Domoが追加でさらに1億3000万ドルを調達、Slack対抗サービスもローンチ

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ユタに拠点を置くDomoは、ここ数年同社のデータ管理プラットフォームで法人向けソフトウェアの分野を席巻してきた。今回さらなるグロースのため、DomoのチームはシリーズDで合計1億3000万ドルを既存と新規の投資家から調達したことを発表した。投資ラウンドにはBlackRock、Credit Suisseなどが参加している。この1億3000万ドルは、Domoが以前発表したシリーズDラウンドの2億ドルに上乗せされたものだ。Domoは評価額が200億ドルと伝えている。

「資金が必要なのではありません」とDomoのファウンダーでCEOのJosh Jamesは今回の投資ラウンドについて言う。「良いバッファーになります」と話したが、チームは現金が必要ではないと強調し、年内にも株式公開を行う予定だと話した。

また、本日Domoは自社のアプリストアをローンチしたと発表した。無料とフリーミアムアプリを約1000個掲載していて、どんな企業のカスタマイズにも対応できるという。さらにDomoはスレッドでやりとりができる無料のメッセージサービスを提供することを発表した。これは、Slackの競合になるとJamesは言う。

「Buzz(メッセージサービスの名前)機能を組織のメンバー全員が無料で利用できるようにすることで、ビジネスに関するインサイトを会話の中心に持ってくることができます。そうすることでBuzzは、ソーシャルテクノロジーで適切な情報を得る早さを改善し、ビジネス上の判断を下すスピードを再定義します」とJamesは今日の声明で伝えた。

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eBayやMasterCardといった1000以上のカスタマーを抱え、Jamesは1億ドル分の受注があり、収益も倍増していると言う。Domoには800名の従業員がいて、2016年にはさらに500名を採用する考えだという。

Jamesは、以前にウェブアナリティクスのためのプラットフォーム「Omniture」を創業し、株式公開を行った経験がある。最終的にその会社をAdobeに18億ドルで売却した。このシリアル・アントレプレナーは、企業をさらに成長させるために必要なものを持っているようだ。

「Domoは企業向けソフトウェアの分野で成功を収めるチャンスを切り開いています」とZetta Venture Partnersの役員メンバーであるMark Gorenbergは言う。「彼らはビジネスにおける経営のあり方を変えているのです」。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

BBCのmicro:bitは子どもたちがプログラミングを楽しむためのマイクロコンピュータボード、学校への配布がやっと始まる

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イギリスの子どもたちをプログラミングの世界に誘いこむための小さなコンピュータが、構想から半年を経た今日(米国時間3/22)やっと、学校に配布される。

micro:bitは、発表されたのが1年前だ。イギリスの放送局BBCには公益事業としての設立趣意書があり、その中には「教育」も目的として掲げられている。すなわち超小型コンピュータmicro:bitは、BBCの教育事業の一環として構想されたプロジェクトだ。放送局がコンピュータのハードウェアに手を染めるのはちょっと異様にも思えるが、実はBBCには、1980年代のBBC Microという前歴がある。

BBCは、micro:bitで“新しい世代がプログラミングを書き、構想し、デジタル技術と親密に触れ合う”ことにより、クリエイティブな人間になることを期待している。今は80年代と違ってモバイルコンピューティングデバイスが氾濫しているが、その上でDIYのプログラミングを楽しめる機種はほとんどない(ただしRaspberry Piマイクロコンピュータで成功しているイギリスは、他国よりは抜きん出ているが)。

BBCは昨年、2015年の秋には100万台のmicro:bitをイギリスの11歳の学童に贈る、と発表した。しかし時期は大幅にずれ込んで、学期半ばの今になってやっと、子どもたちの手に渡ることになった。そのため、その教育効果を心配する声もある。とくに先生たちはすでに、今年の授業計画を作ってしまっているからだ。

このmicro:bitプロジェクトは、パートナーの数が30社近くと、ものすごく多い。その中には、ハードウェアのメーカーやソフトウェアのメーカー、小売企業、教育機関など多様な顔ぶれがいる。船頭が多すぎたことが、遅れの原因かもしれない。

最初のロットを学童たちに手渡したあとは、BBCによると、 micro:bitのライセンスを管理する非営利団体を作り、そこが、micro:bitの製造を希望する企業にライセンスを提供していく。最初の3年間で500万台を売ったRaspberry Piの大成功を見ても、教育目的の‘クリエイティブコンピューティングデバイス’には。将来ますます需要がある、とBBCは考えている。その方面のスタートアップたちも、すでに登場している。

学校での展開に続いて、BBCの構想では、ハードウェアの仕様とmicro:bit用のソフトウェアの多くをオープンソースにし、デバイスはいろんなお店から買えるようにする。そして得られた販売利益は、“さらにもっと多くの人びとが‘プログラミング革命’に参加していけるための”企画に投入する、とBBCは言っている。

micro:bitのボードには、2列のLEDの集合、2つのプログラマブルなボタン、動きを検出するための加速度センサー、方位計(コンパス/磁石)、Bluetooth端子、そのほかの多様なI/O端子の集合がある。子どもたちが、自分がやってみたいいろんなデバイスやセンサーをつないでプログラミングできることを、ねらっている。プログラミングは子どもたちの新しい遊びである、というコンセプトだ。とても小さなボードだから、ウェアラブルにも十分挑戦できる。

また、micro:bitにはお助けWebサイトがあり、そこがいろんなコードエディターやチュートリアル、指導ビデオなどを提供している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

掲載は名医だけ、疾患の診断名で検索できる「クリンタル」が資金調達

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患者が自分の症状に合った名医を検索できるサービス「クリンタル」を展開しているクリンタルは伊藤忠テクノロジーベンチャーズとDraper Nexus Venture Partnersから資金調達を行ったことを発表した。金額は公開されていない。クリンタルの代表取締役社長である杉田玲夢氏にサービスの立ち上げの経緯について聞いた。

クリンタルは各疾患に対応する医師の中でも選りすぐりの名医だけを検索できるサービスだ。ユーザーは診療科目と疾患の診断名を選択すると、首都圏内の名医を探すことができる。郵便番号を入力して、その場所に近い名医を調べることも可能だ。

多くの人は病気を患って医療機関を受診する際、医療の質ではなく、自宅や職場の近くにあるから、あるいは近所の知人に勧められたからといった理由で医療機関を選びがちと杉田氏は話す。患者が名医を探そうと思っても、専門的な知識がなければどの医師の医療が優れているかまでは分かりづらい。病院やクリニックの口コミサイトで検索しても、あまりに多くの医療機関が表示されて、何を基準に病院を選んでよいか分からない状態と杉田氏は課題を指摘する。クリンタルでは、医療レベルの高い医師だけを掲載することで、患者が自分自身で最適な医師を探して受診できるようにしたい考えだ。

クリンタルの「名医」として掲載しているのは、「臨床・技術」「学術・知識」「受診しやすさ」をそれぞれスコア化し、一定基準を満たした医師のみと杉田氏は説明する。「臨床・技術」では医師の保有資格、患者数や手術数を鑑み、「学術・知識」では学歴や学会での論文提出数などを見ているという。「受診しやすさ」では外来診断に行った時の待ち時間の長さなどの口コミを考慮しているそうだ。現在は130の疾患に対応し、全体で1200名ほどの名医を掲載していると杉田氏は言う。

