ISPがユーザーの承諾なしで個人データを収集してもよい、と米上院が議決、下院はどうなるかな?

FCCが昨年作ったブロードバンドのプライバシー規則は、上院における昨夜の激しい議論と今朝(米国時間3/23)の投票により、危機に瀕している。この規則でとくに重要なのは、ISPがそのサービスから得た、閲覧履歴などの要注意データを使用するためには消費者の許可を要する、という部分だ。

これは、まずいんじゃない、ねぇ? 昨晩の記事に詳しく書いたけど、1996年の通信法の制定を主導したマサチューセツ州のEd Markeyをはじめ、多くの上院議員が、この議決に反対した。

上院は50対48で、規則廃止に傾いた。規則が廃止されるだけでなく、Congressional Review Act(CRA)という法律により、同様の規則の今後の制定もできない。次は、下院だ。

FCCのMignon Clyburn委員とFTCのTerrell McSweeny委員が、共同声明で次のように述べている: “大統領の署名によりこの法律は、広く支持されていたブロードバンドのプライバシーの枠組みを無効にし、ケーブルとブロードバンドのプロバイダーは、顧客の重要な個人情報を売る前に承諾を得るべし、という要件を廃棄する”。

ネットアクセスに関する消費者保護団体Access Nowの法務担当Nathan Whiteは、こう言う: “この決議は人権と市民的自由よりも企業の利益を優先している。下院が消費者のために立ち上がり、インターネットのプライバシー保護がCRAによって葬り去られることを防ぐ必要がある”。

関連記事(未訳)〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Analyticsのセキュリティとプラバシー保護が心配ならPiwik Proを使ってみよう

Webサイトを立ち上げたら、Google Analyticsを使ってビジター数を調べたりするよね。でもそんなとき実は、Googleやそのほかの連中に、そのデータやユーザーへのアクセスを与えてるんだ。もちろんプライバシーは保護されるから、そんなにひどい状況ではないが、でもあなたのWebサイトやWebアプリケーションが特別に機密性の高いものだったら、どうかな? そんなときは、Piwikや、今度出たPiwik Proを使うべきだ。

Piwikは完全に無料でオープンソースのアナリティクスソフトウェアで、その点では1999年ごろから広く使われているアナリティクスツールWebalizerに似ている。そしてPiwikの企業向けバージョンがPiwik Proだけど、こっちもなかなか良い。Piwikはポーランド語で“little beer”という意味らしいね。

Maciej ZawadzińskiとPiotr Korzeniowskiが作ったPiwik Proは、ポーランドの誇りとも言えるプロダクトで、セキュリティ意識の高い人びとのあいだで人気がある。最近ではWarsaw Equity Groupから200万ドルの資金を調達して、新たに“マーケティングの機能を充実し、データの機密性を重視する企業にデータの完全なコントロールと、プライバシー関連規制へのコンプライアンスを提供する”、という。

Zawadzińskiは曰く、“Piwik Proには総合的なマーケティング機能を持たせるつもりだ。それらは、Webとモバイルのアナリティクスやデータ管理のプラットホーム、タグの管理、そしてコンテンツのパーソナライゼーション(個人化)などだ。これらのマーケティング機能によって企業や団体には完全なデータ保護とプライバシーのコンプライアンスが提供される。オンプレミスでも、あるいはクラウド環境においても”。

Zawadzińskiはポーランドでは初めてのブログ広告のプラットホームを創始し、Piwik Proに丸賭けする前には企業を二つ売った経験がある。KorzeniowskiはHPとKPMGで仕事をした。彼らは現在、Hewlett-PackardやAccenture, オランダ政府, 欧州委員会などにアナリティクスを提供している。

200万ドルといえば、ポーランドでのスタートアップへの投資としては大きい方だ。ぼくはこのところずっと、ヨーロッパに注目していたけど、中欧では資金調達が楽ではない。でも同社は今度の資金調達で、ポーランドと中部ヨーロッパの市場で大きく前進していけるだろう。彼ら曰く、なんといっても、プライバシーはとても重要だから。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Alexaの録音内容を警察が聴くことは憲法修正第一条のプライバシー保護に反するとAmazonが主張

amazon-echo-03

昨年晩く明らかになったように、AmazonのEchoスピーカーが、実は2015年にアーカンソー州で起きた殺人事件の捜査で重要な証拠物件になっていた。そのスマートホームアシスタントの音声の録音を、警察が調べようとしたためだ。しかし今年になってこの巨大テクノロジー企業は反撃に転じ、録音されていたユーザーのコマンドとAlexaの応答は共に、保護されるべき談話だ、と主張した。

先週提出された長大なファイルでAmazonは、これまでユーザーの購入履歴の要請には応じたけれども、Alexaの録音の要請は“憲法修正第一条とプライバシーの原則に抵触するおそれがあるので、裁判所が今回の事案の特別の難度に鑑み、州に対し特段の特例を認めないかぎりは、命令書は廃棄されるべきである”、と主張している。

同社の説明によると、捜査を妨害する意図はないけれども、録音を政府機関の手に渡すことは消費者のプライバシーの権利を冒涜するものである。同社は2010年に同社が関わった裁定を、次のように引用している: “…人が読んだもの、聞いたもの、見たものに対する政府による追跡や検閲の不安があることは、修正第一条の実践を毀損する”。

この場合AmazonとACLUの解釈では、憲法修正第一条が、顧客の記録をノースカロライナ州歳入局に渡すことからAmazonを保護している、となる。

そのファイルでは、Echoはすでにユーザー数がとても多いから、記録の開示が悪い前例となり、Amazon製品にかぎらず、音声を使用する家庭用デバイス全般に対するプライバシーの不安感を多くの人びとに広める〔==営業妨害になる〕、と企業としての主張も展開している。自社製品の宣伝の意図も、ありそうだけれど。

Echoが2015年の殺人事件の重要物件になったのは、その年の11月終わり頃の夜に殺されたアーカンソー州の住民Victor Collinsの、死因等に関する何らかの手がかりが得られるとして、警察がそのデバイスを差し押さえたからだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Twitterがまたまた新たな悪用対策を発表…ますますややこしく

twitter-ad-products

Twitterは今日(米国時間2/16)の発表で、これからはブロックやミュートした人が始めた会話中のリプライを通知しない、とした。ただし、フォローしている人がスレッド中で直接あなたのことに言及していたら、前と同じく通知が来る。

Twitterがこの決定を行ったのは、ブロックしたりミュートした人が始めた会話からの通知に関する、安全性コミュニティからの頻繁なフィードバックがあったからだ。この件に関して、Twitter Safetyが今日、こんなことを言っている:

要約: [ブロック/ミュートした人が始めた会話へのリプライに関しては通知されないが、そのリプライがフォローしている人からなら通知される。]

“フォローしていないアカウントをミュートして、彼らがあなたのことに言及している会話を始めたら、その会話中でリプライしあなたのことに言及している人があなたがフォローしている人である場合のみ、通知が来る”、とTwitterのサポートページには書かれている。“あなたのことへの言及をすべて見たかったら、あなたのユーザー名で検索すればよい”、だとさ。

Aさんを“ブロックする”と、Aさんのツイートは見えなくなるし、Aさんにあなたのツイートは見えなくなる。Aさんを“ミュートする”と、Aさんからの(たぶんいやらしい)ツイートは来なくなるが、Aさんはそのことを知らない(何も知らないまま、昨日までと同じくTwitter上でふつうどおりに振る舞う)。

Twitterはこれまで、非常にさまざまな悪用対策を発表してきた。今朝は、悪質なツイートに対するタイムアウト制(時間切れ制度)を導入した。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

流行りのセルフィー加工アプリMeituの代償は?あなたの個人情報を少々

trump-meitu-w710-h473-2x

おそらくここ丸1日の間に、InstagramやFacebookのフィードに流れた、Meitu(美图)アプリによるセルフィー写真を見たかもしれない。このアプリは、皮膚をスムースにし、顔をスリムダウンして、さらに仮想ブラシレイヤーやリップグロスまでも追加して、あなたの写真に美顔効果を追加する。このアプリは何年もの間、中国国内では人気があったが、アメリカ人ユーザーの心を捕らえたのはつい最近のことだ。Meituは先月香港で上場している。

しかしGoogle PlayやApp Storeから無料でダウンロードできるこのアプリに対して、セキュリティの専門家達はすぐに懸念を表明した。単純な写真アプリに必要とされる以上にユーザーの電話機に関する情報を集めるし、怪しいと言われているコードを含んでいると言うのだ。公平を期すならば、利用者自身のデータと引き換えに無償でダウンロードを許すアプリは、Meituだけではない。しかし、プライバシーを気にするユーザーは、そうしたアプリが収集するデータに関して慎重に考慮した方が良いだろう。

1つの写真アプリが、写真を撮影したり既にデバイスの上にある写真を編集したりするために、電話機のカメラとカメラロールへのアクセス許可を求めるのは普通のことだ。しかし情報セキュリティ研究者のGreg Linaresは、Andorid版のMeituはそれ以上のものを要求していると指摘した。このアプリが要求するのはユーザーが他に利用しているアプリ、電話機の正確な位置、デバイス識別番号(IMSI)、電話番号、キャリア、そしてWi-Fi接続に関する情報だ。

はっきり言わせて貰うけれど…あなたたちがインストールした中国の写真アプリってこんな許可を求めてくるんだよ?何が起きるか教えて欲しいね。

科学捜査の専門家であるJonathan Zdziarskiによれば、iOS版も同様にデータに飢えた代物だということだ。Appleはアプリが利用者のIMSIを取得できないような措置をとっているが、ZdziarskiはMeituが、携帯キャリアとiPhoneが脱獄済みかどうかの情報を収集していると指摘している。Zdziarskiは、Meituのコードの一部が、データ収集に対するApp Storeのポリシーに違反している可能性があること指摘している。Meituに対するコメントをAppleに求めたが、回答は得られていない。

結論:Meituは何やらカワイイもので皆を惹き付けて使わせようとしている、複数の分析やマーケティング、広告パッケージの寄せ集めだ。

Sudo Security Groupの社長であるWill Strafachも、MeituのiPhoneアプリを分析した。「iOSバージョンは、分析データの収集に関しては、おとなしい振舞しかしません。携帯キャリアといった『ある程度センシティブ』な情報を集めますが、分析パッケージとしては珍しいことではありません。沢山のアプリがこれを行っています」と彼は言った。Strafachは、ユーザーがお好みのアプリのプライバシー保護に関してチェックすることができるVerify.lyというサービスを運営している。

「この種のものが、どれほど普通に行われているかを意識しているひとは、ほとんどいないと思います。そして多くの人が、Androidバージョンの方がiOSバージョンよりも、より侵襲的であると言っています。とは言え、私はこうした議論が始まったことはとても良いことだと思っていますし、多くの情報セキュリティ関係者が、もっと多くのアプリをこじ開けて何が行われているかを見る気になると良いなと思っています」とStrafachは語る。

アプリの権限の濫用は、Meituに固有の問題ではない。多くの無料アプリが、核となる機能に必要なもの以上のデータを、ユーザーに対して要求している。そうした情報は、マーケティング担当者たちに販売されるか、利益を挙げるために他の目的に使われる可能性がある。

Linaresは侵襲的な無償アプリについて「これは新しい標準になりつつあります」と述べた。「これは私たちが現代社会の中で、いいね!やリツイートをしたがっているからなのです。こうしたアプリをダウンロードして、ソーシャルメディアでの存在感を得るためには、セキュリティには少しばかり目を瞑るのです」。

Meituは、アイデンティティの保護、サービスのアップグレード、犯罪捜査、そして顧客からのフィードバックに限定して顧客のデータを使用するとしているが、Linaresは、データが他の目的のために使用されることもあり得る、と注意を促している。AndroidバージョンでMeituに送信されるIMSI番号は、ユーザーが他のアプリやブラウザを使用する際に、ウェブ上でユーザーを追跡するために使用することができる。

「私たちはこのレポートに気がついていました。そして私たちのアプリがメディアや、有名人、そして消費者の注意を引いたなら、ある意味嬉しい問題です」Meituの広報担当者は、TechCrunchの問い合わせに対してこのように返信してきた。「私たちは、すべての製品リリースでAppleやGoogleと密接に協力しており、プライバシーポリシーに厳密に従っていることを保証したいと思います。また私たちのエンジニアはとても優秀なので、盗んだコードを使う必要もないと考えています」。

Meituは、なぜある種のユーザーデータを要求するのか、そしてその情報で何をするつもりなのかについての質問には回答していない。おそらくMeituは、中国の法律によってIMSI番号を収集することが要求されているのだろう、と指摘する研究者もいる。

「本当の質問は、あなたは知らない会社に喜んでそうしたデータを渡しますか?ということなのです。もし答えがノーなら私は渡しません。もしデータを渡さないオプションが与えられているならば、やはり私はノーと言うでしょう」とLinaresは語った。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

ロシア政府がスノーデンの滞在許可期間を再び延長

edward-snowden-nova-1024x575

ロシア外務省の担当者が、元NSA(アメリカ国家安全保障局)契約職員で内部告発者のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)に対する一時滞在許可の期間が延長されたと明かした。

The Guardianは、ロシアの外務報道官を務めるMaria ZakharovaがFacebook上でこの事実を明らかにしたと報じている。Zakharovaは自身のFacebookページに、スノーデンが居住許可を手に入れるまでの期限が「数年間」延長されたと記していたのだ。

TechCrunchでは、ロシアの外務省および現地のスノーデンの弁護士Anatoly Kucherenaと確認をとっているので、新しい情報を入手次第この記事をアップデートしたい。

昨年のアメリカ大統領選で、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と親しいドナルド・トランプ次期大統領が勝利すると、コメンテーターの中にはスノーデンを取り巻く状況が今後どう変わってくるのかについて疑問を抱く人もいた。

プーチンとの親しい関係を利用して、トランプがスノーデンの引き渡し交渉をする可能性は十分ありえる。

しかしプーチンは、すぐにスノーデンをトランプへ引き渡すつもりはないようだ。

RTが引用していたKucherenaのコメントによれば、まもなくスノーデンは(彼が望めば)合法的にロシアの永住権を申請できるようになる。というのも、既にスノーデンは4年近くロシアに滞在しており、滞在期間中に法を犯したこともなければ、ロシア国内で訴えられたこともないからだ。

スノーデンの最初の滞在許可が期限を迎えた2014年7月にも、ロシア政府は3年間の延長を許可していた。

アメリカ政府や関係当局による監視プログラムについて書かれた機密文書と共に2013年5月にアメリカを去った後、スノーデンは香港でジャーナリストに当該文書を手渡した。その後、アメリカ政府にパスポートを失効させられた彼は、モスクワ空港に取り残されてしまったが(本当は南米へ向かうつもりだったと報じられていた)、結果的にロシア政府から一時滞在許可証が発給され、それ以降ロシアに滞在している。

日曜日にThe Cipher Brief上で公開された、元CIA副長官のMichael Morellが書いた記事に対するFacebook上のコメントで、Zakharovaはスノーデンの「ロシアに滞在する許可」が延長されたと述べた。なお同記事の中でMorrelは、プーチンに「完璧な大統領就任祝い」としてスノーデンをトランプに引き渡すよう求めていた。

「スノーデンがアメリカの地に降り立ち、手錠を掛けられる光景を目にすれば、トランプ次期大統領とインテリジェンス・コミュニティー(IC)の間にある溝も埋まることでしょう。ICは誰よりもスノーデンが裁きを受けることを望んでいます」とMorellは記している。

「はっきり言って私自身はスノーデンのことを裏切り者だと考えていますが、陪審員の評決、そして有罪であれば裁判官の判決を尊重するつもりです。ひいては、スノーデンが市民の自由を脅かす恐れのある(しかし実際に事件は起きていない)プログラムの存在を大衆に知らせたヒーローなのか、それとも国の安全に関する機密事項を世界中に漏らした裏切り者なのかに関する司法当局の判断を尊重したいと考えています。憲法で定められた司法制度に答えをだしてもらいましょう」と彼は付け加える。

一方スノーデンは、アメリカ政府から公正な裁判を受ける権利が与られるならば帰国するつもりだと繰り返し発言していた。ここでの公正な裁判とは、スパイ活動法に基いたものではなく、彼が陪審員の前で自身の行動は公益のためだとする答弁の機会を与えられるようなものを指している(スパイ活動法で起訴された場合、被告にそのような答弁の機会は与えられない)。

さらにZakharovaはFacebook上のコメントで、「就任祝い」としてスノーデンをトランプに受け渡すようプーチンに求めているMorellの記事の内容を、スノーデンの行為が「裏切り」だと示唆する「ヘイトスピート」だと述べた。

スノーデンの弁護士を務めるKucherenaも、Morellの声明を「全く馬鹿げている」と非難した。

二人の反応からは、スノーデンのロシア滞在が持つ、プーチン政権にとっての宣伝効果を感じ取ることができる。彼らはスノーデンを使って、次期アメリカ政府に道徳的な圧力をかけようとしているのだ。

さらにロシア政府は、スノーデンが告発した情報を使って、自分たちのオンライン活動に対する批判をかわそうとしているようだ。例えば先月末に行われた会見の中でZakharovaは、アメリカの監視プログラムに関するスノーデンの告発内容を引用し、アメリカ大統領選をロシアが妨害したとする欧米からの批判に反論した。

「紛れもない事実に基いたスノーデンの告発によって、サイバースパイ・サイバーアタックのためのシステムを世界中に広げようとするアメリカ政府の活動が明らかになりました」と彼女は述べ、さらに「彼らがサイバーアタックを行ったと主張している国はひとつしかないにも関わらず、その証拠さえ提示されていません。アメリカ政府や外国の関係当局は、自分たちの行いを正して世界中の国々に許しを乞う代わりに、ロシアへ責任をなすりつけようと躍起になっています」と付け加えた。

昨年の9月には、American Civil Liberties UnionやAmnesty International、Human Rights Watchに所属する人権活動家のグループが、オバマ大統領に対して彼が大統領の座を退く前にスノーデンの赦免を求めるキャンペーンを開始した。彼らはスノーデンの行いが、アメリカ国民の安全を損なうばかりか、むしろ政府による監視活動の見直しのきっかけになったと評価しているのだ(Morellも彼の行動が「合理的な変化につながる議論を巻き起こした」と認める一方、「スノーデンの告発内容の網羅性の高さから、アメリカ国家の安全が一様に損なわれた」と主張している)。

昨日オバマ大統領は最後の仕事のひとつとして、WikiLeaksに外交・軍事関連文書を漏えいした罪で禁錮35年の判決が下された、元陸軍情報アナリストで内部告発者のChelsea Manningに対する大幅な減刑を発表した。

しかし政権交代直前にスノーデンが減刑される可能性は低いようだ。

大統領報道官のJosh Earnestは、両者の間には「著しい違いがある」と述べ、Manningが軍の刑事司法プロセスを踏んで「不正行為を認めた」一方、スノーデンは彼自身が「敵国」と呼ぶ国へ逃げ込み、「直近にアメリカの民主主義を脅かすような組織的行動をとった国で身を隠している」ことを強調した。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

今さら人に聞けないVPN入門…VPNの神話をはぎ取る

wtf-vpn

あなたは今、映画を見ている。スポーツカーに乗った悪者が、高速道路を走って逃げようとしている。ヘリがそれを、上空から追っている。やがて車は、出口が複数あるトンネルに入り、ヘリは車の行方を追えなくなる。

VPNの仕組みは、この映画のトンネルに似ている。そのトンネルは複数の道をひとつの入り口へつないでいるが、トンネルの中で何がどうなっているのかは、ヘリには分からない。

読者のみなさんはこれまで、いろんな人からVPNを勧められたことがあるだろう。アクセスに地理的制限のあるコンテンツを見られるようになる、中国の万里のファイヤウォールを出し抜ける、インターネットを安全に閲覧できる、といった話を聞いたはずだ。でもVPNは、仕組みをよく理解せずに利用すると、それを使わない場合と同じぐらい危険なこともある。

そもそも、VPNって何だ?

自分の家に複数のコンピューターやスマートフォンやタブレットのある人は、ローカルエリアネットワーク(local area network, LAN)を使っているだろう。これらのすべてのデバイスが、自宅内の同じWi-Fiネットワークにつながって、お互いが直接、インターネットを介さずに写真やムービーを送信/受信できる〔そのためのソフト/アプリがあれば〕。ローカルエリアネットワークは、本質的にプライベートだ。サーバーソフトなどを動かしていないかぎり、外部からはアクセスできない。

しかしVPNは、その名(virtual private network)のとおり、仮想的にプライベートなネットワークだ。‘仮想’とは、デバイス自身の能力ではなく、ソフトウェアの力で実現している、という意味。しかもその仮想プライベートネットワークは、遠くにいるあなたでも、一時的にそのメンバーになれる。たとえばあなたの会社は、遠くにいる社員のためにVPNを動かしているかもしれない。遠くの社員はIDやパスワードでそのネットワークのメンバーになり、あたかも会社のLANにアクセスしているみたいに、会社のプライベートなネットワークを利用できる。その遠くの社員は仮想的に会社内にいて、会社のWi-Fiネットワークを利用するのだ。

VPNの使い方は、とても簡単だ。会社やデベロッパーなどは、自分のところでVPNサーバーを動かす。そのサーバーに正しいIDとパスワードでアクセスしたユーザーは、VPNのクライアント(一般ユーザー)になる。そのVPNには、あなたのコンピューター以外のコンピューターや、モバイルデバイス、ときにはルーターなどもアクセス/接続しているだろう。Windowsや、Android、iOS、macOSなどが動いているコンピューターは、いずれもVPNのクライアントになれる。

あなたのコンピューターがどこかのVPNに接続する場合、コンピューターとVPNサーバーが接続して、データは暗号化されて両者間を行き来するから、VPNは情報のトンネルのようなものになり、上の例でヘリに相当する、第三者からは見えないようになる。

なぜVPNを使うべきか?

VPNは、仕事のために使い始める人が多いだろう。とくにそれは、在宅勤務をしている場合だ。VPNは、会社にとっていくつかのメリットがある。社員はプライベートなネットワークにアクセスするから、彼/彼女をインターネットに接続されていない会社のサーバーにもアクセスさせられる。クラウドから提供されるOffice 365のサーバーやG Suiteなどがない時代には、多くの企業が自前でメールサーバーやカレンダーサーバーなどを動かしていた。それらが提供するサービス(メールやカレンダー)は、社員がまず会社のVPNに接続してからでないとアクセスできない。それは、機密情報を保護する優れた方法だ。

しかし、欠点もいくつかある。ユーザーがVPN接続を使うと、インターネットのトラフィックを含むすべてのネットワークトラフィックがVPNを通る。会社のITサービスは厳しい閲覧ルールを敷いて、社員ユーザーがTwitterなどを利用できないようにする。あるいは閲覧履歴を見て、あなたをクビにするための、都合の良い理由を見つけるかもしれない。

しかし、オフィス環境はVPNの唯一のユースケースではない。あなたがアメリカの外に住んでいてHBO NowやNetflixのアメリカの映画ライブラリ、あるいはHuluなどのストリーミングサービスにアクセスしたい場合、VPNがそれを可能にしてくれる。

それは、VPNサービスを提供している企業の多くが、世界中のいろんなサーバー〔例: アメリカのHulu〕へのアクセスを提供しているから、ユーザーは今自分がいる国を詐称することができるのだ。前述のように、VPN接続ではすべてのネットワークトラフィックがトンネルを通るから、HBOなどのサーバーは、自分の地理的ルールどおりにアメリカのユーザーに向けて映画をストリーミングしているつもりでいても、VPNのトンネルを出たストリーミング映画のデータは、今あなたがいる地球の裏側の国へ実際には行ってしまうのだ。

そのトンネルの幅が小さいと、映画のストリーミングデータが正しいタイミングで通れないこともある。そのためにNetflixなどは、VPNサービスからと分かるIPアドレスを、アメリカのアドレスであっても拒否する場合がある。せっかくVPNサービスを使ったのに、映画が見れなくなってしまう。

また、中国など、一部のインターネットサービスをブロックしている国へ旅した人は、VPN接続を利用してGmailやFacebook、Twitterなどに接続したことがあるだろう。つまり、それらのWebサイトにアクセスするためには、中国の外にあるVPNサービスに接続する必要がある。しかし中国政府は多く利用されるVPNサービスのIPアドレスを禁じようとしているから、この方法は今後、より困難になるだろう。

VPNを使ったインターネットアクセスは安全か?

コーヒーショップやホテルなどが提供しているWi-Fi接続サービスは、セキュリティにあまり気を使っていないものが多い。だから家庭のネットワークのように、そのローカルネットワークのほかのユーザーのコンピューターが見えてしまうことがある。そうなれば、ハッカーがあなたのインターネットトラフィックを盗み見するのも、簡単である。

これは数年前には深刻な問題だった。多くのWebサイトが、ログインページへのアクセスに安全な接続を使っていなかったから、ハッカーはあなたの銀行口座のIDやパスワードを取得して、お金をすべて盗むことができた。

そんなルーズなWi-Fiネットワークは、使わないのがいちばんよいけど、どうしてもホテルの部屋でメールをチェックしたい、なんて場合には、信頼できるVPNサーバーを利用すればよい。トンネルの中で起きていることは、誰にも見えないのだから。

しかし今では、状況が大きく変わった。今やインターネットサービスの大多数がHTTPSに切り替え、VPNがなくても、エンドツーエンドの暗号化によって、プライベートな情報を他人に読まれることはない。

これによって今では、VPNに関する間違った認識が世の中に跋扈している。正しくは、VPNによってあなたがインターネット上でより安全になることはない。安全性は、VPNサーバー次第だ。

自分の今の在住国を変えたり、検閲を逃れたり、コーヒーショップにおける接続を保護するためにVPNを使えば、片方のエンドにあるVPNサーバーにはあなたのネットワークトラフィックのすべてが見える。あなたはリスクを、VPNのトンネルに移しただけだから、よほど注意しないかぎり、とても危険である。

Apple App StoreやGoogle PlayにあるVPNアプリは、ある理由から、すべて無料だ。それらはあなたの閲覧習慣を分析してアドバタイザーズに売り、安全でないページには自分の広告を挿入し、あるいはあなたのアイデンティティを盗む。あなたは、どんなことがあっても、無料のVPNだけは避けるべきだ。

有料のアプリやサービスは、月額5〜20ドルでインターネットのプライバシーを守る、と約束している。でも、彼らのプライバシーポリシーやサービス規約を、まず見るべきだ。ぼくが見たかぎりでは、多くのVPNがあなたのインターネットトラフィックをログし、その情報を警察などとシェアしている。小さな字で書かれている注記を、よーく読もう。

プライバシーポリシーが善良に見える場合でも、実際に何をやらかすかを検分する方法がユーザーにないから、彼らを盲目的に信ずるしかない。多くの場合、ランダムに選んだVPNサーバーに接続するよりは、MACアドレスのホワイトリストの方が安全だ。見知らぬ相手が、あなたの家には侵入しないと約束しているから、そいつに家の鍵を渡してしまう人はいない。

暗号に関しては、一部には、安全でないプロトコルもある。たとえば事前共有鍵を使うL2TPによる認証は、解読されることがあり、見破られないトンネルという概念を裏切る。サーバー証明を伴うOpenVPNを動かしている安全なサーバーの方が、ずっと堅牢だ。

かなりややこしい話になってしまったが、でも結論は単純だ: VPNは大いに有能であり、今でもそれが役に立つニーズはある。でも、信用できない人やサービスを相手にビジネスをしてはならない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

インターネット上の取り締まり強化を続けるエジプトが暗号化メッセージアプリのSignalをブロック

After subsequent leaks of emails by WikiLeaks and suspected Russian hacks of the Democratic National Convention (DNC) the Clinton campaign is said to advise campaign members to use a messaging app approved by Edward Snowden called Signal. The app uses data encryption to send messages only readable by the designated receiver. (Photo by Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images)

【編集部注】執筆者のFarid Y. Faridはカイロを拠点とするジャーナリスト兼研究者。

暗号化メッセージアプリのSignalが、エジプトで一週間に渡ってブロックされていたが、Signalの親会社であるOpen Whisper Systemsが追加した新たな機能のおかげでサービスは無事復旧した。

これまでに数々の重大な告発を行ってきたEdward Snowdenを含み、活動家の間で人気の暗号化メッセージアプリSignalのユーザーは、先週からサービスに接続できないと報告していた。

エジプトは今年1年を通して言論の取り締まりを段々と強化しており、Signalのブロックは、現政権に対して反対意見を表明している邪魔なオープンジャーナリズムを抑制するための新たな一手でしかない。

「Signalは第三者に連絡先を漏らさずにセキュアなやりとりをするための重要な手段です」とエジプトの有名ブロガーであり、Global Voicesの役員でもあるMohamed ElGoharyは話す。

活動家の中で1番最初にサービス不通の状況をTwitterで報告したのは、ElGoharyだった。

「私が友人にSignal上でメッセージを送ろうとしたところ、『送信できません』という警告が表示され、他の友人も試したのですが結果は同じでした。別のISPを経由してもメッセージは送付できず、VPNを使って初めてメッセージを送ることができました。そのため、私は問題がエジプト国内でだけ起きているのだと考えたんです」とElGoharyはTechCrunchとのインタビューで語った。

iOS、Android、コンピューターの全てで利用可能なSignalは、第三者(例えば政府)がメッセージの内容を見ることができないように、エンドツーエンドの暗号化機能を標準で備えている。このサービスを使うことで情報提供者を保護することができるため、エジプトの活動家やジャーナリストの多くがSignalを利用している

世界中の皆さんへ
昨日からSignalとTelegramはエジプト国内で利用できなくなりました。失われたものは色々とありますが、セキュアな会話ができなくなったのは特に悔やまれます。

エジプトはSignal以外にも、SkypeやWhatappといったVoIPアプリをこれまでにブロックしたことがあるが、このような営利目的のコミュニケーションサービスには、Signalと同じようなレベルの暗号化・プライバシー機能が備わっていない。

エジプト以外の中東諸国や北アフリカ諸国(モロッコなど)も、匿名メッセージサービスのアクセスを制限していたことがあり、トルコは最近起きたロシア大使の暗殺事件を受けて、ソーシャルメディアをブロックしていた。

「このような通信妨害には統一性がなく、その動機もはっきりしません」とカイロにあるAmerican Universityでコミュニケーション論の教授を務め、「The Internet in the Arab World」の著者でもあるRasha Abdullaは話す。彼女自身もSignal利用者で、彼女は同サービスがブロックされていたときもSignalにアクセスすることができた。

エジプトの通信・情報技術省は、Signalをブロックしたという事実を認めても否定してもおらず、TechCrunchからの複数回におよぶ連絡にも応じていない。

Signalを標的とした今回の事件の結果、サンフランシスコを拠点とするOpen Whisper Systemsが「アクセスの検閲」と名付けた、情報セキュリティ上の不安が強まっている。

Open Whisper Systemsは、Signalのアップデート時にドメインフロンティング(domain fronting)と呼ばれる手法を使い、「エジプトとアラブ首長国での検閲回避」を新たな機能として導入した。

「標的のトラフィックをブロックするためには、政府がサービス全体をブロックしなければならないような仕組みをもとに新機能を開発しました。十分な規模のサービスがドメインフロントの役割を担うことで、Sigalをブロックするということを、インターネット全体をブロックするかのように見せることができます」と同社が発行した技術文書には書かれている。

30年間に渡って続いた前大統領ホスニー・ムバーラクの独裁政治が、2011年に起きたアラブの春で覆されたときにも、エジプト当局がインターネットへのアクセスを切断したというのは有名な話だ。

誰か@TEDataEgyptに登録して、このサイト(https://t.co/U7wptEmr4H)にアクセスできるかチェックしてもらえませんか?私だけがアクセスできないとTE Dataは言っているんですが。

「コンテンツをブロックするにしろ、ユーザーの投稿内容を規制するにしろ、インターネット上の自由を奪おうとする動きは、2011年の事件やその数年後に証明された、ソーシャルメディアの力に対抗するための手段に違いありません。オンラインの世界は、これまでになかったような形で、人々が自由に議論を交わして組織をつくるための空間を生み出したんです」とAbdullaは話す。

また、デジタル人権団体のPrivacy Internationalは今年発行したレポートの中で、エジプト国内でアラブの春が盛り上がっていた時期に、政府がイタリア企業のHacking Teamを含む複数のヨーロッパ企業から監視用製品を購入していたと主張している。

Signalのブロックは、表現の自由に対する制限が特に強まっていた時期に発生した。あるFacebookページの管理者は「誤ったニュースを公開していた」ために逮捕され、さらに暴力を扇動しているという理由で、163件のFacebookページが閉鎖に追い込まれた。

アブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領のもと、エジプトはインターネット上の取り締まりを強化しており、最近でも物議を醸したFacebookのFree Basicsプログラムを、ユーザーの監視ができないという理由でブロックし、風刺的なポストをFacebook上に投稿した市民を逮捕したほか、Deep Packet Inspectionという技術を使って、エジプト市民のインターネット上での動きを広範に監視しているとの報道までなされている。

27人の命を奪ったイスラム国(IS)によるカイロの教会でのテロ行為が発生した後すぐに、エジプトの各政党は、死刑を含む刑罰が盛り込まれたサイバーセキュリティ関連法を可決するよう国会に再度求めた。

Abdullaは法律の厳しさについて、「残念ながらアラブ社会のほとんどの法律は、規制よりも支配を目的としてつくられています」と説明する。

「さらにこの法案ではISPにも責任が課されるようになっているため、社会の各グループがお互いを監視し合うようになってしまうかもしれません」と彼女は話す。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

デジタル時代でも重要なプライバシーの課題

double exposure of woman looking at cityscape,shenzhen,china

【編集部注】本稿著者のGry HasselbalchとPernille Tranbergはdataethics.euの創業者であり、Data Ethics – The New Competitive Advantageの著者たちでもある。

私たちの生活はデータの中で生きている。データは国境を越え、仮想空間内で接続されている。しばしば、私たちはオープンでアクセスが容易なデータネットワークの中に生きているかのように見える。国や企業がデータを通して私たちを見ている、そして私たちはデータを介してお互いを見ている。このデータ飽和環境で、個人のプライバシーとは何を意味するのだろう?

プライバシーは信頼や安全に似ている;失われてみるとその定義がはるかによく分かるのだ。私たちは、脅かされている不安定な状況、他の誰かの嘘や不正な行動が明らかになった状況に自分たちがいることに気付いた時、信頼と安全が何であるかを正確に知ることになる。それは私たちを怒らせ、不安にし、そしてなによりも無力に感じさせるようなものだ。

同じことがプライバシーにも成り立つ;失われる前にそれを指差すことは難しい。私たちはますます、日々のデジタル生活の中でプライバシーの欠如を感じ始めていて、同時に何を失っているのか、自分たちはそれについてどう感じているのかを理解するようになりはじめている。

今日のデータ飽和環境に対するより人間中心的かつ倫理的なアプローチの必要性について話すとき、私たちは第一に、社会に埋め込まれた力のバランスをとることについて話し合う。個々人のプライバシーは、現在のデータ飽和インフラストラクチャーの中で、プレッシャーに晒されている唯一の社会的価値ではない。不当な扱い、差別や不平等な機会 — 倫理に欠けるデータの取り扱いの影響は多様である。しかし、その中心にあるのは プライバシーだ。それが社会のパワーバランスメーターの針となる。

良好に機能している民主主義の中では、権力者は力の行使方法についてはオープンで透明だ。しかし個人に対する透明性を期待すべきではない。透明性があるほど、個人はより脆弱になってしまう。

現在のデジタルインフラストラクチャでは、私たちは間違った方向に向かっている:個人はますます透明になっていて、様々なタイプの制御、操作、そして差別に晒されている。一方政府、起業、そして組織などの力を持つ側はますます閉鎖的になっているのだ。自由、個人の独立、そして民主主義こそが、プライバシーに対する個人の権利を私たち全員が気にするべきものにしている根本的な理由である。

プライバシーは、プライベートな人生がディフォルトであった時代に定式化された、国際条約や、宣言、そして憲章に書かれた普遍的な人権だ。民家と公共の通りや建物の間や、民間人と公的機関との間には、はっきりとした線と限界が存在していて。それは封をした封筒の中の手紙だったのだ。

自由、個人の独立、そして民主主義こそが、プライバシーに対する個人の権利を私たち全員が気にするべきものにしている根本的な理由である

しかし、世界のデジタルメディアの足場は、Joshua Meyrowitz教授が1986年に彼の著書「No Sense of Place」で著したように、徐々に、しかし着実に公的領域と私的領域の壁を破壊してきた。最初はラジオとテレビが公共の場をプライベートなリビングルームに持ち込んだとき、そしてインターネットと携帯電話が、私たちのポケットの中で公共の生活を静かに、バイブレーションを通して文字通り揺れるように感じさせるようになったときだ。

機械は私たちのプライベートな電子メールや会話に関与することを始めた。封筒は開かれたのだ。私たちはますます、私たちのアイデンティティや生活ををオンラインソーシャルネットワーキング空間で広げ、プライバシーは積極的に選ばなければならないものになった。同時に、これらのオンラインスペースは、私たちのアイデンティティを創り出す;それらは私たちを制限したり、機会を創出したりして、プライバシーがエンパワーメントのツールになる。

実際に、プライバシーはエンパワーメントだ。私たちが積極的にデジタルメディアを使用し、自分自身の詳細を共有しているという事実があるからと言って、プライベートな人生には価値がなく、FacebookのMark Zuckerbergがかつて言ったような、もはや社会的規範ではないということは意味していない。それは単にプライバシーには新しい条件が備わったということを意味しているだけだ。私生活、画像、アイデンティティをオンラインにすることは、エンパワーメントに関わる。エンパワーメントとは、誰があなたについて何を知っているか、そしてそれはいつ(現在や未来)なのかを「あなたが」決めることができて、その知識から生まれる結果をコントロールできるということを意味する。

プライバシーとは個人の持つ固有の特徴だ。私たちがどのような文脈で何を開示するかは、独立した個人として、とても個人的なことで独自に決まるものである。プライバシーは文化や個人に特有であり、まさにその理由から重要だ。それは私たちそれぞれを、個別の能力の中で行動するようにエンパワーする。

プライバシーは日々の社会的な実践だ。Googleのエリック・シュミット会長はかつて「もし誰かに知られたくないものがあるならば、そもそもそれはやるべきではないことかもしれません」と語った

この論理に従うならば、プライバシーは秘密や、性癖、あるいは犯罪の詳細についてだけに限られてしまう。しかし、この論理を反対に見て、もし私たちがプライバシーを持てなかったり、プライバシーを可能にする基本機能を持っていない場合に、一体何が失われるのかを見れば、この議論は消えてゆく。

平行する現実世界では、私たちは毎朝起き上がり、衣服で身体を覆い、トイレに入ってドアを閉めるが、そのことに対して、私たちはするべきではないことをしている、と主張するものはまだいない。私たちの日々の慣習は、プライバシーが私たちが社会空間で独立した個人として行動することを可能にする原則であることを証明しているのだ。

プライバシーは民主的な価値だ。それは思想の自由と個の独立である。誰かに見られていると感じると、人間の行動が変化するということを示す研究がある。 自由な情報の検索を控え、自由な行動を表現を控え、目立ったり流れに逆らったりすることを恐れるようになるのだ。国際プライバシー保護者協会(IAPP)のTrevor Hughes CEOは、プライバシーの重要性についての良い説明を行っている「人間は、自らの脆弱さを感じているときには孤独を求めるものです。往々にして、これは物理的な脆弱さにも関係しています。私たちは、病気のときや特定のリスクの瞬間(睡眠、排泄、セックス、その他の時間を思って下さい)には、社会から離れようとします。しかし私たちはまた情緒的な脆弱さを感じているときにも、独りになりたいと思います。私たちは、新しいアイデンティティやアイデアを探求するためのプライベートな空間を求めているのです」。

誰からも見張られることなく考え行動できるプライバシーと空間は、個人が独立し自由に振る舞う能力のための前提条件である。私生活では、各自が独自のアイデンティティーを生み出し、自分の人生の方向性を決断することができる — その過程で失敗する権利や、流れに逆らう権利と共に。プライバシーの権利は、こうした積極的な民主主義のための前提条件なのだ。

そして最後に、もちろんそれが最低条件ではないが、プライバシーは自由なイノベーションと創造のための前提条件なのだ。法学教授のJulie E. Cohenが語ったように: 「イノベーションにはあれやこれやの自由な試行錯誤の余地が必要です、それ故にそうした、あれやこれやの試行錯誤のための場所に価値を置き確保するような環境の中でこそ、イノベーションは最も高い繁栄を達成するのです」

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: JASPER JAMES/STONE/GETTY IMAGES

ユーザーが車を降りてから長期間位置データをアプリが追跡しているように「見える」理由をUberが説明

the_new_uber_app_04

Uberは今日(日本時間23日)、ユーザーが何日もあるいは何週間も乗車サービスを使っていないのにも関わらず、そのアプリが利用者の位置をチェックし続けているという報告に反応した。同社は、その問題はiOSそのものによって引き起こされるもので、アプリから直接指示が出されているわけではないと説明している。

多くのユーザーが、iPhoneの設定画面から、Uberのアプリが最近の自分たちの位置をチェックしているらしいということは認識していた。

しかしUberによれば、これはAppleが9月に公開したiOSのマップ拡張機能によって起動されているということなのだ。これはUberアプリのバグによるものではなく、また最近行われた位置サービスのアップデートのせいでもないと、Uberは私たちに説明している。

この問題が心配を集めた理由は、Uberが先月、この先ユーザーが降車したあと5分間だけユーザデータのバックグラウンド収集をすると発表したためである。Uberは、このデータによって将来的な乗車、降車位置の正確性が向上するだろうと言っている。

もちろん、同社のやりかたを行き過ぎと考えるユーザーもおり、一般的にこの種のデータの共有を快く思わないユーザーもいる。

Uberが過去に、ユーザーのプライバシーに関するいくつかの目立った失敗をしていることを考えると、そうした懸念にも無理はない。そうした失敗には個人的なデータに関するセキュリティの脆弱性Uberによる記者の行動の追跡「神の視点」を与える内部追跡ツールの誤用社内の従業員が元ガールフレンドやセレブなどに対しておこなったストーカー行為などが含まれている。

しかし、DaringFireball.netのJohn Gruberが最近の記事で述べたように、iOSの機能を使えば、ユーザーはUberが降車後5分間だけ位置追跡をするという言葉を守っているかを確認することができる。

彼はiOSの「設定」画面から、どのアプリがあなたの位置にアクセスしているかを見ることができると説明している。

「設定→プライバシー→位置情報サービス」と辿った画面で、最近位置情報にアクセスしたアプリ名の横にはインジケーターが表示される。もしインジケーターが紫ならそのアクセスは最近で、もしグレイならそれは24時間以内のアクセスであったことを示す。彼はUberアプリでもこれをチェックしていたが、特に誤用の兆候は見られなかったと指摘していた。

しかし結局のところ、それは誰に対しても真というわけではなかった。

2つ目の記事でGruberは、沢山の読者が、自動車サービスを最後に使用してから数日から数週間かかっていたにもかかわらず、彼らの位置情報をチェックし続けているUberアプリのスクリーンショットを送って来たと書いている。

TechCrunchの記者の中にも、この問題を自らのデバイスで発見した者がいた。

@daringfireball ああ、uberはもう1週間ほど使っていないし、アプリもバックグラウンドでも走っていない。気になるね。

もう何日もアプリを開いていないのにまだ@Uberは位置追跡している。気味がわるい(@gruber経由)

@gruber スクリーンショットは少しわかりにくいけど、私のものだ。ここ数日アプリを使っていないけれど、灰色の▲がUberの隣に出ている。

@gruber 旧版を7日前に使ったのが最後だ、Uberがマップ拡張をしたことがアイコンを説明できるかな?

@gruber iOSが丁度ポップアップでUberが私の位置を使っていると教えてくれたけど、アプリは1週間以上開いていないんだ。

明らかに、これはUberの責任のように思えた、同社がその約束を守っていないように見えたからだ。

しかしUberは位置情報の追跡は同社のアプリが意図的に行っているものではないと言っている。

私たちの要請によって、Uberはこの問題を調査し、この問題がiOSのマップ拡張機能に関係していることを発見した。またそれは、一部の人が問題にぶつからなかった理由も説明している。

Uberのマップ拡張機能は9月に提供され、それはAppleのマップ拡張プロトコルに基づいている。Uberの競合他社によるマップの拡張機能も同様な動作を行う。

Uberの広報担当者によれば:「乗車共有アプリとiOSマップと統合する選択をした人は、マップアプリの中で乗車リクエストを行うために位置データが共有されていなければなりません。マップ拡張機能はデフォルトでは無効になっていて、iOSの設定でそれらをオンにすることができます」ということだ。

言い換えれば、それはバグではなく、機能である。そしてそれは、iOSの機能なのだ。

残念なことにiOSは、アプリが誤動作していないかどうかを確認するために、自分の設定からアプリのプライバシー関連の振舞を一目で確認したいユーザーにとっては、難しい設計になっている。

そして、UberだけがAppleのマップと統合されてるサードパーティ製のアプリではない:Lyft、OpenTable、そしてYelpも同様なのだ。

おそらくAppleは【位置情報サービス】設定メニューの中に、位置情報にアクセスしているのはアプリなのか、それともiOS自身のマップ拡張なのかを区別できる新しい色を使ったインジケーターを提供する必要があるだろう、そうでないとあたかも使っていないアプリがユーザーを追跡しているように見えてしまうからだ。結局のところ、ユーザーが自分のプライベートデータを制御できるように機能を設計しようととするなら、現在提供しているものよりも優れたツールが必要になる。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

暗号化チャットのSignalがAndroidアプリをアップデート、国家による検閲を迂回しステッカーや落書きの添付を可能に

shutterstock_1327967271

ネット上のプライバシーに対する関心が大きくなっている今、暗号化チャットアプリSignalはそれに乗じて成長しようとしている。今週は二つの新しい機能を加えたが、そのひとつは国際的な検閲への対応、もうひとつは、新しいユーザーに対して、このすべてを暗号化で固めたような製品をユーザーフレンドリーらしく見せるための、いくつかの工夫だ。

Signalの親会社Open Whisper Systemsのブログに詳しく書かれているように、Signalの今回のAndroidオンリーのアップデートは、前置ドメイン(domain fronting)と呼ばれる、ドメインを詐称する手法により、エジプトやUAEなどが国家レベルで行っている検閲を迂回する。

そのブログ記事は曰く、“前置ドメインが十分に大きなサービスであれば、Signalを無効にするためにはインターネットを無効にしなければならないように見えてくる。ユーザーがSignalのメッセージを送ると、それはhttp://www.google.comへの正常なHTTPリクエストのように見えるのだ”。

この検閲回避機能のほかに、SignalのAndroidアプリにはいくつかの楽しい機能が導入された。たとえばユーザーは写真を送るときに、SnapchatやFacebookのようなメジャーなソーシャルアプリのようにステッカーや落書きを加えることができる。

screen-shot-2016-12-22-at-12-32-36-pm

以下は、Signal version 3.25.3 for Androidのアップデートの、完全なリストだ:

  • 画像にステッカーや落書きを加えられる。
  • 絵文字セットをアップデート!。
  • ビデオのサムネイルをサポート。
  • MMSメッセージではダウンサンプルしたGIFを使用。
  • エジプトとUAEにおける検閲の迂回をサポート。
  • バグフィクスと性能アップ。

Signalは本当にプライベートなメッセージングサービスとして、今後ますます、利用者が増えていきそうだ。しかもアプリのユーザーインタフェイスはAppleのMessagesアプリなどに似ていて、PGPなどの暗号化通信にありがちな、難解な感じがない。また、Facebook MessengerやGoogleのAllo、そしてWhatsAppのようなメジャーなメッセージングアプリの機能も、いくつか取り入れている。それだけではなくSignalは、今年の大統領選以降、ユーザーが急激に増加している

[私は毎日Signalを使っている。(ネタバレ: 彼らはすでに知っている)]

Signalのルーツがオープンソースであり、プライバシー保護が堅固なので、著名なプライバシー活動家の多くが利用している。そしてそのことが、新たな採用者を増やしている。EFFの格付けでは満点を取り(その格付けは今アップデート中)、Edward Snowdenも推奨している。そして、それだけでは物足りない人のためには、ステッカーもある!

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

EFFが緊急の公開書簡をテクノロジー企業に送付、新政権でインターネットの監視と検閲が強化されることを危惧

defend-encryption-cyan-1

インターネットの自由とオープン性を守ろう、という趣旨の、テクノロジーのパイオニアたちによるご意見番的非営利団体Electronic Frontier Foundation(EFF)〔日本語Wikipedia〕がこのほど、今後インターネットの監視や検閲が増えるかもしれないので用心しよう、とテクノロジー企業に訴える公開書簡を発行した。その中でEFFは、インターネットのコントロールやインターネットの中立性、そして言論と報道の自由に関する、Trumpと彼のアドバイザーたちの声明文を引用している。

書簡はこう述べる:

次期大統領Donald Trumpと彼のアドバイザーの多くが、監視と検閲を段階的に強化し、それによってインターネットの中立性やプライバシー、そして暗号化の未来に脅威をもたらす主旨の発言をしている。Electronic Frontier Foundationは、テクノロジー企業がわれわれと共に一致団結して、インターネットのユーザーを守ることを求めたい。当団体と多くのテクノロジー企業との協働により、世界中の人びとを結びつけ活気づけるために作られた技術が、抑圧のための道具へと徴用されないことを、確実化できる。

 

EFFはWired誌のフルページ広告で、テクノロジー企業が不要なログやユーザーデータを消去するよう求め、また2017年の新年の願い(ウィッシュリスト)で、“Facebookがユーザーに本名の使用を強制することをやめて、各ユーザーが自分のアカウント上で自由な名前を使えるようにする”ことと、“Twitterがダイレクトメッセージのエンドツーエンドの暗号化を可能にすること”を、要請している。

EFFはまた、政府内の指導的立場の人たちなどに向けた、上記各テーマの詳細な論点も提供している。

インターネットの自由が今後どうなるのか、それを予言するのは時期尚早だが、警戒と準備を怠らないことは重要だ。私たちのコミュニケーションはネット上で行われることが多くなっているから、古い時代遅れの法規等は私たちを傷つける障害物にしかならないだろう。何も悪いことをしてなければ、何も隠すものはない、は依然として正しいけれども、やはりすべての人に、各人に、自分の言論や、コミュニケーション、私生活等の秘密を、守りたければ守れる権利があり、しかもその権利行使の選択は、スイッチを切り替えるぐらいに簡単容易でなければならない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コンピューター上の何か(ゲーム?)に夢中になってるとき人が来たらSentryが警報してくれる

781b93f7ef8b0c8b47a056dac18bb8a6_original

たとえばあなたは今、ヘッドフォーンをつけて、コンピューターで、あれ(ゲーム?)をしている。しかもどうやら、完全に没頭している。誰かが後ろからこっそり忍び寄ってきたけど、そのゲーム(?)をポーズするのが間に合わなかった。Sentryがあれば、ゲームをしている(?)ときに人に見られるバツの悪さを、未然防止できる。

この楽しい小さなデバイスは要するに赤外線モーションセンサーで、5メートルまでの範囲内の人を検知する。人が近づいてくると画面に警告が出るので、すぐにそのゲーム(ということにしておこう)を消して、注意をその人物に集中できる。

お値段はKickstarterで57ドル、Windowsが必要だ。一般発売は2017年5月を予定している。

最初はオフィスの個人用キュービクルで使う警報システムのつもりだったが、その後、ターゲットの市場を考えなおした。目標額1900ドルはもう目の前だが、この前Kickstarterで失敗したので彼らは慎重になっている。でも、誰かが忍び寄ってきたら知らせてくれるセンサーは、コンピューターでゲーム(など)をやってる人や、VRの世界の人になりきってしまっている人にとって、ほしいデバイスだろう。誰もがみんな、だいじなあの瞬間(最後のボスキャラとの戦闘?)を邪魔されたくないから、これぐらいの値段の製品なら買うと思うけどね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleが8通の国家安全保障書簡を公開、近く公開専用ページを立ち上げる予定

A Google logo and Android statue are seen at the Googleplex in Menlo Park, California on November 4, 2016.  / AFP / JOSH EDELSON        (Photo credit should read JOSH EDELSON/AFP/Getty Images)

Googleは最新の透明性報告書に一通の国家安全保障書簡(National Security Letter, FBIの命令書)を、とくに騒ぐこともなく含めたが、しかし今日(米国時間12/13)同社は、政府によるGoogleユーザーの監視行為をより多くの人に知ってもらうために、さらに8通のNSLを公開した。

今日公開された8通の書簡は、全国各地のFBI支部からGoogleへ送られた。それらは全体で、約20のユーザーアカウントの内容のほぼすべてにアクセスしようとしている。そのユーザー名は消されているが、FBIがそれを要求しているわけではない。Googleのスポークスパーソンによると、名前を消したのはプライバシー保護のためであり、当の個人には通知が行っている。

これらのNSLは、2010年から2015年までの5年間にGoogleに送られたもので、とくにノースカロライナ州シャーロットのFBI地方支部からのものが多い。そのほか、フロリダ、アリゾナ、ニューヨーク、カリフォルニアからのものがある。

NSLはこれまで、それをもらったことや内容について、無期限の緘口令が布かれていたが、昨年のUSA Freedom Actにより、公開可になった。もらったNSLを最初に公開した大手テク企業が、Yahooだ。同社は3通を6月に公開した。その後、GoogleとInternet Archiveがそれに続いた。

Googleの法執行/情報セキュリティ担当ディレクターRichard Salgadoが、ブログでこう述べている: “弊社はユーザーデータに関する政府の要求に対し、透明性を維持増強することに努めており、今日はその一環として、弊社が受け取った国家安全保障書簡の一般公開を開始した。それは、法と法廷の両者において、弊社の不開示義務が消滅したためである”。

Googleが書簡の公開を争ってきたのは、FBIがそれらを発行するときに事前の法的検討や監督がまったくないためでもある。テク企業の多くもその点を問題視し、彼らが抱えるユーザー情報はなにしろ膨大なので、データが裁判所の承認なしに秘密裏に探索の対象になるべきではない、と主張した。過去数年間でGoogleは19通のNSLに関して法廷で争い、昨年の勝訴では、Wikileaksの社員に、同社のデータを政府から要求された、と言わせることに成功した。

近くGoogleは、その透明性報告書の一部としてNSL公開のため専用のページを設ける、とSalgadoは語っている。それまでは、8つの書簡をここで読むことができる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

子供用の会話ロボットには危険あり?!

ique-cayla

子供に会話するおもちゃを買い与えようと思っているのなら、数年ほどは待った方が良いのかもしれない。消費者グループから、プライバシーないしセキュリティ上の問題があるとして、FTCに報告が行われたのだ。

行き過ぎた疑念や不満などといったものには賛成しない。こうした玩具が世界中で子供たちとの会話を秘密裏に録音して利用するようなことを行なっているかどうかも確かではない。しかし、こうした玩具を利用するのは自ら守る術を持たない幼い子供たちだ。こうしたケースでは、たしかに用心しすぎるということはないのかもしれない。企業の方にも、情報がいかに利用され、またどのような保護策が講じられているのかを、完全に明らかにする必要があるとも思う。

消費者から行われた告発(PDF)は電子プライバシー情報センター(Electronic Privacy Information Center)他2団体に対して行われたものだ。それによればGenesis ToysおよびNuance Communicationsが「事前の説明なく、ペアレンタルコントロールを利用させることもなく、不当かつ不適切に子供の声を収集、利用、開示している」としている。これはCOPPA(Children’s Online Privacy Protection Act)などの法律に抵触するものだとしている。

対象の玩具は「My Friend Cayla」という女の子の人形と、ロボット型の「i-Que」だ。スマートフォンからBluetooth経由で操作するようになっている。音声はNuanceないしGoogleのサーバーに転送してテキスト化し、このテキストは事前に指定されたサービスに送って利用することができるようになっている(罵り言葉など、ブラックリストに載せられていてテキスト化されない言葉もある)。詳細についてはThe Consumeristの記事に記されている。

そもそも、個人的にはこうした玩具についてはあまり賛同できない(ぼくの子供の頃は……と、そういう話をする場所ではなかった)。子供とおもちゃの関係に応じた会話を行うとしているものの、予めプログムされた要素が大きいのはまだ良かろう。ただ、会話したデータがどのように扱われるのかがまったくわからないとなると不安になってくる。子供に関するデータは法律に則って扱われるべきだ。保護者の同意は必ず必要だし、収集されたデータを確認して削除するようなことができるようにもなっていなければならない。問題となっているおもちゃは、どうやら法的ルールを軽んじているように思われるのだ。

my-friend-cayla

ちなみにGenesisのプライバシーポリシーをみると、収集されるデータの扱いについてはデータを蓄積するGoogleおよびNuanceのプライバシーポリシーを見るようにとなっている(リンクされていない)。Nuanceのプライバシーポリシーをみてみると「お客様が18歳未満の場合はニュアンスとの情報の共有について両親もしくは保護者の同意が必要であり、お客様がご自身の情報を送信することはできません」とある。送信されるデータは、アルゴリズムを進化させるために他サービスと連携させるケースもあり得るわけで、そのためにクライアント側にも慎重な姿勢を求めているということなのだろう。

このポリシーはNuanceのようなサービスを展開している場合には当然のことともいえる。しかし4歳から8歳程度の子供を対象としたプロダクトでサービスを利用するのであれば、「データを転送しないで」という以外の保護方針があってしかるべきではなかろうか。この件についてはNuanceの見解を問うているところだ。

Genesisの方は、子供たちの発した音声やテキストを保存しているのかどうかについて明らかにしていない。子供の声はマサチューセッツにある巨大サーバーに保管されているのか。次期モデルのマーケティングのためにデータマイニングに活用されているのかどうか。あるいは第三者に有償で提供するようなことが行われているのかどうか。そうしたことのすべてが、現状では闇の中だ。そうであるのなら、安全性面やプライバシー面を考えて、最悪のケースを想定して判断した方が良いように思う。もちろんGenesisの方にも質問を投げているところだ。

今回話題にしているGenesisの玩具に限らず、こうしたタイプのガジェットでネットに接続するものには、十分なセキュリティ対策が施されていないことも多い。「スマート」ロックも、「セキュリティ」カメラなど、それなりのセキュリティ機能を備えていると考えてしまいがちなものも、すぐに破られるような対策しかしていないことがある。ガレージを覗き見されるくらいならまだマシかもしれない。しかし子供がおしゃべりして遊んでいる様子が、そっくり見ず知らずの人に漏れているというのは、想像すらしたくないことではなかろうか。

My Friend Caylaは100万体も売れたそうだ。バーゲンのときにちょっとだけ売れたという規模のものではない。製作者は保護者たちの関心や非難に対し、十分納得の行く説明をしていくべきだと思う。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Uberがバックグラウンドで乗客の位置情報の収集を開始した

FILE - In this Dec. 16, 2015 file photo a man leaves the headquarters of Uber in San Francisco. Uber and advocates for the blind have reached a lawsuit settlement in which the ride-hailing company agrees to require that existing and new drivers confirm they understand their legal obligations to transport riders with guide dogs or other service animals. The National Federation of the Blind said Saturday, April 30, 2016, that Uber will also remove a driver from the platform after a single complaint if it determines the driver knowingly denied a person with a disability a ride because the person was traveling with a service animal. (AP Photo/Eric Risberg, File)

あなたはダウンタウン高層ビルでの予約したセラピーに向かっている途中だと想像して欲しい。あなたはUberを呼び、セラピーの前に軽食でも取ろうと、目的地近くのコーヒーショップを行き先として入力する。車の中では、Instagramを眺めたり、メールをチェックしたり。車を降りて、コーヒーを買って、角を曲がればセラピストのオフィスだ。

もしアプリの最新アップデートを行っていたなら、Uberはこれらの位置情報の全てを追跡していたことになる。

アプリのアップデート(確かめたい人のために:バージョン3.222.4だ)によって、Uberはユーザーからの位置データの収集方法を変更した。以前は、ユーザーがアプリを開いている間(フォアグラウンドの間)だけ、Uberは位置情報を収集していたが、今やUberはユーザーに、その位置を常に会社と共有するように求めてくる。

Uberによれば、アプリが携帯電話のバックグラウンドで実行されている間、位置を絶えず収集することは可能ではあるものの、その機能は使用しないということだ。その代わりに、Uberは、サービスを改善するために位置データがもう少しだけ必要で、デバイスレベルの権限の都合から、一定のアクセスを求めなければならないのだと主張している。

具体的には、Uberは乗客が乗車を要求した瞬間から、運転手が乗客を降ろしてから5分後まで、その位置を追跡したいと考えている。たとえアプリが携帯電話でフォアグラウンド状態でなくてもだ。以前なら、Uberは、乗車中の乗客のバックグラウンド状態での位置や、降車後の位置を集めたりはしていなかった。

同社はこの情報を降車時と乗車時のサービスを改善するために利用する、そこはずっとUberや他の配車サービスが苦慮している点なのだ。乗客と運転手がコンタクトをとる最も多い理由は、アプリケーションが正確な場所を提供していない場合にコミュニケーションをとるためである。そしてUberはこうした乗車時の混乱を減らしたいと思っているのだ。

Uberははまた、乗客が降車後どれくらい頻繁に通りを直接横断しているのかを追跡したいと思っている、こちらは安全上の問題を示していると同社が考えているからだ。乗客は目的地に達するために道路を横切らなくても良かったはずだ、と広報担当者は説明する。降車後にユーザーを追跡することで、ドライバーが危険な場所に乗客を降ろしたかどうかを判定するのに役立つのだ。

「ETA(到着予測時刻)をより正確にし、特定の通りにおける最適なピックアップ位置を特定することで、私たちはお客さまの体験を向上させる方法を常に考えています、位置情報はUberの経験の中心であり、乗客の皆さまに、これらの目標を達成するための情報提供を求めているのです」とUber広報担当者は述べている。

バックグラウンドでの位置データの新しい収集は、乗客にとっては驚くようなものかもしれないが、Uberは昨年この変更のための基礎固めを行っている。同社は昨年の夏にプライバシーポリシーを更新して、バックグラウンドの位置情報収集を可能にしたために、プライバシーグループからの反発と、連邦取引委員会(FTC)への訴状を受けている

Uberはバックグラウンド位置データによって「新しい有益な機能を提供できる。例えばユーザーがアプリを開いた際により早く立ち上がる(現在はアプリを開いてから周辺の乗車可能な車が表示されるまでには遅れがある、これはアプリが現在地を特定しようとしているからだ)」とその時に語っている。最新のアプリのアップデートにより、Uberはついに昨年のプライバシーポリシーの変更を活かしたことになる。

Uberに対する訴状をFTCに提出した電子プライバシー情報センター(The Electronic Privacy Information Cente)は、提案されたバックグラウンド位置情報収集を「違法で欺瞞的な商取引」と呼んでいる。しかし、Uberはバックグラウンドの位置収集を開始する前にユーザーの同意を得ており、また乗客がGPSの許可を求められる際に変更点を説明するページへのリンクを示していると主張しいている。

1月にニューヨーク州検察局は、プライバシー・グループが提起した問題のいくつかを取り上げ、Uberとの和解に達した。合意事項として、Uberはユーザーの位置情報を暗号化(携帯電話から、及びUberのサーバー同士での送信時)することが求められ、同社によって保存されるGPSデータは多要素認証で保護されなければならいことになった。

しかし、乗客の中には、Uberの車を降りた後や、バックグラウンドでアプリが起動している間に、位置情報を追跡されることを不快に思う人もいるかもしれない。 Uberと余計な位置情報を共有したくない人は、携帯電話の設定で位置情報共有をオフにすることができる。その場合、続けるためにはUberが場所を知る必要がある、といった告知が表示されるものの、ピックアップのための住所は手入力で行うことができる。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

デフォルトでプライベート・モードで動作するモバイルブラウザー、MozillaのFirefox FocusがまずiPhone用に登場

firefox-focus-ios

Firefoxを作っているMozillaが今日(米国時間11/17)、プライベートなWeb閲覧をメインとするiOS用のブラウザーFirefox Focus発表した。このブラウザーは、デフォルトでは広告のための個人追跡(ad trackers)をブロックし、ユーザーの閲覧履歴を削除する。パスワードやクッキーも含めて。

そのため、Webページのロードが速くなる、と同社は主張する。広告などの個人追跡機能は、ページのロードを遅くし、ブラウザーの性能を劣化させるからだ。

このアプリは1年前にApp Storeに登場したが、当時はiPhoneのSafariブラウザーのためのユーティリティで、広告やその追跡機能をブロックした。そのアプリはアップデートされて今でも健在だが、今度はもろに、Safariと競合することになった。

でもこのブラウザーは、ライバルに比べると簡素だ。タブがないし、お気に入りリストやそのほかの構成オプションもない。しかしSettingsのところでは、広告の追跡、アナリティクスの追跡、ソーシャルの追跡などなどのブロックをon/offできる。Webフォントの使用も。

  1. firefox-focus-screenshot-1-1-600x1067.png

  2. ios-focus_appstore-iphoneplus-600x871.png

しかしFirefox Focusでは、デフォルトの検索エンジンがYahoo Searchだ。Yahooは最近、大規模なデータ侵犯をやられたばかりだから、これはおかしい。Mozillaによると、今後のリリースではデフォルトの検索エンジンをユーザーが変えられるようにするし、アメリカ以外の市場ではYahoo以外のエンジンを使う、ということだ。

YahooでなくGoogleなら良いか、というとGoogleも個人データの保護に関しては、そんなにお行儀よくはない。でも現状のFirefox Focusで、ユーザーがデフォルトの設定を変えられないのは、絶対にまずいね。

screen-shot-2016-11-17-at-10-57-11-am

検索が終わったら、”erase”ボタンを押せば検索履歴も削除される。自動削除でも良かったかもしれないが、でも手作業で削除するとカタルシスがあるのだ。

アメリカでは、先日までの政治的大動乱〔問題含みの大統領選〕以降、プライバシーへの関心が再燃しているが、Firefoxの今度の参戦は遅すぎたのではないか。主なモバイルブラウザーには以前からプライベートモードがあるし、長年プライベートなWeb閲覧を専門的に提供しているTorのようなサービスもある。またApp Storeにも、Ghostery, Dolphin, Braveなど、プライベートWeb閲覧のユーティリティがいろいろある。

デスクトップではかつてトップだったFirefoxも、モバイルへの移行ではやや躓いている。iPhoneといういちばん優勢なモバイルプラットホームのために、モバイルフレンドリーなブラウザーを作ることをせず、App Storeの制約を批判して長年、iOSバージョンの提供を拒否してきた。そしてその姿勢が1年前にがらりと変わって、Firefox for iOSがやっとローンチした。でも、それじゃあ、あまりにも遅すぎた。

今度のFirefox Focusは、無料でダウンロードできる。Androidバージョンが出る、という話はまだない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

暗号化メールサービスProtonMailの新規ユーザーが選挙後に急増、トランプ新大統領の不寛容を懸念

surveillance-block

Donald Trumpの当選で、プライバシーを心配する人が増えており、一部はコミュニケーションを暗号化して自分を守ろうとしている。昨日のインタビューで、かつてNSAを内部告発したEdward Snowdenは、TrumpがNSAを統括することが不安な人は、暗号を利用するよう、すすめている。多くの人が、彼の説に従ったようだ。

スイスの暗号化メールサービスProtonMailが今日(米国時間11/11)、選挙以後、新規のユーザーが急増した、と発表した。

CEOのAndy Yenがブログにこう書いている: “Trumpが勝利してから以降、ProtonMailの新規ユーザーの数は前の週に比べて倍増した。選挙戦のときの彼の、ジャーナリストや政敵、移民、ムスリムなどへの不寛容な言及を見るかぎり、彼は今後新しいツールを好き勝手に使って、特定のグループを標的にするかもしれない”。

ただしYenはそのあと続けて、Trumpが統括することになる大量監視の装置は、オバマ大統領の下(もと)で肥大し、勢力を増したのだ、と述べている:

“このところ一般人のユーザーが急増しているが、しかしProtonMailこれまで、政治的権利を主張する人びとにも人気があった。彼らは大きな政府による諜報行為に深刻に悩んでおり、そしてオバマ政権は彼らの通信にもアクセスしていたのだ。しかし今や、状況が変わった。政治的活動家が経験していたのと同じ恐怖を、今ではシリコンバレーなどの一般の人びとが感じている”。

Snowdenと同じくYenも、Trumpは政府というものが短期間で変わることを示す一例であり、彼のような人間が最高権力を持ったことは、プライバシーの重要性をますます示している、と主張する。いや、ホワイトハウスに座る者が、だれであってもだ。彼は自分のサービスを、監視を避けたい人びとに勧めているが、同様の暗号化メッセージングサービスにSignalがある。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

FacebookとWhatsApp間のデータ共有が英規制機関の要請により一時中断されることに

facebook-whatsapp-screen

メッセージサービス大手のWhatAppは、今年の夏に広告目的の利用を含め、親会社のFacebookとユーザーデータを共有すると発表し物議を醸していたが、引き続きその件でヨーロッパの規制機関の怒りを買っている。

イギリスの個人情報保護監視機関であるICOの捜査を受け、この度Facebookはイギリス国内でのデータ共有を中断することに合意した。これにより製品や広告の開発にはユーザーデータが使われなくなる一方で、Facebookは今でもWhatsAppのデータをスパム対策やビジネスインテリジェンス(Facebookの傘下にある各サービスのユーザー数にWhatsAppのユーザー数を反映させるなど)の目的で利用していることが分かっている。

さらにFacebookは、イギリス以外のEUに加盟している27ヶ国でもWhatsAppとのデータ共有を中断しなければならない。

イギリスの個人情報保護担当コミッショナーであるElizabeth Denhamは、捜査の進展に関する詳細が厳しい表現で書かれたブログポスト内に、「私は消費者がきちんと守られていないことを心配しており、これまで私たちが行ってきた捜査を鑑みても、その思いに変化はありません。Facebookはユーザーの情報を使って何をするかについて、ユーザー自身に十分な情報を与えていないばかりか、WhatsAppがユーザーから受け取ったとする、情報共有に関する同意にも効力がないと私は考えています。さらに現状ユーザーは、自分の情報の扱いについて30日間で判断しなければいけませんが、いつでもその判断を変更できるようにするべきです」と記している。

さらに彼女は「私たちはFacebookに対してハッキリと法的根拠を示してきました。その結果、FacebookがイギリスのWhatsAppユーザーから集めたデータを、広告や製品改善の目的で利用するのをやめると決定し、嬉しく思っています」と付け加えた。

またDenhamは、「曖昧なサービス規約」のせいで消費者が「私たちが求めているレベルの保護」を受けられていないと強調した。

WhatsAppの更新版のプライバシーポリシーによれば、ユーザーはFacebookとのデータ共有を拒否することができるが、デフォルト設定では自動的にデータが共有されるようになっている。そのため、ユーザーはプライバシーポリシーをクリックして詳細を読み込み、その中のスイッチが何を意味するのか理解して、初めて情報共有オプションをオフにできるのだ。さらにユーザーがデータ共有に合意した場合でも、その後30日間であればアプリ内の設定からキャンセルできるが、その期間を越えると設定が変更できなくなってしまう。ICOはこのプロセス全てに不満を持っている。

また、Denhamはブログポストの中で、ICOがFacebookとWhatsAppに対して「データがどのように利用されるかについて顧客に分かりやすく説明すること、さらには彼らにいつでもデータ共有を停止する権限を与えること」を確約する書類にサインするよう求めたほか、現状のアプローチを変えなければ法的な手段に出ると警告したと記している。

「さらに私たちは、Facebookがユーザーデータを利用し始める前に、ユーザーひとりひとりがデータ共有について暫定的な判断を下し、その後いつでもそれを変更できるような仕組みが導入されるよう求めています。消費者にはもっと多くの情報が与えられると共に、しっかりとした保護を受ける資格があると私たちは考えていますが、これまでのところFacebookとWhatsAppはそうは考えていないようです。今後Facebookがユーザーの有効な同意無しにデータを利用していることが判明すれば、ICOの取り締まりを受けることになるかもしれません」と彼女は続ける。

Facebookの広報担当者は、ICOの対応に関する声明の中で、同社がデータ共有に関してWhatsAppユーザーに分かりづらい説明を行っているという批判を否定した。TechCrunchの取材に応じた同担当者は、「WhatsAppは、ユーザーにサービス内容を簡潔で分かりやすく説明し、データ利用に関する選択肢を与えるために、プライバシポリシーとサービス規約のアップデートを行いました。このアップデートの内容は関連法に準拠していると共に、ICOの最新の指導内容に沿って作られています」と話す。

さらに同担当者は「私たちは、ICOやその他の関連当局との対話を継続していきたいと考えていますし、彼らが問題視している事項についても一緒に解決していきたいと思っています」と付け加えた。

Facebookは、本件についてこれまで何度もICOとミーティングを行っているほか、この問題を案じているヨーロッパの他の規制機関からもいくつか質問を受け取っている。また、現在のところEU加盟国全てで、WhatAppとFacebook間のデータ共有は中断されている。

9月にもFacebookとWhatsAppは、ドイツの個人情報保護機関からユーザーデータの共有をやめるよう命じられたが、当時Facebookは控訴すると話していた。

また、スペインの個人情報保護機関も、両社のデータ共有に関する捜査を行っていくと発表していた。

さらに現在、EU加盟各国の個人情報保護機関の代表者から成るEU全体の個人情報保護監視機関、Article 29 Working Partyも本件を捜査中だ。彼らは10月に、各メンバー(ICOなど)が「強調して」問題解決にあたると共に、必要があれば連動して法的な手段をとっていくと話していた。

Denhamは、欧州各国の関係機関と共に、ICOは今後もFacebookを”プッシュ”していくつもりだと語る。彼らのゴールは、Facebookの手に渡ったデータがどのような目的で使われるかについて、WhatsAppユーザーにもっと多くの情報が与えられること、データ共有に関して今よりも分かりやすい選択肢がWhatsAppユーザーに与えられること、さらには一旦ユーザーがデータ共有に合意しても後から変更できるようにすることだ。

また、彼女は同じブログポストの中で、企業買収に伴うユーザーデータの局所集中という、もっと広い意味での個人情報保護に関する心配点を挙げている。これは今年に入ってからEUの競争政策担当コミッショナーも懸念を表明していた問題で、最近ではMicrosoftによるLinkedIn買収への反対の論拠としても用いられていた。

「これは、膨大な数の顧客情報が売買の対象となるような企業合併で特に問題になります。実際に、顧客情報の獲得を主な目的とした買収が行われていて、買収する側が既に持っている情報と新たに手に入れた情報が組み合わさると、データセットがまとめられ、知りたくもないような詳細が明らかになっていき、消費者は自分の情報をコントロールできなくなってしまう可能性があります」とDenhamは記す。

彼女によれば、ICOは来年本件に関するレポートを発行する予定だ。

「これはもはや個人情報保護の域を超えた問題で、私たちは業界団体や競争政策機関、消費者団体との対話を通して、どうすれば関連法規制を人々に理解してもらえるのかを検討しています。来年には本件についてのレポートが発行され、その中には私たちが心配している点やその対策に関する議論が掲載される予定です」

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Sudoアプリでオンラインアイデンティティの変更が簡単に

sudo-ios

読者の方の中には、私のように1、2回しか買い物をしていないサイトから送られてくる何百通ものメール広告が、受信箱に溜まっている人がいるだろう。一旦そのようなサイトにメールアドレスを登録してしまうと、際限なく毎週(または毎日!)メールが送られてきてしまう。

携帯電話の番号を登録する場合は、購読解除のやり方が複雑なために事態が悪化する。さらに、月額制と知らずに何かを購入した際に、クレジットカードの情報が登録され、毎月勝手に料金がとられてしまったような場合は最悪だ。

ここから分かるのが、オンラインショッピングをする際に、積極的に使い捨てのメールアドレスやデビットカードを使わない限り、いつかユーザーは問題に直面することになるということだ。しかし言うは易しで、平均的な消費者がこれを実行するには、ほとんどの場合かなりの手間がかかり、テクニカルな知識も必要になってくる。

SudoAppとSudoPayがそんな消費者の悩みを解決してくれる。Anonyome Labsが開発したこのふたつのアプリを使えば、ユーザーは一時的(もしくは永続的)なオンラインアイデンティティを作成・削除できる。そしてそれぞれの仮想ユーザーに、カスタマイズ可能な氏名とメールアドレス、電話番号が付いてくるのだ。

全てのやりとりはSudoApp上で完結し、それぞれの仮想ユーザーには、普段使っているようなメールの受信箱やスレッド式のSMSが割り当てられる。

このアプリには、広告ブロッカー付きのウェブブラウザも標準装備されており、さらなる対策を講じたい人向けに、匿名でのブラウジング機能も搭載されている。

また、クレジッドカード詐欺を心配しているユーザーは、ふたつめのアプリであるSudoPayを利用することで、どの仮想ユーザーでも使える、一回もしくは複数回限りのプリペイドクレジットカードを作成できる。SudoPayの仮想カードではApple Payも利用できるため、実在するクレジットカードを全く連携させないでプリペイドカードを利用することも可能だ。

sudo-screens

Sudoのファウンダー兼CEOであるSteve Shillingfordは、SudoAppが主に2種類のユーザーをターゲットにしていると説明する。1種類目は想像できる通り、テクノロジーにとても興味を持っていてプライバシー保護に関心のある人たちだ。この中には、これまでに使い捨てのメールアドレスや電話番号を使ったことがあるが、SudoApp上での仮想ユーザー作成・管理の簡単さにひかれたという人もいるだろう。

そしてもう1種類のターゲットがなかなか面白い。Shillingfordは、”最高家庭責任者(Chief Household Officer)”、つまりさまざまな人生の側面を別けて管理しなければならない親を、もう一方のターゲットに挙げていた。彼らはサッカーチームや仕事、学校のメーリングリストなど、目的に応じて仮想ユーザーを作る(全て実名を使って、メールアドレスや電話番号だけ新しいものを作成する)必要があるのだ。

前述の通り、使い捨てのメールアドレスや電話番号、プリペイドクレジットカードはこれまでにも存在した。しかしSudoの功績は、その全てを組合せてふたつの使いやすいアプリの形にまとめたことにある。

さらに利用料も安い。ユーザーは9種類までであれば、無料で無制限の電話・SMSと1GB分のメール受信箱が付いた仮想ユーザーを作成できる。プリペイドカードについては、仮想カードの残高を補充するたびに、その額に応じて1ドルの手数料がとられる。

これまでSudoは外部からの資金調達を行っていないが、Shillingfordは、恐らく2017年中に初めての外部資金調達を行うことになると考えている。

SudoAppSudoPay共に、現在iOS向けアプリが公開中だ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter