東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

東京大学 大学院情報学環 渡邉英徳研究室は7月26日、ユーカリヤ(Eukarya)と共同で汎用的WebGISプラットフォーム「Re:Earth」(リアース)を開発し、オープンソースソフトウェア(OSS)としてGitHub上で公開したと発表した。ライセンスは「Apache License 2.0」。行動規範(Code of Conducts)も公開している

また成果報告イベントとして、「最新Web技術による拡張可能なWebGIS「Re:Earth」OSS化イベント」が開催予定となっている(オンラインのみ。Zoom利用)。開催期日は8月10日19時〜21時。Re:Earthの解説、エンジニア・非エンジニア向けハンズオンセッションが実施される。申し込みは、こちら

Re:Earthの特徴

  • 実用性「ノンコードによる情報のマッピング」:Re:Earthは、専門技術なしでも扱うことができ、独自のウェブアプリの公開が可能。情報の作成や更新・公開設定などをエンジニアに依頼したり、難しいプログラミングを行う必要はない。物語性のある「ストーリーテリング」タイプのビジュアライゼーションも、コーディングなしに実現できるという
  • 独自性・新規性「様々な分野に対応できるプラグインシステム」:、最先端のウェブ技術を用いたプラグインシステムを実装しており、様々な分析や可視化がプラグインにより柔軟に対応できる。また、プラグインシステムにより、クライアントがノンエンジニアであっても管理・運用可能なシステムを実現
  • 実用性・新規性「柔軟なウィジェット配置システム」:デジタルアースをベースとして、統計グラフや時系列などの表現を柔軟なウィジェット配置システムによって実現できる。ウィジェットは、ドラッグ&ドロップ操作で直感的に配置可能。スマートフォンでの表示もサポート
東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

統計グラフや時系列などの表現を柔軟なウィジェット配置システムによって実現できる。ウィジェットは、ドラッグ&ドロップ操作で直感的に配置可能

Re:Earthは、フィジカル空間の情報をバーチャル空間に再現する「デジタルツイン」の基盤となるWebGISプラットフォーム。WebGISは、ネット上で利用可能な地理情報システム(GIS)を指す。東大渡邉英徳研究室は、そのソースコードを様々な分野で自由に活用可能にするためにOSSとして公開した。

同研究室は、これまで「Google Earth」や「Cesium」などのデジタルアースを用いて平和活動・企業間取引・震災・文化財な様々な分野のデータをバーチャル空間に分析・可視化する研究を行っており、これまでの研究で得た知見を多くの人たちに提供するウェブプラットフォーム化を目指して、ユーカリヤと共同でRe:Earthを開発したという。

Re:Earthの目標としては、「複雑・大規模化する地理空間(フィジカル空間)データの手軽な活用環境の提供」「地理空間データの管理・分析・可視化のための汎用WebGISの実現」「多様な分野に向けたプラグイン開発による機能拡張」の3点が挙げられている。

東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

南アルプス市ふるさと〇〇博物館(東京大学渡邉英徳研究室制作、ユーカリヤ技術協力)

東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

経営危機自治体(ユーカリヤ制作、東京大学渡邉英徳監修)

Re:Earthは、最新のウェブ技術を用いて開発されており、これまでウェブブラウザーでは実現が困難だった本格的なGIS環境を、インストール不要でどこからでも手軽に利用可能。また今回OSS化したことにより、本体・プラグインの開発者を含む、世界各国のエンジニアとワールドワイドなOSSコミュニティを形成する計画を進めるという。

なおRe:Earthは、以下技術を用いているほか、今後AWSを含む、対応する外部サービスを拡張する予定。

東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

  • フロントエンド:React・TypeScript・Cesium・Resium(生産性向上・高品質なUI開発)
  • バックエンド:Go(高生産性・高速実行・高ポータビリティ)
  • API:GraphQL(高効率・スキーマドリブンな通信)
  • クラウド関連:Docker・Google Cloud Storage(保守管理コスト削減・スケーラブル)
  • DBMS:MongoDB(高速で高い柔軟性を持つNoSQLデータベース)
  • 認証:Auth0(IDaaS)
  • フロントエンドのプラグイン実行環境:WebAssembly+QuickJS(安全高速なJavaScriptの実行)

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:WebGIS(用語)Cesium(製品・サービス)デジタルツイン(用語)東京大学(用語)日本(国・地域)

世界を手中に収めたオープンソースソフトウェア

わずか5年前には、ビジネスモデルとしてのオープンソースの実現可能性について、投資家たちには懐疑的な考えが少なくなかった。よく言われていたのは、Red Hatは奇跡的な例外であり、他にはソフトウェア業界で重要な存在となるオープンソース企業は存在しないということだった。

話を現在にまで早送りしてみると、私たちはこの分野で高まり続ける興奮を目の当たりにしてきた。Red HatはIBMに320億ドルで買収された。これは同社の2014年の時価総額の3倍に相当する。 MuleSoftは株式公開した後に65億ドルで買収された。 MongoDBの価値は、現在40億ドルを上回っている。 ElasticはIPOによって、現在60億ドルの価値を持つとされている。そして、ClouderaとHortonworksの合併によって、時価総額が40億ドルを超える新しい会社が出現することになる。そして、進化の過程の成長段階を経て、さらに成長を続けるOSS企業の一団もある。たとえば、ConfluenceHashiCorpDataBricksKongCockroach Labsなどだ。ウォールストリートや個人投資家が、これらのオープンソース企業について見積もっている相対的な株の価値を考えると、何か特別なことが起こっていることはかなり明らかのように思える。

この、かつてソフトウェアの最先端の動きとされていたものが、なぜビジネスとしても注目を集めるようになったのか? それには、オープンソースのビジネスを推し進め、市場での展望を増大させる、いくつかの根本的な変化があったのだ。

M写真はDavid Paul Morris/Getty ImagesのBloombergから

オープンソースからオープンコアへ、さらにSaaSへ

当初のオープンソースプロジェクトは、実際にはビジネスというわけではなく、クローズドソースのソフトウェア会社が享受していた不当な利益に対する革命だった。Microsoft、Oracle、SAPといった企業は、ソフトウェアに対して「モノポリーのレンタル料」のようなものを徴収していた。当時のトップクラスのデベロッパーは、これを普遍的なものとは考えていなかった。そこで、進歩的なデベロッパーが集り、通常は非同期的に協力して、最も広く利用されているソフトウェアのコンポーネントであるOSとデータベースを皮切りに、素晴らしいソフトウェアの一群を作成した。そうしたソフトウェアは、単にオープンというだけではなく、彼らが付け加えたゆるい管理モデルによって改善され、強化されたことは誰の目にも明らかだ。

そうしたソフトウェアは、もともとデベロッパーによって、デベロッパーのために作成されたものだったので、最初はあまりユーザーフレンドリーとは言えないものだった。しかし、それらは高性能かつ堅牢で、柔軟性も兼ね備えていた。こうしたメリットは、ソフトウェアの世界にだんだん浸透し、10年ほどの間に、Linuxはサーバー用として、Windowsに次いで2番目にポピュラーなOSとなった。 MySQLも、Oracleの支配を切り崩すことで、同様の成功を収めた。

初期のベンチャー企業は、これらのソフトウェアのディストリビューションに「エンタープライズ」グレードのサポート契約を提供することによって、こうした流れをフルに活用しようとした。その結果、Red HatはLinuxの競争で、MySQLは、会社としてデータベースでの勝者となった。ただし、そうしたビジネスには明らかな制約もある。サポートサービスだけでソフトウェアを収益化することが難しいのだ。しかし、OSとデータベースの市場規模が非常に大きかったため、少なからぬ困難を背負ったビジネスモデルにもかかわらず、かなり大きな会社を築き上げることができた。

LinuxとMySQLの手法が成功したことによって、第2世代のオープンソース企業のための基盤が整備された。その世代のシンボルが、ClouderaとHortonworksだ。これらのオープンソースプロジェクト、そして同時にビジネスは、2つの観点で第1世代とは根本的に異なっている。まず最初に、これらのソフトウェアは主に既存の企業の中で内で開発されたもので、広い、関連の薄いコミュニティによって開発されたものではない。現にHadoopは、Yahoo!の中で生まれたソフトウェアだ。2番めに、これらのビシネスは、プロジェクト内の一部のソフトウェアのみが無料でライセンスされるというモデルに基づいたもので、別の部分のソフトウェアについては、商用ライセンスとして、顧客に使用料を請求することができる。そしてこの商業利用は、エンタープライズの製品レベルを意識したものなので、収益化が容易なのだ。したがって、これらの企業は、彼らの製品がOSやデータベースほど訴求力がないものであっても、多くの収益を上げる力量を備えていたことになる。

