気軽に試せるファッションECサイト「LOCONDO」がマザーズに上場承認

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靴とファッションの通販サイトLOCONDO.jpを展開するロコンドは本日、マザース市場への上場が承認された。上場予定日は3月7日だ。

ロコンドは2010年に創業し、2011年2月にLOCONDO.jpをリリースした。ロコンドでは「買って試してみて、気に入ったもの以外を気軽に返品できる」をコンセプトに送料無料・サイズ交換・返品無料のサービスを提供している。サービスはUIとUX、梱包、問い合わせの改善を繰り返し、2015年10月に黒字化を達成した。2016年10月にはサイトを全面リニューアルしている。

ロコンドはECサイト事業の他に、「ロコチョク」などブランド向けのプラットフォーム事業などを展開している。ロコチョクは、ロコンドの取り扱いブランドの店舗で欠品があった場合、ロコンドの倉庫からユーザーに商品を直接届けるサービスだ。

ロコンドはこれまでに複数回資金調達を実施し、総額約50億円を調達している。主な引受先には楽天、ジャフコ、エキサイト、伊藤忠テクノロジーベンチャーズなどが含まれる。ロコンドの2016年2月期における売上は約22億2783万円で、経常損失は約2億976万円だ。

以前にもロコンド上場の話を聞いた覚えがあるという人もいるかもしれない。実は昨年11月、日経が2017年3月にロコンド上場のニュースを伝えていた。ただ、その後ロコンドの代表取締役社長を務める田中裕輔氏は、NewsPicks上で「会社としては今後の事業拡大のため、様々な検討はしていますが、現段階で正式に決まっている事実はありません」とその報道を否定していた。

いずれにしろ今回の上場承認で、ロコンドは正式に公開会社として新たなスタートを切ることが決まったようだ。

グリー、女性向け動画メディアやマーケティングを手がける3ミニッツを43億円で買収

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「動画元年」という言葉はインターネット業界では過去に何度も使われていて、一体いつなんだという状態ですが、弊社にとっては2016年が間違いなく元年です——サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏は2016年初のブログでこんなことを書いていた。同社は2016年4月にAbemaTVを正式にオープンしたので、それを踏まえてのコメントであることは間違いないが、上場企業だけでなく、動画関連のスタートアップも2016年に数多く活躍したのは紛れもない事実だ。

そして今回、グリーがそんな動画関連スタートアップの1社の買収を発表した。グリーは2月2日、InstagramやYouTube向けのプロダクションや動画メディア、ECなどを展開する3ミニッツの子会社化を発表した。買収額は43億円。

3ミニッツは、ファッション動画メディアの「MINE BY 3M(マインバイスリーエム)」のほか、InstagramやYouTubeを通じた動画マーケティングやインフルエンサーマーケティングなどを手がけてきた。各メディアを合計した月間のべリーチ数は7500万、月間再生回数1億回超で、MINE BY 3Mは25歳〜34歳の女性を中心に累計利用者数200万人を突破。さらにプライベートブランド「eimy istoire」も展開しており、その初動売上は2000万円を記録したという。

ゲーム事業全体でみると縮小傾向にある同社。新たな収益の柱となる事業を求め、これまで住まいやヘルスケア、広告、動画といった領域に参入していた。グリーでは今回の買収の意図について、「この度の株式の取得により、当社グループの持つインターネット事業に精通した人材と安定した財務基盤といった経営資源を3ミニッツに投入することで、動画広告市場において更なる成長を実現できると判断し子会社化することを決議いたしました」とコメントしている。

Snapchatを追随できるか、自撮りアプリB612が3億ダウンロード突破

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Facebookの投稿はずっと残ってしまうし、色々な人とつながっていては気軽に自撮り写真を投稿するのは気が引けると思うこともあるだろう。若い世代には、もっと気軽に写真や動画を共有できるSNSが支持されている。アメリカでは短時間で投稿写真が消えるSnapchatが人気だし、Instagramもそれに似た「ストーリー」機能を取り入れた。

アジアでは、NAVERが提供するSnowが中国と韓国を中心に人気を得ている。そしてもう一つ、NAVER傘下のLINEが提供する自撮りアプリ「B612」もこのトレンドに乗ってユーザー数を順調に伸ばしているようだ。本日LINEは、B612の世界累計ダウンロードが3億件を突破し、月間アクティブユーザーは1億人に到達したと発表した。

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コミュニケーション機能導入前のUI

ご存知の読者も多いかと思うが、B612は自撮り写真や動画を楽しむためのアプリだ。フィルターが豊富にそろっていて、コラージュまで作成できる。アプリを起動するとすぐに内側カメラで撮影できて、画面をスライドさせるとフィルターを変えられるシンプルなUIが特徴だ。筆者がB612を以前に試した時には、UIに文字がほとんどなく、すっきりとしたデザインが印象的だった。

B612は2016年12月、アプリに「Play機能」を加えることで、単に写真を撮って加工するカメラアプリから、コミュニケーションができるアプリに進化した。これによりNAVERはSnapchatと対抗する、時間限定型コミュニケーションアプリを2つ展開するようになった。ちなみにLINEも2016年9月、SNOWに500億ウォン(約45億円)出資している。

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2016年12月以降のUI

大枠の仕組みはSnapchatとそう変わらない。B612では撮影ボタンの下にある吹き出しボタンを押すと、友達にメッセージが送れる画面に切り替わる。連絡先の一覧から友達を選択して、写真や動画を送信できる。投稿したメッセージは24時間で消滅する。

顔認識でエフェクトが付けられる「アニメーションスタンプ」機能や友人とメッセージをやりとりする「トーク」画面で1秒の自撮り動画が送れる機能などはSnowのUIに近い。B612とSnapchatとの違いは、トーク画面の写真や動画をマンガ風のコマ割りで配置したり、それを短い動画にまとめることができる点だ。他にもカメラの動きと連動すARフィルターなども充実している。

先行するSnapchatは、1日当たりアクティブユーザー数は1.5億人で、2016年度の売り上げは2.5億ドルから3.5億ドルだと言われている。だが、Snapchatは2011年9月にサービスをリリースしているので、ここまで来るのに約5年半かかっている。

単純に比較することは難しいが、Snowは2015年9月リリースし、2016年12月時点で1億ダウンロード数を突破した。B612は2014年8月にリリースし、約2年5ヶ月で3億ダウンロードに到達した。どちらのアプリも急速にユーザーを伸ばしている。Snowユーザーは中国、日本、韓国の順に多く、B612も中国、インドネシア、ベトナムなどのアジア地域、そしてブラジル・メキシコなどの中南米でもユーザーが増えているという。B612とSnowは、着実にアジアを中心に地盤を固めていると言えそうだ。Snapchatは今週にも上場申請を提出するという話だが、この調子でサービス展開を進めれば、NAVERはSnapchatが欧米で得た成功をアジア圏や中南米で繰り返すことができるかもしれない。

 

Rippleは目立たない気にならないウェアラブルになった救急ボタン

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Rippleは美味なる高アルコール度ワインだ。いや、今でもそこらで聴けるGrateful Deadの曲のひとつだ。シリコンバレーでは、豆からミルクを作っているスタートアップだ。そして今度、もうひとつ登場。Ripple Network Technologyは、思わせぶりな名前には似合わないシリアスなものを共有する。

このフロリダのチームが作ったものは、小さなウェアラブルで、1セント硬貨ぐらいの大きさの一種のパニックボタンだ。そのシステムは、ヘルスケアモニタのTunstallを利用する。この小さなBluetoothデバイスを3回クリックすると、ネットワークにつながり、24/7の救急サービスにアクセスする。利用者の現在の位置情報も送られるから、対応は早い。

チームは前に、あの、ウェアラブルの歴史に遺るMisfit Shineを設計した連中だ。今回のRippleは小さくて、必要ないときは隠れている。言い換えると、必要ないときは存在を意識しない点が、スマートウォッチなどと違う。同社ホームページのデモアニメには、キッチンで料理をしているとき包丁で怪我をする、という例がある。これも、常時身につけているけど、ふだんは気にならないデバイス、という特徴を示している。

今これはKickstarterに出ており、1年ぶんのTunstallのサービス付きで129ドルというお値段だ。ジュエリーデザイナーのLouis Tamis & Sonsが作った純銀製は、それより70ドルお高い。

どちらも、発売予定は4月だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、Q4売上88.1億ドルで予測超え。ユーザー数18.6億人も成長は鈍化

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Facebookはまたも好調だった2016年第4四半期を終え、売上88.1億ドル、1株当たり利益(EPS)1.41ドルだった。月間ユーザー数は18.6億人で前期の17.9億人から3.91%、7000万人増えたが、成長ペースは前期の4.67%より低かった。モバイルは前期と同じく広告収入の84%、72.48億ドルを売上げ、Facebookがモバイルへの転換を無事完了させたことを示している。

16403280_10103472646530311_6725231622085354802_oFacebookはアナリスト予測の売上85.1億ドル、EPS 1.31ドルを大きく上回った。利益は35.68億ドルで前年比177%増。前期は23.79億ドルだった。売上は前年比51%増、前期は56%増、Q2は59%増。Facebookは2016年通年で総売上276億を計上した。

前期Facebookは売上成長のペースは落ちると予告していた。2017年中頃に広告スペースが足りなくなると予測したためだが、既に影響は出ているようだ。しかしこの成長の鈍化にもかかわらず、投資家らは時間外取引の株価を2.52%押し上げた。通常取引の終値は2.23%高の133.23ドルだった。決算会見終了時には、時間外株価は0.94%高まで戻った。

1日当たりアクティブユーザー数は12.3億人、前期は11.8億人だった。対前年比は18%増、前期は17%だった。現在Facebookの月間モバイルユーザー数は17.4億人で前期は16.6億から増加した。モバイルだけを使っている月間ユーザー数は11.49億人で、これも前期の10.55億人から増えている。

最も重要だが見落とされがちなデータが、Facebookのステッキネス[定着率]、即ち月間ユーザーのうち毎日戻ってくる人の割合だ。この値はコンスタントに66%を維持しており前期も同じ数字だった。しかし、米国・カナダのユーザー成長は鈍化しはじめており、今期の1日当たりと月間のユーザー数は200万人の増加に留まり、1日当たりユーザーが1.8億人、月間が2.31億人となった。

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Facebookがこれまで進めてきた顧客定着努力と広告ターゲティングが実を結びつつある。米国・カナダのユーザー平均広告収入(ARPU)は19.81ドルにも上り、前年から44%伸びた。全世界のARPUは4.83ドル、対前年比29.5%増だった。これは北米の1ユーザー当たり年間20ドル近く稼いでいることを意味している。西側先進市場でユーザーからできる限り現金を絞り出す一方、途上国でも着実に稼ぐその能力は、Facebookが近い将来大きく売上を増やす可能性を示唆している。

決算会見でCEO Mark Zuckerbergは、Facebookのビデオコンテンツ戦略について繰り返し質問を受けた。Zuckerbergは「まず短いビデオコンテンツに焦点を絞る」と説明し、プロのクリエーターからFacebookにコンテンツを提供してもらうために、維持可能な広告収益分配ビジネスモデルを作る必要があると語った。さらにZuckerbergは、コンテンツ以外のビデオ分野ついても状況を語り、毎月4億人がFacebook Messengerの音声通話とビデオ通話を利用していると話した。

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ドナルド・トランプの当選を助けたとさるる偽ニュースが広まったいう報道を受け、Facebookは騒動の四半期を過ごした。そして今日、Oculusの共同ファウンダー、Palmer Luckeyが、VR会社のZeniMaxとのNDA違反に関わる損害に対して罰金5億ドルが言い渡された。

しかしその一方で、Instagramは輝きをみせ広告事業の拡大を続けている。Snapchat Storiesのクローン、Instagram Storiesは公開後わずか5ヵ月でユーザー数1.5億人に達した。TechCrunchは、多くの情報筋がInstagram StoriesはSnapchatからユーザーを奪っていると信じていると報じた。

13歳になったFacebookは驚くべきスタミナを見せつけており、モバイルへの移行やビジュアル中心の新たなメディアプラットフォームの出現にも関わらず、ユーザーは楽しんでシェアやいいね!を続けている。MessengerとWhatsAppでチャットを、Oculusではバーチャルリアリティーをさらに拡大中のFacebookは、頼りになる強力な中核ビジネスを持っている。もしInstagram Storiesや他の類似アプリを使ってSnapchatの脅威をかわすことができれば、Facebookは次の10年もソーシャルメディアを支配し続けることができるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

6週間先の価格を予測 ― オンライン不動産取引のKnockが3200万ドルを調達

Human hands holding little house and money.

