ByteDanceのライバルKuaishouが物議を醸した同社の米国向けアプリ「Zynn」を提供終了へ

ByteDance(バイトダンス)のライバルと目されている中国のKuaishou Technology(クアイショウ、北京快手科技有限公司)は、2021年8月末に物議を醸しているショートビデオアプリ「Zynn(ジン)の提供を終了すると中国時間8月4日に発表した。このアプリは米国内でのみ利用可能だった。

2021年7月、月間アクティブユーザー数が10億人に達したと発表した同社は、2020年5月にサービスを開始して以来、論争の的となっていた同アプリを停止する理由については説明していない。

2021年に行われた調査で、Zynnは米国iOS App Storeでのランキングを表面的に向上させるために、ユーザーに謝礼を支払って動画を視聴させていたことが判明した。また、TikTok(ティックトック)のクローンであるこのアプリは、他のアプリから盗用した動画が氾濫していることが報道され、Google Playストアからも削除された。その後、同様の苦情を受けてAppleのApp Storeからも削除されている。

Kuaishouの広報担当者は声明の中で、今回のZynnのサービス停止の決定が他の市場のユーザーに影響を与えることはないと述べている。Kuaishouは、南米(Kwaiアプリとして)や南アジア地域(Snack Videoとして)など、他の多くの市場で同様のアプリを運営している。

2021年初めに香港でのIPOで54億ドル(約5917億円)を調達した同社は「国際市場における当社の戦略に変更はありません」と述べている。

モバイルデータ分析会社App Annieによると、Zynnアプリは米国でユーザーを引きつけることができず、2020年8月には約300万人だった月間アクティブユーザー数(MAU)が、2021年6月にはわずか20万人にまで減少していた(データは業界幹部がTechCrunchと共有したもの)。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

モバイルゲームと認知行動療法を組み合わせたアプリで睡眠、メンタルヘルス問題に取り組むRevery

シェイクスピアは「マクベス」の中で、睡眠を「この世の饗宴における最高の滋養」と表現した。だが、シェイクスピアの主人公と同じように、多くの大人がよく眠れていない。Revery(レベリー)は、不眠症のための認知行動療法(CBT)とモバイルゲームのコンセプトを組み合わせたアプリで、その手助けをしたいと考えている。

2021年3月創業のReveryは、現在ベータ版のステルスモードで、2021年後半に米国でアプリ立ち上げを予定している。同社は米国時間8月3日、Sequoia Capital Indiaのサージプログラムがリードしたラウンドで200万ドル(約2億2000万円)を調達したとを発表した。参加者にはGGV Capital、Pascal Capital、zVentures(Razerのコーポレートベンチャー部門)の他、MyFitnessPalの共同創業者であるAlbert Lee(アルバート・リー)氏、ゲーム起業家のJuha Paananen(ジュハ・パーナネン)氏、CREDの創業者であるKunal Shah(クナール・シャー)氏、Mobile Premier Leagueの創業者であるSai Srinivas(サイ・スリニバス)氏、Carolin Krenzer(キャロリン・クレンザー)氏、Josh Lee(ジョシュ・リー)氏などのエンジェル投資家が名を連ねた。

Reveryの創業者であるTammie Siew(タミー・シュー)氏とKhoa Tran(コーア・トラン)氏は、共通の友人であるリー氏の紹介で出会った。シュー氏はSequoia Capital India、Boston Consulting Group、CREDで勤務経験があり、トラン氏はGoogle(グーグル)でプロダクトマネージャーを務めていた。

Reveryは、将来的には他のメンタルヘルスの問題にも取り組む予定だが、まずは睡眠から始める。「睡眠はメンタルヘルスと非常に強い相関関係があるからです。当社は、不眠症に対する認知行動療法など、30年間試行錯誤されてきた強固な手順を活用しています」とシュー氏はTechCrunchに話した。「これが最初の適応症ですが、目標は他の健康適応症のためにも複数のゲームを開発することです」。

調査会社Infiniumの調査によると、世界の成人の約30〜45%が不眠症を経験しており、この問題は新型コロナウイルスの流行により悪化している。慢性的な睡眠不足は、高血圧、脳卒中、うつ病、免疫力の低下などさまざまな健康問題と関連している

Reveryのチームには、ZyngaやKingでリードゲームデザイナーを務めたKriti Sawa(クリティ・サワ)氏やソフトウェアエンジニアのStephanie Wong(ステファニー・ウォン)氏などがいる。彼らの睡眠へのこだわりは個人的なものだ。

Zoomで話すReveryのチーム

「私たちのチーム全員が、このミッションに深い関わりを持っています。というのも、チーム全員が、家族や友人がメンタルヘルスの問題に直面した経験があるからです」とシュー氏は語る。「介入が遅れるとどんな結果になるかを目の当たりにしてきました。そうしたことは、もっと早く助けを求めていれば避けられたかもしれないのです」。

トラン氏は15歳のときに、高血圧症とその他複数の健康上の症状について診断を下され、投薬治療が必要になった。睡眠時無呼吸症候群が原因だとがわかったのは26歳になってからだ。手術を受け、同氏の血圧は正常になり、他の多くの症状も改善された。

「睡眠障害の治療を受けて初めて、睡眠がメンタルヘルスに与える影響に気づきました」とトラン氏はいう。「私の場合、医師が睡眠障害を見つけてくれたことは本当に幸運でしたし、治療を受けるための時間とリソースがあったことも非常に幸運でした。多くの人にとって、治療へのアクセスはかなり得難いものになっています」。

Reveryの医療顧問チームには、トラン氏の手術を担当したスタンフォード睡眠外科フェローシップのディレクターであるスタンフォード大学のStanley Liu(スタンレー・リュー)博士、スタンフォード大学教授で行動睡眠医学の専門家であるFiona Barwick(フィオナ・バーウィック)博士、そして臨床心理学者でビデオゲームを使ったセラピーの研究を行っているRyan Kelly(ライアン・ケリー)博士がいる。

睡眠アプリというと「Calm」や「Headspace」などの瞑想をテーマにしたものや、癒し系の音などが思い浮かぶ。Reveryのチームは、立ち上げ前のアプリの詳細について明らかにしていないが、携帯電話のカジュアルゲームを参考にしていると話す。カジュアルゲームは、短時間のプレイを長期間にわたって繰り返し楽しんでもらえるように設計されている。目標は、ゲーミフィケーションを利用して、CBTをインタラクティブで楽しいものにし、ユーザーの日常生活の一部にすることだ。

「ZyngaやKingが採用しているのと同じようなゲーム性を持っているので、クリティの経験は非常に参考になります」とシュー氏はいう。カジュアルゲームは、ちょっとした行動に報酬を与えることで成り立っている。Reveryアプリでは、より良い睡眠に資する習慣を積極的に強化することを意味している。例えば、携帯電話を置いたときに報酬を与える。

「多くの人は、睡眠を解決するのは寝るときだけだと誤解しているようです。睡眠がその日の行動に影響を受けていることを理解していません」シュー氏は語る。「そのため、効果的かつ持続的に睡眠を改善するためには、眠ろうとする時以外の思考や行動も変えていく必要があります」。

GGV Capitalのマネージング・ディレクターであるJenny Lee(ジェニー・リー)氏は声明で「私たちは、成長するメンタル・ウェルネス市場に期待しています。Reveryのユニークなモバイルゲームベースのアプローチには、大きなインパクトを与えるチャンスがあると信じています。このような使命感を持ったチームを支援できることをうれしく思います」と述べた。

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カテゴリー:ヘルステック
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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

論議呼ぶ防犯アプリ「Vigilante(自警団員)」改め「Citizen」が月額約2180円のProtectサービスを開始

10万人以上のベータテスターによる数カ月間のテストを経て「Citizen(シチズン)」アプリは米国時間8月3日、プレミアム版「Protect(プロテクト)」の提供をすべてのユーザーに向けて開始する。このサブスクリプションサービスは月額20ドル(約2180円)で、アプリ上の多くの機能を利用することができる。

有料の新機能の中で最も重要なのは「Get Agent」ボタンで、これはさまざまなシナリオでCitizenのオペレーターへのアクセスを提供する。同社によると、このボタンは「911(日本の110番に相当する緊急番号)に電話するところを見られたくない」場合に利用できるという。それが身の安全の問題なのか、あるいは警察に電話することについての他の問題なのかは、間違いなくユーザーと状況の両方により異なるだろう。同社のエージェントは事実上、緊急通報のオペレーターとのパイプ役として機能する。

多くの人にとってCitizenアプリの機能は近年、さまざまな論争の影に隠れがちだった。当初は「Vigilante(自警団員)」という名称でスタートしたこのアプリは、2021年初めに「Personal Rapid Response Service(個人向け緊急対応サービス)」という私有のフリートを立ち上げたことや、ロサンゼルスの山火事を起こしたと濡れ衣を着せられた人物を捕らえる報奨金を提供したことでニュースになった。

「当社のProtectエージェントたちは、高度な訓練を受けた安全エキスパートであり、ストレスや不安を感じるさまざまな状況に対応できる能力を備えています」と同社は新サービスについて書いている。「彼らは、あなたの状況に合わせてエクスペリエンスをパーソナライズします。必要に応じて911コールにエスカレートしたり、ファーストレスポンダーにあなたの正確な位置を伝えたり、指定された緊急連絡先に通知したり、安全な場所に誘導したり、あるいはあなたが再び安全だと感じるまで、単に通話を続けてあなたをモニターすることもできます」。