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クリンタルの検索結果画面

クリンタルは名医を検索するサービスではあるが、病気を患う人全員の利用を想定しているものではないと杉田氏は言う。「クリンタルは確定診断の付いた患者向けのサービス」と強調する。というのも、例えばちょっとした外傷や風邪であればかかりつけの医師やクリニックで十分に対応できるからだ。杉田氏がクリンタルで目指している大きなビジョンは、本当に医療を必要としている患者に最適な医療を結びつけられる医療システムの構築だという。

杉田氏は最初は眼科医として病院に勤務し、その後コンサルタントとして病院経営の面から患者に良い医療を届けるために仕事をしてきた。そうした業務に従事する中で医療機関と患者のミスマッチによる医療システムの効率の悪さを間近に感じていたと杉田氏は話す。総合病院はあらゆる病気に対応するため、多くの医療従事者を抱えていて、患者数も多い。だが病院側が多様な疾患の患者に上手く対応できておらず、患者は受診まで長い時間待たなければならなかったり、医療従事者にも長時間労働を強いたりと多くの負荷がかかっているという。近年では、例えばがんの治療に特化したがんセンターといった特定の疾患を診る医療機関が増えてきていると話す。そうした医療機関には特定の疾患の患者のみが集まるため、病院に蓄積される症例と治療経験が増え、医療技術が高まると杉田氏は言う。患者にとっても、このような医療機関を受診することで最先端の医療を受けることができ、回復が早まる傾向にあるそうだ。ある程度特定の疾患に注力する医療機関が増えることで医療システムの改善につながると杉田氏は考えている。杉田氏がクリンタルで目指しているのは、そのためにまず患者の受診行動を変え、患者を適切な特定疾患の専門家とつなぐことで全体の医療システムの効率化を図ることだ。

クリンタルは2015年5月に創業し、8月に名医の検索サイトをローンチした。昨年12月からは、医師がユーザーから症状や指定地域などの条件を聞いて、受診先を提案する有料のプレミアムサービスも提供している。このプレミアムサービスは1回の問い合わせにつき5980円で、無料版よりさらに細分化された分野の専門の名医を提案するという。

今回の資金調達では、サービスの拡充とビジネス面の強化を計画しているという。サービス拡充については、まずは検索サービスでも首都圏のみならず、全国の名医をカバーする予定という。最終的には日本全国の医師の3%相当に値する6000名ほどの名医を掲載したい考えだ。また、新たに軽症な病気や確定診断前の段階でもその治療に最適な開業医を提案する機能を開発していると杉田氏は話す。今年の夏頃のリリースに向けて開発を進めているという。ビジネス面の強化については企業と提携し、従業員向けの福利厚生の一環としてクリンタルを提供することに注力していく。ゆくゆくは保険会社などと協力することも視野に入れていると話す。クリンタルの受診提案で名医の治療を受けることにつながれば医療費の削減が期待できるからだ。そのためにサービスの実績を示すことができるよう注力していくと杉田氏は話す。

これまでにクリンタルの検索サービスを1万人ほどが利用したと杉田氏は言う。特に女性ユーザーが不妊治療のために産婦人科を探していたり、子供が病気を患った時に小児科などを探したりしているケースが多いという。これは、人は自分のことよりも子供や身内のためなら真剣になって医療機関を探す傾向にあるからかもしれないと杉田氏は話す。それも重要なことではあるが、「人が自分たちの住む家を探すためなら何件も物件を巡って真剣に選ぶのと同じように、自分の命に関わる医療に関しても真剣に選ぶためのサービスの提供と適切な情報発信を行っていきたい」と杉田氏は話す。

旅行ブログを自動で作成してくれるPolarsteps

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旅をすることはとても楽しく、そしてわくわくする体験だ。未開のアマゾンを探検するなどは、考えてみるだけでも興奮してしまう。家族など身の回りの人も、旅するあなたのことを羨ましくてしょうがなく感じるはずだ。そして旅行時に自動的に旅行ブログを綴ってくれるPolarstepsなどを使えば、さらにまわりの人の羨望の気持ちは大きくなるのかもしれない。そうした発想に同意する投資家もいるようで、Polarstepsはシード資金を獲得することとなった。

As you travel, your travel log takes shape.

旅を続けるだけで、旅行ブログが自動的に記録される。

アムステルダムの開発者たちが獲得した資金は、50万ユーロ(56万3000ドル)ほどだ。出資したのはSilver Point VenturesおよびTMGだ。獲得した資金はiOS版アプリケーション(現在ベータ版として公開されている)およびAndroid版アプリケーション(開発予定)の開発資金として活用する予定であるとのこと。

アプリケーションのコンセプトもシンプルなものだ。ブログ更新のスケジュールを決めればあとは勝手に記録を残してくれる。現在の位置を取得して、その情報をブログ記事として公開してくれるのだ。家族や友人も、あなたがどこを旅行しているのかを直ちに知ることができる。写真や文章を追加すれば、とうぜんにそれらのコンテンツも追加されることとなる。どのようなブログが出来上がるのかのデモのために、アムステルダムからケープタウンまでをオートバイで旅した際の旅行ブログが残されている。アプリケーション自体に興味のない人も、この旅行記録は一見の価値があると思う。つい自分の旅心がおさえられなくなる人もいるはずだ。

Polarstepsは、「旅行」に対するいろいろな「配慮」も行なっている。たとえば現地通信回線の契約やローミングの準備がなくても、GPSさえ動作していればきちんと記録を残してくれる。ホテルなどに到着して、通信回線ないしWi-Fiが利用できる環境となったときに記録をアップロードしてくれるのだ。高額な通信サービスを利用していなくてもきちんと記録を残すことができるわけだ。

「アプリケーションは現在公開ベータとなっており、誰でも使って見ることができるようになっています」と共同ファウンダーのKoen Drosteは言っている。ベータとしているのは、まだ開発中の機能があって予定しているすべての機能を実装しているわけではないことを示すためなのだそうだ。

The Polarsteps platform includes an iPhone / Apple Watch app and a web-app. An Android version is coming this summer, the company says.