オンライン不動産サービスのKnockがシリーズAで3200万ドルを調達した。リード投資家はRRE Venturesだ。Truliaの元役員が創業したKnockは、オンラインの不動産売却サービスを展開している。手数料は6%。しかし、従来の不動産取引サービスとは異なる点がある。Knockで不動産を売却する場合、ユーザーは売却前に相場相応のリターンを受け取ることができる。もし不動産を売却することができなかった場合、Knockがその不動産を買い取ることになる。

Knockや、その競合であるOpenDoorOfferPadが解決しようとする問題はシンプルだ:不動産を売却する、もしくは購入する場合、タイムラインは当てにならないのだ。オンラインの不動産マーケットプレイスというアイデアを植え付け、それと予測分析による価格予測を融合させることによって、これらのスタートアップは不動産取引に伴う痛みや不確実性を取り除こうとしている。

Knockは同社のモデルをアトランタとジョージアでテストしている最中だ ― この地域は不動産市場のボラティリティが低いことで知られている。先の不動産不況は、完全なる市場の崩壊だったと語られることが多い。しかし、ワシントンDCなどのいくつかの市場は、ラスべカスなどの市場に比べてダメージが少なかった。

「私たちが市場を選ぶときの基準は、地域経済がよく多様化されていることと、その市場のリスクが低いことです」とKnock CEOのSean Blackは説明する。

Knockによれば、同社の長期的な目標はすべての不動産市場へとビジネスを展開することだという。しかし、アイオワなどの農村部や、ニューヨークやサンフランシスコなどの活発過ぎる市場については、リスクを低減してユーザーのサービス利用を促すためには、より多くのデータが必要だとも認めている。

Knockでは、バランスシートに抱える不動産在庫は全体の10〜20%程度に留めたいとしている。競合企業であるOpenDoorでは、Knockよりも多くのリスクを許容している。彼らはプラットフォーム上のすべての不動産を買い取っているのだ。Knockの課題とは、彼らが買い取った不動産が逆選抜(アドバースセレクション)のプロダクトにならないようにすることである。言い換えれば、最悪な質の不動産在庫を抱え過ぎないようにするということだ。

そのため、Knockが取り扱う不動産には厳しい審査が課される。彼らがフォーカスするのは15〜50万ドルの価値を持つ不動産で、すべての不動産を詳しく検査して悪い部分を取り除いている。

しかし、在庫の質をどれだけ高めたとしても、不動産ビジネスでは適正な価格付けが重要だ。正しいデータを最初に得るものが不動作を最初に売買できる。つまりKnockは、自分たちのサービスが不動産の売り手、買い手にとってもっともシンプルで手間のかからないプラットフォームだということに賭けているのだろう。

RRE VenturesのRaju Rishiは、Knockのアプローチはそこまで資本を必要とするビジネスモデルではないと説明する。また、6週間先の不動産価格を予測することにフォーカスすることで経済的な不確実性を減らし、同社のコンピュテーショナル・モデルが乗り越えなければならない障害を減らしていると話す。

不動産を売却する個人はKnockによって保護されている。不動産が実際に取引される前に、ユーザーがKnockとの契約に合意することで、Knockは不動産の売却価格分の資金をリザーブしておく。保険会社の要領だ。

「不動産市場には浮き沈みのサイクルがあります。私たちはその波に上手く対応できるように準備をしておかなければなりません」とBlackは語る。「私たちが予測するのは6週間先の不動産価格だけでいい。不動産の取引は大統領選よりも頻繁に発生します。だから、予測も簡単なのです」。

もし必要とあらば、Knockは在庫の不動産を貸し出して経済的なダメージを軽減することもできる。Blackstoneもこれと似たアプローチを採用しており、在庫不動産を貸し出して収益を得ている。

Knockによれば、SEC提出書類に記載されているイニシャルクローズの金額は1250万ドルだという。また、今回のシリーズAで調達した金額はベンチャーデットであり、その負債をもって購入ができる不動産の制限はなしという条件だそうだ。本調達ラウンドには、RedpointGreycroftCorrelation VenturesGreat Oaks Venture CapitalFJ Labsも参加している。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

知らない間に大量のSaaSの会員になって無駄金を払っている人/企業のためのSaaS管理サービスCardlife

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今や、まったく使わないSaaSの会費に数十億ドルが浪費されている、と言われる。そろそろ、そんな会員契約を管理するSaaSが必要ではないか? そこで登場したのがCardlife、SaaS管理というすばらしい世界の新人だ。

“SaaS管理なんて、有名大企業のためのものじゃないの?”、とあなたは言うかもしれない。でも、違う! 同社は毎月、470万ドル相当のSaaSプロダクトを管理し、大企業から零細企業まで、あらゆるサイズの企業のお世話をしている。今、対象国は32か国、扱い額は年間5600万ドルに達する〔470×12〕。

“90%の企業が、どれだけ多くの会員契約をしているか掌握していない。でも会費は毎月、確実に支払われている。SaaSはそうやって、忘れられるように設計されているんだ”、とファウンダーのTzachi Davidovichは皮肉たっぷりに言う。“うちは顧客のアカウントを自動的にスキャンして、すべての会員契約を見つける。そしてうち独自のインテリジェンスとアナリティクスで、無駄な支払いや重複支払いを見つけて警告する”。

今同社は、SaaSディレクトリ(目録)というものを制作中だ。そしてそのSaaS一覧をもとに、顧客に、今使ってるのよりも良くて安いサービスを推奨する。つまり同社は、無駄なSaaSを切り捨てることと、新しいモアベターなSaaSを推奨することの、二面作戦を収益源にしている。

読者の中に、そんなに大量のSaaSと契約して巨額の会費が毎月自動引き落としになっている人は、そんなに多くないと思うけど、あなたが万一、そんなセレブや有名大企業のITになってしまったら、Cardlifeというサービスがあることを、思い出そう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Cloudは新作のWindows VMで長年のMicrosoft顧客を取り込む努力へ

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Googleは今日発表したいくつかの新製品により、会社のデータセンターでWindowsを使っているITのプロフェッショナルたちをGoogle Cloud Platform(GCP)に誘いこもうとしている。