しかしながら、こうしたオープンソースビジネスの第2世代のモデルには欠点もあった。1つには、こうしたソフトウェアに対する「道徳的権威」を単独で保持する企業が存在しないため、競合する各社がソフトウェアのより多くの部分を無料で提供することで、利益を求めて競い合うことになった。もう1つは、これらの企業は、ソフトウェアのバージョンの進化を細分化することによって、自らを差別化しようとするのが常態化したこと。さらに悪いことに、これらのビジネスはクラウドサービスを念頭に置いて構築されていなかった。そのために、クラウドプロバイダーは、オープンソースソフトウェアを利用して、同じソフトウェアベースのSaaSビジネスを展開することができた。AmazonのEMRがその典型だ。

起業家のデベロッパーが、オープンソース企業の最初の2世代、つまり第1世代と第2世代に横たわるビジネスモデルの課題を把握し、2つの重要な要素を取り入れてプロジェクトを展開したとき、新しい進化が始まった。まず第1に、オープンソースソフトウェアの多くの部分を企業の内部で開発するようにしたこと。現在では、多くの場合、そうしたプロジェクトに属するコードの90%以上が、そのソフトウェアを商品化した会社の従業員によって書かれている。第2に、それらの企業は、ごく初期の段階から彼ら独自のソフトウェアをクラウドサービスとして提供するようにしたこと。ある意味では、これらはオープンコアとクラウドサービスのハイブリッドビジネスであり、自社製品を収益化するための複数の道筋を備えている。製品をSaaSとして提供することによって、これらの企業はオープンソースソフトウェアと商用ソフトウェアを織り交ぜることができるので、顧客はもはやどちらのライセンスに従っているのか心配する必要がない。Elastic、Mongo、およびConfluentなどの企業は、それぞれElastic Cloud、MongoDB Atlas、Confluent Cloudといったサービスを提供しているが、それらが第3世代の代表だ。この進化の意味するところは、オープンソースソフトウェア企業が、今やソフトウェアインフラストラクチャの支配的なビジネスモデルとなる機会を持っているということなのだ。

コミュニティの役割

それらの第3世代の企業の製品は、確かにホスト企業によってしっかりと管理されてはいるものの、オープンソースコミュニティは、オープンソースプロジェクトの作成と開発において、いまだ中心的な役割を果たしている。1つには、コミュニティはもっとも革新的で有用なプロジェクトを発見し続けている。彼らはGitHub上のプロジェクトにスターを付け、そのソフトウェアをダウンロードして実際に試してみる。そして優れたプロジェクトだと感じたものは拡散して、他の人もその素晴らしいソフトウェアの利益を享受できるようにする。ちょうど、優れたブログ記事やツイートが感染のように広まるのと同じで、素晴らしいオープンソースソフトウェアもネットワークの効果を最大限に活用している。その感染を発生させる原動力となっているのがコミュニティというわけだ。

さらにコミュニティは、事実上それらのプロジェクトの「プロダクトマネージャ」として機能しているようなものだ。コミュニティは、ソフトウェアに対して機能強化と改良を求め、欠点も指摘する。製品に付随するドキュメントには、要求仕様書こそ含まれていないが、GitHubにはコメントスレッドがあり、Hacker Newsというものもある。そうしたオープンソースプロジェクトがコミュニティに誠実に対応すれば、やがてそれはデベロッパーが必要とする機能と性能を備えたものに、自然となっていくのだ。

またコミュニティは、オープンソースソフトウェアの品質保証部門としても機能している。ソフトウェアに含まれているバグや欠陥を指摘し、0.xバージョンを熱心にテストし、何が動いて何が動かないかをフィードバックする。そしてコミュニティは、すばらしいソフトウェアに対しては肯定的なコメントによって報いる。それによって、利用者数の拡大を促すことになる、

しかし、以前と比べて変わったことは、ソフトウェアプロジェクトの実際のコーディングについては、コミュニティはそれほど関与しなくなったこと。こうした傾向は、第1世代と第2世代の企業にとっては障害となるとしても、進化し続けるビジネスモデルの不可避な現実の1つなのだ。

Linus Torvaldsは、オープンソースのオペレーティングシステム、Linuxの設計者だ

デベロッパーの台頭

こうしたオープンソースプロジェクトにとって、デベロッパーの重要性が高まっていることを認識することも大切だ。伝統的なクローズドソースソフトウェアの市場開拓モデルは、ソフトウェアの購買センターとしてのITをターゲットにしていた。ITは、いまでもそのような役割を果たしているものの、オープンソースの本当の顧客はデベロッパーなのだ。彼らは、ソフトウェアを発見し、ダウンロードして開発中のプロジェクトのプロトタイプバージョンに組み込む、ということを普段からやっている。いったんオープンソースソフトウェアに「感染」すると、そのプロジェクトは、設計からプロトタイプ作成、開発、統合とテスト、発表、そして最終的に製品化まで、組織的な開発サイクルに沿って進行し始める。オープンソースソフトウェアが、製品に組み込まれるまでに、置き換えられるということはめったにない。基本的に、そのソフトウェア自体が「販売」されるということは決してない。それは、そのソフトウェアを高く評価しているデベロッパーによって選定されるのだ。それは彼ら自身の目で確かめ、実際に使ってみての判断であり、経営者の決定に基づいて決められたものではない。

言い換えれば、オープンソースソフトウェアは真のエキスパートを介して普及し、選択のプロセスを、これまでの歴史には見られなかったような民主的なものにした。デベロッパーは、自分の意志に従って行動する。これは、ソフトウェアが伝統的に販売されてきた方法と好対照を成している。

オープンソースビジネスモデルの美点

その結果、オープンソース企業のビジネスモデルは、従来のソフトウェアビジネスとはまったく異なって見えるものになった。まず最初に、収益ラインが違う。比べてみるなら、クローズドソースのソフトウェア会社は、オープンソース企業と比較して単価を高く設定できる。しかし今日でも、顧客は理論的には「無料」のはずのソフトウェアに対して、高額の対価を支払うことに、ある程度の抵抗を感じている。オープンソースソフトウェアは、単価は安くても、市場の弾力性を利用して全体としての市場規模を確保しているのだ。ものが安ければ、より多くの人が買う。それこそが、オープンソース企業が大きな規模で、かつ急激に製品市場に適合できた理由だ。

オープンソース企業のもう1つの大きな強みは、はるかに効率的かつ感染性の高い市場開拓の動きにある。中でも第1の、そしてもっとも明白な利点は、ユーザーはお金を払う前から、すでに「顧客」になっているということ。オープンソースソフトウェアの初期導入の大部分は、デベロッパーがソフトウェアを組織的にダウンロードして使用することによるものであるため、販売サイクルにおいて、市場への売り込みと概念実証の両方の段階を、企業自体が迂回できるのが普通だからだ。セールトークは、「あなたは、すでに私たちのソフトウェアの500のインスタンスを、あなたの環境で使用しています。エンタープライズ版にアップグレードして、これらの付加機能を入手されてはいかがでしょうか?」といったものになるだろう。これにより、販売サイクルが大幅に短縮され、顧客担当者1人あたりに必要なセールスエンジニアの数を大幅に減少させることができる。そして、販売費用の回収期間も大幅に短縮できるわけだ。実際、理想的な状況では、オープンソース企業は顧客担当者に対するシステムエンジニア数の比率を好ましいものに保って業務を遂行でき、四半期以内にセールスクオリファイドリード(SQL)から商談成立まで持ち込むことができる。

このようなオープンソースソフトウェアビジネスの感染性は、キャッシュフローの面でも、従来のソフトウェアビジネスよりはるかに効率的でいられるようになる。最高のオープンソース企業の中には、中程度の現金バーンレートを維持しつつ、3桁の成長率でビジネスを伸ばすことができたところもある。そんなことは、伝統的なソフトウェア会社では想像するのも難しい。言うまでもなく、現金の消費が少なければ、創業者にとっては希薄化も少ないことになる。

写真はGetty Imagesのご好意による

オープンソースからフリーミアムへ

変化し続けるオープンソースビジネスにおいて、詳しく説明する価値のある最後の様相は、真のオープンソースからコミュニティに支援されたフリーミアムへの緩やかな移行だ。すでに述べたように、初期のオープンソースプロジェクトは、コミュニティをソフトウェアベースへの重要な貢献者として活用していた。その際には、商業的にライセンスされたソフトウェアの要素がわずかでも混入すると、コミュニティから大きな反発を受けた。最近では、コミュニティも顧客も、オープンソースビジネスモデルについてより多くの知識を持つようになった。そしてオープンソース企業は「有料コンテンツの壁」を持つことで、開発と革新を続けていけるのだ、という認識も広まった。

