RFIDステッカーからの信号で食品の汚染が分かる

安全でない食べ物は、それを食べる前に見つけたい。でも最近のベビーフード事件のように、瓶詰めや缶詰の場合はいちいち開けて調べることもできない。そこでMITの研究者たちは、食品に触れることなく、ある程度の距離から、一瞬でチェックできる方法を見つけた。それは、多くの製品にすでについているRFIDタグを利用する方法だ。

RFID(radio frequency identification, 無線周波数認識)は、小さなアンテナをステッカーやラベルに忍ばせておいて、それに特定の周波数の電波が当たると作動する。トランシーバーが950Mhzの信号を送ると、RFIDタグが起動して、自分を同定するやや異なった信号を送出する。それで製品の種別が分かるから、在庫管理にはとても便利だ。

研究者たちが見つけたのは、その返信信号の情報のない部分が、製品の内容の影響を受けることだ。電波は、瓶などの中身を通ってやってくる。そこで、瓶にいっぱい詰まったパスタソースやオリーブは、それぞれ違った特徴の信号を作りだす。だれも触ってないベビーフードの瓶でも、メラミンで汚染されたフードとそうでないフードを比較できる。

[水の入ったボトルと空のボトル]

この新しいシステムを記述するペーパーを書いた研究者の一人Fadel Adibが、MITのニュースリリースで言っている: “安価なRFIDが小さな電波分光器に変身したみたいだ”。

問題は信号の違いがきわめて微妙で、どこにもドキュメントされていないことだ。彼らが初めてやることだから。そこで当然ながらチームは、機械学習に着目した。彼らはモデルを訓練して、それぞれの信号の特徴が何を表しているかを学習させた。信号は、やって来る方向やガラスの厚さなどによっても、微妙に異なるのだ。

現在その、RFIQと彼らが呼ぶシステムは、乳児用ミルクのメラミンによる汚染や、酒類などの中のエチルアルコールの濃度を識別できる。それではぼくのショッピングリストにとって役に立ちそうもないけど、でもチームはもっと多くの製品への応用を考えている。方法の有効性は証明されたから、あとは応用の拡大が課題だ。

棚などの環境条件や、電波に対するさまざまな障害物によっても信号は変わるから、難しい仕事だ。でも機械学習のアルゴリズムは、ノイズから信号を選りだすのが得意だから、この技術は、今後意外とうまくいくかもしれない。

このRFIQシステムに関するペーパーの全文(PDF)はここにある

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

特許出願の前に先行技術を調べるためのデータベースをMIT/Google/Cisco/米特許局などが共同ローンチ

パテントのシステムは破綻している。破綻の様相は実際に、いろんなやり方でリストアップできる。それらのリストの中には、先行技術(prior art)をめぐる問題も必ずあるだろう。そこで、著名な企業や団体から成るチームが協力して、先行技術を調べるためのデータベースPrior Art Archiveを作ろうとしている。

このデータベースのためのコラボレーションに加わったのは、MITのMedia Lab(メディアラボ), Google, Cisco, そして米政府のPatent and Trademark Office(特許商標局, PTO)だ。とくにPTOにとって、利用価値が大きいだろう。このアーカイブはMITがホストし、特許を出願しようとする者は、先行技術の例やそのほかの参考技術情報に容易にアクセスできる。

“パテントを審査するプロセスは、古い、または自明の技術に対してパテントが発行されることを防ぐものでなければならない”、とMITは書いている。“しかし残念ながら、それが古い技術だからといって、検査官が容易に見つけることができるとは限らない。とくにコンピューターの分野では、多くの先行技術が古いマニュアルやドキュメンテーション、Webサイトなどに拡散しており、今日までそれらは、総合的な検索がほぼ不可能だった”。

Googleもこのアーカイブにおける自己の役割…主に検索…についてブログ記事に詳説している。Googleは、検索のためのAIとML技術も、特製して提供している。同社曰く、“この目的のために最近、オープンなエコシステムGoogle Patents Public Datasetsを作った。それは、一般向けの公共政策や、経済、機械学習の研究などの分野が大きなデータベースにアクセスできるようにするためだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MITのSolveは本当に実効性のある社会改革コンテストの新しい形を示す

[著者:Ziad Reslan]

10年ほど前に、McKinsey&Companyが革新を促すためのコンテストの上手な活用方法を記事にして以来、業界全体が社会革新コンテストを中心に成長してきた。そうした「世界の救済」をテーマとしたコンテストも、形式化が進んだ。ドラムを鳴らして賞に話題を集め、大手企業と提携して資金を集め、著名人の審査員を並べる。世界中からできるだけ多くのアイデアを募り、そこから多くのメディアが注目するきらびやかなイベントで、ピッチを行うファイナリストを絞り込む。

最終選考のステージでは、ほんの数分間のピッチをもとに勝者が決まり、数百万ドルもの賞金が渡される。そんなコンテストを行うソフトウエア・プラットフォームをお持ちではない? 大丈夫。こうした作業を10ドルから数十万ドル程度の予算で代行してくれる業者がたくさん現れている。そんな業者は加速度的に成長し、賞金の額も1970年には2000万ドル(現在の相場で約22億7000万円)に及ばなかったものが、わずか40年後には3億7500万ドル(約426億円)にまで跳ね上がっている。

しかし、この賞金は世界を救済する目的のために、本当に役立っているのだろうか? それを示する証拠はあまりにも少ない。慈善活動のリーダーの中には、大きな疑念を抱いている人もいる。

その一方で、マサチューセッツ工科大学(MIT)は、Solveという、別のアプローチによる社会革新コンテストを実施している。コンテストで有効と思われるアイデアを選び、技術系アクセラレーター・プログラムを融合させるのだ。それには、結果を重視した受賞後の教育も含まれている。

Solveは、すでに過密状態にある社会革新コンテストの世界に参入を試みている。内容がかぶっている賞も少なくないが、どれもこの分野の「ノーベル賞」になろうと競い合っている。賞が増えれば騒ぎも大きくなる。注目を集めるために、賞金の額はどんどん吊り上げられる。

しかし、民間の裕福な企業は、賞金が革新的な良い結果に活用されるかどうかまでは保証していない。2004年、Bigelow Aerospaceは、有人宇宙飛行カプセルのアイデアを募る賞金5000万ドル(約56億9000万円)のSpace Prizeコンテストを開催したが、宇宙研究者たちの想像力を掻き立てるものを得ることができず、結局は勝者のないまま終わってしまった。2009年にはNetflixが、映画のお薦めを行うアルゴリズムを10パーセント効率化するアイデアに100万ドル(約1億1400万円)の賞金を出すNetflix Prizeコンテストを実施した。これは、プログラマーたちの競争を煽ったが、結局のところ、Netflixは社内でよりよい方法が開発されたために、計画自体が中止されてしまった。

全体的に社会革新コンテストは、派手でカリスマ性のあるプレゼンテーションに賞を贈るもので、英語が下手だったり、内気だったり、美しいスライドを作れない者には辛い場所になっている。

