VRとARはいずれ統合してMRに──オピニオンリーダーが語るVRの今と未来

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11月17日、18日に、渋谷で開催したTechCrunch Tokyo 2016。17日のTech Trendセッションには、VR界のオピニオンリーダーで、VR関連スタートアップへの投資を行う米VCのThe Venture Reality Fund(以下VR Fund)ジェネラル・パートナーのTipatat Chennavasin(ティパタット・チェーンナワーシン)氏が登壇した。ティパタット氏は、これまでに1500以上のVR/ARスタートアップを見てきており、14のVR/ARスタートアップに投資、世界中のVRインキュベーターやアクセラレーターでメンターとして支援を行う、VRのエキスパートだ。

『THE BRAVE NEW VIRTUAL WORLD〜Investing in the future of reality(すばらしき‘バーチャル’新世界〜リアリティの未来への投資)』と題されたセッションで、ティパタット氏は、VR/AR業界で起こっている近年の変化と現況、そして近い将来予想される動きについて語ってくれた。

VRとは何か──まずは体験してみてほしい

ティパタット氏は「VRで体験できていることが、ARでも実現できるようになり、VRとARはいずれ統合されて、MR(Mixed Reality)となる。VRとARが私たちの生活を永遠に変えてしまうだろう」と話し始めた。

TechCrunch Tokyo 2016では、最先端のVRが体験できる「VRゾーン」で7社による展示も行われていた。出展内容のほとんどを知っていた、というティパタット氏は、映画『マトリックス』の登場人物・モーフィアスのセリフになぞらえて、「バーチャルリアリティとは何かを知るには、VRを体験することだ。この機会にぜひ、まずは体験していってほしい」と会場に呼びかけた。

ティパタット氏は「身の回り全体にスクリーンが常にある世界がいずれ来る」と言う。「完璧なVR体験とは何か。より多くの感覚を回りの環境に浸透させることだ。視覚、聴覚、自分の動きの感覚があれば“そこにいる感じ”は実現できる。それを実現するハードウェアとして、ディスプレイとスピーカーとセンサーがあり、3次元移動×回転のジェスチャー・コントローラーがある」(ティパタット氏)

VRを説明する分かりやすい例として、ティパタット氏は2Dと3D、そしてVRを比較。「2Dディスプレイと比べれば、3Dシネマの技術では立体感のある映像は見られるが、まだ完全な3Dとは言いがたい。周りの環境全体がディスプレイ化して、からだを取り囲んでいるような体験が得られるのがVRだ」(ティパタット氏)

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ではなぜ今、VRなのか

“VRブーム”の要因をティパタット氏はこう説明する。「ひとつはハードウェアの価格が下がったこと。スマートフォンの普及で身の回り中にスクリーンとセンサーがある状況が生まれた。次に、インタラクティブ・コンテンツの充実。3Dゲームが主流となって、制作ツールの機能が向上し、アーティストや開発者も増えている。それからメディア・コンテンツの発展。Go Proなどの撮影機材の普及でジャーナリストやハリウッド・メディアがコンテンツ制作に参入し、エコシステムができあがった」(ティパタット氏)

またティパタット氏は、VRにつきものだった“シミュレーター酔い”の課題がほぼ解消されたことも、VRの浸透に貢献していると言う。「VRヘッドセットの進化により、技術的な問題は解消している。かつて『ポケモン』のアニメ放映で、激しく点滅するフラッシュ光によって体調を悪くする人が出て問題になったが、原因が分かって、あのようなコンテンツを作る者はいなくなった。それと同じで、VRコンテンツによる酔いは、作り手によって意図されたものでもなければ、VRの前提(としてどうしても外せないもの)でもない。ただし、ヘッドセットのデザインの問題はまだ残っている」(ティパタット氏)

VR業界の現況

それでは、普及へのお膳立てが整ったVR業界は、現在どのような状況なのだろうか。まずはハードウェアでの参入企業をティパタット氏に紹介してもらった。Facebook率いるOculusGear VRのSamsung、PSVRのソニー、Viveを提供するHTCといった、VRヘッドセットのメーカーをはじめ、Google、Microsoft、Appleといった巨大IT企業、そしてPCやスマホ、CPU、GPUメーカーなど、そうそうたる顔ぶれがそろう。

さらに最近はNew York Times、ABC News、Huffington Post、LIFE、Disneyなどのメディア企業の参入も進む。ティパタット氏によれば「メディアのVR業界参入は、将来のコンテンツへの投資として考えられている」という。

VR市場も年々拡大している。「2020年のワールドワイドでのVR市場規模は、404億ドルになると予測されている」というティパタット氏。米国では過去2年で40億ドルが投資されており、VR Fundも参加するVirtual Reality Venture Capital Alliance(VRVCA)で120億ドルの投資が確定。ほかOculusが5億ドル、IMAXが5000万ドルをコンテンツへ投資しており、2020年に最小でも146億ドルの市場規模となると推定されるそうだ。

VRコンテンツや関連商品・サービスは実際に、どのように提供されているのだろうか。ティパタット氏はまず、オンラインゲーム・プラットフォームのSteamの例を紹介。Steamに関する情報を提供するSteam Spyのデータによれば、Steam Storeでは、13万2000点のVive関連商品が扱われている。これは中国を除いた数字だ。Steamでは、VRのみのタイトルで2400万ドルの収入があり、インストール件数は500万。VRコンテンツのトップタイトルには、ゲームだけでなくユーティリティーアプリやIKEAのシミュレーターなども含まれている。

次にティパタット氏が紹介してくれたのは、360度動画の台頭だ。360度動画はYouTubeでもFacebookでも急激にユーザー数を伸ばし、YouTubeで10億ユーザー、Facebookでは17億ユーザーが閲覧しているという。全画面動画は、再生ディスプレイがデスクトップ、スマホのティルト、そしてGear VRなどのモバイルVR機器へと広がったことで、多くの閲覧者を獲得した。

そして、ロケーション・ベースド・エンターテインメントの流行である。ロケーション・ベースド・エンターテインメントとは、装置や設備が備わっていて場所が固定された、VR体験ができるエンターテイメント施設。ティパタット氏によると、日本でも見かけるようになったVRカフェは、中国では既に2000軒あるそうだ。VRゲームセンターも世界各地で開設されている。またIMAXは、6カ所でVRシアターの開設を予定。さまざまなジェットコースターが楽しめる米国のテーマパーク、Six FlagsとCedar Pointでは、VRローラーコースターが導入されている。

これらのVR業界の動向を、最後にティパタット氏作成の全体図で確認。3Dデータ入力のインフラ部分を担うプレイヤーから、ヘッドセットメーカー、コンテンツ制作のためのカメラ、ツール、プラットフォームの提供者、そしてコンテンツ提供者までが俯瞰して紹介された。
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さまざまなVRコンテンツとVRアプリ

ここからは、VRコンテンツのさまざまなカテゴリを少し詳細に、ティパタット氏が紹介してくれた。まずはゲームから。「PSVRでの人気ゲームはシューティングやアクションもあるが、実はジョブシミュレーションなども強い。それから、ナラティブ(物語)エンターテインメントも人気がある」(ティパタット氏)

「コンテンツとしては、先ほども紹介した、テーマパーク、ゲームセンター、カフェといった場所固定のVRエンターテイメント施設、そしてスポーツの分野もある。スポーツでは観戦や、エクストリーム・スポーツを体験するものが人気だ。中国では、スポーツ観戦会場に人が入りきれないような試合もあって、こうしたVRコンテンツのニーズは高い。コンサート、ライブのコンテンツもよく利用されている」(ティパタット氏)

ティパタット氏がこれから特に注目しているコンテンツカテゴリは、教育とのこと。「それから旅行コンテンツも面白いね。旅行したい街をゴジラの視点で歩き回ることもできるだろう。そして報道コンテンツも。シリアなどの危険な戦地をVRで体感すれば、ものの感じ方が変わると思う。New York Timesの360度動画コンテンツは毎日更新されているね」(ティパタット氏)

コンテンツに続いて、各種VRアプリが紹介された。「企業向けアプリでは、デザイン、3Dデータ体感ができるシミュレーターのほか、トレーニング用アプリも出ていて、採掘や重機操作など、すぐに実体験するのが難しい業務で使われている。MicrosoftがVRに投資するのは、こうした動きがあるからだ」(ティパタット氏)

医療分野のアプリは、手術のトレーニングなどに使われるほか、高所・閉所恐怖症などの治療にも利用されているという。「私は、自分の高所恐怖症をVRの治療アプリで克服したんだ。片目だけの視力が弱い患者が、9カ月のトレーニングで症状を改善したという例もある」(ティパタット氏)

