ポルシェのEV「Tycan」とテスラ「Model S」をスペックで比較

ポルシェのTycan(タイカン)はテスラを直接狙ったミサイルだ。ドイツ製の電動セダンは、テスラのModel Sと初の本格的戦いをするのに必要なものをすべて備えている。低い空気抵抗を始め、テスラのセダンに欠けている技術の粋を集めた結果、ポルシェはスピードに劣ることなく、スリムなスタイルを提供している。しかしModel Sは長い航続距離をずっと低い価格で実現している。

スペックだけで車の価値を正しく表すことはできないが、スタート地点としては悪くない。以下の表では、Tycanの2つのモデルと、現在販売中のModel Sの2モデルを比較した。

ここではModel Sの主要な機能である自動運転機能は取り上げていない。本稿執筆時点でポルシェはTycanの自動運転機能について、全ポルシェ車が備えている標準的運転支援システム以上のことは明らかにしていない。

【注意】EPA(米環境保護庁)はTycanの公式航続距離をまだ発表していない。現在ポルシェは、新しいヨーロッパの評価システム(WLTP)による279マイル(449km)という数値のみ発表している。EPAは、テストらのModel Sロングレンジの航続距離を370マイル(595km)としている。


出典:Motor Trend

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Acerが約150万円のゲーミングチェアを発表

これはただの椅子ではない。玉座であり、ゲーム業界の怪物だ。Acer(エイサー)のゲーミングチェアことPredator Thronos Air Gaming Chairは1万3999ドル(約150万円)で、マッサージ機能をはじめあらゆる機能を備えている。

Predator Thronos Airは巨大な鋼鉄製の構造物で、ゲーマーに没入的な体験を提供する。3つのモニタ用マウント、位置調整可能なキーボードとマウスのトレイ、フットレスト、複雑な配線を隠すケーブルマネジメントシステムを装備。さらに、カップホルダーやカメラ、ハブなどのアクセサリも用意される。

唯一欠けているのは、ゲーミングPC、モニター、キーボード、そしてあなただ。

これはエイサーの2台目のゲーミングチェアで、オリジナルの価格の半額だ。IFA 2018で発表された3万ドル(約320万円)のPredator Thrones Gaming Chairには、リクライニングモードで装置全体を140度傾けるなど、さらに多くの機能が搭載されている。なお、今回のバージョンでは、715ポンド(約320kg)に対応できる設置場所が必要だ。

この種のゲーム周辺機器は数年前から販売されており、ゲーマーやフライトシミュレーターのプレーヤーにメリットをもたらす。それらの多くはPredator Thronos Airよりも安く手に入るが、Acerよりも印象的な名前を持つものは少ない。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

アウディが量産型EVのE-Tron SUVをリコール、バッテリー発火の恐れ

Audi(アウディ)は米国時間6月10日、バッテリー発火の恐れがあるとして、米国で電気自動車(EV)のE-Tron SUVを自主回収すると発表した。Audiの広報はBloombergに対し、これまでに販売された1644台で発火は報告されていない、と語った。発表にると、ワイヤーハーネスを通じて湿気が電池の中にしみ込むことがわかったとのことだ。これが原因の電池故障が世界で5件報告されている。

E-Tronはアウディ初の大量生産EVだ。ちょうどいま世界中のマーケットで発売されているところで、米国ではこれまでに540台が売れた。

私は昨年E-Tronに試乗したが、自信に満ちた車という印象を受けた。Tesla(テスラ)車ほど速くないが、Audi独自の快適性と、加速性が十分にあるパワートレインを備えている。ただし航続距離は200マイルで、主な競合相手となるテスラのModel Xには及ばない。

リコール対象車のオーナーには補償金800ドルが支払われ、車をショップに預けている間の代車も提供される。

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(翻訳:Mizoguchi)

アップルのCarPlayがアップデート、新しいホーム画面やSiriからの提案を搭載

アップルはWWDCで、CarPlayの登場以来最大のアップデートを発表した。CarPlayは劇的に改善され、これまでのiPhoneを模した画面レイアウトではなく、車内で使うのにずっと適したものになっている。

CarPlay2014年の登場以来、あまり変わっていなかった。CarPlay互換の車は増えたが、ほかの車載システムはアップルが開発したものよりもずっと進化してきた。CarPlayの今回のアップデートは、正しい方向への大きな一歩といえるだろう。

最大の変更点は、CarPlayで表示できる情報量だ。これまでのバージョンのホーム画面にはアプリのアイコンが並んでいるだけで、あまり役に立たなかった。新バージョンでは、ホーム画面にマップ、メディアの再生、車庫のドアやライトといったHomeKitデバイスが表示される。

先月、グーグルはAndroid Autoプラットフォームの大規模アップデートを発表し、CarPlayを大きくリードした。Android Autoは車に適した方法でタスクを処理したりアプリを表示したりすることができる点で、CarPlayとは大きな差があった。しかし新バージョンのCarPlayは、グーグルのシステムが備えている機能の多くに対応したようだ。

新しいCarPlayは、古い車や古いハードウェアで動作するのか。iPhoneのどのモデルで動作するのか。車によって画面の解像度が異なるがどう調整されるのか。このように、今回の発表ではまだ不明点が多い。

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(翻訳:Kaori Koyama)

私のデスクには不釣り合いな600ドルのDyson Lightcycleタスクライト

珍しくもないだろうが、私のデスクはたしかIKEAで購入したものだ。これが私の生活の中心となっている。わざわざ言うほどのことでもないが、デスクの上には食べ残しのクラッカー、メモリカード、モレスキンの手帳、それに数えきれないほどのコーヒーカップが載っている。私は、それほど無精者だとは思っていないが、私はここに住んでいるのだ。そのわりには、デスクの上は片付いているほうだと思う。

Dyson(ダイソン)が、レビュー用として、私に新製品のタスクライトを送ってよこした。すると、私のデスクの上は、急に散らかっているように見えてきた。ライトを組み立てた後、私は周囲を見渡して、自分の人生について見つめ直し、これまでの選択を振り返ってみた。このデスクの上に、こんなに素晴らしいものを置くのなら、もっときれいなスペースを用意しなければならない。そして私は机の上を片付けた。

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レビュー開始

Dyson Lightcycleは、まあ言ってみれば一種のライトだ。部屋を明るくする。しかしダイソン製だけあって、オーバースペックで値段も高い。Lightcycleの価格は600ドル(日本では6万9120円)だ。私は、その価格を正当化するつもりはない。できないのだ。この製品の価格は、その実用性から考えれば何倍にも感じられる。

最初に良い点から

このライトは使える。ボタンを押せば点灯する。上部に触れて指をスライドさせると、明るさと色温度を調整できる。

このライトは、常軌を逸するほどの注意深さで、ディテールにこだわって設計されている。まず完全にバランスが取れている。釣り合い重りの働きにより、ライトは柱に沿って非常にスムーズに上下させることができる。それと同様に、3つの大きなホイールに支えられたアームも、軽い力で前後にスライドする。このようになめらかな動きが、ワイヤーによって実現されているようにはまったく見えない。ワイヤーは完全に本体の中に隠されているからだ。

Dysonのタスクライトは美しい。このライトを見ていると、その巧みな構造に感心しないわけにはいかない。このデザインによって実現される機能は、私のデスクにもぴったりだ。このライトを作業スペースの中央に置くと、長いアームのおかげで、必要なところにはどこにでも光が届く。

光の色温度を調整できるので、どのような状況にでも対応できる。本体の上面には、2本のタッチセンサーのバーがある。このバーの上で指をスライドさせるだけで、明るさを調整したり、色温度を変更したりすることができるのだ。ダイソンは、色温度の調整機能のレベルを次のステージまで高めた。タスクライトは、Bluetoothによってスマホのアプリに接続できる。そうすると、ユーザーのいる地球上の位置に応じて、光の色温度が自動調整される。これは実に巧妙な機能で、精神、身体の両面で、さまざまなメリットがあると言われている。

ダイソンによれば、ヒートパイプを利用した冷却システムのおかげで、このランプのLEDユニットの寿命は60年に達するという。LEDによって発生した熱をユニットから取り除くことにより、可能な限り最長の寿命を実現できたとしている。

そして良くない点

このライトは、600ドル(日本では6万9120円)もする。かなり強気の価格設定だ。市場にはシンプルなタスクランプがいくらでもある。もちろん、Dyson Lightcycleの機能をすべてを備えるようなものはないが、そのすべての機能を必要とする人がどれだけいるのか、という疑問もある。

Lightcycleによって生み出される光は常に適切だ。光の強さは調整可能であり、スーパーチャージモードを使えば、強さを最大の11に設定することさえできる。ただしその機能は、スマホアプリを使わなければ利用できない。私に言わせれば、ライトを明るくしたいときは、すぐに明るくする必要があるのであって、アプリを使って30秒後に明るくできるのでは間に合わないのだ。

Lightcycleの最大のウリは、色温度の自動調整機能だ。これはなかなか優れていて、この機能を使うと、確かに私の目の調子もいいようだ。とはいえ、Lightcycleよりはるかに安くても、理想的な色温度を実現できる製品が、市場にはたくさん出回っているのは確かだ。そうした製品を使ってみれば分かるが、特に冬の間、かなり優れた使い心地を発揮してくれる。

結論

私は、個人がライトに600ドルも出費することを勧めることはできない。その上で言えば、Dyson Lightcycleは持つことの喜びが感じられる製品であり、一生涯、宣伝文句に違わない働きをしてくれるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ローランドの小型レコーダーR-07はスマホアプリよりかなりいい

スマホで何でもできるようになった時代に、なぜ独立したオーディオレコーダーが必要なのか?音響機器メーカーのRoland(ローランド)が、その答えを明らかにしてくれる。

ローランドのR-07ボイスレコーダーは、だいたいオリジナルiPodと同じくらいの大きさ。音楽の録音、練習、そして再生の機能を持つ。2つのマイクを上部に内蔵し、外部マイク用の入力端子も備えている。もちろん、ヘッドフォンジャックも装備し、Bluetoothもサポートしている。

シングルタッチで録音開始できる操作性は斬新だ。電源が入っている状態で、真ん中の赤いボタンを押すだけ。録音はマイクロSDカードに記録される。最高で96kHz/24ビットのWAVファイルとして保存できる。320kbpsのMP3もサポートする。電源はUSB、または単3形電池2本で動作する。

Scene(シーン)モードを使うと、もう少し凝った録音もできる。リミッターとローカットフィルターを内蔵しているので、人の声を明瞭に録音できる。「Music Long」を選択すれば、ファイルサイズを節約して、長時間の演奏の録音が可能になる。

リハーサルモードでは、入力されている音を、オーディオ再生機能を通してライブで確認できる。これは扱い慣れないうちにはありがたい機能だ。

また、無料アプリの「R-07 Remote」を使えばスマホ(iOS/Android)や、Apple Watchから、Bluetooth経由で最大4台のR-07を同時にコントロール可能となっている。例えばバンドのメンバーごと、独立したR-07を使って同時に録音するといったこともできる。

R-07はすでに発売されており、価格は199ドル(日本ではオープン価格で実売は2万5000円前後)という価格は納得できるものだろう。汎用性という点では、例えばZoom H6のように、ステレオマイクと2chのXLR入力を備えた大型のレコーダーにはかなわない。しかし、携帯性と音質、そして音楽に対する親しみ易さを考えると、R-07はボイスメモのようなスマホアプリから乗り換えるには、十分過ぎるものと言えるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Cruiseの自動運転車は対向車を避けて1400回の左折に成功

対向車がある状況での左折(右側通行の場合)は、ロボットにとっても人間にとっても難しい。対向車の進路を横切る際の判断の基準が複雑なだけに、運転の中でも最も難度の高い行動と言える。もちろん自動運転車にとっても最大の課題の1つだ。人間は、対向車の運転者のしぐさなどを観察して、安全な左折のタイミングを計っているのだから、なおさらだ。

ゼネラルモーターズの自動運転車部門であるCruiseは、米国時間の5月23日、24時間で1400回の左折を成功させたというビデオを公開した。そのテストは、サンフランシスコの起伏に富んだ混雑した道路で実施された。ビデオを見ると、自動運転車が注意深く交差点に入り、対向車が通過するの待って左折する様子が捉えられている。場合によっては、車は強気の動きを見せ、間髪を入れずに左折することもある。公開されたビデオに写っているのは4つの例だけだが、Cruiseによれば1400すべての場面を撮影しているという。ビデオには、横断中の歩行者がいる場合の走行場面は写っていない。

「サンフランシスコのように、予測が非常に難しい交通環境では、左折の際の状況は毎回異なっています」と、Cruiseの社長兼CTO、Kyle Vogt氏は発表の文書で述べている。「普通に1400回も安全に左折できたので、エンジニアが分析して学習するための十分なデータを集めることができました。その結果は、他の難しい状況にも対応できるプログラムの開発に役立ちます」。

自動運転車を開発する会社は、実際の走行から収集されたデータを重視することが多い。成功例であっても、失敗例であっても、実際のデータの分析結果が既存のモデルに加味されて、その後の自動運転を改善するのに役立てられる。この場合も、短時間で1400の成功例が得られたことで、Cruiseのエンジニアの仕事は忙しくなるはずだ。

