犬のためのAirbnbサービスを手がけるDogVacay、新たに2500万ドルの資金を調達

Fortuneの記事によれば、DogVacayがシリーズB1にて2500万ドルの資金を調達したとのことだ。

DogVacayとは、犬用ホテルの代替となるサービスを提供している。2012年に運営を開始しており、調達額の合計は4700万ドルになる。2013年10月に1500万ドルを調達したシリーズBはFoundation Capitalがリードし、以前から出資していたGSV Capital、Science Inc.、First Round Capital、Benchmark、Foundation Capital、およびDAG Venturesなどが参加して行われていた。

DogVacayサービスの利用スタイルは2通りになる。すなわち、犬を預かる側か、あるいは犬を預ける側だ。旅行に行く時に飼い犬を預けたいと考えたとき、信頼できてかつ良心的な価格で預ける先を見つけることができるようになる。カスタマーサーポートには毎日24時間体制で対応しており、飼い主および飼い犬が最適なケアを受けられるようにするための保険も用意している。従来のペットホテルサービスと比較すれば安価ながら、しかしケージに閉じ込めることなく、十分な愛情をもって面倒をみることを約束している。

このDogVacayだが、昨年1年でかなりの成長を遂げた。犬を預かる側の人は現在、2万名が登録されている。また先月には、犬たちの「宿泊日数」も100万日に到達した旨を発表していた。このうち90%は、この1年半のうちにカウントされた数値なのだそうだ。間違いなく、サービスは成長の波に乗っているようだ。

調達資金はサービスの拡大・拡充のために使っていくのだそうだ。

但し、サービスを拡大していくと、品質維持やカスタマーケアなどの面で難しさも出てくるのではなかろうか。そんな疑問を共同ファウンダーであるAaron Hirschhornにぶつけてみた。

「ビジネス規模が広がっていく際、カスタマーケアこそが最重要課題であると常に意識しています。前業務の半分は、このカスタマーケアに向けられています。評価や感想など、あらゆる話に耳を傾け、適切な判断および運営ができるように心がけています」とのことだった。

DogVacayが目指すのは、もちろん「全員の満足」だ。一度に面倒を見ることのできる頭数は3頭までとし、満点以外のレビューについては必ずフォローアップを行なっているのだとのこと。ちなみに現在のレビュー平均は5点満点で4.96となっている。

さらにDogVacayでは厳格な基準を定め、かつトレーニングなども用意して、品質の高いサービスを維持するための努力を継続的に行なっている。ホストとして仕事をするためには書類審査を経て、教育用ビデオを見て、そしてテストにもクリアする必要がある。電話インタビューも必須であり、またいったんホスト役としての仕事を始めても、継続的に教育を受ける必要がある。

DogVacayは預ける際の料金から15%を取る仕組みとなっている。現在のところ、ホスト役での利用者の20%が収益の80%を生み出しているのだそうだ。一部の人はフルタイムの仕事として犬の預かり業務を行なっていて、年間7万ドルから9万ドルを得ているのだとのこと。ホスト役のうち残りの80%の人は、タイミングを見て預かり業務を行なっているとのこと。この80%が残り20%の利益を生んでいる。この利益がいったいいくらであるのかについては教えてもらえなかった。

Hirschhornは「現段階ではより多くのペットシッターに登録を促したいとは考えていません」と述べている。「実際のところ、ペットシッターになりたいという申し込みは10万件以上もありました。そのうちに登録をお願いしているのは2万件だけです。私たちは量よりも質を求めているのです。有能な方々と一緒に、さらにハイレベルなサービス実現を目指していくことにより、預ける飼い主の方にも、そしてやってくる犬にとっても最善のエクスペリエンスを提供できると考えています」。

DogVacayは現在、アメリカおよびカナダにおける30万の都市で運用中だ。Hirschhornによると、国際展開も視野に入れているのだとのこと。

「私たちの展開するようなサービスを海外にもっていく場合、それぞれの国で全くの0からスタートすることとなり、それがなかなか難しいところです」とHirschhornは言っている。

DogVacayに興味をお持ちの方は、ウェブサイトにいろいろと細かい説明がある。

サービスの仕組みを説明するビデオを下に貼っておこう。

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(翻訳:Maeda, H


Facebook疲れの人も本音が書ける、テキスト限定投稿サイト「LifeCLIPS」

上司や取引先とつながりすぎたせいでFacebookにプライベートなことが書きにくい。かといって、Twitterの140文字じゃ足りないし、ブログを開設するのも面倒くさい。そんな人のために作られた「LifeCLIPS」は、ブログでもSNSでもない、文章コンテンツに特化したプラットフォームだ。投稿できるのはテキスト限定、基本機能は「足あと」と「フォロー」のみと超シンプルだ。

「CLIP」と呼ばれる記事の作成画面は、真っ白な背景にタイトルと本文を書き込むスペースのみ。ボールドやイタリック、見出しなどの機能もなく、写真や動画も投稿できない。そのUIはどことなく、Bloggerを創業し、Twitterの共同創業者でもあるEvan Williamsが手がける「Medium」ライクでもある。

文章の公開範囲は全体公開・限定公開(著者がフォローしている人のみが読める)・非公開の3種類。ソーシャルでも見てほしいという人のために、FacebookとTwitterのシェアボタンも控え目ながら用意されている。

2014年1月にクローズドベータ版をリリースし、11月6日に正式ローンチ。これまでに約500人が約1400件のCLIP(記事)を投稿していて、1記事あたりの平均文字数は568文字。Facebookでよく見る「意識高い系」の投稿ではなく、セルフブランディングとは無縁の趣味やプライベートの話が多いのが特徴だという。

サービスを運営するiDEAKITT代表取締役の藤田遼平さんは、「その道の専門家ではなくても、セルフブランディング以外の目的で書かれる独自の価値観はコンテンツとして面白い」と話す。

「何を書いていいかわからない」という人には、特定のテーマ(お題)を設けることで書きやすくする。「チャンネル」と呼ばれるこの機能は、「子供の頃のヒーロー・ヒロイン」や「何度でも訪れたくなる街」といったお題をLifeCLIPSが用意。各チャンネルにはお題に沿った記事だけが集まる。将来的には、企業や団体が訴求したいテーマに沿ったチャンネルを作ることも、収益の1つとして見込んでいる。

かつての「mixi日記」の空気感をもう一度

藤田さんがLifeCLIPSでイメージしているのは「全盛期のmixi日記の空気感」だ。

「mixi日記は適度なつながりで本音を投稿できる場。かつて毎日のように投稿していた人に、『Facebookだと書きたいことも書けない?』と聞くと8割以上が同意すると思います。長い文章を書きたいニーズがあるのはmixi日記が証明済み。いいね!は100個もいらない、好きな人にだけ読んでもらえれば満足する、という人は多いはずです。その意味で、mixiと同様、誰に読まれたかがわかる足あと機能をつけています。」

ソーシャル疲れした人には、フォローし合える人数が150人までの「Path」9人限定の「Close」などのクローズドなSNSがある。まとまったコンテンツを気軽に投稿できるサービスとしては、ピースオブケイクの「note」やシックス・アパートの「Shortnote」があるし、Facebookでグループを作って文章を投稿すれば事足りるのかもしれない。この点について藤田さんは、「LifeCLIPSのベータユーザーに評価されているのはテキストのみの潔さ。写真や動画、音声など何でも投稿できるのが良しとされがちですが、文章しか書かない場所というのがわかりやすい」とテキストコンテンツの持つ可能性にかけている。


DMMが秋葉原にモノづくりの大拠点――3億円超の機材を揃え、CerevoやABBALabが入居


MAKERSムーブメント、IoT――言葉としてはよく聞くし、その動きは活性化している。多くの人たちは3Dプリンターにばかり目が行きがちだが、それだけの話ではない。ハードウェアスタートアップに必要な機材が利用できる場所が増え、そのノウハウを持ったプレーヤーも徐々に育ち、MoffRingといったプロダクトが世に出てきた。またそんなプレーヤーに出資したい投資家も現れている。

そんな中、DMM.comが日本のモノづくりスタートアップの中心地づくりに動いた。同社は11月11日に東京・秋葉原にてモノづくりの拠点となるスペース「DMM.make AKIBA」をオープンする。あわせて同スペースにはハードウェアスタートアップのCerevoやハードウェアスタートアップを対象にした投資を行うABBALabが入居。ノウハウや立ち上げ資金の提供を進める。

DMM.comでは、サイト上でデータをアップロードし、3Dプリンターでパーツやフィギュアなどの造形物を製作する「DMM.make 3D PRINT」を2013年夏にスタート。その後はIoT関連の情報を配信するオンラインメディア「DMM.make」も展開してきた。3Dプリント事業はすでに月間数千メデルを制作するまでになったが、「実際のところこれまでの事業は『入口』。これまでの我々の事業もそうだが、プラットフォームを作ることを目指している」(DMM.make AKIBA総支配人吉田賢造氏)とのことで、そのプラットフォームとしてDMM.make AKIBAを立ち上げるに至ったという。

3億円超の“本物”の機材が揃う「Studio」

DMM.make AKIBAの所在地は、秋葉原駅そばの富士ソフト秋葉原ビル10〜12階。10階は電子工作から量産向け試作品の開発・検証までが行える。「DMM.make AKIBA Studio」。11階は3Dプリンターを設置し、3Dプリンターや各種機材に関する法人向けのコンサルティングサービスを提供する「DMM.make AKIBA Hub」。12階はイベントスペースやシェアオフィスなどを展開する「DMM.make AKIBA Base」となる。なおCerevoは12階の一部に入居する(余談だが、Cerevoは今夏に株主が変わって以降、人材を大幅に拡大しており、現在自動車メーカーや電機メーカー出身のエンジニアも続々参画しているそうだ)。

Studioには合計180点以上の設備があるそうで、その金額は「機材だけでも3億円超」(吉田氏)だという。また、機材の監修をしたCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、「機材は『本物』を揃えた、ということが重要。
5軸CNC(切削機)をはじめとして、小さな工場では高価で導入できないものも用意されている。また、水深30mまでに対応した耐圧潜水試験設備など、試験用設備もある。これがあれば最近出ているいわゆるハードウェアスタートアップの量産のほぼ一歩手前までができる」と語る。僕もそのリストの一部を読んだのだが、言葉の意味は分かるけど実物を見たことがない…というような試験設備も数多く並んでいた。

ハードウェアと聞くと僕らは機器そのものに目が行きがちなのだけれど、岩佐氏いわく配達までに壊れないよう梱包素材の選定だって重要だということで、そのための試験機までが用意されている。こういった試験機やハードウェア製作のための機器をスタートアップが一度に利用できる施設は国内では今までまずなかったそうで、岩佐氏は「1製品作るのに平均10カ月近くかかっていたが、うまくいけばそれが1〜1.5カ月短縮できるのではないか」と語る。