もう1つの重要な機能は新しい「Protect Mode(プロテクトモード)」で、これもまた、前述のエージェントにすばやくアクセスできることを意味する。不審な状況で有効にすると、アプリはユーザーの音声フィードをライブモニターし、AIを使い叫び声などを検知し、エージェントへの接続を提供する。ユーザーが応答しない場合は、自動的に接続される。また、ユーザーは電話を2回振ることで、エージェントに直接アクセスすることができる。

最近の同社の求人情報には下記のように記されていた。

この役割では、危険となり得る状況下で支援を必要としているユーザーとのコミュニケーションを行います。難しい会話を導き、最善の判断に基づいてこれらの状況の重大性をリアルタイムで判断する責任があります。あなたは、周囲に危険を感じているユーザーを助ける最前線に立ち、直接支援や911へのエスカレーションを行います。

これは、Noonlightのようなパニックボタンアプリを探している人にとっては有用なサービスになる可能性がある。しかし、Citizenの歴史にある危険信号を考えると、同アプリがそのようなサービスを提供するのに最適な立場にあるかどうかは疑問が残る。

2016年にリリースされたこのアプリは当初、自警主義(vigilantism)への懸念からApp Storeから追放された(もともとの名前や位置づけからして、無理もないことかもしれない)。ニューヨーク以外にも拡大していく中でリブランディングされたこのアプリは、全米レベルで懸念を生み続けている。

2021年5月には、同社は犯罪発見のためのクラウドソーシングをブランディングされた車両にまで拡大し、ロサンゼルスをパトロールし始めた。当時、ある情報筋はViceのテックニュース部門であるMotherboardに「大規模なマスタープランは、民営化された補助的な緊急時対応ネットワークを作ることだった」と語っている。同社は後に、初期パイロットの後にサービスを拡大する予定はないと付け加えた。

それと同月、CitizenサービスのCEOは、ロサンゼルスの山火事を起こした疑いのある人物を捕らえるために3万ドル(約327万円)の報奨金を出した。その後、同サービスは誤った人物の写真を配信し、それが80万回以上の動画ビューを記録したことを謝罪した。「深く反省し、二度とこのようなことが起こらないよう、内部プロセスの改善に取り組んでいます」と同社は声明で述べた

Citizenは現在、米国の20都市でサービスを提供している。新しいProtect Modeサービスは、米国時間8月3日よりiOS向けに提供を開始する。Android版の開発も進行中だという。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:CitizenアプリサブスクリプションiOSApp Store防犯

画像クレジット:Citizen

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

Discordのモバイルアプリでもユーザープロフィールのカスタマイズが可能に

Discord(ディスコード)は、モバイルユーザーのために、一般的なソーシャルアプリで見られるような機能を新たに追加する。同社は米国時間8月3日、iOSとAndroid向けのアプリで、ユーザーが自分のプロフィールをカスタマイズできるオプションの提供を開始した。デスクトップ版のDiscordでは、6月下旬に同様の機能がすでに導入されている。

この新オプションは、Discordのユーザー設定メニューに追加された「ユーザープロフィール」にある。ここでは、リンクや絵文字を含めて、190文字以内で自分の紹介文を書き込むことができる。また、Discordが割り当てた新しいデフォルトのプロフィールカラーが自分のイメージに合わないと思ったら、好みのプロフィールカラーを選択することもできる。まだこのオプションが見当たらない場合は、この機能が広く導入されるのを待ってからもう一度チェックしてみよう。

カスタムプロファイルの追加に合わせ、月額有料版「Nitro(ナイトロ)」の加入者には、プロフィールバナーとして画像またはアニメーションGIFを選択できるオプションも提供された。このオプションはデスクトップ版では以前から提供されていたものだが、今回のカスタマイズ機能の追加により、主にiOSやAndroidでDiscordを使用している人も、ちょっとしたスパイスを効かせることができるようになった。

今回の機能追加は小規模なものではあるが、このチャットアプリが、よりプロフィールを重視するソーシャルネットワークに近いものになるための一歩と言えるだろう。これまでDiscordは長い間、サーバーと呼ばれるチャットルームにのみ力を注いできたが、この数カ月でQuality of Life(生活の質)を向上させる機能を次々と導入している。

2021年4月にはClubhouse(クラブハウス)のような音声イベントスペースを展開できる機能や、最近ではスレッド化された会話を作成して自動的にアーカイブする機能が追加された他、AIを利用してネット上の嫌がらせや攻撃的な発言からユーザーを守るソフトウェアを開発したSentropy(セントロピー)という企業を7月に買収している。

Discordはすでに、コミュニティ主導の音声・テキストチャットでキラーサービスとなっているが、今回の機能追加により、ゲームをルーツとする当初の小さな枠をはるかに超えて、より多くのユーザーを惹きつけることができるようになるだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Discordソーシャルメディアチャットツールアプリ音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:Discord

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

iOS版Googleマップがアップデート、iMessageでの位置情報共有など純正マップのライバルに

Googleマップは米国8月3日、iOS版アプリの3つの新機能を発表した。iMessageアプリでの位置情報のライブ共有、ホームスクリーン用の交通ウィジェット、そしてダークモードを追加することになり、GoogleマップはiOSネイティブアプリであるAppleの「マップ」の強力なライバルとなる。

ライブの位置情報共有はGoogleマップではすでに利用可能だ。あなたの位置を示す青色の点をタップすると、あなたの居場所までの予測所要時間、そしてあなたのスマホのバッテリー残量すら特定の友人と共有できる。しかしGoogleマップのiMessageウィジェットでは、会話から離れることなくあなたの居場所を簡単に共有できる。デフォルトでGoogleマップはあなたの居場所を1時間共有するが、最長3時間に拡大することも可能だ。共有をやめたければ、サムネイルにあるストップボタンをタップする。

画像クレジット:Google Maps

Googleマップの既存のiMessageウィジェットでは、ユーザーはiMessageで自身の居場所のGPS座標を送ることができる。しかし友達と待ち合わせする場合、それはライブの位置情報共有ほどに使い勝手はよくない。Appleのマップはすでに似たような機能をiMessageに組み込んでおり、Googleも対抗しようとAppleを真似ている。Googleマップは長い間、優れたナビアプリだと広く考えられていたが、2018年にAppleがマップをゼロから完全に作り直し、より競争力あるものにした。加えて、iOS 15でAppleマップはAR機能、改善された交通機関乗り換え機能、より詳細になったマップなどを展開する

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Googleマップは2019年にWazeのような交通と事故レポートの機能をアプリに追加し、マイカー通勤者にアピールするものにした。Googleマップによると「最もパワフルな機能は周辺のライブの道路混雑状況をチェックできること」だ。いま、最新のGoogleマップアプリを使っているユーザーは、交通ウィジェットをホームスクリーンに加えることができる。このウィジェットでは周辺の交通状況をすばやく表示する。また、ユーザーは自宅、職場、ガソリンスタンドといった頻繁に利用する目的地をセットでき、タップ1回でそうした場所へのナビゲートが可能になる。GoogleマップアプリはAndroidではすでにダークモードを提供しているが、数週間内にiOSユーザーも利用できるようになる。

GoogleマップとAppleのマップは最も優れたナビゲーションアプリになろうと競合していて、Snap Mapでよりソーシャルなエクスペリエンスを構築したSnapchatとは競合しない。Snapchatは米国時間7月28日、Snap Mapに「私の場所」機能を加え、これによりユーザーは周辺の他のユーザーの行動に基づく訪れるべき新スポットを見つけることができる。Snapchatはまた、2021年第2四半期の売上高とデイリーアクティブユーザー数が、過去4年で最も高いレートで成長したと明らかにした。それでも2020年時点のGoogleマップのユーザーは世界中で10億人超だった。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogleマップiOSアプリ位置情報ダークモードウィジェット

画像クレジット:Kanawa_Studio / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

個人に合わせた更年期障害緩和のためのアプリを開発するVira Health

スタートアップの世界では、次々と新しいトレンドが生まれており、その多くは早すぎるということはない。なぜ、上級職に就く女性は少ないのだろうか?その理由として、更年期を迎えた女性は、一般的にリーダーシップを発揮できなくなるということが知られている。英国での調査によると、更年期は約1400万日の労働損失と100万人の早期退職の原因となっているという。実際にTechCrubchでは、従業員の健康管理によってこの問題に取り組んでいる新しいスタートアップ「Peppy(ペピイ)」について報じたばかりだ。

そして今回、Vira Health(ヴィラ・ヘルス)というスタートアップ企業が、LocalGlobe(ローカルグローブ)とMMC Ventures(MMCベンチャーズ)から150万ポンド(約2億3000万円)のシード資金を調達した。この投資ラウンドには、Hearst Ventures(ハースト・ベンチャーズ)のイケダ・メグミ氏、Elvie(エルビー)のAndrea Zitna(アンドレア・ジトナ)氏、Sophia Bendz(ソフィア・ベンズ)氏、Matt Robinson(マット・ロビンソン)氏、Simon Lambert(サイモン・ランバート)氏などのエンジェル投資家も参加した。

Andrea Berchowitz(アンドレア・バーチョウィッツ)氏とRebecca Love(レベッカ・ラブ)氏が2020年に設立したVira Healthは、個人に合わせた更年期ケアを目的とする会社だ。同社の最初の製品である「Stella(ステラ)」は、12週間の更年期障害治療計画、ヨガクラスや婦人科医とのQ&Aなどのコンテンツやバーチャルイベントを主な特長とする、更年期障害緩和のためのアプリである。

Vira Healthの共同設立者であるバーチョウィッツ氏は、次のように述べている。

女性の健康問題は、歴史的に研究や投資が十分ではなく、現在もその傾向が続いています。今こそテクノロジーを利用して、ヘルスケアにおける女性のデータの収集や使用法を改善し、このバランスを是正する好機です。今回の第1回目のシード資金調達ラウンドは、私たちのビジョンを実現するための一歩です。

LocalGlobeの投資パートナーであるRemus Brett(リーマス・ブレット)氏は次のように述べている。「更年期障害は女性の人生の大きな局面に当たりますが、現在の医療システムでは、女性が必要とする多面的かつ長期的なサポートを提供することが困難です」。

MMC Venturesの投資家であるAlexia Arts(アレクシア・アーツ)氏は、次のように述べている。「MMC Venturesにおいて、ヘルスケアは研究と投資の重要な分野です。私たちは、ヘルスケアの実践と提供の仕方を再構築するために、データ分析を取り込み、活用することに、大きな可能性を見ています。これは特に、性差によるデータの偏りがあることが立証されており、その解決が求められる女性のヘルスケアにとって大きな意義があります」。

Vira Healthを設立する以前、バーチョウィッツ氏はMcKinsey & Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)のアソシエイト・パートナーとして、官民を問わず女性の健康に関わる仕事をしていた他、Bill and Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)の中東地域における活動を率いていた。

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カテゴリー:フェムテック
タグ:Vira Health女性更年期資金調達ヘルスケア

画像クレジット:Vira Health

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

メッセージ機能を含むPayPalの新しい「スーパーアプリ」が立ち上げ準備完了

PayPal(ペイパル)が自らを「スーパーアプリ」に変身させる計画が、立ち上げに向け動き出した。

PayPalのCEOであるDan Schulman(ダン・シュルマン)氏が、今週行われた第2四半期の決算説明会で投資家に向けて語ったところによると、同社の新しい消費者向けデジタルウォレットアプリの初期バージョンの「コードは完成」しており、同社はゆっくりと立ち上げに向け準備を整えているとのことだ。今後数カ月の間に、同社は米国内でのサービスを十分に強化し、四半期ごとに新しい決済サービス、金融サービス、コマース、ショッピングツールを提供していく予定だ。

これは、PayPalを、中国のWeChat(ウィーチャット)やAlipay(アリペイ)、インドのPaytm(ペイティーエム)の米国版にしようとするプロダクトの方向性の転換だ。こうしたアプリと同じように、PayPalはモバイル決済だけでなく、多くの消費者サービスをワンストップで提供することを目指している。

PayPalは過去の四半期で上記の新機能には、高機能な口座振替、小切手現金化、予算管理ツール、請求書払い、暗号資産サポート、サブスクリプション管理、今買って後で支払う機能などが含まれる可能性があると述べていた。また、2019年に40億ドル(約4400億円)を投じて買収したHoney(ハニー)のモバイルショッピングツールにより、商取引機能を統合するとも述べている。

これまでPayPalは、Honeyを単独のアプリケーション、ウェブサイト、ブラウザの拡張機能として運営してきたが、スーパーアプリには、取引検索や価格追跡など多くの機能を組み込む可能性があるという。

シュルマン氏は米国時間7月28日の決算説明会で、スーパーアプリには他にもいくつかの機能、すなわち、高利回りの預金、口座振替資金への早期アクセス、ピアツーピア決済以外のメッセージング機能(アプリのユーザーインターフェースにより家族や友人と直接チャットできること)などが含まれることを明らかにした。

PayPalは、これまでメッセージ機能を搭載する計画を発表していなかったが、今思えば、人々がチャットとピアツーピア決済を組み合わせることが多いという点で、この機能は理に適っている。例えばユーザーは、アプリから自動でリクエストを送るのではなく、自分で送りたいと思うかもしれない。また、お金を受け取った後に「ありがとう」などの感謝の言葉を伝えたい場合もある。現在、このような会話は、決済アプリの外で、iMessageなどのプラットフォーム上で行われている。だが、これは変わる可能性がある。

「これにより、プラットフォーム上で多くのエンゲージメントが得られるようになると考えています」とシュルマン氏は話す。「メッセージをやり取りするために、プラットフォームを離れる必要はありません」。

PayPalは、ユーザーのエンゲージメントが高まることで、アクティブなアカウント1件あたりの平均収益が向上すると見込む。

また、シュルマン氏は「暗号資産関連の機能追加」についても示唆したが、詳細は不明だ。PayPalは今月初め、米国内の適格なPayPal顧客を対象に、暗号資産の購入限度額を2万ドル(約220万円)から10万ドル(約1100万円)に引き上げた(年間購入限度額なし)。また、同社は2021年、消費者が暗号資産を使って何百万ものオンラインビジネスで決済することを可能にした。この場合、まず暗号資産を現金に換え、次に米ドルで決済する。

アプリのコードは完成しているが、シュルマン氏は今後もプロダクトエクスペリエンスを試行錯誤していく予定だと語り、初期バージョンが「すべてではない」と述べた。つまり、四半期ごとに着実にリリースし、新機能を追加していく予定だ。

ただし、初期の新機能としては、高利回りの貯金、ユーザーエクスペリエンスを向上させた請求書払い、請求先やアグリゲーターの増加、口座振替の早期利用、予算管理ツール、新しい双方向メッセージング機能などがあると話した。

すべての新機能をスーパーアプリに統合するため、PayPalはユーザーインターフェースの大幅な見直しを行う。

「明らかに、ユーザーエクスペリエンスは再設計されつつあります」とシュルマン氏は話す。「リワードとショッピングを追加します。また、クラウドソーシングや慈善団体への寄付など、寄付に関する機能も充実しています。さらに、今すぐ購入して後払いする機能も完全に統合されます。前回数えたところでは、スーパーアプリに搭載される予定の新機能は25個ほどになりました」。

また、デジタルウォレットアプリは、エンドユーザーに合わせてパーソナライズされるため、同じアプリは2つとない。これは、人工知能と機械学習の両方の機能を利用して実行され「各顧客の体験と機会を向上させる」とシュルマンは述べている。

PayPalの業績は、第2四半期の売上高については、ウォール街が予想した62億7000万ドル(約6900億円)に対して62億4000万ドル(約6860億円)となり、1株当たり利益は予想1.12ドル(約123円)に対して1.15ドル(約127円)となった。また、顧客からの総支払額も、アナリストが予想していた2952億ドル(約32兆4700億円)に対し、40%増の3110億ドル(約34兆2100億円)となった。しかし、eBayが独自のマネージドペイメントサービスに移行したことが影響し、第3四半期の見通しを下方修正したことから、同社の株価は下落した

なお、PayPalの新規アクティブアカウントは第3四半期に1140万件の純増となり、アクティブアカウント総数は4億300万件に達した。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:PayPalスーパーアプリアプリアメリカ決算発表

画像クレジット:Photo by Thomas Trutschel/Photothek / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Snapchatが地図上でおすすめのスポットを紹介する「My Places(私の場所)」機能を追加

この夏、多くの人たちが外の世界に飛び出そうとしている中で(どうぞご安全に!)、Snapchat(スナップチャット)が近所のレストラン、店舗、公園、その他の興味深いスポットを簡単に見つけられるようにしようとしている。米国時間7月28日、Snapchatは、ユーザーと3000万以上のビジネスを結びつけるSnap Map(スナップマップ)に「My Places(私の場所)」機能の展開を始めた。ユーザーはお気に入りのスポットを記録したり、友人に送ったり、おすすめのスポットを探したりすることができる。

「My Places」には「人気」「お気に入り」「訪問しました」という3つのメインタブがある。「訪問しました」には、Snapchatでチェックインした場所がリストアップされ「お気に入り」にはその名の通りお気に入りが保存される。特に興味深いのが「人気」タブだ。これはSnapchatにとっては初めての試みとなるが、アルゴリズムを使ってパーソナライズされたお勧めを提供し、ユーザーが周りの世界と関わりを持てるようにさせる機能だ。アルゴリズムが考慮するのは、ユーザーが今いる場所、すでにタグ付けしたりお気に入りに登録した場所、そして友達や他のSnapchatユーザーが訪れた場所などだ。

この点がSnap Mapが他の有力マップアプリ(Google MapsやApple Mapsなど)と一線を画す部分だ。そうした既存のマップアプリは友達が好きなレストランを探す役には立たないからだ。もちろんSnapchatは流行の寿司屋への行き方を教えてくれるわけではないが、それはSnapchatが目指しているものではない、Google Mapsが昨夜友達みんなが自分の知らないうちに行っていた店を教えてくれるわけではないのと同じだ。

画像クレジット:Snapchat

Snapchatのサーベイは、同アプリのユーザーが平均して「パンデミック後」活動を行う傾向にあることを発表し(これは良いことなのだろうか?)、そしてSnapchatユーザーの44%が身近な興味のある場所を探すのにSnap Mapを利用していることを付け加えた。

Snap Mapの月間アクティブユーザー数は2億5000万人を超えており、5月にはパートナー企業が同社の地図に直接データを追加できるLayers(レイヤース)というアップデートを発表した。これまでにSnapchatは、Ticketmaster(チケットマスター)やレストラン推薦サイトのThe Infatuation(ザ・インファーチュエイション)と提携している。こうした提携により、ユーザーは、ライブエンターテインメントが行われている場所や、素敵なレストランが隠れている場所などを知ることができる。Snapchatは2021年後半に、Snap Mapと「My Places」へのLayersの統合をさらに進める予定だ。

先週Snapは、2021年の第2四半期に、過去4年間で最高のペースで収益とデイリーアクティブユーザーの両方が増加したと発表した。前年比では、アプリは23%成長している。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Snapchat地図アプリ

画像クレジット:Snapchat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

パンデミック後のアフリカのモバイルアプリ市場と急上昇するモバイルゲームアプリ利用率を読み解く

パンデミックは世界のアプリ市場に大きな影響を与えている。モバイルアプリに対する消費者の支出は2021年第1四半期および上半期にそれぞれ320億ドル(約3兆5200億円)、649億ドル(約7兆1700億円)となり、新記録を樹立した。

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アフリカの状況は世界のアプリ市場に関するレポートでもあまり言及されないので、正確な消費者支出を求めるのは難しい。それでも、Google(グーグル)とAppsFlyer(アップスフライヤー)が共同で発表した最新のレポートでは、2020年のパンデミック発生以降のアフリカにおけるアプリ市場の状況について、いくつかの重要な情報を読み取ることができる。

このレポートは、アフリカの3大アプリ市場(ケニア、ナイジェリア、南アフリカ)における、2020年第1四半期~2021年第1四半期のモバイルアプリのアクティビティを追跡している。

この3大市場における6000のアプリと20億のインストール数を分析したところ、2020年上半期から2021年上半期にかけて、アフリカのモバイルアプリ業界(主にAndroid)全体でインストール数が41%増加した。ナイジェリアは最も多く43%増、南アフリカ、ケニアではそれぞれ37%増、29%増となった。

ロックダウン期間の数字

アフリカでは2020年3月22日にルワンダが初めてロックダウンを実施。続いて、ケニア(3月25日)、南アフリカ(3月27日)、ナイジェリア(3月30日)でロックダウンが開始された。

2020年第2四半期からは自宅で過ごす人が増え、アプリのインストール数は3か国で20%増加。南アフリカではロックダウンの影響が最も早く表れ、インストール数は2020年第1四半期と比較して17%増加した。

一方、ナイジェリアとケニアにおける同時期のインストール数の増加は、それぞれ2%と9%だった。レポートによると、このような差は、各国の規制レベルの違いにより生じたものだという。南アフリカは規制レベルが最も厳しく、ロックダウンの頻度も高かった。

2020年第1四半期~第2四半期ではゲームアプリが好調に推移し、非ゲーム系アプリの販売が8%増であったのに対し、ゲーム系アプリは50%増となっている。これは、全世界で2020年第2四半期にゲームアプリのダウンロード数が急増(140億ダウンロード)し、過去最高を記録したトレンドと一致する。

アプリ内課金による収益と前年同期と比較した増加率

AppsFlyerによると、最も大きなトレンドとして注目されるのはアプリ内課金による収益だ。2020年第3四半期におけるアプリ内課金による収益の数字は、2020年第2四半期と比較して136%という驚異的な伸びを示し、2020年の総収入の33%を占めた。レポートによれば「アフリカの消費者が小売店での購入からゲームのアップグレードまで、アプリ内でどれだけ消費しているかがはっきりした」という。

アプリ内課金による収益は南アフリカで213%増加、ナイジェリアとケニアではそれぞれ141%、74%増加した。

スマートフォンの利用時間が増えたことから、アプリ内広告収入も前年同期比で大幅に増加し、2020年第2四半期から2021年第1四半期にかけて167%増加した。

先ほど2020年第1四半期~第2四半期で比較したゲームアプリと非ゲームアプリについては、2020年第2四半期と2021年第1四半期との比較では、それぞれ44%、40%増加している。

フィンテックとスーパーアプリ

過去5年間、アフリカのスタートアップに対するベンチャーキャピタルの投資は、フィンテック分野が圧倒的に多いが、それも当然である。フィンテックは、主にモバイルを利用する、大多数の銀行口座を持たない消費者、銀行口座を使いにくい消費者のみならず、銀行口座を持つ消費者にも多くの価値をもたらす。アフリカにおける10億ドル(約1100億円)規模のスタートアップのうち、1社を除いてすべてがフィンテックであるのは、この価値を踏まえてのことだ。

Disrupt Africa(ディスラプトアフリカ)のレポートによると、アフリカのフィンテックは、2017年から2021年の間に89.4%の成長を遂げ、現在、大陸全体で570社以上のスタートアップ企業が存在する。多くのフィンテックはモバイルベースで、アフリカの消費者が毎日利用するフィンテックアプリの数が反映されている。南アフリカとナイジェリアの消費者によるフィンテックアプリのインストール数は、前年比でそれぞれ116%、60%増加した。

AppsFlyerは、フィンテックアプリと同様に、スーパーアプリも増加していると報告している。スーパーアプリ、すなわち「オールインワン」アプリは、銀行業務、メッセージング、ショッピング、ライドヘイリングなど、さまざまな機能をユーザーに提供する。このようなアプリの増加は、大陸ではデバイスが限られることにも起因するが、フィンテックアプリの急増と同様、システム的な銀行口座の使いにくさも一因である。

レポートは「スーパーアプリは、ユーザーが直面する課題を解消し、顧客情報の取得や従来の銀行では実現できないレベルの利便性の提供を可能とする」と報告している。

AppsFlyerのEMEA & Strategic Projects担当リージョナルバイスプレジデント、Daniel Junowicz(ダニエル・ジュノヴィッチ)氏は、本レポートで取り上げられているトレンドについて次のように話す。「2020年来の(パンデミックによる)混乱にもかかわらず、アフリカのモバイルアプリ市場は盛況で、インストール数は増加し、消費者は今まで以上に多くのお金を費やしています。企業が収益を上げる上で、モバイルがいかに重要であるかがわかります」。

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タグ:アフリカアプリケニアナイジェリア南アフリカフィンテックスーパーアプリ

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

ユーザーのプライバシーを護るGoogle Play「セーフティセクション」の詳細をグーグルが発表

Apple(アップル)はプライバシーの保護に関してApp Tracking TransparencyApp Storeのプライバシーラベルなどの企画でこのところ前進しているが、最近はGoogleも、Google Playに新たな「セーフティセクション」を導入する計画を発表している。それは、アプリが集めて共有するデータや、その他のセキュリティとプライバシーに関する情報をユーザーに提供することが目的だ。米国時間7月28日、同社は初めてこの新しいセクションのユーザーインタフェイスや、開発者への要求などを明らかにした。

関連記事:アップルがアプリのプライバシー方針を明らかにするラベルを全App Storeで公開

Googleは2021年5月に、セーフティセクションはアプリがデータをどのように取り扱うかをユーザーに伝え、ユーザーが情報に基づく選択をできるようにすると説明した。それによるとアプリの開発者は、データの暗号化などのセキュリティ実践をアプリが使っているか、子どもを対象とするGoogle Playのファミリーポリシーに従っているか、データの共有に関してユーザーが選択できるか、アプリのセーフティセクションをサードパーティが検査しているか、アプリはアンインストールのときユーザーにデータ削除のリクエストを認めているかといった事項を開示しなければならない。

Googleが本日発表したユーザーインタフェイスのコンセプトでは、これらのプライバシー保護機能がユーザーにはどのように見えるかを、開発者が知りうるものでなければならない。

画像クレジット:Google

セーフティセクションでは、アプリが収集しているデータに関する開発者からの詳細情報をユーザーが見られるものでなければならない。それぞれの詳細情報は、独自のアイコンによって所在を明らかにしなければならない。

要約部分をユーザーがタップすると、場所や連絡先、名前やメールアドレスなどの個人情報、経済情報といった収集、共有されているデータに関するその他の詳細を見ることができる。

また、それらのデータの使われ方もユーザーに開示される。アプリの機能性向上のため、やパーソナライズのためなどだ。そしてデータの収集は、ユーザーに決定および承認権のある選択事項でなければならない。

画像クレジット:Google

Googleによると、Play Storeのこれらの変更に対応するために開発者には十分な時間を与えたかったので、今やっと、データタイプの定義やユーザーインタフェイス、そして新しい機能に関するポリシーの要件などの情報を、共有できるようになった。

それによると、すべての開発者が2022年4月までにプライバシーポリシーを提供しなければならない。これまでは、個人的あるいは機密性のあるユーザー情報を集めるアプリのみが、それを要請されてきた。開発者はまた、自分のセーフティセクションにあるすべてのデータに関して、そのデータをアプリのサードパーティライブラリやSDKがどのように使っているかなどに関する正確で完全な情報を共有しなければならない。これは、Appleがアプリに対して要求している情報と整合している。

画像クレジット:Google

開発者は、Google Playに自分のセーフティセクションをローンチする2022年の第1四半期になる前に、2021年10月には自分の情報をGoogle Play Consoleで開示し、レビュー可能にしなければならない。

Googleによると、セーフティセクションのローンチと、それをGoogleが承認するまでには若干の猶予期間を設ける。ただし承認の最終締め切りは2022年の第2四半期であり、それが守られなければアプリの提出やアップデートが拒否されるリスクをともなう。そしてアプリが承認されたセーフティセクションを提供できなければ、そのアプリは「No information available」(情報がありません)と表示することになる。

この変更はGoogle Play上に存在する活動中のデベロッパーの数を明らかにするだろう。なぜなら、そんなデベロッパーは必ず新しいポリシーを採用し、アプリが集めて使用するデータに関する正直な情報を開示するはずだからだ。

残る問題は、Googleがこの新しいガイドラインを、どのように、そしてどの程度強制するのか、個々のアプリをどこまで細心に検査するのかという点だ。しかしGoogleの態度がどうであれ、良心的なデベロッパーは自分のセーフティセクションをサードパーティのレビューに対してオープンにし、ユーザーにはアプリのデータプライバシーとセキュリティに関して前向きの宣伝ができるようになる。

それを考えれば、このようなセーフティセクションは実効がないとする批判をかわせるだろう。それはAppleにとってもApp Storeのプライバシーラベルのローンチ以来の問題であり、The Washington Postの記事によれば、虚偽の情報を表示しているアプリがとても多くて、データを保護したいと真剣に願うユーザーの役に立っていない、というのだ。

このセーフティセクションの、サードパーティによる検査についてGoogleに問い合わせたが、それに関する詳しい情報はまだ得られていない。

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タグ:Google PlayGoogleプライバシー個人情報アプリAndroid

画像クレジット:Mika Baumeister/Unsplash

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

誰でも緑の指に、植物の種類や日当たりなどに合わせた栽培のアドバイスをくれるアプリ「Greg」

パンデミックによる閉じこもり生活が始まる以前から、すでに勢いづいていた観葉植物業界。1年間の隔離生活を経た今、屋内ガーデンのように生い茂ったリビングルームがあちこちで見られるようになっている。

機械学習を用いて植物の世話の手助けをするアプリ「Greg」(グレッグ)は、5月下旬540万ドル(約6億円)のシード資金を獲得したことを発表した。今回のラウンドはIndex(インデックス)がリードし、First Round Capital(ファーストラウンド・キャピタル)が参加している他、Tinder(ティンダー)の前CEO であるElie Seidman(エリー・セイドマン)氏、植物配達サービスThe Sill(ザ・シル)の創業者Eliza Blank(エリザ・ブランク)氏、60万人のフォロワーを持つ「プラントスタグラマー」Darryl Cheng(ダリル・チェン)氏などの専門的なエンジェル投資家やアドバイザーによって支えられている。現在、Gregのリモートチームには11名のメンバーが在籍しており、今後はブランド責任者の他Androidのシニアエンジニアを含む少なくとも5名のエンジニアを採用する予定だ(今のところ同アプリはiOSでのみ提供されている)。

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Gregは主に植物に水をやるタイミングを教えてくれるというアプリである。植物によってこのタイミングはそれぞれ異なるため、毎週のリマインダー設定をすれば良いというわけにはいかない。Gregは植物の種類、地理的な位置、日当たり、窓からの距離など、それぞれの植物に合わせてアドバイスをしてくれる。これにより誰もが簡単にどんな状況下でも植物を繁殖させることができる。また、アプリにはディスカバーフィードが組み込まれており、ユーザーは「Keanu Leaves」や「Michelle Branch」(セレブと植物の名を掛け合わせたジョーク)などと名付けられた植物の写真を共有することもできる。

画像クレジット:Greg

 

CEOで共同設立者、エンジニアのAlex Ross(アレックス・ロス)氏にとって植物の手入れは単なるパンデミック中の趣味ではない。Greg の背後にある企業、Gregarious, Inc.(グレガリアス・インク)は公益法人として設立された会社である。法的拘束力のある公式声明の中で、同社は地球の生態系にプラスの効果をもたらすことを約束しており(「またはマイナスの効果の軽減」が気候変動における現状である)、設立趣意書には「植物への理解を深めるための独自の技術と研究の開発」「地球の健康を守る団体としての活動」「あらゆる生物の繁栄のための機会の創出」という3つの目標が掲げられている。

「植物は地球の仕組みを理解する上で非常に優れた手段です。これがGregを始めた大きな理由です。今後10年、20年の間に社会としてより正しい判断を下すためには、より多くの人が生態系の仕組み、植物の仕組み、そして食料システムの仕組みを理解する必要があると考えています」とロス氏は話す。

これはロス氏にとって初めてのミッション志向的起業ではない。ロス氏はTinderのエンジニアリング・ディレクターとしてTrust & Safetyチームを立ち上げ、出会い系アプリのユーザーを悪用から守る役割を担っていた。その際に同氏は、消費者向けのモバイルアプリがオーディエンスを獲得する可能性を見出していたのだ。

「実はTinderは、信頼性と安全性を備えた製品として最先端を走っていました」とロス氏は振り返る。「私はTinderの中でも公共のために確実に役に立てる部分に取り組みたかったのです。そして今(Gregでは)公共の利益こそが核心となっています」。

2020年10月にアプリストアで一般公開されて以来、Gregは5万人の月間アクティブユーザーを生み出してきた。こういった植物愛好家たちがこれまでに4000種類の植物35万点を登録し、200万回以上のやりとりが行われている。このアプリの手法は、国際連合食糧農業機関が作物の水使用量を推定するためのアルゴリズムに基づいている。写真を撮ったり、植物に水をやったり、さらには水やりのアドバイスを読み流したりするすべてのやりとりが同社のAIをスマートにする。より多くのデータを解釈すればするほど、GregのAIは植物を育てるための最も効果的で効率的な方法を学んでいくのである。

「数年以内に国際連合食糧農業機関のアルゴリズムにお返しとして貢献し、発展途上国の農家がそのアルゴリズムを利用してより高収量の農産物を栽培し、自国の食糧システムに役立てることができるようにしたいと考えています。こういったことこそが、私たちが公益法人としてスタートした理由です」とロス氏はいう。

ロス氏によると、同社が直面している最大の課題はまだ人々に知られていないことだという。そこでHouse Plant Shop(ハウスプラント・ショップ)やAmerican Plant Exchange(アメリカン・プラント・エクスチェンジ)などの植物販売店と提携し、定額制の「Super Greg」のプロモーションコードを提供することにした。購読者は月額6.50ドル(約715円)、年契約の月額2.50ドル(約275円)、または生涯アクセス権の49.99ドル(約5500円)を支払うことでGregに無制限に植物を登録することができる。無料版では5つの植物しか追加できないため、観葉植物に目覚めてしまった人には物足りないかもしれない。

「これはユーザー獲得の大きなきっかけにつながっています」とロス氏は話す。このアプリを使えば植物の変わりやすい生態系をより深く理解することができるようになる。「Coinbaseが人々を暗号の世界へと導くように、Gregは人々を植物の世界に導くための大切な役割を担うことができると考えています」。

画像クレジット:Greg

同氏はまた、 GregのモデルをWaze(ウェイズ)のようなアプリに例えている。より多くのユーザーが交通パターンを報告すればするほど、その地域の他のドライバーにますます利益をもたらすことができるというものだ。同様にGregが植物の健康状況をより深く把握することで、同社はそのデータを使って環境に優しいミッションを果たすことができるのだ。同社は最終的には、既存のどんなテクノロジーよりも植物の仕組みを理解することのできる「極めてスケールアウトしたプラットフォーム」を構築したいと考えている。

それまでの間、未だ続く世界のロックダウンにともない、Gregは小規模ながらもユーザーに恩恵を与え続けていくことだろう。

「客観的に見ても植物は精神衛生上とても良いものです。一度植物のある生活をした人が、植物のない生活に戻るという例は聞いたことがありません」とロス氏はいう。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Greg植物資金調達園芸アプリ機械学習

画像クレジット:Greg

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

書く瞑想ジャーナリングアプリ「muute」が「Spotify」と機能連携、音楽と感情の関係性をAIで分析可能に

書く瞑想アプリ「muute」が「Spotify」と機能連携、音楽と感情の関係性をAIで分析可能に

「楽しくワクワクするデジタル体験を創造するデジタルプロダクト」の企画開発・運営を行うミッドナイトブレックファストは7月28日、AIジャーナリングアプリ「muute」(ミュート。Android版iOS版)と音楽ストリーミングサービス「Spotify」とを機能連携させ、「いつ・どのような音楽を聴いたか、どのように感情と関係しているか」を振り返る機能を追加したことを発表した。同時に、muuteに書き込んだ自分の感情の推移や記録をAIが分析してフィードバックを行う「インサイト機能」のリニューアルも実施した。

muuteは、ジャーナリング、つまり頭に浮かんだことをありのままに記述することで日々の行動を振り返り、自己肯定感につなげるという「書く瞑想」とも呼ばれるマインドフルネスの技法を中核に、メンタルヘルスを支援するアプリ。muuteでは、ユーザーが書き込んだ記録からAIが感情や思考を分析して提示することで、感情や思考が客観視でき、自分でも気がつかなかった価値観や願望を発見できるという。

今回はこれに「Spotify」が連携することとなり、「よく聴いたアーティスト」「よく聴いたアルバム」「聴いた音楽の特徴」などから、「最近視聴した曲TOP15」「最近視聴したアルバムTOP15」「最近聴いた中で一番明るい曲」「最近聴いた中で一番しんみりした曲」といった分析結果が示されるようになる。また、ジャーナリングの分析結果と音楽の分析結果を比較して、感情の変化と聴いた音楽との関係も知ることができる。

ミッドナイトブレックファストでは、「音楽視聴という行動軸での新しい観点から、さらに自分自身に対する理解を深め、muuteのミッションである『一人一人が自分らしさを受け入れられる社会をつくる』ことにより貢献できるツールとなることを期待しています」と話している。

書く瞑想アプリ「muute」が「Spotify」と機能連携、音楽と感情の関係性をAIで分析可能に

インサイト機能のデザインを一新、毎週フィードバックを示する「ウィークリーインサイト機能」も強化

インサイト機能のリニューアルでは、毎週フィードバックを示してくれる「ウィークリーインサイト機能」が強化された。これまでは、「muuteからのレター」「よく使った言葉」「印象に残った瞬間」「感情の空模様」「感情のリズム」「頭の中を占めるもの」「歩数と感情の関係」が提示されていたが、新たに「週間サマリー」「ポジティブ/ネガティブな投稿分析」「行った場所」「投稿状況」が加わり、前週のインサイトの比較も可能になった。

またインサイト機能のデザインも一新され、テキストの表示を縦スクロールから横スクロールに変更、1枚ごとに読み物風に表示することで振り返りやすさを向上、各フィードバック項目に画像や端的な説明を加えて理解度を高める、といった改良がなされた。

書く瞑想アプリ「muute」が「Spotify」と機能連携、音楽と感情の関係性をAIで分析可能に

muuteは、2020年112月にリリースされ、2021年1月にはAppStoreの「フィットネス/ヘルスケア部門」で1位を獲得した。同社の利用実態レポートによれば、ユーザーの9割が「よりよく自分を知ることにつながった」と回答しているという。

オーディオメーカーSONOSが2019年11月に発表したレポート 『音楽がもたらすストレス社会に生きる現代人への様々な効果』でも示されたように、音楽には「ストレス解消」や「モチベーションの維持・向上」といった効果があるとのことだが、「Spotify」との連携により、その相乗効果も期待されている。

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AIが思考と感情を分析するメンタルケア手法「ジャーナリング」を支援するmuuteアプリ

カテゴリー:ヘルステック
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Spotifyがユーザーを駆り立て中毒性を高める通知機能「What’s New」フィードを導入

Spotify(スポティファイ)はFacebook(フェイスブック)などのソーシャルネットワークからヒントを得た新機能を導入する。モバイルアプリの「ベル」アイコンの下で通知を流し続けてユーザーに最新コンテンツを見せるやり方だ。米国時間7月26日、Spotifyは「What’s New」フィードを公開した。新着情報を見たいモバイルアプリユーザーに最新情報を送る。

同社によると、What’s Newフィードは、Spotifyユーザーが同サービスでフォローしている番組やアーティストが公開した新曲やポッドキャストの最新情報を追いかける新しい方法だという。これは普段、聴いている曲に基づいてパーソナライズされたフィードであり、万人向けのフィードでも個別に選んでカスタマイズしたものでもない。

このフィードは、ホームタブのトップに最近聞いた曲や設定アイコンと並んで右上に新設された「ベル」アイコンの中にある。

画像クレジット:Spotify

フィードはリアルタイムで更新され、前回アプリを開いた時以降に新しい曲やエピソードが届くと、ベルアイコンに青いドットがつく。これまで新曲に関する情報は、ホームタブやアプリの検索ページのハブの中などさまざまな場所にあった。

この新機能は、新しいものはすべてSpotifyアプリだけを見ればわかるようになるので便利に違いないが、ドットを利用した「通知」機能は、アプリの中毒性を高める心理トリックでもある。ドットは緊急な印象をあたえ、新着情報を見るため、あるいはドットをクリアするためにクリックしなくてはならないと感じさせる。実際、ソーシャルアプリにこの手のドットが多すぎると反感が高まり、Facebookも数年前目障りな赤い通知ドットをオフにするツールを配布した(正確にいうと、Facebookは赤のドットを完全に排除していない。デフォルト設定は今でも「オン」で、現在同サービスのウェブサイトのあちこちに通知ドットがある)。

Spotifyアプリに追加されたこの一見したところ大したことのなさそうな新機能も実はよく計算されている。そしてこれは、グロースハックやアプリの中毒性を高めようとする小技の過剰利用に反対して近年出現している人道的テクノロジー運動からは何歩か後退するものだ。

今、多くの企業は中毒性機能から離れようとしている。たとえばAppleは、アプリが通知を送れるタイミングをユーザーが制御できるようにする消費者向けツールを追加し、近日公開のiOS 15リリースでは重要性の低いアプリの通知を1日のサマリーにまとめたり、気を散らしたくない時のための「フォーカス」モードを提供する。一方TikTok(ティックトック)は、長い時間見すぎていることを知らせる動画を挿入している。Instagram(インスタグラム)は「You’re all caught up(コンテンツは以上です)」を2018年に導入した。

注意を促すための通知機能追加したSpotifyは、逆方向に進んでいる。たとえユーザーの心地よさと喜びを犠牲にしてでも、ユーザーエンゲージメントを増やしたいのだろう。

What’s Newは、今後数週間のうちに全世界のiOSとAndroidユーザーに公開される。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotifyアプリ音楽ストリーミング

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

「現役の僧侶が望む」機能を採用、檀家・門徒の情報や寺務を管理するクラウドサービス・アプリ「OTERAplus」が公開

「現役の僧侶が望む」機能を採用、檀家・門徒の情報や寺務を管理するクラウドサービス・アプリ「OTERAplus」がリリース

コギトは7月21日、檀家、門徒、故人の情報や日々のスケジュールなど、僧侶の法務に関する情報を管理するクラウドサービスおよびアプリ「OTERAplus」(オテラプラス。Android版iOS版)のリリースを発表した。

利用プランとしては、「基本プラン」「スタンダードプラン」「プレミアムプラン」の3種類を用意。料金は、基本プランが無料、スタンダードプランが月額1628円(税込)または年額1万296円(税込)、プレミアムプランが月額1628円(税込)または年額1万4520円(税込)。

「現役の僧侶が望む」機能を採用、檀家・門徒の情報や寺務を管理するクラウドサービス・アプリ「OTERAplus」がリリース

OTERAplusの特徴は、次の3つ。

  • 情報を持ち歩ける:多くの寺院では、檀家や門徒、故人の情報やスケジュールを寺院内のPCや手帳で管理しているので、外に持ち出すことができなかった。それをモバイルアプリ化することで、場所を選ばず寺務管理が可能になる
  • 檀家、門徒の情報とカレンダーを連動:カレンダー(スケジュール管理)機能を備えていて、檀家や門徒の情報と、葬儀や法要などのスケジュールを紐付けられる。スケジュールから檀家や門徒を参照できるなど、シームレスに情報を活用できるほか、檀家や門徒の月忌参りの日取りを登録しておけば、毎月、月忌参りの予定が自動登録される
  • クラウドで寺院内メンバーと情報共有(有料プランのみ):情報はクラウドで管理。利用者を登録すれば情報が共有できる。檀家や門徒に関するメモなども共有されるので、引き継ぎも効率的に行える

「現役の僧侶が望む」機能を採用、檀家・門徒の情報や寺務を管理するクラウドサービス・アプリ「OTERAplus」がリリース

「現役の僧侶が望む」機能を採用、檀家・門徒の情報や寺務を管理するクラウドサービス・アプリ「OTERAplus」がリリース

「現役の僧侶が望む」機能を採用、檀家・門徒の情報や寺務を管理するクラウドサービス・アプリ「OTERAplus」がリリース

またOTERAplusは、仏教寺院であれば宗派を問わず利用できることを目標に設計しているものの、各宗派ごとに特徴的な運用の希望の声が増えた場合、機能追加などを不定期で検討し、汎用性を高めたいとしている。対応文字コードはUTF-8で、特殊文字を登録できない場合があるという。

OTERAplusは、日々の寺務業務を効率化したいと考えた現役僧侶の方が、「誰もがいつでも簡単に使用できること」「安価であること」「必要に応じ、PCで応用して多様な使用ができること」を目標にアプリの開発を思い立ったものという。具体的な機能は、クラウドファンディングによる支援者を対象としたオンラインサロンで集めた意見をもとに、「現役のお坊さんが望む」ものを盛り込んだそうだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)お葬式(用語)コギト(企業)宗教(用語)日本(国・地域)

音声SNSのClubhouseが招待なしに誰でも使えるように、新ロゴも導入

サービス開始から1年がたち、Clubhouse(クラブハウス)がようやくベータ版を卒業した。同社は7月21日、ウェイトリストと招待制をやめて、一般公開すると発表した。だれでもClubhouseのリンクをたどってクリエイターのコミュニティに加わったり、パブリックイベントに参加したりできる。

Clubhouseはまた、見覚えがあるロゴを導入する。基本的には、同社がすでに使っている手を振っている絵文字に少し変更を加えたバージョンだ。Clubhouseは変化を加えるためにアトランタの音楽シーンから注目の新アイコンを導入し、アプリのポートレイトを維持する。

「招待制は当社初期において重要でした」とClubhouseの創業者、Paul Davison(ポール・ダビッドソン)氏とRohan Seth(ローハン・セス)氏はブログでの発表に書いた。両氏は波状にユーザーを追加し、タウンホールとオリエンテーション・セッションを通じて新規ユーザーをアプリのコミュニティに統合したのは、Clubhouseがダウンすることなく健全な速度で成長するのに役立ったが、「常にClubhouseをオープンにしたかった」とも記している。

ホットな新ソーシャルアプリであっても、Clubhouseのこれまでの歩みはワイルドだった。当時招待制だったClubhouseはパンデミックの最中に提供が始まり、おそらくまだ最盛期に達していない音声ベースのソーシャルネットワーキング熱を起こした。FacebookTwitterSpotifyDiscord、その他のサービスもClubhouseに続き、音声チャットルームや音声イベントを既存プラットフォームに加えた。

Clubhouseの台頭は、今年初めにブームとなって多くの注目を集めた。このアプリはパンデミックが引き起こした社会的孤立と切っても切れない。孤立が何カ月も続く中で、世界中の人が誰かとつながっていると感じるための方法を切望した。

世界はゆっくりと、不均等に再始動し始めていて、それに伴いClubhouseは少しずつ変わっている。長らくiOS限定を続けたのち、同社は5月にAndroidアプリをリリースした。最初の2カ月でAndroidアプリのダウンロードは1000万回に達した、と同社は話す。Clubhouseは7月上旬、これまで音声中心だったアプリのフォーカスを初めて広げ、Backchannelというテキストベースのチャット機能を導入した。

Clubhouseの成功は諸刃の剣だ。華々しい成功が往々にしてそうであるように、チームにとって驚きだった。すっかり定着しているいくつかの大手プラットフォームに完全に支配されている業界において、通常の指標ではClubhouseはまだ大成功だが、勢い、少なくとも勢いらしきものを維持するのは難しい。アプリを誰でも使えるようにするのはその助けになるはずだ。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

資生堂が顔形状3次元データから表情を解析するアプリを開発、「S/PARK Studio美活ジム」で活用

資生堂が顔形状3Dデータから表情を解析するアプリを開発、肌と表情に特化した「S/PARK Studio美活ジム」で活用

資生堂は7月20日、顔形状の3次元(3D)データから表情を解析できるタブレット端末用アプリの開発に成功したと発表。まずは「S/PARK Studio 美活ジム」にて、利用者自身が表情の変化を確認する「美活ジムアプリ」として展開される。

同アプリは、目のサイズ、口角間距離、口角と目尻の距離、頬の高さなどをタブレットのカメラを使ってリアルタイムで計測し、自身の笑顔の度合いや「お手入れ効果」がどこでも簡単に、客観的にわかるようになるというもの。資生堂はこれまでも表情解析の研究を重ねてきたが、ユーザーが自分で自分の顔を3Dスキャンして表情解析を行えるようにするには、高価な設備が必要になるなど困難が多かった。しかし、AppleのiPhoneとiPadの顔認証技術「Face ID」に使われている深度センサーでリアルタイム取得可能な顔の「3D特徴点データ」を活用することで、それが実現した。

この技術は資生堂のさまざまな研究に利用されることになる。応用先第1弾として、横浜・みなとみらいの研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター」の「S/PARK Studio」(エスパーク・スタジオ)が開催する、肌と表情のトレーニングに特化した知識や技術が学べる独自プログラム「美活ジム」に導入される。肌と表情のトレーニング効果を客観的、定量的に評価できるようになり、利用者の理解度、満足度、モチベーション向上に役立つという。

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不条理でホラー感あるファンタジースポーツ「Blaseball」、モバイル化に向けて3.3億円のシード資金調達

野球リーグが開幕されることのなかった2020年、野球シミュレーションがその代わりとなって注目を浴びたと聞いても驚きはない。それにしても、不条理でホラー感のあるミニマルな「Blaseball」の世界観が成功するとは誰が想像しただろう。すでに数十万人のプレイヤーを魅了した、テキストベースの奇想天外なこのファンタジーリーグがついに、ゲームを構築してモバイル化するための300万ドル(約3億3000万円)の資金調達を実現した。

Blaseballに馴染みのない読者は今すぐチェックして登録してみると良いだろう。無料の上、30秒ほど眺めてみれば、この記事の次の3段落程度を読んで得る情報よりも確実にどんなものかを理解できると思う。

それでもこの記事を読み進めたいという読者のためにご説明しよう。Blaseballはウェブベースの架空の野球風リーグで、プレイヤーがゲーム内の通貨を試合結果に賭けることができるというものだ。しかしここからが変なのだ。チーム名はマリナーズでもメッツでもなく、Moist TalkersやWormsなど、選手はChorby SoulやPeanutiel Duffyなどの名前で、選手のデータにはアレルギーや試合前の儀式、RPGのようなアイテムのインベントリーなどが記載されている。

ゲーム内容はスポーツサイトの片隅に出てくるようなシンプルなテキストのみで語られ、ヒットやボール、盗塁だけでなく、焼却や辱め、シークレットベースなども含まれる。また「天気」には、自然発生してしまう選手間の輸血や、プレーを妨害する鳥などが発生することがある。

要するに、まったく馬鹿げていて予測不可能、それでいておもしろいのである。ファンタジーリーグ、野球の風刺、そして宇宙的なホラーを融合させたこのユニークな作品は、19週間のシーズンを通してファンを獲得し、夢中にさせると同時に困惑させてきたのである。そして多くのヒット作がそうであるように、この作品の成功も作り手にとってはまったく予期しないものだったのである。

画像クレジット:The Game Band

「我々もみなさんと同じように驚いていますよ。Blaseballは弊社の実験的なサイドプロジェクトでした。パンデミックの真っ只中でパブリッシャーは支出を凍結しており、まったく恐ろしい時期でした。我々はこの孤立した時代に人々を結びつけるようなゲームを作りたかったのです」とこのゲームを開発したThe Game Band(ザ・ゲーム・バンド)の創業者兼CEOであるSam Rosenthal(サム・ローゼンタール)氏は話す。

このアイデアは実際の野球の試合会場での会話から生まれている。ローゼンタール氏と同氏の友人が、ルールが「違ってもっと混沌としている」リーグについて妄想を膨らませていた時のことだ。もちろん現実の野球のルールも常に改訂されているものの、不正な審判に焼かれた選手の復活や、ホームチームのフリーラン、縮ませ光線銃などはこれまでにない。

このようにして誕生した、ゲームのようなゲームでないようなこのゲームは、野球、賭博、ファンタジーリーグに類似しつつもまったくかけ離れた不思議な存在なのである。例えば鳥が巨大なピーナッツの殻の中にいるチームのスターバッターをつついたとか、バッターがマグマを食べたからホームランが出たとか、そういったことで勝負が決まるこのゲームでは、伝統的な野球体験を期待していたプレイヤーはコインを失い、嫌になってしまうだろう。

今ホットなHades Tigers。登録選手名簿にはチームの現在の属性と恒久的な属性が表示され、プレイヤーは協力しあって毎週の投票で変化を起こすこともできる(画像クレジット:The Game Band)

「時々これがホラーゲームだということをファンに思い出させなければなりません」とローゼンタール氏は認める。このゲームは緻密な勝算性よりも、協力し合ってリーグ自体を導いていくことに意義があるとプレイヤーはやがて気づくのだ。「個人的な成功ではなく、集団的な成功を目指すのがこのゲームです。チームのファン同士が結束することによって組織が報われるのです」。

例えばシーズン終了時にアイドル的存在だった選手の処遇を決める投票券をコインで購入すると、次のシーズンに大きな影響を与えることになる。プレイヤーが本質的に参加しているのは、ただ単に楽しい野球シミュレーションというよりも、不吉なアナウンスや出来事が追い打ちをかけてくる、長期的な代替現実ゲームのようなものなのだ。

試合結果や選手が二塁に歩かされたというニュースの隣で「フィードバックの中で現実が明滅した」ことを知ったり、リーグや無秩序な宇宙にまつわる実体のない会話を見たりすることがある。

これには当惑させられるため、制作者に何か物語の意図や目的があるのか、それともただ手探りで奇妙さを演出しているだけなのか疑問に思うのも無理はない。私は後者だと思っていたが、ローゼンタール氏がはっきりさせてくれた。

画像クレジット:The Game Band

「ちゃんと着地点があります。たくさんの計画と膨大な量の伝承が書かれており、ライターズルームも毎日3〜4時間開催しています。しかしゲーム自体で何が起こるかわからないシミュレーションという要素と、ファンという2つのクリエイターが存在するため、我々は常に柔軟でなければなりません。例えばJaylen Hotdogsの生まれ変わりといった斬新な設定もあり皆に理解してもらえるかわかりませんが、我々もいつも学習していますし、必要に応じてすぐに後戻りしたり、変更したりする余地を多く残すようにしています」。

しかしこういった計画が実現されるまでこのゲームが生き残れるかどうかということまでは、開発者たちにも検討がつかなかったという。コロナ渦でのサイドプロジェクトとして制作されたBlaseballは、多額の資金を生み出すものとは想定されていなかった。小規模のゲーム開発会社にとっては、大成功を収めてもそれを収益化する能力がなければ開発やサポートの継続が人気のメリットよりもストレスになってしまうことがある。

「初めから利益が出るように計画していたわけではないので、少しずつ赤字になっていきました」とローゼンタール氏は振り返る。「幸いなことに、コミュニティがPatreonやスポンサーシップを通じて協力してくれました。しかし最終的にはゲームをより良くして持続可能なものにし、優秀なチームにふさわしい報酬を支払いたかったのです」。

画像クレジット:The Game Band

今回の300万ドルの資金調達により、同社は稼働し続けることができるだけでなく、同社のライターが製品サポートと兼任しているためトラブル時には会議を早めに打ち切らなければならない、というような事態もなくなるわけだ。しかし何より重要なのは、ネイティブのモバイルアプリ作成に向けての計画である。Blaseballのプレイヤー(といってもゲーム上のBaby TriumphantやWyatt Mason IVといったプレイヤーではなく、我々本物のプレイヤーである)の半分以上はモバイルでプレイしており、ローゼンタール氏自身、現状モバイルでの体験が「すばらしいものではない」と認めている。

同社にはモバイル開発のバックグラウンドがあるため、そのノウハウをしっかりと備えているが、パンデミックの際にはウェブが最も簡単に展開できるプラットフォームであると結論付けていた。しかし、目まぐるしい変化とライブ感のあるゲームの性質上、通常スポーツやファンタジーを愛する人々は最新情報を求めているため、モバイルでの展開を目指すことにしたというわけだ。お気に入りのチームがパーティータイムに入ったとか、憧れの選手が新しいアーマーを手に入れたとか、非物理的な法則が制定されたとか、そういった情報をすぐに知りたくない人なんてどこにもいないだろう。

ローゼンタール氏は独立性を重視していたため、当初は資金調達に抵抗があったというが、投資家として選んだMakers Fund(メイカーズファンド)については、Blaseballの良き理解者であり、事業を収益化するため親というよりもパートナーになってくれたと熱く語っている。

「他のゲームのマネタイズ方法を単に真似してBlaseballでそれを実行することはできず、それではすぐにすべてが台無しになってしまうということを彼らは分かっています。彼らはゲーム業界にすばらしいネットワークを持っていますが、本質的には規範的なものではありません」。

(架空のコミッショナーがプレスリリース内で「BlaseballがMakers Fundを買収」と書いていることに対しても彼らは異議を唱えなかった)

「無料ゲームの収益化は、コミュニティに悪影響を及ぼす可能性があることを私たちはよく理解しています。だから今後もずっと無料でプレイできるようにしていきますし、勝つためにはお金がいるということには決してなりません。例えば、Crabsが一番金持ちのチームだからといってそのチームが優勝することはありません。マネタイズを考えるとき、個人ではなくコミュニティ全体に利益をもたらす方法を考えています」。

その間もリーグは進み、プレイヤーと開発者の生の対話を通して週ごとに変化を遂げていく。今後奇妙さが軽減されるとは思わない方が良い。見当のつかないストーリーがこのゲームの魅力の一部であるということを製作側もよく分かっているからだ。

ローゼンタール氏はBlaseballを、野球シミュレーター版Dark Soulsであるとまで言い切っているから驚きである。「(Dark Soulsは)プレイヤーにほとんど何も情報を与えてくれないので、自分で解釈してテーマをまとめ、フォーラムに行って他の人と話したりすることが求められます。私たちはそのような体験を作り上げて、人々がこの奇妙で未知の存在をどのように解釈するかを見てみたかったのです」。

奇妙で未知の存在という言葉はまさにぴったりである。Blaseballに興味のある読者はぜひここから試して欲しい

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Blaseball資金調達アプリ

画像クレジット:The Game Band

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

アマゾンが購入したトークンで1話ずつ読み進めていく連載小説プラットフォーム「Kindle Vella」を米国で開始

Amazon(アマゾン)は2021年6月に約束したとおり、アプリ内課金で連載小説の各話を読み進めていく「Kindle Vella(キンドル・ヴェラ)」ストアを起ち上げた。この新しいプラットフォームは、読者が新しい小説を発見するための方法であると同時に、作家がKindle Direct Publishing(Kindle ダイレクト・パブリッシング)サービスから収益を得るための新しい方法でもある。

Kindle Vellaは、その名前から想像するのとは違い、アマゾンの電子書籍端末「Kindle(キンドル)」では利用できない。ウェブブラウザでAmazon.comにアクセスするか、KindleのiOSアプリ(Androidアプリは今のところ対応していない)でのみ利用可能だ。当初は、英語で物語を出版している米国在住の作家のみに限定される。

1話(エピソード)あたりの語数は600〜5000語程度で、最初の3話は無料で読むことができる。それ以降の話を読み進めるためには「トークン」を支払わなければならない。トークンの価格は、200トークンで2ドル(約220円)、1700トークンで15ドル(約1650円)。後者で約34本程度のエピソードを読むことができるが、1話を読むために必要なトークンの数は語数によって異なり、語数が多ければ多いほど費用がかかる。

一方、著者は収益の50%と、アプリのソーシャルメディア的な機能による人気度に応じたボーナスを受け取ることができる。読者は作品をフォローして新しいエピソードの公開時に通知を受けたり、気に入ったエピソードに「いいね」をつけたり、その週の好きな作品に「Fave(お気に入り)」を付けたり(トークンを購入して読み進めた作品に限る)、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)などのソーシャルメディアで共有したりすることができる。読者とのつながりを高めるために、著者はエピソードの最後に読者に直接語りかけて「ストーリーの洞察や舞台裏のコンテンツを共有することができます」と、アマゾンは書いている。

アマゾンは、3カ月前にVellaを作家たちにオープンして以来「何千人もの作家」が「数十にわたるジャンルで、何万本ものエピソードを」公開しているという。作家たちも興味を持っているようだ。ベストセラー作家のAudrey Carlan(オードリー・カーラン)氏は「私はこれまで30冊近くの小説を出版してきましたが、この新しいフォーマットで『The Marriage Auction(結婚オークション)』を書くという冒険を楽しんでいます」と、声明の中で述べている。このフォーマットが流行るかどうかは読者次第だが、あなたも試しにここからVellaにアクセスしてみてはいかがだろうか。

【編集部注】本記事はEngadgetに掲載されたもの。著者Steve Dent(スティーブ・デント)は、Engadgetの編集者。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AmazonAmazon Kindleアプリ電子書籍アメリカ

画像クレジット:Amazon

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(文:Steve Dent、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

音声SNSのClubhouseにテキストベースのメッセージ機能「Backchannel」登場

Clubhouse(クラブハウス)にダイレクト・メッセージ(DM)が導入されることはわかっていたが、米国時間7月14日、ついにその新機能が実装された。この音声に特化したアプリに、テキストベースのチャット機能が追加されたのだ。Clubhouseの新しいDMシステムは「Backchannel(バックチャンネル)」と呼ばれ、ユーザーから要望の多かった、音声ソーシャルメディアの舞台裏で会話を始める方法を提供する。

関連記事:Clubhouseがユーザー同士が深くつながれるDMテキストチャット機能を構築中

Backchannelは、1対1のメッセージのやり取りの他、グループチャットも可能であり、声のみによるソーシャルネットワークにかなりの実用性をもたらす。Speaker(スピーカー)たちは事前に打ち合わせしたり、ルームを運営しながらメッセージングでライブを調整することができる。また、リスナーからテキストによる質問を受け付けることも可能になる。リスナーの中には、その方が気が楽だという人も多いだろう。

帽子は?被っている。
マイクは?入っている。
メッセージは?ダイレクトに。

意図せずに5回もリークしてしまいましたが、ここで私たちの愛するエンジニアリングチームが新しいClubhouse Backchannelを紹介します

現時点では、Backchannelを通じてリンクを送ることはできるが、画像や動画を送ることはできない。しかし、他にも新機能がもうすぐ追加になるようだ。また、このメッセージシステムには、知らない人からのメッセージを承認するまで保留しておくメッセージリクエストのエリアもある。今のところ、ClubhouseのDMは、知り合いや知り合いになりたい人とのチャットに焦点を当てたものになっている。ルーム全体のチャット機能はないので、あくまでも主となる活動は、依然として音声ベースのルームに集中することになる。

このメッセージングシステムは、ClubhouseのiOSおよびAndroidアプリですでに利用可能となっている。DM……ではなくBackchannelを始めるには、プロフィールページにある小さな紙飛行機のアイコンを探すか、あるいはメインメニューから右にスワイプしてBackchannelのページを表示させる。ただし、1つだけ注意すべきことがある。まだメッセージを削除することはできないようなので(コピーや報告はできる)、Backchannelする際には必ず、本当にこのメッセージを送信しても良いかどうかを確認しよう。

関連記事:Android版Clubhouseのベータ版が5月19日より国内提供開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:音声ソーシャルネットワークチャットClubhouseアプリ

画像クレジット:AP Photo/Mark Schiefelbein

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

医療機関用災害対策システム「Smart:DR」を手がけるSmart119が災害時の病院初期対応アプリを公開

医療機関用災害対策システム「Smart:DR」を手がけるSmart119が災害時の病院初期対応アプリを公開

テクノロジーによる緊急医療の改善に取り組む千葉大学発の医療スタートアップSmart119(スマートイチイチキュウ)は、医療機関用災害対策システム「Smart:DR」(スマートディーアール)をスマートフォンやタブレットに対応させた「Smart:DRアプリ」を開発。7月15日、Android版iOS版を公開した。

Smart:DRは、災害やテロの発生時に「スタッフの安否確認」「集合要請」をスムーズに行い、医療機関や企業が被害を最小限に抑え、BCP(業務継続計画)策定による事業継続や復旧、傷病者の救命を支援するシステム。Smart119によると、同システムを導入した医療機関からの要望に応え、アプリ版を開発したという。

アプリ版では、受信したメッセージをより明瞭に把握できるほか、災害発生地点の表示や、健康状態の報告も従来より容易になっているそうだ。また、新型コロナウイルスのワクチン接種状況や副反応発生の有無などの情報収集も可能で、院内クラスター発生抑止や職員の健康管理に貢献するとしている。

主な特徴は次のとおり。

Smart:DRの特徴

  • スタッフへの緊急連絡、安否確認
  • 緊急時の集合状況をリアルタイムに把握でき、最適な人員配置を支援
  • 医学的見地に基づいた健康管理情報を自動集計
  • 返信は、ワンクリックで完了でき、ログイン不要
  • 掲示板機能を有し、平時においても活用できる

アプリ版を使うことで「医療従事者が通常時からSmart:DRを積極的に活用し、緊急時に、スムーズに危機管理体制へ参加」することが期待されるとSmart119は話している。

2018年5月設立のSmart119は、「安心できる未来医療を創造する」を目指し、現役救急医が設立した千葉大学医学部発のスタートアップ企業。Smart:DRをはじめ、音声認識とAIを活用した救急医療支援システム「Smart119」、緊急時医師集合要請システム「ACES」の開発・運用も行っている。また千葉県千葉市において、日本医療研究開発機構(AMED)の救急医療に関する研究開発事業を実施した。

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カテゴリー:ヘルステック
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