イーロン・マスク氏は自らを「テスラのテクノキング」と呼ぶ

先週、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は1日で250億ドル(約2兆7000億円)を稼ぎ出した。そして米国時間3月15日、マスク氏は自らを「Technoking of Tesla(テスラのテクノキング)」と呼んだ。同氏によれば、この新しい称号は今でも電気自動車会社の最高経営責任者 (CEO) を意味するという。

この風変わりな億万長者は、この上なく創造的だ(彼の子供の名前は「X Æ A-Xii」)。またTeslaの最高財務責任者であるZach Kirkhorn(ザック・カークホーン)氏は「Master of Coin(コインマスター)」の称号を与えられた。これは「Game of Thrones(ゲーム・オブ・スローンズ)」にちなんだものなのだろうか?正直なところ、誰にもわからない。

これらの新しい称号は、米国証券取引委員会に提出された書類の中で発表されている。

「2021年3月15日をもって、イーロン・マスクとザック・カークホーンの肩書はそれぞれTechnoking of TeslaとMaster of Coinに変更されました。マスク氏およびカークホーン氏は、最高経営責任者および最高財務責任者としての地位も維持します」。

この肩書きの変更はTeslaが近い将来、支払い方法としてBitcoin(ビットコイン)の受け入れを開始するかもしれないという、マスク氏の2021年2月の発表に続くものだ。この仮想通貨の価格は週末に6万1788ドル(約670万円)の新高値を記録し ている。

おそらくこれは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏に地球上で最も裕福な人物としての地位を抜かれたことや、株価下落につながる罰金や、罰金を受ける可能性がある彼の絶え間ない「気まぐれなツイート」のためにTeslaの投資家に訴えられた後、誰が最高権力者であるかを世界に知らしめようとする、マスク氏の控えめなやり方なのかもしれない。

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マスク氏の発表による株価への影響はごくわずかだった。テスラの株価は朝の取引で1.5%上昇している。Teslaの株価は2020年に600%も急騰したが、2021年1月8日につけた高値880.82ドルから現在では年初来20%下落している。

またTeslaは3月15日に、自動車部門の社長であるJerome Guillen(ジェローム・ギレン)氏が今後はTesla Heavy Trucking部門の社長に就任することを明らかにした。マスク氏は2020年第4四半期の決算説明会で、Tesla Semiの納入が2021年中に始まる予定だと述べた。この電気自動車のパワートレインを搭載した貨物輸送用トラックではエンジニアリング作業は完了しているが、バッテリーセルが入手できないため生産が滞る可能性があるとマスク氏は述べていた。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:塚本直樹 / Twitter

「気まぐれな」ツイートを続けるイーロン・マスク氏とそれを監視できないテスラ取締役会を同社株主が提訴

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏のツイートが、またしても訴訟の対象となっている。

マスク氏が、米国証券取引委員会(SEC)との間で交わされた和解案に違反する「気まぐれなツイート」を投稿し続けているとして、テスラの投資家の1人がマスク氏とテスラの取締役会を訴えている。この和解案では、同社の取締役会がマスク氏のソーシャルメディア活動を監視しなければならないことになっていた。Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたこの訴訟は、マスク氏が規制当局から罰金や罰則を科せられる可能性に会社をさらしており、株価を下落させるおそれがあると主張。取締役会はマスク氏の行動を制御できておらず、会社を危険にさらしていると指摘している。

投資家のChase Gharrity(チェイス・ガリティ)氏によるこの訴訟は、米国時間3月8日にデラウェア州の衡平法裁判所に提出され、3月12日に開示された。コメントを求められたテスラは返答していない。

テスラおよびマスク氏とSECは、先の裁判所命令に違反したとして侮辱罪に問われることなく、マスクCEOに一定の制限範囲内でTwitter(ツイッター)を使える自由を与えることで、2019年4月に合意に達した。この合意により、特定の出来事や財務上のマイルストーンに関する内容を除き、マスク氏は好きなようにツイートすることができるようになった。上記のような内容を含むツイートをする場合、マスク氏は証券弁護士から事前に承認を得なければならないと、マンハッタンの連邦裁判所に提出された契約書にある。

2019年4月の合意は、マスク氏とSECとの数年にわたる法廷闘争の成果だ。両者の戦いは、2018年8月7日にマスク氏が1株420ドル(約4万6000円)でテスラを株非公開化するための「資金を確保した」と述べた悪名高いツイートから始まった。この時、SECはマスク氏が証券詐欺を行ったとする訴状を提出している

マスク氏とテスラは不正行為を認めずにSECと和解した。テスラは2000万ドル(約22億円)の罰金を支払うことに合意し、マスク氏はテスラの会長職を辞任して、少なくとも3年間は復職できないことに同意しなければならなかった。テスラは2人の社外取締役を加えることと、マスク氏のTwitterを含む同社に関する公の場での発言を監視する方法を導入するよう求められた。

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この争いが再燃したのは、マスクが2019年2月19日に、テスラがその年に「およそ」50万台を生産するというツイートを投稿し、数時間後に訂正して、年内に年産50万台のペースに達するという意味だということを明らかにした時だ。

今回の訴訟では、マスク氏のツイートが2019年4月の判決に違反し、自身と取締役会の善管注意義務に背いていると主張。105ページに及ぶ訴状は、マスク氏のアカウントから投稿された複数のツイートを挙げており、その中にはSECの判決から1年以上経った2020年5月1日の「Tesla stock is too high IMO.(私の意見を言わせてもらうと、テスラの株価は高すぎると思う)」というツイートも含まれている。

このツイートによってテスラの株価は急落。マスク氏の株価ツイートから30分後に下落幅は12%近くに達した。このツイートは、同日に矢継ぎ早に発信された数多くのツイートの1つで、さまざまなトピックを取り上げたこれらのツイートの中には「人々に自由を返せ」という要求や、米国国歌の一節、詩人Dylan Thomas(ディラン・トマス)からの引用、そして自分の所有物をすべて売り払うという主張などがあった。その後、マスクはウォール・ストリート・ジャーナル紙に電子メールで、ふざけていたわけではなく、自分のツイートは事前に吟味されたものではないと語っている。

12日に明らかにされた訴訟では、テスラの取締役会が「マスク氏に汚染されていないアドバイスを提供できる」法務統括責任者の確保にも失敗したと主張している。2019年には3人の法務統括責任者が同社を離脱しており、訴状ではこれを、マスク氏の「望む結果」と異なる自主的なアドバイスを行える者がいなかったことの証拠として指摘している。

マスク氏の「気まぐれな」行動は、数十億ドル(数千億円)の時価総額の損失を含む「実質的な損害」をテスラに与えたと、訴状は述べている。

この訴訟は「Gharrity v. Musk, Del. Ch., No. 2021-0199」となる。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラが大規模なエネルギー貯蔵プロジェクト施設をテキサスに建設と報道

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、大規模なバッテリー施設の野望をローンスターに持ち込もうとしている。