利用料金はStudioが月額1万5000円(初期費用3万円)から。オフィススペースのBaseと同時利用の場合、月額3万円(初期費用6万円)からとなる。この設備にたいしてこの料金設定でビジネスとして回るのか吉田氏に尋ねたが、「まだ投資フェーズだと考えている。施設単体でどうかというところだけでなく、ビジネスをより波及させることになる。まだまだ市場を広げて初めて価値を出す」とのことだった。

ハードウェアスタートアップ向けの支援プログラムも

また、ABBLab代表取締役の小笠原治氏は、ここでスタートアップ向けのシードアクセラレーションプログラム「ABBALab Farm Programing」を展開する。現在BoltやHighway1、HAXLR8Rなど、海外では20以上のハードウェア向けシードアクセラレーションプログラムがあるが、日本で大々的なプログラムはこれまでなかった(これについて小笠原氏は「これまでモノづくりができていなかった地域ほど、プログラムが活発だ」と教えてくれた。同時に「日本はモノづくりに強いが、個人や起業して作る人が少ない」とも)。

プログラムに参加するには、毎月開催される「トライアウト」と呼ぶプレゼンで合格する必要がある。合格すれば、業務委託や投資(基本的には評価額3000万〜5000万円で、50万〜1000万円を出資する)「スカラシップ」、自らが持つスキルでスカラシップを教育・支援して対価を得られる「フェロー」になることができる。なおプログラム参加者は毎月発表を行う場が用意され、そこで支援継続、支援追加、支援中止のジャッジを受けることになるという。プログラムはまず、並行して10社程度の参加を予定する。

プログラムでの目標を達成したプロダクトは、クラウドファンディングなどを通じて市場に出し、初期ロットの生産数を試算できるようになった時点で適量生産(大量生産の手前の段階、数を限定した生産)までを進める。もちろんABBALabや他のベンチャーキャピタル、事業会社と連携した追加投資も行うという。

岩佐氏は最後にこう語った。「大義名分にはなるが、海外は気合を入れてモノを作っている。我々はそれに負けてはいられない。日本はハードウェアの国だったのに海外にやられている状況。我々Cerevoが偉い、儲かっているとは言わないが、ハードウェアベンチャーとしては先を走っていて、ノウハウがある。ここにはDMM.comの機材があって、スタッフがいる。ここでこそ我々のノウハウが生きると思っている」


モバイルデバイス充電用の「自動巻き発電機」AmpyがKickstarterで出資募集中

外出先での電源の必要性がこれだけ感じられるようになれば、着用者の運動を利用して発電し、バッテリーを充電する装置が現れるのは時間の問題だった。それが現在Kickstarterで出資募集中のウァラブル・バッテリー充電器のAmpyだ。これを体に装着すると、歩いたり走ったりする動作によって内蔵バッテリーが充電され、USB経由で各種デバイスに充電できる。

理論的には理にかなったアイディアだが消費者が喜んで身に付けるようなデザインと効率性を備えたデバイスを開発することは難しい。

Ampyは現在はまだプロトタイプの段階だが、シカゴに本拠を置くスタートアップは量産に向けて10万ドルを目標にクラウドファンディングを行っている。募集期間はあと10日残っているが、すでに24万5000ドルのプレッジ(出資応募)があったので製造開始は可能になった。ただし出荷予定時期はだいぶ先で、2015年の6月だ。

Ampyのバッテリー容量は1000mAhだが、これはたいていのスマートフォンのバッテリーの容量より少ない。空になったバッテリーを完全充電するのは無理で、あくまで補助的なものになる。

共同ファウンダーのTejas ShastryはAmpyの仕組みを「ユーザーの動作が内部の誘導子の磁石を回転させ電流が生まれる。これがリチウム電池を充電する。Ampyの出力は数百ミリワットに上る。1万歩でスマートフォン 3時間分の発電量となる」と説明する。

Kickstarterのキャンペーン・ページにはまだAmpyが装着者の運動で充電されているところが紹介されていないが、出資者へのフォローアップのメールでは手やランニングによって発電している様子が報告されている。

Ampyではハードウェアに加えて専用アプリも開発しており、これには発電量の他に運動によって消費されたカロリーも表示される。

Ampyの説明に信用が置けると考えるならまだKickstarterで85ドル投じれば予約できる(バッテリーのみで装着用のストラップはつかない)。

いずれにせよモバイル化が進展するにつれてバッテリーの電源がますます重要になってくることは非常に明白だ。われわれは常にデバイスに内蔵されているバッテリーの容量以上の電力を求める。現時点ではAmpyが成功するかどうか保証の限りではないが、このようなバッテリー充電補助デバイスへのニーズは大きい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


家庭用マシンの中にバリスタを配置するArist、Kickstarterキャンペーンを展開中

Aristは自宅でカフェの味を実現しようとするプロダクトだ。いろいろな種類のコーヒーを、完璧に淹れることを目指す。豆をひくところから始めて、コーヒーをすすめるタイミングまで考えてくれる。対応スマートフォンアプリケーションは好みのレシピを覚えておいてもくれる。お気に入りの味を見つけたら、その際の温度、シロップの量などを記憶しておいてくれるのだ。さらにはNFCステッカーを利用して、特定のカップにいつも同じコーヒーを注ぐこともできるようになっている。

このAristはKickstarterキャンペーン中だが、12万ドルのゴールに対し、既に26万ドルの資金を集めている。2015年8月の出荷開始予定となっている。調達資金はプロダクトの製造費用およびモバイルアプリケーションおよびクラウドプラットフォームの開発費、および各種ライセンス関係の登録費用に使われるそうだ。

Arist曰く、香港行政府からの支援も得ており、同行政府の支援するHong Kong Science and Technology Parkからの協力も得ていて、出荷については問題ないだろうとのこと。開発チームも香港で稼働しており、サプライヤーや製造担当との連絡もうまくいっているようだ。

お気づきのこととは思うが、プロダクト名のAristは「bARISTa」(バリスタ)の中心部分をとったものだ。すなわち「バリスタのハート(中心)を機械に持ち込む」という意味を込めているそうだ。利用者の好みの味を記憶し、さらに新しい味のサジェストすら行なってくれる。Aristの開発に関わるのはコーヒーが大好きな20名の人物だ。CEO兼プロジェクトリーダーを務めるのはBenson Chiuで、マイクロソフトでソフトウェアエンジニアを務めていた。さらに兄弟のNelson ChiuはCFO兼ビジネス開発リーダーを務めている。

他のメンバーはとみるとQグレーダー(Coffee Quality Instituteが定めた、コーヒー評価者としての資格)の資格を持つChris Yeungや、Aristの淹れるコーヒーをトータルで評価する「コーヒーコミュニティ・マネジャー」であり、かつバイオテック技術者のVincent Poonなどがいる。

Benson Chiuは「マイクロソフトで働いているときに、休憩室で飲むコーヒーのまずさに驚きました。その頃に、カフェで飲むコーヒーとの違いを知りたいと考え始めたのです。エスプレッソのいれかたなどを勉強してみたりもしました」と述べている。

「しばらくするうちに、コーヒーの魅力にすっかりとらわれてしまいました。さほど難しくもみえない抽出プロセスも実はとても複雑で、同じような味にすることの難しさを感じるようになりました。コーヒーメーカーの仕組みなども調べてみましたが、どうやら個人の力でどうにかなるようにも思えなかったのです。それでいろいろな人からの意見を聞けるように環境を整えました」。

Aristの開発にとりかかったのは2013年のことだった。どうやら満足いく結果を得られそうに感じ、Chiu兄弟はいっそのこと会社を立ち上げてしまおうと考えた。会社名はNbition Development Ltd.とした。

どうやらAristもなかなかのものであるようだが、この分野にはライバルもひしめいている。一番近いものはといえば、プログラマブルなコーヒーメーカーを提供しているMr. Coffeeということになるだろうか。あるいは、いつも安定した味を出すことができるという意味ではネスプレッソなども強力なライバルとなる。ただ、Benson Chiuによれば、Aristの強みはスマートフォンインタフェースの実装や、また自分好みの味を追求できる自由さにあるのだとしている。さらに、たいていのコーヒーマシーンはいれられるコーヒーの種類が限られていることが多い。そのような中、Aristはラテやカプチーノも扱えることを強みとしている。

「これまでは、品質をとるのか手軽さをとるのかというのは、トレードオフの関係にありました。両方を追い求めることは不可能であると考えられていたのです。
そんな中、Aristが二兎を追って見せます」とChiuは言っている。

Aristに興味をもった方は、ぜひともKickstarterキャンペーンページを見てみて欲しい。

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(翻訳:Maeda, H


スタートアップ設立前に最も重要な作業とは?

スタートアップへの投資環境が過去と比べるとありえない程、良くなった日本。とはいえ、スタートアップの成功確率が自然と高まるわけではなく、軌道に乗せ成功に導くには多くの試行錯誤と努力が必要です。今回は実際にスタートアップを立ち上げ失敗した筆者が、自身の経験を元にスタートアップ成功の秘訣についてまとめた記事を。 — SEO Japan

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私達は失敗した。

半年間にわたって、モバイルアプリのコードの質をじっくり調べ、デザインを調整した後、パートナーと私は、ついにApp Storeにアプリをリリースした。すると、徐々にダウンロードの回数は増えていった。

その数日後、辛い現実が私達を待ち受けていた。ユーザーがアプリを利用しないのだ。アプリのアイデアを紹介した人達の多くは、絶賛してくれたこともあり、大きなショックであった。私達が開発したアプリは、写真を撮り、撮影した対象に関する質問をすることが出来る。このアプリは、その年、世間を賑わせたスタートアップのトレンドを全て網羅していた: モバイル、ソーシャル & ローカル。2011年の年始のことだ。

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音声指示に従って自動で返信メールを書いてくれるA.I.搭載のLess.Mail

膨大なメール処理に悩んでいるAndroid利用者向けに、A.I.を活用するLess.Mailというアプリケーションが発表された。モバイルアシスタントがメールの内容を把握し、そして利用者のために返事を書いてくれるというものだ。ミーティングへの誘いなど、メールに記されたオファーを受けるか否かをアシスタントに通知すれば、その意向にしたがって自動的に返信を作成してくれる。アシスタントへの指示は普通の話し言葉で行う。

たとえば、開発元のデモビデオによれば、利用者は「申し出を受け入れよう」(please confirm and accept)だとか「必要ない。だけど丁寧に断って欲しい」(No, thanks. But please decline politely)などと指示を出している。仕事の進捗を尋ねるメールには「やってるよと伝えておいて」(Just tell him I’m working on it)という指示で返信を作成してくれる。

(余計な訳注:下の動画はなかなかおもしろかったです)