「ソーシャル分野のアプリでは、リアルタイムで遠隔地とのコミュニケーションができることに可能性がある。Facebookのマーク・ザッカーバーグも、VRによるソーシャル体験についてコメントしているし、この分野は伸びるだろう」(ティパタット氏)

そして、VRコンテンツも含めた3Dコンテンツを制作するのに必要なのが、クリエイティブアプリだ。ティパタット氏は「(VRによる)完璧な3D環境があれば、インプットをVRで行うことが可能だ。これはコンテンツ制作に応用できる。Mindshowなどはその例だ」と言う。「VRを使えば、3Dコンテンツはより短期間で、より少額で制作できるようになるだろう」(ティパタット氏)

VR業界のこれから

このように、いま盛り上がるVR/AR業界で、今後のチャンスはどういったところにあるのか。

「現在のVRデバイスは、かつてのモトローラ製のブロックのように大きな携帯電話のようなもの。電話がiPhoneへと変わっていったように、VRデバイスも変わっていかなければならない」とティパタット氏は言う。「そのために必要なものは何か。早いスピードと大きなデータ容量を支える回線などのインフラ技術、VRネイティブなメディアや、毎日触れる機会があるVRアプリ、そしてコンテンツ制作の敷居を下げること。さらに、テクノロジー分野でもコンテンツ分野でも新しい投資家が必要だ」(ティパタット氏)

「今後、物質世界の体験とVRでの体験は重なっていく。ARはVRに比べて3年遅れで、開発キットがこれから登場する、といったところ。だが、VRでの開発の知見が生きるだろう」と今後のVR/AR界の展望についてティパタット氏は語る。「だから、VR/ARにどんどん投資しようではないか。そして一緒にVR/ARの未来を作りましょう!」(ティパタット氏)

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VR/AR普及の鍵はモバイルとエンタープライズだ

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【編集部注】著者のMike Bolandは、インターネット時代におけるシリコンバレー初期のハイテク記者の1人である。現在はBIA/KelseyならびにVR/AR Associationの主任アナリストを務めている。

PCならびにコンソールVRは私たち皆を興奮させるフォーマットだが、近いうちに本当にモバイルもそのレベルに達するのだろうか?これは私が作成中の研究レポートのために、投資家やイノベーターに投げかけている質問だ。

例えば、切迫したHMDのコモディティ化にもかかわらず、IDCは今年の接続されたVRヘッドセットの売上は200万台だと予想している。それはモバイルVRがアプローチできるマーケットである、世界の26億台のスマートフォンに比べるととても少なく見えてしまう。

モバイルVRは、一般に機能を抑えたバージョン(位置追跡がないなど)だが、Google Daydreamなどのように改善され続けている。その大衆に優しい価格とアクセシビリティは、VRが必要としている、ゲートウェイドラッグ(より本格的な利用への誘い水)としての役割を果す。

同じことは、ARにも当てはまる。初歩的な形態 — ポケモンGOの類 — が大衆に、これから何が来るのかの雰囲気を伝えている。それは「真のAR」ではないけれど、同様のゲートウェイドラッグの役割をテクノロジーに対して果す。

シリコンバレーのビジネスストラテジストであるKristie Cuは私に、VRとARは5Gネットワークの展開とともにやって来るだろうということも思い出させた。その大量のデータペイロードが、大きなパイプを活用することを考えると、それは良いタイミングだ。

「2015年から2018年までの間に(Orange社は)このインフラストラクチャのために150億ユーロの投資を行うことを決めています」と彼女は言う。「なので、5Gの背後には膨大な資金が控えていて、VRはその帯域幅を必要とするもののひとつなのです」。

Cuは、現在VRとARを調査し熱心に取り組んでいるComcast Venturesや、Lenovo、その他の企業投資家たちと協力している。そしてデューデリジェンスの過程で彼らは更に多くのものを見ている。

Comcast VenturesのMichael Yangは、VRとARの、長期的な主要コンピューティングプラットフォームとしての地位に基づく投資テーマを抱えている。しかし、もっと重要なことは、それらが地理的な境界や、産業の垣根を超えるほどに成長するということだ。

「それは消費者と企業の両方に関わります、特にARは」とYangは私に語った。「それはまたグローバルへ大きく踏み出しています。私たちが投資している他の部門は、直接的にグローバルなものではありません」。

例えば、CVポートフォリオ企業のNextVRは、VRを大規模なリーチを持つメディア主力商品に持ち込んでいる:スポーツライブ中継だ。消費者の観点を超えて、スポーツライブ中継は視聴者にケーブルテレビの契約解除を思いとどまらせる1手段なのである…そしてVRがその効果を強化する。

これまでLenovoは、この機会に2つのレベルで取組んでいる;VRの重いグラフィカル処理に対応する高性能PC機器を製造すると同時に、Tango技術を採用したPhab 2 ProによるモバイルARの開拓を行っている。

Lenovoの世界技術革新ディレクターであるJoe Mikhailは、ARの未来に対する彼のビジョンを、MetaのシリーズBラウンドにおける彼の主導的役割に触れながら表明した。彼は長期的には、企業のユーティリティにチャンスがあると考えている。

これがARがVRの市場規模を追い越すことになる理由の1つである。Mikhailは、ARの真の価値は、作業場所での生産性から製造現場、そして工業デザインに至るまで(3Dモデリングを考えて欲しい)、あらゆる場所で解放されるだろうと述べている。

このゲームの名前は、運用効率の改善だ、と彼は言う。これは実際の底上げを行う手段を伴う — それ故にARの広い採用が否応なく進むことになるのだ。

Yangは、全プロセスを一貫して扱うアプローチに触れながらこの考えに同意する。「一般作業者にとって、全プロセスを理解することは困難です」と彼は言う。「私は、プロセスをより効率的かつインテリジェントにするためのARオーバーレイを思い描いている、石油/ガス、あるいは航空宇宙、もしくは建設業界の人々を探しています。それが特に私たちが期待している未来なのです」。

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(翻訳:Sako)

Xbox Oneのゲームが12月12日からOculus Riftへストリーミングされ、VR擬似体験を提供

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Oculus Riftを持ってる人は12月12日から、Xobx OneのゲームをVRヘッドセットへストリーミングできるようになり、没入的なプレイを楽しめる。そもそも今やOculusとMicrosoftは深い仲で、Oculus Riftを買えばXbox Oneのコントローラがついてくるぐらいだから、こうなるのも不思議ではない。つまりRiftがあって、それをWindows 10のPCで駆動しているゲーマーは、Xbox Oneがあればただちに、そのゲームを仮想現実でプレイできるのだ。

PCで駆動するVRヘッドセットを持ってなくても、Windowsのデスクトップソフトウェアや、Netflixのようなビデオ、あるいはそのほかの2Dの平板なメディアを、仮想現実的に体験できる。Xbox Oneのストリーミングは、大画面でゲームを楽しむような擬似体験を与え、その仮想環境には“Citadel”、“Retreat”、 “Dome”の三種類がある。すべてがうまくいけば、Xbox Oneのゲームを巨大で高品質な画面でプレイでき、しかも、ディスプレイからの距離感をユーザーがお好みに設定できる。

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PlayStation VRには仮想現実アクセサリがあるので、同じことをPS4のゲームで体験できる。OculusではヘッドセットとXbox Oneゲーム機のほかに、強力なゲーム用PCが要る。でもたぶん、RiftのオーナーでXbox Oneのゲーマーでもある人は、かなり多いと思われる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Verizonとメーシー百貨店が感謝祭の日のパレードをVRでライブ放送、単純だけど楽しい

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イベントのブロードキャストを360度ビデオのライブストリーミングでやろう、と考えておられる方もいると思うけど、それは必ずしも良い方法ではない。でも本誌TechCruncの親会社AOLの親会社Verizongaがやった、メーシー百貨店の感謝祭パレードの中継は、うまくいっている。ただしユーザーが視聴用に使うVRヘッドセットは、Googleの新しいファーストパーティー(自社製)モバイルVRハードウェア、Daydream Viewが良い。

この360度ブロードキャストは、アメリカ国内で、Google CardboardやChromeブラウザーでも見られるが、いちばん良いのはDaydream VRと、今度出たYouTubeの公式VRアプリだ。このストリームを訪ねると、パレードをバルコニーから見る感じになる。よく見える場所を、何箇所か移動していく。

ぼくが見たときは、大きなピカチュウの風船(気球?)が目の前を通るところで(上図)、なかなか、すばらしかった。シェイクスピア劇でも、ハリウッドのスーパーヒーローの大作でもないが、楽しいし、360度ビデオのうまい使い方だ。ねらいが明確で、視聴者をまごつかせるような、あぶないことや、裏芸のようなことはやっていない。VRコンテンツには、裏で重要なことが行われているが、それは視聴者からは見えない、分からない、という状況が多いけどね。