テキサス州の公益事業委員会(Public Utilities Commission of Texas)への申請書などの文書によると、これまで知られていなかったTesla(テスラ)の子会社がテキサス州アングルトンにて、100MWのエネルギー貯蔵プロジェクトの建設に取り組んでいるという。この文書を最初に報じたのはBloomberg(ブルームバーグ)で、これまで知られていなかった同子会社とTeslaを結びつけた。

Gambit Energy Storage LLCは2020年6月、テキサス州の電力会社を監督する規制機関であるテキサス州公益事業委員会に申請を行った。TechCrunchが閲覧した申請書によると、Gambitはテキサス州エネルギー信頼性評議会(Energy Reliability Council of Texas)の送電網で電力のホールセールとグリッドバランシングサービスを提供する意向だという。このプロジェクトはガルベストンから西に約50マイル(約80キロメートル)のメキシコ湾岸に近い町アングルトンで計画されている。

Bloombergの報道によると、このプロジェクトの商業運用の開始予定日は2021年6月1日となっている。

テキサス州の送電網は22021年月中旬以降、北極圏の未曾有の大規模な異常気象によりピーク時には送電網全体の発電容量の3分の1以上となる46万MWの電力が遮断され、監視の対象となっている。この災害により数百万人のテキサス州民が、数日間も氷点下の環境にさらされた。ERCOTの取締役会はCEOを解任し、PUCTの議長は大惨事を受けて辞任し、テキサス州の州都の議員たちは同州の電力市場運営の大規模な変更を検討している。

TeslaはすでにCalifornia Utilities Southern California EdisonおよびPG&Eとバッテリーストレージシステムの契約を結んでいるが、これは同社にとって他の場所での初の大規模プロジェクトとなる。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

テスラが荒らしも多かったフォーラムを閉鎖しファンは不満、ソーシャルプラットフォームを新設

Tesla(テスラ)は「Tesla Engagement Platform(テスラ・エンゲージメント・プラットフォーム)」と呼ばれる新しいソーシャルプラットフォームを起ち上げるとともに、ウェブサイトのフォーラムを閉鎖することを計画しているが、この動きが熱烈な支持者たちのコミュニティで怒りを買っている。

Teslaはまず、新しいエンゲージメントプラットフォームを発表し、フォーラムページのトップに次のような通達を掲載した。「3月15日より、テスラフォーラムは閲覧専用となります。テスラコミュニティとの会話を続けるには engage.tesla.com にアクセスしてください」。この変更を最初に報じたのはThe Verge(ザ・ヴァージ)だった。

新しいサイトでは、投稿やスレッドを作成するのではなく、Teslaのオーナーやファンが、同社のパブリックポリシー関連の投稿や、災害救援活動を支援するための呼びかけなど、さまざまなキャンペーンにコメントして参加するようになっている。

フォーラムの閉鎖まで13日間のカウントダウンを発表した3月2日の投稿に対するリプライで「内部情報」を知っているという1人のコメンターが、Teslaはスレッドに頻繁に投稿されるスパムや荒らしに対処するための複数の専任管理者を雇う余裕がなかったため、フォーラムは閉鎖されることになったと主張した。

テスラ・エンゲージメント・プラットフォームはコメントが管理されるため、これらの荒らしはTwitterに移行する可能性が高いと思われる。

今後は閲覧専用のアーカイブとして利用できるフォーラムは、Teslaのファン、投資家、検証済みの所有者が、お互いの質問に答えたり、質問したりする場所だった。しかし、このフォーラムは管理者が不在だったので、ときには最も活発な投稿者が、懸念を表明した人々を攻撃するような環境になってしまった。新たに開設されたマイクロサイトは、訪問者にTeslaの支持活動に参加することを勧めるもので、地元のオーナーズクラブへの入会申請や、同社のポリシーチームと直接フィードバックを交わすこともできるようになることを約束している。

「Engage Tesla(エンゲージ・テスラ)は、Teslaのパブリックポリシーチームとテスラオーナーズ・クラブのための新しいプラットフォームです」と、この新しいマイクロサイトの最初の投稿には書かれている。「その目標は、私たちの全活動のためのデジタルホームベースを作成し、テスラコミュニティのメンバーが、簡単に私たちの関心事を知り、有意義な行動を取り、輪の中に留まれるようにすることです。みなさまのご参加をお待ちしています」。

最初の投稿のコメント欄をざっと見てみると、不満を抱えた多くのユーザーが、フォーラムを存続させるか、少なくとも新しいサイトでも同じようなことができるようになる(管理者つきで)ことを望んでいることがわかる。インターネット上には、Teslaやその他のEV関連のフォーラムがたくさんあるが、Tesla公式サイトのフォーラムは、所有者や潜在的な購入者が、同社の製品の良い部分と悪い部分についての正直な情報を共有する場として賞賛される一方で、毒性の砦としても槍玉に挙げられてきた。

「フォーラムを削除しないでください」と、あるコメンターは懇願している。「これは代わりにはなりません。フォーラムは、(荒らしは別にして)仲間のオーナーが問題を解決するのを助けるために、情報に基づいた議論をもたらしてきました」。

確かに、新しいプラットフォームはその代わりではないようだ。それよりも、業界ニュースやTeslaのイベント、キャンペーンを知らせるためのブログのように見える。Teslaの支持者がすでに行っている活動を1カ所に集め、会社の味方となるさらなる支持を促すための取り組みだ。例えば、シリコンバレーのテスラ・オーナーズ・クラブでは、同社の新工場が建設される地域を囲むテキサス州デル・ヴァジェのコミュニティを支援するために、すでに1万ドル(約108万円)の寄付金を集めている。

誰もが批判者というわけではない。プラットフォームの最初の投稿に寄せられたコメントの多くは、管理者つきのフォーラムを求めるものだが、中には同社のカスタマーサービス部門の改善を提案するものや、公共の充電インフラを支援するためのリソースを求めるものもある。新しいエンゲージメントプラットフォームはまだ始まったばかりだ。Teslaのファンが実際にどのようにエンゲージメントするのか、見守ることにしよう。

関連記事:テスラやライバルのリビアらが団結しEVの直接販売法制定を目指す

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タグ:Tesla電気自動車

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラやライバルのリビアらが団結しEVの直接販売法制定を目指す

Tesla(テスラ)、Rivian(リビアン)、Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)、Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)、急成長する電気自動車市場で潜在的なライバルとなるこれらの4社は、少なくとも8つの州で直接販売を可能にする法律を成立させるために協力しており、2021年はそのための法案が提出される可能性が高い。

この法案が可決されれば、Teslaのような大手EV企業のみならず、まだ市場に車両を投入していない新参メーカーのLucid MotorsやRivianも消費者に直接クルマを販売する道が開けるだろう。しかし、Teslaが協力すれば、一部の州では直接販売による独占を失う可能性もある。

Teslaやその他の増えつつあるEV新興企業は、GMやFord(フォード)、Chrysler(クライスラー)といった伝統的な自動車メーカーとは異なるビジネスモデルを持っている。Apple(アップル)がApple Store(アップルストア)で製品を販売するように、Teslaは自ら直営する店舗で車両を販売しており、フランチャイズ契約によるディーラーを持たない。米国では、既存のフランチャイズ加盟店を持つ自動車メーカーが、自ら直接経営の販売店を開設してフランチャイズ加盟店と競合するのを防ぐための法律が、全50州で長年確立されてきた。Teslaの直接販売形態は、この法律の恩恵を受けている自動車ディーラーの怒りを集めている。Teslaと他の同盟企業は、(競合する)フランチャイズディーラーを持たないのだから消費者に直接販売することを認められるべきだと主張している。

Teslaのシニアポリシーマネージャーを務めるThad Kurowski(タッド・クロウスキー)氏はワシントン州で、下院の消費者保護・ビジネス委員会における証言の中で「我々は、他のEV専門メーカーとその希望を支持します。我々と同様に彼らも消費者に直接販売し、投資し、雇用を創出し、自由にそれを行うことが許されるべきです」と述べた。ワシントン州は、このような法案が検討されている多くの州の1つである。Teslaは同州に6つの販売店を構えている。

同様の法案はコネチカット州、ネブラスカ州、ジョージア州、ニューヨーク州、ウィスコンシン州、ペンシルバニア州、ネバダ州でも検討されている。これらの州の中には、すべてのEVメーカーが顧客に直接販売することを禁止している州もあれば、他の企業を除くTeslaのみに許可を与えている州もある。ただし、その場合も開設できる店舗数に上限を設けている。

市場シェアを求めてお互いに競合するだけでなく、旧来の自動車メーカーとも競わなければならないEVメーカーにとって、これは協力関係を築くことができた稀有な瞬間だ。各社の関係は、常にこれほど協力的だったわけではない。Teslaは2020年7月、企業秘密の窃盗と人材の不正引き抜きを主張してRivianを提訴した。Rivianは、この訴訟における3つの主張の中で2つは同社の評判を中傷するための試みに過ぎないと反論した。

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Teslaは、直販をめぐる州議会との戦いに関してはベテランだ。アリゾナ州、コロラド州、ユタ州を含む少なくとも十数の州では、新たな法律または裁判所を介して、Teslaが消費者に直接販売することを妨げていた禁止事項を覆してきた。

大手自動車メーカーのGMとFordが本拠を構えるミシガン州は、長い間戦場となっている。

Rick Snyder(リック・スナイダー)前州知事が2014年に署名した法案は、ミシガン州自動車販売業者協会が発起人となり支援したもので、Teslaが同州の消費者に直接販売することを禁止するものだった。その2年後、Teslaはミシガン州がTeslaの自動車販売権を否認したとして同州を提訴した。2020年12月、ミシガン州議会は、最初の車両登録を他の州で行う限り(後にオーナーはミシガン州に登録証を書き換える必要がある)、Teslaのみに直接販売を許可する法案を検討した。しかし、このTeslaの特例は法案から削除され、同州内におけるTeslaにとってのわずかな進展を脅かすことになった。しかし、最終的にこの法案は、Teslaの取り決めをそのまま残して廃案になった。

元Teslaの従業員で、EV新規参入企業のLucid Motorsに公共政策責任者として転職したDaniel Witt(ダニエル・ウィット)氏によると、Lucidは直接販売を許可する法案が検討されているいくつかの州で主導的な役割を果たしているという。この法案は、EV企業の連合、EV所有者やEV愛好家、消費者団体による草の根ロビー活動の努力の結果であるとウィット氏は強調している。また、この法案は環境保護団体やクリーンエネルギー団体からも支持を得ている。消費者の選択とアクセスが容易になることは、内燃エンジン搭載車からEVへの移行を後押しする重要な鍵であるというのが、これらの団体の主張だ。

「Teslaの背後でドアが閉ざされた状況は、同社が市場で優位に立とうとしていたわけではなく、議会における交渉の産物に過ぎない」とウィット氏はいう。「ニューヨークでもワシントンでもコネチカットでも、概ね同じ方向に舵を切っています」。

関連記事:テスラの訴訟は「中傷が目的」だとしてRivianが逆訴訟で反撃

ワシントン州自動車ディーラー協会は、TechCrunchに寄せた声明の中で、フランチャイズディーラーはゼロ・エミッション車への移行を支持しており、各地元でそれらのクルマを販売したいと考えているが、直販法案は「メインストリート対ウォールストリートの戦い」だと述べている。

「電気自動車メーカーは、自ら店舗を構えれば我々と同じコストを負担することになるでしょう。しかし、クルマを販売して得た利益は、地域社会に還元するのではなく、州外に住む億万長者の投資家に流れることになります。ブローカーの神話を永続させるだけです」と、同協会は述べている。

同団体は、RivianがFordから5億ドル(約540億円)もの資金を調達したことを指摘している。現在276億ドル(約3兆円)と評価されているリヴィアンには、Amazon(アマゾンを、T. Rowe Price Associates Inc.(T・ロウ・プライス・アソシエイツ)、Fidelity Management & Research Company(フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ・カンパニー)、Coatue(コートゥー)、Cox Automotive(コックス・オートモーティブ)、D1 Capital Partners(D1キャピタル・パートナーズ)など、多数の支援者がいる。

「Fordはディーラーネットワークを放棄し、ディーラーが稼ぎ出す利益を、Rivianの所有権拡大に移すつもりなのでしょうか?GMはEV子会社をスピンオフさせて直販に乗り出すつもりなのでしょうか?何がそれらを止められるのでしょうか?」と、同協会は声明で述べている。

なお、FordもGMも、ディーラー網を放棄する計画を表明したことはない。

電気自動車メーカーには、まだこれから法制化までの長い道のりが待っている。通常、法案が法律として成立するためには、立法委員会を通過し、下院と上院の両方で過半数の賛成票を得てから、知事の机に送られ、署名される必要がある。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マスターカードが暗号資産に年内対応と発表、中央銀行デジタル通貨(CBDC)で中央銀行数行とも連携

米マスターカードは今年から暗号通貨のサポートを追加することを発表しました。

マスターカードによれば、暗号通貨を自社ネットワーク内で取り扱うことにより、より多くの加盟店で新しい支払い方法が提供できるとしています。また、暗号通貨と従来の通貨の変換の必要がなくなるため、効率性も向上します。

なお、現時点ではマスターカードがどの暗号通貨を取り扱うかは発表されていません。これについては、コンプライアンス対策などの要件を今後検討するとしています。また世界の主要な中央銀行と連携することで、CBDCとよばれる新たなデジタル通貨の発行も検討しています。

暗号通貨をめぐる最近の動きとしては、PayPalがビットコインなど4銘柄に対応したことで、その流通性がさらに高まっています。またかつてはPayPalを所有していたイーロン・マスク氏の米テスラが15億ドル相当のビットコインを購入したことで、一時、同暗号通貨は史上最高値を記録しました。

一方で、マスターカードは「この動きは暗号通貨の購入を促進するものではありません」と説明しています。まだまだ暗号通貨がどう取り扱われるのかについては不透明ですが、着実にその足元を踏み固めているような印象も受けます。

Engadget日本版より転載)