その魂胆でGoogleはまず、Microsoft SQL Server EnterpriseとWindows Server Coreを同社のCloud Platformでサポートする。同時に同社は、クラウド上で重要なオペレーションを動かしている顧客の可用性と事故復旧に関する懸念に応えて、SQL Server Alway-On Availability Groupのサポートも行う。

これによってITのプロたちは、これらのMicrosoftプロダクトが動いている構成済みの仮想マシンを、Google Cloud Platform上にローンチできるようになる。それらは、時間制で課金されるが、SQL Serverのライセンスは、彼らの既有のものをそのまま使える。

Google Cloud Developer Toolsの主席プロダクトマネージャーChris Sellsによるとこれは、Windows製品をGCP上でサポートする大きな戦略の一環だ。彼によると、最初はとにかく、これらのWindowsプロダクトを動かしているエンタープライズ顧客に、Googleが十分対応できることを見せつける。しかもそれは、昨年GoogleがSQL Server 2008と2012のサポートを開始したときに始まった、大局的な取り組みの一環でもある。今日の発表は、それの、さらなる拡張にすぎない。

おそらくもっと重要なのは、Microsoftの製品は使うけどMicrosoftに縛られたくはない、という企業に、Googleが格好の代替選択肢を提供することだ。“Microsoftにもこれらの能力はあるし彼らはWindowsとSQL Serverのオーナーでもある。しかし最近では、Microsoftに代わるものを求める企業がとても多くなっている”、とSellsは述べる。そこでGCPは、そんな人たちを自分のプラットホームへ誘惑したいのだ。

2015年の後半にGoogleは、Diane GreenをGoogle Cloudのトップとして招聘したが、大きな変革はその時点から始まった。Greeneはエンタープライズ経験のベテランであり、VMwareの協同ファウンダー/CEOでもあった。昨年の春Greeneは本誌に、“これからのエンタープライズはものすごくおもしろい”、と語った。つまりエンタープライズ指向はGoogle全体としての今および今後の方向性であり、彼女はGoogle Cloud Platformでその一翼を担いたいのだ。

Sellsによると、今回の発表もGreeneのエンタープライズビジョンの実現努力の一環だ。Google全体のエンタープライズ指向から見ればまだ小さな努力にすぎないが、伝統的なエンタープライズ市場のマーケットシェアをGoogleが少しでも削りとり、それを同社のクラウドへ連れ込もうとする、周到な取り組みの一環だ。

“彼らが自分のデータを置く場所として、GCPは最良の場所でありたい。そしてそれらのデータが、SQL Serverに載っていようが、何に載っていようが、何でもそのままサポートできることを、実感してもらいたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Nayuta、ビットコインで安全な即時決済を実現する技術を開発

福岡市のスタートアップNayutaは、ビットコインの最新技術マイクロペイメントチャネルなどを活用し、安全かつ瞬時に送金を完了する技術を開発した(発表資料)。現時点ではPoC(Proof-of-Concept)の段階だが「今後、半年〜1年をかけて商用サービスへの適用を狙っていく」(Nayuta代表取締役の栗元憲一氏)とのことだ。詳しくは後述するが、ビットコインの使い方を決定的に変えてしまうほどのインパクトを持った技術といえる。

以下のビデオには、スマートフォンでNFC端末にタッチしてビットコインを即時に送金するデモンストレーションが記録されている。お馴染みのボードコンピュータRaspberry PiにNFCのボードをつなげてスマートフォンと連携させている。

 

このビデオだけだとFeliCaで動く電子マネーとの違いが分かりにくいかもしれないが、重要な点は仮想通貨ビットコインを使いながら即時決済を可能にしているところだ。通常のビットコイン送金では1ブロック分の確認に約10分を要し、念を入れる場合には6ブロック分の確認を実施するため約1時間かそれ以上の時間がかかる。少額決済を前提に0確認で即時にビットコイン決済をするサービスもあるがリスクが伴う(リスクは決済事業者が負う形となる)。マイクロペイメントチャネルは安全性を保ちつつ即時に決済でき、ビットコインの使い方を大きく変える。また、ビットコインのプロトコルを使う各種技術(OpenAssetプロトコルなど)にも適用可能だ。

リアルタイムで安全なマイクロペイメント、C向けにもIoT向けにも可能性あり

今回の技術のインパクトには、次の2つの側面がある。

(1)ビットコインの使い勝手が大きく変わる。例えば、ビデオに記録されているデモのイメージのように、スマートフォンをNFC搭載端末にタッチしてビットコイン建てで即時決済するような使い方も可能となる。
(2) マイクロペイメントの実現。取引手数料が非常に小さく、しかもビットコインのブロックチェーンの混雑に影響されず少額で高頻度の取引が可能になる。

前者のビットコインの使い勝手の変化だが、同社の技術に基づきコンシューマ向けの決済サービス、ウォレットアプリなどを整備すれば、コンシューマユーザーから見たビットコインのイメージががらりと変わるだろう。

一方、後者のマイクロペイメントは従来の決済サービスでは不可能だったサービスを実現可能にする。例えば、IoTやM2M分野で「デバイスに非常に少額の利用料を頻繁に送ってなんらかのサービスを動かす」といった使い方が可能となる。書籍の1ページをめくるごとに都度決済するようなサービスも実現可能だ。

Nayuta代表取締役の栗元氏は「ブロックチェーンはIoT向けには使えないと判断していた時期もあったが、2年半ほど前にマイクロペイメントチャンネルを知った。リアルタイム性、安全性、少額の手数料、高頻度な取引をすべて実現できる。これならIoT分野でも道が開けると考え、今まで取り組んできた」と話す。

 

d16959-5-887791-0同社が作り上げた仕組みを実現する上で重要な技術は2つある。ビットコインのブロックチェーンの外側(オフチェーン)で取引を行うマイクロペイメントチャネル(Micropayment channel)と、取引の安全性を担保するための技術Hashed Timelock contracts(HTLc)だ(下の図を参照)。いずれもビットコインの開発者コミュニティの間で議論が進んでいた技術である。この技術に基づき、Nayutaはハブとクライアントのソフトウェアの独自実装を作り上げた。デモでは、Raspberry Pi上でクライアントを動かし、ハブはクラウドサービスMicrosoft Azureで動かしている。
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ところで、ビットコインに詳しい読者なら「最近実装が登場したLightning Networkとはどういう関係なのか?」と思われるかもしれない。Lightning Networkは、マイクロペイメントチャネルとHTLcの技術を使う点では共通してるが、それに加えて複数のノードを経由するマルチホップのルーティングを可能とする。Lightning Networkを、ビットコインのネットワークが混雑して単位時間あたり処理能力が上限に近づいている問題(スケーラビリティ問題)の解決策と見る向きもある。道路が混雑しているならバイパスを作ればいい、という訳だ。

今回Nayutaが実装した技術はマルチホップではなく1個のハブに経路が集中する形なので、Lightning Networkに比べると簡易型の技術といえる。Lightning Networkとほぼ同時期に実装が登場したということは、同社の取り組みの先進性を示しているといっていい。なお、Nayutaでは、今回の技術をLightning Networkにも対応させるかどうかについては「検討中」としている。

なお今回のデモンストレーションの動作環境はビットコインのTestnetを使っている。現時点のビットコインのネットワークでは、今回の技術の動作に必要となる新仕様SegWitがまだ有効になっていないためだ。Lightning Networkの動作にもSegWitは必要となる。SegWitの実装は完成しておりマイナーによる投票で95%以上の支持を得れば有効になるのだが、記事執筆時点では得票率23.3%と今ひとつ。SegWitや、それにより可能となるマイクロペイメントチャネル、Lightning Networkはビットコインの価値を高める技術なので経済合理性で考えるなら採用した方がいいはずだが、政治的な理由で合意が進んでいない。別の言い方をすると、政治的な問題が解決すればビットコインは大きく変わる。

Nayutaでは、今後は処理性能の高速化、セキュリティの監査、UIまで含めたシステム構築など商用サービスへ向けた取り組みを続けていく予定だ。日本のスタートアップがビットコインの使い方を大きく変えるコードを書いたこと、それも世界的に見て早い段階で書いたことは、注目に値すると思う。

Waymoの自動運転技術は2016年に大きく進歩、人間の介入機会が極少に

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Waymo(元Google自動運転車部門)の自動運転ソフトウェアは、2016年に、2015年よりもはるかに長い距離を走行したにもかかわらず、解除される機会がずっと少なかった。カリフォルニア州自動車局の発表によると、Waymoの最新の解除報告では、解除(テスト車の自動運転をoffにする機会)の多くは、事故や軽い接触などではなく、ソフトウェアのなにかを調整したりバグを潰したりするための一時的なポーズ(小休止)だった。

これは、Waymoの技術による自動運転車の商用化に向けての、大きなニュースだ。技術陣のリーダーDmitri Dolgovがこの進歩を祝うブログ記事で、1000マイルあたりの平均解除件数で前年(2015)比4倍の進歩だ、と説明している(下図)。すなわち2015年には0.8件だったが、2016年にはそれが0.2件に減少している。しかもその多くが、事故ではない。

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Dolgovの説明によると、この走行距離は都市と郊外の両方を含み、とくに一般商用化に向けてWaymoが力を入れている最も複雑な運転状況、ドアツードア・サービスのテストが多く含まれている。またDolgovによると、この数少ない、間隔の長い解除は、システムに貴重な学習機会を提供し、最終的にはソフトウェア自身が、自分をしばらく運転から解除すべき状況を判断できるようになる。もうひとつは、保守的な運転状況で解除するとそれをエラーにする、という調整も行っている。これらのことを勘案すると、2016年の低い解除率はすばらしいと言える。

WaymoのCEO John Krafcikは、自動運転車用のセンサーを今後は自社で作る、と発表したときに、解除率の4倍の向上に言及している。具体的な数字で言うと、解除件数は2016年が124件、2015年が341件、2016年のテスト走行の総走行距離は63万5863マイルだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

動画配信の拡大のため、Facebookはセットトップボックス向けアプリを開発中

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FacebookはApple TVなどのセットトップボックス向けの動画専用アプリを作成している(Rokuで提供している、モバイルアプリの派生版に似たアプリとは異なるもの)とWall Street Journalは伝えた。Facebookは、このアプリを止めどなく溢れる動画コンテンツを届ける専用の場所にしたい考えだ。それにより、従来のテレビコマーシャルに流れている企業の広告予算を獲得することを狙っている。

NetfixやAmazonが自社プラットフォームで独占配信する番組の権利を獲得しているのと同じように、Facebookもオリジナル動画コンテンツのライセンスの獲得を考えている。これはユーザーがFacebookの動画専用アプリを利用する引きになる。個人ユーザーが作成したコンテンツしか見れないのなら、アプリを利用しないという人もいるだろう。プレミアムコンテンツを保有することで広告予算を得ることも期待できる。WSJの記事によると、それがこの施策の最終目標のようだ。

これはFacebookがライブ動画配信を広める機会にもなるかもしれない。ユーザーはゆくゆくはテレビアプリにもライブ配信ができるようになるだろう。Twitterはメディア企業やスポーツリーグとのパートナーを組み、ライブ番組をApple TVのアプリに配信する実験を行っている。そのように動画戦略ならFacebookも成果が得られるだろう。

Facebookはすでにメディアみたいなものだが、これでさらにメディアに近づくことになる。それに伴い、同社が情報配信において果たすべき役割と責任について、議論を再燃させることになるだろう。しかし、YouTubeはすでに既存のケーブルテレビや衛星中継を置き換えている。Facebookがこの分野に参入するのに、Apple TVやAndroid TV 端末といったセットトップボックス専用のアプリを設けるという施策は、コストをかけずにできる方法となる。

Facebookにコメントを求めたが、この記事の公開までに回答を得ることはできなかった。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Google、日本で「忘れられる権利」の戦いに勝利

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Googleは日本での長期にわたる法廷闘争に勝った。欧州の「忘れられる権利」裁定に関連するケースだ。

日本の最高裁判所は今日、Googleマップサービス内の中傷とされるコメントを削除するようGoogleに求めた訴訟4件を棄却した。この中には注目を集めた診療所を巡る訴訟も含まれている。2015年4月、千葉地方裁判所はGoogleにコメントを削除するよう命じる判決を下したが、検索の巨人は異義を申し立て、今日それが覆された。

判決はこれらの訴えを棄却した。問題のコメントは合法と見られていることから難しい訴訟だった。診療所のケースでは、Googleマップに付けられた2件のコメントには利用者のネガティブは体験が書かれていたとされる。しかし、診療所はGoogleを名誉毀損で訴えることによってウェブ上からコメントを抹消しようとしていた。

この件は欧州の「忘れられる権利」裁判と似た面もあるが、訴訟内容は同じではない。欧州の一件では、問題の中心は個人の自由にあったが、日本でのGoogleに対する訴訟は企業と個人の両方を含む少数の原告によるものだ。

「この判決で最高裁判所が、現行のプライバシーおよび名誉棄損を定める法に基づき、検索結果から情報を削除する決定は常に市民の知る権利に優先すべきであるという認識で一致したことを評価している」とGoogleがTechCrunch宛の声明で語った。

かつてGoogleは削除命令に反論し、同社は自社規約に反しておらず、市民の重要な目的に役立たっていると主張した。

「我々は、事業主がレビューに返信するためのツールを提供しており、当社のポリシーに反する投稿は削除しているが、オンラインレビューは、肯定的であれ否定的であれ、人々が事業体に関する直接的なフィードバックを書き、それを読むために不可欠なツールだと信じている」と2015年にGoogleは言っている

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソーシャルレンディングの比較サイト「クラウドポート」正式公開——連続起業家の柴田陽氏らの新会社

2008年頃から日本でもサービスの始まったソーシャルレンディング。お金を借りたい人(や企業)とお金を貸したい人をオンライン上でマッチングするというサービスだが、当初は個人向けの貸し付けを中心としていたこともあり、10%を超えるとも言われるデフォルト(貸し倒れ)率の高さなどが問題にもなった。

だが最近ではそういった状況も解決にしつつあり、また同時に高い年利や参入企業の増加もあって市場は拡大(最近ではCAMPFIREなども参入を発表している)しているところだ。主要18社に関しては2016年下期の平均利回りは8.1%、デフォルトは過去3年でゼロ件という実績なのだという。市場規模で見ても、2016年時点で前年比72%増となる533億円にまで成長している(米国では7兆円規模の市場だそう)。

改めて注目の集まるソーシャルレンディング。その事業者の情報を集約したサイトがスタートした。クラウドポートは2月2日、ソーシャルレンディング専門サイト「クラウドポート」を正式公開した。

クラウドポートは日本のソーシャルレンディング事業者の情報を横断比較ができるサービスと、ソーシャルレンディング専門のメディア「クラウドポートニュース」で構成される。

比較サービスのクラウドポートでは、日本のソーシャルレンディング事業者の主要18社に掲載されたファンド(案件)を掲載。利回りや運用期間などさまざまな条件で案件を比較検討できるほか、各事業者が掲載しない情報——利回りの分布や、事業者へのお金の集まり方など——も独自に提供するという。一方のクラウドポートニュースでは、ソーシャルレンディング業界のニュースのほか、事業者インタビューや著名投資家によるコラムなどを掲載していく。

サービスを手がけるクラウドポートは2016年11月の設立。代表を務める藤田雄一郎氏はソーシャルレンディング事業者のクラウドバンクの執行役員としてマーケティング領域を中心に活躍した人物。そして共同創業者はポイントアプリ「スマポ」をはじめとして、複数のサービスを立ち上げて売却した経験のある連続起業家の柴田陽氏だ。最近ではTokyo Founders Fundのメンバーとして海外スタートアップに投資も行っている。

藤田氏に改めて日本のソーシャルレンディング市場について尋ねたところ、貸し付けのニーズは「端的に言うと銀行がお金を貸せないところ」にあるという。

一時期はパチンコのように、公的な融資を受けるのが難しい業種が中心だったことあるようだが、現状はそのニーズも拡大している。例えば不動産を仕入れてリフォームやリノベーションをして短期で売却するというケースや、風力発電所などハコを作るまでは担保がなく融資を受けづらいというケースなどでも利用されているのだそうだ。「案件も健全化されてきた。銀行であれば(返済期間)1年、1000万円といった短期間で少額の融資自体が通りにくい。返済確実性だけ厳しくチェックして、それ以外の条件は柔軟性を持つソーシャルレンディングのニーズは非常に高い」(藤田氏)

海外を見てみると、Y Combinatorのプログラムにも参加したAlphaFlowOrchard Platformといった同種のサービスがあるが、国内でソーシャルレンディングの情報を探すとなると、現状は事業者か個人サイトなどしかなかった状況。藤田氏は「第三者的な立場でソーシャルレンディングの魅力とリスクを伝えていきたい」と語る。同社は今後アフィリエイトや広告、データの販売などでマネタイズを行うとしている。

Tesla Motors, Inc.は正式にTesla, Inc.となった―ビジネス拡大で社名も変更

PALO ALTO, CA - NOVEMBER 05:  A sign is posted at a Tesla showroom on November 5, 2013 in Palo Alto, California. Tesla will report third quarter earnings today after the closing bell.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

今日(米国時間1/31)、Teslaの社名が変更された。正式社名は従来のTesla Motors, Inc. からTesla, Inc.となる。この社名変更はTeslaの事業分野の拡大によるものだろう。今やTeslaは産業向け、消費者向け双方の太陽光利用バッテリーを生産するSolarCityを傘下に収めている。Teslaのファウンダー、CEOのイーロン・マスクは「われわれのビジネスにおけるこの〔合併の〕重要性は今後ますます明らかになる」と語っている。

Tesla, Inc.は2016後半に SolarCityと合併した。この会社はマスクの従兄弟がファウンダーで、マスク自身も会長を務めていた。Teslaは家庭用電力源として第2世代のPowerwallバッテリー・パックをリリースしている。また商用電源としてPowerpack 2.0太陽光エネルギー・システムも発表した。Teslaでは通常の屋根用タイルそっくりのソーラーパネルを開発しており、今年後半に消費者向けに出荷が始まる予定だ。

Teslaは昨年末ウェブサイトのURLをTeslamotors.comからTesla.comに変えていた。同社はウェブサイトのaboutセクションで「単に自動車メーカーであるだけではなく、エネルギーのイノベーションの分野におけるメーカーでありテクノロジーとデザインの企業だ」と名乗っている。社名自体の変更はいささか遅すぎたくらいだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazon、15億ドルを投じて航空貨物ハブ建設へ

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Amazonは社内に世界最大級のロジスティクス・システムを持っている。このことにさらに証拠が必要なら、Amazonが新しい航空貨物基地の建設のために15億ドルを投資する事実をを指摘すればよいだろう。新しい航空貨物ハブはケンタッキーの州境に近いシンシナティの郊外に建設され、最終的に2000人の職を作り出すものとWall Street Journalが報じた。

次第に拡大して現在40機にもなっているAmazonの貨物機に基地を提供するのがこのプロジェクトの目的だ。Amazonは専用の塗装を施された貨物ジェットの披露にあたってリース元がAmazon Prime Airという子会社であることを明らかにした。リテール・ビジネスにおけるAmazonのシェアが拡大するにつれ運輸のニーズも増大している。Amazonの航空貨物能力の拡充はロジスティクスの面で同社の大きな助けとなることが期待されている。しかしこれは同時に現在物流でAmazonのパートナーとなっているFedExやUPSにとって脅威となり得る状況だ。

Amazonはこれまだ長い間、他の運送事業者と競合する分野に進出することはないという方針を掲げてきた。しかしAmazonは海上運送事業ではすでに港湾荷役から通関業務まで取り扱うフォワーダー〔乙仲〕の資格を取得している。これはFedExやUPSが提供しているサービスだ。WSJによれば、Amazonは自社の通販ビジネスの物流だけでなく、他社や消費者に対する物流サービスの提供事業にも進出する準備を進めているという。これは現在の物流パートナーと直接に衝突するコースだ。

そういう事態になれば影響するところは巨大だ。しかしAmazonはサードパーティーの運輸事業者と提携しているものの、クリスマス商戦などの繁忙期に需要をさばくための能力の不足に苦しんできた。そこで独自の物流システムが構築によるロジスティクス能力の拡大はそれ自身で十分追求に値する目的だ。運送事業に進出するかどうかは将来の課題となる。

〔日本版〕WSJの記事によればAmazonがハブを置くのはシンシナティ市街の南に位置するCincinnati/Northern Kentucky International Airport(CVG)だという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

任天堂Switchのオンライン・プレイは年額2000円台半ばのもよう

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任天堂は2週間ほど前に次世代ゲーム機Switchのオンライン・プレイは有料サービスとなると発表した。有料と知ってがっかりしたゲーム・ファンもいるようだ。しかし最新の情報によれば料金は少なくとも合理的な水準のようだ。任天堂の君島達己社長は日経新聞のインタビューに答え、「料金は年額 2000円から3000円」(現在の為替レートで$17-26)と明かした。

これはPlaystation PlusやXbox Live Goldに比べてかなり安い。これらのライバルの料金は年額40ドルから60ドルと2倍以上だ。しかし任天堂の場合、オンライン・プレイはこれまで無料だったため有料化は同社のゲーム機の長年のファンに懸念を抱かせていた。

これに加えて、音声チャットやオンライン対戦相手の選択などはスマートフォン・アプリを通じてのみ行われることとなった。月額料金でプレイできたNESゲームは今月末で削除される。プレイヤーが落胆したのも無理はない。Switchを持ち寄りローカルでマルチプレイをする場合はもちろん無料だが、有料サービスにどういった能力が与えられているのか現在まだ詳細は不明だ。

君島社長はまたゲーム機における仮想現実テクノロジーについて「研究中だ」 と述べた。特許情報からは、SwitchがVR表示スクリーンとして機能する可能性があることが指摘されている。ただし プレス・イベントでは多くの詳細が発表されたもののVR能力については言及されていない。

Switchは3月3日にリリースされ、価格は300ドルの予定だ。オンライン・サービスは今年後半まで無料。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、回収したFalcon 9の再利用も「間もなく」

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SpaceXといえば、打ち上げたロケットを安定的に回収している。しかし目的は回収ではなく再利用だ。その再利用がいつになるのかと期待して待っている人に朗報がもたらされた。回収したロケットの再利用に向けてのステップとして、Falcon 9ロケットの静止状態におけるエンジン点火実験に成功したそうなのだ。

点火実験に成功したのは、昨年4月に行った国際宇宙ステーション補給ミッションで使用したもので、海上のドローン船によってはじめて回収に成功したロケットだ。共同ファウンダー兼CEOのElon Muskは、当時からこのロケットを再利用に用いる可能性について言及していた。はやければ2016年の6月にも再利用を行えるのではないかというような楽観的な見通しも語っていた。予定日については大幅に遅れているわけだが、これは無理めの予定を発表するElon Muskにとって、とくに珍しいことではない。

もちろんMuskたちも、予定の遅れを当然であると開き直っているわけではない。SpaceXは「人生はままならぬものだ」というようなことを言っている。Muskの徹底的楽天主義以外にも、9月にはロケットの爆発事故があり、これによって5ヵ月の間はロケットを飛ばすこともできなくなった。

それはとかく、ロケットの再利用はヨーロッパで衛星事業を手がけるSESのミッションで行われる予定だとのこと。詳細は現在詰めているところだが、はやければ3月にも発射を行いたい(今年1月に行われたIridium-1のミッション中にも、初めてとなる再利用を間もなく行う予定である旨をアナウンスしていた)としているようだ。

現在のロケットについて、再利用回数は2、3回の予定となっている。回数が少ないようではあるが、SpaceXはそれにより打ち上げコストは30%程度に抑えられるようになるとしている。すなわち打ち上げを繰り返すほどに、SpaceXのコストメリットが出てくると期待されているわけだ。

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(翻訳:Maeda, H

GoogleのG Suiteでアドミンのためのセキュリティ管理機能が拡充、企業ユーザーに安心感を持ってもらうため

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今や300万あまりの企業が有料で、Googleの生産性アプリケーションG Suiteを使っている。今日(米国時間1/31)同社は、これらの企業のデータが同社のプラットホーム上で安全であるために、いくつかのセキュリティ機能をローンチした。

たとえばこれからのアドミンは、ユーザーがYubicoなどの物理的なセキュリティキーを使うよう強制できる。さらにそんなキーの展開配布形式を管理できるし、利用報告書も入手できる。Googleによると、オンライン決済サービスのStripeはすでにこの機能を利用しており、Security Keyを新たなセキュリティレイヤ(層)として加えることによって、社員をフィッシングの被害から防いでいる。