パレードは東部時間の正午までだ。今からなら、間に合うかもしれない。ヘッドセットを忘れないように。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Provataが瞑想アプリをローンチ、VR空間でマインドルフネスを実践できる

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VRの利点は一体何か?VRはまだ誕生したばかりであり、この命題の答えは今のところ異世界での体験で人生を良くするといった曖昧なものだ。「格別な没入感」を約束するこのテクノロジーが一般に受け入れられ、メインストリームのものになるかはまだ分からない。

現段階でVRを使ったコンテンツにはいくつかのゲームがあるが、ニッチな層にしか訴求できていない(VRを動かすのにプロ仕様の機材が必要だからだ)。他には、実験的なものや教育コンテンツに近いものもある。 バーチャルツアーや医療セラピー、あるいは他者の目線で物事を体験することにより共感を呼び起こすコンテンツなどだ。この分野には、もう一つ別の用途がありそうだ。VRで落ち着いた場所を訪れ、毎日のマインドフルネスを実践するというものだ。

アメリカのデジタルヘルス企業Provata Healthは現実から離れる媒体とするテクノロジーを活用し、瞑想指導を試みている1社だ。Provata Healthは今回、VR用のiOSアプリをローンチした。

モバイルVRヘッドセットを着用してアプリを起動すると、ビーチや滝の近くに座っているかのような360度の落ち着いた環境が現れる。そこで瞑想の指導を受けることができる(iPhone用のVRヘッドセットを持っていなくても、Provataのアプリ単体で瞑想指導を受けることも可能だ。画面に同じ風景が表示され、スワイプして周りを見ることができる)。

また、このアプリはApple Watchといったヘルス情報をトラックするウェアラブルと連携可能で、例えば心拍数の変化などから瞑想セッションの効果を確認することができる。あるいは瞑想に時間を使うことで睡眠にどのような影響があるかを知ることが可能だ。フィットネス用のウェアラブルを持っていない場合は、瞑想の前後にスマホのカメラで心拍数を測ることができると同社は言う。

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マインドフルネス分野のアプリやデジタルサービスは増えている。例えば、HeadspaceCalmSimple Habitなどだ。AppleもWatchウェアラブルにBreatheというリラクゼーションアプリを搭載している。

Provataはこれ以外にもデジタルヘルスサービスを展開している。従業員に健康的な活動を勧めたい雇用主を経由して従業員向けの健康指導プログラムを販売している。Provataにとって今回のVRアプリは、初のコンシューマー向けのマインドフルネスを促進するサービスだ。CEOのAlex Goldbergは、「デジタルヘルスで新たなカテゴリーを切り開きたいと考えています。仮想空間での予防ケアという分野です」と話す。

TechCrunchに「瞑想の指導セッションは自社で制作しています」とGoldbergは話す。「瞑想を始める時、瞑想をするのに最適な状態にするため、ユーザー自身が周囲を見渡してリラックスし、心を落ち着けられる場所を選びます。私たちはユーザーが没入的な環境に訪れるたびに異なる位置を試してほしいと考えています。瞑想セッションによっては、周囲の環境も関係してくるからです」。

GoldbergはProvataがすでに提供するウェルネスプログラムには運動を促進したり、食事の栄養バランスを向上させるコンテンツがあり、それらはNIHやCDCが出資する臨床試験を通過しているという。ただ、現時点でこの新しいVR瞑想アプリは、他の多くのVRカテゴリーのサービス同様、効果は検証されていない。

「ピアレビュー研究を行う予定です。アプリで瞑想の前後の心拍数をトラックするといった瞑想のバイオフィードバックを得られる機能の実装ができ、準備ができました」とGoldbergは言う。「心拍数の推移の比較やユーザーのストレスや抑うつスコアなどを調査します」。

「私たちのデジタルヘルスプログラムのピアレビュー研究(Healthy Team Healthy U)は、参加者のメンタルヘルスと身体の健康の両方に良い影響があることが証明された最初のデジタルヘルスプログラムです。このプログラムで抑うつとストレスを減らすことができる理由の1つは、プログラムにメンタルヘルス向上の一環として瞑想を取り入れ、参加者に提供したためです。プログラムを受ける前、特に仕事のストレスが高く検出された参加者のストレスと抑うつスコア(7段階のリッカート尺度を使用)が低減していることが研究結果から分かりました。

「Provata VRは瞑想指導の認知を広め、活用を促促進し、より多くの人に良い効果をもたらすことができると考えています」。

ストレスと対抗するために自分の心に集中し、自己認識を高めたり、落ち着いたりするためにVRヘッドセットで人工的に平穏を得るということに関しては議論の余地があるかもしれない。誰にとってもVR瞑想が最適な方法ということでもないだろう。しかし、補助なしで日常生活から考えを離すことに苦労している人にとってこのVRアプリは、ストレスを減らすアクティビティを行うための手段にはなるかもしれない。

このアプリの瞑想時間は「意図的に短く」しているとGoldbergは言う。2分、5分、10分の瞑想時間が選べる。理由はVRであまりに長い時間過ごすことを防ぐためという(気分の悪さ、あるいは私個人の場合には眼の疲れといった体調に悪影響を及ぼす可能性もあるためだ)。また、数多くの研究で毎日の瞑想時間が数分だったとしても効果があることが示されているとGoldbergは主張する。

「精神的に悪影響があったという報告はまだありません。高品質な4K動画も役立っているのかもしれません」と彼は言う。

アプリは無料でダウンロードできるが、いくつかのコンテンツは有料だ。サブスクリプションサービスも提供している。月額3.99ドルか年間35.99ドルで、多くの「日常から離れた風景」の中で瞑想を楽しむことができる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

クラウドとデータ分析でスポーツの世界が変わる

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【編集部注】執筆者のDavid Bolokerは、IBMのディスティングイッシュドエンジニア兼Emerging TechnologiesのCTO。

スマートテクノロジーは引き続き、生活のほぼ全ての側面を効率化しながら変化させている。その結果、睡眠パターンをモニタリングしたり、場所に縛られずに仕事をしたり、さらにはジカ熱のような病気の治療法をみつけたりといったことが可能になってきている。

しかし、冗長なワークフローを最適化したり、日常的な活動をゲーム化する以外にも、スマートテクノロジーは、私たちがより良いイノベーターになったり、世界に変化を起こしたりする上で必要な技術を底上げするのに貢献している。スマートテクノロジーは、これまでのパフォーマンスの限界を超越するきっかけを生むばかりか、物事の体験の仕方を変えるまでになったのだ。

プロスポーツの世界における、テクノロジーの利用例について考えてみてほしい。クラウドに接続されたセンサーやウェアラブルデバイスによって、瞬時にデータの解析が行われ、パフォーマンス向上につながるような洞察を得ることができる。今や非構造化データは、無比の成功の原動力になることさえできるのだ。

例えば、アメリカ自転車競技連盟(USA Cycling)は、これまでの手法を独自のハードウェアとソフトウェアに置き換えることで、選手のトレーニングの様子をより正確に計測できるようになり、これは今年の夏季オリンピックの結果に大きな影響を与えた。特に、IBMとの協業を通し、アメリカチームはパフォーマンス分析上の問題を解決するために、最新のテクノロジーを採用することした。彼らはもう、トレーニングごとにいちいちパワーメーターやセンサーから手動でデータを抽出したりはしていない。その代わりに、データはリアルタイムで複数のソースから収集されているのだ。使用される機器には、パワーメーターや心拍数モニターの他にも、筋肉中の酸素量をモニタリングするBSX Insight製のウェアラブルデバイスなどがある。BSX Insightのデバイスは、LEDライトと独自のアルゴリズムを使って、選手ひとりひとりのプロフィールを生成し、パフォーマンスモニタリング精度や、トレーニングの質を向上させるのに一役買っている。

その後、収集されたデータはクラウド経由でコーチのiPadに送信され、ダッシュボード上ではWプライムの減少量やエネルギー消費量といった数値が直感的な図で表示されるようになっている。さらにSolosのスマートグラスを利用することで、選手は実際の練習中にも、ヘッドアップディスプレイに表示された重要な数値を確認することができる。

クラウドやデータ分析技術は、スポーツ観戦をさらに面白くする力を持っている

前述の通り、これまでは複数のソースから集められたデータを、手作業で解析していたため、トレーニングセッションに関するフィードバックを準備するまでに、数時間または数日もかかっていた。今では、クラウドに繋がったモバイルアプリのおかげで、自転車や選手に装備されたセンサーとフィードバックの内容がリアルタイムで同期するようになっている。そのため、例えば選手がある地点で無駄にエネルギーを使ってしまっているとわかれば、少し力をゆるめることで、すぐにレース全体でのパフォーマンスを向上させることができる。また、コーチもデータを使って、選手の弱点を適時に発見し、対策を講じることができる。これは特に大きなレースに向けて練習を行っているときには重要なことだ。