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タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)中央銀行デジタル通貨(CBDC)Tesla / テスラ(企業)Paypal(企業)ブロックチェーン(用語)Mastercard(企業・サービス)

中国当局がテスラを品質問題でに召喚

中国で現地生産能力を増強し急成長を遂げているTesla(テスラ)は、電気自動車の品質問題を巡って中国政府から協議に召喚されている。

米国時間2月8日遅くに掲載された中国政府の通達によると、消費者から不正な加速、バッテリーの発火、ソフトウェアアップグレードの失敗、その他の車両問題について苦情を訴えたことを受け、市場規制当局やサイバーポリス、交通当局を含む中国政府のグループがTeslaと協議を行ったとのこと。

Teslaは中国語SNSのWeibo(ウェイボー)で「政府省庁の指導を真摯に受け止める」とし、「中国の法律を厳守します」と述べている。また安全性と消費者の権利を確保するために、規制当局の指示の下、「内部の運営構造とワークフロー」の強化に取り組むという。

Teslaはここ数年、中国で人気が急上昇する一方、国内では部品や機能の不具合によるリコールが相次いでいる。中国の市場規制当局は先週、政府との協議の直前に、輸入車のModel Sの2万428台とModel Xの1万5698台をリコールしたと発表した。

Teslaにとって中国はますます重要性を増し、現在では第2位の市場となっている。Teslaは上海のGigafactoryで自治体による減税措置を受けているため、現地調達と生産が可能となり、Model 3などの価格を引き下げることができた。

Teslaが米証券取引委員会 (SEC)に今週提出した書類によると、中国は2020年に前年比で倍増となる66億6000万ドル(約6963億8000万円)の売上をTeslaにもたらし、同社の総売上の20%以上を占めた。2019年には、中国はTeslaの収益の約12%を占めた。

同時にTeslaはNioやXpengのような資金力のある地元発の中国電気自動車スタートアップと競合しており、両社とも米国で上場している。Xpengは2020年に合計2万7041台を出荷し、Nioは4万3728台でそれを上回った。しかしこれらの数字は、2021年に49万9647台に達したTeslaの総出荷台数にまだおよんでいない。

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(文:Rita Liao、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ビットコイン購入がテスラの環境重視の評判と収益に悪影響をおよぼす可能性

Tesla(テスラ)によるBitcoin(ビットコイン)へ15億ドル(約1570億円)分の購入は、Elon Musk(イーロン・マスク)氏にはいいだろうが、彼を世界一の大富豪に仕立て上げた会社には、間違いなく大きなリスクだと投資家、アナリスト、米最大手クラスの銀行の資産管理担当者たちは訴えている。

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一般消費者向け電気自動車(EV)業界と、その周囲に集結する広範な気候テック運動の旗手であるTeslaが、仮想通貨に社運を賭けるとなれば、環境重視の姿勢と、たとえ他の自動車メーカーがEV市場になだれ込んで来ている中でも保たれていた顧客からの評判に傷がつく恐れがある。

現在のBitcoinが環境に残した痕跡を考えるに、今回の取り引きは、クリーンなエネルギー源と商慣行へ世界を移行させることに強い関心を表明しているTeslaの顔と矛盾する。

マスク氏の計画について語る許可を取っていないことを理由に匿名で話を聞かせてくれたあるエネルギー系投資家によれば、ロシアや中国などの地域が電力網の脱酸素化に踏み出さない限り、Bitcoinのマイニングは(エネルギーの観点からは)ダーティーなビジネスのままだという。

「2018年にロシアで行われていたことです。マイニング事業のために彼らがどれほど石炭エネルギーを使っていたかが問題なのです」と同投資家は語る。「エネルギー強度の観点から見た取り引きあたりのコストは、高くなる一方です。そこから気候問題と仮想通貨がどんな結合体になっていくのか、私には読めません」。

今回の購入で、Teslaは世界最大のBitcoin保有企業となったが、これは同社が保有する190億ドル(約1兆9900億円)の現金と、手元の現金に相当するもののうち、大きな部分を占める。

「その資産の額を考えると、私個人の意見として無責任なように思われます」と、創設当初からTeslaを支援してきた投資会社の投資家は話す。今回のTeslaの行動は、現代の投資環境における米国の資本市場の愚かしい一面を露呈している。そしてこれは、最大の受益者たちからの内に秘めた皮肉ともとれる

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その一方で、Bitcoinの投資家たちはこの動きを歓迎している。これにより彼らが保有するBitcoinの価値は、その日のうちにおよそ18%も急騰した。

「Bitcoinを加えることで資産を多様化したというTeslaの発表は、特に驚きではなく、手元現金の8%の配分で安心できたというものでもありませんでした。2020年のTeslaの研究開発費と同額のこの投資は、同社にとって極めて大きなものであり、株主への配当を最大化するという決意の表れです」とStillmark(スティルマーク)の共同創設者Alyse Killeen(アリス・カイリーン)氏は書いている。「イーロン・マスク氏には、技術的に可能なものを、後に経営上ごく普通のものにする流れを作るという原則で、企業を運営してきた長い経歴があります。それがここにも当てはまり、Teslaは大手上場企業としては初めて、現金のリターンをBitcoinで最大化しようと考えたのだと思います」。

ウォール街の業界オブザーバーたちは、TeslaのBitcoinへの大きな賭けを批判している。

「TeslaがBTCを15億ドル分購入したことは興味深い。リスク回避をしていないようなので、将来、大量の現金を手にするか、帳簿に大穴を開けるかのどちらかだ。イーロン・マスク氏はいつだってワイルドだ」と、報道の取材に答える権限を持たないため匿名を希望したウォール街の大手銀行で資本計画を担当するある企業幹部はいう。「大手企業が非常に不安定な新興市場の通貨に現金を投資するのと変わらない」。

それでも短期的には、この取り引きは配当金をもたらした。Teslaが発表を行ったその日のうちに、Bitcoinの価格は8000ドル(約84万円)近くまで、18.73%も上昇している。

だが、今回の投資額は、同社の研究開発予算の総額に匹敵するとカイリーン氏は指摘する。大変な額だ。もう1つ疑問がある。規制当局が乗り出してマスク氏にお仕置きをしないか、ということだ。

マスク氏はこの数週間で、Bitcoinや、ドージコインなどのその他の謎めいた(つまり役に立たない)仮想通貨を支持するとツイートしていた。これは、米連邦証券取引委員会(SEC)との合意に違反するように思われる。

関連記事:マスク氏のツイートを弁護士が監督することでSECと和解

この世界一の大富豪は、以前、そのツイート癖のために規制当局から罰金を科せられたことがあった。2018年、1株420ドル(約4400円)でTeslaを非上場企業にするとのツイートを詐欺だとしてSECに訴えられたのだ。

その後マスク氏はSECと和解し、Tesla取締役会の会長を辞任して、個人的に2000万ドル(約21億円)の罰金を支払った。

不安定な仮想通貨はTeslaの収益にインパクトを与えるだけではない。仮想通貨でクルマを購入しようとする消費者にも影響をおよぼす。

「Bitcoinは米国時間2月8日には15%も高騰して4万4000ドル(約460万円)という高値を更新した。このような誇大広告で価格が変動する通貨は、投資家にとっても消費者にとっても心配なものです。特に、これが交換媒体に使われるとなればなおさらです」と、GlobalData(グローバルデータ)のアナリストであり主題調査部門責任者のDanyaal Rashid(ダニアル・ラシッド)氏は書いている。

