グーグル、2024年に新ARヘッドセットを計画か

正直なところ、Googleが独自ARヘッドセットを開発していないほうが驚きだ。The Vergeの記事によると、Googleは2024年の出荷を目標に拡張現実(AR)へ進出するためのハードウェアを計画しているという。これはMetaとAppleに対抗するためだ(後者はこの分野へ進出するとかなり長い間、噂されている)。

今回の記事では、内部ソースと求人情報の組み合わせが引用されているが、それはオンボードの処理能力の一部をリモートサーバーにアウトソースするであろうカスタムチップ(最新のPixelのような)上で新しいオペレーティングシステムを実行しているデバイスを指しているようだ。これは同社のリモートゲーム開発プロジェクト「Google Stadia」とも一致するもので、これまで好意的に受け止められてきた。5G回線に依存するか、接続されたスマホを利用することになると思われる。クラウドゲーミングの取り組みと同様に、屋外での装着を想定して設計された製品では、遅延が問題になる可能性がある。

GoogleのARとVRへの取り組みは、複雑な様相を呈している。同社は2015年、一般販売開始から1年も経たないうちにGlassの販売を終了している。価格と限られた機能の両方が、半世紀以上も早すぎたかもしれない製品の大きな失敗理由だったと指摘されていた。

同社はその後、MicrosoftのXR製品であるHoloLensにより近いかたちで「Google Glass Enterprise Edition」を通じ、この技術を異なるモデルにシフトしている。現在、ARはまだ主流とはなっていないが、Microsoftは、米陸軍と12万台のヘッドセットに関して結んだ220億ドル(約2兆5040億円)の大規模なパートナーシップのおかげで、このカテゴリでいくつかの成功を収めている。

Project IrisはGoogleの開発部門の奥深くに存在しているようだ。Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)CEOは驚くほど口を閉ざしており、将来のARに関する議論では冷淡な態度さえみせている。「しばらくの間、我々は長期的なためにコンピューティングを通して考えることに深く集中してきました。アンビエントコンピューティングについて話してきましたが、携帯電話を超えて、他のフォームファクターが成功するのは時間の問題でしょう。そして、ARはその未来のエキサイティングな部分です」と、最近の決算説明会で述べている。

はっきりしているのは、Googleは波が押し寄せるのを察知し、その一端を担おうとしていることだ。いくつかのつまずきはあるものの、同社は魅力的な製品、つまり拡張現実を高額な大企業向けだけでなく、一般消費者向けでもある製品を提供できる立場にある。

TechCrunchは、この件に関してGoogleにコメントを求めている。

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

HoloeyesとDental Prediction、5GネットワークとVR空間を利用した国際間遠隔医療カンファレンスの実証実験

Holoeyes、5GネットワークとVR空間を利用した国際間遠隔医療カンファレンスの実証実験を実施

医療用画像処理ソフトウェアなどを提供するHoloeyes(ホロアイズ)と歯科医療スタートアップDental Prediction(デンタル・プレディクション)は1月17日、Holoeyesが提供する医療用画像表示サービス(非医療機器)「Holoeyes XR」とオンライン遠隔共有カンファレンスサービス「Holoeyes VS」を活用し、日本とシンガポールの医師が参加する国際間遠隔カンファレンスの実証実験を実施した。5Gネットワークを活用したVR空間での国際間遠隔医療カンファレンスは、世界初の試みとなる。

この実証実験では、シンガポールの大手通信会社Singtel(シングテル)の実験施設「5G Garage」とNTTドコモの「ドコモ5GオープンラボYotsuya」を利用し、NTT DOCOMO ASIAの現地サポートを受けて、日本とシンガポールを5Gでつなぎ、遠隔カンファレンスを2回行った。

1回目は、HoloeyesのCOO兼CMOである帝京大学冲永総合研究所教授の杉本真樹氏による、シンガポールの消化器外科医2名に対する肝臓の腫瘍切除の模擬カンファレンス。もう1回は、Dental Predictionの歯科医、宇野澤元春氏とニューヨーク大学歯学部准教授の岡崎勝至氏が、シンガポールの日本人歯科医師に対するインプラント治療や歯内療法、歯科器具に関する説明を、歯列の3DモデルをVR空間で操作しながら行うというものだった。HoloeyesとDental Prediction、5GネットワークとVR空間を利用した国際間遠隔医療カンファレンスの実証実験

この実験について、シンガポールの消化器外科医の1人によると、ストレスなくカンファレンスの体験ができたという。「患者への説明、若い外科医の教育、手術計画など意志決定のためのツールとして使用できる」と話している。

【コラム】快適なメタバースの実現に欠かせないバーチャルライフの基本的構成要素

Meta(メタ)のミッションは、仕事、ソーシャルメディア、ゲームなどの異なる環境をシームレスに接続し、人々が仮想空間で実質的に生活して働くことができるようにすることだ。

これは明らかに、私たちのネットワークに重大かつ持続的な影響を与えるだろう。単に不具合なく絶えず接続されている必要があるというだけではなく、完全に没入型のコンテンツを4Kや8Kでシームレスに、低遅延かつ最小のラグでストリーミングすることが求められているのだ。

再起動、OSやアプリケーションのロード時間、ネットワークの混雑など、我々がシームレスな仮想環境にいると感じられなくなるような、あらゆる要素に気を散らされることなく、ある体験から別の体験へと移ることができなければならない。

これらを実現することを考えると、バーチャルライフとは火星に移住するのと同じくらい難しいことのように思える。

しかし、新しいバーチャルワールドへの旅を、摩擦のないものにすることは可能だ。そのためには、バーチャルライフに必要な基本的な構成要素を、確実に積み上げる必要がある。

今の私たちには、メタバースを快適に住める場所にして、バーチャルな自分たちが単に生存できるだけでなく繁栄できる場所にするチャンスがあるのだ。

帯域幅が重要

メタバースを大規模に展開するには、多くの帯域幅が必要だ。水が生命体の構成要素であるように、帯域幅なしに我々がメタバースで機能することはできない。メタバースでは、膨大な帯域幅をむさぼるアプリケーションのさまざまな要求に応えることができる高性能な接続性が必要だ。

そのような帯域幅が広く普及し、かつ手頃な価格で利用できなければならない。今のところ十分なサービスを受けていない、あるいは接続されていないコミュニティをサポートするためには、そのことが必要だ。仮想世界のビジョンは、誰もが平等に創造と探求の機会を得られることが中核として語られることが多い。しかし、メタバースでそれを実現するためには、まず現実の世界での接続性を確保する必要がある。

低遅延は空気のように必須

帯域幅は1つの重要な要件だが、相手のアバターが反応するまで数秒、あるいはそれ以上の時間がかかるようでは、メタライフは一気に苛立たしい不快な場所になってしまう。我々はすでに、スポーツのライブストリーミングやオンラインゲームで遅延にイライラすることがあるが、仮想世界に完全に没入しようとすると、この問題はさらに悪化する。

リアルタイムな反応が求められるネットワークでは、通信の遅延を減らし、信頼性を向上させるエッジコンピューティングのような技術がますます重要になってくるだろう。

仮想ハードウェア:メタバースのインフラストラクチャ

誰もが経験したことがあるはずだ。ハードウェアが壊れ、それを修理しなければならない。その間、我々はそのハードウェアによる機能がなくても、生き延びられるようになる必要がある。しかし、メタバースではこのようなことは起こり得ない。あるいは少なくとも、起こるべきではない。なぜなら、メタバースで必要とされる機能の多くは、仮想化された機能を利用するようになるべきだからだ。

インフラストラクチャ機能は、仮想マシンやコンテナコンセプトで展開し、アプリと同様、ネットワーク上で大規模かつリアルタイムに展開できるようにすることが鍵となるだろう。ルーティングやスイッチングといった従来のネットワーク機能は、完全に仮想化する必要がある。これらの機能は、簡単にアップデート、アップグレード、パッチ適用、デプロイできることが求められる。

ソフトウェア・インテリジェンス:メタバースの首長

私たちがメタバースで迅速かつシームレスに活動できるようにするためには、メタバースがソフトウェアで定義されていなければならない。それは、地方の自治体や議会が、道路の補修やゴミの撤去、交通の流れの制御をリアルタイムで行えるようにすることと同じだ。これらは一般的に、我々が知らないうちに現実の生活の中で行われていることで、それが機能しなくなってはじめて、何が起こったのかと思うような事々だ。

プログラム可能なソフトウェアの能力によって機能する自動化とAIは、ネットワークの展開を高速化し、よりアクセスしやすく、適応性の高いものにするための鍵を握る。

適応性の高い仮想プログラマブルネットワークは、物理的なトラックロールを必要とせず、障害を特定して自己回復することができる。また、計算能力、ストレージ、帯域幅などのリソースを、メタバース内の十分に活用されていないエリアから引き出して、一時的に他の部分の活動を活発化させたり、必要に応じて自動的に元に戻すこともできる。

今後数年間、私たちはメタバースについての話をたくさん耳にすることになるだろう。しかし、いかなるユースケースの革新も、必要なネットワークの革新なしには実現しない。ソフトウェアで制御された、大容量かつ低遅延の接続性を提供する適応型ネットワークは、将来のメタバースにとって、現在のクラウドアプリケーション以上に重要な基盤となるだろう。

かつてFacebookとして知られていたアーティストが、人を温かく迎えるメタバースを構築するための構成要素はすでに存在している。そして、メタバースの出現を利用しようとする技術開発者たちの中で期待される技術革新の高まりにより、このようなテクノロジーが進化し続けることで、Metaはますます多くの世界構築ツールを手に入れることになる。

つまり、 バーチャルユニバースを構築することは簡単ではないが、適切なネットワークインフラへの投資と技術革新によって、現実に近づけることは確かに可能なのだ。

編集部注:本稿を執筆者Steve Alexander(スティーブ・アレクサンダー)は、ネットワークシステムとソフトウェアを提供するCiena(シエナ)のSVP兼CTO。同社は世界中のオペレーターやコンテンツプロバイダーと提携している。

画像クレジット:NJankovic / Getty Images

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(文:Steve Alexander、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

FTCがMetaのVR事業を独占禁止法違反で調査中との報道

Metaに対するFTC(米連邦取引委員会)の反トラスト訴訟が、今週初めに重要なハードルをクリアしたことに続き、この同委員会はさらに、MetaのVR事業に対しても強い関心を寄せているようだ。

Bloombergの記事によると、FTCと複数の州の司法長官は、Metaのバーチャルリアリティ部門を「反競争的行為の可能性」で調査しているという。ニューヨークが州レベルの調査を主導しているとされ、MetaのVR体験のためのアプリを開発する外部のソフトウェア開発者とチャットしているとのこと。

記事によると、州と連邦の職員たちは、同社がどのようにして、反競争的な行いに関わり、VR市場における競争を妨害したかを調べている。職員たちはまた、同社がVRヘッドセット「Quest 2」の価格をどのようにして下げ、それを消費者にプッシュして競争をブロックしたかについても、関心を持っている。

FTCがMetaのアプリストアとハードウェア、ソフトウェアを調べている事実は、同社の買収案件が、次の時代のインターネットビジネスを定義する道標になるかもしれないこの反トラス訴訟における、唯一の視点ではないことを示唆している。

2021年12月、The InformationはFTCがMetaが申請しているVRフィットネスアプリ「Supernatural」の買収、その4億ドル(約456億9000万円)を超える取引を調べていると報じている。

今週初め、ある判事は、FTCがMetaの子会社であるFacebookに対して行っていた大規模な反トラスト法違反訴訟を継続できると判断し、これを阻止しようとする同社の取り組みを拒否した。2021年12月、Facebookは裁判所に訴えの却下を求め、ビッグテック解体推進派のLina Khan(リナ・カーン)FTC委員長に退陣を迫っていた。

FTCはその訴訟で、Facebookがソーシャルメディア分野のライバルを押さえ込むために市場力を乱用していると非難し、親会社のMetaにInstagramとWhatsAppを売却させるよう裁判官に求めるところまで踏み込んでいる。

「しかし、これらの理論を補強するために今回主張された事実は、特に被告が主張する独占の輪郭に関して、以前よりもはるかに強固で詳細である」とJames Boasberg(ジェームズ・ボースバーグ)連邦地裁判事は記している。

「……FTCは、その主張を証明するために、この先、困難な課題に直面する可能性がありますが、裁判所は、現在、弁論の要件をクリアし、証拠開示に進む可能性があると考えている」と述べている。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

セカンドライフの生みの親が元祖メタバース企業Linden Labの顧問として戻る

最も初期の、そして最も永続的な象徴である仮想世界の生みの親が、自らのルーツに戻ろうとしている。「Second Life(セカンドライフ)」の創始者Philip Rosedale(フィリップ・ローズデール)氏は、2013年に同氏が共同設立した空間オーディオ企業High Fidelity(ハイ・フィデリティ)がSecond Lifeの開発会社Linden Lab(リンデン・ラボ)に投資した後、1999年に設立した同社に戦略顧問として再参加する予定だ。この取引には、不特定の現金投資、関連特許、開発チームの一部メンバーが含まれている。

ローズデール氏はプレスリリースで「Second Lifeのような仮想世界の構築には、誰も近づいていない」と述べている。「大企業がVRヘッドセットを配り、広告主導の行動変容型プラットフォームでメタバースを構築しても、魔法のような、誰もが楽しめる単一のデジタルユートピアは生まれないでしょう。Second Lifeは、住人にポジティブで豊かな体験を提供し、さらに数百万人が参加する余地があり、同時にサブスクリプションベースのビジネスの構築を成功させたのです。仮想世界はディストピアである必要はないのです」。

Meta(メタ)のような企業がメタバースに対する独自のビジョンを打ち出すなか、ローズデール氏は、広告ベースのソーシャルネットワークからビットコインの採掘作業で発生するエネルギーが環境に与える影響まで、現在のオンライン生活を支えるいくつかの力学を声高に批判し続けている。

年代的に、Roblox(ロブロックス)のユーザーで、Second Lifeを詳しく知っているという人は少ないかもしれないが、ローズデール氏の仮想社会プラットフォームは、ごく最近になって「メタバース」という括りで注目されるようになった概念の多くを先駆けて生み出した。Second Lifeは、Facebookがエリート大学の学生をつなぐためだけに存在していた2000年代初頭に、デジタルアイデンティティ、仮想不動産、デジタル経済、オンライン・マルチプレイヤーエコシステムといった概念を探求していたのだ。

同社によると、ローズデール氏はすでにLinden LabのBrad Oberwager(ブラッド・オバーワガー)会長と定期的に連絡を取り合っているが、新しい顧問としての役割で、このプラットフォームの製品計画への関与を大幅に深めることになるとのことだ。また、High Fidelityの現在の仕事は、セカンドライフの第二の人生と極めて密接な関係を保っている。最近、多くのソーシャルプラットフォームが、より没入感のある体験を生み出すために空間オーディオを追加したが、そのうちのいくつかは、クラブハウスのように、それを実現するためにHigh Fidelityのコードをライセンス供与しているのだ。

「フィリップが1999年にセカンドライフを始めて以来、その先見性のあるアプローチは時の試練に耐えただけでなく、未来に向けた位置づけを確率してきました」と、オバーワガー氏は述べている。「彼とHigh Fidelityのチームは比類のない経験を持っており、私は目の前の大きなチャンスを生かすのが待ちきれません」。

ローズデール氏が復帰したことで、Linden Labは、その早期参入マジックに足を踏み入れる興味を持ったようだ。しかし、Second Lifeが再び注目を浴びるには、まだまだ長い道のりがある。FortniteのメーカーであるEpic(エピック)、Roblox、Meta、その他無数の大手企業が、際限なく儲かる仮想商品を提供し、デジタルアイデンティティが住む仮想世界の近い将来(人によっては間違いなく現在と捉えることも)に大きく賭けている。ローズデール氏独自の視点は、現在いくつかのプラットフォームが提供しているメタバースの片鱗を真似するようなことはしないだろう。そのため、20年間この問題について考えてきた人物が、多くの企業が突然私たち全員が移行することを強く望んでいるこの仮想世界というものをどう描いていくのか、興味深いところである。

画像クレジット:PATRICK KOVARIK / Staff / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Magic Leapがヘルスケア関連企業に新型ARヘッドセットへの早期アクセスを提供、2022年半ばの発売に先駆け

Magic Leap(マジックリープ)は、2022年後半に予定されている企業向けのリリースに先駆けて、ヘルスケアスタートアップ4社に第2世代ARヘッドセットへの早期アクセスを提供した。この早期アクセスプログラム企業の1つであるSentiARは、医師が患者の手術中に心臓の3Dモデルを見ることができるソフトウェアを提供している。また、Brainlabは、同社のMixed Reality ViewerソフトウェアをMagic Leap 2で利用できるようにしたいと考えている。

Magic Leapが最新のウェアラブルをデジタルヘルスケアのスタートアップに最初に提供しているのは驚くことではない。2021年4月の時点で、Peggy Johnson(ペギー・ジョンソン)CEOのはそう示唆していた。「拡張現実(AR)は、少なくとも短期的には、他のどの業界よりもヘルスケアを変革する可能性があります」と同氏は当時述べ、発売時には企業顧客に焦点を当てるとしていた。

Magic Leapは、シリコンバレーで最も注目されているスタートアップの1つとして登場して以来、苦境を強いられてきたことで有名だ。2019年には、2300ドル(約26万円)のヘッドセット「Magic Leap One Creator Edition」が発売されてから半年間で6千台しか売れなかったことが報じられた。その後、3億5000万ドル(約401億2000万円)の投資によって新たな命を吹き込まれるまでの数カ月間、従業員の解雇を繰り返していた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Bram Van Oost / EyeEm / Getty Images

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

息を呑むような没入型バーチャルコンサートの未来を切り開くAmazeVRが約17億円調達

コンテンツ生成ツールでお気に入りのアーティストのVRコンサートを体験できるバーチャルリアリティコンサートプラットフォームAmazeVR(アメイズVR)は、1500万ドル(約17億円)を調達した発表した。このラウンドでは、3週間で募集枠を超える申し込みがあった。

Partners InvestmentMurex Partnersがこの資金調達ラウンドを共同でリードし、Smilegate Investment、Quantum Ventures KoreaABC Partners、Everrich Group、GS Groupのコーポレートベンチャーキャピタル部門のGS Futures、We Ventures、Base Investment、Dunamu&Partners、そして既存投資家のMirae Asset Venture Investment、Mirae Asset Capital、Partners Investment、Timewise Investmentが参加した。

AmazeVRは2015年の創業以来、合計3080万ドル(約35億円)を調達しており、急成長を推進するために2022年初めにシリーズBを調達する計画だという。同社の共同CEOであるErnest Lee(アーネスト・リー)氏はTechCrunchに対し、新たな資金をさらなる従業員の採用に充てる予定だと語った。リー氏によると、AmazeVRは2021年を12人の従業員でスタートしたが、現在はハリウッドとソウルに3倍の41人を抱えている。

「当社は、関わっている(音楽、エンターテインメント、テック、ゲーム)業界から、優秀な人材を集めることができました」と同氏は話した。「これにより、VRとメタバースの人気の高まりを最大限に活用し、主要アーティストの息を呑むようなVRコンサートを、まず映画館に、そして世界中の家庭に届けるのに理想的な位置につけています」 。

ソーシャルメディアの登場で、ファンはお気に入りのアーティストにかつてないほどアクセスできるようになったが、それでもスクリーンで隔てられているのが現状だ。AmazeVRによるVRコンサートは、ファンをスクリーンの向こう側に連れて行き、お気に入りのアーティストと対面させることで人間的なつながりを生み出す、とリー氏は語る。ユーザーはアバターとして参加し、他のユーザーとぶらついたり、一緒にVRコンサートを体験したりする。

「ファンの記憶に残るのは、すばらしいVR体験ではなく、幻想的な没入感の中で好きなアーティストと実際に対面し、現実との境界線を曖昧にする、目に見えないような優れた技術を構築することが当社のゴールです」とリー氏はTechCrunchのインタビューで述べた。

ロサンゼルスに本社を置き、ソウルにオフィスを構えるAmazeVRは、JB Lee(JB・リー)氏、Steve Lee(スティーブ・リー)氏、Jeremy Nam(ジェレミー・ナム)氏、Steven Koo(スティーブン・クー)氏という、韓国のメッセージングアプリKakao(カカオ)の元幹部が設立した会社だ。Kakaoの株式市場デビュー後、グローバルなインパクトを持つ企業の設立に再挑戦しようと考えた共同創業者4人は、ソウルを離れ、VRで未来を切り開くためにシリコンバレーに移住した。

リー氏によると、AmazeVRは2015年からVR技術を開発していて、2019年末にVRコンサートに完全に方向転換したという。

同社はパンデミック以前から、VRコンサートを通じたより没入感のある音楽体験の必要性を信じていた。しかし、音楽業界は少し距離を感じ、懐疑的だった。その主な理由は、最も収益性の高い収入源であるライブコンサートのカニバリゼーション(共食い現象)に対する懸念だったとリー氏はいう。

最近では、新型コロナウイルスの大流行によって市場での採用が加速し、AmazeVRは製品とマーケットの適合性を迅速に見つけられるようになっている。音楽業界も新しい技術に対して考え方が柔軟になり、そしてVRコンサートがライブコンサートではなく、新しいカテゴリーのエンターテインメントであることに人々が気づき始めたと、リー氏は続けた。

「音楽業界はパラダイムシフトを迎え、多くの企業が次の大きなものを取り入れようとしています。ライブストリームからバーチャルコンサート、Fortnite(フォートナイト)のショーまで多くの試みを目にしました。パンデミックはこのシフトを加速させただけです」とリー氏は語った。「これらの他のすべてのソリューションは、すでに存在するものから増分価値を提供するだけであり、他のソリューションはファンにとってカバーする価値、すなわち人間的なつながりを真に捉えていません」

AmazeVRは2022年春、グラミー賞を3回受賞しているMegan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオ)氏とともに、米国内の一部のAMCシアターを巡演する初の商業VRコンサートを展開する。AmazeVRはすでに2人目のアーティストとして世界的な一流アーティストを確保し、3人目のアーティストを最終決定しているとリー氏は語った。同社初のVRコンサートツアーは、長年の研究開発の結果、独自の9Kカメラと、複雑なUnreal EngineベースのVRコンサート視覚効果(VFX)モジュールを自動化し、一度に100台以上のヘッドセットを駆動できるソフトウェアによるものだ。同社は、コンテンツ制作の規模を拡大し、2024年までに新しいVRコンサートをシアター内と自宅の視聴者の両方に毎週リリースする予定だ。

「VRコンサートがいかにインパクトがあるかは、実際に体験してみないとわかりません。VRはついに2Dの体験をすべて吹き飛ばすことができるのです。当社の技術のおかげで、スクリーンからは得られないリアルな臨場感、お気に入りのアーティストがすぐそばにいて、あなたと向かい合っているような感覚を呼び起こすことができます」とリー氏は話した。「これは音楽の新しい次元を切り開くもので、録音が登場して以来、アーティストとファンがつながる初の新しい方法の1つです。投資家がこのことを理解し、当社の革新と成長を支援してくれることに感激しています」。

画像クレジット:AmazeVR

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】CES 2022で、メタバースはメタバースをメタバースした

CESを前にして、CES 2012のトップテックを振り返る記事を書いた。10年前のバズワードを思い出すなど、その執筆はさまざまな理由から興味深いものとなった。

その年は、LTEとUltrabookが上位だった。一方は広く長く普及しているが、もう一方はそれほどでもなかった。つまり、その年のCESでの話題の大きさは、その寿命を表すものではない。2012年半ばには、Ultrabookの死が本格的に語られ始めていた。

2022年のCESでは、会場に人の気配はなかったが、見たところ数メートルも歩けばメタバースに行き当たりそうな雰囲気だった。FacebookがMetaにブランド名を変えてから2カ月ほど、CESのような展示会では、企業は良い製品と同じくらい良いフックに投資している。それは理解できる。例えば、Samsung(サムスン)やHyundai(ヒュンダイ)といった企業でなければ、目立つことは難しい。

中小企業の具体的な話は割愛する。Twitterのスレッドでは前述のメタにかなり精通したものだった。正直なところ、私は、スタートアップがその輝きを少しでも得ることを期待しており、それを台無しにしたくない(「Goart Metaverse」という言葉は、私が地球上で最後の瞬間を迎え、脳内にDMTが出るまで、私の精神に入り込んでいくものだ)。

CESが始まる前に、メタバースとは何であるかを知らなかった人にとって、今回のショーはあまり良いものではなかったが、メタバースには間抜けな顔のミー文字とVR機器がおそらく含まれているという事実だけは確かだ。そして、このワードをタイプしている今、おそらくメタバースの説明としてはこれ以上ないほど適切だということもわかった。

画像クレジット:Hyundai

Hyundai(現代自動車)は、CES 2022で、ロボティクスとメタバースを通じて「『人間の可能性を広げる』新たなメタモビリティコンセプトのビジョンを共有する」という同社のプレスリリースを受け取ったことが、私を突き動かしたのかもしれない。あるいは、Boston DynamicsのSpotが火星で奇妙なメタバース人形たちと一緒に過ごしている映像が添付されていたせいかもしれない。実際の火星に実際のロボットを送り込むという、SFの枠を超えた映像が、メタバースを軸に展開されているのはシュールだった。

Hyundaiのコンセプトは、メタバース的な交流のためにBoston Dynamicsのような先進的なロボットを、現実世界のアバターとして機能させるという、何とも興味深いものではないが、自動車会社である同社でさえ、このコンセプトを将来性を託しているかを物語っている。一方、Samsungは、本物が登場するまでのその場しのぎのメタバース(betaverse?)を提供した。そこは同社プロダクトの「バーチャルショーケース」となっていて、少なくともラスベガスに出向いてメタバースを実際に見せてもらうという皮肉を回避できた。

Samsungは次のように述べている

念願のライフスタイルテレビ、生活を豊かにする家電製品、スタイリッシュな最新スマートフォンが手に入りました。では、それらの革新的な製品を使って、自宅を飾ることができるとしたらどうでしょう?

これは興味深いシナリオであり、メタバースが稼働し始めれば現実のものとなる。Samsungは、メタバースでさまざまなイノベーションを起こしており、CES 2022に興味を持った人たちがオンラインでこのイベントを体験できるオプションを用意しました。

メタバースに対して強気な人たちの間では、混乱が起こっているのだろう。美容ブランドからウェアラブルまで、あらゆるところで。「メタバース」というコンセプトにまつわるこれほどの興奮を目の当たりにすると、希望に満ちた気持ちになると同時に、ダメなメタバースも現れ始めていることもいらだたしい。メタバースが確立する前に、メタバースがすべての意味を失ってしまわないだろうか。あなたのメタバースは、私のメタバースと同じくらい良いものだ。

画像クレジット:Samsung

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

VRとARはCES 2022でも「ブレイクの寸前」

最初のOculus RiftがKickstarterで登場してから、信じ難いことにほぼ10年が経った。

10年間の進歩を経て、VRヘッドセットはずいぶん改善された。しかし現時点では、VRの普及は段階的と言っていい。誰もがヘッドセット(VRかAR、あるいはその2つを組み合わせたもの)を顔に装着するようになるとしたら、それは1つの大きな出来事(※)というよりはたくさんの小さなステップの結果だろう。OculusのVRリズムゲーム「Beat Saber」もあれば、Oculus Questで使えるVRフィットネスの「Supernatural」もある。ヘッドセットは徐々により良く、より軽く、より処理速度が速くなっている。職場でのトレーニングでヘッドセットを使うことに慣れている人もいるだろう。ある日突然、誰もがメタバースのあり方に同意するかもしれない。

この少しずつの進歩は2022年のCESでも変わらなかった。VRやARに関するニュースはたくさんあったが、どれも世間を揺るがすようなものではなかった。しかし1つ1つのステップは進歩している。

※もしAppleが積極的にこれから参入し、製品を投下してこのカテゴリーをひっくり返すようなことがあれば、衝撃的な出来事になる可能性がある。これは、ここ最近噂になっていることだ。

2022年CESのVRとARの大きな話題を、ここでまとめよう。

ソニーのPSVR2

画像クレジット:Sony

Sony(ソニー)は2016年にPS VRヘッドセットをリリースし、その後PlayStation 5用の次世代ヘッドセットを開発していることは以前から知られていた。しかし2021年前半に「開発中」であることをちらっと発表し、数カ月後にコントローラの詳細を若干公表したが、詳しい仕様は発表していなかった。

全容はまだ明らかにされていないが、PSVR2という正式な名称と以下の内容が発表された。

  • 解像度は片方の目につき2000×2040
  • 初代ヘッドセットの視野角が96度であったのに対し、110度に拡張
  • リフレッシュレートは90/120Hz
  • 目の動きをトラッキングし、インターフェイスの項目を見るだけで選択されるといったことができるようになる模様
  • 視界の中央にあるものを優先的にレンダリングして処理の効率を上げるフォービエイテッドレンダリングに対応
  • 指を検知し、PS5の臨場感にあふれるアダプティブトリガーを搭載する専用の新コントローラ(下図)を開発中

画像クレジット:Sony

ヘッドセットがどのような外観になるかは、まだわからない。いつ出荷されるかもわからない。しかしPS VRヘッドセットが使いやすさの点でOculus改めMeta Questの数少ないライバルの1つであることを考えると、ソニーが開発を続けているのは好ましい。

HTCのリストトラッカー「Vive」

画像クレジット:HTC Vive

VRの入力に最も適した方法は何だろう。一般的なヘッドセットのほとんどは、両手にそれぞれ何らかのコントローラを持って使う。その代わりに、手そのものをコントローラにするというのはどうだろうか。

もちろん、ハンドトラッキングのアイデア自体は新しいものではない。さまざまな企業がハンドトラッキングに重点的に取り組んでは消えていった

しかしHTCのアプローチはちょっと違う。カメラに完全に頼るのではなく、センサー内蔵のバンドを両手首に巻いて、カメラでは捉えられないものをトラッキングしようとしている。例えば一方の手がもう一方の手を覆い隠しているとか、ゴルフのスイングをしたときに腕が背中側に回るといったケースだ。同社は卓球のラケットやNERFというおもちゃのシューティングガンなどの物体に取り付けたセンサーが動作している様子も披露した。

HTCはこのセンサーを2022年後半に129ドル(約1万5000円)で出荷する予定としている。対象者は誰? 少なくとも現時点では、このセンサーはHTCのVive Focus 3ヘッドセットとの組み合わせのみで動作する。

ShiftallのMeganeX

画像クレジット:Shiftall

近年、VRヘッドセットはかなりすっきりしてきたが、それでもまだゴツい。実際のところ、どれほど小さくできるのだろうか。

Panasonic(パナソニック)の子会社であるShiftallは「超軽量、超高解像度」のヘッドセット「Meganex」を開発している。フレームにスピーカーが内蔵され、ディスプレイは片方の目につき1.3インチ(2560×2560)で、ヘッドセットというよりはスチームパンクの大きいサングラスのように見える。軽量で折りたたみ可能とはいえ、それほど動き回れるわけではないようだ。重いグラフィックスを処理するにはUSB-Cでコンピュータに接続する必要がある。

Shiftallはこのヘッドセットを2022年に「900ドル(約10万4000円)以下」で出荷するとしている。

MicrosoftがARチップに関してQualcommと協業

画像クレジット:Qualcomm

Microsoftは同社のHoloLensヘッドセットにQualcommのチップをすでに採用しているが、この両社がCES会期中にさらに正式な取り組みを明らかにした。Qualcommの基調講演で、両社がARヘッドセット専用チップの開発で協力することが発表された。このチップは両社のAR開発プラットフォーム(Microsoft MeshとSnapdragon Spaces)に対応する。

NVIDIAのOmniverse

画像クレジット:Nvida

派手なハードウェアではないが、ソフトウェア関連としては重要である可能性が高い。NVIDIAは、3Dコンテンツのクリエイターがリアルタイムで共同作業をするのに役立つプラットフォーム「Omniverse」を公開した。

これを報じる記事の中でFrederic Lardinois(フレデリック・ラーディノイス)は次のように述べている。

Omniverseはクリエイターやデザイナー、エンジニアが共同作業でバーチャルワールドを作るためのNVIDIAのプラットフォームだ。NVIDIAや他社アプリのデザインツールやアセットを、ハードウェアとソフトウェアの1つのエコシステムにまとめる。これまでOmniverseとこれに対応するNVIDIAのさまざまなツールはベータ版だったが、米国時間1月4日のCESで同社はベータのラベルを外し、Omniverseはクリエイターに広く公開された。

TCLのARメガネ

これは今のところほとんどコンセプトなので、好きになるにはまだ早すぎる。テレビやスマートフォン、エアコンのメーカーであるTCLがARメガネの分野に参入し、ほぼ普通に見えるメガネにGoogle Glassに似た機能を搭載した製品を紹介している。「ホログラフィック光導波路テクノロジー」により画像をレンズと視界に映し出すもので、上に示したコンセプトビデオではメガネのフレームにタッチ式のコントロールが内蔵されている。

画像クレジット:wacomka / Getty Images

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Kaori Koyama)

MetaのOculus VRコンパニオンアプリ、クリスマス以降にダウンロード200万回

サードパーティのアプリ分析会社、Apptopia(アップトピア)とSensor Tower(センサータワー)の新しいデータによると、Quest 2を含むOculus VRデバイスのモバイルコンパニオンであるMeta(メタ)のOculusアプリは、クリスマス以降、世界中でおよそ200万回ダウンロードされた。クリスマスの日にOculusアプリがAppleのApp Storeで初めて首位を獲得し、米国のGoogle Playでも最も人気のある無料アプリとなったことから、Quest 2が人気のホリデーギフトだったことがすでに示唆されていた。

米国でのクリスマスの1週間(2021年12月23日~29日)、Oculusアプリのダウンロードは前週比517%増となり、インストール150万回に達したことがSensor Towerのデータで明らかになった。

その後の12月30日から1月5日までの1週間で、これらのインストール数は77%減の34万5000回となったが、それでもこの数字は2021年のクリスマス前の週よりも42%も多い。また、こうした直近のダウンロードには、最近ホリデーギフトとして新しいOculusデバイスを受け取っていたが、まだセットアップしていなかった人が含まれているようだ。

クリスマス後のインストールは米国が大半を占めているが、ApptopiaとSensor Towerは、クリスマスの日から現在までにApp StoreとGoogle Playを合わせて全世界で約200万回のインストールがあったと推定している。

Sensor Towerはやや保守的な分析をしており、2021年12月31日から2022年1月5日までに全世界で約180万回インストールされたと推定している。一方、Apptopiaは、クリスマスから現在までにOculusアプリが全世界で218万9000回ダウンロードされたとしている。この200万回超のインストールのうち、約79%(172万7000回)が米国の消費者によるものだったと指摘した。

Apptopiaのデータでは、2021年のクリスマスに急増している

この数字をより広い視野で見ると、2021年ホリデー期間中のアプリインストール数は、アプリの初期に見られた年間総ダウンロード数に近い。

2018年4月にリリースされたOculusアプリは、初年に120万回ダウンロードされ、その後2019年には240万回を記録している。2020年にはさらに勢いを増し、Apptopiaのデータによると、世界の消費者440万人がこのアプリをインストールした。その後、Quest 2の2020年秋発売の恩恵を受け、Oculusアプリのインストールは2021年に1062万回に跳ね上がった。そのうち7218万回、つまり68%を米国が占めた。

Sensor Towerのデータはここでも少し保守的で、2021年のアプリのダウンロード数は、App StoreとGoogle Playを合わせて1060万ではなく800万回を少し上回るというものだった。

しかし、どちらの数字がより正確かはともかく、クリスマスからわずか数日の間に、Oculusアプリが200万回ほどのダウンロードを獲得したことは共通する。

Metaは、サードパーティ推定値に関するコメントのリクエストにまだ答えていないが、直近のQuest 2の浸透は、Qualcomm(クアルコム)のチップセットが新しいVRデバイスに搭載されていることが貢献している。Qualcommは2021年11月に、Metaがこれまでに1000万台のQuest 2を出荷したと明らかにした。

Oculusアプリは同社のレガシー製品(RiftとRift S)でも動作するが、これらの新しいダウンロードは生産が終了した製品のためではなく、Quest 2のためのものだろう。MetaがQuest 2を初めて出荷したのは2020年10月で、同社の旗艦デバイスとして丸1年以上、299ドル(約3万5000円)というエントリーレベルの価格帯でVR導入をより手頃にするためのデバイスが出荷されていることを意味する。また、Facebookが2021年にMetaへの大きなブランド変更を発表し「メタバース」の計画を詳述したことで、初めてVRに興味を持った消費者が増え、最近のインストール数の増加につながっている可能性がある。

アプリのダウンロードは概して実世界での普及を示すものではないが、Oculusの場合、最近新しいOculus VRデバイスを購入した、または贈られた消費者が何人いるかを把握するのに役立つ。このアプリは、消費者が新しいVRアプリやゲームをダウンロードしたり、VRでつながる友人を見つけたりすることを可能にするため、Quest 2の所有者のほとんどがインストールを選択する。

米国時間1月5日現在、Oculusアプリはインストール数と勢いなどを考慮した米国のApp Storeランキングで順位を下げている。現在は総合で111位だが、振り分けられているエンターテインメント部門では10位と健闘している。

また、Apptopiaによると、このアプリは新規ユーザーの一定のエンゲージメントを得ているようだ。同社によると、Oculusアプリのデイリーアクティブユーザーは241万人で、以前のレベルを上回っている。この数字は、ユーザーが一度アプリをセットアップしてから放棄するのではなく、今も積極的にVRの世界を探求していることを示している。

画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

NVIDIAのバーチャルワールド構築プラットフォーム「Omniverse」がベータから正式版へ

Omniverseはクリエイターやデザイナー、エンジニアが共同作業でバーチャルワールドを作るためのNVIDIAのプラットフォームだ。NVIDIAや他社アプリのデザインツールやアセットを、ハードウェアとソフトウェアの1つのエコシステムにまとめる。これまでOmniverseとこれに対応するNVIDIAのさまざまなツールはベータ版だったが、米国時間1月4日のCESで同社はベータのラベルを外し、Omniverseはクリエイターに広く公開された。

NVIDIAによれば、すでに約10万人のクリエイターがOmniverseをダウンロードし、同日のアップデートでは新機能がこのプラットフォームに多数追加された。新機能の1つに大規模なOmniverseの3Dシーンを共有するサービスのOmniverse Nucleus Cloudがある。このサービスを利用すると、クラウドで共有されているドキュメントを扱うのと同じように、クリエイターとクライアントがシーン上で共同作業ができるようになる。わずかな変更のたびに大容量のデータを移動させる必要もない。

画像クレジット:NVIDIA

Omniverseの核心はUniversal Scene Descriptionフォーマットで、これによりさまざまな既存ツールからアセットを簡単に読み込める。しかし基本的な3Dのアセットを有料で利用したい場合もあるだろう。そのためNVIDIAは3Dのマーケットプレイスやライブラリにも新たに対応し、Omniverse LauncherにTurboSquid by Shutterstock、CGTrader、Sketchfab、Twinbruなどが表示される。今後、ReallusionのActorCore、Daz3D、e-on softwareのPlantCatalogもOmniverseで利用できるアセットを公開する。

画像クレジット:NVIDIA

Omniverseは無料のアセットとして、自社のOmniverse Machinimaアセットに、ゲームの「Shadow Warrior 3」と「Mount & Blade II:Bannerlord」のキャラクターやオブジェクトを新たに追加する。

キャラクターをしゃべらせたい場合にはAIを利用して3Dの顔を動かすアプリのOmniverse Audio2Faceがすでにあるが、このアプリが新たにBlend shapesに対応し、EpicのMetaHuman Creatorアプリに直接書き出すこともできるようになった。

画像クレジット:NVIDIA

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

ソニーがPS5向け次世代ヘッドセットPSVR2の情報を初公開

Sony(ソニー)は、待望のPS5向け次世代VRハードウェアPSVR2(この名前は予想どおり)の基本情報を発表した。デバイスに関して公開された情報はほとんどなかったが、ゲーマーにとって気になるいくつかの機能が確認できた。

初代PSVRは、性能が高く、比較的手頃な価格で使いやすいデバイスだったが、解像度や視野角など、ハードウェアの面ではかなり制限されていた。だからこそ、ソニーが「新型はかなり進化している」と発表したことは大歓迎されるだろう。

ソニーはPSVR2が4K HDRを搭載していることは認めているが、それが全体のものなのか、それぞれの目に対するものなのか、あるいはその他の指標なのかは不明だ。また、オリジナルのハードウェアよりも視野角が広くなる。実際の仕様が明らかになれば、このヘッドセットがユーザーの目にどのように映るのかがより明確になると思うが、ディスプレイの種類やリフレッシュレートなどについては、イベントでは言及されなかった(ちなみに噂では有機EL搭載、総解像度4K、視野角は110度といわれていた)。

ただし、最近では必須となっているアイトラッキングとフォービエイテッド・レンダリングは搭載されている。アイトラッキングがゲームプレーやその他で役立つのは明らかだし、フォービエイテッド・レンダリングはリソースを消費することで知られるVRのレンダリング処理の中で、プレイヤーが見ている部分にサイクルを集中させるために用いられる。

最後に、意外な機能として、ヘッドセットのフォースフィードバックが搭載されている。ユーザーが本当に頭を振動させたいと思っているかどうかは疑問だが、やってみなければわからない。

画像クレジット:Sony

このセットには新しいコントローラーも付属している。PSVRにも付属していた2つのコントローラーは、発表当時はまったく問題なかったものの、その後、競合他社の性能に追い越されてしまったために、独自の改良が加えられている。これについては、少し前にソニー自身が秘密を漏らしていた

ソニーは、そのファーストパーティースタジオによる同プラットフォーム向けの数多くの独占ゲームの中に「Horizon(ホライゾン)」シリーズ(「Zero Dawn」で始まり「Forbidden West」がまもなく登場予定)のVR専用ゲームが含まれることを発表していたのだ。

さらなる情報が出てくることは間違いないが、米国時間1月4日のイベントではこれがすべてだと思われる。もし続報があればお知らせする。

画像クレジット:Sony

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

ヘビーなメタバースを楽しむ人向け、軽量メガネ型VRヘッドセットや冷温デバイスなどをShiftallが発表

昨年、注目を集めたメタバース。2022年はさらに多くの関心が寄せられ、新たなサービスなど登場すると思われる。テック業界におけるこれからの動向を占うCES。リアルでの参加を見送る企業も増えているが、それでも各社から最新製品が登場するだろう。

日本のShiftallは1月4日、VRヘッドセット「MeganeX(メガーヌエックス)」、ウェアラブル冷温デバイス「Pebble Feel(ぺブルフィール)」、メタバース対応音漏れ防止機能付きマイク「mutalk(ミュートーク)」の3製品を発表した。

MeganeX

「MeganeX」はSteamVRに対応した超高解像度・超軽量のVRヘッドセットだ。メタバースで多くの時間を過ごすヘビーなVRユーザーが、今、求めている「軽さ」を追求した本製品は、ゴーグルタイプではなくメガネ型で重量は約250g(Oculus Quest 2は503gなので半分以下)。スピーカー内蔵の折りたたみフレームになっており、長時間装着しても疲れづらく、収納、携帯も楽になっている。

リフレッシュレート120Hzの5.2K/10bit/HDRのディスプレイを採用。6DoFに対応し、SteamVR対応するVRアプリケーションを楽しめるとのこと。

ウェアラブルデバイス「Pebble Feel」は最低9℃から最大42℃まで人体を冷やしたり、温めたりできるパーソナルエアコンだ。

Pebble Feel

専用シャツに装着することで接触する首元を霊薬、加熱し厳しい季節を快適に過ごせるのはもちろん、専用のSteamVR用アドオンを利用することで、VRChatといったメタバース空間で熱さや寒さを体験することもできるようになる。

mutalk

「mutalk」はメタバース対応の音漏れ防止機能付きBluetoothマイク。メタバースはオンラインゲームでのボイスチャットに最適だ。専用バンドで顔に固定することもできるためハンズフリーで会話も可能となっている。

MeganeXは販売予定価格税込10万円未満、Pebble Feelは2万円前後、mutalkは2万円前後となっている。MeganeXとPebble Feelは2022年春、mutalkのみ2022年夏の発売予定とのこと。いずれの製品もパナソニックと協業開発し、Shiftall製品として発売される。

まだ3製品は米国時間1月5日に開催されるCES 2022で出展される。

画像クレジット:Shiftall

自動車内のVRエンタHolorideが車内メタバースで使える暗号資産「Ride」をリリース

Audi(アウディ)が支援するスタートアップHoloride(ホロライド)は、クルマのドライバー向けに設計された車載バーチャルリアリティエンタテインメントシステムを開発しており、このほど自社の暗号資産トークン「Ride(ライド)」の販売を開始した。

暗号資産のローンチは、Holorideが開発者のコミュニティによって作られたゲームとエクスペリエンスのXR(Extended Reality、仮想世界と現実世界を融合して新たな体験をつくり出す技術の総称)エコシステムを構築する最新の動きだ。自分が乗っているクルマの動きに連動する仮想世界やゲームの体験を求めるユーザーは、Rideのユーティリティトークンを使って購入を行うことになる。

関連記事:2019年CES最優秀賞を車載VRのHolorideにあげたい…楽しいデモだったから

Holorideは2022年にXRシステムを自家用車に搭載することを目指しているが、どのブランドがいつローンチするかの詳細は不明だ。同社は以前、2022年夏のローンチを予定していたが、それ以降は具体的な時期について明言を避けている。

「ここ数年で、自動車メーカーやコンテンツクリエイターとユーザーをつなぐプロプライエタリな技術スタックを作り上げました」と、HolorideのCEOで共同創業者のNils Wolln(ニルス・ウォルニー)氏はTechCrunchに語った。「ブロックチェーン技術でプラットフォームを強化し、独自のRideトークンをローンチすることは、私たちのエコシステムを活性化し、公正で透明性のある参加を可能にするための論理的な次のステップです」。

Holorideは2021年5月に、Elrond(エルロンド)のブロックチェーンを自社の技術スタックに統合し、NFT(非代替性トークン)を使用して開発者にプラットフォーム上でより多くのコンテンツを作成するよう奨励すると発表した。NFTとRideはともにElrond上に構築されており、Holorideのエコシステムでの取引に利用できる。NFTは一意で複製できないのに対し、Rideの通貨は他の通貨と同様に交換可能となっている。

関連記事:車内VRエンタメのHolorideが市場投入に向けブロックチェーンとNFTを導入

「RIDEトークンと引き換えに、ユーザーやコンテンツクリエイターが彼らのエクスペリエンスに基づいて独自のNFTを作り出すことが可能になります」とウォルニー氏は語る。「できあがったNFTはRideを使って売買できます」。

ブロックチェーン、NFT、暗号資産をHolorideプラットフォームに組み込むことは、漠然としたバズワードで注目を集める方法以上のものだ。Holorideは、自動車の座席から、デジタル世界と仮想世界が物理的および拡張された現実と絡み合うメタバースへと、現実を広げる能力に賭けている。

RideがHoloride内のゲームやエンターテインメントの購入にしか使えないとしても、この賭けは報われるかもしれない。2021年12月にRideが正式に上場されれば、最初にElrondの暗号資産EGLDと交換可能になる。EGLDはUSDC(USDコイン)などの他の暗号資産またはフィアット通貨と交換することができ、成長を加速させる可能性がある。

多くのビッグネームがメタバースプロジェクトを発表し始めており、その中には親会社の名前をMeta(メタ)に変更したFacebook(フェイスブック)、Pokémon Go(ポケモンGO)のメーカーであるNiantic(ナイアンティック) 、Amazon(アマゾン)、Roblox(ロブロックス)、Unity Software(ユニティ・ソフトウェア)、Microsoft(マイクロソフト)なども含まれる。一方、このメタバースのビルディングブロックが成熟の兆しを見せ始めるにつれ、Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル) やLyft(リフト)、WeRide(ウィーライド)といった企業が商用化への道を歩み始めている自動運転配車業界も同様の様相を呈しつつある。

ウォルニー氏はTechCrunchに対し、Holorideを「メタバースのための輸送機関会社」にしたいと語った。Holorideは当初、自家用車をターゲットにしていたが、最終的には自動運転車に統合され、搭乗者に十分なダウンタイムを与えて楽しませることを目指している。

Holorideは2021年11月初め、スウェーデンの電気自動車メーカーNEVS(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン)と提携して、同社のPONSモビリティシステムに自社の技術を統合することを発表した。PONSは特定用途向けに開発された自動運転車Sango(サンゴ)をフィーチャーした自動運転共有モビリティコンセプトである。Holorideの技術は、ソフトウェア開発会社Terranet(テラネット)のVoxelFlow(ボクセルフロー)技術によって引き続き強化される。VoxelFlowは車両のセンサーを組み合わせて物体の距離、方向、速度を計算し、Holorideのプラットフォームにリアルタイムで通知する。これにより、ゲーム内のユーザーエクスペリエンスは車両の実際の動きにマッチするようになる。

RideはElrondのMaiar Launchpad(マイアール・ローンチパッド)で販売されている(暗号資産ローンチパッドは、新しいプロジェクトのために資金を調達する方法を提供し、投資家に早期に割引価格でトークンを販売する時間を与え、プロジェクトを中心としたコミュニティの構築を助ける)。Holorideは最初に1億3000万個のトークンを循環させ、最大10億個のトークンを供給する。2億個のトークンがすでに0.02ドル(約2.26円)で個人販売されて終了済みで、さらに5000万個が暗号資産のローンチ前に一般に販売されていた。これで同社は総額600万ドル(約6億6800万円)を手にしたことになる。

