FacebookやTwitterの設定を調整するプライバシーアシスタントのJumbo

Jumboはハイテクの巨人たちにとっては悪夢かもしれないが、彼らの怪しげなプライバシー取扱手段の犠牲者たちにとっては救世主となるかもしれない。

Jumboは、30に及ぶFacebookのプライバシー設定を調整して、より強固なプライバシー保護を与えたり、古いツィートを携帯電話に保存したあと削除することなどによって、ユーザーの時間や気まずい気持ちを救ってくれるアプリだ。Google検索やAmazon Alexaの履歴を消去することも可能であり、またInstagramやTinderのクリーンアップ機能も準備中だ。

スタートアップは米国時間4月9日、沈黙を破ってJumboプライバシーアシスタントアプリをiPhone向けにリリースした(Android用も程なくリリースされる予定)。手動で行うためには膨大な時間と調査を必要としかねない作業が、Jumboを使うことでわずか数ステップで適切に完了する。

ここで浮かぶ疑問は、ハイテクの最大手企業たちがJumboの運営を許すのか、あるいはそのアクセスを潰すのかということだ。実際Facebook、Twitter、その他の企業は、Jumboのような機能を構築するか、それら自身のアプリを使いやすくする必要があった筈なのだ。なぜならそうすることで、ユーザーたちの自信と理解が高まり、アプリの利用頻度も上がる筈だからだ。しかし一方、彼らのビジネスモデルは、できるだけ多くの利用者のデータを収集して活用し、より広く表示されるコンテンツから利用者のエンゲージメントを絞り出すことに頼っていることが多いため、巨人たちにはJumboをブロックするための言い訳を探したくなる動機がある。
「プライバシーは人びとが望んでいるものですが、また同時に、それに対処するには時間がかかりすぎるものなのです」と説明するのはJumboの創業者ピエール・バラード氏である。バラード氏はかつて、人気カレンダーアプリSunriseを開発し、2015年にMicrosoftに対して売却した経験を持つ。「ということで、ユーザーには2つの選択肢が残ることになります。Facebookを離れるか、もしくは何もしないかです」。

Jumboはたとえ怠惰な人であっても、簡単に自分自身を保護することができる。「私はJumboを使って、自分のTwitter全体をきれいにしました。いまの個人的な気持ちは…より軽やかです。FacebookではJumboが私のプライバシー設定を変えてくれたので、より安全に感じるようになりました」。ケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルに触発されて、彼はプラットフォームたちは、私たちの大量のデータを今までのように管理する権利は失ったと信じているのだ。

バラード氏のSunriseの実績と、Dropboxのボトムアップ式フリーミアム戦略(プレミアムサブスクリプションとエンタープライズ機能の追加)が、既に投資家たちをJumboに引きつけている。同社はThrive Capitalのジョッシュ・ミラー氏とNextview Venturesのロブ・ゴー氏が率いるシードラウンドで350万ドルを調達した。「お二人ともプライバシーが基本的人権であることを信じていらっしゃいます」とバラード氏は語る。ミラー氏は彼のリンク共有アプリBranchを2014年にFacebookへ売却した。つまり彼の投資は、内部の知識がある人にはJumboの必要性が見えていることを示している。ニューヨークにいるバラード氏の6人のチームは、調達した資金を使って、新機能を開発し、プライバシーを呼び覚まそうとしているのである。

Jumboの仕組み

まずJumboによるFacebook設定の修正を見てみよう。このアプリは、従来の「Facebook Connect」機能を使用するのではなく、Facebookにアクセスするミニブラウザーをオープンし、ユーザー名とパスワードの入力を求める。それはすぐにJumboをブロックするので、私たちはFacebookに対してそのアクセスが許されるべきものであることを教える。そうすることで、Jumboはプライバシー制御設定を、弱、中、または強に設定することができるようになる。とはいえ既に手動で厳しく設定しているプライバシー設定に関しては、それを緩めることはしない。

バラード氏の説明によれば、Facebookには設定を変更するためのAPIがないため、Jumboは「FacebookのWebサイト上で『ユーザー』として振る舞って、スクリプトとしてボタンをタップし、Jumboに依頼した変更をFacebookに対して加える」のである。彼は、Facebookがこの操作のためのAPIを作ることを望んでいると言っているが、彼のスクリプトがポリシー違反とみなされる可能性は高いだろう。

たとえばJumboは、電話番号を利用してユーザーを検索できる人を、強なら友達のみ、中なら友達の友達に変えるが、弱の場合はJumboは設定を変えない。時にはそれはより強い姿勢もとる。広告主がアップロードした連絡先情報に基づいて広告を表示する機能では、強と中の両方の設定ではこのタイプのすべての広告が非表示になる。一方弱では設定は変わらない。

Jumboが調整することができるリストに含まれる項目は、例えば、ユーザーの将来の投稿を見ることができる人、ユーザーのフォローしているページとリスト、ユーザーの友達リストを見ることができる人、ユーザーの性的嗜好を見ることができる人、写真やビデオの中で自分をFacebookに認識して欲しいか否か、ユーザーのタイムラインに投稿できる人、ユーザーの投稿に追加されようとしているタグをレビューできるようにするか否かなどである。完全なリストはここで見ることができる。

Twitterの場合は、これまでのツイートをすべて削除するのか、それとも1日、1週間、1カ月(推奨)、または3か月以上経過しているものを削除するのかを選択することができる。すべての処理が携帯電話上でローカルに処理されるので、Jumboがデータを見ることは決してない。ツイートを削除する前に、アプリがそれらのツイートをアプリのMemoriesタブの中にアーカイブする。残念ながら、現在そこからツイートをエクスポートする方法はないが、Jumboは間もなくDropboxとiCloudの接続を提供するので、ツイートを遡ってダウンロードすることが可能になるだろう。TwitterのAPIの制限により、ユーザーのツイートのうち数日ごとに3200ツイートだけしか削除できないため、大量にツイートを行っている場合には何回か繰り返し操作を行う必要があるだろう。

その他の統合はもっと簡単なものだ。Googleでは、あなたの検索履歴を削除する。Alexaの場合は、Amazonが保存した音声録音を削除する。現在開発が進んでいるのでは、古いInstagramの写真やビデオ、そして古いTinderマッチやチャットスレッドを一掃する機能である。

全体として、Jumboはユーザーのデータを一切見ることがないように設計されている。「ユーザーのデータをクラウド内で処理するサーバーサイドコンポーネントはありません」とバラード氏は言う。その代わりに、すべてがユーザーの電話機内でローカルに処理される。つまり、理論的には、データをJumboに預ける必要はなく、単にそこにあるものを正しく変更するだけなのだ。スタートアップは、ソースコードの一部をオープンソース化して、それがスパイではないことを証明する予定である。

ツイートを削除できるアプリは他にもあるが、本格的なプライバシーアシスタントになるように設計されたものは他にない。だがおそらく、ハイテク巨人たちが、Jumboが意図したとおりに実行できるままにしておくと考えるのは、少々理想主義に過ぎるだろう。バラード氏は、もしハイテク大手がJumboをブロックしたら、プライバシー擁護側からの盛大な反発が巻き起こるくらい、十分なユーザーからの支持が得られることを望んでいると語る。「もしソーシャルネットワークが私たちをブロックした場合、それらが再び機能できるようにするための解決策が見つかるまで、そのソーシャルネットのJumbo内への統合を無効にします」。

しかし、たとえそれがプラットフォームに禁止されたとしても、Jumboはプライバシーがオフラインでどのように扱われるべきかに関する、重要な議論を巻き起こすことになるだろう。私たちがあまり保護されていない状況の下でお金を稼いできた企業たちに、私たちはプライバシのデフォルト設定をお任せにしてきた。そのコントロールをユーザー自身の手に渡すべき時がやってきたのだ。

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(翻訳:sako)

米住宅省が住宅広告におけるFacebookの広告ターゲティングを差別として告訴

米国の住宅都市開発省は米国時間3月28日、Facebookを住宅に関する差別で告訴した。訴状によると、Facebookは同社の広告ターゲティングツールで公正住宅法(Fair Housing Act)に違反した。そのツールは、売り手が掲載物件を人種や性、出身国などによって制限することを許しているという。

この告発は、昨年8月に行われた調査の結果に基づいている。調査は公式の苦情に対応して行われ、その苦情は住宅販売者や家主が人間のさまざまなカテゴリーで広告をターゲティングできる(従って差別もできる)と非難している。

Ben Carson住宅都市開発省長官は声明で次のように述べている。「Facebookは人間の特性や住所に基づいて人びとを差別している。コンピューターを用いて個人の住宅の選択を制限することは、人に門前払いを食らわすような差別でありうる」。

一方Facebookは、本誌に宛てた声明で「その決定は意外だ」と言っている。続けてFacebookのスポークスパーソンは「住宅都市開発省の訴状に詳説されている差別に対応するための『有意義な措置』を講じた」と言っている。

その説明はこうだ。「昨年弊社は、誤用されるおそれのある何千ものターゲティングオプションを排除し、そして先週は、全米公正住宅連盟やACLUなどの団体との歴史に残るような協定により、住宅やクレジットや求人などの広告をFacebookに掲載するやり方を変えることになった。弊社は真剣に解決方法を見つけようとしているが、住宅都市開発省は、ユーザーデータのような機密情報への、安全対策を欠いたアクセスに固執している。弊社は今日の展開(告訴されたこと)に幻滅しているが、今後もこれらの問題に関して人権問題の専門家たちとの協働を続けていきたい」。

先週、FacebookはACLU, Outten & Golden LLP、および全米通信労働者組合との合意により、法的問題を回避した。その交渉は、1964年の人権法第8条の遵守に関わるもので、Facebookは住宅と求人の広告から性と年齢と人種に基づくターゲティングを取り去り、(住宅と求人の)案件リストのためのワンストップポータルを新たに作ることになった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Flickrへのログインが10年ぶりにYahooから解放された

嬉しい!感動!やっと自由になれるわ!Flickrのログインシステムが、ついにYahooと縁を切った。この写真共有プラットホームは米国時間3月4日、今後数週間かけて全会員に、YahooのIDが要らない新しい認証システムを提供する、と発表した。この‘制度’はYahooがFlickrを買収した2年後の2007年に導入され、ログインに際して誰もがYahooの認証情報の入力を要求されるので、長年のFlickrユーザーに今でも嫌われている。その後Flickrは2018年4月にSmugMugに買収され、同社のブログに載った記事によると「コミュニティの最大の要望がやっと実現した」。

今のFlickrには、Instagramがまだなかったころのような輝きはないかもしれないが、私も含めまだ多くのユーザーが長年写真をアップロードしているし、スマートフォン全盛期以前に撮った写真のアーカイブとして利用している。でも、Yahooのログインシステムは必要以上に面倒で、とくにYahoo Mailなど、Yahooのほかのサービスのユーザーでなくて、パスワードをしょっちゅう忘れるユーザーには苦痛だった。Yahooはその後2回も、膨大な量のデータ侵害にやられたため、Flickrは使うがYahoo本体はまったく使わないユーザーは、さらに憤慨した。

でも、新しいログインシステムが行き渡るまではまだ、Yahooの認証情報を使わなけれがならない。そんなときは、ログイン用の新しいメールアドレスと新しいパスワードをFlickrに送るとよい。するとFlickrはそれ以降、認証やメール送付用にその新しいアドレスを使うようになる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookを1カ月やめたユーザーは幸福度がアップした、との研究結果

Facebookの使用を1カ月やめたらどうなるのか、という研究結果をスタンフォーフォード大学とニューヨーク大学が発表した。

研究チームはFacebookを通じて毎日Facebookを平均1時間使用するユーザー2488人をリクルートした。Facebookのアカウントを1カ月使用しない考えを“喜んで受けれいれる”かどうかを評価し、研究チームは研究内容に沿う人をアカウントを使用しないグループと使用するグループに分けた。

1カ月にわたる実験では、研究チームは被験者のプロフィールをチェックすることで約束を守っているかどうかをモニターした。また、参加者は幸福度や、10分前はどんな気持ちだったか、寂しさはどうか、といった評価を定期的に自己申告した。

研究者が発表したように、Facebookを離れることは幸福度の改善と関係していた。Facebookを使用しないようにいわれたグループは他のソーシャルネットワークの使用も減り、友達や家族と過ごしたり(いいものだ)、テレビを観たり(さほどいいことではないだろう)といったオフラインの活動に費やす時間が増えた。このグループは全体として、ニュースに費やす時間が減った、と報告した。

このグループはまた、調査期間が終わった後もソーシャルネットワークに費やす時間が減った。これは一時的な不使用が、それまでの習慣について新たな洞察を加えることになったと推測される。

「実験後のソーシャルネットワーク使用時間の減少は、不使用が主観的な幸福度を改善させるという我々の結論に沿うものだ。またこれは、『Facebookは習慣性がある…または人々は心配する以上にFacebookなしの生活を楽しむ』という仮説と一致する」と論文の著者は書いている。

この研究について、いくつか明記しておくことがある。被験者には「Facebook Messengerへのアクセスは維持される」と案内した、と論文に示されている。被験者がMessengerを使える状態にすることで考えられる影響は示されていないが、被験者はFacebookのメーン機能の一つを自由に使っていたとも受け取れる。Messengerの使用が被験者の気持ちや行動にネガティブな影響を与えた可能性はあるかもしれない。

最近行われたいくつかの研究とは異なり、今回の研究は経済学の研究者が実施した。これは今回のような社会的な心理学風の調査では珍しいことではない。

また意味合い上、最も大事なのはこの研究は2016年の米国大統領選挙前に行われたことだ。この事実は、選挙前後の被験者のソーシャルメディアについての考えや行動に影響を及ぼしていることが考えられる。

被験者は、最近の出来事について情報があまり入らなくなった一方で、政治的にあまり偏らなくなり、“米国における最近の二極化の傾向にソーシャルメディアが何らかの役割を果たしているとの懸念に賛同する”という考えを示した。

世界最大のソーシャルネットワークをやめるべきという考えがあちこちにある時代だが、実際のところ我々のオンライン習慣が脳や行動にどう影響を及ぼしているのかまったくわかっていない。それと同様に、Facebookのようなソーシャルメディア環境から一歩身を引いたときに何が起こるのかもわかっていない。十分な被験者規模、そしてまっとうな方法で行われた今回の調査は、そうした影響を一部なりとも推し量る上で有用だろう。この研究についてより詳しく知りたければ、全文をここで見ることができる。

イメージクレジット: Twin Design (opens in a new window)Shutterstock

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

(関心のなかった人も)そろそろTikTokに真剣に注目してみよう

もしTikTokに注目していないのなら、きっとぼーっと生きていたのだろう。Sensor Towerの最近のレポートによれば、北京のByteDanceが提供するこのショート動画アプリは、12月には新規ユーザーを過去最高となる月7500万人も獲得した。これは2017年12月に獲得した月2000万人に対して、275%も上回っている。

その急激な拡大にもかかわらず、まだ多くの人びと(多くは高齢者たち)が、一体TikTokとは何かがわからず、取り残されたままだ。

TikTokはよく「リップシンク」(口パク)アプリと呼ばれるが、そう聞くとオンラインカラオケ体験のように聞こえる。しかし、より近い比較対象はVineだろう。Vineは今でも多くの人びとに惜しまれているTwitterの(今はもう無くなった)ショート動画アプリで、そのコンテンツはYouTube上に編集されて今でも残されている。

TikTokが人気のあるリップシンクの本拠地であることは事実だが、実際のところは、音楽やその他のサウンドクリップに裏打ちされた、アクトアウトミーム(act-out meme:特定の動作や演技を行うミーム)で良く知られているのだ。それらは若者たちによって、無限に再現され、リミックスされ続けている。

使われているはバラエティに富んでいる ―― ポップ、ラップ、R&B、EDM、そしてDJトラックが、その15秒のビデオクリップのためのバックグラウンドミュージックとして機能する。しかし、そうしたサウンドはYouTubeミュージックビデオ(上のビデオの“I Baked You A Pie”を参照)やSoundCloud、あるいはPeppa PigRiverdaleといったポップカルチャーからの奇妙な音源、もしくはオリジナル作品から取り込まれたものだ。

これらのミームビデオは、ゲーミング文化(下記参照)などのZ世代(1990年代以降生まれの世代)によく知られているものを引用している。それらが、スタンドアロンビデオ、リアクション 、デュエット、ミラー/クローンなどの形で提供される。

このアプリは、2017年11月に米国のライバル会社であるMusical.lyを8億ドル以上で買収してから着実に成長を続けている。その後2つのアプリのユーザーベースは1つに統合された

この買収はTikTokに西洋のマーケットで成長する手段を与えた。そこでは例えばジミー・ファロントニー・ホークような米国の有名人の興味をひくことに成功した。また次の新しいネタを探しているYouTuberたちの関心もとらえたのだ。

しかし、Vine(安らかに眠れ)やYouTube、あるいはInstagramとは違って、TikTokはまだ(確かに存在はしているが)マイクロセレブたちによって支配されているとは感じられない。

その代わりに、そのメインフィードには、普通のユーザー(つまりド素人)が次々と登場し、何か可愛らしいこと、可笑しなこと、ちょっと感心するようなことを行うのだ。その大部分の根底には「は〜い、これがインターネットジョークだよ」という暗黙の了解があるのだ。

はい、はい、その通り。言いたいことはわかる。

こうしたビデオは”クリンギー“(cringey:困惑させたり居心地の悪い気持ちにさせるもの) と表現されることもある。

しかしそう感じるのは、TikTokについて話そうとしている私たちたちが、古き良きインターネットの中で育ってきた「高齢者」だからなのだ。

率直に言って、クリンギーというラベルは、コミュニティの中である一定の方向性を定めることに成功したTikTokを、貶める不当な呼び名だ。ここでは、ユーザーたちが頻繁に悪びれもせず楽しいコンテンツを投稿している。そしてここではウェブの他の場所よりも嘲笑を受けることは少ない。なにしろTikTokの上では、他のひとたちも似たような「クリンギー」なコンテンツを投稿しているのだ。

だがもしあなたのTikTokへの接点が、YouTubeの”TikTok Cringe Compilations”(TikTokクリンギー特集)でしかない場合には、そうしたことは知らないかもしれない。しかし、(奇妙なほど中毒性のある)TikTokフィードを一日見て過ごせば、(YouTubeを含む)ウェブ上の他のどこにもないビデオの世界が、ここにはあることに気が付くだろう。ビデオは確かにイカれている ―― しかし楽しいことも事実なのだ。

これは既存のソーシャルメディアプラットフォームとはまったく違うものだ。

現代のユーザーたちは、Twitterでは文化戦争に巻き込まれ(ナチスを禁止せよ!言論の自由を守れ!)たり、一方ではYouTuberたちは、広告主を震え上がらせるような、憎しみに溢れ搾取的で危険でもあり、さもなくば疑わしいコンテンツで、YouTubeのアルゴリズムの裏をかこうとしている。そしてFacebookときたら…戦争犯罪や民主主義の破壊に貢献している、

そうした中で、TikTokはオンライン共有の、また別のありかたを示しているのだ。単純で、間抜けで、計算抜きで…そして率直に言えば、それは大いに求められていた心のリセット手段なのだ。

例えば、人気の高いTikTokのミームの中には、子供たちがお母さんをフレームに引き込んで自分のお母さんがどんなに素晴らしいかを訴えかけるビデオがある。あるいはゴミを拾ったり水を節約することを訴えるビデオもある。彼らはひょうきんに振る舞っているかもしれないが、自己肯定的であり、そのあと自分自身を「かわいい」ものというより「息を飲むほどゴージャス」なものとして表現するのだ。

彼らは何時間もかけてAdeleのコンサート参加者としてグミベアを並べたり、階段をシャッフルダンスで登る方法を学んだり、お父さんとダンスバトルしたりするだろう。あるいはなんらかの特別な才能を披露するかもしれない、スケッチ、絵画、体操、ダンス、あるいはスケートボードなどだ。科学実験をしたり、冗談を言ったり、ちょっとしたビデオマジックのために特殊効果を使ったりもする。

彼らは“hit or miss!” と公共の場で叫んで、 誰が反応するかを待っている(詳しくはこちら)。

馬鹿げているときもあるし、巧妙なときもある。しかし、それは中毒性があるのだ。

もちろん、それはインターネットに過ぎないし、TikTokは完璧なものではない。

このアプリは、その「ダーク」サイドの問題も指摘されてきている。伝えられるところでは、子供を狙うものが沢山いたり、ティーンエージャーの間でのいじめや嫌がらせもあるという。とはいえ、TikTokが苦しむこれらの問題が、その他の大規模な、ディフォルトが公開設定になっているソーシャルアプリよりも悪いものかどうかは、明らかではない。

また、一部のアプリとは異なり、心配する親たちやユーザー自身が、TikTokアカウントを非公開にしたり、コメントを無効にしたり、アカウントを検索から非表示にしたり、ダウンロードを無効にしたり、リアクションやデュエットを禁止したり、メッセージの受信を制限したりすることが可能だ。

とはいえ、13歳未満の子供たちが、親の同意無しにソーシャルメディアカウントを開設していることには、心配の声があがっている。(とはいえ、まあ、FortniteやRobloxの状況は見たことがあるだろうか?これが子供たちのしていることだ。少なくともTikTokのメインフィードは厄介なものではない)。

だがもっと大きな問題は ―― そして将来的にはTikTokにダメージを与えかねない問題は ―― コンテンツフィルタリングと削除要求に応え続けることができるかどうか、そして拡大して行く中でセキュリティとプライバシー保護の問題に対処できるかどうかなのだ。

TikTokの成長に貢献しているのはコンテンツとコミュニティだけではない。

ショートビデオの概念を導入したのはVineだったかも知れないが、TikTokはビデオ編集を驚くほど簡単にした。クリップをさまざまな効果でまとめるのに、ビデオの専門家である必要はない。これはモバイルビデオ時代のInstagramなのだ ―― 既にInstagram自身が真似できないやりかたで、インフルエンサーや広告主と連携しているのだ。

一方、TikTokの巨大なユーザーベースは、欧米市場での成長だけでなく、中国やインドなどの新興市場からの牽引力によるものが大きい。

2018年に最もダウンロードされたアプリに関するApp Annieのデータによれば、こうした新興市場の力によってTikTokはiOSとAndroidの合計で、世界第4位にランクされることが可能になったのだ。iOSでは、主に中国のおかげで、TikTokは年間で最もダウンロード数の多いアプリとなった。

昨年にはTikTokは、Facebook、Instagram、Snapchat、そしてYouTubeよりも上位にランクされた

App AnnieとSensor Towerの両方で、2018年にはTikTokが全アプリの中で、最もインストールされたアプリとして3位になっている。

現在、TikTokはインドで成長していると、Sensor Towerは発表している

この国は、2017年11月から2018年12月までの新規インストールの27%を占めており、先月はTikTokの新しい7500万ダウンロードのうちの3230万ダウンロードを占めていた。これは前年に比べて25倍の伸びである。

アプリの広告ネットワーク利用の調査を行っているApptopiaのレポートによれば、この成長の一部は広告費の投下によるものである(それはまたYouTubeの広告を使って、人びと怒り駆り立てている)。

売上も増え始めている。

Sensor Towerの推計によれば、世界全体では、ユーザーたちはお気に入りのライブストリーマーに対して600万ドルをチップとして支払っている。これは2017年12月の合計170万ドルに対して1年で253%したことになる。だが、ライブストリーミング機能はTikTokのデフォルト機能ではない。これはMusical.lyのライブストリーミングアプリLive.lyがシャットダウンされた後に、機能追加されたものだ。

上図:アプリが起動されたときに表示されるTikTokのフルスクリーン広告(今日表示された)

上図:今月初めに掲載された広告

TikTokはアプリ内広告のテストも開始しており、その結果広告代理店たちから注目を集めている。TikTokを起動すると、フルページのスプラッシュスクリーン広告が表示されることがある。ただし、同社はまだ正式な広告商品を発売していない。

しかし、ブランドたちは注目を寄せ始めている。例えば今週TikTokは、スーパーボウルに間に合うようにARアニメーションステッカーを紹介しようとしているSportsManias(公式NFL Players Associationパートナー)とコラボレーションを行った。こうした動きは、ブランド提供のコンテンツがどれくらい上手くTikTokの世界で受け入れられるかをテストするもののように思えるが、同社はそれを「広告取引ではない」と説明している。

同社はまた、現在TikTokを使用している人が何人になるかを明かさなかった。

とはいえ、親会社であるByteDanceは、合併後のリブランディングを行った後の昨年の発表で、月間アクティブユーザーの数は5億人であると公式に発表している。グローバルユーザーベースの新しい数字はまだ発表されていない。

と言いつつも、ByteDanceは、TikTokアプリの全てのバージョン(Google Play Androidバージョンも含む)に対する、中国国内のみでの最新情報は発表している。それによれば、TikTokは現在、中国だけで月に5億人のアクティブユーザーを抱えているという。

Sensor Towerは本日、TikTokが中国でのAndroid分を除いて、インストール数が8億回近くに達したという推定値を発表した。

中国国内でインストールされているAndroid分を考慮に入れると、ダウンロード数が10億を超えたと言っても間違いではないだろう。

さあこれが、新・新インターネットだ。これは大規模で、新興市場、モバイル、ビデオ、ミームを席巻しつつあり、オンラインでもオフラインでも大流行している。

もしこれまでTikTokに注目していなかったとしたら、始めてみたいと思うかもしれない。

画像クレジット:ByteDance

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(翻訳:sako)

消費者向けGoogle+が4月2日に閉鎖APIの閉鎖は3月7日

誰もが知ってるように、Googleの失敗したソーシャルネットワークGoogle+は、4月に生命維持装置を外される。これまで、その正確な日にちは分らなかったが、Googleの今日(米国時間1/30)の発表によると、4月2日だ。

その日にGoogleは、Google+のページや写真、ビデオなど、そのサイト上のすべてのコンテンツを削除する。あなたが、数少ない最後のGoogle+ユーザーだったり、そこにポストしたものが惜しい、とお思いなら、今のうちにダウンロードしよう。

一部の企業のように、会社がGoogle+を使っているなら、それは今後も使い続けることができる。閉鎖されるのは消費者バージョンだけで、Google+のAPIも使えなくなる。セキュリティの重大な欠陥を指摘されたそのAPIは、一足早く3月7日に閉鎖される。

今回の、閉鎖の日程の発表は、Google+のカーテンコールだ。FacebookやTwitterにどうしても追いつきたいGoogleは、ありとあらゆる既存のプロダクトにGoogle+をくっつけた。やり過ぎと思われたのは、あの聖なる検索結果にも、ソーシャルの指標を利用したことだ。全然、効果なかったけど。Google+はGoogleの災害となり、後片付けと復旧にしばらくを要した。

関連記事: 生みの親、ヴィック・グンドトラが去ってGoogle+はどうなるのか?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

フェイクフォロワーを見つけるためのデータをCaptiv8が年末レポートで教えてくれる

インフルエンサーマーケティングのためのツールを提供するCaptiv8が、今年度の総括レポート2018 Fraud Influencer Marketing Benchmark Reportをリリースした。その目標は、マーケターたちにフェイクフォロワーを見つけるためのデータを提供することだ。それにより、本物のフォロワーのいるインフルエンサーと、作り物の‘らしさ’だけを見せつける連中を区別できる。

レポートは、この問題が企業に実損をもたらし、2017年にインフルエンサーマーケティングにさまざまな企業から21億ドルが投じられたInstagramは対策に乗り出している、と言っている。2017年には、Instagram上のエンゲージメントの11%が偽のアカウントからだった。

Captiv8はこう言っている: “インフルエンサーマーケティングが本当に効果を上げるためには、フェイクフォロワーや偽のエンゲージメントを正しく見つける方法を持ち、彼らのパフォーマンスをベンチマークし、ソーシャルネットワークに投じたマーケティング費用の真の効果を測定すべきだ”。

そこで同社は、さまざまなカテゴリー(ペット、子育て、美容、ファッション、エンターテインメント、旅行、ゲーム、フィットネス、食べ物、人気者セレブ、など)にまたがる、5000名のインフルエンサーのエンゲージメント引き込み能力を、今年の8月から11月にかけて調べた。

そして、評価の基準となる標準的な活動を定義し、それを外れていたらマーケターが危険を察知できるようにした。ソーシャルメディアのオーディエンスには誰でもフェイクフォロワーが多少いるが、カテゴリーによって偽物率が違う。Captiv8によると、もっとも多いファッションでは、アクティビティの14%が偽だった。セレブは低率で、偽物率は4%だった。

Captiv8 report

レポートによると、インフルエンサーのフォロワーの数の一日の変化率は、平均で1.2%である。変化率がこれより相当大きいのは、怪しい。

オーガニックでスポンサーのあるコンテンツの平均エンゲージメント率は、食品の1.19%からエンターテインメントの3.51%までのばらつきがある(上図)。そして低いエンゲージメント率は、フォロワー数がボットやフェイクフォロワーによって膨らまされている確率が高い。

逆に、クリエイターのオーディエンスへのリーチやユーザー一人あたりのインプレッションが業界標準より高いのも、警戒のサインだ。たとえばファッションの画像はオーディエンスの平均リーチが22.69%、ユーザー一人あたりのインプレッションが1.32だ。

レポート全文はCaptiv8のWebサイトでダウンロードできる。

関連記事: Captiv8が、インフルエンサーデータベースを無料で公開

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

著名アナリストがアムネスティインターナショナルによる虐待批判を擁護してからTwitter株激落

著名な株式市場ジャーナリズムCitron ResearchTwitterを、“ソーシャルメディアのHarvey Weinstein”*と呼び、20ドルという低い目標価格を設定してから、同社の株は11%下げた。今日(米国時間12/20)現在では株は11%よりさらに下がって29ドル29セントになっている。〔*: Harvey Weinstein, #MeToo運動の契機になったセクハラ常習プロデューサー。〕

Citronの歯に衣着せぬ記事は、Twitter上では虐待が氾濫しているとするアムネスティインターナショナルの報告を根拠にしている。Citronはこう書いている: “Citronは長年Twitterを見ているが、発表されたばかりのアムネスティインターナショナルの報告を読んだときにわれわれは直ちに、その株が投資不適格になり、広告主たちは近いうちに確実に、Twitterのスポンサー(広告の出稿者)であることを再検討せざるを得なくなる、と判断した”。

Citronがそう反応したアムネスティインターナショナルの報告書は、Twitterが虐待や人身攻撃をやめさせるための十分な努力をしていない、と言っている: “私たちは女性に対するネット上の嫌がらせに関する、世界最大のクラウドソースなデータ集合を構築した。…。Twitterは、人種差別や女性蔑視、同性愛嫌悪が基本的に無チェックで氾濫することを許されている場所である”。

その報告書はさらに、Twitterは何もしていない、と言っている: “このプラットホーム上の虐待的ツイートを分析することは、人権擁護団体である私たちの仕事ではなく、Twitterの仕事である。しかし同社はこの情報の公開を拒否し、他方では虐待/嫌がらせ/人身攻撃等が基本的にチェックされることなく繁茂することを許している。そのため私たちは、同社を調査対象にせざるを得なかった”。

Twitter自身は、同社がいじめや脅(おど)し、威嚇などを厳しく禁じており、それらを事前にに排除するための技術の改良にも投資している、と反論している。また同社の法務のトップVijaya Gaddeは、アムネスティインターナショナルの‘虐待的ツイート’や‘問題のあるコンテンツ’の定義が明確でない、と批判している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アメリカ人の好みのニュースソースは初めてソーシャルメディアが新聞を抜く、トップは依然テレビ

【抄訳】
すべての人がFacebookやTwitterからニュースを得ているわけではないが、でもアメリカ人の大人のニュース取得源として、ついにソーシャルメディアが新聞を超えてしまった(下図、いちばん下のライン)。Pew Research Centerの最新の報告書によると、ソーシャルメディアは初めて、アメリカの大人が選ぶニュースソースとして新聞を超えた。しかしソーシャルメディアは、テレビやラジオなど伝統的なニュースソースに比べると、まだはるか後方にいる。

Pewによると、昨年はニュースをソーシャルメディアから得る者と新聞から得る者がほぼ同率だった。しかし今年の7月30日から8月12日までの2週間のアンケート調査では、それが変わった。

今や、アメリカ人の5人に1人(20%)がソーシャルメディアからニュースを得ているが、新聞からは16%だ。複数回答ありなので、下図のパーセンテージの合計は100を超える。質問は、「あなたがニュースをよく(often)知るのは何ですか?」という聞き方をしている。

このところ新聞の発行部数は減少しており、ニュース媒体としての人気も、とくに若い世代で衰えている。Pewのレポートによると、65歳以上では39%がニュースを新聞から得ている。しかしそのほかのどの年齢層も、18%を超えていない。

新聞の衰退でソーシャルメディアが上に立ったが、ソーシャルメディア自体はほぼ横這いで、他を支配する勢いはない(上図)。

なんといっても最大のニュースソースは依然としてテレビだが、そのテレビも近年は下降気味だ(上図)だ。テレビに次ぐのが、ニュースのWebサイト、ラジオ、それからソーシャルメディアと新聞となる。

しかしPewによると、テレビは必ずしもケーブルのニュースネットワーク(全国ネット)ではない。

むしろ、テレビの中では最多はローカルニュースの37%、ケーブルが30%、全国ネットの夜のニュースをよく見る人は25%だ。

しかしソーシャルメディアとニュースのWebサイトを合わせると、43%が‘ネットから’という分類になり、テレビの49%に迫っている。また上図のように、お気に入りのニュースソースは、年齢層による違いが大きい。若い層では、ネットからが計63%となり、これは65歳以上の層の4倍である。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

FB版QVC? Facebookがライブビデオ・ショッピングをテスト中

自分だけにホームショッピング・ネットワークを作りたい人へ。Facebookは、売り手がライブビデオを使って商品の説明やデモを見せられる機能をテストしている。消費者は買いたい商品のスクリーンショットを撮ってMessengerで送れば売り手もチャットを通じて支払いを請求する。

Facebookは、新しいショッピング機能がタイの限られたFacebookページでテストされていることを認めた。同国はショッピング機能の実験場所として使われてきた。新機能を最初に見つけたのはソーシャルメディアと評判の推進者Jeff Higginsで、後にMatt NavarraSocial Media Todayが再シェアした。そして今Facebookがテストの存在を正式に認め、追加情報を提供した。

同社によると、タイのユーザーコミュニティーからのフィードバックで、商品の使い方や着こなしの説明にライブビデオを使うことで静止画像よりも深く商品を理解してもらえるようになったという反応があった。また、ライブの対話性のおかげで顧客はすぐに商品について質問して詳しい答えを得ることができる。Facebookは以前にもタイでMarketplaceを利用した家のレンタルのような新しい体験をテストしたことがあり、同国の人々はFacebookグループをピアツーピアショッピングに利用できることをいち早く証明した。「タイは当社のサービスでもっとも盛んなマーケットプレイス・コミュニティーだ」とFacebookのマーケットプレイス担当マネージャーMayank Yadavは言った。

現在テスト中のライブショッピングでは、Facebookページからファンに対して「商品を披露して客とつながる」ためにライブ放送していることを伝える通知を送ることができる。売り手は予約と支払いをMessenger経由で行うことができる。Facebookはすぐに新たな提携を結んだり機能を拡張する計画はないと言った。テストに参加できない売り手には、ウェイティングリストへの参加を呼びかけている。Facebookはテスト参加者と密に協力してフィードバックを得てライブビデオショッピング体験を改善していくと言っており、結果が良ければ広く展開していく予定であると思われる。

FacebookはMessengerを通じた売買の手数料は取らないが、新機能が同社の売上に貢献する可能性はある。ニュースフィードの広告スペースが枯渇し、ストーリーが最大のメディア形式になり、ユーザー成長が足踏み状態になる中、Facebookはニュースフィード広告以外の収益源を模索している。ユーザーをビデオに惹きつけられれば、Facebookは実入りの良いビデオ広告を多く流せる。Facebookアプリで売り買いすることにユーザーを慣れさせることができれば、企業のコンバージョン率は良くなり、もっと宣伝費を使うようになる。さらにFacebookは、ライブ中継をする会社に対して、商品の広告に新しいマーケットプレイス広告ユニットを使うよう説得することもできる。そしてFacebookは、インターネット中のユースケースを活用し、長時間のビデオ視聴でも求人応募でもショッピングでも、サイトの滞在時間を伸ばすことで広告視聴回数を増やすことができる。

最近Facebookは、CraigslistやEtsyやeBayに目を向け始めている。これらのコマースプラットフォームはビデオなどの新しいテクノロジーに乗り遅れ、Facebookの実名ポリシーやソーシャルグラフが生み出す信用もない。数年前、オンラインでものを売ることは商品説明をタイプし、せいぜい写真をアップロードするくらいのことを意味していた。あなただけのインフォマーシャルで主役を演じるようになる日は近い。

[追伸:Facebookのショッピングネットワークは、同社の新しい卓上スマートディスプレイ、Portalでも問題なく使える]。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

すべてのものがランダムに決まる確率論的時代へようこそ

1990年にKleiner Perkinsは、持ち込まれた投資案件の99.4%を却下し、その年には12の新しい企業に投資した。これらの投資によりKleiner Perkinsは“歴史上もっとも成功した金融機関”と呼ばれるようになり、向こう30年間の合計で“1年あたりのリターン40%”を誇示する結果となった。

今日では、シリコンバレーの寵児Y Combinatorが毎年250社あまりに投資している。同社は厳しい審査で有名で、申込者の1.5%ぐらいしか支援しないが、しかしそれでも、全盛時のKleiner Perkinsほど厳しくはない。ただし同社(YC)は、承認案件は多くて、投資単価は小さい。でも当時のKPですら、1994年にNetscapeの25%をわずか500万ドルで買っている。

1995年には、事実上三つのキー局のネットワークがアメリカのテレビを支配していた(ABC, CBS, NBC)。それだけで、1週間を填め尽くすだけの番組量があった。今ではあまりにも多くのテレビ放送があり、一年中毎日どこかで新番組の第一回が放送されている。映画では、1995年には、上位10本の作品が1年間の総興行収入の14%を占めたが、2018年のここまででは上位10作が総収入の25%を占めている。出版もこれに似ていて、いわゆる“中堅作”(midlist)…ほどほどのヒット…がほとんどなくなり、“ベストセラーか失敗作か”という様相に取って代わられた。

1995年にあなたがジャーナリストだったら、あなたの記事の読者数は記事が何に載ったかで決まった。あなたのとっても優れた記事がHalifax Daily News〔カナダの地方紙、2018年廃刊〕に載ったら、もともと少ない読者数のほとんどが、他の記事と同じく、見出しをさっと見るだけで通り過ぎただろう。でもThe New York Timesだったら、ページの隅っこに埋もれたような記事でも、カナダの地方紙でそれを読まなかった人よりも多くの人が、読んでくれただろう。しかし今では、どんな記事でも、複数の出版社間および一つの出版社内の競争において読者数の勝者を決めるのはソーシャルメディアによる共有であり、それは必然的にべき乗則従う。つまり、意外なほど少数の記事が、読者数の大半を奪う。

これらの共通項は何だろうか? いわゆる“ヒット”の数は比較的一定だが、それらの価値が大きくなっている。そして、その他大勢(swings)の数が今や大きすぎて、どんな個人も、そしてどんなグループさえも、それら中堅作にしっかり注意を払うことができない。だから個々の結果や作品などにフォーカスすることは今や無意味であり、むしろあなたはコホート(特定集団)にフォーカスし、確率論的に考えるようになる。〔コホート自体はランダムに決まり、それら上位作のオーディエンスが雪崩(なだれ)的雪だるま的に急増する。〕

“確率論的”とは“ランダムに決まる”という意味なので、初めてこの言葉を聞く人は逃げ腰になるだろう。たしかに、製作者も投資家もパブリッシャーも、ランダムに動いてなんかいない! 彼らは大量の分析と努力と知恵を傾けて何かを作っている! それは本当だがしかし、ぼくが言いたいのは、そういう情報管理者たちの力は先細っているし、そして自称監督、CEO、評論家等々は急増し、制作や発表の費用は激落していることだ。そんな中では、ランダム性がますます重要な要素になってるのだ。

挿話は、簡単に見つかる。売値が100万ドルだったときのGoogleを、Exciteが買収していたら、どうなっていただろう? Picplzが成功してInstagramが失敗したときから、一体何年経っているのか?〔ちょっとしか経っていない〕。 正直なサクセスストーリーには運の要素が必ずあり、それはここの文脈ではランダム性の一種だ。ぼくが言いたいのは、世界の大きなトレンド…相互接続性の増大や、その高速化、テクノロジーへのアクセスの大衆化…これらによってランダム性はますます重要な要素になる、ということだ。

それは一概に良い(善い)こととは言えない。ランダム性は、ときにはランダムなテロだったりする。それは、“マスコミュニケーション的情報通信技術の大衆化が特定の個人や集団を攻撃する手段になり、それがテロを誘起し、それらは統計的には蓋然的と言えても、実際に起きるときにはランダムに起きるように見える”、ということだ。殺し屋たちがISISに加わるとき、事前に十分なコミュニケーションなどなんにもない。これをもっと一般的かつ論争的に言うなら、憎悪や過激主義がブロードキャストされることによって、政治的暴力が助長されるのだ。

そして、気候変動はますます確率論的な災害になってるようだ。温暖化で大気中のエネルギーが増え、なお一層不安定な動きをするようになる。すると、旱魃や山火事、ハリケーンなどの大災害も増える。気候変動が、それらを起こしているのか? いや、直接そうではない。それらが起きる確率を大きくしているだけだ。確率が大きくなり、当たる頻度が増している、という言い方でもよい。

このことは、人間の努力のどの分野にも当てはまるわけではない。しかし、本質的に異常で極端な成功や失敗を動因とする分野なら、そのどれにも当てはまる。それらは、Nassim Talebが造語したextremistanだ。 Extremistanは至るところでますます極端へと成長し、その肥大が終わる気配はない。

画像クレジット: Piere Selim/Wikimedia Commons; クリエイティブ・コモンズ CC BY 3.0のライセンスによる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Spikeは糖尿病患者をソーシャルに見守るアプリ

糖尿病患者にとって、自分の血糖値レベルを常に監視しておくことは容易ではない。 Spike Diabetesは、家族と医者が患者の状態をリアルタイムで本人に通知できるようにするサービスだ。さらに患者がレストランに入ると、AI機能を使って糖尿病に優しい食事をアプリが推奨する。

本日(米国時間11/19)TechCrunch Disrupt Berlinのスタートアップバトルフィールドに登壇したSpike Diabetesは、許可を受けた家族が患者の詳細データを見て、健康を維持するための助言を与えられるGuardian Portalを公開した。

「糖尿病は不治の慢性疾患で、患者は生涯糖質とインシュリンの管理と共に過ごさなくてはならない」とSpikeの共同ファウンダーZiad Alameは言う。「糖尿病患者は生涯にわたってその日常的な作業を強いられるため、その厳しさゆえに道を外れてしまうことがある。そして家族は愛する人について何も知らない状態に置かれてしまう」

医者は年に2~4回の定期検診でデータを知るだけで、患者は一人で戦わなければならないことが多い。生涯続く管理は非常にストレスがたまる——命がかかっていればなおさらだ。

このスタートアップは、患者の生命徴候をモニターすることを謳う文字通り数百ものアプリとの厳しい競争に直面している。MySugr、Diabetes Connect、Health2Syncらが主要なライバルだ。しかし、多くのアプリでユーザーは複雑なスプレッドシートで自分の数値を管理しなくてはならない、とAlameは言う。

Spikeはカスタマイズ可能なグラフに加えて、データの音声読み上げ機能も提供して、日々の生活を安全に過ごせるようにしている。Spikeは招待制でiOSのみだが、Apple Watchアプリも提供されていて、バッテリー消費を最小限にしていると自慢している。

「Spikeは私自身が糖尿病生活で危機を迎えたあと、正しい服薬を助けるための個人プロジェクトとしてスタートした」とAlameが私に話した。彼はその問題を、慈善プログラムGivilngLoop、TeensWhoCodeサマーキャンプ、アラブ世界のためのクラウドファンディングサイトZoomalなどのCTOとしての経験と結びつけた

Alameは糖尿病患者、エンジニア、研究者らを集め、20万ドルのシード資金をMEVP、Cedar Mundi、およびPhoenician Fundsから調達した。彼らは愛する家族と医者を輪の中に取り込むことで、Spikeのフリーミアムアプリの有料プレミアム版が口コミで広がって長く続いてきた競争に打ち勝つことに期待している。

このアプリでもっとも興味深い機能の一つが事前情報の配信だ。「たとえば、午後2時頃にマクドナルドに入ると、Spikeは昼時だと知って適切な糖質量メニューのトップ3を推奨する」とAlameは言った。

「一定時間(~25分)経過後、Spikeはインシュリンの通知を与え、糖分測定装置と同期してデータを記録する。時間とともにアプリは患者の嗜好を理解し、Spikeはちょっとした行動の改善を提案する。例えば歩行経路の変更や、患者の好みにあった食事をより少ないインシュリン消費で食べられる店を推奨する。

Alameは冗談まじりにこう言った。「Spikeにとって最大のリスクは、最良の結果でもある——糖尿病の治療法が見つかることだ」。しかし、たとえそれが起きたとしても、Spikeの監視と助言の機能は別の病気にも役立つだろう。しかし現時点では、このアプリを使えば糖尿病を簡単に管理できることをユーザーに確信させる必要がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Mapsのレビューをより便利にするハッシュタグ機能、まずAndroidで提供開始

Google Mapsがとくに発表もなく実装した新しい機能により、ユーザーはほかの人が推薦している場所を見つけられる。それは、レビューの中でハッシュタグを使えるようになったことだ。たとえば、今レビューを書いてるレストランがすてきな#datenight(夜のデート)スポットなら、そんなハッシュタグを加えるとよい。あるいは、あるお店が#familyfriendly(家族向き)で#wheelchairaccessible(車いす可)なら、そのことをタグで注記しよう。

ひとつのレビューに最大5つまでのハッシュタグを入れられるし、それらをレビューの末尾に置いて本文を読みやすくしてもよい。

同社によると、ハッシュタグのサポートは1週間前に全世界的にAndroidデバイスに展開された。しかしこれまで発表は、Google MapsのLocal Guidesだけで行われている。これはユーザーが訪ねたお店などの場所のレビューや写真や知識を共有してごほうびがもらえるプログラムだ。

その発表によると、ハッシュタグは前に書いたレビューにも入れられるし、もちろん新しいのにも含められる。

Googleのおすすめによると、レストランなら#vegetarian(ベジタリアン)のように、その種類やタイプを示してもよいし、#goodforselfies(自撮りに好適)とか#sunsetviews(夕日が絶景)などでもよい。車いす用の斜路や音声メニューがあるなど、バリヤフリーの親切機能を知らせてもよい。

しかしInstagramやそのほかのソーシャルアプリと違って、Google Maps上のハッシュタグはあくまでも実用性が目的だ。あまり意味のない#loveや#foodなどは役に立たない、とGoogleは言っている。

Google Mapsの機能として、これ自体はあまりにもささやかな機能だが、でもGoogleはFacebookのPagesに対抗してこのところ、Mapsのソーシャル化に努めているのだ。そういう細かいアップグレードの一環だ、と思えばよい。

たとえば10月に加わった“follow”機能では、ユーザーがお店などをフォローして、ニュースや売り出し、お買い得品、イベントなどを知ることができる。また今月改作したMy Businessアプリでは、お店のオーナーがMapsのプロフィールを容易にアップデートできる。たとえば、フォロワーとシェアする新しいニュースを書き加えてもよい。このアプリで、レビューやメッセージを見たり、返事を書いたりもできる。

ハッシュタグが加わったことによってGoogle Mapsはお店などの発見プラットホームとして使いやすくなったし、ソーシャルなリコメンデーション(推薦)プラットホームにもなった。Google Guidesでハッシュタグ#LetsGuideを使うと、お気に入りの場所のパーソナルなリコメンデーションを見ることができる。その、Googleが勝手に選んだリコメンデーションを採用するか否かは、もちろんあなたの自由だ。

ハッシュタグを利用するためには、マウスをホバーすると青いリンクになるタグをクリックすると、同じタグがレビューにある近くのほかの店などのリストが表示される。このハッシュタグ機能がiOSとWebにも提供されるのはいつか、その日程はまだ明らかでない。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

LinkedInが欧州データ保護規則(GDPR)に違反。非メンバーのアドレス1800万件をFacebookの広告ターゲティングに使用

仕事のためのネットワークで6億人近いメンバーをもつLinkedInは、不気味なほど立ち入った人とのつながりを推奨してくることで、数々批判を受けてきた。なぜ、どうやってLinkedInがそんな推奨情報を知り得たのかは未だ明らかになっていない。

このたび欧州当局とのやりとりの結果、欧州におけるLinkedInのGDPR(一般データ保護規則)の実施状況は、不気味なだけでなく明確なデータ保護規則違反だったことかわかった。LinkedInは1800万件のメールアドレスを不正利用していた。

アイルランドのデータ保護委員会(DPC)が11月23日に発行した報告書には、Microsoft傘下のLinkedInによる自社ソーシャルネットワークのメンバー以外の人々の情報取扱いについて書かれている。

要約すると、LinkedInは登録者を増やすために、不当な方法で1800万人のメールアドレスを使用したことを認めた。その後LinkedInはそのような慣行を中止した。

まず、DPCは、米国のLinkedInがメンバー以外の1800万人のメールアドレスを取得し、これを使ってFacebookでターゲット広告を配信した。その際に必要となるデータ管理者であるLinkedIn Irelandの指示を受けていなかった。

これには経緯がある。LinkedInやFacebookらはGDPRの発効に際してそれまでアイルランドで実施されていたデータ処理を米国に移管した

同社はこれを運用を「効率化」するためだと主張したが、非EUユーザーのデータ利用に関するGDPR責任をすこしでも回避するためだという批判を浴びた。

結局問題は解決し、「LinkedInは問題を起こしたユーザーデータ処理を直ちに中止した」とDPCは言った。、

次にDPCは、追加調査を行い、LinkedInはデータにソーシャルグラフ作成アルゴリズムを適用することで、ユーザーにネットワークのつながりを推奨したり、「事前計算」に使っていたことがわかった。

これは、ユーザーがネットワークを一から構築する苦労を軽減するために、ネットワークのつながりを推奨するために利用されていた。。

「監視の結果LinkedIn CorpはEUユーザーデータ管理者であるLinkedIn Irelandの指示によって、事前計算処理を中止し、2018年5月25日以前の処理に関わる個人データをすべて消去した」とDPCは書いた。5月25日はGDPRが発効された日付だ。

LinkedInは今回の調査全体について以下の声明を本誌に提供した:

「当社は2017年のDPCによる広告キャンペーン問題に関する調査の趣旨を理解し全面的に協力した」とLinkedInの欧州・中東・アフリカ地区プライバシー責任者のDenis Kelleherが言った。「遺憾ながら当社で制定した厳格な手続きが守られなかったことをお詫びする。当社は適切な処置を行い、再発しないよう作業方法を改善した。監査に伴い、追加分野における非メンバーデータのプライバシーについても、改善するよう自発的に作業方法を変更した」

(「追加分野」というのは事前計算のことである)

LinkedInの言葉を額面通りよ受け取るなら、同社はDPCが発見した問題点の修正だけでなく、指摘を受ける前に、自発的に行動規範を変更していることを示している。

LinkedInに限らないが、これは「許可を得るのではなく、許しを請う」タイプのやり方だ。。
ちなみになぜLinkedInが罰金を課せれないのか不思議に思っている人へ。それは、5月末時点では、GDPRに罰金を強制する権限がなかったからだ。

もうひとつわからない——DPCは明確に指摘していない——のは、LinkedInがどこで1800万件のメールアドレスなどの関連データを収集したかだ。

これも報告書に書かれているFacebookによる顔認識の利用、WhatsAppとFacebookの相互間におけるユーザーデータの共有などの案件は現在も調査が継続している。ユーザー5億人に影響を与えたYahooのセキュリティー侵害は、さまざまな会社での作業慣行の変更へとつながっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

LinkedIn、新たなプライバシー設定でメールアドレスのエクスポートを禁止

LinkedInのプライバシーにとっての大きな勝利は、つながりのある人のメールアドレスをエクスポートしたい企業やリクルーターなどにとっては大きな損失だ。LinkdInは新たなプライバシー設定を密かに導入し、ユーザーのメールアドレスを他人がエクスポートすることをデフォルトで禁止した。これで一部のスパムや、つながっていることに気づいていなかったどこかのユーザーが自分のメールアドレスをダウンロードして巨大なスプレッドシートに貼り付けるのを防ぐことができる。しかし、この新しい設定を警告もアナウンスもなく導入したことで、プロフェッショナルネットワーキングサイトに多大な投資をして、つながった相手と外部で接触しようとしていた多くのユーザーの怒りを買う可能性がある。

TechCrunchは読者からの情報で、LinkedInのアーカイブツールでデータをエクスポートしたときメールアドレスが取れなくなったことを知らされた。その後LinkedINは本誌に対してこれを認め、「これは新しい設定で、メンバーはLinkedInに登録したメールアドレスの管理を強化できるようになった。『メールアドレスの公開設定』という項目を見ると、新たに詳細設定項目が追加されて、もっとも強いプライバシーオプションがデフォルトになっていることがわかる。メンバーはこの設定を好みに合わせて変更できる。これでメンバーは自分のアドレスを誰がダウンロードできるかを管理できるようになる」

新しいオプションは、設定とプライバシー -> プライバシー -> メールアドレスの公開設定の中にある。ここの「つながりがデータをエクスポートする際にメールnobuo.takahashi@nifty.comのダウンロードを許可しますか?」の トグルがデフォルトで「いいえ」 になっている。ほとんどのユーザーはこれを知らない。なぜならLinkedInはアナウンスしていないから。 ヘルプセンターにメールアドレス公開範囲の説明が折り畳まれたセクションとして追加されただけであり、「はい」に変更する人は、そうする理由の説明がないのでほとんどいないだろう。つまり、今後LinkedInでエクスポートしたアーカイブにほとんど誰のメールアドレスもないことを意味する。つながりのあるユーザーは、プロフィール画面にくればメールアドレスを見ることができるが、まとめてダウンロードすることはできない。

Facebookは2010年にGoogleとデータポータビリティーについてき戦ったとき、メールアドレスのエクスポートに関して同じ結論に達した。Facebookはユーザーが自分のGmail連絡先をインポートすることを推奨したが、友達のメールアドレスをエクスポートすることは禁止した。同社は、ユーザーは自分のアドレスは所有しているが友達のアドレスは自分のものではないのでダウンロードできない、と主張した——しかしこのスタンスは都合よく、ライバルアプリがFacebookの友達リストをインポートしてソーシャルグラフを作ることも阻止した。私は、Facebookは友達リストをインターオペラブルにして、ユーザーが使うアプリを選べるようにすべきだと提唱した。これは、それが正しい道であると同時に規制を遅らせることにもなるからだ。

Facebookのようなソーシャルネットワークでメールアドレスのエクスポートを禁止する意味は理解できる。しかしLinkedInのようなプロフェッショナルネットワークでは、人々は知らない人たちと意図的につながっていて、エクスポートは常に許可されていたので、黙ってそれを変えることは正しいやり方とは思えない。おそらくLinkedInは、つながっている人が誰でもメールアドレスをかき集められるという事実に注目を集めたくなかったのだろう。昨今のソーシャル分野における厳しいプライバシー監視というメディア事情を踏まえるとそれも無理はない。しかし、LinkedInに依存する企業に多大な影響を与える変更を隠そうすることは、コアユーザーの信頼を失墜させる事態になりかねない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、司法省のシリコンバレー反トラスト法責任者を引き抜く

Facebookは米国司法省の古参でシリコンバレー反トラスト局長Kate Patchenを、訴訟責任者・法律副顧問に採用した。

Patchenは、 同社が進行中スキャンダル危機的評判問題の数々を抱える中、今月Facebookの一員になったことをLindedInプロフィールに書いている。

この人事をいち早く見つけたのはFinancial Timesで、2週間前にFacebookが、LinkedInで競争問題担当者としてワシントンの「主任弁護士」を募集していたことも報じている——社内の専門家体制を強化する取り組みの現れだ。

Patchenは、反トラスト問題の豊富な経験を新たな雇用主にもたらす。司法省で16年間の経験を持ち、法廷弁護士として活動を始めた後2014年に反トラスト部門の次席になった。そして2年後に部門長になった。

この採用について問い合わせたところ、Facebookは本誌のメール内容を認めたが、反トラスト法執行専門家を採用する決定についてのコメントは出さなかった。

ソーシャルメディアの巨人がこの問題に関して山ほど悩みを抱えていることは間違いない。

2016年、ロシアが支援する選挙妨害活動が最初に起きた際、Facebookは議員らのレーダーにはっきりと捕らえられ、政界の渦中に立たされた。以来、相次ぐセキュリティーやデータの不正スキャンダルによって、Facebookに対する議会の圧力は高まるばかりだ。

現在米国の議員たちはソーシャルメディアの規制化に向けてこれまでになく活発に動いている。不当競争の監視は大規模IT企業全般に対して厳しくなっており、被害の影響を緩和するために巨大プラットフォームの分割を要求する向きもある。

例えばFinancial Timesによると、最近民主党は「経済集中の脅威」に対処る法案を提出した。また、民主党が推進する競争法の強化は、同党とシリコンバレーのIT巨人らとの熱愛関係が完全に終わったことを示唆している。

欧州では、競争監視当局がすでにIT大手に対抗する動きを見せており、ここ数年の間にGoogleのサービスに対して2件の巨額な罰金を科し、捜査は今も続いている。

Amazonも現在当局の目に捕らえられている。EU規制当局は国家レベルで、IT広告業界がGoogleとFacebookの複占状態になっていることに対する監視を強めている。

一方PatchenがFacebookに入ると同時に、長年務めたベテランたちが社を去っていった——公開ポリシー責任者Elliot Schrageもその一人だ。

Schrageの退社は数ヶ月前から準備されていたが、本誌が今週入手した社内メモによると、同氏が最近発覚した広報スキャンダルのスケープゴートとして体よく追い出されたことを示唆している。

先月もFacebookは新勢力の採用を発表した。元英国副首相のニック・クレッグが国際ポリシーおよび報道の新しい責任者に就任した——当時Schrageは顧問として残る予定だった。

別の上級幹部人事では、Facebook CSO Alex Stamosもこの夏に会社を去り、最高法務責任者のColin Stretchは年末に退社すると表明した。

しかし今月のRecodeの記事によると、Strechは退社を保留——来年夏まで——しており、これは現在進行中の政治問題に対応するためだと思われる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、「Facebookで費やした時間」ダッシュボードを提供

発表から15週間後、Facebookは “Your Time on Facebook” (Facebookで費やした時間)を世界に向けて公開する。Facebookアプリを何分使ったかを数えるツールだ。自分のソーシャルネットワーク時間を管理するために作られたもので、ユーザーは過去一週間毎日どれだけ使ったか平均時間はどれだけだったかをダッシュボードで見ることができる。

一日の上限を設定してそれに達したときにリマインダーを受け取ることもできるほか、通知、ニュースフィード、友達申請の設定へのショートカットもある。後の2つのショートカットは新らしいが、それ以外の機能はプレビューで見たものと同じだ。

6月にFacebookがこの機能を開発していることを最初に報じたのがTechCrunchだった。

iOSとAndroidが最新OSに同様の機能を搭載し、InstagramにもYour Activityタブが追加されたことで、デジタル健康機能はスマートフォンユーザーに普及してきた。問題は、こうした機能を設定メニューの奥深く埋めておくだけで本当に人々に健康的生活を推進できるのかだ。

FacebookとInstagramの機能は特に強制力が弱い。利用を減らすためのオプションはなく、警告の通知を消させるだけだ。 iOS 12のスクリーンタイムは、少なくとも週間レポートをデフォルトで表示する。 Androidのデジタル健康ダッシュボードははるかに強力で、一日の上限に達するとアプリアイコンをグレイ表示にして設定でアプリをアンロックするまで使うことができない。Facebookがもっと強い制約を課す必要はないが、少なくともユーザーが実際に端末を置いてリアル世界に目をやるよう説得するツールは提供すべきだろう。

FacebookのダッシュボードはInstagramと連携していない。Instagramの方がユーザーの同サービスでの活動についてより総合的感覚を伝えようとしている。さらに言えば、ダッシュボードからはデスクトップやタブレットなどの2台めのモバイル機器の時間もわからない。

しかしYou Time on Facebook最大の問題は、あらゆる時間を同等に扱っていることだ。それはソーシャルネットワーク上のデジタル健康についてFacebook自身が提唱してきたことや、CEO Mark Zuckerbergの健康的行動と不健康な行動に関するコメントとも一致していない。Zuckerbergは2018年Q1の決算会見で、「われわれが実施した健康調査によると…人と対話して人間関係を構築するためにインターネットを使うことは、長期的な健康や幸福、つながっていると感じることによる寂しさの緩和など、健康によいと思われるあらゆる事象と相関している。一方、受動的にコンテンツを消費するだけでは必ずしもポジティブな効果を得られない」と言っていた。

しかし、Facebookの受動的利用と能動的利用をダッシュボードから区別することはできない。ニュースフィードを読みストーリーを見てプロフィール写真を眺めていた時間と、投稿やコメントやメッセージを書いていた時間を比べる方法はない。そうした分類があれば、ユーザーは無駄に費やした時間がわかり、どうすれば健康的利用ができるかをずっと判断しやすくなるだろう。いずれFacebookがダッシュボードをもっと精緻化して、利用時間だけでなく、有益に使われた時間を見られるようにすることを願いたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ZuckerbergはFacebookの会長職を降りる気なし…CNNインタビューより

CNNの短いけど派手に誇大宣伝されたインタビュー番組で、FacebookのファウンダーでCEOが再び、同社の最最近の危機に対する批判に答えた。

そのインタビューは、もっと長いQ&A番組“Human Code,”からの抜粋で、Facebookの失敗と、会社に対するZuckerbergの一面的すぎるコントロールに対する批判の部分に限定していた。

そこに新しい情報は何もなかったが、リーダーシップをめぐるいくつかの問題に対する、同社の最近の姿勢は分かる。最初の問題は、Sheryl Sandbergが今後もCOOの地位にとどまるのか?だ。

ZuckerbergはCNNにこう答えている: “Sherylはこの会社にとって実に重要だ。…。彼女はこれまでの10年間、私の重要なパートナーだった。二人でやってきた仕事を本当に誇らしく思っており、今後も末永く一緒に仕事をしていきたい”。

これが、少なくとも当面の答だ。

次の大きなリーダーシップの問題は: Zuckerbergは現在Facebookの会長として行使している権力のすべてを今後も維持するのか? 先週の記者発表ではZuckerbergその権能を降りない、と語り、“権限を制限せよという提案は正しい方向性ではない”と述べている。でもそれは、この、身から出た錆(さび)のような社内的危機の、まだ初期的段階における話だ。

同社は今、危機の最中(さなか)だから、責任を取って会長を辞任する気はないか、と再び聞かれたZuckerbergは、その話はもうやめよう、ときっぱり答えた。

“その計画はない。…。今は、それが有意義であるとは考えられない”、とZuckerbergはCNNに述べている。

共和党が民主党など対抗勢力について調査をしている組織GOP危機時コミュニケーショングループ〔メディア操作などをやる〕とFacebookとの関係をめぐるスキャンダルは、Zuckerbergが権力の一部を放棄しろと批判された最初の事案ではない。彼はFacebookの筆頭株主として、投票権の過半数を持ち、そしてこの構造では誰も彼を辞めさせられない。Zuckerbergは再び、Zuckerbergは一人しかいないし、そして彼が創った企業は彼自身でもあることを明言した。だから彼はどこにも行かないし、当面、彼の権能を誰かに譲る気もない。

関連記事: 議会はZuckerbergに1株1票への移行を要求(未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook Messenger、「一緒にビデオを見る」機能を開発中

“Netflix and chill”[Netflix見ながらいちゃいちゃ]のリモート版? Facebook Messengerはビデオの同時ビューイング機能を内部テスト中だ。ユーザーが気に入った仲間たちと同じビデオを見る機能で、グループチャットしながら語り合ったりジョークを言い合ったりできる。”Watch Videos Together”[一緒にビデオ見よう]と呼ばれる新機能は、ユーザーのMessenger利用時間を増やすとともに、一人でビデオを見る受け身のゾンビビューイングよりも有意義でポジティブな体験の共有を可能にする。Facebookは Watch Partyというグループ視聴機能もテストしていたが、ニュースフィードやグループ、イベントなどよりもメッセージングを通じて行うアプローチの方が自然かもしれない。

この機能をMessengerのコードベースで最初に見つけたのはデッドライン管理アプリTimeboundのファウンダーAnanay Aroraと、TechCrunchの常連タレコミ屋としてモバイル調査をしているJane Manchun Wongのふたりだ。Aroraが見つけたコードには、Messengerで「タップして今すぐ一緒に見る」あるいは「同じビデオについて同じ時間にチャットする」ことができたり、チャットスレッドのメンバーが共同ビューイングが始まった通知を受けることなどが記述されている。「このチャットの全員がビデオをコントロールできて、誰が見ているかを見ることができる」とコードに書かれている。

Facebook広報担当者はTechCrunchに、これは「内部テスト」けであり現在これ以上公表できることはないと語った。しかし、過去にMessengerのコードで発見された Instagramと連絡先を同期などの機能は最終的に正式公開されている。

FacebookにはWatch Partyがあるが、チャット機能に取り込んだ方がよく使われるかもしれない

共同ビューイングで気になる疑問は、みんなで見るためのビデオをどこで見つけるかだ。Facebookで見つけたビデオのURLを打ち込むか、Messenger向けにシェアするか。新しいビデオ検索機能がメッセージ作成かディスカバータグに入るかもしれない。あるいは、もしFacebookがチャットベースの共同視聴に本気で取り組みたいなら、ビデオパートナー、理想的にはYouTubeと提携することも考えられる。

ビデオの共同視聴はMessengerにとって新たな収入源になるかもしれない。予告編などのスポンサー付きビデオをおすすめすることも考えられる。あるいは、ビデオの合間にビデオ広告を挟むだけかもしれない。最近FacebookはMessengerやInstagramなどの子会社に対して収益化のプレッシャーを強めている。ユーザー成長が停滞し、ニュースフィードの広告スペースが限界に達していることから広告売上が鈍化しているためだ。

過去にはYouTubeのUptime(その後中止)やFacebookの初代プレジデントSean ParkerのAirtime(結局公開されず)などのアプリが共同視聴を流行らせようと試みては失敗している。問題は、友達との同期体験のスケジュール調整が難しいことにある。同時ビデオ視聴をMessengerに直接組み込むことによって、Facebookはこれをリンク共有と同じくらいシームレスにできるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleマイビジネス・アプリがリニューアル――Facebookページのライバルを目指す

Googleマイビジネスにオーナーが新しい顧客を獲得することを助ける新しい機能が追加された。今日(米国時間11/14)、GoogleはマイビジネスのiOSとAndroidアプリのリニューアルを公開し始めた。新しいツールではビジネス・オーナーがレビューだけでなく、ビジネスのフォロワーやメッセージなどの顧客情報を閲覧できる。また ビジネスの内容についてGoogle上で公開するためのプロフィールを簡単に作成できるようになった。

これは最近Googleマップのアップデートでフォロー・ボタンが追加され、マップのユーザーが関心あるビジネスをフォローできるようになったことを受けたものだ。フォローするとそのビジネスについての最新情報を受取ることができ、プロモーションやイベントに参加できる。GoogleマイビジネスはFacebookページのライバルとなることを目指しているようだ。

新しいGoogleマイビジネス・アプリには「カスタマー」タブが設けられ、顧客および見込み顧客に関する情報をここから管理できる。上で紹介したとおり、フォロワーのリストなどを見ることができる。ビジネスのオーナーはレビューを読むだけでなくアプリ内からメッセージに返信もできる。

Photocentric posting experience - Scale

逆にGoogleマップ、あるいはGoogle検索を使ってビジネスを発見した場合、マイビジネスにMessageボタンが表示されるので、クリックしてオーナーにコンタクトすることができる。これまでも返信自体はこれまでもできたが、オーナーはモバイル・デバイスのメッセージ機能を使う必要があった。今回のアップデートでGoogleマイビジネス・アプリ内から着信メッセージに返信できるようになった。またメッセージ機能自体もアメリカ、カナダ、ブラジル、インドに限定されていたが、今週中に世界の主要な国々で利用できるようになる。

またアプリには投稿(Posts)ボタンも新設された。ビジネス・オーナーはこのボタンをクリックすることでプロフィールのアップデートを簡単にGoogleにアップロードできるようになった。新しいプロダクト、バーゲン、イベントなどの情報を顧客に伝えたいときに便利だ。

もちろん多くのビジネスはこうした情報をFacebookページ、Instagram、Twitterなどのソーシャルメディアを使って発表していたはずだ。今回のアップデートでビジネスはGoogleマイビジネスにも同様の情報をアップロードできるようになり、Google検索やGoogleマップから来るいっそう広い範囲の顧客、見込み顧客にリーチできるようになった。

GoogleではGoogleマイビジネスのアップデートはiOS版、Android版ともに今日からスタートするとしている。

〔日本版〕モバイルアプリのマイビジネスに表示されるビジネスのフォローは日本でもすでに可能。ビジネス・オーナーはこちらからマイビジネスの利用を開始できる。

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滑川海彦@Facebook Google+