量子アニーリング研究開発スタートアップ「シグマアイ」とソニーの共同研究成果が国際会議ISITA2020に採択

量子アニーリング研究開発スタートアップ「シグマアイ」とソニーの共同研究成果が国際会議ISITA2020に採択

量子アニーリングマシンを活用した研究開発ソリューション・アプリケーションを提供するシグマアイは9月8日、ソニーと進めていた通信技術における量子アニーリングマシン適用可能性の検討に関する共同研究の成果が、10月開催の国際会議ISITA2020に採択されたと発表した。

同研究成果「Maximum Likelihood Channel Decoding with Quantum Annealing Machine」について、ISITA2020(The International Symposium on Information Theory and Its Applications 2020)および9月開催の量子アニーリングマシンの活用に関する国際会議Qubits Worldwide Users Conferenceで発表される。

シグマアイは、現代の通信技術を支える基本問題に対して、量子アニーリングを適用するという基礎検討に関する研究をソニーとともに実施。

通信において、受信した信号を手がかりに、送信されたデジタル信号を推定する際には、組み合せ最適化を解く必要がある。この際、通信品質を保ち速度を向上させるためには、推定における組み合せ最適化問題を高速に解く必要がある。

今回の取り組みでは、量子アニーリングの適用可能性の検討を行い、実現したい通信の達成目標に対して、必要な量子ビット数の見積りやノイズに対する頑強性について確認を行った。今後も同社は、ソニーとの共同研究を通し通信技術をはじめとするデジタル社会を支える計算基盤として、量子アニーリングの適用可能性を広げ、そしてその技術を深めてまいくとしている。

2019年4月設立のシグマアイは、黎明期から発展期を迎える量子科学時代において、独自の量子アニーリングマシンの性能の限界を超える根幹技術を持ち、量子アニーリングの活用事例を豊富に持つ東北大学の研究成果を社会に還元するために、様々な研究開発機関、事業会社との共同開発を進める世界でも屈指のスタートアップ企業。

D-Wave Systemsの量子アニーリングマシン(2019年7月に日本初の大型利用契約を締結)をはじめ、新しい計算基盤を用いた研究開発事業、および多くのユーザーの生活に寄り添い、身近でありながら、優しく社会に浸透するアプリケーション開発事業を行っている。

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ソニーがAIチップ内蔵の画像センサーを製品化

ソニーが、興味深いハイブリッド技術を開発した。1つのICに画像センサーとAIによる処理システムを載せたハードウェアだ。画像とコードの融合がますます進んでいる現在では、その利点とアプリケーションの可能性はとても大きい。

コンセプトは比較的単純で、いまやどんなスマートフォンにでも使われているCMOSセンサーを、ロジックチップの上に載せるだけだ。これによって、CMOSセンサーからピクセル情報を取り出すだけでなく、それらのピクセルから情報を抽出する機械学習モデルを操作することができる。

つまり、写真をコンピューターのメインのロジックボードやGPUやクラウドなど外部へ送る前に、その写真に対して単一の電子回路が画層補正などのさまざまな処理を行う。

実際には、こういったイメージセンサーには、ピクセルの並べ替えやJPEGへの圧縮などの通常の作業を行うコンパニオンプロセッサがすでに搭載されている。しかし、これらのプロセッサは、ほんのひと握りの一般的なタスクを素早く実行することに特化している。。

ソニーによると同社が開発したチップは「もっと高度な処理と出力ができる」という。例えば、野原で犬を撮影した場合、チップはすぐにオブジェクトを解析し、画像全体を送信するのではなく、「犬」や「草」など認識したものを報告するだけでいい。

即興的な編集を行うこともできる。例えば、花だけを残りして茎は切り取るといった、写真の内容を認識して指定した部分だけをトリミングすることが可能だ。

このようなシステムの利点は、データがメインのデバイスのストレージや処理のパイプラインへ行く前に、不要なものを取り除けることだ。その後の処理コストを節減できるだけでなく、余計なものが写り込まないので、セキュリティの点でも有利だ。

公共の場所に置かれたカメラは、人の顔や車のナンバーを画像を出力する前にぼかせるだろう。スマートホームのデバイスなら、訪れた人の顔の画像だけを残したい。多重露出によって、カメラが視界としている世界のヒートマップや頻度マップも作れる。

AIをチップレベルで統合すると、節電や処理の高速化も期待できるかもしれない。しかし、最近Appleが(アップル)が買収したXnorなどは、そのようなタスクを非常に迅速かつ低コストで実行できることを示している。

もっと複雑な処理になると強力な大型チップの領分だが、このような前処理は非常に多種類の貴重なデータを作り出すことができるので、正しく設計されていれば攻撃や悪用に対してより堅牢な画像データを得られるだろう。

いまのところ、ソニーが「Intelligent Vision Sensor」と命名したこのハードウェアはプロトタイプのみで、テスト用にオーダーできるだけだ。しかし、同社は画像センサーでは世界のトップメーカーなので、今後はさまざまな用途に特化した、ありとあらゆる種類のデバイスに搭載されていくだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

国連PS機関がソニーとタッグ、神戸拠点に気候変動への対処に取り組むスタートアップなどを募集

国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)とソニーは4月21日、UNOPSが開催する持続可能な開発目標(SDGs)に取り組むスタートアップ起業やテクノロジー企業を支援する「Global Innovation Challenge」プログラムを通じて協業を開始することを発表した。

本プログラムに選定された企業は、兵庫県神戸市に開設予定のUNOPSのGlobal Innovation Center Japan(グローバル・イノベーション・センター・ジャパン、GIC Japan)に入居し、Sony Startup Acceleration Program(ソニー・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム、SSAP)の育成プログラムにも参加可能で、アイデアの実現に向けたさまざまな支援を得られるのが特徴だ。

募集テーマは「テクノロジーを用いた強靭なインフラを作り、気候変動への対処を強化する」。地域ごとに多様性をもった非構造データである気候や森、海といった資源のデータを、データをセンシングとAI技術で的確に分析し活用することで、迅速な気候変動の対処や豊かな森と海の創出に貢献することを狙うテーマ設定となっている。募集概要は以下のとおり。

  • 募集期間:中央ヨーロッパ時間2020年7月31日24時まで(日本時間2020年8月1日8時まで)
  • 応募方法:UNOPSの応募サイトにて受け付け
  • GIC Japan開設時期:2020年夏以降を予定
  • GIC Japan開設場所:三井住友銀行神戸本部ビル2階(兵庫県神戸市中央区浪花町56)

UNOPSは、デンマーク・コペンハーゲンに本部を置く、プロジェクトサービス(事業運営・実施)に特化した国連機関。世界80か国以上で毎年1000件以上の援助事業を実施している。通常資金(コア予算)に対して各国政府から資金提供を受けず、事業運営の実施のみですべての経費をまかなう完全独立採算の機関で、ほかの国連機関や国際開発金融機関、援助国および被援助国政府などからの依頼に基づき、援助事業のプロジェクト推進を進めている。具体的には、アフガニスタンでの道路舗装や太陽光発電を利用した街灯の敷設、ヨルダン北部では老朽化した配水管を修復して漏水を削減する事業などを進めた。

GIC Japanは、国内外におけるスタートアップを集積・育成と、日本で創出されたSDGs課題解決型サービスが国連を通じて調達に結び付けるインキュベーション施設。グローバルでは神戸が3拠点目となり、2018年1月にカリブ海東部の小アンティル諸島にあるアンティグア・バブーダ、2019年10月に本部のデンマークの隣国であるスウェーデンに開設している。今後は発展途上国を中心にGICの設置を進めていく予定で、すでにモンテネグロ、チュニジアへの設置も決まっている。

SSAPは、2014年にソニーのスタートアップの創出と事業運営を支援するSeed Acceleration Program(シード・アクセラレーション・プログラム)として始まった取り組み。これまでに国内外でソニー社内を中心に750件の新規事業案件を審査し34件を育成し、14件の事業立ち上げを通じて培ってきた経験やノウハウを、スタートアップ支援サービスとして社外にも提供するものだ。2018年12月にはソニー本社オフィス内に、社外の新規事業プロジェクトが入居可能な専用スペースが設置し、社外との連携を強化。2019年2月20日より、名称をSony Startup Acceleration Programに変更している。

なお、SSAPでは本プログラムの応募に向けてアイデアをもう少し整理したい応募者に対して、新規事業を始めるために必要な準備を効率よく進めるための無料のウェブアプリ「StartDash」を提供している。アイデアはあるが何から始めたらいいかわからないという場合に、チェックリスト形式の質問に回答していくだけで事業化に向けた準備を進められる。

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ソニーが新型コロナで影響を受けるゲーム開発者の救済基金に11億円拠出

多くの人が外出禁止のために家にこもってPCやゲーミングコンソールを手にしているが、インディーゲームデベロッパーにとっては厳しい状況だ。彼らは往々にして、タイトルの宣伝や投資の呼び込み、契約の発表などをゲームカンファレンスに頼っている。

Sony(ソニー)は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで影響を受けているインディーゲームデベロッパーをサポートするための基金に1000万ドル(約11億円)を拠出したと発表した。2020年4月初めソニーは新型コロナウイルス救済のための1億ドル(約107億円)の基金を立ち上げたと明らかにしていたが、その基金はどちらかというとヘルスケアワーカーや遠隔教育にフォーカスしたものだった。

ソニーは基金の詳細について、間もなく発表するとしか述べていない。また今回の発表ではPlayStationユーザーに自宅に留まってもらうように、2つの「UNCHARTED: The Nathan Drake Collection(アンチャーテッド コレクション PlayStation Hits)」と「Journey(風ノ旅ビト)」をデジタルストアで無料ダウンロードできるようにしたことも明らかにした。この2つの小さなニュースはPlayStationが提唱する「Play at Home」イニシアチブのベースとなっている。

2つのタイトルは4月15日から5月5日まで無料でダウンロードできる。

画像クレジット: Kevork Djansezian / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

ソニーが中国エンタメ企業のビリビリに約430億円を投資

ソニーは中国のエンターテインメント大手ことBilibili(ビリビリ)の株式4.98%を取得するため、4億ドル(約430億円)を投資すると明らかにした。

10年前にアニメ動画サイトとしてスタートしたBilibiliは、eスポーツやユーザー投稿のミュージックビデオ、ドキュメンタリー、ゲームなど、他のカテゴリーにも事業を拡大している。1億3千万人以上のユーザーを持つ同サービスは、中国大手企業のTencent(テンセント)やAlibaba(アリババ)を含む、複数の大口投資を長年に渡って集めてきた。

この発表により、Bilibiliの株価は市場前取引で7.6%上昇した。ソニーは完全子会社のソニー・コーポレーション・オブ・アメリカを通じてこの投資を行う。

ソニーは声明の中で、中国はエンターテインメント事業における重要な戦略地域だと考えていると述べた。Bilibiliは中国のZ世代をターゲットとしており、ユーザーの大部分(約80%)は1990年から2009年の間に生まれた人たちだ。

両社はまた、アニメーションやモバイルゲームアプリなど、中国のエンターテインメント分野におけるコラボレーションの機会を探求することでも合意したという。

Bilibiliのビジネスと中国でのシェアについての詳細は、こちらの記事で読むことができる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

PlayStation 5は5GB/秒超で容量825GBのSSD搭載、GPUはAMDのRDNA 2アーキテクチャ

ソニーが1月のCESで発表したのはPlayStation 5という名前だけだった。 同社はサンフランシスコで開催されるはずだったGDC(Game Developers Conference)で盛大なプレゼンを計画していたが、新型コロナウィルス(COVID-19)問題が発生してしまった。そこでイベントをライブストリーミングで実施することとした。このビデオが次世代ゲーム・コンソールについて現在最も広汎で確実な情報となる。

ビデオではPlayStationのリード・システムアーキテクトを務めるMark Cerny(マーク・サーニー)氏がカメラに向かって地味なプレゼンを始める。カンファレンスがこうしたライブストリーミングになったのは新型コロナウィルスの拡大を防止するためには対人接触をできるかぎり避けるのが有効と判明したためだ。

サーニー氏は冒頭、PS5に5GB/秒の速度のSSDが搭載することを発表した。 これはデベロッパーからの要望のナンバーワン事項だったという。SSD化にともないPS5のI/Oは現行PS4と比較して最大100倍速くなっているという。

ソニーはまた、XboxシリーズXなみの高速化を実現するためにPS5にどのようなテクノロジーが搭載されるか詳しく説明した。PS5ではウルトラ・ハイスピードのSDDとともに、レイトレーシングが可能なカスタムのAMD製GPUを搭載する。3Dオーディオはソニーのマルチメディアホームエンターテインメントを改良して利用している。Xbox同様下位互換性があり、特にPS4との互換性を確保している。

CPUは3.5GHz、8コアのAMD Zen 2だ。GPUはAMDのRDNA 2アーキテクチャを利用しており、36 CU(Compute Unit)で10.28TFLOPSを発揮する。メモリは16GB、SSDは825GBが搭載される。システムの電力消費と発熱を抑えるよう設計された新しいブースト機能がある。

サーニー氏によれば、PS5は熱を抑えるために「温度そのものではなくGPUとCPUが実行しているタスクを監視する」。この情報に基づいてクロック周波数を上下させる。システム冷却の仕様の詳細は、今後行われるシステムの「徹底解説」で明らかにすることを約束している。

3Dオーディオは「新しい夢を発見する」というセクションで説明された。サーニー氏は「グラフィックスを主体とするシステムでは往々にしてオーディオは後付けにされてしまう。残念ながらPS4ではそうだった」と述べた。しかしPS5でははPSVRの没入型オーディオを利用した新しいバージョンが導入され、ゲーム機オーディオにプレゼンスや位置定位などの機能に焦点を当てた。ソニーではユーザーが利用するデバイスがさほど高度でないホームステレオシステムやヘッドフォンであってもバーチャル・サラウンドサウンドを提供する能力が大きく改善されたとしている。

Xboxの新シリーズ同様、PS5の発売も今年末になるはずだ。今回、ソニーはほんの表面を説明しただけだろう。クリスマスまでまだ相当の間があり、今後完成される要素も多いはずだ。

さてゲームに付き合ってくれる人は誰かいるかな?

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソニーが初の5Gフラッグシップとなるトリプルレンズ搭載のXperia 1 IIを発表

ソニーは、同社初となる5Gスマートフォン「Xperia 1 II」を発表した。表記はわかりにくいが「エクスペリア・ワン・マークツー」と発音する。

「ソニーほど、エンターテインメント体験をよく理解している会社はありません」と、グループのモバイル通信部門であるソニーモバイルコミュニケーションズの岸田光也社長は述べた。また同社は、5Gセルラー技術の時代にあって「ユニークな位置にあり」、ソニーの広範なコンテンツポートフォリオのおかげで、ターゲットユーザーに「豊富な」体験を提供できると主張した。

「ダイナミックなスピードを必要とする放送業界のプロに対しても、エンターテインメントの強化を求める一般的なユーザーに対しても、Xperia 5Gはユーザーのモバイル体験を次のレベルに引き上げるものです」と、同氏は述べている。

ソニーは、スマートフォンのメーカーというよりも、他のスマホメーカーへのイメージセンサーのB2Bサプライヤーとして重要な位置を占めている。それもあって、Android 10を搭載した今回のフラッグシップ機が、どのようなカメラを搭載しているのか注目された。ちなみに、Xperia 5Gは、「シネマワイド」タイプの4K HDR OLED(解像度は3840×1644ドット)ディスプレイを搭載し、クアルコムのSnapdragon 865チップ(メモリー8GB)を内蔵している。

背面には、16mm、24mm、70mmのの異なる3種類の焦点距離レンズを搭載し、超広角からポートレートまでさまざまなタイプの写真を撮影できる。

これらの背面の3つのレンズには、すべて1200万画素のセンサーが付随する。前面には、8MPのセンサーを内蔵したレンズを備える。今回ソニーは、スマホ用としては初めてツァイス(Zeiss)の手になる光学系を採用した。両社の長期にわたるコラボレーションが、新しいタイプのデバイスにも拡張されたわけだ。

岸田氏はカメラについて、低光量でも動作する超高速のオートフォーカス性能を強調した。最高20コマ/秒で、オートフォーカス、自動追従の連写が可能となったのは世界初だという。これにより、動きの速い被写体もくっきりと撮影できる。

「この新しい連続オートフォーカスは、動いている被写体を追跡し続けます。これのすごいところは、20コマ/秒でオートフォーカスするために、1フレームごとにオブジェクトを3回計算することです。1秒あたりでは60回計算することになります。それにより、まさにその瞬間を捉えることができるのです」と岸田氏は説明する。

「また、5Gのパワーと速度により、こうして切り取られた瞬間を非常に高速、かつ簡単にネットワーク上で共有できるようになります」と付け加えた。

写真撮影に関するもう1つの機能は、AIによるリアルタイムの瞳のオートフォーカスだ。ソニーは、この機能を、おもちゃで遊ぶ猫のビデオ撮影でデモした。つまりソニーは、人間だけでなくペットの顔のデータも使ってAIモデルを訓練したことになる。

また、「Photography Pro」(フォトグラフィー プロ)と呼ばれるインターフェースを採用し、ソニーのミラーレスαカメラのユーザーにも馴染みやすいように設計されている。これにより、フォトグラファーは、同社のハイエンドデジタルカメラと同様の調整機能を使ってパラメーターにアクセスし、撮影条件を調整できる。

ソニーは、ビデオ撮影についても同様に力を入れている。ビデオ編集インターフェースでは、タッチオートフォーカスや、ホワイトバランスのカスタム設定といった機能が利用できる。岸田氏は「これにより「映像作家」がカメラをより簡単に操作できるようになる」と表現した。オーディオキャプチャの音質を高めるノイズリダクション機能も内蔵する。

何よりもうれしいのは、Xperia 1 IIが3.5mmのヘッドフォンジャックを備えていること。オーディオマニアなら、愛用のハイエンドの有線ヘッドフォンを差し込んで、音楽鑑賞に集中することができる。

岸田氏は、DSEE Ultimateと呼ばれるAI技術の採用も取り上げた。DSEE Ultimateは、ストリーミングオーディオも含め、音声信号を「ハイレゾ相当の高音質」にアップスケールにするものだと説明した。「携帯可能なものとして最高の音楽体験を提供します」とのこと。

ゲームについても、Qualcomm Snapdragon Elite Gamingとのコラボレーションにより、PlayStation 4のDualShock 4ワイヤレスコントローラーを使って、モバイル向けに最適化されたCall of Dutyを快適にプレイできるようになっている。一方このデバイスは、4000mAhのバッテリーと、高速ワイヤレス充電機能も搭載してる。

岸田氏によれば、Xperia 1 IIは、この春から出荷を開始する。ただし、ソニーがこのデバイスをどの市場に向けて導入するかはまだ明確ではない。昨年、同社のモバイル部門は、収益性を重視した結果、グローバル市場の大部分に注力するのを止めたと伝えられる

Xperia 1 IIのターゲットは、かなりニッチな購買層となる可能性がある。ソニーと言えども、消費者向けスマホの販売では、サムスンやファーウェイなどの巨人と比べて小さなプレーヤーに過ぎない。しかし、このカメラ技術が、他のモバイルメーカーに提供できるもののショーケースとなることを意図している。

ソニーのモバイル部門は、今回のトップによる発表を、YouTube上の仮想記者会見という形で行なった。同社は、MWC(モバイルワールドコングレス)への参加の取り止めを発表した、最初の大企業だったという経緯がある。

MWCの主催者であるGSMAは、結局今週バルセロナで開催予定だった毎年恒例のモバイル業界イベントのキャンセルに追い込まれた。多くの出展者が、新型コロナウイルスによる公衆衛生上の懸念により、参加の取りやめを表明したからだ。

MWCは通常、4日間で10万人以上の参加者を呼び寄せる。今回のソニーの記者会見は、カメラも、拍手も、歓声もなく、誰もいない部屋でストリーミング再生されているのを見ることになる。それでも、記者が新製品の写真を撮るための時間を確保するために、進行がポーズしたりするのを見ると、なんだか奇妙な感覚にとらわれる。

岸田氏は、別の5Gスマホ、Xperia Proを開発中であることも発表した。プロのビデオ撮影者のためのフラッグシップ機だ。高解像度ビデオのストリーミング性能を向上させる5Gミリ波帯にも対応し、外付けのハイエンドカメラを簡単に接続可能なマイクロHDMI入力ポートも備える。

ソニーはすでに、米国のキャリア、ベライゾン(TechCrunchの親会社のVerizon)と協力して、これから登場する5Gスマホを使い、スポーツイベントのライブストリーミングのテストを完了したことを強調した。

「ソニーが、長年に渡ってプロ用のデジタル映像機器を提供してきた歴史と、専門的な知見は比類のないものです」と、岸田氏は付け加えた。「このように深く、強力な関係を築けるのはソニーだけです。プロによるコンテンツ作成から、5Gのモバイル通信技術まで、エンドツーエンドのソリューションに対して、数十年にもおよぶ経験を活かしています」。

ミッドレンジのスマートフォン、Xperia 10 IIの発表もあった。6インチのディスプレイを搭載し、トリプルレンズカメラと、防水性能を備えている。これも春以降に出荷されることになる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

消えた自動運転、都市OS覇権へ向けてのアプローチ、CES2020を振り返る

編集部注:本稿はDNXベンチャーズでインダストリーパートナーを務める山本康正氏による寄稿記事だ。

年初にテクノロジーの潮流を確認するイベント「CES」では、今年も様々な企業が新しい構想を発表した。

そんなCESで注目すべきは、「何が出展されたか」ではなく、「何が消えたか」。「昨年までは展示されていたのに、今年はない」、それは方針の変更を意味している。

全体の潮流として、今年は昨年に比べ、自動運転の展示が減った。これは「自動運転の開発が想定通りに進んでいない」ということを意味している可能性がある。(一方でホンダなどが出資する自動運転開発ベンチャーのGMクルーズはライドシェア用の無人運転車をCESではなく後日の1月21日に発表しており、評価が分かれている)

代わりに目立ったのは、地に足のついた電気自動車内のエンタメシステムや、自動運転の先を行くスマートシティの整備などについての発表だ。構想が自動運転の手前と周辺に二分したのは興味深い。

電気自動車というカテゴリでは、ソニーが発表した試作車、「Vision-S」が特に注目を集めた。

「ソニーがもし車を作ったらどうなるのか」。期待感、そして「非自動車メーカー」からの発表という意外性から、多くの参加者がVision-Sに熱いまなざしを向けていた。Vision-Sは今年のCESで一番注目された車だ。

Vision-Sの左後部座席の下には「Sony Design」という文字が刻まれている。「誰が作ったか」ということで期待感が高まる製造企業は、アップルやソニーなど、限られたブランドのみだろう。

ここ数年間、CESでは「未来の車の形」を示すようなコンセプトカーが数多く展示された。しかし、それらは、発売されるまでに10年もの歳月を要しそうな奇をてらったデザインのものだったり、実際の走行はできない模型だったりすることが多く、「現実性」と「驚き」のバランスがとれていなかった。だが、Vision-Sは、今にも走り出しそうな「現実的な車」であることから、来場者の注目を集めた。

車体自体はマグナ、ボッシュ、コンチネンタルなどが作っているため、そもそも「これをソニーが作った車と言っていいのか」、という疑問は残る。なぜ、他のパートナー企業の展示エリアではなく、ソニーのブースを選んだのか。そこは推測せざるを得ないが、消費者に驚きを与えるブランドとしては、ソニーが一番適していたのだと考えられる。 

ソニーが実際に提供しているのは、CMOSなど、安全性に使える高性能のセンサーや、ビデオ、音楽などのエンタメシステム。同様のコンセプカーは他社も作っているが、あくまで展示に留めており、プレゼンの目玉としての扱いではない。プレゼンの中でもあくまで「試作車」と強調しているものの、メディアによっては「ソニーが車を作る」と断定した書き方をしている。いずれにせよ、「驚き」による報道の広がりというプラスの効果は大きそうだ。

あくまで「試作車」であり発売すると明言していないことは、既存他社への配慮が伺える。しかし、中国で充電池を開発していた企業が電気自動車を発売し、一気に世界でも有数な電気自動車を販売する規模に成長したように、ガソリンエンジンからモーターに変わったときに、大きなチャンスはある。車内インテリアはバイトンやテスラと似ているところもあるため、どう差別化し、どうパートナーシップを作っていくかは注目だ。

CESにおけるもう一つの大きな潮流の変化を象徴しているのは、トヨタが発表した「Woven City(ウーブン・シティ)」という、スマートシティの実験場だ。トヨタは2018年のCESで、「モビリティ企業になる」と宣言し、「e-Palette(イーパレット)」というコンセプトカーを発表。しかし、そのコンセプトカーは実際に動くものではなく、2019年、実物の展示はなかった。本年、e-Paletteは展示はされていたものの、主役ではなかった。トヨタのコンセプトが「都市そのものをスマート化したい」というものに変化していたからだ。 

静岡の工場跡に建てる(2000人規模、2021年着工)予定とのことで、社員が強制的に転勤させられるのかが少し心配だが、要するに、物理的な実験場を建設するというものだ。しかし、同様の実験は既にトロントでグーグルが、北京近郊でアリババが進めている。これらと何が違うのかを、いかに示すかが、これからの課題の様に見える。

スマートシティではデータのやりとりが必須になる。その際に、「どの企業がOSを提供するか」で覇権が決まる。パソコンメーカーとウィンドウズの関係と似ている、と考える。

今回の構想は、パソコンメーカーに似ているところがある。プレゼンの最後で、「パートナー募集」という言葉があった。肝心なOSのところを外注すると、足元をすくわれかねず、バランスを考えなければならない開発になりそうだ。

その他の潮流について。日本でいうbodygram(ボディグラム)のような採寸アプリが当たり前となり、フードテックも増えてきた。人工栽培の展示も増加し、植物性由来の代替肉を開発するImpossible Foods(インポッシブル・フーズ)も出展した。

米国との貿易戦争の関係もあり、中国のブースは昨年同様に、非常に小規模であった。ファーウェイも単に携帯電話などを展示するのみで、ヨーロッパのバルセロナで行われるMWCでの世界を制覇しそうな勢い(画像下)とのコントラストは興味深い。

展示自体は近年同様だが、サムソンは「世界感」をうまく表現しているように見える。あらゆるデバイスにアプリが入っており、それは家の中だけでなく、外までもを制するというメッセージ。これに関しては、アマゾンも、ガソリンスタンドとアレクサをつなげるという展示を、控えめながらもしていた。「家の中から外までを制する」というスマートシティのお手本の様なやり方だと思う。

結局は消費者が選ぶので、家の中からまず制したほうが、スマートシティも制しやすいということだと思われる。加えて、サムソンは独自の5Gアンテナ、チップもあるので、ファーウェイの5Gアンテナが米国同盟国では使いにくい状況では有利な立場にある。

CESでは、「どのような世界になるか」、また、そのためには「どの様な製品が役に立つか」、というメッセージが必要で、既存の技術を単に展示する旧来の方式からとは変わってきている。

国別で、特に「スタートアップの振興」という意味では、フランスが「フレンチテック」というキーワードを掲げ、相変わらず大きなブースを構えていた。今年は特にオランダも力を増していた印象だ。他国ではイギリスも力を入れていたが、「ヨーロッパ全体の一体感の無さ」はもったいなく感じられた。

アジアは中国が米国との貿易戦争により息を潜め、韓国が勢いを増しており、日本は相対的にもっと拡大をしていかなければ「良い取り組みが埋もれてしまう危険性がある」と感じた次第だ。

山本康正(やまもと・やすまさ):DNXベンチャーズ、インダストリーパートナー。ベンチャーキャピタリストとして日本と海外のベンチャー企業のビジネスモデルを精査し投資している。ハーバード大学客員研究員。1月15日、著書「次のテクノロジーで世界はどう変わるのか」発売。

「次のテクノロジーで世界はどう変わるのか」 (講談社現代新書)

著:山本康正

【内容紹介】

新世界はAI+5G+クラウドの3角形(トライアングル)で激変する。理学修士・38歳ベンチャー投資家にして元グーグル・京大特任准教授がわかりやすく描くこれから必須の「テクノロジー基礎教養」。

  • 近未来の企業・世界はどのような形となるのか
  • テクノロジーの根本を理解するカギ「トライアングル」とは?
  • FAANG+M(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル、マイクロソフト)はなぜ強いのか?
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これらの大枠を2時間で知ることのできる、近未来のテクノロジーを知るための入門書。

ソニーも新型コロナウイルス感染拡大懸念でMWC出展取り止め

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、Mobile World Congress(モバイルワールドコングレス、MWC)への出展を取りやめる企業が相次ぐ中、Sony(ソニー)が同様の措置を取ることになった。

「お客様、ビジネスパートナー、メディアのみなさまそして社員の安全を最優先し、スペイン・バルセロナで開催されるMWC Barcelona 2020の出展と参加の取り止めるを決定しました」というプレスリリースをソニーは出した。

MWCは2月24日から27日にバルセロナで開催されることになっている。

予定していたプレスカンファレンスは2月24日午前8時30分(中央ヨーロッパ時間)にYouTubeのXperia公式チャネルを通じてリモートで開催する、とソニーは発表している。

「この困難な時期、みなさまのご理解とサポートに感謝しております」とも付け加えた。

ここ数日、Amazon、Ericsson、LG、NVIDIA、ZTEといった多くの企業が新型コロナウイルス感染拡大の懸念からMWC出展・参加を取り止めると発表した。

世界保健機関(WHO)は2020年1月、国際的に新型コロナウイルス感染拡大が懸念されるとして公衆衛生上の緊急事態を宣言した。

この記事執筆時点で、ウイルス感染と死亡のほとんどは、ウイルスが最初に確認された中国国内でおこっている。湖北省武漢市で最初に症例が報告された。

ZTEXiaomi(シャオミ)を含むいくつかの中国テック企業は、新型コロナウイルス感染の懸念からMWC参加に際して、中国からの社員移動を制限し、参加前の一定期間、社員が自己隔離を実施するといった変更を加える、と明らかにしていた。

2月9日、MWC主催者のGSMAもまた出席者を守るために厳しいルールを発表した。湖北省からの参加は禁止し、中国からの参加者はMWCの14日前に中国外に滞在していたことを証明する必要がある、というものだ。

また、参加者は新型コロナウイルスの影響を受けた人と接触していないことを自己証明する必要がある、とGSMAは述べた。

2019年のMWCには198カ国から11万人が参加した。

GSMAは「さらなる対策も検討中で、我々は今後も状況を注視し、場合によっては追加措置もあり得る。我々はすばやい対応が求められる、刻一刻と変わる状況と戦っている」とも語った。

MWC参加者数はここ数年10万人を超えていたが、2020年のMWCではこれまで参加してきた企業が移動を再考せざるを得ない状況に直面しており、参加者数の減少が予想されている。

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(翻訳:Mizoguchi

くらしのマーケットが総額40億円を調達、ゼンリンデータコムとの連携も

くらしのマーケット」を運営するみんなのマーケットは1月21日、総額40億円の資金調達を発表した。第三者割当増資と融資(デットファイナンス)による調達で、第三者割当増資の引受先はシリーズAラウンドからのリード投資先であるニッセイ・キャピタルのほか、新たにグロービス・キャピタル・パートナーズ、ソニー、大和証券グループの大和キャピタル・ホールディングスが運営するInnovation Growth Ventures、ゼンリンデータコムが加わっている。これに日本政策金融公庫からの融資を加えて総額40億円となる。調達資金の割合は非公開。

くらしのマーケットは、エアコンや洗濯機、換気扇などの清掃、引っ越し、家事代行、遺品整理などのサービスを個人からネット経由で直接プロに頼めるスキルシェアのマーケットプレイス。サービス開始は2011年で、最近ではテレビCMも放映されているので知っている読者も多いことだろう。2019年12月末時点における累計出店登録店舗数は3万3000店超となっている。

今回調達した資金は、くらしのマーケットの認知向上、プロダクト開発、関連スタートアップへの投資、人材の採用と教育に当てるとのこと。

また同社は、第三者割当増資の引受先として名を連ねている、位置情報サービスを提供するゼンリンデータコムとの業務提携も発表。高精度な地図データや位置情報サービスなどをくらしのマーケットに参加する出店者やユーザーに向けに活用していく計画だ。

PlayStation 5が2020年のホリデーシーズンに発売

ソニーにはまだ、CESでの記者会見に1つや2つのサプライズを用意する力がある。そのひとつが、PlayStation 5が2020年のホリデーシーズンに登場するという発表だ。

次世代コンソールについての詳細な話はなかったが、基本的な機能として、ソニーだから当然3Dオーディオを搭載し、触覚的でアダプティブなトリガーや超高速SDD、ハードウェアによるレイトレーシング、そしてブルーレイ(物理メディア)に対応する。

[^ロゴは新しくない。グラフィクスのクオリティーに対する反省もない。]

発表の1カ月近く前には、PS5に対抗するXbox Series Xが発表された。発売時期はほぼ同じだから、2020年の年末には、また激しいコンソール戦争が勃発するだろう。

発売まで1年を切っているにも関わらず、PS5とXbox Series Xの両方とも、わからないことが多すぎる。CESよりもクレージーなE3やGamescomなどの数カ月後に行われるゲーム専門のカンファレンスを待つことにしよう。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

PS4の操作性を向上させるDUALSHOCK 4用の公式「背面ボタンアタッチメント」

PS4のコントローラーで操作する際、多くの人が主に親指と人さし指を使っているが、怠けているほかの指も使えたら操作性はアップするはずだ。というわけで、ソニーから登場したのがDUALSHOCK 4の背面に2つのボタンを追加するアタッチメントだ。

背面ボタンアタッチメントという製品名はベタなものだと思うが、PS4の公式アクセサリとなり。ワイヤレス・コントローラー、DUALSHOCK 4の背面ポートに取り付ける。2つのパドルボタンは中指で操作しやすい位置にあり、合計16種類の操作を割り当てることができるという。

アタッチメントの表面には小さなOLEDスクリーンがあり、ボタンの割り当てが「リアルタイムで表示される」とのこと。常に知りたい情報でもないと思うが、設定を切り替えたり、編集したりできるタッチスクリーンになっているのだそうだ。

さすがソニー、天才的?いやいや、リアボタンというアイデアは以前から存在し、Scuf、Astroなどのサードパーティからからプロダクトが販売されていた。これらのメーカーのカスタマイズ可能なスティックやボタンは、プロゲーマーのお気に入りだ。ちなみにコントローラーの背面に点字で情報を表示する技術はMicrosoft(マイクロソフト)が特許を取得している。

パフォーマンス志向のゲーマーが全員、サードパーティのギアを使っている状況は、ソニーにとっては好ましくないものだが、PS5が準備されている中でDualShock 4.5といった新しいコントローラーをリリースしてもあまり意味がない。アタッチメントの発売は、なかなか賢明な判断だ。それにパススルーで使える3.5mmのヘッドフォンジャックがあるので、手持ちのヘッドフォンも使用できる。

価格も税別2980円と手ごろなので、ScufやAstroのコントローラーを買うほどでもないカジュアルなプレイヤーの衝動買いも期待できる。残念ながら、背面ボタンアタッチメントはクリスマスには間に合わない。発売は年明け(日本では2020年1月16日予定)になるが、1月7日からラスベガスで開催されるCES 2020には展示されるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ニオイ可視化センサーのアロマビットがソニーの新設ファンドから1億円を追加調達

ニオイを可視化するセンサーを開発し、関連サービスを提供するアロマビットは11月11日、Sony Innovation Fund by IGV(ソニーと大和キャピタル・ホールディングスが合弁で6月に立ち上げた新設ファンド)を引受先とした第三者割当増資の実施により、1億円を調達したことを明らかにした。

アロマビットは10月21日に日本たばこ産業およびEast Venturesから総額3.5億円の調達を発表しており、本ラウンドの調達金額は合計で4.5億円となる。また同社は3月にもソニーが運営するSony Innovation Fundから出資を受けたと発表している。

本誌でも何度か紹介してきたとおり、アロマビットが開発する小型ニオイイメージングセンサーは、さまざまなニオイの成分を複数の吸着膜で吸着し、重さの変化をセンサーで読み取ってパターンとして出力することで、ニオイのパターンを「可視化」するというものだ。従来のガスセンサーが特定の成分にだけ反応していたのと比べて、より生物の鼻に近い判断が可能となる。

同社は7月に、半導体素子を使った、より小型で高解像度のニオイセンサーの開発強化を発表している。感度が高い従来の水晶振動子型と並行して、高解像度・超小型のシリコンCMOS型センサーにより、スマホやIoT機器にも搭載可能なニオイセンサーの実用化を目指している。

アロマビット代表取締役の黒木俊一郎氏は、「顧客からのヒアリングによれば、次世代モビリティや自動運転、スマートファクトリー向けに、ニオイセンサーでなければ解決できない需要が明確になってきている」と述べている。世界的なハイテク機器メーカーやIT企業などから、ニオイセンサーのハードだけでなく、ニオイデータの活用についても協業案件が増えているとのことで、「今まさに、小型ニオイセンサー市場は立ち上がりのフェーズを迎えている」と黒木氏は見ている。

調達資金については前回発表と同じく、ニオイイメージングセンサーの開発強化・量産体制の整備とニオイデータベースによる新製品・サービスの開発強化、営業・マーケティング体制のグローバル展開へ投資していくということだ。

なお、アロマビットでは今回の発表に合わせて、ニオイの可視化・データ化テクノロジーがもたらす暮らしをイメージした動画を公開した。動画では、同社が実現しようとしている「ニオイ・カオリが可視化された世界」の一端を垣間見ることができる。

ソニーのRX100 Ⅶでハチ公前から江ノ島まで理想の写真と動画が撮れた

ソニーの最新のハイエンドコンパクトであるRX100 VIIは製品名が示すとおりRX100の7代目だ。登場以来、このシリーズは軽量、コンパクトでかさばらず高画質という点がビデオブロガー、プロのライターなどのエンスージアストから強く支持されてきた。RX100 VIIは現在のテクノロジーが許すかぎりこの方向を洗練させたモデルだ。1200ドルという価格(日本では15万6600円)を払う用意があるなら躊躇なく推薦する。

ソニーがこのカメラに搭載した機能を考えるならならこの価格は決して高くはない。35mm換算で24-200mmというあらゆる場面に対応可能なカールツァイスのズームレンズ、AF、手ブレ補正、毎秒20コマの連写、フリップアップ式タッチスクリーンなど最高のテクノロジーが詰め込まれている。

Sony RX100 VII 2

ポケットにパワーを

RX100 VIIは携帯性と機能を最高レベルでバランスさせることに成功している。携帯性の点で最も優れているのはいつでも身につけていられるという点でスマートフォンだ。一方、画質ということになればフルサイズの撮像素子と明るいズームレンズを載せたデジタル一眼だが、こちらは大型犬に負けないく重くてかさばる。

RX100 VIIの驚くべき点は携帯性ではスマートフォンよりわずかに大きいだけなのに専用カメラバッグが必要になるハイエンドのデジイチ並みの画質が得られる点だ。

RX100 VIIには1インチの撮像素子が搭載されている。これはスマートフォンの撮像素子に比べると4倍程度あるはずだ。画質の点で撮像素子のサイズを補うものはない。このハンデをAppleとGoogleはソフトウェアで補おうと懸命に努力し、それなりの成果を得ている。しかし残念ながら完全に成功してはない。

Sony RX100 VII 4

The RX100 VIIが1インチの撮像素子を使い、フラッシュ、外部マイクのジャック、可動式液晶ディスプレイを内蔵しながら全体がほぼ手の中に収まってしまうサイズにまとめられているのは驚く。特にフリップアップ式ディスプレイは自撮りする際に必須となる。ビデオブロガーにはなくてはならない機能だ。

Sony RX100 VII 5

もうひとつ重要な点は本体にUSB-Cポートが設けられていることだ。直接充電ができるのでバッテリー充電器を持ち歩く必要がないのは非常にありがたい。このポートは充電、データ交換双方をサポートする。もちろん専用充電器を使ったほうがチャージは速い。

ズーム性能

ソニーがRX100 VIIに搭載したレンズは24-200mm(35mm換算) f2.8-4.5のカールツァイスだ。ズーム比が8倍以上ありさまざまな撮影条件をカバーする。

望遠側が200mmまであるのは旅行先やカンファレンスで簡単に近寄れないない対象を撮影したいときに威力を発揮する。しかも200mmでも画質は驚くほど鮮明だ。下の作例でもわかるように、光が十分に回っているときの描写は申し分ない。作例では同じシーンをワイド端とテレ端で撮影してみた。


 

24mmにはディストーションがあるが、ソニーの画像補正ソフトによりJPEG画像では気にならない程度に軽減されている。下の例のように腕を伸ばして自撮りすることも可能だが、ビデオブログを撮影するなら自撮り棒を使ったほうが自然な絵になるだろう。

DSC03049

瞳追従AF

このモデルには他のハイエンド・コンパクトにはない魅力的な機能がいくつか搭載されている。私はAF方式が気に入った。ソニーでもこれまではA9や新しいA7R IVなど最高級機種だけにあった機能だ。

RX100 VIIでは人間であれ、動物であれ、瞳追従AFが使える。これは同種の自動追従AFの中でも最高の出来だと思う。特に動物でも瞳追従可能なのはソニーの成果だ。なんとソニーのAiboにも追従した(東京のソニー銀座パークで撮影)。

DSC02975 DSC02967瞳追従AFは静止画、動画とも詳細設定が可能だ。追従エリアの大きの設定に加えて追従先を右目、左目も選択できる。これは顔認識と同時に利用できるので顔に追従し、さらに瞳にフォーカスすることができる。

実際の撮影でもこの機能は非常に便利だった。ソニーはこの追従機能が優れている点として多数のオブジェクトの中から目標の顔を正確に選択できること、対象がいったん何かの影になってから再び現れたときに素早くピックアップできることを上げていたが、まさに宣伝のとおりに機能した。あらゆる価格帯を通じてコンパクトカメラとして最高の自動追従AFだ。下の作例では流し撮りでオートバイのライダーを驚くべき精度で写し止めていることがおわかりいただけると思う。

 

低照度

もうひとつ、RX100 VIIの1インチ撮像素子が威力を発揮するのは光が不足している状況だ。スマートフォンにくらべて撮像素子が格段に大きいため個々の受光セルのサイズも大きい。低照度下でも十分に光子を集めることができるためノイズも少なく解像度も高い。内蔵の光学手ブレ補正に加えてソニーがこの撮像素子に裏面照射方式を採用しているのも高画質を実現する一助となっているようだ。

ただし室内で本当に低照度の条件で動きを止めようとするとフルサイズやAPS-Cのデジイチに比べてややノイジーになるのはやむを得ない。

GoogleのPixel 3と先ごろ発表されたiPhone 11が驚くべき成果を上げていのと比較すると、またソニーは低照度下でのソフトウェアによる画像処理にはさほと注力していないようだ。しかしその場で肉眼で見たままに近いため、これは必ずしも欠点とはいえないと思う。いずれにせよ解像度の点でスマートフォンはRX100 VIIとは比較にならない。

 

上の作例でもわかるとおり、画面内に十分光が回っている箇所が一つでもあれば素晴らしい画質が確保できる。ただし全体が暗い場合にはやや質が落ちる。こういう状況で満足できる写真を撮るためにはフルサイズのセンサーに明るいレンズを搭載したフラグシップ級のデジタル一眼カメラが必要になるだろう。

動画撮影も強み

RX100 VIIの大きなセールスポイントはこのサイズとして異例に充実したビデオ撮影機能だ。箱から取り出したそのままの状態でも十分に高い能力があるが、別売のアクセサリーを追加すればプロ級のビデオが撮影できる。
ホームビデオはもちろん、プロ向けの高価でかさばる機材を使わずにビデオをアップグレードしたいと考えているユーチューバーやビデオブロガーにも十分な能力がある。

こうした場合、高倍率ズームは圧倒的に便利だ。下の動画作例の2番目の室内のショーは低照度だが十分鑑賞に耐える。3番目のシーン(ハチ公前交差点)は200mmを使っているが手ブレ補正が強力なため人物の動作がはっきりわかる。最後のシークエンス(築地場外)では歩きながら周囲を広く撮影してみた。

本格的動画を撮影したい場合、外部マイク用ポートがあることは重要だ。別売のシューティンググリップ「VCT-SGR1」に小型のショットガンマイクや、さらに本格的にいくならRode Wireless Goのようなマイクを接続すれば軽量コンパクトな理想的取材カメラとなる。ズームレンズ、外部マイクによる音質はスマートフォンではとうてい太刀打ちできない。

結論

サイバーショット、RX100 VIIはコンパクトカメラの最高峰として自信をもって推薦できる。このサイズ、カテゴリーでは比較の対象がない。画質はもちろんズームレンズのカバー範囲、オートフォーカス、ビデオ撮影どれをとってもトップだ。特にトラベルカメラとしてはジャンルを通じて最高だろう。
5年前だったら空想するだけだったレベルに到達している。

スマートフォンに飽きたらなくなってステップアップを考えているユーザー、すでにハイエンドのデジタル一眼を持っているが携帯性のいいコンパクトカメラを探しているエンスージアスト、定期的にビデオブログを公開しているプロ、いずれにもRX100 VIIは理想的だ。唯一のハードルは価格かもしれないが、能力を考えれば極めてリーズナブルだと思う。

 
 
 

原文へ]作例全88枚は原文末ギャラリー参照

(翻訳:滑川海彦@Facebook

基本性能に優れたソニーのWF-1000XM3は毎日使いたいANCワイヤレスイヤフォン

本当ならもっと早くに、このWF-1000XM3をレビューしたかった。しかし、モノが到着したのが、ちょうど私が旅行している最中だったのだ。これは2つの点でとても残念だった。1つには、はっきり言って私は遅れて製品レビューを書くのが嫌いだから。もう1つは勝手な言い分だが、できることなら、その香港に行く16時間のフライトで実際に試してみたかったからだ。

そうした長時間のフライトは、この新しいソニーのフルワイヤレスイヤフォンが想定している、ぴったりの使い方だ。十分過ぎるほどのバッテリー寿命と、アクティブなノイズキャンセリング機能(ANC)を備えたこのモデルは、明らかにBose(ボーズ)が押さえている市場に狙いを定めている。

数週間前のプレビュー記事でも述べたように、このカテゴリーの製品を発売するメーカーには、大きく2つのうちのいずれかの方向を目指す傾向がある。1つは、運動やフィットネスに適した製品(たとえばJaybirdsやPowerbeatsなど)、もう1つは、通常のライフスタイル的な製品(Airpodsなど)だ。この製品によってソニーがどの市場を目指しているのかは明らかだろう。BoseのQuietComfortに対抗する同社のオーバーイヤータイプのヘッドフォンと同じ領域だ。

関連記事:Beatsから新型AirPodsチップ搭載の完全ワイヤレスイヤフォン「Powerbeats Pro」

このXM3(「0」が多すぎるので、今後はこう呼ぶ)は、フィットネスに適した防水機能や、ランニング中に使うのに安心なイヤスタビライザーを備えていない。もしそのあたりを求めている人ばかりだと、この製品は苦境に陥ってしまうだろう。しかし、ランニングに適した製品なら他にいくらでもある。例えば同じソニーのWF-SP700Nなどがそうだ。旅行に連れていく製品を探している人にとっては、XM3以上の製品はない。

Beats(ビーツ)のPowerbeats Proと同じように、ソニーはXM3のケースで携帯性よりもバッテリー寿命を優先させた。ソニーのケースは、Beatsのものほど大きくはないが、それでもおそらくほとんどのポケットには大きすぎる。とはいえ、嬉しいことに、ノイズキャンセリング機能がオンでも6時間、オフなら8時間も単体でバッテリーが持続する。したがって、ほとんどの場合、ケースは家に置いて出かけても大丈夫だろう。

充電機能を備えたケースをいっしょに持ち運べば、ノイズキャンセリングがオンで24時間、オフなら32時間もの音楽再生が可能となる。ケース底面のUSB-Cポートを使って、10分の充電で90分の再生が可能だ。ワイヤレスで充電することはできない。AirPodsと同様、それは2世代目の製品で実現するのかもしれない。

XM3の楕円形のデザインは、スポーティな700Nと共通するものがある。大きさは小さめで、色は目立たないブラック、またはシルバーの2色がある。このあたりは白くて目立つAirPodsとは対照的だ。実際、普通のBluetoothイヤフォンのようにしか見えない。ぴったりとフィットさせるには、まず下を向けて耳に入れてから、90度回して持ち上げるようにするといい。実を言うと、初めてデモ機を試したとき、私は下向きのまま使おうとしていた。初心者っぽい誤りだ。

関連記事:アップルが新しいAirPodsを発表、ワイヤレス充電ケースも

この製品には、シリコン製の交換可能な数種のサイズのイヤチップが付属しているが、私の耳には、最初から付いているものがちょうどぴったりだった。イヤフォンを所定の位置に保持するためのメカニズムはないが、本体が小さいので、それほどずれてくることはない。軽くジョギングしたくらいでは大丈夫だった。ただし、防水機能はなにもないので、汗などで濡らさないように注意しなければならない。

Bluetoothイヤフォンの音質は、初期のころから、かなり大きく進歩してきた。それでも、ソニーがこのサイズに、これだけの音質を詰め込んでいるのは印象的だ。最新世代のBluetoothイヤフォンでは、もはやサイズが小さいからと言って、音質で妥協する必要はないのが明らになった。そしてこのXM3は、左右独立型のBluetoothイヤフォンとして素晴らしい音質を実現している。バランスの取れた豊かな音場を再現し、低音も十分だ。

さらに印象的なのは、ノイズキャンセリング機能だ。つい最近まで、小型のワイヤレスイヤフォンではあきらめるしかなかったもの。側面のタッチパッドをタップすると、ノイズキャンセリングとアンビエントモードを切り替えることができる。アンビエントモードでは、必要に応じて外部の音をむしろ積極的に聞くことができる。それによって、イヤフォンを外さずに近くの人と直接会話を続けることも可能となる。特に際立った機能というわけではないが、ソニーが実際の製品で実現してくれたことは嬉しい。

面白いのは、ペアリングしたデバイスに、左右のイヤフォンが、それぞれ独立したBluetoothリンクを張っていること。それは遅延を防ぐのに役立つのはもちろん、それぞれ単独で動作させることも可能であることを意味している。何度か、片方のイヤフォンの音が途切れるという問題に遭遇した。それは不快には違いないが、その場合でももう片方は接続を維持して正常に動作し続けていた。また、左右が独立して動作しているため、バッテリー残量などを知らせる音声ガイドも、別々に行われる。

XM3の価格は230ドル(日本ではソニーストア直販で税別2万5880円)で、AirPodsとPowerbeatsの間となっている。 iPhoneユーザーにとっては、W2チップによる自動ペアリング機能が使えないのは残念だが、NFCに対応しているので、Androidユーザーにとっては、素早いペアリングが可能となる。それを別にしても、XM3には利点が多い。音質は素晴らしく、ノイズキャンセリング機能は秀逸で、バッテリー寿命も長い。

Powerbeatsのようにジムで使うのに最適というわけではないが、それを意識した製品ではないので、そこはしかたがない。よく旅行に出かける人や、着実に毎日使えるイヤフォンを探している人にとって、XM3は今手に入れられるものの中で最高と言える。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

京セラがソニーと組んでオープンイノベーションを加速させる理由

ソニーは7月3日に「Sony Open Innovation Day 2019」を開催した。このイベントは、スタートアップの創出と事業運営を支援する取り組みだ。そして、ここから誕生した子育て世帯向け「仕上げみがき専用歯ブラシ」の「Possi」(ポッシ)が、同社のクラウドファンディングサイト「First Flight」で公開され、事業化に向けた支援募集を開始している。

京セラとライオンのコラボレーションによって生まれた仕上げみがき専用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」

Possiは子供が自分で歯みがきをした後に、みがき残しがないように親が行う「仕上げみがき」をスムーズに行えるようにするというグッズだ。スマートフォンやデジタルオーディオプレーヤーなどとオーディオケーブルで接続し、歯ブラシを歯に当てると音楽が鳴る仕組みになっている。歯ブラシ自体は音波振動などの仕組みはなく、シンプルな手みがき用歯ブラシだが、イヤイヤをする子供が仕上げみがきを大人しく受けられるように、楽しみながら仕上げみがきができるように工夫している。

京セラの研究開発本部メディカル開発センターの稲垣智裕氏はPossiについて「京セラのセラミック要素技術とライオンのオーラルケア製品に有するノウハウを融合した上で、ソニーのエンタテインメント性を加えて実現しました」と語る。

開発に携わった京セラ 研究開発本部 メディカル開発センターの稲垣智裕氏

Possiの構成。子供が歯ブラシを噛むなどして邪魔した場合には、ミュートボタンを押して音楽を止められるようになっている

「歯ブラシのヘッドサイズに合わせて形状や構造をカスタム開発した圧電セラミック素子がヘッドに内蔵されており、ボディに搭載した新開発のデジタル駆動アンプと圧電素子によって小型・軽量・省電力で十分な振動パワーを持つアクチュエーターを実現しました。歯ブラシの基本性能である汚れを落とす力という当たり前の品質を確保しつつ、ブラシに高い振動伝達効果を持たせてオーディオデバイスにしました」(稲垣氏)。

Possiを実現した京セラのテクノロジーとライオンのノウハウ

ソニーはPossiのものづくりを伴走してサポートするだけでなく、キャラクター作りやPV(プロモーションビデオ)作りなどにも参画した。

「子供に楽しく歯みがきしてほしいということから、ソニーのデザイナーによる生き物のような優しい形の歯ブラシや、愛着のわくキャラクター、さらにPVにも出てくる『ポッシといーあー』という曲もわざわざPossiのために作りました」(稲垣氏)。

ソニーグループによるエンタテインメント性の演出

しっぽが歯ブラシになっているキャラクターも新たに作った

製品作りに携わるソニー社内のデザイナーだけでなく、ソニーミュージック所属のアーティストによる曲作りまでできるというのは、エンタテインメント業界で大きな力を持つソニーグループならではの部分と言えるだろう。

「子供の仕上げみがきに悪戦苦闘する日々をテクノロジーでなんとかしたいという気持ちでスタートしたこの企画ですが、思いに共感を得られてライオン、京セラ、ソニーと、多くのメンバーに企業の垣根を越えてかかわっていただくことができた。同じ悩みを持つお父さん、お母さんに届けて、少しでも楽にしてあげたいです」(稲垣氏)。

クラウドファンディングで募集を開始したPossiのラインアップ

今後もSSAPの仕組みを生かしてあらたなものづくりを加速

京セラは2018年12月にSSAPへの参画を表明しており、PossiはSSAPの社外向け案件第1号として、ソニー本社内に設けられた社外の新規事業プロジェクト用の専用スペースに入居し、製品開発に取り組んできた。

京セラ 研究開発本部 フューチャーデザインラボ所長の横山敦氏は2019年7月3日に開催された「Sony Open Innovation Day 2019」のクロストークセッションで、SSAPへの参画を決めた経緯について次のように語った。

京セラ 研究開発本部 フューチャーデザインラボ所長の横山敦氏

「SSAPに駆け込み、ぜひとも協力体制を敷いてほしいとお願いしました。京セラの中でも、オープンイノベーションや新規事業創出にかけた意気込みや熱い思いはたくさん持っていましたが、京セラは我々が持つ技術や製品をお客様に届けるB2Cビジネスがやり方も含めて豊富にあるわけではありませんでした。ソニーが培ってきたB2Cのデザインや知見、技術、知識などでサポートしていただき、協業しながら新しいものを出せたらいいなと考えました」(横山氏)。

横山氏はSSAPの仕組みについて「一言で言うと化学の実験工場のようなもの」と語る。

「熱い思いや創業者精神を持っている人が、ロジカルなプロセスやプロフェッショナルなサービスを得てものにしていく。我々の夢を叶えて企業の価値を世の中に出してくれるというものだと考えています。SSAPは足し算やかけ算に加えて、化学反応が行われている気がします。当初はどうなるか分からなかったアイデアが光り輝いて変化するし、色も形もどんどん変わります。求心力を持って(プロジェクトを)回す中で仲間がどんどん増えて、商品も非常に魅力的になり、協業していただくメーカーも入ってくれて、全く新しいのを生み出すような化学工場のように感じています。化学反応は1回だけではなく2回、3回と続きます。そこには触媒も必要ですし、いろいろな広がりを見せる仕組みだと思います」(横山氏)。

今回の発表によってPossiという製品が生み出されたが、今後もSSAPを通じてものづくりにチャレンジしていきたいと横山氏は語る。

「本日発表した新商品を1人でも多くのお客様の手に届けて、多くのお客様に楽しんで満足していただきたい。今回のプロジェクトで企業同士の連携ができるということがよく分かったので、社内でもトライしてみたいという人が出てきています。内部で前向きにブラッシュアップし、成長を続けているSSAPに組み入れて進めていきたいと考えています。(京セラが)みなとみらいに作った共創スペースという場もあるので、さらに有機的に仲間を引き入れ、新しいチャレンジをしていければと思います」(横山氏)。

京セラは横浜市のみなとみらい地区に「みなとみらいリサーチセンター」を設立し、オープンイノベーションを推進する場として活用している

たこ焼きロボ開発のコネクテッドロボティクスが8.5億円調達、イトーヨーカドー内へロボ設置も

写真に向かって前列の左から3人目がコネクテッドロボティクス代表取締役社長の沢登哲也氏

たこ焼きやソフトクリームなどの調理ロボットを開発しているコネクテッドロボティクスは7月3日、約8.5億円の資金調達を発表した。グローバル・ブレインをリードインベスターとしたシリーズA投資ラウンド1で、以下の企業を引受先とした第三者割当増資となる。

  • グローバル・ブレイン(グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合)
  • ソニー(Sony Innovation Fund)
  • 東京大学協創プラットフォーム開発(協創プラットフォーム開発1号投資事業有限責任組合)
  • 500 Startups Japan(現・Coral Capital)
  • 三井不動産

なお同社はシードラウンド2ですでに約1億円を調達しており、調達総額は約9.5億円となる。同社は2014年2月設立のスタートアップ。代表取締役社長の沢登哲也氏は、東京大学でロボット工学を学んだあと、京都大学大学院に進学。卒業後に飲食店を立ち上げ、飲食業界のさまざまな問題点に直面したことがきっかけで、コネクテッドロボティクスを設立したという異色の経歴の持ち主だ。

関連記事:器用にたこ焼きを返す調理ロボットを開発、コネクテッドロボティクスが6300万円調達

今回調達した資金により同社は、マーケティング強化による販路拡大と新ロボットおよび新ロボットサービスの開発を進める。具体的には、人材の採用と技術力の強化を計画しており、事業推進を大きく加速させさたいとしている。

同社のロボットといえば、テレビにもたびたび登場する長崎・ハウステンボス内にあるたこ焼きロボ「OctoChef」(オクトシェフ)とソフトクリームロボの「レイタ」があまりにも有名だ。

OctoChefは、ディープラーニングを活用して焼き具合を画像解析することで、適切な時間でたこ焼きをひっくり返すことができるアームロボ。生地の作成などの準備、タコや天かすなどの具材の生地への投入、ソースやマヨネーズなどをかけるといったトッピングには人の手が必要だが、鉄板への生地の流し込みから焼き上げ、焼き上がったたこ焼きの取り分けまでをOctoChefが担う。OctoChef1台で、1回あたりの生産量96個、約12人ぶんのたこ焼きを製造できる。

ソフトクリームロボのレイタは、注文から商品提供までに対応。タブレット端末などでメニューを選んだあと、ソフトクリームのコーンをロボットのアーム部分に差し込むと、あとは器用にアームを動かしてソフトクリームを作り上げていく。ソフトクリーム1個あたりの提供時間は30~40秒。

これらのロボットの特徴は、産業用のアームロボットを使っている点。同社がソフトウェアでチューニングを施すことで専用ロボ化しているのだ。特定用途向けに特注するロボットは導入コストが1000万円を超えるケースも多いが、大量生産される汎用ロボであれば導入コストを大幅に抑えられる。同社によると、これらのロボットシステムをサブスクリプション契約した場合の年間コストは、スタッフ1人の人件費よりも安価になるという。もちろん、休憩を取らせる必要もなく、8時間以上労働させてもまったく問題がないし、不平不満も言わない。ちなみに、OctoChefはユニバーサルロボット社のURS、レイタはDobot社のDobot Magicianがベースだ。

同社はこのほかにも、自動食洗機ロボットサービス「Dish Washing System」やコンビニ向け「Hot Snack Robot」、自動朝食調理ロボットサービス「Loraine」の開発も手がけている。今回の資金調達によりこれらの開発スピードがアップすることに期待したい。

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    自動食洗機ロボットサービス「Dish Washing System」
  2. CR04

    コンビニ向け「Hot Snack Robot」
  3. CR05

    自動朝食調理ロボットサービス「Loraine」

さらにコネクテッドロボティクスは本日、セブン&アイ・フードシステムズと提携し、関東近郊のイトーヨーカドー内に出店しているファストフード店「ポッポ」に、Octo Chefとレイタを展開することを発表した。

10月をメドに関東近郊の1店舗にまず導入し、その後他店舗に広げていく方針だ。具体的な店舗名にについては現時点では非公開となっている。

マイクロソフトとソニー、ゲーム界の二巨頭がAzureクラウドをベースに提携

この20年間、ソニーとMicrosoft(マイクロソフト)のゲーム部門は全面戦争状態にあった。両者は価格で、ゲーム機で、ゲームソフトで、特別ボーナスで常にがっぷり組んで相手を叩き潰そうとしてきた。しかし発表された覚書によれば、両者はこれまでの行きがかりを一時棚上げし、カジュアルなクラウドゲームによってGoogleがゲーム市場を席巻するのに備えようとしている。

具体的内容についてはまだほとんどわかっていない。しかし米国時間5月16日に公表されたソニーの吉田憲一郎社長とMicrosoftのサティヤ・ナデラCEOが握手している写真をフィーチャーした公式覚書には、両者がMicrosoft Azureをベースとしてクラウド化で提携したことが明記されている。

両社は将来のクラウドソリューションに関して共同で開発を進めることとした。両社のゲームおよびコンテンツのストリーミングサービスをMicrosoft Azureがサポートしていく。これに加えて、両社はMicrosoft Azureのデータセンターをベースとするソリューションをソニーのゲームおよびコンテンツのストリーミングサービスに適用する可能性を追求する

ソニーがゲームその他のオンデマンドサービスで他の多数のクラウドを利用できることは疑いない。実際、 Playstation Nowはその例だ。しかしここ数年のうちにゲーム界を激震が襲うことが予想されている。これはインターネットの浸透により消費者の多くがいわゆるコードカッターとなってケーブルテレビを解約しはじめたことと比較できる。Netflixなどのストリーミングサービスの躍進により、これまでテレビ番組や映画の視聴で圧倒的な勢力を誇っていたケーブルテレビ企業は一気に苦境に追い込まれた。ゲーム企業がこうしたクラウド化に対応するためには巨額の資金とノウハウを必要とする。

最も警戒すべき挑戦者はなんといってもGoogleだ。今年3月、GDCで発表されたStadiaゲームストリーミングサービスは、Googleの技術力、資金力、世界的認知度に加えて、検索とYouTubeという入り口を押さえている。これまでGoogleはゲームではさほど強くなかったが、今後は別だ。ブラウザでゲームを検索し、好みのゲームを発見すれば文字通り5秒後にそのブラウザ内からゲームがプレイできるというのは脅威だ。しかもこういうことができるのは現在Googleしかない。

これだけでも容易ならぬ暗雲だが、Microsoftとソニーに手を握らせることになった理由は他にもあるかもしれない。Switchの世界的大成功による任天堂の復活はその1つだ。「いつでも、どこでも、誰とでも」をキャッチフレーズとし、据え置き、携帯両対応でインターネットとモバイル接続に強く依存するSwitchは従来のゲーム専用機を時代遅れにしつつある。Apple Arcadeもあまり魅力が感じられないお仲間だが、正直こちらは誰も気にしていないようだ。

ソニーとMicrosoftの間には秘密のホットラインがあり、「休戦。まずGoogle Stadiaを撃滅。できればNvidia(エヌビディア)も」というようなメッセージがやり取りされたのだろう。

もっとも、想像をたくましくする必要はない。ソニーの吉田憲一郎社長は発表でこう述べている。

Microsoftとソニーはある分野では激しく競争してきたが、長年にわたってもっとも重要なビジネスパートナーの1つでもあった。今回のクラウド開発における両社のジョインベンチャーはインタラクティブなコンテンツのサービスを前進させる上で極めて大きな役割を果たすだろう。

世界的テクノロジー企業であるソニーはストリーミングサービスを手がける技術力もノウハウも持っている。しかしクラウドサービスをゼロから自前で立ち上げるより、すでに地位を固めているMicrosoft Azureの上で展開するほうが有利であるのは明らかだ。

MicrosoftにしてもAzureにソニーのような巨大企業を迎え入れることができればハッピーだ。ともあれソニーとMicrosoftがゲーム分野でライバルだったことはGoogleという両社のゲームビジネスの存立にかかわる脅威に比べれば何ほどのこともない。Microsoftもソニーと戦い続けるよりパートナーとなることが有利と見たはずだ。

ライバルと手を組むという複雑な関係ではソニーのほうが経験を積んでいる。ソニーは以前から撮像素子を始めとするカメラテクノロジーを多くのスマートフォン、デジタルカメラのメーカーに提供してきた。これはソニー自身のプロダクトとバッティングするわけだが、単に売上だけでなく、顧客メーカーからさまざまなノウハウのフィードバックを受けることがソニーが映像業界において不動の地位を確保する上で役立ってきた。

画像業界といえば、両社はソニーの撮像素子とMicrosoftの人工知能を統合した新しいテクノロジーの開発に向かっている。プロダクトとしてはロボティクス、自動運転車となる可能性が高い。この分野の競争は激烈だが、今のところ両社ともにこれというプレゼンスがない。提携の背後にはこの事情を変えていこうという野心もあるかもしれない。

画像:Christian Petersen / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

プレステ4のアーキテクトが次世代機プレステ5はSSD搭載と語る

ソニーのPlayStation 4とPlayStation Vitaのリード・アーキテクトであるマーク・サーニー氏は、Wiredでピーター・ルビンのインタビューに答えて、おそらくはPlayStation 5と名付けられるはずの次世代ゲーム機について以下のような興味ある情報を語った。

次世代PlayStationは現行PlayStation 4、PlayStation 4 Proと同様、AMDアーキテクチャとなる。カスタムチップは第3世代のAMD Ryzen CPUベースで7nmコアを8基備える。

GPUについてソニーはAMD Radeon Naviの利用を計画している。AMDはこの次世代GPUを数カ月以内に公開するものと予想されている。またサーニーは次世代PlayStationのGPUはレイトレーシングをサポートすると述べた。

オーディオも大幅に改善される。3Dオーディオをサポートするヘッドホンやスピーカーを持っていれば品質のアップがわかるはずだ。

PlayStation 5は現行のHDDに代わってデフォールトでSSDを装備する。この点が次世代機のパフォーマンス改善にいちばん影響を与えるだろう。磁気円板が回転するHDDでは読み込みに延々と時間がかかり、ゲーム体験のネックとなっていた。

SSDへの移行でこれが劇的に変わる。サーニー氏によれば、PlayStation 4 Proでは15秒かかっていたスパイダーマンの「ファストトラベル」が次世代機では1秒未満になる。

一方、このインタビューではソニーがPlayStation VRヘッドセットのアップデートを行うかどうかは明らかにされなかった。しかしすでにヘッドセットを所有しているなら、次世代PlayStation用のゲームと互換性は保たれる。

ソニーは今年のE3カンファレンスに参加しないのでまだ当分PlayStation 5について新たな情報を得る機会はなさそうだ。ソニーがPlay Station 5を発表するのは2020年に入ってからとみられる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソニーの「aibo」、アップデートで賢くなったが値段の割にはイマイチ

新型のaiboは素晴らしい。だが、機能が少ない割には非常に高価な“おもちゃ”だ。ロボット犬が本物の犬と比較して優れているところは、「老いたる犬に新しい芸を教えることはできない」というが、それをソフトウェアのアップデートで可能としているところ。まあ、企業がアップデートを続けるのであれば、の話だが。

ソニーは3月18日、「aiboシステムソフトウェア バージョン2.01」のアップデートを順次開始すると発表した。スマホ版の「My aibo(Ver2.0.0)も」同日に併せて公開。上記のアップデートにより、1月に発表されたaiboの新機能「aiboのおまわりさん」が各家庭で利用できるようになった。

同アップデートにより、aiboはルンバのように家の地図を作り、各部屋の名前を付けれるように。そして設定された時間に「犬のおまわりさん」のメロディーとともに指定された場所をパトロールする。

新型aiboの主な機能は「見つけてほしい人」の顔と名前を10人まで登録できたり、パトロールの状況や毎日の暮らしの中での触れ合いの様子のレポートを作成したりできるところ。このような機能では、スマートホームセキュリティを代替するのは現段階では難しいだろう。

今回のソフトウェアでは、上記に加えて、頭部の動き、姿勢、写真のクオリティなどがアップデートされ、尻尾を触られていることを感じられるようになった。良いんじゃないかとは思うが、結局、3000ドルは高すぎる。

(本稿は米国版TechCrunchの記事を翻訳・編集したものです)

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