非集中型ネットワークの実証モデルMaidSafeが10年の研究開発期間を経てやっと一般ユーザー向けアルファを開始

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【抄訳】
10年の研究開発期間ののちにやっとローンチするスタートアップは、そんなに多くない。でも、インターネットの構造を根底から考えなおそう、作り変えよう、と志向するスタートアップも、そんなに多くはない。

イギリスのMaidSafeは、Steve Jobsが最初のiPhoneを発売する前から、今のインターネットに代わる、非集中的なP2Pネットワークを作っていた。そしてやっと今日、ついに、試行的なローンチにこぎつけ、ネットワークの最初のアルファテストを開始した。

アルファにアクセスするために必要なさまざまなダウンロード物は、同社のWebサイトが提供している。

もっと小さなネットワークによるテストは前にも行っているが、一般公開という形でのテストは今回が初めてだ。しかしあくまでもアルファリリースなので、“きわめて初期的なアーリーアダプター”がターゲットだ、とファウンダーのDavid Irvineは言っている。

アルファテストの目的は、ネットワークの動作の確認、フィードバックの獲得、そしてデベロッパーコミュニティの育成だ。アプリケーションのエコシステムを活発にして、採用を広げていかなければならない。APIの公開は、今週行う。

MaidSafeが志向する安全な(Safe)ネットワークとは、社名/製品名の中のSafeが‘Secure Access For Everyone’(みんなが安全なアクセス)の頭字語だと称するように、ネットワーク(インターネット)が今のように一部の熱心なマニアのものでなく、もっともっと広い層が安心して利用できるものになることだ。だからインストールのやり方も、平均的なユーザーを想定している。

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“インストールも実行も、非常にシンプルなものにしたい。クリックしたらインストールして動き出す、というように。その点では、モバイルアプリの配布方式を見習いたい。ダウンロードすれば即動く、というようにね”、Irvineはそう述べる。

アルファのネットワークは、MaidSafeの大きなビジョンの完全なローンチではない。その基本的なコンセプトは“ボルト(vault(s), 大金庫/大貯蔵庫)”と呼ばれ、ネットワークが、ユーザーがリソースを寄与貢献する場…すなわちボルト…になる。この点が、リソースが中央集権的な巨大サーバー群に集中している現状のインターネットの姿と大きく違う。ネットワークの基本構造はどこかの巨大サーバーの上にあるのではなく、ユーザー自身と自分たちが拠出したリソース(たとえば自分のハードディスク上のスペース)の上にある。リソース提供者は、Safecoinと呼ばれる暗号化通貨を稼ぐ。みんながそうやってリソースを持ち寄るから‘ボルト(巨大貯蔵庫)’だが、今回はそこまではテストできない。アルファの段階ではボルトは、MaidSafeが動かすリソースのみだ。

ユーザーがネットワークに(を)参加構成するためのソフトウェアは、Windows, Mac, Linux用がすでにあり、またRaspberry PiのようなARM系のデバイス用もある。

“最初はネットワークのユーザーサイドを重視し、それに関するフィードバックを集めていく”、Irvineはアルファテストのねらいをこう語る。“それによってアプリケーションのデベロッパーは、APIを使ってユーザー用のアプリケーションを作っていける。すでにフォーラム上にはそんな動きが見られる。しかし中核的なサポーターたちを超えて、もっと広いオーディエンスに広げていかなけらばならない”。

今チームが取り組んでいる懸案事項は、ネットワークのP2Pボルトの部分だ。非集中ネットワークのアーキテクチャでは、それが(従来の集中的ネットワークにおける)サーバーの役を担う。だから、ノードのクォリティが悪いと、ネットワークが劣化する。それを防ぐ方策が必要だ。

“現時点ではほとんど、われわれがDigitalOceanのドロップレット(Droplets,AWSのVMインスタンスに相当)の上に作ったボルトだけだ。でもこのアルファの過程では、ユーザーはスマートフォンや粗悪なインターネット接続から参加しているので、多くを望めない。こんな現状でユーザーボルトを構成したら、あまりにもネガティブな結果になるだろう”。

“今後の、二度目三度目のアルファでは、誰もがリソースを寄与貢献(コントリビューション)できるようにしたい”、と彼は付言する。あなたがリソースを寄与貢献できるか、それはあなたのインターネット接続やハードウェアのクォリティから、ネットワーク自身が判断する。だから、ボルトの寄与貢献がいつから始まるかを、現時点で具体的に言うことはできない。

このP2Pボルトのストレージ成分が、非集中化というMaidSafeのビジョンの中核であり、それをベースに、“自己治癒的(自然治癒的)で自己管理的な完全分散ネットワーク”が構成される。

サーバーを抹消したインターネットアーキテクチャには、セキュリティとプライバシーの面で大きなアドバンテージがある。サーバーがないから、どこかにストレージをたくさん集めて、そこにデータを集中しない。だからハッカーや盗視者にとって、ハニーポットとなるターゲットがない。サービスへのアクセスが、(政府などに)コントロールされることもない。データは暗号化され、巨大な分散状態で保存される。どれくらい巨大かというと、Safeネットワークのユーザーは、究極的にはグローバルなネットワークを構成する。

IrvineはMaidSafeの技術的な見地を次のように語る: “このプロジェクトを始めた理由は、サーバーベースのインターネットが持つロジックが、完全に反技術的かつ反工学的だからだ。MaidSafeのように、どこにもサーバーがなく、すべてのコンピューターが実質的にすべてのコンピューターおよびすべてのリソースと接続している、と考えると、YahooとGoogleとAppleをすべて合わせたものですら、矮小に見えてくるだろう。彼らは、みんなのデスクの上にある(未来の)ものに比べたら、無に等しい。

“しかも今、インターネットの現在の構造は、日に日に瓦解しつつある。人びとはインターネットから、略奪されハックされ盗視され、しかもやられ放題だ。そうなってしまった唯一の原因は、今のインターネットの中核的な設計が完全に非論理的で破綻しているところにある”。

プライバシーとセキュリティはネットワークに最初から組み込まれていなければならない。それらを、あとからのアドオンにすることは、不可能だ。

“サーバーは、セキュアでありえない。だからサーバーのところにあるパスワードも、セキュアではありえない。だのに、なんで今さらセキュリティなんかに努力するんだ? MaidSafeのようなものへのニーズは、ほとんど絶対的だ。万人が必ず、それを利用しなければならない。プライバシーとセキュリティはネットワークに最初から組み込まれていなければならない。あとからのアドオンにすることは、不可能だ”。

という大きなビジョンに向けて、今回の最初のアルファは小さな一歩だ。でもそれが一般公開の状態でのアルファであることは、重要だ。誰もがこの新しい車の、タイヤを蹴ってみれるのだから。またアルファに入ったことによって、今後の開発のピッチが上がる、とチームは考えている。必要なR&Dの大部分は、すでに終えている。

同社はbnktothefutureからの200万ポンドの資金調達と、技術者の増員を計画している。この前は目標額670万ポンドでクラウドファンディングしたが、bitcoinが多くてしかもそれらが値下がりしたため、失敗した

また、ボルトを作った人や、ブラウザーなど今後の重要なアプリケーションを作ってくれるデベロッパーへの支払いとして、500万Safecoinを確保している。このネットワークはサーバー不在が前提だから、これまでのアプリケーションはほとんど使えない。新たに作ることが必要であり、そのためにはアプリケーションのエコシステムを作らなければならない。新しいアーキテクチャのネットワークも、その価値は、その上で何ができるかで決まる。それゆえ、アプリケーションが重要だ。

今、外部のデベロッパーがSafeネットワークのために取り組んでいるプロジェクトのひとつ、プロジェクトdecorum〔礼儀作法プロジェクト〕は、非集中ネットワークにおけるソーシャルサービス(フォーラム、コミュニティ、コメントシステムなど)とそのためのオープンソースのプロトコルを作ろうとしている。MaidSafeは、このような外部努力がどっさりと必要である。Safeネットが、おもしろいエンジニアリングの実験で終わらないためには。

Irvineは言葉を続ける: “これまでの10年間は、最小限の人とお金で、サーバーの存在しない新しいネットワークアーキテクチャが実現可能で、しかも使い物になることを実証するための、努力を積み重ねてきた。しかし今では、技術的に難しい部分はもうほとんど残っていない。これから重要なのは商用化だ。まあそれは、これまでやってきた新しいインターネットの発明よりはやさしいけどね”。

でも、今およびこれからは、モバイルデバイスの時代ではないのか? コンピューティングの多くが、デスクトップからモバイルへ移った。そのことと、MaidSafeの非集中型インターネットは、どんな関係になるのか?

チームの考えでは、アルファはもっぱらデスクトップ機で行うが、将来的にはスマートフォンも今のデスクトップに劣らぬ“ネットワーク構成員としてのリソース”を持つに至るだろう。ただしそれらが十分な力を発揮できるためには、セルネットワーク(キャリアのデータライン)ではなくWi-Fiが主体になるし、充電の頻度も増すだろう。ただしこれらの話はすべて、将来の課題であり、今のアルファの対象にはなっていない。モバイル対応は、とりあえず、トゥドゥリストには載っている、という状態。

彼によると、ここから先は、自分にもチームにも鞭を当ててピッチを早めたいという。協力デベロッパーが増えてアプリケーションが増えてくれば、チームももっと、インフラストラクチャに専念できる。また、世界中でユーザーが増えるためにも、商用化を進めるためのパートナー作りが欠かせない。

Irvineは曰く、“うちは今、研究企業から商用企業への変わり目にいる。B2Cコンポーネントを作ったのも、多くの人たちに、アプリケーションを作る気になってもらうためだ。言い換えると、サードパーティに関心を持ってもらうための契機としてだ。たとえばHadoop Cassandraのストレージも、それを非集中型にする、というオルタナティブがあるはずなのだ。その方が、ずっと良いと思う”。

【中略】

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“アルファ以降には、アプリケーションを増やす方向に舵をきりたい”、とIrvineは語る。“Safeのネットワークの上なら、Web上のプライベートな情報を、当人しか見れないようにできる。またWebページ/Webサイトをどこかのサーバーにサーブさせなくても、手元のどんな情報でも、公開と共有を、自分のWebサイト上で指定できる。Wordのドキュメントでも、Skypeの会話でも、何でもだ。もちろん、それらを見た人に、そのオリジナルを改変や削除等する能力はない”。

“Webサイトも、自分のWebサイトはMaidSafeのアプリケーションが動き出したら1分以内に自分のマシン上に自動的に作られる。そのWebサイトは、各ユーザーの一生ものだ。どこかのサーバーに、それを委ねる必要はない”。

このような、サーバーがないネットワーク、サーバーがない世界を、多くの人たちが理解するには、時間がかかるだろう。しかし、その先例となるMaidSafeでさえ、アルファテストまでこぎつけるのに10年を要したのだ。なお、ブラウザーに関しては、Safeネットワーク専用ブラウザーに関する議論が、ここにある。

従来のブラウザーを使ってアルファテスターになりたい人は、MaidSafeからランチャーを入手して情報にアクセスする必要がある。また、いくつかのデモアプリケーションを試すこともできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Y Combinatorで芽が出なかったネットワーク分析のKentikが売上数千万ドル目前、シリーズBで$23Mを獲得

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かつてY Combinatorを落ちこぼれたネットワーク分析のスタートアップKentik Technologiesが今朝(米国時間8/4)、ファウンダーたちが期待の目で見守る中で2300万ドルのシリーズBを完結させた。

正直に言って私たちの多くは、ネットワークのインフラストラクチャについて何も知らない。しかも幸いなことに、私たちの多くは、知らないで済まされる。しかしインターネットサービスプロバイダ(ISP)や、大量のAPIを利用している企業にとっては、ネットワークの状態を示す情報を迅速に受け取れることが、安定したサービスをコンスタントに提供していくための重要な基盤のひとつだ。もちろん、サービスプロバイダが安定稼働していれば、ユーザーがいらいらとページをリフレッシュする回数も減る。

われわれ消費者ユーザーには、ネットワークがおかしければルーターの電源コードをしばらく抜いてみる、という手がある。しかし企業の場合は複雑なサーバーシステムが動いていて、何かをリブートしたり電源を抜いてみるぐらいでは対策にならないことが多い。

そんな企業にKentikは、ネットワークのインフラストラクチャに関するデータにより、ハッカー攻撃の検出やログの分析、トラブルに至るまでの利用状況の履歴(対策の特定)、などを提供する。企業は常時、ゼタバイト級の大量の情報を扱っているから、その中で問題の箇所だけを正確にかつ早く見つけるためには、Kinetikのようなサービスが欠かせない。

この、大量のログを取ってその分析を正確迅速にやる、というKentikの特技は、同社の最大の差別化要因だ。しかし同社のコンペティターのDatadogは、今年の1月に早くも、シリーズDで9450万ドルを獲得している。

CEOで協同ファウンダーのAvi Freedmanによると、同社の売上は“数百万ドル”のレベルを超えて“数千万ドル”の領域に入りつつある。今同社の顧客は60社あまりで、その80%がアメリカ国内だが、今後は西ヨーロッパ市場を積極的に開拓したい、と言っている。

今回の2300万ドルのラウンドは、Third Point Venturesがリードし、これまでの投資家August Capital, Data Collective (DCVC), First Round Capital, Engineering Capital, そして新規の投資家としてGlynn CapitalとDavid Ulevitchが参加した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

光の高速パルスでデータを送る、WiFiに代わるLiFi技術のPureLiFiが、早くもシリーズBで£7Mを調達、商用化に取り組む

Launch.ed, Edinburgh University.
ILG shortlist 2016.
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mail@malcolmcochrane.co.uk 
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エジンバラ大学からのスピンアウトPureLifiは、Wi-Fiに代わる技術として‘LiFi’なるものを開発している。それは、LEDの光を信号で変調してデータをLiFi実装機間で送受する。同社はこのほど、シンガポールの国有投資企業Temasekが率いるシリーズBのラウンドで、700万ポンドを調達した。この新たな資金で同社は、その技術の商用化を開始する、という。

LiFiは、無線周波数(radio frequency, RF)ではなく可視光線を使ってワイヤレスの高速なデータ通信を行う。信号はLEDの点滅のパルスで表現されるが、速すぎて人間の目はそのパルスを認識できない。

LiFi-X dongle by pureLiFi

LiFiには、Wi-Fiにない利点もある。まず、‘見通し線’という要件があるのでセキュリティが高い(傍受ができない)。LEDのような既存の安価な光源を使ってアクセスポイントを増設できる。データ転送スピードがWi-Fiより高い。

しかし、これらの利点は顕著な不利でもある。とりわけ、見通し線という要件がきついので、可用性が低く、また光は昼間の屋外では使えない。

しかしそれでも、PureLiFiによると、同社はすでにCiscoやLucibelとLiFiネットワークの商談を進めている。昨年シリーズAを調達してから同社は、小型のLiFiシステムLiFi-Xのための初のプロダクト、モバイルのLiFiドングル(上図)の開発と生産を完成した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

蟻のコロニーを研究するともっと良いネットワーク分析ができる…MITの研究より

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蟻は、多くのことが上手だ。物を持ち上げる、コミュニケーションする、ピクニックを台無しにする。彼らが彼らの科学に基づいた投票を行うことも、明らかになっている。巣を移動する時が来ると、この小さくて勇敢な昆虫は、選ばれた議員たちによる投票をする。その民主的な過程は、すくなくともある部分、お互いがぶつかり合うことによって決められる。

(人間の)科学者たちは、蟻が自分たちの環境を探検するとき、どれだけ他の集団にぶつかるかによって、自分たちの人口密度を決める技(わざ)を持っている、と信じている。そのランダムな探検が結果的には、一定のスペースにどれだけ多く存在しているかを知るための、最良の方法なのだ。

“今われわれは、その直観の背後にあるものを厳密に分析しようとしている。彼らが行う推計は、ちょっとした雑な推計ではなくて、きわめて良質な推計なのだ”、とMITの電気工学とコンピューターサイエンスの院生Cameron Muscoは説明する。今彼は、この主題に関する新しいペーパーを査読中だ。“時間の関数として、それはだんだん正確になる。そして最後には、これ以上は無理と思われるほど速くなる”。

彼のペーパーは、このような“ランダムウォーク”による探検が、ネットワーク通信のアルゴリズムの基盤を提供し、ソーシャルネットワークやアドホックなデバイスによるネットワークなど、いろいろなネットワークの推計に利用できる、と主張している。とくに、さまざまな理由でランダムな標本(サンプリング)が得られないような場合のデータの決定に役に立つ、という。ランダムウォークのシナリオでは、蟻などの“探検者”が、グラフ上の任意の隣接セルを訪れる確率が、どのセルに関しても等しい。しかもこの方法は、人口密度の決定が、サンプリングによる方法と変わらないぐらい速いから、研究者たちは驚いている。

Muscoは曰く、“グリッドのまわりをランダムに歩いて行くと、グリッドを斜めに横切らないから、すべての人とぶつかることはない。だからグリッドの遠い端の方にいる誰かは、ぼくとぶつかる確率がゼロに近い。でも、そんな連中とぶつかる確率は低くても、ローカルな連中とぶつかる確率は高い。ローカルな連中との遭遇をすべて数えることによって、自分が決してぶつかることのない遠方の連中がいることを、判定する必要があるのだ”。

画像提供: MIT

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

出会い系アプリのBumbleから仕事探しができる「BumbleBizz」が登場

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ネットワーキングは嫌いだ。少なくとも、大量の名刺をポケットに詰め込んだヤル気満々の「ネットワーカー」が5秒ごとにやってくる、あの気まずいネットワーキングタイムは本当に苦痛だ。

ただ、これは一つのネットワーキングのタイプにすぎない。一般的に言えば、より広範で厚かましさの少ないネットワーキングは良いことであり、多くの人が仕事に就いている理由でもある。ネットワーキングの定義は「ビジネスや就職につながる良好な関係を築き上げること」だ。最高じゃないか。

人気のスワイプ式出会い系アプリ「Bumble」は、この定義をきちんと理解している。同アプリは、ユーザーが恋愛路線から一時的に方向転換し、キャリアアップにつながる出会いを探すことができる新たなサービス「BumbleBizz」を発表した。

この新サービスは、恋人を探すための普段のBumbleと、新しい友達を探すためのBumble BFFとそれほど変わらない。実際、Bumbleの共同設立者兼CEOのウィットニー・ウルフェは、BumbleBizzは「設立当初から掲げる、人生の大切な瞬間—、恋愛、友情、そして今はネットワークにおいて人々がつながるチャンスを提供する、という企業ビジョンの一部でした」と語っている。

BumbleBizzもまたスワイプ式で、ユーザーは所属業界や現在の仕事、学歴などを記入した(デート用のものとはまた別の)プロフェッショナル・プロフィールを作成する。同社はそれらのデータと地域情報を組み合わせ、アルゴリズムを使ってお互いのキャリアにプラスになるようなユーザー同士をマッチングする。

アルゴリズムは性別を考慮はしない(つまり異性か同性同士の2人がマッチングする)。マッチング後の会話は女性の方から始めなければいけないというBumble特有のルールは引き継がれるそうだ。

果たして人々はLinkedInの代わりにBumbleを使い始めるのだろうか?そしてこの出会い系アプリは仕事の場合でも人々をうまくマッチングすることができるのだろうか?答えが出るのはまだ先だろう。Bumbleがサービス提供を開始するのは今年秋以降だという。

確かに、プロフェッショナル・ネットワーキングを通じて訪れる、人生の転機となるような出会いはほんの数回しかない(それがネット上でも、現実での出会いでも)。しかし、あなたの憧れの職業に就いている人や未来の共同ファウンダーとなる人とのミーティングであるなら、たった数回の出会いでもあなたの人生を大きく変えるだろう。

だから例えBumbleBizzで得た100件のマッチングのうちたった一つしか実らなかったとしても、その結果は決して悪くはない。それに、今や多くの人々がプロフェッショナル・ネットワーキング業界に対して疑問を抱いている。失敗したところでBumbleが失うものは何もないだろう。

BumbleBizzが開始すれば、この出会い系アプリはわずか1年半で恋愛、友情、そしてこれからは仕事やビジネス上の関係を見つけるプラットフォームとなり、550万を超えるユーザー数を確保したこととなる。それに対してTinderは、Bumbleよりもはるかに多いユーザーベースを確保していながら、未だにデートアプリとしてしか機能していない。Bumbleは人々の生活のプラットフォームとなることで、ユーザー層の拡大(Bumbleで探すのは恋愛に限定されないのだから)、そしてより多くの人に頻繁にアプリを利用してもらうことを望んでいる。

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(翻訳: Tomoya Mori)

Videolanがネットワーキングビデオ再生プレーヤーVLC 2.0 for Androidをリリース、機能を充実しパーミッションを削減

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古くから、そして今でも、広く使われているマルチプラットホームのビデオプレーヤーVLCがAndroidバージョンの大型アップデートを行い、要望の多かった機能をいくつか加えるとともに、必要なパーミッションの数を減らすことに成功した。まだまだこの老舗(しにせ)には、しっかりとしたデベロッパーがいるようだ。

そのバージョン2.0では、互換性がAndroid 2.2(”Froyo”ですよ、忘れたかな?)からNまでに広がった。そのNは、nougatになるのか、nilla waferか、それとも、もっとひどい名前になるのか?。

VLCの最初からの傑出した機能のひとつは(知る人ぞ知る、もう10年以上前からの話だけど)、つねにネットワークからの再生ができることだった。そしてVideoLANのブログ記事によると、その機能が“ほぼ完成した:)”。

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今では、DLNA/UPnP, Windowsネットワーク共有, FTP, SFTP, NFSプロトコルがサポートされている。ネットワークからでも字幕を見つけることができ、それらはOpenSubtitlesからのものでもよい。右から左へ読むやつや、複雑なレイアウトの字幕も可だ。

パッケージがスマートフォン、タブレット、Android TV対応の統一パッケージになったので、インタフェイスの入れ替えも自由にできる。ビデオプレイリスト、マルチウィンドウ、再生履歴なども今度のアップデートでサポートされた(履歴は消したければ消せるのでご安心を!)。

ぼくみたいに、昔だけでなく今でもVLCを使っている者には、嬉しいアップデートだ。とくにAndroid TVでの再生機能が充実したのが良いね。あの頼もしい古顔が、ますます健在であることを知ったのも、嬉しい。もちろん、それは今でも無料だ

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

VetTechTrek、退役軍人のテック業界での再就職をeラーニングで支援

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VetTechTrekは昨年設立された非営利団体で退役軍人とテクノロジー業界が結びつく手助けをすることを目標に掲げている。

これまでの12ヶ月間で彼らはこの目標を達成するため何度もいわゆる「トレッキング」を開催して、180人以上の退役軍人とその配偶者を、同じく退役軍人で現在テック業界のスタートアップで働く人々に引き合わせてきた。それらのスタートアップはニューヨーク、シリコンバレー、ワシントンDCを拠点にする60以上の企業に及び、それらの中にはDropbox、Twitter、Facebookや Y Combinatorが含まれる。

反響は大変良かったものの、退役軍人と企業の両方からさらなる参加を要望する声は予想をはるかに上回るものであった。

そこで本日VetTechTrekはProject Standardを立ち上げる運びとなった。Project Standardはeラーニングのプラットフォームで、退役軍人が退役後に素晴らしいキャリアを形成する為の手助けとなるリソースを蓄積、収納する。基本的にその計画とは、退役軍人の経験を採用担当者や創業チームが理解できるストーリーやスキルに落とし込むためのサポートを提供するというものだ。

これらの教育プログラムは内容別に「会社」、 「トピックス」、「役割」の3つからなる。

「会社」の部分はビデオ版の「トレッキング」というべきもので、彼らの主催してきた人的交流プログラムに相当する。他の2つの部分は履歴書の書き方やネットワーキングの他、再就職を検討中の軍人に有用な様々なトピックスに焦点を当てる予定だ。

今回のプラットフォームを構築するにあたり、VetTechTrekは5万ドルを目標にKickstarterで資金を募り始めた。その資金は「Netflix級の」、質の高い教育ビデオを企画、撮影し編集する為に必要な人員を雇うのに使われる予定だ。

しかし、これまで関係を築いてきた60以上もの企業からおそらく容易に資金提供が得られる状況にあって、なぜKickstarterなのだろうか。

VetTechTrekによれば、彼らは自分たちが退役軍人の人達が本当に望むものを作っているという点を”何の疑いの余地もなく”確実にしたかったということだ。

VetTechTrekはSteve WeinerとMike Slaghという、現在サンフランシスコのテック企業で働く二人の海軍出身者が設立した。

同団体は今後も年数回程度ネットワーキングのためのトレッキングを主催し続ける一方で、今後そのリソースの大部分を新しいeラーニングのプラットフォームの構築に注ぎ込むことになる。

彼らのKickstarterに関しての詳細はここからどうぞ。今後3週間の予定で資金を募るが、すでにゴールに設定された5万ドルの内、1万2千ドルを調達している。

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(翻訳:Tsubouchi)

10年以上企業向けだけでやってきたWi-FiハードウェアメーカーUbiquitiがついに消費者市場に進出、そのお手並みは

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これまでの10年あまり、エンタープライズネットワーキング専門でやってきたサンノゼのUbiquitiが、その職場におけるワイヤレスの熟練技術を家庭に向けようとしている。同社は元Appleの社員でその後Memphis GrizzliesのオーナーになったRobert Peraが協同ファウンダーだが、新しいWi-FiシステムAmpliFiで消費者市場に進出しようとしている。

“ワイヤレスの通信とネットワークにおける長年の経験を生かして、家庭のインターネット接続のためのすばらしい製品を作りたい”、とPeraは述べている。

システムの最小構成(199ドル)は、ルーター1 + ワイヤレスエクステンダー2で、それプラス、上位構成が2種類ある(計3種)。AmpliFiは802.11ACの技術を使用し、最大2.4GHzと5GHzの帯域をサポートする。

同社は、プラグ&プレイですぐ使えることを約束しているが、モバイルアプリを使えばスピードテスト、ゲストモード、24時間のサポートなどを利用できる。製品のルックスもなかなか良い。スピードを表示する大きなLCD(上図)があるあたり、Nestを思わせるデザインだ。

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Paraによると、“これまでのルーターと違ってデザインを外注してるから、どんな家に置いても自慢できるね”、ということだ。

今は予約受付中で、発売は夏を予定している。これを最初の製品として、今後は消費者製品を次々と出していく予定だ。そのためのR&DセンターUbiquiti Labsを、このほどラトビアでローンチした。

“Ubiquiti Labsは今後の2年間でいくつかの新製品を開発する予定だ。その最初の製品がAmpliFiで、弊社はこれまで、企業向けのWi-Fi製品を3800万台以上売ってきたから、従来の家庭用Wi-Fiが抱える欠点を十分解決していけるはずだ”、とParaは語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

TorからFacebookを利用しているユーザーが月間100万を超えた…Facebookはさまざまな奨励策を提供

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【抄訳】
Torでブラウザーを匿名化してFacebookにアクセスしている人が今月初めて100万を突破した、とFacebookが発表した

Tor(The Onion Router)は、暗号化と、ボランティアの全世界的なリレーによる、インターネット接続のランダムなルーティングにより、Webユーザーのプライバシーを守るネットワーク技術だ。それを使うと、個々のWeb接続をその起点のユーザーまでさかのぼって調べることが、困難になる。

Facebookは2014年10月に、Tor専用のonionというURLを作り、Torからの接続がより容易にできるようにした。そうしないと、おかしなルーティングをしているトラフィックを、サイトのセキュリティ機能が異常と判断する可能性があるからだ。

今年はさらにFacebookは、AndroidのOrbotプロキシをサポートして、Android上のFacebookユーザーがTorを容易に利用できるようにした。

今日の同社によると、過去数年間のTorの利用者数は毎年一定の率で増え(2015年6月で52万5000)、そして今月ついに100万を超えた。ただし、今年の1月でFacebookのユーザー数は15億9000万あまりだから、100万は大海の一滴にすぎない。

Facebookは今日の発表声明の中でこう言っている: “この[Torユーザーの]成長は、TorからFacebookを利用するという人びとの選択と、それが彼らに提供する価値の反映である。今後も彼らがフィードバックを提供してくれて、それにより弊社が改良を続けられることを期待する”。

ソーシャルメディアサービスは、人びとが自分のデータを一般公開することによって、お互いを見つけやすく知りやすくすることがビジネスモデルだから、そんなサービスにTorのネットワークを使ってアクセスするのは(そのかんじんのデータがプライベートになるのだから)意味がない、という議論もある。しかしTorはそれに対して、それでも、この機能が人びとにとって有益であるような、特別のユースケースがある、と指摘する。たとえばそれは、位置を不明にすることだ。

ランダムな複数者のリレーネットワークによるルーティングシステムは、ユーザーの物理的な位置を偽装する。Facebookから取ったそのユーザーの位置データも、その偽装位置のデータになる。ただしMessengerのメッセージで、“今シカゴにいるよー”なんて本当のことを書いたらだめだけど。

そしてユーザーの物理的な位置データが隠されるため、ユーザーが誰であるかも知られなくなる。Torのこの特性は、本人性を知られたくない政治活動家などに利用される。また、インターネットアクセスに国による検閲があるところ、たとえばFacebookが禁じられているイランなどでは、Tor経由でならFacebookにアクセスできる。

以上のことをFacebookはかなり抽象的に、“人びとはプライバシーとセキュリティと身の安全に関わるさまざまな理由で”、Torを利用している、と説明している。

〔Onion(玉ねぎ)という名前は、皮をむいてもむいても芯(本人)に到達しないという、多重リレー構造を表している。英語Wikipedia日本語)〕

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

OpenStackの第13リリースMitakaは大企業のプロダクションユースの増加に対応して管理性とユーザー体験に注力

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OpenStack Foundationが今日(米国時間4/7)、そのオープンソースのエンタープライズクラウドプラットホームの13回目のリリース、Mitakaをローンチした。

多くの点でこの新しいリリースは、2010年にRackspaceとNASAから孵化したこのプロジェクトの、さらなる成長ぶりを見せている。重要な機能を新たにたくさん加えることよりも(今回も多いことは多いが)、焦点はこのプラットホームをクラウドの運用者にとって管理しやすくすることと、全体的なユーザー体験の改良に置かれている。

“焦点の置きどころを変えたのは、ほぼ2年前ぐらいから、大企業や大きな組織がOpenStackを彼らのITの最前線で使い始めているからだ”、とOpenStack FoundationのCOO Mark Collierは語る。

そういう大型ユーザー、AT&TやComcast、SAP、Time Warnerなどは、デプロイが容易であることを強く求める。どう転んでもOpenStackが相当複雑なプロジェクトであることに変わりはないから、ユーザーはまず、デプロイに関してさまざまな意思決定を迫られる。そう強調するCollierによると、そのため今では、このプラットホームのコアなコンポーネントはなるべくデフォルトの設定で行けるようにして、ユーザー元におけるセットアップや構成の努力を省力化している。それらのデフォルトは、OpenStackの大型ユーザーの多くが開発してきたベストプラクティスに基づいている。そのひとつの例であるOpenStackの”Keystone“アイデンティティサービスは、アドミニストレーターがActive Directoryなどのアイデンティティサービスを統合でき、またセットアップのプロセスを単純化している。

さらにCollierによると、この新しいリリースはユーザー体験の改良にも力を入れ、デベロッパーがOpenStack用のより良質なアプリケーションを書けるようにしている。たとえばデベロッパーは、これからはOpenStackの統一化クライアントを利用できるので、ワンセットの呼び出しでプラットホーム上にさまざまなリソースを作ることができる。今回のMitakaリリースはSDKもアップデートし、デベロッパーがOpenStackの”Neutron”ネットワーキングスタックをずっと容易に使えるようにしている(その一部はまだ開発途上ではあるが)。

ここ数年の動きの中でCollierにとってとくに意外だったのは、多くの通信企業が今では、ネットワーク機能のソフトウェアによる仮想化を採用するためのデファクトの方法としてOpenStackを利用し、これまでのようにプロプライエタリで高度に専用機化されているハードウェアを使わずに、情報のルーティングを行っていることだ。とくに彼が注目したのは、たとえば今のAT&Tの顧客は、電話をかけるたびに、なんらかの形でOpenStackに触(さわ)っている可能性が高いことだ。AT&T以外にも、Deutsche Telekom, Telefonica, (AOLとTechCrunchの親会社)Verizonなどの著名企業が、今やOpenStackのユーザーだ。

Collierがもうひとつ強調するのは、OpenStackに対する関心の多くが、これまでは、それをプライベートクラウドの構築に利用している企業に由来していたが、しかし今では、とくにアジアとヨーロッパで、OpenStackをパブリッククラウドのデプロイに使用している企業もたくさんあることだ。ただし合衆国は、まだそこまで行っていない。DreamHostやRackspaceなど、OpenStackによるパブリッククラウドに力を入れているところも少なくはないが、ユーザー数で言えばAWSが圧倒的に大きいのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Synologyの初めてのルーターが合衆国市場に進出、Google OnbHubより簡素だが多機能・安定性・使いやすさを強調

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Synologyはまだ、合衆国であまり知られているブランドではないが、でもこの台湾の企業は、この国で知名度をどうしても上げたいと願っている。同社はこれまで、NAS(network-attached storage)デバイスDiskStationシリーズをメインに売ってきたが、これからは同社の初めてのルーターRT1900acも、合衆国市場に持ち込むつもりだ。

Synologyのルーターは合衆国では、メーカー希望価格149ドル99セントで買える。この価格は、よく売れているTP-LINKのArcher C8や、NetgearのAC1750など、ミッドレンジの802.11acルーターと肩を並べ、ハードウェアの仕様もよく似ている。またGoogleのOnHubルーターの199ドルからに比べると、安い。

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これまで非常に長年、ルーターは人びとの関心を呼ばない製品だった。ルーターなんて、やるべきことをやってくれれば、それでよい。たしかにずっとそうだったが、でもソフトウェアはかなりお粗末だった。それを数年前、ついに変えたのがOnHubだった。Googleはそのルーターで、良いデザインの、(多くの人びとにとって)使いやすいハードウェアが可能であることを示した。同社は、今ある無愛想なルーター、とりわけケーブルモデムに内蔵のルーターからの、アップグレード需要をねらった。

Googleのルーターは、大量の複雑性をできるだけ隠して、使いやすくすることをねらっているが、Synologyもやはり、ルーターのセットアップを極端に簡単にしようとしている。しかも、マニアのような人が、設定のあらゆる細部をいじくることも可能だ。

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ルーターとして使うだけなら、電源コードとEthernetケーブルをつなぐだけだ。このデバイス上のWi-Fiネットワークのアドミンのアカウントとパスワードも作る。以上で、1分もかからない。これで、インターネットにつながる。

ゲストネットワークも簡単に作れる(5GHzまたは2.4GHz、あるいは両方;ローカルネットワークへのアクセスあり/なし)。信号が特定のデバイスだけに行き、使用帯域をアプリケーションごとに管理できるために、ビームフォーミング(beamforming)をセットアップする。

ルーターをVPNやDNSファイル、メディアサーバーなどに変えるためのアプリケーションを、付属品のUSBドライブからインストールできる(SDカードスロットもある)。前面のパイロットランプの点滅は、いやなら停止、またはそのon/offをスケジュールできる。

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以上はすべて、SynologyのRouter Manager(SRM)を使って行う。このソフトウェアは、なんとなくデスクトップ的なインタフェイスだ。なにしろ、ルーターのすべての機能を、単純なポイント&クリックで行える。SynologyのNASデバイスを使ったことのある人にとっては、おなじみのインタフェイスだ。ルーターとそのNASデバイスとの、相性も良い。

ルーターがルーターとして動けばそれで十分、という人にとっては、このSynologyの製品にはGoogleのOnHubで導入された自動チャネル切り替え機能、のようなものはないが、ルーターとしての性能はぼくが使っているTP-LINKのOnHub並だ。デバイス間のファイル転送は速いし、Xbox Oneで見るYouTubeビデオは遅延やバッファリングがない。要するにWi-Fi接続の全体が、とてもがっちりしてて、不安感がない。Synologyが提供しているさまざまなおまけ的機能も加えれば、より堅牢なルーターになるだろう。

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GoogleがロードバランサーSeesawをオープンソース化(Go言語で書かれている)

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Googleが今日(米国時間1/29)、ロードバランサーSeesawをオープンソースにする、と発表した。このLinuxアプリケーションはGoogleのGo言語で書かれていて、これからはApacheライセンスによりGitHubで入手できる。

Googleのインフラの日常的メンテナンスを担当しているSite Reliability Engineer(SRE)の一人Joel Singが、今日の発表声明で述べているところによると、Googleは2012年までは二種類のロードバランシングシステムを使っていたが、しかしどちらも、“管理と安定性に問題があった”。そこで、彼と彼のチームは新しいソリューションを探したが、Googleのニーズを満たすものがなかったので、自作することになった。

“要求はそれほど複雑ではなかった。必要なのは、ユニキャストとエニーキャスト仮想IPを扱えること、NATDSR(またの名DR)でロードバランシングができること、そしてバックエンドに対する健康診断ができることだ”、とSingは書いている。“何よりも必要なのは、管理のしやすいプラットホームだった。構成を変えたときのデプロイの自動化、とかね”。

一部ではすでにネットワークレベルのロードバランシングにLinux Visual Server(LVS)を使っていたから、Singのチームもそうすることにした。ただしそれに加えて彼らは、 モジュール構造のマルチプロセスアーキテクチャと、フェイルオーバーやリカバリのサービスも実装した。

“開発は短期間で集中的に行い、完成しデプロイにも成功したSeesaw v2で二つの既存のプラットホームをリプレースした”、とSingは書いている。“これにより、全体的に、サービスの可利用性が向上し、管理のオーバヘッドが減った”。

なお、このプロジェクトの提供者はGoogleだが、オープンソースのバージョンはGoogleの公式のプロダクトではない。だから、サポートをGoogleに求めることはできない。

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インターネットトラフィックのモニタリングとルート最適化を助けるCedexisが$22Mを調達、ビデオブームが業績を後押し

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Cedexisは、大企業が自分たちのトラフィックの、サーバーからCDNへ、クラウドプロバイダーへ、そして最後に顧客に届くまでの、流れをモニタするタスクを助ける。同社は今日、Ginko Venturesが率い、FoxconnとNokia Growth Partners、Citrix Systems Venturesおよび同社のシリーズAの投資家Madrona VenturesとAdvanced Technology Venturesが参加するシリーズBのラウンドで、2200万ドルを調達したことを発表した。これでCedexisの総調達額は3300万ドルになる。

同社の本社はオレゴン州ポートランドにあり、現在はAccor Hotels, Airbus, Comcast, LinkedIn, Mozilla, Nissan, Shutterstockなどが顧客だ。同社によると、顧客数はほぼ1000社、ということだ。

Cedexisは多様なネットワーク管理機能やネットワーク最適化機能を提供している。それらの中でも核となるRadarは、クラウドソーシングによるリアルタイムの、クラウドとネットワークのパフォーマンスモニタリングツールだ。同社の顧客は、そのデータを見て、さまざまなプライオリティ(コスト、パフォーマンス、可利用性、これらのミックス)に基づき、トラフィックのルートを最適化する方針を決める。実際に最適化を行うツールが、CedexisのOpenMixサービスだ。顧客はCedexixのサービスを使って、いくつかの重要なパフォーマンス指標に現れた自分たちの意思決定のインパクトを測ることもできる。

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CedexisのCEO Scott Groutは次のように語る: “Cedexis Radarのコミュニティを100社近くにまで育て、その中にはTumblr, Microsoft, LinkedInなどの大物Web企業もいる。この急速に大きくなってきた市場を捉えていくために、営業とマーケティング努力を拡大したい”。

Groutによると、同社の新しいプロダクトであるビデオトラフィックの最適化ツール”Buffer Killer”も採用が増えており、これが2016年における、二つ目、または三つ目に大きいユースケースになりそうだ、と。

“Buffer Killerを作ったのは、従来型のWebサイトとモバイルアプリの両方の顧客から要望が多かったからだ。今ではほとんどの企業が、オーディエンスとのリッチなコミュニケーションを築くために、ビデオを積極的に使っている”、と彼は語る。“嬉しい驚きなのは、これまでの顧客と違ってビデオのデリバリを主とする企業がユーザとして増えていることだ。とくにPBSやViaPlay, StarzPlay, JadooTV, Viewliftなどが顧客になってくれたことは、大きいよね”。

新たな資金は企業規模の拡大と、グローバル展開、そして顧客の増加を加速することに充てていく。ということはもちろん、エンジニアリングとマーケティングと営業を急速に拡大していく計画なのだ。

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Torプロジェクトが初めてのクラウドファンディングキャンペーンで20万ドルあまりを獲得

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国の補助金への依存を減らしたいTorプロジェクトは、11月にクラウドファンディングキャンペーンを開始した。募金が一区切りついた今日(米国時間1/20)、同団体は、6週間で20万ドル強が集まったことを発表した。正確には、5265名から計20万5874ドルだ。

匿名のボランティアのサーバーを使ってよりセキュアなインターネット体験を提供するTorは、寄付をいつでも受け付けていたが、でも今回はもっと公共的なキャンペーンになり、NSAを内部告発したEdward Snowdenなど、このネットワークのもっとも著名なユーザに焦点が当てられた。Snowdenは、このサービスが貴重である理由を、説明している。

Torは最近、その2014年の収入が250万ドルだったことを公表したが、しかしそのお金の多くは政府からだ。同団体の会計監査文書は、2104年の収入の75%が国の補助だ、と言っている。2013年には90%だったから、それよりは低い。今後もしばらくは、資金の大半を補助に依存すると思われるが、しかしクラウドファンディングへの注力とPR活動の強化は、寄付の増加により補助金依存を減らすことと、新しいプロジェクトのためのリソースを獲得することを、ねらっている。

Torはそのブログ記事で、次のように述べている: “前から、資金源を多様化したいと考えていた。クラウドファンディングはわれわれに、やるべきことをやるべきときに行う自由を与える。新しい強力なプライバシーツールを開発する資金を与える。今あるツールをより強力かつ壊れにくくすることもできる。ヘルプデスクや、Webサイトのアラビア語バージョンを作ることもできる”。

11月にこの寄付キャンペーンが始まったときにも書いたが、Torと政府当局とのあいだには緊張関係があるが、元はと言えばTorのルーティングは合衆国海軍のプロジェクトとして開発され、最初はDARPAが資金を出した。昨年氾濫した報道によると、FBIはカーネギーメロン大学の研究者に100万ドルを提供して、Tor破りの方法を研究させた。大学はその“不正確な”報道を否定したが、FBIとの関係があったことは事実のようであり、したがって、サイバーセキュリティのコミュニティには疑心暗鬼が広まった。

今週のTor関連のそのほかのニュースとしては、TorをAndroidからも使えるようにするために、Facebookが支援を拡大した。ソーシャルネットワークの巨人がこのプロジェクトを初めて支援したのは2014年で、そのときは同社のTorアドレス: facebookcorewwwi.onionがオープンした。

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SecurifiのAlmond 3はWi-Fiルータであると同時に多芸なスマートホームハブ、プログラミングもできる

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Securifiが今日(米国時間1/5)発表したAlmond 3は、最新のタッチスクリーン式ワイヤレスルーターだが、ユーザのスマートホームの中核になることもねらっている。発売は来月で、定価は120ドルだ。

基本的には、Securifiのこの新しいデバイスは要するにワイヤレスルーターで、モデムに接続すれば家中のワイヤレス対応デバイスをWi-Fiネットワークで結びつける。ただしコンピュータの画面から構成する必要はなく、上図のように、ちょっとかっこいい小さなタッチスクリーンが製品にすでについている。たとえばこのタッチスクリーンを使って複数のAlmondルーターのメッシュネットワークを作り、ネットワークの範囲を広げることもできる。

しかしAlmond 3はZigBeeの無線チップを内蔵しているので、スマートホームデバイスとも対話できる。Z-WaveとBluetoothデバイスもサポートしている。つまりAlmond 3があれば、Philips Hueのハブとかそのほかのいろんなハブは要らない。さらにNestデバイスとも対話できる。

プログラマブルなサイレンを内蔵しているから、接続されているデバイスからのアラームに対応して、Almond 3側でサイレンを鳴らせる。またデバイスのリストを作っておき、それら特定のスマートフォンからアラームを解除できる。

全体としてAlmond 3は、Securifiの前の製品よりずっと良い。スピードも、前より4倍は速いだろう。このデバイス上に、”if this then that”的なプログラムを作れるのだ。たとえば、室内に動きを感じたらライトを点けるとか。というわけでこいつは、そこらの単なるルーターではない。

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Wi-Fiのセットアップが楽しいという、ありえないことをやってのける家庭内ルータLuma

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Wi-fiのセットアップなんて、とても簡単だ〔皮肉〕。まず、家の中にルータを置くスペースを見つける。無線技術の専門家チームに頼んでデッドスポットがないことを確認する(あったら場所を変える)。次にプロのITチームに来てもらってセキュリティやISPのQoSを管理する。終わったら裏庭のパティオで接続を試み、ピクニックテーブルでYouTubeを見れないことを発見する。〔以上はすべて皮肉〕

こういった問題を解決するためにDr. Paul JudgeとMike Van BruinisseはLumaを作った。この小さなWi-Fiホットスポットは“サラウンドサウンド”のような方法で機器を接続するから、家の中にデッドスポットが生じない。一台99ドル、3つで249ドル、今、予約を受け付けている。この前のGoogleの製品と同じく、特別仕様でお利口なWi-Fiルータは、今の時代にうってつけだ。

このデバイスには子を思う親のための機能もついていて、特定のデバイスをいつでもシャットダウンできる。ほかのLumaたちとプライベートなメッシュネットワークで接続できるから、家全体を巨大なホットスポットにしてしまえる。

Lumaは、Felicis Venturesがリードし、Base Ventures、BIP Capital、Relay Ventures、Hans Robertson(Merakiの協同ファウンダ)、Jed York(49ersのCEO)らが参加したラウンドで350万ドルを調達した。

“Wi-Fiのカバレッジという問題への答は、大企業がやっているようなメッシュネットワークだ”、とJudgeは語る。“Lumaでは親が子のインターネットアクセスをコントロールできるし、今何を見ているかが分かる。サイバーセキュリティもある。スピードと安全性とセキュリティ、この三つが揃ったWi-Fiルータは世界初だ”。

Judgeはこの小さな箱にたくさんの脳力を詰め込んだ。

“メッシュネットワーキングがあり、コンテンツ・フィルタがあり、モバイルデバイスの管理機能があり、かわいいルックスのわりには強力なサイバーセキュリティ機能がある。Bluetoothでアプリと通信できるから、家の中のベストの場所を見つけることもできる。メッシュネットワークはワイヤレスだから、家全体をカバーできる。トラフィックのパターンやネットワークの妨害要素を教えてくれるし、自動的な自己調整や再構成機能でパフォーマンスをつねに最適に保てる”。

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発売は来年だが、今の予約価格は50%引きだ。Best BuyのTCP/IP and Wireless Expert Lab(というものはないと思うが)まで足を運ばなくても、この製品が大きな家に住ん Wi-Fiのトラブルの多い人のBest Buyであることは、誰でも分かる。

 
 

関連記事(同じくメッシュネットワークによるWi-Fiルータ)。〕

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Open Compute Projectのスイッチハードウェアの自由で多様な構成を支える共通プラットホームOpen Network Linux

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Big Switch NetworksFacebookとNTTが今日(米国時間10/7)、Open Compute Project(OCP)のスイッチハードウェアのために、Open Network Linuxと呼ばれる統一的なオペレーティングシステムを共同開発することを発表した。

舌を噛みそうな名前だけどこのプロジェクトは、FacebookのようなWebスケールの企業でも、あるいはそのほかの企業でも、とにかくOpen Compute Projectのオープンソーススイッチを利用する企業を助けることが目的であり、技術者たちはこのプラットホームをベースとして、スイッチの転送(forwarding)アルゴリズムを、自分の用途や考え方に合わせて構成していく。

これまで、このOCPプロジェクトはいろんな部位のばらばらな集まりで、エンジニアがそれらを縫い合わせる必要があった。Open Network Linuxはこれらの部位をひとつにまとめ、自由な組み合わせと構成で使えるようにする。また無用に複雑な部分を簡素化する。

このプロジェクトの始まりは18か月前にさかのぼり、そのときはBig Switch Networksがスイッチ用OSの最初の部分をOCPに提供した。Big Switchの協同ファウンダKyle Forsterは、“スイッチOSは複雑怪奇な野獣だ”、と言っている。それには二つの大きな部位があり、それらはプラットホームのコードと、転送エージェント(forwarding agent)だ。OCPのスイッチのハードウェアの設計は、Facebookが提供している。

なるべく簡単に言うと、プラットホームは、Linuxという名前が示すようにベースとなるオペレーティングシステムのコードで、その上でスイッチを作り上げているさまざまな部位を構成する…フロントパネルのLED、環境センサ、ファンのドライバ、などなど。そしてBig SwitchのCTO Rob Sherwoodによると、エンジニアはこのベースコードの上で転送エージェント部位を作っていくが、スイッチがネットワークと対話するときの方式はエージェントが独自に定義する。

そしてそこに、企業による違いや差別化要因ができる。プラットホームのコードが安定すれば、エンジニアはそれが無事に使えることを単純に期待するが、転送エージェントは別だ。“パケット転送エージェントに関しては、誰もが独自の考え方を持っている”、とSherwoodは述べる。

今日の発表によって、これからは誰もが自分好みのエージェント部位を作り、それをスイッチソフトウェア全体のスタックにプラグインできる。三社のパートナー…Big Switch Networks、Facebook、NTT…は今週後半に、この能力をデモする。そのとき見せるのは、転送エージェントの三種類の参考実装だ: FacebookのFacebook Open Switch System(FBOSS)、NTTのL3 Routing、そしてBig Switch NetworksのOpenFlow

これらの参考部位は、エンジニアが自分のエージェントを作り始めるときのたたき台になる。将来的には、オープンソースのプロジェクトとして寄贈されるものもあれば、プロプライエタリにキープされるものもあるだろう、とSherwoodは語る。

Open Compute Projectとは?

Facebookがハードウェアの内製を志向したときにOpen Compute Project(OCP)という第三者機関を作り、そこに設計やソフトウェアをコントリビュートする、という方式を選んだ。その最初のものが、Facebookのトップオブラック(top of rack)スイッチ、別名The Wedgeだ。

OCPには二つのねらいがある。ひとつは、大企業がその公共性を意識して、Webスケールのハードウェアの創造から学んだことを、広く共有すること。もうひとつは、Facebookの外部のエンジニアたちからの貢献を期待することだ。

Big Switch Networksは、OCPのハードウェアに関心があるが、それらをインストールしたり実装するスキルや人材のいない企業を、助ける役目だ。

たしかに特殊で複雑なプロジェクトだが、しかし基本はあくまでもオープンソースのプロジェクトであることだ。オープンソースという基盤の上で企業がソリューションを構築していく。OCPはその過程を助ける。オープンソースのコードが基盤にあれば、エンジニアたちは各自が勝手に車輪を再発明する必要がなく、しかしその上に咲く花の部分では、自由な創造と差別化を追究できる。

このプロジェクトも、まさにそうだ。

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合衆国国土安全保障省が図書館のTORノードを閉鎖、悪用の危険性に配慮

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国土安全保障省(Department Of Homeland Security, DHS)にとっては、終わり良ければすべて良しだから、今日は同省とニューハンプシャー州レバノン市の警察が同市の公共図書館に、テロなどの脅威を防ぐためにTORのノードを閉鎖するよう求めた。

この図書館は合衆国では初めての、セキュアなTORの末端ノードを設けた図書館だった。TORを経由するとWeb閲覧の匿名性が維持され、そのサイトを見ている人の本人性がばれない。そこでDHSと警察は、図書館のローンチ直後にその職員たちにアプローチした。このレバノン市の公立図書館はLibrary Freedom Project(図書館の自由プロジェクト)のメンバーで、このプロジェクトは多くの図書館にTOR末端ノードを置こうとしている。図書館の訪問者の匿名性が維持されると、個人が悪質な国家権力からスパイされたりするおそれがなくなる、というのだ。Viceはこう書いている:

警察や市から、TORは犯罪者が悪用することもある、という説明を受けた図書館は、LFPプロジェクトを脱会した。“しばらく休止しますが、こういう問題が早くなくなることを期待します”、と館長は語った。彼によると、9月15日に行われる評議員会議にサービスの復旧を諮る、という。

DHSのスポークスパーソンShawn Neudauerはこう述べる: “Torの利用そのものは不法ではなく、その利用には妥当な目的もある。しかしながらTorが提供する保護は、犯罪を行う企業や個人を魅(ひ)きつけることもあり、われわれはそういう、匿名化技術を悪用する人たちを追い続けることになる”。

この論理で言えば当然、車も銃もレンガも、その悪用の危険性ゆえに、非合法化されなければならない。次は、何が槍玉に上がるだろうか。

出典: Digital Reader

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GoogleのOnHubルータを数日使ってみた…もう前のルータに戻る気しない

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日常誰も空気のことは考えないように、インターネットを使っていてもルータのことは考えないのが理想だ。それはどこかに座っていて、あなたが見たいYouTubeビデオをあなたのラップトップに持ってきてくれるだけだ。

でも実際には、インターネット接続の調子が悪くなったらルータをリセットする人が多いだろうし、ルータの設定を変えなければならなくなったら、すごく面倒と思うだろう。今では至るところにある装置なのに、今だにそのユーザインタフェイスは劣悪だ。そこでまた、Googleさんの登場となる。Googleがこのほど発売した200ドルのOnHubルータは、今日のルータの欠点をすべて直した、と言われる。そして確かに、それはほぼ当たっている。

このルータを数日試してみたが、もうVerizonが提供してくれたActiontecルータに戻る気はしない。OnHubのWiFi対応の広さとユーザ体験の簡便さは、これまで使ったどのルータよりも明らかに優れている。

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何がOnHubをそうしているのか? GoogleはTP-Linkとパートナーして、現代的なルータはこうあるべきだ、というものの参照モデルを作り、それをかわいい円筒形のケースに収めた。だからまず形状からして、これまでの無愛想なNetgearのボックスとは違うぞ、と主張している。その中では小さなコンピュータが、ルータの仕事をすると同時に、通常のルータよりも多いアンテナをはじめ、その全能力によって、どんな通信チャネルの上でもベストのデータフローを確実に実現する。

ベストのWiFi接続はOnHubが見つけるから、自分でWiFiを指定する標準のルータよりもずっと良い接続が得られる可能性もある。あたりにアクティブなWiFiがとても多い地域なら、とくにそう言えるだろう。

家庭内のWiFiネットワークがほしいだけの人に対しても、OnHubはいろんなおまけをくれる。

 

ぼくのMacbook Airは現在、約25のネットワークを拾うが、その数が増えるに伴ってネットワークのトラブルも増えた。とくに夜は、誰もが自分のラップトップやタブレットでネットに接続しているから、たとえばNetflixのビデオを見ていると、ひんぱんにバッファリングをするし、完全にホールトすることもある。

でもOnHubに換えてからは、ネットワークのスループットは上がり、ビデオは始動がはやくなっただけでなく、バッファリングという問題はまったくなくなった。もちろんユーザの住んでる場所などで違いは大きいと思うが、すくなくともぼくの場合は、自宅のWiFi接続が驚異的に性能アップした。

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しかしOnHubは、ハードウェアだけの製品ではない。ルータのセットアップと管理は、AndroidまたはiOSにインストールしたアプリから行う。スマートフォンとルータはなんとオーディオで接続し、ネットワークの名前とパスワードを指定すれば、それだけでセットアップは終わりだ。

OnHubにはあの失敗作Nexus Qを思い出させるようなLEDのリングがあって、その色でルータのステータスを知らせる。ブリンクはしない。

モバイルのアプリを使ってWiFiのパスワードをほかの人と共有したり、特定のデバイスにネットワークアクセスの優先権を与えたり(たとえば今遊び中のXboxとか)、どれぐらい帯域を使ってるか調べたり、またルータの基本機能をすべて管理したりできる。

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標準のルータに比べるとオプションは単純化されているが、簡単であることもOnHubのねらいのひとつだ。それでもWANやDNSの設定にはアクセスできるし、ポート転送(port forwarding)やUniversal Plug-and-Playのセッティングもできる。ルータだから当然だが。

家庭のWiFiネットワークの管理は誰もがやりたがらないが、でもOnHubはそれを、できるかぎり簡単にしている。柔軟性はすこし犠牲になっているが、それはほとんどの人にとって無縁な部分だ。しかし家庭内のWiFiネットワークがほしいだけの人に対しても、OnHubはいろんなおまけをくれる。

家のWiFiに問題がある人は、ぜひOnHubを試してみるべきだ。

ただし構成オプションは、かなり端折(はしょ)られている。Ethernetポートは一つしかない。ほとんど完全に、WiFi専用機だ。デスクトップがリビング以外の部屋に一台だけなら、あまり問題ないが、WiFi非対応機が複数あるなら、OnHubはあきらめよう*。Googleは今、ほかのパートナーと、これと同じようなルータを開発しているから、その機なら、複数のポートがあるだろう。〔*: WiFi対応Ethernet分配器(switch)は使えないのか?〕

OnHubは、弁解の余地なく未来を向いている。その点では、初期のChromebookなどと同じだ。たとえば、接続はWiFiのみ。物理ラインはない。しかもWiFiルータ以外の機能もいろいろあるから、それは家庭に送り込まれたトロイの木馬でもある。

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たとえばOnHubは近く、GoogleのIoTプロトコルWeaveをサポートする。IoT対応になればもはや、単なる優れたルータではない。それは家庭において、Googleのスマートホームシステムの、中心的なハブになる。そのためにはルータが、家中の機器と通信しなければならない。ルータのネットワークリーチを長くするだけでなく、リビングにふさわしいインテリアデザインも必要だ。ネットワークケーブルのリーチは別の問題だが、それは今ここでの話題ではない*。〔*: ルータを家の中心に置く、というイメージか。〕

未来の”Google On”の姿は、実際に見るまで分からないし、本当に”Google On”と呼ばれるのかも不明だ。現時点での現実的な問いは、この200ドルのルータは買う価値があるのか?だ。今OnHubは、まさにルータだから(まだスマートホームのハブではない)。

電波が混んでいたり、ルータのリーチが短かすぎて、家のWiFiに問題がある人は、ぜひOnHubを試してみるべきだ。何も問題がなくて接続が安定している人には、いますぐOnHubを買うべき理由はない…次の製品を、楽しみに待とう。ぼくの場合は、もう、昔のルータには戻れないけど。

〔訳注: Reddit上のOnHub批判: (1)(2)。〕

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Googleのデータセンターのネットワーキングインフラストラクチャ、10年間の進化の過程

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Googleは今日(米国時間8/18)、家庭のWiFiの高速化技術を発表したが、同社内部ではこれまで長年、それよりもずっと複雑なネットワーキングの問題に取り組んできた。Googleのデータセンターを構成するマシンの数は数十万のオーダーだから、そこらのふつうのルータやスイッチでそれらを接続することはできない。サーバ間を流れるすべてのデータを管理するためにGoogleは、独自のハードウェアとソフトウェアを作ってきたが、今日は同社の研究部門のブログ記事などで、同社のネットワーキングインフラストラクチャの進化の軌跡を紹介している。

Googleの内部ネットワークの現在のセットアップはJupiterネットワークと呼ばれ、その容量は第一世代のネットワークの100倍、全体の二分割帯域幅(bisection bandwidth)*は毎秒1ペタバイトに達する。Googleによると、このスピードは、10万台のサーバが合衆国国会図書館のデジタル化された全データを、1/10秒以下で読み取る速度に相当する。〔*: bisection bandwidth, ネットワークを二分割したとき両部分間に存在する全帯域の合計。〕

ブログ記事の中で筆者のAmin Vahdat(Googleのフェロー)は。“このようなネットワークパフォーマンスがGoogleのサービスの能力をすさまじく強力にしてきた”、と書いている。“しかも帯域の高低差がないから、技術者たちは帯域のいろんなレベルに合わせてコードを最適化する必要がない。たとえば初期には、サーバの配置によって性能やエラー率に差が生じたため、データをどこに置くかという悩ましい問題がつねにあった。すべてのサーバをラックの最上位の(最高速の)スイッチにぶら下げたりすると、たった一つのスイッチのトラブルで大きな被害が生じたりするのだ”。

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10年前のGoogleのネットワークは、まだこれほどの性能に達していなかった。当時はYouTubeを買収する前、そしてGmailやGoogle Earth、Google Mapsなどのサービスを立ち上げた直後だった。そのあとの短い10年間で、同社のネットワーキングニーズはきわめて急速に変わっていったのだ。

2005年当時のマシンは、こんな感じだ:

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その10年を振り返った論考によれば、同社は2004年にはまだ、標準的なサーバクラスタを配置していたが、上図の2005年のマシンは、同社のFirehose 1.0データセンターアーキテクチャで配置(デプロイ)したネットワークの最初の機種だ。その2005年のマシンの目標は、1万台のサーバ間で1 Gpsの二分割帯域幅を実現することだった。それを達成するためにGoogleは、スィッチングのファブリックを内製のサーバに直接統合しようとしたが、しかしそうすると、“サーバのアップタイムが理想に達しなかった”。

Firehose 1.1でGoogleは初めて、カスタムのデータセンタークラスタファブリックをデプロイした。“FH1.0の経験から、通常のサーバにスイッチのチップを入れてはいけないことを学んだ”、と当時の技術者の一人が書いている。そこでGoogleはカスタムのエンクロージャーを作り、Closアーキテクチャと呼ばれるデータセンターネットワークへ移行した。

2008年に、FH 1.1はWatchTowerへと進化した。ケーブルは、通常のネットワーキングケーブルではなく10Gのファイバを使った。Googleはこのバージョンのデータセンターネットワークを、全世界のデータセンターで展開した。

それは、こんなラックだ:

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1年後に、WatchTowerはSaturnに変身した。WatchTowerのファブリックは87 Tbpsまでスケールできたが、Saturnはその混みあったラック上で207 Tbpsまでスケールアップした。

  1. saturn_chassis.png

  2. wtbundles.jpg

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Saturnは、Googleによく仕えた。その後3年間もGoogleのデータセンターネットワークのアーキテクチャは、Saturnで十分間に合ったのだ。

上記論考には、こう書かれている: “サーバ一台あたりの帯域要求が継続的に成長していくだけでなく、データセンターのすべてのクラスタの、むらのない均一な帯域も求められた。40G対応の高密度商用チップの登場に伴い、Closファブリックをデータセンター全体に拡張して、クラスタ間ネットワーキングの層もそこへ入れることを、検討できるようになった”。

それは、一つのデータセンターを一つの巨大なコンピュータのように扱えるアーキテクチャだ。ソフトウェアが計算資源とストレージ資源の分散を管理し、ネットワーク上のすべてのサーバからそれらを可利用にしている。

Jupiterのハードウェアはたしかに、同社の初期の内製ネットワーキングハードウェアとは外見的にも異なっているが、しかし多くの点で、同社がそもそもの初期からSoftware Defined Networking(SDN)の考え方を採用して、イノベーションのスピードを上げてきたことも事実だ。

Googleは今日、同社のネットワーキングのセットアップを、いろんな側面から詳説する4つの小論を発表した。Googleは現行のハードウェアやソフトウェアのアーキテクチャの限界に他社よりも早くぶつかる方だから、Googleからのこの種の情報提供によって同社の外での新しいイノベーションが、これまでも生まれてきている。

すべてのスタートアップが自前のデータセンターを構えるわけではないが、でも他のデータセンターの運用者たちは確実に、これらの論考の細部から多くを学び、自らのソリューションに、そして結果的にはユーザの利益に、反映していくことだろう。

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