「もしイーロン・マスク氏が、そのアセットの価格をツイートや大量注文で自在に操れるとしたら、同じことが価格の引き下げにも使えることを意味します。クルマを購入するという行為は、投機的であってはなりません。不換通貨の代わりにBitcoinで買い物をしようという消費者は、思いどおりにほしいものが買えなくなる事態が多発するでしょう」。

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:金井哲夫)

テスラが約1578億円相当のビットコインを購入、将来的に仮想通貨での支払いも検討

米国時間2月8日、Tesla(テスラ)はSEC(米国証券取引委員会)に提出した報告で、人気の仮想通貨であるBitcoin(ビットコイン)を15億ドル(約1578億3000万円)分購入したことを明らかにした。さらに同社は、将来的にはビットコインを車両の支払い手段として受け入れる可能性もあると述べたが、その手段には規制上の不確実性があることも認めている。

ニュースが報じられるとビットコインの価格は即座に7%上昇し、4万ドル(約421万円)以上になった。

テスラは以前、この仮想通貨への関心を持っていることを示唆していたが、これほど大量の通貨を購入したことは注目に値する。

テスラは提出書類の中で、2021年初めに「十分な流動性を維持するために必要ではない現金のリターンをさらに多様化し、最大化するための柔軟性を提供するために投資方針を更新した」と述べ、「特定の代替準備資産」に「デジタル資産、金地金、金取引所の上場投資信託および将来の特定資産」に現金を投入するオプションがあるとつけ加えていた。

その方針の元、テスラは「総額15億ドルをビットコインに投資した」と述べ、さらに「デジタル資産を随時または長期的に取得し、保持する可能性がある」といっている。

これは、テスラが現金と仮想通貨市場でやりたいことを何でもできるようにする十分な余地となる。

しかしテスラはこれで終わりではなく、「近い将来、適用される法律に従いつつ最初は限定的に、ビットコインを商品の支払いの形式として受け入れ始めることを期待しており、受領時に精算するかどうかは決めていない」ともつけ加えている。

テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏はここ数日、 「Dogecoin」 というくだらない仮想通貨のジョークを披露して波紋を呼んでいる。一方、同社はビットコインを選んだ。将来、ビットコイン建ての取り引きを受け入れるかもしれないということは、ビットコインの価値と取引高の両方を維持するのに役立つかもしれない。マスク氏自身も過去に自身のソーシャルな存在感を利用してビットコインの価格を高めており、2021年2月初めに彼のプロフィールにたった1語を追加し、価格が下がる前に削除したことは注目に値する。

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テスラはその選択にはリスクがあると説明しているが、それは控えめな表現だ。マスク氏の今後の動向から目が離せない。

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タグ:TeslaBitcoin仮想通貨

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:塚本直樹 / Twitter

テスラに過去最大13万5000台のリコール、Model S、Xのタッチスクリーン不具合で

Tesla(テスラ)のModel SまたはModel Xを所有しているなら、深刻なリコールの対象となっている可能性がある。

Teslaは米国時間2月2日、これまでで最大規模のリコールを発表した。約13万5000台のModel SとModel Xが対象となる。

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)によると、これらの車両に搭載されているタッチスクリーンはメモリチップの記憶容量が不足すると故障する可能性があり、方向指示器やデフロスター、バックカメラに影響を与えるなど、多くの故障を引き起こす可能性があるという。この故障は、テスラの自動運転機能であるAutopilotにも影響を与える可能性がある。

NHTSAは2021年1月中旬の書簡で、同部門の調査結果をTeslaに説明した。NHTSAのOffice of Defects Investigation(ODI)によると、故障は影響を受けた車両のメモリチップが原因だという。内蔵された8GBのチップが最終的に消耗してしまい、唯一の解決策は部品を交換することだと、書簡には書かれている。

WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)によると、Teslaはこの問題が不具合であることを認めていないが、問題を調査するために一部の車両をリコールしているという。

「技術的にそうでないとしても、構成部品が車両の耐用年数をまっとうするように設計されていると期待することは、経済的に不可能である」と、Teslaは書簡の中で述べている。

リコールの対象には、2012年から2018年の間に製造されたセダンのModel S、2016年から2018年の間に製造されたModel Xの車両が含まれる。影響を受けた車両には、NVIDIA(エヌビディア)のコンピューティングプラットフォームであるTegra 3と、8GBのeMMC NANDフラッシュメモリが装備されている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:TeslaModel SModel Xリコール

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(文:Matt Burns、翻訳:塚本直樹 / Twitter

テスラが同社オートパイロットのライセンス供与に意欲、他メーカーと予備交渉をすでに開始

Tesla(テスラ)は、高度な自動運転技術である「オートパイロット」や、自律運転技術の改善のために自社開発したニューラルネットワークのトレーニングシステムを含むソフトウェアのライセンシングに意欲を見せている。TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、米国時間1月27日に開かれた第4四半期収支報告会でそうした考えを示した。その上、同社はすでに「オートパイロットのライセンス供与について他のOEMと予備的交渉を行った」事実も公表している。

2020年末、同社はオートパイロットのいわゆる「完全自動運転(FSD)」バージョンのベータ版の展開を開始している。

通常版のオートパイロットは、基本的にはハイウェイでの走行を主眼とした高度なクルーズコントロールが使える高度運転支援(ADAS)機能の一般リリース版に組み込まれている。今回の収支報告会でマスク氏は、もしライセンシングの方向性が決まった場合には、同社のFSD機能を、その契約が成立する前に提供したい考えを示した。

マスク氏は、Teslaの「哲学は決して庭(全体)を壁で囲うようなものではない」と訴え、同社は他の自動車メーカーにもSupercharger(スーパーチャージャー)ネットワークと自律性ソフトウェアを使えるようにする計画があると強調した。事実、彼は会社として自社の自律運転技術を「他の自動車会社」に「ライセンスすることをこの上なく喜んでいる」と述べている。

Teslaの技術が標準的な人間のドライバーを大きく上回る確実な信頼性を実証するためには、超えなければならない決定的なハードルがある。それは、ニューラルネットークの仕事をクルマの中に移すことだ。そして、そこへ知覚エンジンにパワーを与える分析結果を提供するには、それらを映像化する必要がある。これは単一のカメラと単一のフレームでトレーニングされたニューラルネットワークのニューラルネットをベースにしたシステム全体のフルスタックの移行だ。

そのために、Teslaは映像ラベリング用のソフトウェアを開発した。それは「ラベリングの効率に大きな影響を与える」ものであり、最終的にはラベリングを自動化する目標がある。マスク氏は(自社の業績を控えめに語るような人物ではないと忠告しておくが)、「それが世界で最も優れた桁違いに高性能なニューラルネットワーク・トレーニング・コンピューター」だと信じていると主張する。さらに「潜在的にはサービスとして提供できるものでもある」と言い加えている。

