Amazonが外出時の自宅見守り機能「Alexa Guard」をロールアウト

Amazon(アマゾン)は米国時間5月14日、米国のEchoユーザーに対して「Alexa Guard」をロールアウトすると発表した。外出時に「Alexa、外出するよ」と伝えれば、Echoデバイスが録音を開始する。

その重要な機能として「Smart Alerts」があり、これは鍵の音やガラスが割れる音、煙や一酸化探知機のアラームを監視する。そしてEchoがノイズを聞くと、その録音とともにアラートが発信される。

これは興味深い新機能だ。なぜなら、デバイスのマイクが常時録音するように設計されているという、時に議論を醸すであろう事実を利用しているからだ。Amazonによれば、ライセンスを受けた契約者と協力し、何百ものガラス窓をさまざまな道具で壊し、Alexaのために異なるバリエーションの音を制作したという。

この新機能は、その他のスマートホームデバイスでも利用できる。RingやADTといったモニタリングツールは、アラートをそれらのプロバイダーに発信することができる。また「Away Lighting」機能なら、ライトを点灯させて自分が部屋にいるように見せかけることができる。

この機能は米国のEchoユーザーに無料でロールアウトされることとなる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

中国の報復関税で米ハイテク株が軒並み下落

米中の間で進行中の貿易戦争の新たな局面として、中国が米国に報復の総攻撃をかけたことにより、米ハイテク企業の株価は大打撃を受けた。

S&P 500指数は、金額にして約1.1兆ドル(約120兆円)ぶんも下げ、ダウ工業株平均とナスダック総合指数も、それぞれ2.38%と3.41%下落した。

米国時間5月13日の月曜日に、中国は、米国が中国からの輸入品に25%の関税をかけたことへの報復として、約600億ドル(約6兆6000億円)にもなる米国からの輸入品に25%の関税を課すことにした。

6月1日から、中国政府は5000以上の品目に25%の関税をかけることになる。また、それ以外の多くの輸入品についても、税率は20%に上がる見込みだ。以前は、10%または5%だったものからの引き上げとなる。最も高い税率がかけられる品目は、ドナルド・トランプ大統領の政治的な支持基盤に対して打撃となるよう、意図的に選ばれているようだ。つまり、米中西部の畜産物、果物、野菜が相当する。

しかし、この貿易戦争の矢面に立たされているのは、とりわけ米国内のハイテク産業だ。実際に、このニュースはハイテク企業の株価の急降下を招いた。それは元TechCrunchの共同編集長で、今はベンチャーキャピタリストのAlexia Bonatsos氏が「ハイテク企業のレッドウェディング」と呼んだ通りのものだ。

関税の引き上げは、アップルや、その他の米国内のハイテク企業の製品の製造コストを押し上げる。それは結局、そうしたハードウェアメーカーの米国内での製品価格を上昇させることになる。一方、完成品を中国に輸出する際の関税は、中国国内でそうした製品を買おうとする際の製品価格を、法外なまでに高価なものにする。

消費者向けの製品が高価になるということは、特に重要ではない製品に費やす金額が減ることを意味する。それは結局消費者の生活を質素なものにし、オンデマンド経済に対する支出を減らすことになる。それはまた、広告の削減を引き起こす可能性もある。企業は中核ではないと判断される領域への出費を削減し、切り詰めようとするからだ。

こうした状況は、ハイテク株の取引そのものを停滞させることにもなる。市場の低迷が長引くことが予想される中では、アルゴリズムうんぬんではなく、ただ持ち株を処分して利益を確保するという気運になりやすいからだ。

今回の貿易戦争は、すでにUberの新規株式公開に大きな損失を与えている。今日も同社の短期的な株式市場のパフォーマンスを食いちぎっている

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流血しているハイテク株はUberだけ、というわけではまったくない。Amazonの株価は3.56%下落し、Alphabetは2.66%、そしてAppleも5.81%下げた。さらにFacebookは3.61%下げ、Netflixに至っては4%以上も急落した。すべてこの1日でだ。

ハイテク企業の中には、持ち直すところも出てくるかもしれない。しかし、今回の中国との経済戦で傷ついた米国の農民に対して大統領が与えようとしているような救済策や助成金を、ハイテク企業が受け取ることになるとは考えにくい。議会が、行き詰まっているインフラを含むパッケージに関する交渉を再び軌道に乗せることができない限り、政府の援助によって今回の打撃を和らげられるという希望はほとんどない。2020年の米国大統領選挙が統治の問題に影を落とし始めているの見る限り、交渉の再開は、ますますありそうもないことのように思われる。

「私たちは、この状況は、数カ月ではないとしても、少なくとも数週間はエスカレートしていくのではないかと見ています。問題は、2つの国が再び交渉のテーブルに着いて同意に達することができるかどうかですが、その間にも市場はさらに打撃を受けることになるでしょう。本当の問題は、我々は5%、10%、あるいはもっと大きな市場の調整を必要としているのかどうかということです」と、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのグローバル経済部門の責任者、Ethan Harris氏はCNBCに語った

画像クレジット:Hiroshi Watanabe

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アドビのCommerce CloudはMagentoにAmazonとGoogleを統合

Adobe(アドビ)がMagentoを16億ドル(約1760億円)で買収し、Adobe Commerce Cloudを立ち上げてから、まだ2、3カ月しか経っていない。米国時間5月13日、MagentoのImagine 2019カンファレンスで、同社はいくつかのアップデートを発表した。プラットフォームのカバー範囲を同社のサービスを利用する中小企業にも拡げることを狙ったものだ。

AdobeがMagentoを買収した際には、同社のサービスを利用していた中小企業の多くはAdobeが既存の大企業に注力するようになるのではないかと心配した。つまり、それ以前からAdobe Experience Cloudを利用していたような企業のことだ。今回の一連の発表は、さまざまな面でこうした懸念を打ち消すことを目指したものとなっている。

中でも、Magentoユーザーにとって最も重要な2つのニュースは、Amazon、およびGoogleとの新たな統合機能だ。

まずAmazonについては、業者は直接MagentoのバックエンドからAmazonの在庫を自動的に管理し、メンテナンスすることができるようになった。Amazon Sales Channelに適合した値付けルールを設定し、複数のAmazonアカウントを使って複数のAmazonブランドを管理し、さらにAmazonの製品データにアクセスすることも可能だ。

この新機能は、すでにMagento Marketplaceで入手できる無料の機能拡張を導入することで、すべてのMagentoユーザーが利用可能となってる。

「多くのブランドや業者にとって、Amazon内にストアを構築するのは簡単なことではありません」と、Adobeのコマースプロダクト&プラットフォーム担当副社長であるJason Woosley氏は述べている。「そのためは、運用上の課題のあれこれに適切に対処しなければなりません。新しいプラットフォームを導入し、チームのメンバーがその使い方をマスターして、管理、維持の方法を学ぶ必要もあります。もしチームの仕事量が限界を超えてしまったら、新たなスタッフを雇うか、そのままではビジネスの目標を達成できないロードマップを考え直す、といったトレードオフも必要となるでしょう」。

一方GoogleについてもMagentoは同日、Google Shoppingとのネイティブな統合機能を、やはり無料の機能拡張としてリリースした。これにより、Magentoの管理者はMagentoのダッシュボードからGoogle広告を管理し、Google Merchant Centerアカウントを運用できるようになる。さらに、Magentoから直接Googleのマーケティングキャンペーンも管理できるようになる。ここでも、Magentoを利用している業者は、すでに使い慣れたツールを使って他のプラットフォームまでも操作できるようになるのがポイントだ。これまでは、複数のサービスの間を行ったり来たりしながら、それらが同期して動くよう苦労していた。

さらにAdobeは、PWA(Progressive Web Application)Studioも発表した。これは、高い技能を持ったMagentoユーザーが、アプリ同様に使えるオンラインストアを構築することを可能にするもの。現状では、支払いオプションとしてPayPalのBraintreeをサポートしている。Woosley氏は、特に新興市場においては、多くのMagentoユーザーにとって、PWAこそ進むべき道であると期待しているという。

画像クレジット:Bogdan Vija/EyeEm/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Amazonは社員に300万円相当の資金と3カ月ぶんの給料を与えて自営配送企業を育てる

Amazonプライムで翌日配達をするというニュースに続いてAmazonは米国時間5月13日、同社の配達サービスのパートナー事業としてDelivery Service Partnerプログラムを拡大した。Amazonに在籍中の社員が、独自に自分の手荷物配送企業を始められるための奨励事業を展開することになった。昨年始まったこのパートナー事業は、参加者がAmazonの配送配達技術にアクセスでき、実習訓練に参加し、車両のリースや保険などを安く利用できる。社員の場合はさらに1万ドルの奨励資金が付く。

創業資金1万ドルのほかに社員は、軌道に乗るまでの生活資金として、Amazonを辞めたときの給与の3カ月ぶんをもらえる。

Amazonによると、昨年人びとは自分の配送企業をわずか1万ドルの資金で立ち上げることができた。その時点では、退役軍人には既存のスタートアップ支援事業の一環としてその1万ドルを後払いしていた。

今度の奨励事業では同じことをAmazonの一般社員に対して行い、それプラス給与額の3カ月ぶんが付く。かなり手厚い奨励策だ。でもAmazonは配達時間の半減という、思い切った野望を持っているから、これぐらいは当然かもしれない。

配達パートナーになりたい社員は、側面にAmazonのスマイルロゴが描かれているAmazon特注のブルーのデリバリーバンをリースでき、燃料や保険、ブランド入のユニホームも割引料金で提供される。

このパートナー事業の前にはAmazonは、Amazon Flexというクラウドソースの労働力に頼って安い配送コストを確保していた。しかしそういういわゆるギグワーカーたちは、ガソリン価格の変動や保険がないこと、自前の小さな車両しか使えないなどの悪条件により、労使双方にとって不安定性が大きかった。

一方デリバリーパートナーの方は、順調に成長して年俸30万ドルを稼ぎ、車両を40台も持つというところも出てきた。Amazonの昨年の予測では、これらの小企業が全米で数万人のドライバーを雇用する、とされた。

しかしそれは、推計ではなく事実だった。Amazonの今朝の発表では、この2018年6月にスタートしたパートナー事業は、今では200社を超える小企業が参加し、計数千名の地元ドライバーを雇用している。今年は参加企業がさらに数百増えるだろううという。

この社員奨励事業は、Amazonの倉庫における自動化の拡大と時期的に一致している。自動化によって、一部の倉庫労働者が職を失うのだ。今朝のロイターの記事によると、Amazonは現在数千人の労働者が担当している受注品の箱詰め作業を自動化する。こんな人たちの一部も、次の職としてデリバリーパートナー事業がいい候補になるだろう。

Amazonにとって、社員たちを新しい企業に移行させるためのこの投資は、長期的には会社の利益になるだろう。なぜなら同社は現在、USPSやUPS、FedExなどへの依存から卒業して、自分でコントロールできる自前のデリバリーネットワークを持とうとしているからだ。そして短期的には、翌日配達を米国のプライムのデフォルトにするために8億ドルを投じると言われているから、それはデリバリーパートナーにとっても利益になる。

この社員奨励事業は米国に次いで英国、さらにスペインで展開される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アマゾンがBlinkの屋外用セキュリティカメラをアップデート、長時間駆動と双方向通話が可能に

Google(グーグル)がスマートホーム関連の発表で注目を集める中、Amazon(アマゾン)もBlinkブランドの最新アウトドア向けセキュリティカメラ「Blink XT2」を発表した。

Blink XT2ではいくつかの機能追加と値下げが実施されている。製品価格は90ドル(約9900円)と、すでに屋外向けカメラとして手頃だったオリジナルモデル(Blink XT1)から25%も廉価だ。

新モデルは単3電池2本で2年間の動作が可能だ。Amazonによれば、録画専用で使用すれば2年間でBlink XT1より2倍の使用時間を得られるという。これは新チップのおかげだが、動作期間は使い方に左右される。つまり、モーションアクティブ記録機能を利用すれば、より長期間利用できる。さらに、不審者を追い払うのに役立つであろう双方向の会話機能も追加された。

また、モーションセンシングは誤動作を防ぐために改善されている。この手のカメラにとって、この問題は悩みの種だ。

Blink XT2は米国市場では5月22日に、そしてカナダでは今夏に発売される。製品はすでに予約を受け付けており、「Blink Sync Module」モデルの価格は100ドル(約1万1000円)だ。

Amazonは2017年後半にBlinkを買収したが、これはスマートホーム製品ラインアップを拡張し、Nest買収後のGoogle(グーグル)に対抗するためだった。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

デベロッパーの収益源になるAlexaのスキル内購入機能が国際展開へ

1年前にAmazonがアメリカのAlexaデベロッパーのために設けたスキル内購入の機能が、今日からはグローバルに提供される。最初はイギリスとドイツと日本だけだが、その後、そのほかの国でもできるようになる。デベロッパーはスキル内購入を利用して、Alexaの音声アプリからさまざまな方法で収益を得ることができる。それは、デジタルグッズでもいいし、何かのサブスクリプションや消耗品でもよい。

デジタルグッズには、クイズなどの拡張パックがあってもいいが、消耗品(consumables)はゲームのヒントなど一回かぎりの購入だ。一方サブスクリプションはデベロッパーに継続的な収益機会を与える。それらは、会員特典やアプリのアップグレード、コンテンツの定期的な更新などだ。

コンスタントな収益があれば、その音声アプリを今後継続的に開発していくこともできる。音声アプリケーションはまだ日が浅いから、デベロッパーはまだいろんな試行錯誤をしている。どんなユーザー特典が喜ばれるかも、長期間やってみないと分からない。だから開発を続けられることは、とても重要だ。

Alexaのスキルは、すでに80000を超えている。あまり人気のないアプリのロングテールがあって、ごく一部だけがヒットしている、という状況だ。

Amazonは今日、スキルのヒット作を二つ紹介している。ひとつはGal Shenar作のゲームスキルEscape the Airplaneで、彼によるとコンバージョンレートが34%だそうだ。

もうひとつの、Nick Schwab作の環境音スキルは200万近いアクティブユーザーがいる。彼は無料のトライアルと月額のサブスクリプションを提供し、一度聴いた人はその30%がトライアルに申し込む。そして無料トライアルユーザーの90%が有料のサブスクリプションに換わる。

上の二つのケースでは、どちらも有料サブスクリプションがオプションであり、ハードセルではない。そして彼らは、自分のスキルを、はまりやすくて、くせになりそうな仕上がりにしている。

そのほかの上位スキルは、Jeopardy!Escape the RoomBeat the IntroBig SkyWould You Rather for FamilyQuestion of the Day、そしてYes Sireなどだ。

スキル内購入が国際展開になったから、デベロッパーは自分のスキルをローカライズして、いろんな国で稼げる。そのためには、Alexa Command-Line InterfaceやAlexa Developer Consoleを使える。

関心のあるデベロッパーは、このフォームで申し込み、自分のアイデアをAlexaのチームに説明しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonは米国のプライム会員向けに翌日配送を推進

米国時間4月25日、Amazonはウォールストリートの楽観的な予測をさらに上回って、四半期の収益の最高記録を達成した。その勝利の中、同社は米国のAmazonプライム会員を対象とした無料の2日以内配送を翌日配送に移行する方針を発表した。

この動きは同社にとってこれまで聖杯探求の伝説のように困難な目標だった。既存の配送サービスと同社のフルフィルメントセンターでは、2日以内配送の約束は限界に近づいているようだった。一部のサービスでは(そしてフランス、ドイツ、オランダなど一部の国では)1日または2日のオプションがあるが、米国で全面的に翌日配送を実施するのは極めて大変なことだ。

Amazonの最高財務責任者であるBrian Olsavsky氏は、断定的な表現は避けている。Amazonは時期については明言せず、Olsavsky氏は「現在、進化に取り組んでいるところ」と述べた。この発言だけでもウォールストリートに影響が及び、ライバルの筆頭であるTarget(ターゲット)とWalmart(ウォルマート)の株価は急落して対応の混乱を招いた(ここ10年ほど、こうした傾向がある)。

Amazonはこのところ自前のフルフィルメントセンターを構築してきた。TechCrunchでは先日、ニューヨークのスタテン島にある同社の巨大なJFK8倉庫を取材した。まだ新築のにおいが残る倉庫で、最終的にはニューヨーク市内で2250人の雇用を予定している。この倉庫をはじめとする約25の施設では、業務の効率化を目的におよそ10万のロボットシステムが導入されている。同社が倉庫用ロボットのスタートアップのCanvasを買収したことなどから、この数字はさらに増えると予想される。

ロボットシステムがあるにもかかわらず、あるいはあるからこそ、こうした動向が人間の従業員にどのような影響を与えるかというもっともな疑問はある。Amazonは最近、バーモント州選出の上院議員バーニー・サンダース氏などの政治家から公に批判されたことを受けて、フルタイムの従業員の最低賃金を引き上げた。しかしそれ以降、同社はこの動きを利用して競争に挑み、変化を起こそうとしている。

それでも、厳しい職場環境に関する報告はなくなっていない

画像:Ross D. Franklin / AP

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(翻訳:Kaori Koyama)

AmazonがTIDALのようなHi-Fi音楽ストリーミングサービスを年内に開始

Music Business Worldwideの記事によると、Amazonは年内立ち上げをめどにHi-Fi音楽ストリーミングサービスを準備している。このサイトは最近のAmazonの広告入りで無料のAmazon Musicサービスの立ち上げを正しく報じた。Hi-Fiサービスのほうは、その「CDよりも高品質な」提供物に対して月額15ドルを課金する計画だ。TIDALと真っ向から競合することになる。

Amazonは、PandoraやSpotify、Apple Musicなど、そして今やTIDALと直接競合することによって、市場のローエンドとハイエンドの両方をカバーしたいようだ。

同社の音楽への投資は、広告や会費で売上に貢献するだけでなく、AmazonのスマートスピーカーEchoシリーズの直接的なコンテンツにもなる。節約家の消費者なら、Echo Dotで広告入りの音楽ストリーミングを聴けば十分だろう。でもEcho Plusのステレオペアとウーファー買った人は、高品質な音で音楽を聴きたいかもしれない。

今のところ、そんなオーディオマニアたちは、TIDALのようなサービスを探していただろう。このサービスのHi-Fi契約は44.1kHz/16ビットのCD級ストリーミングで月額19ドル99セント、96kHz/24ビットのマスター級の音質も提供されている(別料金不要)。一方Deezerは、16ビットのFLACファイルをストリーミングしている。

なお、現時点ではAmazonのHi-Fiサービスのビットレートなどは不明だ。しかし上掲の記事によると議論はまだ初期段階で、契約した大手レコード会社もまだ1社しかない。

AmazonがこのHi-Fiサービスをローンチしたら、同社の音楽ストリーミングサービスは無料〜有料〜高額と市場の全領域をカバーすることになる。ユーザーは、自分の希望に合わないからといって、他のサービスに浮気する必要がなくなる。またAmazonはこれをインセンティブとして利用し、スマートスピーカーを買う人やプレミアム会員に値引き提供するかもしれない。今でも、Echoデバイスを買うとAmazon Music Unlimitedが月額3ドル99セントになるように。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazon Primeの独走が物流スタートアップの機会を生み出す

Eコマースは現代経済の明るい希望の1つだ。米国のEコマース売上は5年間で2倍近く伸び、5000億ドルを越えている。Amazonが50%近い市場シェアを占め、不均衡なまでの富を得ていることは驚きではない。ライバルたちを廃業に追い込み 世界で最も価値の高い企業の立場を維持している。

Eコマースの景観を完全に変革させた1つは、Amazonが翌々日配達を業界標準にしたことだ。競合他社は輸送基盤に数百万ドル規模の投資を行うか、最大のライバルと手を組む以外に実現できない。売り手たちにとっては幸いなことに、新たに意欲的な輸送スタートアップが出現して、Amazonとの競争を助けてくれようとしている。

Amazonの「のど輪攻め」

古典的な「コーペティション」(競争の協調)形態として、Amazonは現在100万以上の売り手(マーチャント)にAmazonマーケットプレイスを通じて販売する機会を提供している。これらの売り手には安いパッケージ当たり定額料金で翌々日配達を提供している。Amazonはその高度な配送ネットワークをいっそう強化するために、電動トラック会社のRivianに7億ドルを投資して、50機を超える同社の輸送飛行機部隊を補完し、2万台のメルセデス・ベンツ配送トラックを運用している。

翌々日配達の威力はあまりにも大きく、売上が倍増することも少なくないため、巨人と手を組むリスクを知りながらも数多くの売り手たちがAmazonに依存している。 このこと自身が売り手がAmazonとうまくやっていくことを支援するスタートアップの出現を促した。Amazonは、売り手たちが他のブランドと協調しながら競争することを強制している。Amazon自身が積極的に売り出しているプライベートレーベル製品もライバルのひとつだ。さらにAmazonは、高いパーセンテージの手数料を取っているにもかかわらず、売り手が最低価格で売るよう圧力をかけている。それなのにAmazonは、突然事前通知なく売り手をプラットフォームから追い出すことがある。

ひとたびAmazonを使って売り始めると、売り手は他のもっと自由で利益率の高いプラットフォームを利用することが困難になる。それはAmazonの無敵ともいえる翌々日配達料金に依存しているからだ。こうした圧力によって、売り手はAmazonの四方八方からの圧迫をますます敏感に感じるようになる。売り手たちはなんとかしてAmazonののど輪攻めから逃れる手段を見つけようとしている。そして、まさにその機会を提供しようとしているのが一連の新しいスタートアップたちだ。

集合的配送ルート

輸送コストは配達コストの75%以上を占める。売り手は荷物をまとめることによって、出荷、長距離輸送、およびライスマイル配達のコストを大きく下げることができる。伝統的には、この種の取りまとめは高い金をとる輸送ブローカーが紙と鉛筆で行ってきた。今日では、つい最近10億ドルを調達したFlexportや、10億ドル以上の評価額を得たConvoyのような会社が、パッケージの取りまとめや配送業者のマッチングをより効率的に行っている。

最近4000万ドルの投資ラウンドを終えたShipBobのようなラストマイル配達会社も、Amazonライクな翌々日配達ソリューションを提供し始めている。Delivはさらに積極的なアプローチを取り、自社の配達人を使って同日配達を提供している。これらのスタートアップは数を揃えることで、大量割引を交渉し、配送ルートを最適化することによって、売り手は20%以上節約することが可能になった。

分散型倉庫

翌々日配達を可能にするために、売り手は顧客の近くにある倉庫を利用する必要がある。WalmartやAmazonのような企業は、米国全土に複数の配送センターを作るために何十億ドルも投資できる。一方、小さな小売業者や配送業者は、FlexeDarkstoreのようなスタートアップが提供する全国のオンデマンド倉庫を利用することができる。

何千マイルも離れた中央倉庫に何もかも置く代わりに、売り手はAIを使って消費者の需要を予測し、目的地近くの配送センターに在庫を移すことができる。これらのスタートアップは、売り手が翌々日配達ではなく同日配達の提供を目指すようになるとますます重要になってくる。

ロボティクスとオートメーション

導入コストは膨大だが、ロボティクスは長期的には多くの配送センターにとって人力に変わる安い代替手段になりうる。つい最近2300万ドルを調達したRightHand Roboticsは、ロボットアームを使って倉庫で荷物の積み下ろし(ピックアンドプレース)を行う。アームは熟練梱包担当者と同じスピードで作業することが可能で、24時間働き続ける。オートメーションを利用してラストマイル配送をのコストをさげようとしているスタートアップもある。方法は、自動運転ロボットから配達ドローンまで方法はさまざまだ。例えばStarship Technologiesは小型の自動運転ロボットの集団を使って地域の配送を行っている。ここの売り手がロボットアームを買うことはできなくても、ロジスティックのスタートアップを通じて新しいオートメーション技術を利用することでコストを下げることができる。

便利さの中毒になった消費者は、自分の注文がもっと早く届くようにと要求を続ける。Amazonは便利さの王様であり、バーをさらに高く(あるいはこの場合は速くし続ける。売り手は追いつくのが大変だ。幸いなことに、新しい世代のロジスティックスタートアップが彼らを助けてくれる。未来の輸送基盤のソリューションを作ることで、こうしたスタートアップたちは、売り手が対Amazonのレースを戦い続けるのを助けようとしている。

【編集部注】Delivは筆者がパートナーを務めているTrinity Venturesのポートフォリオ企業。

【編集部注】本稿のライターはJohn (Jiang)Lin。Trinity Venturesのアソシエート・パートナーとしてデベロッパーツール、AI、不動産などへの投資を支援している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonの2019年第1四半期は市場の楽観的な予想すら上回る純利益

Amazonは米国時間4月25日の発表は、それ自身すでに楽観的だったウォール街の予想をも上回っている。すなわち同社の2019Q1の売上はやや伸び悩み、時間外取引で若干の乱調を招いたが、基本的にはその売上利益率の安定的な増加基調に強力に下支えられた。

本四半期の純利益は36億ドルに達し、同社の新記録となった。粗利益の増大に特に寄与したのは、広告を含むオンラインサービス、そして特に顕著なのがAWSによるクラウドサービスだった。

本期決算報告は、Amazonが昨年買収したWhole Foodsの結果も含むなど、同社ポートフォリオの多様化ぶりを示している。このグロサリーストアチェーンは、Amazonの一部になって以来、数回におよぶ値下げの影響で、同社のクラウドサービスに比べると成長は鈍った。

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏はこの機会をとらえて、同社の教育への投資の増大を強調した。Amazonがこのようにソフトな側面を目立たせようとしているのも、フルフィルメントセンターにおける労働条件や、ニューヨーク市クイーンズ地区の第2本社計画の撤回などをめぐって、このところ批判が厳しくなっているからだ。

彼は声明の中でこう述べている。「母親が働いている母子家庭で育ったLeo Jean Baptisteは、ニュージャージーのインターネットのない家でハイチ語しか話せない子だった。彼はまた、100名の高校上級生から成るAmazon Future Engineer奨学金制度の創始グループの一人として4万ドルを受け取り、Amazonのインターンになった。創造への情熱がわれわれをAmazon Future Engineerの創設へと導き、全国のLeoのような若者を被差別集団から救出する手助けをしている」。

決算報告に登場するとは誰も思わないバラ色のお話だが、しかしQ2は成長が鈍化しているのでそれほど強気ではない。Amazonが出したガイダンスではウォール街の予想42億ドルを16億ドルも下回っている。CNBCによると、それは近々の大きな投資を予告している、という。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

消費者の41%が音声アシスタントのプライバシーに不安、マイクロソフト調査

Microsoft(マイクロソフト)の新しいレポートによれば、音声アシスタントのユーザーの41%がデバイスが常時聞き取り状態にあることに関連してプライバシーやデータ保護の信頼性に不安を抱いているという。

Google、Amazon、Apple、 Samsung、Microsoftなどの有力企業が揃って消費者向け音声アシスタントデバイスのメインストリーム化に務めている現在、こうしたデバイスのデータ収集方法について懸念を抱くのは正しい態度だ。

しかし多くの消費者がこの点について正しい知識を持っていないように思える。Amazonのエンジニアが世界のユーザーがAlexaに入力した音声コマンドをモニターしているというBloomberg(ブルームバーグ)の最近の報道は消費者に懸念を抱かせた。しかもこうした人工知能を利用したスマートデバイスはメーカーやその外注企業の社員がモニターできるだけなく、入手した個人情報を違法に利用し、刑事事件にまで発展した例さえあった。電源がオンになっているかぎり聞き耳を立ているスマートスピーカーは笑いごとではすまないような重大なプライバシーの侵害を起こす可能性が充分ある。

米国時間4月25日、BloombergはAmazonのAlexaチームによるプライバシー侵害の危険性に関して次のように新たな報道を行った。

レポートによれば、Alexaが聞き取った音声データにアクセス可能なAmazon社員はデバイスの位置情報、場合によっては正確な住所も得られるという。これは音声データに緯度経度の座標が付属しているためだ。音声クリップをGoogleマップにペーストして簡単にデータが得られた場所を知ることができる。 Bloombergは「こうした位置情報を含むデータにアクセスできるAmazon社員の人数は不明」だとしている。

これは歴然たるプライバシーの侵害であり、我々がAmazon Echo、ひいては同種の音声アシスタントに対して抱く不信感を実証するものだ。

音声アシスタントのユーザーはバックエンド処理にどれほど人間が関与している正確に知ることはできない。しかしMicrosoftのレポートを読めば、デジタルアシスタント利用している消費者はデバイスが持つプライバシーの侵害やデータの不正利用などの危険性について強い不安を抱いていることがわかる。

例えば、Microsoftの調査対象の52%は入力された情報のセキュリティーに不安を感じている。24%は情報がどのよう利用されているのかわからないと考え、36%はどんな目的だろうと個人情報を一切利用して欲しくないと考えている。

こうした数字はデジタルアシスタントには個人情報の収集と利用から永続的にオプトアウトできる分かりやすい仕組みが必須だということを示している。 つまり1回クリックするだけで「デバイスが収集した個人情報が外に出ることはなく、かつ人間がアクセスすることはない」ように設定できなくてはいけない。

41%のユーザーは音声アシスタントがユーザーの音声に聞き耳を立て録音していることに不安を感じている。31%は収集された情報にプライバシーは保証されていないと考えている。

さらに14%はプライバシーやセキュリティーの点で音声アシスタント・サービスを信用していない。つまりAmazon、Google、その他の企業はこの点で信用されていないわけだ。Microsoftのレポートはこう警告している。

新しいテクノロジーデバイスに関する消費者からのフィードバックに不安に真剣に対応することはデベロッパーに課せられた責務だ。消費者が安心してデバイスと音声で対話できる未来を実現するために必要な信頼の基礎を今すぐ築き始めねばならない。

調査はプライバシーに関して音声アシスタントに消費者が不信感を抱いているものの、全員が音声アシスタントの利用に拒否反応を持っているわけではないことも示している。たとえばEchoに音声でAmazonの商品を注文する際、商品配送するために役立つなら住所データを利用するのは構わないと考えるユーザーも多い。確実にメリットがあるなら住所以外でも個人情報を提供していいと答えたユーザーも存在する。

消費者は全体としてはキーボードやタッチスクリーンより音声入力を好んでいる。音声アシスタントの普及はま だ初期段階だが、 57%のユーザーが(プライバシーなどの懸念はあるにせよ)、音声をお気に入りの入力方法だとしている。また37%は他の入力方法と併用して音声入力も用いると答えた。

「どちらかといえば」から「大いに」まで程度はさまざまだが、80%のユーザーがデジタルアシスタントに満足しており、「週に1度以上使う」ユーザーは66%、「毎日使う」は19%だった(これには音声以外のスマートアシスタント全般を含む)。

こうした高い満足度をみれば、音声を含むデジタルアシスタントが市場から消えるということは考えにくい。いかしプライバシーの侵害や不正利用の可能性は普及の大きな妨げになるだろうし、あるプロダクトの信頼性が高ければ、信頼性の低いブランドからの乗り換えを促すことも考えられる。

もしAmazonなどが社員が消費者の音声情報にアクセスすることを厳格に制限できず、Appleがリリースした製品がそれと同等の価格でプライバシーが良好に守られるとするなら、ここでもAppleが大きなシェアを得ることになるかもしれない。

音声アシスタントと音声認識テクノロジーのトレンドを含むMicrosoftのレポートの全文はこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Amazonがフランスの老舗小売企業Casino Groupとパートナーしてロッカーを配備

社歴が3つの世紀にまたがるフランスの大型店の元祖Casino GroupとAmazonが、フランスにおける両社のパートナーシップの拡張を発表した。これにより、フランス全土のスーパーマーケットと小規模食料品店1000店に、Amazonのロッカーが置かれることになる。

Casino Groupは昨年Amazonとパートナーして、Amazon Prime Now上に同社のスーパーマーケットMonoprixのネット店を開店した。パリのプライム会員がそのMonoprix店で食料品などを買うと、2時間以内に配達される。

それがうまくいったためか、今回Monoprixのプライム店は、フランスの他の大都市にも配達をする。

Casino GroupはAmazon上でMonoprixの外でもCasinoブランドの商品やCasinoが扱っているワインを売っている。これらの商品はPrime Nowにあるものしか同日配達されないのか、そのへんは不明だ。

AmazonはCasino Groupの巨大な店舗ネットワークを利用してAmazonのロッカーを1000箇所に置くことになる。家の近くにMonoprixやMonop’、Géant、Hyper Casino、Casino Supermarché、Leader Price、Casino shop、Vival、Sparのどれかがある人は、もうじきロッカーを目にするだろう。

しかし意外にも、Franprixは含まれていない。その店舗は、都市地域にすごくたくさんあるというのに。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米百貨店コールズがAmazonの返品を全店舗で受付け開始

あらゆる商品を自宅の玄関まで届けてもらえるようになっても、うまく(あるいはまったく)使えなかったとき、商品を箱に詰めなおして送り返すために家を離れなくてはならないのは面倒だ。通常それは近所のFedExかUPSの店に出かけていくことを意味している。Amazonと百貨店チェーンのKohl’s(コールズ)は2年前に特別な契約を結び、全米100か所のKohl’s店舗で返品を受け付けている。米国時間4月23日、両社はこのプログラムを全米1150カ所のKohl’s全店舗に拡大したことを発表した

つい先月、Kohl’sとAmazonは、Kohl’sの200店舗でAmazon商品を取り扱うことを発表したばかりだ。一部の店舗でAmazon Smart Home Experienceも提供している。もしAmazonがKohl’sを買うことになっても、誰も驚かないと私は思う。

このプログラムの良いところは、返品は無料で、理由も一切聞かれないことだ。残念だったAmazonの買い物を箱に入れ直す必要もない。Kohl’sの店員が全部引き受けてくれる。

これはKohl’sにとって何がよいのか?Bluetoothスピーカーを買ったけれど結局いらなかったとKohl’sにやってき客は、店の名前を覚えるだけでなく、シャツやAmazon Echoを手に取ってみるかもしれない。Amazonの返品を受け付けるようになって以来、テストに参加した店舗の来客数は増え、売上も上がったので、どうやらこのコンセプトはKohl’sにとってうまく働いているようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonが中国国内のマーケットプレイスを閉鎖して輸出入に専念

Amazonはついに、中国の国内市場をめぐる中国のオンラインショッピング大手との競合をギブアップした。米国時間4月18日に米国シアトルに本社を置くこのeコマース企業は、Amazon.cn上の同社のマーケットプレイスを閉鎖すると発表した。そこは中国本土の買い手と売り手を結びつけていた場所だが、同社のそのほかの地元ベンチャーは存続する。

AmazonのスポークスパーソンはTechCrunchに次のように語った。「私たちは私たちのセラーと密接に協力して円滑な移行を確保し、可能な限り最良の顧客体験の提供を継続する」。この事業部門の閉鎖は、7月18日だそうだ。

Reuters(ロイター)とBloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたこの部分的撤退は、AlibabaとJD.comが支配し、新人のPinduoduoが彼らに迫っている中国の厳しいeコマースレースを示唆している。

しかし、Amazonと中国の話はこれで終わりではない。このアメリカの大企業は長年、波のように押し寄せるクロスボーダー(国境を越える)セラーを惹きつけてきた。その多くは中国の伝統的な輸出産業が出自で、安く製造されたグッズを世界中の消費者においしい利幅で売ろうとしている。現在、中国の輸出サプライヤーは、インド、日本、オーストラリア、カナダ、米国、西欧の5カ国など計12カ国にAmazonから売っている。

そのほかのグローバルなeコマースも中国から流れ出てくる大量のグッズに目をつけているが、それぞれ地理的なフォーカスが違う。たとえばAlibabaが支援するLazadaは、中国のマーチャントと東南アジアのショッパーを結ぶ架け橋になり、最近米国で上場したJumiaは中国からアフリカへ輸出している。

耐水性のプレースマットをAmazonで売っている深圳のベンダーはこう言う。「Amazon経由で輸出する最大の魅力は、大量のサプライチェーンのリソースに近いことだ」。

一方中国では、輸入品を欲しがるミドルクラスの消費者たちが高品質な製品を求めている。Amazonは、輸入もやっているがAlibabaなどの強力な企業に比べると見劣りがする。例えば、iResearchのデータによると、Alibaba傘下のTmall Globalは、クロスボーダーeコマースの29%のマーケットシェアを握っている。Amazonはわずか6%だ。

しかしこれも、Amazonが優秀な地元パートナーを見つけたら変わるだろう。数カ月前から飛び交っているうわさによると、Amazonはその輸入部門をKaolaに統合する話を進めているらしい。Kaolaは大手インターネット企業Neteaseのクロスボーダーショッピング事業で、22.6%のマーケットシェアを持つ。

関連記事: Amazon is reportedly merging its China import unit with NetEase(Amazonが中国の輸入部門をNetEaseと統合か、未訳)

忘れてならないのは、Amazonがクラウドコンピューティングサービスを中国の企業にも提供していることだ。しかしそれも、トップはAlibaba Cloudだ。そして最後に、中国はKindleの最大の市場であり続ける。それだけ重要な市場だから、同社は中国向けにローカライズされたKindleリーダーを2年前に発売した。

Amazonのスポークスパーソンはこんなことを言っている。「私たちの中国におけるオンラインリテール事業は最近の数年間で進化を遂げ、クロスボーダーの売上がますます重要になってきた。そしてまた、中国国内の顧客からのきわめて強い反応もある。Amazonの中国への関与は、今後も衰えることはない。私共はここで強固な基盤を築き、多くの事業を成功させてきた。これからも、Amazon Global StoreやGlobal Selling、AWS、Kindleのデバイスとコンテンツなどで投資と成長を続けていきたい」。

画像クレジット: Amazon China

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleとAmazonが仲直り、ストリーミングビデオの相互乗り入れに合意

Google(グーグル)とAmazon(アマゾン)は、争いの矛先を収め、それぞれのストリーミングビデオのユーザーに対して、より良いサービスを提供することにしたと、米国時間の4月18日に揃って発表した。これから数カ月のうちに、公式のYouTubeアプリがAmazon Fire TVデバイスとFire TV Editionのスマートテレビ上でも動くようになり、反対にPrime VideoアプリはChromecastとChromecast内蔵の各種デバイス上で動作するようになる。

さらにPrime Videoは、Android TVに対応するパートナーの製品でも広く利用できるようになる。YouTubeの姉妹アプリとなるYouTube TVと、YouTube Kidsも、今年後半にはFire TV上に登場する予定だ。

Googleによれば、Fire TV上でYouTubeを見ているユーザーも、サインインすることで自分のライブラリのすべてにアクセスできるようになる。また、サポートされているデバイス上で60fpsの4K HDRのビデオを再生できるようになるという。

一方Prime Videoアプリのユーザーは、Amazonのオリジナル番組や4Kビデオを含むPrime Videoカタログからストリーミングできる。もちろん購読中のPrime Videoチャンネルにもアクセスできる。さらに、アプリ内でAmazonのX-Ray機能を利用することも可能だ。

これまで何年もの間、この2つの大企業同士の関係は良好なものではなく、さまざまな分野で競合を繰り広げてきた。ストリーミングテレビのプラットフォームやサービスをはじめとして、最近ではEchoやGoogle Homeといったスマートスピーカーの領域でも争ってきた。

Chromecastデバイスや、他のGoogle製ハードウェアは、両社の不和を反映して、Amazonサイトでの取扱を中止されたり、再び販売されたり、といったことを繰り返してきた。

2017年には、さらに別の対立が浮上した。AmazonのEcho Show用のYouTubeプレーヤーの実装についての抗争だ。Googleによれば、それは何の断りもなく実装された。そしてGoogleは、AmazonからYouTubeへのアクセスを禁止した。それに対してAmazonは、やむなくEchoのユーザーをYouTubeのホームページに迂回させるという回避策を取った。

現時点では、Googleのハードウェア製品の多くは、まだAmazonで販売されていない。特に、EchoのようなAmazon製品と直接競合するスマートスピーカーや、その他のスマートホーム関連のデバイスは見当たらない。(たとえば「google home mini」をAmazonのサイトで検索すると、その関連製品のスポンサープロダクトや、おすすめのベストセラー商品としてAmazonのEcho Dotが表示される。)

こうしたことが、消費者にとって良いことであるはずはない。しかしこれは、両社の顧客基盤が重なっているため起こることだ。たとえば、Chromecastを使っている人でも、Prime Videoでビデオを見たかったり、AmazonのサイトでGoogle製品を買いたいと思う場合もあるだろう。もちろんYouTubeはみんなが観ている。

今回の新たな協約は、ストリーミングサービスのみに焦点を絞ったものだろうと考えられている。おそらく、Amazonの品揃えや、ハードウェアに関する問題に影響を与えることはないだろう。

Amazonは、ライバルに対しては、競争自体を排除するような行動を伝統的に取ってきた。

そして長年にわたってAppleとも不和が続いていたが、ようやく2017年になって一定の合意に達した。その結果、Apple TV上でPrime Videoのアプリが使えるようになり、Apple TVのハードウェアもAmazonで販売されるようになった。

そうした、やられたらやり返すような争いは、つまるところ関連するものすべてに仇となる。Rokuは、米国内で支配的なストリーミングプラットフォームとして成功したが、中立的な立場を取り、すべてのアプリとサービスを公平にサポートしていた。Amazonがそれになんとか対抗できるようになったのは、Fire TVのハードウェアの値下げと、かなりの広がりを見せた「ファイアスティック」を使った海賊行為を目的としたアンダーグラウンドのコミュニティのおかげと言ってもいい。

「Amazonと協力し、オフィシャルなYouTubeアプリを、世界中どこでもFire TVの上で使えるようになったことにワクワクしています」と、YouTubeでプロダクトパートナーシップのグローバルな責任者を務めるHeather Rivera氏は、声明の中で述べている。「当社のフラグシップとも言うべきYouTubeの体験をAmazon Fire TVにもたらすことで、ユーザーが自分の好きなビデオやクリエイターを観る手段を増やすことができます」。

「Prime Videoのアプリを、ChromecastとAndroid TVのデバイスに移植し、お客様が好きなショーや映画を観る便利な機会を提供できることにワクワクしています」と、Prime Videoのワールドワイドビジネス開発責任者を務めるAndrew Bennett氏も述べている。「最新シーズンの『マーベラス・ミセス・メイゼル』を観るもよし、『Thursday Night Football』でひいきのチームの試合を追うもよし、最近封切りされた映画を借りて観るもよし。お客様がご覧になりたいものを、ご覧になりたいとき、どこにいらしてもストリーミングできるように、選択肢がさらに増えたのです」。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AmazonがAlexaのスキルを作れるデベロッパーの資格証明制度を立ち上げ、企業ニーズに応える

Amazon EchoなどのAlexaデバイスを作っているデベロッパーに、自分の能力を証明する新しい資格証明制度として、AWS Certified Alexa Skill Builder – Specialtyというものが立ち上げられた。Amazonによると、同社がAlexaデベロッパーのための資格証明を提供するのは、これが初めてである。

資格証明はテクノロジー業界ではよくあり、AmazonのAWSもすでに教育訓練事業とともに独自の資格証明を提供して、企業がAWSの知識とクラウドの専門的技能を持った技術者を確実に雇用できるようにしている。

今回のAlexa技術の資格証明はAWSの資格認証事業の一環となり、その人がAlexaの音声アプリ開発のすべての側面を正しく理解していることを確認する。

検証されるのはアプリケーションの開発や試験の仕方、スキルの検査とトラブルシューティング、Alexa Developer Consoleの使い方、Alexaのスキルのオペレーションとライフサイクルの管理など、実践的な要素が多い。また、声の価値や、音声のユーザー体験のあるべきフロー、など、今多くのAlexaデベロッパーが悩んでいるような高レベルのコンセプトの知識も試される。

試験のガイドがあるので、これを見ると、スキル習得のために勉強すべきチュートリアルや技術的ドキュメンテーションなどがわかる。またオンラインのトレーニングコースもある。

準備万端でこれから試験を受けようというデベロッパーは、AWS Trainingのアカウントを取得して、試験のスケジュールを決める。

Amazonが主張する目標は、今日市場に存在する1億以上のAlexa対応デバイスの顧客の心をつかむような、魅力的な音声アプリ体験を作る機会を、もっと多くのデベロッパーに提供することだ。

つまりAmazonが求めるのは、デベロッパーがAlexaのスキル開発をちょっと浅く体験するだけでなく、そのベストプラクティスも身につけて、顧客に対し強い訴求力を持つアプリケーションを作ってもらうことだ。

この資格証明事業はスマートスピーカーがここ米国でクリティカル・マスに達したそのほぼ同じタイミングで展開される。でもサードパーティのスキルはまだ、大ヒットに乏しくスマホのアプリストアほどの人気を獲得していない。それはBloombergが最近報じたとおりだ。

音楽やタイマー、スマートホームのコントロールなどはスマートスピーカーのヒットと言えるかもしれないが、でもそれらは、ネイティブの(最初からある)ファンクションだ。消費者の採用が今後伸びないなら、今80万以上あるサードパーティのAlexaスキルの将来性も危うい。

しかしそれでも、企業は今でもこのプラットホームに強い関心を持っている。なんといっても、Alexaの大きなインストールベースは魅力だ。今でも毎日、1日に1つは、どこかの企業がスキルを発表している。今日のそれは、赤十字だった。

AWSで資格証明と教育訓練事業を担当しているディレクターKevin Kelly氏が、声明の中でこう言っている。「音声アプリ(Alexa用語では“スキル”)を作れる有能なプロフェッショナルは、最近ますます多くの企業から求められている。この新たな資格証明はAlexaにフォーカスした唯一の認証制度として、そういうプロフェッショナルなスキルを検定できる」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonがテクノロジー教育のNPO FIRSTと組んでロボティクス教育の助成事業を展開

今週の半ばにAmazonは、Canvasの買収を発表した。このあまり知られていないコロラドのスタートアップは、倉庫における配送業務のための自動運転システムを作っている。それは未来の倉庫の自動化を真剣に考えている同社の、最近の一連の動きの中では最新の動きだ。

昨年同社は。Amazon Future Engineerの立ち上げを発表した。それは教室におけるSTEM教育の便宜を提供する事業だ。その事業の立ち上げを支援してもらうためにAmazonは、STEM振興の非営利団体FIRSTとパートナーして、とくに恵まれない人びとにロボティクス教える一連の助成事業を作ろうとした。

その計画は21の州の100校で、今年の秋から動き出す。事業にはFIRSTのロボティクス授業チームの支援や先生の教育が含まれ、さらに10000ドルの助成により地元のAmazonフルフィルメントセンターの見学旅行も行う。同社の倉庫には現在、計10万台あまりのロボットがいる。

FIRSTのファウンダーであるDean Kamen氏がニュースリリースでこう言っている。「われわれのロボティクス授業チームと活動をすべての学校に提供していきたいが、Amazonはこの目標の実現を助けてくれる。FIRSTでは、授業に参加するすべての子がプロになれる。FIRSTの授業には、テクノロジーやコンピューター科学や生産工程の実際を体験する実習課程もある。それによって児童生徒は前進し、イノベーションを着想することもできる」。

今年初めにAmazonは、同社の第2本社のローンチ(こちらはのちに廃案になった)の前にニューヨーク地区の教室で同社の投資によりテクノロジー教育を展開する、と発表した。左のリンクの記事は、ニューヨークのAmazon第2本社は廃案でも教育事業の方は続く、と報じている(未訳)。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アマゾンが倉庫用ロボットのスタートアップCanvas Technologyを買収

TechCrunchAmazonがコロラド州ボルダー拠点の倉庫ロボティックスのスタートアップであるCanvas Technologyを買収したことを確認した。配送センターの機械が増加しているAmazon Roboticsに重要な要素を加えるこのディールは、端から見ても理にかなったものだ。

AmazonCanvas Technologyの買収をTechCrunchに対し認めた。「我々はCanvas Technologyのイノベーションに刺激を受けている。そしてより安全で快適な職場環境となるよう、ロボットと共に働くという未来に向けた同じビジョンを共有している」と広報は発表で述べた。「顧客のための発明を続けるため、Canvas Technologyの素晴らしいチームと共に働くことを楽しみにしている」。

2015年に設立されたCanvasは、同社をベイエリア拠点のFetchの直接的な競合相手と位置付けることになった完全自動のカートシステムを含め、いくつかのすごい技術をすでに披露してきた。CanvasPlayground Globalが主導したシリーズA1500万ドルを調達している。

Canvas Autonomous Cartは、昨年のちょうど今頃、Playgroundのオープンハウスで披露され、来場者の注目を集めた。このシステムは3Dイメージングと、他のハードウェアに応用できる社内ソフトウェアソリューションを活用している。これは本質的には倉庫環境における自動運転車のように作動する。

CanvasAmazon Roboticsのラインナップにいいロボットを追加できるはずだ。AmazonRobotics部門は、2012年にKiva Systemsを買収した後に創設された。Kiva Systemsの棚用ロボティクスはいま、Amazonの多くの配送センターのロボティックにおいて中心的存在となっている。

スタテン島にあるAmazonの配送センターJFK8を最近訪れたとき、Amazonは同社が現在25の配送センターで10万ものシステムを展開していると説明した。この数字はAmazonの自前のシステムと、日本の電気機器メーカー大手ファナックを含むサードパーティーからのデバイスを合わせたものだ。しかしながら明らかにAmazonは、今後オートメーションを通じた配達効率を押し上げるシステムを自前のものにしたがっている。

安全もまた大きな要素だ。当然のことながら共に働くロボティクスというこの手のものには安全が伴うが、Amazonの配送センターには何重もの厳重なチェックが組み込まれている。今年初め、我々はAmazonのロボティック安全ベストを目にした。このベストはKiva systemsを操作するフロアに設けられた囲われたエリアに入る従業員のさらなる安全を確保するためのものだ。

一方、Canvasは自律ビジョンシステムを活用した自前のビルトインの安全策を有している。ハードウェアはフロアでよりダイレクトに作業員と作用するようにデザインされている。Canvasがすでにあるシステム向けのテクノロジーを取り入れることは想像に難くない。

注目すべきは、Canvasの共同創業者でCTONima Keivan氏は来週バークリーで開かれるTechCrunchRobotics + AI イベントに登壇するということ。そこで、間違いなく彼はCanvasの顔ぶれについて何らかの見方を示すことができるだろう。

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(翻訳:Mizoguchi)

米で進む「キャッシュレス禁止」の動き、Amazon Goで現金が使えるようになる

レジ無しコンビニのAmazon Goで現金の支払いができるようになる。CNBCが報じ、Amazonは認めた。ただ、まだ「予定」の段階で、いつ現金が使用可能になるかは未定だ。

レジレスで自動のAmazon Goの問題点は、商品を購入する際に、Amazonアカウントに紐付けられた銀行口座かクレジットカードが必要であること。

これは、現金での支払うことの多い、銀行口座を持っていなかったり銀行の残高が不足しているユーザーに対して差別的となる可能性がある。

この現金利用「可」への動きは、数々の都市がキャッシュレス店舗を禁止にする条例を制定する中で発表されたとCNBCは指摘する。つまり、一部のエリアの店舗では、アメリカの約840万人の銀行口座を持たない人々(アメリカの人口の6.4%)のニーズに応えるため、現金による支払いを受け入れる必要があるということだ。

フィラデルフィアは先日、キャッシュレス店舗を禁止する初の都市となり、ニュージャージー州が続いた。 ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴなど、他の都市でも検討されている。

Amazonは、これらの法律が米国全土に広がる前にAmazon Goで現金が使えるようにすることで、先駆者的な存在になろうと考えているのかもしれない。

でも、Amazonが現金払いをどのように可能にするのかは、まだわかっていない。 実際にレジ係を配置するのか、それとも現金を投入するとお釣りが出てくるセルフレジを導入するのか?

いずれにせよ、現金での支払いを受け入れるとなると、会計待ちの列などが発生し、店舗のパフォーマンスは低下する可能性がある。

セルフレジを導入した場合、レジ用に現金を用意したり、メンテナンスをしたり、故障したら顧客の対応をする必要が生じる。レジ係を配置するのであれば、ヘッドカウントは増えるし人件費も必要となる。

ある分析によると、Amazon Goのシアトルにある店舗は、通常の小売業者と比較し年間4から5倍の在庫回転数を生み出しており、販売面積1平方フィートあたりの年間の売上高は2700ドルだった。 これらの数字は、より多くの顧客による商品の購入、そしてAmazonが打ち出してくるであろう新たな施策により、更なる伸びを見せるだろう。 しかし、そのような高いパフォーマンスは「自動」でなければ難しい。

CNBCは、Amazonの実店舗展開のシニアバイス・プレジデント、Steve KesselがAmazon Goにおける「差別とエリート主義」に関する質問に社内会議で答えている録音データをインサイダーから入手し、同社の計画を知ることとなった。

Amazonは彼の「追加の決済方法を検討している」という発言を認めている。具体的には、現金での支払い、そしてお釣りの受け取りが受け取りができるようになる、と同社は説明している。

(本稿は米国版TechCrunchの記事を翻訳・編集したものです)

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Amazonの廉価版の新型Kindleの表示品質にはちょっとがっかり

Amazon(アマゾン)のKindleは、言うまでもなく、電子書籍リーダーの購入を検討する際に、真っ先に思い浮かぶブランドだ。とはいえ、もちろんライバル機種もある。比較してみると、最新のエントリーモデルのKindleは、あまりお買い得とは言えないように思える。価格は安いが、品質もそれなりで、水準を満たしていない。

電子ペーパーを採用したKindleのラインナップの中で、最も基本的な現在のデバイス、つまりただの「Kindle」(Kindle Paperwhiteや、Kindle Oasisなどではない)は、今年2019年にアップデートされ、いくらか改良が加えられた。調整可能なフロントライト付きのE-Inkディスプレイ、改善されたタッチスクリーン、そして全体的なデザインも刷新された。とはいえ、気づかない人も多いほどの変化でしかない。

価格は110ドル(日本版は1万980円)、またはデバイス上の広告表示を受け入れるなら90ドル(日本版は8980円)で、市場に出回っている同クラスのデバイスの中でも安い方だ。また、上位モデルのKindle Paperwhiteの150ドル(日本版は1万5980円)、Kindle Oasysの270ドル(日本版は3万1980円)と比べても、はるかに安い(両モデルとも「広告付き」は、それぞれ2000円ずつ安いが)。

もちろん、OSはおなじみのKindle OSで、他のモデルと同様、Amazonアカウントとシームレスに同期する。ざっくりと比べれば、フォーマット、ストア、アクセス性、その他の点で、他のモデルとものとほとんど変わらない。この範囲では、何か犠牲にしなければならないようなことはない。

残念ながら、犠牲にしなければならないのは、もっと重要なこと。表示品質だ。

ここ数年、電子書籍リーダーのディスプレイの品質が、解像度と照明の両面で、大きく進歩したことは誰の目にも明らかだ。数ヶ月前、私は130ドル(日本版は1万4904円)のKobo Clara HDをレビューした。このモデルは、余計な機能はほとんどなく、率直に言って質感はイマイチだが、美しい画面と色温度調整可能なフロントライトを備えている。それだけで、十分金額に見合った価値がある。

スペックは雄弁だ。「Newモデル」のKindleの画面は、6インチでピクセル密度は167ppi。Clara HDはその約2倍の300ppiとなっている。これは、上位モデルのKindleと同じ。その違いは誰でも気付くレベルのものだ。特に文字の表示品位が違う。解像度は必ずしも高ければ高いほど良く見えるというわけでもないのだが、167と300の違いは一目瞭然だ。文字はより鮮明で、整って見える。また、フォントの違いもよくわかる。設定のカスタマイズのしがいがあるというものだ。(最近気付いたのだが、Koboには簡単にフォントを追加できる。これはなかなか素晴らしい。)

マクロ撮影でないと、両者の違いを捉えるのは難しいが、個人的にはこれは重大な問題だと考えている。スマホにしろ、タブレットにしろ、(Amazon自身のものも含む)電子書籍リーダーにしろ、すべてが高解像度を目指して進化してきたのには理由がある。逆戻りはありえない。

  1. KindleとKoboの画面比較

    Koboは「寒色」設定
  2. KindleとKoboの画面比較

    Koboは「暖色」設定
Claraは、上に示したように、寒色から暖色まで、色合いを調整可能なフロントライトも備えている。画像の色温度は実際とは異なるが、両者の違いはひと目で分かるだろう。私はこれがそれほど便利だとは思っていなかったのだが、解像度と同様、いったん慣れてしまうと、もう元には戻れない。廉価版Kindleの、冷たくて荒いピクセルの画面は、Koboの暖かくて滑らかな画面を見た後では耐え難いものがある。

どうしてもKindleが必要で、なおかつ100ドル以上を出すことができないなら、高解像度でフロントライトを備えた、旧世代のPaperwhiteモデルか何かを探してみることを真剣にお勧めしたい。読みやすさがまったく違う。そしてそれは電子書籍リーダーにとって、本当に最も重要なポイントなのだ。

買ってしまった後で後悔しないよう、もう少し時間をかけて検討してみよう。たとえばPaperwhiteモデルはよくできたデバイスであり、Amazonの「広告(キャンペーン情報)」を受け入れるなら、エントリーモデルとそれほど値段は変わらなくなる。Kindleシリーズは、だいたいどのモデルも高い質感を持っている。しかし、Kindleブランドにこだわらないなら、Kobo Clara HDはどうだろう。少しだけ値段が高いが、KindleのPaperwhiteモデルを含めて比べても、より優れた読書体験が得られる、と私は考えている。また、同社のデバイスならではの柔軟性も備えているのだ。

エントリーモデルのKindleが、同じくエントリーモデルの競合機種に対抗できるような画面を装備したら、私も喜んでお薦めしたい。しかし今のところは、この表示品質を考えると、ちょっと値段の高いモデルを推薦せざるを得ない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)