Microsoft DefenderがMacにやってくる、MS製セキュリティ対策ソリューション

Microsoft(マイクロソフト)は、米国時間3月21日、Microsoft Defender Advanced Threat Protection(ATP)を、Macでも動くようにすると発表した。これまでは、Microsoft 365に加入するマシンを保護するためのWindows用ソリューションであり、Windowsマシンを安全に保つための、IT管理者の重要なツールだった。名前も、今まではWindows Defender ATPと呼ばれていたが、Macにも搭載されることになったっため、「Windows Defender」という部分を「Microsoft Defender」に入れ替えることを、Microsoftは決定した。

「私たちにとって重要なのは体験です。その上にあるのが人、そして個人がもっと生産的になれるよう手助けすることです」と、MicrosoftのOfficeおよびWindows担当副社長、Jared Spataro氏は語った。「かつてOfficeに対しても同じことをしたように、Windowsのみ、という状態から脱却したのです。それは私たちにとって大胆な行動でした。でも、絶対的に正しいことだったのです。今回の動きも、同じところ目指しているのです」。

同氏は、これはMicrosoftが「常にWindows中心にしたアプローチ」から脱却しつつあることを意味するものだと強調した。彼はこの動きを、OfficeアプリをiPadとAndroidでも使えるようにしたことになぞらえた。「私たちは、すべての端末を安全に保つことを目指しています。それは、このMicrosoft 365の体験が、Windows中心のものだけではないようすることにつながります。それらが目指すのは、同じ方向です」と、Spataro氏は述べた。もちろん彼が言いたいのは、ここで重要なのが、単にMac用のサービスをリリースしたことではなく、いかにしてMicrosoft 365のクライアントに価値を提供できるのか、ということをMicrosoftは検討し直していることだ、という意味だろう。

Microsoft DefenderがMicrosoft 365パッケージの一部であることを考えると、そのユーザーがなぜMacを気にする必要があるのか、という疑問もあるだろう。しかし、WindowsマシンとMacの両方を使い、すでにすべての従業員にOfficeを供給しているような会社はいくらでもある。1つのセキュリティ対策で、その両方のシステムをカバーできれば、IT管理部門の仕事は大幅にシンプルなものとなる。セキュリティ上の脆弱性に対処するのは、1つのシステムだけでも楽な仕事ではないのだから。

Mac版のMicrosoft Defender ATPの発売に加えて、同社はこのサービスで使えるようになる、新たな脅威および脆弱性管理機能の導入も発表した。すでにここ数ヶ月で、Microsoftは、いくつかの新機能を導入していた。企業がセキュリティ上の脅威を予防的に監視し、特定するのを補助するものだ。

「最近、顧客から聞くのは、環境はますます複雑になり、検出される警告の量は、もはや手に負えないものになりつつある、ということなのです」と、Spataro氏は明かす。「これらをすべて解析して、何をすべきか判断するために必要な、何千人もの人員を雇うための予算はまったくないでしょう」。

Microsoftでは、この新しいツールを、自社の機械学習機能と組み合わせ、スレッドの優先順位を決定して顧客に提示し、さらに改善している。

Spataro氏によれば、今回の発表は、Microsoftとしてこれまでにはなかったほど、徐々にセキュリティ企業に変貌しつつあるという事実に行き着くものだろう。「私たちは、みなさんが気付いているより、はるかに大幅な進歩を遂げたと考えています」と、彼は言う。「それは市場の動きに呼応したものなのです」。彼によれば、長いこと顧客から、Microsoftに端末の保護を手助けして欲しいと、要望されてきたという。 顧客も、今やMicrosoftが、Windows中心から、個人中心のアプローチに移行しつつあることに気付いていて、顧客のシステムを広範囲に保護してくれることに期待している、というのだ。そして同時にMicrosoftは、ユーザーから得られる何十億ものシグナルを活用して、顧客を予防的に支援することが可能になると認識している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Xbox One Sのディスクなしモデルが5月に登場か

物理メディアが消える兆しは以前からあった。そして来る5月、Microsoft(マイクロソフト)は「Xbox One S All-Digital(XOSAD)」の発売によって、とどめを刺そうとしている。報道の通りなら、最新のコンソールではBlu-rayドライブがダウンロード体験で置き換えられる。

XOSADの噂は去年から出回っていた。当時はまだトップガンの続編タイトルから「Marverick」と呼ばれていた。Windows Centralの最新レポートに、システムの詳細とともに発売日の予想が5月7日と書かれているが、これは当初の報道とおおむね一致している。

システムには1TBのストレージがついてくると言われており、それならディスク離れの進むプレイヤーにも十分な容量だろう。製品にはMinecraft、Forza Horizaon 3、Sea of Thievesなどいくつかダウンロードコードが付属するらしい。

ディスクドライブがないことを別として、新システムの外観は通常のOne Sと大きくは変わらない。価格は先行機種より安くなることが予想される。これは、Microsoftがゲームから物理メディアを引き離そうとする大きな動きの一環だ。さらにはXbox Game Passのようなデジタルファーストなサービスも入ってきている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトの「Windows Virtual Desktop」は複数のWindows 10セッションを動かせる

昨年マイクロソフトは同社の仮想デスクトップサービスWindows Virtual Desktop発表した。そのときは非公開プレビューだったが、しかし米国時間3月20日からは、エンタープライズユーザーなら誰でも、Azureのクラウドでホストされる仮想のWindows 10デスクトップがどんなものか試すことができる。

ただしこれは、あくまでも企業のためのプロダクトである。クラウドのどこかにある仮想マシンの上でApex Legends(エーペックスレジェンズ)をプレイするために、使うものではない。このようなサービスのねらいは、エンタープライズがマシンやソフトウェアの管理で苦労することなく、サービスに含まれているOffice 365 ProPlusなどを使えることにある。また規制の厳しい業種では、外回りの社員にセキュリティ完備の仮想デスクトップを使わせて、データの安全を保持できる。

ちょっとすごいのは、ひとつの仮想マシン上で複数のWindows 10セッションを動かせることだ。

なお、このサービスの機能の多くは、マイクロソフトが昨年買収したFSLogixの技術に負っている。具体的にはたとえば、これらの技術によって、ちょこっと短時間使うようなユーザーに、OutlookやOneDriveなどのアプリケーションへの比較的速いアクセスを与える。

Microsoft 365のエンタープライズ顧客にとってこのサービスは、すでに料金を払っているサブスクリプションに含まれている場合が多いが、Azureのサブスクリプションは別途必要になり、クラウドで動く仮想マシンにお金を払うことになるだろう。

目下このサービスは、AzureのUS East 2とUS Centraのリージョンでしか利用できない。でもプレビューが終わったら、サービスの利用域は全リージョンに拡大するだろう。

関連記事: Microsoft’s new Windows Virtual Desktop lets you run Windows 10 in the cloud(昨年秋のWindows Virtual Desktopの発表、未訳)

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Windows 7セキュリティアップデートの終了期限をマイクロソフトが通達

マイクロソフトがWindows 7のユーザーに、セキュリティアップデートがもうすぐ終わると警告するパッチを発行した。

米国時間3月20日に展開されたそのパッチは、2020年1月14日以降セキュリティの欠陥や脆弱性に対する修復を提供しない、と警告している。その期限はWindows 7が2009年にデビューしてから10年あまりとなり、マイクロソフトの最新のオペレーティングシステムであるWindows 10よりも10年以上前、ということになる。

マイクロソフトはセキュリティアップデートをやめることによってユーザーを、セキュリティが改善されて攻撃されにくくなった最新のソフトウェアに押しこもうとしている。

4月18日からWindows 7のユーザーは、迫り来る切り離しに関する警告を受け取るようになる。

Net Applicationsによると、Windows 7は今でも、デスクトップ市場の40%を支配している。その期限の正確に300日前から、消費者のセキュリティサポートの上では時計が残り時間を数え始める。