膨大な量の映像データを使ったトレーニングにより、Teslaはそのソフトウェアの信頼性を人間のドライバーを100%とした場合に200%に向上させ、最終的には「標準的な人間よりも2000%」にまで高めるとマスク氏はいう。だがまたそこでも、この技術的成果を自社の中に封印しておきたくはないと訴えていた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla自動運転

画像クレジット:Christopher Goodney/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

これがTesla Model SとModel Xの新しい内装だ!操縦桿のようなハンドル、17インチの横型ディスプレイ採用

2021年、Tesla Model S(テスラ・モデルS)は内装に大きな変更がいくつか加えられる。数ヶ月の間ウワサされていたが、米国時間1月28日午後に行われる予定の四半期報告会に先立ち、Teslaはついにその修正内容を、数枚の画像とともに披露した。

横型スクリーンディスプレイの採用といったModel 3の内装から取り入れたものもいくつかあるが、その他はまったく新しいものだ。

またSUVのModel X(モデルX)にも、同様の変更が行われている。

これまでに私たちが気がついた点を紹介しよう。

画像クレジット:Tesla

標準的な丸いハンドルの代わりに、飛行機の操縦桿のような「ヨーク型」(2頭の雄牛をつなぐ「くびき」型)のハンドルが採用されている(Taslaの新型Roadsterのプロトタイプで見られたものに似ている)。

画像クレジット:Tesla

前面中央にある画面は、17インチの縦型 / ポートレートディスプレイではなく、17インチの横型 / ランドスケープディスプレイになった。一方、解像度は1900×1200から2200×1300にアップしている。

画像クレジット:Tesla

ハンドルの奥に見える運転手用の12.3インチディスプレイに加えて、後部座席の前には8インチのディスプレイも備えられた(見たところ、後部座席の人がより簡単に車載ゲームを楽しめるようにするためのもののようだ)。

画像クレジット:Tesla

テスラの四半期報告会は米国時間1月28日太平洋標準時の午後3時30分からの予定だ。もし内装について何か別の情報が手に入ったときには、この記事を更新する。

カテゴリー:モビリティ
タグ:TeslaModel SModel X

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:sako)

イーロン・マスク氏が電動トラックTesla Semiの生産準備は整ったがバッテリー不足がネックと発言

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、2020年第4四半期の決算報告の場で、全電動パワートレーンを採用した貨物輸送セミトラックTesla Semi(セミ)の工学系の開発が完了したことを発表した。同社は2021年中にTesla Semiの出荷を開始したいと考えているが、第4四半期収支報告書とマスク氏の話によると、生産にブレーキをかけている問題としてバッテリーセルの供給不足があるという。

「現在、たとえばTesla Semiといった新型車の開発を加速できない最大の原因は、ひとえにセルの不足です」とマスク氏。「今すぐSemiの生産しようと思えば、すぐにでも簡単に始められますが、十分な数のセルが手に入りません」。

だがマスク氏は、同社の4680バッテリーパックの生産が始まれば、需要に見合う十分な数のセルが揃うはずだと主張する。このバッテリーパックは、いわゆる「タブレス」構造による高エネルギー密度のもので、走行距離が長い独自開発の新型セルだ。

「Tesla Semiには乗用車の5倍のセルが使われますが、販売台数は乗用車の5倍というわけにはいかないので、現在、生産するのは理に適いません」とマスク氏。「しかし、セルの生産制限が解消されたなら、ただちに生産を開始するのが最善策です」。

その制約は、同社バンの開発予定にも同じ影響を与えているとマスク氏はいう。そしてセルの制約が解消された場合には、同様にそのカテゴリーの車種も開発を進めることができるようになると彼は話す。

Teslaには、年間計200ギガワット時の生産能力を有するインフラを2022年までに整備することで、セルの製造を「飛躍的」に増大させる大計画があり、同年までには実際にそのおよそ40%の生産を可能にするという目標を掲げている(将来、製造工程の改善によりセルの電力量、つまりギガワット時は増加し、その後も次第に向上していくとのことだ)。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Teslaイーロン・マスク電気自動車バッテリー

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(翻訳:金井哲夫)

テスラが第4四半期の決算を発表、蓄電池・太陽光発電事業に急成長の兆し

Tesla(テスラ)が最新の決算報告書を発表した。そこには蓄電池と太陽光発電に対するElon Musk(イーロン・マスク)氏の賭けが実を結び始めていることが示されている。

蓄電池事業はこの第4四半期に同社の攻撃的戦略における主役となり、四半期ごとの前年同期比成長率は200%に近づいている。テスラは株主向けプレゼンテーションで「(蓄電池事業の)市場展開は2019年から2020年にかけて大幅に成長しました。当社の蓄電池の総配備量は初めて単年度で3GWhを超え、前年比83%増となりました」と述べている。

太陽光発電事業にも陽光が射し込んだ。年間の太陽光発電の設置量は205MWに増加し、前年比18%増となった。「この成長は製品の簡素化、コスト削減、業界をリードする価格設定など、当社の太陽光発電設備戦略を大幅に改善した結果です」とマスク氏は語った。

Teslaの第4四半期における発電・蓄電事業の収益は7億5200万ドル(約784億円)と、前年同期の4億3600万ドル(約455億円)、第3四半期の5億7900万ドル(約604億円)から増加した。

これは、Teslaの電力事業における急成長の始まりに過ぎないと思われる。同社は長い間、世界最大の電力会社や公益事業会社の1つになりたいと公言しており、世界中の資本が再生可能エネルギーへのシフトを促進するために資源を集めている。

バイデン政権の再生可能エネルギー計画が、その目標に向けて太陽光発電の開発や建造を劇的に推し進めることで、Teslaは大きな恩恵を受ける可能性がある。この大規模なインフラ投資では、再生可能エネルギーを蓄えるために大容量のバッテリーが必要になるだろう。また、大規模な太陽光発電設備も必要になるだろう。

米連邦政府が再生可能エネルギーに資金を移す間にも、民間資本が太陽光発電やエネルギー貯蔵を劇的に後押しするために流入してきている。

先週だけでも、投資家は住宅所有者に太陽光発電設置やオール電化リフォームのために資金を貸す企業に、20億ドル(約2085億円)近くを投入した。SolarCity(ソーラーシティ)の元幹部が設立したある会社は、8億ドル(約834億円)の資金を調達したと米国時間1月27日発表したばかりだ。

少なくとも、これらの資金の一部は、テスラの蓄電池事業と太陽光発電設置事業のキャッシュレジスターを鳴らすことになるだろう。

関連記事:バイデン次期大統領の気候変動対策はグリーンニューディールに依存しない

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タグ:Tesla太陽光発電イーロン・マスク再生可能エネルギー決算発表

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

米政府がタッチスクリーンの不具合でテスラ車15.8万台にリコール要請

米国の安全監督機関は、タッチスクリーンの操作を不能にする恐れのあるメディアコントロールユニット(MCU)の欠陥を理由に、15万8000台の車両のリコールをTesla(テスラ)に要請した。この欠陥は、米幹線道路交通安全局(NHTSA)の数カ月間にわたって調査によって判明した。

