Uberの無謀な勃興を描くドラマ「Super Pumped」予告編第1弾、ユマ・サーマンもハフポスト創設者役で出演

Uber(ウーバー)の台頭は、時とともに程度を増して問題視されてきた行き過ぎ行為が事あるごとに報告されていなければ、フィクションとしても信じがたいものだったかもしれない。準法的タクシービジネス(今でも膨大な数のドライバーを誤って分類している可能性が高い)である同社は、警察を積極的に欺くことを含め、成功するためにはあらゆる手段を講じることが当たり前であるという、攻撃的な男尊女卑の職場カルチャーを隠そうとしてきた。このような状況は、今では変わったと我々は信じさせられている。

初代CEOのTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏が率いていた会社について何か言えるとすれば、悪行のエピソードには事欠かないということだろう。序でに、そうした話はおもしろいドラマになりやすい。

「Super Pumped(ウーバー戦記:いかにして台頭し席巻し社会から憎まれたか)」は、ニューヨーク・タイムズの記者、Mike Isaac(マイク・アイザック)氏の同名の著書を基に、Joseph Gordon-Levitt(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)がカラニック元CEOを演じ、配車アプリが大成功を収め(これはネタバレではないだろう)、世間からの激しい反発を受け、最終的に解任されるまでの軌跡を描いている。Kyle Chandler(カイル・チャンドラー)がベンチャーキャピタリストのBill Gurley(ビル・ガーリー)役を演じるようだが、このトレイラーでは、Arianna Huffington(アリアナ・ハフィントン)役のUma Thurman(ユマ・サーマン)の異例の登場もチラ出し予告されている(彼女のテレビ出演は例が少ない)。

このアンソロジーシリーズはシーズンごとに異なるビジネスリーダーを取り上げることになっており、今年2月27日に米Showtimeで初放送が予定されている。今のところ、今回のUberのドラマ化の後にどの企業が登場するかは明らかになっていないが、世の中には残忍で冷酷非情なCEOが後を絶たないことは確かだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Bryan Menegus(ブライアン・メネガス)氏は、Engadgetのシニア・ニュースエディター。

画像クレジット:Showtime

原文へ

(文:Bryan Menegus、翻訳:Aya Nakazato)

テスラが車内カラオケ用のマイクを発売(今のところ中国でのみ)

Tesla(テスラ)は新しいアクセサリーとして、車内カラオケ用のマイクを発売した。「TeslaMic(テスラマイク)」は当面、中国でのみ販売される。中国の旧正月にあわせてロールアウトされたソフトウェアアップデートでは、インフォテインメントシステムに「Leishi KTV」というカラオケプラットフォームが追加された。

Teslaによると、このマイクはインフォテインメントシステムと自動的にペアリングされるという。TeslaMicは2個入りセットになっているので、デート中にどこかに駐車してデュエットソングを歌いたいと思ったときに役立つかもしれない。セットの価格は約188ドル(約2万1600円)だが、1時間もたたずに売り切れたとのことで、車内シンガーになりたい多くの人たちは、Teslaストアページの読み込みに失敗している。

Weibo(ウェイボー、微博)の投稿(YouTubeにもミラー配信されている)では、TeslaMicとカラオケシステムが実際に動作している様子が紹介されている。Elektrekが指摘するように、Leishi KTVのインターフェースとカタログを採用することで、Teslaは2019年に導入した「Caraoke」機能を発展させているが、その機能では選曲がより限定的だった。

Teslaが中国以外の国でTeslaMicを販売するかどうかはまだわからないが、米国に登場した場合はもしかしたらDogecoin(ドージコイン)で買えるようになるかもしれない。それが実現するまでは、クルマのオーディオシステムに接続できる公式の「Carpool Karaoke(カープールカラオケ)」マイクがある(ただし、自分でバッキングトラックと歌詞を表示するディスプレイを用意する必要がある)。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Kris Holt(クリス・ホルト)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Tesla

原文へ

(文:Kris Holt、翻訳:Aya Nakazato)

技術者ではないチームに専門知識不要のデータ探索機能を提供するCanvas

Canvasの創業者たち。左からプライド氏、ザパート氏、ビュイック氏(画像クレジット:Canvas)

世の人たちにスプレッドシートを捨てさせようとするスタートアップがある一方で、協調データ探索ツールを開発しているCanvas(キャンバス)は、技術者ではないチームがデータチームの手を煩わせることなしに必要な情報にアクセスできるように、スプレッドシートに似たインターフェースを全面的に採用している。

Luke Zapart(ルーク・ザパート)氏は、Flexport(フレックスポート)の元同僚であるRyan Buick(ライアン・ビュイック)氏ならびにWill Pride(ウィル・プライド)氏とともに2020年末にCanvasを立ち上げた。ザパート氏はFlexportで働いていた際にデータ検索で苦労を重ねた経験から、Canvasで「Looker(ルッカー)を取り込んだFigma(フィグマ)」を開発しているのだと語る(Lookerは著名なBIツール、Figmaも著名なウェブデザインツールの名前)。

「多くのデータチームは、処理能力を溢れる量の平凡で退屈なデータ要求に忙殺され、ビジネスチームは何日も答を待つのを諦めて、結局ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの前に座って『CSVにエクスポート』ボタンを押して、Googleスプレッドシート上でピボットしているのです」とザパート氏は説明する。「根本的に、企業内のビジネス側とデータ側の信頼関係が崩れてしまったのです。それがきっかけで、私たちはFlexportを離れ、本当にその問題を理解して解決しようと努力したのです」。

さらに、データ業界は現在「ルネッサンスを経験」しており、伝統的なビジネスインテリジェンスツールが、焦点を絞ったクラス最高のツールによって解体されている、と彼は付け加えた。しかし、ビジネスユーザーは、SQL(Structured Query Language)に精通していたり、充実したデータチームを抱えていない限り、最新のデータスタックがもたらす多くのメリットを享受することができない。

Canvasはスプレッドシートベースのワークスペースとして開発されたもので、ビジネスチームはSQLクラスを受講することなく独立した意思決定を行うことが可能となり、データチームは戦略的な作業に集中する時間を得ることができるようになる。

その仕組みは以下のようなものだ。まずユーザーは、自分の「白いキャンバス」からスタートし、データチームが提供する定義の表から探しているデータを選ぶことができる。データを見つけたら、表をキャンバスにドラッグ&ドロップして、Googleスプレッドシートと同じように操作する。例えば「ピボット」ボタンを使って、ある指標を抜き出し、グラフやチャートを作成することができる。

ビュイック氏は「チャートを対話的に操作し、キャンバスの好きな場所にドラッグすることができます」という。「ここからがFigmaのようなルック&フィールになるのですが、これはデータを扱うための新しい方法であることがわかりました。なぜなら、解決するために考えようとしている問題がどのようなものであろうとも、反復したりプロトタイプを作成したり、メンタルモデルに合わせたりすることがずっと簡単になるからです」すばらしい特徴は、ビジネスチームが行き詰まることを知っているからこそ、コラボレーションを活かせるようにしている点です。他の人をチームにタグつけしてチェックを依頼することができます」。

ビュイック氏によると、データチームへの質問の数を減らせるだけでなく、Canvasが、すでにdata build tool(DBT)でモデル化されているビジネスロジックを簡単に再利用できる手段であることを理解したスタートアップたちも、このツールを採用しているという。

Canvasの例画像クレジット:Canvas

米国時間1月28日には、Sequoiaが主導し、Abstract Ventures、SV Angel、および20数名の個人投資家グループが参加したラウンドで420万ドル(約4億8000万円)を調達し、プラットフォームを一般公開した。この投資家のリストには、データのエキスパートであるSegmentのCalvin French-Owen(カルバン・フレンチ・オーウェン)氏、FivetranのTaylor Brown(テイラーブラウン)氏、CensusのBoris Jabes(ボリス・ジャベス)氏、DataDogのOlivier Pomel(オリヴィエ・ポメル)氏、事業家であるLatticeのJack Altman(ジャック・オルトマン)氏、DoordashのTony Xu(トニー・シュー)氏、FlexportのRyan Petersen(ライアン・ピーターセン)氏、WebflowのBryant Chou(ブライアント・チョウ)氏、InstacartのMax Mullen(マックス・マレン)氏、そしてエンジェル投資家らが名を連ねている。

ビジネスチームのためのデータワークスペースを構築するのは大変な作業であることを認識した、Canvasの創設者たちは、資金調達を行う決定を下した。ザパート氏は、世界的なデータ専門家やデータ分野の企業の創業者などの、一緒に仕事をしたいと思えるような投資家を慎重に検討したと述べている。

現在、従業員は6名で、数少ない有料顧客と協力しているデザインパートナーがいる。新たな資金は、エンジニアの増員に充てられ、セルフサービスモデルを含む同社のロードマップを構築するとともに、一連の製品発売に利用され、同社はさらなる市場開拓と製品開発戦略を展開して行く予定だ。最初の10~20件の顧客を獲得した時点で、次の資金調達ラウンドを検討するとザパート氏は述べている。

SequoiaのパートナーKonstantine Buhler(コンスタンティン・ビューラー)氏によると、同社には「結束力が高く技術的に強いチーム」があり、その最新のデータスタックは、優れた企業の構築に使われ、企業顧客にサービスを提供する機会を生み出しているという。彼はCanvasの中で、そのようなスタック全体に対する協調的なフロントエンドを開発している企業を目にした。

「データをExcel(エクセル)にダウンロードしてピボットテーブルを作成するのではなく、すべてのデータを1つの場所に保存できるという利点があります」とビューラー氏は付け加えた。「ここでは、システムに接続するだけで、目の前で結果を見ることができるのです。彼のチームはFlexportでもすばらしい仕事を一緒にしてきましたが、今回は非常に重要で誰にでも関連している問題に取り組んでいます。大きなビジョンは、セルフサービスを作ることができるかどうかにかかっています。それは、データへのアクセスを民主化して、完全なアクセス権を持つ少数の人たちだけではなく、社内のすべての人たちにデータを開放することによって力を与えることのできる、非常に大きなきっかけなのです」。

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:sako)

家賃支払いなどでクレジットスコアを構築し「人種間の貧富の差を埋める」フィンテックEsusuが150億円調達しユニコーンに

1億人超の米国人が、毎月の家計で最も大きな支出である家賃に月平均1100ドル(約13万円)、合計で年1兆4000億ドル(約161兆円)以上を費やしている。しかし、報告によると、そのうちの9割の人は家賃を期限どおりに支払ってもクレジット(信用)を得られていない。

さらに踏み込んで見ると、消費者金融保護局の2020年のレポートによると、米国では4500万人超がクレジットスコアを持っていない。この層の多くは、経歴や人種によって経済的に疎外されている。

移民やマイノリティにクレジット構築のための家賃支払い報告やデータソリューションを提供するフィンテックのEsusu(エスス)は米国時間1月27日、シリーズBラウンドで1億3000万ドル(約150億円)を調達したと発表した。

このラウンドで創業4年のEsusuの評価額は10億ドル(約1150億円)に達し、米国で、そして世界的にも数少ない黒人経営ユニコーンの1社になった。ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が同ラウンドをリードし、Jones Feliciano Family Office、Lauder Zinterhofer Family Office、シュスターマン財団、ソフトバンク・オポチュニティ・ファンド、Related Companies、Wilshire Lane Capitalが参加した。

