SparkLabs Groupがスマートシティ技術のためのアクセラレータープログラムを開始

米国時間2月27日、スタートアップのためのアクセラレーターとベンチャーファンドから構成されるSparkLabs Groupが、新たにSparkLabs Connexを開始したと発表した。SparkLabs Connexは不動産テック(PropTech)とIoTに特化したプログラムで、シリコンバレー、ソウル、深圳、台北、シンガポールのスタートアップのエコシステムに参入する。

画像:4X Image / Getty Images

このプログラムは、AI、5G、LPWAN(Low-Power Wide Area Network)、eSIM、セキュリティといったグリーンビルディング(環境に配慮した建物)やスマートシティプログラムに不可欠な技術に取り組むスタートアップを支援する。シンガポールを拠点とするIoT、モビリティ、スマートシティの顧問会社、CRA & Associatesの創業者であるCharles Reed Anderson(チャールズ・リード・アンダーソン)氏が、マネージングパートナーとしてSparkLabs Connexを率いる。

SparkLabs Connexには、パートナーとしてNokia、True Digital、Beca、Skyroamが参加している。また台湾の台北、韓国で開発が進められている松島新都市、オーストラリアのダーウィンも参加し、スタートアップが開発する技術のテストと活用に協力していく。さらに、スマートシティのグローバルネットワークを作る台北市の取り組みであるGo Smartと、フランス、スペイン、日本、韓国、台湾でスマートシティ技術のテストをしているUrban Technology Allianceとも連携する。

報道発表の中でアンダーソン氏は「SparkLabs ConnexをIoT、スマートシティ、PropTechのエコシステムのイノベーションハブにしたい。スタートの時点で有力なパートナーシップを幅広く結ぶことができ、さらに今後もこれを広げていく計画で、とても楽しみにしている。SparkLabs Connexは単なるアクセラレーターではなく、エコシステムのための事業だ。スタートアップ、パートナー、投資家に対してユニークなバリュープロポジションができると確信している」と述べている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

組み込みシステムのマイクロコントローラをAI化するCartesiam

マイクロコントローラ(マイコン)を使用するエッジデバイスに機械学習の機能を組み込む技術を擁するCartesiam(カーテシアム)が、これらのサービスを容易に構築できるツールをローンチした。NanoEdge AI Studioと呼ばれるプロダクトは、すでに何十億ものデバイスで使われているArm Cortex-Mマイコンに機械学習とその推論能力を持たせる初めてのIDEだ。

2016年に創業したCartesiamの共同創業者でゼネラルマネージャーのMarc Dupaquier(マーク・デュパキエ)氏によると、同社はArmとの関係が極めて密接で、ともに共通の関心、すなわちこれらのデバイスの新しい機能を作り出すことに注力している。彼によると、IoTの第一波はもっぱら自分のデータをクラウドに送るだけだったが、しかし今ではほとんどの企業がデータの送出量を制限してデバイス自身に処理をやらせようとしている。そしてそれがまさに、Cartesiamの創業動機でもある。彼は曰く、「データを全部送るなんて馬鹿げている。しかもそんなIoTはデバイスを長時間露出してセキュリティ損なうことになる。デバイスにもっと近いところで処理をやらせるべきではないか?」。

同社は最初、Intel(インテル)が開発した超小型モジュールCurie SoC(キュリーSoC)に目をつけた。しかしCurieは短命で2017年にサポートを打ち切られた。そこでCartesiamはCortex-Mにフォーカス。Armチップは至るところで使われているのでこれによって事態は好転した。ただし主人公はあくまでも低電力消費のマイクロコントローラで、顔認識や自然言語理解の世界の話ではない。そんなデバイスの上で使う機械学習は、彼らをもう少し高性能にするだけだ。特に産業用のユースケースでは、異状の検出や予防的メンテナンス時期の告知などでデバイス上のAIが役に立つ。

Cartesiamの顧客は、Cortex-Mを使ったデバイスを作っている大企業が多い。NanoEdge Studioを使えば、そんなデバイスの開発が楽になる。デュパキエ氏は「スマートオブジェクトの開発は単純、迅速、低コストでなければならない。現状がそうでないから、それを変えようとしている。ただしターゲットはデータサイエンティストではない。Cartesiam自身が、そこまでスマートではない。しかし、組み込みシステムの設計者向けには、十分以上にスマートだ。彼らが抱える問題の99%を解決できる」と語る。彼によると、Cartesiamは彼らの製品が市場に出るまでの時間を20%から50%ぐらい節減できる。これまで彼らが数年を要していたプロジェクトを数日でできることもある。

NanoEdge Studioは、センサーとそのユースケースの組み合わせを入力として与えると、その組み合わせのための最良のアルゴリズムを自動的に見つけてくれる。また、生成するライブラリが極めて小さくて、4Kから16K程度のメモリーに収まる。NanoEdge StudioはWindows用とLinux用がある。料金は、ユーザー1人につき月額690ユーロ(約8万3000円)から、チームなら月額2490ユーロ(約30万円)からだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Linuxエッジデバイスへの無線アップデート提供を狙うDeviceplane

Y Combinator Winter 2020クラスのメンバーであるDeviceplane(デバイスプレーン)は、エッジで運用されているLinuxデバイスの管理、監視、および更新を行うためのオープンソースツールセットを開発している。

「私たちは、ネットワークの接続性、SSHアクセス、リモートアップデートの調整と展開、ホスティング、アプリケーションの監視とアクセス、セキュリティ制御など、すべての企業が直面している難しいインフラストラクチャの問題を解決します。これは完全なオープンソースで、Apacheライセンスの下で利用可能です。自分でホストすることも、ホストされたバージョンを実行することも可能です」と、同社の創業者でCEOのJosh Curl(ジョシュ・カール)氏はTechCrunchに語った。

彼はこのシステムがロボット、家電、ドローン、自動運転車、さらには医療機器などの、さまざまなハードウェア上で動作することを期待している。

ソフトウェアエンジニアリングのバックグラウンドを持つカール氏は、興味を持ったあと、ほとんどの企業が自社開発のソリューションを採用していることに気がついた。そして彼は、この問題を調査した後、こうしたデバイスを管理、監視、そしてアップデートするために必要なインフラストラクチャ資源のセットは、業界を問わずそれほど変わらないことを発見したと述べた。

無線(Over-the-Air、OTA)アップデートは、エッジデバイスの主たる懸念事項であるデバイスを安全に保つことに対して、大きな部分を占める。「セキュリティは挑戦的であり、そのセキュリティの中核の1つは、ただアップデートできる能力があるか否かにかかっています。なので、動いているものに不具合を起こすことを恐れて企業としてアップデートをためらったり、アップデートを行うための正しいインフラストラクチャを持っていなかったりする場合には、ますますアップデートに対して慎重になってしまい、結果として開発スピードが遅くなってしまいます」とカール氏は語る。

顧客はDeviceplaneのAPIへ、Wi-Fi、携帯電話回線またはEthernet経由で接続することができる。他者がそれを悪用するのではという懸念に対しては、カール氏は彼らのソフトウェアが各デバイスになりすましが難しいユニークなIDを割り当てていると答えた。

「デバイスにはDeviceplaneからIDが割り当てられ、このIDがDeviceplaneのAPI呼び出しを行うことを許可します。このIDへのアクセスキーはデバイスにのみ保存されているため、このデバイスに物理的にアクセスしない限り、デバイスのなりすましを行うことはできません。

「仮に誰かがこのIDになりすますことができたとしても、彼らは悪意あるコードを対象デバイス上に展開することはできません。デバイスは、自身で実行しているソフトウェアを制御するためのアクセス権を決して持つことはありません。これは、開発者がデバイスへのアップデートをプッシュすることによってのみ行うことができるのです」とカール氏は説明した。

同社は、ホストされたバージョンとインストールされたバージョンのソフトウェアの両方をオープンソースとして提供する予定であり、彼はそれが重要だと考えている。彼は、より複雑なインストールを行う企業を支援することで収益を上げることを望んでいるが、ソフトウェアをオープンソースとして提供することで、開発者の関心を高め、プロジェクトを中心としたコミュニティの構築に役立つと考えている。

YCへの参加については、カール氏は過去にプログラムを経験した友人がいて、彼にも参加を勧めたのだと言う。カール氏は、そのコミュニティに参加することを、彼のビジネスを構築する手段の1つだと考えている。「YCネットワークに入ること、そして将来的にはそのネットワークを活用できることに興奮しています。YCは、これまでにDeviceplaneの顧客になることができる多くの企業に投資してきました、そのことは私たちの前進を加速してくれることでしょう」

カール氏はその時点での総ダウンロード数を把握していなかったが、まだ会社を設立しようとしている初期段階のスタートアップだ。同社は厄介な問題の解決を支援しながら、関心を引くためにオープンソースモデルを使用している。

トップ画像クレジット: Busakorn Pongparnit / Getty Images

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(翻訳:sako)

RFID位置特定技術を有するRFルーカスが自動マッピングなどを備えた在庫・物品管理システムを公開

RFID(Radio Frequency IDentification)タグが貼り付けれている商品や備品などの位置を独自の電波位相解析によって特定する技術を有するRFルーカスは2月25日、RFIDタグが付けられた在庫や物品の位置を自動取得してデジタルマップ上に表示できる「Locus Mapping」を先行リリースしたことを明らかにした。すでに2月1日から、アステラス製薬やダイレクトメールや商品配送などのダイレクトマーケティング事業を展開するジップなどに先行導入されている。また同社は、JR東日本スタートアップのスタートアッププログラムに採択されており、東日本旅客鉄道(JR東日本)の横浜支社内で、倉庫での備蓄品・保管書類の管理効率化に向けての実証実験も開始している。

関連記事:RFルーカス独自開発のRFIDロケーション技術、アパレルや自動車・航空機メーカーで威力を発揮

RFIDタグとは、ID情報を埋め込んだICタグ(RFタグ)と、電磁波を用いた近距離の無線通信を組み合わせることで、非接触で情報をやり取りする技術。同じ商品であってもサイズ違い・色違いなど単品で管理しなければならない商品が非常に多い、アパレル業界などで普及している。RFIDタグは、電磁波が照射されるとそれをエネルギー源として動作し、それぞれのタグが個体識別可能な電波を返すため、多くの製品をまとめて管理する方法として利便性が高い。ちなみに、照射するのは920MHz帯の波長で、その波をRFIDタグに数秒間に数百回当てている。

同社はこのRFIDタグの位置を特定するロケーション技術を持っており、同技術を組み込んだソフトウェア開発キット「P3 Finder SDK」を利用することで、RFIDタグがスキャン時に発する電波の方向や強弱を専用のリーダーが解析してRFIDタグの場所を特定できる。すでにアパレル業界の商品管理や自動車メーカーでのPCなどの備品管理、航空機メーカーでの工具管理、データセンターのサーバー管理での実績がある。また2019年6月には、STRIVE、りそなキャピタル、テクノスジャパン、AGキャピタル、みずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資により2億円の資金調達にも成功している。

Locus Mappingは、入出庫、棚卸、マッピングの大きく分けて3つの機能を備える。「入出庫」は、倉庫から搬入・搬出するRFIDタグを付けた在庫や物品を読み取って在庫リストに反映する機能。入出庫予定リストと照らし合わせた検品作業も可能になる。「棚卸」は、RFIDタグを付けた在庫・物品の種類と数を把握して、棚卸リストと照合できる機能。「マッピング」は、棚や床などの在庫・物品の保管場所に張り付けたRFIDタグをハンディリーダーで一括読み取りすることで、在庫・物品の保管場所を俯瞰できるデジタルマップを生成する機能だ。そのほか、レーダー探索機能やデジタルマップ上に棚や位置参照タグを簡単に配置できるツールも備わっている。

RFIDタグは、包装紙や段ボール箱にそのまま印刷できるバーコードに比べるとはコスト増となるが、大手アパレルでは量産効果によって1タグあたり3円ぐらいのコストで製造できるレベルまで低価格化進んでいる。バーコードは人力による商品や部品ごとの読み取りが一般的で手間と時間がかかるが、RFIDタグならスキャナーで一括読み取りできるので操作性に優れる。

同社は今後、このRFIDタグによる在庫管理サービスを生かして、自動走行ロボットと組み合わせた無人読み取りなどによる効率化・省人化によって、人手不足が深刻なアパレル業界やECサイトの倉庫業務を軽減することを目指す。

AzureとiRobotで実現するJR渋谷駅構内の無人ラーメン店、利用者の行動をカメラで追跡・分析

エースコックは2月14日、マイクロソフトのMicrosoft Azureを基盤にした無人店舗システムのSmart StoreやiRobotの床拭き掃除ロボットの「ブラーバジェットm6」を活用した、駅ナカ無人ラーメン店「モッチッチ ステーション」をJR渋谷駅の外回りホーム上にオープンした。2月28日までの期間限定オープンとなる。

モッチッチ ステーションで食べられるのは、その名のとおりモチモチした食感が特徴のインスタント食品「モッチッチ」シリーズの焼きそばとラーメン(ワンタン麺)。店内には立食用のテーブルが5席用意されており、5人が入店して満員になると自動ドアが開かなくなる仕組みだ。店内の客が誰か一人退店しないと、6人目の客は店内に入れない。

モッチッチの貯蔵庫は計量器メーカーであるイシダの計測器を内蔵しており、客が商品を手に取って貯蔵庫の扉を閉めると、全体の重量から減少したぶんを計算して、客が手に取ったモッチッチの個数を算出する。

価格はいずれも212円で、交通系ICカードもしくはクレジットカードで決済する。内蔵の液晶パネルに決済金額が表示されたら決済方法を選んで、決済端末にICカードをかざせばいい。クレジットカードの場合は残念ながらタッチ決済(コンタクトレス決済)には対応しておらず、決済端末の下部に備わっているカードリーダーにクレジットカードを差し込んで暗証番号を入力する必要がある。ちなみに、決済端末はCoiny(コイニー)製。Coinyは決済サービスを提供するスタートアップで、現在は事業持株会社であるヘイの傘下企業だ。

決済終了後は、モッチッチ貯蔵庫の左側のテーブルに設置されている、電気ポットもしくはウォーターサーバーからモッチッチのカップにセルフサービスでお湯を入れる。割り箸などもこちらに用意されている。このテーブルを注意深く見ると、それぞれの置き場がテーブルとは独立していることがわかる。

実はここにもイシダの計量器が仕込まれており、モッチッチの調理に必要なお湯の量である320mlを計測している。具体的には、お湯が減ったぶんの総重量の変化を認識する。計測器が320mlのお湯が注がれたと判断すると、自動的にモッチッチの標準調理時間である5分のタイマーがスタートする仕組みだ。なお割り箸置き場の計測器は、補充の目安を判断するためのもの。

あとは、お湯を投入したモッチッチを持って5席ある立食スペースのいずれかに移動すると、各スペースに設置されている液晶パネルに先ほどの5分のカウントダウンタイマーが表示される。

出来上がったらモッチッチを味わい、食べ終わったら返却口にカップを返すとともに、液晶パネルに表示される掃除ボタンをタップすることで、立ち食いスペース奥に設置されているiRobotの床拭き掃除ロボットのブラーバジェットm6が自動起動し、テーブルをまんべんなく拭いてくれる。

入店から退店までは以上のような流れになる。この店舗でAzureのSmart Storeがなにをやってるかというと、来店直後に客がモッチッチ貯蔵庫の前に立つと、設置されているカメラで性別や年齢を判別。

上部に設置されている超指向性スピーカーからモッチッチ貯蔵庫の前に立っている客だけに聞こえる音声で店内システムを解説してくれる。

店内に入って天井をを見上げると、モッチッチ貯蔵庫以外にもさまざまな場所にカメラが取り付けられていることがわかる。これらは来店者の移動経路を追跡・分析しており、お湯を入れて客がどの立食テーブルに移動するかをSmart Storeが判別し、その客が選んだテーブルの液晶パネルにモッチッチにお湯を入れてからの正確な時間を表示する仕組みだ。前述のように320mlのお湯を入れた直後からカウントダウンは始まっているので、席に着いたタイミングで表示される残り時間は数秒経過した4分55秒や4分50秒などになっている。

もちろんAzureのSmart Storeは、専用端末を使った決済処理も担っている。さらには冒頭で紹介した自動ドア制御による入店人数の制限もSmart Storeの役回りだ。

今回は試験店舗なので、モッチッチ貯蔵庫に異物が入ったり、モッチッチがスペースに正しく並べられていないと正確な計算処理ができない、自動ドア制御による入店制限を周知するために人員が必要など、完全な無人化とは言えない。しかし、飲食業界の人手不足を解消するソリューションとして進化する期待感は高い。

実際のレストランで電子レンジや電気ポッドを使って調理するのは、味的にも見映え的にも顧客満足度が低いと思われるが、客が退店したあとのテーブル掃除はコミュニケーション不要なのでロボットでの自動化余地が大いにあると感じた。

なお、下膳についてはすでにグーグル出身のエンジニアが創業したスマイルロボティクスが開発を進めているほか、職人顔負けの技術でたこ焼きを作るコネクテッドロボティクスのアームロボ「オクトシェフ」もある。さらには、弁当工場などで活躍する協働ロボットとしてはアールティの「Foodly」も実際に導入されている。人手不足が深刻化している飲食業界にとって、人と一緒に働く協働ロボットは今後さらに重要な存在になっていくだろう。

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ARMは新しいCPUのCortex-MとNPUのEthos-UでAIに注力

ARMは米国時間2月10日、2つの新しいプロセッサーを発表した。あるいは、見方によっては1個半というべきかもしれない。世界中の大半のスマホやスマートデバイス用のチップを設計し、パワーを供給する同社は、最新のCortex-Mプロセッサ(M55)とArm Ethos-U55マイクロ・ニューラル・プロセッシングユニット(NPU)を発売した。

画像クレジット:SAM YEH/Contributor/Getty Images

前任機同様、新しいCortex-M55も、Armの組み込みデバイス向けのプロセッサーだ。これまでにArmのパートナーは、Cortex-Mのデザインに基づいて、500億個以上のチップを製造した。この最新バージョンは、もちろんさらに高速で、電力効率にも優れているが、Armとしては主に機械学習のパフォーマンスに重点を置いたものとなっている。Armによれば、M55は、ベクトル計算を高速化するためのArm独自のHeliumテクノロジーに基づく最初のCPUであり、MLモデルの実行が以前のバージョンよりも最大15倍速くなっているという。

多くのユースケースでは、M55はもちろん十分に速い。しかしさらにMLパワーを必要とする場合には、Ethos-U55が、デバイスメーカーにそのパワーを提供できる。これなら、Cortex-Aのエコシステムにステップアップする必要もない。ArmのスタンドアローンのEthos NPUと同様、これらのチップは機械学習のワークロードを高速化することができる。ただしU55はシンプルな設計となっていて、M55、M33、M7、M4など、最新のCortex-Mプロセッサとの組み合わせでのみ動作する。両者を組み合わせて使うことで、機械学習のパフォーマンスを最大480倍まで高速化できる。

「近年を振り返ってみると、人工知能はクラウド上でのデータ分析の方法に革命をもたらしました。そして、特に今日のスマートフォンのユーザー体験を増強したのです」と、Armのプロダクトマネージメント担当取締役、トーマス・ローレンサー(Thomas Lorenser)氏は語った。「しかし、次に来るもの、あるいは次のステップは、私にとってさらにエキサイティングです。どこでもAIを利用できるようになるのです。そしてAIのメリットが、マイクロコントローラーによるIoTエンドポイントでも享受できるようになります。つまり、はるかに大規模なユーザーとアプリケーションにも届くのです。その規模は、文字通り数十億以上にもなるでしょう」。

この言葉が、Cortex-MとEthos-Uの組み合わせの意味をよく表している。ここでのアイデアは、より多くのパワーを隅々にまでもたらすということ。多くのユースケースでは、クラウドへデータ送信するのは非現実的なのだ。ローレンサー氏も強調したように、無線通信によってクラウドにデータを送信するのは、AIモデルをローカルで実行するよりも多くのエネルギーを消費することになりかねない。

「初期のAIの議論の多くは、クラウド空間での処理についてのものが大勢を占めていたでしょう。しかし私たちが注目してきたのは、IoT空間でのイノベーションであり、実際の実装と展開です。これは大規模なものであり、非常にすばらしいユースケースがあります」と、Armの機械学習のコマーシャルおよびマーケティング担当副社長、デニス・ローディック(Dennis Laudick)氏は付け加えた。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

IoT猫トイレ開発のハチたまが往診専門月額2222円の猫専用病院を開設

IoT猫トイレ「toletta」(トレッタ)を開発・提供しているハチたまは2月12日、サブスクリプション型の猫専用往診サービス「トレッタねこ病院」のサービスを日本の猫の日である2月22日から開始することを発表した。対象者はtolettaユーザーのみ。

月額2222円(にゃーにゃーにゃーにゃー円)のプレミアムプランでは、獣医師や動物看護師による年2回の「訪問健康診断」サービスを猫だけに提供する。検査項目は、年1回の血液検査(CBC・生化学検査16項目、IDEXX SDMA)、聴診、視診、触診で、対象地域は東京・神奈川・埼玉・千葉。ちなみにCBCは、血液中の血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリットを測定する血球数算定テスト。貧血や感染症、血液疾患の有無を判別できる。IDEXX SDMAは、慢性腎臓病の早期検出のための検査項目だ。さらにオプション料金を支払うことでで、尿検査、エコー検査、血液検査追加も可能だ。ただし、ワクチンの接種には対応していない。

プレミアムプランには、tolettaを併用した「オンラインみまもりサービス」も付帯する。tolettaから取得したデータを獣医師と共有することで、猫の定期的な健診を促し、早期診断につなげる狙いだ。具体的には、tolettaで取得したねこのデータをAIが5段階で評価して飼い主のスマートフォンのtolettaアプリに通知、異常値が出た場合は獣医師からアラートメッセージが届く仕組みだ。さらに、猫の健康に関する悩みは、LINEで獣医師に相談することもできる。獣医師はtolettaが取得したデータを参照しながらアドバイスする。

2頭目以降は月額料金が半額。サブスクリプションサービスには、年2回の訪問健康診断がない月額1111円のベーシックプランもある。

toletta(トレッタ)は、猫がトイレに入ってから用を足して出るまでを動画で撮影しつつ、体重や尿量、尿回数、滞在時間などを自動的に記録できるIoT猫トイレ。動画で猫の様子を観察できるほか、体重減少はトイレの頻度などを参照できるので、飼い主が猫の状態変化を常に把握できる。同社ではこれまで約2000頭の猫の約100万件のデータを保有している。tolettaの本体価格は3万2780円でAmazonなどで入手可能。利用するには家庭内に2.4GHzのWi-Fi環境が必要だ。

今回の往診専門のサブスクサービスは、動物病院に恐怖を感じて凶暴化する猫や動物病院に定期的に行く時間が取れない飼い主にとっては重宝するサービスとなりそうだ。同社では今回のサービス開始を記念して、tolettaを半額で販売するキャンペーンを実施予定だ。詳細は公式LINEアカウントで告知される予定となっている。

2020年を「スマホ」元年に、+StyleがIoTルーム&デスクライトを新発売

ソフトバンクグループでIoT製品の開発や販売を手掛ける+Style(プラススタイル)は2月5日、新製品発表会を開催し、スマートフォンやスマートスピーカーで制御できる、ルームライトとデスクライトを発表した。

スマートLEDベッドサイドランプ」は、調光とRGB調色が可能なルームライトで価格は3280円。RGBの3色のLEDのほか白色専用のLEDを備えているので、1677万色のカラフルな調色だけでなく電球色から昼白色までの白色を安定的に発光できるのが特徴だ。もちろん、タイマー機能も備わっている。

スマートLEDデスクライト」は、明るさが最大473lm(ルーメン)で演色性がRa85のデスクライトで、価格は4200円。目を使う緻密な作業に必要とされる演色性はRa80程度とされており、Ra85の本製品はLED方式のデスクライトでは演色性が高い部類に入る。白色発色用のLEDのみを搭載しており、電球色から昼白色までの白色を安定的に発光できる。こちらは、タイマー機能のほかインターバル機能を備えるのが特徴だ。インターバル機能を使えば、30分経過などを光で点滅で知らせてくれる。勉強など時間を忘れて集中作業する際に同機能を活用すれば、作業の邪魔をせずに時間経過を知ることができて便利だ。

上記2製品を含めて+Styleのオリジナル製品は、専用アプリ「+Style」でオン/オフなどの操作を一元管理できるのも特徴だ。具体的には、シーリングライトやLED電球、超音波加湿器、ロボット掃除機などを制御可能だ。さらに同社ではスマートリモコンも販売しているので、赤外線リモコンを使うエアコンやテレビ、レコーダーなどもコントロールできる。なお、ライトや掃除機、スマートリモコンなどは、GoogleアシスタントやAmazon Alexaを内蔵するスマートスピーカーからの音声操作にも対応している。

また、トグル式の電源スイッチを採用するテレビなどの場合は、壁の電源コンセントとテレビの間に「スマートWi-Fiプラグ」(価格1980円)を入れることで確実なオン/オフが可能になる。同製品は、接続した家電の消費電力を計測する機能も備えるので、省エネ対策にも効果がありそうだ。

そのほか同社では、人感センサーやドアや窓の開閉センサー、漏水センサーなどラインアップしており、人が通過した、ドアが空いた、水が漏れたなどの状況変化を感知して、各種家電のオン/オフや設定変更が可能だ。セキュリティー関連では、屋外用の「スマートセキュリティカメラ」や「スマートビデオドアフォン」、屋内用の「スマートホームカメラ」などもある。

発表会では「+Style」アプリの新機能についても明らかにされた。現在はβ版だが、GPSによる家電制御機能が加わっている。具体的には、スマートフォンが内蔵するGPSなどの現在位置捕捉機能と連動して、自宅から100m程度離れると自宅内の家電をすべてオフ、逆に100m以内に近づくとすべてオンにするといった制御が可能になる。ほかのスマートリモコンではすでにおなじみの機能だ。2月末には正式版として搭載予定とのこと。

+Style取締役社長の近藤正充氏

同社取締役社長の近藤正充氏は発表会で「2020年は『スマホ』元年に」と述べ、国内でも今年登場する確率が高い5G対応のスマートフォンではなく、IoT製品を活用したスマートホームの略として「スマホ」を引き合いに出し、同社が自社製品を中心としてスマートホームをさらに推進していくことを力強く語った。

なお同社では、新製品の発売を記念して、最大4000円の値引きとなるキャンペーンを2月20日まで実施する。

2019年に最も売れた製品は?

発表会では、2019年に+Styleで最も人気だった製品のランキングも発表された。1位はQrioが開発したスマートロックの「Qrio Lock」、2位と3位は+Styleのスマート掃除機、以下5位までを同社製品が占めた。そのほか超小型サイズのスマートフォンである「Palm Phone」(価格4万5630円)、PlayStationやXboxなどのゲームコンソールの映像をPCやMacに取り込めるキャプチャーボードの「Elgato Game Capture HD60 S」、忘れ物防止タグ(スマートトラッカー)の「Tile Mate」などがランクインしている。

近藤氏は「今後は+Styleオリジナル製品だけでなく、+Styleで取り扱っているすべてのIoT機器を1つのアプリで制御できるようにしたい」とコメントし、将来的には他社製品との連携も視野に入れていることを明らかにした。

MITの「RFocus」は壁一面をアンテナにするテクノロジー

RFocusは単純な問いに答えようとしている。「アクセスポイントやモバイル機器のアンテナや発振器の代わりに、どこにでもあるものを使えたらどうなるか?」。その「もの」で壁や塀を埋め尽くすのだ。MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)が新たに開発した「Smart Surface」は、3000基以上のアンテナを使って信号強度を10倍近くに増幅する。

米国時間2月3日に同研究所は、このテクノロジーを紹介する論文を発行した。比較的安価で、それぞれのアンテナは数セントで作れる。さらにいいのが低消費電力であることで、ソフトウェア制御によって信号を反射することも通過させることもできる。RFocusが家庭や倉庫で、モノのインターネットやさまざまな「つながるデバイス」の信号を増幅するために使われる未来をCSAILは思い描いている。

「主たる目標は、環境にある要素を応用することで、信号を自在に制御する方法を探ることだ」とMITのHari Balakrishnan(ハリ・バラクリシュナン)教授は説明する。「もし、できるだけ低電力で、かつ良好な信号を遅れるワイヤレス機器をつくりたいなら、これは非常に期待の持てる技術のひとつだ」。

商品化の時期についての言及はなかった。これはCSAIL本来のやり方ではない。「似たような研究はプリンストンでも行われているが、MITの焦点は低コストと応用範囲の広さにある」とチームは語った。実際、壁をアンテナで埋め尽くすという概念は少々現実離れしているし、ほとんどの場合不必要だ。また、5Gへのアプローチに関わるさまざまな懸念を踏まえると、こうした方法が与える長期にわたる影響について、さらに研究を重ねる必要があるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

IKEAがSonosと共同開発したWi-Fiスピーカーを発表、Alexa対応で2台でステレオ化も

スウェーデン発祥の家具メーカー・販売店のIKEA(イケア)は1月29日、スマートスピーカーなどの音響機器を開発しているメーカーである米国のSonos(ソノス)と共同開発したWi-Fiスピーカー「SYMFONISK」(シンフォニスク)を発表した。2月1日からIKEAの実店舗とオンラインストアで販売開始される。

SonosはTechCrunchでは何度も取り上げている米国のスピーカーメーカー。SYMFONISKの開発では音響部分を担当しており、部屋のどこの置いても最適な出力となるようにスピーカーが自動調整される。同スピーカーは2.4GHzの無線通信に対応しており、IEEE802.11b/g/nでルーター経由でインターネットに接続可能だ。さらにWi-Fiを経由することで、Amazon AlexaやGoogleアシスタントといった音声認識アシスタントを利用できる。なお、Googleアシスタント対応には2020年中の予定で、対応時期などの詳細は不明だ。アップルのAirPlay2規格にも対応しているので、iPhoneやiPadで再生している曲を手軽にSYMFONISKへ出力可能だ、

そのほかの機能としては、アップルのHome Padのように2台設置することでステレオサウンドを構築できる。複数のスピーカーをグループ化して同じ曲を流したり、別々の曲を流したりすることも可能だ。音量などの各種操作は専用のスマートフォンアプリを利用できる。対応する音楽ストリーミングサービスは、Amazon Music、Spotify、Apple Music、Google Musicをはじめ50種類以上。ただし、dヒッツやLINE MUSIC、うたパスなどローカルなストリーミングサービスには対応していない。これらのサービスを使っている場合は、AirPlay 2経由でiPhoneなどからSYMFONISKに音楽を飛ばす必要がある。

発売されるモデルは、ブックシェルフ型とテーブルランプ型の2種類で、いずれも本体色はブラックとホワイトがある。価格はそれぞれ1万4900円、2万4990円。サイズは、ブックシェルフ型が幅15×奥行き31×高さ10cmで重さは2.16kg、テーブルランプ型は21.6×21.6×40.1cmで3.28kg、オプション品として、スピーカーフック(税別699円)、スピーカーウォールブラケット(税別1500円)も用意される。ブックシェルフ型は縦置き、横置きが可能。ランプシェードのランプ部分を覆うガラスのカバーは吹きガラスで作られており、1台1台形状が微妙に異なる。

猫様専用バイオロギングデバイス「Catlog」のAndroid版は2月14日リリースへ

RABOは1月27日、同社が開発・販売してる首輪型の猫用バイオロギングデバイス「Catlog」のAndroid版のリリーススケジュールを同社ウェブサイトで公開した。

当初は1月中の配布を予定していたが、開発に遅れが発生し、現在はCatlog HomeおよびPendantデバイスとの連携機能の最終検証を進めているとのこと。新たなリリース予定日は2月14日としている。

Catlogは、猫の行動を24時間記録でき、歩行や走行はもちろん、睡眠や飲食などの状況をスマートフォンで遠隔チェックできるIoTデバイス。首輪型のPendantデバイスと、Pendantデバイスの充電とスマートフォンとの連携などに使うベースステーションであるCatlog Home、スマートフォン用アプリを利用することで、留守時などの猫の行動をある程度把握できる。税別価格は1万4800円。

現在iOSデバイス向けに一般販売しており、ローンチ後約4カ月で約1000UC(Unique Cat)に到達したとのこと。アプリアクセス率(登録したユーザーのうち再度アプリにアクセスしたユーザーの割合)も7日間で90%、30日で78%と高い数値を維持している。同社によると、ノンマーケティングのオーガニックのみで、約4カ月の計画出荷数を1.5週間で達成したという。

Sonosが古いデバイスのサポート終了に関する方針を変更

スマートスピーカーメーカーのSonosは、サポートを終了する古いデバイスについてのスタンスを明らかにした。同社の最初の発表は批判を受けていた。同社は改めて、ユーザーが所有しているSonosのシステムを2つに分割し、新しい方のデバイスは最新の状態にできるようにすると公表した。

Zone Player、Connect、第1世代のPlay:5、CR200、Bridge、2015年以前のConnect:Ampのサポートが終了することには変わりはない。Sonosは、これらのデバイスのメモリや処理能力は技術的な限界に達したとしている。

永遠に使い続けるわけにはいかないにしても、問題なく動作するスピーカーがだんだん劣化するのは残念だ。例えばSpotifyやApple MusicのAPIが将来的に変更されたら、所有しているデバイスはこれらのサービスとの連携が完全にできなくなってしまうかもしれない。

当初のSonosの発表でさらにひどかったのは、すべてのデバイスのファームウェアを同じバージョンにするために、所有するSonosデバイスのエコシステム「全体」がアップデートを受信しなくなるということだった。新たにSonos Oneを購入しても、ネットワーク上に古いスピーカーがある場合はSonos Oneもアップデートを受信しないと発表されていたのだ。

新たな発表の中で同社は「弊社では、システムを分割することで、新型製品のシステムでは最新機能をご利用いただき、レガシー製品のシステムは現状のままご使用いただくという方法をご提供できるよう取り組んでおります」と述べている。

理想的な対応ではないが、すでに所有しているデバイスを手放さなくてもいいという方針にはなった。Sonosは、古いデバイスには新機能は追加されないものの、セキュリティアップデートやバグの修正は引き続き提供することも明らかにした。

それでも私は、Sonosはデバイスにコンピューティングカードのスロットを追加すべきだと思う。そうすれば、スピーカーごと買い換えなくて済む。メモリやプロセッサが強化されたコンピューティングカードを購入して現在のカードと差し替えればいい。テック企業が環境に配慮しようと考えるなら、モジュール化はきわめて重要になるだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

スマートスピーカー開発のSonosが古いデバイスのアップデートを打ち切り

スマートスピーカーメーカーのSonosは、一部製品のサポートを2020年5月以降打ち切ると発表した。打ち切るのは、Sonosが数年前に販売を終了したデバイス。永遠に続くものはないとはいえ、サポート打ち切りは影響が大きく、またもコネクテッドホームには期待したほどの将来性はないと示してしまうことになるだろう。

Sonosは、これまでに販売された製品の92%は現在も使われていると指摘する。生産終了になった古いデバイスでも満足して使い続けている人がいるということだ。

「しかし今、旧型製品の一部のメモリや処理能力は技術的な限界に達し」とSonosは書いている。

Zone Player、Connect、第1世代のPlay:5、CR200、Bridge、2015年以前のConnect:Ampに関しては、Sonosのエクスペリエンスは基本的に全体にわたって今後低下する。

同社はこれらのデバイスのアップデートを今後停止する予定だ。SpotifyやApple MusicのAPIが今後変更されたら、前述のデバイスはこれらのサービスとの連携が完全にできなくなってしまうかもしれない。

それでもSonosは、同社のデバイスのエコシステム「全体」がアップデートの受信を停止し、すべてのデバイスのファームウェアを同じバージョンにすることを決定した。つまり、もし新しいSonos Oneを買ったばかりでも、古いPlay:5を使い続けていれば、Sonos Oneもアップデートを受信しない。

Sonosは、古いデバイスを買い替える場合の割引があると説明している。しかしそうは言っても費用はかかる。同社はシームレスな音楽エクスペリエンスの提供を約束しているが、それにはスピーカーを全部新しくしなくてはならないとは皮肉でもある。

Sonosはこれを機に製品ラインナップを再考すべきだ。生産やサポートの終了による計画的陳腐化は、確かにビジネスモデルとしては優れている。しかしスピーカーを10年、20年、あるいは30年使い続ける方法を考える時期にきている。

1980年代に人々は素晴らしいスピーカーを購入し、何十年も使い続けた。もちろん、途中でCDプレイヤーを買い足す必要はあっただろう。しかしモジュール化は優れた特徴だ。

Sonosはデバイスにコンピューティングカードのスロットを追加すべきだ。SoC、Wi-Fi、Bluetoothの速度や効率の向上のために、ユーザーはスピーカーを丸ごと買い替えるのではなく新しいコンピューティングカードに交換できるはずだ。

Sonosはソフトウェア的にリサイクルモードにすると古いデバイスが完全に使えなくなるという疑問に思わざるを得ない状況にあるが、カードを交換できるようにすれば環境に優しいプロセスとなるだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

IoTの衛星ネットワーク接続を低価格で提供するSkyloが約113億円調達

来るべき宇宙経済における最大のチャンスのひとつは、成長し続ける通信衛星群が可能にした新たな接続性を、地球上のモノや企業に役立てることだ。米国時間1月21日、1億300万ドル(約113億円)のシリーズBラウンドを発表しステルス状態を脱したスタートアップのSkyloは、そのチャンスを手頃な価格で可能にしようとする一社だ。

今回の調達ラウンドによって、Skyloの調達額はシリーズAの1400万ドル(約15億4000万円)と合わせて1億1600万ドル(約128億円円)になった。最新ラウンドをリードしたのはソフトバンクグループ(現在、複雑な事情を抱えている)で、既存出資者のDCMおよびEric Schmidt(エリック・シュミット)氏のInnovation Endeavorsも参加した。Skyloのビジネスは、基本的にモノのインターネット(IoT)デバイス(センサー、工業機器、輸送ハードウェアなど)をセルラーベースの狭帯域IoTプロトコルで衛星ネットワークに接続することにある。現在、同社のネットワークはすでに静止衛星上でも展開されているため、特別な技術を使って新たな衛星を待つことなく顧客はデバイスを接続できる。

Skyloは商用パートナーとの実運用テストを完了しており、漁業、海運業、自動車などの民間企業と政府関係団体がパートナーになっている。同社が主張する既存ソリューションに対する利点は、接続にかかる費用が1件最低1ドル(約110円)からハードウェアは100ドル(約1万1000円)以下という低価格で、現在市場にある衛星を利用したIoT接続と比べて最大95%のコスト削減になると同社はいう。

専用ハードウェアのSkylo Hubは一種の衛星ターミナルとして静止衛星と接続して「ホットスポット」になり、一般的なIoTセンサーやデバイスが利用できる。大きさは約20 ×20 cmで、バッテリーまたはAC電源で動作し、顧客は特別な知識がなくても設置できる。

同社は2017年にCEOのParth Trivedi(パルス・トリベディ)氏とCTOのAndrew Nuttall(アンドリュー・ナタール)博士、およびチーフ・ハブ・アーキテクトのAndrew Kalman(アンドリュー・カルマン)博士が設立した。トリベディ氏はMITの航空宇宙工学出身で、ナタール氏はスタンフォード大学で航空工学博士号を取得、カルマン氏はスタンフォード大学教授で、かつて小型衛星キューブサットのスタートアップ、Pumpkin Inc.を設立した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

猫専用バイオロギングデバイス「Catlog」開発のRABOが1億円調達、Shitall岩佐氏がハードウェア顧問に

猫の行動をバイオロギング解析技術でモニタリングできるIoTデバイス「Catlog」を開発・販売するRABOは1月15日、約1億円の資金調達を発表した。第三者割当増資による調達で、引受先は、iSGS インベストメントワークス、W ventures、iPLAB Startups、Shitall代表の岩佐琢磨氏。

写真前列中央がRABOの代表取締役兼CEOの伊豫愉芸子氏とCCO(Chief Cat Officer、最高猫責任猫)のブリ丸

また、特許業務法人のiPLAB Startupsで代表を務める弁理士の中畑 稔氏は、RABOで各種知的財産戦略の設計と実施などの顧問に就任する。中畑氏はドローン開発のスタートアップであるエアロネクストで取締役CIP(最高知財経営責任者)を務める人物だ。

一方Shitallの岩佐氏は、CatlogをはじめRABOが今後展開するハードウェア開発へのアドバイスやグローバル展開などサポートする顧問となる。具体的には、ハードウェア製品の製造工場選定やCESなどの展示会出展についてのノウハウをアドバイスする立場となる。岩佐氏はパナソニックを退社後にハードウェアスタートアップのCerevoを設立、その後Cerevoの一部事業を分割したShiftallを立ち上げて代表に就任し、全株式をパナソニックに売却。現在Shiftallはパナソニックの完全子会社として、ユニークなハードウェアを開発を続けている。2018年開催のTechCrunch Tokyo 2018には、目の周囲を覆うノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドフォン端末の「WEAR SPACE」出展。2020年1月上旬に米国で開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では、前回と同じコーディネイトかどうかを判断して教えてくれるスマート姿見「Project: NeSSA」(プロジェクト ネッサ)、ARプロジェクション機能搭載のペンダント型照明器具「BeamAR」、つくりおき食材を冷蔵保存しておき遠隔から加熱できる調理家電「Cook’Keep」などを発表している。

Catlogは、猫の行動を24時間記録でき、歩行や走行はもちろん、睡眠や飲食などの状況をスマートフォンで遠隔チェックできるIoTデバイス。2018年10月29日から2019年2月22日までMakuakeにて先行予約販売を実施したところ、支援者423人、支援総額457万1600円が集まり、達成率は1523%となった注目のプロダクトだ。2019年9月24日にはiOSデバイス向けに一般販売を開始し、ローンチ後約4カ月で約1000UC(Unique Cat)に到達したとのこと。つまり、1000匹(頭)の猫の行動データを蓄積・分析しているわけだ。アプリアクセス率(登録したユーザーのうち再度アプリにアクセスしたユーザーの割合)も7日間で90%、30日で78%と高い数値を維持している。同社によると、ノンマーケティングのオーガニックのみで、約4カ月の計画出荷数を1.5週間で達成したという。

気になるAndroid版のCatlogアプリについては今月中にリリース予定とのこと。また同社ウェブサイトでは現在、マーケティング、機械学習やiOSアプリのエンジニア、猫動画制作者などのスタッフを募集中だ。

オープンソースハードウェアのArduinoが中小企業向けIoT開発モジュール提供

オープンソースのハードウェアプラットホームのArduinoが米国時間1月7日、IoT開発のための新しいローコードプラットホームとモジュール構造のハードウェアシステムを立ち上げた。中小企業が専門の技術者にお金を使わなくてもIoTを開発できるツールを提供することが、その目的だ。

新しいハードウェアはArduino Portenta H7と名付けられ、IoTのハードウェアプラットホームに必要なものがすべて揃っている。それらは暗号認証チップ、通信モジュール(Wi-Fi、Bluetooth Low Energy、LTE)、そしてナローバンドのIoTもサポートしている。CPUは32ビットのARMマイコンCortex-M7またはM4だ。これらの低電力消費のモジュールは、各種産業向けアプリケーションのほかに、エッジプロセッシングやロボティクスも視野に入れている。ARMのMbed OSが動き、Arduinoのコードをサポートするほか、PythonとJavaScriptのアプリケーションも使える。

ARMのIoTサービスグループの戦略担当副社長Charlene Marini(シャーリーン・マリーニ)氏は 「中小企業は安全な開発ツールとソフトウェアおよびハードウェアによる単純な開発を必要としており、IoTのユースケースを経済的に実現したいと願っている。新しいArduino Portenta FamilyにおけるMbed OSとCortex-M IPの組み合わせで、何百万人ものArduinoのデベロッパーが安全かつ容易に、IoTデバイスをプロトタイプからプロダクションへデプロイできる」と述べている。

現在、H7モジュールはベータテスターたちに提供されていて、一般公開は2020年2月の予定だ。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

チカクとセコムが高齢者に煙たがられない見守りサービス「まごチャンネル with SECOM」を販売開始

スマートフォンなどで撮影した動画や写真を遠隔地に住む祖父母宅のテレビなどに映し出せるデバイス「まごチャンネル」を開発・販売しているチカクは1月8日、セコムと協働で開発した高齢者向け見守りサービス「まごチャンネル with SECOM」の販売を開始した。

まごチャンネル with SECOMは、セコムの環境センサー「みまもりアンテナ」をまごチャンネルに搭載したデバイス。昨年12月10日から先行体験キャンペーンを実施していたもので、今回正式に販売開始となる。

みまもりアンテナは、室内の温度や湿度、照度を感知・記録しており、スマートフォンのアプリ上で環境の変化をチェックできる。照度の変化と生活音の有無なども検知可能で、起床や就寝を判断してその時間を推測、利用者のスマートフォンアプリに通知することも可能だ。さらには温度や湿度に急激な変化があったときは、熱中症を注意喚起する機能もある。

カメラなどでのアクティブな監視ではなく、まごチャンネルと機能をうまく融合させた見守りなので、高齢者のプライバシーを保護しつつ、遠隔地からおおよその状態を把握できる点に注目だ。

■本体仕様
サイズ:幅125×奥行き130×高さ40mm
重さ:425g
ストレージ容量:動画約2000本、写真約5万枚

■価格
本体価格(税別):3万円
サービス月額料金(税別):1680円

 

1万円以下・WiFi設定だけで導入できるスモールビジネス向けAIカメラ「ManaCam」

「もういくつ寝ると」と年末の声が聞こえてくると楽しみなのが、お正月。そして年明け早々、毎年ラスベガスで開催されるテックプロダクトの見本市、CESの出展内容だ。特に「Eureka Park」には今年も、世界中から1200を超えるスタートアップのプロダクトが集まる予定。日本からも、JETROが事務局を務めるJ-Startupパビリオンで、29社の出展が決まっている。

展示されるプロトタイプの中から、今日はFutuRocket(フューチャーロケット)が開発中のAIカメラ「ManaCam」を紹介したい。ManaCamは、エッジコンピューティングにより、設置された空間内の顧客数、利用者数の自動集計を行うAIカメラだ。これだけ聞くと、特に目新しさを感じられないかもしれないが、ManaCamは「1万円以下で導入できる」「WiFiの設定を行うだけで利用できるようになる」という特徴を持ち、スモールビジネス向けに特化したプロダクトだ。

ManaCamは、アタッチメントを使えば電球ソケットからも給電が可能。天井の照明などを電力源として利用でき、配線のための手間や工事は不要だ。

ManaCamを設置すると、以降の利用者数推移レポートはクラウドを通してWebサイトで見ることができるようになる。FutuRocketはカメラの販売ではなく、このクラウドによるレポート機能を少額の月額課金で提供していくことで収益とすることを目指している。なお、当初はレポート機能も無償で提供される予定だ。

開発中の「ManaCam」プロトタイプ

AIカメラ導入はこれまで、大規模の企業や行政機関など、ある程度予算を持つ機関に限られてきた。FutuRocketが目指すのは、「誰でもリアルの世界で、手軽に利用者数の集計ができる」ようにすること。デジタルでは、小さなEC事業者でもページビュー分析などが当たり前になってきているが、これをリアルな空間に持ち込もうという試みだ。

ManaCamは、小売店などスモールビジネス事業者による来店者数把握のほか、コワーキングスペースやオフィスの会議室、イベントスペース、展示会のブースなどでの来場者数把握といった利用が想定されている。

CESでの展示の後、1月下旬から、FutuRocket社が採択されたYOXO Accelerator(よくぞアクセラレーター)プログラムにより横浜市でManaCamの実証実験が行われる。また渋谷区のコミュニティスペースEdgeOfでも実証実験を行うということだ。

FutuRocket創業者でCEOの美谷広海氏は、ものづくりスタートアップとして尖ったプロダクトを生み続けてきたCerevoで、2015年1月からSenior VP、Global Sales & Marketing担当を務めていた。FutuRocketは2017年8月の設立だ。

FutuRocketでは、ManaCamのほか、トイレットペーパーの残量がモニタリングできるスマートIoTトイレットペーパーホルダー「KamiR(カミアール)」などのプロダクトも開発されている。KamiRは、北九州でIoTアクセラレータプログラムにTOTO社によって採択されたことをきっかけに開発されたプロダクト。こちらも神戸市のスタートアップ提案型実証実験事業「Urban Innovation KOBE『+P』」に採択され、1月下旬から神戸市で実証実験が行われることになっている。

スマートIoTトイレットペーパーホルダー「KamiR」

IoT猫トイレのハチたまがマネックスなどから2億円調達、健康状態の自動判定機能を実装、そして世界へ

カメラや体重計、Wi-Fiを搭載した猫用IoTトイレ「toletta」を開発・販売するハチたまは12月25日、プレシリーズAラウンドで2億円超の資金調達を発表した。

マネックスベンチャーズなどを引き受け先とする第三者割当増資で累計調達額は4億円となる。主な引き受け先は以下のとおり。

  • マネックスベンチャーズ
  • 羽立化工
  • 横浜キャピタル
  • 山口キャピタル
  • ひびしんキャピタル
  • シグマクシス

今回の調達資金は、猫の健康状態を自動判定するアルゴリズムと獣医師連携システムの開発強化に当てられる。同社は今後海外展開に向けてのシリーズA調達も予定しており、国内だけでなく海外の投資家からの資金調達も予定しているという。

なお、出資先の1社として公表されている羽立化工は、tolettaの金型成形から製造までを手掛けている、静岡県湖西市を拠点とするプラスティック加工会社だ。

ハチたまは、2015年3月に設立されたぺット関連サービスを提供するスタートアップ。現在、猫用のIoTトイレとしてtoletta2を販売している。toletta2では、AIによる猫の顔判定、体重測定、トイレの回数、滞在時間、尿量・尿回数のほか、専用スマートフォンアプリとの連動により、動画撮影、AI状態判定、獣医師相談、カレンダー・メモ、フードレコメンドなどの機能が利用できる。ねこの利用頭数は2000頭、健康データの件数は100万件を突破している。

今後開発を強化する猫の健康状態を自動判定するアルゴリズムについて同社は、正社員として勤務している獣医師の知見と、toletta2で記録できる、猫のトイレ動画や尿量、体重などデータを分析して異変を知らせるアルゴリズムを開発するとのこと。膀胱炎など猫が罹患しやすい泌尿器科系の疾患の早期発見に役立てたいとしている。同機能は2020年2月末のリリースを予定している。

獣医師連携システムについては、現在一部のユーザーがテスト中の獣医師とのLINE相談サービスを拡充・強化する計画だ。現在、toletta2で取得したデータを基に、猫を見守るためのコンサルティング業務を進めており、前述の健康状態の自動判定機能と併せて、猫の健康状態を飼い主と獣医師でしっかり見守る体制を整える。

【編集部注】私は5歳の雷蔵(アメリカンショートヘア、オス)と共に生活しており、toletta1からのユーザーで、現在toletta2も利用中だ。

テック業界を支配するスマホの「次」に何が起こっているのか?

テクノロジー業界において、この10年はスマートフォンの時代だった。2009年時点では、Symbian OSがまだ支配的な「スマートフォン」のOSだったが、2010年にはiPhone 4、Samsung Galaxy S、Nexus Oneが発売され、現在、AndroidとiOSがアクティブなデバイス数で合計40億台を誇る。スマートフォンとアプリは、もはや破壊的な新しいプラットフォームではなく成熟した市場だ。次は何がくるのだろうか。

その問いは、次に必ず何かがくることが自然の法則であることを前提としている。この前提が正しそうに見える理由は簡単だ。過去30年以上にわたり、それぞれの分野が重なっている、世界を変える3つの大きなテクノロジープラットフォームへのシフトを我々は経験してきた。3つの分野とはコンピューター、インターネット、スマートフォンのこと。いずれ4つめが地平線のかなたに現れることは避けられないように思える。

AR/VR、ブロックチェーン、チャットボット、IoT、ドローン、自動運転車(自動運転車はプラットフォームだ。まったく新しい周辺産業が爆発的に生まれる)と、過去数年間、次の候補に事欠くはなかった。しかし、いずれも楽観的な予測をはるかに下回っていることに気づくだろう。何が起こっているのだろうか。

PC、インターネット、スマートフォンの成長の勢いが、これまで揺らいだりつまづくようなことはなかったように思える。ここに、インターネットのユーザー数の推移がある。1995年の1600万人から1998年には1億4700万人に増えた。2009年以降のスマートフォンの販売推移はこのとおりだ。Androidはわずか3年で100万台未満から8000万台以上になった。これが、主要なプラットフォームへのシフトだ。

PC、インターネット、スマートフォンの成長をAR/VR、ブロックチェーンといった候補のそれを比べてみよう。不公平な比較だとは思わない。それぞれの分野が「大きな何か」になると主張する事情通がいる。もっと手堅い予測をする人々でさえ、ピークの水準は小さいかもしれないが、少なくともスマートフォンやインターネットと同じ成長の軌道を描くといういう。だが実際のところ、どうだろうか。

AR / VR:2015年にさかのぼるが、筆者は非常に有名なVCと話をした。そのVCは自信満々に、2020年までに最低でも年間1000万台のデバイスが出回ると予想した。実際どうなったか。2017年から2019年までにかけて370万台、470万台、600万台と推移し、Oculusは再編中だ。年間27%の成長率は確かに悪くない。だが「一貫して27%」という成長率は、次の大きな何かになると主張するには、少し心配になるといったどころではない。「3年で10倍」からはさらに遠い。2020年までにMagic Leapが深刻な状況になると予想した人はほとんどいなかった。やれやれ。他のAR / VRスタートアップは「残念な」状況だというのが最も的確な説明だ。

ブロックチェーン:ビットコインは正常に機能していて、2010年代にテクノロジーに起こった最も奇妙で興味深いことだと思う。しかし残りのブロックチェーンはどうだろうか。筆者は広い意味で仮想通貨の信奉者だ。だが、2017年半ばに仮想通貨の敬虔な信者に対して、2019年末までに企業向けブロックチェーンが実質的に死んでしまうとか、分散型アプリケーションの使用が依然として数千台に留まっているとか、スモールビジネスへの担保付き貸し付け以外に本当の新しい利用事例は発生しなかったなどと言おうものなら、彼らを怒らせることになったはずだ。そして、まだその段階にとどまっている。

チャットボット:真面目な話、チャットボットはついこの間まで未来のプラットフォームとしてもてはやされていた(Alexaは、端的に言うとチャットボットではない)。「世界は書き直されようとしており、ボットは将来大きな存在になる」。これは実際の発言からの引用だ。Facebook Mは未来のものだったが、もはや存在しない。マイクロソフトのTayも未来のものだったが、もはや存在しない。Zoに取って代わられた。ご存知でしたか。筆者は知らなかった。そして今やそのZoも存在しない。

IoT:最近の記事のタイトルをいくつか見てみたい。「なぜIoTが一貫して予測を下回っているのか」「IoTは死んだのか」「IoT:昨日の予測と今日の現実」。ネタバラしをすると、最後のタイトルは、現実が予測を超えて成長したことについての記事ではない。むしろ「現実は予想を超えてバラ色ではないことが判明した」といったものだ。

ドローン:現在、ドローンの領域では本当にクールなことがたくさん起こっている。筆者は何でも最初に試したい人間だ。しかし、ドローンによる物理的な荷物配送ネットワークを形成の実現には程遠い。Amazonは2015年にPrime Airの計画をもったいぶってチラ見せし、2016年最初のドローンによる配送を開発した。世の中はすばらしい出来事が起こることを期待していた。そしてまだすばらしい出来事を期待しているが、少し期待しすぎている部分はあると思う。

自動運転車:我々にはもっと多くのことが約束されていた。Elon Musk(イーロン・マスク)氏の誇張についてだけ言っているのではない。2016年からこういうタイトルの記事が出始めた。「2020年までに1000万台の自動運転車が路上に」「5年後に真の自動運転車が登場、フォードが発表」。一応、Waymoの好意で、フェニックスでクローズドパイロットプロジェクトが実施されているが、それはフォードが話していたものではない。フォードは「ハンドル、ブレーキ、アクセルペダルがない自動運転フォード車が、5年以内に大量生産される予定だ」と言っていた。それは、今から18カ月後のことになる。「1000万台」の予測に至っては12カ月しかない。筆者が多少の懐疑論を展開しても許してもらえると思う。

もちろん、これらは成功していないようだということを意味しているのではない。AirPods、Apple Watch、Amazon Echoファミリーなど、多くの新製品がヒットした。ただし、これら3つはすべて、新しいプラットフォームというよりも新しいインターフェイスだ。ゴールドラッシュなどではなく、1つの銀の鉱脈にすぎない。

機械学習やAIをリストから外したことに気づいているかもしれない。実際には定性的な飛躍が確かにあったが、a) 急成長が続くというよりは、Sカーブの平坦部分に突入してしまったという一般的な懸念がある  b)いずれにしろ、AIはプラットフォームではない。さらに、ドローンと自動運転車はいずれも汎用自動化という名の壁に直面している。つまりAIの壁だ。AIは多くの驚くべきことが行えるが、2020年に1000万台の自動運転車が走る、というかつての予想は、AIがあれば自動運転は十分に可能だと予測したことを意味しているが、実際のところ予想よりもずっと遅れている。

いずれのテクノロジーも、次の10年を決定づける存在になり得る。ただし、考慮しておくべきもう1つの点として、いずれもそうはならないかもしれないという可能性があることだ。あるテクノロジープラットフォームが成熟し始めると同時に、別のプラットフォームが必然的に台頭し始めるというのは、反論の余地がない法則ではない。「次の大きな何か」の前に、長い空白があるのではないか。その後、2、3つのことが同時に発生するかもしれない。もしあなたが、今度こそその店に入ろうとしていると公言しているなら、筆者は警告したい。店の前で長い間待つかもしれないということを。

画像クレジット:Robert Basic / Wikimedia Commons under a CC BY-SA 2.0 license.

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(翻訳:Mizoguchi)