同局の欠陥調査室は、MCUの欠陥は後方カメラ、曇りとり、霜とりなど機能の設定操作を不能にしたり、さらには信号インジケーターを有効にしたときや高度運転支援システム「オートパイロット」を起動したときにドライバーに音で知らせるチャイムを止めてしまう可能性があるため、安全上の問題と判断した。MCUが突然故障することは、Teslaフォーラムでも長年の話題になっていた。

欠陥の原因は、クルマに搭載されているフラッシュドライブのメモリーストレージがいっぱいになるためだと調査員は結論づけている。唯一の解決策は、その部品を物理的に交換することしかない。対象となるのは、2021年から2018年の間に生産されたModel Sセダンと、2016年から2018年の間に生産されたModel X SUVだ。

Teslaにコメントを求めたが、まだ返事はない。だが同社は、報告にあった情報をNHTSAに提出している。すべてのユニットはメモリー装置の容量が限られているため、この問題は避けられないとTeslaはNHTSAに対して認めている。Teslaは、2020年から2028年にかけて行うMCU交換の週あたりの予測数を示す独自の統計モデルを提出した。報告によれば同社は、欠陥のあるMCUの交換率は2022年初頭にピークに達し、2028年に完全に交換が完了するまでの間に次第に低下してゆくと見積もっている。

対象車両にはNVIDIA Tegra 3プロセッサが搭載されており、そこに8GBのeMMC NANDフラッシュメモリー装置が組み込まれている。この8GBのメモリーの一部が、車両を発進させるごとに消費される。eMMC NANDのメモリーセルは、ストレージの容量がいっぱいになると正常に機能しなくなり、マイクロコントローラーユニットの欠陥を引き起こすとNHTSAは話している。

このeMMC NANDフラッシュメモリーの寿命は、書き込みと消去の回数(P/Eサイクル)によって決まる。寿命に達した後は、メモリー不足でMCUは異常をきたす。調査員たちは、この8GB eMMC NANDフラッシュメモリー装置の予想寿命は、P/Eサイクル3000回と判断した。その後は、eMMC NANDフラッシュメモリーがいっぱいになり、機能しなくなる。1日あたりの使用率は1ブロックあたり1.4回。それが積み重なり、わずか5〜6年でP/Eサイクル3000回に到達するとNHTSAはいう。

同局は、Teslaにリコールを開始し、該当車両のすべてのオーナー、購入者、ディーラーに安全上の欠陥がある旨を通知し、部品交換を行うよう公式に通達した。

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タグ:Teslaリコール

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:金井哲夫)

米運輸省道路交通安全局がテスラ車に対する急加速の訴えはドライバーのミスが原因と判断

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、Tesla(テスラ)の4車種が関与する意図しない突発的な加速(Sudden Unintended Acceleration、SUA)の報告は、ユーザーのミスによるものであると判断した。

NHTSAは、Brian Sparks(ブライアン・スパークス)氏が2013年以降に製造されたすべてのModel S、Model X、Model 3のリコールを要請した直後の2020年1月に、このクレームの調査を開始した。同局は提供された232件のSUAに対する訴えと、14件の他の苦情、利用可能な衝突データすべてを分析した。

NHTSAの欠陥調査部門は、スパークス氏が指摘したSUA関連の事故はすべてドライバーが原因だと判断した。そのため66万2109台の車両を正式に審査し、リコールの可能性があるというスパークス氏の訴えを否定している。

「アクセルペダル部品、モーター制御システム、ブレーキシステムには、引用された事故のいずれかに寄与するような故障の証拠はありません」と、報告書は記載されている。「ペダルの誤操作の可能性を高める設計要因の証拠はありません。対象車両におけるSUAの電子的原因を指摘する理論は、システム設計とログデータに関する不正確な仮定にもとづいています」。

Teslaは以前、請願書を「完全な虚偽」と呼び、スパークス氏を同社の空売り業者だとしてこの主張を否定していた。

「私たちはドライバーが自分の入力に反して加速したと主張するあらゆる事例を調査し、入手したあらゆる車種の事例において、クルマが設計通りに動いていたことを確認しました」と、Teslaは述べていた。「つまり、ドライバーが加速するように指示した場合にのみ加速し、ブレーキをかけたときに減速または停止するのです」。

NHTSAの調査では、Tesla独自の調査結果が裏付けられた。米TechCrunchはTeslaにコメントを求めており、返信があればこの記事を更新する。

関連記事:テスラが「意図しない加速」の訴えは「まったくの虚偽」と主張

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タグ:Tesla

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

結局、テスラがModel Yの廉価な標準レンジモデル販売を決定

Tesla(テスラ)はModel Yのより廉価な標準レンジモデルの受注を開始した。2021年初め、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOはこの車のリリース計画を保留するかのように思われていた。

Electrekによる最初の報道によれば、テスラはウェブサイトを更新し、Model Yの標準レンジモデルを4万1990ドル(約436万4000円)からの価格で追加しており、これは現在同社が販売している長距離モデルより9000ドル(約93万5000円)近く安い。Model Yの標準レンジモデルは後輪駆動だが、高価で長距離移動が可能なパフォーマンスバージョンは全輪駆動となっている。

この廉価モデルは、長距離バージョンの326マイル(約540km)と比較して244マイル(約390km)の短いEPA航続距離が設定されている。

テスラは約2年前、2021年春にModel Yの標準レンジモデルの生産を開始する予定だと述べていた。しかし2020年7月にマスク氏は、低走行距離が「許容できないほど短い(EPAで250マイル以下)」ため、このモデルをウェブサイトから削除したとツイートしていた。

最新のテスラウェブサイトでは、Model Yにも7人乗りのオプションが用意されている。

 

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タグ:TeslaModel Y

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

イーロン・マスク氏が「世界で最も裕福な人物」に

SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)を率い、時に物議を醸すこともある謎に包まれた起業家のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、過去20年間に他の3人だけが保持していた地位に到達した。「世界で最も裕福な人物」の称号を得たのだ。

マスク氏は2021年、Warren Buffet(ウォーレン・バフェット)氏やBill Gates(ビル・ゲイツ)氏など多くの億万長者を超えてトップに立った。彼がこの地位に上り詰めたのは、2020年3月から830%近く急騰したテスラの株価のおかげであり、決められた時価総額と収益性のマイルストーンを達成した後に有効になった実質的な給与体系のためでもある。これによってマスク氏は、2017年から世界一の富豪の座を保持していたAmazon(アマゾン)創業者兼CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を追い落とした。

Bloomberg(ブルームバーグ)の億万長者指数によると、マスク氏の財産は現在1880億ドル(約19兆5000億円)を超えている。テスラの株価は米国時間1月7日にも上昇を続け、5%以上も上昇して795.75ドル(約8万2737円)となった。