PolarstepsはiPhone用が公開されている。Apple Watchやウェブ版も用意したい考えで、またAndroid版も夏にはリリースする予定となっているそうだ。

旅行用ツールとして、なかなかのできであると評価できるように思う。ただしこのPolarstepsは、全く新しいアイデアから生まれたものというわけではない。むしろさまざまな企業がいろいろなアイデアを試している分野なのだ。たとえばesplorioなどは、とてもよく似た機能を持っている。

ファウンダーのひとりであるNiek BokkersがPolarstepsの開発を思い立ったのは、2013年にヨットによる長期航海に出たときのことなのだそうだ。家族に自分の無事と現在地を伝えておきたいと考えたそうだ。それで家族に自動的に場所情報を伝えるアプリケーションを作ったのだとのこと。家族や、他にも使ってもらった友人たちの評判は上々で、こうした仕組みにはさらに大きな広がりが考えられるのではないかと考え始めたそうだ。

Polarstepsが検知する情報は位置や撮影した写真だけではない。他にも移動距離や現在通過中の国名などの情報を扱うことができるようになっている。

「資金も調達できたことで、Android版の開発にもしっかりと取り組むことができるようになりました。夏にはリリースしたいと考えています」とDrosteは言っている。

iOS版はこちらからダウンロードできる。

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(翻訳:Maeda, H

Uberが初のハッカー向けバグ・バウンティー・プログラムを開催

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Uberは1年のベータ検証の末、本日初のバグ・バウンティー・プログラムHackerOneのバグ賞金プラットフォームで開催することを発表した。

バグ・バウンティー・プログラムというのは、ハッカー(ここでは「リサーチャー」と呼ばれる)がソフトウェアプラットフォームのセキュリティーに関する脆弱性を探し、見つけた人に賞金を与えるものだ。脆弱性を見つけて悪用していたかもしれない人たちをリサーチャーに変え、その労力に対して賞金を支払うプログラムだ。

Microsoft、Google、Facebookといった大手企業はこのようなプログラムを開催している。今回Uberでこのプログラムの開催を担ったCollin Greeneは、以前FacebookでHackerOneのCTO、Alex Riceと協力して、Facebookで同様のプログラムを開催するために動いていた人物だ。狭い業界だ。

Uberのプログラムにはいくつか特徴的な要素が盛り込まれている。まず1つは、ルールや支払いに関してリサーチャーに明示していることだ。Greeneは、リサーチャーやハッカーが感じるプログラムの問題点として、支払いシステムが不透明なことを挙げる。誰かがバグを発見したとしても、そのバグがどれほど重要だったかを交渉しなければならないからだ。

このプログラムでは、Uberからの賞金について明確にしているという。重要なバグには最大1万ドルを支払うという。

2つ目は、たくさんのバグを報告する忠誠心の高いリサーチャーに対しても報酬を与えるために、ロイヤリティ・プログラムを設定したことだ。「これらのアプリで実際にバグを見つけられるような、認証済みのリサーチャーは少ないのです。とても少ないので、彼らの関心を惹き付け、留めておきたいのです」とGreeneは説明する。

つまり、Uberは最良のリサーチャーのエンゲージメントを促すために、バグ探索にゲーミフィケーションの要素を持ち込んだと言える。最初のロイヤリティープログラムは5月1日にローンチし、90日間開催するという。リサーチャーがその期間内に4つのバグを見つけたのなら、5つ目以降に発見したバグに対して、ボーナス報酬を付与するという。Uberによると、ボーナス報酬はその期間内に発見された全てのバグの平均報酬の10%に値するとしている。

もう一つ、Uberは「宝の地図」と呼ぶドキュメントをリサーチャーに前もって提供するという。楽しい名前(プログラムにゲーミフィケーションの要素の一つだろう)の付いたこの地図は、バグや脆弱性を見つかりそうな場所といった貴重な情報を提供するという。

「私たちはハッカーのように考え、コードにセキュリティーに関する脆弱性がないか確認しています。参加者は、私たちが蓄積したコードベースに関する知識とバグがありそうな部分を前もって知ることができます」とGreeneは言う。

Uberは昨年から200名のリサーチャーとベータ版を運用し、プログラムを改良してきた。今日発表した要素もその中で追加してきたものだという。HackerOneのCTO、Alex Riceは、企業がこのようにローンチ前にフィードバックを集めたのは初めてのことと話す。

「Uberも他のHackerOneのカスタマーと同じように、プライベートパイロット版を運用してきましたが、彼らのプログラムは特徴的で、プログラムを最も効果的にするためにハッカーからフィードバックを得ることに注力していました。その後は、私たちHackerOneと協力し、ロイヤリティープログラムを運営するために必要な機能を制作しました」とRiceはTechCrunchに話す。

Uberがバウンティー・プログラムの参加者から得た情報を元にコードの穴を塞ぐにつれ、バグを見つけるのがどんどん難しくなるだろう。その場合も難易度に応じて支払い額も増額し、誰もが喜べるようプログラムになるだろう。ハッカーは費やした労力で賞金を得ることができ、Uberはより安全なプラットフォームを構築できるということだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Facebookの「Messenger Bot Store」が、App Store以来の大革命となるかもしれない。

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【編集部注】この記事の執筆者、Tom Hadfield氏はPromptのCEO

多くの人々が予測する通り、FacebookがF8カンファレンスで「Messenger Bot Store」を発表すれば、2008年3月にAppleが「App Store」と「iPhone SDK」を発表して以来のビックニュースとなるだろう。

スティーブ・ジョブズはApp Storeを「サードパーティが開発するアプリケーションを、ユーザーが探し、購入し、iPhoneに直接ダウンロードできる、新しいアプリケーション」と説明した。だがその彼でさえも、App Storeが世界に与えるインパクトを予知できなかった。

App Storeが2008年7月にサービスを開始した当時、iPhoneユーザーは世界中に600万人いると言われていた。ユーザー数はその後も上昇を続け、その年の終わりまでに2倍になった。翌年以降も、毎年ユーザー数を2倍に伸ばすという急激な上昇だった。現在では150万以上のアプリが公開されている、App Storeのエコシステムの登場は、私たちに新しい「モバイルの時代」の到来を感じさせた。

現在、Facebookのメッセンジャーは月間8億人のアクティブユーザーをもつ。この数字は、App Store発表当時に存在した、iPhoneユーザー数の100倍以上だ。メッセンジャーのアクティブユーザー数は、過去から全てひっくるめたiPhoneの販売台数より多い。現在では、メッセンジャーのようなチャットアプリ全体のユーザー数は、SNS全体のユーザー数を超える

今年1月にTechCrunchは、メッセンジャーのボットを開発するための「Chat SDK」という隠し子が、Facebookに存在する可能性について報じた。もし本当にFacebookが「Bot Store」を公表すれば、それはすなわち「新しい時代の終焉」となるだろう。モバイルの時代から、「プラットフォームとしてのチャットアプリ」の時代になるのだ。会話型のインターフェイスは、何百万のユーザーと実世界の交流の仕方を変えようとしている。

胎動する「プラットフォームとしてのチャットアプリ」

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「プラットフォームとしてのチャットアプリ」に注目が集まり始めたのは、昨年の始めごろだ。2015年3月に開催された、Y Combinator主催の「Demo Day」では、SMSベースの購買支援アプリ「Magic」が脚光を浴びた。その後同社は、Sequoiaから1200万ドルを調達することにも成功する。翌月には、ほぼ同一のサービスを提供する「GoButler」が、800万ドルをGeneral Catalystから調達した。さらには、「Operator」もGreylockから1000万ドル調達したと発表し、このころから突然、「テクノロジーの新しいフロンティア争奪戦」が話題になり始めた。

その年の夏には、The Informationが衝撃のニュースを報道した。人工知能「Facebook M」によって、Facebookのメッセンジャー上で、ユーザーが商品を購入したり、レストランの予約をしたり、旅行の予約をしたりすることが可能になると報じたニュースだ。

Pavel Durovが「Telegram Bot Store」の拡張を発表し、「Kik」の創業者であるTed Livingstonが「西洋のWeChatになる」と宣言した。2015年終盤には、「Slack」が8000万ドルを調達し、「Slack App Directory」を公表。さらには、Googleが独自のチャットボットを開発しているのではないかと噂された

ゴールドラッシュ改め、「ボットラッシュ」

Gold rush. Photo courtesy of Flickr/Glen Bowman

Gold rush. Photo courtesy of Flickr/Glen Bowman

ボットが話題になって以来、関係者は盛んに「どのボットが大本命となるのか?」と話すようになった。また我々は、まだまだ胎動期であるHowdyAssi.stHyperPanaScoutLukaRepといったボット開発会社のシードラウンドに注目するようになった。それと同時に「Pandorabots」や、私が所有するPromptといったスタートアップが、ボット開発者のためのツールづくりに注力している。

シリコンバレーの有名投資家もボットへの投資に乗り出した。General CatalystのPhil Libinは、ボットを「今年のテック業界における最も重要なトレンド」と称した。さらにUnion SquareのAlbert Wengerは、この新しい時代を、アメリカのゴールドラッシュにちなんで「ボットラッシュ」と呼んだ。(アルマゲドンならぬ「ボタゲドン」より、特に魅力的な言葉だ)

数日前、GreylockのJohn Lillyは、「ボットかAI、あるいはその両方というピッチの率は100%に近づいている」とツイートしたBoris WertzDave MorinSemil ShahNir Eyalといった、アーリーステージの企業を得意とする投資家たちもまた、ボットへの強い関心をあらわにした。

ボットこそが新しい時代のアプリケーションである

「Messenger Bot Store」は、起業家や投資家にとってだけではなく、開発者やデザイナーにとっても遠大な影響を与えそうだ。「Fin」のCEOであるSam Lessinは、チャットベースのインターフェイスの登場は、「今後開発されるアプリケーションやサービスの形を、根本から変えるだろう」と話す。

Chris Messinaが、2016年は「会話型コマースの時代」になると予測したのは有名な話であるが、メッセンジャーのボットプラットフォームは、コマースの範囲だけに留まることはないだろう。

姿形こそ違えど、メッセージングは新時代の「コマンドラインインターフェイス」になる。この新しいインターフェイスは、実世界のものに向けたものだ。ここ数十年間行われてきた「コマンドライン」との会話に比べ、近年の自然言語処理の発達で、ボットとの交流はより人間味があるものになる。たとえBenedict Evansが言うように、かの有名な「HAL 9000」と同等の技術まで発達するまでには、「50のノーベル賞が必要」だとしてもだ。

これまでボットは、テキストベースで交流する、インターフェイスを持たない「目に見えないアプリ」と呼ばれていた。だが、USVのJonathan Libovが指摘するように「入れ物がチャットアプリだとしても、中身のアプリがテキストベースとは限らない」。Tomaž Štolfaが言うように、ボットには「会話型のインターフェイスと豪華なグラフィックUIとのブレンドがもつ、未知の可能性」が秘められているのだ。

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F8カンファレンスの後、Facebookが抱える8億人のユーザーが、メッセンジャー上でボットに出会ったとするならば、これまでのボットへの疑念は晴れ、「ボットこそが新時代のアプリケーションである」と話して来た人々が正しかった、ということになるだろう。

App Storeとは規模において引けを取らない、新しいエコシステムが創られる。あなたがメッセンジャーを使って、DominosやUnited Airlines、さらにはCapital Oneと簡単にやり取りできるとする。そうした場合、果たしてあなたは、それらの企業が独自に作ったアプリを利用するだろうか? ボットが見せる未来は、1995年のWEBの登場により私たちが感じ、2008年にモバイルアプリが見せてくれた未来像に似ている。

ボットに関して、未回答の疑問が残っているのは確かだ。WhatsAppのような、他のメッセージングプラットフォームも開発者に公開されるまでには、どれくらいの時間がかかるのか?

「OpenTable」のようなものが、すべてのメッセージングプラットフォーム向けにボットを作るのか。それともボット開発のクロス・プラットフォーム・スタンダードが生まれるのだろうか?そして恐らく一番重要なのは、どのような使い方によって、ボットが従来のアプリよりはるかに優れた体験をユーザーに提供するのかという点だろう。

Jonathan Libovが指摘するように、「これまでのところ、メッセージングやボットに対する開発者の情熱は、消費者が持つ興味の度合いとはかけ離れている」という点も一理ある。

だがTed Livingstonの予測が正しいとすれば、4月12日のF8を境に、その状況も劇的に変わるに違いない。Facebookのメッセンジャーが「西洋のWechat」になれないと考えるには、少しばかり時期尚早だろう。

Appleよ!注意したまえ!

原文

(翻訳:Takuya Kimura)

Throttleは、面倒なメールを1日分まとめてダイジェストにしてくれる

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満杯の受信箱より悪い唯一の物は何か? 読みたくないスパムっぽいニュースレターで一杯の受信箱だ。

Throttleは、それを解決するプラグインで、ユーザーが何かを購入したり、ニュースレターに登録した時に独自のメールアドレスを生成する。

そして、そのアドレスに送られてきたメールは、1日分のダイジェストにまとめて送られてくる。Throttleは、このメールを同社ウェブサイトでも読めるようにしていて、数十種類のカテゴリーに効率よく分類されている。

このサービスは、メールを送ってくる相手の会社毎に個別メールアドレスを生成するので、どこの会社があなたのメールアドレスを売ったかがすぐわかる。そして、もし個別アドレスのどれかがスパムに使われていることがわかった時は、Throttleがアクセスを遮断し、ワンクリックでその個別アドレスを停止できる。

ExtensionInAction

マーケターの中には、購読者がThrottleを使うことは自社にとっても有益だと考える人もいるというのは興味深い。実質的に配信率100%が保証され、コンテンツが実際に読まれる可能性がずっと高くなるからだ。

サービスが開始したのは1月だが、今日(米国時間3/22)から誰でも使えるようになった。さらに同社は月額3.99ドルのProバージョンの提供を開始し、複数メールアカウントのダイジェスト、ダイジェストを待ちたくない時のための即時転送、およびカスタムドメインの利用を可能にしている。

Throttleのブラウザー拡張機能は、現在Safari、ChromeおよびOpera版が用意されており、Firefox版は開発中とのこと。同社によるとモバイルアプリも開発中で、Proバージョン契約者には一般公開前にベータ版を提供する予定だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleフォトがいっそう賢くなった―ベストショットを選んで自動的にアルバムを作成

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今日(米国時間3/22)、Googleフォトに便利な機能が追加された。Googleでは「いっそうスマートなアルバム」と呼んでいる。ユーザーがイベントや旅行で一連の写真を撮ると、Googleがユーザーの代わりにベストな写真を選択してアルバムを自動的に作ってくれる。旅行先で撮った写真であれば位置や自宅からの距離などの情報も含まれるのでどこで撮った写真か忘れる心配はない。