Holorideのチームは、主にRideトークンの収益をコンテンツ制作に使う計画だが、開発、マーケティング、法務、セキュリティの監査にも資金を配分する。Rideのトークン割り当ては、Holorideが作っているXRのエコシステム全体で25%がフィルターされる。これにはエコシステムのサポーター、重要なパートナーシップ、成長のオポチュニティが含まれている。

「特に、開発者、コンテンツクリエイター、自動車メーカー、モビリティプロバイダー、オペレーショナルサポーター、アドバイザー、アンバサダーなどです」とウォルニー氏は述べている。

トークンの20%は「コミュニティ」に割り当てられる予定で、ベータユーザー、技術監査、コードレビューなど暗号資産コミュニティの初期のコントリビューターのために確保されているとウォルニー氏は話す。Holorideのファン、サポーター、信奉者たちを意味する「一般販売」に充てられるのは5%に留まり、残りは選ばれた金融・戦略投資家、株式投資家、Holorideの財務、およびHolorideチームに分配される。

ウォルニー氏によると、トークン所有者は初期段階で、購入エクスペリエンスやそれに関連する他の仮想アイテムに加えて、エコシステムのガバナンスや、サブスクリプション、アップグレード、特別イベントなどのコミュニティ特典にもトークンを利用できるようになるという。このトークンはまた、ユーザーが電気自動車へのサステナブルな乗車や特定のデータ共有などの特典を得ることができる「乗って遊んで利益を得る」サイクルへのインセンティブとしても使われる。さらに、コンテンツクリエイターや自動車メーカーはパートナーのロイヤリティとしてRideを受け取る可能性があるとウォルニー氏は説明する。

Holorideはローンチからまだ1年ほどしか経っていないが、このようなエコシステムが理にかなったものになるためには、相当なスケールが必要になるだろう。少なくとも、透明性、セキュリティ、相互運用性、参加といったブロックチェーン技術の基本的な原理に、メタバースがどのように依存していくかということの縮図となるかもしれない。ウォルニー氏は、どのようにしてメタバースを構築し、ユーザーが自分たちのアイデンティティを管理したり、価値を創造・獲得したりするのかというムーブメントの中心にHolorideが位置する可能性がある、と楽観的だ。

「今や誰もがメタバース、暗号資産、そしてNFTの世界にいますので、パズルのピースはよりフィットするかもしれません」とウォルニー氏。「ですが、まだ多くのことが未解決であり、最高のものがこれから出てくるでしょう」。

画像クレジット:Holoride

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

Snapchat、メタバースに出てくるような顔になれる新レンズをリリース

Snapchat(スナップチャット)は米国時間12月23日、ビデオゲームSims(シムズ)のキャラクターのように見えるARフィルターのAvatar(アバター)レンズをリリースした。もっと、今っぽい表現をするとメタバースに登場するような顔になれるものだ。このレンズを使うには、Snapchatアプリでカメラを開いてSnapchatのウェブサイトにあるQRコードをスキャンする。すると、メタバースでの自分の肌が怖いほど滑らかなのを目にする。そばかすやニキビなどは存在しない。

新しいSnapchatのレンズは、特に同社が拡張現実に全面的に取り組んでいるため、本質的に注目すべきものではない。これは数年来続いているオンとオフを繰り返すバイラルのトレンドの続きだ。過去から判断すれば、おそらくすぐにTikTokに登場する。

関連記事:Snapがより高度なAR体験を可能にするクリエーター向け新機能やツールを発表、年次イベント「Lens Fest」で

Snapchatは2020年8月にCartoon Faceレンズをリリースし、ユーザーは自分のペットを「Disneyfy(ディズニー化)」するのに使えると気づいた。#disneydogというタグはTikTokに飛び火して4090万回の視聴を獲得した。そしてSnapchatは同年12月にCartoonレンズをリリースし、再びバイラルの金字塔を打ち立てた。このレンズでは、以前のレンズよりも人間の顔をよりリアルに再現することができる。

しかし、Snapchatはこのトレンドを若干改良したバージョンを作り続けていて、結局、これらもバイラルになる。人間というのは予測可能なものだ。

2021年6月、ディズニー風のトレンドは、リリース後の最初の週に28億インプレッション(広告が表示された回数)を獲得したCartoon Style 3Dレンズで再び圧倒的な記録を打ち立てた。そして今回、顔だけでなく服も漫画風になるAvatarレンズが登場した。次は、Horizon Worldsで誰かが作ったような、身の回りのものを再現するレンズだろうか。おそらく。

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2021年12月初め、SnapchatはAR技術の祭典であるLens Festを開催した。同社はこのイベントで、200カ国超から25万人以上のレンズクリエイターが参加したと発表した。合計で250万個のレンズが作られ、3兆5千億回以上視聴された。一方、SnapchatのTikTokクローンであるSpotlightは、クリエイター1万2000人の投稿に対して、総額2億5000万ドル(約286億円)を授与した。同社によると、Spotlightの投稿の65%以上がSnapchatのクリエイティブツールやレンズのいずれかを使用しているとのことだ。

Niantic(ナイアンティック)やSnapchatのような企業は、仮想現実よりも拡張現実の方がメタバースを構築するのに適していると考えている。しかし、Meta(メタ)のようなヘッドセット好きのテック大企業にとっても、ARはメタバースで実際に自分自身の姿を見せるのに役立つ。SnapchatのAvatarフィルターは、筆者を非現実的なバービー風に見せるが、それでも、茶髪で眼鏡をかけたどこにでもいる白人女性のように見える私のMeta Horizonアバターよりは、少しパーソナライズされているように感じられる。

関連記事:ナイアンティック「現実世界のメタバース」構築のために約344億円調達、評価額1兆328億円に

ただ、このような自分を目の当たりにすると、何か違和感がある。

Snapchatのレンズの中のアバターは筆者のように見えるが、眉毛は美容師に丁寧に整えてもらったかのように完璧に手入れされている。唇はふっくらとし、リップグロスをつけているようだが、筆者はその日メイクをしていなかった。

VRメタバースでは、自分を表現するアバターが必要だ。そうでなければ、ただの見えない塊になってしまう。バーチャルペルソナを作るのをサポートしようとReady Player Me(レディ・プレイヤー・ミー)、Spatial(スパティアル)、Genies(ジーニーズ)のようなスタートアップが登場している。しかし、拡張現実では、深く入り込めるようにする方法で現実世界を変化させることが前提となっている。SnapchatのARフィルターはおもしろいが、ARメタバースにアバターは必要ない。そしておそらく、ネット上で自分自身の最高の姿だけを見せることがどれほど危険なことか、私たちはすでに知っているというのは良いことだ。

画像クレジット:Snapchat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

Snapchat、メタバースに出てくるような顔になれる新レンズをリリース

Snapchat(スナップチャット)は米国時間12月23日、ビデオゲームSims(シムズ)のキャラクターのように見えるARフィルターのAvatar(アバター)レンズをリリースした。もっと、今っぽい表現をするとメタバースに登場するような顔になれるものだ。このレンズを使うには、Snapchatアプリでカメラを開いてSnapchatのウェブサイトにあるQRコードをスキャンする。すると、メタバースでの自分の肌が怖いほど滑らかなのを目にする。そばかすやニキビなどは存在しない。

新しいSnapchatのレンズは、特に同社が拡張現実に全面的に取り組んでいるため、本質的に注目すべきものではない。これは数年来続いているオンとオフを繰り返すバイラルのトレンドの続きだ。過去から判断すれば、おそらくすぐにTikTokに登場する。

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Snapchatは2020年8月にCartoon Faceレンズをリリースし、ユーザーは自分のペットを「Disneyfy(ディズニー化)」するのに使えると気づいた。#disneydogというタグはTikTokに飛び火して4090万回の視聴を獲得した。そしてSnapchatは同年12月にCartoonレンズをリリースし、再びバイラルの金字塔を打ち立てた。このレンズでは、以前のレンズよりも人間の顔をよりリアルに再現することができる。

しかし、Snapchatはこのトレンドを若干改良したバージョンを作り続けていて、結局、これらもバイラルになる。人間というのは予測可能なものだ。

2021年6月、ディズニー風のトレンドは、リリース後の最初の週に28億インプレッション(広告が表示された回数)を獲得したCartoon Style 3Dレンズで再び圧倒的な記録を打ち立てた。そして今回、顔だけでなく服も漫画風になるAvatarレンズが登場した。次は、Horizon Worldsで誰かが作ったような、身の回りのものを再現するレンズだろうか。おそらく。

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2021年12月初め、SnapchatはAR技術の祭典であるLens Festを開催した。同社はこのイベントで、200カ国超から25万人以上のレンズクリエイターが参加したと発表した。合計で250万個のレンズが作られ、3兆5千億回以上視聴された。一方、SnapchatのTikTokクローンであるSpotlightは、クリエイター1万2000人の投稿に対して、総額2億5000万ドル(約286億円)を授与した。同社によると、Spotlightの投稿の65%以上がSnapchatのクリエイティブツールやレンズのいずれかを使用しているとのことだ。

Niantic(ナイアンティック)やSnapchatのような企業は、仮想現実よりも拡張現実の方がメタバースを構築するのに適していると考えている。しかし、Meta(メタ)のようなヘッドセット好きのテック大企業にとっても、ARはメタバースで実際に自分自身の姿を見せるのに役立つ。SnapchatのAvatarフィルターは、筆者を非現実的なバービー風に見せるが、それでも、茶髪で眼鏡をかけたどこにでもいる白人女性のように見える私のMeta Horizonアバターよりは、少しパーソナライズされているように感じられる。

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ただ、このような自分を目の当たりにすると、何か違和感がある。

Snapchatのレンズの中のアバターは筆者のように見えるが、眉毛は美容師に丁寧に整えてもらったかのように完璧に手入れされている。唇はふっくらとし、リップグロスをつけているようだが、筆者はその日メイクをしていなかった。

VRメタバースでは、自分を表現するアバターが必要だ。そうでなければ、ただの見えない塊になってしまう。バーチャルペルソナを作るのをサポートしようとReady Player Me(レディ・プレイヤー・ミー)、Spatial(スパティアル)、Genies(ジーニーズ)のようなスタートアップが登場している。しかし、拡張現実では、深く入り込めるようにする方法で現実世界を変化させることが前提となっている。SnapchatのARフィルターはおもしろいが、ARメタバースにアバターは必要ない。そしておそらく、ネット上で自分自身の最高の姿だけを見せることがどれほど危険なことか、私たちはすでに知っているというのは良いことだ。