実際、顧客の観点からすれば、オープンソースソフトウェアの価値を決める2つの要素は、1)コードが読めること、2)それをフリーミアムとして扱えることだ。フリーミアムの考え方は、それを製品として出荷しなければ、あるいはある一定数までは、基本的に無料で使用できるということ。ElasticやCockroach Labsのような企業は、実際にすべてのソフトウェアをオープンソース化するところまで踏み込みつつ、ソフトウェアベースの一部に商用ライセンスを適用している。その論拠は、実際のエンタープライズ契約の顧客は、ソフトウェアがオープンかクローズドかにかかわらず料金を支払うが、実際にコードを読むことができるのであれば、商用ソフトウェアを利用する意欲も高まる、というものだ。もちろん、誰かがそのコードを読んで、わずかな修正を加え、亜流を配布するという危険性もある。しかし、先進国では、すでにさまざまな分裂が生じているが、エンタープライズクラスの企業が模倣者をサプライヤーとして選ぶことなどありそうもない。

このような動きを可能にした重要な要因は、より現代的なソフトウェアライセンスにある。そのようなライセンスを最初から採用してた企業もあれば、時間をかけて移行してきた会社もある。Mongoの新しいライセンス、そしてElasticやCockroachのライセンスは、その良い例だ。10年ほど前に、オープンソースプロジェクトの原点となったApacheのインキュベートライセンスとは異なり、これらのライセンスははるかにビジネス向きで、モデルとなるようなオープンソースビジネスのほとんどが採用している。

(関連記事:MongoDBがそのコードのオープンソースライセンスを改定、オープンソースの“食い逃げ”に むかつく

将来は

4年前に、このオープンソースに関する記事を最初に書いたとき、私たちは象徴的なオープンソース企業が誕生することを熱望していた。Red Hatという1つのモデルしかなかった頃には、もっと多くのモデルが登場すると信じていた。今日、オープンソースビジネスの健全な一団を見ることができるようになったのは、非常にエキサイティングなことだ。これらは、オープンソースの遺伝子プールから登場してくるのを目にすることになる象徴的な企業のほんの始まりに過ぎないと、私は信じている。ある観点から見ると、何十億ドルもの価値があるこれらの企業は、このモデルの力を立証するものだ。明らかなのは、オープンソースはもはやソフトウェアに対する非主流のアプローチではないということ。世界中のトップクラスの企業がアンケート調査を受けたとき、その中核となるソフトウェアシステムを、オープンソース以外のものにしようとするような企業はほとんどないだろう。そして、もしFortune 5000の企業がクローズドソースソフトウェアへの投資をオープンソースに切り替えれば、まったく新しいソフトウェア企業の景観を目の当たりにすることになる。そしてその新しい一団のリーダーたちは、数百億ドルもの価値を持つことになるのだ。

もちろん、それは明日にも実現するようなことではない。これらのオープンソース企業は、今後10年間で、成長、成熟し、自社の製品と組織の開発を進める必要がある。それでも、この傾向は否定できない。そして、ここIndex Venturesでは、この旅の初期に、私たちがここにいたことを光栄に感じている。

画像クレジット:aurielaki

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AWSがMongoDB互換データベースを提供、オープンソースに独自の異議申し立て

AWSが今日(米国時間1/9)、MongoDBのAPIと互換性のあるデータベースDocumentDBローンチした。同社はDocumentDBのことを、“既存のMongoDBアプリケーションやツールと互換性のある、高速でスケーラブルで高可用性のドキュメントデータベース”、と説明している。実質的にそれは、MongoDBをリプレースするためにAWSがホストするドロップインで、MongoDBのコードはまったく使っていない。

AWSによると、MongoDBは基本機能は良いが、そのオープンソースのプラットホームでは、数テラバイトもの、しかも毎秒数百から数千のリード/ライトがあるような規模にもスケールできる、高速で可用性の高いアプリケーションの構築が難しいことを、顧客は体験している。そこで同社がやったのは、自社独自のドキュメントデータベースを作り、それに、オープンソースのApache 2.0 MongoDB 3.6のAPIとの互換性を持たせることだ。

最近の数か月のオープンソースの政治学をフォローしてきた読者なら、これがあまり歓迎されない動向であることを、理解されるだろう。しかも、誰もが知っているように、AWSはオープンソースプロジェクトの良いとこ取りをして、それらの再利用と名称変えをしながら、コミュニティには何も還元していない、と長年非難されている。

しかも選りに選ってMongoDBは、それをやめさせようとした最初の企業のひとつだ。同社は、同社のオープンソースツールのライセンス規約を変えて、そういうことをしたい企業は商用ライセンスを買え、とした。ほかのオープンソース企業も、それに倣った。

MongoDBのCEOで社長のDev Ittycheriaはこう言っている: “模倣はいちばん正直な形の追従だ。だからAmazonがそうやって、MongoDBのドキュメントモデルの人気と勢いに乗っかろうとするのも意外ではない。でも、十分な技術力のあるデベロッパーなら、本物とお粗末な模倣の違いをすぐに見分けるだろう。MongoDBは今後も引き続き、市場に存在するどんな‘そっくりさん’にも勝る性能を維持するだろう”。

これはかなり戦闘的なコメントだが、昨年11月にIttycheriaは、本誌のRon Millerの取材に対して、AWSはドキュメントDBで大量のリソースを消費するMongoDBを愛しているはずだ、と言った。そのインタビューで彼は、“最近の5年間、顧客たちは、自分を大型ベンダーの束縛から解き放とうと努力してきた。彼らが絶対にやりたくないのは、同じ映画をリプレイすることだ”、と語った。〔次の5年間も同じ努力で苦しみたくない。〕

MongoDBの協同ファウンダーでCTOのEliot Horowitzも、同じことを言う: “デベロッパーに彼らが望むものを与えるためにAWSは2年前から、MongoDBのコードをベースとするMongoDBサービスの模倣を提供せざるをえなくなった。わが社は、その全体が一つのことにフォーカスしている。それは、デベロッパーにデータを処理するための最良の方法を与え、またそれをどこで動かしてもよい自由を与えることだ。今後どんな模造品が登場してきたとしても、このたった一つのミッションへのわが社の献身こそが、本物のMongoDBをそれらと差別化する要因だ”。

そして同社のスポークスパーソンによると、AmazonのDocumentDBが互換性を保証しているMongoDB 3.6は2年前の古いバージョンであり、ACIDトランザクションやグローバルクラスター、モバイルのシンクなど、多くの最新機能を欠いている。

しかしAWSも最近ではオープンソースに、ある意味で前よりも熱心になっており、デベロッパーの要望にも応えようと努力している。たしかに、MongoDB自身がホストするサービスに満足していないデベロッパーもいる。MongoDBのライセンスをバイパスしてAPIレベルの互換性を選んだことは、MongoDBがなぜ今のようなライセンス方式にしたかをAWSが知ってるからであり、それはつねに論争の元であったし、同社がオープンソースのコミュニティに愛されない理由でもあった。〔訳注: MongoDB社によるオープンソースソフトウェアの商用化(有料化)ライセンス方式については、この記事を参照してください。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MongoDBがそのコードのオープンソースライセンスを改定、オープンソースの“食い逃げ”に むかつく

MongoDBは一部の、とりわけアジアの、クラウドプロバイダーのやり方にムカついている。彼らはそのオープンソースのコードを利用して、同社のデータベースの商用バージョンを、オープンソースのルールを無視してユーザーにホストしている。これと戦うためにMongoDBは今日(米国時間10/16)、Server Side Public License(SSPL)と名付けた新しいソフトウェアライセンスを発行した。それは同社のMongoDB Community Serverのすべての新しリリースに適用され、前のバージョンの新しいパッチに対しても適用される。

これまでMongoDBはGNU AGPLv3ライセンスを使ってきたが、今度はSSPLをOpen Source Initiativeに申請して承認を待っている。

現在コミュニティサーバーを使っている通常のユーザーは全員、新しいライセンスが適用されないので何も変らない。むしろこれは、MongoDBがAGPLv3ライセンスの誤用とみなしているものへの対策だ。MongoDBはこう説明している: “MongoDBはこれまで、GNU AGPLv3でライセンスされていた。したがってMongoDBを一般公開サービスとして動かしたい企業は、自分たちのソフトウェアをオープンソースにするか、またはMongoDBから商用ライセンスを入手しなければならない。しかしながらMongoDBの人気のゆえに、一部の企業はGNU AGPLv3の許容限界を試そうとしている”。

つまり、SSPLはGNU GPLv3とそれほど異なるライセンスではない。GPLとほぼ同じ言葉で、コードの利用、変更、再配布の自由が明記され、しかしSSPLが明示的に声明しているのは、MongoDB(やSSPL下のそのほかのソフトウェア)をサービスとして提供しようとする者は何人(なんぴと)たりとも、商用ライセンスを得るか、またはサービスをオープンソースにしてコミュニティに還元しなければならない、という点だ。

MongoDBのCTOで協同ファウンダーのEliot Horowitzは、声明の中でこう述べている: “市場はますます、ソフトウェアをサービスとして消費しており、そこに、オープンソースの優れたサーバーサイドソフトウェアのニューウェーブが生まれ育つすばらしい機会が作られている。しかし残念ながら、一度オープンソースプロジェクトの味をしめたクラウドベンダーはあまりにも安易に、それが自分が開発したソフトウェアではないにもかかわらず、その価値のすべてを取り込み、コミュニティに何も寄与貢献しなくなっている。われわれはオープンソースに大きく貢献し、大きな恩恵を受けている。そういう企業としてわれわれは、多くの企業に影響を及ぼす問題で先頭に立つべき、独自の立ち位置にある。これが今後さらに多くのプロジェクトを刺激して、オープンソースのイノベーションが守られることを望みたい”。

この動きが、一部の人びとの反感を招くことも確実だ。オープンソースのライセンスについて語るときには、その運動の本質をめぐって宗教的な口調にどうしてもなりがちだ。そしてMongoDBはそのソフトウェアの背後にいる商業的実体であり、コードへの外部からのコントリビューションを管理しているから、たとえば大きなオープンソースのファウンデーションなどが管理するプロジェクトと違って、コードに対する一社の権限や態度が実質的にきわめて強い。だからMongoDBがオープンソースの何たるべきかを語るのはお門違い、と見るむきもある。オープンソースはソフトウェアを開発するための実用的な方法にすぎない、という考えもある。

しかしいずれにしてもこれは、私企業とその企業のオープンソースプロジェクトの管理との関係はどうあるべきかをめぐる議論の、契機になると思われる。自分のコードの使われ方に関して、MongoDBのような企業は、どれだけのコントロールを及ぼしうるのか? 今日のHacker Newsを読むのが、楽しみだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MongoDBのGlobal Clustersを利用するとデータの地理的配置が楽にできる

MongoDBAtlasは、クラウド上のマネージドデータベースサービスだ。マネージド(managed, 管理つき)というのは、データベースのセットアップやメンテナンスは全部Mongoが面倒見るので、デベロッパーがそのレベルで苦労する必要はない、という意味だ。今日(米国時間6/27)同社は、このやり方をさらに一歩前進させて、顧客がデータの所在(地理的配置)を細粒度でコントロールできる、Global Clustersと呼ばれる機能を発表した。

これによりユーザー企業はクラウドプロバイダーを自由に選び、そしてAtlasが動くMongoDBのデータベースからは世界のデータのどの位置にも移動できるようになる〔後述〕。MongoDBのCTOで協同ファウンダーのEliot Horowitzの説明によると、クラウドプロバイダーはどこの誰であってもよい。データの位置ポリシーを設定し、クラウドベンダーとデータセンターの場所を選び、その結果をグラフィカルな世界地図(下図)の上で見ることができる。それでOKなら、Mongoがバックグラウンドで自動的にデータを移動し、そのときシャットダウンは不要だ。

Global Clustersのインタフェイス。スクリーンショット提供: MongoDB

今月発効したEUのGDPRに見られるように、多くの国がデータ主権(data sovereignty)の証拠を求める。でも企業がそのような規則に自力でコンプライアンスすることは、難題である。Horowitzによると、彼はAtlasのための地理的パーティションを作ったが、それは技術的にものすごい苦労だった。しかしそれをこのようなサービスとして提供することによって、データのマイグレーションを小企業でもできるようになり、彼らは最初から(データに関し)地理的な粒度を持てることになる。

彼曰く: “圧倒的に数が多いのは小企業だが、彼らも今では、大型のWebサイトと互角に競争できると感じているし、最初からレベルの高いサービスを提供できる。しかもそのために、エンジニアのチームを雇う必要もない”。

Mongoから見てこのやり方が優れているのは、ユーザー企業自身が全世界的なデータセンターを構築しなくてもよいことだ。AWS, Microsoft, Googleなどメジャーなパブリッククラウドプロバイダーがグローバルなロケーションを持っているから、それに乗っかるだけでよい。

“データセンターはクラウドプロバイダーが持ってる、というところがクールだね。ユーザーが必要とするリージョンを持ってるクラウドプロバイダーを、選べばよいのだ”、と彼は言う。

Atlasのユーザーは今日からこの機能を利用できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MongoDBのNasdaq上場、初終値は34%アップ

ニューヨークのデータベース企業、MongoDBは今日(米国時間10/19)Nasdaqに上場し、初終値は32.07ドル、24ドルの売り出し価格から34%のアップとなった。当初、上場の目標株価は18ドルから20ドルとされていたものが20ドルから22ドルとアップされ、さらに直前になって24ドルに決定されたものだ。

MongoDBはこの株価24ドルの売り出しで11.8億ドルの評価額で1億9200万ドルを得た。上場初日の終値はさらにアップし同社の時価総額16億ドルとなった。これは2年前の資金調達ラウンドの際の会社評価額と同額だ。

MongoDBは2008年以降、3億ドル以上を株式売却で調達し、Sequoia Capital、Flybridge Capital、Union Square Venturesが大株主となった。

MongoDBを利用してデータベースを運用するクライアント企業にはAdobe、eBay、Citigroupなどが含まれる。MongoDBは同名のオープンソース・データベース、MongoDBやデータベース・アズ・ア・サービスのAtlasなどのプロダクトを提供している。

共同ファウンダーでCTOのEliot HorowitzがTechCrunchに語ったところでは、MongoDBは「次世代アプリケーションのための優れたデータベース」だという。Horowitzは「デベロッパーの生産性を一気に向上させるようなプロダクトを開発する」としている。

2017年1月に終わる会計年度の売上は1億140万ドルだった。前年同期の数字は6530万ドルで2倍近くの成長を遂げたことになる。最近の年間損失は8670万ドルと発表されている。その前年、2016年1月に終わる年度では7350万ドルの赤字を計上している。

画像: Nasdaq, Inc

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MongoDBのIPO価格は一株あたり24ドルで当初予想を上回る、赤字企業に市場の期待大

MongoDBが上場に向かう最後のステップを終了し、そのIPOに24ドルの値をつけ、それにより1億9200万ドルを調達した。

公開市場にデビューするのは明日(米国時間10/19)だが、そこでもまた、同社のオープンソースソフトウェアをベースとするビジネスの真価を問われることになる。MongoDBが提供するオープンソースのデータベースソフトウェアは、これから離陸を目指す初期段階のスタートアップたちにとくに人気があり、同社は高度なツールを提供することによって彼ら(および大企業の顧客)を有料顧客に変換する努力を重ねてきた。それは、この前上場したClouderaとは異なる状況だ。

同社は今、800万株を売っているが、引受人にはさらに120万株を買えるオプションがある。その追加分を含めると、MongoDBは2億2080万ドルを調達するかもしれない。一株あたり24ドルでは、同社の時価総額は約12億ドルになる。

同社は成長しているように見えて、その損失も着実に増えており、確かに同社は大量のキャッシュを燃やしている。約12億ドルの時価総額になるのも、おそらくそのせいだ。MongoDBは、ある時点では16億ドルの時価総額まで行けそうだったが、MongoDBのようなマーケットの問題児はウォール街にとって明らかに売りづらい。しかしそれでも、同社のIPO価格は当初予想された20-22ドルより高い。つまり、市場の関心が高い、ということ。

このところの、同社の財務状況はこうだ:

最終的にはこれは、スタートアップのさらなる大型IPOを期待していたニューヨークのテクノロジー界隈にとって、快挙になるかもしれない。時価総額は安めになったが、MongoDBはいわゆる“IPOの狭き窓”に疑問符がつきかけていたこの時期に、ドアの外へ出ることに成功した。このIPOはSequoia CapitalやFlybridge Capital、それにもちろんニューヨークのKevin Ryanにとって、たぶん大勝利となるだろう。

どのIPOでも資金調達が目標だが、でもできるだけ多くの資金を確実に得ることと、初日の“ポップ”(急騰)を許容することとのあいだには、微妙なバランスがある。投資家や社員たちのために流動化イベントを立ち上げて、これから強力な上場企業になるぞ、という姿勢を示すのは一種のショーでもある。MongoDBが公式に上場を申請したのは、9月だった

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

NoSQLデータベースのMongoDBが非公開でIPOを申請

情報筋によると、MongoDBが秘かにIPOしていた。同社がSECにS-1ファイルを提出したのは数週間前で、今年中の上場をねらっている。

ニューヨークのMongoDBは、そのデータベースプロダクトとデータベース管理サービスをAdobe, eBay, Citigroupなども利用している。主要なプロダクトは、社名と同じオープンソースのデータベースMongoDBと、Atlas DBaaS(Database as a Service, クラウド上から提供されるデータベース)だ。

同社は2008年以降3億ドルあまりの、非公開段階の資金を調達しており、Sequoia Capital, Intel Capital, NEAなど著名な投資家が投資に参加している。最近の資金調達ラウンドは2年あまり前で、そのときの評価額は16億ドルといわれる。

MongoDBは、2012年に制定された雇用創出法*が定めている“非公開申請”を利用している。それによると、申請をしてから15日間は財務条件などを公開せずに投資家めぐりができる。これによりスタートアップは、上場前の数週間、余計な審査や手続きに悩まされずに市場デビューの準備ができる。〔*: 参考記事

MongoDBのIPOは、数年前から噂されていた。今年の5月には、Wall Street Journalが、同社がIPOに向けて投資銀行の連中を雇った、と報じている。

本誌TechCrunchも最近、Stitch Fixがやはり非公開でIPOを申請したことを報じた。そのほかにも数社が、労働者の日(9月第一月曜日)と感謝祭(11月第四木曜日)までの間に上場を目論んでいる、と噂されている。

IPOは社員や初期の投資家たちに流動性(会社の所有権…株…が一般的に売買できること)を提供するための優れた方法だが、GoogleやAmazonが大成功を収めた反面、最近の人気IPOだったSnapやBlue Apronなどは、その後苦戦した。ビッグデータ企業のClouderaは、IPO価格よりも上の株価を維持している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MongoDBがバックエンドサービスStitchを開始、AtlasはAzureとGCPに対応、そして新しいBIツールも発表

MongoDBは今週シカゴで年次デベロッパーカンファレンスを開催している。そして良い開発者会議には新しいプロダクト発表がつきものだ。MongoDBは本日(米国時間6月20日)の基調講演に於いて、現在提供しているAtlasデータベースサービスが、Microsoft AzureならびにGoogle Cloud Platformの上で動作するようになったというアップデートを発表し、また同時に2つの完全に新しいプロダクトを発表した。1つはStitchと呼ばれるもので、MongoDBデータベースの上で動作し、サービスとしてのバックエンド(BaaS)を提供して、開発者が異なるサードパーティサービスとの連携を行なうことを助けるもの。もう1つはMongo Chartsと呼ばれるもので、Tableauに似たビジネスインテリジェンス(BI)サービスであり、MongoDBデータベース内の情報をチャート化する目的に利用することができる。

多くの点で、StitchはMongoDBにとって、コアデータベースサービスから踏み出す最初の挑戦だ。MongoDBのCTO兼共同創業者のEliot Horowitzは、彼等の開発チームが、今やMongoDBのユーザーの大半が、サードパーティのサービスを組み合わせたアプリケーションを作成していることに気付いたと述べた。Stitchを使用することで、開発者たちはこれらの外部サービスに接続し、そのAPIからデータを容易に引き出してデータベースに格納することができるようになる。理想的には、たとえば、開発者は独自のセキュリティやプライバシーコントロールを構築する必要がなくなり、アプリケーションをこれらのサービスと統合するために苦労するのではなく、アプリケーションの構築に集中することができるようになる。
Stitchは、Google、Facebook、AWS、Twilio、Slack、MailGun、そしてPubNowととのプレビルド統合が行われた形で開始されるが、Horowitzが強調するように、StitchをREST APIを提供するサービスと統合することは簡単に行うことができる。

Stitchは現在、MongoDB Atlasユーザーに対するパブリックベータ版で利用可能だ。現在の利用料金は開発者たちが必要とするデータ転送量に基いている。Stitchがベータ版を終了したあとは、全てのMongoDBユーザーが同様の課金モデルでそれを利用することが可能になり、かつ同社はオンプレミス版の提供も行う予定だ。

MongoDBのクラウドデータベースサービスであるAtlasに関する新しい機能は、特に発表されなかったが、同社はユーザーたちがサービスをGoogle Cloud Platform(GCP)ならびにAzure上に展開できるようにした。この提供には随分時間がかかったが、これまで同社はリソースを、最も顧客がいるAmazon AWSプラットフォームに対して集中することを決めていたのだ。昨年6月にサービスを開始したこのサービスには、同社によれば現在「何千人ものアクティブユーザーがいる」という。そうしたユーザーの中には、例えばeHarmonyやThermo Fisher Scientificのような会社が含まれている。

新しい2つのプラットフォームのサポートが示すのは、MongoDBのようなデータベースプロダクトを必要としている企業たちが、今や代替プラットフォームを検討し、単純にAWSをディフォルトとして利用していないことを示すものだ。

MongoDBにとって、AzureとGCPのサポートを追加することは、全体的なビジョンを達成するための第1歩にすぎない。ここでのアイデアは、将来はユーザーたちが、完全に特定のクラウドにとらわれない、グローバルに分散したデータベースを展開できるようになることだ。この計画に於ける(すぐにやってくる)第2歩は、ユーザーたちが任意のクラウドの任意のリージョンに展開できるデータベースを構築できるようにすることだ。

少々驚きを伴ったが、MongoDBはまた、新しいビジネスインテリジェンス(BI)ツールであるMongo Chartsのプレビューを行なった。残念ながらこれはまだ使うことはできないが、同社の広報担当者によれば、これはこの秋に行われる、もっと大きな新規改訂の一部だということだ。ここでのアイデアは、ビジネスユーザーたちが、MongoDBインスタンスの中に保持している自分たちのデータを活用して、グラフやダッシュボードを簡単に構成できるようにしようというものだ。類似ツールと同様に、ユーザーはインタラクティブに、データをリアルタイムに探索することができる。

Horowitzによれば、他のデータベースのサポートを取り込む予定はないということだ。よってこのサービスが、TableauやMicrosoftのPower BIなどと直接競合することはない。しかしMongoDBをヘビーに使い倒している企業にとって、Mongo Chartsは唯一必要とされるツールになるのかもしれない。

Mongo Chartsの価格設定に関しては、会社がまだ決定していないと、Horowitzは答えた。

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(翻訳:Sako)

MongoDBのクラウド上のデータベースサービスAtlasに無料プランが登場してフリーミアムに

MongoDBは今でも主力製品のNoSQLデータベースで有名だが、しかし昨年同社は、Atlasという、管理サービスつきのデータベースサービスを立ち上げた。そのクラウドサーバーは、AWS上で動いている。立ち上げ時点では有料サービスのみだったが…AWSの使用料も払わなければならないから当然か…、今日からはMongoDBを勉強したいデベロッパーや、これから新しいアプリケーションのプロトタイプを作る、といった人たちのために、無料サービスの提供を開始する。

無料プランには当然ながら制約もあり、たとえばストレージは512MBしか使えない。でも、可用性の高いAtlasのクラスターにアクセスできる点では有料プランと同じで、しかも、保存されている、あるいは転送時の、データは暗号化される。だからストレージが小さい点をのぞけば、サービスの内容は有料プランと変わらない。MongoDBをこれから勉強しよう、というユーザーにとっては、ストレージのサイズもこれぐらいで十分だろう。

無料プランがなぜこんなに遅れたのか、という問いに対してMongoDBのクラウドプロダクト担当VP Sahir Azamはこう答える: “無料プラン(Free Tier)のユーザー体験を、最初から本格的なものにしたかった。最初に立ち上げた有料プランも、販促のための無料利用の部分がかなりあり、デベロッパーはかなり気軽に完全なプロダクトを体験できた。そして彼らからのフィードバックが、無料プランでも高可用性とモニタリングと主要なセキュリティ機能をを提供すべき、という確信をわれわれに与えた。そのほかの機能やツールについても、それらをすべて提供すべき、という確信が得られた。つまりこれまでの有料ユーザーからのフィードバックを見るかぎり、ユーザー体験のクォリティーという点から、有料バージョンと完全に同じものを提供すべき、という結論にならざるを得なかった”。

