プロお墨付き音楽スタートアップのROLI、財政難を経て「Luminary」として再出発

2013年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)で、創業者兼CEOのRoland Lamb(ローランド・ラム)氏がSeaboardの鍵盤を叩いているのを見た途端に、私はROLI(ロリ)に魅了された。ロンドンを拠点とするこの会社は、2016年に発表したモジュール式のBlocksシステムをはじめ、長年にわたって独創的な音楽ソリューションを提供し続けている。

もちろん、クリエイティビティとスタートアップの爆発的な成功は、我々が思うほど一致しないものだ。Business Insiderによる同社のプロフィールは、ROLIの最近の苦境について「ニッチ」な製品群に言及しているが、これはおそらく妥当なことだろう。音楽業界や技術系メディアで知名度の高いファンを獲得したにもかかわらず、同社のデバイスはメインストリームでの成功を運命づけられていなかったようだ。

コロナ禍も相まって、ROLIは英国での管財申請という回避策を取らざるを得なくなった。ラム氏と彼の70人ほどの従業員は、Luminary(ルミナリー)というスピンアウト企業によってROLIの夢を生かし続ける。

画像クレジット:Roli

LuminaryがROLIの知的財産とその負債の両方を引き継ぐことはすでにわかっていたが、これが正確に何を意味するのか、ラム氏と彼の仲間にコメントを求めた。ROLIは、これまで総額7500万ドル(約82億円)超の資金を調達している。

Lambはインタビューでこう語った。「結局のところ、我々が最初に開発したプロ向けの製品は、その市場の範囲内では成功したものの、ベンチャーとしての軌跡を考えると市場の規模が十分ではなかったのです。急成長を目指していましたが、それは難しいことがわかりました」。

最近では、ROLIは「LUMI」キーボードを発表した。これは、ライトアップされた鍵盤を使ってユーザーにピアノを教えることを目的とした、従来よりもメインストリームの製品だ。この製品は、同様の名前を持つLuminaryのフォーカスとなる。また、オリジナルのSeaboard製品ラインも、新会社で引き続き提供する予定だ。

画像クレジット:Roli

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

Googleはニュース発行者の著作権をめぐる仏当局の罰金を不当として控訴

Googleは、フランスの競争当局(日本の公正取引委員会に相当)から7月に課せられた5億ドルあまりの罰金に控訴をしている。

その罰金は、コンテンツの再利用に関してニュースの発行者に使用料を支払う件における、アドテック巨人(Google)のやり方に関連している。

Google Franceの副社長でカントリーマネージャーであるSebastien Missoffe氏は今日の声明で、その罰金は「不釣り合いな」性格のものであり、ニュースの発行者と契約し、改定された著作権規則に準拠しようとしているGoogleの「努力」に照らして正当化できない、と主張している。しかしそれは、弁護の声明としては相当ひどいものだ。

Missoffe氏は次のように付言している: 「2020年の4月から8月までの交渉に基づいてフランスの公正取引委員会が行った決定に、われわれは控訴する。われわれは、いくつかの法的要素に同意しないし、その罰金は、合意を求め新たな法に準拠しようとするわれわれの努力に対して不釣り合いである」。「にもかかわらずわれわれは、関連する権利を認め、この事案の解決のために献身し、取引の正常化に努めていく所存である。これには、オファーを1200社の発行者に拡大することと、われわれの契約の諸側面を明確にし、またフランス公正取引委員会の7月の決定で求められているよりも多くのデータを共有することが含まれている」。

関連記事: フランスがグーグルに650億円の罰金、記事使用料交渉で命令に従わず

さかのぼって2019年に、欧州連合は、ニュース記事のリード文を著作権の対象に含めるする改定デジタル著作権法に合意した。その部分はGoogle Newsのようなニューズアグリゲーターが何年も前から毎日のように削り取って表示していた断片記事である。

EUの加盟国はアップデートされた全EUの改革を自国の法律に転置しなければならない。それを最初にやったのが、フランスだった。

また、改定法をGoogleに強制する件でも、フランスの競争当局が先陣を切り、昨年、このテクノロジーの巨人に対して発行者と交渉するよう命じた。そして発行者がGoogleの交渉態度に不平を言ったとき、超弩級の罰金を課した。

今夏に罰金を発表するときフランスの競争委員会は、このテクノロジー巨人が別の罰金や課金義務などの発生を避けるために、ローカルな発行者に対してグローバルに運用しているニュースライセンスプロダクトを一律に課そうとしていると非難した。EUとフランスの法律では、そういう発行者とも、個別に交渉すべきことが定められている。

Googleの手口に対する当局の不平不満のリストは膨大である。これに関し、本誌の初期の記事はここにある。だから、今度の控訴も、どこまでが単なる時間稼ぎなのか、よく分からないのだ。

ロイターによると、仏競争委員会は、控訴で罰金が一時棚上げになることはないし、すでに(7月に)発せられている期限が変更されることもない、と言っている。それによると、Googleがオファーの改定や発行者への必要な情報の提供に費やせる時間枠は、7月の時点で2か月しか残されていない。そのときまでにすべての要件を満たさなければ、日額90万ユーロの罰金が新たに発生する。その締切は、あと2週間後だ。

Googleは、控訴を発表したことによって発行者の心をそっちに集中させ、どんな代案でも受け入れる気持ちにさせる、と踏んでいるのかもしれない(そのための対象発行者の1200社への拡大か)。控訴の訴状にある「契約の諸側面を明らかにし」と「もっと多くのデータを共有し」などはすべて、Googleが仏当局から厳しくお尻ペンペンされた領域だ。

(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)
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Apolloによる約5500億円でのVerizon Media買収完了、新社名はYahooに

米国時間9月1日、プライベートエクイティ企業Apollo Global Managementが、Verizon(ベライゾン)からのYahoo買収を完了したことを発表した。なお、そのYahooは前日8月31日までVerizon Media Groupという名前で、さらにその前にはOathという社名だった。買収額は50億ドル(約5500億円)で、42億5000万ドル(約4675億円)がキャッシュ、7億5000万ドル(約825億円)が優先株式となる。Verizonは、この名前が変わった企業の10%を保有する。

ニュースに付随するリリースで、YahooのCEOで元VZMのトップGuru Gowrappan(グル・ゴラパン)氏は次のように述べている。「この取引の完了は、独立した事業体としての私たちにとって新たな機会となるエキサイティングな時期を告げるものです。今後数カ月、数年の間に、Yahooのビジネスおよびブランドとして、新たな成長とイノベーションがもたらされることを期待しており、新しいパートナーとともにその未来を創造していきたいと思います」。

買収完了後はゴラパン氏はYahooのCEOの座に長くとどまらないのではないか、との報道もあるが、当面は彼がトップだ。

この企業集団には、Yahoo名義のMail、Sports、Financeなどのメディア資産に加えて、TechCrunch、AOL、Engadget、インタラクティブメディアブランドのRYOTなどがある。傘下のブランドは、全世界で約9億人の月間アクティブユーザーを抱えており、Apolloの調査によると、現在インターネット上で第3位の規模を誇るという。

Verizonはオンラインメディア、特にアドテック分野への包括的な進出を目指して数年間にわたって取り組んできたが、今回の買収により、コストがかかりすぎ、ほとんど利益が出ないことが判明し、最終的には、通信事業者の大きな成長戦略にとってコアビジネスではないことが明らかなった。

このニュースは、オンラインメディアの激動の時期にもたらされたもので、業界全体の統合が進む中、多くはVerizon Media内でも感じられた。Verizonは2015年にAOLを44億ドル(約4841億円)で買収し、続いてその2年後にYahooを45億ドル(約4951億円)で買収、2つのレガシーメディアをOathという名のグループにまとめた。2018年末、Oathは合併にともない46億ドル(約5061億円)の減損処理を行っている。

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新たなオーナーがこの大きな船をどう舵取りしていくのか、まだわからないが、プライベートエクイティ企業の標準的な手法としては、Apolloが事業の一部を売却したり、他の手法で経営合理化を図ることが考えられる。

しかし、Apollo自身は、新たに取得した資産への投資を約束し、少なくとも当面は人減らしもない。巨大持株会社であるApolloの傘下には多くの情報通信、メディア、テクノロジー企業があるため、その活用も注目を集めている。

ApolloのパートナーであるReed Rayman(リード・レイマン)氏は、リリースで次のように述べている。「我々は、同社の優秀な従業員と協力して、Yahooの力強い勢いを強化し、新生Yahooを独立した消費者向けインターネットおよびデジタルメディアのリーダーとして長期的に成功させることを楽しみにしています。顧客第一主義の提供やコマース機能の加速、リーチの拡大、日々のユーザー体験の向上など、事業全体の成長に向けた投資を検討しており、Yahooの次章にこれ以上ないほど期待しています」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Brian Heater、Ingrid Lunden、翻訳:Hiroshi Iwatani)

​​現代自とAptivの自律運転合弁会社Motionalが「Hyundai IONIQ 5」電動ロボタクシーを公開

Motional(モーショナル)は米国時間8月31日、同社が計画しているロボタクシーの最初の画像を公開した。Hyundai(現代自動車、ヒョンデ)の電気自動車「IONIQ 5 SUV(アイオニック・5)」をベースにした車両は、MotionalがLyft(リフト)アプリを通じて、2023年から顧客に利用してもらいたいと考えているドライバーレス配車サービスの目玉となるものだ。

現代自動車により組み立てられるこの専用車両には、Motionalの自律走行技術が搭載されており、LiDAR、レーダー、カメラなど30以上のセンサーが車室内外のいたるところに見られる。そのセンシングシステムは360度の視界を確保し、300メートル先まで見通すことができるとMotionalは説明している。

自動運転車の商業化を目的とするAptiv(アプティブ)と現代自動車の40億ドル(約4400億円)規模の合弁事業として生まれた同社は、意図的に数多くのセンサーを入れて披露していると、会長兼CEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は最近のインタビューで語っている。

「多くの競合他社は、このセンサー群を隠そうとして、大きなプラスチックケーシングの中に隠そうとしています」とイアグンマ氏はTechCrunchに語った。「ですが実際のところ、センサーを隠すことはできません。センサーはクルマの重要な部分であり、テクノロジーの重要な部分でもあります。ですから当社の戦略は、センサーを好ましいものととらえ、車両のデザイン言語を適応させて、統合されたセンサー群のデザインに反映させることでした」。

Motionalは、最初のドライバーレスロボタクシーサービスをどこで立ち上げるか発表していない。ボストン、ラスベガス、ロサンゼルス、ピッツバーグなど、同社が現在テストを行っている都市のいずれかでサービスを開始すると思われる。

関連記事:2023年から米国主要都市でロボタクシー展開へ、MotionalとLyftが提携

画像クレジット:Motional

Motionalのロボタクシーのベースとなるのは、2021年2月に発表されたEV「Hyundai IONIQ 5」で、2021年後半には市販モデルの発売が予定されている。一般消費者向けバージョンには、Motionalの自律走行技術は搭載されない。Motionalは、他のAV開発企業とは異なり、最初のロボタクシーにシャトルバスデザインや大型バンを選択しなかった。

同社が調査したところ、タクシーや配車サービスの利用者の大半は2人以下の乗客であるとわかったという。IONIQ 5は、Motionalのユースケースに適したサイズの車両だとイアグンマ氏は付け加えた。

IONIQ 5は、Electric Global Modular Platform(E-GMP)と呼ばれる同社の電気自動車専用プラットフォームを初採用したモデルだ。市販仕様とロボタクシー用の両方に、800ボルトの電気システムを搭載している。この高電圧システムは、一般的な400ボルトと同等の電力をより少ない電流で供給することが可能だ。800ボルトシステムは、ポルシェ初の量産電気自動車であるTaycan(タイカン)でデビューしたが、より軽く、より効率的で、充電時間を短縮できる。

この高速充電は、Motionalのロボタクシーサービスにとって重要なメリットとなるだろう。

画像クレジット:Motional

IONIQ 5のロボタクシーバージョンは現代自動車で組み立てられるが、これは注目すべきディテールだとイアグンマ氏はいう。

「この車両は、写真でご覧になったとおりの外観で組立ラインから出荷されます」と同氏はいう。「これは、ベース車両を別のラインに移動させ、部品を外して再統合したり、(センサーなどを)後付けするというようなシナリオではありません」。

ロボタクシーの内部にはディスプレイが設置されており、それを使い乗客は乗車中にロボタクシーに追加の停車を指示するなど、車両との対話が可能だという。

このロボタクシーには、人間が運転する従来の車両と同様に、ステアリングホイールなどの機能が備わっている。なお、乗客が運転席に座ることは許されない。

関連記事:自動運転Motional CEOが示唆する物流業界の自律的な未来
画像クレジット:Motional

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッターが有料の「チケット制スペース」展開をiOSで開始

Twitter(ツイッター)は米国時間8月26日、同社のライブオーディオ機能「スペース」の一部のホストが「チケット制スペース」へのアクセスを販売できるようになったことを発表した。チケット制スペースは、18歳以上で、過去30日間に3つのスペースをホストし、1000人以上のフォロワーを持つユーザーを対象に、6月に募集を開始している。

Twitterの担当者はTechCrunchに対し「すでにチケット制スペースのためにスペースをホストしている人たちと緊密に連携していきます」と述べている。Twitterは、これまでに何人のユーザーに本機能を提供したか、またいつユーザーが一般的に利用できるようになるかについては明らかにしなかった。現在のところ、iOSユーザーは誰でも、本機能にアクセスできるユーザーが主催するスペースのチケットを購入できる。

Twitterは以前、チケット制スペースから得られるクリエイターの収益の3%を受け取ると発表していた。しかし、この機能は現在iOSでしか利用できないため、Twitterは30%のAppleのアプリ内課金の対象となるため、クリエイターにはチケット販売の67%しか還元されないことになる。ただし、チケット制スペースとSuper Followsを含むクリエイターのTwitterでの生涯収益の合計が5万ドル(約550万円)を超えた場合、同社は3%の手数料を20%に引き上げる。

チケット制スペースにより、Twitterはライブオーディオの競合他社と一線を画すことになる。ClubhouseやInstagramでは、リスナーがスピーカーにチップを渡したり、ライブオーディオスペースでバッジを授与したりすることができるが、これらのアプリはチケットの事前販売はできない。

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画像クレジット:Twitter

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Katsuyuki Yasui)

神戸市がオーダーメイド型起業家支援「グローバル・メンターシップ・プログラム」を開始

起業家育成エコシステムの構築、推進が活発な神戸市。先日も彼らの取り組みをご紹介したが、今度は、世界で活躍する起業家による新規ビジネス育成の試みとして、オーダーメイド型起業家支援の「グローバル・メンターシップ・プログラム」とスタートアップのためのウェブプラットフォーム「KOBE STARTUP HUB」を8月26日に開始した。

グローバル視点を持つ起業家育成、5年で1000人支援を目標

「グローバル・メンターシップ・プログラム」では、参加する起業希望家や起業家に対し、ニーズやステージ、事業分野に合わせて、コミュニティ・マネジャーが、個別支援やメンターとのマッチングを行なう。国としても「世界に伍するスタートアップ・エコシステム 拠点形成戦略」を掲げており、神戸も大阪、京都と共に「スタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市」に選定されている。

コミュニティ・マネジャーには、日本とオーストラリアの人材をマッチングし起業エコシステム構築を支援するシドニーの企業、Innovation Dojo Pty Ltd(イノベーション道場)のCEOであるJoshua Flannery(ジョシュア・フラネリー)氏が就任する。同氏は起業家支援を行なう Rainmaking Innovation Japan の アドバイザー。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のスタートアッププログラムの立ち上げに携わり、運営責任者として約 700 社を支援。南半球最大のスタートアップ・ハブ 「Sydney Startup Hub」の責任者を務めた。

kobe
メンターにはグローバルに強い人材を揃える。マネックスグループ取締役会長兼代表執行役社長の松本大氏のほか、米国ベンチャーキャピタルSkyline Venturesパートナーを務める金子恭規氏、Headline Asiaの岡本彰彦氏など、約50名が参加する。

プログラムは公開セミナーとグループメンタリングの両建てで行なわれる。2021年から2025年までの5年間で1年200社、合計1000社の支援を目標とする。対象者は副業起業を目指す30代以上、学生起業を目指す10〜20代、子供の起業マインドを支援したい家族など多岐にわたる。

参加者とメンターのマッチングや、神戸市内外の人脈、場所、プログラム、金融機関等との双方向交流は、ウェブプラットフォーム「KOBE STARTUP HUB」を利用する。起業家のダイバーシティやグローバリゼーション育成の観点からも英語版、日本語版の両方で提供される。グローバル・メンターシップ・プログラムの応募はこちらから。

 

Xiaomiは4〜6月期過去最高64%の収益増加、自動運転技術会社Deepmotionを買収

Xiaomi(シャオミ、小米科技)は第2四半期、売上高が135億6000万ドル(約1兆4916億円)となり、12億8000万ドル(約1408億円)の純利益を計上した。これは、中国のテック巨人である同社が、世界的にスマートフォンの市場シェアを大きく伸ばしたことを受けたものだ。

2021年6月に終了した同四半期において、Xiaomiは前年同期比で64%の増収を達成し、純利益は80%以上の増加となった。

香港に上場している同社は、スマートフォンの出荷台数が5290万台に増加したことにより、同カテゴリの売上高が91億ドル(約1兆10億円)に増加したと発表した。市場調査会社のCanalysによると、それによりこの四半期、同社はApple(アップル)を抜いて世界第2位のスマートフォンメーカーになった。

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Xiaomiの国内最大のライバルであるHuawei(ファーウェイ)に対する米国政府の制裁措置に助けられ、Xiaomiは他のいくつかのメーカーとともに、国内だけでなく世界的にも市場シェアを拡大している。

また、IoTとライフスタイル製品カテゴリーからのXiaomiの収益も伸びを見せ、36%増の32億ドル(約3520億円)となった。

同社は決算報告の直後に、設立4年の自律走行技術スタートアップDeepmotion(深動科技)を約7730万ドル(約85億円)で買収すると発表した。この投資は、EV分野に今後10年間で100億ドル(約1兆1000億円)を投資するという同社の大胆な計画に沿ったものだ。

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Xiaomiは、EV業界に参入した最新の中国テック企業だ。中国の検索エンジン大手Baidu(バイドゥ、百度)は2021年初め、自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利汽車)の協力を得てEVを製造すると発表した。2020年11月には、Alibaba(アリババ)と中国の国有自動車メーカーであるSAIC Motor(上海汽車集団)が手を組んで電気自動車を生産すると発表した。ライドシェア大手のDidi(ディディ、滴滴出行)とEVメーカーのBYD(比亜迪)も、配車サービス用のモデルを共同設計している。

筆者の同僚であるRita Liao(リタ・リャオ)は以前こう報じていた。

インターネットの巨人たちは、Xpeng(シャオペン、小鵬)やNio(ニオ、上海蔚来汽車)、Li Auto(リ・オート、理想汽車)など、すでに複数のモデルを発表し、しばしばTesla(テスラ)と比較される、より専門的なEVスタートアップの数々と競合している。これらEVメーカーは車内エンターテインメントから自律走行まで、様々な機能に投資して差別化を図ろうとしている。

Xiaomiにとって自動車メーカーとしての明らかな強みは、広大な小売ネットワークと国際的なブランド認知度だろう。また、スマートスピーカーや空気清浄機など、同社のスマートデバイスの一部は、セールスポイントとして車に簡単に組み込める。もちろん、真のチャレンジは製造にある。携帯電話の製造に比べ、自動車産業は資本集約的で、長く複雑なサプライチェーンを必要とする。Xiaomiがそれを成し遂げることができるかどうか、見守っていきたい。

Xiaomiは中国時間8月25日、Deepmotionへの投資は、同社製品の市場投入までの時間を短縮するのに役立つと述べた。

画像クレジット:Roman BalandinTASS / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

サウナで「ととのう」を見える化。KDDI総合研究所関連プロジェクトにてVIE STYLEが開発開始

サウナで「ととのう」とは、サウナと水風呂を繰り返すことで訪れるある種のトランス状態のような感覚のこと。

感覚的な状態のため言葉で表したり共有するのが難しいのですが、これを可視化するシステムの開発をVIE STYLEがスタートしたと発表しました。

これは、KDDI総合研究所の研究拠点「KDDI research atelier」が実施する取り組み「FUTURE GATEWAY」のプロジェクト「Hoppin’ Sauna」からうまれました。「いつでもどこでも、呼べばサウナがやってくる」をコンセプトに、労働生産性の向上や医療費抑制への貢献を目的にしたものです。

VIE STYLEのイヤホン型脳波計「VIE ZONE」を活用して、脳波をはじめとするさまざまな生態情報を高精度に取得、「ととのう」プロセスを数値化して個人差や体調差を定量的に表現。さらに、被験者の視覚や聴覚、触覚に嗅覚などを刺激したときのフィードバックから「ととのう」プロセスの可能性を検証、最適化を目指します。

サムスンが2023年までに半導体、バイオ医薬品、通信機器事業に約22兆5900円の投資を発表

韓国の巨大テック企業ことサムスン・グループは、次世代通信とロボティクスなどの新規産業における国際的な存在感と優勢を高めるために、同社の半導体、バイオ医薬品、通信機器事業に今後3年をかけて2050億ドル(240兆ウォン/約22兆5900億円)を投資することを火曜日に発表した。

本出資はサムスン電子やサムスンバイオロジックスなどのサムスン関連企業によって進められる。また、同社の技術力と市場での優勢を強化するためのM&A計画も明らかにした。

これにより、サムスンは1543億ドル(180兆ウォン/約16兆9400億円)を用いて、2023年までに韓国において4万人の新たな雇用を創出することを期待している。

本発表は、サムスン電子の副会長Jay Y. Lee氏が、韓国開放日(光復節)前の8月13日に仮釈放になった数日後に出されることとなった。韓国ローカルメディアによると、同氏が釈放されれば、サムスンは大型投資を進めることができるようになるだろうと推測していた。

同社の声明によると、本資金は半導体、バイオ医薬品、次世代通信機器に使われることになるとのことだ。

サムスン電子は、引き続き同社メモリ事業のためのEUVベースの14サブナノメートルDRAMと200層超のV-NAND製品といった最新技術に注力すると同時に、高度なプロセス技術を開発し、同社のシステム半導体向けに人工知能(AI)とデータセンターを駆使して事業をさらに拡大させていく計画だ。

声明によると、サムスンバイオロジックスとサムスンバイオエピスは、CDMO(医薬品製造受託機関)事業をさらに拡大させるため、現在建設中の4拠点目の工場に加え新たに2拠点の工場を建設するとのことだ。

なお、韓国一の巨大コングロマリットことサムスンは、次世代OLED、量子ドットディスプレイ、高密度エネルギーバッテリーの開発と合わせて、進行中の新技術の研究&開発と、それらのAIやロボティクスといった領域での応用も引き続きサポートしていくこととなる。

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グーグルが検索やYouTubeなどの自社プラットフォームにおける未成年者保護を強化

Instagramがアプリを利用する未成年者の保護の強化を展開して数週間経過し、Google(グーグル)もGoogle検索、YouTube、YouTube Kids、Google Assistantなどのサービスにも同様の措置を講じることとなった。同社は米国時間8月10日、オンライン上の若年層を非公開にして保護された状態を維持できるようにサービスおよびポリシーを変更すると発表。広告ターゲットを制限する変更も行う。

関連記事:Instagramが10代ユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に、広告や望まない大人からの接触を制限

Googleのサービスは1つのアプリに限定されるものではないので、Instagramの発表よりもさらに広範囲で、同社のサービス全体にわたる変更になる。

米国議会は、Googleをはじめとするハイテク企業に対し、企業のサービスが未成年者に与える悪影響を排除するよう圧力をかけてきたが、Googleは、法律で要請される以上の変更を行うという。

Googleの広報担当者は、TechCrunchの取材に対し次のように話す。「今後の規制に対応するアップデートもありますが、私たちはGoogleとYouTubeを利用するティーンエイジャーを保護するために、法律が要請する以上のことを行ってきました」「これらの変更の多くは、現在および今後発生し得る単体の規制を超えるものです。私たちは、世界中の子どもたちやティーンエイジャーに向けて、一貫性のあるエクスペリエンスとユーザーコントロールを提供する方法を検討しています」。

つまり、Googleは、現状に対応するだけでなく、業界の将来を考慮したアップデートを行うというのだ。

YouTubeでは、13~17歳のユーザーを対象に、デフォルトのアップロード設定を、最も限定的なものに「徐々に」変更していくという。これにより、動画の公開範囲は、一般ユーザーではなく、ユーザー本人と、本人が直接共有する相手に限定されることになる。アップロード設定を「公開」に変更することは可能だが、その際には明確かつはっきりとした意思を持つ選択が必要だ。Googleはこの場合、YouTubeに、自分のビデオの公開範囲を示すリマインダーを設置するとしている。なお、今回の変更はYouTubeの新規アップロードにのみ適用され、現在公開されている動画を遡って非公開にする予定はないとのこと。

また、YouTubeは、13~17歳のすべてのユーザーに対して「休憩」と「おやすみ」のリマインダーをデフォルトで有効にし、自動再生を無効にする。繰り返しになるが、これらの変更は、デフォルトの設定に関するものであり、ユーザーはDigital Wellbeing(デジタルの健全な利用)機能を無効にすることができる。

YouTubeの子ども向けプラットフォーム「YouTube Kids」には、自動再生オプションが追加される。このオプションはデフォルトでは無効になっており、子どもに自動再生機能を使わせるかどうかは保護者の判断になる。この変更は、子どもの安全支援団体や一部の国会議員による、アルゴリズムを使った機能に問題があるという指摘に対応し、選択を保護者の判断に任せるというものだ。保護者はデフォルトの選択をロックすることもできるようになる。

YouTube Kidsからは「過度に商業的なコンテンツ」も削除される。これは長らく「YouTubeは子どもたちによる消費(正確には、親にお金を使わせてくれと頼むこと)を助長している」と主張してきた消費者保護団体や子どもの専門家からの圧力が高まったことを受けた措置である。

許容できるコンテンツと「過度に商業的な」コンテンツの線引きは明確ではないが、例えば人気のある「開封の儀」動画のような、商品のパッケージに焦点を当てた動画は削除するとしている。この変更は、YouTubeで子ども向けの動画を制作している大手クリエーターの中でも、非常に高額な収入を得ているRyan’s Toy Review(ライアンズ・ワールドのおもちゃレビュー)のようなクリエーターに影響を与える可能性がある。同社は商品パッケージの他にも「視聴者に商品の購入を煽る」コンテンツや「商品の過剰な収集や消費に焦点を当てたコンテンツ」の削除も検討するとしている。

画像クレジット:YouTube

YouTube以外でも、未成年者を対象とする変更が展開される。

今後数週間のうちに、Googleは、18歳未満のユーザーまたは保護者が、Google画像検索の検索結果から自分の画像の削除を要請できるようにする新しいポリシーを導入する。これは、欧州ですでに実施されている「忘れられる権利」のプライバシーポリシーを拡張するもので、子どもとティーンエイジャーを守る新しいサービスと制御方法が全世界で展開されることになる。

また、18歳未満のユーザーアカウントについても、さまざまな調整を行う。

YouTubeの変更に加えて、Googleファミリーリンクで管理している13歳未満のすべてのユーザーに対してセーフサーチフィルタリングをデフォルトで有効にして、アダルトコンテンツへのアクセスを制限する。また、18歳未満のすべてのユーザーに対してセーフサーチを有効にし、新たにアカウントを作成するティーンエイジャーにもセーフサーチをデフォルトで適用する。Googleアシスタントでは、スマートスクリーンやウェブブラウザなどの共有デバイスで、セーフサーチの保護機能がデフォルトで有効になる。先の発表のとおり、Google Workspace for Educationを使用している学校の設定でも、セーフサーチがデフォルトになり、ゲストモードやシークレットモードのウェブブラウジングへの切り替えもデフォルトで無効になる。

位置情報の履歴はすべてのGoogleアカウントでデフォルトで無効になっているが、今後は管理対象のアカウントを利用している子どもたちについて、位置情報の履歴を有効にすることはできなくなる。この変更は全世界の18歳未満のユーザーに適用される。法的に成人するまで位置情報を有効にすることはできない、ということだ。

また、Google Playでは、アプリがファミリーポリシーに従っているかどうかを保護者に知らせるセクションが新設され、アプリ開発者は、自分のアプリがどのようにデータを収集・利用しているかを開示することが必要になる。これらの機能は、Apple(アップル)の「App Storeのプライバシーラベル」に一部ヒントを得たもので、すでにAndroid開発者向けに詳細が発表されている

Googleのペアレンタルコントロールツールも拡充される。ファミリーリンクを利用している保護者は、アシスタント機能を搭載したスマートデバイスで、ニュース、ポッドキャスト、ウェブページへのアクセスをフィルタリングしたり、ブロックしたりすることができるようになる。

広告主にとっても重要な変更がある。

Googleによると、年齢制限のある広告カテゴリーがティーンエイジャーに表示されないようにするための保護機能を拡充し、18歳未満のユーザーに対しては、年齢、性別、興味や関心などの要素に基づく広告ターゲティングをブロックするという。ティーンエイジャーや子どもをターゲットにする際に「興味や関心」のデータを利用しないという点は、Instagramが導入した広告の変更に似ているが、Instagramは年齢や性別によるターゲティングを許可している。Googleは年齢や性別によるターゲティングを許可しないことになり、この変更は「今後数カ月のうちに」全世界に展開されるとのことだ。

GoogleとYouTubeにおけるすべての変更は、今後数週間~数カ月の間に全世界で展開される予定である。

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画像クレジット:Nicolas Economou / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

IPOを控えたソフトバンク出資のインド発ホテルチェーン「Oyo」にマイクロソフトが出資

今週明らかになった規制当局への提出書類によると、Microsoft(マイクロソフト)はインドの格安ホテルチェーン「Oyo(オヨ)」に500万ドル(約5億5000万円)を出資した。この投資は、7月のTechCrunchのスクープを裏付けるものだ。

この新たな投資によりOyoの評価額は96億ドル(約1兆540億円)となり、インドのスタートアップである同社が2019年に行った前回の資金調達ラウンドでの暗示的な企業評価、100億ドル(約1兆980億円)をわずかに下回っている。パンデミックの影響でビジネスを大幅に失ったこのスタートアップは、最大の投資家のひとつであるソフトバンクから、最近の四半期ではわずか30億ドル(約3295億円)と評価されていた。

関連記事:インドのホテルスタートアップOyoが創業者の株式購入で企業価値1兆円超え

TechCrunchは以前、この戦略的投資により、OyoがMicrosoftのクラウドサービスの利用にシフトする可能性もあると報じた。この件に詳しい2人の情報筋によると、同社は2021年後半にIPOを申請する予定だという。

インドで最も価値のあるスタートアップ企業の1つであるOyoは、近年、東南アジア、欧州、米国など多くの市場に積極的に進出している。しかし、「有害なカルチャー」、ガバナンスの欠如、多くのホテルオーナーとの関係など、いくつかの失策がその成長を傷つけた。

同社がホテルオーナーとの関係を改善すると誓約した矢先、パンデミックが発生した。それを受けてOyoは成長を減速し、世界各国でロックダウンが実施される中、2021年3月には世界で数千人の従業員を解雇した。

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Ritesh Agawal(リテシュ・アガーワル)CEOは2021年7月、パンデミックは創業7年のスタートアップである同社をサイクロンのように襲った、とBloomberg TVに語っていた。「何年もかけて作り上げてきたものが、たった30日の間に60%以上崩壊しました」と同氏は語り、株式市場への参入については何も決断していないと付け加えた。

Airbnbが支援するOyoは、銀行に7億8000万〜8億ドル(約856億〜878億円)の残高があり、全事業の支出を毎月400万〜500万ドル(約4億4000〜5億5000万円)に削減したと、アガーワル氏は最近のバーチャルカンファレンスで述べた(2020年12月時点で同社の預金残高は約10億ドル[約1098億円]だった)。

7月、アガーワル氏が上記のカンファレンスでコメントした後、Oyoは負債によって6億6000万ドル(約725億円)を調達したと発表した。本件に詳しい関係者によると、その借金は以前の負債の返済に充てられたという。

2社間の取引が実現すれば、Microsoftにとってインドのスタートアップへの最新の投資になる。同社はこれまでにも、ニュースアグリゲーターと短編ビデオプラットフォームのDailyHunt(デイリーハント)、eコマースの巨人Flipkart(フリップカート)、物流SaaSのFarEye(ファーアイ)など、南アジア市場のスタートアップをいくつか支援してきた。

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画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

今週の記事ランキング(2021.8.15〜8.19)

今週もTechCrunch Japanで最もよく読まれた5つの記事を紹介しよう。今週の1位は、「Salesforceが約3兆円で買収したSlackとの初の統合を発表」というニュースだ。他のランキングについても振り返ってみよう。

​​​​アダルト系SNSのOnlyFansが「職場安全」なアプリを宣伝、約1098億円超の評価額で資金調達目指す中

アダルトコンテンツクリエイターがオーディエンスを通じて直接マネタイズできるプラットフォーム「OnlyFans(オンリーファンズ)」は、同社がiOSとGoogle Playで提供しているSFW(safe-for-work、職場でも安全)なアプリ「OFTV」をプッシュしている。広告なしのこのアプリは2021年1月にローンチされ、料理のチュートリアルやヨガのルーティン、インタビューなど、OnlyFansのクリエイターたちによる800以上のビデオを共有している。しかし、同社が既存のOnlyFans顧客ではない人々にリーチすることを目指してアプリをマーケティングするのは、今週が初めてになる。

「OFTVにはアダルトコンテンツはありません。収益化されておらず、クリエイターの収益に直接影響を与えないため、アプリストアに参入することができるのです」とOnlyFansのCEOであるTim Stokely(ティム・ストークリー)氏はBloombergに語った。App StoreとGoogle Playはいずれもポルノを禁止しているが、(Redditのような)ユーザー生成コンテンツを含むアプリの場合、NSFW(職場危険)コンテンツはそのように表示され、デフォルトでは非表示になっている限り、アプリストアに滑り込める。OnlyFansサイトはウェブ上に存在するため、AppleのApp StoreやGoogle Playでは承認されていない。

画像クレジット:OFTV(screenshots by TechCrunch)

OnlyFansは利益を上げているが、今後も成長を続けるために、10億ドル(約1098億円)以上の評価額で資金調達を目指している。Bloombergによると、OnlyFansは、アダルトな評判を気にする広告主を募るために、よりメインストリームなプラットフォームになりたいと考えているようだ。​​​​​​ヒップホップミュージシャンのCardi B(カーディ・B)やプロボクサーのFloyd Mayweather Jr.(フロイド・メイウェザー・ジュニア)といった有名人もOnlyFansに参加している。また、2020年3月、このアプリは「クリエイティブ・ファンド」を立ち上げ、4人の音楽アーティストに活動補助金として2万ポンド(約300万円)の報酬を与えた。さらに、同アプリがブログで紹介している「ライジングスター」には、ソングライター、フォトグラファー、スタイリスト、パーソナルトレーナー、シェフなどが含まれている。度同社がSFWクリエイターにスポットライトを当てようとしている姿勢は明らかであり、OFTVのプロモーションもそれを裏付けている。

同社のプラットフォームは2016年の設立以来、クリエイターに30億ドル(約3294億円)以上を支払っており、特に2020年は、パンデミックによる経済的逼迫の中で多くの人がOnlyFansに収入源を求めたことから、収益が553%以上も増加した。OnlyFansはクリエイターの収益から20%を徴収しているが、比較的にPatreon(パトレオン)は5~12%、Cameo(カメオ)は25%を徴収している。仮に(NSFWコンテンツなども考慮に入れた上で)OnlyFansがアプリストアに受け入れられたとしても、プラットフォームの20%に加えてアプリストアの手数料が30%余分にかかることになるので、クリエイターにとっては良いことではないかもしれない。しかし、OFTVはコンテンツを販売したり、未承諾のユーザーがビデオをアップロードすることを許可していないため、その目的は、ポルノではないOnlyFansのコンテンツをより盛り上げることにあるようだ。

SFWクリエイターにアピールするためには、OnlyFansのイメージを払拭する必要があるかもしれないが、それよりも重要なのは、プラットフォームがクリエイターにとって特に収益性の高い空間であることを示すことだろう。OnlyFansの売上高を見ればわかるが、それはプラットフォーム自体よりも、クリエイター経済の成長やコンテンツの性質にかかっているのかもしれない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:OnlyFansアプリクリエイター収益化NSFWSNS

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

ランボルギーニカウンタックLPI800-4は802馬力のハイブリッドスーパーカー

編集部注:著者のIgor Bonifacic(イゴールボニファシック)は、 Engadget寄稿者である。

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様々なリークや焦らし情報のあと、ランボルギーニはついにその新しいハイブリッドエンジンのカウンタックを発表した。

ありがたいことに、車について知りたいことのほぼすべてが、LPI800-4というモデル名に集約されている。

最初の部分(LPI)はLongitudinale Posteriore Ibridoの略で、これはエンジン機構が「縦置き」「後方」「ハイブリッド」だという事実を表現したものだ。

一方、2つの数字は、カウンタックのV12 6.5リッターエンジンと48ボルトの電気モーターが合わせて出力できるのが約802馬力であることと、4輪駆動であるという事実を示している。

画像クレジット:ランボルギーニ

それらが合わさって1台のパワフルな車が生まれた。このカウンタックは、時速0マイルから時速60マイル(約97キロ)までを3秒未満で加速し、時速0マイルから時速124マイル(約199.6キロ)までを9秒弱で加速することができる。最高速度は時速221マイル(約355.7キロ)、最大トルクは531lb-ft(約720N・m)だ。

画像クレジット:ランボルギーニ

カウンタックの電気モーターに電力を供給するのは、同じ重量のリチウムイオン電池と比較して3倍の電力を供給できるとランボルギーニが主張しているスーパーキャパシターだ。ランボルギーニは、V12エンジンから得られるパワー伝達の感覚を保持するために、ギアボックスに直接電気モーターを取り付けたという。

カウンタックLPI800-4のシャーシと外装の大部分をカーボンファイバーが占めている。「70年代と80年代の象徴的なカウンタックが、ここ10年間のカウンタックににどのように影響を与え進化させたかを想像させてくれます」とランボルギーニ社は、元のモデルよりもアヴェンタドールを彷彿とさせる今回のデザインについて語っている。内部には、CarPlay(カープレイ)統合が行われ「Stile」(スタイル[イタリア語])というラベルの付いたボタンを持つ、8.4インチのタッチスクリーンディスプレイがある。そのボタンを押すと「カウンタックのデザイン哲学が、その特権的な顧客に対して説明される」のだ。

特権的な顧客と言ったが、ランボルギーニはこのカウンタックLPI800-4を112台しか製造しない。自動車メーカーが送ったプレスリリースには価格さえ言及されていない。ランボルギーニも熱心に取り組んでいるようだが、カウンタックはあまりにも重要なので、限定といえども無視するわけにはいかなかった。

編集者注:この投稿は元々Engadgetに掲載された

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画像クレジット:Lamborghini
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(文: Igor Bonifacic、翻訳:sako)

米国の国会議員が掌紋データの今後の扱い方などでアマゾンに質問状

一部の上院議員たちが金曜日(米国時間8/13)に、Amazonの新CEO、Andy Jassy氏に書簡を送って、同社の小売店で使用する顧客の掌紋の、スキャンのされ方と保存のされ方に関する詳しい情報を求めた。

同社はAmazon Oneと呼ばれるプログラムで掌紋スキャナーを展開し、同社の物理店ではカードを使わずに無接触決済を利用するよう顧客に勧めている。AmazonがAmazon Oneのスキャナーを導入したのは昨年おそくで、今ではそれは、米国ではコンビニエンスと食料品のAmazon GoやAmazon Books、Amazon 4-starストアなどにある。Amazon以外ではワシントン州の8つのWhole Foods店にも置かれている。

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上院議員のAmy Klobuchar氏(民主党、ミネソタ州選出)とBill Cassidy氏(共和党、ルイジアナ州)、およびJon Ossoff氏(民主党、ジョージア州)はその書簡でJassy氏に、Amazonは同社のバイオメトリックによる決済システムを今後どのように拡張していく計画なのか、そして集めたデータは広告のターゲティングに使われるのか、と問うている。

書簡の原文を下に埋め込んだが、その一部をここに引用しよう: 「Amazon OneによるAmazonのバイオメトリックデータの収集の拡大は、このデータそのものと、その扱いがユーザーのプライバシーをリスペクトしているか、Amazonがデータを広告や追跡目的で利用するのか、等に関する、Amazonの今後の計画に関し、深刻な疑問を提起している」。

議員たちはまた、Amazon Oneを何人の人が担当しているのか、個人が関わるような微妙なデータの遺漏や乱用をどうやって防いでいるのか、掌紋と顔認識データを併用したことはあるか、などを問うている。

書簡にはこんなくだりもある: 「AppleのFace IDとTouch ID、SamsungのSamsung Passなどはバイオメトリック情報をユーザーのデバイスに保存しているのに対し、Amazon Oneはバイオメトリック情報をクラウドにアップロードしていると言われ、クラウド特有のセキュリティリスクを喚起している。データのセキュリティは、掌紋のような不可変な顧客データではとくに重要である」。

Amazonは掌紋を提供する顧客に10ドルのクレジットを提供して、プライバシー保護活動家などから非難を浴びた。彼らは、個人の秘密データの手渡しを強制するために安っぽい策略を使った、と言ってAmazonを責めた。

Amazonには、疑われてもしょうがないような履歴がある。たとえばAIによる顔認識ソフトウェアRekognitionを米国の法執行機関に提供して厳しい批判を浴び、昨年は警察用アプリケーションの一時的凍結に追い込まれた。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Aytug Can Sencar/Anadolu Agency/Getty Images

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2022年開業予定のスター・ウォーズ体験ホテル「Galactic Star Cruiser」の詳細が発表、2名2泊約50万円から

ディズニーが2022年開業予定のスター・ウォーズ体験ホテル「Galactic Star Cruiser」の詳細発表、2022年就航で2名2泊50万円から

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ディズニーがスター・ウォーズ体験ホテル Galactic Star Cruiser の詳細を発表しました。

滞在に含まれるアトラクションや食事の概要に加えて、二名二泊で約50万円からという価格も明らかになっています。

2022年開業予定のスター・ウォーズ体験ホテル「Galactic Star Cruiser」の詳細発表、2022年就航で2名2泊50万円から

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『Star Wars: Galactic Star Cruiser』は、米国フロリダ州のディズニー・ワールドで2022年開業を予定している没入型のエンタテインメント宿泊施設。

施設内は銀河をゆく豪華客船ハルシオン号の船内という設定で、シャトルを模したエントリーから船内でのエンタテインメントや食事、スタッフに至るまで、すべて『スター・ウォーズ』世界内の体験として設計されています。

現在米国のディズニーパーク2か所にある「スター・ウォーズ ランド」こと Star Wars: Galaxy’s Edge は、個別のアトラクションだけでなく店舗を含むエリア全体がスター・ウォーズ世界の「銀河辺縁領域の惑星 Batuuにある貿易港 Black Spire Outpost」という設定。

ミレニアム・ファルコン搭乗アトラクションやエキゾチックなレストラン、エイリアンの営む店が点在することに加えて、それぞれの場所や住人に背景と歴史があり、ひとつのアトラクションの結果で別のキャストの対応が変わるなど、滞在を通じてゲストそれぞれがスター・ウォーズ世界の物語を体験する趣旨で作られたエリアです。

2022年開業予定のスター・ウォーズ体験ホテル「Galactic Star Cruiser」の詳細発表、2022年就航で2名2泊50万円から

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スター・ウォーズ体験ホテルこと Galactic Star Cruiser は、この Galaxy’s Edge テーマエリアと対になって構想された宿泊施設。

ゲストはターミナルから「シャトル」で豪華客船ハルシオンに向かい、「船内」で船長挨拶とブリッジ訪問、ライトセーバー訓練体験やスター・ウォーズ世界のカードゲーム サバックのトーナメント参加、ドロイドレース体験、異世界風ディナーと多種族のエンタテイナーによるショー等々を楽しみ、船室を模した客室に宿泊します。

翌日は惑星 Batuu に到着したていでギャラクシーズエッジにシャトル降下して「地表」の体験を楽しみ、またハルシオンに戻って宿泊という流れ。

2022年開業予定のスター・ウォーズ体験ホテル「Galactic Star Cruiser」の詳細発表、2022年就航で2名2泊50万円から

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調度がスター・ウォーズっぽいホテルというだけでなく、ギャラクシーズエッジの「体験型」要素を強化して、船内で発生するさまざまなイベントやストーリーを体験したり、参加できる点に重点がおかれています。

たとえば船内を滞在中にはレジスタンスの一員(を演じるキャスト)から協力を求められたり、 目的地の Black Spire Outpost (ギャラクシーズエッジ)を取り仕切る犯罪組織に密輸の手伝いを持ちかけられるなど。

レジスタンスに協力すれば、突然の船内アナウンスでファースト・オーダー軍がレジスタンスを探して臨検に乗り込んでくるといった展開で、ただ居合わせた客以上に緊張を強いられることになります。

Galactic Star Cruiserでの体験を設計したディズニーのイマジニアによれば、船内での体験や選択、参加によって、目的地であるギャラクシーズエッジのアトラクションなどの内容も変わり、二日間の滞在を通してゲストだけのスター・ウォーズ世界での体験ができるとのこと。

2022年開業予定のスター・ウォーズ体験ホテル「Galactic Star Cruiser」の詳細発表、2022年就航で2名2泊50万円から

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公開されたサンプルの旅程表には、船内でのディナー後やギャラクシーズエッジでのアトラクションのあいだに「ストーリーモーメント」なる時間があり、この部分で宿泊者だけの体験ができるようです。

ディズニーリゾートの高級ホテルはもともと安くありませんが、ギャラクティックスタークルーザーはホテルというよりは約二日間に渡って続くアトラクションのような、あるいは有料の限定エリアのようなもので、多数のキャストとのやりとりも含むため、従来からかなりの費用になるのではと予想されていました。

ディズニーが更新した公式サイトのサンプルによれば、滞在および体験費用は大人二人・二日間で約52万円 (4809ドル)から。大人二人子供一人の3人であれば約58万円から。

内訳は、

・標準船室 二泊
・船内でのディナー、朝食、ギャラクシーズエッジ ドッキングベイ7でのランチ
・インタラクティブな没入体験型エンタテインメント多数
・ギャラクシーズエッジへの入場料
・駐車料金
・腕輪型のデータバンド (マジックバンド)

標準の船室はクイーンサイズのベッドおよび二段式の寝台、「宇宙」ビューが楽しめる窓、インタラクティブなTV、バスとシャワー、冷蔵庫等々。さらにギャラクシー級、グランドキャプテン級といった高級スイートルームもあり、設備とともに価格も上がります。

上の約52万円はもっとも安価な標準船室で、2022年夏から秋の平日の標準的な価格。週末や休日、繁忙期にはまた別の価格になります。

蛇足。ディズニーパークでは特定のイベント等を除き、成人が作品世界になりきった仮装をすること、いわゆるコスプレを禁じていますが、Galactic Star Cruiser では宿泊者もスター・ウォーズ世界の住人という設定のため、逆にスター・ウォーズ風のコスチュームが推奨されています。

もちろん、設定としては星間豪華客船の旅を楽しむゲストなので、完全に地球風の服装でも問題なし。エキゾチックと見慣れたものの混在はまさしくスター・ウォーズ的な感覚である上に、乗り込むのは豪華客船、立ち寄るのは雑多な種族が集まる辺境の宇宙港です。

一方で自慢のスター・ウォーズ衣装で完全に没入したい、むしろ披露したいという人には、船内の余興としてギャラクティックベストドレッサーイベントにも参加できます。

とはいえ防犯上の理由や、「本物」のキャストと紛らわしい等の場合は当然制限があることは考えられます。ストームトルーパーの完全装備やカイロ・レンのお面で乗り込もうとすれば、スター・ウォーズ世界の豪華客船であってもそうであるように「お客様、そちらのお召し物はちょっと……」となりそうです。

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:その他
タグ:STAR WARS / スター・ウォーズ(作品)Disney / ディズニー(企業)

Twitterの音声ルームSpacesに共同ホストの新機能、モデレーションがしやすく

Fleet(フリート)は長く続かなかったが、Twitter(ツイッター)のプロダクトチームは同社の音声ルームであるSpaces(スペース)に新たな要素の追加という点で減速したりはしていない。同社は2020年に限定テストでClubhouseのコピーであるSpacesを導入し、5月に少なくとも600人のフォロワーを抱える人へと同サービスの提供を拡大した

関連記事:Clubhouse対抗の「Twitter Spaces」が2021年4月一般公開へ、専用ツイートの可能性も

そしていま、TwitterはSpaceのホストが共同ホスト2人を加えることができるようにする。共同ホストは招待システムを通じて参加できる。Spacesではメーンのホスト1人、共同ホスト2人、そして最大10人のスピーカーが利用できるようになる。共同ホストはスピーカーのリクエストを調べたり、スピーカーに声をかけたり、Space 内にいる人を追い出したりできるため、モデレーション業務がより管理しやすいものになる。

Fleetがなくなり、SpacesはTwitterアプリのメーンフィード上で現在使用できる唯一のライブ機能だ。InstagramのStoriesをそっくり真似ているそのバーチャルのルームは、Twitterがユーザーに最初にチェックして欲しいものへと目を移している。Twitterはまた、Spacesを見つけやすくす専用タブの展開も開始し、リアルタイムにライブ音声ルームが中央部分に表示されるようになっている。

Clubhouseの爆発的な勢いを目の当たりにし、数多くの大手アプリがライブ音声チャットルームを自社プラットフォームに取り込んだ。6月にSpotifyは最大1000人が参加可能な音声イベントを開催できる独立アプリGreenroomの提供を開始した。もちろん、Facebookも6月にLive Audio Roomsという独自のライブ音声ルームを立ち上げた。音声ベースのチャットではすでにリーダーであるDiscordは3月にClubhouseのような独自イベントチャンネルを追加した。TwitterはSpacesでトレンドを踏襲したが、Fleetsと違って同社は比較的新しい機能であるSpacesのサポートを継続する計画のようだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterTwitter Spaces音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:Twitter

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

ファンの楽園に異変、Tumblrのベータサブスクリプション機能にユーザーが猛反発

Tumblr(タンブラー)ユーザーはしばしばそのコミュニティをネット界の荒れ地になぞらえるが、それは間違っていない。7万件のリアクションがあったテキスト投稿がそれを物語っている。「私のお気に入りのソーシャルメディアサイトはTumblr。有名人を認証するシステムも、投稿を宣伝するアルゴリズムもないから、有名人の居場所はない。彼らにとっては、無法者たちが集う荒野なのだ」。

それでも、Tumblrは他のソーシャルメディア企業同様、ユーザーがこれからも難解なファンアートや、ナンセンスでくだらない投稿や「続きを読む」ボタンの下に隠された赤裸々な日記エントリーを共有できるようにするために、収益を確保して事業を継続することが必要だ。Tumblrは先に、Post+(ポストプラス)サブスクリプション機能の限定ベータテストを発表した。計画通りに進めば、Tumblrのユーザーは、毎月3.99ドル(約440円)、5.99ドル(約660円)、9.99ドル(約1100円)のいずれかに設定された料金を支払う購読者に対し、有料会員限定コンテンツを提供できるようになる。

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画像クレジット:Tumblr

このような形で収益化を図るソーシャルメディアプラットフォームは、Tumblrが最初ではない。Twitter(ツイッター)はSuper Follows(スーパーフォロー)Tip Jar(チップジャー)機能を展開しており、YouTube(ユーチューブ)も投げ銭機能について発表した。Instagram(インスタグラム)もツイッターのスーパーフォローのように、ユーザーが「独占ストーリー」を作成できる機能を実装しようとしている。とはいえ、Tumblrの雰囲気にぴったり合っているWil Wheaton(ウィル・ウィトン)Neil Gaiman(ニール・ゲイマン)のような例外を除けば「無法者の集まる荒野」のようなプラットフォームを誇りにしてきたコミュニティを抱えるウェブサイトにおいて、有料会員限定コンテンツへの動きが手放しに歓迎されることはなかった。

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マネタイズは諸刃の剣だ。Tumblrのアーティストにとって、ブログにPatreon(パトレオン)やKo-fi(コーフィ)のようなサードパーティサイトへのリンクを貼り、熱心なフォロワーが有料限定コンテンツへのアクセスを購入したり、投げ銭を送ったりすることを可能にするのは、別に野暮なことではない。そういうわけで、Tumblrにとってポストプラスが収益を生み出すわかりやすい方法に思えたのだろう。フォロワーを別のウェブサイトに誘導する代わりに、自社のプラットフォームでファンがクリエイターをサポートする仕組みを作り、そのうちの5%を徴収するのだ。ツイッターの新しいマネタイズツールでは収益の3%、YouTube(ユーチューブ)やTwitch(ツイッチ)のような動画がメインのプラットフォームではそれぞれ30%と50%を徴収していることを考えれば、決して理不尽な比率ではない。でも、Tumblrはツイッターではないし、ユーチューブでもツイッチでもないのだ。他のプラットフォームと違って、Tumblrでは他の人のフォロワー数を見ることができず、認証済みアカウントの制度もない。人気の投稿をした人のフォロワー数が100人なのか10万人なのかは誰もわからないが、ユーザーはそのスタイルを望んでいる。ポストプラスではその点が変更され、ブロガーのユーザー名の横にツイッターの青いチェックマークに似たアイコンが表示されるようになるのだ。

Tumblrのポストプラス対象クリエイターのプロフィール

Tumblrは、厳選された一部のクリエイターにポストプラス機能を公開した。その1人が、ライター兼宇宙物理学者であるKaijuno(カイジュノ)だ。今回Tumblrはこのポストプラス機能を、多くのユーザーが重要なお知らせを確認するスタッフブログではなく、この製品専用の新しいブログで発表した。そのため、自分たちのお気に入りソーシャルメディアサイトが資本主義を優先する地獄に変わることを望んでおらず、怒りに燃えたTumblrユーザーが、24歳のこのブロガーを攻撃の対象とした。この機能の使用を許可された公開ユーザーの大多数にも、同じような攻撃が発生した。カイジュノがポストプラスのベータテストに関連して殺人予告を受けたため、Tumblrのスタッフが事態に介入し、ポストプラスユーザーに対する嫌がらせを糾弾した。

Tumblr側は「みなさんの好みや熱中していること、心配していることについて、それが受け入れにくく思えるものであっても、私たちは喜んで耳を傾けますから、それをお知らせください。喜んでお聞きします。私たちにとって耐え難いのは、今日の午後以降それらのクリエイターたちを対象とした嫌がらせや脅しがあったことです。【略】彼らは機能をテストしているだけです」とスタッフブログで書いている。

このメッセージが投稿される前に、Tumblrの担当スタッフがカイジュノと連絡を取り、炎上の状況について直接調査を行っているとはいえ、Tumblrのサービスを利用したことですでに脅しを受けているユーザーに対して、Tumblrができることはそれぐらいしかない。

カイジュノはTechCrunchに対して「いけにえの子羊にされた気分です。ポストプラスについては事前に通知されず、一部の人だけに機能を公開しました。私としては、コンテンツに対する支払手段の選択肢を用意して、医療費の足しにしようかと考えていましたが、気が付いたら、自分たちがバカにされたと感じているユーザーたちの攻撃対象になってしまいました。Tumblrのユーザーはサイトにどんな変更があっても気に入らないので、多少の炎上があるとは思っていました。とはいえ、炎上の標的は主にスタッフで、ベータテストの参加者は炎上することは、まずないだろうと考えていました」と話した。

Tumblrのユーザーが、マネタイズをそこまで大きな脅威だと考えるのはなぜか。問題は、その機能がクリエイターを支援するために役立つかどうかではなく、Tumblrがこの種のサービスをホストできるかどうかだ。Tumblrをこよなく愛する複数のベテランユーザーがTechCrunchに対して指摘したのは、2020年後半にブログがスパムボットにハッキングされ、Ray-Ban(レイバン)のサマーセールの広告がひっきりなしに投稿された事件である。

カイジュノは「Tumblrのウェブサイトのコーディングはあまり優れたものではなく、機能が壊れやすくなっています。Tumblrに財務情報を預けるなら、なんでも炎上するでしょうね」と付け加える。

Tumblrユーザーが懸念する別の点は、ポストプラスがプライバシーに与える影響だ。限定ベータテストでは、ポストプラスユーザーがブログ購読中のユーザーをブロックするには、Tumblrのサポートに必ず連絡する必要がある。これでは、購読ユーザーから嫌がらせがあった場合に、ブロガーが危険にさらされる可能性がある。

Tumblrの広報担当者はTechCrunchに対し「米国のクリエイター全員にサービスが提供される2021年の秋までに、ポストプラスのクリエイターが自分で購読者を直接ブロックできるようにする予定です」と語った。

オンライン依存度が非常に高いZ世代は、Tumblr利用者の48%を占めているが、彼らはスタッフの給与とサーバーを維持するために、十分な収入がなければプラットフォームの存続は期待できないこともよくわかっている。2018年にすべての「閲覧注意」コンテンツを禁止した際、Tumblrは月間ページビューのほぼ3分の1を失っている。それ以来、同サイトの月間トラフィック量が上向かない状況が続いている。

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画像クレジット:SimilarWeb

Tumblrの元従業員がTechCrunchに語ったところによれば、ポストプラスとして発表された機能も、最初は投げ銭機能として始まったらしい。ところが、Tumblrの上層部はそのプロジェクトを、ユーザーコミュニティの意見を聞くこともなく、サブスクリプション限定サービスの開始へと方向転換させたようだ。

Tumblrのブログnormal-horoscopes(ノーマルホロスコープ)のクリエイターは「投げ銭であれば、大きな機能改善になったと思います」と書いている。彼らはTumblrで獲得してきたコアオーディエンスに支えられる形で、パトレオンからの収入で生計を立てているが、ビジネスにポストプラスを新たに導入する必要性を感じていない。「(パトレオンのような)外部サービスのほうが、オプションが豊富で特典も多く、利用しやすい価格設定です。クリエイターとしても、オーディエンスに公開する方法を選ぶことができます」。

だが、全体的に言って、サブスクリプション購入者限定サービスに対するTumblr利用者の見方は異なるようだ。ファンの文化が栄えるサイトにおいて、ファンアートやファンフィクションのクリエイターは、二次創作物を有料サービスで公開することに懸念を感じている。ポストプラスは公開することを推奨しているが、これは法律面で問題となってしまうのだ。有名なファンフィクションサイトのArchive of Our Own(アーカイブ・オブ・アワ・オウン)に至っては、パトレオンやコーフィのような支払いサイトからリンクを貼ることをユーザーに禁じているほどだ。

「ビジネスや企業アカウントに加えて、コンテンツよりも収益を優先するユーザーたちにとって、マネタイズ機能の組み込みは魅力的でしょう。この機能は、プラットフォームの文化を変えてしまいます」とノーマルホロスコープはいう。

現在、不満を抱くユーザーたちがフォロワーに対して、ポストプラスのフィードバックアンケートで自分たちの不満を表明するよう、Tumblrのあちこちで促している。このことはスタッフも歓迎している。

Tumblrの広報担当者は、TechCrunchに対して「新しい機能を立ち上げる時には、その機能でTumblrの利用方法がどのように変わるのかについて、建設的なディスカッションが行われることを期待しています。全員の意見がポジティブということはないと思いますが、それでいいのです。建設的な批判があると、サービスを生み出す原動力になるため、最終的にはTumblrの環境を改善できるようになるでしょう」と語っている。

Tumblrのコミュニティは何年もの間、プラットフォームで自然な収益システムを構築できるかという問題を抱えてきた。Tumblrのユーザーは、Tumblrのスタッフに不信感を抱きながらも、Tumblrのサイトを守りたいという感覚を持っている。これが、Facebook(フェイスブック)のようなソーシャルメディアの絶対権力者とは違うところだ。フェイスブックなら、綿密な調査も行わずにサービスの中心にeコマースを据えてしまうことができる。一方、Tumblrのポルノ禁止令による甚大な影響から3年経った今も、ソーシャルネットワークをユニークなものにしているユーザーたちを見捨てて成長していくことは、Tumblrにとって難しいようだ。

Reddit(レディット)やDiscord(ディスコード)のようなプラットフォームでは、トップ投稿者の報酬となるコインや特別な絵文字の販売など、デジタル商品の販売によって運営を継続している。財務面のニーズは企業ごとに異なっているとはいえ、Tumblrがポストプラスによるマネタイズを選択したことは、Tumblrが自社のユーザーコミュニティの願いを十分に理解していないことを如実に示すものだと言えるだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TumblrSNS収益化クリエイターサブスクリプション

画像クレジット:Hieu Vu Minh/Unsplash(modified by TechCrunch)

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)