Cruiseは、180台のGeneration 3の車両をカリフォルニア州の公道でテストする認可を得ている。今回のテストを完了するのに、何台の車が必要だったのかは明らかにされていない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

IndiegogoがRedditのアンディー・ヤン氏を新CEOに迎える

Indiegogoは新たな上司を迎えた。退任するDavid Mandelbrot(デヴィッド・マンデルブロ)氏にかわり、Andy Yang(アンディー・ヤン)氏がCEOに就任することになる。同社に近い人物によれば、Indiegogoからは数人が退職するという。どれだけの人員が、どのような理由で退職するのかについてIndiegogoはコメントしていない。

マンデルブロ氏はLinkedinにてこの異動を発表し「個人的な理由」を退職理由に挙げた。彼は2013年8月より、オペレーション部門のシニアバイスプレジデントとして、6年間Indiegogoに在籍した。

一方、ヤン氏はRedditにてプロダクトチームを率いていた。また、彼は500pxのCEOでもあった。

グ氏は、Indiegogoにとって重要な時期にCEOに就任することになる。クラウドファンディングのプロジェクトが支援者をおざなりにすることに、消費者はうんざりしている。マンデルブロ氏は、IndiegogoがGeneral ElectricやLegoを含むいくつかの重要なパートナーを獲得する手助けをした。また、複数の製造業者やマーケティングの専門家の助けを得て、支援者によるプロジェクトの製品化を支援した。

なお、TechCrunchはヤン氏にインタビューを申し込んだが、まだ許可は得られていない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Rivianが電動ピックアップトラック搭載用のキッチンを発表

時にはスクランブルエッグが食べたくなる。そんな発想のもと、新興EVメーカーであるRivian(リヴィアン)は米国時間5月17日、アリゾナ州フラッグスタッフで開催されたオーバーランド・エクスポで、電動ピックアップトラック用のアクセサリーを発表した。キャンパーキッチンだ。このユニットは、Rivian R1Tの荷台部分と運転席の間にあるギアトンネルと呼ばれているところから引き出せるようになっている。キッチンには、ストレージとR1Tの180kWhバッテリーパックから電源をとるコンロが備わっている。

このキッチンは、Rivianが変わったギアトンネルのために発表した記念すべき初のコンセプトだ。このスペースは鍵のかけられる収納場所も提供する。しかし、ギアトンネルが発表されたとき、多くの人が「なぜこんなものを?」と疑問に思った。そしていま、このキッチンユニットでRivianは疑問に答えている。Rivianはこのピックアップトラックをアドオンエコシステムの中心に据えたいようだ。Rivianはすでにラックや車両に載せるタイプのテント、そして運転席ドアのサイドに隠された懐中電灯なども発表している。今後、Rivianがアドベンチャーというブランドイメージを確固たるものにしようと、さらにキャンピングやアウトドアのギアを発表することが予想される。

Rivianはこのトラックを特別なライフスタイルのためのものと位置付けている。Patagonia(パタゴニア)の衣服やRange Rover(レンジ・ローバー)の車両などを考えればわかるように、アウトドア好きの人、少なくともそうしたイメージを欲している人はいる。これは賢明なアプローチで、これまでのところRivianはそうしたイメージそのものだ。広告やソーシャルメディア投稿、そして外観から、Rivianが注意深くブランドイメージを統一しようとしているのは明らかだ。

トラックとSUVは通常、労働者やファミリーをターゲットにしている。テレビコマーシャルでは、埃まみれの男性が干し草の山を運搬したり、女性が食品や日用品を車から降ろし、後尾扉を足で閉めたりしている。しかしRivianはそうではない。

これまでのところRivianはプロダクトを、トレイル走行やキャンプファイヤーの横といったシーンに持ってくるなど、奥地で披露してきた。コマーシャルの登場人物はThe North Faceのジャケットを着て、REIのテントで眠るなどアドベンチャーの最中、という感じだった。今日発表のキッチンがあれば、ピックアップからキッチンを引き出してコーヒーを入れることができる。

Rivianは、コンセプトにすぎない、とTechCrunchに対し語ったものの、本格生産する意向だ。そしてギアトンネル用のユニットは他にも出てきそうだ。私はその一つとして、スライド式の犬を洗って乾かすステーションがあればいいと思う。泥だらけの犬をトラックの中に入れることほど最悪なことはないからだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

ベゾス、Blue Originの月植民計画と着陸船を公開

今日(米国時間5/9)、ホワイトハウスからほど近いワシントンの会場で、Amazonのファウンダー、ジェフ・ベゾスが2024年までに有人月旅行を実現する計画の詳細を発表した。聴衆にはプレス、企業と政府の幹部に加えて大勢の中学生も招かれていた。同時にBlue Moonと呼ばれる月着陸船も公開された。

ベゾスによれば月は資源の宝庫だと言う。ベゾスが私費を投じて運営している宇宙企業、Blue Originは、今年中にNew Shepardロケットで有人宇宙旅行を行う予定だ。

イベントのステージは最初に月を歩いた人間、ニール・アームストロング宇宙飛行士の「人類にとって大きな一歩」という有名な言葉をモチーフにしていた。ここでベゾスは「人口が1兆人に達したとき人類はどこに生存のための資源を求めるべきか?」という非常に深刻な問題に答えようとした(こちらはベゾスの過去のビジョン関係の発言)。

宇宙というユートピアに進出する上で最大のハードルは、巨大通販会社のファウンダーとして熟知している問題、すなわちロジスティクスとインフラのコストを実現可能なレベルに削減する方法だ。

ベゾスは「われわれの世代の役目は宇宙旅行のインフラの構築だ。われわれは宇宙への通路を開かねばならない」と述べた。

アメリカ政府機関と特にNASAの研究によれば宇宙への道は月を経由するという。ベゾスが今日のイベントで月着陸船を披露した)理由の一つはそこにある。

アメリカのペンス副大統領はこの3月、国家宇宙委員会(National Space Council)の総会でNASAに対し、「2024年までにアメリカの有人宇宙船を月周回軌道に乗せ、月の南極に着陸させるためにあらゆる手段を活用する」よう指示した。

南極が目的地として選ばれた理由は氷だ。NASAのジム・ブライデンスタイン長官は「われわれの科学者の調査によれば、4.5億トンの氷が月の南極に存在する」と述べている。

月の自転軸の傾きにより南極には太陽の光が射さない極めて低温の場所がある。南極のクレーター中に摂氏マイナス160度という低温により蒸発を免れた大量の氷が埋まっているとNASAの科学者は推定している。氷はロケットの推進剤に利用することができる。

マイク・ペンス副大統領は3月の国家宇宙委員会総会で大統領のコミットメントが裏付けだとしてこう述べた。

今世紀、われわれは新たな野心を抱いて月に戻る。単にそこに行くだけではなく、永久に日照のない南極のクレーターの底の氷から原子力によって水をつくり、酸素や宇宙ロケットの推進剤を得る。そうした補給があればわれわれの宇宙船は数年ではなく数ヶ月で火星に到達できるだろう。

Y Combinatorが支援するスタートアップ、Momentusは水を推進剤とするロケットを建造中だ。このロケットは原子炉から得られた電力で水を加熱し、水プラズマによって推進力を得る。

しかしこれまでNASAの有人宇宙プロジェクトは予算の削減などにより遅延を重ねてきた。月に戻るというのは非常に高価な事業となる。NASAもアメリカ政府も推定金額がどれほどになるか明らかにしていない。(略)

「アメリカは月に戻る」というのは2017年にトランプ大統領が署名した宇宙政策指令1号(Space Policy Directive 1)に基づくものだが、NASA のプランの具体的内容は不明だ。

これがBlue Originが重要な役割を担って登場した背景だ。

今日披露されたBlue Moon月着陸船に加えて、Blue Originは2種類の宇宙ロケットを開発している。New Shepardロケットは低軌道を短時間飛行して宇宙飛行に関するテクノロジーやノウハウの収集を行うことを目的としている。ペイロードを地球周回軌道に打ち上げるのはNew Glennロケットの任務だ。 2021に最初の打ち上げが予定されており、45トンのペイロードを地球周回低軌道に投入できる。ロケットはどちらも垂直着陸によって回収され、複数回利用される。

先週、Blue OriginのNew Shepardは低軌道を弾道飛行して各種の実験を行うことに成功している。これは11回目のミッショだった。New Shepardは成層圏と宇宙の境界である高度100キロメートルまで上昇してカプセルを切り離した後、逆噴射と垂直着陸によって回収された。カプセルは慣性で上昇を続け、こちらはパラシュートによって無事回収された。

ベゾスはこのカプセルを一般人向け宇宙観光旅行にも利用する計画で、昨年のReutersの記事によれば、チケットは20万ドルから30万ドル程度だという。

一方、イーロン・マスクのSpaceXはこれとは異なるアプローチを採用してきた。SpaceXは大型ロケットを開発し、さらに超大型ロケットの開発に進んでいる。同社として「最新、最大のロケット、Falcon Heavyは63.8トンのペイロードを地球周回軌道に投入できるSpaceXではさらに惑星間飛行を視野に入れた次世代宇宙船、Starshipを開発中だ。こちらは100トンのペイロードを低軌道に乗せることができるという。Starshipの最初の打ち上げは2020年に予定されている。.

これ以外にも活動中の民間宇宙企業は数多い。スタートアップとしてはリチャード・ブランソンのVirgin Galacticを始め、Rocket Lab、Vectorなどが打ち上げプラットフォームの開発に取り組んでいる。スタートアップは現在の衛星打ち上げ事業の主流となっているロシアのソユーズ、アメリカのロッキード・マーティンとボーイングの合弁企業ULA、EUのアリアンスペースといった巨大企業のロケットと競争しなければならない。またロケット以外にも衛星、着陸船、制御システムなどの重要部分を開発、製造するスタートアップも多数現れている。

ベゾスはイベントで「月に戻るときが来た。単に旅行するのではなく、われわれはそこに留まるのだ」と宣言した。

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滑川海彦@Facebook

マーシャルがレトロ風ポータブルスピーカーを2機種発表

スピーカーではなくヘッドホンを製造している方のMarshall(マーシャル)は、米国時間5月6日に2機種のポータブルスピーカーを発表した。以前の製品と同じく、これらのスピーカーはレトロな雰囲気を漂わせている。

2個のスピーカー「Stockwell II」「Tufton」は既存機種の「Kilburn II」に加わるが、他のMarshallのスピーカーとは異なり、上下問わずの縦置きや内蔵バッテリー駆動、頑丈な筐体を備えたポータブルモデルとして位置づけられている。

大型のTuftonは、バッテリー駆動時でもクリアで力強い音を奏でる。重量を考えると正直あちこち持ち運びたくなるスピーカーではないが、筐体はIPX4の耐水性を備えているので、ほとんどの天候に対応できる。なお、バッテリー駆動時間は最大6時間とのこと。

Stockwell IIはずっと小さいモデルだ。iPad miniとほぼ同じサイズのこのスピーカーは、電話帳ほどの厚さとなっている。バッテリー駆動時間は最大4時間で、本体は頑丈かつIPX2の耐水性能を実現。パーソナルスピーカーとしては最適だが、Tuftonほど豊かなサウンドではない。

残念ながら、これらのスピーカーはGoogle アシスタントやAmazonのAlexaに対応していない。再生には3.5mmジャックで接続するか、Bluetoothを利用する必要がある。

私はMarshallのスピーカーのファンで、個人的な感想としては、そのサウンドとクラシカルなデザインは素晴らしいバランスを実現している。この2つのスピーカーも、Marshallの名にふさわしい製品だ。ただし、携帯性を実現することは高くついたようで、Stockwell IIは249ドル(約2万7000円)、Tuftonは399ドル(約4万4000円)で販売されることになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Motorola Razrが縦に折り畳みで復活か?

MotorolaのRazrは上のスクリーンショットのようなデザインで近くリバイバルするかもしれない。Weibo他のオンラインに新しいRazrのものだとするリーク画像が流れて注目を集めている。ディスプレイはGalaxy Foldとは逆に縦に畳む方式で、オリジナルのRazrにたいへんよく似た外観となっている。

折り畳みテクノロジーのユースケースとしては他のデザインより納得性が高い。Galaxy Foldなどは「広げるとタブレットになるスマートフォン」であるのに対して、Motorolaのデザインは「広げるとスマートフォンになるコンパクトなデバイス」を目指しているようだ。

価格については依然として不明だが、ウォールストリートジャーナルは「市販される場合、1500ドル前後になるだろう」と観測していた。 つまりこのデザインで実際の製品としてリリースされるかどうかはまだ分からない。.

折りたたみディスプレイはサムスンのGalaxy Foldがパイオニアだった。市販に先立ってジャーナリストにテスト機が配られたが、一部はわずか数日で不具合を生じてしまった。Samsungは初期ロットの不良を確認し出荷をキャンセルした。

リーク画像が流れた後もMotorolaはリリースに関する情報を発表していない。サムスンのトラブルを考えると、Motorolaが実機の出荷に関して慎重な姿勢を取っているのは理解できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

「ライダーに依存する自動運転車に未来はない」とイーロン・マスクが主張

米国時間4月22日にTesla(テスラ)が初めて行った株主のためのイベント「Autonomy Day」で、イーロン・マスクCEOは記者からの質問にも答えたが、時間がなくてライダー(lidar)に関する質問には十分に答えられなかった。以前から彼はこの技術関して声高に述べることが多かったが、その中でも今回はいちばん明快だった。

彼はこう言う。「ライダーは無駄な努力だ。ライダーに頼っている人たちに明日はない。将来性がないんだよ。高価なセンサーだし、そもそもあんなものは要らない。高価な盲腸がたくさんある人と同じだ。盲腸は1つでも要らない。それを、たくさん身につけているんだ。滑稽だよね」。

彼のこの話の前には「テスラが発表したばかりの自動運転ハードウェアはライダーからのデータも扱えるか」という質問があった。テスラの車は現在、自動運転機能のためにいくつかのデータソースを使っている。それらはレーダー、GPS、地図、超音波センサーなどだ。でもテスラの一部のコンペティターと違って、ライダーはない。以前マスク氏は「ライダーは自動運転車用の松葉杖だ」と言ったことがある。テスラにとってはカメラが未来への鍵であり、マスク氏もカメラならどんな悪天候にも十分対応できる、と構想している。

AIのシニアディレクターであるAndrej Karparthy氏もステージに立って、世界は視覚的認識のために作られていると言った。彼によると、ライダーはプラスチックの袋とゴム製のタイヤを簡単に見分けられず苦労する。自動運転車がレベル4からレベル5の自動化のレベルを達成するためには大規模なニューラルネットワークの訓練と視覚認識能力が必要だと彼は言う。

Karparthy氏はこう述べる。「それをやってないという意味でライダーは実はショートカットだ。基本的ないくつかの問題と、視覚認識という重要な問題を避けている。進歩の錯覚を与えるが、実は松葉杖だ。とても早くからデモを見せられるけどね!」。

自動運転技術にライダーを採用しているUberやWaymo、Cruiseらは、悪天候や低照度の環境では今のカメラよりもライダーの方が見通し性がいいと主張する。しかし、高いし、相当な電力を食う。そこで、テスラはカメラに固執する。

同社は4月22日、同社の自動運転車用コンピューターの今の世代の機種について詳しく紹介した。それはテスラの既存の車種すべてで使用できる。ソフトウェアが完成したら、テスラのすべての車種が既存のセンサーセットで自動運転できるだろう、と同社は言う。そしてそのセンサーセットにはライダーが含まれていない。その代わり、テスラ車が搭載するセンサーは、これまでにすべてのテスラ車が集めたデータで訓練されたニューラルネットワークに依存する。

マスク氏曰く「全員がいつでもネットワークを訓練している。オートパイロットがオンでもオフでも、ネットワークは訓練されている。hardware 2以上の車種を運転しているときは常時、ネットワークを訓練している」。

「データの中には怖いものもある」とその後の記者会見でマスク氏はぼそっと言ったが、でも、ライダーに依存するほど怖くはないと言いたいのだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自動運転除草機のFarmWiseがプロトタイプ製造パートナーにミシガン州の自動車企業を選ぶ

FarmWiseは、農業で一番嫌がられる作業のひとつである除草を、ロボットにやらせようとしている。そのために、このサンフランシスコ生まれのスタートアップはミシガン州の自動車企業Roushに、自動運転ロボットのプロトタイプ作りで協力を求めた。

このコラボレーション事業の財務的詳細は公表されていない。

自動運転除草機は、除草剤を不要にし、農家の労力を減らす。この除草ロボットは1日24時間平気で精度の高い除草作業をするから、作物の反収を大幅にアップする。そもそも除草剤も、除草が大変な仕事だから発明されたのだ。

Roushは2019年に12台のプロトタイプを作り、2020年にはさらに多くを作る予定だ。でも、なぜ中国ではなくミシガン州なのか?

FarmWiseの共同創業者でCTOのThomas Palomares氏はこう語る。「ミシガン州はその優れた製造業と自動車産業で世界的に知られている。彼らは高度な技術と製造工程のノウハウを持っている。われわれのマシンを作ってテストするためにも、そのような高度な製造技術が必要だ。われわれにRoushを紹介したのはミシガン州の投資企業のPlanetMだが、うちのようなテクノロジー系のスタートアップが製造にまで手を染めるためには、年季の入った評価の高い自動車メーカーの協力が絶対に欠かせない」。

Roushは、高性能な自動車部品のメーカーとしてミシガン州で長い歴史がある。最近ではその高度な製造技術を活かして、ロボティクスや代替燃料システムにも手を広げている。

ミシガン州の産業振興や国際関係の形成にも関わっているPlanetMの、集団事業担当ハイスプレジデントのTrevor Pawl氏は次のように語る。「FarmWiseのようなスタートアップとミシガン州生え抜きの企業であるRoushの製造業ノウハウが一緒になって、前者のコンセプトを現実化する。このコラボレーションは、そんな機会づくりのモデルケースだ。その意味で、このコラボレーションが実ったことは非常に喜ばしい。プロトタイプや製造のサポートを求めている新興企業を州の有能な製造業界が支えていく、今回はそんな事業モデルのすばらしい好例だ」。

FarmWiseは2016年に創業され、これまで570万ドルのシード資金を調達している。そのときの投資家はPlayground Globalなどだ。本誌TechCrunchがFarmWiseを最初に見たのは、Alchemist Acceleratorのデモデーのときだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

スケッチを数秒でリアルな写真に変えるNVIDIAのAI

米国時間3月18日、NVIDIA GTC 2019で、同社は驚きの画像作成機能を発表した。それは、GAN(Generative Adversarial Network=敵対的生成ネットワーク)を利用したもので、このソフトウェアのユーザーは、ほんの数クリックで写真のようにリアルな画像をスケッチすることができる。数本の線を、あっという間に麗しい山頂の夕日に変えてしまうのだ。これこそAI世代のMS Paintだ。

GauGANと呼ばれるこのソフトウェアは、NVIDIA(エヌビディア)のニューラルネットワークのプラットフォームによって可能になることの、ほんの一例に過ぎない。それは、人間が描く絵画のような画像を生成するように設計されている。スケッチを数秒で写真のようにリアルな画像に変換するのが目標だ。初期のデモを見る限り、その言葉通りに機能している。

GauGANには3種類のツールがある。ペイント缶、ペン、そして鉛筆だ。画面の底辺近くには、オブジェクトの名前が並んでいる。たとえば「Cloud(雲)」のオブジェクトを選択して鉛筆で線を引くと、ソフトウェアが細くたなびくリアルな雲を描き出す。もちろん、これは画像を貼り付けているわけではない。GauGANは、入力ごとに固有の結果を生成するのだ。円を描いてから、ペイント缶で塗り潰せば、ソフトウェアはふわふわした夏の雲を作り出す。

ユーザーが入力ツールを使って木の形を描けば、木が生成される。直線を引けば、裸の幹が描かれる。その上を丸で囲めば、ソフトウェアはその中を木の葉で満たし、立派な木になるというわけだ。

GauGANは、一種のマルチモーダルにもなっている。2人のユーザーが同じスケッチを同じ設定で描いたとしても、プロジェクトに組み込まれた乱数発生機能によって、ソフトウェアは異なる結果を生成するようにしている。

リアルタイムで結果を得るためには、GauGANはTensorコアを使った計算機プラットフォーム上で実行する必要がある。NVIDIAのデモでは、このソフトウェアをRDX Titan GPUプラットフォーム上で実行し、リアルタイムで結果を出力していた。デモのオペレータが直線を引くと、ソフトウェアは直ちに結果を生成することができた。しかし、Applied Deep Learning Research部門の副社長であるBryan Catanzaro氏によれば、若干の変更を加えることで、一般的なCPUなど、ほぼすべてのプラットフォーム上でGauGANを実行できるようになるという。ただし、結果が表示されるまでには、数秒かかるようになるはずだ。

今回のデモでは、オブジェクト間の境界はまだ完璧ではない。このプロジェクトを担当するチームは、今後それも改善されるとしている。2つのオブジェクトが接する部分に細い線が見えてしまうのだ。NVIDIAは、結果は写実的だと言うものの、よくよく見ると、説得力を欠いてしまうことになる。現状のニューラルネットワークが抱える問題として、学習に使ったオブジェクトと、学習の成果との間の違いがある。このプロジェクトでは、そのギャップを減らすことを目指している。

NVIDIAは、Flickr上にある100万枚の画像を、このニューラルネットワークに学習させた。そのほとんどは、Flickr上でクリエイティブ・コモンズとしてライセンスされているもの。Catanzaro氏は、同社は許可を得た画像のみを使っていると述べている。NVIDIAによれば、このプログラムは何十万種類ものオブジェクトを生成し、現実世界のようなオブジェクト同士の関係も再現できるという。たとえばGauGANでは、季節を変えることで、枝に葉がなくなるところまで再現している。そして、木の前に池があれば、その水面に木が映るのだ。

Nvidiaは米国時間3月18日、ホワイトペーパーを発行することにしている。Catanzaro氏によれば、それはあらかじめCVPR 2019に提出されたものだという。

Catanzaro氏は、このソフトウェアをNVIDIAの新しいAI Playground上でも使えるようにすることを目論んでいる。ただし、そのためにはもう少し仕事が必要だという。彼は、このようなツールをビデオゲームに応用すれば、より没入しやすい環境を作ることが可能になると考えてはいるものの、NVIDIAが直接、そうしたソフトウェアを開発することはないとしている。

このソフトウェアを使って、非道な目的のため、偽物の画像を生成することも簡単にできるということが心配になるのも無理はない。Catanzaro氏も、これは重要なトピックであり、1つのプロジェクト、あるいは1つの会社で扱えるようなものではないと考えている。「私たちも、そのことをとても気にかけています。この世界をできるだけよい場所にしたいですから」と、彼は言う。そして、これは信頼の問題であり、技術の問題ではないと付け加えた。われわれが、社会全体として対処すべき問題であるとも。

今回の限られたデモからも明らかになったのは、こうした能力を引き出すようなソフトウェアは、ビデオゲームデザイナーから建築家、そして一般のゲーマーまで、誰にとっても魅力的なものであること。NVIDIAとしては、このソフトウェアを商業的にリリースする予定はないものの、誰でも使ってみることができるよう、じきにパブリックトライアル版をリリースすることになるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

microSD Expressフォーマットは超高速な転送と長いバッテリー寿命を約束

バルセロナで開催中のMWCで2月26日、SDアソシエーションは将来のモバイル機器上でのコンテンツの読み書きがより高速になる、microSD Expressを発表した。この新しいmicroSDカードプラットフォームは、以前のフォーマットと比べて必要とされるエネルギーを節約できる一方で、転送速度を驚くほど向上させる。

新しいフォーマットは、microSDHC Express、microSDXC Express、およびmicroSDUC Expressの容量バリエーションで提供される。

SD Expressと同様に、microSD ExpressはPCIeインターフェースを利用して、最大データ転送速度985メガバイト/秒(MB/s)を達成する。この性能は、2列目のピンで提供されるPCIe 3.1およびNVMe v1.3規格を通じて可能になっている。SDアソシエーションは、この高速カードが下位互換性を保ちながら、従来のメモリカードよりも少ない消費電力となることを期待している。

データ速度が速いため、モバイル機器メーカーたちは、機器の実装方法を再考する必要に迫られるだろう。これまで長い間、読み取りおよび書き込み速度は、拡張メモリの制約要因だったが、下位互換性のあるこのフォーマットを使うことで、データ転送は内蔵メモリと肩を並べることのできる速さになる。5Gデータとカメラが巨大なファイルを生み出すことから、拡張メモリの人気が再燃することになるだろう。

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(翻訳:sako)

子供のスクリーンタイム抑制ツールのCircleが2000万ドル調達

スクリーンタイム管理の素晴らしいツールをつくっているCircleは今日(米国時間2月22日)、今後さらに事業を成長させるための資金を調達したと発表した。2000万ドルのシリーズBには、新規のNetgearやT-Mobile、Third Kind Venture Capital、そしてRelay VenturesなどシリーズAからの出資者も含まれる。

今回のラウンドで、Circleは2017年のシリーズAを含めこれまでに3000万ドル超を調達したことになる。

Circleによると、同社は今回調達した資金をさらなる商品展開、そしてハードウェアメーカーやモバイルキャリアとの新たな提携にあてる。

この資金調達のタイミングは完璧だ。幼い子供やティーンエイジャーがスクリーン中毒にならないような方策を求める親は増えつつある。

Circleのアプローチは、スクリーンタイムを制限しようとしている他のソリューションとは異なる。ハードウェアベースで、家庭のネットワークにプラグを差し込んでつなげる。これで親などの管理者は、子供が所有するiPhoneのようなデバイスのスクリーンタイムを簡単に制限できるようになり、ローカルネットワークにもアクセスできる。使い方はとても簡単で、それこそが売りでもある。

Circleが属している、子供のスクリーンタイム制限を可能にするサービス業界は、まだ小さいながらも成長分野だ。そうしたソリューションのいくつかはAppleのようにクラウドを活用している。Appleのものはうまく機能しているものの使用はiOSとMac OSに制限される。NetgearのOrbiのような他の製品はネットワークで使うタイプだが、Circleよりも使用方法が複雑だ。

私の家庭ではCircleのようなツールを使っている。子供はいとも簡単にデバイスに引きつけられ、こうしたソリューションと従来の育児と組み合わせることで、子供の目を現実世界に向けさせることができる。少なくとも1日に数分はそうすることができるはずだ。

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

Amazonは過去を見て未来を作る

この20年間で、スマート家電は夢から日常へと進化した。家電量販店Best Buyの中を歩けば、わずか数分でセットアップできる製品が並んでいる。素晴らしいことだ。おまけに簡単に使えるのも嬉しい。大手からも小さなメーカーからも、照明やドアの鍵やスクリーンが発売されている。しかし、そこに問題がある。規格が統一されていないことだ。そんな中で、自社で販売する製品を統合して消費者や量販店に提供するというAmazonの方法は、解決策になり得る。

もちろん、どのスマート家電も役に立つのだが、いっしょにしたときにうまく協調してくれない。スマートホームは、スイッチを入れれば電灯が点くといった具合に簡単なものでなければいけない。AmazonはメッシュWi-FiのスタートアップEeroを買収したことが、それを物語っている。2つ3つより多くのスマート家電からなるスマートホームを形成するのは、至難の業だ。うまく使えなくなる要因がいくつもあり、スマートホームがトランプタワーのように頼りなく感じられてくる。

平均的な消費者にとってベストなものは、Amazonにとってもベストだ。スマートホームをできる限り簡単で便利なものにするには、それを提供する企業は、どの入口からでも同じ感覚で使えるように環境を整えることが大切だ。これはAppleがスマートフォンで実施している方法であり、Appleは、長年、もっとも簡単でもっとも安全なスマートフォンの使用環境を提供してきた。

理屈からすると、Amazonは、Amazon EchoにEeroルーターを同梱させるとか、Echo製品にメッシュネットワークを組み込むことを考えるだろう。いずれにせよAmazonは、Fire TVとEcho製品がAmazonのコンテンツ配信サービスを安定的に利用できるようにするだろう。それが、Amazonがスマートホームで儲ける形だからだ。

Devinが素晴らしい記事を書いて説明しているが、メッシュネットワークは、すべての部屋に入り込もうとしたAmazon自身が生み出した問題の解決策となる。本格的なスマートホームにWi-Fiは不可欠だが、Wi-Fi以外のネットワークもあれこれ存在する。スマートホームとは複雑なものだ。その始まりは20年以上前まで遡る。

無線ネットワークがまだ一般に普及していなかったころ、マニアや金持ちが立てた家では、エレクトロニクスを利用するために他の方法に頼らざるを得なかった。今でも、そのころのプロトコルの新しいバージョンを使っている製品は現役だ。Z-WaveやZigBeeといった通信方式を使えば、ホームセキュリティー・システムに無線監視カメラを接続したり、通常ならネットワークとは無関係なコーヒーメーカーや電灯などを操作できるようになった。

後に登場した無線通信規格は、Z-WaveやZigBeeと競合することになった。2000年代の初めにInsteonが現れ、無線電波と電灯線網を利用した冗長なネットワークを提供した。2014年には、Samsungの協力を得たNest、Qualcomm、ARM、その他の企業がThreadネットワーク規格を導入し、現代的な冗長性と高度な安全性をもたらした。それだけではない。Bluetooth 5、Wi-Fi HaLow、そして見渡せる範囲で使える赤外線信号を使った製品もある。

こうした競合する通信方式によってグループが分かれるため、それらに属する製品を同時に使ってスマートホームを形成し、ひとつのデバイスですべてを操作することは困難になる。スマートホーム製品の初期段階である現在は、さまざまな製品の統一的なコントロールを可能にするために自社製品の使用を促すという形をAmazonとGoogleが作り上げている。

Appleはそれを実行し、なんとか成功した。HomeKitフレームワークでは、iOS機器を家の中央コントロールポイントとして使うようになっている。電灯を点けたければ、iOSに表示されるボタンをクリックするか、今ならHomePodに話しかけるだけでいい。宣伝のとおりに機能してくれるが、対応する製品はAppleの認証を受けなければならず、そのため使える製品の数はAmazon Echo対応のものよりも少ない。

一方、GoogleとAmazonは両手を大きく広げてスマートホームに入ってきた。あらゆる製品に対応する姿勢を見せた。

それが功を奏した。この2年間でスマート家電メーカーは、自社製品がGoogle AssistantやAmazon Alexaに対応することで大きく前進できた。先月開催されたCESでは、便器がAlexaに対応したと発表されてジョークのネタにもなったぐらいだ。

スマートトイレには恐れ入るが、これらネットワークに接続される製品のすべてが、それぞれにセットアップを必要とする。すべての電灯、暖房の温度調節器、トイレも、初めてのユーザーがスマートフォンのアプリを操作して快適に使うことを要求している。ネットワークの設定がどうなっているのか、トラブルが起きたときに何をググればいいのかをユーザーが心得ているものと想定されている。なぜなら、トラブルはかならず起きるからだ。

AmazonのAlexaアプリは助けてくれない。ひとつのアプリは、音声通話、スキルの設定、遠隔操作、Alexaへのアクセスなど、さまざまな機能がに支えられている。ひとつのアカウントにいくつものEchoを登録してしまうと、もう仕事が多すぎて手に負えなくなってしまう。

何かを変えなければ。

スマートホームが新しいデモグラフィックに売り込みをかけようとするなら、難しいものは取り除かなければならず、集中コントロールが最重要となる。ITに詳しくない人でも、音声コントロールハブをいくつか買ってきて、照明をつないで、暖房の温度調節器をつないで、それらすべてをひとつのアプリで操作するよう設定できなければならない。個々の製品のネットワーク方式が異なっていてもだ。

Amazonはすでに、異なるスマートホーム用無線プロトコルに対応するという大きな一歩を踏み出している。2017年、AmazonはEcho Plusを発表した。このバージョンのEchoスピーカーは、ZifBee(ZigBee用Philips Hue LEDライトシリーズ)に対応している。さらに2018年、AmazonはEcho Plusをアップグレードし、温度センサーを搭載して、インターネットがダウンしてもオフラインでスマートホーム・ネットワークを使ってスマート家電をコントロールできるようにした。

Amazonは、スマートホーム関連企業のポートフォリオを膨らませている。自社製のEcho製品に加えて、ビデオモニター付きドアベルのメーカーRing、無線ビデオカメラ・システムのメーカーBlink、そして最近では屋外用照明のメーカーMr.Beamsを買収している。これにEeroが加わり、AmazonによるWi-Fi環境を買い手に提案できるようになった。残るは、これらのデバイスの使用環境の統一だ。

どの企業でも、スマートホームで競争に勝ちたいと思えば、消費者の絶対的な信頼を得る必要がある。Amazonは、今のところ、ユーザーのプライバシーに関する問題を起こした回数がもっとも少なく、内容も比較的軽いもので済んでいる。Amazonが音声データを行政当局に渡していたことを、複数の記事が伝えた。またAmazonが所有するビデオモニター付きドアベルのメーカーの製品が近所を監視して個人の特定や差別につながるのではないかと問題を提起した記事もあった。

Amazonは、そうした中傷記事で評判を落とすことはないだろうが、製品の不良により高収益をもたらすサービスが提供できなくなることには耐えられまい。

スマートホームの世界を占領しようと戦いを続けているのはAmazonだけではない。Google、Samsung、そしてAppleは、この成長を続ける市場を真剣に見据えている。彼らは、Amazonがパイをすべて食べてしまう事態を許さないだろう。家電大手も、消費者に人気の製品を持つスマートホーム製品のメーカーの引き抜きを続けてゆくだろう。Arlo、ecobee、Belkin、Wyze Labs、sevenhugs、Brilliantのような企業を買収しようと目を光らせているのだ。これらの企業は、彼らが目指す分野で最高の製品を作っている。大手家電メーカーがこれまでに買収した企業の隙間を埋めることで、完全に統一された使用環境を消費者に提供しようと目論んでいる。

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(翻訳者:金井哲夫)

2019年CES最優秀賞を車載VRのHolorideにあげたい…楽しいデモだったから

大量のデモと発表と超長距離のウォーキングの日々が終わった今、自信を持って申し上げたいのは、今年のCESのベストはHolorideである!ということだ。もちろん、あくまでも個人的な評価だが、今年のCESで見たものの中ではHolorideが最高だ。

今年のCESは、全体的に良かったんじゃないかな。メインテーマはスマートフォンまわりのネットサービスだ。今やものすごく多様なデバイスがAmazonやGoogle、Appleなどのサービスをサポートしている。CES 2019でその次に目立ったのが、新しいチップセットと自動運転プラットホームだ。でもいちばん印象的だったのは、Audiが産んだスタートアップHolorideだ。このドイツの自動車メーカーは、VRを全車に載せてエンターテインメントを提供し、乗り物酔いを防ごうとしている。

Iron Manが助けを求めている、とRocketが言った。そこで、その宇宙の戦闘に加わってThanosの悪者たちをやっつける。そのとき、頭にはOculusを着けていて、体は宇宙空間の中で銃を構え、H難度のアップ&ダウンを体験している。まるでディズニーワールドの遊具の世界だし、たしかにそのコンテンツにはディズニーも協力している。でも、実際にいた場所はラスベガスで、AudiのSUVの後部座席に乗って時速145キロでトラックを走っていたのだ。


トラックを2周したが、H難度のVR体験にもかかわらず、全然酔わなかった。車の外に出ても、ふらつかない。ただし、車の中でスマホを使ったりしないタイプだけど。

Holorideの真価は、VRコンテンツと自動車の動きとの同期にある。車が動くと、同じ方向へコンテンツも動く。そのために、車酔いがなくなるのだ。…と、思う。

AudiはVRを全車に載せるつもりで、この小さなスタートアップを創った。そのファウンダーたちはすでに過去数年間、車載VRの研究開発をやっている。社名はAudi Electronics Ventureで、Audiの子会社だ。その技術のライセンスをAudiがHolorideに提供し、スタートアップはオープンなプラットホームから多くの自動車メーカーやコンテンツデベロッパーにライセンスを提供していく。

VRのデモは、これまでにたくさん体験したけど、今回はとっても良かった。車載、という形にも無理がない。エンターテインメントを提供するだけでなく、酔いを防ぐ。Uberの車や長距離バスが広告入りで採用するのは、時間の問題だろう。飛行機の中でもよいし、小さい子を乗せた長時間ドライブも、これで楽になるだろう。

Holorideは一種の賭だから、コンテンツやそのデリバリー、他との互換性など、問題はまだ山積みだ。離陸するためには、デベロッパーと自動車メーカーと消費者を巻き込んだエコシステムを作る必要がある。すばらしいユーザー体験は、頑張れば作れる。しかしそれを売るのは、また別のスキルだ。

関連記事: 時速145キロの車の中でVRを使っても気持ち悪くならなかった!

関連記事: Audi spins out Holoride to put VR in every car…Audiは全車にVRを載せる気だ…(未訳)

CES 2019 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

CES:IndemnisからDJIドローン用パラシュート――群衆空撮用に正式認可

現在多くの場所で商用ないしホビー用ドローンは密集した人々の上空を飛ぶことを禁止されている。危険防止の立場からは当然だ。 今回のCESに登場したIndemnisのドローン用パラシュートがこれを変えることになる。アラスカのスタートアップ、Indemnisのパラシュートを装着したドローンは合法的に(比較的小人数の)人々の上を飛ぶことができる。こうしたデバイスが正式に認可を受けたのはこれが最初だ。

IndemnisのNexusはDJIの空撮用ドローンのためのパラシュートだ。オレンジ色の筒型ランチャーにパラシュートが収められており、センサーがドローンの飛行に異常を検知するとパラシュートが発射される。

認可を得るためにIndemnisは 5種類の異常シナリオに基づく45回の実機テストを含む多数のテストを繰り返してきた。テストの目的はセンサーが確実に異常を検知し即座にパラシュートを開傘できることの確認だった。

Indemnisはプレスリリースでこう述べている。

Nexusは火薬発射式パラシュート・ランチャーであり、ドローンの飛行パターンに異常を検知すると自動的に作動する。センサーはドローンが突然傾いたり落下したりするなどを検知する。ランチャーは0.03秒で作動し、ドローンの時速は144キロまでカバーする。円筒形のランチャーはパラシュートを高速で発射する。これはパラシュート・コードがドローン本体やプロペラに絡まないよう遠くに離すためのデザインだ。今日、IndemnisはNexusパラシュート・パッケージを発売した。これはDJI Inspire 2向けキットで、Matrice 200、Matrice 600の両シリーズ向けキットも2019年後半にリリースする計画だ。

ドローンの安全性を確保するデバイスは何社かが開発しており、パラシュートも一つのオプションとして検討されており、こうしたプロダクトは下にいる人々とドローン自身を守ろうとデザインされている。DJI自身はまだパラシュートを組み込んだドローンを発売していない。

CES 2019 coverage - TechCrunch

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滑川海彦@Facebook Google+