Less.Mailの開発元は、Palo AltoのRobin Labsだ。Robin.AIというモバイルアシスタントのプラットフォーム上に各種アプリケーションを構築している。Robin.AIとは、AppleのSiriやGoogle Nowをよりオープンなものとしたいとして開発されたものだ。このA.I.プラットフォームはすでにRobinというアプリケーションで利用されている。用途を限定せず、Google Play風のアシスタント環境を提供するものだ。利用者も100万人を超えている。

また、昨年にはYahoo版Siriとでも言うべきものを作って話題になった(両社の間でどのような目的があってアプリケーションが開発されたのかについて、Robin Labsは詳細を明らかにしていない)。さらに、パーソナルアシスタント機能を備えた自動車用ルームミラーのシステムも開発している。これはパイオのイアとの戦略合意に基づく共同プロダクトだ。

Robin Labsの共同ファウンダー兼CEOのIlya Ecksteinによると、Less.Mailは現在進行中の音声操作機能を搭載したメールクライアントから、一部機能を取り出して実現したものだと話している。RobinのA.I.技術の応用可能性を世に示す目的もあるのだろう。またメールの操作に音声コマンドを利用することがどの程度受け入れられるものなのか、試してみる意図もあるようだ。

Less.Mailの開発に要した期間は数週間程度であるとのこと。もちろんA.I.部分について既にAndroid SDKを用意していることで、短期間の開発が可能となっているわけだ。多くの人に受け入れてもらえるようであれば、iOSなど、他のプラットフォームに移植することも考えているのだそうだ。現在のところは、ともかくまずテストをしてみようという話で、他プラットフォームの開発スケジュールなどは全く白紙であるとのこと。

メールの80%は定型処理で対応可

「名前にLessとついているのは、メールの処理時間を短縮できると考えたからです。他の作業を長く中断せずとも処理できるようにしたいと考えたのです」と、Ecksteinは言う。「受け取るメールのうち、80%ほどは定型処理で対処可能なものであると考えています」。昨今では、メールにおいても簡単に要件だけを記してやり取りすることが一般的になっている。オファーに対しては簡単にイエス/ノーだけを応えることも多い。また、予定通知のメールなどについては、それをカレンダーに移して処理終了とすることも多い。「私たちは、そうした定型処理可能なメールについて、できる限り簡単な処理方法を実現しようとしているのです」とのこと。

そして実際、Less.Mailを使えば送られてきたメールに対して定型的なレスポンスを戻すことができる。もちろん従来通りに自分で返信することも可能だ。また予定をカレンダーに移す作業も行なってくれる。

ただ、いろいろな理由で、メールを音声で処理するということに抵抗を感じる人もいるかもしれない。また、どのくらいの時間節約になるのかもよくわからないところだと思う。さらに、返信にあたっては結局自分で手を加えたくなるケースが多いかもしれない。

いろいろと疑問はあれど、しかしたとえば障害を抱える人にとっての支援ツールとしての使い方もあり得るだろう。また、車で長距離を移動する人は、従来なら音楽やトーク番組を聞いて暇つぶしをするくらいのことしかなかった。しかしこのLess.Mailを使えば簡単かつ効率的に受信メールを処理していくこともできるかもしれない。また、こうしたアプリケーションを使えば映画「her/世界でひとつの彼女」的な気分を味わうこともできるだろう。音声コマンドを利用するだけでなく、そこにA.I.が介在することで、デバイスを擬人化して考える傾向は強くなるに違いない。

どれほど役に立つものなのか、どれほどの注目を集めるのかについては、今後を見守りたい。現在は招待制で利用者を増やしている段階だ。徐々に利用者を増やしていって様子を見たい思いもあるのだろう。

Androidを使っていてLess.Mailを使ってみたいという人は、こちらから招待リストへの登録を申し込むことができる。

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(翻訳:Maeda, H


非・検索女子を狙い始めたファッションアプリ「iQON」、講談社と資本業務提携

20〜30代のオシャレに敏感な女性をターゲットにしたファッションアプリ「iQON」を運営するVASILY。10月にはKDDIから推定10億円以上の出資を受け、同月25日から全国でテレビCMを開始した。これまで広告を使わずグロースハックによる「地上戦」でユーザーを集めてきた同社だが、メディアを活用する「空中戦」にシフトし、今までリーチできなかった「非・検索女子」を獲得しようとしている。28日には講談社と資本業務提携し、女性誌のコンテンツ配信で連携する。講談社の出資額は非公表だが、関係者によれば約1億円という。

iQONは提携する60以上のECサイトのファッションアイテムを、ユーザーが自由に組み合わせてコーディネートを投稿できるサービス。ユーザー数は150万人に上り、今まで投稿されたコーデは130万件。ユーザーはコーデの中からお気に入りの商品を提携先のECサイトで購入できる。

iQON経由のECサイトの月間売上は「10億円目前」(VASILY金山裕樹代表取締役)といい、最も売れているECサイトは「月間2億円以上」。提携ECサイトから支払われる手数料(比率は非公表)や、ブランドと実施するコーデ企画の広告料が、iQONの収益の大半を占める。10月27日にはネイティブ広告「iQON AD」を導入し、新たな収益源とする考えだ。

iQON初となるテレビCMでは、コアターゲットと想定する「ITへ興味が低いユーザー」の獲得を狙うと金山さん。IT感度の高いファッション好きの女性だけでなく、地方都市のイオンモールで余暇を過ごすような若い女性も囲い込もうとしているのだろう。「これまでのユーザーはApp Storeで自発的に検索してくれる人たち。今まではグロースハックでユーザーを集められたが、今後の数百万人はそれだけでは無理。どんどん一般化していかないとダメだと思っている」。

テレビCMは4種類のクリエイティブを用意し、各地域で獲得したユーザーを分単位で集計。クリエイティブごとのユーザー獲得数を比較し、何時何分に流したCMの効果があったかを検証するなど、「PDCAのサイクルを詰めまくっている」。テレビCMに投じる金額は「数億円」に上るという。

KDDIポータル構想の意味は?

KDDIは10月16日、iQONやnanapi、はてな、@cosmeなど12社13サービスで構成する「Syn.alliance(シンドットアライアンス)」構想を発表した。KDDIによれば、全てのサービスが入り口となる「中心のないポータル」を構築するという。新鮮味があるのだかないのだかわからない構想だが、要は13サービスに各アプリやサービスのリンクを掲載して、お互いに回遊させようとしているらしい。

iQONにとってSyn.allianceはどんな意味があるのか? この点について尋ねると、金山さんは「アプリを自分で探さないようなマス層にリーチできるのが大きい」と答える。「自分に合うアプリを積極的に探す人は全体で見ればわずか。そんな状況にあって、いつもnanapiを見ているようなユーザーがiQONを目にしてくれれば、検索では届かなかったユーザーに見つけてもらえる」。

講談社との提携を皮切りに他の出版社とも提携へ

10月28日には、講談社とスマホ分野での資本業務提携について合意。「ViVi」を中心とした講談社との女性誌と連携し、スマホに最適化したコンテンツを一部有料で配信していく。iQONより女性誌の公式アプリやウェブサイトへネイティブ広告を配信し、女性誌コンテンツのアドネットワーク化を推進することも視野に入れている。

講談社はニュースアプリ「NewsPicks」を運営するユーザーベースに投資したり、写真共有SNS「Snapeee」を運営するマインドパレットへの出資を通じて「ViVi」や「with」に掲載するファッション写真を配信するなど、スマホ展開を模索してきた。スマホ向けコンテンツの配信に強みを持つVASILYとの提携で、女性誌のスマホシフトやマネタイズを強化する。

一方、iQONは講談社との提携を皮切りに、女性誌を扱う他の出版社との提携を視野に入れている。また、アジアでも人気の女性誌を持つ講談社との提携は、「そう遠くない未来に実現する」(金山さん)というiQONのアジア進出の布石にもなっていそうだ。


スタートアップの買収から学んだマーケティングの7つの教訓

大型のスタートアップ買収が日本でも進んでいますが、SEO Japanでもお馴染みのスーパーWEBマーケッター、ニール・パテルが自身のスタートアップ買収を通じた学んで経験をシェアしてくれました。数十億単位の巨大買収ではなく、小規模な買収実例だけに、参考になる人も多いかもしれません。 — SEO Japan

startup

昨年、 CrazyEggを共同で創設したヒテン・シャーと相談して、セールスCRMサービスを提供する会社「Strideapp」を購入した。通常、私達は、会社の買収、そして、新しい会社の設立には消極的である。なぜなら、既にやるべきことが山積みの状態だからだ。

しかし、この取引は、あまりにも魅力的であったため、見過ごすことは出来なかった。また、セールス業界に精通する、私達二人の共通の友人であるマイクが、スタートアップの経営に前向きであったこともプラスに作用した。そこで、ヒテンと私は、マイクに経営を任せる判断を下したのであった。

この買収では、興味深いことに、ヒテンと私自身は、セールスCRMの業界の知識がほとんど持っていなかった。さらに、日常的なベースでは、経営に関与しない初の試みとなった。

Strideappを買収する前は、基本的に、マーケティング業界に属し、小中規模の会社のマーケットに力を入れている企業のみを買収の対象としていた。なぜなら、私達のつながりはこの業界に集中しており、製品の売り込みが楽だからだ。

Strideappは、セールスの分野に属するため、私の名前をアピールしたところで、ほとんど効果はない。ゼロから始めるようなものだ。起業家としては、10年以上の知識を持っているものの、私の「コツ」はセールス業界では通用しない。つまり、読者の方々と全く同じ立場に身を置いていることになる。

それでは、Strideappの買収から得た7つのマーケティングに関する教訓を紹介していく:

教訓 #1: 資産価値はトラフィックを凌駕する

SEOのエキスパートとして、私は何よりも先にキーワードの量を確認する。私が経営する会社の多くは、ウェブ分析業界に属する。そのため、「ウェブ分析」関連の用語を意識して、会社の最適化を行う。

一方、Strideappは、セールスCRMの分野に所属する。そのため、この分野で人気の高い用語を調べるため、キーワードリサーチを実施した。

sales crm

上のグラフにも表れているように、Google トレンドは、ウェブ分析の分野は、セールスCRMよりも人気が二倍高いと指摘していた。通常、この傾向は、分析の分野の方が、収益を獲得しやすいことを意味する、はずである

しかし、私の考えは誤っていた。どちらの分野も競争は激しいが、セールスCRMの方が、遥かに登録者を得やすかった。なぜなら、セールスCRMを検索している会社は少なくても、より多くの会社が、解決策を求めているためだ。

収益の面においては、最大のセールスCRMサービスを提供する会社と言えば、何と言ってもSalesforceであり、330億ドル以上の価値を持っている。一方、最大の分析サービスを提供する会社は、Omnitureである。AdobeがOmnitureの買収に投じた金額は18億ドルであった。SalesforceとOminitureの間には、実に18倍の差が存在するのだ。