また今回のアップデートでGoogleは、データ喪失防止サービス(data loss prevention, DLP)をGmail以外にも拡大した。言い換えるとこれからは、DLPがサポートされるのはGmailだけではない。アドミンはDLPをGoogleドライブで有効にできる。Gmailの場合と同じくDriveでも、社員が間違いや意図的に機密データを外部と共有できないようにする。ルールは文書の内容だけでなく、画像についても指定できる(OCRを使用)。

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メールのセキュリティの改良としては、今度からはS/MIMIの暗号化に企業が独自の証明を利用できる。また、Gmailの検索をBigQueryで容易にできるようになった。さらに、メールをGmailやGoogle Vaultの外にアーカイブしたい企業は、HP AutonomyやVeritasなどのサードパーティのサービスを、前よりも容易に統合できる。

最近のG Suiteの機能拡充は、今回のセキュリティ機能も含めて、企業が自分で独自のサービスをホストしたり、競合他社のサービスを利用する理由を、なくそうなくそうと努力している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AI対プロのポーカー対決、はったりを学んだAIが勝利

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ポーカーで勝つにはカードの捨てる、捨てないのタイミング、勝負から引くタイミングが重要だ。これからは、コアダンプのことも考える必要があるだろう。カーネギーメロン大学の研究者が開発した最新のAIシステムはそれらのテクニックを活用している。このAIは、「世界ベストのプロポーカープレイヤー」の4人Dong Kim、Jimmy Chou、Daniel McAulay、Jason Lesに勝利した。人のプレイヤーと20日間にわたり12万回、ピッツバーグのカジノで開催された「Heads-up No-Limit Texas Hold’em」で試合を行った。

このAIは「Libratus」という名前だ。Rivers Casinoで4人のプロとの対決に勝利し、最終的に176万6250ドルのチップを獲得した。プレイヤーは常時対戦していて、1日の最後に戦略を練った。当初、AIはポーカーの遊び方を知らなかった。研究者は、AIにランダムに色々試すよう指示し、何億回の試行錯誤の末、ポーカーの勝ち方を学んでいった。人のプレイヤーは、毎日夜の10時まで11時間AIと対戦し、それを20日間繰り返した。

「最高峰のAIによる不完全な情報から戦略的な理由付けをする能力は、人類のそれを超えた」とAIの共同クリエイターでコンピューターサイエンスの教授であるTuomas Sandholmは話す。

AIは賞金を得ないが、人の方はパフォーマンスに応じて20万ドルの賞金を分けた。コンピューターに必要なのは、1.35ペタフロップスで処理するPittsburgh Supercomputing CenterのBridge 846ノード・スーパーコンピューターのうちの600コンピュートノードと電力だけだ。プロプレイヤーの一人、McAulay氏は「Libratusは思っていた以上に手強い相手でした」と話す。「ポーカーの強い上位プレイヤーと対戦するたびに学ぶことがあります」。

プレイヤーはAIの弱点を探るために協力した。AIも同様に自身の弱点を研究した。また、はったりをかける方法も学んだ。

「コンピューターは、はったりをかける方法を覚えなければポーカーで勝つことはできません」とカーネギーメロン大学コンピューターサイエンス学部の学部長Frank Pfenningは話す。「それができるAIを開発することは科学的に大きな進展で、応用できるアプリケーションが無数に広がります。例えば、新車を買いたい時、スマホがあなたの代わりに最良の価格を交渉できるようになったらどうでしょう。それはほんの一例にすぎません」。

これはAIの一歩前進を示し、「情報が不完全だったり、相手が正しい情報を提示しない状況に幅広く応用することができます」という。

また、AIは前日の対戦で失敗した部分を省み、日々戦略を「修正」できる。

「毎日の対戦が終わった後、メタアルゴリズムが、プロプレイヤーの見つけた戦略の穴を解析し、Libratusはそれを次の戦略に反映しました」とSandholmは言う。「弱点の優先順位をつけ、上位3つに関してスーパーコンピューターでそれを埋める戦略のアルゴリズムを練ります。これは過去のポーカーの学習法とは違います。通常、研究者は対戦相手の弱点を突くアルゴリズムを開発していました。ここでは自分の戦略の弱点を埋めて、アルゴリズムを改善しています」。

Libratusの研究は、交渉の自動化の研究、さらには生物学や工学における複雑な課題にも活用することができる。最終的に、AIは4人のプロポーカープレイヤー相手ではなく、不完全な情報が多くある複雑な問題を解くように訓練することに応用できる。

「カーネギーメロン大学は、チェス世界チャンピオンに勝ったチェスコンピューターの開発、そしてAIでJeopardy!のトッププレイヤーに勝ったWatsonの開発に大きく寄与しました」と Pfenningは言う。「世界最高峰のプレイヤーを超えるポーカープログラムの進化を見れてわくわくしています。これら一つ一つの達成が、「知性」を理解するにあたり大きなマイルストーンを象徴しています」。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

高級ホテル予約の「Relux」が中国最大手の民泊サイト「tujia」と提携、インバウンド需要狙う

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これまでもインバウンド旅行者向けの施策を打ち出してきたLoco Partners運営の高級宿泊予約サイト「Relux」だが、また新たな動きがあったようだ。同社は2月1日、Reluxと中国最大手の民泊仲介サイト「途家(tujia)」の業務提携を発表した。

Reluxは2013年9月にローンチした会員制の宿泊予約サービス。全国の一流旅館およびホテルを厳選して掲載。満足度保証や宿泊プランの最低価格保証、会員限定の特典などを提供している。高価格帯の宿泊施設の予約を中心としているが、最近では外国語対応や海外代理店との連携などを通じて、インバウンド需要への対応を進めてきた。

一方のtujiaは2011年12月のローンチ。2016年10月時点で中国国内325都市、海外67ヵ国に約45万件の民泊物件を確保するほか、高級宿泊施設の予約にも対応している。スマートフォンアプリのダウンロード数は全世界で約1億5000万件以上。今回の提携に先駆けて、100%子会社となる日本法人の日本途家も設立した。

今回の提携では、Reluxの宿泊予約エンジンと同じ技術プラットフォームをtujiaに提供する。これによって、今後はReluxで予約可能な宿泊施設のうち約700の施設がtujiaに掲載されることになる。Loco Partnersでは、tujiaを通じても富裕層を中心としたインバウンド旅行者の需要を狙うとしている。

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