しかし、9月23日の日曜日、ニューヨークにて3年目の最終選考会を開催したSolveは、独自の方向性を示している。

あらかじめ内部で課題を決めている他のコンテストとは違い、Solveはまず、クラウドソーシングで課題を探るところから始める。Solveのスタッフは、何カ月もかけて世界中でハッカソンやワークショップを開催し、その年のコンテストの課題に相応しい、もっとも差し迫った問題を4つ選び出す。今年の課題は、教師と教育者、未来の労働力、健康の最前線、海沿いの街だ。

その課題が、世界中の参加者に公開される。申し込みの基準は低く設定してあるため、最終的に110カ国から1150件の応募があった(世界の60パーセントの国から少なくとも1件の申し込みがあったことになる)。

先進技術のためのGM賞の受賞者たち(写真:Adam Schultz | MIT Solve)

ただし、アイデアだけでは参加できない。実際に稼働するプロトタイプが必要だ。それは、成長、パイロット、スケールのどの段階でも構わないが、技術主体でなければならない。応募アイデアは、さまざまな業界、政府間組織、学界から選ばれた審査員によって吟味され、4つの課題ごとに15チームが決勝に進む。決勝では、合計60チームが丸一日をかけて細かな質問に答える。その後、アイデアが評価される。

翌日、最終選考に残ったすべてのチームは、それぞれ3分間のプレゼンテーションをステージ上で行う。重要なのは、勝者は1チームだけでなく、各課題ごとに8チームが選ばれることだ。

それぞれの勝者には、まず1万ドル(約114万円)の賞金が贈られ、さらに、General Motors、Patrick J. McGovern Foundation、Consensys、RISEといった協賛団体や企業から、何十万ドルという共同出資金が用意される。

たとえば今年、ウガンダの医療系スタートアップNeopendaは、Solveを通して3万ドル(約341万円)の追加資金を受け取った。これは、Citiがスポンサーを務める国連プログラムからの出資だ。また、親と教育者の個別指導技術の開発費用として、インテリジェント・メッセージ・アプリTalkingPointが、GMとセーブ・ザ・チルドレンの支援を受けた(今年の受賞者に関する詳細はこちらでご覧いただける)。

賞金をもらって終わりという「一度きりのコンテスト」と違うのは、参加者が「Solver」に選出されたときから本当の仕事が始まるといいう点だと、コミュニティー担当責任者Hala Hannaは私に話してくれた。Solveで優勝してSolverになると、12カ月間にわたりMITとのつながりが持て、支援が受けられる。「MITを始めとするネットワークを提供し、協力関係を仲介するところに、私たちの付加価値があります」と彼女は説明している。

Solveの方法が注目を集める最大の理由は、出資者が、支援のための追加資金を拠出する点にあるだろう。日曜日の閉会イベントでは、Solveの国際プログラム責任者Matthew Minorが、Solveの名前入り靴下を履いて上機嫌でステージに上り、大きな笑みを見せていた。彼は優勝者の名前を伝え、さらに追加出資の機会についても話をした。もともとのSolveの支援者のうち、Atlassian Foundationとオーストラリア政府の2つは、計画に取り組む企業に260万ドル(約2億9600万円)もの出資の継続を決めた。沿岸地域の復興を助ける非営利団体RISE Resilience Innovationsは、これまでも投資の見通しを見極めるためにSolveを密接に支援してきたが、沿岸地区復興に焦点を当てた企業に最大100万ドル(約1億1400万円)の出資を行っている。

オーストラリアは、過去の勝者に対してプログラム終了後の規模拡大のために出資を行っている。そのうちのひとつに、落ちこぼれた子どもたちが卒業証明書を受け取れるように必要な援助を行うインドネシアのデジタル・ブートキャンプRua​​ngguruがある。Solveに参加する以前、このスタートアップは、すでに100万人の子どもたちに支援を行っていた。今回のプログラムを通して資金を得たことで、昨年末までに300万人のインドネシアの子どもたちを支援できるようになった。Ruangguruの創設者の一人Iman Usmanは、Solveとパートナーシップを組むことで、単独では不可能だったインドネシア全土への拡大が実現したと私に話してくれた。

明らかにSolveは、多様性を重んじている。Solveのスタッフしかり、(おそらくそうした理由もあってか)勝者に選ばれた人たちもそうだ。Solveには20名の正規従業員がいるが、そのうち14名が女性だ。7つあるチームのなかで女性がリーダーを務めるのは6つ。そして(私が数えたところでは)、少なくとも4つの大陸から7カ国の人たちがスタッフに加わっている。

今年の最終選考に勝ち残った33のSolverチームは、15の異なる国からやって来た。その61パーセントは女性がリーダーだ。技術業界が多様性の拡大に苦労している中で、Solveの挑戦的なデザインと宣伝に見られる多様性を重視する態度が、参加者と優勝者にも通じている。それは、Solveが支援を目指す世界の映しでもある。

Hannaは、多様性の拡大は自然なことなので、難しくはないと言う。「正直言って、私たちは、そんなに頑張っているわけではありません」と彼女は話す。「技術界に女がいないなんて言う人がいたら、馬鹿らしい、と私は言い返します」

9月23日、Solve最終選考の日、ニューヨークのイベント会場Apellaからの眺め(写真:Adam Schulz | MIT Solve)

しかしSolveにも、ちょっとした問題はある。大きな問題を扱うため、コンテストの焦点がボケてしまうことがあるのだ。特別に難しい質問をされると、見当違いな答えを返してしまったりする。それを公正に比較するのは難しい。

また、賞金が1つのチームに集中しないのは良いことだが、出資者がどのチームを支援するかを決める方法は不透明だ。今年は優勝賞金を受け取ったチームが15組あったが、複数の賞金を受け取ったチームもあれば、残りの18のチームは最低限の賞金だけを持って家に帰ることになった。それは、最終選考でどのチームが勝ち残り、それに相応しい賞金を獲得するかを、出資者が決めているからだ。もちろん、最後に残った33のチームは、みな平等にSolveクラスのメンバーとして支援と教育を受けられることにはなっている。

もうひとつの問題は、オーディエンス・チョイス賞だ。最終選考の前にインターネットで行われる公開投票なのだが、それには具体的にどのような利点があるのか、はっきりしない。ひとつの例を示そう。メキシコに拠点を置くスタートアップScience for Sharing(Sci4S)の場合だ。彼らは、STEM(科学、技術、工学、数学)教育を専門とする教師を育成していて、すでに南アメリカで100万人の子どもたちを支援している。教育部門では他のチームを上回る419票を獲得し、オーディエンス・チョイス賞を単独で受賞した。しかしSci4Sは、最終的にSolverには選ばれなかった。ケニアから来た別の教育系スタートアップMoringa Schoolが、得票数は2票だったにも関わらず、Solverに選ばれた。Moringa Schoolも他のチームも、それなりに実力があり自力で勝ち残ったわけだが、Sci4Sも、一般聴衆からの得票数は忘れて、もっとプレゼンテーションに力を入れるべきだったと思うと悔やまれる。

つまりSolveは、他の社会革新コンテストが失敗したその場所から、多くのものを得ているわけだ。コンテストでたった1名の優勝者に聖なる油を注ぐのではなく、数十名のクラスを選び出す。それは、ひとつの単純な事実を映し出している。世界のもっとも強固な問題は、たったひとつのアイデアだけで解決できるものではない、というものだ。

教育機関によって開催され、参加できるのはそこの学生だけと決めているコンテストが多いが、Solveはオープンだ。決勝を勝ち抜いたら、そこでMITとの縁が終わるのではなく、そこから始まる。勝者は、1年間の個人的な支援、教育、指導が受けられるのだ。

正しく行えば、コンテストには喫緊の社会的問題に取り組む動機をスタートアップに与える効果があり、技術を主体とする解決策によって社会は本当の恩恵を受ける。しかし、コンテストのためのコンテストでは、騒ぎが大きくなるだけで、乏しい社会的資源が浪費され、起業家の関心も離れる。世界を変えると豪語する社会革新コンテストがますます増える中で、MITのSolveはそうした馬鹿騒ぎから一歩前に出て、効果的なコンテストに向かっている。

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(翻訳:金井哲夫)

ロボットも人間のように偏見を持つ、防ぎ方も人間集団と同じ

カーディフ大学とMITの研究者たちによる、おもしろい研究によれば、複数のロボットが一緒に仕事をするとき、偏見が生じることがある。チームワークをシミュレーションするロボットたちが、他のチームのロボットに対する偏見を表現した。研究者たちによると、“自動機械のグループが、お互いの振る舞いを単純に認識し、コピーし、学習することによって偏見が現れる”。

その理論をテストするために、研究者たちは、シミュレーターの中で簡単なゲームをした。そのゲームでは、評判や寄付の戦略に基づいて、外部の集団や、ロボットの個人的グループに寄付を行なう。そして、内部への寄付と外部への寄付を比較して、偏見のレベルを調べる。そのシミュレーションを動かすと、徐々に、外部に対する偏見が増えていった。

研究者たちは、シミュレーターの中で偏見を成長させることが、容易であることに気づいた。だからそれは、ロボットだけによる何かの自動運転をするときは、注意しなければならない問題だ。

カーディフ大学のRoger Whitaker教授は、こう述べている: “われわれのシミュレーションは、偏見が自然の強い力であり、それは進化して、容易に、仮想ポピュレーションの中で報奨により強化される。そしてそれにより、他者との幅広い接続性が損なわれる。偏見のあるグループから守ろうとして別のグループが、意図せずして偏見的になることもある。その結果、その仮想ポピュレーションに分裂が生ずる。偏見のそのような拡散は、逆転が困難である。差別を認識して他をコピーできる自動機械が、将来的に、人間の中に見受けられるような偏見的な現象に影響されてしまうことも、ありえる”。

おもしろいことに、“ひとつのポピュレーションの中に、はっきりとした違いのあるサブポピュレーションが多ければ多いほど”、偏見は減少する。これは、人間の偏見に関しても考えるべき、重要なポイントだ。

“サブポピュレーションの数がとても多ければ、偏見のないグループが共同して、搾取もいじめもされずに協力しあえる。これはまた、マイノリティーとしてのステータスを弱め、偏見の影響を受けにくくする。しかしながらこれは、成員が、自分たちのグループの外部との対話に向かう、より高い気質を持っている情況を必要とする”、とWhitaker教授は述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MITの研究者たちが、ニューラルネットワークにうつ病の検知方法を教えている

MITの研究者たちによる新しい技術は、患者が書いた文章や口頭での反応を分析することで、うつ病を検知することができる。MITのCSAILグループによって開発が始まったこのシステムは「ニューラルネットワークモデルを使用することで、生のテキストやインタビューの音声から、うつ病を示すパターンを発見することができる」のだ。

「新しい被験者が与えられると、この技術はその個人がうつであるか否かを正確に予測することが可能である、その際に質問と答え以外の情報は何も必要とししない」と研究者らは書く。

システムの最も重要な部分は、文脈自由であることだ。すなわち、特定の質問や回答の種類を必要とはしない。ソースデータとして、日常的なやりとりを使用するだけなのだ。

研究者のTuka Alhanaiは「行おうとする質問の種類や、それらの質問に対する回答の種類に制約を課すことはないので、私たちはそれを『文脈自由』であると呼んでいるのです」と語る。

「患者の話し方はそれぞれ異なります。そしてもし私たちのモデルがその話し方の中に変化を見つけたら、医師に対して注意を促すのです」と語るのは論文の共同執筆者であるJames Glassだ。「これは臨床家を助けるために、何らかの手助けをできるか否かを見るための一歩なのです」。

リリースより:

研究者たちは、そのモデルを、メンタルヘルスに課題を抱える患者へのインタビュー(音声、文章、そして動画が含まれる)と、人間によってコントロールされる仮想エージェントのコンテンツを含む、Distress Analysis Interview Corpus(苦痛分析インタビューコーパス)の142件の対話データセットを用いて訓練し、テストを行った。各被験者は、Personal Health Questionnaire(パーソナルヘルスアンケート)を使用して、0〜27の尺度でうつ病に関して評価されていた。中程度(10〜14)と中の上程度(15〜19)の分画より上のスコアはうつ病と考えられ、それより低いものはうつ病とはみなされない。データセット内のすべての被験者のうち、28人(20%)がうつ状態にあると診断されていた。

実験では、精度と再現率のメトリクスを使用してモデルが評価された。ここで言う精度とは、モデルによってうつと判断された被験者のうち、うつと診断されていたものは何人だったのかを測ったもの。また再現率とは、全部のデータセットの中でうつ病と診断された全ての被験者に対して、モデルの出す正確さを測ったものだ。今回のモデルは、精度では71%を獲得し、再現率では83%を獲得した。エラーを考慮したこれらのメトリクスの合計平均スコアは77%だった。大部分の試験で、研究者たちのモデルは、他のほとんどすべてのモデルより優れていた。

もちろん検出は全体プロセスの一部に過ぎないが、このロボセラピストは、実際のセラピストが長い時間をかけて行う分析に対して、問題を見つけて分離することを助けることができる。それはメンタルヘルスにおける、魅力的な一歩だ。

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(翻訳:sako)

Image Credits: Bryce Durbin

ボストンエリアのスタートアップが、ニューヨークのベンチャー企業の数を追い抜く勢いに

【編集部注:著者のはTechCrunchの寄稿者である】

ボストンは、米国で2番目に大きいスタートアップ資金調達の中心地としての、旧来の地位を回復した。

ニューヨークの年間ベンチャー投資総額の後塵を、何年にも渡って拝し続けたマサチューセッツ州が、2018年に遂にリードを奪い返したのだ。ボストンのメトロエリアへの今年のベンチャー投資額は、これまでのところ52億ドルとなり、ここ数年のうちでも最も高い年間合計額になる予想が出されている。

現時点でのマサチューセッツ州の年初来の数字は、ニューヨーク市全体の数字よりも約15%高いものだ。このことは、今年ボストンのバイオテック重視のベンチャーを、これまでのところ、国内の様々な場所に比べて、シリコンバレーに次ぐ第2の地位に押し上げた。また、ニューイングランドのVCたちにとって、最新の数字は、地元の起業家たちの優れた才能についての、すでによく知られた観察を裏付けるものだ。

「ボストンはしばしば、『元』スタートアップの街だね、と片付けられてしなうことが多いのです。しかも、成功はしばしば見過ごされてしまい、サンフランシスコのそれほど成功はしていないけれど目立つ企業たちと同じような注意を引くことはありません」こうCrunchbase Newsに語るのは、ボストンのベンチャーファームであるOpenViewのパートナーであるBlake Bartlettだ。彼は、Amazonが10億ドルで買収したばかりのオンライン処方薬サービスのPillPackや、昨年10月に公開され現在株式総額が47億ドルになった中古車市場のCarGurusなどを、地元の成功例として挙げた。

また、ニューイングランドの猛烈な嵐の中で、地元のスタートアップたちの金庫の中には、新たな資金が積み上げられている。下記のグラフでは、報告されたラウンド数とともに、2012年以降の資金調達総額をみることができる。

競争が気になる向きに配慮して、過去5年分のボストンのスタートアップエコシステムとニューヨークの比較も示した。

資金を調達しているのは誰か?

ボストンが今年成功している理由は何だろう?単一の原因を突き止めることは不可能だ。ニューイングランドのスタートアップシーンは広大で、バイオテック、企業向けソフトウェア、AI、コンピューターアプリケーション、その他の分野に対して、とても豊富な専門知識を抱えている。

ただそのなかでも、最も多くを占めるのがバイオテックだということを指摘しないわけにはいかない。今年はこれまでのところ、バイオテックとヘルスケアがニューイングランドにおける投資資金の大部分を占めている。だがもちろん地元の投資家たちは驚いてはいない。

「ボストンはこれまでもずっとバイオテック世界の中心でした」と語るのはボストンとシリコンバレーに本拠を置くVCであるCRVのパートナーであるDylan Morrisだ。そのことによってボストンはこの分野において近年、資金調達とエグジットのブームの中核を担う拠点となっている。そこでは病気の診断と治療に対してより計算的な手法を使う方向に長期的な投資が移行しつつある。

さらに、MITの故郷であるこの街が、いわゆるディープテクノロジー(真に複雑なテクノロジーを使って真に難しい問題を解くこと)に関して、高い評価を得ていることは言うまでもない。それは巨額の資金調達ラウンドにも反映されている。

例えば、ボストンに拠点を置く企業の中で2018年に最大規模の資金調達を行ったModerna Therapeutics(mRNAベースの製薬会社)は、2回のラウンドで6億2500万ドルを調達した。Moderna以外には、巨額ラウンドが向けられたディープテクノロジーを持つ他の企業たちとしては、癌治療のためにT細胞の操作に焦点を当てたTCR2や、民生用ブロードバンド向けの世界初のミリ波バンドを使うアクティブフェーズドアレイ技術を開発するStarry(ボストンとニューヨークに拠点を置く)などがある。

他の分野にもいくつかの巨額ラウンドが見られる。例えばエンタープライズソフトウェアや、3Dプリント、そしてアパレルにさえそうした動きが見られるのだ。

ボストンはまたこうした超大規模資金調達ラウンドの恩恵を受けている。1億ドル以上を調達した多くのラウンドは、ベンチャー資金調達ランキングにおける都市の地位の上昇を助けた。これまでのところ、今年は少なくとも15社のマサチューセッツ州の企業がその規模の調達を成し遂げている。これは2017年には12社に過ぎなかった。

エグジットも行われている

ボストンの企業たちは、今年も活発なペースで、そしてしばしばそれなりの金額で、公開したり買収されたりしている。

Crunchbaseのデータによれば、今年少なくとも7つのメトロエリアのスタートアップが、1億ドル以上の公開価格で買収された。もっとも高値がついたのはオンライン処方薬サービスのPillPackだ。2番目に大きな案件は、S&P Globalに5億5500万ドルで売却された、大金融機関向けのアナリシスを提供するKenshoだった。

IPOも巨大だ。今年はこれまでに合計17社のベンチャーキャピタルによる支援を受けた企業が公開を行った。このうち15社がライフサイエンス系スタートアップだ。最大のものは、赤血球治療の開発を行うRubius Therapeuticsであり、それに続くのがサイバーセキュリティプロバイダーのCarbon Blackだ。

一方、過去数年間に公開された多くの地元企業は、公開以来その価値を大いに高めて来ている。Bartlettは、オンライン小売業者のWayfair(時価総額100億ドル)、マーケティングプラットフォームハブスポットHubSpot(時価総額48億ドル)、そして企業向けソフトウェアプロバイダーのDemandware(28億でSalesforceに売却)などを例として挙げた。

ニューイングランドが熱い(hot)

マサチューセッツ州で4月の極寒を体験した記憶を持つ私が、「ボストンが暑い(hot)」などというフレーズを口にするなんて新鮮過ぎる心持ちだ。しかし、天気の話は脇に置き、スタートアップの資金調達だけに話を絞れば、確かにボストンの風景には気温上昇が見えてきている。

もちろん、ボストンだけに限った話ではない。今年は超巨大なベンチャーファンドが、エリア全体に急増している。Morrisは南方向数時間の位置にある最大のライバルに対しても強気だ:「ニューヨークとボストンはお互いを嫌い合うのが大好きなのです。しかし、ニューヨークは素晴らしいこともやっています」と、バイオテックスタートアップのエコシステムを活性化するための努力を指摘した。

それでも現段階では、2018年はスタートアップにとってはボストンの年になりつつあると言ってしまっても間違いはないだろう。

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(翻訳:sako)

MITのCheeta 3ロボットは目隠しで階段を上れる――捜索・救難現場での実用化を目指す

昨年TechCrucnhがボストンで開催したロボティクスに関するTC SessionsのステージでデビューしたMIT(マサチューセッツ工科大学)のCheetah 3ロボットがさらに進化して戻ってきた。Sangbae Kim准教授はCheetah 3の新機能を10月にマドリッドで開催されるロボッティクスのカンファレンス、iROS 2018で公式に発表する予定だが、同准教授のラボで公開しているビデオを紹介しよう。

なかでも強い印象を受けるのは「視覚センサーを使わない階段上り」で1:48から見ることができる。優雅な動作というわけにはいかないが、われわれ普通の人間が目をつぶって(あるいは暗闇で)階段を上るのに比べてずっと上手いと思う。しかも階段には小さく切った材木の切れ端が散乱していてさらにハードルをアップしている。これはロボットが捜索・救難に用いられた場合に現場で遭遇する状況をシミュレーションしているのだという。

Cheetahロボットはカメラのような視覚センサーを使わず、blind locomotionと呼ばれる平衡感覚と触覚だけを頼りにした動作で階段を上っている。なぜこうした高度な能力があるロボットが視覚センサーを利用しないのだろうか?発表で次のように説明している

ロボットは視覚的情報に頼りすぎることなく、さまざまな予期せぬ状況に対処することができなければならない。視覚情報には多量のノイズが含まれ、不正確だったりそもそも状況によっては入手不可能だったりする。もし視覚情報に頼りすぎたり、すべての動作を正確なものにしようとすると結局ロボットは遅くなる。そこでわれわれは触覚的情報を多用する試みを行った。これによりロボットは高速で移動しているときに予期せぬ障害に遭遇しても対処することが可能となる。

Cheetahロボットには、触知とモデル予測コントロールという2つの重要なアルゴリズムが搭載されている。これらのアルゴリズムがロボットがスリップするなどしてバランスを崩しても即座に態勢を立て直すことを可能にしている。ロボットは足が地面に着いているべきか空中にあるべきかを瞬時に判断することができ、危なっかしいながら粘り強く階段を上っていく。

こうした新しい機能の開発も、障害物を飛び越えたり、時速22キロで走ったりするような既存の機能と並んで、Cheetahを災害時の捜索・救難現場で活用できるようしようとする大きなビジョンに基づくものだ。このロボットは人間が近づくには危険するぎるような区域で活動できることを目標としてデザインされている

〔日本版〕 Cheetah 2ロボットがAlexaを通じて質問に答えたり能力を披露したりしている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

人間の脳とロボットをつないで、失敗を未然に防ぐシステム

ロボットに壊滅的なことをしないよう教えるにはどうしたらよいか? 言葉やプログラムで命令を与えることもできるが、人間の脳を見て苦痛の兆候を感じ取り、自らを止めさせる方法もある。MITのロボティクス研究所が作った新しいシステムは、人間の脳とつないでロボットに作業の指示を出す。

初期のシステムは実にシンプルだ。作業ロボットのBaxterには頭皮上脳波計と筋電計がつながっていて、ロボットがやってはいけないことをすると、人間が手を振るなどの身振りでやめさせる。決められた仕事——ドリルで穴を開ける等——をこなすことのできるロボットが、慣れない状況に遭遇したとき、すべきことを人間が身振りで指示することもできる。

「筋肉と脳の信号を両方を見ることによって、人間の自然な身振りを解釈して、何がおかしくなったかをすばやく判断できる」と博士候補生のJoseph DelPretoは語った。「こうすることで、人間は人間に対するのと同じようにロボットとコミュニケーションがとれる」

このシステムでは、身振りや感情的反応などの微妙なニュアンスを用いるため、ロボットを訓練して障害のある人とやりとりをしたり、懸念や危険を言葉で言われる前に察知して、事故を防ぐこともできる。これによって作業員は、何かを壊す前にロボットを止めたり、作業が始まる前にわずかな変更をロボットに理解させたりできるようになる。

テストでは、Baxterに飛行機胴体にドリルで穴をあける訓練をした。作業内容はときどき変更され、近くにいる人間が穴の位置の変更を身振りでロボットに教える。こうすることで、現在の作業をしている最中に、新しい作業を教えることができる。しかも、ここで人間の側はプログラミング自体には関わることがなく、ロボットに右か左かを教えるだけだ。いちばん重要なことは何か? 機械とつきあうために人間が特別な考え方をしたり、自分を訓練したりする必要がないことだ。

「このアプローチがすばらしいのは、ユーザーに決められた考え方を教える必要がないことだ」とDelPretoは言った。「機械が人間に寄り添う。その反対ではない」

チームはこの成果を、Robotics: Science and Systems (RSS) カンファレンスで発表する。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

批判を浴びていたMITが脳を保存するスタートアップNectomeとの関係を断つ

MITが、Nectomeとの関係を断つことになった。この、Y Combinatorが支援するスタートアップは、将来のデジタルアップロードの可能性のために顧客の脳を保存すると称してきた。

協同ファウンダーのRobert McIntyreはその処置を、“100%致死的である”と述べている。それは、末期の患者をマシンに接続して動脈に防腐液を注入する、などの過程を含んでいる。

同社は申込者から10000ドル(返金可)を集めたが、今同社のWebサイトには“最近の報道への応答”と題する注記があり、処置の実行は今後のさらなる研究の後になることが示唆されている:

人間の脳の臨床的保存には人類にとって大きな利点の可能性があるとわれわれは信じているが、しかしそれは、医学と神経科学の専門家からの入力をもとにオープンに研究開発された場合に限る。現時点で生体保存を急ぐことはきわめて無責任であり、今後の正しい方式の採用を妨げるものになる、とわれわれは信ずる。

MITのTechnology Reviewにも書かれているが、MITとの関係が同社に信ぴょう性を与えている、と批判されてきた。MIT Media LabのEdward Boyden教授はNectome社への国の補助金の形で、金を受け取っていた。McIntyreと彼の協同ファウンダーMichael McCannaは、ともにMITの卒業生だ。

今回Media Labは声明を発表し、“同社のビジネスプランの科学的前提と、同社が発表している一部の声明を”検討した結果、“両者の合意に基づき、MITとNectomeの協同関係を終結する”、と述べた。

Media Labによると政府の助成対象になっていた研究プロジェクトは、“Nectomeの化学的側面と、Boydenグループの発明になる拡張顕微鏡技術を組み合わせて、基礎的科学と研究目的のためにマウスの脳のより良質な視覚化を得る”ことだった。Boyden教授とNectome社の間に、金銭や契約などをめぐって個人的な関係はなかったようだ。

その声明は最後に、Nectomeの背後にある科学に言及している。Media Labは、脳の保存と未来におけるアップロードの可能性を全面的に否定するものではないが、科学的確証はまだない、と示唆している:

神経科学はまだ十分に進歩していないので、記憶と心に関連するさまざまな生体分子をすべて保存できるほど強力な脳の保存方法がありうるか否かを、知っていない。また、人間の意識を再生することが可能かどうかについても、知っていない。

McIntyreはMIT Technology Reviewでこう述べている: “MITが私たちに与えた助力に感謝し、彼らの選択を理解し、そして彼らに最良を願う”。

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MIT、砂漠の空気から水を絞り出す装置をテスト中

スター・ウォーズの世界ではライトサーベル、ホログラム、ハイパードライブといったはなばなしいテクノロジーが有名だが、水不足の惑星タトゥイーンではルーク・スカイウォーカーのおじさん夫妻は水不足に苦しんでいた。ネタバレ覚悟でいえば、オーウェンとベルは悲劇に襲われ、水を得ようとする努力は実を結ばなかった。それでも砂漠の空気中から水を得るというアイデアは魅力的だった。

MIT〔マサチューセッツ工科大学〕の研究チームは、アリゾナ州テンピで新しいデバイスをテストしていることを発表した。これはまさにスターウォーズ的な装置で、砂漠の空気から水を絞り出すことができる。太陽光で駆動される装置はMOF〔金属フレーム〕に収められ、湿度10%以下という極端に乾燥した砂漠の大気から水分を抽出することができる。既存の同種の装置にくらべて50%以上効率が高いという

この装置は現在アリゾナ州立大学の建物の屋根に設置されている。取り出された水分はまだミリ単位だが、不純物を含まない水であり、実証実験としては有望なスタートだ。

研究チームのリーダー、Evelyn Wangは「この装置は水源から水を吸い上げる必要がなく、きわめて安定して作動し、高品位な水を得ることができる」と論文で紹介している。

可動部分はなく、いったん設置すれば作動中はかなりの期間放置しておいてよい。実用化できるかどうかは得られる水の量にかかっている。実用になるなら市場はそうとうな規模になるだろう。

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MIT発のスタートアップFeature Labsは機械学習アルゴリズムの開発を加速する

MITで始まった研究にルーツを持つスタートアップのFeature Labsは、データサイエンティストたちが機械学習アルゴリズムをより迅速に構築することを支援する一連のツールを、本日(米国時間2月22日)正式にリリースした。

共同創業者兼CEOのMax Kanterによれば、同社はデータサイエンティストたちにしばしば手作業を強いて時間のかかる「特徴量設計(feature engineering)」を自動化する方法を開発したのだと言う。「Feature Labsは、企業がインパクトのある機械学習プロダクトを企画し、実装し、そして何よりも大切なことですが、デプロイすることを支援します」とKanterはTechCrunchに語った。

「Feature Labsは、機械学習アルゴリズムの実行に使う生データから、ドメイン知識を使って新しい変数を抽出するプロセスである特徴量設計を自動化した点が独創的なのです」と彼は付け加えた。

同社は、”Deep Feature Synthesis”と呼ばれるプロセスを使用して、これを実現している。これは例えばウェブサイトの訪問回数や放棄されたショッピングカートアイテムといった生の関連するトランザクションデータ・セットから特徴量を生成し、自動的にそれを予測シグナルに変換するのだ、とKanterは説明した。

これは、現在の時間がかかりエラーが発生しやすい、人間主体のプロセスとは大きく異なると彼は述べている。自動化された特徴量設計は、データサイエンティストたちが手作業で作成したものと同様の変数を提供するが、準備作業に沢山の時間を割く必要がなくなるため、遥かに作業が効率化される。「データサイエンティストたちにこの自動化されたプロセスを提供することで、彼らは予測する必要があるものを見つけ出すことに、より多くの時間を費やすことができるようになります」と彼は言う。

写真: Feature Labs

同社はこれを、幾つかの方法を通して実現している。まず最初に、同社はFeaturetoolsというオープンソースのフレームワークを開発した。これは、開発者たちがFeature Labsのツールセットを使い始めるための手段を提供するものだ。Kanterによれば、開発者たちはこれらのツールを使用して、小さなプロジェクトを構築して、アルゴリズムを使うことに慣れることができると語る。彼は「この提供の目的は、開発者たちに、新しい機械学習問題に対して自動特徴量設計を適用する実験を行う機会を提供して、私たちのビジョンを共有することです」と会社の発足を発表したブログ記事に書いている。

とはいえ、ある企業が実験段階を超えて、プロジェクトを拡大しようとしたときには、彼らはFeature Labsの商用製品を購入する必要がある。製品は顧客の必要に応じてクラウドもしくはオンプレミスの形態で提供される。初期の顧客には、BBVA Bank、Kohl’s、NASA、そしてDARPAが含まれている。

同社はまた、実際には昨年の3月にクローズした150万ドルのシードラウンドも発表した。このラウンドは、First Star Venturesと122 West Venturesから参加し、Flybridge Capital Partnersが主導したものである。

Feature Labsの製品は、Kanterと彼の共同創業者Kalyan VeeramachaneniとBen Schreck(MITのComputer Science and AI Lab(CASL)所属)による研究に基いているものだ。同社のアイデアは2015年に形を取り始め、ここ数年は初期顧客を相手にどの製品を洗練させていた。このことによって本日の発表にたどり着いたのだ。

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(翻訳:sako)

今設計しているものの構造や形が目の前で3Dプリントで分かるプロトタイピングマシンをMITらが開発中

MITとコーネル大学の共同プロジェクトRobotic Modeling Assistant(RoMA)は、最新のさまざまなテクノロジーを組み合わせて、従来よりも良いプロトタイピングマシンを作ろうとしている。

上図のように拡張現実ヘッドセットと二つのコントローラー、そしてCADプログラムを使って、設計者は3Dモデルを作る。するとロボットアームが、自分に装着されている3Dプリンターからプラスチックを射出してスケルトンモデル(骨格モデル)を作っていく。

チームリーダーのHuaishu Pengはこう言う: “RoMAを使うと、現実世界の制約を早めに設計に反映できるから、形の良い、実際に手で触(さわ)れる工作物を設計段階で作れる。既存のオブジェクトから直接、設計を起こすこともできるから、単なる工作物でなく、インシトゥ(in-situ)な作り方もできる”。

Pengがアップロードしたビデオでは、このシステムの3Dプリントはまだかなり粗い。ふつうの3Dプリンターのようにプリントベッドなどかんじんの部品が固定されてなくて、自由に動くロボットアームの先端がプリンターだから、現状では細密な動きが難しそうだ。

でも、デスクトップの3Dプリンターで多く使われているFDM法に比べると、相当速い。だから、今設計中の物をリアルタイムで3Dスケッチしていくことも、究極には可能だろう。もうちょっと細かいコントロールができるようになると、3Doodlerのような3Dプリンティング・ペンが得られるだろう。

そのアームは設計者のアクションにリアルタイムで反応して動く。Pengは書いている、“設計者はいつでも、プラットホームのハンドルにさわってモデルのパーツを回転し、見たい部分を前面に出すことができる。ロボットアームは、ユーザーから離れて待機する。設計者がプリンティングプラットホームから退(しりぞ)くと、ロボットがプラットホームのコントロールを完全に握って、プリンティングのジョブを完了する”。

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ロボットたちに基本的な動作の組み合わせを通して世界を理解させる

言われたことをこなすという点で、ロボットは申し分ない。しかし、そのための情報をシステムに入力する作業は、時にロボットに実行して欲しい作業よりも、遥かに複雑なプロセスになってしまうことがある。これがロボットは単純な反復作業に向いていると言われる理由だ。

ブラウン大学とMITの研究チームは、現実の物体と、基本動作の、抽象的な概念を開発することを通して、ロボット自身がタスクを計画できるようなシステムの開発に取り組んでいる。このシステムでは、ロボットは複雑な作業を、人間が扱いきれない程の事細かな作業手順までに落とすことなく、実行することができる。

研究者たちは2本腕のロボット(Anathema Deviceまたは”Ana”と呼ばれる)を、室内の物体を扱えるようにプログラミングした。食器棚のドアの開閉、クーラーボックスの蓋の開閉、照明スイッチのオンオフ、そしてボトルを掴むことなどだ。タスクを実行しながら、ロボットは、研究者が開発したアルゴリズムを使用して、その周囲の情報を取り込みながら、情報を処理した。

チームによれば、ロボットはそうした動作を通した情報の取り込みによって、物体と環境に関する抽象的な概念を学ぶことができた。例えばAnaは、ドアが開けられるようにするためには、その前に閉められていなければならないと判断することができた。

「Anaは食器棚の中の照明がとても明るいために、彼女のセンサーをホワイトアウトしてしまうことを学習しました」と研究者たちは発表文の中に書いている。「そこで食器棚の中のボトルを操作するためには、ライトをまずオフにしなければなりませんでした。彼女はまた、ライトをオフにするためには、食器棚のドアが閉じていなければならない(開いたドアがスイッチへのアクセスの邪魔になるため)ことも学習しました」。