非常に大きな差だと言わざるを得ない。

時価総額が大きければ大きいほど、会社は大きい。そして、会社が大きければ大きいほど、得られる収益は多くなる。

会社を売り込む試みを行う際は、私がかつてそうしていたように、単純にキーワードの量ばかりに固執するべきではない。時価総額に注目しよう。時価総額が大きいなら、登録者を増やす際に、口コミが大きな役割を果たす。

教訓 #2: 完璧は過大評価されている

Strideappに関するブログの記事を作成するつもりだ、とマイクに伝えると、もう少し待って欲しいと言われた。マイクは、新しい製品とデザインを先に立ち上げたかったからだ。論理的には、このアプローチは、より多くの登録をもたらすはずである。

現在のデザイン:

stride

新しいデザイン:

stride new

現在のアプリケーション:

stride app

新しいアプリケーション:

stride app new

マイクの考えは、正論である。新しいデザインは、遥かに使いやすく、優れたユーザー体験を実現するだろう。

しかし、宣伝する際に、新しいデザイン、もしくは、製品の改善をなぜ待たなければならないのだろうか?実は、待つべきではない。私自身は、デザイナーでもなければ、ディベロッパーでもない。そのため、自分ではどうすることも出来ない遅れが生じる可能性が高い。

製品の宣伝を待ち続けると、実際に製品が軌道に乗るまでに数ヵ月を要することもある。完璧に仕上がるまで待つべきではない。なぜなら、決して完璧に仕上がることはないからだ

マイクは、新しいバージョンをリリースしたら、ユーザーから多くのフィードバックが寄せられ、修正しなければならないアイテムが続々と増えていく現実を理解していなかった。事実、このサイクルに終わりはなく、マーケッターは、デザイナーやディベロッパーが、主要なアップデートを終えるまで、宣伝を待つべきではない。

教訓 #3: 無料に勝るものはなし

実は、KISSmetrics(私自身が経営する会社)の競合者、Mixpanelからこの教訓を得た。

kissmetrics

上のグラフを見ると、Mixpanelが、私の会社よりも、早いペースで成長していることが分かる。面白いことに、Kissmetricsは、Mixpanelよりも、2-3倍多くのトラフィックを獲得している。それでも、私達の会社よりも、Mixpanelは早く成長している。

その理由を皆さんにも考えてもらいたい。製品の質ではない。Mixpanelが無料プランを提供していることが理由であった。KISSmetricsでは、無料プランを用意していなかった。また、製品の質がどれだけ高くても、あるいは、低くても、無料と言う言葉に人々は弱い

Strideappは競争の激しい分野に身を置いているため、同様のアプローチを採用し、アプリを無料で提供することにした。今後、どのように収益化していけばよいのか、現段階では未定だが、会社を資金面で援助することが可能な限り、特に心配はしていない。

無料モデルに移行した瞬間、何が起きたのか想像してもらいたい。登録者が、1100%増加したのだ。爆発的な増加である。無料化戦略の長所は、マーケッターがほとんど仕事をしなくても、勢いをもたらすことが出来る点だ。

新しいデザインをリリースし、コンバージョンに対する最適化を行えば、サイトにビジターを送ることなく、登録者数を3倍に増やすことが出来ると私は確信している。

無料で製品をリリースするアプローチには、幾つかのメリットがある:

  1. 消費者に許してもらえる – 無料で製品に登録した場合、クレームを出す意欲が失せる。
  2. 収益を得る機会を見つけることが出来る – 「この機能を加えたら、製品に対して、お金を払ってもいい」、とユーザーは会社側に明かす。すると、製品を容易にフリーミアムモデルに転換することが可能になる。

新しいマーケットであれ、古いマーケットであれ、マーケットを破壊したいなら、フリーミアムの製品をリリースする取り組みを検討すると良いだろう。有料の製品よりも、半分無料の製品を宣伝する方が、遥かに楽である

教訓 #4: マーケティングは、前工程を最適化するだけでなく、後工程まで最適化する

マーケッター達は、前工程の最適化に焦点を絞る傾向がある。ファンネル(漏斗)を想像してもらいたい。外部のサイトから、ホームページへ、ホームページから、価格情報のページへ、会計のページへ、そして、最終的にクレジットカードの支払いページへと向かわせる流れを最適化する。

funnel

理論上は、ファンネルに送り込む人が多ければ多いほど、より多くの収益を得られることになる。

このアプローチに、何か問題はあるのだろうか?実は、前工程のみに力を入れると、収益を得る多くの機会を見逃してしまう。前工程と後工程の双方の工程を最適化すると、遥かに多くの収益を得られる。

例えば、Strideappでは、私達はアプリケーションの最適化(後工程)に力を入れなければならない。さもないと、製品を使ってもらい、定期的にログインしてもらえない。この状態では、無料版のユーザーにお金を支払ってもらうのは、非常に難しくなる。

Eコマースのビジネスにも同じことが言える。製品を買ってもらったら、それで終わりではない。さらに製品を購入してもらうには、どうすればいいのか?あるいは、友達に薦めてもらうには、どうすればいいのか?を考えるべきだ。Eメールブラスト等のマーケティング戦略を活用すると、後工程の売り上げを増やす効果が見込める。

繰り返すが、コンバージョンの最適化を考慮する際は、ウェブサイトの前工程だけに力を入れるべきではない。後工程も重要である

教訓 #5: 競争の激しいマーケットでは他社との差別化は難しい

私達がStrideappでセールスCRM業界に参入したように、飽和したマーケットに参入する際は、他社との差別化は、非常に困難になる。製品がどれだけ良くても、競合者と大きく異なる製品を作るのは容易ではない。

だからこそ、スティーブ・ジョブズは特別な存在になれたのだ。ジョブズと同じスキルを持つ人物は、稀である

再び、セールスCRMの業界を例にとって考えてみよう。他社の製品よりも優れた製品を作る方法が分かっても、Salesforceに勝つことは不可能である。なぜなら、Salesforceは、多くの大規模なセールス企業の基幹となっており、既存のソリューションの多くとつながっているためだ。さらに、大半の営業スタッフは、Salesforceに既に慣れ親しんでいる。

そのため、B2Bの分野では、優れた製品を作るだけでは、不十分だと言えるだろう。企業が、その製品に切り換えるとは限らないのである

それでは、混雑した業界で目立つには、どうすればいいのだろうか?幾つか方法がある…

  • 値下げ – より安い価格で製品を販売する、もしくは、無料で提供すれば、マーケットのシェアを獲得することは可能だ。
  • より使いやすい製品にする – 競合者の製品よりも、使いやすい製品にするアプローチは、マーケットシェアを得る上で有効である。
  • ニッチを作り出す – CRM業界で、RelateIQがニッチを作り出し、買収のきっかけを作ったように、マーケット内に新たなニッチを作り出すことが出来る。
  • 優秀なマーケッター – SEOから、有料広告、そして、コンテンツマーケティングに至るまで、可能性は無限大だ。競争の激しい業界では、常に優秀なマーケッターが必要になる。競合者よりも良いコンテンツを作り、上位にランクインし、ソーシャルメディアで人気を得られれば、最終的に、競合者から徐々に顧客を奪うことが可能になる。

残念ながら、飽和しているマーケット、特に競争が激しいマーケットで、目立つための単純なソリューションは存在しない。しかし、上の戦略を組み合わせて活用すれば、成功する可能性はある。

だからこそ、私達は、Strideappで、無料の使いやすい製品を作成する取り組みに力を入れている。また、時間の経過と共に、競合者よりも上位にランクインし、コンテンツマーケティング等の手法を介して、より多くのトラフィックをもたらすことが可能になる。

教訓 #6: マーケティングの最大の難点はメッセージの作成

マーケティングで最も難しいのは、作業を実行する段階だと指摘する人は多い。しかし、この取り組みを代行する人を雇えば済む。しかし、どれだけ賢いマーケッターであっても、メッセージを作る取り組みに苦戦するはずだ。

なぜなら、製品やサービスに対する最高のメッセージを決定することは不可能だからだ。決定権は、顧客が持っている

顧客が少ない、初期の段階においては、メッセージの内容を決めるのは、非常に難しい。しかし、一度内容を決めたら、顧客が助けてくれる。調査を行えばよい

QualarooSurvey Monkey等のツールを使って、次のような問いを投げ掛けよう:

  • なぜこの製品に登録したのですか?
  • この製品がどんな問題を解決することを望んでいますか?
  • この製品を一言で表現してみて下さい。
  • この製品を一つの文で表現してみて下さい。

顧客を継続的に調査していくと、顧客による製品の表現において、共通点が見つかる。顧客が利用するワードとフレーズが分かったら、メッセージに統合しよう。

ただし、完璧なメッセージを作ることが出来るとは限らない。それでも、良いスタートを切ることは出来る。次のような質問を尋ねられなくなるまで、テストを行い、調整を続ける必要がある:

  • この製品はどんな機能を持っていますか?
  • 競合する製品との違いは何ですか?
  • この製品を利用する大きなメリットは何ですか?
  • 解決してもらえる最も大きな問題は何ですか?

当然だが、複数の段落の中で、このような疑問に答えていくことは可能だが、出来るだけ少ないワード数で疑問に答えられるように努力してもらいたい。

完璧なメッセージに仕上がったら、登録する人はうなぎ上りに増えていくはずだ

教訓 #7: 世界は米国を中心に回っているわけではない

米国で生活を送る起業家なら、通常は、米国の消費者/企業のために、会社を設立する。これでは、残念ながら、その他の国々の存在に気づかず、無視してしまうことになる。

新たな分野で、イノベーションをもたらす会社を設立しているなら、米国等、一つのマーケットに焦点を絞るアプローチでも構わない。しかし、Strideappのように、飽和した市場で事業を行うなら、一つのマーケットに焦点を絞る戦略は、とりわけ当該のマーケットへの進出に多大なコストがかかるなら、有効ではない。

実際に、中小規模の会社の市場をターゲットにする、その他のソフトウェア会社と話をしたところ、手始めに、国際的な市場に力を入れ、競争の激しい市場への進出を成功させたことが分かった。その理由を説明しよう。海外の市場には、まだサービスが行き届いていないだけでなく、当該の地域の企業は、ソフトウェアを購入する余裕があったためだ。

Get Response、そして、その他の国際的にサービスを展開するソフトウェア会社に話を聞いたところ、各国の通貨を受け入れることで、海外への接触範囲を広げられる点が明らかになった。

例えば、複数の通貨を受け入れると、海外のコンバージョン率は、30%増加する。そして、ウェブサイトを、ターゲットの国に言語に翻訳すると、コンバージョン率は、通常、50%増える。

会社を成長させたいなら、他の会社が力を入れるマーケットのみに焦点を絞るべきではない。飽和していないマーケット、つまり、米国のマーケットよりも、競争が緩いマーケットに狙いを定めると、大きな成功につながる可能性がある。当該のマーケットを制したら、競争の激しいマーケットにサービスを拡大すると良いだろう。

まとめ

皆さんの立場でモノを考えるのは、実に久しぶりである。つまり、近道やズルをして、Strideappを売り込むことは出来ない。なぜなら、セールス業界において、ほとんどコネを持っていないためだ。

いずれにせよ、この会社を成功させる自信はある。当然、Salesforceほど成長させることは不可能だが、資産価値が高い業界であるため、最低でも数十億円クラスの企業に成長させるのは、それほど難しくはないだろう。

会社を成長させたいなら、どんなことがあっても続けるべきだ。Strideappを買収した後、以前と比べて仕事量が増えたため、投げ出しそうになったが、気合いを入れ、また、工夫を加えた結果、成功すると確信することが再び出来るようになった。

最後に問いたい。スタートアップを売り込むユニークな方法を他に何かご存知だろうか?


この記事は、Quick Sproutに掲載された「7 Marketing Lessons Learned From Acquiring a Startup」を翻訳した内容です。

最初に出てきた検索数に囚われ過ぎないという話は検索マーケッターは注意したい点ですね。資産価値の比較はともかく、検索数以上にコンバージョン単価やそこから道びだされる利益の方が企業としては重要なわけです。その後も「まずは情報発信を始める」というアドバイスを始め、競合が多い市場で戦う方法やメッセージの重要性など、スタートアップ成功のヒントになる話題が多かったです。マーケッターがマーケティングの前工程を最適化する努力はするが、後半はおざなりになりがち、という指摘はまさに日本でもその通りかと思います。その点に関しては、近日開催予定のコンバージョン祭(満員御礼!)で共に学びましょう。 — SEO Japan [G+]

Twitpic、Twitterとの合意により(とりあえず)コンテンツは継続へ

いろいろな噂に困惑した人も多かったTwitpic問題だが、最後に多少なりとも明るいニュースで締めくくることとなった。Twitter側との合意により、既存の写真およびリンクは使い続けられることになったようだ。ドメインおよびデータはTwitterの管理下に移る。

もちろん、これはTwitpicが存続するという話ではない。さらにTwitpicに新しく写真などを投稿したりすることはできない。簡単にいえばリードオンリー・モードに移行するわけだ。App StoreおよびGoogle Playに登録されていたアプリケーションは、取り下げられることとなる。これまで利用していた人は、ログインしてコンテンツを削除したり、あるいはアカウント自体を取り消したりすることはできる。また、データをエクスポートすることもできる。

今回のTwitpic騒動が始まったのは9月のことだった。Twitpicのファウンダー兼CEOであったNoah Everettが、Twitterからの商標関連のクレームがきて、TwitterのAPIが利用不能となるためにサービスを停止するとアナウンスしたのだった。

「Twitpicは2008年から稼働しており、商標についても2009年にUSPTO(特許商標局)に対して申請を行なっています。そのような状況の中で受け取った停止要請には大いに驚いています」と述べていた。

しかしその直後、どうやらTwitpicは買収され、サービスも継続されることになりそうだとの噂が流れた。しかしこれも結局Everett自身が買収による存続を断念した旨をアナウンスして決着することとなった。

とても気が重いことですが、サービスの停止をアナウンスしなければならなくなりました。停止日は10月25日です。買収提案がいくつかあったのですが、いずれとも話をまとめることができませんでした。ほぼ話がまとまったように見えたときもありましたが(その旨をツイートしてしまいました)、しかし条件面で合意できなかったのです。

この話にはしかし続きがあり、本日もTwitpicのブログが更新された。内容は以下に掲載している。Everett自身がTwitterからTwitpicの管理を行うといわけではなく、Twitpicの運営からは完全に離れるということのようだ。

「ハッピーエンド」というわけではなかったろう。しかしいずれにせよTwitpicの戦いには、本日、幕が引かれた。

長い間Twitpicを使ってきて頂いて本当にありがとうございます。最後になって、いろいろとお騒がせしたことをお詫びいたします。ご覧の通り、ばたばたな幕引きということになりました。

結局、Twitpicのサービスを続ける道を見出すことはできませんでした。但し、Twitter側との合意により、TwitpicのドメインおよびデータをTwitterが継続管理することとなりました。すなわち投稿して頂いた写真などは、今後も生き残ることとなったわけです。データの継続性という利用者のメリットについて、Twitter側も認めてくれたわけです。多くの人に利用していただいていたサービスであっただけに、今回の合意はもちろんTwitter側にもメリットがあるものであると思っています。

混乱のないようにまとめておきます。

  • Twitpicに、新しく写真などを投稿することはできなくなります(リードオンリー状態になるわけです)。
  • iOSおよびAndroidアプリケーションは、アプリケーションストアから削除されます。また今後のサポートも行われません。
  • 利用者の方はログインしてデータやアカウントを削除することもできます。
  • データをエクスポートしてダウンロードすることもできます。

ともかく、Twitpicはこれで終了です。Twitpicをご利用いただいた方には、繰り返し感謝申し上げます。本当に、長らくのご愛顧、ありがとうございました。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


360度閲覧可能な3D写真を写す、3DAroundが間もなく登場

Eコマースサイトや、あるいは映画マトリックスなどでみた、ぐるぐると回転させて見ることのできる写真をスマートフォンで簡単に撮れたら楽しそうだと感じる人は多いだろう。そうした人に朗報だ。1ヶ月ほどの後、Dacudaより3DAroundカメラというアプリケーションが登場するらしいのだ。使い方は簡単で、スマートフォンないしタブレットで、撮影対象の周りを移動しながら撮影するだけで良い。アプリケーションにて、撮影した写真をまとめて3Dイメージを生成し、そして念願のぐるぐる回しができるようになる。

ちなみにDacudaについては、Kickstarterにて展開したPocketScanキャンペーンを覚えている人も多いかもしれない(TC日本語版の記事はこちら)。持ち運び可能で、かつ高機能であるスキャナを提供したいとするプロジェクトだった。今やDacudaは25人の従業員と5年の経験を誇る企業に成長している。そして360度展開可能な写真を撮影することで、どのアングルから写すべきかという悩みを消し去るプロダクトをリリースしようとしているのだ。これが普及すれば、(退屈な?)フード写真が魅力的になることもあるかもしれない。

「AppleがカメラAPIをオープンにしたことも、私たちにとっては追い風なのです」とDacudaのファウンダー兼CTOであるDr. Alexander Ilicは言っている。「私たちのプロダクトを実現するには、露出時間、フォーカスなどについて、ローレベルなところにアクセスする必要があります。まさにiOS 8にて可能となった機能をフルに使っているのです」とのことだ。


 

プロダクトを思いついたのは、フードブロガーの振る舞いを見ているときなのだそうだ。何枚を写真を撮って、そのうちのどれが良いかを悩んでいる姿に疑問を感じたらしい。そのときに「すべての角度から撮影してみれば良いのに」と考えたのだそうだ。アイデアを実現しようとすれば、3Dセンサーを搭載したカメラが必要であろうと考えた。しかし新しいiPhoneのスペックをみるにつけ、ソフトウェアでなんとかなるのではないかと考えたのだそうだ。そして実現してみたのが3DAroundであるというわけだ。

3DAroundはそもそもMIT卒業生たちを巻き込んで、ETH Zurichからのスピンオフとして始めたプロジェクトだった。Wellington Partners、Swiss銀行系Schwyzer KantonalbankおよびオーストリアのアントレプレナーであるHans-Peter Metzlerなどが出資している。

3DAroundは連写することにより360度ビューで利用できる画像を取捨選択するしくみとなっている。生成された写真はアプリケーション内から確認することもできるし、ChromeなどのWebGL対応のブラウザで見てみることもできる。出力した写真はFacebookやTwitter、あるいはPinterestなどでシェアすることもできる。

アプリケーションは、iPhone 5以上対応として来月リリース予定になっている。HTC EVOは3D写真用の2連カメラを搭載していたりもするが、3DAroundはハードウェア的な拡張をせずとも3Dを楽しめるようになっている。正式リリースとなった暁には、改めてレビューしたいと考えている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


TechCrunch Tokyo運営ボランティア募集中


TechCrunch Japanは11月18日、19日に東京・渋谷のヒカリエで開催する「TechCrunch Tokyo 2014」の運営を手伝ってくれるボランティアを募集する。ボランティアのみなさんには、イベント配布資料を封入してもらったり、来場者の誘導などをお願いする予定だ。運営業務が優先になるけれど、空き時間にはイベントに参加したり、来場者や関係者とコミュニケーションを取るチャンスがあるかもしれない。それと、ボランティアになっていただいた方には、TechCrunchのロゴ入りTシャツをご用意している。

TechCrunch Tokyoは、起業家や投資家といったスタートアップに直接関わる人たちだけでなく、大企業の新規事業担当者、新しいビジネスの種を探しているマーケター、テック系トレンドを追う広告代理店やエンジニアなどなど、幅広い層に参加いただけるイベントだ。そんな「スタートアップの祭典」をぜひ、TechCrunch Japan編集部の我々といっしょに作っていただければと思う。

我こそは、という方はボランティア受付サイトにアクセスして、氏名やメールアドレス、自己紹介、意気込みなどを書いて送ってほしい。定員は20名程度だけど、応募多数の場合は抽選となる。応募要項は下記の通りだ。

・募集人数:20名程度(応募多数の場合は抽選。当選者にはメールでご連絡いたします)
・対象:学生、スタートアップに関係する方、本イベントに興味のある方
・条件:11月18日(火)、19日(水)の2日間手伝える方。時間は8:00〜21:00を予定

ボランティア受付サイトはこちらから→

ボランティアというかたちじゃなくて、イベントをがっつり見たいという学生には、わずかではあるけれど学割チケットをご用意している。スタートアップに興味があったり、これから起業しようと思っているTechCrunch読者の学生に向けて、通常の前売りチケットの半額以下となる7560円でチケットを提供する。当日受付の際には学生証が必要となるので忘れないようにしてほしい。

TechCrunch Tokyo 2014学割チケットはこちらから→

photo by
vastateparksstaff


シリコンバレーや東京にできない「地方スタートアップ」の戦い方とは

編集部注:この原稿は藤原健真氏(プロフィール)による寄稿である。藤原氏は京都大学のベンチャー・ファンド(2号ファンド)の運営を行うみやこキャピタルのベンチャー・パートナーで、シリコンバレー発の起業家育成プログラム&スタートアップ・アクセラレーター「ファウンダー・インスティテュート関西」(FI関西)の運営者だ。FI関西の取り組みについては、過去にTechCrunchでも取り上げている。(関連記事:卒業率わずか25%、シリコンバレー発の「マジでガチ」な起業家育成プログラムがすごい

スタートアップにおける地方創生

「地方創生」というキーワードを新聞やテレビで最近よく目にするようになりましたが、スタートアップにおける地方創生と聞いて、みなさん何を想像するでしょうか?

人によっては、地方に移住して起業することを想像される方もいるでしょう。モノ作りや農業など、地方の強みを後押しする助成金のことを想像される方もいるでしょう。すでに地方でスタートアップされている方は、地元での雇用創出がそれにあたるかもしれません。

京都という地方都市で、ベンチャー・キャピタルの仕事に携わらせて頂いて1年余りが経過しました。そんな短い経験ながら自分が見てきた「地方でスタートアップする現実と可能性」について、今回は触れてみたいと思います。

まず始めに簡単な自己紹介から。

京都のお隣、滋賀の高校を卒業後、18歳で単身渡米。カリフォルニア州立大学でコンピューター科学を専攻し、卒業後は株式会社ソニー・コンピューターエンタテインメントに入社。エンジニアとしてゲーム機PlayStationの開発に3年ほど携わりました。

その後、アメリカ留学時代の仲間たちと一緒にITとハードウェアを扱うベンチャー企業を東京で数社創業。そこではいずれもCTOという肩書きでした。30代後半に差し掛かるタイミングで、生まれ育った関西に戻ることを決意。結婚を経て家族を持ち、京都に根をおろすことになりました。

そんな折、京都大学のベンチャーファンド(2号ファンド)の立ち上げの話を頂いたのが、今から2年前の2012年の夏。それ以来、自分がいま所属するベンチャー・キャピタルである、みやこキャピタルに籍を置かせて頂いています。

実は関西に戻った当初は、現在のような活動をやろうとは考えておらず、ましてやVCの仕事をするとは想像もしていませんでした。一方で、関西のスタートアップを取り巻く環境に対する理解が深まるにつれて、アメリカ西海岸や東京にあって、関西に足りないものが明確に見えてくるようになりました。

関西には尖った人材や優れた技術がたくさん存在しているにも関わらず、それらがベンチャー企業の創出や強みに十分に活かされていない。この現状をなんとか改善したいという想いが、今の自分のモチベーションになっています。

地方でしか出来ない戦い方を実践する

さて、今回のタイトルである「地方でスタートアップする現実と可能性」ですが、いわゆる「地方都市に第2のシリコンバレーを作ろう」といった類いの話ではありません。むしろ、その逆で「シリコンバレーや東京に出来ない戦い方を地方で実践しよう」といった内容に近いかもしれません。

色々な戦い方がある中で、自分がいま最も注目しているのが、大学で産まれた技術を使って事業を立ち上げる大学発シーズの活用です。同じような言葉に「大学発ベンチャー」というものがありますが、こちらは大学に所属している研究者や学生が会社を作るというイメージが強いため、あえて自分は「大学発シーズの活用」という言い方をするようにしています。

ご存知の通り、関西を含む地方には多くの大学や教育機関が存在していますが、日本では大学発シーズを使ったベンチャー企業の成功事例は、海外に比べてまだまだ少ないように思います。

海外ではスタンフォード大学の教授自らが出資して学生に起業させたGoogleなど、自分たちの生活の身近なところに、その成功事例の影響が及んできています。なぜ、日本ではこういった成功事例が少ないのでしょうか。

投資先に見る「大学発シーズ」の活用事例

現在弊社で投資・支援させて頂いているベンチャー企業に、京都大学のiPS細胞技術を使ったiHeart Japanという会社があります。みなさんもご存知のiPS細胞ですが、その中でも特に心臓疾患に対する次世代医療を実現しようとしているバイオ系ベンチャー企業です。

バイオ系ベンチャー企業はR&Dにかかる時間や費用が、通常のベンチャー企業のそれよりもかなり大きいことから、大学発シーズの活用事例としてよく挙げられます。同社もまさに京大発のシーズを活用することで、他のベンチャー企業にはない強みを得て事業化を試みています。

では、バイオの専門家でないと大学発シーズは活用できないのかと言えば、そうでもありません。同じく先日、東京大学のベンチャー・キャピタルであるUTECを含むVC3社で共同投資させて頂いたお金のデザインは、ITx金融という分野で大学発シーズを活用しようとしています。

FinanceとTechnologyをあわせてFinTech系ベンチャー企業などと呼んだりしますが、同社は京都大学教授で資産運用研究者の第一人者である加藤康之先生の協力を得て、これもまた他のベンチャー企業にはない強みを自社サービスに取り入れようとしています。

さらにもう1社、弊社で支援させて頂いているIT系ベンチャー企業のNOTAも京都大学の石田・松原研究室との共同研究や協業を行っています。同社はGyazoという静止画・動画の瞬間共有サービスを運営しており、現在世界中で800万人のユーザーを抱えています。Gyazoの開発メンバーの多くは現役京大生や京大卒業生で構成されていて、コアメンバーとして慶應義塾大学の増井俊之教授も参画されています。

上記の3社は、弊社の支援先ということで今回紹介させて頂きましたが、共通しているのは何かしらの形で大学発のシーズや大学の人材を活用して自社の強みにしている、ということです。と、ここまで言うと「優れた技術を大学で見つけて事業化すれば強みにつながるのか」と安易に結論づけされる方もいますが、それでは一昔前の技術・知財先行型大学発ベンチャーのムーブメントと何ら変わりありません。

お金を払ってくれる人がどれだけいるのか

大切なのは、その技術を使って産み出されるプロダクト・サービスに対して、お金を払ってくれる人がどれだけいるのか、という視点で大学発シーズを見るということだと思います。逆にお金を払ってくれる人がいなければ、どんなに優れた技術も事業としては継続できなくなり、結果、世の中にインパクトを与えることもできません。

スタートアップの世界ではProduct-Market Fit(顧客が抱える問題を正しく解決して、顧客から対価が得られている状態)の是非が非常に重要ですが、大学発シーズを利用したベンチャー企業においても、今後はこの考え方が日本でも当たり前になるのではないでしょうか。

では翻って、こういった顧客目線でのプロダクト・サービス開発を今まで散々実践してきたのは誰かと言えば、それはやはり起業家であって、スタートアップであるわけです。そして起業家とスタートアップは、アメリカ西海岸や東京だけでなく、当然地方にもたくさんいます。しかし、地方にいる起業家やスタートアップの中には、なぜかアメリカ西海岸や東京と「同じような戦い方」をされる方が意外に多いのも事実です。

これが今回のタイトルである「地方でスタートアップする現実と可能性」の『現実』の部分です。つまり、自分の住んでいる土地の強みを最大限活かせていないのではないか、という主張です。

地方のスタートアップは観光ビジネスと同じ

地方でスタートアップするということは、観光ビジネスを立ち上げることと似ていて、その土地でしか得られないリソースを使って差別化なり勝負するということだと考えています。

人口たった150万人の地方都市である京都に、なぜ年間5,000万人もの観光客が訪れるのかといえば、それは京都にしかないものがそこにあるから来るわけです。それと同じ考え方を地方のベンチャー企業にも当てはめれば、他社がマネできない『圧倒的な』強みを取り入れられるのではないでしょうか。

これまで1年に渡って多くの研究者の方々や、起業検討中の学生の方々とディスカッションさせて頂きましたが、おおむね彼らの課題は共通していたように思います。それは「事業化を支援してくれるベンチャー経験者が身近にいない」というものです。

一方で、地方のスタートアップの方々に話を聞くと「大きな事業につながりそうなネタがない」「ネットだけで実現できるサービスにはそろそろ限界を感じている」「ビジネスも人材も東京一極集中で地方は不利」といった声が多くあったように思います。

これが、後半の『可能性』につながる話になります。この可能性とは、地方におけるアカデミアとスタートアップの間のギャップのことを指しており、これを埋めることが地方にしかできない戦い方の1つになるのではないかと考えています。

これまで、地方のスタートアップはあくまで自前主義で、大学との共同研究などというものは大企業がやるもの、と考えていた節があったように思います。自分が話をさせて頂いた研究者の方々の中には、「自分は気象学の専門家だが、ビッグデータが得意なIT専門家がいれば事業化の可能性がさらに高まるのに」といった声もあり、なぜスタートアップはこういう所にもっと積極的に出て行かないのかと思うことが多々ありました。

あえて語弊を恐れずに言えば、ウェブブラウザやスマホの中だけで起こせるイノベーションは、もうほぼ限界に達していると自分は考えています。実際問題、現在リリースされているIT系サービスはどんどんニッチなってきており、コンシューマー向けサービスに至っては、もはや広告費をどれだけ投入できるかという勝負に集約されているところもあります。最近のIoTムーブメントは、そういった「ネットサービスの行き詰まり感」を反映しているところもあるのではないでしょうか。

アカデミアとスタートアップが一緒になる方法

ズバリ、次の3つだと考えています。

1、アカデミアでの起業家教育
2、起業を志す人が集まる場所
3、成功事例

1番目の起業家教育については、例えば京都大学ではGlobal Technology Entrepreneurship Program(GTEP)という名前で今年の秋から本格的な起業家教育プログラムを開始しています。いわゆるMBAのような座学ではなく、プロトタイプ(試作品)を作り、実際の市場で仮説検証と顧客開発を行い、最後のデモデーで成果を披露するというGTEPのやり方は、民間のスタートアップ・アクセラレーターのそれに近いものがあります。

GTEPは、文部科学省のEDGEプログラムの一環で、京都大学の他にも大阪大学、立命館大学、奈良先端科学技術大学院大学、滋賀医科大学、大阪府立大学などの地方大学でも同様のプログラムが開催されることになっています。

2番目の人が集まる場所は、関西で言えば2013年4月に開業したグランフロント大阪と同時に開設された大阪イノベーションハブ(通称OIH)が間違いなくそれにあたるかと思います。OIHでは、ほぼ毎日ハッカソンや起業に関するイベントが開催されています。福岡で言えば、最近オープンしたスタートアップカフェが、その機能を担うものと期待されています。

ということで、1番目と2番目はどの地方でも意識の高い人がトップダウンでやれば実現できる類いのものですが、3番目の成功事例だけは、これは関係者全員でゼロから作り出すしかありません。自分が拠点にしている関西は、すでに1番目と2番目はクリアしているため、いよいよ3番目の成功事例をこれから作り出すフェーズに入りつつあります。

大学発のシーズや大学の人材を活用して、世の中に大きなインパクトを与えるベンチャー企業が1社創出されれば、冒頭で述べた日本での成功事例の少なさはおのずと解消されてくると考えています。そして、そう遠くない時期にそれが達成されると感じています。

いかがでしたでしょうか。もちろん大学発シーズを活用することだけが、地方での唯一の戦い方ではありませんが、その土地にしかないリソースを使って差別化を行うという意味では、参考になったのではないかと思います。

日本の活力は地方から。ぜひ実現していきましょう。


ディープリンクでスマホのウェブとアプリをスムーズにつなげるCircuit

「ディープリンク」という言葉を聞いたことはあるだろうか?本来の意味は、ウェブサイトのトップページ以外のリンクのことを指す。例えばとあるサイトやソーシャルメディアからTechCrunchのトップページではなくこの記事のページへのリンクはディープリンクと言える。

今では単にウェブサイトのリンクだけでなく、スマートフォンアプリの特定ページに遷移するリンクも指す言葉になっている。例えばFacebookのアプリ上でPinterestへ投稿された写真をクリックした際、Pinterestのアプリをインストールしているユーザーであれば、Pinterestのアプリが起動し、トップページではなく当該の写真が表示される。この当該写真へのリンクもディープリンクというわけだ。

そんなディープリンクがスマートフォンの世界で重要になっていく――ディープリンクソリューション「Circuit」ベータ版の提供を開始したふくろうラボの清水翔氏は語る。

僕らは普段あまり意識せずに利用しているのかも知れないのだけれど、実はプラットフォーマーは2013年以降、ウェブからアプリへの新しい動線を作るべくディープリンクへの対応を進めている。

Twitterでは2013年4月に「Twitter カード」を公開している。これは、ツイートに画像やアプリのリンクを埋め込むことができる機能だ。これを利用すれば、あるアプリをインストールしている環境であればアプリが起動して当該ページを表示し、アプリをインストールしていなければApp Storeが起動してそのアプリのダウンロードページを表示できる。冒頭にあったFacebookの例も、同社が2014年4月に公開した「App Links」という仕組みを利用している。またGoogleも、スマートフォン向けの検索結果画面にAndroidアプリのディープリンクをつけ、検索結果画面から対応アプリの当該ページに直接アクセスできるボタンを付けられるようにしている(ただし、日本ではヤフオク!やクックパッド、Hotpepper、pixiv、WEARなど対応サービスが限られている)。

ただし、このディープリンク対応、OSやブラウザ、リファラーごとに挙動が違うため、うまく動作をさせるには、OSやブラウザごとでコードを分け、さらにそれらのバージョンアップのたびに検証が必要になったりと、実装と運用には非常に手間がかかるのだそうだ。だがCircuitを利用すれば、ディープリンクのルールを設定したあと、ウェブサイトにJavaScriptを記述するだけで主要なOSやブラウザでのディープリンク対応を実現できるという。ベータ版の利用は無料。2015年2月をめどに正式リリースを検討している。同種のサービスとして、海外では「URX」「Deeplink.me」「Branch Metrics」などがある。

ではCircuitの導入で具体的にどんなことができるのか?清水氏は(1)端末内のアプリの有無を判別しての遷移先の振り分け、(2)前述のTwitter カード、App Linksへの対応、(3)ウェブサイト訪問者に対して、当該アプリの未ダウンロード時のみアプリのダウンロードを訴求、(4)広告や友人招待経由でのアプリ起動時に、指定のページに遷移する――といったことが可能になると説明する。ただし、App Linksは遷移元と遷移先の行き来ができる機能を有するが、Circuitを利用した場合はアプリ間での「戻る」機能は用意されていない。

僕はFacebookアプリを利用している際、友人がシェアしたコンテンツをクリックして、Web ビューが立ち上がり、アクセスの都度そのサイトへのログインを求められてうんざり……という経験が多々あるのだけれど(まさに下の図のとおりだ)、これがログインした状態で直接アプリで閲覧できるようになる(アプリを立ち上げるかどうかを確認するダイアログは表示される)のであれば非常にありがたい話だ。清水氏によると、すでにユーザベースのNewsPicksなどがCircuitを導入しているそうだ。

ふくろうラボでは「ディープリンク」を解説し、啓蒙するためにオウンドメディアも立ち上げているが、まだ理解はこれからといった状況だそうで、「いまはまだ、サービス説明の前にスマホ時代のディープリンクとは何かを担当者と会って説明し、理解してもらった上で導入を提案している状況」(清水氏)だという。同社は4月にインキュベイトファンドとEast Venturesから数千万円の資金を調達しており、現状はクライアントを拡大しつつ、サービス開発を続けている。将来的にはCircuitの利用料に加えて、広告事業者との連携を進めることで、マネタイズの道を模索していく。


そしてTechCrunch Disruptヨーロッパ2014の勝者は・・・・・「Crate」

ロンドンで初めて開催されたTechCrunch Disrupt での争いは熾烈を極めた。まず優れた企業15社が、複数グループの業界リーダーたちからなる審査員を前に発表を行った。スタートアップたちは賞金3万ポンドおよび、誰もがうらやむDisruptカップを目指して戦った。

数時間に及んだ検討の結果、TechCrunch編集者らは審査員のメモを覗き込み、4組のファイナリストへとリストを絞り込んだ。Crate.IODisease Diagnostic GroupOscadiのOscult、 そしてMicroBlinkのPhotoMathだ。この4チームは、大会のフィナーレを飾って、以下に挙げるファイナル審査パネルの前でデモを行った:Mat Braddy (Just Eat)、Sonali De Rycker (Accel Partners)、Brent Hoberman (PROfounders Capital)、Klaus Hommels (Lakestar)、およびMattias Ljungman (Atomico)。
そして、TechCrunch Disrupt Europe 2014バトルフィールドの勝者たちをここに紹介しよう。

最優秀賞:Crate.IO

Crate.IOは、ビッグデータ・バックエンドサービスを設定するサービスだ。使いやすいインターフェースで、分散データベースクラスターをすばやく構築できる。自分のサービスが動き始めた後は、通常のSQLクエリを使ってデータベースをアクセスできる。

プロジェクトはオープンソースだが、エンジニアの優先的相談受付やクラスター管理の支援などの付加サービスを有料にする考えだ。料金プランは月額1300ドル(1000ポンド)から。

本誌によるCrateの詳しい解説記事はこちら

次点:Disease Diagnostic Group

Disease Diagnostic Groupは、Rapid Assessment of Malaria (RAM)[高速マラリア評価]デバ イスを開発している。これは安価で効率が良く、ポータブルで正確なマラリア診断装置であり、途上国や遠隔地の人々に最適だ。

Disease Diagnostic Groupに関する本誌の詳しい記事はこちら

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


お部屋”探され”サイト運営のietty、YJキャピタルとインキュベイトファンドから約2億円の資金調達

不動産ポータルサイト「ietty」を運営するiettyが、YJキャピタルとインキュベイトキャンプから総額約2億円の資金調達を実施した。また今回の調達にあわせて、YJキャピタル代表取締役の小澤隆生氏とインキュベイトファンド代表パートナーの和田圭祐氏が社外取締役に就任している。同社はインキュベイトファンドのインキュベーションプログラムでの最優秀賞獲得を契機にサービスをスタートした。2013年10月にはアイ・マーキュリーキャピタルから約5000万円の資金調達を行っている。

iettyは“お部屋探されサイト”をうたう不動産ポータルサイトだ。賃貸物件を探すユーザーがFacebookアカウントでログインし、引っ越しの希望条件を入力すると、その条件に合わせてiettyのパートナーである不動産業者がユーザーに物件を提案してくれるというもの。ユーザーはサイト上のチャットでやりとりしながら物件を探して、内覧の予約や業者への来店の調整ができる。

これまでの不動産ポータルサイトではユーザーが自ら物件を探す必要があったが、iettyでは不動産業者が提案をしてくれる。まさに「お部屋探し」でなく「お部屋探され」なのだ。またietty代表取締役社長の小川泰平氏いわく、業者が自ら物件を紹介してくれるということで、釣り物件——すなわち好条件なためにユーザーの集客に使われるが、実際には存在しない、もしくは契約が埋まっているような物件——が存在しない。今すぐ内覧できる物件だけを紹介してもらえるというメリットがある。現在会員登録は月次1000人ペースで増加。1人が4〜5人ほどの業者から物件の紹介を受けており、20〜30%が実際に来店するという。

また最近では、5月にリリースした法人向けサービス「ietty Biz」が好調だそうだ。このietty Bizは、法人の福利厚生サービスとして提供しているもので、サービスを導入する法人の従業員であれば、ietty経由で部屋を契約した際に仲介手数料の半額保証(0.5ヶ月分以下)をしてくれるというもの。

法人には費用が一切発生しないことに加えて、iettyがサービスを展開する東京都内には、「オフィスから2駅以内に住む場合に家賃を補助する」といったルールを持つ、比較的若いIT企業が多いことから非常にウケがいいそうだ。福利厚生サービスの一環として法人に提案するため、導入時には総務担当者などを通じて一度に数百人〜数千人の従業員に情報が共有されることもあってか成約率も高い。現在このサービスは約40社が導入している。手数料半額保証ということで1件あたりの売上は落ちるが、広告出稿などもせずに良質な見込み客が獲得できているということか。

こういった状況もあって、iettyでは2015年はじめにも黒字化が見えている。「レバレッジの効く事業でもないので泥臭いことをやってきたが、既存事業についてはこのまま突っ走っていけばいい様な状況が見えてきた」(小川氏)。そして更なる飛躍に向けて、今回の資金調達をふまえて新機能の開発を進めるという。その詳細については取材では明らかにされなかったが、2015年初にもサイトリニューアルし、新機能もお披露目される予定だ。加えて、政令指定都市を中心に、サービスエリアを拡大するとしている。

なおiettyは2013年11月に開催した「TechCrunch Tokyo 2013」内で行われたスタートアップ向けのプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」にも登壇してくれた。TechCrunch Tokyoは2014年も開催予定なので、同社のような元気なスタートアップとの出会いに興味がある方は是非とも遊びに来て欲しい。


週2日からのエンジニア副業支援、Prosheetがオンライン面談で即稼働可能に

フリーランスのITエンジニアの副業を支援する「Prosheet(プロシート)」が16日、オンラインマッチングを開始した。これまではエージェントを介して人力でマッチングしてしたため、エンジニアが案件にエントリーしてから企業と成約に至るまでに平均3週間以上がかかっていたが、今後は案件登録から最短1週間で稼働できるようになるのだという。

プロシートは今年2月にベータ版サービスを開始。6月に取材した時点での登録エンジニア数は約300人だったが、現在はフリーランスや、自社サービスをやりつつ「ラーメン代稼ぎ」をしたい起業家など約2000人が登録。わずか4カ月で6倍以上に増えている。

エンジニアはサイト上で、JavaScriptやPHP、Java、Ruby、Perlといった自分が扱える「言語」、LinuxやMySQLといった「スキル」、「希望報酬」を登録。希望に沿った案件がある場合は通知され、エントリーできる。最終的には、企業との面談で業務委託契約を交わすことになる。

今回追加したオンラインマッチング機能で可能になるのは次の通りだ。

・エンジニアの事前面談
・企業側の案件登録
・人材リコメンド
・面談調整

これらは今まで、プロシート専属のエージェントが調整していたわけだが、それには理由があった。エンジニアのスキルと実績に応じた案件を人力で探すことで、仕事のミスマッチを防いだり、エンジニアにとって面倒なお金や勤務時間に関する交渉を肩代わりしていたのだ。

こうした利点が、オンラインマッチングで損なわれることはないのか? プロシートを運営するシェアゼロ代表取締役の中川亮はこう答える。「企業との交渉はシェアゼロがサポートします。また、随時クライアント各社の採用ポイントをシステムに落としていき、マッチングアルゴリズムでミスマッチを軽減します」。

今回のオンラインマッチング導入に伴いプロシートは、クライアント企業から毎月受け取る手数料をオープン化した。例えば、週1〜2日稼働するエンジニアをマッチングした場合は6万円、週3〜4日の場合は8万円、週5日の場合は10万円となる。プロシートは企業から徴収する手数料が主な収益となる。


動画マーケ=テレビCMは古い、ウェブで成長の映像制作「LOCUS」が1.8億円調達

去年も聞いたかもしれないが、2014年は「動画元年」と言われる。調査会社のシード・プランニングによれば、2013年の国内ネット動画広告市場は、前年比329%の132億円に成長しているのだとか。いつが動画元年かはさておき、日本では広告以外にもサービスやアプリの紹介、求人、展示会などで動画の採用が進んでいるは確かだ。こうした動画マーケティングの波を受けてか、映像制作を手がけるLOCUS(ローカス)が15日、ニッセイ・キャピタルとみずほキャピタルから1億8000万円の資金調達を実施した。

クラウドソーシング×受託制作で競合優位

LOCUSの特徴は、審査を通過したフリーランス映像クリエイター400人超に制作を依頼できる「クラウドソーシング機能」と、従来型の「受託制作機能」のいいとこ取りをしていることだ。

実写やCG、アニメーションなど幅広い表現が可能なクリエイター、クライアントとの直接取引による中間マージンの排除、社員によるクライアントのヒアリングやクリエイターの品質管理――こうした強みで、競合となる制作会社や広告代理店、クラウドソーシングに優位点を出そうとしている。

8月には、ランサーズがパートナー企業向けに自社会員のデータベースを公開する「Lancers Open Platform」を発表するのに伴い業務提携。ランサーズに寄せられる動画制作依頼に対して、LOCUSが企画や要件定義、クリエイターのアサイン、ディレクションを行う取り組みも開始している。

制作の流れはまず、営業担当が映像を作る目的をヒアリングし、ぼやっとした要望を具現化して映像の企画概要を提案する。企画概要と見積りにOKが出たら、実際にLOCUSの営業とディレクター、フリーランスのクリエイター、クライアントがミーティングを実施。映像のシナリオ、スケジュール、役割分担、キャスティングなどをすり合わせた上で、撮影と編集に入る。

映像の初稿はクライアントと一緒に確認しながら修正し、その後はメールか電話でやりとりをして完成となる。映像修正のやりとりもオンラインでできれば便利そうだが、この点については今回調達した資金でシステムを強化する。具体的には、クライアントとクリエイターが同じ画面で動画を共有し、修正点をテキストで動画にかぶせることができる。当事者限定のニコニコ動画のようなイメージだという。

「動画マーケティング=テレビCM」の固定概念は崩れ始めている

サービスプランは映像編集やナレーションなどの限られた工程のみを請け負うパッケージ(19万円〜)とオーダーメイドがあり、2013年の制作実績は1000件以上。受注件数の6割以上を占めるオーダーメイドの料金は2万円〜1000万円とピンキリだが、発注件数ベースでは50万円〜60万円がボリュームゾーンだ。

これまでに、日本生命やすかいらーく、LINEといった大手企業から中小ベンチャーまで600社以上と直接取引。売上は2013年度が2億1000万円、今期はその倍近くの約4億円を見込んでいる。LOCUS代表取締役の瀧良太によれば、最近では初めてウェブ動画を作る大手企業からの引き合いが多いのだという。

「例えば、消費財メーカーが新商品を出すときに、反響が読めないテレビCMの予算枠を抑えるのはなかなか難しい。だったら、ウェブ広告の反応を見てからテレビCMを流すか決めよう、というメーカーが増えてきました。テレビ以外に動画を流せる面(ウェブ)が整ったことで、『動画マーケティング=テレビCM=高価』といった固定概念は崩れつつあります。」

入社1年目に社内ベンチャーで映像事業→黒字化→事業撤退→MBOで会社設立

2010年4月に設立したLOCUSは、映像制作に特化したクラウドソーシング「Viibar」の競合と言える。LOCUSもスタートアップのように見えるが、その歴史は少し長い。

瀧は人材派遣のビー・スタイルに新卒入社した2006年、社内ベンチャーとして映像制作の受託事業を発足。自社の顧客から採用に使う動画の受注が相次ぎ、その後は企業紹介や研修用の動画に横展開して黒字化を達成した。しかし、リーマンショックの煽りで新規事業を撤退することが決定。そこで瀧が自らMBOを行い、LOCUSを設立するに至った。

今回調達した資金では、先述したクライアントとクリエイター間で動画データの授受を行うシステムの強化に加えて、営業人材を増員。さらには、
動画コマースや動画クリエイター育成などの新規事業開発も進め、2019年までにIPOを目指すそうだ。


Betaworksが運営するシンプルな天気予報サービスのPonchoが対応エリアを拡大中

1日の始まりにあたって、天気を確認することから始めるという人は多いと思う。天気予報アプリケーションを見る人もいれば、weatehr.comをチェックする人もいることだろう。あるいは湿らせた指を窓から出してみて状況を確認するという人もいるかもしれない。ただ、サービス対象地域の人の間では、Ponchoがなかなかの人気を集めつつあるように思うがどうだろうか。

PonchoはBetaworksの運営する天気情報サービスで、天気予報をメールないしスマートフォンに送ってくれる。一般的な天気予報だけでなく、利用者が外にいる可能性の高い時間についても細かく情報を教えてくれる。ニューヨーク地域を対象に1年前からサービスを提供しているが、ついにシカゴなどでも利用できるようになった。

Ponchoはシンプルさゆえの使いやすさを体現しているサービスだと考えている。

サインアップの際に、Poncho側からいくつか簡単な質問が表示されるようになっている。仕事に出かける時間が何時頃であるかとか、昼休みの時間、あるいは帰宅時間、さらには犬の散歩をするかどうかなどといったものだ。そうした日常行動関連の質問に加え、メッセージをテキストメッセージで受け取るか、それともメールで受け取るか、また更新情報を何時に受け取るのかという設定を行う。

そうした質問に答えて初期登録が完了すると、日々、更新情報が送られてくるようになる(たとえば朝の7時に受け取って、出勤に備えるという具合だ。あるいは前の日の夜に受け取って余裕を持って準備をするという使い方もあるだろう)。各種天気情報に加え、外出している予定になっている時間の気温情報なども伝えてくれるようになっている。

天気の予測に加えられたメッセージもなかなか面白い。はやりの天気予報サービスのように、リアルタイムでの雲の動きを把握することはできない。しかし雨を気にしなくてはならない時間に、いったい雨が降るかどうかの予報を知ることができるわけだ。

収益面についてはPonchoの方針というものもよくわからない。いかにしてマネタイズを行うのかという点につき、サービス側からの公式あアナウンスはない。ただ、ドラッグストアでの割引券配布などを試みているようだ。今後は雨の日の食品デリバリーサービスなどとタイアップするようなこともあるかもしれない。

Ponchoのサービスについて詳細は、こちらのサイトをご覧頂きたい。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


10代がハマるサービスってどんなもの–TechCrunch Tokyoでツイキャス、uuum、アオイゼミに聞く


先日、グラフティ社の高校生向け雑誌「HR」を見せてもらう機会があったのだけれど、その読者アンケートに「よく使うLINEのスタンプは?」「よく読む芸能人ブログは?」「Instagramでよく見かける芸能人は?」といった質問が並んでいた。当たり前と言えば当たり前なのだが、LINEの「5億ユーザー」という数字が物語るように、LINEやInstagramといったサービスは幅広いユーザーに受け入れられているわけだ。

僕らテック系のオンラインメディアでは最新のサービスやビジネス動向について伝えている。でも、ユーザー個々の利用実態については、まだまだ伝え足りないところがあるのではないかな、とも思っている。もちろん「ユーザー数○○○○万人突破」という話を紹介することは大事だ。でも、その1人1人がどんな風にサービスを使っているかにだって目を向けないといけない。Instagramが世界で2億ユーザーを抱えていると聞いても、ではどんな芸能人がどんな写真をアップロードしていて10代にウケているかなんてあまり意識することが無かった。TechCrunchの読者は20〜40代のIT系の方々が中心。多くの読者もそんな10代の実態を知らないのではないだろうか。

そこで、11月18〜19日に開催するTechCrunch Tokyoのセッションには、10代のユーザーを多く抱えるスタートアップ——モイ、uuum、葵の3社に登壇頂き、サービスの利用動向を聞いてみたいと思う。

モイはスマートフォンを使ったライブストリーミングサービス「ツイキャス」を手がけている。9月時点でのユーザー数は750万人、これまでの総配信回数は1億回にも上る。ユーザーの55%が24歳以下と、10代後半から20代前半にも人気のサービスだ。

ちょっと驚く数字だったのだけれども、Twitterのフォロワーが10万人以上いる配信者が世界に1000人以上もいるそうで、ここから歌手やタレントデビューした人もいるという。モイ代表取締役の赤松洋介氏には当日、若者が集うストリーミングサービスの実態を教えてもらいたいと思う。

uuumはYouTuberに特化したタレントプロダクションを運営している。同社には、HIKAKINをはじめとした国内の人気YouTuber約30人が所属している。

実は米国で10代に対して行われた「影響力のある人物」に関する調査では、上位20人のうち半数(かつトップ5は全員)はYouTuberが占めるていたそうだ。まだ米国と比較すると、日本には影響力のあるYouTuberは少ないかも知れないが、すでに広告代理店などでは専門のチームも設けられているという。uuum代表取締役社長の鎌田和樹氏には、日本のYouTuberの現状などについて聞いてみたい。

葵が手がけるのは中高生向けオンライン学習塾「アオイゼミ」。都内にあるスタジオで毎週月〜木曜日にライブ授業を配信している。会員登録をすればPCやスマホアプリから無料で受講できるサービスで、現在3000人以上のユーザーがリアルタイムに授業を視聴している。

質問やスタンプの投稿も可能で、リアルタイムかつ活発な意見交換が行われているアオイゼミだが、葵代表取締役の石井貴基氏には、10代のユーザーが学習を継続するためのモチベーション設計などを聞いてみたいと思う。興味があるユーザーは是非ともチケットを購入頂き、イベントに遊びに来て欲しい。

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photo by Joris_Louwes