また、今日同時にローンチしたデータマイグレーションツールmongomirrorにより、既存のMongoDBのデプロイメントをAtlasへ移せる。このツールは、将来的にはクラウド上のツールとしてAtlasから提供される予定だ。

Atlasの利用状況についてMongoDBは詳しい数字を明かさないが、“全世界の数千の企業で使われている”、とだけ言った。その中には、オンラインデートサービスeHarmonyや、バイオテックのThermo Fisherなどが含まれる。

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Bashoが時系列データ専用NoSQLデータベースRiak TSをオープンソース化してIoTへの浸透をねらう

internetofthings

世界中のありとあらゆるデバイスメーカーが、自分たちの製品をインターネットに接続しようとしているように、思える。ベッド用のマットレスも、洗濯機も、トースターも、そしてジューサーも〔冷蔵庫も〕。大量のデータが空中や線上にあふれ出て、分析されるのを待つ列に並ぶだろう。

そのようなデータは今後増加の一方で、それを送信する能力は、最近1億5000万ドルを調達したSigFoxなどの企業によって徐々に整備されていくが、しかしながら今の分散データベースのアーキテクチャの多くは、市場が求めるそんな帯域にマッチできるほどの、高速なデータ処理と出力の能力を持っていない。

シアトルのBashoは、同社のNoSQLデータベースRiak TSの最新リリースで、そんな問題の一部を解決しようとしている。TSはtime-series(時系列)の頭字語で、データのユニークなキーヴァリューがタイムスタンプであり、それはそのデータが作られた日時を指している。TSシステムはこれまでもBashoのエンタープライズクライアント(Uber, AT&Tなど)にしばらく使われてきたが、今回のオープンソースリリースによって、そんなデータタイプを初めて扱うデベロッパーでも、気軽に利用できるようになった。

MongoDBやDataStaxなどの同業企業と違ってBashoはこれまで、わずか2500万ドルの資金しか調達していない。明らかに同社は、時系列データを扱うという独自性が、NoSQLデータベースの業界で強力な差別化要因になる、と信じている。

今回のニューリリースは、ApacheのクラスターフレームワークSparkを統合し、SparkとRiak TSにおけるインメモリ処理のためのデータの、自動的分散化と対話をサポートしている。

多くの人にとってこれは些細なことと思えるかもしれないが、センサーからの大量の時系列データを扱う者にとっては、大規模な分散化データが、コンピューターの実動時にすら、長いリード/ライト時間の原因となり、分散化による冗長性が効率を殺してしまう。

ソリューションとしては、ハッシュランクを使ってデータのキーをデータクラスター全体にわたって均一に分散するやり方が多い。それによって、大規模なノード集合全域にわたる同じタイムレンジからのデータを効率的に入力するが、一方でレンジへのアクセスが高負荷な操作になる。

BashoのCEO Adam Wrayによると、Riak TSが使っているユニークな分散化システムはユーザーに、タイムスタンプのある、あるいはそのほかの連続的な、データの処理における有利性を与える。

“われわれはデータの配置を最適化し、特定のノードが特定のレンジのデータを得るようにしている”、と彼は語る。つまりこのような配置によって、一定のタイムレンジからのデータのフェッチが、より少ない操作ですむようにしている。

新しいリリースのREST APIによって個々のデベロッパーが利益を得るだけでなく、Bashoがエンタープライズの世界で歓迎される要因は、Riak TSの、既存のSQLデータベースコマンドとの互換性だ、と彼は考えている。

“それは正規のSQLコマンドであり、一部のCQLや、SQLのわれわれ独自の変種ではない”、とBashoのCTO Dave McCroryは述べる。“われわれは、人びとがいちばん多く使いたがる従来的な操作をサポートする”。

たしかに、いちばん多く使われているSQL操作をサポートすればレガシーユーザーやエンタープライズの多くにとって魅力的だが、多くのエンタープライズユーザーはSQLプラットホームの上に内製のカスタムソリューションを乗っけており、それがエンタープライズ世界におけるRiak TSの広範な採用を妨げるかもしれない。

Riakのノードは仮想と物理的、両方のマシンにまたがって分散化でき、またMicrosoftのAzureやAmazon Web Servicesなどのプラットホーム上の、クラウドインスタンスの上でもそれは可能だ。

Bashoの主張によると、時系列データの処理では、Riak TSの方がApacheのNoSQLデータベースCassandraなどよりも50%は速い。本誌TechCrunchはこの主張を検証していないが、今回オープンソース化されたことにより、Rial TSシステムのパフォーマンスゲインは多くのユーザーにとって明らかになるだろう。

このシステムが内包している強力な事故回復力が、エンタープライズユーザーたちのデータベース乗り換えの十分な動機になるか、それはまだ分からない。Riak TSでは各クラスターが同一データのコピーを三つ抱えるので、マルチクラスターのリプリケーションが天文学的な数の操作になることもありえる。しかし十分なスケーラビリティがあれば、これによって高いアップタイムと低い誤り率が保証される。ただしそれに要する費用は、小さな企業が尻込みするほどの額だろう。

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MicrosoftのNoSQLデータベースDocumentDBがMongoDB完全互換になる

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MongoDBができる人、今日はあなたの吉日だ。MicrosoftのNoSQLドキュメントデータベースDocumentDBが、これからはMongoDBのドライバーをサポートする。今あなたが使っているMongoDBのツールやライブラリをDocumentDBで使って、Microsoftのクラウドを利用できるのだ。

あるいは、DocumentDBのインフラストラクチャからMongoDBと互換性のあるデータベースサービスを提供する、といったハイブリッドなこともできる。今日(米国時間3/31)から、そのプレビューが提供される。

皮肉にもMicrosoftは、MongoDBのサポートの使い方をデモするスライドの中で、Parseを使っている。Parseをベースとするアプリは、MongoDBの命令を使ってDocumentDBとコミュニケートできる。しかし、Facebookは近くParseを閉鎖する。でもご安心を! ParseのサーバーをAzureへ移行できるから、デモでParseを使っているのは意外と正解かもしれない。

DocumentDBはJSONベースのNoSQLドキュメントデータベースへの、Microsoft独自の取り組みだ。顧客はパフォーマンスのレベルを選択でき、あるいは一部のコレクションに対してのみ高いパフォーマンスレベルを割り当てて、そのほかを低くしておくこともできる。

また今日からは、DocumentDBで複数のリージョンのデータをレプリケートできる。前から、世界中の複数のデータセンターにまたがってDocumentDBを利用できるけれども、今日からはそんな展開でも応答性に優れたデータベースを構築できることになる。

DocumentDBの料金体系も変わる。今日のMicrosoft Buildの会場で詳しい説明はなかったが、とにかく今後はDocumentDBがお安くなり、大規模な展開も楽にできるようだ。期待しよう。

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MongoDBの管理サービスMongoLabが名前をmLabに変えて新分野への進出を目指す

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MongoLabは長らく、MongoDBデータベースをデプロイし管理するためのデファクトのサービスだったが、今では同社がこの市場をほぼ支配してしまったので、事業を新たな分野へ拡張することになった。まだ新しいプロダクトはローンチしていないが、そのために同社は社名を、MongoLabからmLabに変えることになった。

mLab - Logo

MongoLab/mLabのCEOで協同ファウンダーのWill Shulmanによると、彼のかねてからの計画でもMongoLabはあくまでも、二段階プランの最初の部分だったそうだ。

その計画では、最初に構築するサービスはNoSQLのムーブメントに乗って主にJSONサービスを提供すること。それは、明らかにうまくいった。MongoLab/mLabはこのほど、4回めの黒字四半期を迎えた。今では同社は約25万のデータベースのデプロイをAWS, Azure およびGoogle上で管理している(圧倒的に多いのはAWSだ)。

“MongoDBのホスティングでは、ほかのプロバイダに比べ、有料ユーザーはうちがいちばん多い”、とShulmanは語る。“MongoDBそのものの有料ユーザーよりも多いぐらいだ”。

これらのユーザーのサービスの多くがMongoLabmLabを、彼らのJSONベースのアプリケーションのバックエンドとして利用している。“当時は、何もかもサーバーサイドだった”、とShulmanは語る。“今はポリクライアント(poly-client, 複数クライアント)の時代で、サーバーサイドの開発といえばAPIやデータサービスぐらいだ”。