という機能がどこかで聞いたことがあると思うなら正解だ。Googleフォトの左サイドバーからアクセスできる「アシスタント」メニューにはすでにほぼ同様の機能がある。自動的にアルバムを作ってくれる。またGIF式のアニメ、組写真、ストーリーなどもサポートされている。新しいアルバムはこのストーリーを置き換えるものになる。Google Photosは機械学習能力で良く撮れた写真を選ぶ。フォトはまた写真のジオタグなどのメタデータを読み込み、さらにコンテツ、撮影された場所、ランドマークなどを認識する能力がある。

アルバムが作成されると、Googleはユーザーにテキストで写真にキャプションを加えるなどのカスタマイズを勧める。

ユーザーの友達がアルバムに写真を追加することも可能だ。共同アルバムはFacebookがスマートフォンのMomentsアプリでサポートしている同種の機能のライバルになる。12月に発表されたこの機能で、Facebookの写真がMomentsで共有できる ようになった。

自動作成されたアルバムで足りなければ、ユーザーはマニュアルで独自のアルバムを作成することもできる。既存のアルバムに必要な写真、テキスト、位置を示すピンを表示した地図など必要な情報を追加して友達と共有できる。

新しいアルバムは今日からAndroid、iOS、ウェブで公開される。

〔日本版〕訳者の環境(Windows 10)では、GoogleフォトをGoogleドライブから開いた場合と、フォトを直接開いた場合では表示が異なり、ドライブから開いた状態ではフォトのサイドバーのメニューは表示されない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Spotify、音楽ストリーミングのアジア拡大を再開—今月末にインドネシア、次は日本

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Spotifyはしばらくぶりにアジアで市場拡大モードに入ったようだ。アジアに最初に進出したのは4年前だったが、2年前からこの地域の新しい国でサービスを開始していなかった。Spotifyは今月の末までにインドネシアで音楽ストリーミングを開始すると正式に発表した。

インドネシアはSpotifyにとってきわめて大きな重要性を持つ可能性を持った市場だ。世界第4位の巨大な人口があり、スマートフォンの販売はここしばらく毎年20%の伸びが予想されている。2億5000万の国民は次第に豊かになり、テクノロジーによってコミュニケーションすることを強く求めるようになった。

昨年10月、われわれは 「Spotifyの日本とインドネシアでのサービス開始が迫っている」という記事を書いた。事実、東京ではオフィスが開設され、静かに営業がスタートしている。日本のメッセージ・サービスのトップブランド、Lineと提携したのはSpotifyの本気度を示すもう一つのサインだろう。LineはFacebookとも同様の提携をしているが、ユーザーはLineアプリからSpotifyの楽曲を共有できるという仕組みだ。

しかし提携はそれとして、実際に運用できるのはSpotifyのサービスがスタートしている地域となる(現在日本ではまだ開始されていない)。ただしサービス開始が迫っていることを示すもうひとつのサインは、Spotifyが日本で12人の人材を募集していることだ。これには消費者向けマーケティングの責任者コミュニケーション責任者ソーシャルメディア・マーケティングのマネージャーなどが含まれる。要するに東京オフィスでの業務の中心となるチームだ。

10月のわれわれの記事でも触れたとおり、日本での音楽ストリーミングの環境は厳しい。日本ではまだCDが音楽市場の主流だ。これがSpotifyの日本でのサービスのスタートを遅らせてきたのだろう。しかしAppleと(友でもありライバルでもある)Lineはすでに音楽サービスを開始している。Spotifyが追いつくためには急ぐ必要があった。

インドネシアでサービスをスタートさせる発表を別にすると、SpotifyはTechCrunchの取材に対してアジア戦略を明らかにすることを避けた。しかしわれわれは同社に近い筋からインド市場参入を考えているという情報を得ている。

もちろんインド市場への関心はまだ実験的段階だが、Spotifyが実際にインドに入るとなれば激しい競争を覚悟する必要がある。昨年夏、Apple Musicが世界的にスタートしたとき、インドでもサービスが開始されている。しかし地元発のサービスとしてTiger Globalが支援するSaavnTimes InternetのGaanaがモバイルでの音楽市場をリードしているようだ。Apple Musicのインドでの現状についてわれわれにはあまり情報がない。しかしSpotifyの方が無料バージョンを持っている分、インド市場には適合しているかもしれない。またAndroidアプリもAppleより安定している。どちらもインド市場では不可欠の要素だ。

最近、有料ユーザーが3000万を突破したSpotifyにとって、アジア市場は重要なものとなってくるだろう。この地域の大部分はモバイル・ファーストであるか、それともデジタル・コンテンツにアクセスする手段がそもそもモバイルしかないか、どちらかだ。消費者はエンタテインメントをほぼすべて携帯電話に頼っている。モバイル音楽サービスにとってユーザーの獲得には理想的な条件だが、収益化の方法となると発見が非常に難しい。なんといってまだアジアの多くの地域は発展途上だし、デジタル・コンテンツの海賊行為が猛威を振るっている。

Spotifyが最初にアジアに進出したのは、比較的小さく、また欧米文化の影響を強く受けている地域、つまり香港とシンガポールだった。これらの国では比較的うまくやれそうなSpotifyだが、このスウェーデンの音楽サービスの巨人ははるかの大きな課題に挑戦しようとしているようだ。その手始めがインドネシアということだろう。

画像: Denys Prykhodov/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

音楽ストリーミングの8tracks、クラウドファンディングで3000万ドルを調達

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音楽ストリーミングのスタートアップ、8tracksは以前から強いコミュニティー感覚を持っていた。しかしこのたび同社はそれを一歩進めて、自らのコミュニティーから3000万ドルを調達した。ベンチャーキャピタリストに金をせがむ代わりに、この会社はSeedInvestで資金調達クラウドファンディングのキャンペーンを開始し、好調に進んでいる。

約3万人のコミュニティーメンバーが、1000ドルずつの投資を約束して会社の一部を手に入れようとしている。つまり、すべて予定通りに運び、投資がSECの審査を通れば、8tracksは3000万ドルのシリーズAラウンドを完了する。JOBS法案の下では、誰でも非公開企業に投資することが可能であり、年間収入20万ドル以上の人たちだけではない。

「ご想像の通り、これはコミュニティーが主要な財産である8tracksにとってまさにぴったりのやり方だ」とCEOのDavid Porterが私に言った。「プログラミングを作るのは私たちのユーザーであり、そのプログラミングを広めるのも私たちのユーザーなので、彼らがそのプログラミングの資金調達に参加して、8tracksの一部を文字通り所有できるようにすることは、ごく自然な成り行きだ」。

8tracksは、Pandoraと似たリラックス系ラジオサービスだが、プレイリストは人間が作る。作ったプレイリストには様々なタグを関連付ける。タグはムード(ハッピー、ラブ等)や行動(ワークアウト、勉強、睡眠)、もちろん音楽ジャンルでもいい。リスナーは、これらのタグを組み合わせて理想的なプレイリストを作ることができる。例えば「勉強 + インディー + 夏」を検索できる。

会社は以前に、シードラウンドでAndreessen Horowitz、Index Ventures、SoftTech VC、およびBen Duryから150万ドルを調達しており、250万ドルの負債による資金調達も行っている。現在の月間アクティブユーザー数は600万人で、2年前と比べてわずかに減っている。

今回のラウンドは、以前のラウンドと比べて大きな一歩であり、会社はそれを必要としているようだ。8tracksは音楽カタログを利用するために、音楽レーベル各社と直接契約を結んできた。また、同社は海外ストリーミングサービスを中止したが、これは米国、カナダ以外で有効なライセンスを保有していないためだった。

再度海外ストリーミングを可能にすることと、音楽レーベルを増やすことは、2つとも厄介で費用のかかる仕事だ。しかし、十分な資金を得た今、8tracksはまさにそれを実行しようとしているようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

9.7インチiPad Proは12.9インチiPad Proよりわずかに遅い

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Appleはスペックについて語りたがらない。しかし、実は私のボスMatthew Panzarinoは、新しいiPad ProとiPhone SEのレビュー機を既に持っている。だから、この新デバイス上でわれわれがGeekbenchを走られせることを誰も止めることはできない。結果はいずれも、興味深く驚きのないものだった。9.7インチiPad Proは兄貴分と同じA9Xチップを塔載しているが、クロックはわずかに遅い。

下のGeekbenchの画面にあるように、チップ上のシステムは2.16GHzで動作している。一方12.9インチiPad ProのA9Xは2.24GHzで動いているため、Geekbenchスコアで上回っている。Appleが自社製プロセッサーをアンダークロックしたのはこれが初めてではない。例えばiPad miniではよくやっている。小さなiPad Proはバッテリーも小さいので、プロセッサーのクロックを遅くするのはバッテリー節約の良い方法だ。

RAMに関しては、9.7インチiPad ProのRAMが2GBで、大きいiPad Proの4GBより少ないのにはちょっと驚いた。iPad Air 2は既に2GB RAMを積んでいて、マルチタスクを多く使ったりSafariで複数のタブを開いている時等に感じることがある。他に細かい点では、9.7インチiPad ProのLightningポートはUSB 3のスピードに対応していない。標準のLightningケーブルはUSB 2ケーブルだが、カメラアダプターを使って大きなビデオデータをLightning経由で移動したい人には、12.9インチiPad Proの方が良い選択肢だ。

ただしこれは、9.7インチiPad Proが大きいiPad Proより悪いiPadだと言っているのではない。良いカメラと、良いディスプレーと、統合されたApple SIMが入っている。12メガピクセルのカメラは、iPhone 6sと同じもののようだ。Live Photoや4Kビデオを撮影できる。自撮りカメラも良くなっている。

多くの人たちが、テーブルに9.7インチiPad Proを平らに置けるかどうか心配していた。カメラの出っぱりがあるからだ。答は:大丈夫。がたついたりしない。

ディスプレイには新しい4チャンネル周辺光センサーが付き、周囲の明るさを正確に測ってホワイトバランスを調整する。また、iPad Air 2よりも25%明るく、40%反射が少なく、色域が広い。500 nitsはiPadの画面で最も明るい。そしてLTEバージョンの9.7インチiPad Proには、Apple SIMが内蔵されているので、旅行の際にはデータプランを契約できる。nano SIMカードスロットもまだ付いている。

そして、ソフトウェアキーボードはiPad Air 2と同じだ — Appleは12.9インチiPad Proにある追加キーを付けなかった。

iPhone SEは、RAM 2GBでiPhone 6sと同じだ。つまりAppleはこの小さなiPhoneでケチらなかった。ただし、高速のTouchIDセンサーではない ― iPhone 5sや6のと同じTouchIDセンサーだ。

iPhone SEは驚くほど有能なデバイスのようだが、iPad Proのラインアップは少々混乱を招く。ある面では9.7インチiPad Proの方がパワフルで、別の面では12.9インチモデルの方が優れている。12.9インチiPad Proの方が9.7インチより明らかに大きいので、結局は何をするか次第だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple基調講演者の多様性レポート

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Appleは今日(米国時間3/21)スペシャルイベントを開催し、新しいiPhone SE、新しいiPad Pro、Apple TVの改訂、新しいWatchバンド、ResearchKitおよびCarekitを発表した。前回の殆ど多様性がなく黒人の総数がゼロだったイベントと異なり、今回はAppleの環境・ポリシーおよびソーシャルイニシャアティブ担当副社長、Lisa Jacksonが、Apple CEO Tim Cookの直後に2人目の講演者として登場した。

Jacksonは、中古iPhoneを再利用およびリサイクルのために分解するAppleのロボット、Liamについて話したが、アフリカ系アメリカ人として初めて環境保護庁長官を務めた人物だ。彼女は2013年にAppleに入社した。

イベント終了までに、Appleから計5名がステージに上がった。4人は白人男性で、1人が有色女性だった。Appleの前回のイベントでは、白人男性13名、キューバ系アメリカ人男性1名、アジア人男性1名、および白人女性3名が登壇した。つまりAppleは、昨年9月のイベントと比べて今日の登壇者の方が女性比率(20%)はやや高く、非白人比率(20%)も高くなっている。代表者が誰であるかはこの種の大型ITイベントでは重要だ。これは、若い人々が重要な仕事の中に自分を見つけられなければ、 そこへ到達しようと努力することは困難だからだ。

今年1月、Appleは極めて迅速にEEO-1報告書を公開し、人種、性別および職種別の従業員データを分析した。報告書は2015年8月現在の従業員データを表わしており、同社は13箇月間に、アフリカ系アメリカ人1475名、ラテン系1633名、およびアジア系1662名を雇用してわずかながら多様性に進展を見せた。同じ期間に、Appleは4096名の白人を雇った。

昨年10月、AppleはBoeing Comapnyの元CFO・プレジデント、James Bellを取締役に迎えた.。Bellは、Apple取締役を務める最初の黒人ではないが、現在のApple取締役会では唯一の黒人である。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AppleのTim Cook、iPhoneロック解除問題について:「われわれはこの責任から逃げるつもりはない」

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Tim Cookは、Appleの記者会見を驚きの発言と共に開始した。現在アクティブなAppleデバイスが10億台あることを発表した後、AppleのCEOは現在進行中のFBIとの紛争について語った。

「われわれはiPhoneを、われわれの顧客であるみなさんのために作っている。そして、それが極めて個人的な機器であることを知っている」とCookは言った。「多くの人々にとって、iPhoneは自分自身の延長だ」

Appleは、サンバーナーディーノ事件に関与したiPhone 5cをロック解除するつもりはなく、それは数百万ユーザーのプライバシーを侵害することになるからであることを明確に表明した。FBIのための裏口はセキュリティーホールであり、ハッカーが悪用する可能性がある。

「一月前、われわれは国中のアメリカ人にこの議論への参加を呼びかけた。われわれは国家として、政府がわれわれのデータとわれわれのプライバシーに関してどこまで力を持つべきか決めなくてはならない」とCookは言った。

Apple vs FBI

Appleは書簡を公開し、この問題に対する強い姿勢を表した。それは過去一ヵ月間公開デベートにもなり、同社は明日(米国時間3/22)カリフォルニア州で行われる最初の公聴会に出廷する。

「この国のあらゆる階層の人々から受けてきたほとばしる支持に対して、恐縮すると共に深く感謝している。われわれが自国政府と争うこの立場になることは予想していなかったが、みなさんが自分データを保護し、プライバシーを守ることを手助けする責任がわれわれにはあると強く信じている」とCookは言った。「われわれには顧客に対する義務があり、われわれの国に対する義務がある。これはわれわれ全員に影響を与える問題であり、この責任から逃げるつもりはない」

Tim Cook of Apple on Privacy

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

日本のWhillのまったく新しい電動車いすModel MがFDAの認可により合衆国で保険対象の医療器具となる

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日本のWhillの、新しいタイプの電動車いすModel Mに、合衆国の食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)の認可が下(お)りた。これによりModel Mは、医師が医療器具として処方でき、保険の対象にもなる。

Whillはこれまで、日本の通信大手NTT DoCoMoのVC部門などから1285万ドルを調達している。同社は以前、Type-Aと呼ばれる移動装具を、FDAの認可を求めずに売っていた。

Whillの製品は車輪が特許を取得していて、全方向に正確な方向転換ができ、移動能力に優れ、凸凹道や斜面でも容易に操作できる。Model Mにはいくつかの新しい機能があり、中でも腕を支持する機能や、軽いハンドル、調節可能な背中の支持機能などは、医療器具として欠かせない。

協同ファウンダーでCEOのSatoshi Sugieは発表声明の中で、Whillを作ろうと思ったのは、障害者の友だちがこれまでの車いすで苦労しているのを見たからだ、と述べている。彼によると、FDAの認可が得られたことによりこれからはModel Mを、合衆国の680万人の移動装具ユーザーや医療の専門家たちに売っていける。

“Model MへのFDAの認可は、われわれのチームと、合衆国のヘルスケアシステムの中におけるわれわれの顧客の両方にとって、重要な節目だ。われわれは合衆国の医師たちと協力して、Model Mを患者にとって車いすの新しい現代的な選択肢として提供していきたい”。

同社のチームにはこれまでNissanやSony、Olympusなどにいた技術者やデザイナーがおり、彼らは自動車のデザインをヒントにして、もっと魅力的な電動車いすを作ろうとしている。彼らの目標は、移動装具を使用することに伴いがちなスティグマ(stigma, 恥・汚点の意識)をなくすことだ。Model Mの市場価格は、13995ドルだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

CastleはY Combinator出身のドラグ&ドロップでアカウント乗っ取りを防ぐツール

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Castleの4人のメンバーはマウンテンビュー、スウェーデン北部に分散しているが、ユーザー自身が必要に応じて非常に簡単に統合できるシームレスなサービスを追求したという点でユニークだ。

ウェブサイトの運営者がCastleを利用するするにはJavaScriptで書かれたスニペットをhtmlのヘッダー内にドラグ&ドロップするだけでよい。 不審な、あるいは標準から外れたログインの試みに警告フラグを立てるなど、あとの仕事はCastleが引き受ける。カスタマー・サービスのサーバーに導入した場合、危険なアカウントを自動的に凍結する。外部から攻撃があった可能性があれば運営者にただちに通知する。

同社のCEO、Johann Brissmyrによれば、開発のきっかけは共同ファウンダーの前回のスタートアップ、SettleBoxという支払サービスを開発した経験だという。

「われわれはSettleBoxでは企業向け〔セキュリティー・サービスと付き合いが多かった。それらのプロダクトは今やわれわれのライバルだが。このときにユーザーの安全を守る使いやすいツールが欠けていることに気づいた。〔其の結果が〕Castleになった」Brissmyrは言う。

Castleの強みはユーザー・フレンドリーであり、セットアップがシンプルなことだ。これらはCastleというサービスの重要な部分をなす。ユーザー・インターフェイスはMixpanel、Google Analyticsといったプラットフォームからヒントを得ている。

いちどセットされるとCastleはバックグラウンドでサイト訪問者のあらゆる活動をモニターし、不審な動きの発見に努める。ユーザーやデバイスの新しいログイン場所、サービスの内容に照らして疑念のあるユーザーの行動なども重要なシグナルとなる。

「ログイン動作やパスワード変更なども含めわれわれはあらゆるページ閲覧をモニターしている。普通ではない行動を見つけ出すためだ」とBrissmyrは言う。

FacebookやGoogleがユーザーの行動をトラッキングしてブルートフォース攻撃やサイト乗っ取のり兆候を発見しようとする手法にCastleの機能は似ている。

また同種のセキュリティー・ソフトと同様、Castleも訪問ユーザーに「セキュリティー・スコア」を付与する。たとえば、Brissmyrの説明によれば、eコマース・サイトの顧客が同じデバイスで新しい場所からログインするだけならセキュリティー・スコアに変化はないが、新しいデバイスで新しい場所からログインが試みられるとスコアはアップする。【略】

Brissmyrは「脅威を感じるライバルは特にない。Google他のウェブ・サービスのプロバイダ〕のプロダクトとCastleは競争することになるが、彼らとはこの問題に対する集中力が違う。Castleはすでに非常に多くのサービスに統合されて能力を発揮している」と」は語った。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

古いKindleはソフトウェアをアップデートしないとインターネットに接続できなくなる

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2012年よりも前に製造されたKindleを持ってる人は、(米国時間)3月22日までにそのソフトウェアをアップデートしないと、インターネットに接続できなくなる、とAmazonが発表した。なんでもやることが遅い人や、そもそもメッセージを読まなかった人は、USBケーブルでKindleをコンピュータにつなぎ、アップデートをダウンロードして手作業でアップデートする、というとっても面倒な仕事をしなければならない。

最新のKindleを持ってる人は、アップデートしなくてもよいだろう。それらは、Amazonの発表によると、2013年以降にリリースされた、第6第7世代Kindle Paperwhite、第7世代Kindle、第7世代Kindle Voyageだ。

アップデートはほとんどの機種で自動的に行われる。電源を入れてWi-Fiに接続するだけだ(これも多くの場合自動勝手)。うまく行かなかった人は、Amazonのインストラクションを見よう。Kindleを放置しておいても、電源さえ入っていれば(+インターネット接続あり)、アップデートのダウンロードとインストールは自動的に行われる。

インターネット接続は、それがなければKindleで本を買う、Kindleストアで何かを買う、Kindleで何か楽しいことをする、などなどまったくできないから、ご注意を。アップデートの期限を過ぎた人も、上に書いたように頑張ればアップデートできるし、インターネット接続を回復できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

小さくなったiPad Proをさっそく使ってみた(ビデオ)

既存プロダクトの改良版についての話が主だったこともあり、本日のAppleイベントについて少々さびしく感じた人はいるかもしれない。しかし、いろいろなプロダクトが小型化するという噂はまさに本当だった。もっとも多くの注目を集めたのはiPhone SEだったかもしれない(ファーストインプレッションはこちら)が、デザイナーやアーチスト、ないしApple Pencilの可能性に興味を持つ人たちにとっては、新しくなって小さくなったiPad Proこそ、もっとも注目したくなるデバイスだっただろう。

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イベントのさなか、TechCrunchの編集長であるMatthew Panzarinoがさっそく新iPad Proを使ってみたので紹介しておきたい。動作の様子については冒頭のビデオを見ていただくこととして、特徴的なスペックについて列挙しておこう。

  • 画面サイズは12.9インチから9.7インチとなった。
  • 内部パーツについては従来のiPad Proをもとに、新しいものも若干加えられている。
  • 4つのセンサーを備えたTrue Toneディスプレイを搭載していて、周囲の状況に応じたカラー調整が行われる。
  • これまでで画面反射がもっとも低く抑えられていると同人に、もっとも明るいディスプレイとなっている。
  • 「Hey Siri」機能に対応するとともに、もちろんApple Pencilにも対応している。
  • キーボードなどとの接続にはSmart Connectorを採用。
  • 小型化して、高い携帯性をもたせることでコンピューティングの未来を切り開く(Appleの発表より)。
  • カラーバリエーションはシルバー、ゴールド、スペースグレイ、ローズゴールドの4色。
  • 価格は599ドルからで、新しく用意された256GB版は899ドルとなっている。

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上のビデオで、小型iPad Proの使い勝手を多少なりとも感じてもらえるとおもう。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

飛行機やバス旅行の睡眠を最適化&快適化するポータブル枕WoollipはKickstarterで30ドル

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Woollipがあれば、飛行機の中で寝るとき曲芸師にならなくてもよい。この、空気でふくらませる旅行用枕は、上図のように、折りたたみテーブルの上に乗せて、そこに顔を埋(うず)める。今Kickstarter で‘買えば’30ドル、発売は7月だ。

Woollip Instructions

旅行用枕は、頭の下(後ろ)や首の回りで使うのが多い。でも、機上の例のように上体が起きているときは、そんな枕は使いづらい。Woollipは、航空機やバスの中であなたに与えられる唯一の余裕スペース、すなわち自分の前の空間を、有効利用する。それは、プロ用のマッサージチェアの‘顔枕’にヒントを得ている。

腕を通す穴があり、窓際のシートでは側面を窓に押し当てることができる。穴にはスマートフォンを収納できるから、何かを読むのも、映画を見るのも、ご自由だ。その点、でっかいSkyrestよりも、実用的だろう。

Woollipをふくらませるのは、息を5回、15秒でできる。しぼませるのは、2秒。たたむとレンガぐらいのサイズになる。重さは、一台のスマートフォンぐらいだ、という。

Woollipに空気がしっかり入っていれば、よく眠れるし、首が痛くもならない。スポーツ選手にも、向いているかも。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

宿泊予約サイト「relux」、3年で会員数27万人に——社外取締役に元ミクシィ朝倉氏を招聘

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一流の旅館やホテルに特化した会員制の宿泊予約サイト「relux」。自社のネットワークを生かして宿泊施設と直接交渉を行うことで、最低価格保証・独自特典付きの専用宿泊プランを用意。さらに宿泊費の5%をポイントでキャッシュバックするこのサービスが3月に3周年を迎えた。

僕もプライベートで利用したことがあるが、サービスは極めてシンプル。トップページにあるのは小さな検索窓が中心(サイト下部には特集などもある)。旅行に行きたいエリアとチェックイン・チェックアウトの日付、人数を入力すれば、予約可能なホテルが一覧表示される。もちろん詳細検索やホテルごとの空室検索も可能だ。

サービスを提供するLoco Partnersは3月18日にインフォグラフィックスを公開。この3年の歩みについて紹介している。会員数は3年で27万人を突破。属性では30〜40代が中心となっている。宿泊施設は定番観光地の多い近畿エリアや、温泉地の集まる首都圏・東海エリアを中心にして800軒を紹介している。

公開されたインフォグラフィックスの一部

公開されたインフォグラフィックスの一部

また同社は3月22日付けで、社外取締役として、ミクシィ元代表取締役の朝倉祐介氏を招聘したことを明らかにした。Loco Partners代表取締役の篠塚孝哉氏は「(朝倉氏が)マッキンゼーやミクシィで培った全社経営戦略のフォローや、コーポレートガバナンス強化、またグローバル戦略へのコネクションやフォローが主たる目的」としている。

reluxが今後狙うのは、増え続けるインバウンド需要への対応だ。すでに訪日旅行売上比率は10%近くまでに増えているということで(国内の売上も前年比約4倍と成長しているが、それにも増して増えているそうだ)、同社としても投資を強化している領域だという。「社内のメンバーの半数近くは第二外国語が話せるスタッフなどで揃えており、体制は万全。引き続き『国内 to 国内』の領域が主軸事業ではあるが、訪日旅行は大きなチャンスだと考えている」(篠塚氏)

iMessageの写真、ビデオ、ファイルの暗号化が解読されるセキュリティホールが見つかる

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暗号化は猫と鼠のゲームだ。Johns Hopkins University(ジョンズホプキンス大学)の研究者たちが、そのことを証明するすごい方法を見つけた。彼らが Washington Postにシェアした研究によると、iMessageで送った写真やビデオやファイルの中身を見られてしまう、深刻なセキュリティホールが見つかったのだ。

iMessageは最初から、暗号化されたメッセージングプロトコルだ。ユーザーがiMessageを送ると、デバイスはAppleのサーバーとのセキュアな接続を開く。メッセージはユーザーのスマートフォン上で秘密鍵を用いて暗号化され、Appleのサーバーへ送られ、相手に届く。そして彼/彼女のスマートフォン上で、メッセージは解読される。

したがってユーザーのメッセージはAppleのサーバー上では解読不能な寝言の集まりだ。Apple自身は、メッセージを解読するための鍵を持っていない。

しかしJohns Hopkins Universityの研究者たちは、ホールを見つけた。メッセージは解読できないが、写真やビデオやファイルを横取りする方法を見つけたのだ。

ファイルは、64ビットの暗号鍵による弱い暗号化方法を使ってきた。研究者たちは、Appleのサーバーのふりをして暗号化されているファイルを横取りするサーバーを開発した。そしてAppleは失敗回数を制限していないので、彼らは何千もの鍵を試した。この力づくのやり方で研究者たちは、誰にも気づかれずに、Appleのサーバーからのファイルを解読できた。

Washington Postによると、すでにiOS 9以降では、デバイスから来るファイルを解読することは困難になっている。しかしそれでも、NSAなどなら解読できるだろう。政府機関やハッカーが、この方法を実際に使っているかは、不明だ。

幸いにもAppleはすでに対策を開発し、今日(米国時間3/21)リリースされるiOS 9.3にはそれが実装されている。ハッキングのやり方は公表されていないし、Appleがそのセキュリティホールを閉じたら研究チームはホワイトペーパーを共有する予定だ。

このハックは、暗号化が完全ではありえないことを、あらためて証明している。セキュリティホールはつねにあり、ハッカーたちはそれを見つける。そしてAppleのような大きなソフトウェアメーカーは、ホールを塞いでハッカー鼠たちを追い払おうとする。だから、ご自分のデバイスにパッチをインストールすることは、とても重要だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))