一度処理されると、ロボットは1つのシンボルをこれらの抽象概念の1つに関連付ける。これは、実行する際に複雑なコーディングを必要としない、ロボットと人間との間に生み出された一種の共通言語である。このような適応性の高さが意味することは、ロボットが特定のシナリオで実行する必要のある行動を選択することにより、より多様な環境で多種多様なタスクを実行できるようになるということだ。

研究を主導するブラウン大学の助教授George Konidarisは「インテリジェントなロボットが必要な場合に、彼らにやって欲しいこと全てを、プログラムすることはできません」とTechCrunchに語った。「彼らに目標を与えて、自分たちで行動してもらうようにしなければならないのです」。

もちろん、すべてのロボットにこの方法で習得させようとすることも、同様に非効率ではあるが、研究者たちは共通言語を開発し、新しいハードウェアにダウンロードすることのできるスキルを作成できると考えている。

「将来的には、スキルライブラリが用意され、それをダウンロードすることができるようになると思います」とKonidarisは説明する。「例えば『キッチンで仕事をするためのスキルライブラリが必要だ』とリクエストすると、キッチンで仕事をするためのスキルライブラリが手に入ることになります」。

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(翻訳:sako)

MITがLegoを使って微小流体工学ポンプのプロトタイプを作った

Legoのブロックは、とても精密で、しかもどんな組み合わせでもかっちりとできる高精度なプラスチック製品だ。世界中どこへ行っても、Logoは同じだ。そこでMITの科学者たちは、これらの小さな‘靴底の中の邪魔物たち’*を使って、とても精密な科学的システムを作った。〔*: sole stabbers, 家の中で行方不明になったLogoブロックは靴を履こうとした親を苦しめる。〕

彼らの最初の試行は、Legoのベーシックなパーツを使った小さな微小流体工学のポンプと選別機だ。Legoのブロックは世界的に同一規格なので、彼らが作った複雑な微小流体工学キット(microfluidics kits)は世界中どこでも組み立てられる。

この研究のペーパーを書いた、MITの機械工学科の院生Crystal Owensはこう言っている: “LEGOでお城を作るときのようにして微小流体工学のシステムを作れる、ひとつひとつブロックを組み合わせてね。今後はほかの人たちもLEGOのブロックを使って微小流体工学用ツールのキットを作れるだろう”。

このプロジェクトでは、液体が流れるための細い水路を作るために、ブロックをやや加工する必要がある。しかし個々のブロックやパネルは精密だから、ドリルとチューブがあれば微小流体工学の実験や研究ができる。いわば、素材として既成の玩具を使う3Dプリントだ。

“これまで何年も微小流体工学とつき合ってきたけど、デバイスのプロトタイピングが難しくて時間がかかり、リソースの無駄遣いも多かった”、とMITの准教授Anastasios John Hartは述べている。

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最終製品の色が光によって変わる3Dプリントの技術をMITのチームが開発

これもまた、MITのCSAIL(コンピューターサイエンス人工知能研究所)のクールなプロジェクトだ。研究者たちは、3Dプリントの工程に色が変わるという性質を持たせることによって、材料の無駄遣いを減らそうとしている。省資源はこんなプロジェクトにしては大げさな目標だが、しかし少なくとも、3Dプリントで何かを作ることが、なお一層消費者にとって魅力的になるだろう。

3Dプリントの工程そのものは、特に変わったところはなくてふつうで、液状のレジンに紫外線を当てて硬化する。変わっているのは、フォトクロミック(photochromic, 光によって色が変わる)な染料を加えることだ。そうすると最終製品の表面は、そこに当たる光によって色が変わる。研究者たちはこの技術を“ColorFab”と呼んでおり、それは3Dプリントの世界では何かのネーミングによく使われるパターンだ。

熱で色が変わるTシャツのHypercolorというブランドが昔からあるけど、それに似ていなくもない。でもこの研究を指導しているStefanie Mueller教授によると、光が当たっているかぎりその色を保持するから、むしろE Ink(電子インク)に似ている、という。しかも単純に色が変わるだけでなく、解像度を高くすれば複雑な模様も作れる。

チームの期待としては、製品の色が変わるようになれば、次から次と無駄な衝動買いがなくなるだろう、という。

“みんな、新しいスマートフォンや、新しいスマートフォンケースを欲しがるけど、資源の無駄遣いをせずに製品の外見をフレッシュにする方法が、あった方が良いのではないか”、とMuellerは語る。

でも企業は、次々と新製品が売れなければ困るから、Muellerの説は難しいだろう。しかしそれでも、3Dプリントの新しい技法としては、とてもおもしろい。実装が簡単だから、大衆的普及も早いのではないか。

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ホタルの体内にある酵素を使って植物を光らせることに成功…夜の町の省エネに貢献か

MITの研究チームが、ホタルのおしりを光らせる発光酵素ルシフェラーゼを使って、暗いところで光る植物を作った。そもそも、なぜそんなものが必要なのか、という質問への答はもちろん、“科学そのものがクールだから”だ。

もっと退屈な答は、省エネだ。今のところ、結果に再現性があったのはルッコラやケール、ホウレンソウ、クレソンなどだが、彼らは、夜の町を街灯不要で明るくする街路樹など、もっと大きなものを目指している。

この研究のペーパーを書いたMichael Strano教授は曰く、“われわれのビジョンは、植物がデスクランプになることだ。電源の要らないランプだ。光は植物自身の代謝エネルギーから生成される”。

Stranoが引用する研究によれば、照明は世界のエネルギー消費の約20%を占める。暗闇で光る植物は、夜になると自分のエネルギーで光るから、省エネに貢献するだろう。もちろん実用化は、遠い先の話だ。今のところチームは、植物を約3時間半光らせることに成功しているが、しかしその光量は人間が本を読める光量の1/1000ぐらいにすぎない。

だから、科学者たちが改良に成功するまでは、Kindleで我慢しよう。改良には、酵素の密度を高めることも含まれるだろう。酵素を拡散する方法も、たぶん改良が必要だ。

MITによると、これらの酵素を使って植物を光らせる試みはこれが初めてではない。でも今回のチームのやり方は、発光効率がやや良い。それには、ルシフェラーゼとルシフェリンと補酵素Aの溶液に植物を浸す工程がある(ホタルが光る組み合わせだ)。そしてその圧力を上げることによって、溶液を植物の気孔に強制的に注入する。

研究者たちは、ルシフェラーゼ抑制剤を使って光を消すことにも成功した。その化学的スイッチを使えば、夜が明けたら植物の光をoffにできるだろう。

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MITの新しい3Dプリンター技術はスピードを今の一般消費者製品の10倍にアップ

3Dプリントが一般消費者に普及しない理由は山ほどあり、スピードは主な理由の一つではないが、上位の理由ではある。硬貨よりも大きなものをプリントしようと思ったら、そう、先月亡くなった偉大なる哲学者がかつて言ったように、その仕事のいちばん困難な部分は待つことだ。

ただし、この研究は実用化まであと数年は要するだろうが、でもMITのエンジニアたちは、3Dプリンターを今の消費者製品の最大10倍まで速くできることを示した。彼らによると、これまで1時間かかっていたオブジェクトを、ほんの数分でプリントできるようになる。

プリントの方式は、今のデスクトップ3Dプリンターの多くが採用しているものと同じFDM(Fused Deposition Modeling, 熱溶解積層法)だ。溶融したプラスチックを層状に沈積して形を作る。MITは、プリントヘッドに工夫を加えることによって、そのスピードを上げた。たとえば、らせん状の機構でフィラメントを高速で供給し、プラスチックを従来のピンチローラー方式よりもしっかりと保持できる。

そのプリントヘッドはまた、レーザーを新たに設計されたプラスチック溶融機構の至近に置いて、相当速く溶けるようにした。またプリントヘッドを動かす移動台座も、プリントヘッドの可能なスピードアップに合わせて速く動く。

いつごろ市場に出回るか、という問題は、MITがこの技術をどこにライセンスするか、などにもよるだろう。

しかし准教授のJohn Hartはこう語る: “市場に出回るようになれば、とても嬉しいけど、そのために今後どんな経過をたどるのか、まだよく分からない。既存の3Dプリンターのメーカーにライセンスするか、自分たちで会社を興すか、どっちかだろうね”。

一般消費者ばかりでなく、今のデスクトップ3Dプリンターをプロトタイピング用に使っている企業も、スピードアップの恩恵は量り知れない。しかしFDMデスクトップ3Dプリンターの、もっと高度な応用技術になると、さらなる研究開発が必要だろう。

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家にミューオン天文台を作ろう――MITから100ドルの観測デバイス発売

MITの物理学者チームはミューオン探知機を開発し100ドルで販売し始めた。テレビのリモコンみたいに見える装置を使って誰でも宇宙から飛来するミューオンでさまざまな観測をすることができる。高エネルギー粒子が宇宙線となって大気に衝突すると、さらに二次宇宙線が放射される。そのひとつがミューオンだ。CosmicWatchというデバイスでこの宇宙線を観測できる。

デバイスの開発者、Spencer Axaniによれば、ミューオンはいわば「霧雨のように地上に降ってくる」のだという。Axaniと同じMITのJanet Conrad、ポーランドのワルシャワにある国立原子力研究センターに勤務するKatarzyna FrankiewiczPaweł Przewłockiのチームがこのミューオン探知機を開発した。MITのサイトにはDIYで探知機を利用するプランがある。プログラムのソースはGithubからダウンロードできる。デバイスはArduino Nanoとシリコンチップの光増幅器を利用して「シンチレーター中を通過する粒子のシンチレーション発光を検出する」のだそうだ。

Axaniはこのデバイスを大気観測用の気球に取り付けたり、学生チームにデバイスを持たせてボストンの地下鉄で観測させたりした。それによると場所によって観測されるミューオンのカウントは劇的に変化するという。チームはこのデバイスをロケットで高空に打ち上げることも計画している。

「海抜ゼロでは2秒に1回程度のカウントだ。しかし巡航高度の航空機内では50回程度に増える。たいへんな増加だ。カウント数から飛行機の高度を逆算することもできる」とAxaniは語った。

ユーザーは探知機をあちこち動かしてカウント数の変化を調べることでこの壁の中の様子を推定することもできる。

Axaniによれば「この探知機で上の階がどうなっているのか地図を作ってみたい。そのうちやってみるつもりだ」とのこと。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MITの研究者が消化管を監視する消化型センサーを開発

MITの研究者らは長年消化型技術を研究してきた。ここ数年で様々な服用可能デバイスが開発され、その中にはブタの組織からなるバッテリー不要のロボットもある。特に同大学のKoch Instituteはこの分野に焦点を当てており、薬物摂取等を監視する消化可能センサーの利用を研究している。

研究チームが開発した新しいタイプのセンサーは丸めてカプセルに入れ飲み込むことができる。カプセルが溶けるとセンサーは胃の内壁に吸着して、消化器疾患の診断や食物摂取の追跡に使用できる。

装置が展開されたときの大きさは2 x 2.5 cmで、消化管と一緒に動く人間の皮膚に似た柔軟なポリマーで作られている。センサーは圧電性のため操作を受けると電圧を発生する。将来はこの性質を別のセンサーの電力源に利用し、内蔵バッテリー不要のシステムを作ってリスクを軽減できる可能性がある。

ブタを使って試験の結果、このセンサーは消化管の過酷な環境下で最長2日間問題なく動作した。

「著しい生理学的反応を起こすことなく消化管の中に留まれる素材は数多い」と研究員のGiovanni TraversoがTechCrunchのインタビューに答えて言った。「装置を埋め込むと著しい炎症反応を起こす。本研究で使用した電子回路は柔軟で、胃の中で広がって内壁に付着する」

将来のバージョンでは、医師が疾患の検出や患者の食物摂取の監視に使うことが期待されている。本研究はボストンのBrigham and Women’s Hospitalと共同で実施された。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ビデオストリーミングの高画質化+中断のないスムーズ化にMITの研究者がニューラルネットワークを併用

MITのコンピューター科学と人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Lab, CSAIL)は、途中でぶち切れない、スムーズなストリーミングビデオを志向している。そのためにMohammad Alizadeh教授のチームが開発した人工知能システム‘Pensieve’は、その都度正しいアルゴリズムを選ぶことによって、中断のない最良の再生を確保する。

その方法には既存の技術の改良も含まれ、たとえばその一つYouTubeの適応ビットレート(adaptive bitrate, ABR)は、モザイクなどで画質を落とすことによって、スムーズな再生を維持しようとする。MITのAIは、今デバイスがどんなネットワーク条件に遭遇しているかによってアルゴリズムを切り替え、えんえんとひとつだけの方法を使い続けた場合の弱点を抑える。

そのアルゴリズム切り替え法によると、ストリーミングビデオの中断は10〜30%少なくなり、画質は10〜25%向上した。ビデオを長時間見るときには、これぐらいの改善でも相当大きな効果を感じるだろう。

  1. pensieve-overview.jpg

  2. pensieve-outperforming-existing-approaches.png

  3. pensieve-neural-network-detailed-diagram.jpg

しかもCSAILのPensieveは、完全にアルゴリズムだけに頼るのではなくニューラルネットワークを使用し、ストリーミングの最終的な画質に応じてNNにごほうび(reward)を与えることによって、NNを鍛えていく。それにより、どんな場合にはどんなアルゴリズムとその変数セットを選ぶか、ということをNNが学習していく。たとえばビデオをバッファリングするときのアルゴリズムの選択にも、固定的なルールには従わないというのが、このシステムの大きな特長だ。

チームによると、システムの振る舞いをエンドユーザーが(好み等に応じて)カスタマイズすることもできる。たとえば再生時に、画質重視、スピード重視、データの現状保全重視、などから選ぶこともできる。

Pensieveはオープンソースのプロジェクトとして来週ロサンゼルスで行われるSIGCOMMで発表される。チームは、もっと大量のデータセットで訓練すれば画質もスピードも大幅に向上する、と期待している。また今後は、通常のビデオよりもビットレートがものすごく高いVRビデオも使って、Pensieveの性能を上げたい、と彼らは考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))