エンタープライズの顧客向けには、2023年までセキュリティアップデートを延長するオプションがある。

数年前からマイクロソフトは、Windows 7のユーザーにWindows 10への無料のアップデートを提供してユーザーの成長とアップグレードを奨励してきた。その特待制度がなくなれば、あとはセキュリティアップデートの不在が待ち構えているだけであり、企業のデータとシステムはサイバー攻撃のリスクにさらされることになる。

マイクロソフトが寿命の終わったソフトウェアにパッチを発行することは、きわめて珍しい。2017年には3年前に引退したWindows XPに対して、その珍しいセキュリティパッチがリリースされた。それはランサムウェアWannaCryの拡散を防ぐためであり、国家安全保障局(NSA)が開発したハッキングツールがリークして、ランサムウェアはそれに乗っかる形で広まっていた。

ランサムウェアの大発生により、学校や企業や病院などがオフラインになった。

Windows 7の後継システムWindows 8は、2023年1月10日まで継続的にアップデートを受け取る。

関連記事: サイバーセキュリティ強化のためにチェックすべきトップ5

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Slackに対抗するMicrosoft Teamsは50万社以上のユーザーを獲得

マイクロソフトのOffice 365のコンポーネントのひとつでコラボレーションプラットフォームのMicrosoft Teamsは、登場以来約2年で大きな数字を達成した。Teamsは、Office 365を使って仕事をする人々をそのエコシステムの中にとどめる役割を持っている。

マイクロソフトは米国時間3月19日、50万社以上がTeamsを使っていると発表した。ユーザーの総数は発表されていないが、50万社のうち150社には1万人以上のユーザーがいて、その150社だけで150万人を大幅に超えるとしている。

この発表と同時に、マイクロソフトはTeamsにこれから搭載される新機能の数々も明らかにした。これまで以上に多くのマイクロソフトのツールとネイティブに統合することで、Teamsの機能は増え、より幅広く使えるようになるという。

同社ワークプレイスコラボレーションのゼネラルマネージャー、Lori Wright氏はインタビューでこう語っている。「職場の厳密な階級組織は変化し、インクルーシブで透明な環境になってきています。私たちはこうした傾向は世界中で起きていると見ていて、このことがテクノロジーを新しい形へと向かわせています」

実際、新たに搭載される機能はインクルージョンの傾向とユーザーに応じてプラットフォームをよりパーソナライズすることに対応したものだ。新機能には、背景のカスタマイズや、コンテンツを撮影してテキストよりも効果的なやりとりをするためのカメラのサポートなどがある。また、プレゼンテーションを作成したり取り込んだりして手書きで書き込めるMicrosoft Whiteboardも統合される見通しだ。

ほかには、聴覚に障がいがある人やオーディオを使えないまたは聞けない人に役立つライブキャプションが追加される。またセキュリティ面では、プライベートチャットをするためのセキュアチャネル、コンプライアンスを実践しチャネル間の潜在的なコンフリクトを防ぐための「情報障壁」、機密情報を共有できないようにしてデータ損失を防ぐスクリーニング機能も追加される。

そしてライブイベントもサポートされ、ユーザーはTeams上で最大1万人に向けてブロードキャストをすることができるようになる(参加者はTeamsのユーザーとして登録されている必要はない)。

このように、Teamsは数々の重要なアップデートを予定している。マイクロソフトはTeamsをSlackのような「ナレッジワーカー」向けの製品として登場させたが、その後はフロントラインからバックオフィスまであらゆる社員が活用できるような包括的なアプローチを強調している。

Slackが特に優れている部分として他社製アプリとの統合があるが、マイクロソフトの今回の発表ではTeamsに統合できるアプリの数はアップデートされていない。しかし同社は、すでにOffice 365を使っている1億5,500万のユーザーが最終的にはTeamsも使うようになることに重きを置いている。Wright氏は「マイクロソフトのサービスをできるだけ多く利用し、サービスや構造の情報を活用するためにMicrosoft Graphも取り入れています」と語っている。

マイクロソフトはコラボレーションの分野で他社に遅れをとっているが、ユーザー数の伸びは目覚ましい。Facebookは2月に、Slackの競合製品であるWorkplaceのユーザーが200万人を超え、その中にはユーザー数が1万人を超える企業が150社あると発表した。一方、Slackは1月に、1日のアクティブユーザーは1,000万人以上で、Slackのプラットフォームを使っている組織の数は85,000にのぼると発表した。

注目すべきこととして、Slackは米国時間3月18日にエンタープライズに訴求するタイムリーな発表をしている。Slackはエンタープライズの顧客に対し暗号キーへのアクセスを許可するというものだ。これはエンタープライズの分野でビジネスを成功させるために重要な要素だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトがクラウド用データ圧縮アルゴリズムとハードウェアをオープンソース化

現在、大手のクラウドコンピューティングのプロバイダが保管しているデータ量は驚愕すべきレベルに達している。そのため、ほとんどの場合、情報はなんらかの方法によって圧縮された状態で保存されているはずだ。それはフロッピーやCD-ROM、低速通信の時代に、ユーザー自身がファイルをzip圧縮していたのと同じようなもの。通常、そのようなシステムは、厳重に秘密のベールで守られている。しかし米国時間3月14日、Microsoft(マイクロソフト)はAzureクラウドで実際に使われている圧縮アルゴリズム、ハードウェア仕様、そしてその回路図を記述するVerilogのソースコードをオープンソース化した。それらすべてをOpen Compute Project(OCP)に寄託したのだ。

Project ZiplineとMicrosoftが呼ぶこのプロジェクトでは、標準的なZlib-L4 64KBモデルと比較して、2倍もの高圧縮率を達成することができる。それを実現するため、Microsoftが実際にクラウド内で扱っている大きなデータセットの性質に合わせて、アルゴリズムと、そのハードウェア実装を念入りにチューンしてある。この仕組みは、システムレベルで動作するため、実質的なオーバーヘッドはない。Microsoftによれば、現在利用可能な他のアルゴリズムと比べても、実際に高いスループットと低いレイテンシを実現できているという。

Microsoftは、これらすべてを機能させるために必要な、レジスタ転送言語(RTL)用のVerilogソースコードも寄託している点を力説する。「これだけ詳細なレベルでRTLをオープンソースとしてOCPに寄託するのは、業界を先導するものです」と、Azureハードウェアインフラストラクチャのゼネラルマネージャ、Kushagra Vaid氏は述べる。「OCPのエコシステム内の新技術に関するスムーズなコラボレーションを推進し、シリコンレベルのハードウェア革新への扉を開く、新たな先例となるものです」。

Microsoftは現在、このシステムを自らのAzureクラウドで使用しているが、Open Compute Projectに参加する他社との提携も始めている。 そうしたパートナーとしては、Intel、AMD、Ampere、Arm、Marvell、SiFive、Broadcom、Fungible、Mellanox、NGD System、Pure Storage、Synopsys、それにCadenceが挙げられる。

「そのうちに、Project Ziplineの圧縮技術が、さまざまな市場セグメントに浸透するものと期待しています。ネットワークデータ処理、スマートSSD、アーカイブシステム、クラウドアプライアンス、汎用マイクロプロセッサ、IoT、エッジデバイスなど、幅広い用途が考えられます」と、Vaid氏は述べている。

画像クレジット:JLPH/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米議会に超党派で提出、顔認識技術の商業的利用を監視監督する法案