マスク氏一流の表現で彼はこのマイルストーンを認め「なんて奇妙なことだろう」「さて、仕事に戻るか……」とツイートしている。

世界で最も裕福な人物という肩書きよりも、興味深いのはマスク氏がそこに到達したスピードだ。ほんの1年前、マスク氏は世界長者番付の底に方にいた。2021年、テスラの株価が急上昇したおかげで、マスク氏は約1500億ドル(約15兆6000億円)もの富を手にした。マスク氏はテスラの株式を約20%保有している。またSECの報告書によると、同氏は約420億ドル(約4兆4000億円)の行使可能なストックオプションを持っている。

テスラ株はかねてより変動率の高さに悩まされてきた銘柄で、ツイートや財務更新の後に大きな変動が発生することがある。2018年を例に見てみよう。テスラの株価は約3.8%の上昇で1年を終えた。1月2日と12月31日という株式市場カレンダーの両端の間に生み出されたその3.8%の値上がりは、株価の混乱と激しく揺れる上下変動に終始した1年を煙に巻いた。

2020年のテスラの株価は上昇傾向にあった。この年、上場企業としてわずか10年で、テスラは時価総額でFord(フォード)、GM、VWグループ、Toyota(トヨタ)を抜き、世界で最も価値のある自動車メーカーとなった。テスラの時価総額は現在5770億ドル(約6兆円)だ。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

2020年のテスラ納車台数が50万台に迫る

Tesla(テスラ)の2020年の納車台数は、前年比36%増の49万9550台となった。CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が5年以上前に発言し、達成が待たれていた大台に数十台足りないだけの結果である。

一方Teslaは、米国時間1月2日、2020年には50万9737台の電気自動車を生産したことを発表した。

Teslaは第4四半期に生産と販売を伸ばすことで50万台の目標に達することができた。これは最終四半期に多大な努力を投入した同社のラストスパートを反映したものだ。テスラは第4四半期に18万570台を納車し、前四半期比30%増として、四半期新記録を更新した。

また、ミッドサイズSUVであるModel Yの発売や、中国での新工場の稼働が、生産ならびに販売台数を牽引した。

第4四半期と通年の数字が示すのは、より手頃な価格の新型モデルへの需要の増加と、フラッグシップモデルである ModelSセダンとModel X SUVへの関心の低下だ。

同社は第4四半期にModel SとModel Xを1万8920台、年間では5万7039台を納車した。Model 3と新しいミッドサイズSUVのModel Yを合わせた販売台数は、第4四半期で16万2000台近く、年間では44万2511台に達した。

ほんの数年前のTeslaにとって、年間50万台以上の車両の生産と販売は、手の届かない目標のように見えていた。しかしマスク氏は同社について強気の見方を取り続けてきた。2015年の時点で彼は、Teslaが2020年には50万台の車を生産することを信じている、と表明したのだ。

当時マスク氏は「それは5年後のことです」と発言していた「5年前のTeslaを振り返ってみましょう、当時私たちは年間600台の車を生産していました。それが今では600台を3日で生産するのです。なので、それに比べればこれから年間50万台の車を生産できるようになるのは、より小さな飛躍に過ぎないと思っています」。

マスク氏はこの目標を繰り返し口にしてきたが、2020年1月にも納車台数は50万台を余裕で超えるだろうと発言していた。Teslaは、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の大流行が経済を混乱させ、他の自動車メーカー同様に、2020年春には数週間の生産一時停止を余儀なくされたにもかかわらず、この予測を修正しなかった。

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(翻訳:sako)

Teslaが2021年「早期に」インドでEV事業開始へ、生産も視野

Tesla(テスラ)は2021年「早期に」インドで事業を開始する。テクノロジーを駆使している車メーカーTeslaが、世界で2番目に人口が多いインドのマーケットに来年参入すると確信していると述べた翌12月28日、インドの大臣が明らかにした。

Teslaの事業は2021年早期に販売で始まり、その後車の組立・生産も「おそらく」検討する、とインドの運輸大臣Nitin Gadkari(ニティン・ガッカーリ)氏がIndian Express(インディアン・エクスプレス)紙に述べた。来年の早期とはいつなのか? 絶対に来月ではない、とTeslaのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏はツイートした。

同社は何年もの間、インド進出に関心を示してきた。しかし2018年のツイートで、同氏はインドの「政府規制」が障壁となっている、と述べていた。

世界の他の国でもそうだが、マスク氏はインドに数千万人のファンを抱える。ほんの一握りの人だけが2016年に1000ドル(約10万円)を払ってModel 3をプレオーダーした。後に同氏はインドの顧客への納車遅れに関してインドの規制を非難した。

「おそらく私は嘘を吹き込まれたのだろうが、パーツの30%はインドで調達したものでなければならないと伝えられ、それに応えるだけのサプライはインドには存在しない」と2017年にツイートした。

Teslaは長年グローバル展開に注力していて、今ではオーストラリア、カナダ、中国、日本、メキシコ、それから欧州各国にショールームを設置し、2013年にはオランダのティルブルフに最終組立工場を開所した。しかし同社が米国外での車両生産を開始したのは2019年だ。同年後半にTeslaは上海の工場で電気自動車の生産を開始した。同社はベルリン、そしてテキサス州オースティンにも工場を建設中だ。

米国、韓国、そして中国の企業にとってインドは世界最大の激戦地の1つとなっている。そうした企業はユーザー・顧客ベースを拡大させるために南アジアのマーケットに注目している。たとえば、ユーザーの数という点でインドを最大のマーケットとしてとらえているFacebook(フェイスブック)と Google(グーグル)は今年、インドの通信大手Jio Platforms(ジオプラットフォームズ)に数十億ドル(数千億円)規模の額を出資した。Apple(アップル)は近年、インドのスマホマーケットのシェアを拡大すべくインドでの生産を増やしてきた。インドのスマホマーケットの70%超を中国スマホメーカーが牛耳っている。

ここ何年かの間で1000以上の「古い法律」を廃止したと主張するインド政府は以前、マスク氏が指摘した悩みの種を認めていた。過去3年でインドは、電動車両への移行を促し、また石油消費を減らし大気汚染を抑制するのに役立つバッテリーの生産やイノベーションを加速させるために、車メーカーに対し数十億ドル(数千億円)ものインセンティブを提案してきた。

インドはまた、配車サービスのUber(ウーバー)とOla(オラ)に、同国で展開する車両の40%を2026年4月までに電動タイプに換えることを提案した。

今年初めにアムステルダム拠点のEtetgoを買収したインド企業のOlaは今月、インド南部のナミルナドゥ州に「世界最大のスクーター工場」を設置するために3億2700万ドル(約340億円)を投資する計画だと述べた。同社によると、工場設置で新たに1万人以上の雇用を生み出し、初期生産能力は年間200万台だ。

インドのナレンドラ・モディ首相が支援しているシンクタンクNiti Aayogが今年初めにまとめた提案書には、電動車両が広く浸透すれば、今後10年で石油輸入費用を400億ドル(約4兆1500億円)削減できるかもしれない、と書かれている。

ガッカーリ氏はインドのメディアに対し、インドが5年内に車生産の最大のハブになると期待している、と述べた。

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画像クレジット: Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi