スペースマーケット、CAVとみずほキャピタルから約1億円の資金を調達

TechCrunchでもローンチ時からご紹介しているスペースマーケット。最近ではInfinity Venture Pertnersが主催するIVS(Infinity Ventures Summit)のLaunchpadで準優勝、B Dash Venturesが主催するB Dash Campのピッチアリーナで優勝、サイバーエージェント・ベンチャーズ主催のRising Expo 2014でも優勝。さらには僕も運営を少しだけお手伝いしているSkyland VenturesとトーマツベンチャーサポートのイベントであるStartup Pressでも、ジャーナリストの田原総一郎氏が最優秀プレゼンとして選出するなど、国内で開催されるスタートアップのプレゼンコンテストを席巻している。

そんなスペースマーケットが、10月14日サイバーエージェント・ベンチャーズとみずほキャピタルを割当先とした総額約1億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回の資金調達をもとに経営基盤の強化を図るとともに、サービスの本格展開に向けて採用を強化していくという。

スペースマーケットでは現在800のスペースを取り扱っているそうだ。最近では東京・新宿のスタジオアルタ、東京都の猿島(同社いわく「初の“島”物件」とのこと)、帆船なども利用できるようになっている。現在もインターン、社員含めて積極的な営業で利用スペースの拡大を進めている。

またシナジーのある事業者と提携を進めているという。一例だが、会社のミーティングのためにスペースを借りたのであれば弁当やケータリングが必要になるが、これをスペースとあわせて予約できるようなサービスを目指すのだそうだ。スペースマーケットではすでに複数社と提携に向けて話をしているとのことで、年内にもサービスが始まる予定だ。


アドテック(広告テクノロジ)製品の覇者Googleがユーザ教育のためのマーケティングレッスンGoogle Primerを開始

GoogleがPrimerと名づけたiPhoneアプリをローンチした。Googleの広告を利用する企業に、マーケティングの基礎を…Googleふうにひねって…教えることが目的だ。今はiPhoneだけだが、もうすぐAndroidにも来る。Google PrimerのWebサイトには、Googleが提供するこのミニ・マーケティングレッスンが同社のより大きな企業方針に即している、と説明されている。

引用すると: “企業と顧客を結びつけるGoogleの広告プロダクト(アドテック製品)には、〔その使い方の上手下手によって〕マーケティングのプロと初心者とのギャップを拡大する副作用がある。弊社は、このギャップを修復したい”。

Googleはマーケティングの初心者たちに同社の広告製品の使い方を教えるよりも、Primerによってマーケティングのレッスンを提供することを選んだ。そこでは、マーケティングのケーススタディや、“視野を広く持つ”ことを教える小テストなどが展開される。そのコンテンツは、Googleと各カテゴリーのエキスパートたちによる共作だ。

レッスンのタイトルをいくつか拾ってみると: Search Engine Marketing(検索エンジンマーケティング)、Getting Media Coverage(メディアに取り上げてもらうには)、Content Marketing(コンテンツのマーケティング)、などがある。基礎を迅速に学ぶことが目的なので、各レッスンが5分以内だ。オフラインでも使えるから、信号状態の悪い乗り物の中などでも勉強できる。

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

Googleによると、今はまだパイロット段階だが、今後はレッスンのトピックがさらに増える。

またレッスンを‘受講する’ことだけでなく、オプトインのメールにより、学んだことを実際のマーケティング活動に活かすための実例などを知ることができる。この機能には、ほやほやスタートアップの生徒たちをGoogleの広告製品の将来のユーザにするねらいもありそうだ。

アプリのスクリーンショットを見るかぎり、このマーケティングレッスンはきわめて初歩的だ。小テストの問題の中には、“(広告に)ジャーゴンやバズワードを使ってよいか”、というのもある。そう、本当の初心者は、ささいなことでも迷うからね。

Google PrimerはiTunesで無料でダウンロードできる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ついにRingが一般販売開始、269ドルの「魔法の指輪」で何ができる?

2013年11月に開催したTechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルで優勝した指輪型ウェアラブルデバイス「Ring」が9日、ついに一般販売を開始した。価格は269.99ドル、日本国内での送料は一律15ドルとなっている。購入者の手元に届くまでには約1カ月がかかるという。RingはKickstarterで88万ドル(約9000万円)を集めて「魔法の指輪」と話題を呼んだが、出荷予定が当初の7月から8月末に延び、さらに9月末に延期。Kickstarterの支援者の中に返金を求める人も出ていて、製品化を不安視する向きもあった。

Ringは人差し指につけて空中に絵文字やアルファベット、数字などを描くことで、事前に登録したアクションを実行してくれる。Kickstarterの説明文によると、Bluetoothでスマートデバイスと接続したり、「Ring Hub」と呼ぶ中継器を使って赤外線による家電操作が行える。デモ動画には、人差し指の動作ひとつで電気やテレビをつけたり、音楽を再生したり次の曲に飛ばしたり、Ringを付けている人同士で連絡先を交換したり、果ては「$12」と指で描くと目の前にいる人に送金する利用シーンが紹介されている。

気になるのは、「実際にRingで何ができるの?」ということではないか。そう思って販売ページを見てみると、機能の紹介が見当たらない。そこでRingを開発するログバー創業者の吉田卓郎に聞いてみたところ、現時点で使える機能がいくつかわかった。彼によれば、デモ動画にあった連絡先の交換や音楽の再生・曲送りに加えて、スマホ経由で操作できるLED照明「Philips hue」や「Belkin WeMo」のオン・オフ、iPhoneのカメラ撮影、TwitterやFacebook、Evernoteへの位置情報と写真の送信などが可能なのだとか。

そのほかに彼がオススメする機能としては、Google Glassのカード型UIである「タイムライン」に情報を送信できることだという。Google Glassに命令する文をあらかじめRingに登録しておき、それをジェスチャーで送信するわけだ。例えば、指で太陽のマークを描けば、言葉で命令しなくてもGoogle Glassが天気予報を教えてくれるのだろう。これらすべての機能は、ジェスチャーをした後にRingのアプリを仲介して命令が送信される仕組みとなっている。

現時点で「魔法の指輪」と呼べるほどのプロダクトであるかはわからないけれど、なぜRingは販売ページで機能を紹介しないのか? この点について吉田に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。

「現状でこれができます!って言うよりも、まずはRingという全く新しい世界観を味わってほしいと考えています。普通にガジェットとして見ると機能だけにフォーカスしてしまいますが、僕たちはあくまでもライフスタイルをもっとシンプルにしたいんです。ジェスチャー入力デバイスというと、Leap MotionやKinectなどを想像しますが、あくまでもこれらは機能ベース。僕らはワンジェスチャーという本当にシンプルなライフスタイルを世界中の人たちに提案したいです。」

販売ページによれば、リチウムポリマーバッテリー(3.7V / 22mA)を内蔵し、連続稼働時間は約1〜3日、連続待受時間は約18日、充電時間は約3時間。自分が描いたジェスチャーがちゃんと届いたかを確認するためのバイブレーションも搭載する。サイズはS(内径19mm)、M(同20.6mm)、L(同22.2mm)、XL(同23.8mm)の4種類がある。

大事なことをお伝えしていなかったが、吉田卓郎は11月18日、19日に東京・渋谷で開催する我々のイベント「TechCrunch Tokyo 2014」に登場してくれる予定だ。その頃には購入者の手元にRingが届いていそうだが、ユーザーの反応を踏まえつつ、今後の展望を聞ければと思っている。

