予想どおり、米国時間7月30日に発表されたApple(アップル)の第3四半期決算で、ハードウェアの売上に関する数字は悲喜こもごものものとなった。Appleは、引き続き、そのリソースの多くをサービスとコンテンツにシフトし続けている。
現にApple TV+には10億ドル(約1085億円)も注ぎ込んでいる。とはいえ、iPhoneの販売台数は減っているものの、ハードウェア面ですべての状況が芳しくないというわけではない。
ウェアラブルが顕著に大きく伸びているのだ。この部門の当四半期の売上は、前年同期の37億ドル(約4016億円)から55億ドル(約5970億円)に増進している。これには、新しいAirPodsの登場が少なからず貢献している。ワイヤレスの充電機能を備えながら、AirPowerという充電用のパッドが発売前にキャンセルされてしまったモデルだ。
「ウェアラブル部門は非常に好調です」と、ティム・クック氏は今回の発表で語った。「他の人が、おそらくあきらめかけたときでも、私たちはそれに注力し続けてきました」。
AppleのCFOであるLuca Maestri(ルカ・マエストリ)氏は、ウェアラブル部門の収益だけでも、フォーチュン200社に含まれる企業1社分の収益に相当するだろうと指摘している。
一方、iPadの売上は前年同期に比べて8%増えている。Macの売上も11%増加した。そして同社が最も注力しているサービス部門は、13%の増加だった。
「これは、第3四半期としては、これまでで最高の結果です。サービス部門の過去最高の記録的な収益と、ウェアラブル部門のさらに加速しつつある伸び、iPadとMacの力強い売上、さらにはiPhoneを取り巻く動向の改善によるものです」と、クック氏は今回の発表を含むプレスリリースで述べている。「こうした結果は、当社のすべての地理的なセグメントにわたって有望なものであり、今後の展望についても自信を持っています。カレンダー年での2019年の収支は、当社のすべてのプラットフォームにおいて、新しいサービス、いくつかの新製品が登場することにより、ワクワクするようなものとなるはずです」。
現時点では、iPhoneに関する楽観的な見方は、一般的なものとは言えない。iPhoneの売上高は、この四半期には前年同期に比べて減少しているからだ。具体的には、2018年の第3期には295億ドル(約3兆2022億円)だったものが、2019年第3期には259億ドル(約2兆8114億円)になっている。この結果iPhoneは、カテゴリーとしてAppleの全収益の50%を切ることになってしまった。過去何期かの四半期は、世界市場の全体的な停滞に、中国での予想よりも低い売上が追い打ちをかけ、iPhoneの売上は減少傾向にある。
これはつまるところ、中国の経済成長の鈍化の結果なのだ。実際のところ、Huawei(ファーウェイ)を除いて、中国での動向に抵抗できるようなメーカーはほとんどなかった。ところが、この難問を抱えたスマホ最大手のAppleも、米国内での売上は上昇している。それは、果敢な価格戦略が功奏したのと、海外で政治的な逆風にさらされてる同社に対して、愛国心からの購入の機運が高まったからだろう。
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今回の発表で、クック氏は中国に関しては、楽観的になるだけの兆候がいくつか見られると述べた。「私たちの大中華圏での業績については、少し補足させていただきたいと思います。会計年度で2019年の上半期と比べて、大幅な改善が見られています。為替変動分を除けば、成長路線に戻っているのです。私たちは、中国でのiPhoneのビジネスに関して、過去2期の四半期と比較して、明らかに良い前年比の数字を得ています。そして、すべてのカテゴリーにおいて、パフォーマンスは継続的に向上しているのです」。
もちろんAppleは、今年後半には新しいiPhoneを発表する予定だ。ただし、それらの新製品が、売り上げを伸ばすのに十分な効果を発揮するかどうかはまだわからない。5Gは今後1年間で、スマートフォンの売上を増進するための重要なファクターとなることが予想されている。しかしAppleは、2020年まで、5Gを提供することはないとされている。
同社は最近、Intelのモデム部門を買収することも明らかにした。より多くのコンポーネントを自前で製造するためだ。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)