日本のFPV Roboticsが水陸空のインフラ検査用ドローン「Waver」を発表

日本のスタートアップFPV Robotics は、ドローンテクノロジーを活用して世界中で増大するインフラ検査ニーズに対応する。予期せぬ橋の崩壊などの重大な問題を回避するため、老朽化し​​たインフラを検査するニーズが増えている。FPV RoboticsのCEO兼創業者である駒形政樹氏は、同社のドローン「Waver」を筆者に見せてくれた。WaverはラスベガスのCES 2020でデビューする。

水空両用ドローンであるWaverは、8つのローターを使ってフライトし、フロートを使用して水面上での移動速度を上げることもできる。この二面性が、限定された特定の問題の解決にとても適している。駒形氏は、JR(Japan Railways)が特定の問題を抱えていることに気づき、これを解決すべきだと考えた。

特定の問題とは、鉄道橋の崩壊だ。2011年に只見川の洪水で新潟と福島の複数の橋梁が損傷・崩壊した。JRの新幹線やローカル線を支える鉄道施設の大部分は古く、老朽化が進んでいる。気候変動の結果として頻度を増す自然災害により、損耗がさらに進む可能性がある。

FPV Roboticsは、老朽化したインフラを魔法のように修復したり、自然災害を防止したりすることはできないが、既存の方法に比べてコストを大幅に削減し、オンデマンドで柔軟なモニタリングと検査を可能にする。駒形氏は、JRそしてセンサー企業のOKIと提携してWaverを開発し、カスタム設計として水空両用能力とマルチビームセンサーアレイを加えた。

OKI提供のマルチビームテクノロジーはWaverの底部に設置され、ドローンが水面から川や海底を正確にマッピングできるソナーイメージング機能を提供する。得られた情報は、損傷や崩壊に至る前に、橋や道路などのインフラの交換・補強すべき時期の予測に役立つと駒形氏は言う。

Waverは、河床の所定領域を自律的にマッピングし、水を横切ってルンバのように移動しながら領域ごとの情報をつなげて全体像を構築する。また、平均的なVTOL(垂直離着陸型)ドローンより多い8つのローターが装備されているが、一度に複数のローターへの電力が失われても動作し続けることができるように、余裕を持たせていると駒形は述べた。

Waverは海と河床の検査に加え、地面に足場を伸ばして従来型カメラで橋自体を近距離から視覚的に検査できる。駒形氏は、このような複数の種類の検査には、専門のボート、何時間もの訓練を受けた人員、接近して目を近づけるための一時的な足場などが必要になると指摘する。同氏は、自社の研究に基づき、無人機によって検査コストを従来の方法のわずか20分の1まで削減できると推定する。コスト削減により、従来の方法では人間の検査官を危険にさらすような現場でも、より頻繁にモニターすることが可能になる。

FPVは、橋梁だけで年間約2500万ドル(約27億円)の市場規模と見込んでおり、2020年にはその約4%(約100万ドル=約1億900万円の売上高)を獲得し、翌2事業年度にわたり毎年約200万ドル(約2億2000万円)の増加を目指している。現在、ほとんど外部資金なしで運営されており、既存のシード資金である3070万円(30万ドル)の90%は駒形氏自身が拠出した。この資金で、同社はすでにプロトタイプ(この投稿に貼り付けた画像)から、CESでお披露目する洗練された製品バージョンに移行した。

ドローン開発を得意とするエンジニアである駒形氏は、Waverが日本だけでなく世界中の老朽化したインフラの課題に対応できると見込んでいるが、FPVの最初の焦点は日本の市場機会になると考えている。究極的に同氏が望むのは、FPV Roboticsが世に出すWaverなどのドローン技術が「世界をより良くする」ことに役に立つことだ。インフラ検査のような課題への取り組みは、その手始めとして申し分ない。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

ドローンが監視しながら飛び回る、Sunflowerのホームセキュリティシステム

2020年のCESで目を引く製品のひとつに、新しいタイプのホームセキュリティシステムがある。ドローンを使って家屋を見守り、ガーデンライトを模したセンサーと中央処理装置を合体させたものだ。

Sunflower Labs は、新製品のSunflower Home Awareness Systemを発表した。システムは、社名を冠したSunflower(ひまわり:移動・振動センサーで一見ふつうのガーデンライトだが近くに存在するクルマ、人間、動物などをリアルタイムでマップに表示する)、Bee(蜂:自身で発着する完全自動ドローンで、搭載カメラでライブストリーミングビデオを撮影する)、Hive(蜂の巣:Beeの充電ステーションで、コンポーネントが集めたデータをすべて処理する頭脳を格納している)の3つからなる。

空飛ぶロボットが所有地を監視しながら飛び回る様子は、少々ディストピア風で、複数のカメラとセンサーを配置すればもっと安く簡潔に同じことができるだろう。それでも、Sunflower Labは自社のセキュリティシステムを、「周囲に反応して学習」することで時間とともに改善されていくため、標準的なシステムの進化形だと考えている。

Beeは、従来型の受動的監視システムを補完するように作られており、所有地内で不審な行動が見つかったとき、必要に応じて出動して詳細情報とライブビデオを提供する。つまり、夜どこかでへんな音が聞こえた時、調べに行くための人を待機させておくのと似ている。

Sunflower Labsは2016年に設立され、General Catalystなどから資金提供を受け、サンフランシスコとスイス・チューリッヒにオフィスがある。システムは安くはないが、仕様を見れば驚きではない。価格は9950ドル(約110万円)からで、顧客のニーズに応じて変わる。現在予約受付中で、999ドル(約11万円)の前金が必要。最初の受注分が届けられるのは今年の中頃の予定だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国連邦航空局がドローン向け遠隔識別テクノロジーを提案

米国連邦航空局(FAA)は今週、米国内におけるドローンの遠隔識別に関する規則案を発表した。(その言葉に従えば)「この安全なドローン統合のための次のエキサイティングなステップ」は、現在政府機関に登録 されている約150万台のドローンを識別する、一種のナンバープレートのようなものを提供することを目的としている。

この文書は 連邦官報サイトから、60日間のコメント期間の一部として、一種のドラフト形式で入手可能だ。FAAはこの先2ヶ月かけて、ドローンのオペレーター、愛好家、および広く航空安全専門家たちからのフィードバックを求める。

「ドローンは、わが国で最も急速に成長している輸送セグメントで、わが国の空域に安全に統合されることが極めて重要です」と、運輸長官イーレン・チャオ(Elaine Chao、趙小蘭)氏は声明で述べている。明らかにこの規則は、空港やスタジアムなどの高リスク地域で進行する、安全性の懸念に対処するだけではなく、これまで以上に混み合う空の状況に対処するものだ。ホビーストと、UPSやAmazonのような商業利用との間に、今後さらに多くの問題が出現することを想像することは容易だ。

ドラフトより:これは、無人の交通管理エコシステムにおける重要な構成要素である。たとえば、米国の空域内で飛行しているUAS(unmanned aircraft systems、無人航空機)を識別して位置を特定する機能は、他の有人および無人の航空機に追加の状況認識を提供する。これは、すべてのクラスの空域でのUAS運用の数が増えるにつれて、さらに重要になる。さらに、UASを識別して位置を特定する機能は、法執行機関および公共の安全の確保を担当するその他の公的機関に重要な情報を提供する。

DJIは、この提案を「現在レビュー中」であると表明しているが、このドローンの巨人は、問題のあるエリアに近づきすぎているパイロットに対応するために、約2年前には独自のAeroScope遠隔識別IDテクノロジーを実装していると述べている。

「DJIは、安全性、セキュリティ、および説明責任を当局に提供するためのリモート識別システムを、ずっと提唱してきました」と、副社長のブレンダン・シューマン(Brendan Schulman)氏はあるリリースで語っている。「私たちは、FAAの提案を検討するにあたり、2017年にFAAの航空規則作成委員会(Aviation Rulemaking Committee)によって承認された『無人機の負担とコストが最小化されない場合にはリモート識別は成功しない』という原則に従います」。

原文へ

(翻訳:sako)

最大荷重約200kg、小型航空機のようなPykanoドローンで大農場の農薬散布を自動化する

現代の農業は、農地が圧倒的に広大なので、噴霧などの作業も非常に難しい。そこでPykaは、もっぱら人力に頼っていたその仕事を翼のある自動運転の電動航空機にやらせることにし、しかも規制当局からの認可まで取得した。

DroneSeedで見たように、噴霧などの作業を行うための飛行はとても危険だ。地表すれすれを飛ばなければならないし、しかも地面以外の障害物もある。しかしそれは、自動化に適した作業でもある。いくつかの飛行パターンを、何度も何度も繰り返す作業だからだ。

Pykaのやり方は、ドローンでよく行われている方法とは異なっている。ドローンを用いる場合、その方法は複数の回転翼による操縦のしやすさと離着陸の容易さを活かす傾向にあるが、しかしながら、ドローンは大農場に散布に必要な大量の農薬などを搭載できない(残念ながら)。

Pykaが作った航空機は、従来からある薬剤散布用の単座機に似ているが、コックピットがない。3枚のプロペラを持ち、内部スペースのほとんどは、荷物とバッテリーを搭載するために使われている(最大荷重約200kg)。もちろん自動飛行のために、一連のセンサーシステムとコンピューターも搭載している。

Pykaの平地離陸距離はわずか50メートルなので、わざわざ滑走路を作ったり、遠方から目的の農地までの長距離をフライトしてエネルギーを浪費することもない。面倒といえばバッテリーの交換だが、それは地上のクルーがやってくれる。地上クルーはフライトコースの決定も行うが、実際の飛行経路選択と一瞬の判断は搭載されたコンピューターが担当する。

人間の入力がなくても障害物を見分ける航跡の例

このEgretと呼ばれる飛行機の噴霧能力は、1時間約100エーカーで、ヘリコプターとほぼ同じだが、自動運転航空機なのでその精度は高く、より低空をフライトできる。難しい操縦を人間が行わないため、その点でも安全だ。

さらに重要なのは、国のお墨付きがあるということだろう。Pykaの主張によると、同社は世界で初めて、電動の大型自動操縦航空機の商用化を認められた企業だ。小型ドローンはあちこちで承認されているが、EgretはPiper Cubといった従来の小型航空機のサイズに近い。

ただし航空機だけに関してはそれで良いが、大規模展開については他の問題もある。航空管制や他の航空機との通信、それに関連した機体の認可条件、センサーの能力と回避能力の長距離化などがそれになる。しかしPykaのEgretは、これまでに試験農場で何千マイルもフライトしているため、特別に認可を取得することができた。なお、Pykaは同社のビジネスモデルや顧客、売り上げに関しては口をつぐんでいる。

同社の創業チーム、Michael Norcia(マイケル・ノルチャ)氏、Chuma Ogunwole(チュマ・オグンウォル)氏、Kyle Moore(カイル・ムーア)氏、そしてNathan White(ネイサン・ホワイト)氏らは、いずれも関連分野のさまざまな有名企業の出身。それらはCora、Kittyhawk、Joby Aviation、Google X、Waymo、Morgan Stanley(の元COO)などだ。

同社の1100万ドル(約12億円)のシードラウンドをPrime Movers Labがリードし、これにY Combinator、Greycroft、Data Collective、そしてBold Capital Partnersが参加した。

画像クレジット: Pyka

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

DJIが地上でもトップを狙う、カメラ搭載オフロード車の特許を出願

DJIはカメラドローンにおいて圧倒的にトップに位置する企業だが、地上を走る移動型カメラでは、トップと呼べる企業はほとんど存在しない。後者では、むしろブランド不在な状況だ。そこでDJIは、そのすき間を自らうめる気なのかもしれない。同社は最近、スタビライザーを搭載したカメラを持つ小型のオフロード車で特許を出願した。

DJIの中国における特許を最初に見つけたのはDroneDJ(ドローンDJ)だが、図によると小型のオフロード車はかなり本格的なもので、太いタイヤとカメラとジンバルがスタビライザーに搭載されている。上図からもわかるように、カメラの取り付け台はスプリングと気圧装置で衝撃から保護されている。突然の動きでも、カメラはぶれないのだろう。

この図は、製品の概念を示すものとしては複雑過ぎる。本物の設計図面に手を加えただけかもしれない。そうだとしても、すぐに市場に出てくるとは限らない。しかし、DJIの技術者たちが実際に取り組んでいる本物のプロジェクトであることは確実だろう。

空を飛ぶドローンで十分なのに、なぜ地上用のドローンが必要なのか? ひとつの理由はバッテリー寿命だ。空を飛ぶドローンは、空を飛ぶからこそ運用時間が短い。さらに重いカメラやレンズがバッテリー寿命の短さに貢献する。ドローンが上空からの視点を諦めて地上を走ることにしたら、もちろん運用時間は長くなる。

さらに重要なのは、地上を走るドローンはおそらく空撮が不可能な場所でも利用できることだ。安全点検のために、施設や機器装置の内部や下を走らせることができる。住宅の点検もその例のひとつだ。また、人がいるところでは離陸と着陸を頻繁に繰り返すドローンは危険で使いづらい。

おそらくDJIは蓄積されたドローンの経験から、市場にはたくさんのニッチが存在していること学んだのだろう。しかもドローンの普及によって人々は、どんなところでも自動ロボットで撮影できるはず、と考えている。たとえばDisrupt Berlinで優勝したScaled Robotics(スケールロボテックス)は、骨が折れる建設現場の点検を自動化する。

関連記事: Scaled Robotics keeps an autonomous eye on busy construction sites…建設現場を自動運転で監視するロボット(未訳)

実のところ、DJIにはすでにRoboMaster S1という地上型ロボットがある。それは教育玩具に近いものだが、その使われ方の中には今回の地上型ドローンの開発のヒントになったものが、きっとあるのだろう。

この小さな車が本当に市販されるのか、それはまだわからないが、カメラを搭載した小さな自動運転車が、家やオフィスで本格的な仕事をこなす可能性を、本気で考え始める契機にはなるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

食品を航空宇宙グレードのドローンで配達するMannaがシードラウンドで累計約5.7億円調達

先日ラジオを聴いていたら、インタビューを受けていた「未来派」の人が「いつかドローンが食品を配達するようになるが、そんなすぐには実現しない」と予測していた。予測とはそんなものだ。というのも、来年初めにアイルランドの家庭が利用できるようになるのは、まさしく食品配達のドローンだ。

B2Bドローン配達の「アズ・ア・サービス」企業であるMannaは12月18日、300万ドル(約3億3000万円)の追加投資ラウンドを発表した。本ラウンドはロジスティックにフォーカスしているファンドのDynamo VCがリードし、シードラウンドは累計520万ドル(約5億7000万円)となる。同社は自称「航空機グレード」のドローン配達企業で、自律飛行ドローン配達プラットフォームを2020年初めにまずは欧州で、それから米国で展開する計画だ。

Mannaのドローンは変わっている。通常目にするドローンよりもかなりモジュラー化されており、配達のようなロジスティック用途に適している。欧州と米国で製造されており、カスタムデザインで航空宇宙グレードのドローンを使用する。

このドローンは全天候対応のデザインで、高度500フィート(約152m)超は飛行しない。アイルランドでの最初の食品配達はまず地方で実施され、ゆくゆくは都市部の郊外でも展開される。最初のサービスは、食事オンライン注文プラットフォーム、レストランチェーン、3分での配達という信じられない約束をしている「ダークキッチン」(ゴーストレストラン、配達専門の飲食店)向けに提供される。このサービスは明らかに陸上配達よりもずっと安くて早く、田舎ではその強みをより発揮できる。

Mannaはまた、Flipdishとも提携する。Flipdishはアイルランドのレストランや持ち帰り店が使用しているオンライン配達プラットフォームを運営している。同社のドローンは、レストランやダークキッチンの現場から直接操作され、フードテックプロバイダーやオンラインフードプラットフォームはAPIを通じてアクセスできるようになるとのことだ。つまり、1台のドローンが需要に基づいてあらゆるプロバイダーに対応することを意味する。

創業者で起業家のBobby Healy(ボビー・ヒーリー)氏は以前、Eland Technologiesを創業し、2003年に同社をSITA.AEROへ売却した。直近では航空産業向けB2BモビリティマーケットプレイスのCarTrawlerを創業した。同社のプライベートエクイティLBO後もヒーリー氏は役員としてまだ残っている。

ヒーリー氏は「我々は第5次産業革命の先端にいる。この産業革命はドローンによるものであり、我々はMannaでドローン配達を流れる水のように広げたい。この産業革命は文字通り、世界中のマーケットプイスや経済、コミュニティを変える。単に二酸化炭素排出を抑制するだけでなく、命を救い、雇用を創出する」と話す。

Dynamo Venturesで投資を率いたJon Bradford(ジョン・ブラッドフォード)氏は次のように語っている。「難しいが巨大であるこの分野において、Mannaほど野心的で有能なドリームチームはない。ボビーと彼らの素晴らしいチームは全く先例のない振興マーケットで足がかりをとらえようとしている。2020年に米国で彼らのビジョンの推進をサポートすることを楽しみにしている」。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

超精細な画像を高頻度で撮れるNear Space Labsの成層圏衛星

宇宙関連のテクノロジーという新しい成長分野では、イメージング(画像処理)が重要な市場のひとつだ。それも当然であり、政府にも民間にもイメージングと地球の観測データへの強い需要が今すでにある。軌道衛星はこの需要の一部を満たし、この種のデータを手頃な費用で制作提供するPlatetなどの企業が今では大きく成長している。しかしNear Space Labsは、それらとは違うアプローチで、特定の用途にもっと適したイメージングソリューションを提供している。

Near Space LabsのCEOであるRema Matevosyan(レマ・マテボシアン)氏はあるインタビューで「会社を興したのは『この新しい技術にまったく新しい角度からアプローチして、航空宇宙工学におけるこの盲点を利用したい』と考えたからだ。盲点とは成層圏、航空機が飛ぶ高度の倍ぐらいの高さのことだ。誰もまだ手を付けていないという創業者有利の見地から言えば、そこではとても広大な領域を一望にでき、しかも得られる画像の解像度は航空機やドローン並みに極めて精細だ。さらにまた、画像獲得の頻度をきわめて高くできる。現在のNear Space Labsの画像取得のペースは週でも月でもなく1日であり、それは、これだけの高解像度の画像では従来あり得なかったものだ」と述べている。

このような超高空からの超高解像度画像は、保険、不動産、ロジスティクス、地方行政などの分野にとってきわめて有益だ。Near Space Labsは必要なものを必要な時に、しかも非常に詳細な画像で素早く提供する。これにより、たとえば大規模な建設工事なら、つねに全体の眺望を見ながら進捗をチェックできる。そのほか、交通政策のためには渋滞の状況を時系列で見たり、同じく時系列で港湾の作業効率をチェックしたりできる。従来からある衛星画像では、それだけの広大で精細な画像の提供を頻繁にはできない。しかも従来衛星では、宇宙船の打ち上げ等の費用がきわめて高い。Near Space Labsの技術は、カバー範囲の広さと高精細という画像の質と、画像提供の高頻度という、従来の衛星技術では両立できなかったものを両立させた。同社はそのような画像を、オンデマンドで提供できる。

マテボシアン氏は 「Near Space Labsのプラットホームは本質的にスケーラブルであり、人々が必要としているところへ容易に打ち上げられる。また、従来技術にように災害に弱いなどの欠点もない。例えば、山火事の最中でも後でも飛行できるが、ドローンや飛行機ではそれができない」と語る。

同氏によると、Near Space Labsは気象観測気球を利用したイメージングプラットホームを毎日配備でき、それはそのあとで運用高度に達し、目的領域を2時間ほど撮影する。撮影が終わったらすぐ回収するので、高解像度の画像にすぐにアクセスできる。ハードウェアもソフトウェアもすべて自社製なので、一種のロボティクスのプラットホームであり、それがデータを集めて顧客に提供する。

Near Space Labsはデータだけでなく取った画像のアナリティクスも作り、顧客にイメージングとその解釈の両方を提供している。同社には、Draper AssociatesやWireframe Ventures、そして自動車メーカーのMiniのアクセラレーター部門のUrban-Xが投資している。Urban-Xは、都市生活の形を変えようとしているスタートアップにフォーカスしており、マテボシアン氏によると、都市政策の変容にも今後の大きな機会があり、特に同社が提供する新しいイメージングには喫緊の需要があるだろう。

上の写真をより高解像度(容量33MB)のバージョンで、Near Space Labsが撮影できる細部がよくわかる

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ディズニーの新SWアトラクションのこけら落としでリアルなXウイングがデモ飛行

Boeing(ボーイング)はカプセル型宇宙船、Starliner(スターライナー)の最初の有人飛行の準備のため、最後の重要なステップに差し掛かっている。さらに地球上でも、SFの世界を現実にすることに力を注いでいる。ディズニーが宇宙戦闘機、Xウイングの大型モデルを開発するのを手助けしたのだ。そのXウイングは、米国フロリダ州にあるディズニーワールドに新設された「Star Wars:Rise of Resistance」(スター・ウォーズ:ライズ・オブ・レジスタンス)アトラクションのオープニング記念イベントに登場した。

先週のはじめの夕方のセレモニーでアトラクションがオープンした際に、「ほぼ小型のワゴン車サイズ」のXウイングが、イベント会場の上を飛行した。これはThe Driveの記事の表現だが、同メディアは、ボーイングの航空貨物ドローンを改造したと思われるXウイングを、最初に盗撮することに成功していた。その後、同社は関与を認めていたが、Xウイングが実際に同社の航空機であること以上の情報を提供していなかった。

下のビデオのように、Xウイングは夜空に向かって垂直に上昇し、上空でホバリングして回転してから飛び去っている。ただし、Poe Dameron(ポー・ダメロン)が操縦しているかどうか確認しようと目を凝らしても無駄だ。このXウイングは、無人のドローンなのだから。おそらく、ボーイングが最近公開した「Cargo Air Vehicle」(カーゴ・エア・ビークル)の設計をベースにしたものだろう。6基のローターが、この記事の末尾のギャラリーのクローズアップ写真で確認できるはず。

観察眼の鋭いコアなスターウォーズファンなら、このXウイングが、オリジナルの3部作で使われていたフルシリンダータイプのエンジンを備えたT-65ではなく、ライズ・オブ・レジスタンスに登場する分割シリンダーエンジンのT-70であることに気づくはず。これは時代考証的にも正しい。というのも、このアトラクションは、最新の3部作のタイムラインで、レジスタンスとファースト・オーダーが対立した時代を想定しているからだ。

ボーイングのCAV(カーゴ・エア・ビークル)について付け加えると、今年初めに屋外でのホバリングのテストに初めて成功したあと、最近になって前方への移動を含む3分間のテスト飛行を完了した。この貨物ドローンは産業用に設計されたもので、最大500ポンド(約227kg)の荷物を運ぶことができる。まだテスト段階のものだけに、今回のスターウォーズのデモはなおさら興味深いものだった。

  1. "Rise Of The Resistance Media Preview" Media Preview

    ORLANDO, FLORIDA - DECEMBER 04: X-wing fighters drones perform during the dedication ceremony for the "Rise of the Resistance" attraction opening at Galaxy's Edge at Disney’s Hollywood Studios on December 04, 2019 in Orlando, Florida. (Photo by Gerardo Mora/Getty Images)
  2. "Rise Of The Resistance Media Preview" Media Preview

    ORLANDO, FLORIDA - DECEMBER 04: X-wing fighters drones perform during the dedication ceremony for the "Rise of the Resistance" attraction opening at Galaxy's Edge at Disney’s Hollywood Studios on December 04, 2019 in Orlando, Florida. (Photo by Gerardo Mora/Getty Images)
  3. "Rise Of The Resistance Media Preview" Media Preview

    ORLANDO, FLORIDA - DECEMBER 04: A X-wing fighter drone performs during the dedication ceremony for the "Rise of the Resistance" attraction opening at Galaxy's Edge at Disney’s Hollywood Studios on December 04, 2019 in Orlando, Florida. (Photo by Gerardo Mora/Getty Images)
  4. "Rise Of The Resistance Media Preview" Media Preview

    ORLANDO, FLORIDA - DECEMBER 04: X-wing fighters drones perform during the dedication ceremony for the "Rise of the Resistance" attraction opening at Galaxy's Edge at Disney’s Hollywood Studios on December 04, 2019 in Orlando, Florida. (Photo by Gerardo Mora/Getty Images)

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

DJI Mavic Miniの日本向け特別仕様は199gで気軽に飛ばせる

Mavic Miniは399ドル(日本では4万6200円)という低価格ながら、基本的な機能をすべて実現している。優れたカメラ、長い飛行距離、よくできたコントローラーなど、高品質のドローンとしての重要な条件をすべて満たしている。風にも強く、飛行速度も速くて楽しめる。サイズは非常に小さく、さっとバッグに入れて簡単に持ち運べる。Instagram用の撮影にもぴったりだ。

Mavic Miniの最大のセールスポイントは、もちろんサイズが小さいこと。離陸重量は249g(日本仕様は199g)だ。もちろんこの半端な数字は偶然ではない。重量が250g(日本では200g)以上のドローンを飛ばすには事前の登録や許可が必要となる場合があるからだ。Mavic Miniは軽量で折りたたみも可能なタイプだが、基本的な仕様は優れている。30分間(日本仕様は18分)の飛行時間、4kmまでのHDビデオ送信、2.7Kカメラを保持する3軸ジンバル、AndroidおよびiOSデバイスと組み合わせて動作する物理コントローラーなどを装備している。DJIの他のドローンと比べると、欠けている機能もあるが、399ドル(日本では4万6200円)という価格に対しては、十分な仕様のドローンと言える。

もっと高い金額を出せば、より多くの機能を搭載したドローンが買える。私自身、そうしたドローンのほとんどを所有している。豊富な機能も楽しいことは楽しいが、数年前からDJIの製品も、だんだん機能過多という感じになってきた。今では製品ラインも複雑になってしまい、DJI製ドローンの製品ごとの違いを理解するには、スプレッドシートが必要なくらいだ。ほとんどの製品には、オーナーがけっして使うことのないような、数え切れないほどの機能が搭載されている。Mavic Miniは、そうした製品とは一線を画している。これが基本であり、私は気に入った。

省略された機能を挙げてみよう。衝突検出、超長距離接続、4Kカメラ、ジェスチャーによるコントロール、そして高度なカメラ機能として、追跡フォロー、パノラマ、タイムラプス、光学ズームといったあたりだ。

Mavic Miniは十分に速く、楽しいドローンだが、もちろんあらゆる面で優れているわけではない。応答性は高く、十分に高速だ。軽くて扱いやすい。ただし、Mavic 2と比較すると、やはり小さくてパワーが少ないと感じる。実際、その通りだからだ。とはいえ、小さ過ぎたり、パワーが小さくてもの足りないという感じはない。Mavic Miniはバランスがとれているので、実際に飛ばすのは楽しいはずだ。

小さなサイズにもかかわらず、Mavic Miniは強風にもかなり耐える。米国中西部特有の風の強い秋の日に、200mの上空まで上げてみた。木々から葉をもぎ取るほどの強い風で、私自身は帽子と手袋で身を守っていた。突風も吹いた。Mavic Miniはびくともしなかった。もっとずっと大きなドローンのように離陸し、強風の中を堂々と飛んだ。さらに、ビデオもまったく影響を受けなかった。ジンバルがカメラを安定して保持し、秋の風景をしっかりと記録できた。

Mavic Mini用に、DJIは新しいアプリを用意している。今回のテストには、そのベータ版を使用した。これは、DJI Flyと呼ばれるアプリで、DJI Goを簡略化したもの。そこに、いくつかの機能強化を盛り込んでいる。セーフフライゾーンもアプリに統合されていて、従来のアプリよりも詳細な情報が内蔵されている。空撮共有アプリ、SkyPixelのサポートも強化している。ただし、このバージョンは簡略化されているだけに、DJI Goでは標準的な情報の多くが省かれている。最も目立つのは、画面底部の角にあったミニマップが表示されないこと。DJIには、このアプリのリリース後に、機能を追加してくれることを望みたい。

  1. DCIM100MEDIADJI_0023.JPG

    DCIM100MEDIADJI_0023.JPG
  2. DCIM100MEDIADJI_0025.JPG

    DCIM100MEDIADJI_0025.JPG
  3. DCIM100MEDIADJI_0029.JPG

    DCIM100MEDIADJI_0029.JPG
  4. DCIM100MEDIADJI_0032.JPG

    DCIM100MEDIADJI_0032.JPG
  5. DCIM100MEDIADJI_0028.JPG

    DCIM100MEDIADJI_0028.JPG
  6. DCIM100MEDIADJI_0034.JPG

    DCIM100MEDIADJI_0034.JPG

カメラは価格に見合った品質だ。上の写真は、このドローンで撮影したもので、改変や調整は加えていない。やや曇のある晴れた日に撮影した。ダイナミックレンジは驚くほど広く、青い空と暗いハイライト部分を同時に表現できる。直射日光が当たっている部分では、色褪せたようになってしまうことがあった。

「現に今手にしているカメラこそ最高のカメラだ」とよく言われる。Mavic Miniにもそれが当てはまる。今手に持っているドローンこそ、最高のドローンなのだ。何年もの間、私は巨大なPelican(ペリカン)ケースに、Phantom 2や、後にはPhantom 3を入れて、無理やり持ち歩いていた。それが最高にクールだと思っていたのだ。いざというときには、すぐに車のトランクを開けて、空飛ぶカメラの入ったスーツケースを取り出すことができた。数分後には、スマホとドローンを同期させ、コントローラーをドローンのネットワークに接続できる。それで、飛行時間は15分だった。その後、折りたたみ式のMavicが登場した。これは大きめの望遠レンズくらいの大きさで、カメラ関係の装備といっしょに収納できた。他にもいくつかのドローンが来て、去っていった。一時期は、GoPro Karmaに凝っていたこともあった。

この小さなMavic Miniは、ゲームチェンジャーになる。小さいから、どこにでも持っていける。小さくて軽いので、パソコン用のバッグに入れても、ちょっと大きめのコンパクトカメラくらいに感じられる。

ポータブルなサイズで、もっと多くの機能と、より良いカメラが欲しいなら、Mavic Airがある。今年初めにDJIが発表した折りたたみ可能なモデルで、4Kカメラと5マイル(約8km)のビデオ送信能力を備え、価格は919ドル(日本では10万5820円)だ。

多くのオプションを同梱した「Mavic Mini Fly More コンボ」という製品も用意されている。価格は499ドル(日本では5万9400円)で、感じのよいケース、2つの予備バッテリー(合計3個)、よくできた充電用ハブ、プロペラガードなども付属している。Mavic Miniのカメラは驚くほど優れているが、本体はDJIのもっと高価なドローンほどパワフルでないのは認めざるを得ない。本機は、初めてドローンを購入する人にも、経験豊かなドローン愛好者にも薦められる。DJIは、249g(日本向けは199g)のボディに十分な機能を詰め込み、誰にとっても素晴らしいドローンを作ることに成功した。

  1. dji-mavic-mini-1431

  2. dji-mavic-mini-1451-2

  3. dji-mavic-mini-1452

  4. dji-mavic-mini-1442-1

  5. dji-mavic-mini-1433

  6. dji-mavic-mini-1423

  7. dji-mavic-mini-1428

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

VolocopterとJohn Deereが農業用自動散布ドローンを開発

自律飛行が可能なドローンを開発するスタートアップのVolocopter(ベロコプター)は、産業用および商業用の新しいドローンことVoloDroneの最初のパートナーとして、John Deere(ジョン・ディア)との提携を発表した。農業や産業用重機を開発する同社はVolocopterと協力し、VoloDroneをベースとした空中散布システムを開発する。

Voloctoperが先月末に発表したVoloDroneは、18個のローターを搭載し最大30分間の飛行が可能で、最大440ポンド(約200kg)の荷物を運ぶことができる。設定されたルートに沿って自律的に飛行するように設計されているが、必要に応じて手動での遠隔操作も可能だ。そしてJohn DeereはVoloDroneの貨物キャリアに装着できる、殺虫剤や化学肥料、凍結防止剤などを散布する噴霧器とタンクを開発する。両社はまた、空中からの作物の種の投下といった用途にも可能性を見出している。

Volocopterによると、VoloDroneはこれらの用途においてヘリコプターよりも正確かつより費用対効果の高い選択肢になる可能性があるという。同社はJohn Deereと協力して、次の農作物のシーズンでこれをテストし証明する予定だ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

英国でドローン登録の受付開始、フライヤーIDの取得も

英国のドローン登録の受付が始まった。登録締め切りは今月末だ。英国政府は2年前にドローン登録制度の導入を発表していた。この登録ルールは重量250g〜20kgのドローンやモデル航空機に適用される。

所有するドローンを自分で飛ばしたい所有者は、フライヤーIDを取得するために11月30日までに学科試験を受けて合格する必要もある。誰かが所有するドローンを飛ばしたい人もまた学科試験に合格してフライヤーIDを取得しなければならない。

昨年12月に英国で最も離発着の多い空港でドローンが目撃され、これにより何千人という旅行客が影響を受けた事件以来、英国の大臣は近年ドローン規制の導入が遅いとかなり批判されてきた。今年1月には、ヒースロー空港で未確認ドローンが目撃され、フライトの運航が一時取りやめられた。

ドローンによるガトウィック空港の閉鎖について、警察の調べでは少なくともドローン2機が関わっていたことがこの秋、明らかになった。9月に警察は、捜査対象から96人を除外し、いまだに容疑者を特定できていないと話した。

ガトウィック空港での混乱を受け、政府は空港周辺でのドローン飛行に関するそれまでの法律を厳しくし、禁止飛行区域を1kmから5kmに拡大した。しかし今年導入されるはずだったドローン法案はまだ施行されていない。ドローン所有者に11月30日まで民間航空当局のウェブサイトで機体登録を義務付ける法的措置の導入と同じく、新たなつなぎのルールではドローンを使用する組織にオペレーターIDの登録を求めている。こちらの費用は年間9ポンド(約1300円)だ。

すべてのドローンはまた、オペレーターIDの記載が求められる。この記載は機体のメインボディにはっきりと見えるものでなければならず、地上で読みやすいよう、3mm以上の黒の大文字で書く必要がある。

オペレーターIDを取得する登録者は18才以上が対象で、フライヤーIDを持つ個人のドローンだけを扱う責務がある。フライヤーIDを取得できる個人は13才以上が対象となる。そして、フライヤーIDを取得するオンラインテストは択一式の20問で、16問以上の正解で合格となる。テストを受けられる回数に制限はない。

民間航空当局は、テストに合格するために必要な情報はThe Drone and Model Aircraft Codeにあるとしている。テストを受けたりフライヤーIDを取得したりするのに費用はかからない。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

UPSとCVS、ドローンで処方薬を米住居に初配送

UPSはドローン配送プログラムにてパートナーのCVS Pharmacyと協力し、新たに展開する商用ドローンによって顧客の自宅に処方薬を配送する。11月1日には、UPSはMatternet(マターネット)と提携して開発したドローンシステムのM2を利用し、2人の顧客に医薬品を配送した。

UPSは10月初めにFAAから商用ドローンの飛行許可を得ており、今後数カ月でドローン配送プログラムを複数回実施し、規模を拡大しつつ商業的にドローンを展開できるようにする計画だ。同社はまた、ドローンの自動配送に特化した部門となるUPS Flight Forwardをローンチした。

今回の初期配達では、ノースカロライナ州ケアリーにあるCVS施設にて、薬剤師が処方した医薬品がドローに満載された。UPSの従業員が荷物をドローンに積み込むと、ドローンは店舗から近くの顧客の家まで自律的に飛行し、約20フィート(約6.1m)の高さから荷物を落下した。UPSによると、顧客の1人はCVSの店舗に足を運んで処方箋を受け取るのが難しい状況にあるという。

UPSが医療業界にドローンを導入するのは、今回が初めてではない。同社はノースカロライナ州ローリーのMattternetやWakeMed Hospital(ウェイクメッド病院、ノースカロライナ・ローリーにある大病院)と協力して、B2B分野での医療サンプルの商業配送を行っている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Microsoft AzureがFarmBeatsのプレビュー版を公開し農業テックに参入

Microsoft(マイクロソフト)がフロリダ州オーランドで開催中のイベント「Ignite」で、同社はこれまで主に研究目的だったプロジェクトのAzure FarmBeatsを、パブリックプレビューとしてAzure Marketplaceで米国時間11月4日から公開すると発表した。FarmBeatsは、IoTセンサー、データ分析、機械学習を組み合わせた同社のプロジェクトだ。

GROSSDERSCHAU, GERMANY – AUGUST 14: In this aerial view a combine harvests summer wheat at a cooperative farm on August 14, 2015 near Grossderschau, Germany. The German Farmers’ Association (Deutscher Bauernverband) is due to announce annual grain harvest results this week. Some farmers have reported a disappointing harvest due to the dry weather in recent months. (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

この日の発表でマイクロソフトは「FarmBeatsの目的は、農家が自分の農場のデータとデータドリブンの洞察によって理解を深め直感を強化するものだ」と説明した。FarmBeatsは、センサー、衛星、ドローン、気象観測などさまざまなソースからデータを集め、AIと機械学習によって農家にアクション可能なインテリジェンスを提供することを目指している。

さらにFarmBeatsは、ここで収集され、評価されるデータを利用するアプリを作る開発者のためのプラットフォーム的なものになることも狙っている。

マイクロソフトは開発プロセスに関し、次のように説明している。衛星画像は活用するが、それで農場のすべてのデータを捉えられるわけではない。現場に設置されたセンサーなどのデータが必要で、さまざまな種類のデータをまとめて分析する必要がある。また農場ではインターネットの接続環境が十分でないことも多いため、FarmBeatsはテレビの空いている周波数帯域を利用して接続するマイクロソフトの取り組みを初めて利用するチームになった。そしてもちろん、データの収集にはAzure IoT Edgeを活用する。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

DJIが超小型軽量ドローン「Mavic Mini」を発表、1回の充電で30分間飛行、障害物回避機能はなし

DJIが3年前に発表したMavic Proは衝撃的な新製品だった。折り畳み可能なドローンはこのテクノロジーをもっと大衆に広めるために業界が必要としていたカンフル剤だった。

去る7月私は深圳を訪れて、そのデザインが業界全体にさらには大衆のドローンに対する概念に大きな影響を与えてきたことを確信した。DJIは過去数年、Mavicの製品ラインを洗練し、堅牢なソフトウェアの開発に努めてきた。

MavicのデザインはDJIの他の製品にも影響を与えた。代表的なのがDJI Sparkだ。しかし、表面的な類似性とは裏腹に、このセルフィー用ドローンはMavicシリーズの一員とはみなされていない。つまるところ、このハイエンド機は小さな体にもかかわかず長時間の撮影が可能であることからプロフェッショナルに長く愛されてきたということだろう。

mavic mini 004米国時間10月30日に発表されたMavic Miniは、そんな進化の中で起きた次の論理的ステップだ。Sparkと同じく、新しいドローンは手のひらに無理なく収まる小ささだ。しかしSparkとは異なり、250gを切る本製品は本格的な映像機材として設計されており、2.7 Kビデオを30fps、1080p ビデオを60fpsで撮影できる。静止画は2.3分の1インチセンサーを搭載して1200万画素で撮影する。すべてが3軸モーター式ジンバルの上に載っている。

もちろん、どこをとっても最新のMavic Proに載せられたハッセルブラッドカメラとは比較にならないが、重量と価格が重要だ。Proの存在を踏まえ、DJIとしては両者の間に差を付けたいのかもしれない。もうひとつ、購入を考えている人にとって重要な違いがある。Miniには障害物回避システムが内蔵されていない。そのためのセンサーがおそらく上記の理由から搭載されていないためだ。

mavic mini 006コスト削減などの事情は理解できるものの、2つの理由でこれはかなり大きい欠点だ。第一に、DJIはこの機種を多くの人の最初のドローンとして位置づけている。第二に、このドローンは非常に小さいため、視界から突然消えることが容易に起こる。

Mavic Miniは小さいサイズにも関わらず、あるいは、だからこそ扱いは比較的容易だ。DJIはデモソフトウェアも無料公開していて、本物を犠牲にする前にバーチャルドローンで練習することもできる。とはいえ、障害物回避機能がないことは重大な欠陥だと私は思う。

mavic mini 009それでも気に入っている点はたくさんある。バッテリーは1回の充電で30分間飛行可能で、撮影モードにはさまざまな種類がありボタンを押すだけで本格的な撮影ができる。

Mavic Miniは10月30日から予約可能で価格は399ドル(約4万3400円)。バッテリー3台、予備のプロペラ、キャリングケース、スマホも充電できる充電ハブ、頑丈なプロペラケージをセットにして499ドル(約5万43000円)のパッケージもある。出荷は11月11日からだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Volocopterが大型貨物輸送用ドローンのVoloDroneを発表

都市型エアモビリティー企業のVolocopter(ベロコプター)は、これまで文字どおり電動ドローンのビジネスの浮上に注力してきた。しかし今回ドイツのスタートアップは、パイロットなしに大量の荷物を輸送する新しい電動垂直離着陸機(eVTOL)を発表した。

新しいVolocopterのVoloDroneにはおなじみの王冠のようなローターがあり、同社の有人ドローンに使っているのと基本的に同じデザインだ。しかし、VoloDroneの機体は人間のためのものではなく、四角いプラットフォームで、下部に貨物をフックするためのアタッチメントと、2つの長いランディングスキッドがついている。

VoloDroneは、貨物コンテナの中の着陸ローターの間か、あるいはペイロードを保持するスリング、または同様の運搬機構により440ポンド(約200kg)まで持ち上げられる。1回の充電で35マイル(約56km)飛行でき、農業や公共インフラなど距離がそれほど問題にならない産業や、地上走行車を使って複雑な地形を進むような産業にサービスを提供できる。

Volocopterによると、新しい航空機はミュンヘン近郊を拠点とする専門チームによって開発されたもので、その設計はeVTOLが対象とする業界の戦略的パートナーとの作業によって決定されたという。VoloDroneは今月にも最初のデモ飛行を行っており、これは単なるコンセプトではない。

これは、Volocopterがドローンプラットフォームを目的にあわせてカスタマイズし、バリエーションを新しい分野に拡張する方法の良い例だ。同社が現在のテストとトライアルを超えて、持続可能で収益を生み出すビジネスを構築しようとしている今、これはおそらく重要な要素になるだろう。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Uber Eatsの配送ドローンの外観はこうなる

Uber(ウーバー)は、ドローンによるUber Eatsの配送計画の詳細を明らかにした。同社の計画によれば、年末までに最初のドローンモデルが飛行を開始する。

米国時間10月18日のForbes 30 under 30 Summitで発表されたUberのデザインは、2人向けの1食ぶんのメニューを運ぶように設計されている。可変翼に6つのローターを搭載し、垂直離着陸が可能で、積み下ろしを含めて最大8分間の飛行が可能だ。最大飛行距離は18マイル(約29km)で、往復の配送距離は12マイル(約19km)だ。

Uberが以前に発表したように、計画ではドローンですべての配送を実施するのではなく、その一部に利用される。顧客が注文するとレストランは料理を準備し、それをドローンに積み込む。そしてドローンは飛び立ち、事前に決められた着陸地点へと降り立つ。

また裏では、UberのElevate Cloud Systemsがドローンを追跡・誘導し、配達するドライバーにいつどこで食べ物を受け取るのかを通知する。将来的に、Uberは配達地点の近くに駐車したUberの車の上に、ドローンを着陸させることを考えている。その後、Uber Eatsのドライバーはラストワンマイルを移動し、顧客に食品を手渡す。

来年の夏以降、Uberはこのドローンをサンディエゴでの食事の配達に利用する予定だ。これは、同社がドローンのオペレーターやメーカーと提携して最初のテスト配達を行った後に実施される。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

ロサンゼルス消防局がドローン飛行隊の大規模増強を計画

消防活動の近代化を目指すロサンゼルス消防局(LAFD)は、ドローン航空隊を拡大して大規模に展開することを含む、数々の最新テクノロジーの導入を検討している。米国でもニューヨークやシカゴに次ぐ最大級の消防局であるLAFDは、予算規模はおよそ6億9100万ドル(約750億円)、雇用者数3500名以上、2018年には49万2717件の通報に対応している。

LAFDにはすでに11機のドローンからなる航空隊があり、258台の消防車、救急車、ヘリコプターによる車両航空隊を補完している。しかし、無人航空システム計画部門の指揮をとるRichard Fields(リチャード・フィールズ)消防司令長は、さらに大幅に数を増やしたいと願っている。

ロサンゼルスは、中国のドローンメーカーDJIとの合意も手伝い、消防活動へのドローン利用では先駆者的存在だが、この4月に同社との契約を交わしている。その当時、このドローン製造と画像処理技術の開発を行う中国企業DJIは、緊急時対応準備のためのツールとしてドローンをテストし展開すると発表していた。米国の消防局との契約では、最大規模になると同社は話している。

「米国の中でも卓越した治安機関であるLAFDとの提携強化により、同消防局専用に開発したDJIのドローン技術の先進性を役立てることができて、大変にうれしく思ってます」と、DJIの企業パートナーシップ・マネージャーのBill Chen(ビル・チェン)氏は、その契約当時の声明の中で述べていた。「私たちの双方向の協力関係をとおして、米国でも1、2を争う複雑な都市環境における緊急事態にドローンを展開するという難題から、DJIは貴重な経験を学ぶことができます」。

あれからおよそ5カ月が経過した今、フィールズ消防司令長はドローン飛行隊倍増の検討に入り、計画は十分に成功したと思われる。「我々の次なる計画は、ドローンを我々の専門的人材の補助に利用することです」とフィールズ氏は言う。「つまり、消防士やそのサポートクルーによる危険物処理、都市部での捜索と救助活動、海や河川での救助活動の支援だ」とフィールズ氏。

LAFDの河川救出チーム。写真提供:Flickr/ LAFD Mike Horst

消防局が求めるテクノロジーは、ドローン本体に止まらないとフィールズ氏は言う。「ドローンの汎用性を高めるには、多くのテクノロジーが必要になります。【中略】最も貴重なツールはドローンではなく、そのセンサーです」。

現在までで最も有効な利用法は、赤外線技術を用いて目に見えるものと、センサーが検知した熱の特徴とのバランスをとって組み合わせることだった。

LAFDのドローンパイロットになるための訓練は、とくに厳しいとフィールズ氏は言う。通常は、80時間の訓練を受けることになる。フィールズ氏によれば、「私たちの訓練は米国でも最高のものです。民間市場には、これに勝るものはありません」とのことだ。

現在、LAFDのドローン飛行隊はすべてDJIのドローンで構成されているが、それはこの数年間、軍隊や文民が躊躇してきたことだ。

米国の中核的なインフラが中国技術に依存することへの不安感は、ファーウェイなど中国のネットワーク企業の問題からDJIのドローン技術にまで広がっている。

2018年に米国防総省は、サイバーセキュリティー上の脆弱性を理由に、民間企業製のドローンの購入と利用の禁止令を出した。これが発令されたのは、米国土安全保障省の役人と議員団が、特にDJIを名指しして、それを使って中国政府が米国をスパイする恐れがあると指摘してから1年後のことだった。

しかしながら、ボイス・オブ・アメリカ9月号の記事によれば、この規則は絶対的なものではなく、数多くの軍の支部では、今でもDJIのドローンを使っているという。ロサンゼルスでも、この問題を深刻に受け止めているとフィールズ氏は話した。LAFDは、規制当局や米国自由人権協会などの権利擁護団体と密接に協力し合い、LAFDが収集したデータの扱いに関して厳格な指針を打ち立てた。

「私たちは、リアルタイムで状況確認ができるようドローンから情報を得ることを目的に計画を立てています」フィールズ氏。「それにより、指揮本部長は問題に対する視野を広め、的確な判断ができるようになります」。

フィールズ氏によれば、記録・保管されるのはLAFDが被害の評価を行うための局地的な火災現場のデータのみであり、後に地図のレイヤーに変換されて火災頻発地帯の記録として残されることもあるという。

中国にデータが送信される件に関連して、重要インフラの地図データはインターネットとは切り離して処理されるとフィールズ氏は話している。「そのデータはドローンに蓄積されますが、90%はドローンの運用に関する情報です。ドローンがどこにいるか、どのような状態か、それ自身の緯度と経度、ドローンが収集するのはそのようなものです」とフィールズ氏。

同氏は、政府が外国製ドローンを使うことに懸念を示したとしても、解決策はあると考えている。規制すればいいのだと。「基準を満たせばいいのです。米国の国土の上空を飛ばすには、いくつかの許可を取得しなければなりません」と彼は言う。「DJIのドローンは中国製だから悪い。だから捨ててしまえと言うのは、なんの答にもなりません」。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

AlphabetグループのWingがドローン宅配に初成功

 Google(グーグル)の親会社のAlphabet(アルファベット)からスピンアウトしたドローンのスタートアップであるWingが初の空からの宅配を実施した。Wingは今年初めにアメリカの連邦航空局からドローンによる商用配送のパイロット・プログラムを実施する承認を得ており、FedExと大手薬局チェーンのWalgreensと協力して準備を進めていた。

届け先はバージニア州のコリバー家で商品は「咳止め風邪パック」だった。これにはアセトアミノフェン製剤のタイレノール、咳止めドロップ、ビタミンC製剤、飲用水ボトルが入っていた(なぜ水まで入れてあるのかよくわからないが)。

WingとWalgreensがドローン配送のパイロットプログラムを実施する地区として選んだのが顧客のコリバー家が所在するクリスチャンバーグだった。Walgreensはドローンで商品の戸口配送を行った最初の米国企業となり、FedExもそのロジスティクスを担当したことで、両社とも宣伝効果も含めて大きな成果を挙げたといっていいだろう。

Wingはロジスティクスの中でもっとも困難なラストワンマイルと呼ばれる顧客の戸口までの配送のドローン化を図ろうとしており、同じくバージニア州でSugar Magnoliaと協力している。これは地元のギフトとステーショナリーの専門店で、顧客が注文するのはギフトカードやチョコレートなど比較的小型軽量の商品が多く、ドローン配送の可能性の検証に適している。

Wing drone delivery 3

米連邦航空局(FAA)がWingに交付した航空事業者適格証明(Air Carrier Certificate)はパイロットがリモートで同時に複数のドローンを商用目的で操縦することを認めている。

これは米国におけるドローン配送にとって大きな一歩だった。消費者は今後ますます多くの商品がドローンで宅配されるようになると期待できる。今月初めに宅配便大手のUPSもFAAからドローン宅配サービスの実験の承認を得ている。Wingが成功したことでUPSのテストも大幅に加速されるだろう。パイロットプログラムではない日常の宅配サービスとなるとドローンの利用はしばらく先のことになるだろうが、立法、行政、民間事業者ともこの実験の結果から学ぶことは多いはずだ。

【Japan編集部追記】Wing製作のプロモーションビデオには「サイクリング中に山中でケガをした、子供のバースデーケーキを焦がしてしまった、馬に乗ろうしたら金具が壊れた」などの緊急事態にドローン宅配が対応するようすが描写されている。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

赤外線カメラのFLIRが、廃業したAria Insightsのドローン技術を買収

去る3月、ドローンのスタートアップ、Aria Insightsが突然廃業した。社名を変更し、技術中心へと方向転換する発表をしたばかりだったため、ニュースはちょっとした驚きで迎えられた。米国時間10月2日、サーマルカメラのFlirは閉鎖した同社から知的財産権と営業資産の一部を買収したことを発表した。

Flirは、赤外線カメラで最もよく知られているが、最近ドローン分野への投資にも力を入れており、業界最大手のDJIやParrotらと提携している。

「繋留無人ドローンシステムは、部隊防護、国境警備、重要インフラ保護などに不可欠になりつつある」とFlirのDavid Ray(デビッド・ライ)氏がリリース文で語った。「Ariaの革新的技術と知的財産によって、当社の能力を拡大し、この成長する市場で消費者に提供するソリューションの幅を広げることができる」。

同社は3月にも、iRobotをスピンオフした軍事スタートアップであるEndeavor Roboticsを買収している。Aria InsightsはiRobotとも強い結びつきがある。同社は2008年にiRobotの共同創業者のHelen Greiner(ヘレン・グレイナー)氏らによってCyPhy Worksとして設立された。しかしグレイナー氏が去った後、同社はドローンのハードウェアから データ収集へと方向転換した。廃業するわずか数カ月前のことだった。

「Flir Systemsへの資産売却を完了したことを喜んでいる」と元Aria InsightsのCEOを務めるLance VandenBrook「ランス・バンデンブロック)氏がリリースで語った。「CyPhy WorksとAriaで開発した技術には誇りを持っており、Flirはこの技術をいかして、将来の重大なミッションに役立てる最適な立場にある会社だと信じている」。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Skydioの「自律飛行」ドローンの第2世代は速くて小さくて値段も半分

Skydio(スカイディオ)の初代自律型ドローンR1と、DJIのどれかの製品とどちらを買おうかと迷う人は、それほどいなかっただろう。R1は、どうしても予備機として位置付けられがちなものであり、値段もほぼ2000ドル(約22万円)と高価だった。ユーザーにとって、技術的には優れていてときには便利な場面もあるが、やはりちょっと変態的なものだったのは否めない。

ワクワクさせられるようなものであっても、どうしてもかなりニッチな製品だったのだ。Skydioは、それとはまた異なった種類の自律型ドローンを開発するために、Andreessen Horowitz、IVPおよびPlayground Globalから、7000万ドル(約75億3900万円)の資金を調達した。

第1世代の機体は、見た目からしていかにもプロトタイプのような感じだったが、同社が間もなくリリースするSkydio 2は、メインの機体として持つのにふさわしい機能性を備えている。このドローンの価格は、初号機の半額の999ドル(約10万7500円)で、より速く飛び、はるかに小さくなり、よりポータブルで、バッテリー寿命も長い。オプションのアクセサリを使えば、一般的なドローンと同じように手動操縦で飛ばすこともできる。

R1の最大の問題は、その卓越した自律飛行モードが侵し難いデフォルトで、他の使い方はできなかったこと。2000ドルもする製品を買っても、日が暮れてしまうと、離陸することすらできなかった。飛行距離も短く、速度も速い方ではない。結局は、特殊な状況では役に立っても基本的なことができない、というデバイスに縛られてしまうことになる。ただし、以前には考えもしなかったようなショットが撮れるのも確かだ。たとえば、スノボで山の斜面をバレリングして滑り降りながら、後ろにぴったりドローンを追従させて撮影するようなことも可能だ。それでいて、ドローンを操縦して水平に動かしながらパノラマ的な映像を撮ることはできない。そうかと思えば、組み込まれた動作を使って、映画の1シーンのような「ドローニー」と呼ばれる一種の自撮りはできる。

Skydio 2は、やはり自律飛行に主眼を置いているが、オプションで、マニュアル操縦が可能な149ドル(約1万6000円)のコントローラーも用意している。また、ドローンをより遠くまで飛ばし、ユーザーをさらに正確に追跡できるビーコンも、同じく149ドルのオプションとして用意する。ドローンの飛行レンジは、スマホで操作する場合には200m、ビーコンなら1.5km、コントローラーなら3.5kmとなっている。

速度はかなり速くなり、航続時間もじゃっかん長くなっている。第1世代の最高速度が26mph(約42km/h)だったのに対し、第2世代の機体は36mph(約58km/h)となった。バッテリー寿命は23分で、まだDJIのMavic 2には及ばないが、Skydioの初号機の性能は上回っている。

新しいコントローラーを使って、このドローンを飛ばしてみる機会が得られた。このドローンは、その賢さを、操縦者が忘れてしまったころに真価を発揮する。通常のドローンでは、林立する木の間を真っ直ぐに飛ばすなどというのは、かなり熟練したドローンパイロットにとっても悪夢のような体験だ。それもSkydio 2なら朝飯前。真っ直ぐに進めという操縦者の指示は、大きな目的として守りながら、木の枝や幹といった障害物を避けながら進む具体的な経路を自分で探し出して飛ぶ。エキスパートになるつもりもない初心者の操縦者にとって、これは非常に価値の高い機能だ。少なくとも私が体験した範囲では、どんな状況でも安心して飛ばすことができた。

消費者向けドローンの市場は、多くのメーカーがかなり拮抗しているが、この価格であれば、Skydio 2は、先行する競合と比べても広い客層をつかみ、それなりに売れるだろう。

Skydio 2は、少ないリソースでより大きな成果を上げている。搭載するトラッキング用のカメラは、前任機が12台だったの対し、6台のみとなった。トラッキング用ではなく、ジンバルで保持されたSkydio 2のメインカメラの画質は、そこそこ何にでも使えそうな、4Kで60fpsという仕様の撮影が可能なもの。しかし、本当の映りを評価するには、もう少し長い間、このドローンを使ってみる必要があるだろう。

ドローン市場の現状を見渡してみれば、Skydioは、信じられないほど競争力のあるドローンを開発し、かなり手に入れやすい価格で販売しようとしていることがわかる。同社の最初の製品は、アクションカメラ愛好家向けの実験的なものだった。Skydio 2は、DJIの世界ではほとんど見られないような方法で、消費者向けドローン市場の風向きを変える可能性もある。

Skydio 2は、11月に999ドルで数量限定で発売される。発売に先立ち、現在同社のウェブサイトでは100ドル(約1万700円)で予約を受け付けている。同社は、昨年初めに発売した初号機を購入した人は、Skydio 2を「大幅な割引価格」で入手可能になるとしている。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)