米国時間3月14日、米ハワイ州選出のBrian Schatz上院議員(民主党)とミズーリ州選出のRoy Blunt上院議員(共和党)が、顔認識技術の商用利用を監視監督する法律の法案を提出した。Commercial Facial Recognition Privacy Act(商用顔認識プライバシー法)と名付けられたその法律は、顔認識を使用している企業がそのことを消費者に知らせる義務と、企業がユーザーの同意なく顔認識データをサードパーティと自由に共有することに対する制限を定めている。

Blunt上院議員は法案についてこう説明している。「消費者は自分のデータがどのように集められ利用されているかについて、ますます心配している。それらのデータには、顔認識技術で集められたデータも含まれる。そのため、今後のこの技術の開発に対してガードレールを設け、責任ある実装が為されるようにしていく必要がある」。

マイクロソフトは、この超党派的法案を支持している。それは、顔認識技術に対する同社の規制方針にも合致している。マイクロソフトの社長Brad Smith氏は、December誌でこう述べている。「この技術を規制する法律の採択を政府が2019年に開始することが重要、とわれわれは考えている。今ならまだ、顔認識という霊鬼が瓶から飛び出したばかりの段階だ」。

The Hill誌の指摘によると、この法案にはマイクロソフトが前に言及していた警察による顔認識技術の使用に関する条項が含まれていない。例えば、特定個人の監視には裁判所命令を要するといった制限条項。代わりに法案が重視しているのは、顔認識技術の商業的利用がもたらすリスクだ。顔認識技術に対する法制は今年から、マイクロソフトの本社がある州では州レベルでも進んでいて、同社はそれを支持している。

Schatz上院議員は法案についてこう述べている。「顔は人間のアイデンティティであり、個人のものだ。だから顔を追跡したり分析しようとする企業には、事前に許可を求める責任がある。われわれの法案は、企業が顔認識技術を使ってデータをシェアするとき、人びとが事前に確実にその情報を知り、もっと重要なこととしては、そのやり方を人びとがコントロールできるようにするものだ」。

法案の去就はともかくとして、これを見るとこの技術に対する、議会による規制の基調のようなものが分かる。マイクロソフトの関与からもわかるように、顔認識技術に対しては一般社会からの関心も濃密だから、企業は法律ができる前に法案作成の段階から積極的に関わっていくべきではないか。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Xbox LiveにAndroidやiOSからも参加できるGame Stack、マイクロソフトがゲーム関連ツールを統合

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間3月14日、同社のゲームに関するすべての製品を1つの傘下に収める新たな戦略を発表した。そこには、Xbox Live、Azure PlayFab、Direct X、Mixer、Virtual Studio、Simplygon、そしてAzureが含まれる。それはMicrosoft Game Stackと名付けられ、業界トップのスタジオにいるデベロッパーから、個人で仕事をしていデベロッパーまで、規模には関係なく必要な開発ツールを提供する。そうして開発されたゲームは、さまざまなデバイス、プラットフォーム上で動作することになる。

「Game Stackは、Direct XやVisual Studio、Azure、PlayFabといったゲーム開発プラットフォーム、ツール、サービスを、あらゆるゲーム開発者が利用できる堅牢なエコシステムに統合します」と、Microsoft Gaming Cloud担当の副社長のKareem Choudhry氏は述べた。「これはまだ始まったばかりの旅だと考えています」。

開発者が、利用したいサービスを自由に選ぶことができる、という点は注目に値する。例えば、Game StackにはAzureも含まれているものの、全体としては特定のクラウドサービスやデバイスに依存することはない。とはいえ、Microsoftとしてはデベロッパーが優先的にAzureを採用してくれることを望んでいるのは間違いない。つまるところ、最近のゲームのほとんどは、何らかのオンラインコンポーネントを含んでいる。それがマルチプレイヤーをサポートするゲームでないとしても、プレーヤーのアカウント、ゲームのパフォーマンスデータ、その他の情報を保存しておく場所を必要とするからだ。

Game Stackの中心的なコンポーネントとなるのがPlayFabだ。これはクラウドに接続するゲームを開発するためのバックエンドサービスで、これもAzureファミリーの一員に加えられた。Microsoftがこのサービスを買収したのは、去年の初めの頃のことだった。注目すべきは、それがメジャーなすべてのゲームプラットフォームをサポートしているということ。Xboxはもちろん、PlayStation、Nintendo Switch、さらにはiOS、Android、PC、そしてウェブまでを含む。

今日の発表に合わせて、Microsoftは、いくつかの新しいPlayFabのサービスを開始した。その中には、PlayFab Matchmakingも含まれている。これは、Xbox Liveのマッチメイキング機能を移植したもの。これにより、あらゆるデバイス用のゲーム開発で、すべてのデベロッパーが利用できるようになった。このサービスは、現在公開プレビュー中だが、プライベートプレビューとなっているものにも、以下のようなサービスがある。まずPlayFab Partyは、ボイスチャットにも対応したチャットサービスで、これもXbox Party Chatを元にしたもの。次にPlayFab Insightsは、リアルタイムのゲームのパフォーマンスを遠隔測定する。またPlayFab PubSubは、プレーヤーに対してゲームのアップデート、通知、その他の情報をプッシュする。そしてPlayFab User Generated Contentは、プレイヤー自身が作成したコンテンツを、他のユーザーと安全に共有できるようにする。これは、Minecraftマーケットプレイス用の技術を応用したものだ。

Game Stackは、単なるブランディングに過ぎないと感じられるかもしれない。しかし、AmazonGoogleに対抗するため、MicrosoftがPlayFabに多額の資金を注ぎ込んでいるのは明らかだ。それらのライバルも、最近、ゲームのデベロッパーをかなり重視する姿勢を示している。

以上の発表に加えて、Microsoftは今日、さらにXbox Live用のSDKを、iOSとAndroidデバイス向けに提供することも明らかにした。それにより、デベロッパーはXbox Liveのアカウントやコミュニティサービスを、これらのプラットフォーム上のゲームに組み込むことも可能となった。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Xbox OneのゲームをAndroidからストリーミングでプレーできるProject xCloud

マイクロソフトがProject xCloudに関するこれまで以上の情報と、最初の紹介ビデオをシェアした。同社はこのところ、クラウドから提供するゲームストリーミングサービスを開発していた。マイクロソフトが作ろうとしている未来のゲームプラットホームとは、Xbox One用に作られたゲームをストリーミングする、どんなデバイスからでも遊べるサービスだ。

そしてその最初のデモでは、データセンターで動いているくForza Horizon 4(フォルツァホライゾン4)がAndroidスマートフォンへストリーミングされる。ゲームのコントローラーは、Xbox OneのものをBluetoothでAndroidスマホに接続して使う。

マイクロソフトでクラウドゲームを率いるKareem Choudhry氏が、上のビデオで言っている。「ネットワークの状態さえ良ければ、どこからでもProject xCloudに参加できる」。Forza Horizon 4はネットワークの性能などの要求が厳しいゲームで、Androidスマートフォンは小さなデバイスだから、ほどほどの環境でもプレイできるということだろう。

Choudhry氏は、Project xCloudを音楽ストリーミングサービスやビデオストリーミングサービスにたとえる。例えばSpotifyのアカウントがあれば、どんなデバイスからでもログインできる。スマートフォンでも、パソコンやラップトップでも、同じミュージックライブラリを見つけて自分の個人的プレイリストを再生できる。「Project xCloudもそれと同じだ」と。

あるいは、Xboxブランドのサービスにどんなデバイスからでもアクセスできる、と考えてもよい。あなたのコンピューターのGPUがIntelのプロセッサーに最初から統合されている最低限の性能のやつであっても、そんなコンピューターからリソース要求の厳しいゲームにログインしてプレイできる。何もかも、あなたのコンピューターの上ではなく、お近くのデータセンターで動くのだから。

Project xCloudはマイクロソフトの既存のゲームサービスと互換性がある。同じゲームにどっちからアクセスしても、デベロッパーは何もする必要がない。あなたはクラウドサービスにアクセスし、友だちと対戦できる。なにもかも、実際にXboxやパソコン上のXboxアプリを使っていたときと同じだ。

XboxやXbox 360、Xbox Oneなどを買った人たち向けには、今後新しいXboxコンソールが発売される。ゲームをクラウドから提供する、とは言っても、Choudhry氏によると、マイクロソフトはコンソール(ゲーム機)ビジネスを捨てない。

クラウドゲームは、ほかの企業もやっている。中でも将来性ありとされているのが、フランスのShadowだ。Shadowのユーザーは、Windows 10のデータセンターで動いているインスタンスにアクセスする。

マイクロソフトは、技術にコンテンツを結び付けたい。すでに、サブスクリプションサービスはある。そのXbox Game Passと呼ばれるサービスでは、月額10ドルでXbox OneとXbox 360のゲームをプレイできる。今年後半に同社が公開試用を始めたときには、Project xCloudとXbox Game Passが統合されているだろうか。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトのHoloLens 2を実機テスト、やはりすごかった

今週、マイクロソフト(Microsoft)はバルセロナのMWCでプレスカンファレンスを開催し、混合現実ヘッドセット、HoloLensの新しいバージョン発表した。Microsoftが2015年に最初のデモを公開したとき、「こんなことができるわけがない。フェイクに違いない」と疑った専門家さえいた。たしかにリアルタイム・トラッキング、ジェスチャー認識、(当時としては)高精細度ディスプレイをスタンドアローンのパッケージにまとめるのは困難な事業で、それまで誰もこうしたプロダクトを見たことがなかった。

次世代プロダクトが発表されるまで4年もかかったわけだが、これはMicrosoftがユーザー、デベロッパーからのフィードバックを慎重に検討して方向性を決めようとしていたからだろう。Microsoftがアップデートを急ぐ必要を感じなかったのは事実上ライバルがいなかったせいもある(例外はMagic Leapかもしれないが、このプロダクトは依然としてごく初期段階にある)。

私はMWCでHoloLens2の実機をテストする機会があった。初代HoloLensに大きなショックを受けたが、新バージョンは、さまざまな意味でオリジナルの自然な進化と感じられた。つまり、装着したときの快適性は向上し、狭かった視野は十分に広くなった。操作性、対話性も改善され、アプリの使い勝手も大きくアップした。ハードウェアの現代のスペックも適合する水準に引き上げられている。

新バージョンをテストするとまず気付くのは、立体視に重要となる両目の間隔の測定とカリブレーションが自動的に行われることだ。これは簡単に言えばミニゲームのようなもので、小さな光点が動き回るのを目で追うだけでいい。すると視線トラッキング・システムがユーザーがどこを見ているかを認識し、システムを調整する。このプロセスが終わると、小さい仮想ハチドリが現れてユーザーの手に着地する。ユーザーはここで新しいHoleLensの視野の広さを実感するかもしれない。この鳥の位置では初代のHoloLens 1の小さな視野には収まらなかったはずだ。

念のために言っておくが、HoloLens 2の体験はMicrosoftのビデオが信じさせようとしているレベルにはまだ達していない。 たとえばARイメージは唐突に現れ、突然消える。しかし視野が十分広くなっているので依然ほど煩わしくは感じない。解像度のスペックは初代とほぼ同じで、私には差は感じられなかった。

もうひとつ、HoloLens2を装着してですぐに気付くのは快適性だ。この点ではMicrosoftの主張は単なる宣伝ではなかった。初代製品は頭を締め付ける感覚があった。その上、私の場合、ともすればずり落ちてきた。デバイスを被っていることを常時意識させる重量もあった。新製品も頭の後ろで小さなノブを回して頭に締めつけるのだが、はるかに快適に感じる。実際の重量は数グラム軽くなっただけだが、重量配分や装着部分が改善されたのだろう。ユーザーが眼鏡をかけていても、デバイスの重量は鼻にはかかっていないので、圧力が増えて不快な思いをする心配はない。

さらに大きな違いは、HoloLens 2は簡単にフリップアップできることだ。つまり本当のバイザーになっている。ユーザーはHoloLensを通して外界を見るわけだが、必要があれば顔の前から跳ね上げておくことができる。

新しいHoloLensをテストすると、すぐにメニュー、ボタン、スライダーに出くわすことになる。初代バージョンでは、手の動きのトラッキングは十分ではなく、デバイスとの対話方法として自然に感じられなかった。HoloLens 1では認識を確実にするために特別なジェスチャーを使う必要があった。新バージョンではスマートフォンと同様に仮想アイコンをタップできる。スライダーが表示されたらつかんで動かすことができる。MWCで紹介されたMicrosoftのデモ・アプリケーションではこうした操作がうまく利用されている。

またマーケティング戦略上の違いもあった。今回、MicrosoftはHoloLens 2がビジネスユーザー向けであることを明確に述べた。すべてのデモはそうしたユースケースを考えている。ユーザーが壁を突き抜けてきたエイリアンを射ったり、リビングのテーブルの上で仮想Minecraftをプレイするような時代は終わった。MicrosoftのD365混合現実アプリ担当マネージャーの Lorraine Bardeen氏が私のインタビューに答えて語ったところでは、最初のバージョンでは確かにMicrosoftは多様な実験を歓迎した。しかしすでにHoloLensが適するユースケースは明確になっている。

Bardeen氏は「たしかに私たちは当初、『これを使ってなんでもできる』と言いました」と述べた。 しかしHoloLens 1の出荷が始まると「箱のフタを開けたらすぐに特定の業務に役立つ」ような製品を望むユーザーが多いことが判明した。もっともその一方でHoloLensをカスタマイズ可能なオープンなシステムにしておくという約束も守っている。したがってゲーム・デベロッパーがそう望むなら、HoloLens向けゲームを開発したり既存のゲームを移植したりすることは可能だ。

とはいえ、3500ドルからというユニット価格を考えれば、これは明らかにコンシューマー向けデバイスではない。HoloLens 2に人気ゲームが登場することは当分期待しないほうがいいだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

HoloLensの軍用利用に関する5億ドルの政府契約事業、マイクロソフトCEOは擁護

マイクロソフト(Microsoft)に、同社の拡張現実技術「HoloLens」を米陸軍に納める5億ドルの政府契約を反故にする気はない。

CNNのインタビューでマイクロソフトのCEO サティア・ナデラ(Satya Nadella)氏はこう言っている。「わが社は、自分たちが今エンジョイしている自由を護るために民主主義に基づいて選んだ諸機関に対しては、技術の供与を拒否しない、という道義的意思決定を行った。その意思決定に関してわが社はきわめて透明であり、(反戦的な)社員たちとの対話も継続していく」。

関連記事: Group of employees calls for end to Microsoft’s $480M HoloLens military contract…Microsoft社員グループがHoloLensの軍用契約に反対(未訳)

現在200名あまりの社員が総額4億7900万ドルの政府契約の廃棄を求める経営陣に対する書簡に署名しているが、それに応じないとするCEOのこの言い分はまったく意外ではない。マイクロソフトは以前、政府の契約事業の遂行に関する社内精査を行っている。それに基づいて今回はまだ新しいAR技術が、テクノロジーの力で戦闘の最前線における米軍の殺傷能力を強化する、と称する契約事業に利用されることになった。

米国時間2月22日、社員グループから上層部に送られた書簡は、その4億7900万ドルの軍用契約の停止を求めている。グループの主張によれば、書簡に署名したマイクロソフト社員は200名を超えている。

「入社時の契約業務内容に武器の開発はなかった。自分の仕事の使われ方に関しては、自分に発言権がある」と書簡に書かれている。

その書簡の発表の数日前には、同社はあるイベントで、同社の拡張現実技術の進歩を強調した。

関連記事: Microsoftが大きく改良されたHoloLens 2を発表

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MWC開幕、Microsoftが大きく改良されたHoloLens 2を発表

今日(米国時間2/24)、スペインのパルセロナで開幕したMWCでMicrosoftはHoloLens 2発表した。 HoloLens 2はMicrosoftの最新版のMR(混合現実)ヘッドセットで、視野は2倍に拡大され、画面精細度、操作性ともにアップしているという。Microsoftによれば「快適性は3倍になった」ということだ(ただしMicrosoftの測定の基準ははっきりしない)。

今年後半、HoloLens 2はアメリカ、日本、中国、ドイツ、カナダ、イギリス、アイルランド、フランス、オーストラリア、ニュージーランドの各国で販売される。予定価格は3500ドル。

現行HoloLensの問題の1つは、視野が狭いことだった。見たいものが正面にあってあまり大きくない場合はHoloLensが生む効果は素晴らしい。しかし顔を少し動かしたり、大きな対象を見ようとすると、ディスプレイが切手くらいのサイズしかないことに気付く。今回発表されたHoloLens 2は、オリジナルの2倍の視野があるという。今日のキーノートでHoloLensの開発責任者、Alex Kipmanはデバイスの発達の歴史を振り返ってこう述べている。

Kinectは家庭に入ることができkた最初のスマート装置でした。これがMicrosoftにHoloLensを作成させたのです。 […]ここ数年、デベロッパー、企業、スタートアップはすべて何かはビューティフルであると同時に役立つプロダクトを作ろうと努力してきました。

その結果の一つがHoloLensだったわけだ。これはソフトウェアとハードウェアが一体となって機能するプロダクトだ。 HoloLensのために、MicrosoftはWindowsのカスマイズ版を開発すると同時に、オブジェクトを見つめて人差し指でタップするエアータップや手をつぼみ型にして開くブルームのようなHoloLens特有のジェスチャーを利用してARオブジェクトと対話する新しい仕組みを開発した。HoloLens 2ではインタラクションがさらに自然になり、オブジェクトを簡単にタップできる。ヘッドセットの視線トラッキング機能も改良され、システムはユーザーが見つめている場所を正確に知ることができるようになった

Kipmanは「HoloLens 2はユーザーに適応します。 われわれは進化したインタラクションのモデルを構築することとによりユーザーがホログラムと対話する能力を大幅に向上させました」と強調する。

デモではスライダー操作などによりHoloLensアプリケーションの操作がいかに自然かつ高速になったかの説明に力を入れていた。たとえばスライダーは指のタップで呼び出し、レバーをつかんで動かすことができる。Microsoftトでは、HoloLensがきわめて高精度で指の動きをトラッキングできることを示すために10本の指で演奏できるバーチャル・ピアノを作成した。同社はこれを「もっとも直感的対話性」と呼んでいいる。’

HoloLensのプロトタイプが最初の発表は2015年レッドモンドの本社キャンパスで開催されたMicrosoftのサプライズイベントだった。MWC 2016が終了して数日後に招待のみで開催されたイベンドで実機が紹介され、8月に発売された。 つまり新しいハードウェアのリリースまでに4年かかったことになる。これは長い時間だが、MicrosoftとしてはHololensの開発にデベロッパーを呼び込むためにプラットフォームの安定を優先したのだろう。

またMicrosoftは今日、デベロッパーをサポートするために、MicrosoftはAzureのHoloLens向けサービスを多数発表した。 これには、空間アンカーやハイポリゴンのコンテンツをHoloLensにストリーミング配信するのに役立つリモート・レンダリングなどが含まれる。

重要なのはMicrosoftがHoloLensをコンシューマー向け製品として位置づけたことはない点だ。なるほどTechCrunchはHoloLens上のゲームを紹介したこともあるが、このプロダクトの焦点はあくまでビジネス、教育関連のアプリケーションにある。この傾向は新製品でも変わっていない。たえば医療アプリケーションのデモで複数のユーザーが1つのホログラムに対して共同作業を行うことができることを示した。この機能は新製品で実装されたわけではないが、MicrosoftがHoleLensテクノロジをどのように位置づけているかを示していると思う。

エンタープライズ向けアプリケーションではデバイスの機能をカスタマイズできるオプションも提供される。

MicrosoftのCEO、サティア・ナデラ「世界に対するわれわれの見方を変えることは実際に世界を変えることになる」と4年前のHoloLens発表の際のスピーチを引用した。ナデラは「現実世界と仮想世界を一体化することがわれわれの働き方を変えると信じている」と述べた。

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滑川海彦@Facebook Google+

MWCでの発表を控えてMicrosoftからHoloLens 2のティーザービデオ

バルセロナで今月下旬に開催されるMWC(Mobile World Congress)で発表予定の製品でいちばん注目を集めているのはスマートフォンではない。Microsoftの次世代HoloLensヘッドセットだ。発表は2月24日(米国時間)と予告されている。Microsoftはさらに話題を盛り上げようとして予告ビデオを公開した。

実際、このビデオに内容はあまりない。ぼんやりとチップのようなものが写り、ケーブルがうねり、氷が溶けかける。そういったイメージが連続する。具体的情報を明かしたくない場合に大企業が製作するティーザーの典型だ。

しかし重要なのはビデオの内容よりもこのビデオの背後に誰がいるかだろう。このビデオを公開したMicrosoftのテクニカル・フェロー、Alex Kipmanは初代HoloLens開発のキーパーソンだ。つまりHololens 2を予告する最適任者ということになる。現行ヘッドセットは拡張/複合現実のブームに先駆け過ぎていたきらいがあった。しかし今やARはテクノロジー企業がこぞって力を入れる分野になっている。第2世代のHololensを発表するには理想的な環境だ。

報道によればこのヘッドセットにはQualcomm 850と新しい運動センセーが搭載される。また価格も引き下げられ、小型化されるという。これによってMicrosoftは拡張現実分野のリーダーの位置を確立することを狙っているようだ。

MWC 2019についてのわれわれの予想はこちら.。

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滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftが双子のCMでOffice 2019をけなしまくった理由

今日(米国時間2/6)、Microsoftは新しいOffice生産性ツールのキャンペーンを開始した。それだけなら特にわれわれの興味を引くようなニュースではない。しかし今回は意表を突いたCMだった。

単にWordやExcelの新機能を強調したのではなく、クラウドのOffice 365とパッケージのOffice 2019を比較してみせた(機能自体は同一であることを強調するためにCMでは双子の兄弟を起用している)。しかしMicrosoftはこの比較でOffice 2019をけなしまくっていた。

その理由ははっきりしている。Office 365はサブスクリプションでOffice 2019は売り切りのライセンスだ。つまり売上は販売の時点で1回しか発生しない。サブスクリプションであればユーザーは契約期間中継続的に料金を支払う。Microsoftは長期的な経営ビジョンに基づいてクラウド化、サブスクリプション化を強力に進めている。OfficeからWindows、セキュリティー、モバイル・アプリまで同社の多数のプロダクトをパッケージにしてサブスクリプションで提供するMicrosoft 365をスタートさせたのがよい例だろう。

長年、売り切りのOfficeは毎年1回しかアップデートされてこなかった。Office 365の登場でこれが根本的に変わった。Office 365は常にアップデートされるだけでなく、多様なAIベースのツールを始め、その時点でMicrosoftが提供するあらゆるオンライン機能を利用できる。CMはOffice 2019がそのような機能を欠いていることを描いている。

Office 365のサブスクリプション料金は個人の場合年額70ドルから、企業の場合、1アカウントごとに月額8.25ドルからだ。Office Home、Businessのパッケージは250ドルとなっている。

新しいCMで双子 俳優 はExcel、Wordなどで各種のタスクに挑戦する。当然ながらOffice 365は圧倒的な差をつけてOffice 2019を打ち破る。正直このCMの出来栄えにはあまり感心しない点(もちろn2009年に作曲ソフトのSongsmithのCMが大炎上したのに比べればずっと上出来だ)。ともかくユーザーにOffice 2019を買わせたくないことはよくわかる。MicrosoftはOffice 365をサブスクリプションしてもらいたいのだ。Office 2019の次のアップデートは2025年くらいになるかもしれない。

(日本版)日本のOffice 365サイトによれば、年間契約の場合、個人は月額900縁、ビジネス・プレミアムは1ユーザー月額1360円などとなっている。

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今日でCEO就任満5年、サティヤ・ナデラがMicrosoftの企業文化を一変させた秘密

5年前の今日、サティヤ・ナデラがMicrosoftのCEOに就任し、以後ほとんどあらゆる面で成功を収めてきた。CEOのパフォーマンスを見るには株価の推移 を取り上げるのが一般的だ。ナデラは株価をアップさせた以上にMicrosoftを根本的に改革した。しかしこの成果となると測定は難しいものとなっている。ナデラが改革したのは企業文化というさらに微妙なものだからだ

Microsoftでのナデラの任期は、たまたたま私(Ron Miller)がTechCrunchに参加したのと同時期だ。私は2014年の4月にTechCrunchに加わった。最初期の記事の一つはMicrosoftという巨大企業における根本的改革の困難さについて書いたものだった。この頃、前任のスティーブ・バルマー、ビル・ゲイツのコンビの時代には見られなかったサービス事業へのシフトがMicrosoftに起こり始めていることに私は気付いた。

ナデラCEO就任以降、5年間の株価の推移。資料:Yahoo Finance

ナデラが就任したのは、IT分野がMicrosoft、Oracle、IBMなどの巨大ベンダーが事業分野ごとにすべてのサービスを提供する一枚岩から、分散化に向けてシフトする時期だった。ユーザーはクラウドサービスを利用して、必要に応じてもっとも適するサービスを選択するようになった。

これは、全社を一元的に管理するIT部門から個別のチーム、ユーザーに主導権が移り初めていた。このITのコンシューマライゼーションという背景を考える必要がある。ナデラはこうした変化を正しく理解していた。

もちろんMicrosoftの戦略シフトはナデラの就任以前に始まっていたのだろう。しかしMicrosoft Corporationという巨艦の方向転換にはナデラのような新しいリーダーが必要だった。大小を問わず、企業には社内政治や特有のバイアスが存在する。Microsoftにもあったことは間違いないが、ナデラはこうした障害を乗り越えて全面的な組織改革を成功させた。その過程ではレイオフなどの痛みも経験した。2017年には数千人がMicrosoftを離れることになった。長年Microsoftを指揮してきたCOOのKevin TurnerやWindows及びデバイス部門のトップTerry Myersonも辞めた。

しかしMicrosoftはなにからなにまで24時間自社製品をユーザーに強制する会社であることを止め、マルチ・プラットフォームで広い範囲のパートナーと協力するようになった。就任1年後にナデラがどれだけ真剣であったかを示す出来事があった。MicrosoftとSalesforceは長年競争関係にあったにもかかわらずナデラはそれを脇に置いて、Salesforceの大規模なユーザー・カンファレンスであるDreamforceに登壇した。両社が長年にわたって激しく法廷で戦っていたことを考えると、非常に象徴的なジェスチャーだった。これはMicrosoftの新しい日であり、ナデラはそれを実証した。

この数年私は何度も引用しているが、ナデラのビジョンは協調だった。もちろん競争すべき場面では容赦なく競争する。しかしナデラは協調することに意味がある場面を見逃さなかった。ナデラの場合、すべては顧客メリットの面から判断したからそのようなことが可能だった。ナデラは「プラットフォームのベンダーであるわれわれにとって、顧客が抱えている真の問題点を解決するために幅広くパートナーと協調することが義務だ」と述べた。シェアを他人に渡すこともライバルに遅れを取ることもなかったが、本当に重要なのは顧客をハッピーにすることだと認識していた。

ナデラ以前の時代にはプラットフォーマーとデベロッパーの間では協調の精神が乏しかった。そうすることが利益であってもリソースを共有したり共同で開発を行ったりすることはほとんどなかった。ナデラの大きな功績の一つはこうした敵対的な空気を一掃したことだろう。

この点は非常に重要だ。ナデラがDreamforceのキーノートで述べたように、クラウド化の時代ではベンダーが協調することがユーザーの利益になるからだ。ユーザーがクラウドを活用するためにはAPIが公開されていなければならない。またプラットフォームはデベロッパーの開発作業が容易なものでなければならない。ナデラのリーダーシップの下でMicrosoftはこうしたことを実現していった。

またMicrosoftはリアルタイム字幕機能や、足でも使えるようにカスタマイズ可能はXboxのアダプティブ・コントローラー などアクセシビリティ機能を重視するようになった。またアクセシビリティの強化のためにAIを利用する研究も進められた。今年のスーパーボウルCMでもMicrosoftはAIによるアクセシビリティ機能の充実を強調している。

ナデラのアグレッシブなM&A戦略も見逃せない。巨大な資金力を生かして、Microsoftは大小の企業の買収を進めた。特に目立ったのは 2016年にLinkedIn買収になんと262億ドルを投じたことだろう。また昨年、GitHubを75億ドルで買収したことも記憶に新しい。10億ドル以下の「小型」の買収も数えきれない。これらはセキュリティーやデベロッパー生産性、ゲーム、クラウド処理などでMicrosoftの既存プロダクトに欠けていたピースを埋めるものとなっている。

繰り返すが、こうした企業文化の根幹にかかわる改革をMicrosoftのような歴史ある巨大企業で実行することは非常に困難な事業だ。改革はまだ道半ばだろうが、これまでのところナデラは事前の予想を上回る成果を挙げている。株価の復調はこうした大規模な改革の成果を市場が認識し始めたことを意味する。しかし市場の反応はまた別に論じるべきだろう。ここではどんな巨大な企業だろうととリーダーシップが自己改革の要だということを指摘しておきたい。

画像:Stephen Brashear (Image has been modified)

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Apple、Mac App StoreにとうとうOffice 365を追加、サブスクリプション可能に

世界中で期せずして起きた拍手が聞こえるだろうか? 今日(米国時間1/24)、AppleはMac App StoreにMicrosoftのOffice 365を追加した。パッケージにはWord、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNoteが含まれる。

Appleのワールドワイド・デベロッパー・リレーションズのシニア・ディレクター、Shaan Prudenは「昨年われわれがApp Storeをリニューアルした際、アプリ内で課金を行うサブスクリプション・ベースのソフトウェアの登録を可能にする改革を行った」と述べた。サブスクリプションでの利用を基本とするOffice 365がMac App Storeに登録できないことがAppleとMicrosoftの協力関係を前進させる上で大きな障害となっていた。

「リニューアルではMicrosoftとの協力関係を念頭に置いた。 Office 365をMac App Storeから利用できるようにするためにサブスクリプションのサポートが必須だった」という。

MicrosoftのOffice 365担当コーポーレート・バイスプレジデントのJared Spataroは「MicrosoftはOffice 365を一連のソフトウェアをバンドルしたサブスクリプション・パッケージとして販売している。ユーザーが個別アプリのダウンロードとインストールをおこなう必要をなくし、プラットフォームによらず同一のユーザー体験を提供したいからだ」と説明している。

Mac上のPowerPoint: Apple

Spataroはまた「これまでMacユーザーはMicrosoft、またはサードパーティーのリテラーのサイトを訪問してOffice 365のサブスクリプション・パッケージを入手することができた。しかし今日のAppleの発表は365を含むサブスクリプション・アプリがMacの環境に一体化して組み込まれたことを意味する。これによりmacOSの標準的作法によってインストールもアップデートも行われることになった」とメリットを強調している。【略】

アメリカでのサブスクリプションのホーム版の価格は個人が年額69ドル、ファミリーが99ドルだ。ファミリー版の場合は同一家族のメンバーが最大6人まで利用できる。メンバーはそれぞれ1TBのストレージが利用可能だ。さらに365に加入した場合、Windows、MacのパソコンからiOS、Androidまで多数のデバイスで同一のユーザー体験が提供される。つまりどのプラットフォームでもファイルや設定が同一となる。

企業も法人向けOfficeバンドルをApp Storeで入手できる。IT管理者はApple Business Managerを使って全社のデバイスにアプリを配布することが可能だ。インストールが完了すれば、ホーム版同様、ユーザーはどのプラットフォーム、デバイスでも同一のユーザー体験が得られる。

Mac上のMicrosoft OneNote:Apple

従来からAppleとMicrosoftの関係は複雑だった。過去30年に渡って両社は競争と協力の双方を繰り返してきた。AppleもMicrosoftも詳細、ことに金銭的取り決めの内容は語りたがらないが、Appleのプラットフォームにおけるサブスクリプション収入の標準的分配割合では、初年度はAppleがホスティング手数料として30%、アプリ販売者が70%を得る。次年度以降の比率は15/85となる。

Appleによれば、Office 365は今後24時間以内に世界各地で利用可能になるという。この日を長く待っていたユーザーはあと1日くらいは喜んで待つだろう。

(日本版)Mac App StoreプレビューにはまだOffice 365は登録されていないもよう。365の提供方式は国によって多少異なる。こちらはMicrosoftの日本サイト

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Microsoft Code Jumperで視覚ハンディキャップ児童もプログラミングが可能に

教育システムのトレードショー、 BETTがロンドンで開催中だ。Microsoftはさきほど多数のプロダクトを発表したが、中でも興味あるのはCode Jumperだ。これは視覚にハンディキャップがある児童がプログラミングできるようにするデバイスでパソコンに接続して利用する。

Code JumperはMicrosoftが2017年に発表したProject Torinoの一環で、 イギリスMicrosoftのケンブリッジ・ラボが「物理的接触でプログラミングできる言語」の開発に取り組んでいる。これはレゴブロックのような部品を組み合わせることでプログラミングができるようにしようとするものだ。

Microsoftはプレスリリースで「子どもたちにプログラミングの初歩を教えるのにもっとも効果的なのはブロック・コーディングと呼ばれる手法だと発見したことからこのこのプロジェクトは始まっている。しかしブロック・コーディングにはアクセシビリティーにおいて改善すべき点があった。視覚にハンディキャップがある場合、スクリーン読み上げや拡大といった方法を用いても自分が何をしているのか理解することが難しかったからだ」と述べている。

Microsoftは視覚障害者の自立を支援するNPO、American Printing House for the Blindにテクノロジーと各種データを提供する。今年中に オーストラリア、カナダ、イギリス、アメリカでプロダクトは入手可能になる。その後、他の国にも拡大される予定だ。

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スマートフォンを葬り去る新しいVRスクリーン

スマートフォンの画面は驚異の世界だ。明るく、カラフル、シャープなだけではない。ある意味、それは人間の生体に匹敵するほどのものだ。小さな面積に、あれほど多くのピクセルを詰め込んであり、これ以上増やしても認識が追いつかないだろう。画面自体を大きくすることはできない。片手で持てなくなるからだ。スマートフォンの画面から、より多くの情報を得るための唯一の方法は、ピクセルをもっと目に近づけること。手で持つのではなく、何らかの方法で頭にデバイスを取り付ければいい。われわれが普通に思い浮かべる電話機ではなく、メガネのようなものになるだろう。

ありそうもないって? 実のところ、多くの進んだCE企業(Apple、Microsoft、Google、HTCなど)は、すでにこの新しいスクリーンに取り組んでいる。実現すれば、映画の中でしか見られなかったような体験が、日常のものになるはずだ。

人間の目の「回折限界」

小さな穴を通して見ると、反対側のものはぼやけて見える。これは、光線が網膜に届くまでの間に穴を通過すると、わずかながら拡散するからだ。海の波が、狭い開口部を持つ防波堤に当たるのを観察しているところを思い浮かべてみよう。直線的な波が、防波堤を抜けるとさざ波に変化して反対側に拡がる様子は、光線が穴を通過するときに起こるのと同じなのだ。

「針穴写真機」を作って、遠くにある文字を見てみれば、これを実際に試すことができる。穴が小さいほど、ぼけはひどくなる。そして人間の目の虹彩は、もちろん穴なのだ。

GettyIMagesのCarmelo Geraci/ EyeEmから

われわれの目の大きさを考えると、このことは細部を見る能力に限界があることを意味している。人間の瞳孔は、直径が約5ミリメートルだ。これによる限界を1度あたりのピクセル数で表すと、約60となる。つまり、たとえば、25セント硬貨を目から腕の長さほど離れたところに掲げたとすると、視界の中の約2.5度を占めることになる。これは、それを表示するのに縦横150ピクセル程度のディスプレイがあれば、人間の目にはちょうどいいということになる。それ以上のピクセルがあっても無駄。なぜなら、もうそれを識別することはできないからだ。

2010年頃から、スマートフォンのディスプレイは、そのレベルの品質に達した。その段階では、めいっぱい顔に近づけても、個々のピクセルを見ることができなくなった。Appleが、適切にも、それをRetina(網膜)ディスプレイというブランド名で呼ぶことにしたのは記憶に新しい。大画面のテレビも、今同じ限界に達してしまった。実は4Kを超えるものは、みんなお金の無駄だ。画面が発する熱を肌で感じるほど近くに座らなければ、違いは分からないのだから。

つまり、手に持った6×3インチの携帯電話の画面は、われわれの視野のほんの一部を占めるに過ぎないのだから、それによって数十行を超えるようなテキストを読むことは不可能なのだ。

とどまるところを知らない食欲

それでも、視覚からの情報を吸収することに対する人間の食欲と能力には、いずれも恐るべきものがある。われわれは画面が大好きで、大きいほど好まれる。たとえば、ラップトップを拡げると、1つではなく、4つの画面が魔法のように現れたら、誰でも気にいるはずだ(映画Westworldに登場する超クールな折りたたみ式デバイスのように)。

理想的なのは、すべての方向に画面が見えていて、現実世界に集中したいときだけ、画面をオフにすることができる、というものだ。それはGoogle Glassのような、初期のプロトタイプとはまったく異なったものになるはずだ。そうした初期のものは、現在のスマートフォンの画面と比べても、より小さな視野しかなく、テキストを含む情報表示能力も劣っていた。

可能な最大サイズの画面

それこそが、今がまさに開発中のものだ。画面は眼の前に固定され、レンズによって見やすく表示される。頭の回転を正確に検出することによって、あなたを取り囲む、魔法のような新しい「スクリーン」を作り出す。もちろん、ピクセルは十分に細かくて識別することはできない。頭の向きを変えると、視線の向いた方にあるものが見えるように、目の前にあるピクセルが変化して仮想画面の部分を映し出す。

この新しいスクリーンは、非常に広大なものとして表示される。16台の4Kモニターと同等で、約2億画素を表示できる。想像してみよう。指をパチンと鳴らしただけで、いつでも16台のモニターが現れ、電子メール、テキストメッセージ、ウェブブラウザ、ビデオ、その他確認したい情報など、どんなコンテンツでも表示できるのだ。その画面は、あなた以外の誰にも見えない。そして、現在のスマートフォンのように、どこにでも持っていくことができる。

1兆ドル市場

もし、16台の4Kモニターが魔法のようにあなたの周りを取り囲み、重さもなにも感じることなく、他の誰からも見られないようなヘッドセットが500ドルで発売されたら、Appleストアの列に並んで待つだろうか。もちろん、あなたはそうしたいだろうし、そうすることになるだろう。ちなみに、キーボードとマウスは、そのまま古い机の上に置いて利用できる。もはやモニターは不要となるのだ。

Hoxton/Paul Bradburyによる

それこそが、Apple、Microsoft、HTC、Googleといった優れた企業、そしてMagic Leap、Avegant、ODGなどのスタートアップが、このようなスクリーンを作ろうと努力している理由だ。スクリーンの世界市場は約1兆ドルなので、この新しいスクリーンをうまく製品化できれば、誰でも莫大な利益を得ることができる。

誰でも使えるものに

それらは自立的に動くので、コンピュータにはさほど負担をかけない。こうした新しいデバイスは、これまでの同類の製品よりも安価になるはずだ。だいたいスマートフォンと同じくらいだろう。そういうわけで、PCに対するスマートフォンのように、かなり多くの人が使えるようになる。今後10年以内に、何十億もの人の手に渡るだろう。

このような変化は、現在はシンプルなスマホの画面にしかアクセスできないような、世界中の多くの人々の力となることができるはずだ。それによって、現状では高価なデスクトップマシンや、裕福な家庭や会社のオフィスにしかない壁面ディスプレイを必要とする、高度な仕事や学習の機会が得られるようになる。これらの安価なデバイスによって、世界中のすべての人々に、巨大なBloombergターミナルと同等のものを提供することができるのだ。

VRとARは幸運なサポーターであり、キラーアプリではない

ここまでは、3D VRの世界や、現実の世界にスーパーインポーズするARオブジェクトについては取り上げてこなかった。なぜなら、新しいスクリーンが広く成功を収めるために、とりあえずそうしたものは必要ないからだ。スマートフォンにとってのカメラアプリのように、VRとARの応用は、新しいスクリーンの普及にとって幸運なサポーターにはなるだろう。このようなスクリーンを備えたデバイスを手に入れれば、3Dコンテンツを表示したり、それを現実の世界に重ねて映したり、仮想世界を旅したり、アバターとして世界中の人々とコミュニケーションをとることができるようになる。はるか遠くに離れていても、人と人とのつながりを体験できるようにする、信じられないようなVRアプリケーションが開発されつつある。しかし、あわててヘッドセットを買いに走る必要はない。まだ、ウェブブラウジングや電子メール用のものしか手に入らない。

今後の数年で、いくつかの会社がヘッドセットやメガネを発売するだろう。それらはコンピュータから視覚的な情報を取り出すための方法として、スマートフォンの画面を置き換えることになる。こうしたスクリーンの最初の用途は、現在のスマートフォンでは苦労しているようなことすべて、ということになるだろう。それに続いて、仮想世界、VRとARがそのスクリーンを利用し始める。それにより、現実世界を拡張したり、まったく置き換えてしまうことが可能となる。

みんながVRとAR用ヘッドセット用の新しい「キラーアプリ」を探している。しかし、この記事を読んだあなたは、すでにそれを目にしているはずだ。

画像クレジット:Jane_Kelly(画像は修正されています)

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Microsoftさん席を譲りなさい、Amazonがアメリカの時価総額最大の企業ですよ

昨年Amazonは、入れる人の限られた1兆ドルクラブの会員になった。そして今年も、同社の株式市場支配は続いている。

eコマースの巨人Jeff Bezosは月曜日(米国時間1/7)に時価総額7970億ドルを達成し、3.4%アップの一株あたり1629.51ドルは同社を、Microsoftを抜いてアメリカでもっとも価値のある上場企業に押し上げた。

Microsoftは11月28日にAppleからタイトルを奪ったが、この月曜日には0.1%上げて一株あたり102.06ドル、時価総額7830億ドルとなった。Fortune誌によると、11月はMicrosoftが8年ぶりにAppleを抜いた月で、Appleの成長に関する市場の不安が貢献している。

一方Appleは、じきに彼らと肩を並べる、とは行かないようだ。同社のCEO Tim Cookが先週発行した書簡は、同社の初会計年度第一四半期のガイダンスを修正している。それによると、売上予測は最初の890-930億ドルから840億ドルに下げ、それが株価の下降を招いた。今日(米国時間1/7)のAppleはGoogleの親会社Alphabetの7560億ドルにすら抜かれて、ほぼ7000億ドルで4位に落ちた。Amazon、Microsoft、Alphabet、そしてAppleの順である。

Cookはその書簡でこう述べている: “主要な新興市場にはいくつかの課題があるが、とくに中国などでに関しては、経済の大幅な減速は予見していなかった。しかし今回の売上予測の下方修正はもっぱら、中国におけるiPhone, Mac, およびiPadの売上減によるものである。その他の主要市場での売上減少は、ほとんど予見されない。”

しかし株価をめぐる4社のタタカイは今年も続くようだから、本年における順位のさらなる入れ替わりを、われわれは覚悟しているべきだろう。

関連記事: Apple’s trillion dollar market cap was always a false idol…Appleの時価総額1兆ドルは偽りの偶像だ(未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

朗報:GitHub無料ユーザーも無制限にプライベートリポジトリを使えるようになる

無料のGitHubユーザーたちにとって、今週は良い週だ。これまでGitHubはずっと、無料のアカウントを提供してきたが、注意すべき点は、その場合コードを公開しなければならなかったということだった。プライベートリポジトリを使うためには、有料オプションを選ぶ必要があったのだ。だが明日から、その制限はなくなる。無料のGitHubユーザーでも、最大3人までの共同編集者と、無制限にプライベートプロジェクトを構成できるようになる。

ここでは、共同作業者の数が唯一の制限であり、共同作業者を受け入れることができるパブリックリポジトリの扱いに変更はない。

これはMicrosoftによる厚意のしるしのように感じる。同社はGitHubを昨年10月に買収しているが、その際に元XamarinのCEO、Nat FriedmanがGitHubのCEOに就任している。この買収に関しては不安を感じた開発者もいた(とはいえ大部分の人びとはそれを甘受したように思える)。サービスを収益化するためのGitHubのモデルは、Microsoftのモデルとは少し異なると想定することが妥当だろう。Microsoftは小さなチームからお金を得ようと努力する必要はない…その収益の大部分が得られている場所はそこではないからだ。その代わりに、同社は大企業にそのサービスを利用させることに、もっとも大きな興味を持っている。

チームに関して言えば、GitHubは本日、GitHub Developerスイートの名前を、”GitHub Pro”に変更することも発表発表した。同社はそれを「開発者が必要なツールを見つけやすくするため」と説明している。

しかし、さらに重要なことは、GitHub Business CloudとGitHub Enterprise(現在はEnterprise CloudとGitHub Enterpriseと呼ばれている)がひとつになり、いまや”GitHub Enterprise”というブランド名と機能で、ユーザー単位の課金で提供されるようになったことだ。

注:この記事は明日配信予定だったが、報道禁止協定が破られたため、私たちも本日発表することに踏み切った。この機能は明日公開される予定だ。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:sako)