画像クレジット:Snapchat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】完全なソーシャルメタバース体験は「音声」の要素が揃うことで実現する

Facebook(フェイスブック)の社名がMeta(メタ)に変更されたことで触発された「メタバース」にまつわる会話の多くは、ビジュアル的な要素に焦点を当てている。ほとんど言及されていないのは、オーディオだ。しかし仮想環境を現実のものにするには、音声は間違いなく重要になる。

時には、それがすべての場合もある。

Spike Jonze(スパイク・ジョーンズ)に尋ねてみよう。この映画監督は、2013年の映画「Her(her/世界で1つの彼女)」のタイトルロールで、その声を演じていた当初の女優を降板させ、Scarlett Johansson(スカーレット・ヨハンソン)の官能的な音声に置き換えた。コンピューターオペレーティングシステムであるサマンサは生身の人間として登場することはなかったが、ジョーンズは、元の女優が三次元のペルソナを作るのに必要な感情をうまく表現できていないと感じたのだ。

視聴者をストーリーの前提に引き込み、十分真実味のあるストーリーに仕立ててくれる、洗練されたキャラクターを作るのに、音声は不可欠な要素であった。

The Washington Post(ワシントン・ポスト)が指摘しているように、Metaのメタバース構想の要となるものは、その多くがビデオゲームの世界に、ただし分断されたゲームの世界に限られるが、すでに存在している。ゲームの世界では、音声がますます重要な役割を果たしている。Metaは、統合された相互運用可能な体験を約束しているが、高度にテクスチャ化された、生き生きとしたデジタル音声が豊富に含まれていなければ、メタバースは包括的で没入的というよりは不完全なものになるだろう。

1970年代半ばのMcGurk Effect(マガーク効果)の研究では、聴覚と視覚の認識の不一致から生じる認知的不協和が観察された。アバターと十分に合致しない音声は、参加者を仮想環境から切り離す可能性がある。

本当の自分を表現する

人間は社会的存在であり、現在推進されているメタバースは、参加者が家庭と職場の両方で独特のペルソナを作り出す社会的環境である。アバターを使えば、プレイヤーは自分が見られたいように自分を表現することができる。人間、宇宙人、動物、野菜、漫画やその他無数の選択肢があるだろう。プレイヤーは新たな装いを試すように、一時的に新しい「ルックス」を試用できる。ジェンダーと種は流動的である。

しかし、視覚的な存在感に合わせて自分の声の聞こえ方を変えることができなければ、アイデンティティの変化は妨げられる。自分の声を他の人に提示するペルソナに合わせることは、パーソナライズされたプレイヤーアイデンティティの中核的要素である。この状況はすでに多くの人がビデオゲームで慣れているものだ。

プレイ中のゲームで、あごひげをはやした無骨で巨大な騎士に遭遇した場合、そのキャラクターは深く荒々しい声をし、甲冑を身にまとっていることが予想される。ゲーム会社は、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)を声優とオーディオの専門家が入念に制作し、没入感のある体験を提供することで、こうしたイメージの伝達を確保している。

しかしオンラインゲーム環境や将来のメタバースでは、その騎士は実在する人物が表現するものとなり、体験は大きく異なってくる。予想されるような太くしゃがれた成熟味ある声ではなく、マイク品質に問題のある甲高いティーンエイジャーの声を聞いて、困惑することもあるかもしれない。音と視覚の間の極端な不一致は、体験の没入的な質を損なう。メタバースアバターに十分な没入感を持たせるには、人々が完全なデジタル体験を作り出せるよう配慮する必要がある。

カバーの提供

ソニック(音響の)アイデンティティの技術は、没入感の提供に加えて、プレイヤーに「真の」匿名性をもたらし得る。彼らは、他人に見てもらいたいと思うような人物(または存在)になることができる。これは多くの人にとって、時には敵対的なオンライン環境からの強力な保護となるだろう。地理的な特徴をわからないようにして、参加者がプレイヤーコミュニティをよりスムーズに統合できるようにすることも考えられる(オフショアのカスタマーサポートコールセンターが恩恵を受ける可能性のあるケイパビリティだ)。音声チックを有する人にとっては、明らかにしたくない身体障害を覆うことにもつながる。

音声変更技術は、オンラインでの差別や嫌がらせを緩和するのにも役立つ。医学専門誌「International Journal of Mental Health and Addiction(メンタルヘルスと中毒に関する国際ジャーナル)」に2019年に掲載された研究によると、女性ゲーマーは他のプレイヤーとの口頭でのコミュニケーションを避け、不快なやり取りを減らすことが多いという。音声変更技術により、特定のジェンダーに関係なく、完全に匿名性が確保された会話に参加することが可能になり、自分自身をより快適に表現できるようになる。

学術誌「Human-Computer Interactions(ヒューマンコンピュータインタラクション)」の研究者らは2014年に「音声はオンラインゲームの体験を根本的に変え、仮想空間をより強力に社会性のあるものにしている」と結論づけている。

筆者自身の会社のデータからは、音声でコミュニケーションを取るプレイヤーは、よりゲームに没頭するように感じる自意識に変容し、より長い時間ゲームに関わり、結果としてゲーム内でより多くのお金を投じるようになることが明らかになっている。

メタバースに欠けているもの

真に完全な没入型体験を実現するには、3Dビジュアルとリアルタイムオーディオを組み合わせて、人々が自分自身の表現を行う上で、耳を傾けてもらいたいという彼らの思いに添う形で実現できるようにする必要がある。参加者は、自分の視覚的アバターと同じくらい独創的で独自性のある自分自身の音響表現を望んでいる。そして、自分の声を外見と同じようにきめ細かくカスタマイズするツールを求めている。プレイヤーの没入感とエンゲージメントを維持するには、拡張されたオーディオと3Dビデオの両方が調和している必要がある。

リアルタイムオーディオは、人々がどのようにして究極の個性をコンテンツにもたらすことができるかを定義し、オーディオをメタバースのすばらしいイコライザーとして機能させる。残念なことに、現在の音声体験は、すべてを網羅するメタバースの約束に沿った没入的な品質を提供することが難しくなっている。

熱心なアーリーアダプターたちの実験にもかかわらず、リアルタイムオーディオのペルソナは、良くても制限的だ。人の音声をデジタルの自己に合わせるためのツールは限られており、音質は視覚的な品質にまだ及ばない。

だが、利用可能なオーディオ技術における最近の進歩は、プレイヤーによる独自のソニックアイデンティティ形成を現状よりはるかに容易なものへと変えようとしている。プラットフォーム開発者やゲーム開発者が利用できる新しいソリューションにより、ライターやプロデューサー、オーディオエンジニアは、ゲーム内に音声修正技術を組み込んで、自然に聞こえるファンタジー音声をオンデマンドかつリアルタイムで生成できるようになっている。

このことは、プレイヤーを魅了して完全にフォーカスさせ、離れさせることなくその体験へのエンゲージメントを維持するような、包括的で没入的な聴覚体験の提供を通して、収益化のための新しい道を生み出す可能性へとつながっていく。

企業は、人々がデジタル空間で自分自身の視覚表現を形作ることを可能にする、強力なツールへの投資を進めている。こうした企業は、デジタル表現がシームレスになるソーシャルオーディオ体験に合わせてカスタマイズされた、ソニックアイデンティティを見過ごしてはならない。

メタバースはそれなしでは完成しないだろう。

編集部注:本稿の執筆者Jaime Bosch(ハイメ・ボッシュ)氏はVoicemodの共同創設者兼CEO。

画像クレジット:luza studios / Getty Images

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(文:Jaime Bosch、翻訳:Dragonfly)

没入型ゲームをプレイ・作成したり、それプレイ以外の時間も過ごせる「ソーシャル」なプラットフォームRec Roomが急成長

ユーザーが作成したゲームコンテンツのプラットフォームで大ヒットしたRoblox(ロブロックス)に続き、また別のスタートアップ企業が、没入型体験を目的とした独自のユーザー生成プラットフォームを構築するために、大規模な資金調達を行った。無料でダウンロードして遊べるクロスプラットフォームのソーシャルゲーム会社Rec Room(レック・ルーム)は、1億4500万ドル(約165億円)の資金を調達した。

この資金は、モバイル機器、ゲーム機、PC、VRヘッドセットで独自の体験を生み出すツールの継続的な開発と、それを利用するゲーマーを増やしていくために使用される。なお、対応するOS / プラットフォームは、iOS、Xbox(エックスポックス)、PlayStation(プレイステーション)、Oculus(オキュラス)、Steam(スチーム)、そして8月時点ではAndroid(アンドロイド)となっている。

今回の資金調達は、Coatue Management(コーチュー・マネジメント)が主導し、既存投資家のSequoia Capital(セコイア・キャピタル)、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Madrona Venture Group(マドローナ・ベンチャー・グループ)が参加。同社の評価額は35億ドル(約4000億円)に達している。

この評価額は、2021年3月にSequoiaの主導により1億ドル(約114億円)を調達した際の12億5000万ドル(約1400億円)と比較すると、大幅に上昇している。この間、Rec Roomは非常に印象的な成長を遂げてきた。3月には200万人がゲームをプレイ / コンテンツを作成していたが、現在のユーザー数は3700万人に達しているという。

関連記事:VCたちが新たなRobloxを探す中、VRプラットフォームのRec Roomが約110億円調達

今回の資金調達が行われた背景には、Rec Roomが大きく成長し、規模を拡大していることに加え、VRや没入型体験、そして特にこれらのメディアでユーザーを惹きつけるコンテンツ(またはコンテンツのための手段)を構築している企業が、突如として多くの注目を集めるようになった現在の状況がある(確かに、これまでは不便なVRヘッドセットを使用したり、その他の先鋭的な技術に投資するほど、魅力的なコンテンツがなかったことが問題だった)。

Rec Roomは、いくつかの意味において「ソーシャルゲーム」の会社だ。興味深いことに、Rec Roomの成長の鍵は、ゲームを作成したり、他の人が作成したゲームをプレイしたり、ルームに参加して一緒にプレイしたりする機能(これがおそらく最も明白な「ソーシャル」な側面)だけでなく、ユーザーがゲームプレイ以外の時間を過ごすためによく使われる仮想のソーシャルスペースを提供する能力にある。

Rec Roomは、Facebook(フェイスブック)などの他のプラットフォームにゲーム体験のソーシャルな側面を依存していた他の多くのソーシャルゲーム企業とは異なり、すでにバーチャル結婚式、ビジネスミーティング、よりカジュアルな会合などに利用されているという。これらの活動は、新型コロナウイルスの大流行と、その影響による実際の社会的な会合や旅行が減少した結果、さらにバーチャルな発展を遂げたものと思われる。Rec Roomは、初心者と経験豊富なゲーマーのどちら対しても、多様な体験を提供しているため「Rec Life(レック・ライフ)」というコンセプトは、どちらの層のユーザーにとっても非常に参入障壁が低くなっている。

2016年にシアトルで設立されたRec Roomは、創業から約5年間、他の多くのヒットしたソーシャルゲームの特徴である、急成長と急落を(少なくとも今のところは)避けている。現在は獲得した3700万人のユーザーが、他のユーザーと仮想的に一緒に過ごす「ルーム」でゲームを作ってプレイしている。同社によると、このプラットフォームにはすでに約1200万ものルームが存在するという。

この3700万人という数字のうち、どれだけアクティブユーザーがいるのかは不明だが、Rec Roomによると、毎月のユーザー数は2020年(2020年11月以降)から約450%増加しており、中でもその成長を牽引するモバイルユーザーは、同期間に10倍に増加したという。

「Rec Roomが、ミニゲームの小規模なコレクションから、コミュニティによって構築された何百万もの体験を提供するグローバルなプラットフォームに成長する過程を目の当たりにすることは、すばらしい体験でした。このプラットフォームは、人々が集まって有意義なつながりを築き、コミュニティを構築し、創造性を共有することができる場となっています」と、Rec Roomの共同設立者兼CEOであるNick Fajt(ニック・ファイト)氏は、声明の中で述べている。「やりたいことはまだたくさんあります。私たちは2022年に向けて、より多くの体験を構築し、新しいプラットフォームに拡張し、クラス最高の信頼性と安全性のシステムに投資し、クリエイターツールを拡大し続けることを、非常に楽しみにしています」。

同社は現在、収支の数字を一切公表していないものの、3月には同社のプラットフォームでゲームクリエイターに約100万ドル(約1億1400万円)を支払っていると発表していた。

「Rec Roomが創作した友達と一緒にゲームを作って遊べる世界に、我々は魅了されました」と、Coatue ManagementのMatt Mazzeo(マット・マッツェオ)氏は、声明の中で述べている。「スマートフォンからVRまで、何百万人ものプレイヤーがRec Roomに集っています。デジタルの世界をより楽しく、より没入感のあるものにするチームとパートナーを組めることに、我々は興奮しています」。

画像クレジット:Rec Room

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

大阪大学が昆虫用VRシステムを用いて生物が匂いの発生源を探る行動を解明、効率的な探索には複数感覚の情報統合が必要

大阪大学が昆虫用VRシステムを用いて生物が匂いの発生源を探る行動を解明、効率的な探索には複数感覚の情報統合が必要

大阪大学は12月15日、生物が匂いの発生源「匂い源」を効率的に探索するためには、複数の感覚の情報統合が必要であることを、世界で初めて解明したことを発表した。この行動解析は、ガス漏れ探索機や人命救助ロボットへの応用が期待されるという。

生物は、生存に欠かせない匂い源の探索に風や視覚情報を使っていることは前から知られていたが、その情報が、どのような状況化でどのように行動に反映されているかは未解明だった。そこで、大阪大学大学院基礎工学研究科大学院生の山田真由氏らによる研究グループは、匂い、風、光を同時に連続的に提示できる昆虫用VRシステムを開発し、カイコガの雄が雌を探す様子を観察した。すると、匂い情報と風の情報は歩行と回転の速度調整に、視覚情報は姿勢制御に寄与していることがわかった。

さらに研究グループは、生物学的データからモデルを構築し、シミュレーションにより機能評価を行ったところ、これまでに提案されていた匂い源探索モデルよりも高い探索成功率が示された。また、生物と同様の探索軌跡が発現されることも認められた。

研究グループでは、このVRシステムを他の生物にも応用することで「生物の生存戦略についての知見が深まる」としている。同時に、ガス漏れ源探索ロボットや人命救助ロボットといった工学分野への応用も期待されるとのことだ。

同研究は、大阪大学大学院基礎工学研究科大学院生の山田真由氏、大橋ひろ乃特任研究員、細田耕教授、志垣俊介助教、東京工業大学工学院システム制御系の倉林大輔教授らによるもの。

企業のXRデバイス管理を支援するプラットフォーム「ManageXR」

ManageXR(マネージXR)は米国時間12月16日、Rally Ventures(ラリー・ベンチャーズ)が主導するシードラウンドで400万ドル(約4億5000万円)を調達し、ベンチャーパートナーで前回のリードエンジェル投資家であるJay Borenstein(ジェイ・ボーレンスタイン)氏が同社の取締役会に加わったことを発表した。

この資金を使って、ManageXRはチームの拡大とGo-To-Market戦略を推進する予定だ。同社は2019年11月にベータユーザーに提供を開始し、2021年4月に正式にローンチして以来、急速に成長を遂げている。このスタートアップ企業は、世界中でハードウェアおよびソフトウェア企業のパートナーネットワークを拡大する方法を引き続き模索していくと、創業者兼CEOであるLuke Wilson(ルーク・ウィルソン)氏はTechCrunchに語り、2022年は大企業により注力するつもりだと付け加えた。

ManageXRは、組織の中核インフラとして機能するVRおよびARデバイス用に設計された企業向けデバイス管理プラットフォームを構築した。このプラットフォームは、企業のXR展開を拡張し、アプリやファイルの配布、ホーム画面のユーザーエクスペリエンスのカスタマイズ、デバイスの状態や使用状況の追跡など、XRデバイス群のあらゆる側面をリモートで制御できるようにする。

「デバイス管理ソリューションは何年も前から存在していましたが、最近までVRやARデバイスのための有効な選択肢はありませんでした。私たちは、産業の変曲点にいる企業のために、その問題を解決します」とウィルソン氏は述べている。

ManageXRは、XRHealth(XRヘルス)やBrink’s(ブリンクス)など、中小企業や中堅企業が使用する数千台のVR・ARデバイスで、これまでに20万以上のセッションを促進してきた。また、最近では、VR・ARハードウェアメーカーのPico Interactive(ピコ・インタラクティブ)と提携し、米国で販売されるすべてのPico製デバイスにManageXRをプリロードしている。

Accenture(アクセンチュア)が6万台のヘッドセットを導入したことからもわかるように、企業がXRを非常に大規模に、従業員へ提供する傾向が増大しています。これらの企業は、XRを利用して従業員のオンボーディング、トレーニング、スキルアップを図るとともに、メタバースをコミュニケーションやコラボレーション、業務遂行の新しい場として活用する新しいワークフローを導入しています」と、ウィルソン氏は述べている。「これらの企業にとって、デバイス管理は新しい概念ではありません。テクノロジーを拡張性のある安全な方法で使用するために、この種のインフラがいかに重要であるかを理解しているのです」。

ウィルソン氏は2018年、病院内の小児患者向けにVR体験を構築する目的でManageXRを設立した。当時、同社は医療環境でコンテンツを配信するために、基本的なデバイス管理プラットフォームを独自に開発しなければならなかったと、ウィルソン氏は語った。2019年後半、同社は他のあらゆる企業が、ManageXRのように、同じ問題を自力で解決しなければならないことに気づき、2020年初頭にManageXRのみに注力するように社の方向を転換した。同社のチームは、XRを大規模に使用する際の課題を、深く個人的なレベルで理解しており、それが会社の運営方法に大きな違いをもたらしているとウィルソン氏は言う。

画像クレジット:ManageXR dashboard / ManageXR

その競合他社には、携帯電話やノートPC向けに同様のツールを構築している既存のモバイルデバイス管理会社や、一部のデバイスメーカーがある。しかし、XRは発展途上で動きの速い市場であり、これらの企業には対応できない様々な要件があると、ウィルソン氏は続けた。

「これらのハードウェアメーカーは、独自に基本的なデバイス管理システムを作成していますが、機能性や使いやすさの点ではことごとく的を外しています。このようなメーカー純正の管理システムは、ユーザーに1つのメーカーのハードウェアのみを使用することを強要し、市場にある多種多様なハードウェアを顧客が使用することを妨げます」と、ウィルソン氏は述べている。

ウィルソン氏によれば、同社の顧客はデバイスごとに、月額または年額の料金を支払っているという。製品層によって異なるが、ライセンス費用は1デバイスあたり月額7〜10ドル(約795〜1135円)。その中でも、1台あたり月額10ドルのプレミアム製品層が、群を抜いて最も人気が高い。

「最近ではいくつもの大手ハイテク企業がこの分野に投資を行っており、企業はVRやARを従業員のトレーニングから患者の治療、販売促進まであらゆる用途に使用しています。企業における拡張現実は、大規模導入の入り口にあるところです。私たちは、Rally Venturesが仲間に加わってくれることに心を躍らせています」と、ウィルソン氏は述べている。

「XRは、事業の運営や協業のやり方、そして仕事や私生活における世界の体験を根本的に変えるものですが、導入が進むにつれ、企業がプログラムを首尾よく実行するために直面する課題も増えています」と、Rally Venturesのベンチャーパートナーであるジェイ・ボレンスタイン氏は語る。「企業がXRデバイスを大規模に管理することで恩恵を受ける方法を加速させ、最終的に企業規模のXRを普及させるために、ルークと彼の成長を続けるチームを支援できることを非常に嬉しく思います」と、ボレンスタイン氏は締め括った。

画像クレジット:ManageXR

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(文:Kate Park、翻訳:Hirokazu Kusakabe)