウェブサイトや他のサイトから処理能力を奪ったのかどうかはわからないが、AWSのおかげで、当社が必要としていた処理能力を確保することができた。そして、その急上昇を乗り越えることができ、その後は自然と落ち着いていった」と同氏は語る。

アニモトをオンラインにしておくというコンセプトは、同社の最大のセールスポイントとなり、友人や家族以外でこのスタートアップに投資したのは、実はアマゾンが最初の企業だった。その後同社は、2011年に最後の資金調達を行い、合計3000万ドル(当時約24億円)を調達した。現在、同社はどちらかというとB2Bの事業を中心としており、マーケティング部門が簡単に動画を作成できるよう支援している。

ジェファーソン氏は、具体的なコストについては言及しなかったが、多くの時間休眠しているサーバーの維持にコストをかけることは、同社にとって許容できる方法ではないと明言する。クラウドコンピューティングが最適なモデルであるとわかり、同社は今もAWSを利用していると同氏はいう。

クラウドコンピューティングは、必要なときに必要なだけのコンピューティングを提供することを目的としているが、当時の特殊な状況において、その概念が大々的に試されることとなった。

現在、Amazonでは毎日6000万インスタンスを処理していることを考えると、3400インスタンスの生成に苦労したというエピソードは古臭いものに思えるが、当時としては大きな挑戦であり、エラスティックコンピューティングの考え方が単に理論に留まらないものであることをスタートアップに示した功績は大きい。

画像クレジット:EThamPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

アマゾンがインドでNetflixやディズニーと戦うためPrime Videoチャンネルを提供開始

Amazon(アマゾン)は、インドで「Prime Videoチャンネル」の提供を開始した。これにより、Discovery+やMubiなど8つのストリーミングサービスを1つのハブ(Prime Videoのウェブサイトまたはアプリ)で利用することができる。これは同社が南アジアでの顧客獲得のために行なっている最新の取り組みだ。

Amazonによると、この新しいサービスにより、ユーザーは追加のストリーミングサービスへのログインや支払いが容易になるという。さらに魅力的なことに、各サービスを初年度は割引価格で利用できるとしている。Discovery+は年間4ドル(約450円)、Mubiは27ドル(約3000円)、Hoichoiは8.2ドル(約900円)、DocuBayは6.8ドル(約750円)、ErosNowは4ドル(約440円)、Lionsgate Playは9.5ドル(約1050円)、manoramaMaxは9.5ドル(約1050円)、ShortsTVは4ドル(約440円)となっている。

現在、インドでいくつかの論争の中心となっている同社は、ストリーミングサービスからどれだけの収益を得ているのか、また、独占的ではないパートナーシップの期間については明らかにしていない。インドは、AmazonがPrime Video Channelsを開始した12番目の市場だ。

関連記事:アマゾンがインドの法務顧問による現地政府当局への贈賄を捜査開始

現地時間9月24日の開始は、サードパーティのストリーミングパートナーにとって、より有益なものとなりそうだ。現在、すべてのパートナーサービスは、同国への進出に苦戦している。例えば、Discovery+アプリの2021年8月のインドでの月間アクティブユーザー数は400万人に満たなかった。モバイル調査会社のApp Annieによると、他のすべてのアプリの月間アクティブユーザー数は100万人未満で、中には20万人にも満たないものもあった(このデータは業界幹部がTechCrunchに伝えたものだ)。

Amazon Prime Video IndiaのカントリーマネージャーであるGaurav Gandhi(ガウラヴ・ガンジー)氏は、声明の中で次のように述べている。「Prime Video Channelsの開始により、インド初のビデオエンターテインメント市場を作り出すことで、私たちはこの国を楽しませるための次の大きな一歩を踏み出すことになります。この市場は、より多くのエンターテインメントの選択肢を提供することでカスタマーに楽しみを与えるだけではなく、Prime Videosの配信、リーチ、そして技術インフラで協力しているOTT チャンネルパートナーにもメリットがあります」。

AmazonのPrime Videoは、インドで5500万人以上の月間アクティブユーザーを獲得しており、Netflix、ディズニーのHotstar、Times InternetのMX Playerと競合している。HotstarとMX Playerは、インドでPrime Videoよりも大きなリーチを確立しており、Netflixは最もエリートな顧客層を獲得している。

Amazonは、権利の大半をまだHotstarが所有しているクリケットの試合の権利を確保することで、より多くの視聴者を獲得しようとしており、さらに広告付きの無料ストリーミングサービスも開始した。

関連記事:アマゾンがインドでアプリ内無料ビデオストリーミングの提供を開始

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Yuta Kaminishi)

アマゾンが壁に取りつけられる15インチEchoを近々発表か

Amazon(アマゾン)は壁に取りつけられる15インチディスプレイのEcho、サウンドバー、新しいEcho Autoテクノロジー、ウェアラブルなど新しいデバイスをたくさん開発している。Bloombergが報じたところによると、そのうちの一部は同社が米国時間9月28日に開催するハードウェアイベントで発表されるようだ。

最も派手な製品は約15インチのディスプレイを備えたAlexa対応のEchoだろう。Hoyaというコードネームのこの製品は、通常のEchoデバイスのように立てて置くだけでなく、ウォールマウントにもできるようだ。スマートホームの中心として照明やカメラ、鍵などのデバイスを制御したり、天気やタイマー、予定、写真などを表示するのに使えるだろう。特にキッチンで使うと便利なように設計されていて、レシピやYouTubeの料理動画を表示できるし、Netflixなどのアプリでストリーミングも楽しめる。