今ではMongoLabmLabのユーザーの約70%がMongoを使って、自分たちが必要とするデータサービスを手作りしている。

同社の今後の計画をShulmanは詳しく述べなかったが、明らかにmLabのプランは、デベロッパーが自分のデータベースをベースとするAPIを作ることを助ける、サービスだろう。

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MongoDBが既存のデータ視覚化ツールやBIアプリケーションと接続するためのコネクタを発表

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オープンソースのデータベースプラットホームMongoDBが今日(米国時間6/2)、ニューヨークで行われた同社のMongoDB Worldカンファレンスで、いくつかのアップデートを発表した。その中には、Tableauなどのデータ視覚化ツールの統合も含まれる。

MongoDBは従来のRDBと違って非定型データを扱える自由性があるため、今では多くの企業のアプリケーションで利用されている。それが、MongoDBを使う主な理由の一つだが、でもデータを視覚化することが必要になると、これまで使ってきたデータ視覚化ツールで非定型データを扱うのは難しい。MongoDBのストラテジー担当VP Kelly Stirmanは、そう説明する。

彼曰く、“それらのアプリケーションが現代的と言われるのは、従来の行(row)と列(column)のデータベースでは扱えない豊富なデータ構造を使うからだ”。

その便利で現代的なMongoDBがもたらした予期せざる結果に対応するため同社は、BI(ビジネスインテリジェンス)やデータ視覚化ツールと接続するためのコネクタを発表し、後者の一つの例として同社のパートナーTableauを紹介するとともに、そのほかのツールでもコネクタが同様に使えることを明言した。

“Tableauは弊社のパートナーだが、しかしコネクタは、IBMのCognosやSAPのBusinessObjects、Microsoft Excelなど、そのほかのツールとの互換性もある。そのコネクタはSQLベースのODBCツールとの互換性もあるから、ほとんど何にでも対応できる”。

Stirmanはさらに加えて、“何百万ものユーザがこれらのアプリケーションを毎日のように使っているが、これまでそれらは、MongoDBとは断絶した世界だった”、と語る。そこで新たなコネクタが、両世界を橋渡しすることになる。

これまで、既存のデータ視覚化ツールでMongoDBとそのデータを扱うためには、大量のプログラミング努力を要し、そのために費やす時間と費用は膨大だった。しかし、“コネクタを使えば、既存の視覚化ツールが、あいだにレイヤを必要とせず、MongoDBのデータにアクセスできるようになる”、と彼は説明する。

同様の発表を先週、Salesforce.comも行ったが、それは今回のMongoDBのケースとは逆で、外部データをSalesforceの視覚化ツールWaveで、Salesforceのデータと共に視覚化するためのコネクタだ。

MongoDBの場合と同じく、それまでは、プログラミングで苦労すれば外部データをWaveで見ることは可能だった。そしてSalesforceも今回のMongoDBと同じく、外部との円滑な接続性を実現することはベンダ自身の責任だ、と悟ったのだ。両社が作ったコネクタにより、データソースと視覚化ツールとのあいだのデータ移動やデータアクセスが、簡易化された。

MongoDB 3.2には、コネクタのほかに、REST対応の暗号化や、データベースアドミンのためのGUIなども導入される。その一般公開は、今年の第四四半期の予定だ。

MongoDBはこれまで、投資家たちの関心を大いに集め、総額で3億ドルあまりを調達している。最近のラウンドは、なんと、今年の1月のシリーズGで、8000万ドルを獲得している。

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ビッグデータ処理のモバイル化を志向するCouchbaseが新たに$60Mを調達

分散コンピューティングの需要やモバイルデバイスの増殖に伴い、コンピューティングのインフラとなるツールの革新の歩みが加速している。そして新しいタイプのデータ管理やデータ処理技術を専門とするスタートアップたちが大きな資金を調達して、次世代のコンピューティングを推進しようとしている。

最近、新たな投資家WestSummitやAccel Growth Fundから6000万ドルを調達した新進のデータベース企業Couchbaseも、その巨額な資金により、国際展開と継続的な研究開発を、さらに加速するつもりだ。

カリフォルニア州Mountain Viewの同社は、MongoDBなどとともに、企業や組織の業務データ(operational data, オペレーショナルデータ)の管理を扱う、資金状態の良好なスタートアップの一つだ。

これまで累積で10億ドルあまりを調達しているClouderaなど、Hadoopベースのベンダと違ってCouchbaseとMongoDBは、データベースのデータ処理よりもむしろ、データの管理とリカバリに力点を置く。同社のCEO Bob Wiederholdは、そう語っている。

Wiederholdは曰く、“ユーザのところでは大量のアプリケーションが同時に動いていて、大量のデータベース操作をたえず行っている。今日のデータベースは、そのような苛酷な状況を堅牢にサポートしなければならない”。古いデータベース技術ではデータが中央一点型で存在し、Couchbaseのような分散データベースと違って、需要増に応じて機敏なスケールアップができない、と彼は語る。

WestSummitとAccel Growthから得た新たな資金は、ビッグデータ市場のなお一層の開拓に充てられる。その市場のグローバルな現在の規模は、アナリストグループIDCによれば、160億ドルあまりと推計されている。

さらに同社は、5月のローンチしたモバイル技術の展開にも力を入れていく。

Couchbaseが今市場に売り込もうとしているモバイルデータベースは、モバイルデバイス上のアプリケーションが、インターネットに接続していないときでも稼働できる状態を作り出す。

Wiederholdはさらに言う: “今モバイルアプリを使おうとすると、インターネット接続がなかったり、接続状態が悪かったりしてフラストレーションにおちいることがある。ある程度キャッシュが使われてはいるが、アプリ本体の機能は利用できない。しかし、必要なデータをモバイルデバイス上に保存できたら、非常に速いレスポンスタイムを享受できるし、インターネット接続が得られる状態になったらデータをクラウドにシンクできる”。

Couchbaseのモバイルプロダクトはまさに、そのような機能性を提供する。“モバイルへの移行は巨大なトレンドであり、そのためにまず最初に作られるのがモバイルのアプリケーションだ。しかし、今よりももっとグレートなモバイルアプリケーションを作れて、利用できるためには、モバイル対応のデータベースこそが、その鍵となる技術なのだ”、とWiederholdは自負を語る。

モバイルと並んでCouchbaseのCEOの目に映じている大きな機会が、国際展開の拡大だ。中国と合衆国を股にかけたファンドWestSummitを加えたのも、そのねらいからだ。WestSummitの協同ファウンダでマネージングパートナーのRaymond Yangが、Couchbaseの取締役会に加わる。

Couchbaseには、二つの別々のデータベース企業CouchOneとMembaseというルーツがあり、両社が2011年に合併してCouchbaseになった。

同社はこれまでに、Accel Partners、Mayfield Fund、North Bridge Venture Partners、Ignition Partners、Adams Street Partnersなどから合計1億ドルあまりを調達している。

写真はFlickrユーザElif Ayiterより

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SkySQLがオープンソースの関係データベースMariaDBのサポート強化で$20Mを調達, AWSユーザにもサービスを提供

SkySQLが、同社のMariaDBのサポートを強化するために2000万ドルを調達した。この、急成長しているオープンソースの関係データベースを、最近はWikipediaも採用した。今回の投資ラウンドはIntel Capitalが仕切り、California Technology VenturesやFinnish Industry Investment、Open Ocean Capital、Spintop Private Partnersなども参加した。

これまでMariaDBは主に技術者コミュニティのプロジェクトだったが、今年はWikipediaがその基盤的SQL技術として採用し、またFedoraやOpenSuseのようなメジャーなLinuxディストリビューションも基本パッケージの一環として採用した、とSkySQLのCEO Patrik Sallnerは述べる。今回の投資ラウンドはSkySQLのMariaDB開発努力が認められた証でもあり、また、主要なMySQL代替製品の位置を獲得したことをも、示している。

新たな資金はオープンソースプロジェクトMariaDBの開発継続と、サポートの充実、そしてMariaDBデータベースサーバをスケールするための商用製品の開発に充てられる。たとえばSkySQLはそのサポート業務の一環として企業によるMySQLからMariaDBへの移行を支援し、バグフィックスなどのサポートサービスを提供している。また今後は、NoSQLデータベースとの統合も強化していく。MySQLは、そのパフォーマンスの良さとトランザクション機能により、スタンダードにのし上がった。NoSQLはそのスケールアウト機能(分散化展開)により、ユーザを増やしている。この二つのデータベース技術の組み合わせは”NewSQL”と呼ばれるトレンドになっており、SkySQLはそれを自己の商機としてねらっている。

MySQLは、スケーラビリティが弱点とされ、Amazon Web Servicesのようなクラウドサービスには向かないと言われていた。最近のデータベースは、複数のサーバに共有される形での開発と展開が必要とされる。FacebookやGoogleなどはそのためのスキルを持っているが、多くの中小企業は持ち合わせていない。しかしそのようなスケーリングの能力がMariaDBには最初からあり、またそのサポートをSkySQLが提供する。

そこで昨年の9月にSkySQLは、Amazon Web Services上のデータベースをスケールするサービスを立ち上げた。対象はデータベース管理者だが、企業のデータベース環境をクラウド環境へ展開するための技術的スキルのない、エンドユーザを主にねらっている。このサービスはIT管理者に管理コンソールを提供して、インスタンスの管理、ネットワーク上の個々のノードの隔離と再構成、バックアップ、リストアなどを行わせる。このような高度な管理業務は、よほど強力なデータベース管理技術のある企業でないと、自前でやるのは無理である。

同社のデータベース技術はマスマーケットで受け入れられるにふさわしい、歴史的背景を担っている(MySQLスピンオフ)。4月に同社はMySQL ABチームのオリジナルメンバーを抱えるMonty Programと合併し、MariaDBを今後強力に支えていくためのスタッフを得た。

しかし今、データベース業界は多様化と競争が激化している。そしてデベロッパたちは、NoSQLのシンプルさと展開の容易さを好むようになっている。しかしデベロッパが欲するものは、アプリケーション開発のできるかぎりの短期化だ。アプリケーション開発がますます手工芸でなくなりつつある今は、開発の迅速性がより一層求められるようになっているのだ。

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NoSQL DBのトップMongoDBが$150Mを調達…今やIBM御用達, Salesforceも投資に加わる

MongoDBがT. Rowe Price Associatesから1億5000万ドルを調達し、この投資ラウンドには新たにAltimeter CapitalとSalesforce.comが参加した。既存の投資家であるIntel Capital、NEA、Red Hat、そしてSequoia Capitalも、参加している。MongoDBは2007年の創業以来今日までで、累計2億3100万ドルを調達した。

競争がますます激しくなっているNoSQLのベンダたちの中で、知名度がトップの企業がMongoDBだ。そのほか、データベース業界全体としては、SQLの伝統的大手や、新技術であるインメモリデータベース、新方式のDaaS(database-as-a-service)サービスなどとも、同社は競合関係にある。MongoDBなどのNoSQLデータベースは、安価な日用品的なサーバから成る分散インフラを使用し、モバイルやWebのアプリケーションを作っているデベロッパたちに人気がある。MongoDBは(表などでなく)ドキュメント(文書)を使用するデータベースだ。データはさまざまなデータ構造として定義され、そのコード形式はXMLやJSON(JavaScript Object Notation)などと互換性がある。MongoDBがデベロッパに人気がある大きな理由の一つが、JSONなどとの互換性だ。彼らは自分の既存のスキルで、MongoDBを使うアプリケーションやサービスを開発できる。

MongoDBの人気は、そのグローバルなコミュニティが証明している。これまでの累計ダウンロード数は500万に達する。またその需要は、下図のように、求人数の推移にも現れている。MongoDB技術者の求人は、Cassandra、Redis、CoucDBなどを抜いてトップであり、検索数はHTML5に次いで二番目に多い。

新たな資金はMongoDB本体のサポートと、新たな管理サービスの展開に充てられる。後者には、データベースをスケールし管理していくための一連のツールやサービスが含まれる。これまでMongoDBは、そのスケーラビリティが批判されていた。またMongoDBのサービスは、オーケストレーション方面が弱い、とも言われていた。

管理サービスへの注力は、IBMとのパートナーシップを反映している。今月の初めにこの巨大テクノロジ企業は、同社が使うNoSQLデータベースとしてMongoDBを選んだのだ。

MongoDBの顧客の中には、Craigslist、MetLife、Salesforceなどがいる。本社はパロアルトにあり、支社はニューヨークとダブリンとシンガポールにある。そのほか、アトランタ、バルセロナ、ロンドン、シドニー、ワシントンDCにもオフィスがある。

新たな投資者の中にSalesforceがいることは、注目に値する。最近のSalesforceはマーケティングクラウドとモバイルアプリに力を入れようとしている。そこがMongoDBに投資したということは、同社がNoSQLを、これからのポストPC~モバイル時代の主要技術の一つと認めていることを表している。

MongoDBの現在の社員数は、世界全体で320名あまりだ。

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NoSQLデータベースのCouchbaseが$25Mを調達してグローバル展開へ, 一番人気MongoDBとの差別化を強調

NoSQLデータベースのCouchbaseが2500万ドルを調達して、新しいエンタプライズ機能を構築するとともに、インド、中国、南アメリカなどに事業を拡張していく。このシリーズDのラウンドを仕切ったのはAdams Street Partners、これに既存の投資化Accel Partners、Mayfield Fund、North Bridge Venture Partners、およびIgnition Partnersが参加した。これで同社の資金総額は5600万ドルになる。

Couchbaseは独立のオープンソースプロジェクトだが、ApacheのApache CouchDBと、同じくオープンソースプロジェクトのmemcachedがその背景にある。

そのほかのNoSQL企業と同様にCouchbaseも、企業の評価がより戦略的になるに伴い、採用事例が増えている。最近ではますます、Couchbaseをミッションクリティカルなアプリケーション用、と考えるところが多い。

データベースを複数のデータセンターに分散している企業も珍しくないが、Couchbaseの最新リリースには、それら複数のデータセンターを横断してレプリケーション(複製)行う機能が加わった。また、新たなセキュリティ機能も加えた。

CouchbaseのCEO Bob Wiederholdによると、同社を他社と差別化するものは最小のレイテンシと最大のスループットだという。彼によるとキャッシングの層とデータベースの層が別々になっているところが多い中でCouchbaseは、この二つの層を一つにまとめた。そのためにCouchbaseにはMemcachedが組み込まれており、またストレージのためのディスクも高効率なものを使用している。

同社のこのような技術では、競合相手のMongoDBによくあるロッキングが起きない。もちろんデータベースがロックしたらパフォーマンスは大きく落ちる。…Wiederholdはそう主張する。

Wiederholdによると、CassandraやMongoDBのような競合製品との大きな違いは、そのピアツーピアネットワークのスケーラビリティが優れており、セットアップが自動化されていることだ。

Webアプリケーションやモバイルアプリの要求が、今変わりつつある。今では数百万ものユーザが同時にスリータイヤアプリケーションを使用する。アプリケーションはそういう、Web的スケールで稼働しなければならない。しかもそれらはデータが主役で、高速なスケールアップが必要とされる。

Couchbaseの技術は堅固なワールドクラスのテクノロジだが、最近IBMの認定製品にもなったMongoDBに比べると、まだ知名度が低い。しかしWiederholdは、人気競争には関心がない、ユーザのスケーラビリティをしっかり確保することが何よりも重要、と言う。

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長年の混乱に終止符, MongoDBのオーナー企業10genが社名をMongoDBに変更

NoSQLデータベースMongoDBの開発とサポートを行っている10genが、社名を製品名と同じMongoDBに変えた。同社によると、その目的は、オープンソースのデータベースプロジェクトと、それを支える会社とを、一体とするためである。新社名は、ただちに有効となる。

MongoDBは知名度の高いドキュメントベースのデータベースで、2007年に10genの傘下でローンチした。10genそのものは、オープンソースのクラウドのためのプラットホーム、という構想でスタートした企業だ。しかしその後同社はMongoDBをメインのプロダクトにすることに決め、実質的にデータベース企業になった。今回の社名変更に関して会長で協同ファウンダのDwight Merrimanは、社名と主製品名の統一がその目的、と語った。

MongoDBプロジェクトとそのコミュニティWebサイトmongodb.orgは、社名の変更の影響を受けない。10genのWebサイトは10gen.comからmongodb.comに変わった。

それは、もちろん良いことだ。10genという名前は、これまでひたすら、混乱を招いていた。改名は、MongoDBにとってというより、会社にもたらす今後のブランド効果が大きいだろう。

なおこのところ、企業経営がますますデータドリブン(data driven, データ駆動型)になるに伴い、NoSQL運動が飛躍的に成長している。関係データベースの支配は今も続いているが、それはクライアント/サーバの時代に設計されたものであり、数テラバイトものデータを処理するには適していない。膨大な量のデータ処理は、いまや例外ではなく企業ITの定番になりつつある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))