移民やアフリカ系米国人は、他の人に比べてクレジットスコアが低いか、そもそもクレジットスコアを持っていない。また、彼らは高利貸しに直面する機会が多く、これにより経済的不安の連鎖に陥っていることが多い。そのため、富を築くのに強力なクレジットスコアを必要としながらも、クレジットを築くための足がかりを持っていない。

Esusuの共同創業者で共同CEOであるナイジェリア生まれの米国人Abbey Wemimo(アビー・ウェミモ)氏とインド系米国人のSamir Goel(サミール・ゴエル)氏は移民家庭で育ち、この金融的排除を身をもって体験した。2人はこの疎外されたグループのクレジットスコアを構築し、家賃支払いを通じて「データ活用による人種間の貧富の差を埋める」ために2018年にEsusuを立ち上げた。

ニューヨークに本社を置く同社は、不動産オーナーや住宅プロバイダーと提携し、全米集合住宅協会(NHMC)のリストにある大手家主の35%と連携している。パートナーには、Goldman Sachs、Related Companies、Starwood Capital Group、Winn Residentialなどがいる。

Esusuは賃借人のクレジットスコアを強化するために、プラットフォームに登録した賃借人の期日までの支払データを取得し、3大信用情報機関(Equifax、TransUnion、Experian)に報告する。これにより、賃借人は時間をかけてクレジットスコアを向上させることができ、不動産オーナーは退去勧告を軽減できる。

Esusuは、不動産管理者とオーナーに3500ドル(約40万円)のセットアップ料と1住居あたり毎月2ドル(約230円)を請求する。一方、賃借人は、年間契約料として50ドル(約5760円)を支払い、家賃支払いデータを信用情報機関に報告する。

Esusuは前年比600%で成長していると創業者2人はTechCrunchに語った。現在、250万戸超の住宅が同社のサービスを利用していて、総リース量(GLV)は米全体で30億ドル(約3460億円)以上だ。同社が半年前に報告した200万戸、総リース量24億ドル(約2765億円)超から増加している。

Esusuが2020年4月に自社プラットフォームで調査を実施したところ、パンデミックの影響により62%のユーザーが家賃を期限内に支払えないことが判明し、同社は家賃救済ファンドを立ち上げた。クラウドファンディングや非営利のインパクト投資ファンドを通じて50万ドル(約5800万円)近くを調達した。

それから2年経った現在もこのプログラムは続いていて、Esusuはその規模を拡大し、何千人もの賃借人を自宅にとどめている。このプログラムには、貸借対照表に17億ドル以上(約1960億円)を計上するほどのパートナーが集まっていると創業者らは語った。

ウェミモ氏とゴエル氏は声明で「私たちは、データを使って人種間の貧富の差を埋め、この国の低・中所得世帯により公平な金融機会を創出するというビジョンを持ってEsusuを設立しました」と述べた。「クレジットスコアを取得し向上させることで、個人、家族、コミュニティが長期的な経済的目標を達成できるようにしつつ、経済的アイデンティティを強化しています」。

Esusuは、チームの拡大(正確には従業員を3倍に増やす)「製品イノベーションによる成長の加速、市場で最も包括的な金融ヘルスプラットフォームの構築」のために調達した資金を使用する計画だ。

2021年7月の1000万ドル(約11億円)のシリーズAラウンドのリードインベスターであるMotley Fool Venturesは今回の新ラウンドで再投資した。その他の既存投資家であるConcrete Rose Capital、The Equity Alliance、Impact America Fund、Next Play Ventures、Serena Ventures、Sinai Ventures、TypeOne Venturesも参加した。Esusuの累計調達額は1億4400万ドル(約165億円)超となった。

今回の資金調達でEsusuは、ユニコーンのステータスを獲得している世界900社超の中で、黒人が主導・所有するスタートアップという切望されている小さなグループに加わる。このグループには、評価額30億ドル(約3460億円)の米国のスケジュールアプリCalendly、英国拠点のフィンテックで50億ドル(約5760億円)と評価されたZepz、評価額12億ドル(約1380億円)のデジタル保険スタートアップMarshmallow、そしてアフリカのフィンテックFlutterwave(評価額10億ドル、1150億円)、Chipper Cash(同20億ドル、2300億円)、Interswitch(同10億ドル)などが含まれる。

原文へ

(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nariko Mizoguchi

社内に散らばる膨大なナレッジを検索できるサービス「Dashworks」

企業が成長すると、それにともなって、社員たちが知っているべき重要な情報が増える。テクノロジーの利用が複雑化すると、Slackのスレッドにあったり、Jiraのチケットにあったり、ファイルとしてDropboxにアップされていたりと情報はあちこちに散在してしまうことになる。

Dashworksは、そんな社内のナレッジを集約する場所を目指しているスタートアップだ。カスタマイズ可能なスタートページと検索エンジンを備え、何十種類もの企業向けサービスに接続し、必要なものを見つけるための1つのハブを提供する。

仕事用のノートPCのホームページとしてDashworksは構築されている。全社的なアナウンスやFAQの作成、ブックマークの共有など、ハンドブック、OKR、組織図など、必要なのになかなか見つからないものを見つけることができる。

しかし、それ以上に印象的なのは、ツールを横断した検索機能だ。FacebookやCrestaといった企業で自然言語処理の経験を積んだ共同創業者のPrasad Kawthekar(プラサド・カワテカール)氏とPraty Sharma(プラティ・シャルマ)氏は、Dashworksに質問をすると、前述のSlackのスレッド、Jiraのチケット、またはDropboxファイルといったすべてのナレッジから回答を得ることができるツールを構築している。ユーザーが登録したサービスの関連ファイルの検索結果ページが表示されるが、質問の答えを知っていると判断した場合は、ページの一番上にGoogleのスニペットスタイルで表示される。

画像クレジット:Dashworks

現在、DashworksはAirtable、Asana、Confluence、Dropbox、Gmail、Google Drive、Intercom、Jira、Notion、Slack、Salesforce、Trelloなど30以上の人気サービスに接続することが可能で、需要に応じて順次追加していく予定だ。

これらのサービスやナレッジに他社がアクセスすることは、不安なことかもしれない。Dashworksのチームは、それを十分承知しているようだ。SOC-2認証を取得していること、サービスを停止する場合、データはすべてサーバーから消去されること、そしてツールをホスティングできるチームには、完全なオンプレミス版を提供していることという。

今週、DashworksはPoint72 Venturesが主導し、South Park Commons、Combine Fund、Garuda Ventures、GOAT Capital、Unpopular VenturesおよびStarling Venturesが支援する400万ドル(約4億6000万円)のラウンドを調達したと発表している。また、Twitchの共同創業者であるEmmett Shear(エメット・シアー)氏やGustoの共同創業者であるJosh Reeves(ジョシュ・リーブス)氏とTomer London(トーマー・ロンドン)氏など、多くのエンジェルたちがこのラウンドを支援している。同社は、Y Combinatorの2020年冬季にも参加していた。

画像クレジット:Dashworks

画像クレジット:Dashworks

原文へ

(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

イベントマーケティングは「チームスポーツ」、Vendeluxは最高の投資利益率のために企業を指導

イベントや会議、展示会などに参加し、多くのきっかけや機会を生み出すという点でうまくいった場合、それは良い経験だ。しかし、イベントがあまりうまくいかないとき、それは時間とお金の浪費という点でリスクになりえる。

Shutterstock(シャッタースクトック)の元幹部、Alex Reynolds(アレックス・レイノルズ)氏とStefan Deeran(ステファン・ディアラン)氏の2人は、APIとコンピュータビジョンの収益化に一緒に取り組み、そうしたいまいちなイベントにいくつか参加した経験から、どのイベントをリストのトップにもってくるか、会社のどのチームメンバーが行けば投資対効果を最大化できるかを判断する、より良い方法があるはずだと考えた。

「イベントマーケティングは、チーム全体で行う大規模なスポーツのようなもの、との結論に至りました」とレイノルズ氏はTechCrunchに語った。「経営陣、営業チーム、さまざまなマーケティングチーム、運営、調達が関わってきますが、そのコラボレーション、説明責任、可視性を支援するプラットフォームや記録システムがないのです」。

その結果、例えば、毎年開催される3万以上の展示会のうち、どの展示会に出展べきか、過去にその展示会でどれだけの収益を上げたかなど、企業が基本的な質問に答えるのは非常に難しい、と同氏は話す。Shutterstockのイベントチームとマーケティングチームの協力を得て、レイノルズ氏とディアラン氏は社内でプロセスを作成する方法を考え、チャネルからのROI(投資利益率)が劇的にアップするのを確認した。

そこで2人は、このアプローチが他のビジネスでも有効かどうかを検証することにした。2021年末にVendulux(ヴェンディラクス)の構築を開始し、すでにActiveCampaign、Gainsight、Gorgiasなど十数社の顧客が、講演者、スポンサー、参加者といったデータを含め、3万以上の対面およびバーチャルイベントの独自データベースにアクセスしている。

Vendeluxは、一般に公開されているソースからデータを取得し、特定のイベントにどのスポンサーや講演者が参加するかを表示することができる。また、ユーザーは、LinkedInの連絡先も含め、自分のCRM(顧客管理)から情報をアップロードすることもでき、とある企業が今後イベントに参加する予定があるか、自分のネットワークの誰かがイベントで講演するかどうかを逐一確認することができる。

1月に一般向けにサービスを開始したVendeluxは、前月比で2桁の売上増を記録している。同社は米国時間1月28日、Tenacity Venture Capitalがリードし、Earl Grey、Shafqat Islam、Avi Muchnikなどの戦略的エンジェル投資家が参加したシードラウンドで240万ドル(約2億7000万円)を調達したと発表した。

Vendeluxのエクスプローラータブ(画像クレジット:Vendelux)

今回の資金調達は、主に製品開発とチーム拡大に充てられる。このラウンドを完了する前、創業者たちは自己資金で運営していた。しかし、レイノルズ氏は、顧客からの問い合わせと機能の構築を両立させることが難しくなってきたと述べた。

「火に少し燃料を注ぐのに、そしてチームを強化するのに適した時期だと思ったのです」と同氏は付け加えた。「製品面では、統合の点でまだまだ追加したいことがたくさんあります」。

一方、レイノルズ氏とディアラン氏は、会社の成長に探索、実行、評価の3段階でアプローチしている。同社は現在、イベント・インテリジェンス分野の探索に注力しており、今回のシードラウンドで実行に移すことになる。

企業がどこに行き、誰を派遣すればよいかがわかったら、次のステップとして、創業者たちが検討しているのは、事前に十分なミーティングを予約し、発生しているデータを把握し、担当者のパフォーマンスやROIをリアルタイムで確認できるようにするすことだ。

「イベントマーケティング担当者は、大規模な計画を立て、適切な場所にすべての人を集めるという、マーケティングチームの縁の下の力持ちのような存在ですが、説明責任と可視性を促進するためのプラットフォームを持っていません」とレイノルズ氏は付け加えた。「当社はそのような記録システムとなり、企業がどこに向かうべきか、それが価値の観点から何を意味するのかについて、よりデータに基づいた決定を下すことをサポートしたいと考えています」。

画像クレジット:Vendelux / Vendelux founders Stefan Deeran and Alex Reynolds

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

韓国の不動産テックZigbangがSamsung SDSのIoTスマートホーム事業を買収

不動産取引サービスを提供する韓国の不動産テックスタートアップのZigbang(ジグバン)は現地時間1月27日、Samsung SDS(サムスンSDS)のホームIoT(internet of things)部門を買収し、スマートホーム業界へ進出すると発表した。

Samsung SDSは、傘下唯一のB2C事業であるIoTスマートホーム部門を売却し、B2Bに集中する。同部門の主な製品は、ユーザーのスマートフォンに接続するデジタルドアロックやウォールパッドなどだ。Samsung SDSは2016年、IoTスマートホーム部門をアイルランドのAllegion(アレジオン)に売却しようとしたが、合意に至らなかったと報じられた

IoTはどうしても利幅が薄く、簡単なビジネスではないため、長期にわたり業界にとどまりたいプレイヤーは、より多くのスケールメリットを求めてライバルをすくい取っていく。

Zigbangは、IoTスマートホーム事業を買収することで、技術的なシナジーを生み出し、市場シェア拡大を狙う。

「Zigbangの住宅コンテンツとSamsung SDSの住宅IoTハードウェアを組み合わせ、私たちはスマートホーム市場に革命を起こします」とZigbangのCEO、Sung-woo Ahn(スンウー・アン)氏は声明で述べた。

同社のSunwoong Lyuh(スンウー・リュー)副社長はTechCrunchに対し、Samsung SDSのIoT部門は現在16カ国以上で堅実な収益を上げているため、今回の買収により、Zigbangは世界のスマートホーム市場に参入し、成長を加速させることができるだろうと語った。

1月27日に買収契約を締結したZigbangは、2022年第2四半期の買収完了を目指すとリュー氏は述べた。同社は、買収取引の評価額についてはコメントを避けた。メディアの報道によると、取引規模は1000億ウォン(約97億8000万円)と推定されている。

Zigbangは、不動産取引からスマートホームデバイスまで、生活空間のすべてをデジタル化したいと考えている。また、セルフストレージや住宅の検査・修理サービスにも参入する計画だ。

Zigbangは2018年以降、買収拡大路線を歩んでいる。

2018年に韓国のプロップテックスタートアップHogangNoNoを、2019年には「co-living(コリビング)」プラットフォームの WooZooと、商業仲介プラットフォームのSugarhillを買収した。また、2021年には住宅管理サービスプラットフォームのMovillを買収した。

Zigbangによると、同社のユーザー数は合計3350万人、月間アクティブユーザー数は810万人だという。現在、600人の従業員数を擁している。

直近では2019年7月に1600億ウォン(約152億円)を調達し、これまでの資金調達総額は2265億ウォン(約216億円)に、評価額は7000億ウォン(約660億円)に達した。韓国の中小ベンチャー企業省が1月27日に発表した報告書によると、Zigbangの2021年6月の評価額は1兆1千億ウォン(約1044億円)だった。

画像クレジット:Zigbang

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

全メンバーにとってベストな会議日時を教えてくれるチーム向けカレンダーアプリ「Rise」

チームワークに特化したカレンダーアプリに取り組む新しいスタートアップ、Rise(ライズ)を紹介する。Riseは、あなたが計画していることを確認、あなたのチームが今何をしているかをチェックし、さらに重要なこととして、チーム全体にとってできるだけ都合のよいミーティングをスケジュールするのを助ける。

現在プライベートベータ版であるRiseは、Lachy Groom(レイチーグルーム)、Stewart Buttlefield(スチュワート・バトルフィールド)、Adriaan Mol(アドリアン・モル)、そしてビジネスエンジェルたちの長いリストから300万ドル(約3億4500万円)を調達した。

上のスクリーンショットを見る限り、Riseは多くのカレンダーアプリと同じように見える。しかし、主な差別化機能は、スケジュール管理エンジンで、そのおかげで次の会議の最適な開始時間について考える必要がない。Calendly(カレンダリー)のリンクは必要ないのだ

アカウントを作成すると、Riseはあなたにとっての完璧な1週間を設定するよう求める。つまり、あなたの1週間の青写真のようなものだ。例えば、午前中のミーティングは苦手という人もいるだろう。逆に、ミーティングに適した時間帯を設定することもできる。Riseは、1週間をミーティングタイムとフォーカスタイムに分ける。

チームがRiseに登録したら、コマンドバーを開いて「来週、サムとサラとミーティング」などと入力すれば、新しいミーティングを作成することができる。アプリは自動的に情報を解析し、あなたが他の2人のチームメンバーと新しいミーティングを予定したいことを理解する。

Riseは、すべての参加者の空き時間、タイムブロック、およびプリファレンスをチェックする。裏側では、各時間帯のランキングアルゴリズムがあり、Riseは最も良いランキングの結果を選ぶ。その結果、チームメンバー全員が集中するための時間を取り戻すことができる。

このスタートアップは、SaaS(Software-as-a-Service)方式で、毎月のサブスクリプションを提供したいと考えている。チームはRiseを使い始める前に、自分のアカウントをRiseに接続し、Riseをずっと使っていたらどれだけ時間を節約できたかを見ることができる。

もしRiseが多くの企業にカレンダーを使うように説得できれば、社外の人とのミーティングにおもしろいネットワーク効果が期待できるかもしれない。例えば、Riseを使っている2つの会社の間で、関係者全員にとって適切なタイミングで、Riseが自動的にミーティングをスケジュールしてくれるかもしれない。

Riseを使用していない人とのミーティングのスケジュールに関しては、明白な解決策はない。Calendlyは、忙しい人が空き時間のリンクを共有するための一般的なオプションであり、Riseはこの面でいくつかの既存の競合があることを認識している。

「空室状況をすばやくコピー&ペーストしたり、カレンダーのランディングページを作成したりと、類似の製品にあるような、明らかに追加できることがいくつかあります。しかし、そのような機能を提供するすばらしい製品もすでにあり、本当に10倍の飛躍を遂げるのは難しいでしょう」と、Riseの共同設立者であるRick Pastoor(リック・パストーア)氏は私に語ってくれた。

パストーア氏は「GRIP(グリップ)」というプロダクティヴィティについての本も書いており、オランダで好評を得ている。その著書は75000 部以上も売れている。Riseは、最近出現しているカレンダーのスタートアップの新しい波の一部で、Cron(クロン)、Hera(ヘラ)、Amie(アミー)などと競合することになる。

Riseは、時間管理に関する意見を述べることで、競合他社に差をつけられると考えている。「私たちは、ノブやオプションでいっぱいのコックピットを作りたいとは思いません。私たちは、ユーザーやチームが最も重要なことに到達するのを助けたいのです。そのためには、最初のインプットが必要ですが、実は、スケジュールを指定しなくても、時間管理を確実に把握できるようになれば、すぐにでも、それらを移動させたいと思っています」とパストーア氏は述べている。

画像クレジット:Rise

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Yuta Kaminishi)

2021年のスマートフォン出荷台数は2017年以来初めて増加

2020年になる前に、世界のスマートフォンの出荷台数はすでに縮小し始めていたが、2年間のパンデミックと、その結果としてのサプライチェーンとチップの制約で数字はさらに悪化していた。しかしCounterpoint ResearchIDCのレポートによると、2021年に市場はやっと2017年以来初めての成長を経験している。

Counterpointは全体の前年比成長率を4%とし、IDCはやや楽観的な5.7%としている。しかし両社とも、第4四半期は6%または3.2%の減少としている。半導体の不足が続いたため減少は予想されていたが、小さなメーカーは特に影響が大きく、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)などのようにサプライチェーンの工夫ができない分、第4四半期の減少も大きかった。

両調査会社とも、2022年の伸び率ではSamusungがトップで、どちらも6%となっている。Appleが2位だ。また最近のCanalysのレポートでは、Appleが1位になっている。3社の調査レポートの傾向に大きな違いはない。Apple自身も、その優秀だった決算報告でこの傾向を確認したが、そこではiPhoneの成功が特に大きく寄与していた。

画像クレジット:Counterpoint Research

AppleのiPhone部門は前年比で9%増の716億3000万ドル(約8兆2529億円)だった。Tim Cook(ティム・クック)CEOは、サプライチェーンの制約は引き続き同社のハードルであり、需要に供給が追いつかない市場も一部にあった。しかし問題は収まりつつあり、前進できると決算報告で述べている。このような問題は、最終的には、そうでなければより強固に回復したであろう市場を指し示している。

IDCリサーチディレクターのNabila Popal(ナビラ・ポパル)氏は「2021年は、供給の制約がなければ、劇的に高い成長率になっていたという事実が、2021年の健全な5.7%の成長率をさらにポジティブなものにしています」とリリースで述べている。「私にとっては、ほぼすべての地域で大きな潜在需要があるというメッセージになります。消費者需要の弱体化をめぐる課題がある中国でさえ、第4四半期の市場は予想をはるかに上回り、正確には5%上回ったが、それでも前年同期比では減少しています」。

画像クレジット:IDC

中国は引き続きサプライチェーンの制約により強い打撃を受けているが、2位と3位のスマートフォン市場は2021年に成長を遂げた。

「米国の成長は、Apple初の5G対応iPhone 12シリーズの需要が2021年の第1四半期まで伸び続けていたことが大きな要因です。この需要は年間を通じて継続し、ブラックフライデーやホリデーシーズンのプロモーションのおかげで第4四半期は好調に終わりました。インドでも中・上位機種の買い替え率の上昇、入手性の向上、魅力的な融資オプションにより、好調な1年となりました」とCounterpointのアナリストであるHarmeet Singh Walia(ハーミート・シン・ワリア)氏は述べている。

10年近くにわたる力強い成長の後、アップグレードサイクルの遅れ、高価格、市場の飽和により、パンデミックの前にスマートフォンの需要の減少は拡大していた。新型コロナウイルスは、消費者の消費意欲を減退させ、その減速にさらに拍車をかけた。これらの問題は、サプライチェーンの問題によってさらに悪化してしまった。しかし、需要の高まりと5Gのようなものが再び消費者の関心を呼び起こしているが、全体の出荷量はまだパンデミック以前のレベルを下回っている。

画像クレジット:Fajrul Islam/Getty Images

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「思いつき」をShazamのように広範な知識ベースと検索、照合、整理してくれるメモアプリ「Weavit」

同名の新しいアプリで「Shazam for your thoughts(あなたのインスピレーションをShazamのように検索)」しようと試みるWeavit(ウィービット)。同社はボタンを押すだけで自分の考えをすばやくメモツールに取り込み、それをより広範な知識ベースのコンテンツと照合するという、今までになかった手段をユーザーに提供する。Weavitアプリでは、メモを連絡先、会議、トピック、その他のウェブリンクにリンクさせ、アイデアや思いつきを、構造化して整理しなくても、書き留めておくことができる。

Weavitの創業者によると、これは脳の働きに似ている、という。

共同創業者であるKomal Narwani(コマル・ナルワニ)氏は次のように説明する。「私たちの頭の中にあるアイデアは、いずれもまったく構造化されておらず、すでにあるノートには収まりません」「思いついたことを吐き出し、機械に整理してもらえば、後からその情報を取り出し、きちんと整理し直すことができます」。

このアプリでは、アイデアをタイプ(あるいは口述)してWeavitのデータベースに入力する。

アプリは自然言語処理(NLP)技術を用いて、メモの中の特定の項目を、人や場所、イベントなど、アプリにすでに存在するトピックにリンクさせる。例えばCESで誰かに会ったと入力すると、「CES」はイベントとして認識され、「CES」が含まれる他のコンテンツにリンクされる(Weavitは6000万以上のWikipediaのトピックに接続され、このようなリンクをサポートしている)。さらに、メモに出てくる人を特定し、その人の会社、過去に会った場所や会議などにリンクさせることもできる。

画像クレジット:Weavit

このような自動リンクにより、自分の既存の知識をベースにしてアイデアを書き留めることが容易になる。Weavitはハッシュタグや@メンションなどの一般的なツールもサポートしているので、必要に応じて手動でリンクさせることも可能だ。

Weavitの共同創業者、Emmanuel Lefort(エマニュエル・ルフォート)氏は、過去の銀行勤務の経験からこのメモアプリのアイデアを思いついた。銀行では、営業担当者が顧客に金融商品を販売する際、パーソナルネットワークの中にある潜在的な情報を十分に利用できていなかった。そこで同氏は、CRM(顧客関係管理)ツールに入力しなくても、自動的に情報を結びつけることができる手段があれば面白いかも、と考えたのだ。

まだ初期段階にあるWeavitでは、ユーザーのコンテンツを社内のような分散型ネットワークに接続することはできない。これはもっと長期的な目標である。

その代わり、Weavitのアプリに記録されたものはすべて非開示で暗号化されている(データは転送中も暗号化されるという)。

Weavitは今のところiOS版のみ。まだテストの初期段階で、アクセスコードを持つユーザーだけが利用できる。

このアプリを試したいTechCrunchの読者は、コード「braincrunch」を使ってほしい。

画像クレジット:Weavit

Markdownベースの知識管理ツールであるRoam ResearchObsidianのような、グラフデータベースを搭載した(あるいはグラフデータベースに似た)ツールがある中で、ナルワニ氏によると、Weavitはより親しみやすいアプリとしてニッチを埋めることができるという。これらの生産性アプリは、より複雑で強力である反面、特に技術的な知識を持たない一般のユーザーにとっては複雑で導入が難しい。これに対し、Weavitは、仕事や研究に関するメモだけでなく、おすすめの映画や子供の先生の名前、後で見たい特定のテーマに関するウェブサイトなど、日常的な情報を記憶し、整理してリンクしてくれる。

2020年、WeavitはFluxus Ventures(フルクサスベンチャーズ)が主導したシードラウンドで125万ドル(約1億4000万円)を調達。香港を拠点に6人がフルタイムで活動している。

最低限の機能だけを備えたアプリのプロトタイプは2021年から公開されていたが、同社はユーザーからのフィードバックをもとにアプリを再編成して、2021年12月に再ローンチした。つまり、現在公開されているバージョンは、まだApp Storeに公開されてから数週間しか経っていない。同社によると、新バージョンのWeavitは、最初の10日間で1500件のサインアップを獲得したという。

Weavitチームはウェブアプリにも取り組んでいて、ブラウジング中に画像やウェブページをキャプチャするChromeの拡張機能が間もなくリリース予定。自分の考えやアイデア、インスピレーションだけでなく、ウェブ上のコンテンツも収集できるようになる。チームはAndroidアプリも開発中である。

画像クレジット:Weavit

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

【インタビュー】年初から話題のゲーム「Wordle」制作者が語る、バイラルでの人気とその先にあるもの

ネットの世界で人気なのは、あり得ないようなサクセスストーリーだ。新しい年になろうとしていた頃、そのような話が飛び込んできた。シンプルなアイデアで楽しませてくれて、簡単にプレイできるゲーム「Wordle(ワードル)」だ。6回のトライで5文字のワードを言い当て、結果と、試行を図にしたグリッドを他の人と共有して、泣いたり笑ったりする。

テクノロジー業界にとって一服するための清涼剤のようだった。ゲームクリエイターのJosh Wardle(ジョシュ・ウォードル)氏と話したときのことだ。モバイルアプリなし、24時間で1つのワード、広告なし、登録も必要なし。インターネット接続が切断されてもプレイできる。

しかしおそらく、ゲームそのものより喜ばしいのは、その元々の話だ。

簡潔に言えばこうだ。英国育ちでニューヨークに住むジョシュ・ウォードル氏は、かつてReddit(レディット)で働いていたが、今はブルックリンのアート集団Mschf(ミスチーフ)のソフトウェアエンジニアで、元々は2021年、ワードパズルに熱中していたパートナーのために、一緒にプレーするWordleを作った。

ウォードル氏は、長年他の創作活動のホームにしていたウェブサイトでWordleを提供しているが(powerlanguage.co.uk、英国時代のものが復活)、そのゲームを何げなく家族と共有した。その後、何人かの適切な友人に見せた。しかし、よく知られているように、スターが揃っていると人気に火がつくのは簡単だ。瞬く間に大騒ぎになった。

数週間のうちに、ゲームのプレイヤーは1000人未満から200万人に増えた。

「私が(最初に)作ったゲームを、今皆がプレイしているんです」と、氏はTechCrunchとのインタビューで述べた。「それは決して、私が最初に意図していたことではありませんでした」。

急激に成長にウォードル氏は驚いている。ミスチーフ(物議を醸しているLil Nas X[リル・ナズ・X]氏の「血が入った靴」のような大胆な作品で知られる集団)の仕事をしている彼は、自分の作ったものについて人々が言っていることを見て「夢でも見ている」ように感じることがある、とTwitter(ツイッター)で述べている。

しかし、ウォードル氏は主催者ではないし、今の時点で特に起業家精神にあふれているわけでもない(つまり、良い意味で彼のアプローチは自然体なのだ)。そのことが、思いがけない結果につながっている。

人々が疑ってきたことの確認が取れた。ウォードル氏は、Wordleを次のレベルに引き上げようとする投資家のアプローチを受けてきた。(注:ウォードル氏の雇用主であるミスチーフは、Founders FundのようなVCのバックアップを受けている。したがって、これはこれからの1つの方向性を示す興味深い型になる可能性がある)。しかしウォードル氏は、Wordleで利益を得ようとしているわけではない。

「私は、Wordleをフルタイムの仕事にするつもりはありません。Wordleに投資したり、その類のことをしたりするつもりもありません。現状にとても満足しています」と、ウォードル氏はTechCrunchに語った。「もし(ベンチャー基金が)現れるとしても、後援者がいるか、その種の背景を持つアーティストとしての関連においてだと思います」。

ウォードル氏が今後について考えている間に、そのゲームの成功を見て、それほど健全ではない他のタイプの大きな影響が現れている。大勢の開発者がそのゲームをコピーし、Wordleがウェブ上でおとなしくしていることを利用して、アプリを作って利益を得始めている。

ウォードル氏自身は自分のIPをどうやって守るか、あるいは守るかどうかを考える機会もあまりないうちに、他の人が彼を援護している。Apple(アップル)も、Wordleの作成者の要請とは関係なく、Wordleをコピーしたアプリを削除しているようだ

皮肉なことに、それと同時にウォードル氏も、他の人からWordleのコンセプトを盗んだとして糾弾されている。英国のゲーム番組「Lingo」(リンゴ)のホストは、そのゲームが「我々のゲームのように見えるし、我々のゲームのように動くし、我々のゲームのような匂いがするし、基本的に『我々のゲーム』だ」と考えて、彼がリンゴに誉れを帰していないことを公に非難している。

しかし、ウォードル氏は金銭や名声のためにこのゲームを作ったわけではない。Wordleを作った理由と、それ以降の繰り返しがいかに少ないかを考えれば、こうしたことはすべて的外れのように思える。

「自分で作ったゲームですが、Wordleを手にすると痛みを感じます」と、ウォードル氏は我々に語った。「今日のような日は特に、本当に困惑します。そのことを考えないといけないんです」(我々が話をした日の答えは「疑い」だったが、まったく完全だ)。「気持ちの良い達成感を得ることさえ難しいのです」。

我々はジョシュ・ウォードル氏に、物事をシンプルにしている理由と、次に考えていることについて話を聞いた(以下のインタビューは、わかりやすいように要約されている)。

TC:Wordleで人気があるのは、1日に1回しかプレーできないという点だ。これは、過去に人気に火のついたFlappy Bird(フラッピーバード)のようなゲームとは異なる。Flappy Birdは結局、開発者によって削除された。病みつきになるからだった。1日数分しか時間を取らない性質のゲームを作ることは、どれほど意識していたか?

JW:パートナーと私はNew York Times(ニューヨーク・タイムズ)のワードゲームをたくさんプレイするが、そうしたゲームは、1日に1つという型に従っている。しかし、考えてみるとおもしろいのは、Wordleでプレイできるのは1日に1つだが、同じ日に皆のワードが違っていたら、つまりワードはランダムだがそれでも1回しかプレイできないとしたら、今のように人気が出ることはなかったのではないだろうか。要は、パズルは1つで、それを皆が解こうとするということだ。Flappy Birdのようなゲームだが、際限なく注意を奪うアプリやゲームには少々懐疑的だ。私はSilicon Valley(シリコンバレー)で働いていた。なぜそうなのかはわかっている。Wordleの場合は、実際のところ、拡大目的ならしないであろうことをあえて行った。そして奇妙なことだが、そのことが拡大につながったのだと思う。しかしとても運が良かっただけで、適切な時に適切な場所にいたに過ぎない。人は何も求められないことが明らかなものに対する欲求を持っていると思う。人はそういうものがすごく好きなんじゃないだろうか。

パートナーと一緒にプレーするために作ったゲームが、どうして一躍、センセーションを巻き起こしたのか?

夏に英国に戻っていたとき、そのゲームを家族と共有したところ、家族はとても気に入って、家族のグループチャットの話がそれるようになったので、Wordleのチャンネルを別に作る必要があった。その時は絵文字のグリッドはなかったので、ただチャットに入って「3回でワードをゲットしたよ」とか何とか言っていた。米国の何人かの友人に紹介したところ、Andy Baio(アンディ・バイオ)が自分のブログで共有した。その後、ニューヨーク・タイムズのニュースレター作成者が「ほら、これ楽しいよ」といった感じで感謝祭の補足説明に含めた。それがどういうわけか、ニュージーランドで、それからオーストラリアで大人気になり、オーストラリアのGuardian(ガーディアン)のジャーナリストがそのゲームのことを書いた。私が覚えている限りでは、その時はじめて、次の日にログインして、前日に8万人がプレイしたことを知った。ニュージーランドの初期の利用者の1人が絵文字グリッドのアイデアを思いつき、手作業で入力して、結果をツイッターで共有した。それで私は、それをアプリ自体に統合することにした。明らかに、これには大きなインパクトがあった。

何百万もの人がPower Language(パワーランゲージ)のサイトでプレーしているが、そのトラフィックはどう処理しているのか?

とても簡単なことだ。本当に、ただウェブサイトがあって、JavaScript(ジャバスクリプト)をいくつかダウンロードするだけだ。一度ダウンロードすれば、もう何もする必要はない。電話をオフラインにしてプレイを続けることもできる。だから、バックエンドは何もない。自分のやり方に何か不備があれば、すぐにソースコードを見てもらうようにするので、見た人はすべてのワードがあることがわかり、そのことを調べることができる。もしバックエンドをスケーリングしなければならないとすれば、推測が送信されるたびにサーバーに移動しないといけない。もしそうなら、大変な頭痛の種になっただろう。パートナーと自分のためだけに作ったので、できるだけシンプルに作った。解のソースを調べた人がツイッターで、新聞のパズルを解いているようだと言っているのを見るが、それがすごくいい。パズルを上下逆さまにして、答えを見ることができる。自分がカンニングする場合、誰をカンニングすることになるだろうか。本当にそうしたいのなら、匿名のブラウザを開いて、今日もう一度パズルをすることができるじゃないか。リスクはとても小さい。

(最初、サイトは独立した会社によってホスティングされていて)、しばらくの間私はそこで朝起きていた、プレイする人が少なくなることを願っていた、帯域幅が限界に達しないか心配だった。Wordleの人気に火がついた後、12月の終わり頃は、まだ十分な余裕があった、プレイできる帯域幅が100ギガバイトあった。その後、元レディットの親友の1人、Kevin O’Connor(ケビン・オコナー)氏(現在はKickstarter(キックスターター)のエンジニアリング担当VP)が、Cloudflare(クラウドフレア)を私のウェブサイトの前に置くのを助けてくれた。その後、もっと最近では、費用を支払う限り無制限にスケーリングできるAmazon S3(アマゾンS3)にホスティングを移行した。

非常に多くのベンチャーキャピタリストがWordleをプレイし、結果をツイッターに投稿している。VCからの接触はあったか?楽しいゲームではなくビジネスの可能性について考えているVCもあるに違いないが、そのことについてどう思うか?

数人の人が、とてもお世辞のうまい友好的なVCスタイルで接触してきた(笑)。まだ話し合いはしていない。よくわからないんだ。前にこういう状況になったことはないし、これを無料で提供しているときにそういう話し合いがどういうものになるかはわからない。私は無料で提供するのが好きなんだ。大切なのは無料だということだ。

提案に応じて、どうなるか見るつもりは?

応じないのは愚かなことだと思うだろう?めったにないチャンスのように見える。私は、Wordleをフルタイムの仕事にするつもりはない。Wordleに投資したり、その種のことをしたりするつもりもない。現状にとても満足している。しかし、テクノロジーの仕事をするなら、たぶんテクノロジーの仕事を続けると思うけど、そういう人たちと会って少なくとも話をするのはいいことだと思う。

幸い、Wordleを運用するサーバーを維持するのに少しコストはかかるが、そうする余裕はある。

皆がオンラインで作ったものを無料で提供する必要があるとは思わない。ただ私はそういう方法で始めたというだけだ。そうすることで、続けることが容易になった。私は自分が本当に正しいと感じることをしたが、今人は「収益化したいか?なぜあれもそれもこれもしないのか?」などと尋ねてくる。

これは本当のことだ。パートナーと自分だけで一緒にプレイして本当に満足してた。そういう状況には本当に簡単に誘惑されてしまうが、私は自分を変えようとしている。その時は満足だったし、将来もそうなら幸せだと思う。1日の終わりにWordleがあって、また彼女と自分だけでプレイできれば、それで本当に幸せだと思う。

レディットで働いているときに「Button」(ボタン)と「Place」(プレイス)という2つのとてもクールなプロジェクトに携わったが、それらを作った経緯は?

私のバックグラウンドはアートにあって、おもしろいものを作ることに興味がある。ビジネス面はあまり興味がなくて、お金を払ってもらうことは想像もできない。私が作りたいものは、とても風変わりか、伝統的じゃないと思う。ビジネスとしてはあまり意味がない。もし(ベンチャー基金が)現れるとしても、後援者がいるか、その種の背景を持つアーティストとしての関連においてだと思う。

非常に多くの人がネット上でWordleに関連したミームやアートを作っているが、何かお気に入りは?

創造的な絵文字グリッドが本当に気に入っている。最近フォローし始めたアカウントには、緑色や黄色のMicrosoft Paint(マイクロソフト・ペイント)スタイルの絵がある。誰かがWordleの結果をクロスステッチにしているのを見たが、本当にすばらしい。人はインスピレーションを刺激するこういうものに関心を持ち、楽しんで、表現する。そして創造力を発揮して満足する。これは本当に驚くべき賛辞だ。私は自分でものを作ることが好きなので、自分が作ったものに人がこんなふうに反応するのを見るとすばらしい気持ちになる。

特にツイッターでゲームのことが話題になるように思うが、なぜか?

私に言えるのは、大部分のプレイヤーは実際には結果をツイッターに投稿していないということだ。Wordle Statsというアカウントがあって、ツイッターを調べて、共有されているグリッドをすべて収集し、それを翌日投稿して、こういうんだ。「よし、30パーセントの人が4回で答えた」。2日前だったと思うが、10万かそこらの集計があったとき、200万近い人がWordleをプレイしていた。

私の家族のグループように、WhatsApp(ワッツアップ)のグループで共有されているWordleもある。ツイッターが家族のワッツアップのグループになっている人もいる。しかし、プレイする人の大部分はツイッターを使わない。友人や家族とプレイしていると思う。新型コロナウイルス感染症のためにお互い会うのが難しい家族もいるし、会話の話題についていくのが難しいこともある。しかし、Wordleを始めるのに努力は要らず、ちょっと自分の結果を投稿したり、他の人の結果に反応したりすることもできる。これは、相手の人のことを考えていることを知らせる本当に励みになる方法だ。体験を共有できるんだ。

ウェブサイトを「パワーランゲージ」と呼んでいるのはなぜ?

それはオンラインで長い間使っているユーザー名で、元々は人の言葉を聞き間違えたことから来ている。若い頃、友人と私はある人にひどく られた。お互いに悪態をついていたことで られたんだ。私はその人が「パワーランゲージ」と言ったと思った。思い起こしてみると、その人は「汚い言葉」と言っていたんだが、聞き間違えた。しかし私は、悪態が「パワーランゲージ(強力な言葉)」だという考えをとても気に入って、16歳かそこらのときにするように、それをちょっと引き継いだんだ。

Wordleのコピーがあふれていることをどう思うか?アプリを作りたいと思うか?

アプリのことをよく尋ねられるが、1つの答えとして、私にはそのスキルがない。アプリの作り方を学ぶとすれば時間を投資する必要がある。やればできると思うが、自分の時間を投資することになる。それに、パートナーのためにゲームを作れば、2人で毎日ウェブサイトを使える。それは問題ない。私の目標がWordleを自分のビジネスにしたり、収益化したりすることであれば、そうすることに意味があることはわかる。しかしそうすると、たとえばプッシュ通知を送信するかどうかといった、たくさんのことに取り組まなければならない。間違いなく、プレイヤーと結ぶ契約のことを考えないといけないだろう。通知が欲しいと本当に思うか?これが最善の方法だろうか?少しWordleのことを忘れるのはどうか?

本当にすてきなことがあったので話しておきたい。何年か前に、App Store(アップストア)でWordleというゲームを作った人がいて、突然大量のトラフィックとダウンロードが発生するようになった。その人はGoogle(グーグル)で検索してニューヨーク・タイムズの記事を見つけ、ツイッターで連絡してきた。こんな感じだった。「どうも。あなたのアプローチの仕方がとても気に入りました。アプリがたくさんダウンロードされたのでお金がいくらか手に入りました。寄付したいのですが、どこにすればいいですか?」私は改めてその人に連絡を取る必要があったが、その人はこんなふうに言った。「リテラシーか何かに取り組んでいるチャリティーに寄付したいと思います」。それはすばらしいことだと私は思った。

コピーに関しては、Wordleの実際の機能について微妙な点がいくつかある。私は実際、解のリストにかなり多くの労力を注いだ。実際、かなりの時間を解のリストのフィルタリングに投資した。私にとって大きかったのは、聞いたことのない5文字の言葉がたくさんあるかどうかということだった。もし解がそうした言葉の1つだったら、相手のことを気の毒に思う。

Ringer(リンガー)は「FARTS」(ファーツ)はWordleの解ではないとレポートした。その理由は?

理由はあるが、私はWordleを見つけ、何度もプレイする喜びを知っている。その言葉が含まれていない理由はわかっているが、それは言いたくない。自分で見つけて欲しいと思う。読者の練習問題だ。(注:我々はその答えを見つけたと考えている)。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

原文へ

(文:Ingrid Lunden、Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

グーグル、インドの通信大手Airtelに最大約1152億円出資へ

Googleがインドの通信事業者Airtelに、最大10億ドル(約1152億円)の投資を行なう。それはこの国への100億ドル(約1兆1522億円)の積極関与の約束の一環として、世界で2番目に大きいインターネット市場にGoogleが張ってきた一連の賭けの、最新のものだ。

関連記事:グーグルが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資

Googleによると、同社は7億ドル(約807億円)を投資してAirnetの株の1.28%を取得する。Airtelはインドで2番目に大きい通信事業者で、契約者は3億人を超える。Googleは同社にさらに3億ドル(約346億円)を投じて、複数年の商業的合意の可能性を探る。

両社は「革新的なアフォーダビリティプログラム」を通じて、消費者に幅広いAndroid対応デバイスを提供するために、Airtelのサービスを拡大することに取り組むと述べている。また、GoogleとAirtelは、より手頃な価格のスマートフォンを作るために、スマートフォンメーカーとの提携を模索する予定だという。

GoogleとAlphabetのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は「Airtelはインドのデジタルの未来を形作る主要なパイオニアであり、接続性を拡大し、より多くのインド人にインターネットへの公平なアクセスを確保するという共通のビジョンで提携できることを誇りに思います」と声明で述べています。

「Airtelへの商業投資および株式投資は、スマートフォンへのアクセスを拡大し、新しいビジネスモデルをサポートする接続性を強化し、企業のデジタル変革の旅を支援するGoogle for India Digitization Fundの取り組みを継続するものです」。

インドのコルカタのAirtelストア、2021年11月24日(画像クレジット:Debarchan Chatterjee/NurPhoto via Getty Images)

現地時間1月28日の発表は、AirtelとVodafoneがインド政府への数十億ドル(数千億円)の借款の返済で腐心しているときに行われた。Vodafoneは2021年1月の初めに所有権の35%ほどをニューデリーに渡し、インド政府が同社の最大の株主になった。

VodafoneとAirtelは、アジア最大のお金持ちであるMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が経営するJio Platformsと競合している。Jio Platformsは、その音声とデータの低料金により契約者数が4億を超えている。Googleは2020年にJio Platformsに45億ドル(約5185億円)を投資した。Facebookをはじめ10以上の企業がアンバニ氏のその他の企業を支援している。

GoogleとJio Platformsはコラボレーションにより、彼らが初め大衆向けと呼んでいたAndroidスマートフォンを作った。しかしそのハンドセットは一度遅れ価格も相当高いので多くは売れないとアナリストたちは考えていた。2017年のインドで行われたイベントでピチャイ氏は、インドのような市場は世界に多いが、そんな市場では、スマートフォンの大衆化のためには価格が30ドル(約3460円)以下でないとだめだ、と述べた。JioPhoneのいわゆる大衆機は87ドル(約1万20円)だった。

Airtelは1月28日に、Googleとは「大型の戦略的目標」を検討し、共同でインド固有のネットワークドメインによる5Gのユースケースやその他のスタンダードを作っていくという。

両社はまた、インドにおけるクラウドエコシステムの形成と成長でも協働していくという。Airtelはすでに同社のエンタープライズ接続性サービスを100万以上の中小企業に提供しており、クラウドによるデジタル化の採用が加速される、と金曜日に発表している。

Bharti Airtelの会長Sunil Bharti Mittal(スニル・バーティ・ミタル)氏は声明で「AirtelとGoogleは革新的なプロダクトでインドのデジタルの恩恵を育てていくビジョンを共有している。私達の未来指向のネットワークとデジタルのプラットフォーム、ラストマイルの配信、および決済のエコシステムにより、Googleとの密接な協力でインドのデジタルエコシステムの深さと幅を増大していきたい」と述べている。

6億のインターネットユーザーがいて、まだその他のもっと多くがオンラインでないインドは、米国のテクノロジーグループにとって最後で最大の成長市場だ。GoogleとFacebookはともに10年前から、数千万のインド人にインターネットへの接続を提供するためのさまざまな事業を展開してきた。

画像クレジット:Samir Jana/Hindustan Times/Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】技術支配をめぐる世界的な衝突が激化、敵対国はルール・制限・終わりがない戦略的競争とスパイ活動を展開している

国家の支援を受けた企業スパイ活動に関しては、一見無関係に見える行動を、無作為なもの、重要でないもの、あるいは意味のないものであると一蹴しがちである。

次のことを考えてみて欲しい。中国は、AI、バイオテクノロジー、自動運転車、量子コンピューティング、半導体への数十億ドル(数千億円)規模の投資でシリコンバレーを席巻している。これらの領域の基礎研究開発に巨額の資金を投じているのである。米国に本拠を置く大学の教授たちが中国の研究機関とのつながりを隠しているのではないかという懸念が高まっており、2021年12月にはハーバード大学の教授が連邦法違反で有罪判決を受けたばかりである。

また、これらのセクターに属するテクノロジーCEOの多くが認識しているように、中国とつながりのある企業は、国民、ネットワーク、システムに不正アクセスをしようと絶え間ない活動を続けている。悪意のある行為者たちは、大小を問わず企業に侵入し、エマージングテクノロジー(将来実用化が期待される先端技術)の進歩に関する情報を入手するために、非従来型の情報収集活動を組み込んだ混合オペレーションを採用している。

中国が軍事部門と民間部門を問わず、テクノロジーセクター全体の支配権を獲得しようと世代的な取り組みを行っていることを理解すると、パズルのピースが適切な位置に配置され始める。

今日、私たちの敵対国は、ルールのない、制限のない、終わりのない戦略的競争とスパイ活動という、致命的で深刻なゲームを展開している。近年中国は、自国の戦略目標を推進する目的で、外国の技術とそれに従事する科学者、技術者、企業を分析し、標的にし、獲得するグローバルなシステムを構築してきた。

米国と西側諸国は、この脅威にようやく気づき始めたところである。米国家防諜安全保障センター(National Counterintelligence and Security Center、NCSC)は最近になって「中国は、米国やその他の国々から技術やノウハウを得る目的で、さまざまな合法的、準合法的、違法な方法を用いている」ことを認めている。

一方、米連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation、FBI)は、10時間に1件の割合で中国政府の行動に関する捜査に着手していると報告している。カナダ政府は、政府の資金が敵対的な研究開発プログラムを支援していないことを確認する目的で、すべての科学者へのスクリーニングの実施を義務づける方針である。そして日本は先ごろ、経済スパイ活動に対するサプライチェーン、知的財産、重要インフラの安全性の確保を視野に入れ、内閣レベルのポストである経済安全保障担当大臣を新設した。

NATOでさえ最近、この戦いに介入し、同盟国に中国からの投資を阻止するよう呼びかけており、同盟の設立条約には回復力のある「重要なインフラと産業」が謳われていると指摘した。これは歴史的な宣言といえよう。今日の地政学的な戦いにおいて、企業は好むと好まざるとにかかわらず、その最前線に置かれている。

これを受けて、ワシントン、ブリュッセル、東京は、中国のアーリーステージのテック系スタートアップ、特に「エマージング」や「フロンティア」領域の技術を開発するスタートアップのアクセス制限に対する取り組みを徐々に強化する公算が大きい。これはテック系スタートアップやベンチャーファンドの資金調達にも影響を与えるであろう。米国政府はすでに、FIRRMAおよび2018年輸出管理改革法(Export Control Reform Act of 2018)の形で、米国の技術への中国によるアクセスを阻止または取り消す手段を導入している。規制当局はこれらのツールを本格的に用いて、アーリーステージのテック企業への投資、M&A、技術移転を見直す予定である。

しかし、これでは十分とはいえない。自由世界の政府と企業は、脅威に対抗するために、積極的、持続的、かつ効果的な措置を講じなければならない。

最初のステップは、西側諸国政府がこの難題に立ち向かい、産業を戦場として認識することである。そうすることで、企業の取締役会の考え方の変化が促進されるであろう。過去10年間、多くの米国企業が、欧米の価値観を前進させる上で、名目上の利害関係でグローバル精神を採用してきた経緯がある。

次のステップでは、この競争に勝つために不可欠な戦略的産業とエマージングテクノロジーについて、政府が定義する必要がある。米国商務省(U.S. Department of Commerce、DOC)は、2018年輸出管理改革法で、この方向に一歩踏み出した。企業に同様のことを要求することは、重要なノウハウや知的財産が敵対国に拡散することのない統一された官民ブロックを確保する上で、不可欠である。研究開発のための資金を増やし、パブリックセクターを含む市場を創出することは、企業が負担する短期的なコストを相殺することにつながるであろう。

最後に、米国が欧州とアジアの同盟国の参加を促し、投資審査と輸出管理のための統一的な法的枠組みを構築しない限り、既存の、そして今後予定されている法的、政策的処方箋はすべて無意味なものとなる。これは米国にとって真のリーダーシップを発揮する機会であり、難局に際してうまく対処し、自由世界を結集させなければならない。

結果的に、この地政学的な対立は、一部のITエグゼクティブ、スタートアップ創業者、ベンチャーキャピタリストの間にフラストレーションを生み出すことになる。これは、戦略的競争が、あるレベルでは、人、資本、アイデアの自由な流れというテック世界のモットーに反するからである。

しかし、こうしたアイデアを生み出したのは、西洋の価値観と法の支配である。それらは、私たちの継続的な利益のためだけではなく、将来の世代のためにも、私たちが保護するに値するものであるといえよう。

編集部注:本稿の執筆者Greg Levesque(グレッグ・レベスク)氏とEric Levesque(エリック・レベスク)氏はともに企業が技術、人材、サプライチェーンを地政学的脅威から守るための実用的なデータを提供するStriderの共同設立者。

画像クレジット:David Sacks / Getty Images

原文へ

(文:Greg Levesque、Eric Levesque、翻訳:Dragonfly)

ワシントン州による調査後、「Sold By Amazon」での価格操作に対してアマゾンは2.6億円を支払い、プログラムも終了

Amazon(アマゾン)は、225万ドル(約2億6000万円)を支払い、中断していた販売プログラムを永久に停止しなければならない。同社が実質的な価格操作を行っていたとする、ワシントン州司法長官による調査および訴訟を受けたものだ。

「Sold By Amazon」は基本的に次のような仕組みだった。Amazonがサードパーティの販売者と連絡を取り、商品の最低価格について合意する。Amazonがそれ以上の値段でその商品を売れば、利益を分配する。ある意味、卸売りで大量に仕入れて転売するのとあまり変わらない。しかし、Amazonがストアで商品の価格や見せ方を激しく変えるその手法のために、実際にはまったく異なったことが起こった。

州司法長官室の説明によると、Amazonは結局、他の小売業者に合わせてその商品の価格を上げ、売り手が割引を提供するのを防いでいた。その結果、購入者は、Amazonが好きなように価格を設定できるAmazon自社ブランドの購入に走ることが多かった。

Sold by Amazonに登録されている商品の大半は、価格が人為的に高く設定されたままになっていた。

価格が上昇すると、一部の販売者は、プログラム対象製品の売上とそれによる利益が著しく減少した。価格上昇に直面したネットユーザーは、Amazonの自社ブランド商品、特にプライベートブランド商品を購入することを選択することもあった。その結果、消費者が「Sold by Amazon」プログラムに登録された商品に高い値段を払うか、あるいはAmazonで提供される同一または類似の商品を購入するかにかかわらず、Amazon自身の利益が最大化されることになった。

これは売り手にとって不利な取引に聞こえる。だが、より根本的には、ワシントン州のBob Ferguson(ボブ・ファーガソン)司法長官は、この行為は州の反トラスト法に違反していると主張した。Amazonは店舗かもしれないが、自社の商品も販売しており、問題のサードパーティの販売業者とは競合関係にある。そして、競合する2社が商品のコストをコントロールする密約を結ぶことは、価格操作の定義とほぼ同じだ。

Amazonはファーガソン司法長官の見解に反論し、すべては顧客のためであり、完全に対等だと述べた。また「司法長官の調査とは無関係なビジネス上の理由」でプログラムを停止したと主張している。「私たちはプログラムが合法的であったと強く信じていますが、この問題が解決されることを歓迎します」と同社はTechCrunchに声明で述べた。

それにしても、2018年から拡大していたプログラムが、独禁法当局が嗅ぎ回った直後にほぼ停止してしまうとは、何という偶然だろうか。「調査は2020年3月に開始し、Amazonは6月にプログラムを停止した」と、州司法長官室のDan Jackson(ダン・ジャクソン)氏は述べた。おそらく、単にタイミングの問題だったのだろう。

とにかく、Amazonは法廷で争うよりも、225万ドルの支払い(これは州司法長官室の反トラスト部門の財源に直接充てられる)と、同社がこのプログラムの再開をいかなる形であっても禁じることを求める同意協定に同意した。

「Amazonのような巨大企業が利益を上げるために価格を固定すると、消費者が損をします。今日の措置は、製品の革新と消費者の選択を促進し、ワシントン州および全米の販売者にとって市場の競争力を高めるものです」とファーガソン司法長官は述べた。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokはホロコーストに関する誤情報に立ち向かっているが、反ユダヤ主義は根強い

国際ホロコースト記念日の1月27日、TikTokは歴史的な大惨事と現在も続いている反ユダヤ主義の脅威についてユーザーを教育するためのポータルをDiscover(ディスカバー)ページに開設した。TikTokは、2021年も同様のポータルを設けている。

TikTokのモバイルアプリにあるDiscoverページに移動すると、国際ホロコースト記念日を示すクリック可能なバナーが表示される。このバナーは、ユダヤ人クリエイターによる3つの教育的なTikTokが集められたページに誘導する。クリエイターには、ひ孫の助けを借りてTikTokを制作した98歳のホロコースト(ナチスによるユダヤ人大虐殺)生存者が含まれる。さらに今後は、ユーザーがTikTokで「ホロコースト」や「ホロコースト生存者」などの言葉を検索すると「憎悪や誤った情報の拡散を防ぐために、信頼できる情報源を参照する」よう促すバナーが表示され、ホロコーストに関する多言語ウェブサイトへと誘導される。数カ月以内に、TikTokはホロコーストに関する動画に同様の告知を常設バナーとして追加する予定だ。TikTokは、2020年から連携しているユネスコ(国連教育科学文化機関)および世界ユダヤ人会議と協力して、こうした変更を行った。

この取り組みは、ホロコーストは起こらなかったという誤った陰謀論であるホロコースト否定に直接対処している。しかし、ユダヤ人のTikTokユーザーの中には、プラットフォーム上の反ユダヤ主義は、ホロコーストのコンテンツに関するいくつかのポップアップでは解決できない、より大きく複雑な問題だと考える人もいる。

@livschreiber

Let’s see if this gets taken down. #jewishtok #tiktokantisemitism #antisemites #greenscreenvideo

♬ Monkeys Spinning Monkeys – Kevin MacLeod & Kevin The Monkey

7万4000人のフォロワーを持つスタイリストのLiv Schreiber(リヴ・シュライバー)氏は、2021年11月にユダヤ人デートアプリ「The Lox Club」と提携して広告を出した。その1週間後、同氏は動画を投稿してから毎日、反ユダヤ的なコメントが波のように寄せられていることを紹介する動画を投稿している。

「なぜ反ユダヤ主義が許されるのか理解できません」とシュライバー氏は動画の中で語っている。「なぜ削除されないのか理解できません。TikTok、これは譲れません」。

TikTokでの反ユダヤ主義に関する会話は2021年4月に、ユーザーが鼻などを細長くするフィルターを使いながら、ユダヤ教徒の暮らしを描いたミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」の「If I Were a Rich Man」を歌うというトレンドが流行したときに急増した。こうした動きは、TikTokを利用するユダヤ人にとって、ユダヤ人の鼻を誇張した風刺画やその他の有害な反ユダヤ的イメージなど、これまでの固定概念を呼び起こすものだった。

そうしたトレンドがプラットフォームに浸透する中、TikTokは2021年5月のJewish Heritage Month(ユダヤ人遺産月間)を記念するために作成した「#MyJewishHeritage」というタグを通じて、ユダヤ人クリエイターにポジティブな光を当てようと試みた。TikTokはDiscoverページでユダヤ教に関するいくつかの投稿を取り上げたが、自分のコンテンツが宣伝されたクリエイターはTikTokから何の警告も受けなかった。その結果、一部のユダヤ系クリエイターには、突然、反ユダヤ主義的なコメントが殺到した。

TikTokは、2022年の国際ホロコースト記念日ポータルに掲載されたクリエイターには報酬が支払われたと述べている。

@ezzy4prezzy

Reply to @hehehehhehe2

♬ original sound – Ezra811

「TikTokの反ユダヤ主義に関する問題は、あらゆる方面から嫌がらせを受ける羽目になることです」と、3万7000人以上のフォロワーを持ち、政治的な主張を行うTikTokユーザーのEzraはTechCrunchに語った。「極右のアカウント、荒らし者のアカウント、よくわかっておらず意図せず反ユダヤ主義のアカウント、ユダヤ人とイスラエル人を区別できない左翼のアカウントなどがあります。ですので、反ユダヤ主義の取り締まりは、多方面にわたる問題なのです」。

TikTokはプラットフォーム上の反ユダヤ主義を公に非難しているが、新しいポータルの立ち上げのような一般向けの連帯のジェスチャーは、プラットフォーム上で嫌がらせを経験したユーザーにとっては空しく響くかもしれない。また、TikTokがこの取り組みにどれくらいの時間を費やしたかも不明だ。というのも、TechCrunchがホロコースト記念日ポータルに最初にアクセスしたとき(米国東部時間午前3時のリリースから数時間後)、反ユダヤ主義的事案を名誉毀損防止同盟に報告するリンクが機能しなかったからだ。数時間後、この問題は修正されたようだ。TikTokは、リンクが機能しないままポータルを公開した理由についての問い合わせにはまだ回答していない。

TikTokで反ユダヤ主義について投稿している大学院生のStephanie Gurewitz(ステファニー・グレヴィッツ、@shachar.mg)氏は、国際ホロコースト記念日のポータルがユダヤ人に対するホロコーストの影響しか扱っていないことに驚いた。別の記念日であるYom HaShoah(ヨム・ハショア)は、ホロコーストでの600万人のユダヤ人の死を追悼する日だ。しかし、ナチスは障害者、同性愛者、ロマ民族など、社会から疎外された人々も迫害していた

グレヴィッツ氏はTechCrunchに対し「この日は、ユダヤ人のための特別な追悼の日ではなく、国際ホロコースト記念日です」と話した。「今日はホロコーストのすべての犠牲者を悼む日であり、ロマ民族については何も触れられていません。そこに欠けているものがあり、それが問題なのです」。

ユダヤ人クリエイターらは、今日も自分たちの動画に反ユダヤ的なコメントが寄せられていることに触れている。

「TikTokには偏見を持ってやってくる人がいて、それを止めるにはバナーだけでは不十分だと思う」と彼らは語った。

@shachar.mg

Ways that #antisemitism spreads undetected on TikTok #tiktokantisemitism #tiktokalgorithm #jewishtiktok Thank you @criticallens for the screenshots!

♬ Monkeys Spinning Monkeys – Kevin MacLeod & Kevin The Monkey

月間アクティブユーザー10億人のプラットフォームで、コンテンツのモデレーションを行うのは容易なことではない。しかし、ユーザーは往々にして普通のユーザに明白な手段で検知メカニズムを回避している。例えば、セクシュアリティについて話す場合でも、ガイドライン違反のフラグを立てられないように「s3xuality」と書くこともあるだろう(アダルトコンテンツは違反だが、例えば同性愛について話すのは違反ではない)。これと同じ手口は、悪意のあるユーザーが反ユダヤ的なメッセージを送るために度々使っており、TikTokはこれを検出することができない。

「私は、TikTokや他のソーシャルメディアプラットフォームが、重要な原因に注意を集めるためにできることをすることについては、本当にすべて賛成です。あの(ホロコースト記念日)ポータルを見ると、彼らが社内でそれについて行ったすべての会議のことを思い、そのことを私は感謝しています」とシュライバー氏はTechCrunchに語った。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグル、今はなき「G Suite」のユーザーに無料のGoogleアカウントに移行してもらう予定と発表

2021年1月初め、Google(グーグル)はG Suiteレガシー無料版を使用していたGoogle Workspaceの無料アカウントを廃止すると発表した。Ars Technicaが発見したように、顧客からの反発を受けて、Googleはサポートページを更新し、既存のユーザーに対してより多くの選択肢を提供する予定であると述べている。

現在のGoogle Workspaceは、以前のものとはまったく異なる製品となっている。Googleの生産性向上サブスクリプションパッケージは、現在、主に企業向けに設計されている。同社は、Business Starter、Business Standard、Business Plusといった、SaaS方式によるさまざまなプランを提供している。これらのプランは、1ユーザーあたり月額6ドル〜18ドル(日本での料金は680円〜2040円)となっている。

2006年、GmailとGoogleカレンダーの発足に続いて、GoogleはGoogleアカウントにカスタムドメイン名を追加する機能を提供した。例えば、姓のドメイン名を購入し、それを電子メール アドレスに使用することができる(sarah@myfamilyname.com)。当初Google Apps for Your Domainと呼ばれたこの機能は、もともと完全に無料で、特にビジネス顧客をターゲットにしているというわけではなかった。2012年、Googleはその無料版の提供を停止した。

Googleが、永遠に無料サービスを提供するという義務はない。しかし、G Suiteのレガシーアカウントを10年以上使ってきた、テクノロジーに詳しいGoogleの顧客からこのような反応が出るとは、おそらく同社も予想していなかっただろう。例えば、Hacker News のスレッドには1000件以上のコメントが集まった。

支払いを強要したり、G Suiteのレガシーアカウントを完全に停止したりする代わりに、Googleは第3の選択肢を提供するつもりだ。ある種、告知ページとして機能するサポートページで、同社は次のような段落を追加した。

今後数カ月の間に、Google Workspace以外の有料コンテンツとデータの大部分を、費用のかからないオプションに移行する選択肢を提供する予定です。この新しいオプションには、カスタムメールやマルチアカウント管理などのプレミアム機能は含まれません。このオプションは、2022年7月1日とアカウント停止になる前に評価することが可能です。詳細については、今後数カ月以内にこの記事を更新する予定です。

G Suiteのレガシー無料アカウントの大きな問題は、Googleのエコシステム全体に対してGoogleアカウントとして機能するということだ。メール、カレンダーイベント、連絡先に加え、G Suiteのレガシー無料アカウントを持つ一部のユーザーは、YouTube、Googleマップ、Google Playでの購入、Googleドライブなどでそれらのアカウントを使用している。

つまり、Googleのアカウントはメールの受信箱以上の存在であるため、ユーザーにアカウントをキャンセルするか、支払いを開始するかのどちらかを伝えることは公平ではないということだ。Googleが管理者を脅迫しているように感じられたのだ。

もちろん、G Suiteのレガシー無料アカウントをコンシューマー向けGoogleアカウントに移植しても、カスタムドメイン名で既存のメールアドレスを維持できないことに変わりはない。別のメールアドレスを使うか、別のメールプロバイダを探さなければならない。

最後に、Googleは10ユーザー以下のG Suiteレガシー無料管理者向けに簡単なアンケートを設定した。このアンケートに回答することで、代替オプションへの関心を示し、Googleからの最新情報を受け取ることができるようになる。

画像クレジット:studioEAST/Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

実在する不動産をNFTとして購入可能に、Propyが米国でプラットフォームの展開を開始

2021年、初期のブロックチェーンスタートアップであるPropy(プロピー)が、このテクノロジーを使って現実の不動産販売をスムーズに行えるようにするために、スマートコントラクトの概念を導入することを計画しているという記事を掲載した。同社は実際にNFT(非代替性トークン)としてアパートを販売し、NFTを使って法的手続きを効果的に処理することに成功している。ただし、そのアパートはウクライナにあるものだった。同社は今回、この概念をそっくりそのまま、法律的な問題がまったく異なる米国で展開を始める。

関連記事:キエフのアパートが収集可能なNFTとして初オークション、ブロックチェーンスタートアップPropyが企画

同社は現在、米国で不動産を担保としたNFTを起ち上げることによって、このプロセス全体をさらに拡大し、文字通り不動産の所有権をNFTに変えるための技術的・法的な枠組みに取り組んでいる。

このテクノロジーは、所有者や仲介業者に向けて販売されることになっており、Propyは不動産NFT化サービスの一環として、2月8日にフロリダ州にある2つの住宅用物件をオークションにかける予定だ。

その仕組みは次のようになっている。Propyによると、購入の記録は変更不可能なブロックチェーン上に置かれ、所有権を示す法的文書へのアクセスを提供する。これによって、買い手はコストを削減でき、購入のプロセスが短時間で簡単になるため、わずか数分で物件を購入することができる。

Propyの計画は、このサービスをグローバルに拡大し、ブロックチェーン技術を使って不動産を購入するための単一のフレームワークを提供することである。

うまくいけば、買い手はフロリダ州にある投資用不動産を手に入れ、所有権がNFTに関連づけられた米国にある実体の所有者となることができる。フラクショナル・オーナーシップではなく、担保にして借り入れが可能なDeFi資産となるのだ。

Propyの共同創業者でCEOのNatalia Karayaneva(ナタリア・カラヤネバ)氏は、次のように述べている。「私たちはPropyで、必要なすべてのスマートコントラクトと、米国内のあらゆる不動産物件のトークン化を可能にする互換性のある法的枠組みを開発してきました。NFTの販売額は2021年12月に40億ドル(約4600億円)に達しましたが、実物資産がその市場のかなりの部分を占めるようになるでしょう」。

2021年、PropyはウクライナでNFTを介してアパートを販売した。現在までに1600万ドル(約18億5000万円)以上の資金をベンチャー・キャピタルから調達しており、Tim Draper(ティム・ドレイパー)氏やMichael Arrington(マイケル・アーリントン)氏などから支援を受けている。

スマートコントラクトは、バーモント州アリゾナ州でこれを認める法案が可決されるなど、ますます法的効力を持つ記録になりつつある。

Propyに競合する会社はいくつかある。RealT(リアルT)はフラクショナル不動産投資プラットフォームで、世界中の投資家がトークンベースのブロックチェーンネットワークを通じて米国の不動産市場に投資することができる。SafeWire(セーフワイヤ)、かつてのSafeChain(セーフチェーン)は、不動産会社、エージェント、顧客、業界が、ハッカーの介入によって直面する通信詐欺の課題に取り組んでいる。しかし、同社はClosingLock(クロージングロック)に買収された。

画像クレジット:Andrii Yalanskyi / Getty Images

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Disney+は今夏、新たに42カ国と11の地域でサービス開始

Disney+(ディズニープラス)は2022年夏、欧州、中東、アフリカの42の国と11の地域で新たにサービスを開始する。その中には、南アフリカ、トルコ、ポーランド、アラブ首長国連邦などが含まれる。このディズニー公式動画配信サービスは現在、米国、カナダ、英国、日本を含む64カ国で提供されている。ディズニーは、新たな国でサービスを開始する正確な日付や、地域別の価格設定に関する情報を明らかにしていないが、今後数カ月以内に発表される見込みだ。

新たにサービスが開始される国は、アルバニア、アルジェリア、アンドラ、バーレーン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、エジプト、エストニア、ギリシャ、ハンガリー、イラク、イスラエル、ヨルダン、コソボ、クウェート、ラトビア、レバノン、リビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、マルタ、モンテネグロ、モロッコ、北マケドニア、オマーン、パレスチナ、ポーランド、カタール、ルーマニア、サンマリノ、サウジアラビア、セルビア、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、チュニジア、トルコ、アラブ首長国連邦、バチカン市国、イエメンの42カ国。

そして新たに展開される地域には、フェロー諸島、フランス領ポリネシア、フランス領南方地域、サンピエール島・ミクロン島海外集団、オーランド諸島、シント・マールテン島、スバールバル諸島・ヤンマイエン島、英領インド洋地域、ジブラルタル、ピトケアン諸島、セントヘレナ島が含まれている。

ディズニーは先日、2023年度までにDisney+を展開する国の数を2倍以上の160カ国以上に増やす計画を明らかにした。今回の拡大のニュースはその一環だ。同社は、D2C(消費者直接取引)の動画配信ビジネスを、より多くのグローバル市場に拡大することを計画しており、この推進を支援するために、新たにインターナショナル・コンテンツ&オペレーション部門を設置した。このグループを率いるのは、ディズニー勤続25年のベテラン、Rebecca Campbell(レベッカ・キャンベル)氏だ。同氏はディズニーの動画配信サービスのための現地および地域向けコンテンツの制作に注力するとともに、ディズニーの国際チームを統括する。

関連記事:ディズニーが動画配信事業を再編、国際的戦略のハブとなる新グループを設立

ディズニーによると、2021年度末時点で、Disney+、ESPN+(イーエスピーエヌ・プラス)、Hulu(フールー)の加入者数は合計1億7900万人だったという。同社はDisney+の加入者が、2021年第4四半期に全世界で1億1800万人に達したと述べている。

2019年後半に開始されたDisney+はこの数年、Netflix(ネットフリックス)やAmazon Prime Video(アマゾン・プライム・ビデオ)他複数の動画配信サービスと競合してきた。ちなみにNetflixとAmazon Prime Videoは、いくつかの例外を除いて全世界で提供されている。Netflixは中国、クリミア、北朝鮮、シリアでは利用できず、Amazon Prime Videoは中国本土、イラン、北朝鮮、シリアで利用できない。

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Google Playにゲームやアプリのお得情報を表示する「Offers」タブが追加

Googleは、Google Playでユーザーがゲームやアプリのさまざまな売買取引を見つけやすくするために「Offers」タブを導入する、と米国時間01/27にGoogleが発表した。旅行やショッピング、メディア、フィットネス、エンターテインメントなどに関する売買取引がこのタブにまとめられている。タブの提供は数週間後に米国とインドとインドネシア、その他の国は2022年の後半になる。

タブには「あなたのお好きなアプリの提供」というコーナーがあり、ユーザーは自分に合った特典を見つけられる。提供方法も数種類あり、ユーザーはそこから見つける。例えば売りたいゲームや、マジックオーブやトークンなどゲーム内のアイテムの、制限時間内の提供などもある。また、ごほうびの表示では、アプリに無料のデリバリーや無料の乗車などがあると、それらがごほうびになる。その他の取引科目としては、貸借や売買によるムービーや本の提供がある。また、新しいアプリの30日無料試用や、その他のアイテムの無料提供もある。

Google PlayのプロダクトマネージャーDavid Winer(デビッド・ウィナー)氏は、ブログで「2012年からGoogle Playは、あなたのお好きなアプリやゲームやデジタルコンテンツを見つけて楽しむためのワンストップショップでした。今週立ち上げる『Offers』は、Google Play Storeアプリの新しいタブです」と述べている。

OffersタブはGoogle Playアプリの下の方のナビゲーションバーにある。現在のところ、どんな特典があるかな?と探すのに便利な場所だ。Googleによると、人気上位アプリやゲームの開発者とパートナーして、新しい特典を頻繁に追加していきたいそうだ。

画像クレジット:Google

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

31万名超が参加登録する競技プロのAtCoder、実践を想定したプログラミング検定「アルゴリズム実技検定」実施日程を発表

競技プロのAtCoder、1からプログラムを作成する能力を問う「アルゴリズム実技検定」実施日程を発表

競技プログラミング(競プロ)コンテストサイト「AtCoder」などを手がけるAtCoderは1月28日、「アルゴリズム実技検定」の2022年実施日程を発表した。受験費用は、一般8800円/人(税込)。30名以上の団体受験の場合は7040円/人(税込)。100名以上の団体受験は6160円/人(税込)。

アルゴリズム実技検定は、「アルゴリズムをデザインし、コーディングする能力」、つまり1からプログラムを作成する能力を問う、実践を想定したプログラミング検定。「知識型ではない」「受験者が得意なプログラミング言語を選べる」「アルゴリズム設計力・実装力を図る」という3点の特徴により、これまで定量的な把握が難しかったプログラミング能力を評価することが可能という。

同検定は、自宅や職場からオンラインで受験でき、期間内ならいつでも好きな時間に受験できる(試験時間は試験開始から5時間)。受験を希望する者は、「アルゴリズム実技検定ページ」から申し込む。

なお、第10回試験から受験期間を約3カ月間に延長し、年間を通じていつでも受験できるように変更している。

2022年の実施日程(すべてオンラインで受験可能。試験時間は受験開始から5時間の予定)

  • 第10回:2022年3月5日13:00〜6月3日23:59
  • 第11回:2022年6月4日13:00〜9月2日23:59
  • 第12回:2022年9月3日13:00〜2022年12月2日23:59
  • 第13回:2022年12月3日13:00〜2023年3月3日23:59

またアルゴリズム実技検定では、15問(1問目=9点/2~3問目=8点/4~6問目=7点/7~15問目=6点。100点満点)の問題が出題され、獲得した点数に応じ5段階でランクが認定される(認定証が発行される)。ランクは、エントリー(25~39点)、初級(40~59点)、中級(60~79点)、上級(80~89点)、エキスパート(90~100点)。競技プロのAtCoder、1からプログラムを作成する能力を問う「アルゴリズム実技検定」実施日程を発表競技プロのAtCoder、1からプログラムを作成する能力を問う「アルゴリズム実技検定」実施日程を発表

求められるスキル水準

  • エントリー:標準入出力や、整数型、文字列型の扱い、forやifなどのループや条件分岐といったプログラミングにおける基本的なロジックについて、問題に合わせて適切に組み合わせる能力が問われる
  • 初級:エントリー要件に加え、多次元配列やリスト構造などを用いた、複雑性の高く、コーナーケースも多く含まれる、実装の難しいプログラムを組む能力が要求される。
    また、四則演算や簡単なデータの持ち方の工夫、ソートなどで解決可能な計算量を改善する能力も問われれる
  • 中級:初級の要件に加え、深さ優先探索や幅優先探索などを用いた複雑な全探索や、動的計画法や貪欲法・二分探索といった、高度な計算量の改善を要求する能力が問われる。例えばグラフアルゴリズムでは、最短経路問題や最小全域木などの有名な問題に対するアルゴリズム設計力・実装力が必要となる。
    また、確率や組み合わせを数理的に計算する能力も求められる。単に知識を問う問題ではなく、それらのアルゴリズムを正しく適用できるかが問われる
  • 上級:中級の要件に加え、出題される典型アルゴリズムが増加し、複雑性が増加した問題への対応力が問われる。動的計画法や貪欲法においても、単純に適用できるような問題ではなく、さらに工夫が必要な問題でのアルゴリズム設計力・実装力が必要。例えばグラフアルゴリズムでは、最小共通祖先や最大流問題や最小費用流問題などのより高度な問題に対して、適切にアルゴリズムを設計・実装する能力が問われる
  • エキスパート:出題されるアルゴリズムは上級と同様。アルゴリズムの適用難易度が高い問題への対応力が問われる

AtCoderは、日本最大級の競技プログラミングコンテストサイト「AtCoder」を運営。31万4070名(うち日本人は16万7537名)が参加登録し、毎週開催される定期コンテストには約1万1000名以上が挑戦するという。

その他にも、高度IT人材採用・育成事業として、コンテスト参加者の成績を8段階にランク付けした「AtCoderランク」を利用する転職・求職支援サービス「AtCoderJobs」や、IT人材のプログラミングスキルを可視化できる検定「アルゴリズム実技検定(PAST)」といったサービスを展開している。