自転車競技だけが、クラウドを活用したデータ分析の恩恵を受けているわけではない。NFLも2016年のシーズンを通して、センサーを利用し、ゲーム中のデータを収集・解析すると最近発表した。彼らは特別なチップをフィールドゴール時に使われるボールに埋め込むことで、キックに関するデータを集めるつもりなのだ。この研究が進めば、ゴール判定の変化、具体的にはゴールポストの幅が将来的に狭まる可能性がある。なお、NFLでは既にセンサーを活用して、選手のポジションやスピード、距離感などが計測されている。

トレーニングが効率化し、細かな改善が積み重なることで、選手のパフォーマンスが大幅に向上するという効果以外にも、データ収集によって、ファンの楽しみ方に良い影響が及ぶ可能性がある。リアルタイムでのデータストリーミングなど、クラウドやデータ分析技術は、スポーツ観戦をさらに面白くする力を持っているのだ。同様に、VR技術のスポーツへの応用例も増えてきている。

実際に、NASCAR(全米自動車競争協会および同団体が主催するレース)に参加しているドライバーやファンは、デジタルダッシュボードを利用し始めている。ラップタイムやタイヤ圧、ピットの範囲といったドライバー向けの情報をダッシュボードに表示させるだけでなく、NASCARは、同じ情報をファンにも提供したいと考えているのだ。将来的には、観客もモバイルデバイスを通じて、ドライバーと同じダッシュボードにアクセスできるようになる。そうなれば、ファンはお気に入りのドライバーと同じものを見ることができるばかりか、ドライバーがさまざまな状況にどう反応するかを含めて観戦できるようになる。

またNBCは、2016年のリオデジャネイロオリンピック期間中、VRを使って視聴者のエクスペリエンスを高めようとしていた。Samsung Gear VRのユーザーは、NBC Sportsアプリを介して、開会式や閉会、男子バスケットボール決勝といった特別コンテンツを視聴することができたのだ。この新しい視聴方法によって、会場から何百万マイルも離れた場所に住むファンも、世界最高峰のスポーツイベントを、まるでリオの会場にいるかのように体験することができた。

上記の例は、これから起きる巨大なテクノロジーの変化の序章でしかなく、今後はスポーツやそれ以外の分野でも、物事の体験の仕方が変わっていくことになるだろう。野球ファンは、一塁に滑り込む選手をさまざまなアングルから見ることができるようになるだろうし、ホッケー選手はデータを分析することで、スラップショットの精度を限りなく完璧に近づけられるようになるだろう。選手、コーチ、ファンの全員がもっと試合内容を深く理解できるようになることで、新たな戦術が生まれたり、新しい観戦のかたちが生まれる可能性もある。

スポーツ以外だと、スマートシティが各地で誕生し、エネルギー消費量からゴミ処理までさまざまなプロセスの効率化を図っている。ビジネスの世界でいえば、業界を問わず、各企業がデータを有効活用して、人員の最適化や生産性の向上など、社内の状況を改善しようとしている。このように、業界を超えた影響力を持つ、新しいテクノロジーの可能性について考えるのはとてもワクワクする。あなたは、クラウド・データ主導の未来に突入する準備がもうできているだろうか?

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Hacking Arts 2016の優勝は「音楽版Pokémon GO」のHarmony Space

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今週末、ソフトウェアやハードウェアのエンジニア、アーティスト、起業家がボストンに集結した。MITが主催するハッカソンのHacking Arts 2016に出場するためだ。

ファイナリストに残った12チームのうち、見事受賞を果たしたのは以下の4チームだ。

  • Best All-Around Hack優勝: Harmony Space
  • Best All-Around Hack第2位: Revive
  • Best All-Around Hack第3位: möbel
  • Hackers’ Choice: Inkfinity

MIT提供の受賞プロジェクトの詳細はこの記事の最後に掲載してある。

ハッカソンは通常、あるテクノロジーのプロモーションや新しいプロダクト・アイデアの宣伝、優秀な人材の発掘などを目的に企業や教育機関が主催するイベントだ。しかし、Hacking Artsはもっと「大きなもの」に挑戦するように出場者に呼びかけている。

Hacking Arts2016のWebサイトによれば、出場するチームは「アートが持つ機能を強化する、あるいはアートへのアクセスを向上させるようなプロトタイプを設計・創作する」ことが求められ、「テクノロジーとアートを通じて世界を変える」ことが彼らの目標となる。

同ハッカソンのオーガナイザーを務める、Sloan MBA候補生のHelen Smithによれば、今年応募があった700名のうち、本戦に招待されたのは250名だったという。結局は250名中177名がハッカソンに参加、全体の58%が女性で、87%が学生だった。この学生の大半は学部生だ。ボストンやニューヨークからの参加者が多かったが、このためにボストンにやってきた者もいた。

出場者たちが創りあげたプロジェクトは、モバイルアプリ、ウェアラブル、没入型のエンターテイメント体験など様々だった。半数以上のハッカーたちがARやVR、そしてロボティクスを駆使して彼らが打ち立てた目標を達成していたとSmithは話す。彼女によれば、今年のプロジェクトで多く見られたテーマは「テクノロジーによって感情移入を促す」というものだったという。

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ペインティング・ロボットのArtmatrもHacking Arts 2016に登場

ディベロッパーに熱い眼差しを向け、チームのメンターを務めたHacking Arts 2016の協賛企業は、Adobe、Autodesk、Shapeways、Jibo、Whoaboardなどの企業だ。出場者たちはペインティング・ロボットのArtmatrや、パーソナルアシスタント・ロボットのJIBOのデモに群がり、そのようなロボットをどのように自分たちのプロジェクトに活用するべきか考えていたとSmithは言う。

2015年度と2016年度のHacking Artsで審査員を務めたArtsy CTOのDaniel Doubrovkineによれば、2016年のハッカソンでは去年に比べ、VRではなくARを利用する出場者が増えたと話している。

また彼は、今年の出場者の多くは音楽の分野にフォーカスしており、ファイナリストの約半数はサウンド・デザインを何らかの形でプロジェクトに組み込んでいたと話している。意外だったのは、今年はAmazon Echoが普及しはじめた年であるにもかかわらず、音声認識やボイスコントロール技術を利用するファイナリストがいなかったことだ。

Daniel Doubrovkineは、今年の出場者が創りあげたプロトタイプに刺激を受けたと話す一方で、出場したチームへのアドバイスがあるとすれば、もっと実験的な目線でプロジェクトに取り組むようにアドバイスするだろうと話している。

「人は常に、プロジェクトがもつ目的を一番に考えがちです。しかし、プロジェクトの目的はさまざまなアイデアを考えている最中に突然生まれることもあるということを私たちは学んだのです」と彼は言う。

Hacking Artsの運営はMIT Center for Art, Science & Technology (CAST)と、 Martin Trust Center for MIT Entrepreneurshipの協力の元、MIT Sloan School of ManagementのEntertainment, Media & Sports Clubが勤めている。

Hacking Arts 2016の受賞者たち

優勝:Harmony Space
チームメンバー: Max Harper、Matthew Seaton、Evin Huggins
「このアプリケーションは音楽の思考ツールです。このアプリケーションは私たちの空間認識感覚を聴覚と入れ替えます。空間を「聴き」、ハーモニーを「見る」ことができるようになるのです。あなたの位置X(左右)、Y(上下)、Z(前後)は、異なる3つの音符のピッチを調節する役割を持ちます。これは、すべての場所が「調和可能な」場所になることを意味します。特定の場所にポケモンが浮いているのと同じように、このアプリケーションが創る世界には「オーブ」が存在し、そのオーブによってユーザーはメジャーコードとマイナーコードを奏でることができる場所を特定することができます。このアプリケーションには、3D空間トラッキング技術とHololensの拡張現実機能が利用されています」。

第2位:Revive
チームメンバー:Paul Reamey、Tim Gallati、Luna Yuan、Liabao Li、Qi Xiong、Jingchen Gao
「このシステムは、仮想現実、触覚で感じるフィードバック、そして音楽を融合することでユーザーに太極拳を指導するシステムです。このシステムは仮想現実環境でユーザーに合図を送ります。そうすることでユーザーは、体の動かし方を理解できるだけでなく、自分の動きが正しいのかどうかフィードバックを通して知ることができます。ユーザーとシステムが相互に作用するビジュアルエフェクトを利用することで、エネルギーの流れを意味する「気」というコンセプトを表現しました。また、このシステムにはユーザの動きを促すための触覚で感じられるフィードバック機能も備えられています」。

第3位:möbel
チームメンバー:Kiran Wattamwar、Christina Sun
「”ソーシャル家具”プロジェクトのmöbelは人々の協力関係を促すプロジェクトです。家具の組み立ては、わざと複雑になるように設計されており、1人だけでは組み立て不可能な作りになっています。少なくとも2人以上が協力することで、家具の本来の価値が発揮されるのです。組み立てられたmöbel製のイスに座るためには、2人の人間が狭い空間で向き合うように座る必要があります。これにより、本当の意味で人と人との間に存在するバリアを壊し、2人の協力関係を促すのです」。

HACKER’S CHOICE AWARD受賞:InkFinity
チームメンバー:Sharon Yan、Yaqin Hunag、Daisy Zhuo、Lei Xia
「InkFinityは、仮想現実を利用してユーザーをインクで描かれた世界の中に誘い込み、詩的な旅に連れ出すアプリケーションです。ユーザーは絵画で描かれた世界に入り込み、その美学を隅々まで探索し、文化的エトスを3D空間で体験することができるのです」。

マクド(McDonald’s)の新型店Just For YouをGoogle CardboardのVRコンテンツで仮想体験

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McDonaldには、各時代に合ったMcDonaldがある。そして、このどこにでもあるファストフードチェーンはときどき、時代に合わせて自分を作り変える。1990年代のオーストラリアにはコーヒーショップ的なレストランMcCaféがあり、そして数年前には、Shake Shackとの競合を意識して、メニューをカスタマイズできるサービス、Create Your Taste(あなたのお味をお作りください)コンセプトを展開した。帽子をかぶったアマチュアレスラーみたいなキャラクター、Hamburglarも登場した。

同店の最新のモデルが、“Just For You”だ。それは海外でいくつか展開し、その後アメリカにも登場している。まずカリフォルニアとフロリダとニューヨークのレストランに現れ、来年の初めにはサンフランシスコとボストン、シカゴ、D.C.、シアトルにもできる。これまでとの大きな違いは、大型画面のタッチスクリーン・キオスク(小塔)があってオーダーをカスタマイズでき、テーブルサービスがあり、Apple PayやAndroid Payを使えること。

まだこの店舗スタイルを体験できない可哀想な人たちのためにMcDonald’sは、Google Cardboard用のビデオを作った。新しいお店でハンバーガーをオーダーするとどんな感じか、それをVRでシミュレートしている。その店内には、つねに微笑みを絶やさない、すてきな店員さんも、いっぱいいるよ。

それが、今という時代であり、世代なんだな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

映画MartianのVRが11月15日発売、火星の上のサバイバルをHTC ViveとPlayStation VRで体験しよう

あなたは、火星の厳しい状況で生き抜くことが、せめてマット・デイモン(Matt Damon)ぐらいには上手だろうか? 明日、それが分かる。The Martian VR Experience(仮想火星探検)が、HTC ViveとPlayStation VRにやってくる。FoxのInnovation Lab, RSA Films, そしてThe Virtual Reality Companyが共作したこの作品は、映画The Martianのストーリーを、一人称の没入的仮想現実体験として再現する。〔参考記事。〕

これは昨年のCESでOculus Riftのデモで使われていたから、ご存知の方もおられるだろう。でも今回のは完成製品で、PlayStationとSteamで19ドル99セントで売っている。

The Martianのお話はVRゲームに最適だ。没入をうまく利用した謎解きだし、しかも猛烈な動きは要らない。あの赤い星のVRは、人に十分な恐怖感を与えるが、激しい運動で気分が悪くなることはない。そして、あなた自身の生き残りをかけて、十分な緊張感も味わえるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

どんなVRヘッドセットでもワイヤレスで使用できるMITのMoVRシステムはミリ波による高速通信を利用

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ワイヤレスVRは、VRを広く普及させるための重要な鍵の一つだ。今OculusやHTC Viveなどについている、へその緒のような重いケーブルは、明らかに普及の阻害要因だ。そしてMITがこのほど作った新しいワイヤレス通信システムは、その重荷を取り払って、本当に没入的なVR体験を与えてくれる。

MITのComputer Science and Artificial Intelligence Labが考案した“MoVR”は、VRヘッドセットがPCとワイヤレスに通信できるようにする。そしてその際、グラフィクスやフレームレートの劣化はまったく生じない。仮想現実がスムーズで違和感のない体験であるためには、この点が重要だ。

MoVRは、次世代モバイルネットワークの5Gが使用するミリ波を利用して、ヘッドセットとそれを駆動するコンピューターとの通信を毎秒数Gバイトのスピードで行う。それは、既存のWi-FiやそのほかのRF技術よりずっとずっと速い。既存のWi-Fi等では、6Gbpsという要件にはとても達しない。

ミリ波通信技術は大量のデータを無圧縮で高速に送信できるが、いわゆる見通し線(視界内)という要件がある。そこでMoVRを開発したMIT CSAILのチームは、信号の方向を検知するプログラマブルなミラー(鏡)を使って、この難点を克服した。これにより信号が、ユーザーの手などの障害物に遮(さえぎ)られなくなる。

That huge cable is a big nuisance.

ケーブルはVRの邪魔もの

現在のテスト用システムは、クレジットカードの半分ぐらいのアンテナを二つ使うが、将来の完成品では装置全体をスマートフォンぐらいに小型化して、一つの部屋の中で複数のプレーヤーが使えるようにする。

先週発表された220ドルのViveアドオンもやはり、強力なPCで駆動するVRをワイヤレスにする。しかしMIT CSAILのプロジェクトは、もっと高いグラフィクス性能が期待できそうだし、ヘッドセットのタイプを特定しないから、より将来性がありそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Daydream発表と同時にYouTubeがVRアプリをローンチ

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Googleの新しいDaydream View VRヘッドセットのデビューと同時に、今朝YouTubeは自身のYouTume VRアプリのローンチを発表した、最初に対応する機種はDaydreamだ。このスタンドアロンアプリケーションは、YouTubeの全てのコンテンツを没入型の体験に変えてくれる。たとえそのビデオがVR閲覧用に作成されたものでなくても。これを行うために、YouTube VRはアプリ内の新しいシアターモードの中の、バーチャルスクリーンに通常のビデオを表示する。もちろん、YouTubeの360度動画は、このアプリで最適に閲覧できる。

シアターモードでは、動画がスクリーンの主たる部分を占める、一方タイトルや説明のようなビデオ情報は、片側に寄せて表示される。スクリーンの反対側には、キューが表示されるので、次に何が表示されるのかを知ることができる。プレーヤーのコントローラーは下に並んでいる。

Googleは、このように視聴とブラウズの両者を同時に行うことができると言っている。

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このアプリには、音声検索、空間オーディオのサポート、YouTubeのアカウントにサインインしてサブスクリプションやプレイリストを観るといった他の機能も含まれている。

現在は、YouTubeの大部分のコンテンツはVR向けに最適化されていないが、Googleはこのフォーマットが物語向けに人気が高くなると考えている。

とは言うものの、同社はネットワークにVRコンテンツの種を蒔くことで、このテクノロジーに対して投資を行っている。YouTubeのクリエイターたちが、YouTube SpacesでVR機器へアクセスすることを助けるだけでなく、それを使ってどのように360度の撮影を行うのかを学ぶ手助けもしている。

それが意味することは、ローンチの時点で新たなVRアプリで視聴できる動画が既に沢山あるということだ。同社では、ジャンルをまたがった幾つかの例を集めている、例えば美容ブロガー Meredith FosterTastemadeの料理動画、ハフィントンポストRYOTのニュース速報、だけでなくCuriscopeロンドンの自然史博物館StyleHaul、そしてFitness Blenderなどの名前も挙がっている。Googleはまた、NBAがほどなくYouTube VRのためのビデオを始めると指摘した。

新しいアプリを使用するためには、最近発売されたPixelのような、Daydreamレディの携帯電話とDaydream Viewヘッドセットが必要になる。

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(翻訳:Sako)

この3万ドルもするドローンはとても安定した360°映像を撮る

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360°ビデオが厄介なのは、三脚を使うとか、カメラを手で保持することだ。例外は、放り投げるカメラPanonoだが、ボールが空中にある時間は限られている。もうひとつの選択肢がVaravon社の製品、こいつは ドローンだがジンバルで三軸を安定化し、360°の圏域を自分が映り込むことなく撮影する。

 
 
 

このドローンは、ほかの方法ではとても困難と思われる撮影もできる。スタビライザーがあるから、自由に飛び回ってもめちゃめちゃな映像にはならない。すごく、お利口さんだ。

お値段は未定だそうだが、プロ用機器の値段にはなるだろう、という。“3万ドルぐらいかな”、と同社は言った。でもすでに、競合機種がその1/5で買えるぞ。

いずれにしても、VR Gimbalと名付けられたVaravonのドローンは年内発売だ。今見れるのは、でもビデオだけだけど。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Tribeca Enterprises、一般向け仮想現実体験イベントをWTCで開催

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今月Westfield World Trade Center(ワールト・トレード・センターの下に最近オープンしたモール)に行けば、仮想現実(VR)を実際に体験できる。その催し物はTribeca Film Festivalの開催母体であるTribeca Enterprisesが企画したものだ。

Tribecaはこれまで数多くのVRイベントを主催してきたが、プログラマーのLoren Hammondsが記している通りそれらのイベントはフィルム・フェスティバルの一環であり、これまで「VRをいち早く取り入れた人」や、少なくとも「大変好奇心旺盛な人たち」の興味を引いてきた。今回Westfield内にバーチャル・アーケードを設置することでTribecaは恐らく、より大衆寄りの人たちに訴えることができるだろう。

「今回多くの人たちにとっては初めてのVR体験になるかもしれません」とHammondsは述べた。

Virtual Arcadeでは以下の4つの作品がフィーチャーされている。それらは、Invasion!(アニメーション映画)、Invisible(Bourne IdentityやEdge of Tomorrowを監督したDoug Lima制作による超自然現象シリーズ)、Kids(OneRepublicの為のミュージック・ビデオ)、KÀ The Battle Within(Cirque du Soleilとタイアップしている格闘技の話)だ。

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Tribecaは昨日、報道機関向けのイベントを開催し、記者が映画を体験したり幾つかの映画製作者から話を聞く機会を設けた。Limanによると、彼の制作会社はInvisibleに関してVRとして制作する前は映画かテレビ番組としての可能性を考えていたが、VRの没入感は彼を惹きつけるものがあった。彼によると、それこそが自分がこれまですべての作品で追い求めてきたものだと言う。LimanはVRを初めて試した時のことを思い出した。「この方法を使えばこれまで自分がやってきたどんなことよりも深い没入感を与えることが出来る」と、彼は思った。

Limanと彼のプロデューサーであるJulian Tatlockはこの新しいテクノロジーを取り入れる為にこれまでの撮影方法を見直していることを認めた。例えば、360度の映像を撮るのは、むしろ「団体戦」だという。なぜなら、良くないパフォーマンスを編集することはほとんど意味をなさないからだ。

 

「すべての方向から、素晴らしいことが要求されます」と彼は言った。視聴者はすべての方向から見ることができるので、「恐らく欠点や欠陥に目を遣ってしまうでしょう」

Tatlockはさらに付け加えた。「たぶんカメラを動かし過ぎたり、カメラワークが速過ぎたり、カットが速すぎるのは良くないでしょう」そのようなアプローチでは、ハラハラするような追跡シーンを撮影するのは困難だった。それで、彼らのとったアプローチとは、「静的なショットや安全なショットを撮影しました。そのようにして我々は可能性を広げて行ったのです」

Tribeca Virtual Arcadeは金曜日から日曜日までの開催で、本日(訳注、11月4日)開始で11月20日までだ。

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(翻訳:Tsubouchi)

HTCは自社のVR技術とハードウェアを2017年までにアジアの“数千の”ゲームセンターで展開する

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アメリカではゲームセンター(arcade(s), アーケード)は90年代以降あまり人気がない。ゲーム専用機が安くなり、リビングルームから外へ出なくても容易に高度なゲームを楽しめるようになった。しかし、仮想現実はまだかなり高価だから、ゲーセンのようなお金を払ってコンテンツを楽しむ方式に、商機があるだろう。

HTCはアメリカでは、人びとがすでにVRコンテンツに平気で特別料金を払っている映画館で、VRによってゲーセンを復活させたい、と考えている。

アメリカ市場の攻略はまだ未来の話だが、中国には今でも、大小さまざまなエンタテイメントセンターがあって、そこは当たり前のように今でもゲームの商用ライセンスを買っている。そしてHTCのViveport Arcadeは、最初は中国と台湾でローンチし、2017年の終わりまでには何千もの場所に展開する気だ。

HTCでViveportと仮想現実のトップを務めているRikard Steiberによると、“Viveport Arcadeは、VRのデベロッパーたちに今後の2年間で1億ドル以上の市場機会を提供する”、そうだ。“大型アミューズメントセンターから家族向けの遊園地のようなところまで、仮想現実は明らかにエンタテイメントの次の王様になろうとしている。またそれにより、ハイエンドの仮想現実コンテンツへのアクセスが民主化され、最初は好奇心だけだった消費者を長期的なファンに変えるだろう”。

今週の初めにHTCは、巨大なゲームセンターVivelandを台湾でオープンした。

そこが最初から揃えているのは120タイトル、その中には人気のVRタイトル、Phosphor GamesのThe Brookhaven Experimentと、Sólfar StudiosのEverestのアップデートバージョンもある。

VRゲーセンは中国やアジアではすでに現実であり、そこを巨大市場として狙うHTCは、ブランド・ロイヤルティとユーザーベースを未来に向けて築こうと躍起だ。このような、アジアでのゲーセン大展開がアメリカ及ぼす影響は何か? 中国から何を学ぶかも、アメリカでは中国の現状のようなゲーセン的なインフラがもう/まだない、ということが前提になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Starbreezeが買収したNozonの技術はVRの没入体験を向上させる

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現在VRの未来は、間違いなく大きく開かれているが、競争者たちの多くの視線は、明らかにゲーム用コンピュータと家庭用コンソール上での戦闘ゲームに向けられている。その一員であるStarbreezeは、アミューズメントパークならびにIMAXシアター向けのハイエンドヘッドセットの製作に取組んでいる。

数十年にわたる家庭用ゲームによる席巻の後では、少々後退した(あるいはレトロな)ように感じるものの、同社はその時間と資金を自身のStarVRヘッドセットに着実に投入してきた。同社はAcerや自身で買収したハードウェアメーカーと提携している。先週同社は、ベルギーのビジュアルエフェクト企業と、VRコンテンツクリエイターのNozonを、約775万ドルで買収した

買収の鍵はPresenZである、これはヘッドセットの装着者に、より優れたプリレンダリングされたアニメーション効果を提供し、まるでコンピューターが生成したVR世界の中を見回しているようなより没入感のある経験を与えてくれる、Nozonによって設計された視差ツールである。同社によれば、このテクノロジーは室内のスケールで、映画レベルの表現を提供することができる。

StarbreezeのCEO、Bo Andersson Klintは買収の件を興奮気味に語った。

VRの未来はまだ定まってはいませんが、この技術をみれば想像しやすくなるでしょう。空間が高品質のCGイメージとしてスキャンされそしてレンダリングされる様子を見て、そしてパリのルーブル美術館やヴェネツィアのサン・マルコ寺院のような空間をレンダリングして、そこでインタラクティブなガイドツアーを提供するアプリケーションを見たならば。

出典:Venture Beat

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(翻訳:Sako)

北欧にいるVR/AR分野の人材を求め、Magic Leapがフィンランドに拠点を拡大

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編集部注: 本稿はDennis Mitznerによって執筆された。彼はイスラエルのテルアビブに住むライターで、スタートアップやテクノロジーを専門にしている。

 

フロリダ州に本社をおくMagic Leapがヘルシンキに拠点を拡大した。フィンランドが豊富に抱える、Nokiaとゲームによって育てられたVRとAR分野の優秀な人材を獲得するためだ。

今年7月、Magic Leapはヘルシンキに子会社を設置し、同社のCFOであるScott Henryがその子会社の会長に就任した。この件について取材を試みたものの、同社はコメントを控えている。

フィンランドにあるVRやAR分野のスタートアップに話を聞いたところ、世界で最も口が堅いスタートアップとも言えるMagic Leapの子会社との提携について、彼らは肯定することも否定することもなかった。しかし、フィンランドが多くのテクノロジーに関するノウハウを蓄積していること(特に、光学技術、ハードウェア、ソフトウェア)、そして、そのノウハウがVRとARの分野で主導権をもつために欠かせないものだという事を考えれば、グローバルな巨大企業やスタートアップにとってフィンランドの人材が魅力的に写るのは当然のことだと言えるだろう。

Magic Leapとフィンランドはすでに深いつながりがある。Magic Leapでソフトウェア部門のバイスプレジデントを務めるShalinder Sidhuは、過去にはNokiaでLinuxスマートフォン向けのフトウェアの開発部門を指揮していたという経歴を持つ。ソフトウェアおよびユーザー・エクスペリエンス部門のバイスプレジデントを務めるYannick Pelletも、同じくNokiaでLinuxベースの携帯機器向けオープンソースOSプロジェクトであるMeego Deviceのシニアディレクターを1年半務めていた。

フィンランドに注目する企業はMagic Leapだけではない。2013年にNokiaを買収したMicrosoftも、HoloLensに使われるレンズの設計をフィンランドにある開発拠点で行っている。

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誰もが認める優秀な人材

Magic Leapが拠点をおくのは、VRとARには欠かせないテクノロジーによって名を馳せた地域ばかりだ。その地域にいる人材を獲得することがそこに拠点をおく目的だったことは明らかだろう。

同社が本社をおくフロリダは、オーランドとともにゲーミングとグラフィックスのハブ拠点として急成長しており、全米でも指折りのビデオゲームの開発コミュニティでもある。ニュージーランドでは、Peter Jacksonが経営する特殊エフェクトのWeta Workshopと提携を結んでいる。

AlphabetやAlibabaから14億ドルの軍資金を調達したMagic Leapは、他のVR企業とは違ったユニークな存在だ。FacebookやGoogleのVRやAR製品に関するニュースが毎日のように報道される一方で、人材を十分に抱えながらニュージーランドやヘルシンキで製品を開発するMagic Leapは、より静かで、かつ長期的な目線をもったアプローチを採用していると言える。

フィンランドはハイエンドのグラフィック技術において20年という長い歴史をもっており、それがローカル企業によるVR製品が誕生できた理由だ。2006年にNvidiaが買収したHybrid Graphicsや、同じく2006年にATI Technologiesが買収したBitBoysなどがその例である。

それにより今では、フィンランドにあるゲーミング分野のスタートアップをはじめ、ハードウェア、ソフトウェア、光学技術分野のスタートアップなどが世界中から注目を浴びるようになった。

ありとあらゆる分野でノウハウを蓄えてきたフィンランドは、次なる革新的な光学技術が誕生するための土壌が出来上がっている。フォトニクス製品のNanocomp、X線カメラのAdvacam、ALDのPicosunやBeneq、カメラ技術のNokiaやMicrosoft、スペクトルイメージングのSpecimやSpectral Engine、光学機器製造のOplatekやMillog、レーザーテクノロジーのCajoやPrimoceler、デバイスのテスティング・ロボットのOptoFidelity、品質保証(QA)のHelmee Imaging、シリコンフォトニクスのRockley Photonicsなど、フィンランドには非常に大きな光学技術のエコシステムがある。

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Getty Images/chombosanの厚意により掲載

フィンランドのソフトウェアとハードウェアの開発技術も同じように素晴らしいものだ。その分野で活躍するプレイヤーとして、ワイアレスコミュニケーションのNokiaやOulu大学、電子設計のSkunkやBittium、画像処理のSoftcolor、ゲーム開発のSupercell、Rovio(「アングリーバード」を開発した企業)、Remedy、アニメーション製作のFake、そしてOS開発のJollaやMicrosoftなどがある。

スマートガラスを開発するDispelixの共同創業者兼CEOであるAntti Sunnariは、Magic Leapが狙うのはフィンランドがもつOS開発のノウハウだと話す。

「彼らが何を求めているのか、そして彼らが何をしようとしているのかということを考えれば全体像が見えてきます。ハードウェアつくるために14億ドルを調達する企業などいません。彼らが目指すのはOSの開発です。Symbia、Meego、LinuxなどのOSはフィンランドに浸透しています。それを考えれば、彼らがフィンランドに拠点を構えるのは理にかなったことだ言えるでしょう」。

また、Magic Leapが一風変わった場所に拠点を構えるのは、その土地に住む人々が優秀だからという理由だけではないとSunnariは語る。

「彼ら(Magic Leap)はわざとシリコンバレーから遠ざかっているように見えます。彼らはノウハウがあるところに拠点を構えているのです。競合禁止契約はカリフォルニアでは違法ですが、その他の地域ではそれは違法ではありません」と彼は話す。

消費者向けのプロダクトだけではない

今年9月、HuaweiはフィンランドにあるタンペレにR&D拠点を設置した。ここでは消費者向け製品に利用するカメラ、オーディオ、そして画像処理技術の研究開発を行っている。世界中から北欧のスタートアップに対する興味が集まっていることを示していると言えるだろう。

フィンランドのVRシーンにあるのは、カッコいいガジェットやゲームだけではないと語るのは、フィンランドを拠点とするVC、Superhero Capitalの共同創業者であるMoaffak Ahmedだ。彼はゲームやVR分野のスタートアップへの投資を専門とするSisu Game Venturesを通し、フィンランドのVR企業である3rd Eye、Resokution Games、Solfar、Vizorなどに投資をしている。「より”シリアス”なARやVRの分野でも素晴らしい企業が生まれています。B2B向けのテクノロジーやソリューションなどがその例です。おそらく、現時点においてARやVRの分野でしっかりとした収益をあげているのは、その後者の企業(B2B向けのプロダクトを開発する企業)だけでしょう」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

今期行われるNBAのVR放送予定表

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NBAは先週、NextVRと組んで1週間に1試合ずつVRストリーミングを行うとアナウンスしていた。

そして本日、このVRストリーミングの詳細予定が発表となった。嬉しいことに、すべてのチームがシーズン中に1度は登場することとなっている。

ただし、すべてのチームが同じ回数だけストリーミングされるということにはなっていない。たとえばWarriorsは4回登場する予定であるのに対し、Sixersの登場は1度だけだ。

ストリーミングされるのは毎週火曜日だ(シーズン末の1試合に例外がある)。

毎週火曜日に定期的に放送するというのは、視聴者にとっても覚えやすくて便利だろう。火曜日には必ずVRモードのNBA中継があるわけで、時間とチームを確認して興味をもてばすぐに見ることができる。ちなみに時間についてだが、これもNBAが良い仕事をしていて、さまざまなタイムゾーンにおける試合を中継することとしている。すなわち特定の地域の人は深夜でないとゲームを見られないなどということもないわけだ。

NextVRでは、試合開始から終了までの放映の他に、ゲーム後にはハイライトや短縮版も流すことにしているのだとのこと。もちろん観戦するにはNBA League Passに申し込んでいる必要があり、League Passのアプリケーションの他に、Gear VR向けのアプリケーションも必要だ。シーズン後半には、他のVRヘッドセットもサポートする予定であるとのことだ。

VR放映される試合予定は以下の通り。

  • Oct. 27, 2016 – San Antonio Spurs at Sacramento Kings – 10:30 p.m. ET
  • Nov. 1, 2016 – Los Angeles Lakers at Indiana Pacers – 7:00 p.m. ET
  • Nov. 8, 2016 – Phoenix Suns at Portland Trail Blazers – 10:00 p.m. ET
  • Nov. 15, 2016 – Brooklyn Nets at Los Angeles Lakers – 10:30 p.m. ET
  • Nov. 22, 2016 – Portland Trail Blazers at New York Knicks – 7:30 p.m. ET
  • Nov. 29, 2016 – Cleveland Cavaliers at Milwaukee Bucks – 8:00 p.m. ET
  • Dec. 6, 2016 – New York Knicks at Miami Heat – 7:30 p.m. ET
  • Dec. 13, 2016 – Golden State Warriors at New Orleans Pelicans – 8:00 p.m. ET
  • Dec. 20, 2016 – Denver Nuggets at LA Clippers – 10:30 p.m. ET
  • Dec. 27, 2016 – Memphis Grizzlies at Boston Celtics – 7:30 p.m. ET
  • Jan. 3, 2017 – Toronto Raptors at San Antonio Spurs – 8:30 p.m. ET
  • Jan. 10, 2017 – Cleveland Cavaliers at Utah Jazz – 9:00 p.m. ET
  • Jan. 17, 2017 – Minnesota Timberwolves at San Antonio Spurs – 8:30 p.m. ET
  • Jan. 24, 2017 – Boston Celtics at Washington Wizards – 7:00 p.m. ET
  • Jan. 31, 2017 – Sacramento Kings at Houston Rockets – 8:00 p.m. ET
  • Feb. 7, 2017 – Portland Trail Blazers at Dallas Mavericks – 8:30 p.m. ET
  • Feb. 14, 2017 – Toronto Raptors at Chicago Bulls – 8:00 p.m. ET
  • Feb. 23, 2017 – Portland Trail Blazers at Orlando Magic – 7:00 p.m. ET
  • Feb. 28, 2017 – Utah Jazz at Oklahoma City Thunder – 8:00 p.m. ET
  • March 7, 2017 – Washington Wizards at Phoenix Suns – 9:00 p.m. ET
  • March 14, 2017 – Philadelphia 76ers at Golden State Warriors – 10:30 p.m. ET
  • March 21, 2017 – Golden State Warriors at Dallas Mavericks – 8:30 p.m. ET
  • March 28, 2017 – Miami Heat at Detroit Pistons – 7:30 p.m. ET
  • April 4, 2017 – Minnesota Timberwolves at Golden State Warriors – 10:30 p.m. ET
  • April 11, 2017 – Charlotte Hornets at Atlanta Hawks – 7:30 p.m. ET