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LINEがCA、グリーとゲーム合弁会社2社を設立、脳トレアプリ「BrainWars」に出資

gumiと提携してゲームの海外展開を強化中のLINEだが、その動きがさらに加速しそうだ。サイバーエージェントと10月31日、グリーと11月4日に、それぞれLINE向けゲームを開発する合弁会社を設立する。LINE GAMEは「LINE POP」や「ディズニーツムツム」をはじめとするカジュアルゲームでヒットを連発。最近ではgumiが得意とするミッドコアゲーム(カジュアルゲームよりもやりこみ要素があるゲーム)に注力する同社だが、新会社ではRPGやシミュレーションゲームといったタイトルを国内外に投入していく。

LINEがゲーム分野でジョイントベンチャーを設立するのは初めて。その相手となるサイバーエージェントについてLINE上級執行役員の舛田淳は、「ゲーム事業の連結子会社を9社も抱えていて開発力がある」と評価。新会社の社名は協議中だが、代表取締役社長には、サイバーエージェント取締役副社長の日高裕介が就任する。サイバーエージェントはゲーム事業だけで約1700人を抱え、現在は42タイトルを提供している。

グリーとの合弁会社の社名は「Epic Voyage」。資本金は1000万円で、代表取締役にはグリー取締役執行役員の荒木英士が就任する。新会社では、日本や北米、韓国に開発拠点を構えるグリーのノウハウを活かし、コアゲームを投入していきたいという。

世界のポテンシャルを感じるスタートアップに出資

9月に設立した100億円規模の投資ファンド「LINE GAME Global Gateway」を通じて、リアルタイム対戦型脳トレ「BrainWars」を提供するトランスリミットに出資した。同ファンドの第1号案件となる。LINEはゲーム開発を資金面で支援する。トランスリミットはLINEのユーザー基盤を生かした新たなゲームの開発に着手する。

BrainWarsは米国やアジア圏で利用者を集め、150カ国で300万ダウンロードを突破。海外ユーザー比率は95%に上り、米App Storeのゲームカテゴリでは1位を獲得している。「世界のポテンシャルをもっとも感じさせてくれるスタートアップ」(舛田)。トランスリミットはLINEの投資ファンドに加えて、ユナイテッド、East Ventures、Skyland Ventures、Genuine Startupsを引受先として、総額3億円の資金調達を実施した。


世界最大級のスタートアップデータベース・CrunchBaseのプレジデントが来日講演

TechCrunchの読者ならCrunchBaseはご存じだろう。CrunchBaseは、2007年にローンチしたWikipediaライクなスタートアップのデータベースだ。TechCrunchの創業者であるMichael Arlingtonの指示のもとで開発された。

CrunchBaseには、スタートアップの概要やそのボードメンバーのほか、シリーズごとの資金調達額、投資家、プロダクトなど、50万件以上の情報が登録されている。まさに世界最大級のスタートアップデータベースだ。CrunchBaseでは、ここに蓄積されたデータをもとに、日々さまざまな分析記事やグラフ、インフォグラフィックスなどがTwitterブログを通じて公開している。例えばこちらの記事はアジア圏における9月のスタートアップの資金調達状況を紹介したものだ。これを見れば、インドでの活発なスタートアップ投資の状況が見て取れる。

また、最近どのジャンルのスタートアップに投資が流れているかなんてことも、こちらのグラフのように一目瞭然だ。これは2014年の第3四半期を、2013年の同時期と比べて伸び率を示したもの。IoTが単なるバズワードではなく、実際の投資額としても前年同期比170%以上も伸びていることが分かる。右端にあるクラウドコンピューティングのジャンルは落ち着いて、いまはビッグデータ解析(左から2番め)にお金が流れている様子も見て取れる。投資が増えているから単なるバズワードではない、という訳ではないが、TechCrunchの記事を読むだけでは印象としてしか見えてこないトレンドがハッキリと可視化されてることがお分かりいただけると思う。少し前の情報になるが、スタートアップの動向を分析した翻訳記事などもあるので、是非とも読んでみて欲しい。

米国のTechCrunchでは、その多くの記事にCrunchBaseの情報が紐付けられている(記事の右側のカラムにある情報だ)。CrunchBaseは現在20人超のチームでサービスを開発しているそうで、2014年4月には(リリースから7年経ってようやくとも言われているようだが)「CrunchBase 2.0」としてサイトをリニューアルしている。API化を進めて、外部サービスとの連携やビジュアライゼーションで活用しやすくなったほか、ほぼ完全なWikipediaモデルに移行して、誰でもソーシャルのIDを紐付けることで情報の追加・編集ができるようになった。

そんなCrunchBaseだけれども、11月18日〜19日に開催予定のイベント「TechCrunch Tokyo 2014」に登壇することが決定した。現在プレジデントを務めるMatt Kaufman氏が、CrunchBaseの豊富なデータをもとに世界のスタートアップの動向を語ってくれる予定だ。

ちなみにこのCrunchBase、現在は日本語を含むマルチバイト文字には対応していないのだけれども、もちろん日本の情報を登録可能だし、実際結構な数の情報が登録されている。例えばこのグッドパッチの記事のように、国内の記事に関しても積極的に情報を紐付けていく予定なので、スタートアップのみんなはどんどん情報を登録して欲しい。11月のKaufman氏の講演にあわせて、日本向けの展開についても紹介できるかも知れないのでご期待頂きたい。

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人は人工知能と恋することができるのか

編集部注:この原稿は経営共創基盤(IGPI) パートナー・マネージングディレクターでIGPIシンガポールCEOの塩野誠氏による寄稿だ。塩野氏はこれまで、ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニー、ライブドア、自身での起業を通じて、国内外の事業開発やM&Aアドバイザリー、資金調達、ベンチャー企業投資に従事。テクノロジーセクターを中心に企業への戦略アドバイスを実施してきた。そんな塩野氏に、遺伝子、人工知能、ロボットをテーマにした近未来予測をしてもらった。第2回目の本稿では、国内でも様々な分野で話題の人工知能について解説してもらう。なお塩野氏は東京大学の松尾豊准教授と共著で「東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」を10月に上梓する予定だ。

ジョニー・デップの脳がサイバー空間にコピーされ人工知能として拡張していくという映画「トランセンデンス」、声だけの人工知能OSと恋に落ちる映画「her/世界でひとつの彼女」はご覧になっただろうか?どちらも日本では2014年に公開された映画だ。人工知能は古くからSFの定番だったが、あなたの周りを人工知能入りのロボットが掃除しているかも知れない今日では、人工知能も身近な存在となってきた。

たとえスカーレット・ヨハンソンが声だけの出演でも、スパイク・ジョーンズのアカデミー賞を受賞した脚本が素晴らしいherだが、日本はニンテンドーDS向けソフトの「ラブプラス」で先行していたし、ゲームの中の彼女と一緒に泊まれる旅館さえあった。スパイク・ジョーンズは日本の新しい風習を知って脚本を書いたのだろうか?

herのような対話型の人工知能はiPhoneのSiriを想像してもらえばいい。英語で「今夜、空いてる?」と聞けば「あなたのためなら、いつでも」と答えてくれるアルゴリズムだ。こうした対話型人工知能もどきの歴史は古く、実は1960年代からあった。「もどき」と言ったのは人工知能学者達の間に「何をもって真の人工知能か?」という争いが絶えないからだ。

今から約50年前に存在した人工知能もどきは「イライザ(ELIZA)」と言った。イライザは非常に短いプログラムだったが、現象としては恐るべき能力を発揮した。「あなたのことが好きです」と言うと、「私のことじゃなくて、私たちはあなたについて話しているのよ」と答え、もう一度「あなたのことが好きです」と言うと、「同じことを言って、他の答えを期待しているの?」と返してくるのだ。プログラムの基本設計はあなたの上司にも似た質問の単語を含んだ質問返しとなっていた。

当時の人はこの短いプログラムである人工無能を、コンピュータだと分からなかった人もいたようだ。それどころか、対話を続けることで癒される者さえ現れたのだ。興味のある人は今もネットのどこかにいるイライザに質問をささやいてみるといい。この現象は「イライザ効果」という言葉も生み出した。そう考えると、人間のコミュニケーションの本質とは何なのかを再考する気にもなってくる。2014年現在においては、ツイッターで友達だと思っていた人がbotだったというところだろうか。万が一、botに対して感情を感じ、相手にも感情があると思っていたら、自分の人間としての資質を問い直したくなるだろう。

人工知能の出したものを「人間がどう解釈するか?」は流行のニュースキュレーションサービスの世界でも重要な課題だ。人間が欲しいと思う情報は2つの相反するものだ。1 つは自分の属するコミュニティの7割程度の人が知っていて自分がまだ知らない情報。2つ目は普通だったら自分からは知ろうとしないセレンディピティのある情報。これらの情報は人間の期待値を前もってコントロールしておかないと、「そんなの知っている」または「そんなの自分に関係ない」となるものだ。どんなに複雑なフィードバックを持った人工知能だろうが、どんなに単純なプログラムだろうが、そのアウトプットの価値は人間の解釈次第だ。「ピタゴラスイッチ」を想像してもらえればいい、どんなに複雑な機構があっても、アウトプットは変わらないかも知れない。人間相手の設計では期待値コントロールが必要だ。人間は情報がインプットされると感情を持つからだ。

そう、「感情」は人工知能におけるみんなの深遠な疑問だ。ソフトバンクの発売したロボット、Pepper君も感情認識するという。創造主たる神は人間を神のかたちにお創りになられたというが、このつるりとした頭のロボットは人間のような感情を持っているのだろうか? 感情を語るには感情の定義から入らなければならない。ここではシンプルに感情を「気づき」の1つだと仮定してみよう。人間のように「あの人が大好き」や「助けてくれて有難う」といった気づきだ。

こうした気づきも人間の脳内の微弱な0と1の電気信号には違いないが、人工知能にとっては難題だ。「好き」と3回言われたら、バイブレーションして「私も大好き」と言い返すという原始的な設計は感情とは言い難いからだ。3回、好きと言われたら感情の閾(しきい)値を越えるというのは設計者の思想やエゴに過ぎないだろう。こうした設計はルールベースと呼ばれる。こうしたアルゴリズムは予期せぬイベントが起こると停止してしまう。一方で人工知能は予期せぬイベントが起きたらその結果を検証しフィードバックして、アルゴリズムを修正する。この学習プロセスが人工知能の特徴だ。人工知能による機械学習はデータからコンピュータ自身が特徴を見出してパターン化し、新しいインプットに対し予測を行うものだ。どんなに原始的なルールベースだろうがイライザのように人間側が人工知能に感情があると認識したら、感情があると言えるかも知れないし、高度な機械学習があっても人間っぽさは感じにくいかも知れない。これは外形的な判断によるものだ。

人工知能と人間の両方を見えなくしておき、第三者の人間にコミュニケーションさせ、どちらが機械かを当てるという実験、チューリングテストは実際に行われている。感情があるか否かの議論、これは演技法のようなものだ、女優が戦地にいく男性と別れを惜しんで涙を流しているシーンだとしても、その女優が本当は子供の頃に死んだ犬のことを思い出して泣いているかも知れず、それは外形からはわからない。「インターネット上では誰もあなたが犬かどうかわからない」ということだって言われるし、最近では(アニメ「攻殻機動隊」の)草薙素子も米軍情報部のエージェントが人工知能だとわからなかった。外形的に人工知能のような人間と、人間のような人工知能だったらあなたはどちらと付き合いたいだろうか?

現在の技術では無理があるが、何世代にもわたって人工知能に学習をさせることが出来れば、感情を持たせることが可能かも知れない。設計者がアルゴリズムに書くのは生き物のように「生存本能」や「種の保存の優先」という程度にしよう。複数の人工知能をシミュレーション世界の中に入れて群れを作ってみるのだ。危機に対して助け合うような相互依存や協調的行動が生存確率を高めるのであれば、自己生成的なパターンが現れ、インセンティブ設計として、「助け合うと生き残れる=うれしい」となるかも知れない。

ただ人間が初期設定を行わない「教師無し」の状態から人間のような進化をする可能性は低いだろう。なぜなら、人工知能が「死ぬこと」や「物理的な身体が傷つく」ことについて生身の人間と同じように考えるとは限らないからだ。人工知能が常に要求してくるのは「電源」かも知れないのだ。冒頭に挙げたトランセンデンスでもモーガン・フリーマンが人工知能に「自己認識があると証明出来るか?」と問うシーンがあったが、自己生成的に人工知能がここに到達するまでは限りなく遠いだろう。SFの世界だが、むしろトランセンデンスのような精神転送や” Whole Brain Emulation”の方がまだ可能性があるかも知れない。これは前回の遺伝子の寄稿の時にも登場した技術的特異点(Technological Singularity)のグルであるレイ・カーツワイルがその可能性を唱えている。デカルトの「Cogito ergo sum(我思う故に我在り)」はコピーされた脳に当てはまるのだろうか?

物理的身体を持たずにオンライン上にいる人工知能に人間と同じ身体性を求めるのは酷だ。映画のherでも人工知能の「彼女(her)」に「君は同時に何人と話をしているんだ?」と主人公の男性が憤るシーンがあった。彼女の答えは8000人を越えていた。好きな相手に対し、自分以外から学習して欲しくないと思うのは人間固有の感情だろう、ネットの海は広く、人工知能は学習し続ける。人工知能はそういう設計がなければ人間の独占欲は理解できない。夜のお店で横に座ってお酒を注いでくれる人間もタイムチャージベースで恋人をクラウド化したものかも知れないし、人工知能は人間とは違うことに慣れた方がいいだろう。論理的には人工知能は他の人工知能と記憶を共有、同期したり、過去の古いバージョンに戻ってコミュニケーションしたりと、一方向の時間の流れの中にいる人間とは次元の感覚が異なるはずだ。そのうちこの部分も「人間らしさ」を求める場合は論点となってくるだろう。

現在のビジネスの観点から言えば、人間とコミュニケーションする人工知能にとって情報収集は必須だ。データサイエンスがウェブの爆発的なデータ増加と共に飛躍したように、各家庭に入った人工知能も様々なセンサを使ってデータを集めてはクラウドにアップロードして解析を行い、学習していくだろう。Pepper君もデータベースと連携をすると言っているし、誰もが約3200億円という買収金額に驚いたグーグルのNest買収もデータ収集の為の布石だろう。Nestはサーモスタット(室内温度調節器)だが、昔からのサーモスタットではないのだ、かつてのiPodの設計者がつくったNestには通信用のZigBeeモジュールも内蔵されている。

大量に収集されたデータは何に使われるのだろう。人工知能が大規模なデータから新しい相関関係を見つけ出すかも知れない。人工知能の「気づき」について、現在の技術レベルでは、膨大なデータを与えて、これまた膨大なコンピューティングパワーを使って猫の顔を判別するところまでは来ている。冗長で膨大なデータから、自動的に特徴を抽出するアルゴリズムであり、ディープラーニングと呼ばれる。猫の件はグーグルが世界に先駆けて開発した。ディープラーニングが人工知能の発展に与える影響は極めて大きい。例えばサインインの時に出てくる、人間しか認識出来ないとされる歪んだアルファベットをVacarious社のアルゴリズムは90%の確率で認識することが出来る。このCAPTCHAと呼ばれる歪んだアルファベットの認識は人工知能が人間のように振る舞うための試金石の一つだ。サンフランシスコのスタートアップであるVacarious社はインターネット業界のスーパースター達のお気に入りだ、ジェフ・ベゾス、マーク・ベニオフ、ジェリー・ヤンらが同社に出資している。米国ではディープラーニングの専門家を巡って、Google、Facebook、Microsoftが争奪戦を繰り広げている。人材獲得のための買収、つまりAcqui-hiringが最も起こりやすい分野といえるだろう。

人間がコンピュータである人工知能より優れている点は、判断に必要な情報のみを瞬時に決定出来るところだ。これは「フレーム問題」と呼ばれ、人間だったら「コップを取る」というのは簡単だが、コンピュータはコップの材質、内容物の成分、部屋の温度まで検討してしまうかも知れない。また、人間はとても少ないサンプル数でパターン認識をして判断できる。もちろん人間特有の思い込みもあるだろうが、子供の言語爆発期のように、何千、何万という猫のパターンを見た経験がなくても、猫がいれば認識し、「猫」と声に出し指さすことができる。これをコンピュータに学習させるには数多くのサンプル数が必要となる。こうした特徴抽出は人間の得意とする「気づき」だが、将来的には人工知能も人間に追いついて来るかも知れない。それまでは人間がアルゴリズムの中で教師として目的設定をする方が容易である。パラメータ設定を人間がするということだが、実際のビジネスにおいてはここに大きな論点がある。

自動運転の車の前に、子供と老人が飛び出してきた、自動運転カーは子供の方に進めば老人が助かる、老人側に進めば子供が助かる。その時のアルゴリズムの設定は? 子供と老人ではどちらの重要度のウエイトを高くしておくのか? こうした“マイケル・サンデル的”な(正義を考える)状況において、パラメータ設定の果たす責任は極めて大きい。「好き」と3回言われたら「私も大好き」と返すパラメータとは深刻さが異なる。自動運転カーにとってはただの障害物も、それは人間なのだ。もしも自動運転カーに人間用ハンドルが無かったら、後ろでLINEに夢中だった乗客は結果回避義務が無いため無過失状態となり、車の製造者が製造物責任を問われるのだろうか? しかし、そもそも命の重さのようなパラメータは誰が決めることが出来るのか?アシモフのロボット3原則があったが、ビジネスにおいてメーカーがそういったことを考える時期が来ている。このアルゴリズムのパラメータ設定を行うのは神の役割を担うエンジニアで良いのか?

人工知能を考えることは人間自身について再考することであり、今まで可視化されずに見過ごしてきた社会の問いについて考えることだ。冒頭にあるように筆者は人工知能の権威である東大の松尾教授と共著を上梓する予定なので楽しみにしていただきたい。本文の内容も松尾豊氏との対話から大きな示唆を受けたものだ。本連載、最終回はロボットについて書かせていただく。

photo by
Saad Faruque


Dockerアプリケーションの運用管理を助ける視覚化ツールStackEngineが$1Mを調達

今日(米国時間10/1)100万ドルのシード資金を獲得してステルスを脱したテキサス州オースチンのStackEngineのプロダクトは、企業のITスタッフなど、dev(開発)よりもむしろops(運用, operation)側の人たちにDockerのコンテナを管理する方法を提供し、Dockerのインスタンスをコントロールする能力の一部をオペレーション側に与える。

同社のファウンダBob QuillinとEric Andersonは、CopperEggやHyper9、VMwareなどでオペレーションサイドにいた人たちだが、そんな彼らにも、急速に人気を拡大しているDockerは気になる存在だった。先月Dockerは4000万ドルの資金を獲得して、デベロッパたちの関心がなお一層高まっていた。

簡単に言うとDockerは、アプリケーションのためのLinuxコンテナを作る方法を提供するオープンソースのプロジェクトだ。アプリケーションが単一のサーバ上の一枚岩的なアプリケーションではなく、複数のサーバに分散するようになると、そういう現代的なアプリケーションをより効率的に展開しアップデートするための方法が必要になる。Dockerはまさにそれを、デベロッパに与える。

デベロッパが望むとおりの構造と機能を持つDockerは、デベロッパたちのあいだで、たちまち人気者になった。しかしStackEngineの協同ファウンダQuillinが指摘するように、その人気には、Dockerのコンテナを管理するオペレーションスタッフのための管理ツールの、開発が伴っていなかった。そんなギャップを機会としてとらえたのが、StackEngineだ。

“デベロッパたちがDockerを抱えて前進するための重要な活動はいろいろ行われていたが、現代的な管理をサポートするツールやソリューションがなかった”、とQuillinは説明する。

アドミンのためのツールとしてはPuppetやChef、そのほかのオープンソースのソリューションなどをつぎはぎして間に合わせる方法はあった。しかしDockerに関しては、何百何千ものDockerのインスタンスから成る大規模なアプリケーションの運用を管理できるほどの、高度な商用のソリューションがなかった。StackEngineは、それをねらった。

彼らは、オペレーションサイドがDockerの管理をすぐに理解できて、コンテナがVMwareの仮想マシン群や複数の(ベンダや場所の異なる)クラウドに分散している場合でも、もっとも効率の良い分散状態を実現して、それらの日常管理を自動化できるツールを作ろう、と思い立った。

StackEngineを使うと、スクリプトを書いてコンテナの始動、停止、移動などができるし、コンテナのホストや個々のコンテナに関する情報を視覚化できる。特定の情報だけをフィルタして見るのも、ワンクリックでできる。名前を指定して個々のホストやコンテナを検索できる。コンテナを複数のクラウドや仮想マシンのどこへでも配置して、動かすことができる。

プロダクトは現状でまだアルファだが、来月には公開ベータ、そして年内には一般公開にこぎつけるつもりだ。過去数か月、自己資金だけでやってきたが、Silverton PartnersやLiveOak Venture Partnersから100万ドルを調達できた今は、開発のピッチを早められそうだ。

かねてからDockerの周辺では、さまざまなツールの開発が行われているが、同社のように、すでに実働しているコンテナアプリケーションの、運用レベルの管理に特化したツールは珍しい。もちろん今では他社も同様のことをやっていると思われるが、こうやっていろんな企業が寄ってたかって、いろんなツールをすぐに作っていけるのも、オープンソースの大きな魅力とメリットの一つだ。DockerとStackEngineの例が、まさにそうであるように。

写真クレジット: (c) Can Stock Photo

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アプリ1つで写真ケーキを注文–BAKEが手がけるPICTcake

オンラインでケーキを販売するBAKE。同社はこれまで「クリックオンケーキ」の名称で、通常のケーキと、食用プリンターでケーキの表面にプリントを施した「写真ケーキ」を販売してきた。現在では写真ケーキを中心に年間3万個を販売。注文の翌々日には全国どこにでも冷凍のケーキを届けることが可能だという。

そんな同社が10月2日、サービスを刷新。ブランドも写真ケーキに特化した「PICTcake」にあらため、iOSアプリも公開した。アプリでは、スマートフォン上で写真撮影からケーキのデザイン、購入までが可能。

BAKEは2013年4月の設立。代表取締役である長沼真太郎氏の前職は流通業、そして実家は日本で一番の売上を誇るという老舗の宅配ケーキ屋「きのとや」だ(長沼氏の出身地である北海道では、雪のために物流面でのトラブルがつきものなため、宅配ケーキが人気なのだそうだ)。そんな長沼氏は現在、チーズタルトやシュークリームの専門店を経営しつつ、PICTcakeの事業に取り組んでいる。すでにチーズタルトの事業はすでに年商1億円程度になっているそうだ。

僕も友人の誕生日会などで写真ケーキを見かけることはあったのだけど、実はこれ自体は15年ほど前からあるものらしい。しかし食用プリンター自体がまだそれほど普及していないため、製造できるケーキ屋も限られているそうだ。それをオンラインで年間3万個販売しているということで、長沼氏は「ものすごいニッチな分野だがニーズはある。我々は写真ケーキでは多分世界一ではないか」と語る。ちなみにデコレーションケーキの市場は年間1400億円だが、そのうちで写真ケーキが占めるのは、10億円程度なのだそう。

ケーキの価格は17cm×17cm(5-10名用)が4320円、22cm×22cm(10-20名用)が8640円。今後は結婚式などのイベントでも利用できるような大きなサイズにも対応していくとしている。そのほか、IP、つまり版権もののキャラクターなどとのコラボレーションに関しても積極的に行っていくそうだ。製造は前述のきのとやに委託しているが、現在東京でも製造工場と提携を進めている。


引きこもり睡眠に便利なオストリッチピロー、セキュリティ対応のミニ版も登場

世の中にYoCuddlrなどといった奇妙なモノが登場する以前、それでもやはりへんてこなものは存在した。ご記憶の方も多いことだろう。オストリッチピローなるものがKickstarterに登場したのだった。2013年のことだ。TechCrunchで見かける変わったものの中でも、異彩を放つほどビミョーなものでもあった。

頭からすっぽりとかぶる形のオストリッチピローを装着すれば、目は見えなくなり、そして耳も隠されてしまい、外界から隔絶されることとなる。呼吸のための穴を除き頭を覆い尽くし、そして手までもその中に突っ込んで机の上で昼寝するという用途のために用いるものだった。

たとえば空港で長時間待っているとき、荷物を盗まれる心配がなければ、なかなか便利な休憩道具だと言えるかもしれない。あるいは図書館で調べ物につかれた時、荷物を盗まれる心配がないのであれば、効果的に休息をとることができるだろう。あるいは公演で仕事をさぼっているときなどでも、荷物を盗まれる心配がないのであれば、快適に休憩を楽しむこともできるだろう。

「荷物を盗まれる心配がないのであれば」安心して利用できるオストリッチピローの欠点は、やはり「セキュリティ」だった。外界と完全に隔絶されるため、自分の周りで何が起こっているのかわからなくなるのだ。そこでセキュリティ対策を施した、新版のオストリッチピローが登場してくることとなったのだ。名前は(当然)オストリッチピロー・ミニ。目や耳を覆い隠してしまうことなく、それでも快適な休憩を楽しもうとするためのプロダクトだ。

オストリッチピローと比較すれば、持ち運びも容易になった。オリジナルは飛行機に持ち込んだり、あるいは職場に持ち込んだりするには少々大きめだったのだ。今回リリースされたミニの方は、飛行機に持ち込むネックピローと同程度の大きさだ。

現在、Kickstarterにてキャンペーン展開中だ。コンパクトなサイズであるのに、いろいろな使い方があるようだ。詳細はキャンペーンページをご覧頂きたい。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


グッドパッチ、スマホ対応のプロトタイピングツール「Prott」を正式に公開


ニュースアプリ「Gunosy」をはじめとして、ユーザーインターフェース(UI)デザインに特化したウェブ制作会社グッドパッチ。同社は10月1日、プロトタイピングツール「Prott」の正式に公開した。

Prottは、プロトタイプを素早く作る「ラピッドプロトタイピング」と、必要なコミュニケーションを的確に行う「ラディカルコミュニケーション」をコンセプトにしたプロトタイピングツールだ。スケッチ画像や写真をアップロードし、左右へのフリックといった操作によって画面がどう遷移するかを設定していくことで、コードを書くことなくプロトタイプを作ることができる。また、ビジネス向けのコミュニケーションツールであるSlackやHipchatと連携することで、プロトタイプの更新情報も共有できる。

Prott – Rapid Prototyping for Mobile Apps from Goodpatch on Vimeo.

2014年4月にベータ版を開始したが、これまでに7000人のユーザーを獲得。デザインコンサルティングファームのIDEOをはじめ、ヤフー、ディー・エヌ・エー、イグニスなどの企業が利用している。今回の正式提供にあ
わせてiOS、Mac、Windows向けのアプリを提供している。実際にiOSアプリのデモを見せてもらったが、写真を取り込み、画面遷移時の動作を選択するだけで、手軽にプロトタイプを作ることができた。

料金は1プロジェクトであれば無料。複数プロジェクトを利用する場合には、1400円のスタータープランから大規模向けのエンタープライズプランまで複数のプランを用意する。

自身のブログ(現在は移転)にあるように、これまで務めていた製作会社を辞めて米国西海岸に行き、働いていた経験もあるグッドパッチ代表取締役の土屋尚史氏。同氏はシリコンバレーから生まれるサービスについて「ベータ版からUIのクオリティが高いものが多い」と説明する。日本だと、スマートフォンアプリを作る際、PCのウェブでの経験を詰め込みすぎる傾向にあるため、機能はすごくても、ゴテゴテしたUIになりがちなのだという。一方でシリコンバレー発のアプリは体験に重きをおいており、「いらない機能は落とす」というものが中心。「(デザイナーだけでなく)CEOからしてデザインに対する意識、考え方が違う。日本は遅れていると思う」(土屋氏)

土屋氏に教えてもらったのだけれども、Prottのようなプロトタイピングツールの競合は、日本企業ではまだいないのだそうだ。ただ海外を見てみると、「POP」や「invision」、「axura」(こちらはNTTデータが国内での販売を担当)など多い。invisionなどは直近も2000万ドルの資金調達をするなど、「ニッチだけれどもマーケットはある」(土屋氏)のだそうだ。

グッドパッチでは今後、Prottにワイヤーフレーム作成をはじめとしたさまざまな機能を追加するほか、外部連携なども進めていくとしている。


耳の聞こえない人でも電話できるようになる「RogerVoice」

RogerVoiceを紹介したい。まさに「技術」のもつ可能性を示してくれる例だと思う。何かを便利にするのではなく、不可能だったことを可能にしてくれるのだ。このRogerVoiceは、世界中いるたくさんの聴覚障害の人たちが電話を利用できるようにするプロダクトだ。このプロダクトなしでは電話を使うことなど思いもよらない人にも手段を提供するのだ。会話の音声をリアルタイムで文字化することで、聴覚に問題のある人でも相手の言ったことを「読める」ようにする。

このプロダクトを産んだフランスのスタートアップは、RogerVoiceに用いた技術につき、1年間ほどの開発を行なってきた。そしていよいよAndroidアプリケーション(そしてiOSアプリケーション)を世に出すためにKickstarterキャンペーンを開始した。簡単に説明すると、このRogerVoiceはある種のVoIPアプリケーションで、流れる音声を文字化するためにインターセプトする。そしてサードパーティーのリアルタイムサービスを通じて文字化処理を行なっているのだ。既に十数カ国語に対応しているようだ。

ちなみに会話のもう一方の方には音声が伝わるので、普通の電話と同様に使うことができる。こうしたサービスの場合、特別なサービスが必要ない側は従来と同様の使い方ができるというのはとても大事なところだろう。もちろんアプリケーションのインストールも必要なく、会話が外部に漏れる心配もない。ただ、必要な人に必要なサービスを提供する存在なのだ。

実のところ今年の4月に、CEOのOlivier JeannelがRogerVoiceのプロトタイプを見せてくれた。彼自身も耳が不自由で、普段の会話の大部分を読唇に頼っているそうだ。しかしそんな彼が騒音に満ちた部屋で電話による会話をしてみせてくれた。その時点ではアプリケーションの完成度はとても低いものであるように見えたが、しかしともかく、相手の会話が聞こえなくても電話をすることができるという事実には大いに驚いた。

たとえば、テキストメッセージやメールなどを使いこなせないのおじいさんやおばあさんと話がしたくなることがあるだろう。あるいは、耳が不自由な中、銀行や医者とコンタクトをとる必要が出るということもあるかもしれない。聴覚異常のない人でも、いろいろと適用事例を考えることができるに違いない。

ちなみに、今のところは文字を音声化する備わっていない。すなわち、発話障害がある人に電話利用の機会を提供するものとはなっていない。また、電話をかけるときにこのRogerVoiceを利用することができるが、今のところは受話側では対応できない。

閑話休題。テクノロジーは空を飛ぶ車などの夢を人類に提供してきた。しかし実際のところは、テクノロジーははるかに実現容易なことばかりをターゲットとしているように見える。現代社会に生きていれば、決して不可能ではないことを、ちょっと便利にするためにばかり、テクノロジーが用いられているようにも思えるのだ。

スタートアップのファウンダーたちは、しばしば「世界を変える」ということを口にする。確かに、本気でそう考えているスタートアップもあるのだろう。数多くの人の生活をちょっと便利にするというのも、確かに素晴らしいことであるとは思う。私もそれは認めたいと思う。ただ、テックには、もっと大きな可能性があるのだ。

技術的に見れば、RogerVoiceに特別なところはない。VoIPの仕組みを活用したプロダクトであるに過ぎない。しかし、技術的に優れていることがすなわち革新的であるということにもならないのだ。現実に存在する問題に如何に対処するのかというのがプロダクトの真価であると言えるだろう。

テクノロジーは、これまでにもコミュニケーションの在り方、情報共有の仕方、あるいは学習スタイルといった面で変革をもたらしてきた。人、モノ、サービスの新たな関係を世の中に実現してきた。写真についてみても、以前は誰もが同じアプリケーションを通じて、写真をシェアして楽しむなどというやり方は存在しなかった。そうした「革新」のメリットは認めるものの、ただし、「便利さ」ということばかりに注目してしまい、見逃してきたものもあるのではないかと振り返ってみたい。

そうした観点から、このRogerVoiceのことを見つめてみたいのだ。数億を稼ぎだす技術が用いられているというわけでもない。世界中の誰もが使い始めるというわけでもない。しかし、多くの人の生活スタイルを変える可能性をもつものだ。世界をまきこむ大流行を巻き起こすわけでもない。しかし、こんなテックが数多く生まれてくればと願う人も多いように思うのだ。

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(翻訳:Maeda, H


マーク・アンドリーセン、スタートアップのバーンレートが過大と18回連続ツイートで警告

シリコンバレー最有力のベンチャーキャピタル、Andreessen Horowitzの共同ファウンダー、マーク・アンドリーセンは得意の連続ツイートでスタートアップのバーンレート〔ベンチャーキャピタルから投資された資金をスタートアップが支出する速さ〕が過大だと強く警告した。先週、ベンチャーキャピタリストのBill Gurleyがした発言に同意して、アンドリーセンは「自分も憂慮している」と述べた。

ツイートでアンドリーセンは「スタートアップはぴかぴかのオフィスや大量の採用などに金を使いすぎている。これらは成功の見掛けを与えるだけで、砂上の楼閣だ」と厳しく批判した。アンドリーセンは(名前こそ挙げなかったものの)こうしたスタートアップはやがて「泡と消える」と断言した。

アンドリーセンは連続18ツイートを「憂慮している」と締めくくった。

〔日本版:アンドリーセンのオリジナル・ツイートは原文参照。現在もTwitter上で活発な議論が続いている。アンドリーセンが高いバーンレートを批判する理由は数多いが、その一つは安易な人員採用の弊害だ。「すべての問題を新たな採用で解決する安易な態度を生む、採用するのは簡単だがレイオフするのは難しい、社員が増えれば内部コミュニケーションが煩雑になり意思決定が遅くなる」などの点を挙げている。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


クラウド会計「freee」、シンガポールの投資会社とリクルートから6.3億円調達

クラウド会計ソフトのfreeeは25日、第三者割当増資を実施し、総額6億3000万円を調達することを明らかにした。引受先はシンガポール政府が所有する投資会社Temasek傘下のPavilion Capitalとリクルート投資子会社の2社。freeeはシードラウンドから数えて4度目の増資。これまでに合計17億5000万円を調達したことになる。

シンガポールの投資会社を選んだ理由

過去の資金調達ではシリコンバレーに拠点を置くDCMから出資を受けていたfreeeだが、なぜシンガポールの投資会社なのか? この点についてfreee代表取締役の佐々木大輔は、次のように説明する。

「すでにSaaSのビジネスモデルに親しみがあるため話が早く、サービス展開の建設的な話もできる。投資サイズも大きい。将来的な海外展開を考えるとアジアが主戦場になるので、アジアに強い知見を持つ投資家がベストという結論になった。」

シンガポールは、GoogleやFacebookがアジアのヘッドクォーターを構えるなど、アジアの中心地としての意味合いもある。freeeはこの地にアンテナを張ることで、ビジネス上に大きなメリットがあると見ているようだ。

freee代表取締役の佐々木大輔

リクルートとはプロダクトと営業面で協業

リクルートとは既に、リクルートライフスタイルが提供するPOSレジアプリ「Airレジ」に入力した売上実績を、freeeに自動的に会計データとして取り込むなどの連携を実施。今回の出資に伴い、リクルートグループ横断でプロダクトや営業面での積極的な協業も検討する。

あわせて同日、クラウド会計ソフトのfreeeに経費精算機能を追加した。freeeを導入する会社の従業員はどこからでも経費精算の申請ができ、会計ソフトへの仕訳もシームレスに登録できる。経費精算はiPhoneアプリからのレシート写真登録にも対応している。

調達した資金では、中小企業を中心とする法人向けの開発・サポート体制を強化する。5月にベータ版としてリリースした「クラウド給与計算ソフトfreee」もまもなく本格的に事業化する。


Tokyo Otaku Modeがクールジャパンファンドから資金調達–金額は3年間で最大15億円

今朝はフリマアプリ「Fril」を手がけるFablicの資金調達が発表されたばかりだが、またまた大規模な資金調達の話が舞い込んできた。

日本のポップカルチャーの世界発信や海外向けのECを手がけるTokyo Otaku Mode(TOM)は9月25日、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構:クール・ジャパン支援施策にむけて設立された官民出資の法人)を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。クールジャパン機構では今後3年間で最大15億円の投資枠を設定している。

TOMは、日本のアニメやマンガ、その関連グッズなどのポップカルチャーを紹介するFacebookページとしてサービスをスタート。Facebookページの「いいね!」数は現在1600万件超。2012年にはCGMサイト「Tokyo Otaku Mode」を立ち上げたほか、2013年夏には海外向けECサイト本格オープンした「Tokyo Otaku Mode Premium Shop」を本格オープン。ポップカルチャーの関連グッズのほか、クリエイターとのコラボレーション商品などを展開している。ウェアラブルなおもちゃ「Moff」の海外向けの販売なども行っている。これまで商品を発送したのは85カ国以上だという。

同社では今回の調達をもとに、EC事業の拡大に注力する。エンジニアを中心に採用を進めてモバイルを中心にした開発力を強化。さらに物流拠点を設置するほか、プロモーションを強化するという。


Gobbleは10分間でおいしい食事が手作りできる下ごしらえずみキットの宅配サービス

おいしい食べ物が好きで、料理はしてみたいが目玉焼きを作ったりスパゲッティーを茹でる以上の知識も経験もないという私のような人間にとってGobbleはぴったりかもしれない。

Gobbleはレシピと食材の宅配サービスという点ではBlue ApronPlatedと似ている。しかしGobbleのファウンダー、Ooshma Gargによれば大きな違いがあるのだという。

Gargのチームが届ける「食材ボックス」の食材は他のサービスにない丁寧な下ごしらえが施されている。野菜やきれいに洗われ、適切にカットされている。肉も予めマリネされていて、ユーザーは鍋さえあればわずか10分でディナーを作れる(下の組写真でそのもようがわかると思う)。

スタートアップといってもGobbleは数年前から活動を続けている。Y Combinator出身で、Greylock他の有力ベンチャーファンドからの支援も受けている。これまでに食材の通販や 食事の定期宅配などいくつかのビジネスモデルをピボットしてきた。

Gargによれば、現在のビジネスモデルは「私の料理に対する気後れとわが社のチーフ・シェフのThomas Ricciの能力の結合から生まれた」のだという。彼女はこの「できるだけ料理をせずに料理する」というモデルについて、ケーキづくりにおける ケーキミックスの歴史を例にして説明する。初期のケーキミックスはすでにすべてが混ぜられており、型に流して焼けばいいだけだった。しかし消費者は水、油、卵を自分で混ぜる方式を好んだ。楽をしたいという欲求と手作りで料理をしたという満足感の最適のバランスを探す必要があるというわけだ。

Gargによれば、野菜や肉などの食材は「地域の長年の生産者から直接仕入れている」という。1ヶ月のベータテストを経て、Gobbleはカリフォルニアとネバダで営業を開始した。近くワシントン州、オレゴン州にも拡張する計画だという。1食1人が11.95ドルから。ベジタリアン向けのメニューも用意されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


オープンソース、多言語対応のカタログ管理ソフト、AkeneoがExcel地獄の解消を目指す

ラグジュアリーなブランド製品で有名なパリの某社の場合、新作コレクションのウェブ・カタログを完全にアップデートするのに4ヶ月かかるという。大勢の人間がいろいろな場所で大量の複雑なデータをExcelに出し入れするのは悪夢のような作業だ。そうこうするうちにもう次の新作コレクションが登場する季節になってしまう。こういう状態を改革しようというのがAkeneoの狙いだ。

Akeneoは製品情報のCRMというべきソフトウェアで、単一のデータベースに製品情報を追加していくだけで、ウェブ版、、モバイル版、印刷版のカタログが簡単に制作できる。またサードパーティーのソフトウェアとの連携も可能だ。このフランスのスタートアップは最近、Alven Capital.から230万ドル(180万ユーロ)の調達に成功した。

共同ファウンダーでCEOのFrédéric de Gombertは電話インタビューに答えて、「製品情報をカタログ化するにはたいへんな手間がかかる。現在、ほとんどの会社では手作業でExcelファイルをアップデートしているというのが実情だ。そこでこの作業には多額の人件費がかかっている。われわれのシステムはこれを画期的に効率化できる」と説明した。

基本的にAkeneoはExcelや各種のERP(企業資源計画)ソフトと連動するオープンソースの情報管理ソフトだ。オープンソースなのでユーザー・コミュニティーは互いに独自のカスタム化を公開、共有してさらに価値を高めていくことができる。

ただし、高度な機能や製品サポート、教育研修などが必要であれば、Akeneoから有料のサービスが受けられる。このエンタープライズ・プランは年額$3万2000ドル(2万5000ユーロ)から用意されている。この料金はIBMやOracleが提供する同種のサービスに比べれば非常に安い。

「私は以前eコマース・システムを開発していた。しかしわれわれが新しいプロジェクトを提供しても、クライアントは必要なデータをどうやって集めたらいいかわからないことが普通だった。それがAkeneoを始めたきっかけだ」とGombertは言う。

AkeneoはフランスですでにAuchan、Cora、Feu Vert、Lagardère Activeなど有名企業を多数クライアントにしている。Akeneoがターゲットにしているのは完全にカスタマイズされた独自システムを構築できるほどの大企業ではないが、Excelと人手だけでは製品情報管理が限界に達しているような中規模のビジネスだ。

Akeneoのもっとも重要な機能は製品情報管理の大幅な効率化だ。ユーザーは製品情報を単一データベースに保存し、簡単な操作で異なるチャンネルに送り出すことができる。サイクル時間は平均して60%から80%短縮されるという。

Akeneoの社員は現在15人だが、国際的な拡大を計画中だ。オープンソースで世界どこでも自由にダウンロードできるという特性を生かし、すでにドイツやアメリカへの展開の糸口をつかんでいる。もちろんその他の国も視野に入っている。

Akeneoを利用する効果は時とともに拡大する。特に新しいチャンネルにカタログ情報を流す必要が生じたときの効果が大きい。

Akeneoはフランスを代表するテクノロジー・スタートアップだ。一見すると地味だが、現実のビジネスで切実に必要とする課題に着実に応えている。今後の課題はよりいかにしてより広い市場にアピールし、ユーザーを獲得してていくかだろう。

Photo credit: Foad Hersi under the CC BY-ND 2.0 license

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


NewsPicksはキュレーションメディアではない–独自コンテンツの配信など新戦略を発表

注目の集まるニュースをキュレーションして閲覧できるスマホ向けのニュースアプリは増えるばかり。だが「NewsPicks」を手がけるユーザベースは、競合と言われるサービスとはまったく別の方向を進むのだという。同社は9月19日、NewsPicksのビジネスに関する説明会を開催。今後の展開を語った。

NewsPicksは経済ニュースに特化したニュースアプリだ。ユーザーは提携メディアなどが配信する記事を閲覧するだけででなく、自らPicker(記事をピックアップしたユーザー)として気になった記事をピックアップしたり、自らの意見やコメントを投稿したりできる。ユーザベース共同代表創業者の梅田氏は「当初想定していなかった」そうだが、ピックアップされた記事にその記事の当事者がコメントをつけたり、ピックアップされた記事を書いたメディアの記者が記事の補足をしたりするといった使い方もされているという。

ユーザベース代表取締役共同経営者の梅田優祐氏

サービスを公開してから約1年でダウンロード数は21万件。「Gunosy」や「SmartNews」といったニュースアプリはダウンロード数400万件、450万件といった数字をうたっているので、単純に数字で見ると非常に小さく感じる。

だが、ユーザーは20〜40代、それも意思決定者が中心となっており、マスをターゲットにしたGunosyやSmartNewsとはターゲットとする属性が違うサービスであることが伺える。デイリーの滞在時間は平均11分、ピックアップやコメントをするようなヘビーユーザーになると40分になるのだという。ピックアップされた記事は、平均でFacebookで600件、Twitterで2000件程度共有されるという。実はTechCrunchのリファラーを見ても、最近ではNewsPicksをはじめとしたニュースアプリからの流入は少なくない。

今後は独自記事を配信。ブランド広告も展開

発表会では、そんなNewsPicksがこれから展開するコンテンツとマネタイズに関する説明が行われた。

ユーザベースでは7月、東洋経済オンラインの編集長であった佐々木紀彦氏をNewsPicksの編集長として招聘。自社で編集部を立ち上げて独自コンテンツを提供するとしていた。佐々木氏は、SmartNewsやGunosyを例に挙げ「(NewsPicksが)キュレーションメディアのひとつとして見られるが、特徴が違う」と語る。

佐々木氏はここで、マス向けなのか専門性が高いのか、コンテンツを人力で作るかアルゴリズムで作るかという2つの軸でニュースサービスを分類したスライドを紹介した。例えばSmartNewsやGunosyはアルゴリズムを使ってマス向けのコンテンツを発信している。またヤフーが提供するYahoo!ニュースであれば、アルゴリズムではなく人力でマス向けにコンテンツを発信している。グライダーアソシエイツが提供する「Antenna」はアルゴリズムと人力を組み合わせて専門性の高いコンテンツを発信している。ではNewsPicksはどういう立ち位置になるかというと、経済情報に特化し、専門性の高いコンテンツを人力で作っていくのだという。

ユーザベース執行役員でNewsPicks編集長を務める佐々木紀彦氏

NewsPicksでは、(1)オリジナルの連載記事、(2)インフォグラフィックス、(3)Pickerとのコラボレーション(話題になった記事やテーマの深掘り)、(4)アナリストとのコラボレーション(ユーザベースの提供する法人向けサービス「SPEEDA」向けのアナリストによるコンテンツ、(5)グローバルキュレーション(NewYork Timesなど海外経済ニュースとの連携)——の5種類の独自コンテンツを提供する。これは月額1500円の有料プランユーザー向けに提供されることになる。有料プランではこのほか、提携するメディアのコンテンツを閲覧したり(これは以前から提供していたもの)、検索機能を利用したりできようになる。また年1回開催予定のイベントへの優先参加権なども提供する。

マネタイズについては、(1)テレビ番組のように、特定カテゴリのチャネルについて広告主がスポンサーシップをする「ブランドカテゴリー」、(2)特定の連載に限定してスポンサーシップをする「ブランドストーリー」、(3)広告主がチャネルを持ち、オウンドメディアや自社に関する情報を発信できる「ブランドアカウント」——の3種類のブランド広告を展開する。すでにIBM、サイボウズ、リクルートが広告主として決定している。

NewsPicksでは以前から月額1500円でビジネス系週刊誌などの有料コンテンツを提供してきたが、今後はそこに独自コンテンツが加わることになる。梅田氏は、「編集部を作って分かったが、いいコンテンツを作るにはお金がかかる。これを継続するのが重要。どうすれば1500円の価値を認めて頂けるかを考えていく。そのために機能やイベントをトータルに提供していく」と語った。

ユーザベースでは、中期目標として3年で日本を代表する経済メディアにし、編集部を100人体制まで拡大。さらに英語での海外進出を視野に入れるとしている。また、来年度の黒字化を目指すそうだ。

 


賞金100万円だけじゃない! TechCrunchスタートアップバトル出場のススメ

メディアはiPhone 6一色だけど、スタートアップのみなさん、忘れていませんか? 我々が11月18日、19日に東京・渋谷で開催する「TechCrunch Tokyo 2014」の目玉企画として、「スタートアップバトル」(以下、バトル)を実施することを。バトルは、スタートアップがステージ上でプロダクトを競い合い、優勝チームには賞金100万円を贈呈する。でも、それ以外にも参加するメリットがあるのでお伝えしたい。

ここ数年、スタートアップにスポットを当てるイベントが増えてきているのは、TechCrunch読者であればご存じのことと思う。例えば、IVPの「Infinity Ventures Summit」やB Dash Venturesの「B Dash Camp」、サイバーエージェント・ベンチャーズの「RISING EXPO」などが有名だ。

そして、こうしたVCが運営するイベントとTechCrunch Tokyoの大きな違いの1つは、来場者にあると思っている。

先に挙げたイベントの来場者は、VCや投資家、スタートアップの経営者層が中心。一方、TechCrunch Tokyoはこうした来場者に加えて、スタートアップの業界動向にアンテナを張っている企業の新規事業担当者や、読者、つまり一般ユーザーの注目が高いと自負している。

バトルに参加するスタートアップは、本戦に進出すればTechCrunchで取り上げることもあり、プロダクトのユーザー獲得にも一役買えるはずだ。さらに言えば、本家TechCrunchの編集者が審査員として米国からやってくる予定なので、全米にアピールするチャンスがあるかもしれない。

参加要項は以下の通りなので、条件に当てはまるスタートアップは是非、応募ページから申し込んでほしい。

応募資格

  • 未ローンチまたは2014年1月以降にローンチしたデモが可能なプロダクト(サービス)を持つスタートアップ企業(未公開プロダクトを歓迎します)
  • 創業年数3年未満(2011年11月以降に創業)で上場企業の子会社でないこと。なお、このイベント以前に開催された他のイベントで受賞をしていないプロダクトを優先します。

応募受付期間

2014年10月3日(金)23時59分まで

審査について

  • 審査基準: 企業とプロダクトを対象にし、そのプロダクトの市場性やビジネスの成長性、またビジョンを実現していけるチームであるかを基準とします。
  • 事前審査:一次審査は書類審査とし、その後一部評価に必要な情報が足りない場合はインタビューやデモを見せていただく場合があります。選考を通った応募企業には運営事務局から10月10日までに審査結果を通知します。
  • 決勝戦: TechCrunch Tokyo 2014の2日目に行います。TechCrunch Japanが選んだ審査員によって最優秀企業を選出します。

一次審査員(書類審査)

  • 今野穣氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー / Chief Operating Officer)
  • 和田圭佑氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)
  • 木村新司氏(個人投資家)
  • 有安伸宏氏(コーチ・ユナイテッド 代表取締役社長)
  • 西田隆一氏(B Dash Ventures シニア・インベストメントマネージャー)
  • 西村賢(TechCrunch Japan編集長)

スタートアップバトルの応募ページはこちら

残念ながら条件に当てはまらなかったスタートアップについては、格安料金で出展できるデモブースを会場に設けるので、そちらで大いにプロダクトを来場者にアピールしていただきたい。

スタートアップデモブースの申し込みはこちら


オンライン家庭教師サービスのmana.bo、ベネッセなどから3.3億円の資金調達

 

スマートフォンやタブレットを使った家庭教師サービスを展開するマナボは9月18日、ベネッセコーポレーション、ニッセイ・キャピタル、三菱UFJキャピタルから合計3億3000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。またこれにあわせて、ベネッセホールディングス インキュベーションセンター EdTech Lab部長の森安康雄氏が同社の社外取締役に就任する。

マナボが手がける家庭教師サービス「mana.bo」は、スマートフォンやタブレット向けのアプリを通じて、オンデマンド、リアルタイムでの個別学習を実現するものだ。生徒が学習している中で、解き方の分からない問題に出会ったときにアプリ上で指導を求めると、待機している講師(おもに有名大学の学生)がアプリ上で音声通話と手書きでの画像共有を使って解き方を指導するというもの。

2013年1月から法人向けにOEM提供して試験的にサービスを展開してきたが、2013年夏にはベネッセと本格的なトライアルを実施。2014年4月からは「リアルタイム家庭教師」の名称で正式にサービスを開始していた。料金は月額9980円で180分利用できるプランと月額1万9800円で無制限に利用できるプランがあるが、後者では月に3時間45分程度利用されているという。ちなみにサービスは一応PCでも利用できるのだが、85%がスマートフォンおよびタブレット出利用していることから、現在はアプリの開発にリソースを注力しているそうだ。

またマナボでは、前述のBtoBtoCで提供するリアルタイム家庭教師とは別に、今秋にもmana.boの名称で自社サービス(BtoC)を正式に開始する予定。価格はリアルタイム家庭教師とほぼ同程度になる見込み。加えて、OEM提供の幅を広げるため、来年度に向けてパートナー向けにAPIを公開していくという。さらに現在500人程度の講師については、今年度内に3000人程度まで拡大させるとしている。


TC Cribs: Evernote本社訪問―なんと全社員がバリスタの講習を受ける

テクノロジー企業のオフィスをビデオで紹介するTechCrunch Cribsの今回の訪問先はサンフランシスコの南50キロのレッドウッド・シティーにある「なんでも記憶する」サービス、Evernoteの本社だ。

良く知られているようにEvernoteはは「100年続く会社」を目指している。だからどんなに社員が増えてもいいように巨大なビルを借りきっている。 上のビデオでもわかるように、以前からEvernoteが使っていたフロアと最近使い始めたフロアでは雰囲気がまるで違う。Evernoteが拡大するにつれてこのビルもどんどん愉快な場所になっていくに違いない。

驚いたのはコーヒーマシンだ。他の多くのテクノロジー企業も社内にコーヒーコーナーを設けているが、Evernoteのコーナーは大いに違う。Evernoteでは社員全員に本格的なバリスタの講習を受けることを義務付けている。しかも社員はコーヒーカウンターでバリスタを勤めれば、その間の本業が免除されるという。玄関わきのメインロビーのコーヒコーナーで本格的なエスプレッソマシンを巧みに操って同僚や来客にラテを提供しているのはEvernoteの社員なのだ。Evernoteに勤めると万一のときも職に困らないだろう。

〔日本版〕例によって多くの社員のデスクに伊藤園の「お〜いお茶」が置いてあるのが写っているが、バーには「響」や「ミドリ」など日本の酒類が豊富だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+