発売が噂されているAmazonブランドのテレビと組み合わせて使う、Harmonyというコードネームの独自のサウンドバーも発表されるかもしれない。他社製のAlexa対応サウンドバーとは異なり、Amazonのサウンドバーは前面カメラを備え、FacebookのPortal TVと同様にテレビからビデオ通話をすることができる模様だ。

そしてEcho Autoの新バージョン(コードネームはMarion)も開発中のようだ。新しいバージョンではおそらくデザインが刷新され、電磁誘導でデバイスを充電できる。Amazonは現在、Ford(フォード)との提携でAlexaを70万台の自動車に搭載しているが、他の自動車メーカーとの提携も目指しているようだ。

開発中のアイテムは他に2022年に登場する新しいEchoスピーカー、キッズやシニア向けのウェアラブルがある(ウェアラブルには転倒検知機能が搭載される)。AIを向上させる専用プロセッサや、Fire TVやEchoなどのデバイスの連携を強化する新しいテクノロジーを開発中であるとも言われている。

Bloombergの記事によると、Amazonは他にちょっと風変わりな製品もいくつか開発しているらしい。Alexaのインターフェイスを使用するVestaというコードネームのホームロボットを手がけているようだ。Alexa搭載のカラオケマイクも開発していたが、このプロジェクトに関わっていたチームはすでに解散したと報じられている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Steve Dent、翻訳:Kaori Koyama)

米GM傘下のOnStarがアマゾンとコラボ、Alexaデバイスを使い家庭に緊急サービスを提供へ

Alexaデバイスの所有者は、OnStar(オンスター)の親会社であるGeneral Motors(ゼネラルモーターズ、GM)とAmazon(アマゾン)とのパートナーシップの拡大により、近々自宅からOnStarの緊急サービスを利用できるようになる。

OnStarは、2021年初めに「Guardian(ガーディアン)」アプリを導入してOnStar Guardianを拡張しており、顧客は携帯端末からサービスにアクセスできるようになっていた。今回の拡張により、顧客の音声対応ホームデバイスもこのエコシステムに加わることになる。

GMのプロダクト担当責任者であるJeff Wajer(ジェフ・ワジャー)氏は、最近のTechCrunchのインタビューで「携帯電話を(そのとき)持っていなくても、緊急時に助けを求めたい場合が多々ある」と語った。また、電話を使うことができない様々なアクセシビリティレベルの人々でも、OnStar-Alexaの統合機能を使えば助けを呼ぶことができる、とも。

この統合機能は、まず既存のOnStarの顧客を対象に段階的に導入され、2022年にはより広範囲に導入される予定だ。対応するAlexaデバイスは、Echo、Echo Dot、Echo Show。GMは、何人の顧客が当初このサービスにアクセスできるのか、また料金がどのくらいなのかについての詳細は明らかにしなかったが、ワジャー氏は、最初のコホートに含まれるOnStarの顧客には初期無料トライアルがあると述べた。

OnStar Guardianは、GMの車両に乗っているかどうかにかかわらず利用できる。だがGM車においては、GMとAmazonのコラボレーションはこれが初めてではない。GMはすでに一部の車両のインフォテインメントシステムにAmazon Alexaを導入しており、今回の提携は両社の結びつきを強化するものだ。

これは、GMが自動車以外のソフトウェアやサブスクリプションビジネスを強化しようとしていることの表れでもある。GMのグローバルイノベーション担当副社長であるPam Fletcher(パム・フレッチャー)氏は、声明でこう述べた。「この新しいサービスは、GMの成長戦略へのコミットメントと、ソフトウェアを活用したサービスの革新を示すものです」。

画像クレジット:Emmanuele Contini / NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

アマゾンの新Kindle Paperwhiteが大画面、USB-C、ワイヤレス充電を採用

業界のビッグネームたちが大きなイベントを開催して、ハードウェアのシーズンに突入した。Amazon(アマゾン)はすでに多くの新しいFire TV(ファイアTV)を発表しており、1週間後には(おそらくEcho[エコー]に焦点を当てた)大きなイベントを計画している。そうした中でアマゾンは、新しいKindle Paperwhite(キンドル・ペーパーホワイト)の形で、私たちに大きな衝撃をもたらした。

私が「衝撃」だというのは、Kindleハードウェア部門全体が、ここしばらく静かだったからだ。私たちは、Paperwhiteが2018年に最後のメジャーアップグレードを行ったときに「The Voyage(ザ・ボイジャー)は終わったのかもしれないが、Kindleラインにはまだ生き残りがいる」と書いている。なぜなら、現実を直視するなら、専用電子書籍リーダー市場全体が必ずしも活気に満ちてはいないからだ。確かにKobo(コボ)はまだ息をしているが、最近のアマゾンはモノリスのごとく事実上この市場に1人で踏みとどまっている。

画像クレジット:Amazon

しかし、本日のニュースへとつながる、製品ラインのUIアップデートを含むいくつかの噂や、リーク情報があった。その結果、Kindleの中級機としては過去最大のアップデートとなる新型Paperwhiteが登場したのだ。

今回のアップデートの目玉は、待望されていた6インチから6.8インチへのディスプレイの大型化であり、330PPIの画素密度は維持されたままだ。これによって、7インチで300PPIのKindle Oasis(キンドル・オアシス)に近づいている。Oasisと同様に、ベゼルは本体と同じ高さに揃えられているが、フットプリントを維持するために、前世代からは12%削られて10.2mmになっている。

画像クレジット:Amazon

正直なところ、最もエキサイティングなのは、USB-Cによる充電だ。少しバカげているように聞こえるかもしれないが、KindleシリーズはmicroUSBの最後の生き残りであり、私がそのためのケーブルを持ち歩く数少ない理由の1つなのだ。私は、高額なOasisが新しい(というかより新しい)コネクタを採用する最初のデバイスになると思っていたが、そうするためには、アマゾンは新しいOasisをリリースしなければならなかっただろう。

充電はより速くなって、ゼロからフルになるまで2.5時間だ。また、バッテリー自体も改良され、1回の充電で従来の6週間から10週間もつようになった。4週間の違いは大きい。バッテリーに関するもう1つのサプライズは、ワイヤレス充電の登場だ。これは、新しいPaperwhiteシグニチャーエディションに搭載されており、このエディションではストレージも8GBから32GBにアップしている。また、アマゾンは別売り30ドル(日本のストアでは税込3480円)の充電ドックも発売するが、標準的なQiパッドも使えるはずだ。

画像クレジット:Amazon

ディスプレイの最大輝度は10%上昇し、周囲の明るさに応じて輝度を自動調整する機能も搭載した。Oasisと同様に、就寝時間に近づくと暖色系の光に調整され、目を保護する。プロセッサーは前世代から改良されており(現時点では詳細は不明)、ページめくりが20%速くなっているという。このデバイスは、消費者からリサイクルしたプラスチックを60%、再生マグネシウムを70%使用している。

新しいPaperwhiteの価格は、スタンダードが140ドル(日本では税込1万4980円)、シグニチャーエディションが190ドル(日本では税込1万9980円)だ。Kindle Unlimitedが4カ月間無料で利用でき、すでに事前予約可能となっている。また、本機では初となるキッズモデルも予約受付中だ。Kindle Paperwhiteキッズモデルは、子ども向けのカバー、1年間のAmazon Kids+(アマゾン・キッズプラス)がついて、保証は2年間だ。こちらの価格は160ドル(日本では税込1万6980円)だ。

関連記事:米アマゾンがAlexa搭載の初の自社ブランドテレビ2種発売へ

画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:sako)

アマゾンがインドの法務顧問による現地政府当局への贈賄を捜査開始

Amazon(アマゾン)は、インドの同社法務顧問が政府当局に賄賂を送ったという内部告発を、インドのニュース・分析機関であるMorning Context(モーニング・コンテクスト)が現地時間9月20日に報道したことを受け、インドの同社法務代理人の行動に関する捜査を開始した。

報道によると、Amazonは同社が提供する法務費用が政府関係者への賄賂に使われていたかどうかを調べている。記事は匿名の情報源を引用しており政府関係者の個人は特定していない。Amazonは、上級顧問弁護士のRahul Sundaram(ラフール・スンダラム)氏を休職させたと同誌は伝えている

Amazon広報担当者はTechCrunch宛の声明で、会社は「いかなる腐敗行為も許さない」と話したが、捜査の詳細については言及しなかった。

「当社は不正な行動の疑いを深刻に受け止め、徹底的に捜査したうえで適切な措置をとります。現時点で具体的な疑惑内容や捜査状況についてはコメントいたしません」と広報担当者は付け加えた。

インドはAmazonにとって主要海外市場の1つだ。米国のeコマース巨人は、これまでこの南アジア国の事業に65億ドル(約7120億円)以上投資しており、この数年に複数の分野へと積極的に拡大してきた。

関連記事
Amazonがインドのスモールビジネスのデジタル化促進のため約1100億円を投資
アマゾンがインドのスタートアップに投資する272億円規模のベンチャーファンドを発表
全インド商業者連合がアマゾンの事業禁止を政府に要請

新たな展開は、Amazonが大規模販売業者を密かに優遇し、それらの企業とのつながりを不正確に伝えることでインドの海外投資規則を回避していたとするReuters(ロイター)報道から数カ月後に起きた。

さらにAmazonは、インドで現在進行中の反トラスト捜査の対象にもなっている。同社の上級幹部らは、捜査に異議申し立したが成功せず、同社がPrime Video(プライムビデオ)で配信した政治ドラマが宗教心を傷つけ公衆の怒りを買ったとする疑惑に関して、現地警察から召喚され尋問を受けた。

その後同社はその全9回のミニシリーズを巡り、後に異例の謝罪を行った。

関連記事:Amazonがドラマ番組を巡りインドで異例の謝罪

画像クレジット:Noah Seelam / AFP / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンが600以上の中国ブランドを不正レビュー理由に永久追放、ただし早くも取締りをかいくぐり戻る可能性

アマゾンが600以上の中国ブランドを不正レビュー悪用により永久追放、ただし早くも取締りをかいくぐっている可能性も

REUTERS/Dado Ruvic

米アマゾンが600以上の中国ブランド(約3000もの業者アカウントにまたがる)をレビューでの不正行為を理由として永久追放したと発表しました。

はじめ香港のThe South China Morning Postが中央電視台(中国国営放送局)でのアマゾン・アジア担当副社長のインタビューを引用して報じ、これをアマゾンがThe Vergeに対して事実だと認めたかっこうです。

アマゾン広報によると、これは世界的な取締りを始めてから5ヶ月後の集計結果とのこと。これら600超のブランドは、アマゾンのポリシー、特にレビューの濫用に関する規則に故意に、繰り返し、かつ著しく違反したために追放されたと述べられています。

アマゾンの取り締まりは、RavPower社のような企業がレビューと引き換えにギフトカードを提供しているとThe Wall Street Journalが報じたことをきっかけに始まりました。

こうした行為をアマゾンは2016年に禁止しましたが、VIPテストプログラムや延長保証を装ったものもあったとのこと。またネガティブなレビューを削除してくれれば、返品不要で無料の商品を提供したり、「返金」を提案する場合もあったと伝えられています。

アマゾンが具体的にどの中国ブランドを追放したのかは明らかにされていませんが、The Vergeは追放された製品の一部が取締りの網をかいくぐって戻ってくる可能性も十分にあるとコメントしています。

たとえばAukey社は5月に取り締まり対象となった最初の有名企業の1つだったものの、9月現在でもAmazonでサブブランド(Key Seriesなど)が販売中です。ほかにもChoetech社のワイヤレス充電パッドや、RavPower社のバッテリーも見つかったとして、The Vergeはアマゾンに禁止の回避に関する方針を問い合わせており、回答待ちとのことです。

最近のアマゾンは偽造品についてもGoProと共同で訴訟を起こすなど、ストアを不正使用させないよう取り締まりを強化しています。不正レビューは「悪貨が良貨を駆逐する」的に公正な出品をしているセラーを苦しめていると以前から指摘されており、かなり遅きに失した感もありますが、今後の展開を見守りたいところです。

(Source:The VergeSouth China Morning PostEngadget日本版より転載)

【コラム】テック系ワーカーの大多数が反トラスト法の施行を支持

米連邦取引委員会のLina Khan(リナ・カーン)委員長の登場で、ビッグテックの解体が再びワシントンの主要政策論議に浮上した。この問題は超党派的な様相を呈しており、共和党も民主党も同様に、テック業界における独占的な行動を止めることに賛成している。もちろん、立脚点の状況はもっと微妙だ。

Amazon、Apple、Microsoft、Facebook、Googleに事業分割や中核事業からの撤退を迫る5つの超党派法案を米下院司法委員会が可決してから1カ月後、共和党の委員会メンバーらは、ビッグテック企業によるオンライン検閲を阻止する法的手段を米国民に与える新たな法案を提出した。より保守的な政策措置は、ビッグテックによるコンテンツモデレーションの慣行の透明性を高めることも提案している。

ビッグテックの規制方法をめぐる議員同士の争いは、すぐには終わらないだろう。しかし、パンデミックによって加速されたデジタルトランスフォーメーションの新時代を米国が先導する中、連邦議会は、自由市場を維持するにはビッグテックの力が抑制されなければならないという信念で強固な結束を築いている。

現状では、小規模な競合企業も消費者も、今日の近代的な経済エンジンに参加するにあたってはビッグテックに縛られる以外に選択肢はほとんどない。そしてパンデミックを経て、テック最大手5社は、資本主義の歴史ではこれまで見られなかったような驚異的なスピードで成長を続けている

大手テック企業は、事業を分割することになりかねない規制に対して強い反対の意思を示しており、規制改革は研究開発の損失、非現実的な市場の細分化、消費者へのサービスコストの上昇をもたらすことを示唆している。

AppleやFacebook、Amazonなどのビッグテック企業が出資するテック業界団体が委託した調査によると、米国人はテック関連の規制を議会にとって優先度が低いものだと考えている。米国人の最優先事項として挙げられたのは、経済、公衆衛生、気候変動、インフラであった。この調査ではまた、Amazon Primeプロダクトの無料配信のようなオファリングに影響を与える規制には、米国人が反対する可能性が高いことも明らかになった。

おそらく今回の世論調査と、選挙で選ばれた指導者たちの超党派的なセンチメントは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生後、社会が良くも悪くもテック大手への依存を認識し始めたことを示しているのだろう。過去18カ月間、米国の労働者はリモートワークに適応してきた。彼らは、他の従業員とのコミュニケーション、企業の経営、食料品や必需品の購入などに対してビッグテック企業が展開するプログラムを利用している。多くの企業が完全なリモートまたはハイブリッドのワークモデルへの移行を公表しており、この動的な状況が変わる可能性は低い。

この話題に対して、プロフェッショナル、特にテック業界やスタートアップ、スモールビジネスで仕事をする人々の間で関心が高まっている。私たちFishbowlは、その多くがテック業界で働くプロフェッショナルたちに、テック大企業の分割について聞いてみようと考えた。Fishbowlはプロフェッショナルのためのソーシャルネットワークであるため、このような職場の話題について調査を行うのは自然な流れだ。

この調査は2021年7月26日から30日にかけて実施され、この分野の従業員が反トラスト法についてどのように感じているかが調査された。調査ではプロフェッショナルたちに次のように問いかけた。「AmazonやGoogleのような大手テック企業を解体させるために、反トラスト法が使われるべきだとだと思いますか?」。

Fishbowlアプリ上で11579人の認証プロフェッショナルが調査に参加し、イエスかノーのどちらかを回答するオプションを与えられた。調査は、法律、コンサルティング、ファイナンス、テクノロジー、マーケティング、アカウンティング、ヒューマンリソース、教師などを対象に、州および専門業界に分類して行われた。

調査結果は以下の通りである。

画像クレジット:Fishbowl

1万1579人のプロフェッショナルのうち、6920人(59.76%)が回答に応じた。

回答に基づくと、調査に肯定的な回答が最も多かったのは法律のプロフェッショナルで、66.67%であった。コンサルティングのプロフェッショナルは61.97%で、次いでファイナンス(60.64%)がテクノロジー(60.03%)をわずかに上回った。一方、教師の割合は53.49%と最も低かった。ヒューマンリソース(55.65%)、アカウンティング(58.51%)、その他の専門職(58.83%)と続いている。

この調査のデータは、米国25州のプロフェッショナルから集めたものである。イエスと答えた割合が最も高かったのはコロラド州で、76.83%だった。2位は73.17%のワシントン州、3位は69.70%のミシガン州となった。大手テック企業の分割に「イエス」と答えた従業員の割合が最も低かったのはミズーリ州(51.35%)であった。インディアナ州(52.59%)、マサチューセッツ州(52.83%)と続いている。全体的に見て、調査に参加した州の大半は、反トラスト法がビッグテック企業を事実上解体すべきだと考えている。

テクノロジーのプロフェッショナルは、大手テック企業が解体されるべきだと回答した割合が4番目に高かった。ビッグテック企業を解体することで得られるメリットの一部として、スモールビジネスにより多くの機会がもたらされることが挙げられる。テクノロジーのプロフェッショナルや起業家にとっては、新たなプロダクトやプログラム、サービスを立ち上げる好機となるかもしれない。また、高度なスキルを持つプロフェッショナルの雇用を増やす可能性もある。第2のメリットは、データのプライバシーと国家的なセキュリティに関する懸念を軽減できることだ。しかし、大企業を解体することのデメリットとして、研究開発の損失が考えられる。大企業は人工知能、自動運転車、ウェアラブル、ロボットなどに多額の資金を提供している。最終的には、ビッグテック企業の解体は、プロフェッショナルそして一般の人々にとってもサービスコストを増加させる可能性がある。

政策立案者たちがビッグテックの解体方法について交渉を続ける中、ホワイトハウスも動き始めている。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は最近、コロンビア大学ロースクール教授のカーン氏をFTC委員長に任命した。カーン氏はビッグテックを強く批判しており、企業の濫用から一般市民を保護し、合併のガイドラインに経済の現実と実証的な学習・執行を反映させることを最優先課題としている。端的に言えば、同氏は合併について懐疑的な見方をしている。

そして7月、バイデン大統領はJonathan Kanter(ジョナサン・カンター)氏を司法省反トラスト局長に指名する意向を表明した。カンター氏は、反トラスト法を専門とする20年以上の経験を持つ弁護士で、強力かつ有意義な反トラスト法の執行と競争政策を推進する取り組みの第1人者であり、専門家でもある。

こうしたメンバーの追加により、業界全体で反トラスト法を施行するための積極的なアプローチが行われることが期待される。今後の動きに確実に違いをもたらすことが議会に委ねられよう。

編集部注:Matt Sunbulli(マット・サンブリ)氏は、リモートワークの新時代にプロフェッショナルを結びつけるワークプレイスソーシャルネットワークFishbowlの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:Peter Dazeley / Getty Images

原文へ

(文:Matt Sunbulli、翻訳:Dragonfly)

アマゾンとチケット販売会社が連携、非接触の手のひら認証システムAmazon Oneがイベント入場システムに採用

Amazon(アマゾン)の小売店向け生体認証スキャナーである手のひら認証システムのAmazon Oneが、Amazonの店舗以外にも広がっている。米国時間9月14日、Amazonはチケット販売会社のAXS(アクセス)が他社で初の顧客になったと発表した。AXSはAmazon Oneシステムをイベント参加者が非接触で入場する方法としてコロラド州デンバーにあるRed Rocks Amphitheatre(レッドロック野外劇場)に導入する。

Amazon OneシステムがAmazon傘下の小売店以外で利用されるのはこれが初めてだ。エンターテインメント会場の入場システムに使われるのも初となる。Amazonは、AXSは将来的にさらに別の会場にもこのシステムを導入する予定だとしたが、会場や時期についての詳細は明らかにしなかった。

レッドロックでは、来場者は入場する前に専用ステーションでAXSモバイルIDとAmazon Oneを紐づけて使う。あるいは今後のAXSのイベントでスキャナーを使用するために、入場してから別のステーションで登録することもできる。登録にかかる時間は1分ほどで、来場者は片方または両方の掌紋を登録できる。セットアップが完了すると、チケット所有者はAmazon Oneユーザー専用の入場列を利用できるようになる。

AXSのCEOであるBryan Perez(ブライアン・ペレス)氏は発表の中で「我々はAmazonと連携し、最先端のイノベーションでチケット販売の未来を作っていくことをうれしく思います。迅速さ、利便性、非接触のチケット販売ソリューションが求められる現在、Amazon Oneを我々のクライアントや業界に提供できることにも期待しています。AXSはこれからも新しいテクノロジーを導入し、イベント前、イベント中、イベント後のファンのエクスペリエンスを向上させるセキュアでスマートなチケット販売サービスを構築していきます」と述べた。

画像クレジット:Amazon

Amazonの手のひらスキャナーはコロナ禍の2020年9月、コンビニのAmazon Go(アマゾン・ゴー)で利用者が手のひらを使って支払いをするシステムとして初めて登場した。このシステムを使うには、利用者はまずクレジットカードを挿入し、次に手のひらをデバイスにかざして、掌紋と支払い方法を紐づける。セットアップが済むと、利用者は手のひらを生体認証スキャナーに1秒ほどかざすだけで入店できる。利用者がスキャナーに実際に触れるわけではないので、Amazonはこのシステムを安全な「非接触」の支払い方法として売り込んでいる(コロナ禍が続いていることを考えると、非接触なのはありがたい)。

技術面に関しては、Amazon Oneはコンピュータビジョンのテクノロジーを活用して掌紋を生成しているという。

最初の導入から数カ月間で、Amazonはこの生体認証システムをAmazon Goの他の店舗や、Amazon Go Grocery(アマゾン・ゴー・グローサリー)、Amazon Books(アマゾン・ブックス)、Amazon 4-star(アマゾン・4スター) の店舗にも拡大した。2021年4月にはWhole Foods(ホール・フーズ)の一部店舗にも導入。掌紋の登録を推進するために、対象店舗で掌紋を登録すると10ドル(約1100円)のクレジットをもらえるプロモーションも実施した

関連記事
アマゾンが手のひらを読み取る生体認証システムの採用店舗を拡大、いずれオフィスや他社店舗にも
アマゾンが手のひら決済「Amazon Oneスキャナー」をスーパーWhole Foodsに導入
アマゾンに自分の掌紋を提供すると約1100円分のクレジットがもらえる

掌紋がAmazonのアカウントとリンクされれば、Amazonは顧客のオフラインでの行動からデータを収集し、いずれ広告やキャンペーン、おすすめに活用できるようになる。データは、顧客が明示的に削除するか、または最後の利用から2年以上経つまでは、Amazonが保有する。

AXSとの契約では、AXSで登録する利用者はAXSに対して、Amazon One IDを作成する目的で自分のメールアドレスをAmazonと共有することに同意する。ただしAmazonは、AXSのイベントに参加するAmazon Oneユーザーのチケットや購入に関する情報は一切AXSから受け取らないとしている。

このシステムは非接触の支払い方法としては興味深いが、こうした分野におけるAmazonの過去の事例からするとプライバシーの懸念がある。同社は過去に生体認証の顔認識サービスを米国の法執行機関に販売したことがある。同社の顔認識テクノロジーは、データのプライバシーに関する訴訟の対象となった。また、Alexaの音声データはユーザーが自分のオーディオファイルを削除した後も保存されていることが明らかになった。

Amazonの対応としては、掌紋の画像は暗号化され、クラウドにあるAmazon One専用のセキュアな領域に送られて、そこで顧客の掌紋を生成するという。また取引がすべて処理された後で、顧客はデバイスまたはone.amazon.comのウェブサイトから登録を削除できるとも述べている。

画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

アマゾンも出資するRivianが電動ピックアップトラック「R1T」の量産第1号車を出荷

イリノイ州ノーマルにあるRivian(リヴィアン)の工場では、米国時間9月14日朝、「リヴィアンブルー」の電動ピックアップトラック「Rivian R1T」の量産第1号車が製造ラインからラインオフした。これは、同社とその創業者兼CEOであるRJ Scaringe(R・J・スカリンジ)氏にとっては、10年以上の歳月をかけて達成したマイルストーンだ。

2009年にMainstream Motorsとしてスタートし、2年後に「Rivian」に社名を改めた同社は、ここ数年で従業員、支援者、パートナーの面で爆発的な成長を遂げてきた。スカリンジ氏は14日にこのニュースと、リヴィアンブルーに塗られた最初の量産車の写真をツイートした。

「何カ月にもわたって試作車を作ってきましたが、今朝、最初のお客様の車がノーマルの製造ラインから走り出しました!」と彼は書いている。「この瞬間を迎えることができたのは、私たちのチームの努力の賜物です。お客様の手に渡るのが待ち遠しいです!」とも。

この1号車を誰が手にするのかは明らかにされていない。

Rivianは、2018年末のLAオートショーで電気トラック「R1T」と電気SUV「R1S」のプロトタイプを公開するまでの数年間、比較的無名のまま、いわゆるステルスモードで活動していた。

それ以来、Rivianは100億ドルを超える(2019年以降は105億ドル[約1兆1500億円])資金を調達し、イリノイ州ノーマルの工場を拡張し、数千人の従業員を雇用し、Amazon(アマゾン)を商用顧客として獲得し、最近ではIPOを内密に申請した。現在Rivianは、イリノイ州の工場に加えて、カリフォルニア州のパロアルトとアーバイン、ミシガン州のプリマスに施設を持ち、英国にもオフィスを構えている。

関連記事:EVメーカーのRivianが秘密裏にIPOを申請

2018年に2台の電気自動車を公開したとき、Rivianの従業員は約600人だった。現在では8000人になっている。

今回のスカリンジ氏の発表は、パンデミックと世界的なチップ不足による少なくとも2回の遅延を経て、同社が顧客向けにR1Tの生産を正式に開始したことを意味する。2021年夏の初め、同氏は顧客への手紙の中で、R1Tの納品は9月に開始され、R1Sはそれに「まもなく」続くと書いていた。

Rivianは、一般消費者向けのR1TとR1Sの準備と最終的な生産、およびAmazon向けの商用配送バンの生産という、相反する優先事項を両立させている。イリノイ州の工場には、車両を生産する2つの独立した製造ラインがある。1つはR1の生産ライン、もう1つは商用バンの製造ラインだ。

Amazonはこれらのバンを10万台発注しており、その納入は2021年に開始された。2021年初め、Amazonはロサンゼルスやサンフランシスコなどのいくつかの都市で、EV配送バンのテストを開始した。

9月初め、Rivianは、ピックアップトラック「R1T」の初期生産仕様車の航続距離がEPA(米国環境保護庁)基準で314マイル(505.3km)、電動SUV「R1T」の航続距離は316マイル(508.5km)を達成したと発表した。

EPAのウェブサイトに掲載された公式の航続距離と燃費の値は、Rivianが300マイル(482.8km)と宣伝していた以前の推定値と見合うものだ。

この瞬間は、Rivianが市場で最初の電気トラックとしてのメリットを得られるという意味でも重要だ。2022年春に発売予定のFord(フォード)「F-150 Lightning(F-150 ライトニング)」は、標準仕様で230マイル(370.1km)、拡張仕様で最大300マイル(482.8km)の航続距離を目標としている。EPAは、Ford Lightningの公式航続距離をまだ発表していない。

Rivianの「ローンチエディション」R1TトラックおよびR1S SUVは、「ラージパック」とブランディングされた135kWhのバッテリーパックを搭載している。ローンチエディション車両は、2021年9月中に納入を開始する予定だ。