原文へ

(翻訳:Maeda, H

VRヘッドセットに世界標準誕生か?HP, Dell, Lenovo, Asus, AcerがMicrosoftと提携で共通規格製品を作る

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Microsoftは今(米国時間10/26)、ニューヨークで報道陣向けのカンファレンスをやっている。そこで発表されるものには、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)など、3Dと、ありとあらゆる‘現実’(realities)ものが多い。同社はその積極姿勢の一環として、PCメーカー5社とのパートナーシップにより、Windows 10の次のアップデートに間に合うべく、各社にVRヘッドセットを新発売してもらうことになった。

Microsoftの発表によると、HP, Dell, Lenovo, Asus, Acerの5社が全員、有線方式で6軸方向(前、後、上、下、左、右)の自由度センサーのある、PC用VRヘッドセットを作る。外付けセンサーが要らないし、HTC Viveのように大きな部屋も要らない。そしてお値段は、299ドルからだ。

これで、この規格のVRヘッドセットがたちまち市場でコモディティーになりそうだから、OculusやHTCなども急いでOEMの一員になるだろう。仮想現実の市場全体に、やっと、大きな突破口が見えてきた、とも言える。

Windows 10のCreators Updateはリリースが来春だから、ヘッドセットは年初から出回るだろう。Windows 10のアプリケーションのVR化デモも、今日行われた。仮想空間の中の壁にアプリケーションが投射され、それと対話できる。

しかもMicrosoftにはHoloLensという3D ARの伝家の宝刀があるから、VRが作る仮想の3Dオブジェクトやアニメーションなどを、現実世界の上にARすることもできるのだ。同社は、HoloLensの中でMicrosoft Edgeを動かす、というデモをやった。

このヘッドセットがあれば、たとえばHouzzの3Dオブジェクトを自分のリビングルームで見ることができる。自分の部屋にARで家具などを置いてみる、というやり方はすでにスマートフォンではふつうだが、そのARがHoloLensになれば、もっとすてきだろう(下図)。

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Microsoftが今日紹介したHoloTourアプリケーションは、名前はダサいけど、VRヘッドセットを有効に使える例だ。Google Cardboardのアプリケーションにも似たようなのがあったと思うが、世界中を旅して、有名なモニュメント(自由の女神、モアイ像、奈良の大仏、…)をその真ん前で見られる、という仮想体験だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

3Dツールが主役、Windows 10 Creators Updateは2017年春ローンチ予定

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告知の通り、今朝の発表はWindows 10が主役だった。Microsoftは、本日のカンファレンスをアートに焦点を当てたOSのアップデート内容の発表から始めた。来年の春、無料でアップグレードを提供する予定の「Windows Creators Update」は、3Dのためのツールを一式用意している。Microsoftの拡張現実、仮想現実分野への積極的な取り組みを表しているアップグレード内容だ。

「みんなの3D」や「人類の発展は人々のクリエイティビティが支えている」といったMicrosoftの大胆な宣言と共に発表が始まった。今回のアップデートは、Microsoft Paintの新バージョンを軸に構築しているようだ。数週間前、Microsoft Paintについてのリークがあったが、今回往年のシンプルなPaintの基本ツールに、Microsoftが提供するHoloLensやMinecraftとの親和性を考えた、作品に奥行きを持たせる新機能が加わった。

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その名も「Paint 3D」といたってシンプルだ。ユーザーは、ボタン1つでお絵描きを3Dにすることができる。Paintの期待を裏切らず、誰でもシンプルに使うことができる。しかし、同時に驚異的だ(少なくともデモは)。2Dで落書きした雲が3Dの落書きした雲になる。スタンプツールでは、3D作品に2Dの模様をスタンプしていくことができる。また、Microsoftが3Dモデリングのソフトウェア企業SketchUpとパートナーシップを締結したおかげで、ユーザーはSketchUpにある3D素材を使って作品を作ることができる。作り終わったらコミュニティーと共有したり、ソーシャルに投稿したりすることができる。

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また、イベントではWindows Capture 3Dの発表があった。これはモバイル端末で3Dスキャンするためのアプリで、ユーザーはスキャンしたい物の周りを歩いて、3D撮影をする。ステージでは砂のお城の模型で実演していた。デモでは、Windowsのモバイル端末(HP Elite X3)を使っていたが、Microsoftは将来的に「どのモバイル端末」でも使用できるように展開すると素早く付け加えた。Microsoftのモバイル端末は、残念ながら十分にユビキトスではないからだろう。

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Microsoftは、これは3D分野における取り組みの始まりに過ぎないという。Paintの他にも広く利用されているプログラムに3D機能を加える予定だ。追加するプログラムで最も上にあるのは、パワーポイントだ。ユーザーはMicrosoftのスライド作成アプリに3D画像を取り込んでスライドを制作したり、2Dだとうまく配置して見せることができない物でもきれいに提示できるようになるという。

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もちろん、MicrosoftにとってHoloLensの役割も重要だ。Microsoftは、Paintで制作した作品をEdgeブラウザにインポートして、HoloLens端末で観れる様子を実演した。ヘッドセットは他にも日々の生活の中でも機能的に利用できるようになるという。例えば、インテリアのデコレーションであれば、椅子を部屋に配置して、その様子を見ることができる。OclusやViveといったVRヘッドセットで見たサードパーティーのデモにあるものと似ていた。

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Microsoftはジェネリックな無名のVRヘッドセットでも、旅行ツアーのデモを行った。MicrosoftはWindows 10のアップデートの展開とともに、HP、Dell、Lenovo、Asus、Acerといった複数のハードウェアメーカーとパートナーシップを組んだことを発表した。OculusやHTCといったヘッドセットよりお手ごろ価格のヘッドセットを提供したい考えだ。価格は299ドルからを想定している。

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ゲームもMicrosoftにとって重要分野だ。Creators Updateにはゲームプレイのライブ配信機能が直接組み込まれている。コメントしたり、プレイヤー間でインタラクションしたりすることが可能で、数ヶ月前にBeamを買収した大きな理由はこの機能の実装のためだろう。ユーザーは他にも独自のトーナメントを作成することができる。イベント、ゲームモード、時間などを設定し、XBox Live経由で友人を招待することが可能だ。

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Windows 10 Creators Updateにとってコンテンツが共有できることの価値も大きい。新しい「My People」機能では、親しい人の連絡先をツールバーに表示し、ドラッグ&ドロップするだけでコンテンツをとシェアすることができる。まずはSkype、メール、Xbox経由でシェアができるという。

初期段階の「世界最大のコラボレーティブ・ソフトウェア・プロジェクト」は、今週からWindows Insiderでローンチする予定だ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

建築デザイン向けのVRツールを開発するIrisVRが800万ドルを調達

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ニューヨークを拠点とするIrisVRがシリーズAで800万ドルを調達したことを発表した。

同社は建築デザイン業界向けのVRツールを開発する企業だ。同社が開発するIris Prospectは、3Dの建築モデルや設計図を仮想現実化するツールだ。そして、Oculus RiftやHTC Vive、GearVR、CardboardなどのVRデバイスを使うことでその建築モデルに入り込むことができる。IrisVRはIris Scopeというツールも開発している。これはパノラマ写真を仮想現実化して、それをスマートフォンで楽しむことができるというツールだ。

同社のプロダクトは現在βテスト中であり、年末には正式版がリリースされる予定だ。IrisVRによれば、同社のプロダクトは正式リリース前にも関わらず、すでに108ヵ国でダウンロードされているという。

本ラウンドのリード投資家はEmergence Capitalで、そこでジェネラル・パートナーを務めるKevin SpainがIrisVRの取締役に就任している。今回のシリーズAにはこの他にも、Indicator Ventures、Pritzker Group Venture Capital、Valar Ventures、Azure Capital Partners、Locke Mountain Ventures、Morning Groupも参加している。今回のラウンドを含め、IrisVRはこれまでに合計で1000万ドルを調達している。

CEOのShane Scrantonは資金調達を伝えるプレスリリースのなかで、IrisVRは新しいテクノロジーによって建築デザイン業界を変えると語る。「この業界を変えるようなVRアプリケーションが誕生しており、IrisVRのプロダクトもその1つです」とScrantonは話す。「単純に言えば、この業界におけるコミュニケーションの全体像を作り変えようとしているのです。建築デザイン分野で働く人々にとって、プロジェクトの見た目はとても重要です。IrisVRはその見た目に命を吹き込むのです」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter