マイノリティ・リポートの世界が来る―パナソニックとPhotonがスマート・デジタルサイネージの実験開始

大企業向けモバイルUI、UXデザインとブランディングの有力企業、Photon Interactiveは日本のパナソニックと提携して、「高度にパーソナル化されたデジタル・サイネージ」を店頭に提供していくという。

プロダクトはPhotonのソフトウェアとパナソニックのディスプレイを組合せたものになる。このスマート・ディスプレイはその前に立つ顧客に関する情報を取得でき、それに基づいてターゲット広告を表示したり、チェックインを行ったり、ショッピングの支払いを処理したりできる。

Photonによれば、実店鋪の店内で、顧客に個人別の割引きセールを表示したり、探している商品がどこにあるか案内したり、ディスプレイに表示あれたバーコードを顧客のモバイル・アプリでスキャンすることによって商品の購入処理をしたりできるようになるという。ファーストフード店やレストランの場合であれば、顧客はこのディスプレイに表示されたメニューのアイテムをカウンターから、または自分のスマートフォンから注文できる。またアイテムに対する感想、意見をフィードバックできる。

このテクノロジーはホテルのチェックインや病院での受付、予約確認、担当医師への案内、処方箋発行などの処理にも応用できるという。

Photonの共同ファウンダー、CTOのMukund Balasubramanianは「Photonは顧客の典型的な行動をテンプレート化することによって企業を助けている」のだという。Photonはさまざまな顧客にデジタル的に接触できる「タッチポイント」をすでに1日あたり6000万箇所持っているという。

つまり簡単にいえば、店頭のデジタルサイネージに個人宛のメッセージが表示されるという、映画マイノリティ・リポートの世界が実現するわけだ。Balasubramanianは「これを実現しようとしているライバルは多い。AppleやGoogleもこのようなビジョンを持っている。しかし実現のカギとなるのはソフトウェアとハードウェアの適切な連携だ。その点でPhotonとパナソニックは理想の結婚だ」と述べた。

パナソニックのグローバル・ソリューションとエンジニアリング担当副社長、Richard Hsuも私の取材に対して「最高のハードウェアと最高のソフトウェアの組み合わせだ」と述べた。

このプロダクトが実際にリリースされる時期について、Balasubramanianは私に「テクノロジーの観点からはすべて準備ができている。いつでもビジネスを開始できる」と語った。

Photonとパナソニックは、少数の初期パートナー(名前を明かすことは避けた)と実際の店頭でテストを行っているところだという。それではPhotongが目指しているとするような広汎な普及までにはしばらく時間がかかりそうだが、ともかくスタートしていることは間違いないようだ。

画像:20th Century Fox/Dreamworks

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


クッキーは死んだ: ユーザベースのアトリビューションにしか未来はない

[筆者: Christian Henschel ]

編集者注記: Christian HenschelはadjustのCTOでファウンダ。同社はモバイルアプリのアトリビューションとアクセス分析を提供している。

インターネットを利用するマーケティングでは、クッキーが顧客や見込み客を追尾するための主な方法だ。しかしモバイルの利用が増えている昨今では、モバイルのブラウザがサードパーティのクッキーをサポートしていないため、クッキーは廃(すた)れつつある。というか、クッキーはすべてのモバイル機器が普遍的にサポートしていない。だからそれを複数のデバイスにまたがって利用することもできない。

昨年、クッキーによるユーザ追尾をやめる計画を発表したMicrosoftGoogleFacebookはクッキーに代わるものを開発したが、そのためますますクッキーの将来性は危うくなった。FacebookやTwitterなどの大手がすでに使っているハイブリッドモデルは、基本的にユーザベースの技術だ。やがてこれらの企業は、このアトリビューションによる広告の形式を決めることになるだろう。モバイルはあまりにも急速に支配的な勢力になってきたので、企業やマーケターはこのポストクッキーのオンラインマーケティング方式にまだ十分に習熟していない。

今市場は現実に、クッキーを使えない世界におけるユーザ追跡方法として、広告のためのユニークなデバイス識別子(Device Identifier for Advertising(IDFA))やそのほかのデバイス識別方法を使う方法へ移行しつつある。また、モバイルとそのほかのプラットホームで共通的に使える方法として、ユーザベースのアトリビューションモデルへのシフトが必要になっている。俗に言われる“人間ベースのマーケティング(people-based marketing)”(すなわちユーザベースのアトリビューション)とは、各ユーザを各人の出自や、アプリ内でやってることにアトリビュート(attribute, 帰属・帰因・結びつける)させることだ。そのための複合的な技術集合によって、アトリビューションの精度が大きく向上する。

今、アクセス分析をSaaSで提供するサービスが伸びているのも、新しいアトリビューションの普及の表れの一つだ。それらCustomer.ioWoopraなどのSaaS企業は、クッキーの有無でビジターの再訪/新規を判断するGoogle Analytics的なユーザ追跡方法に別れを告げている。これらの企業は主に、JavaScriptとユーザベースのアイデンティティ(ユーザの本人性を表す・帯びている何らかの識別子…デバイスの特徴、電話番号など)を使って、複数のプラットホームやコンテキストにまたがるユーザ追跡を行っている。〔参考記事。〕

アプリとそのユーザを追跡するために必要な技術は、プラットホームやストアによってまちまちなので、その技術集合にはいろんな追跡方法をブレンドし、またデバイスの識別方法も含めなければならない。とりわけ、リターゲティング広告がモバイルにもやってきてから以降は(AdRollも最近このゲームに加わったが)、ますますクロスプラットホームな方式が重要になり、クッキーは完全に廃れる。

その方法とは

デバイス識別子は、広告がクリックされたデバイスを識別する。オペレーティングシステムのバージョン、画面サイズ、言語、時刻など、さまざまな非個人データを集めて、識別子を構成する。ユーザが多機能なSDKでアプリをインストールし開いたとき、そのSDKに追跡機能があれば、やはり同じ処理が行われる。

IDベースのアトリビューションのためのアトリビューションの窓は7日間通して開いている。つまり最大7日間、インストールされたアプリ上のクリックとソースのマッチングが行われる。その7日が終われば、そのインストールはオーガニックなトラフィックとみなされる(人工的にクリックを稼ぐボット等でない)。クリックのソースのデバイス識別子が5時間後にも同じなら、95%の確信度でまともなソースとみなされる。そのあとは、データポイントが変わって、何らかのアトリビューションがもはや得られないかもしれない。

得られるアトリビューションが正確であるためには、複数の技術をブレンドすることが重要だ。中でもとくに、アトリビューションの再取得や、より高度な追跡方法を使用するときほど、技術の複合化が重要になる。たとえばGoogle Playのリファラーはほとんどの場合インストールしたアプリのリファラーと同じだが、そこでわざわざデバイス識別子を調べることは、必ずしも無駄ではない。それによって精度が向上することは、確かだ。デバイス識別がなければ、アジア地区に多いサードパーティのストアを追跡できない。そういうストアではクリック時のデバイスIDがないから、リファラーの情報もない。

業界全体が、クッキーはあと数年で廃れるからなんとかしよう、という意思で統一されたのは、わずか1年前のことだ。モバイルデバイスとクロスプラットホームなマーケティングの氾濫によって、デバイス識別(“デバイスの指紋採取”)の方法が発達し、クッキー離れが急速に進んでいる。今度教会へ行ったら、クッキーの冥福を祈り、ユーザベースのアトリビューションの長寿を神様にお願いしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Elloが$5.5Mを調達、公益法人として登記し、広告なし+データを売らないを義務化

先月になって突然急に大ブレイクした、広告のないソーシャルネットワークEllo.coが550万ドルのベンチャー資金を調達し、また、同社は今後も(買収された場合でも)広告およびユーザデータを売ることを収入源にしない、という法的制約を自らに課した。

すなわち同社は(会社登記料の安い)デラウェア州でPublic Benefit Corporation(公益法人)としての登記を行った。合衆国の法律では、公益法人の投資者はそれに対して、広告を表示したり、データを売ったり、またこれらの条件に違反するであろう買い手に会社を売ることを要求できない。

ElloのCEO Paul Budnitzによると、彼は今のインターネットが“巨大なビルボード”になってしまっていることに対する批判としてElloを作った。Elloには偽名(芸名など)でアカウントを作ってもよいが、市民としての一般常識に反した会員は破門される。

残念ながら、本誌のSarah Buhrも書いているように(以下に部分引用)、同社は早すぎた成功の犠牲者かもしれない:

[注: Elloへの参加は既存ユーザからの招待のみ。]

ベータだから完璧を期待すべきではないが、このところの招待ユーザ数の急増を見ると、ほとんど一般公開になったのと等しい。これだけの急拡大は、むしろ悲劇だ。提供している機能はなかなかクールだが、どれもまだ完成度が低い。

これだけユーザ数が増えると、検索機能が重要だが、ElloのUIは出来が悪くて、それがなかなか見つからない。やっと見つけても、その検索機能は使い物にならない。たくさんの人を紹介してくれるのだが、“なぜこの人たちを?”という文脈が全然分からない。友だちを(Elloの登録名)で探しても、見つからない。

Alexaのトラフィック統計(概略だが一応の参考にはなる)を見ても、Elloのトラフィックは9月の急増期に比べると落ち込んでいる。

でも9月には1時間に40000という、ものすごい数の招待リクエストだったから、投資家たち(Foundry Group、Techstars Bullet Time Ventures、FreshTracks Capital)もElloを無視できなくなった。

広告のないことが今や法的義務になってしまった同社は、個人化機能などのちょっとしたサービスを有料にすることで売上を得たい、としている。AppleのApp Storeを真似たそのためのオンラインストアを作るそうだ。

Elloに投資しているSeth Levineはブログの記事で、広告を載せないしユーザデータを売らないことを義務化したElloを、今後VCたちがどこまで支援するか、そのあたりが不安だ、と述べている。

それに対し、Budnitzはこう答えている:

弊社はサードパーティの広告やユーザデータの販売に依存しないビジネスを構築していく。Elloの今後のプロダクトや機能の中には、ユーザが喜んでお金を払うものがある、と弊社は信じている。それらの単価は小さくても、数百万の人びとから成るユーザの大きなエコシステムが弊社を支援し、今後の投資を誘いうる経済モデルを提供するだろう。

なお、Elloに投資する投資家は、以下のような、綱領文書(ミッションステートメント)に署名しなければならない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Zapは、タクシーの屋根にLED広告を掲示するサービス

Zoom、Pow、Zing、Schwongoozaらのスタートアップとは異なり、トルコのスタートアップ、Zapは、タクシー車上広告市場を破壊しようとしている。通常のタクシー車両の屋根の上に明るいLED掲示を置くことによって、デッドスペースを運転手やタクシー会社にとって実入りの良い広告スポットへの変える。

Yigit Kipman、Ahmet Bati、Emrecan Batiの3人が設立した会社は、10万ドルの助成金を得て2015年中にはヨーロッパ全土への拡大を目指している。広告は電波を通じてLED表示器に送信され、顧客は広告収入の一部を受取る。広告は一日中表示され、時間帯によって料金が異なる。

「われわれはトルコの地方選挙期間中にテストを完了し、初めて収益を上げた」とBatiは語った。「今月中にアンカラでタクシー10台を使ってサービスを開始する予定。Turk Telekomが最初の企業ユーザーになる」

「われわれのビジネスモデルは非常に効率的で、掲示時間当たりの料金体系によって、広告予算を100%有効に使える。われわれのテクノロジーは高度なLED表示装置を使用しており、遠隔制御も可能だ」

チームは、ハードウェア、ソフトウェア共に5年の経験があり、最近トルコのPILOTTというアクセラレータープログラムに参加した。今年中にトルコ国内のタクシー100台に設置し、シリーズA資金調達を終えた2015年にはさらに拡大できることを願っている。

「ここ数年屋外広告は、あまりにもありふれ魅力がなくなってきた」とBatiは語る。「屋外広告市場の本当のニーズは、限られた予算でターゲット視聴者にリーチすることだ。だからわれわれは、位置情報や時刻に応じた広告をタクシーの上に掲示する、破壊的な屋外広告チャンネルを開拓した」、


Zapは今日(米国時間10/20)、ロンドンのTechCrunch Disruptで飛び立った。Bazooooonga!

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


位置情報ベースのモバイル広告を展開するAdNearが1900万ドルを調達–国内からはグローバル・ブレインが出資

グローバル・ブレインは10月15日、同社が運営するグローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合を通じて、シンガポールおよびインド・バンガロールに拠点を置くAdNear Pte. Ltd.への出資を実施したと発表した。Adnearはスマートフォンの位置情報をベースとしたモバイル広告配信プラットフォームを提供している。

グローバル・ブレインの投資額は非開示。今回のラウンドでAdNearは、オーストラリア最大の通信事業者であるTelstraのほか、既存株主のSequoia Capital、Canaan Partnersからも資金を調達。その総額は1900万ドルとなっている。日本ではあまり知られていないAdNearだが、同社は2012年にインドでスタート。同年にはSequoia Capital とCanaan Partnersから630万ドルの資金を調達している。

同社が手がけるのは、スマートフォンの位置情報をベースとしたモバイル広告配信プラットフォーム。スマートフォンの位置情報をもとにユーザーの職業や年収、趣味・趣向などを推定し、特定の属性に限定して広告を配信したり、ジオフェンスを用いた広告配信(地図上に仮想的な境界線を設定して、そのエリア内に入ったユーザーに対して広告を配信する)をしたりしている。

Adnearの発表によると、同社では現在5億3000万人のユーザープロファイルを保有しているそうだ。特定の時間毎に位置情報を取得することでユーザーの属性を推定するのが特徴で、すごく大ざっぱに言えば、例えば朝は住宅地にいて、平日昼間は大学のエリアにいる、週末には住宅地や都心部にいるようなユーザーであれば「週末は都心部で遊ぶこともある大学生」だと判断するというような仕組みだそうで、20日もあればかなり精度の高いプロファイルがつくられるのだそうだ。

事業を展開するのはアジア太平洋地域。これまでにP&GやAudi、Unilever、BMW、Vodafoneなどのグローバル企業や、トヨタ自動車、ソニーなどの日本企業がクライアントになっているという。グローバル・ブレインでは今後、AdNearの日本進出支援も進めるとしている。


アドテック(広告テクノロジ)製品の覇者Googleがユーザ教育のためのマーケティングレッスンGoogle Primerを開始

GoogleがPrimerと名づけたiPhoneアプリをローンチした。Googleの広告を利用する企業に、マーケティングの基礎を…Googleふうにひねって…教えることが目的だ。今はiPhoneだけだが、もうすぐAndroidにも来る。Google PrimerのWebサイトには、Googleが提供するこのミニ・マーケティングレッスンが同社のより大きな企業方針に即している、と説明されている。

引用すると: “企業と顧客を結びつけるGoogleの広告プロダクト(アドテック製品)には、〔その使い方の上手下手によって〕マーケティングのプロと初心者とのギャップを拡大する副作用がある。弊社は、このギャップを修復したい”。

Googleはマーケティングの初心者たちに同社の広告製品の使い方を教えるよりも、Primerによってマーケティングのレッスンを提供することを選んだ。そこでは、マーケティングのケーススタディや、“視野を広く持つ”ことを教える小テストなどが展開される。そのコンテンツは、Googleと各カテゴリーのエキスパートたちによる共作だ。

レッスンのタイトルをいくつか拾ってみると: Search Engine Marketing(検索エンジンマーケティング)、Getting Media Coverage(メディアに取り上げてもらうには)、Content Marketing(コンテンツのマーケティング)、などがある。基礎を迅速に学ぶことが目的なので、各レッスンが5分以内だ。オフラインでも使えるから、信号状態の悪い乗り物の中などでも勉強できる。

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

Googleによると、今はまだパイロット段階だが、今後はレッスンのトピックがさらに増える。

またレッスンを‘受講する’ことだけでなく、オプトインのメールにより、学んだことを実際のマーケティング活動に活かすための実例などを知ることができる。この機能には、ほやほやスタートアップの生徒たちをGoogleの広告製品の将来のユーザにするねらいもありそうだ。

アプリのスクリーンショットを見るかぎり、このマーケティングレッスンはきわめて初歩的だ。小テストの問題の中には、“(広告に)ジャーゴンやバズワードを使ってよいか”、というのもある。そう、本当の初心者は、ささいなことでも迷うからね。

Google PrimerはiTunesで無料でダウンロードできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Facebook、買収したAtlas広告プラットフォームを再ローンチ―マルチデバイス、オフラインのセールスもモニタ

ニューヨークで開催中のAdvertising WeekカンファレンスでFacebookはAtlas広告プラットフォームの新しいバージョンを発表する。Facebookによればこのプラットフォームはマルチデバイス上で広告の効果のモニタを画期的なレベルに進めるサービスだという。

昨年、Facebookは広告ネットワークのAtlasをMicrosoftから買収したThe InformationThe Wall Street JournalはAtlasの再ローン地を予測し、FacebookがGoogleに挑戦する努力の一環だとしていた。

Facebookの公式ブログによれば、Atlasには新しいユーザー・インタフェースが与えられただけでなく、コードも全面的に書き変えられている。

中でも重要な点は、Atlasプラットフォームにクロス・デバイス能力が与えられたことだろう。ユーザーの広告に対する反応をトラッキングする際、クッキーに頼るには限界があることについて、ブログ記事は「クッキーはモバイル・デバイスでは役に立たない。またでもグラフィックなターゲティングを行う上でも正確さに欠ける。その結果、消費者がモバイル、デスクトップ、あるいはそれ以外の媒体を通じてどのように広告に反応したかをモニタすることが困難になっていた」と指摘している。

Facebookは新しいアプローチを「人ベースのマーケティング」と呼んでいる。広告主は消費者の行動をそれぞれの個人として複数のプラットフォーム上で追跡できる。つまり、あるユーザーが、スマートフォンで広告を見てからノートパソコンからその商品を買ったなどという情報をAtlasは広告主に提供できるようだ。ブログ記事は具体的な機能については詳細を明かしていないが、Wall Street Journalの記事によると、Atlasは広告に対する反応を、単にFacebook上だけでなくサードパーティーのウエブサイトやアプリ内でもそのユーザーのアカウントに関連づけることができるという。

Facebookによれば、オンライン広告の表示回数とオフラインでのセールスを関連づけることもできるという。これはFacebookがパートナーを募って開発進めてきた分野だ。

またFacebookは「検索、ソーシャル、クリエーティブ・マネジメント、ウェブサイト・パブリッシャーの各部門にわたって有力なパートナーと緊密に提携している」としている。興味あることに、パートナーにはInstagramが含まれている。言うまでもなくInstagramはFacebookの子会社だが、このブログ記事ではウェブ・パブリッシャーとしてパートナー扱いをしており、InstagramはAtlasを「表示回数とその効果の測定の両面で利用している」ということだ。今後はFacebookグループ以外のパブリッシャーも参加してくる。

広告主の獲得に関しては、Facebookは有力なデジタル広告代理店のOmnicomと提携している。OmnicomのクライアントでAtlasプラットフォームに最初に参加したのはPepsiとIntelだ。

トップ画像: Flickr/Maria Elena、 下の画像: Facebook

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Facebook、1日で動画10億ビューを記録―すべての動画に再生回数を表示

広告主にオンラインビデオといえばYouTubeだけではないと強くアピールすべく、Facebookは今日(米国時間9/8)、ビデオの再生回数が1日10億回を超えたとと発表した。Facebookはこれを機に、ユーザーやページから公開投稿されたすべてのビデオに再生回数を表示することとした。これは広告主に予算をテレビCMからFacebookに振り向けさせる狙いがある。これに関連してFacebookはこの7月にビデオ広告テクノロジーのLiveRailを4億ドルから5億ドル程度で買収している。

10億ビューというのがどの程度の規模であるかを理解するには、2012年初めにYouTubeが1日40億ビューを記録したと発表したのを思い出すとよいだろう(もちろんYouTubeもその後大きく成長している)。

Facebookのビデオ再生の65%はモバイルデバイスからものだという。再生回数は5月から7月にかけて50%も急増したが、その一部はALS(筋萎縮性側索硬化症 )の治療法研究を支援するアイス・バケツ・チャレンジの参加者の多くがビデオのアップ先にFacebookを選んだことも一因になっているという。

またFacebookは今日、ビデオを見た後でユーザーが興味を持ちそうな別のビデオを推薦するという私が7月にレポートした新機能を正式に発表した。 またFcebookはビデオにアクション・リンク、すなわちビデオを再生した後でユーザーがクリックできるリンクを追加した。また広告主とページの運営者には再生回数、ユニーク訪問者数、ビデオ視聴時間数などの詳しいアナリティクスが提供される。

詳しいアナリティクスの提供に加えて、あらゆるビデオの再生回数が表示されることは、Facebookのビデオの透明性を大きく高め、広告主から予算を獲得するのに役立つはずだ。ビデオの末尾のアクション・リンクが許可されたことで広告主はビデオから直接ユーザーをサイトに誘導することができるようになった。

一般ユーザーにとっても、再生回数の表示と青い恐竜のマスコットがガイドするプライバシー設定確認機能はFacebookのバイラル・メディアとしての魅力を高めるものだろう。

残念ながら今回のバージョンアップには ビデオ・アップロードのインターフェイスの改良は含まれていなかった。私は1年前からこの点を訴えつづけているのだが、ぜひ実現して欲しい。今のインターフェイスはあまりにも時代遅れで使いにくい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


巨大スクリーンでのインタラクティブシステムの提供を目指すAudience Entertainment

映画館の楽しみ方が増えることになるかもしれない。踊ったり、跳ね上がったりして楽しむような時代がくるかもしれないのだ。劇場コンテンツと観客をインタラクティブに結ぶ仕組みを提供しようとしているAudience Entertainmentが、本格的な広がりを目指してSDKの提供を開始するとアナウンスしている。

このシステムを使えば、劇場内にいる他の人と一緒に、身体を動かしながら楽しむことができるようになる。主な利用用途としては広告キャンペーンを考えているようだ。全員で立ち上がり、そして腕を振ることでスクリーンに投影されるゲーム画面を操作することができるようになる。あるいは、Disney Cruise Linesのプロモーションで行ったように、ウォータースライダーを滑り降りるドナルドダックをコントロールしたりすることもできる。

ファウンダー兼CEOのBarry Grieff(National Lampoon Magazine、Rolling Stone、およびInterpublic Groupなどで広告関連業務を長く行なっていた人物)は、今の時代を「コンテンツ制作の大転換期」であるとする。リニア型からインタラクティブなものになってきているという話だ。世の中一般に見られるそうした流れを、劇場やアリーナ、コンサート会場などにも持ち込もうと発想したのがはじめなのだそうだ。動きや音をキャプチャーするためにカメラを設置し、それをインタラクティブ(interactive)な進行に役立てようとする。「3D」との対比で、Grieffはこの仕組みを「iD」と呼んでいる。

そしてこのiDがもたらす「集団エンタテインメント」的な要素を盛り込むために、開発者、広告主、そして映画製作者などに、広くシステムを使ってもらいたいと考えた。そこでソフトウェア開発キットを提供することになったようだ。

SDKは、9月29日のAdvertising Weekから提供を開始したいとのこと。但しこちらで早期ベータ版の申し込みを受け付けてもいる。コンテンツについてもAudience Entertainment側で管理を行うのかという問いに対して、チーフ・マーケティングオフィサーのAdam Casselsは「プラットフォームはオープンなものとして提供していきます」と語っている。「インタラクティブ機能を持たせるための仕組みとして使ってもらいたいと思っています。このシステムを使ってもらうことで、一定水準以上のものが簡単に提供できるようになります」とも述べている。

最初に話をきいたときは、失敗に終わった(と言っても良いと思う)「インタラクティブシネマ」の二番煎じかとも思った。しかし、話をきいたあと、実際にシステムを使ってみる機会をもらった。残念ながら大勢の人が集う劇場でのことではなく、Audience Entertainmentの会議室での体験となった。しかし使ってみると面白く、スクリーン上に現れるキューブにタッチしようと夢中になって(傍から見ると少々無様でもあったかもしれないが)飛び上がったりしてしまった。

数十人ないし数百人といった人の動きを感知するためのシステムなので、個々人の動きに細かく反応するといったタイプのものではない。しかしSDKが世に出てくれば、いろいろと面白い仕掛けが登場していくるかもしれない。また、主目的が広告であるのであれば、作るべきコンテンツも、細かな動きによって制御する本格的なゲームというわけではないはずだ。スクリーンに表示されるコンテンツで、観客を「ノセる」ことが重要な目的となってくるわけだ。映画開始前の数分、客がFacebookやTwitterをいじるのに使っている時間を、広告とのインタラクションに使ってもらえるようになれば大成功ということになる。

下にこのシステムを使ったサンプルが入ったビデオを掲載しておく。また実証用のサンプルも用意されている(周囲で身体を動かしながら自分の選択への支持を訴えかける観客の存在は、脳内で補完するしかない)。Audience Entertainmentは今年、デジタルシネマのBrcoとの業務提携をアナウンスしており、実際にシステムを稼働させるための準備を進めている。全世界で3000施設への導入を行う予定なのだそうだ。

Audience Entertainment 2014 Showreel from Audience Entertainment on Vimeo.

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(翻訳:Maeda, H


フリークアウトとはてな、広告主のブランド毀損防止で協業、はてブのスパム対策活用

フリークアウトは19日、自社開発するDSP「FreakOut」において、広告主のイメージ低下を招くサイトへの広告配信を除外するアドベリフィケーション機能を搭載した。FreakOutを利用する広告主は今後、自らが指定する不適切なサイトに広告が掲載されるのを防げるようになる。サイトを判定するアルゴリズムは、「はてなブックマーク」のスパム対策に使われている機械学習エンジンをもとに、フリークアウトとはてなが共同開発した。アドベリフィケーション経由の売り上げは両社でシェアする。

DSPで広告主のブランドが毀損するケースも

DSP(デマンドサイドプラットフォーム)は、広告主が広告を配信したいユーザー層を定義し、必要な広告枠をRTB(リアルタイム入札)で買えるプラットフォーム。フリークアウトは2010年に国内初のDSPをスタートし、現在の広告主は通信や航空会社、トイレタリーブランドなど約4500アカウントに上る。アドベリフィケーション機能は、ナショナルクライアントと呼ばれる、全国規模で広告・マーケティングを展開する企業が利用することが想定される。

フリークアウトによれば、広告主はFreakOutを通じて国内数千万サイトに広告を配信できるが、その中には自社ブランドを毀損するサイトが紛れ込んでいることもあるのだという。例えば、アダルトサイトや著作権を無視した違法サイトなどだ。FreakOut経由の広告かはわからないが、実際にこうしたサイトで一部上場企業の広告を見ることもある。FreakOutでアドベリフィケーションを導入したところ、全ドメインのうち0.17%がアダルトサイトだったのだという。

広告配信先サイトの内容は事前に審査しているが、対応しきれていないのが現状だ。その理由についてフリークアウトの溝口浩二氏は、「審査通過後にサイト管理者が故意にコンテンツを変えるため」と説明する。「不適切なサイト」の管理者からすれば、審査通過後に違法コンテンツを掲載してアクセス数を増やし、FreakOutやその他のDSPからブロックされるまでに、広告料収入を稼ごうとしているのだろう。

はてなと共同開発したアドベリフィケーション機能「BrandSafe はてな」は、広告主にとって意図していないサイトに広告が掲載されるのを防ぐものだ。広告配信先サイトの内容をリアルタイムに判定し、広告主が指定する不適切なサイトへの広告掲載を抑える。広告主は「アダルト」「違法ダウンロード」「2chまとめ」の中から、広告を配信したくないカテゴリーを選べる。

現時点ではすでに8社の広告主が導入している。その反応を見ると、アダルトや違法ダウンロードだけでなく2chまとめを遮断する広告主が多いのだという。「コンテンツ自体はひどくなくても、そこに出ている広告がアダルトだったり、アフィリエイトで肌の露出の多いフィギュアが出てきて『うっ』と来たりするんですよね」(溝口氏)。

3カテゴリーに絞ったのは「広告主のニーズが最も多かった」ため。今後、ニーズが高まれば「事件・事故に関するニュース記事にクルマの広告を出さない」「酒やタバコに関するページに子供向け商品の広告を出したくない」といった要望にも応えたいという。

フリークアウトは同機能の提供にあわせて、ネット上の違法・有害情報の通報窓口「インターネット・ホットラインセンター」(IHC)とも連携。広告料収入を目的とした違法・有害サイトのURL情報を提供してもらうことで、該当するサイトへの広告配信を自主的に停止する取り組みも始める。

なぜフリークアウトは「はてな」を選んだのか

ところでなぜ、フリークアウトはアドベリフィケーションの共同開発の相手にはてなを選んだのか。

フリークアウトはこれまでも欧米企業が手がけるアドベリフィケーションを試験的に導入していたが、「日本語の壁を超えられなかった」と溝口氏は語る。「例えば、2chまとめ系サイトだと、掲示板独特のネットスラングには対応できない」。そこで目を付けたのが、日本特有のネットカルチャーに強い「はてなブックマーク」(はてブ)のスパム対策技術だったわけだ。

はてブでは、広告・宣伝を目的として、新着エントリーや人気エントリーへの掲載のために行われる不正な行為を「スパム行為」とし、表示制限措置や利用停止措置の対象としている

スパム判定をするにあたっては機械学習エンジンを活用。過去のデータから導き出したルールを、新たに収集したデータに適用することで、そのサイトが不適切かどうかを判定している。はてブのタグやコメント、キーワード、はてなキーワードも考慮して判定するため、日本特有のネットスラングにも最適化されているのが強みなのだという。

はてなというと、はてブやはてなブログなどのコンシューマー向け事業が中心。しかし、最近では、企業のオウンドメディア構築支援「はてなブログMedia」や、ベータ開発中のクラウドサーバー管理ツール「Mackerel」を投入するなど、自社サービス開発で培った技術やノウハウを法人向けにも提供する動きが目立っている。アドベリフィケーション機能もその一環だ。今後はフリークアウト以外のDSPへの技術提供も視野に入れているといい、B2B向け事業が新たな収益の柱として育つのか注目だ。


ミクシィとスマートニュースがネイティブ広告ネットワークで提携、mixiの広告枠を独占提供へ

既報の通り、スマートニュースが総額36億円の資金調達を実施した。出資元の1社であるミクシィの森田仁基社長は8日、決算説明会でスマートニュースと広告分野で業務提携を締結したと発表。スマートニュースが2014年12月に開始するネイティブ広告ネットワーク「スマートアド(仮称)」に対して、SNS「mixi」内に配信するネイティブ広告枠を独占提供することを明らかにした。これによりスマートニュースがスマートアドで獲得した広告主の広告が、mixi内のネイティブ広告枠に配信されることになる。

また、同社取締役の川崎裕一氏が8月11日付けで、スマートニュースのシニア・ヴァイス・プレジデント/執行役員広告事業開発担当に就任し、スマートアドの事業開発を担当することも発表された。川崎氏はスマートアドの広告配信先となる媒体の獲得や、mixiとのサービスのつなぎ込みを手がけていくという。スマートアドはミクシィの新規事業としての位置付けでもあり、mixi以外の媒体に配信するスマートアド経由の広告の売り上げは、両社でシェアすることとなる。


A/BテストとDMPが連携するとどうなる?–KAIZENとIntimate Mergerが新施策

A/Bテストとクラウドソーシングを組み合わせてウェブサービスのUI改善を実現するKAIZEN platformの「planBCD」が、フリークアウトPreferred Infrastructureの合弁会社であるIntimate Mergerの提供するDMPと連携したことを発表した。

通常、A/Bテストをする場合、サイト訪問者の属性とは関係なく、一定の割合でクリエイティブを切り替えてその反応を計測し、最適なクリエイティブを選択している。だが今回の連携によって、サイト訪問者の属性ごとに、それぞれ一定の割合でクリエイティブを切り替えて表示できる表示することができるようになる。

これによって、planBCDでA/Bテストを実施するサイトは、サイト訪問者の属性にあわせて、より最適なクリエイティブを見つけ出すことができるようになるというわけだ。

今回のサービス連携の恩恵を得るには、あらかじめIntimate MergerのDMPの導入が必要だ。DMPの利用料金は月額固定費用が15万円から、データ利用費用が別途見積もりとなっている。

KAIZEN Platformによると、すでに複数のクライアントが導入を決定しているという。同社の発表によると、これまでplanBCDを導入したサイトは、コンバージョンが平均で52%改善されている。A/Bテストと聞くと、「全体最適」のための施策という印象を持つが、これが「(サイト訪問者の属性ごとの)個別最適」もできるようになることで、どのような変化を起こすのだろうか。


SmartNewsが1日限定で動画広告をテスト中、自動再生の好感度調査が目的

ふとSmartNews(スマートニュース)を開いてみるとスポーツカテゴリーで突然、ナイキの動画広告が自動再生された。そもそもスマートニュースは広告を入れていなかったはず。いきなりの動画広告の理由を執行役員の藤村厚夫氏に聞いたところ、4日正午から1日限定でテスト配信しているのだという。ユーザーが自動再生に好意を持ってもらえるかを検証するためで、広告配信技術は自社開発したそうだ。正式展開は未定だが、ユーザーのフィードバックを受けて今後の開発につなげたいとしている。

現時点でスマートニュースは、競合となるGunosy(グノシー)のような広告配信をしておらず、売り上げは「ほぼゼロ」(藤村氏)。グノシーはネイティブ広告などが好調で、毎月の売り上げが「数億円規模」とも報じられている。グノシーは24日、配信記事をキャッシュ化してオフライン環境でも閲覧できるようにしたのに伴い、メディア側に広告収益の一部を還元することも発表している

メディア側への広告収益還元という意味では、スマートニュースも動いている。具体的には、メディア向けにXMLに基づく記事書式「SmartFormat(スマートフォーマット)」を6月27日に公開。メディアはこの書式に従って記事を入稿することで、関連記事リンクや広告を自由に付けられるようになる。藤村氏は、スマートフォーマット経由の広告収益は全額メディアに還元するといい、まもなく実現すると話している。


Facebook、モバイルビデオ広告ネットワークのLiveRailを買収、ビデオ広告事業の強化へ

Facebookは先ほど、ビデオ広告配信テクノロジーのLiveRail買収したことを発表した。このスタートアップは広告主とウェブサイトのパブリッシャーを結びつけ、モバイル・ビデオ広告を毎月70億回も配信している。情報源によれば、Facebookの買収額は4億ドルから5億ドルの間だろうという。

取材に対してFacebookは買収条件についてのコメントは避けたが、「LiveRailの運営継続のために必要な資金を投資する。LiveRailとのデータの共有方法については今後検討していくが、基本的にはLiveRailの広告ターゲティングを助けるものとなるだろう」と述べた。社員170人のビデオ・スタートアップの買収によってFacebookのビデオ広告における地位は強化されることになる。

2007に創立されたLiveRailは、いわゆる「サプライサイド・ビデオ・プラットフォーム」として知られるサービスにメジャーリーグ野球、ABC、A&E Networks、Gannett、Dailymotionなどの有力顧客を抱えている。LiveRailは独自のビデオ広告ターゲティング・テクノロジーによって広告主が想定する対象に広告を表示する。またビデオ広告を供給することによってサイト運営者も助ける。

LiveRailはSan JoseのPond Venturesを主要投資家として、シードからシリーズCまでのラウンドで総額1200万ドルを調達している。 買収金額がわれわれの聞いたように4億ドルから5億ドルだというのが事実なら、Pondにとってこの投資は大成功だったことになる。

LiveRailの核心はリアルタイムの広告オークション・テクノロジーにある。LiveRailは広告配信先のサイトのすべてのビデオ広告掲載スペースとその条件をスキャンし、広告主に対してもっとも有利な条件の広告枠をダイナミックに判定する。この広告主とパブリッシャーの双方を利するテクノロジーはFacebookが開始したサードパーティーへの広告ネットワークを強化するためにうってつけだ。

LiveRailはまたCheckpointというテクノロジーを持っており、アルコール飲料、タバコその他の年齢制限のある広告が未成年者の目に触れないようにできる。

2013年にLiveRailはTechCrunchの取材に対して、対前年比300%の成長を続けており、年間売上1億ドルを達成できる見込みだと答えている。当時同社は2014年中の株式公開を考えていた。しかしFacebookの出した条件のほうがさらに良い選択肢となったわけだ。LiveRailが株式上場に懸念を抱くようになった事情はよく理解できる。IT系スタートアップの上場は次々に不調に終わっている。たとえば、YuMeは9ドルで上場したが、現在は5.95ドルだ。Tremor Mediaの上場価格は10ドルだったが、今は4.61ドルだ。

上で述べたように、Facebookは今年5月のf8カンファレンスでFacebook Audience Networkというモバイルビデオ広告ネットワークをローンチした。おそらく最終的にはFacebookのAudience NetworkとLiveRailは統合運用され、あらゆるプラットフォームのアプリにビデオ広告を配信することになるだろう。

この3月、Facebookは自サイト向けに15秒の自動再生ビデオ広告をスタートさせている。いわばFacebook版のテレビCMだ。LiveRailの広告ターゲティング・テクノロジーとFacebookの膨大なユーザーデータが統合されれば、たとえば映画の予告編などのビデオ広告をそれにもっとも興味を示しそうなユーザーに対して効率良く表示することが可能になる。

ソーシャル公告戦争は現在激しさを増しているところだ。今週月曜にはTwitterがモバイル広告の再ターゲティングのスタートアップ、Tap Commerceを買収したが、Twitterは今年に入ってネーティブ・フォーマット広告のNamo Mediaを5000万ドルで、モバイル広告市場のMoPubを3億5000万ドルの巨額で買収している。

広告費が活字媒体やテレビからオンラインにシフトする中、広告ターゲティングはオンライン広告の市場シェア獲得のためにもっとも重要なテクノロジーとなりつつある。LiveRailの買収によってFacebookはテレビCMに対する大きな優位性を手に入れた。同時に、われわれユーザーにとっても、まったく興味のない商品のCMビデオを見せられる可能性が減少するならメリットがあるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


本文の最後まで読まれている記事ってどんなもの? 新指標READでの調査結果

最近オンラインメディアの記者や編集者と会った際、「ページビュー(PV)の質」という話題になることが少なくない。例えば新聞社だと月間数億PVになるが、ライセンスを取っているのかどうか分からない翻訳記事が並ぶブログメディアだって、2ちゃんねるまとめブログだって、月間で1億前後のPVだったりする。また国内トップクラスのバイラルメディアは、ローンチ数カ月で1500万〜2000万PVにまで成長していると聞く。ネット上にさまざまなコンテンツがあふれる中で、果たして各メディアの1PVというのは同じ性質のものと考えていいのだろうか、という話だ。

東大発スタートアップのpopInでは、そんなPVの質を計測すべく、新たな指標「READ」を4月に発表。現在オンラインメディアへの導入を進めている。

READはオンラインメディアのコンテンツの読了状況を図るための指標だ。導入したメディアの本文領域を自動で解析し、本文領域での滞在時間や、本文のどの位置までを読んだのかという読了率、サイトからの離脱率を計測できるようになる。これによって、読者がその記事を熟読したのか、それともさらっと流し読みたのか、はたまたタイトルと冒頭数行の内容を読んだだけだったのかといったことが分かるのだという。popIn代表の程涛氏は、「バズるタイトル、釣りタイトルが増えている中で、それに合わせた評価基準はない。ウェブが進化するなら評価指標も進化すべき」と語る。READの詳しい説明については、下の動画をご覧頂きたい。

 

5月末時点でYOMIURI ONLINE、毎日新聞、ダイヤモンド・オンライン、All About、ギズモード・ジャパンなど計75媒体に導入されているというREADだが、今回5月1日~5月31日の期間の計測値を解析したレポートを発表した。

レポートでは75媒体を横断的に調査しているため、媒体ごとの特性は省かれている。だが全体としては、やはり読了率が高い記事の場合は離脱率が低く(読み終えても同じ媒体のほかの記事に遷移する)、サイト外に離脱することが少ないのだそうだ。

僕は程氏に一部の媒体ごとのデータ(媒体名ではなく新聞、CGMといったカテゴリで)も見せてもらったのだけれども、新聞やビジネス系ニュースサイトでは記事を熟読している、つまり本文領域での滞在時間が長く、読了率が高いユーザーが多い一方で、CGMやエンタメ色の強いコンテンツでは、流し読みしてサイトを去るユーザーが多いという傾向が見られた。popInでは今後もREADをブラッシュアップしつつ、レポートを発表していくという。利用は無料で、大手メディアを中心に導入を進める予定だが、問い合わせフォームも用意しており、そこで申し込みを受け付ける。

ではなぜpopInはREADを提供するのか。それは当然彼らのビジネスに繋がっているからだ。popInでは以前からオンラインメディア向けに関連記事や人気記事を表示するエンジンを提供してきた(実はTechCrunch Japanにも導入されている)。現在はこれを「DISCOVER」の名称で運用しており、READのテクノロジーを用いて関連記事の精度を高めるほか、関連記事内と同時にネイティブ広告を配信するという取り組みを行っているのだ。この領域は、米Outbrainが先行しており、最近になって日本でも活動を開始している。また、ヤフーも米Taboolaと組んで「Yahoo!コンテンツディスカバリー」を発表するなどしている。


ビデオを見たりソーシャルな共有で”ごほうび”をくれるアプリはApp Storeから締め出しへ…iOS 8の大改革

Appleは、デベロッパたちがアプリケーションの収益化や成長のために利用しているツールの規制を開始した。規制の対象となるのは、報奨で誘ってビデオの視聴をすすめるツール、ソーシャルに共有するとおまけがもらえるもの、プレイしているゲームの中でほかのアプリを見つけさせるもの、などだ。この規制はアプリ業界全体に影響を及ぼし、アプリの成長や市場拡大のためにこれまで一般的に使われていた方法を“リセットする”効果を持つだろう。

iOS 8で改革されるiOS App Storeに関してAppleは、アプリの発見過程の変更をいくつか発表している。そのための新しい機能ではユーザが、トレンドのキーワードやカテゴリ、カテゴリの小分類(サブカテゴリ)、関連する検索語、などを駆使してアプリを見つける。デベロッパは自分のアプリを、複数まとめて宣伝できる。しかし同社が発表しなかったかんじんの部分は、iOS8でアプリの発見方法を新しくするだけでなく、 Apple自身がそれを完全にコントロールしようとしていることだ。

ビデオの広告、ほかのアプリの宣伝、ソーシャルな共有は拒絶される

アプリのデベロッパたちはすでにAppleのアプリリビューチームから拒絶通知を受け取り始めているが、それらの通知は、AppleのDeveloper Guidelinesに書かれていることを、App Storeがアプリを受け取らない理由として挙げている。

たとえばデベロッパたちのためのQ&AフォーラムStackOverflowには、これまで4回リリースできて、今回は本体コードではなくグラフィクスの一部をすこし変えただけのアプリが拒絶された、という投稿がある。

この拒絶だけでなく、Appleが多くの場合に挙げる理由は、以下のような条項だ:

2.25: ほかの人のアプリを購入や宣伝のために表示し、そのやり方がApp Storeに酷似しているアプリは拒絶される。ただしその必要性が承認されたもの(健康管理や、航空機、障害者補助などのため)と、対象顧客層のために重要な付加価値を提供するものは例外とする。

3.10: 金を払った偽(にせ)のリビューや、そのほかの不適切な方法によって、ユーザのリビューやApp Storeにおけるランクを操作しようとするデベロッパはiOS Developer Programから除名される。

Appleのリビュワーは、次のように説明した: 2.25(2条25節)は“ほかの者のアプリを宣伝すること”、3.10は“ほかのデベロッパのビデオを見ることに無料のゲーム内クレジットを与えること”に関連している。ほかに、報奨によって共有を誘導しているアプリも拒絶される(例: Facebookにポストしたら何かをあげる、など)。

聞くところによると、今ではかなり多くのデベロッパが拒絶通知を受け取っている。彼らの一部は経緯の詳細を公開サイトに投稿しており、たとえばMobileDevHQフォーラム上のこれなんかもそうだ。そのデベロッパは、“これからは、何かをシェアするようユーザにすすめることはできないのか? 本には昔からそんな文があるし、Candy Crushにすらある”、と困惑の気持ちを表明している。

ほかのアプリを宣伝したり、ユーザに釣り餌を与えたりすることだけでなく、それによって
App Storeのランクを操作しようとすることも、拒絶の理由になる。

iOS 8大改革の前には、App StoreのTop Chartsが、アプリ発見に重要な貢献をしていた。そして高ランクに到達したアプリは — 何らかの操作や詐術によるものが多いが — 一日に何万票もかき集めるのだ。

[拒絶通知文の一部…ランキングの操作を指摘している]

前からあるアプリもこの大掃除のターゲットに?

Developer Guidelinesの文は非常に一般的であるため、とりわけ2.25は、どんなアプリ内広告でも引っかかってしまいそうだ。Appleがアプリ内広告を攻撃したのはこれが初めてではなく、こんなに長引いている係争もある。

今日では、専業の広告ネットワークのような企業が宣伝や収益化のためのビデオ広告を提供して、デベロッパの収入やアプリの知名度アップを助けている。したがって新たな拒絶方針が対象とするのはデベロッパだけでなく、AdColony、Applifier(Unity)、Flurry、TapJoy、SupersonicAds、Vungle、AppLovin、Sponsorpayなどなどといった、報奨つきビデオや、クロスプロモーションサービス*などのツールを提供している企業もだ。逆にFacebookやAppleのiAdのような、報奨付きビデオ広告をやってないところは、とても有利になる。またVungleなどが提供している一般ブランドの広告は、今回の拒絶云々の話とは無縁のようである。〔*: cross promotion; 相手のものの広告を載せてやることが、自分の広告を載せてもらうことの代価となる方式。〕

今回のApp Store改革の影響を受ける業界の情報筋は、拒絶の犠牲者になるのは多くのデベロッパたちだけでなく、ずっと前からApp Storeにあるアプリもやられる、と言っている。拒絶通知をもらったデベロッパがAppleに問い合わせると、Appleはこんな状況説明をくれた:

ときには、App StoreにあるアプリがApp Store Review Guidelinesに準拠していないと思われることもある。App Store上のアプリのコンプライアンス厳守に関しては厳格な努力を重ねており、現在App Store上にあってしかも非準拠であるものを、見つけ出そうとしている。それらをすべて見つけるためには時間を要するが、今回貴殿のアプリが拒絶された理由に、ほかのアプリの非準拠は含まれていない。

今後は、いかなる形の報奨つき格付けや広告視聴をも、削除していくことが妥当である。

今すでにApp Storeにある非準拠アプリを見つけて削除していけば、ゲームの大企業の一部はそういうアプリ宣伝や収益化の方法の常習犯だから、App Storeからトップタイトルの多くが急に消えてしまうという事態にもなりかねない。

Candy Crashの大成長も、報奨付き共有が支えている部分が大きい。それはFacebookの統合に大々的に依存し、Facebookのお友だちを招いたら、ご褒美(寿命を延ばす、など)をあげるわ、なんてやっている。

App Storeのリセットで再び公平性と機会均等を

この変化でApp Storeのデベロッパが受ける影響は大きい。App Storeの新しいルールをよく調べて、自分のアプリの検索ランクなどを高めるためにこれからは何をどうすべきか、新たにできる“トレンド”の機能はどう使うべきか(今のベータ状態ではよくわからないが)などを勉強しなければならない。この変化で収入が減るデベロッパもいるだろうから、そっちの影響も大きい。

一方、ふつうの広告ネットワークは有利だ。Appleのリビュワーの一人が、こうすすめている: “自分のゲームの広告は、ふつうの広告ネットワークで十分にできる。ただしそんな標準的な広告チャネルでは、ほかのゲームのためのマーケティングはできないけどね”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


検索がアプリで行われる傾向が増、Googleなどのシェアは低下傾向に

eMarketerの調査報告書によると、今ではスマートフォンやタブレットのアプリからいろんなものを検索する人が増えているという。そのことは、GoogleやBingやYahooなどの大手検索エンジンにとって、売上シェアの深刻な減少を意味している。

この報告書によると、Googleのモバイル広告の売上シェアは2012年から2014年までで17%も減少した。2年前にこの検索巨人は22億4000万ドルの検索市場の82.8%を保有していた。今年の合衆国のモバイル広告市場は177億3000万ドルという巨額で、そのうちのモバイル検索広告はその約半分の90億2000万ドルだったが、Googleのマーケットシェアは65.7%に落ちた(上図下表)。

ものごとを探すときに、これまでのようにデスクトップで検索エンジンを使う、という形から、スマートフォンで探す形に変わりつつあるのだ。同時にまた、検索のやり方も多様化している。Googleは何でも探せる汎用検索エンジンだが、どこが良いレストランか、今欲しいものをいくらぐらいで売ってるか、などは教えてくれない。だから旅行の情報を探すならKayakなどのアプリを使った方がよい。家を探すならTrulia、地元のお店や企業を探すならYelp、等々となる。そこで、検索エンジンからアプリへ、という移行が起きつつあるのだ。

今年初めのNielsenの消費者調査も、モバイルにおけるこの変化を確認している。今や消費者がインターネットを利用する時間はモバイル上で月平均34時間、これに対しデスクトップは27時間だ。

eMarketerの報告書によると、ローカル検索の伸びが著しい。広告収入の成長率では、Yelpが群を抜いている(上図上表)。Yelp上の地域のお店や企業にに対する検索は今年の成長率が136%、モバイル広告の売上が1億1900万ドルという予想だ。GoogleやYahoo、Bingなどの広告売上に比べると微々たる額だが、消費者の行動が明らかに変わりつつあるサインだ。2016年では、Yelpの広告売上シェアが2012年の3倍強という予想に対して、Googleの売上シェアは64.2%に落ちる(上図下表)。

この報告書では、”Other”(その他)が何なのかよくわからないが、シェアは2012年から2016年にかけて5.4%→29.7%という、たいへんな伸びだ(上図下表)。なお、Googleも、シェアは落ちても売上が減少するわけではない。過去2年間でモバイル広告は70億ドル近く増加したが、その中でGoogleのモバイル広告の売上は60億ドル近いのだ。

結論としては、さまざまなニッチアプリが、徐々に検索に取って代わりつつある、ということ。この傾向は、ものごとを調べるのにデスクトップよりもモバイル上で調べるのが多くなっている、という一般傾向に後押しされている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、バナー枠にテキスト広告を載せられるマガジンスタイル広告を開始

Googleは、サイト運営者に対して、ディスプレイ広告およびテキスト広告を掲載するしくみを提供している。両方の広告スタイルを使用してもよいし、どちらか一方でもよい。しかし今日(米国時間5/15)Googleは、普段ディスプレイ広告だけを利用しているサイトに、標準的なテキスト広告を載せられる新しい広告ユニットを提供開始した。

この「マガジンスタイル」広告と呼ばれる新しい広告は、テキストのみを使用するが、「ディスプレイに適した美的デザイン」を伴って表示される、とGoogleは言っている。

何かグラフィックの魔法が仕込まれているようでも、Googleが広告に何か画像を付加するわけでもなさそうだ。代わりにGoogleは、通常ディスプレイ広告に使用されている大きめの広告ユニットに合わせてテキストを再フォーマットする。周囲には多くの余白が残る。

この狙いは、テキスト広告の買い手がディスプレイ専用広告ユニットの入札に参加できるようにすることにあり、サイト運営者は通常ディスプレイ広告しか載せていないサイトに、テキスト風広告を載せられるようになる。Googleは、潜在売上を最大化するためにはテキスト、ディスプレイ両方の広告を載せることを推奨しているが、運営者はサイトデザインとの一貫性を保ちやすいなどを理由に、ビジュアルなディスプレイ広告を選ぶことが多い。

新しいタイプの広告は、テキスト広告がディスプレイ広告に競り勝った時に必ず表示される。つまり、この動きの背景にある経済事情は実に明快だ。Googleは、通常のディスプレイ広告の代わりにこのマガジンスタイル広告が表示された時、必ず実入りが増える。従来テキスト広告はこれらの広告枠を争うことすら許されていなかった。

直近の四半期が示すように、Googleの広告料金は大きな圧力を受けている ―全般的なモバイルへの移行と、広告料金の安い新興市場に同社が進出してことが理由の一部だ。新しい広告ユニットが大きく傾向を変えることはないだろうが、会社の規模を考えれば、わずかな違いでも新たな数百万ドルが懐に入る勘定になる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebook、 いよいよサードパーティへのモバイル広告配信ネットワーク、FANをローンチ

今日(米国時間4/30)開催されたf8デベロッパー・カンファレンスでFacebookはFAN(Facebook Audience Network) という新しいモバイル広告ネットワークを発表した。

これによりサードパーティーのモバイル・アプリのデベロッパー、パブリッシャーは広告営業、広告ターゲティング、実績管理、支払い管理などを自分自身でしなくても広告収入を得られるようになる。

先週私がスクープしたとおり、FANに参加すれば、広告に関するすべてをFacebookが代行してくれる。デベロッパーはバナー広告を掲出するなら数行のコードを書くだけよいし、もっとアプリのコンテンツの一部に溶け込んだ広告を掲出したければFacebookの協力を受けることができる。

Facebookによれば、デベロッパーはFANにこちらからサイインアップすることもできるし、Facebookの広告代理業者に連絡を取ってもよい。このプログラムは現在ベータテスト中で、今後数ヶ月かけて一般に利用可能になる。当面対象となる広告主はモバイル・アプリのインストールや利用を呼びかけるデベロッパーだが、将来はFANを他の分野の広告にも拡大する計画だ。ウェブサイトのトラフィック増強のための広告やeコマースの広告などが含まれることになるだろう。Facebookは「テスト期間中に次第に〔広告の〕パフォーマンスが改善されるものと期待している」と述べている。

FANではIABバナー広告、IABインタースティシャル広告、ネーティブ広告の3種類が用意される。広告デザインはモバイル・アプリのインストールなどそれぞれのビジネス上の目的に合わせて最適化される。

Facebookによれば、Facebook SDKないし広告統計サービスを利用することによって広告主はFANによる表示回数やコンバージョン件数などをモニタできる。また年齢、性別その他の広告閲覧者データも収集できる。

Facebookがモバイル広告ネットワークのテストを開始したのは2012年に遡るが、その後Facebook内での広告の強化に集中するために、オフサイトでの広告ネットワーク・プロジェクトは棚上げとなっていた。

2013年9月にFacebookはモバイル広告ネットワークのテストを再開した。これはそれまでの実験と異なり、広告主、パブリッシャーと直接に取引するタイプとなった(サードパーティーを介さないのでFacebookのマージンが大きくなる)。最近行われた2014年第1四半期の決算報告でCOOのシェリル・サンドバーグは「この広告ネットワークのテストでは関係者から高い評価を得た。大いに希望のもてる結果だった」と述べた。

Re/codeのMike IsaacはFacebookは今日この広告ネットワークをローンチするだろうと報じていた。今日、私はその名称がFAN (Facebook Audience Network)であり、IABガイドラインに沿った定形広告だけでなくカスタマイズされたフォーマットの広告をサポートすることを含め、各種の詳細を確認することができた。以下は、バナー、インタースティシャル、カスタム、それぞれのサンプルだ。

この広告ネットワークはInMobiなどのネットワークのライバルとなる。 [アップデート:FANはTwitterのMoPubのような仲介サービスとは競争関係にないことが判明した。このようなサービスはFANを通じた広告を他の広告ネットワークからの広告と同時に表示することができる。FANとMoPubの協調関係についてのフォロー記事を参照]

FANが十分な広告主とパブリッシャーを集めて運営が軌道に載るまでには数四半期かかるだろうが、Facebookの収入の新たな重要な柱となる可能性を十分に秘めている。

今回のFANのローンチでFacebookは、マネタイズのチャンネルを自らのネットワーク内での広告掲出から、サードパーティーのパブリッシャーへの広告配信へと拡張した。これまでFacebookの売上はニュースフィード内の広告の表示数とそれを訪問するユーザー数に直接比例していた。

広告ネットワークを通じたサードパーティーへの広告配信ならFacebook内に広告を溢れさせてユーザー体験を悪化させることなく、収入を増やすことができる。たとえFacebook内でのユーザー・エンゲージメントが頭打ちになっても影響を受けにくいし、ライバルに対しても安定して優位性を確保できる。FANが成功すれば、Facebookのユーザーにとっては幸運なことに、Facebook内の広告は減少さえするかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Appleのデベロッパに広告識別子の規則遵守が義務化, 違反者はApp Storeから拒絶される

Appleが今日(米国時間4/11)、iTunes Connectの一部をアップデートした。これはモバイルのデベロッパが自分のアプリケーションをiTunes App Storeで配布や更新するために使うサービスだが、今回のアップデートでAdvertising Identifier(IDFA)(広告識別子)の使い方に関する規則が変わった。そしてデベロッパは、この規則へのコンプライアンスを、チェックボックスにチェックを入れて示さなければならない。

2月にAppleは、ユニークな識別子を使っているが広告を表示しないアプリケーションを拒絶するようになったが、今回の規則変更はその措置を正規化して、今後は規則に準拠していないアプリが一律に拒絶されることになった。

そもそも、iOSのアプリケーション内で広告を追跡する正規の方法をIDFAにするぞ、とAppleがデベロッパにお布令したのは2013年からだ。

デバイスのユニークな識別子UDIDの段階的廃止が発表されたのが2011年だから、それに続く遅まきながらのルール変更だ。UDIDは、プライバシーや規制などへの配慮から、Appleの製品やアプリのエンドユーザをデベロッパが正確に同定する方法としては今後使うな、ということになっている。

UDIDなどの追跡方法は、Web上のクッキーのような機能がねらいだが、しかしクッキーのようにユーザが自由にコントロール(消去、オプトアウトなど)できない。クッキーの消去のような簡単な方法がユーザに提供されていない。

UDIDの段階的な廃止に伴って、サードパーティ製の追跡方法があれこれもと、たくさん現れたが、iTunes Connectの新しい条文が明記しているように、これからはIDFA, Advertising Identifier, 広告識別子が唯一のオフィシャルな方法だ。

iTunes Connectのその部分は、デベロッパに、“IDFAがターゲット広告を提供する唯一の方法だ”、とアドバイスし、以下の三つのユースケースを挙げている:

  • アプリ内で広告を出す

  • このアプリのインストールを前に出した広告に帰せしめる

  • アプリ内で行われたアクションを前に出した広告に帰せしめる

またデベロッパは、チェックボックスにチェックを入れることによって、自分のアプリケーションと、そのアプリケーションと関わるサードパーティが広告識別子を使うこと、および、エンドユーザによるiOSの”Limit Ad Tracking”(広告追跡を制限する)の設定を尊重することを、確認しなければならない。

自分の関心に対応したいわゆるターゲット広告が出るのがいやなユーザは、この設定を有効にする。これのセット/リセットは、iOSのSettingsアプリの”Settings–>Privacy–>Advertising–>Reset Advertising Identifier“でいつでもできる。おおまかに言えばこれは、ブラウザの設定でクッキーを消去することに、ほぼ相当する。

この変更によって、モバイル上のプライバシーに関するユーザの選択が究極的に尊重されることになるが、また同時に、iOSのデベロッパが消費者のデータを集めて保存して利用しているという政府の懸念を沈静することもねらいだ。IDFAはiOS 6からあるが、しかしその使い方のルールは不明確だった。もともと広告主ではなくアプリのパブリッシャーが使うことがねらいだが、IDFAを広告ネットワークに渡してターゲティングに利用する広告主が多くなり、またデベロッパなどほかの人たちも、広告追跡データを集めていろんな目的…キャンペーンのターゲティング調整やユーザプロフィールの構築など…に利用するようになった。

今度の規則変更でAppleが言いたいのは、アプリにアクセスするサードパーティですら、IDFAを正規にリクエストしてから広告を出す、インストールを数えるなどのことをしろ、ということだ(エンドユーザがIDFAをリセットしていたら、そのことに従わなければならない)。

しかしまだはっきりしないのは、デベロッパは最近ローンチしたOpen IDFAのような別の識別子を、IDFAの代わりに使ってよいのか、という点だ。OpenIDFAはIDFAが対応していない広告関連のユースケースにも一部対応しているし、ユーザのプライバシーにも配慮している(たとえば使用有効期限の設定)。

もうひとつの疑問は、このルールをAppleが果たして網羅的に強制できるのか、ということだ。ともあれ、この条文がデベロッパに対する警告になり、意図的意識的なルール違反は徐々に抑制されるだろう。そしてAppleは、あなたのアプリケーションをApp Storeから拒絶したり取り去る権利を、これからは持つのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))