10年後に放射線科医は不要に、サン・マイクロシステムズ共同創業者語る

AIが医療業界に及ぼす影響の可能性について長年発言してきたことを強調するように、シリコンバレーの伝説的投資家でサン・マイクロシステムズ(Sun Microsystems)のファウンダーであるVinod Khosla(ビノッド・コースラ)氏は、「10年後に医療行為を行おうとする放射線科医は、毎日患者を死なせることになるだろう」と語った。なぜなら人工知能を用いたソリューションが進歩して、人間の専門医よりはるかに効果的になるからだ。

米国時間6月12日にカナダのトロントで行われたCreative Destruction Labが主催するSuper Sessionの閉会基調講演で同氏は「放射線医師はもうおしまいだ」とも話し、「仕事であるべきではない」と言い切った。10年後にAIベースの診断技術が進歩すれば、専門医が診断することが患者に死をもたらすようになると語った。

この姿勢は同氏が2017年からこの件について言い続けてきた内容と一致している。当時彼は、ある種の医者は5年以内に「時代遅れ」になるという彼の考えを述べた(その後に期間は延びたようだが、後に同氏は「機械のほうが優れていることを業界や世間が受け入れるまでの時間を含めたためだ」と説明した)。コースラ氏は、腫瘍専門医も分野に特化したちAIソリューションにいずれ抜かされると信じているが、おそらくもう少し時間がかかり15年くらい先になるだろうと付け加えた。

代わりに、人間の一般開業医の価値が高くなりAIソリューションと共存することによって、現在高度なスキルが必要とされている専門的な医療分野で力を発揮できるようになると彼は信じている。このことは、狭い範囲に焦点を絞ったAIのほうが一般的な話題を取り上げる人工知能よりも実現しやすいという一般論とも一致している。

さらに同氏は、腫瘍学は工場労働者の仕事よりも「ずっと自動化しやすい」とも指摘する。なぜなら工場労働者の仕事のほうが「ずっと次元が多い」からだ。

コースラ氏は、社交辞令はもうやめた、なぜなら放射線医学の特定分野では、10年のうちに人間のほうが人工知能より危険になると私は信じているからだと語り、発言に重さを強調した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

10年後の人間は既製の音楽を聴いていない、米国の著名ベンチャーキャピタリスト語る

人工知能やマシンインテリジェンスがもたらす未来の世界像は、人によっては遊園地の鏡の世界以上に奇妙奇天烈だ。それも、ときには極めて本質的な意味で。米国時間6月12日に行われたCreative Destruction Labの今年で二度目のSuper Sessionイベントで、ベンチャーキャピタリストのVinod Khosla氏はこう述べた。「今から10年後には、誰も音楽を聴かなくなってるね。本気でそう思うよ」。

彼によれば、そのころにはわれわれは、それぞれの個人のために自動的にデザインされ、各人の脳や音の好みやニーズに合わせて作られたカスタムソングのようなものを聴いている。

Khoslaの説では、AIが作る音楽はすでに大きく進歩している。とくに最近の2年間での進歩が大きい。ジャーナリストのStuart Dredge氏が最近、Mediumにそう書いている。

Dredge氏が指摘するのは、最近顕著なトレンドのひとつがSpotifyやYouTubeのチャネルに見られるような、ムードやアクティビティに合わせたプレイリストであることだ。今とても多いそういうものの上では、アーティストやアルバム、曲などの名前はどうでもよくて、まったく表示されないこともある。また言うまでもなく、Spotifyなどのビジネスにとってはライセンス費用の要らないマシンメイドの音楽のほうがありがたい。顧客に音楽を提供するサービスから得られる利益が、ほとんどまるまる自分たち企業のものになる。

しかしAIが作った曲がヒットチャートのトップになったり、AIが一般的なムードミュージックを作れるという話と、各個人専用のカスタムメイドのサウンドトラックという話を同じレベルには置けない。みんなの音楽だった音楽をリプレースする聴取体験が個人ごとにユニークな音になるという今回の話は、音楽の共有的共同体的側面はどうなるのだという疑問を無視している。答えは10年後にわかるだろう。

画像クレジット: Simon Hayhurst/Flickr, CC BY-ND 2.0のライセンスによる

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXが3月に使用したFalcon 9の再打ち上げと回収に成功

米国時間6月12日、SpaceX(スペースX)によるカリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地からの打ち上げが実施され、カナダ政府による観測衛星コンステレーション「RADARSAT」を構成する3基の人工衛星を打ち上げた。

今回の打ち上げで利用されたFalcon 9の第1段は、わずか数カ月前の3月に、スペースXのCrew Dragon宇宙船の無人テスト打ち上げで使用されたものだ。第1段は整備されれた後に再打ち上げされ、スペースXの再使用可能なロケットの飛行間隔を短くするという目標にさらに一歩近づいた。

なお、ロケットの第1段はヴァンデンバーグのLZ-4着陸地点へと降下し、回収されている。今回SpaceXは、より大きなFalcon Heavyを打ち上げた時に最大3基のブースターを同時に着陸させる能力を実証した。

SpaceXのロケットは3基のペイロードを目標軌道へと分離しており、ミッションの成否については今後記事をアップデートする予定だ。

SpaceXXの次の打ち上げは6月24日に予定されているFalcon Heavyのミッションで、これは3回目のFalcon Heavyの打ち上げかつ米空軍のミッションだ。ペイロードとしては複数の小型実験衛星を含む米空軍のSpace Test Program Flight 2と、NASAの研究プロジェクトが含まれる。

アップデート:3基の人工衛星の投入はすべて成功した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

今アメリカ全国でテスト走行している自動運転車は1400台あまりで80社以上の企業が関与

今日(米国時間6/11)ワシントン,D.C.で行われたUber Elevate Summitで、米運輸省長官Elaine Chao氏が、アメリカの路上で現在行われている自動運転車のテストに関する数字をいくつかシェアした。それによると、現在テスト中の自動運転車やトラックなどの車両の総台数は1400台あまりで、その企業数は80社以上、D.C.を含めて37の州でテストは行われている。

これにより現在アメリカでテストされ開発されている自動運転車の全体的な概要と規模が分かる。関連して、公道で自動運転車のテストを開始した最初の州のひとつであるカリフォルニアでは、現在62社がテストの実行を登録している。上でChao長官が挙げた80社あまりに対して62社だから、相当な数だ。

Chao長官はドローンの数字も挙げたが、それによると、現在アメリカで登録されているドローンの機数は159万機あまりであり、内37万2000以上が商用として登録されている。さらにそのうち13万6000機は、登録者が商用のドローンオペレーターであり、Chao長官はこれに関し、アメリカに新しい職種が生まれた、と言った。

スピーチの後半で長官が強調したのは、現在彼女が統轄している運輸省とその執行部は、「テクノロジーに関して中立的で命令や支配をしない」ことだ。また同省は、「勝者と敗者を決めるような行政はしない」。今回D.C.に集まったオーディエンスはほとんど民間部門の人たちだから、彼女の言葉を聞いて喜んだことだろう。

Chao長官の下で米運輸省が導入し、つねに改良に努めているガイドラインやルール、そして各種事業はもっぱら業界寄りであり、業界にとっての障害物を取り除くという姿勢だ。その姿勢は、自動運転技術やドローンの運用、そして宇宙船の打ち上げ能力への商用アクセスにも及んでいる。しかし最近Chao長官は、彼女のそのような姿勢がもたらす利害の衝突の可能性に関して批判されている。

画像クレジット: Ford

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自動運転車にアップグレードできない化石燃料車を買うことは経済的狂気とイーロン・マスクは主張

火曜日(米国時間6/11)に行われたTesla(テスラ)の今年の株主総会で、CEOのイーロン・マスク氏(Elon Musk)は従来の化石燃料車を歯に衣を着せずこき下ろした。彼は、電動車でない全自動運転対応車を買うことは「経済的に正気じゃない」と言った。その主張は、テスラがこれから売ろうとしている車の擁護でもある。

マスクは前にも、2016年10月以降に生産されたテスラ車はすべて、そのままで完全な自動運転車になれる、今年の自動運転車用車載コンピューター以前のものはコンピューターを交換するだけだ、と言っている。そのコンピューターは、これまでのNvidiaのチップに代わって登場したテスラ製のチップだ。

彼はまた数か月前にも、来年は100万台のロボタクシーが公道を走っている、と主張した。2016年10月から今日までに売れたテスラ車、Model X、Model S、Model 3がすべて含まれるならそれは不可能な台数ではない、と彼は言った。

自動運転に関するテスラの進捗に関してマスク氏は、年末までには運転者の監視を要する自動運転車、自宅のガレージから職場まで介入を要しない車を発売できる、と言った。そして来年の目標は、監視の要らない自動運転車、さらにその後は規制当局との協力を前提として、運転席に人間がいない完全自動車を発売できるという。

マスク氏は、漫画のような比喩でこの話を締めくくった。いまどき、今後自動運転車に換えることのできない車、しかも従来的な化石燃料車を買うことは、「馬に乗って折りたたみ式携帯電話を使ってる」ようなものだ、と。

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NASAの月着陸船「スヌーピー」が宇宙に捨てられた50年後に発見か

NASAが1969年に月面着陸に成功する前には、数多くの調査ミッションが行われた。アポロ10号もその1つであり、実際の着陸を除くあらゆる模擬ミッションが実施された。宇宙飛行士のトーマス・スタッフォード氏とユージン・サーナン氏はアポロ10号ミッションで、NASAが「スヌーピー」というニックネームを付けた月着陸船で月面直前まで接近し、任務完了後に着陸船を宇宙に放った。

スヌーピーを地球に戻す意図はなかった。飛行士たちが作業を終えて宇宙船の司令室に戻ったあと、月着陸船は太陽を回る月よりも遠い軌道に送り出され、NASAがその軌跡を追うことはなかった。スヌーピーを発見するプロジェクトは、Nick Howes氏率いる英国のアマチュアたちのグループによって2011年に始められた。現在同グループは「98%の確度で」位置を確認したと主張しているとSky Newsが伝えている。さらにHowes氏は、もし位置が特定できればElon Musk氏のような人物が回収して重要文化遺産とし保存できるかもしれないと思いを巡らしている。

アポロ10号はNASAのアポロ計画で4番目の有人ミッションで、月着陸船を月面から8.5マイル(13.7km)以内まで飛ばす計画があった。テストは着陸船が最終着陸シークエンスでパワードディセント(ロケット推進力を利用した下降)を実行する直前まで行われた。「ピーナッツ」のテーマに合わせて、同ミッションの司令室は「チャーリー・ブラウン」と呼ばれた。

注目すべきは、このミッションに使用された燃料タンクには月面から戻ってくるための燃料が入っていなかったことだ。これは、テスト飛行中の宇宙飛行士が、アポロ11号のニール・アームストロング氏とバズ・オルドリン氏に先んじて、最初に月面を歩いた人類になろうとした場合に備えて課せられた意図的な制約だった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ナビアプリのWazeにGoogle アシスタントが統合

Google(グーグル)がWazeを2013年に買収して以来、WazeとGoogle マップの機能がお互いに行き来するようになった。そして米国時間6月10日、WazeにGoogleアシスタントが統合されるアップグレードが発表された。これにより、アプリからスマートボイスアシスタントが利用できるようになる。

WazeアプリのGoogleアシスタントは、音楽やポッドキャストのコントロールといった通常のアシスタント機能を提供する。またそれだけでなく、交通状況をレポートしたり、目的地までの道順にて有料道路を通らないようにしたりといった、Waze特有の機能にもアクセスできる。

グーグルは車載ソフトウェアのAndroid Autoへと、Googleアシスタントのサポートを積極的に展開しており、今年初めには競合相手となるApple(アップル)のCarPlayのGoogleマップにも導入された。WazeにてGoogle アシスタントがネイティブに動作するメリットは多く、特に運転中にはその機能が役立つことだろう。

依然としてWazeはドライバーから最も人気があり、私が遭遇する多くのUberやLyftのドライバーは、Google マップを含む競合製品への優位性をいまだに信じている。

Googleアシスタントは本日から米国にて、Androidスマートフォンへと英語版がロールアウトされる。そして、少しずつその範囲が拡大されることだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルが自動運転スタートアップ「Drive.ai」の買収や人材獲得模索の報道

The Informationの報道によれば、Apple(アップル)はシリコンバレーの自動運転関連のスタートアップこと、Drive.aiの買収を模索している可能性がある。報道によれば、買収交渉は進行しており、また最終的なゴールはDrive.aiの人材、特に自動運転技術のエンジニアをアップルに移籍させることにあるという。

Drive.aiはスタンフォード大学のAI labの精鋭の卒業生によって、2016年に創立された。当初は自動運転システムだけでなく、自動運転者がドライバーや歩行者とより統合できる知的通信システムにも注力していた。

Drive.aiはその後、商用車の改造に重点を置いたビジネスモデルへと移行することでより多くの資金を集め、昨年からは自社の自動運転車両により配車サービスのテストをテキサスのフリスコにて開始した。

The Informationは今年初め、資金調達を継続し独自運営するための選択肢が少ないことから、Drive aiが買い手となる企業を探していることを報じていた。アップルは「Titan」プロジェクトにおいて主導的な幹部が交代するなど、自動運転技術の開発においていささか不確定な経歴がある。同社は現在でも車両の路上テストを実施しているが、計画の全貌は不明だ。

TechCrunchはアップルとDrive.aiにコンタクトをとっており、情報が入り次第アップデートする予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAの火星用ヘリコプターが2020年のミッションに向けて最終テストへ

NASAの火星用ヘリコプターであるMars Helicopterは、この赤い惑星を探検する未来の人類にとっても重要な実験だ。それはNASAの2020年の火星ミッションに積載され、地球以外の大気における大気よりも重い重量物の飛行試験に向かう。最後の一連のテストに合格した同機は今、2020年7月の火星打ち上げを目指して最後の準備作業に入っている。

この重量4ポンド(約1.8kg)で自動操縦のテスト用ヘリコプターは、火星探査車Mars 2020に乗って火星まで運ばれ、地球からの数か月に及ぶ長旅を経て、予定では2021年2月18日に、探査車が火星のジェゼロ・クレータ(Jezero Crater)に着地した後に展開される。ヘリコプターはカメラを搭載し、電源としてソーラーパネルがある。今回はそのほかのセンサーや科学的機器類はいっさいなく、火星で果たしてドローンを飛ばせるか?という唯一の疑問に答えることだけを目的とする。将来の実験では、地上車である探査車にはできなかったデータを集めるためにセンサーが載ったりするだろう。

これまでMars Helicopterは、打ち上げと着地をシミュレートする激しい振動環境や、火星の表面のような過酷な温度条件、そして電気系統と機械系統の完成度をテストされてきた。現在はソーラーパネルも取り付けられ、ローターの試運転も経て、あとは現実に近い条件での最終的なストレステストが残っているだけだ。

NASAのMars 2020ミッションは最短でも1火星年、地球上の687日間行われ、新設計のコンパクトカーサイズの探査車には、火星の表面よりも下の岩石や土を採取する新しいコアサンプリング(円柱状標本採取)ドリルが搭載される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google Stadiaのパフォーマンスはインターネット接続のスピードでどう違う?

ゲームプレイを双方向ストリーミングで提供するGoogleのクラウドサービスStadiaは、米国時間6月6日のローンチに際してさまざまな情報や資料が提供された。バイスプレジデントのPhil Harrison氏が提供してくれたのは、ユーザーのインターネット接続のクオリティの違いによる、このサービスのパフォーマンスの違いに関するデータだ。そのトップにあるのは、4Kの解像度+HDRのカラー+60fpsのフレームレート+5.1サラウンドサウンドで、このクォリティを得るためには少なくとも35Mbpsの接続が必要だ。

4KでなくHD1080pでよければ、HDR+60fps+5.1サラウンドのままで20Mbpsもあれば十分だ。そしてGoogleはストリームの円滑性の最適化を60ftpの前提でずっと下のほう、10Mbpsからさらにその下まで行っている。そのレベルではストリームの解像度は720pとなり、サウンドはサラウンドではなくステレオになる。

Harrison氏は「Staidaではゲームを誰でも楽しめるようにしたかった」という。誰でもというのは、インターネットの接続のスピードだけでなく、使えるデバイスのこともある。今回のローンチの時点でStadiaは、テレビ(+Chromecast Ultra)、デスクトップ、ラップトップ、タブレット(+ブラウザー)、スマートフォンで使えるが、最後のスマートフォンは当面、Pixel 3とPixel 3aのみ(+Stadiaアプリ)のみだ。

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Uber Copterはハイエンドユーザー向けのヘリコプターサービス

Uberはヘリコプター運航サービスを同社のヘビーユーザー向けに提供する。米国時間6月6日に発表された新サービスのUber Copterは、マンハッタン南部からJFK空港までオンデマンドで運行し、料金は1人あたり平均200~225ドル。料金には出発および到着ヘリポートまで送迎も含まれる。

航空運賃のほかに200ドルのヘリコプターというのは万人向けサービスなのか?もちろん違う。もっとも、料金予測サイトによると同じ区間のUber乗車料金は70ドルから90ドルで、需要によってはさらに高くなるということなので、途方もない金額というわけでもない。

加えて、これは誰もが利用できるサービスではない。使えるのはUberリワードプログラムのプラチナまたはダイヤモンドのメンバーのみ。つまりこのヘリサービスを利用する資格を得るだけにも、すでに多額の現金を落としていなければならない。有資格者はオンデマンドあるいは利用の最大5日前に予約できる。1台のヘリコプターには5人まで搭乗できる。

搭乗場所はスタテンアイランドフェリーターミナル近くの小さな市営ヘリポートで、JFK空港では着陸地点から各自の出発ターミナルまで車で送ってもらえる(到着便の場合はその逆)。

ニューヨーク市内のヘリコプター運航に対する都市住民の反発がある中、さらには同社のIPOを巡って同市でUberのストライキがあった直後であることを考えると、富裕層向けヘリコプターサービスの提供というのは、評判管理の観点からみて論理的な行動とは必ずしも言えない。しかしUberは輸送に関わる需要といえばどんなものでも探求する会社であり、実際人々がニューヨークの交通渋滞を忌み嫌っていることも確かだ。頻繁に移動する人たちにとっては特にそうだ。

ヘリコプター飛行に興味のある人のために書いておくと、運航開始は7月9日だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Virgin Orbitは2020年までに英国で衛星打ち上げを実施へ

リチャード・ブランソンが手がける宇宙開発企業の1つは、英国のコーンウォールの新しいVirgin Spaceportからの人工衛星の打ち上げを目指している。これは英国宇宙局との合意のもと、780万ポンド(約11億円)にて施設を開発するというプロジェクトだ。

プロジェクトのゴールは、2020年の早い時期にスペースポートを稼働させることで、これはそれほど遠い時期ではない。ブログ投稿によれば、ブランソン氏はコーンウォールへの個人的な愛着と、建設地点の選定における正当性の一部としてのその地での冒険を説明している。

なおヴァージングループの宇宙開発事業を整理すると、まずVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)はカスタムしたボーイング747からの小型人工衛星の打ち上げを目指している。これは航空機を利用することで、3万フィート(約9.1km)から人工衛星を搭載し打ち上げられる2段式ロケット「LauncherOne」の打ち上げコストを下げるのが狙いだ。

ヴァージンは現在ニューメキシコにスペースポートを所有しており、Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)のスペースプレーン(母艦のWhiteKnightTwoから打ち上げられる、再使用可能な宇宙旅行用のSpaceShipTwo)が、カリフォルニアから同施設へと運用を移動させている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleのストリートビュー撮影車が集めた大気質データを研究者に一般公開

Googleは近年、ストリートビューを撮影する車に街路の大気質を測定させている。Googleが「Project Air View」と呼んでいるこのプロジェクトのデータを、米国時間6月5日から科学者や研究団体が利用できるようになる。同社が今日リリースする大気質データセットのアップデートバージョンには、2017年から2018年までにパートナーのAclimaの環境センサーが集めた情報がある。

それと一緒に提供されるデータキャッシュには、サンフランシスコ湾からサン・ウォーキン・バレーにかけての、2016年以降の情報と、それらの地域を含むカリフォルニアのほかの部分、およびヒューストンやソルトレイクシティ、コペンハーゲン、ロンドン、アムステルダムなど主要都市の2年分のデータがある。

全体として、Googleマップスのスタッフが集めた大気質データセットは、2016年から2018年にかけての14万マイル(22万5000km)の街路と総計7000時間の走行時間をカバーしている。大気質の経時変化を追うには十分な量のデータであり、Googleはこの事業の対象地域を今後はアジア、アフリカ、そして南米にも拡大していく意向だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

都市インフラを自律的に構築するMITのロボットボート

MITの研究者たちは、新しい自律型ロボットのボートのプロトタイプを作成した。嬉しいことに、その名は「Roboats」(ロボート)だ。これらはボルトロンスタイル(日本では「百獣王ゴライオン」というアニメだった)のように、お互いに組み合わされて新しい構造を作り上げることができる。

新しい構造としてはより大きな船になることもできるが、MITはもう少し創造的に考えている。彼らが思い描いているのは、一群のロボットたちがオンデマンドで組み合わされて都市のインフラを生み出すことだ。例えば、コンサートのステージや、歩行者用の橋、さらには屋外マーケットなどが想定されている。

ロボットはもちろん自律的に運行される水上タクシーやフェリーとしても機能することができる。これはアムステルダムのような環境では特に役に立つかもしれない。それこそが、MITのチームがアムステルダムのInstitute for Advanced Metropolitan Solutions(先進メトロポリタンソリューション研究所)と提携した理由だ。センサー、潜行可能エンジン、GPS、カメラ、そして小さなコンピューター頭脳を装備したロボートたちは、現在は、予め決められた道筋をたどることができる。だが新しい3Dプリントされたプロトタイプのテストでは、より多くのことを達成できる自律性のレベルが達成された。

新しいテストでは、カスタムラッチシステムに焦点が当てられた。非常に高い精度のもとに、このラッチシステムは特定の箇所同士をミリメートル単位で接続することができる。相手と正しく接続することを確かにするために、トライ&エラーアルゴリズムに基いた自律的プログラミングが採用されている。MITが採用した、アムステルダムでの最初のユースケースは、夜間のゴミ収集である。住民や店舗のオーナーたちが残したゴミを、素早く簡単に取り除くことができる、運河の小さなはしけとして利用するのだ。

長期的には、どのような追加構成が可能なのかを見極めようとしている。例えば人間を乗せることができるより大きなプラットフォームや、見かけは恐ろしいがラッチ機構を改善する「イカが獲物に巻き付くように鈎をしっかりと掴む、タコのようなゴム製の腕」などだ。

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(翻訳:sako)

iPadをMacの外部モニター/液タブにするアップル純正Sidecarの脅威

Apple(アップル)は、macOS 10.15 Catalinaに新たな機能を導入する。私に限らず、iPadとMacの両方を持っている人なら、誰でもすごいと認めざるを得ないだろう。この「Sidecar」と呼ばれる機能を使えば、iPadをMacのセカンドディスプレイとして利用できる。有線、無線、どちらでも機能する。さらにApple PencilをサポートするiPadなら、間接的にMacでペンシルが使えるようになる。

WWDC 2019のステージを見た範囲で言えば、何かをインストールしたり、設定したりすることなく、そのままで非常にシームレスに動作するようだ。この機能は、一般的なグラフィックタブレットに対応しているMacアプリも、そのままサポートする。つまり、その分野で非常に重要なAdobe Creative Suiteでも使える。

このような機能は、はっきり言って最初にiPadが登場したときから多くの人が求めていたものだ。しかし、Appleはなぜかそれを無視して純正のソフトウェアで実現してこなかったため、いろいろなサードパーティが独自にそのギャップを埋めてきた。最初に登場したのは、元AppleのエンジニアだったRahul Dewan氏によるもの。培った専門知識を生かして作ったiOSアプリ「Duet Display」だ。これも有線でも無線でも利用可能で、iPadやiPhoneをMacのセカンドディスプレイとして使うことができる。ミラーリングや入力デバイスとしての利用もサポートしている。もちろんApple Pencilにも対応する。他にはAstropadも、iPadをMacのディスプレイとして利用でき、アーティスト向けの入力機能も一通り揃えるなど、ほぼ同様のものとなっている。

ワコムも見逃せない。かなり初期のころから、大半の仕事をデジタルでこなす必要があるプロのアーティストやアニメーターが標準的に選択する製品だった。同社のCintiqシリーズは、ディスプレイに直接書き込めるスタイラスをサポートする高品質の描画タブレットを必要としている人にとって、長い間、ほとんど唯一の現実的な選択肢だった。ただし、それらは非常に高価で、デジタルアーティストとして生計を立てているような人だけが、購入を正当化できるほどのものだった。

ワコムは、Cintiq Proシリーズにおける革新を続けていて、最近になって16インチのCintiq Proを発売した。価格も、以前の製品よりもかなり手頃なものになっている。おそらく部分的には、iPadシリーズのApple Pencilサポートが拡大されたことに対抗したものだろう。もちろんAmazonを探せば、もっと低価格の代替品が豊富に販売されている。

しかしSidecarは、こうしたワコムの製品もそうだが、特に先に挙げたサードパーティ製のiPadアプリにとって脅威となる。誰か他の人のエコシステムに依存した製品を作っている限り、残念ながら避けられないリスクだ。

Appleは、自分たちのコアプラットフォームに組み込むにはあまりに些細な機能だと最初のうちは考えていたものを、後になって取り入れることに躊躇しない会社だ。たとえそれが、自らのエコシステムのパートナーが築いた領域に土足で踏み込むことになるとしてもだ。実のところ、間違いなく消費者に価値を提供し、自分が投資したハードウェアの価値を向上させるものだと感じられる場合には、Appleがそうすることを非難するのは難しい。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

中国が海上船からロケットの打ち上げを初実施

中国の国家航天局は米国時間6月6日、黄海上の船に設置された射場からの長征11号ロケットの打ち上げに初めて成功した。中国が海上プラットフォームから宇宙へと向かうロケットを打ち上げたのは今回が初めてで、また商業目的のペイロードを5基、宇宙での研究目的のペイロードを2基搭載していた。


これにより、中国は海上から宇宙にロケットを打ち上げられる国家として、米国やロシアの仲間入りを果たした。このような方式は、ロケット打ち上げにおける不慮の事故の際に、被害を最小限に抑えられる利点がある。また中国は、海上プラットフォームからのロケット打ち上げを独自の技術で実現し、運用した唯一の国だ。以前に米国やロシアが実施した海上からの打ち上げは、ノルウェーやウクライナなど複数国と技術提携したもので、2014年には運用を停止している。

 

本日の打ち上げは、船舶が民間の貨物船であったこと、そしてロケットも中国の高級車ブランドのWEYがスポンサーにつき、かつ名付けにも関わったことから、同国の民間企業との共同事業でもあった。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

主翼にも乗客を載せて燃費を20%向上するジェット機をKLMオランダ航空などが開発中

空の旅は温室効果ガスなど汚染物質総排出量の相当大きな部分を占め、しかも旅客数はここ数十年着実に増えている。航空機からの排出量は2020年以降も大きく増える、と予想されている。電動旅客機が開発途上だが、今の主役であるジェット旅客機を近日中に置換することはありそうもない。そこで、従来型燃料を使う航空機の新しいタイプが今、KLMオランダ航空の支援で研究開発されている。

CNNの報道によると、その新しい航空機の設計はデザイナーのJustus Benadが着想し、オランダのデルフト工科大学の研究者たちが実現のために取り組んでいる。その航空機は、外観がまず独特で(上図)、これまでの筒型の胴体スタイルを捨てて、1/4サイズにカットしたピザのような形、胴体が飛行機の主翼にまで延びたような形をしている。

この、すごく膨らんだ中心部分に旅客と燃料と荷物が乗る。そしてこの荷重分散により、航空機の全体的な空気力学が改善され、構成次第ではほぼ同数の旅客を乗せることのできるAirbus A350に比べて燃費は20%以上良くなる。

20%の燃料節約は大したことない、と思われるかもしれないが、年月とともに数が増えれば、相当な節約量になる。電動航空機など、そのほかの代替航空機への移行が遅れれば、なおさらだ。ただし、今のスケジュールでは実用展開の開始は2040年から2050年にかけて、と言われている。残念ながらそれは、明日ではない。

今主流のジェット旅客機でも、その昔、実用導入までのテストは年月を要するたいへんな仕事だっただろう。でも今回の良いニュースは、スケールモデルによる屋外テスト飛行は年内にも行われる、ということだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAが火星の月探索模擬ミッションで45日間の隔離実験

宇宙は人間には過酷である。慣れていないというだけでなく、ほとんどの人が人生のほとんどを過ごすこの地球と、あまりにもかけ離れているからだ。人間が宇宙で暮らしたり働いたりするとどうなるかを知るために、研究者が多くの実験を重ねているのはそのためだ。たとえば、5月24日に開始された新たな実験では、4人組のクルーが45日間宇宙船に隔離され、生活と仕事をともにした。ただし、この惑星の境界から外に出ることなく。

実際、実験に参加したBarret Schlegelmilch氏、Christian Clark氏、Ana Mosquera氏、およびJulie Mason氏の4人は、ヒューストンのNASAジョンソン宇宙センターから一歩も外にでていない。しかしそこがポイントだ。これは、火星のふたつの月のひとつ、フォボスへ行くミッションをシミュレートした模擬生活・仕事空間なのだ。この実験はNASAが “Human Exploration Research Analog”(人間探査模擬研究)と呼んでいるもので、わざとらしい頭文字のHERAはギリシャの家族の神を意味するが、要するに有人宇宙飛行ミッションのシミュレーションだ。

ちなみに、この実験に参加している「乗組員」たちは実際の宇宙飛行士ではなく、「NASAが宇宙飛行士に選ぶタイプを模倣する」ボランティアであると、人間研究プログラムの模擬飛行プロジェクトマネジャー、Lisa Spence氏が声明で語った。模擬宇宙飛行士たちは、模擬宇宙船ミッション期間中監視され、長期間の隔離ミッションの及ぼす生理的および心理的な影響を研究者が観察する。

このミッションは、研究者が同じ条件で適切なクロスサンプルを得るために行われる4つのキャンペーンのうちの一つであり、このキャンペーンでは特に、乗組員のスペースとプライバシーが制限された環境で生活し仕事をすると何が起きるかを調べ、他の実験セットの場合と比較する。

これは、NASAが2024年まで計画している人類を再び月に送るミッションの前にやっておくべき重要な実験だ。なお、人間的要素と同様に重要である技術面でも最近進展があった

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スペースXのドラゴン補給船がISS補給ミッションから帰還

SpaceX(スペースX)のドラゴン補給船が国際宇宙ステーション(ISS)からの帰還を果たし、民間企業によるISSへの17回目の補給ミッションを完了させた。

Commercial Resupply Services mission 17(CRS-17)は、一度打ち上げを延期した後の最初のバックアップウィンドウにて、米国時間5月4日に打ち上げられた。ドラゴン補給船はISSへと滞在する宇宙飛行士への補給品と、科学実験のための試料を5500ポンド(約2.5トン)搭載していた。

ドラゴン補給船は約1ヶ月間ISSへと係留され、宇宙飛行士は中の貨物を取り出し、そして6月3日に地球大気圏への再突入を開始した。そして同日の午後、太平洋へと着水したのだ。

打ち上げミッションの様子は、下の動画で確認できる。なお動画には、Falcon9ロケットの第1段がドローン船「Of Course I Still Love You」へと着陸する様子を赤外線で捉えたシーンも含まれている。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAのSLSロケットが月探査ミッションのマイルストーンを通過

NASAは、人類を再び月へと送り込むミッションが重要なステップを迎えたことを祝福した。Boeing(ボーイング)によって製造されるスペース・ローンチ・システム(SLS)を推進する最初の大型コアロケットの4分の5が完成したのだ。

実際には、ロケットはまだ完成していない。しかし、2024年にアルテミス計画としてオリオン宇宙船を月に時間どおりに輸送する巨大ロケットを製造するにあたって、重要な一歩を踏み出したことになるのだ。

またこのロケット・ステージが完成した際には、エンジンや燃料タンクを含めてその全長は200フィート(約61メートル)を超えることになる。これは、車を12台縦に並べた長さと同等だとNASAは言及している。そして、NASAにとって人類を月へと送ったサターンVロケットの第1段(140フィート弱:約42メートル)以来で、最も大きなロケットだ。

今後、NASAはSLS機体の他の部分を開発し、ボーイングは第1段の残りを完成させる。2024年は遠いようにも感じられるが、ロケット開発は時間がかかり、また人を乗せるロケットはなおさらなのだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter