サイトUI/UX改善クラウドのi3DESIGNが2億円調達、次世代ノーコードプラットフォームおよびDX人材採用を加速

サイトUI/UX改善クラウドのi3DESIGNが2億円調達、次世代ノーコードプラットフォームおよびDX人材採用を加速

i3DESIGN(​アイスリーデザイン)は7月20日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約2億円の資金調達を発表した。引受先はDG Daiwa Ventures、みずほキャピタル。調達した資金は、「開発中の次世代のノーコード開発プラットフォーム(SaaS事業)への投資」「DX支援フレームワーク強化のための投資」「採用の強化」にあてる。

2006年7月設立のi3DESIGNは、渋谷に本社、ウクライナに開発拠点を据えるデジタルサービスの創出支援企業Business×Design×Technologyの連携・融合により、デジタルサービスのデザイン・開発・グロースまでワンストップで提供するという。同社の競争優位性は、エンタープライズ企業が持つ既存ウェブシステムのモダナイゼーション(UI改修、機能改修、SEO対策など)を可能にするUI/UX改善クラウドサービス「flamingo」(フラミンゴ)の知見、UI/UXの知見にあるという。既存システムを活かしつつUI/UXの観点からの改修が可能で、DX推進を行えるとしている。

また「i3DESIGN DX支援フレームワーク」は、自社プロダクトの運用・改善に取り組んできた知見を体系化したもので、エンタープライズ企業からベンチャーまで取引実績は累計200社を超えるそうだ。

関連記事
ノーコードでチャットボットを開発可能なKUZENを提供するコンシェルジュがシリーズAで4.5億円を調達
ノーコードのE2Eテスト自動化プラットフォーム「Autify」がモバイルアプリ対応版を提供
個人ECのノーコードによるアプリ化サービス提供のAppify Technologiesが2億円を調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:i3DESIGN(企業)ノーコード(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

ホンダと楽天が自動配送ロボットの走行実証実験を共同で開始、筑波大学構内および一部公道で実施

写真右下側にあるボックスが、Hondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)

写真右下側にあるボックスが、Hondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)

本田技術研究所(Honda)と楽天グループ(楽天)は7月19日、自動配送ロボットの走行実証実験を共同で開始したと発表した。実施期間は7月19日~8月31日。実施場所は、筑波大学構内の宿舎周辺と一部公道を含む全長約500m。

現在、コロナ禍により、ラストワンマイルにおける「遠隔・非対面・非接触」配送ニーズの増加、また少子高齢化に伴う配達員不足への対応といった社会課題が顕在化している。その解決に向け、Hondaが長年研究してきたロボティクス技術と、楽天の配送サービスのノウハウとを活用し、自動配送ロボットの検証を行う。

同実証実験では、Hondaが開発した自動配送機能を備えた車台に、楽天が開発した商品配送用ボックスを搭載した自動配送ロボットが、筑波大学構内(一部公道を含む)を自動走行する。電力源にはHondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)を採用しており、充電を待つことなく配送サービスの継続が可能という。

走行中は、楽天モバイルの通信回線(LTE)を用いて、宿舎周辺から最大約650m離れた地点から自動配送ロボットの遠隔監視などを安全確認のために実施する。

また同実証実験での技術検証・データ収集・ニーズ把握を踏まえ、自動配送ロボットを活用した商品配送サービスの提供を目指し技術開発を継続するとしている。

各社の役割

  • Honda:自動配送ロボットの機体とシステムの開発・仕様検討および技術実証
  • 楽天:安全面での対策の検討、商品配送用ボックスの開発およびサービス実用化に向けた検討

なお同実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」による支援を受けて実施するものという。

関連記事
ロシアYandexの自動運転部門がGrubHubと提携、米国の大学キャンパスにロボット配達を展開
ハイネケンがキンキンにビールを冷やしながら自走するクーラーボックスロボ「B.O.T」発表
自動配送NuroがFedExと提携、配送ロボをライスマイルデリバリーに大規模導入
ドミノ・ピザがヒューストンで無人のピザ配達を開始、自律配達車両スタートアップNuroと提携
倉庫から歩道まで、Amazonに対抗するロジスティックス実用ロボットの最新動向
楽天と日本郵政が資本業務提携、共同物流拠点・配送システムの協議およびペイメント・物販協業など検討
スマートドライブがHondaの法人向け二輪車用管理サービスに走行データ蓄積・活用プラットフォーム提供
ZMPが日本初の物流分野での配送ロボット活用に向けた公道走行実証実験に無人宅配ロボ「デリロ」提供

カテゴリー:ロボティクス
タグ:自動運転 / 自律運転(用語)配送 / 宅配 / デリバリー(用語)物流 / ロジスティクス / 運輸(用語)Honda / 本田技研(企業)楽天 / Rakuten(企業)ロボット配達(用語)日本(国・地域)

ZOZO、プロバスケクラブ「アルティーリ千葉」、千葉大学が「ZOZOSUIT 2」を活用した共同取り組みの開始発表

ZOZO、プロバスケクラブ「アルティーリ千葉」、千葉大学が「ZOZOSUIT 2」を活用した共同取り組みの開始発表

「ZOZOTOWN」(ゾゾタウン)を運営するZOZO(ゾゾ)、プロバスケットボールクラブ「アルティーリ千葉」、千葉大学は7月19日、ZOZOが開発した計測テクノロジー「ZOZOSUIT 2」(ゾゾスーツ・ツー)を活用した取り組みを開始すると発表した。ZOZOSUIT 2のスポーツ分野での活用の可能性を探り、3者が拠点を置く千葉県への地域貢献を目指すという。

旧「ZOZOSUIT」は、2017年に発表された、スマートフォンを使って身体の3D採寸ができる画期的な体型計測用ボディースーツ。最大1000万スーツを無料配布するとのことで話題になった。これに続き2020年10月に発表されたZOZOSUIT 2は、さらにその精度を高めたもの。スマートフォンでレーザースキャナーに匹敵する精度で身体の3D計測が行える。

アルティーリ千葉のブランドパートナーにZOZOが加わり、アルティーリ千葉がZOZOSUIT 2の計測テクノロジーを活用した新サービス共創のパートナー募集に興味を示したことから、さらにZOZOとの包括的連携協定を結んでいる千葉大学も加わって、3者の取り組みが始まった。

ここでは、アルティーリ千葉の所属選手の体型を「ZOZOSUIT 2」で計測し、そのデータを千葉大学大学院医学研究院整形外科学および千葉大学フロンティア医工学センターの知見を活かして分析し、選手のパフォーマンス向上やケガの予防に役立てる可能性を探るという。この取り組みは、2021年8月1日から開始される。

関連記事
NTTSportictがアマチュアスポーツの自動撮影・自動配信が可能な「Stadium Tube Lite」を発表
味の素が一般アスリート・部活生向け自動献立提案AIアプリ「勝ち飯AI」β版を開発、限定ユーザーテスト開始
生徒が泳ぐ姿を4K撮影、水泳上達につなげるスイミングスクール向けスマートレッスンシステム
ZOZOTOWNにコスメ専門モール登場、肌色が計測できるメガネ型端末「ZOZOGLASS」を同時リリース
Googleとプレミアリーグ所属マンチェスター・シティ主催のサッカーAIコンペで、日本人チームが5位入賞
ZOZO研究所のファッションコーデ関連論文がコンピュータービジョンの国際会議ECCVで採択
ZOZOSUITが新しくなったーーセンサーではなくマーカー読みとり方式へ変更
ZOZOTOWN用の採寸ボディースーツをスタートトゥデイが無料配布(ただし送料はかかる)

カテゴリー:ハードウェア
タグ:アルティーリ千葉スポーツ(用語)3D / 3Dモデル(用語)ZOZO(企業)ZOZOSUIT(製品・サービス)千葉大学(組織)日本(国・地域)

4000社導入のクラウド受付システムRECEPTIONISTが資金調達、VC投資先企業へのサービス提供プランも発表

RECEPTIONIST代表取締役CEO橋本真里子氏(写真左)、グローバル・ブレイン田﨑茉莉花氏(写真右)

RECEPTIONIST代表取締役CEO橋本真里子氏(写真左)、グローバル・ブレイン田﨑茉莉花氏(写真右)

非効率な受付業務をデジタル化するクラウド受付システムなどを展開するRECEPTIONIST(レセプショニスト)は7月19日、グローバル・ブレインからの資金調達実施と、ベンチャーキャピタル(VC)9社と連携して、投資先スタートアップをRECEPTIONISTのサービスで支援する「VC連携 スタートアップ支援プラン」の提供開始を発表した。

元受付嬢として、受付業務の非効率性を熟知する代表取締役CEOの橋本真里子氏は、2016年にRECEPTIONISTを設立し、2017年1月に受付業務をデジタル化するクラウド受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。2021年4月時点には、導入企業4000社となったという。橋本氏は、日程調整や会議室管理も受付業務同様に効率化の必要性を感じていたことから、日程調整ツール「調整アポ」、会議室管理の「RECEPTIONIST for Space」も開発し、展開している。

RECEPTIONISTは受付システム・受付方法において特許(第6429965号)を取得しており、調整アポ、RECEPTIONIST For Spaceと併用することで、「日程調整→会議室予約→来客受付→会議室管理までをワンストップで効率化」できるという。橋本氏はこれを、「人がやらなくて良い仕事はシステムに任せ、社会や人々に余白をつくり、工夫して仕事できるためのコミュニケーションサービス」と位置づけて成長を目指している。金額は非公表ながら、今回調達した資金は、これらサービスの拡大・加速をはかるための採用・開発強化に役立てられる。

同時に発表された「VC連携 スタートアップ支援プラン」は、9社のVCとの連携により、各社の投資先企業にRECEPTIONISTの3つのサービスを6カ月間無料で提供するというプログラム。業務の効率化を支援し、本来の事業に専念してもらうという。参加VCは、ANRI、iSGSインベストメントワークス、ABBALab、グローバル・ブレイン、Salesforce Ventures、大和企業投資、ツネイシキャピタルパートナーズ、Bonds Investment Group、One Capitalとなっている。

関連記事
3000社導入のクラウド受付システム「RECEPTIONIST」がMicrosoft 365との連携強化
11年の受付業務経験を経て開発、2500社が導入する無人受付システム「RECEPTIONIST」
クラウド受付システムのRECEPTIONISTがオプト、Salesforceから数億円規模の資金調達
Slackやチャットワークと連携する受付システム「RECEPTIONIST」、運営元が資金調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:業務効率化(用語)RECEPTIONIST(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

メンタルセルフケア・アプリ「emol」と第一生命グループが協業、ミレニアル世代向け保険商品を提供開始

メンタルセルフケア・アプリ「emol」と第一生命グループが協業、ミレニアル世代向け保険商品を提供開始

AIチャットを介したメンタルセルフケア・アプリ「emol」(エモル。iOS版。Android版は秋予定)を提供するemolは7月19日、アプリ上で第一生命保険および第一スマート少額短期保険(第一生命グループ)との協業開始を発表した。emolのアプリ上で、第一生命グループによるミレニアル世代向け保険の提供を開始する。

emolは、2020年9月から11月にかけて、第一生命と共同で、AIがユーザーの悩みに合わせて適切な保険商品をレコメンドするというDX実証実験を行ってきた。emolアプリ上で、AIとユーザーとの会話の中に保険に関する話題が出たときに、AIがヒヤリングを行い、適切な保険商品をレコメンドし、ユーザーに第一生命のウェブサイトへ誘導するという内容という。そこでユーザーが第一生命のウェブサイトへのリンクを実際にクリックした割合(クリック率。CTR)を測定したところ、TwitterやFacebookなどSNS広告のCTRを圧倒的に上回ったそうだ。

今回の協業では、emolアプリ上でユーザーがチャットでAIに悩みを話した際に、保険に関連する話題に合わせレコメンドする機能を採用。またemolアプリ上にAIが保険の診断を行う保険の窓口を設置し、いつでも対象の保険についてAIに質問できる場を提供する(emol保険の窓口は後日発表予定)。

第一生命グループは、スマホで契約ができるミレニアル世代向け新ブランド「デジホ」の保険商品として、「所得保障保険」(emolお仕事ほけん)、「コロナminiサポほけん」(emolコロナほけん)を展開する。

関連記事
メンタルヘルスのセルフケアアプリ「emol」と早稲田大学が千葉県市原市の職員対象に心理介入実験を実施
メンタルケアアプリのemolが「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2021年版」公開
メンタルヘルスAIサービス開発のemolと第一生命がアプリ内会話内から保険商品を推薦する実証実験を開始
AIとのチャットでチームの悩みを可視化するメンタルケアSaaS「emol work」が正式ローンチ

カテゴリー:ヘルステック
タグ:emol(企業・サービス)AI / 人工知能(用語)第一生命保険(企業)保険 / インシュアテック / InsurTech(用語)メンタルヘルス(用語)日本(国・地域)

500円・約15分間の収録で自分の声によるAI音声合成を可能にする「CoeFont CLOUD」が先行公開を開始

500円・約15分間の収録で自分の声によるAI音声合成を可能にする「CoeFont CLOUD」が先行公開を開始

東京工業大学2年生で19歳の早川尚吾氏が設立し、社長を務めるAI音声合成スタートアップYellston(エールストン)は7月19日、1回の料金500円で約15分間の収録を行えば、AIが自分の声を音声合成用の声のフォント「CoeFont」(コエフォント)に変換してくれるサービス「CoeFont CLOUD」の先行リリース開始を発表した。

2020年11月設立のYellstonは、「CoeFont Studio」(コエフォントスタジオ)を2021年4月にリリースした。デジタルキャラクターや著名人の声でテキストの読み上げをさせることができるサービスだ。リリースから3日で5万人のユーザー数を獲得、月間ユーザー数は20万人に達したという。凪白みとのイラストで、浅木ゆめみが声を提供しているAllial(アリアル)とMillial(ミリアル)という双子キャラクターの声は無料で試すことができ、すでに二次創作などに多く利用されているそうだ。

CoeFont Cloudは、それを自分の声で行えるというもの。自分の声のフォントを公開できるが、「CoeFont Official」を利用すれば、気象予報士の森田正光、野球解説の藪恵壹などの著名人や声優の声フォントを自分の作品に使うこともできる。公開された声は、利用された場合に文字数に応じて本人に料金が支払われる。

このサービスの特徴は、文脈からアクセントを予測し、深層学習で自然な音声合成を行うところにある。ウェブサービスなので利用環境を選ばず、アクセントや速度の編集などすべてがウェブ上で行える。公開範囲は設定によって限定が可能。テキストを読み上げた音声はダウンロードして、オーディオブックや動画のナレーションなどに利用できる。さらに、APIが提供されるので、アプリに組み込んでコメントを読み上げるなどの活用が可能になる。自分の声が悪用される心配があるが、放送禁止用語や汚い言葉は合成できないように配慮されている。

音声作品の制作のみならず、声帯の切除手術を予定しているガン患者が、事前に自分のCoeFontを作っておき、後にそれを使って会話をするという利用法も、すでに実施されているという。

「CoeFont Cloud」は現在、先行体験期間中。先行利用には「CoeFont CLOUD先行利用申請」での申請が必要で、Yellstonが利用できる人を選考する仕組みになっている。

今後も、より自然に、精度の高い音声合成を目指して、これからも研究を重ねてゆくとのことだ。

関連記事
Twitterが音声ツイートに自動文字起こし機能追加、社内にアクセシビリティ専門チームを用意し取り組む
人と間違えるほど自然な合成音声を高速で作成するツールをWellSaid Labsが開発
質と量で世界初、工学院大学が約6360手話単語と10テーマ10件の対話を収録した高精度3D日本手話データベースを提供開始
生命保険の約款や学校教材における漢字の誤読を低減、正確なイントネーションで音声合成を自動生成するAIシステム
AIチャットボット「りんな」のrinnaとUneeQを日本展開するデジタルヒューマンが協業、顔・声・視聴覚を持つ雑談AI実現
日本語音声合成向けに東京式アクセントを自動推定する自然言語処理ソフト「tdmelodic」がオープンソース化

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Yellston(企業)音読(用語)合成音声(用語)ディープラーニング / 深層学習(用語)東京工業大学(組織)日本(国・地域)

Google マップ・口コミサイトの一括管理や口コミ内容のAI解析が可能な「口コミコム」を運営するmovが3.3億円調達

Google マップ・口コミサイトの一括管理や口コミ内容のAI解析が可能な「口コミコム」を運営するmovが3.3億円調達

地図アプリや口コミサイトの一括管理、口コミのAI解析で店舗の問題点を把握できる「口コミコム」などを運営するmovは7月16日、3億3000万円の資金調達を発表した。引受先は、Coral Capital、SMBCベンチャーキャピタル。これにより、累計調達額が約4億円となった。また、7月1日より元弁護士ドットコム取締役CSOの渡邊陽介氏が社外取締役として着任した。

調達した資金は、マーケティング活動への投資、営業・開発部門の採用活動、カスタマーサクセスを中心とした人材採用にあてる。

口コミコムは、Google マップなどの地図アプリや口コミサイトでの店舗情報を整理し一括更新できると同時に、口コミをAI解析して店舗の問題点を把握し業務改善に活かせるというサービス。正式リリースから半年で利用店舗は1万店舗強に到達しており、飲食店や商業施設、小売店だけでなく自治体とも連携しているという。地図アプリや口コミサイトの店舗情報に関する更新作業による業務負担の低減をはじめ、口コミの収集・分析により店舗運営における課題解決の可視化が可能な点が評価されているとした。

Google マップ・口コミサイトの一括管理や口コミ内容のAI解析が可能な「口コミコム」を運営するmovが3.3億円調達

店舗側は、口コミコムに店舗情報を登録することでGoogle マップなどの地図アプリにお店が新たに表示されるようになるほか、不適切な写真への削除対応や口コミへの返信も一覧画面から対応可能。Google マイビジネスの投稿も一括配信できる。また、星の数、接客や身だしなみなど店舗の問題点を店舗別、エリア別、立地別、頻出ワード別、フランチャイジー別など様々な視点で分析可能としている。

関連記事
Googleマイビジネスや複数SNSの店舗アカウントを一括管理できる「カンリー」が累計約5.3億円調達
WizVilleのLocal Monitorを使えば小規模店舗がGoogleマップの評価を追跡可能に

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Googleマップ(製品・サービス)mov(企業)MEO / ローカルSEO(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

【インタビュー】人工流れ星の2023年に商用運用開始へ、10年の節目を迎える日本の宇宙スタートアップ「ALE」

人工の流れ星で夜空を彩る。岡島礼奈代表が2011年9月に立ち上げ、2021年で10年の節目を迎える民間宇宙スタートアップのALE(エール)は、人工衛星から人工流れ星の素となる流星源を放出し、時刻・場所を指定して大気圏に再突入させ流れ星を発生させる「Sky Canvas」事業を進めている。

ALEは「科学を社会につなぎ 宇宙を文化圏にする」をミッションに掲げ、人工流れ星などにより宇宙の美しさやおもしろさを届け、人々の好奇心を刺激し、宇宙開発のきっかけを創出していく。また、宇宙から貴重なデータを取得し、地球の気候変動のメカニズム解明に寄与することを目指し、宇宙デブリ防止装置開発事業で軌道上環境の維持に貢献し、宇宙産業の持続的発展をはかる。これらのアプローチで、ALEは科学と人類の持続的な発展に貢献していく考えだ。

岡島氏は東京大学大学院理学系研究科天文学専攻で、博士号(理学)を取得している。学生のころ、友人らとしし座流星群を見たことがきっかけで「流れ星を人工で作れるのでは」と思い立ったという。その後、基礎科学の発展の為に何かできないかと考え、人工流れ星のアイデアで民間宇宙スタートアップとして挑戦を始めた。岡島代表に事業内容や現在までの歩みを聞いた。

夜空に好きな時に流れ星を生む「Sky Canvas」

人工流れ星の実現を目指す「Sky Canvas」事業は現在開発中の人工衛星3号機を2023年に打ち上げ、同年に人工流れ星のサービス開始を予定している。

天然の流れ星は宇宙空間に漂うチリが大気圏に突入した時に、チリ前方の空気が強く圧縮されて発光するもの。この現象を人工的に再現するため「アーク風洞」と呼ばれる装置を内製し、グリーンやオレンジ、ブルーなどさまざまな色に光る流星源の材料設計も進めている。

流星源は1粒1cmほど。人工流れ星は、流星源を人工衛星の格納庫から放出機構に送り出し、円筒内で加速して放出させる仕組みだ。実験では秒速最大400mの放出速度と、速度誤差1%未満の精度をクリア。人工流れ星は高度約60~80kmで消滅するため、宇宙デブリとはならないという。

流星源1粒は地上200km圏内で見ることができ、広さで例えればほぼ関東全域をカバーする。人々がオーロラを見に行くように「この国、この地域に行けば流れ星を見ることができる」と、ALEは人工流れ星を観光誘客のキラーコンテンツにしていく考えだ。すでに海外からも引き合いが多くあるという。

別の仕事で得た収入を研究費につぎ込む日々

岡島氏は2009年から人工流れ星の研究を始め、2011年にALEを設立後、大学研究室などとともに、人工流れ星に必要な要素技術の研究を進めていった。14年には流星源の実験により、相当の輝度が得られたことで初めて事業化が見えてきた。

ただ、岡島氏はそれまで、ALEの事業にフルコミットしていなかった。岡島氏は外資系大手金融企業に勤めていた経験を活かしたコンサルティングや調査など、別の仕事を個人で受け、その収入を研究費につぎ込んでいたのだ。

人工流れ星の事業化が視野に入ったのち、岡島氏は2016年にエンジェル投資家を中心に約7億円の資金調達を実施。ALEとしてメンバーの増員も行った。ここから人工流れ星事業は勢いを増す。

2017年に宇宙関連の新たな要素技術に関する実証などを行うJAXAの「革新的衛星技術実証プログラム」採択され、18年に初号機となる人工衛星ALE‐1が完成し、19年にはALE‐1の打ち上げに成功した。

勢いに乗っていた「Sky Canvas」事業だったが、壁が立ちはだかる。2019年末に打上げた2号機で世界初の人工流れ星を実現させる計画だったが、宇宙空間特有の影響が予測よりも大きく、流星源を放出装置に送り込む部品が正常に動作せず、失敗に終わった。他の機器はすべて正常に動いていた。

「とても悔しかった」と岡島氏。その後、社内の開発体制を強化し、宇宙業界出身のマネージャーや外部レビュアーらも増員。2021年2月には、シリーズAの追加ラウンドとして総額約22億円の資金調達を行い(シリーズAを含むALEの累計調達金額は約49億円に上る)、現在は同資金を基に2023年に人工流れ星の実現を目指している状況だ。

また、ALEの人工流れ星事業を不安視する声もあった。岡島氏は「我われの事業は安全性に特に配慮していますが、このことをさまざまな人々に説明し、理解してもらうまでにも長い道のりがありました」と振り返る。

他の人工衛星と同様に、ALEの人工衛星には必要最低限ではなく余裕を持たせて装置を搭載し、障害時にも対応できるよう冗長性を持たせている。例えば、星の位置から人工衛星の位置や角度を把握し姿勢制御を行うセンサー「スタートラッカー」は1つだけではなく3つあり、GPSやCPUも3つずつある。

岡島氏は「いずれかの機器に誤作動が起きたときには、流星源の放出はできないシステムになっています。この辺りの安全性の担保をJAXAとともに進めてきました」と説明する。

さらにALEでは現在の宇宙空間にある人工衛星などのデータをNASAや18SPCS(米国空軍)のデータベースで確認。それを元に衝突確率を算出すシステムを作り上げている。流星源を放出する時間帯に、他の人工衛星が現れないかといったことをすべて計算し、クリアにしてから稼働させるようにしているのだ。

また、世界各国の宇宙関連機関で構成される国際機関間スペースデブリ調整委員会(IADC)に対しても、ALEの事業ミッションについて説明していく中で「国際的なデブリの権威の方々にも安全性を認めてもらえるようになりました」と岡島氏は語った。

ALEが展開する3つの事業

ALEが進めている事業は、人工流れ星だけではない。この他に「大気データ取得」とデブリ防止装置を開発する「小型人工衛星技術研究開発」事業がある。事業としてはそれぞれ独立しているものの、根幹にある要素技術はつながっているという。

岡島氏は「人工衛星を小型化し、小さなスペースに高密度で技術を搭載して、宇宙空間であっても精緻な動作を実現することが、我われの強みでもあります。この技術はデブリ化防止装置にも、大気データ取得にも必要なモノです」と語った。

大気取得データ事業は2020年代半ばから宇宙実証および商用化を始める予定だ。人工流れ星で培った衛星技術を活用し、大気データを取得し、解析することで、気象予測の精度向上や異常気象のメカニズム解明へ活用していく。将来的には、人工流れ星の衛星に大気データ取得のセンサーを取り付けることで、気象観測により貢献していくことなども検討している。

一方、小型人工衛星技術研究開発は、宇宙デブリ防止装置をJAXAと事業協同実証を通じて開発中だ。同装置を打ち上げ前の人工衛星に搭載し、人工衛星のミッション終了後に長い紐(EDT)を宇宙空間で展開。地球磁場や大気抵抗を使って軌道高度をより短期間で降下させることで、人工衛星を地球大気に再突入・焼却廃棄させることができるという。

すでに2020年8月26日付で、宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BDとデブリ化防止装置の全世界を対象とする販売代理店契約締結に向けた基本合意書を締結している。

なお、岡島氏は人工流れ星とは別に、新たな宇宙エンタメ事業の構想も進んでいると話した。「まずは人工流れ星を成功させることが先決ですが、新たな要素技術の開発も細々と進めています。結構おもしろいことができるのでないかと、考えています。楽しみにしていてください」と笑顔で語った。

関連記事
日本の民間宇宙スタートアップ企業ALEがシリーズA追加ラウンドで総額約22億円の資金調達
堀江貴文氏語る「日本が世界に勝てるのは宇宙とロボティクス、今が大チャンス」

カテゴリー:宇宙
タグ:ALEインタビュー日本人工衛星

渋谷区・新宿区・豊島区のファミリーマート130店がバカンのトイレ混雑抑止IoTサービス「VACAN AirKnock」導入

渋谷区・新宿区・豊島区のファミリーマート130店がバカンのトイレ混雑抑止IoTサービス「VACAN AirKnock」採用

バカンは7月16日、渋谷区・新宿区・豊島区のファミリーマート130店に、トイレ向け混雑可視化IoTサービス「VACAN Throne」(バカン スローン)、トイレの長時間利用を検知する「VACAN AirKnock」(バカン エアーノック)の提供を7月12日より順次開始したと発表した。

同サービスは、トイレの入退室をドアセンサーで検知し、滞在時間や利用頻度を管理するというもの。これにより、一定時間以上のトイレ滞在の場合は、来店客の安全確認が可能になる(個人情報を取得することは一切ない)。ファミリーマートでは、2020年から一部の店舗での実証実験を開始しており、実験の結果を踏まえ導入を拡大することとなった。

渋谷区・新宿区・豊島区のファミリーマート130店がバカンのトイレ混雑抑止IoTサービス「VACAN AirKnock」採用

AirKnockの仕組み

VACAN Throneは、手のひらに収まる程度のセンサーを設置することで、トイレや会議室の空き情報をリアルタイムに可視化できるというサービス。検知した入退室の情報に関しては、デジタルサイネージやウェブサイト、アプリなどで確認でき、商業施設やオフィスなどですでに利用されている。

VACAN AirKnockは、VACAN Throneのオプション機能。VACAN Throneで取得した混雑情報と利用時間を、個室内壁面に設置したタブレットに表示可能で、導入済みのオフィスでは1個室あたり1日45分(参考値)のトイレ利用時間の削減効果を確認しているそうだ。

AirKnockのイメージ

AirKnockのイメージ

また同サービスにより、トイレ利用時間や頻度などのデータを取得することで、より効率的な清掃や備品管理などのオペレーションの構築が期待できるという。長時間の利用をリアルタイムに検知し通知することで、急病人などの発生も早期に把握できるとしている。

関連記事
都議会議員選挙で空き情報配信サービス「VACAN」を練馬区が導入、期日前投票所の混雑情報をリアルタイムに可視化
店舗の空き情報をリアルタイム配信する「VACAN」がガソリンスタンドのセルフ洗車場の混雑状況を可視化
ホテル・旅館内の混雑情報をリアルタイム配信、バカンの技術を盛り込んだ「VACAN for Hotel」を提供開始
バカンの技術でスーパーやコンビニの3密回避、混雑状況をリアルタイム把握できる「VACAN」システムの提供開始

カテゴリー:IoT
タグ:バカン / VACAN(企業・サービス)日本(国・地域)

宇宙実験・製造を可能とする日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する「ElevationSpace」が3000万円を調達

宇宙実験・製造を可能とする日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する「ElevationSpace」が3000万円を調達

国際宇宙ステーション(ISS)に代わる日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する東北大学発スタートアップElevationSpaceは7月13日、プレシードラウンドにおいて、第三者割当増資による約3000万円の資金調達を発表した。引受先は、MAKOTOキャピタル、事業会社、個人エンジェル投資家の計8者。補助金なども含めた累計調達額は創業半年で約4000万円となった。

ElevationSpaceは、東北大学吉田・桒原研究室でこれまで開発してきた10機以上の小型人工衛星の技術を基に、2021年2月に設立された東北大学発宇宙スタートアップ。調達した資金により、2023年の打上を目指し開発中の技術実証機「ELS-R100」の開発を加速し、大気圏で燃え尽きず地球に帰還させる技術「大気圏再突入技術」の獲得を目指す。

宇宙実験・製造を可能とする日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する「ElevationSpace」が3000万円を調達
同社は、小型人工衛星内での宇宙実験・製造を可能とする小型宇宙利用・回収プラットフォーム「ELS-R」を開発しており、微小重力環境でのサイエンス研究や地球では不可能な高品質材料の製造を実現、その成果物を地上まで持ち帰ることができるという。

宇宙実験・製造を可能とする日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する「ElevationSpace」が3000万円を調達

基礎科学的な実験から創薬などの産業利用まで、すでにISSが利用されているものの、構造寿命などの関係から2024年以降のISSの運用は未定という。その運用終了後は、宇宙環境利用を行う場所がなくなると考えられているそうだ。ISSは有人宇宙ステーションであり、国が管理しているプラットフォームであるため、安全管理の複雑さやリードタイムに課題がある。一方ElevationSpaceのサービスでは、小型かつ無人の人工衛星を用いるため、簡単に素早く利用でき、他の手段と比べて優れたユーザビリティを有するとしている。

関連記事
NASAが宇宙空間でゲノム編集技術「CRISPR」実施に成功、微重力下でのDNA損傷修復メカニズム研究
無重力空間でも機能する冷蔵庫をパデュー大学の研究チームが開発中
宇宙で気候変動に強いワイン用ブドウの木を育てるSpace Cargo Unlimited
SpaceXのドラゴン補給船が科学実験機器とともにISSから帰還
アディダスが国際宇宙ステーションで靴のソール製造実験へ
微小重力環境でバイオテックの基盤を作る新種の宇宙企業Luna

カテゴリー:宇宙
タグ:ISS / 国際宇宙ステーション(用語)ElevationSpace(企業)人工衛星(用語)東北大学(組織)資金調達(用語)日本(国・地域)

基礎研究を応援するANRIが給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ」第4期生募集開始

基礎研究を応援するANRIが給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ」第4期生募集開始

「未来を創る」起業家の支援を行うANRIは、特に研究開発型の大学発スタートアップを支援する中で、すぐに利益を生むことはないものの科学技術の発展には欠かせない基礎研究に資金が集まりづらく、学生には厳しい環境が続いていると感じていた。そこで、給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」を立ち上げることにしたという。第4期となる今回は、奨学金受給希望者を最大10名募集している。

ANRIのジェネラル・パートナー、鮫島昌弘氏はこう話す。
「基礎研究すぎる? 成果が出るまで時間がかかる? 誰のためになってるの? そんな批判はもういいじゃない。自分がやりたい研究をトコトンやってほしい。もし君が周りからなかなか評価されずに暗闇の中でもがいているなら、僕らが小さなロウソクになれれば嬉しいなと思います」

「ANRI基礎科学スカラーシップ」の主な内容

  • 支給金額:1人あたり50万円(採択より1年間)
  • 募集対象:数学や物理学、生物学、化学などの分野において優秀な成績を収めた学生(年齢制限なし)
  • 募集人数:10名まで
  • 選定方法:書類選考。必要に応じて面接も実施
  • 応募締め切り:2021年8月31日
  • 発表:10月末ごろ
  • 応募注意事項:ANRIが提供可能な資料は「ANRI学生向け研究費支給通知書」「寄附金申込書」「研究費使用規定」の3点のみ

応募はANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」第4期生 応募フォーム」から。

関連記事
学費出世払い方式のプログラミングスクール「Microverse」、世界188カ国の生徒が参加
研究予算・指導方針・就職先など全国の研究室情報と口コミを検索できる「研究室サーチ by LabBase」ベータ版が公開
セガがゲーム業界における三角関数や虚数の重要性を伝授する約150ページの社内勉強用数学資料を一般公開
東京大学が国内初の「数理・データサイエンス・AIモデルカリキュラム」完全準拠教材を無償公開
奨学金・出産・子育てに関する助成費や保険など公共制度の認知や手続きを簡素化する「Civichat」が1500万円調達
ハーバード大コンピューターサイエンス講座を日本語化・無償公開した、エンジニア養成学校CODEGYMを手がけるLABOTが3.1億円調達
将来の収入で授業料を払う「所得分配契約」オペレーティングシステムBlairがシード資金調達
ハーバード大のコンピューターサイエンス入門講座・プログラミング講座が日本語化・無償公開
入社が決まれば企業が奨学金返済を肩代わりしてくれる求人サービス「Crono Job」
VCのANRIが独自の給付型奨学金、基礎研究に取り組む若手人材をサポートへ

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:ANRI学生(用語)基礎研究(用語)奨学金(用語)VC / ベンチャーキャピタル(用語)日本(国・地域)

グーグルがpringを買収した理由とは? 「米IT大手が日本の決済市場を席巻」は本当か

グーグルがpringを買収した理由とは? 「米大手ITが日本の決済市場を席巻」は本当か7月13日、Googleはモバイル金融サービスを提供する「pring(プリン)」の全株式を取得するための契約に合意したことを発表した。

同社には親会社のメタップスをはじめ、ミロク情報サービス、日本瓦斯(ニチガス)、伊藤忠商事、ファミマデジタルワン、SBIインベストメント、みずほ銀行、SMBCベンチャーキャピタルなどメガバンクを含む複数の資本が入っており、株式譲渡が完了するとみられる8月中には実質的にGoogle傘下の企業となる。

Googleによる買収が発表された「pring(プリン)」

Googleによる買収が発表された「pring(プリン)」

pringでは買収後も既存のサービスに変更はないと説明しているが、同件の最初に報じた日本経済新聞では「Google、日本で金融本格参入へ 国内スマホ決済買収」のタイトルで、Googleがpringをベースに日本国内における送金・決済サービスの分野に本格参入することを伝えており、いわゆる「GAFA」などの名称で呼ばれる米IT大手の金融分野での日本進出が本格化しつつあることを予感させる流れになっている。

「pring(プリン)」とはどういうサービスか

pringの会社設立は2017年、サービス開始はiOS版アプリの登場した2018年3月と、「○○Pay」などが多数リリースされた時期に登場した金融スタートアップの1社となる。

pringに関してよく誤解されている1点を挙げれば、同社が志向しているのは「○○Pay」が提供しているような「QRコード(バーコード)決済サービス」ではなく、「送金」を中心とした「シンプルなお金の移動サービス」だ。

以前に筆者が同社代表取締役の荻原充彦氏にインタビューしたときに、同氏は「純粋に送金に特化しているサービスは少ない。目指すのは早くて便利でどこでも使えるSuicaのようなサービス」とpringの特徴を説明している。

JCBの提供しているSmartCodeの仕組みなどを通じてQRコード決済が行える機能もあるものの、主眼はあくまで「個人間送金」、あるいは企業が経費精算などで従業員への支払いなどに利用する「業務用プリン」といったサービスとなる。

「なぜGoogleはpringに興味を持ったか」「pringをどのようにGoogleの金融サービスに組み込んでいくのか」という2つの疑問があるかと思うが、後者については比較的簡単に説明できる。

pringをGoogle Payの「ウォレット(Wallet)」とし、ここを基点にして送金や、決済など他の金融サービスと連携していくのが将来的な計画だろう。

送金などで受け取ったお金はいったんウォレットにプールされ、再び他者に送金したり、そのまま買い物や銀行口座などから引き出すことができる。pringの場合は銀行口座と連携せずともセブン銀行ATM経由でウォレットへのチャージや現金の引き出しが可能なため、この仕組みを手軽に利用できる。

セブン銀行との提携で会見したpring代表取締役の荻原充彦氏(右)

セブン銀行との提携で会見したpring代表取締役の荻原充彦氏(右)

セブン銀行ATMでアプリから出金する

セブン銀行ATMでアプリから出金する

ただ興味深いのは、この送金機能が現在提供されているのは米国とインドの2ヶ国のみだ。Google Pay自体は本稿執筆時点で40ヶ国でのサービス提供が行われているにもかかわらず、2015年のサービス開始(当時は「Android Pay」の名称)から6年経過した現在においてなおこの状態となっている。

多くの国ではGoogle Payにカードを登録してオンラインやオフラインの店舗での支払いに利用できるのみだ。またインドで提供されているサービスは(2017年のサービス開始当初は「Tez」のブランド)、登録された銀行口座間の送金が基本となっており、いわゆるウォレット方式とは異なる。モバイル送金それ自体は非常に便利な仕組みだが、Google Payのような決済サービスと組み合わせることで残高の利用機会が増え、互いに相乗効果をもたらす。

日本におけるGoogle Payは登録可能な対応カードや決済手段が限られており、どちらかといえばFeliCaチップを使った「おサイフケータイ」に依存する部分が大きい。個人的意見でいえばGoogle Payを使う場面は自ずと限られているという認識だが、今後「送金」の仕組みが加わることで、より活用場面は増えるだろう。

Google Payの店頭決済において利用可能なカード一覧。選択肢としては決して多いとはいえない(出典:Google)

Google Payの店頭決済において利用可能なカード一覧。選択肢としては決して多いとはいえない(出典:Google)

金融端境期のGoogleによるpring買収

「送金」サービスと一口にいうが、実際に使い勝手のいいサービスを提供するのは難しい。「マネーロンダリング防止の観点から送金の監視が必要」という話に加え、「異なるサービス間でどのように送金を行うのか」という問題がある。

同一サービス間であればアカウント同士の残高を移し替えるだけなので問題ない。ところが送金先が同一サービスにアカウントを持っていない場合、異なるサービスのアカウントを指定して送金を行う必要がある。現状、そのような仕組みが実装されているケースはほとんどなく、例えば「割り勘」のような仕組みを実装する際の障壁となっている。

皆が皆使っているサービスなら問題ないが、そこまでユーザーを獲得しているサービスはそうない。Google Payがもし送金機能を標準で実装し、さらに日本において多数のユーザーが存在する“iOS向け”のGoogle Payアプリをリリースすれば、この問題を解消できるかもしれない。

pringアプリのメイン画面

pringアプリのメイン画面

送金サービス提供にあたってもう1つの問題が振込手数料の存在だ。前述のように同一サービス間であれば残高の付け替えだけで済み、ほとんどコストのかからない作業だが、アカウントへの出入金や他のサービス(あるいは銀行口座)への送金が発生した場合、振込手数料が必要となる。

pringを含む“送金”や“出入金”の機能を提供する「○○Pay」の金融サービス事業者は改正資金決済法における「資金移動業者」と定義される。資本規制を含むさまざまなルールが規定される免許事業者の銀行と比べて参入障壁は低いものの、100万円以上の資金の移動に制限を受けたり、「預金」にまつわるサービスが提供できないなど、決済や送金に特化した認可事業者の扱いだ。

位置付けとしては、資金移動業者は特定の銀行の支店に口座を持ち、そこを通じて他のサービスや銀行と精算業務を行っている。銀行間の資金決済処理は全銀システムを通じて行われているが、その際に必ず手数料が発生する。

一般に、銀行口座振込で1回あたり2百数十円の振込手数料が要求されるが、これは全銀システムを経由していることによる。近年、この全銀システムの手数料の高さや、システムへの接続が銀行以外のサービス事業者(資金移動業者など)に開放されていないことが問題視されており、手数料値下げや緩和の方向に向かいつつある。

また、全銀システムなどの利用料が1回利用あたりの一律料金で設定されていることにより、特に小額送金や決済において「手数料が相対的に非常に高くなる」という点も、キャッシュレス化の進展において小額決済が現金からキャッシュレス決済に移行する際の障害になっていると考えられている。

小額決済や送金を可能にする「ことら」という仕組みがメガバンクらを中心にJ-Debitの仕組みをベースに検討されており、こうしたニーズとのギャップを埋めるべく金融業界の新しい動きとなっている。つまり、オンラインシステムが稼働を開始してから長らく変化の少なかった銀行業界だが、ここ最近になり急速な変化が起きつつある。

これはインターネット事業者など業界外からの参入が増え、競争が激化しつつあることと無縁ではない。Googleのpring買収はこの日本での金融端境期の中で起きた大きなイベントの1つであり、2016年のApple Payの日本でのサービスインと合わせ、少なからぬ影響を業界に与えることになると考える。

米IT大手が日本の金融市場を席巻するという話は本当か

この手のニュースが報じられると、毎回話題になるのが「米国のIT大手が日本の金融市場も席巻し、銀行は過去のものになる」というテーマだ。

実際のところ、金融業界は規制に大きく縛られた業界であり、国ごとにルールや商習慣も大きく違う。仮に先進的で革新的なサービスであっても、そう簡単に複数の地域や国に一度に展開が可能なほど甘い世界でもない。

例えば、Googleがpringを買収したところで銀行の代わりにはなれないし、Google自身が銀行免許を取得して日本で自ら本格的な金融サービスを提供するような面倒な道は選ばないだろう。それよりは、すでに日本ですでに地場を固めている複数の金融機関と手を組み、すばやく必要で手軽なサービスを展開する方が効率がいい。

Appleがあくまで既存金融機関などとの提携で「Apple Pay」を日本に持ち込んだように、方法としてはそちらの方が圧倒的にスマートだ。一方で、今後給与デジタル払いが解禁されたタイミングで、pringのような仕組みを利用するケースはさらに増えるとみられ、“地ならし”という点で今回の買収は大きな意味を持つ。

実際のところ、こうした地域間でのルールや文化の違いが金融サービスの提供にあたっては大きな障壁となる。例えば、先日ゴールドマン・サックスの日本支社が国内で銀行業免許を取得したことが話題になったが、これが必ずしも「日本でのリテールバンク参入」や「Apple Cardの国内発行」に即つながるわけではない。

ゴールドマン・サックスは「Marcus」ブランドで2016年に米国でリテールバンク市場に参入しつつ、2019年にはカード発行の外販事業で初の顧客として「Apple Card」の発行を請け負った。

Apple Cardはスマートフォン(iPhone)利用に特化した分かりやすいUIと、最大3%の“キャッシュ還元”が特徴のクレジットカードだが、日本と米国でカード利用のビジネスモデルが大きく異なっていることから、同じ商品性で日本にサービスを投入するのは難しいと考えられている。将来的には分からないが、この仕組みが日本の消費者に受け入れられるかも含め、参入に時間のかかるビジネスと思われる。

Marcus by Goldman Sachsのページ

Marcus by Goldman Sachsのページ

また、Appleについては米国で「Buy Now, Pay Later(BNPL)」への市場参入が米Bloombergによって報じられている。これはApple Payの支払いオプションとしてクレジットカードやデビットカードによる一括決済だけでなく、「4回払い」の指定が可能になるもの。市場背景などの詳細は筆者の別の記事を参照いただきたいが、米国のクレジットカードでは一括決済後に弁済金を自ら少しずつ返済していく仕組みが一般的であり、指定期日を過ぎるとその分が利息として請求される。

「ミニマムペイメント」とは毎月やってくる返済期日に最低限弁済しないといけない金額のことであり、早めに返済すればするほど手数料は低くなる。いわゆる「リボ払い」と呼ばれるものだが、日本では分割払いの回数や手数料は最初の決済時に決定されるものなので、BNPLのような仕組みは馴染みにくいだろう。

近年、米国を含め欧米を中心にBNPLの仕組みがブームになっているが、その理由として「クレジットカードの与信枠が少ないので、それを超える買い物をしたい」「そもそもクレジットカードを使いたくない」といったユーザーのニーズを反映したものとなっている。

小売店側も販売機会の増加や決済単価を増やすため、本来のカード決済手数料よりも高い(米国ではクレジットカードと比較して1.5-2倍程度とされる)BNPLをあえて導入し、売上全体を伸ばすことに利用している。

BNPL市場興隆の例。オーストラリアでの調査報告で、クレジットカード発行枚数の減少とともにBNPLの決済額が増えつつある(出典:ネットプロテクションズ)

BNPL市場興隆の例。オーストラリアでの調査報告で、クレジットカード発行枚数の減少とともにBNPLの決済額が増えつつある(出典:ネットプロテクションズ)

このように、「GAFAが日本金融を席巻する」という話はそう単純なものではなく、これまで変化の少なかった金融業界のビジネスモデルに影響を与えつつも、あくまで相互関係に則って展開されるものだということが分かるだろう。

過度な警戒は必要ないが、これら米IT大手が日本の金融市場にサービスを提供することでどのような影響を与えるのか、自分の生活をどう変化させるのかを考えつつ、今後の思索につなげていきたい。

(鈴木淳也。Engadget日本版より転載)

関連記事
アップルがApple Payに後払い決済機能を導入か
グーグルがQR決済・送金アプリの「pring」を買収
「NP後払い」のネットプロテクションズがJCBと資本提携、約60億円の調達とともに事業連携を強化
後払い販売(Buy-Now-Pay-Later)が英国で規制対象に
PayPalが4回払いの「Pay in 4」で信用販売レースに参入
メルペイが分割払いに対応、年利15%はクレカ並みだが月支払い額を柔軟に変更可能

カテゴリー:フィンテック
タグ:Apple Pay(製品・サービス)Apple Card(製品・サービス)Apple / アップル(企業)Google / グーグル(企業)Google Pay(製品・サービス)JCB / ジェーシービー(企業・サービス)ネットプロテクションズ(企業)買収 / 合併 / M&A(用語)BNPL / 信用販売(用語)pring(企業・サービス)マネーロンダリング防止 / 資金洗浄防止 / AMLリボ払い / リボルビング払い(用語)日本(国・地域)

医療機関用災害対策システム「Smart:DR」を手がけるSmart119が災害時の病院初期対応アプリを公開

医療機関用災害対策システム「Smart:DR」を手がけるSmart119が災害時の病院初期対応アプリを公開

テクノロジーによる緊急医療の改善に取り組む千葉大学発の医療スタートアップSmart119(スマートイチイチキュウ)は、医療機関用災害対策システム「Smart:DR」(スマートディーアール)をスマートフォンやタブレットに対応させた「Smart:DRアプリ」を開発。7月15日、Android版iOS版を公開した。

Smart:DRは、災害やテロの発生時に「スタッフの安否確認」「集合要請」をスムーズに行い、医療機関や企業が被害を最小限に抑え、BCP(業務継続計画)策定による事業継続や復旧、傷病者の救命を支援するシステム。Smart119によると、同システムを導入した医療機関からの要望に応え、アプリ版を開発したという。

アプリ版では、受信したメッセージをより明瞭に把握できるほか、災害発生地点の表示や、健康状態の報告も従来より容易になっているそうだ。また、新型コロナウイルスのワクチン接種状況や副反応発生の有無などの情報収集も可能で、院内クラスター発生抑止や職員の健康管理に貢献するとしている。

主な特徴は次のとおり。

Smart:DRの特徴

  • スタッフへの緊急連絡、安否確認
  • 緊急時の集合状況をリアルタイムに把握でき、最適な人員配置を支援
  • 医学的見地に基づいた健康管理情報を自動集計
  • 返信は、ワンクリックで完了でき、ログイン不要
  • 掲示板機能を有し、平時においても活用できる

アプリ版を使うことで「医療従事者が通常時からSmart:DRを積極的に活用し、緊急時に、スムーズに危機管理体制へ参加」することが期待されるとSmart119は話している。

2018年5月設立のSmart119は、「安心できる未来医療を創造する」を目指し、現役救急医が設立した千葉大学医学部発のスタートアップ企業。Smart:DRをはじめ、音声認識とAIを活用した救急医療支援システム「Smart119」、緊急時医師集合要請システム「ACES」の開発・運用も行っている。また千葉県千葉市において、日本医療研究開発機構(AMED)の救急医療に関する研究開発事業を実施した。

関連記事
新型コロナワクチンの「打ち手不足」問題解消を支援、3Dプリンターで作れる筋肉注射練習モデルが開発・公開
MICINが外科手術患者の手術前から退院までの期間・周術期をケアするアプリ「MedBridge」を開発
気になる症状から病名と適切な受診先を調べられる、「AI受診相談ユビー」がサービス開始1年で月間利用者数100万人を突破
医療現場の課題を自身で解決できる医者・看護師を育てる日本初の医療者向けプログラミングスクールが開校
国内初のIoT型胎児モニターを製造販売する香川大学発「メロディ・インターナショナル」が1.5億円調達
在宅・被災地などの医療現場でリアルタイム検査が可能な免疫センサー機器を開発するイムノセンスが1.3億円調達
救急外来特化の患者情報記録・管理システム「NEXT Stage ER」提供のTXP Medicalが2.5億円調達
Googleが新型コロナ「デジタルパス」をAndroid標準機能としてサポート、「Google Pay」で接種情報表示可能に

カテゴリー:ヘルステック
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)医療(用語)自然災害 / 火災(用語)新型コロナウイルス(用語)Smart119(企業・サービス)千葉大学(組織)BCP / 事業継続計画(用語)ワクチン(用語)日本(国・地域)

iPS細胞で犬をはじめ動物再生医療に取り組む、日本大学・慶應義塾大学発「Vetanic」が総額1.5億円を調達

iPS細胞で犬をはじめ動物再生医療に取り組む、日本大学・慶應義塾大学発「Vetanic」が総額1.5億円を調達

iPS細胞で動物再生医療を推進するバイオテック領域スタートアップVetanic(ベタニック)は7月15日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による総額1億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、慶應イノベーション・イニシアティブが運営するKII2 号投資事業有限責任組合、QBキャピタルおよびNCBベンチャーキャピタルが共同で運営するQB第ニ号投資事業有限責任組合。

同社によると、ヒトで実用化が進む再生医療は、獣医療においても普及が望まれているものの、現在は設備要件を満たした少数の動物病院において実施されているのみで、品質のバラツキや治療開始までのリードタイム、また高額な治療費など、普及に向けた課題が存在するという。

そんな中Vetanicは、日本大学と慶應義塾大学との共同研究により、「世界で唯一の臨床応用に適したイヌiPS細胞の作製」に成功した(iPS細胞作製方法は両大学の共同出願として、PCT特許出願中)。これは「病原性となり得るウイルスを利用しない、免疫反応を惹起してしまう異種の動物成分を用いずに安定的・高効率で誘導できることから、安全性が高く高品質な真の『臨床グレード』と呼べるiPS細胞」とのこと。また、この独自のイヌiPS細胞を起原として、イヌの間葉系幹細胞(MSC)の誘導に成功した。同社はこのMSCを用いた再生医療の実用化を目指し、研究開発を推進するとしている。

iPS細胞で犬をはじめ動物再生医療に取り組む、日本大学・慶應義塾大学発「Vetanic」が総額1.5億円を調達

Vetanicの技術で構築した臨床グレードのイヌiPS細胞

間葉系幹細胞(MSC)とは、体にもともと備わっている幹細胞の一種で、増殖能が高く、神経、脂肪、骨、血管などに分化できる細胞。Vetanicの技術は、脂肪組織由来のMSCとは異なり、ドナー動物に依存しないため倫理的で、動物の身体的負担がなく、治療開始までのリードタイムも短縮できるなど、これまでの再生医療の課題の数々を克服している。

今後は、イヌiPS細胞由来間葉系幹細胞の開発を加速させ、「MSC以外の各種再生医療等製品の開発にも順次着手する」という。

関連記事
脚を失ったヒゲハゲタカが鳥類で初めて特殊な骨インプラントを直接埋め込む義肢を得た「バイオニックハゲタカ」に
ねこ用スマートトイレ「Toletta」が本体無料&アプリ月額料金1078円で利用可能に、トレッタキャッツがリニューアル
スマホでペット保険金を請求できる「アニポス」が約1.1億円を調達、開発運営体制を強化
首輪型猫用ロギングデバイス「Catlog」が猫の食事バランスを見守る「Catlogフードケア」開始
ペット業界に特化したTYLが獣医師往診サービス「anihoc」開始、往診料金税込5500円
麻布大学が獣医学系で国内初のVR活用教育を開始、獣医外科学実習の授業に採用

カテゴリー:バイオテック
タグ:iPS細胞(用語)医療(用語)MSC / 間葉系幹細胞(用語)慶應義塾大学(組織)再生医学・再生医療(用語)日本大学(組織)Vetanic(企業)ペット(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

価格約1万1000円、Raspberry Piで簡単に3Dポイントクラウドが作れる3Dセンシングシステム「ILT開発キット」発表

Raspberry Piで簡単に3Dポイントクラウドが作れる3Dセンシングシステム「ILT開発キット」発表

マジックアイは、企業や学校の研究者など3Dセンシングに興味のある人を対象に、小型・高速・高精度・低遅延・省電力を特徴とする独自特許技術の3Dセンサー方式「インバーティブル・ライト技術」(ILT)を手軽に評価できる入門モデル「ILT開発キット」(DK-ILT001)を7月15日から世界同時発売すると発表した。希望小売価格は100ドル(約1万1000円)。予定販売数は5000台。スイッチサイエンスから販売予定。

縦横44×24ミリ、高さ16ミリというコンパクトなハードウェアと専用ファームウェアからなるILT開発キットは、Raspberry Pi(別売)と組み合わせることで、動きの速い立体も高精度に測距して3Dポイントクラウド(3D点群)化できる。


「ILT開発キット」(DK-ILT001)仕様は次のとおり。

「ILT開発キット」(DK-ILT001)仕様

  • プロジェクター発光到達距離:1500mm
  • 推奨測距距離:150〜800mm(測定精度±3¥%)
  • 高精度測距距離:150〜500mm(測定精度±1.5¥%)
  • 測距有効視野角(FOV):約55度×約43度(マジックアイ開発環境による)
  • 測距速度:約120fps(マジックアイ開発環境による)
  • 動作環境:Raspberry Pi Zero W/3B/3B+/4(専用ファームウェアを準備)
  • レーザークラス:クラス1IEC60825-1(2007)、FDA:2110463-000)
  • 電源電圧:3.3V(電源はRaspberry Piのカメラコネクターより供給)
  • 消費電力:0.6W(平均)
  • 形状:W44×D24×H16mm
  • 質量:16g

開発環境

  • Raspberry Pi Zero W/3B/3B+/4(専用ファームウェアを準備)
  • 対応OS:Ubuntu 20.04、Windows 10
  • 対応言語:C++、Python
  • 対応ミドルウェア:OpenCV、PCL(Point Cloud Library)、Open3D、ROS、Unity(計画中のものを含む)

関連記事
深度・色情報を取得できるAIカメラ「OAK-D OpenCV DepthAIカメラ」を2万5179円でスイッチサイエンスが発売
ROS対応協働ロボットアーム「myCobot」のラズパイ版「myCobot Pi」、商業向け「myCobot Pro」が発売開始
世界に先駆け有機半導体レーザー評価用サンプルの製造・販売を目指す、九州大学発のKOALA Techが4億円調達
Raspberry Pi財団が550円の「Raspberry Pi Pico」発表、日本でもスイッチサイエンスが発売
ラズベリーパイ財団が8GBメモリー搭載のRaspberry Pi 4を発表

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Windows 10(製品・サービス)Ubuntu(製品・サービス)OpenCV(製品・サービス)Open3D(製品・サービス)コンピュータービジョン(用語)C++(製品・サービス)スイッチサイエンス(企業)Python(製品・サービス)PCL / Point Cloud Library(製品・サービス)マジックアイ(企業)Unity(企業・サービス)Raspberry Pi(組織・製品)ROS(製品・サービス)日本(国・地域)

ソフトバンクが2030年代の「Beyond 5G」「6G」のコンセプトと12の挑戦を公開

ソフトバンクが次世代移動体通信規格「Beyond 5G」「6G」に向けた12の挑戦を公開ソフトバンクは、2030年代の商用化が期待されている、次世代移動体通信規格「Beyond 5G」および「6G」に向けた12の挑戦を公開しました。

内容としては、5Gの「ミリ波」よりもさらに高い周波数帯「テラヘルツ波」の利用や、無人の電気飛行機を使って成層圏に携帯基地局を浮かべる「HAPS」、LEO(低軌道通信衛星)を活用した、100%のエリアカバレッジなどが紹介されています。全文は下記の通りです。

(1)ベストエフォートからの脱却

これまでのモバイルネットワークでは、スマートフォンをインターネットに接続するベストエフォートなサービスを提供してきました。例えば、ネットショッピングや動画のストリーミング視聴といった、多少の遅延やパケットロスが発生しても生活に支障が生じにくいアプリケーションを提供してきました。6Gのモバイルネットワークでは、さまざまな産業を支える社会インフラの実装が期待されており、各産業が要求するサービスレベルに見合った、品質の高いモバイルネットワークを提供する必要があります。ソフトバンクは、日本全国を網羅するモバイルネットワークに、MEC(Mobile Edge Computing)やネットワークスライシングなどの機能を実装して、産業を支える社会インフラを実現していきます。

(2)モバイルのウェブ化

インターネットは、これまで多くのIT企業によってシステムやプロトコルの改善がなされ、進化を続けてきました。一方、モバイルネットワークは、クローズドなネットワークであるため、世界的に標準化される以上に進化を遂げることはありません。今後、モバイルネットワークのサービスの幅を広げるために、より柔軟なアーキテクチャーに生まれ変わることが期待されます。6Gでは、ウェブサービスのアーキテクチャーを取り込むことで、さらにお客さまに便利なサービスを提供できると考えて、研究開発を進めていきます。

(3)AIのネットワーク

AI技術は、画像認識による物体の検知や、音声認識・翻訳だけではなく、ネットワークの最適化や運用の自動化など、幅広く適用されるようなりました。同時に、無線基地局を含むモバイル通信を支えるネットワーク装置では、汎用コンピューターによる仮想化も進んできました。AI技術と、ネットワーク装置の仮想化は、いずれもGPU(Graphic Processing Unit)によって効率的に処理できるソフトウエアです。モバイルネットワーク上にGPUを搭載したコンピューターを分散配置することで、低コストで高品質なネットワークとサービスの提供が可能になります。ソフトバンクは、2019年からGPUを活用した仮想基地局の技術検証に取り組んでおり、AI技術とネットワークが融合したMEC環境を実現していきます。

(4)エリア 100%

6Gでは、居住エリアで圏外をなくすことや、地球すべてをエリア化することが求められます。ソフトバンクは、HAPSやLEO(低軌道)衛星、GEO(静止軌道)衛星を活用した非地上系ネットワークソリューションを提供することで、この問題を解決します。これにより、世界中で30億を超えるインターネットに接続できない人々に、インターネットを提供することが可能になります。また、これまで基地局を設置できなかった海上や山間部、さらには上空を含むエリアにモバイルネットワークを提供することが可能になり、自動運転や空飛ぶタクシー、ドローンなど新しい産業を支えるインフラとなります。

(5)エリアの拡張

ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイルは、2017年から成層圏プラットフォームと通信システムの開発に取り組んでいます。2020年にはソーラーパネルを搭載した成層圏通信プラットフォーム向け無人航空機「Sunglider」(サングライダー)が、ニューメキシコで成層圏フライトおよび成層圏からのLTE通信に成功し、HAPSが実現可能であることを証明しました。このフライトテストで得た膨大なデータを基に、商用化に向けて機体や無線機の開発、レギュレーションの整備などを進めていきます。

(6)周波数の拡張

5Gでは、これまで移動体通信で利用されることがなかったミリ波が利用できるようにしました。6Gでは、5Gの10倍の通信速度を実現するため、ミリ波よりも高い周波数のテラヘルツ波の活用が期待されています。一般的に、100GHzから10THzまでがテラヘルツ帯とされ、2019年に開催された世界無線通信会議(WRC-19)では、これまで割り当てられたことがなかった275GHz以上の周波数の中で、合計137GHzが通信用途として特定されました。この広大な周波数を移動通信で活用することで、さらなる超高速・大容量の通信の実現を目指します。

(7)電波によるセンシング

ソフトバンクは、これまで電波を主に通信用途で活用してきましたが、6G時代では通信以外の用途でも活用することが可能になります。例えば、Wi-Fiの電波を使用して、屋内で人の位置を特定する技術はすでに実用化されている他、Bluetoothを位置情報のトラッキングに利用するケースもあります。6G時代では、電波を活用して、通信と同時にセンシングやトラッキングなどを行うサービスの提供を目指します。

(8)電波による充電・給電

スマートフォンなどのデバイスは、Qi規格による無接点充電技術が多く使用されていますが、距離が離れてしまうと充電・給電ができないという欠点があります。6G時代には、電池交換や日々の充電から解放される未来がやってくると期待しており、距離が離れても電波を活用した充電・給電を行える技術の研究開発を進めていきます。

(9)周波数

周波数は、これまで各事業者が占有して利用することを前提に割り当てられてきましたが、IP技術を無線区間に応用することで、時間的・空間的に空いている帯域を複数事業者で共有することも可能になると考えます。Massive MIMOやDSS(Dynamic Spectrum Sharing)などの多重化技術がすでに確立されていますが、これらを含めた技術をさらに発展させて周波数の有効活用を進めていきます。

(10)超安全

2030年には、量子コンピューターの実用化まで開発が進むと言われています。量子コンピューターが実用化されると、現在インターネットの暗号化に使われているRSA暗号の解読ができるようになり、通信の中身を盗まれる可能性があります。将来、通信インフラの上に成り立つ産業全体を守るために、耐量子計算機暗号(PQC)や量子暗号通信(QKD)などの技術検証に取り組み、発展させることで、超安全なネットワークの実現を目指します。

(11)耐障害性

モバイルネットワークは、5G以降により一層社会インフラとしての役割が強くなってくると考えており、通信障害が発生した場合でも社会インフラとして維持し続ける必要があります。そこで、従来のネットワークアーキテクチャーを見直すことで、障害が起こりにくいネットワークを構築するとともに、万が一、障害が発生した場合でもサービスを維持できるようなネットワークの技術の研究開発を進めていきます。

(12)ネットゼロ

大量のセンサーやデバイスからのデータ、あらゆる計算機によるデータ処理によって、CO2排出量を常時監視・観察ができるようになると、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするネットゼロの達成に大きく寄与できると考えられます。しかし、常にセンサーなどで監視されることになるため、プライバシー情報の取り扱いや情報セキュリティーといった課題を解決することも必要になります。また、基地局自体もカーボンニュートラルな運用を目指しています。現在、災害時でもネットワークを稼働させるため、基地局の予備電源の設置が義務付けられていますが、電源を普段から活用することや、日中に充電した電気を夜間に使うことで、温室効果ガスの排出量を抑えることができます。さらに、通信量に応じてリアルタイムな基地局の稼働制御を行うことで、消費電力を最小化することも可能になります。カーボンフリーな基地局の実現に向けて研究開発を進めていきます。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

関連記事
5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援
「Starlink衛星通信端末は製造コストの半値以下で提供」とマスクCEO、黒字化までもうしばらく時間がかかりそう
テクノロジーと災害対応の未来3「接続性、地球が滅びてもインターネットは不滅」
ソフトバンクらが次世代電池研究開発においてリチウム金属負極を用いた質量エネルギー密度450Wh/kg級の実証に成功
通信衛星オペレーターの英OneWebがソフトバンクなどから約1450億円調達
AlphabetのLoonとソフトバンクのHAPSMobileによる成層圏ネットワーク構想に世界的大企業が続々参加
気球ネットワーク開発のグーグル系Loonとの無人航空機開発のソフトバンク系HAPSMobileが空飛ぶ基地局を実現

カテゴリー:ネットサービス
タグ:衛星コンステレーション(用語)エッジコンピューティング(用語)カーボンニュートラル(用語)GEO / 静止軌道(用語)ソフトバンク / SoftBank(企業)耐量子計算機暗号 / PQC(用語)テラヘルツ波(用語)ドローン(用語)ネットワーク(用語)HAPS / 成層圏通信プラットフォーム(用語)HAPSモバイル(企業)Beyond 5G / 6G(用語)5G(用語)量子暗号(用語)量子暗号通信 / QKD(用語)量子コンピューター(用語)LEO / 地球低軌道(用語)日本(国・地域)

顧客紹介マッチングサービス「Saleshub」が1億円調達、「つながりマッチング」機能も正式リリース

企業と個人をつなぎ商談を設定すると報酬をもらえる顧客紹介マッチング「Saleshub」が1億円調達、「つながりマッチング」機能も正式公開

企業と知り合いを結び付けて商談を設定すると報酬がもらえる顧客紹介マッチングサービス「Saleshub」(セールスハブ)を運営するSaleshubは7月14日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による1億円の資金調達を発表した。引受先は、インキュベイトファンドをリード投資家に、SMBCベンチャーキャピタルが加わっている。これで累計資金調達額は約2億5000万円となった。調達した資金は、ポーター新規登録拡大のためのマーケティング施策、エンジニアやカスタマーサクセスなどのポジションを中心とする採用強化、新規登録サポーターを個別に支援する「Saleshubコンシェルジュ」チーム構築などのカスタマーサクセス体制の強化にあてる。

Saleshubは、サポーターと呼ばれる個人の登録会員が、企業や事業が求める顧客を紹介したり、事業を個人に紹介して商談を設定するサービス。サポーターは、自分の友人や知り合いを「つながり」として登録。企業は顧客候補「アタックリスト」を公開しておく。これら情報を基に、サポーターは顧客(個人)と企業を引き合わせ、商談のアポイントメントを取り付けるというものだ。うまく商談が設定できれば、サポーターには報酬として「ご協力金」が支払われるので、ちょっとした隙間時間の副業となる。

2017年6月の提供開始以来、累計登録企業数は2700社、累計サポーター数は2万5000人、「つながり」の登録者数は累計1万件に到達。アタックリストの登録数は60万件、累計紹介提案数は2万件、累計マッチング件数は52万件を超えた。

「つながり」と「アタックリスト」を基にした自動マッチングを可能にする「つながりマッチング機能」

この「つながり」と「アタックリスト」を、テキスト解析などを使って自動マッチングする「つながりマッチング機能」がベータ版として試験提供されていたが、7月14日に正式リリースとなった。サポーターは、「つながり」を登録するだけで、その人たちを求める企業が自動的に推薦される。試験運用中の直近3カ月での平均マッチング率は97%にも上ったという。

同時に、サポーターのマッチング体験の向上などを支援する「サポーター応援プログラム」も開始する。これは、サポーターがSaleshubを副業として本格的に取り組む際の不安や悩みの相談に応じ、きめ細かいサポートを行う「Saleshubコンシェルジュ」の導入と、内容に応じた「ご協力金」の適切な設定基準となるガイドラインを策定するといったものだ。

今後は、2022年春ごろまでに「つながりマッチング」の100万件突破を目指して、開発運営を進めてゆくとのこと。

関連記事
スキルシェアのビザスクがSMBCヒューマン・キャリアと社外取締役や業務委託などの人材マッチング領域で提携
オンライン完結で営業活動し経営者・決裁者に直接アポが取れるSaaS「アポレル」のアライアンスクラウドが8000万円調達
複業マッチングプラットフォーム「Another works」が1.6億円調達、AI技術活用しプロダクトの機能拡充
Yahoo! JAPANが副業マッチングサービス「Yahoo!副業(ベータ版)」の先行登録受付を開始、5月に本格稼働へ
LINEが企業とユーザーのスキマ時間をつなぐ求人サービス「LINEスキマニ」を2021年2月24日開始
“フリーランス営業マン”は生まれるか――企業と営業マンをつなぐ「Saleshub」が8000万円調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Sales Tech / セールステック / 営業Saleshub(企業・サービス)副業(用語)マッチングサービス(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

スタートアップ向け株主総会電子化ツールや投資家向け未上場株式管理クラウドのケップルが約4.7億円を調達

スタートアップ向け株主総会電子化ツールや投資家向け未上場株式管理クラウドのケップルが約4.7億円を調達

起業家と投資家を支援し「世界に新たな産業を創造する」を理念に、VC・事業会社向け未上場株式管理クラウド「FUNDBOARD」、スタートアップ・中小企業向け株主総会電子化ツール「株主総会クラウド」などを提供するケップルは7月14日、第三者割当増資による約4億7000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先には、SuMi TRUSTイノベーションファンド(三井住友信託銀行CVC)をリード投資家に、SBIインベストメント、SMBCベンチャーキャピタル、ストライク、辻・本郷ビジネスコンサルティングが参加している。

ケップルは、FUNDBOARD、株主総会クラウドの他に、スタートアップの適正な企業価値の算定やファンドの決算を支援するサービス、CVCの立ち上げ・運営の支援なども行っている。2018年12月には日本経済新聞社と資本業務提携を結び、共同でスタートアップのデータベースを運営。2021年1月には、三井住友信託銀行と資本業務提携を結び、同行のノウハウやネットワークを活かした企業のオープンイノベーション支援を行ってきた。

今回調達した資金は、既存事業の拡大と新規事業の創出に使われる。

関連記事
湘南アイパークがVC・CVC・製薬会社の連携の場「日本VCコンソーシアム」の第2期会員企業を募集
スクラムベンチャーズが日本企業とスタートアップをつなぐ新プログラムを開始
学研が30億円規模のCVC投資プロジェクト発表、EdTech・Care Techスタートアップとの協創目指す
50社以上の投資家へ自社の情報配信、「FUNDBOARD」がスタートアップの資金調達を支援する新サービス
スタートアップと大企業の協業増やし市場活性化へ、「FUNDBOARD」運営が日経と資本業務提携
VCの投資先管理を簡単にする「FUNDBOARD」が事業会社や個人投資家向けにもサービス開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ケップル(企業)CVC(用語)VC / ベンチャーキャピタル(用語)プライベートエクイティ / 未公開株式 / プライベートエクイティ投資(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

レアメタル溶媒抽出技術エマルションフローで都市鉱山リサイクルを目指すエマルションフローテクノロジーズが資金調達

「都市鉱山」レアメタルのリサイクル技術「エマルションフロー」活用した事業化を目指すエマルションフローテクノロジーズが8000万円調達

日本原子力開発機構(原子力機構)発のレアメタルリサイクルベンチャー「エマルションフローテクノロジーズ」(EFT)は7月14日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による8000万円の資金調達を発表した。引受先は、リアルテックホールディングスが運営するリアルテックファンド。エマルションフローとは、原子力機構で開発されたレアメタルのリサイクル関連技術のこと。EFTは、この技術を事業化するため、6社目となる原子力機構発ベンチャー企業に認定された。

「都市鉱山」レアメタルのリサイクル技術「エマルションフロー」活用した事業化を目指すエマルションフローテクノロジーズが8000万円調達

いわゆる「都市鉱山」に眠るレアメタルの回収は大きな社会的課題となっているが、レアメタルのリサイクルには溶媒抽出という水と油を混合させて行う技術が用いられている。現在使われているミキサーセトラーという方式は、混ぜて、静かに置いて、分離するという3工程を必要とするもので、大型装置で時間をかけて行わなければならず、排水に油が混入するなど環境負荷の問題もある。

それに対して新しいエマルションフローは「送液のみ」のみの1工程で済む。この方式により、生産性は10倍(1/10にダウンサイジング)、ランニングコストは1/5、精製純度は99.99%以上となり、分離困難だった元素(レアアースなど)の精製、作業環境の改善、油と水の分離能力の向上による排水のクリーン化が実現した。原子力機構の研究室で偶然発見された「水と油が細かくよく混ざりながらもきれいに分離する」という現象にヒントを得て、この革新的な溶媒抽出法であるエマルションフローが開発されたとのことだ。

「都市鉱山」レアメタルのリサイクル技術「エマルションフロー」活用した事業化を目指すエマルションフローテクノロジーズが8000万円調達

EFTのレアメタルリサイクル事業では、エマルションフロー技術を用いることで、リチウムイオン電池などに含まれるレアメタルを低コストで高純度に回収する技術を確立し、「都市鉱山」から回収したレアメタルをハイテク産業に直接再利用できる「水平リサイクル」の実現を目指すという。

今回の資金調達でEFTは、第5世代のエマルションフロー装置のスケールアップ、レアメタルリサイクル事業とトータルサポート事業の推進を行う。

「都市鉱山」レアメタルのリサイクル技術「エマルションフロー」活用した事業化を目指すエマルションフローテクノロジーズが8000万円調達

関連記事
バッテリーリサイクルRedwood Materialsが拡大の一環としてテスラギガファクトリーの近くに拠点設置
デュポンとVCはリチウム採掘が電動化が進む未来に向けての超重要な投資先だと考える
バイデン大統領が半導体・EVバッテリーなど4品目のサプライチェーン見直しを要求する大統領令に署名
アマゾンとパナソニックが注目するバッテリーリサイクルスタートアップRedwood Materials

カテゴリー:EnviroTech
タグ:エマルションフローテクノロジーズ(企業)カーボンニュートラル(用語)都市鉱山(用語)リサイクル(用語)レアメタル / 希少金属(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

スマートリモコンのNatureが7.5億円調達し電気小売事業強化、クックパッド宇野雄氏がデザインアドバイザー就任

Natureが7.5億円の資金調達、クックパッドの宇野雄氏がデザインアドバイザーに就任

スマートリモコンと電気小売事業を組み合わせるなど「デジタル電力革命」を目指すNature(ネイチャー)は7月14日、第三者割当増資により7億5000万円の資金調達を完了したと発表した。引受先は、環境エネルギー投資と大和企業投資。さらに、クックパッドのデザイン戦略本部長でありUIデザイナーの宇野雄氏をアドバイザーに迎え入れた。

スマートリモコン「Nature Remo」シリーズを開発販売するNatureは、2021年3月に「Natureスマート電気」を立ち上げ電気小売事業に参入した。Natureスマート電気の契約者はNature Remoと連動させることで、電力需給ピーク時にエアコンの温度を自動調整して節電を行うことができる。

今回調達した資金は、電力小売事業拡販のための組織、販売体制、マーケティ ングの強化と、「次なる軸」とNatureが定める、家庭用太陽光発電、エコキュート、蓄電池、EVなどのエネルギーを一括管理して住宅のエネルギー自給自足を目指す「Behind The Meter」(ビハインド・ザ・メーター)事業の基盤構築に使われる。

クックパッドの宇野雄氏は、「はじめてのUIデザイン 」を執筆するなど、UI(ユーザーインターフェイス)デザインの第一人者として、「もっとテクノロジーと人間の生活をなめらかにつなげるはずだ」と日々考えているという。「『自然との共生をテクノロジーでドライブする』というミッ ションをもつNature社は非常に魅力的な存在であり、このミッションの実現をお手伝いできることが今か ら楽しみでなりません」と話している。

関連記事
電力小売「Natureスマート電気」が「テクノロジーでラクラク節電キャンペーン」で夏の電力不足解消を支援
「Natureスマート電気」が基本料金0円で電気を使った分だけ支払う固定単価新プランの先行受付開始
Natureが電力需給に応じ電気料金が変動する「Natureスマート電気」を発表、東京電力・関西電力エリア対象
Natureが価格6980円のスマートリモコン「Nature Remo mini 第2世代」発表
電気自動車を活用した電力需給調整とカーシェアを展開する「REXEV」が約7.4億円調達

タグ:スマートリモコン(用語)電力 / 電力網(用語)Nature(企業)Natureスマート電気(サービス)Nature Remo資金調達(用語)日本(国・地域)