【補足説明】Rivianは2019年以降105億ドルを調達したと記述したが、それは調達総額ではない。Rivianは総額を共有していないが、情報筋によると110億ドル(約1兆2030億円)前後だという。

関連記事:アマゾンがRivian製の配達EVテストをサンフランシスコでも開始

画像クレジット:Rivian

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

アマゾンがようやくKindleソフトウェアを大幅にアップデート、より読書しやすいデザインに

それが「本当の本」なら、アップデートは必要ないし、本を読むソフトウェアも変わる必要がない。しかし、現在、私たちが頼りにしているKindleは、本であるだけでなく、Wi-Fiに接続されるデジタルデバイスであるため、変わることができる。Amazon(アマゾン)は、Kindleが登場してから数年になる米国時間9月13日、初めてとなるその重要な設計変更をようやく発表した。

今回のリニューアルでは、ホーム画面の下部に2つのタブバーを追加され、「ホーム」と「ライブラリ」の画面を簡単に切り替えることができるようになっている。よく使う機能にアクセスするために、Kindleは画面上部に矢印を導入している。この矢印をタップすると、機内モード、Bluetooth、ダークモード、同期、その他の設定メニューにアクセスするためのボタンが表示される。また、明るさを調節するスライダーもある。

画像クレジット:Amazon

Amazonは米国時間9月11日に、アップデートについて数週間後に展開すると通知しているが、特定のモデル、Kindle(8世代以降)、Kindle Paperwhite(7世代以降)、Kindle Oasisユーザーの多くはすでにこのアップグレードをダウンロードしている。自分の機種がよくわからない人は、ここで調べよう。ただし2015年以降に購入したモデルであれば、おそらく大丈夫だ。KindleをWi-Fiに接続しているユーザーはアップデートが自動的にインストールされるが、ここで手作業でダウンロードしてもいい。

同社によると、ホームとライブラリ表示の改良を年内は続けていくとのこと。ホーム画面で左にスワイプすると、ライブラリから最近読んだ本が表示されるようになる。また、ライブラリ画面には、新しいフィルターやソートメニュー、新しいコレクション表示、インタラクティブなスクロールバーが導入される。

画像クレジット:Amazon

これは、Kindleが2016年頃にリリースしてから最大のデザイン的なアップデートになる。もしあなたが今年の夏の読書を終えたときに、ユーザーインターフェースが古くなったと感じていたのであれば、Amazonも同じ気持ちだったということだ。

関連記事
古いAmazon Kindleはもうすぐ3Gネットワーク接続できなくなる
アマゾンが購入したトークンで1話ずつ読み進めていく連載小説プラットフォーム「Kindle Vella」を米国で開始

画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフトが米国内オフィス再開の無期限延期を発表、リモートワークやハイブリッドワークの可能性と課題を提示

マイクロソフトが米国内オフィス再開を無期限延期と発表、リモートワークやハイブリッドワークの可能性と課題を提示

Stephen Brashear via Getty Images

米Microsoftは9月9日(現地時間)、従業員の米国内オフィスへの出社再開を無期限に延期すると発表しました。もともとは10月4日からの再開を予定していましたが、感染力の強いデルタ株の出現など、新型コロナウイルスの不確実性が増しているため、新しい日付は設定せず、公衆衛生上の指針に基づき安全に再開できるようになった時点で再開するとのこと。

再開を決定した際は、30日間の移行期間を設け、従業員が準備できるようにするとともに、データを確認しつつ、引き続き機敏で柔軟な対応ができるようするとしています。The New York Timesによると、米Microsoftはすべての従業員、ベンダー、ゲストがオフィスに入る際には、ワクチン接種証明書の提示が必要になります。

Microsoftによると、今年は世界中でMicrosoft社員16万人が自宅で仕事をし、2万5000人の新入社員がリモートで入社しましたが、Microsoftに仲間がいると感じるとアンケートに答えた人は過去最高の90%を記録。一緒にいると感じるために、物理的に一緒にいる必要はないことを示していると、リモートワークやハイブリッドワークの可能性を感じている様子。ただし、この前向きな傾向が継続するという保証はないともしています。従業員アンケートによると、ワークライフバランスやチームのつながりに対する満足度は、引き続き課題となっているとのことです。

なお、オフィス再開を延期したのはMicrosoftだけではなく、GoogleAmazonは2022年1月まで延期、Twitterは再開時期を未定としています。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

米アマゾンがAlexa搭載の初の自社ブランドテレビ2種発売へ

米Amazon(アマゾン)が43インチのAmazon Fire TV Editionを発売するために2017年にサウスカロライナ拠点のElement Electronics(エレメント・エレクトロニクス)とチームを組んで以来、これは必然だったように感じる。Amazonはまた、人気の音声アシスタントを搭載するためにサードパーティーのテレビ会社数社とも提携したが、同社は9月9日、2種のスマートテレビFire TV Omniシリーズと4シリーズを投入し、さらに一歩踏み込むことを明らかにした。

同社はこれらを「初のAmazon製スマートテレビ」と呼び、すでに作られて他の会社のブランドで展開されているものに音声テクノロジーを搭載するのではなく、ゼロから作った独自のテレビであることをほのめかしている。

Fire TV Omniシリーズが主力製品で、もう1つのものよりもプレミアムだ。しかしその価格は予定どおりであれば、410ドル(約4万5000円)からとかなり安めだ。前述のAmazonブランドのElementシステムより40ドル(約4400円)安い。

「スマートテレビは何十年も出回っていますが、それらが本当にスマートだとは思いません」とAmazon副社長のDaniel Rausch(ダニエル・ラウシュ)氏は話す。「顧客が本当に欲するであろうものに比べて、それほど有能ではありません。多くの場合、テレビは受動的な経験を提供します。相互にやり取りするのは複雑で難しいものです。我々のリビングルームにはさまざまな種のデバイスやコンテンツエクスペリエンスがあります。それを顧客側で調整するのは、おそらく複雑さが増すばかりだと思います。音声とアンビエントコンピューティングでもってテレビはより多くのことができるようになり、顧客のためにテレビはよりスマートになる可能性を秘めていると確信しています」。

SamsungやLGがしのぎを削る(何十年も噂されているAppleテレビはこれまでのところ実を結んでいないようであるにしても)競争の激しい分野にAmazonは参入しようとしている。当然、AmazonはAlexa統合とは区別しようとしている。Omniの方はテレビ視聴から音楽、ゲームまでさまざまなアクティビティに音声を使うために遠距離テクノロジーを活用している。

システムは最近導入されたAlexa会話を採用し「Alexa、何を観たらいい?」(このコマンドはベータ版では2021年後半までは使えない)「Alexa、Netflixのコンテンツを再生して」(同様に秋までは使えない)といったコマンド、そしてTikTokでも同様のコマンドなど、より自然な感じでアシスタントに尋ねる方法を提供している。人気を博しているソーシャルネットワークのTikTokは英国、ドイツ、フランスのFire TVでの提供が始まり、間もなく北米でも展開される。もしすごくのめり込んでいるなら最大75インチのスクリーンでショートビデオを観ることができる。

画像クレジット:Amazon

Omniのサイズは43、50、65、75インチで、解像度はすべて4Kだ。HDR10、HLG、Dolby Digital Plusが実装され、2つの大型モデルはDolby Visionもサポートしている。Omniと安めの4シリーズの違いはさほど多くはないようだ。4シリーズは370ドル(約4万1000円)からで、サイズは43、50、55インチ。こちらも解像度は4Kとなっている。この2つのラインナップの最大の違いは、4シリーズが近接のAlexa対応能力をリモートにビルトインしていることだ。Omniの方は遠距離テクノロジーを搭載している。

新しいテレビは2021年10月に発売される。

画像クレジット:Amazon

テレビには新Amazon Fire TV Stick 4K Maxがついてくる。55ドル(約6000円)するこのストリーミング用スティックは、高パフォーマンスを約束するクアッドコア1.8GHzプロセッサと2GBのRAMを内蔵し、上記の多くの音声機能を提供する。スティックはWi-Fi 6、そして当然のことながらAmazonのゲーミングサービスLunaにも対応する。

おそらく少々驚くのは、Pioneer(パイオニア)の社名が入っていることだろう。儲けが少ないために愛しのプラズマから撤退して数年、PioneerはAlexaリモートとセットになった新しい4Kでテレビ分野に戻ってくる。43インチのバージョンは9月にAmazonとBest Buyで発売される予定で、50インチの方はその2カ月後になる見込みだ。

一方、東芝のテレビには遠距離テクノロジーがビルトインされている。55、65、75インチの3モデルで、2022年春発売の予定だ。

関連記事
スマートテレビをもっとスマートにする高校生のアイデアで生まれたDisruptelが1.2億円調達
LGのスマートテレビでクラウドゲームGoogle StadiaとNVIDIA GeForce Nowが利用可能に
Apple TVアプリとApple TV+がLG製テレビで利用可能に
画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

Amazonのレジなしサービス「Just Walk Out」がWhole Foods2店舗でも採用

Amazon(アマゾン)はGoストアで立ち上げ、大規模なFreshスーパーマーケットにも導入したキャッシャーレスの「Just Walk Out」テックを、間もなくWhole Foods(ホールフーズ)2店舗にも持ってくる。棚から商品を手にとってそのまま立ち去れるこのサービスがワシントンD.C.とカリフォルニア州のシャーマン・オークスの新店舗に2022年導入されると発表した

「Amazonと協業してJust Walk OutをこれらのWhole Foods Market2店舗に導入することで、顧客はレジ待ちをスキップして時間を節約することができます」とWhole Foodsの共同創業者John Mackey(ジョン・マッキー)氏は述べた。

以前、詳細を報じたように、客が入店してアプリにサインインし、買い物かごに商品を入れ、レジ待ちの列に並ぶことなく店を立ち去れるようにするために、Just Walk Outはコンピュータビジョン、センサー、AIを使っている。Amazonは自前のGoとFreshの店舗でこのテックを使うのに加えて、サードパーティの小売業者にライセンス貸しするための契約を2020年結んだ。

このテックは、Amazonが所有するWhole Foodsでも同様に機能する。買い物客はアプリをスキャンし、自身のAmazonのアカウントに紐づいているデビットカードを挿入することで、あるいは手のひらスキャンシステムのAmazon Oneに手のひらをかざすことで入店時にこのテックの使用を選択できる。

労働組合は、Amazonのキャッシャーレステックが労働者の就業機会を犠牲にすると主張してきたが、新しいWhole Foods店舗は「同等規模の既存のWhole Foods店舗と同じ数のスタッフを雇用する」とAmazonは述べた。むしろ従業員は「顧客対応やすばらしい買い物体験の提供にこれまでよりも多くの時間を割く」ことができる、とAmazonはプレスリリースで述べた。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

関連記事
空港内小売のOTGが来週からAmazonのレジなし技術を導入
Amazonがレジなし店舗技術をほかの小売業者に販売開始
Amazonが初のレジなし食品スーパーをシアトルに出店
アマゾンの手のひら認証システム「Amazon One」がマンハッタンの無人コンビニ「Amazon Go」で運用開始

原文へ

(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi