AIオンデマンド製造ロボットで設計反復の迅速化、Machina Labsが累計約18.6億円を調達し脱ステルス

77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

ロボットとAIを活用した製造プラットフォームを提供するMachina Labsは米国時間11月17日、1400万ドル(約16億円)のシリーズAを調達したと発表した。このラウンドは、Innovation Endeavorsがリードし、Congruent VenturesとEmbark Venturesが参加したもので、ロサンゼルスにある同社の累計資金調達額は1630万ドル(約18億6000万円)となった。

今回の資金調達により、同社は、NASAおよび米国空軍とのパイロット契約に続き、事実上ステルス状態を脱したことになる。ロボットプラットフォームの初期段階では、政府(特に国防総省)との契約が重要な役割を果たしてきたが、Machina Labsもその点では特別な存在ではない。

しかし、新たなラウンドで同社はさらなる成長を目指し、商業パートナーの受け入れを開始している。パンデミックの影響でグローバルサプライチェーンの多くがきしるように停止している中、米国内の製造業がさらに苦境に立たされていることを考えると、確かにタイミングは良いと言える。

画像クレジット:Machina Labs

Machinaの最初の取り組みは、シートメタル加工を中心としたもので、戦車の部品を設計したり、NASAの宇宙空間での製造の可能性を探ったりしているが、後者の部分は、明らかな理由からまだ先の話だ。現在、同社は地元ロサンゼルスの工場で、オンデマンドのMaaS(Manufacturing as a Service)を提供している。

共同設立者兼CEOのEdward Mehr(エドワード・メア)氏は声明の中で、次のように述べた。「この競争の激しい市場の変化のスピードに対応するためには、製造業を改革しなければなりません。当社のプラットフォームは、最新のロボット工学と人工知能(AI)を組み合わせたもので、優れたアイデアを持つ誰もが、迅速に、効率的に、低コストで部品を製造できるよう、ラピッドマニュファクチャリングへのアクセスを民主化します。このようなソフトウェアで定義されたロボット設備は未来の工場であり、その実現に向けて投資家のみなさまにご協力いただけることを大変うれしく思います」。

今回の新たな資金調達は、ロサンゼルスでの人員増強と、プラットフォームのさらなる研究開発に充てられる。

画像クレジット:Machina Labs

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがスマート空気清浄機メーカーAerisを買収

ちょうど1週間前、我々はiRobot(アイロボット)のAmazon(アマゾン)との協業に関連して、同社のスマートホームの野望について議論していた。iRobotは、スマートホームのミッシングリンクとしてのRoomba(ルンバ)の可能性を引き出すことを目指して、過去2、3年の間に少しずつその計画を明らかにしてきた。

そして米国時間11月18日、同社はHEPA空気清浄機で知られるスイスのAeris Cleantec AGを買収するという、ちょっと意外な次のステップを踏み出した。この買収は、最初のロボット掃除機を発表してから約20年が経過した今、家庭内の清掃という同社の中核を成すフォーカスに合致したものと言える。

CEOのColin Angle(コリン・アングル)氏はリリースでこう述べている。「本日発表されたAerisの買収は、iRobotの戦略における重要なステップであり、対応可能なマーケット全体を拡大し、製品ポートフォリオを多様化することで、消費者のみなさまに家をより清潔で健康的に保つための新しい方法を提供するものです。特に、パンデミックによって、より清潔で健康的な家庭を維持することの価値に対する消費者意識が高まっていることから、Aerisの製品の成長ポテンシャルを高く評価しています。また、当社のGenius Home Intelligenceプラットフォームと家庭用ロボットの既存のエコシステムを活用して、iRobotの体験を空気清浄機にもたらすことができる可能性にも期待しています」。

先週話していたように、iRobotのルンバ以外の成功したラインのほとんどが、2012年にBraava(ブラーバ)、2019年にRoot(ルート)を買収したことを含め、買収から派生していることは特筆すべき点だ。

空気清浄機は、パンデミックの影響で、この2年間で非常に重視されるようになったトピックであることは間違いない。しかし、それ以前にも、コネクテッドホームフィルターなどの登場により、このカテゴリーは活況を呈していた。Aerisの主力製品である「Lite」と「3-in-1 Pro」には、デバイスの状態を監視したり、複数の接続された機器を制御したりするためのスマートフォンアプリが搭載されている。

最後の部分には、iRobotの大きな計画を垣間見ることができる。独自のスマートスピーカーを持たないiRobotは、接続されたビーコンとしての役割を果たす、何らかのスマートホームデバイスを探していることは間違いない。それは、高価ではあるが、空気清浄機のようなものになるかもしれない。将来的には、ルンバのドッキングステーションにAerisの浄化技術が組み込まれるかもしれない。

iRobotによると、この取引はすでに終了しており、同社はAerisに7200万ドル(約82億2000万円)の現金を支払ったという。「この最初の現金対価に加えて、取引には、Aerisが2022年に一定の目標を達成した場合、ささやかな業績ベースのアーンアウト条項が含まれています」とのこと。

画像クレジット:iRobot

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

農家のDXを支援するFieldinがアグリテック仲間のMidnight Roboticsを買収

新型コロナが注目される以前から、農業ロボットにとってこの2年間は大きな意味を持っていた。人口増加と環境問題は、将来的に人々に食料を供給する方法を考える上で大きな原動力となってきた。またパンデミックは、多くの農家が現場作業員の確保に苦労していることから、その懸念に拍車をかけている。

2016年にテルアビブで行われたピッチオフ(投資家への売り込みコンペ)で優勝して、TechCrunchにでも紹介したFieldinが米国時間11月17日、Midnight Roboticsを買収する計画を発表した。外野からすると、お似合いのカップルだ。イスラエルとオーストラリアを経由し、現在はカリフォルニアを拠点とするFieldinは、農家のデータ収集と自動化を支援する。一方、Midnightはトラクターなどの農業機械にLiDARを利用したセンサー技術をもたらす。

Fieldinによると、同社の技術は1日程度で立ち上がるという。他の多くのサービスと同様に、同社は技術者を農場に派遣し、農家をサポートしている。少なくとも、新しい技術を手に入れなければならない既存の多くの技術に比べると、コスト的に楽だ。

この買収によって、Midnightの技術がFieldinの既存のソリューションに統合される。

Fieldinの共同創業者でCEOのBoaz Bachar(ボアズ・バチャー)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「過去8年間、私たちは数百の農場と1万台以上のトラクターと、その他の農業機械をデジタル化してきました。大規模農業の世界ではどこよりも多いと自負しています。またその間、農場管理のベストプラクティスを伝えることができる大量の貴重なデータを集積しました。Midnight Roboticsを買収することで、農家はデータから得る洞察を自律的なアクションに結びつけるループを閉じることができます。農家は、自分が何をやるべきかを正確に知り、すべてを同じプラットフォーム上で、自律的に実行できます」。

Midnight Roboticsの共同創業者であるYonatan Horovitz(ヨナタン・ホロビッツ)氏とEdo Reshef(エド・レシェフ)氏はFieldinに移り、それぞれ自律担当最高責任者(chief autonomy office)とCTOになる。またこの買収により、両人はFieldinの共同創業者に名を連ねることになる。

画像クレジット:Midnight Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Nommiがフードボウルを作るキッチンロボットを展開、「料理の鉄人」森本氏と提携も

レストラン業界で人手不足が続く中、オーナーらは今後、自動化への期待をますます募らせるはずだ。また、世界的なパンデミックの影響で食品の取り扱いが厳しくなっていることもあり、食品ロボットの会社を経営するには間違いなく最高のタイミングだと言える。

LAに拠点を置くNommi(ノミ)は、レストランブランドのC3(Creating Culinary Communities)との提携を発表し、世界中の不動産や大学キャンパスのパートナーに、最大1000台のロボットキオスクを展開する予定だ。

自動化が可能な食品の種類は、まだ比較的少ない。Nommiが注目しているのは、ピザのように比較的均一で自己完結型の食品配送システムであるフードボウルで、ロボットに最適なものだ。同社を代表する製品は、基本的に細長いキオスクで、客が自分の食事をカスタマイズできるタッチスクリーンがビルトインされている。

このマシンは、麺類、穀物、サラダなどのボウルを最短3分で作ることができる。最大330個のボウルと蓋を収納でき、一度に複数のボウルを作ることが可能だ。完成したボウルを最大21個「ロッカー」にキープし、料理を取り出すにはQRコードを使う。C3との契約には、料理の鉄人である森本正治氏とのパートナーシップも含まれており、森本氏の「Sa’Moto」ブランドのプロダクトがマシンに導入され、24時間365日稼働することになる。

「Nommiの秘密のソースは、ブランドと消費者の両方の視点から見て、比類のない汎用性にあることは間違いありません」と、社長で共同創業者のBuck Jordan(バック・ジョーダン)氏はリリースで述べている。「C3のような革新的なプラットフォームと提携することで、多くの収入源とユニークな顧客へのアクセスが可能になります。両社とも食品業界に変革をもたらしており、我々のパートナーシップは最高のタイミングで実現しました」と話した。

Nommiは、MisoやFuture Acresといったロボット企業のインキュベーターであるWavemaker Labsの支援を受け、最大2000万ドル(約23億円)の資金調達に取り組んでいる。

画像クレジット:Nommi

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

スイス大研究チームがヒトデの幼生から着想を得たマイクロロボットを超音波で動かすことに成功

マイクロロボットは、業界の多くの人々にとって長年の関心事だった。このようなテクノロジーは、最終的に多くのアプリケーションを提供できる可能性があり、その中にはヘルスケア分野における有用な機能も含まれる。例としてよく挙げられるのが、薬の薬物送達やマイクロサージャリーなどだ。

このテクノロジーで生じる最大の疑問は、移動性をどうやって確保するかだ。具体的にいうと、バッテリーやその他の技術を搭載せずに、どうやってロボットを動かすかということである。よく提案されるのは磁石を使う方法だが、スイス連邦工科大学チューリッヒ校のチームは、超音波を使ったまったく別の方法を研究している。

髪の毛の直径よりも小さいこのロボットは、 写真現像技術を応用して微細なパターンを生成するフォトリソグラフィーという技術によって作られた。その外部は、ヒトデの幼生を覆っている繊毛を人工的に模したもので覆われている。ヒトデの幼生は、この超微細な毛のような構造体が、周囲の水を叩いて小さな渦を作ることによって、水の中を移動する。つまり、この構造は、実質的に水を押し出すか引き込むか、そのどちらかを行うのだ。

研究チームによると、超音波を当てることでこの小さなロボットに同様の推進力を生み出し、直線的に泳がせることに成功したという。画像や動画の中でロボットの周りに見えるものは、プラスチック製のマイクロビーズを水に入れ、ロボットの周りでどのように円状に動くかを表したものだ。

薬物送達は、ここで最も広く議論されている応用法である。具体的には、胃の腫瘍などの部位にマイクロロボットを使って直接薬物を送達できるようにする。そうすれば、薬をより効率的に使用でき、潜在的な副作用も軽減できる。

「しかし、このビジョンを実現するためには、イメージングという大きな課題が残っています」と、同校は書いている。「小さな機械を適切な場所に誘導するには、鮮明な画像がリアルタイムで生成される必要があります。研究者たちは、超音波による医療用画像処理ですでに使用されているような造影剤を組み込むことで、マイクロロボットをもっと見えやすくすることを計画しています」。

画像クレジット:ETH Zurich

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ロボットに社会性を与えるMITの実験

あなたがAからBまで行くことをプログラミングされているのなら、丁寧であることはあまり必要とされない。しかしロボットが人間社会で果たす役割が増えるにともって、彼らはどうやって人間たちと正しくうまくやっていくのか、という問題が生まれてくる。

MITのCSAIL(コンピューター科学人工知能研究所)の研究員Boris Katz(ボリス・カッツ)氏が、最近の研究論文で「ロボットはもうじき私たちの世界の住人になるため、私たちと人間のようにコミュニケーションをとることができるようになる必要がある」という。「彼らは、いつ自らが手伝うのか、いつ自らが何かを防ぐために何ができるのかを理解する必要があります」。

彼のチームはその研究論文を「人間と機械が社会的に対話するとはどういうことかを理解するための、初めてで極めて真剣な試み」と呼んでいる。このような主張の正当性をめぐって議論はあるだろうが、彼らが極めて初期的な段階として解こうとしている問題は疑いもなく、人間の生活の中でロボットの役割がすごく大きくなろうとしている今日、ロボット研究者たちが今後ますます真剣に考慮すべき問題だ。

研究者たちが行ったシミュレーションテストでは、ロボット同士の「リアルで予測可能な」対話を開発した。そのシミュレーションでは、1人のロボットがもう1人の仕事ぶりをウォッチし、その目標を知ろうとし、その後両者は仕事をしながら目標達成に進んだり、それを妨げたりする。

プロジェクトのリーダーでフェローのRavi Tejwani(ラヴィ・テジュワニ)氏は次のように述べている。「私たちは、2つのエージェント間の社会的な対話のモデルを作るための数学的枠組みを公開しました。あなたがロボットで、X地点に行きたいとします。そのとき私はもう1つのロボットで、あなたがX地点へ行こうとしていることを見ます。私はあなたに協力して、あなたがX地点に速く到着できるように助けます。それは、Xを動かしてあなたに近くすることかもしれません。もう1つの、もっと良いXを見つけることかもしれません。あるいはあなたがXに到着するためにやるべき何らかのアクションを、やってあげることかもしれません。私たちの公式では「how(どうやって)」を見つけるための計画ができます。また「what(何)」は、ソーシャルな対話の数学的な意味に基づいて指定します。

そのモデルは現在、比較的単純な2Dのシミュレーションだ。チームは現在、3Dバージョンに移行しようとしており、また、ニューラルネットワークを使ったロボットのプランナーを加えて、ロボットがこれらのアクションから学ぶスピードを速めようとしている。

画像クレジット:charles taylor/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

サイバーエージェントAI Lab・大阪大学・東急ハンズが操作者4名ロボット20体による自律・遠隔ハイブリット接客の実証実験

サイバーエージェントAI Lab・大阪大学・東急ハンズが操作者4名・ロボット20体による自律・遠隔ハイブリット接客の実証実験サイバーエージェントは11月4日、同社研究開発組織AI Lab、大阪大学大学院基礎工学研究科東急ハンズと共同で、東急ハンズ心斎橋店(大阪市中央区)にて、操作者4名が遠隔対話ロボット20体による接客を行い、店舗における顧客満足度を向上できるかを検証すると発表した。実証実験は、2021年11月18日から11月29日まで行われる。調査結果については、2022年2月以降に発表の場を設ける予定。

これは、内閣府が主導するムーンショット型研究開発事業の一環である「ロボットによる次世代サービスの実現」をテーマにした実証プロジェクトの第3弾。第1弾と第2弾では、市役所でのコミュニケーション活性や空港での顧客体験創出の検証を行っており、今回は東急ハンズ心斎橋店において、遠隔対話ロボットによる「多接点での迅速な質問対応」「きっかけの提供」が、顧客の満足度や新しい体験価値につながるかどうかが検証される。つまり、「商品の場所がわからない」とか「おすすめの商品を知りたい」といった顧客の「困った!」に迅速に対応できるかが調査される。

具体的な調査内容は次の4つ。

  1. 複数体のロボットを4人のオペレーターが操作することで、顧客に対し迅速な質問対応ときっかけの提供をどれだけ遂行できるか
  2. 複数体のロボットを4人のオペレーターが操作することで、顧客の満足度を高めることができるか
  3. 東急ハンズのスタッフではないオペレーター4人によるロボット接客が、東急ハンズの熟練スタッフに比べてどの程度パフォーマンスを発揮できるか
  4. 複数体のロボットを4人のオペレーターが操作する際に生じる利点や課題

ロボットにスナイパーライフルを装着させるという一連問題

ロボットに銃を装備させるというのは、実用的な四足歩行ロボットが登場して以来、我々が追い続けてきたトピックだ。先の展示会で、SWORD(スワード)と呼ばれる企業が設計した遠隔操作可能な狙撃銃がGhost Robotics(ゴースト・ロボティクス)のシステムに装着されているものがお披露目されたため、この問題がさらに重要性を増してしまった。

これはBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)がどうにかして自らを遠ざけようとしていた問題である。当然のことながら戦争マシンを作っているという事実は、一般的に見て企業イメージにもよろしくない。しかし、多くのロボット産業がそうであるように、DARPA(国防高等研究計画局)の資金援助を受けたBoston Dynamicsが恐ろしいSF映画のようなロボットを生み出しているという事実は事態を複雑にしている。

先のコラムでは、威嚇や暴力を目的としたSpotの使用に対するBoston Dynamicsのアプローチについて話をした。また、ロボットの背中に銃を取り付けることについての筆者自身の考えも少し述べたつもりだ(繰り返しいうが、私は銃やデスマシン全般に反対である)。記事を書く前にGhost Roboticsに連絡を取ったものの、返事をもらったのは記事が公開された後だった。

筆者はその後、同社のCEOであるJiren Parikh(ジレン・パリク)氏に、同氏が「歩く三脚」と呼ぶこのシステムについて話を聞くことができた。Ghostはペイロード、この場合はすなわちSWORD Defense Systemsの特殊用途無人ライフル(SPUR)を設計していないため、こういった呼び方をするのだろう。しかしここには重要な倫理的疑問が詰まっている。歩く三脚と同社は呼ぶが、実際の責任はどこに置かれているのだろうか。ロボット開発会社なのか、ペイロードを製造する会社なのか。またはエンドユーザー(例えば軍隊)なのか、はたまたこれらすべてなのか。

銃を装備したロボット犬の軍隊が誕生し得るという可能性があるのだから、これは非常に重要な問題である。

自律性の観点からお話を伺いたいと思います。

ロボット自体には、武器のターゲティングシステムのための自律性やAIを一切使っていません。システムを作っているSWORDについては、私からはお話しできませんが、私の知っている限りでは、武器は手動で発射されるトリガー式であり、ターゲティングも裏で人間が行っています。トリガーの発射は完全に人間がコントロールしているのです。

完全な自律性というのは、越えるべきでない一線だとお考えですか。

我々はペイロードを開発していません。兵器システムを宣伝したり広告したりするつもりがあるかと聞かれれば、おそらくないでしょう。これは難しい質問ですね。私たちは軍に販売しているので、軍がこれらの兵器をどのように使用しているのかはわかりません。政府のお客様にロボットの使い方を指図するつもりはありません。

ただし販売先に関しては境界線を設けています。米国および同盟国政府にのみに販売しています。敵対関係にある市場には、企業顧客にさえロボットを販売しません。ロシアや中国のロボットについての問い合わせは多いですね。企業向けであっても、こういった国には出荷しません。

貴社が望まない方法でロボットが使われないようにするための権利を留保していますか?

ある意味ではそうですね。弊社にはコントロール権があります。全員がライセンス契約にサインしなければなりませんし、我々が望まない企業にはロボットを売りません。弊社が納得できる米国および同盟国の政府にのみロボットを販売しています。ただし軍の顧客は、彼らが行っていることすべてを開示しないということを認識しなければなりません。国家安全保障のため、あるいは兵士を危険から守るために、特定の目的でロボットを使用する必要があるのであれば、私たちはそれに賛成します。

画像クレジット:SWORD

ロボットを使って何をするかではなく、誰がロボットを購入するかというのが審査対象という事ですか。

その通りです。このロボットを使って格闘技のビデオを作ったり、ロボットがとんでもないことをするリアリティ番組を作ったりしたいという声が寄せられています。しかし誰が使うかわからなければお断りしています。ロボットはあくまでも道具です。検査やセキュリティ、そしてあらゆる軍事的用途のためのツールなのです。

先に見た写真に関してですが、タイムラインはあるのでしょうか。

2022年の第1四半期後半には、スナイパーキットのフィールドテストを行う予定だそうです。

このケースにおける契約内容は何ですか?国防総省は御社やSWORDと個別に契約をしているのでしょうか。

契約はありません。彼らは市場機会があると信じているただのロングガン企業で、彼らは自分たちのお金で開発し、我々はそれが魅力的なペイロードだと思った。顧客がいるわけではありません。

画像クレジット:Reliable Robotics

さて、(少なくとも今回)軍用犬ロボットの話はここまでにしよう。陸上での案件から、海や空へと話を移したい。まずはベイエリアに拠点を置く自律型貨物機企業、Reliable Robotics(リライアブル・ロボティクス)が1億ドル(約114億円)を調達した。設立4年目の同社の総資金額は、今回のシリーズCラウンドにより1億3000万ドル(約148億円)となり、自律型トラック輸送モデルを空へと移行させるべく計画を進めている。

無人航空機といえば、Alphabet(アルファベット)の子会社であるWing(ウイング)が米国でのドローン配送を本格的に開始することを発表した。オーストラリアとバージニア州の小さな町でパイロット版に成功した同社。その後ダラス・フォートワース都市圏で自律走行による配達を開始するべく、Walgreens(ウォルグリーンズ)とのパートナーシップを発表したのである。

画像クレジット:Alphabet

Wingは規制面での取り組みについて次のように話してくれた。

2019年4月、Wingはドローン事業者として初めて米連邦航空局から航空事業者としての認定を受け、数マイル先にいる受取人に商材を届けることができるようになりました。この認定の拡大版として、2019年10月にバージニア州でローンチすることができました。現在この拡大版の許可に向けて作業を進めており、その一環として、今後数週間のうちにテストフライトを行い、この地域で新しい機能を実証する予定です。ダラス・フォートワース都市圏でのサービス開始に先立ち、私たちは地元、州、連邦レベルの当局と協力して、すべての適切な許可を確保してまいります。

画像クレジット:Saildrone

水上はというと、こちらでも1億ドル規模のシリーズCが行われている。科学的なデータ収集を目的とした自律航行船を開発するSaildrone(セイルドローン)は、すでにかなりの数の無人水上飛行機(USV)を配備しており、その総走行距離は約50万マイル(約80万Km)に達しているという。

最後に、パンデミックによる人手不足の中、ロボットウェイターを採用するというThe New York Times(ニューヨーク・タイムズ)の興味深い記事を紹介したい。ロボットウェイターというのは大して興味深いわけでもないのだが、おもしろいことに、この結果人間のウェイターが受け取るチップが増えたと報告されたのである。

Serviによってウェイターがキッチンを往復する手間が省かれ、常に忙しいウェイターは客と会話する時間を増やし、より多くのテーブルにサービスを提供することができたため、ウェイターはより高いチップを得ることができたのである。

自律型システムは既存の仕事を置き換えるのではなく、企業が現在の人員では補えない部分を補うものであるという、ロボット関連企業が以前から主張してきたことが、このニュースで裏付けられた形になった。自律型システムが既存の仕事を完全に取って代わる事はなく、現在の人員では補えない部分を補完するのだということがよく分かる。これが完全な自動化への一歩となるかどうかは疑問だが、人間がより人間的な仕事に専念できるようになることに、大きな意味があるのではないだろうか。

画像クレジット:SWORD

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

自動化農業Iron Oxが従来の温室で使える移動・モニタリングロボットを発表

米国時間11月2日、Iron Oxはハウス栽培をアシストする移動式ロボットGroveを発表した。同社はベイエリアの屋内農業のアグリテック企業だが、この移動ロボットは最大450kgの荷物を持ち上げて運ぶことができるという。

Iron Oxでの主な積み荷は、180cm四方の屋内水耕栽培用のモジュールだ。そのモジュールをマシンのところに持って行き成長をチェックし、さらに、その他のケアや収穫の工程へ運ぶ。システムはLiDAR(ライダー)を搭載し、前方用と上方用のカメラが栽培スペースを上手にナビゲートする。

CEOのBrandon Alexander(ブランドン・アレクサンダー)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「私たちはテクノロジーを利用して土地と水とエネルギーの使用量を減らし、増加する未来の人口を養おうとしています。短期的な目標は、農業系に対する気候変動の影響を抑えることです。そのための努力は、地球上の農産物生産部門がカーボンネガティブになるまで続けます」。

このロボットは、屋内農業への関心が高まり、スタートアップたちがもっと持続可能な方法で爆発的な人口増を養える農業を探している時期に登場した。この分野では垂直栽培が最もバズっているキーワードだが、Iron Oxのソリューションはより従来的な温室が対象となっている。ただし、最初から全面的な自動化を目指している。

カリフォルニアに本社のあるIron Oxは最近、テキサスに5万平方メートルの屋内農場を立ち上げた。2021年9月に同社は5300万ドル(約60億4000万円)のシリーズCを調達し、調達総額が9800万ドル(約111億6000万円)になっている。

画像クレジット:Iron OX

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ハンバーガーをひっくり返すロボット「Flippy」の能力が向上、調理前後の作業を追加

Miso Roboticsは米国時間11月2日、ファストフードチェーンWhite Castle(ホワイト・キャッスル)の一部店舗でのパイロット運用に続き、ハンバーガー調理ロボット「Flippy」の新バージョンを発表した。新バージョンのロボットは「Flippy 2」と名づけられ、ファストフード店での簡単な調理作業をさらに自動化することを目的としている。

Misoのプレスリリースによると、オリジナルバージョンに対するスタッフからのフィードバックは、Flippyの主な調理作業の前後に人間の助けが必要すぎるというものだった。それには、調理されていない食材を最初に扱うことと、調理された食材をホールディングエリアに置くことが含まれる。基本的にFlippyは、調理中の食材を常に監視し、調整する必要がある部分の作業を置き換えていたが、その前や後の段階ではあまり助けになっていなかった。

画像クレジット:Miso Robotics

MisoのMike Bell(マイク・ベル)CEOはこう述べている。

すべてのテクノロジーがそうであるように、Flippy 2は前作から大幅に進化しています。実際のレストラン環境で開発を推進するために、White Castleから得た知見に非常に感謝しています。Flippy 2は前ほどキッチンのスペースを取らず、新しいバスケットを充填し、空け、戻す機能により、生産量を飛躍的に向上させます。Flippyが誕生して以来、当社の目標は、どんな厨房にも調和し、混乱なく機能するカスタマイズ可能なソリューションを提供することでした。

Misoは、よりコンパクトになったFlippyは、従来のロボットに比べてスループットを3割近く向上させることができ、人間の手を煩わせることが大幅に減ったと述べている。2代目のFlippyは、パンデミックの影響でレストラン業界が深刻な人手不足に直面している中で発表された。

画像クレジット:Miso Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

スタンフォード大学エンジニアがミシュランシェフが作ったロボットレストラン、グレインボウルなどを提供

スタンフォード大学でエンジニアリングを専攻していたAlex Kolchinski(アレックス・コルチンスキー)氏、Alex Gruebele(アレックス・グルーベレ)氏、Max Perham(マックス・パーハム)氏の3人は、キャンパス内の食事の選択肢の少なさと高コストに対する不満で意見が一致した。

コルチンスキー氏はTechCrunchの取材に対し「補助金付きの食事プランでも、昼食は10ドル(約1140円)、夕食はそれ以上かかりました」と語った。「私は、昼食を2回食べるために、食堂で座って仕事をしていました。アレックス(グルーベレ)はChipotleに行って、そこで奨学金を使っていました」。

美味しい食事をより安い価格で提供するにはどうしたらいいかを考えているうちに、ロボット工学の博士号を取得していたコルチンスキー氏とグルーベレ氏は、食事の準備などの作業をロボットが手助けできるのではないかと考えるようになった。

コルチンスキー氏は「10ドルのブリトーボウルにかかる食費は3ドル(約340円)で、残りは人件費、諸経費、不動産などに使われていることがわかりました。もし私たちが自己完結型のレストランを作れば、本当においしい食べ物の価格を下げることができ、しかもそれが近くにあるのです」。

Mezliのボウルができ上がる過程のアニメーション(画像クレジット:Mezli)

3人は、ミシュランの星を獲得しているシェフ、Eric Minnich(エリック・ミニッヒ)氏の協力を仰ぎ、完全自律型のモジュール式レストランを建設する会社Mezli(メズリ)を立ち上げた。ミニッヒ氏はサンフランシスコのスペイン料理レストラン「The Commissary」の創業時の料理チームの一員で、エグゼクティブシェフでもある。会社設立の計画の大部分は2020年練られ、2021年1月にY Combinatorでスタートした。

Mezliが開発したロボットレストランのプロトタイプは、現在、サンマテオにある同社のKitchenTown店舗で稼働しており、顧客にサービスを提供している。マシーンは、10×20フィート(3×6メートル)のスペースを取り、自立型だ。手始めに、地中海スタイルのグレインボウル(穀物や豆、野菜などを使ったサラダ)、副菜、飲み物を提供している。

ボウルの価格は4.99ドル(約570円)からだ。客はレストランで直接注文することも、オンラインで注文してスマートロッカーで受け取ることもでき、あるいは配達してもらうこともできる。テスト店舗ではすでに有望な成果があがっており、ロボットレストランの料理を食べた客の44%がリピーターになっている、とコルチンスキー氏は話す。

同社は現在、2022年の一般提供に向けて、試作品の第3バージョンの開発を進めている。この勢いは、Metaplanet、ロボット工学者のPieter Abbeel(ピーター・アビール)氏、レストラン経営者のZaid Ayoub(ザイド・アユーブ)氏、Y Combinatorなどの投資家からの300万ドル(約3億4000万円)のシードラウンド資金によって支えられている。この新たな資金調達でMezliは人材、部品、食料、運営費をまかなうことができる。

会社の規模が大きくなれば、Mezliは何千ものモジュール式レストランを3Dプリントでき、従来のレストランが営業開始するまでにかかる時間と費用の何分の1かで展開できるようになる、とコルチンスキーは付け加えた。

また「私たちは、店舗を数カ所に増やした後、大量生産する予定です。大量生産により、他のレストランよりも早く1000店舗に到達すると見込んでいます」とも同氏は話した。

Mezliの出資者の1人であるピーター・アビール氏は、カリフォルニア大学バークレー校の教授であり、GradescopeとCovariantの創業チームに参加している起業家でもある。同氏は、創業チームのクラスメートからMezliのことを聞き、ぜひ関わりたいと考えた。

同氏は、健康的な食品をより手頃な価格で提供するという会社のビジョンにひかれた。また、自身、科学者として、ビジネスとエンジニアリングを駆使して、食べ物が人々の手に渡るまでや、食べ物の提供方法でのボトルネックを減らすという「第一原理」のアプローチにも好感を持った。

「これは、私の心に響くものでした。物理的なことは何でも思った以上に難しいものです。なので、第一原理で解決する方法を思いつかなければ、難しいのです。加えて、初日から料理が提供されたのは説得力があります」と同氏は述べた。

画像クレジット:Mezli

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックの研究者がロボットに触覚を与える皮膚と指先を開発

Facebook AI Research(フェイスブックAIリサーチ)によると、次世代のロボットは「感じる」性能がより向上するという。ここでいう「感じる」とは、もちろん、感情という意味ではない。感触のことだ。AIとロボット研究においては比較的新しいこの分野を前進させるため、同社とそのパートナーは、安価で耐久性があり、信頼できる基本的な触覚を提供する新しい種類の電子皮膚と指先を、我々の機械の友人たちのために作り上げた。

なぜFacebookがロボットの皮膚を研究しているのかという疑問は、AI責任者のYann LeCun(ヤン・ルカン)氏が新しいプロジェクトを紹介するメディアコールで真っ先に取り上げたことで明らかだろう。

おもしろいことに、ルカン氏は「会社がロボット工学に取り組む理由はないようだ」とZuckerberg(ザッカーバーグ)氏が指摘したことから始まったと振り返った。ルカン氏はこれを挑戦と捉えて、ロボット工学に取り組み始めたらしい。しかし、やがて明確な答えが浮かび上がってきた。Facebookがインテリジェントなエージェントを提供するビジネスを展開するのであれば(自尊心のあるテクノロジー企業であれば、そうするのではないだろうか?)、そのエージェントは、カメラやマイクで捉えられる情報を超えた世界を認識する必要がある。

触覚は、それが猫の絵なのか犬の絵なのか、あるいは部屋の中で誰が話しているのかを判断するのにはあまり役に立たないが、ロボットやAIが現実世界と交流しようとするならば、それ以上のものが必要になる。

「私たちはピクセルや外見を認識することに関しては得意になってきました」と、FAIRの研究員であるRoberto Calandra(ロベルト・カランドラ)氏はいう。「しかし、世界を認識するには、それだけでは不十分です。そのためには物体を物理的に認識できるようになる必要があります」。

カメラやマイクは安価で、そのデータを効率的に処理するツールもたくさんあるが、触覚に関しては同じようなわけにはいかない。高度な圧力センサーは一般消費者向けには普及していないため、有用なものは研究室や業務用に留まっている。

2020年にオープンソースとして公開されたDIGIT(ディジット)は、パッドに向けられた小さなカメラを使って、タッチしているアイテムの詳細な画像を生成する。トップ画像はこの「指先」自体が写っているが、これは非常に敏感で、下の画像で見られるように、さまざまな物に触れて詳細なマップを作成することができる。

画像クレジット:Facebook

この「ReSkin(リスキン)」プロジェクトの起源は2009年にさかのぼる。TechCrunchでは、2014年に「GelSight(ゲルサイト)」と呼ばれるMITのプロジェクトについて紹介し、2020年にも再び記事にした。この会社はスピンアウトし、現在は我々が記事で紹介したこの触覚アプローチにおける製造パートナーとなっている。基本的にその仕組みは、柔らかいゲル表面に磁性粒子を浮遊させ、その下にある磁力計で粒子の変位を感知し、その動きを引き起こしている圧力の正確なフォースマップにこれを変換するというものだ。

GelSightタイプのシステムの利点は、磁力計が組み込まれたチップやロジックボードなどのハードな部分と、磁気粒子を埋め込んだ柔軟なパッドであるソフトな部分が、完全に分離されていることである。つまり、表面は汚れたり傷ついたりしても簡単に交換でき、繊細な部分はその下に安全に隠しておくことができるというわけだ。

ReSkinの場合は、任意の形状にチップを多数接続し、その上に磁性エラストマーの板を敷き、各々の信号を統合することで、全体から触覚情報を得ることができるというものだ。較正が必要なので、それほど単純というわけではないが、数平方インチというスケールを超えて動作を可能にする他の人工皮膚システムに比べれば、はるかに単純とも言える。

下の画像のように、小さな犬用の靴に組み込むこともできる。

足に圧力を感知するパッドを付けた犬と、そこら読み取った数値のアニメーション画像(画像クレジット:Facebook)

このような感圧面を備えていれば、ロボットなどの機器は、物体や障害物の存在をより簡単に感知することができる。その際、例えば、その方向に力を加える関節の摩擦の増加に頼る必要はない。これによって介護ロボットは、より優しく敏感に触覚を検知できるようになる可能性がある。介護ロボットが普及していない理由の1つは、触覚を検知できないため、人やモノを押しつぶすことが絶対にないと信頼できないからだ。

この分野におけるFacebookの仕事は、新しいアイデアではなく、効果的なアプローチをより使いやすく、手頃な価格で提供することである。ソフトウェアのフレームワークは公開されており、デバイスもかなり安価に購入できるものばかりなので、他の研究者もこの分野に参入しやすくなるだろう。

画像クレジット:Facebook

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

世界初、Boston Dynamicsロボット犬によるローリング・ストーンズの名曲MVカバー

Spotは、よく働き、よく遊ぶ。最新のビデオでBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は、ローリング・ストーンズのアルバム「Tattoo You(刺青の男 )」の40周年を記念して、4足歩行ロボットがジャガーさながらの動きを見せる様子を披露した。「Spot Me Up 」では、Spotロボットのカルテットが、1981年にリリースされた「Start Me Up(スタート・ミー・アップ)」のミュージックビデオを全力で真似ている。

もちろん、バイラルビデオはBoston Dynamicsの重要なマーケティングツールであり、ロボットがより洗練されたものになればなるほど、そのパフォーマンスはより印象的なものになっている。ストーンズもまた、テクノロジーマーケティングに昔から関わってきた。実際にストーンズは、90年代半ばにWindows 95のキャンペーンで「Start Me Up」の使用をライセンス契約している。

分割画面では、ロボットがビデオの再生に合わせてそれぞれ動き、ストーンズは最高のスパンデックス姿で登場している(RIP、チャーリー・ワッツは常にベストドレッサーだった)。「Start Me Up」は、ストーンズが6時間かけてレコーディングしたと言われているが、ローリング・スポットの振り付けにどれだけの時間がかかったかは不明だ。しかし、これまで見てきたように、ミックのように動くかどうかに関わらず、1分半のビデオには多くの準備が必要とされる

関連記事:あまり見ることがないBoston Dynamics人型ロボAtlasのずっこけNGシーン、失敗が成功を生む

このビデオは、自律型ロボットシステムがより厳しい目で見守られている中で公開された。

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

自律航行して海洋データを収集するロボットボート開発Saildroneが約114億円調達

海洋経済の重要性は増しており、それにともなって海洋そのものをマッピング、理解、追跡する必要性が高まっている。Saildrone(セールドローン)は、自律航行する科学実験船を使ってそうした活動を展開してきたが、ロボットボートの開発をさらに進めるために1億ドル(約114億円)という巨大なラウンドCを実施した。

Saildroneの船は何年も継続して使用されており、人間の乗組員には危険すぎたり、退屈すぎたりするようなあらゆる種類の興味深い航海を行っている。例えば、2021年10月初めには、ますます頻繁に発生するようになっている激しい嵐をより深く理解するためのNOAA(米海洋大気庁)のプロジェクトで、同社の船1隻がハリケーンの中を航行した。ロボットは50フィート(15メートル)の波と120MPH(時速193km)の風に耐えてデータを収集することができる。

Saildroneの船は、合計で50万マイル(約80万km)を旅した経験を持つ、最も経験豊富な自律型ボートだ。これにより、海洋情報の重要性が高まる中、魅力的な市場ポジションを得ることができた。ある場所の海の状態を知ることは、科学的に、そして嵐の際の船の操作など予想される目的のために役立つだけではない。体系的に収集された膨大な量のデータは、気候変動や持続可能な養殖への移行の際に、複雑な水生生態系の新たな基本的理解を構築するのに役立つ。

自律型の科学ボートといえばSaildroneが知られているが、他にも別の方向から新しいブルーエコノミーにアプローチしている企業がある。Sea Machinesの自律型タグボートや商業用ボート(このほど約1610kmの航行を実証した)があり、EcoDroneSea Provenはより小型でカスタマイズ可能な船で勝負しようとしている。また、Bedrockのもののように海底をマッピングする水中ドローンというまったく異なる世界もある。

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しかし、Saildroneは立ち止まっているわけではなく、むしろ深く掘り下げている。最新の船であるSurveyor(サーベイヤー)号は、1年間航海し、水深2マイル(約3.2km)以上の海底をマッピングすることができる。しかしこの船は安くはない。Saildroneが「海洋領域のインテリジェンス」分野でできるだけ多くのシェアを獲得したいのなら、迅速に規模を拡大する必要がある。そのために1億ドル調達したはずだ。

今回のCラウンドはBONDがリードし、XN、Standard Investments、Emerson Collective、Crowley Maritime Corporation、CapricornのTechnology Impact Fund、Lux Capital、Social Capital、Tribe Capitalが参加した。「データ・インサイト・チーム」が組まれ、その資金を「GTM戦略機能」に活用する。

プレスリリースの中で、SaildroneのCEO兼創業者であるRichard Jenkins(リチャード・ジェンキンス)氏は「最も試行錯誤された自律型海洋技術と、世界で最も経験豊富なベンチャーキャピタリストたちとの提携の組み合わせは、業界における当社のリーダーシップを強化し、顧客のニーズを満たすための急速な成長路線を可能にします」と述べた。今後、注目度が高まるにつれ、同社のミッションについてこれまでよりも耳にするようになるのは間違いない。

画像クレジット:Saildrone

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

【ロボティクス】パンデミックの影響、看護支援ロボットDiligent Robotics CEOとの興味深い話

筆者はここ数日、大きなプロジェクトに関わっていた(詳細については近日公開予定)ため、残念ながら最新ニュースにしばらく目を通しておらず、ロボティクスに関する今週の大きなニュースについてまったく把握していなかった。そこで、このコラムでその遅れを少し取り戻したいと思う。

そのニュースを取り上げる前に、少し別の話を紹介しよう。筆者は、パンデミックの期間中にユニークな経験をした興味深いロボティクス企業と対談する機会があった。

Diligent Robotics(ディリジェント・ロボティクス)がシリーズAを発表したとき、世界はそれまでとはまったく違ってしまったと言っていいだろう。2020年3月は今からそれほど遠い昔ではないが、現在に至るまでパンデミックによって世界中の医療機関は非常に大きな負担を強いられ続けており、その影響がこれほどまでに広範囲かつ長期間に及ぶとはほとんど誰も予想していなかった。病院スタッフの過労と人手不足の傾向は、新型コロナウイルス感染症の流行以前にも見られたが、流行後にはその傾向が顕著になり、同社の看護支援ロボットMoxi(モキシー)の需要が急激に増加した。

2020年実施された1000万ドル(約11億円)の資金投入がディリジェントの成長に貢献したことは間違いないが、同社は在宅勤務に移行する際に誰もが遭遇する課題に対処しながら、生産能力を高めるという難しいタスクに取り組んでいた。

2017年にVivian Chu(ヴィヴィアン・チュー)氏とともにディリジェントを設立した、Interactive Computing at Georgia Tech(ジョージア工科大学インタラクティブ・コンピューティング学部)のAndrea Thomaz(アンドレア・トマス)准教授は筆者たちと今週会い、2020年経験したユニークな課題と機会について話してくれた。

ロボティクス業界とディリジェントが、パンデミックによって受けた影響の度合いは?

さまざまな業界で労働市場が実に劇的に変化した。これはロボティクス業界とディリジェントの両方に言えることだが、この劇的な変化は、多くの従業員が退職しようとしていること、すなわち何か別のことを始めようとしていることと関係しているように思える。そして実際、多くの人が職を変えている。この傾向はあらゆる技術的な職業に見られ、我々の業界や医療業界で多くの事例が上がっている。とにかく、多くの人が何か別のことを始めようと考えている。パンデミックが始まる前も労働力に関する課題はあったが、今やそれが危機的なレベルになりつつある。

技術的な仕事に就きたいと思う人は常に少ないが、技術的な仕事の需要は常に高い。これはある意味、危機的な状況と言えるだろう。

この傾向はパンデミック前から始まっていた。パンデミックでそれが顕著になったに過ぎない。この傾向は、医療保険改革法(オバマケア)に端を発している。より多くの人が医療を受けられるようになったということは、病院に行って医療を受けられる人が増えたことを意味する。これが高齢化と相まって、必要な医療を提供するスタッフのさらなる不足を引き起こしている。

パンデミック発生の時点でロボットを採用していた病院の件数と、需要がその後どのように急増したかという観点から、需要を把握することはできるか?

我々はまだその情報を公開していない。来年の前半までには、その規模についてより具体的な数値を発表できるだろう。ただし、四半期ごとにロボットの出荷台数を2倍に増やしていることは確かだ。

そのようなロボットの運用に至るプロセスはどのようなものか?

これは、病院市場に関して非常に興味深いテーマであると考えている。このプロセスは、倉庫や製造における従来の自動化とは異なる。ロボットを運用する環境では、看護師や臨床医が働いている。ロボットは、そのような環境で人と一緒に作業をしなければならない。我々は、まず初めにワークフローを評価する。つまり、その環境で現在どのように業務が行われているかを評価するのだ。

画像クレジット:Diligent Robotics

パンデミックは企業の成長にどのような影響を与えたか?

パンデミック前は、製品の市場適合性が満たされていた。我々の研究開発チームの作業は、製品に変更をわずかに加えるだけの非常に小規模なものだった。製品を顧客に見せて価値を示すだけでよかった。しかし現在は契約の締結と納入が重要で、最短期間で導入し、耐久性を最大限高めることを考えることが必要だ。特にハードウェアの面では、製造プロセスと信頼性に関してどのように設計すべきかが大切だ。現在、当社のロボットが現場で1年以上稼働しており、以前と比べて信頼性が高まっている。今や、ロボティクスのロングテール現象が起こりつつあり、今後が楽しみだ。

パンデミックによって、ロボティクスの分野で驚くべき機能や需要が生まれたか?

当社の顧客のどの現場でも「そのロボットはコーヒーを持ってこられるようになるか」と看護師は口を揃えていう。モキシーがロビーのStarbucks(スターバックス)に行き、みんなのためにコーヒーを買ってくることを看護師たちは期待している。自分たちはスターバックスに行って並ぶ時間がないから、時間の節約になるというわけだ。実現できないわけではないが、積極的に試してみようとは考えていない。

つまり、モキシーにエスプレッソマシンを搭載する計画はないということか?

その計画が来年のうちに実現することはないだろう。

近い将来、資金をさらに調達する予定はあるか?

現在、増資の計画中だ。今のところ順調だが、顧客からの需要が非常に高まっているため、チームを増強してロボットの出荷台数を増やすのは、やぶさかではない。

現時点では米国市場に注力するつもりか?

当面はその予定だ。当社では、世界的に展開する戦略について検討を始めている。2022年中に当社の製品が世界中に行き渡るとは考えていないが、すでに多くの引き合いが来ている。現在、販売パートナーを選定中だ。世界各地のクライアントから、1カ月に何件も問い合わせが来ている。今のところ、それらのクライアントと積極的に進めているプロジェクトはない。

画像クレジット:Tortoise / Albertsons

資金調達とコーヒーの配達については、別の機会に取り上げよう。今週は、配送関連で注目の話題がいくつかあるので紹介しよう。まず、過去に何度も取り上げたTortoise(トータス)だが、同社のリモート制御による配達ロボットのチームに追い風が吹いてきた。米国アイダホ州を拠点とするKing Retail Solutions(キングリテールソリューションズ)との取引によって、ラストワンマイル配送用に500台を超えるトータスのロボットが米国内の歩道に導入される。

CEOのDmitry Shevelenko(ドミトリー・シェベレンコ)氏は「未来の姿がニューノーマルになるというこの新しい現実に、誰もが気づき始めている。ラストワンマイル配送で時給20ドル(約2300円)稼ぐスタッフを動員しても、想定されるどんな状況でも消費者の期待に応え続けるということはできない。単純計算は通用しないのだ」と語る。

先に、Google(グーグル)のWing(ウィング)は、同社による提携を発表した。ウィングは、オーストラリアの小売店舗不動産グループであるVicinity Centres(ビシニティ・センターズ)と提携し、ドローンを使用した配達プログラムの範囲をさらに拡大する。ウィングは、10万件の配達を達成したという先日の発表に続き、オーストラリアのローガン市にあるグランドプラザショッピングセンターの屋上からの配達件数が、過去1カ月間に2500件に達したと発表した。

ローガン市の住民は、タピオカティー、ジュース、寿司を受け取ることができる。今や美容と健康に関する製品まで配達できるようになった。ウィングは「一般的な企業の建物には屋上があるため、当社の新しい屋上配達モデルによって、ほんの少しの出費とインフラ整備だけで、さらに多くの企業がドローン配達サービスを提供できるようになる」と語る。

画像クレジット:Jamba / Blendid

ジュースといえば(といっても、まとめ記事で筆者がよく使う前振りではない)、米国サンフランシスコのベイエリアを拠点とするスムージーロボットメーカーのBlendid(ブレンディド)は先に、Jamba(ジャンバ)のモールキオスク2号店に同社の製品を導入すると発表した。このキオスクは、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡のダウニー市のモールに今週オープンした。ちなみにダウニー市は、現在営業しているMcDonald’s(マクドナルド)の最も古い店舗がある都市でもある(Wikipediaより)。

これは時代の波だろうか。それとも何かのトリックだろうか。答えはどちらも「イエス」だ。

ジャンバの社長であるGeoff Henry(ジェフ・ヘンリー)氏はプレスリリースで「Jamba by Blendid(ジャンバ・バイ・ブレンディド)のキオスク1号店オープン後に、Stonewood Center(ストーンウッド・センター)に試験的にキオスク2号店をオープンして、モールの買い物客に新鮮なブレンドスムージーを販売できることをうれしく思います。ジャンバ・バイ・ブレンディドでは最新の非接触式食品提供技術を採用しているため、当社の現地フランチャイズ店は、ジャンバ好きのファンにスムージーを簡単に提供できます」と述べている。

画像クレジット:Abundant Robotics

ここで、フルーツに関するビジネスの果樹園サイドに注目しよう。Robot Report(ロボットレポート)に今週掲載された記事には、Wavemaker Labs(ウェーブメーカーラボ)が今夏に廃業したAbundant Robotics(アバンダント・ロボティクス)のIPを取得したことが紹介されている。残念ながら、アバンダントのリンゴ収穫ロボットが復活するわけではなさそうだ。どうやら、ウェーブメーカーのポートフォリオスタートアップ企業であるFuture Acres(フューチャー・エーカーズ)のロボティクスシステムに、このIPが組み込まれるようだ。

最後に、アームに搭載されたRFアンテナとカメラを使用して紛失物を探す、MITが研究しているロボットを簡単に紹介しよう。以下はMITの発表からの引用文だ。

このロボットアームは、機械学習を使用して対象物の正確な位置を自動で特定し、対象物の上にある物を移動させ、対象物をつかみ、目標とする物体を拾い上げたかどうかを確認する。RFusionにはカメラ、アンテナ、ロボットアーム、AIが包括的に統合されており、どんな環境でも的確に機能する。特別な設定は不要だ。

画像クレジット:Diligent Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

【ロボティクス】軍用犬、ぶどう畑そしてお金

ロボットの背中に銃を固定することについて話をする。私は好きではない(立場を明確にしておきたいので)。2021年2月にMSCHFがSpotでそれをやったとき、あれは自律型ロボットとともに社会がどこへ向かっていくのかに関する思考実験であり展示会であり声明だった。そして何より重要だったのは、載っていたのがペイントボール銃だったことだ。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は不快感を示して次のように語った。

本日当社は、あるアートグループが当社の産業用ロボットSpotの挑発的な使い方に注目を集めるイベントを計画しているという情報を入手しました。誤解のないように申し上げますが、当社は、暴力や危害、脅迫を助長するような方法で当社の技術を表現することを非難します。

これは同社が何よりも大切にしている事柄であることが明らかだ。数十年にわたる殺人ロボットSFの歴史を経て、高度なロボットがそこに関わると人々が考えることは想像に難くない。これはオートマトン版のルール34(アシモフのロボット工学第1原則に対する明確な反逆)だ。もしロボットが存在するなら、誰かが兵器化する。

関連記事:MSCHFがSpotにリモコン式ペイントボール銃搭載、ボストン・ダイナミクスは嫌な顔

これまで私がこのコラムで言ってきたように、私はここでこうした会話をしていることを喜んでいるし、NYPD(ニューヨーク市警察)がSpotのブランド付きバージョンの話を持ち出したことに人々が懐疑的だったことをうれしく思う。一方で私は、たとえば警察が爆発物探知などの危険な作業にロボットを長年使ってきたことを指摘するのも重要だと考えている。大部分の人々は、人間を爆発から救うことはロボットの有効な利用方法であるという意見に賛成だろう。

Boston Dynamicsがロボットを危害のために使用することに対して反対の声を上げ続けていることをうれしく思う(頭脳を持たない四足ロボットに関して何をもって脅威とするかは、別の議論である)。Spotのメーカーである同社は、ロボティクス産業の多くの会社とともに、DARPA(国防高等研究計画局)出資プロジェクトで経験を積んでいる。荷運びラバのロボットを作ることと、移動兵器を作ることの間にはかなり大きな溝があると私は言いたいが、それはまさしく、会社のミッション・ステートメントに盛り込むべきことがらだ。

今週ワシントンD.C.で行われたAssociation of the U.S. Army(米陸軍協会)大会で展示されたGhost Robotics(ゴースト・ロボティクス)の犬型ロボットに関して言わせてもらえば、脅迫と言えるのは最良のシナリオの場合だ。ライフル銃メーカーのSWORD Defense Systemsに自ら語ってもらおう。

SWORD Defense Systems Special Purpose Unmanned Rifle(特殊目的無人ライフル)は、Ghost Roboticsの四足ロボット、Vision-60などの無人プラットフォームから精密射撃を行うように設計されています。兵器システムの安全で信頼性の高い配備を可能にする安全、装填、排出、および発射能力を備えており、操作者が遠隔から兵器を装填し安全に使用することが可能です。

もしこれがあなたの背筋を凍らせないのなら、他に何を言えばよいのか私にはわからない。軍隊が数十年空爆作戦に使っている攻撃ドローンと倫理的にかけ離れたものだろうか?違うかもしれない。しかし、私はドローン攻撃のファンでもない。

 

Ghost Roboticsが軍とのつながりを曖昧にしていることはもちろん責められない。会社のウェブサイトを訪れた人が最初に見るのはGhost Visionシステムと一緒に歩き回っている兵隊だ。しかし、DoDの予算と防衛費は、歴史的にロボット企業を存続させている主要部分であり、それはVCがこの分野に資金を注入するずっと前からだ。Ghostのサイトには、防衛、国土、および企業に分類した記述がある。Verizon(ベライゾン)との最近大きく取り上げられた5G契約は最後の分類に入る。

2020年12月の報道で、ロボット犬の戦場パトロールへの使用が取り上げられた。この場合Spotの機能とあまり変わらない。しかし、ロボットに銃を装備させることは大きく意味を変える。そこにはたくさんの疑問がある。私はGhost Roboticvsにいくつか基本的質問を投げかけた。しかし、この状況について質問するのはもちろんこれが最後ではない。

画像クレジット:Dexterity

無人ライフル以外のニュース。Dexterity(デクステリティー)は新たな大型資金調達で波を起こし続けている。ステルス状態から5620万ドル(約64億円)を獲得して表舞台に登場してからわずか1年あまり、ベイエリア拠点のスタートアップは、パンデミック下で自動フルフィルメントへの関心が急速に高まる中、鉄は熱いうちに打てを体現している。設立から4年、新たに1億4000万ドル(約160億円)を評価額14億ドル(約1595億円)で調達した。

この会社は自社システムを実世界で2年にわたって稼働させており、運ぶ商品は「ゆるく詰められた変形しやすいポリバッグから繊細なホットドッグ用パン、柔らかなトーティラチップス、下手にに詰められた段ボール箱、袋入のミミズ、消費者向け食品のトレイや木箱、さらにはとろけるバーデーケーキ」まで実に多岐にわたる。Dexterityは獲得した資金を、最初のロボット1000台の配置を続けるために使用する計画だ。

画像クレジット:Yanmar

最後に紹介するのはYanmar(ヤンマー) YV01、ぶどう畑に特化して設計された自律型噴霧ロボットだ。

「YV01は最先端自律テクノロジーを提供し、柔軟、軽量で、高い精度でぶどうに噴霧するため環境に負荷をあたえません」とYanmar EuropeのプレジデントであるPeter Aarsen(ピーター・アーセン)氏がリリース文で言った。「身近な管理者によって安全、簡単に操作が可能で、通路が狭く
つるがあまり高く伸びていないぶどう畑に最適です」。

現在、シャンパン産出地であるフランスのエペルネ(他にどこで?)でテスト中で、システムは2022年に販売される予定だ。

画像クレジット:SWORD

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

RoboTireのタイヤ交換ロボットに米大手タイヤ小売企業が出資

RoboTire(ロボタイヤ)という会社が初めて我々の目に留まったのは、新型コロナウイルスによって世界の大半が完全に停止してしまう直前の2020年2月のことだった。当時、このデトロイトに本拠を置くスタートアップ企業は、まだごく初期の段階に過ぎなかった。

関連記事:三菱電機が提携するRoboTireのロボットは10分で4本ものタイヤを交換する

だが、それから1年半、より多くの産業が自動化の利点を取り入れようとする間に、かつてSpark Robotics(スパーク・ロボティクス)でCEOを務めていたVictor Darolfi(ビクトール・ダロルフィ)氏が設立したこの会社は、着実に良好な、そして戦略的な関心を集めてきた。同社は米国時間10月7日、750万ドル(約8億4000万円)のシリーズA資金調達を実施したことを発表した。このラウンドを主導したThe Reinalt-Thomas Corporation(ライナルト・トーマス・コーポレーション)は、Discount Tire(ディカスウント・タイヤ)やAmerica’s Tire(アメリカズ・タイヤ)を運営する大手タイヤ小売会社だが、おもしろいことに、我々が2020年ダロルフィ氏から話を聞いた際に、後者は同氏から皮肉な賛辞を受けている。

画像クレジット:RoboTire

「America’s Tireで3時間も待たされていた時に、工場でロボットを使ってタイヤ交換をすればいいんじゃないかと思いついたのです」と、ダロルフィ氏は語っていた。「サービス業にもロボットを導入してはどうだろうか」。Reinalt-Thomas社は、それを聞いていたに違いない。今回の資金調達には、他にもAutomotive Ventures(オートモーティブ・ベンチャーズ)、Detroit Venture Partners(デトロイト・ベンチャーズ・パートナーズ)、640 Oxford Ventures(640オックスフォード・ベンチャーズ)が参加した。RoboTireは、この資金をデトロイトでの事業拡大に役立てると述べている。

RoboTireが開発した基幹技術は、1セットのタイヤを15分以内に交換することができるという。Discount Tireは、この自動化技術を採用する最初の企業となる予定だ。

「Discount Tireは、より良い顧客体験をもたらす新しく革新的な技術の開発において、RoboTireを支援できることを大変うれしく思います」と、Discount Tireのチーフ・エクスペリエンス・オフィサーを務めるTom Williams(トム・ウィリアムズ)氏は、リリースで述べている。「『オンラインで購入・予約』という体験に対するお客様の期待と、待ち時間の短縮を実現する当社の能力がますます高まるにつれ、当社はすべてのお客様にとって魅力的で簡単かつ安全な体験を保証するため、自動化と改良を引き続き追求していきます」。

画像クレジット:RoboTire

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

千葉大学が制御装置のいらないロボットアーム向け無線電力伝送システムを開発

千葉大学が制御装置のいらないロボットアーム向け無線電力伝送システムを開発

千葉大学は10月5日、ロボットアーム向けの無線電力伝送システムの開発に成功したことを発表した。負荷に関わりなく一定電圧を伝送できるため、特別な制御装置を必要とせず、システムを単純化できる可能性がある。

千葉大学大学院工学研究院の関屋大雄教授国際電気通信基礎技術研究所波動工学研究所、埼玉大学の大平昌敬准教授からなる研究チームは、ロボット用の2ホップ(中継器を2つ介する)、2出力の無線電力伝送システムを開発した。無線電力伝送は、コイルを介して無線で電力を供給し、電池を充電したり、モーターやセンサーを動かしたりするもの。基本原理は、スマートフォンのワイヤレス充電と同じだ。

ロボットの関節部分にこれを使用することで、電力線がねじれたり摩耗して断線するといった心配がなくなる。特に近年は、1つの送電装置から複数の機器に電力を供給できる多出力システムや、中継器(ホップ)を介して遠くまで電力を伝送できる多ホップシステムの研究が進んでいるが、そうしたシステムの運用には、負荷に応じて出力を調整するなどの制御が必要となり、その制御用の情報も無線でやりとりすることになるため、伝送遅延などの性能低下やシステムの複雑化が問題になっている。

そこで研究チームは、制御装置を使うことなく、モーターやセンサーの負荷の変動に対して常に一定の電力を供給する「負荷非依存動作」の設計論を構築した。この設計論は、低周波数から高周波帯域に適用できるため、高い汎用性を有するという。実際に、2ホップ2出力で、6.78MHz(免許なしで利用できる高周波帯域ながら電力伝送の設計が難しいとされるISM帯に属する)の無線電力伝送システムを設計し実験を行ったところ、負荷が変わっても一定の出力を保ち、高効率を維持できることが確認された。

この研究により、負荷変動に対して制御システムが不要になる可能性が示された。設計の簡素化とコストダウンが見込まれ、無線電力伝送システムの社会実装の加速が期待される。「あらゆる制御を不要とする制御レス無線電力伝送システム実現に向けた第一歩」だと研究チームは考えているという。

この研究は、総務省の委託研究「ミリ波帯におけるロボット等のワイヤフリー化に向けた無線制御技術の研究開発」により実施された。

電気通信大学が自己センシングが可能なマッキベン型人工筋肉を開発

電気通信大学が自己センシングが可能なマッキベン型人工筋肉を開発

電気通信大学は10月5日、自己センシングが可能なマッキベン型人工筋肉の開発を発表した。マッキベン型人工筋肉とは、空気の出し入れによって長さ方向に収縮するアクチュエーターのこと。その変化量の測定は、これまで外部のセンサーに頼っていたが、柔軟なセンサーを埋め込むことで、人工筋肉自身が変化量を検知できる自己センシングの可能性が開けた。

マッキベン型人工筋肉は、ゴムチューブを空気で膨らませる(入力する)と長さ方向が縮むことを利用した人工筋肉。柔らかく軽量で安全性が高く、ロボット用のアクチュエーターや人工装具などにも使われている。しかし、その構造上の理由から、同じ入力でも、過去の入力の影響を受けて変化量が不安定になる「ヒステリシス」という現象が発生する。そのため、正確に変化量を把握するには、レーザー変位計などの外部のセンサーを備える必要があり、装置が複雑化する難点があった。

そこで、電気通信大学機械知能システム学専攻の新竹純助教を中心とする研究チームは、柔らかい膜を柔軟な電極で挟んだ構造のエラストマーセンサーをマッキベン型人工筋肉に統合することを考えた。人工筋肉のチューブにエラストマーセンサーを貼り付けると、人工筋肉の収縮に伴い静電容量が変化する。それを測定することで、長さ方向の変形を検出できるというものだ。

実験では、コンプレッサーから空気が送り込まれ、人工筋肉のチューブが膨らんで長さ方向に収縮すると、その変化がセンサーの応答に表れることがわかった。さらに、各センサーとの計測値の誤差は小さく、解析モデルとセンサーの出力は一致するなど、精度に問題はなかった。1000回以上の繰り返し動作での安定性も確認でき、この方式の有効性が示された。電気通信大学が自己センシングが可能なマッキベン型人工筋肉を開発

この方式を使えば、マッキベン型人工筋肉の導入がより容易になり、「さまざまな機械システムの実用化を促進する」ことが期待されるという。今後は、ロボットデバイスの研究開発を行う予定だと研究チームは話している。

論文「Self-Sensing McKibben Artificial Muscles Embedded With Dielectric Elastomer Sensor」はIEEE Xploreに掲載されている。

アマゾンはなぜ家庭用ロボット「Astro」を作ったのか

iRobotのCEOはかつて筆者にいたずらっぽくこう言った。「掃除機のセールスマンになって初めて私はロボット技術者として成功した」と。いいセリフだし、ロボット業界の根本的な真実をさらけだしてもいる。ロボットは難しく、家庭用ロボットはさまざまな意味でさらに難しいのだ。

ルンバなどのロボット掃除機が収めた大成功を超える術を誰も解き明かしていないのは、挑戦していないからではない。これまで、主にAnkiJiboなどスタートアップに分類される企業が取り組んできたし、珍しい例外としてはBoschが作ったKuriもある。ところが米国時間9月28日、Amazon(アマゾン)がこの問題に莫大なリソースを投入していることを明らかにした。

画像クレジット:Amazon

単にリソースを投入しているというだけではない。Amazonは同社初のロボット「Astro」を発表した。この製品はAmazonのDay One Editionプログラムの1つとして市場に第一歩を踏み出す。以前に同社はKickstarterやIndiegogoのように顧客が予約注文に投票できるこのプログラムを活用していた。新しいロボットには、アニメ「宇宙家族ジェットソン」の犬、The White Stripesのデビューアルバムに収録されている曲、ヒューストンのプロ野球チームと同じ名前が付けられ、2021年中に限定発売される。Day One Editionプログラムで発売された製品には小型プリンタやスマート鳩時計などがあったが、Astroはこのプログラムの中では飛び抜けて野心的なデバイスだ。999ドル(約11万円)と、このプログラムの中では最も高価でもある。

関連記事:アマゾンが予約注文で新しいAlexaデバイスの人気投票を実施、ラインナップにはスマート鳩時計も

ただしこの価格は早期購入者に限られる。Amazonの報道資料には以下のように書かれている。

Astroの価格は1,449.99ドル(約16万円)ですが、Day 1 Editionsプログラムの一環として999.99ドル(約11万円)の早期購入価格で提供します。Ring Protect Proの6カ月間無料試用が付属します。

画像クレジット:Brian Heater

発売時点のこのロボットには、主に3つの機能がある。

  1. ホームセキュリティ
  2. 大切な人の見守り
  3. 家でのAlexa体験のモバイルバージョン

Amazonはおよそ4年前からロボットに取り組み始め、社内のさまざまな部門を活用して完全に実現可能なホームロボットを開発した。

AmazonのバイスプレジデントであるCharlie Tritschler(チャーリー・トリッシュラー)氏はTechCrunchに対し「AI、コンピュータビジョン、処理能力について話し合い、そこで挙がったトピックの1つがロボットでした。消費者が利用できるようにするためにロボットはどう変化しているのでしょうか。我々にはもちろんフルフィルメントセンターでロボットを利用してきた経験は大いにありますが、家にいる消費者に利便性や安心を提供するために何ができるかを考えたのです。そこから考え始め、最終的には『ねえ、これから5年後か10年後に家にロボットがいないと思う人がいる?』ということになりました」と語った。

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2012年にKiva Systemsを買収したことから始まったAmazon Roboticsが、コンシューマチームのアイデアに共鳴した。しかしAmazonのそれまでのロボット技術は業務用で、最短の時間で荷物を配送することに主眼が置かれている。最終的に同社はAstroのコンポーネントをゼロから作らざるを得なかった。その中には最も注目すべきものとして、家の中のマップを作り移動するために使われるSLAM(Simultaneous Localization And Mapping、自己位置推定と環境地図作成の同時実行)システムがある。

SLAMシステムは複雑な仕事を引き受けているだけでなく(これはiRobotが10年間かけて改良してきたことだ)、現在Amazonが有しているロボットテクノロジーをも考えると、筆者はこれには特に驚いた。Amazonは2019年に完全自律型倉庫用カートのスタートアップであるCanvasを買収した。しかしAmazonはこの新しいSLAMシステムはゼロから開発したもので、ロボット関連スタートアップの買収を検討したものの最終的にはAstroを作るための買収はしなかったと主張している。ただし、Ringのセキュリティ監視や、Alexaとホーム関連テクノロジーといった社内の技術は、Amazonのスマートアシスタントとなるこのロボットに組み込まれている。

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筆者は発表の前週にAstroに触れる機会があり、このロボットはちょっと二重人格っぽいと感じた。このロボットのメインの人格は、R2-D2やBB-8、Wall-Eのようなものと表現するのが最も適切だ。顔は、実際には画面、あるいはタブレットと言えるもので、太い小文字のo(オー)が2つ並んでいるような極限までシンプルな目が表示されている。この目が時折まばたいたり動いたりするが、Ankiがピクサーやドリームワークスのアニメーターだった人材を雇って作ったCozmoほど表情豊かではない。

ときどき電子音が鳴って、前述したスター・ウォーズのR2-D2やBB-8をさらに思い起こさせる。ロボットに「Astro」と呼びかけることができるが、もっと直接的に会話をしたいときはどこかの段階で音声アシスタントでおなじみの「Alexa」と話しかける必要がある。

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Astroの10インチタッチスクリーンの顔はちょっとした人格を表現することに加え、標準的なEcho Showのディスプレイとしても機能するので、動画を見たりビデオ通話をしたりスマートホームのコントロールをしたりすることができる。画面は自動で動くが、見やすいように手で60度傾けられる。この画面はAmazonの新しい顔認証であるVisual IDにも対応し、Astroは相手に合わせたやりとりをする。

スピーカーも2つ搭載されている。ロボット自体は驚くほど静かだ(ロボット掃除機ではないですからね)。Amazonが筆者に語ったところによると、実は家の中を動いていることがわかるように電気自動車のような音を付ける必要があったという。ただし車輪の向きを変えて方向転換をするときにはサーボ音が鳴る。

後方のスペースには4.4ポンド(約2キロ)まで物を積むことができる(オプションのカップホルダーがある)。内部にはUSB-Cポートがあり、携帯の充電に使える。Astro自体はルンバのようなドックを使用し、バッテリーが空の状態から1時間未満でフル充電される。

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当然のことながら、多数のセンサーが搭載されている。例えば土台部分には近接センサーがある。カメラは2つ組み込まれている。顔である画面のベゼルには5メガピクセルのRGBカメラがあり、もう1つは驚くこと間違いなしだが頭の上から飛び出してくる。飛び出してくる方の12メガピクセルのRGBと赤外線のカメラは、ライブストリーミングのためのものだ。このカメラの土台は伸縮式で4フィート(約120センチ)の高さまで伸び、ロボットが周囲をよく見るための潜望鏡のような役割を果たす。

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筆者はロボットや制作チームと1時間ほど一緒に過ごした結果、このチームが作ったものにかなり心をひかれた。もちろんどれほどの人がこれを所有することに関心を持つかはまったく別の問題だ。AmazonはAstroを「数千の」家庭でテストし、曲がり角で止まってしまうなどの不具合を解決したという。Day Oneプログラムはパブリックベータというよりは製品に対する顧客の関心を測定する手段だ。

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トリッシュラー氏は次のように述べている。「私は、これは我々が取り組んでいるロボットシリーズの第1号だと思っています。これは招待制のみのプログラムです。家庭などいろいろな場所での難しさはあると思いますが、Astroを手に入れた人々がすばらしい体験をしてくれるよう願っています。長期的に消費者向けロボットを考えると、もちろんさまざまな価格帯や機能があり、その1つとしてわかりやすく主力となる製品が欲しいところです。しかしAstroは、我々が価値を作り出そうと開発当初から取り組んできたことを再確認し、我々のしてきたことが消費者にとって意味があると確かめる出発点としては良いものだと思います。2021年中にこの製品の出荷を開始し、フィードバックが寄せられることに期待しています」。

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)