RespiraのウェアラブルSylveeは肺の健康状態をモニター、COPDや肺機能低下を検知

この数年、身体のあらゆる側面を測定するウェアラブル製品が登場しているが、肺活量の測定はそれら他の側面よりも難解だ。Respira Labs(レスピラ・ラボ)が開発した「Sylvee」は、肺機能を継続的に測定するまったく新しいウェアラブルデバイスだ。COPD(慢性閉塞性肺疾患)や喘息患者をはじめ、一時的に肺機能が低下している人に最適だ。特に、肺機能に影響を与えるあのパンデミックが思い浮かびあがるだろう。

Sylveeは、胸郭の下部に装着する製品で、息を吹きかけなくても簡単に継続的に肺機能を評価できることを約束している。このパッチにはスピーカーとマイクが内蔵されており、音響的な共鳴の変化を測定する。同社によるとこれは、肺機能検査の基本である肺気量の変化をよく表しているとのことだ。

使われている技術は非常に巧妙だ。Sylveeは、スピーカーからノイズを発生させ、その発生した音をマイクで測定する。空洞があると音の質が変わるという理論で、ドラムセットのドラムヘッドを叩いた後に、綿や羊毛、液体を詰めて同じように叩いたときと同じだ。私は医者ではないが、肺の中には一般的に空気腔があるものと思われる。このウェアラブルは、収集したデータをもとに、肺の容積、容量、流量、そして空気の滞留を測定する。

「確立された科学では、低周波音を使って空気のとらえ込みを90%以上の精度で測定できることがわかっています。慢性閉塞性肺疾患患者と健常者では、音響共鳴スペクトルに明らかな違いがあります。慢性閉塞性肺疾患、新型コロナウイルス(COVID-19)、喘息の患者数は1億人を超え、高齢化も進んでいるため、肺機能を遠隔で正確にモニターし、問題を早期に発見して深刻な事態を回避することは、命を救うことにつながります。私たちの目標は、異常を早期に発見し、自宅での早期治療を可能にし、患者さんが自らの健康を管理できるようにすることです」。とRespira Labの創設者兼CEOであるMaria Artunduaga(マリア・アルトゥンドゥアガ)博士は説明してくれている。

Sylveeは、胸郭に装着して使用する。肺の健康状態を判断するために、音を出し、肺の共鳴をとらえる(画像クレジット:Respira Labs)

製品名のSylveeは、慢性閉塞性肺疾患を患い、発見できずに症状が悪化して亡くなったアルトゥンドゥアガ博士の祖母にちなんで名づけられている。

「このデバイスは、呼吸器系の患者が避けなければならない、急性の悪化の早期診断と管理を容易にしてくれます。私たちは、医師や患者に重要な情報を提供することで、より早い段階で治療法を切り替え、入院を防ぐことができます。これは私の祖母に起こったことです。彼女は慢性閉塞性肺疾患を患っていましたが、突然症状が悪化し、敢えなく亡くなってしまいました。私は、恐ろしくも、一般的なこの結果をきっかけに、医師としてのキャリアを捨て、このSylveeの開発に専念しました」とアルトゥンドゥアガ博士は述べている。

Respira Labsは、米国内外で500人以上の患者を対象とした大規模な試験を実施することで、空気のとらえ込み測定精度を90%にすることを目標としている。また、2022年後半には有名なジャーナルに論文を発表する予定だ。このデバイスは現在試作中で、今後18カ月以内にFDAの認可が下りる予定だ。

画像クレジット:Respira Labs

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

コロナ禍でもマンションの消防訓練ができる管理組合向け防災コンテンツ「VR消防訓練」、横浜消防局監修

マップ型リアルタイム空き情報配信サービス「VACAN Maps」が導入避難所数1万件達成、災害時の混雑状況を可視化

大和ハウスグループの大和ライフネクストは11月10日、マンション居住者のための仮想消防訓練が行える「VR消防訓練」のサービス提供を開始した。これは、大和ライフネクスト、理経、横浜市との三者連携協定による「次世代型マンション防災コンテンツの共同研究開発」の成果とのこと。

このコロナ禍で、大勢のマンション住人が集まって消防訓練を行うことが難しくなっている。また、いろいろな理由で訓練に参加できない住民も少なくない。横浜市消防局の調べでは、2020年度、横浜市の自治会や町内会で消防訓練が実施された件数は、前年度の6割減だった。VR消防訓練は、そうした状況化でも、人が実際に密集することなく訓練が行える機会を提供する。試験的に導入したあるマンションでは、VR消防訓練の参加者は、従来の形に比べて参加率が5倍に増えたという。

VR消防訓練には、次の3つの特徴がある。

  • いつでも、どこでも、何度でも参加可能:スマートフォンを使ってVR動画を視聴する形なので、期間中は何度でも、各自それぞれのタイミングで見ることができる
  • 消防法に則った訓練内容:消防法で定められた、消火訓練、避難訓練、通報訓練が、横浜市消防局の監修によるVR動画で体験できる
  • マンション管理組合の負担軽減:居住者への案内、参加集計、実施後のアンケートなど、必要な作業はコンテンツに含まれているので、管理組合の手間が省ける

また同サービスは、大和ライフネクストが展開するマンション防災関連サービス「マンボウ」の1つとして提供される。サービス開始時点では、大和ライフネクストが管理を受託するマンション管理組合を想定しているが、今後は広く一般にもサービス提供を行う予定。「オンリーワン防災マニュアル制作サービス」と組み合わせて使うことで、より効果的にマンション居住者の防災力、自助力の向上がはかれると、同社では話している。

北海道大学、太陽電池とプラズモンを結合させ光学的変化を電気的に検出するバイオセンサーを開発

糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達
北海道大学、太陽電池とプラズモンを結合させ光学的変化を電気的に検出するバイオセンサーを開発

太陽電池-プラズモン結合型バイオセンサー略図。ある条件で表面プラズモンが誘起されるとシリコン膜内を光が往復しないために電流値は小さい。抗体に抗原の新型コロナウイルスのタンパク質が結合すると、屈折率が変化し表面プラズモンが誘起されなくなり、シリコン膜内を光が往復して強い光電流が流れる

北海道大学は11月11日、太陽電池とプラズモンを結合させて光学的変化を電気的に検出する新原理を開発し、バイオセンサーの大幅なコンパクト化と高感度化を同時に実現したと発表した。抗原検査、抗体検査の両方に対応でき、ウェアラブル・バイオセンサーへの応用が期待されるという。

北海道大学電子科学研究所の三澤弘明特任教授と、同大学大学院理学研究院の上野貢生教授らによる研究グループは、石油科学や医薬品などの研究開発を行うイムラ・ジャパンと共同で、シリコン薄膜太陽電池内に閉じ込めた光とプラズモンとの相互作用を利用して電子信号を変化させる原理を発見し、革新的なバイオセンサーを開発した。

プラズモンとは、金属中の自由電子が集団的に振動することで生じる電子の波のこと。金の薄膜に抗体を配置しておくと、光が当たったとき、抗体だけのときと抗体に抗原が結合したときとでは、光の反射率が変化する。この原理を利用した表面プラズモン共鳴(SPR)センサーは、アレルギーやインフルエンザの検査などに使われているが、装置が大型になるという課題点があった。研究グループは、プラズモンを太陽電池と結合させ、金の被膜に光が当たったときに生じる屈折率の違いを発電量の変化として捉えることに成功。そのため、コンパクトなバイオセンサーへの道が拓かれた。

このセンサーでは、SPRの励起(エネルギーを高めること)にプリズムを使っているが、「センサー表面に規則的に配列したナノグレーティング構造を配置」することでも励起が可能であることがわかり、将来的にはLEDによるSPR励起と集積可能な電気検出を組み合わせたウェアラブルなバイオセンサーも可能になると期待されている。

内閣府「ワクチン・検査パッケージ」対応、playgroundが有観客イベントの感染対策をワンストップで支援するサービス提供

総合エンターテック企業のplaygroundは11月4日、有観客イベント運営における感染対策を支援する「イベント入場業務の感染拡大対策、ワンストップアウトソーシングサービス」の提供開始を発表した。

内閣府の「ワクチン・検査パッケージ」に関する技術実証事業および経済産業省のコロナ禍のイベント開催様式の実証事業で採択された、プロバレーボールチーム「ヴォレアス北海道」との実証実験では、全来場者にワクチン・検査履歴の登録を義務付け、「ワクチン・検査パッケージ」を基に合計1000名が入場したという。

なおこの「ワクチン・検査パッケージ」とは、「ワクチン接種歴およびPCRなどの検査結果を基に、個⼈が他者に⼆次感染させるリスクが低いことを⽰す仕組み」を指す(内閣官房「ワクチン接種が進む中における日常生活の回復に向けた特設サイト」)。

playgroundの支援サービスは、「入場管理面」「イベント運営面」の双方から、新型コロナウイルスの感染対策を一気通貫でサポートするというもの。興行主側の専門知識やノウハウの不足、運営リソースの不足などの課題をクリアでき、様々なイベントの実施ハードルを下げてWith/Afterコロナ時代における有観客イベントの実現が可能になるという。

入場管理においては、playground独自の入場認証機能「MOALA QR」を搭載した電子チケット発券サービス「MOALA Ticket」を利用。今回コロナ対策として、同伴者を含めた全来場者に対する来場者情報と「ワクチン・検査パッケージ」の登録を事前に行える機能を搭載したという。

まずイベント来場者は、playground提携のチケット販売各社でチケットを購入後、ウェブブラウザーで表示された電子チケット券面上において、本人確認用の顔写真・来場者情報・ワクチン接種履歴(または検査履歴)の3点を登録する。来場者は、この際発行された入場用QRコードを、スマートフォン(または紙印刷)でイベント会場に持参することになる。

イベント当日は、入場認証端末に顔とQRコードをかざす動作だけで、チケット確認・本人認証・発熱検知および「ワクチン・検査パッケージ」確認を1.5秒以内に終えられる。

興行主は全入場管理を1つの管理画面上で確認できるため、コロナ対策に向けた新たな人員拡充や設備追加、管理業務が不要となることに加え、蓄積した来場者データに基づくイベント後のアフターフォローやマーケティング活動に活かせるという。

またplaygroundによると、イベント運営支援の面において、感染対策における運営設計から、官公庁・医療機関などの関係各所とのコミュニケーション代行、抗原検査キットといった各種物品の仕入れ支援までワンストップでサポートする。playgroundは、専門業者として情報収集と対策を実施しており、日々変化する感染情報や政府方針、世論に対してタイムリーで最適な対応が可能であるとのこと。こうした部分をアウトソーシングすることで、イベント運営者はイベント本来の価値向上に集中できる環境を構築できるとしている。

2017年設立のplaygroundは、スポーツ・エンターテインメント業界に特化した技術開発、コンサルティング、SI事業を行なう総合エンターテック企業。エンタメのデジタル化支援プラットフォーム「MOALA」の提供、コンサルティング・SIサービスの提供などを事業としている。

マイクロソフトが、サプライチェーンと製造業を近代化する新ツールを発表

新型コロナウイルス感染流行は、原材料の欠如や労働力の不足など、様々な理由で世界のサプライチェーンに大打撃を与えた。問題は依然として続いており、Microsoft(マイクロソフト)はサプライチェーンと製造業の近代化に、多大なリソースを投入することを決定した。

これらの問題に対処するために、同社は「Microsoft Cloud for Manufacturing(マイクロソフト・クラウド・フォー・マニュファクチャリング)」と呼ばれる新しい製造業向けソリューションと、「Dynamics 365 Supply Chain Insights(ダイナミクス365サプライチェーン・インサイト)」という、サプライチェーンのルート上で起こっていることをより可視化し、問題が発生したときに対処するためのインテリジェンスを提供するためのツールを発表した。米国時間11月2日に開催された「Microsoft Ignite(マイクロソフト・イグナイト)」で発表された両製品は、同日よりプレビュー版が提供されている。

マイクロソフトの製造・サプライチェーン担当VPを務めるCaglayan Arkan(カグラヤン・アルカン)氏によれば、同社はこれらの問題を企業が解決するのに役立つ方法を考えるのと同時に、製造業にとって課題となっている、よりデジタルに注力した企業への進化を支援する方法を考えてきたと述べている。

アルカン氏によると、この事態を調査したマイクロソフトは、新型コロナウイルスの圧力に直面した際に、持ち堪えることができない脆弱なシステムを目の当たりにしたという。「製造業やサプライチェーンは非常に確固とした状態にあり、非常に引き締まっています。おそらく引き締まり過ぎているのです。これらの業界では、非常に長いサイクルと手動でサイロ化されたデータの状態に大変満足してきました」。

新型コロナウイルス感染流行が起こるまで、製造業は何年もこの方法で仕事をしてきており、変える理由がなかったのだと、アルカン氏は付け加えた。「(新型コロナウイルス流行によって)すべてが止まりました。従業員を現場に送ることができなくなり、物資もそこにはありませんでした。サプライヤーの顔を見ることもできず、商品がどこにあるのかもわからず、大きな混乱に陥りました」と、アルカン氏は説明する。

マイクロソフトの製造業向けクラウドは、工場のデジタル化を支援し、従来の記録システムからアルカン氏の言う「現実のシステム」へ移行することによって、完全なデジタル化への道筋を提供する。

つまり、製造企業は、市場でどんな需要があるか、現場で何が生産されているか、世界で何が供給されているかをリンクさせて、全体像を把握できるようになる必要があり、それによって新型コロナウイルス流行の初期にトイレットペーパーやPPE(個人防護具)の需要が急増したときのような、不意打ちをくらわないようにすることができるということだ。

Cloud for Manufacturingは、このような徴候を収集し、追加の供給が必要になった場合には製造業者に警告を発するように設計されている。そしてSupply Chain Insightsツールは、サプライチェーンのルートをマッピングし、ボトルネックが発生する前に、主要な原材料の供給に影響を与える可能性のある問題を根絶するように設計されている。これらのツールを組み合わせることで、製造企業は俊敏性と柔軟性を向上させることができる。

Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Insights 画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトは、これまで非常にゆっくりと近代化を進めてきたこの種の企業が、既存のシステムを引き剥がして取り替えたり、大規模なプロジェクトを抱えたりすることは望んでいないと理解している。アーカン氏が言うように、まずは1つのプロジェクトを成功させてから、次のプロジェクトに移る必要があり、アーカン氏によれば、このソリューションはそれができるように設計されているという。

しかも、それぞれのプロジェクトは互いに積み重なり、節約とイノベーションによって、次のプロジェクトの資金源になると、アーカン氏は言う。「デジタルトランスフォーメーションにおけるすべてのステップ、当社とのすべてのエンゲージメントは、次のプロジェクトに資金を追加するための経済的余裕を生み出します。なぜなら、当社のソリューションは、8~12週間のうちに、総収入や生産能力を増やしたり、コスト削減や品質向上をもたらすからです」と、アーカン氏は述べている。

これは大胆な約束ではあるが、もしマイクロソフトが本当にそれを実現できるなら、伝統的にこのような大きな変化を拒んできた企業にも、モダナイゼーションへの快適な道が開かれることになる。

マイクロソフトをはじめ、SAPやSalesforce(セールスフォース)などの大企業がこれらの本質的な問題を解決できれば、今日見られるようなサプライチェーンの問題が緩和される可能性がある。ソフトウェアだけでは、不足している原材料を魔法のように生産したり、物資の製造や配送のために十分な人員を雇用したりすることはできないが、将来におけるこのような危機を緩和するために役立つソリューションの一部となることはできる。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

東京大学が街路を歩行者専用にすると小売店と飲食店の売上げが向上することを証明

提供メニューの「仕込み」を発注できる飲⾷店向けアプリ「シコメル」を運営するシコメルフードテックが1.5億円調達
東京大学が街路を歩行者専用にすると小売店と飲食店の売上げが向上することを証明

オープンストリートマップ(OSM)から取得した歩行者空間の時系列変化の例。バルセロナ市とヴァジャドリッド市の2012年12月における歩行者空間の分布

東京大学先端科学技術研究センターは10月29日、街路を歩行者空間化することで、街路に立地する小売店や飲食店の売上げが、非歩行者空間に立地する事業者に比べて売上げが高くなることを定量的に示す研究結果を発表した。ウィズコロナに対応した街づくりにおいて、パンデミックへの備えと経済活動とを両立させる街路の有効活用といった政策立案や住民との合意形成に、強い根拠になりうるとしている。

この研究は、東京大学先端科学技術研究センターの吉村有司特任准教授、熊越祐介特任研究員(研究当時)、小泉秀樹教授のグループが、マサチューセッツ工科大学センセーブルシティラボのセバスティアーノ・ミラルド、ポスドク研究員、パオロ・サンティ主任科学研究員、カルロ・ラッティ教授、アーバン・サステイナブル・ラボのイーチュン・ファン博士課程、スーチー・セン教授、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)のホアン・ムリーリョ氏らとの共同で行われた。

研究対象となったのはスペイン全土。2010年から2012年にかけて、毎月、歩行者空間の分布情報を取得、またBBVAからは、歩行者空間周辺に立地する事業者の匿名化された取引情報の提供を受けて調査が行われた。車が通れない歩行者と自転車専用の空間(歩行者空間)の周辺に立地した小売店や飲食店の売上げを、そうでない地域の小売店、飲食店と比較したほか、非歩行者空間から歩行者空間へと街路の用途変更が行われた地区での「周辺環境に及ぼす経済的影響」が調査された。その結果、どちらも歩行者空間での売上げが向上することが判明した。

以前から、生活必需品の購入は歩行者空間であるか否かはあまり影響しないが、ランチやディナー、お茶を飲むといった体験型の消費活動は「歩行者中心で編成される街路」が好まれるという推測はあったが、それがデータとサイエンスにより裏付けされる形となった。

OKIが東京ドームでの「声を出さない応援」の測定・分析に成功

沖電気工業(OKI)は10月28日、東京ドームでのプロ野球の試合中に、観客がどれだけ歓声をあげているかを測定し分析する実証実験を実施したと発表した。コロナ禍で声を出す応援が禁止される中、観客の歓声だけを抽出し、声を出さない応援がどれだけ守られているかを確認するためのものだ。

実験が行われたのは、東京ドームで行われた東京読売ジャイアンツの試合のうち、4月と7月の2回。特別に指向性を高めたマイク装置を観客席に3基設置して試合中の会場内の音を収録。その音響データから、野球の打球音や場内アナウンス、BGMなど歓声以外の音声をおよそ15dB(デシベル)低減することで、観客の歓声の音量を測定した。これにより、歓声が発せられたタイミングから、音量の推移が定量的に評価できるようになった。OKIが東京ドームでの「声を出さない応援」の測定・分析に成功

このことから、試合中に声を出さない応援が、どれほど守られているかがわかる。これは、イベントにおいて声を出さない応援の実効性を示す指標のひとつとして活用できるとのことだ。この実験結果を踏まえ、音声分析技術をさらに発展させて「コロナ下での社会経済活動の再開」に貢献したいと、OKIは話している。

アドビが米国の全従業員に12月8日までのコロナワクチン接種を義務付け、未接種の場合は無給休暇

アドビが米国の全従業員に12月8日までのコロナワクチン接種を義務付け、未接種の場合は無給休暇

Morsa Images via Getty Images

Adobeが、12月8日までに新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けるとして、米国の全従業員にメールを送信しました。これは、米国のバイデン大統領による大統領命令に従うためのもの。

バイデン大統領は9月、全ての連邦政府職員と契約職員、請負業者、医療関係者に12月8日までのワクチン接種を義務付けると発表しています。Adobeは米国政府との取引が多く、2021年3月には、50州すべてと提携しAdobe Experience CloudとAdobe Document Cloudでサービスのデジタル化を支援すると発表しています。このこともあり、政府と取引をするならワクチン接種が必須になると判断したようです。

なお、社内アンケートによれば、米国従業員の93.5%がすでにワクチンを接種済みか、接種過程にあるとのことです。ワクチン未接種の場合、無給休暇の扱いになるようですが、宗教的・医学的理由でワクチンを接種できない場合は考慮するとしています。

ワクチン接種の義務付けはAdobeに限ったことではなく、IBMでも同様の措置を発表済み。また、Googleも7月に出社するすべての従業員にワクチン接種を義務付けるとしています。Appleはワクチン接種を義務付けてはいませんが、11月1日以降ワクチン未接種の従業員は毎日の検査報告が義務付けられます

(Source:CNBCEngadget日本版より転載)

アップルがワクチンを接種していない従業員に対し、毎日の新型コロナウイルス検査を義務付け

Apple(アップル)は、Google(グーグル)のように全従業員にワクチン接種を義務付けるような命令はまだ出していないものの、それでも新型コロナウイルスに関する指示は締め付けを増している。Bloombergによると、アップルはワクチンを接種していない社員に対し、自宅ではなくオフィスで仕事をしなければならない場合には、毎回ウイルス検査の義務付けを始める予定だという。9月にBloombergが報じたところによれば、アップルは従業員に、ワクチン接種状況を自主的に共有するよう求めていた。ワクチン接種状況の共有を拒否した人は毎日検査を受けなければならないが、ワクチンを接種した社員は週に1回の迅速検査だけで済む。

しかし、同社の小売店であるApple Storeの従業員は、消費者に接する仕事であるにもかかわらず、毎日の検査は課せられない。ワクチンを接種していないスタッフは、週に2回の検査が義務付けられており、ワクチンを接種したスタッフは、アップルのオフィスワーカーと同様に、週1回の迅速検査を受けるだけで済む。この巨大テクノロジー企業が今後、新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けるようになるかどうかはわからないが、Biden(バイデン)政権は以前、すべての連邦事業請負業者に対し、12月8日までに全従業員へのウイルス接種を義務付けるよう指示している。Bloombergが指摘するように、アップルは米国政府にも製品を販売しているのだ。

現在のところ、アップルは従業員に10月24日までに予防接種の状況を報告し、証明を提示するように指示したと報じられているため、11月1日から新規則を実施する可能性が高い。ワクチンを接種していない従業員は、アップルのオフィスや店舗で家庭用の迅速検査キットを受け取り、自分で検査をして、その結果を社内アプリを通じて報告しなければならない。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したMariella Moonは、Engadgetの編集委員。

画像クレジット:Apple / Apple

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

従業員コンディション分析のラフールが医療従事者向け特化サーベイ「LAFOOL SURVEY for Medical Workers」提供開始

従業員コンディション分析のラフールが医療従事者向け特化サーベイ「LAFOOL SURVEY for Medical Workers」提供開始

組織や従業員の状態を可視化するツール「ラフールサーベイ」(Android版iOS版)を提供するラフールは10月21日、医療従事者向けに特化したサーベイ「LAFOOL SURVEY for Medical Workers」の提供を開始した。

東北大学が発表した、病院に勤務する看護職1万名を対象とした調査によると、約42%の看護職が、コロナ禍の影響で「看護職の仕事を辞めたいと思った」「自信がなくなった」と回答しており、コロナ禍が看護職の離職を促す可能性が懸念されている(「新型コロナウイルス感染症流行下における看護職の精神健康ケアの必要性増」)。

さらに、新型コロナウイルス感染症の程度の大小にかかわらず、看護職の精神健康の状態が悪化やネガティブな影響をもたらしていることが明らかになったという。

同社は、創業当初より企業や企業で働く人のメンタルヘルスケアを支援しきた実績やパートナーである精神科医、大学の知見を元に医療従事者に力添えができるよう、医療従事者向けに特化したサーベイの提供を開始したという。

医療従事者向けに質問をカスタマイズ

LAFOOL SURVEY for Medical Workersは、同社ラフールサーベイをベースに医療従事者向けに質問のカスタマイズを実施しており、メンタル不調予防対策やエンゲージメントの低下を未然に察知することが可能という。

従来のストレスチェック(57項目)に職場環境を把握できる設問を追加し、計141項目により状態把握・要因分析を行い、対策リコメンドをワンストップで導き出せる。また、ストレスやフィジカルの状態の良し悪しを図る「状態把握」の項目をはじめ、なぜストレス状態が悪いのか理由を特定するための「要因分析」の項目を加えることで、分析が可能となっている。

職員のセルフケアを促すマイページを⽤意

従来のサーベイツールでは、施設や指示者側が職場を変えるため、「職場の状態を可視化する」ことを重視したサービスが⼀般的という。⼀⽅「医療従事者向けメンタルヘルスサーベイ」では、「働く個⼈の意識を変える」ため、サーベイを回答した職員⾃⾝の結果を閲覧できるマイページなどを⽤意している。⼼⾝の健康状態やエンゲージメントなど、⾃⼰認知の向上やセルフケアの促進の⼀助となるとしている。

職場課題の要因特定から課題解決の施策をレコメンド

LAFOOL SURVEY for Medical Workersでは、職員の状態の可視化と合わせ、個⼈の体調やメンタルが悪化している要因を分析する機能を採用。また、課題に対しての施策をレコメンドするため、どのような施策を⾏うべきか思い悩む必要がないという。施設や指示者が施策を⾏う上での⼯数を削減し、職場課題に直結した施策を実施することでコスト削減や業務効率の向上を実現するとしている。

新型コロナウイルスを検出するバイオセンサーを東海大学・豊橋技術科学大学・中部大学・デンソーが共同開発

新型コロナウイルスを検出するバイオセンサーを東海大学・豊橋技術科学大学・中部大学・デンソーが開発

東海大学・豊橋技術科学大学・中部大学デンソーは、日本医療研究開発機構(AMED)の支援のもと、新型コロナウイルス検査機器の開発に取り組んでおり、新しい仕組みのバイオセンサーを開発し、新型コロナウイルスの検出に成功したと発表した。今後は、感染症の早期診断に貢献することを目指し、実用化に向けた開発を加速する。

感染症の拡大および医療のひっ迫を防ぐには、感染症の早期診断、早期隔離によるウイルス拡散の未然防止が重要とされる。しかし現在、新型コロナウイルス感染症の診断には、PCR検査・抗原検査などが利用される一方、それら検査では検出したウイルスの感染力の有無を示す「ウイルスの感染性」が評価できないことが課題となっている。

また、PCR検査はウイルスの検出感度は高いものの前処理など医療従事者への負荷が大きく、抗原検査は簡便な検査であるが検出精度にバラツキがあるなどの課題があり、「ウイルスの感染性」を評価する高感度かつ簡便な検出方法の開発が求められている。

東海大学、豊橋技術科学大学、中部大学、デンソーが共同開発を進めているバイオセンサーは、「ウイルスの感染性」を高感度かつ迅速に定量検出する臨床検査機器としての活用を目指したもの。PCR検査や抗原検査とは異なり、感染のきっかけとなるウイルス表面のスパイクタンパク質を、半導体センサーとアプタマー(人工的に合成した核酸分子。特定の物質に結合する性質を備える)で検出することが可能という。

この技術は世界で初めてものとしており、今回同手法を用いて新型コロナウイルスを高感度で検出することに成功した。

新型コロナウイルスを検出するバイオセンサーを東海大学・豊橋技術科学大学・中部大学・デンソーが開発

新型コロナウイルス検出イメージ

半導体センサーは、ウイルス量を電気信号で定量的に計測できるため、高い精度での感染状況の把握や、治療の有効性の確認などへの活用が期待できるという。また、アプタマーはサイズが小さく、さまざまなタンパク質と選択的に結合する性質を持つとともに、設計が容易であり短期間での量産も可能であることから、未知のウイルスの検出に応用することも可能としている。

3大学とデンソーは、同バイオセンサーが、新型コロナウイルスの感染性が把握できることに加えて、PCR検査と同等レベルのウイルス検出感度を持ち、抗原検査と同等レベルの簡便な検査となることを目指し、さらに基礎技術を固めていくとともに、実用化に向けた開発を加速する。

各機関の役割およびコメント

  • 東海大学:感染制御と検査の専門医の立場から、感度・特異度に優れ、感染性の有無がわかる操作が簡便かつ迅速な検査機器の開発を切望している。世界に誇る技術力で開発された検査機器についてニーズに対応する仕様と性能、信頼性と精度の確保を目指す
  • 豊橋技術科学大学:ウイルス量を電気信号に変換できる半導体センサーを製作して、同プロジェクトに提供。半導体技術を使うと、米粒大のセンサーにより、1種類のウイルスだけではなく、症状が極めて似て区別がつきにくい場合でも1回の検査で区別できるようになる
  • 中部大学:半導体センサーの性能を評価するため、様々な種類のウイルスを準備し提供。同バイオセンサーは、従来のPCR検査だけでは把握できない「感染力を有するウイルス」を短時間で検出できる技術。体内に入ったウイルスが増殖の真っただ中なのか、終息に向かっているかなどの現状認識が可能になれば、隔離解除のタイミングが明確になり、安心した社会復帰の実現が期待できる
  • デンソー:快適な車室内空間を作るための先行研究の1つとして行っていた、様々なウイルスやバイオマーカー検出の研究開発の中で得た知見を生かし、より感度高く半導体センサーでウイルスを検出するためのバイオ技術を提供。これまで培ってきたバイオと半導体技術を生かし、実用化を目指した開発を加速する

「ワーキングプアをなくす」無料オンラインキャリア相談サービス「CHOICE!」のCompassが2億円のシリーズA調達

オンラインでのキャリア相談サービス「CHOICE!」を提供するCompassは10月18日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による2億円の資金調達を発表した。引受先は、はたらくFUND、マネックスベンチャーズ、田中邦裕氏(さくらインターネット代表取締役社長)。

調達した資金は、AIマッチング機能などの開発体制の強化、営業マーケティングチームの強化にあてる。これらにより、市場開拓に向けた自治体との連携、企業開拓のフォロー体制を整えるともしている。

CHOICE!はより多くのキャリア相談の機会と、ミスマッチの少ない就業機会を作ることを目的とするオンラインサービス。近年はコロナ禍により就業と転職の機会が減少する一方で、CHOICE!でのキャリア相談が増加しているという。相談後には「相談データを活かした転職活動」を提案する「CHOICE!+転職エージェント」の提供も行っているそうだ。これらプロダクトの実績が評価された結果、神戸市や京都市といった自治体での就労支援をDX化する取り組みも広げている。

2017年設立のCompassは「日本からワーキングプアをなくす」ことをミッションに掲げ、LINEアプリを活用し求職者と求人会社のマッチングを行なうスタートアップ。CHOICE!のほか、キャリアアップと働き方に役立つウェブメディア「WORLD Compass」や、LINEを活用したキャリア相談機能を搭載したデジタル母子手帳「Mother Helper」などを運用している。

【ロボティクス】パンデミックの影響、看護支援ロボットDiligent Robotics CEOとの興味深い話

筆者はここ数日、大きなプロジェクトに関わっていた(詳細については近日公開予定)ため、残念ながら最新ニュースにしばらく目を通しておらず、ロボティクスに関する今週の大きなニュースについてまったく把握していなかった。そこで、このコラムでその遅れを少し取り戻したいと思う。

そのニュースを取り上げる前に、少し別の話を紹介しよう。筆者は、パンデミックの期間中にユニークな経験をした興味深いロボティクス企業と対談する機会があった。

Diligent Robotics(ディリジェント・ロボティクス)がシリーズAを発表したとき、世界はそれまでとはまったく違ってしまったと言っていいだろう。2020年3月は今からそれほど遠い昔ではないが、現在に至るまでパンデミックによって世界中の医療機関は非常に大きな負担を強いられ続けており、その影響がこれほどまでに広範囲かつ長期間に及ぶとはほとんど誰も予想していなかった。病院スタッフの過労と人手不足の傾向は、新型コロナウイルス感染症の流行以前にも見られたが、流行後にはその傾向が顕著になり、同社の看護支援ロボットMoxi(モキシー)の需要が急激に増加した。

2020年実施された1000万ドル(約11億円)の資金投入がディリジェントの成長に貢献したことは間違いないが、同社は在宅勤務に移行する際に誰もが遭遇する課題に対処しながら、生産能力を高めるという難しいタスクに取り組んでいた。

2017年にVivian Chu(ヴィヴィアン・チュー)氏とともにディリジェントを設立した、Interactive Computing at Georgia Tech(ジョージア工科大学インタラクティブ・コンピューティング学部)のAndrea Thomaz(アンドレア・トマス)准教授は筆者たちと今週会い、2020年経験したユニークな課題と機会について話してくれた。

ロボティクス業界とディリジェントが、パンデミックによって受けた影響の度合いは?

さまざまな業界で労働市場が実に劇的に変化した。これはロボティクス業界とディリジェントの両方に言えることだが、この劇的な変化は、多くの従業員が退職しようとしていること、すなわち何か別のことを始めようとしていることと関係しているように思える。そして実際、多くの人が職を変えている。この傾向はあらゆる技術的な職業に見られ、我々の業界や医療業界で多くの事例が上がっている。とにかく、多くの人が何か別のことを始めようと考えている。パンデミックが始まる前も労働力に関する課題はあったが、今やそれが危機的なレベルになりつつある。

技術的な仕事に就きたいと思う人は常に少ないが、技術的な仕事の需要は常に高い。これはある意味、危機的な状況と言えるだろう。

この傾向はパンデミック前から始まっていた。パンデミックでそれが顕著になったに過ぎない。この傾向は、医療保険改革法(オバマケア)に端を発している。より多くの人が医療を受けられるようになったということは、病院に行って医療を受けられる人が増えたことを意味する。これが高齢化と相まって、必要な医療を提供するスタッフのさらなる不足を引き起こしている。

パンデミック発生の時点でロボットを採用していた病院の件数と、需要がその後どのように急増したかという観点から、需要を把握することはできるか?

我々はまだその情報を公開していない。来年の前半までには、その規模についてより具体的な数値を発表できるだろう。ただし、四半期ごとにロボットの出荷台数を2倍に増やしていることは確かだ。

そのようなロボットの運用に至るプロセスはどのようなものか?

これは、病院市場に関して非常に興味深いテーマであると考えている。このプロセスは、倉庫や製造における従来の自動化とは異なる。ロボットを運用する環境では、看護師や臨床医が働いている。ロボットは、そのような環境で人と一緒に作業をしなければならない。我々は、まず初めにワークフローを評価する。つまり、その環境で現在どのように業務が行われているかを評価するのだ。

画像クレジット:Diligent Robotics

パンデミックは企業の成長にどのような影響を与えたか?

パンデミック前は、製品の市場適合性が満たされていた。我々の研究開発チームの作業は、製品に変更をわずかに加えるだけの非常に小規模なものだった。製品を顧客に見せて価値を示すだけでよかった。しかし現在は契約の締結と納入が重要で、最短期間で導入し、耐久性を最大限高めることを考えることが必要だ。特にハードウェアの面では、製造プロセスと信頼性に関してどのように設計すべきかが大切だ。現在、当社のロボットが現場で1年以上稼働しており、以前と比べて信頼性が高まっている。今や、ロボティクスのロングテール現象が起こりつつあり、今後が楽しみだ。

パンデミックによって、ロボティクスの分野で驚くべき機能や需要が生まれたか?

当社の顧客のどの現場でも「そのロボットはコーヒーを持ってこられるようになるか」と看護師は口を揃えていう。モキシーがロビーのStarbucks(スターバックス)に行き、みんなのためにコーヒーを買ってくることを看護師たちは期待している。自分たちはスターバックスに行って並ぶ時間がないから、時間の節約になるというわけだ。実現できないわけではないが、積極的に試してみようとは考えていない。

つまり、モキシーにエスプレッソマシンを搭載する計画はないということか?

その計画が来年のうちに実現することはないだろう。

近い将来、資金をさらに調達する予定はあるか?

現在、増資の計画中だ。今のところ順調だが、顧客からの需要が非常に高まっているため、チームを増強してロボットの出荷台数を増やすのは、やぶさかではない。

現時点では米国市場に注力するつもりか?

当面はその予定だ。当社では、世界的に展開する戦略について検討を始めている。2022年中に当社の製品が世界中に行き渡るとは考えていないが、すでに多くの引き合いが来ている。現在、販売パートナーを選定中だ。世界各地のクライアントから、1カ月に何件も問い合わせが来ている。今のところ、それらのクライアントと積極的に進めているプロジェクトはない。

画像クレジット:Tortoise / Albertsons

資金調達とコーヒーの配達については、別の機会に取り上げよう。今週は、配送関連で注目の話題がいくつかあるので紹介しよう。まず、過去に何度も取り上げたTortoise(トータス)だが、同社のリモート制御による配達ロボットのチームに追い風が吹いてきた。米国アイダホ州を拠点とするKing Retail Solutions(キングリテールソリューションズ)との取引によって、ラストワンマイル配送用に500台を超えるトータスのロボットが米国内の歩道に導入される。

CEOのDmitry Shevelenko(ドミトリー・シェベレンコ)氏は「未来の姿がニューノーマルになるというこの新しい現実に、誰もが気づき始めている。ラストワンマイル配送で時給20ドル(約2300円)稼ぐスタッフを動員しても、想定されるどんな状況でも消費者の期待に応え続けるということはできない。単純計算は通用しないのだ」と語る。

先に、Google(グーグル)のWing(ウィング)は、同社による提携を発表した。ウィングは、オーストラリアの小売店舗不動産グループであるVicinity Centres(ビシニティ・センターズ)と提携し、ドローンを使用した配達プログラムの範囲をさらに拡大する。ウィングは、10万件の配達を達成したという先日の発表に続き、オーストラリアのローガン市にあるグランドプラザショッピングセンターの屋上からの配達件数が、過去1カ月間に2500件に達したと発表した。

ローガン市の住民は、タピオカティー、ジュース、寿司を受け取ることができる。今や美容と健康に関する製品まで配達できるようになった。ウィングは「一般的な企業の建物には屋上があるため、当社の新しい屋上配達モデルによって、ほんの少しの出費とインフラ整備だけで、さらに多くの企業がドローン配達サービスを提供できるようになる」と語る。

画像クレジット:Jamba / Blendid

ジュースといえば(といっても、まとめ記事で筆者がよく使う前振りではない)、米国サンフランシスコのベイエリアを拠点とするスムージーロボットメーカーのBlendid(ブレンディド)は先に、Jamba(ジャンバ)のモールキオスク2号店に同社の製品を導入すると発表した。このキオスクは、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡のダウニー市のモールに今週オープンした。ちなみにダウニー市は、現在営業しているMcDonald’s(マクドナルド)の最も古い店舗がある都市でもある(Wikipediaより)。

これは時代の波だろうか。それとも何かのトリックだろうか。答えはどちらも「イエス」だ。

ジャンバの社長であるGeoff Henry(ジェフ・ヘンリー)氏はプレスリリースで「Jamba by Blendid(ジャンバ・バイ・ブレンディド)のキオスク1号店オープン後に、Stonewood Center(ストーンウッド・センター)に試験的にキオスク2号店をオープンして、モールの買い物客に新鮮なブレンドスムージーを販売できることをうれしく思います。ジャンバ・バイ・ブレンディドでは最新の非接触式食品提供技術を採用しているため、当社の現地フランチャイズ店は、ジャンバ好きのファンにスムージーを簡単に提供できます」と述べている。

画像クレジット:Abundant Robotics

ここで、フルーツに関するビジネスの果樹園サイドに注目しよう。Robot Report(ロボットレポート)に今週掲載された記事には、Wavemaker Labs(ウェーブメーカーラボ)が今夏に廃業したAbundant Robotics(アバンダント・ロボティクス)のIPを取得したことが紹介されている。残念ながら、アバンダントのリンゴ収穫ロボットが復活するわけではなさそうだ。どうやら、ウェーブメーカーのポートフォリオスタートアップ企業であるFuture Acres(フューチャー・エーカーズ)のロボティクスシステムに、このIPが組み込まれるようだ。

最後に、アームに搭載されたRFアンテナとカメラを使用して紛失物を探す、MITが研究しているロボットを簡単に紹介しよう。以下はMITの発表からの引用文だ。

このロボットアームは、機械学習を使用して対象物の正確な位置を自動で特定し、対象物の上にある物を移動させ、対象物をつかみ、目標とする物体を拾い上げたかどうかを確認する。RFusionにはカメラ、アンテナ、ロボットアーム、AIが包括的に統合されており、どんな環境でも的確に機能する。特別な設定は不要だ。

画像クレジット:Diligent Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

コロナ禍で売上ゼロから評価額約8265億円へ、支出管理ツールに拡大したTripActionsの314億円増資にフィンテックが貢献

新型コロナウイルス感染症パンデミック以前のTripActions(トリップアクションズ)は、航空券、ホテル、レンタカーなど、企業の出張手配に関するさまざまな側面を経費の追跡と統合する機能で知られていた。

しかし、パロアルトを拠点とする同社は、パンデミックで大打撃を受けたスタートアップの1社となった。共同創業者でCEOのAriel Cohen(アリエル・コーエン)氏によると、世界的な危機のなか、同社の収益は0ドルにまで落ち込んだという。パンデミックにともなうビジネスの減速に直面し、2020年3月には約300人の従業員を解雇したことが話題になった。

パンデミックのわずか1カ月前に立ち上げたフィンテック経費精算プロダクト「TripActions Liquid」のスケジュールを早める決断をしたのはその時だった。パンデミックの影響でどこでもデジタル化が進み、企業の従業員は突如、支出に関する意思決定をオフィスの外からするようになり、多くの業者がデジタル決済を受け入れるようになった。

「出張費だけでなく、会社における従業員の経費の使い方をすべて管理したいという顧客のニーズに応える必要があると、すぐに気づきました」とコーエン氏はTechCrunchに語った。「私たちは、企業の従業員が分散し、出張費の代わりにホームオフィス機器やバーチャルソフトウェアを経費として計上していることを知っていました。そこで、従業員が申請できる経費の種類を増やしました」。

この転換が同社にとって賢い動きとなった。現地時間10月13日、シリーズFの「成長」ラウンドにおいて、バリュエーション72億5000万ドル(約8265億円)で2億7500万ドル(約314億円)を調達したと発表した。Greenoaksがリードしたこの資金調達には、Elad Gil、Base Partners、および「すべての主要な既存のファイナンシャルインベスター」が「力強く参加した」という。既存投資家には、Andreessen Horowitz(a16z)、Zeev Ventures、Lightspeed Venture Partners、Group 11などがいる。

TripActionsは、2021年初めに1億5500万ドル(約175億円)のシリーズEを約50億ドル(5700億円)のバリュエーションで完了した。今回のラウンドをもって、同社は2015年の創業以来、合計13億ドル(約1482億円)を調達したことになるが、そのうち約7億8000万ドル(約861億円)はパンデミックの間に確保したものだ。

関連記事:法人旅行の回復を受けTripActionsが約5191億円の評価額で約161億円を調達、コロナ禍から大逆転

今回の資金調達が注目される理由はいくつかある。まず、同社が、主に「法人向け旅行」を扱うスタートアップから、より広範な支出管理会社へと拡大したことだ。これは、BREXやRampといった急成長中のフィンテック企業と同じカテゴリーに入ることを意味する。しかし、コーエン氏が考える最大の違いは、その2社が「出張とは関連性がなく」、中小企業に重点を置いているのに対し、TripActionsは大企業企業にフォーカスしていることだ。

「TripActionsが企業の旅行市場を破壊し続けているように、TripActions Liquidは従来の支出管理ソリューションに取って代わろうとしています」と同氏は話す。「グローバル規模で大企業向けに単一の統一された旅費交通費精算ソリューションを提供できる企業は他にありません」。

TripActionsは現在、Crate & Barrel、Wayfair、Pinterest、Lyft、Zoom、Toast、Amplitude、Ancestry、Box、Axios、SXSW、Glassdoor、SurveyMonkey、Lennar、Qualcommなど5000社以上の顧客を抱える。

画像クレジット:TripActions

コーエン氏は、売上高について明らかにしていないが、TripActionsの予約件数と売上高は、パンデミック前の水準を超えたという。また、管理下にある出張予算の総額は2倍以上、経費予算は同期間に1400%増加したと付け加えた。また、TripActions Liquidは過去6カ月間で、取引件数が500%以上、アクティブユーザー数が400%近く増加した。最近ではHeineken、Snowflake、Thomson Reuters、Adobeなどの顧客を獲得した。

2020年3月にレイオフを実施した際に約800人だった従業員は、現在は1500人となった。

同社は、新たな資本を主にフィンテックを活用した決済・経費管理ソリューションであるTripActions Liquidの開発強化に充て、よりグローバルに展開することを目指す。

また、最近買収したReed&Mackay(リード・アンド・マッケイ)への「より深い」投資も計画している。Reed&Mackayは、ハイエンドなサポート(TripActionsのVIPや旅費交通費を含む)を提供する代理店だ。また、TripActionsは、ビジネスの30%を占めるまでに成長したヨーロッパでのさらなる拡大も計画している。具体的には、2021年度中に英国、イスラエル、および欧州全域で150人以上の人員を増やす予定だ。

加えて「未来の働き方を目指す企業にとって必要不可欠なツール」となることを目指して、中核であるトラベルへの投資を継続する予定だ。特に、個人向け旅行予約サービスLemonade(レモネード)は、2021年度の予約件数が約10倍に増加したとコーエン氏は述べた。

「パンデミック後の経済状況の中で、企業はパワフルで合理的なトラベルソリューションを求めており、出張・経費業界では大きな変化が起きています」とGreenoaksの創業者でマネージングパートナーのNeil Mehta(ニール・メータ)氏は話す。「TripActionsは、世界の大企業の間で急速に普及しており、世界の旅行が回復する中で先頭に立つのにこれほど適した企業はありません」。

最近自らのファンドを立ち上げた投資家のElad Gil(エラッド・ギル)氏は、TripActionsを「巨大な市場の中のナンバーワン企業」と表現した。「TripActionsは順調に実績を重ねており、今後もそれは続きます」。

「企業の出張需要が回復し始めていますが、TripActionsはその機会を捉えるのに適した位置にいます」とギル氏はメールに書いた。「そして、Liquidのような新しいアドオンビジネスは、順調に拡大しています」。

同氏は、総じてTripActionsが「新型コロナに関連する旅行計画向けの賢い機能を含め、旅行体験をより良くする機能を数多く提供している」と考えている。

画像クレジット:Hamza Butt / Flickr (Image has been modified)

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

Tinderが「ワクチン接種有無」を表示できる新機能を日本で開始、デート相手に「ワクチン接種」を求めるニーズに対応

マッチングアプリTinderが「ワクチン接種有無」を表示できる新機能を日本で開始マッチングアプリのTinderは、新機能「ワクチンセンター」を10月15日から日本で導入します。

同機能では、“新型コロナワクチンの接種状況”や”ワクチン接種に対する考え方”などを表現したTinderオリジナルのステッカーを、プロフィールに表示できます。さらに、ワクチンセンター内に貼られたリンクから近くのワクチン接種会場の案内などを確認できます。

マッチングアプリTinderが「ワクチン接種有無」を表示できる新機能を日本で開始

若者への新型コロナワクチン接種が本格化し始めた7月以降、Tinderではプロフィール欄に「ワクチン」や「接種」というワードを使うユーザーが急増。7月単月では、日本において「ワクチン」を含んだプロフィールが前月比で2.4倍、今年1月比較で約68倍に増え、 「接種」を含んだプロフィールは前月との比較で2.3倍、1月との比較で115倍にも増加したといいます。

このような数字から、Tinderのメンバー間ではマッチ相手にワクチン接種の状況を確認したり、自分が接種済みであることをアピールポイントとする傾向が見られるといい、今回の新機能の実装に踏み切ったといいます。

(Source:TinderEngadget日本版より転載)

新型コロナワクチン輸送市場に参入するSkyCellがシリーズCで約39億円調達

医薬品やワクチンの輸送用スマートコンテナを開発するスイスのSkyCell(スカイセル)が、重要な資金調達ラウンドを発表した。2020年完了した6200万ドル(約69億円)のラウンドに続き、今回、新型コロナウイルスワクチンを含む、温度変化に敏感な医薬品輸送の改善に向け、3500万ドル(約39億円)をシリーズCで調達した。

このラウンドは、株式と負債を組み合わせた資金調達で、DisruptAD(アブダビを拠点とする政府系ファンドADQのVC部門)、SHUAA(UAEの大手アセットマネジメント会社・投資銀行)など、中東の投資家が名を連ねた。また、同社によれば「中国を拠点とする」および「チューリッヒを拠点とする」ファミリーオフィスや、スイスの大手民間保険会社であるMobiliarからの投資も含まれている。

今回のラウンドにより、同社の資金調達総額は1億3300万ドル(約149億円)に達した。

SkyCellは主に輸送用コンテナを開発している。同社のコンテナには温度維持と振動制御の機能があり、貨物の状態を継続的に報告するセンサーを備える。そのため、医薬品の劣化につながる温度変化や輸送中に発生するダメージを最小限に抑えることができる。

ワクチン物流の現場でよく言われるのが、2005年に世界保健機関(WHO)が発表した「ワクチンの50%が無駄になっている」という数字だ。これは、温度、物流、運送の問題が原因の一部だ。バイオ医薬品業界では、より楽観的な数字が使われている。SkyCellの共同創業者でCEOのRichard Ettl(リチャード・エトル)氏によると、この業界では通常、世界中に医薬品を出荷する際、先進国市場では約4%、新興市場では約12%の損失率を想定しているという。

外部の監査機関によると、SkyCellの温度逸脱率はこれまでのところ、0.1%未満だという。

TechCrunchが前回SkyCellを取り上げた2020年4月の時点では、同社は大手製薬会社8社と提携し、さらに7社と試験を行っていた。広報担当者によれば、同社は現在「上位20社の製薬会社の大半と提携している」とのことだが、それ以上の詳細は明かされていない。

同社は新型コロナ以前、合計で年間約2億5000万本の医薬品バイアル(容器)を輸送した。新型コロナ以降、この技術は1つの大きな進歩を遂げた。mRNAベースの新型コロナワクチンおよびその製造に必要な原材料を輸送できるよう再設計されたのだ。

新たに設計された容器はドライアイスを使う。ファイザー製ワクチンが求めるような摂氏マイナス80〜60度を実現するために必要となる(ただし、もはや常に必要なものではなくなった)。

ワクチンの超低温輸送には、基本的にドライアイスの使用が避けられない(UPS Healthcareは自社でドライアイスを製造しており、新型コロナワクチンの需要に応えるべく生産量を増やしている)。エトル氏によれば、SkyCellの技術は、他社に比べてドライアイスの使用量が圧倒的に少なくて済む。100キログラムのドライアイスで約120時間の使用が可能だが、到着時にドライアイスを追加すれば、ワクチンをさらに長く保管できる。

「競合他社は200キログラム以上のドライアイスを必要とします」と同氏はいう。「だからこそ、技術的にも偉業だったのです」。

同氏によると、同社は現在、新型コロナワクチンのトップメーカー3社の原料またはワクチンを輸送している(どのメーカーかは明らかにしていないが、極低温という条件から推測できるかもしれない)。

「3社のうち2社は、工場から出荷される原料のみを輸送しています」と同氏は話す。

もう1つの大きな前進は、飛行機輸送からトラック輸送への拡大だ。

ワクチンの多くは飛行機で各国に到着するが、医療用の集中倉庫にワクチンを運ぶのは多くの場合トラックだ。マッキンゼーの2021年のレポートによると、冷蔵トラックが理想的だが、常に利用できるとは限らないため、コールドボックスや大型の運搬用トラックも使われる。

トラック輸送への進出は、SkyCellのワクチン流通ネットワークの範囲を大きく広げることになる。同社は、ある大手ワクチンメーカーのヨーロッパでのワクチン流通に関与しているとエトル氏はいう。

「以前はトラック輸送を扱っていませんでした」とエトル氏は話す。「今では、私たちのコンテナは、マイナス80度と非常に低い温度の製品を輸送するためにトラックで使用されています。これは間違いなく大きな変化でした」。

同氏は、新型コロナワクチンの輸送は、同社の将来において重要な役割を果たすだろうと話す。しかし、それは彼らのビジネスの中核ではない。抗がん剤から他のワクチンまで、多くの医薬品がコールドチェーンの取り扱いを必要とするからだ。

国際航空運送協会(IATA)のCenter of Excellence for Independent Validators in Pharmaceutical Logisticsは、コールドチェーンを利用する医薬品および生物製剤の世界売上高が2024年までに4400億ドル(約49兆円)を超えると予想する。これには新型コロナワクチンの支出は含まれていない。

この業界では、3つのマクロトレンドがあるという。コンテナ再利用サービスの増加、リサイクル可能なコンテナの開発、そして電子機器を使ったリアルタイムでの貨物追跡だ。

SkyCellの動きは、こうしたトレンドと重なる部分がある。同社のコンテナが再利用可能であることは、製薬会社との提携を獲得する「大きな原動力」だとエトル氏はいう。また、箱の中にはセンサーが設置されており、出荷ごとにさまざまなデータを収集している。

エトル氏は、SkyCellが業界で起こる変化やコールドチェーン製品の需要増加に対応する態勢を整えていると考えている。これまでのところ、好ましい業績になっているようだ。

「当社の歴史上、製品の販売機会を失ったことは一度もありません」と同氏は話した。

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(文:Emma Betuel、翻訳:Nariko Mizoguchi

ヤフー主催の学生ハッカソン「HACK U 2021」の最優秀作品2点発表、傾向の変化も解説

ヤフー主催の学生ハッカソン「HACK U 2021」の最優秀作品2点発表、傾向の変化も解説

2021年8月、ヤフー主催学生ハッカソン「Hack U 2021」が2回に分けて開催された。いずれもオンライン開催で、合計54チームがエントリーしたが、チームのメンバー同士も集まることが禁止された完全オンラインの状況での参加となった。ヤフーは10月5日、その最優秀作品2点を紹介するとともに、2020年と2021年の参加者の傾向を分析し、ブログ記事「学生たちがハッカソンで使う技術トレンドは半年で変わったか?」で発表した。

ヤフーは、Hack Uを「夏の風物詩のようなものにしたい」と考えつつ毎年開催を続けているとのことだが、今回は両日とも1日で申し込みが埋まってしまうほどの人気だったという。小学生以上の学生なら誰でも参加でき、サポート役としてヤフーのエンジニアが付くという親切なイベントになっている。審査基準は、新規性(オリジナリティー)、技術性(技術の高度さ)、発展性(将来性や波及効果が期待できるか)、再現性(実現可能なアイデアか)の4つ。ブログでは、最優秀賞を獲得した2つの作品が紹介された。

「スローターム」(チーム名:この素晴らしいコードに祝福を!)

開発時に発生するプログラミングのエラーをワンタップで共有してくれるVisual Studio Codeのプラグインと、共有先のSNS両方を作り上げた作品。コード制作中にエラーをハイライトするだけで、GitHubでの質問文が簡単に作れる。さらに、その質問にうまく答えてくれそうな人を自動的に選んでつなげてくれる。コロナ禍で人に質問がしにくくなった問題を改善してくれる。

3pt Manager(チーム名:OAO)

バスケットボールの3ポイントシュートをiPhoneで練習できるアプリ。シュートするごとにiPhoneがボールの軌跡を取得し、角度のデータを蓄積する。毎日の練習結果がグラフ化されるので、効率的に練習ができるというものだ。

参加者が使用しているプログラミング言語と開発環境の傾向

同ブログでは、2020年と2021年のHACK Uで、参加者が使用しているプログラミング言語と開発環境に違いがあるかを分析している。使用言語は、どちらもJavaScriptとPythonがトップと変わらないが、2021年はRubyが上位に入ってきた。2020年はRubyを使うチームは1割に満たなかったのに対して、20201年はPythonに次いで3位に上がってる。その理由は、大学の年次に関係があると、筆者であるヤフーCTO室Developer Relations Hack Uプロデューサー中村友一氏は書いている。参加学生は大学3年生が中心だが、去年2年生だった学生は、授業などで手軽に始められるRubyを使う機会が多くなったからだとの分析が面白い。

  1. ヤフー主催の学生ハッカソン「HACK U 2021」の最優秀作品2点発表、傾向の変化も解説

開発環境については、Flutter、React Native、Xamarinなど多くのOSに対応できるクロスプラットフォームフレームワークを利用するチームが増えたのこと。iOS、Android、ウェブのすべてに対応するソフトウェアの開発を目指すということは、チームが継続開発やサービスの公開を考えているためだと中村氏は分析した。

また同氏は、Dockerの浸透を挙げている。今回、Dockerを使いサービスのデプロイまで考えて作ってきたチームが大幅に増えたという。Dockerが学生にも浸透し始めていることがうかがえ、今後ハッカソンにおいても環境構築におけるメインストリームになるかもしれないと指摘している。

この2年間はオンライン開催のため、参加者同士の交流が制限されたが、「今後ハイブリッド開催になった時にどのように変化するかが楽しみです」と中村氏は話している。

YouTubeが新型コロナに続きワクチン全般の誤情報も禁止対象に

YouTube(ユーチューブ)は米国時間9月29日、ワクチンについての誤情報を禁止する新しいガイドラインを医療誤情報の規則に含めた。Google(グーグル)所有の動画プラットフォームYouTubeは以前、新型コロナウイルス感染症について危険な誤情報を広めた100万本を超える動画削除している。そして現在、YouTubeはワクチンの安全性、有効性、成分に関する誤情報を広めるコンテンツも削除するという。YouTubeは以前、新型コロナワクチンに限定して誤情報を禁止したが、今回、はしかやB型肝炎のような定期接種に関する誤情報や、地域の健康衛生当局や世界保健機構(WHO)によって安全が確認されたワクチンについての一般的な嘘も禁止するために規則をアップデートする。

関連記事:YouTubeは2020年2月以降、新型コロナに関する100万の危険な誤情報動画を削除

規則の変更は、新型コロナワクチン接種率が低い中でのものだ。米国のコロナワクチン接種完了者の割合は約55%だが、この数字はカナダと英国ではそれぞれ71%と67%で、米国より高い。バイデン大統領はソーシャルメディア上でワクチン誤情報が拡散していると指摘した。さらにホワイトハウスは国民にワクチン接種を促すためにOlivia Rodrigo(オリビア・ロドリゴ)氏のような新星のスーパースターに助けを求めすらした。

YouTubeの今回の新しいガイドラインはFacebook(フェイスブック)に倣っている。Facebookは2月に、誤ったワクチン情報を取り締まるために使用している基準を拡大した。Twitter(ツイッター)もまた、ミスリードする新型コロナ情報の拡散を禁止し、AIと人間の組み合わせでミスリードしているツイートにラベルを貼っている。Twitterは、ワクチンとマスクは新型コロナ拡散を抑制しないという誤った主張を展開したジョージア州選出の議員、Marjorie Taylor Greene(マジョリー・テイラー・グリーン)氏を一時停止措置にすらした。

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Twitterが新型コロナワクチン誤情報への注意を喚起するラベルを導入、まずは英語でのツイートが対象

YouTubeの新ガイドラインに違反するコンテンツの例としては、ワクチンはがんや糖尿病など慢性的な副作用を引き起こすと主張する動画、ワクチンには接種した人を追跡できるデバイスが含まれていると主張するビデオ、ワクチンは人口抑制計画の一環だと主張する動画などが挙げられる。ユーザーがこれらのガイドラインに違反するコンテンツを投稿すると、YouTubeはそのコンテンツを削除し、なぜビデオが削除されたのかをアップロードした人に案内する。初めての規則違反である場合、警告を受けるだけで罰則は科されないとYouTubeは話す。もし違反が初回でなければ、ユーザーのチャンネルはストライク1つとなる。そして90日以内にストライク3つとなると、チャンネルは削除される。YouTubeはまた、Joseph Mercola(ジョセフ・メルコラ)氏やRobert F. Kennedy Jr.(ロバート・F・ケネディ・ジュニア)氏のようなワクチン反対派の有名人に関連するチャンネルも取り締まる。

「新しいガイドラインでは重要な例外もあります」とYouTubeはブログ投稿で述べている。「科学的なプロセスにおける自由公開討論や議論の重要性を踏まえ、当社は引き続き、ワクチン政策や新しいワクチンの試験、これまでのワクチンの成功や失敗などについてのコンテンツがYouTube上にあることを認めます」。

YouTubeはまた、コンテンツが他のガイドラインに違反しない限り、ユーザーがワクチンに関する個人的な体験を議論することも認める。しかしチャンネルが反ワクチンを促進する動きをみせると、YouTubeはコンテンツを削除する。これらのガイドラインは9月29日から適用される。だが、新しい規則にはよくあることだが「完全適用」にはしばらく時間がかかる、とYouTube書いている。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

ポストコロナ時代に向けDenizenが1人で仕事に集中できるハイテクなオフィスポッドを開発

タイニーハウス(小さな家)と呼ばれるムーブメントは、新型コロナウイルスが流行してから輝きを失ったかもしれないが、リモートワークの未来を改めて想像してみると、タイニーオフィスの必要性が浮かび上がってくる。

Denizen(デニズン)を創業したNick Foley(ニック・フォーリー)CEOによると、人々は最近、落ち着いて考え事ができる空間を求めており、そのためには喜んでお金を払うという。

フォーリー氏は、2018年にUber(ウーバー)が2億ドル(約220億円)で買収したレンタル自転車サービス企業「Jump Bikes(ジャンプ・バイクス)」の元チーフプロダクトオフィサー兼インダストリアルデザイン担当ディレクターを務めていた人物だ。同氏はDenizenで、ある疑問に答えることを目指している。それは「1人の人間が完璧な就業日を過ごすための驚異的な体験を提供する製品として、オフィス空間を構築することができるか?」というものだ。

フォーリー氏は、コワーキングスペース企業のWeWork(ウィーワーク)が仕事環境を最適化する方法に関して、いくつかの点で間違っていたと考えている。多くの人がコワーキングの社会的メリットを享受する一方で、異なるプロジェクトに集中しているワーカーで賑わう環境は、ある種の仕事に必要とされる精神的集中に有害となる可能性がある。

画像クレジット:Nick Foley and David Krawczyk

Denizenの考え出したソリューションは、10平方メールに満たないスペースに、コンセント、USBプラグ、カメラ(ビデオ会議用)、スピーカー、ルーター、ホワイトボードウォールなどがあらかじめ組み込まれた、小さな独立型オフィスの小部隊を作ることだ。Denizenのオフィスポッドは美しくデザインされており、プライバシーを守るために数秒で不透明にできる窓、リサイクル可能な素材、そして建築デザイン雑誌「Dwell(ドウェル)」に掲載されているような美的感覚を備えている(実際にDwellに掲載されたばかりだ)。

「天井はとても高く、ガラスが周りを取り囲んでいて、とにかく広々としていて巨大な感じがします」というフォーリー氏は、Denizenが人々に「インスピレーションを得て、生産的な仕事時間を過ごす」ために必要なツールを提供することを目的としていると付け加えた。彼らは単に美しいコンセプトイメージを見せただけではない。NASAのジェット推進研究所に勤めるフォーリー氏の友人が、Denizenで作られた自分のマイクロワークスペースのバーチャルツアーを披露してくれたのだ。

Denizenは当初、プレハブ式のオフィスポッドを企業に提供し、企業がそれらを月極めでレンタルできるようにする形を構想していた。しかし、自宅で仕事することに行き詰まっている人々からの要望が非常に多かったため、現在では個人向けに、自宅敷地内に設置できる車輪付きの独立型オフィスとして販売することを計画している。Denizenの美しくハイテクな小型オフィスは、個人で購入すると約5万5000ドル(約608万円)ほどの金額になる。

フォーリー氏は、Denizenのモデルが、新型コロナウイルス時代における企業の不動産計画に合致すると考えている。オフィスに通勤してくる従業員の数が減るにつれて、企業はこれまで長いこと「会社」というものを定義づけていた高価でむやみに広大な社屋を縮小し、未来の仕事のあり方に合った、より柔軟で専用に設計された選択肢を模索している。フォーリー氏によれば、企業が一括して契約する場合、スマートポッドのレンタル料は1台あたり月額1000ドル(約11万円)程度になると予想されるという。

画像クレジット:Nick Foley and David Krawczyk

このポッドは、従来のオフィスを補完し、刺激的な1人用のオフィス環境を提供するが、フォーリー氏は、いつか企業や市政府がDenizenのオフィスポッドを緑地に設置し、1日単位で予約できるようにしたいと考えている。

「本当の夢は、正直なところJump Bikesとよく似ています。本当にすばらしい共用施設を作るためには、近隣レベルでどのように協力し合えるかを考えることです」と、フォーリー氏はいう。

同社は現在、シードラウンドの資金調達を行っており、2022年初頭に複数ユニットのテストを開始するために、ベイエリアおよびカリフォルニア州内の企業と契約を結んでいるところだ。ゆっくりと規模を拡大していく方針で、来年には100台程度の販売を目指す一方、その間にも製品の製造工程を効率化していくという。

Denizenはこのスマートポッドを車輪付きにすることで、チームが泥沼にはまるような許認可の問題を賢く回避している。Jump Bikesでキオスクや駐車場を設置した経験を持つフォーリー氏は「それがどれほどビジネスモデルを複雑にするかを理解しています」と語る。

迷路のような地域の規制に入り込むことなく、約3.6メートル×2.3メートルほどのスペースと資金に余裕があれば、誰でもこの小さなポッドオフィスに入って仕事をすることができる。つまり規制の観点からは、基本的には美しい小さなRV車に、配管を施したものということになるわけだ。

フォーリー氏は、自分のビジョンが未来の仕事のスタイルにどのように適合するかということに興奮しているようだが、同時にDenizenの小さなオフィスがどのように組み立てられるかということにも興奮している。このポッドオフィスの製造には、大規模な自動制御CNC、3Dプリント、洗練されたプロダクトデザインが融合されており、西海岸の初期の顧客には、車輪も含め工場組み立て済みの状態で、そのまま出荷できる製品となっている。

画像クレジット:Nick Foley and David Krawczyk

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

UVC殺菌システムR-Zeroが「目と耳」となる室内の占有センサーCoWorkrを買収、「職場にとってのOS」を作る

パンデミック渦に誕生したバイオセーフティ企業のR-Zeroは2021年7月下旬、室内の占有センサーを開発する企業であるCoWorkrの買収を発表した。人々が職場に戻り、ワクチンが広がりを見せる今、新型コロナウイルスの出現によって生まれた企業たちはパンデミックの次の段階を見据えて適応し始めている。R-Zeroにとって今回の買収は、同社の焦点のシフトと言えるだろう。

2020年4月に設立されたR-Zero。同社は主に病院グレードのUVC殺菌システム、つまり特定の種類のウイルスを中和できる照明の開発に注力していきた(詳細は後述)。企業が建物内を除菌する方法を求めて奔走する中、同社は2億5650万ドル(約282億円)の評価額で合計5880万ドル(約65億円)の資金を調達。R-Zeroは現在、複数の矯正施設、Brooklyn Nets、Boston Celtics、サウスサンフランシスコ統一学区など、約1000の民間および公共部門の顧客を抱えている。

CoWorkrは2014年に設立され、Crunchbaseによると総額約20万ドル(約2200万円)のシードファンディングを調達している。

CoWorkrの買収により、R-Zeroは職場の人員と清掃の両方を管理するモノのインターネットのようなセンサーネットワーク開発を計画していると、R-Zeroの創業者であるGrant Morgan(グラント・モーガン)氏は話している。単に空気や物の表面を消毒するだけではなく、公共スペースにおける人(およびウイルスやバクテリア)の流れを管理する事に重点を置いていくようだ。

「職場のOSのようなモノです。健康と生産性を核とした室内環境の構築と維持を支援するツールを作っています」とモーガン氏はTechCrunchに話す。

CoWorkrの共同設立者であるElizabeth Redmond(エリザベス・レドモンド)氏とKeenan May(キーナン・メイ)氏は引き続きフルタイムで勤務することとなっており、企業の不動産関連の取り組みを運営し、IoT能力を開発していく予定だ。

「我々はお客様と多くの時間を過ごし、お客様の取り組みを理解できるよう努めてきました。中でも特に商業用不動産に対して注力しました」とレドモンド氏はTechCrunchに話している。

「大半の企業がハイブリッドな働き方に移行しているため、占有率情報はとても必要とされています。私たちがR-Zeroに加わったのは、ハイブリッドワークの未来、そして商業不動産の未来がどうなっていくのかという点が非常に注目されているためです」。

CoWorkr買収前のR-ZEROの主力製品はUVCライトの「Arc」というもので、これは清掃員が退社した後のオフィススペースに持ち込めるホイール付きの長方形のライトである。また、居住空間で使用可能な製品として提供されていた、同じくUVC光で除菌するエアフィルター「Arc Air」もある。

2020年半ばにUVCライトが脚光を浴びたのにはいくつかの理由がある。1つには共同スペースを消毒するための強力な手段だと考えられたこと、そしてもう1つには企業が新型コロナに対して技術的なソリューションを用いると一定のインセンティブが受けられたことなどが挙げられる。

UVCライトは何十年も前から病院で使用されており、スキャナーなどの表面を除菌したり、UVエアダクトに挿入して空気を除菌したりするために活用されてきた。研究によると、UVCは空気中のインフルエンザウイルスを不活性化することができるとされており、また限られた証拠しかないものの、UVCはウイルスの外側のタンパク質コーティングを破壊することで、SARS-CoV-2その他のコロナウイルスも不活性化できるという研究結果もある。

これらのライトは実際にパンデミック渦でも活用されていた。例えばニューヨーク都市交通局は、毎晩地下鉄車両を消毒するために100万ドル(約1億1000万円)相当のUVCライトを購入。2020年3月に可決されたCARES法は、企業や公的機関がUVライトなどの清掃サービスを購入する際に、政府の融資を利用できるようにするものだった。

しかし、消費者向けのランプの中には批判的な意見も存在した。1つは長時間照射すると目を傷つけたり、火傷をしたりする可能性があること。またUVC消毒に関するあるレビュー(UVC消毒会社と関係のある2人の科学者によって書かれたもの)では「性能に関する非科学的な主張」が広まっているとの厳しい評価がなされている。

一方で第三者機関によるテストを行なったところ、R-ZEROのArcは一般的な風邪のコロナウイルスと、表面に付着したノロウイルスの代替ウイルスの2種類のウイルスを99.99%減少させることが確認されている。また、大腸菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても99.99%の除菌効果があったという。

UVCライトの殺菌技術としての有用性については賛否両論あるものの、この業界が消え失せてしまうことはないと複数のアナリストが指摘している(例えばLGはUVベースのクリーニング分野に参入したところだ)。William Blairの商業サービス株式アナリストであるTim Mulrooney(ティム・マルルーニー)氏は、ワシントン・ポストに対し、人々の衛生に対する考え方が「パラダイムシフト」していると伝えている

2020年に行われた世論調査によると、衛生管理は従業員と顧客の両方にとって最重要事項であることが示唆されている。Deloitteが3000人を対象に実施した調査では、従業員の64%が共有スペースの定期的な清掃を重要視していると回答し、顧客の62%が毎接客ごとに表面を清掃して欲しいと回答している(新型コロナウイルスは表面接触では感染しにくいと考えられているのにも関わらずである)。

ワクチン接種の増加が、今後のオフィス衛生に対する認識にどのような影響を与えるかはまだわからない。しかしモーガン氏は、企業(および従業員)は身近な細菌の存在をパンデミック前よりも意識し、オフィス内の人の流れを管理することも含め、その蔓延を抑制する方法を模索し続けるだろうと考えている。

R-ZeroはCoWorkrを買収したことでUVC殺菌だけでなく、占有管理にも力を入れることになったわけだ。

モーガン氏はCoWorkrのセンサーをR-Zeroの「目と耳」と呼んでいる。R-Zeroは居住空間の空気清浄度に対応したUVCベースの2つの製品を発表する予定で、CoWorkrのセンサーを使って「完全な自動化」を実現していくという。

例えばCoWorkerのバッテリー式熱センサーを使えば、従業員はオフィスのどの部屋が使われているかを知ることができる。その情報をもとにUVベースのエアフィルターやその他の清掃用品を活用することができるという。

この情報をもとに、その日の晩にその部屋をより徹底的に掃除するよう清掃員に指示することができ、逆に一日中誰も触っていない部屋は掃除しなくてもよいことになる。

「お客様はすぐにROIを高めることができ、30〜40%の人件費を削減しています」とモーガン氏は話す。

パンデミックの「傷跡」が癒えることはまだなく、人々は今後も依然として衛生的な職場環境を求め続けるだろうと同社は考えている。

「ほぼ100%、お客様はこれを長期的な投資として考えています」とモーガン氏はいう。

画像クレジット:R-Zero

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)